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- 足部、その他疾患
- 下肢(足の障害)
「足の指の付け根に、ピリピリとした痛みやしびれを感じる」 「病院に行くほどではないけれど、自分でできる対処法があれば知りたい」 モートン病による痛みで、思うように日常生活を送れず、上記のように悩む人もいるでしょう。 モートン病は、足指に痛みやしびれを感じる神経の病気で、放置すると日常生活に支障をきたすケースがあるのも事実です。しかし、ツボ押しやストレッチなどの対処法を知っていれば、症状を緩和する効果が期待できます。 この記事では、モートン病に対してツボの効果はあるのか解説します。ツボ押しと一緒に行うと効果的な治療法や、再発予防のための生活習慣についても紹介するので、ぜひチェックしてください。 モートン病はツボで治る? モートン病は、足の指にしびれ・痛み・焼けるような感覚などの神経症状が現れる病気です。中指と薬指の間に多くみられますが、人差し指と中指、薬指と小指の間に症状が出る場合もあります。 ツボ押しはモートン病の症状を緩和する効果が期待できますが、モートン病自体が完全に治るわけではありません。 ツボ押しは、血行を促進し筋肉の緊張を和らげたり、痛みを軽減したりする効果があります。モートン病の症状が軽いケースでは、ツボ押しで症状が改善する可能性があります。しかし、症状が進行していると、ツボ押しだけでは十分な効果が得られないケースがあるのも事実です。 ツボ押しはあくまで補助的な手段として考え、整形外科での治療と並行して行うと、より効果的です。症状が改善しない人や悪化する人は、早めに専門医に相談し、適切な治療を受けましょう。 モートン病に関しては、こちらの記事もご参照ください。 モートン病に効果があるツボと押し方 モートン病の症状を緩和させる効果が期待できるツボは、主に4つあります。ツボとは経穴(けいけつ)ともいわれ、身体を流れるエネルギーである「気」が経路に沿って並んでいる体表面のポイントです。押し方は、以下を参考にしてください。 <押し方> 両手の親指を重ねて、ツボを5〜10秒かけてゆっくり押す 痛気持ち良いぐらいの強さで押す 息は止めず、深く呼吸をしながらツボを押す 1セット3〜5回を目安に行う 以下に、各ツボの特徴を解説します。 「承山」の特徴 承山(しょうざん)は、ふくらはぎの中央で、アキレス腱から少し上にあるツボです。つま先立ちをした際、ふくらはぎにできるへこみを探すと見つけやすいでしょう。 承山は足のしびれや痛み・腰痛や頭痛・目のトラブルに効くといわれており、多くの症状に対応できる万能なツボです。押す際は、親指を重ねてツボに当て、ゆっくりと押してください。 「下承山」の特徴 下承山(しもしょうざん)は、承山から指幅3本分下にあるツボです。承山と同様に、ふくらはぎの筋肉とアキレス腱の境目あたりに位置します。 下承山は、足底における痛みやモートン病の症状、足首の痛みに対して用いられます。親指をツボに当て、ゆっくりと押し上げるようにしましょう。 「築賓」の特徴 築賓(ちくひん)は、内くるぶしの1番高い部分から、指幅7本分上にあるツボです。 腰痛や股関節痛、首コリなどの症状に用いられるだけでなく、下半身全体の血流が良くなるといわれ、手足の冷えに対する効果もあります。指で押す以外にも、かかとでアキレス腱から築賓までこするように押すのもおすすめです。 「漏谷」の特徴 漏谷(ろうこく)は、内くるぶしから指幅8本分ほど上に位置するツボです。 腰痛や肩の痛み、足底の痛みに用いられるケースが多くみられます。他にも、下肢の疲れやむくみの緩和にも効果が期待できます。指の腹で円を描くように、優しくマッサージしましょう。 ツボ押しの注意点 正しくツボ押しをするには、力加減やタイミングを守る必要があります。ツボ押しで注意すべきポイントを解説するので、ぜひチェックしてください。 強く押しすぎない ツボを刺激するときは、強く押しすぎないように注意してください。ツボ押しは、強く押せば効果が高まるわけではありません。強く押しすぎると、筋肉や組織を傷つけ、揉み返しを起こす可能性があります。 「痛気持ち良い」と感じるくらいの適度な力で押すと、症状改善につながります。また、長く押すほど効果が出るわけではないため、5〜10秒ほどの時間で刺激しましょう。 ツボ押しは、症状が出ている側と同じ側を刺激するのが基本です。右足に症状がある場合は、右側のツボにゆっくりと圧をかけると、無理なく効果を引き出せます。 避けるべきタイミングに注意する ツボ押しには、以下の避けるべきタイミングがあります。 怪我をしているとき 感染症にかかっているとき 妊娠中 食後 飲酒後 ツボを押す前から痛むとき 上記の状態では、怪我や体調が悪化する可能性があるため、注意してください。入浴後や就寝前などのリラックスしているときにツボ押しを実践しするのがおすすめです。 ツボを押す前から痛みを感じている場合は、炎症を起こしている可能性があります。無理にツボ押しするのではなく、整形外科を受診し相談しましょう。 モートン病の症状 モートン病の主な症状は、以下のとおりです。 足指の痛み しびれ 焼けるような感覚 とくに、中指と薬指の間に多くみられます。他にも、人差し指と中指の間や薬指と小指の間に発症するケースも少なくありません。 歩行時やつま先立ちをした際に、足指の付け根付近に鋭い痛みを感じます。痛み以外には、足の指がしびれたり、熱く感じたりするケースもあります。 人によっては「足の裏に小石があるような感覚」や「靴下の中でシワが寄っているような感覚」といった違和感を訴える場合があるのも事実です。症状の感じ方には個人差があるため、気になる症状がある人は、整形外科を受診しましょう。 些細な違和感でも、気になる症状がありましたらお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ モートン病の原因 モートン病の主な原因は、足指の付け根にある神経が圧迫されることです。 具体的な生活習慣は、以下のとおりです。 ハイヒールやつま先が狭い靴を履く機会が多い 長時間の立ち仕事をしている つま先立ちを繰り返す ランニングをやりすぎる モートン病は、ハイヒールを履く機会が多い中年以降の女性に多く発症するといわれています。また、足のアーチ構造が崩れやすい外反母趾(がいはんぼし)や扁平足(へんぺいそく)も足指への負担が大きくなりやすくモートン病のリスクが高まると考えられています。 モートン病でツボ押しにプラスすると効果的な治療 モートン病における症状緩和には、ツボ押しだけではなく、ストレッチと運動・適切な靴の選択・インソール・足底挿板の挿入を補助的に行うのが効果的です。 具体的に解説するので、参考にしてください。 ①ストレッチと運動 モートン病の症状を緩和させるには、ストレッチや運動が効果的です。 足指5本の付け根を結ぶ横アーチは、足裏の血管や神経を守る役割を持つものです。偏平足などでアーチが低下すると、モートン病を発症するリスクが高まります。 偏平足もモートン病も足裏の疲労や痛みが出るため、足裏やふくらはぎのストレッチが症状改善に良いと考えられています。モートン病で重要な横アーチを引き上げるには「タオルギャザーエクササイズ」が効果的です。 <タオルギャザーエクササイズの方法> バスタオルを床に敷き、両足を置く 足指の力でたぐり寄せる すべてたぐり寄せたら戻す タオルギャザーエクササイズは1〜3回を目安に行いましょう。椅子に座った状態でも、立った状態でも可能です。簡単に3回できる人は、タオルの端に1〜2kgの重りや1〜2Lの水が入ったペットボトルを置くと、より運動効果が高まります。 他にも、詳しいマッサージ方法については、こちらも記事をご参照ください。 ②適切な靴の選択 モートン病による痛みを緩和するには、足への負担が少ない靴を履くのが大切です。具体的には、以下のような靴がおすすめです。 中足骨(ちゅうそくこつ)パッドがある靴 クッション性が高い靴 靴底がロッカーソールになっている靴 中足骨パッドとは、靴の中敷きに取り付ける小さなクッションのことです。足裏の横アーチを支える機能を備えており、地面からの衝撃を緩和し神経を圧迫しにくくする効果が期待できます。 歩く際に地面からの衝撃を吸収できるクッション性が高い靴は、神経の圧迫を和らげます。 ロッカーソールとは、つま先部分が上向きに反っている形状をしている靴底を指します。一般的なインソールより歩く際に親指が屈曲しない構造のため、足への負担をかけずに歩けるでしょう。 ③インソール・足底挿板の挿入 モートン病の症状緩和には、靴の中に入れるインソールや足底挿板(そくていそうばん)を活用すると効果的です。インソールには、足裏のアーチを支え、足底にかかる圧力を分散させる効果が期待できます。 整形外科や取り扱いがある専門店でクッション性のあるインソールを購入するか、オーダーメイドで注文すると自分に合ったインソールが作れます。 足底挿板は靴の中敷と似た装具で、義肢装具士に依頼して自分の足に合わせて作成可能です。モートン病は前足部の横アーチ低下に伴って、神経の圧迫がおこるため、アーチをサポートする足底挿板が必要です。整形外科で足底挿板の必要性が認められると、保険で作成できます。 また、代わりとして市販のインソールを購入するのもおすすめです。市販で売られているインソールは手軽に購入できますが、オーダーメイドではない商品が多いため、整形外科医や理学療法士などにどの商品が良いか相談してみましょう。 モートン病の再発を予防するための生活習慣 モートン病は1度改善しても、再発する可能性があります。再発を予防するためにも、日常的な足のケアや定期的な受診などの生活習慣に気を付けましょう。 足のケア モートン病の再発を防ぐには、日常的な足のケアが欠かせません。入浴後など血行が良くなったタイミングで、ふくらはぎや足裏のマッサージを行いましょう。マッサージ方法は以下のとおりです。 <足のマッサージ方法> 足の裏全体を親指で優しく押す 土踏まずや足の付け根を重点的にマッサージする 足の指を広げ、指の付け根を円を描くようにマッサージする 足首を回したりアキレス腱を伸ばしたりするストレッチをする マッサージすると、筋肉の緊張が緩み、神経への圧迫が緩和されます。痛みを感じるようなら、無理せず優しく触れる程度の力で行ってください。 長時間立ち仕事や長時間歩行すると、モートン病の症状は悪化しやすくなります。足が痛かったり疲れていたりするときには、ストレッチやマッサージなどのケアを行いましょう。疲労によりアーチが低下しやすいため、足の疲労を回復させるのが大切です。 定期的な健診を受ける モートン病が良くなってからも、定期的に受診すると再発防止につながります。 保存療法や手術療法で症状が改善しても、モートン病が再発する人は一定数いるため、定期的な受診は大切です。痛みを放置していると悪化してしまうため、定期的に検査を受けましょう。 まとめ|モートン病の症状がツボ押しだけでは緩和しない場合は早めに医療機関へ モートン病は、足の指に痛みやしびれが生じる神経の病気です。 ツボ押しは、モートン病の症状緩和に有効な手段ですが、ツボ押しだけで完治するわけではありません。 とくに、症状が進行している人や、ツボ押しで改善がみられない人は、早めに医療機関を受診しましょう。 モートン病は、保存療法や手術療法など適切な治療により改善する場合が多いですが、再発する人がいるのも事実です。 再発予防のためには、治療後も足のケアを行い、定期的に健診を受けましょう。 なお、当院「リペアセルクリニック」では、モートン病の治療法として再生医療を提供しています。 再生医療には主に「幹細胞治療」と「PRP療法」があります。 手術と比べて体に傷跡が残らず、リハビリの必要もありません。また、体への負担も少なく治療後の早期社会復帰にも期待ができる治療法です。 \まずは当院にお問い合わせください/
2024.10.23 -
- 足部、その他疾患
- 下肢(足の障害)
モートン病は足指の付け根が立位や歩行などで負荷がかかり痛みが生じる疾患です。 足の痛みは日常生活に大きく影響するため、できるだけ症状を減らしたいと困っている方も多いでしょう。 この記事では、モートン病の原因や初期症状、治療法などを詳しく解説しています。セルフチェックも用意していますので、足の状態を把握したい方はご活用ください。 モートン病とは? モートン病は、足指の間のしびれ、痛み、灼熱感などの神経症状が出現する疾患です。症状が出現するのは主に中指と薬指の間が多いですが、人差し指と中指、薬指と小指の間に発症する場合もあります。 モートン病の原因と初期症状について、詳しく見ていきましょう。 モートン病の原因は主に「つま先立ちのような姿勢」 モートン病の原因は、つま先立ちの姿勢を長時間続けることです。つま先立ちの姿勢は、足指につながる神経を圧迫するため神経障害を発症します。 以下はつま先立ちの姿勢を引き起こす要因です。 ヒールの高い靴の着用 外反母趾や扁平足などの足の形態異常 ダンスやバレエなど足を酷使するスポーツ ジョギングやランニングなど前足に繰り返し力がかかる運動 モートン病は中年以降の40代〜60代の女性に多く発症すると言われています。しかし、年代問わずつま先に負担がかかる姿勢が続くと、発症する可能性があります。 モートン病の初期症状は「つま先のしびれ、痛み」など 以下は、モートン病の初期症状です。 靴を脱ぐと痛みやしびれが軽減する 足指の付け根に違和感や軽い痛みが生じる 足の指で握ったり、足の指を広げたりすると痛む 最初は、足指の感覚に対する違和感や軽い痛みからはじまります。初期段階は症状が一時的で、時間が経つと症状がおさまるケースも少なくありません。 悪化してくると、強い痛みやしびれなどが長時間続いたり、突然激痛が走ったりする症状が見られます。 モートン病のセルフチェック方法 以下はモートン病のセルフチェックポイントです。当てはまるものがないか確認してみてください。 足の指の付け根に痛みやしびれを感じる 足の付け根をつまむ、押す、叩くと痛む 歩行時や長時間の立ち仕事で足裏に痛みが走る 足の指を曲げたり広げたりすると痛みが強まる 靴を履いていると痛みが強まり、脱ぐと和らぐ ヒールや先の細い靴を履くと、痛みやしびれが悪化する モートン病を正確に診断するには整形外科の受診が必要です。当てはまる項目があれば、近くの整形外科での診察を検討してみましょう。 モートン病の治療 モートン病は放置すると症状が悪化し、歩行が困難になる場合もあります。 症状の進行を防ぐための治療法としては、主に以下5つがあります。 保存療法(マッサージ・ツボ押し・運動) 薬物療法 手術療法 再生医療 順番に解説します。 保存療法(マッサージ・ツボ押し・運動) モートン病の治療では、マッサージやツボ押しなどの保存治療が行われます。 ツボ押し(指圧療法)は、足の血流を改善し、痛みをやわらげる方法です。とくに、以下4つのツボが症状の緩和に役立つと考えられています。 承山(しょうざん):ふくらはぎの裏面 下承山(げしょうざん):ふくらはぎの裏側 築賓(ちくひん):ふくらはぎの内側 漏谷(ろうこく):すねの内側 ただし、ツボ押しの効果には個人差があり、医学的に確立された治療法ではありません。 筋力を鍛える運動もモートン病の症状緩和につながります。 横アーチ(足の横方向のカーブ)を支えるために、足の裏の筋肉を強化しましょう。 たとえば、タオルギャザーは簡単にできる運動です。床にタオルを敷き、指を使って手前に引き寄せると、足の裏の筋肉が鍛えられます。 意識的に指を広げたり、指を上げたりする運動もモートン病に効果があります。 【関連記事】 モートン病のマッサージ方法とは?痛みに効果的なセルフケアを解説【医師監修】 モートン病に対するツボの効果とは?代替治療を取り入れて症状を改善しましょう 靴の変更・足底挿板の作成 靴の変更・足底挿板の作成も保存療法の1つです。 足に合った靴やインソール(靴の中敷き)を選ぶと、歩くときの痛みを軽減できます。 靴を選ぶ際は、足に優しいデザインを意識しましょう。以下は、モートン病で負担のかかりにくい靴の特徴です。 靴底が柔らかい かかとが低い つま先が広め 自分に合った靴を選べば、歩くときの負担が軽減します。 足底挿板(そくていそうばん)は、足を正しい位置に保つための特別な中敷きです。専門の技術者に依頼して、足の形や状態に合わせて作ってもらいます。 モートン病は、足のアーチ(土踏まずのようなカーブ)が低下することで神経が圧迫され、痛みやしびれを引き起こします。そのため、アーチを支える足底挿板を使うと、負担が減り、症状が楽になりやすいです。 市販のインソールも使えますが、形や厚みがさまざまなので、専門家に相談して選ぶのがおすすめです。足に合っていないものを使うと、逆に痛みが増すリスクがあります。 薬物療法 モートン病の薬物療法では、消炎鎮痛剤によって痛みや炎症を抑えます。 これは、モートン病を治すというより痛みに対処するための治療方法です。 痛みが軽減しない場合は、ステロイド注射や局所神経ブロック注射を行う場合もあります。 手術療法 手術は、運動療法や薬の治療を試しても症状が良くならない場合に選ばれます。 モートン病で代表的なのは、痛みが出ている部位周囲の組織を取り除く手術です。 神経ごと取り除くため、そこから先の感覚はなくなってしまいます。、違和感が残る場合もありますが、術後1週間から2週間で以前と同じように歩けるようになります。 再生医療 モートン病の治療法には「再生医療」の選択肢もあります。 再生医療には、幹細胞治療とPRP(多血小板血漿)療法などがあります。 幹細胞治療では、自身の幹細胞を培養して患部に注射し、損傷している組織の修復と再生を促す治療法です。 PRP療法では、自分の血液を採取して血小板を濃縮し、修復を助ける成分を含んだ液体を患部に注射します。血小板は体の傷を治す働きを持つため、損傷した組織の修復や痛みの軽減が期待できます。 どちらも注射のみの治療なので、手術のように傷跡が残る心配や術後のリハビリの必要がありません。体への負担が少ないため、再生医療は早い回復が期待できる治療法です。 \まずは当院にお問い合わせください/ モートン病でやってはいけないこと モートン病では、症状を悪化させないためにやってはいけないことがあります。 長時間同じ姿勢を取らない ハイヒールや幅の狭い靴は避ける 以下で具体的な内容を解説します。 長時間同じ姿勢を取らない 長時間立ったり歩いたりすると、足に負荷がかかり続けるため、症状が悪化する原因になります。 仕事上、そうせざるを得ないことも多いかもしれませんが、少しでも姿勢を変えて足を休められると良いです。 また、自宅で家事をしているといつの間にか立っている時間が長くなるでしょう。そのため、休憩時間を少しずつ挟んで足を休めるのが大切です。 ハイヒールや幅の狭い靴は避ける モートン病は前足部への負荷が原因となりやすいため、ハイヒールや幅の狭い靴は避けましょう。 とくにハイヒールは、常に足趾の付け根が圧迫されている状態であり、モートン病や外反母趾など足の疾患につながります。 まとめ|モートン病の理解を深めて適切な治療を進めよう モートン病は、放置すると痛みが強くなり、歩行が困難になる場合もあります。症状が悪化すると手術が必要になるケースもあるため、早めの対処が大切です。 本記事で紹介したセルフチェックを活用し、万が一、モートン病が疑われれば、整形外科の受診を検討しましょう。 「できるだけ身体に負担の少ない治療を進めたい…」という方に、選択肢の1つとして考えてほしいのが「再生医療」という新しい治療法です。 再生医療は、傷ついた組織の修復と再生を促し、治療期間の短縮が期待できます。 モートン病に関するよくある質問 モートン病は再発のリスクがありますか? モートン病は保存療法や手術療法で治療しても再発する可能性があります。そのため、足へ負担がかかりにくい生活習慣やインソールや靴などをフィットしたものに変更するなど、足へのケアが大切です。 また、定期的に病院を受診すれば、再発したとしても早期発見・早期治療ができるため、症状が改善しやすくなるでしょう。 モートン病は何科を受診すればいいですか? モートン病が疑われる場合は、整形外科を受診しましょう。整形外科では、歩行時の痛みやしびれの原因を詳しく調べ、適切な治療方法を提案します。 参考文献 長田瑞穂ほか「モートン病の足部タイプと足底挿板療法について」『骨・関節系理学療法』 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2005/0/2005_0_C0442/_article/-char/ja/(最終アクセス:2025年2月25日) 梅﨑泰侑ほか「足部形態の違いからとらえた足部内在筋群エクササイズの筋活動に対する即時効果」『理学療法科学』38(6)pp444-450 https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/38/6/38_444/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年2月25日) 厚生労働省「市販の解熱鎮痛薬の選び方」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00404.html(最終アクセス:2025年2月25日) 三森 経世「関節リウマチ,抗炎症薬とステロイド薬,内科医が診るべき骨・関節疾患:治療の新展開」『日本内科学会雑誌』第97巻 第10号pp17-22 平成20年10月10日 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/97/10/97_2393/_pdf(最終アクセス:2025年2月25日)
2024.10.21 -
- 足部、その他疾患
- 下肢(足の障害)
モートン病によるつらい痛みで悩んでいませんか。モートン病は自宅でのマッサージにて症状の緩和が期待できます。 モートン病による足の指や足裏の痛みは、自宅でマッサージを行うことで症状の緩和が期待できます。症状を放置すると歩行が難しくなる場合もあるため、早めのケアや専門機関の受診をおすすめします。 この記事では、モートン病に効果的なマッサージやセルフケアについて解説します。 今回紹介しているマッサージを実践して、足の痛みから解放されましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療を実施しております。メールやオンラインでの無料カウンセリングも承りますので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 モートン病のマッサージ方法3選 モートン病の症状軽減に効果的なマッサージを3つご紹介します。 青竹踏みマッサージ 足指のマッサージ 足首のマッサージ いずれも自宅の隙間時間でできるマッサージ方法です。モートン病の症状でお悩みの方は、上記のマッサージ方法を実践してみてください。 青竹踏みマッサージ 青竹踏みは、縦に半分に割った竹を踏むことで足裏をマッサージする方法です。本物の竹を用意するのが難しい場合、100円ショップにてプラスチック製の青竹の購入が可能です。 実際には、下記の3ステップで行います。 1.裸足になって青竹の上に乗る 2.青竹の上で足踏みをする 3.1.~2.を数分繰り返す 青竹踏みマッサージには、以下のような効果が期待できます。ぜひ青竹踏みマッサージを実践してみてください。 血の巡りを良くする 浮腫みを軽減する 冷え性を軽減する ストレスを解消する モートン病の症状にも効果的なマッサージです。足裏を刺激するため、痛みが強い場合は無理のない範囲で行いましょう。 足指のマッサージ モートン病に効果的な足指のマッサージは、以下の2つです。椅子または床に座りながら行ってみてください。 期待できる効果 方法 指圧マッサージ 足指をほぐす 1.痛みが出ているカ所の足裏と足の甲を手の指で挟める 2.心地良い圧で押す 3.上記を30~50回繰り返す 横アーチのマッサージ つま先立ちで重心がかかっている部分の負担を軽減する 1.足指をぎゅっと強く握る 2.足裏のしわが寄っている部分に両手の親指を当てる 3.親指に強めに圧をかけ、外側に滑らせる 4.上記を数回繰り返す モートン病の症状がつらく、足の指がうまく曲がらない方もいるかもしれません。その場合は、手で足の指を押すようにサポートして曲げると、少し楽に曲げられるでしょう。 また、痛みや熱感がつらい場合は無理して行わないようにしてください。 足首のマッサージ 足首のマッサージも、モートン病の症状緩和におすすめです。以下の5ステップで実践してみてください。 1・立った状態で、手で床を押す 2.右足を後ろに下げ、踵を床につける 3.左足に重心を乗せ、膝を曲げる 4.3.の状態で数秒キープ 5.左右の足を交代し、2.~4.を同様に行う つま先を外に向けると、モートン病が悪化する可能性があります。つま先はまっすぐ前に向けるように意識して行ってみてください。 足首を動かせる範囲が狭いと、モートン病で痛みが出ている部分に負担がかかりやすくなります。そのため、足首のマッサージにて足首の可動域を広げると、足の前側の負担が和らいで痛みの改善が期待できるでしょう。 モートン病の痛みに効果的なマッサージ以外の方法3選 モートン病の症状の緩和に効果的なセルフケアは、以下の3つです。 湿布の貼付 靴の変更 ツボ押し モートン病の症状で悩まれている方は、前述で紹介したマッサージとあわせて実践してみてください。 湿布の貼付 モートン病による痛みがつらい場合は、消炎鎮痛効果のある湿布剤またはテープ剤の使用がおすすめです。痛む場所や足裏の上にあるアーチ部分に直接貼付しましょう。 また、貼り薬のタイプには以下の2種類が存在します。 貼り薬の種類 特徴 メリット 湿布(パップ剤) 外側が布になっているジェル状の張り薬 貼る部分がジェル状になっており、皮膚への負担が少ない テープ剤 ガムテープのようにペラペラな貼り薬 粘着力が強く、関節のような動かす部分にも密着する 靴や靴下を履いて仕事をする方には、テープ剤がおすすめです。その反面、かぶれやすいデメリットも存在するため、気になる方は湿布(パップ剤)を使用しましょう。 消炎鎮痛効果のある貼り薬は、多くの薬局やドラッグストアで販売されています。痛みや炎症がつらい場合は、貼り薬の使用も試してみてください。 靴の変更 モートン病の改善には、いつも使用している靴の見直しも大切です。ソールが柔らかい靴やヒールが低い靴に変えてみましょう。 つま先が狭い靴や高いヒールの靴は前足部が圧迫され、モートン病の症状が悪化しやすくなります。そのため、踵が低くつま先の幅がゆったりしている靴に変えると症状の軽減が期待できます。 また、以下の方法も足に負担をかけないためおすすめです。 スニーカーのような靴の幅を足やベルトで調整できる靴にする クッション性のあるインソールを靴に入れる 市販で売られている靴のインソールは薄いものが多く、衝撃から足を十分に保護できない可能性があります。市販のインソールでも痛みが続く場合はオーダーメイドで注文するのも一つの手です。 ツボ押し ツボ押しは、モートン病の根本的な改善にはつながりません。しかし、痛みを緩和する可能性がはあります。 とくに以下の3つは、モートン病に効果的なツボであるといわれています。 承山(しょうざん) 位置:つま先立ちをしたときに、くぼみができる位置 期待できる効果:足の痛みやしびれ 築賓(ちくひん) 位置:ふくらはぎのふくらみの内側で、内くるぶしから指7本くらい上の位置 期待できる効果:下半身の血行促進 漏谷(ろうこく) 位置:内くるぶしの上部から指8本くらい上のむこうずねの後ろ側にあるへこみ 期待できる効果:足底の痛み モートン病に対するツボの効果を詳しく知りたい方は、下記のコラムを参考にしてください。 つま先立ちが続くとモートン病になりやすい つま先立ちが続くと、足底の前の部分に負担がかかりモートン病になりやすい傾向があります。 つま先立ちにより足指の付け根が圧迫されると、そこに通っている神経も傷ついてしまいます。その結果、モートン病が発症する可能性があるのです。 モートン病になりやすい一因として、下記のような行動があります。 踵の高いハイヒールやパンプスを履く 長時間にわたり中腰の作業を行う バレエのようなつま先立ちが続くスポーツをする 思い当たる方は、上記の行動を避けるようにしてみてください。 モートン病の初期症状は「足指間の痛みやしびれ」 モートン病は、しびれや痛み・灼熱感などの神経症状が足の指の間にあらわれる病気です。 つま先立ちのような姿勢を長時間続けることで、足指につながる神経の圧迫が要因として考えられています。 モートン病は、足の中指や薬指の間に症状があらわれる場合が数多く見られます。ただし、人差し指と中指、薬指と小指の間などに発症することも少なくありません。 モートン病になりやすい人は、ハイヒールをよく履く女性や、長時間にわたる立ち仕事をしている方です。日頃の靴や仕事環境を見直すことで改善につながる可能性が期待できるでしょう。 モートン病を放置すると痛みが足全体に行きわたる モートン病を放置して悪化すると、痛みやしびれが足全体にいきわたり、最悪歩行困難に陥る場合もあります。また、立っているときだけではなく、静止状態のときにも痛みやしびれを強く感じることもあるでしょう。 モートン病を発症した初期は歩行が難しくなるほどではなく、少し違和感がある程度の場合が多くみられます。そのため、ひどくなるまで放置されてしまうことも少なくありません。 症状によっては、痛みがある部分を切開する手術をする可能性もあります。場合によっては神経を取り除いて痛みの緩和を試みます。その結果、取り除いた神経がある指先の感覚がなくなり、日常生活に支障が出るリスクもあるでしょう。 そのため、モートン病の症状が見られた際は、重症化する前に早めの対処が大切です。 マッサージをしても改善しない場合は受診の検討を マッサージやセルフケアをしても症状が改善されない、または何度も繰り返される場合は、受診をおすすめします。 我慢できないほど症状が強くなっている場合は、セルフケアのみでは症状が緩和されにくいほど悪化している可能性があります。また、モートン病以外の病気の疑いも考えられるでしょう。そのため、専門家による診断や治療が適切です。 病院では、以下のようなモートン病の検査が行われます。 マルダーテスト:足指の間の付け根付近で足を横から挟むように圧迫し、痛みがある確認する MRI検査:骨以外にも神経や靭帯の様子まで画像検査できるため、モートン病による障害部分を確認できる モートン病の治療法では以下の記事でも詳しく解説しています。気になる方は、下記のコラムも参考にしてください。 まとめ|モートン病の症状を緩和させて足の痛みから解放されましょう モートン病の症状は、マッサージやセルフケアで早期の緩和が期待できます。しかし、放置すると歩行困難になり手術するリスクも否定できません。 マッサージやセルフケアで改善が見られない場合は、放置せず早めに受診するようにしましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療を実施しております。メールやオンラインでの無料カウンセリングも承りますので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ モートン病についてよくある質問 モートン病のときにやってはいけないことはありますか? モートン病が疑われるときは、長時間の立ちっぱなしや歩行は避けるようにしましょう。足に負担がかかり続けてしまい、痛みがあらわれる要因になります。 とくに、モートン病のときには、足にかかる衝撃を分散させる能力が低下しているため、足裏に負担がかかりやすい状態です。 仕事でやむを得ず長時間立たなければならない場合もあるかもしれません。その際は、ヒールの低い靴へ変えたり、靴の中にインソールを入れたりすると足への負担を減らせるでしょう。 モートン病になったら何科を受診したら良いですか? 整形外科への受診をお勧めします。整形外科では主に足のような運動器官の病気やけがを専門領域としています。そのため、モートン病も整形外科の専門領域のため、適切な処置をしてくれるでしょう。 病院では、モートン病に対して以下のような治療を行います。 足底挿板の作成 運動療法 薬物療法(痛みが強いときはブロック注射をする場合もあり) モートン病の治療について詳しく知りたい方は、下記のコラムも参考にしてください。
2024.10.14 -
- 上肢(腕の障害)
- 下肢(足の障害)
- スポーツ外傷
「足の甲が痛くて、ランニングができない」「足の甲の疲労骨折と診断されたけど、どうすればいいの?」 多くのランナーが足の甲の疲労骨折(中足骨疲労骨折)に悩まされており、ランニングを続ける上での大きな障壁となっています。足の甲の疲労骨折に気づかずランニングを続けてしまうと、症状が進行してしまい、練習や大会への参加が難しくなってしまうおそれがあります。もし足の甲の疲労骨折が疑われる症状がみられた場合は、早期の治療と再発防止が重要です。 本記事では、足の甲(中足骨)の疲労骨折の原因や治療法、ランニング時の注意点について解説します。正しい理解とケアにより、ランニングを安全に続けるためのヒントになれば幸いです。 足の甲を疲労骨折してしまい、どういった処置が必要かわからない方は、当院リペアセルクリニックのメール相談やオンラインカウンセリングもご活用ください。 疲労骨折の症状と治療期間については、以下の記事でもご覧ください。 足の甲の疲労骨折とは「足の甲の骨に微小な亀裂が生じている状態」 まずはじめに、疲労骨折とは、繰り返しのストレスによって骨に微小な亀裂が生じている状態のことです。一度の強い衝撃ではなく、長期的な負荷の蓄積が原因で起こることが多いケガです。 そして、足の甲に起こる疲労骨折は、「中足骨」という足の甲にある5本の長い骨にヒビが入っている状態です(中足骨疲労骨折)。中足骨は足の土踏まずを形成し、体重を支えるという重要な役割を担っています。ランニングでは、体重が中足骨に繰り返しかかるため、疲労骨折が起こりやすくなります。 とくに、以下のような要因が重なると、リスクが高まります。 急激なトレーニング量の増加 不適切なランニングフォーム 硬い地面でのランニング 足に合わない靴の使用 骨密度の低下 これらの原因について理解を深め、適切な予防策を講じることが大切です。 足の甲の疲労骨折には「早期発見・初期対応」が重要 足の甲の疲労骨折は、症状を理解し、見逃さないようにすることが大切です。 疲労骨折は、徐々に症状が現れることが多いため、初期段階での適切な対応が重要です。 足の甲の疲労骨折の見分け方【セルフチェック】 症状 説明 足の甲の痛み とくに第2、第3中足骨に多く見られます。この部位は体重の大部分を支えるため、疲労骨折のリスクが高くなります。 歩行時や運動時の痛み 活動により痛みが増悪するのが特徴です。ランニングや長時間の歩行で痛みを感じる場合は要注意です。 安静時の痛みの持続 疲労骨折の場合、安静にしていても痛みが続くことがあります。夜間の痛みで睡眠が妨げられる場合もあります。 腫れや圧痛 患部が腫れ、触ると痛みを感じます。腫れによって靴が窮屈に感じられる場合もあります。 皮膚の発赤や熱感 炎症によって、患部の皮膚が赤くなったり、熱を持ったりするケースがあります。 これらの症状が継続する場合は、早めに医師の診察を受けることが重要です。 セルフチェックのポイントとしては、痛みや腫れがあるか、押して痛みがあるかを確認しましょう。放置すると、症状が悪化し、回復に時間がかかってしまう可能性があります。 整形外科医に相談し、必要な検査を受けることをおすすめします。整形外科では、レントゲンやMRIなどの画像検査を行い疲労骨折の有無を診断します。 足の甲の疲労骨折の応急処置は「アイシング・安静」 足の甲の疲労骨折が疑われる場合、以下の初期対応を行いましょう。 対応 方法 安静 無理な運動は控え、患部を休ませることが大切です。継続的な負荷は症状を悪化させる原因となります。医師の指示に従って、適切な期間の安静を取りましょう。 冷却 アイスパックを用いて患部を冷やすことで、炎症と痛みを和らげることができます。1日数回、15分から20分程度行います。アイシングは、とくに初期の痛みのコントロールに効果的です。 圧迫 弾性包帯などを使って患部を適度に圧迫すると、腫れを抑える効果が期待できます。ただし、強く締めすぎないよう注意が必要です。圧迫は、炎症による腫れを軽減し、安静を補助します。 挙上 患部を心臓よりも高い位置に上げることで、重力により腫れを軽減する効果が期待できます。座ったり横になったりする際に、クッションなどを使って足を高くすると良いでしょう。挙上は、とくに安静時の腫れの管理に役立ちます。 医師の指示にしたがって、適切な期間、前述した初期対応を行うことが、回復に向けての大切なステップです。 症状が改善されない場合は、追加の治療が必要になる場合もあります。自己判断せずに、医師とよく相談しながら治療を進めていきましょう。 足の甲の疲労骨折における2つの治療法 足の甲の疲労骨折の治療は、症状の重さによって異なります。主な治療法は以下の2つです。 保存的治療法(安静・固定) 運動療法とリハビリテーション 軽度の場合は上記の治療で改善する場合がほとんどですが、重度の場合は手術が必要になることもあります。整形外科医から、症状に合わせた適切な治療法を紹介してもらうことが大切です。 本章を参考に、足の甲の疲労骨折における治療の選択肢を理解しておきましょう。 保存的治療法(安静・固定) 多くの場合、中足骨疲労骨折は安静と固定によって治癒します。ギプスやブーツを使って足を固定し、骨の回復を促します。 固定期間は症状によって異なりますが、一般的には以下の通りです。 軽度の場合:4~8週間 中等度の場合:8~12週間 重度の場合:12週間以上 固定期間中は患部に負荷をかけないように注意しましょう。松葉杖などを使って歩行し、足に体重がかからないような心がけが大切です。医師の指示に従い、定期的な診察を受けて、回復の進捗を確認しましょう。 運動療法とリハビリテーション ギプスやブーツを外した後は、徐々に日常生活や運動に復帰していきます。ただし、いきなり骨折前と同じレベルの活動を再開するのは避けましょう。 たとえば、ランニングをしている方の場合、いきなり以前と同じ距離や強度で走りはじめるのは危険です。医師と相談しながら短い距離からはじめ、徐々に走行距離を伸ばすようにしてください。 徐々に運動量を増やしていくことには、多くのメリットがあります。たとえば、足の筋力と柔軟性が改善されて、日常生活動作がスムーズに行えるようになります。 スポーツに復帰する際も、最初は短時間の練習からはじめ、体の状態を見ながら徐々に練習時間を増やしていくことが望ましいです。 このように、活動レベルを段階的に上げていくことで、再骨折のリスクを減らせるでしょう。 また、足を長期間固定していると、筋力が低下してしまうため、リハビリテーションで、足の筋力維持と柔軟性の向上を図ります。 運動療法とリハビリテーションにより、足の甲の疲労骨折の回復が促進され、患者さんの生活の質も向上するでしょう。 足の甲の疲労骨折の予防策3選 足の甲の疲労骨折を予防・再発防止策として、以下3つの方法が挙げられます。 ランニングフォームとフットウェアの調整 強化運動と柔軟性の向上 生活習慣の見直し 足の甲の疲労骨折を未然に防ぎ、ランニングやスポーツを快適に楽しみましょう。 ランニングフォームとフットウェアの調整 足の甲の疲労骨折の予防・再発防止には、ランニングフォームやフットウェアの調整が大切です。 具体的なポイントは以下のとおりです。 調整ポイント 補足 ランニングフォーム 前足部や中足部への着地を避ける つま先や足の中央部分から着地すると、足の甲の骨(中足骨)へのストレスが増大する。 かかとから着地し、足全体で衝撃を吸収するよう意識する。 過度なプロネーションを抑える プロネーション(足の内側への倒れ込み)が強すぎると、中足骨へのストレスが増大する。 足首を安定させるためのトレーニングを取り入れる。 足首の倒れ込みを防ぐようなインソールを使用する。 フットウェア クッション性と安定性のあるシューズを選ぶ 衝撃の吸収性に優れ、足首の動きを適度にサポートするシューズを選ぶ。 着地時の衝撃を分散し、足の動きを安定させる。 オーダーメイドのインソールを検討する 足の形状や動きに合わせてカスタマイズされたインソールの使用で、足の甲への負荷を軽減する。 ランニングフォームの改善には、ランニングコーチやスポーツ医学の専門家のアドバイスを求めることをおすすめします。また、足の状態に合わせたシューズ選びについては、ランニングショップの専門スタッフに相談するのも良いでしょう。 強化運動と柔軟性の向上 さらに、疲労骨折の再発を防ぐには、地面に足が着くときの衝撃を和らげるための全身的なバランス強化と偏りの調整を図ることがポイントになります。 体幹トレーニングをベースとして、足や下肢の筋力を維持・向上させることが重要です。 以下のような運動を定期的に行うことをおすすめします。 運動 効果 つま先立ち 下腿三頭筋(ふくらはぎ)の強化 タオルギャザー 足指の筋力強化 ワンレッグスクワット 大腿四頭筋、ハムストリングス、臀筋群の強化 アキレス腱のストレッチ 下腿三頭筋の柔軟性向上 バランス運動 足首の安定性と固有感覚の改善 これらの運動を週に2~3回、15~20分程度行うことを目安にしましょう。筋力強化と柔軟性の向上は、怪我のリスクを減らし、パフォーマンスの向上にもつながりやすいです。 自分に合ったペースで、無理なく継続的にトレーニングを行うことが大切です。必要に応じて、理学療法士やトレーナーに相談し、適切な運動プログラムを作成してもらうことをおすすめします。 生活習慣の見直し 日々の生活習慣も、足の健康に大きな影響を与えます。以下の点に注意して、足への負担を減らすことが大切です。日々の生活習慣も、足の健康に大きな影響を与えます。以下の点に注意して、足への負担を減らすことが大切です。 習慣 説明 適切な体重の維持 体重増加は足への負担を増大させ、疲労骨折のリスクを高めます。適切な体重管理が重要です。 バランスの取れた食事 骨の健康に必要なカルシウムやビタミンDを十分に摂取しましょう。乳製品、魚、野菜などを積極的に取り入れましょう。 十分な睡眠 睡眠不足は疲労を蓄積させ、怪我のリスクを高めます。1日7~8時間の睡眠を確保しましょう。 禁煙 喫煙は血流を悪化させ、骨密度の低下を招きます。禁煙は足の健康維持に欠かせません。 適度な休養 オーバートレーニングは疲労骨折のリスクを高めるため、適度な休養を取ることが大切です。疲労が蓄積しないように注意しましょう。 体重増加は足への負担を増大させ、疲労骨折のリスクを高めます。適切な体重管理が重要です。 適切な体重管理のためには、バランスの取れた食事と適度な運動が欠かせません。急激な減量や極端な食事制限は避け、自分に合ったペースで体重コントロールを行うことが重要です。また、定期的に体重や体脂肪率をチェックし、自身の体の変化を把握しておくことをおすすめします。 これらの生活習慣を見直し、改善することで、足の健康を長期的に維持しやすくなります。足の甲の疲労骨折は、ランナーにとって深刻な問題ですが、適切な治療と予防策を講じることで乗り越えられます。専門家のアドバイスを参考に、自分に合ったケア方法を見つけ、実践していくことが大切です。そうすることで、足の健康を維持し、ランニングをより長く、より快適に続けていくことができるでしょう。 まとめ|足の疲労骨折を理解し安全にランニングを続けよう 足の甲の疲労骨折は、足の甲にある中足骨にひびが入っている状況です。放置すると、手術が必要なほど症状が重くなってしまう可能性もあります。そのため、早期に足の疲労骨折に気づき、対処することが大切です。 また、足の甲の疲労骨折を繰り返さないためにフォームや生活習慣の見直しも併せて行いましょう。 足の甲の疲労骨折にお悩みの方、また疲労骨折ではないかと不安に思っている方は、当院でもメール相談やオンラインカウンセリングを行っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。 ほかの部位の疲労骨折について知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 参考文献一覧 文献1 MSDマニュアル家庭版,中足骨の骨折,2022−09 文献2 MSDマニュアル家庭版,足の疲労骨折,2021−12 文献3 兵庫医科大学病院,もっとよく知る!病気ガイド,Jones(ジョーンズ)骨折(第5中足骨疲労骨折) 文献4 順天堂大学医学部附属順天堂医院整形外科・スポーツ診療科,Jones骨折・第5中足骨疲労骨折 文献5 横浜市スポーツ医科学センター,リハビリ室コラム,第2~4中足骨疲労骨折のリハビリテーション 文献6 一般社団法人日本骨折治療学会,骨折の解説,第5中足骨骨折・いわゆる下駄履き骨折と疲労骨折 文献7 一般社団法人日本骨折治療学会,骨折の解説,疲労骨折, 文献8 日本臨床整形外科学会,中足骨の疲労骨折 文献9 前園恵慈,日本臨床スポーツ医学会誌,陸上競技選手の低リスク骨盤・ 下肢疲労骨折の現状と競技復帰時期の検討,第27巻第3号 文献10 日本臨床スポーツ医学会誌,骨・関節のランニング障害に対しての提言,Vol. 13 Suppl. 2005.p243-248 文献11 日本スポーツ整形外科学会,スポーツ外傷の応急処置
2024.10.07 -
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適切な治療とトレーニング調整で、ランニングを続けよう 「マラソン準備中にひざに激痛が走り、疲労骨折と診断された」「早く回復して、トレーニングに戻りたい」 このような悩みを抱えるランナーは少なくありません。ひざの疲労骨折は、ランニングを続ける上で大きな障害となります。適切な治療と予防策を理解することが、健康的なランニングライフを送るために不可欠です。 この記事では、ひざの疲労骨折の原因や症状、回復のためのリハビリテーション、そして再発防止のためのトレーニング調整について詳しく解説します。正しい知識とケアを通して、疲労骨折を乗り越え、ランニングを楽しみ続けるための参考になれば幸いです。 ひざの疲労骨折とは? 疲労骨折は、繰り返しのストレスがかかることによって、骨に微小な亀裂が生じる状態を指します。ランナーにとって、ひざは特に負担がかかる部位であり、疲労骨折のリスクが高くなりやすいです。 疲労骨折の原因と一般的な症状 疲労骨折は、ひざに繰り返し負荷がかかることで徐々に発生する骨の損傷です。主な原因は以下の通りです。 急激なトレーニング量の増加 不適切なランニングフォーム 硬い路面でのランニング 足に合わない靴の使用 骨密度の低下 これらの原因が重なると、ひざの骨に過度のストレスがかかり、疲労骨折のリスクが高まります。 疲労骨折の一般的な症状は次の通りです。 部位 説明 症状 すねの骨の上端前面にある出っ張り ジャンプの着地の際に、太ももの前の筋肉が繰り返し引っ張られることで疲労骨折が起こりやすい 出っ張りの周辺に痛みや押すと痛む症状が現れる すねの骨の上端内側 ランニングの際に繰り返しストレスがかかる 膝の内側に痛みや押すと痛む症状が現れる 太ももの骨の下端外側の出っ張り ジャンプやランニングの際に繰り返し負荷がかかる 膝の外側に痛みや押すと痛む症状が現れる ひざの皿(膝の前面の骨) ジャンプ動作の多いスポーツで繰り返し負荷がかかる 膝の前面に痛みや押すと痛む症状が現れる これらの原因が重なると、ひざの骨に過度の負担がかかって、疲労骨折が起こる場合があります。痛みが徐々に強くなって、放っておくと日常生活にも支障が出る可能性があります。 疲労骨折は、ランニングだけでなく、他のスポーツや活動でも起こり得ます。 また、テニス、バスケットボール、サッカーなど、急停止や方向転換が多いスポーツでは、ひざへの負担が大きくなるため、疲労骨折のリスクが高まります。 さらに、肥満や喫煙、ステロイド薬の長期使用なども、骨密度を低下させる要因です。 疲労骨折の発生率は、年齢や性別によっても異なります。 ランナーにおけるリスク要因 ランナーは、こんな要因でひざの疲労骨折のリスクが高くなりやすいです。 オーバートレーニング 急激な走行距離の増加 不適切なランニングフォーム 筋力や柔軟性のアンバランス 週に走る距離を急に増やしたり、坂道や階段などの負荷の高いトレーニングを行ったりすると、ひざへの負担が大きくなります。また、大腿四頭筋や下腿三頭筋などの筋力不足や柔軟性の低下も、疲労骨折のリスクを高める要因になるでしょう。 また、ランニングシューズの選択は、疲労骨折の予防において重要です。 クッション性が不足していたり、安定性が低かったりするシューズは、ひざへの負担を増大させやすいです。 また、古くなったシューズを使い続けることも、疲労骨折のリスクを高めます。ランニングシューズは、300~500kmを目安に交換しましょう。 ランニングフォームは、疲労骨折と密接に関係しています。着地の際に、ひざを深く曲げすぎると、ひざへの衝撃が大きくなります。逆に、ひざを伸ばしたままだと、衝撃を吸収できません。理想的な着地は、ひざを約150〜160度の角度でやや曲げた状態で、足裏の中央から外側で行うことです。この角度を保つことで、衝撃を適度に吸収し、膝への負担を軽減することができます。ただし、この角度はあくまでも目安であり、個人差や走行速度、路面の状態などによって変化するため、自分に合ったフォームを見つけることが大切です。 また、ストライドが大きすぎると、ひざへの負担が増えるため、小刻みなステップを心がけましょう。姿勢も重要で、上体を前傾させすぎると、ひざに余計な力がかかってしまいかねません。 診断と初期治療 疲労骨折の早期発見と適切な初期治療は、回復への第一歩です。症状を我慢せず、迅速な行動を取りましょう。 診断プロセスの詳細 ひざの疲労骨折の診断は、以下のような手順で行われる場合がほとんどです。 診断手順 内容 問診 症状の詳細や発症時期、トレーニング状況などを聞く 身体診察 ひざの圧痛や腫れ、可動域制限などをチェック 画像検査 レントゲンやMRI、骨シンチグラフィなどで骨の状態を調べる 医師は、これらの検査結果を総合的に判断して、疲労骨折の診断を行います。また、骨折の部位や重症度によって、適切な治療方針を決めます。 初期治療の選択肢とその重要性 疲労骨折と診断されたら、初期治療では安静と患部の保護が重要です。 治療方法 説明 患部の安静 痛みを悪化させないために、しばらくランニングを控える 松葉杖やサポーターの使用 患部への負荷を減らすために、医師の指示に従って使う アイシング 痛みと腫れを和らげるために、定期的に行う 鎮痛剤の使用 必要に応じて、医師の処方に従って内服する 初期治療の目的は、骨折の悪化を防いで、痛みや腫れを抑えることです。適切な初期治療を行うことで、回復までの期間を短くし、後遺症のリスクを減らすことができるでしょう。 効果的なリハビリテーション 疲労骨折の回復には、適切なリハビリテーションが欠かせません。理学療法士の指導の下、段階的にひざの機能を回復させていきます。 回復を促進するリハビリテーション技術 ひざの疲労骨折の回復を促進するリハビリテーション技術には、以下の例があります。 リハビリテーション技術 説明 関節可動域訓練 ひざの曲げ伸ばしの動きを良くする 筋力トレーニング 大腿四頭筋や下腿三頭筋などの筋力を強くする 微小電流療法 微弱な電流で骨の治癒を促す 部分荷重トレーニング 体重の一部を徐々に骨折部位にかけていく練習 これらの技術を組み合わせることで、ひざの機能回復の効果が期待できるでしょう。 またリハビリテーションの一例と注意点は以下のとおりです。 期間 注意点 急性期(骨折直後~数週間) 安静と患部の保護が中心です。痛みに応じて、患部を動かさないようにしましょう 回復期(数週間~数ヶ月) 徐々に患部の動きを取り戻していきます。関節可動域訓練や筋力トレーニングを、痛みに注意しながら始める場合があります 維持期(数ヶ月~) 個々に合わせて日常生活に必要な動きを取り戻し、徐々にランニングへの復帰を目指します 各段階で、医師と相談しながら、無理のないペースで進めることが大切です。 また、 リハビリテーション中は、痛みや違和感に注意しましょう。痛みが強い場合は、無理せず、医師や理学療法士に相談してください。 たとえ痛みが和らいでも、急激な運動量の増加は避け、徐々に負荷を上げていくことが大切です。 日常生活での調整とサポート リハビリテーションと並行して、日常生活での調整も大切です。以下のような点に注意しましょう。 ひざへの負担を減らす動作の工夫 十分な休養と睡眠の確保 バランスの取れた食事 ひざへの負担を減らすにはしゃがみ込みや正座などは避けましょう。 また、食事では特にカルシウム、ビタミンDの摂取が重要です。 カルシウムとビタミンDは、骨の健康を維持するために特に重要な栄養素です。 カルシウムは、骨の主成分の一つで、骨の強度を保つために欠かせません。一方、ビタミンDは、カルシウムの吸収を助けます。 また、ビタミンDは日光に当たることで体内で合成されます。適度な日光浴も、ビタミンDの供給源として重要です。 これらの栄養素が不足すると、骨密度が低下し、疲労骨折のリスクが高まる可能性があります。 カルシウムを多く含む食品は以下のとおりです。 乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど) 小魚(しらす、ししゃもなど) 大豆製品(豆腐、納豆など) 緑黄色野菜(小松菜、ほうれん草、ブロッコリーなど) ビタミンDを多く含む食品には以下のとおりです。 魚(鮭、さば、まぐろなど) きのこ類(しいたけ、まいたけなど) 卵黄 牛乳 カルシウムの1日の推奨摂取量は、成人で800~1,000mgです。ビタミンDの推奨量は、18歳以上の成人で1日あたり8.5μgとされています。 これらの栄養素は、骨の健康を維持するために重要ですが、過剰摂取はビタミンD中毒などの別の症状を引き起こす可能性があるため注意が必要です。 また、骨密度を維持するためには、バランスの取れた食事に加え、禁煙と禁酒も大切です。喫煙は、骨密度を低下させるだけでなく、骨折の治癒を遅らせる効果もあります。 同様に、飲酒も骨の健康に悪影響を及ぼします。アルコールは、カルシウムの吸収を阻害し、骨密度を低下させる可能性があります。したがって、骨折の予防と回復のためには、禁酒が推奨されます。 骨折の回復期には、家族や友人の理解とサポートも大きな力となります。周囲の人に協力を求め、サポートを受けることも大切です。 トレーニングと再発防止 ひざの疲労骨折からの回復後は、適切なトレーニング方法と再発防止策が重要です。無理のないペースで、徐々に運動量を増やしていきましょう。 適切なトレーニング方法と強度の調整 再発を防ぐためには、医師や理学療法士の指示のもと以下のようなトレーニング上の工夫が必要です。 徐々にトレーニング量を増やす 十分なウォームアップとクールダウンを行う クロストレーニングを取り入れる ひざへの負担を軽減するランニングフォームを習得する また、ランニングシューズの選択や定期的な交換も重要です。医師や理学療法士、トレーナーのアドバイスを参考に、自分に合ったシューズを選びましょう。 ランニングへの復帰ステップの一例は以下のとおりです。 ウォーキングから始める 軽いジョギングを導入 ランニング距離・ペースを徐々に増加 レース出場を検討 しかし回復する過程は、骨折の状態や年齢などによって異なるため個人差が大きいです。 医師と相談しながら自分のペースですすめましょう。 また、疲労骨折の予防策と具体例は以下のとおりです。 予防策 説明 適切なランニングシューズの選択 クッション性と安定性のバランスが取れたシューズを選ぶ ランニングフォームのチェック 着地の衝撃を減らすフォームを心がける トレーニング計画の作成 急激な距離・ペースの増加は避け、徐々に負荷を上げていく 長期的な健康維持のためのストラテジー ひざの健康を長期的に維持するためには、以下のような対策を心がけましょう。 定期的な筋力トレーニングと柔軟性の維持 適切な栄養摂取と体重管理 オーバートレーニングの回避 定期的な健康チェックと早期の異変への対応 これらを日々の生活に取り入れると、ひざの疲労骨折の再発を防ぎ、健康的なランニングライフを送ることができるでしょう。 また、疲労骨折の回復には、身体的な治療だけでなく、心のケアも重要です。 長期の休養を余儀なくされることで、ストレスやフラストレーションを感じることもあるでしょう。 家族や友人、医療従事者と話をすることで、心の負担を軽くする効果が期待できます。 また、回復期間中は、ランニング以外の趣味や興味を見つけることで、生活にメリハリをつけることもおすすめです。 まとめと今後の計画 ひざの疲労骨折は、ランナーにとって深刻な問題ですが、適切な治療と予防策によって乗り越えられるでしょう。回復のためには、段階的なリハビリテーションと日常生活での調整が不可欠です。 疲労骨折の管理と競技への復帰 ひざの疲労骨折からの回復と競技への復帰には、以下のポイントが重要です。 医師や理学療法士との連携 無理のない段階的なトレーニング計画 痛みや違和感への注意 適切な休養とリカバリー 自分のペースで着実に進んでいくことが、健康的な競技復帰への近道です。 定期的なフォローアップと自己モニタリングの重要性 疲労骨折の再発を防ぐためには、定期的な体調管理と把握が欠かせません。以下のような点に注意しましょう。 定期的な検診 痛みや違和感の早期発見 トレーニング日誌の記録 体調変化への迅速な対応 自分の体の声に耳を傾け、異変に早めに気づくことが大切です。 ひざの疲労骨折は、ランナーにとって大きな問題ですが、適切な知識とケアによって乗り越えられるでしょう。回復と再発防止のためには、医師や理学療法士との連携と自己管理が不可欠です。 ランニングを楽しみ続けるために、自分の体と向き合い、健康づくりに取り組みましょう。 参考文献一覧 MSDマニュアル家庭版,骨折の概要 日本スポーツ整形外科学会,スポーツ損傷シリーズ,疲労骨折 日本臨床整形外科学会,疲労骨折・腰痛 日本生活習慣病予防協会,骨粗鬆症 ドクターズファイル,疲労骨折 日本骨折治療学会,骨折の解説,疲労骨折 厚生労働省,アルコール MSDマニュアル家庭版,足の疲労骨折 e-ヘルスネット,喫煙によるその他の健康影響 e-ヘルスネット,カルシウム 日本人の食事摂取基準(2020 年版),②ビタミン D,p178-187 農林水産省,みんなの食育,大切な栄養素カルシウム 日本陸上競技連盟,疲労骨折予防10か条
2024.10.04 -
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「疲労骨折は自然治癒する?」「どのくらい休めば治るの?」 このような悩みを抱えるランナーは少なくありません。疲労骨折について、自然治癒するのか、病院に行くべきか悩む方もいるのではないでしょうか。 結論からいえば、疲労骨折は安静にすることで自然治癒するケガです。早く治してまたランニングを楽しむためには、疲労骨折について理解を深め、正しくケアする必要があります。 この記事では、疲労骨折の原因や症状、自然治癒のプロセス、そして復帰目安と予防策について詳しく解説します。正しい知識とケアを通して、疲労骨折を乗り越え、ランニングを楽しみ続けるための参考になれば幸いです。 疲労骨折は自然治癒できる!早く治すには「安静にすること」が大切 結論からいえば、疲労骨折は自然治癒するケガです。しかし、なにも対策せずに放置していても早く治るわけではありません。 疲労骨折を早く自然治癒させるには、疲労骨折がどうして発症するのか、どのような状態なのかを理解する必要があります。本章をしっかりと確認し、疲労骨折についての理解を深めてください。 疲労骨折の原因と典型的な症状 疲労骨折は、以下のような要因が重なると発生しやすくなります。 急激なトレーニング量の増加 不適切なランニングフォーム 硬いランニングサーフェス 足に合わない靴の使用 骨密度の低下 疲労骨折の症状は、以下のようなものがあります。 症状 説明 運動時の痛み 特定の部位の痛み 安静時の痛みの持続 休んでいても痛みが続く 腫れや圧痛 患部が腫れたり、押すと痛みを感じる 皮膚の発赤や熱感 患部の皮膚が赤くなったり、熱を持つ これらの症状が継続する場合は、疲労骨折の可能性が高いと考えられます。 疲労骨折は足をはじめ、膝や腰などにも発症しやすいケガです。以下の記事では、ランナーに多い「膝」と「足の甲」の疲労骨折について解説しています。気になる方はぜひ一度ご覧ください。 疲労骨折は通常の骨折と違い使いすぎによるもの 疲労骨折は運動などで体を使いすぎたことによって生じるケガです。病名には「骨折」とありますが、通常の骨折とは発症のメカニズムが異なります。 通常の骨折は転倒などの衝撃によって骨が折れるのに対し、疲労骨折は走った際の衝撃や筋肉が引っ張る力が繰り返し同じカ所に加わることで生じるケガです。 そのため、疲労骨折を治すためにはケガしたカ所への負担を減らし、安静にすることが大切といえます。もし疲労骨折と診断されたら、治るまでは運動を中止しましょう。 ちなみに以下の記事では脛(すね)の使いすぎによって生じるシンスプリントについて解説しています。疲労骨折でお悩みの方はぜひご覧ください。 【自然治癒】疲労骨折を早く治す3つの方法! 疲労骨折を早く治す方法として、以下3つが挙げられます。 6〜8週間は安静にし、休息時間を取る 自然治癒を促進する栄養を摂取する 整形外科を受診し、運動療法や物理療法などのリハビリを受ける 疲労骨折で早く自然治癒させるためには、一旦運動せずに体を休めて安静期間を作りましょう。安静が必要な期間は疲労骨折の重症度によって変わり、症状が重たい場合にはより長く安静にする必要があります。 ここからは、自然治癒を早めるために大切な方法を3つご紹介します。本章を参考に、正しい疲労骨折のセルフケアを実施しましょう。 6〜8週間は安静にし、休息時間を取る 疲労骨折には6〜8週間の安静と休息時間が必要といわれています。ただし、骨折の部位や重症度によって、治癒に必要な期間は異なるので、まずは整形外科で検査を受けることをおすすめします。医師に疲労骨折の程度を確認してもらい、適切な指示を受けましょう。 疲労骨折のタイプと治癒の目安期間は以下のとおりです。 骨折のタイプ 治療期間の目安 脛骨(シンスプリント) 4~8週間 中足骨 6~8週間 大腿骨頸部 8~12週間 腰椎 6~12週間 ただし、これらは一般的な目安であり、治癒期間には個人差があるので注意してください。 また、疲労骨折の自然治癒には、以下の条件が必要といわれています。 十分な安静と休息 患部への負荷の回避 適切な栄養摂取 これらの条件を守れば、疲労骨折の自然治癒を早められる可能性があります。疲労骨折で悩んでいる方は、ぜひ実践してみてください。 自然治癒を促進する栄養を摂取する 自然治癒を促進するためには、適切な栄養摂取が重要です。以下の栄養素は、疲労骨折の自然治癒を早めてくれる可能性がある、おすすめの食材です。 栄養素 食べ物 カルシウム 乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズなど) 小魚(しらす、小あじなど) 大豆製品(豆腐、納豆など) 緑黄色野菜(小松菜、ブロッコリーなど) ビタミンD 魚(鮭、さんま、いわしなど) きのこ類(しいたけ、まいたけなど) 卵黄 タンパク質 肉類(鶏肉、豚肉、牛肉など) 魚介類(鮭、まぐろ、えびなど) 大豆製品(豆腐、納豆、油揚げなど) 卵 乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズなど) 上記の食材を食事にバランス良く取り入れ、疲労骨折の回復効果を高めましょう。 整形外科を受診し、運動療法や物理療法などのリハビリを受ける 疲労骨折の回復を早めるためには、整形外科を受診し、運動療法や物理療法など適切なリハビリを受けることをおすすめします。リハビリは自己判断で行わず、必ず医師の許可を得てから開始し、理学療法士の指導のもとで段階的に進めましょう。 疲労骨折時のリハビリの種類は以下のとおりです。 種類 目的 具体的な方法(例) 注意点 段階的な運動負荷 徐々に運動量を増やしていく 低強度から開始し、耐久性をつける 痛みに注意しながら、負荷を徐々に上げる 骨折部位に過度な負荷をかけないよう、医師の指示に従う 全身的な筋力トレーニング 骨折部位周辺および全身の筋力維持・強化 体重負荷や抵抗運動を取り入れる 患部周辺の筋肉だけでなく、全身の主要な筋群をトレーニング コアスタビリティトレーニング(体の中心部の筋肉を鍛える運動)の導入 骨折部位の筋力トレーニングは、完全に治癒するまで控える 関節可動域訓練 関節の柔軟性維持 ストレッチや筋緊張の緩和を促す 患部の関節および全身の主要な関節を動かす運動 骨折部位の関節は、医師の許可があるまで動かさない バランス訓練 再発予防とパフォーマンス向上に有用 片脚立ちや不安定な面(例:バランスボール)での立位保持 動的なバランス運動 プロプリオセプション(体の位置感覚)トレーニング 骨折部位に体重をかけない方法から始める 代償動作の修正 不適切な動作パターンの改善 歩行分析と修正 日常生活動作の評価と指導 骨折部位を保護しながら行う このアプローチにより、骨折部位を適切に保護しつつ、全身のコンディショニングと再発予防に焦点を当てたリハビリが可能となります。常に無理のない範囲で、徐々に活動レベルを上げていくことが大切です。痛みがある場合は必ず中止し、医師に相談してください。 また、リハビリには上記のような運動療法だけでなく電気や超音波を利用した物理療法もおこないます。物理療法では骨への血流促進効果や炎症を抑える作用があり、疲労骨折の治療として有効です。物理療法には以下のようなものがあります。 種類 効果 アイシング 痛みと腫れの緩和に効果的 電気刺激療法 痛みの軽減と筋肉の緊張緩和 超音波療法 骨の治癒を促進する可能性あり 物理療法は疲労骨折による痛みの軽減や骨の自然治癒促進に働く可能性があります。効果には個人差がありますが、疲労骨折を早く自然治癒したい方は積極的に取り入れてみてください。 【再発に注意】疲労骨折後に運動復帰する2つの目安 疲労骨折から運動を再開するときに注意すべきなのは疲労骨折の再発です。 疲労骨折の治療中、安静にしていた体は想像以上に筋力・体力が衰えている可能性があります。そのため、運動復帰時の強度に注意が必要です。 これからご紹介する2つの目安を参考に運動を再開し無理をしないように心がけてください。それでも判断に迷う場合には、必ず医師の判断を仰いでから運動を再開しましょう。 なお、当院リペアセルクリニックでおこなっている再生医療は疲労骨折にも効果が期待できます。興味がある方はメール相談もしくはオンラインカウンセリングでお気軽にご相談ください。 骨折部位を押したり叩いたりして痛みがない 骨折部位を押したり叩いたりして痛みがない場合、運動を再開できる目安といえます。 疲労骨折時は、骨折部位を押したり叩いたりすると痛みを感じることが多くあります。 痛みがなければ疲労骨折が治癒している可能性があるため、少しずつ運動を再開しても良いでしょう。 逆に押したり叩いたりしたときに少しでも痛みを感じるようであれば、無理せず安静にすることをおすすめします。 運動動作をしてみて痛みがない ジョギングなどの軽い運動動作をしてみて痛みがない場合も、運動再開の目安です。 運動再開時は疲労骨折する前と同じ運動量ではなく、負荷をかけすぎないように注意してください。走るときもまずはジョギング程度から開始し、時間・距離を短くして軽く走ると良いでしょう。 安静期間が長いほど体は衰えている可能性が高いため、急に激しく動かすと疲労骨折の再発の原因になりかねません。 軽めのジョギング程度から開始し、徐々に時間・距離を伸ばして体を運動に慣らしましょう。 また、疲労骨折の再発を予防するためのポイントは次項で詳しく紹介しています。疲労骨折後に運動復帰する上で大切なことなので、ぜひチェックしてみてください。 疲労骨折を予防する2つのポイント 疲労骨折を予防するためにはトレーニング方法の見直しとライフスタイルの調整が重要です。ここから疲労骨折を予防するためのポイントを2つご紹介しますので、ぜひ実践してみてください。 トレーニングは自分に合った方法と負荷で行う 疲労骨折を予防するためには、自分に合った方法・負荷で行うことが大切です。トレーニングでは、以下4つのポイントを抑えておきましょう。 トレーニングのポイント 詳細 段階的にトレーニング量を増やす 増やす負荷は「週10%以下」が目安 たとえば10kg→11kg程度で、1週間の間でそれ以上は上げない 十分なウォームアップとクールダウンを行う ウォーミングアップは運動をするための準備が整い、怪我を予防できる クールダウンは疲労回復効果があり、疲労骨折を予防できる 適切な休養日を設ける 体を休めることで、使いすぎによる疲労骨折を予防できる 具体的に、週1回以上の休息がおすすめ クロストレーニングを取り入れる 全身を使う水泳などのクロストレーニングは一部位への負担を軽減し、疲労骨折の予防につながる 急激に大きな負荷をかけたり、休まず動かし続けたりすると、疲労骨折のリスクが高くなります。 トレーニングの負荷は段階的に増やすよう意識し、週1回以上は身体を休めるようにしましょう。 規則正しいライフスタイルで骨を休ませる 疲労骨折を予防するには、十分な休息で骨を休ませる規則正しいライフスタイルが重要です。以下のようなライフスタイルの調整が役立ちます。 ライフスタイルの調整 具体的な方法 バランスの取れた食事 カルシウム豊富な食品(乳製品、小魚、大豆製品、緑黄色野菜など)を摂取する ビタミンD含有食品(鮭、さんま、きのこ類、卵黄など)を取り入れる 適度な日光浴 1日15~30分程度、日中の太陽光を浴びる 禁煙 ニコチン代替療法(ニコチンパッチ、ガムなど)を活用する 禁煙外来や禁煙プログラムに参加する 禁煙に理解のある友人や家族に協力を求める 過度なアルコール摂取の制限 1日の飲酒量を、男性は20g、女性は10g未満に抑える アルコールを含まない飲み物を積極的に摂取する アルコールの代わりにストレス解消法を見つける 疲労骨折の予防には、適切な栄養摂取が欠かせません。 また、意識的に太陽の光を浴びたり、喫煙や過度な飲酒を避けたりすることも、疲労骨折の予防につながります。 定期的な骨密度検査を受け、骨の健康状態をチェックすることも大切です。疲労骨折の予防や早期発見のためにも、整形外科にて定期的な骨密度検査や診察を受けておくと安心です。 まとめ|疲労骨折を早く自然治癒させるためには安静が重要! 疲労骨折は身体の使い過ぎによって起こるケガであり、自然治癒するケースが多くあります。疲労骨折を早く自然治癒させるためには、しっかりと安静にすることが大切です。 また、自然治癒を早めてくれる栄養の摂取や、運動復帰後のトレーニングの進め方も大切です。この記事で紹介したことを実践し、疲労骨折の予防や再発防止に努めましょう。 ちなみに当院リペアセルクリニックでおこなっている再生医療は、疲労骨折をはじめとするスポーツ障害の治療にも有効です。気になる方はメール相談もしくはオンラインカウンセリングでお気軽にご相談ください。 この記事が少しでも役に立てば光栄です。 \まずは当院にお問い合わせください/ 疲労骨折についてよくある質問 疲労骨折は自然治癒しますか? 疲労骨折は自然治癒するケガです。安静にし、骨折部位に負担をかけなければ自然治癒していくでしょう。しっかりと栄養を摂り、運動療法や物理療法を併用すればより早く自然治癒する可能性もあります。 疲労骨折で多い部位はどこですか? 足の中足骨や膝・肋骨・腰椎・脛に多く発症します。 これらの部位はあらゆるスポーツでよく使われる骨です。とくに長い距離を走ったり、体を捻ったりするスポーツ選手は注意が必要なため、疲労がたまらないようケアを心がけてください。
2024.09.06 -
- 上肢(腕の障害)
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「腰の疲労骨折と診断されたけれど、早く回復して仕事やスポーツに復帰したい…」 そんな悩みを抱えていませんか? 腰の疲労骨折は無理をすると状態が悪化しやすく、治りが遅くなります。しかし、安静を最優先し、適切な時期にストレッチやトレーニングを実施すれば早期回復を目指せます。 本記事では、腰の疲労骨折を早く治す方法を具体的に解説しています。治療中の注意点も紹介しているので、早期回復を目指したい方は参考にしてみてください。 【基礎知識】腰椎疲労骨折とは 腰椎疲労骨折は、腰椎の「椎体」と呼ばれる骨の部分に微小な亀裂が生じる状態を指します。 腰椎疲労骨折の主な原因は、以下のとおりです。 重労働や繰り返しの負荷 不適切な姿勢や体の使い方 加齢に伴う骨密度の低下 骨粗鬆症などの基礎疾患 このように腰椎疲労骨折は、一度の強い衝撃ではなく、長期的な負荷の蓄積によって引き起こされます。特にスポーツを積極的に行う10代の若年層に多く見られ、同じ動作を繰り返すことで発症しやすいです。 腰椎疲労骨折の症状は、単なる腰痛とは異なり、以下のような特有の特徴があります。 安静時にも持続する鈍い痛み 特定の姿勢や動作で増悪する痛み 腰の特定の場所を押すと痛みを感じる(圧痛) 腰の特定の場所をトントンとたたくと痛みを感じる(叩打痛) これらの症状は、時間の経過とともに徐々に悪化する場合が多いです。最初は軽度の痛みで済んでいても、放置すれば日常生活や仕事に大きな支障をきたすようになります。 そのため、疲労骨折が疑われる場合は、早期の診断と適切な治療が不可欠です。適切な治療を行えば、痛みの軽減と日常生活の質の向上が期待できます。 なお、腰の痛みを伴う原因はほかにもあり、以下は対象となる疾患です。クリックすると詳細記事をチェックできるので、症状や治療法が気になる方は参考にしてみてください。 腰椎椎間板ヘルニア 脊柱管狭窄症 ぎっくり腰 近年、腰の痛みを伴う腰椎椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症の治療法として「再生医療」が注目されています。再生医療とは人間の自然治癒力を活用した新しいの医療技術で、損傷した脊髄の再生を図ります。 「腰に関連のある疾患の治療法に興味がある」という方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお問い合わせください。 腰椎疲労骨折はどれくらいで治る?【完治までは約3カ月】 腰椎疲労骨折の回復には約3カ月かかると言われています。 亀裂または折れた骨が癒合するまでに時間が必要なため、焦らず適切な治療を続けましょう。 治癒までの期間は、年齢や症状の程度、個人の体質などによって左右されます。 症状が軽度の方や若い方ほど治癒が早い傾向があります。 腰椎疲労骨折を早く治す方法5選 腰椎疲労骨折からの早期回復を目指す上で、日常生活で意識したいポイントを5つ紹介します。 焦らず安静にする コルセットの着用ルールを守る 計画的にリハビリを進める 軽めのストレッチ・トレーニングを行う 栄養バランスのとれた食事を心がける 参考にしながら実践をして、早期回復を目指しましょう。 焦らず安静にする 腰椎疲労骨折の基本治療は、安静により骨の自然回復を待つ保存治療です。 骨に亀裂が入っている状態なので、体を無理に動かすと状態が悪化します。 安静期間は、症状や人によって異なり、4週間から12週間程度です。 この間は、腰に負担をかけないように、できるだけ安静にして過ごしましょう コルセットの着用ルールを守る 疲労骨折の状態によってはコルセットを装着して安静時期を過ごします。 コルセットの着用が必要になった場合、使用ルールを必ず守りましょう。コルセットを着用する際は以下のような点に注意が必要です。 装着方法:締め付け具合 装着時間:1日の中での装着時間 着脱のタイミング:入浴時や就寝時の取り扱い コルセットを正しく装着しなかったり、着用を怠ったりすると、症状が悪化してしまう場合があります。早期回復のためにも、医師の指示に従って使用しましょう。 軽めのストレッチ・トレーニングを行う 骨の回復が認められ医師の許可が出たら、軽めのストレッチやトレーニングを開始していきます。 回復期は、骨盤周囲の筋肉を伸ばすストレッチや、腰を支える筋肉を強化するトレーニングが効果的です。 具体的には、ハムストリングストレッチや腰回りのストレッチや、腰椎を支える筋肉を強化を目的とした体幹トレーニングです。 適切な強度でストレッチやトレーニングを継続すれば、腰の機能改善につながります。 日常生活で負担のかかる動きを制限する 腰椎疲労骨折の回復段階では、日常生活で腰に負担をかけない動きをとる意識をもちましょう。 腰に負担がかかる動作をとれば、回復が遅れる可能性があるほか、再発のリスクも高まるからです。 腰に負担がかからない主な動作は以下の3つです。 腰を反らさない 力を入れすぎない ねじらない たとえば、ベッドから起き上がるときは、腰を反らさないように気をつけ、横向きになってから腕の力を使って上体を起こします。体をひとまとまりにして動かせば、腰に余計な負担をかけずに済みます。 椅子から立ち上がる際は、両手で座面を押しながら、膝を伸ばして立ち上がりましょう。腰を前後に動かさず、脚の力を使うと負担が軽くなります。 重い物を持つときも注意が必要です。腰を曲げずに膝を曲げ、背筋をまっすぐにしたまま持ち上げると、腰への負担が減ります。また、物を持ったまま体をねじらず、向きを変えるときは足から動かしましょう。 このように日常生活の動作を見直し、腰にやさしい動きを意識してみてください。 栄養バランスのとれた食事を心がける 骨の修復には多くの栄養が必要です。栄養バランスのとれた食事を心がけると、より早い回復が期待できます。 以下は、骨の修復に大切な栄養素と食材です。 栄養素 働き 食材 カルシウム 骨の主成分となり、強化を助ける 牛乳、チーズ、小魚、ひじき、小松菜 ビタミンD カルシウムの吸収を助ける イワシ、秋刀魚、鮭、しいたけ、きくらげ ビタミンK カルシウムを骨に定着させる 納豆、小松菜、ほうれん草、わかめ たんぱく質 筋肉や血液の材料になり、骨の修復を助ける 赤身の肉、魚、豆腐、納豆、ヨーグルト マグネシウム 骨の健康を維持し、強化をサポートする アーモンド、ごま、わかめ、大豆製品 バランスの取れた食事で、骨の修復に必要な栄養を補給しましょう。 まとめ|腰の疲労骨折を早く治すには焦らず治療していくのがもっとも大切 焦らず治療に専念するのが、腰の疲労骨折を早く回復させる近道です。腰に負担のかかる動作や運動を控えて、完治までじっくり治療に取り組みましょう。 本記事で紹介した、回復後の運動や食事のアプローチも参考にして、早期回復を目指してみてください。 腰の疲労骨折に関するよくある質問 腰の疲労骨折について、不安や疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。 ここでは、治療や予防、日常生活での注意点など、よくある質問とその回答を紹介します。腰の健康を守るための参考にしてください。 保存治療で症状がなかなか改善しない場合は手術が必要ですか? 保存的治療で十分な改善が見られない場合や、重度の骨折、神経症状を伴う場合などは、外科的治療が検討されます。 手術の方法は、骨折部位の固定や骨移植などです。 手術は、痛みの軽減、脊柱の安定化、神経症状の改善などを目的として行われます。 腰の疲労骨折における予防策を教えてください 腰椎疲労骨折の予防には、以下のようなポイントがあります。 適切な姿勢の保持 重量物の正しい持ち上げ方の習得 定期的な運動による腰部や体幹の筋力維持 骨密度の維持(バランスの取れた食事、適度な日光浴など) 日常生活の中で、腰への負担を減らす工夫を心がけるのが大切です。 重労働の仕事で腰が疲労骨折にならないためのポイントを知りたい 重労働に従事する人は、以下の点に注意をする必要があります。 項目 ポイント 詳細 1. 適切な重量制限の順守 無理なく持てる重量か確認する 重量物を分割して運ぶ 周囲と協力して持ち上げる 安全を優先して無理をしない 2. 重量物を持ち上げる際の正しい体の使い方 重心を低くし、物を体に近づける 膝を曲げ、脚の力で持ち上げる 急な動作を避ける 正しい姿勢で持ち上げ、腰への負担を減らす。定期的に訓練を受ける。 3. 休憩の確保と作業の分散 長時間の連続作業を避ける 同じ姿勢を続けない 作業を分散し負担を減らす 適切に休憩を取り、疲労を防ぐ。作業スケジュールを管理する。 4. 必要に応じた補助具の使用 台車や手押し車を使う 高所作業には脚立を使用する 腰ベルトの着用を検討する 補助具を活用し、負担を軽減する。正しい使い方を守る。 仕事と腰の健康は、切り離せない関係にあります。自分の体を守るためにも、リスク管理と予防策の実践を心がけましょう。 参考文献 MSDマニュアル家庭版."骨折の概要" 日本スポーツ整形外科学会.“スポーツ損傷シリーズ-疲労骨折" 日本臨床整形外科学会.”疲労骨折・腰痛” 日本脊椎脊髄病学会.”脊椎脊髄疾患について・主な症状” 日本生活習慣病予防協会.”骨粗鬆症” 村山医療センター.”腰椎分離症” 教えて!先生!腰痛の専門医による安心アドバイス.”腰の疲労骨折・脊椎分離症(腰椎分離症) 日本脊髄外科学会.”腰椎分離症・分離すべり症” 徳島県医師会.” 腰椎分離症 -病期・病態に応じて治療-” 日本整形外科学会.”「腰椎分離症・分離すべり症」” 厚生労働省.”腰痛予防対策” 厚生労働省.”職場における腰痛予防対策指針及び解説” ドクターズファイル.”疲労骨折” 医療法人大場整形外科.”腰椎疲労骨折” 日本骨折治療学会.”骨折の解説-疲労骨折”
2024.07.29 -
- 脊髄損傷
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失ったはずの腕や脚が痛むのはどうして? 幻肢痛に効果的な治療法はあるの? この記事に辿り着いたあなたは、幻肢痛に悩んでおり、なんとかして痛みを和らげたいと感じているのではないでしょうか。 幻肢痛の治療法には「薬物療法」や「鏡療法」などの選択肢があり、複数の方法を組み合わせて治療を進めることもあります。ご自身の状態に合った治療法を試すことが大切です。 本記事では、幻肢痛でよく用いられる治療法やセルフケア、そして新しい治療法について解説します。幻肢痛に悩んでいる、また幻肢痛に苦しむ方の力になりたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。 幻肢痛に対する4つの治療法 幻肢痛(げんしつう)とは、事故や病気で四肢を切断したあと、失ったはずの腕や足に痛み・しびれを感じる現象です。四肢の切断によって脳内にある身体の地図が書き換わり、認識と感覚の不一致が生じて起こるといわれています。 幻肢痛の一般的な治療方法は、以下の4つです。 薬物療法 鏡療法 電気刺激療法 リハビリテーション ひとつの治療法で痛みが緩和され、一定の効果が得られる場合もありますが、さまざまな方法を組み合わせて治療を進めていくケースが多いです。 本章を参考に、幻肢痛における治療法の選択肢を知っておきましょう。 薬物療法 薬物療法では、以下のような種類の薬を使用します。 鎮痛薬 抗けいれん薬 抗うつ薬 抗てんかん薬 抗不整脈薬 オピオイド系鎮痛薬(モルヒネやドラマドール)が使われるケースもありますが、依存や乱用のリスクが高く副作用も懸念されるため、使用は慎重におこなうべきだと考えられています。 また、局所療法として、カプサイシンクリームの塗布やリドカインスプレーの噴霧などがおこなわれる場合があります。 いずれにしても、薬物療法は作用と副作用のバランスを考え投与するのが望ましいため、主治医と十分コミュニケーションを取りましょう。 鏡療法 鏡療法は、ミラーセラピーとも呼ばれている方法です。 健常な四肢を幻肢があるかのように鏡に映します。健常な四肢を動かすと、鏡にも同様に映るため、あたかも幻肢を動かしていると錯覚するのです。 これを繰り返すうちに、「幻肢が思った通りに動いている」と脳が認識するようになります。知覚と運動の情報伝達が脳内で再構築され、幻肢痛が軽減していきます。 具体的な方法は以下のとおりです。 1. 身体の正面中央付近に適切な大きさの鏡を設置します。 2. 切断部位が見えないようにし、健常肢が鏡に映るように調整します。 3. 鏡に映った健常肢の像がちょうど幻肢の位置と重なるようにします。 4. 健常肢側から鏡を見ると、幻肢があるかのように鏡に映ります。 5. その状態で健常肢でさまざまな動きをし、鏡の像を集中して見ます。 鏡療法をおこなう時間は決められていませんが、15分~30分程度おこなうのが一般的です。ただし、疲労状況や集中できる時間を考慮して、調整しましょう。 電気刺激療法 電気刺激療法には、3つの種類があります。 脊髄刺激 視床刺激 大脳皮質刺激 脊髄刺激を与えると、痛みが脳に伝わりにくくなります。刺激を与えると、痛みの伝達を抑制する物質が増加するため、神経の興奮を抑制して痛みの緩和につながるのです。 また、大脳皮質にある一時運動野や視床へ電気刺激を与えても、幻肢痛を和らげるケースが報告されています。刺激を与える部位は、切断部位や神経の残っている部分によって治療方法が異なります。 リハビリテーション 義肢や装具には、失った機能や役割を補うだけでなく、幻肢痛を和らげる効果があります。 義肢や装具の装着は、鏡療法と同様に脳に失った四肢を認識させるため、義肢の装着が日常的になると幻肢痛も消失していく場合が多いです。 ただし、幻肢痛がひどく、義肢や装具の装着ができない場合もあります。リハビリは、医師をはじめ、理学療法士や義肢装具士など、医療者と相談しながら進めていきましょう。幻肢痛は、常に一定に感じているわけではなく、突然襲われる場合もあります。 寝ていても飛び起きてしまうような突然の痛みに襲われたり、失った手足が締め付けられるように感じたり、痙攣している、幻肢がねじれる、しみるなど、感じ方や程度はさまざまです。 数年で幻肢痛がなくなる方もいれば、長年痛みに苦しめられる方もいます。そのため治療法の選択は、医師をはじめとするさまざまな医療者と相談し、それぞれの痛みの程度やライフスタイルに合わせた継続できる治療法の選択が必要でしょう。 幻肢痛治療経験者の中には、治療に成功し、徐々に痛みが緩和され消失した方もたくさんいます。 「なるべく痛みではなく、他に意識が向くようにしていると徐々に痛みが引いた」「義足をつけてリハビリを続けていると幻肢痛が緩和した」など、幻肢痛はすぐになくすことはできませんが、治療を続け徐々に痛みから解放された方は多くいます。 しかし、長年幻肢痛に悩まされているケースもあります。幻肢痛の治療は、根気強く治療を続けていくモチベーションが必要です。 幻肢痛のセルフケア方法2つ 幻肢痛のセルフケアをする方法として、以下2つが挙げられます。 ストレスをコントロールする 家族・支援者によるサポートを受ける 本章で幻肢痛のセルフケア方法を知り、医療機関での治療以外にできることがないか検討してみましょう。 ストレスをコントロールする 適切なストレス管理で痛みを和らげることもできます。 幻肢痛患者は、痛みによって、不安や怒り、恐れなど、さまざま感情が入り混じっている心理状態です。慢性的なストレスは、痛みを過敏に感じさせるため、幻肢痛が悪化する原因にもつながります。 自分でできるストレスのコントロール方法は、以下の通りです。 趣味に没頭する 散歩をする 映画やドラマを見る 好きな物を食べる お風呂にゆっくりつかる 規則的な睡眠をとる 香りを楽しむ 声を出して笑う 日光を浴びる 過度な運動などの幻肢痛が悪化するようなものは避け、まずは自分ができそうなものから始めてみましょう。暴飲暴食、過度な飲酒・喫煙などはかえって体調不良や睡眠不足の原因となり、痛みの悪化を招くため注意が必要です。 家族・支援者によるサポートを受ける ストレス管理は本人だけでなく、周囲からのサポートが必要になるケースもあります。 なるべくストレスを抱え込まず、周りの人の力を借りながらうまくコントロールすることが大切です。 家族・支援者ができるサポートは、以下の通りです。 痛みが一番のストレスなら、残存した方の腕や足を軽くマッサージしてもらう リハビリがストレスなら、リハビリのやり方やメニューを主治医と相談する 生活の不自由さがストレスなら、補助グッズの使用や利用できる支援の導入を検討する まずは自分がストレスに感じていることは何かを、家族やサポートしてくれる人に話して理解してもらう必要があります。 また、精神的に不安定になっている場合は、心療内科・精神科の受診やカウンセリングを受けることなども検討しましょう。 新たな技術を用いた幻肢痛の治し方2選 四肢の一部を失った方が、幻肢痛を乗り越え、生活の再構築をしていくのは、とても困難な道のりでしょう。 幻肢痛には、従来先述したような4つの治療法が用いられていますが、IT技術の進化に伴い、以下2つのような新しい治療法も登場しています。 VR技術による「遠隔セラピー」 BCI(ブレインコンピューターインターフェイス)による「脳のトレーニング」 体験を行う交流会もあるため、積極的に参加することで新たな発見があるかもしれません。お住まいの地域での開催がないか調べてみましょう。 VR技術による「遠隔セラピー」 VR空間のなかで、失った四肢を補間し、脳を錯覚させるセラピーも開発されています。幻肢痛を感じる患者とセラピストが一緒にVR空間の中に入り、手足を動かすイメージを共有する手法です。 3Dを利用したリアルな空間なので、実際にリハビリをしているような雰囲気が味わえます。 さらに、VR空間でセラピーを行うため、セラピストが近くにいなくても、いつでもどこでも実施が可能です。 鏡療法は切断部位によって有効でない場合もありますが、VR技術による遠隔セラピーならばより多くのケースに対応できます。 BCI(ブレインコンピューターインターフェイス)による「脳のトレーニング」 BCIによる「脳のトレーニング」では、脳活動を計測し、得られた計測信号から脳情報を読み解き、それに基づいて架空の手足の映像をオンラインで動かします。 架空の手足を動かすことで、脳の変化を促し、新しい感覚を得られたり、治療につながっていくことを目的としたものです。 この訓練を3日間行うことで、訓練後5日間の痛みが30%以上減弱した調査結果もあります。 まとめ|自分に適した幻肢痛の治療法を検討しよう 本記事では、幻肢痛の治療法とセルフケアの方法について詳しく解説しました。 治療の際には、失った部位や痛みの状態に合わせた方法を選択する必要があります。 また、IT技術を活かし、リアルに失った四肢を感じられるような遠隔セラピーやBCIによるトレーニングといった新しい治療法も開発されています。日々情報収集をおこないながら、自分に合った治療法を見つけましょう。 当院「リペアセルクリニック」は、幹細胞の働きを活かし、本来の機能ができなくなった臓器や骨などを修復する「再生医療」を扱うクリニックです。再生医療には、膝や腰の痛みを改善させる治療もあります。再生医療に興味を持たれた方は、ぜひ当院のホームページをご覧ください。 参考文献一覧 (文献1) 住谷昌彦 幻肢の感覚表象と幻肢痛 バイオメカニズム学会誌Vol. 39,No.2(2015) (文献2) インタビュー「最先端の幻肢痛治療に見る、「脳のリプログラミング」の可能性」 (文献3) UTokyo バーチャルリアリティー治療で緩和される幻肢痛の特徴 (文献4) 住谷昌彦、宮内哲ほか 幻肢痛の脳内メカニズム 日本ペインクリニック学会誌Vol.17No.1 2017 (文献5) UTokyo 失った手足の痛みを感じる仕組み (文献6) 日本ペインクリニック学会 「神経障害制疼痛薬物療法ガイドライン 改訂第2版」 (文献7) 緒方徹、住谷昌彦「幻肢痛の機序と対応」Jpn J Rehabil Med 2018;55:384-387 (文献8) ミラーセラピーについて | 脳梗塞集中リハビリセンター │ 社会医療法人 生長会 (文献9) 大内田裕 「幻肢・幻肢痛を通してみる身体知覚」2017年 (文献10) 片山容一、笠井正彦 「幻肢・幻肢痛を通してみる身体知覚」2017年 (文献11) 落合芙美子 日本義肢装具学会誌「義肢装具に対するチームアプローチ」日本義肢装具学会誌Vol.13 No.2 1997 (文献12) 幻肢痛VR遠隔多人数セラピーシステム|JDP (文献13) 事故で失った幻の手の痛みが脳活動を変える訓練により軽減 - ResOU
2024.06.19 -
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2024シーズンからメジャーリーグに挑戦した山本由伸投手が、右肩の怪我により離脱を余儀なくされている状況です。ロサンゼルス・ドジャースとの大型契約で注目を集めた山本投手ですが、デビューシーズンから肩の怪我に直面することになりました。 本記事では、山本由伸選手が負った怪我である腱板損傷の詳細や怪我をした原因、怪我の治療法まで詳しく解説します。 山本由伸選手が負った怪我である腱板損傷とは? 腱板損傷とは、肩関節の安定性を保つために重要な4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)とその腱の総称である「腱板」に損傷が生じる状態です。特にプロ野球のピッチャーは投球動作で肩に大きな負担がかかるため、この怪我のリスクが高まります。 山本由伸選手の場合、MLBデビューシーズンとなる2024年に右肩の腱板に損傷を負いました。これはオーバーユース(使いすぎ)や投球フォームの問題、あるいは急激な環境変化による負担増加などが複合的に影響した可能性があります。 腱板損傷は軽度の炎症から完全断裂まで症状の幅が広く、重症度によって治療法や復帰までの期間が大きく異なります。 山本由伸選手が怪我をした腱板損傷を含む野球肩の種類 プロ野球選手、特にピッチャーが抱える肩の怪我は多岐にわたります。ここでは山本由伸選手が負った腱板損傷を含む、野球選手に多い肩の怪我について説明します。 上腕骨骨端線離開(こったんせんりかい) 「リトルリーグショルダー」とも呼ばれ、成長期に起こる投球障害です。成長期における過度の投球により成長軟骨が損傷することで、投球時や投球後に痛みを生じます。 「動揺性肩関節症」とは「ルーズショルダー」とも呼ばれています。上腕骨と肩甲骨の間にある靭帯などが先天的に緩い状態にあり、その状態で肩を酷使することで周囲の組織を損傷してしまい、肩の痛みや不安定感を覚えます。 肩甲上神経損傷 棘下筋を支配する肩甲上神経が投球動作により引っ張られる、あるいは圧迫されるなどによって損傷を起こし、肩の痛みや肩の疲労感を覚えます。 インピンジメント症候群 野球肩の中で最も多くみられる症状で、靭帯や肩峰に上腕骨頭が衝突することで腱板が挟まれ、炎症を起こすことで肩の痛みを生じます。 山本由伸選手が怪我をした原因 山本由伸選手の腱板損傷の原因については、複数の要因が複合的に影響していると考えられます。 まず第一に挙げられるのは、日本からメジャーリーグへの環境変化による影響です。MLBとNPBでは投球間隔やボールの違い、マウンドの状態など様々な差異があります。特にMLBのボールは表面が滑らかで縫い目が低く、日本のボールと比べてグリップ感が異なります。 また、投球フォームの問題も一因と見られています。山本選手の投球フォームは非常にパワフルですが、肩に過度な負担をかけるリリースポイントであったという指摘もあります。特に最大の武器である150km/hを超える直球を投げる際には、肩への負荷は相当なものとなります。 そして、投球数や登板間隔の管理の問題も指摘されています。メジャーリーグでは先発投手としての役割や期待が大きく、適切な休息をとれなかった可能性もあります。 山本由伸選手の怪我の治療法 山本由伸選手の腱板損傷に対する治療法には、いくつか種類があります。ここでは主な治療法について解説します。 保存療法 保存療法は、手術をせずに行う治療法の総称で、腱板損傷の初期段階でまず試みられるアプローチです。休息と投球制限が基本となります。 特に初期対応としては、炎症を抑えるためのRICE処置(Rest:休息、Ice:冷却、Compression:圧迫、Elevation:挙上)が重要です。また非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服や、場合によっては炎症部位への局所注射なども行われます。 急性期を過ぎたら、段階的なリハビリに移行します。肩関節周囲の柔軟性回復のためのストレッチングから始め、徐々に肩甲骨周囲筋や腱板自体の筋力強化エクササイズへと進めていきます。 手術療法 保存療法で症状が改善しない場合や、腱板の断裂が大きい場合には手術療法が検討されます。現代では低侵襲な関節鏡視下手術が主流となっています。 関節鏡視下手術では、小さな切開から内視鏡と専用器具を挿入し、腱板の修復を行います。断裂した腱板を元の位置に戻し、アンカーと呼ばれる特殊な縫合糸で上腕骨に固定します。 大きな切開を必要としないため、術後の痛みが少なく、回復も早いのが特徴です。手術後は肩を固定し、数週間の安静期間を経てから段階的なリハビリを開始します。 完全な競技復帰までは選手の状態や損傷の程度によって異なりますが、一般的には6〜9ヶ月程度を要します。 再生医療 最新の治療法として、再生医療のアプローチも注目されています。PRP(多血小板血漿)療法や幹細胞治療などが、従来の治療法を補完する形で用いられるようになっています。 PRP療法では、選手自身の血液から濃縮した血小板を損傷部位に注入します。血小板に含まれる成長因子が組織の修復を促進し、治癒を早める効果が期待されます。 また幹細胞治療では、骨髄や脂肪組織から採取した幹細胞を利用して損傷した組織の再生を促します。これらの治療は手術の必要性を減らしたり、手術後の回復を早めたりする可能性があります。 まとめ|山本由伸選手が負った怪我には再生医療も有効! 野球選手にとって肩の怪我は避けられないリスクの一つですが、その中でも「野球肩」一般的に起こりえる問題です。 野球肩とは、投球動作やバッティングなど、腕を激しく使うことで肩関節周囲の筋や腱、骨が損傷や炎症を起こす状態を指します。この野球肩には、腱板損傷、リトルリーグショルダー(上腕骨骨端線離開)、ルーズショルダー(動揺性肩関節症)、肩甲上神経損傷、インピンジメント症候群など、さまざまな種類があります。 各症状は投球時や日常生活での痛み、肩の不安定感、疲労感などを引き起こし、生活の質を大きく損なう可能性があります。従来の治療法としては、痛みの軽減や肩の安静を目的としたリハビリテーションや、重症の場合は手術というものでしたが、これらの方法は長期の休養が必要な場合も多く、選手にとって大きな負担となることがあります。 そこで注目されているのが「再生医療」です。 再生医療は、体への負担が少なく、手術や入院を避けることができるため、治療期間が短縮されるというメリットがあります。この治療法は、多くの有名野球選手も実績があり、スポーツへの早期復帰を目指すための画期的な方法として今注目の最新の治療方法です。 メジャーリーグのドジャースに所属する山本由伸選手も、ぜひ再生医療を用いた治療を考えて欲しものです。なぜなら、選手生命を護ることが出来るからです。 肩の痛みや違和感を感じたら、早めの受診と適切な診断を受けることが重要です。肩の怪我を適切に治療し、スポーツを続けるためには最新の医療情報を活用し、専門医の指導を受けることが肝要です。 スポーツ選手は自分を護るためにも再生医療といった最新の治療法を知ることも大切です。 早期の回復を目指せる再生医療は、肩の怪我に悩む野球選手の救世主となり得ます。再生医療に興味があれば豊富な実績で症例数をリードする当院までお問い合わせください。 山本由伸選手が負った怪我についてのQ&A 検査はどのようにするの? 投手の肩の怪我を診断するための検査は複数回行われます。 まずは肩の可動域や痛みの位置を確認します。次にX線検査で骨の状態を確認し、さらに詳細な検査のためMRIを実施します。 MRIでは軟部組織の状態を可視化でき、筋肉や腱、靭帯の損傷を詳細に把握できます。山本選手の場合もこれらの検査に加え、必要に応じて超音波検査やCTスキャンなどの追加検査が行われているでしょう。 山本由伸選手と同様の怪我の復帰時期はいつくらいですか? 山本選手のような投手の肩の怪我からの復帰時期は、怪我の種類と程度によって大きく異なります。 一般的に投球肩の炎症や軽度の筋肉疲労であれば2〜4週間程度で復帰できるケースが多いですが、腱板の損傷や関節唇(ラブラム)の裂傷などの重度の損傷では3〜6ヶ月以上の長期リハビリが必要になることもあります。
2024.06.18 -
- 幹細胞治療
- 再生治療
- 腱板損傷・断裂
- 野球肘
- インピンジメント症候群
- 上肢(腕の障害)
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
- スポーツ外傷
メジャーリーグ(ドジャース)山本由伸選手が発症!肩腱板損傷とは? 負傷者リストに入ってしまったようで心配です。野球選手にも多い肩腱板の損傷についてその原因と治療法を詳しく説明いたします。 日常生活の中で何気なく動かしているように思う肩ですが、思わぬケガが原因で強い痛みが出たり、動かせなくなったりすることがあります。 スポーツ障害でも多い腱板損傷は、そのような状態を引き起こすもののひとつです。 今回は、その腱板損傷について詳しくご紹介します。 肩腱板損傷とは?その症状について 腱板は肩に存在する筋で、板のように広がっているので腱板といいます。 腱板を構成するのは「肩甲下筋腱」「棘上筋腱」「棘下筋腱」「小円筋腱」という4つの筋肉です。これらが肩の骨を囲み、肩関節の安定性に働きかける重要な存在です。 その腱板が部分的、または完全に断裂するのが腱板損傷です。主な症状は痛みですが、軽い場合もあれば、動かせないほどの激痛、夜間に起こる痛みなど程度に差があります。 部分的な断裂では、肩を動かせないということはあまりありません。損傷が激しい場合、腕が上がらなくなったり、肩が動かしにくいという症状が出ることもあります。 肩腱板損傷の原因とは? 腱板損傷の原因について見ていきましょう。腱板損傷の原因は大きく3つにわけられます。 外傷 腱板損傷の原因で多いのが外傷、つまりケガです。転んで肩を強く打つ、手をついたときに肩に衝撃が加わるというのが腱板を傷つけてしまうことがあるのです。 オーバーユース スポーツ医療でも注目される腱板損傷ですが、ケガというよりも肩の使い過ぎが原因のことが多いです。 その代表的なスポーツが野球です。何度も繰り返しボールを投げることで、肩関節や腱板に負荷がかかってしまうのです。 加齢によるもの 加齢によって腱板損傷が起こることもあります。年齢を重ねると腱や軟骨など、身体の組織も衰えてしまいます。そのため、自分でも気が付かないうちに腱板が傷ついていることもあるのです。 肩腱板損傷の治療法とは? 肩の腱板損傷の治療法をご紹介します。近年期待されている治療方法についても見ていきましょう。 保存療法 肩の腱板損傷の治療は基本的には保存療法です。急性期には三角巾で固定し、患部の安静を保ちます。痛みや腫れがある場合は痛み止めの注射やヒアルロン注射を行うこともあります。 また、腱板が損傷した状態で無理に動かすと再発したり、ひどくなったりすることがあるので、リハビリも大切です。 手術 保存療法で痛みが改善しない、損傷がひどく肩の動きが悪いという場合には手術を検討します。損傷した腱板を手術によって直接修復するというものです。 近年は関節鏡といって皮膚を大きく切らない手術が行われています。術後1~2週間ほどで痛みが落ち着くことが多いですが、正常な肩関節の状態に戻すにはリハビリ期間を含めて6か月程度かかることが多いです。 再生医療 これまで腱板損傷の治療は保存療法と手術がメインでした。しかし、手術となれば治療やリハビリを含めてスポーツ復帰までの期間が長くなります。 そんな中、近年、腱板損傷の治療法として再生医療が注目されています。 再生医療は、自身の脂肪から採取した幹細胞を肩腱板に注射します。そして幹細胞が傷ついた腱板や組織を修復するというものです。 外科的な手術をしないで治療できるため、治療期間の短縮も期待できます。 まとめ・メジャーリーグ(ドジャース)山本由伸が発症!肩腱板損傷について 今回は肩の腱板損傷についてご紹介しました。 今回の山本由伸選手をはじめとして、肩を酷使する野球などのスポーツで使い過ぎによって肩の腱板が傷つくことがありますし、加齢によって腱板損傷を起こすこともあります。 プロの選手のように日常からケアをしていても、発症することがあるため、注意が必要です。プロ野球選手のように選手生命という問題がある場合は無理もできません。 そこで近年、治療法として注目を集めているのが再生医療です。特に幹細胞治療は、自分の幹細胞を用いるので、副作用のリスクが少なく、治療期間も短くて済むというメリットがありスポーツをされている方に最適です。 もちろん、再生医療はスポーツ選手ではなくとも有効です。 肩の痛み、肩の腱板損傷でお悩みの方は、再生医療による治療を検討してみてはいかがでしょうか。お気軽にご相談ください。 ▼肩の腱板損傷の回復を目指す再生医療とは https://fuelcells.org/treatment/shoulder/ ▼スポーツ選手の選手生命を護る再生医療をご存知でしょうか https://fuelcells.org/treatment/sports/
2024.06.18 -
- 下肢(足の障害)
- ひざ関節
- 動作時の痛み
- 肘関節
- スポーツ外傷
- 膝部、その他疾患
離断性骨軟骨炎は、主にスポーツを行っている人が発症しやすい病気です。発症した際、完治期間はどのくらいの期間を要し、運動はいつから再開できるのか疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。 離断性骨軟骨炎は安静にしていると次第に痛みが軽減されるものの、完治したと思って無理に動くと再発する可能性があるため注意が必要です。 本記事では、離断性骨軟骨炎における完治期間の目安を解説します。再発予防法も紹介するので、離断性骨軟骨炎の症状回復へ向けた治療が知りたい方は参考にしてください。 離断性骨軟骨炎の完治期間 離断性骨軟骨炎は、治療法によって完治期間の目安が異なりますが、一般的に完治するまで6カ月以上かかる可能性があります。 そのため、完治期間の目安を把握したうえで、復帰スケジュールを組むのが大切です。ここでは、保存療法と手術療法の完治期間の目安を解説するので参考にしてください。 保存療法における完治期間の目安 保存療法における完治期間は、6カ月以上~1年ほどが目安になります。離断性骨軟骨炎は10代~20代くらいに多く発症するため、低年齢の場合は保存療法を優先するケースが一般的です。 保存療法では、離断性骨軟骨炎の要因となるスポーツ活動を禁止して安静に過ごしながら、レントゲンやMRIなどで修復状態を定期的に確認します。 症状を見ながら段階的にスポーツ活動への復帰を進めていきますが、発症前の運動レベルまで戻す場合は数カ月~1年くらいはかかる可能性があります。また、保存療法で症状回復が得られない場合は、手術を行うのが一般的です。 手術療法における入院期間と完治期間の目安 手術療法における完治期間の目安は、術式によって異なりますが6カ月~10カ月ほどでスポーツ活動に復帰できる可能性があります。入院期間も術式でさまざまで、おおむね5日~7日程度です。 退院後はリハビリを行い、修復状態を確認しながら軽い運動から復帰を開始します。本格的な復帰は6カ月ほどが多いため、6カ月ほどは無理のない範囲でリハビリを進めていくのが重要です。 スポーツ復帰を目指す場合は、適切な手術を受けて完治期間までは医師の指示に沿ったリハビリを受けましょう。 離断性骨軟骨炎の主な治し方 離断性骨軟骨炎の主な治し方は、以下の通りです。 治療法の種類 特徴 安静 運動をせず安静に療養する リハビリテーション 患部への負担軽減を目的にリハビリ訓練を実施する 薬物療法 鎮痛薬や関節内注射を行う マイクロフラクチャー法 膝関節鏡を関節内に入れて、患部の数カ所に小さい穴を開けて出血させて治癒を促進 整復内固定術 骨釘や生体吸収性ピンなどを使用して固定 骨軟骨移植術 円柱状の軟骨片を採取して、損傷した部分に移植 離断性骨軟骨炎は、問診や触診、レントゲン検査などを行ったうえで診断します。ただし、初期の場合はレントゲンでは写りにくいため、MRI検査で確定診断をするのが一般的です。 また、手術療法の術式は、遊離した軟骨片の大きさや状態などから総合的に判断して決めます。 無理に運動を継続すると手術が必要になるだけでなく、競技生活を続けられなくなる可能性があります。離断性骨軟骨炎は、早期発見・早期治療が重要なため、肘や膝に違和感があった際は、ただちに医療機関を受診し、医師の指示に従いましょう。 離断性骨軟骨炎は再発するためリハビリが重要 離断性骨軟骨炎は、症状が治まっても再発するリスクが生じます。 再発する理由は、関節軟骨は血流が乏しく自然治癒力が限られているためです。離断性骨軟骨炎の症状は安静にしていると落ち着いてくる場合があるため、完治したと勘違いする人も少なくありません。 しかし、完治していない状態で運動を再開すると、まだ安定していない軟骨に負荷をかけてしまい結果として再発につながります。 痛みや引っかかりがなくなったとしても、自己判断で運動を再開するのは危険です。離断性骨軟骨炎は完治までに6カ月以上かかるケースが一般的なため、再発を防ぐためにもリハビリが重要です。運動を再開する際は自己判断せず、医師の診察を受けましょう。 離断性骨軟骨炎のリハビリ治療と期間 離断性骨軟骨炎は、症状が軽い場合はリハビリと安静中心の保存療法で治療が行われます。リハビリ期間は、患者さんの年齢や症状の進行具合によって変わってきます。 離断性骨軟骨炎は、一般的に約1〜2カ月で痛みがやわらぎますが、3か月ほどの安静が必要です。 リハビリは、可動域訓練や筋力トレーニングを中心に行います。理学療法士の指導やアドバイスをもとに、肘や膝に負荷のかからない動作を身につけるのがリハビリの目的です。 3カ月以上保存療法を行っていても症状の回復が見込めない、もしくはすでに症状が進行しており軟骨の状態が良くない場合は、リハビリより手術を先に行います。 手術は関節鏡を使ったものが多いですが、症状によっては軟骨の移植など大がかりな方法になる場合があります。 関節鏡下の手術の場合は傷口が小さく回復が早く、早期にリハビリを開始可能です。ただし、軟骨の修復は普通の骨と比べて時間がかかるため、無理に動かさないよう注意しましょう。 \まずは当院にお問い合わせください/ 離断性骨軟骨炎の再発予防法 離断性骨軟骨炎は、再発する可能性のある病気です。痛みが軽減されたかといって、本格的な復帰をしないよう注意しましょう。ここでは、離断性骨軟骨炎の再発予防法を解説します。 完治してから復帰する 離断性骨軟骨炎の再発予防には、完治してから復帰するのが重要です。痛みがなくなると運動を再開しても問題ないと判断してしまいがちですが、完治していない場合、軟骨は不安定な状態です。 離断性骨軟骨炎の発症前と同じレベルで体を動かすのは、再発につながるリスクが生じるため注意しなければなりません。再発しないためにも運動の時期は勝手に決めず、治療期間中は医師の指示に従い、段階を踏んで本格的な復帰を目指すようにしましょう。 オーバーワークになりすぎないようにする 離断性骨軟骨炎の再発予防には、オーバーワークになりすぎないよう練習量を調整するのが大切です。痛みがなくなると、発症前と同じ運動量で練習に参加してしまう可能性があります。 特にスポーツをしている場合はまわりに遅れをとりたくないと思って、無理をしてしまいがちです。完治していない状態でオーバーワークになりすぎると、再発により長期離脱につながりかねません。医師から完治と言われない限りは、練習量を抑えるのが重要です。 サポーターを着用する 離断性骨軟骨炎の再発予防には、サポーターの着用が効果的です。軟骨と骨をつなぎとめる部分の血流障害を引き起こすと軟骨が剝がれやすくなり、離断性骨軟骨炎を再発する要因になります。 離断性骨軟骨炎の場合は、サポーターを使用すると体の重心バランスが整い、患部の負担軽減につながります。サポーターはギブスと異なり関節の動きを固定しないため、自然な動きが可能です。 なお、離断性骨軟骨炎向けのサポーターには大腿四頭筋を補強するタイプや固定力の高いタイプなど、さまざまな種類があります。再発防止策には、目的や症状に合ったサポーターを選ぶのが大切です。 定期的に検診を受ける 定期的に検診を受けるのが、離断性骨軟骨炎の再発予防策です。スポーツでは継続的な負荷がかかるため、定期的な検診により症状が悪化していないか確認できます。 離断性骨軟骨炎は治療が早ければ、保存療法で症状回復が期待できる病気です。完治したからといって無理をしてしまうと、再発する可能性が考えられます。再び長期離脱につながらないよう定期的に受診し、再発を予防するのが大切です。 離断性骨軟骨炎における治療法の1つ再生医療の可能性 再生医療とは、損傷した組織や臓器の機能を回復させるために、細胞や組織、臓器を人工的に作製したり、自己修復能力を促進したりする医療技術の総称です。 当院「リペアセルクリニック」では、患者様自身の幹細胞を接種、培養しているため、副作用のリスクが低く抑えられます。 また、採取する脂肪量は米粒2~3粒程度のため、体への負担は大きくありません。再生医療では、手術不要で治療が受けられます。 メール相談やオンラインカウンセリングを受け付けておりますので、離断性骨軟骨炎の治療に関する悩みがある方は、お気軽にお問い合わせください。 まとめ・離断性骨軟骨炎の再発予防には完治期間を守ることが大切 離断性骨軟骨炎の完治期間は、6カ月以上が目安となります。一般的に安静にしていれば症状軽減が期待できますが、完治したと思って発症前と同様の生活をすると再発しやすくなるため注意が必要です。 離断性骨軟骨炎はリハビリを正しく行うと症状緩和につながり、再発を予防できます 治療後はいきなり発症前と同じ練習量やトレーニングをするのではなく、段階を踏んで運動を再開するのが大切です。 離断性骨軟骨炎の完治期間を踏まえたうえで、症状回復へ向けた適切な治療を受けましょう。
2023.05.26 -
- 足部、その他疾患
- 下肢(足の障害)
- 足部
- スポーツ外傷
捻挫の重症度をチェックする方法を知りたい。 捻挫の痛みがなかなか治らないけれど、病院に行くべきかわからない。 この記事を読んでいるあなたは、捻挫の重症度をセルフチェックできる方法を知りたいのではないでしょうか。 「軽い捻挫だろう」と思っていても、なかなか痛みが引かないと、病院に行くべきか悩んでしまうかもしれません。 結論、捻挫の重症度をチェックする方法は、部位によって異なります。 自己判断が難しいケースも多いため、痛みや違和感などの症状がある場合や、動かせないほど炎症が起こっている場合は、早めに整形外科を受診しましょう。 本記事では捻挫の重症度をセルフチェックする方法を、身体の部位別に解説します。 記事を最後まで読めば、自分のけがを正しく観察し、病院に行くべきか判断できるでしょう。 【部位別】捻挫の重症度をチェックする方法 捻挫とは、転倒時や段差を踏み外したときなどに、関節に負荷がかかって起こるけがのことです。関節まわりの靱帯や腱、軟骨などを損傷している状態を指します。 軽度の場合はギプスやサポーターで損傷した部位を固定することで治療できますが、重症の場合は手術が必要になるケースもあります。そのため、捻挫をした初期段階で重症度を正しく診断し、早期に適切な治療をおこなうことが大切です。 本章では、捻挫の重症度を以下3つの部位別に解説します。 足首の捻挫の場合 手首の捻挫の場合 指の捻挫(突き指)の場合 自分の捻挫をセルフチェックする際の参考になれば幸いです。また、捻挫を早く治す方法について調べている方は、以下の記事もご覧ください。 足首の捻挫の場合 足首を捻挫した場合は、「Ottawa Ankle Rule(以下、オタワ アンクル ルール)」をもとにセルフチェックをおこないましょう。 オタワ アンクル ルールは5つの項目で構成されており、該当する項目が1つでもあれば骨折の可能性があると判断します。 オタワ アンクル ルールの5項目 腓骨遠位端(外くるぶし)より6cmまでの中心線に圧痛(※)がある 脛骨遠位端(内くるぶし)より6cmまでの中心線に圧痛がある 第5中足骨基部(かかとの小指側の骨の出っ張り付近)の痛み(圧痛) 舟状骨(足背から内側にかけての部分)の痛み(圧痛) 怪我をした側で 4歩以上その足に体重をかけられない/歩けない ※圧痛:皮膚に圧力(押すなど)を与えた際に痛みを感じること もし該当する項目がある場合、早めに整形外科を受診し、レントゲンなど詳しい検査を受けることをおすすめします。 該当項目がない場合でも、違和感や痛み、腫れが続く場合は、早めに受診しましょう。 手首の捻挫の場合 手首の捻挫では、動かしたときの違和感や痛み、熱の有無などによって重症度をチェックできます。 以下の表はあくまでセルフチェックとして利用し、症状が続く場合は整形外科を受診しましょう。 チェック項目 手首の捻挫の重症度 曲げ伸ばし、ひねるなどの動作をすると痛み・違和感がある 軽度 負傷したカ所が腫れており、少しでも動かすと痛み・違和感がある 中度 負傷したカ所を動かさなくても痛みがある。あるいは熱を持っている 重度(骨折の疑いあり) 手首の捻挫は、骨折と見分けるのが難しいケースも多くあります。 1週間以上痛みが引かない場合は整形外科を受診し、レントゲンなどの検査を受けることをおすすめします。 指の捻挫(突き指)の場合 指の捻挫(突き指)をした場合、以下の表をもとに重症度をセルフチェックしてみましょう。 チェック項目 指の捻挫の重症度 ・痛み、違和感がある ・腫れている ・曲げ伸ばしは可能 軽度 ・炎症(痛みや腫れ)が一週間以上続く ・曲げ伸ばしが困難 ・指が変形しているように見える 中度から重度 (腱の損傷や骨折、靱帯損傷の疑いあり) 指の捻挫は、軽度であれば1週間程度で炎症がおさまることが多いですが、症状がある場合は念のため病院に行くことをおすすめします。 整形外科を受診し、レントゲンなどの詳しい検査を受けましょう。 突き指と指の骨折、靱帯損傷について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしていただけると幸いです。 捻挫を放置するリスク 捻挫を治療せず放置した場合、以下のリスクが考えられます。 捻挫を繰り返しやすくなる 痛みが長引く 機能障害が残る(例:関節の可動域が狭くなる) など たとえ軽い捻挫であっても、保存療法など適切な治療をしなかった場合、靱帯が伸びた状態で固定されてしまいます。靱帯が伸び、関節が緩んでいる状態で負荷をかけると、同じ部位の捻挫を繰り返したり、痛みが長引いたりするリスクが高まるでしょう。 また、捻挫した部分が不安定になり、歩行や運動時のパフォーマンスへの影響も考えられます。骨折や変形につながる可能性もあるため、捻挫をした場合は早い段階で保存療法をはじめとする治療をおこないましょう。 捻挫と見分けにくい3つのけが 捻挫と見分けることが難しいけがは、以下の3つが挙げられます。 脱臼 骨折 関節軟骨損傷 捻挫の痛みが続く場合は、本章で紹介した外傷の可能性を考慮し、病院での受診を検討しましょう。 脱臼 脱臼とは、靱帯などの組織が損傷し、関節が外れてしまっている状態を指します。一方、捻挫は靱帯が傷ついてるものの、関節部分は外れておらず、安定性を保っている状態です。 脱臼の治療では「整復」もしくは「固定」を実施します。それぞれの治療法の詳細は以下のとおりです。 治療法 内容 整復 皮膚の上から、もしくは手術により、ずれた骨を元の位置に戻す 固定 ギプス等の器具を装着して脱臼した部位を正しい位置で固定する 部位や重症度によって差はありますが、脱臼の治療期間は、一般的には1カ月前後です。 骨折 捻挫した部位の変形や内出血、強い腫れがみられる場合、骨折をしている可能性があります。骨折の場合は、脱臼と同様「整復」もしくは「固定」をおこないます。 体重をかけることで悪化するリスクもあるため、捻挫か骨折か判断できないときは早めに整形外科を受診しましょう。 関節軟骨損傷 捻挫の痛みや違和感が長期的に継続する場合、関節軟骨損傷が疑われます。 関節軟骨損傷とは、関節の骨端表面にある組織が損傷している状態です。放置すると変形性関節症を引き起こすリスクもあるため、早めに適切な治療をおこなう必要があります。 関節軟骨損傷の場合、ギプスでの固定で治療するのが一般的です。ただし慢性化した場合は手術が必要になるケースもあります。 捻挫の痛みが続く場合は「軽度だから大丈夫」と放置せず、早めに医療機関を受診しましょう。 まとめ|捻挫の重症度をチェックして病院に行くべきか正しく判断しよう 捻挫の重症度をチェックする方法は、捻挫の部位によって異なります。捻挫だと思っていたけがを放置すると、変形性関節症などの病気につながる可能性が高くなります。 痛み・違和感が長期間続く場合や、部位を動かせないほどの炎症が起こっている場合は、早めに整形外科を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、捻挫などの外傷に対する再生医療や幹細胞治療をおこなっています。 一般的に捻挫の治療では、3〜4週間の固定後、2〜3カ月間のリハビリをおこないます。しかし固定治療によって関節が固まると、リハビリがそれ以上長期化するケースも少なくありません。 再生医療を実施すれば、固定期間・リハビリ期間を短縮し、より早期に社会復帰できる可能性が高まります。捻挫の治療法やリハビリの長期化を懸念している方は、ぜひ一度「リペアセルクリニック」へご相談いただければ幸いです。 当院ではメール相談やオンラインカウンセリングも実施していますので、ご活用ください。 この記事を読んだあなたが、捻挫で病院に行くべきか正しく判断し、早期に適切な治療を受けられれば嬉しく思います。 捻挫の重症度チェックについてよくある質問 捻挫をした場合、どうしたら良いですか? まずは痛みの部位を確認して、体重をかけられるか確認しましょう。 痛みの部位は上記のチェックリストを参考にして、「くるぶしの内側」「くるぶしの外側」「かかとの外側」「足背から内側」にかけて押して確認します。押して痛みがある場合や、体重をかけられない場合には、病院受診をお勧めします。 また、捻挫の初期対応として知っておきたいのが、受傷の初期、急性期と言われる時点での対応をまとめた「POLICE」です。 POLICE Protection(保護) Optimal Loading(最適な負荷) Ice(冷却) Compression(圧迫) Elevation(挙上) ※拳上とは 捻挫した患部を心臓より高い位置に保つことで内出血による腫れを防ぐためです。 急性期の傷害対処法は、一般的に受傷後48~72時間以内にPOLICEによる処置を行うことが基本となります。 しかし、急性期を過ぎても患部が腫れている、触ると熱を持っているなどの場合は、引き続き「POLICE」処置を継続し、病院を受診することをおすすめします。 急性期には負荷をかけられないので、怪我をした直後は包帯で圧迫してアイシングを行い、足を挙上しておくようにしましょう。冷感湿布による冷却も、炎症の鎮静に効果的です。 捻挫は、どの程度の期間で治りますか? 軽度の靭帯損傷で、手術が必要ない場合には足関節をシーネやギプスで最低3週間の固定が推奨されており、長い場合には6週間程度固定を行うこともあります。また、スポーツの復帰時期については症状経過によります。 一般的には痛みがなくなった後からサポーターをして、ウォーキング、ジョギングなどの軽いスポーツから復帰し、徐々に元の競技へ復帰とします。 その間にチューブやタオルを使って足関節周囲筋を鍛えておき、必要であれば予防のためのリハビリも行う場合があります。 病院でのアドバイスに従いましょう。 捻挫後、時間が経過したが、痛みが残っている場合はどうしたら良いですか? 捻挫による靭帯損傷は重症度により3段階に分類されます。 このうち最も重症な「靭帯の完全断裂」では手術も検討されますし、治療が適切に行われなかった場合には足関節の不安定性を生じてしまいます。 また、捻挫と思っていても、距骨という骨の軟骨が損傷してしまっていることもあります。 このように、痛みが残っている場合には、足関節の不安定性や軟骨損傷の有無など、原因を詳しく調べる必要があるため早めの病院受診が大切です。 病院を受診する場合は何科を受診すれば良いですか? 捻挫した場合は、整形外科を受診しましょう。
2023.04.03