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- 足部、その他疾患
- 足部
ウォーキングをこなしていて、足先の不具合から「歩きすぎでモートン病になってしまったのでは」と不安になる方もいるのではないのでしょうか。モートン病は確かに足の指の疾患ではあるものの、歩きすぎで発症することは基本ありません。 むしろ、歩きすぎ以外の別の要因でなってしまうことが多いため、事前に知っておくと予防にも役立ちます。 本記事では、モートン病は歩きすぎでなるのかを、原因や予防方法とともに徹底解説します。 モートン病の原因は「歩きすぎ」ではない モートン病は、足裏の指の付け根に激しい痛みや腫れが生じるのが特徴です。 足でも比較的先端の部分に症状が生じるため、「歩きすぎでなるのではないか」と心配する方もいます。 しかしモートン病は、普段の歩きすぎが直接の原因ではありません。 むしろモートン病は、後で触れるように加齢で足の形が変わってきたり、つま先に負担をかけるような靴などを履き続けたりすることが主な要因です。 このため、足に合う履物を履き続けるなどしていれば、歩きすぎてもモートン病になるリスクはあまり高くありません。 モートン病になる原因 モートン病の原因は、つま先への圧迫や加齢など複数の要因が考えられます。 以下で説明する原因をより詳しく知っておくと、今後モートン病の発症を防ぐうえで便利です。 ハイヒールによるつま先への圧迫 モートン病の原因としてよくあるのが、ハイヒールによるつま先への圧迫です。 ハイヒールはつま先部分のすぐ後ろからかかと部分に向かって高さが増していくのが特徴であるため、足の指の付け根を含む足の前側に常に圧力がかかります。 履いている間はつま先立ちの歩き方を強いられる分、とくに日常的に履き続けた場合は足の指付近に圧力が集中しすぎるため、モートン病にかかるリスクが高まりやすいです。 サイズの合わない靴 また、ハイヒール以外にご自身のサイズに合わない靴も、モートン病の原因になります。 より具体的には、足幅に余裕がないほどのきつい靴や、余裕がありすぎてぶかぶかする靴を履く場合です。 きつい靴を履いている時は、足の指や内部を通る神経が左右から圧迫される分、モートン病の発症リスクが上がります。 一方でぶかぶかする靴については、足が靴の中で安定しないために、足の指が反ってしまいます。 その結果、前足の部分とかかとで体重を支えながら歩く分、普段以上に前足に圧力がかかってモートン病になる危険性が高まります。 過度のランニング ランニングの習慣がある方は、やりすぎでモートン病になる場合があるため、注意が必要です。ランニングの際は、歩行の場合以上に強い力で地面を蹴るため、足が受ける衝撃も大きくなります。足への衝撃が大きい分、つま先付近の神経が圧迫され、モートン病の発症リスクが高まる仕組みです。 とくにランニング初心者は、必要以上の強度や距離で走る傾向にあるため、なおさら注意を要します。 加齢による足の変形 ほかにも加齢で足の形が変化することも、モートン病の原因の1つです。そもそも加齢で足の形が変形するのは、足裏についている筋肉や脂肪が年とともに衰えることが理由とされています。筋肉や脂肪が減少した場合、足の骨や神経が外部からの衝撃を受けやすい状態になります。 加齢による足の変形は外反母趾や偏平足、モートン病のリスクを高めるため、注意が必要です。外反母趾や偏平足は両方とも足のバランスを維持するアーチが低下している状態である分、なおさら足の骨や神経が受ける衝撃が大きくなります。 足が衝撃を受けて圧迫され続けた結果、モートン病の発症可能性を高める仕組みです。 モートン病を放置すると悪化リスクがあるので注意 モートン病を放置すると、症状がさらに悪化するリスクがあります。モートン病は発症当初こそ、歩いている間に限り、痛みやしびれが生じるのが特徴です。 しかし症状が進むと、歩いていなくても痛みやしびれが生じます。しかも、痛みを感じる部位が足の指の付け根部分だけでなく、かかとや足首にまで広がることまである点で厄介です。症状の進行で痛みやしびれが強くなりすぎることもあり、最悪の場合で痛みのあまり、歩けなくなることさえあります。 モートン病で歩けなくなるリスクを防ぐには、症状を感じた段階で早めに医療機関で診察してもらうことが大切です。 モートン病を悪化させないための予防策 モートン病は歩き方や靴の選び方など、日常生活の中でできる予防策が多くあります。以下の予防策を知って実践すると、モートン病の今以上の悪化を防止するうえで便利です。 足に負担をかけない歩き方を意識 モートン病の症状の進行を抑えるには、足に負担をかけない歩き方を意識する必要があります。主なポイントは、以下の通りです。 かかとでしっかり着地:かかと→土踏まず→足先(母指球:足の親指のふくらみ)の順に地面に付ける つま先に力を入れすぎない:入れすぎると神経を圧迫 足の外側に重心が来るように意識する 歩行中は足の指を広げる意識をする 加えて、歩いている最中は体を前後に大きく振ることもポイントになります。体を大きく振ることで、足の重心が改善される効果があるとされているためです。 ただし、大股で歩いた場合も足を痛める危険があるため、適度な歩幅を維持しましょう。 足にフィットする靴を選ぶ 歩き方だけでなく足にフィットする靴を選ぶことも大切です。 最も重視したいポイントは、自身の足のサイズに合っているかどうかです。サイズについては、足の長さだけでなく幅もよくチェックして選びます。 とくにつま先の部分に余裕があるものが重要です。履いた際に足の指を自然に広げられたり、甲の部分が靴に当たらなかったりすれば、足の指の付け根部分への負荷を軽減できます。 またモートン病対策で靴を選ぶときは、「クッション性」もポイントです。とくに以下の5点を確認します。 靴底の素材が適切な硬さであること 靴底が薄すぎないこと 靴紐やベルト、マジックテープできつさを調整できること 前足側に柔軟な素材が使われていること かかと側はしっかり固定されること とくにウォーキングシューズなどのスニーカー類がおすすめです。 足のストレッチやマッサージで柔軟性を高める モートン病を予防する際、足のストレッチやマッサージも役に立ちます。ストレッチやマッサージは足の柔軟性を高める分、痛みやしびれのある部位への圧迫を軽減できるためです。 ストレッチやマッサージの方法には、足の指の曲げ伸ばしや青竹踏み、足首のマッサージなどがあります。ただし、痛みやしびれが強い場合は無理にやることはおすすめできません。 体重の管理も不可欠 ほかにも体重の管理も欠かせない予防策です。肥満などで体重が増加した場合、人体を支える足への負荷も大きくなります。 モートン病を発症していない方でも体重が増えて足への負荷が増えた結果、モートン病のリスクが高まるため、注意が必要です。またモートン病になった方も、体重が増えればより症状が悪化します。 モートン病の予防や治療では、食生活の見直しや適度な運動による体重の管理も有効な手段です。 モートン病の治療は「再生医療」も選択肢の1つ モートン病の治療法としては、再生医療も1つの選択肢です。 再生医療には、主に「幹細胞治療」と「PRP療法」の二つがあります。 幹細胞治療:患者様から採取した幹細胞を培養し、患部に投与 PRP(多血小板血漿)療法:患者様から採取した血液を遠心分離器にかけて、血小板を濃縮した液体を患部に投与 幹細胞には、さまざまな細胞に変化する「分化能」という能力があり、血小板には傷ついた組織や細胞に集まり、成長因子を放出する働きがあります。 どちらも患者様自身の体内から抽出した幹細胞・血液を用いるため、副作用のリスクが低いのが特徴です。 再生医療について詳しくは、当院「リペアセルクリニック」にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ まとめ|モートン病は歩行量よりも靴選びと歩き方による影響が大きい モートン病は普段の歩行量よりも、靴選びや歩き方の癖による影響が大きい病気です。とくにハイヒールのようにつま先が抑圧されやすい靴を日常的に履いている方は、モートン病のリスクが高まります。 モートン病の予防には、適切な靴を選ぶことや歩き方の改善、体重の管理などが大切です。ご自身の足を大切にできるような靴や歩き方を心掛けるだけで、モートン病のリスクを下げられます。 ウォーキングで歩きすぎだからという理由だけでは、モートン病のリスクは高くなりません。モートン病を予防したいのであれば、むしろ履く靴や歩き方、生活習慣を意識しましょう。 モートン病 歩きすぎに関するよくある質問 モートン病におすすめの靴下とは? モートン病には5本指ソックスをおすすめできます。通常の靴下と異なり、それぞれの指が1本ずつ包まれる構造であるため、足の指を動かしやすく圧迫も受けにくいためです。 加えて5本指ソックスによって指で地面をしっかり踏みしめられるため、足の指や足裏の筋肉を整えつつ、歩行が改善される効果があるとされています。 モートン病の初期症状はどんなものですか? モートン病の初期症状は、歩いている時やつま先の圧迫される履物を履いている時に、足の指の付け根に痛みやしびれを感じるのが特徴です。なお、じっとしていたり時間が経ったりすると、痛みが収まることもよくあります。 ほかにも、足の指の感覚の違和感も初期に見られる特徴です。 モートン病をセルフチェックする方法はありますか? モートン病は、以下の項目に基づいてセルフチェックできます。 足の指やその付け根に痛みやしびれがある 足の指を押したりつま先立ちしたりした時に痛みが強くなる ハイヒールの着用時に痛みを感じる ウォーキングやランニング、立ち仕事中に足先に痛みなどを感じる 靴を脱いだ時やじっとしている時などに痛みやしびれが落ち着く モートン病になったらやってはいけないことは? モートン病になった際にやってはいけないことは、次のとおりです。 ハイヒールや先端の細い靴を履くこと 長時間のウォーキングやランニング 患部への強めのマッサージやストレッチ 体重の不適切な管理(暴飲暴食や運動不足) 安静を基本にしつつ、無理のない程度のストレッチをすることやサイズの合わない靴を避けることなどがポイントといえます。 モートン病に似た症状に何がありますか? モートン病に似た症状や病気は以下のものが代表的です。 中足骨疲労骨折:足の甲の骨に負荷がかかることでひびが入る 足根管症候群:くるぶし付近の神経の圧迫による足の各所への症状 足底筋膜炎:足裏の足底筋膜の炎症で、足裏を中心に痛みや張り 糖尿病性神経障害:糖尿病の進行による足のしびれや痛み なおモートン病に似た症状・疾患は、ほかにも多くあります。なかには、モートン病のように足先に痛みやしびれが生じるものの、原因や細かい症状が異なるものもあるため、専門医の診察が欠かせません。
2025.04.28 -
- 足部、その他疾患
- 足部
足先が痛いために、ネット検索などで調べてみて「モートン病かもしれない」と感じる方もいるのではないのでしょうか。同時に「モートン病に見た目でわかる特徴があるのではないのか」と、気になる気持ちや不安が交錯している方もいるかと思います。 モートン病には見た目で判別できる特徴はありません。見た目よりも、むしろ足先などの痛みやしびれなどの症状で見分けるのが一般的です。ただ、セルフチェックの方法や医療機関での診断方法を知っておくと、今後の治療でも役に立ちます。 本記事では、モートン病の特徴について、症状や見分け方とともに徹底解説します。 モートン病に見た目の特徴はある? 足裏の指の付け根付近に痛みやしびれに悩んでいて、ご自身がモートン病なのではないかと疑う方もいるかと思います。 モートン病の疑いがあっても見た目に何の異常も見られないと、「モートン病は見た目で判断できないのか」と思うこともあるのではないのでしょうか。 本章では、モートン病の特徴について解説します。 明確な見た目の特徴はない モートン病には、見た目で明確にわかる特徴は現れません。 モートン病は足裏の中指や薬指、人差し指の付け根部分に症状が出るのが特徴ですが、該当する部分が赤く腫れたりむくんだりすることがありません。 外見上の異常が特に見られない分、見かけによるモートン病の判別は不可能です。 見た目で異常がわからないことから、長期間放置した結果、症状が進行してから受診するケースもあるため注意を要します。 足指の付け根の痛みやしびれが主な特徴 モートン病を発症した場合、足指の付け根部分の痛みやしびれが主な特徴として現れます。 初期段階でも、歩くだけで足指の付け根が痛む程度の症状が現れるのがポイントです。 さらに症状が進むと、歩いていなくても足裏部分や指の先端に焼けるような痛みやしびれを感じるようになります。 より症状が深刻になると、足の部分だけでなくふくらはぎの部分にまで強い痛みが及ぶケースもあります。 モートン病の見分け方|主に症状でチェック モートン病が見た目でわかりにくいのなら、判別も難しいと感じる方もいるのではないのでしょうか。 実はモートン病は、症状をもとに見分けることが可能です。 セルフチェックの方法もあるため、ご自宅でも判別できる場合があります。 モートン病の見分け方は以下の通りです。 初期症状からセルフチェックする方法 モートン病は初期症状の段階からセルフチェックで見分ける方法があります。 以下の項目に当てはまるようであれば、モートン病の可能性があるため、注意が必要です。 足指の付け根部分に痛みやしびれ、焼けつくような感覚を覚える 足指の付け根をつまんだり押したりすると痛い 履き物を脱ぐと、痛みやしびれが和らぐ 歩いている時や立ち仕事の時に足裏が痛む 歩くだけでも痛みやしびれを感じて辛い セルフチェックで「モートン病なのではないか」と感じたら、整形外科で専門医の診察を受けることをおすすめします。 つま先立ちとモルダーテストで症状の有無を確認 医療機関でモートン病を見分ける際、まず医師はつま先立ちで症状が見られるかどうかを確認するのが一般的です。 モートン病は足裏の指の付け根に痛みやしびれが生じるため、つま先立ちするだけでも症状が出てきます。 加えてモートン病の判別には、「モルダーテスト」と呼ばれる方法も一般的です。 モルダーテストでは、足指の両側を手で包み込む形で圧迫するように握りながら、痛みなど症状の有無を確認します。 モートン病の場合、足指と足指の間を通る神経が腫れているため、圧迫するように握っただけで痛みやしびれが出やすいです。 診断でも複数の手法で確認 モートン病の診断は、原則として複数の手法が使われます。特に病気や症状を正確に確定するための確定診断では、レントゲン検査やMRI検査などが用いられるものの、単体では確定が難しいためです。 レントゲン検査などで調べたうえで、足指の付け根部分の神経に腫れが見られればモートン病の診断が確定します。 モートン病に似た症状や病気はあるのか? モートン病は似た症状や病気が多いため、見た目や症状から自己診断するのは危険です。 モートン病に似た症状や病気として、次のものが挙げられます。 足の関節炎:足指の付け根だけでなく、足の各所に関節痛が発生。 足底筋膜炎:足裏にある足底筋膜の炎症で、特にかかとや土踏まず付近に発生。 中足骨疲労骨折:足の甲に生じる疲労骨折で、足指の付け根から甲にかけて痛む。 足根管症候群:内くるぶしの神経の圧迫で発生。足の指から足裏に至るまで痛みやしびれ。 腰椎椎間板ヘルニア:腰椎の圧迫で生じる神経障害。足だけでなく腰に痛み。 足の骨折:外傷や強い負荷で発生。軽く押すだけで痛み。青あざや腫れも見られることが多い。 神経障害:糖尿病やヘルニアなどが原因。痛みやしびれだけでなく冷えを感じることもある。 多くの病気や症状は、足指の付け根以外の部位に症状が出るため、それによってモートン病と見分けられます。ただし、より詳しい状況を医師に伝えたうえで、医師による正確な診断を受けることが大切です。 モートン病の治療では「再生医療」も1つの選択肢 モートン病の治療としては、再生医療も選択肢となります。 再生医療には、患者様から幹細胞を採取・培養して患部に投与する「幹細胞治療」と、血液を遠心分離器にかけて血小板を濃縮した液体を投与する「PRP療法」があります。 どちらも患者様自身の体内から抽出した幹細胞・血液を用いるため、アレルギー反応や拒絶反応のリスクが低い治療法です。 再生医療について詳細は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ まとめ|モートン病は見た目での判断が難しいので症状で見分けよう モートン病は腫れやあざのように、見た目で判断できる症状がありません。 見た目ではなく、足指の付け根付近の痛みやしびれが主な特徴であるため、症状を見分けるには医師による検査や診断が欠かせません。 モートン病らしき症状や病気にお悩みの方は、ご自身の判断に頼るのではなく、医療機関の受診をおすすめします。 モートン病の見た目に関するよくある質問 モートン病は何科を受診すればいいですか? モートン病の診断や治療を受けられるのは整形外科です。ただ、痛みが出たときに急ぎで治療しなければいけない病気ではないため、何日か様子を見た後に受診しても問題ありません。 モートン病の原因は何ですか? モートン病は、足指の付け根が強い圧迫を受けることが直接の原因です。特にハイヒールのようなつま先が圧迫されやすい履物を履く方や、ジョギングや中腰での肉体労働のような前足に負荷のかかる活動が多い方がなる可能性があります。 また、外反母趾や偏平足などによる足の変形で発症するケースもあるため、注意が必要です。 モートン病で歩きすぎは良くないですか? モートン病になった際、歩きすぎは控えるべきとされています。ただでさえ痛みやしびれが生じているところに、歩くたびに自身の体重で足にさらなる負荷をかけてしまうためです。 その結果、さらに病状が悪化する可能性さえあります。なお、モートン病は歩きすぎで生じることはありません。 モートン病を放置するとどうなりますか? モートン病を放置した場合、症状はさらに悪化します。モートン病は初期症状の時点では、歩いたり立ったりしているときに限り痛みやしびれが生じるのが特徴です。 しかし症状が進むと、じっとしているだけでも痛みやしびれに悩まされます。加えて、痛みやしびれを感じる範囲も足先だけでなく、足の甲や足首にまで広がります。 痛みが強すぎて歩くことが苦痛に感じられる場合もあるため、なるべく早めの医療機関の受診がおすすめです。 モートン病を緩和するマッサージの方法を教えてください モートン病の症状を緩和するマッサージには、足指のマッサージや足裏のマッサージがあります。 足指のマッサージは、足指を心地良い指圧で行うもので、甲側と足裏側でそれぞれ30~50回程度が目安です。特に足裏側は丹念に行います。 また、足裏マッサージはテニスボールやマッサージボールを用意したうえで座り、自身の足をボールに乗せます。続いて特に痛みの強い部分にボールが来るように転がすやり方です。その後はつま先からかかとまで一通りマッサージします。 なお、両方とも痛みやしびれが強い場合は、無理にやらないようにしましょう。
2025.04.27 -
- 手部、その他疾患
- 手部
スマホ操作やキーボード入力の繰り返しで手首や指に激痛が走る腱鞘炎。日常生活の中で頻繁に起こるこの症状の効果的な治し方を知りたい方も多いのではないでしょうか。 腱鞘炎の治療は安静が基本であるとともに、ストレッチや温冷療法などさまざまな方法があります。 加えて、今後の再発を防ぐために自宅で簡単にできる予防法もあるため、知っておくのがおすすめです。 本記事では腱鞘炎の治し方について徹底解説します。自宅でできる対処法や予防法も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。 腱鞘炎の治し方 腱鞘炎は手や指の使い過ぎで、手指の筋肉と骨を繋ぐ腱を包む腱鞘(けんしょう)で炎症が起きる症状です。腱鞘炎になると、手の甲や指に痛みや腫れが生じたり、しなやかな曲げ伸ばしが難しくなったりします。 腱鞘炎は日常生活に支障をきたすケースも多いため、症状を和らげて早く回復するための正しい治し方を知ることが重要です。 本章では、腱鞘炎の治し方について解説しますが、腱鞘炎の種類や症状を知りたい方は、あわせてこちらもご覧ください。 指や手首を安静にする 腱鞘炎の治し方で最も基本的な方法が、指や手首を安静にして過ごすことです。 腱鞘炎は指や手首の使い過ぎによって生じるため、まずは症状が出ている部位に極力負担をかけないようにします。治療に専念しているときは、症状の出ている部位とは逆側の指や手首を使うことが大切です。 例えば、右の親指が患部の場合は、左手を使うようにします。やむを得ず患部のある側の手を使わなければならないときは、できるだけ短い時間で済ませるようにしましょう。 ただし、安静にしている期間が長引くと、筋肉や腱の可動域が狭まる場合があります。 ある程度痛みが引いてきたら、少しずつ動かす機会を増やすことが大切です。 状況に応じた温冷療法 腱鞘炎の治療では、症状の段階に合わせた温冷療法が効果的です。 発症から2〜3日の急性期には冷却が推奨されます。氷嚢やアイスパックを薄いタオルで包み、15分程度患部に当てると、炎症による腫れや痛みを抑えられます。 一方、急性期を過ぎて症状が落ち着いてきたら温熱療法に切り替えましょう。温めることで血行が促進され、痛みの緩和や筋肉・腱の柔軟性回復につながります。 個人の症状や体質によって最適な方法は異なるため、判断に迷う場合は必ず医師に相談してください。 痛みを緩和するストレッチ 腱鞘炎になった際、痛みの緩和にストレッチも効果的です。 指や手首のストレッチは筋肉をほぐして痛みを和らげるだけでなく、血行を促す効果があるとされています。ストレッチは、リラックスした状態で行いましょう。 ここでは、指のストレッチと手首のストレッチの2つを紹介します。 指のストレッチ 指の痛みを緩和するストレッチは、次の手順・方法で進めます。 痛みのある手の掌を下に向ける 指を1本ずつ反対側の手で持ち、手の甲側にゆっくり反らす 指が伸びるのを感じたら、10~30秒程度キープ キープ後はゆっくり戻す 他の指も同様に動かす なお、指のストレッチは1日に2,3セット行うのがおすすめです。 ただし、あまりにも痛みが強いときは、無理をせずに安静にしてください。 手首のマッサージ 続いて手首のマッサージは、以下の手順で行います。 痛みのある手を机などの上に置く 反対側の手で痛みの生じている手の指を持ち、10秒程度反らせる 反らした指を元に戻す 手首のマッサージも、1日に複数セットやることが推奨されています。 痛み止めや装具の活用 腱鞘炎の治療では、痛み止めや装具も活用される手段です。 痛み止めには、ローションや塗り薬、湿布などの外用鎮痛消炎薬と、飲み薬のような内服薬があります。両方とも腱鞘炎による痛みや炎症を抑える目的で使用され、とくに痛みが増すときは外用鎮痛消炎薬と内服薬を併用するケースも多いです。 一方、装具については、サポーターがよく使われます。ただ、手や指は生活でよく使う部位であるため、完全には固定せず、指や手首の関節を覆うタイプを使用するのが一般的です。関節を覆うタイプであれば、指や手首を動かせる範囲を限定させながら、関節への負担を軽減します。 ステロイド剤注射治療 もし、痛み止めや装具を活用しても強い痛みが続くときは、ステロイド剤注射による治療も手段の1つです。 ステロイド剤注射は、炎症が見られる腱鞘に直接注射する形で、ステロイド剤を注入します。 ステロイド剤注射を行った場合、個人差はありますが2~3週間程度で症状の緩和が見られ、効果は3カ月から半年にわたって継続するケースが多くあります。 なお、糖尿病を抱えている方については、注射によって血糖値が上昇するリスクがあるため、注意と医師による慎重な判断が不可欠です。 手術による治療 腱鞘炎を痛み止め・装具やステロイド剤注射などの方法を用いても、症状が緩和しなかったり繰り返されたりする場合、手術を検討します。 腱鞘炎向けの手術は「腱鞘切開」が一般的です。症状の進行で腫れて分厚くなった鞘の部分を切り開きます。なお、局所麻酔を施した状態で行われるとともに、所要時間も10~20分程度と短めです。 腱鞘炎を予防する方法 指や手首に慢性的な痛みをもたらす腱鞘炎は、できれば事前に予防したいと感じる方もいるかと思います。 腱鞘炎を予防する方法は色々とあり、日常生活の中で簡単に実践できるものばかりです。 指や手首への負担を軽減する 腱鞘炎を予防するには、まず指や手首への負担を軽減することが大切です。 特に現代人は日常的にスマホを使う方が非常に多いため、スマホの操作が原因で腱鞘炎になる方も多くいます。 スマホの使用による腱鞘炎を予防するには、スマホを片手ではなく両手で持つのがポイントです。 片手で操作すると、持っている側の親指や手首に継続的な負担がかかるため、腱鞘炎を発症するリスクが高まります。 日頃片手でスマホを使っているのであれば、両手で持ったり操作したりする癖を付けるだけでも、腱鞘炎のリスクを下げられます。 また仕事やプライベートでパソコンを使う際も、手首の部分をクッションで支えるのがポイントです。 加えてスマホやパソコンを長時間利用する時は、こまめな休憩も腱鞘炎の予防に役立ちます。 スマホやパソコンを使う際、タイプ操作だけでなく前かがみの姿勢も腱鞘炎を誘発することがあるためです。 サポーターやテーピングもおすすめ 腱鞘炎の予防には、サポーターやテーピングもおすすめできます。 サポーターやテーピングは、特にテニスや野球のような手や指を使うスポーツ競技の場合、事前に手首などに巻いておくことで筋肉や腱への負担を和らげられる点がメリットです。 加えてテーピングは、関節を動かせる範囲を限定する分、腱を痛めたりけがを防いだりするのに効果を発揮します。 手首や指のストレッチで柔軟性を向上 日常生活の中で腱鞘炎を予防するには、手首や指のストレッチを心掛けることも大切です。 日頃からストレッチを行うことで、指や手首の腱の柔軟性を高めるとともに、指の付け根の腱を広げることによって圧迫を和らげる効果も期待できます。 特に指や手首をよく使うスポーツや仕事・作業に従事する方は、始める前の準備体操の時間などにストレッチの癖を付けておくと、腱鞘炎になる可能性を下げられます。 腱鞘炎の治療選択肢のひとつ「再生医療」について 腱鞘炎の治し方の選択肢として、再生医療もあります。 腱鞘炎の治療では、患者様自身から採取した血液の血小板を濃縮した「多血小板血漿(PRP)」を注射する方法がとられます。 手術によらない方法であるとともに、所要時間も最短30分程度である点も特徴です。 当院「リペアセルクリニック」では、腱鞘炎に対する治療として再生医療を行っています。 腱鞘炎の治療に再生医療をご検討の方は、当院へお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ まとめ|腱鞘炎を治すには安静にして医療機関を受診しよう 腱鞘炎の治し方は、基本的には患部を安静にしつつ、医療機関を受診するのが基本です。 加えて、温冷療法や痛み止め・装具による治療も用いられるほか、症状が深刻な場合はステロイド剤の注射や手術も用いられます。 また、日常生活でもスマホの使い方に気を付けるなどの、腱鞘炎を予防できる方法もさまざまです。 ほかにも、最近では再生医療も腱鞘炎の治療で選べます。 腱鞘炎の治し方は簡単にできるものが非常に多いため、安静を心がけながら医療機関で医師の指導に従いつつ実践してみてください。 腱鞘炎の治し方に関するよくある質問 腱鞘炎がなかなか治らない理由は? 腱鞘炎がなかなか治らず、症状が長引くのは、いつの間にか指や手首を使いすぎているのが原因です。 特にスマホやパソコンを意識しないままに多く使い、それがきっかけで症状が長期化しているケースがよく見られます。 スマホやパソコンの操作は、タッチパネルやキーボード上でタイプ打ちするため、同じような動作の繰り返しで腱鞘炎に繋がりやすいです。 スマホなどを長時間操作しがちであれば、まずは操作する時間を減らすことをおすすめします。 腱鞘炎の治し方でやってはいけないことは? 腱鞘炎の治療中は、指や手を無理に動かすことはやってはいけません。 炎症が落ち着かない状態で無理に動かすと、症状がより悪化する可能性があるためです。 指の曲げ伸ばしや重いものの持ち運びはもちろんのこと、患部を押したり無理なストレッチを行ったりすることも避ける必要があります。 腱鞘炎の湿布の貼り方は? 腱鞘炎の治療で湿布を貼る際、患部の場所によって方法はさまざまです。 患部が指である場合は、湿布を小さめの大きさにカットしたうえで、包帯やテープで補強するように貼ります。 特におすすめの場所が指の第二関節です。腱鞘炎の発症時に炎症が起こりやすい靭帯性腱鞘(じんたいせいけんしょう)と呼ばれる部位があるため、湿布によって痛みを和らげられることがあります。 手首が患部であるときは、湿布をX字型に切って患部に交差する場所が来るように貼るのがポイントです。もし湿布だけで貼りつかないときは、上からテープや包帯で補強すると良いでしょう。 腱鞘炎の治し方で親指のマッサージはOKですか? 腱鞘炎の治し方で、親指をマッサージしても問題ありません。 ただし、親指の付け根部分を反対側の指の先ではなく、指の腹の部分や手のひらで優しく押したり揉んだりするのがコツです。
2025.04.27 -
- 内科疾患、その他
- 内科疾患
自己免疫疾患にかかったとき、「性格と関係があるのでは?」と不安に思う方は少なくありません。 完璧主義や頑張りすぎる性格が影響しているのでは、と自分を責めてしまうこともあるでしょう。しかし、自己免疫疾患の原因は性格だけではなく、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。 本記事では、自己免疫疾患と性格の関係について正しく理解し、自分をいたわるためにできることをお伝えします。 自己免疫疾患と性格の関係 自己免疫疾患の発症メカニズムは複雑で、さまざまな要因が絡み合っています。近年、性格や心理的特性との関連性についても注目されていますが、その関係性は単純ではありません。 ここからは、自己免疫疾患と性格の関連性について説明していきます。 性格が原因と断言はできない 自己免疫疾患の発症には、遺伝的素因が大きく関わっています。家族内での発症傾向や特定の遺伝子変異が見つかっていることからも明らかです。環境因子(感染症、食事、有害物質への曝露など)も関連があります。 性格が自己免疫疾患と関連している可能性は示されていますが、病気の直接の原因ではありません。 真面目な性格だから病気になったわけではなく、以下のような流れで間接的に影響している可能性があります。 完璧主義の性格 → ストレスがたまりやすい → 睡眠不足や食生活の乱れ → 免疫系に負担 → 病気のリスク上昇 つまり、性格そのものではなく、性格によって生じる生活習慣の変化やストレスが、身体に影響を与えている可能性があるのです。 ストレスが影響する可能性 長期的なストレスは、神経系、内分泌系、免疫系に影響を与えます。慢性的なストレス状態では、自律神経が乱れて活性酸素やサイトカインが大量に発生し、細胞組織を破壊します。 完璧主義傾向や心配性といった性格の人は、同じ状況でもストレスを強く感じやすく、ストレス反応が長引く傾向があるでしょう。ストレスマネジメントが症状改善に効果的なケースが報告されていることからも、関連性があると言えます。 自己免疫疾患の人に多い性格傾向 研究や臨床観察から、自己免疫疾患を持つ方々に共通して見られる性格傾向があることが示されています。性格特性そのものが疾患を引き起こすわけではありませんが、ストレス反応や生活習慣を通じて健康状態に影響を与える可能性があります。 完璧主義・真面目 完璧主義者は高い基準を自分に課し、些細なミスも許せない傾向があります。もっと頑張るべきといった思いにとらわれ、達成感よりも足りない感覚に支配されがちです。この性格特性は、慢性的な緊張状態をもたらし、ストレスホルモンの分泌を促進させます。 真面目すぎる人は責任感が強く、「NO」と言えずに過剰な負担を抱え込みやすい傾向です。常に頑張り続ける姿勢が、休息不足や疲労の蓄積を引き起こし、免疫系の機能低下につながる可能性があります。 感情をためこみやすい とくに怒りや悲しみなどのネガティブな感情を適切に表現できない人は、それらを内側に抑え込む傾向があります。感情の抑圧は、自律神経系のバランスを崩し、交感神経優位の状態を長期間維持させることになるでしょう。 感情を溜め込むことで、免疫系の調節機能に悪影響を及ぼします。とくに、怒りの感情を表現できない場合、それが身体症状として現れることがあり、これが自己免疫反応を促進する可能性が指摘されています。感情を健全に表現し、処理するのが免疫機能の維持に重要です。 気を遣いすぎる 他者への過剰な配慮や気遣いは、社会的には高く評価される特性ですが、自分自身の健康を犠牲にする場合があります。常に周囲の期待に応えようとし、自分のニーズを後回しにする傾向は、慢性的なストレス源となります。 他者優先の生き方は、自己肯定感の低下や疲労感が蓄積し、免疫系の機能にも悪影響を与えます。自分の境界線が定まらずに断ることが難しい人は、エネルギーを使い果たし回復する時間を確保できないことで、免疫系のバランスが崩れやすくなります。 頑張りすぎる 限界を超えて努力し続ける性格の人は、休息や回復の重要性を軽視しがちです。もっとやらなきゃといった思いに駆られ、身体からの警告サインを無視して活動を続けることがあります。この止まれない性格特性は、慢性的な過労状態を引き起こします。 過度の頑張りは、交感神経の持続的な活性化を招き、コルチゾールなどのストレスホルモン分泌を増加させるのです。これにより、免疫系の調節機能が低下し、炎症反応が過剰になる可能性があります。 適切な休息をとることなく長期間にわたり高いストレス状態が続くと、自己免疫系の異常反応のリスクが高まります。バランスの取れた活動と休息のサイクルの確立が健康維持に重要です。 自己免疫疾患は性格だけが要因ではない 自己免疫疾患の発症メカニズムは複雑で、遺伝的要因、環境因子、ホルモンバランス、感染症など、さまざまな要素が絡み合っています。性格傾向はストレス反応を通じて影響する可能性はありますが、それだけで疾患が発症するわけではありません。 自分を責めない 自己免疫疾患を抱える方が「自分の性格が悪いから病気になった」と自責の念に駆られることがありますが、それは正確ではありません。疾患の発症には、以下の要因があります。 遺伝子 環境汚染物質への曝露 ウイルス感染 ホルモンバランスなど 以上のようなコントロールできない多くの要因が関係しています。 性格傾向がストレスに影響し、免疫系に影響を与える可能性はありますが、多くの要因の一部に過ぎません。完璧主義や頑張り屋といった特性は、社会的には高く評価されることも多く、それ自体が悪いわけではありません。 大切なのは、自分の特性を理解した上で、適切なセルフケアをすることです。自分を責めるのではなく、自分の体調と向き合い、必要なケアをしましょう。 病気の自分を受け入れる 自己免疫疾患は慢性疾患であることが多く、長期的な付き合いが必要です。まずは病気になった自分を受け入れることから始まります。自分の状態を認めることで、適切な対処法を見つける余裕が生まれるでしょう。 自分をいたわることは、ストレス軽減に直結します。以下の項目に気をつけましょう。 十分な睡眠 バランスの良い食事 適度な運動 リラクゼーション法の実践など このような基本的なセルフケアを大切にしましょう。また、断る勇気を持ち、自分の限界の尊重も必要です。 孤独はストレスを増大させるため、家族や友人との絆を大切にし、同じ疾患を持つ方々のコミュニティへの参加も心の支えになります。医師、心理士、栄養士などの専門家からの適切なサポートも、病気の管理には欠かせません。 自分の体調に合わせたライフスタイルの調整も必要です。無理をせず、体調の波に合わせて活動を調整しましょう。 自己免疫疾患と性格に向き合うためのセルフケア 自己免疫疾患と付き合っていく上で、性格傾向に由来するストレスの軽減は、病気の管理において重要です。完璧主義や頑張り屋といった性格特性を持つ方が、より健康的に日常生活を送るためのセルフケア方法を紹介します。 頑張りすぎない 自己免疫疾患を持つ方、完璧主義や責任感の強い性格の方は、体調が悪くても、やるべきことを優先しがちです。しかし、頑張り続ける姿勢が、実は免疫系に大きな負担をかけている可能性があります。 まずは自分の体調や限界を正直に認識することから始めましょう。今日はここまでといった境界線を明確に設け、それを超えないことが重要です。完璧を目指すのではなく、今の自分にとって適切なレベルを新たな目標として設定してみてください。 すべての依頼や期待に応える必要はありません。自分を守るための断る勇気を持ちましょう。過剰な責任感から解放されると、心身の緊張が緩和され、免疫系の働きにもポジティブな影響をもたらす可能性があります。 小さな休息をとる 忙しい日常の中でも実践できる短い休憩を意識的に取り入れましょう。5分から10分程度で行われる深呼吸やストレッチ、軽い運動など、短時間でもリラックスできる活動を日課にすると、ストレスホルモンの分泌を抑制し、自律神経のバランスを整えられます。 デスクワークが多い方は、長時間同じ姿勢でいると疲労が蓄積します。立ち上がって軽いストレッチをする、水分補給のために歩く、窓の外を眺めるなど、意識的に体の緊張をほぐす習慣をつけましょう。週末や休日には、完全に仕事から離れるデジタルデトックスの時間を設けることも効果的です。 自分が本当に楽しめる趣味や活動を見つけ、それを罪悪感なく楽しむ時間を確保するのも重要です。休むことも生産的な活動の一部だと捉えると、休息への抵抗感が減るでしょう。 気持ちを言葉にする 感情をためこみやすい方にとって、感情表現のトレーニングは重要です。信頼できる友人や家族に自分の気持ちを話すと、精神的な負担が軽減されます。話すことに抵抗がある場合は、まずは日記に書き出すことから始めてみましょう。日記をつけることで、自分の感情パターンを客観的に観察できます。 オンラインや対面の患者会など、同じ疾患を持つ人々とのつながりも心の支えになります。共感を得られる環境では、より自然に感情を表現できるようになるでしょう。自分の体験を共有すると、ほかの人の役に立つといった充実感も得られます。 専門家に頼る 自己免疫疾患と性格特性の両方に向き合うには、専門家のサポートが大切です。 定期的に主治医と相談し、症状の変化や治療の効果について率直に話し合いましょう。必要に応じて、栄養士や理学療法士、作業療法士など、多職種の専門家からのアドバイスを受けると、より包括的な健康管理が可能になります。 心身の健康は密接に関連しているため、心理面のケアが身体症状の改善にもつながることがあります。専門家に助けを求めることは、弱さではありません。自分一人で抱え込まず、利用できるサポートを最大限に活用するのは、病気との長い付き合いにおいて重要です。 なお、当院「リペアセルクリニック」では免疫細胞療法を行っております。主にがん予防に関する内容ではございますが、免疫力に不安を感じている方は、ぜひ下記ページもご覧ください。 自己免疫疾患と性格を正しく理解して前向きに善処しよう 自己免疫疾患の発症には、遺伝的要因や環境因子など複合的な要素が関わっており、性格は直接的な原因ではありません。完璧主義や頑張りすぎる傾向、感情を溜め込みやすいといった性格特性は、ストレス反応を通じて免疫系に影響を与える可能性はありますが、それだけで疾患が引き起こされるわけではないことを理解しましょう。 自分を責めるのではなく、自分の体と心に向き合うことが必要です。 頑張りすぎない 小さな休息をとる 気持ちを言葉にする 専門家に頼る このようなセルフケアの実践が大切です。自己免疫疾患といった現実を受け入れながらも、性格特性と上手に付き合うことで、ストレスを軽減し、心身のバランスを整えられます。 病気があっても自分らしく生きるための知恵と工夫を積み重ね、周囲のサポートも活用しながら、前向きな姿勢で日々を過ごしていきましょう。
2025.04.26 -
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自己免疫疾患と診断されると、「寿命に影響があるのでは」と不安を感じる方も多いでしょう。実際、病気によっては健康に影響を及ぼすものもありますが、適切な治療と生活習慣の工夫で、十分に健康的な人生を送れます。 なかには、臓器や神経に障害を与える疾患もありますが、近年は医療の進歩により、多くの人が病気と上手に付き合いながら生活できるようになってきています。 本記事では、自己免疫疾患と寿命の関係をはじめ、病名ごとのリスクや注意点、健康寿命を延ばすためのポイントをわかりやすく解説します。不安を解消し、前向きに過ごすためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。 【病名別】自己免疫疾患の平均寿命 自己免疫疾患は、免疫が自分の体を攻撃してしまう病気の総称です。症状や進行度は病気によって異なり、予後(寿命の目安)もさまざまです。 以下に、主な病名ごとの特徴と平均寿命の目安をまとめました。あくまで目安であり、実際は個人差が大きいことを理解しておきましょう。 病名 主な症状 寿命の目安(参考) 関節リウマチ 関節の腫れ・痛み・こわばり 平均寿命が10年縮む(文献1) 全身性エリテマトーデス(SLE) 発熱・倦怠感・皮膚や腎臓の障害 5年生存率は95%以上(文献2) 橋本病(慢性甲状腺炎) 疲労感・むくみ・寒がり 適切な治療を受ければ寿命への影響はほとんどない 1型糖尿病 高血糖・多尿・体重減少 女性の場合は7.9年、男性の場合は8.3年程度寿命が短くなる(文献3) 多発性硬化症(MS) 手足のしびれ・視力低下・歩行困難 無治療の場合、寿命は10年減少する(文献4) クローン病 腹痛・下痢・体重減少 診断後10年の累積生存率は96.9%と生命予後は良好(文献5) シェーグレン症候群 目や口の乾き・関節痛 寿命への影響はほとんどない 強皮症(全身性硬化症) 皮膚の硬化・内臓障害 「びまん皮膚硬化型全身性強皮症」では発症5~6年以内に皮膚硬化の進行及び内臓病変が出現することが多い(文献6) 治療の進歩により、かつては寿命を大きく左右するとされていた疾患も、今ではコントロール可能な慢性疾患として向き合えるようになっています。早期発見と定期的な通院、そして生活習慣の見直しが、より長く元気に過ごすポイントです。不安な症状がある場合は、早めに専門医に相談しましょう。 自己免疫疾患と寿命の関係 自己免疫疾患は、免疫が自分の体の組織や臓器を攻撃してしまう病気です。発症する部位や重症度には幅があり、寿命への影響も病気ごとに異なります。全身性エリテマトーデス(SLE)や強皮症、多発性硬化症(MS)などは、内臓や神経を攻撃するため、重症化すると生命にかかわるリスクが高まります。 治療が困難なケースでは、腎不全・間質性肺炎・肺高血圧症・心筋炎などの合併症を引き起こすことがあり、これが寿命を縮める要因です。全身性エリテマトーデス(SLE)では腎臓障害の進行や、強皮症では肺の機能低下で呼吸不全に至る可能性もあります。 一方で、橋本病(慢性甲状腺炎)やシェーグレン症候群などは、適切な治療を行えば寿命にほとんど影響を与えないとされています。重要なのは、早期発見と正しい治療、そして定期的な検査による合併症の予防です。自己免疫疾患と上手に付き合うことで、健康寿命を延ばせます。 寿命と関係性のある自己免疫疾患と合併症リスク 自己免疫疾患は種類によって寿命への影響が異なります。とくに内臓や血管、神経系に障害を及ぼす疾患では、合併症の発症が命に関わるケースも多いです。 ここでは、自己免疫疾患が引き起こす代表的な合併症について解説し、健康寿命を延ばすために知っておきたいリスクと対策を紹介します。 心血管疾患との関連 自己免疫疾患では、慢性的な炎症が血管の内側(血管内皮)を傷つけ、動脈硬化を進行させると考えられています。さらに、治療に使われるステロイド薬や免疫抑制剤は、副作用として高血圧や脂質異常を引き起こすことがあり、心血管系への負担が大きいです。 とくに全身性エリテマトーデス(SLE)や関節リウマチの患者では、心筋梗塞や脳梗塞といった血管に関するリスクが高いといった研究報告もあります。動脈硬化が早期から進行する可能性があるため、予防的な対策が欠かせません。リスクを抑えるには、定期的な血液検査や血圧・コレステロール値の管理が重要です。 禁煙・減塩・野菜中心の食事・適度な運動といった生活習慣の改善も効果的です。必要に応じて内科や循環器科と連携し、自分に合った管理方法の継続が、心臓や血管を守るポイントとなります。 感染症リスクとの向き合い方 自己免疫疾患の治療では、過剰に働く免疫を抑えるために、ステロイドや免疫抑制剤が用いられることが一般的です。しかし、副作用として本来体を守るべき免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなるといったリスクが伴います。 軽い風邪でも重症化しやすく、肺炎や帯状疱疹、インフルエンザ、新型コロナウイルスなどにも注意が必要です。感染後の回復が遅れやすい傾向もあり、体力や免疫の回復に時間がかかることがあります。 感染症を防ぐには、ワクチンの活用が有効です。インフルエンザや肺炎球菌のワクチンは、主治医と相談して積極的に接種しましょう。 日常生活では以下の項目に注意してください。 手洗い・うがい マスクの着用 人混みを避ける 十分な睡眠 栄養を摂取する など 感染症の重症化を防ぐには、わずかな体調の変化にも早く気づき、早期に受診することが重要です。 がん発症リスク 自己免疫疾患では、体内の慢性的な炎症が長期間続くため、細胞の異常増殖が起こりやすくなり、がんのリスクが高まるとされています。関節リウマチやシェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス(SLE)などの患者では、悪性リンパ腫の発症率が一般の人に比べて高いといったデータがあります。 治療に使われる免疫抑制剤は、長期使用によりがんの発症リスクを高める可能性があると指摘されているのです。こうした背景から、自己免疫疾患を持つ人は、がん検診を定期的に受けることが非常に重要です。 乳がんや大腸がん、子宮頸がんなど、年齢や性別に応じた検診を受け、早期発見・早期治療を心がけましょう。日々の生活では、バランスの取れた食事、禁煙、十分な睡眠、ストレス管理など、日々の生活習慣を整えると、がん予防にもつながります。医師と連携しながら、長期的な健康を守る意識を持ちましょう。 自己免疫疾患における健康寿命を延ばす方法 自己免疫疾患と長く付き合っていくためには、病気とうまく共存する工夫が欠かせません。適切な治療の継続と生活習慣や心のケアを意識すれば、病気の進行を抑えて健康寿命を延ばせる可能性があります。 ここでは、自己免疫疾患における健康寿命を延ばすためにできる、3つの具体的な方法をご紹介します。 適切な医療管理 自己免疫疾患は慢性的に経過する病気であり、病状の変化に応じた医療管理が不可欠です。まず大切なのは、定期的に医療機関を受診し、血液検査や画像診断などで病気の進行や合併症の有無を確認することです。これにより、悪化の兆候を早期に察知し、迅速な対応が可能になります。 また、処方されている薬も時間とともに見直しが必要です。体調や生活状況の変化に応じて、薬の種類や用量を調整したり、新しい治療法を取り入れたりすると、副作用を抑えながら効果的なコントロールが期待できます。 自己判断で薬の中断は危険なので、疑問や不安があれば主治医に相談しましょう。患者自身も病気の知識を深め、医療チームと協力して治療を続けていく姿勢が、健康寿命を延ばす大きな鍵となります。 生活習慣の見直し 自己免疫疾患の進行を抑え、心身の状態を良好に保つには、日々の生活習慣が大きく影響します。とくに栄養バランスのとれた食事は、体の炎症を抑える助けとなります。加工食品や糖分、脂質を控えめにし、野菜や魚、発酵食品などを積極的に取り入れましょう。 無理のない範囲での運動もおすすめです。軽いストレッチやウォーキングは、血流を促し、筋力や免疫力の維持にもつながります。運動の習慣は気分の安定にも役立ちます。 また、禁煙や節酒、十分な睡眠の確保も忘れてはいけません。タバコは血管や免疫系に悪影響を与えるため、とくに避けるべきです。生活を見直し、体に負担の少ない環境を整えると、より安定した日常が送れます。 メンタルケアの重要性 自己免疫疾患は長期にわたって治療が必要になるため、気持ちが落ち込んだり不安を感じたりする場合が少なくありません。 「いつまでこの治療が続くのか」「症状が悪化したらどうしよう」などの悩みが、ストレスとなって体調にも影響を与えることがあります。 心の負担を軽減するには、まず誰かに話すことが大切です。家族や友人に気持ちを共有するだけでも、安心感につながることがあります。必要に応じて心理カウンセリングを受けるのも有効です。 最近では、同じ病気を持つ人同士が交流できるサポートグループやオンラインコミュニティも増えています。自分だけじゃないと感じられる場所があることは、精神的な支えになります。 心と体は密接に関係しているため、心のケアも治療の一環と考え、自分を大切にする時間を持ちましょう。 自己免疫疾患は恐れすぎず健康寿命の最大化を図ろう 自己免疫疾患は、完治が難しい場合もありますが、正しく向き合えば長く元気に暮らせる病気です。大切なのは「病気と共に生きる」といった姿勢を、前向きに持つことです。恐れすぎて閉じこもるのではなく、自分にできるケアや対策を日々積み重ねて、生活の質を高く保ちましょう。 症状をコントロールしながら、心身ともに安定した生活を送ることは、決して夢ではありません。自己免疫疾患と上手に付き合いながら、自分らしい人生を歩み、ぜひ健康寿命の最大化を目指してください。焦らず、自分のペースで続けることが大切です。 参考文献 文献1 宗像靖彦クリニック「リウマチについて」宗像靖彦クリニックホームぺージ https://munakata-cl.jp/content/riumachi/(最終アクセス:2025年4月15日) 文献2 難病情報センター「全身性エリテマトーデス(SLE)(指定難病49)」難病情報センターホームページ、2024年4月1日 https://www.nanbyou.or.jp/entry/215(最終アクセス:2025年4月15日) 文献3 おかもと内科・糖尿病クリニック「1型糖尿病」おかもと内科・糖尿病クリニックホームページ https://www.okamoto-diabetes-cl.com/diabetes-types1/(最終アクセス:2025年4月15日) 文献4 地方独立行政法人 東京都立病院機構 がん・感染症センター 都立駒込病院「多発性硬化症(Multiple Sclerosis, MS)とは」がん・感染症センター 都立駒込病院ホームページ https://www.tmhp.jp/komagome/outpatient/special/PML_MS_NMOcenter/tahatsusei_kokasho.html(最終アクセス:2025年4月15日) 文献5 難病情報センター「クローン病(指定難病96)」難病情報センターホームページ、2024年4月1日 https://www.nanbyou.or.jp/entry/219(最終アクセス:2025年4月15日) 文献6 難病情報センター「全身性強皮症(指定難病51)」難病情報センターホームページ、2024年4月1日 https://www.nanbyou.or.jp/entry/4027(最終アクセス:2025年4月15日)
2025.04.26 -
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自己免疫疾患は、原因がはっきりとわかっていないことも多く、完治が難しいといわれています。しかし、実際には適切な治療と生活習慣の見直しによって、症状が大幅に改善し、日常生活にほとんど支障がない状態を目指すことが可能です。 本記事では、「自己免疫疾患は治ったと言えるのか?」といった疑問に対し、医学的な視点からわかりやすく解説。前向きに症状と向き合うための具体的なポイントも紹介します。 自己免疫疾患とは 自己免疫疾患とは、本来外敵から体を守るはずの免疫システムが誤って自分自身の細胞や組織を攻撃してしまう病気です。 この誤った免疫反応によって、体内で炎症が起こり、さまざまな症状や臓器障害を引き起こします。多くの場合、完全な治癒は難しく、長期的な管理が必要です。 ここからは、自己免疫疾患の基本的な仕組みや特徴を説明します。 自己免疫疾患の基本的な仕組み 自己免疫疾患は、免疫システムが正常な自己の細胞や組織を異物と誤認識し攻撃する疾患です。通常、免疫系は「自己」と「非自己」を区別して、ウイルスや細菌などの異物だけを排除します。 しかし、この識別機能に障害が生じると、自分の組織に対して免疫反応が起こります。自己免疫疾患は、全身に炎症が広がる「全身性自己免疫疾患」と、特定の臓器を攻撃する「臓器特異的自己免疫疾患」に分類されます。 たとえば、関節リウマチやSLEは「全身性自己免疫疾患」、1型糖尿病や橋本病は「臓器特異的自己免疫疾患」です。 自己免疫疾患の特徴 自己免疫疾患の大きな特徴は、慢性的な炎症や組織の破壊が長期にわたって進行する状態です。多くの場合、症状は寛解と再燃を繰り返し、徐々に悪化します。 自己免疫疾患の原因は複雑で、遺伝的要因、環境要因(感染、ストレス、紫外線暴露など)、自己抗原に対して免疫反応を示すなど複雑です。女性に多く発症する傾向があり、ホルモンの影響も示されています。診断は難しく、複数の検査や専門医の診察が必要です。 自己免疫疾患の完治が難しい理由 自己免疫疾患は一度発症すると、現在の医学では完全な治癒が難しい病気です。多くの場合、薬物療法などで症状をコントロールしながら共存していくことが治療の中心となります。病気と上手に付き合いながら、生活の質を維持していきましょう。 原因が完全には解明されていないため 自己免疫疾患の完治が難しい最大の理由は、その発症メカニズムや病態が複雑で、原因が完全には解明されていないことにあります。免疫システムのどの部分がどのように破綻し、なぜ自己を攻撃するようになるのかについては、多くの研究が進められているものの、まだ解明されていない点が多いです。 遺伝因子と環境因子の複雑な相互作用、個人差の大きさなども、治療法の開発を困難にしています。現在の治療は原因を取り除くのではなく、症状の緩和に主眼が置かれています。 自己免疫反応を完全に止めることが難しい 自己免疫疾患の治療では、異常な免疫反応の抑制が中心となりますが、自己免疫反応だけを選択的に抑える方法は限られています。現在の免疫抑制療法は、ステロイドや免疫抑制剤などを用いて免疫機能全体を抑制するため、症状の改善とともに、感染症へのリスク増加などの副作用も伴います。 特定の自己抗原に対する免疫反応のみを抑制する治療法の開発は進んでいるものの、実用化には至っていないケースが多いです。さらに、一度発症した自己免疫記憶は長期間持続するため、治療を中断すると再発が多いといった課題もあります。 自己免疫疾患における「治った」とは 自己免疫疾患では「治った」といった表現が医療現場と患者の間で認識のずれを生むことがあります。 多くの自己免疫疾患では真の意味での完治は難しく、むしろ「コントロールされている状態」や「寛解」といった概念が重要になります。患者様が自分の状態を正しく理解することが、長期的な疾患管理には欠かせません。 「完治」と「寛解」の違い 自己免疫疾患において、「完治」と「寛解」は医学的に異なる概念です。 項目 完治 寛解 定義 治療を終了しても症状が再発せず、病気が完全に消失した状態 症状が一時的に消失または軽減しているが、治療継続や経過観察が必要な状態 治療 投薬や治療が不要 治療の継続が必要 状態 疾患前の健康状態に戻る 体内では免疫学的な異常が継続していることが多い リスク 再発のリスクが極めて低い 治療を中断すると再燃するリスクがある 多くの自己免疫疾患では、完全な「完治」よりも「寛解」を目指した治療が現実的なアプローチとなります。寛解状態に達すれば、症状がない、または最小限の状態で日常生活を送ることが可能です。 重要なのは、たとえ症状がなくなっても定期的な検査や治療を継続することで、再燃を防ぎ長期的な健康を維持することです。 医療機関で使われる「寛解」の基準 医療現場では、自己免疫疾患の寛解を評価するため、いくつかの客観的な基準が用いられています。 臨床的寛解は、痛みや腫れなどの自覚症状や血液検査での炎症マーカーが消失した状態を指し、関節リウマチではDAS28(疾患活動性スコア)などの指標で評価されます。構造的寛解は、X線やMRIなどの画像検査で関節破壊や臓器障害の進行が停止している状態です。機能的寛解は、患者の日常生活動作に支障がない状態で、HAQ(健康評価質問票)などで評価されます。 これらの寛解基準を満たし、治療目標として設定されるケースが増えています。 自己免疫疾患の寛解を目指すためにできること 自己免疫疾患と診断されても、適切な治療と生活管理によって症状をコントロールし、寛解状態を目指せます。医師との協力関係を築き、治療を継続しながら、日常生活での自己管理にも取り組めば、病気と上手に付き合っていけます。 医師の指導に基づく適切な治療 自己免疫疾患と診断された場合の医師の指導に基づく適切な治療として、以下の2点を解説していきます。 薬物療法 定期的な検査と経過観察 薬物療法 ステロイド薬は多くの自己免疫疾患で治療の中心となり、強力な抗炎症作用によって症状をコントロールするために使用されます。急性期には高用量で開始し、症状の改善に伴って徐々に減量していくのが一般的です。 必要に応じて免疫抑制薬(アザチオプリン、メトトレキサートなど)を併用し、病状に応じて複数の薬剤を組み合わせることもあります。近年では、より標的を絞った生物学的製剤も選択肢として増えています。 ステロイド薬の減量後も、再燃予防のために免疫抑制療法を継続するケースが多く見られます。長期使用による副作用(眼圧上昇や緑内障、骨粗鬆症など)を防ぐため、定期的な検査が必要です。 定期的な検査と経過観察 自己抗体検査や血液検査で炎症や疾患活動性をモニタリングし、病態の進行や治療効果の確認は寛解の維持に欠かせません。炎症マーカーや自己免疫関連検査の数値変化は、目に見える症状が現れる前に体内の病気を反映する場合があります。 病状が安定していても、再燃のリスクがあるため定期的なフォローアップが推奨されます。検査結果は時期や体調によって変動するため、一時的な変化に一喜一憂せず、時間の経過を追うのが重要です。発熱や倦怠感などの症状悪化時には迅速に医療機関を受診し、治療方針の見直しを行う必要があります。 生活習慣の見直し 自己免疫疾患の管理には、薬物療法だけでなく日常生活の改善も重要な役割を果たします。 食事・運動・ストレス管理の3つの視点から生活習慣を見直しましょう。 バランスの取れた食事 自己免疫疾患には抗炎症作用のある食品が効果的です。 積極的に摂取したいもの 高たんぱく、高繊維食 新鮮な野菜や果物 青魚(オメガ3脂肪酸が豊富) 発酵食品(腸内環境を整える) セレン、鉄、亜鉛、マグネシウムなどのミネラル これらの食品は免疫システムのバランスを整え、炎症を抑制する働きがあります。特に個人の体質や症状に合わせた食事選択が重要です。 控えめにしたいもの 加工食品 高脂肪食品 精製糖質 これらの食品は体内の炎症を悪化させる可能性があるため、可能な限り自然食品を中心とした食生活を心がけましょう。 適度な運動と休息 適切な運動は炎症を抑制し、気分向上にも効果があります。 おすすめの運動 軽いウォーキング ヨガ 水中運動など低強度の運動 休息のポイント 十分な睡眠を確保する 疲労感を感じたらすぐに休む 体調に合わせて運動の強度や時間を調整する 無理のない範囲で定期的に運動することで、血流が改善され、免疫系の正常化を促進します。一日15~30分から始めてみましょう。 ストレス管理 ストレスは自己免疫疾患の発症や悪化の重要な要因です。 効果的な方法 深呼吸、瞑想、マインドフルネス 趣味や創作活動 自然の中で過ごす時間 患者会への参加や同じ疾患を持つ人との交流 必要に応じてカウンセリングや心理療法 ストレス管理は薬物療法と同じくらい重要な治療の一環です。自分に合ったリラクゼーション方法を見つけ、日常生活に取り入れていきましょう。 自己免疫疾患と向き合うために大切な考え方 自己免疫疾患は長期にわたって付き合っていく必要のある病気です。寛解と再燃を繰り返すことも多く、時に心理的な負担も大きくなります。しかし、適切な治療と心構えによって、病気があっても充実した人生を送ることは十分に可能です。病気と上手に付き合うための考え方を身につけましょう。 正しい情報を取り入れ自分に合った治療を続ける 自己免疫疾患と向き合うためには、まず医療機関や専門医からの正確な情報を基に、自分の病状やライフスタイルに合った治療法を選択しましょう。インターネット上には多くの情報がありますが、科学的根拠のない治療法や民間療法に惑わされないよう注意が必要です。 処方された薬を自己判断で中止したり、用量を変更したりせず、医師の指示に従うのが寛解への近道となります。治療には薬物療法だけでなく、食事や運動、ストレス管理などの生活習慣の見直しも含まれます。自分の体調の変化を記録し、医師との診察時に共有するのも効果的です。 自分を責めない・周囲に頼る 自己免疫疾患は本人の意思や生活習慣だけが原因ではなく、遺伝的要因や環境要因が複雑に絡み合って発症します。病気による制限や不安から自分を責めるのではなく、「今できること」に焦点を当てる姿勢が大切です。完璧を求めず、調子の良い日も悪い日も自分の体を尊重する心構えを持ちましょう。 一人で抱え込まず、家族や友人、患者会など周囲のサポートを積極的に活用し、孤立を防ぐことも重要です。必要に応じて心理カウンセラーなどの専門家に相談も、心理的な負担軽減になるでしょう。病気があっても自分らしい生活を送るためには必要です。 自己免疫疾患は「寛解」を目指して前向きに治療しよう 完治が難しい自己免疫疾患では、症状をコントロールし安定した状態(寛解)を目指すことが現実的な治療目標となります。現代の医療では、早期発見と適切な治療により、多くの患者様が症状を抑えながら日常生活を送っています。 医療機関や専門医から正確な情報を得て、自分の病状やライフスタイルに合った治療法の選択が大切です。薬物療法を基本としながら、バランスの取れた食生活や適度な運動、十分な休息、ストレス管理などの生活習慣の改善も治療の助けとなります。 病気による制限や不安から自分を責めず、できることとできないことを見極める柔軟性を持ちましょう。家族や友人、患者会などのサポートを積極的に活用して孤立感を防ぎ、必要に応じて専門家の心理的サポートを受けることも有効です。自己免疫疾患があっても、工夫と周囲の理解があれば、充実した人生を送ることは十分に可能です。 なお、当院「リペアセルクリニック」では免疫細胞療法を提供しております。 主にがん予防に関する内容ではございますが、免疫力に関してお悩みを抱えている方は、以下のページもあわせてご覧ください。
2025.04.26 -
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「自己免疫疾患っていう名前は聞いたことあるけど、どんな病気かはよく知らない」 そんな方も多いのではないでしょうか?気になって調べ始めた方も多いかもしれません。 自己免疫疾患は、体を守るはずの免疫が、間違えて自分を攻撃してしまう病気です。名前だけ聞くと怖いイメージを持つかもしれませんが、正しく理解すれば、過度に心配する必要はありません。 この記事では、自己免疫疾患の基本や、よくある症状、治療についてわかりやすく紹介していきます。 自己免疫疾患とは 自己免疫疾患とは、私たちの体を守るはずの免疫システムが誤って自分自身の細胞や組織を攻撃してしまう病気です。通常は外敵から体を守る防御システムが、なんらかの理由で自分の体を敵と認識してしまい、慢性的な炎症や臓器障害を引き起こします。多くは完治が難しく、長期的な管理が必要となります。 免疫の基本的な役割 免疫とは、私たちの体に侵入したウイルスや細菌などの病原体を発見し、攻撃・排除するための防御システムです。白血球を中心とした免疫細胞が体内をパトロールし、異物を見つけると速やかに反応して体を守ります。 健康な免疫システムの最も重要な特徴は、「外敵」と「自己」を正確に区別できることです。免疫細胞は特殊なタンパク質を使って、体に入ってきた細菌やウイルスなどの異物を識別し、攻撃します。一方で、自分の体を構成する細胞や組織は「自己」として認識し、攻撃しないようプログラムされています。 この「自己」と「外敵」の区別が免疫システムの基本原理です。 自己免疫疾患の状態 自己免疫疾患では、本来味方であるはずの自分自身の組織や臓器を、免疫システムが「外敵」と間違えて攻撃してしまいます。これは、体を守るための軍隊が誤って自国の市民を攻撃しているような状態と言えるでしょう。 誤った攻撃は持続的に行われるため、攻撃の対象となる組織や臓器では慢性的な炎症が起こり、時間とともに機能障害が生じます。たとえば、膵臓のインスリン産生細胞が攻撃されれば1型糖尿病に、関節の滑膜が攻撃されれば関節リウマチになります。 自己免疫疾患の主な症状 自己免疫疾患の症状は非常に多様で、疾患の種類や進行度によって大きく異なります。共通する特徴として、慢性的な疲労感、原因不明の発熱、関節痛、皮膚の発疹などが見られます。症状が良くなったり悪化したりを繰り返す「寛解と再燃」のパターンを示すことも特徴的です。 症状が出る場所による違い 自己免疫疾患は攻撃される部位によって症状が大きく異なります。たとえば、関節リウマチでは免疫系が関節の滑膜を攻撃するため、関節の痛みや腫れ、朝のこわばりといった症状が特徴的です。全身性エリテマトーデス(SLE)では、皮膚や腎臓、心臓など複数の臓器が攻撃対象となり、蝶形紅斑と呼ばれる顔の発疹や腎機能障害などの症状が現れます。 消化器系が影響を受ける疾患としては、クローン病や潰瘍性大腸炎があり、腹痛や下痢、血便などの症状を引き起こします。甲状腺が攻撃されるバセドウ病では、動悸や発汗、体重減少などの甲状腺機能亢進の症状が現れるでしょう。 一つの自己免疫疾患であっても、複数の臓器や組織に影響を及ぼすことが少なくありません。たとえば、シェーグレン症候群では涙腺や唾液腺が攻撃され、ドライアイやドライマウスの症状が出現しますが、同時に関節や肺、腎臓にも影響が及ぶことがあります。 自己免疫疾患の代表的な種類 自己免疫疾患にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴的な症状を示します。下記の表では、代表的な自己免疫疾患とその主な症状をまとめました。 疾患名 主な症状 バセドウ病 甲状腺機能亢進による動悸、体重減少、発汗過多、手の震え、目の突出など 関節リウマチ 関節の痛み・腫れ・こわばり、とくに手指や手首の関節に多く見られる、疲労感 橋本甲状腺炎 甲状腺機能低下による倦怠感、寒がり、体重増加、むくみ、皮膚の乾燥、便秘など 1型糖尿病 口渇、多飲、多尿、体重減少、疲労感、血糖値の上昇 全身性エリテマトーデス(SLE) 蝶形紅斑(顔の発疹)、関節痛、光線過敏、腎障害、貧血、発熱、疲労感 血管炎 血管の炎症による発熱、疲労感、体重減少、発疹、臓器障害(腎臓、肺、神経など) アジソン病 副腎皮質ホルモン不足による倦怠感、筋力低下、低血圧、皮膚の色素沈着、吐き気など 多発性筋炎 近位筋(肩や腰の筋肉)の対称性の筋力低下、筋肉痛、嚥下障害、間質性肺疾患 シェーグレン症候群 目や口の乾燥(ドライアイ、ドライマウス)、関節痛、疲労感、発熱 進行性の全身性強皮症 皮膚の硬化・緊張、レイノー現象(指先の色調変化)、関節痛、消化器症状、肺線維症 糸球体腎炎 血尿、蛋白尿、浮腫、高血圧、腎機能低下 (文献1) 症状は疾患によって大きく異なりますが、多くの自己免疫疾患では疲労感や発熱などの全身症状も共通して見られます。複数の自己免疫疾患を同時に発症する場合もあります。 自己免疫疾患の多くは完全な治癒は難しいものの、早期発見と適切な治療によって症状をコントロールし、生活の質を維持できます。 自己免疫疾患の原因 自己免疫疾患の正確な発症メカニズムは、現在も研究が進められています。単一の原因ではなく、遺伝的要因と環境要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。特徴的なのは、多くの自己免疫疾患で明らかな性差が見られることです。 遺伝的要因 自己免疫疾患には、家族内での発症傾向が認められるケースが多く、遺伝的な要素が重要な役割を果たしていると示唆されています。 とくに注目されているのが、HLA(ヒト白血球抗原)と呼ばれる遺伝子群です。これらの遺伝子は免疫システムの制御に関わっており、特定のHLA型を持つことで、特定の自己免疫疾患のリスクが高まることがわかっています。たとえば、HLA-DR4は関節リウマチと関連があるとされています。 しかし、遺伝的素因があるだけでは通常発症しません。同じ遺伝子を持つ一卵性双生児でも、両方が必ず発症するわけではないことから、遺伝子と環境要因の相互作用が重要と考えられています。 環境要因 環境要因は自己免疫疾患の引き金として働くことがあります。とくにウイルス感染は注目されている要因の一つです。たとえば、EBウイルス(エプスタイン・バーウイルス)は多発性硬化症や全身性エリテマトーデス(SLE)の発症リスクと関連があるとされています。 喫煙も重要な環境要因です。とくに関節リウマチでは、喫煙者は非喫煙者に比べて発症リスクが高くなります。また、全身性エリテマトーデス(SLE)では紫外線曝露が症状の悪化を引き起こすことが知られています。 強いストレスや過労も免疫系のバランスを乱す要因です。ストレスによるホルモンバランスの変化が免疫系に影響を与え、自己免疫疾患の発症や悪化につながる可能性が示唆されています。食生活や腸内細菌叢の変化も、近年研究が進んでいる分野です。 性差 自己免疫疾患の大きな特徴の一つに、女性の発症率が男性より高いことがあげられます。たとえば、アメリカでは、全身性エリテマトーデス(SLE)やシェーグレン症候群、関節リウマチなどでは、患者の80%が女性と報告されています。(文献2) この性差の主な原因は、女性ホルモン、とくにエストロゲンの影響と考えられています。エストロゲンには免疫系を活性化する作用があり、自己免疫反応を促進する可能性があるためです。 妊娠中や授乳期、更年期などホルモンバランスが大きく変化する時期に、自己免疫疾患の症状が変動する場合も多いです。関節リウマチは妊娠中に症状が改善し、出産後に悪化する症例がありますが、これはエストロゲンレベルの変動と関連していると考えられています。 自己免疫疾患の診断方法 自己免疫疾患の診断には複合的なアプローチが必要です。まず医師は詳細な問診をして、症状の経過や家族歴、生活習慣などを確認します。続いて身体診察で関節の腫れや皮膚の変化、内臓の異常などを評価します。 血液検査は、赤血球沈降速度(赤沈)や血算などです。必要に応じてX線検査、CT、MRI、超音波などの画像検査もして、関節や内臓の状態を詳しく観察します。場合によっては、生検(組織の一部を採取して顕微鏡で調べること)も診断には必要です。 自己免疫疾患の診断は単一の検査結果だけで確定できることは少なく、各種検査結果と臨床症状を総合的に判断します。 自己免疫疾患の治療方法 自己免疫疾患の治療では、免疫システムの過剰な反応を抑え、炎症を軽減させることが主な目標です。これにより症状をコントロールし、長期的な臓器障害を防ぎます。 治療薬としては、炎症を抑えるステロイド剤、免疫反応を抑制する免疫抑制剤などが用いられます。 治療は個々の患者の症状や重症度、年齢、合併症などを考慮して個別に計画されます。早期発見・早期治療が予後を大きく改善するため、症状に気づいたら早めの専門医への受診が重要です。定期的な通院と治療の継続が長期的なQOL(生活の質)の維持につながります。 自己免疫疾患における日常生活で気をつけたいポイント 感染症予防 ストレス管理 生活習慣の維持 自己免疫疾患と共に生きていく上で、日常生活での自己管理が重要です。多くの治療薬は免疫力を抑制するため、感染症にかかりやすくなります。手洗いやマスク着用などの基本的な感染予防策を心がけ、周囲に感染症の人がいる場合は接触を避けることも大切です。 ストレスは多くの自己免疫疾患の症状を悪化させる要因となるため、効果的なストレス管理法を見つけることが重要です。瞑想やヨガ、趣味に取り組むなど、自分に合ったリラックス法を取り入れましょう。 規則正しい生活習慣の維持も大切です。十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動は免疫の働きをサポートします。とくに疲労は症状悪化の引き金になることが多いため、無理をせず、必要に応じて休息を取りましょう。 自分の体調の変化に敏感になり、悪化のサインの早期発見も重要です。症状の日記をつけると、医師とのコミュニケーションに役立てられます。 自己免疫疾患を正しく理解し悩んだら早めの相談を 自己免疫疾患は、体の免疫システムが自分自身の組織を攻撃してしまう慢性疾患です。完全な治癒は難しいものの、医学の進歩により、多くの患者さんが症状をコントロールしながら充実した生活を送れるようになっています。 自己免疫疾患の多くは早期発見・早期治療が非常に重要です。関節の痛みや腫れ、原因不明の疲労感、皮膚の変化など、気になる症状が続く場合は、迷わず医療機関を受診しましょう。家族に自己免疫疾患の方がいる場合は、より注意が必要です。 インターネット上にはさまざまな情報が溢れていますが、自己判断で治療を中断したり、科学的根拠のない民間療法に頼ることは危険です。不安や疑問があれば、必ず担当医に相談しましょう。 患者会や支援グループなどのコミュニティも、情報共有や精神的なサポートを得る貴重な場です。同じ悩みを持つ人々との交流は、病気と向き合う勇気や知恵を与えてくれます。 自己免疫疾患と診断されても、適切な治療と自己管理によって、多くの方が充実した人生を送っています。正しい知識を持ち医療者と協力しながら、自分らしい生活を築いていきましょう。 参考文献 文献1 MSDマニュアル家庭版「自己免疫疾患」MSDマニュアル、2022年 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/15-%E5%85%8D%E7%96%AB%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E5%8F%8D%E5%BF%9C%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E3%81%9D%E3%81%AE%E4%BB%96%E3%81%AE%E9%81%8E%E6%95%8F%E6%80%A7%E7%96%BE%E6%82%A3/%E8%87%AA%E5%B7%B1%E5%85%8D%E7%96%AB%E7%96%BE%E6%82%A3(最終アクセス:2025年4月13日) 文献2 早川純子ほか「性差医学からみた自己免疫疾患」『日大医誌』72(3).pp150-153、2013年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/numa/72/3/72_150/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年4月13日)
2025.04.26 -
- 内科疾患、その他
- 内科疾患
自己免疫疾患は、いまだにはっきりとした原因がわかっていない病気が多く、診断された方の多くが不安を抱えています。 「もしかしてストレスが原因?」「自分の生活に問題があったの?」と自分を責めてしまう人も少なくありません。 この記事では、自己免疫疾患の基本から原因に関する最新の考え方、そしてストレスとの関係についてわかりやすく解説します。 毎日の生活でできるストレスケアについても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 自己免疫疾患の基礎知識 自己免疫疾患とは、本来なら外敵から体を守るはずの免疫システムが、誤って自分自身の細胞や組織を「敵」と認識して攻撃してしまう病気です。つまり、私たちの体を守るべき免疫が、逆に自分自身に向かってしまう状態を指します。 免疫システムの誤作動によって、体内では慢性的な炎症反応が引き起こされ、さまざまな臓器や組織に障害が生じるようになります。症状や重症度は疾患によって大きく異なり、軽い体調不良から、日常生活に支障をきたす重症な状態、さらには命に関わるケースまで幅広く存在するのです。 発症の仕組みは完全には解明されていませんが、遺伝的要因、環境要因、ホルモンバランスの乱れなど、複数の要素が関与していると考えられています。 代表的な自己免疫疾患には、以下のような病気があります。 バセドウ病 関節リウマチ 橋本甲状腺炎 1型糖尿病 全身性エリテマトーデス 血管炎 アジソン病 多発性筋炎 シェーグレン症候群 進行性の全身性強皮症 糸球体腎炎 これらの疾患は、現代の医療でも完全な治癒が難しい場合が多いものの、早期発見と適切な治療により、症状の進行を抑えたり、生活の質を維持したりすることが可能です。 近年では新しい治療薬も登場し、より多くの患者様が日常生活を大切にしながら治療を続けられるようになっています。疾患への理解を深め、早めの対応を心がけることで、日常生活を送れるようになるでしょう。 【関連記事】 自己免疫疾患とは?原因・症状・代表的な病気をわかりやすく解説 関節リウマチの初期症状は?チェックリスト付きで現役医師が解説 自己免疫疾患の原因はストレスだけじゃない! 自己免疫疾患の発症メカニズムは複雑で、単一の原因ではなく複数の要因が組み合わさって発症すると考えられています。ストレスも一因ですが、それだけではありません。以下の要因が考えられます。 遺伝的な要因 自己免疫疾患には遺伝的な素因が大きく関わっています。家族に自己免疫疾患の患者がいる場合、ほかの家族も同様の、あるいは別の自己免疫疾患を発症するリスクが高まることが研究で示されています。特定の遺伝子変異が免疫系の調節機能に影響を与え、自己免疫反応を起こしやすくする体質を作ると考えられるのです。 ただし、遺伝的要因があるからといって必ず発症するわけではありません。同じ遺伝子を持つ一卵性双生児でも、片方だけが発症するケースも多く見られます。つまり遺伝は「発症しやすさ」を決める要因の一つに過ぎず、他の環境要因との相互作用が重要です。 環境要因 環境要因は自己免疫疾患の発症や進行に大きく関係します。特定のウイルスや細菌感染が免疫系を刺激し、その後の免疫反応の誤作動につながるケースです。 EBウイルス感染後に多発性硬化症や全身性エリテマトーデス(SLE)のリスクが高まることや、紫外線を過度に浴びることは、全身性エリテマトーデス(SLE)などの悪化要因と言われています。 喫煙も多くの自己免疫疾患のリスク因子として知られており、可能なら禁煙することをおすすめします。 ホルモンバランスや性差 自己免疫疾患の多くは女性の発症率が圧倒的に高く、その背景にはホルモンバランスの影響が考えられています。エストロゲンなど女性ホルモンは免疫系の活性化に関わる一方、テストステロンなど男性ホルモンには免疫反応を抑制する効果があるとされています。 思春期、妊娠期、産後、更年期など、女性のライフステージにおけるホルモン変動期に発症や症状変化が見られることも特徴的です。妊娠中に症状が改善する疾患がある一方、産後に症状が悪化したり発症したりする疾患もあり、ホルモンの複雑な影響が示唆されています。 ストレスと自己免疫疾患の関係 自己免疫疾患とストレスには複雑な関連性があります。近年の研究では、ストレスが免疫機能に影響を与え、自己免疫疾患の発症や悪化に関係する可能性が示されています。ストレスと免疫機能の関係性を正しく理解しておきましょう。 ストレスが免疫システムに与える影響 ストレスを感じると、人の体では以下のような変化が起こります。 交感神経が活性化する アドレナリンやノルアドレナリンなどのストレスホルモンが分泌される コルチゾールの分泌が増え、免疫系に影響を与える 長期的なストレスで免疫システムのバランスが崩れる 慢性的な炎症が進行し、自己免疫反応のリスクが高まる これらの変化は短期的には体を守りますが、長期間続くと問題が生じます。コルチゾールが長期間多い状態では、免疫機能を抑制する一方で炎症を促進し、このバランスの崩れが自己免疫反応を誘発しやすくします。 また、ストレスは睡眠や食生活にも悪影響を与え、間接的にも免疫機能を低下させます。心身の健康を保つためには、日常的なストレス対策が大切です。 ストレスが「引き金」になることもある 強い精神的ショックや、長く続くストレスの後に自己免疫疾患が現れることがあります。また、すでに病気がある人では症状が悪くなることもあります。 たとえば、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの患者様の多くが、発症前に大きなライフイベントや精神的ストレスを経験していたことを挙げています。 これは、ストレスによって遺伝的素因が「表面化」するものと考えられるでしょう。自己免疫疾患の素因をもともと持っていたとしても、通常の生活では発症しない場合が多いのですが、強いストレスを受けたことで発症に至る可能性が高まるのです。 慢性的なストレスによって免疫の働きが乱れ、自分の体を攻撃する抗体が作られやすくなるため、病気が進行する原因になる可能性があると指摘されています。こうした背景からも、心身のストレスマネジメントは、自己免疫疾患の予防や症状コントロールにおいて非常に重要な要素といえるでしょう。 ストレスだけが原因ではない ストレスは自己免疫疾患の発症や悪化において重要な要素の一つですが、それ単独で病気の原因になるわけではありません。 自己免疫疾患は典型的な「多因子疾患」とされ、遺伝的素因、環境因子、感染症、ホルモンバランスの変化など、さまざまな要因が複雑に絡み合って発症に至ります。ストレスはその中の一因にすぎず、必ずしも決定的な要素ではないのです。 患者様がこのことを理解するのは非常に重要です。「ストレスをためたから病気になった」と自分を責めるのではなく、複数の要因が重なった結果であると冷静に受け止めることが、前向きな治療への第一歩となります。 治療においても、ストレス管理は大切な柱ですが、それだけで完結するわけではありません。医学的な治療、適切な薬物療法、栄養バランスの取れた食事、十分な休養や運動など、生活全体を見直す総合的なアプローチが必要です。治療とセルフケアの両輪で症状のコントロールを目指していきましょう。 自己免疫疾患を防ぐストレスをためない方法 自己免疫疾患の予防や症状コントロールにおいて、ストレス管理は重要な要素の一つです。日常生活の中で無理なく続けられるストレス対策を取り入れ、心身のバランスを整えることが大切です。 自律神経や生活リズムを整える 日常生活でできるストレス対策として、以下の方法を取り入れてみましょう。 深呼吸や瞑想などのリラクゼーション法を実践する 趣味や好きなことに没頭する時間を確保する 規則正しい生活リズムを維持する 適度な運動を取り入れる バランスの取れた食事を心がける 質の良い睡眠をとる(就寝前のスマートフォン使用を控える) 自律神経のバランスを整えることは、ストレスに強い体づくりの基本です。朝起きた時や寝る前に5分間の深呼吸をするだけでも、リラックス効果が得られます。 また、音楽を聴く、読書をするなど、楽しい活動に集中する時間を意識的に作りましょう。趣味に没頭している時間は、ストレスホルモンの分泌が自然と抑えられます。 さらに、同じ時間に寝起きする習慣や適切な運動、バランスの良い食事も自律神経の安定につながります。特に質の良い睡眠は免疫機能の回復に欠かせません。 専門家との連携 自己免疫疾患を抱えている方のストレスケアは、自己流で行うよりも専門家のサポートを受けながら進めることが望ましいです。まずは主治医に現在のストレス状況や心配事を相談し、医学的見地からのアドバイスを受けましょう。 症状や状況によっては、心理カウンセラーや心療内科医など、メンタルヘルスの専門家のサポートを受けることも検討してください。認知行動療法などの心理療法は、ストレスへの対処法を学び、ネガティブな思考パターンを変えるのに効果的です。 自己免疫疾患の治療では、薬物療法による症状のコントロールと並行して、生活改善やメンタルケアをバランスよく取り入れることが大切です。患者会やオンラインコミュニティなどで同じ疾患を持つ人たちと交流するのも、精神的な支えになります。一人で抱え込まず、医療従事者や周囲の理解者と連携しながら、自分に合ったストレス管理法を見つけていきましょう。 自己免疫疾患とストレスの関係を正しく理解して、自分を守ろう 自己免疫疾患は、遺伝的要因、環境要因、ホルモンバランス、そしてストレスなど、さまざまな要素が複雑に影響し合って起こります。ストレスはその一部ですが、ストレスだけで発症するわけではありません。 大切なのは、「病気になったのは自分のせい」と自分を責めるのではなく、「自分の体と心を大切にする」という前向きな姿勢です。適切なストレス管理は症状の安定につながり、生活の質も向上します。自分のペースを尊重し、無理のない生活習慣を心がけましょう。 必要なときは周囲や専門家のサポートを求めることも大切です。小さな積み重ねが、自己免疫疾患とともに生きる上での大きな力になります。 なお、当院「リペアセルクリニック」では免疫細胞療法を提供しております。主にがん予防に関する内容ではございますが、免疫力に関して不安がある方は、以下のページもあわせてご覧ください。
2025.04.26 -
- 肘関節、その他疾患
- 肘関節
「テニス中に肘の外側を痛めた」 「テーピングをしながら様子を見ているけれど、本当に効果があるのかを知りたい」 このようなお悩みを持たれている方もいらっしゃることでしょう。 テーピングには、ケガの防止や応急処置など、複数の目的や効果があります。 本記事では、テーピングの方法や目的、効果などについて解説します。 整形外科を受診するタイミングについても解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。 肘の外側におけるテーピングの巻き方 ここでは、肘の外側が痛むときのテーピング方法を紹介します。第三者に巻いてもらう方法です。 本項目で紹介する方法では、キネシオロジーテープと呼ばれるテープを5本使用します。キネシオロジーテープとは、皮膚にしっかりと貼りつく伸縮性があるテープで、筋肉や筋膜の動きをサポートしたり循環を良くしたりする働きがあるものです。(文献1) また、以下で紹介しているものはあくまでも一例です。テーピングの方法は使用するテープによって異なります。購入したテープの取扱説明書や注意書きなどをよく読んでから行いましょう。 1本目の巻き方:短橈側手根伸筋の補助 1本目のテープを巻く前に、肘を90度に曲げて、手首を手のひら側に向けてください。その体勢で、肘から手首に向かってテープを貼ります。 テープは前腕の長さに合わせてカットしてください。 2本目の巻き方:総指伸筋の補助 1本目のテープと同じく、肘から手首に沿ってテープを貼ります。貼る場所は、1本目のテープよりも、やや小指側です。 1本目同様に、テープは前腕の長さに合わせてカットしてください。 3本目の巻き方:長橈側手根伸筋の補助 1本目、2本目のテープと同じように、肘から手首に沿ってテープを貼ります。貼る場所は、やや親指側です。 1本・2本目同様に、テープは前腕の長さに合わせてカットしてください。 4本目の巻き方:手首の補助 テーピング前に、手首の位置を元に戻します。それから手首の周りに沿って、テープを巻いていきましょう。 テープは手首を1周できる長さに合わせてカットしてください。 5本目の巻き方:前肘部の補助テープ 5本目のテープは、前肘部の内側を一周させるようにして巻きます。その際、テープが肘にかからないようにしてください。 テープは前肘部を1周できる長さに合わせてカットしてください。 肘の外側にテーピングを行う目的 肘の外側にテーピングを行う目的は、主に以下の3つです。 外傷予防 応急処置 再発予防 外傷予防 肘の外側にテーピングする目的の1つが、ねんざや打撲といった外傷の予防です。ケガをしていない部分をテーピングで固定し、関節の保護や可動域制限をはかります。 肘関節以外で外傷予防のテーピングが行われている部位は、足関節や手関節、指関節などです。(文献2) 応急処置 テーピングは、ねんざや打撲といった外傷に対する応急処置にも使われます。 以前、外傷の応急処置は、RICE(ライス)と呼ばれていました。 Rest:休ませる Ice:冷却する Compression:圧迫する Elevation:挙上する 現在は一部変更されて、PORICE(ポリス)と呼ばれています。 Protection:保護する Optimal Loading:適切な負荷をかける Ice:冷やす Compression:圧迫する Elevation:挙上させる テーピングは、圧迫の役割を担います。 PORICEをはじめとする捻挫の応急処置については、下記の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 再発予防 テーピングの目的で最も多いとされるものが、外傷の再発予防です。(文献2) 一度損傷した関節は不安定さが残り、通常とは異なる方向に動くこともあります。関節の動揺性と呼ばれるものです。不安定な関節をテーピングで補強および安定させることにより、動揺性が軽減され、同じ場所での外傷を防げます。 肘の外側へのテーピング効果 肘の外側にテーピングする効果は、主に以下の2つです。 痛みを軽減する 精神的な負担を軽減する 痛みを軽減する テーピングは、関節の部分的な圧迫および可動域制限により、痛みを軽減する効果があります。 外国の研究論文では、テーピングはサポーターよりも肘の外側痛を軽減する効果があると示されました。(文献3) ただし、テーピングに直接の治療効果はありません。テーピングをしていても、無理な運動をした場合は、ケガが悪化する可能性があります。 精神的な負担を軽減する 肘や膝といった関節のケガは再発しやすいといわれています。再発への不安がストレスになることもあるでしょう。 痛みやケガの原因にあわせた正しいテーピングにより、再発への不安を軽減できます。ストレス軽減のためにも、テーピングは正確に行いましょう。 肘の外側にテーピングする際の注意点 肘の外側にテーピングする際の注意点は、主に以下の2つです。 長時間のテーピングは控える 必要以上に圧を強めない 長時間のテーピングは控える 再発予防のために行う運動時のテーピングは、3~4時間が限度です。応急処置目的で行う安静時のテーピングは、一般的に3日間程度を目安とすることが推奨されています。 同じテープを長時間貼り続けると、皮膚に汗や汚れが付着して、かぶれを引き起こす可能性があります。 必要以上に圧を強めない 必要以上に強い圧でテーピングを行うと、痛みやしびれなどの血行障害および、筋肉や腱の損傷を引き起こす可能性があります。テーピングの過度な圧迫により、末梢神経が圧迫され、しびれや感覚異常などの神経障害が生じる可能性もゼロではありません。 テーピング時は、テープが皮膚に食い込んでいないか、痛みやしびれがないかなどを確認しましょう。 テーピングで肘の外側痛が改善しない場合は医療機関を受診しよう テーピングの主な効果は痛みの軽減ですが、施術しても改善しないケースもあります。 強い痛みのため日常生活に支障をきたしている、腕を動かすことが難しいといったときには、速やかに医療機関を受診して診察や治療を受けましょう。 当院においても、肘関節痛の治療を行っております。メール相談やオンラインカウンセリングを実施していますので、お気軽にご相談ください。 肘の外側の痛みとテーピングに関するよくある質問 ここでは、肘の外側の痛みとテーピングに関するよくある質問を2つ紹介します。 寝るときはテーピングを外した方が良いですか? 基本的に寝るときはテーピングを外す方が良いでしょう。長時間のテーピングは、皮膚のかぶれや血行障害を起こす可能性があるためです。 またテーピングの効果は、関節可動域の制限による外傷および再発の予防です。寝ているときは関節を大きく動かすことが少ないため、テーピングの効果も少ないといえます。 肘の外側が痛いときの治し方を教えてください 肘の外側が痛むときの治療法は、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)の内服や湿布薬の利用、ステロイド注射、手術療法などです。 医療機関によっては、再生医療による治療も行っています。肘の痛みで手術を受けたくない方は、再生医療も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。 リペアセルクリニックでは、再生医療による肘関節痛の治療を受けられます。メール相談やオンラインカウンセリングを実施していますので、お気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) 日本医事新報社「テーピングの基本」日本医事新報社ホームページ https://www.jmedj.co.jp/files/item/books%20PDF/978-4-7849-5873-3.pdf(最終アクセス:2025年3月19日) (文献2) 日本スポーツ協会「テーピング 総論」日本スポーツ協会ホームページ https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/ikusei/doc/AT/text2018.06taping.pdf(最終アクセス:2025年3月19日) (文献3) Alireza Shamsoddini. (2019).The Immediate Effect of Taping and Counterforce Brace on Pain and Grip Strength in Patients with Tennis Elbow.Journal of Archives in Military Medicine, 7(1-2),pp.1-5. https://brieflands.com/articles/jamm-86314.pdf(最終アクセス:2025年3月19日)
2025.03.31 -
- 肘関節、その他疾患
- 肘関節
「肘の外側が痛い」 「ツボを押すと痛みが楽になると聞いたので、詳しいことを知りたい」 このような思いや疑問を持たれている方も多いことでしょう。 肘の外側には痛みに対して有効なツボがいくつかあります。 本記事では、肘の外側にあるツボの効果や、ツボ押し以外のセルフケア、医療機関での治療内容について解説します。 肘の痛みに関する複数の対処法がわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。 肘の外側にあるツボ|曲池(きょくち) 曲池は、肘を曲げたときにできるシワの外側、一番端にあるツボです。 効果 肘から腕、肩にかけての痛みやこりに有効です。上半身の血行促進や、免疫系の調整にも効果があるとされており、東洋医学において重要なポイントであるといわれます。 押し方 押すときは、反対側の中指を使います。1・2・3とカウントしながら押して、4・5・6とカウントしながら指を離してください。押すときに息を吐き、離すときに息を吸います。 強く刺激しないように、優しく押しましょう。 肘の外側にあるツボ|肘髎(ちゅうりょう) 肘髎は、曲池のツボから肩側に向かって親指一本分上のところにあります。 効果 肘関節の痛みをはじめとする上肢の不調に有効なツボです。テニス肘や野球肘と呼ばれる、スポーツ障害にも効果があるツボで、上肢の血行を促進します。 押し方 反対側の親指で、軽く押します。1・2・3とカウントしながら押して、4・5・6とカウントしながら指を離してください。押すときに息を吐き、離すときに息を吸います。 強い刺激は避けて、痛いけれど気持ちが良い程度の強さで押しましょう。 肘の外側にあるツボ|手三里(てさんり) 手三里は、肘の外側から指三本分下(手首側)にあるツボです。 効果 肘や肩、腕の痛みやこりなどの不調に有効なツボです。胃腸の調子を整えたり、免疫力をアップしたりする効果もあります。 押し方 反対側の親指で軽く押します。1・2・3とカウントしながら押して、4・5・6とカウントしながら指を離してください。押すときに息を吐き、離すときに息を吸います。 皮膚に傷や炎症があるときはツボ押しを避けてください。強い刺激ではなく、痛いけれど気持ちが良い程度の強さで押しましょう。 肘の外側が痛む原因 肘の外側のツボ部分や、その周辺が痛む原因としてあげられるのは、主に以下の3つです。 上腕骨外側上顆炎(テニス肘) 変形性肘関節症 肘頭滑液包炎 症状や原因を表で示しました。 病名 症状 原因 上腕骨外側上顆炎 物を持ち上げたときや手首を動かしたときに、肘の外側が痛む 肘から前腕にかけての部分を繰り返し動かすことによる炎症が原因 テニス肘とも呼ばれるが、日常生活上の動作でも発症する場合がある 変形性肘関節症 肘の痛みや動かしにくさなどが生じる 加齢や肘の使いすぎなどによる、肘関節の軟骨の変形が原因 肘頭滑液包炎 肘がブヨブヨと腫れて、痛みが生じる 肘の使いすぎや炎症、細菌感染などが原因 以下の記事でも、肘の外側が痛む原因について解説していますので、あわせてご覧ください。 【関連記事】 テニス肘とは、テニス経験がなくても発症します!肘の痛みでお悩みの方へ 肘頭滑液包炎とは?肘が腫れてブヨブヨ痛い症状・治療法について現役医師が解説 肘の痛みに対するツボ押し以外のセルフケア 肘の外側が痛むときの対処法(セルフケア)は、ツボ押し以外にも複数あります。 主なセルフケアは以下のとおりです。 安静 アイシング ストレッチ サポーター着用 安静 肘に痛みを感じたときは、無理に動かさず安静にしましょう。肘を休ませることで痛みが和らぐケースが多くあります。 長時間のスマホ操作や、重い荷物を無理して持つなどの動作は、肘に負担がかかる原因です。できる限り控えてください。 痛みを我慢して動かすと症状が悪化したり、長引いたりします。無理をせず早めに対処することが大切です。 アイシング 肘が痛むときは、炎症が起きていると考えられます。冷たいタオルや氷のう、アイシングサポーターなどを活用して痛みがある部分を冷やしましょう。冷やすことで炎症が抑えられて、痛みが軽減します。 なお、冷湿布には炎症を抑えたり痛みを和らげる作用があるものの、冷やす効果は少ないとされています。(文献1) ストレッチ ストレッチによる手首や指の曲げ伸ばしは、肘への負担軽減や痛みの予防に有効です。 ストレッチの方法は以下のとおりです。 腕を前に伸ばして、手のひらを下に向ける 反対の手で、手首をゆっくり曲げる 気持ち良いと感じる部分で止めて、15秒ほどキープする 痛みが強いときは無理に動かさないでください。 サポーター着用 肘用のサポーターには、関節を固定して保護するはたらきや、肘への衝撃を吸収して痛みを和らげる効果があります。また、筋肉や腱への負担を軽減する役割もあります。 日常生活の中で生じた痛み、スポーツで酷使したことによる痛み、両方に有効です。 サポーター着用時は、ずれやゆるみがないように調整して、きつく締めすぎないようにしましょう。きつく締めすぎると、血行不良により痛みやしびれが悪化する可能性があります。 肘用のサポーターは、痛むときの対処だけではなく、予防にも有効です。 肘の外側が痛むときの治療法 ツボ押しを含めたセルフケアを続けても、肘の外側が痛む場合は、整形外科で治療を受けましょう。 医療機関での治療法は主に以下のとおりです。 薬物療法 ステロイド注射 手術療法 再生医療 薬物療法 NSAIDsと呼ばれる、非ステロイド性消炎鎮痛剤(ロキソニン、フェルビナク、モービックなど)の内服薬や湿布薬が処方されます。 内服薬を長期間飲み続けると、胃もたれや腹痛といった消化器系の副作用が出る場合もあります。薬を飲んでいて、副作用と思われる症状が現れた場合は、速やかに医師もしくは薬剤師に相談しましょう。 ステロイド注射 物が持てないほどの強い痛みがあるときや、痛みにより日常生活に支障をきたしているときには、ステロイド注射をする場合もあります。 ステロイド注射による鎮痛効果は、1~2か月程度続きますが、その後再び痛み出す場合もあります。根本的な治療ではなく、保存療法の1つと考えると良いでしょう。 ステロイド注射で痛みを和らげている間に、並行してリハビリを行い、根本的な症状改善につなげるケースもあります。 手術療法 薬物療法やステロイド注射を続けても痛みが治まらないときには、手術をする場合もあります。肘の外側の変形した部分や炎症を起こしている部分(腱組織や滑膜ヒダなど)を切除する手術です。 肘の外側を切開して行う方法や、内視鏡を用いて肘関節内から変性部分を切除する方法などがあります。(文献2) 損傷した腱や靱帯の手術に関しては、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 再生医療 肘の痛みを治療する選択肢の1つが再生医療です。自分の脂肪や血液から採取して培養した幹細胞を身体に戻す幹細胞治療や、血小板を多量に含む血漿を患部に注射するPRP療法などがあります。 幹細胞治療もPRP療法も、自分の脂肪や血液由来のものを使用するため、アレルギー反応や拒絶反応などの可能性が低い治療法です。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。肘の痛みでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。 \無料オンライン診断実施中!/ 無料の再生医療ガイドブックはこちらから!>> 肘の外側が痛むときはツボや各種セルフケア、病院での治療で対処しよう 肘の外側が痛む原因は、肘の使いすぎや加齢による変化、炎症などさまざまです。 肘の外側が痛むときは、ツボ押しを含めたセルフケアを行い、それでも治らない場合は我慢せずに整形外科を受診しましょう。 薬物療法やステロイド注射、手術療法といった治療を受けられます。 再生医療も選択肢の1つであると覚えておくと良いでしょう。 肘の外側のツボに関するよくある質問 ここでは、肘の外側にあるツボに関するよくある質問を2つご紹介します。 スマホ肘に効くツボはどこですか? スマホ肘とは、長時間スマホ利用が原因で起こる、肘の痛みやしびれなどの症状です。 スマホ肘には、「曲池」や「手三里」などのツボが有効とされています。自分でツボを押すほか、鍼灸院でハリやお灸などの施術を受けることもツボ療法の1つです。 肘の内側のツボが痛む原因は何ですか? 肘の内側のツボが痛む原因としては、以下のようなものがあげられます。 上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘) 変形性肘関節症 肘部管症候群 本記事で紹介したツボやセルフケアで痛みが引かないときは、整形外科を受診しましょう。 参考文献 (文献1) 奈良県医師会「湿布を正しく使えていますか?」奈良県医師会ホームページ, 2023年12月8日 https://nara.med.or.jp/for_residents/16053/(最終アクセス:2025年3月19日) (文献2) 社会福祉法人恩賜財団済生会支部北海道 済生会小樽病院「肘外側の痛み、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)をご存知ですか」済生会小樽病院ホームページ https://www.saiseikai-otaru.jp/hotnews/detail/00001039.html(最終アクセス:2025年3月19日)
2025.03.31 -
- テニス肘
- 肘関節、その他疾患
- 肘関節
朝起きてふとコップを持っただけなのに、肘の外側にズキッと痛みが走る。こんな経験はありませんか?何もしていないのに肘の外側が痛い場合、最も多い原因はテニス肘(上腕骨外側上顆炎)と呼ばれる状態です。 テニス肘とは名前のとおりテニスが原因で起こる肘の障害ですが、実際にはテニスなどのスポーツをしていなくても誰にでも生じる可能性があり、むしろテニス肘を発症した人の90%以上はテニス以外の要因で起こっているとの報告もあります。(文献1) もともとテニス肘は中年以降のテニス愛好家が発症しやすいためその名前がつきました。しかし、テニスをやってなくても肘の外側が痛むと、雑巾を絞る、物を持ち上げるといった何気ない動作でも痛みが走り、生活に支障をきたします。 本記事では、肘が痛くなってしまう主な原因と、肘外側の痛みを和らげるセルフケアの方法、さらに専門的な治療法について解説します。併せて、症状が長引く場合の受診の目安や早めに対策する重要性についても触れていきます。 何もしてないのに肘の外側が痛む主な原因 肘の外側が痛むと聞くと、テニス肘を連想される方も多いでしょう。しかし運動習慣がない場合でも、長時間のデスクワークやスマホ操作、重いものを持ち上げるなど思わぬ動作で肘周囲に負担がかかっている可能性があります。 パソコン作業やスマホ操作では肘や前腕の筋肉を固定した姿勢を長時間続けることが多く、それが腱の炎症を引き起こす原因になり得るのです。代表的な疾患から、その他の疾患によって発生した原因についてもみていきましょう。 テニス肘やスマホ肘などの代表的疾患 肘の外側が痛む原因としてまず疑われるのがテニス肘です。テニス肘は正式名称が上腕骨外側上顆炎と呼ばれ、肘の外側にある腱が使い過ぎによって損傷、変性すると起こる障害です。 ものをつかんで持ち上げたり手首をひねる動作で肘の外側に痛みが生じ、安静にしているときには痛みがほとんどないことが特徴です。(文献2) 繰り返しの手首や指の動作により肘の腱付着部(外側上顆)に過度の負担がかかると、小さな断裂や腱の摩耗が蓄積して炎症と痛みを引き起こします。(文献3)このため、テニスなどのスポーツ選手だけでなく、パソコン作業や家事など日常生活で手首・肘をよく使う人にも起こり得ます。 実際、テニス肘は肘の痛みの原因として非常に一般的で、米国の統計では人口の約3%が毎年発症するとされています。(文献1)また、近年スマートフォンやパソコンの使い過ぎによるスマホ肘と呼ばれる症状も増えています。 スマホ肘の多くはテニス肘、またはゴルフ肘として診断されますが、とくに肘の外側に痛みが出るケースが多いとされています。(文献4)スマホの画面を指でタッチしながらスライドさせる操作を頻繁かつ長時間続けたり、スマホ本体を長時間手で支えて持つような動作が肘に負担をかけ、腱付着部に炎症が起こって痛みが発生します。 症状としてはテニス肘と同様に、手のひらを下に向けて物を持ち上げたりドアノブを回す動作で肘に鋭い痛みが走り、逆にこうした動作をしなければ痛みはあまり出ない点が特徴です。スマホ肘も基本的にはテニス肘と同じく使い過ぎによる腱の障害なので、原因となる動作を控えて安静にすると、自然に改善します。 テニス肘について気になる方は、以下解説した別の記事についてもあわせてご確認ください。 神経痛やその他疾患との関係 肘の外側の痛みは、多くの場合は筋肉や腱の問題(いわゆるテニス肘)ですが、神経の痛みが関与しているケースも考えられます。 肘の周囲には橈骨(とうこつ)神経など複数の神経が走行しており、神経が圧迫・刺激されると肘の外側の痛みや腕の不調が生じます。(文献5) 例えば、橈骨神経が肘付近で締め付けられる後骨間神経症候群(橈骨トンネル症候群)は、肘から前腕にかけての痛みや手指の麻痺を引き起こし、テニス肘と症状が似ているためテニス肘と誤認されることもあります。 一方で、肘の内側に痛みやしびれが生じる場合は、尺骨神経が肘の内側で圧迫される肘部管症候群の可能性があります。 肘部管症候群では、肘の内側(小指側)に痛みが走るほか、手の小指や薬指にしびれ、感覚麻痺が現れるのが典型的な症状です。肘の外側が痛むテニス肘とは症状の部位が異なるため、しびれを伴う場合はこのような神経障害との鑑別が必要になります。 そのほか、肘の関節自体の疾患が痛みの原因となることもまれにあります。例えば、肘の内側の尺骨神経が圧迫されて発症する肘関節の変形性関節症も原因のひとつに考えられます。 しかし、肘関節の変形性関節症は明らかな外傷歴がある場合や長年にわたり肘関節に負荷がかかった場合に起こることが多く、突然発症するケースは稀です。 肘外側の痛みを和らげるセルフケア 肘の外側の痛みが軽度の場合は、セルフケアで症状が改善されるケースがあります。痛い部分を安静に保ちながら、無理のない範囲で筋肉や腱をほぐすことを心がけましょう。 以下のサポーター活用やストレッチを取り入れるだけで、肘周辺の負担を大幅に軽減できる可能性があります。 サポーターの活用 肘の外側の痛みがあるときは、市販の肘用サポーターを活用するのも効果的です。肘の少し下、前腕の部分に専用バンドで圧迫を加えると、肘の腱付着部への負荷が分散され痛みが軽減します。(文献5)(文献7)サポーターを使用する目的としては、肘を曲げて伸ばした際の腱の付着部にかかる緊張を緩和するためです。 正しい位置や装着方法については医師や理学療法士に相談して、自分に合った使い方を指導してもらいましょう。 ストレッチの実施 痛みを和らげ、再発を防ぐにはストレッチによるケアも重要です。肘の外側に付着する筋肉(手首や指を伸ばす前腕伸筋群)を日頃から柔軟に保つため、手首や指のストレッチをこまめに行いましょう。(文献2) 腕をまっすぐ伸ばした状態で、手のひらを身体の外側に向け、指先を下に向けたまま反対の手で指先をゆっくり押し込んで手首を曲げるストレッチが効果的です。このようなストレッチは可動域の維持や筋力の回復、硬直の緩和に役立ちます。(文献5) 日常動作の改善と定期的なケア 肘の外側の痛みを悪化させないためには、日常生活での動作の工夫や定期的なセルフケアも欠かせません。まず痛みを感じる動作や肘に負担のかかる動作(重い物を持つ、手首を強くひねる作業など)は可能な範囲で控え、同じ動作が続く場合は途中でこまめに休憩を入れるようにしましょう。 とくに近年では長時間のパソコン作業やスマートフォン操作によって肘に負担をかけているケースが多いため、作業環境や姿勢を見直すことも大切です。スマホを使用する際には肘を長時間曲げっぱなしにしない工夫(スマホスタンドを利用する、落下防止用のホールドリングを使う等)をするだけでも肘への負荷軽減に効果があります。(文献4) また可能であればスマホよりパソコンを使う、利き手と反対の手も活用する、といった方法で特定の肘にかかる負担を分散させましょう。痛みが強い間は長時間のスマホ操作は避け、途中で肘を伸ばしたり肩を回したりといったストレッチ休憩を取り入れることも有効です。(文献4) さらに、痛みが和らいだ後も定期的にストレッチや軽い筋力トレーニングの継続が再発予防の鍵となります。 肘周りの柔軟性と筋力を維持すると、肘の痛みの再発防止になります。また、日常生活では肘や手首だけで物を持ち上げず、体全体を使って持つようにする、重い荷物は両手で持つようにする等、動作の癖を見直すことも大切です。小さな積み重ねですが、こうしたセルフケアの継続が肘の健康維持につながります。 何もしてない肘外側の痛みにおける治療について 肘外側の痛みが続く場合、または痛みが強く生活に支障が出る場合には、医療機関での受診を検討しましょう。 X線や超音波などの検査を行うことで、テニス肘をはじめとした、肘の外側の痛みの原因を正確に把握しやすくなります。適切な治療法を選択すると、長期的な改善や再発予防が期待できます。 専門医が行う治療と再生医療の紹介 肘の外側の痛みが長引く場合やセルフケアで改善しない場合は、整形外科など専門医による治療を受けることを検討しましょう。医療機関ではまず痛みや炎症を抑えるための保存的治療が行われます。 保存療法の多くは痛みの軽減に有効で、実際テニス肘患者の80~95%は手術をせずに治療で改善するとの報告もあります。(文献5)以下、専門医が行う治療についてまとめた表になります。 治療法 内容 メリット 注意点 保存療法 痛みや炎症を抑える内服薬・湿布サポーターやテーピングリハビリテーション(ストレッチ・筋力強化)安静・アイシングなど日常生活でのセルフケア 大半のテニス肘は保存治療で改善し、手術を回避できる。治療費や身体への負担が比較的少ない。 改善に時間がかかる場合がある。日常動作の制限やセルフケアの継続が必要。 ステロイド注射 痛みの強い部分にステロイド薬を局所注射し、炎症・痛みを素早く抑制 即効性が高く、痛みを急速に和らげられる。 繰り返しの注射で腱付着部が弱くなるリスク長期的には状態が悪化する可能性があるため、慎重に使用。(文献5) 再生医療 PRP療法・幹細胞治療 血液や細胞を用いて組織の修復力を高める治療法。 PRP療法:高濃度の血小板血漿を注入。成長因子が炎症を抑え、損傷組織の修復を促進。幹細胞治療:脂肪由来などの幹細胞を移植組織の再生をサポート 従来の保存療法で十分改善しない痛みにもアプローチ可能。副作用リスクが低い。(自己細胞由来)入院や大きな手術を必要としない。 保険適用外のため費用は自己負担。症状が重い場合は幹細胞治療を検討するなど、適応を医師と慎重に相談する必要がある。 上記のうち保存療法を中心に行うことでテニス肘は基本的に治療できます。 一方、痛みが慢性化している場合や症状が重い場合には、再生医療も有効な選択肢となり得ます。当院でも、PRP療法や幹細胞治療などの再生医療を提供しており、肘の痛みを根本から治療します。 再生医療の詳細や適応については当院の別記事でも詳しく紹介しておりますので、興味のある方はぜひご参照ください。 受診の目安と早期対策の重要性 何もしていないのに肘の外側が痛む症状が続く場合、どのタイミングで受診すべきか悩まれるかもしれません。一般的には、安静にして様子を見ても痛みが2週間程度改善しない場合や、痛みで日常生活に支障が出ている場合には専門医の受診を検討してください。(文献8) また、肘や指先にしびれや脱力を伴う場合は、できるだけ早めに医師に相談しましょう。明らかな外傷がないのに激しい痛みが急に出現した場合や、肘の腫れ、熱感を伴う場合も感染症や他の疾患の可能性がありますので早急な受診が推奨されます。 痛みが軽いうちに適切な処置を行うことは、長引く肘痛を防ぐ上で非常に重要です。 テニス肘は放置すると慢性化し、治癒までに非常に長い時間を要するケースもあります。逆に、痛みを感じ始めた段階で早期に医療機関を受診し対策を講じれば、治療の選択肢も広がり症状の早期改善が期待できます。 適切な診断と治療を受けることが、肘の健康を守る近道です。 何もしていないのに肘の外側が痛むなら当院にご相談ください 何もしていないのに肘が痛くなる状態はテニス肘が代表的ですが、それだけでなく現代で発症しがちなスマホ肘や、それ以外の疾患による原因も考えられます。 急に痛みを感じても、その裏には腱の損傷や炎症、慢性的な負荷の蓄積など考えられる原因はさまざまですので、自己判断せず早急に診療を受けましょう。つらい肘の痛みを我慢して放置すると症状が長引くだけでなく、日常生活でさらに肘をかばうことで他の部位に負担が及ぶ恐れもあります。 当院では、一人ひとりの症状にあった再生治療を提供しております。何もしていないのに肘の外側が痛いお悩みをお持ちの方は、お気軽に当院にご相談ください。丁寧なカウンセリングと的確な検査によって原因を見極め、早期に痛みを改善して思い切り腕が使える快適な生活を取り戻すお手伝いをいたします。 参考文献 (文献1) Cleveland Clinic. Tennis Elbow (Lateral Epicondylitis). Cleveland Clinic Health Library.https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/7049-tennis-elbow-lateral-epicondylitis(Accessed:2025-03-22) (文献2) 日本整形外科学会『テニス肘(上腕骨外側上顆炎)』日本整形外科学会公式サイト.https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/lateral_epicondylitis.html(Accessed:2025-03-22) (文献3) American Academy of Orthopaedic Surgeons (AAOS). Tennis Elbow (Lateral Epicondylitis)-OrthoInfo.https://orthoinfo.aaos.org/en/diseases--conditions/tennis-elbow-lateral-epicondylitis/ (Accessed:2025-03-22) (文献4) 時事メディカル(時事通信社)『物を持ち上げると痛む使い過ぎはスマホ肘に』(福井大学医学部整形外科大木央講師監修)2021年9月11日.https://medical.jiji.com/topics/2247(最終アクセス:2025年3月22日) (文献5) Better Health Channel . Elbow pain.https://www.betterhealth.vic.gov.au/health/conditionsandtreatments/elbow-pain(Accessed:2025-03-22) (文献6) 一般社団法人日本脊髄外科学会「2.肘部管(ちゅうぶかん)症候群」 https://www.neurospine.jp/original39.html(最終アクセス2025年5月16日) (文献7) 日本臨床整形外科学会『上腕骨外側上顆炎(いわゆるテニス肘)』JCOA健康相談.https://jcoa.gr.jp/上腕骨外側上顆炎(いわゆるテニス肘)/(最終アクセス2025年3月22日) (文献8) Versus Arthritis (UK).Elbow pain – Causes, exercise, treatments.https://www.versusarthritis.org/about-arthritis/conditions/elbow-pain/(Accessed:2025-03-22)
2025.03.31 -
- 脊椎
- 脊柱管狭窄症
「脊柱管狭窄症と診断されたけれど、自分は重症なのだろうか?」 「脊柱管狭窄症の重症度分類を知りたい」 このような思いを持たれている方もいらっしゃることでしょう。 脊柱管狭窄症の重症度は、軽度から最重度までの4段階に分類されます。 本記事では、脊柱管狭窄症の重症度分類や診断方法、治療方法などについて詳しく解説します。 自分の重症度および自分に適した治療法がわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。 脊柱管狭窄症の重症度分類 脊柱管狭窄症の重症度は以下の4段階に分かれています。 レベル.1(軽度) レベル.2(中程度) レベル.3(重度) レベル.4(最重度) 各段階の具体的な状況と、治療の方向性および回復の見込みについて解説します。 レベル.1(軽度) 具体的な状況と、治療および回復の見込みは以下のとおりです。 具体的な状況 立っているときや座っているときに痛みやしびれはあるものの、30分程度の歩行が可能です。 少し歩くと痛みやしびれが起こり、休憩すると症状がやわらぐ症状(間欠性跛行)は生じていません。 治療および回復の見込み 薬物療法や理学療法、ブロック注射などの保存療法で症状改善が見込めます。しかし、適切な治療を受けずに放置してしまうと、進行する可能性があります。 軽度の場合は、日常生活に支障をきたすことは少ないでしょう。しかし進行する可能性もあるので、適切な治療が必要です。 レベル.2(中程度) 具体的な状況と、治療および回復の見込みは以下のとおりです。 具体的な状況 10分から20分程度歩くと、間欠性跛行が生じます。 治療および回復の見込み 保存療法のみでは回復が難しいため、専門的なリハビリテーションが必要です。日常生活に支障がある場合は、手術を検討します。 中程度になると、少しずつ日常生活に支障が出てきます。手術が選択肢に入り始める時期です。 レベル.3(重度) 具体的な状況と、治療および回復の見込みは以下のとおりです。 具体的な状況 10分未満の歩行により間欠性跛行が生じます。下肢のしびれや痛みのほか、筋力低下や脱力感などの症状も出てきます。 治療および回復の見込み 根本的な専門リハビリで改善する可能性もありますが、保存療法の効果は限定的です。手術の検討が望ましいでしょう。日常生活がどのくらい不便であるかが判断材料です。 重度になると、日常生活への影響が大きくなってきます。手術が第一選択肢になる時期です。 レベル.4(最重度) 具体的な状況と、治療および回復の見込みは以下のとおりです。 具体的な状況 5分未満の歩行により間欠性跛行が生じます。下肢の痛みやしびれ、筋力低下も著しい状況です。膀胱直腸障害のため、排尿や排便に支障をきたします。 治療および回復の見込み 保存療法では回復が難しい状況です。膀胱直腸障害が出現している場合は、手術が必要になってきます。 最重度は歩行だけではなく排泄にも支障をきたしているため、手術が必要な段階です。 脊柱管狭窄症の重症度分類における注意点 脊柱管狭窄症の重症度は固定化されたものではなく、徐々に進行していくものです。重度や最重度の方も多くの場合、最初は軽度でした。 しかし、どの段階でも例外的なケースがあります。例をあげると「軽度でありながらも手術が必要である」、もしくは「最重度でも保存療法により経過観察中である」などです。 重症度分類とあわせて、個々の状況に応じた治療が大切です。適切な治療を受けるためにも、自分の状況を正確に医師へ伝えましょう。 脊柱管狭窄症の診断方法 脊柱管狭窄症を診断する方法は、主に以下の4種類です。 医師による問診 X線検査 MRI検査 脊髄造影 医師による問診 主な問診内容は、以下のとおりです。 下肢の痛みやしびれの強さ 症状が出ている部位(両側か片側か) 間欠性跛行の有無や強さ 間欠性跛行が生じるまでの時間 姿勢による症状の変化 下肢の筋力低下や反射異常 閉塞性動脈硬化症と症状が似ている場合は、下肢の動脈拍動やABI(足関節上腕血圧比)などで血流状態を調べます。 X線検査 X線検査で調べる所見は、主に以下のとおりです。 腰椎のすべりや側弯といった変形 骨折の有無 椎間板の狭さ 腰椎の不安定さ 一般的かつ、速く結果が出る検査ですが、X線単独での確定診断は難しいとされています。 MRI検査 MRI検査では、X線検査だけでは判別できない脊柱管内の神経圧迫状況や重症度を評価します。 しかし、ペースメーカーや人工内耳など、体内に電子機器が埋め込まれている方はMRI検査を受けられません。閉所恐怖症の方や脳動脈瘤手術用クリップが入っている方なども、MRI検査を受けられない可能性があります。 脊髄造影 脊髄造影は、MRI検査を受けられない方や、MRI検査の所見だけでは確定診断がつかない方に対して行われる検査です。この検査により、脊柱管の狭窄部位や程度がわかります。 脊髄造影検査の結果は、手術適応の有無や、手術様式を決める指標でもあります。 脊柱管狭窄症の治療方法 脊柱管狭窄症の治療方法は、主に以下の5種類です。 薬物療法 理学療法 ブロック注射 手術療法 再生医療 薬物療法や理学療法、ブロック注射は、保存療法に含まれます。 薬物療法 脊柱管狭窄症の薬物療法で用いられる主な薬は、以下のとおりです。 薬の種類 効果 血流改善薬 血流を改善して、痛みやしびれなどをやわらげる 消炎鎮痛剤 いわゆる「痛み止め」 飲み薬のほか、湿布や塗り薬もある 筋弛緩薬 筋肉の緊張をやわらげる ビタミンB12製剤 末梢神経に栄養を与える 神経障害性疼痛治療薬 痛みを伝える物質の過剰放出をおさえる 薬物療法は神経の圧迫そのものを改善するものではなく、痛みなどの症状を抑えるものです。そのため、薬物療法単独で根本的な回復は難しいといえるでしょう。 理学療法 主な理学療法としては、以下のようなものがあげられます。 牽引療法 温熱療法 運動療法 牽引療法とは、専用の機器を用いて腰椎を引っ張り、神経への圧迫を軽減する治療法です。通院で行うケースと入院して行うケースがあります。 温熱療法の効果は、血流促進や痛みの緩和、筋緊張の低下などです。温熱療法で用いられるものとしては、ホットパックやパラフィン浴、超音波などがあげられます。 運動療法は、理学療法士が患者の症状および健康状態を確認して、個々の運動プログラムのもと実施するものです。ストレッチや筋力トレーニングのほか、正しい姿勢指導を実施するケースもあります。 以下の記事では、脊柱管狭窄症におすすめのストレッチを紹介しています。あわせてご覧ください。 ブロック注射 ブロック注射は、痛みの原因となっている神経、もしくは神経近くの脊柱管内に局所麻酔薬やステロイド剤を注射する治療法です。硬膜外ブロック注射と神経根ブロック注射の2種類に分けられます。 痛みは強いものの、手術は必要ない方に用いられることが多い治療法です。軽度から中程度の方向けの治療といえるでしょう。 手術療法 重度、最重度の方の場合、手術療法が選択肢に入ります。主な手術方法として、固定術と除圧術の2種類があげられます。 手術の種類 内容 除圧術 椎弓と呼ばれる背中側の骨や厚くなった黄色靱帯などを切除して神経への圧迫を取り除く 固定術 不安定な脊椎や曲がった脊椎を金属式のスクリューやロッドで固定する 固定術は、除圧術と併用されることが多い術式です。 脊柱管狭窄症の手術療法については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 再生医療 手術以外の選択肢として注目されているのが再生医療です。 手足の痛みやしびれはあるものの手術適応ではないと診断された方、手術適応ではあるができれば手術を避けたい方などが再生医療の対象です。軽度から最重度まで対応可能な治療法ともいえるでしょう。 再生医療の1つが、幹細胞治療です。自分の脂肪や血液由来の幹細胞を採取し、培養・増殖させ身体に戻す治療法で、アレルギーや拒絶反応のリスクが低いとされています。 リペアセルクリニックでは、幹細胞を脊髄腔内に直接注射する方法(脊髄腔内ダイレクト注射療法)により体内に入った数多くの幹細胞で、傷ついた神経細胞を再生できます。 脊柱管狭窄症でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。 メール相談やオンラインカウンセリングも行っております。 脊柱管狭窄症の重症度分類から適切な治療を受けよう 脊柱管狭窄症の重症度分類は軽度から最重度までとされていますが、症状は固定されるものではなく、変化するものです。重症度分類と自分の症状が合致しない例外的なケースもあります。 重症度分類と自分の状態、両者を充分に理解した上で、適した治療を受けましょう。 脊柱管狭窄症の重症度分類に関連するよくある質問 ここでは、脊柱管狭窄症の重症度分類に関連するよくある質問を2つ紹介します。 脊柱管狭窄症は難病指定ですか? 脊柱管狭窄症のうち、「広範脊柱管狭窄症」が指定難病となっています。(文献1) 広範脊柱管狭窄症とは、頚椎、胸椎、腰椎の広範囲にわたって脊柱管が狭窄し、神経症状が起こる病気です。「頚椎、胸椎、腰椎のいずれか2か所以上の狭窄から生じる神経症状のため、日常生活が大きく影響されること」が診断の条件です。 重症な腰部脊柱管狭窄症は障害者手帳の対象になりますか? 腰部脊柱管狭窄症を含む脊椎疾患による神経障害は、下肢の機能障害として障害者手帳の対象になる可能性があります。しかし、障害者手帳の対象になるかの判定は、重症度分類ではなく「どのくらい機能が低下しているか」です。 身体障害者手帳を申請する際は、都道府県知事、指定都市市長または中核市市長が指定する医師の診断書・意見書や申請者の写真が必要です。(文献2) 参考文献 (文献1) 難病情報センター「広範脊柱管狭窄症(指定難病70)」難病情報センターホームページ https://www.nanbyou.or.jp/entry/101 (最終アクセス:2025年3月18日) (文献2) 厚生労働省「障害者手帳」厚生労働省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/techou.html (最終アクセス:2025年3月18日)
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「脊柱管狭窄症は整体で治るの?」 「整体を受けていても病院で治療を受けた方が良いの?」 上記のような疑問を持たれている方もいらっしゃることでしょう。 結論から申し上げますと、脊柱管狭窄症の根本原因は背骨の変形であるため、整体での根本治療は困難です。整体は、下肢の痛みやしびれといった症状を緩和する役割であると覚えておきましょう。 本記事では、整体のメリットやデメリットに加えて、脊柱管狭窄症における整体以外の改善方法を紹介します。 脊柱管狭窄症と整体に関するよくある質問も掲載しておりますので、整体について関心をお持ちの方はぜひ最後までご覧ください。 【結論】脊柱管狭窄症は整体で治せない! 結論から申し上げますと、脊柱管狭窄症を整体で完全に治すことは困難です。 脊柱管狭窄症の主な原因は、背骨の変形です。整体は骨の変形を治せないため、脊柱管狭窄症の根本的な治療はできません。 ただし、下肢の痛みやしびれといった症状の緩和は可能です。整体院ではセルフケアのアドバイスもおこなっています。施術に加えて、セルフケアの実践によっても、症状の緩和が期待できるでしょう。 整体による施術やセルフケアで症状が改善しない場合は、整形外科を受診しましょう。 脊柱管狭窄症の症状や原因などについては、以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。 脊柱管狭窄症において整体を受けるメリット 脊柱管狭窄症において整体を受けるメリットは、以下のような施術を受けられる点です。 骨盤のゆがみを矯正する 骨格を改善する 筋肉のコリをほぐす これらの施術により、正しい姿勢を維持できます。 正しい姿勢をとることは背骨への負担軽減、ひいては、下肢の痛みやしびれといった症状の緩和につながります。 脊柱管狭窄症において整体を受けるデメリット 脊柱管狭窄症において整体を受けるデメリットは、主に以下の2つです。 無資格者による不適切な施術と健康被害 長時間の施術による悪影響 無資格者による不適切な施術と健康被害 整体は医業類似行為の1つとされており、施術者に法的資格はなく、明確な定義もありません。 あん摩マッサージ、はり灸、指圧などとは異なり、無資格でも施術可能です。 無資格の施術者は知識や技術が不足していることも多く、有資格者よりも健康被害を引き起こすリスクが高い状況です。 国民生活センターは2012年8月2日、整体やマッサージ等の医業類似行為で危害が発生した相談が、2007年度以降の約5年間で825件寄せられたと報告しました。(文献1) このうち3割は、3週間以上の治療を要したと報告されています。 整体の事例としては、以下のようなものがあげられました。 身体のゆがみを直すために整体を受けたところ、腰痛が発生した 椎間板ヘルニアの持病がある人が整体を受けたところ、腰から足にかけて激痛が発生したため、救急病院を受診した 整体を受けて症状が悪化した場合や、新たな症状が現れた場合は整体の施術を中止し、早急に医療機関を受診して治療を受けましょう。 長時間の施術による悪影響 長時間整体やマッサージを受けると、筋肉や筋膜が損傷する可能性があります。筋肉の損傷が原因で炎症が起きた結果生じる現象が、いわゆる「もみ返し」です。 筋肉組織は損傷から回復する過程で厚くなって繊維化してしまい、最終的には柔軟性が失われます。 整体やマッサージを受ける際に、長時間受けることを希望する方も多いのですが、施術時間と効果は比例しないと覚えておきましょう。 脊柱管狭窄症における整体以外の改善方法 脊柱管狭窄症における整体以外の改善方法としてあげられるのは、以下の2つです。 生活習慣の改善 整形外科での治療 生活習慣の改善 適正体重に近づける 体重が多いと腰や椎間板に負担がかかり、痛みやしびれを引き起こします。肥満(BMI25以上)の方は、適正体重を目指して減量しましょう。 適正体重の範囲はBMI18.5から25までです。(文献2) BMIは体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)で計算できますので、「自分は肥満ではないか」と気になる方は、実際に計算してみましょう。 正しい姿勢を心がける 座るときは骨盤を立てた姿勢を保ちましょう。椅子に深く座ってお尻を背もたれに付けてから、身体を起こします。腰を反らせすぎないようにしてください。 長時間立ち続けると、痛みやしびれを引き起こす可能性があります。立ち仕事をするときは、5~10㎝程度の台に、ときどき片足を載せてみましょう。 寝るときは、膝と膝の間にまくらやクッションを挟みながら、横向きの姿勢をとることで、痛みが和らぎます。 整形外科での治療 整形外科における脊柱管狭窄症治療法は、主に以下の3つです。 保存療法 手術療法 再生医療 保存療法 保存療法の1つにあげられるのが、薬物療法です。 痛み止めである消炎鎮痛剤や、神経の血流を改善する経口プロスタグランジンE1製剤などを医師の指示どおり内服します。それ以外の薬としては、ビタミンB12や筋弛緩薬などがあります。 ストレッチや筋力トレーニング、ホットパックなどの理学療法も、保存療法の1つです。 以下の記事では、脊柱管狭窄症におすすめのストレッチについて解説しています。あわせてご覧ください。 ブロック注射も、保存療法に含まれます。 圧迫されている神経の近くにある脊柱管内に局所麻酔薬やステロイド剤を注射する方法が、硬膜外ブロック注射と呼ばれるものです。もう1つは、神経根ブロック注射と呼ばれるもので、圧迫されている神経の根元に局所麻酔薬やステロイド剤を注射します。 手術療法 手術療法の適応になるケースは、主に以下の3つです。 保存療法の効果が認められない 下肢の筋力低下が著しい 膀胱直腸障害が見られる 手術療法には、「除圧術」と「固定術」の2つがあります。(文献3) 除圧術とは、神経を圧迫する原因となっている骨や靱帯を削り、脊柱管を広げる手術です。 固定術とは、骨や靱帯を削って除圧した部分に、金属やネジ、人工骨などを入れて背骨を固定する方法です。固定術は除圧術と併用して行われることが多いとされています。 再生医療 整体や保存療法で症状が改善されない方や、「できれば手術を受けずに治したい」と考えている方への選択肢としてあげられるのが、再生医療です。 再生医療の1つに「幹細胞治療」があります。幹細胞とは、人間の体に存在している特殊な細胞で、身体の機能を修復する役割を持っています。 リペアセルクリニックで実施している再生医療の1つが「自己脂肪由来幹細胞治療」です。自分自身の脂肪から採取して増殖させた幹細胞を注射することで、脊柱管狭窄症の改善や回復が期待できます。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを行っています。脊柱管狭窄症でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。 脊柱管狭窄症は整体ではなく医療機関で治療しよう 脊柱管狭窄症は、整体だけでは根治しないものです。整体はあくまでも症状を一時的に和らげるためのものと認識しておきましょう。 脊柱管狭窄症の診断には、MRIやCTなどの画像検査が必要です。まずは医療機関で正確な診断を受けることが治療の第一歩となります。脊柱管狭窄症の根本治療を受ける場合は、整形外科をはじめとする医療機関を受診しましょう。 脊柱管狭窄症と整体に関するよくある質問 脊柱管狭窄症で整体を受ける場合は保険が適用されますか? 基本的に整体は保険適用外です。整体師は民間の資格者であり、整体は医師法で定義されている医療行為に該当しないためです。 整骨院や接骨院で、柔道整復師による施術を受ける場合は、保険適用になるケースもありますが、範囲は限られます。(文献4) 病気からくる痛みやこりに対する施術は、保険適用外です。 脊柱管狭窄症で整体を受ける場合は、全額自己負担であると覚えておくと良いでしょう。 脊柱管狭窄症を手術しないで治すことは可能ですか? 脊柱管狭窄症による各種症状の原因は、神経の圧迫です。(文献3) 根本治療のためには、神経の圧迫を取り除く手術が必要です。 整体や保存療法で経過を観察しつつ、症状の改善が見られなければ、手術が必要になるでしょう。 脊柱管狭窄症でやってはいけないことは何ですか? 腰を強く反らす姿勢は、避けてください。この姿勢は脊柱管を狭めてしまい、症状が悪化する可能性があります。 痛みがあるときのストレッチや筋トレも、避けましょう。症状の悪化につながります。 ストレッチや筋トレなど筋力低下防止のために身体を動かすときは、痛みがない程度で、腰を反らさない姿勢で行いましょう。 運動のために歩くときは、背筋を伸ばし過ぎないように心がけてください。杖やシルバーカーなどを使うと前かがみの姿勢になるため、痛みを軽減できます。 以下の記事でも、脊柱管狭窄症でやってはいけないことを紹介しています。あわせてご覧ください。 参考文献 (文献1) 独立行政法人国民生活センター「手技による医業類似行為の危害-整体、カイロプラクティック、マッサージ等で重症事例も-」,2012年8月2日 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002lamn-att/2r9852000002latt.pdf (最終アクセス:2025年3月16日) (文献2) 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト eヘルスネット「肥満と健康」eヘルスネット[情報提供] https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-001.html (最終アクセス:2025年3月16日) (文献3) 独立行政法人国立病院機構 相模原病院「腰部脊柱管狭窄症について」相模原病院ホームページ https://sagamihara.hosp.go.jp/sinryouka/sekitsui-center-youbu.html (最終アクセス:2025年3月16日) (文献4) 全国健康保険協会 協会けんぽ「柔道整復師(整骨院・接骨院)のかかり方」全国健康保険協会ホームページ https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3070/r141/ (最終アクセス:2025年3月16日)
2025.03.31 -
- 肝疾患
- 内科疾患
「肝嚢胞は放置しても良いのかな」「自然に消えることはあるのかな」 このような悩みはありませんか。 肝嚢胞は、肝臓の組織に液体が溜まり袋状になったものです。40〜60代の女性に起こりやすく、健康診断の超音波検査で発見されるケースがよく見られます。 多くの場合経過観察で済みますが、重症化・悪性化するケースもあるため、適切な診断とフォローアップが必要です。 本記事では、肝嚢胞は自然に消えるのかや、治療法、注意すべき症状などを解説します。記事を最後まで読めば、指摘された肝嚢胞についての注意すべき点がわかり、適切な対応を取れるようになるでしょう。 【結論】肝嚢胞(のうほう)は自然に消えることは稀である 肝嚢胞は、感染や破裂、出血によってサイズが増大することはあるものの、自然に消えたり小さくなったりしたとされる報告は稀です。 大きくなると、腹部の右上部分に膨満感や痛みを感じるケースがあります。(文献1) 本章では、肝嚢胞に治療が必要なのか症状別に解説します。 良性で症状がなければ治療の必要はない 肝嚢胞の多くは良性で、健康に支障をきたすものではありません。 とくに症状もあらわれず、おなかが張る、苦しいなどの不快感がなければ治療しなくても問題ないケースが一般的です。(文献1)(文献2) 気になる症状があるなら早めに受診・治療が必要 「お腹が張って苦しい」「痛みがある」などの症状がある場合は、以下のような問題が生じている可能性があります。(文献1) 出血している 感染症が起きている 嚢胞が破裂している 大きくなった嚢胞がほかの臓器を圧迫している 基本的には医師と相談して経過を見ますが、肝嚢胞が大きくなると、嚢胞破裂につながるおそれも稀にあります。 少しでも異常を感じた場合は、早めに医師へ相談しましょう。 肝嚢胞の治療法 肝嚢胞の治療は、感染やほかの臓器の圧迫が起きている場合におこないます。 種別 治療法 具体的な治療法 内科的治療 ドレナージ 超音波で観察しながら嚢胞内にチューブを入れ、液体を抜く 場合によっては、嚢胞内に液体が溜まらないようにエタノールを注入する 外科的治療 手術 肝嚢胞を切開・切除し、取り除く 肝嚢胞の大きさや種類により、治療方法は異なります。気になる点は、医師へ確認しましょう。 肝嚢胞の治療については、以下の記事で詳しく解説しています。 肝嚢胞の診断後に注意すべき3つのポイント 肝嚢胞と診断されたら、以下の3つのポイントに注意しましょう。 肝機能が悪化していないか確認する 息苦しさや圧迫される感じなどの違和感がないか確認する 年に1回は超音波検査を受ける 順番に説明します。 肝機能が悪化していないか確認する 肝嚢胞に感染や破裂が起こると、稀に肝機能に影響を及ぼすことがあります。 医師に指示された間隔で受診し、肝機能の悪化がないかを定期的に確認しましょう。 息苦しさや圧迫される感じなどの違和感がないか確認する 肝嚢胞が大きくなると、ほかの臓器を圧迫して腹痛や息苦しさなどが出る可能性があります。 体調に違和感があれば、早めに受診しましょう。 年に1回は超音波検査を受ける 肝嚢胞は、サイズが増大しても自覚症状があらわれないケースもあります。 無症状の場合でも、年に1回は超音波検査を受け、肝嚢胞の状態に問題がないかを確認しましょう。 まとめ|肝嚢胞の消失は稀!診断後は適切な治療を受けよう 肝嚢胞は良性で無症状のケースが多いものの、自然に消えるのは非常に稀です。 気づかないうちにサイズが増大したり、感染を起こしたりするリスクもあります。 そのため、診断後は医師の指示に従い適切な治療・経過観察をおこないましょう。 当院「リペアセルクリニック」は、脂肪肝や肝炎、肝硬変などにより炎症や線維化が起きた肝臓に対して、組織の修復や再生が期待できる再生医療を提供しています。 気になる症状がある方は「メール」または「オンラインカウンセリング」まで、気軽にご相談ください。 また、女性に多い肝臓の病気については、以下の記事も参考にしてください。 肝嚢胞についてよくある質問 肝嚢胞は石灰化しますか? 肝嚢胞が石灰化したという報告はありますが、非常に稀です。(文献3) ただし、がんを始めとするほかの病気の合併や炎症、出血などがあると、石灰化しやすいという報告もあります。必要に応じて医師の指示に従い、経過を観察しましょう。 肝嚢胞は食生活と関連がありますか? 肝嚢胞の発生には、女性ホルモンの一種「エストロゲン」が関連しているという説はありますが、現時点で明確な原因は特定されていません。(文献4) ただし、明確な関連は証明されていないものの、肝臓の健康を維持するためにはバランスの取れた食生活を心がけることが大切です。 肝嚢胞はストレスと関係がありますか? 肝嚢胞の原因は明らかになっていない部分が多く、ストレスとの関係も明らかではありません。(文献4) しかし、過剰なストレスは身体面・精神面のどちらにも悪影響を与えます。健康を保つために、ストレスを溜めすぎない生活を送るよう心がけてみてください。 参考文献 (文献1) 笹岡悠一ほか.「腹部超音波検査で観察された肝嚢胞縮小化の1例と10例の文献的考察」『医学検査』 Vol.70,No.1 (2021),pp. 155–159 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jamt/70/1/70_20-50/_pdf/-char/en(最終アクセス:2025年3月18日) (文献2) 難病情報センター「肝臓疾患分野|多発肝のう胞症(平成22年度)」 https://www.nanbyou.or.jp/entry/781(最終アクセス:2025年5月16日) (文献3) 三宅周ほか.「多発性肝のう胞とその石灰化について-石灰化を伴なった非包虫性の1例を含む自験例14例を中心に-」『肝臓』23巻2号(1982),pp.198-205https://www.jstage.jst.go.jp/article/kanzo1960/23/2/23_2_198/_pdf(最終アクセス:2025年3月18日) (文献4) 難病情報センター「肝臓疾患分野|多発肝のう胞症(平成22年度)」https://www.nanbyou.or.jp/entry/781(最終アクセス:2025年3月18日)
2025.03.31 -
- 肝疾患
- 内科疾患
突然「肝嚢胞ですね」と医師から告げられ、不安になっていませんか? なかには経過観察で特別な治療は不要と言われる方もいるでしょう。しかし、本当に大丈夫なのか不安になりますよね。 また「食事や普段の日常生活が悪かったかも」と悩み、見直す方もいるかもしれません。 肝嚢胞と食事は直接的な影響は少ないといわれていますが、不摂生な食事は肝臓に負担を与えます。食生活が原因となり肝嚢胞に悪影響を及ぼすことも考えられるため、注意が必要です。 本記事では、肝嚢胞と食事の関係性や、肝臓病のときの食事について詳しく解説します。本記事を参考に、肝臓をいたわる食事を心がけてください。 【結論】肝嚢胞(のうほう)に食事は直接影響しないが注意が必要 軽症の場合、肝嚢胞は経過観察で済むケースが多く見られます。肝嚢胞の原因は明確にはなっていませんが、日常の食事が肝嚢胞に直接影響を与えることは少ないと考えられています。 しかし、食生活の乱れは肝臓に負担を与えるため、肝嚢胞にも悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。 たとえば肥満症や糖尿病にかかっている場合は、不規則な食生活により肝臓までダメージを与えることもあります。(文献1)(文献2) 肝嚢胞自体は食事によって大きく変動するものではありませんが、肝臓の健康を維持するためには、適切な食生活の改善が欠かせません。日頃から肝臓に負担をかけない食事を意識しましょう。 肝嚢胞の原因や症状、治療法については以下の記事で詳しく解説しています。気になる方は合わせてご覧ください。 肝嚢胞で注意が必要な食事 肝嚢胞を悪化させるリスクを減らすためには、食生活に気を配ることが大切です。とくに以下の食事は肝臓に負担を与える可能性があります。 アルコール 単品の外食・コンビニ食 脂肪分の多い肉 肝臓に負担をかける食品はできるだけ控え、バランスの取れた食事を心がけましょう。 アルコール アルコールは肝臓で代謝されるため、過剰な飲酒は肝機能を低下させます。(文献3) 肝嚢胞がある場合は禁酒が理想的ですが、難しい場合は頻度や量を調整しましょう。 飲酒を抑えるための方法として、以下のような工夫がおすすめです。 休肝日を設ける 摂取量を1日あたり純アルコールで約20g程度に抑える(ビールなら中瓶1本500mlまで、ワインなら1杯半程度)(文献4) アルコール度数の低い飲料を選ぶ 普段から飲酒習慣のある方は、量や頻度の調整でアルコール摂取量を抑える工夫をしましょう。 単品の外食・コンビニ食 外食やコンビニ食は手軽ですが、単品で済ませると栄養バランスが偏りがちです。 とくに脂質や塩分が多い食品を摂りすぎると、肝臓に負担がかかる可能性があるため注意が必要です。 普段から外食やコンビニ食が多い方は、以下のような工夫を取り入れて栄養バランスを整えましょう。 定食メニューを選び、主食・主菜・副菜をそろえる カット野菜やスープをプラスする 揚げ物や高カロリーなメニューは控えめにする 生活するうえで外食やコンビニ食を避けられない場合は、上記を参考に工夫してみてください。 脂肪分の多い肉 脂肪分の多い肉の部位を過剰に摂取すると、肝臓に負担をかける可能性があります。 肝臓への負担を減らすために牛ヒレ肉や豚足など、脂身の少ない部位を選ぶようにしましょう。 また、低脂肪の肉類でも揚げ物や高脂肪食は脂肪肝を引き起こすリスクがあるため、注意が必要です。 これらのポイントを意識しながら、脂肪分の控えたお肉を普段の食事に取り入れましょう。 肝嚢胞とは別に、肝臓の代表的な疾患として「肝硬変」が知られています。肝硬変の食事のポイントについて詳しく知りたい方は、以下のコラムも参考にしてください。 肝嚢胞の人におすすめの食事 肝機能が低下している際におすすめの食事は、以下の3つです。 穀物 良質なたんぱく質 野菜やキノコ 肝嚢胞の人は、これらの栄養分や食品を普段の食事に取り入れて、バランス食を心がけてください。 穀物 肝臓病になると、肝機能低下により血糖値を下げる力が鈍ります。(文献5) 雑穀米や全粒粉のパンを取り入れると、血糖値の急激な上昇を防ぎ、肝臓への負担を軽減できるためおすすめです。 一方、白米のような精製穀物は血糖コントロールを悪化させる可能性があります。そのため、未精製の穀物を選ぶのがより望ましいでしょう。(文献6) 良質なたんぱく質 アミノ酸がバランスよく含まれているたんぱく質が、良質なたんぱく質に該当します。 体に吸収されやすいため、効率よく利用されるのが特徴です。(文献7)(文献8) 代表的な良質なタンパク質として以下のような食材があげられます。 豆類、大豆製品(豆腐、納豆、味噌など) 卵 魚や脂肪の少ない肉(鶏むね肉、豚ヒレ肉など) ただし、過剰に摂取すると肝臓に負担をかけて肝性脳症のリスクをあげる原因になります。良質だからといってむやみに多く摂り過ぎず、適量を意識しましょう。 野菜やキノコ 野菜やキノコには、ビタミンやミネラルが豊富に含まれています。 とくに、肝機能が低下するとビタミンやミネラルを蓄える能力が低下するため、日常の食事で積極的に摂取することが重要です。 以下のような野菜やキノコを普段の食事に取り入れるようにしましょう。 緑黄色野菜 ほうれん草 にんじん ピーマン など キノコ類 しいたけ えのき しめじ など これらの食材を日々の食事に取り入れることで、肝機能の維持に役立つでしょう。 肝嚢胞の人が食事で意識すべきポイント 肝臓の健康を守るためには、食品や栄養素の他、日々の食事メニューの工夫が大切です。とくに、以下のポイントを意識すると良いでしょう。 栄養バランスの整ったメニューを考える カロリーオーバーに注意する 主食・主菜・副菜をそろえたメニューにする 食事のバランスを意識し、主食・主菜・副菜をそろえた食事を心がけることが大切です。これにより、必要な栄養素を効率よく摂取でき、肝臓への負担を軽減できるでしょう。 バランスの良い食事の例として、以下のようなメニューがおすすめです。 主食:玄米や雑穀米 主菜:魚や大豆製品(豆腐、納豆) 副菜:野菜や海藻類の和え物 このような組み合わせを意識しながら、栄養バランスの良い食事を続けましょう。 カロリーオーバーに注意する 肝臓の負担を減らすためには、適正なカロリー摂取が重要です。カロリーを抑えるためには、以下のポイントを意識しましょう。 低カロリーで高たんぱくな食材(鶏むね肉、白身魚、大豆製品)を選ぶ 調理法を工夫し、油を控えめにする(蒸す、茹でる、焼く) 食事量を適量に調整し、過剰摂取を避ける これらの工夫を取り入れることで、肝機能の悪化を防ぐことにつながります。ただし、良質なたんぱく質を多く含む食品は高カロリーになりがちなので注意が必要です。 まとめ|肝嚢胞と診断されたら食事内容を見直してみよう 今回は、肝嚢胞の方へ向けて、おすすめの食事のポイントを詳しく解説しました。 肝嚢胞自体は食事が原因で発症するとは言えないものの、不規則な食生活により肝機能が低下し、肝嚢胞の状態に影響を及ぼす可能性があります。 肝嚢胞が無症状でも食生活を見直して肝臓の健康に努めましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、肝障害の悪化を防ぐ「再生医療」を行っております。 メール相談またはオンラインカウンセリングにてお悩みを伺うことも可能です。気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 肝嚢胞についてよくある質問 嚢胞ができる原因は何ですか? 嚢胞の特定の原因は明らかになっていませんが、以下のような原因が報告されています。 寄生虫感染(エキノコックス) 女性ホルモンの影響 先天性の要因 これらの原因が疑われる場合は、専門医による適切な診断と治療が必要です。異変を感じたら自己判断せず医療機関を受診しましょう。 肝嚢胞になったらどうすれば良いですか? 肝嚢胞が見つかった場合、特別な治療を必要とせず、経過観察を行うことが多いです。医師の判断によっては、半年〜年に1回くらいエコー検査するケースもあるでしょう。 しかし、嚢胞が大きくなり、腹痛や圧迫感などの症状が現れた場合は、手術が検討されることもあります。その際、嚢胞内の液体を抜き取る穿刺治療や、切開による手術が行われることがあります。 いずれにしても、肝嚢胞と診断された場合は、医師の指示に従って適切な検査や治療を受けましょう。 参考文献 (文献1) 厚生労働省「脂肪肝(しぼうかん)」e-ヘルスネット, 2024年5月27日https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-033.html(最終アクセス:2025年3月16日) (文献2) 奥田昌恵、横田友紀ほか.「2 型糖尿病における脂肪肝 ―その頻度および臨床的特徴―」『糖尿病』 50 巻 8 号 , p631-p634.(2007) https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/50/8/50_8_631/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年3月16日) (文献3) 厚生労働省「アルコールの吸収と分解」e-ヘルスネット, 2022年01月20日 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-02-002.html(最終アクセス:2025年3月16日) (文献4) 厚生労働省「アルコール」https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b5.html(最終アクセス:2025年3月16日) (文献5) 種市 春仁 藤原 史門ほか.「3. 肝硬変に伴う糖尿病(肝性糖尿病)」『糖尿病』 51巻 3号 , p203-p205.(2008〕) https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/51/3/51_3_203/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年3月16日) (文献6) 鎌田智英実.「6.栄養摂取状況と改善策」『日本老年医学会雑誌』50巻 1 号 , p68-p71.( 2013〕) https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/50/1/50_68/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年3月16日) (文献7) 厚生労働省「たんぱく質(たんぱくしつ)」e-ヘルスネット, 2024年5月27日 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-044.htm(最終アクセス:2025年3月16日) (文献8) 国立長寿医療研究センター「良質なたんぱく質とは? 【低栄養予防】」https://www.ncgg.go.jp/ri/advice/09.html(最終アクセス:2025年3月16日)
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「健康診断で尿酸値が高いと言われたけれど、なぜだろう」「痛風って、男の人の病気じゃないの?」と疑問に思っていませんか。 尿酸は、食べ物に含まれる「プリン体」が分解されてできる老廃物の一種です。誰の身体にもあり、通常は腎臓から尿に混じって排泄されます。 しかし、なんらかの原因で血液中の尿酸が増え、血液検査における「血清尿酸値」が7.0mg/dLを超えると「高尿酸血症」と診断され、治療の対象となります。 「痛風は男性に多い」といわれるように、高尿酸血症も男性に多く見られる病気です。しかし、女性も5%の頻度でかかるとされており、決してかからないわけではありません。 本記事では、女性の尿酸値が高い原因や高いことで起こる問題、尿酸値を上げやすい食べ物などを解説します。尿酸値をコントロールし、健康な毎日を過ごす参考になれば幸いです。 女性で尿酸値が高い原因は「生活習慣・ホルモンの影響」 女性で尿酸値が高い原因は、以下の2つです。 尿酸値を高くしやすい生活習慣 閉経による女性ホルモンの変化 本章の内容をもとに、自分の尿酸値が上がった原因を振り返ってみましょう。 尿酸値を高くしやすい生活習慣 以下のような生活を送っていると、尿酸値が上がりやすいとされています。 ビールをはじめとするアルコールの摂取量が多い 甘い飲み物やジュースの摂取量が多い プリン体の多い食事を取っている 野菜や果物が不足している 水分摂取が不足している 運動不足である 肥満である 尿酸は、尿から排泄されるため、毎日2L以上の水分摂取がすすめられています。(文献1) また、適度な運動を定期的におこなうのも有効とされています。ウォーキングやジョギングなど、続けやすいものを選ぶと良いでしょう。 ただし、激しすぎる運動や筋肉トレーニングなどの無酸素運動は尿酸値を上げるケースがあります。今から運動を始める際は、どの程度の運動がのぞましいかを医師と相談してみてください。(文献2) 食事についてはあとの章で詳しく説明します。 【関連記事】 痛風治療と生活習慣の見直してみる?!今すぐ始める具体的ステップ 尿酸値を下げて痛風を予防する!日常生活でできる具体的な方法 閉経による女性ホルモンの変化 閉経後の女性は、エストロゲン(女性ホルモン)の減少により尿酸値が上昇しやすくなります。 エストロゲンには尿酸の排泄を促進し、尿酸値を下げるはたらきがあります。そのため、エストロゲンが豊富な閉経前の女性は、一般的に尿酸値が高くなりにくい状態です。(文献3) しかし、閉経を迎えるとエストロゲン分泌が減少して尿酸の排泄機能が低下するため、尿酸値が上がりやすくなります。実際に、日本人女性の平均閉経年齢である50歳代を境に、年齢が上がるにつれて尿酸値が高くなる傾向にあった報告もあります。(文献4) 女性ホルモン減少がもたらす変化について気になる方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。 女性で尿酸値が高いと起こる5つの問題 女性で尿酸値が高いと、以下の問題が起こり得ます。 痛風になりやすい 慢性腎臓病になりやすい 尿路結石になりやすい メタボリックシンドロームになりやすい 高血圧や心血管病になりやすい 実は、女性は血清尿酸値が7.0mg/dL以下でも高血圧・糖尿病・慢性腎臓病・脳・心血管病・メタボリックシンドロームのリスクが上がるとされています。(文献5) 本章の内容をもとに、高尿酸血症を放置するリスクを理解しておきましょう。 痛風になりやすい 高尿酸血症によって起こる有名な病気は「痛風」です。 血中の尿酸が増えると血液に溶け切らなくなり、関節や耳たぶなどに針のような形の結晶となって溜まります。結晶が関節に溜まって炎症を起こした状態が「痛風」です。 「風が吹いても痛い」と書くだけあり、痛風発作が起こると、突然の激しい痛みや腫れが生じます。 痛みが起こりやすい部位は、親指の付け根です。ただし、手や足首、膝などに痛みがあらわれるケースもあります。 痛風については、以下の記事も参考にしてください。 【関連記事】 痛風が影響を与える主な部位とその対策 痛風は一日で治るの?発作の対処法と予防法を解説【医師監修】 慢性腎臓病になりやすい 高尿酸血症は腎機能を低下させ、慢性腎臓病(CKD)の発症に関連するといわれています。(文献6) 尿酸の約70%は腎臓から排泄されるため、慢性腎臓病の人は高尿酸血症を合併しやすくなります。しかし、高尿酸血症そのものが以下のようなはたらきによって、腎臓へ悪影響を与える可能性があるとわかってきたのです。(文献5) 酸化促進作用:尿酸が増えると「活性酸素」も増え、正常な腎細胞を傷つける 内皮機能障害:血管の内側を覆う細胞のはたらきが悪くなり、腎臓の血流が悪くなる レニン・アンギオテンシン系の活性化:血圧が高くなって腎臓に負担がかかる 糸球体前の血管障害:腎臓の細い血管が傷つき、腎機能が低下する 腎尿細管細胞の上皮間葉転換:腎臓の尿細管細胞が変化し、はたらきが悪くなる たとえば、腎機能低下をあらわす「血清クレアチニン」という数値の上昇と血清尿酸値は、関連があるとされています。 また、女性において、6.0mg/dL以上の高尿酸血症は、落ちた腎機能をさらに低下させるリスクがあるという報告もあります。 腎臓病が進み末期の腎不全になると、「透析」が必要になるケースも珍しくありません。「尿酸値が高い」だけで透析が必要になるわけではありませんが、将来の腎機能を守るために尿酸値をコントロールするよう心がけてみてください。 痛風と腎機能については、以下の記事で詳しく説明しています。 尿路結石になりやすい 尿路結石とは、腎臓から尿道までの「尿路」に結石ができ、激しい痛みや血尿が突然あらわれる病気です。(文献5) 尿酸値が高いとリスクが上がる結石は、以下の2種類です。 尿酸結石:尿酸が主成分の結石で、酸性の尿や尿中の尿酸排泄量の増加、水分不足などがリスクとなる シュウ酸カルシウム結石:シュウ酸カルシウムが主成分の結石で、尿路結石のなかで一番多い 尿路結石は、再発率が高いといわれています。結石を防ぐためにも十分な水分をとり、指示された食事療法を守るようにしましょう。 メタボリックシンドロームになりやすい 高尿酸血症や痛風の人は、内臓肥満に高血圧・脂質異常・高血糖が合わさった状態である「メタボリックシンドローム」になりやすい傾向があります。 痛風の患者さんとメタボリックシンドロームに関する報告を、以下に紹介します。(文献5) 痛風の人の37%にメタボリックシンドロームが見られ、対照者の21%よりも頻度が高かった 痛風の人は、痛風でない人に比べて脂質異常症・本態性高血圧・糖尿病の頻度が約2倍だった メタボリックシンドロームは、動脈硬化や脳卒中、心臓病などのリスクとなります。尿酸値が高いと、ほかの生活習慣病や命にかかわる病気のリスクも上がるのです。 メタボリックシンドロームのひとつである糖尿病については、以下の記事で詳しく説明しています。 高血圧や心血管病になりやすい 尿酸値が高い女性は高血圧になりやすく、心不全や心筋梗塞による死亡率も高いという報告があります。 (文献5) 女性は男性よりも、尿酸値による影響を受けやすいといわれているため、生活習慣の改善や服薬によるコントロールが大切です。 高血圧の予防や改善に役立つ方法は、以下の記事で詳しく説明しています。 尿酸値が高い女性が痛風になったときの初期症状 尿酸値が高い状態が続いて痛風発作が起こると、以下のような症状が突然あらわれます。 激しい痛み 腫れ 赤み 痛む部分を冷やしたり、市販の痛み止めを飲んだりすると痛みがやわらぐケースもありますが、痛みが続く際は早急な受診が必要です。 痛みの原因が痛風とわかっている場合は内科、痛みの原因がわからない場合は整形外科を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、痛風の相談や治療方法についても相談を受け付けております。気になる方は、「メール相談」または「オンラインカウンセリング」まで、気軽にご相談ください。 痛風の初期症状については、以下の記事で詳しく説明しています。 女性の尿酸値を高くする食べ物 尿酸は、体内で作られるほか、食べ物から摂取する「プリン体」からも作られます。そのため、尿酸値を下げるには、プリン体の摂取を控えることが大切です。 尿酸値を高くしやすい食品と、尿酸値の管理に役立ちやすい食品はそれぞれ以下のとおりです。 【注意】尿酸値を高くしやすい食品 肉類 (とくにレバー、内臓肉など) 魚介類 (とくにイワシ、サンマ、カツオなど) ビールなどのアルコール飲料 果糖の多い清涼飲料水 【おすすめ】尿酸値の管理に役立つ食品 野菜類 果物類 低脂肪乳製品 全粒穀物 基本的に、バランスのよい食生活を心がけるようにしましょう。 尿酸値を高くする食べ物については、以下の記事で詳しく説明しています。 【関連記事】 【一覧】痛風の食事でたべてはいけないものは?避けたい食品とおすすめメニュー 痛風にコーヒーはダメ?OK?尿酸値への影響と安全な飲み方を医師が解説 まとめ|女性で尿酸値が高い場合は医療機関の受診を推奨 尿酸値が高いと、痛風やメタボリックシンドロームのリスクが上がり、心血管疾患による死亡率が上がる可能性もあります。 毎日の生活習慣に気を付けて、尿酸値を7.0mg/dLに保つように心がけましょう。 また、当院では、高尿酸血症をはじめとする生活習慣病に関する相談も受け付けています。気になる方は「メール相談」または「オンラインカウンセリング」まで、気軽にご相談ください。 尿酸値が高い女性からよくある質問 痩せ型の女性で尿酸値が高くなる原因は何? 痩せ型の女性で尿酸値が高い場合、以下の要因が関与している可能性が考えられます。 遺伝的な要因 過激なダイエット 激しい運動 飲酒 プリン体や果糖の過剰摂取 痩せていても油断せず、尿酸値を下げる生活を心がけましょう。 尿酸値が高いと言われたらどうしたらいい? 健康診断で尿酸値が高いと言われた場合、内科を受診しましょう。 内科では、薬の処方や生活習慣の指導によって、尿酸値の管理をおこないます。 多くの場合、尿酸値が高くても自覚症状はありません。しかし、痛風発作の痛みが出たり、脳や心臓の病気につながったりする可能性もあります。 「身体は何ともないから大丈夫だろう」と放置せず、医師の診察を受けるようにしてください。 参考文献 (文献1) 公益財団法人痛風・尿酸財団「日常注意するポイントは?」公益財団法人痛風・尿酸財団ホームページhttps://www.tufu.or.jp/gout/gout2/65(最終アクセス:2025年3月11日) (文献2) 厚生労働省「高尿酸血症」e-ヘルスネット,2024年7月5日https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-007.html (文献3) 春原 伸行ほか.「尿酸排泄における性差の検討」『痛風と尿酸・核酸』2022 年46巻1号 p. 15-22https://www.jstage.jst.go.jp/article/gnamtsunyo/46/1/46_15/_article/-char/ja/ (文献4) 島袋 智之ほか.「血清尿酸値の多変数関連評価法の検討―健常日本人男女における研究―」『日泌尿会誌』111(1),pp22-29,2020 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpnjurol/111/1/111_22/_pdf (文献5) 日本痛風・核酸代謝学会ガイドライン改訂委員会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版」2019年改訂 https://minds.jcqhc.or.jp/common/wp-content/plugins/pdfjs-viewer-shortcode/pdfjs/web/viewer.php?file=https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00476-1.pdf&dButton=false&pButton=false&oButton=false&sButton=true#zoom=auto&pagemode=none&_wpnonce=3b871a512b (文献6) 今井直彦「慢性腎臓病と高尿酸血症」『CKDジャーナル』vol.6 https://www.japha.jp/doc/CKDJ_vol6.pdf
2025.03.31 -
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「筋トレで尿酸値は上がるの?」 「プロテインは影響する?」 と疑問に思ったことはありませんか? 実は、筋トレと尿酸値には深い関係があり、誤った方法で行うと尿酸値が上昇するリスクがあります。 本記事では、筋トレによる尿酸値上昇の原因や、高尿酸血症の方でも安全に運動を続ける方法を医師が詳しく解説します。 正しい知識を身につけ、健康を維持しながら筋トレを続けましょう。 尿酸値は筋トレで上昇することがある|考えられる4つの原因 筋トレは健康維持に役立つ運動ですが、方法によっては尿酸値を上昇させる原因になります。 ここでは、筋トレが尿酸値に及ぼす影響として考えられる4つの原因を解説します。 筋肉分解で生じるプリン体が尿酸値を上昇させるから 運動後の一時的な脱水が尿酸濃度を高めるから 強度の高い筋トレほど尿酸値が上がりやすいから プリン体が多いプロテインを摂取しているから とくに、高強度の筋トレや食生活の影響で、一時的に尿酸値が上がる場合があります。 適切な対策を知り、健康を維持しながら安全に筋トレを続けましょう。 筋肉分解で生じるプリン体が尿酸値を上昇させるから 筋トレを行うと、筋肉が一時的にダメージを受け、修復の過程で分解されます。 その際、筋肉内でプリン体が生成され、尿酸として体内に蓄積されます。 主に高強度のトレーニングでは筋肉の分解が激しくなり、尿酸値が上がりやすくなるのが特徴です。 適度な筋トレは健康に良い影響を与えますが、過度なトレーニングは尿酸値上昇の原因となるため、無理をせず適切な回復時間の確保が大切です。 運動後の一時的な脱水が尿酸濃度を高めるから 筋トレ中は汗をかくことで体内の水分が失われ、脱水になりやすくなります。 とくに、高温多湿の環境や長時間のトレーニングでは脱水が進み、尿酸値が急上昇する場合もあります。(文献1) 対策としては、運動中・運動後にこまめな水分補給を心がけることが重要です。 強度の高い筋トレほど尿酸値が上がりやすいから スクワットやデッドリフトなどの高負荷トレーニングでは、筋肉のエネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)の消費が激しくなります。 ATPが分解される際にプリン体が生成されるため、結果的に尿酸値が上がりやすくなります。(文献2) そのため、短時間で高強度のトレーニングを繰り返すと、尿酸値が急激に上昇するリスクが高まるため注意が必要です。 適度な強度で筋トレを行い、無理な高重量トレーニングを避けることが大切です。 プリン体が多いプロテインを摂取しているから 筋トレ後の栄養補給としてプロテインを摂取する人は多いですが、種類によっては尿酸値を上げる可能性があります。 主にタンパク質であるプロテインには、プリン体を含む種類もあるためです。 また、プロテインを飲んで激しい筋力トレーニングを行うことも、間接的に尿酸値を上げる原因になりかねません。 そのため、プロテインの摂取量に注意した上で、バランスの良い食事と組み合わせて、尿酸値の急上昇を防ぎましょう。 痛風の方に向けた、避けたい食品とおすすめメニューについては、以下の記事で詳しく紹介しています。 尿酸値が高い人が筋トレするときの注意点 尿酸値が高い人でも、正しい方法で筋トレを行えば健康を維持できます。 しかし、誤ったやり方では尿酸値がさらに上昇し、痛風のリスクが高まる可能性があります。 本章では、尿酸値が高い人が安全に筋トレを続けるためのポイントを4つ解説します。 有酸素運動中心のメニューにする こまめな水分補給を心掛ける 食事でプリン体摂取を控える 検査前は激しい筋トレを控える それぞれ詳しく解説しているので、筋トレを日常的に行う方は参考にしてください。 有酸素運動中心のメニューにする 尿酸値が高い場合は、無酸素運動よりも有酸素運動を中心に取り入れるのがおすすめです。 ウォーキングや軽いジョギング、サイクリングなどは、尿酸値を下げる効果が期待できます。(文献3) 一方、スクワットやデッドリフトなどの高負荷トレーニングは筋肉の分解が進みやすく、尿酸値が上昇する原因になるケースがあります。 以上のことから、筋トレを行う際は負荷の軽いメニューを意識し、無理のない範囲で続けていきましょう。 こまめな水分補給を心掛ける 尿酸値が高い人にとって、水分補給はとくに重要です。 体内の水分が不足すると尿酸の排出が滞り、血中濃度が上昇しやすくなります。 運動中は汗によって水分が失われるため、意識的にこまめな水分補給が大切です。 とくに高温多湿の環境では発汗が増えるため、運動前・運動中・運動後とこまめな水分補給を心がけましょう。 水だけでなく、ナトリウムやカリウムなどの電解質を含むスポーツドリンクを取り入れると、体内のバランスを保ちながら尿酸の排出を促せます。 食事でプリン体摂取を控える 筋トレと並行して食事内容を見直すのも、尿酸値の管理には欠かせません。 プリン体を多く含む食品(レバー、魚卵、アルコール類)は控えめにし、野菜や乳製品、豆類などを積極的に摂ることが望ましいです。(文献4) また、プロテインを摂取する際にも注意が必要です。 タンパク質は筋肉の回復に欠かせませんが、プリン体を多く含む食材の過剰摂取は尿酸値上昇の原因となるため、適量を心掛けることが重要です。 以下の記事では、尿酸値を抑えて痛風を予防する方法について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。 検査前は激しい筋トレを控える 健康診断の前に激しい筋トレを行うと、一時的に尿酸値が上昇する可能性があります。(文献2) これは、筋肉の分解や脱水が影響するためです。 そのため、検査前日の夜に高負荷のトレーニングを行うと、通常よりも高い尿酸値が測定される場合があるため注意が必要です。 正確な数値を把握するためにも、検査の数日前からは軽めの運動にとどめ、体を休める時間を確保しましょう。 まとめ|適度な筋トレと水分補給で尿酸値を管理しよう この記事では、筋トレが尿酸値に与える影響について解説しました。 筋肉の分解や脱水、高負荷トレーニング、プリン体を多く含むプロテインの摂取などが、尿酸値上昇の原因となるケースがあります。 しかし、適度な有酸素運動の取り入れやこまめな水分補給、プリン体を控えた食事を意識すると、尿酸値を管理しながら安全に筋トレを続けることが可能です。 また、健康診断前には激しい筋トレを避けると、正確な尿酸値を把握しやすくなります。 本記事を参考に、無理のない運動習慣を継続しながら、健康的な体づくりを目指してみてください。 また、筋トレをしていても、尿酸値が下がらず体調不良が出てしまう場合もあります。 お悩みがある方は、ぜひ当院リペアセルクリニックの「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 尿酸値と筋トレの関係性についてよくある質問 尿酸値は運動で下がる? 適度な有酸素運動は、尿酸値を下げる効果が期待できます。 一方で、高強度の筋トレは筋肉の分解を引き起こし、一時的に尿酸値を上昇させる場合があります。 そのため、尿酸値が高い人は、ウォーキングや軽いジョギングを取り入れ、無理な高負荷トレーニングを避けるのが理想的です。 定期的に健康チェックを行いながら、バランスの取れた運動を続けていきましょう。 健康診断の前に筋トレをすると尿酸値が上昇する? 健康診断の前日に激しい筋トレを行うと、筋肉の分解や脱水により、尿酸値が一時的に上昇することがあります。(文献2) 正しい数値を測定するためにも、健康診断の数日前からは高負荷なトレーニングは控えるようにしてください。 また、診断前日は水分をしっかり摂り、尿酸の排出を促しましょう。 尿酸値を上げない筋トレや食生活について相談したい方、また痛風の症状や治療方法について知りたい方は、当院リペアセルクリニックの「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 参考文献 (文献1) 甲佐町「痛風発作を予防しよう~総合保健福祉センター「健康だより」」(2024年) https://www.town.kosa.lg.jp/q/aview/171/10926.html(最終アクセス:2025年3月15日) (文献2) 斉藤篤司、大柿哲朗 九州大学_異なる運動様式の最大運動が運動後の血清尿酸濃度に及ぼす影https://api.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_download_md/736/024_p033.pdf(最終アクセス:2025年3月15日) (文献3) 日本痛風・尿酸核酸学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版」2022年追補版https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00476_supplementary.pdf(最終アクセス:2025年3月19日) (文献4) 厚生労働省「高尿酸血症」健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~2024年 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/metabolic/m-05-007(最終アクセス:2025年3月19日)
2025.03.31 -
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「尿酸値が高いと言われたけれど、何をすれば良いか分からない…」 「尿酸値を下げるにはどうしたら良い?」 このような悩みを抱える方は少なくありません。 尿酸値が高い状態を放置すると、痛風や腎臓病のリスクが高まります。(文献1) しかし、適切な知識と対策を実践すれば、尿酸値はコントロール可能です。 本記事では、高尿酸値の基準や原因、合併症のリスク、そして効果的な予防法をわかりやすく解説します。 正しい知識と生活習慣の改善で、健康な体を目指しましょう。 高い尿酸値とは?基準値と診断基準 尿酸値が高いと言われても、どの程度の数値が問題なのか分からない人も多いでしょう。 尿酸は腎臓を通じて尿として排出される老廃物です。しかし、排出と生成のバランスが崩れると、体内に蓄積され、健康リスクを引き起こします。 尿酸値の正常範囲と、高尿酸血症と診断される基準は以下のとおりです。(文献2) 尿酸値は4.0〜7.0mg/dLが正常範囲 7.0mg/dLを超えると高尿酸血症と診断される 本章では、それぞれの診断基準について詳しく解説します。 尿酸値は4.0〜7.0mg/dLが正常範囲 尿酸値は血液検査で測定され、一般的に4.0〜7.0mg/dLが正常範囲とされる数値です。(文献3) 尿酸は、プリン体の代謝によって生成される老廃物で、通常は尿として排出されます。 しかし、食生活や生活習慣の影響で過剰に生成されたり、排出が滞ったりすると、血液中の尿酸濃度が上昇します。 とくに、7.0mg/dLに近い場合は生活習慣の見直しが必要です。 尿酸値は食事や運動の影響を受けるため、早めに対策を意識しましょう。 7.0mg/dLを超えると高尿酸血症と診断される 尿酸値が7.0mg/dLを超えると「高尿酸血症」と診断されます。(文献2) この状態が続くと、血液中の尿酸が結晶化し、関節や腎臓に悪影響を及ぼす可能性があります。 とくに痛風のリスクが高まり、足の親指の付け根などに突然激しい痛みが生じるケースもあるので注意が必要です。 また、高尿酸血症は、自覚症状がほとんどないケースもあります。気づいたときには合併症が進行しているケースも少なくありません。 健康診断で尿酸値が基準を超えていると指摘されたら、食事や運動習慣の見直しを行い、心配であれば医師へ相談しましょう。 尿酸値が高くなる原因 尿酸値が上昇する理由は、大きく以下の2つに分類されます。 体内で尿酸が増えすぎる 尿酸が身体から出にくくなる いずれの場合も血中尿酸濃度が上がり、痛風や腎機能障害のリスクが高まります。 以下で、それぞれの原因を詳しく解説します。 体内で尿酸が増えすぎる 尿酸は、プリン体が分解される際に発生する老廃物です。 プリン体は肉類や魚介類に多く含まれ、レバー・干物・ビールの摂取が多いと尿酸値が上がりやすくなります。(文献1) そのため、高尿酸値を防ぐには、プリン体の多い食品を控えることが重要です。 適度な運動も代謝を促進し、尿酸値のコントロールに役立つでしょう。 尿酸が身体から出にくくなる 尿酸は腎臓を通じて尿として排出されますが、腎機能が低下すると排出が滞り、血液中の尿酸濃度が上昇します。(文献4) また、水分不足や過度なアルコール摂取は腎臓の働きを悪化させ、尿酸の排出を妨げる要因となります。 尿酸をスムーズに排出するには、こまめな水分補給が欠かせません。 目安として1日2リットル程度の水を飲むと、尿の量が増え、尿酸が排出されやすくなります。(文献2) 高い尿酸値を放置するリスク|危険な合併症4選 尿酸値が高い状態を放置すると、体内で尿酸が結晶化し、さまざまな合併症を引き起こします。 主に痛風・腎機能障害・動脈硬化症・尿路結石は代表的なリスクです。(文献4) 合併症 主な症状 リスク 痛風 関節の激しい痛み・腫れ 生活の質の低下 再発の可能性 腎機能障害 むくみ・倦怠感・尿量の変化 腎不全のリスク 動脈硬化症 血管の狭窄・高血圧 心筋梗塞・脳卒中のリスク 尿路結石 突然の激しい痛み・血尿 尿路閉塞・感染症のリスク これらの合併症は放置すると悪化し、日常生活に支障をきたす可能性があります。 初期段階では自覚症状が少ないため、定期的な健康診断と早めの対策が重要です。 以下で、それぞれの合併症について詳しく解説します。 痛風 尿酸値が高い状態が続くと、血液中の尿酸が結晶化し、関節に沈着して痛風を引き起こします。(文献4) とくに足の親指の付け根に激しい痛みが生じるのが特徴です。 痛風発作は突然起こり、数日間歩くのが困難になるほどの強い痛みが続く場合もあります。 発作を防ぐには、日常的に尿酸値をコントロールするのが重要です。 腎機能障害 尿酸は腎臓を通じて排出されますが、尿酸値の高い状態が続くと腎臓に負担がかかり、腎機能が低下する可能性があります。(文献4) 尿酸が尿路に結晶として沈着すると、腎臓結石や腎不全の原因になるケースもあります。 また、腎機能障害は初期段階では自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに進行する場合が多いため注意が必要です。 動脈硬化症 高尿酸値は血管にも悪影響を及ぼし、動脈硬化のリスクを高めます。(文献2) 動脈硬化が進行すると血管が狭くなり、心筋梗塞や脳梗塞のリスクも上昇するとされています。 食事では塩分や脂質を控え、適度な運動を習慣化して血流を促進しましょう。 また、ストレスは血管を収縮させる要因となるため、リラックスする時間を持つことも大切です。 尿路結石 尿酸が体内に溜まりやすくなると、腎臓から膀胱の間で結晶化し、尿路結石を引き起こすケースがあります。(文献1) 尿路結石は排尿時の痛み・血尿・頻尿などの症状を伴い、進行すると感染症の原因になる場合もあります。 尿路結石を予防するには、尿酸値を下げる治療に加えてこまめな水分補給が重要です。 アルコールや糖分の多い飲み物を控え、水を多く飲むことで尿の量が増え、尿酸の結晶化を防ぎやすくなります。 高い尿酸値による合併症を予防する方法 尿酸値が高い状態を放置すると、痛風や腎機能障害などの合併症を引き起こすリスクが高まります。 しかし、生活習慣を改善すれば尿酸値をコントロールし、リスクを軽減できます。 本章では、尿酸値を下げるために有効な5つの対策を紹介します。 アルコールは控える 水分をよくとる 有酸素運動を習慣化する 体重をコントロールする ストレスを溜めない それぞれ詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。 アルコールは控える アルコールは尿酸値を上昇させる大きな要因の一つです。 とくにビールはプリン体を多く含み、摂取量が増えると尿酸が生成されやすくなります。 さらに、アルコール自体が尿酸の排出を妨げるため、尿酸値をより押し上げる原因にもなります。(文献5) そのため、尿酸値を下げるには、アルコールの摂取量を減らすことが重要です。 水分をよくとる 水分不足は尿酸の排出を妨げ、尿酸値を上昇させる要因になります。 尿酸は尿とともに排出されるため、十分な水分を摂ることで尿酸値を下げやすくなります。 普段から水分摂取が少ない人は、1日2リットルの水を目安に、意識的に増やすことが大切です。 水分補給を習慣化すると、尿酸の排出がスムーズになります。 また、以下の記事ではコーヒーが尿酸値に与える影響や、安全な飲み方を解説しているので、ぜひご覧ください。 有酸素運動を習慣化する 適度な運動は尿酸値を下げるのに役立ちます。 たとえば、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、代謝を促進し、尿酸の排出を助ける効果があります。 ただし、激しい運動は尿酸を増やし、尿酸値を上げる可能性があるため、注意が必要です。(文献2) 1回30分以上の軽い運動を週3回以上取り入れるのが理想的です。 無理のない範囲で運動を習慣化し、健康的な体を維持しましょう。 体重をコントロールする 肥満は尿酸値を上げる原因の一つです。 体脂肪が多いと尿酸の排出が妨げられるため、とくに内臓脂肪が多い人は注意が必要です。 適正体重を維持すると、尿酸値のコントロールがしやすくなります。 ただし、いきなり激しい運動をすると尿酸値が上がる可能性もあるため、無理なく続けられる方法を選びましょう。 バランスの取れた食事と適度な運動を組み合わせ、ゆるやかに減量するのが理想的です。 ストレスを溜めない 過剰なストレスは尿酸値の上昇を招く場合があります。 適度にリフレッシュする時間を確保し、ストレスを溜め込まないよう心がけましょう。 日常的にストレスを発散する習慣を作ることで、尿酸値の安定につながります。 痛風を予防する日常生活でできることについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。 まとめ|高い尿酸値は合併症リスクあり!生活習慣の改善からはじめよう この記事では、高い尿酸値の基準や原因、放置によるリスク、予防方法について解説しました。 尿酸値が高い状態を放置すると、痛風や腎機能障害などの合併症を引き起こすリスクが高まります。 一方、生活習慣を改善すれば尿酸値の上昇を防げます。 アルコールを控え、水分をしっかり摂るなどを基本に、有酸素運動や適正体重の維持、ストレス管理を意識しましょう。 日々の積み重ねが尿酸値の管理につながります。 できることから少しずつ取り入れ、合併症のリスクを減らしていきましょう。 痛風やその他お体のお悩みを抱えているときは、ぜひ当院リペアセルクリニックの「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 高い尿酸値に関してよくある質問 尿酸値が高い食べ物は何ですか? 尿酸値を上昇させるのは、プリン体を多く含む食品です。(文献1) 主にレバー、白子、干物、エビ、カツオなどの魚介類、肉類は注意が必要です。 尿酸値が高い人が食べてはいけないものは何ですか? すでに尿酸値が高い人も、プリン体を多く含む食品は控えるべきです。 とくにアルコール(ビール)や、糖分の多い飲料(清涼飲料水・フルーツジュース)も尿酸値を上げる要因になるので注意しましょう。 痛風で食べてはいけないものについては、以下の記事でも詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。 尿酸値を上げない食生活や飲み物などを相談したい、また痛風の症状や治療方法について相談したい方は、当院リペアセルクリニックの「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 参考文献 (文献1) 日本生活習慣病予防協会「高尿酸血症/痛風」 https://seikatsusyukanbyo.com/guide/hyperuricemia.php(最終アクセス:2025年5月16日) (文献2) 日本痛風・尿酸核酸学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版」2022年追補版https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00476_supplementary.pdf(最終アクセス:2025年3月19日) (文献3) 痛風発作を起こす前に-尿酸値が高いといわれたら-【健康ぷらざ No.332】https://www.med.or.jp/dl-med/people/plaza/332.pdf(最終アクセス:2025年3月14日) (文献4) 厚生労働省「アルコールと高尿酸血症・痛風」健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~2022年 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/alcohol/a-01-012.html(最終アクセス:2025年3月19日) (文献5) 金子希代子ほか.「アルコールが尿酸代謝に悪い理由」痛風と核酸代謝 第41巻第2号(平成29年)pp.228 https://www.jstage.jst.go.jp/article/gnam/41/2/41_228/_pdf(最終アクセス:2025年3月19日)
2025.03.31 -
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第二関節を曲げると違和感がある 指が思うように曲がらない ある日突然、第二関節を曲げると感じたことの無い違和感に襲われ、不安を抱えながら過ごしている方もいらっしゃることでしょう。 その症状は、ブシャール結節と呼ばれる第二関節の病である可能性があります。ブシャール結節は、指の第二関節(PIP関節)に起こる変形性関節症の一種です。 放置しておくと、関節の変形や炎症が拡大し、重症化する恐れがあります。 第二関節が痛む「ブシャール結節」の病状について 指の第二関節が痛む「ブシャール結節」の初期症状 指の第二関節が痛む「ブシャール結節」の原因 ブシャール結節の治し方 ブシャール結節を再発させないための対策 指の第二関節が痛む方からよくある質問 本記事では、指を曲げると痛い第二関節が、ブシャール結節である可能性について解説します。記事の最後には、指の第二関節が痛む方からよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 指の第二関節が痛む「ブシャール結節」とは 項目 詳細 主な症状 第二関節の腫れ・変形、こわばり、痛み、動きの悪化、粘液嚢腫 原因 加齢、遺伝、女性ホルモン減少、指の酷使 診断 X線検査 治療 薬物療法、装具療法、リハビリ、手術(重度の場合) 日常生活の注意点 指の酷使を避け、適度な休息とストレッチ ブシャール結節とは、指の第二関節に起こる変形性関節症の一種であり、主な症状としては、関節のこわばりや違和感、水ぶくれのような炎症が起こります。 2025年現在の医学では、明確な原因が解明されておらず、症状改善のエビデンスも乏しい病です。 しかし、ホルモンバランスの乱れや、加齢に伴う変化が原因との研究も進んでおり、女性が発症しやすい病といわれています。 ブシャール結節は、放置すると重症化するリスクが高いため、早期発見が大切です。 指の第二関節が痛む「ブシャール結節」の初期症状 症状 詳細 指の第二関節の違和感 軽度の違和感、こわばり、腫れなど 指の第二関節の腫れやこわばり 関節が太くなったように感じる、曲げ伸ばしがしにくい 指の第二関節の動きが悪くなる 以前のようにスムーズに指を動かせない 指の第二関節が変形する 関節がコブのように膨らむ、指が曲がったままになる ブシャール結節は、指の第二関節に腫れやこわばりが現れる病気です。初期症状に気づき、早めに対処すれば、症状が悪化するのを防げます。 ブシャール結節の初期症状について、解説します。 指の第二関節に違和感がある 違和感の種類 具体例 ズキズキするような違和感 第二関節がズキズキ、チクチクする こわばり 関節が硬く感じる、曲げ伸ばしがしにくい 腫れ 関節が太くなったように感じる、指輪がきつく感じる 感覚の変化 しびれ、ピリピリ感、触ると違和感がある その他 関節が熱を持っているように感じる、引っかかるような感覚がある 指第二関節に違和感を覚える主な理由としては、関節軟骨の変性と炎症です。明確な原因は判明していないものの、加齢や指の酷使により軟骨が摩耗、変形で生じるものといわれています。 また、関節を包む関節包や靭帯が硬くなり、動きを制限されるのも違和感を覚える原因です。 ちょっとした疲れと見過ごされやすく、放置しておくと重症化する恐れがあります。症状を進行させないためにも、早期発見と医療機関の受診が大切です。 指の第二関節の腫れやこわばり 変化 詳細 症状 滑膜(かくまく)の炎症 軟骨摩耗 → 滑膜刺激 → 炎症 → 関節液過剰分泌 関節の腫れ 骨棘(こつきょく)の形成 関節不安定化 → 骨過剰形成(骨棘) 関節動作の制限 → こわばり 関節周囲組織の変化 炎症・骨棘形成 → 靭帯・腱の硬化 → 柔軟性低下 関節のこわばり悪化 ブシャール結節初期の腫れやこわばりは、関節軟骨の変性と炎症が主な要因です。明確な原因は解明されていませんが、加齢や指の酷使により軟骨が摩耗し、変形が生じるものといわれています。 関節の状態が不安定になり、骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨の突起が形成されることで、炎症やこわばりを発症させ、関節周囲の靭帯や腱などの組織を硬くし、柔軟性を低下させます。 指の第二関節の動きが悪くなる 原因 詳細 結果 軟骨の減少と変形 軟骨の摩耗と変形により、関節の隙間が狭まり可動域が制限される スムーズな動きが妨げられる、可動域の制限 関節周囲の炎症 軟骨のすり減りにより、関節周囲に炎症が起こる 腫れや痛みによる動きの制限 骨棘(こつきょく)の形成 関節の変形が進むと、骨棘と呼ばれる骨の突起が形成される 物理的な動きの妨げ、可動域の制限 軟骨の減少と変形は関節の隙間を狭め可動域を制限し、炎症は腫れや違和感を引き起こし、動きを妨げます。 症状が進行すると骨棘(こつきょく)が形成され、症状悪化につながるため、医療機関の受診が必要です。 指の第二関節が変形する 原因 詳細 結果 軟骨の摩耗 関節の軟骨がすり減り、骨同士が直接接触しやすくなる 関節の隙間がなくなる 骨棘(こつきょく)の形成 軟骨の摩耗が進むと、関節周囲に骨の突起(骨棘)が形成される 関節の変形が進行する 炎症による関節包のゆるみ 関節の炎症により、関節を包む関節包がゆるむ 関節が屈曲方向に曲がり始める 粘液嚢腫(ねんえきのうほう)の発生 関節の炎症により、関節包壁がゆるみ、粘液嚢腫ができる 関節が腫れ、変形する 遺伝的要因・ホルモンバランスの乱れ 原因は明確ではないものの、遺伝やホルモンバランスの乱れが関与している可能性がある 関節の変形を促進する ブシャール結節の初期に変形が現れるのは、軟骨の摩耗、骨棘(こつきょく)の形成、関節包のゆるみ、粘液嚢腫(ねんえきのうほう)の発生が複合的に作用するためです。 変形の症状は、ホルモンバランスの影響を受けやすい女性が受けやすいといわれています。しかし遺伝やホルモンバランスの乱れが直接関与しているかは、明確なエビデンスはありません。 指の第二関節が痛む「ブシャール結節」の原因 原因 詳細 手先の酷使 デスクワーク、スマホ操作、家事など、指に負担のかかる作業の繰り返し 加齢に伴う変化 関節軟骨の摩耗、関節周囲組織の変性 ホルモンバランスの乱れ 更年期、妊娠・出産時のホルモン変動 腎臓機能の低下 腎機能低下に伴う代謝異常、関節への影響 ブシャール結節の明確な原因は判明しておらず、確証的なエビデンスが存在しません。 ただし、原因は主に手先の酷使や、ホルモンバランスの乱れといわれています。ブシャール結節が発症する原因について解説します。 手先の酷使 手先の酷使は、関節軟骨への過剰な負荷と微細な損傷の蓄積を招きます。デスクワークやスマホ操作など、指先を長時間酷使する作業は、第二関節に繰り返しストレスを与えるため、注意が必要です。 関節へのストレスが蓄積すると、軟骨が徐々に摩擦を起こし、変形をきたします。酷使による炎症が慢性化すると、関節の安定性が損なわれ、変形を進行させる原因になります。 加齢に伴うもの 加齢に伴う変化 詳細 影響 軟骨の摩耗 弾力性低下、摩耗 関節の動きが制限される、炎症・違和感が生じる 骨の変化 骨密度低下、骨棘形成 関節の動きを妨げる、変形を引き起こす 関節周囲組織の変化 靭帯・腱の柔軟性低下、関節の不安定化 関節に負担がかかる、変形が進行する 加齢はブシャール結節を進行させる原因の一つです。 加齢は、関節軟骨の質的変化と修復能力を低下させます。長年の使用により軟骨は徐々に摩耗し、弾力性を失い、軟骨の損傷が進行しやすくなります。この状態が続くと、関節に過剰な負荷がかかり、重症化につながります。 ホルモンバランスの乱れ 原因 詳細 関連性 女性ホルモンの減少 更年期におけるエストロゲンの減少 関節の炎症や変形を促進する可能性 妊娠・出産時のホルモン変化 妊娠や出産に伴うホルモンバランスの変動 関節の状態に影響を与える可能性 ブシャール結節が進行する原因は、ホルモンバランスの乱れです。とくに40代以降の女性に多く見られます。 40代以降になると、女性ホルモンであるエストロゲンが変動し、軟骨の代謝や関節の柔軟性を維持する役割が衰えるため、関節の変形や炎症が起こりやすくなると考えられています。 しかし、ホルモンバランスの乱れがブシャール結節の直接的な原因であるエビデンスは、まだ確立されていません。 腎臓機能の低下 要因 腎臓の働き 腎機能低下時の影響 ブシャール結節への影響 ミネラルバランスの乱れ 体内のミネラルバランスを調整 カルシウムやリンなどのミネラルバランスが崩れる 関節軟骨の変性や骨棘の形成が促進され、ブシャール結節の発症や進行につながる 炎症性物質の蓄積 老廃物や炎症性物質を排出 老廃物や炎症性物質が蓄積しやすい 関節に炎症や変性を引き起こす ホルモンバランスの乱れ ホルモンを産生 ホルモンバランスが乱れる 関節の健康に影響を与える 腎臓は体内のバランスを整える大切な役割を持っています。腎機能が低下すると、ミネラルの調整がうまくできず、カルシウムやリンのバランスが崩れ、関節の変化を引き起こす原因になります。 しかし、腎臓機能低下とブシャール結節の関連性について明確なエビデンスはないのが現状です。 ブシャール結節の治し方 治療法 概要 具体的な方法 期待できる効果 保存療法 手術をせずに症状を和らげ、関節の機能を維持する治療法 薬物療法(抗炎症薬など)、理学療法(ストレッチ・筋トレ)生活習慣改善(体重管理・食事療法) 症状を和らげ、関節の負担を減らし、進行を遅らせる 手術療法 保存療法で改善しない場合に行う手術による治療法 関節固定術(関節を固定する)関節形成術(変形を整える) 症状の軽減、関節の変形改善、生活の質の向上 再生治療 身体の回復力を活かし、関節の機能を再生させる治療法 PRP療法(血小板を活用)幹細胞治療(損傷組織の修復) 症状が軽減し、関節の機能を再生・修復する可能性がある 現代の医療では、ブシャール結節を治す(完治)ための治療はありません。しかしブシャール結節の進行を遅らせ、症状を改善していくことは可能です。 ブシャール結節を改善させる、有効な治療法を解説します。 保存療法 治療法 目的 具体的な方法 注意点 安静・関節の保護 関節への負担を軽減し、炎症を抑制 指の酷使を避け、テーピングやサポーターで関節を保護 保護具は適切なサイズを選び、長時間の使用は避ける 薬物療法 症状を緩和し、炎症を抑制 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛薬を使用、関節内にステロイド薬を注射 薬は医師の指示に従い、副作用に注意する 物理療法 関節の動きを改善し、違和感を緩和 温熱療法、マッサージ、ストレッチなど 違和感がある場合は中止し、医師に相談する 保存療法は、ブシャール結節の進行を遅らせることが目的です。初期の段階では安静にし、必要に応じて、テーピングやサポーターで関節を保護します。 また、医師の診断に基づいた薬物療法と、関節の硬直を防ぐ温熱療法やマッサージを組み合わせることで、ブシャール結節の症状改善を目指します。 保存療法では、薬剤の副作用や、ストレッチなどによる違和感が出る可能性もあるため、少しでも異変を感じた場合はすぐに中止し、医師に相談しましょう。 手術療法 手術の種類 手術の概要 有効な症状 メリット デメリット 関節授動術 変形した骨や滑膜を切除し、関節の動きを改善する 比較的初期の変形が軽度な場合 関節の動きが改善し、違和感が軽減 手術リスク(感染症、神経損傷)があり、効果に個人差がある 人工関節置換術 変形した関節を人工関節に置き換え、機能を回復させる手術 重度の変形や痛みがある場合 重度の変形や痛みの改善が期待でき、生活の質が向上する リハビリが必要、人工関節の耐久性に限界がある 手術療法は、ブシャール結節の症状が改善されない場合に検討されます。手術の有無や内容は、患者の症状や生活状況を考慮した上で、医師が判断します。 手術を受ける前に、医師と十分な相談をした上で、メリット・デメリットを理解しておくことが大切です。また、手術は保存療法で改善しないときの最終手段です。 手術を検討する場合は、術後のリハビリ期間なども考慮しましょう。 再生治療 再生医療は、PRP療法や幹細胞治療など、自身の組織を活用し関節機能の改善を目指す治療法です。損傷した軟骨や組織の修復を促し、違和感の軽減などの効果が期待されます。 自身の細胞を用いるため、アレルギー反応のリスクが低く、手術療法と比べて、身体への負担も少ないのがメリットです。 再生医療を受ける際は、医師と相談した上で、検討するようにしましょう。 以下の記事では当院の再生医療について詳しく紹介しています。 ブシャール結節を再発させないための対策 指の酷使を避ける 指の関節を温める 適度な運動とストレッチ 食生活に気をつける ブシャール結節を再発させないためには、これから紹介する対策と実践が大切です。結節を再発させないための対策について解説します。 指の酷使を避ける ブシャール結節を再発させないためには、指の酷使をさけることが大切です。長時間のスマホの操作や、パソコン作業は指を長時間酷使しやすい状況であり、再発の危険性があります。 また、指に負荷のかかる重い荷物を持ち上げたり、押さえたりする作業も控えましょう。指への負担を防止ためにも、必要に応じてサポーターやテーピングを検討しましょう。 指の関節を温める 指の関節を適度に温めることで、血行を促進させます。温めることで、関節の柔軟性が向上し、再発防止につながります。 ただし、急性期の炎症がある場合は、温めることで症状が悪化する可能性があるため、注意しましょう。 適度な運動とストレッチ 運動の種類 方法 期待できる効果 指のストレッチ 指をゆっくり伸ばし、数秒間キープする、無理のない範囲で繰り返す 関節の柔軟性を高め、こわばりを防ぐ 軽い握力トレーニング 柔らかいボールやスポンジを軽く握り、ゆっくりと力を入れたり抜いたりする 指の筋力を維持し、関節への負担を減らす 関節回し運動 指の関節を円を描くようにゆっくり回し、柔軟性を高める 関節の動きをなめらかにし、症状を軽減す 温めながらの運動 温かいお湯に手を浸しながら、指をゆっくり開閉する リラックスした状態で血流を促せる 軽度な運動や負荷のかからない程度のストレッチは、ブシャール結節を再発させない手段として有効です。 また、運動やストレッチを行う際は、運動前後のウォーミングアップと運動後のクールダウンをセットで行います。 運動やストレッチは自己流ではなく、医師の指示に従い、違和感があれば中止しましょう。 食生活に気をつける ブシャール結節を再発させないためには、バランスの良い食生活を意識しましょう。とくに、関節の健康維持に必要なカルシウムやビタミンDなどを中心にバランスの良い食事を取り入れます。 また、ブシャール結節にはエクオール含有食品が有効とされていますが、現在発表されているエビデンスは確証が低いため、過信は禁物です。(文献1)(文献2) エクオール含有食品を摂取する場合は、個人差があり、すべての人に効果はありません。実施する場合は医師と相談し、あくまでも補助的な治療法であることを認識しておきましょう。(文献3)(文献4) 指の第二関節が痛い方は躊躇なく医療機関を受診しよう 指の第二関節が痛い方は躊躇なく医療機関を受診しましょう。指の第二関節を曲げると痛い症状は、ブシャール結節である可能性が高く、放置しておくと重症化につながります。 また、指の第二関節の痛みがなかなかひかない方は、再生医療を検討してみてはいかがでしょうか。再生医療は、ブシャール結節の進行を抑え、回復を促します。ブシャール結節をはじめとする指の異常にお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて当院へお気軽にお問い合わせください。 指の第二関節が痛む方からよくある質問 指の第二関節が痛いのですがブシャール結節以外の可能性もありますか? 関節リウマチ、ヘバーデン結節などの症状である可能性もあります。 関節リウマチは、免疫機能が関節を攻撃し、炎症を引き起こす病気であり、ヘバーデン結節は、指の第一関節(指先から一番近い関節)にできる骨の隆起です。 いずれの症状も、早期発見と早期治療が必要なため、医療機関を受診する必要があります。 以下の記事では、関節リウマチ、ヘバーデン結節の症状について詳しく解説しています。 【関連記事】 関節リウマチの全貌!症状、治療、診断基準まで徹底解説 手指に起こる原因不明のヘバーデン結節!どんな病気なのか?その症状と治療法について ブシャール結節は何科を受診すれば良いですか? ブシャール結節は、手外科または整形外科の受診が推奨されます。いずれも、ブシャール結節だけでなく、関節リウマチやヘバーデン結節など、類似した症状を鑑別してくれます。 手外科専門医が見つからない場合や、まずは一般的な診察を受けたい場合は、整形外科を受診するのがおすすめです。 ブシャール結節は男性でも発症しますか? 男性でも発症する可能性があります。発症率は女性に比べて低めです。しかし、男性ホルモンの影響や遺伝的要因、指の酷使などが原因で発症する可能性があります。 しかし、エビデンスが存在しないため、明確な原因は不明です。 ブシャール結節の症状改善にはどのくらいかかりますか? 症状や改善にかかる時間、選択する治療法で異なるため、明確な基準がありません。気になる方は医療機関を受診しましょう。 ブシャール結節と診断されましたが入浴は問題ないでしょうか? 湯船に浸かるのは、問題ありません。入浴時は、ぬるま湯(38〜40度程度)に設定し、ゆっくり浸かるようにしましょう。 また、入浴は炎症が酷い場合などは控えましょう。 参考文献 (文献1) 医療法人社団ミッドタウンクリニック「吉形医師のエクオール含有食品を用いた研究論文が、医学専門誌に掲載されました」Tokyo Midtown Clinic, 2018年5月9日 https://www.tokyomidtown-mc.jp/academic/2018050913814/(最終アクセス:2025年3月17日) (文献2) 公益社団法人女性の健康「エクオール│エストロゲン様作用を持つ食品成分」公益社団法人 女性の健康とメノポーズ協会 https://www.meno-sg.net/hormone/healthcare/1906/(最終アクセス:2025年3月17日) (文献3) 石見 佳子,東泉 裕子.「腸内細菌が作り出す大豆イソフラボン代謝産物の有用性と安全性 エクオールの可能性」『化学と生物』, pp.1-4, 2013年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/51/2/51_74/_pdf(最終アクセス:2025年3月17日) (文献4) 内山成人.「大豆由来の新規成分 エクオール の最新知見」『シリーズ─研究小集会(第20回)大豆部会』pp.1-8, 2015年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/62/7/62_356/_pdf(最終アクセス:2025年3月17日)
2025.03.31 -
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ブシャール結節は変形関節症の一種で、関節が腫れて痛みが出たり指が曲がりにくくなったりする症状が見られます。症状が悪化すると関節が変形するだけでなく、日常生活に支障をきたす可能性があります。 症状を悪化させないためには、指先に負担をかける行動を避けることが大切です。本記事では、ブシャール結節でやってはいけないことを解説します。 似た病気のヘバーデン結節との違いや症状緩和を図るマッサージ法も紹介するので、回復へ向けた治療プランが知りたい方は参考にしてください。 ブシャール結節でやってはいけないこと ブシャール結節でやってはいけないことは、ヘバーデン結節と共通しています。ヘバーデン結節はブシャール結節と似た病気で、いずれも指の関節に起こる変形性関節症になります。 ブシャール結節でやってはいけないことは、以下の通りです。 指先に過度な負荷をかける 重いものを持つ 患部を過度に温める ブシャール結節の症状回復には、指先に負担をかける行動を避けるのが重要です。指先を使う必要があるときは、テーピングで固定してできる限り負担をかけないようにしましょう。 ブシャール結節とヘバーデン結節の違い ブシャール結節とヘバーデン結節は似た病気ですが、発生部位や症状などに違いが見られます。主な違いは、以下の4つです。 発症部位 症状 発生頻度 原因 混同されがちなブシャール結節とヘバーデン結節の違いを以下で詳しく解説します。 発症部位 ブシャール結節とヘバーデン結節の発症部位は、以下の通りです。 ブシャール結節 ヘバーデン結節 人差し指から小指までの第2関節(PIP関節:近位指節間関節) 人差し指から小指までの第1関節(DIP関節:遠位指節間関節) ブシャール結節とヘバーデン結節は、発症する関節に違いが見られます。症状が見られる関節に注目すると、発症部位がどちらか判断できます。とはいえ、どちらか見極めるのは難しいため、発症した際は早めに医療機関を受診しましょう。 症状 ブシャール結節とヘバーデン結節における症状の違いは、以下の通りです。 ブシャール結節 ヘバーデン結節 第2関節の腫れ・痛み・変形 第1関節の腫れ・痛み・変形 ブシャール結節とヘバーデン結節の症状は似ていますが、発症する部位に違いがあります。ただし、痛みはブシャール結節の方が強いため、日常生活に支障が出やすい点に注意が必要です。 いずれも変形が進行すると関節を動かしにくくなり、ペンや箸が使えない、もしくはペットボトルの蓋を閉められないなど、物を強く握る動作が困難になります。 また、ブシャール結節とヘバーデン結節は骨の変形が進むと、関節近くにミューカスシストと呼ばれる水ぶくれができる場合があります。 ミューカスシストが破れたり潰れたりすると、感染症により骨髄炎が発症する可能性がある点も押さえておきましょう。 発生頻度 発生頻度は、ブシャール結節よりヘバーデン結節の方が高い傾向にあります。一般的には、ヘバーデン結節が発症し、進行によりブシャール結節が生じるケースが多く見られます。 ただし、ヘバーデン結節とブシャール結節は自己判断しにくい病気です。双方を見極める際は、問診や触診、レントゲン検査を行い診断します。 症状が見られた際は、自己判断せず早めに専門機関へ受診しましょう。なお、当院「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングを受け付けております。ヘバーデン結節とブシャール結節どちらかわからずお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。 原因 ブシャール結節とヘバーデン結節は、いずれも原因が明確にわかっていません。しかし、主な原因は以下のように考えられています。 加齢による関節の老化 遺伝的な要因 女性ホルモンの原因 指の酷使 ほかの病気により併発 など ブシャール結節とヘバーデン結節は40歳以降の女性、とくに閉経後の女性に多く発症することから、女性ホルモンが影響している可能性が指摘されています。 女性は閉経すると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が減少し、腱や関節に炎症が起きやすくなります。このことから、ブシャール結節とヘバーデン結節の原因の1つとして女性ホルモンが考えられます。 また、ブシャール結節とヘバーデン結節はピアニストや調理師など指先に負担がかかる仕事をしている場合にも、発症しやすいといわれています。 ブシャール結節をほっとくとどうなる?放置するリスク ブシャール結節を放置すると症状が悪化し、以下のリスクが生じます。 関節が変形する ミューカスシストが生じる 日常生活の動作が困難になる テレビのリモコンが押せなかったり、包丁が握れなかったりと日常生活に影響を与えます。また、ブシャール結節は重症化すると手術が必要です。 指を曲げる機能を担う腱を切除するほか、変形がひどい場合は人工関節置換術などを行う場合もあります。ブシャール結節は放置すると症状が進行する可能性もあるため、重症化を避けるためにも早期治療が大切です。 ブシャール結節の症状緩和を図るマッサージ法 ブシャール結節を発症した際に症状緩和を図る方法として、マッサージが効果的です。症状回復へ向けた代表的なマッサージ法は、以下の4つです。 手のひらを開閉する動きを繰り返す 関節を押す 関節を曲げ伸ばしする 手の甲の皮膚を伸ばす マッサージ法のやり方を以下で解説するので、ブシャール結節の早期回復を図れるよう無理のない範囲で取り入れましょう。 手のひらを開閉する動きを繰り返す 手のひらを開閉する動きを繰り返すと、水かき部分の筋肉を鍛えられます。水かき部分とは、指と指の間の皮膚部分で、マッサージを取り入れると関節痛を緩和する効果が期待できます。 やり方は、以下の通りです。 平らな場所に指を閉じた状態で手のひらをつける 指と指の間をできる限り大きく広げた状態をキープする 1と2の動作をゆっくり繰り返す 開閉の動きは、無理のない範囲でゆっくり時間をかけて行うのがポイントです。 関節を押す 関節を押すマッサージは、指の変形を防ぐのに効果的です。ブシャール結節が進行して指が変形すると、手術が必要になる場合もあるため症状が悪化しないよう取り入れましょう。 やり方は、以下の通りです。 平らな場所に痛みがある方の手のひらをつける 手をつけたら指を軽く広げる もう片方の手で上から指関節を抑える 手のひらでゆっくりプレスしたままキープする 1から4の動作を繰り返す 指先に過度な負荷をかけると逆効果となるため、強く押しすぎないよう注意しながら行うのがポイントです。 関節を曲げ伸ばしする 関節を曲げ伸ばしするマッサージでは、可動域を広げられます。ブシャール結節では、指の曲げ伸ばしの可動域が狭くなると痛みが生じるため、マッサージにより広げる訓練を取り入れるのが効果的です。 やり方は、以下の通りです。 痛みを感じる手を軽く握る 指を広げ、親指以外の4本を付け根から直角に曲げた状態で伸ばす 親指以外の4本指の第1関節と第2関節を曲げる 1から3の動作を繰り返す 指を動かしすぎず、無理のない範囲でゆっくりマッサージするのがコツになります。 手の甲の皮膚を伸ばす 手の甲の皮膚を伸ばすマッサージでは、指関節における筋肉の柔軟性を高められるため可動域を広げられる効果が期待できます。曲げ伸ばしの可動域が狭くなり痛みが生じないよう、柔軟性を高めましょう。 やり方は、以下の通りです。 壁に手をつけるように指先を上向きにした状態で伸ばす 片方の手で手のひら側から手の甲側へ向けて指関節を伸ばす 30秒程度行い元に戻す 1~3の動作を繰り返す 気持ち良いと感じる程度に、手のひらの筋肉をゆっくり伸ばすのがポイントです。 ブシャール結節における再生医療の可能性 ブシャール結節は症状が悪化し、変形がひどい場合は人工関節置換術と呼ばれる手術が必要になる可能性もあります。再生医療は、人工関節または手術を避けたい場合の選択肢の1つです。 再生医療の1つ「分化誘導」による関節治療では、幹細胞を神経や骨といった特定の組織に分化するように誘導します。 当院「リペアセルクリニック」では、幹細胞を冷凍せず投与に合わせて都度培養し、生存率を高めています。また、再生医療は入院が不要で日帰りで治療を受けられる点が特徴です。 当院ではメール相談やオンラインカウンセリングを受け付けておりますので、ブシャール結節の治療に関する悩みがある方は、お気軽にお問い合わせください。 まとめ・やってはいけないことを理解しブシャール結節の悪化を防ごう ブシャール結節でやってはいけないことには、指先に過度な負担をかけたり重いものを持ったりする行動が挙げられます。似た病名となるヘバーデン結節も同様の行動を避けることが、症状緩和へ向けた対策になります。 ブシャール結節を放置すると関節が変形するほか、日常生活に支障をきたすリスクが生じる点に注意が必要です。症状の進行状況によっては手術を要する場合もあるため、早期治療が大切といえます。 また、手術を避けたい場合の治療法には、再生医療があります。ブシャール結節を発症した際にやってはいけないことへの理解を深め、早期回復へ向けて症状を悪化させないようにしましょう。 ブシャール結節でやってはいけないことに関するよくある質問 ブシャール結節とコーヒーの関係性は? ブシャール結節の発症とコーヒー摂取との間に直接的な因果関係は、現在のところ科学的に証明されていません。 一部ではヘバーデン結節とコーヒー摂取の関連性について言及されることがありますが、明確な医学的根拠に基づくものではありません。 ただし、ヘバーデン結節とカフェインには相関関係が報告されています。カフェインには血流を悪くする可能性があるといわれており、ヘバーデン結節やブシャール結節の原因の1つに血行不良が考えられています。そのため、カフェインを含む飲み物を避けるのも予防策の1つです。 ブシャール結節は難病指定されていますか? ブシャール結節は難病指定されていません。発症原因が明確になっていませんが、ブシャール結節は指の関節における変形関節症です。難病指定されている結節性硬化症とは異なる病名のため、混在しないよう注意しましょう。 ブシャール結節は治りますか? ブシャール結節は指関節の軟骨がすり減り、変形により痛みや腫れなどの症状を引き起こす変形性関節症の一種です。完全に元の状態に戻す根本的な治療法は現状確立されていませんが、症状の進行を抑制し、痛みを軽減させるさまざまな治療法は存在します。 症状が進行すると日常生活に支障が出てくる場合もありますが、適切な治療と予防により症状の進行を遅らせて痛みの緩和が期待できます。 治療法としては、まず保存療法で症状の回復を図り、改善が見られない場合は手術を行うのが一般的です。
2025.03.31 -
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ドケルバン病とは、手首の親指側に位置する腱鞘で起こる炎症です。しかし、腱鞘炎とどのような違いがあるのかわからず、戸惑う方も多いでしょう。 腱鞘炎は炎症が起こる部位によって病名が異なり、ドケルバン病はその一種で手首の親指側に痛みが生じる場合に起こる病気です。 本記事では、ドケルバン病と腱鞘炎の違いを解説します。腱鞘炎の一種となるバネ指との違いもまとめているので、腱鞘炎について正しく理解したい方は参考にしてください。 ドケルバン病と腱鞘炎の違い ドケルバン病と腱鞘炎の違いは、以下の通りです。 ドケルバン病 手首の親指側に位置する長母指外転筋腱(ちょうぼしがいてんきんけん)と短母指伸筋腱(たんぼししんきんけん)と呼ばれる腱鞘で起こる炎症 腱鞘炎 体中に位置する腱鞘で起こる炎症の総称 つまり、ドケルバン病は腱鞘炎の一種になります。手首の親指側に痛みを感じる場合は、ドケルバン病の可能性が高いといえます。腱鞘炎は炎症が起こる部位によって病名が異なることを覚えておきましょう。 【腱鞘炎の一種】ドケルバン病とバネ指の違い 手や手首の腱鞘炎は、ドケルバン病とバネ指の2つが代表的です。ドケルバン病とバネ指の違いは、以下の4つです。 症状 発症部位 原因 治療期間の目安 項目別に違いを解説するので、ドケルバン病とバネ指の異なる点を知りたい方は参考にしてください。 症状 ドケルバン病とバネ指における症状の違いは、以下の通りです。 ドケルバン病 バネ指 親指を動かしたり力を入れたりすると親指側の手首に痛みを感じる 親指側の手首まわりが腫れる 親指側の手首まわりに力が入らなくなる 指が伸ばしにくいと感じる 指を動かす際に引っかかりを感じる 指が曲がらなくなる ほかの指も動かしにくくなる ドケルバン病とバネ指は、いずれも指の動かしにくさを感じる場合があります。ただし、ドケルバン病の方が、指を動かした際に痛みを伴いやすい点が違いになります。 いずれの症状が見られたとしても、指が動かしにくかったり伸ばしにくかったりする場合は、放置せず早めに治療を受けましょう。 発症部位 ドケルバン病とバネ指は、発症部位に違いが見られます。主な発症部位は、以下の通りです。 ドケルバン病 バネ指 手首の親指側に位置する腱鞘あたり 親指・中指・薬指のAIプーリー(手のひらの付け根あたり) バネ指は、主にA1プーリーと呼ばれる組織で発症します。症状が悪化するとAIプーリーで引っ掛かりを感じ、押すと痛みを伴いやすい点がバネ指の特徴です。 ただし、バネ指を放置すると関節が硬くなって動かしにくくなる拘縮(こうしゅく)を引き起こします。 拘縮は、指の付け根から1番目の関節で起こる点も押さえておきましょう。腱鞘炎を疑った場合は、痛みや違和感を覚える部位をチェックしてみると、ドケルバン病とバネ指どちらか判断できます。 原因 ドケルバン病とバネ指を引き起こす主な原因は、以下の通りです。 ドケルバン病 バネ指 原因 手指の酷使やホルモンバランスの変化により、長母指外転筋腱と短母指伸筋腱で腱鞘炎が起こり、靭帯性腱鞘内(じんたいせいけんしょうない)でスムーズに動かせなくなる 手指の酷使やホルモンバランスの変化により、腱と靭帯性腱鞘の間に炎症を起こし、滑りが悪くなる 好発しやすい人の特徴 更年期の女性 妊娠出産期の女性 手指を使うスポーツ・仕事をしている人 糖尿病患者 リウマチ患者 透析患者 など ドケルバン病とバネ指は、いずれも手指の使い過ぎによって発症します。なかには、スマートフォンの使い過ぎが原因の症例も見られます。 ドケルバン病とバネ指は原因から見極めにくいため、どちらの症状が発症しているか判断する際は医療機関で検査・診断しましょう。 治療期間の目安 ドケルバン病とバネ指の治療期間は症状によって異なり、数週間〜数カ月が目安になります。早期治療した場合は、4週間〜6週間ほどで症状の改善が期待できます。 早期回復には、安静に過ごすことが大切です。とはいえ、乳幼児をお世話したり手指を使う仕事をしていたりと、なかには安静に過ごすのが難しい方もいます。 手や指を使う必要がある際は、テーピングを使用してできる限り負担を軽減しましょう。安静にしていても症状の回復が見られない場合は、医療機関に相談するのがおすすめです。 【腱鞘炎】ドケルバン病を放置すると生じるリスク 腱鞘炎の一種となるドケルバン病を放置すると、症状が重症化して痛みにより指を動かせなくなる場合があります。放置により重症化した場合、日常生活において以下の支障をきたす可能性があるため注意が必要です。 箸が持てなくなる ペットボトルの蓋が開けにくくなる 硬貨を持てなくなる タオルが絞れなくなる フライパンが持てなくなる など ドケルバン病をはじめとする腱鞘炎は、慢性化しやすいだけでなく手や指に影響を及ぼすため、仕事や日常生活に支障をきたす可能性があります。 手や指に違和感を覚えた際は仕事や日常生活に影響を与えないよう、早めに医療機関を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングを受け付けております。ドケルバン病の症状回復が見込めずお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。 腱鞘炎の重症度(チェックポイント) 腱鞘炎は安静に過ごしているうちに、症状の回復が見込める場合もあります。しかし、注意しなければ手術が必要になるほど重症化するケースも珍しくありません。 腱鞘炎の重症度をチェックするポイントは、以下の通りです。 日常生活に支障をきたす 手首の腫れが悪化している 指の動きに異常をきたしている 手にしびれがある 症状の悪化を防ぐためにも、ご自身に該当するものがないかチェックしていきましょう。 日常生活に支障をきたす 手首や指の痛みが強く、日常生活で支障が出ている場合は症状が進行している可能性が考えられます。症状の進行が考えられる主な状況は、以下の通りです。 痛みで眠れない 物を持ち上げると痛い ペンを握ると痛い 仕事や家事に影響を及ぼすほどの痛みを感じる場合は、悪化しているケースがあります。症状が進行しないためにも、生活に支障をきたしているときは早めに医療機関を受診するのがおすすめです。 手首の腫れが悪化している 安静にしているにもかかわらず、手首の腫れが悪化している場合は炎症が強くなっている可能性があります。一般的に、腱鞘炎は治療を進めていくと炎症が引いて痛みが軽減するためです。 症状の改善が見込めない場合、悪化により次第に手首や指の動きが制限されるケースも少なくありません。症状の回復にも時間がかかってしまう可能性があるため、腫れが引かないときは放置せず医療機関を受診しましょう。 指の動きに異常をきたしている 指の動きに異常がある場合は、腱鞘炎が悪化している可能性が考えられます。指や手首がスムーズに動かず、動作が困難な状態だと保存療法での改善が見込めない場合もあるためです。ひどい場合は、起床時に指が曲がったまま伸びないケースも珍しくありません。 また、指を曲げた際、引っかかるような感覚があるときも注意が必要です。腱鞘炎は症状が進行してしまったり慢性化したりすると、手術が必要になるケースがあります。 手術を避けるためにも、初期症状の段階で治療を適切に行うことが重要です。 手にしびれがある 腱鞘炎において、手のしびれを感じた場合は注意が必要です。手のしびれや麻痺の症状が見られた場合は、神経が圧迫されている可能性が考えられます。 症状が進行しているケースがあるため、手にしびれを感じた場合はすぐに医療機関を受診しましょう。 しびれにより指の力を入れられず、けがをするリスクも生じます。 腱鞘炎でしびれによる違和感を覚えた場合は、重症度が高い可能性が考えられるため、自然に治ると放置せず医療機関に相談するのが重要です。 腱鞘炎の症状が悪化した際は再生医療を検討するのも手段の1つ 腱鞘炎の症状が悪化し、日常生活に支障を及ぼす場合に適した治療法の1つが再生医療です。再生医療の1つとなるPRP療法は、血液に含まれる血小板成分を抽出する治療法になります。ご自身の血液を利用するため体への負担が少ないだけでなく、手術や入院が不要です。 PRP療法は手術を避け、日常生活を送りながら腱鞘炎の治療を受けたい場合に適した治療法になります。 「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングを受け付けておりますので、治療に関する悩みがある方は、お気軽にお問い合わせください。 ドケルバン病と腱鞘炎の違いを理解して適切な治療を受けよう ドケルバン病は腱鞘炎の一種で、炎症が起こる部位によって病名が違います。腱鞘炎はドケルバン病とバネ指に分類され、症状や発症部位に違いが見られます。 いずれも一般的には安静にすると自然治癒が期待できますが、日常生活に支障をきたしたり手がしびれたりした場合は症状が進行している可能性があるため注意が必要です。 重症度が高いと手術を行う必要もあるので、違和感を覚えた場合は医療機関を受診しましょう。また、保存療法で改善が見込めない場合は再生医療を検討するのも手段の1つです。 ドケルバン病と腱鞘炎の違いを理解して、適切な治療プランを検討しましょう。
2025.03.31