変形性膝関節症、初期~末期の痛みの段階と人工関節のメリット・デメリット、避ける方法
目次
変形性膝関節症、初期~末期の痛みの段階と人工関節のメリット・デメリット、避ける方法
変形性膝関節症とは、骨の先端にある軟骨がすり減ったり骨が変形し、痛みや腫れを伴う状態をいいます。残念ながら一度すり減った軟骨に自力で復活するなどの改善を期待することは通常できません。
軟骨のすり減りが進行すると骨の周りを覆っている骨膜が露出し、骨膜同士が当たるようになり、そのため痛みが伴うようになってきます。さらに、そこに変形した膝の骨が骨同士に負担をかけてしまうことになり、痛みが倍増することになります。このように痛みを伴うのは、骨膜同士がぶつかり合ってしまうための痛みです。
膝には関節包と呼ばれる袋があり、袋の中には滑液と呼ばれる潤滑液で満たされています。古くなった滑液は、骨の先端から吸収され新しい滑液が流され、その流れが繰り返されます。しかし、骨同士のぶつかりが頻発すると炎症が起きます。
炎症が起きると、滑液が骨の先に吸収されずつねに膝の袋の中に滑液が貯まります。これが「水がたまる」と言われる現象で膝が変形した人や膝に痛みを伴う人に見られる症状の一つです。
膝の痛みを抑えるために、医者が診察時に患者さんによく言う言葉に「膝の痛みを取るためには筋肉を鍛えなさい」という言葉があります。一度は耳にされたことがあるかもしれません!筋肉を鍛える理由は、膝の周りにはいくつもの筋肉が膝の骨同士がぶつからないように支えており、年を重ねるにつれて筋肉は衰えます。
衰えるということは、膝を支えている部分が弱くなり、膝の骨同士がぶつかりやすくなります。お互いにぶつかりがないようにするために、筋力をつけろと言うわけです。
変形性膝関節症の痛みの段階
変形性膝関節症は時間をかけて変形し、痛みの度合いも変化していきます。変形による痛みがどのように変わるのかを以下の3つに分けてご説明します。
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1)初期症状
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2)中期症状
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3)末期症状
(変形による痛みではなく、違う膝の病気だったという可能性もありますので、病院で診察を受けていただくなど正確な情報をもとにして、お膝の具合と照らし合わせて確認されることをお勧めします。)
1)初期症状朝起きて動き始めに、膝がこわばる(曲げ伸ばししづらい)感覚があり、鈍い痛みが伴います。しばらく動かしたり歩いていると、こわばりもとれいつもと変わらない膝の曲げ伸ばしができるようになり、気にならなくなる方が多いようです。 最初の頃だと、膝の痛みが直ぐに消えるため、気になる方が少ないのが現状です。このような症状が出始めたときは、膝の筋肉が弱くなり、膝の骨同士が少しずつ当たり始めている状態です。 |
2)中期症状中期になると、しばらく動かしていたら消えた痛みが中々消えず、正座やしゃがむという動作が辛くなります。他にも階段の上り下りが痛みを伴います。 この場合だと、膝の炎症が起き始め、膝も腫れて熱感も生じます。関節包(関節の袋)の中に滑液が貯まりはじめ、膝の変形も少しずつ始まります。 また軟骨がすり減っているため、関節の曲げ伸ばしのときに軋む音がします。 |
3)末期症状関節軟骨がほとんど無くなり、骨同士がぶつかるようになります。炎症も常に続いているので、骨の変形も著しくなります。初期・中期で見られた症状全てが悪くなった状態で、「しゃがむ」「正座」「階段の上り下り」が困難になります。 日常の歩行も難しく、常に痛みを伴う状態です。痛みを常に伴うため、体だけでなく心の負担も大きくなり、精神的に追いやられる方が多いようです。 このように段階を経て膝の変形に伴い痛みのレベルも変化していきます。少しでも痛みや違和感を感じたときには、最寄りの整形外科を受診されることを強くおすすめします。 |
人工関節の手術が必要と診断を受けられた場合のメリットとデメリット
膝の変形がひどくなり、医者から人工関節を勧められる方がいます。人工関節を入れることで伴うメリットとデメリットがあります。
メリットは、歩くときの痛みが和らぎ、歩き方が変わります。膝の痛みで歩く機会が減った方にとって何よりのメリットではないでしょうか。
しかし、感染症や深部静脈血栓・塞栓症などの合併症を引き起こす可能性があります。また人工関節を入れても、関節の寿命が10~15年と言われ、再び入れ替える可能性もあります。膝の痛みは取れても、正座や運動制限といった動きの制限も加わるため、日常での制限も出てくるデメリットも生じます。
メリットとデメリットを表にまとめました
メリット |
デメリット |
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このように長い目で見たときに、リハビリは継続的に行い、人工関節を交換しなければいけないという頭を抱える問題が生じます。
人工関節を避ける新たな選択肢
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手術に踏み切れない方は、「再生医療(幹細胞治療)」という手段があります
幹細胞による治療法とは、幹細胞と呼ばれる自己複製能と様々な細胞に分化する能力(多分化能)を持つ特殊な細胞を膝に注射をします。すり減った軟骨が幹細胞により再生し、膝の痛みが和らぎます。
状態によっては、手術をせず日常の動きに制限がなく今までよりも快適な生活を手に入れることも可能です。幹細胞を用いた治療は再生医療とも呼ばれ、体に負担をかけない画期的な方法として注目を浴びています。
これら幹細胞治療に関する詳しい内容をお聞きになりたい場合は、私どもにへお問い合わせください。
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監修:医師 加藤 秀一
変形性膝関節症は、再生医療にで人工関節の手術をせずに改善することが可能です