-
- その他、整形外科疾患
骨粗鬆症は自覚症状が少ないまま進行し、ある日突然、骨折や慢性的な痛みにつながることもある病気です。 とくに閉経後の女性に多く見られ、背中の曲がりや身長の低下、転倒による骨折など、日常生活にも大きな影響を及ぼすため注意しなければなりません。 本記事では、骨粗鬆症の初期サインや原因、進行によるリスク、予防や治療に役立つ運動・栄養・生活習慣の工夫を詳しく解説します。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな治療にも用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。気になる症状があれば、ぜひご活用ください。 骨粗鬆症はどんな痛み?主な症状 骨粗鬆症の初期は自覚症状が乏しいものの、進行するとさまざまな痛みや変化となって現れます。 とくに背中や腰の鈍い痛み、身長の減少、軽い衝撃での骨折などは、骨がもろくなっているサインかもしれません。 ここでは、骨粗鬆症による代表的な症状と、見逃してはいけない身体の変化について解説します。 背中や腰の鈍い痛みが続く 骨粗鬆症では、骨の強度が低下し、背骨を構成する椎体が体の重みや日常動作による負担でつぶれるように折れる「脊椎圧迫骨折」が起こる場合があります。 圧迫骨折が起こると、寝起きや体動時に慢性的に痛みが続くようになるのが特徴です。 痛みが続くと、体を動かして外出する意欲が低下してしまい、寝たきりや引きこもりの原因にもなります。 骨が弱くなっているため小さな力でも骨折しやすく、気づかないうちに生じているケースも少なくありません。 実際、骨粗鬆症に関連した圧迫骨折の多くは、明らかな外傷がなくても発生するケースがあるのです。(文献1) 身長が縮む・姿勢が悪くなる 骨粗鬆症が進行すると背骨の骨がもろくなり、つぶれるように骨折や変形を起こすことがあります。 次第に背中が丸くなって姿勢も前かがみになりやすく、結果的に身長が数cm縮むケースもあるのです。 とくに、若いころと比べて男性で6cm以上、女性で4cm以上の身長の減少が見られる場合は、脊椎の骨折がすでに進行している可能性が高いとされています。(文献2) 転倒や軽い動作でも骨折するようになる 骨粗鬆症が進行すると、骨がもろくなり、わずかな衝撃でも骨折してしまう場合があります。 とくに、背中・太ももの付け根・手首・腕の付け根・肋骨などが骨折しやすい部位です。 骨折が重なると痛みで動くのがつらくなり、日常生活に支障をきたします。 症状が進行しないうちの早期予防と、ケアがとても大切です。 骨粗鬆症の初期症状に注意しよう 骨粗鬆症は気づかないうちに進行し、ある日突然骨折して初めて気づくケースも珍しくありません。 しかし実際には、日常の中に初期症状と呼べるサインが隠れている場合があるのです。 ここでは、見過ごしやすい骨粗鬆症の初期症状について見ていきます。 身長が縮む 身長が以前より明らかに低くなっている場合、骨粗鬆症の進行が関係している可能性を否定できません。 骨密度が低下すると背骨に負担がかかりやすくなり、骨折や変形によって徐々に身長が縮んでいく場合があります。 とくに、最近の健康診断や人間ドックで身長の変化を指摘された方は要注意です。 加齢によるものと決めつけず、骨粗鬆症の検査を受けましょう。 猫背が悪化する 背中が丸くなってきたり、姿勢の悪さを感じるようになったりしているなら、骨粗鬆症が進行しているサインかもしれません。 骨が弱くなると背骨に変形が生じやすくなり、前かがみの姿勢になりがちです。 鏡や写真に写った自分の姿が以前より猫背に見えたり、周囲から「腰が曲がってきた」と指摘されたりする場合は、骨の健康状態をチェックするきっかけにしてください。 何気ないことで骨折する 軽く転んだり、段差でつまずいて尻もちをついたりした程度で骨折したなら、骨粗鬆症によって骨がもろくなっている可能性があります。 通常なら骨折しないようなわずかな衝撃で骨が折れる状態は、骨粗鬆症の典型的な特徴のひとつです。 骨折をきっかけに寝たきりになる心配もあるため、思い当たる骨折歴がある方は、早めに整形外科を受診して骨密度をチェックしましょう。 骨粗鬆症はどんな人に多い?主な原因 骨粗鬆症は、閉経後の女性に多く見られます。 閉経をきっかけに、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が急激に減るのが原因のひとつです。 エストロゲンは、骨を丈夫に保つために重要なホルモンで、骨の新陳代謝のバランスを整える働きがあります。 ホルモンが減少すると、古い骨を壊すスピードが新しい骨をつくるスピードを上回り、骨密度が低下しやすくなるのです。 とくに、閉経前後の時期は骨密度が急激に落ちやすく、気づかないうちに骨粗鬆症が進行してしまうケースも少なくありません。 骨粗鬆症の原因についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。 骨粗鬆症の症状セルフチェックリスト 骨粗鬆症の予防や進行を防ぐには、早く兆候に気づくことが重要です。まずは自分の体の変化をチェックしてみましょう。 以下のチェックリストは、公益財団法人 骨粗鬆症財団が公開している「骨の健康度チェック表」です。(文献3) 次の項目のうち、当てはまるものの点数を合計すると、骨の健康度がわかるようになっています。 1 牛乳、乳製品をあまりとらない 2点 2 小魚、豆腐をあまりとらない 2点 3 たばこをよく吸う 2点 4 お酒はよく飲む方だ 1点 5 天気のいい日でも、あまり外に出ない 2点 6 体を動かすことが少ない 4点 7 最近、背が縮んだような気がする 6点 8 最近、背中が丸くなり、腰が曲がってきた気がする 6点 9 ちょっとしたことで骨折した 10点 10 体格はどちらかと言えば細身だ 2点 11 家族に「骨粗鬆症」と診断された人がいる 2点 12 糖尿病や、消化管の手術を受けたことがある 2点 13 (女性)閉経を迎えた (男性)70歳以上である 4点 引用:公益財団法人 骨粗鬆症財団|骨の健康度チェック表(文献3) <結果の見方> 2点以下 今は心配ないと考えられます。これからも骨の健康を維持しましょう。 改善できる生活習慣があれば、改善しましょう。 3点~5点 骨が弱くなる可能性があります。気を付けましょう。 6点~9点 骨が弱くなっている危険性があります。注意しましょう。 10点以上 骨が弱くなっていると考えられます。 一度医師の診察を受けてみてはいかがですか。 引用:公益財団法人 骨粗鬆症財団|骨の健康度チェック表(文献3) ご自身の骨の状態を知る目安として、参考にしてみてください。 骨粗鬆症の症状を放置するリスク3選 骨粗鬆症の症状を放置すると、以下のようなリスクが懸念されます。 骨折の連鎖で、さらに骨がもろくなる 痛みや動きにくさで、日常生活が制限される 寝たきりや介護が必要な状態になる それぞれ詳しく解説するので、骨粗鬆症の早期発見・早期対策にお役立てください。 骨折の連鎖で、さらに骨がもろくなる 背骨が一カ所でも骨折すると、その部分にかかる負担が大きくなり、周囲の骨まで次々と骨折しやすくなるため注意が必要です。 たとえば、太ももの付け根(大腿骨近位部)を骨折した人のうち、およそ10人に1人が反対側の太ももの骨もその後に骨折しているという報告があります。(文献4) 骨折の連鎖が起こる背景には、もともと骨が弱っていることに加えて、以下が関係しているとされています。 骨折によって転びやすくなる 片側をかばう動作で、反対側に余計な負担がかかる 痛みや動きにくさで、日常生活が制限される 骨粗鬆症によって背中や腰が骨折すると、痛みや動きづらさが日常生活にじわじわと影響を及ぼすようになります。 たとえば、掃除・洗濯・買い物といった家事がつらくなったり、重い荷物を持つことに不安を感じたりなど、以前は当たり前にできていた動作が難しくなってしまうことも少なくありません。 また、痛みのせいで外出を控えるようになったり、孫を抱っこしたくてもできなかったりと、行動範囲が狭くなることで生活の質(QOL)が低下します。 骨粗鬆症による骨折は、日々の楽しみや穏やかな暮らしに大きな影響を及ぼしかねないのです。 寝たきりや介護が必要な状態になる 骨粗鬆症による背中や腰の痛み、繰り返される骨折は、日常生活の自由を奪うだけでなく、寝たきりになるリスクを高める要因にもなります。 とくに注意したいのが、太ももの付け根にあたる「大腿骨」の骨折です。 大腿骨の骨折は手術や長期のリハビリが必要になるケースも多く、高齢者にとって身体的な負担が大きくなります。 結果的に、体力や筋力が急激に低下し、自分の足で歩けなくなるケースも珍しくありません。 最終的には、介護が必要な生活へと移行せざるを得ないため注意しましょう。 骨粗鬆症で痛みが出る前に見直したい生活習慣 骨粗鬆症は、骨折して初めて気づくケースが少なくありません。 ここでは、早い段階から取り組みたい生活習慣の見直しについて解説します。 骨に負荷をかける運動 骨粗鬆症の予防には、骨に適度な刺激を与える運動を日常に取り入れましょう。 骨は重力や体重といった外からの刺激を受けることで強くなり、骨密度の維持や向上に役立ちます。 とくに、以下のような運動が効果的です。 ウォーキングや階段の昇り降りといった、自分の体重を支える有酸素運動 片足立ちや椅子からの立ち座り運動など、バランス感覚と筋力を鍛える動き スクワットのように、太ももやお尻まわりの大きな筋肉を使う運動 これらの運動は、体に無理なく骨に刺激を与えられるため、高齢者に適しています。 無理のない範囲で継続して取り組み、筋力と骨密度をしっかり守っていきましょう。 骨に有効な食生活 骨粗鬆症の予防には、栄養バランスの良い食生活も欠かせません。 骨は日々の食事から得た栄養によって作られるため、必要な栄養素が不足すると、運動だけでは十分な骨量を維持するのが難しくなります。 とくに意識して摂りたい栄養素と、代表的な食品は以下の通りです。 カルシウム:牛乳、ヨーグルト、チーズ、小魚、大豆製品、緑黄色野菜など ビタミンD:鮭やサバなどの魚、きのこ類、卵など ビタミンK:納豆、ほうれん草などの緑の野菜 たんぱく質:肉、魚、卵、大豆製品、穀類など なかでも、カルシウムの吸収を高めるために、ビタミンDやビタミンKを一緒に摂るのがおすすめです。 一方で、加工食品やアルコールの摂りすぎには注意し、日々の食事のバランスをしっかり整えていきましょう。 日光浴でビタミンDを合成 骨粗鬆症の予防には、食事や運動だけでなく、日光浴によるビタミンDの生成も欠かせません。 ビタミンDには腸からのカルシウム吸収を促し、食事で摂ったカルシウムを効率よく骨に届ける働きがあります。 季節や体調に合わせて、無理のない時間帯に外へ出て、散歩やウォーキングを楽しみながら日光を浴びましょう。 外出が難しく室内で過ごす時間が多い人も、ベランダや窓辺で日差しを浴びるなど、できる範囲から始めても効果が期待できます。 骨粗鬆症で痛みが出たときの治療法 骨粗鬆症の治療には、以下のような方法があります。 外科治療 薬物療法 生活習慣の見直し 進行しないうちにかかりつけ医と相談しながら、適切に治療を進めていきましょう。 では、それぞれ解説します。 外科治療 骨折が見つかった場合は、状態に応じて外科的な治療が行われます。 もっとも一般的なのは、コルセットやギプスなどで骨を固定し、安静に過ごす保存的治療です。 背骨の圧迫骨折では、簡易的なコルセットを数週間着用するだけで症状が改善するケースもあります。 ただし、以下のような場合は手術が検討される場合もあります。 痛みが強い 骨のつぶれが大きい 骨の安定性が保てない 手術には骨を金属で固定する方法や、骨に医療用セメントを注入する方法があります。 どちらも骨の安定性を確保し、早期の回復を促すのが目的です。 薬物療法 骨粗鬆症では、薬による治療も行われます。 使用される薬は主に2種類あり、ひとつは骨の吸収を抑える薬、もうひとつは骨を新しく作る働きを助ける薬です。 どちらも、骨密度の改善や骨折リスクの低下を目指して使われますが、即効性は期待できません。 継続的な使用で徐々に効果が現れるため、根気よく治療を続けることが大切です。 また、自己判断で薬を中断してしまうと、改善していた骨密度が再び低下し、骨折のリスクが高くなる可能性があります。 治療効果をしっかり得るためにも、医師の指示に従いながら、定期的な検査とあわせて継続的に薬を活用していきましょう。 以下の記事では、骨粗鬆症の薬を飲まない治療法を紹介していますので、気になる方は参考にしてみてください。 まとめ|骨粗鬆症で痛みが出たら早めに受診しよう 骨粗鬆症は、年齢とともに誰にでも起こり得る身近な疾患ですが、正しい知識と日々のケアで予防や進行の抑制が可能です。 運動や食事、日光浴などの生活習慣の見直しと必要に応じた治療により、健康的な毎日を取り戻せます。 「年齢のせい」と放置せず、小さな異変に気づいた時点で早めの対応を心がけましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな治療に用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。ぜひご登録いただき、ご利用ください。 骨粗鬆症の症状に関するよくある質問 骨粗鬆症で骨折するとどんな痛みがある? 骨粗鬆症による背骨の圧迫骨折では、「体動時腰痛」と呼ばれる特有の痛みが現れる場合があります。 寝た姿勢から起き上がろうとする際など、体を動かしたときに鋭い痛みが走るのが特徴です。 一方で、一度立ち上がって姿勢が安定すると、痛みが和らぐことも知られています。 骨粗鬆症で腰痛を発症した場合に緩和する方法はある? 骨粗鬆症では、腰椎の圧迫骨折が原因で腰痛を発症する場合がありますが、痛みを和らげるために鎮痛薬や筋弛緩薬が使われます。 鎮痛薬や筋弛緩薬での治療は、日常生活を少しでも楽に送れるようにするのが目的です。 骨粗鬆症で足の付け根の痛みを感じる場合はある? 骨粗鬆症によって大腿骨頸部(太ももの付け根)を骨折すると、股関節まわりに強い痛みが生じ、立ったり歩いたりがほぼ不可能になります。 無理に動こうとすると痛みがさらに悪化するため、速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。 骨粗鬆症で痛み止め薬を使うのはどんなとき? 骨粗鬆症に伴う痛みが慢性化している場合は、鎮痛薬を使って痛みをコントロールする場合があります。 痛みを和らげることで日常生活の負担を軽減し、他の治療やリハビリテーションにも取り組みやすくするのが目的です。 骨粗鬆症は男性でもなりますか? 骨粗鬆症は女性に多いイメージですが、実際には男性でも発症するケースがあります。 患者の約4人に1人は男性とされており、病気や薬の影響、栄養不足などが重なることで骨密度が低下しやすくなるのです。(文献5) 男性だから大丈夫と思い込まず、少しでも違和感があれば早めに検査を受けましょう。 参考文献 (文献1) Vertebral compression fractures: Still an unpredictable aspect of osteoporosis|PMC (文献2) 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015年版|骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 (文献3) 骨の健康度チェック表|公益財団法人骨粗鬆症財団 (文献4) 骨粗鬆症の診断とガイドラインの変遷|日本内科学会雑誌第111巻第4号 (文献5) 男性の骨粗鬆症|日本医師会日医ニュース
2025.05.30 -
- その他、整形外科疾患
「同年代の人が骨粗鬆症で骨折して大変そう。自分は大丈夫かな?」 「骨粗鬆症の検査を受けたことがないから、何をするのかわからない」 このような不安を抱えている方もいらっしゃるでしょう。 骨粗鬆症は自覚症状がないまま進行し、気づいたときには骨が折れやすい状態になっていることもあります。 知らずにそのまま放置してしまうリスクはさらに高まり、実際に骨折して日常生活に影響を及ぼすかもしれません。 だからこそ骨粗鬆症の検査は、自身の骨の状態を知り、早めに適切な対策を始めるための一歩となります。 本記事では、骨粗鬆症の4つの検査方法や検査を受けるべき人の特徴、検査が可能な場所を解説します。 骨の健康について考えるきっかけとなれたら幸いです。 骨粗鬆症の検査方法 骨粗鬆症のおもな検査は、以下のとおりです。 骨密度検査(骨量測定) 血液検査・尿検査(骨代謝マーカーの検査) レントゲン検査 身長測定 これらの検査の結果から、骨粗鬆症の診断や治療方針の決定に必要な情報が得られます。 それぞれ詳しく見ていきましょう。 骨密度検査(骨量測定) 骨密度検査は、骨の中にどのくらいのミネラル成分が含まれているかを調べる検査です。 一般的に、ミネラル成分が少ないほど骨密度が低いとされ、骨がもろく骨折しやすい状態だと考えられています。 骨密度のおもな測定方法は、以下のとおりです。 骨量の測定方法 説明 使用する機械 DXA(デキサ)法 ・脚の付け根と腰の骨密度を測定する ・精度が高い分、時間がかかる レントゲン(X線) MD法 ・手の骨密度を測る ・簡単だが、精度が下がる QUS法 ・かかとの骨密度を測る ・被ばくせず簡便だが、精度の誤差が大きい 超音波 自身の希望や、医療機関によって検査方法は異なります。 たとえば「少し時間がかかってもしっかりとした検査を受けたい」といった方にはDXA法がおすすめです。一方、「まずは手軽に検査してみたい」と考える方にはQUS法が適しています。 まずは、近くの医療機関にどんな検査があるか問い合わせてみるのが良いでしょう。 血液検査・尿検査(骨代謝マーカーの検査) 血液検査や尿検査では「骨代謝マーカー」とよばれる項目を調べます。 ヒトの骨は、新しい骨が作られ、古い骨が壊されて吸収される「骨代謝」のサイクルを常にくり返しています。(文献1) 骨代謝マーカーは骨の代謝の過程で出てくる物質のことで、これらの数値を調べることで骨の「壊れるスピード」と「作られるスピード」のバランスがどうなっているのかがわかるのです。 おもに以下の項目をチェックします。 骨代謝マーカーの種類 検査項目 説明 骨吸収マーカー ・TRAPC5b(酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ) ・DPD(デオキシピリジノリン) ・NTX(Ⅰ型コラーゲン架橋N-テロペプチド) ・CTX(Ⅰ型コラーゲン架橋C-テロペプチド) ・1CTP(Ⅰ型コラーゲンC末端テロペプチド) <高い場合> 骨吸収(骨の破壊)が進んで骨密度の低下を招くリスクがある <低い場合> 骨の代謝が低下している可能性がある 骨形成マーカー ・BAP(骨型アルカリフォスファターゼ) ・OC(オステオカルシン) ・ucOC(低カルボキシル化オステオカルシン) ・P1NP(Ⅰ型コラーゲンN-プロペプチド) ・P1CP(Ⅰ型コラーゲンC-プロペプチド) 骨吸収が起こってはじめて骨形成がはじまるため、単独で高くなることは少ない 参考:骨代謝とは|日本骨代謝学会(文献1) たとえば、骨吸収マーカーが高く、骨形成マーカーが正常である場合「骨が壊れるスピードは速くなっているのに、新しく骨が作られるスピードは普段どおり」といった状態を示しています。 つまり、骨の破壊に形成が追いつかず、骨の量が減少しやすい状況です。 骨代謝マーカーの検査は、骨の代謝のどの部分に異常があるのかを明らかにします。 それによって、将来的に骨密度がどのくらい減少しやすいのか、骨折のリスクが高いのかを評価できるのです。 レントゲン検査 レントゲン検査は、骨折や骨の変形の有無、骨の密度を確認するためにおこないます。(文献2) 骨粗鬆症が進行している場合、次のような変化が画像に現れることがあります。(文献3) 背骨が変形している 骨の中の網目模様がはっきり見えない 背骨全体がいつもより黒っぽく見える また、気づかないうちに起きている背骨の小さな骨折を発見するのにも、レントゲン検査は有効です。 たとえば高齢者では、骨粗鬆症によって軽い衝撃で背骨が折れてしまうケースが少なくありません。(文献4) こうした骨折を早期に発見し、治療や予防につなげる役割を果たすのが、レントゲン検査です。 なお、レントゲンによる被ばく線量は少なく、健康への影響もほとんどないと言われているため、過度に心配せず検査を受けてみましょう。 身長測定 身長の測定は、骨粗鬆症による背骨の圧迫骨折や変形を早期発見する手がかりになります。 とくに背骨がつぶれるように変形すると、数センチ単位で身長が縮むことも少なくありません。 いくつかの海外研究では、若いころと比較して身長の低下がある場合、背骨の骨折のリスクが高まると報告しています。(文献2) 25歳頃の身長と比較してどの程度縮んでいるかの確認が、骨粗鬆症の診断に役立ちます。 【検査推奨】骨粗鬆症になりやすい人の特徴 骨粗鬆症は、以下にあてはまる方に起こりやすいと言われています。(文献5) 閉経後の女性 高齢 やせ型 運動不足 喫煙、飲酒 骨折既往歴 ステロイド服用歴 遺伝(家族に骨粗鬆症の人がいる) これらの項目にあてはまるようでしたら、一度、骨の健康状態について検査を受けることをおすすめします。 「自分はどうなのだろう」と少しでも不安に感じたら、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 メール相談やオンラインカウンセリングに対応しているため、来院する手間もかかりません。ぜひご活用ください。 骨粗鬆症の検査は「整形外科」で受けるのが一般的 骨粗鬆症の検査は、整形外科で受けるのが一般的です。 整形外科は「骨の専門家」であり、検査から診断、治療までスムーズに進められるメリットがあります。 整形外科に限らず、内科や婦人科でも検査に対応している場合があります。 とくに女性ホルモンの影響が気になる方は、婦人科で相談するのも選択肢の一つです。 また、自治体によっては健康診断の一環として骨密度検診を実施していることもあり、多くは指定された医療機関や検診センターで検査を受けます。 どこで検査を受けるか迷ったら、まずはかかりつけ医に相談したり、近くの整形外科のホームページで検査の実施状況を確認してみてはいかがでしょうか。 骨粗鬆症の検査にかかる費用 骨粗鬆症の検査を医療機関で受けた場合にかかる費用の目安は、以下のとおりです。 検査の種類 費用相場 骨密度検査(DXA法) 全額自己負担:約4,500円 3割負担:約1,350円 1割負担:約450円 血液検査 全額自己負担:約1万円 3割負担:約3,000円 レントゲン検査 全額自己負担:約2,500円 3割負担:約650円 自治体の検診や健康保険組合の補助で検査を受けるときは、自己負担が無料または数百円程度と安くすむことがあります。 骨粗鬆症の検査を受けるタイミング 骨粗鬆症の検査を受けるタイミングは、以下がおすすめです。 市町村の健診時期になったら 40歳を超えたら 関節痛・背が縮んだ感覚など気になる症状が現れたら 自身の状況と照らし合わせて、受けるタイミングを検討する参考にしてください。 市区町村の健診時期になったら 市区町村で実施される特定健診やがん検診の機会に、対象年齢に該当する場合や、追加で申し込むことで、骨粗鬆症の検査を受けられます。 骨粗鬆症の検診は、健康増進法にもとづき40歳〜70歳の女性を対象に5歳刻みの年齢でおこなわれています。(文献5) 自治体によっては男性も対象にしていたり、対象年齢を拡大したりしている場合もあるため、お住まいの市区町村のホームページで確認し、積極的に活用しましょう。 40歳を超えたら 骨粗鬆症は、閉経後の女性や50歳以上の高齢者に多い病気です。(文献7) 「まだ若いから大丈夫」と思いがちですが、実は骨の量は20代〜30代で最大となり、その後は徐々に減少します。そのため、40歳を過ぎたら一度骨の健康状態をチェックしておくことをおすすめします。 また、男性も決して他人事ではありません。 女性と同じく、年齢を重ねるごとに骨密度が低下するリスクは高まるため、少なくとも50歳を過ぎたら一度は検査を受けておきましょう。 関節痛・背が縮んだ感覚など気になる症状が現れたら 突然の背中や腰の違和感、身長が縮んだ感覚、姿勢の変化などがあれば骨折の兆候かもしれません。 骨粗鬆症が進み、気づかぬうちに骨折していることもあるため、気になる症状が現れたら早めに医療機関で検査を受けましょう。 骨粗鬆症の検査で「要注意」と言われたらすべきこと 骨粗鬆症の検査の結果「骨密度が少し低い」「要注意」などの診断を受けたときにすべきことは、以下のとおりです。 医師の指示をもとに再検査や適切な治療を受ける 骨を強くする栄養を意識した食生活に見直す 運動習慣を取り入れて骨への刺激を増やす 転倒を防ぐ生活環境へ整える 一つずつ見ていきましょう。 医師の指示をもとに再検査や適切な治療を受ける 検査結果について医師から詳しい説明を受け、今後の対応について相談しましょう。 必要に応じて、再検査や生活習慣の改善のアドバイスを受けたり、薬物治療を検討したりします。 「まだ大丈夫だろう」と自己判断で放置してしまうと、骨がもろくなり、骨折のリスクを高めてしまう恐れがあります。 医師の指示を守り、適切な対策を講じることが大切です。 骨を強くする栄養を意識した食生活に見直す 「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」によると、以下の3つの栄養素が骨粗鬆症の治療で重視されています。(文献2) 栄養素 骨への作用 おもな食材 カルシウム ・骨の主成分となる ・骨密度を維持する ・牛乳 ・チーズ ・ヨーグルト ・干しえび ビタミンD ・カルシウムの吸収を助けて骨に定着させる ・日光を浴びると体内でもつくられる ・鮭 ・サンマ ・きくらげ ・干ししいたけ ビタミンK ・骨にカルシウムを取り込むのを助ける ・納豆 ・ブロッコリー ・小松菜 ・ほうれん草 参考:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン|日本骨代謝学会(文献2) とくにカルシウムはビタミンDと一緒に摂ることで吸収率がアップします。 ヨーグルトにきな粉をかける、鮭ときのこを一緒に調理するのも、手軽に取り入れられるためおすすめです。 これらを取り入れた、バランスの良い食生活を心がけましょう。 運動習慣を取り入れて骨への刺激を増やす 活発にからだを動かしている方は、骨粗鬆症による骨折が少ないとした研究結果が多く報告されています。(文献2) 具体的には、以下の運動が骨密度の上昇をもたらしたとされています。(文献2) ウォーキング ジョギング ダンス ジャンプ まずは、自身に合った無理のない運動を見つけて、習慣にすることから始めてみましょう。 転倒を防ぐ生活環境へ整える 骨粗鬆症の方は骨がもろくなっているため、転倒による骨折のリスクが高まります。 日常生活の中に以下のような工夫を取り入れて、転倒を防ぎましょう。 室内の段差をなくす 滑りにくいマットを使用する 足元が明るいように照明を工夫する 階段や廊下には手すりを設置する 転倒防止が、骨折や寝たきりを防ぐ第一歩になります。 自宅内に危険な場所がないか、改めて確認してみてください。 生活習慣を見直す 喫煙や過度の飲酒は、骨折のリスクを高めることがわかっています。(文献2) ガイドラインでも、以下のように推奨されています。(文献2) 喫煙を始めない 喫煙習慣のある方は禁煙する 1日のエタノール量を24g未満とする また、塩分やカフェインの過剰摂取もカルシウムをからだの外に出しやすくしてしまうことがわかっています。(文献9) 骨の健康を守るため、これらの成分の摂りすぎには注意しましょう。 骨粗鬆症の検査で自分の骨の状態を知ろう 骨粗鬆症は静かに進行し、骨折として突然現れることがあります。 だからこそ、骨密度をはじめとする検査で、早期に骨の状態を知ることが大切です。 とくに女性や高齢の方、生活習慣に不安を感じる方には、積極的な検査をおすすめします。 「要注意」と診断された場合も、適切な食事や運動、医師との連携によって、骨の健康を維持できます。 自身の骨の状態と向き合うために、まずは検査を受けるところから始めましょう。 「自分の骨の状態は大丈夫なのかな」と不安を感じたら、当院「リペアセルクリニック」のメール相談またはオンラインカウンセリングまでお気軽にご相談ください。 骨粗鬆症の検査についてよくある質問 骨密度の検査はどうやってやるのですか? 骨密度の検査は、骨の中にあるカルシウムをはじめとしたミネラルの量を測定し、骨の強さ(密度)を数値化するものです。 もっとも一般的なのはDXA法と呼ばれる検査で、腰の骨や太ももの骨にX線を当てて測定します。 検査時間は、準備や着替えを含めて10〜15分程度です。 ほかにも手首やかかとを使うMD法やQUS法といった簡易検査もありますが、精度はDXA法がもっとも高いと言われています。 骨密度測定は自宅でできますか? 原則として、正確な骨密度測定は医療機関でおこなう必要があります。とくに検査の精度が高いDXA法は、医療機関の専用装置が不可欠です。 家庭用の体組成計で「推定骨量」を計測できるものも存在しますが、骨密度を測定するものではありません。 手首やかかとで骨密度を測れるものも家庭用で作られていないため、自宅で骨密度測定をおこなうのは現実的ではないでしょう。 本格的な診断を希望する場合は、医療機関で検査を受けるのをおすすめします。 参考文献 (文献1) 骨代謝とは|日本骨代謝学会 https://jsbmr.umin.jp/basic/kotutaisha_ma.html (文献2) 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン|日本骨代謝学会 https://jsbmr.umin.jp/pdf/GL2015.pdf (文献3) Q&A Vol.337 【どうやって見ればいい?】骨粗鬆症の画像に関するQ&A | 日本離床学会 https://www.rishou.org/for-memberships/qa/qa-vol-337#/ (文献4) 「脊椎椎体骨折」|日本整形外科学会 https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/vertebral_compression_fracture.html (文献5) 健康増進事業実施要領|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/14.pdf (文献6) どんな人がなりやすい|公益社団法人骨粗鬆症財団 https://www.jpof.or.jp/osteoporosis/tabid250.html (文献7) International Osteoporosis Foundation. Epidemiology. https://www.osteoporosis.foundation/health-professionals/about-osteoporosis/epidemiology (文献8) 骨そして筋肉の健康における栄養素・非栄養素の役割 骨と栄養素の視点から|田中清ら https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs/76/5/76_283/_pdf
2025.05.30 -
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
「中枢神経障害とは何か知りたい」「中枢神経障害の原因や治療法を知りたい」といった疑問を持っている方もいるでしょう。 中枢神経障害は、脳および脊髄の構造または機能に異常が生じる神経疾患です。原因疾患によって適切な治療法が異なるため、中枢神経障害が疑われる場合は、早めに医療機関を受診する必要があります。 今回は、中枢神経障害の初期症状から治療法までわかりやすく解説します。中枢神経障害について理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。 中枢神経障害とは 中枢神経障害とは、中枢神経系を形成する脳または脊髄の構造や機能に異常が生じて発症する神経疾患です。 中枢神経は、身体の動きや感覚、思考、記憶、感情など、あらゆる機能を制御する司令塔の役割を果たしています。そのため、中枢神経系に異常が生じると、障害を受けた部位やその範囲に応じて、さまざまな症状が現れる可能性があります。 なお、中枢神経障害は原因によって症状や治療法が異なるため、早期の診断と適切な治療が重要です。 中枢神経障害の原因と種類 中枢神経障害の原因は、主に以下の5つに分類できます。 原因疾患の特定は、中枢神経障害の適切な診断と治療につながります。以下で、それぞれ詳しく見ていきましょう。 血管性疾患 血管性疾患は、中枢神経障害の原因の一つです。血流が悪くなったり遮断されたりすると、脳や脊髄の神経細胞が損傷を受けます。代表的な血管性疾患は、以下の通りです。 脳梗塞 脳出血 くも膜下出血 身体の麻痺のほか、言語障害・視覚障害・意識障害などが現れる場合があります。 神経変性疾患 神経変性疾患も中枢神経障害の一因になります。神経変性疾患とは、神経細胞が徐々に変性・消失する疾患です。主な神経変性疾患は、以下の通りです。 パーキンソン病 アルツハイマー病 ALS(筋萎縮性側索硬化症) パーキンソン病を発症すると、ドーパミンを生産する神経細胞が減少し、運動障害を引き起こします。また、アルツハイマー病を発症すると、記憶を司る脳の神経細胞が徐々に破壊されることにより、認知機能が低下します。 炎症性疾患 免疫系の異常や感染症によって引き起こされる炎症性疾患も、中枢神経障害の原因の一つです。炎症性疾患の代表例は、以下の通りです。 多発性硬化症 脳炎 多発性硬化症を発症すると、免疫系が神経の保護膜を攻撃し、神経伝達に障害を引き起こします。また、ウイルスや細菌感染による脳の炎症も中枢神経障害の原因になります。 外傷性疾患 外傷性疾患も中枢神経障害の原因の一つです。交通事故やスポーツなど、外部からの物理的な衝撃が中枢神経に影響を与える場合があります。 脊髄損傷 頭部外傷 外傷性疾患による中枢神経障害は回復に時間がかかるほか、重篤な後遺症が残るケースも珍しくありません。 感染性疾患 ウイルスや細菌による感染性疾患によって、中枢神経障害に陥ることもあります。中枢神経障害の原因になる感染疾患は、主に以下の通りです。 髄膜炎 日本脳炎 中枢神経系がウイルスや細菌に感染すると、炎症を引き起こします。感染性疾患による後遺症が深刻化しないよう、適切な治療が必要です。 中枢神経障害の症状 中枢神経障害の症状はダメージを負った部位や程度によってさまざまです。具体的には、主に以下のような症状が現れます。 障害の種類 具体的な症状 主な原因疾患 運動障害 手足の麻痺や震え 手足が動かしにくい 脳卒中 パーキンソン病 感覚障害 視覚や聴覚、触覚に異常を感じる 脳腫瘍 脳卒中 認知機能障害 記憶力の低下 判断力の低下 アルツハイマー病 精神的障害 不安 抑うつ 幻覚 パーキンソン病 アルツハイマー病 なお、原因疾患によって、症状の進行は異なります。症状を改善するためには、それぞれ原因疾患に対する治療が必要です。 中枢神経障害の治療法 中枢神経障害の治療法として、主に以下の選択肢があります。 薬物療法 リハビリテーション 再生医療 中枢神経障害の原因疾患のなかには、根治が難しい疾患も少なくありません。それぞれの治療法について解説するので、医師と相談しながら、適切な治療法を検討してください。 薬物療法 中枢神経障害の治療では、原因疾患に応じて薬物療法が選択されることが多いです。症状に応じて、痛みを軽減するための鎮痛剤や、精神的な不安を抑える精神安定剤のほか、抗てんかん薬や抗うつ薬などが投与されます。 たとえば、神経変性疾患やパーキンソン病、アルツハイマー病などに対しては、症状の進行を遅らせるために薬物療法が選択されるのが一般的です。なお、中枢神経障害の疾患の多くは治療法が確立されておらず、薬物療法は単なる対症療法に留まるとされています。(文献1) リハビリテーション 中枢神経障害において、リハビリテーションは疾患により低下した運動機能や、認知機能の改善を目指す治療法です。 具体的には、理学療法士による運動療法、作業療法士による日常生活動作の訓練、言語聴覚士によるコミュニケーション能力の向上を図る訓練などがおこなわれます。 また、認知機能を維持・向上させるための脳トレーニングや、心理的な支援も中枢神経障害におけるリハビリテーションの一環です。 なお、中枢神経疾患のリハビリテーションは、数週間から数カ月にわたって継続されることが多いです。なかでも、パーキンソン病やALS(筋萎縮性側索硬化症)など、進行性の疾患に対しては、リハビリ期間が長期化する場合があります。 再生医療 再生医療も、中枢神経障害の治療における選択肢の一つです。再生医療とは、自然治癒力を最大限に引き出すための医療技術で、幹細胞や血小板の投与によって症状改善を目指す治療法です。 リペアセルクリニックでは、中枢神経障害の原因となる脳梗塞や脳卒中、脊髄損傷に対する再生医療をおこなっています。 当院の幹細胞治療は、少量の脂肪を採取するだけで、十分な量の細胞を培養できる点が特徴です。そのため、身体への負担が少なくて済みます。 再生医療による治療法や具体的な症例について知りたい方は、以下のページをご覧ください。 なお、リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。中枢神経障害の症状でお悩みの方は、ぜひ気軽にご相談ください。 中枢神経障害は原因に合わせて適切な治療法を検討しよう 中枢神経障害とは、脳や脊髄などの中枢神経に異常が生じ、手足のしびれや感覚異常、認知機能の低下といったさまざまな症状を引き起こす疾患です。原因は脳卒中や脊髄損傷、パーキンソン病、アルツハイマー病など多岐にわたり、疾患ごとに治療法が異なります。 中枢神経障害は、早期発見と適切な治療により、症状を改善したり進行を遅らせたりすることが可能です。薬物療法やリハビリテーション、再生医療など、医師の診断のもと適切な治療法を検討しましょう。 中枢神経障害に関するよくある質問 中枢神経障害の診断方法は? 中枢神経障害の診断には、主に以下の検査が用いられます。 MRI(磁気共鳴画像法) CT(コンピュータ断層撮影) 脳波検査 脳脊髄液検査 脳や脊髄の構造や機能を評価するため、一般的に複数の手法を用いて診断されます。 中枢神経障害と末梢神経障害の違いは? 中枢神経障害は、脳や脊髄などの中枢神経系に発生する障害です。 一方で、末梢神経障害は、手足や体幹に伸びる末梢神経に生じる障害のことです。末梢神経障害は、糖尿病や自己免疫疾患などが原因で、手足のしびれや筋力低下といった症状を引き起こします。 中枢神経障害は治る? 中枢神経には再生を阻害する因子が多く存在し、自然に修復されにくいといわれています。(文献2)そのため、中枢神経障害は、原因疾患によって根治が難しい疾患です。 ただし、近年の医療技術の進歩により、リハビリテーションや再生医療を通じて、一定の改善が見込まれる場合もあります。 参考文献 ((文献1) 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「中枢神経疾患治療薬の承認審査の現状と DDS への期待」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/dds/34/5/34_385/_pdf (最終アクセス:2025年5月20日) (文献2) 大阪大学大学院 医学系研究科 分子神経科学「失われた神経回路を取り戻すために」 https://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/molneu/researchp1.html (最終アクセス:2025年5月20日)
2025.05.30 -
- 関節リウマチ
- 内科疾患
「最近、手や膝が痛むようになってきた」 「更年期の影響だと思っていたが、もしかするとリウマチなのではないか?」 更年期に入り、関節痛に悩まされている方の中には、このような不安を抱えている方もいらっしゃるでしょう。 ご家族にリウマチの方がいる場合は、とくに不安が強いのではないでしょうか。更年期関節痛とリウマチには、発症年齢や関節痛以外の症状などの違いがあります。 本記事では、更年期関節痛とリウマチの違いや治療法、セルフケアについて解説します。両者の違いを理解して適切な治療を受けるためにも、ぜひ最後までご覧ください。 更年期関節痛とリウマチの違い この章では、更年期関節痛とリウマチの違いについて説明します。 更年期関節痛とは 更年期関節痛とは、更年期に伴う身体症状の1つです。 近年になって、女性ホルモンの一種であるエストロゲンが減少すると、関節痛や腫れ、しびれが生じることが明らかになりました。エストロゲンには、関節や腱を保護する滑膜の腫れを抑える働きがあります。エストロゲン減少により生じた関節痛や腫れなどが、更年期関節痛と呼ばれます。 主な更年期関節痛は、以下のとおりです。 関節痛の種類 特徴 へバーデン結節 手指の第1関節に症状が現れる ブシャール結節 手指の第2関節に症状が現れる 母指CM関節症 親指の付け根に症状が現れる ばね指 曲げた手指が伸ばしにくくなる ドケルバン病 親指側の手首が痛む 手根管症候群 手のひらが痛んだりしびれたりする 手の関節だけではなく、膝や肩など複数の部分で関節痛が生じる場合もあります。 以下の記事では、ブシャール結節について詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 リウマチとは 関節リウマチは自己免疫疾患の1つです。 関節内の滑膜が自分の免疫によって攻撃されたために、手指の関節痛や腫れ、朝のこわばりといった症状が現れます。進行すると関節の変形や破壊が見られるようになります。 免疫システムの異常や、喫煙をはじめとする環境要因、遺伝的要因が発症に関与していると考えられていますが、現時点で原因は特定されていません。 関節リウマチについては以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 更年期関節痛とリウマチの違いを見分けるポイント 更年期関節痛とリウマチの違いを以下に示します。 更年期関節痛 関節リウマチ 発症年齢と性別による違い 40~50代の女性に多い 閉経前後の10年間に発症しやすい 30~50代の女性に多い 60代以上で発症する場合は、性別による差は少ない。 症状による違い 手指以外にも、膝や肩など複数の部分で関節痛が生じる 関節の腫れは見られない、もしくは軽度 更年期が過ぎると自然に軽減する 関節痛以外の症状としては、体のほてり、発汗、動悸、イライラなどが見られる 手指の関節痛が特徴的(膝や足にも症状が出る場合もある) 関節の腫れやこわばり、熱感などが見られる 徐々に進行し、関節の変形や破壊が生じるケースもある 関節痛以外に、微熱や食欲不振、倦怠感などが見られる 更年期関節痛では時間の経過とともに症状が軽減するケースが多い一方で、関節リウマチは症状が徐々に進行する点が大きな違いといえるでしょう。 更年期関節痛の治療とケア方法 更年期関節痛の治療やケア方法は、主に以下のとおりです。 ホルモン補充療法 薬物療法 日常生活におけるセルフケア ホルモン補充療法 更年期で減少したエストロゲンを補充する治療法です。 子宮を摘出された方の場合はエストロゲンのみを補充しますが、それ以外の方は、エストロゲンと黄体ホルモンを併用します。子宮がある方の場合、エストロゲンのみを補充すると、子宮内膜が異常に増殖する「子宮内膜増殖症」のリスクがあるためです。(文献1) 薬物療法 ホルモン剤以外の薬物療法では、アスピリンやロキソニンといった消炎鎮痛剤や漢方薬などが多く用いられます。 関節痛以外の症状がある場合は、向精神薬や自律神経調整薬も処方されます。 日常生活におけるセルフケア 痛みのない範囲でのストレッチやマッサージは、セルフケアとしておすすめです。血行が促進されて、関節が動きやすくなります。ただし、強く痛むときは安静にしましょう。 バランスの良い食事や適度な運動、睡眠などで生活リズムを整えることもセルフケアの1つです。規則正しい生活は、ホルモンバランスを整えることにつながります。(文献2) 食事においては、女性ホルモンに似た働きをする大豆イソフラボンや、ホルモンバランスを整える働きがあるビタミンEなどを積極的に摂りましょう。ビタミンEが多く含まれる食品は、かぼちゃやほうれん草、アーモンドなどです。(文献3)、(文献4) 更年期関節痛のセルフケアについては、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 リウマチの治療とケア方法 関節リウマチの治療の中心は薬物療法です。 抗リウマチ薬や生物学的製剤、JAK阻害薬などが主に用いられるほか、ステロイド剤や非ステロイド性の消炎鎮痛剤が処方される場合もあります。 関節の変形や破壊が進んだ場合は、手術も選択肢に含まれます。 セルフケアとして第一に挙げられるのは禁煙です。それ以外のセルフケアとしては、栄養バランスの良い食事や適度な運動、休息などが挙げられます。 関節リウマチの治療や予防策については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 更年期関節痛とリウマチの違いに関わらず早めの受診を心がけよう 更年期関節痛とリウマチは原因や発症時期、症状に違いはあるものの、どちらも関節痛が続く疾患です。 更年期関節痛の場合は更年期が終わると徐々に回復しますが、リウマチは進行性であるため、放置しておくと関節の変形や破壊などの症状も現れます。 どちらの場合でも早期発見および、早期治療が大切です。関節痛が続いている方は、整形外科やリウマチ科、婦人科などの医療機関を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。関節痛でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。 更年期関節痛とリウマチの違いに関するよくある質問 更年期関節痛とリウマチを同時に発症する可能性はありますか? 更年期関節痛とリウマチを同時に発症する可能性はあります。 更年期は、女性ホルモンの1つであるエストロゲン減少によりさまざまな心身の症状が発生する時期です。エストロゲンは、免疫系にも影響を与えるホルモンで、炎症を抑える働きがあります。 エストロゲン減少で免疫のバランスが崩れると、リウマチを発症するリスクが高まります。関節痛がある場合は、原因に関わらず、早急に医療機関を受診しましょう。 更年期障害による関節痛はいつまで続きますか? 更年期障害による関節痛は、更年期が終わると徐々に回復に向かいます。しかし、関節痛の原因が更年期ではなくリウマチの可能性もあります。 更年期関節痛とリウマチを同時に発症している場合もあるため、関節痛が続くときは放置せず、早急に医療機関を受診しましょう。 (参考文献) (文献1) 東京医科大学病院 薬剤部「お薬のしおり 更年期障害について」2022年 https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/shinryo/yakuzai/data/240.pdf (最終アクセス:2025年5月22日) (文献2) 全国健康保険協会 栃木支部「ホルモンバランスを整えてグッドコンディションを手に入れよう!」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/file/060911104606.pdf (最終アクセス:2025年5月22日) (文献3) 公益財団法人中国労働衛生協会「更年期の健康課題」2024年 https://churou-wp.sub.jp/wordpress2/wp-content/uploads/2024/02/2201f33f600bac8744116a4596d7c057.pdf (最終アクセス:2025年5月22日) (文献4) 国立研究開発法人 医療基盤・健康・栄養研究所「ビタミンE」「健康食品」の安全性・有効性情報, 2020年11月5日 https://hfnet.nibn.go.jp/vitamin/detail176/#002 (最終アクセス:2025年5月22日)
2025.05.30 -
- 関節リウマチ
- 内科疾患
「関節リウマチで治療を受けているけれど、最近いつもと違う症状が出てきた」 「関節リウマチの合併症にはどのようなものがあるのだろう?」 関節リウマチの治療を受けている方の中には、合併症に関する不安を抱えている方も多いことでしょう。関節リウマチの合併症には、間質性肺炎や骨粗しょう症、シェーグレン症候群などがあります。 本記事では、関節リウマチの合併症および原因、予防のポイントなどを解説します。合併症に関する疑問や不安解消のきっかけになりますので、ぜひ最後までご覧ください。 関節リウマチの主な合併症 関節リウマチの主な合併症として挙げられる7つの疾患を以下に示します。 間質性肺炎 骨粗しょう症 シェーグレン症候群 貧血 アミロイドーシス 肝機能障害 腎機能障害 間質性肺炎 間質性肺炎とは、肺の間質(肺胞壁および肺胞を支える組織)を中心に炎症をきたす疾患です。炎症が進むと、肺全体が固くなります。 主な症状は、息苦しさや乾いた咳(痰を伴わない咳)などです。 進行すると呼吸不全の状態になるケースもありますが、呼吸不全まで進まない種類の間質性肺炎もあります。 骨粗しょう症 骨粗しょう症とは、骨量の減少や骨質の劣化などが原因で骨がもろくなり、骨折しやすくなる疾患です。骨粗しょう症の患者数は、全国で約1,280万人といわれています。(文献1) 骨粗しょう症には閉経後骨粗しょう症や続発性骨粗しょう症などの種類があり、関節リウマチ合併症由来のものは、続発性骨粗しょう症に分類されます。 骨粗しょう症自体は、自覚症状を感じにくい疾患です。症状がないまま徐々に骨が弱くなり、腰椎や大腿骨の骨折などを引き起こす可能性があります。 大腿骨の骨折は、歩行困難や寝たきりを引き起こす大きな原因の1つとされています。 骨粗しょう症については、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 シェーグレン症候群 シェーグレン症候群は、関節リウマチと同様、自己免疫疾患の1つです。(文献2) 涙腺や唾液腺などの慢性的な炎症が起こり、ドライアイやドライマウス、鼻の乾燥などの症状が現れます。 関節リウマチの合併症は二次性シェーグレン症候群と呼ばれており、他の合併症が見られないものは、一次性シェーグレン症候群と呼ばれます。一次性シェーグレン症候群には、病変が全身に及ぶタイプも存在します。(文献2) 貧血 関節リウマチの方は、慢性的な炎症や抗リウマチ薬の副作用などにより、貧血を合併しやすい状況です。 貧血にはさまざまな種類があり、関節リウマチによるものは、鉄分が足りなくなることで起こる小球性低色素性貧血に分類されます。 関節リウマチと貧血の関係については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 アミロイドーシス アミロイドーシスとは、アミロイドと呼ばれる異常なタンパク質が、脳や心臓、腎臓、消化管、神経などのさまざまな臓器に付着し、機能障害を起こす疾患です。 アミロイドーシスには、複数の臓器にアミロイドが付着する全身性と、特定の臓器にアミロイドが付着する限局性があります。 また、アミロイドーシスは遺伝性と非遺伝性にわかれており、多くの患者は非遺伝性です。関節リウマチ合併症によるものも、非遺伝性アミロイドーシスに分類されます。 肝機能障害 関節リウマチに合併する肝機能障害の多くは、薬剤性のものです。とくに、抗リウマチ薬であるメトトレキサートの副作用で肝機能障害が起こりやすいとされています。 リウマチの薬の影響でB型肝炎やC型肝炎のウイルスが活性化し、無症状の方が発症する場合もあります。 自己免疫疾患の一つである関節リウマチでは、他の自己免疫疾患を合併するケースも少なくありません。肝臓疾患としては、自己免疫性肝炎や原発性胆汁性胆管炎などがあります。 腎機能障害 関節リウマチ合併症としての腎機能障害は、ネフローゼ症候群や腎不全などアミロイドーシスに関係しているものが多い状況です。抗リウマチ薬や消炎鎮痛剤の副作用による腎機能障害もあります。 腎機能障害の症状としては、全身の倦怠感やむくみ、タンパク尿などが挙げられます。 関節リウマチと腎機能障害の関係については、以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。 関節リウマチの合併症が生じる原因 関節リウマチの合併症が生じる原因としては、疾患そのものに加えて薬の副作用が挙げられます。 間質性肺炎や骨粗しょう症、シェーグレン症候群などは関節リウマチ由来の合併症であり、肝機能障害は、薬の副作用であることが多い状況です。 腎機能障害には、アミロイドーシスに由来するものや薬の副作用によるものがあります。 関節リウマチの合併症予防と早期発見のポイント 関節リウマチの合併症予防および早期発見のポイントは、主に以下の2つです。 生活管理 定期的な受診 生活管理 関節リウマチ悪化予防のために一番望ましい行動は、禁煙です。(文献3)寝る前や食後の歯磨きや、歯科検診などの歯周病予防も欠かせません。歯周病は関節リウマチ発症や悪化に関係するためです。 貧血や骨粗しょう症といった合併症予防のためには、カルシウムや鉄分の多い、栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。 関節リウマチは抗リウマチ薬やステロイド剤の影響で、感染症を引き起こしやすいとされています。(文献4)手洗いやうがいといった日頃からの感染予防に加えて、必要に応じて各種予防接種を受けましょう。 定期的な受診 合併症の予防や早期発見のためには、定期的に医療機関を受診し、必要な診察および検査を受けることが大切です。いつもと違う症状があるときは、ためらわずに受診し、主治医へ状況を伝えましょう。 症状がないときに受診や内服を中断すると、関節リウマチそのものが悪化してしまい、合併症のリスクも高まります。自己判断での服薬中断は避けてください。 関節リウマチの薬については、以下の記事で解説しています。あわせてご覧ください。 関節リウマチで合併症を引き起こさないためにも継続的な治療が大切 関節リウマチの合併症は、疾患そのものによるものから薬の副作用まで多くの種類が存在します。 合併症予防および早期発見・治療のためにも、日頃から薬の内服を続け、いつもと違う症状があれば、速やかに医療機関を受診しましょう。いつもと違う症状を放置しないことが大切です。 当院「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。関節リウマチおよび合併症についても、お気軽にご相談ください。 関節リウマチの合併症に関するよくある質問 関節リウマチの合併症で亡くなることはありますか? 関節リウマチ合併症の中でも、狭心症や心筋梗塞、脳出血、脳梗塞などの心血管イベントを発症すると、重症の場合亡くなることもあります。(文献5) 関節リウマチは、関節だけではなく血管にも炎症を起こすことがあるため、血管の狭窄や血栓が発生しやすい状況です。そのため心血管イベントにつながる可能性が高いとされています。 合併症の1つである間質性肺炎も、重症化したり急激に悪化したりすると命に関わる場合も少なくありません。(文献6) シェーグレン症候群を治療しないとどうなりますか? シェーグレン症候群を治療しないと、別の病気を発症していることに気づけないリスクがあります。 シェーグレン症候群は現段階では完治が難しいものの、予後は良好とされる疾患です。しかし、経過観察中に間質性肺炎や腎不全、リンパ腫を発症する場合もあります。(文献2)そのため発症後は、定期的な治療や経過観察が必要です。 関節リウマチの合併症で多いのは何ですか? 関節リウマチの合併症はさまざまであるため、どれが一番多いとの断定は難しい状況です。 合併症の1つである間質性肺炎は、関節リウマチ患者の約10~30%に見られています。(文献6) それ以外の合併症としては、肝機能障害や腎機能障害、骨粗しょう症、貧血、シェーグレン症候群、各種感染症などがあります。 (参考文献) (文献1) 公益財団法人 骨粗鬆財団「病気について」 https://www.jpof.or.jp/osteoporosis/faq/faqabout.html(最終アクセス:2025年5月22日) (文献2) 順天堂大学医学部附属順天堂医院「シェーグレン症候群」膠原病・リウマチ内科 https://hosp.juntendo.ac.jp/clinic/department/collagen/disease/disease03.html(最終アクセス:2025年5月22日) (文献3) 一般社団法人日本リウマチ学会「リウマチ・膠原病を心配したら」一般社団法人日本リウマチ学会ホームページ https://www.ryumachi-jp.com/general/collagen-diseases/(最終アクセス:2025年5月22日) (文献4) ファイザー株式会社「日常生活の注意点 関節リウマチと感染予防」リウマチeネット https://www.riumachi.jp/life/caution/infectionprevention(最終アクセス:2025年5月22日) (文献5) 公益財団法人日本リウマチ財団「心血管イベント」リウマチ情報センター https://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rheuma/complications/shinkekkan_event/(最終アクセス:2025年5月22日) (文献6) 東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター「肺炎,間質性肺炎」,2015年6月1日 https://twmu-rheum-ior.jp/diagnosis/ra/ra-complications/ip.html(最終アクセス:2025年5月22日)
2025.05.30 -
- 関節リウマチ
- 内科疾患
「手の指が腫れていて、こわばる感じがする。」「血縁者にリウマチ患者がいるので、遺伝したのでは?」などと、関節リウマチの症状や遺伝について不安を抱える方もいるのではないでしょうか。 関節リウマチ発症には遺伝的要素もありますが、環境要因も発症に関係するため、確実に遺伝するわけではありません。 本記事では、関節リウマチと遺伝の関係性やその他の要因、予防法などについて解説します。 関節リウマチと遺伝に関する疑問を解消したい方は、参考にしてみてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、関節リウマチの治療にも用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。 気になる症状があれば、ぜひご活用ください。 関節リウマチは遺伝要因と生活習慣が関係する 関節リウマチは、自分の免疫細胞が関節の滑膜を攻撃することで関節炎を引き起こす疾患です。 関節リウマチを発症する原因は、現在も完全には解明されていませんが、遺伝的な要因に加えて生活習慣が背景にあるとされています。 たとえば、家族内では食習慣や喫煙習慣などが受け継がれるケースがあるため、関節リウマチの発症リスクと間接的に関係する場合があるのです。 遺伝要因としては、「HLA-DR4」や「HLA-DR1」など、ヒト白血球抗原(HLA)に分類される特定の遺伝子の存在が関与しているとされています。 ただし、関節リウマチの遺伝は、いわゆる単一遺伝子疾患とは異なり、発症に関与する複数の遺伝子が複雑に関係しています。 つまり、特定の遺伝子を持っているからといって、必ずしも関節リウマチを発症するわけではありません。 関節リウマチと遺伝の関係については、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 関節リウマチが遺伝する確率 家族歴がある場合、関節リウマチの発症リスクは高くなることが知られています。複数の研究により、親や兄弟姉妹が関節リウマチである場合、発症リスクは一般人口の約3〜12倍になると報告されています。(文献1)(文献2) 一卵性双生児での発症一致率は12~15%程度、二卵性双生児や兄弟姉妹間の発症一致率は2~4%程度とされています。(文献3) しかし、関節リウマチは遺伝的背景に加えて環境要因も関係するため、確実に遺伝する疾患ではありません。 血縁者に関節リウマチ患者がいても発症しない場合がありますし、血縁者に関節リウマチ患者がいない方でも発症するケースがある点に留意しておきましょう。 男性より女性のほうが遺伝しやすい 関節リウマチは女性に多く見られる疾患であり、発症には男女差が大きく影響していることが知られています。 日本リウマチ学会によると、男女比はおよそ1:3.21で女性に多いとされ、女性ホルモンや免疫機能の違いが関与している可能性があると考えられています。(文献4) また、関節リウマチの発症年齢は一般的に40~60代に多く見られますが、最近では高齢になってから症状が現れるケースが増加傾向にある点も見逃せません。 高齢の発症例では、男女比は1:2~3程度と報告されており、全体と比較して性別による差がやや小さくなる傾向があります。(文献4) したがって、高齢者の場合は、男女の区別なく関節リウマチに注意すべきであるといえるでしょう。 関節リウマチの遺伝と発症メカニズム 関節リウマチの発症には、遺伝的な要因と環境的な要因が複雑に関与しています。 ここでは、関節リウマチに関連する遺伝子や発症メカニズムについて詳しく見ていきましょう。 関節リウマチの発症に関わる遺伝子 関節リウマチの発症には、複数の遺伝子が関与しています。 なかでも「HLA遺伝子(ヒト白血球抗原遺伝子)」は、発症リスクにもっとも大きな影響を与える遺伝的要因とされています。 HLA遺伝子は、免疫機能を調整する働きを持ち、体内の異物を識別して排除するための重要な役割を果たしているのが特徴です。 HLA遺伝子は「クラスI」「クラスII」「クラスIII」の3つの領域に分類されます。(文献5) とくに、クラスII領域のひとつである「HLA-DRB1遺伝子」が関節リウマチと強く関連していることが、近年の研究で明らかになっています。(文献6) 関節リウマチとの関連が判明している代表的な遺伝子は、以下のとおりです。 HLA PTPN22(免疫の働きを調整する遺伝子) PADI4(炎症反応に関与) CCR6(免疫細胞の移動に関与) IL2RA(免疫応答を調節) TNFAIP3(炎症抑制因子の調整) TYK2(免疫関連シグナル伝達に関与) IRF5(免疫応答の転写因子) IRAK1(炎症応答の活性化に関与) CD40(免疫細胞の活性化に関与) 関節リウマチの原因は完全に解明されていない 関節リウマチの明確な原因は、完全に解明されていません。本来自身を守るはずの免疫が誤って自分自身の関節の組織を攻撃する「自己免疫疾患」であり、誤作動によって関節の滑膜と呼ばれる組織に炎症が起き、腫れや痛み、関節の変形が進行していきます。 なぜ免疫が誤って反応してしまうのかについては、遺伝的素因と環境的要因(感染、喫煙、ストレスなど)が複雑に関係していると考えられています。つまり、特定の遺伝子を持つ人が外的な刺激を受けたことをきっかけに、免疫の異常を引き起こす可能性があるわけです。 このように、関節リウマチはひとつの原因で発症するわけではなく、複数の要因が重なり合って発症に至る「多因子性疾患」である点を理解しておきましょう。 炎症性サイトカインが骨を壊す破骨細胞を活性化させる 関節リウマチの発症や進行には、「炎症性サイトカイン」と呼ばれる物質が深く関係しています。サイトカインとは免疫細胞が出すタンパク質の一種で、体内で炎症や感染をコントロールする働きを担っているのが特徴です。 代表的な炎症性サイトカインには、TNF-α(腫瘍壊死因子アルファ)やIL-6(インターロイキン6)などがあります。本来、病原体と戦うために必要な物質ですが、関節リウマチではこれらのサイトカインが必要以上に作られ、関節内に慢性的な炎症を引き起こすのです。 さらに、炎症性サイトカインは「破骨細胞」という骨を壊す細胞を活性化させます。破骨細胞が過剰に働くと関節の骨が次第に溶かされ、骨そのものが破壊されていきます。 その結果、関節の変形が進んで動かしづらくなるなど、日常生活に大きな支障をきたすようになるわけです。 関節リウマチにおける主な検査 関節リウマチにおける主な検査は、血液検査と画像診断です。 血液検査では免疫反応や炎症反応を調べ、画像診断では関節の炎症や破壊の状況を確認します。 なお、一部の民間遺伝子解析サービスで関節リウマチの遺伝子検査が実施されていますが、医療機関で診断に用いられているケースはまれです。 また、一部の自己炎症性疾患に対して遺伝子検査を実施している医療機関もありますが、確定診断ではなく、発症リスクの評価や治療方針の決定に用いられています。 関節リウマチの検査については、下記の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 関節リウマチを予防する生活習慣改善のポイント 関節リウマチは、遺伝的な素因を持つ人が、さまざまな環境因子の影響を受けて発症する疾患とされています。 完全に予防することは困難ですが、発症リスクを低下させるために取り組める生活習慣の改善ポイントがいくつか明らかになっているのでチェックしておきましょう。 禁煙する 喫煙は、関節リウマチの発症リスクを高める要因のひとつです。 タバコに含まれる有害物質が免疫機能に影響を与え、自己免疫反応を誘導する可能性があると考えられています。 関節リウマチの予防と治療において、禁煙は極めて重要です。 喫煙は、一度関節リウマチを発症したあとの病状悪化にも関与するとされ、薬が効きにくくなるなど治療効果の低下にもつながる恐れがあります。 とくに、遺伝的素因がある人は、速やかに禁煙しましょう。 適切な体重を管理する 肥満も、関節リウマチの発症と進行に関わるリスク要因です。 体脂肪が増加すると、炎症性サイトカインの産生が活性化され、免疫のバランスが崩れることで関節リウマチのリスクが高まると考えられています。 さらに、肥満は関節に過剰な負担をかけるだけでなく、発症後の症状悪化や治療効果の低下にも影響を及ぼしかねません。 バランスの取れた食事や適度な運動を通じて適正な体重を維持し、予防につなげていきましょう。 歯周病を予防する 歯周病と関節リウマチには、強い関連があるとされています。 歯周病を引き起こす細菌が免疫系に異常な反応を誘発する可能性があり、自己免疫疾患の発症に関与するとされているのです。 歯周病を予防するためには、日常的な歯磨きに加えて定期的に歯科検診を受けましょう。 とくに、家族に関節リウマチの患者がいる場合や、すでに歯周病の兆候が見られる人は、早めに対処してください。 早期に医療機関を受診する 関節リウマチは、早期発見・早期治療が重要な疾患です。 初期には、以下のような症状が現れます。 朝の手のこわばり 指や手首の関節の違和感 左右対称に出る腫れや痛み これらの症状を放置すると関節の破壊が進み、元の機能を取り戻せなくなる恐れがあるため注意が必要です。 発症の兆候に早く気づき、医療機関で適切な検査と診断を受ければ、関節の機能を保ちつつ進行を抑えることが可能になります。 関節リウマチで注意すべき食生活と運動については、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてみてください。 関節リウマチの痛みに対する「再生医療」の選択肢 近年、関節リウマチによる痛みや炎症に対して「再生医療」が新たな選択肢になっています。 再生医療とは、本来の機能を失った組織や細胞に対して、自分自身の幹細胞や血液を用いる治療法です。 再生医療には、主に2つの方法があります。 他の細胞に変化する能力を持つ幹細胞を患部に投与する「幹細胞治療」 血液中の血小板に含まれる成長因子の働きを活用する「PRP療法」 いずれの治療法も入院や手術は不要で、日帰りでの対応が可能です。 体への負担を抑えた治療を検討している方にとって、手術を伴わない選択肢のひとつとなっています。 当院で行っている関節リウマチに対する再生医療については、以下の症例記事をご覧ください。 まとめ|関節リウマチは遺伝の有無にかかわらず早めに医療機関を受診しよう 関節リウマチは遺伝的な素因が関与しているものの、必ずしも遺伝性疾患とは言い切れません。 関節リウマチが疑われる症状がある場合、家族に患者がいるかどうかにかかわらず、早期の受診が極めて重要です。 初期段階で適切な治療を開始することで、関節の破壊や日常生活への支障を最小限に抑えられます。 また、喫煙や感染、歯周病などの環境要因も発症に関係があるため、生活習慣も改善していきましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、関節リウマチの治療にも用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。ぜひご登録いただき、ご利用ください。 関節リウマチと遺伝に関するよくある質問 関節リウマチになりやすいのはどのような人ですか? 日本での関節リウマチ患者数は60万人~100万人程度といわれており、人口の約0.5%から1%が関節リウマチ患者とされています。(文献7) 関節リウマチは女性に多い疾患であり、男女比は1:3.21です。 年齢で見ると、最も多いのは40代から60代とされてきましたが、近年では65歳以上で発症する「高齢発症関節リウマチ」も増えています。 関節リウマチは父母、もしくは祖母から孫へ隔世遺伝する? 関節リウマチは、親や祖父母が患者であっても、必ず子や孫に遺伝するわけではありません。 確かに遺伝的な素因が発症リスクに関与することは知られていますが、発症しやすい体質が受け継がれる可能性を示すものであり、直接的な遺伝性疾患とは異なります。 生活習慣や環境要因の影響も大きいため、過度に不安になる必要はありません。 関節リウマチ発症における遺伝以外の要因とは何ですか? 関節リウマチの発症は、遺伝的な要因だけではなく、以下のような環境要因も関与します。 細菌やウイルスへの感染 過労・精神的ストレス 喫煙 外傷 出産 上記のような要因が重なって自己免疫反応が活性化し、関節の炎症を引き起こすと考えられています。 参考文献 (文献1) Familial aggregation of rheumatoid arthritis and co-aggregation of autoimmune diseases in affected families: a nationwide population-based study|Rheumatology (Oxford) (文献2) Familial risks and heritability of rheumatoid arthritis: role of rheumatoid factor/anti-citrullinated protein antibody status, number and type of affected relatives, sex, and age|Arthritis Rheum (文献3) 関節リウマチ(RA):トピックス診断と治療の進歩|日本内科学会雑誌 (文献4) 関節リウマチの基礎知識|一般社団法人 日本リウマチ学会 (文献5) 関節リウマチのゲノム医療の入り口としてのHLA遺伝子|臨床リウマチ (文献6) Imputing Variants in HLA-DR Beta Genes Reveals That HLA-DRB1 Is Solely Associated with Rheumatoid Arthritis and Systemic Lupus Erythematosus.|PLOS ONE (文献7) リウマチ等対策委員会報告書」について|厚生労働省
2025.05.30 -
- 関節リウマチ
- 内科疾患
「健康診断の血液検査でリウマチの数値が高いと指摘された」 「リウマチの数値が高い上に、関節が痛んだり腫れたりしている」 「関節リウマチの血液検査の内容を知りたい」 このような疑問や不安をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。 結論から申し上げますと、関節リウマチの血液検査にはさまざまな種類があります。血液検査で異常がなくても関節リウマチと診断される場合も少なくありません。 本記事では関節リウマチの血液検査について詳しく紹介します。 お悩みの症状が関節リウマチに関係しているかの目安がわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。 関節リウマチにおける血液検査の種類 関節リウマチにおける血液検査の種類は、主に以下の3つです。 免疫に関する検査 炎症に関する検査 その他の血液検査 免疫に関する検査 ここでは免疫に関する検査として、リウマトイド因子と抗CCP抗体、MMP-3について説明します。 リウマトイド因子 リウマトイド因子とは、リウマチの診断および治療に有効な検査値で、一般的な基準値は15IU/ml以下です。(文献1) リウマトイド因子が50や100といった高値を示し、関節症状がある場合、リウマチである可能性が高いとされています。 ただし、関節リウマチ以外でも高値を示すこともあるため、この検査だけでリウマチと確定させることは難しいでしょう。 抗CCP抗体 抗CCP抗体とは、関節リウマチの診断や予後の予測に関する検査値で、一般的な基準値は4.5U/ml未満です。(文献2)、(文献3) 検査値が高く、関節症状がある場合、関節リウマチの可能性がきわめて高いといえるでしょう。他のリウマチ因子とは異なり、リウマチ以外の疾患で高値を示すことはまれであるため、関節リウマチの診断に有効な検査です。 抗CCP抗体の数値が高い場合は、関節リウマチの中でも関節や骨の破壊が進みやすいタイプであることを意味します。 MMP-3 MMP-3は、関節リウマチにより炎症を起こしている滑膜で多く分泌される酵素であり、リウマチによる軟骨破壊の程度をあらわします。 MMP-3 の基準値は、以下のとおりです。 男性:36.9~121.0 ng/ml 女性:17.3~59.7 ng/ml (文献3) 関節リウマチの初期段階から上昇するといわれていますが、関節リウマチ以外の疾患やステロイド内服時でも高値を示す場合もあります。 関節リウマチ以外でMMP-3 が高値を示す疾患として挙げられるのは、全身性エリテマトーデスやリウマチ性多発筋痛症などです。 炎症に関する検査 ここでは炎症に関する検査として、CRPと赤血球沈降速度について説明します。 CRP CRPは、全身の急性炎症を示す指標です。 正常値は0.3mg/dl未満であり、炎症が強いときには10mg/dlを超える場合もあります。(文献3)、(文献4) 炎症や組織の破壊が起きたときに、白血球の仲間であるリンパ球や単球、マクロファージが炎症性サイトカインを分泌します。炎症性サイトカインにより肝臓の細胞が刺激された結果分泌されるタンパク質が、CRPです。 CRP値が高値を示す疾患は、関節リウマチ以外に複数存在します。主な疾患としては、以下のようなものが挙げられます。 肺炎 ウイルス性肝炎 腎盂腎炎 そのため、CRP値のみでの関節リウマチ診断は難しいといえるでしょう。 赤血球沈降速度 赤血球沈降速度は慢性炎症の指標です。 細長いガラス管の中に抗凝固剤(クエン酸)を加えた血液を入れて、1~2時間立てておきます。この間に、赤血球が沈んだ深さを検査値とします。 正常値は以下のとおりです。(文献3) 男性:1時間に10㎜未満 女性:1時間に20㎜未満 炎症が起こっているときは赤血球の沈む速度が速くなり、関節リウマチ患者では50㎜前後といわれています。(文献4) その他の血液検査 その他の血液検査として挙げられるのは、主に以下の4項目です。 貧血検査 肝機能検査 腎機能検査 肺機能検査 貧血検査 関節リウマチ患者は慢性的な炎症が原因で、貧血傾向にあります。これは炎症性サイトカインが原因で鉄分の吸収が抑制されるためです。 抗リウマチ薬(メトトレキサート)の副作用で貧血が出現する場合もあります。 貧血の程度を測るための検査値が、赤血球数やヘモグロビン値、血色素量などです。WHO(世界保健機構)の定義によると、成人男性ではヘモグロビン値13.0g/dl以下、成人女性ではヘモグロビン値12.0g/dl以下が貧血とされます。 貧血に関しては、以下の記事でも詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。 肝機能検査 関節リウマチ患者は、メトトレキサートをはじめとした薬の副作用により肝機能が低下する場合があるため、定期的に検査を実施します。 主な肝機能検査は、AST(別名GOT)やALT(別名GPT)です。医療機関ごとに異なりますが、どちらかの検査値が100U/Lを超えた場合は、内服薬を調整するケースが一般的です。(文献5) B型肝炎およびC型肝炎ウイルス検査を実施するケースもあります。肝炎ウイルスは感染しても無症状のことが多いのですが、リウマチの薬により免疫力が低下して、ウイルスが活性化する場合もあるためです。 関節リウマチと薬の関係については以下の記事でも解説しますので、あわせてご覧ください。 腎機能検査 関節リウマチ患者は薬の副作用により腎機能が低下する場合があるため、血液検査で経過を観察します。 主な腎機能検査は、クレアチニンやeGFRです。基準値は医療機関によって異なりますが、クレアチニン値が高い、もしくはeGFR値が低いと腎機能低下の疑いがあります。 リウマチのコントロールが不良の場合、「アミロイドーシス」と呼ばれる合併症を引き起こす可能性があります。アミロイドーシスとは、アミロイドと呼ばれるタンパク質が過剰に作られて、さまざまな臓器に付着した結果起こる疾患の総称です。 腎臓でアミロイドーシスが起きると、ネフローゼ症候群や腎不全を発症する場合があります。 肺機能検査 関節リウマチの合併症および副作用の1つとして、呼吸器疾患があります。重要な呼吸器疾患の1つが間質性肺炎(肺線維症)です。 一般的な肺炎は細菌やウイルス感染により肺に炎症が起こりますが、間質性肺炎は、肺胞の壁に当たる部分(肺胞壁)や肺胞を支える組織に炎症が起きます。その結果、肺全体が固くなります。 間質性肺炎の度合いを表す血液検査の1つが、KL-6です。医療機関ごとに異なりますが、一般的な基準値は500U/ml未満です。KL-6が高い場合は、間質性肺炎の発症もしくは悪化が考えられます。 関節リウマチにおける血液以外の検査 関節リウマチにおける血液検査以外の検査としては、画像検査があります。具体的には、レントゲン検査や超音波検査、MRI検査などです。 レントゲン検査では関節周囲の骨が薄くなる骨粗しょう症や、骨が削られたように欠ける骨びらんなどの状況がわかります。 超音波検査では炎症の状態がリアルタイムに把握できるほか、骨の状況も高感度で確認可能です。 MRI検査では、関節周囲の筋肉や軟骨などの炎症や腫れを確認できます。 血液検査で異常なしでも関節リウマチを発症している場合がある リウマトイド因子や抗CCP抗体などの血液検査が陰性であっても、関節リウマチと診断されるケースがあります。主に挙げられるのが、血清反応陰性関節リウマチとリウマチ性多発筋痛症です。 血清反応陰性関節リウマチの症状や治療法は、一般的な関節リウマチと同様です。血液検査が陰性であるため、超音波検査で関節の腫れや炎症を確認します。 60歳以上で発症する関節リウマチの場合、血清反応陰性例が多いとされています。(文献6) リウマチ性多発筋痛症は、両肩周囲のこわばりや痛みで発症し、手指や足指の腫れや関節痛が少ないのが特徴的です。(文献6) リウマチ性多発筋痛症は関節リウマチと異なり、少量のステロイド剤が治療に使われます。ステロイド剤の量は患者の状況によって調整します。リウマチ性多発筋痛症も高齢での発症が多い疾患です。 関節リウマチの治療については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 血液検査の理解を深めて関節リウマチの改善に努めよう 関節リウマチにおける血液検査は、免疫や炎症に関する項目に加えて、貧血や肝機能、腎機能、肺機能などに関する項目があります。貧血や肝機能などの検査は、薬の副作用や合併症に関連したものです。 関節リウマチの場合、血液検査だけではなく画像診断も大事な指標です。 また、血液検査で異常なしであってもリウマチを発症しているケースもあります。関節痛や腫れ、変形など、リウマチと思われる症状でお悩みの方は、早めに医療機関を受診しましょう。 関節リウマチの方が日常で避けるべき行動について、下記の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。血液検査の結果に疑問や不安をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。 関節リウマチと血液検査に関するよくある質問 関節リウマチの有無は検査後にすぐわかるものですか? 関節リウマチの有無は、検査後すぐにわからないことが多いとされています。 血液検査、とくにリウマトイド因子や抗CCP抗体などは検査結果が判明するまでに数日から1週間程度かかるためです。 画像検査においても、レントゲン検査や超音波検査はすぐに結果がわかりますが、MRI検査の場合は結果がわかるまで数日かかることがあります。 これらの状況から見ても、関節リウマチの有無は検査後すぐにはわからないと考えた方が良いでしょう。 関節リウマチの検査は何科を受診すれば良いですか? リウマチ科や膠原病内科、整形外科などのリウマチ専門医がいる科の受診が望ましいでしょう。 近くの医療機関にこれらの診療科がない場合は、かかりつけの内科を受診して、専門医への紹介状を書いてもらうことをおすすめします。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による関節リウマチの治療を実施しております。お気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) 一般社団法人日本リウマチ学会「リウマトイド因子標準化のガイドライン」一般社団法人日本リウマチ学会ホームページ https://www.ryumachi-jp.com/publish/guide/news110817/(最終アクセス:2025年5月19日) (文献2) 京都大学医学部附属病院リウマチセンター「関節リウマチに関わる血液の検査結果の見方」2013年 https://www.racenter.kuhp.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2013/01/ra2013011702.pdf(最終アクセス:2025年5月19日) (文献3) 順天堂越谷病院「膠原病・リウマチの検査」2020年 https://hosp-koshigaya.juntendo.ac.jp/wp-content/uploads/2020/05/49a86a7ddc1e3f5f01e26b8a369af6e8.pdf(最終アクセス:2025年5月19日) (文献4) Doctors Me 「健康診断の血液検査項目「CRP」 知っておきたい数値の意味」 https://doctors-me.com/column/detail/4886(最終アクセス:2025年5月19日) (文献5) 京都大学医学部附属病院 リウマチセンター「京大リウマチ通信 リウマチで注意する血液データ」2013年 https://www.racenter.kuhp.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2011/05/ra201303.pdf(最終アクセス:2025年5月19日) (文献6) 桑名正隆.「高齢者における診断・治療の進歩:関節リウマチ」『日本内科学会雑誌』111(3), pp.454-460, 2022 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/111/3/111_454/_pdf(最終アクセス:2025年5月19日)
2025.05.30 -
- 関節リウマチ
- 内科疾患
「関節リウマチと診断されて薬を飲み始めた」 「自分が今飲んでいる薬は、どのような効果があるのだろう」 「リウマチの薬は一生飲み続けるものだろうか」 このような疑問や不安を抱えている方も多く、とくに、関節リウマチと診断されて間もない方にとっては切実な問題です。 本記事では、関節リウマチの薬に関して詳しく解説します。 病気の進行が落ち着く「寛解状態」を目指すためにも、ぜひ最後までご覧ください。 関節リウマチの薬は主に5種類 関節リウマチの治療で用いられる薬は、主に以下の5種類です。 抗リウマチ薬 生物学的製剤 JAK阻害剤 非ステロイド性消炎鎮痛剤 副腎皮質ステロイド剤 抗リウマチ薬 抗リウマチ薬には、免疫異常や、関節の炎症およびリウマチの活動性を抑制するはたらきがあります。 メトトレキサート 抗リウマチ薬の第一選択肢がメトトレキサートです。一般的に抗リウマチ薬は、効果が出るまで1~2か月程度かかりますが、メトトレキサートは2~3週間程度で効果が出るといわれています。(文献1) メトトレキサートは、1週間に1日もしくは2日だけ内服する薬です。副作用軽減のために、内服日の2日後に葉酸を内服します。 メトトレキサートの副作用として挙げられるのは、口内炎や貧血、肝機能異常、間質性肺炎などです。 メトトレキサート以外の抗リウマチ薬 メトトレキサート以外の主な抗リウマチ薬を以下に示します。 薬剤名 特徴 内服方法 副作用 サラゾスルファピリジン 軽症から中等症の患者に有用 メトトレキサート内服不可の患者に用いられる 内服開始後1~2か月程度で効果が出る 朝食後と夕食後に1錠内服 1錠は250mgもしくは500㎎ 皮疹 かゆみ 発熱 肝機能障害 ブシラミン 日本で開発された抗リウマチ薬 軽症から中等症の患者に有用 内服開始後1~3か月程度で効果が出る 1日50㎎もしくは100㎎から開始 通常は1日100~200mg 消化器症状 皮疹 肝機能障害 腎機能障害 タンパク尿が出た場合は内服中止 タクロリムス 日本で開発された免疫抑制剤の一種 2005年に関節リウマチへの適応が認められた 血中濃度測定が保険適応になっている 夕食後に内服 成人は1回2錠(3㎎) 高齢者は1回1錠(1.5㎎) 腎機能障害 耐糖能異常 下痢 腹痛 (文献1) タクロリムス内服時にグレープフルーツを食べたり、他の薬剤を内服したりすると、血中濃度が必要以上に上昇する場合があります。 生物学的製剤 生物学的製剤とは、生物から産生されるタンパク質を応用して作られた薬の総称です。 関節リウマチは、免疫に関わる物質であるサイトカインが通常より増えて、関節の炎症や破壊が生じる疾患です。 生物学的製剤は、点滴や皮下注射によって、サイトカインおよびサイトカインを産み出す細胞の働きを抑えます。これにより炎症を和らげ、関節痛や腫れなどの症状を軽減させる仕組みです。 サイトカイン産生細胞には、炎症を引き起こすTNF-αや炎症に関与するIL-6などがあります。 主な生物学的製剤を以下に示します。 薬剤名 特徴 投与方法 投与間隔 インフリキシマブ TNF-αに作用する 点滴 4~8週間に1回 エタネルセプト TNF-αに作用する 皮下注射 1週間に2回 アダリムマブ TNF-αに作用する 皮下注射 2週間に1回 ゴリムマブ TNF-αに作用する 皮下注射 4週間に1回 セルトリズマブ TNF-αに作用する 皮下注射 2週間に1回 トシリズマブ IL-6に作用する 点滴 4週間に1回 サリルマブ IL-6に作用する 皮下注射 2週間に1回 アバタセプト T細胞に作用する 点滴 4週間に1回 T細胞とは、白血球の仲間であるリンパ球の1つであり、免疫機能をつかさどる細胞です。 生物学的製剤については以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 JAK阻害薬 JAK阻害薬は、分子標的型のリウマチ治療薬であり、関節に炎症を起こす分子「JAK」の働きを抑える効果があります。2013年3月にトファシチニブが日本で承認され、同年7月に発売されました。(文献2) 生物学的製剤は注射もしくは点滴での投与ですが、JAK阻害薬は内服可能な薬です。 トファシチニブ以外の主なJAK阻害剤としては、以下のようなものが挙げられます。(文献2) バリシチニブ ベフィシチニブ ウパダシチニブ フィルゴチニブ JAK阻害薬の副作用では、帯状疱疹の発症リスクが高いとされています。加えて、悪性腫瘍や狭心症、心筋梗塞などにも注意が必要です。 JAK阻害薬は費用が高額であるため、医療保険で自己負担3割の方の場合、毎月5万円程度の医療費が発生します。 非ステロイド性消炎鎮痛剤 主な非ステロイド性消炎鎮痛剤は、アスピリンやロキソニン、インドメタシンなどです。プロスタグランジンと呼ばれる、炎症を引き起こす物質の産生を抑えて、関節痛や腫れを軽減させる役割があります。 効き目が速い点が特徴ですが、関節変形を抑える効果は期待できないとされています。 主な副作用は胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの消化性潰瘍や、腎機能低下などです。 最近では、COX-2阻害薬と呼ばれる新しいタイプの薬剤が使用可能になりました。(文献3) 副腎皮質ステロイド剤 関節リウマチでは、症例により少量のステロイド剤を用いるケースがあります。主なステロイド剤は、プレドニンやリンデロン、デカドロンなどです。 炎症を抑える作用や免疫抑制作用が強く、はやく効果が出ます。しかし、骨粗しょう症や消化性潰瘍など、副作用も多いこともあり、リウマチ治療においては補助的な役割です。 抗リウマチ薬や生物学的製剤の使用により、ステロイドを減量もしくは中止する例も増えています。 関節リウマチにおける薬物療法の目的 関節リウマチにおける薬物療法の目的は、「症状を抑えること」から「寛解導入」に移行しています。寛解とは、病気の進行が落ち着いている状態です。 現在、関節リウマチ治療の最終ゴールは、以下3点の達成・維持とされています。 臨床的寛解(炎症がほぼ消えた状態) 構造的寛解(関節破壊の進行が抑えられている状態) 機能的寛解(身体機能の低下がみられない状態) 関節リウマチは進行性の疾患であり、進行を止めることは難しいと考えられていました。その考えに変化が生じたのは、2000年前後です。 1999年に抗リウマチ薬の1つであるメトトレキサートが保険適用され、2003年には生物学的製剤が国内で発売開始されました。これらの変化により、関節リウマチの進行を抑えられるようになったのです。 リウマチの薬を飲まないとどうなるのか 副作用が怖い、症状が改善されたなどの理由により、自己判断でリウマチの薬を飲まなくなる方も少なくありません。しかし、自己判断で薬を中止すると、症状が悪化する可能性が高まります。 とくに、メトトレキサートを中心とする抗リウマチ薬のみの治療を受けている場合は、自己判断で中止すべきではありません。内服をやめた場合、症状の悪化率が倍になったという研究データもあります。 日本リウマチ学会による「関節リウマチ治療ガイドライン2014」を要約すると、減薬の優先度は以下のとおりです。 ステロイド 生物学的製剤 抗リウマチ薬 薬を飲むことに不安や疑問がある方は、自己判断で中止せず、必ず主治医に相談しましょう。 関節リウマチの薬について理解した上で治療を受けよう 節リウマチの薬は、免疫に関係して関節の炎症を抑えたり、関節痛や腫れ、変形を軽減したりする効果があります。 関節リウマチは進行性の疾患ですが、新たな薬の開発が進んでいることもあり、寛解を目標にできるようになりました。しかし、寛解を目標にできるのは、指示どおりに薬を内服している場合です。 自己判断で薬を減らしたり止めたりすると、病気に良くない影響を与えます。副作用が不安である、症状が軽減されたなどの理由で、薬の減量や中止を考えている方は必ず主治医に相談しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。関節リウマチの薬や治療について疑問や不安のある方は、お気軽にお問い合わせください。 関節リウマチの薬に関するよくある質問 関節リウマチの薬が効かず症状が改善されない場合もありますか? 薬物治療の効果が得られないケースもあり、その場合は薬を見直します。 抗リウマチ薬の内服を始めて3か月経過しても効果が不十分であれば、量を増やすか、生物学的製剤に切り替えます。 生物学的製剤を投与する場合も、3~6か月程度の経過観察が必要です。経過観察の結果、効果が不十分と判明したときは、他の生物学的製剤やJAK阻害剤に変更します。 内服・投与治療による効果が見られない場合は、手術療法も選択肢に入ります。 リウマチの治療費が高すぎると感じます。医療費の補助はありますか? 生物学的製剤やJAK阻害剤などは薬代が高いため、医療保険で自己負担3割の方の場合、1か月の医療費が3万円以上になることも少なくありません。(文献4) 医療費を軽減する主な制度が、高額療養費制度です。1か月の医療費が所定の自己負担上限額を超えたときに、加入している医療保険から上限を超えた分が支給されます。 高額療養費制度について詳しく知りたい方は、加入している健康保険組合やお住まいの市区町村役場などにお問い合わせください。通院先の医療機関で確認できる場合もあります。 参考文献 (文献1) 順天堂大学医学部附属順天堂医院 膠原病・リウマチ内科「関節リウマチ」 https://hosp.juntendo.ac.jp/clinic/department/collagen/disease/disease01.html(最終アクセス:2025年5月16日) (文献2) 東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター「JAK阻害薬(ジャックそがいやく)」 https://twmu-rheum-ior.jp/diagnosis/ra/medication/biologics/jak.html(最終アクセス:2025年5月16日) (文献4) 公益財団法人日本リウマチ財団 リウマチ情報センター「非ステロイド抗炎症薬(消炎鎮痛薬)」 https://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rheuma/dtherapy/nsaids/(最終アクセス:2025年5月16日) (文献4) 松野博明.「医療費を考慮した関節リウマチの治療」『臨床リウマチ』34(4), pp.268-274, 2022年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cra/34/4/34_268/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年5月16日)
2025.05.30 -
- 内科疾患
- 関節リウマチ
関節リウマチの発症には、さまざまな原因が関係していると考えられています。 現時点で原因は完全には解明されていませんが、発症の仕組みやリスクを理解することは、予防や悪化防止の観点からも重要です。 本記事では、免疫・遺伝・生活環境といった基本的な要因に加え、ストレス・喫煙・飲酒・歯周病・性格傾向といった身近な要素との関連性についても解説します。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、関節リウマチなどの治療にも用いられている「再生医療」に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。気になる症状があれば、ぜひご活用ください。 関節リウマチの原因 ここでは、関節リウマチの発症に関係する免疫・遺伝・環境の3つの要因を中心に、原因をわかりやすく解説します。 免疫システム 関節リウマチは、免疫の働きに異常が生じる「自己免疫疾患」の一種です。 本来は細菌やウイルスなどを攻撃する免疫システムが、自分の体の一部である関節の内側にある「滑膜(かつまく)」という組織を誤って攻撃し、炎症を引き起こします。 炎症の原因となるのが、「サイトカイン」と呼ばれるたんぱく質です。 サイトカインは免疫細胞から分泌され、なかでも「IL-6(インターロイキン6)」や「TNF-α(腫瘍壊死因子アルファ)」は、炎症を強く進める働きを持っています。 サイトカインが過剰に分泌されることで、炎症が悪化していくのです。 環境要因 関節リウマチの発症には、もともとの体質に加えて生活環境も関わってきます。 免疫の働きに異常が起こると、関節の滑膜や骨などを自分で攻撃してしまい、そこに環境要因が重なることで発症しやすくなるのです。 代表的な環境要因には、以下のようなものがあります。 喫煙 ウイルスや細菌の感染 歯周病 腸内細菌叢の変化 家族に関節リウマチの人がいる場合は、上記のような環境要因をできるだけ避けると発症リスクを減らすことにつながります。 遺伝的要因 関節リウマチの発症には、遺伝的な要因も深く関わっていることがわかっています。 なかでも、代表的なのが「HLA(ヒト白血球型抗原)」という遺伝子です。 HLAは免疫の働きを調整する重要な役割を持っており、特定のタイプをもつ人は関節リウマチを発症しやすいとされています。 また、家族の中に関節リウマチの患者がいる場合、発症リスクが高まることも知られていますが、親や祖父母が患者であっても、必ず子や孫に遺伝するわけではありません。 発症しやすい体質が受け継がれる可能性があるだけで、直接的な遺伝性疾患とは異なります。 関節リウマチの遺伝は、発症に関与する複数の遺伝子が複雑に関係しており、特定の遺伝子を持っているだけで必ずしも関節リウマチを発症するわけではないのです。 関節リウマチと遺伝の関係は下記の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 発症の原因?関節リウマチと各要因の関係性 ここでは、関節リウマチと関係があると考えられている具体的な要因について、詳しく解説します。 関節リウマチとストレスの関係性 現時点では、ストレスが関節リウマチの直接的な原因であるという明確な根拠は見つかっていません。 しかし、ストレスによって免疫の働きが弱まることがあるため、発症に間接的な影響を与える可能性はあると考えられています。 そのため、日頃から規則正しい生活を意識し、しっかりと休養をとることが大切です。 体に負担をかけすぎないよう、身体的なストレスを減らす工夫も心がけましょう。 趣味に没頭する時間をつくったり、信頼できる友人と話したりすることでも、精神的なストレスを軽減できます。 関節リウマチと喫煙の関連性 関節リウマチは、喫煙によって発症リスクが高まることがわかっています。(文献1) 喫煙は心臓や肺などの臓器に悪影響を及ぼすだけでなく、関節の炎症を悪化させたり、治療薬の効果を弱めたりする可能性があるため、関節リウマチの管理においても大きなリスク要因です。 もし自力での禁煙が難しい場合は、禁煙外来でサポートを受ける方法もあります。 また、間質性肺疾患などの合併症を防ぐためにも、禁煙は重要な生活改善のひとつです。 関節リウマチと歯周病の関連性 関節リウマチは、歯周病との関係にも注意が必要です。 歯ぐきの炎症によって起こる歯周病は、単なる口のトラブルにとどまらず、関節リウマチの発症や症状の悪化に関与する可能性があります。 メカニズムは完全に解明されていませんが、歯周病によって口腔内の細菌バランスが乱れると、免疫の異常を引き起こしやすくなるのです。(文献2) 具体的には、次のような対策を行いましょう。 毎日丁寧に歯磨きする 歯科医院で定期的に歯石除去やクリーニングをする 歯科医院で正しい歯の磨き方や、自分に合った歯ブラシの選び方を指導してもらう また、歯の健康状態が悪いと、骨粗鬆症など他の治療にも悪影響を及ぼす可能性があります。 口腔ケアを積極的に行い、全身の健康を守ることにつなげていきましょう。 関節リウマチと飲酒の関係性 現時点では、飲酒が関節リウマチの発症を直接引き起こすという明確な証拠はありません。 一方、アメリカの大規模研究では、純アルコール量に換算して1日5〜10g程度の適度な飲酒をしていた女性は、全く飲まない女性と比べて関節リウマチの発症リスクが低かったと報告されています。(文献3) アルコール10g未満とは、おおよそ以下の量に相当します。 ワイングラス1杯(約120ml) 日本酒0.5合(約90ml) ただし、この研究は女性を対象としたものであり、飲酒を推奨するものではありません。 飲酒において注意したいのが、関節リウマチの治療でよく使われる「メトトレキサート」という薬です。 肝機能に負担をかける副作用があるため、服用する日には禁酒が望ましいとされています。 メトトレキサートは通常、週に1〜2回の服用となるため、主治医の指示に従って飲酒のタイミングを調整しましょう。 関節リウマチと性格の関係性 関節リウマチの原因に、性格そのものが直接関係するという医学的な根拠はありません。 しかし、性格の傾向によってストレスの感じやすさや病気との向き合い方が変わるため、間接的に影響を与える可能性はあります。 たとえば、ストレスに弱いタイプの方は、日常のちょっとした出来事でも精神的な負担を感じやすく、免疫機能が低下しやすい傾向があります。 また、ネガティブな感情に振り回されやすい性格の方は、関節の痛みや腫れが気になると何度も触ってしまい、かえって症状を悪化させてしまうケースも少なくありません。 一方で、我慢強い性格の方は症状があっても医療機関を受診せず、「まだ大丈夫」と無理をして、関節リウマチの重症化リスクを高めてしまう場合もあるでしょう。 このように、性格そのものが発症の直接的な原因ではないものの、ストレスや治療行動に影響がないとは言い切れないのです。 関節リウマチの治療方法 ここでは、関節リウマチに対して行われる代表的な治療法について見ていきましょう。 薬物療法 関節リウマチの治療では、免疫の異常に働きかけて病気の進行を抑える薬と、痛みや炎症を和らげる薬が使われます。 中心となる治療薬は「抗リウマチ薬(DMARDs)」と呼ばれるもので、なかでも代表的なのが「メトトレキサート」です。 メトトレキサートを最大量まで使用しても効果が不十分な場合は、「生物学的製剤」と呼ばれる注射薬を使用することがあります。(文献4) また、炎症を引き起こすシグナル伝達を抑える「JAK阻害薬」という飲み薬を使うケースもあります。 さらに、炎症を抑えるために少量のステロイドを併用することもあり、痛みや腫れのコントロールが可能です。 関節リウマチの薬についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。 手術療法 関節リウマチによる変形や可動域の制限が著しくなった場合には、手術が検討されることがあります。 手術の目的は、関節の痛みや機能障害の改善と日常生活の質(QOL)向上です。 関節リウマチに対して行われる主な手術には、以下のような方法があります。 人工関節置換術 頚椎や腰椎に対する手術 手指の腱断裂に対する再建手術 外反母趾の矯正手術 足関節の固定術 人工関節置換術が最も一般的で、膝・股関節・足・肘・指など、関節の状態に応じてさまざまな部位に適用されます。 リハビリ 関節リウマチのリハビリは、薬による治療と並行して行われます。 関節の痛みや炎症を和らげること、関節の変形や機能低下を防ぐことが主な目的です。 リハビリには、大きく分けて「理学療法」と「作業療法」があります。 理学療法 ・関節を動かせる範囲を保つための訓練 ・筋力を維持・強化するトレーニング ・温めて血流を促す温熱療法 作業療法 ・食事や着替えなどの日常生活の動作を無理なく続けられるように練習 ・関節に負担をかけない動作の指導 ・サポーターや専用道具の使い方の指導 ただし、痛みや腫れが強い急性期には無理に動かさず、安静にすることも大切です。 再生医療 関節リウマチの治療には、再生医療も選択肢のひとつになっています。 再生医療とは、手術を避けたい方や日常生活への影響をできるだけ抑えたい方に適した治療法です。 代表的な方法としては、「幹細胞治療」と「PRP療法」があります。 幹細胞治療:患者様の細胞から幹細胞を採取・培養して患部へ投与する治療法 PRP療法:患者様の血液を採取し、血小板を濃縮した液体を作製し注射で投与する治療法 いずれも注射や点滴による治療のため、入院や手術を必要とせず日帰りで受けられます。 以下の記事は、当院「リペアセルクリニック」で行った関節リウマチに対する再生医療の症例です。再生医療についてもっと知りたい方は参考にしてみてください。 関節リウマチの悪化を防ぐ4つの生活習慣 関節リウマチの悪化を防ぐには、治療だけでなく生活習慣を整えることも重要です。 ここでは、関節リウマチの悪化を防ぐ、4つの生活習慣について解説します。 適度に運動する 関節リウマチの治療では薬だけでなく、体を適度に動かして関節や筋肉の機能を保つことも大切です。 長く安静にしすぎると、筋力の低下や関節のこわばりが進み、日常生活の動きがさらに難しくなる可能性があります。 ただし、痛みや腫れが強い時期の無理は禁物です。症状が落ち着いてきたら、ウォーキングなど関節に負担の少ない運動から始めてみましょう。 また、自宅でできるスクワットや簡単な体操、エアロバイクなども筋力アップに有効です。 バランスの良い食事を摂る 関節リウマチの方にとって、栄養バランスの整った食生活も大切です。 食事の量が減って栄養不足になると、体力が落ちるだけでなく、筋肉量の低下や骨粗鬆症のリスクも高まります。 魚や乳製品、大豆製品などから良質なたんぱく質を摂取し、カルシウムやビタミンDを含む食品も意識的に取り入れましょう。 一方で、白米やパン、菓子類、脂っこい料理などを食べすぎて体重が増えると、膝などの関節に余計な負担がかかるため注意が必要です。 しっかり休息・睡眠時間を確保する 関節リウマチの治療では、十分な睡眠と休養も重要です。 身体的・精神的な疲れがたまると、痛みや炎症が悪化しやすくなり、日常生活への負担も大きくなってしまいます。 毎日同じ時間に寝起きするなど、規則正しい生活リズムに整え、疲労回復やストレス軽減につなげていきましょう。 また、肉体労働や夜勤など、体への負担が大きい仕事をしている場合は、主治医と相談しながら勤務時間や業務内容の調整も検討してください。 関節に負担をかけない生活を心がける 関節リウマチでは、関節に負担をかけにくい生活を心がけ、症状の悪化を防ぐことが大切です。 たとえば、和式トイレや正座の姿勢は、膝や股関節に大きな負担がかかります。洋式トイレや椅子、ベッドを中心とした生活に切り替えると、立ち座りの動作が楽になるでしょう。 また、浴室にシャワーチェアを置いたり、玄関に手すりやスロープを設置したりすると、移動や出入りの際の転倒リスクを減らせます。 身の回りの道具や住環境を自分の状態に合わせて見直し、無理なく安心して暮らせる環境に整えましょう。 まとめ|関節リウマチの原因を理解して悪化を防ごう 関節リウマチの発症には、免疫異常や遺伝的要因、環境要因が複雑に関係しています。 関節リウマチと診断された場合は、薬物療法を続けつつ、生活習慣の見直しで悪化を防ぐことも大切です。 とくに、30代から50代の女性で、関節の腫れや痛み、原因不明の微熱や倦怠感などがある方は、早めに医療機関を受診しましょう。 外科的な治療に抵抗がある方には、手術不要で身体への負担が少ない「再生医療」も選択肢のひとつです。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報提供と簡易オンライン診断を実施していますので、ぜひお気軽にご利用ください。 関節リウマチの原因に関するよくある質問 関節リウマチの原因になるかもしれない食べ物は? 関節リウマチにおいて、特定の食べ物が発症の直接的な原因になると明確に示されたものはありません。 ただし、ステロイド薬を服用している方は、体重の増加や糖尿病、コレステロールの上昇などが起こりやすくなる傾向があります。 過食を控え、脂っこい料理を減らすなど、できるだけバランスの取れた食生活を心がけると良いでしょう。 肥満は関節リウマチを悪化させる原因になる? 肥満は、関節リウマチの症状を悪化させる要因となる可能性があるため、日常的な体重管理が重要です。 体重が増えると、膝や股関節などの大きな関節にかかる負担が増え、痛みや腫れが強くなるリスクが高まります。 症状を安定させるためには、バランスの良い食事と無理のない運動を継続し、適正な体重を保つことが大切です。 関節リウマチの方がやってはいけない仕事はある? 関節リウマチがあるからといって、すべての仕事が制限されるわけではなく、「絶対にしてはいけない職業」というものはありません。 ただし、仕事内容によっては関節に強い負担がかかり、症状を悪化させる恐れがあります。 たとえば、長時間の立ち仕事や歩行、重い荷物の運搬、寒い環境での作業などは注意が必要です。 無理を続けることで関節の炎症が悪化し、仕事の継続が難しくなるケースもあります。 主治医と相談しながら、業務内容や勤務時間を調整することも有効です。 関節リウマチは治る病気? 関節リウマチは、現時点の医学では完全に治すことが難しい病気とされています。 しかし、適切な薬物療法の継続によって症状をしっかり抑えれば、普段どおりの生活を送れる状態に保つことは可能です。 とくに、発症の早い段階から治療を始めると、関節の破壊を防ぎ、病気の進行をゆるやかにする効果が期待できます。 関節リウマチの治療の目標は「完治」ではなく、症状がほとんど現れず、病気の活動性が十分に抑えられた状態「寛解(かんかい)」です。 無理をしない地道なケアの積み重ねが、将来の生活の質を大きく左右します。 関節リウマチは男性でも発症する? 国内の関節リウマチ患者全体を見ると、男女比はおよそ1:3.2で女性に多くみられますが、男性でも発症する可能性があります。(文献5) 高齢になってから発症するケースでは、男女比が1:2〜3程度と小さくなり、男性の発症リスクが高まるため注意が必要です。 気になる症状があれば、性別に関係なく早めに医療機関を受診しましょう。 関節リウマチの初期症状は? 関節リウマチの初期には、関節の症状だけでなく、全身の不調を伴うケースが多いのが特徴です。 たとえば、体がだるい・重い感じがする、食欲が落ちる、体重が減る、微熱が続くといった症状が現れることがあります。 この段階では、関節の痛みや腫れはまだ軽度であり、見過ごされがちです。 病気が進行すると、手指や手首、肩、膝、足首、足の指などの関節に腫れや痛みが生じ、朝起きたときのこわばりが目立つようになります。 倦怠感が続く、関節がはれて痛むといった症状が見られる場合は、早めに整形外科やリウマチ専門の医師に相談しましょう。 早期の診断と治療開始が、関節リウマチの進行を防ぐ上で非常に重要です。 参考文献 (文献1) 関節リウマチ|慶應義塾大学病院(COMPAS) (文献2) 歯周病と関節リウマチの新たな関連メカニズムの可能性|J-STAGE(日本歯周病学会会誌) (文献3) Alcohol consumption and risk of incident rheumatoid arthritis in women: a prospective study|PubMed Central (文献4) Q: 最新の関節リウマチ治療―関節リウマチ|富山大学附属病院 (文献5) 第1部 関節リウマチの基礎|一般社団法人 日本リウマチ学会
2025.05.30 -
- その他、整形外科疾患
「リウマチ検査は陰性なのに指や膝がズキズキする」 原因がわからず不安で情報の検索を続けていませんか? 本記事では変形性関節症や痛風など、リウマチ以外で関節痛を引き起こす主な疾患と見分け方、検査・治療の流れを整形外科医の視点で解説します。痛みを放置せず、早期に適切な対応を取るヒントを見つけてください。 リウマチではない関節痛とは 関節痛は多くの方が経験する症状ですが、必ずしも関節リウマチとは限りません。加齢や過度の使用、外傷、ほかの疾患によって引き起こされることがあります。適切な診断と治療で症状を緩和できることが多いので、長引く症状がある場合は早めに医師にご相談ください。 ここからは、リウマチではない関節痛について詳しく説明していきます。 関節リウマチとの決定的な違い 関節痛とリウマチは似た症状を示すことがありますが、決定的な違いがあります。一般的な関節痛は、使い過ぎや加齢による軽い違和感から始まることが多く、肩や手指、膝などに痛みやこわばり、腫れという症状です。関節の使用後に悪化し、休むと和らぐ傾向があります。 一方、関節リウマチは自己免疫疾患であり、関節の痛み・腫れ・こわばりといった症状に加え、関節を押したり動かしたりすると痛みが強まるのが特徴です。左右対称に症状が現れることが多く、両手の同じ指に症状が出るパターンが見られます。寒い季節や朝起きた直後に症状が強く出やすい傾向があります。 もっとも大きな違いは、リウマチが自己免疫疾患である点です。血液検査でリウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体の存在を確認すると、診断の手がかりが得られます。リウマチは多発性の関節炎として左右対称に現れることが多いのに対し、一般的な関節痛は単関節に限られることもあります。 よくある誤解とチェックポイント 関節リウマチについては多くの誤解が存在します。まず、朝のこわばり=リウマチという考えがありますが、必ずしもそうとは限りません。朝のこわばりは変形性関節症や筋肉の硬直でも起こる症状であり、リウマチに特化したものではありません。 リウマチはどの年齢でも発症する可能性があります。日本リウマチ財団によると、人口の0.4%〜0.5%、30歳以上の人口の1%にあたる人が関節リウマチにかかると言われています。発症のピークは60歳代です。しかし、若い方でも症状が続く場合は専門医の診察を受けることが重要です。(文献1) リウマチの症状は個人差が大きく、典型的な症状が現れないこともあります。持続する関節の痛みや腫れがある場合は、自己判断せずに医療機関を受診してください。早期発見・早期治療により、関節の変形や機能障害を最小限に抑えられます。適切な治療を受けることで、多くの方が日常生活の質を維持しています。 リウマチではない関節痛を起こす主な疾患 関節痛の原因は実に多様で、リウマチ以外にも多くの疾患が関係しています。症状の特徴や現れ方を理解すると、より適切な対処につながります。以下の表では、リウマチと間違えやすい主な疾患とその特徴を紹介します。ご自身の症状に心当たりがある場合は、専門医にご相談ください。 疾患名 主な症状と特徴 更年期障害 ホルモンバランスの変化による関節痛、こわばり。肩や膝、手首などに現れやすく、他の更年期症状(ほてり、発汗など)を伴うことが多い。 変形性関節症(OA) 関節の軟骨がすり減ることで起こる痛み。負荷のかかる膝や股関節に多く、動かし始めに痛みが強く、徐々に和らぐ。年齢とともに発症リスクが高まる。 痛風 尿酸結晶が関節内にたまることで炎症を起こす。突然の激しい痛みが特徴で、足の親指の付け根など単関節に発症しやすい。 腱鞘炎・ばね指 指や手首を動かすための腱とその鞘の炎症。曲げ伸ばしで痛みが生じ、とくに朝に症状が強い。指が引っかかる感じや「バネ」のような動きが特徴的。 関節炎 手の関節の炎症。関節のこわばり、腫れ、痛みを伴うことが多い。 線維筋痛症 全身の広範囲に及ぶ慢性的な痛みがあり、中年以降の女性に多いのが特徴。手足のしびれや動悸、呼吸困難などを伴うことも多い。 手根管症候群 手首の「正中神経」と呼ばれる部分で神経が圧迫される状態。手のしびれや痛みを起こす。手首の反復運動や長時間のデスクワークなどが原因。 リウマチと通常の関節痛を見抜くセルフチェック方法 関節の痛みを感じたとき、それがリウマチなのか一般的な関節痛なのか気になるでしょう。医師の診断を受ける前に、ご自身でチェックできるポイントがいくつかあります。以下の項目を参考に症状を観察してみましょう。 ただし、これはあくまで目安です。正確に診断してもらうためにも医師の診察を受けてください。 痛みが強く出る時間帯・動作 痛みのパターンは疾患を見分ける重要な手がかりです。リウマチの場合、とくに朝起きたときや長時間同じ姿勢でいた後のこわばりがあり、微熱が出る場合もあります。また、だるさや食欲低下も見られます。 変形性関節症などの一般的な関節痛は、動き始めや負荷をかけたときに痛み、休むと痛みが和らぐ場合が多いです。日常生活の中で、どのようなときに痛みが増すのかを記録しておくと診断の参考になるでしょう。 部位と左右差 リウマチの特徴の一つに、左右対称に症状が現れることがあります。たとえば両手の同じ指や両膝など、体の左右で同じ部位に痛みや腫れが生じるケースです。対して、変形性関節症や腱鞘炎などは、使い過ぎや負担のかかり方によって片側に症状が出やすいことが多いです。 リウマチは手首や指の小さな関節から症状が現れることが多いのに対し、変形性関節症は主に体重のかかる膝や股関節などの大きな関節に生じやすいという違いもあります。 腫れ・熱感・発赤・可動域制限の有無 関節の炎症サインの有無も、リウマチを見分ける重要な手がかりです。リウマチでは、関節の腫れや熱感、発赤(赤み)などの炎症症状が明らかに見られることが多く、関節を動かす範囲(可動域)が制限されることもあります。全身症状として微熱や倦怠感、食欲不振などを伴うこともあります。 一方、一般的な関節痛では、軽度の腫れはあっても熱感や発赤が目立たないことが多く、全身症状も少ない傾向です。これらの症状に気づいたら、できるだけ早く医師に相談しましょう。 リウマチと関節痛における検査方法 関節痛の原因を特定するためには、さまざまな検査が必要です。医師は症状や経過に基づいて、適切な検査を選択します。 リウマチの診断には、画像検査と血液検査がとくに重要です。検査を組み合わせると、リウマチかそれ以外の関節痛かを見極められ、適切な治療につなげることができます。 画像検査 画像検査は関節の状態を視覚的に評価する重要な検査です。画像検査には以下の種類があります。 レントゲン検査:骨の変形や関節間隙の狭小化などを確認できる MRI:軟部組織の評価に優れており、関節の滑膜炎や骨髄浮腫、靭帯・腱の状態などを詳しく観察できる 関節超音波検査:リアルタイムで関節の炎症状態を評価でき、滑膜の肥厚や関節液の貯留、血流増加などを非侵襲的に検出できる 画像検査を適切に組み合わせれば、リウマチの早期発見や経過観察、ほかの関節疾患との鑑別が可能です。 血液検査 血液検査はリウマチの診断において必須の検査です。主な検査項目は以下のようになります。 検査項目 特徴 リウマトイド因子(RF) リウマチ患者の約80%で陽性となるが、健康な人やほかの疾患でも陽性になることがあるため、単独での診断確定は難しいとされている CRP(C反応性タンパク) 炎症の程度を示す指標で、関節の炎症が強いと値も高くなる 抗CCP抗体検査 リウマチの早期診断や予後予測に有用とされている 抗核抗体(ANA) リウマチだけでなく、ほかの膠原病の鑑別にも重要 (文献2) 血液検査の結果を総合的に判断し、臨床症状や画像所見と併せて診断が進められます。定期的な血液検査によって、病気の活動性や治療効果の評価も重要です。 リウマチではない関節痛の治療方法 関節リウマチではない関節痛の治療は、原因となる疾患や症状の重症度によって異なります。治療の目標は、痛みの軽減や炎症の抑制、関節機能の維持・改善、そして日常生活の質の向上です。 治療法は大きく分けて、薬物療法と注射治療があり、症状や病態に合わせて適切な治療法が選択されます。ここから詳しく解説します。 薬物療法 薬物療法は関節痛の治療においてもっとも一般的に用いられる方法です。症状や原因疾患に合わせて、適切な薬剤が選択されます。 非リウマチ性の関節痛に対しては、主に痛みや炎症を抑える対症療法が中心となります。使用される薬剤はさまざまですが、どの薬剤も効果と副作用のバランスを考慮して慎重に使用することが重要です。 自己判断での服用は避け、医師の指示に従いましょう。症状の変化や副作用が現れた場合は、すぐに医師に相談してください。 主な薬剤は以下のとおりです。 薬剤 特徴と効果 非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs) 炎症と痛みを抑える効果があり、速効性がある。胃腸障害や腎機能障害などの副作用に注意が必要。 アセトアミノフェン 鎮痛効果があり安全性が高い。比較的副作用が少なく、高齢者や他の薬剤が使用しづらい患者にも使用される。 オピオイド 強力な鎮痛効果があるが、依存性や呼吸抑制などの副作用があり、慎重に使用される。 漢方薬 さまざまな生薬の組み合わせにより、体質に応じた処方ができる。副作用が起こる場合もある。 注射治療 注射治療は、薬物療法で十分な効果が得られない場合や、より局所的な治療が必要な場合に選択されます。関節内や周囲の組織に直接薬剤を注入すれば、全身への副作用を最小限に抑えつつ、効果的に症状を緩和できるでしょう。 注射治療の種類によって効果の持続期間や適応疾患が異なるため、症状や病態に合わせて適切な治療法が選択されます。いずれの注射治療も、感染や出血などのリスクがあるため、清潔な環境で専門医により実施されることが重要です。 治療効果は個人差があり、一時的に症状が悪化する場合もありますので、医師の説明をよく聞いて判断しましょう。 以下は主な注射治療です。 注射治療 特徴と効果 ヒアルロン酸注射 関節内の潤滑機能を高め、クッション作用を補うため、直接患部に注射を行う。即効性はないが、定期的な注射で効果が持続する。 ステロイド注射 強力な抗炎症作用があり、即効性がある。頻回の使用は副作用をおこす可能性がある。 PFC-FD療法 自己血由来の成長因子を利用し、組織の修復・再生を促進する。比較的新しい治療法。 リウマチではない関節痛は放置せず早期の受診を心がけよう 関節痛を感じたとき、年齢のせいや、しばらく様子を見ようと放置してしまいがちです。しかし、持続する痛みは早めに医療機関を受診しましょう。 早期受診のメリットは多くあります。痛みの原因を正確に特定でき、早期に治療を開始すると効果が高まります。日常生活への支障も、最小限に抑えられるでしょう。 関節痛が起きたら、自己判断せず医師への相談が必要です。関節痛でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」のメール相談やオンラインカウンセリングにてお気軽にお問い合わせください。 参考文献 文献1 公益財団法人 日本リウマチ財団「関節リウマチとは」公益財団法人 日本リウマチ財団 ホームぺージ https://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rheuma/ (最終アクセス:2025年5月14日) 文献2 シーズン神奈川リウマチクリニック「リウマチで重要な3つの血液検査」シーズン神奈川リウマチクリニック ホームぺージ https://seasons-kanagawa.jp/blog/ra-bloodtest/ (最終アクセス:2025年5月14日)
2025.05.30 -
- その他、整形外科疾患
背中の痛みや手足のしびれが続くと「強いストレスが脊髄腫瘍を招いたのでは?」と不安になる方は少なくありません。 現代社会においてストレスは避けて通れないものとなっており、さまざまな健康問題との関連性が指摘されています。しかし、ストレスが腫瘍を直接つくるという科学的根拠は現時点で確認されていません。一方、慢性的なストレスは免疫低下や血流悪化を通じて症状を悪化させる恐れがあります。 本記事では脊髄腫瘍の主な原因とストレスとの関係性、早期発見のポイント、日常でできるセルフケアについてわかりやすく解説します。 脊髄腫瘍の原因とストレスの関係性 脊髄腫瘍の発生メカニズムについては、現在の医学でもまだ完全には解明されていません。しかし、もっとも有力な原因として考えられているのは、遺伝子の突然変異です。正常な細胞の遺伝子に変異が生じることで、細胞の増殖が制御できなくなり、腫瘍が形成されると考えられています。 まれなケースですが、家族性に発生する場合もあります。特定の遺伝子異常を持つ家系では、脊髄腫瘍を含むさまざまな腫瘍が発生するリスクが高まることが知られているのです。 現在の医学的知見では、ストレスそのものが脊髄腫瘍を引き起こす明確なエビデンス(科学的根拠)は確立されていません。しかし、後から説明するように、すでに発症した脊髄腫瘍の症状や経過に影響を与える可能性は否定できないと言えます。 脊髄腫瘍の主な原因 脊髄腫瘍は大きく分けて「原発性」と「転移性」の二つに分類されます。それぞれの特徴と発生原因について詳しく見ていきましょう。 原発性脊髄腫瘍 原発性脊髄腫瘍とは、脊髄や脊柱自体から発生する腫瘍のことを指します。これらの腫瘍は良性(進行が遅く、他の組織に広がりにくいもの)と悪性(進行が早く、浸潤性が高いもの)の両方があります。 原発性脊髄腫瘍の代表的なものには以下のようなタイプがあります。 髄膜腫:脊髄を覆う髄膜から発生する腫瘍で、多くは良性 神経鞘腫:神経の保護層(シュワン細胞)から発生する腫瘍で、多くは良性 星細胞腫:星状神経膠細胞から発生する腫瘍で、良性から悪性までさまざま 上衣腫:脳や脊髄の中心にある脳室系や中心管を覆う上衣細胞から発生する腫瘍で、良性から悪性までさまざま これらの腫瘍は通常、遺伝子の突然変異によって発生すると考えられていますが、その具体的なメカニズムはまだ完全には解明されていません。 転移性脊髄腫瘍 転移性脊髄腫瘍は、他の臓器で発生したがん細胞が血流やリンパ流を通じて脊髄に広がった場合に発生します。脊髄腫瘍全体の中では、この転移性のものが多くを占めています。 とくに転移しやすい原発巣(最初にがんが発生した場所)としては以下のがんが挙げられます。 肺がん 乳がん 前立腺がん 腎臓がん 甲状腺がん リンパ腫 黒色腫 (文献1) これらのがんは転移を起こしやすく、脊椎や脊髄周囲に転移する場合があります。転移性脊髄腫瘍の場合、原発巣でのがん発生が関与していることになります。 遺伝性疾患・放射線治療・年齢 脊髄腫瘍の発生リスクを高める要因として、いくつかの遺伝性疾患や環境因子、年齢などが挙げられます。 遺伝性疾患については、神経線維腫症2型が代表的です。この疾患では聴神経鞘腫を主とする腫瘍が特徴的であり、脊髄腫瘍のリスクも高まります。また、フォン・ヒッペル・リンドウ病では脳や脊髄のさまざまな部位に血管芽腫が発生することが知られています。 放射線治療との関連では、過去にほかの疾患の治療目的で放射線治療を受けた部位に、数年から数十年後に腫瘍が発生しているケースです。これは放射線被曝が、腫瘍形成のリスクを高める可能性があるといえます。 年齢も重要な要因の一つです。脊髄腫瘍はさまざまな年齢層で発生しますが、転移性脊髄腫瘍では中高年層での発症リスクが多い傾向です。 ストレスが脊髄腫瘍に及ぼす影響 ストレスそのものが脊髄腫瘍の直接的な原因となる明確な科学的根拠はありませんが、すでに発症した脊髄腫瘍の症状や経過に影響を与える可能性はあります。ここでは、ストレスが脊髄腫瘍患者の身体にどのような影響を与えうるのかを解説します。 免疫低下・炎症促進 ストレスが長期間続くと、体内でさまざまな生理的変化が起こります。とくに注目すべきは、免疫系への影響です。 長期的な心理ストレスが続くと、副腎皮質から分泌されるホルモンであるコルチゾールの分泌が慢性的に高まります。コルチゾールは本来、体のストレス応答を調整する重要なホルモンですが、過剰に分泌され続けると免疫機能に悪影響を及ぼします。具体的には、がん細胞を破壊するナチュラルキラー(NK)細胞やT細胞などの細胞性免疫の働きが鈍くなるのです。 コルチゾールは炎症性サイトカインの産生も促進し、神経組織にむくみや痛みを引き起こしやすい状態をつくります。免疫低下と炎症は、腫瘍そのものの増殖を直接促進する証拠はないものの、疼痛・しびれ・倦怠感といった自覚症状を強め、治療後の回復を遅らせる要因になる可能性があります。 痛み・しびれを増幅 慢性的なストレス状態では、交感神経が優位になり、痛み刺激を増幅する「中枢性感作」という現象が起こりやすくなります。中枢性感作とは、脊髄や脳の痛み伝達経路が過敏になり、通常なら痛みとして感じない程度の刺激でも痛みとして感じるようになる状態です。(文献2) 脊髄腫瘍による神経への圧迫がわずかであっても、中枢性感作によって実際に感じる痛みやしびれが強くなり、QOL(生活の質)が大きく低下する場合があります。痛みによる不眠や食欲不振が重なると、さらに痛みの閾値が下がる悪循環に陥りやすくなります。 脊髄腫瘍の予防につながるストレス解消法 現時点では、ストレスが脊髄腫瘍を直接引き起こす明確な科学的証拠はありません。しかし、ストレスが免疫機能に影響を与え、すでに発症した腫瘍の症状を悪化させる可能性は否定できません。 ここでは、日常生活で実践できるストレス解消法をご紹介します。脊髄腫瘍の直接的な予防にはならないかもしれませんが、全身の健康維持や症状緩和に役立つ可能性があります。 自律神経を整える 自律神経のバランスを整えることは、ストレス耐性を高め、免疫機能を維持する上で非常に重要です。食生活、運動、睡眠の3つの観点から自律神経を整える方法をご紹介します。 まず食生活については、規則正しく、バランスの良い食事を心がけることが基本です。とくに抗酸化物質を多く含む野菜や果物を積極的に摂取し、カフェインや刺激物の過剰摂取は避けましょう。また、日々の適切な水分補給も忘れないようにしましょう。 運動面では、ウォーキングやヨガなどの軽い有酸素運動を定期的に行うことがおすすめです。ただし、過度な運動は逆にストレスになるため、自分のペースで続けられる運動を選ぶことが大切です。可能であれば、自然の中で運動すると、より高いリラックス効果が得られます。 質の良い睡眠も自律神経のバランスを整えるために欠かせません。規則正しい睡眠スケジュールを維持し、寝る前のスマートフォンやパソコンの使用は控えましょう。ブルーライトは睡眠の質を下げることが知られています。 寝室の環境を整え(適切な温度、湿度、静けさを保つ)、就寝前には温かい入浴やストレッチ、読書などのリラックスルーティンを取り入れると良いでしょう。 趣味を楽しむ 日常生活の中で自分が純粋に楽しめる時間を持つことは、ストレス解消に非常に効果的です。音楽を聴くことはストレスホルモンの分泌を抑制し、リラックス効果をもたらします。読書によって物語の世界に没頭すれば、現実の悩みから一時的に離れられるでしょう。 また、以下のような趣味もおすすめです。 絵を描く 楽器を演奏する 料理をする 創作活動は脳内の報酬系を刺激し、幸福感をもたらします。 園芸や散歩など、自然と触れ合う活動もストレスホルモンの低下に効果的です。自分が心から楽しめる趣味を見つけ、定期的な時間の確保が重要です。 趣味の時間は「自分だけの時間」として大切にしましょう。日々の忙しさや責任から解放される時間を持つことで、心に余裕が生まれます。同じ趣味を持つ人々との交流も、新たな刺激や喜びをもたらしてくれます。趣味のサークルやオンラインコミュニティに参加すると、社会的つながりが広がり、それ自体がストレス耐性を高める効果があります。 脊髄腫瘍の治療中や経過観察中の患者さんにとっても、体調と相談しながら無理のない範囲で趣味の時間を持つことは、QOL(生活の質)の向上につながります。身体的な負担が少ない趣味から始めて、徐々に活動の幅を広げていくことも一つの方法です。趣味に没頭することで得られる時間は、痛みの知覚を和らげる効果もあるといわれています。 マインドフルネスを実践する マインドフルネスとは、「今この瞬間の体験に、評価や判断をせずに意識を向けること」を意味します。日常的にマインドフルネスを実践すれば、ストレスへの反応パターンを変え、心の平静を保ちやすくなるでしょう。 マインドフルネス瞑想の基本は、背筋を伸ばしリラックスした姿勢で座り、自然な呼吸に意識を向けることから始まります。息が入ってくる感覚、出ていく感覚に注意を払い、雑念が浮かんでも判断せず、優しく呼吸に意識を戻します。初めは5分程度から始め、徐々に時間を延ばしていきます。 日常生活の中でも、食事をするときは味や香り、食感に意識を向け、歩くときは足の裏の感覚や体のバランスを意識するなど、日常の行動に注意を向けることでマインドフルネスが実践可能です。何かを待つ時間があるときも、その間の呼吸や体の感覚に注意を向けてみましょう。 マインドフルネス実践は、特別な道具や場所を必要とせず、日常生活の中で簡単に取り入れられます。 ストレス解消を心がけて脊髄腫瘍の悪化・発症を防ごう 脊髄腫瘍の直接的な原因はストレスではありません。現在の医学的知見では、脊髄腫瘍の主な発生メカニズムは遺伝子の突然変異であり、家族性の要因や放射線被曝、加齢などがリスク因子となります。 しかし、すでに発症した脊髄腫瘍患者では、ストレスが免疫機能の低下や炎症の促進、痛みの増幅などを通じて症状を悪化させる可能性があります。そのため、日常生活におけるストレス管理が重要です。 脊髄腫瘍の症状(背部痛、しびれ、脱力感など)に気づいたら、早めに専門医を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、脊髄腫瘍をはじめとする神経系疾患の診断・治療に経験豊富な医師が、一人ひとりに寄り添った医療を提供しています。メール相談やオンラインカウンセリングにてお気軽にお問い合わせください。 参考文献 文献1 MSDマニュアル家庭版「脊髄腫瘍」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/09-%E8%84%B3-%E8%84%8A%E9%AB%84-%E6%9C%AB%E6%A2%A2%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%B3%BB%E3%81%AE%E8%85%AB%E7%98%8D/%E8%84%8A%E9%AB%84%E8%85%AB%E7%98%8D(最終アクセス:2025年5月13日) 文献2 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター「心理的因子と痛みの関係における中枢性感作の媒介効果」畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターホームぺージ https://www.kio.ac.jp/nrc/2019/04/11/kio_nrc_press_20190411/(最終アクセス:2025年5月13日)
2025.05.30 -
- その他、整形外科疾患
「最近、足に力が入らない」「歩くときにふらつく」そんな症状が続き、病院で脊髄腫瘍と診断された方もいるかもしれません。 脊髄腫瘍で歩けなくなる可能性はあります。 この記事では、脊髄腫瘍によって歩けなくなる原因や、その後の治療・歩行機能回復の見通しについてわかりやすく解説します。 また、脊髄腫瘍に対しては、再生医療も治療選択肢の一つです。 患者様ご自身の細胞を活用し、損傷した神経や組織の修復を促す治療であり、多くの場合は入院を必要とせず通院で実施可能なため、体への負担が少ないとされています。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 脊髄腫瘍のお悩みを今すぐ解消したい・再生医療に興味がある方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 実際の症例については以下の動画でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/t0J9vVVGGXU 【結論】脊髄腫瘍で歩けなくなる可能性はある 脊髄腫瘍は、脊髄や周辺の神経・血管を圧迫し、歩けなくなる可能性があります。 脊髄腫瘍によって歩けなくなる過程は次のとおりです。 背骨(脊柱)内の脊髄に腫瘍ができ、徐々に大きくなる 腫瘍が脊髄やその周囲の血管を圧迫し、神経の電気信号や血流が遮断される 筋肉に指令が届きにくくなり、脚の力が入らない・しびれるなどの初期症状が現れる 腫瘍の増大や出血、骨折を起こすと、急激に麻痺が進行する場合がある 首・胸・腰といった発生部位によって症状の出方は異なりますが、放置すればするほど症状は進行しやすく、回復が難しくなる傾向にあります。 歩きづらさやしびれ、ふらつきといった症状が続く場合は、医療機関を受診し適切な治療を受けましょう。 脊髄腫瘍の歩行回復の可能性 脊髄腫瘍によって歩けなくなっても、手術後に歩行機能が回復する可能性はあります。 国立病院機構整形外科の研究によると、脊髄内の腫瘍を手術で切除した患者の84.6%がサポートなしで歩けるようになったという報告もありました。(文献1) 腫瘍が神経を圧迫すると歩けなくなることがありますが、原因を取り除けば再び歩ける可能性があります。 しかし、以下のようなケースでは、歩行の回復が難しい傾向にあるため注意が必要です。 腫瘍の発見が遅れ、長期間ベッド上での生活を送っていた方 高齢で神経や筋力の回復力が低下している方 脊髄腫瘍で歩けなくなる症状は、早期の発見と治療で回復の可能性が高まります。歩行に不安がある場合は、ひとりで抱え込まず脊椎や脳神経の専門医に相談しましょう。 脊髄腫瘍の症状|しびれや歩行障害 腫瘍ができた部位によって異なりますが、脊髄腫瘍の主な症状はしびれや筋力の低下、歩行のふらつきです。 一般的には手足の違和感や痛み、しびれといった軽度の神経症状から始まり、徐々に感覚障害や筋力の低下が進行します。放置すると歩くのが難しくなり、転倒を繰り返すようになる場合もあります。 脊髄腫瘍の症状は加齢による神経の衰えや腰痛と誤解されやすいため、注意が必要です。 腫瘍の発生部位ごとの主な症状と歩行への影響は、以下の通りです。 発生部位 主な症状 歩行への影響 頸髄(首) 手足や体幹の感覚障害や麻痺 首の痛み 足の感覚低下 しびれ ふらつき 転倒 胸髄(胸) 胸部以下の感覚障害 両足の筋力低下 背部痛 歩行時のふらつき バランス喪失 腰髄(腰) 足の痛みやしびれ 腰痛 下肢の筋力低下 歩行時に足が痛む しびれ 足がもつれる また、以下の症状がみられる場合は、脳神経外科や整形外科を受診しましょう。 首や腰、背中の痛みが長く続く 温度の感覚が鈍くなる 歩きにくい 症状に気づいた段階で専門医に相談できれば、進行を抑える可能性が高まります。 しかし「手術は成功したのに、しびれが取れない」「リハビリを続けているが、思うように改善しない」といった、治療後の後遺症や神経障害に対して、幹細胞を用いた再生医療が新たな治療の選択肢として注目されています。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 脊髄腫瘍の手術後も神経症状が残っている方 手足のしびれや感覚障害が改善しない方 歩行のふらつきや転倒の不安がある方 リハビリを続けているが効果を感じない方 手術は避けたいが症状を改善したい方再生医療 脊髄腫瘍治療後の後遺症や神経障害でお困りの方、再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度当院(リペアセルクリニック)へご相談ください。 脊髄腫瘍の治療法 脊髄腫瘍によって歩けない場合の一般的な治療法は、以下の通りです。 外科的手術 放射線療法 投薬治療 再生医療 腫瘍を取り除き神経の圧迫を緩和できれば、症状の改善が期待できます。 手術を伴わない再生医療という新しい治療法も選択肢の一つとして紹介します。 外科的手術 脊髄腫瘍の外科的手術は、神経を圧迫している腫瘍を直接取り除く治療法です。良性腫瘍や、症状が進行しているケースでは第一選択となります。 以下は、手術のおおまかな手順の一例です。 全身麻酔をかける 顕微鏡で神経や腫瘍を確認しながら腫瘍を少しずつ摘出 背骨が不安定な場合は金属や人工骨で固定 術後は経過観察とリハビリを実施 良性腫瘍の場合、腫瘍が完全に摘出できれば再発の可能性はほとんどありません。一方で、腫瘍がすべて取り切れなかったり、再発のリスクがあったりする場合は、放射線などの治療を追加で行うこともあります。 入院期間は一般的に2〜3週間程度が目安で、術後にはリハビリが必要です。 脊髄腫瘍の外科的手術は、腫瘍を取り除くことで神経の働きが回復し、しびれや歩けない状態の改善が期待できます。しかし、脊髄を損傷するリスクもあるため、治療方針は医師と十分に相談しましょう。 放射線療法 脊髄腫瘍の放射線療法は、手術で取りきれなかった腫瘍や、切除が難しい部位に対して体の外から放射線を照射して、腫瘍細胞の弱体化や縮小を目指します。 脊髄腫瘍の放射線療法は、以下の副作用がみられることがあります。 疲労感 食欲不振 白血球や赤血球の減少など そのため、治療中は体調管理や定期的な検査が欠かせません。腫瘍の種類や部位によって効果に差があるため、医師と相談して治療計画を立てましょう。 投薬治療 脊髄腫瘍に対する投薬治療は、痛みや麻痺、排尿障害などの症状を和らげるための対症療法や、手術・放射線と組み合わせる補助療法として行われます。 腫瘍の種類や症状の程度に応じて、主に以下のような薬が使われます。 薬の名前 使用する場面 コルチコステロイド 多くは手術を前提とした処置 腫瘍が脊髄を圧迫している場合に腫れを抑える目的で使用 痛み止め 手術ができないケース 術後に腰や背中の痛み・しびれが残る場合 排尿しにくさを改善する薬 排尿コントロールが難しいとき 抗がん剤(化学療法) がん細胞の増殖を抑制する目的 主に悪性腫瘍や転移において使用 投薬治療には副作用のリスクも伴うため、定期的な検査が必要です。医師と相談しながら、症状や体調に合った薬を選びましょう。 再生医療 再生医療は、脊髄腫瘍による歩きにくさに対する治療の選択肢の一つです。 自身の細胞や血液を用いて、損傷した神経や組織にアプローチします。多くの場合、手術を伴わず通院で治療が可能なため、体への負担が少ないのも特徴です。 https://youtu.be/NeS1bk2i5Gs?feature=shared 以下のお悩みを抱えている方は、再生医療による治療も選択肢としてご検討ください。 脊髄腫瘍で歩けないことに不安を抱えている 手術以外の治療法を探している 長期の入院が難しい リハビリの効果が十分に感じられない 手術後のしびれや痛みに悩んでいる 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療に対応しています。治療に関するご不安やご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。 脊髄腫瘍のリハビリ 脊髄腫瘍の治療では、手術や放射線治療と並行して行うリハビリが重要です。 主なリハビリの流れは、以下の通りです。 時期の目安 主なリハビリ内容 術後すぐ~2週間程度 関節の曲げ伸ばしをして可動域を保つ 呼吸に使う筋肉を鍛え、持久力の向上を図る 症状が安定し、訓練が可能になったら 寝返りや起き上がり、食事、排泄の訓練 松葉杖や歩行器の使用 体幹や太ももなどのトレーニング 関節の位置感覚を取り戻す訓練 手術後半年以降 残った機能の維持と強化を継続する 神経の損傷や圧迫によって低下した運動機能・感覚機能を取り戻すために、手術後できるだけ早い段階からリハビリが開始されます。 歩けるようになるためには、単に筋力を鍛えるだけでなく足やつま先が今どこにあるかを感じ取る感覚を取り戻すことも重要です。胸部の背骨にできた脊椎腫瘍の手術を受けた方では、この感覚が足の親指で低下していると、術後に歩けるようになるまで時間がかかるという報告があります。(文献2) 退院後も、外来・訪問・通所リハビリなどを活用して、残存機能の維持と強化を継続しましょう。医師やリハビリスタッフと相談しながら、無理のないプランを立てることが大切です。 脊髄腫瘍で歩けないことにお悩みの方は当院へご相談ください 歩こうとしたときのふらつきや脚に力が入らない感覚は、脊髄腫瘍が神経を圧迫している可能性があります。 脊髄腫瘍が進行すると、歩けない・立てないなど日常生活に影響を及ぼす状態につながるため、早期の受診が重要です。 脊髄腫瘍は、手術や放射線治療によって歩けるようになる場合があります。 また、再生医療も、脊髄腫瘍に対する治療法のひとつです。 再生医療は、患者様自身から採取・培養した幹細胞を利用する治療法です。手術や入院が不要なため、手術のリスクを避けたい方、長期入院が難しい方は、一度ご検討ください。 当院「リペアセルクリニック」では、患者様一人ひとりの状態に応じた治療計画を提案し、十分な説明とご相談の上で治療を進めております。 再生医療による治療に興味がある方は、お気軽にご相談ください。 脊髄腫瘍で歩けない方からよくある質問 脊髄腫瘍とはどんな病気ですか? 脊髄腫瘍とは、背骨の中を通る脊髄と呼ばれる神経の周囲に腫瘍ができ、神経を圧迫する病気です。発生部位や性質によって良性・悪性に分かれ、治療法も異なります。 脊髄腫瘍の発生場所や特徴は、以下の通りです。 場所 主な発生源 特徴 治療の考え方 硬膜外(骨と脊髄の外側) ほかの臓器からの転移が最多 骨を壊しながら大きくなり、神経を強く圧迫 手術+放射線・薬でコントロール 硬膜内髄外(脊髄の内側、脊髄の外) 神経の膜や鞘からできる良性腫瘍 大きくなるまで無症状のこともある 小さければ経過観察、大きければ手術 硬膜内髄内(脊髄そのもの) 脊髄内部の細胞 悪性が多く進行が速い 早期に手術・放射線を検討 腫瘍が大きくなると、背中や手足の痛み・しびれ、力の入りにくさが出現し、放置すると歩けなくなったり排尿が難しくなったりすることもあります。 症状が軽いうちにMRIなどの精密検査を受け、専門医と治療方針を相談しましょう。 脊髄腫瘍の診断・検査方法は? 脊髄腫瘍の診断では、痛みやしびれ、ふらつき、筋力低下、排尿・排便障害といった神経症状を確認します。 さらに、腫瘍の有無や位置を特定するために、必要に応じて以下のような検査を行います。 検査名 検査内容 実施の目的 MRI トンネル状の装置を使用し身体の断面を画像化する 神経や腫瘍の形・位置・血流を詳細に確認 CT レントゲンと同じX線を照射し、断面の画像を作成する 骨の破壊や変形の有無を確認 電気生理検査 筋肉に細い針を刺して筋肉の収縮を調べる ヘルニアとの鑑別・神経伝導の状態を確認 生検 細い針を刺して腫瘍の組織を採り顕微鏡で調べる 良性・悪性の確認や種類を確定 なお、脊髄腫瘍の確定診断には画像検査が不可欠です。 脊髄腫瘍の原因は? 脊髄腫瘍のはっきりとした原因は、まだ明らかになっていません。 原因として考えられている要因には、以下のようなものがあります。 体内の細胞がなんらかの理由で異常増殖する 肺がんや乳がんなど他の臓器からの転移 また、ストレスが免疫力や自律神経に影響を与えることで、症状の悪化や体調不良を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。 脊髄腫瘍の予後は? 脊髄腫瘍の予後は、腫瘍の種類によって大きく異なります。 腫瘍の種類と生存率について、253人を対象とした研究では以下のような結果が報告されています。(文献3) 腫瘍の種類 上衣腫瘍 血管芽腫 星状細胞腫瘍 特徴 脊髄の上衣細胞から発生する 比較的手術で取りやすい 脊髄内の血管が増殖してできる良性の腫瘍 全摘出しやすい 星状細胞(神経膠細胞)由来 悪性の場合もあり、手術で全摘出が難しい 5年後の生存率 86.7% 88.7% 67.8% 10年後の生存率 86.7% 88.7% 58.1% 15年後の生存率 76.3% 53.2% 記載なし 上衣腫瘍と血管芽腫は比較的全摘出が可能で、長期生存率も高い傾向にあります。一方、星状細胞腫瘍は全摘出が難しいことが多く、5年・10年後の生存率も低めです。 腫瘍の種類を正確に見極めることが、治療方針や予後の予測において重要です。 参考文献 (文献1) 硬膜内髄外脊髄腫瘍患者における腫瘍切除後も術前の歩行障害の程度は残るか? | 国際脊髄学会誌 (文献2) 足の親指の関節位置感覚の障害を伴う脊椎腫瘍患者では、初期段階での歩行機能の術後回復が遅れる|J-STAGE (文献3) 髄内脊髄腫瘍の外科的切除後の生存と機能的転帰:22年間にわたる253人の患者のシリーズ | PubMed
2025.05.30 -
- 脊髄損傷
- 脊椎
普段から坐骨神経痛に悩まされていて、痛みのせいで眠れずにお困りの方もいるのではないでしょうか。 坐骨神経痛の痛みが和らいだ状態で眠れる寝方は、いくつかあります。 本記事では、坐骨神経痛の痛みを和らげる寝方や、妊娠中の痛みを軽減する寝方、痛みで眠れないときの対処法を徹底解説します。 坐骨神経痛の痛みを軽減して眠る方法やポイントを理解し、今夜から少しでも楽にお休みください。 \坐骨神経痛に対する再生医療とは/ 慢性的でつらい坐骨神経痛に対しては、再生医療という治療の選択肢もあります。 再生医療とは、患者さまご自身の血液や細胞が持つ自然治癒力を活用し、損傷した神経や周囲組織の修復を促す治療法です。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 手足のしびれや痛みが長期間続いている 保存療法(薬・注射・リハビリ)では改善がみられない 手術はできるだけ避けたいと考えている 手術を受けたが、痛みが残っている、あるいは再発してしまった >>再生医療専門の「リペアセルクリニック」に無料相談する 坐骨神経痛は、適切な治療を受けずに放置すると、歩行困難や日常生活への支障が大きくなる可能性があります。 さらに、一度強く傷ついた神経は回復に時間がかかり、症状が徐々に悪化してしまうケースも少なくありません。 「この痛みとずっと付き合っていくしかないのだろうか」「他にできる治療はないのか知りたい」という方は、ぜひ一度当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 坐骨神経痛を緩和する寝方 腰の痛みに加えて、お尻から脚に至る範囲でしびれを伴う坐骨神経痛は、日常生活にさまざまな悪影響を及ぼします。 坐骨神経痛では、痛みやしびれにより熟睡できないことも多くあります。しかし、寝方を工夫するだけで、痛みを和らげながら眠れます。 ここでは、坐骨神経痛の症状が和らぐ寝方を紹介します。 坐骨神経痛の原因や治療法について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。 横向き寝 横向きで眠る際には、膝を曲げ膝の間にクッションを挟むと痛みが和らぎ、熟睡が期待できます。(文献1) 坐骨神経痛の方が横向きの睡眠で痛みを感じる理由は、腰のほぼ中心を腰椎が通るのに対し、周辺には筋肉や内臓しかないためです。 横向きの場合、腰回りの筋肉が体を支えようと緊張するため、骨盤内を通る坐骨神経が筋肉に圧迫されて痛みが強まってしまうのです。 横向きで寝るときは、痛い部位を上に向けることがポイントです。これにより、筋肉による神経の圧迫で生じる痛みを抑えられます。さらに、膝の間にクッションを挟むと、クッションが腰を支えて足の筋肉が緩むため、痛みが軽減されます。 仰向け寝 仰向けで寝るときは、膝を立てた姿勢を意識しましょう。 坐骨神経痛の方が通常の仰向け姿勢で眠るだけでは、腰が前方に反って敷布団から浮いた状態になります。この状態が続くと、腰からお尻、脚につながる坐骨神経が圧迫され、痛みが強まる原因となります。 そのため、膝を立てた姿勢で仰向けになることで、腰の反りが緩和され、神経の圧迫が緩んで痛みを抑えられます。ただし、意識的に膝を立てて寝ようとすると熟睡できないこともあります。そこで、仰向けで寝る場合は、膝の下にクッションや丸めたタオルを置くのがおすすめです。(文献1)自然に膝が曲がり、腰への負担を減らしながら、無理のない姿勢で眠れます。 妊娠中に坐骨神経痛を緩和する寝方 妊娠中に坐骨神経痛を感じる場合は、横向きに寝て、痛みが出やすい側を上にする姿勢が基本です。併せて膝を軽く曲げ、両膝の間にクッションなどを挟むと、骨盤や腰への負担が和らぎます。横向きで膝を軽く曲げることで体のバランスが安定し、坐骨神経への圧迫を軽減しやすくなります。 また、就寝時はお腹や腰周りへの冷えを防ぐことで、坐骨神経痛の症状を緩和できます。 なお、横向きに寝る際は、胎児への影響を考慮し、あらかじめ主治医にもご相談ください。 坐骨神経痛の痛みで眠れないときの対処法 坐骨神経痛を抱えている場合、熟睡できずにお困りの方もいると思います。 もし坐骨神経痛で眠れないときは、以下の方法をお試しください。 寝方の変更 横向き姿勢で寝ると、仰向けよりも腰や足への負担が軽くなるとされています。横向きの際は痛みを感じる部位を上に向けるのがポイントです。 なお、抱き枕やタオルなどを抱えて寝ると、横向き姿勢が維持しやすくなります。 就寝前の水分摂取 坐骨神経痛で寝られないときは、就寝前の十分な水分摂取も有効な対処法です。人間は寝ている間も汗をかくため、睡眠中は水分が不足しがちです。 寝ている間に体内の水分が不足すると、筋肉や神経がこわばり、筋肉の緊張や、神経の興奮状態を引き起こすため、痛みやしびれを感じやすくなります。 就寝前に水や白湯を飲むことで、夜中の急激な痛みやしびれを抑えられることが期待できます。 寝冷えの防止 夜間に体を冷やさない工夫も、坐骨神経痛で眠れない対策として重要です。空調や冬の寒さなどで体が冷えると、血行不良になります。 坐骨神経の周りには多くの血管が張り巡らされているため、冷えの影響で血行不良が起きると、筋肉が硬くなったり緊張したりして、痛みを感じやすくなります。 夏場は部屋を冷やしすぎないように、冬場はしっかり布団をかけるなどの工夫が求められます。 坐骨神経痛を悪化させない寝返り方法 就寝中に寝返りを打つのは、体への負担を分散させるために必要な自然な動きです。しかし、坐骨神経痛を抱えている方では、寝返りの際に痛みを感じることがよくあります。 痛みを悪化させずに寝返りを打つには、まず仰向けの姿勢で両膝を立てましょう。この際、股関節も深く曲げると、腰への負担が軽減されます。 次に、腹筋に軽く力を入れながら、上半身と下半身を同時に動かすように意識して、寝返りを打ちます。上下同時に動かすことで、腰や坐骨神経への余計な刺激が抑えられます。 坐骨神経痛におすすめの寝具の選び方 坐骨神経痛の症状を和らげるには、寝具の選び方も重要です。 理想的なマットレスを選ぶポイントは、次の通りです。 適度な反発性がある 体圧が分散されやすい 厚みが十分あり、寝返りを打ちやすい 適度な反発性のあるマットレスは、寝ているときでも立っているときに近い姿勢が保ちやすく、背骨のS字カーブが維持できます。そのため、背骨や腰への負担が軽減され、坐骨神経痛でも痛みが軽減されやすくなります。 また「体圧が分散されやすい」マットレスは、背中や腰など特定の部位に圧力が集中しにくいため、腰への負担が和らぎ、坐骨神経痛による痛みを感じにくくします。 さらに、十分な厚みがあれば、寝返りの際に腰への負担を軽減できます。 マットレス以外に、枕も適切なものを選ぶことが大切です。枕は、適切な高さで、頭が沈み過ぎず、首から背骨のラインが自然につながる高さと硬さがあるものが向いています。 仰向けで寝たときに目線がやや下を向くものや、横向きになった際に背骨の延長線上に頭が来る程度のものがおすすめです。 坐骨神経痛を寝方以外で緩和する3つの方法 坐骨神経痛を寝方以外で緩和する代表的な3つの方法を紹介します。 保存療法 手術療法 再生医療 坐骨神経痛の痛みは、安静にしていると自然に軽減するケースもあります。実際、発症直後であれば、無理をせず数日ほど体を休めると症状が和らぐことも少なくありません。 ただし、長期間の安静は注意が必要です。動かない状態が続くと筋力が低下し、かえって回復までに時間がかかる場合があります。(文献1) 症状の程度や原因に応じて、寝方の工夫以外にも適切な治療や対処法を知っておきましょう。 保存療法 保存療法は、手術を行わずに症状の改善を目指す治療法です。坐骨神経痛の初期~中期の段階で広く行われ、主に冷温療法、薬物療法、リハビリテーションがあります。 冷温療法:痛みが強い急性期には冷やして炎症を鎮め、慢性期になると温めて血流を促し筋肉の緊張を和らげます。 薬物療法:消炎鎮痛薬や筋肉の緊張を和らげる薬などを用いて、痛みやしびれの軽減を図ります。 リハビリテーション:ストレッチや筋力トレーニングを通して、腰や骨盤周囲の筋肉のバランスを整え、神経への負担を減らします。 保存療法は体への負担が比較的少ない一方で、効果を実感するまでに時間がかかるのが特徴です。 手術療法 椎間板ヘルニアなどにより坐骨神経への圧迫が強く、痛みやしびれが長期間持続している場合には、手術が検討されることがあります。(文献1)保存療法を続けても改善が見られないケースや、日常生活に大きな支障が出ている場合は、神経の圧迫を直接取り除く目的で選択されます。 ただし、手術には体への負担や回復期間を要するため、症状の程度や生活への影響を踏まえて慎重な判断が大切です。 再生医療 近年では、手術と保存療法の中間的な選択肢として、再生医療に注目が集まっています。再生医療は、患者さん自身の脂肪由来の幹細胞を用いて、傷ついた組織の修復や炎症の抑制を促す治療法です。 坐骨神経痛では、原因となる椎間板や周囲組織への負担軽減が期待されます。 「保存療法では改善しないけれど手術は避けたい」と感じている方にとって、新たな選択肢の一つとなる可能性があります。 当院(リペアセルクリニック)では、手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 【こんな方はご相談ください】 再生医療が自分の症状に適しているのか知りたい 手術以外の治療法について相談したい これ以上悪化させたくないが、どうすればよいか分からない くわしくは、以下の腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛が改善した症例をご覧ください。 坐骨神経痛で注意すべき3つの寝方 坐骨神経痛では、痛みを和らげる寝方がある一方で、症状を悪化させてしまう寝方もあり、注意が必要です。 ここではこれまで紹介したポイントを踏まえ、坐骨神経痛の方が避けたい代表的な寝方を3つ解説します。 うつ伏せ寝 坐骨神経痛では、うつ伏せ寝は基本的に避けた方が良い寝方です。うつ伏せでは、腰椎が反った状態になりやすく、坐骨神経に負担がかかり強く痛みが出ます。 また、腰椎だけでなく首や背中にも無理な力がかかるため、坐骨神経痛の悪化だけでなく、首や肩にも痛みが出てくる場合もあります。 基本的にはおすすめできない寝方ですが、ご本人が楽な場合はうつ伏せ寝も可能とされています。(文献1) 痛い方が下 横向きで眠る場合に、痛みを感じる側が下になる寝方は避けましょう。痛い方を下にした場合、坐骨神経が腰回りの筋肉と寝床に挟まれるため、神経が圧迫され強い痛みが生じます。 このため、坐骨神経痛を抱えている方は、痛む部位が上になるように、横向きに寝るのがおすすめです。 長時間同じ姿勢 長時間同じ姿勢での睡眠も、坐骨神経痛を悪化させる原因となり、避ける必要があります。寝返りを打たずに同じ姿勢で寝続けていると、特定の筋肉や神経に負荷がかかり続けるためです。 就寝中に気付いたときは、無理のない程度に寝返りを打つなどして、極力同じ姿勢の寝方にならないようにしましょう。もし、寝返りが打ちづらい場合は、日ごろから筋トレやストレッチなどで筋肉の柔軟性を高めておくのがおすすめです。 なお、坐骨神経痛では就寝中だけでなく、起きている間の座りっぱなしにも注意が必要です。座りっぱなしの場合は、30分に1回をめどに立ち上がり、体を動かす習慣をつけると良いでしょう。 坐骨神経痛の寝方を理解し快適な睡眠をとろう 坐骨神経痛の方は、膝の間にクッションを挟みながらの横向き寝や、膝を立てた状態の仰向け寝がおすすめです。 これらの寝方は、坐骨神経の通る足腰への負担を軽減し、痛みが和らいだ状態での睡眠が期待できます。 あわせて、適度な反発性と厚みのある寝具を選ぶことも、坐骨神経痛の痛みを抑えながらの睡眠に効果的です。 他にも、就寝前の水分補給や体を冷やさない工夫をするなど、眠れないときの対処法を取り入れると良いでしょう。 坐骨神経痛で睡眠の質にお悩みの方は、本記事で紹介した寝方や対処方法をお試しください。 ただし、激しい痛みが続く場合や、日常生活に大きな支障をきたしている場合は、早めの受診が大切です。 放置していると以下のような疾患につながる恐れもあります。 椎間板ヘルニア 腰部脊柱管狭窄症 梨状筋症候群 坐骨神経痛に対する治療法には、保存療法や手術療法のほか、症状や状態によっては再生医療も選択肢の一つになります。 再生医療は、損傷した組織の修復を目的とした治療法で、実際の治療法については以下の動画でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/zYow3yFsNgw?si=8lpYwAKArnrql5Tb 辛い座骨神経痛に悩まされている方は、ぜひ当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 坐骨神経痛の寝方に関するよくある質問 坐骨神経痛で寝るときにクッションを足に挟むのはなぜですか? 坐骨神経痛で横向きに寝るときにクッションを足に挟むと、腰への負担を軽減できるだけでなく、骨盤のゆがみを防げます。また、痛む側の足の筋肉が緩むため、より痛みを気にせずに眠りやすくなります。 なお、仰向けに寝る場合は、膝の下にクッションを置くと良いでしょう。 坐骨神経痛で夜中に激痛が現れるのはなぜですか? 坐骨神経痛で夜中に激痛が来るのは、寝ている間に坐骨神経に大きな負担がかかっているためです。とくにうつ伏せや寝返りの少ない寝方は、坐骨神経や腰回りに負担が集中しやすく、激痛に悩まされることがあります。 そのほか、夜間の水分不足や冷えによる血行不良でも、激痛に襲われるケースがあるため、注意が必要です。 坐骨神経痛でお尻に負担をかけない寝方はありますか? お尻に負担をかけないためには、腰や骨盤にかかる圧力を分散させる寝方が重要です。具体的には、横向きで膝を軽く曲げ、両膝の間にクッションを挟む寝方や、仰向けで膝の下にクッションを置く寝方が有効とされています。 これらの姿勢は、腰の反りを抑えたり、骨盤の傾きを安定させたりするため、坐骨神経が通るお尻周辺への圧迫を和らげる効果が期待できます。 一方で、うつ伏せ寝や痛みのある側を下にすると、お尻や腰に体重が集中しやすく、症状を悪化させる可能性があります。長時間の同じ姿勢での睡眠も、お尻の筋肉に負担がかかるため注意が必要です。 ご自身が楽に感じる姿勢を探し、無理のない体勢で眠ることが、坐骨神経痛によるお尻の痛みを軽減するポイントです。 参考文献 文献1 坐骨神経痛|MSDマニュアル
2025.05.29 -
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
転倒などが原因で脊椎圧迫骨折と診断された時、日常生活に向けてどのようなリハビリが行われるのか気になるのではないのでしょうか。 脊椎圧迫骨折のリハビリは骨折直後から始まり、最初はベッド上でもできる簡単なものが行われます。続いて回復の度合いに応じて、歩行訓練などを行っていく流れです。 本記事では、脊椎圧迫骨折のリハビリ方法を、やってはいけないことや病院探しの方法とともに徹底解説します。 脊椎圧迫骨折のリハビリの内容を知っておくと、万が一骨折しても心の準備を済ませた上でリハビリに取り組めます。 【病期別】脊椎圧迫骨折のリハビリ方法 脊椎圧迫骨折の治療は安静が基本ではあるものの、日常生活への復帰を目指すリハビリも並行して進められます。 リハビリは安静にしている時期の筋力低下をなるべく防ぐため、骨折への治療開始直後から始められるケースが多いです。ただし、病期によってリハビリの内容は異なります。 ここでは、急性期・回復期・退院後それぞれのリハビリ内容を紹介します。 急性期リハビリ方法 脊椎圧迫骨折の痛みなどの症状が強く出る急性期は、骨折した後に患部を外側から支えるコルセットの完成を待つ時期です。コルセットの完成までの1週間程度、安静に過ごしながらもベッド上でできる内容でリハビリを進めます。 ベッド上での関節可動域(ROM)訓練 まず、ベッド上での関節可動域(ROM)訓練は、関節を動かせる範囲である関節可動域を維持するための訓練です。ベッドで安静にしてばかりいると、関節を自在に曲げ伸ばしできる範囲が狭くなります。関節可動域が狭くなると、骨折による痛みを感じやすかったり、運動能力が衰えたりするためです。 ベッドでできる関節可動域訓練は、患者様の状態に応じてスタッフに関節を動かしてもらったり、ご自身で関節を動かしたりします。具体的な内容も、ベッドで寝たり座ったりしながらの、手の曲げ伸ばしや足首や足指の運動などです。 腕や足の筋力をつける訓練 急性期のリハビリでは、腕や足の筋力をつける訓練も進めていくのが一般的です。関節可動域訓練よりも数日程度遅れて始まるもので、最初はベッド上でペットボトルの上げ下げや、膝の曲げ伸ばしなどを行います。 日数が経って、当初より痛みが落ち着いてきたら、ベッドから離れる離床訓練も始まる流れです。離床訓練では、まずベッドでの寝返りから起き上がり動作までの一連の動きを訓練します。 回復期リハビリ方法 治療が始まってからある程度症状が落ち着く回復期に入ると、リハビリも日常生活への復帰を目指して本格化するのが一般的です。以前のような日常生活を送れるように、歩行や筋力関係の訓練が行われます。 下半身の筋力の回復訓練 下半身の筋力を回復する訓練は、ベッドで安静にしている間に衰えた脚の部分の筋力を元に戻すために行うものです。 脊椎圧迫骨折は、骨粗鬆症によって骨密度が低下したところに、ちょっとしたつまづきや転倒が原因で起こります。そのため、足腰に筋力を回復させることは、脊椎圧迫骨折の再発を予防する上で欠かせません。 歩く訓練 歩く訓練(歩行訓練)は、回復期のリハビリで最も主要なものです。杖や歩行器を使いながら、歩幅やバランスを意識しつつ訓練を積み重ねていきます。 なお、訓練は平行棒の間を移動する形で進められるのが一般的です。すぐ近くには指導や何かあった場合に備えてリハビリスタッフが付き添います。 体幹を鍛える運動 体幹を鍛える運動も、回復期のリハビリで重要です。回復期の間は、骨折した脊椎がくっつくまでコルセットを装着します。コルセットは骨折から2ヶ月程度は装着するため、その間に体幹の筋力が衰えやすいです。 コルセットが外れた後に日常生活を徐々に再開できるように、歩行訓練や下肢の筋力回復と合わせて、体幹トレーニングを行います。腹筋運動やブリッジなどのストレッチで腹筋や背筋を鍛えたり、柔軟性を高めたりする流れです。 退院後の在宅リハビリ方法 退院した後は、定期的に通院しながら自宅でリハビリを継続します。そのため、自宅でできるリハビリの方法を知っていると、退院後もリハビリを頑張る上での助けになるでしょう。 ドローイン 「ドローイン」は、息を吐きながらお腹をへこませることで体幹を鍛えるエクササイズです。治療が進んでコルセットを外した直後は、体幹が骨折前よりも衰えているため、体幹を鍛え直すのに向いています。 ドローインに取り組むことで、安定した姿勢を維持する腹横筋をはじめとする腰回りの複数の筋肉を鍛えられるため、退院後のリハビリのメニューにおすすめです。 両手上げ 「両手上げ」は、椅子に座った状態で両手をゆっくり上げ下げします。背中の筋肉を鍛えられるのが特徴です。 とくに退院後で、コルセットが外れた段階であれば、じっくりと背中の筋力をつけられます。ただし、肩に痛みを感じる場合は、あまり無理に上げないようにするべきです。 スクワット 退院後のリハビリでは、スクワットもできます。肩幅程度に足を広げた状態で、まっすぐ前を見た状態で膝を曲げては戻すのが特徴です。 なお、膝を曲げる角度は最大で90度程度にしておくと、過度な負担がかかりません。下半身を鍛えられるため、転倒やつまづきによる圧迫骨折の再発を防ぐ上でも役に立ちます。 脊椎圧迫骨折リハビリ中のコルセット着用について 脊椎圧迫骨折の治療・リハビリで欠かせないものが、患部を固定するコルセットの着用です。コルセットは骨がくっつくまでの間はずっと着用する分、どの程度の期間にわたって装着するのかや注意すべき点が気になるかと思います。 脊椎圧迫骨折の治療を行っている間のコルセット着用のポイントは、次のとおりです。 コルセット着用期間の目安 まず、コルセットを着用する期間は、骨折してから2ヶ月程度が一般的とされます。骨折してから骨がくっつくまでの期間が2ヶ月前後とされているためです。ただし、骨折の程度が深刻だったり骨粗鬆症が進行していたりする方などは、着用期間が延びるケースがあります。 なお、コルセットを外すべき時期は、担当医師が痛みの程度や骨の癒合の状況から判断します。 コルセット着用時の注意点 コルセットを着用している間は、寝る時も含めてずっと着けっぱなしです。ただ、痩せている方はコルセットによる皮膚の圧迫で床ずれができる場合があります。もし、床ずれができることに不安を感じるのであれば、医師などと相談の上で眠る時のみ外すのも1つの方法です。 また、コルセットは骨折部位を外側から固定するものですが、体幹をねじる動きはできます。そのため、過度に体をねじりすぎると骨折部位の状態が悪化する点に注意が必要です。 さらに、強い勢いでの椅子への着席も避ける必要があります。着席した瞬間の反動で、再度圧迫骨折に至るケースがあるためです。 脊椎圧迫骨折のリハビリでの禁忌・やってはいけないこと 脊椎圧迫骨折のリハビリを進める際、禁忌(タブー)・やってはいけないこともいくつかあります。前もってやってはいけないことを知っておくと、リハビリの際に意識を払いやすいです。 体を丸めたりねじったりする まず、体を丸めたりねじったりする行為は避ける必要があります。とくに骨が癒合する前の時期にひねるなどした場合、患部の状態が悪化したり、さらに骨折箇所が増えたりしかねません。 治療期間が長引いて、退院の時期も後にずれるため、無理に体をねじるなどしない方が良いでしょう。 重いものを持たない また、脊椎圧迫骨折の治療中は、重い物を持ってはいけません。とくに床に置いてある物をいきなり持ち上げると、背骨に大きな負荷がかかります。 コルセットが外れるまでは、ご家族などに代わりに持ち上げてもらうのがおすすめです。 転倒に注意する さらに、高齢者であれば転倒に注意する必要があります。高齢者は若い年代に比べて足腰の筋力が衰えているため、些細なつまづきや転倒で骨折するケースも多いです。 手すりや杖を使って歩くことや、足元にものを散乱させないことなどと、安全に歩ける工夫が大切です。 脊椎圧迫骨折のリハビリができる病院の探し方 脊椎圧迫骨折してしまった場合、なるべく早めに受診やリハビリのできる病院を探しておく必要があります。 もし、リハビリが可能な病院を探す際には、回復期リハビリテーション病棟を備えた病院を探すのがおすすめです。回復期リハビリテーション病棟は、病気やけがが急性期から回復期に入った患者様向けに、専門スタッフのチームが集中的にリハビリを施す病棟を指します。 回復期リハビリテーション病棟のある病院を探す際に簡単な方法が、「回復期リハビリテーション病棟協会」の公式サイトを調べることです。公式サイトでは都道府県別に専門病棟のある医療機関を探せます。もし、インターネットの扱いが得意ではない方も、各地の協会や医療機関への電話で問い合わせられます。 まとめ|脊椎圧迫骨折のリハビリは無理なく続けよう 脊椎圧迫骨折のリハビリは、骨折直後から徐々に始まります。最初はベッド上での関節可動域訓練や筋力をつける訓練から行い、回復期に入ったところで歩行訓練などに入るのが一般的です。 治療が進んでコルセットを外した後も、自宅などで通院を続けていく必要があります。脊椎圧迫骨折からの回復には筋力を付けていくことが欠かせないため、無理のない範囲で継続していくことが大切です。 脊椎圧迫骨折のリハビリでよくある質問 腰椎や脊椎の圧迫骨折のリハビリの内容は? 腰椎や脊椎の圧迫骨折で行うリハビリは、骨折して間もない頃はベッド上での関節可動域(ROM)訓練やベッド上でできる簡単なストレッチを中心に行います。 その後、コルセットを装着した後は歩行訓練や下半身の筋力を付ける訓練を通じて、日常生活に復帰していく準備を進める流れです。退院後も自宅でできる筋トレなどの運動を行います。 腰椎や脊椎の圧迫骨折のリハビリで行うストレッチとは? 腰椎や脊椎の圧迫骨折のリハビリで行うストレッチ(筋力トレーニング)で主なものは、次のとおりです。 腹筋運動 ブリッジ(お尻上げ運動):仰向けに寝た後で、両膝を曲げながらお尻を持ち上げる ドローイン:両膝を曲げた仰向けの姿勢から腹筋に力を入れつつ、ゆっくり息を吐く スクワット:まっすぐな姿勢から膝を曲げ伸ばす。曲げ伸ばしの角度は最大でも90度 四つん這いでの下肢伸展:四つん這いの状態から、片足を上げて後ろに伸ばす これらのストレッチや運動は、患者様の回復段階に応じて段階的に取り入れられます。 実施する際は、痛みを感じない範囲で無理をせず、理学療法士などの専門スタッフの指導のもとで行いましょう。 脊椎圧迫骨折のリハビリを進める際の評価項目とは? 脊椎圧迫骨折のリハビリを進める際、「評価項目」に基づいて患者様の状態などを確認・評価します。評価項目の具体的なポイントは、基本的に以下のとおりです。 コミュニケーション:認知症などの精神障害の有無 疼痛(とうつう):痛みの見られる部位や原因 関節可動域や筋力:体幹や股関節の状況。 姿勢 歩行能力:歩行できるかどうかや、歩ける距離・歩行器の必要性 バランス能力:転倒リスクの確認 なお、医療機関によって評価項目の内容が異なることもあります。
2025.05.29 -
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
高齢で脊椎圧迫骨折と診断され、今後の治療の方法が気になる方もいるのではないのでしょうか。 高齢者の脊椎圧迫骨折は、当初はコルセットなどを着けて安静にしながら、リハビリに取り組んでいくのが一般的です。ただ、脊椎圧迫骨折は骨粗鬆症(骨粗しょう症)が関わっているため、日常生活を見直しながら骨を強くする習慣も欠かせません。 本記事では高齢者の脊椎圧迫骨折について、治療方法や期間、予防の方法を解説していきます。 高齢者の脊椎圧迫骨折の治療法 脊椎圧迫骨折の治療は、基本的には安静にすることが大切です。ただし、安静だけでなく、患者さんの状態に応じてさまざまな治療法を組み合わせて行います。 主な治療法には以下のようなものがあります。 保存療法:コルセットやギプスを着用して安静を保つ 薬物療法:鎮痛薬や骨粗鬆症の治療薬による症状緩和 手術療法:骨セメント注入術や固定術による根本的治療 リハビリテーション:筋力維持と機能回復を目的とした訓練 それぞれの治療法について、詳しく解説していきます。 保存療法|コルセットやギプスの着用 保存療法は脊椎圧迫骨折の治療で、最も基本的な手段です。とりわけ高齢者の場合は、体力の負担を抑えながら回復を図れる方法としてよく用いられます。 具体的には、硬めのコルセットやギプスを腰回りに装着することで、脊椎や腰を安定させるものです。脊椎圧迫骨折が起きてから1ヶ月は、骨折部位が不安定な状態で変形もしやすいため、コルセットなどで安定させます。 保存療法では月日が経つ中で、骨折部位が固定するのを待つのがポイントです。同時に痛みも2週間から1ヶ月程度で、次第に収まってきます。ただ、骨折部位の完全な回復までは数ヶ月はかかるため、その間はコルセットなどを装着するのが一般的です。 薬物療法|鎮痛薬や骨粗しょう症の治療薬 続いて薬物療法は、骨折した箇所の痛みが特に強い場合に用いられます。基本的に湿布や飲み薬などの、市販薬や病院で処方された薬物を使用するやり方です。痛みの程度によっては、骨折部位の筋肉の緊張を和らげる目的で、筋弛緩薬も使われます。 加えて、症状が落ち着いて床を離れられる段階に、高齢者の脊椎圧迫骨折の主な要因である骨粗しょう症の治療薬も投与されます。 手術療法|骨セメント注入術や固定術 手術療法は、保存療法で状況が好転しない場合や骨折部位の変形が著しいなどの状況が見られる時に用いられる方法です。手術療法では、つぶれた骨の内部をバルーンで広げた後、骨セメントを注入して骨自体を安定化させる「骨セメント注入術」が活用されます。骨セメント注入術は手術療法でも、患者の体への負担が少ない点も特徴です。 骨セメント注入術以外にも、骨をボルトなどで固定する「固定術」もあります。固定術は骨折が3箇所以上見られるなどの深刻な状況で使われる術式です。 リハビリテーション|筋力維持が目的 リハビリテーションは、基本的には骨折や手術の直後から始まります。治療が始まって間もない頃は、ベッドで安静にしていることが大切ではあるものの、安静にしている間は筋力が低下しやすいです。筋力が低下した場合、再度骨折する危険性さえあります。 骨折や手術から1週間は、専門スタッフの指導を受けながらベッドでできるエクササイズを行う流れです。1週間経過してコルセットで骨折部位を固定した後は、歩行訓練やバランス訓練を積極的に行います。 さらにコルセットやギプスを外した後は、足腰の筋力を回復させるための体幹トレーニングを進めていくのが一般的です。 高齢者の脊椎圧迫骨折の治療期間の目安 高齢者が脊椎圧迫骨折してしまった時、具体的にどの程度の期間にわたって治療が必要なのか、気になる方もいるのではないでしょうか。 脊椎圧迫骨折の治療期間は、数週間から数ヶ月程度が目安です。特に最初の1ヶ月は、安静と可能な範囲での筋力回復が欠かせません。順調に治療や回復が進んだ場合は、3~4ヶ月程度で骨折部位が癒合(骨がくっついて治癒)していきます。 ただし、高齢者は若い年代の方よりも骨の修復に時間がかかるため、骨折の状況や程度などによって治療期間が長引く場合もあります。 高齢者の脊椎圧迫骨折の予防法 脊椎圧迫骨折の要因は、骨の量や密度が減ってしまう骨粗しょう症です。そのため、普段から骨を強く丈夫に保つことが、脊椎圧迫骨折の予防につながります。 また、一度脊椎圧迫骨折を経験した方は、再発リスクが高いため、予防対策がより重要です。ここでは、脊椎圧迫骨折の具体的な予防法を解説します。 骨を強くする食生活が大切 脊椎圧迫骨折や骨粗しょう症を防ぐには、まず骨を強くする食生活を意識します。 骨を強くする栄養素には骨を生成するカルシウムや、カルシウムの吸収を促すビタミンD、筋力の強化や骨の形成を助けるたんぱく質などが挙げられます。カルシウムは牛乳やチーズなどの乳製品や、カタクチイワシのような小魚に多く含まれる栄養素です。 またビタミンDは、鮭やサンマなどの魚類や、マイタケやキクラゲなどのキノコ類から多く摂取できます。たんぱく質も肉や魚のほか、納豆や味噌のような大豆食品に多いです。 なお、ビタミンDは、食事以外にも日光を浴びることでも生成されるため、意識的な外出や日光浴もおすすめできます。 適度な運動を取り入れる 骨粗しょう症、ひいては脊椎圧迫骨折を防ぐ上で適度な運動も効果的とされる方法です。 運動は骨に負荷を与えることで、骨密度を高めます。同時に筋力の維持・強化によって足腰が鍛えられ、脊椎への負荷が分散されるため、骨折のリスクを下げる効果も期待できます。 脊椎圧迫骨折の予防に役立つ運動には、ウォーキングが挙げられます。適度な負荷で骨の強化が期待でき、運動習慣がない方でも気軽に始められます。慣れてきたら、ジョギングなどより強度の高い運動に段階的に取り組むのも効果的です。 自宅内の歩行にも注意 脊椎圧迫骨折を予防するには、自宅内での歩行にも注意を払う必要があります。脊椎圧迫骨折を引き起こす人は、骨粗しょう症で骨密度が下がっている分、ちょっとした転倒や尻もちで骨折しやすいためです。 自宅内で歩く際には、段差や滑りやすい床は特に注意すべき箇所です。玄関や階段などにはあらかじめ手すりを設置し、歩く際もつかまるようにすれば転倒による骨折のリスクを下げられます。同時に滑りやすい床には、滑り止めシートやマットを敷くのもおすすめです。 脊椎圧迫骨折の治療でやってはいけないことは? 脊椎圧迫骨折の治療では、やってはいけない行為もいくつかあります。具体的には次のとおりです。 あおむけの状態で寝る:背中への負荷が大きくなるため、横向きの姿勢を推奨。 前かがみになる:骨折した部位に負荷がかかるため。 重い物を持つ:背骨に強い力や負荷がかかる。特に床に置いてあるものの持ち上げは禁忌。 体をひねる・反らす:骨折部位に負荷がかかり悪化の原因となるため。 飲酒・喫煙:骨の強度や密度を弱めるため。 これらの注意点を守ることで、症状の悪化や再発を防ぐことにつながります。不明な点があれば、必ず医師に相談してから行動しましょう。 まとめ|脊椎圧迫骨折は日頃からの予防が大事です 高齢者の脊椎圧迫骨折の治療は、基本的に保存療法で安静にしながら、運動やリハビリテーションを取り入れていきます。しかし、脊椎圧迫骨折自体は骨粗しょう症が根本的な原因であるため、骨を強くするための食事や運動の改善が重要です。 逆に考えれば、日頃から規則正しい食事や適度な運動を通じて骨粗しょう症を予防すれば、脊椎圧迫骨折のリスクは下げられます。 骨粗しょう症や脊椎圧迫骨折への対策を立てたい方は、日頃の食生活や運動の習慣を見直しましょう。 高齢者の脊椎圧迫骨折の治療に関してよくある質問 高齢者の圧迫骨折は治る? 高齢者の圧迫骨折は、コルセットなどで固定した状態での安静と運動を行うことで、2~3ヶ月程度で治るケースが多いです。 根本的な原因として骨粗しょう症があるため、日常生活の見直しや骨の強化で再発を防止できます。 高齢者の腰椎圧迫骨折の入院期間はどのくらい? 高齢者が腰椎圧迫骨折の手術を目的にした入院期間は、基本的には1週間程度が一般的です。 ただし、まれに合併症を引き起こす場合があり、その際には入院期間が延びることがあります。 なお、退院後も経過の確認のために、定期的な通院が必要です。 高齢者の圧迫骨折は寝たきりになりやすい? 高齢者は圧迫骨折がきっかけで寝たきりになるケースがあります。 骨折によって寝たり起きたりするだけでも痛みに苦しめられるため、体を動かす気力が下がってしまうためです。 痛みを恐れて体を動かさない状態が続くと筋力が低下し、さらに動くことが困難になり、寝たきりになってしまうことがあります。 圧迫骨折は放置するとどうなる? 圧迫骨折を適切に治療せずに放置すると、骨折した骨がつぶれたまま固まってしまい、背中が曲がった状態になることがあります。また、骨がきちんとくっつかずに、長期間痛みが続く場合もあります。 さらに、圧迫骨折を起こす方は骨がもろくなっていることが多いため、他の背骨や別の部位でも骨折を起こしやすいです。このため、一度圧迫骨折を起こした場合は、骨密度の検査や骨粗しょう症の治療を受けることが重要です。
2025.05.29 -
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
「スポーツ中に突然腰が痛くなった」「重いものを持ったときに動けなくなった」 そんなときによく言われるのが「ぎっくり腰」です。 この急な腰痛の原因のひとつとして、「筋・筋膜性腰痛」があります。 筋・筋膜性腰痛は、腰の筋肉や筋膜に強い負担がかかって起こるもので、急性の痛みだけでなく、慢性的な腰のだるさや違和感として現れることもあります。 放置すると慢性化しやすいため、早めの対処が大切です。 この記事では、筋・筋膜性腰痛について、ぎっくり腰との関係や、治療法・予防法などをわかりやすく解説します。 筋・筋膜性腰痛の原因 筋・筋膜性腰痛は、腰の筋肉や筋膜に強い負担がかかることで起こる腰痛です。 スポーツ選手から座り仕事の方まで幅広く見られる症状で、適切な対処をしないと慢性化する恐れがあります。 主な原因 スポーツ時の過度な腰のひねり、反り、前かがみ 長時間の座り作業や重い物の持ち上げ 座りっぱなしの生活習慣 猫背などの悪い姿勢の継続 筋膜は筋肉を包む薄い膜で、正常時は筋肉の形状維持や力の伝達を担っています。しかし、腰に強い負荷がかかると筋肉や筋膜に損傷が生じ、強い痛みを感じるようになります。 慢性化すると、筋肉の緊張が高まり継続的な痛みとして現れるため、早期の治療が大切です。 筋・筋膜性腰痛の症状と特徴 筋・筋膜性腰痛になったことがない場合、どのような症状や特徴があるのか実感しにくいのではないのでしょうか。 筋・筋膜性腰痛の症状や特徴を前もって知っておくと、早期発見や適切な対処に役立ちます。 筋・筋膜性腰痛はどんな痛み?主な症状 筋・筋膜性腰痛の主な症状は、腰を動かしたときに、腰椎(腰の背骨)に沿って生じる痛みです。 ちょっとした動きで腰に弱い衝撃が加わっても痛みを感じる場合もあります。とくに、中腰での作業や重い物の運搬、スポーツ中の腰をひねる動作などが痛みを引き起こしやすいです。 急性の腰痛であればより強い痛みが発生し、動くことが苦痛に感じるケースもあります。強い痛みは長くて1ヶ月程度で治るものの、痛みが落ち着く前に腰にさらなる負荷をかけると、慢性化のリスクがある点に注意が必要です。 筋・筋膜性腰痛とぎっくり腰の違いと見分け方 筋・筋膜性腰痛とは、腰の筋肉やそれを包む筋膜に負担がかかって起こる痛みのことを指します。この筋・筋膜性腰痛の急性の痛みが、一般的に「ぎっくり腰」と呼ばれることがあります。 つまり、ぎっくり腰は腰の急な強い痛みの症状名で、その原因の一つとして筋・筋膜性腰痛が関係しているのです。 スポーツで急に腰をひねったときや、一気に重い物を持ち上げたときに、突然強い痛みが生じることがあります。これが急性の筋・筋膜性腰痛によって引き起こされる、「ぎっくり腰」の典型的な症状です。 痛みが強くて歩けない時は要注意!他の病気の可能性 筋・筋膜性腰痛の症状が続き、痛みが強すぎて歩けないときは、他の病気の可能性があります。筋・筋膜性腰痛は通常、腰回りの神経や血管に異常は見られません。 しかし、痛みが強くて歩けない上に、短い距離を歩いた後にそれ以上歩くのが困難になるときは、足腰の神経や血管の異常が考えられます。筋・筋膜性腰痛に加えて腰部脊柱管狭窄症も併発している可能性もあり得るため、なるべく早めの医療機関の受診が大切です。 筋・筋膜性腰痛の検査と診断 筋・筋膜性腰痛になった時、行われる検査や診断の内容を知っていると、実際に病院などで治療を受ける際に心の準備ができます。筋・筋膜性腰痛の検査と診断は、医師による診断と各種検査が一般的です。 医師の問診・触診 筋・筋膜性腰痛の症状は、主に医師の問診や触診を通じて診断されます。 担当医師が実際に患部を指で押して痛む場所や痛みの強さを確認したり、患者から症状について聞き取ったりしながら判断する流れです。 レントゲン検査・CT検査・MRI検査 医師の問診や触診とともに、レントゲン検査をはじめとする画像検査も補助的に用いられます。ただし、筋・筋膜性腰痛は筋肉や筋膜で発生しているため、基本的には画像検査から診断できないことも多いです。 レントゲン検査やMRIなどの画像検査では、まず骨や神経に異常がないかを確認します。そして、他の腰関連の疾患の特徴に当てはまらないことを確認しつつ、問診や触診の結果と合わせて最終的に診断する流れです。 ただし、急性の症状の場合はMRI検査によって、筋の損傷が見られるケースがあります。 筋・筋膜性腰痛の治療法 筋・筋膜性腰痛の主な治療法は、薬物療法とリハビリテーション(リハビリ)です。症状の程度や急性・慢性の違いによって、適切な治療方法を選択していきます。 薬物療法 薬物療法は、痛みや炎症を抑える薬剤を使って症状を軽減していく方法です。湿布や塗り薬のような外用薬や、非ステロイド性抗炎症薬のような飲み薬を使うのが一般的です。加えて、痛みや炎症の程度によっては、患部への神経ブロック注射が用いられるケースもあります。 急性期には薬物療法と併せて、患部のアイシング(冷却)を行います。一方、痛みや炎症が落ち着いてきた段階では、電気療法や温熱療法などの物理療法に切り替えていきます。患部を温めることで血行が促されたり、筋肉の緊張が和らいだりする分、症状の緩和や傷ついた患部の修復効果が期待できます。 リハビリテーション リハビリテーションも筋・筋膜性腰痛では一般的な治療方法です。痛みが軽減してきた段階で、腰やお腹の筋力を高めるためのトレーニングやストレッチを行います。 筋・筋膜性腰痛は、筋肉が硬くなることによる血流の悪化が痛みの原因の一つです。このため、運動を通じて血流を促し、筋肉の柔軟性を高めれば症状の改善が期待できます。 リハビリテーションでは、姿勢改善の指導も行われます。猫背のような良くない姿勢や動作の改善を通じて、筋・筋膜性腰痛の原因を根本から取り除いていくためです。 PRP療法 筋・筋膜性腰痛に対しては、再生医療の「PRP(多血小板血漿)療法」という治療選択肢もあります。 これは自身の血液から抽出した血小板を濃縮し、患部に注射する治療法です。とくに早期回復を目指すスポーツ選手をはじめ、趣味やレクリエーションでの運動を続けたい方などに用いられることがあります。 筋・筋膜性腰痛の予防法と再発防止策 筋・筋膜性腰痛は日常生活での過ごし方次第で、予防や再発防止が可能です。筋・筋膜性腰痛を避けるには、以下の方法を意識します。 正しい姿勢と基本動作を身につける 筋・筋膜性腰痛の予防には、正しい姿勢と基本動作が欠かせません。立つ際にはお腹に少し力を入れた状態で、上に引っ張られる状態を意識しながら背筋を伸ばします。 また座る際にも、椅子に深く腰掛けながら、背筋を伸ばすのがポイントです。椅子の高さも重要で、足裏が全体的に床につく程度の高さが理想的です。 逆に猫背や前かがみの姿勢、反り腰は腰への負担を強めるため、避ける必要があります。 筋膜の柔軟性を保つストレッチと運動を行う 筋・筋膜性腰痛の予防には、筋膜の柔軟性を保つストレッチや運動が効果的です。筋膜が硬くなると血流が悪化し痛みを引き起こすため、日常的な運動やストレッチで柔軟性を維持しましょう。 筋・筋膜性腰痛の予防でよく活用されるエクササイズは、以下のとおりです。 起き上がり運動:膝を曲げた状態であおむけになった後、軽く上体を起こしてキープする。 おへそのぞき運動:膝を曲げた状態であおむけになり、おへそをのぞきながらキープ。 うつ伏せから上体起こし:うつぶせの状態から上体を起こしてキープ。 ただし、やりすぎるとかえって症状が悪化するケースもあるため、無理のない範囲で行うことが必要です。加えて、原因によってはストレッチでもあまり効果が見込めない場合もあるため、事前に医師へ相談の上で取り組んでください。 生活習慣の改善とセルフケアに努める 生活習慣の改善やセルフケアも、筋・筋膜性腰痛の予防に役立ちます。筋・筋膜性腰痛は、筋肉や筋膜の働きが衰えているために痛みが生じる症状です。 そこで生活習慣の改善で、筋肉や筋膜の働きを高める必要があります。とくに食生活では、筋肉を生成するたんぱく質や、骨密度の向上を促すカルシウムなどが重要な栄養素です。可能な限り栄養素のバランスが取れた食事を心掛ければ、筋肉・筋膜や骨の働きを回復できます。 まとめ|早期の適切な治療で筋・筋膜性腰痛の改善を目指そう 筋・筋膜性腰痛は、スポーツなどでの無理な姿勢や、座ってばかりの生活での腰の使いすぎが原因の症状です。中でも急性のものは「ぎっくり腰」の主要な原因となり、強い痛みを伴います。 治療では、患部を安静にしつつ薬物を投与したり、リハビリを行ったりするのが一般的です。加えて、姿勢の改善やエクササイズ、食生活を心掛けることで予防効果があるとされています。 筋・筋膜性腰痛は放置すると、別の腰の病気を併発するケースもあります。腰に痛みを感じる時は、無理せずに早めの医療機関の受診が大切です。 筋・筋膜性腰痛に関してよくある質問 筋・筋膜性腰痛はどのくらいで治る? 筋・筋膜性腰痛は、一般的に3週間から3ヶ月程度で治っていくとされています。とくに強い痛みは、安静にしていれば数日程度で収まっていく流れです。 ただ、痛みがあるにもかかわらず適切な治療を受けなかったり、無理して腰に負担をかけ続けたりすると治るまでの期間が長期化します。 筋・筋膜性腰痛が治らないときの対処法は? 筋・筋膜性腰痛の治療はまず、薬物を投与して安静にしつつ様子を見ますが、それでも改善しない時は画像診断で別の原因がないかを見ていくのが一般的です。別の原因が見つかったときには、手術など他の治療法で症状の改善を試みます。 筋・筋膜性腰痛で歩けないほど痛い時はどうすればいい? 筋・筋膜性腰痛で歩けないほど痛い時は、急性の症状であれば安静にしながらアイシングで患部を冷やすのが基本です。ただ、慢性的に歩けないほどに痛い場合は間欠性跛行(かんけつせいはこう)や、腰部脊柱管狭窄症の疑いもあるため、早めに医療機関を受診する必要があります。
2025.05.29 -
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 胸椎椎間板ヘルニア
ヘルニアの治療により症状が改善した段階で、ランニングの再開を検討する方は少なくありません。しかし、運動再開によって症状が再び悪化する可能性への不安を抱える方も多いでしょう。 実はヘルニア発症後のランニングは、痛みが収まってきた頃であれば始めても問題ない場合があります。ただ、再開する際のポイントや注意点を理解した上で、無理のない範囲で行うことが重要です。 本記事では、ヘルニア発症後のランニングについて詳しく解説します。再発防止のポイントや治療法も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。 ヘルニアでランニングしても大丈夫? ヘルニアを発症後、痛みが落ち着いてくるとランニングを再開したいと考える方もいるのではないでしょうか。 ヘルニア後のランニングは、症状次第では可能な場合があります。症状別にランニングしても問題がないのかを見ていきましょう。 急性期のランニングはNG ヘルニア発症から1~2週間の急性期、つまり症状が出て間もない時期や腰痛症状が続いているときのランニングは避けるべきです。ランニングは、地面を蹴った際に足を通して受ける衝撃が腰にも影響します。 ヘルニアの症状が持続している間にランニングを始めると、腰椎や椎間板などの患部に強い衝撃が及ぶため、症状が悪化しやすいです。症状がひどくならないようにするためにも、急性期はランニングを控える必要があります。 慢性期は軽いランニングやジョギングなら可 一方、慢性期でヘルニアの症状が落ち着いていれば、軽めのランニングやジョギングであれば可能です。 ただし、運動を再開するときは、自身で判断せず医師に相談の上で決めましょう。 いきなりランニングを再開するよりも、まずはランニングよりも負荷が軽いウォーキングから始めます。 ウォーキングに取り組んでみて患部が痛まないと感じたら、ジョギングやランニングとより負荷のあるエクササイズを再開していくのがおすすめです。 もし通常のウォーキングが辛く感じる時は、水中ウォーキング(水中歩行)が良いでしょう。水中ウォーキングは浮力も活かしながら歩く分、通常のウォーキング以上に足腰への負荷を抑えられるためです。 ただし、水中ウォーキングでも腰痛に見舞われる場合は、無理せず痛みが抜けるまでは安静にしている必要があります。 ヘルニアの手術後のランニングは大丈夫? ヘルニアの手術後に、早速ランニングしたい方もいるのではないでしょうか。 手術して間もない時期のランニングは、原則避けるべきです。ヘルニアは手術をしても数日から1週間、長い方では1ヵ月は痛みやしびれが継続します。回復の早い人でも術後数日は経過しないと、痛みが和らぎません。 術後に痛みやしびれが続いている間は、軽いウォーキングでさえも患部に負担を与えるため、回復が遅れてしまいます。せめて痛みやしびれが落ち着くまでは、ランニングを含めて運動は避けましょう。 ヘルニアでランニングする際の注意点 ヘルニアによる痛みやしびれが落ち着いてきて、ようやくランニングできる状態になっても、いくつか注意すべき点があります。 ヘルニアの手術・治療後にランニングに取り組む際は、以下の点にお気を付けください。 走るときの姿勢に注意 ヘルニアの治療後のランニングで気を付けなければいけないのが、走っている間の姿勢です。 とくに走っている最中は、腰を丸めた状態にならないようにします。 腰を丸めた状態は、椎間板や腰椎などヘルニアが発生しやすい部位に過剰な負担をかけるためです。治療後に腰を丸めたまま走ると、ヘルニアの悪化や再発の原因になります。 ヘルニアの治療後のランニングでは、骨盤を前に傾かせつつ、お腹の部分が前側に出るようにするのがコツです。お腹の部分が前側に張り出すことで、背中や腰の部分がぴんと張るため、足腰への負担を軽減できます。 ただし、骨盤を前に傾けてお腹を前に出しても痛みを感じる時は、まだランニングできる状態ではありません。ウォーキングのような、ランニングよりも負担がかからない運動に切り替えてください。 クッション性の高いランニングシューズを選ぶ ヘルニアの治療後にランニングに出かける時は、クッション性の高いランニングシューズを選ぶのがおすすめです。クッション性の高いシューズは、走っている間に地面を蹴った時に受ける衝撃を和らげる点で効果があります。 より安心できる状態でランニングに臨みたい場合は、底側のソールが厚いものを選びましょう。とくにインソール(中敷き)の入ったものであれば、足や身体を安定させるとともに、踵から腰に至るまでの部位への衝撃を和らげられます。 ランニング以外でヘルニアの再発を防止するポイント ヘルニアの治療後は、日常生活の様々な場面でもヘルニアが再発しないように気を付けることが大切です。 ランニング以外でヘルニアの再発を防げるポイントを4つ解説します。 日常生活での姿勢に注意 治療後は運動を含む日常生活で、姿勢に注意が必要です。ランニングの場合と同じく、猫背や前かがみのような丸めた姿勢は避け、背中がまっすぐになる姿勢を心がけます。立っている時は、背骨のS字カーブを保つことを意識するのがポイントです。 座っている時も立っている時と同じように、背中がまっすぐになるようにします。患部への負担を防ぐ意味でも、椅子に深く腰掛けた状態でクッションや背もたれを使うのがおすすめです。 ただし、長時間同じ姿勢でいるのは、かえって症状を悪化させかねません。立ちっぱなしや座りっぱなしなど同じ姿勢を避けるためにも、時々軽いストレッチや歩行を取り入れることも大切です。 無理のない筋トレを習慣づける ヘルニアを発症した場合、安静に過ごすのが基本ではあるものの、運動を全くしない状態は避ける必要があります。コルセットやサポーターなどを装着したまま安静にした状態が続くと、足腰の筋肉が弱くなったり、椎間板などが固くなって柔軟性が失われたりするためです。 ヘルニアによる痛みが和らいできたところで、無理のない範囲で筋トレを取り入れていきます。うつぶせの状態で膝をついた姿勢で、体を一直線に維持する「プランク」や、仰向けで膝を立てながらお尻を持ち上げる「ヒップリフト」などが代表的です。 筋トレを無理なく続けていけば、血流の活性化による症状の改善や、筋力の強化による椎間板への負担の軽減が期待できます。 ただし筋トレをやりすぎると、逆に症状が悪化するため、無理は禁物です。筋トレを開始するときは、医師に相談の上で進めましょう。 ストレッチで筋肉の柔軟性を高める ヘルニアの再発防止には、ストレッチで筋肉の柔軟性を高めることも大切です。ストレッチで筋肉や股関節の柔軟性が高まれば、痛みを和らげたり患部への負担を減らせます。 ヘルニア対策でよく使われるストレッチとして、以下のものが挙げられます。 両膝を抱える:仰向けで両膝を抱え、息を吐きながら胸に近付ける 体をひねる:仰向けで両膝を抱えつつ、肩を床につけたまま左右にゆっくりひねる 腰を上げる:仰向けの状態で両膝を90度以上立て、両手をお尻の下に置く。お尻を浮かせて、5秒間維持した後で下げる ただし、ストレッチの中には前屈ストレッチや捻転ストレッチのように、やってはいけないものもある点に注意が必要です。足腰や椎間板などへの過剰な負担で痛みが生じるため、かえって症状を悪化させてしまいます。ストレッチも筋トレ同様、医師に相談の上で始めましょう。 ダイエットや禁煙も大切 ヘルニアの症状が起きないようにするには、日頃からのダイエットや禁煙も大切です。体に余計な脂肪がついて体重が増えると、背骨や足腰に過度な負荷がかかります。 このため、体重が気になっていてヘルニアを発症している方は、規則正しい食事や無理のない運動で体重を減らすことが大切です。体重が減れば足腰への負担も減らせるため、症状の緩和が期待できます。ただし、過度のダイエットは筋肉まで減らしてしまうため、必要な栄養はしっかりと摂取しましょう。 また禁煙もヘルニアの防止に期待できます。タバコを日常的に吸っていると、ニコチンの作用で血流を減らしてしまうとともに、体内の各部位に必要な栄養分がいきわたらなくなるためです。 栄養不足に陥った部位は傷ついたりもろくなったりしやすいため、ヘルニアを発症するリスクが高まります。そのため、禁煙もまたヘルニアの防止には欠かせない手段です。 ヘルニアでやってはいけないことは? ヘルニアになってしまったときにやってはいけないこととして、まず安静にしてばかりの状態は避ける必要があります。ヘルニアの治療でひたすら安静にしていてストレッチなどを怠ると、足腰の筋力が衰えてしまうためです。 筋力が衰えると、患部にさらなる負担がかかり、症状はより悪化します。さらに安静期間中に体重が増えることも、症状悪化の要因の1つです。 加えて、腰に負担をかける姿勢も避ける必要があります。中腰や体をひねりながらしゃがむ状態で物を持ち上げた場合、椎間板に負荷がかかり患部の悪化リスクがあります。何か物を持ち上げなければならないときは、一旦しっかりと足を曲げたり腰を落としたりしてから拾いましょう。 ヘルニアの治療方法 ヘルニアには、主に保存療法と手術療法があるほか、治療と並行してリハビリテーションを行うのが一般的な流れです。 ここからは、ヘルニアの治療方法について解説します。 基本的には保存療法 ヘルニアの症状が軽度の場合、基本的に保存療法を施しつつ経過を観察します。保存療法には複数の手段があり、主なものは次のとおりです。 安静:腰に負担がかかる行為を避け、横向きで寝るなどして様子を見る コルセットなどの装着:コルセットやサポーターの装着により腰への負担を軽減する 薬物治療:飲み薬や、湿布をはじめとする外用薬などで痛みを和らげる 神経ブロック治療:痛みを感じる部位に局所麻酔やステロイド薬を投与 症状が重い時は手術療法 症状が重度の場合や保存療法でも改善が難しい場合は、手術療法が検討されます。手術を行う際は、椎間板切除術(Love法)や椎間固定術が主な方法です。 椎間板切除術は、全身麻酔を施した後に背中から皮膚を切り開いて行います。そして、背骨側に飛び出て神経を圧迫している椎間板部分を切除する方法です。 椎間固定術では、神経を圧迫している椎間板の部分を切除した後、ご自身の骨や人工の骨を挿入した上で固定します。 腰痛軽減後のリハビリテーション リハビリテーションは、保存療法・手術療法を経て症状が軽減した段階で行われる方法です。主な方法に運動療法と物理療法があります。 運動療法はリハビリで最も一般的な手段です。負担がかからない範囲で筋トレや体幹を鍛えるストレッチを行い、足腰などの筋力や柔軟性を高めていきます。 また物理療法では、温熱療法や電気療法などを施す方法です。温熱などによって血行を促したり筋肉をほぐしたりすることで、痛みを緩和するとともに運動療法の効果を高めます。 ヘルニアの治療には「再生医療」という選択肢もある ヘルニアの手術ができない方や、手術後の後遺症にお悩みの方には、「再生医療」も選択肢の1つです。 再生医療の幹細胞治療では、他の細胞に変化する能力を持つ幹細胞を患部に届けます。 当院「リペアセルクリニック」では、患者様の体内から採取・培養した幹細胞を脊髄の損傷個所に直接投与します。注射だけでなく、点滴との併用も可能です。 また、当院では幹細胞を冷凍せず、投与するたびに培養するのが特徴です。 ヘルニアに対する再生医療についての詳細は、以下をご覧ください。 まとめ|ヘルニア発症後のランニングは無理なく行おう ヘルニア発症後のランニングは、発症直後の急性期は避け、症状が落ち着いた慢性期であれば可能です。 ただし、自己判断はせずに医師に相談の上で開始することをおすすめします。 また、過度なランニングはかえって患部の状態を悪化させるため、無理のない範囲で走る点に注意しましょう。 いきなりランニングを始めるのではなく、まずはウォーキングから始め、強い痛みが生じなければジョギングやランニングを再開していくのがおすすめです。もし、軽いランニングで痛みを感じる時は、ウォーキングや水中ウォーキングで様子を見ると良いでしょう。 ヘルニア発症後のランニングは、患部の状態を見ながら行うべきかどうかや、走る程度を決めていくことが大切です。あくまでも無理することなく、可能な範囲でのランニングがポイントといえます。 ヘルニアの手術ができない方や、手術後の後遺症にお悩みの方は再生医療による治療もご検討ください。 ヘルニアとランニングに関する「よくある質問」 ヘルニアでもランニングを再開しても大丈夫ですか? ヘルニア発症後のランニングは、痛みがある程度落ち着いた慢性期になったら再開できる場合があります。腰の状態を慎重に見極める必要があるため、まずは医師との相談が大切です。 もし、ランニングを無理に行うと、かえって症状が悪化するケースがあります。加えて、ランニング以上に長距離を走るマラソン競技は、なおさら症状を深刻化させるリスクがあるため、おすすめできません。 ヘルニアがあっても運動してもいいの? ヘルニア発症後の運動は、安静に過ごすこととともに症状の改善が期待できる場合があります。とくに慢性期の筋トレやストレッチは、血行の促進や筋力の向上によってヘルニアからの回復が図れるケースがあるので推奨されます。
2025.05.29 -
- 足部、その他疾患
- 足部
「下肢閉塞性動脈硬化症に対してマッサージはしても良いの?」 「マッサージをしてはならないケースは?」 下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)に対する自己流のマッサージは危険です。病状によってはASOを悪化させる恐れもあるためです。ASOを改善するのであれば、適切な運動療法やフットケアが効果的です。 本記事では下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)に関して、以下の内容を解説します。 マッサージが禁忌となる3つのケース 効果的な運動療法 セルフケアにおける5つのポイント マッサージが推奨されてないケースを具体的に解説しています。ASOの適切な管理方法を身につけるために役立ててください。 下肢閉塞性動脈硬化症に対するマッサージが禁忌となる3つのケース 前提として、下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)に対して自己流のマッサージは危険です。マッサージにより血流が阻害されてASOを悪化させる恐れがあるためです。 とくに以下のような状況では、運動療法やマッサージは禁忌(きんき:実施してはならないこと)となります。ASOに対するマッサージ方法は医師に相談してください。 深部静脈血栓(しんぶじょうみゃくけっせん)が疑われる 潰瘍(かいよう)や炎症が起きている 安静時に痛みがある それぞれの詳細を解説します。 1.深部静脈血栓が疑われる 太ももから下側に腫れや赤み、痛みが現れているときは、深部静脈血栓が疑われるためマッサージは禁忌です。(文献1)深部静脈血栓とは、長時間足を動かさないで同一姿勢でいると、足の静脈に血栓(けっせん:血の塊)ができてしまうことです。 血栓が血流に乗ってしまうと、肺の血管を詰まらせて肺塞栓症(はいそくせんしょう)という危険な病気を引き起こす恐れがあります。深部静脈血栓が疑われる際にマッサージをすると、圧迫により血栓が剥がれて肺塞栓症に進展する危険性があります。(文献2) ASOにおいても血栓ができることがあるため注意が必要です。深部静脈血栓が疑われる症状が現れている場合は、速やかに医療機関を受診してください。 2.潰瘍(かいよう)や炎症が起きている 下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)のFontaine(フォンテイン)分類におけるⅣ度に該当する場合は、原則運動療法は禁忌です。(文献3)Fontaine分類とは、ASOの重症度をⅠ〜Ⅳ度で評価するための分類です。 このような重症例では皮膚や組織への血流が著しく低下しているため、マッサージによる組織への物理的な圧迫や摩擦が潰瘍や壊死部に対して悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、マッサージの実施も推奨できません。 Ⅳ度は、皮膚や筋肉への血流が不足している最も重い状態です。小さな傷や低温やけどをきっかけに以下のような症状が現れています。 症状 詳細 潰瘍(かいよう) 皮膚や粘膜が深く傷ついている状態 壊死(えし) 細胞の一部が壊れている状態 赤く炎症が起きている場合は、なんらかの感染症が発生している恐れもあります。これらの症状が現れている場合は、マッサージは行わず速やかに医療機関を受診してください。 3.安静時に痛みがある 安静時に痛みがある場合は、Fontaine分類におけるⅢ度に該当します。Ⅲ度も原則運動療法は禁忌です。(文献3)そのため、マッサージの実施も推奨できません。 ASOにおいて、II度とⅢ度の症状を間違えないように注意が必要です。症状の違いは以下の通りです。 分類 症状 II度 一定の距離を歩くと、ふくらはぎが締め付けられるような痛みが現れ歩けなくなる。休むと痛みがなくなり歩けるようになる。この状態を間欠性跛行(かんけつせいはこう)と呼ぶ。 Ⅲ度 歩く距離が徐々に短くなり、安静にしていても痛みが持続する。 (文献4) Ⅲ度の症状が現れている場合は、狭窄や閉塞が悪化している状態です。こちらも医療機関を受診して医師の指示に従ってください。 その他の下肢閉塞性動脈硬化症に対する禁忌 下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)の患者様は、弾性ストッキングを原則着用してはいけません。ASOの患者様が装着すると、圧迫により血行障害が悪化する恐れがあるためです。弾性ストッキングとはストッキングの圧力により、下肢の筋肉のポンプ作用を高めて血流を促す製品です。 ASOの患者様に対して弾性ストッキングの着用が必要になった際は、医師が慎重に検討します。医療現場では、2011年から2016年の間にASOの患者様に対して、弾性ストッキングを着用させてしまった事例が4件発生しています。(文献5) 万が一のために患者様本人と家族の間でも、ASOを患っている場合は原則弾性ストッキングを着用してはならないことを理解しておきましょう。 下肢閉塞性動脈硬化症に効果的な運動療法 下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)に対する運動療法は、Fontaine分類におけるⅠ度(冷寒やしびれ感がある)、Ⅱ度の方に推奨されています。有効な運動療法は歩行です。間欠性跛行の改善や歩行距離の向上を期待できます。歩行は以下のような流れで実施します。 がまんできる痛みが生じる強度で歩く 強い痛みが出る手前で休む この繰り返しを1回30〜60分行う 歩行は週3回を少なくとも3カ月間の実施が推奨されています。運動療法は「病院で行う監督下運動療法」と「自宅で行う在宅運動療法」があります。 監督下運動療法のほうが間欠性跛行の改善効果が高く、推奨されています。(文献6)自宅で運動療法を行う場合は、医師の指導を受けてからにしましょう。 下肢閉塞性動脈硬化症のセルフケアにおける5つのポイント ASOを管理するには、以下のようなポイントを抑えておくことが大切です。 フットケアを行う 高血圧を改善する 脂質異常症を改善する 血糖値をコントロールする 禁煙をする それぞれの詳細を解説します。 1.フットケアを行う ASOを管理するためには、以下のようなフットケアの実施が大切です。 フットケアの種類 詳細 足を冷やさない 足が冷えると血管が収縮してしまい血流が悪くなるため、以下のような方法で保温する。 靴下や電気毛布で足を温める 入浴や足浴をする 靴下は締め付けがきつすぎないものにする。 傷を作らない 小さな傷から感染症を引き起こすリスクがあるため、以下のことに注意する 足は清潔にして水虫予防をする 傷ができるリスクがあるため深爪しない 靴擦れのリスクを避けるため、足のサイズに合った靴を選ぶ 低温やけどに注意する 低温やけどから感染症を引き起こすリスクがある。電気あんかや湯たんぽ、カイロは直接肌に当てると低温やけどを起こすリスクがあるため、使用する際は間接的に保温する。 (文献4) 巻き爪は傷ができるリスクがあります。巻き爪がある方は形成外科などで治療してもらいましょう。 2.高血圧を改善する 高血圧は、動脈硬化(どうみゃくこうか:血管が弾力性を失っている状態)を引き起こすためASOを悪化させる原因です。ASOの方は以下の血圧値を目標として改善を目指しましょう。 年齢 降圧目標 75歳未満 130/80mmHg未満 75歳以上 140/90mmHg未満 (文献6) 高血圧の管理において減塩はとくに大切です。以下を参考にして減塩をしましょう。 麺類の汁は飲まない 外食や加工食品は避ける 薄味に味付けをする 香辛料や香草野菜、酸味などで味付けをする 調味料は酢やケチャップ、マヨネーズなど塩分が少ないものを上手に利用する 味噌汁などの汁物は具だくさんにして塩分量を減らす 漬物は自家製の浅漬けにして少量にする 3.脂質異常症を改善する 脂質異常症は下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)の悪化に関係しています。悪玉コレステロール値や中性脂肪値が高いと動脈硬化を進行させるためです。一般的にASOと脂質異常症を合併している方は、薬物療法が検討されます。(文献6) 薬物療法だけでなく以下のことに注意して、脂質異常症の改善を目指しましょう。 禁煙をする(受動喫煙も避ける) 標準体重を目指す 過食をしない アルコールの過剰摂取をしない 肉類や乳製品、卵黄の摂取を控える 魚類や大豆製品をおかずにする 野菜類や果物類、海藻類、穀類(精製されていない物)の摂取を増やす 脂質異常症を改善するための運動療法に関しては、医師と相談しながら進めましょう。 4.血糖値をコントロールする 糖尿病患者様は血糖値のコントロールが重要です。糖尿病は末梢神経障害の発症が多く、下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)と併存すると足病変(そくびょうへん:足に起こるトラブルの総称)を生じるリスクがあります。(文献6) 血糖値をコントロールするには、以下のような食習慣の改善が重要です。 ゆっくりとよく噛んで食べる 1日3食規則正しく食べる 食事は腹八分目にする 就寝前に食事や間食をしない 三大栄養素は炭水化物4〜6割、タンパク質2割、脂質2〜3割の割合にする 野菜類、海藻類、きのこ類、大豆製品、乳製品などさまざまな食品をバランス良く食べる 血糖値改善のための運動療法に関しては、医師と相談しながら進めましょう。 関連記事:糖尿病|食事で予防する、食生活を整えて病気の悪化や合併症を防ぐ 関連記事:糖尿病!運動療法なら改善はもとより予防にも効果を発揮 5.禁煙をする たばこは下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)を悪化させるだけではありません。ASOの治療方法である血行再建術(けっこうさいけんじゅつ:閉塞や狭窄した血管の血流を改善する治療)を実施した患者様の症状を再発させる恐れがあります。(文献4) これは、ニコチンに血管を収縮させる作用があるためです。他にも中性脂肪値を増加させるため、高血圧や脂質異常症、動脈硬化などを悪化させる原因にもなります。一人で禁煙できそうにない場合は、禁煙外来で医師に相談しましょう。 まとめ|下肢閉塞性動脈硬化症のマッサージ方法は医師に相談しよう 前提として下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)に対するマッサージは、自己流で行わず医師に相談しましょう。 深部静脈血栓が疑われる場合や重症度Ⅲ度とⅣ度のASOに対しては、マッサージを実施しないでください。 マッサージよりも、足を「保温する」「清潔にする」「傷を作らない」などのフットケアが大切です。また、高血圧や脂質異常症、糖尿病を合併している方は、それぞれの治療を進めて、食生活や運動習慣を見直してください。 ただし、運動療法の歩行は、病院で医療者の監督の下で実施するのが推奨されています。自宅で行う場合は医師の指導を受けてからにしましょう。 参考文献 (文献1) 冨岡 正雄,佐浦 隆一.「下肢DVT下でのリハビリテーション治療―整形外科疾患―」『Jpn J Rehabil Med』58(7), pp.724-730, 2021年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/58/7/58_58.724/_pdf(最終アクセス:2025年5月20日) (文献2) 厚生労働省「深部静脈血栓症/肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)について」厚生労働省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10600000-Daijinkanboukouseikagakuka/0000121801.pdf(最終アクセス:2025年5月20日) (文献3) 林 富貴雄.「III. 治療と管理の実際 1.内科的治療(薬物療法運動療法)」『日本内科学会雑誌』97(2), pp.66-72, 2008年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/97/2/97_332/_pdf(最終アクセス:2025年5月20日) (文献4) 国立循環器病研究センター「閉塞性動脈硬化症」国立循環器病研究センターホームページ https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/cvs/vascular/vascular-tr-03/(最終アクセス:2025年5月20日) (文献5) 日本医療機能評価機構「【3】下肢閉塞性動脈硬化症の患者への弾性ストッキング装着に関連した事例」日本医療機能評価機構ホームページ https://www.med-safe.jp/pdf/report_2016_4_T003.pdf(最終アクセス:2025年5月20日) (文献6) 日本循環器学会「2022年改訂版 末梢動脈疾患ガイドライン」日本循環器学会ホームページ https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2022/03/JCS2022_Azuma.pdf(最終アクセス:2025年5月20日)
2025.05.27 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
2024年に東京iCDCリスクコミュニケーションチームが実施した都民1万人アンケート調査によれば、2か月以上コロナ後遺症に苦しんだ成人は23.4%にものぼっていました。(文献1) 新型コロナ感染症罹患後の後遺症については、かかった人の年齢、性別問わず多くの報告が寄せられています。 多くの症状が確認されており、いまだ解明されていないことも少なくありません。 意識が朦朧とする「ブレインフォグ」が一時期話題となりましたが、実は「筋肉痛」も後遺症として現れることをご存知でしょうか。 この記事では、コロナ後遺症として報告されている筋肉痛について、原因や治療法を解説します。 コロナにかかってから筋肉痛が治らない、運動していないのに筋肉痛がするという人はぜひ参考にしてみてください。 \コロナ後遺症に再生医療という新しい選択肢/ 従来の治療では改善が見られなかった方に対して、幹細胞を用いた再生医療が注目されています。 患者様ご自身の細胞を活用し、ダメージを受けた神経や組織の修復・免疫機能の正常化をサポートすることで、倦怠感や筋肉痛などの後遺症改善が期待できます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 これまでの治療を受けても症状が改善しない方 筋肉痛や倦怠感で日常生活に支障を感じている方 後遺症が3か月以上続いている方 今、コロナ後遺症の筋肉痛で苦しんでいる場合、1人で悩まずに、ぜひ当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 コロナ後遺症の筋肉痛・関節痛は気のせいではない コロナ後遺症について、WHOは以下のように定義しています。 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に罹患した人にみられ、少なくとも2ヵ月以上持続し、また、他の疾患による症状として説明がつかないものである。 通常はCOVID-19の発症から3ヵ月経った時点にもみられる(文献7) 厚生労働省が北海道札幌市と大阪府八尾市を対象に行った調査では、新型コロナウイルス感染3か月後も何らかの症状が続いていると答えた人が八尾市で「14.3%」、札幌市では「20.9%」にものぼりました。(文献2) コロナ後、原因不明の体調不良に悩まされている人が15%前後いたのです。 コロナ後遺症に悩まされる人の多くが「倦怠感」「集中力の低下」「身体の痛み」を訴えています。 新型コロナウイルスが流行した当初は研究が進んでおらずコロナとの関連性が明確ではありませんでしたが、現在ではコロナ後遺症はひとつの病状として世界が認めているのです。 コロナ後遺症による筋肉痛の症状・特徴 実際にコロナ後遺症でどのような症状が起こるのかを以下で紹介します。 コロナ後遺症の筋肉痛の症状・特徴 筋肉痛以外の後遺症 通常の筋肉痛との違いや、筋肉痛以外のコロナ後遺症の症状についても項目ごとに解説します。 コロナ後遺症の筋肉痛の症状・特徴 コロナ後遺症による筋肉痛の症状の特徴として、身体全体に痛みが見られるという点が挙げられます。 通常起こる筋肉痛は、運動などによって筋肉組織が損傷を起こし、その修復過程で炎症が起こることで痛みが発生します。 そのため、通常の筋肉痛では運動でよく使った一部の筋肉が痛みます。 しかし、コロナ後遺症の筋肉痛の場合はウイルスが原因で起こっているため、全身が痛むのです。 また、通常の筋肉痛は、運動の負荷にもよりますがおよそ2~4日ほどで治ることがほとんどです。 一方コロナ後遺症の筋肉痛は長期化することも多く、長ければ数か月痛みが続くこともあります。 そのほかにも通常の筋肉痛とコロナ後遺症による筋肉痛には違いがあります。表で比較してみましょう。 特徴 コロナ後遺症の筋肉痛 通常の筋肉痛 原因 免疫異常・炎症反応・神経障害(自己免疫など) 運動などによる筋繊維の損傷 発症のきっかけ 運動していないのに痛くなる 激しい運動や普段しない運動をした後 痛みの性質 持続的、身体が重い 鋭い痛みや張り感 場所 広範囲(肩・背中・太ももなど) 痛む場所が移動することもある 使った部位に限定される 持続時間 数週間〜数か月続くことも 通常は2〜3日で軽快 他の症状 倦怠感・ブレインフォグ・息苦しさなどを伴う 通常は痛み以外の症状はない 検査で異常 炎症マーカー上昇や自己抗体が見つかる場合あり 基本的に異常なし 通常の筋肉痛と違う点を感じたら、まずは医師に相談してみましょう。 筋肉痛以外の後遺症 筋肉痛以外のコロナ後遺症については、以下の症状が報告されています。 ブレインフォグ 疲労感・倦怠感 関節痛 咳、喀痰、息切れ 胸痛 脱毛 記憶障害 集中力低下 頭痛 抑うつ 嗅覚・味覚障害 動悸 下痢、腹痛 睡眠障害 一見すると風邪症状に見えるものも多く、コロナ後遺症と結びついていなかったという人もいるかもしれません。 また、複数の症状が併発することが多い点もコロナ後遺症の特徴です。 なぜコロナ後遺症で筋肉痛が起きるのか コロナ後遺症で筋肉痛が発生するメカニズムについては研究が進んでいます。 通常の筋肉痛は運動を行うことにより筋繊維が破壊されることで発生しますが、コロナ後遺症による筋肉痛はその限りではありません。 近年の研究をもとに、コロナ後遺症で筋肉痛が起こる原因を以下で紹介します。 コロナ罹患により体内のエネルギーをつくる力が低下する コロナウイルスと自己免疫の関係 コロナ罹患後の運動が逆効果になることも コロナ罹患により体内のエネルギーをつくる力が低下する 2024年に海外で、コロナ後遺症の患者25名と新型コロナ感染症に罹患したものの後遺症の症状のない患者21名を集め、エアロバイクを10分~15分間こぐサイクリングテストが実施されました。(文献3) この実験の結果、コロナ後遺症の患者は健康な被験者と同量の運動でも、運動後筋力が低く酸素摂取量も少なかったことがわかりました。 また、コロナ後遺症患者の筋繊維中にあるミトコンドリアについて調べたところ、ミトコンドリアの機能が低下していることがわかりました。(文献5) ミトコンドリアの主な機能は細胞のエネルギーを生成することです。この機能が弱まっているため、筋肉痛が長引いているのではないかと考えられています。 コロナウイルスと自己免疫の関係 近年の研究では、コロナ罹患後に自己免疫疾患、炎症疾患のリスクが高まることが報告されています。(文献4) この研究では観察期間180日を超える新型コロナウイルス患者約314万例、そうではない人約376万例の計約690万例を検証しました。 その結果、新型コロナウイルスに罹患した人は関節リウマチや脱毛症といった自己炎症性疾患を患うリスクが高いことがわかりました。 自己炎症性疾患には筋肉痛を伴う病気もあります。長期化している場合は炎症疾患の可能性も考慮し、医師への相談も検討したほうがよいでしょう。 コロナ罹患後の運動が逆効果になることも 体力を回復しようと運動を行うと、さらに後遺症がひどくなってしまう可能性があるため注意が必要です。 コロナウイルスによって免疫機能が低下している場合、運動によって損傷を受けた筋肉繊維の回復に時間がかかってしまいます。 ダメージを受けたことによって、炎症を起こすリスクもあり、結果として筋肉痛の回復が遅れてしまう可能性もあります。まずは、かかりつけの医師に相談し、過度な運動は控えるようにしましょう。 コロナ後遺症による筋肉痛の治療法 コロナ後遺症による筋肉痛は時間経過によって治ることが多いとされています。厚生労働省の調査では、罹患18か月後に後遺症を訴える人は成人ではおよそ5%、小児では1%ほどでした。(文献2) 治療の基本としては痛みを抑える薬物療法が推奨されています。 しかし、コロナ後遺症の筋肉痛は様々な要因が絡んでいる可能性が高いといわれています。長期化している場合はリハビリテーションの実施も検討すべきでしょう。 また、精神的な要因が潜んでいる場合もあります。心理面でのケアも含め、多方面でのアプローチが必要になります。 コロナ後遺症の治療としての選択肢「再生医療」とは https://youtu.be/aTnT8dbLjSs コロナ後遺症には、再生医療という治療の選択肢もあります。 再生医療とは患者様自身から幹細胞を採取・培養し、患部に投与する治療法です。 幹細胞は「分化能」という、さまざまな組織の細胞に変化する能力があります。 \コロナ後遺症に再生医療という新しい選択肢/ 【こんな方は再生医療をご検討ください】 これまでの治療を受けても症状が改善しない方 筋肉痛や倦怠感で日常生活に支障を感じている方 後遺症が3か月以上続いている方 今、コロナ後遺症の筋肉痛で苦しんでいて少しでも改善の可能性を探したいという方は、ぜひ当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 まとめ|コロナ後遺症の筋肉痛は時間経過で治ることが多い!不安な場合はすぐかかりつけ医師に相談を コロナ後遺症のひとつとして、筋肉痛はよく見られる症状のひとつです。 近年の研究では免疫や細胞の再生力の低下により、炎症を引き起こし筋肉痛を伴っている可能性が高いとされています。 コロナ後遺症による筋肉痛は時間経過によって治ることが多いため、継続的な薬物療法やリハビリテーションが効果的です。 また、コロナ後遺症の治療としては、再生医療という選択肢もあります。 長期的なコロナ後遺症に悩まされている人は、まずは当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 参考文献 (文献1) 東京iCDCリスクコミュニケーションチームによる都民1万人アンケート調査結果(2024年2月実施)|東京都 (文献2) 新型コロナウイルス感染症(COV ID-1 9)の罹患後症状について(研究報告、今後の厚生労働省の対応)|厚生労働省 (文献3) Muscle abnormalities worsen after post-exertional malaise in long COVID|Nature Communications (文献4) Yeon-Woo Heo,et al.(2024)JAMA dermatology|JAMA dermatology (文献5) Muscle abnormalities worsen after post-exertional malaise in long COVID| Nature Communications (文献6) 新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)に関するQ&A|厚生労働省
2025.05.27 -
「最近、いびきがひどいと家族に言われて気になっている」「朝起きるとのどが渇いている」 そんな悩みを持っていませんか? 実はいびきが命の危険を訴えるサインになっているかもしれません。 厚生労働省が発表している「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でもいびきの危険性は指摘されています。 いびきは睡眠時無呼吸のサインであり、放っておくと脳梗塞にもつながる危険な症状のひとつです。 この記事ではいびきと脳梗塞の関係性や、いびきの予防法について解説しています。 いびきに関して不安を抱えている人、家族のいびきに異変を感じている人はぜひ参考にしてみてください。 いびきと脳梗塞の関係性 脳梗塞といびきは大きく関係しています。 脳梗塞によっていびきをしてしまっている場合もあれば、いびきが脳梗塞の原因となっていることもあります。 この項目ではいびきと脳梗塞の関連性について解説します。 いびきが脳梗塞のサインになっている可能性 今まで静かに寝ていたのに急に大きないびきをかくようになった人や、いびきの音が不規則な人は注意が必要です。脳梗塞を発症していびきが出ているのかもしれません。 脳梗塞とは、脳の血管が詰まったり、細くなってしまうことで血流が滞り、酸素やエネルギーが十分に行き渡らず脳細胞が破壊されてしまう病気です。 脳梗塞を発症すると意識障害や麻痺を起こすことがあります。麻痺による運動機能の低下で喉周辺の筋肉が緩んで舌が気道を塞ぎ、いびきが大きくなってしまうのです。 脳梗塞の症状や原因など、包括的な解説は「脳梗塞とは|症状・原因・治療法を現役医師が解説」をご覧ください。 脳梗塞が原因の場合、以下の症状も同時に見受けられます。 揺すっても起きない。 手足の動きが鈍い。もしくは麻痺している。 呼吸が不規則だったり、息が止まることがある。 揺すっても起きなかったり、意識が朦朧としている状態の場合は特に危険です。一刻を争う場合もあるため、すぐに病院にかかりましょう。 いびきが脳梗塞の原因になることもある いびきによっては、脳梗塞を引き起こす原因になっている可能性もあります。 いびきの原因は、気道が狭くなったり、塞がってしまうことで空気の通りが悪くなってしまうことです。 空気の通りが悪くなると十分な酸素が血液中に行き届かず、酸素を補おうと心臓に大きな負荷が掛かります。 その結果血圧が上昇し血管に負荷がかかることで、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まってしまうのです。 さらに危険なのは、睡眠時無呼吸症候群を患っている場合です。 睡眠時無呼吸症候群は睡眠中息が止まってしまう病気で、無呼吸の時間が長ければ長いほど身体的な負担は大きく、脳梗塞のリスクはさらに上昇します。 海外で行われた研究では、脳卒中を発症もしくは亡くなった対象者1022名のうち、697名が閉塞性睡眠時無呼吸症候群を患っていたという報告も上がっています。(文献1) 脳梗塞を含む脳卒中の再発予防や後遺症の治療としては、再生医療という選択肢もあります。再生医療について詳細は、以下のページをご覧ください。 危険ないびきの特徴・見分け方 いびきが出るからといってすべてが病気の前兆とは限りません。疲労やお酒の飲みすぎ、風邪などによって一時的にいびきが出る場合もあります。 しかし、慢性的にいびきをかいている人は注意が必要です。この項目ではいびきの特徴を危険度ごとに分けて紹介しています。 危険性が低いいびき|単純性いびき症 単純性いびき症とは、日中の疲労や風邪症状などによって引き起こされる一時的なものです。危険性は低く、原因を解消することで治まる場合がほとんどです。 主な原因は以下の通りです。 心身的な疲労 飲酒 鼻づまりなどの風邪 単純性いびき症の場合でも、体型などによっては大きないびきが出ることもあります。いびき用のマウスピースなどを使うことで軽減されることもあるため、慢性的ないびきではない場合は検討してもいいかもしれません。 上気道抵抗症候群 上気道抵抗症候群とは、睡眠中に喉や鼻といった上気道の空気の流れが滞ってしまい、呼吸がスムーズにできなくなってしまう睡眠障害のひとつです。 いびきのほかに睡眠時の呼吸が浅い、日中に眠気があるなどの症状が見受けられます。 睡眠時無呼吸症候群と症状は似通っていますが、上気道抵抗症候群のほうが睡眠時無呼吸症候群と比べ症状は軽いです。 睡眠時無呼吸症候群 睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中呼吸が頻繁に止まってしまう病気です。ガイドラインでは睡眠中10秒以上呼吸が止まっている状態を「睡眠時無呼吸」と定義しており、睡眠時無呼吸が1時間で5回以上見られた場合睡眠時無呼吸症候群と診断されます。(文献2) 睡眠時無呼吸症候群の診断は、睡眠ポリグラフ検査によって行われます。 睡眠時の呼吸状態を判断し、1時間での無呼吸、低呼吸を合わせた回数である無呼吸低呼吸指数(AHI)を測定します。無呼吸低呼吸指数(AHI)の数値が高ければ高いほど重症ということです。 無呼吸低呼吸指数(AHI)が5以下の場合、睡眠時無呼吸症候群の軽症型ともいえる「上気道抵抗症候群」と診断されます。 睡眠時無呼吸症候群にはいびき以外にもさまざまな症状が見られます。次の項目で詳しく解説しています。 いびきと脳梗塞リスクを高める睡眠時無呼吸症候群 家族からも心配されるほど慢性的にいびきが続いている人は、睡眠時無呼吸症候群を患っている可能性があります。 睡眠時無呼吸症候群は脳梗塞や心不全といった死亡リスクの高い病気を併発してしまうこともある危険な病気です。 睡眠時無呼吸症候群の最大の特徴は睡眠時のいびき、呼吸が止まる無呼吸ですが、睡眠時の症状を自分で把握するのは難しいでしょう。 この項目では睡眠時以外にも現れる睡眠時無呼吸症候群の症状や前兆について紹介します。 起床時に現れる症状 睡眠時無呼吸症候群を患う人の特徴として、起床時に以下の症状が見られることがあります。 口の中が渇いている。もしくはべとべとしている。 すっきりと目覚められない。寝た気がしない。 身体が重く疲労感がある。 起床時に頭痛がする。 睡眠時の酸素不足によって上記の症状が引き起こされていると考えられています。 また、起床時の症状とは若干異なりますが、夜中に尿意を催し起きてしまう夜間頻尿も特徴的な症状のひとつとして挙げられます。 日中に現れる症状 日中に現れる症状は以下の通りです。 異常な眠気に襲われる 集中力がもたない。ぼーっとしてしまう。 気分が上がらない。うつっぽい。 日中の異常な眠気は睡眠時無呼吸症候群の最大の特徴です。 これらが発生する原因として、無呼吸による眠りの浅さや睡眠の分断が原因だと考えられています。 いびきを予防するには 生活習慣の乱れやストレスによって起きる「単純性いびき症」の場合を除き、いびきの主な原因は肥満であると言われています。 肥満を解消することによっていびきが軽減されることは多くの研究でも証明されており、すぐに実践できる予防法として適しているといえるでしょう。 睡眠時無呼吸症候群を患っている人の減量療法は、食生活の改善と適度な運動の2つの柱で構成されています。 また、運動は特に効果が高く、体重の増減にかかわらず無呼吸低呼吸指数(AHI)の数値に改善が見られたという報告もあります。 しかし、症状の進行度合いによっては減量だけでは十分な効果が得られない場合もあります。 生活習慣を改善しても効果が見えない場合はすぐ専門の医師に相談し、減量療法に加え別の治療も検討しましょう。 まとめ|脳梗塞といびきは深い関係がある!いびきを防いで脳梗塞発症リスクを下げよう 脳梗塞といびきは深い関係があるということがおわかりいただけたでしょうか。 いびきは喉や鼻といった空気の通り道である気道が塞がり、空気の通りが悪くなることで起こります。 心身の疲労や風邪による一時的ないびきもありますが、慢性的にいびきをかいている人は注意が必要です。空気の通りが悪いということは血液に十分な酸素が行き届いていないということなので、脳梗塞の発症の原因になってしまいます。 また、脳梗塞を発症しているサインとしていびきが出ていることもあります。揺すっても起きない、呼吸がおかしいなど、普段と異なった症状が出ていたらすぐ医療機関にかかるようにしましょう。 いびきが悪化すると睡眠時無呼吸症候群を発症するおそれもあります。睡眠時無呼吸症候群は脳梗塞のリスクをさらに高めるため注意が必要です。 日中異常な眠気に襲われる、夜中に目が覚めてしまうといった症状のある人は、病院にかかることをおすすめします。 いびきの主な原因は肥満であると言われています。病院に行かずにいびきを改善したいという人は、運動や食事指導によって生活習慣の改善を心がけましょう。 脳梗塞を含む脳卒中の再発予防や後遺症でお悩みの方は、再生医療という治療の選択肢もあります。再生医療について気になる方は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) H Klar Yaggi ,et al. (2005). Obstructive sleep apnea as a risk factor for stroke and death. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16282178/(最終アクセス:2025年5月21日) (文献2) 日本呼吸器学会「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」(2020年) https://www.jrs.or.jp/publication/file/guidelines_sas2020.pdf (最終アクセス:2025年5月21日)
2025.05.27 -
- 下肢(足の障害)
- スポーツ外傷
「肉離れにはどんな後遺症がある?」 「適切に治療しないで放置するとどんなリスクがある?」 初めて肉離れを経験した方は、このような不安を感じてしまうのではないでしょうか。 肉離れは適切な応急処置を行わずに放置すると、血腫(けっしゅ:体内の一部に血が溜まること)が形成されて後遺症の発生リスクが高まります。 後遺症を防ぐには、受傷直後の応急処置や重症度別の治療の実施が大切です。 本記事では、肉離れの後遺症をはじめとして以下を解説します。 後遺症を発生させず速やかに元の活動レベルに戻すためにも、本記事で肉離れの後遺症について理解を深めてください。 また「肉離れの痛みがなかなか取れない」「運動するとすぐ再発してしまう」という方には、再生医療も選択肢の一つになります。 \肉離れの後遺症に再生医療という新しい選択肢/ 以下のように患者様ご自身の血液から抽出した血小板の濃縮液(PRP)を患部に注射することで、損傷した筋肉や腱の修復を促し、自然治癒力を高めることが期待できます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 肉離れの痛みが長期間続いている方 リハビリや保存療法だけでは改善が見られない方 スポーツや仕事に早く復帰したい方 手術を避けたい、身体に負担の少ない治療を希望する方 「早く痛みから解放されたい」「パフォーマンスを取り戻したい」という方は、当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングをご利用ください。 再生医療の治療法については、以下の動画でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/CPxLOR8D6X0?feature=shared 肉離れの後遺症はつっぱり感や可動域の制限 肉離れの後遺症には、以下のようなものがあります。 つっぱり感 可動域の制限 筋力低下 筋力のアンバランス 筋肉の柔軟性の低下 痛み これらの後遺症があると、運動に制限がかかり再受傷してしまうリスクがあります。後遺症を発生させないためには、受傷直後の応急処置と重症度別の治療が大切です。 (文献1) 肉離れを放置してはならない理由 肉離れが起きた際は、たとえ軽い痛みであったとしても放置してはいけません。肉離れは、受傷直後の症状だけでは重症度を判断できないためです。(文献2)受傷直後の痛みが軽度であっても、時間とともに血腫が形成されていくことがあります。 血腫が形成されると、痛みや腫れが悪化して関節の可動域が制限される恐れがあります。肉離れによる痛みや腫れを悪化させないためには、後述する応急処置であるRICE(ライス)や適切な治療が大切です。 後遺症につながる肉離れによる2つの合併症 肉離れを適切に治療しなければ、以下のような合併症につながるリスクがあります。 合併症 詳細 コンパートメント症候群 筋肉の壊死(えし:組織が壊れてしまうこと)や神経障害による後遺症が発生する。 骨化性筋炎 骨性の組織が形成されて可動域が制限される。 それぞれの詳細を解説します。 1.コンパートメント症候群|筋肉の壊死や神経障害による後遺症が発生する コンパートメント症候群とは、筋肉の壊死や神経障害が起こることです。肉離れが原因の場合は以下のような流れで起きます。 筋肉内の出血や腫れが重度になる 出血や腫れにより筋肉内の圧力が高まる 圧力により血流が悪くなる コンパートメント症候群は、重大な後遺症が発生する恐れがあります。主な症状は以下の通りです。 耐え難い痛み 水ぶくれを伴う重度の腫れ 知覚障害 運動麻痺 これらの症状が現れた場合は、コンパートメント症候群を疑い速やかに外科手術を受ける必要があります。(文献3) 2.骨化性筋炎|骨性の組織が形成されて可動域が制限される 骨化性筋炎(こつかせいきんえん)とは、骨と筋肉のすき間や筋肉内に骨性の組織が形成されることです。筋肉内の血腫や骨膜の損傷が起きた際に、数週間をかけて形成されることがあります。(文献3) 骨化性筋炎が起きると、骨関節の可動域が制限される後遺症が発生する恐れがあります。この後遺症は治りにくいのが特徴です。骨化性筋炎を起こさない方法は、肉離れ後に適切な治療を受けることです。 肉離れの後遺症を防ぐには受傷直後の処置が大切 肉離れの後遺症を防ぐには、受傷直後にRICEという応急処置の実施が大切です。RICEの処置内容は以下の通りです。 RICE 処置目的 処置内容 Rest(安静) 安静により血管・神経の損傷や腫れを防ぐ。 受傷部位を動かしたり体重をかけたりしないで安静にする。テーピングや固定具で動かないように支える。 Icing(冷却) 壊死や腫れを抑える。 氷のうやアイスパックで15~20分冷やし、感覚がなくなったら外す。痛みがあれば繰り返す。 Compression(圧迫) 内出血や腫れを防ぐ。 腫れが予想される部位にテーピングパッドやスポンジを当てて、弾性包帯やテーピングで軽く圧迫しながら固定する。 Elevation(高挙) 腫れを予防する、または軽減する。 台などを使い受傷部位を心臓よりも高く挙げる。 (文献4) この4つの頭文字をとってRICEと呼びます。肉離れが起きた直後にRICEの応急処置を実施すれば、血腫や腫れを軽減でき後遺症のリスクを下げられます。 受傷直後は、損傷や炎症を悪化させる恐れがあるため揉んだり温めたりしてはいけません。RICEの応急処置を行ったあとは、整形外科を受診して医師の指示に従ってください。 肉離れの後遺症を防ぐ重症度別の治療方法 肉離れの後遺症を防ぐには、重症度別の適切な治療とリハビリを行う必要があります。肉離れの重症度は以下のように分けられます。 重症度 損傷部位の状態 I型 筋繊維がわずかに損傷した状態 II型 筋繊維の一部が断裂した状態 III型 筋繊維が完全に断裂した状態 ここからは重症度別の治療方法を解説します。 1.I型|筋繊維がわずかに損傷した状態 I型は、筋繊維がわずかに損傷した状態で軽度の肉離れです。画像所見では、筋肉と腱の接続部分の周囲や筋肉に出血が見られます。(文献5) ストレッチ痛を伴わないのが特徴です。症状の有無と画像検査によりI型であるかどうかを診断します。I型の治療方法は安静を主体とする保存的治療です。 数日から1週間の間、受傷部位を安静にしたのちリハビリを始めます。基本的な動きやスポーツ動作を確認しながら、スポーツに復帰できるかを判断します。 2.II型|筋繊維の一部が断裂した状態 II型は、筋繊維の一部が断裂した状態で中等症の肉離れです。画像所見では、筋肉と腱の接続部分に損傷が見られます。(文献5) 明らかなストレッチ痛があるのが特徴です。II型は2週間を基本に保存的治療を行い、リハビリも含めると回復まで平均6週間ほどかかります。保存的治療の後、以下の確認後にリハビリを開始します。 熱感 腫れ 圧痛 しこりの有無 運動動作 画像所見 筋肉量が少ない筋肉と腱の接続部分に損傷が起きた場合は、十分に回復できない恐れがあります。このような場合は手術の検討が必要です。また、運動時の痛みが長引く場合も手術を検討しなければなりません。 3.III型|筋繊維が完全に断裂した状態 III型は、筋繊維が完全に断裂した状態で重傷の肉離れです。画像所見では、筋肉をつなぐ腱の断裂、または腱の接続部分の引き抜けが見られます。(文献5) III型は自然治癒が見られたとしても、筋肉の収縮力が損失する恐れがあるため手術が必要です。手術後は、2〜3週間の安静後、3〜6週間かけて正常な関節可動域を目指します。 主な手術の適応部位は以下の通りです。 アキレス腱断裂 ハムストリングス近位付着部損傷 大腿四頭筋遠位付着部損傷 大胸筋遠位付着部損傷 上腕二頭筋長頭腱損傷 いずれの部位も手術後は良好に筋力が回復し、近年では過去に受傷した肉離れであっても手術により十分な筋力回復が見込めるケースが示されています。(文献5)とはいえ、肉離れは放置しないで受傷直後から適切な診断と治療を受けることが望ましいです。 なお、肉離れなどのスポーツ外傷に対する治療としては、再生医療という選択肢もあります。再生医療に関して、詳しくは以下をご覧ください。 肉離れ予防のため3つのポイント 肉離れは「受傷した部分に疲労がたまっていた」「筋肉がほぐれていなかった」などが原因で起きます。 そのため、以下のようなポイントを抑えることで肉離れのリスクを軽減できます。 運動動作に適した筋力を鍛える 運動前はウォーミングアップを行う 疲労回復や運動後のケアを心がける それぞれの詳細を解説します。なお、今回はハムストリングを例にして解説しています。 1.運動動作に適した筋力を鍛える 肉離れを起こさないためには、運動動作に適した筋力を鍛える必要があります。 ハムストリングにおける肉離れ予防のトレーニングを紹介すると以下の通りです。 ヒップリフト 1.膝を曲げた状態で仰向けになる 2.仰向けのままお尻を上げる 3.肩から膝まで一直線になった状態で30秒キープ (文献6) お尻と太もも裏が効いていることを感じられれば正しくできています。片足を挙げた状態をキープすれば負荷を高められます。 2.運動前はウォーミングアップを行う 運動前のウォーミングアップやストレッチは、肉離れ予防につながります。ウォーミングアップは筋肉が温められ、筋肉の収縮や協調性が十分に発揮される状態になるためです。 ストレッチも十分に行い筋肉の柔軟性が保たれていれば、さらに肉離れの予防につながるでしょう。 3.疲労回復や運動後のケアを心がける 疲労は筋肉のパフォーマンスを低下させ、受傷リスクが高まります。 身体的疲労だけでなく、精神的な疲労が溜まっている場合も十分な休息が大切です。運動後のマッサージ等のケアは、疲労回復を期待でき肉離れ予防につながります。 肉離れの後遺症を防ぐため受傷後すぐに治療をしよう 肉離れによる後遺症を防ぐためには、まず受傷直後にRICEの応急処置を行うことが大切です。 その後、医療機関を受診して重症度に応じた適切な治療を受けてください。 「軽い痛みだから」と放置してしまうと血腫が大きくなり、後遺症が発生するリスクが高まることがあります。 治療後は、運動動作に応じたリハビリや運動前後のケアを怠らず、再受傷の予防に努めることも大切です。 また肉離れの手術や長期的なリハビリに不安や抵抗がある方は、再生医療の一種であるPRP(多血小板血漿)療法という選択肢もあります。 PRP療法は、患者様自身の血液から抽出した成長因子を豊富に含む血漿成分を患部に投与することで、組織の修復・再生を促進する治療法です。 できるだけ早く組織の回復を助けることで、しこりや筋肉のこわばりなどの後遺症を減らし、スムーズな回復を目指せます。 「早く競技に復帰したい」「再発や後遺症が不安」「手術は避けたい」という方は、ぜひ一度当院(リペアセルクリニック)へご相談ください。 参考文献 (文献1) 奥脇 透.「1.肉離れの診断と治療」『日本臨床スポーツ医学会誌』24(3), pp.331-333, 2016年 https://www.rinspo.jp/journal/2010/files/24-3/331-333.pdf(最終アクセス:2025年5月19日) (文献2) 日本臨床整形外科学会「【誤った知識】肉ばなれは放っておけば治る」日本臨床整形外科学会ホームページ https://jcoa.gr.jp/%E5%81%A5%E5%BA%B7%E7%9B%B8%E8%AB%87/%E6%A5%BD%E3%81%97%E3%81%8F%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%84%E3%82%92%E7%B6%9A%E3%81%91%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB/%E3%82%88%E3%81%8F%E8%A6%8B%E3%82%89%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%80%8C%E8%AA%A4%E3%81%A3%E3%81%9F%E7%9F%A5%E8%AD%98%E3%80%8D/%E3%80%90%E8%AA%A4%E3%81%A3%E3%81%9F%E7%9F%A5%E8%AD%98%E3%80%91%E8%82%89%E3%81%B0%E3%81%AA%E3%82%8C%E3%81%AF%E6%94%BE%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%8A%E3%81%91%E3%81%B0%E6%B2%BB%E3%82%8B/(最終アクセス:2025年5月19日) (文献3) 恩賜財団済生会「筋挫傷(きんざしょう)」恩賜財団済生会ホームページ https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/muscle_strain/(最終アクセス:2025年5月19日) (文献4) 日本スポーツ整形外科学会「3.スポーツ外傷の応急処置(RICE処置の実際)」日本スポーツ整形外科学会ホームページ https://jsoa.or.jp/content/images/2023/05/s03.pdf(最終アクセス:2025年5月19日) (文献5) 奥脇 透.「肉離れに関する最新の指針」『日本体育協会スポーツ医・科学研究報告』5, pp.1-29, 2008年 https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/supoken/doc/studiesreports/2001_2020/H2005.pdf(最終アクセス:2025年5月19日) (文献6) 日本大学「体感トレーニング~応用編~」日本大学ホームページ https://hp.brs.nihon-u.ac.jp/~NUBScommon/gakuseika/sportZERO/2024_04month.pdf(最終アクセス:2025年5月19日)
2025.05.27






