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「梨状筋症候群に効くストレッチ方法を知りたい」 「梨状筋症候群の悪化を防止したい」 梨状筋症候群は、適切なストレッチによって症状の緩和が可能な疾患です。ただし、効果を得るには、正しい方法と注意点を理解した上での実施が不可欠です。 本記事では、現役医師が自宅でできるストレッチ方法と悪化防止策を解説します。記事の最後には、梨状筋症候群のストレッチに関するよくある質問をまとめておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 気になる症状や再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 梨状筋症候群とストレッチの基礎知識 項目 内容 やり方 仰向けに寝て片足首を反対側の膝に乗せ、両手で太ももを抱えて体に引き寄せる キープ時間 お尻や太ももの筋肉が伸びていることを感じながら20~30秒保つ 回数・頻度 1日2回、30秒を3~5セットずつ両側で実施 ポイント 左右両方行い、バランスよくストレッチ 注意点 強いしびれや違和感が出たら中止し、呼吸を止めずリラックスして行う。症状が続く場合は医療機関へ 梨状筋症候群とは、お尻の奥にある梨状筋が硬くなることで、その下を通る坐骨神経を圧迫し、お尻から太もも、足にかけてしびれや違和感が出る症状です。 長時間のデスクワークや運転、運動不足が原因となりやすく、日常生活に支障をきたすこともあります。こうした症状の緩和には、梨状筋のストレッチが効果的です。筋肉の緊張をやさしくほぐすことで神経の圧迫を軽減しやすくなります。 ただし、無理な姿勢や過度な力で行うと逆に悪化する場合があるため、正しいやり方と注意点を知ることが重要です。 以下の記事では、梨状筋症候群の症状について詳しく解説しています。 梨状筋症候群を改善するためのストレッチ方法 ストレッチ方法 詳細 膝胸抱えストレッチ 仰向けで両膝を立て、片足を組んで太ももを胸へ引き寄せる動作 クロスボディ・ストレッチ(寝ながら膝を反対側に引く) 仰向けで片膝を立て、反対側の手で膝を体の反対側へ倒し、腰からお尻を伸ばす動作 プレッツェルストレッチ(ねじる動きを加えた仰向けストレッチ) 仰向けで片膝を立て、もう一方の足をその膝の上にクロスし、下の足を胸に引き寄せながら上半身をひねる動作 膝胸抱えストレッチは、仰向けで両膝を曲げた状態から、一方の足首を反対の膝に乗せ、両手で太ももを抱えて胸に引き寄せるストレッチです。クロスボディ・ストレッチは、仰向けで片膝を立て、反対側の手で膝を身体の反対側へ倒し、腰からお尻の筋肉を伸ばす方法です。 プレッツェルストレッチは、仰向けで片膝を立て、もう一方の足をその膝にかけ、下の足を胸に引き寄せながら上半身をひねって筋肉を伸ばすストレッチです。これらのストレッチは、いずれも無理をせず、負荷をかけすぎないように注意して行いましょう。 膝胸抱えストレッチ 手順 内容 1.仰向けで寝る マットやベッドなど硬すぎない平らな面に仰向けで寝て、両膝を軽く曲げて胸側にセット 2.ストレッチする脚の準備 片足首を反対側の膝の上に乗せ、「4」の形を作る 3.膝を胸に引き寄せる 両手でストレッチ対象脚の太ももを抱え、ゆっくり胸に引き寄せる(お尻から太もも外側が伸びていれば適切) 4.キープする そのまま30秒間維持。初めてや硬い場合は5秒から始め、慣れたら30秒まで延長 5.ゆっくり戻す 反動を使わず、ゆっくりと元の姿勢に戻す 6.反対側も同様に 同じ手順で反対の脚も行い、左右バランスを整える。各脚3回、1〜2セットが目安 膝胸抱えストレッチは、仰向けで片膝を胸に引き寄せることで、お尻の奥にある梨状筋をやさしく伸ばすストレッチです。梨状筋が硬くなると、すぐ下を通る坐骨神経を圧迫し、お尻や脚のしびれ・違和感の原因になります。 膝胸抱えストレッチは、筋肉の緊張がほぐれ、神経への圧迫がやわらぎやすくなります。仰向けで行うため身体への負担が少なく、自宅でも取り組めるのが特徴です。 毎日続けることで柔軟性が保たれ、再発予防にもつながります。呼吸を止めず、気持ちよく伸びている範囲で行いましょう。 クロスボディ・ストレッチ(寝ながら膝を反対側に引く) 手順 内容 1.仰向けに寝転ぶ 平らな床やマットの上に仰向けで寝て、両脚をまっすぐ伸ばし、背中を床につける 2.ストレッチする脚の準備 伸ばす側の膝を曲げ、足首を反対側の膝の外側に乗せ、「4」の形をつくる 3.膝を反対側に引き寄せ ストレッチする脚の膝を、反対側の肩または床方向にゆっくり引き寄せ、お尻〜股関節外側が伸びる位置まで 4.姿勢を安定させる 腰が浮かないようにし、肩・背中・足は床につけたまま安定させる 5.保持する 呼吸を止めずにゆっくりと30秒キープ。初めては15〜20秒からでもOK 6.ゆっくり戻す 無理なく脚を元の位置に戻し、仰向けの姿勢に戻る 7.反対側も同様に 反対側も同じ流れで実施。左右それぞれ1〜3セットが目安 クロスボディ・ストレッチは、仰向けで片膝を反対側の床へ倒し、腰から背中をねじる姿勢で行うストレッチです。梨状筋にやさしく伸張を与えることで、筋肉の緊張を緩和し、坐骨神経への圧迫を軽減します。 あわせて腰や股関節周辺の柔軟性も高まり、股関節の可動域改善にも効果があります。また、力任せに行わず、無理のない範囲で、じんわりと伸ばすことが重要です。30秒を目安に左右交互で行いましょう。動きがシンプルで継続しやすく、再発予防にもつながる実用的なストレッチです。 プレッツェルストレッチ(ねじる動きを加えた仰向けストレッチ) 手順 内容 1.仰向けに寝る 平らで少しクッション性のある床やマットに仰向けになり、両膝を軽く立てる 2.片足を交差する形にセット 伸ばす側の足首を反対側の膝上に乗せ、「4」の形を作る 3.両膝を胸に引き寄せる 両手で太ももまたはスネを支え、ゆっくり胸に引き寄せる。臀部〜股関節に伸びを感じる位置まで 4.ねじり動作を加える(オプション) 胸に引いたまま膝先を外側に軽く倒し、股関節側面をさらに伸ばす 5.そのまま保持 心地よい姿勢で30秒間キープ。初回は10〜15秒から始め、慣れたら30秒を目標に 6.ゆっくり戻す 無理せずゆっくり元に戻す 7.反対側も同様に実施 左右交互に、各脚2~3回ずつ実施 プレッツェルストレッチは、仰向けで足を組むように交差させ、両膝を胸に引き寄せながら股関節まわりをじっくり伸ばすストレッチです。このストレッチは、お尻から腰、背中まで広い範囲をじっくり伸ばし、梨状筋や股関節外旋筋(股関節を外側に回す筋肉)など深層筋の柔軟性を高めます。 筋肉の緊張をほぐすことで神経の圧迫が和らぎ、症状の改善や再発予防が期待できます。 【悪化を防ぐ】梨状筋症候群におけるストレッチの注意点 注意点 詳細 無理なくゆっくり伸ばして静かに実施する 強い力や反動を使わず、呼吸を止めずに心地よさを感じる範囲でストレッチ実施 しびれや違和感が出たら即中止し姿勢・頻度を見直す しびれや違和感が出た場合はすぐに中止し、無理のない姿勢や回数に調整 長時間の座位や負荷の高い運動を避けて日常生活でも神経圧迫に配慮する 長時間同じ姿勢や激しい運動を避け、こまめな体勢変更や適度な休憩で神経への負担軽減 梨状筋症候群のストレッチは、無理せずゆっくり行うことが大切です。強く引っ張ったり反動をつけず、呼吸を止めずに心地よく伸びる範囲で行いましょう。 ストレッチ中にしびれや違和感が出た場合はすぐに中止し、姿勢や回数を見直してください。また、長時間座り続けることや激しい運動を避けることも、神経への負担軽減に役立ちます。こまめに体勢を変え、日常生活でも神経への負担を軽減できるよう姿勢の調整が重要です。 梨状筋症候群とも関連が深い腰椎椎間板ヘルニアに対するストレッチ方法について詳しく解説しています。 無理なくゆっくり伸ばして静かに実施する 梨状筋症候群のストレッチは、無理せずゆっくり実施しましょう。強く引っ張ったり反動をつけず、呼吸を止めずに心地よく伸びる範囲で行います。 さらに、長時間同じ姿勢で座り続けることや激しい運動は避けましょう。神経への負担を減らすためには、こまめに体勢を変え、日常生活でも神経の圧迫に注意することが重要です。 しびれや違和感が出たら即中止し姿勢・頻度を見直す ストレッチ中にしびれや違和感が出た場合、即中止することが重要です。これは、梨状筋が過度に引っ張られることで坐骨神経が圧迫・刺激され、神経症状が悪化するリスクがあるためです。 無理に続けることで、神経炎や慢性化といった症状の悪化を招く可能性があります。また、同じ姿勢や片側ばかりに負荷をかけると筋バランスが崩れ、骨盤の傾き・左右差や姿勢不良の原因になります。異常を感じたら一度身体をリセットし、姿勢や頻度を見直すことが大切です。同じ症状が繰り返される場合は、自己判断せず医療機関を受診しましょう。 長時間の座位や負荷の高い運動を避けて日常生活でも神経圧迫に配慮する 項目 内容 長時間の座位 梨状筋と坐骨神経への持続的圧迫。筋肉の硬直、血流悪化、神経刺激増加 座り姿勢の悪さ 骨盤の歪みや片側への負担増加。足組みや猫背による筋バランスの乱れ 高負荷・高強度運動 梨状筋の過剰使用や筋肥大による神経圧迫。炎症や症状悪化のリスク 姿勢リセットの工夫 1時間ごとに立ち上がり歩く、軽いストレッチで筋の圧迫と血流障害を予防 環境改善 クッションや立ちデスク活用、柔らかい座面で圧迫軽減。骨盤安定と負担分散 長時間の座り姿勢や負荷の高い運動は、梨状筋や坐骨神経に負担をかけ、症状を悪化させる原因となります。ストレッチの効果を高めるためには、日常生活でも姿勢や動作に配慮することが大切です。 1時間ごとに立ち上がって歩く、クッションを使って骨盤を安定させるなどの工夫で神経への圧迫を軽減できます。また、重い物を持ち上げる動作や急な運動も避け、無理のない範囲で身体を動かすことが再発予防にもつながります。 梨状筋症候群のストレッチ効果を高める補助ケア ストレッチ効果を高める補助ケア 詳細 身体を温める 入浴やホットパックで筋肉の血流促進、ストレッチ前の柔軟性向上 日常生活での姿勢を意識する 座り方や立ち姿勢の見直し、骨盤と股関節の安定維持 適切な栄養と水分補給 バランスの良い食事と十分な水分摂取による筋肉と神経の健康維持 ストレス管理 睡眠やリラクゼーションで自律神経の安定、筋緊張の緩和 梨状筋症候群のストレッチ効果を高めるには、日常の補助ケアが重要です。まず、入浴やホットパックで身体を温めることで血流が促進され、筋肉がほぐれやすくなり、ストレッチ前の柔軟性が向上します。 また、座り方や立ち姿勢を見直すことで骨盤や股関節の安定性が保たれ、筋肉や神経への余分な負担を防げます。さらに、バランスの取れた食事と十分な水分補給は、筋肉と神経の健康維持に欠かせません。 加えて、ストレスを溜めすぎないことも大切です。良質な睡眠と適度なリラクゼーションは、自律神経を整え、筋緊張の緩和に役立ちます。ストレッチと併せてこれらのケアを習慣にすることで、より効果的な改善と再発予防が期待できます。 身体を温める ストレッチ前に身体を温めると血流が促進され、筋肉がほぐれて柔軟性が高まります。入浴やホットパック、軽い運動などが効果的です。 とくに慢性期では、温熱療法により筋の緊張が和らぎ、動かしやすくなります。ただし、炎症が強い急性期は悪化の恐れがあるため冷却が適しています。症状に応じた使い分けが大切です。 日常生活での姿勢を意識する 梨状筋症候群の改善には、ストレッチに加えて日常の姿勢を意識することが重要です。長時間座り続けると梨状筋が圧迫されやすく、神経への負担が増します。 定期的に立ち上がることで血流が良くなり、筋肉の緊張が緩和します。背すじを伸ばし、骨盤を正しい位置に保つことで筋バランスが整い、機能の回復が促されます。良い姿勢を保つことでストレッチの効果が持続し、症状の予防や緩和につながるため、姿勢を意識することが大切です。 適切な栄養と水分補給 梨状筋症候群の改善には、栄養と水分補給が重要です。水分不足は神経や筋肉への血流を妨げ、酸素や栄養の供給が不足しやすくなります。これにより筋肉が硬くなり、ストレッチの効果が十分に得られなくなる恐れがあります。 たんぱく質、マグネシウム、ビタミンB群、オメガ-3脂肪酸などの栄養素は、筋肉の修復や神経機能の維持に欠かせません。さらに、十分な水分補給は、可動域の向上や筋肉の柔軟性を保つのに役立ちます。栄養と水分を適切に補うことで、ストレッチ効果が高まり、神経や筋の回復力もサポートされます。 ストレス管理 ストレスは筋肉のこわばりを引き起こし、梨状筋の緊張を慢性化させる原因です。自律神経が乱れて交感神経が優位になると、筋肉が緩みにくくなり、ストレッチの効果も期待しにくくなります。 ストレスを軽減することで筋肉がリラックスし、ストレッチによる柔軟性や効果の持続が期待でき、深呼吸や瞑想などのリラクゼーションは心の緊張を和らげ、ストレッチへの不安や抵抗感を減らすのに役立ちます。セルフケアを継続するためにも、日常的なストレス管理が大切です。 ストレッチで改善しない梨状筋症候群は医療機関を受診しよう 梨状筋症候群の症状は、ストレッチによって改善が期待できます。ストレッチを行う際には無理な力を加えず、しびれや違和感が出た場合は中止し、医療機関を受診することが大切です。 ストレッチで改善しない梨状筋症候群の症状は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、梨状筋症候群と関連する腰椎椎間板ヘルニアなどに対して、腰椎の回復を目的とした再生医療を選択肢のひとつとしてご案内しています。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 梨状筋症候群のストレッチに関するよくある質問 フォームローラーやテニスボールは使っても良い? フォームローラーやテニスボールは、梨状筋をやさしくほぐすセルフケアの補助道具として有効です。お尻の下に当てて体重をかけ、ゆっくり転がすことで深部の筋肉をほぐせます。 片側につき5分程度を目安に、場所を少しずつ変えて行いましょう。同じ部位を長時間刺激すると筋や骨を傷める恐れがあるため避けてください。違和感や炎症がある時は使用を控え、無理のない範囲で行うことが大切です。不安があれば医師に相談しましょう。 医療機関を受診する目安はどのような場合ですか? お尻から太ももにかけての違和感やしびれが数日以上続く、強くなる、または日常生活に支障が出る場合は整形外科を受診しましょう。 とくにセルフケアや市販薬で改善しない場合や、足に力が入らない・感覚が鈍いなどの神経症状がある場合も早急な受診が必要です。自己判断せず、医師の診断を受けることが大切です。
2025.07.31 -
- その他、整形外科疾患
「市販薬では効果が得られなかったため、タリージェの服用を検討しているものの、抵抗がある」 「タリージェは怖い薬だと聞いたが本当なのか?」 タリージェに対して怖いというイメージを持ち、服用をためらってはいませんか。実際、タリージェには眠気やめまい、重い場合には意識消失といった副作用が報告されており、不安を感じる方も少なくありません。 しかし、事前にタリージェの特徴や効果を事前に理解することで、不安の軽減につながります。本記事では、現役医師が、タリージェについて詳しく解説します。 タリージェが怖いといわれる理由 タリージェの副作用 タリージェの特徴・効果 タリージェ服用時の注意点 記事の最後にはよくある質問をまとめておりますので、ぜひ最後までご覧ください。正確な情報をもとに、ご自身が納得できる治療を選べるよう、医師と落ち着いて相談する準備を整えておきましょう。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 気になる症状や再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 タリージェが怖いといわれる理由 理由・リスク 内容 中枢神経系への影響 眠気・めまい・意識がぼんやりすることがある 体重増加・むくみ 体重増加や足のむくみなどが現れることもある 腎機能障害 腎臓への負担が報告されており、重い副作用となることがある 高齢者や持病のある方のリスク 転倒や体調悪化のリスクが高まる 服用中止時の離脱症状 急にやめると不眠や吐き気などの離脱症状が出ることがある 医師との相談の重要性 副作用や注意点を正しく理解した上で、医師と相談し、治療方針を決定することが重要 タリージェは神経障害性疼痛の治療薬として多くの患者に処方されていますが、「怖い」と感じる声も少なくありません。主な理由として、眠気やめまい、意識のぼんやりといった中枢神経系への影響や、体重増加・むくみ、腎機能障害などの副作用が報告されていることが挙げられます。 とくに高齢者や持病を持つ方では、転倒や体調悪化のリスクも懸念されています。さらに、服用を急にやめると離脱症状が出る可能性がある点も不安材料です。タリージェに対する抵抗感を軽減するには、副作用や注意点を正しく理解し、医師と相談の上で治療方針を決めることが重要です。 【怖い?】タリージェの副作用 副作用 詳細 中枢神経系への作用で眠気・めまい、意識のぼんやりが起こりやすい 神経の興奮を抑える作用による注意力の低下や転倒リスク 体重増加やむくみも長期使用で現れることがある 水分代謝の変化や血管への作用によるむくみの出現 腎機能障害が重大な副作用として注記された 腎臓への負担による機能低下や血液検査値の異常 服用を急に中断すると離脱症状が出る可能性がある 不眠や不安、違和感の再発といった自律神経系の反応 持病や併用薬によっては副作用が強く出やすい場合も 他の薬剤との相互作用や基礎疾患の影響による副作用の増強 タリージェは、眠気やめまい、意識のぼんやりといった副作用により、転倒や事故のリスクが高まることがあります。長期使用では体重増加やむくみが生じることがあり、まれに腎機能への負担による検査値の異常も報告されています。 服用を急にやめると不眠や不安などの離脱症状が出るおそれがあるため、中止は医師と相談の上で行いましょう。また、持病や他の薬剤との併用にも注意が必要です。 中枢神経系への作用で眠気・めまい、意識のぼんやりが起こりやすい 要因 詳細 中枢を含む神経に作用する仕組み カルシウムチャネル(α2δサブユニット)に結合し、神経伝達物質の放出を抑制。脳や脊髄にも作用し眠気・めまい・意識のぼんやりが起こりやすい α2δ-2サブユニットへの影響が眠気・めまいの要因 鎮痛作用の主な標的はα2δ-1だが、α2δ-2にも一時的に作用し、中枢神経系の副作用が出やすい オピオイド併用や腎機能低下時は症状が現れやすい 他の中枢神経抑制薬(オピオイド等)併用や腎機能低下で薬の排泄遅延、血中濃度上昇により眠気・めまいが強まる タリージェは、違和感を伝える神経の働きを弱めることで、しびれやピリッとした感覚を和らげる薬剤です。ただし、この働きは身体だけでなく、脳や脊髄にも影響するため、眠気やめまい、意識がぼんやりするなどの症状が出ることがあります。 さらに、本来の作用部位以外にも一時的に影響を与えることで、副作用が起こりやすくなることがあります。ほかの眠くなる薬剤を併用した場合や、腎臓の働きが弱い場合は、薬剤が身体に留まりやすくなり、副作用が強く出るおそれがあるので、注意が必要です。 以下は、タリージェの治療効果と有効性に関する臨床試験データです。効果が認められる一方で、30mg群では眠気やめまいの副作用が比較的多く報告されています。 項目 詳細 改善した患者の割合 プラセボ31.2%/20mg 36.4%/30mg 44.8%(30mg群で有意差) しびれ改善率 プラセボ43.3%/20mg 52.1%/30mg 57.6%(30mg群で有意差) 異常感覚改善率 プラセボ20.3%/20mg 23.0%/30mg 25.5%(有意差なし) 副作用発現率 プラセボ10.3%/20mg 18.8%/30mg 主な副作用(30mg群) 傾眠14.5%、浮動性めまい9.1%、回転性めまい2.4%、末梢性浮腫5.5%、体重増加5.5% 重篤な副作用 傾眠・浮腫・意識消失など:1.2%(30mg群) 投与中止率 プラセボ1.2%/20mg 1.8%/30mg 7.9%(主な理由:めまい・傾眠) (文献1) この結果は、タリージェが中枢神経に作用する薬剤であることに起因しており、眠気やふらつきなどの副作用が出やすいことを示しています。服用の際は、効果とあわせてこうした点にも注意が必要です。 体重増加やむくみも長期使用で現れることがある 原因 内容 水分バランスの変化 神経の働きを抑える作用で、体内に水分がたまりやすくなり、手足や顔のむくみや体重増加につながるケースもある 活動量の低下・食欲の変化 眠気やだるさで日中の動きが減り、消費カロリーが少なくなる。食欲が増すことで摂取カロリーが増え、体重増加の原因になる場合も 長期服用・用量増加によるリスク上昇 長く飲み続けたり、量が増えることで、むくみや体重増加のリスクが高まることがある。定期的な体重測定が重要 個人差の存在 体重やむくみの出方には個人差があり、まったく変化しない方もいれば、数kg増える方もいる。体質や生活習慣、他の薬の影響も関与 長期服用により、体重増加やむくみが現れることがあります。神経の働きを抑えることで水分バランスが乱れ、水分が体内に滞留しやすくなるためです。 また、眠気やだるさによって活動量が減り、食欲が増すことで摂取カロリーが多くなり、体重が増加することもあります。長く服用したり量が増えるほど副作用のリスクは高まり、出方にも個人差があります。気になる変化があれば、早急に医療機関を受診しましょう。 なお、タリージェと体重増加の関係性については以下の記事で詳しく解説しています。 腎機能障害が重大な副作用として注記された タリージェ(ミロガバリン)は、主に腎臓を通じて身体の外に排泄される薬剤です。そのため、腎臓の働きが弱い方や、もともと腎機能に問題がある方が服用すると、薬剤の成分が体内に蓄積されやすくなり、副作用が出やすくなります。 健康な腎臓を持つ方でも、まれに腎機能が低下する副作用が報告されています。実際に、国内外の調査や市販後の症例報告で、タリージェ服用中に腎機能障害が発生したケースが確認されたため、厚生労働省は「重大な副作用」として添付文書に明記するよう指示しました。(文献2) とくに日本国内では、タリージェの使用後に腎機能が急激に悪化した重篤な症例が複数報告され、そのうち3例は薬との因果関係が否定できませんでした。(文献3) 腎機能障害が進行すると、尿量の減少、むくみ、全身のだるさ、食欲不振などの症状が現れることがあります。タリージェを服用する際は、腎臓の状態を定期的に確認し、異常があればすぐに医師へ相談してください。 服用を急に中断すると離脱症状が出る可能性がある タリージェを急に中断すると、身体が薬剤のない状態にうまく対応できず、離脱症状と呼ばれる不調が出ることがあります。これは、脳や神経が薬の作用に慣れているため、急な変化でバランスが崩れることが原因です。 よく見られる症状としては不眠や吐き気などがあり、まれに気分の不安定や頭痛が起こることもあります。 実際の臨床試験でも、タリージェを服用していた451例中2例(0.4%)で離脱症状が報告されており、注意が必要です。中止は必ず医師の指示に従いましょう。(文献4) 持病や併用薬によっては副作用が強く出やすい場合も タリージェは、持病がある方や他の薬剤を併用している方では、副作用が強く出るおそれがあります。腎臓や肝臓の機能が低下している場合、薬剤が体内に蓄積しやすく、眠気・めまい・むくみなどの症状が強まる傾向があります。 オピオイド系鎮痛薬や睡眠薬、抗うつ薬と併用すると中枢神経への作用が重なり、ふらつきや転倒のリスクが高まるため、事前に医師や薬剤師への相談が必要です。 タリージェの特徴・効果 特徴・効果 詳細 神経障害全般に対応しながらしびれやピリピリ感を緩和 神経の興奮抑制によるしびれ・ピリピリ感の軽減、末梢性・中枢性神経障害性疼痛への幅広い適応 リリカより中枢副作用が少なくOD錠で服用しやすい 中枢神経系副作用の発現頻度低減、口腔内崩壊錠(OD錠)で水なしでも服用できる、高齢者や嚥下困難者への配慮 長期使用に適し副作用のリスクが低い 長期投与での有効性と効果の持続、重篤な副作用頻度の低さ、定期的な経過観察によるリスク管理 タリージェは、しびれやピリピリとした神経の違和感に幅広く対応する薬剤で、末梢性・中枢性の神経障害性疼痛に使用されます。 リリカに比べて中枢神経系の副作用が少なく、口の中で溶ける錠剤もあるため、高齢者や嚥下が難しい方にも服用しやすい設計です。長期使用に適しており、重篤な副作用の頻度が低いことから、継続的な治療にも有用とされています。 神経障害全般に対応しながらしびれやピリピリ感を緩和 ミロガバリン(タリージェ)は、末梢神経だけでなく中枢神経にも作用する特徴があり、糖尿病性神経障害や帯状疱疹後神経痛、脊髄損傷後の違和感、化学療法による神経障害など、さまざまな原因による神経の興奮を抑えることが臨床研究で示されています。(文献5) とくに脊髄損傷後の中枢性神経痛(CNeP)でも有意な違和感の軽減効果が確認されています。また、糖尿病性神経障害(DPNP)や帯状疱疹後神経痛(PHN)に対しても、14週間のプラセボ比較試験で優れた効果が証明されています。(文献6) このように、幅広い神経障害で効果があるのは、神経細胞の興奮を抑える独自の作用機序によるものです。 リリカより中枢副作用が少なくOD錠で服用しやすい 理由・特徴 内容 中枢神経への影響が穏やかで副作用が出にくい α2δ‐1サブユニットへの強い結合とα2δ‐2サブユニットへの影響の少なさによる中枢系副作用の抑制、リリカより眠気・めまいの頻度低減(眠気26.7%、めまい12.3%) 嚥下の負担が少ないOD錠が選べる 口腔内崩壊錠(OD錠)による水なし服用、嚥下困難や高齢者への適応、飲みやすさ向上 服用しやすい1日2回・安定した効果 1日2回の服用による安定した血中濃度維持、継続しやすい服薬スケジュール、日常生活への負担軽減 タリージェ(ミロガバリン)は、神経痛に効果がありながら、眠気やめまいなどの副作用が比較的少ない薬剤です。これは、神経に作用する部位のうち、副作用の原因となる部分への影響を抑える構造によるものです。 臨床試験では眠気26.7%、めまい12.3%と、リリカより低い発現率が報告されています。(文献7) 水なしで服用できるOD錠もあり、嚥下が難しい方にも適しています。1日2回の服用で効果が安定し、治療を続けやすいのも特徴です。 長期使用に適し副作用のリスクが低い 特徴・ポイント 詳細 長期試験での有効性と耐容性の確認 52週間の長期試験における有効性と耐容性の良好な結果 多くの副作用は軽度〜中等度で済む 眠気・めまい・むくみ・浮腫・鼻咽頭炎などの副作用報告、大半が軽症で重篤な事例はごく少数 投与計画と用量設計によるリスク管理 初期用量からの段階的増量、腎機能に応じた減量・調整、副作用時の迅速な中止や減量推奨 タリージェは、日本を含むアジアで実施された52週間(約1年)の長期投与試験において、有効かつ耐容性が良好と報告されています。(文献7) 治療を継続する中で副作用は一定数見られましたが、その多くは眠気・めまい・むくみ・鼻咽頭炎などの軽症であり、重篤な事例は非常に少ないとされています。(文献8) 初期用量からの段階的増量と腎機能に応じた調整により、効果を維持しながら副作用にも対応しやすい設計です。 タリージェ服用時の注意点 注意点 詳細 眠気・めまいや意識障害がある間は運転・作業を控える 眠気やめまい、意識のぼんやりによる事故や転倒リスクの回避 気になる症状があれば直ちに医師へ相談 副作用や体調変化を早期に発見し、重症化を防ぐとともに、迅速に対応する 用法は厳守し自己判断で中断しない 離脱症状や症状悪化の防止、医師の指導下で減量・中止 飲酒・併用薬・妊娠中・持病がある場合は事前に相談 相互作用や副作用リスクの回避、個別の健康状態に応じた適切な治療計画の立案 タリージェを服用中は、眠気やめまい、意識がぼんやりするなどの症状が出るため、運転や機械作業は控えましょう。 体調の変化や気になる症状があれば、早めに医師への相談が大切です。また、自己判断で服用を中断すると、離脱症状や症状の悪化につながることがあるため、中止や減量は医師の指示に従いましょう。 飲酒や他の薬の併用、妊娠中や持病がある場合は、副作用のリスクを避けるため、事前に医師へ伝えることが重要です。 眠気・めまいや意識障害がある間は運転・作業を控える タリージェ(ミロガバリン)には神経の興奮を抑える作用がある一方で、副作用として眠気やめまい、意識のぼんやりなどが起こるケースがあります。 実際、臨床試験では眠気が26.7%、めまいが12.3%の頻度で報告されており、日常生活に支障をきたすこともあります。(文献9) これらの症状により判断力や反射が鈍るため、運転や高所作業などの危険を伴う行動は控えましょう。とくに高齢の方では転倒や事故につながるリスクが高く、より慎重な対応が求められます。 服用開始時や増量後は、自宅で安静に様子を見ることが推奨されており、症状が続く場合は医師と相談の上、服用量の調整や中止を検討することが不可欠です。 気になる症状があれば直ちに医師へ相談 タリージェを服用中に、眠気・めまい・ふらつき・むくみ・体重増加などの症状が現れた場合は、放置せず早急に医療機関を受診しましょう。とくに服用開始直後や増量時は副作用が出やすく、高齢の方や持病のある方では転倒や体調悪化のリスクが高まります。 肝機能や腎機能への影響、意識消失などが見られた場合は、早めの対応によって重症化のリスクを低減できる可能性があります。また、タリージェを急に中止すると不眠や吐き気、食欲不振などの離脱症状が生じることがあるため、体調の変化を感じた際は自己判断で服用をやめず、医師に相談してください。 用法は厳守し自己判断で中断しない タリージェは、医師の指示に従い、自己判断で中断や用量の変更をしないことが重要です。急な中止や自己判断での用量変更は、離脱症状や副作用の悪化、効果の低下につながるおそれがあります。 腎機能や併用薬の影響を踏まえて医師が用量を調整しているため、不安がある場合は医療機関を受診しましょう。 飲酒・併用薬・妊娠中・持病がある場合は事前に相談 タリージェは、飲酒や他の薬との併用、妊娠中・授乳中、持病がある場合に薬剤の作用や副作用が変化しやすく、健康への影響が大きくなることがあります。 アルコールは眠気やめまい、意識障害などの副作用を強めるため、服用中の飲酒は控える必要があります。中枢神経に作用する薬との併用も副作用を増強するおそれがあるため、自己判断での併用は避けましょう。 妊娠中や授乳中は、胎児や乳児への影響が明確でないため、医師への相談が必要です。腎臓や肝臓に疾患がある方は、副作用が強く出るおそれがあります。そのため、あらかじめ医師に伝えた上で、指示に従って服用することが大切です。 タリージェの服用が怖い方は再生医療をご検討ください タリージェには、神経障害全般に対応しながらしびれやピリピリ感を緩和する効果や他の薬剤と比べて副作用のリスクが低いのが特徴です。臨床試験でも一定の副作用は報告されていますが、重篤な事例は極めて少ないとされています。 しかし、タリージェの服用が怖いと感じる、抵抗のある方は当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、タリージェの服用に不安がある方には、再生医療という選択肢も提供しています。再生医療は、幹細胞などを用いて神経や組織の修復・再生を促す、近年注目されている治療法です。 神経障害性疼痛や慢性的な違和感を抱える方に対し、身体が本来持つ回復力を活かして、根本的な改善を目指す点が特徴です。医学的な適応には限りがあり、すべての症例に適するわけではありませんが、薬剤療法による副作用のリスクが少ないため、より不安を軽減しつつ治療に臨みやすい方法といえます。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 タリージェを懸念する方からよくある質問 タリージェを服用しても症状が改善しない場合はどうすれば良いですか? タリージェは効果が出るまで数週間かかることがあり、すぐに違和感が軽減しない場合もあります。原因が神経以外にある、用量が合っていない、副作用で十分に服用できていないなどで効果が不十分なこともあります。 服用に関する自己判断は避け、症状や状況を整理し、医師に相談しましょう。薬剤の見直しや他の治療法が検討されることもあります。 以下の記事では、タリージェを服用しても症状が改善しない場合の治療法や対処法を紹介しています。 タリージェを服用している間に避けるべき食材はありますか? タリージェは特定の食材を避ける必要はなく、食事と一緒に服用しても問題ありません。ただし、副作用で体重が増えることがあるため、高カロリー・高脂肪の食事は控えめにし、野菜やたんぱく質を意識した栄養バランスの良い食事を心がけましょう。 参考文献 (文献1) 医薬品インタビューフォーム|日本病院薬剤師会 (文献2) 厚生労働省医薬局医薬安全対策課長|医薬安発0827第1号令和6年8月27日 (文献3) ミロガバリン、ペマフィブラートなど4剤に「重大な副作用」追加/厚労省|CareNet (文献4) タリージェ 適正使用ガイド|第一三共株式会社 (文献5) ミロガバリンベシル酸塩(タリージェ® 錠2.5 mg・5 mg・10 mg・15 mg)の薬理学的および薬物動態学的特性と臨床試験成績|©日本薬理学会 (文献6) Mirogabalin for Central Neuropathic Pain After Spinal Cord Injury|Neurology® Journals (文献7) Long-Term Safety and Efficacy of Mirogabalin for Central Neuropathic Pain: A Multinational, Phase 3, 52-Week, Open-Label Study in Asia|PMC PubMed Central® (文献8) Efficacy and safety of add-on mirogabalin to conventional therapy for the treatment of peripheral neuropathic pain after thoracic surgery: the multicenter, randomized, open-label ADMIT-NeP study|BNC (文献9) プレガバリンとミロガバリン|PAS kara News(367)
2025.07.31 -
- その他、整形外科疾患
「首や肩がつらい。もしかしてストレートネック?」 「ストレートネックを改善したいけれど、どうすれば良いの?」 パソコンやスマホを長時間使用すると、頭部が前方に突き出た姿勢になりやすくなり、その姿勢が続くと、筋肉や関節に負担がかかり、首の違和感や肩こりなどの不調を引き起こします。 本記事では、ストレートネックの改善や予防に役立つ筋トレ方法と、実施する際の注意点を現役医師が解説します。記事の最後には、ストレートネックと筋トレの関係性に関するよくある質問をまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 ストレートネックが原因で起こる椎間板の変性やヘルニア、神経の圧迫など気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ストレートネック改善に筋トレが効果的な理由 効果的な理由 詳細 姿勢を支える筋肉の強化 首・背中・体幹の支持力向上、頭部の安定化 筋肉のバランスを整えることで負担を軽減 首・肩・背中の筋力バランス調整、負荷分散 血流改善や代謝促進による不快感の緩和 首肩周囲の血流増加、老廃物排出促進、こり緩和 筋トレはストレートネック改善において、姿勢保持力を高める有効な手段です。首や背中、体幹の筋肉を鍛えることで頭の位置が安定し、自然と正しい姿勢が保てるようになります。首・肩・背中の筋力バランスを整えることで局所的な負担を軽減し、全身の支持性が向上します。 さらに、筋活動による血流促進は老廃物の排出を助け、首や肩こりの緩和にも役立ちます。筋トレで改善が見られない場合は、重症化する前に医療機関を受診してください。 以下の記事では、ストレートネックに関して詳しく解説しています。 姿勢を支える筋肉の強化 ストレートネックの改善には、とくに首の深層筋や肩甲骨まわりの筋肉を鍛えることが重要です。首の深層筋が弱いと頭が前に倒れやすくなり、姿勢が安定しにくくなります。 また、肩甲骨や背中の筋肉を強化し協調させることで、背骨の安定性が高まり、首への負担を抑えつつ、正しい姿勢を無意識に維持しやすくなります。 筋肉のバランスを整えることで負担を軽減 デスクワークやスマホ操作により、首や肩の筋肉のバランスが崩れると、一部の筋肉に過度な負担がかかりやすくなります。筋トレで弱った筋肉を鍛え、ストレッチで硬くなった筋肉をほぐすことで、前後左右の筋力バランスが整い、負荷が分散されます。 筋肉が協調して働くと、頭を自然な位置で支えやすくなり、正しい姿勢の維持やストレートネックの改善・再発の予防につながります。 血流改善や代謝促進による不快感の軽減 ストレートネックでは首や肩の筋肉が緊張し、血行が滞りがちです。筋トレやストレッチによる血流改善が有効です。 血流が促進されることで老廃物が排出され、首や肩のこりが緩和されます。また、代謝の向上により、疲れにくい体質づくりにもつながります。筋トレは無理のない範囲で継続することが大切です。 ストレートネックを改善する筋トレ方法 筋トレ方法 詳細 あご引き(チンタック)で頸部深層屈筋を刺激 仰向けや座位であごを軽く引き、首前面の深層筋強化 肩甲骨回し・Y字ポーズで背部筋を強化 肩甲骨を大きく回す・両手をY字に上げて肩甲骨を寄せる動作 首後屈ストレッチを組み合わせて柔軟性も維持 タオルや手で頭部を支えながら首を後ろにゆっくり倒す動作 ストレートネックの改善には、首や背中まわりの筋トレが効果的です。あご引き(チンタック)は、首の深層筋を鍛えて頭の位置を安定させます。肩甲骨回しやY字ポーズは、背中の筋肉を強化し姿勢を整えるのに役立ちます。 首後屈ストレッチを行うことで、筋肉の柔軟性が保たれ、こりの予防や不快感の緩和につながります。改善には継続が重要です。 あご引き(チンタック)で深層屈筋を刺激 手順 内容 1.姿勢準備 壁に背をつけて立ち、頭・背中・お尻がすべて壁につくように姿勢を整える 2.あご引き あごを軽く引き、後頭部を壁に押しつける(首が伸びる感覚) 3.キープ この姿勢を5秒キープ 4.繰り返し 5秒キープを10回繰り返す ポイント 強く押しつけず、心地良い強さで行う チンタックとは、あごを軽く引いて首の深層にある筋肉を刺激するエクササイズです。壁に背中をつけた状態で、頭を後ろに引くように動かすことで、首の骨のバランスを整える筋肉に働きかけます。 簡単にできるため、デスクワークの合間にも取り入れやすく、姿勢改善の第一歩として有効です。首を無理に倒さず、視線を水平に保つ意識で行うことがポイントです。 肩甲骨回し・Y字ポーズで背部筋を強化 ストレートネックを改善するには、背中や肩甲骨まわりの筋肉を鍛えるのが効果的です。これらの筋肉が弱まると、頭が前に出やすくなり、ストレートネックが進行しやすくなります。 肩甲骨回しは、背筋を伸ばして椅子に座り、両肩に手を置いて肘で大きな円を描くように、前後にゆっくり回します。呼吸を止めずに、左右それぞれ10回行いましょう。Y字ポーズは、立った状態で両手を頭上に「Y」の字に上げ、肩甲骨を背中の中心に寄せながら5秒間キープします。これを5回繰り返します。 どちらの動きも、無理に力を入れず、違和感がある場合は中止しましょう。これらのエクササイズを継続することで姿勢が安定し、首が前に出るクセの改善に寄与します。 首後屈ストレッチを組み合わせて柔軟性も維持 ストレッチ名 やり方・ポイント 回数・時間目安 首後屈ストレッチ 椅子に座り背筋を伸ばし、片手で椅子をつかむ。首をゆっくり後ろに倒し、天井を見る。肩はリラックス 10~30秒キープ×1日2回 頭部押し込み(チンタック) 頭の後ろに両手を当て、手で軽く頭を支えながら、あごを引くようにして首の後ろに軽い圧をかける。首全体をまっすぐ後ろに引く感覚 3~5秒キープ×10回×1日2セット 肩甲骨寄せ 壁に背中と肘をつけ、肘を90度に曲げて壁に軽く押し付けながら胸を開く 5秒キープ×10~15回×1日1~2回 首後ろセルフストレッチ(タオル) タオルを後頭部にかけ、両端を軽く引っ張る。頭の重みで自然に後ろに倒し、背中は反らさない 30秒キープ 首後屈ストレッチと筋トレを組み合わせることで、ストレートネックの改善に効果が期待できます。ストレッチは首や肩の筋肉の緊張をほぐし、血流を促進し、可動域を広げることでこりや不快感を軽減します。 筋トレとストレッチを組み合わせることで、柔軟性と筋力の相乗効果が得られ、正しい姿勢を日常的に維持しやすくなります。首後屈ストレッチの効果を高めるには、筋トレとバランスよく行うことが重要です。 ストレートネック改善における筋トレの注意点 注意点 詳細 フォームと強度は少なめ・ゆっくりで始める 正しい姿勢と軽い負荷で無理せず運動開始 医師に相談すべき症状と持病の確認 違和感・しびれ・高血圧・脳血管障害・既往歴の確認 異常を感じたら即中断し医療機関へ 違和感・しびれ・めまい・違和感出現時の運動中止 ストレートネックの改善を目的とした筋トレでは、フォームと強度を抑え、ゆっくりと始めることが大切です。正しい姿勢を意識し、無理のない軽い負荷から始めましょう。 また、筋トレを始める前には、持病や体調に関して医師に相談し、自己判断での運動は避けてください。トレーニング中に違和感やしびれなどの異常を感じた場合は、すぐに運動を中止し、速やかに医療機関を受診しましょう。 フォームと強度は少なめ・ゆっくりで始める ストレートネックの改善は、筋トレを正しいフォームでゆっくり始めるのが原則です。首は小さく繊細な筋肉や関節が集まっており、急な負荷や反動のある動きは筋肉や関節に負担をかけ、違和感やしびれを引き起こします。 軽い負荷で滑らかに動かし、鏡でフォームを確認しましょう。違和感を覚えたらすぐに中止してください。 また、トレーニング前後にストレッチを取り入れることで筋肉の柔軟性が保たれ、継続しやすくなります。 医師に相談すべき症状と持病の確認 相談すべき症状・持病 内容例 首や肩の強い違和感・しびれ・脱力感 手や腕のしびれ、感覚異常、力が入りにくい状態 頭痛・めまい・ふらつき 緊張型頭痛、片頭痛、平衡感覚の異常 過去の首や脊椎の手術歴 頸椎や脊椎の手術経験がある場合 椎間板ヘルニア・骨粗しょう症・リウマチ 首や背骨の病気、骨密度低下、関節疾患 心臓や呼吸器など他の重い持病 心疾患、呼吸器疾患、全身性の重い病気 ストレートネックの筋トレを始める前には、首や肩の強い違和感、しびれ、頭痛、めまいなどの症状がある場合や、過去に首や背骨のけが、ヘルニア、骨粗しょう症、リウマチなどの持病がある方は、医師への相談が重要です。これらの症状や持病があると、筋トレによって症状が悪化する可能性があります。 医師へ相談することで、現在の身体の状態に合った運動方法や注意点を確認できます。とくに、手足のしびれや脱力感、強い首のこわばり、吐き気を伴う頭痛がある場合は、自己判断での運動は控えましょう。持病がある方も、事前に運動の可否を確認することで、身体への負担を抑えながら取り組めます。 筋トレはストレートネックの改善に有効ですが、体調や既往歴に応じた判断が必要です。気になる症状がある場合は、必ず医師に相談してください。 異常を感じたら即中断し医療機関へ 筋トレ中または終了後に、しびれ・めまい・脱力感・強い違和感などの症状が現れた場合は、すぐに運動を中止し、早急に医療機関を受診してください。 このような身体の異常を無視して運動を続けると、症状が悪化する可能性があります。自己判断は避け、異変を感じた場合はすぐに医療機関への受診が大切です。 ストレートネック改善に役立つ筋トレ以外の習慣と対策 筋トレ以外の習慣と対策 詳細 ストレッチの実施 首・肩・胸・背中の柔軟性維持、筋肉の緊張緩和、血行促進 正しい姿勢の意識と習慣化 デスクワークやスマホ時の姿勢調整、頭部の位置管理、背筋の伸展 生活習慣の見直し 枕・椅子の高さ調整、長時間同じ姿勢の回避、こまめな休憩・運動 ストレートネックの改善には、筋トレに加えて日常の習慣や対策を取り入れることが重要です。 ストレッチや姿勢の見直しは、日常生活のすき間時間にも手軽に取り組めます。これらの習慣や対策も筋トレと同様に、継続が不可欠です。 ストレッチの実施 ストレートネックの改善には、筋トレとあわせてストレッチを行うことが重要です。ストレッチで首や肩の筋肉がほぐれ、こりや不快感の軽減、再発予防が期待できます。筋トレで支える力を、ストレッチで柔軟性を高めることで姿勢が安定し、首や肩の負担も軽減されます。 ストレッチは短時間でも毎日続けることが大切です。ゆっくり呼吸しながら行うことでリラックス効果も得られます。 正しい姿勢の意識と習慣化 ストレートネックの予防・改善には、筋トレやストレッチに加えて、正しい姿勢を意識することが重要です。頸椎は本来、前にゆるやかなカーブを描いて頭を支えていますが、猫背やうつむいた姿勢が続くとこのカーブが失われ、首や肩に負担がかかります。 正しい姿勢を保つことで、筋肉や関節への負担が軽減され、首・肩だけでなく背中や腰の不調も防げます。スマホやパソコンを使うときは画面を目の高さに合わせ、椅子には深く腰かけて骨盤を立てましょう。 また、30分〜1時間ごとに軽く体を動かすことで血流が促され、筋肉の緊張の緩和も期待できます。日常の姿勢を見直すことが、ストレートネック改善につながります。 生活習慣の見直し 習慣と対策 内容 スマホ・パソコンの使い方を見直す スマホは顔の正面まで持つ、PCは目線の高さに調整、1時間ごとに立ち上がりストレッチを行う 姿勢を意識しやすい環境作り 椅子に深く座り骨盤を立てる、背もたれやランバーサポート・フットレストを活用 睡眠環境の工夫 枕は首の自然なカーブを支える高さ・硬さを選ぶ、横向きや仰向けで寝る習慣をつける こまめなストレッチと休憩 数分ごとに首・肩・胸まわりをストレッチし、軽いスクワットや肩甲骨回しを行う(血流を促し筋肉の緊張が和らぐ) 全身の動きと姿勢を整える習慣 散歩や軽い運動で肩甲骨・背中・腹筋を鍛え、呼吸や腹筋を意識して脊柱を支える ストレートネックは、姿勢のクセだけでなく、運動不足・睡眠の質・ストレスなど生活全体の影響を受けやすい症状です。首への負担を減らすには、スマホやパソコンを目線の高さに調整し、正しい姿勢を保ちやすい環境を整えることが大切です。 また、同じ姿勢を長時間続けず、こまめに体を動かすことで筋肉のこわばりを防ぎ、姿勢の安定にもつながります。生活リズムを整え、運動や質の良い睡眠を習慣づけることで、血流や神経の働きが改善に寄与します。ストレートネックの根本改善と再発予防には、生活習慣の見直しが欠かせません。 筋トレで改善しないストレートネックの症状は医療機関へ 筋トレやセルフケアを続けても首のこわばりや不快感が改善しない場合、頸椎ヘルニアや頸椎症などが原因の可能性もあります。このような症状は早急に医療機関での診断が必要です。 筋トレで改善しない、ストレートネックにお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 近年では、炎症などの改善を目指す選択肢として再生医療も注目されています。自身の細胞を使って組織の修復を促すため、身体への負担が少なく、自然な回復力を活かせるのが特徴です。すべての方に適しているとは限りませんが、慢性的な症状に悩む方にとって、有効な選択肢のひとつです。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 ストレートネック改善におけるよくある質問 ストレートネックの治療法は筋トレの他に何がありますか? ストレートネックの治療には、筋トレ以外にも運動療法や薬物療法、物理療法があります。専門家の指導で筋肉を整えるリハビリや、違和感を和らげる薬の使用、超音波や電気による物理療法などがあり、症状や体の状態に合わせて組み合わせて行います。 ストレートネック筋トレと整体やリハビリはどう違いますか? ストレートネックの筋トレは、自分で行う姿勢改善のための運動が中心です。一方、整体やリハビリでは、全身のバランスや柔軟性を整えるサポートを行います。 中でも医療機関でのリハビリは、理学療法士の的確な指導により、身体の状態に合った運動療法が進められるため、より効果的に症状の改善や再発予防が期待できます。 以下の記事では、ストレートネックに対する整体の有効性について、医学的な観点から解説しています。
2025.07.31 -
- その他、整形外科疾患
「もしかしてストレートネックかもしれない」 「整体でストレートネックが改善するって本当なの?」 長時間のデスクワークやスマートフォンの使用が増えたことで首や肩に不調を感じるストレートネックに悩みを抱えている方も少なくありません。ストレートネックは整体に通えば楽になると聞く一方で、本当に治るのか、通い続けて意味があるのか疑問を抱えている人も多くいます。 実際、整体で一時的に症状が和らぐことはありますが、根本的なストレートネックの改善には医学的に繋がらないとされています。 本記事では、現役医師が医学的観点から、ストレートネックの改善は可能かどうかを解説し、最後によくある質問もまとめておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 ストレートネックが原因で起こる椎間板の変性やヘルニア、神経の圧迫など気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ストレートネックは整体で治る? 内容 詳細 整体は対症的なケアであり「根本治療」ではない 筋肉の緊張緩和や血流促進による補助的役割であり、頚椎の構造自体を治す根本治療ではない 医学的エビデンスが乏しい 症状改善やカーブ回復の効果裏付ける十分な科学的根拠がなく、リスクも指摘されている ストレートネックは、首の自然なカーブが失われて首や肩に負担がかかる状態です。整体により一時的に筋肉の緊張が緩み症状が和らぐことはありますが、頚椎の構造を完全に戻す根拠はなく、根本治療とはいえません。 ストレートネックには、生まれつき頸椎の構造に異常がある先天性のものと、日常生活の習慣や姿勢の影響で発症する後天性のものがあります。先天性のストレートネックは非常に稀であり、多くのストレートネックの後天性です。長時間のデスクワークやスマートフォンの使用などが主な原因です。 改善には生活習慣や姿勢の見直し、医学的な対応が不可欠です。整体を受ける場合も、まず医療機関で評価を受けた上で、補助的に取り入れるようにしましょう。 以下の記事でも、ストレートネックについて詳しく解説しています。 【関連記事】 ストレートネックとは|改善・予防方法や重症化する前に確認すべきポイントを医師が解説 ストレートネック改善のための筋トレ方法を医師が解説|効果や注意点もあわせて紹介 整体は対症的なケアであり「根本治療」ではない 内容 詳細 整体で改善できるのは「筋肉の緊張」対策が中心 首周りの筋肉の緊張緩和や血流促進による一時的な症状の軽減 整体は「対症療法」であって「根治療法」ではない 骨の配列や頚椎の構造自体を治す根本治療は整形外科や理学療法が中心 根本改善には医療的アプローチが必要 整形外科での診断・理学療法・生活指導が重要 (文献1)(文献2) 整体は、首や肩の筋肉をほぐすことで一時的な不調を和らげる対症的なケアです。施術後に症状が軽減することは多いものの、首の骨格や姿勢の根本的な変化をもたらすものではありません。 根本治療を目指すには、日常生活での姿勢改善や筋力トレーニングに加え、生活習慣の見直しや医療機関での治療が不可欠です。 医学的エビデンスが乏しい 内容 詳細 カーブと違和感の無関連性 107名の調査や他の研究で、頸椎カーブと違和感の関連性は確認されていない 臨床試験の不足 整体は「弱い・中程度の推奨」にとどまり、運動療法や教育より優先順位が低い 回復手技の再現性とリスク 一部にCBPの症例報告はありますが、一般的な理学療法や手技で頸椎カーブを回復させるのは困難で、過度な操作は形状の変化や悪化のリスクを伴う 強い矯正操作の危険性 椎骨動脈解離や脳卒中などの重篤なリスクがあり、慎重な判断が必要 (文献3)(文献4)(文献5) ストレートネックに対する整体の施術には注意が必要です。また、誰でも同じ効果が得られるわけではありません。実際に、一時的に症状が和らぐと感じる方もいますが、効果が長続きしないケースや、かえって悪化した事例も報告されています。 また、頸椎カーブを整えるとされる「カイロプラクティック・バイオフィジクス(CBP)」の症例は一部にありますが、一般的な理学療法や手技では回復が難しく、過度な施術は形状の変化や悪化のリスクを伴います。 現時点で、整体によるストレートネック改善には十分な医学的エビデンスはありません。施術を受ける際は医療機関での診断を受けた上で、慎重に判断する必要があります。 ストレートネックで整体に通う前に知っておくべき注意点 注意点 詳細 医療機関と連携する整体院を選ぶ 医師の診断や治療方針をもとに施術できる体制の確認 持病や既往歴のある人は事前に確認する 高血圧や骨粗しょう症など既往歴の申告と主治医への相談 整体によるリスクを理解しておく 強い矯正操作による悪化や合併症リスクの認識 整体を検討する際は、施術の目的やリスクを十分理解しておくことが大切です。施術者の資格や経験、他の医療機関との連携体制が整っているかを事前に確認しましょう。また、持病や既往歴がある方は注意が必要です。 適切な評価が行われていないと症状を悪化させる可能性もあります。整体はあくまで補助的な位置づけとし、利用する場合は医療機関へ事前に相談しましょう。 医療機関と連携する整体院を選ぶ ストレートネックで整体を受ける前には、医療機関と連携している整体院かどうかを確認することが重要です。国家資格を持つ施術者が在籍しているかも判断の目安になります。 連携先の医療機関や連携内容を事前に確認し、異常があった際に医師へ速やかに対応できる体制があるかを見ておきましょう。 医師と連携がない整体院では、内臓疾患をただの腰痛と誤認した例もあり、重大な疾患を見逃すリスクがあります。また、ボキボキ整体などの根拠の乏しい施術も避けましょう。 持病や既往歴のある人は事前に確認する 持病・既往歴 注意点 骨・関節の疾患(骨粗しょう症、骨折、リウマチ等) 骨が脆弱な場合や炎症性関節疾患は強い手技が禁忌 脊椎の構造的問題(腫瘍、重度ヘルニア、脊髄圧迫等) 神経症状や脊髄圧迫がある場合は重篤な合併症リスク 血管系・出血傾向(血友病、抗凝固薬、動脈瘤等) 強い圧迫や回旋で血管損傷・脳卒中リスク 神経・脊髄疾患(脊髄症、馬尾症候群等) 手技による神経症状増悪や合併症リスク その他重大な既往(重度心疾患、血栓症、先天異常等) 施術中の圧力や動きで悪化リスク (文献6) 整体を受ける前には、持病や既往歴を必ず申告し、医師に相談しましょう。骨粗しょう症やリウマチ、脊椎腫瘍、重度のヘルニア、血管疾患、重度の心疾患などがある場合、強い圧力や矯正を伴う整体は重大な合併症を引き起こす危険性があります。 また、整体院ではレントゲンやMRIによる画像診断ができないため、症状の背後に別の病気が隠れているかどうかを判断できません。ストレートネックの根本治療や原因の特定には、まず整形外科などの医療機関で正確な診断を受けることが重要です。 整体によるリスクを理解しておく 整体(手技療法)を受ける際には、施術に伴うリスクを理解しておく必要があります。施術後に首や肩のだるさ、頭痛やしびれ、疲れなどが出ることがあります。 国民生活センターの調査では、整体やカイロプラクティックなどで体に害が起きたという相談が5年間で825件ありました。(文献7)中には肋骨を骨折したり、神経を傷めるなど重いケガをした人もいます。 とくに高齢者や病気を持っている人は注意が必要です。整体やカイロプラクティックは国家資格を必要としないため、施術者によって技術レベルにばらつきがあるのが現状です。 整体は補助的な手段として考え、体の不調があるときはまず病院の受診をおすすめします。 医療機関で行われるストレートネックの治療法 治療法 詳細 運動療法・リハビリテーション ストレッチや体操、筋膜リリースによる筋肉の柔軟性向上と姿勢改善 物理療法 電気治療や温熱療法、牽引療法による筋緊張緩和と血行促進 薬物療法 消炎鎮痛薬や筋緊張緩和薬、外用薬、ブロック注射による症状緩和 生活習慣の改善指導 姿勢や作業環境の見直し、日常生活でのセルフケア指導 医療機関では、ストレートネックに対しレントゲンやMRIなどの画像診断を用いて状態を正確に評価し、根拠に基づいた治療が行われます。 リハビリや運動指導によって姿勢や筋力の改善を図り、日常生活での再発予防も不可欠です。また、症状に応じて薬物療法や物理療法も併用され、整体では対応できない範囲まで幅広くアプローチできます。医療機関では科学的根拠に基づいた多角的な治療を受けることができるのです。 運動療法・リハビリテーション ストレートネックの改善には、医療機関で行う運動療法やリハビリテーションが効果的です。姿勢の崩れや筋力・柔軟性の低下といった根本原因への直接アプローチが期待できます。 ストレッチや筋力トレーニングを通じて、首や肩の筋肉バランスを整え、正しい姿勢を保てる身体づくりを目指します。また、医師の診断や画像検査をもとに、個別の状態に応じた効果的なプログラムを提供します。さらに、日常の姿勢や生活習慣の指導も受けられるため、セルフケアの習慣化や再発予防にもつながります。 物理療法 物理療法(温熱療法、電気刺激療法、牽引療法など)は、画像診断や問診をもとに医師が症状や身体の状態に合わせて適切に選択・管理します。 筋肉の緊張緩和や血流改善、神経症状の軽減などが期待できる上に副作用やリスクも最小限に抑えられます。また、持病や既往歴を考慮して治療内容を調整できるため、患者ごとにきめ細かい対応が可能です。 医療機関では診断と治療が一貫して行われるため、ストレートネックの根本的な原因や重症度に応じた治療計画が立てられます。 一方、整体は主に手技による対症的なケアが中心で、医療的な診断や管理が行われないため、見逃される疾患やリスクが残る場合があります。物理療法は医療設備を活用し、整体では対応できない範囲まで幅広くアプローチできるのが特徴です。 薬物療法 薬物療法は、ストレートネックによる違和感や筋緊張、炎症の緩和に有効です。消炎鎮痛薬や筋弛緩薬により、症状を一時的に抑えることで、日常生活の負担を軽減できます。 また、医師による診断のもと、症状や体調に合わせた処方が行われるため、他の疾患の有無も確認しながら治療を継続できます。 ただし、薬物療法は根本的な改善を目的としたものではなく、副作用や長期使用による影響に注意が必要です。適切な運動や生活習慣の見直しとあわせて取り入れることが大切です。 生活習慣の改善指導 ストレートネックは、長時間のスマホやパソコン使用、悪い姿勢など、日常の習慣が大きく関係しています。医療機関では、そうした原因を見直すために、正しい姿勢や作業環境の整え方、適切な運動やストレッチ方法などを個別に指導します。 生活習慣の改善で、症状の緩和だけでなく再発予防にもつながり、長く健康な状態を保てるようになります。整体では得られにくい、医学的根拠に基づく具体的なアドバイスが受けられるのが利点です。 根本的なストレートネックの改善は整体でなく医療機関を受診しよう ストレートネックの根本的な改善には、まず医療機関での正確な診断と治療が欠かせません。整体は補助的なケアに過ぎず、医学的評価を受けずに施術を続けると症状が悪化する恐れもあります。首や肩の不調が続いたり、しびれやめまいなどの症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 ストレートネックの悪化にお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。椎間板の変性や神経の圧迫に対しては、再生医療が根本的な改善を目指す治療法のひとつとして注目されています。 ただし、再生医療はすべての患者に適用できるわけではないため、医師と相談しながら治療法を検討することが大切です。まずは医療機関を受診し、正確な診断に基づいた適切な治療計画を立てることが改善への第一歩となります。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 ストレートネックと整体に関するよくある質問 ストレートネックに対する整体は保険を適用できますか? ストレートネックのケアで整体を利用する場合、健康保険は適用できません。日本の法律で整体は医療行為とは認められておらず、公的な健康保険の対象外とされているためです。 整体は民間療法と聞きましたがどういう意味ですか? 民間療法とは、病院や医師に頼らずに行う昔ながらの健康法のことを指します。整体のほかに、ツボ押し・お灸・漢方・健康食品なども含まれます。これらは伝統や経験に基づいていますが、科学的な効果が十分に証明されていません。 整体もそのひとつであり、国家資格が不要なため、エビデンスに乏しく効果に限界があります。症状がある場合は、まず医療機関で適切な診断を受けましょう。 参考文献 (文献1) 手技による医業類似行為の危害 -整体、カイロプラクティック、マッサージ等で重症事例も- |独立行政法人 (文献2) 医業類似行為に対する取扱いについて|厚生労働省 (文献3) The curse of the straight neck aka loss of lordosis|SQUAREONE (文献4) Evidence-based treatment recommendations for neck and low back pain across Europe: A systematic review of guidelines|PubMed (文献5) Understanding Your Spine|CLAR (文献6) WHO Guidelines on Basic Training and Safety in Chiropractic (文献7) 手技による医業類似行為の危害 |独立行政法人国民生活センター
2025.07.31 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「健康診断で脂質の数値が気になると言われた」 「コレステロールが高めだけど、どこまでが問題なのかわからない」 このような不安を抱えていませんか? 脂質異常症は自覚症状がほとんどないまま進行することが多く、診断基準を正しく理解しておくことが早めの対策につながります。 本記事では、LDL・HDL・中性脂肪などの診断基準と再検査や治療が必要となる目安について解説します。 脂質異常症を放置すると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞といった重篤な疾患のリスクが高まります。 本記事を参考に、ご自身の検査結果を確認し、必要に応じて早めの受診や生活習慣の見直しを始めましょう。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、脳梗塞後の後遺症改善や再発予防といった、脳血管疾患に対する再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 将来的なリスクに備えて再生医療について知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 脂質異常症を判断する診断基準【基準値一覧】 脂質異常症の診断では、LDLコレステロール・HDLコレステロール・中性脂肪(トリグリセライド)・non-HDLコレステロールといった血中脂質の数値をもとに判断します。 これらの数値が基準を超えると、動脈硬化の進行リスクが高まるため注意が必要です。 まずは各項目の基準値を確認し、自分の検査結果がどこに該当するのかを把握しておきましょう。 診断項目 基準値 高LDLコレステロール血症 140mg/dL以上 境界域高LDLコレステロール血症 120~139mg/dL 高トリグリセライド(中性脂肪)血症(空腹時) 150mg/dL以上 高トリグリセライド(中性脂肪)血症(随時) 175mg/dL以上 低HDLコレステロール血症 40mg/dL未満 高Non-HDLコレステロール血症 170mg/dL以上 境界域高Non-HDLコレステロール血症 150~169mg/dL (文献1) 脂質異常症は、これらの数値が基準を超えることで診断されます。 一つでも基準値を外れると脂質異常症の可能性があり、複数項目に異常がある場合は動脈硬化のリスクがさらに高くなります。 とくにLDLコレステロールが160mg/dL以上、中性脂肪が400mg/dL以上、HDLコレステロールが30mg/dL未満のときは、動脈硬化や重症な急性膵炎などのリスクが高いため、医療機関での精密検査が必要です。(文献2) 以下の記事では、脂質異常症の異常値で起こりうる症状のひとつであるしびれについて詳しく解説しています。 LDL・HDL・中性脂肪の基準値と判断基準 脂質異常症の診断では、LDL・HDL・中性脂肪の3つがとくに重要です。 LDLコレステロール(悪玉) 増えすぎると血管の壁に蓄積し動脈硬化を進めるため、140mg/dL以上は脂質異常症と判断されます。 とくに160mg/dLを超える場合は、動脈硬化リスクが高く、早めの受診がすすめられます。 HDLコレステロール(善玉) 余分な脂質を回収する役割があるため、40mg/dL未満は要注意です。 HDLが低いほど、血管に負担がかかりやすい状態といえます。 中性脂肪(トリグリセライド) 150mg/dL以上で異常とされ、400mg/dLを超えると精密検査の対象になることがあります。 食事や生活習慣の影響を受けやすいため、食後採血か空腹時採血かも重要な判断ポイントです。 それぞれの数値は単独でも評価されますが、複数項目の異常が重なると動脈硬化のリスクがさらに高まるため、総合的な判断が必要です。 non-HDLコレステロールの評価が重視される理由 non-HDLコレステロールとは、血液中に含まれる動脈硬化の原因になりやすいコレステロールの総量を示す数値です。 LDLだけでなく、VLDL、IDL、レムナントなど、すべての悪玉系脂質をまとめて評価できる点が特徴です。 近年のガイドラインでは、このnon-HDLコレステロールがより正確にリスクを把握できる指標として重視されるようになりました。 とくに中性脂肪が高い場合は、LDLコレステロールだけでは動脈硬化のリスクを十分に評価できないため、non-HDLの数値確認が重要です。 non-HDLコレステロールは、食後でも比較的安定した値を示すため、随時採血で診断しやすい利点もあります。 LDLが正常でも、non-HDLが高ければ動脈硬化のリスクが考えられるため、健診では必ず確認しておきたい項目です。 総コレステロール「だけ」高い場合の見方 総コレステロールは、LDL・HDL・中性脂肪由来のコレステロールをすべて合計した数値です。 そのため、総コレステロールが高いからといって、すぐに脂質異常症と判断されるわけではありません。 たとえば、HDLコレステロール(善玉)が高いことで総コレステロールが上がっている場合、必ずしも危険ではなく、むしろ血管の健康状態は良好なケースもあります。 反対に、総コレステロールが正常範囲でも、LDLだけ高い場合は脂質異常症と診断されることがあります。 総コレステロールの数値を評価する際は、 LDLコレステロールが基準値内か HDLコレステロールが低くないか 中性脂肪が高くないか といった項目を合わせて確認する必要があります。 総コレステロール「だけ」を見ても正確な判断はできないため、血液検査の詳細項目を医師と一緒に確認し、自分の数値のどこに注意が必要なのか整理することが大切です。 健康診断の判定(A~D)と何が違う? 健康診断の判定(A〜D)は、あくまで「健康状態のスクリーニング(一次評価)」として用いられる指標です。 一方で、脂質異常症の診断基準は、医学的根拠に基づいて設定された「治療が必要かどうかを判断する数値」です。 この2つは似ているようで役割が異なります。 健康診断の判定では、総合的なリスクを簡易的に判断するため、境界値(少し高めの数値)でもC判定やD判定がつくことがあります。 これはあくまで「詳しい検査や生活改善が必要かどうか」を知らせるためのものです。 一方、脂質異常症の診断基準は、LDLコレステロール・HDLコレステロール・中性脂肪などの数値が医学的な基準値を超えているかどうかで判断されます。 同じC判定でも基準値に近い場合と、大きく超えている場合では必要な対応が異なるため、検査結果は個別に確認することが大切です。 健康診断の判定は目安として活用しつつ、基準値との比較や他の検査結果も合わせて医師の判断を受けることが、早期の対策につながります。 脂質異常症を疑うときの検査方法 脂質異常症が疑われる場合は、まず血液検査を中心に体の状態を確認します。 脂質の数値は体調や食事によって変動しやすいため、正確に判断するためには適切な検査方法を知っておくことが大切です。 ここでは、脂質異常症の診断でよく行われる検査について紹介します。 血液検査でわかること 脂質異常症が疑われる場合、まず血液検査を行い、血液中の脂質バランスを調べます。 測定される主な項目とその役割は以下の通りです。 検査項目 役割・意味 LDLコレステロール(悪玉) 増えすぎると血管壁に蓄積し、動脈硬化を進行させる HDLコレステロール(善玉) 余分なコレステロールを回収し、血管を守る 中性脂肪(トリグリセライド) エネルギー源だが、増えすぎると脂質バランスが崩れ、動脈硬化や急性膵炎のリスクを高める non-HDLコレステロール (総コレステロール−HDL) LDLだけでなく、動脈硬化の原因となるすべての悪玉系脂質をまとめて評価でき、総合的なリスク判断に有効 これらの数値は、現在の動脈硬化のリスクを客観的に評価し、生活習慣の見直しや治療の開始タイミングを判断するための大切な手がかりとなります。 再検査が必要な数値の目安 血液検査で脂質の異常が見られた際、軽度の変動は生活習慣による一時的な可能性もありますが、数値が明らかに基準値を大きく外れている場合は注意が必要です。 動脈硬化の進行や重篤な合併症リスクを考慮し、速やかに再検査や医師の診察を受けてください。 とくに下記の範囲に該当する場合は、精密検査を検討する目安とされています。 LDLコレステロール:160mg/dL以上 中性脂肪:400mg/dL以上(空腹時) HDLコレステロール:30mg/dL未満 また、「前回より急に悪化している」「複数の項目が同時に異常値」という場合も、早めの医療機関受診が安心です。 生活習慣の見直しをしても改善しないときは、他の病気が関係している可能性もあるため、自己判断せずに相談しましょう。 家族性脂質異常症(FH)の可能性 家族性脂質異常症(FH)は、生まれつきLDLコレステロールが非常に高くなりやすい遺伝性の疾患です。 一般的な生活習慣による脂質異常とは異なり、健康的な食事や運動をしていても数値が高くなることが特徴です。 LDLコレステロールが180mg/dL以上、あるいは200mg/dLを超える状態が続く場合は、FHの可能性を考える必要があります。 また、家族に「若い頃からコレステロールが高かった」「心筋梗塞を早期に発症した」方がいる場合も注意が必要です。 FHは遺伝的な背景が関係するため、家族歴は非常に重要な手がかりになります。 FHは放置すると動脈硬化が早期に進行し、心筋梗塞や狭心症のリスクが高まります。 疑いがある場合は、早めに医療機関での検査や専門的な治療の相談を行いましょう。 適切に管理することで、健康リスクを大きく減らせます。 脂質異常症の原因 脂質異常症は、食生活や運動習慣だけでなく、体質・基礎疾患・薬剤など、さまざまな要因が複雑に関わって起こります。 原因を正しく理解することで、改善方法や医療的な対応が明確になります。 原因 詳細 食生活の乱れと栄養バランスの偏り 飽和脂肪酸やコレステロールの過剰摂取、野菜や食物繊維の不足、糖質やアルコールの多量摂取 運動不足・喫煙・ストレスなどの生活習慣の乱れ 運動不足による代謝低下、喫煙によるHDLコレステロール(善玉)低下、ストレスや肥満による脂質代謝の悪化 遺伝や体質による要因 家族性高コレステロール血症(FH)などの遺伝的素因、体質による脂質代謝異常 基礎疾患や薬剤の影響による脂質異常症 糖尿病や甲状腺機能低下症などの基礎疾患、一部薬剤の副作用による脂質バランスの変化 脂質異常症の原因としては、脂っこい食事や野菜不足、糖質・アルコールの過剰摂取など食生活の乱れが挙げられます。 また、運動不足や喫煙、ストレスなどの生活習慣も脂質異常症に影響しやすく、とくにHDLコレステロールが減る原因となります。 さらに、遺伝や体質により脂質代謝が乱れやすい人もいます。 糖尿病や甲状腺の病気、一部の薬剤の影響でも脂質異常症を発症するおそれがあるため、原因を把握し、早急に対策することが大切です。 以下の記事では、脂質異常症と高脂血症の違いについて詳しく解説しています。 脂質異常症の治療法 脂質異常症の治療は、まず生活習慣の改善から始めます。 食事の見直しや運動習慣の定着によって、血中脂質は着実に改善しやすくなります。 これらを続けても数値が十分に下がらない場合や、リスクが高い場合には薬物療法が検討されます。 治療法 詳細 注意点 食事療法 摂取エネルギー量の調整、脂質・糖質の制限、食物繊維や魚・大豆製品の積極的摂取、バランスの良い食事 飽和脂肪酸やトランス脂肪酸、コレステロールの多い食品、過度な糖質やアルコールの摂取に注意 運動療法 有酸素運動や筋力トレーニングの定期的実施、適正体重の維持、基礎代謝の向上、脂質代謝の改善 急激な運動や無理な運動は避け、体力や持病に合わせて無理なく継続することが重要 薬物療法 スタチンやフィブラートなどの脂質低下薬の使用、医師の指導による継続的な投薬管理 副作用や他の薬剤との相互作用に注意し、自己判断で中止せず定期的な検査と診察を受けること いずれの治療法も自己判断で行うのではなく、医師の助言に従い適切に取り組むことが重要です。 生活習慣の改善と治療の継続が、動脈硬化や心疾患の予防につながります。 以下の記事では、脂質異常症の改善について詳しく解説しています。 食事療法 取り組み内容 期待できる効果 ポイント・目安 飽和脂肪酸・コレステロールの摂取を減らす LDLコレステロール(悪玉)の低下 肉の脂身・バター・卵・レバーなどを控える 食物繊維・野菜をしっかり摂る コレステロール吸収の抑制、LDL低下 食物繊維20~25g/日、野菜350g/日が目安 砂糖や精製炭水化物の摂取を控える 中性脂肪(TG)の上昇抑制 菓子・ジュース・白米・パンなどを控えめに 青魚(DHA・EPA)を積極的に摂る 中性脂肪(TG)の低下 サバ・イワシ・サンマなどを週2回以上 適正体重・エネルギーバランスを保つ 内臓脂肪減少・インスリン感受性向上、LDL・TGの正常化 標準体重×25~30kcal/日を目安 飽和脂肪酸の摂取を控え、不飽和脂肪酸を積極的に摂る LDL増加の抑制、HDLや非HDLのバランス改善、動脈硬化予防 オリーブ油・しそ油・青魚油などを活用 脂質異常症の治療で最も基本となるのが食事療法です。 飽和脂肪酸(肉の脂身やバター)やコレステロール(卵・レバーなど)の摂取を控え、青魚やオリーブオイル、ナッツ類など不飽和脂肪酸を積極的に取り入れることが重要です。 また、食物繊維を多く含む野菜や全粒穀物、海藻類を摂ることで、腸でのコレステロール吸収を抑え、血中LDLコレステロールの低下が期待できます。 食物繊維20〜25g/日、野菜を1日約350g摂ることが推奨されます。 中性脂肪(TG)を下げるためには、砂糖や精製炭水化物、甘い飲料の摂取を控え、青魚に含まれるDHA・EPAを意識して摂ることも効果的です。 適正体重の維持(標準体重×25〜30kcal/日)により、内臓脂肪の減少やインスリン感受性の改善とともに、LDL・TGの正常化が期待されます。 食事療法は薬を使わずに始められる基本の治療であり、生活習慣病全般の予防にもつながります。 運動療法 定期的な有酸素運動は脂質異常症治療に有効です。 中等度〜高強度の運動でHDLが6.6〜11.6%増加し、LDLが低下することが報告されています。(文献5) ウォーキングなどの継続的な運動は中性脂肪(TG)値を下げ、筋肉内のリポプロテインリパーゼ(LPL)活性を高めることで、効率的に中性脂肪を減少させます。 体脂肪・内臓脂肪が減るとインスリン感受性が改善し、LDL・TGの正常化を促します。 また、週150分以上の中等度運動は心筋梗塞や脳卒中などの心血管リスクを低減し、他の生活習慣病予防にも役立ちます。(文献6) 食事と並び、無理なく続けられる運動習慣を構築することが、血管を守る上で重要です。 薬物療法 LDLコレステロール(悪玉)は動脈硬化を進め、心筋梗塞や脳梗塞の原因となります。 まずは食事や運動での改善が基本ですが、効果が不十分な場合は薬物療法が有効です。 代表的な治療薬には、肝臓でのコレステロール合成を抑えるスタチン、腸での吸収を抑えるエゼチミブ、中性脂肪を下げるフィブラート系薬、注射でLDLを大幅に下げるPCSK9阻害薬などがあります。 糖尿病や腎疾患のある方、過去に心筋梗塞を経験した方にはとくに重要な治療法です。(文献7) 薬の効果や副作用は血液検査で定期的に確認し、医師が患者様一人ひとりに合わせて治療内容を調整します。 生活習慣の見直しと薬を組み合わせることで、将来のリスクを減らすことができます。 脂質異常症は治療前から予防が重要 脂質異常症は、気づかないうちに進行することが多い病気です。 数値が基準値をわずかに超えている段階でも、生活習慣を見直すことで改善が期待でき、将来的な動脈硬化のリスクを下げることにつながります。 そのため、治療が必要になる前から、日々の暮らしの中で予防を意識することが大切です。 予防法 詳細 食生活と適正体重の管理 脂肪分の多い食品を控え、野菜や魚、果物を中心としたバランスの良い食事、適正体重の維持 運動習慣を身につける 有酸素運動や筋力トレーニングの継続、基礎代謝の向上と脂質代謝の改善 禁煙と生活習慣の見直し 喫煙の中止、ストレス管理、十分な睡眠と適切な飲酒量の維持 定期的に健康状態をチェックする 健康診断や血液検査で脂質の状態を把握し、異常があれば早期対応 食生活と適正体重の管理 脂質異常症予防には、日々の食事と体重管理が重要です。 摂取エネルギーを消費に近づけることで、肝臓での中性脂肪・コレステロール合成を抑制できます。 また、体重の5〜10%減少により、LDL値や中性脂肪が改善し、HDLも増加するため、心血管リスクが低減されます。(文献8) バランスの取れた食事、つまり飽和脂肪・トランス脂肪酸の制限と食物繊維、オメガ-3脂肪酸の豊富な食品の摂取は、LDL低下とHDL増加に効果的です。 さらに、健康的な体重維持と良い食習慣は、血圧や血糖、内臓脂肪、炎症マーカーにも好影響を与え、総合的に動脈硬化リスクを下げます。 肉の脂身を控えて青魚や大豆製品、野菜・果物・海藻・きのこを意識的に取り入れ、間食やアルコール、甘い飲料を控えることが重要です。 そしてBMI25以上を目安に、急激ではなく無理のないペースで少しずつ減量を続けることが、継続的な改善と予防につながります。 運動習慣を身につける 脂質異常症を予防するためには、日常的に体を動かす習慣をつけることがとても大切です。 ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動を続けると、中性脂肪やLDLコレステロールが下がり、HDLコレステロールが増えやすくなります。 その結果、動脈硬化の予防にもつながります。 また、軽い筋力トレーニングで筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、脂質や糖の代謝がスムーズになります。 運動が苦手な方でも、階段を使う、通勤で一駅分歩くなど、日常の中でできることを取り入れるだけで十分効果があります。 効果 詳細 中性脂肪・LDL低下 有酸素運動を続けることで、中性脂肪(トリグリセライド)やLDLコレステロール(悪玉)が減りやすくなる HDL増加・リスク低下 運動でHDLコレステロール(善玉)が増え、動脈硬化や心血管疾患リスク低下 体脂肪・内臓脂肪減少 継続的な運動により内臓脂肪や体脂肪が減少し、肥満・メタボ予防につながる 基礎代謝上昇 筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、脂質や糖の代謝が整いやすくなる 生活習慣病全般の予防 運動が血圧・血糖も整え、生活習慣病全体の改善・予防につながる 無理のない範囲で継続することが、脂質異常症の効果的な予防法です。 禁煙と生活習慣の見直し 脂質異常症の予防には禁煙が不可欠です。 喫煙はHDL(善玉)コレステロールを低下させ、動脈硬化を進行させますが、禁煙により改善が期待できます。 さらに、運動や食事など他の健康習慣への意識も高まり、生活全体の改善に貢献します。 過度な飲酒や睡眠不足、ストレスも脂質代謝に悪影響を及ぼすため、リラックスできる時間を意識的に確保し、生活習慣の見直しが大切です。 脂質異常症は自覚症状がほとんどないまま進行するため、早めの対策が重要です。 定期的に健康状態をチェックする 脂質異常症は自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに進行することがあります。 そのため、年1回の血液検査でHDLやLDL、中性脂肪の変化をチェックすることが予防につながります。 検査結果は、生活習慣を見直す手がかりとなるだけでなく、高血圧や糖尿病など他の病気のリスクを早期に発見する上でも役立つため、毎年欠かさず受けることが大切です。 また、薬を服用している場合には、効果や副作用を評価するためにも定期検査が欠かせません。 健康を守る第一歩として、定期的にチェックを行う習慣を身につけましょう。 脂質異常症の診断基準値が高い方は早めに医療機関へ 健康診断でLDLコレステロールや中性脂肪の値が基準より高い場合、放置せず医療機関を受診することが重要です。 脂質異常症は自覚症状がないまま進行し、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクを高めます。 とくに数値が大きく基準を超えている場合や、複数項目に異常がある場合は注意が必要です。 放置せず、医師の評価を受けて治療方針を立てましょう。 脂質異常症の診断基準が高いと指摘された方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 当院では、脂質異常症と深く関わる糖尿病などの疾患に対して、再生医療を治療の選択肢のひとつとしてご提案します。 脂質異常症の診断基準に関するよくある質問 数値が少し高いだけなら様子見で大丈夫? 健康診断で「少しだけ高い」と言われても、放置はおすすめできません。 脂質異常症は自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに動脈硬化が進むことがあるためです。 ただし、数値がわずかに基準を超えているだけで、すぐに薬の治療が始まるわけではありません。 まずは生活習慣の見直し(食事・運動・禁煙など)が基本となり、3か月ほど経過を見て再検査するのが一般的です。 痩せていても脂質異常症になりますか? 痩せ型の人でも脂質異常症になることはあります。 体重だけでは脂質バランスは判断できず、遺伝体質・食習慣・ストレス・運動量などさまざまな要因が関わっています。 とくに、痩せていても LDLコレステロールが高い 中性脂肪が高い HDLコレステロールが低い といったパターンは珍しくありません。 「太っていないから大丈夫」と思っている人ほど、血液検査で初めて異常が見つかるケースもあります。 痩せ型の人も、数値が気になるときは油断せず、定期的に検査を受けることが大切です。 家族に脂質異常症の人がいるのですが自分も検査すべき? 家族に脂質異常症の人がいる場合、自分も検査を受けることをおすすめします。 とくに家族性脂質異常症(FH)は遺伝的にLDLコレステロールが上がりやすい病気で、家族に同じ傾向が見られることが多いです。 FHは遺伝性の疾患で、親がFHの場合、子どもに遺伝する可能性は50%あります。(文献9) また、LDLコレステロールが180mg/dL以上、または家族歴がある場合は、FHの可能性が高くなります。(文献10) 早期に発見すれば、薬による治療や生活習慣の改善により、心筋梗塞や脳卒中のリスク減少が期待できます。 また、検査は20歳前後で受け、その後も定期的なフォローが推奨されています。 ホルモンバランス(更年期)は関係ありますか? 更年期は脂質のバランスが変化しやすい時期です。 女性ホルモン(エストロゲン)の減少によって、脂質の代謝が乱れやすくなるため、 LDLコレステロールが上がりやすい 中性脂肪が増えやすい HDLコレステロールが低下しやすい といった変化が起こることがあります。 更年期のタイミングで数値が悪化した場合は、生活習慣の見直しと定期的な検査がとても大切です。 必要に応じて医師と相談し、無理なく続けられる改善策を選びましょう。 まとめ|脂質異常症の診断基準を知り早めの対策につなげよう 脂質異常症は自覚しにくい一方で、放置すると動脈硬化が進み、将来的に心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気につながる可能性があります。 そのため、LDL・HDL・中性脂肪といった診断基準を正しく理解し、数値の変化に早めに気づくことが大切です。 数値が基準を少し超えただけでも、生活習慣を見直すことで改善できる場合があります。 食事の工夫や運動習慣の追加など、自分にできる範囲から始めることが対策として重要です。 また、数値が高いまま続く場合や、家族に脂質異常症の人がいる場合は、医療機関での検査や治療を早めに検討しましょう。 診断基準を知ることは、将来の健康を守るための大切な指標になります。 日々の習慣を整えながら、無理なく続けられる改善を積み重ねていきましょう。 参考文献 (文献1) 脂質異常症の診断基準|生活習慣病オンライン (文献2) 脂質異常症の検査と治療の最前線|2020年度日本内科学会生涯教育講演会Cセッション (文献3) 家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)(指定難病79)|難病情報センター (文献4) 家族性高コレステロール血症(FH)とは?|一般社団法人日本動脈硬化学会 (文献5) Moderate‐ and High‐Intensity Exercise Improves Lipoprotein Profile and Cholesterol Efflux Capacity in Healthy Young Men|AHA|ASA JournaIs (文献6) 疾病予防および健康に対する 身体活動・運動の効用と実効性に影響する要因|運動基準・指針の改定のための検討会資料 (文献7) A review of low-density lipoprotein cholesterol, treatment strategies, and its impact on cardiovascular disease morbidity and mortality|ScienceDirect (文献8) How to Lower Triglycerides & LDL Cholesterol|EatingWeII (文献9) What to Do If Your High Cholesterol Is Genetic|TIME (文献10) Application of the Japanese Guidelines for the Diagnosis of Familial Hypercholesterolemia in General Practice:|PMC pubMed CentraI
2025.07.31 -
- その他、整形外科疾患
「最近、肩や首に違和感がある」 「重大な症状に発展するのではないか」 デスクワークやスマートフォンの使用が増えたことで、首や肩に不調を感じる人が増加しています。その違和感は、ストレートネックと呼ばれる症状が原因かもしれません。 本記事では、ストレートネックについて現役医師が詳しく解説します。 ストレートネックが重症化する前に確認しておくべきポイント ストレートネックになる原因 ストレートネックの改善・予防方法 最後には、ストレートネックに関するよくある質問をまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 ストレートネックが原因で起こる椎間板の変性やヘルニア、神経の圧迫など、気になる症状がある方はぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ストレートネックとは 症状 内容 首・肩のコリ・だるさ・違和感 首や肩の筋緊張、重さ、硬さ、 慢性的なこわばりを伴う 頭痛・めまい・耳鳴り・吐き気 血流悪化や神経圧迫による頭痛、めまい、自律神経の乱れ 手や腕のしびれ・冷感 首の神経圧迫によるしびれ、冷感、筋出力低下 疲労感・倦怠感、および胸郭の可動制限による浅い呼吸 全身の疲れやすさ、呼吸の浅さ、睡眠の質低下 自律神経の不調 動悸、消化不良、便秘、頻尿、発汗異常 重症時のリスク 椎間板ヘルニア、頚肩腕症候群の発症 ストレートネックとは、首の骨(頚椎)が本来持つゆるやかなカーブを失い、まっすぐに近い状態になることを指します。近年では、スマートフォンやパソコンの長時間使用などで発症が増加しています。 正常なカーブが失われると、頭の重みがダイレクトに首にかかり、首・肩のこりや頭痛、めまい、しびれなど多彩な症状を引き起こすため、重症化する前に早期の対応が大切です。 ストレートネックが重症化する前に確認すべきポイント5選 確認すべきポイント 詳細 首・肩の不快感と可動域の低下 首や肩の筋緊張、可動域制限、慢性的な違和感や重さ 頭痛・めまい・自律神経症状の出現 血流悪化や神経圧迫による頭痛、めまい、自律神経の乱れ 手足のしびれ・冷えなど神経症状 神経圧迫による手足のしびれ、冷感、力の入りにくさ 猫背・前かがみなど姿勢の崩れ 無意識の猫背、前かがみ、姿勢バランスの乱れ 姿勢の崩れをチェック 壁立ちで後頭部がつかない、首のラインの直線化 ストレートネックが重症化すると血流の悪化やめまいだけでなく、椎間板ヘルニアなどを発症するおそれがあります。確認すべきポイントのひとつは、首や肩の筋肉に常時緊張が見られる場合です。動かしづらいと感じた場合は要注意です。 さらに、頭痛やめまい、動悸などの自律神経症状がある場合は、首の状態が悪化している可能性があります。また、姿勢が崩れて猫背や前かがみになっている状態は、首に余計な負担がかかっている証拠です。 これから紹介するポイントが当てはまる方は、重症化する前に早い段階で医療機関を受診しましょう。 1. 首・肩の不快感と可動域の低下 ポイント 解説 筋肉の硬さ・慢性的なこわばり 首・肩の筋緊張、重さ、硬さ、僧帽筋・肩甲挙筋の慢性疲労 首の動きがぎこちない・制限される 首の可動域低下、後屈困難、動作時の違和感やぎこちなさ 日常生活での支障や要注意サイン 神経圧迫による手のしびれ・冷感、椎間板変性リスク、日常動作 首や肩のこわばりや動かしにくさを感じる場合、ストレートネックの初期兆候かもしれません。とくに、後方を振り向く動作や上を向く際に違和感や可動域の制限がみられる場合は、前弯が減少している兆候といえます。 筋緊張の持続は血流を阻害し、症状の慢性化を招きます。こうした変化に早期に気づき、姿勢の改善やストレッチなどのセルフケアを取り入れることが、症状の進行を抑える上で不可欠です。 2. 頭痛・めまい・自律神経症状の出現 確認すべきポイント 説明 頭痛・めまい 首筋緊張による血流悪化、神経圧迫、頭痛やふらつき、慢性的な頭重感 耳鳴り・ふわふわ感 三半規管や自律神経への影響、耳鳴り、バランス障害、浮遊感 自律神経の乱れ(ストレス症状含む) 交感神経過緊張、動悸、不眠、消化不良、異常発汗、慢性倦怠感 ストレートネックが進行すると、首の骨や筋肉が神経や血管を圧迫しやすくなり、その影響で頭痛やめまい、ふらつきなどの症状が繰り返し現れるようになります。 とくに首の緊張によって血流が悪化すると、脳への血液循環が滞りやすくなり、頭の重さや不快感が慢性化するケースもあります。また、耳鳴りやふわっと浮く感覚は、平衡感覚をつかさどる三半規管や神経系への影響が原因です。 さらに、自律神経の働きが乱れると、動悸、不眠、消化不良、手足の冷えなど、さまざまな体調不良が起こることもあります。これらの症状は、ストレートネックが原因で起きている可能性が高く、単なる首や肩のこりとは異なり、全身の健康に関わる問題です。不調が続く場合は、早急に医療機関を受診しましょう。 3. 手足のしびれ・冷えなど神経症状 ストレートネックが進行すると、首にかかる負担が増し、頚椎から伸びる神経が圧迫されやすくなります。その結果、手や腕にしびれやチクチク感、冷え、感覚の鈍さ、さらに力が入りにくいといった神経症状が現れることがあります。この症状は、神経根症と呼ばれ、ストレートネックによる神経障害のサインです。 しびれが数日以上続く、脱力やふらつきがある、感覚が明らかに低下しているといった症状がみられる場合、病状の進行や頚椎椎間板ヘルニアなどの合併症が疑われます。これらの神経症状は、放置すれば日常生活に支障をきたし、重症化するリスクがあります。 手足のしびれや冷え、力の入りにくさなどが続く場合は、早急に医療機関を受診し、適切な評価と対処を受けることが重要です。 4. 猫背・前かがみなど姿勢の崩れ 猫背や前かがみの姿勢は、ストレートネックの進行を示す重要なサインです。このような姿勢の崩れは、首の骨(頚椎)が本来持つ自然なカーブを失わせ、構造的な変化を引き起こします。とくに頭が前に出ると首への負担が大きくなり、わずか1cmのズレでも約2.7kgの重さが加わるといわれています。 その結果、首への負荷が増し、負傷のリスクも高まります。猫背が習慣化すると血流が悪化し、肩こりや頭痛に加えて、めまい、耳鳴り、慢性的な疲労など、全身に症状が広がることもあります。こうした進行を防ぐには、日常的に姿勢を確認することが大切です。 5. セルフチェックで形状を確認 セルフチェック方法 チェック内容 壁を使ったセルフチェック かかと・お尻・肩甲骨を壁につけ、後頭部が壁に自然と接すれば正常。無理につけようとして違和感がある場合は要注意 仰向けで寝るチェック 枕を使わず仰向けで寝て、あごが突き出る・首肩に違和感がある場合はストレートネックの疑い 横から写真を撮る方法 耳・肩・骨盤が一直線かを確認。耳が肩より前に出ていれば姿勢異常の可能性が高い ストレートネックが気になる場合は、自宅でできる簡単なセルフチェックがあります。代表的なのは壁を使った方法で、かかと・お尻・肩甲骨を壁につけて立ち、あごを軽く引いた状態で後頭部が自然に壁につけば正常です。つかない場合や、無理につけると首に違和感がある場合は要注意です。 また、枕を使わずに仰向けで寝たときにあごが上がったり、首や肩に張りを感じたりする場合も、ストレートネックの可能性があります。横から写真を撮り、耳・肩・骨盤が一直線になっているかを確認する方法も効果的です。 これらは目安にすぎませんが、違和感が続く場合は早めに医療機関で相談し、必要に応じて画像検査などを受けることが大切です。 ストレートネックになる原因 ストレートネックになる原因 詳細 前かがみ姿勢(スマホ・PC・視力) 長時間のうつむき姿勢、前傾姿勢、視線の低さ 筋緊張と運動不足による筋性変化 首・肩周囲の筋緊張、筋力低下、柔軟性低下 寝具・枕など睡眠環境の影響 高すぎる枕、合わない寝具、寝姿勢の乱れ 姿勢不良(猫背)とデスク環境の問題 猫背、背中の丸まり、不適切なデスク・椅子の高さ 遺伝・骨格・既存の頚椎障害 生まれつきの骨格、頚椎の疾患や外傷歴 ストレートネックは、日常の生活習慣や身体の使い方が積み重なることで徐々に進行します。スマホやパソコンの長時間使用、運動不足、睡眠環境の乱れなどが原因となることが多く、無意識のうちに首に負担をかけているケースが少なくありません。 前かがみ姿勢(スマホ・PC・視力) 原因 詳細 首への過剰な負荷が構造に影響 頭が前に傾くことで首への重量負担が増加(15°で約12kg、30°で約18kg) S字カーブの消失 継続的な前傾姿勢により、頚椎の正常な弯曲が失われ、構造が直線化 疲労による回復力の低下 長時間の姿勢維持で筋肉が緊張・疲労し、柔軟性や姿勢回復力が低下 スマートフォンやパソコンの長時間使用により、首が前に突き出た前かがみ姿勢が続くと、首にかかる負担が急激に増します。頭が前に15度傾くだけで首にかかる負荷は約12kgになり、正常なS字カーブは失われやすくなります。 このような姿勢は、首や肩の筋肉が緊張し続ける原因です。疲労が蓄積して硬くなり、ストレートネックへと進行します。画面の位置を目線の高さに調整し、定期的に姿勢をリセットすることが予防のポイントです。 筋緊張と運動不足による筋性変化 原因 詳細 筋力低下による姿勢保持の困難 首や肩まわりの筋力低下による頚椎の前弯支持の喪失 同一姿勢による筋肉の硬直 長時間の前かがみ姿勢による筋緊張と筋バランスの崩れ 血流低下による柔軟性の低下 筋硬直による血行不良と筋肉のこわばりの持続 ストレートネックの原因には、筋緊張と運動不足による筋性の変化が大きく関わっています。デスクワークやスマートフォンの使用で同じ姿勢を続けると、首や肩の筋肉が硬くなり、頚椎の自然なカーブを支えられなくなります。 また、運動不足による筋力の低下は、頭を支える力が弱まり、姿勢が崩れやすくなる要因です。 すると一部の筋肉に過度な負担がかかり、さらに緊張が強まって柔軟性も低下します。このような状態が続くことで頚椎の配列が乱れ、ストレートネックが進行します。予防には、適度な運動と筋肉の柔軟性を維持することが大切です。 寝具・枕など睡眠環境の影響 原因 内容 枕の高さ・硬さが合わないこと 頚椎の自然なカーブの崩れ、筋肉や神経への負担 長時間の不自然な固定姿勢 就寝中の頚椎への継続的な圧力と歪みの蓄積 不適切な枕が、筋肉や椎間板に悪影響を及ぼす 首周りの筋緊張、血流低下、椎間へのストレス増加 睡眠環境はストレートネックの発症や悪化に深く関与します。とくに枕の高さや硬さが合わないと、首の自然なカーブが崩れ、筋肉や神経に負担がかかります。高すぎる枕は首を突き出し、低すぎる枕は支えが不十分になるため、仰向けでは1〜6cm、横向きでは肩幅に合わせて4〜10cmが理想的です。 また、長時間同じ姿勢や寝返りしにくい寝具も頚椎に負荷をかけ、ストレートネックの原因になります。枕は定期的に見直し、首に合った高さ・硬さを選ぶことが重要です。 姿勢不良(猫背)とデスク環境の問題 要注意 詳細 首が常に前に出る、姿勢の崩れ 猫背・前かがみ姿勢の継続、首と頭の前突、頚椎カーブの消失 デスクと椅子の高さが合わないと負担増加 肩の持ち上がり、前かがみ、肘角度不適切、姿勢バランスの乱れ 首にかかる負担の増大 頭部重量による首への負担増大、筋肉・関節へのストレス 筋肉の過緊張 首・肩の筋肉緊張・硬直、血流悪化、慢性肩こり・首こり 神経圧迫 椎間孔狭小化による神経圧迫、しびれ・冷感・脱力感 全身的影響 血流・神経伝達の滞り、自律神経の乱れ、頭痛・めまい・浅い呼吸・倦怠感 猫背や背中の丸まりは、首の位置を前方に引き出す原因となり、首にかかる負担を大きくします。頭部は体重の約10分の1の重さがあり、前かがみ姿勢が続くとその重みが首に集中します。 とくにデスクワークや在宅勤務で長時間同じ姿勢をとる方は要注意です。椅子や机の高さが合っていないと、肩が上がったり背中が丸まり、頚椎の自然なカーブが崩れてストレートネックが進行しやすくなります。首こりや神経症状を防ぐには、作業姿勢と環境の見直しが大切です。 遺伝・骨格・既存の頚椎障害 ストレートネックの発症には、遺伝や骨格的な特徴、そして既存の頚椎障害が関与する場合があります。たとえば、親から受け継いだ体型や頚椎の構造により、生まれつき首のカーブが浅く、ストレートネックになりやすい方がいます。 このようなケースは、骨性ストレートネックと呼ばれ、骨格そのものが原因です。姿勢や生活習慣の見直しだけでは十分な改善が得られないことがあります。 また、外傷による頚椎の損傷や、加齢に伴う椎間板の変性・靭帯の変化なども、頚椎の自然なカーブを損ないやすく、ストレートネックのリスクを高めます。 このような構造的な要因が疑われる場合は、早期に医療機関を受診し、レントゲンやMRIによる精密検査を受けることが重要です。診断結果に応じて、理学療法や装具の使用など、専門的な治療を適切なタイミングで行うことで、進行の抑制や症状の緩和が期待できます。 ストレートネックは生活習慣だけでなく、個々の身体構造とも深く関係するため、早期の理解と対応が大切です。 ストレートネックの改善・予防方法 改善・予防方法 詳細 注意点 姿勢と環境の見直し デスク・椅子の高さ調整 数分ごとの休憩 首と肩周りのストレッチ・筋力運動 首の前後左右ストレッチ、肩甲骨回し、首後方筋の強化運動、タオルストレッチ 違和感があれば中止、反動をつけずゆっくり実施 睡眠環境を整える 首のカーブを保てる枕選び、適度な高さ・硬さの寝具、寝返りしやすい環境 枕の定期的な見直し・交換、高すぎる・低すぎる枕の回避 生活習慣の改善 スマホ・PC使用時間の制限、適度な運動、こまめな休憩、正しい座り方の習慣化 無理な運動や長時間の同一姿勢の回避、日々の継続が重要 ストレートネックの改善・予防には、日常生活の中で姿勢や環境を見直すことが重要です。デスクや椅子の高さを調整し、パソコンやスマートフォンは目線の高さで使うように心がけましょう。また、首や肩まわりのストレッチや筋力運動を取り入れることで、筋肉の柔軟性と安定性が保たれ、首への負担を軽減できます。 さらに、首の自然なカーブを保てる枕や適度な硬さの寝具を使用するなど、睡眠環境の整備も効果的です。スマホやパソコンの使用時間を制限し、適度な運動やこまめな休憩、正しい座り方を習慣づけることで、無理なく継続的に予防ができます。 改善や予防は自己判断で行わず、医師の指導のもとで実施し、異変があればすぐに中止して医師に相談することが大切です。 姿勢と環境の見直し ストレートネックの予防・改善には、姿勢と生活環境の見直しが基本です。猫背や頭が前に出た姿勢を長時間続けると、首の骨(頚椎)の自然なカーブが失われ、ストレートネックの原因になります。デスクワークやスマートフォンの操作中は無意識に姿勢が崩れやすいため、日常的に正しい姿勢を意識することが大切です。 また、机や椅子の高さ・配置が体に合っていないと、前かがみや猫背になりやすく、首や肩への負担が増します。パソコンの画面を目線の高さに合わせ、椅子に深く座ることで正しい姿勢が保ちやすくなります。環境を整えることは、ストレートネックの進行や再発を防ぐ上でも効果的です。 さらに、作業の合間にストレッチを取り入れることで筋肉の緊張が和らぎ、首のカーブを維持しやすくなります。姿勢と環境の改善はストレートネックへの根本的な対策です。 首と肩周りのストレッチ・筋力運動 目的・効果 詳細 注意点 筋肉の強化で正しい姿勢を維持できる 深部屈筋・肩甲骨周辺筋の強化、前方頭位の改善、頚椎の正しい位置保持 無理な負荷や急激な運動の回避 筋肉を伸ばしてバランスをとる 首後部・前部・肩周辺のストレッチ、血流改善、柔軟性向上、神経圧迫の軽減 違和感があれば中止する 慢性症状の予防・改善 筋緊張の緩和、柔軟性・筋力の向上 慢性的な首・肩こりの軽減と再発予防 日常動作での負荷軽減 顎引き(チン・タック)、肩甲骨寄せの習慣化 日常での首の負担軽減、姿勢の自動安定 ストレートネックの改善には、首や肩の筋肉を適度に動かすことが有効です。ストレッチにより筋肉の硬さがほぐれ、血流が促進されることで、神経の圧迫も軽減されます。慢性的な首や肩のこりの改善や再発予防が期待でき、簡単な体操を日常に取り入れることで首への負担も軽減できます。 ただし、違和感がある場合や、反動をつけた運動は避け、無理のない範囲で行うことが重要です。可能であれば、医師の指導のもとで実施しましょう。 睡眠環境を整える ポイント 内容 首のカーブ維持 枕や寝具の高さ・硬さ適正化で頚椎の自然な前弯を保つ 寝具の選択 高すぎる枕・柔らかすぎる寝具は首のカーブ消失リスク 筋肉の緊張予防 適切な寝具で首・肩の筋肉や関節への負担軽減 寝返りサポート 高反発素材・広い枕で寝返りしやすく血行促進 姿勢の安定 仰向け・横向きでも首と背骨が一直線になる設計が重要 睡眠の質向上 良い睡眠環境で深い眠り・体の回復力向上 日常ケアとの連動 姿勢・運動と同様に毎日続けやすい予防策 ストレートネックの改善や予防には、就寝中も首の自然なカーブを保つことが重要です。高すぎる枕や柔らかすぎる寝具は、首を不自然な位置に固定し、筋肉や関節に負担をかける原因になります。 自分に合った枕やマットレスを使うことで筋肉の緊張を防ぎ、首や肩の疲労回復を促せるほか、高反発素材の枕や寝返りしやすい構造の寝具を選ぶことで首への圧力が分散され、質の良い睡眠につながります。 仰向けや横向きで寝たときに首と背骨が一直線になるよう環境を整えることで、日中の姿勢改善と連動したケアができ、ストレートネックの予防や改善に効果的です。 生活習慣の改善 ポイント 内容 長時間のうつむき姿勢の回避 スマホやパソコン使用中の前かがみ姿勢を改善し、こまめな休憩を取り入れる 適度な運動とストレッチの習慣 首・肩の筋力と柔軟性を高める軽運動の習慣化 正しい姿勢の習慣化 背筋を伸ばし、頭を前に出さない姿勢を保ち、画面は目線の高さに調整 睡眠環境の見直し 枕や寝具の適正な選定による、睡眠中の首への負担軽減 ストレートネックの改善・予防には、日常の姿勢や行動を見直すことが重要です。スマホやパソコンの長時間使用による前かがみ姿勢は、首に負担をかけ、自然なカーブを失わせる原因になります。日常的にストレッチや軽い運動を行い、首や肩の柔軟性を保つことが効果的です。 頭を前に出さず、背筋を伸ばして座る姿勢を意識し、画面の位置を目線の高さに合わせることも負担軽減につながります。さらに、枕やマットレスが合っていない場合、睡眠中も首に負担がかかるため、寝具の見直しも欠かせません。こうした生活習慣の改善は、ストレートネックを根本から予防・改善するための対策のひとつです。 改善しないストレートネックは放置せずに受診しよう インターネットの普及により長時間のスマートフォンやパソコン使用が増えたことで、ストレートネックに悩む人が増加しています。ストレートネックが進行すると、頭痛や吐き気に加え、椎間板ヘルニアや頚肩腕症候群などを引き起こすおそれがあります。 予防や改善を続けても改善しない場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。改善しない、症状の悪化にお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。ストレートネックが原因で起こる椎間板の変性やヘルニア、神経の圧迫に対しては、再生医療が有効な治療法の一つとして注目されており、根本的な改善につながる可能性があります。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 ストレートネックに関するよくある質問 ストレートネックは整体で改善しますか? 軽度のストレートネックであれば、整体による筋肉や骨格のバランス調整が症状の緩和につながることがあります。ただし、激しい違和感や長期間続く症状、手足のしびれがある場合は、椎間板ヘルニアなどの神経疾患が隠れている可能性があるため、まずは医療機関での診断が必要です。 以下の記事では、ストレートネックは整体で予防できるかの有無について詳しく解説します。 ストレートネックは筋トレで予防できますか? ストレートネックは筋トレで予防可能です。首や肩の筋肉を鍛えることで、頭を正しい位置で支えやすくなり、姿勢の崩れを防ぎやすくなります。とくに首の前後・左右の動きや肩甲骨周りのトレーニングが推奨されます。 ただし、違和感やしびれがある場合は神経の異常が隠れていることがあるため、自己判断での運動は避け、まず医療機関での診断を受けましょう。 以下の記事では、ストレートネックは筋トレで予防できるかの有無について詳しく解説しています。 ストレートネックは何科を受診すれば良いですか? ストレートネックが疑われる場合は、まず整形外科を受診するのが適切です。 整形外科では、レントゲンやMRIなどの画像検査を用いて、頚椎の状態や神経の圧迫の有無を詳しく確認します。症状に応じて、リハビリや薬物療法が行われ、必要に応じて他の診療科と連携した治療も提供されます。
2025.07.31 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
健康診断で脂質異常症と指摘され、「どう改善すればいいの?」と不安を感じていませんか。 放置すると動脈硬化や心筋梗塞につながることがあるため、早めの対策が大切です。脂質異常症の改善には、食事・運動・飲み物選びなど、日々の生活習慣を見直すことが効果的とされています。 本記事では、脂質異常症を改善するための食事や運動方法、日常に取り入れやすいお茶の選び方について解説します。 脂質異常症は放置すると動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などにつながることがあり、これらの疾患には再生医療による治療の選択肢もあります。 気になる症状がある方は、ぜひ一度当院「リペアセルクリニック」の公式LINEにご登録ください。 脂質異常症の改善には食事と運動が重要 脂質異常症は、血液中のLDLコレステロールや中性脂肪が高い、またはHDLコレステロールが低い状態を指します。 以前は「高脂血症」と呼ばれていましたが、脂質が高いだけでなく低い場合も健康に影響することから、現在は「脂質異常症」という名称が使われています。(文献1)健康診断では今も「高脂血症」という表現を見ることがあり、両者は同じ概念です。 この脂質異常症を改善するためには、日々の食事と運動を整えることが基本になります。脂質の摂りすぎや運動不足が続くと数値が上がりやすいため、食事の選び方を意識したり、軽い運動を習慣にしたりすることが大切です。 無理なく続けられる工夫を取り入れることで、改善につながりやすくなります。 【関連記事】 【医師監修】脂質異常症の診断基準|総コレステロールなど各数値の正常値と治療法を解説 脂質異常症と高脂血症の違いを医師が解説! 脂質異常症を改善する食事のポイント 脂質異常症の改善には、食事内容を整えることがとても重要です。 脂質の摂り方や食品の選び方によって、LDLコレステロールや中性脂肪の数値は大きく変わります。控えたい食品と積極的に摂りたい食品を意識することで、日常の食事でも無理なく改善につなげることができます。 とくに、脂質の質、食物繊維の量、調理方法を見直すことがポイントです。毎日の食事から少しずつ改善していきましょう。 控えたい食べ物(飽和脂肪酸・糖質・揚げ物) 脂質異常症の改善には、飽和脂肪酸や糖質の摂りすぎに注意する必要があります。 これらを多く含む食品は、LDLコレステロールや中性脂肪が高くなりやすいため、量や頻度を控えることが大切です。 【控えめにしたい食品例】 項目 代表的な食品 理由 飽和脂肪酸が多い食品 バター、ラード、脂身の多い肉、ソーセージ、クロワッサン LDLコレステロールが上がりやすい 糖質の摂りすぎにつながる食品 白米、パン、麺類、菓子類、甘い飲み物 中性脂肪が増えやすい 揚げ物・油が多い料理 フライドポテト、唐揚げ、天ぷら、とんかつ 調理過程で脂質が増加する 【控える際のポイント】 完全に避ける必要はなく、「量」と「頻度」を調整する 揚げ物は週に数回ではなく、週1回程度に抑える 肉は脂身の少ない部位や鶏むね・ささみなどに置き換える 主食(白米・パン)の量を調整し、食物繊維の多い副菜を増やす 積極的に摂りたい食べ物(食物繊維/EPA・DHA) 脂質異常症の改善には、LDLコレステロールの吸収を抑える食品や、中性脂肪を下げる働きのある食品を積極的に取り入れることが大切です。とくに食物繊維とEPA・DHAは食事改善の中心となる成分です。 【積極的に取り入れたい食品例】 項目 代表的な食品 期待できる働き 食物繊維を多く含む食品 玄米・雑穀、海藻、きのこ類、野菜、豆類 食後の血中脂質の上昇を抑えやすい EPA・DHAを多く含む魚 さば、さんま、いわし、鮭、まぐろ 中性脂肪を下げる働きがある 良質な脂質を含む食品 オリーブオイル、アボカド、ナッツ類 飽和脂肪酸の置き換えに適している 【取り入れる際のポイント】 野菜や海藻類は「毎食」取り入れるのが理想 魚(とくに青魚)は週2~3回を目安に食卓へ 調理の油は、バターやラードよりオリーブオイルを優先 ナッツは食べすぎると脂質が増えるため1日10〜20g程度にとどめる 脂質異常症改善の献立例 脂質異常症の改善には、「脂質を減らす」よりも質の良い脂質を選ぶ・食物繊維を増やす・糖質を摂りすぎないことが大切です。 以下は、日常に取り入れやすい献立例です。 朝食例(糖質控えめ+食物繊維アップ) オートミール+無脂肪ヨーグルト+ベリー類→食物繊維・ポリフェノールが豊富でLDL対策に◎ ゆで卵/卵焼き(油少なめ)→良質なたんぱく質で満腹感が続く 昼食例(脂質控えめ・野菜たっぷり) サバの味噌煮/サバ缶アレンジ→EPA・DHAで中性脂肪対策に◎ 玄米ごはん/雑穀米→食物繊維が多く血糖急上昇を予防 具だくさん味噌汁(豆腐・わかめ・野菜)→満腹感アップ&カロリー調整 夕食例(低脂質・高タンパク・食物繊維) 鶏むね肉のグリル/豆腐ハンバーグ→脂質が少なくたんぱく質をしっかり補給 ひじき・切り干し大根・ほうれん草おひたし→不溶性+水溶性食物繊維でコレステロールにアプローチ 間食のおすすめ(どうしても食べたい時) ナッツ(無塩・小袋で量を調整) 高カカオチョコレート(1日10g程度) こんにゃくゼリー、ヨーグルト 献立を考えるときは、主菜の脂質量を抑えつつ、野菜や海藻・大豆など食物繊維の多い副菜をしっかり組み合わせることが大切です。 また、魚や鶏肉などのたんぱく質を適度に取り入れ、油を使わない調理法を選ぶことで、無理なく脂質バランスを整えやすくなります。 脂質異常症を改善するための正しい運動方法 脂質異常症の改善には、生活の中で継続できる運動が大切です。 運動習慣を身につけることで中性脂肪が減り、HDL(善玉)コレステロールが増えやすくなります。また、脂肪の蓄積を防ぎ、動脈硬化の予防にも役立ちます。 ここでは、脂質異常症の改善に効果的な運動と、続けるためのポイントを紹介します。 有酸素運動 有酸素運動は、中性脂肪を減らし、HDLコレステロールを増やすために効果的な運動です。 軽く息が弾む程度の強度で続けることで、体内の脂肪エネルギーが優先的に使われます。 種類 内容 注意点 ウォーキング 1日30分を目安に、やや早歩きで歩く 無理のないペースで継続する ジョギング 会話できる程度のペースで走る 走りすぎない、足の痛みに注意 水泳 水中での負荷により効率的に脂肪燃焼 冷えすぎないよう休憩を挟む サイクリング 平坦な道を軽快にこぐ程度 交通状況に注意する 継続が何より大切です。 週150分以上(1日30分程度)を目安に、できる範囲から始めてみましょう。(文献2) 筋力トレーニング(レジスタンス運動) 筋力トレーニングは、基礎代謝を高め、脂質のコントロールを助けます。 とくに大きな筋肉を鍛えることで消費エネルギーが増え、脂質をためにくい身体づくりにつながります。 種類 詳細 注意点 スクワット 下半身の大きな筋肉を重点的に鍛える 無理のない回数で、膝に痛みがある場合は控える 腕立て伏せ 胸・腕・肩など広い範囲を鍛える フォームを意識し、膝つきで調整OK 腹筋運動 体幹を鍛え姿勢改善にも役立つ 急な動作を避け、ゆっくりと行う 筋トレは週2〜3回を目安に行い、休息を挟みながら続けることがポイントです。 日常生活での身体活動量を増やす 特別な運動をしなくても、普段の生活の中で体を動かすだけでも効果は得られます。 行動 内容 注意点 階段を使う エレベーターやエスカレーターをなるべく使わない 膝の痛みがある日は無理しない こまめに歩く 一駅前で降りる、買い物は歩いて行く 暑い日は熱中症に注意 家事・庭仕事 掃除・洗濯・草むしりなども立派な運動 疲れすぎないよう休憩をはさむ 長時間座らない 30~60分ごとに立ち上がって動く 姿勢を変えるだけでもOK 日々のちょっとした活動で中性脂肪が減り、脂肪が燃えやすい体質になります。 運動以外の活動を意識し、座っている時間を減らし、デスクワークやテレビの合間に立ち上がって身体を動かす習慣をつけましょう。歩数計アプリで目標を設定したり、何かのついでに動く工夫をすると、無理なく続けやすくなります。 日常生活の中で意識的に体を動かすことが、血中脂質の改善と健康維持につながります。 脂質異常症の改善に役立つおすすめの飲み物 脂質異常症の改善には、日常的に飲むお茶や飲料に含まれる成分も役立ちます。 とくにカテキンやポリフェノールは、脂質の吸収や酸化に関わる働きがあり、食事と合わせて取り入れることで健康的な脂質バランスの維持に役立ちます。 無理なく続けられる飲み物を選びながら、生活習慣全体とあわせて取り入れることが大切です。 カテキン(緑茶) カテキンは緑茶に多く含まれる成分で、脂質代謝をサポートする働きがあります。 カテキンの働き 詳細 食事由来のコレステロール吸収を抑える 食事と一緒に飲むことで、コレステロールが体内へ吸収される量を穏やかにする 脂肪の分解・燃焼をサポート 脂肪をエネルギーに変える酵素の働きを助ける 抗酸化作用で血管を守る LDLが酸化するのを抑え、動脈硬化を予防する働きが知られている カテキンが多い飲み物 煎茶 抹茶 カテキン高含有タイプの特定保健用食品(トクホ) 毎日続けられる飲み方を選び、食事・運動と合わせて取り入れることが大切です。 ポリフェノール(烏龍茶・紅茶) ポリフェノールは、種類ごとに働きが異なり、飲み物によって品質や量が変わります。 抗酸化作用を持つため、血管の健康維持に役立つとされています。 含まれる成分 主な働き 飲み物の例 重合ポリフェノール 脂肪の吸収を抑える、代謝をサポート プーアール茶 ウーロン茶ポリフェノール 食事の脂肪の吸収を穏やかにする ウーロン茶 ゲニポシド酸など 血圧や血管の健康を保つ働きが知られている 杜仲茶 没食子酸・カテキン・タンニン LDLの酸化を抑える抗酸化作用 紅茶、プーアール茶 日ごとに違う種類のお茶を取り入れると、さまざまなポリフェノールが摂れます。 カフェインが気になる場合は、午後以降はノンカフェインのお茶に切り替えてください。 トマトジュース(中性脂肪) トマトに含まれるリコピンは抗酸化作用があり、中性脂肪の管理にも役立つとされています。 期待される働き リコピンの抗酸化作用で血管の健康を保つ 食事と一緒に飲むと血中脂質に関わる働きが期待できる 飲み方の目安 無塩タイプのトマトジュースを1日コップ1杯程度 朝食や夕食のタイミングに取り入れると続けやすい 脂質異常症が改善しない原因と対処方法 脂質異常症は、食事や運動を意識していても、なかなか数値が改善しないケースがあります。続かない生活習慣や隠れた要因が関係していることも多く、原因を把握することが改善への第一歩です。 この章では、改善しない理由と、今日から取り入れられる対処方法を解説します。 やせ型でも脂質異常症(高脂血症)が起こる理由 「痩せているのに脂質異常症と言われた」という方は少なくありません。 やせ型でも以下の理由で脂質異常が起こることがあります。 遺伝的体質 家族性脂質異常症(FH)など、遺伝によってLDLが高くなることがある 筋肉量が少ない 基礎代謝が低く、脂質代謝がうまく働かない 食事内容の偏り 炭水化物中心、脂質の質が悪い、たんぱく質不足 隠れ肥満(内臓脂肪型肥満) 見た目は細くても中性脂肪が高くなるケース やせ型の脂質異常症は生活習慣の見直しとあわせて、必要に応じて医療機関に相談してください。 サプリ・特保は補助として扱う 脂質異常症の改善には、まず食事・運動などの生活習慣が土台になります。 サプリメントや特定保健用食品(トクホ)は、その土台を支える「補助的な役割」として考えることが大切です。たとえば、EPA・DHAのサプリや、コレステロールの吸収を抑えるトクホのお茶などは、日々の食事だけでは不足しがちな成分を補う点で役立つ場合があります。 しかし、それだけで数値が大きく改善するわけではなく、食べすぎ・飲みすぎ・運動不足が続くと効果を実感しにくくなります。 医師の治療方針や体調に合わせて適切に取り入れながら、あくまで生活習慣の改善を中心に続けていくことが重要です。 継続期間と再受診の目安 脂質異常症の改善には、生活習慣を整えてから結果が数値に反映されるまでに時間がかかります。 一般的に、食事や運動の見直しを始めてから効果が現れ始めるのは1〜3カ月程度とされており、健康診断でも通常は数カ月単位で経過を確認します。自己管理を続けても改善が見られない場合や、数値が大きく変動した場合は、早めに医療機関を受診して原因を見直すことが重要です。 また、家族性脂質異常症の可能性がある人や、更年期・基礎疾患が背景にある人は、自分の判断で放置せず、定期的な受診を習慣づけることで、より適切な治療やアドバイスを受けられます。 まとめ|自分にできる改善を続けて無理なく数値を整えましょう 脂質異常症は、すぐに数値が変わるものではありませんが、食事や運動といった普段の生活を少しずつ整えていくことで、確実に改善へ近づけます。 完璧を目指す必要はなく、自分が続けられる範囲で習慣を積み重ねることが大切です。外食や忙しい日があっても気にしすぎず、できる日からまた整えていけば大丈夫です。 もし数値が思うように下がらない場合は、早めに医療機関へ相談し、必要に応じて治療や検査を受けることで安心につながります。 自分の体と向き合いながら、無理のない改善を続けていきましょう。 脂質異常症の改善におけるよくある質問 改善にかかる期間は? 脂質異常症の数値が改善するまでの期間は、食事や運動をどれだけ継続できるかによって大きく変わります。 早い方では1〜2カ月で中性脂肪の低下が見られることがありますが、LDLコレステロールの改善には3カ月以上かかることも珍しくありません。 とくに食事療法や有酸素運動は毎日の積み重ねが重要で、短期間で劇的に変わるわけではありません。焦らず続けながら、定期的に血液検査で変化を確認することが大切です。 外食時にどう工夫する? 外食では脂質の多いメニューを選びやすくなるため、注文の仕方を少し工夫するだけで改善につながります。揚げ物を避け、焼く・蒸す・ゆでる調理法の料理を選ぶと脂質を抑えられます。 丼ものや麺類など炭水化物中心になりやすいメニューは控えめにし、野菜や海藻、きのこ類がしっかり入った副菜を追加するのがおすすめです。外食では味付けが濃くなりやすいため、ドレッシングやソースを別添えにして量を調整すると、余分な脂質と糖質を避けられます。 更年期や家族性は改善できる? 更年期では女性ホルモンの変化によりLDLコレステロールが上がりやすくなりますが、食事改善や運動習慣の見直しによって数値が整うことは十分にあります。とはいえ、変化が大きい時期のため、早めに医師へ相談しながら対策を進めることが安心です。 一方、家族性脂質異常症(FH)の場合は遺伝的な要因で数値が高くなりやすく、生活習慣だけで十分に改善できないケースもあります。(文献2) 早期に専門的な評価を受け、必要に応じて薬物療法を取り入れながら総合的に管理することが重要です。 参考文献 (文献1) 脂質異常症診療のQ&A|一般社団法人日本動脈硬化学会 (文献2) 脂質異常症|日本循環器協会
2025.07.31 -
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「コレステロールが高い」 「中性脂肪が多い」 健康診断で指摘されたものの、どの食品を避ければ良いかわからず、食生活の改善に悩む方も多いでしょう。脂質異常症は、放置すれば動脈硬化や心筋梗塞などの重大な病気につながるリスクがあります。 脂質異常症と診断されたら、まずは食生活の見直しが不可欠です。本記事では現役医師が、脂質異常症で食べてはいけないものを一覧で紹介します。 記事の最後には、脂質異常症の食事に関するよくある質問についてもまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 脂質異常症に関連する「しびれ」などの症状についてお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 脂質異常症で食べてはいけないもの一覧 食品の種類 具体的な食品例 控える理由・ポイント 肉類(脂身の多い肉・加工肉) 牛・豚のバラ肉、鶏皮、ベーコン、ソーセージ、ハム 飽和脂肪酸が多く、悪玉コレステロール(LDL)を増やし、動脈硬化のリスクを高める 乳製品(全脂ヨーグルト・生クリーム・バター) 全脂ヨーグルト、生クリーム、バター、チーズ 飽和脂肪酸やコレステロールが多く、血中脂質を悪化させやすい 油脂類(マーガリン・ショートニング・揚げ物) マーガリン、ショートニング、フライドポテト、唐揚げ トランス脂肪酸や飽和脂肪酸が多く、LDL増加・HDL減少の原因になる 菓子類(スナック菓子・洋菓子) スナック菓子、ケーキ、ドーナツ、クッキー、チョコレート 脂質・糖分・トランス脂肪酸が多く、中性脂肪やコレステロールを増やす 精製された炭水化物や糖分の多い食品 白米、白パン、砂糖菓子、清涼飲料水 血糖値や中性脂肪を上げやすく、脂質異常症の管理に不向き インスタント食品や外食メニュー ラーメン、ファストフード、カップ麺、ピザ 脂質・塩分・糖分が多く、トランス脂肪酸やカロリー過多になりやすい 脂質異常症と診断された場合、食事を見直すことが不可欠です。その中でもとくに、飽和脂肪酸・トランス脂肪酸・コレステロール・糖質を多く含む食品は、血中脂質を悪化させる原因になります。 具体的には、脂身の多い肉や加工肉、乳製品、トランス脂肪酸を含む油脂類、菓子類、精製された炭水化物、インスタント食品などの摂取を控える必要があります。 以下の記事でも、脂質異常症で食べてはいけないものについて解説しています。 【関連記事】 【一覧】脂肪肝を改善できる食事は?食べてはいけないものも【医師監修】 糖尿病予備軍が「食べてはいけないもの」7選|血糖値を安定させる「大根」がおすすめな理由 肉類(脂身の多い肉・加工肉) ポイント 内容 健康への影響・推奨 飽和脂肪酸が多い 脂身の多い牛肉・豚肉、ソーセージ、ベーコンなど LDLコレステロール上昇→動脈硬化・心臓病・脳卒中リスク増。摂取は1日の総カロリーの6%以下推奨 加工肉のリスク ベーコン、ハム、ソーセージなど トランス脂肪酸・塩分も多く、悪玉コレステロール増・善玉減、血圧上昇・心血管リスク増 脂質量が重要 脂身の多い部位(赤身・白身問わず)、鶏皮付き肉など 飽和脂肪酸が多いとLDL上昇。肉の種類より脂質量に注意 代替タンパク質 青魚、大豆製品、ナッツ類など 植物性・魚由来のタンパク質や不飽和脂肪酸でLDL低下が期待できる 飽和脂肪酸は豚バラ肉や牛バラ肉、ベーコン、ソーセージなどの脂肪分の多い肉類や加工肉に多く含まれ、肝臓のLDL受容体の働きを抑制し、血中LDLコレステロール値の上昇を引き起こします。その結果、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などのリスクが高まるとされています。 米国心臓協会は、飽和脂肪酸の摂取を総エネルギー比6%以下に制限するよう推奨しています。(文献1) また加工肉にはトランス脂肪酸と塩分が多く含まれており、トランス脂肪酸はLDLを増やしてHDLを減少させ、塩分は高血圧を招き心血管リスクを上昇させる要因です。肉については、赤身か白身かよりも脂身の量が重要であり、鶏皮も脂質が多いため注意が必要です。 そのため、魚(とくに青魚)や豆類、ナッツ類などの不飽和脂肪酸を含む食品に切り替えることで、LDL低下が期待できます。 乳製品(全脂ヨーグルト・生クリーム・バター) 理由・ポイント 具体例 詳細 飽和脂肪酸が多い 全脂ヨーグルト、生クリーム、バター LDLコレステロール上昇リスク。低脂肪・無脂肪タイプの選択推奨 製品による影響の違い バター、生クリーム、全脂ヨーグルト、チーズ バター・生クリームは控えめ。ヨーグルト・チーズは無糖・低脂肪タイプを選択 飽和脂肪酸の過剰摂取回避 乳製品全般 食事全体で飽和脂肪酸を抑え、心血管リスク低減 食べ方の工夫 バター・生クリーム・ヨーグルト・チーズ たまの使用や低脂肪・ノンファット製品への置き換え 全脂ヨーグルトやバターに多く含まれる飽和脂肪酸は、肝臓のLDL受容体の働きを抑制し、結果的にLDLコレステロール値を上昇させます。 米国心臓協会は、飽和脂肪酸摂取の総カロリーを6%以下に抑えることを推奨しており、生クリームやバターの過剰摂取による健康リスクを軽減すると報告されています。(文献1) ただし、全脂ヨーグルトやチーズは種類によっては悪影響が少ないとされており、必ずしも避ける必要はありません。まずは低脂肪または無脂肪の製品を選ぶのがおすすめです。(文献2) TLC(治療的生活習慣改善)プランでは、飽和脂肪酸と総コレステロールを制限することで動脈硬化や心血管疾患のリスク低下が示されており、とくに乳製品は飽和脂肪酸の主要な供給源であるため注意が必要です。 ヨーグルトや牛乳を取り入れる場合は、低脂肪または無脂肪タイプを選ぶことで脂質を抑えつつ、カルシウムやタンパク質をしっかり補えます。 油脂類(マーガリン・ショートニング・揚げ物) 理由・ポイント 具体例 健康への影響・注意点 トランス脂肪酸の含有 マーガリン、ショートニング LDL(悪玉)コレステロール上昇、HDL(善玉)コレステロール低下、動脈硬化・心血管疾患リスク増。摂取は総エネルギーの1%未満推奨 揚げ物の油の問題 フライ、ドーナツなど 油の繰り返し加熱でトランス脂肪酸が増加する。脂質摂取量も多くなりやすい 飽和脂肪酸の多さ 揚げ物、加工油脂 飽和脂肪酸がLDLコレステロールを上げ、心血管リスクを高める 日本人の摂取状況 パン、洋菓子、揚げ物 平均摂取量は少ないが、頻繁に食べる人は注意が必要 マーガリンやショートニングには、部分水素化された油に由来するトランス脂肪酸が含まれており、LDL(悪玉)コレステロールを上昇させるだけでなく、HDL(善玉)コレステロールを低下させるため、動脈硬化や心血管疾患リスクの要因となります。 一般社団法人日本動脈硬化学会も冠動脈疾患のリスク因子として、トランス脂肪酸の摂取を総エネルギーの1%未満に抑えることを推奨しています。(文献3) 揚げ物は、油を繰り返し加熱することでトランス脂肪酸が増え、衣が油を多く吸収するため、脂質の摂取量が過剰になりやすい食品です。また、加工油脂や揚げ油には飽和脂肪酸も含まれており、LDLの上昇を促します。 日本人の平均的なトランス脂肪酸摂取量は総エネルギーの約0.3%と、WHOの1%未満という基準を十分に下回っていますが、パン類・洋菓子・揚げ物を頻繁に摂取する方では、1%を超えるケースも報告されており、注意が必要とされています。(文献4) 脂質異常症管理においては、調理油の種類や使用頻度、調理方法に注意し、トランス脂肪酸と飽和脂肪酸の摂取を控えることが重要です。たとえば、蒸す・焼くなど油を控えた調理法への切り替えが推奨されます。 菓子類(スナック菓子・洋菓子) スナック菓子や洋菓子には、トランス脂肪酸や飽和脂肪酸、精製された糖分が多く含まれています。これらは悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪を増やし、善玉(HDL)コレステロールを減らすため、脂質異常症や動脈硬化、心疾患のリスクを高めます。 また、菓子類は高カロリーで肥満の原因にもなりやすく、生活習慣病が悪化する要因の1つです。間食には果物や無糖ヨーグルト、ナッツなどを選び、成分表示でトランス脂肪酸を確認する習慣が数値改善と病気予防に役立ちます。 精製された炭水化物や糖分の多い食品(白米、白パン、砂糖菓子) 項目 内容 健康への影響・注意点 控える理由 精製炭水化物は中性脂肪を上げやすく、HDL(善玉)コレステロールを下げやすい 肥満、動脈硬化、心血管疾患リスク増加 不足しやすい栄養素 食物繊維、ビタミンB群、ミネラル 栄養バランスの乱れ、コレステロール排泄促進効果の減少 控えたい食品 白米、白パン、砂糖菓子、精白麺、菓子パン 高GI・高糖質食品 おすすめ食品 玄米、全粒粉パン、雑穀ご飯 食物繊維・ビタミン・ミネラルが豊富、コレステロール排泄促進 注意点 糖質を極端に減らさず、バランス良く摂取 炭水化物エネルギー比率は50~55%が目安 白米や白パン、砂糖を多く含む菓子や飲料などの精製された炭水化物は、血糖値を急上昇させやすく、中性脂肪の増加やHDL(善玉)コレステロールの低下を引き起こします。その結果、脂質異常症が悪化し、動脈硬化や心血管疾患のリスクが高まります。また、これらの食品は食物繊維やビタミン・ミネラルが不足しやすく、栄養バランスも崩れがちです。 日本循環器協会も、精製されていない穀類への切り替えを推奨しており、玄米などはコレステロール排泄を促進する効果も報告されています。ただし、糖質の極端な制限は、近年の研究では死亡リスクの上昇とも関連していると報告されています。そのため、日本人では炭水化物の摂取比率は総エネルギーの50~55%が望ましいです。(文献4) 主食を選ぶ際は、玄米や全粒粉パンなどの未精製穀類を取り入れ、食物繊維とともにバランスよく摂ることが大切です。 インスタント食品や外食メニュー(ラーメン・ファストフード) インスタント食品やファストフードは、飽和脂肪酸・トランス脂肪酸・塩分・カロリーが多く含まれており、脂質異常症の悪化に直結します。インスタントラーメンや揚げ物は、LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪を増やし、HDL(善玉)を減らす原因になります。 また、日本国内の研究では、牛丼のようなファストフードを12週間継続摂取した結果、血圧の上昇や血中脂質の変動が確認されており、健康リスクの高さが指摘されています。(文献5) どうしても外食が必要なときは、揚げ物や濃い味付けを避け、野菜の多い定食などを選び、脂質・塩分・カロリーを抑える意識を持つことが大切です。 脂質異常症で食べたほうがいい食材一覧 食材グループ 具体例 期待できる効果・ポイント 青魚や魚介類 さば、いわし、さんま、さけ、まぐろ EPA・DHAの摂取で中性脂肪低下、悪玉コレステロール抑制、動脈硬化予防 野菜・海藻・きのこ類 ほうれん草、ブロッコリー、わかめ、ひじき、しいたけ、えのき 食物繊維が豊富でコレステロール吸収抑制、血糖値安定、ビタミン・ミネラル補給 大豆製品 豆腐、納豆、豆乳、みそ、おから 植物性タンパク質とイソフラボンで血中脂質改善、動脈硬化予防 良質な油脂 オリーブオイル、えごま油、アマニ油 不飽和脂肪酸が多く、悪玉コレステロール低下、心血管リスク低減 玄米・全粒粉パンなど低GI食品 玄米、雑穀米、全粒粉パン、そば 食物繊維・ビタミン・ミネラルが豊富、血糖値の急上昇を防ぎ中性脂肪抑制 脂質異常症の改善には、避ける食品だけでなく、積極的に摂りたい食材を意識するのも重要です。血中脂質のバランスを整える栄養素を含む食品を選ぶことで、無理なく健康的な食生活を続けやすくなります。 以下の記事では、食事以外にも脂質異常症を改善する方法を解説しています。 青魚や魚介類(EPA・DHAを含む) 項目 内容 期待できる効果・ポイント EPA・DHAの作用 青魚に多いオメガ-3系脂肪酸 中性脂肪(TG)を減らし、脂質バランスを改善 抗炎症作用 血管の炎症抑制 動脈硬化予防、心筋梗塞や脳卒中リスク低減 血液サラサラ効果 EPAが血小板凝集を抑制 血栓予防、心血管トラブル予防 摂取目安 サバ、イワシ、アジ、サンマなどを週2〜3回 焼き魚・煮魚など揚げない調理法がおすすめ (文献5) 青魚に多く含まれるEPAやDHA(オメガ-3系脂肪酸)は、血液中の中性脂肪を減らし、脂質バランスを整える働きがあります。EPAには血管の炎症を抑える作用があり、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中の予防にも効果が期待されています。 また、血小板の凝集を抑えることで血液をサラサラに保ち、血栓の予防にもつながります。青魚(サバ、イワシ、アジ、サンマなど)は、週2〜3回を目安に取り入れると効果的です。DHAは生活習慣病だけでなく、目の健康にも良いとされています。(文献6) 調理法は煮魚や焼き魚など、揚げない方法がおすすめです。揚げない調理法で仕上げることで、余分な脂を避けつつEPA・DHAを効率よく摂取できます。 野菜・海藻・きのこ類(食物繊維が豊富) 項目 内容 期待できる効果・ポイント コレステロール吸収抑制 水溶性食物繊維(海藻、果物、麦類) LDLコレステロール低下、胆汁酸の排出促進 不要な脂質排出 食物繊維全般 余分な脂質の便排出、脂質異常症の改善 腸内環境改善 不溶性食物繊維(ごぼう、きのこ、豆類、根菜) 便通促進、腸内環境の正常化 摂取バランス 水溶性:不溶性=1:2が理想 野菜・きのこ・海藻の組み合わせ推奨 摂取目安 男性18~64歳22g以上、女性18~74歳18g以上/日 日本人の食事摂取基準2025年版準拠 食物繊維は、コレステロールや中性脂肪の吸収を抑え、余分な脂質の排出や便通の改善に役立つため、脂質異常症の改善に重要です。とくに水溶性食物繊維はLDL(悪玉)コレステロールの低下に効果的で、不溶性食物繊維は腸の動きを活発にし便通を促進します。 野菜・海藻・きのこ類を組み合わせることで、水溶性と不溶性を1:2のバランスで摂ることができ、どちらも効率よく補えます。日本人の食事摂取基準(2025年版)では、男性18~29歳・75歳以上は1日20g以上、30~64歳は22g以上、65~74歳は21g以上、女性18~74歳は18g以上、75歳以上は17g以上が目標量です。(文献6) 調理時は油の使いすぎに注意し、蒸し物や煮物を中心に取り入れることが、無理なく脂質コントロールにつながります。 大豆製品(豆腐・納豆・豆乳など) 大豆製品は植物性タンパク質を豊富に含み、飽和脂肪酸が少ないため、脂質異常症に適した食品とされています。豆腐・納豆・豆乳は調理が簡便で、日常の食事に取り入れやすい点も特徴です。大豆イソフラボンや大豆タンパク質には、LDL(悪玉)コレステロールを低下させる効果が臨床試験で確認されています。(文献7) さらに、植物ステロールや食物繊維の作用により、腸管からのコレステロール吸収も抑制されます。納豆は発酵によって栄養価が高まり、健康効果がさらに期待できます。肉類の代替として大豆製品を取り入れることで、飽和脂肪酸の摂取を減らしつつ、良質なタンパク質とバランスの取れた栄養補給が可能となり、脂質異常症の改善や予防に有用です。 良質な油脂(オリーブオイル・えごま油) オリーブオイルやえごま油などの良質な油脂は、脂質異常症の方にとって非常に有効な食材です。これらの油に多く含まれる不飽和脂肪酸は、血液中の脂質バランスを整える働きがあります。 オリーブオイルの主成分であるオレイン酸は、悪玉(LDL)コレステロールを下げ、善玉(HDL)コレステロールにはほとんど影響を与えません。えごま油に豊富なα-リノレン酸は、中性脂肪を減らし、血液をサラサラに保つ効果や血栓予防作用が期待できます。 動物性脂肪やトランス脂肪酸を多く含む油の代わりに、これらの良質な油に置き換えることで、動脈硬化や心疾患のリスクを下げられます。ただし、どんな油でも摂りすぎはカロリー過多の原因となるため、適量を守ることが大切です。炒め物やサラダに上手に取り入れ、脂質の「質」を意識した食生活を心がけましょう。 玄米・全粒粉パンなどの低GI食品 ポイント 内容 期待できる効果 血糖値の急上昇抑制 低GI食品(玄米・全粒粉パン) 中性脂肪の増加防止、脂質異常症の改善 食物繊維が豊富 白米・白パンより多い食物繊維 LDLコレステロール低下、腸内環境の改善 満腹感の持続 噛む回数が増え消化がゆっくり 過食・間食の予防、体重管理 糖尿病・肥満予防 低GI・高食物繊維の特性 生活習慣病全体のリスク低減 低GI食品は血糖値の急上昇を抑え、インスリンの過剰分泌を防ぐことで肝臓での中性脂肪の合成を抑制し、脂質異常症の改善に役立ちます。玄米や全粒粉パンに多く含まれる食物繊維は、胆汁酸と結合してLDLコレステロールを下げる効果があり、全粒穀物の摂取によるLDLコレステロール低下も期待できます。 粒子が粗いため噛む回数が増え、満腹感が持続しやすく、過食や間食の抑制にもつながり、低GIかつ高食物繊維の食事は肥満や糖尿病のリスクを下げ、脂質異常症だけでなく生活習慣病全体の予防にも有効です。主食に玄米や全粒粉パン、雑穀ごはんを取り入れることで、血液の脂質バランスと健康維持が期待できます。 今日から始められる食事の見直しポイント 見直しポイント 詳細 食事の量やバランスを考慮する 適正なエネルギー量の把握、主食・主菜・副菜の組み合わせ、さまざまな食材の選択、食物繊維の積極的摂取 調理法を見直す 油の使用量の制限、揚げ物や脂質の多い料理の頻度を減らす、蒸し物・煮物・焼き物の活用、調理油の種類の工夫 外食での食事選びを工夫する 主食・主菜・副菜が揃うメニューの選択、野菜や魚料理の優先、油や塩分の多い料理の回避、量の調整 脂質異常症の改善には、特定の食品を取り入れるだけでなく、日々の食事全体を見直すことが重要です。どのくらい食べるか、どのように調理するか、外食では何を選ぶかといった基本的なポイントを意識し、食事の量やバランス、調理法の工夫が実践的な改善につながります。 無理のない範囲で生活を見直すことが、脂質コントロールと健康維持の第一歩です。ただし、自己判断で行うのではなく、医師の指導のもとで進めることが大切です。 食事の量やバランスを考慮する ポイント 内容 適切なエネルギー摂取で肥満と脂質異常を防ぐ 摂取エネルギーの適正管理、体重増加防止、BMIの安定化、脂質異常症悪化の予防 バランスの良い食事が血中脂質を改善する 和食パターン(ご飯・魚・野菜・大豆)による血中脂質改善と動脈硬化予防 バランス配分(主食・主菜・副菜)が習慣化を後押し 野菜・果物と全粒穀物を皿の半分に、残りをタンパク質源にする食事習慣による血中脂質・体重管理支援 過食やムラ食を防ぎ、脂質バランスを保てる 一定量の食事と均等なバランスによる間食・過食防止、血糖・中性脂肪の安定化 (文献8) 脂質異常症の予防・改善には、摂取エネルギーを抑えつつ、栄養バランスの良い食事を心がけることが重要です。主食・主菜・副菜をそろえた一汁三菜のような食事スタイルは、自然と食べすぎを防ぎ、満足感を得やすくなります。 米国農務省によると、野菜や果物、全粒穀物を皿の半分に、残りをタンパク質源とする食事習慣が、血中脂質の改善や体重管理に効果的とされています。たとえば、白米を玄米に替える、肉の代わりに魚や大豆製品を取り入れるといった工夫が、過剰な脂質やカロリーの摂取を防ぎ、栄養バランスを整える助けになります。 日々の食事で、量の調整と食材の組み合わせを意識することが、脂質異常症の改善への一歩となります。 調理法を見直す 見直しポイント 内容 脂質の摂取量を抑えられる 油を多く使う揚げ物や炒め物を控える 余分な脂を減らせる 焼く・茹でることで脂が自然に落ちる トランス脂肪酸や酸化を防げる 高温加熱を避け、健康リスクを軽減 カロリー摂取の抑制・肥満予防につながる 油を使わない分、全体のカロリーが減る 取り入れやすい工夫 揚げ物を蒸す・茹でる・焼くに切替える 脂質異常症の改善には、毎日の調理法を見直すのが効果的です。揚げ物や炒め物は脂質やカロリーの摂取量が増える原因となりますが、蒸す・茹でる・焼く調理法なら、油の使用を抑えることで、脂質やカロリーの摂取量も自然に減らせます。 また、余分な脂が落ちるためコレステロールの管理にも役立ちます。家庭でもすぐに取り入れられる実践的な方法です。 外食での食事選びを工夫する 外食は脂質や塩分が多くなりやすく、脂質異常症を悪化させる原因となります。揚げ物や脂っこい料理は避け、焼き魚や蒸し料理、野菜が多く含まれる定食を選ぶことで、栄養バランスが整いやすくなります。 主食・主菜・副菜・汁物がそろった定食は、食物繊維が豊富で、LDLコレステロールの抑制にも効果的です。野菜や汁物を先に食べる、栄養成分表示を参考にするなどの工夫も有効です。 ラーメンのスープを残す、丼物より定食を選ぶ、腹八分目を意識するなど、外食でも脂質を抑える工夫を重ねることで、脂質異常症の予防・改善につながります。 脂質異常症における食べていけないものを控えてバランスの良い食事を心がけよう 脂質異常症と診断された方は、まず「避けるべき食品」を知り、日々の食事を見直すことが大切です。飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を含む食品を減らし、青魚や野菜、食物繊維が豊富な食品を積極的に取り入れることで、脂質バランスの正常化に貢献します。 また、調理法や食事の量にも気を配ることで、日常生活の中で無理なくコントロールできます。一人で改善が難しいと感じる場合は、医師や管理栄養士への相談も選択肢のひとつです。 脂質異常症と密接に関係する糖尿病にお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。糖尿病はインスリンをつくる細胞の働きが弱くなることで起こります。再生医療はその細胞を補い、機能を回復させることで、根本的な治療につながると期待されています。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 脂質異常症の食事に関するよくある質問 脂質異常症で食べても良いお菓子はありますか? 脂質異常症の方でもお菓子を楽しむことはできますが、脂質やカロリーが少ないものを選び、量に注意しましょう。羊羹や寒天、高カカオチョコ、あたりめなどがおすすめです。 成分表示を確認し、個包装を活用すると食べすぎ防止にもなります。洋菓子やスナック類は控えめにしましょう。 食事制限はいつまで続ければいいですか? 脂質異常症では、まず3〜6カ月間、食事や運動など生活習慣の改善を行い、血液検査で効果を確認します。数値が改善しても再発しやすいため、食事管理は継続が必要です。薬を始めた場合も、医師の指示に従って続けましょう。 脂質異常症は食事以外に気を付けることはありますか? 脂質異常症の改善には、食事に加えて生活習慣全体の見直しが重要です。有酸素運動(ウォーキングやジョギングなど)を1日30分以上、週3回以上行うことで、HDL(善玉)コレステロールを増やし、中性脂肪を減らす効果があります。 さらに、禁煙や節酒、適正体重の維持、定期的な検査も大切です。必要に応じて医師の指導で薬を併用するケースもあります。 以下の記事では、脂質異常症の薬物療法について詳しく解説しています。 参考文献 (文献1) Saturated Fat|American Heart Association (文献2) Is It Okay to Eat Butter If You Have High Cholesterol? A Cardiologist Settles the Debate|EatingWell (文献3) 脂質異常症診療のQ&A|一般社団法人日本動脈硬化学会 (文献4) 食事に気を付けよう|日本循環器協会 (文献5) 脂質異常症の食事|厚生労働省 (文献6) 食物繊維の働きと1日の摂取量|公益財団法人長寿科学復興財団 (文献7) Cumulative Meta‐Analysis of the Soy Effect Over Time|AHA|ASA Journals (文献8) 厚労省が「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を公表 脂質異常症と高齢者のフレイルに対策 よりきめ細かな食事指導が必要に|保健指導リソースガイド
2025.07.31 -
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「足先が冷える」「しびれが続く」といった症状が気になっていませんか。 その不調は、ただの疲労や年齢のせいではなく、「バージャー病」という血管の病気が関係している可能性があります。 バージャー病とは、主に手足の血管が詰まり、進行すると壊死や切断のリスクもある深刻な疾患です。 本記事では、「バージャー病」について、気になる初期症状や原因、治療法を医師がわかりやすく解説します。 ぜひ本記事を参考にご自身の症状と照らし合わせ、バージャー病の可能性がないかどうかを確認してみてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 バージャー病について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 バージャー病とは手足の血管が詰まりやすくなる難病 バージャー病とは、正式名称は「閉塞性血栓性血管炎」で、手足の血管が詰まりやすくなる指定難病の一つです。発症には喫煙が深く関係しており、特に「若年層で喫煙歴のある男性」に多いと報告されています。(文献1) (文献2) 主に手足の動脈や静脈に炎症が起こることで血管が詰まり、手足の冷えやしびれ・痛みなどの症状があらわれます。死亡率はきわめて低いものの、進行すると皮膚潰瘍や組織の壊死を引き起こし、手足の切断に至るケースもあるため注意が必要です。 また、国内の患者数は2012年時点で約7,000人と推定されており、生活の質(QOL)を守るためにも、早期発見と禁煙を含めた適切な治療が大切です。(文献1) 【進行度別】バージャー病にみられる症状 バージャー病の症状は、病気の進行とともに変化し、初期段階から末期にかけて段階的に悪化することがあります。本章では、進行度に応じてみられる主な症状を順を追って解説します。 重症化を防ぐためにも、早期に異変に気づき、適切な対処を心がけましょう。 なお、バージャー病にみられる「血栓性静脈炎」については、以下の記事にて詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 初期症状|手足のしびれが多い バージャー病の初期症状として多く見られるのが、手足のしびれや冷えです。 これらの症状は、末梢血管の炎症により血流が悪化し、組織への酸素・栄養供給が不足することで起こります。 また、皮膚が青白く変色するチアノーゼが見られることもあります。冷たいものに触れたときや寒い場所にいるときに血行が一時的に悪化し、皮膚の色が青白く変化する現象です。その後じんじんとした痛みを感じることもあります。 これらの症状はいずれも血行不良のサインであり、放置すると進行する可能性があるため早めの対処が重要です。 進行した症状|運動時の足の違和感・潰瘍があらわれることも バージャー病が進行すると、初期症状に加えて、見た目にもわかるような症状があらわれることがあります。代表的な症状は以下のとおりです。 症状 説明 間欠性跛行(かんけつせいはこう) 一定距離を歩くと足が痛くなり、休むと痛みが和らぐ 手足の潰瘍 皮膚が赤黒く変色し、表面がただれて見えることが多く、悪臭を伴う場合もある ただし、バージャー病の症状があらわれる順番は個人差があり、人によっては最初から指先をはじめとする部位に潰瘍ができるケースもあります。手足の違和感や見た目の変化が気になる場合は、早めに受診するようにしましょう。 バージャー病と同様、間欠性跛行がみられることが多い病気に「閉塞性動脈硬化症」があります。詳細はこちらの記事でも解説していますので、気になる方はあわせてご覧ください。 末期状態|壊死による切断リスクがある バージャー病が末期状態にまで進行すると、潰瘍が広がり、最終的には壊死(組織死)が起こるようになります。 壊死とは、血流が完全に途絶えることで酸素や栄養が届かなくなり、組織が死んでしまう状態です。壊死した部位は黒く変色して冷たくなり、感覚がなくなることも多く見られます。 さらに壊死が進行すると感染症を併発しやすくなり、生命に危険が及ぶ可能性が高まります。そのため、壊死の部位を取り除くために患部の手足を切断せざるを得ないケースもあるのです。 手足の切断は、生活の質を著しく低下させるため、末期に至る前の早期発見と治療が大切です。 バージャー病の原因の多くは「喫煙習慣」 バージャー病の最大の危険因子は、喫煙習慣です。 タバコに含まれるニコチンをはじめとする有害物質が、血管の細胞に直接ダメージを与え、炎症を引き起こしやすくなります。さらに血小板が集まりやすくなるため、血の塊ができやすくなります。 特に、手足の末梢にある細い血管でこの作用が強く働き、血流が阻害されるため、初期段階では手足に症状があらわれやすくなるのです。 そのため、バージャー病と診断された場合、禁煙が最も重要な治療法の一つとなります。 バージャー病の治療法 医療機関で行われるバージャー病の治療法は、主に以下の4つです。 禁煙 薬物療法 運動療法 手術(重症の場合) 治療法をあらかじめ知っておくことで、医師との相談がスムーズになり、自分に合った治療を選ぶ際の参考になります。本章を参考に、それぞれの治療内容について理解を深めてみてください。 禁煙 喫煙は、バージャー病の大きな要因とされており、多くの場合で喫煙者に対しては禁煙を勧められます。禁煙によりバージャー病の進行抑制や再発リスクの低減などが期待されています。 ただし、自力での禁煙が難しい方も少なくありません。そのような場合は、医療機関による禁煙支援を活用するのも有効です。主な支援内容には、以下のようなものがあります。(文献3) ニコチン依存度のチェック 呼気の測定 ニコチンパッチやニコチンガムなどを使った薬物療法 専門スタッフによる禁煙指導 これらの支援を受けることで、禁煙の成功率を高めることができます。禁煙に不安を感じる方は、ひとりで抱え込まず、このような支援を積極的に活用してみましょう。 薬物療法 手足しびれや冷えが認められる場合は血行不良が疑われるため、抗血小板薬(血液をサラサラにする薬)が処方されることがあります。(文献4) これにより、血のかたまりの形成を抑えて血管の詰まりを予防し、手足の冷えやしびれといった症状の緩和につながるのです。 状態によっては、血管拡張薬や血流改善薬などが用いられることもありますが、これらの薬は病状や体質に応じて医師が判断します。自己判断せず、早めに医療機関を受診しましょう。 運動療法 間欠性跛行の症状がある場合、薬物療法に加え、医師や理学療法士の指示の下で運動療法が行われることがあります。なかでも代表的なのが「トレッドミル療法」です。(文献4) トレッドミル(電動式の歩行マシン)を使用し、一定の速度で歩行を行い、痛みが出た時点で休憩をはさむというサイクルを繰り返し行います。これにより血流改善や歩行能力の向上が期待できるのです。 ただし、潰瘍や壊死がある場合は、運動により症状を悪化させるおそれもあります。必ず専門医の指導のもとで行うようにしましょう。 重症例は手術を行う 薬物療法や禁煙だけでは改善が見られない場合や症状が進行する場合には「血行再建術」と呼ばれる手術が行われることがあります。「血行再建術」は詰まった血管の代わりに人工血管や自身の血管を用いて迂回路(バイパス)を作り、血流を回復させる治療法です。 また、血行再建術が困難な場合や手指に限局した潰瘍がある場合は「交感神経節切除」が行われることもあります。 一方で、これらの従来治療では十分な効果が得られない症例も少なくありません。そのような中で注目されているのが、細胞や組織の再生能力を活かした「再生医療」です。 再生医療では、自身の細胞を活用して血管や組織の再生を図る治療を行います。 当院「リペアセルクリニック」では、この再生医療を取り入れた治療を行っております。メール相談やオンラインカウンセリングを通じて無料のご相談も可能です。 バージャー病の治療方針に悩まれている方は、どうぞお気軽に当院までご相談ください。 バージャー病の進行を防ぐ生活習慣・日常の注意点 バージャー病の進行を防ぐためには、治療と並行して日常生活でのセルフケアも大切です。日常生活の主な注意点は以下の3つです。 受動喫煙を避ける 手足を冷やさない 生活習慣の治療を適切に管理する この章を参考に、今日からできる予防習慣を少しずつ取り入れていきましょう。 たばこの煙を避ける 喫煙は、バージャー病の発症リスクを高めます。自分自身が禁煙するのはもちろんのこと、喫煙していない方も周囲の環境に注意を払うことが大切です。タバコの煙には、喫煙者が直接吸い込む「主流煙」だけでなく、周囲に拡散される「副流煙」にも多くの有害物質が含まれています。 家庭や職場などに喫煙者がいる場合は、分煙環境を整える、喫煙スペースに近づかないなど、受動喫煙を避ける対策を講じましょう。 手足を冷やさない バージャー病では末梢の血流が悪くなるため、特に冷えに注意が必要です。 特に寒い季節や冷房の効いた室内では、知らないうちに血流が悪化しやすくなります。以下のような工夫で、手足を温かく保ちましょう。 靴下や手袋を重ねて着用する 就寝前に湯船でしっかり温まる 外出時は手足の露出を避ける服装を選ぶ 手足の冷えは、バージャー病の症状悪化に直結するため、日頃から意識的に温める習慣を持つことが大切です。 なお「冷えていないのに手足が冷たく感じる」場合の対処法は、こちらの記事でも詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてください。 生活習慣病の治療を適切に受ける 糖尿病・高血圧・高脂血症といった生活習慣病は、いずれも末梢血流の悪化を進める要因となります。 糖尿病は血管にダメージを与え、高血圧や高脂血症は動脈硬化を進行させます。これらの病気を治療せずに放置すると、バージャー病の進行を早めたり、合併症を引き起こしたりするリスクが高まります。 そのため、生活習慣病の治療中の方は、医師の指導のもとで食事や運動などの生活習慣を見直し、必要に応じて薬を正しく服用することが大切です。 また、生活習慣病は初期には自覚症状がないことも多いため、症状がなくても年に1回程度の定期的な健康診断を受けるようにしましょう。 バージャー病は早期発見と禁煙が進行抑制のカギ バージャー病は、手足の血管が詰まる進行性の難病であり、主な原因は喫煙とされています。初期には足のしびれや冷えといった症状から始まり、最悪の場合には手足の切断に至ることもあるため、早期対応が重要です。 バージャー病の予防や進行抑制には、禁煙と早期発見が不可欠です。本記事を参考にし、気になる症状がある場合は、速やかに専門医の診察・治療を受けましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、もともと人体にある幹細胞を用いた再生医療による治療を行っております。メール相談やオンラインカウンセリングを通じて無料相談も受付中です。 バージャー病の治療方針に悩まれている方は、お気軽に当院までご相談ください。 バージャー病に関してよくある質問 閉塞性動脈硬化症(ASO)との違いは? バージャー病と閉塞性動脈硬化症(ASO)には、以下のような違いがあります。(文献4)(文献5) バージャー病 閉塞性動脈硬化症(ASO) 主な発症年齢 若年層(特に喫煙者) 高齢者が中心 最大のリスク要因 喫煙 (生活習慣病も影響することあり) 動脈硬化(糖尿病・高血圧・高脂血症などの生活習慣病) 影響が出やすい血管の場所 手足の細い血管に断続的に発生 比較的太い血管に広範囲に発生 血管の状態 血管壁が炎症を起こして閉塞 血管壁が硬化し閉塞 鑑別には、年齢、喫煙歴、他の生活習慣病の有無などが用いられます。 バージャー病は何科で見てもらえるの? バージャー病の症状が疑われる場合は、血管外科、循環器内科、または膠原病内科での診療が可能です。 お住まいの地域に血管外科や循環器内科がない場合や、どの科を受診すべきか迷うときは、まずはかかりつけ医や総合診療科を受診することをおすすめします。 いずれの場合も、不安な症状がある場合は早めに医療機関を受診し、必要に応じて専門医の診察を受けることが大切です。 参考文献 文献1 047 バージャー病|厚生労働省 文献2 CLINICAL STUDY ON BUERGER'S DISEASE AT A TERTIARY CARE TEACHING HOSPITAL, SILCHAR|INTERNATIONAL JOURNAL OF SCIENTIFIC RESEARCH 文献3 禁煙治療ってどんなもの?|厚生労働省 文献4 血管炎症候群の診療ガイドライン(2017年改訂版)|合同研究班(日本循環器学会・日本血管外科学会など) 文献5 コラテジェン筋注用 |PMDA
2025.07.31 -
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「最近、首がドクドク脈打つような気がする」「家事をしているときふと首が重だるい」 このような首の違和感に、不安を抱えていませんか。とはいえ、症状が軽いと「病院に行くほどではないかも」と受診をためらう方も中にはいるでしょう。 実は、首の血管(頸動脈)に動脈硬化が生じていても、多くは自覚症状がないまま進行します。 とくに、めまいや片側のしびれといった症状があらわれている場合、脳梗塞や動脈硬化などのリスクが高まっている可能性もあり、注意が必要です。 早期に医療機関を受診し、検査を受けることで、動脈硬化の進行を防げる可能性が高まります。 本記事では首の動脈硬化によって起こる症状やチェック方法について詳しく解説します。首の違和感に不安を抱える方は、ぜひご自身の健康チェックにお役立てください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 首の動脈硬化について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 首の動脈硬化の疑いがある症状 首の動脈硬化は、初期には自覚症状が出にくく、多くの場合ゆっくりと進行します。気がつかないうちに重症化しているケースも少なくありません。 そのため、年齢や不規則な生活リズム、脂質の多い食事など生活習慣にリスクがある方は、症状がなくても一度検査を受けておくと良いでしょう。 ここでは、頸動脈の動脈硬化によって起こりやすい代表的な症状を紹介します。 片側の手足にしびれや脱力感が出る 言葉が出づらくなる ふらつきやめまいが頻繁に起こる 少しでも気になる症状がある方は、ご自身が当てはまっていないかを本章でチェックしてみてください。 片側の手足にしびれや脱力感が出る 首の血管が動脈硬化によって狭くなると、脳に十分な血流が届かなくなり、片側の手足にしびれや脱力感があらわれることがあります。これらの症状は、脳梗塞の前触れ症状として見られる代表的な症状です。 脳神経は体の左右を交差してコントロールしているため、異常がある脳の部位とは反対側の手足に症状が出やすくなります。 また、一時的にしびれや脱力感が消えた場合でも、脳梗塞の前触れと言われている「一過性脳虚血発作(TIA)」の可能性があるため注意が必要です。放置すると本格的な脳梗塞に進行するリスクがあるため、症状が一度おさまっても、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。 言葉が出づらくなる 首の血管が動脈硬化によって狭くなると、脳への血流が一時的に低下し「ろれつが回らない」「言葉がうまく出てこない」といった症状があらわれることがあります。 さらに、脳の言語中枢やその周辺に十分な血液が届かなくなると、発声や会話に異常が生じやすくなります。(文献1) たとえば、次のような兆候が見られる場合は注意が必要です。 会話中に突然「言葉が詰まる」「人に言葉をうまく伝えられなくなる」 「ありがとう」といったような、簡単な言葉が急に出てこなくなる 電話中、突然言葉が出なくなる こうした症状は一時的におさまることもありますが、一過性脳虚血発作(TIA)の可能性もあるため、注意が必要です。少しでも異変を感じたら単なる疲労と軽視せず、早めに専門医を受診しましょう。 ふらつきやめまいが頻繁に起こる 頻繁にふらつきやめまいが起こる場合、首の動脈硬化による血流障害が関係している可能性があります。 とくに以下のような症状が繰り返しあらわれる場合は、注意が必要です。 立ち上がった際にふらつく 歩いている途中にクラッとする 目の前が急に暗くなる これらの症状が目立つ場合は、バランス感覚をつかさどる脳の部分に十分な酸素が届かず、平衡感覚に支障をきたしているおそれがあります。(文献2) めまいやふらつきが頻繁に続くようであれば、早めに専門の医療機関を受診して検査を受けましょう。 首の動脈硬化の症状をセルフチェックする方法 首の動脈硬化は無症状で進行するケースが多いため、セルフチェックでは早期に気が付くのは難しいのが実情です。 しかし、首の血管に違和感がある場合、首の血管が細くなっている、動脈硬化が関わる脳梗塞の初期症状であるなどの可能性もあります。次のような症状が出ていないか、自宅のような落ち着いた場所で確認してみましょう。 頸動脈がポコっと浮き出て見える 拍動が左右で異なる 顔のゆがみがあり、あからさまに左右非対称である ただし、これらの症状があるからといって、必ずしも動脈硬化が原因とは限りません。症状が長引く場合は、別の病気の可能性もあるため、早めに専門医へ相談しましょう。 首の動脈硬化症状が起こる原因 首にある「頸動脈」は、脳へ血液を送る主要な血管です。途中で枝分かれしている部分は、血液の乱流が起こりやすく、コレステロールや脂質の蓄積でできる「プラーク」が形成されやすい構造です。 プラークが血管の分岐部に蓄積すると、血流が妨げられ、動脈硬化が進行しやすくなります。(文献3) さらに放置すると、プラークが大きくなって血管を狭めたり、剥がれたプラークが血流に乗って脳の血管を詰まらせ、脳梗塞を引き起こす可能性があるため注意が必要です。こうしたリスクを防ぐためには、原因を知り、早期に検査や治療を行うことが大切です。 首の動脈硬化が起こる原因として、主に以下の3つが挙げられます。 生活習慣病 喫煙 加齢 これらの要因によって、プラークの肥大化や血管を狭めるリスクが高まります。首の動脈硬化を正しく理解し、日々の生活習慣を見直すきっかけにしてみてください。 生活習慣病 現代でも問題視されている「高血圧」「脂質異常症」「糖尿病」などの生活習慣病は、いずれも自覚症状が出にくく、気づかないうちに動脈硬化へと進行するリスクがあります。 これらの疾患は、血管に負担やダメージを与えるだけでなく、血中のコレステロール値を上昇させる原因にもなります。その結果、プラークができやすくなり、動脈硬化の発症リスクを高めてしまうのです。 そのため、すでに生活習慣病の診断を受けている方は、専門医のもと、原疾患を適切に治療することが大切です。 なかでも糖尿病は、放置すると腎臓病や緑内障などの合併症を引き起こすおそれがあります。初期段階では症状に気づきにくいケースも多いため、血糖値に不安がある方は早めの対策を心がけましょう。 糖尿病の初期症状や予防法について詳しく知りたい方は、以下のコラムもぜひご覧ください。 喫煙 喫煙は、動脈硬化を進行させる大きなリスク要因です。 タバコに含まれるニコチンやタールなどの有害物質は、血管の内壁を傷つけ、血管を収縮させる作用があります。これにより血流が悪化し、動脈硬化が促進されやすくなるのです。(文献4) 実際に、喫煙者は非喫煙者と比べて動脈硬化の進行が早く、脳梗塞のリスクが高いことも研究で明らかになっています。(文献5) そのため、動脈硬化の予防には禁煙が有効です。 しかしながら、意思があってもなかなか禁煙ができない方も多くいます。その場合は禁煙外来を利用し、医師のサポートを受けながら禁煙を目指すことをおすすめします。 加齢 年齢もまた、動脈硬化のリスクを高める避けられない要因です。 加齢とともに、コラーゲンやエラスチンといった血管の壁を構成する成分が変化し、弾力性が徐々に失われることで血管が固くなります。(文献6) 加齢による変化は避けられないものの、生活習慣の改善により動脈硬化のリスク予防に取り組むことは可能です。前述のような生活習慣病リスクをできるだけ抑えることで、加齢による血管の老化スピードを緩やかにできます。 今から健康的な生活を心がけ、血管の健康を保つ生活習慣を取り入れましょう。 首の動脈硬化を予防する方法 首の動脈硬化を予防するには、日々の生活習慣を見直すことが大切です。なかでも、今日から意識できる具体的な対策として、次の2つが挙げられます。 運動習慣をつける 血管プラークを減らす食事を心がける 本章では、これらの習慣を無理なく取り入れるためのポイントをご紹介します。ぜひ日々の生活に取り入れてみてください。 運動習慣をつける 運動は、血圧やコレステロール値、血糖値などの動脈硬化に関わるさまざまなリスク要因に働きかける効果があります。これらを総合的に改善することで、血管への負担が軽減され、動脈硬化の進行を抑えることが期待できます。 日常生活に取り入れやすい有酸素運動としては、次のようなものがおすすめです。 ウォーキング ジョギング ラジオ体操 階段の上り下り これらを週2〜3回を目安に行うのが理想です。(文献7) また、運動する時間を設けられない場合は「1駅分歩く」「外出の際に少し遠回りする」「歩くスピードを少し上げる」など、普段の動作にひと工夫いれるだけでも効果があります。 無理のない範囲で気持ちよく続けられる方法を見つけて、運動習慣を生活の中に取り入れていきましょう。 血管プラークを減らす食事を心がける 動脈硬化は、血管内にプラーク(脂質の塊)がたまることが原因のひとつとされています。 これを防ぐためには、油分の多い食品を控え、野菜を積極的にとるなど「プラークの蓄積を抑える」食生活を意識することが大切です。 動脈硬化予防に効果的な食生活の例として、以下のような点が挙げられます。 【積極的にとりたい食事の工夫】 食事の工夫 期待される効果 主な食品例 食物繊維を多くとる コレステロールを吸着し、体外へ排出する ごぼう、わかめ、キャベツ 青魚を積極的にとる DHA・EPAが血液をサラサラにし、プラークの蓄積を抑える サバ、イワシ、サンマ 【避けたい食品・控えたい習慣】 食事の工夫 期待される効果 主な食品例 飽和脂肪酸・トランス脂肪酸を控える 悪玉コレステロール(LDL)の増加を防ぐ 肉の脂身、バター、マーガリン 塩分・糖分を控える 血圧上昇や血管ダメージのリスクを軽減する 加工肉、インスタント食品、菓子パン これらの食生活を意識すると、血管プラークの蓄積を抑えて動脈硬化のリスクを軽減できます。ぜひ本記事を参考に、毎日の食事を見直してみてください。 また、脳梗塞の再発予防においても、適切な食事管理が大切です。詳しくは、以下の記事で解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。 首の動脈硬化の症状を見逃さず早期に対策をしよう 首の動脈硬化は、初期には自覚症状が少ないものの、進行すると片側の手足のしびれや脱力感、言葉が出づらくなるなどの症状があらわれることがあります。これらの症状は、脳梗塞の前兆である可能性も考えられるため、決して見過ごしてはいけません。 「なんとなく首がドクドクする」「最近よくふらつく」といった軽微な変化も、放置せずセルフチェックを習慣にし、早期に受診するようにしましょう。 脳梗塞は一度発症すると再発リスクが高く、その後は予防的なケアが欠かせません。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による脳梗塞の再発予防を提供しています。メール相談またはオンラインカウンセリングにて、無料相談を受付中です。気になる方はぜひ、当院までご連絡ください。 首の動脈硬化の症状に関してよくある質問 首の動脈硬化の症状が出たら何科を受診すべき? 首の動脈硬化の症状があらわれたら、以下の診療科が適しています。 循環器内科 脳神経外科 脳神経内科 現在通院している病院がある場合は、診療科に関わらず、まずはかかりつけ医に相談するのも良いでしょう。また、近隣にこれらの診療科がない場合は、総合病院を受診し、適切な診療科を紹介してもらう方法もあります。 めまい・視力低下・手足のしびれなどの神経症状がある場合は、とくに注意が必要です。症状を放置せず、できるだけ早く受診しましょう。 動脈硬化の初期症状は? 動脈硬化は首だけでなく、全身の血管に影響を及ぼす病気です。しかし、動脈硬化そのものには自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに進行しているケースが多くみられます。 動脈硬化が進行すると、脳梗塞や心筋梗塞など重大な病気を引き起こすおそれがあるため注意が必要です。 脳梗塞や心筋梗塞などの前触れとして、以下のような症状があらわれることがあります。 軽いふらつき 耳鳴り 集中力の低下 ただし、これらの症状は動脈硬化に特有のものではなく、他の原因でも起こりうるため、気になる場合は、医療機関の受診を検討しましょう。 また、血管の状態を調べる検査や、生活習慣病を発見する定期的な健康診断を受けておくことも大切です。自覚症状が少ないからこそ、日ごろの生活習慣を見直しながら、早期発見・早期対策に取り組みましょう。 脳梗塞の前兆についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。 参考文献 文献1 言語機能の局在地図|高次脳機能研究 文献2 脳における平衡機能の統合メカニズム|理学療法学 文献3 頸部血管超音波検査ガイドライン|日本脳神経超音波学会ほか 文献4 喫煙と循環器疾患|厚生労働省 文献5 喫煙本数による脳卒中リスク|ファルマシア 文献6 3.加齢による動脈硬化の分子機序|日本老年医学会雑誌 文献7 《健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023 推奨事項一覧》|厚生労働省
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「筋肉がやせてきた」「歩き方が変わってきた」 そんな変化をきっかけに「脊髄性筋萎縮症(SMA)」や「筋ジストロフィー」という病名を初めて目にした人も多いのではないでしょうか。 両者は似たような病名ですが、原因も治療法も異なります。 この記事では、脊髄性筋萎縮症(SMA)と筋ジストロフィーの違いや、見分け方のポイントを解説します。 不安な気持ちが少しでも和らぎ「今できること」が見つかるきっかけとなれば幸いです。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 脊髄性筋萎縮症や筋ジストロフィーについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 脊髄性筋萎縮症と筋ジストロフィーの原因の違い 脊髄性筋萎縮症(SMA)と筋ジストロフィーは、どちらも遺伝子の異常によって筋力が低下していく病気ですが「どこに異常があるか」が大きく異なります。 両者の違いは、以下のとおりです。 病名 異常が起こる場所 脊髄性筋萎縮症(SMA) 筋肉を動かすための神経 筋ジストロフィー 筋肉細胞そのもの 本章をもとに、両者の原因の違いを理解しておきましょう。 脊髄性筋萎縮症は神経の障害によって起こる 脊髄性筋萎縮症(SMA)は、遺伝子の異常により筋肉を動かす指令を出す神経に障害が起こり、発症します。 具体的には、脊髄にある「運動神経細胞(脊髄前角細胞)」がうまく働かなくなり、筋肉が使われにくくなってやせていく病気です。 使われない筋肉は少しずつ力を失い、筋力の低下や筋肉の萎縮(やせ細り)を引き起こします。(文献1) 筋ジストロフィーは筋肉そのものが壊れやすくなる 筋ジストロフィーは、遺伝子の異常によって筋肉の細胞が壊れやすくなり、再生が上手くいかなくなる病気です。 その結果、筋肉の変性や壊死が進み、やせて力を失っていきます。 進行すると、筋力の低下や運動機能の障害だけでなく、呼吸や心臓、消化などの内臓機能に影響が及ぶこともあります。(文献2) 脊髄性筋萎縮症と筋ジストロフィーの症状の違い 脊髄性筋萎縮症(SMA)と筋ジストロフィーは、出やすい症状にも違いがあります。 脊髄性筋萎縮症は体幹や手足の筋力低下から始まる 脊髄性筋萎縮症(SMA)はおもに体幹や四肢の筋力低下から始まり、発症時期や進行の速さ、症状の程度はタイプによって異なります。 代表的なタイプは、以下の4種類です。(文献1) 型 発症時期 主な特徴 I型 生後6か月まで 体幹を自力で動かせず、 支えなしに座るのがむずかしい II型 生後7か月~1歳半 座れるが立てない、歩けない III型 幼児期、小児期 歩行できるが筋力低下が進む IV型 成人以降 ゆっくりと筋力が落ちる これらすべてのタイプで共通する症状は、以下の通りです。 筋力低下 筋萎縮(やせ細り) 深部腱反射の減弱や消失 深部腱反射とは、膝の下をゴムハンマーで叩いたときに足がポンと前に出るような、体に備わった自然な反応のことです。 脊髄性筋萎縮症(SMA)は、このような通常みられる反応が出にくくなる症状がみられます。(文献1) 筋ジストロフィーは転びやすさや歩行困難から気づかれる 筋ジストロフィーは、筋肉のはたらきが弱くなり、日常動作に支障が出る病気です。 筋力の低下や歩きにくさ、姿勢の変化などが徐々に現れ、生活の中で気づかれます。(文献2)(文献3) タイプによって進行の速さや現れ方は異なりますが、以下のような症状が見られることがあります。 転びやすくなる 疲れやすくなる 関節がかたくなる 腕を上げづらくなる 心臓の機能に問題が出る 階段の上り下りが難しくなる 背中や腰が曲がりやすくなる 歩いたり走ったりするのが遅くなる 食べ物の飲み込み(嚥下)に問題が出る また、病型によっては、知的障害や発達の遅れ、目・耳の症状など、筋力以外の不調が先に現れることもあります。 代表的な病型は、以下の通りです。 ジストロフィン異常症(デュシェンヌ型/ベッカー型) 肢帯型筋ジストロフィー 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー 眼咽頭筋型筋ジストロフィー 福山型先天性筋ジストロフィー 筋強直性ジストロフィー それぞれ症状や発症年齢、遺伝のされ方などが異なります。(文献2) 脊髄性筋萎縮症と筋ジストロフィーの診断方法の違い 脊髄性筋萎縮症(SMA)と筋ジストロフィーの症状で気になることがあれば、医療機関での検査が必要です。 それぞれの病気に応じた診断方法があります。 脊髄性筋萎縮症の診断方法 脊髄性筋萎縮症(SMA)の診断では、まず症状や筋力の状態などを医師が確認します。 今出ている症状が、他の病気ではないことを確認するためです。 その上で、SMN1という遺伝子に異常があるかどうかを調べる遺伝子検査が行われます。 また、必要に応じて、筋電図検査や血液検査も実施されます。(文献1) 筋ジストロフィーの診断方法 筋ジストロフィーの診断では、進行する筋力の低下や、病気特有の症状・合併症の有無の確認が必要です。 家族の中に同じような病気の人がいないかも確認します。 検査としては、血液検査や筋電図検査、確定診断のために遺伝子検査をします。(文献2) 筋ジストロフィーは、症状の進行具合や治療法などが病型ごとに変わってくるため、早い段階で正確にタイプを見きわめることが重要です。 脊髄性筋萎縮症と筋ジストロフィーの治療法 どちらの病気も根本的な治療はまだ確立されていません。そのため、症状の進行を抑えるための治療が行われています。 おもな治療法の違いを、以下にまとめました。 脊髄性筋萎縮症(SMA) 筋ジストロフィー 基本的な治療方針 進行を抑える薬の使用とリハビリ 進行を緩やかにするケアとリハビリ 薬による進行抑制 可能なケースが増えている 一部の型のみに限られる それぞれの病気の治療法について、順番に見ていきましょう。 脊髄性筋萎縮症の基本的な治療法 脊髄性筋萎縮症(SMA)では、進行を抑える薬の使用や、生活の質を保つためのリハビリが中心となります。 とくにI型では人工呼吸器が必要になることもあり、呼吸の管理が重要です。 また、栄養面のサポートとして、経管栄養が行われるケースもあります。 いずれの場合でも、現在の機能を長く維持できるよう、医師やリハビリテーションスタッフなどさまざまな専門家との連携が大切です。 近年、脊髄性筋萎縮症に対して世界的に治療薬の研究や臨床試験が進められており、日本国内でも3種類の疾患修飾薬(病気の進行を遅らせたり抑えたりする効果が期待できる薬)が承認されています。 今後も治療の選択肢が広がっていくことが期待されます。(文献1) 筋ジストロフィーの基本的な治療法 筋ジストロフィーでは、呼吸機能や体の機能維持のためのリハビリテーションが基本です。 デュシェンヌ型においては、症状の進行をゆるやかにするステロイド治療が行われています。 また、病気のタイプによっては、心臓のペースメーカーや人工呼吸器を使うこともあります。 在宅での療養生活が長くなるケースも多く、定期的な検査や日々のリハビリが大切です。(文献2) 筋ジストロフィーについては、以下の記事でも詳しく解説しています。 合わせてご覧ください。 再生医療という選択肢もある 近年では、失われた機能の回復を目指す「再生医療」にも注目が集まっています。 幹細胞を使って傷んだ筋肉や神経を修復する研究が進んでおり、今後の新しい治療法として期待されています。 リペアセルクリニックでは、脳梗塞や脊髄損傷などさまざまな疾患の再生医療を提供しています。 気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。 再生医療については、こちらの記事も合わせてご覧ください。 脊髄性筋萎縮症や筋ジストロフィーの違いを理解して適切な治療を受けよう 脊髄性筋萎縮症(SMA)と筋ジストロフィーは、どちらも筋力が低下していく病気ですが、原因や症状、進み方、治療法に違いがあります。 それぞれに合った適切な治療や支援を受けるためには、まず正確な診断が欠かせません。 「筋肉がやせてきた」「最近ふらつく」「家族の病気が気になる」など、小さな変化でも気になることがあれば、ひとりで抱え込まず、できるだけ早く医療機関に相談しましょう。 診断がつくことで、進行を抑える治療や生活のサポートにつながる可能性があります。 当院リペアセルクリニックでは、電話相談やオンラインカウンセリングにも対応しています。 受診を迷っている段階でも構いませんので、まずはお気軽にご相談ください。 脊髄性筋萎縮症と筋ジストロフィーに関するよくある質問 脊髄性筋萎縮症や筋ジストロフィーは大人になってから発症することもありますか? どちらの病気にも「成人型」があり、大人になってから発症するケースがあります。 脊髄性筋萎縮症(SMA)の場合は「IV型」が該当し、成人期以降にゆっくりと筋力の低下が進みます。 症状の進行は比較的緩やかで、日常生活に大きな支障が出にくいことも特徴です。(文献1) 筋ジストロフィーでは「筋強直性ジストロフィー」や「顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)」などが成人期に発症しやすいタイプとして知られています。(文献4)(文献5) これらは、歩行や筋力だけでなく、全身のさまざまな機能に影響を及ぼすこともあります。 大人の筋ジストロフィーについては、こちらの記事でも詳しく解説しているため、ぜひご覧ください。 子どもの場合、筋ジストロフィーの初期症状はどのようなものですか? 筋ジストロフィーの中でも、デュシェンヌ型や顔面肩甲上腕型など一部の病型では、子どものころから以下のような動きの変化がみられることがあります。(文献6)(文献7) 転びやすい 走るのが苦手 ふくらはぎが異常に太く見える 床から立ち上がるとき、一度四つん這いになり、手で太ももを押して立ち上がる 目がしっかり閉じられない 腕を上げるのが難しい 日常の中で「あれ?」と思うような動きがあれば、早めに小児科や神経内科で相談してみましょう。 参考文献 (文献1) 脊髄性筋萎縮症(指定難病3)|難病情報センター (文献2) 筋ジストロフィー(指定難病113):病気の解説|難病情報センター (文献3) 筋ジストロフィー(指定難病113):概要診断基準等|難病情報センター (文献4) 筋疾患分野|筋強直性ジストロフィー(筋緊張性ジストロフィー)(平成22年度)|難病情報センター (文献5) FSHD 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー|神経筋疾患ポータルサイト (文献6) 筋ジストロフィーの症状とリハビリテーションについて|独立行政法人国立病院機構鈴鹿病院 (文献7) 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー|MSDマニュアル家庭版
2025.07.31 -
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「失調性歩行って何?」「ふらつく歩き方は治るの?」「どんな病気が関係しているの?」 このような疑問をお持ちではありませんか。 医師から「失調性歩行」と言われたものの、詳しい説明がなく不安を感じている方もいるかもしれません。 失調性歩行とは、バランスがとりにくく、まっすぐ歩けなくなる歩行障害のひとつです。 本記事では、失調性歩行の症状や原因、リハビリによる改善の可能性について解説します。 診断後の不安を少しでも和らげるヒントとして、参考にしていただけたら幸いです。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 失調性歩行について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 失調性歩行の特徴は「歩くときのふらつき」 失調性歩行とは、体のバランスをうまく保てず、ふらつきながら歩く状態を指します。 症状のあらわれ方にはいくつかのタイプがあり、それぞれ特徴が異なります。 ふらふら揺れながら歩く 体のバランスを保つのが難しくなり、左右にふらふらと揺れながら歩くのが特徴です。(文献1) 一見すると酔っているように見えるため、「酩酊歩行」とも呼ばれます。 歩いている途中で急に向きを変えようとすると、動きがぎこちなくなり、強くふらつくこともあります。(文献2) 足を大きく広げて歩く 歩くときに足を大きく開いて進むのも、失調性歩行の典型的なパターンです。(文献1) 重心を安定させようとする無意識の反応で、転ばないように下半身を広く使って支えようとするのです。 このとき、ひざを伸ばしたまま大きく踏み出すような歩き方になりやすく、本来のように膝を柔らかく曲げて歩く動きが見られなくなります。 階段の上り下りが難しくなるのも、このようなバランスの崩れが関係しています。(文献2) 失調性歩行を引き起こす主な原因 失調性歩行にはいくつかのタイプがあり、それぞれ背景にある病気や障害が異なります。 歩行障害の詳しい種類や原因は、こちらの記事でも詳しく紹介しているため、合わせてご覧ください。 小脳の障害|脊髄小脳変性症・小脳出血など 小脳は体の動きをスムーズにし、バランスをとる役割をもっています。 ここに障害があると、歩くときに体が左右に揺れ、足がもつれるなどの症状が現れます。 代表的な病気は、脊髄小脳変性症、小脳出血、多発性硬化症などです。(文献3) 脊髄の障害|脊髄腫瘍・脊髄空洞症など 脊髄は背骨の中を通る神経の束で、脳からの指令を体に伝える通り道です。 この部分に異常があると、足の動きや位置の感覚がうまく伝わらなくなり、歩き方がぎこちなくなります。 脊髄腫瘍や脊髄空洞症などが関係していることがあります。(文献4) 前庭の障害|メニエール病・前庭神経炎など 前庭とは、耳の奥にあるバランスを感じ取る器官です。 ここがうまく働かなくなると、立っているときや歩いているときにぐらぐらする感覚が続きます。 メニエール病、前庭神経炎、感染性髄膜炎などが代表的です。(文献4) 大脳の障害|多発性脳梗塞など 大脳は、動きの「司令塔」として働く部分です。 脳内の前頭葉、頭頂葉といった部位に異常があると、筋力に問題がなくても体のバランスが崩れたような歩き方になることがあります。(文献4) 小脳の障害に似た症状が見られることがあり、原因の特定が難しいケースがあることも大脳の障害の特徴です。 また、明らかな麻痺がなくても歩行が不安定になることもあるため、脳全体の状態を丁寧に確認する必要があります。(文献4) これらの病気は、早めに気づいて対応することが大切です。 失調性歩行には専門的なリハビリが効果的 失調性歩行の症状がみられた場合、原因となる障害に合わせたリハビリをすることで、歩行の安定を目指せます。 協調運動を助ける「フレンケル体操」 フレンケル体操は、目で見ながらゆっくりと体を動かすリハビリ方法です。 手足を「どう動かすか」を意識しながら反復練習をして、バランス感覚や動きの調整力を取り戻す目的があります。 たとえば、以下のような動作をします。 椅子に座って床に置いた目印をなぞるように足を動かす 仰向けになり、片脚のかかとを床につけたまま、かかとをゆっくり滑らせるようにしながら膝を曲げ伸ばす 床に平行線を引き、その上を歩く シンプルな動作を自分の目で確認しながら繰り返します。 特別な器具は不要で、ベッドや椅子があれば始められるため、自宅でも取り入れやすい訓練のひとつです。 感覚のずれを補う「重りや包帯」 失調性歩行では、手足の動きと感覚がうまく一致しないことがあります。 自分では足をまっすぐ出したつもりでも、実際にはずれていたり、力を入れすぎてしまったりするのです。 こうした「感覚のずれ」を補う方法として、手足に軽い重りや包帯をつけるリハビリがあります。 重さや圧迫感があることで、手足の位置や動きを意識しやすくなり、「動きすぎ」「力の入れすぎ」といったミスを防ぎやすくなるのです。 重りや包帯の量は状態に合わせて調整でき、歩く・立つ・座るなど、基本動作の安定にもつながります。 体幹の安定性を高める「筋力トレーニング」 筋力や体力が落ちていると、バランスをとる力も弱くなり、ふらつきや転倒のリスクが高まります。 そのため、失調性歩行のリハビリでは筋力をつけることも大切です。 筋力トレーニングには、筋力向上に加えて筋肉の協調性やリズミカルな動作を改善する効果も期待できます。 また、柔軟体操を取り入れて、関節のこわばりを防ぐことも行います。 無理なく体を支える力をつけていくことで、転倒予防や日常生活の自立にもつながるため、継続がカギになるでしょう。 失調性歩行の改善を目指すなら医療機関を受診しよう 失調性歩行には、小脳や脊髄、大脳、耳のバランス器官など、さまざまな原因が関係しています。 原因によって対処法も異なるため、医療機関での検査やリハビリが大切です。 歩き方に違和感があるときや、家族に「おかしい」と言われたときは、迷わず専門の医師に相談してください。 リペアセルクリニックでは「メール相談」や「オンラインカウンセリング」も行っています。 失調性歩行でお悩みの方は当院へお気軽にご相談ください。 失調性歩行に関するよくある質問 失調性歩行はリハビリで改善しますか? 失調性歩行の改善は、原因となる病気や障害によって異なります。 ただし、フレンケル体操や筋トレなどのリハビリを継続することで、歩行が安定し、日常生活の質も向上する可能性があります。 専門の病院を受診し、医師やリハビリスタッフの指導を受けながら継続していきましょう。 小脳が原因の失調性歩行は治りますか? 小脳性の失調は、根本的な治療が難しいこともありますが、リハビリや再生医療などによって歩行の質が改善する可能性があります。 早めに医療機関で相談し、状態に合った対応を始めることが大切です。 小脳梗塞の後遺症の治療や予後については、こちらの記事で詳しく紹介しているため、合わせてご覧ください。 参考文献 (文献1) 歩行障害の種類と原因疾患|Jpn J Rehabil Med (文献2) 失調症のリハビリテーション|リハビリテーション医学 (文献3) 3.小脳失調症の病態と治療―最近の進歩―|日本内科学会雑誌 (文献4) 運動失調に対するアプローチ|関西理学
2025.07.31 -
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腎臓癌と診断され「これからどうなるのか」と不安を抱えている方もいらっしゃるでしょう。 腎臓癌にはさまざまなタイプがあり、進行スピードや症状のあらわれ方には個人差があります。 ただし、治る確率は、どのくらい進行しているのか判断する「ステージ」によって異なるのです。 本記事では、腎臓癌の進行スピードやステージごとの治る確率、進行度による症状の変化を解説します。 今後をしっかり見据えて治療に臨みたい方は、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 腎臓がんに対する再生医療について知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 腎臓癌の進行スピードには個人差がある【早いとは限らない】 腎臓癌と聞いて「すぐに悪化してしまうのでは?」と不安になる方もいるかもしれませんが、腎臓癌の多くを占める腎細胞癌(じんさいぼうがん)は、進行スピードが必ずしも早いとは限りません。 腎臓癌はどこの細胞が癌化したかによって、「腎細胞癌」と「腎盂癌(じんうがん)」の2種類に分けられます。(文献1) 癌化した細胞 特徴 腎細胞癌 腎実質の細胞 一般的に「腎臓癌」と呼ばれるのはこのタイプ 腎臓癌の多くを占める 腎盂癌(じんうがん) 尿管につながる「腎盂」にある細胞 尿管癌とまとめて治療されるケースが多い 腎細胞癌は、さらに14タイプに分かれ、なかでも「淡明細胞癌(たんめいさいぼうがん)」が約70%~85%を占めるとされています。 タイプによって進行スピードに差があるという報告もありますが、実際の進行スピードは癌のステージや本人の体調によってさまざまです。 一方、腎盂癌を含む尿路上皮にできる癌は、尿路全体にできたり再発をくり返したりしやすく、腎細胞癌とは治療方針も異なります。 自分の癌のタイプがわからない方は、今後の治療の見通しを正しく理解するためにも、次回の診察時に医師へ確認してみましょう。 なお、本記事では腎臓癌の多くを占める「腎細胞癌」を中心に解説します。 【進行度別】腎臓癌の症状 腎臓癌は、進行の度合いによって症状のあらわれ方が変わります。 進行度合い あらわれやすい症状 初期 ・多くが無症状 進行時 ・血尿 ・食欲不振 ・おなかのしこり 転移時・末期 ・痛み ・呼吸困難 詳しく解説します。 初期症状|多くが無症状 腎臓癌の初期段階では、ほとんどの場合で自覚症状がありません。(文献1) そのため、健康診断での画像検査や、ほかの病気の検査中に偶然発見されることが多い傾向です。 進行時の症状|血尿・食欲不振・おなかのしこり 腎臓癌が進行すると、腎臓や周りの組織が癌で圧迫されたり、癌が周囲の組織に侵入すること(浸潤:しんじゅん)で、さまざまな症状があらわれます。 代表的な症状は以下のとおりです。(文献1) 食欲不振 吐き気や便秘 おなかの痛み・しこり 背中や腰の痛み 血尿 足のむくみ 症状の出方には個人差があり「なんとなく体調が悪い」程度の変化しか感じない方もいます。 転移したとき・末期の症状|痛み・呼吸困難 腎臓癌がさらに進行してほかの臓器に転移すると、その転移先に応じた症状があらわれます。 腎臓癌はとくに「肺」への転移が多く、ほかにも骨、肝臓、副腎、脳などにも広がる恐れがあります。(文献1) 転移部位ごとの症状は、以下のとおりです。(文献2) 転移部位 あらわれやすい症状 肺 ・咳 ・血痰 ・呼吸困難 骨 ・骨の痛み ・骨折しやすさ 肝臓 ・おなかの張り ・だるさ ・黄疸 副腎 ・腹痛 ・血圧・血糖値の上昇 ・筋力低下 脳 ・頭痛 ・めまい ・けいれん このように、末期になると痛みや息苦しさ、だるさなど、自覚する症状が強くなる傾向です。 腎臓癌の治る確率を左右する「ステージ分類」と「5年生存率」 腎臓癌は進行の段階(ステージ)が1〜4に分類され、ステージが進むほど、治る確率(生存率)は低くなる傾向にあります。 よく使われるのが「5年生存率」という指標で、これは「癌と診断されてから5年後に生きている人の割合」のことです。 本記事では「ネット・サバイバル」と呼ばれる、純粋に癌そのものが原因で亡くなったかどうかに焦点をあてたデータをもとにしています。(文献3) 以下に、2014年〜2015年におけるステージごとの特徴と、5年生存率をまとめました。(文献3)(文献4)(文献5) 腎癌のステージ 特徴 5年生存率(ネット・サバイバル) ステージ1 癌が腎臓のなかにとどまり、大きさは7cm以下 94.9% ステージ2 癌はまだ腎臓のなかだが、7cmより大きい 87.9% ステージ3 癌が腎臓の外に広がっている(ただし腎臓を包む脂肪の膜は超えていない) 血管のなかに入り込んでいる 76.5% ステージ4 癌がほかの臓器に転移しているか、周りの臓器に直接広がっている 18.7% このように、早期に見つかれば見つかるほど、治療によって長く生きられる可能性が高くなります。 【進行ステージ別】腎臓癌の治療法 腎臓癌の治療法は、以下のように癌のステージによって異なります。 ステージ1・2|手術が基本 ステージ3|手術+リンパ節郭清/凍結療法 ステージ4|分子標的薬治療+手術+薬物療法、放射線治療 迷いや不安があるときは、医師としっかり話し合いながら納得のいく方針を立てて、治療を受けましょう。 ステージ1・2|手術が基本 進行が浅いステージ1・2では、手術による癌の切除が基本的な治療法です。 標準的には、腎臓をまるごと取り除く「腎摘出術」がおこなわれます。 癌が小さい場合や、腎機能を温存したい場合には、癌の影響が及んでいる部分だけ切除する「腎部分切除術」が適応される傾向です。 なお、癌の状態が落ち着いていて、積極的な治療が今すぐは必要ないと判断された場合、定期的な画像検査(CT・MRI・超音波など)で癌の変化を慎重に観察していく「監視療法」が選択されるケースもあります。(文献1) ステージ3|手術+リンパ節郭清/凍結療法 腎臓周囲の組織や血管に広がっているステージ3では、腎臓の摘出に加えてリンパ節郭清(りんぱせつかくせい)をおこないます。 リンパ節郭清とは、癌が広がる可能性のあるリンパ節を切除する治療です。 また、手術が難しい高齢者や持病のある方向けの選択肢として「凍結療法(がん組織を凍らせて壊す治療)」がおこなわれるケースもあります。(文献1) 細い針を癌に刺して冷却し、癌細胞を凍らせて壊す治療法で、身体への負担が比較的少ないのが特徴です。 ステージ4|分子標的薬治療+手術+薬物療法、放射線治療 腎臓以外への転移があるステージ4では、薬による治療(薬物療法)が中心です。 代表的な薬として「分子標的薬」や「免疫チェックポイント阻害薬」などがあり、癌の増殖を抑えたり、身体の免疫力を高めて癌と闘いやすくしたりする効果が期待されます。 分子標的薬:癌細胞の成長や血管をつくる仕組みなどをピンポイントで狙って抑える 免疫チェックポイント阻害薬:免疫の働きを邪魔しているブレーキを外して、本来の力で癌細胞を攻撃しやすくする また、腫瘍の大きさや出血・痛みなどの症状によって、病状の進行を遅らせる目的で手術や放射線治療、免疫療法が選択されることもあります。(文献5) 当院リペアセルクリニックでは「第4の癌治療」として注目される免疫療法を提供しています。 手術や薬物療法などの標準的な治療だけでは不安、自分に免疫療法が合うのか知っておきたいなどの方は、お気軽にオンラインカウンセリングやメール相談をご利用ください。 全ステージ|緩和ケア 「緩和ケア」と聞くと最期のときを過ごすためのケアだと思われがちですが、実際には癌と診断された段階から利用できる医療サポートです。(文献1) 身体的な痛みを和らげるのはもちろん、治療への不安、仕事やご家族のこと、将来への悩みなど、こころの面でも寄り添ってくれます。 医療チームや専門のスタッフと連携しながら、できる限り不安の少ない治療を続けるために重要なケアといえます。 腎臓癌の悪化・再発を防ぐ対策3選 腎臓癌は、治療後に再発する可能性がゼロではなく、治療中にも病状が進行してしまう場合もあります。 だからこそ、日々の生活習慣や身体の変化に注意を向け、再発や悪化の予防につなげていきましょう。 定期的に通院し検査を受ける 腎臓癌は、再発しても初期には自覚症状が出にくいことが多く、症状が出たときには進行しているケースも珍しくありません。 そのため、定期的なCT検査や超音波(エコー)検査、血液検査などでの早期発見が重要です。 国立がんセンターによると、腎臓癌は、治療後10年以上経過してからも再発を起こす可能性があるとされています。(文献1) 医師の指示にしたがって、決められたスケジュールで通院し、再発や転移を早い段階で見つけられる体制を整えておきましょう。 免疫力を高める生活を送る 癌の再発予防には、免疫力の維持・向上が重要と考えられています。 癌細胞は、私たちの身体のなかで日々発生していると考えられ、通常は免疫の働きによって癌細胞のような異常な細胞が排除されます。 しかし、免疫力が低下するとこの仕組みがうまくいかず、癌を発症するリスクが高まるとした意見があります。 そのため、以下のような免疫力を高める行動が、癌の再発予防につながると期待されているのです。 栄養バランスを意識した食事 1日7〜8時間程度の質の良い睡眠 ウォーキングやヨガなどの継続しやすい軽い運動 趣味の時間をもつ、ストレスをためない工夫 無理のない範囲で、医師と相談しながら取り組むのがポイントです。 なお、当院リペアセルクリニックでは、第4の治療法として注目されている免疫療法をおこなっています。 以下のページで詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。 「自分の状態で受けられるのかな」「まずは話を聞いてみたい」と感じた方は、メール相談またはオンラインカウンセリングのご利用をおすすめします。 高血圧や糖尿病などの生活習慣病を防ぐ 高血圧や糖尿病などの生活習慣病は、腎臓に負担をかけたり、癌の再発や予後に影響を及ぼしたりする可能性が指摘されています。(文献6)(文献7) 再治療が必要になった場合に、手術や薬物療法の選択肢に制限がでる可能性もあるため、以下のような日頃からの予防と管理が大切です。 塩分・脂肪を控えめにした食生活 よく噛む、食べる順番を意識するなど血糖値が急上昇しにくい食べ方 適度な運動で体重をコントロール 定期的な健康診断と血圧・血糖のチェック 無理のない範囲で、できることからで構いません。 体調や気分に合わせて、少しずつ生活習慣を見直しましょう。 腎臓癌の進行スピードは早いとは限らない!正しい知識をもって治療に臨もう 腎臓癌の進行スピードは個人差があり、一概に「早い」とは言い切れません。 ステージや身体の状態に合わせて適切な治療を受けることで、再発や悪化のリスクを抑えられます。 だからこそ大切なのは、正しい知識を持ち、信頼できる医療機関で自分に合った治療を選ぶことです。 リペアセルクリニックでは、癌治療に関するご相談や、免疫療法を含めた治療のご提案もおこなっています。 「まずは話を聞いてみたい」「今の治療に不安がある」などの方は、メール相談やオンラインカウンセリングでお気軽にご相談ください。 不安な気持ちを一人で抱え込まず、一緒に向き合っていきましょう。 腎臓癌の進行スピードにまつわるよくある質問 腎臓癌を女性が発症した場合、原因はストレスが多いですか? ストレスが腎臓癌の直接の原因とした科学的な根拠はありません。 ただし、ストレスが長く続くと生活習慣の乱れや免疫力の低下を引き起こし、肥満や高血圧などの腎臓癌のリスク因子を高める要因になる恐れがあります。 腎臓癌のリスクを高める主な要因は、以下のとおりです。(文献6)(文献8) 喫煙 肥満 慢性的な腎疾患 高血圧 そのため、ストレスケアや生活習慣の見直しは、腎臓癌の予防・再発リスクの軽減にもつながる大切なポイントといえるでしょう。 腎臓癌ステージ1の治療中です。再発率はどのくらいですか? ステージ1の腎臓癌のうち腫瘍の大きさが5〜6cmの場合、再発のリスクは約20〜30%とする報告があります。(文献9) なお、以下の要因は再発リスクに影響する可能性があるとされています。(文献10) 腫瘍の大きさ 症状の種類や程度 生活習慣病(とくに糖尿病) 治療が終わっても再発の可能性はあるため、定期的な検査が必要です。 CTやエコーなどの画像検査をとおして、すぐに対処できるような体制を整えておきましょう。 腎臓癌ステージ4で手術ができないと言われてしまいました。余命はどのくらいですか? 手術できない場合の余命は数カ月〜数年と個人差があるため、どのくらいとは断言できません。 ただし、最近は分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬など、効果のある治療薬が増えており、進行していても長期的に病状をコントロールできるケースもあります。 医師と相談しながら、体力や生活の質を保ちつつ、納得のいく治療を続けることが大切です。 参考文献 (文献1) 腎臓がん(腎細胞がん)|国立がん研究センターがん情報サービス (文献2) 腎臓がんの種類と症状|東京女子医科大学病院 泌尿器科 (文献3) 院内がん登録生存率集計結果閲覧システム|国立がん研究センターがん対策研究所がん登録センター (文献4) 腎臓がん(腎細胞がん)治療|国立がん研究センターがん情報サービス (文献5) 腎癌 - 患者さんへ|岐阜大学大学院医学系研究科 泌尿器科 (文献6) Geographic variation of mutagenic exposures in kidney cancer genomes | Nature (文献7) Association of Dyslipidemia with Renal Cell Carcinoma:A1∶2Matched Case-Control Study|PMC (文献8) 腎臓がん(腎細胞がん)予防・検診|国立がん研究センターがん情報サービス (文献9) 各種がんの解説:腎細胞がん|日本赤十字社伊勢赤十字病院 (文献10) Validation of risk factors for recurrence of renal cell carcinoma: Results from a large single-institution series|PLOS One
2025.07.31 -
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「突然足が動かない」「一時的に力が入りにくい」といった症状があり、不安に思われている方もいるでしょう。足が動かない原因としては、脳梗塞や腰部脊柱管狭窄症、パーキンソン病など、さまざまな疾患が考えられます。なかでも、脳梗塞が原因の場合は、時間が経つと回復の可能性が下がるため、早急な治療が必要です。 本記事では、足が動かないときに考えられる原因や対処法、病院へ行く目安について解説します。足が動かない原因が知りたい方は、ぜひ参考にしてください。 脳梗塞を含む脳卒中の再発予防などの再生医療に興味がある方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 足が動かない原因となる疾患 足が動かないとき、脳梗塞や腰部脊柱管狭窄症など、さまざまな疾患が考えられます。また、突然足が動かなくなるケースもあれば、徐々に動かしにくくなる場合もあるため、それぞれの特徴について解説するので参考にしてください。 脳梗塞 脳梗塞は、足が動かない原因としてとくに注意すべき病気です。脳の血管が詰まり血流が止まることで脳細胞が損傷を受けます。損傷した部位によって、症状の現れ方はさまざまです。 脳の足の運動や感覚をつかさどる部分に損傷が起きた場合、突然足が動かなくなる、しびれるといった症状が見られるケースがあります。 また、片側の手足に力が入らない、ろれつが回らないといった症状を伴う場合も多く、損傷から時間が経つと治癒効果が下がる可能性があります。 突然足が動かない、ろれつが回らないなどの症状が現れた場合は、一刻も早く医療機関を受診してください。 腰部脊柱管狭窄症 腰部脊柱管狭窄症も足が動かない原因の一つです。主に加齢によって腰の骨が変形し、脊柱管(神経の通り道)が狭くなって足へと伸びる神経が圧迫されます。 その結果、歩行中に足がしびれたり、痛みが強くなって一時的に足が動かなくなったりするケースも少なくありません。これらの症状は、その場で休むと症状が改善する場合が多く、「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」と呼ばれています。 放っておくと進行する可能性があるため、早めに専門医に相談しましょう。 腰椎椎間板ヘルニア 腰椎椎間板ヘルニアも考えられる疾患の一つです。腰椎同士のすき間にある椎間板が飛び出して神経を圧迫することで足に痛みやしびれ、筋力低下などの症状が現れます。 とくに、太ももやふくらはぎ、足先にかけてしびれや痛み、腰のだるさを感じるケースが見られます。神経への刺激が強くなると、足に力が入りにくくなったり、排便や排尿に関わる神経にも影響を及ぼしたりする危険があるため注意が必要です。 重いものを持ち上げたときの急な動作をきっかけに、突然発症する可能性があります。症状は一時的に見えても、神経の圧迫が続くと慢性化する恐れがあるでしょう。 パーキンソン病 パーキンソン病も、足が動かないときに原因となる疾患の一つです。脳内の運動を調整する働きを持つドーパミン(神経伝達物質)が不足すると、体を動かす指令がうまく伝わらず、動作の開始や継続がしにくくなります。 その結果、すくみ足や、立ち上がったときに転倒しやすいといった症状が現れる場合も少なくありません。 また、手足の震えや筋肉のこわばりもパーキンソン病によく見られる症状の一つです。高齢者に多い病気であり、意欲の低下や幻覚のような精神的な症状や睡眠障害など、さまざまな症状が見られます。 パーキンソン病は進行性の病気で徐々に悪化していく恐れがあるため、足がすくんで動かないといった症状がある場合は、早めに専門医に相談してください。 ギラン・バレー症候群 ギラン・バレー症候群も、足が動かない原因として知られる神経疾患の一つです。免疫の異常反応によって末梢神経に炎症が起き、筋肉に指令がうまく伝わらなくなると、足に力が入らなくなったり、しびれを感じたりします。 多くの場合、足から症状が出るケースが多く、次第に腕や手へ広がっていくのが特徴です。急に足が動かなくなった場合、ギラン・バレー症候群の可能性も考えられます。 進行が早く、重症化すると呼吸困難を起こす恐れもあるものの、多くは、時間の経過とともに回復が見込まれる病気です。疑わしい症状がある場合は、できるだけ早く医療機関に相談しましょう。 ストレスが原因で足が動かないケースもある 足が動かない原因は、脳や神経の病気だけではなく、強いストレスや心理的負担によって引き起こされているケースもあります。精神的な緊張や不安によって自律神経のバランスが乱れると、血流が悪くなったり筋肉が過剰に緊張したりするためです。 その結果、足に力が入らない、震える、しびれるといった症状が現れる場合があります。 さらに、ストレスや葛藤など心理的な要因が身体症状として現れる「転換性障害」といった状態では一時的に足が動かなくなるケースも報告されています。 身体的な異常が見つからない場合は、自分に合ったストレス発散法やリラックス方法を取り入れてみることが大切です。 足が動かないときの対処法 足が動かないときの対処法として、まずは安静にする、冷やすか温めるといった方法があります。さまざまな原因が考えられるため、適切な対処が必要です。 以下で、詳しく見ていきましょう。 安静にする 急に足が動かない症状が出た場合、まずは安静にしてください。無理に動かすと症状が悪化したり、怪我につながったりする恐れがあります。 腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などは、横になって休むと足のしびれが一時的に緩和するケースもあります。 原因がわからないときは無理に足を動かさず体を休め、必要に応じて医療機関の判断を仰ぎましょう。 冷やすか温める 患部を冷やすか温めることも、足が動かないときの対処法の一つです。症状が炎症や血流が原因の場合は、患部を温めるまたは冷却すると改善する場合があります。 打撲や炎症で腫れている場合は冷やすのが基本です。一方、血流が悪くて足がだるい、重い場合には温めて血流を促進するほうが有効です。 ただし、どちらの方法が適しているかは原因によって異なるため、自己判断せずに医師の診察を受けましょう。 応急処置をする 足が動かない原因が、転倒や外傷によるものであれば、まずは応急処置が重要です。そのまま放置すると、靱帯や神経への損傷が悪化する恐れがあります。 無理に動かさずに、患部の圧迫や固定などの処置が有効です。また、出血がある場合は、清潔な布で止血します。 早期対応がその後の回復に大きく影響するため、応急処置をしたらただちに医療機関を受診してください。 足が動かないときの受診目安 足が動かない原因は、脳や神経の病気、外傷などさまざまな理由があります。とくに、症状が突然現れた場合や、ほかの症状を伴う場合は注意が必要です。 まず、以下のような症状がある場合は、夜間や休日を問わず、速やかに医療機関を受診してください。 突然、左右どちらかの足に力が入らなくなり動かなくなった 突然足が動かなくなり、数分~数十分で元に戻った 転倒などの外傷で足が動かなくなった これらの症状は、脳梗塞や脊髄損傷といった重篤な病気の可能性があるため、早急な対応が必要です。 次に、以下のような症状がある場合は、できるだけ早めの受診を検討しましょう。 足が動かない症状やしびれが継続的に起きる 足の筋肉が落ちてきて、力を入れにくくなった 歩行に支障が出ている 一方で、次のような症状は、緊急性は低いものの、早めに専門医に相談することがおすすめです。 風邪などの感染症のあとに、一時的に足が動かない 症状が軽くても繰り返し起こる場合や、日常生活に支障が出るようであれば、迷わず受診しましょう。 足が動かないときの検査方法 足が動かないときは、神経学的診察やMRI検査などを行い、診断します。それぞれの検査方法を見ていきましょう。 神経学的診察 神経学的診察は、足が動かないときに最初に行われる基本的な検査です。足が動かない原因を探るために、脳神経や筋力、反射、バランスの異常がないかを医師が視診や触診などで確認します。 症状の出ている範囲や程度、左右差の有無などを調べると、中枢神経か末梢神経かどこに異常があるかを推測する手がかりになります。 また、疑われる病気に応じて特定の項目を入念に調べるケースもあり、その後のMRIや血液検査など、詳細な検査の方向性を決める上でも重要なステップです。 MRI検査 MRI検査は、足が動かない原因として考えられる、脳梗塞や脊髄疾患を調べる際に重要な検査です。X線を使わずに磁気と電波で体内を撮影するため、脳や血管、脊椎、関節などの詳細な状態を把握できます。 X線を使用しないため、被ばくの心配がありません。必要に応じて部位を変えて検査しながら、重篤な病気の早期発見に役立ちます。 電気生理学的検査 電気生理学的検査は、神経や筋肉の異常を調べるために行われる検査です。神経伝導検査や筋電図などがあり、神経に微弱な電気刺激を与えて、信号の伝わり方や筋肉の反応を測定します。 足が動かない原因が、神経から筋肉への伝達の異常によるものかどうかを確認するのに役立ちます。検査中に電気刺激の軽い不快感はあるものの、体への負担は少なく、安全性の高い検査です。 血液検査 血液検査は、足が動かない原因が神経や筋肉以外にないかを調べるために行われます。糖尿病やビタミン不足など、内科的な病気によっても足のしびれや筋力低下が起こるケースもあります。 また、ギラン・バレー症候群などの自己免疫性疾患が疑われる場合にも、血液検査をする場合もあります。 血液検査だけで病名が確定するわけではありません。しかし、原因を絞り込む上で重要な検査の一つです。 足が動かないときは早急に医療機関を受診しよう 足が動かない原因には、脳梗塞や腰椎椎間板ヘルニア、パーキンソン病、ストレスなどさまざまなものがあります。足が動かないときは、まずは無理に動かさず、安静にしましょう。炎症が疑われる場合は冷やし、血行不良が考えられるときは温めるなど、状況に応じた対処をします。 ただし、症状によっては、早急な治療が必要になるケースもあります。自己判断せずに、少しでも異変を感じたら早めに医療機関を受診してください。
2025.07.31 -
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「食べ物が原因でギランバレー症候群になるって本当?」 「どの食べ物がギランバレー症候群の原因になるのか知りたい」 身近な食べ物がギランバレー症候群の原因になっているかもと不安に感じる方もいるでしょう。 ギランバレー症候群は感染症をきっかけに発症する場合が多く、特定の食品に含まれる細菌が引き金となるケースもあります。なかでも、カンピロバクター感染症を引き起こす恐れがある加熱不十分な鶏肉や生の鶏肉、レバーなどには注意が必要です。 本記事では、医師の視点から原因となりうる食べ物について解説します。また、予防方法や治療法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 ギランバレー症候群の後遺症にお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ギランバレー症候群は食べ物のカンピロバクターが原因となりやすい ギランバレー症候群は、食べ物に含まれるカンピロバクター感染などをきっかけに発症することがある疾患です。 加熱不十分な鶏肉などから菌が体内に入ると、免疫が細菌を排除しようと働く過程で自己抗体をつくることがあります。 この自己抗体が末梢神経の構造と細菌の特徴を誤って同一と認識し、神経を攻撃することが症状発症の根底にあります。ごく少量の菌でも感染の可能性があり、しびれや筋力低下が急激に進む場合も少なくありません。 とくに短期間で症状が広がるときは重症化のリスクが高いため、異変を感じた場合は速やかな医療機関の受診が重要です。 ギランバレー症候群の原因となる食べ物 ギランバレー症候群は、特定の食べ物に含まれる細菌が発症のきっかけになるケースがあります。とくに以下の食品などに注意が必要です。 生鶏肉料理(鳥刺し・鳥たたき・鶏肉ユッケなど) 加熱不足の肉料理 鶏レバー・牛レバー・ホルモン 未消毒の井戸水・湧き水 生鶏肉料理(鳥刺し・鳥たたき・鶏肉ユッケなど) 生の鶏肉を使った料理は、カンピロバクター菌が潜んでいる可能性が非常に高いといわれており、代表的な料理は以下のとおりです。 鳥刺し 鳥たたき 鶏肉ユッケ 日本には鳥刺しやたたきといった生食文化が根付いていますが、生鶏肉にはカンピロバクター菌が潜んでいる場合があります。 カンピロバクター菌は少量でも食中毒を引き起こす力をもっており、感染後に人体の免疫が神経に障害を加えると、ギランバレー症候群へ発展する可能性が指摘されています。 細菌に汚染された食品は味やにおいで見分けるのは難しく、新鮮に見える食材でも、十分加熱されていなければ細菌は死滅しません。 生の鶏肉を使った料理は、カンピロバクター感染症を起こすリスクがあるため、口にしないように注意しましょう。 加熱不足の肉料理 加熱不足の肉料理は、ギランバレー症候群のリスクを高めます。鶏肉だけでなく牛肉や豚肉でも十分に中心まで火が通っていない場合、細菌感染の危険性があります。 調理の際は、目で色を確認するだけでなく、中心温度が75℃以上になっているかを必ず確認しましょう。 火が十分に通っていない肉を食べると、感染症を介して免疫が神経を攻撃するリスクが高まり、発症につながる可能性があります。 鶏レバー・牛レバー・ホルモン 鶏レバーや牛レバー、ホルモンは、加熱不足で食べるとギランバレー症候群の発症リスクを高めます。 とくに鶏レバーはカンピロバクターが検出されやすく、中心部まで火を通さないと感染の危険性があります。 牛レバーも生食は法律で禁止されており、ホルモンも内部までの加熱が重要です。安全に食べるためには、中心温度までしっかり加熱する調理が欠かせません。 未消毒の井戸水・湧き水 ギランバレー症候群の発症には、未消毒の井戸水や湧き水も潜在的な感染リスクとして注意が必要です。 これらの水源には目に見えない細菌が存在し、感染すると自己免疫反応を引き起こす可能性があります。 カンピロバクターなどが含まれている場合、少量の摂取でも発症につながるケースが報告されており、加熱や消毒をしていない状態での使用はとくに危険です。 ギランバレー症候群を予防するための調理・食事のポイント ギランバレー症候群の発症リスクを減らすためには、以下のような食品の加熱や手洗いなど日常的な衛生管理が重要です。 鶏肉は中心を75℃以上で1分以上しっかり加熱する 生肉と調理済み食品の器具を分けて使う 生肉を触ったら石けんと水で手をよく洗う 井戸水や湧き水は煮沸してから使う 鶏肉は中心を75℃以上で1分以上しっかり加熱する 鶏肉は中心部までしっかり加熱することが、ギランバレー症候群など感染症の予防において最も基本的なポイントです。 75℃以上で1分以上の加熱で、カンピロバクター菌やサルモネラ菌などの病原菌を確実に死滅させられます。 見た目だけでは十分に火が通っているか判断できず、少量でも発症リスクが高まるため、調理時には温度計で中心温度を確認することが重要です。 加熱不足の鶏肉は、少量でも感染リスクを高めるため、とくに免疫力が低い方は慎重な調理が必要です。 生肉と調理済み食品の器具を分けて使う ギランバレー症候群を防ぐためには、生肉と調理済み食品で使用する器具を必ず分けることが重要です。 まな板や包丁を共通で使うと、加熱済みの食品にも生肉由来の細菌が付着し、思わぬ感染の原因となる場合があります。 とくにカンピロバクター菌はごくわずかな量でも感染リスクを高めるため、注意が必要です。生肉専用の器具を用意するだけでなく、使用後には石けんや洗剤で十分に洗浄し、必要に応じて熱湯や消毒液で消毒する習慣を徹底すると安心です。 こうした工夫を日常的に取り入れることで、家庭内での食中毒リスクやギランバレー症候群の発症リスクを大幅に抑えられます。 生肉を触ったら石けんと水で手をよく洗う 生肉を扱った後は、必ず石けんと流水で手を十分に洗うことが、ギランバレー症候群の原因となる感染症予防の基本です。 生肉にはカンピロバクター菌が付着している場合があり、わずかな量でも体内に入ると発症リスクが高まります。そのため、手のひらだけでなく爪の間や手首まで丁寧に洗うことが重要です。 また、洗浄後は清潔なタオルやペーパータオルで水分を拭き取り、調理器具や食材に菌を移さないよう注意しましょう。さらに、家族や同居人に感染を広げないためにも、手洗いの習慣を徹底すると安心です。 井戸水や湧き水は煮沸してから使う 井戸水や湧き水は、カンピロバクター菌やその他の病原菌が含まれている場合があり、未処理のまま使用するとギランバレー症候群の原因になる可能性があります。 とくに、調理や飲用にそのまま使うと、わずかな菌でも感染リスクを高めるため注意が必要です。そのため、利用する前には必ず十分に煮沸して安全性を確保することが重要です。 煮沸により菌は死滅し、料理や飲料に安心して使用できます。井戸水や湧き水を日常的に使う場合は、煮沸を習慣化することが安全性を維持するポイントです。 ギランバレー症候群の原因となる食べ物を理解し健全な食生活を送ろう ギランバレー症候群は、鶏肉やレバーなどに付着するカンピロバクター菌による感染が発症の引き金となることがあります。 予防には、中心までしっかり加熱するなどの食中毒対策が重要です。発症後は早期治療が進行防止の鍵ですが、回復後に残る筋力低下やしびれは生活の質に影響を与える場合があります。 当院「リペアセルクリニック」では、こうしたギランバレー症候群発症後の症状に対して再生医療の可能性を踏まえ、個別サポートを提供しています。 当院の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 ギランバレー症候群の後遺症について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ギランバレー症候群の原因となる食べ物に関するよくある質問 ギランバレー症候群の原因となる食品について、よくある疑問や注意点をまとめて解説します。 カンピロバクターは冷凍すれば安全ですか? 外食でもカンピロバクターに注意は必要ですか? ギランバレー症候群は卵が原因になることはありますか? ギランバレー症候群の原因となる食べ物にパンは該当しますか? 食べ物が原因でカンピロバクターへ感染した場合の初期症状は? カンピロバクターは冷凍すれば安全ですか? カンピロバクターは冷凍しても死滅せず、安全対策としては十分ではありません。冷凍はあくまで菌の増殖を抑えるだけであり、解凍後も生き残った菌が体内に入ると感染につながる恐れがあります。 そのため、鶏肉や内臓を扱う際は冷凍状態に頼らず、中心部までしっかり加熱することが重要です。とくに家庭調理では加熱温度が不十分になりやすいため、火通りの確認を徹底すると安心です。 外食でもカンピロバクターに注意は必要ですか? 外食でもカンピロバクターへの注意は欠かせません。生食や半生状態で提供される鶏肉やレバーは、加熱が不十分だと菌が残りやすく、感染の原因となる場合があります。 とくに居酒屋や焼き鳥店などではレア調理を提供する店舗もあるため、注文時にしっかり火が通っているかを確認する姿勢が重要です。 また、提供までの衛生管理状況は店によって差があるため、安全性を意識してメニューを選ぶと安心です。 ギランバレー症候群は卵が原因になることはありますか? 卵がギランバレー症候群の原因となる可能性は極めて低いと考えられています。卵の殻に菌が付着していたとしても、殻の表面は乾燥しており、乾燥に弱いカンピロバクター菌は死滅しているからです。 ただし、卵で問題となりやすい食中毒菌に「サルモネラ菌」があり、食中毒を引き起こす可能性があります。 サルモネラ食中毒を防ぐ観点からは、ひび割れた卵の使用を避け、生で食べる際は賞味期限内の新鮮な卵を選び、調理後は早めに食べるといった基本的な注意は引き続き重要です。 ギランバレー症候群の原因となる食べ物にパンは該当しますか? パン自体は、ギランバレー症候群の原因になりません。パンの原料である小麦粉や酵母に原因菌が潜んでいる症例はなく、万が一細菌が付着しても高温で焼き上げる製造過程で死滅するため、パン自体は非常に安全な食べ物といえます。 ただし、パンを使った料理のなかでも、サンドイッチや惣菜パンなどの「具材」には注意してください。パンがギランバレー症候群を引き起こす具体例は以下のとおりです。 具材として使用されたチキンが加熱不十分だった 生肉を扱った手や調理器具でパンに触れてしまった 実際、加熱不足の鶏肉や、調理中の2次汚染によりカンピロバクターに感染するリスクはあります。問題の本質はパンではなく、あくまで原因菌に汚染された食材との接触です。パンは安全ですが、何を挟むか、どのように調理するかが重要だと理解しましょう。 食べ物が原因でカンピロバクターへ感染した場合の初期症状は? 食べ物が原因でのカンピロバクター感染の初期症状は、以下の通りです。 発熱 吐き気 嘔吐 腹痛 下痢 発症は通常、まず発熱や吐き気、嘔吐などの症状から始まり、数時間後に腹痛や下痢が現れます。軽症の場合は自然に落ち着くこともありますが、水分補給を怠ると脱水のリスクが高まるため注意が必要です。
2025.07.31 -
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「喫煙と高血圧は関係しているのか」「喫煙者が血圧を下げる方法を知りたい」 上記のように、喫煙と高血圧は関係しているのか気になっている方もいるでしょう。喫煙は高血圧をはじめ、脳卒中や高血圧網膜症などに大きく関わっています。 本記事では、喫煙と高血圧の関係について詳しく解説します。喫煙者が血圧を下げる方法や、禁煙によって得られる効果も紹介しているので、高血圧に悩んでいる喫煙者はぜひご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 高血圧に関わる脳卒中の予防などについて興味がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 喫煙によって引き起こされやすい高血圧とは? 高血圧とは、血圧が平均値よりも高すぎる状態が続く病気です。喫煙や肥満など原因が判明しているにも関わらず、高血圧を放置していると、心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気を引き起こすリスクが高まります。 ここでは、喫煙によって引き起こされやすい高血圧症の種類について紹介します。 本態性高血圧症 本態性高血圧症は、高血圧全体の約9割を占めるといわれる、原因を特定できないタイプの高血圧です。遺伝的要因をはじめとし、以下のような要因が複雑に絡み合い、高血圧症を発症すると考えられています。 喫煙 過度の飲酒 塩分の摂りすぎ 肥満 運動不足 ストレス 喫煙習慣がある方は、タバコに含まれるニコチンや有害物質が血管にダメージを与え、自律神経に作用するため、血圧が上昇しやすい状態になります。本態性高血圧症は明確な原因がなく、喫煙をはじめとした生活習慣の改善が予防につながります。 二次性高血圧症 二次性高血圧症は、特定の病気や薬剤が原因で引き起こされる高血圧です。高血圧の1〜2割が二次性高血圧症に当てはまると考えられています。主に腎臓病や内分泌系の病気、睡眠時無呼吸症候群などが代表的な原因としてあげられます。一部の薬の副作用によって血圧が上昇するケースもあるでしょう。 二次性高血圧症に関しては、喫煙は直接的な原因よりも、基礎疾患が悪化するリスクを高めたり、血管への負担を増やしたりする要因となり得ます。喫煙は腎臓病のリスクを上げるため、結果的に二次性高血圧症の発症や悪化につながる可能性も否定できません。 高血圧症の原因となっている病気を治療したり、服用している薬を見直したりすると、血圧が改善する可能性があります。 喫煙をはじめとした本態性高血圧症の原因 高血圧のほとんどを占める本態性高血圧症は、特定の病気が原因となる二次性高血圧症とは異なり、複数の要因が複雑に絡み合って発症します。とくに、日常生活における習慣が大きく影響しており、生活習慣病とも呼ばれているため、不摂生な生活をしている人は注意が必要です。 ここでは、喫煙をはじめとした本態性高血圧症の原因を詳しく見ていきましょう。 喫煙や飲酒 喫煙は、血圧を上げる生活習慣の1つです。タバコに含まれるニコチンは、血管を一時的に収縮させ、心拍数を増加させることで血圧を急上昇させます。一酸化炭素は血管の内壁を傷つけ、動脈硬化を促進します。長期的な喫煙は、血管の柔軟性を奪い、高血圧を慢性化させる原因になるため、注意が必要です。 また、適度な飲酒は血圧に良い影響を与える説もありますが、過度な飲酒は血圧を上昇させることが明らかになっています。 アルコールを分解する際に生成される物質が血管を収縮させたり、利尿作用によって脱水を起こしたりすると、血圧上昇につながると考えられています。 食生活や運動不足 食生活や運動不足も血圧に影響を与えます。とくに塩分の過剰摂取は、体内の水分量を増やし、血管にかかる圧力を高めるため、血圧上昇の大きな原因となります。 加工食品や外食が多い方は、塩分過多になりやすいため注意が必要です。カリウムや食物繊維が豊富な野菜や果物を摂り、バランスの取れた食事を意識しましょう。 また、運動不足も血圧上昇のリスクを高めます。体を動かさないと、血液の循環が悪くなり、心肺機能も低下します。定期的な運動は、血管を柔軟に保ち、血流の改善を期待できるため血圧管理には欠かせません。適度な有酸素運動を習慣にすると、血圧の安定につながります。 肥満 肥満も高血圧を引き起こす原因です。なかでも内臓脂肪の蓄積は、血圧を上げるホルモンの分泌を促したり、インスリンの働きを悪くして血糖値を上昇させたりするなど、さまざまな形で血圧に悪影響を及ぼします。 体重が増えるほど、全身に血液を送る心臓の負担が大きくなり、必然的に血圧も高くなりがちです。肥満を解消するために、バランスの取れた食事と適度な運動を組み合わせることで、体重を減らしながら血圧を下げる効果が期待できます。 ストレス 現代社会において避けられないストレスも、高血圧の一因となり得るでしょう。強いストレスを感じると、体は交感神経を優位にし、アドレナリンなどのホルモンを分泌します。アドレナリンなどのホルモンは、一時的に血管を収縮させ、心拍数を上げる作用があるため、血圧が上昇します。 慢性的なストレスは、血管に負担をかけ続け、高血圧を招く可能性があるため注意が必要です。十分な睡眠を取ったり趣味の時間を持ったりなど、リラックスできる方法を見つけ、ストレスを適切に管理するのが血圧を安定させる上で大切です。 遺伝的要素 本態性高血圧症は、遺伝的な要素も関わっているといわれています。両親や祖父母に高血圧の方がいる場合、自身も高血圧になるリスクが高い傾向にあります。 しかし、遺伝的要素があるからといって、必ずしも高血圧になるわけではありません。遺伝的リスクを持っている方は、喫煙や食生活、肥満、ストレスなど生活習慣因子に注意を払い、健康的な生活を心がけることが大切です。定期的な健康診断で血圧をチェックし、早期発見・早期対応に努めましょう。 喫煙者がタバコをやめることで起こる血圧の変化 高血圧に悩んでいる喫煙者は、まず禁煙を検討しましょう。高血圧はさまざまな要因が絡み合うことで発症するため、思い当たる原因から取り除くことが大切です。 喫煙者がタバコをやめることで起こる血圧の変化を見ていきましょう。 短期的な変化 禁煙がもたらす血圧の変化として、禁煙後20分でニコチンの刺激作用が減少すると心拍数と血圧が低下します。12時間後には血中の一酸化炭素レベルが通常値に戻り、24時間後には心臓発作のリスクがわずかではありますが、低下します。 ただし、一時的に禁煙直後の数日間は、血圧が上がる可能性があります。禁煙によるストレスや禁断症状による一時的な症状のため、通常は数日から数週間で安定するため過度に心配する必要はありません。 長期的な変化 禁煙を続けることで、血圧は安定し、健康リスクを大幅に減らせます。禁煙後、約2週間で血管内皮細胞の機能が改善し始め、血管拡張能が向上します。交感神経や副交感神経のバランスも変化し、心拍変動性が増加するのも特徴です。 【注意】高血圧の方が喫煙すると心血管疾患のリスクも高まる 高血圧の方が喫煙を続けることは、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の発症リスクを高めるため注意が必要です。喫煙は、血圧を上げる直接的な要因であるだけでなく血管そのものに深刻なダメージを与えます。 タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、血圧を一時的に上昇させてしまうのです。一酸化炭素は血液中の酸素運搬能力を低下させ、心臓に余計な負担をかけます。慢性的な高血圧と結びつくことで血管の壁が傷つきやすくなり、動脈硬化の進行を加速させてしまうのです。 動脈硬化が進行すると血管は硬く狭くなり、血液の流れが悪くなります。その結果、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす可能性が高まってしまうでしょう。 喫煙者におすすめな血圧を下げるための対策 高血圧と診断された喫煙者は、禁煙をはじめとした対策を取りましょう。高血圧を放置すると重篤な病気を引き起こすリスクがあるため注意が必要です。禁煙のほか食生活や運動不足の改善など実践できることは多くあります。 ここでは、喫煙者におすすめな血圧を下げるための対策を見ていきましょう。 禁煙する 喫煙者が血圧を下げるために重要かつ効果的な対策は禁煙です。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、血圧を一時的に上昇させるうえ、一酸化炭素は血管にダメージを与え動脈硬化を促進します。 禁煙により心拍数と血圧が低下し始め、数カ月後には血管の機能が改善し、長期的には非喫煙者と同レベルまで血圧が安定する可能性があります。 禁煙は決して簡単なことではありませんが、禁煙外来の利用やニコチン代替療法など、さまざまなサポートがあります。1人で禁煙するのが難しい方は、専門家のサポートを受け、禁煙をはじめましょう。 飲酒や減塩など食生活に気を配る 血圧を下げるには、食生活の見直しも必要です。飲酒をする方は、まず飲酒量を控えることから始めましょう。過度なアルコール摂取は血圧を上昇させる原因となります。 もし飲酒をしたい場合は、適量を守るか休肝日を設けるなどして、アルコールの摂取量を減らしましょう。 また食事を作る際は、減塩を意識するのも大切です。加工食品や外食が多い方は塩分過多になりやすいため、塩分量を減らすよう意識しましょう。出汁を効かせたり、香辛料やハーブを使ったりして、薄味でも美味しく食べられる工夫をするのがおすすめです。 適度な運動をする 血圧を下げるには、適度な運動を習慣にするのも大切です。ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの有酸素運動を無理のない範囲で30分程度、週に数回行いましょう。 運動はストレス解消にもつながり、体重管理にも役立つため、さまざまな方面から血圧の安定に貢献します。急に激しい運動を始めるのではなく、少し体を動かす習慣を取り入れることから始めてみましょう。一駅分歩いたり階段を使ったりなどの小さな運動でも、血圧に良い影響をもたらします。 ストレスを溜めないようリフレッシュする 高血圧に悩んでいる方は、ストレスを適切に管理し、溜め込まないようにリフレッシュしましょう。趣味に没頭したり、友人や家族と会話を楽しんだりなど自分に合ったリフレッシュ方法を見つけるのがおすすめです。 また質の良い十分な睡眠をとることも、ストレス軽減と血圧の安定には欠かせません。ストレスを溜め込まず、心穏やかに過ごせる時間を作ることで、血圧のコントロールにも良い影響を与えられます。 【喫煙者向け】高血圧に関する疾患でお悩みの方は再生医療をご検討ください 高血圧に関する疾患で悩んでいる喫煙者は、従来の治療方法だけでなく再生医療といった選択肢もあります。再生医療とは、自身の細胞や血液を利用した治療方法です。 自己細胞を使用するため、アレルギーや拒絶反応を起こしづらい傾向にあります。 リペアセルクリニックでは、疾患・免疫・美容などすべての分野で再生医療を提供しています。脳卒中や糖尿病、高血圧網膜症など高血圧が原因で引き起こされる疾患に悩んでいる方は、ぜひリペアセルクリニックの再生医療をご検討ください。 喫煙は血圧を上昇させる!禁煙を心がけよう 高血圧は喫煙をはじめ、食生活や肥満、ストレスなどさまざまな原因が絡み合うことで発症します。なかでも喫煙は、血圧を上昇させるだけでなく、脳卒中や糖尿病、高血圧網膜症などのリスクも高めるため注意が必要です。高血圧に悩んでいる喫煙者は、禁煙を検討しましょう。 また禁煙以外にも、減塩を意識した食事や適度な運動も高血圧の改善に期待できます。生活習慣を改善し、高血圧の改善を意識しましょう。
2025.07.31 -
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目や口が開けづらい、または字が書きづらいといった症状が見られ、ジストニアを疑う方もいるでしょう。ジストニア症状の判別は、医師の診断が必要です。 また、ジストニアといっても局所性や全身性、心因性などさまざまな種類があります。症状回復には、原因を踏まえた上で、適切な治療を行うことが大切です。 本記事では、ジストニア症状を種類別に解説します。主な治療法も紹介するので、眼瞼けいれんや書痙などに悩む方はぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 ジストニアについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ジストニア症状とは ジストニア症状とは、自分の意志とは関係なく筋肉がこわばってしまい、姿勢や運動に異常をきたす不随運動疾患です。発症の原因は解明されていませんが、主に脳からの指令に障害が起こっている可能性が考えられています。 ジストニアが発症する部位は、手や足、首などさまざまです。また、種類によって引き起こされる症状や現れるタイミングは異なります。 ジストニア症状の診断は症状や身体診察の結果に基づいて判断されるため、疑いがある場合は早めに専門機関を受診しましょう。 イップス・てんかんとの違い ジストニア症状と類似するイップスやてんかんには、以下の違いがあります。 イップス ゴルフや野球などのスポーツにおいて、無意識に筋肉がこわばって思うようなプレーが急にできなくなる運動疾患 てんかん 大脳の電気的な興奮が発生する場所によって繰り返し引き起こされる慢性疾患 イップスを発症する主な要因は、プレッシャーなどによる心因的ストレスです。医学的な病名ではないため、局所性ジストニアの一種と考えられる場合もあります。 対して、てんかんは脳疾患に分類されています。似た症状が見られるものの、運動疾患に分類されるジストニアとは定義や発症のメカニズムなどが異なるため、正確な診断が必要です。 ジストニアの主な初期症状 ジストニアは発症する筋肉の部位によって、異なる症状を引き起こすものの、くねらせた動きやねじれが特徴です。 主な初期症状は、以下の通りです。 目や口が開けづらい 字が書きづらい 首や肩が勝手に傾く 話す際に舌が出る 歩行中に足や身体が曲がる 発症パターンのなかには、字を書くときなど特定の動作をするときだけに現れるケースもあります。ジストニア症状は局所的に発症するほか、病状の進行によって全身に出る場合もあります。 ただし、筋肉のこわばりやつっぱりなどの症状では、ジストニアとは判断するのが難しい点に注意が必要です。不随意運動や姿勢異常が見られた場合は、専門機関を受診しましょう。 【種類別】ジストニアの症状と原因 ジストニアは、種類によって症状や発症の原因が異なります。主な種類は、以下の6つです。 局所性ジストニア 分節性ジストニア 全身性ジストニア 心因性ジストニア 薬剤性ジストニア 遺伝性ジストニア それぞれの症状や原因を解説するので、参考にしてください。 局所性ジストニア 局所性ジストニアでは、手や足など身体における1つの部位に症状が見られます。成人で発症したジストニアの多くは、局所性ジストニアといわれています。(文献1) 局所性ジストニアの主な症状は、以下の通りです。 眼瞼けいれん れん縮性斜頸 けいれん性発声障害 書痙 局所性ジストニア症状は、同じ動作を長期間繰り返し行う場合に発症する可能性があります。そのため、音楽家や漫画家、美容師など特定の職業の方が発症するケースも見られます。 分節性ジストニア 分節性ジストニアでは、頸部と体幹や頭頚部2か所など、隣接する2つ以上の部位に症状が見られます。主な症状は、以下のように局所性ジストニアと同じです。 眼瞼けいれん れん縮性斜頸 けいれん性発声障害 書痙 分節性ジストニアの場合、眼瞼けいれんのほか、隣接する下顎や頸部などに症状が見られる場合があります。 全身性ジストニア 全身性ジストニアは、体幹とその他2部位以上に症状が見られます。好発年齢は小児から青年期といわれており、成人で発症した場合の原因は明らかになっていません。全身性ジストニアの原因は、遺伝やほかの疾患による続発、薬剤の使用などです。 全身性ジストニアでは、主に次の症状が見られます。 身体がねじれたような姿勢になる 上を向くように首を反らせるなど身体が反り返った姿勢になる 足関節が内側に曲がる 眼瞼けいれんを引き起こす ジストニア症状が長期間続くと、骨や関節が変形する可能性もあります。また症状が悪化した場合、呼吸障害や嚥下性肺炎などを発症するケースも珍しくありません。 心因性ジストニア 心因性ジストニアは、ストレスが原因で脳神経細胞に異常をきたして、不随意運動を引き起こします。原因は明確になっていませんが、精神的ストレスのかかる環境にいる人に発症しやすい傾向にあります。 主な症状は、以下の通りです。 眼瞼けいれん れん縮性斜頸 身体の歪み けいれん性発声障害 書痙 ジストニア症状は、ストレスや疲労によって悪化する可能性があります。悪化を防ぐためにも、原因を理解した上で適切な治療を受けることが大切です。 薬剤性ジストニア 薬剤性ジストニアは、次の3つに分類され、発症原因もそれぞれ異なります。 種類 特徴 急性ジストニア 薬物服用開始によって急性発症する 若年層では体幹が中心・高齢層では頭頚部疾患が多い傾向にある 遅発性ジストニア 長期間の薬物使用や減量・中止によって発症する 若年層では下肢発症・発症年齢が上がるほど上肢に症状が現れる傾向にある 薬物性離脱症候群 薬物の急激な減量・中止によって発症する 主に小児に多い傾向にある 症状は、次のようにほかのジストニアと同様です。 眼瞼けいれん れん縮性斜頸 身体のねじれ・反り返り けいれん性発声障害 書痙 中枢神経に作用する薬物を服用している、もしくは服用歴がある場合は薬物性ジストニアの可能性が考えられます。 遺伝性ジストニア 遺伝性ジストニアは、遺伝によって引き起こされます。ただし、遺伝子ジストニアは遺伝子を持っていても発症しない可能性があります。 遺伝性ジストニアの主な原因は、以下のように局所性から全身性までさまざまです。 眼瞼けいれん れん縮性斜頸 身体のねじれ・反り返り けいれん性発声障害 書痙 小児発症が多い傾向にあるため、家族でジストニアの発症歴がある場合は診断を検討するのがおすすめです。 ジストニアの症状は治る?主な治療法 ジストニアは不随運動疾患ですが、脳の病気でもあるため、完治は難しいといわれています。しかし、適切な治療により、症状の回復が期待できます。 ジストニア症状の主な治療法は、以下の3つです。 薬物治療 ボツリヌス治療 手術治療 治療内容について、以下で解説するので参考にしてください。 薬物治療 一般的に、全身性ジストニア症状では薬物治療が行われます。薬物治療では、局所注射もしくは経口で投与するケースが一般的です。 全身性ジストニア症状の場合、主に抗コリン薬が使用されます。抗コリン薬では、神経から送られる特定の信号を遮断し、けいれんを減らす作用が期待できます。 抗コリン作用を持つ薬は、以下の通りです。 トリヘキシフェニジル カルバマゼピン バクロフェン ベンツトロピン 薬物治療で効果が見られない場合、脳深部刺激療法を行うケースもあります。 ボツリヌス治療 局所性ジストニアでは、ボツリヌス治療を行うのが一般的です。ボツリヌス治療とは、筋肉の緊張を和らげるボツリヌス製剤を局所注射する治療法です。筋肉内への投与により、筋肉の緊張を和らげ、神経の働きを抑えます。 ボツリヌス治療によって、日常生活動作を行いやすくするほか、関節の変形防止や筋肉のつっぱりによる痛み緩和などの効果が期待できます。 眼瞼けいれんやけいれん性発声障害、書痙などではボツリヌス治療が用いられるケースがほとんどです。ボツリヌス治療は、効果が徐々に弱くなるため、3〜4カ月毎に治療する必要があります。 手術治療 薬物療法やボツリヌス治療で症状回復が見られない場合は、手術治療を行います。ジストニア症状の代表的な手術と特徴は、以下の3つです。 術式 特徴 脳深部刺激術 脳の深部に電気刺激を行い、脳神経回路を調整して症状を改善する 高周波凝固手術 治療部位に電極を挿入し電気刺激を行い、症状を改善する バクロフェン髄腔内投与療法 バクロフェンが入ったポンプを腹部に埋め込み、カテーテルを通じて薬を投与して症状を改善する 手術を行う場合、いずれも1〜2週間ほどの入院や通院が必要になります。症状回復が見られない場合は、手術を検討するのも手段の1つです。 ジストニアの症状における再生医療の可能性 再生医療とは、患者自身の脂肪組織から幹細胞を分離・培養し、静脈内投与により組織修復や機能回復を目指す治療法です。幹細胞を採取する際は、おへその横からごくわずかな脂肪を取るため、身体の負担を最小限に抑えられます。 また、入院が不要な点も再生医療の特徴です。ジストニアの治療で効果が現れずお悩みの場合は、再生医療を検討するのも手段の1つです。当院では、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けておりますので、治療法について知りたい方はお気軽にお問い合わせください。 ジストニアの症状判別は医師の診断が必要 ジストニアの症状は、原因や発症する部位によって異なります。症状や身体診察の結果に基づいて判断されるため、思い当たる症状が見られた場合は専門機関への受診を検討しましょう。 ジストニア症状は、原因や種類によって治療法が異なります。適切な治療を行うためにも、原因の把握が大切です。 万が一症状の回復が見込めない場合は、改善策として再生医療を検討するのもおすすめです。ジストニアの症状を理解し、早期対策を図りましょう。 ジストニアと症状に関するよくある質問 ジストニアはどんな人がなりやすいですか? ジストニアは、同じ動作を繰り返している人がなりやすい疾患です。具体的には、ピアノなどの楽器を演奏している、ハサミの操作を繰り返すなどの職業の人が発症する場合もあります。そのため、音楽家や美容師、スポーツ選手などはジストニアになる可能性が考えられます。 ジストニアは死亡の要因になりますか? ジストニアは、症状が進行すると稀に呼吸不全などを引き起こす可能性があります。実際に、全身性ジストニアを発症し、嚥下性肺炎で死亡した事例もあります。(文献2) そのため、ジストニア症状が見られた際は放置せず、専門機関を受診しましょう。 心因性ジストニアは何科を受診すればよいですか? 心因性ジストニアの場合、心療内科を受診しましょう。不安定な精神状態の場合、治療効果が得られにくい可能性もあるためです。(文献3)心身ストレスが原因の場合、心理療法により症状が緩和するケースも考えられるため、心療内科の受診を検討してみてください。 参考文献 (文献1) ジストニア診療ガイドライン2018|南江堂 (文献2) J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター|進行性の全身性ジストニアを呈し嚥下性肺炎で死亡した80歳女性剖検例 (文献3) 目崎 高広|ジストニアの病態と治療
2025.07.31 -
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思うように力が出ない 休んでも疲れが取れない トレーニング量を増やしたものの、思ったような結果につながらず不安に感じる方もいるでしょう。 オーバートレーニング症候群とは、過剰なトレーニングによって心身に不調が生じ、パフォーマンスが低下してしまう状態を指します。 症状は軽度の疲労感から精神的な不調まで多岐にわたり、対処が遅れると回復に長期間を要するため注意が必要です。 今回は、オーバートレーニング症候群の重症度別の症状や原因、治し方について詳しく解説します。症状のチェックリストも紹介するので、オーバートレーニング症候群が疑われる方は、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 オーバートレーニング症候群について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 オーバートレーニング症候群の症状【重症度別】 オーバートレーニング症候群とは、過剰なトレーニングによる疲労が十分に回復しないまま蓄積し、慢性的なパフォーマンス低下や体調不良を引き起こす状態です。 単なる「疲れ」や一時的な「スランプ」とは異なり、自律神経のバランスまで乱れてしまうのが特徴です。 オーバートレーニング症候群の症状は、進行度に応じて異なります。ここでは、症状を3段階に分けて詳しく解説します。 軽症|パフォーマンスの低下 軽症の場合、オーバートレーニング症候群によって運動時のパフォーマンスは下がりますが、明らかな体調不良は感じません。運動後の回復に時間がかかり、翌日まで疲れが残るケースもみられます。 症状の具体例は以下のとおりです。 以前は問題がなかったランニング距離で息が上がる 記録が伸びない 運動時の集中力が続かない この時期は「練習不足かもしれない」と誤解しがちですが、実際には疲労の蓄積が原因である可能性が高いです。全力で取り組もうとしても身体がついてこず、以前よりすぐに息が上がる場面も増えてしまいます。 軽症の段階で十分な休養を取れば比較的早く回復できるため、無理に続けず身体の変化に気づくことが大切です。「最近、調子が戻らない」と感じた時点で、トレーニング量を見直しましょう。 中等症|疲労症状 中等症に進行すると、体が慢性的に疲れた状態となり、運動中だけでなく日常生活にも明らかな支障が出始めます。 症状の具体例は以下を参考にしてください。 十分な睡眠をとっても疲れが抜けない 朝起きた瞬間から身体が鉛のように重く感じる 軽いジョギングでも息切れする 立ちくらみや動悸が起こる回数が増える 中等症では、運動だけでなく生活全体の質が低下しやすくなります。自律神経のバランスが乱れ、回復力そのものが低下しているため、トレーニングを続けると悪化しやすい点が特徴です。 「体調がいつもと違う」と感じる程度ではなく、「治りにくい疲れ」に変化している場合は早急な休養が必要です。中等症はそのまま放置すると重症化する可能性が高いため、症状が現れている方は、迷わず休養を確保しましょう。 重症|精神・心理症状 オーバートレーニング症候群が重症化すると、身体だけでなく心にも負担が積み重なり、精神的な不調が強く現れます。 具体的な症状は、以下のとおりです。 気分の落ち込み 不眠 食欲不振 集中力の低下 運動へのモチベーション低下 日常生活にも影響が及ぶため、仕事や学業などに対する意欲や集中力が低下し、人間関係に支障をきたすケースも珍しくありません。 オーバートレーニング症候群が重症化した場合、無理に運動を続けると回復に長い時間がかかるため注意が必要です。重症の症状を放置せず、医師や専門家による適切なアプローチによって回復に努めるのが大切です。 オーバートレーニング症候群の原因 オーバートレーニング症候群の原因は、単に「運動量が多い」だけではありません。 原因は単一ではなく、トレーニング内容の急激な変化や生活習慣、精神状態などが複雑に絡み合い発症します。ここでは、発症の引き金となる主な4つの原因を解説するので、参考にしてください。 トレーニングによる負荷の増加 オーバートレーニング症候群の主な原因は、身体の適応能力を超えたトレーニングによる負荷の増加です。 「大会が近いから」と練習量を急激に増やしたり、十分な準備期間を経ずに高強度のメニューを取り入れたりすることが引き金となります。 トレーニングの強度や量、頻度が同時に高まる状況はとくに危険です。身体は徐々に負荷へ適応するため、急激な変化には対応しきれません。 結果として、筋肉や関節、神経系へのダメージが修復不能なレベルまで疲労が蓄積し、パフォーマンス低下を招いてしまいます。 休養・睡眠不足 運動と同じくらい重要である「回復」がおろそかになるのも、オーバートレーニング症候群の原因です。 休養日を設けずに連日トレーニングを行ったり、睡眠時間が不足したりすると、身体は修復の機会を失います。とくに、睡眠中は傷ついた組織を修復する成長ホルモンが分泌される貴重な時間です。 睡眠不足は肉体的な疲労回復を遅らせるだけでなく、自律神経の乱れにも直結します。 「休養もトレーニングの一部」である意識が欠如し、焦りから休息を犠牲にする行為は、オーバートレーニング症候群を招きます。 栄養不足 消費エネルギーに対して摂取エネルギーが不足している状態は、発症リスクを高める原因の1つです。運動で大量のエネルギーを消費しているにもかかわらず、食事量が足りていなければ、身体の回復は追いつきません。 とくに、筋肉の修復に必要なタンパク質や、エネルギー源である糖質が不足すると不調を感じやすくなります。タンパク質や糖質が不足すると、身体は自らの筋肉を分解してエネルギーを産生します。 また、極端なダイエットや偏った食事制限も、回復に必要なビタミンやミネラルの欠乏を招き、疲労を蓄積させます。 精神的ストレス オーバートレーニング症候群の原因として見落とされがちなのが、精神的なストレスです。脳が感じるストレスは、自律神経系や内分泌系を通じて身体機能に悪影響を及ぼします。 「絶対に記録を出さなければならない」というプレッシャーや、職場・人間関係でのトラブルなどが重なると、身体的な負荷がそれほど高くなくても発症するケースがあります。 真面目で責任感が強い性格の方ほど、精神的な不調を我慢して運動で発散しようとしますが、かえって心身の許容量を超え、症状を悪化させる場合も珍しくありません。 オーバートレーニング症候群の治し方 オーバートレーニング症候群を治すには、体と心の回復を優先する必要があります。具体的には、無理な運動を控えて十分な休養を確保するのが大切です。 ここでは、オーバートレーニング症候群の回復に欠かせない3つの方法について具体的に解説するので、参考にしてください。 当院では、公式LINEにて簡易カウンセリングを実施しておりますので、お気軽にご相談ください。 休養の確保 休養は、オーバートレーニング症候群の改善において最も重要な要素です。身体は運動後に回復しながら強くなるため、休みを十分に取らなければ疲労が蓄積し、症状が長引きます。 軽い不調を感じた段階で強度を下げるか、一時的にトレーニングを休む判断が必要です。実際に、数カ月間競技活動から離れて休養を確保するだけで、回復が得られる場合もあります。(文献1) ただし、症状によっては、まったく身体を動かさないと逆効果になるケースも考えられるため「どの程度の休養が必要か」「軽度のトレーニングであれば続けても問題がないか」など、医師やトレーナーと相談しながら治療しましょう。 また、睡眠の質を高める工夫も欠かせません。就寝前のスマートフォン操作を控えたり、ぬるめのお湯に浸かったりして、副交感神経を優位にする環境を整えてください。身体が修復モードに入る夜間に、深く質の高い眠りを確保するのが重要です。 ストレス管理 オーバートレーニング症候群を治すには、身体的な疲労だけでなく、精神的なストレスを取り除くのも重要です。背景に心理的要因や環境適応などの問題があると、休養だけでは回復しにくいといわれています。(文献1) 真面目な性格の方ほど「早く治さなきゃ」「仲間に置いていかれる」と自分を追い込みがちですが、焦りが新たなストレスとなり、回復を妨げてしまいます。まずはトレーニングの記録や数値へのこだわりを一旦捨て、心身を解放するのが大切です。 精神的ストレスはオーバートレーニング症候群の原因の1つであり、症状を悪化させる要因にもなります。気分の落ち込みが続いたり、やる気がでない状態が長引いたりする場合は、精神科医やスポーツ心理士に相談してみてください。カウンセリングのほか、必要に応じて薬物療法を受けるのもおすすめです。 早期回復のためにも、心の状態を軽視せず、症状に合わせた専門的なサポートを受けましょう。 バランスの良い食事 オーバートレーニング症候群を治すためには、バランスの良い食事が欠かせません。食事を通して必要な栄養素を補うと、疲労の回復や免疫力向上の助けになります。具体的には、以下の栄養素を意識的に摂取しましょう。 栄養素 効果 ビタミンB群 エネルギー代謝を助ける 疲労回復をサポートする ビタミンC 疲労を引き起こす活性酸素を抑える 摂取量により、抗酸化作用が見られる 豚肉や大豆製品などに多く含まれるビタミンB群は、エネルギー代謝を助けて疲労回復を強力に促す働きがあります。また、レモンやグレープフルーツなどに含まれるビタミンCには、疲労の原因を除去し、疲労回復に役立つといわれています。 食欲が落ちている場合は、うどんや雑炊など消化の良いものを少量ずつ回数に分けて食べるなど、胃腸への負担を減らす工夫も大切です。無理なダイエットや偏食は避け、1日3食しっかり食べ、身体の回復機能を内側からサポートしましょう。 オーバートレーニング症候群のチェックリスト オーバートレーニング症候群を早期に発見するには、日々の体調や気分の変化に注意するのが大切です。オーバートレーニング症候群が疑われる場合は、以下の項目に該当するかセルフチェックしてみましょう。 最近トレーニングの強度を上げた 練習しているのに成績が上がらない 軽いジョギングでも疲れるようになった トレーニング後の筋肉痛が長く続くようになった 睡眠の質が低下し、熟睡できた感じがしない 起床直後の心拍数が普段より増加している トレーニングのやる気が出ない 食欲が低下した 気分が落ち込みやすくなった 毎日運動しないと不安を感じる 運動していないときでも疲労感がある 頭痛や立ちくらみが頻繁に起こる 貧血や感染症などが原因ではないにもかかわらず、複数の症状が該当する場合は、オーバートレーニング症候群が疑われます。 また、身体の不調を感じたときは、心拍数や血圧をチェックしてみるのもおすすめです。 疲労症状が強まると起床時の心拍数が増加するため、起床直後の心拍数をチェックすることで疲労状態を把握しやすくなります。起床直後の心拍数が1分あたり10回以上増えている場合は、オーバートレーニング症候群を疑いましょう。 上記の症状が2週間以上続く場合は、単なる疲れではない可能性があります。自己判断で放置せず、専門医へ相談してください。 オーバートレーニング症候群かもと感じたら早めに受診しよう オーバートレーニング症候群は運動熱心な方ほど陥りやすく、トレーニング量と回復のバランスが崩れると発症します。放置すると重症化する可能性があるので注意が必要です。 「疲れ方がいつもと違う」「運動していなくても疲労感が続いている」と感じたら、休養したりトレーニングを軽くしたりして対応しましょう。 オーバートレーニング症候群は、軽症であれば比較的早く回復できますが、重症化すると復帰に時間がかかります。早期発見するには、セルフチェックリストを活用しながら、身体と心のサインを見逃さないのが大切です。 自己判断で放置せず、症状に応じて早めに医療機関を受診しましょう。 オーバートレーニング症候群に関するよくある質問 オーバートレーニング症候群の診断方法は? オーバートレーニング症候群は、一般的には以下の指標を総合的に判断して診断されます。 安静時心拍数の増加 安静時血圧の上昇 運動後血圧の回復の遅れ 競技成績の低下 オーバートレーニング症候群には明確な検査法が確立されていません。医師による問診や身体所見、血液検査などを用いて総合的に診断されます。 オーバートレーニング症候群は一般人でも発症する? オーバートレーニング症候群は、プロのアスリートだけでなく、健康維持を目的に運動している一般の方や学生でも発症します。 オーバートレーニング症候群を発症するのは、スポーツ選手や部活動をしている学生だけではありません。 とくに、急に運動強度を上げた方や、仕事や家庭のストレスが多い中でトレーニングを続けている方は、発症しやすくなるため注意が必要です。 運動は健康の維持に欠かせない習慣ですが、過剰なトレーニングは逆効果になる可能性があるため注意しましょう。 オーバートレーニング症候群はどのくらいで治る? オーバートレーニング症候群は、軽症・中等症であれば1〜3カ月程度での回復が期待できます。しかし、重症化すると半年〜1年かかるケースもあり、長期にわたる休養と治療が必要です。 治癒にかかる期間は、症状の重症度や発症からの期間、休養への取り組み方によって大きく異なります。 重症化を防ぐためにも、自己判断で無理を重ねず、医師や専門家のアドバイスを受けましょう。 オーバートレーニング症候群は何科を受診すれば良い? オーバートレーニング症候群が疑われる場合は、スポーツ内科の受診がおすすめです。 ただし、地域によってはスポーツ内科の専門外来がないケースも考えられます。スポーツ内科が近くにない場合、症状に応じて整形外科や一般内科、婦人科などを受診しましょう。 目安として、2週間程度運動を控えても症状が改善されない場合は、早めに医療機関を受診してください。 オーバートレーニング症候群とうつ(鬱)の関係性は? オーバートレーニング症候群は、身体的な疲労だけでなく精神面にも強い影響を及ぼす点が特徴で、うつ症状と似た状態が現れることがあります。 慢性的な疲労が続くと自律神経のバランスが崩れ、気分が落ち込みやすく、意欲低下や集中力の低下が目立つようになります。症状が進むと、運動への興味が失われたり、日常生活に支障が出るケースもあるため注意が必要です。 ただし、うつ病と完全に同じ病態ではないため、適切な診断とケアを受けるのが重要です。 参考文献 文献1 Vol. 31 No. 3, 2023.「オーバートレーニング症候群:理解と対応」|日本臨床スポーツ医学会誌 https://www.rinspo.jp/journal/2020/files/31-3/376-378.pdf
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「圧迫骨折をしたけど、どんな動きがNGなのかわからない…」 「やってはいけない姿勢や動作を知らずにやって、症状が悪化したらどうしよう…」 このような不安を抱えていませんか? 圧迫骨折とは、腰や背中の骨にある椎体(腰椎・胸椎)が押しつぶされるように変形・破損する骨折です。 そのため、完治するまでは、患部に負担がかかる姿勢や動作をしてはいけません。無理に動かすと骨の変形が進んだり、回復が遅れたりする可能性があります。 本記事では、圧迫骨折でやってはいけないことを一覧で紹介します。早く治す方法も紹介するので、参考にしてみてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 圧迫骨折の痛みにお悩みの方や再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 【前提知識】圧迫骨折とは 圧迫骨折とは、腰や背中の骨の椎体(腰椎・胸椎)に外部から圧力がかかり、押しつぶされて起こる骨折です。主な原因は、転倒や交通事故といった衝撃です。 とくに高齢者の場合、骨粗しょう症が原因で圧迫骨折になりやすい傾向があります。骨粗しょう症は骨がもろくなった状態で、小さな衝撃や日常動作の蓄積により圧迫骨折を引き起こします。 圧迫骨折になると、骨折した部分(腰または背中)に痛みを感じます。適切な治療を受けずに放置すると症状が悪化してしまうので、気になる症状を感じたら速やかに医療機関を受診しましょう。 圧迫骨折でやってはいけないこと一覧 圧迫骨折をした方がやってはいけないのは、骨折した部分に負担がかかる姿勢や動作です。圧迫骨折は腰や背中の椎体に起こるため、これらの部位に負荷をかける動きは症状を悪化させる恐れがあります。 以下は、圧迫骨折でやってはいけないこと一覧です。 前かがみになる 重い物を持ち上げる 体をひねる 長時間座る 仰向けに寝る 1つずつ具体的に見ていきましょう。 前かがみになる 前かがみになる動作は、腰や背中の椎体に強い圧力をかけるため、圧迫骨折している方は避けなければなりません。 以下は前かがみの動作を伴う日常生活の例です。 床掃除をする 落ちていたものを拾う 靴を履く/靴紐を結ぶ 洗濯物をカゴから取り出す これらの動作をする際は、背筋を伸ばした状態で膝を曲げてしゃがむと椎体への負担を軽減できます。 重い物を持ち上げる 重い物を持ち上げる動作も腰や背中の椎体に負荷がかかるため、控えたほうが良いです。 重い物をどうしても運ばなくてはならないときは、以下の方法を試してみてください。 他の人に頼んで持ってもらう 荷物を分けて1つ分の重量を軽くする 台車やキャスター付きの道具を使用する これらの工夫により、椎体への負担を最小限に抑えられます。 体をひねる 体をひねる動作は、腰や背中の椎体にねじれの力が加わり、骨折部位に悪影響を与えます。 以下は日常生活で体をひねる動作の例です。 後ろを振り向く ベッドで寝返りを打つ 車を運転中に後方を確認する 振り返るときは、首や腰だけをひねらず、足や体全体を回して向くようにしてください。 長時間座る 圧迫骨折している方は長時間座っている状態も控えましょう。 同じ姿勢で座っていると、腰や背中の椎体に持続的な圧力がかかり続けます。 以下は長時間座る動作の例です。 映画を見る デスクワークを続ける ゲームを長時間プレイする 車やバスで長距離を移動する 30分程度座っているだけでも、腰や背中の椎体には負担がかかります。座り続けて作業する際は、時間を決めて作業をしたり、こまめに立ち上がって休憩を挟んだりする工夫をしてみてください。 仰向けに寝る 仰向けに寝る姿勢は、寝具に骨折部位を押し付けている状態なので、骨折した部分に負荷がかかっています。 また、背骨が伸展することで椎体に開く方向の力が働くため、骨の癒合(骨がくっつくこと)を妨げる可能性があります。 寝るときは横向きになると骨折部への負担を軽減できます。 圧迫骨折を早く治す4つの方法 ここでは、圧迫骨折を早く治す方法を解説します。 主な方法は以下の4つです。 安静にする コルセットを着用する リハビリに取り組む 骨粗しょう症を治療する 取り入れられる方法を実践して、早期回復を目指しましょう。 安静にする まずは安静が第一です。 骨折中は、無理に体を動かしたり、激しい運動をしたりすると症状の悪化や再び骨折する恐れがあります。 痛みが治まり、ベッドから起き上がれるようになるまでは絶対安静を保ちましょう。 コルセットを着用する 圧迫骨折した際は、コルセットを着用すると自然治癒がスムーズに進みます。 やってはいけない姿勢や動作を物理的に抑制して、骨の癒合を促進するからです。 脊椎圧迫骨折患者に対し、早期より体幹ギプス固定を着用し、同時に体幹筋の筋力強化を実施して、脊柱が体を支える筋力を補うことで、安静状態の期間が短縮された報告もあります。(文献1) コルセットの着用期間は、おおよそ2カ月間とされています。 長く装着しすぎると関節可動域や周辺の筋力が低下する可能性があるため、コルセットは医師の指導のもとで使用しましょう。 リハビリに取り組む 安静期を過ぎたらリハビリを開始します。 最初は、関節の可動域を広げるための訓練から始めるのが一般的です。ベッドで長期間安静にしていると、筋力が低下して関節を動かせる範囲が狭まります。 無理のない範囲で関節を動かし、徐々に可動域を回復させていきます。 ベッドから起き上がれるようになったら、次の段階は足の筋力トレーニングです。 安静期に落ちた筋力を段階的に回復させていきます。 骨粗しょう症を治療する 骨粗しょう症が原因で圧迫骨折した方は、骨粗しょう症の治療が根本治療につながります。 骨粗しょう症は、骨がもろくなっている状態で、代表的な治療法に「薬物療法」と「食事療法」があります。それぞれの治療内容は以下のとおりです。 治療法 治療内容 薬物療法(文献2) ・骨が溶け出すのを防ぐ薬を服用する ・骨を新しく作る力を高める薬を服用する 食事療法(文献2) 骨の形成に関与する栄養素(カルシウム・ビタミンD・ビタミンK)を意識的に摂取する 骨粗しょう症と圧迫骨折の治療を同時に進めることで、より効果的な回復が期待できます。 圧迫骨折におけるやってはいけないことを覚えて早期回復を目指そう 損傷した骨が治癒するには時間がかかります。回復期間中に、やってはいけない姿勢や動作をすると症状が長引くリスクを招きかねません。 本記事を参考に、無理のない過ごし方を心がけて、早期回復を目指してください。 圧迫骨折は骨粗しょう症が原因で起こることが多ため、日頃から骨を作るカルシウム・ビタミンK・ビタミンDの栄養素を食事から摂取して、圧迫骨折の予防にも努めましょう。 圧迫骨折に関するよくある質問 圧迫骨折は入院しなくていいんですか? 症状が軽度の場合は、入院する必要はありません。自宅で安静にしながら外来診療に通院して治療を進められます。 ただし、痛みが強くて日常生活もままならない場合や、損傷が激しく手術が必要な場合は、入院治療が必要です。 圧迫骨折を放置するとどうなりますか? 骨が変形し、その影響で姿勢が悪くなったり、猫背になったりする可能性があります。 また、偽関節(ぎかんせつ:骨がしっかり癒合しない状態)になり、下肢の痛みやしびれ、排尿障害といった深刻な症状を引き起こすリスクがあります。 参考文献 (文献1) 骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折の理学療法|埼玉理学療法 (文献2) 骨粗鬆症の診断と治療|日医大医会誌
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「水泳のあとに肩が痛む……これって水泳肩?」 「水泳肩ってリハビリやストレッチで治るの?」 このような不安を抱えている方は多いでしょう。 水泳肩は、水泳による肩の使いすぎやフォームの崩れなどが原因で起こります。放置すれば痛みが慢性化し、日常生活や競技に支障をきたすこともあります。 しかし、正しく対処すれば症状の改善は可能です。 本記事では、水泳肩の特徴的な症状や原因、治療法を詳しく解説しています。自宅でできる対処法や再発防止も紹介しているので参考にしてみてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 水泳肩の痛みが治らず悩んでいる方や、再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 水泳肩とは 水泳肩は、泳いでいる時や泳いだ後に肩が痛む症状を指します。 1978年に医学界で初めて命名された用語で、当初は水泳による肩の痛みだけを表していました。(文献1) しかし、現在は水泳以外でも肩に違和感や痛みを感じる症状全般を含む呼び方に変化しています。 以下の記事では、肩の痛みが関係する病気について解説しています。視野を広げて肩の痛みの原因を探したい方は参考にしてみてください。 水泳肩の主な症状 水泳肩で現れる代表的な症状は以下の表のとおりです。 症状の種類 特徴 違和感・引っかかり感 肩を回すとゴリゴリといった不快な感覚や引っかかりがある 肩の痛み 水泳中や安静時にもズキズキした痛みが現れ、程度は軽い違和感から激痛まで幅がある 動かしにくさ 腕を上げたり、後ろに回す動作が難しくなり、日常生活にも支障をきたすことがある 腫れ・熱感 強い炎症により肩が腫れ、熱を持ち、赤くなるなどの症状を伴う これらの症状に心当たりがある方は水泳肩の可能性が高いです。 無理にトレーニングを続けず、症状が現れたら医療機関を受診しましょう。 症状が悪化すると、インピンジメント(衝突症候群)で骨や筋肉が肩の中でぶつかって痛む状態や、関節唇損傷で肩の軟骨が傷ついた状態になるなど、重篤な疾患に発展する恐れがあります。 水泳肩になる主な原因 水泳肩を引き起こす主な原因には以下の2つがあります。 肩の使いすぎ フォームが悪い それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。 肩の使いすぎ 肩の使いすぎは水泳肩を引き起こす代表的な原因です。(文献1) 水泳動作により肩関節が反復して使われることで、筋や腱に過剰なストレスがかかり、炎症反応を引き起こすためです。 とくに、長時間の練習や高強度のトレーニングを続けると、肩周辺の組織が十分に回復する時間がとれなくなります。 また、急激に練習量を増やした場合も、肩への負担が急激に高まり障害のリスクが上昇します。 適切なタイミングで休息をとり、練習量は段階的に増やしていきましょう。 フォームが悪い 泳ぎのフォームが悪いと肩関節に異常な負担をかけ、水泳肩の発症リスクを高めます。 肩の動きが不自然になると、特定の筋肉や腱に過度な負荷が集中し、炎症や損傷を引き起こします。 たとえば、以下の要因です。 腕の入水角度が悪い 肩の回転が不十分 体幹が不安定 肩だけで推進力を生み出そうとすると過度な負担がかかります。 正しいフォームを習得し、肩にかかる負担をおさえましょう。 水泳肩の痛みに効果的なストレッチ 水泳肩の痛みを軽減するためには、適切なストレッチが効果的です。 ストレッチを行うことで肩周辺の筋肉の柔軟性が向上し、血流が改善されて痛みの軽減につながります。 水泳肩の痛みに効果的なストレッチは以下のとおりです。 小胸筋(胸の上の方で肩の前にある筋肉)のストレッチ 肩の内旋(内側にねじる)ストレッチ 肩甲骨まわりのストレッチ 日常的にストレッチを行うことで、水泳肩の予防効果も期待できます。 ただし、強い痛みがある場合は無理をせず、医師や理学療法士の指導を受けながらストレッチを行いましょう。 水泳肩の代表的な治し方と治療期間 水泳肩の治療法と治療期間を理解できれば、症状に応じた選択が可能になります。 水泳肩の主な治療法には以下の4つの方法があります。 保存療法 リハビリ 手術 再生医療 各治療法の特徴と適応について詳しく解説します。 保存療法 保存療法は水泳肩の症状が軽度〜中程度期の治療として選択される方法です。 痛みの段階に応じて以下の治療を行います。 安静にする 湿布などで冷却する 消炎鎮痛剤を内服する ステロイド注射をする 保存療法の治療期間は、症状や治療内容によって個人差があります。 リハビリ リハビリテーションは水泳肩の機能回復と再発予防が期待できます。 理学療法士による専門的な指導のもと、主に肩関節の可動域改善や筋力強化などの運動療法を行います。 初期段階では痛みの軽減と炎症の抑制をして、徐々に筋力トレーニングや動作練習を加えていくのが一般的です。 また、正しい泳ぎのフォームの習得や、水泳復帰のための段階的なトレーニングも含まれます。 リハビリ期間は個人差があるため、競技復帰までの期間も個々に異なります。 手術 水泳肩が重症化すると、肩の腱板が切れてしまう腱板断裂に至り、手術を検討する必要があります。 腱板が断裂すると、肩を動かすたびに強い痛みが出るだけでなく、筋力が入らず腕が思うように上がらなくなるケースも見られます。 こうした状態では、切れた腱板をつなぎ直す関節鏡視下手術と呼ばれる内視鏡手術が一般的です。 手術の入院期間は2日から5日程度で、手術後は数カ月間リハビリを通じて機能の回復を目指します。 再生医療 再生医療は人間の組織を活用した治療法です。 再生医療には、「幹細胞治療」と「PRP(多血小板血漿)療法」があります。 「幹細胞治療」はご自身の脂肪などから幹細胞を採取・培養し体内へ注射する治療です。 「PRP(多血小板血漿)療法」では、ご自身の血液から血小板を多く含む成分を抽出し体内へ注射します。 当院では両方の治療法を提供していますので、具体的な治療内容を知りたい方は当院までお気軽にお問い合わせください。 水泳肩の原因と治し方を知って適切に対処しよう 水泳肩は適切な知識と対処法を理解できれば、効果的に治療をはじめられます。 しかし、痛みがある状態で無理に水泳を続けてしまうと、将来的に手術が必要となる場合があります。 水泳肩の主な治療法は以下の4つです。 保存療法 リハビリ 手術 再生医療 痛みを感じたら無理をせず、医療機関で適切な診断と治療を受けましょう。 症状が改善しない水泳肩の損傷に対しては手術や再生医療の選択肢もあります。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っておりますので、ぜひご活用ください。 水泳肩に関するよくある質問 水泳肩は肩のどこの部分が痛い? 水泳選手に多い肩の痛みは、主に棘上筋と呼ばれる筋肉の腱に炎症が起こることが原因とされています。(文献1) 棘上筋の場所は、肩甲骨上部から上腕骨の上端にかけて付着する筋肉です。 棘上筋周辺の筋肉や腱に炎症が生じると、腕を上げる動作や回旋動作で痛みが増強します。 また、重症化すると肩甲骨周辺や首筋にまで痛みが広がる場合があります。 関連記事:肩が痛い!医師が詳しく解説 | 大阪 リペアセルクリニック 水泳肩は治らない怪我ですか? 水泳肩は適切な治療により改善できるスポーツ障害です。 早期発見と正しい治療により回復が期待できます。 関連記事:水泳肩が治らない?気付かずに悪化する理由や治療法について解説 | 大阪 リペアセルクリニック 水泳肩に効くトレーニングはありますか? 水泳肩の改善には肩甲骨周辺の筋力強化とバランス調整が効果的です。 とくに、ローテーターカフと呼ばれる深層筋群の肩甲骨まわりのトレーニングに取り組むことが水泳肩に効くと報告されています。(文献2) 具体的には、軽い負荷でのチューブトレーニングやダンベルなどを使用し、体幹の安定性を高めるエクササイズなどがあります。 ただし、痛みがあるときは無理をせず、医療機関を受診し適切な指導のもとでトレーニングを段階的に進めることが大切です。 参考文献 (文献1) Biomechanical Considerations in the Competitive Swimmer’s Shoulder|Sports Health (文献2) Effectiveness of Therapeutic Exercise in Musculoskeletal Risk Factors Related to Swimmer's Shoulder|Eur J Investig Health Psychol Educ
2025.07.31 -
- 足部、その他疾患
- 足部
「捻挫が治ったと思ったのに、足首に違和感が残っている……」 「痛みの原因が後遺症からくるものなのか判断したい」 このような悩みを抱える方は多いでしょう。 捻挫は一見、軽いケガに思われがちです。しかし、適切な処置やリハビリを行わずに放置してしまうと、後遺症として長く症状が残るケースもあります。 本記事では、捻挫後遺症か判断するためのチェック項目や原因、治し方を詳しく解説しています。 症状が悪化した場合の選択肢も紹介しているので、最後までご覧ください。 捻挫の後遺症によるお悩みを今すぐ解消したいとお考えで、再生医療に興味がある方は当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 足首捻挫における後遺症の症状【3つのチェック項目】 捻挫後の後遺症を見極めるためには、以下3つの症状がないかをチェックします。 足首がぐらぐらして安定しない 痛みや腫れが引かない くるぶしを押すと痛い これらの症状が一つでも当てはまる場合は、後遺症の可能性があります。 それぞれの症状の中身を詳しく見ていきましょう。 足首がぐらぐらして安定しない 足首がぐらぐらして安定感がない場合は、捻挫後遺症の可能性があります。 靭帯が伸びきったり部分的に断裂したりすると、関節を支える力が弱くなり不安定になるためです。 たとえば、階段を降りる際にふらつきを感じたり、でこぼこした道を歩くときに足首をひねりやすくなったりします。 足首がゆるむと関節を動かすたびに軟骨などの柔らかい組織と骨がこすれやすくなり、ポキポキといった音が鳴る場合もあります。 痛みや腫れが引かない 捻挫で損傷した靭帯が回復するまでにかかる期間は、少なくとも6週間〜3ヶ月と言われています。(文献1) そのため、捻挫から約3カ月経過しても痛みや腫れが続く場合は、後遺症の可能性があります。 主な症状は、朝起きたときの足首のこわばりや、長時間歩いた後の痛みの増強などです。 また、天気が悪いときや天候が崩れるときは気圧が大きく変動し、体内の神経や血管に影響を及ぼし痛みが出ることもあります。 くるぶしを押すと痛い くるぶし(足首の内側・外側にある骨が突出した部分)を触ったときの痛みは、骨や靭帯の損傷が治癒していないサインです。 以下のようなくるぶしの痛みが続く場合は、後遺症の可能性があります。 物にぶつかったときに痛みがある 靴着用時に圧迫されて痛みを感じる 靴下を脱ぎ着する際に痛みが生じる 該当する症状があれば後遺症を疑い、専門医に相談してみましょう。 以下の記事では、足首捻挫の後遺症セルフチェックリストを紹介しています。後遺症の見逃しを防ぐために役立つので、参考にしてみてください。 関連記事:足首捻挫の後遺症セルフチェックリスト!リハビリ期間を短縮できる再生医療についても解説 | 大阪 リペアセルクリニック 捻挫の後遺症が出る原因 足首捻挫の後遺症が出る主な原因は、初期治療の不備や安静期間の不足です。 捻挫直後の応急処置を怠ったり、適切な治療を受けないまま足首に負荷をかけたりすると、損傷した靭帯が緩んだままになり、関節が不安定な状態で固まってしまいます。 捻挫で痛めた靭帯や筋肉、関節包などの軟部組織は、完全に治癒するまでに約6週間から3カ月の期間を要します。(文献1) そのため、治癒期間中に無理な負荷をかけると、組織の修復が不完全になり慢性的な症状が残りかねません。 また、痛みが引いたからといって早期に運動を再開すると、損傷した組織が十分に修復されず、症状がぶり返す可能性もあります。 以下の記事では足首捻挫を放置するリスクについて解説しています。適切な治療を進める大切さがわかるので、あわせてご覧ください。 関連記事:足首の捻挫を放置したらどうなる?主な後遺症や治るまでの期間について解説 | 大阪 リペアセルクリニック 捻挫における後遺症の治し方 後遺症の治療方法として、以下3つの治し方があります。 テーピングの使用 ストレッチ リハビリテーション これらの治療法を組み合わせることで、症状の改善が期待できます。 テーピングの使用 テーピングの使用は足首の安定性を向上させ、再発防止に効果的な治療法です。(文献1) テーピングを適切に巻くことにより関節の可動域を制限し、損傷した靭帯への負担を軽減できます。 一般的なテーピングの巻き方は以下のとおりです。 足首が直角(90度)になるように足首の角度を整える テープはくるぶしの少し下から始め、かかとをぐるっと包み込むように巻く 足の裏から土踏まずを支えるように、テープを斜め上に貼り上げる テープで8の字を描くように、くるぶしのまわりを巻く 足首全体を包み込むようにテープを巻き上げる 強く巻きすぎると血流を妨げる可能性があるため、巻いた部位が冷たくなったり、色が変わったりしない適度な強さで巻きましょう。 ストレッチ ストレッチは関節の柔軟性を回復し、筋肉の緊張をほぐす治療法です。 足首の可動域が制限されると、周辺の筋肉が硬くなり血流が悪化します。 以下に捻挫後遺症の際におすすめのストレッチの種類とやり方を紹介します。 種類 やり方 アキレス腱伸ばし ・足を前後に開いて立つ ・後ろ足のかかとは床につけたまま、体重を前に移動する つま先立ち ・立った状態で母指球(親指の付け根)に体重を乗せる ・そのままかかとを高く上げて、ゆっくり下ろす 足趾ひらき ・椅子に座って足裏を床につける ・親指から小指までしっかり横に広げながら、足の裏全体で床を押す ストレッチの効果はすぐに現れない場合もあるため、継続しておこないましょう。 リハビリテーション リハビリテーションは筋力と関節機能の回復を目的とした専門的な治療法です。 理学療法士の指導のもと、段階的に負荷を増やしながら足首の機能を回復させます。 治療法としては、テーピングやサポーター(ブレース)を使用して関節の安定性を高める方法が一般的です。(文献2) これらの補助具は、関節への負担を軽減し、回復を促すための手段として、専門的な知識と技術を持つ理学療法士が指導します。 さらに、バランスボードを使った平衡感覚の訓練やゴムチューブを用いた筋力強化する方法もあります。 指導者と相談しながら、自身の状態に合わせたプログラムを実践しましょう。 捻挫の後遺症が悪化した場合の選択肢 後遺症が悪化した際の選択肢として、以下の方法があります。 手術 再生医療 保存的治療で改善が見られない場合は、より高度な治療法を検討する必要があります。 症状の程度や生活スタイルに応じて、適した治療法を選択しましょう。 手術 手術は重度の靭帯損傷や関節不安定性に対する根本的な治療法です。 断裂した靭帯の修復や再建により、関節の安定性が改善されます。 主な手術の種類と内容は以下のとおりです。 手術名 内容 関節鏡 関節の中をカメラで確認し、炎症を起こした滑膜を焼灼、損傷した軟骨を処置する 靭帯縫合術(Bronstrom-Gould変法) ゆるんだ靭帯を縫い縮めて補強し、人工靭帯でさらに強度を持たせる 靭帯再建術 自分の太ももの腱(大腿四頭筋腱)を使って、靭帯を新たに作り直す 担当医の相談のもと、症状の程度や生活スタイルに応じて患者様にあった手術方法が選択されます。 なお、靭帯損傷の原因や治療法については、以下の記事が参考になります。 再生医療 再生医療はご自身の細胞を活用する治療法です。 再生医療には「幹細胞治療」と「PRP(多血小板血漿)療法」があります。 「幹細胞治療」はご自身の脂肪などから幹細胞を採取・培養し体内へ注射する治療です。 「PRP(多血小板血漿)療法」はご自身の血液から血小板を多く含む成分を抽出し体内へ注射します。 再生医療は、拒否反応やアレルギーのリスクが低く、治療期間を短縮できる可能性があります。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。 捻挫による後遺症は放置せず早めに対処しよう 捻挫の後遺症は放置すると症状が悪化し、日常生活に支障をきたします。 早期の適切な治療により、多くの場合で症状の改善が可能です。 捻挫における後遺症の治し方は以下の3つです。 テーピングの使用 ストレッチ リハビリテーション 本記事ではそれぞれの症状について解説していますので、ご自身の症状に合わせて、治療法を進めてみてください。 捻挫の後遺症が悪化した場合は、手術または再生医療の治療法が選択肢に挙げられます。 再生医療は患者様の細胞を活用した治療法で、副作用が少なく入院なしで治療できる点が特徴です。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っておりますので、ぜひご活用ください。 捻挫の後遺症に関するよくある質問 捻挫の後遺症で正座ができない場合もありますか? 捻挫の後遺症により正座ができない場合があります。 後遺症による痛みや可動域の制限により、膝を深く曲げる姿勢が取れなくなるためです。 また、足首の不安定性により、正座の維持が困難になる場合もあります。 以下の記事では正座をすると足首が痛いときのストレッチ法を紹介しています。セルフケアをする際の参考にしてみてください。 関連記事:正座をすると足首が痛い原因まとめ!有効なストレッチも紹介 | 大阪 リペアセルクリニック 足首の古傷が痛む原因は捻挫後遺症の可能性はありますか? 古傷が痛む現象について、はっきりとした原因はまだ解明されていません。 しかし、けがをした部分の組織は、回復後も血行が悪くなりやすいと言われています。 気温の変化や気圧の低下によって血管が収縮すると、さらに血流が悪くなります。 古傷の痛みや違和感を感じたら、医療機関に相談してください。 参考文献 (文献1) スポーツ活動における足関節捻挫―後遺症と捻挫再発予防について―|日本アスレティックトレーニング学会誌 (文献2) 足関節捻挫の病態と治療|日本アスレティックトレーニング学会誌
2025.07.31






