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軟骨成分、プロテオグリカンは本当に関節痛に効果があるのか?

軟骨成分、プロテオグリカンは本当に関節痛に効果的があるのか?

関節の痛みが続くと階段の上り下りや椅子に腰掛けるといった日常的な動きも大変になるため、早目に対処したいものです。関節痛に効果のある成分といえば、コラーゲンや、ヒアルロン酸などがよく知られていました。

しかし、近年これらをさらに上回る働きをもつ成分として近年注目されているのがプロテオグリカンです。プロテオグリカンは、関節と関節の間にある軟骨(関節軟骨)を主成分の一つであり、保水性に優れているため軟骨の保護に効果的と言われています。

本記事では、プロテオグリカンの効果効能や関節痛との関わりについて解説してまいります。

プロテオグリカン

プロテオグリカンとは

関節軟骨は、骨とは違い、約70%が水分、他30%がプロテオグリカンやコラーゲン、ヒアルロン酸で構成されています。プロテオグリカンとは関節と関節の間にある軟骨や皮膚に存在している保水性に優れた成分です。

プロテオグリカンは例えるなら水をよく含んだスポンジです。軟骨に摩擦や衝撃が加わると、水分が浸みだして、軟骨に潤いを与えます。これにより、関節が摩擦や衝撃から守られるのです。

近年では、プロテオグリカンの様々な効果・効能が数多くの研究により報告されており、健康食品や化粧品の原材料として利用する動きが高まっています。

プロテオグリカンはどうやって作られる?

プロテオグリカンは、プロテイン(タンパク質)とグリカン(多糖)が結合した「糖タンパク質」と言われるものです。糖は水とよく馴染むため、高い保湿性や弾力性をもたらします。

プロテオグリカンは、19世紀末に発見されました。その当初から関心の高い成分ではありましたが、これまではなかなか研究が進んでいませんでした。

それというのもプロテオグリカンは、分子量が大きく複雑であるため、素材として取り出すことが困難だったことが大きな理由です。しかし、弘前大学医学部の研究により氷頭(ひず)と呼ばれるサケの鼻軟骨からプロテオグリカンを安全で安価に抽出する技術が確立されたことでプロテオグリカンの活用が一気に進むことになりました。

現在では、プロテオグリカンによる様々な効果効能が報告されており、健康食品や化粧品への応用も進められています。

プロテオグリカンの効果・効能

プロテオグリカンには、次のような効果効能が期待できるといわれています。

  • ・細胞の増殖や成長を促進
  • ・抗炎症作用
  • ・生活習慣病の予防

細胞の増殖や成長を促進

プロテオグリカンは、細胞の増殖や成長を促進する因子(EGF)とよく似た作用があることが報告されています。摩擦や衝撃ですり減った軟骨細胞を修復する機能は関節痛を和らげるために非常に重要です。

また、プロテオグリカンはコラーゲンやヒアルロン酸の生成を促す作用があるため、美肌効果も期待できます。

抗炎症作用

プロテオグリカンには、炎症を抑えるサイトカインの働きを促す効果があるため、抗炎症作用があるといわれています。軟骨細胞の修復に加えて、痛みそのものの軽減も期待できます。

生活習慣病の予防

プロテオグリカンは、肥満や糖尿病などの生活習慣病の予防にも効果を発揮するといわれています。プロテオグリカンを摂取することで、体重の減少や血糖値の上昇抑制に繋がったとの報告があるようです。

プロテオグリカンは関節痛に効くのか

関節は私たちの生活にとって大切な役割を果たしており、関節痛が慢性化すると日常生活が制限されてしまいます。

プロテオグリカンは擦り減った軟骨の修復を助け、関節痛の症状の進行を抑制すると考えられています。軟骨のもとになる細胞(軟骨前駆細胞)を増やすことで、軟骨細胞の増加の促進に繋がるのです。

また、プロテオグリカンには抗炎症作用もあるため痛みを和らげることにも期待ができます。

食事でプロテオグリカンを取り込むのは難しい

プロテオグリカンは動物の軟骨の主成分であるため、食事で摂取することができます。特に、魚や動物の軟骨に多く含まれています。ただ、プロテオグリカンを構成しているタンパク質は熱に弱いため、加熱すると分解されてしまう点が難点です。

また、タンパク質は胃や腸で消化吸収される際にアミノ酸にまで分解されるため、食事で摂取したプロテオグリカンを、そのまま成分として身体に取り込むことは非常に難しいと言わざるを得ません。

ただし、タンパク質は必須栄養素として身体には大変重要で良い働きをもたらします。軟骨のため!美容のため!と摂取してもダイレクトに届けるのは難しいということです。

  • 食事(消化器官から)でプロテオグリカンを成分として取り込むのは難しい

サプリメントでもプロテオグリカンを取り込むのは難しい

プロテオグリカンは、サプリメントとして発売されており、摂取することで効果的に取り込めると表示しているモノもありますが、一般的に考えて食事同様、サプリは胃や腸で分解されてしまうため、プロテオグリカンを血中に取りこむことは難しいと思われます。

また、取り込めたとしても軟骨は、血流が少ないためにその成分が届くとは考えにくいと思われす。つまり、プロテオグリカンのサプリメントを摂取しても軟骨が再生するというほどの効果を上げることは難しいと考えます。

プロテオグリカンは、膝などの関節以外、美容面での効果を大きく表示していることもありますが上記と同じ理由にて積極的に効果があるとはいえません。ただ、プラシボー効果による効いたような感覚になることがあるかもしれません。ただ、それも効果です。

  • 食事と同様、サプリメントでプロテオグリカンを成分として取り込むのは難しい
  • 取り込めても、血管が少ない関節には届くとは考えにくい

プラシボー(プラセボ)効果とサプリメント

プラシボー効果(プラセボとも言います)という言葉をご存知でしょうか。プラシボー効果は有効ではない「くすり等」を、成分が含まれている前提で使用者に摂取させると、実際に効いた人が出る現象です。

いわゆる偽薬なのに効いてしまうという訳です。これは、どういうことでしょう?

人は、「〇〇に良い成分が入っているから!」と言われると(知ると)、その効果に対する暗示を受けてか、実際にその効果を実感することがあります。これは自らの治癒力が発揮されて解決に導いている…のではないかと言われる不思議な現象です。

だからといって偽の薬や、サプリがすべて代替えできるものかというと、もちろんそうではありません。プラシボー効果は絶対ではないからです。当然ですが万人に効くとは言えません。

逆に「薬」と言われるものは、当然ですが効果が明確に証明され、安心して使用できるものです。

ただ、サプリメントを摂取することで得られる精神的な満足感があるのは否めず、プロテオグリカンも摂取するとするなら、せっかくなので疑いながらではなく、「効果がある」、「効いてる」と思って摂取したほうが良いかもしれません。

  • ・実効は無いはずのものが、効果を発揮することがあるいプラシボー効果
  • ・自身の治癒力が精神的な面から発揮されている可能性がある

実は!関節のプロテオグリカンは自分で増やせる

ここまでプロテオグリカンを取り込むために食物やサプリメントのお話をしましたが、実は関節のプロテオグリカンは、身体の中にある成分で、食事やサプリに頼ることなく自分自身で増やすことができると言われています。

では、どうすれば「プロテオグリカン」を自ら増やすことができるのでしょうか?

その答えは、実は単純。体を動かす機会を増やすことです。運動などで関節の曲げ伸ばしを行うと、血流量が増加して軟骨細胞に酸素や栄養が行き渡り、プロテオグリカンの増加が促進されるのです。

その逆に、動かしたり、運動をしないでいると身体が、「プロテオグリカンは必要がない」と判断するため減少てしまいます。つまり、自ら積極的に体を動かすことで身体にプロテオグリカンの必要性を感じさせることが大切なのです。

その意味でリハビリなどの運動療法は、非常に効果的であり、理に適っているといえるのです。

また、プロテオグリカンを増加させるのに激しい運動は必要ありません。ウォーキングやストレッチなどでも十分に効果的です。関節の痛みを恐れて運動不足になってしまうと、酸素や栄養が軟骨細胞に供給されなくなります。

結果、プロテオグリカンが減少し、かえって関節痛の悪化に繋がる恐れがあります。

ただし、増えるなら!と無理することは禁物、膝などの関節に痛みや故障がある場合は、病院等、医療機関の専門家の指導の下、身体に無理のない範囲で行うようにしてください。

  • プロテオグリカンは、軟骨成分 > 身体にある成分なので自分で増やすことができる
  • 身体を適度に動かすこと > プロテオグリカンが必要と身体が反応 > 増加へ
  • 身体を動かさない > プロテオグリカンが不要と身体が判断 > 増えない
  • 医療機関等、専門家の指導の下、適度な運動やリハビリを行ってプロテオグリカンを増やそう!

まとめ・軟骨成分、プロテオグリカンは関節痛に効果があるのか?

関節痛の緩和に効果のあるプロテオグリカンは、食事やサプリメントで摂取することは現実的ではないのが本当ですが、精神的な満足感や、プラシボー効果などで実際に効いてしまう人がいるのも事実です。

ただ、適度な運動を行うことでプロテオグリカンを増やすことができると言われているため、関節の健康のためには、身体を安静にしすぎることなく、医療機関や専門家の指導に従って適度な運動などを行い、関節を動かすことでプロテオグリカンの減少を防ぐことができるはずです。

まずは普段の生活から健康的でバランス取れた食事をしっかり食べて、適度な運動を心がければプロテオグリカンが不足する事態を防ぐことが可能なはずです。

もし今、すでに関節痛で悩まされていて症状を改善したいなら、サプリメントなどに頼るのではなく、病院や医療機関を受診し、指導を受けられてはいかがでしょうか。

また、再生医療という最先端の治療法もあり、興味がある場合は以下のリンクからチェックされることをおススメします。

以上、軟骨成分、プロテオグリカンは関節痛や美容に効果的なのか?と題して記させて頂きました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

No.S054

監修:医師 加藤 秀一

 

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