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「歩くと膝の裏が痛い」「しゃがむとピキッと違和感がある」足の不快な症状にお悩みの方は多いのではないでしょうか。 膝の裏の痛みは、加齢や運動不足によるものから、半月板損傷や血栓などの病気が隠れているケースまで、さまざまな原因が考えられます。自己判断で放置してしまうと、悪化して日常生活に支障が出ることもあるため注意が必要です。 この記事では、膝の裏が痛いときに考えられる原因、受診目安、検査方法を解説します。ご自身の症状に当てはまるものがないか、確認しながら読み進めてみてください。 また、変形性膝関節症や半月板損傷に対しては、再生医療も治療選択肢の一つです。当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、膝の疾患に対する再生医療の情報を提供しております。入院・手術を変形性膝関節症や半月板損傷のお悩みを今すぐ解消したい・再生医療に興味がある方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 膝の裏が痛いときに考えられる10の原因【一覧表】 膝の裏が痛いときに考えられる主な原因は、以下のとおりです。 原因 特徴 変形性膝関節症 歩きはじめに痛む 半月板損傷 曲げ伸ばし時のひっかかり感 ベーカー嚢腫 触れる腫れやしこりがある 膝裏の筋肉の損傷 膝裏が重だるい 靭帯損傷 膝の不安定感 エコノミークラス症候群 片足だけ腫れている、または腫れが目立つ 関節リウマチ 左右対称に関節がこわばる 腰椎ヘルニア・坐骨神経痛 お尻から足先にかけての痛みやしびれ リンパの滞り 腫れや重だるさ、張り感など 反張膝 膝が後ろに反っている 膝の裏の痛みは関節のトラブルだけでなく、筋肉や靭帯、血管・神経の問題など、さまざまな疾患が背景にあります。どの疾患があてはまりそうか、一覧表を見ながら気になる症状を確認してみましょう。 変形性膝関節症|軟骨がすり減って起こる痛み 変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減ることで関節に負担がかかり、痛みや腫れを引き起こす疾患です。 変形性膝関節症は、以下のような方に現れやすい傾向にあります。(文献1)(文献2) 50代以降 女性 体重が重い 過去に膝をケガしたことがある 膝へ負担のかかりやすい仕事や動作が多い また、以下の症状がある場合は、変形性膝関節症の可能性があります。 歩き始めるときに膝がこわばる 階段の上り下りがつらい 正座やしゃがむ動作で痛みが強くなる 変形性膝関節症は自然に元の状態へ戻ることは難しく、放置すると痛みが慢性化して日常生活に支障が出るおそれがある疾患です。症状が軽いうちに対応すれば、進行の抑制が期待できます。 当院で行った変形性膝関節症に対する再生医療の症例を以下で紹介しています。ぜひ参考にしてください。 【関連記事】 変形性膝関節症の初期症状とは?原因や治療方法もわかりやすく解説 | リペアセルクリニック東京院 半月板損傷|半月板に傷がついて起こる痛み 半月板は、膝関節の中で太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)の間にあり、ショックを吸収し、膝の安定性を保つクッションのような役割を果たす線維軟骨組織です。半月板に亀裂や断裂が生じると、膝裏や膝関節に痛みや不安定感などの症状が出やすくなります。 主な原因は野球やジョギングなどのスポーツで膝関節に強いねじれや衝撃が加わることや加齢、肥満などです。(文献3)(文献4) 半月板損傷の症状は、以下のとおりです。 膝の内側または裏側に痛みや違和感がある 膝を曲げ伸ばしするときに引っかかる感じがする 水がたまったような張り感・むくみがある 膝を完全に伸ばせない、または伸ばすと痛みが走る 半月板の損傷が治らないまま炎症が続くと、膝の軟骨にも負担がかかり、将来的に変形性膝関節症を招くおそれがあります。医師による検査や治療、リハビリを受けることで痛みの改善や再発防止が期待できます。 当院で行った半月板損傷に対する再生医療の症例を以下で紹介しています。ぜひ参考にしてください。 【関連記事】 半月板損傷とは?原因・症状・治療法・やってはいけないこと | リペアセルクリニック東京院 ベーカー嚢腫|膝裏に水が溜まって腫れる ベーカー嚢腫は、膝関節内の炎症や損傷によって関節液が膝裏に溜まって腫れた状態を指します。変形性膝関節症や関節リウマチなど、膝関節に炎症や損傷がある場合やスポーツによって膝を使いすぎた際に起こりやすいことが知られています。 ベーカー嚢腫の主な症状は、以下のとおりです。 膝の裏にしこりや腫れがある 膝を曲げ伸ばしすると圧迫感や違和感がある 嚢腫が大きくなると、ふくらはぎにだるさや痛みが出ることもあるため注意が必要です。 進行すると、嚢腫が破裂して袋の中に溜まっていた滑液が周囲へしみ出し、周辺の組織に刺激を与えて炎症が広がることがあります。 ベーカー嚢腫は膝裏の腫れそのものであり、根本原因である膝関節の炎症や損傷を放置すると再発や症状悪化につながることがあります。そのため、膝関節の状態をしっかり評価し、必要に応じて治療を受けることが大切です。 以下の記事ではベーカー嚢腫について解説しているので参考にしてください。 【関連記事】 【膝裏の腫れ】ベーカー嚢腫の症状とは?治し方を解説 | リペアセルクリニック東京院 膝裏の筋肉の損傷|筋肉を痛めて起こる膝裏の痛み 膝裏の筋肉である膝窩筋(しっかきん)の損傷は、スポーツや日常動作で膝周囲の筋肉に過度の負荷がかかったときに起こります。 ジャンプやダッシュ、急な方向転換などの動作や筋肉の柔軟性が低下した際に損傷しやすい傾向にあります。 膝裏の筋肉の損傷した際の特徴的な症状は、以下のとおりです。 膝裏が重だるい 膝裏を押すと痛みがある 立ったり歩いたりすると痛む ふくらはぎの上部も痛む 軽度であれば安静やストレッチで改善する場合がありますが、痛みが長引く場合や動作に支障が出る際は医療機関での診察を受けましょう。 靭帯損傷|膝を支える靭帯が傷ついて起こる痛み 靭帯損傷の主な原因は、スポーツ中の急なターン・接触・転倒などで靭帯にかかる過度の負荷です。 以下の症状がある場合は、靭帯損傷が疑われます。 膝が不安定に感じる、ぐらつく感覚がある 損傷直後に「ブツッ」と音がしたことがある 触れると温かい 膝裏が腫れて張ったように感じる 靭帯損傷を放置すると膝の不安定性が慢性化し、変形性膝関節症を引き起こすおそれがあります。症状が出たら早めに受診しましょう。 当院で行った靭帯損傷に対する再生医療の症例を、以下でご紹介しているので参考にしてください。 【関連記事】 【医師監修】靭帯損傷とは|症状・原因・全治までの期間を現役医師が解説 | リペアセルクリニック東京院 エコノミークラス症候群|血流が滞って起こる膝裏の張りや痛み エコノミークラス症候群は、長時間同じ姿勢で座っていることで下肢の血流が滞り、静脈に血栓ができる状態です。多くの場合はふくらはぎの痛みや腫れとして現れますが、血栓の位置によっては膝の裏に痛みが出ることもあります。 以下のような症状があれば、エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)の可能性があります。自分の脚の状態をチェックしてみてください。 膝裏、ふくらはぎ、または脚全体に張りやだるさを感じる 片足だけ腫れている、または腫れが目立つ 息切れや胸・背中の痛み これらの症状が見られる場合は放置すると血栓が肺に移動して肺塞栓症を引き起こし、命に関わることもあります。重篤な状態になる前に医療機関での診察を受けましょう。 関節リウマチ|関節に炎症が起きて生じる痛みや腫れ 関節リウマチは、免疫システムの異常により膝を含む複数の関節に炎症が起こる病気です。滑膜と呼ばれる関節の内側を覆う組織が主に攻撃されます。 発症年齢は40〜60代が中心で、女性に多く発症する傾向があります。(文献5) 関節リウマチの主な症状は、以下のとおりです。 膝の裏や関節周囲の腫れ、熱感、こわばりが見られる 朝起きた直後の関節のこわばりが30分以上続く 両膝など左右の関節に同時に症状が出る 炎症が長期間続くと関節破壊が進行し、変形や可動域の制限が起こる可能性があります。早期に治療を開始できれば症状の進行を抑え、生活の質を保つことが可能です。 当院で行った関節リウマチに対する再生医療の症例を、以下でご紹介しているので参考にしてください。 【関連記事】 関節リウマチとは?初期症状・原因・診断・治療・生活上の注意 | リペアセルクリニック東京院 腰椎ヘルニア・坐骨神経痛|神経が圧迫されて起こる痛み 腰椎(椎間板)ヘルニアや坐骨神経痛は、腰の骨(腰椎)で椎間板がつぶれたり飛び出したりして神経が圧迫されることで、腰・お尻・太ももの後ろ・膝裏・ふくらはぎ・足先にかけて痛みやしびれが現れる状態を指します。 主な原因は、加齢による椎間板の変性や体重過多、繰り返す腰への負荷や重労働などです。 以下の症状は、神経が圧迫されているサインかもしれません。 お尻から足先にかけての痛みやしびれがある 立ちっぱなしの姿勢が続くとつらく感じる 腰を反らしたときに、足にしびれや痛みが走る 前かがみになると痛みが悪化する 腰椎ヘルニアや坐骨神経痛を放置すると、下肢のしびれや痛みが慢性化して歩行、立ち上がり、階段昇降などに支障が出るおそれがあります。初期のうちに適切に対応すれば、重症化を防いで快適な生活を取り戻せる可能性が高くなります。 当院で行った腰椎椎間板ヘルニアに対する再生医療の症例を、以下でご紹介しているので参考にしてください。 【関連記事】 腰椎椎間板ヘルニアと坐骨神経痛の違いを解説|疼痛期間や治し方を紹介 | リペアセルクリニック東京院 リンパの滞り|リンパの流れが悪くなって起こる膝裏の腫れや重だるさ リンパ液は、毛細血管から漏れ出た余分な水分や老廃物を回収し、血流に戻す働きをしています。 リンパの循環が滞ると脚や膝裏などに水分が溜まりやすくなり、腫れや重だるさ、張り感などの症状が現れることがあります。 リンパの流れが悪くなりやすい主な条件は、以下のとおりです。 リンパ管・リンパ節の異常や機能低下 長時間立ちっぱなし・座りっぱなし 加齢 ビタミンやミネラル不足 むくみや腫れには血液の流れの問題や他の疾患が関わることもあるため、気になる場合は医療機関での診断を検討してください。 反張膝|膝が反りすぎて起こる膝裏の負担と痛み 反張膝(はんちょうひざ)は、立ったときや歩行時に膝関節がまっすぐな状態を超えて後ろに反る状態です。膝関節や周囲の筋肉、靭帯に長期的な負担がかかるため、膝裏の痛みや不安定感が生じやすくなります。 原因としては、バレエや新体操などの膝を伸ばす動きが多いスポーツや靭帯の損傷、生まれつきの関節の柔らかさなどが挙げられます。 反張膝の特徴は、以下のとおりです。 鏡の前で立ったときに、膝が後ろに反っているように見える 立った状態で膝を伸ばすと反り過ぎた感じがする 膝の鈍い痛み 膝が崩れるような感覚がある 反張膝は見た目だけの問題ではありません。放置すると、将来的に関節が変形する可能性があります。 膝の裏が痛いときの受診目安 膝の裏が痛いときの受診目安は、以下のとおりです。 安静にしていても強く痛む 膝裏の腫れが大きい 熱感や赤みがある 膝の曲げ伸ばしが難しい 数日経っても症状が続く とくに痛み・腫れ・熱感が強い場合は、早めに整形外科を受診しましょう。 ふくらはぎの強い腫れ・片脚だけのむくみ・息苦しさを伴うなどの症状がある場合は、血栓症が疑われるため内科での評価が必要になることもあります。 当てはまるかどうか確認しながら、受診の判断に役立ててください。 膝裏の痛みの検査方法 膝裏の痛みに対する主な検査方法は、以下のとおりです。 検査 内容 主な病気 X線(レントゲン) 骨の形状、隙間、変形の有無を調べる 変形性膝関節症 MRI 軟骨のすり減り、骨の変形などを調べる 半月板損傷・靭帯損傷 超音波 膝裏の腫れの中身(液体・嚢腫など)、筋損傷、靭帯の損傷をリアルタイムで確認 ベーカー嚢腫 血液検査 炎症反応、リウマチ因子などを確認 関節リウマチ 膝裏の痛みは原因が幅広く、関節・靭帯・筋肉・神経・血管など、どの組織がトラブルを起こしているかで必要な検査が異なります。 膝裏の痛みは原因が重複して見た目だけでは判断できない場合があります。そのため、気になる症状が続くときは整形外科で検査を受けましょう。 膝の裏が痛いときの治療法 膝の裏が痛いときの治療法は、以下のとおりです。 保存療法 手術療法 再生医療 どの治療が適しているかは、原因の病気・損傷の範囲・年齢・生活スタイルによって異なります。それぞれの治療法について詳しく解説します。 保存療法 保存療法は、手術を行わずに痛みや炎症を抑え、膝の機能改善を目指す治療法です。多くの膝裏の痛みに対して最初に選択され、症状の程度や生活スタイルに合わせて複数の方法を組み合わせて行います。 主な治療方法は以下のとおりです。 薬物療法:抗炎症薬や鎮痛薬、湿布などを用いて痛みや炎症を抑える 理学療法:理学療法士によるストレッチ、筋力トレーニング、バランス訓練などで膝の機能を高める 注射療法:ヒアルロン酸やステロイドを膝の関節内や周囲に注射し、痛みの緩和を図る 保存療法を適切に続けることで、日常生活での負担軽減や再発予防にもつながります。 手術療法 手術療法は、保存療法を続けても改善が乏しい場合や、安静にしても強い痛みが続く、歩行が難しいといった際に検討される治療法です。 膝裏の痛みに関係する主な手術は、以下のとおりです。 手術名 内容 主な病気 関節鏡視下術 小さな切開でカメラを挿入し、損傷した組織を修復・部分切除する 半月板損傷 高位脛骨骨切り術 骨の角度を調整して膝の負担を和らげる 変形性膝関節症(初期〜中等度) 人工膝関節置換術 傷んだ関節面を人工関節に置き換える 変形性膝関節症(重度) 手術には、血栓や感染症、出血、再手術のリスクがありますが、適切に選択することで膝の機能改善や痛みの軽減が期待できます。どの手術が最適かは膝の状態や生活スタイルによって異なるため、医師と十分に相談し、納得した上で判断しましょう。 再生医療 膝裏が痛むときの治療法として、再生医療も選択肢の一つです。再生医療には、幹細胞治療とPRP療法があります。 治療法 内容 幹細胞治療 他の細胞に変化する能力「分化能」を持つ幹細胞を患部に投与 PRP療法 血液に含まれる血小板を濃縮した液体を作製して患部に投与 どちらも手術・入院を必要としないのが特徴です。 再生医療は、以下のようなお悩みがある方に向いています。 膝の痛みや腫れがあり、炎症を抑えたい 手術を避けたい方 変形性膝関節症 半月板や軟部組織の損傷 膝裏の痛みが慢性的に続いている 以下で当院「リペアセルクリニック」の再生医療の症例をご紹介しています。ぜひ参考にしてください。 変形性膝関節症だけでなく膝の痛みが原因の疾患で手術に悩んでいる方は、当院へご相談ください。 患者様の状況を伺って一人ひとりにあわせた治療方針を提案いたします。 膝の裏が痛いときのセルフケア方法 膝の裏が痛いときのセルフケア方法は、以下のとおりです。 安静にする 温める ストレッチをする 生活環境を見直す マッサージをする テーピングやサポーターを使用する 症状や痛みの程度に合わせて、無理のない範囲で取り入れましょう。 痛みが強い・腫れや熱感がある・しびれや動かしにくさを伴う場合は、自己判断せず早めに整形外科や内科を受診してください。症状の原因を正確に把握して、適切な治療やケアにつなげましょう。 安静にする 膝の裏に痛みを感じたら、まずは無理に動かさず安静を保つことが重要です。 膝に負担をかけすぎると症状が悪化する可能性があるため、痛みが強い間は運動や長時間の立位・歩行を控えましょう。 安静にする際のポイントは以下のとおりです。 膝を高く保つ:腫れや血流の滞りを防ぐため、横になるときは膝下にクッションや枕を挟み、少し持ち上げる 痛みが強いときは動かさない:歩行や階段の昇降、膝に負荷がかかる動作は避ける 数日経っても改善しない場合は受診:安静にしても症状が続く場合は、早めに整形外科で原因を確認 安静を意識することで、膝の炎症や筋肉の過度な緊張を抑え、回復のサポートにつながります。 温める 膝裏の痛みの原因に冷えや血行不良が関わっている場合は、患部を適度に温めることが大切です。温めることで血流が改善し、酸素や栄養が行き渡りやすくなるほか、老廃物の排出も促進されます。 温める際のポイントは、以下のとおりです。 タイミング:腫れ・赤み・熱感がある場合は温めずに冷やす 方法:入浴、温熱パッドなど 時間の目安:38~40度のお湯に15分程度、温熱パッドは低〜中温で15〜20分程度 日常的に取り入れることで、膝裏の痛みの予防につながります。 ストレッチをする 膝の裏が痛いときは、膝周りのストレッチも有効です。適切なストレッチは、筋肉の柔軟性を高めて血流を促すだけでなく、痛みの軽減や膝関節の可動域維持にもつながります。 膝裏の痛みに役立つ、太ももの裏(ハムストリング)とふくらはぎを同時に伸ばせるストレッチは、以下のとおりです。 床やベッドに座り、片方の足を前に伸ばす 反対の足裏を、伸ばした足の太ももの内側に軽く当てる つま先は天井方向へ向ける 背筋を伸ばしたまま、上半身を前にゆっくり倒して10秒ほどキープ 左右を交互に行い、片側10回を目安に 太ももの裏からふくらはぎにかけてじんわりと伸びる感覚が得られます。余裕がある場合は、伸ばしている足先に手を伸ばしてみましょう。強く引っ張る必要はなく、心地よく伸びていると感じられる範囲で行うことが大切です。 怪我や疾患がある場合は、ストレッチを行う前に医師に相談してください。 生活環境を見直す 膝裏の負担を減らすためには、日常生活や職場、寝室の環境を整えることも大切です。 見直したいポイントは、以下のとおりです。 椅子の高さ:膝への無理軽減のため、座ったときに膝が90度程度に曲がる高さを目安に調整する デスクワークや長距離移動:1時間に1回、数分〜10分ほど体を休める時間を取る(文献6) 寝具の硬さや枕の高さ:自分の体格や姿勢に合った寝具を選ぶ 日常の環境を少し見直すだけでも膝裏の痛みの予防・改善につながるため、気づいたところから取り入れましょう。 マッサージをする マッサージは、膝裏の痛み緩和や血流の促進に役立ちます。 膝の後ろからふくらはぎにかけて、手のひらで円を描くようにゆっくりさすったり、ふくらはぎをやさしく揉んだりすると、筋肉のこわばりがほぐれ、膝裏への負担が軽くなりやすくなります。1回あたり3分程度を目安に、無理のない力加減で続けることが大切です。 膝に強い腫れや熱感がある場合は無理に行わず、症状が続くときには整形外科への相談を検討してください。 テーピングやサポーターを使用する テーピングやサポーターは、膝裏の痛みを和らげ、動作時の負担を減らすために役立ちます。 テーピングやサポーターを使用する際の注意点は、以下のとおりです。 テーピングには専門的な知識が必要になるため、最初は専門医に相談する 長時間の使用は筋力低下や血行不良につながることがある 圧迫しすぎると痛みやしびれの原因になるため、きつく巻きすぎない 使用中に痛み・しびれ・違和感が出た場合はすぐ中止する テーピングやサポーターはあくまで痛みを軽減する補助として用いるもので、根本的な治療はできません。不安がある場合や痛みが続く場合には、適切な使用方法も含めて、整形外科で相談しながら進めましょう。 膝の裏の痛みが続くときは迷わず専門医に相談しよう 膝裏の痛みは、変形性膝関節症・関節リウマチ・靭帯損傷など、原因によって必要な対応が大きく変わる症状です。長引いている・悪化していると感じたら、整形外科を受診して原因を明らかにしましょう。 当院リペアセルクリニックでは、膝関節や靭帯の損傷に対してアプローチできる再生医療をご案内しています。膝裏の痛みを軽くしたい方や治療方法の選択肢を広げたい方は、電話相談からでもお気軽にご相談いただけます。 膝の裏の痛みに関するよくある質問 歩きすぎが原因で膝裏が痛くなることはありますか? 長時間の歩行は膝に負担がかかるため、膝裏の痛みを引き起こす可能性があります。とくに、硬い地面を歩いたり、無理なペースで歩行したりすると痛みが起こりやすいです。 長時間歩くときには、適切な靴を履き、歩行姿勢に気をつけることがポイントです。歩行する前後でストレッチや軽いマッサージをすると、筋肉の緊張を和らげて膝への負担軽減につながります。 膝の裏が痛いのは冷えが原因でしょうか? 冷えが原因で膝裏が痛むことはありますが、必ずしもそれだけとは限りません。 冷えによって血流が低下すると膝まわりの筋肉がこわばり、痛みとして感じやすくなります。ただし、膝裏の痛みは変形性膝関節症や関節リウマチ、靭帯・半月板のトラブルなど、より明確な疾患が隠れている場合もあるため注意が必要です。 痛みが続く・腫れがある・動かすと強く痛むといった場合は、早めに医療機関で原因を確認しましょう。 膝の裏が痛い場合、何科にいけば良いですか? 膝の裏に痛みがある場合は、まず整形外科の受診がおすすめです。 整形外科ではレントゲンやMRIなどの画像検査で原因を特定し、関節や靭帯、筋肉、神経など幅広く診てもらえます。スポーツによるケガや変形性膝関節症、半月板損傷など整形外科領域の疾患が多く、適切な治療やリハビリの提案を受けられます。 早期の受診で、症状の悪化や後遺症を防ぎましょう。 参考文献 (文献1) 変形性膝関節症診療ガイドライン2023の概説|日大医学会誌 (文献2) 変形性関節症|WHO (文献3) 半月板病変による初回入院のリスク要因 - 30年間の追跡期間を持つ集団ベースのコホート研究|BMC Musculoskeletal Disorders (文献4) 体格指数と半月板裂:観察研究のメタアナリシスとメンデルランダム化の証拠|PubMed (文献5) 関節リウマチ ― リウマチ・アレルギー情報第6章|厚生労働省 (文献6) 情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン|厚生労働省
2022.06.07 -
- 糖尿病
- 内科疾患
妊娠中に「妊娠糖尿病」と診断され、不安や戸惑いを感じていませんか? 「食事に気をつけてください」と言われる中で、「運動も大切です」と医師からアドバイスを受けたものの、妊娠中に体を動かして本当に大丈夫なのか、逆にお腹の赤ちゃんに影響が出ないか、不安になる方も多いでしょう。 本記事では、妊娠糖尿病の管理においてなぜ運動が推奨されているのか、そしてどのような運動なら安心して行えるのかを、わかりやすく解説します。 運動が不安な方でも、今日から無理なく始められるポイントや注意点も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。 妊娠糖尿病には運動が効果的 妊娠糖尿病と診断されると、まず「食事管理」が思い浮かびますが、運動も血糖値のコントロールに効果的な手段のひとつです。 妊娠中でも体に負担をかけすぎない運動であれば、医師の指導のもと安心して取り入れられます。 実際に、妊婦さんの中には運動を取り入れることで血糖値が安定し、体調管理がしやすくなったと感じる方も少なくありません。 本章では、妊娠糖尿病に対する運動の具体的な効果や、安全に取り入れやすい方法について解説します。 歩行のみでも改善効果が期待できる 運動と聞くと、ランニングのような激しい運動が必要と思われがちですが、ウォーキングのような軽い有酸素運動でも血糖値コントロールへの良い影響が報告されています。 たとえば、科学研究費助成事業による調査では、妊娠糖尿病の妊婦において歩行運動を取り入れた妊婦の方が、食事療法のみの妊婦に比べてインスリン治療へ移行した割合が少なかったことが報告されています。(文献1) もちろん、すべての人に同じ効果が現れるわけではありませんが、「歩くだけでも意味がある」と思えるだけでも、日々の活動が変わります。 運動により血糖値コントロール・体重管理・便秘予防などの効果がある 先ほども解説した通り、妊娠糖尿病において、軽めの有酸素運動は血糖値のコントロールに非常に有効ですが、運動の効果は、血糖値の改善だけではありません。 適度な運動を続けることで、過度な体重増加を防ぎ、妊娠中に起こりやすい便秘の予防にも効果があるとされています。 さらに、軽い運動はリフレッシュにもつながり、ストレスの軽減や睡眠の質の向上など、心身のバランスを整える助けにもなります。 妊娠中はホルモンバランスの変化で気分が不安定になりやすいため、体を動かすことで気分転換ができるのも大きな利点です。 安定期(妊娠中期)〜後期では運動が始めやすい 妊娠初期は体調が不安定なことが多いため、無理に運動を始める必要はありません。 しかし、妊娠12~16週以降の安定期に入り、体調が落ち着いてきた頃であれば、医師の許可を得たうえで軽い運動を始めることができます。 ウォーキングやマタニティヨガ、ストレッチなど、お腹に負担をかけずにできる動きから少しずつ取り入れていくのがポイントです。 最初は短時間・軽い内容からスタートし、体調を見ながら続けていきましょう。 妊娠糖尿病の方におすすめの3つの運動 妊娠糖尿病の方にとって、運動は血糖コントロールや体調管理に役立つ大切なセルフケアのひとつです。 ここで、妊婦さんでも無理なく取り入れやすい、妊娠糖尿病の管理にも効果が期待できる、以下3つの運動方法をご紹介します。 ウォーキング(散歩) マタニティヨガ・ストレッチ 軽い筋トレ(スクワット・もも上げ) ウォーキング(散歩) ウォーキングは、妊娠中でも安全性が高く、体への負担が少ない有酸素運動です。 血流が良くなることで血糖値の安定にもつながり、リフレッシュ効果も期待できます。 無理に長時間歩く必要はなく、1日15〜30分程度、気分がよい時間帯にゆっくり歩くだけで大丈夫です。 歩く際は、気温や天候に配慮し、水分補給を忘れずに行いましょう。 マタニティヨガ・ストレッチ マタニティヨガやストレッチは、呼吸を意識しながらゆっくり体を動かす運動です。 筋肉をやわらかく保ち、血行を促進することで、血糖値の安定にも良い影響が期待でき、心身のリラックスにもつながります。 また、腰痛や肩こり、むくみ、便秘といった妊娠中の不調の予防や緩和にも効果的です。 たとえば「猫と牛のポーズ」は、妊婦さんに人気のある基本的な動きのひとつです。 【猫と牛のポーズ】 四つん這いになる 肩の真下に手首、脚の付け根の真下に膝を置く 手のひらを大きく開き、中指を正面に向ける 膝の間は拳1つ分あける 頭からお尻まで一直線にキープ 息を吸いながら背中を反らせて目線を上に 息を吐きながら背中を丸めて目線をおへそに 四つん這いになることで、お腹が自然に下がり、赤ちゃんにとっても居心地の良いスペースが生まれます。 お母さんは呼吸がしやすくなり、赤ちゃんもリラックスできると言われており、息苦しさを感じたときにもおすすめです。 ただし、このポーズは妊娠16週以降で、主治医から運動の許可を得ている方のみ行うようにしましょう。 自宅で動画を見ながら取り組める手軽さも魅力ですが、お腹を圧迫しない姿勢を選び、無理なく行うことが大切です。 軽い筋トレ(スクワット・もも上げ) 妊婦さんでもできる範囲の軽い筋トレもおすすめです。 筋肉を使うことで、インスリンの働きが良くなり、血糖の取り込みがスムーズになるといわれています。 たとえば、椅子につかまりながらのスクワットや、その場でももを軽く上げ下げする運動などは、下半身の筋力を保ちつつ代謝をサポートします。 運動前後のストレッチや呼吸を意識し、お腹に力を入れすぎないよう注意しながら行うのがポイントです。 妊娠糖尿病の方が運動する際の注意点 妊娠糖尿病の管理に運動は効果的ですが、妊娠中という特別な時期であることを忘れてはいけません。 体調や妊娠の経過によっては、運動がかえって負担になる場合もあるため、「無理をしない・安全に行う」ことが最も大切です。 本章では、妊娠糖尿病の方が運動を始める際に、必ず押さえておきたい以下、4つの注意点をご紹介します。 医師に必ず相談してから開始する お腹が張ったらすぐ中止する 水分補給・室温管理など安全に配慮する 激しい運動は避ける 医師に必ず相談してから開始する 妊娠中に運動を始める前には、必ず主治医へ相談しましょう。 妊娠糖尿病の症状の程度や、妊娠の経過、合併症の有無などによっては、運動を控えるよう指示される場合もあります。 また、体調は日によって変化するため、「昨日は大丈夫だったから今日も大丈夫」とは限りません。 医師と相談しながら、そのときの自分の体に合った方法・タイミングで取り組むことが大切です。 お腹が張ったらすぐ中止する 妊娠中の運動で最も大事なのは、「頑張りすぎない」ことです。 少しでもお腹が張る、疲れすぎたと感じる、不調のサインがあれば、すぐに運動を中止しましょう。 妊娠糖尿病の管理には継続が大切ですが、それ以上に大切なのは母体と赤ちゃんの安全です。 「今日は無理しない」という判断も、立派な自己管理のひとつです。 水分補給・室温管理など安全に配慮する 妊娠中は汗をかきやすく、体温調整もしにくくなっているため、こまめな水分補給と室温管理が欠かせません。 とくに夏場や暖房のきいた室内では、熱中症や脱水症状を防ぐためにも常に水分を手元に置いておくようにしましょう。 また、食後30分〜1時間以内の軽い運動が血糖値の上昇を抑えるのに効果的とされており、このタイミングを意識するのもおすすめですが、体調がすぐれないときは無理せず、あくまで自分の体と相談しながら行いましょう。 激しい運動は避ける 妊娠中はお腹に衝撃や強い負荷がかかるような運動は避ける必要があります。 主に、以下の運動は原則NGとされています。 ランニングやジャンプなど、全身に強い負荷がかかる動き サッカーやバスケットボールなど、転倒や接触リスクのあるスポーツ 腹筋運動や体幹トレーニングなど、お腹に直接負担がかかるもの これらは流産や早産のリスクを高める恐れがあるため、妊娠中は控えるのが基本です。 安全第一で「ゆっくり・やさしく・短時間」を心がけましょう。 まとめ|妊娠糖尿病と運動は正しく組み合わせれば心強い味方 妊娠糖尿病と診断されると、不安や戸惑いを感じる方も多いかもしれません。 しかし、適切な運動は血糖コントロールに役立つだけでなく、妊娠中の心身の健康をサポートしてくれる心強い味方にもなります。 大切なのは、「できることから無理なく続ける」ことです。 ウォーキングやストレッチなど、体調に合わせて取り入れやすい運動から始めてみましょう。 少しでも不安があるときは、かかりつけの医師や助産師に相談しながら進めることが安心・安全への近道です。無理のない範囲で体を動かしながら、穏やかな妊娠生活を送りましょう。 参考文献 (文献1) 菅沼信彦「妊娠糖尿病妊婦に運動療法は効果的か?2014年度 実績報告書」京都大学 医学系研究科、2015年(研究課題番号:25670970) https://kaken.nii.ac.jp/ja/report/KAKENHI-PROJECT-25670970/256709702014jisseki/(最終アクセス:2025年5月25日])
2022.06.02 -
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50代女性で糖尿病の初期症状はどんなものがある? 50代になってから、健康診断で血糖値やHbA1cが高いと指摘されてしまった。対策は? この記事を読んでいる方は、50代女性で糖尿病になると、どんな初期症状があらわれるのか気になっているのではないでしょうか。 血糖値が高いと指摘されても、具体的にどんな症状が出るのか、どんな危険性があるのか想像がつきにくい人もいるかもしれません。 50代は糖尿病のような生活習慣病が増えてくる年代でもあります。特に女性の場合は更年期から発症するケースもあるため、初期症状を見逃さないようにしましょう。 本記事では、糖尿病の初期症状について、50代女性に特化して解説します。 記事を最後まで読めば、50代女性における糖尿病の初期症状が分かり、適切な対策法を考えられるでしょう。 当院リペアセルクリニックでも、糖尿病の症状や治療法についてのご相談を受け付けております。メール相談やオンラインカウンセリングより気軽にお問い合わせください。 糖尿病の初期症状は「のどの渇きやだるさ」 血液の中の糖が多くなると、体にさまざまな異変を感じます。 しかし、糖尿病には「進行しないと症状が出にくい」という特徴があります。つまり、初期症状が出る頃には、すでに糖尿病が進行している状態ともいえるのです。 糖尿病の初期症状としては、以下が挙げられます。(文献1) のどが乾く 尿の回数が多い 体のだるさを感じる 体重が減ってくる 血液の中の糖を薄めるために頻回に水を飲みたくなったり、その影響で尿の回数が増えたりします。 また、血糖をエネルギーに変えて、血糖値を下げるホルモンの分泌が悪くなり、疲れやすい、体重が減るといった症状にもつながります。 糖尿病が進行してくると、体には様々な合併症が現れます。糖尿病の主な合併症は以下の通りです。(文献2) 糖尿病の合併症の例 症状 糖尿病性神経障害 手足のしびれ、感覚の鈍りなど 糖尿病性網膜症 目のかすみ、視力低下など 糖尿病性腎症 むくみ、高血圧、尿毒症など もし糖尿病のような症状が気になっている場合には、早めの受診をお勧めします。 【女性向け】糖尿病の初期症状チェックリスト 「甘いものが止められない」「食事のバランスが偏っている」といった糖尿病になりやすい生活習慣を持っている方は、自分が糖尿病ではないか気になりますよね。 以下は、女性向け糖尿病の初期症状チェックリストです。(文献3)(文献4) のどが渇きやすい 尿の回数が多い 疲れやすい 目がかすむ 体重が減ってきた 手足のしびれや痛みがある 感染症にかかりやすい 傷が治りにくい 当てはまる項目が多い場合は、糖尿病の初期症状の可能性も考えられます。 ただし本表はあくまでもセルフチェックに留め、気になる症状は、早めに医療機関に相談しましょう。 糖尿病の初期症状については、以下の記事もぜひご覧ください。 糖尿病患者の9割は「2型糖尿病」 糖尿病は、生活習慣病とも関連する注意すべき病気です。血糖値を降下させる作用のある、インスリンと呼ばれるホルモンの分泌量が低下する、もしくはインスリンの働きが悪くなり発症します。 糖尿病は、大きく「1型」と「2型」に分類されます。 「1型糖尿病」は、自己免疫の異常によって、インスリンを産生する膵臓の細胞が攻撃を受け発症するタイプです。生活習慣の乱れなどはあまり発症に関与しません。一方、糖尿病患者の約9割以上が「2型糖尿病」と言われています。 主な原因は、ストレスや肥満体型、運動不足や暴飲暴食など日々の生活習慣の乱れです。生活習慣の乱れが続くと、インスリンの分泌が少なくなったり、効きが悪くなり、血液中の糖が細胞に十分に取り込まれなくなります。 2型糖尿病でインスリンが出にくくなる、効きが悪くなる原因の多くは、高脂肪、高カロリーなどの食習慣です。また、糖質の取り過ぎや顕著な運動不足が続くとインスリンの働きが弱まり、徐々に血糖値が上昇していきます。 そのほか、妊娠や更年期を契機に発症するパターン、あるいは膵炎や膵臓がんなど膵臓疾患に合併して発症するパターンなども挙げられます。 2型糖尿病について、詳しく以下の記事でも解説しています。ぜひご覧ください。 50代女性の糖尿病リスクが高い理由 50代女性の糖尿病リスクが高い理由は、更年期が関係しています。 一般的に、女性は40代頃から更年期と呼ばれる時期に入ります。この時期は体がほてって疲労を感じやすいなど症状があらわれることが多いです。 更年期の症状は、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの分泌量低下によるものです。 エストロゲンには血糖値を調整する働きがあり、通常は女性を糖尿病から守る役割を果たしています。エストロゲンの分泌量は40代頃から減少し始め、50代の閉経期には急激に低下することから、更年期以降は糖尿病を発症するリスクが高まっていくのです。 更年期には自治体の定期検診や、勤務先の企業健診の結果に注目しましょう。 特に以下の値が基準値を超えている場合は、糖尿病の可能性があるため、医療機関での受診をおすすめします。 空腹時血糖値:126mg/dl以上 HbA1c:6.5%以上 (文献5) また、尿検査で糖が検出される場合も、糖尿病の可能性を示唆する重要なサインとなります。 50代女性が糖尿病を予防する4つのポイント 50代女性に起こりやすい糖尿病は「2型糖尿病」で、生活習慣の乱れが主な原因です。糖尿病を予防し、健康でいられるための4つのポイントをまとめました。 糖尿病予防のために意識したいポイントは、以下の通りです。(文献6) 食事を改善する 運動習慣をつける ストレスを溜めない 禁煙をする この章では、各ポイントについて詳しく解説します。 1.食事を改善する 食事はバランス良く、適量を摂ることが大切です。 糖分や脂質の多い食事は血糖を上昇させたり、体重を増加させたりします。野菜や果物、魚、豆類、雑穀類などを意識して摂ると、急な血糖値の上昇を防げるでしょう。 また、食事を抜くと次の食事で血糖値がいきなり上昇し、体に負担を与えてしまいます。時間がない、忙しいなどの理由で食事がとれない場合があっても、少しでも何か何かを口にすることから始めましょう。 間食もなるべくヘルシーなこんにゃくやゼリーにすると効果的です。 2.運動習慣をつける 有酸素運動は、血糖を筋肉に取り込みやすくする効果や、インスリンの働きも良くする効果があります。 週3回以上、週合計150分以上を目標に、無理のない範囲で行いましょう。 ウォーキングやサイクリングなど、またなるべく階段を使う、ラジオ体操をするなど「日常でプラス10分動く習慣」を作ることもおすすめです。 3.ストレスを溜めない ストレスは、ノルアドレナリンやコルチゾルといったホルモンを分泌させ、血糖値を上げる働きがあります。(文献7) 家事や育児、仕事などでストレスを感じている場合は、趣味を楽しむ、誰かと話す、ゆっくり呼吸をしてみるなど、意識して休む時間を作りましょう。 4.禁煙をする 喫煙はインスリンの働きを弱めるため、血糖値が下がりにくくなってしまいます。 禁煙することで、糖尿病のリスクを下げるだけでなく、他の生活習慣病やがんの予防にもつながるでしょう。全身の健康を保つために、禁煙を検討することをおすすめします。 まとめ|50代女性は糖尿病のリスクが高まる!生活習慣を見直そう 糖尿病は血糖値(血液中に含まれるブドウ糖)が慢性的に高くなる病気です。 50代女性は更年期のエストロゲン減少によって、血糖値のコントロールがうまくいかなくなり、糖尿病を発症することがあります。 普段から特段の自覚症状がなくても、知らぬ間に高血糖になる可能性があるため周囲が必要です。女性の場合は、更年期前後は生活習慣に特に意識を向けてみましょう。 当院では、膵臓(すいぞう)の再生医療を通じて糖尿病の進行を遅らせる治療も取り入れています。詳しくはこちらのページをご参考ください。 膵臓の再生医療について詳しく知りたいという方は、メール相談、オンラインカウンセリング も承っておりますので、ぜひご活用ください。 女性の糖尿病についてよくある質問 糖尿病は遺伝しますか? 2型糖尿病には、遺伝的要因もあります。 両親から受け継いだ遺伝子の性質により、インスリンの分泌が少なく、糖尿病になりやすい方もいます。 血の繋がった家族に糖尿病がいる方は、食べ過ぎや運動不足など、糖尿病のリスクを高めないように、とくに注意しましょう。 糖尿病は何科を受診すればよいですか? 基本的には内科を受診しましょう。 病院によっては「糖尿病内科」「内分泌科」といった糖尿病に特化した科を持っているところもあります。 また、もし合併症が現れている場合には、眼科や泌尿器科などの専門科の受診も必要です。 参考文献 (文献1) 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター「糖尿病とは」 https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/010/010/01.html (文献2) 一般社団法人 日本糖尿病学会「糖尿病合併症について」 https://www.jds.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=3 (文献3) 国立研究開発法人 国立循環器病研究センター「糖尿病|病気について|循環器病について知る|患者の皆様へ」 https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/diabetes/ (文献4) 東京都保健医療局「糖尿病発症予防ガイドブック 今日から予防!糖尿病」 https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/kensui/tonyo/citizen/6leaflet.html (文献5) 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン 2024」 https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/01.pdf (文献6) 厚生労働省「みんなで知ろう! からだのこと」 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202411_006.html (文献7) 大下咲子 ほか「<研究報告>2型糖尿病患者のストレスとストレス対処行動」 https://isns.jp/journal_pdf/03-1/03-1-2_rr01.pdf
2022.05.24 -
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「もしかして自分も糖尿病なのでは?」 「糖尿病の初期症状を詳しく知りたい」 このような不安を抱えている方は多いでしょう。 糖尿病は初期段階では自覚症状が乏しく、気づかないうちに進行しているケースも少なくありません。 しかし、早期に異変を察知して生活習慣を見直せば、重症化や合併症を防げます。 本記事では、糖尿病に見られる代表的な初期症状やセルフチェックのポイント、早めに受診すべきサインについてわかりやすく解説します。 初期症状を理解すれば、自分や家族の健康を守るための適切な行動につなげられますので最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 糖尿病の初期症状について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 糖尿病とは?初期症状を理解するための基礎知識 糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンの働きが不十分になり、血液中のブドウ糖(血糖)が増加する病気です。インスリンは血糖値を一定の範囲に保つ役割を担っています。 高血糖状態が続くと血管が傷つき、心臓病、失明、腎不全、足の切断などの合併症やリスクが高まります。 糖尿病は以下の4つに分類されます。 1型糖尿病 ・膵臓からインスリンがほとんど分泌されず血糖値が高くなる ・自己免疫反応などによりインスリンを分泌する機能が失われることで発症する 2型糖尿病 ・インスリン分泌低下やインスリン抵抗性によって血糖値が高くなる ・遺伝的要因に加え、食べ過ぎ・運動不足・肥満など生活習慣の影響で発症する その他の病気や治療薬による糖尿病 ・他の病気や治療薬の影響で血糖値が上昇し糖尿病を発症する場合がある ・ステロイド薬などの薬剤や特定の疾患が血糖値上昇を引き起こすことで発症する 妊娠糖尿病 ・妊娠中に初めて確認される ・妊娠によるホルモン変化でインスリンが効きにくくなることが原因で発症する 参考:糖尿病ってなに?|糖尿病情報センター(文献1) これら4種類の糖尿病は原因や特徴が異なるため、正しい理解と適切な管理や治療が重要です。 糖尿病の初期症状 糖尿病の主な初期症状は以下のとおりです。 体重が減る のどが渇きやすくなる 尿の回数が増える 疲れやすくなる 目がかすむ 爪の色や形に変化が現れる 足がつるなどの症状が見られる 感染症にかかりやすくなる 空腹感を感じやすくなる 自身に当てはまる症状がないか、糖尿病の初期症状をそれぞれ詳しく見ていきましょう。 体重が減る 糖尿病では体重が減少する場合があります。 原因は、インスリンの働きが不十分になり、細胞にブドウ糖を取り込んでエネルギーとして利用する機能が低下するためです。 エネルギー不足を補うため、脂肪や筋肉を分解してエネルギー源とする結果、体重が減少します。 さらに、多尿による体液の喪失も体重減少を引き起こす要因です。 のどが渇きやすくなる 糖尿病の症状の一つにのどの渇きがあります。 血糖値が高くなることによって体内の水分バランスが崩れ、多尿状態が引き起こされるためです。 高血糖の状態では、腎臓が血液中の余分な糖を排出しようとし、その際に大量の水分も失われるため、体内の水分が不足してのどが渇きやすくなります。 のどの渇きが続くと水分摂取量が増え、トイレに行く回数も増加します。 尿の回数が増える 糖尿病では頻尿の症状が見られます。 血糖値が高くなると、余分な糖を排出するために、大量の水分が必要です。 さらに、尿の量や回数が増えるだけでなく、強いのどの渇きも引き起こされます。 多尿は身体から水分が多く失われるため、脱水状態にもつながりやすくなります。 疲れやすくなる 糖尿病では疲れやすくなることがあります。 インスリンが十分に働かず、糖分がエネルギー源として細胞に取り込まれにくくなるためです。 結果として、体がエネルギー不足に陥り、疲労を感じやすくなります。 さらに、高血糖状態が続くと、血液の循環が悪化し、酸素や栄養が体の隅々まで行き渡りにくくなることも疲労の一因です。 目がかすむ 糖尿病の症状で目がかすむ場合があります。 高血糖が続いて水晶体や目の血管が変化するためです。ブドウ糖が増えると水晶体にソルビトール(糖アルコールの一種)がたまり、水分が引き寄せられて膨らみ、視界がぼやけて目がかすみます。 高血糖は血管を傷つけて網膜にむくみを起こし、長く続くと血流が悪化して糖尿病網膜症へ進行し、視力低下の原因となります。(文献2) 爪の色や形に変化が現れる 糖尿病になると爪の色が黄色や茶色に変わり、厚みが増して巻き爪になりやすくなります。 高血糖が続くことで血管や神経が損傷し、末梢の血流や栄養供給が低下して、爪の成長サイクルが乱れるためです。 血流障害や代謝の変化により爪の新陳代謝が滞り、正常な形や色が保ちにくくなります。 足がつるなどの症状が見られる 糖尿病では、足がつる症状が見られます。 主な原因は糖尿病による神経障害(糖尿病性ニューロパチー)です。高血糖状態が長期間続くと、末梢神経が損傷を受け、過剰な興奮を引き起こします。 その結果、筋肉が正常に機能せず、けいれんを引き起こしやすくなります。 さらに、糖尿病の影響で血液循環が悪化し、筋肉への酸素や栄養供給が不十分になることも足がつる原因です。 感染症にかかりやすくなる 高血糖は白血球の働きを弱め、細菌やウイルスに対する防御力を低下させます。 糖尿病患者では血流が悪くなるため傷が治りにくい特徴もあります。 とくに皮膚や尿路、肺などの感染症が起こりやすく、足の傷が化膿しやすい糖尿病性足潰瘍や、肺炎、尿路感染症などが代表的な感染症です。 空腹感を感じやすくなる インスリンの働きが不十分で血糖値がコントロールされないため、空腹感を感じやすくなります。 通常、食事から摂取した糖分はインスリンの働きで細胞に取り込まれ、エネルギー源として利用されます。 しかし、糖尿病ではこの仕組みが機能しないため、細胞がエネルギー不足の状態に陥りやすいです。 その結果、身体がエネルギーを求め、空腹感が強くなります。初期症状を感じたら早めに医療機関を受診するのが重要です。 糖尿病の初期症状セルフチェックリスト 糖尿病の症状が出ているかセルフチェックしてみましょう。 トイレの回数が増えた 頻繁にのどが渇く 手足のしびれや痛みがある めまいや立ちくらみをおこしやすい 視力低下や目のかすみがある 体重が急に減少している 食べても満腹感が得られない 上記の症状に当てはまる場合は糖尿病の可能性があるため、早めに医療機関を受診しましょう。 糖尿病の合併症一覧|進行すると現れる症状 糖尿病が進行すると現れる症状は以下のとおりです。 糖尿病性神経障害|手足しびれ、痛み 糖尿病網膜症|視野のぼやけ・視力低下 糖尿病性腎症|足のむくみ・腎臓の障害 糖尿病性自律神経障害|立ちくらみ・冷や汗などの症状 それぞれ詳しく解説します。 糖尿病性神経障害|手足しびれ、痛み 糖尿病が進行すると、手足にしびれや痛みが現れます。 これは糖尿病性神経障害と呼ばれ、末梢神経がダメージを受けると起こります。 症状が進行すると、痛みやしびれが悪化し、手足の感覚が鈍くなるため、傷や感染に気づきにくいです。 これが原因で、傷口が悪化しやすく、最終的には潰瘍や壊疽を引き起こすリスクが高まります。 糖尿病網膜症|視野のぼやけ・視力低下 進行すると、目に影響を及ぼす糖尿病性網膜症が出現する場合があります。 糖尿病網膜症は、血糖値の高い状態が続くと、網膜の血管が損傷を受け、視力に障害をもたらす疾患です。 初期段階では自覚症状は少ないものの、進行すると視力低下、視野のぼやけ、飛蚊症などの症状が現れます。 さらに重症化すると、網膜剥離や硝子体出血などが引き起こされ、失明するリスクが高いです。 糖尿病性腎症|足のむくみ・腎臓の障害 糖尿病が進行すると、腎臓がダメージを受ける糖尿病性腎症が現れる場合があります。 これは糖尿病によって血糖値が高い状態が続き、腎臓の血管が傷つけられるためです。 腎臓は血液をろ過して老廃物を排出する役割がありますが、腎機能が低下するとこの機能がうまく働かなくなります。 その結果、足のむくみや疲労感、尿量の変化などが見られ、進行すると血液中に老廃物が蓄積される尿毒症に至る可能性があります。 糖尿病性自律神経障害|立ちくらみ・冷や汗などの症状 糖尿病は、自律神経障害を合併する場合があります。 自律神経は、心臓、消化器、呼吸器、血管などの器官を調整する重要な神経です。 高血糖によって神経が損傷すると調整機能が低下し、以下の症状が現れます。 立ちくらみ 冷や汗 消化不良 便秘 下痢 頻尿 失禁 これらの症状は、日常生活に大きな影響を与えます。 糖尿病の初期症状の段階は治せる? 糖尿病は初期段階であっても完治が難しい病気です。 しかし、早い段階で医療機関を受診して以下の方法を行うと、進行や合併症のリスクを抑えられます。 食事療法 運動療法 生活習慣の改善 薬物療法 再生医療 医師の指導のもと自身にあった適切な治療を始めて、糖尿病の進行を防ぎましょう。 糖尿病を予防・改善する方法 糖尿病を予防・改善する方法は以下の表のとおりです。 食事療法 ・食事は野菜を多く取り入れ規則正しい時間に摂り、間食を控える ・1日に必要なエネルギー量は、男性は2,200±200kcal、活動量の少ない成人女性の場合は、1,400〜2,000kcalが目安(文献3) ・摂取カロリーを適正に保ち、栄養バランスの取れた食事を一日三食規則的に摂ることが大切 運動療法 ・運動は糖の消費を促す ・運動の目安は週100分以上の有酸素運動に筋力トレーニングを組み合わせる(文献4) ・筋肉量を増やして糖の取り込みを高めることでインスリンの作用を強められる 生活習慣の改善 ・肥満の改善や禁煙、十分な睡眠やストレス管理は糖尿病の予防や治療に効果的 ・体重を減らすとインスリンの働きが高まり、血糖値の安定化や合併症予防につながる ・禁煙や睡眠改善により血流やホルモンバランスが整い、神経障害や心血管リスクを下げられる(文献5) 薬物療法 ・血糖値を下げる薬には経口薬と注射薬の2種類がある ・経口薬は作用の違いにより5つの種類に分類される ・注射薬はインスリン注射とGLP-1受容体作動薬の2つに分類される 再生医療 ・再生医療は、弱った膵臓に脂肪由来の幹細胞を投与して、血糖値の安定を目指す治療 ・副作用も少なく、身体への負担が少ないのが特徴 糖尿病の初期症状のサインを見逃さず、早い段階から改善予防に取り組みましょう。 当院「リペアセルクリニック」で提供している再生医療については、以下の記事をご覧ください。 糖尿病の初期症状を理解して早期治療を始めよう 糖尿病は、慢性的に血糖値が高い状態が継続する疾患です。 のどの渇きや頻尿、足がつるなどの初期症状を放置して血糖値が高い状態が継続すると、糖尿病性神経障害や網膜症、腎症などのリスクにつながります。 症状が現れた際は放置せず、速やかに医療機関を受診しましょう。 糖尿病の治療法には食事や運動、生活習慣の改善や薬物による治療のほか、再生医療の選択肢もあります。 再生医療について、さらに詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。メール相談やオンラインカウンセリングも承っておりますのでご利用ください。 糖尿病の初期症状に関するよくある質問 糖尿病の自覚症状が出たらもう手遅れですか? 糖尿病の自覚症状が出たからといって、必ずしも手遅れではありません。 しかし、自覚症状が現れる段階では、血糖値がすでに高くなっている可能性があり、早期治療が重要です。 糖尿病は初期段階では自覚症状がほとんどないため、わずかな症状でも早期に医療機関を受診しましょう。 50代女性で糖尿病の初期症状は何がありますか? 50代女性の糖尿病の初期症状は、のどの渇きや尿の増加、体のだるさや体重減少などがあります。 詳しくは以下の記事で解説していますので参考にしてみてください。 参考文献 (文献1) 糖尿病って何?|糖尿病情報センター (文献2) 糖尿病網膜症|日本眼科学会 (文献3) 実践食育ナビ|農林水産省 (文献4) 4章運動療法|日本糖尿病学会 (文献5) 喫煙と糖尿病|厚生労働省
2022.05.23 -
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健康診断や定期検査で脂肪肝と診断されたとき、どのような食事をすれば良いか気になる方もいるのではないでしょうか。 脂肪肝を改善するためには、避けるべき食べ物を把握しておくことが重要です。栄養バランスが整った食生活を意識すれば、そのほかの病気のリスク軽減にもつながります。 この記事では、脂肪肝になった後に食べてはいけないものや、食事の際のポイントをご紹介します。食生活を見直し、生活習慣を整えることで、脂肪肝の改善につながるでしょう。 【一覧】脂肪肝の食事で食べてはいけないもの 脂肪肝とは、脂質のひとつである中性脂肪が肝臓内に多く蓄積している状態のことです。 脂肪肝の食事で食べてはいけないものとしては、糖質や脂質を多く含まれているような食べ物です。これらの食べ物は脂肪肝を悪化させるだけでなく、メタボリックシンドロームをはじめとしたさまざまな疾患を引き起こす恐れがあります。 また、アルコールの摂取を控えることも重要です。脂肪肝には、過食や過剰飲酒が原因で起こるアルコール性のものと、それ以外の非アルコール性のものがあります。 このように、脂肪肝にとってだめな食事は多くあり、それらを避けることが大切です。 肝臓の病気に対する新たな治療法として、再生医療が注目を浴びています。再生医療について気になる方がいましたら、ぜひお気軽にご相談ください。 脂肪肝を改善する食事のポイント7つ 脂肪肝を改善するには、以下のような食べ物を避けることを意識しましょう。 糖質を多く含んでいる食べ物 ジュース類 駄菓子 果物 脂質を多く含んでいる食べ物 揚げ物 肉の脂身 ドレッシング マヨネーズ ※調理油は植物性が望ましい(オリーブオイル、菜種油、大豆油など) アルコール 1日あたり純アルコール20g(※)まで ※ビール中瓶(500ml)1本程度に相当 ここでは、避けるべき食べ物に加えて、脂肪肝を改善するための食事のポイントを解説します。 1.摂取エネルギーを抑える 1つ目は、糖質をはじめとした摂取エネルギーを抑えることです。食事から過剰摂取した糖質は、中性脂肪に変換されて脂肪肝の発症につながります。 ポイントとしては、摂取エネルギーの目安を把握した上で、それを超えないように食事制限する点です。 一般的な摂取エネルギー量の目安としては、以下のとおりです。 自分の摂取エネルギー量を計算した上で食事管理をして、理想的な標準体重を目標にしましょう。 2.糖質を控える 糖質の摂取もできるだけ控えましょう。 白米や十六穀米などの穀類に含まれる糖質は、比較的肝臓への影響が少ないと考えられています。そのため、1食につきお茶碗1杯程度なら大きな問題にはつながりません。 それよりも注意すべき食べ物が、お菓子や果物です。ジュース類や駄菓子に含まれているショ糖、果物に豊富な果糖は、穀物と比較すると中性脂肪が肝臓に蓄積しやすい特徴があります。 普段の食生活でもできるだけ間食を避け、糖質が多く含んでいる食べ物はなるべく摂取しないように心がけましょう。 3.脂質を控える 脂肪肝を改善するには、脂質を控えることも重要です。とくに、揚げ物やマヨネーズなどの脂質が豊富な食べ物には注意が必要です。 食べ物を調理する際は、なるべく動物性ではなく植物性の油の使用を心がけましょう。1日あたりの油の使用量は、大さじ1杯程度までに抑えるのが理想的です。 脂質の過剰摂取は肝臓に中性脂肪がたまる原因となりますが、極端な制限は必須脂肪酸の欠乏につながります。そのため、適度な脂質の制限が重要です。 食事の目安として、脂質を多く含むものを摂取する機会を週に1〜2回程度に抑えるように調整しましょう。 4.たんぱく質を適度に摂取する 糖質や脂質を控えめにする一方で、たんぱく質はなるべく意識的に摂取しましょう。 たんぱく質は、筋肉を作る上で欠かせない栄養素です。たんぱく質の過不足は、脂肪肝を悪化させるとされています。適量を確保するためには、良質なたんぱく質の摂取が大切です。 良質なたんぱく質を含む食べ物は、おもに以下のとおりです。 豆腐 納豆 牛乳 肉類(牛、鶏、豚) 魚介類(あじ、サバなど) 食事の際は、これらの食べ物を取り入れてみましょう。 5.アルコールの考え方 アルコールは肝臓で脂肪に合成されやすく、脂肪肝の悪化につながる恐れがあります。 可能なら禁酒が望ましく、飲むとしてもアルコール度数の高いお酒や、糖質の多い発泡酒などはなるべく控えましょう。 アルコールを摂取する際は、1日平均2ドリンク(純アルコールで20g)程度までに制限し、週に2日以上は休肝日を設けることが推奨されています。 お酒ごとの純アルコールの目安としては、以下のとおりです。 お酒の種類 目安量 純アルコール量 ビール 中瓶1本(500ml) 20g 日本酒 1合(180ml) 22g ウイスキー・ブランデー ダブル(60ml) 20g 焼酎 1合(180ml) 50g ワイン 1杯(120ml) 12g 6.野菜などの食物繊維が多いものから摂取する 野菜に多く含まれている食物繊維の摂取も重要です。 食物繊維は食後の血糖値の上昇をゆるやかにして、コレステロールの増加を防ぐ働きがあるとされています。そのほかにも、満腹感を得られるようになり、エネルギーの摂りすぎ防止も期待できます。 1日の野菜の摂取量は、約350gが目安です。食物繊維は野菜だけでなく、海藻やきのこ類などにも豊富に含まれているので、これらの食べ物も意識的に取り入れてみましょう。 7.食事の仕方に配慮する 食べ物だけでなく、食事の仕方にも工夫が必要です。具体的なポイントは、以下のとおりです。 1日3食を規則正しい時間で食べる 夜遅くの食事は控える ゆっくり良く噛んで食事をする 主食・主菜・副菜のバランスを整える 不規則な時間帯での食事は、脂肪をため込む原因となります。また、ゆっくり良く噛むことで消化が良好となり、満腹中枢が刺激されて満腹感を得やすくなります。 栄養バランスを整え、偏った食事にならない点も注意が必要です。 まとめ|食事習慣を整えて脂肪肝の改善をしよう! 脂肪肝とは、肝臓を構成している肝細胞表面に脂肪が沈着して蓄積される病気です。 本疾患の原因として、肥満や糖尿病、過度のアルコール摂取などがあげられます。食事内容を見直すことで、脂肪肝の改善が期待できます。 脂肪肝を放置すると肝臓の機能が悪くなるだけでなく、肝硬変や肝臓がんなどの深刻な病気につながる恐れもあるでしょう。病状が悪化する前に、早めに医療機関にご相談ください。 脂肪肝の食事に関する良くある質問 ここでは、脂肪肝の食事に関する良くある質問についてお答えします。脂肪肝について疑問がある方は、ぜひ参考にしてみてください。 脂肪肝に良い食べ物は? 脂肪肝の方におすすめなのが、良質なたんぱく質を含む食べ物や食物繊維が豊富な食べ物です。 たんぱく質は普段不足しがちなので、肉類や魚類などの質の高い栄養源は積極的に摂り入れることをおすすめします。 また、食物繊維には脂肪の蓄積を防ぐ作用が期待できます。野菜やきのこ類など、食物繊維が豊富な食べ物を意識的に食べましょう。 脂肪肝は糖質制限すべき? 糖質制限は、脂肪肝に対して大きな効果が得られるわけではないとされています。 海外の研究によると、減量するには糖質や脂肪などの特定の栄養素ではなく、摂取カロリーの制限が大きく関係しているとされています。(文献1) そのため、糖質や脂質などの栄養素よりも、摂取カロリーを意識した食生活を心がけましょう。 ただ、栄養素の偏りは健康に悪影響を及ぼす恐れがあるので、糖質や脂質を控えめにしつつ、たんぱく質を意識的に摂り入れてみてください。
2022.05.19 -
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糖尿病は自覚症状がほとんどなく、「まだ治療しなくても大丈夫」と放置してしまう人も少なくありません。 しかし、治療を受けずに5年、10年と放置すると、知らないうちに全身の血管や神経が傷つき、取り返しのつかない合併症を引き起こす恐れがあります。 本記事では、糖尿病を5年間放置した場合のリスク、そして合併症を防ぐために今からできることを医師監修のもとで解説します。 正しい知識を持って、重症化を防ぎましょう。 糖尿病に対しては、再生医療も治療選択肢の一つです。 糖尿病のお悩みを今すぐ解消したい・再生医療に興味がある方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 糖尿病を5年間放置すると合併症が進行 糖尿病は、病気が無症状で進行する「サイレントキラー」と呼ばれています。 糖尿病は、長期間にわたって血糖値が高い状態が続き、様々な合併症を引き起こす可能性がある病気です。 これらの合併症は、とくに早期に発見・治療が行われないと、重篤な結果をもたらす恐れがあります。 合併症は重症化すると、足が壊疽する「糖尿病性神経症」や失明の原因となる「糖尿病性網膜症」、人工透析の原因となる「糖尿病性腎症」など、進行すると日常生活に多大な影響を及ぼします。 糖尿病の治療が必要な理由は、これらの合併症を防ぐためです。糖尿病は、些細な生活習慣の乱れが原因であるといわれています。 糖尿病が「サイレントキラー」といわれ、命に関わる怖いものであると知ることで、「生活習慣を変えるきっかけ」にしましょう。 糖尿病が「サイレントキラー」と言われる理由 糖尿病は、症状がほとんど現れません。そのため、健康診断で糖尿病が指摘されても放っておく人も多いのが現状です。しかし、糖尿病を放置すると全身に合併症を引き起こします。合併症とは、一つの病気が元になって起こる新たな病気のことです。 糖尿病の合併症は命に関わることから、糖尿病は「サイレントキラー(沈黙の暗殺者)」と呼ばれることがあります。 糖尿病の三大合併症「し・め・じ」について 糖尿病には三大合併症と呼ばれる代表的な合併症があります。 糖尿病の三大合併症 し)神経障害 め)網膜症 じ)腎症 この3つは、糖尿病が無ければ起こらない病気であり、それぞれの頭文字を取って「し(神経障害)・め(網膜症→目)・じ(腎症)」と呼ばれ、その危険性を喚起しています。 どの合併症も多くは無症状で進行し、症状が現れたときには危険な状態となっています。生活に大きな支障をきたす病気であるため、注意が必要です。 放置した糖尿病が引き起こす三大合併症 糖尿病を治療せず放置していると、血糖値が普段より高い状態がずっと続きます。血糖値の増加は血管や神経を次第に傷つけ、さまざまな臓器に障害をもたらします。 とくに三大合併症は、自覚症状がないまま進行するのが特徴です。血糖コントロール不良により、細い血管がダメージを受け症状が進行します。 これらの合併症は、軽度であれば血糖コントロール改善により回復が見込めますが、進行してしまうと改善は難しくなります。 三大合併症について、詳しく説明します。 しびれや麻痺を全身に引き起こす神経障害(ニューロパシー) 神経障害は、糖尿病を治療せずに放置すると、約5年で発症することが多いとされています。(文献1)糖尿病三大合併症の中で最も早く現れやすい症状です。 高血糖が神経そのものや周囲の細い血管にダメージを与え、感覚を伝える神経や筋肉を動かす神経が障害されます。痛みやしびれ、こむら返りなど気づきやすいものや、足の感覚が鈍くなる「感覚鈍麻」のように自覚しづらい症状もあります。手足の知覚や運動機能が衰え、日常生活にも悪影響を及ぼしかねません。 さらに病状が進行すると、自律神経という内臓や血管の働きに関わる神経にも影響が及び、しびれや麻痺が全身に広がります。身体が動かしにくくなるといった生活に大きな支障をきたすケースも少なくありません。 とくに注意が必要なのは、足の神経障害です。感覚が鈍ると小さな傷にも気づきにくくなります。潰瘍や感染を起こし、最悪の場合は切断が必要になることもあります。 視力低下や失明を引き起こす網膜症(糖尿病網膜症) 神経障害の後に現れるのが網膜症です。高血糖により、網膜にある毛細血管が傷ついたり破れたりして、視力低下や失明を引き起こす病気です。 網膜症の進行は、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の数値が高いほど早いと考えられています。症状が現れると、治療しても視力の回復は難しいといわれています。 そのため、糖尿病と診断されたら眼科で定期的に網膜の検査を受けることが大切です。また、視界がぼやけたりシミが見えたりするなど、目の異変に気付いたらすぐに眼科を受診しましょう。 糖尿病網膜症は進行性の病態で、早期の発見と治療が重要です。 【関連記事】 糖尿病による失明の前兆を医師が解説【見え方に要注意】 糖尿病網膜症は治るのか|治療方法とあわせて現役医師が解説 人工透析の原因第一位となる糖尿病腎症 糖尿病腎症は糖尿病三大合併症の中でも比較的遅く現れます。腎臓は血液をろ過して老廃物を尿として出す働きをしています。 腎症になるとろ過機能が低下し、尿にタンパク質が漏れるようになります(タンパク尿)。症状が悪化すると、腎機能のほとんどが失われ「人工透析」が必要になります。糖尿病腎症は現在、日本の人工透析の原因第一位です。 糖尿病と診断されたら、定期的に尿検査を行い、腎機能の状態を確認するようにしましょう。 これらの合併症は、糖尿病患者が適正に血糖値を管理し、定期的な健康チェックや医師の指導を受けることで予防・管理が可能です。早期の発見と治療は合併症の進行を遅らせ、重篤な結果を防ぐために非常に重要です。 糖尿病を放置すると取り返しがつかない理由 糖尿病を放置すると、一度壊れた神経や血管は元に戻りません。 血糖値の高い状態が続くと血管の内側が傷つき、神経や臓器に酸素や栄養が行き届かなくなります。最初の頃はほとんど自覚症状がないため放置されがちですが、徐々に全身の機能が損なわれて気が付くと取り返しのつかない状態になっているのが特徴です。 治療を怠ると合併症が進行し、日常生活に支障をきたすようになります。これらの障害は一度起こると完治するのは難しいため、早期の血糖コントロールが唯一の予防策といえます。 放置して、「症状が出てから」では手遅れになるのが糖尿病の怖さです。 「合併症の連鎖」で生活の質が落ちる 糖尿病を放置すると、神経障害・網膜症・腎症といった三大合併症が次々と発症します。 神経障害によって手足のしびれや痛みが出ると、歩行や運転、仕事に支障が生じます。さらに、足の感覚が鈍くなり、傷に気づかず感染を起こすと「壊疽(えそ)」を引き起こし、切断が必要となる場合もあります。 また、網膜症では視力の低下や失明のリスク、腎症の進行により倦怠感やむくみが強まり、最終的には透析が必要になる場合もあります。 これらの合併症が重なると、仕事や趣味を続けるのが難しくなり、生活の質(QOL)は大きく低下します。 血糖を適切にコントロールし、合併症の連鎖を断ち切ることが、健康的な生活を維持するために重要です。 脳卒中・心筋梗塞など命に関わる病気にもつながる 高血糖状態が続くと、細い血管だけでなく太い血管(動脈)もダメージを受けます。これが「動脈硬化」を早め、脳や心臓の血流を妨げる原因です。結果として、脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる重大な疾患のリスクが2〜4倍に高まることがわかっています。(文献2)(文献3) 血糖値が高いだけで症状がないように見えても、血管のダメージは着実に進行します。合併症を発症した後の治療では、後遺症や再発のリスクが高くなるため、適切な治療が最も重要です。 血糖コントロールは単に糖尿病治療ためだけでなく、命に関わる病気を予防するためにも欠かせません。 糖尿病の合併症を防ぐために必要なこと 糖尿病の合併症を防ぐには、症状が現れていないうちからの血糖コントロールが重要です。 糖尿病の治療や合併症の予防は、食事療法・運動療法・薬物療法の三本柱で行います。 どの治療を中心にするかは個人差があるため、主治医に相談した上で決めていきましょう。 糖尿病の治療や合併症の予防の三本柱 食事療法 血糖値が上がりやすい糖質の量を減らし、野菜や食物繊維の多い食品を多くとりいれると高血糖の改善や体重低下が期待できます。 極端な糖質制限は逆効果です。あくまで糖質を食べ過ぎないように食事の最後に食べるなどに留めましょう。 運動療法 運動はインスリンの働きが良くなり、高血糖の改善や体重低下が期待できます。 軽めのジョギングやウォーキングなど、無理なく継続できる方法で運動を取り入れましょう。 薬物療法 主治医と相談しながら、症状に合わせた薬を飲み続けましょう。 また、体質的にインスリン分泌が少ない人はインスリン注射を日常的に行う場合があります。 糖尿病治療に「再生医療」という選択肢 合併症予防のために、早めの治療の重要性を認識頂けたと思います。これまでの治療は、糖尿病の進行を遅らせることが主流でした。しかし最近では、再生医療という新しい選択肢があります。 再生医療により期待できる効果は、次の通りです。 合併症の症状が改善する 手足のしびれが改善する 糖尿病性網膜症が改善する 腎機能が改善する 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っております。 再生医療について詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。 糖尿病は5年放置すると大きなリスクを伴う!お悩みの方は当院へご相談ください 本記事では、糖尿病が進行すると命に関わる合併症を引き起こすことを解説しました。 糖尿病三大合併症の神経障害、網膜症、腎症は進行すると、治療で元の状態に回復するのは極めて困難です。どの合併症も自覚症状がほぼなく、気づいたときには重症化しているケースがほとんどです。 健康な人と変わらないQOL(生活の質)や寿命を守るためにも、症状が現れないうちから内科や眼科での定期的な検査や、血糖コントロールの管理が大切です。サイレントキラーと恐れられる糖尿病の症状にはくれぐれもご注意ください。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 糖尿病の放置に関するよくある質問 糖尿病を治療せず放置すると寿命はどうなりますか? 糖尿病を治療せずに放置すると、神経症や網膜症、腎症といった細小血管合併症や、心筋梗塞や脳卒中、腎不全といった命に関わる大血管合併症を引き起こし、結果として寿命が短くなることがわかっています。 一方、アメリカでの研究で、糖尿病の治療を続けて血糖値を適切にコントロールしていれば、寿命が平均4年ほど延びる報告が確認できました。(文献4)なおこの報告では、糖尿病の治療によりHbA1c、血糖値、BMI、血圧値、LDLコレステロール値のすべてを改善できれば、寿命が10年以上伸ばせる可能性を示唆しています。 一方で、血糖値を適切に管理できていない場合は、寿命が4年短くなる恐れもあり、健康管理のためには血糖コントロールが重要です。(文献5) 糖尿病は何年放置すると症状が出ますか? 糖尿病は初期症状がほとんどなく、自覚できる症状が現れるまでには数年かかります。 三大合併症の中で最も早く現れやすい神経障害は、治療せずに放置すると約5年で足のしびれといった症状が出始めると言われています。その後、網膜症は約10年、腎症は約15年で発症する傾向があります。(文献6) 症状がないからといって放置せず、診断を受けたらすぐに治療を開始するのが、将来の深刻な合併症を防ぐために極めて重要です。 参考文献 (文献1) 2型糖尿病の罹病期間と神経学的合併症の関連、パキスタンの横断研究|CareNet (文献2) 糖尿病と冠動脈疾患死亡との関連( NIPPON DATA80,19年追跡,男女計 )|NIPPON DATA (文献3) Diabetes and cardiovascular risk factors: the Framingham study|Circulation (文献4) Potential Gains in Life Expectancy Associated With Achieving Treatment Goals in US Adults With Type 2 Diabetes|PubMed (文献5) UF Health study shows years of life gained by ideal Type 2 diabetes control |UF Health (文献6) 糖尿病とは|産業医科大学
2022.05.19 -
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2023年(令和5年)の調査によると糖尿病の治療を受けている方はおよそ550万人、予備軍も含めるとおよそ2000万人に血糖値の異常が見られると考えられています。(文献1) 糖尿病は医薬品を用いて治療すると思われがちですが、食事療法や運動療法では十分に血糖値をコントロールできない際に、初めて治療薬の投与が検討されます。 毎日の食事は血糖値に大きな影響を与えるため、糖尿病の3大治療のなかでも食事療法はとても大切です。 食事に伴い血糖値が上昇すると膵臓からインスリンが分泌されて血糖値を下げます。 しかし、食事の間隔が短いとインスリンによる血糖降下作用が減弱するため注意が必要です。 本記事では食事の間隔を3時間以上あけるメリットや方法について解説します。糖尿病や血糖値の上昇にお悩みの方は参考にしてください。 食事の間隔を3時間以上あけると糖尿病予防につながる 糖尿病を予防する際に食事の間隔を3時間以上あけると効果的とされます。 4〜5時間あけることが適切なケースもあるなど諸説ありますが、血糖値をコントロールするためには食事の間隔を適度にあける必要があることに違いはありません。 食事の間隔をあける必要性について理解するためには、糖尿病発症のメカニズムについて知っておく必要があります。 糖尿病には遺伝的要因で発症する1型と、生活習慣が深く関わる2型の2種類がありますが、単に糖尿病といった場合は2型を指すケースがほとんどです。 2型の糖尿病を発症するメカニズムは以下のとおりです。 加齢や遺伝的要因によりインスリンの分泌量が減少する(インスリン分泌障害) 乱れた食習慣や運動不足などが原因でインスリンの作用が減弱する(インスリン抵抗性) インスリンの分泌不足にインスリン抵抗性が加わり血糖値が上昇する 高血糖状態が慢性化すると糖尿病の発症リスクが増加する 2型の糖尿病はインスリン分泌障害とインスリン抵抗性が合わさって発症するのが特徴です。(文献2) 2型の糖尿病にも遺伝的要因が関わっていますが、予防の観点では食事の間隔をあけて過食を避け、血糖値の急激な上昇を抑止するのがポイントです。 食事の間隔を3時間以上あけると血糖値の急激な上昇を抑えられるため、糖尿病の予防につながります。 間隔を3時間以上あけて食事する際に意識すること 糖尿病の予防目的で食事の間隔を3時間以上あける際は以下の4点を意識しましょう。 一口につき20~30回ほど噛み時間をかけて食べる 一回の食事量を調節して腹8分目に抑える 血糖値を上昇させにくい食物繊維が豊富な食材から食べる タンパク質が豊富な食材を積極的に摂る それぞれについて解説します。 一口につき20~30回ほど噛み時間をかけて食べる 糖尿病の予防目的で食事の間隔を3時間以上あける際は、一口につき20〜30回ほど噛み、時間をかけて食べるよう意識しましょう。 よく噛んでゆっくり食べることには、血糖値の急激な上昇を抑える効果があります。食事を開始してから20分が経過すると、満腹中枢が刺激されて「お腹いっぱい」と感じやすくなるため、食べ過ぎを防げます。 平成21年に行われた国民健康・栄養調査において、BMI25以上の肥満の方は食事にかける時間が短い傾向にあるとわかりました。(文献3)これは、早食いが肥満につながりやすく、血糖値管理の観点からも注意が必要であることを示しています。 ただし、食事に時間をかけ過ぎると胃腸のはたらきが低下するため、1回の食事は90分以内にとどめましょう。 また、血糖値の急激な上昇を抑えるためにはGI値(グリセミック・インデックス)の低い食品を取り入れるのも効果的です。 一回の食事量を調節して腹8分目に抑える 一回の食事量を調節して腹8分目に抑えるのも、糖尿病の予防目的で食事の間隔を3時間以上あける際のポイントです。 江戸時代に刊行された養生訓には「腹八分目に医者いらず」の有名な文言が記載されています。 日本糖尿病学会でも食事指導のポイントに「腹八分目とする」を挙げています。(文献4) 食事の量を調整して満腹状態を避けると、血糖値の急激な上昇を抑えられます。 自分で調節する際は主食(炭水化物)の量を減らし、タンパク質や食物繊維を多く含む副菜を多めに摂取しましょう。 血糖値を上昇させにくい食物繊維が豊富な食材から食べる 糖尿病の予防目的で食事の間隔を3時間以上あける際は、食べる順番も意識して食物繊維が豊富な食材から食べましょう。 糖質を多く含む炭水化物から食べ始めると、血糖値が上昇しやすいため注意が必要です。 食物繊維を多く含む代表的な食品の例は以下のとおりです。 穀類:玄米・麦ごはん・胚芽米など 豆類:大豆・納豆・おからなど いも類:こんにゃく・長いもなど 野菜類:ごぼう・セロリ・白菜など 茸類:きくらげ・エリンギ・シメジなど 海藻類:ワカメ・ヒジキなど 食物繊維を多く含む食品のなかでも歯ごたえがある食品を取り入れると、噛む回数が増えて早食いを避ける結果につながります。 タンパク質が豊富な食材を積極的に摂る 糖尿病の予防目的で食事の間隔を3時間以上あける際は、タンパク質が豊富な食材を積極的に摂るのも大切なポイントの一つです。 タンパク質が豊富な食材を積極的に摂取すると満腹感を得やすいため、食事に伴う血糖値の急激な上昇を避けやすくなります。 タンパク質を多く含む代表的な食品の例は以下のとおりです。 肉類:鶏むね肉・ささみ・牛もも肉など 魚類:サバ・カツオ・マグロなど 大豆製品:豆腐・納豆・枝豆など 乳製品:ヨーグルト・チーズ・牛乳など 卵類:鶏卵・ウズラの卵など タンパク質を多く含む食品のなかでも鶏むね肉は歯ごたえとボリュームがあるため、血糖値の急激な上昇を避けたい方におすすめです。 食事の間隔を3時間以上あけることを続けやすくする工夫 食事の間隔を3時間以上あけることを続けやすくする工夫は以下の2つです。 食事の内容・時間などを記録する 手軽に食べられる低GI・高タンパク食品を軽食にする それぞれについて解説します。 食事の内容・時間などを記録する 食事の間隔を3時間以上あける習慣を続ける際は、食事の内容・時間などを記録しておきましょう。食事に対する意識を高めると、食事の間隔を3時間以上あけるモチベーションの維持につながります。 朝・昼・晩の3回分の食事を欠かさずに記録するのは大変なので、食べ過ぎる傾向が多く見られる夕食の内容の記録から始めましょう。 食事の量やカロリーなどの詳細を記録しなくても、「何時にどんなものを食べたか」記録するだけでも構いません。食事の内容・時間を記録する際は、間食やアルコールの摂取についても書き漏らさないようにしてください。 間食に甘いものを食べると血糖値が急激に上昇するため、食事の順番を意識する努力が無駄になりかねません。ビールやワイン、日本酒には糖質が多く含まれているため、過剰摂取は糖尿病の発症リスクを高めると覚えておきましょう。 手軽に食べられる低GI・高タンパク食品を軽食にする 食事の間隔を3時間以上あける習慣を続ける際は、手軽に食べられる低GI・高タンパク食品を軽食として取り入れる工夫もあります。 軽食を取り入れると昼食や夕食の前に食欲が急増するのを避け、食べ過ぎおよび血糖値の急激な上昇を抑制する結果が見込めます。 軽食に取り入れるのがおすすめの低GI・高タンパク食品の例は以下のとおりです。 大豆製品 鶏むね肉 ヨーグルト 鶏卵 アーモンドなど 低GI・高タンパク食品を軽食として取り入れる際は、通常の3食の量を適宜調整してください。また、ヨーグルトは無糖の商品を、アーモンドは無塩の商品を選ぶのがポイントです。 食事の間隔とともに適度に運動することも糖尿病予防につながる 食事の間隔を3時間あけるとともに、適度な運動に取り組むと糖尿病の予防につながります。 8週間以上の運動療法に関する複数の研究をまとめた分析では、ヘモグロビンA1c(HbA1c:過去1〜2カ月の平均的な血糖値)の有意な改善が報告されています。 以前は血糖値を下げるために1週間あたり150分以上の運動が必要と考えられていましたが、研究が進み1週間に30〜100分の運動でも、時間依存的に血糖値を下げられるとわかってきました。 また、週に2~3回のレジスタンス運動(筋力トレーニングなど)を取り入れるとインスリン抵抗性が改善し、血糖値を改善すると示唆されています。(文献5) 食事の間隔を3時間以上あけて過ごす一日のスケジュール例 食事の間隔を3時間以上あけるためには、スケジュールを立てて規則正しい生活を送る必要があります。 たとえば、以下のスケジュールで食事を摂ると、食間に3時間以上の間隔を設けられます。 朝食:7~9時(出勤や登校にあわせる) 昼食:12~14時 夕食:18~20時 間食(補食)の習慣がある方は昼食の3〜4時間後、夕食の3時間前ほどに摂ると良いでしょう。 昼食を摂るのが遅くなった日は、間食(補食)を抜くなどして急激な血糖値の上昇を避けてください。 また、個人により起床や就寝の時間が異なるため、自分の生活リズムに合わせてスケジュールを調整する必要があります。 食事の間隔を3時間以上あけて過ごす上で注意すること 食事の間隔を3時間以上あけて過ごす際は、以下の4点に注意する必要があります。 水分を適切に摂って脱水症状を防ぐ 夕食の食べ過ぎ・夜遅く(就寝前)の食事を避ける 外食が多い人は不足しがちな野菜・魚・大豆製品を意識して摂る 清涼飲料水など多量の糖分を含んだ食品を控える それぞれについて解説します。 水分を適切に摂って脱水症状を防ぐ 食事の間隔を3時間以上あけて過ごす際は、水分を適切に摂って脱水症状を防ぐことが重要です。 食習慣の見直しに伴い食事制限に対する意識が高くなると、水分の摂取量が減少する傾向にあります。 一度に大量の水分を摂取するのは難しいだけでなく、尿として排出されてしまいます。 身体が一度に吸収できる水分量はおよそ200ミリリットルとされているため、コップ1杯程度の水を以下のタイミングで摂取するのがおすすめです。 起床時 朝食時 外出前 昼食時 間食時 運動前後 夕食時 入浴前後 就寝前 水分摂取量やタイミングには個人差があるため、生活リズムや体重などを考慮して適宜調整してください。 夕食の食べ過ぎ・夜遅く(就寝前)の食事を避ける 食事の間隔を3時間以上あけて過ごす際に意識したいことの一つが、夕食の食べ過ぎや夜遅く(就寝前)の食事を避けることです。 仕事が忙しくて昼食を摂れなかったり、間食の習慣がなかったりすると、空腹にまかせて夕食を大量に食べてしまう傾向にあります。 食事の量が増えると単純に糖質の摂取量が増加するため、血糖値の上昇を招きやすくなります。 夕食後はエネルギー消費量が少ないため、食べ過ぎにより体脂肪が増加すると糖尿病の発症リスクも高くなるため注意が必要です。 夕食を摂取する時間も耐糖能を左右すると知っておきましょう。 静岡県立大学の研究によると、夕食を19時に摂取した場合と比べ、20時以降に摂取した場合は食後の耐糖能(血糖値を正常な範囲に保つ能力)が低下するとわかっています。(文献6) 20時以降に食事を摂ると血糖値が上がりやすく、肥満や糖尿病のリスクが増加するので、食事の間隔とともに気をつけてください。 外食が多い人は不足しがちな野菜・魚・大豆製品を意識して摂る 食事の間隔を3時間以上あけて過ごすのに伴い、外食が多い人は不足しがちな野菜・魚・大豆製品を意識して摂取しましょう。 外食すると肉料理を選びやすく、糖尿病予防に効果が見込める野菜・魚・大豆製品が不足しやすいためです。 糖尿病にならないためには、できるだけ外食の回数を減らした方が良いでしょう。コンビニやスーパーでお弁当を買う場合は、野菜のおかずを1品プラスしてみましょう。 清涼飲料水など多量の糖分を含んだ食品を控える 砂糖がたくさん入っている清涼飲料水をよく飲む人は注意が必要です。清涼飲料水は、カロリーが高い割に得られる満足感が少なく、とくに炭酸飲料は口当たりが癖になりやすく飲み過ぎてしまう傾向があります。 普段飲んでいる清涼飲料水を控えるだけでも一度に100〜200kcalほど抑えられるため、糖尿病予防には効果的です。 食事の間隔は無理しない範囲であけて血糖値を調整しましょう 糖尿病は血糖値が慢性的に高くなる病気で、進行すると合併症を引き起こして四肢の切断が必要となるケースもあります。 糖尿病を予防するためには日々の食習慣を見直し、血糖値の急激な上昇を避ける必要があります。 血糖値の急激な上昇を避けるためにおすすめの方法の一つが、食事の間隔を3時間以上あけることです。食事の間隔を3時間以上あけると血糖値の急激な上昇を抑制し、糖尿病の発症リスクを下げる効果が見込めます。 ただし、食事の間隔をあけるだけでなく栄養バランスの取れた献立を考えたり、適度な運動を取り入れたりするのも重要なポイントです。 当院「リペアセルクリニック」では、糖尿病に対する治療として再生医療を行っています。慢性的な高血糖にお悩みの方はお気軽にご相談ください。 食事の間隔に関してよくある質問 食事の間隔に関して以下2つの質問がよく聞かれます。 食事の間隔を16時間以上にするのはあけすぎ? 朝ごはんと昼ごはんの間隔が短いと太る? 以下でそれぞれお答えします。 食事の間隔を16時間以上にするのはあけすぎ? 食事制限による体重管理の方法の一つとして、16時間ダイエット(プチ断食)が挙げられます。 空腹の時間を長く設けることで脂肪の燃焼を促すのが目的ですが、糖尿病予防の観点からはおすすめできません。食事の間隔があきすぎることで、食後の血糖値が急激に上昇するリスクがあるためです。 また、食事できる時間が8時間に限られているため、1食で摂取する食べ物の量が増加する傾向にあります。 朝ごはんと昼ごはんの間隔が短いと太る? 朝ごはんと昼ご飯の間隔が短いからといって、必ずしも太るわけではありません。 太るか痩せるかを決定するのは摂取したカロリーと、1日の間に消費されるカロリーとのバランスで決まります。 朝ごはんと昼ご飯の間隔が短くても「摂取カロリー < 消費カロリー」のバランスを保てば太りにくいです。 ただ、朝ごはんと昼ご飯の間隔が短いと消化不良を起こしたり、胃の不快感や胃痛を生じたりする可能性があります。 朝食が遅くなったら、可能な範囲で昼食の時間を遅らせるのがおすすめです。 (文献1) 日本生活習慣病予防協会「糖尿病の調査・統計」 https://seikatsusyukanbyo.com/statistics/2025/010845.php(最終アクセス:2025年6月18日) (文献2) 一般社団法人日本内分泌学会「2型糖尿病」 https://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=93(最終アクセス:2025年6月18日) (文献3) 農林水産省「ゆっくり食べる」 https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/topics/topics4_02.html(最終アクセス:2025年6月18日) (文献4) 日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド」 https://www.jds.or.jp/uploads/fckeditor/files/uid000025_67756964655F323031382D323031392E706466.pdf(最終アクセス:2025年6月18日) (文献5) 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」 https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/04_1.pdf(最終アクセス:2025年3月25日) (文献6) 静岡県立大学「食事間隔の延長による食後血糖悪化の病態生理の解明」 https://www.u-shizuoka-ken.ac.jp/media/US_forum2024_tokubetsu158.pdf(最終アクセス:2025年3月25日)
2022.05.02 -
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糖尿病を患っている人にとって、運動療法は効果的な改善法のひとつです。 しかし、運動のタイミングや運動量を誤ってしまうと、むしろ糖尿病を悪化させる原因になってしまう可能性があります。 この記事では、糖尿病に効果のある運動のタイミングや運動法について解説します。「今まで運動不足だったからいきなりの運動は不安」という人でもできる簡単な運動もあるため、ぜひ最後まで見てみてください。 空腹時の運動が血糖値に与える影響|血糖値の急上昇、急降下を防ぐには 空腹時の運動は血糖値を不安定にしてしまうため推奨されていません。 食後の血糖値と比べると、空腹時は血糖値が低い状態です。運動を行うと血糖値は下がるため、激しい運動を行うと適正値を下回ってしまう可能性があります。 また、空腹時に運動を行った後は食事量も増えてしまうことが考えられます。食事量の増加によって血糖値の急上昇を引き起こしてしまうため、空腹時の運動は避けるべきでしょう。 現在行っている治療や体質によって注意すべきポイントが変わるため、それぞれご紹介します。 薬を飲んでいる人は空腹時の運動で低血糖を引き起こすリスクがある 現在インスリンやSU薬(スルホニル尿素薬)を飲んでいる人は、空腹時に運動を行うと低血糖を引き起こしてしまうため注意が必要です。 低血糖とは、血液中のブドウ糖が著しく少なくなった状態をいいます。糖尿病治療を行っている人によく見られる症状であり、体のだるさ、冷や汗、めまいなどを引き起こします。 空腹時血糖値が高い人は運動中に血糖値が急上昇する可能性がある 空腹時血糖値(食事を10時間以上摂らない状態での血糖値)が高い人は、運動を行うとむしろ血糖値が上がってしまう可能性があります。 食前、食後問わず、運動を行う場合は医師の指導を必ず受けるようにしましょう。 自身の体調に合わせた無理のない運動が大切 運動量が多い場合は補食をとる、もしくは運動前後のインスリン量を減らすなどの注意も必要になります。 短期的な効果を目指し過度な運動を行うことによって、低血糖や運動後の食事による血糖値の急上昇などを引き起こす可能性があります。 いずれもその人の体調に合わせた適切な運動を行うことが重要なので、糖尿病を患っている、あるいはその疑いがある方は、医師と相談しながら自身に合った運動量を調整していく必要があります。 血糖値の上昇を防ぐ効果的な運動法 この項目では、実際どのような運動療法を実施すると効果が高いのかをポイント毎に紹介します。 運動療法では、週150分かそれ以上、週3回の全身を使った有酸素運動が推奨されています。(文献1) 運動強度はややきつい中等度が良いとされており、20分以上の運動の継続がおすすめです。 また、無酸素運動(レジスタンス運動)については、連続しない日程で週に2~3回の実施がすすめられています。 食後1時間〜3時間で運動をする 運動を行う際は食後1~3時間の間で行うのがおすすめです。 食後は血糖値が一時的に上昇し、健康な人で食後1時間、糖尿病の人で食後2時間半ほどでピークに達し、その後緩やかに下がっていきます。(文献2) そのため、血糖値を下げるのに最も効果的なタイミングは食後のおよそ1時間~3時間後です。 食後の運動にはウォーキング、ヨガ、エアロビクスなどの有酸素運動がおすすめされています。 筋肉をつける運動を取り入れる 有酸素運動に加え、筋肉をつけるための無酸素運動(レジスタンス運動)を取り入れることで、長期的に見た際に血糖値コントロールに有効であるという効果も出ています。 運動を続けていくと、筋肉の量が少しずつ増えていきます。筋肉はエネルギーを大きく消費するため、筋肉が増えていくと血液中のブドウ糖が筋肉に多く取り込まれるようになります。これにより、血糖値を正常値に保ちやすくなります。 また、筋肉によるエネルギーの消費を基礎代謝と呼び、運動によって筋肉が増えることで基礎代謝量の増加に繋がるため太りにくい体質をつくることができるのです。 負荷が高ければ高いほど効果が報告されています。しかし、急に高負荷の運動を始めると、力みによって血圧が上昇し危険です。運動開始前に医師のチェックを受けましょう。 また、適切なフォームで行うことも重要です。動作中重りをあげる際は息を吐き、重りを下げる際は息を吸うことを心がけましょう。 筋肉はすぐには変化しないため、すぐには効果が実感できないかもしれません。短期的な効果を得られやすいのは有酸素運動、長期的な効果を得られるのは無酸素運動と覚えておきましょう。 有酸素運動と無酸素運動を組み合わせると効果的! 一言で運動といっても様々な内容のものがあり、身体にかかる負荷の大きさもそれぞれ違います。 糖尿病にならないための運動には、深く呼吸しながら行う有酸素運動が効果的といわれています。 有酸素運動にあたるもの ウォーキング、歩行(できるだけ速く歩く) ジョギング ラジオ体操 エアロビクス また、有酸素運動とは逆に息をつめて行うものを無酸素運動(レジスタンス運動)と呼びます。 無酸素運動にあたるもの 短距離走 重い物を持つ 筋力トレーニング 無酸素運動では、いきなり高負荷な運動は行わないよう注意が必要です。 無酸素運動はあまりしたことがない人にとって、最初はハードルの高い運動かもしれません。 全身を万遍なく鍛えることが推奨されていますが、時間がない人や自信がないという人には、下半身を鍛えられるスクワットから始めることをおすすめします。 短い時間のウォーキングや、日常動作も効果がある 運動とは、いわゆる「スポーツ」だけを指している訳ではありません。軽いウォーキングや立って行う家事など、身体を使った活動全てが運動です。 ある研究では、一日中座っていた人と比べ、軽いウォーキングや短時間の立ち仕事を頻繁に行っていた人のほうが食後の血糖値が低下していたという結果も出ています。(文献3) 日常の身体を使った活動 座っている時間を減らす いつもより速く歩く こまめに家事をこなす 身軽に動く 階段を使う 「毎日忙しくて運動する時間がつくれない」「長く運動をしていなかったから不安」という人は、まずは日常生活の中で身体を使う機会を増やしてみましょう。 効果的な、運動と食事の見直し 運動によるエネルギーの消費量は、思ったより多くありません。例えば、体重75㎏の人がウォーキングを10分間行うと、25kcalの消費になります。 しかし、毎日夕食にご飯(並盛り)を2杯食べているところを1杯に減らすと、それだけで250kcal減らすことができます。つまり、糖尿病にならないためには運動習慣だけでなく食生活の見直しを合わせて行うことが重要となるのです。 空腹時に運動すると血糖値が急上昇しやすいため、糖尿病予防には逆効果です。早朝のウォーキングやジョギングは、朝食後かパンやバナナなどを軽く食べた後に行いましょう。 まとめ|糖尿病予防には空腹時を避けた適切なタイミングでの運動が重要 空腹時の運動は、糖尿病の人にとっては悪い影響を及ぼす可能性があります。 激しい運動によって血糖値が下がってしまうだけでなく、空腹時の運動後の食事によって血糖値が急上昇してしまう可能性があります。 また、薬を飲んで治療をしている人は低血糖を引き起こしてしまう危険もあるため、食後1~3時間後の運動を行うよう心がけましょう。 ただし、持病や糖尿病合併症がある人、普段の血糖値が非常に高い人は運動が禁忌事項である場合があるため、スポーツを行う前には必ず事前に主治医の指示を受けてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」では再生医療による糖尿病の治療に取り組んでいます。患者様一人ひとりの状態に応じた丁寧な診療を心がけ、血糖値や肝機能の管理をサポートしています。 再生医療について詳しく知りたい方は、合わせて以下をご覧ください。 参考文献 (文献1) 日本糖尿病学会. 糖尿病診療ガイドライン2024「第4章 運動療法」, 日本糖尿病学会, 2024年. https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/04_1.pdf(最終アクセス:2025年3月25日) (文献2) 糖尿病ネットワーク.「尿と糖尿病:尿検査でわかること」 https://dm-net.co.jp/urine/2010/05/0202.php(最終アクセス:2025年3月25日) (文献3) Buffey, A. J., et al. (2022). The Acute Effects of Interrupting Prolonged Sitting Time in Adults with Standing and Light-Intensity Walking on Biomarkers of Cardiometabolic Health: A Systematic Review and Meta-analysis. Sports Medicine, 52(7), pp.1765-1787. https://link.springer.com/article/10.1007/s40279-022-01649-4 (最終アクセス:2025年3月25日)
2022.04.27 -
- 糖尿病
- 内科疾患
「糖尿病予防のため運動したいけれど、どのような運動をしたら良いのかわからない。」 「運動は長続きしないので、継続する方法を知りたい。」 このようにお悩みの方もいるのではないでしょうか。 糖尿病には、その発症状況から、いくつかのタイプがあることが判明しています。ただ、その中でも自己免疫の異常によって引き起こされる「1型糖尿病」は、完全に予防できる方法が発見されていません。 その一方で、日頃の生活習慣が関与している「2型糖尿病」、あるいは妊娠を契機に発症する「妊娠糖尿病」は、生活習慣やライフスタイルを見直すことで、それらの発症自体や、症状悪化を一定の割合で回避または改善できます。 そこで本稿では、この2型糖尿病について、その改善方法を記してまいります(以下に記す「糖尿病」の表記は、2型糖尿病を指すものとします)。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 糖尿病について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 運動が糖尿病予防に欠かせない理由 糖尿病は、規則正しい食生活はもちろんのこと、日常から意識して身体を動かすなどの運動を実践することが大切です。運動することで血液中のブドウ糖が筋肉にとり込まれやすくなり、ブドウ糖などの利用が促される結果、血糖値が下がる現象が認められます。 とくに2型糖尿病では低下したインスリン機能が改善すると言われています。 さらに運動は、加齢に伴う筋肉の衰弱を改善できるばかりか、心肺機能の向上、ストレス解消効果も期待できます。 運動療法の効果 ブドウ糖が筋肉にとり込まれ血糖値が下がる 低下したインスリン機能が改善する 高血圧や脂質異常症の改善にも役立つ エネルギーの消費で肥満を防止する 加齢による筋力低下を改善する 骨粗鬆症の改善が期待できる 心肺機能が高まる ストレスの解消効果が期待できる 運動を行うことで、改善はもちろん、予防にも効果的です。 1型糖尿病 治療、予防が難しい 2型糖尿病 妊娠糖尿病 予防が可能 生活習慣やライフスタイルを見直す 規則正しい食生活 適度な運動(ストレス発散) 実施にあたっては、適宜体調に合わせて、無理をしないように継続できる運動の種類を選択するように心がけましょう。 以下、糖尿病を改善し、予防に有効な「運動に関する情報」を詳細に紹介してまいります。 【関連記事】 糖尿病は筋トレで完治は難しくても改善する!運動療法で糖尿病を改善するには 妊娠糖尿病で運動してもいい?妊婦さんが安心して取り組める運動 糖尿病予防に効果的な運動3選 2型糖尿病の血糖コントロールには、有酸素運動や筋肉トレーニング(レジスタンス運動)が推奨されています。(文献1) 運動を継続して実践すると、インスリンの働きがよくなり、血糖値を上手く調整しやすくなると考えられています。 糖尿病における運動療法は、とくに問題がなければ有酸素運動とレジスタンス運動、両方行うことが勧められていますが、まずは運動不足改善のために有酸素運動から始めると良いでしょう。 余裕が出てくれば次のステップとして、身体に負荷をかけるレジスタンス運動を検討すれば良いと思われます。 一方で、有酸素運動が難しい方は、レジスタンス運動を検討しましょう。 ここでは、糖尿病予防に効果的な運動を3つ紹介します。 ①有酸素運動(ウォーキング・ジョギング・水泳等) 具体的な有酸素運動(ウォーキングやジョギング、水泳等)について、糖尿病診療ガイドライン2024では、「週に150分以上の中等以上の強度の有酸素運動を、3日以上に分けて行うこと」がすすめられています。(文献1) さらに、「運動しない日が2日以上続かないようにする」ことも大切です。 これは通常、「糖の代謝が改善する期間」が運動してから、24~48時間程度持続することから導かれたもので、血糖値を上手く制御するためには、運動を1週間のなかで3日間は実践することが理想的だからです。 週末だけまとめて運動するのではなく、できるだけ間を空けずに週の中でこまめに体を動かすのが、糖尿病予防のコツです。 ②レジスタンス運動(筋肉トレーニング) レジスタンス運動は、以下の効果により血糖コントロールを改善します。 骨格筋の量や筋力を増加 インスリン抵抗性(インスリンの効きが悪くなる)の改善 運動の頻度は週に2〜3日、できれば日をあけながら行うのがおすすめです。 腕・脚・お腹・背中など、体の大きな筋肉をまんべんなく使う運動を、5種類以上取り入れましょう(例:スクワット、腕立てふせ、腹筋など)。 最初は軽めの負荷や1セット(1回分)から始めて、慣れてきたら少しずつ回数や負荷を増やしていくと効果的です。 レジスタンス運動は、有酸素運動と同じくらい血糖値(HbA1c)を下げる効果があるという研究結果も出ています。高齢者など有酸素運動が難しい人にはおすすめできる運動です。(文献1) さらに、レジスタンス運動には筋肉量の減少(サルコペニア)を防ぐ目的でも効果的です。 ③ストレッチ(ヨガ・太極拳) ヨガや太極拳は、激しい動きや瞬発的な運動がほとんどないため、高齢者でも取り入れやすい運動です。 研究では、これらの運動が糖尿病にも良い影響を与えることが報告されています。 ヨガは、空腹時血糖値やHbA1cを改善させるだけでなく、筋力や心肺機能を高める効果もあるとされています。 また太極拳には、血糖値の改善やバランス能力の向上がみられた研究結果もあります。 ただし、まだ研究の数は多くないため、今後さらに詳しい検証が期待されています。(文献1) 糖尿病予防の運動を続けるコツ 運動を長く続けるコツは、「最初から完璧を目指さない」ことです。 現在、運動不足だからと言って一念発起し、一気にやり始めると、疲労やケガにつながる恐れがあります。 通勤や買い物ついでに歩く「ながら運動」や、家事の合間のストレッチなど、日常生活に運動を取り入れるのもおすすめです。 まずは軽いウォーキングや筋トレを週3回など、無理のないペースで行うことを目指しましょう。 無理のない範囲でコツコツと継続することで、糖尿病予防の大きな力になります。 1型糖尿病は、インスリンを分泌する膵臓細胞が壊れてしまうことで発症するため、運動によりインスリン機能そのものの回復を期待できるような治療効果は期待できません。 しかし、運動することで心身の健全な発達やストレス解消に貢献するため、決して無駄ではありません。 糖尿病予防の運動を実施する際の注意点 糖尿病予防には、運動だけではなく、食事とのバランスも重要です。 運動と食事は、血糖値をコントロールする「両輪」です。 治療効果は、どちらか一方が欠けても十分に発揮できません。 また、運動のタイミングも重要です。 食後すぐの運動は、胃に負担がかかるため控えましょう。 食後1時間ほど経過してから行うと、食事から取り込まれたブドウ糖や脂質を効率的に利用でき、血糖値の上昇を抑える効果が期待できます。 「毎日運動しているから食事は気にしない」「食事療法をしているから運動はしなくても良い」と、どちらか片方だけを頑張るのではなく、運動・食事の両方をバランスよく取り入れて、糖尿病の予防・改善を目指しましょう。 運動 + 食事 = 予防、改善(どちらかに偏らないバランスが大切) 運動だけでは防げない?糖尿病に再生医療という新しい選択肢 これまで運動や食事管理を続けてきても、どうしても血糖値が安定しないケースがあります。 そうしたときは、再生医療という選択肢があります。 糖尿病は、膵臓のβ細胞機能やインスリン分泌能の低下が関係しており、生活習慣の改善だけでは十分にコントロールできない状況もあるためです。 再生医療では、ご自身の脂肪から培養した幹細胞を投与することで、すい臓や血管の再生および修復を目指します。 糖尿病に対する当院「リペアセルクリニック」の再生医療については、以下の症例をご覧ください。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っております。糖尿病に対する再生医療について詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。 運動で糖尿病を予防しつつ健康的な体を手に入れよう 今回は糖尿病の予防・改善に役立つ運動について詳しく紹介しました。 とくにウォーキングなどの有酸素運動は、続けやすくお勧めです。 1日8,000歩程度を目標にして、1週間に3日間以上の頻度で行うと良いでしょう。 運動の開始時間 食事後1時間程度経過してから 効果的にするために 運動だけに偏らない、食事療法も一体で行う 運動内容 ウォーキング、ジョギング等の有酸素運動 回数 週3回を目途、間隔を3日空けない 時間 一回当たり30分~60分程度 歩行運動は、時間や場所を選ばずに一人で実践できるため、忙しい方でも通勤や買い物中などに行えます。 どこまで運動強度を上げて良いか不安に感じる患者さんは、かかりつけ医ともよく相談してみましょう。 糖尿病は食事や運動、生活習慣の改善や薬物による治療のほか、再生医療の選択肢もあります。 再生医療について、さらに詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。メール相談やオンラインカウンセリングも承っておりますのでご利用ください。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 糖尿病に効果的な運動に関するよくある質問 糖尿病予防に効果的な運動に関するよくある質問をまとめました。 糖尿病で運動しないとどうなりますか? 糖尿病で運動をしないと、血糖値を下げるインスリンの働きが弱まり、血糖コントロール不良による血糖が高い状態が続きやすくなります。 その結果、動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞、腎臓・神経・目の合併症などを引き起こすおそれがあります。運動は血糖コントロールを助け、合併症を防ぐ上でも重要です。 糖尿病予防の運動は食前と食後どちらが良いですか? 糖尿病予防のための有酸素運動は、食後に行うのが効果的とされています。 食後すぐは消化に負担がかかるため避け、血糖値が上がり始めるタイミングで軽いウォーキングなどを行うと、血糖の上昇を緩やかにする効果が期待できます。 参考文献 (文献1) 糖尿病診療ガイドライン2024 第4章 運動療法|南江堂
2022.04.15 -
- 肝疾患
- 内科疾患
肝臓は、薬やアルコール、有害物質などを分解・処理する役割を持つ、生命維持に欠かせない臓器です。ただし、日常生活の中で気づかないうちに負担がかかり、機能が低下しているケースも少なくありません。 とくに、薬の服用などで肝臓に過剰な負荷をかけ続けると、重大な疾患の原因にもなるため注意が必要です。 本記事では、肝臓の働きを項目別にわかりやすく解説し、意識したい生活習慣や身体の変化についてもご紹介します。 【肝臓の働き一覧表】 役割 働き 胆汁の合成・分泌 脂肪の消化・吸収を助ける胆汁を生成し、ビリルビンやコレステロールなどの老廃物を排泄する。 代謝 炭水化物・脂質・タンパク質を必要な形に変換・合成・分解し、体内の栄養バランスを調整する。 栄養素の貯蔵 グリコーゲンや脂肪、ビタミン、ミネラルを貯蔵し、必要に応じてエネルギーや材料として供給する。 解毒・排泄 アルコール・薬物・アンモニアなどの有害物質を無毒化し、排泄できる形に変換する。 免疫 クッパー細胞やNK細胞が異物を除去し、免疫機能維持に必要なアミノ酸やエネルギーを供給する。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、肝臓疾患の新しい治療法「再生医療」に関する情報の提供と簡易オンライン診断を行っておりますので、ぜひご活用ください。 肝臓の5つの働きをわかりやすく解説 肝臓には多くの働きがあります。 ここでは、以下の5つに注目して、肝臓の働きを詳しく見ていきましょう。 胆汁の合成・分泌 代謝(炭水化物・脂質・タンパク質など) 栄養素の貯蔵 解毒・排泄 免疫 胆汁の合成・分泌|脂肪の消化・吸収を助ける 胆汁は、食べ物に含まれる脂肪などの消化・吸収を助ける分泌液です。 胆汁の主要な成分は、コレステロールから合成される「胆汁酸」で、脂肪に胆汁酸が混ざると消化酵素による分解を受けやすくなります。 また肝臓は、古くなった赤血球の分解で生成される色素「ビリルビン」を処理・排泄する役割も担っています。ビリルビンは、そのままだと水に溶けません。肝臓で水に溶けやすい形に変換されて胆汁に混ざり、消化管へ排泄されます。 さらに、作られた胆汁は十二指腸へ送り出され、脂肪の消化・吸収を助けます。 このように肝臓は、胆汁の合成と分泌、脂肪の消化・吸収に欠かせない重要な臓器なのです。 代謝|炭水化物(糖質)・脂質・タンパク質などを変換・合成する 代謝とは、体内でさまざまな分子が合成・分解される際の化学反応です。 たとえば、炭水化物・脂質・タンパク質は、肝臓において以下のように代謝されています。 変換・合成元 変換・合成先 炭水化物 ・ブドウ糖以外の単糖類(フルクトースやガラクトース)をブドウ糖に変換 ・ブドウ糖をグリコーゲンに合成して貯蔵 ・アミノ酸や脂肪からブドウ糖を合成 脂質 ・脂肪を運ぶタンパク質の合成(VLDL、HDL) ・ブドウ糖から脂肪を合成 ・脂肪・ブドウ糖・アミノ酸からコレステロールを合成 タンパク質 ・非必須アミノ酸(体内で合成可能なアミノ酸)を合成 ・アミノ酸からタンパク質(アルブミンや血液凝固因子など)を合成 ・余分なアミノ酸の分解 体にとって使いやすい形への変換や不足分の合成、貯蔵しやすい形への合成などが行われるのが特徴です。 栄養素の貯蔵|エネルギーの貯蔵と供給を担っている 肝臓は、糖や脂質の貯蔵において中心的な役割を果たしている臓器です。また、ビタミンやミネラルの貯蔵も担っています。 体内でブドウ糖が余っているとき、肝臓はまずグリコーゲン(ブドウ糖の貯蔵形態)として蓄えます。グリコーゲンが十分になってもまた余っていれば、脂肪に変換して脂肪組織で貯蔵できる形にします。 逆に、ブドウ糖が不足しているときは、肝臓のグリコーゲンを分解してブドウ糖に戻し、血液中に供給します。グリコーゲンがなくなれば、アミノ酸や乳酸、脂肪を材料にブドウ糖を新たに合成することが可能です。 エネルギー源以外で、肝臓に貯蔵される栄養素の例として以下があります。 鉄 ビタミンB12 ビタミンA ビタミンD 解毒作用・排泄|アンモニアなど有害な物質を無毒化する 肝臓は、アルコールやニコチン、薬の成分などを分解して無害化するとともに、体内で生じる有害物質や排泄が難しい物質を体外へ排泄可能な形に変える働きも持っています。 たとえば、余分なアミノ酸を分解する過程でできるアンモニアは、そのままでは有毒なため、尿素に変換されます。赤血球が分解される際に出るビリルビンを、水に溶ける形に変換するのも肝臓の役目です。体内で働いたホルモンも、一部は肝臓で分解されます。 また、肝臓では運動などで生成された乳酸をブドウ糖に変換し、エネルギー源として再利用することが可能です。 免疫|細菌やウイルスなどの異物を除去する 肝臓は、消化管で吸収された栄養素が最初に流れ込む場所です。 消化管からの血液の通り道には、クッパー細胞と呼ばれる免疫担当の細胞が存在し、栄養とともに運ばれてくる細菌やウイルスなどの異物を処理しています。 さらに、ウイルスに感染した細胞や不要になった細胞の残骸などを排除するナチュラルキラー(NK)細胞など、さまざまな免疫細胞が集まっているのも特徴です。 なお、免疫系が適切に働くには、病原体に結合して目印となるタンパク質の「免疫グロブリン」が必要になります。免疫細胞が免疫グロブリンを作るには、肝臓から供給されるアミノ酸やエネルギーが欠かせません。 肝臓の働きを良くするために意識したい生活習慣 ここでは、肝臓のために普段から意識したい生活習慣について解説します。 肝臓の働きを良くするためにも、ぜひ参考にしてみてください。 栄養バランスを考えて食事のメニューを選ぶ 肝臓の働きを維持するには、肝臓の細胞を作るタンパク質や、肝臓の機能を助けるビタミン類が不足しないように注意が必要です。 積極的に摂取したい栄養素を多く含む、食品の一例を以下にまとめました。 栄養素 食品例 タンパク質 ・鶏むね肉 ・豆腐 ・卵 ビタミンB群 ・豚肉 ・ほうれん草 ・納豆 ・玄米 ビタミンC ・ブロッコリー ・キウイフルーツ ・さつまいも ビタミンE ・アーモンド(ナッツ類) ・アボカド ・カボチャ ポリフェノール ・緑茶 ・ブルーベリー ・ココア タウリン ・しじみ ・あさり ・いか これらの栄養素を意識しながら、さまざまな食品をバランスよく食べましょう。 なお、すでに肝機能が落ちている方は、タンパク質や塩分の制限が必要な場合もあります。これから受診する場合は医師に相談し、医療機関にかかっている方は指示を優先して調整してください。 睡眠不足・ストレス過多を避ける 肝臓の働きを良好に保つには、睡眠不足とストレス過多を避けることが大切です。 睡眠時間が短いと、肝臓が日中のダメージを修復・再生する時間も少なくなります。毎日決まった時間に寝起きするなど規則正しい生活を送り、質の高い睡眠を確保しましょう。 寝る前のカフェイン摂取や、スマートフォンの使用を控えるのも効果的です。 また、過度なストレスも自律神経を乱し、肝臓へのダメージにつながります。活性酸素が増えることで肝細胞が傷ついたり、ストレスによる食生活の変化で肝臓に負担がかかったりする可能性もあるため注意が必要です。 適度な運動や趣味など、自分に合った方法で上手にストレスを発散しましょう。 ウォーキングなど軽い運動を習慣にする ウォーキングなどの軽い有酸素運動も、肝臓に良い影響をもたらします。とくに、肥満や脂肪肝を指摘されている場合に効果的です。 適度な運動は、肝臓の脂肪を減らす効果があると報告されています。(文献4) おすすめの有酸素運動は、ウォーキングやサイクリング、スイミングなどです。少し汗をかきながら無理なく続けられる強度で、1回30分~60分、週に3~4回を目安に運動を習慣にしましょう。(文献6) アルコールを控える 肝機能を守るためには、日常的な飲酒習慣の見直しが重要です。 アルコールは肝臓で分解されるため、過剰な摂取が続くと肝臓に大きな負担をかけ、脂肪肝やアルコール性肝炎、肝硬変などの疾患につながりかねません。 生活習慣病のリスクを高める飲酒量としては、男性1日あたり純アルコール40g以上、女性20g以上とされています。(文献5) 純アルコール20gは以下の量に相当します。 ビール(5%):中瓶1本(500ml) 日本酒:1合(180ml) ワイン:グラス2杯弱(約180ml) チューハイ(7%):350ml缶1本 ウイスキー・焼酎:シングル2杯(約60ml) これらを目安に、飲酒量を抑えるよう心がけましょう。とくにγ-GTPなど肝機能の数値が高い場合には、週に最低2日は休肝日を設けることが大切です。 薬の不適切な服用に注意する 薬の不適切な服用は、肝臓や腎臓などの臓器に負担をかけます。 とくに肝臓は、薬物代謝の中心的な役割を担っており、必要以上の薬が体内に入ると、薬剤性肝障害を引き起こすケースがあるのです。 市販薬を含めて複数の薬を併用している場合は、有効成分が重複していないか、相互作用がないかを確認しましょう。 安全に薬を使うためにも、以下を確認しておいてください。 医師や薬剤師の指示に従い、用法・用量を厳守する 飲み合わせに注意し、不明な点があれば必ず専門家に相談する 飲み忘れや中断時は、自分で調整せず再度指示を受ける 薬は、適切な使い方で治療効果を発揮します。肝臓を守るためにも、自己判断による過剰な服用は避けましょう。 肝臓と薬の関連性については、以下の記事でも詳しく解説しています。 肝臓の働きとコレステロールの関係 コレステロールは体に不可欠な脂質であり、その大部分は肝臓で合成されます。 体内のコレステロールの約70〜80%が肝臓を中心に作られており、細胞膜やホルモン、胆汁酸の材料として利用されているのです。 肝臓で合成されたコレステロールは、LDL(低密度リポタンパク)により全身へ運ばれ、各組織で利用されます。余分なコレステロールは、HDL(高密度リポタンパク)によって回収され、再び肝臓に戻されて胆汁酸として分解・排泄します。 肝臓はコレステロールの生成・輸送・代謝・排泄という一連の流れをコントロールしており、血中の脂質バランスを調整しています。しかし、肝機能が低下するとこれらの調整機能が乱れ、血中のコレステロール値が異常をきたす可能性があるため注意しなければなりません。 とくに脂肪肝や慢性的な肝障害がある場合には、コレステロールの排泄がうまくいかず、動脈硬化や心血管疾患のリスクが高まります。 健康なコレステロールバランスを保ち、生活習慣病の予防にもつなげるためには、肝臓の正常な働きが欠かせません。 肝臓の働きをチェックする方法 肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど、自覚症状が現れにくい臓器です。異常があっても気づかないまま進行するケースも多く、健康な状態を維持するためには、定期的なチェックが欠かせません。 まずは、年に一度会社で実施される定期健康診断を活用しましょう。健康診断の機会がない場合でも、かかりつけ医や内科のクリニックで、自発的に肝機能を調べる血液検査を受けることも可能です。 血液検査では、肝臓の状態を数値で客観的に把握でき、早期の肝機能異常の発見につながります。 とくに、肝疾患のリスクがある人や、疲れやすさ・肌荒れ・黄疸などが気になる人は、積極的に検査を受けましょう。 血液検査でわかる肝機能の数値 血液検査で確認できる数値を以下の表にまとめました。 検査結果をもらったら、照らし合わせて確認してみましょう。 項目名 基準値の目安 内容(役割・異常の意味) AST(GOT) 男女共通:13〜30 U/L程度 肝臓以外にも心筋や筋肉に含まれ、肝細胞が壊れると血中に増加。肝炎や肝硬変で上昇。 ALT(GPT) 男性:10〜42 U/L 女性:7〜23 U/L 主に肝臓に存在し、ALTの上昇は肝細胞の障害を示す。 γ-GTP 男性:13〜64 U/L 女性:9〜32 U/L 胆道系やアルコール代謝に関与。飲酒や胆道障害で上昇。慢性肝疾患でも高い数値になる。 (文献7) なお、それぞれの基準値は検査機関や測定法によって異なります。上記の数値はあくまで目安です。 肝臓の働きが悪くなると身体に現れる変化 肝臓は、働きが悪化しても目立った症状はなかなか現れませんが、以下のような症状が現れた場合は、肝機能低下のサインかもしれません。 全身がだるくなって疲れやすくなる 黄疸(肌や目が黄色くなる)やむくみが出やすくなる では、それぞれ詳しく見ていきましょう。 全身がだるくなって疲れやすくなる 肝臓の働きが悪くなると、心当たりのない全身のだるさが続いたり、疲れやすくなったりします。 まず考えられるのが、ブドウ糖の供給を調節する機能の低下です。ブドウ糖の供給がうまくいかなくなると、体の各組織が十分なエネルギーを得られなくなります。 有害物質の解毒・分解が滞り、アンモニアなどの老廃物が身体に溜まることも倦怠感の一因です。ほかにも、栄養素の貯蔵障害やタンパク質の合成低下、ホルモンの調整機能の不調なども影響します。 このように、肝臓の働きが低下すると複数の機能が同時に影響を受けるため、慢性的なだるさや疲労感につながることを理解しておきましょう。 黄疸(肌や目が黄色くなる)やむくみが出やすくなる 黄疸とは、白目や皮膚が黄色くなる症状です。 黄疸は肝機能の低下を示す代表的なサインであり、肝臓でのビリルビン(赤血球が壊れる際に生じる黄色の色素)の処理や排出が十分に行われなくなることで現れます。急性肝炎では、黄疸が現れる前に尿の色が濃くなることが多く、その数日後に皮膚や目の黄変が見られるケースがあります。(文献2) ただし、むくみの原因は、肝臓におけるタンパク質の合成障害である可能性も否定できません。 血液中のタンパク質(アルブミンなど)が減少すると、水分を血管内にとどめておく力が低下します。その結果、水分が血管の外にしみ出し、むくみや腹水として蓄積することがあります。 肝臓の働きの悪化が進むとかかりやすい重大な病気 肝臓の働きが悪化すると、以下のような肝臓の病気を発症するリスクが高まります。 急性肝炎 慢性肝炎 アルコール性肝炎 非アルコール性脂肪肝炎 ウイルス性肝炎 肝硬変 肝臓がん ここでは、急性肝炎・慢性肝炎・肝硬変の3つの特徴を説明します。 急性肝炎 急性肝炎とは、肝炎ウイルスやアルコール、薬剤などの影響で肝臓内の細胞が破壊され、高度な炎症反応がみられる病態です。 肝炎ウイルスが原因であるケースが多く、感染して数週間から数カ月後に黄疸や食欲不振、全身倦怠感、発熱といった症状が現れます。(文献2) 肝炎ウイルスの種類には、A・B・C・D・E型があり、このうちD型は日本であまり見られません。どの型であっても、治療の基本は安静と食事療法です。 肝臓への負担を抑えるためにタンパク質を制限するほか、必要に応じて輸液や炎症を抑える薬を投与する場合もあります。 急性肝炎は重症化するケースもありますが、多くは自然に回復します。ただし、C型肝炎は慢性化する確率が高いため、急性の症状が落ち着いても、6カ月の経過観察が必要です。 慢性肝炎 慢性肝炎とは、肝臓の炎症が半年以上継続している状態を指します。 主な原因は、急性肝炎が完全に治りきらずに炎症が続く場合や、脂肪の蓄積、アルコールによる継続的な肝臓への負担などです。 慢性肝炎による炎症と修復が繰り返されると、肝臓は少しずつ繊維化し、慢性肝臓病と呼ばれる機能低下の状態となります。さらに放置すれば、肝硬変や肝臓がんに移行する恐れもあるため要注意です。(文献3) 慢性肝炎の自覚症状は非常に軽微なため、健康診断の血液検査でたまたま発見される場合が多いとされています。とくに気をつけるべき数値は、肝臓の働きを反映する「ALT」です。 日本肝臓学会では、ALTが30を超えたらかかりつけ医を受診するよう推奨しているので、症状がなくても放置せずに早めの受診を心がけましょう。(文献3) 肝硬変 肝硬変とは、肝臓の組織が繊維化して固くなってしまう病気です。慢性肝炎などによって、肝臓内の細胞が破壊と修復を繰り返すうちに発症します。 C型肝炎がもっとも多い原因ですが、近年ではアルコール性肝障害や、非アルコール性脂肪肝炎が原因で肝硬変となる割合が増えています。(文献1)そのため、ウイルス感染がなくても、飲酒習慣や肥満・脂肪肝がある方は定期的な検査を受けることが重要です。 肝硬変の初期にはほとんど目立った症状を認めないケースが多いですが、進行するにしたがって倦怠感や吐き気、体重減少など、さまざまな症状が出現します。さらに病状が悪化すると、むくみやおなかの張り、白目や皮膚が黄色くなる黄疸なども現れます。 肝硬変になると、肝臓の機能は低下したまま元に戻りません。また、肝がんが発生する危険性も高くなります。(文献1) 肝硬変の発症や進行を防ぐために、生活習慣の見直しと定期的な検診を心がけましょう。 なお、肝硬変の治療には再生医療の「幹細胞治療」が活用されています。肝硬変に対する幹細胞治療の症例については、以下の記事を参考にしてみてください。 肝臓疾患の治療には再生医療をご検討ください 脂肪肝や肝炎といった肝臓の病気は、放置すると肝硬変や肝がんに進行する場合もあります。しかしながら、自覚症状が出にくいため、気づいたときには進行しているケースも少なくありません。 そんな肝臓疾患の新しい治療法として、再生医療があります。 再生医療とは、体内の幹細胞が持つ組織修復能力や炎症を抑える働きを活かした治療法です。患者様自身の幹細胞を用いるため、身体への負担を抑えられ、入院を伴う大きな手術も必要ありません。 当院リペアセルクリニックでも、脂肪肝・肝硬変・肝炎に対する再生医療を提供していますので、お気軽にご相談ください。 まとめ|肝臓の働きで気になる点があれば受診しよう 肝臓は、私たちの体内で薬やアルコール、老廃物の処理などを担う重要な臓器ですが、知らず知らずのうちに負担がかかっていることも少なくありません。 とくに、薬を服用している場合、肝臓が薬の成分を代謝・分解するために大きく働くことになり、負担が蓄積すると数値の異常や薬物性肝障害のリスクも高まります。 肝機能の異常を防ぐためには、日々の生活習慣の見直しが何より大切です。バランスの良い食事と脂肪・糖分・アルコールの過剰摂取を避けることで、肝臓への負担を軽減できます。 また、定期的な健康診断での数値チェックと、異常に気づいたときの早期受診も大切です。薬との付き合い方を見直しながら、肝臓に優しい生活を心がけましょう。 肝臓の健康状態に不安がある方は、再生医療も選択肢になります。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を行っていますので、ぜひご登録ください 肝臓の働きに関するよくある質問 肝臓の働きを小学生向けにわかりやすく解説して 肝臓は、おなかの右上、あばら骨の中にある大きな臓器です。 体の中の「工場」のような場所で、食べ物から入った栄養をエネルギーに変えたり、使いきれなかったりした分を「エネルギーの貯金」としてためて、足りなくなったときに取り出します。 また、血液の中の毒やいらない物を分解して、体の外に出しやすくする役目もあります。 さらに、ケガをしたときに血を固めるたんぱく質や、油っぽい料理を消化しやすくする胆汁(たんじゅう)も作っているなど、健康的な生活のために欠かせません。 こうした大事な仕事をしているので、お菓子を食べ過ぎたり、ジュースを飲み過ぎたりせず、よく寝て元気に動いて、大切な肝臓を守っていきましょう。 肝臓で重要な3つの働きは? 肝臓は身体の代謝と恒常性を支える中心的な臓器であり、とくに以下の3つが重要な働きです。 1.アルブミンや凝固因子といった生命維持に不可欠なタンパク質を合成し、さらに糖質・脂質・ビタミンを貯蔵して必要に応じて調節する。 2.薬物やアルコール、アンモニアなどの有害物質を無毒化し、体外へ排泄できる形へ変換する解毒機能を持つ。 3.脂肪の消化・吸収に不可欠な胆汁酸を含む胆汁をつくり、老廃物を排泄する。 上記3つの働きが連動することで体内環境が安定し、健康が維持される仕組みになっています。 参考文献 (文献1) 肝硬変診療ガイドライン 2020(改訂第 3 版)|日本消化器病学会・日本肝臓学会 (文献2) 急性肝炎|国立健康危機管理情報機構 肝炎情報センター (文献3) 奈良宣言特設サイト|日本肝臓学会 (文献4) NAFLD/NASH 診療ガイドライン 2020(改訂第 2 版)|日本消化器病学会・日本肝臓学会 (文献5) 11月 肝機能が気になったら|全国健康保険協会 (文献6) 脂肪性肝疾患患者に対する肝臓リハは?|日本肝臓学会 (文献7) 臨床検査基準値一覧|2016年6月版 国立がん研究センター中央病院 臨床検査部
2022.04.04 -
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- 内科疾患
「健康診断で肝臓の数値が高いと言われて不安になった」「肝臓の数値異常は薬のせい?」このような疑問をお持ちの方も多いでしょう。 肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、自覚症状が出にくいため、体調に変化がなくても、健康診断の血液検査で初めて異常を指摘されるケースも少なくありません。 また肝臓の数値が悪化する背景には、脂肪肝やアルコール、ウイルス性肝炎などさまざまな原因がありますが、日常的に服用している薬が影響している可能性もあります。 本記事では、肝臓の数値が悪化する原因やそれを改善するための対策について解説します。 肝臓の数値を改善し、健康な状態を維持するためのポイントを押さえていきましょう。 \肝臓治療に対する新たなアプローチである「再生医療」とは/ 初期の肝機能数値の異常は軽度であっても、放置すると慢性肝炎や肝線維化、肝硬変、さらには肝がんへ進行する可能性があります。 こうした進行リスクが懸念される肝臓疾患に対して、近年注目されているのが自己脂肪由来幹細胞を用いた再生医療です。 再生医療は、患者さまご自身の細胞を活用して炎症の抑制や損傷組織の修復を促し、肝機能の改善を目指す治療法です。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 健康診断で毎回肝臓の数値が高い 薬の影響が心配 脂肪肝が改善しない 将来、肝硬変や肝がんが不安 今の治療で十分な改善がみられない >>再生医療専門の「リペアセルクリニック」に無料相談する 当院(リペアセルクリニック)では、肝臓の数値異常・肝疾患に対する再生医療について無料カウンセリングを実施しています。 まずは現在の状態を正しく把握し、どのような選択肢があるかを一緒に確認しましょう。 まずは無料相談! 薬による肝臓への負担と薬物性肝障害 私たちが薬を服用すると、その成分は体内で吸収され、血液を通じて全身に運ばれます。 その過程で重要な役割を担うのが「肝臓」です。 肝臓は、薬の成分を分解・代謝し、体にとって不要なものを無毒化する働きをしています。 しかし、薬の種類や飲み合わせ、服用量によっては、この代謝過程が肝臓にとって大きな負担になる場合があり、肝臓の数値に影響を与え、基準値より高くなることがあります。 肝臓の数値が上昇している場合、薬が原因となっている「薬物性肝障害」の可能性が考えられます。 自覚症状がないケースも多いため、定期的な血液検査による肝機能チェックが重要です。 注意が必要なのは、肝機能の異常を放置すると、炎症が慢性化し、やがて線維化(肝臓が硬くなる状態)へ進行する可能性がある点です。 進行した線維化や肝硬変は、現在の保険診療では根本的に元へ戻すことが難しいとされており、将来的に肝がんのリスクが高まることもあります。 「薬の影響で肝臓に負担がかかっていないか不安」「将来、肝硬変や肝がんに進行しないか心配」といったお悩みをお持ちの方は、まずは当院(リペアセルクリニック)の無料電話相談をご利用ください。 まずは無料相談! 薬物性肝障害とは? 薬物性肝障害とは、薬の影響によって肝臓の細胞が傷つき、肝機能に異常が生じる状態を指します。 薬そのものだけでなく、代謝の過程で発生する物質が肝細胞にダメージを与えることもあります。 症状には倦怠感、食欲不振、吐き気、黄疸(おうだん)などがありますが、自覚症状がまったく現れないケースも少なくありません。 そのため、体調に異変がなくても、定期的に血液検査で肝臓の数値(AST・ALTなど)を確認することが大切です。 とくに、複数の薬を同時に服用している方や、長期間薬を使っている方は、知らず知らずのうちに肝臓に負担がかかっている可能性があります。 数値の異常が見つかった場合は、薬の中止や変更を検討する必要があるため、早期発見と医師のフォローが重要です。 肝機能を示す主な検査数値と薬が与える負担について 肝臓の状態を把握するには、血液検査で得られる肝機能の数値をチェックすることが重要です。 肝臓への薬の負担を把握するうえでも注目すべき指標は次の3つです。 AST(GOT) ALT(GPT) γ-GTP それぞれの数値の役割と、どのような薬が影響を及ぼすのか、詳しく解説します。 AST(GOT)とは? AST(GOT)は、肝臓に関するトラブルの初期発見に役立つ指標のひとつです。 主に肝臓や心臓、筋肉などに存在する酵素で、細胞がダメージを受けると血液中に漏れ出し、その数値が上昇します。 正常値の目安 :男性でおおよそ10~40 U/L、女性で10~35 U/L 上昇するケース:肝炎、アルコール性肝障害、筋肉疾患など ASTは、解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)や抗生物質、抗てんかん薬などの使用によって上昇することがあります。 とくに高用量の解熱鎮痛薬は、肝臓への代謝負担が大きく、ASTが一時的に高くなる場合があります。 ALT(GPT)とは? ALT(GPT)は、主に肝臓に多く含まれている酵素で、肝細胞が損傷を受けた際に血中に放出されます。 ASTよりも肝臓に特化した指標とされており、肝機能をダイレクトに反映する重要な数値です。 正常値の目安:男性で10~45 U/L、女性で7~30 U/L 上昇するケース:脂肪肝、薬物性肝障害、ウイルス性肝炎など ALTは、脂質異常症の治療薬(スタチン系)や糖尿病治療薬(メトホルミン)、一部の抗生物質などで上昇することがあります。 また、サプリメントの過剰摂取もALT上昇の原因になる可能性があり、「健康のために摂ったつもり」が肝臓に負担をかけるケースもあります。 γ-GTPとは? γ-GTP(ガンマグルタミルトランスぺプチダーゼ)は、肝臓や胆道に関係する酵素で、アルコール摂取や薬物、胆道系の異常によって上昇しやすい数値です。 とくに、アルコール性肝障害との関連が深い指標です。 正常値の目安:男性で10~70 U/L、女性で10~40 U/L(施設によってやや異なる) 上昇するケース:アルコール性肝障害、胆道閉塞、脂肪肝など γ-GTPは、抗てんかん薬(フェニトイン、カルバマゼピン)や精神安定剤(バルビツール酸系)、一部の抗菌薬などで上昇することがあります。 また、鎮静剤や睡眠薬の長期使用でもγ-GTPが高くなる場合があります。 \まずは当院にお問い合わせください/ 薬による肝臓の負担を軽減する方法 薬は正しく使えば健康の回復や症状の改善に大きな力を発揮しますが、使い方を誤ると肝臓に負担をかけてしまうこともあります。 本章では、薬の服用による肝臓への負担をできるだけ軽減するため、次の3つの方法を紹介します。 医師・薬剤師に相談しながら服用する 用法・用量を守る(過剰摂取しない) アルコールと併用しない 医師・薬剤師に相談しながら服用する 複数の薬を同時に使うことで、肝臓に過度な負担がかかることがあります。 薬を服用する際は、自己判断で市販薬やサプリメントを追加するのではなく、必ず医師や薬剤師に相談することが大切です。 とくに持病がある方や長期間薬を使用している方は、定期的な血液検査で肝臓の数値を確認しながら、服薬を見直すことも検討しましょう。 用法・用量を守る(過剰摂取しない) 「早く治したいから」と、決められた用量を超えて薬を飲むことは非常に危険です。 解熱鎮痛薬や風邪薬などは市販でも手軽に手に入りますが、過剰摂取すると肝臓に強いダメージを与えることがあります。 薬は決められた量・タイミングで飲むことが、肝臓の負担を最小限に抑える基本です。 アルコールと併用しない アルコールは肝臓で分解されるため、薬と一緒に摂取すると肝臓への負担がさらに大きくなります。 解熱鎮痛剤や抗生物質など、肝臓に影響を与えやすい薬を服用している場合のアルコールの摂取は、数値異常や薬物性肝障害のリスクを高めることになります。 薬を服用中は、なるべくアルコールは控えるようにしましょう。 薬以外で肝臓に負荷がかかる要因 薬の服用だけでなく、日常生活の中にも肝臓に負担をかける要因は多く存在します。 代表的な要因は次のとおりです。 アルコールの過剰摂取 脂肪肝や肥満 睡眠不足や過労 サプリメント・健康食品の過剰摂取 上記の要因が重なることで、肝臓が処理しきれず、薬による影響がより強く出る可能性もあるため注意が必要です。 肝臓は自覚症状が出にくい「沈黙の臓器」ともいわれているため、気づかないうちにダメージが蓄積していることも少なくありません。 とくに注意したいのは、こうした負担が長期間続くと、肝臓の線維化(硬化)が進行し、肝硬変や肝がんへとつながるリスクがある点です。 線維化が進行してしまうと、現在の保険診療では元の状態に戻すことが難しいとされています。 「健康診断で毎回数値が高い」「生活習慣を見直しているのに改善しない」という方は、肝臓の線維化が進んでいる可能性もあるため、早めに専門医へ相談することが大切です。 肝臓の状態が気になる方は、まずは当院(リペアセルクリニック)へお電話ください。 まずは無料相談! 肝臓の数値を正常化するためにできること 肝臓の機能は体全体の健康に大きな影響を与えるため、定期的に肝臓の状態をチェックし、必要な対策を講じることが重要です。 本章では、肝臓の数値を正常化するためにできることとして次の2つがあります。 肝臓の状態を定期的にチェックする 肝臓に優しい生活習慣を継続する それぞれについて、詳しく解説します。 肝臓の状態を定期的にチェックする 肝臓の数値を正常化するための第一歩は、健康診断で定期的に肝機能をチェックすることです。 肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、多少ダメージを受けていても自覚症状が出にくいため、異常があっても気づかないことがよくあります。 健康診断では、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPなどの数値が肝臓の状態を把握する指標として確認されます。 もし検査結果で数値が基準値を超えていた場合は、原因の特定が重要です。 たとえば、薬の服用歴や飲酒の習慣、肥満の有無などを医師と一緒に振り返り、生活習慣や薬の見直し、再検査などの対策がとられます。 健康診断の結果は「見て終わり」にせず、早期に対策を講じることが大切です。 とくに、薬を継続して服用している人や肝臓に負担をかける生活習慣がある人は、年に一度の健康診断を習慣にすることで、肝機能の異常を早期にキャッチしやすくなります。 肝臓に優しい生活習慣を継続する 肝臓の数値を正常化するためには、生活習慣の改善が不可欠です。 まず、バランスの取れた食事を心がけ、肝臓に負担をかける脂肪分やアルコールの摂取を控えましょう。 脂肪肝や肥満は肝臓に大きな負担をかけるため、適度な運動を取り入れて体重管理を行うことも大切です。 また、睡眠は肝臓の修復を助けるため、質の良い睡眠を十分にとることもポイントです。 生活習慣を改善することにより、肝臓の機能が回復し、数値が正常範囲に戻ることが期待できます。 肝臓は自己修復力がある臓器なので、日々のケアを続けることで、肝機能が向上しやすくなります。 まとめ|肝臓の負担が少ない適切な食事・運動で異常数値を防ごう 肝臓は私たちの体内で薬やアルコール、老廃物の処理などを担う重要な臓器ですが、知らず知らずのうちに負担がかかっていることも少なくありません。 薬を服用している場合、肝臓はその成分を代謝・分解するために大きく働くことになり、負担が蓄積すると数値異常や薬物性肝障害のリスクも高まります。 肝機能の異常を防ぐためには、日々の生活習慣の見直しが何より大切です。 バランスの良い食事と脂肪・糖分・アルコールの過剰摂取を避けることで肝臓負担を軽減できます。 定期的な健康診断での数値チェックと異常時の早期受診も大切です。薬との付き合い方を見直し、肝臓に優しい生活を心がけましょう。 また生活習慣の改善だけでは数値がなかなか戻らない方、すでに脂肪肝・肝炎・肝硬変と診断されている方には、再生医療という選択肢もあります。 従来の治療では根本的な改善が難しいとされてきた肝臓の線維化に対して、ご自身の幹細胞を活用して組織の修復・再生を目指します。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 健康診断で毎回肝臓の数値が高い 薬の影響が心配 脂肪肝が改善しない 将来、肝硬変や肝がんが不安 今の治療で十分な改善がみられない >>再生医療専門の「リペアセルクリニック」に無料相談する 「自分の症状に再生医療は適用できる?」「どんな治療か詳しく聞いてみたい」という方は、まずはお気軽にお電話でご相談ください。
2022.03.25 -
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「脂肪肝ってどんな症状が出る?」 「放っておくとどんなリスクがあるのか知りたい」 このような不安を抱えている方は多いでしょう。 脂肪肝は、肝臓に脂肪がたまる状態で、初期のうちはほとんど症状が出ないため、自覚がないまま進行してしまう場合があります。 しかし、放置すると肝炎や肝硬変、さらには肝臓がんへと進行するリスクもある病気です。 本記事では、脂肪肝の主な症状や進行によって現れるサイン、原因を解説します。検査の種類や改善の方法も紹介するので、脂肪肝が気になる方や自分の症状と照らし合わせて確認したい方は、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 脂肪肝について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 脂肪肝とは 脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪などの脂質が異常にたまった状態を指します。 アルコールや偏った食事、運動不足などの生活習慣の乱れが主な原因です。 脂肪肝は大きく以下の2つに分類されます。 アルコール性脂肪肝:過度の飲酒が原因 非アルコール性脂肪肝(NAFLD):飲酒以外の要因が原因 さらに、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、以下の2つに分類されます。 非アルコール性脂肪肝(NAFL):症状が進行しづらい 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH):肝炎に進行しやすい とくに、NASHは放置すると肝硬変や肝がんに進展するケースもあります。 脂肪肝の分類を表にまとめると、以下のとおりです。 脂肪肝 アルコール性:過度の飲酒が原因 非アルコール性脂肪性肝疾患 (NAFLD):飲酒が原因ではない 非アルコール性脂肪肝 (NAFL):症状が進行しづらい 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH):肝炎に進行しやすい また、脂肪肝は放置すると約1~2割の頻度で肝炎・肝硬変・肝細胞がんへと進行し、重症化する恐れがあります。 早期に生活習慣を見直し予防や改善に取り組むことが大切です。 脂肪肝の主な症状 脂肪肝の主な症状を以下の2つのケースに分けて解説します。 初期症状の場合 状態が悪化した場合 それぞれの段階での症状を詳しく見ていきましょう。 初期症状の場合 脂肪肝の初期症状は、多くのケースで症状がありません。 人間ドックや健康診断の際に行った検査結果で、初めて異常を知るケースも多くあります。 そのため、自覚症状のないまま日常生活を送っている人も多くいます。 状態が悪化した場合 脂肪肝の状態が悪化すると、以下のような症状が現れます。 肩がこる 頭がボーッとする 疲れやすい これらの症状は日常生活に大きな影響を与えづらく、気づくのが遅くなりがちです。しかし、脂肪肝の進行を示すサインとして見逃さないことが大切です。 また、脂肪肝がさらに悪化すると肝炎や肝硬変に進行するリスクも高まります。 肝硬変では、手足のむくみや腹水といった症状が見られ、生活に支障が出てしまうケースも少なくありません。 脂肪肝は進行すると重篤で致命的な症状が現れる可能性がある疾患です。自覚症状がなくても指摘を受けた場合は、放置せず早めに医療機関を受診しましょう。 関連記事:脂肪肝と言われたらどうすればいい?生活習慣を改善する方法も紹介 | 大阪 リペアセルクリニック 脂肪肝の原因 脂肪肝の原因には複数の要因が関与しています。正しく理解することで、効果的な予防策や改善方法を選択できます。 脂肪肝の主な原因は以下のとおりです。 肥満 過度な食事摂取 アルコール 糖尿病 各原因がどのように脂肪肝を引き起こすのか、詳しく解説していきます。 肥満 脂肪肝を引き起こす最も多い原因は肥満です。(文献1)肥満により脂肪が肝臓に運ばれる量が増え、中性脂肪として肝臓に蓄積されやすくなるためです。 さらに、肥満になり体重が増えるとインスリンの働きが低下し、脂肪の代謝が正常に機能しなくなります。 体重を適正に保つことは、脂肪肝の予防と改善に直結します。 過度な食事摂取 摂取カロリーが消費カロリーを上回る過度な食事摂取は、脂肪肝の原因となります。余剰なエネルギーが中性脂肪として肝臓に蓄積され、肝細胞の機能を低下させるためです。 たとえば、揚げ物や甘い物、スナック菓子などを頻繁に摂取する行動が該当します。また、早食いや不規則な食事時間も血糖値の急激な上昇を招き、脂肪蓄積を促進させます。 腹八分目を心がけ、栄養バランスを意識した食事に切り替えましょう。 アルコール アルコールは肝臓で分解される際に中性脂肪の合成を促し、脂肪の蓄積を引き起こします。飲酒量が多いほど肝臓への負担は増え、アルコール性脂肪肝へ進行しやすくなります。 とくに、ビールや甘いカクテルは糖質も多く、エネルギー過多を招きやすいです。 毎日飲む習慣がある場合は、肝臓の回復時間が確保できず炎症が長引く可能性があります。休肝日を設け、飲酒量を適正に保つことで脂肪肝予防につながります。 糖尿病 糖尿病により血糖値の高い状態が続くとインスリンの働きが弱まり、糖から脂肪への変換が活発になります。 その結果、中性脂肪が肝臓にたまりやすくなり、脂肪肝を発症しやすくなります。とくに、2型糖尿病では内臓脂肪の蓄積が同時に進み、肝臓への負担がさらに増します。 糖尿病の適切な管理が脂肪肝の予防と改善に直結するため、かかりつけの病院などで定期的な検査を心がけましょう。 脂肪肝の検査方法 血液検査で異常が認められた場合、肝臓の状態をより詳細に精査するため以下の画像検査を行います。 腹部超音波検査(エコー) CT検査 MRI検査 その他に、肝細胞を採取する肝生検という処置を行い、細胞の特性を顕微鏡で詳しく調査することによって病気の進展度や悪性所見の有無などを調べる検査もあります。 脂肪肝の改善方法 脂肪肝は、原因や発症機序によって治療方針が異なります。生活で注意すべき視点も柔軟に変化させる必要があります。 主な改善方法は以下のとおりです。 アルコールの摂取量を減らす 運動して減量する 栄養バランスのとれた食生活を送る 糖尿病の治療を進める それぞれの方法について詳しく解説します。 脂肪肝の改善方法について、詳しく知りたい方は以下のページもあわせてご覧ください。また、メール相談やオンラインカウンセリングも承っておりますのでご利用ください。 【関連記事】 脂肪肝に効果的な対策方法とは?診断される数値の目安も解説 | 大阪 リペアセルクリニック 脂肪肝を早く治すには?今すぐ始めたい改善方法を解説 アルコールの摂取量を減らす アルコールが原因で脂肪肝になった場合は、アルコールの摂取量を減らすことで脂肪の分解が進みやすくなります。 とくに、休肝日を設けると肝細胞の修復が促され効果的です。ビールや甘いカクテルは糖質が多く、控えることでカロリー過多の防止にもつながります。 飲む量や頻度を具体的に減らす目標を立て、無理なく継続する工夫をしましょう。 運動して減量する 定期的な運動はエネルギー消費を高め、肝臓に蓄積した脂肪を減らします。とくに、有酸素運動は中性脂肪の燃焼を促し、脂肪肝の改善に有効です。 ウォーキングやジョギングを1日30分、週3~4回程度続けると効果が現れやすくなります。(文献2)さらに、筋力トレーニングを組み合わせると基礎代謝が上がり、脂肪がたまりにくい体質に変わります。 日常生活でも階段利用やこまめな歩行を意識して、無理なく体重を減らしましょう。 栄養バランスのとれた食生活を送る 栄養バランスを整えることで、肝臓の負担を減らし脂肪の蓄積を防げます。 バランスの良い食事とは具体的に以下のとおりです。 エネルギー源となる主食(ごはん・パン・麺類) 体をつくるたんぱく質を含む主菜(魚・肉・卵・大豆製品) 体調を整える副菜(野菜・きのこ・海藻) さらに、乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズ)や果物(みかん・りんご・バナナなど)を組み合わせることで、ビタミンやミネラル、カルシウムも補えます。 ゆっくり良く噛んで食べたり、夜遅くの食事は控えたりして、食事の仕方にも配慮して食生活を改善していきましょう。 糖尿病の治療を進める 糖尿病を適切に治療すると脂肪肝を改善できます。 治療を進めることで糖尿病によるインスリンの低下を抑えられ、肝臓への脂肪蓄積を防げるからです。 糖尿病患者の方は、医師の指導に沿って脂肪肝の改善と並行して治療を続けましょう。 脂肪肝の症状が出る前に生活習慣を見直そう 脂肪肝とはどのような病気なのか、原因や症状、検査や治療、改善のポイントについて解説しました。脂肪肝は、肝臓に中性脂肪や脂質などの成分が蓄積する状態でバランスが偏った食生活や運動不足が原因で発症します。 健康診断や人間ドックで肝機能の数値で異常が発見されることが多く、初期の段階ではほとんど自覚症状が無いのが特徴的です。しかし、病状が進行すると倦怠感、腹部膨満感、食欲不振などの有意症状が出現する場合もあります。 脂肪肝に対する基本的な治療策としては、主に生活習慣の改善、食事療法や運動療法になります。 改善を目指す上で大切なのは、定期的に主治医やかかりつけ医と相談しながら肝機能の検査を行い、自分の状態を正しく把握していくことです。 また、生活習慣の改善とあわせて行う治療として、再生医療という選択肢もあります。 脂肪肝に対する再生医療について、以下の記事では実際の症例を紹介しています。ぜひ一度ご覧ください。 患者様の状態によって、再生医療の実施可否、治療計画、想定される経過、リスクなどが異なります。 詳細については、当院リペアセルクリニックまでご相談ください。 脂肪肝の症状に関するよくある質問 脂肪肝にいい食べ物はありますか? 脂肪肝の改善や予防には、良質なたんぱく質と食物繊維を多く含む食べ物が有効です。たんぱく質は不足しやすい栄養素のため、以下のたんぱく質が豊富な食材を積極的に取り入れましょう。 肉 魚 卵 大豆製品 さらに、食物繊維には脂肪の蓄積を抑える働きが期待されます。 野菜やきのこ類、海藻などの食物繊維を豊富に含む食品を日々の食事に意識して加えていきます。 脂肪肝になるとお腹は出ますか? 脂肪肝とお腹の出方は深く関係していますが、すべての脂肪肝患者が当てはまるわけではありません。非アルコール性脂肪肝の主な原因は、食べ過ぎや運動不足による肥満です。(文献3) 余分なエネルギーが脂肪として肝臓や内臓にたまり、その結果お腹まわりが大きくなっていきます。 一方、アルコール性脂肪肝は痩せ型の人にも多く見られます。 外見が標準体型でも肝臓に脂肪が蓄積している可能性もあるため、お腹が出ていないから脂肪肝ではないと判断しないようにしましょう。 脂肪肝の症状でおならがよくでることはありますか? 脂肪肝自体がおならの増加を直接引き起こすことはありません。 しかし、脂肪肝の原因となる食生活が腸内環境を乱し、ガスがたまりやすくなる場合があります。 とくに、脂質やタンパク質の消化が不十分な場合、腸内で悪玉菌の増殖を促し、おならの回数やにおいを強めます。腸内環境を整える食事を意識し、脂肪肝と併せて改善を目指しましょう。 参考文献 (文献1) 脂肪肝|全国健康保険協会 (文献2) 運動療法はNAFLD/NASHに有効か?|日本消化器学会・日本肝臓学会NAFLD/NASH診療ガイドライン2020(改定第2板) (文献3) 「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD/NASH)の診療ガイドライン2020年版」|日本肝臓学会
2022.03.17







