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前十字靭帯断裂とは|症状・原因・手術をしないリスクまで現役医師が解説

前十字靭帯断裂
公開日: 2026.02.15

前十字靭帯は損傷率が高い靭帯で、断裂するとスポーツだけでなく日常生活にも支障をきたす可能性があります。断裂した場合、自然治癒は難しいため、違和感を覚えた際は早めの受診が大切です。

本記事では、前十字靭帯断裂の概要や原因、症状について解説します。治療法や予防策もまとめているので、前十字靭帯断裂の疑いがある方は、ぜひ参考にしてください。

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前十字靭帯断裂とは

前十字靭帯断裂とは、大腿骨(だいたいこつ)とす脛骨(けいこつ)をつなぐ靭帯が部分的または完全に断裂する疾患です。前十字靭帯には膝を安定する役割があり、正常に機能することでジャンプや方向転換などが可能になります。

前十字靭帯が断裂すると膝関節が不安定になるため、ジャンプやひねる動作に加えて、歩行や走行にも支障をきたします。膝の外傷の中でも、前十字靭帯は損傷率が高い靭帯であり、好発年齢は15歳~45歳です。(文献1

前十字靭帯は主にスポーツ選手に多い疾患で、断裂した場合、自然治癒は難しいため手術が必要になります。

なお、膝には前だけでなく後ろにも十字靭帯が存在しています。前と後ろ、どちらかが機能しなければ人は膝を安定して動かせません。前と後ろどちらの十字靭帯が断裂しているのか知るためには、医療機関で診断を受ける必要があります。

前十字靭帯断裂と損傷の違い

前十字靭帯の断裂と損傷では、治療法や回復期間が異なります。損傷は、前十字靭帯の一部が伸びていたり切れたりしている状態です。損傷といっても、程度は軽度から重度までさまざまで、場合によっては手術が必要になります。

対して、断裂とは前十字靭帯が部分的もしくは完全に切れてつながっていない状態です。断裂すると靭帯の機能が失われるため、膝の関節が不安定になり、運動だけでなく日常生活にも支障をきたします。前十字靭帯の断裂と損傷いずれの症状が見られた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

前十字靭帯断裂の症状

前十字靭帯を断裂した場合、症状は損傷の程度によって異なります。

主な症状は、以下の通りです。

状態

主な症状

受傷直後

  • 膝のズレ・ひねった感じがする
  • 膝の中でプツッという音が聞こえる
  • 膝内部に血液が溜まり、膝が腫れ上がる
  • 立ち上がれないほど強い痛みが生じる
  • 膝崩れが起こる

断裂した場合

  • 強い痛みが生じる
  • 膝が腫れ上がる
  • 膝の曲げ伸ばしができなくなる
  • 立ったり歩いたりできなくなる
  • 膝崩れを繰り返す
  • 安静時も痛む場合がある

前十字靭帯を断裂した場合、時間が経つと痛みが治まる場合もあります。しかし、時間の経過とともに、膝が不安定になり運動や生活をしている中で膝が崩れるような「膝崩れ」が起こる場合があります。

坂本 貞範
坂本 貞範
前十字靭帯を断裂しても強い痛みがなく、歩行が可能な場合もあります。しかし、痛みが強くなくても、歩行時に膝が「カクッ」と折れる感覚(膝折れ)や、膝の強い腫れ(関節内出血)がある場合は、前十字靭帯を断裂している可能性が高いです。
靭帯断裂のみであれば緊急性は低いものの、痛みが強い場合は靭帯付着部の剥離骨折などを合併していることもあります。その場合は安静・固定が必要となりますので、当日中に医療機関を受診してください。

前十字靭帯断裂の原因

前十字靭帯が断裂する原因はさまざまで、スポーツ中に受傷するだけではありません。主な原因には、以下の3つが考えられます。

  • サッカーやバスケなどで行う動作
  • スポーツや交通事故による衝突
  • ホルモンバランスによる影響

それぞれの原因について、以下で詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

サッカーやバスケなどで行う動作

前十字靭帯断裂はジャンプや方向転換、着地時など、非接触によって発生します。前十字靭帯に強い力が加わることで断裂します。

前十字靭帯が断裂する原因となる具体的な動きは、以下のとおりです。

  • サッカーでドリブルをしている途中、急に方向転換する
  • 相手をかわすために不安定な姿勢のまま方向転換する
  • フェイクを入れるために急停止する
  • リバウンドやブロック、スパイクの際にジャンプする
  • ターンの際に膝をねじる

サッカーやバスケなどのスポーツをしている場合、前十字靭帯が断裂する可能性があります。

スポーツや交通事故による衝突

前十字靭帯は、接触時に断裂する場合があります。ラグビーや柔道など、相手との接触があるコンタクトスポーツや交通事故も、前十字靭帯が断裂する原因の1つです。

前十字靭帯が断裂する原因となる具体的な動きは、以下のとおりです。

  • ラグビーでタックル・スクラムを行う
  • ラグビーやアメリカンフットボールでブロックを行う
  • 柔道で投げ技や受け身を行う
  • 車と衝突する

いずれも接触により膝に負担がかかるため、前十字靭帯が断裂する場合があります。

ホルモンバランスによる影響

前十字靭帯が断裂する原因には、女性ホルモンバランスの乱れも挙げられます。前十字靭帯の損傷は、男性に比べて女性の受傷率が2〜8倍ほど高いことが報告されています。(文献1)靭帯はコラーゲン繊維が密集して構成されているため、コラーゲン合成が欠かせません。

女性ホルモンの一つであるエストロゲンの値が高いと、コラーゲン形成や線維芽細胞増殖が減少し、靭帯や関節が不安定になります。(文献2)そのため、女性は前十字靭帯断裂のリスクが生じやすい傾向にあります。

坂本 貞範
坂本 貞範
女性は排卵期にエストロゲンが高値となるため、前十字靭帯損傷のリスクが高まるとされています。しかし、最も大きな原因は「ニーイン(膝が内側に入る姿勢)」です。
ご自身の月経周期を把握し、靭帯損傷のリスクが高まる時期を理解した上で、膝が内側に入らないよう意識したトレーニングを心がけることが重要です。

前十字靭帯断裂で手術をしないとどうなる?放置するリスク

前十字靭帯断裂は、自然治癒が困難であり、放置すると再断裂のリスクが高くなります。また、放置により膝の関節が不安定化し、半月板損傷や変形性膝関節症になる可能性があります。

半月板損傷は膝の軟骨が損傷する疾患で、変形性関節症は膝関節が変形する疾患です。前十字靭帯を断裂した場合は、これらの二次的な障害を防ぐためにも、適切な治療の検討が重要です。

前十字靭帯断裂における全治までの期間

前十字靭帯断裂の場合、手術やリハビリが必要なため全治期間は8〜10カ月ほどかかります。手術を行う場合、4〜7日ほどの入院が必要です。

また、術後は移植した腱が負担に耐えられるようになるまでには3カ月程度かかります。それまでは激しい運動を避けなければなりません。再発を予防するためにも、医師や理学療法士などの指導を受けながら適切な治療を行いましょう。

坂本 貞範
坂本 貞範
前十字靭帯断裂はそのほとんどがスポーツ外傷であり、活動性の高い方が受傷する傾向にあります。術後リハビリでは、経過に応じて徐々に安静度や運動負荷を拡大していきます。
負荷を段階的に上げていくタイミングでは、早期復帰への焦りや再断裂への恐怖感といった心理的な要因が、リハビリの計画から逸脱する原因になることがあります。焦らず、医師や理学療法士と相談しながら段階を踏んで進めていくことが大切です。

前十字靭帯断裂の治療法

前十字靭帯を断裂した場合、適切な治療を受けることが大切です。主な治療法には、以下の3つが挙げられます。

  • 保存療法
  • 手術療法
  • 再生医療

ここでは、各治療法について紹介するので、ぜひ参考にしてください。

坂本 貞範
坂本 貞範
受傷前と同じレベルでのスポーツ復帰を目指すのであれば、手術療法が望ましいです。前十字靭帯が機能不全のまま競技復帰すると、パフォーマンスの低下やさらなるケガを誘発する原因となります。
一方、膝の不安定性がなく日常生活に支障がない場合や、競技レベルを下げることで症状なく過ごせる場合は、手術をせずに保存療法を選択しても大きな問題はないと考えます。

保存療法

前十字靭帯断裂の場合、手術しなければ症状回復は困難です。しかし、年齢によっては手術の負担を考慮し、保存療法で症状のコントロールを目指す場合があります。

前十字靭帯断裂時の保存療法は、以下のとおりです。

  • 可動域訓練・大腿四頭筋訓練などの運動療法
  • 電気療法や温熱療法などの物理療法
  • サポーター・支柱付き装具を使用した装具療法
  • 内服薬や外用薬などの薬物療法

保存療法で十分な効果が得られない場合や、競技復帰を目指す場合は、手術治療を検討します。

手術療法

手術は、患者自身の身体の他部分から腱を採取し、前十字靭帯の代わりとして移植する再建術が行われます。基本的には、膝に小さな穴を数か所開けて、そこから膝関節鏡や手術器具を挿入します。

手術後は手術した部分がしびれたり、感覚が鈍くなったりする場合があるほか、可動域制限が起こる可能性があるため、決められた範囲内のリハビリが大切です。なお、状態にもよりますが、一般的には術後2日目から本格的にリハビリが開始されます。

再生医療

再生医療は、前十字靭帯断裂の治療法の1つです。当院リペアセルクリニックでは、自己脂肪由来の幹細胞を用いた治療が行われます。

幹細胞治療とは、自身の身体から採取した幹細胞を外部で増殖させ、所定の量に達したら再び身体に戻す治療法です。幹細胞を採取する際は、おへその横からごくわずかな脂肪を採取するため、身体への負担を最小限に抑えられます。

幹細胞治療は入院・手術を必要とせず日帰りの施術が可能なため、治療期間の短縮が期待できます。手術せず治療を受けたい場合に、再生医療はおすすめです。

前十字靭帯断裂の予防策

前十字靭帯断裂をした場合、治療に時間がかかるため引き起こさないよう予防が大切です。予防法には、膝関節の安定性を高めるトレーニングが必要になります。

大腿四頭筋(だいたいしとうきん)や太ももの裏側の筋肉となるハムストリングス、ふくらはぎの筋肉が膝関節を支えているため、トレーニングで鍛えましょう。

前十字靭帯断裂の予防策としては、以下のトレーニングが効果的です。

  • スクワット
  • ランジ
  • ストレッチ
  • バランストレーニング

トレーニングは無理のない範囲で行うことが重要です。前十字靭帯断裂のリスクを軽減するためにも、膝関節の安定性を高めるトレーニングを実施しましょう。

前十字靭帯断裂の悪化を防ぐためには早めの受診が重要

前十字靭帯断裂は主にスポーツ選手が引き起こす疾患で、自然治癒するのは難しいため治療が必要になります。主な原因にはスポーツのほか、交通事故やホルモンバランスも挙げられます。

手術をしないで放置すると、スポーツ活動だけでなく、日常生活に支障をきたすため、疑いがある場合は早めの受診が重要です。

治療法には手術のほか、再生医療もあるため、自分にあった方法で前十字靭帯断裂の症状回復を目指しましょう。

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前十字靭帯断裂に関するよくある質問

前十字靭帯断裂でスポーツ・立ち仕事復帰までの期間はどのくらいですか?

前十字靭帯断裂の場合、スポーツ復帰は術後6カ月〜1年が目安です。無理をすると、再断裂や半月板損傷のリスクが高まるため注意しなければなりません。

復帰までの期間には個人差があるため、医師と相談しつつリハビリを行い、早期復帰を目指しましょう。

また、仕事復帰はデスクワークや軽作業の場合で1カ月ほどが目安です。立ち仕事や重いものを運ぶ場合、復帰までには3カ月ほどかかるケースもあります。

前十字靭帯断裂で歩けるまでの期間はどのくらいですか?

前十字靭帯断裂の手術をした場合、松葉杖を使用すれば手術翌日から歩けます。松葉杖なしで歩けるようになるまでには、2週間〜1カ月ほどが目安です。

また、膝の不安定さに懸念がある場合は、サポーターを使用するケースもあります。したがって、日常生活に戻るまでには、早くても2週間ほど時間を要する点を理解しておきましょう。

前十字靭帯断裂は術後に再断裂の可能性がありますか?

前十字靭帯断裂の手術をしたからといって、必ずしも再断裂しないとは言い切れません。前十字靭帯は一度断裂すると膝の不安定感が強いため、手術後も再断裂の可能性があります。

とくに、術後6カ月〜1年は再断裂に注意が必要です。再断裂しないためにも、膝関節を安定させるトレーニングを無理のない範囲で行うことが大切です。

坂本 貞範
坂本 貞範
再断裂の原因として最も多いのは、筋疲労がある状態でニーイン(膝が内側に入る姿勢)になってしまうことです。ニーインが癖になったまま競技復帰すると、再断裂のリスクが高まります。
リハビリ中にニーインを防ぐ動作の習得と筋力トレーニングを徹底することで、再断裂の可能性を下げることは十分に可能です。

参考文献

文献1

日本臨床スポーツ医学会誌|当院の膝前十字靱帯損傷症例における受傷状況の調査

文献2

J-STAGE|A Greater Reduction of Anterior Cruciate Ligament Elasticity in Women Compared to Men as a Result of Delayed Onset Muscle Soreness