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変形性股関節症の人工関節|手術で年代別に考慮すべき問題やリスク 変形性股関節症に悩まされ、運動療法や薬物治療に取り組むも改善が見られず、症状が進行した場合、人工関節への置換治療を薦められることがあります。 しかし、その選択に関して「年齢」という側面があることを忘れてはなりません。変形性股関節症の最終的な選択肢である手術は今ある関節を「人工関節」と取り換える大掛かりなものになります。 人工関節そのものに抵抗がある、手術を避けたい、入院期間が気になる、痛みが心配など、体や心、生活などの多様な心配事が浮かんで来られるのではないでしょうか。 この中にもありますが、手術について年齢的な問題を特に心配にされる方がおられます。 実際のところ「何歳まで受けることができるのか?」「リスクは・・・」「何歳位の人が多いのか?」「早すぎる、また遅すぎる・・・」など、といった不安や疑問を感じられるのではないでしょうか。 そこで今回は、変形性股関節症の人工関節の手術を受ける際の心配事の内「年齢について」解説致します。 人工関節について患者様の不安(リスク) 人工関節そのものが心配 異物を入れる不安感 手術は避けたい 入院期間が気になる 痛みが心配 リハビリが心配 生活や仕事の心配 年齢的な心配 > 股関節の悩みを最先端の幹細胞治療で治療する 変形性股関節症での人工関節手術|その特徴と年代について 変形性股関節症の発症年齢は、40代以上が多い傾向があります。 手術は、関節の痛みを感じて保存療法等リハビリを行っても症状が進行し、薬物療法等でも痛みが緩和できなくなり、生活に支障をきたす状況になると選択肢として検討されることになります。 変形性股関節症の場合、手術は人工関節の置換術となることが多く、注意したいのが人工関節は、文字通り「人工物」ということです。つまり、物である以上、耐用年数が存在するということです。 考えるまでもなく、股関節には日常生活において大きな力が掛かっていることはご理解いただけるはずです。そのため年数による経年劣化は避けることができないという特徴があります。 ここが大切なところで、年齢的に早くに手術をすると人工関節が緩んだり、そのもの耐用年数が来て機能を果たさなくなってくることがあります。そうなると再手術という可能性があります。 そのため、変形性股関節症の手術を受ける年齢は、60代と70代が圧倒的に多いのです。ただ、変形性股関節症は、40代以下の若い人でも患う可能性があるため、比較的若い年齢でも手術を検討せざるを得ないことがあります。。 30代から40代の年齢で変形性股関節症を発症し、保存療法を続けていたけれど、痛みが強くなってきたため、50代で手術を受けることになるという人もいますし、もっと若い年齢で発症する人もいます。 ただ、近年の人工関節は技術の進歩で耐用年数が長くなってきたことは事実です。そのため、若年層であっても、再手術のリスクがあることを知った上でも、痛みのない普通の生活を取り戻したいとの想いから手術を受ける方もおられます。 若い年代(40~50歳代)で変形性股関節症の手術を選ぶ場合の問題点 変形性股関節症には、高齢者が悩まされるイメージがありますが、40代から50代という比較的若い年齢でも、その痛みに悩んでいる人はいますし、実際に手術を受けている人もいます。 人口関節には寿命があります。そのため、若いうちに人工関節を選択すると将来、再手術が必要になる場合が多く、手術を避ける傾向があります。 ただ、40代、50代という若く、再手術のリスクがある年齢でありながら、変形性股関節症の手術を選択する場合は、長く苦しむよりも、痛みのないスムーズな生活(QOL※の確保)を送ることを優先したいという想いに尽きますが、それ以外にも以下の1~3のような理由が見られます。 ※QOLとは クオリティ・オブ・ライフ(Quality of Life)の略です。 患者さんの肉体、精神、経済、社会といった各面での生活の質にこだわり、豊かな人生を確保するための概念です。 1.体を動かす仕事に就いている 40代~50代といった年齢であれば、まだまだ現役で仕事をする世代です。特に営業の外回りなどをしている、立ち仕事をしている、というような人は、変形性股関節症になると、思うように仕事ができなくなってしまう恐れがあります。 しかし、40代や50代という若い年齢であれば、変形性股関節症になってしまっても手術後にリハビリを行うことで、早い回復が見込めます。 そのため、職場復帰などを考慮するのであれば、なるべく早く変形性股関節症の手術を受けたほうが良い場合もあります。 2.50代・60代以降|スポーツを続けたい 仕事や趣味でスポーツをしている40代の人で、50代、60代になってもスポーツを続けたいと思われるかたは多くいます。そんな場合は、変形性股関節症の手術を早めに検討することがあります。 変形性股関節症は進行する病気、保存療法をおこなっても治癒は困難 変形性股関節症の治療は、「進行を抑えること」と、「痛みを抑える」ことを目的としたものになります。つまり、頑張っても症状は進行するし、痛みも伴うことになります。 そのため、再手術のリスクを抱えていたとしても、手術を受ける年齢が早いほど、術後のリハビリからの回復も早くなり、40代のうちに手術を受けておけば、それ以降、50代、60代でも元気にスポーツができる可能性が高まります。 このようなことから、あまり痛みが出ていない若い年齢であっても変形性股関節症の手術を受ける人がいるのです。ただ人工関節は万能ではありません。手術自体にもリスクがあります。 3.若くても既に変形性股関節症の痛みが出て日常生活に支障がある 変形性股関節症は、あぐらやしゃがみ込むなど、股関節に負担のかかる動作や姿勢を控えるようにして運動療法や薬物療法といった保存療法を続けていれば、ある程度痛みを抑えて日常生活を過ごすことは可能です。 しかし、既に日常生活で痛みが出てしまっている40代の人の場合は、早めに変形性股関節症の手術をおこなったほうが良い場合もあります。 早く手術を受ければ、リハビリの効果も発揮されやすくなりますし、人工関節を入れた場合は、人工関節の扱いに早く慣れることもできます。 そのため、変形性股関節症の痛みがすでに強いという場合は、保存療法で時間稼ぎをするのではなく、40代など若い年齢で手術をおこなうことがあります。 変形性股関節症の手術を控えたほうが良い年齢 変形性股関節症の手術を受けることが多い年齢の平均は60代~70代です。それ以上の年齢になってくると手術を控えたほうが良いケースもあります。 80代以上の高齢者は手術を控えたほうが良い 絶対ということではありませんが80代や90代の高齢者は、一般的に変形性股関節症の手術を控えたほうが良いと言われます。 その理由としては、80代以上の高齢者の場合、身体や筋力の衰えなどのため、手術後のリハビリは、若い人以上に根気よく続ける必要があること、また、本人にも、「リハビリを頑張りたい」という強い意志が求められるためです。 また、家族の十分なサポートがない場合、寝たきりになってしまう可能性もあります。変形性股関節症の手術後のリハビリは、家族のサポートも必要とされます。 80代以上の年齢になると手術は、体力や心肺機能に懸念 80代や90代以上の変形性股関節症の手術は、体力や心肺機能の面でリスクが高いという理由もあり、手術を控えたほうが良い場合もあります。 たとえ本人や家族が手術を希望していたとしても、持病や年齢によって既に心肺機能が低下している場合は、手術が受けられないことも少なくありません。 変形性股関節症の手術は一般的に全身麻酔による手術であるため、心肺機能が低下した状態で手術を受けるというのは、非常に大きな危険が伴うからです。 90代で手術を受けた症例もあるが・・・リスクが大きい 年齢について逆に高齢の場合はどうでしょうか?最高齢だと、90代で変形性股関節症の手術を受けたという症例があります。つまり、人工関節の手術自体は高齢が理由で妨げられないことになります。 ただし、一点。術後はある程度、高度なリハビリが必要となるため、手術のあとにリハビリを受けられるだけの体力がある人に限られます。 逆にリハビリができない場合は、寝たきりになるリスクもあり、手術を受けた意味がなくなる可能性もあり、医師としっかり相談して進めなければなりません。 もちろん家族の術前の同意や、術後の協力、支えが必要不可欠になります。 まとめ・変形性股関節症|人工関節手術の年代別リスクについて 変形性股関節症の手術は、大掛かりな手術になるため、年齢や生活環境、将来なども見据えた上で手術をおこなうかどうかの選択をしなければなりません。 また、変形性股関節症の手術を受けた後は、リハビリが必要ですが、そのリハビリは年齢が高くなるにつれて難しくなる場合もあります。そのため、変形性股関節症の痛みを手術で改善したいけれど、手術を受けることができないという人もいます。 そこで紹介したいのが、近年注目されている変形性股関節症を「再生医療で治療する」という方法です。 再生医療は、人工関節などを入れる手術と比べても治療期間が少なく済み、副作用のリスクも少ない安全で安心な治療です。そして、年齢が高くても治療できる可能性が広がりますし、高い治療効果を期待することが可能です。 変形性股関節症の手術を検討すべき状態ではあるけれど、体力面、心肺機能などで懸念材料があるという人、治療期間を短くしたい、なるべく体に負担が少ない治療を受けたいという人は、再生医療を検討してみてはいかがでしょうか。 >変形性股関節症は「再生医療」という最新治療法で手術・入院を避けて治療することできる方法があります。 以下の動画では、変形性股関節症に悩む患者様が手術ではなく再生医療を選択した経験について語っています。是非参考にしてみてください。 https://youtu.be/cjMBSIy0rG0?si=bbBce0OZEgtPY48d 以上、変形性股関節症|人工関節手術の年代別リスクについて記させていただきました。ご質問などございましたらお気軽にお問い合わせください。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼こちらも合わせて確認しておきませんか 変形性股関節症と臼蓋形成不全の関係性と治療法について
2022.05.12 -
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股関節の病気の種類と治療法・人工股関節を手術した場合のリハビリと注意事項 股関節の痛みをもたらす原因となる病気は、初期の段階では「保存療法」を行い、症状が進行した結果、末期に近づくにつれて「手術」となるケースが多く見られます。 医師より、「人工股関節を入れたほうがいい」などと言われると、「手術という不安感」と、「人工関節という戸惑い」、そして「痛み」などについて動揺や心もとない、不安なお気持ちになられるのではないでしょうか? そこで人工関節の検討が必要となる股関節の病気を明らかにし、その治療法を解説致します。また、人工関節の手術で気になる痛みを「手術そのものの痛み」、「手術後の痛み」について解説し、ご心配にお応えいたします。 股関節の病気と治療法 まずは、股関節に対する人工関節の手術(人工関節置換術)についての基本的なことについて解説します。 股関節を手術する原因となる病気の種類 股関節を人工股関節に置き換える手術を行うには、何らかの原因が存在しています。例として股関節の手術が必要になる可能性がある病気としては、以下のような病気が挙げられます。 ▼手術の可能性がある 変形性股関節症 大腿骨頭壊死症 関節リウマチ 股関節脱臼や股関節骨折の後遺症 変形性股関節症 股関節の軟骨成分が変性し、すり減ってしまうことで股関節に炎症を起こし、股関節の痛みや変形などの症状を引き起こす病気です。 大腿骨頭壊死症 大腿骨頭部の血流が滞って骨頭の細胞が壊死を起こし、細胞が死んだ部分の骨が変形を起こすことで痛みや歩行障害などを引き起こす病気です。 関節リウマチ 免疫異常によって自己抗体(体内の正常な細胞を損傷させる物質)が生み出され、全身のさまざまな関節がその影響を受けることで痛みなどの症状を引き起こす病気です。 股関節脱臼や股関節骨折の後遺症 事故などの外傷による衝撃で股関節がダメージを受け、脱臼や骨折を起こした後の後遺障害として関節疾患を引き起こすことをいいます。 上記、いずれにしても「股関節の痛み」や「歩行機能障害」など、日常生活にさまざまな影響を及ぼす可能性が高い症状を引き起こすため、適切な治療を継続する必要があるのです。 股関節の病気の治療法(保存療法) 股関節に関する上記の病気の治療方針としては、主に「初期段階には保存療法を適用し、保存療法が奏功しなくなったら手術を検討する」という方針がとられていました。 保存療法とは、発生している症状を緩和し、運動療法などによって患部の機能障害の進行を防止する治療法のことです。 保存療法は体への負担が小さい治療法として多くの症例で用いられる治療法ですが、上記の「機能障害の進行を防止する」という効果は完全なものではなく、加齢などの条件も重なって次第に症状は進行してしまいます。 結果、進行期から重度の疾患にまで症状が進行してしまい、次第に保存療法では十分に痛みなどの症状を緩和できなくなってしまうのです。 そうなると、以下のような股関節の手術を選択する可能性があります。 股関節の病気の治療法(手術の選択) 手術 人工股関節置換術 骨切り手術 関節鏡手術 人工股関節置換術の「手術中の痛み」と「手術後の痛み」について 手術というだけでも「痛み」については誰もが気になるところです。しかも、人工関節置換術となると、その言葉だけで更に心配になられる方が多いのではないでしょうか。 まず安心していただきたいのは、変形性股関節症などの治療において用いられる人工股関節置換術は、当然ながら「麻酔」を利用しますので、手術中に痛みを感じることはありません。 しかも、人工股関節置換術を実施する際には「全身麻酔」を用いることが多いため、痛みはもちろん、患者さんが手術中の様子や音などで不安を感じることもないのです。 人工股関節の手術に関する痛みについて、問題になるのは、麻酔が切れた後の「手術後の痛み」です。麻酔が切れると当然ですが痛みが起こります。 手術後の痛みに関しては痛み止めを使用します。薬剤によって痛みをコントロールすることになるのでご安心ください。手術後の痛みのピークは、手術直後から手術当日の夜の間が最も強く、その後は時間の経過に伴って軽減していき、手術後数日でおおまかな痛みは落ちつくでしょう。 また、「硬膜外麻酔」という麻酔術を手術前にすることで、手術後の痛みを軽減する治療が可能なケースもあります。 人工股関節置換術後リハビリと注意事項 股関節の痛みは、痛み自体や歩行機能への影響などがあるため、可能な限り最小限に抑えたいところです。股関節の人工股関節置換術の後、いわゆる「リハビリ期」において注意するべきポイントを押さえておきましょう。 リハビリは指示に従う 人工股関節の手術をしたら、入院とリハビリが必要になりますが、リハビリを行うにあたっては必ず「指示に従う」ことを遵守してください。 股関節の手術に限らず、手術後はデリケートな状態にありますので、早く退院したい、早く治したいとの想いで医師が禁止していることをしてはいけません。医師の指示通りにしないと、最悪の場合は手術をやり直さなければならなくなるケースもあります。 仮に人工股関節の手術後の痛みが抑えられて「きちんと治った!」と思っていても、実は勘違いという可能性もあるので、リハビリは医師の指示に従って安全におこないましょう。 股関節の脱臼リスクが高い動作は避ける 人工股関節置換術の後、気を付けるべきなのは「脱臼を避ける」ことです。リハビリ中、大きく仰け反るような動作、正座からひねって立ち上がるといった動作で脱臼しやすく、脱臼リスクの高い動作は意識して避けなければなりません。 スポーツなど、激しい動きがあるものは医師の許可を得る 人工股関節置換術の後、「スポーツ」や激しい動きと伴うものは、必ず医師の許可を得てからおこなってください。 特に重いものを持ったり、ジャンプの多い競技、急なストップや方向転換などなどの激しい動きあったり、相手にぶつかるような競技を避ければ、特に制限を設けることなく好きなスポーツに復帰することができるでしょう。 やりたいスポーツに関して担当医に相談し、どういった動作は避けなければならないか、そもそもリハビリ中に復帰可能なスポーツであるかの判断をもらうようにしてください。ただし、OKが出ても無理は禁物です。最初は試運転、徐々に取り組みましょう。 股関節への負荷を抑えるための体重コントロール 人工股関節置換術の後、人工股関節を少しでも長持ちさせるためには「体重コントロール」が欠かせません。股関節には上半身の重さがかかるため、体重が重いと人工股関節への影響が大きくなり、人工股関節の損傷リスクを高めることになります。特に運動を行う場合は、注意が必要です。 ただ適度な運動習慣を身につけることは大切です。この機会に適度な体重を維持できるように運動や食習慣といった生活全体の習慣を見直し、必要に応じて医師の指示した運動・生活メニューを実施するようにしましょう。 手術そのものを避けられる!再生医療という選択肢も生まれています 股関節の重い症状に対して人工股関節の手術などをおこなう場合、手術後の痛みのリスクを無視することはできません。保存療法は効かない、けれども手術は痛みや体への負担が気になるという患者さんは最新の医療分野「再生医療」も検討してみてください。 股関節の再生医療は自身の細胞によって股関節の軟骨の損傷を修復し、変形性股関節症などの症状の進行を遅らせて痛みを改善する効果が期待できます。 例えば「幹細胞」を利用した再生医療をする場合は、患者さん自身から幹細胞を採取(切開して脂肪を採取する等)し、これを培養してから患部に注射するという治療をおこないます。 この治療法であれば、人工股関節の手術ほど体への負担はありませんし、手術後の痛みの心配もほとんどないでしょう。 従来の保存療法では奏功しなくなった患者さんでも効果がみられる可能性があり、アレルギー・感染症・拒否反応といった副作用のリスクも少ないので、メリットの多い治療法と言えます。 下記の動画では、再生医療がどのようにして変形性膝関節症や変形性股関節症の患者様の痛みを軽減し、生活の質を向上させることができるかを示しています。是非参考にしてみてください。 https://youtu.be/03G87sTv2D4?si=soT1LvOnshMVSFB_ まとめ・股関節の病気の種類と治療法 人工股関節の手術(人工股関節置換術)は、手術後の痛みをコントロールすることは可能です。 手術後のリハビリは医師の指示のもとで安全におこない、脱臼や人工股関節の損傷などのリスクを少しでも減らすようにして痛みの改善ができれば、生活の質がグンと良くなるでしょう。 しかし、外科的な手術はどうしても避けたい、人工股関節のような手術を受けると、手術後の痛みがどうしても心配で仕方がないなどという人は、再生医療を選択するのもおススメです。 以上、人工股関節の原因となる股関節の病気と手術の痛みについて、手術中及び、手術後について記させて頂きました。 尚、再生医療は、股関節の痛みについて、多くのメリットがある治療法です。お気軽にお問い合わせください。親身になって詳しくご説明させて頂きます。 ▼ 最先端医療「再生医療」で股関節を治療する方法 股関節症の新しいい治療法、再生医療は、人工関節を避けて治療できる新しい医療分野です ▼以下も変形性股関節症の記事をご紹介しています 股関節の人工関節置について、高齢者が手術前に知っておくべきリスクとは?
2022.04.08 -
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変形性股関節症を発症!悪化させないために気をつけたいこと 変形性股関節症と診断されたら、今以上に悪化させないようにしたいものです。変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減ったり、骨の変形によって骨同士がこすれあうことで炎症が起こり、痛みを伴う病気です。 悪化すると日常生活にも支障をきたします。今回は、この変形性股関節症を悪化させないために気をつけるべきことについて解説してまいります。 変形性股関節症になったら気をつけることとは? 変形性股関節症は、股関節に負担がかかると症状が進行してしまいます。そのため、変形性股関節症の症状の進行を抑え、悪化を防ぐために、気をつけたいことがあります。 股関節への負担を減らす 変形性股関節症の初期の段階では、痛みを感じない場合も多くあります。しかし、股関節には日常の動作、つまり、歩いたり、階段を上ったり、座ったりといた動作が起こり、それだけでも股関節に負担がかかっています。 また、股関節の骨と骨の間に存在し、衝撃を吸収したり、骨同士が直接触れ合わないようクッションの役割を果たしている軟骨は、加齢だけでなく、関節を使うことで徐々にすり減ってしまいます。 そのため、変形性股関節症では、日常生活を工夫して、股関節への負担を減らすように気をつけることが大切です。 股関節を安静に保つ 荷物など、重いものを持つことを避けたり、腰をかがめる動作を減らすなど、股関節への負担を減らすことを意識して、安静に保つことで股関節への負担が減り、変形性股関節症の進行を遅らせることができます。 ゆっくり歩き/長時間歩かない 変形性股関節症と診断された場合は、歩くときにもできるだけ股関節に負担がかからないようにゆっくり歩くことを意識してください。また、連続して長時間歩くことも避けるようにしましょう。自分の大丈夫だろうという意識を捨て、無理は禁物です。 変形性股関節症は軽度の運動でも気をつける 変形性股関節症の初期の治療では、軽度の運動が推奨されます。これは筋肉をつけることで股関節の動きをサポートし、股関節の位置を正しい位置に矯正することで痛みの緩和が期待できるからです。 ただし、変形性股関節症でありながら運動する場合には、軽度の運動であっても気をつけることがあります。 15分以上の運動は控える 15分以上の連続した運動は筋肉が疲労してしまい、関節に負担をかけてしまうので控えるようにしましょう。 痛みを感じるような運動は控える 早く治そうと無理することは禁物です。筋力をつけようとして痛みを感じるほど運動してしまうと、かえって症状が進行してしまうこともあるので無理のない範囲で運動するようにしましょう。 肥満を解消する 普通に歩くだけでも、関節には体重の約3~5倍の負担がかかります。そのため、変形性股関節症の人が気をつけることの1つとして、肥満解消や体重コントロールも挙げられます。 股関節の負担が掛からないよう体重を管理し、肥満を防ぐ 中高年になると身体の基礎代謝が落ちてまいります。そのため、体重管理が難しくなります。運動も大切ですが、肥満を改善するためには食生活の見直しが必要です。 体重は、股関節へ直接負荷をかけることになるため、注意しなければなりません。体重は、けして切り離せないだけに留意すべき大切な要素です。 変形性股関節症において食事で気をつけたいことは、とにかく食べ過ぎないことと、栄養バランスよく食べることです。夕食は、寝る2~3時間以上前には済ませるようにしましょう。暴飲暴食は厳禁です。 また、早食いにならないようにゆっくりとよく噛むことで、食欲が抑えられ、食べすぎを防ぐことができます。食事内容のバランスにも気をつけましょう。脂っこい食事を避けて緑黄色野菜を多めに摂る、筋肉の基となるたんぱく質も意識して食べるようにしましょう。 無理に股関節を動かさない 変形性股関節症では適度な運動は推奨されますが、無理に股関節を動かすと、症状が悪化する可能性があります。激しいダンスやエアロビクス、ボーリングやウェイトマシーンを使っての筋力トレーニングは関節へ過度な負担がかかるため避けるべきです。 変形性股関節症のリハビリは、関節への負担が少なくて済むウォーキングや水中歩行のようなスポーツをゆっくり行うなど、関節に無理をかけないように気をつけることが必要です。 変形性股関節症の悪化|家族が気をつけること 変形性股関節症と診断された場合に、その家族が気をつけることを以下にまとめました。どのようなことがあるのでしょうか。 重いものを持たなくて済むようにサポートする 重いものを持つと関節に負担がかかりやすくなります。また、重いものを持つために、腰をかがめる動作も股関節に負担がかかるため、変形性股関節症の場合に荷物を持つときには、できるだけ家族が持つなどのサポートが大切です。 痛みの管理をサポートする 変形性股関節症では、痛み止めなどの内服薬も処方されます。痛み止めは、副作用で胃が荒れてしまうこともあり、それを予防するための胃薬や湿布のような外用薬など、数種類の薬が処方されることもあるため、薬の管理をサポートしましょう。 また、どのようなときに痛みが出たり、ひどくなったりするかの記録をつけることで、痛みの管理ができるため、家族もいっしょになって記録を取る手伝いをしましょう。 これら変形性股関節症では、その個人だけではなく、周りの家族も思いやりと、協力で、症状の進行を遅らせ、痛みを改善させ、より快適に過ごすことができるのではないでしょうか。 精神面でも支えになる 変形性股関節症の人は、症状が進むと動いていなくても痛みを感じる場合があります。今までできていたことができなくなり、トイレに行くにも不自由になり、ストレスを感じるようになる人もいます。 ですから、変形性股関節症の人の家族は、日常的な生活のサポートだけでなく、精神的な支えにもなるように気をつけることが必要です。 変形性股関節症の悪化|治療で気をつけること 変形性股関節症の治療で気をつけることも確認しておきましょう。 本人や家族が満足、納得できる医療機関を見つける 変形性股関節症の治療では、「薬物治療」、「運動療法」、「手術療法」などさまざまな治療がおこなわれます。手術療法を行う場合は入院が必要になりますが、どうしても仕事が忙しく時間がとれないなどの理由で手術を希望しない人もいます。 また、手術療法にも骨切り術や人工関節置換術があり、その後の通院頻度や入院期間も異なります。病院までの距離や医師との相性なども含め、本人や家族が満足できる、納得できる医療機関を見つけて治療を受けることが必要です。 意思や希望を主治医に伝える 変形性股関節症の人は、今後どのように治療を進めていきたいか、自分の意思をしっかりと主治医に伝えるようにしましょう。また、家族の意思や希望も伝えておけば良いでしょう。 なぜなら自分の望む治療がおこなわれないと、治療に対するモチベーションも下がってしまい、治療自体に影響が出ることもあります。 すぐに手術を受けたいのか、しばらくは薬で治療をしたいのか、飲み薬のほかに湿布薬や座薬も使いたいのかなど、医師にしっかり話をして、相談しながら治療をしていきましょう。 変形性股関節症に再生医療という選択肢もある! 変形性股関節症の治療の選択肢のひとつに、「再生医療」という最新の治療法もあります。今までの変形性股関節症の治療では、薬で痛みが抑えられなくなった場合には手術をするしかないと言われていました。 そのため、変形性股関節症は、日常生活においても股関節に負担がかからないように気をつけ、痛みが出たら痛み止めを飲んで緩和しながら進行を遅らせるなど、精神面や痛みのコントロールもとても大変でした。 しかし、最近ではスポーツ選手なども選択している再生医療という治療方法が注目を浴びています。 手術との違い 変形性股関節症における痛みの原因は、関節の軟骨がすり減ることで発生しています。再生医療では、修復が不可能と言われている関節の軟骨を新たに再生させていく画期的な治療法です。 この再生医療では手術を行いませんので、身体への侵襲が少ない治療となります。人工関節のような大掛かりな手術を実施した場合には、少なからずリスクを伴います。代表的な合併症としては、深部静脈血栓症・肺塞栓症・人工関節の再脱臼などがありますが、再生医療においてはこれらの合併症が発生することはありません。 再生医療の効果はいつまであるのか また、人工関節には耐久年数があり、一般的には平均15〜20年程度と言われています。人工関節をすると、経年劣化による不具合により疼痛などが発生することがあり、日常生活に支障が出た時には、再手術が必要となる場合も少なくありません。 再生医療の治療効果は人工関節の耐久年数と同じ程度の持続が期待されています。しかも手術に伴う合併症のリスクを負うことなく、手術と同じ程度の治療成績が得られることからも、再生医療を選択するメリットは大きいと考えられます。 これまでの治療では効果が感じられず、手術を受けようかとお悩みの方、あるいはどうしても手術を受けたくないという方にとって、安全で治療効果の高い再生医療は新たな選択肢と言えるでしょう。 下記の動画ではは、再生医療が変形性股関節症の痛みをどのように軽減し、患者様が日常生活でより多く動けるようになったかを示しています。是非参考にしてみてください。 https://youtu.be/ZYdyeWBuMQA?si=VGWXjnYGmS4UpHbm まとめ・変形性股関節症の発症後に気をつけたいこと 変形性股関節症で症状を悪化させないために気をつけたいことをご紹介しました。 変形性股関節症の治療においては、股関節に負担をかけないように気をつけることが大切で、安静や食生活の管理、適度な運動、また、家族のサポートも必要です。 これまでの変形性股関節症の治療では、痛み止めを服用して痛みを緩和し、手術をおこなう方法しかありませんでした。そのため症状の進行を抑える目的でリハビリを含め、生活上で注意すべきことが多々あります。 しかし、近年注目を浴びている再生医療は、変形性股関節症の治療の選択肢にすることができます。副作用が少なく、高い治療効果が期待できるので、治療方法を検討する際には、再生医療の選択もできるようになりました。 以上、変形性股関節症を悪化させないために気をつけたいことを記しました。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼以下もご参考になりませんか 変形性股関節症を進行させない生活の工夫とリハビリについて
2022.04.07 -
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「病院で人工股関節への置換術をすすめられた」「変形性股関節症の手術が決まっている」といった方の多くは、手術後の生活が気になるのではないでしょうか。 股関節の変形などの治療として手術で人工股関節を入れても、すべてが元通りになるわけではありません。手術後は、股関節に負担がかからないよう動作や姿勢に気をつけて生活する必要があります。 今回は、人工股関節手術後の生活で気をつけるべきことを解説します。早期回復のためのポイントや仕事復帰までの目安もまとめているので、人工股関節手術を控えている・検討している方は、ぜひ参考にしてください。 人工股関節手術後の生活で注意したいこと 人工股関節手術後は、過度な運動や負担がかかる姿勢を避けて生活する必要があります。具体的には、以下の3つに注意して過ごしましょう。 過度の運動を避ける 転倒しないように気をつける 股関節に負担がかかる姿勢を避ける それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。 過度の運動を避ける 人工股関節手術後は、過度の運動を避ける必要があります。手術をしたからといって、ハードな運動ができるわけではありません。過度な運動は股関節の脱臼やゆるみを起こしてしまう可能性があるため、注意が必要です。 ただし、適度な運動は、股関節周りの筋肉を鍛えることにつながるため、無理のない範囲で体を動かすことをおすすめします。実際に、人工股関節手術後の生活で、ハイキングやウォーキングなど、さまざまな運動を楽しんでいる人もいます。 手術後の生活で無理なくできる運動は、水泳やウォーキングなどです。ただし、水泳の場合、股関節に負担がかかる平泳ぎよりもバタ足などがおすすめです。また、ウォーキングは15分程度の軽い運動にとどめるなどの配慮が必要です。 転倒しないように気をつける 人工股関節手術後は、人工股関節の破損を避けるためにも転倒に気をつけましょう。 手術後の生活では、人工股関節とうまく付き合っていく意識が必要です。転倒は、人工股関節の破損だけではなく骨折の原因にもなります。骨折によって歩行が難しくなると、手術をした意味がなくなってしまいます。 手術後は、外出の際に階段を避けてエスカレーターやエレベーターを利用したり、足場の悪いところは極力歩かないようにしたりするといった心がけが必要です。 股関節に負担がかかる姿勢を避ける 人工股関節手術後の生活では、股関節を曲げて膝を内側にねじるような姿勢は負担が大きいので避けましょう。 とくに股関節の屈曲などの複合動作が続くと、股関節に大きな負担がかかって脱臼や骨折の原因になります。以下のポイントを参考に、できるだけ股関節の動きや状態を意識して生活してください。 歩行時の注意点 人工股関節手術後の歩行に関して、とくに制限はありませんが、以下の点に注意しましょう。 筋力の低下を防ぐため歩く時間を作る 歩行時は革靴ではなく滑り止めがついた運動靴を履く 翌日まで疲労が残る場合は、運動量が多すぎる可能性が高いため、ペースを調節してください。 座るときの注意点 人工股関節手術後の脱臼を防ぐためにも、座る際は以下の点に注意が必要です。 あぐらや横座りなどを避ける ズボンや靴下などを履くときは床ではなく椅子に腰掛ける ただし、座るときにどの程度の注意が必要かは、手術方法によって異なります。近年は筋肉や腱を切らずに済む方法が増え、人工股関節手術後の脱臼のリスクそのものが低下しています。手術後に避けるべき動作や姿勢については、医療機関や主治医に確認すると安心です。 入浴時の注意点 人工股関節手術後の入浴時は、とくに身体を洗う姿勢に注意してください。ほかにも、以下の点に気をつけると股関節への負担を減らせます。 シャワーチェアを使用して椅子に腰掛けた姿勢で身体を洗う かがみこまなくて済むようにタオルではなく柄が長いブラシを使用する 浴槽で両足を伸ばせない場合は浴槽用の小さな椅子を使用する 椅子を使うスペースがない場合は、浴槽の縁にも腰掛けることも可能です。しかし、足先を洗う際などは無理にかがみこむと脱臼する可能性が高いため注意しましょう。 なお、浴槽への出入りしやすくするためには、浴室の壁に手すりを取り付けると便利です。 人工股関節手術後の生活における早期回復のためのポイント ここでは、人工股関節手術後の生活において、早期回復のために工夫すべきポイントを紹介します。 1.生活スタイルを変える 人工股関節手術後の生活では、股関節に負担のかかる姿勢を避ける必要があります。たとえば、正座や足を前に投げ出して座る姿勢は手術後でも問題ありませんが、体育座りや横座りなどは脱臼のリスクが高まります。和式トイレなどでしゃがみ込む、座布団に座る、重いものを持ち上げるなどの動作は、意識して避けましょう。 人工股関節手術後は、できる範囲で椅子や洋式トイレを利用するようにして、生活スタイルを切り替えていくことをおすすめします。また、布団を敷いて寝ている方は、ベッドにしたほうが股関節に負担をかけずに済みます。 2.体重管理をする 人工股関節手術後の回復を早めるためには、体重管理もポイントです。 体重が重いだけでも、股関節には大きな負担がかかるため、適度な運動をして体重管理しましょう。標準体重よりも重い場合や、普段から身体が重いと感じている場合は、思い切ってダイエットを始めることもおすすめです。 ただし、単に体重を減らすだけではなく、筋力の維持にも努める必要があります。手術後は徐々に股関節を慣らすようにして、1日15分程度のウォーキングなど軽い運動をしましょう。 3.重いものを持たない 人工股関節手術後の生活では、日常的に重たいものを持たないように気をつけてください。重いものを持ち上げたり、持って移動したりすると、股関節に大きな負担がかかります。もちろん、しゃがんだ姿勢から荷物を持ち上げることも避けましょう。 軽い荷物であれば大丈夫ですが、足腰を使わなければ持ち上がらないほどの重い荷物であれば、家族や友人に手伝ってもらって運んでください。 とくに家族には、人工股関節手術ことを伝え、手術後の生活についてよく理解してもらっておくと安心です。 4.適切なリハビリテーションを続ける 人工股関節手術後の回復を早めるためには、適切なリハビリテーションを続ける必要があります。 人工股関節手術後は、筋力が低下している状態です。とくに手術前から痛みで動きが制限されていた場合は、筋力の低下が顕著になる傾向があります。 人工股関節手術後に目指す生活レベルにもよるものの、筋力を回復させるためには、手術後も長期間にわたってリハビリテーションを続けることが大切です。 医療機関や主治医に相談しながら、納得のいく治療計画を立てましょう。 【職種別】人工股関節手術後の仕事復帰までの目安 人工股関節手術後の仕事復帰までの期間は、職種によって異なります。たとえば、業務上でしゃがんだりかがんだりする動作を伴う場合は、復帰までに時間がかかります。一方で、事務職であれば、数週間から1カ月程度で復帰が可能です。 人工股関節手術後の仕事復帰までの目安は、以下の通りです。 事務職 2~4週 立ち仕事(半日) 4~6週 立ち仕事(1日) 6~8週 ドライバー・配送業 2~3カ月 激しい肉体労働が中心の仕事 3カ月以降 ただし、手術後の回復には個人差があるため、まずは主治医に相談してから仕事に復帰する計画を立てましょう。 変形性股関節症に対する再生医療の可能性 人工股関節手術は、入院およびリハビリテーションが必要になるため、長期間にわたって仕事を休む必要があります。働いていない場合でも、手術後どのくらいで日常生活に戻れるのか、不安を覚える方も少なくありません。 変形性股関節症の場合、手術療法のほかに再生医療による治療も可能です。再生医療とは、患者の脂肪から採取した幹細胞を股関節に投与し、傷ついた軟骨の再生を促す治療法です。再生医療であれば、治療のための手術や入院が必要ありません。 また、自身の細胞を使用して自然治癒力を高める方法のため、身体への負担が少ないメリットもあります。 リペアセルクリニックでは、膝の痛みや変形性膝関節症の再生医療・幹細胞治を行っています。メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けているので、再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ まとめ・人工股関節手術後は負担をかけないよう配慮して生活しよう 今回は、人工股関節手術後の生活で気をつけるべきことや工夫すると良いことなどを解説しました。基本的に人工股関節手術後の生活では、人工股関節に配慮さえすれば大きな支障はきたさないでしょう。 しかし、人工股関節とうまく付き合っていく必要があるため、どうしても注意や工夫をしなければならない場面も出てきます。 なお、手術後の生活における注意事項や運動、リハビリテーションなどに関しては、必ず主治医の指導を受けるようにしてください。 ▼ 立ち上がり動作における股関節への負担を減らすポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。
2022.03.31 -
- 股関節
- 変形性股関節症
変形性股関節症を進行させない生活の工夫とリハビリ 変形性股関節症は中高年以降の女性に多く発生する病気で、動き出しなど動作のはじめや、長時間の歩行後に痛みを感じます。悪化すると安静時にまで痛みを感じるようになるため、日常生活を送る上で大きな支障となります。 股関節が痛む原因は2つあり、関節軟骨の摩耗と関節唇の損傷です。股関節へかかる負荷が原因で、クッション材である関節軟骨がすり減り、そのかけらが滑膜を刺激することで痛みを感じます。 また、股関節の安定性を高める関節唇が傷むことでも、関節が不安定になり痛みにつながります。 そんな変形性股関節症への治療は、関節への負荷を減らしながら、同時に関節を安定させることが重要です。この記事では、変形性股関節症を悪化させない具体的な工夫や取り組みを紹介します。 変形性股関節症の特徴 中高年以降の女性に多く発症 動き出しなど、初期動作に痛み 悪化すると安静時にも痛む 生活スタイルを変え負担を避ける 日常生活を工夫することで股関節へかかる負荷を減らし、痛みを軽減します。日常生活で最も股関節に負荷がかかる姿勢は、関節が深く曲がるようなしゃがむ動作です。また低い位置から立ち上がる動作でも負荷がかかるため注意が必要です。 背筋を伸ばす 変形性股関節症の初期には、痛みをかばうことから骨盤が前傾し、不自然な姿勢を取りがちです。そうした姿勢が腰椎の前弯と胸椎の後弯を増強させ、股関節の可動域や筋力は低下します。そうして不安定になった関節に体重が加わると、関節軟骨への負荷が増し、痛みにつながります。 では骨盤を後傾させれば良いのか?というと、そうでもありません。猫背のように骨盤が後傾する姿勢では、その問題は背骨の湾曲だけでなく、股関節に不安定さをもたらし、それもまた痛みにつながります。(ヒップ−スパイン・シンドローム) 大切なのは、体操を通して常に股関節や骨盤の柔軟性を高め、できる限り背筋を伸ばしておくことです。 低い位置での生活をやめる 畳のような和式ならではの低い位置で過ごす生活では股関節に負荷がかかります。さらに立ち上がり動作でも股関節の負荷になることから、地べたでの生活から椅子を活用するなど、洋式の生活へと変えていく必要があります。 ほかには、トイレを洋式へ変えたり、布団からベッドに変更したりと低い位置での生活はなるべくやめていきましょう。また、キッチンで料理をする際、頻繁に使う物は高い位置に収納することで、頻繁にかがむ機会を減らします。 減量する 肥満であることは、股関節にかかる負荷も上がるため、変形性股関節症を進行させる要因の一つです。肥満傾向の方は体重を落とすことで、病気の悪化を防ぐことができます。 手すりの設置 段差の昇降は、股関節に負荷がかかるだけでなく、転倒するリスクが高まります。階段やお風呂場などには手すりをつけることで関節への負荷と転倒リスクを減らします。 積極的に運動療法(リハビリ)に取り組む 運動療法では筋肉を鍛え、関節の安定性を高めます。また適度な運動が股関節の可動域を拡大させ、変形の進行を防ぎます。運動療法は、自分のペースで無理せず行います。痛みを我慢して運動を続けると痛みは悪化し、ついには運動に取り組めないことがあるため気をつけましょう。 ウォーキング 歩くことで股関節の筋力を向上させ、脚を動かすことで関節可動域が広げる効果があります。 健康を目的とした歩行では、早歩きが推奨されることが一般的ですが、変形性股関節症の場合は違います。歩行速度が上がるほど股関節へ衝撃が伝わりやすくなるほか、歩行フォームが乱れ、不安定な股関節にさらに負荷がかかります。ウォーキングを始める際は、自分のペースでゆっくり歩くことがポイントです。 また慣れないうちから長時間や長距離を歩くのはオススメできません。無理をした疲労から動けなくなると、継続的な運動ができないため、短い距離・時間でも毎日継続することが大切です。 プールでの運動 水の浮力を生かした運動で、地上での歩行より負荷の少ないトレーニングができます。体重から股関節へかかる負荷を軽減できるため、地上でのウォーキングでは痛みを感じる方でも、水中では痛みなく歩ける場合があります。 また、水の抵抗に負けないように歩く必要があるため、筋力強化が期待できます。普段から股関節に痛みを感じており、満足に運動療法に取り組めない方には最適です。さらに地上でのウォーキングと比べて転倒リスクがないこともポイントです。 室内での運動 1日の大半を家で過ごす方も多いのではないでしょうか。そうした場合、室内で手軽にできる体操やトレーニングがあります。股関節の可動域が制限される原因の一つが筋肉の緊張です。室内での運動を通して、筋肉の柔軟性を取り戻し、関節可動域を高めます。可動域が高まれば、運動にも効率よく取り組めます。 股関節に関する筋肉の体操 1. 椅子に座り骨盤に手をかけます 2. おへそを出すように、ゆっくり骨盤を前方へ倒す 3. おなかを引っ込めるように、ゆっくり骨盤を後方へ倒す ※ 2~3を繰り返しを1分間行います。 1. 仰向けで寝転び、両膝を立てる 2. 両膝をそろえた状態で左右へ倒す ※ 左右各10回を、1日2セット行う 股関節に関する筋肉のトレーニング 1. 仰向けに寝転び、膝を立てます 2. 両膝にゴムを固定します 3. 左右同時に外へ向けてゴムを引っ張ります 4. 元の位置へ戻します 中臀筋や大腿筋膜張筋のような股関節の外転筋のほか、梨状筋や大臀筋のような外旋筋を鍛えます。 まとめ・変形性股関節症を進行させない工夫 変形性股関節症と診断された方は、痛みが少ない頃から股関節への負荷を減らし、関節を安定させ進行を遅らせます。 もし変形性股関節症が進行した場合、痛みをかばって歩くことで対側の股関節にも痛みがでることがあります。そうなると、活動量は低下し、さらに状態が悪くなる悪循環になります。 変形性股関節症を進行させないためには、股関節へ負荷がかからないように、低い位置で過ごすことが多い和式から洋式へと生活スタイルを見直し、自分のペースで痛みのない運動療法に継続して取り組みましょう。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する方法 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼以下も参考にされませんか 変形性股関節症でやってはいけない禁忌肢位とは
2022.01.22 -
- 股関節
- 変形性股関節症
変形性股関節症|股関節の負担が大きな「立ち上がり動作」で注意したいこと 変形性股関節症を発症すると、軟骨のすり減りや骨の変形を防ぐため、できるだけ股関節に負担を掛けないようにする必要があります。 特に、変形性股関節症の日常生活で気をつけて欲しい動作として、「立ち上がり動作」があります。今回は、変形性股関節症を発症した場合に、なぜ「立ち上がり動作に気をつけるべきなのか」について、その理由を解説します。 変形性股関節症とは 変形性股関節症とは、股関節にある軟骨が「すり減り」、骨の変形によって「股関節の隙間」が減ることで、骨同士が直接すれ合うことで痛みを感じる病気です。 軟骨のすり減りや、骨が変形するような股関節の摩耗は、多くの場合、加齢が中心ですが、実はそれ以外にも日常動作や、激しいスポーツでの負担が原因となっている場合があります。 いずれの理由であっても一旦、軟骨のすり減りや、骨が変形し、組織が損傷してしまうと元通りの状態に治すのは、非常に難しくなります。 変形性股関節症を発症後の「立ち上がり動作」は、股関節の屈曲による負担がかかる上、体重もかかってしまうため、「股関節にとっては大きな負担」になりやすい動作となります。 そのため、変形性股関節症は、可能な限り股関節に負担がかからないように過ごすことを意識し、進行を遅らせる努力が必要になります。 その意味で立ち上がり動作には特に特に気をつけなければなりません。変形性股関節症で股関節の負担に関わる「立ち上がり動作」で気を付けたいことを記してまいります 立ち上がり動作しだいで症状が悪化しかねない 変形性股関節症は、股関節を使用することで症状が進む病気です。しかも、立ち上がり動作は股関節に大きな負担がかかる動作です。股関節は、歩くときにはもちろん、立っているだけでも負担がかかります。 前傾した姿勢や、しゃがみこんだ姿勢から立つような「立ち上がり動作」をするときには、大きな動きをしていないつもりでも自分自身の体重そのものが股関節に負荷を与えることになるため、どうしても痛みを伴います。 立ち上がり動作を繰り返すと痛みが出る 初期の変形性股関節症では、痛みを感じない場合が多くあります。 初期のころは、痛みがないだけに不用意に股関節に負荷をかけがちとなり、注意が必要です。股関節への負担が日常的に続くと軟骨のすり減りが進むことになります。股関節の摩耗や疲弊が進むと期せずして歩行時、立ち上がり時に徐々に痛みが出るようになります。 このように変形性股関節症を発症後、頻繁に「立ち上がり動作」を繰り返すと、関節の摩耗や疲弊が進み、症状が進行して痛みを強く感じるようになります。さらに症状が進行すると安静にしていても痛みを感じたり、就寝時にも痛みで目が覚め、眠れなくなってしまうこともあります。 股関節以外(腰や膝)にも負担がかかります 注意したいのは、変形性股関節症の人が「立ち上がり動作」を行うと、どうしても股関節をかばってしまうため腰や、膝にも負担がかかり、時間とともに「腰の痛み」や、「膝の痛み」に繋がる可能性があります。 負担の少ない「立ち上がり動作」をするために 変形性股関節症を発症した場合でも、できるだけ症状の進行は抑えたいものです。そのためには、日常の過ごし方はがとても大切になります。 生活様式を洋式に変える 立ち上がり動作が股関節に負担になる…とはいっても、症状によっては、まだ痛みが少なく、痛みなしに立ち上がることができる場合があるかもしれません。それでも症状は徐々に進行していきます。 注意が必要とはいえ、日常生活で立ち上がり動作を一切しないことは難しいと思います。そのようなときには、生活自体を変更してく必要性があります。 例えば床に布団を敷くことはやめてベッドにする。トイレが和式であるなら洋式に変更する。畳に座っているなら椅子にする。食事もテーブルで行う。玄関には椅子を置くなど、生活様式そのものを徹底して、洋風に変えたり、しゃがむ動作を無くしていく工夫が大切です。 そうすることで、変形性股関節症であっても日常生活上で立ち上がる動作を減らすことが可能になります。 生活様式を変える/生活を洋風にするイメージ 布団をやめてベットにする トイレを和式から洋式にする 畳から椅子にする 低いテーブルから、椅子に座って使うテーブルにする その他 筋肉をつけるようにする 変形性股関節症で、強い痛みを感じるようになると、ますます歩くことが億劫になり、そうなると股関節周辺の筋力も低下してきます。そもそも股関節は筋肉によってサポートされているため、筋力の低下は、変形性股関節症を悪化させる原因になります。 そのため、負担の少ない適度な運動をおこない、筋力をつける意識を持つことが必要です。 変形性股関節症で立ち上がり動作を繰り返し続けるとどうなる? 立ち上がり動作とは、例えば下記ような日常の動作のことを指します。どれも日常生活でおこなうことが多い動作です。変形性股関節症の人が、このような立ち上がり動作を繰り返し続けるとどうなるのでしょうか。 無理していると 落ちている物を拾う 椅子から立ち上がる トイレに行く 靴ひも結ぶ 靴下を履く・・・ 歩くのも困難になりかねない 変形性股関節症は、初期の場合は痛みを感じない場合もありますが、軟骨のすり減りが進み股関節の隙間がなくなってくると、骨同士が直接こすれあうようになり痛みが出始めます。 股関節は歩く際にも使用されるため、症状の進んだ変形性膝関節症の人は歩くことすら難しくなる可能性があります。 進行すると杖や車いすに移動を頼るようになる 杖を使うことで股関節への負担を軽減することができるため、より早い段階で杖を使うと症状の進行を抑えることができます。 しかし、徐々に変形性股関節症が進むと、歩き始めや歩行時にも痛みを感じるようになり、最終的には歩くことが困難となり、車いすに移動を頼ることになってしまう可能性があります。 変形性股関節症の治療に「再生医療」という選択肢 これまでの変形性股関節症は、損傷した軟骨や骨の変形は二度と元に戻らないため、最終的な治療として今ある関節を人工関節に置換える手術を行うしかありませんでした。 しかし、外科的な手術には抵抗がある、療養期間が長くなることから仕事が忙しいなどの理由で手術を躊躇する。その他、さまざまな理由から手術を受けることができないという人もいます。 また、人工関節を入れる手術をしても、人工関節のメンテナンスのための通院や、最も憂慮すべきは、人工関節の経年劣化による再手術の必要性があるということです。 そこで紹介するのが、「再生医療」です。再生医療とは、自分自身の「幹細胞」や「血小板」を用いて、股関節の修復を促す新しい治療方法です。 自己脂肪由来・幹細胞治療 幹細胞には、さまざまな細胞に変化する能力があり、皮膚や筋肉のほか、軟骨や骨にも変化できる細胞です。この幹細胞の能力を利用して軟骨や骨の変形の修復を促し、痛みの改善を目指すのが、「自己脂肪由来・幹細胞治療」という再生医療です。 PRP療法・再生医療 血液に含まれる血小板にも、組織を修復する能力があります。自分の血液を採取し、血小板を濃縮させたものを損傷した部位へ注入することで、関節組織の修復や再生を促し、痛みの改善を目指すのがPRP再生医療です。 再生医療は、副作用のリスクが少なく、メリットが多い 自己脂肪由来・幹細胞治療、PRP再生医療は、どちらの治療方法も、自分自身の細胞や血液を用いるため、拒絶反応や、アレルギーなどの副作用の心配が少なく、安全性が高く治療期間も短いという特徴があります。 さらに、手術よりも身体的な負担が少なく、手術の時間が取れない、高齢で手術をする体力がない人でも受けられるというメリットがあります。 まとめ・変形性股関節症|股関節の負担が大きい立ち上がり動作に注意 変形性股関節症の人が気をつけるべき「立ち上がり動作」についてご紹介しました。立ち上がり動作は、日常生活をする上で、どうしても必要な動作ですが股関節に負担のかからない方法で動作をおこなう工夫をするなどして、変形性股関節症の進行を遅らせるように意識しましょう。 しかし、工夫して進行を遅らせることは可能であっても、残念ながら症状そのものの進行を止めることはできません。いつしか痛みが強くなり、最終的には安静にしていても痛みを感じるようになるばかりか、移動を車椅子に頼らざるを得なくなることは希ではありません。 このように日常生活に支障をきたすような場合、手術によって人工関節に置換える治療法もありますが近年は、手術を避けて再生医療を選択することも可能になりました。 以上、変形性股関節症を発症した場合は、立ち上がり動作をはじめ、股関節に負担をかけない意識で生活しましょう。もちろん早期に整形外科をはじめ、病院等にて専門的な治療をお受けになること強くお勧め致します。 尚、既に治療をはじめておられ、その治療では効果を感じづらい、手術を受ける時間がない、できるだけ副作用の心配がない治療を受けたい。そもそも手術は嫌だ!という場合は、「再生医療」も選択肢のひとつとして検討されることをオススメします。 https://youtu.be/isSkwxfHrbI?si=-Q71vVuG9D6rlNPe ▶こちらの動画も是非ご覧ください。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術・入院を避けて改善することが可能です ▼話題/以下もご覧ください 変形性股関節症|農業で発症、やめる!やめない?悪化させないために
2021.12.17 -
- 股関節
- 変形性股関節症
変形性股関節症を農業で発症!予防と悪化を防ぐには 農業をやっていて、不安定な姿勢で長時間作業を繰り返していくうちに変形性股関節症になってしまい、痛みがつらいという人もいるかもしれません。変形性股関節症は、関節の痛みと機能障害が起こりますが進行すると持続痛となり取れなくなる恐れもあります。 そのため、「変形性股関節症になってしまったら、農業はやめるべきなのか?」「股関節に関節症を発症したら農業は、してはいけない仕事なのか?」「そもそも立ち仕事は避けるべきなのか?」など、不安に感じるられているのではないでしょうか。 そこで今回は、変形性股関節症になったら農業をやめるべきなのか、という疑問について、やめるわけにはいかない場合の予防法と治療について解説します。 結論から言いますと、もし変形性股関節症になってしまった場合でも、「農業をやめるべきである」「してはいけない」とは一概に言いきれません。ただし、変形性股関節症になった状態で通常どおりに農業をおこなうというのは危険です。 変形性関節症になっても農業を続けるには? 変形性関節症になったとしても農業を続けたい場合は、痛みのコントロールや症状の進行を抑えるための治療をおこなうことが大切です。痛みの緩和や症状の進行を抑えていく必要があります。 股関節に負担がかからないように生活する 変形性股関節症は、股関節に負担がかかることにより痛みが生じ、症状が進行します。股関節には、農業以外にも、立ち仕事はもちろん、日常生活の中でも無意識のうちに大きな負担がかかる動作や仕事があります。 例えば、歩くだけでも負担がかかりますし、トイレが和式であったり、いつも履いている靴の質が悪いなどということが股関節への大きな負担になることもあります。 そのため、なるべく股関節に負担がかからないよう生活スタイルを変えることや、クッション性に優れ、弾力があって股関節への衝撃を和らげることができる靴を選ぶなど、身近なところから股関節への負担を軽減するように変えていくことが必要です。 変形性股関節症の治療法を検討する 変形性股関節症には、いくつか治療法が存在します。変形性股関節症の場合、股関節に負担のかからないエクササイズや、水中運動などの運動療法が有効です。 このした治療法は、股関節周辺の筋力をつけていくことで、痛みを緩和させる効果が期待できるからです。そのほかには、薬物による治療方法や、症状が進んでしまった場合には人工関節置換手術などがあります。 長期的かつ健康的な視野で見れば、軽度の変形性股関節症は、運動による治療も可能ですが、日常に支障をきたすレベルで関節が痛むなどの場合は、薬物や手術などによる治療を検討されたほうが良いでしょう。 主治医に相談をする 変形性股関節症では、進行の程度や症状によって治療法が異なります。股関節に違和感がある、痛みがあるという場合は、まずは、整形外科をはじめとした専門の医療機関を受診し、診断をしてもらいましょう。 その上で、これまで通りに農作業をおこなっても良いのか、股関節への負担を軽くするために、農業のやり方を変えていくほうがいいのかなどについて主治医に相談してみてください。 農業をしていると変形性股関節症になりやすいの? 農業をしていると変形性股関節症になりやすいという声もありますが、実際のところはどうなのでしょうか。 結論から述べますと、一概に農業をしていると必ず変形性股関節症になるというわけではありません。しかし、農業と変形性股関節症にはいくつかの関係性があります。 農業は変形性股関節症の原因となる姿勢や動作が多い 農業は長時間の立ち仕事であることはもちろんのこと、重たいものを運ぶ、不安定な体勢で作業をするなど、変形性股関節症の原因となる動作が多いです。 変形性股関節症は、股関節への過度な負荷によって引き起こされるため、そういう意味でも農業は多かれ少なかれ変形性股関節症のリスクがあると言えるでしょう。 農業でかかる関節への負担は股関節だけではない 農業は、不安定な姿勢が多いため股関節に負担がかかると言われますが、そのほかの関節にも負担がかかり、膝や腰を痛める人もいます。また、股関節に痛みが生じ、その痛みをかばいながら作業をすると、今度は腰や膝などほかの関節の痛みも併発する可能性もあります。 つまり農業は、股関節だけでなく全身の関節との付き合い方がとても大切になってくる職業であると言えます。 変形性股関節症|予防と悪化させないために 農業だけが変形性股関節症になるリスクがあるというわけではありません。 しかし、農業には変形性股関節症になるリスクが大きな動作が多いことは間違いありません。そのため、農業で変形性股関節症にならないように意識し、悪化させないようにするための予防が必要です。 椅子に座って農業をする 長時間の立ち仕事による農業は股関節に負担をかけるため、変形性股関節症になるリスクがあります。ですから、立ち仕事の時間を減らせるように工夫しましょう。最近は、座ったまま移動ができるキャスター付の農業作業用の椅子などが広く出回っています。そういったアイテムの使用もおススメです。 休憩をこまめにとる 農業で変形性股関節症にならないようにするには、小まめに休憩をとるようにしましょう。 一般のサラリーマンに比べ、農業は明確な就業時間や休憩時間が決まっていないことが多いと思います。そのため、農業を営む人の中には、定期的な休憩を取らずに働いてしまう人もいるようです。 しかし、休憩を取らずに、働き続けることは良くありません。例えば一時間ごとに10分などと決めておくと休憩を意識しやすくなります。どうしても休憩が取りづらい状況であるならば、立ち仕事を減らす工夫や、少しでも関節への負担をかけない工夫をしましょう。 疲労がたまったらストレッチをする 農業をしていて股関節が痛く感じることがあれば、疲労がたまっている証拠です。もしも痛みを感じたら、少し休み、股関節周辺のストレッチをしましょう。 また、お風呂上がりや寝る前などにも、太ももの筋肉やお尻の後ろにある大殿筋などをほぐすようにストレッチするのも効果的です。農業による筋肉の疲労を放置せず、日々しっかりとストレッチをすることで、変形性股関節症の予防につながります。 変形性股関節症でも農業を続けられる関節の痛みの緩和法とは 変形性股関節症になった状態で農業を続けることは大変です。しかし、医師の判断にもよりますし、個人差もありますが、痛みのコントロールをすることができれば、ある程度は農業を続けることが可能でしょう。 変形性股関節症の痛みの緩和方法を紹介します。 関節を温める 関節を温めることによって痛みを緩和できます。ホットタオルや使い捨てカイロなどで関節を温めましょう。股関節を温めることで血行が良くなり、体の修復機能が向上するので、「痛みの緩和」が期待できます。 半身浴をする 関節を温め、血行を良くするという観点から、半身浴もおススメです。お湯の温度を38度から40度ぐらいに設定して半身浴をしてみてください。ホットタオルなどで部分的に温めるよりも、半身浴は股関節全体を温めて、より血行を良くする効果が期待できます。 また半身浴は変形性股関節症の痛みをやわらげるだけでなく、血行が良くなることで体の新陳代謝機能が上がるため、健康そのものにも効果的です。毎日の疲れをとるためにも、ゆっくり半身浴をするという習慣を取り入れてみるのも良いでしょう。 農業を続けたい!変形性股関節症には再生医療という治療方法もある! 変形性股関節症になり、痛みが生じるようになると、農業を続けることが大変になってきますが、それでも農業を続けたい!そもそも農業が生業でやめるわけにはいかない!という場合は、短い治療期間で済み、副作用のリスクも少ない最先端の治療法「再生医療」という選択肢もあります。 再生医療で痛みの改善が可能になれば、生活の質が上がりますし、人工関節に置換えるなどの外科的手術も不要になる可能性が高まります。変形性股関節症の痛みで農作業に支障があると悩まれているのであれば、検討される価値のある治療法です。 https://youtu.be/isSkwxfHrbI?si=xBpcu7q-w5wcdT8Y ▶こちらの動画では、変形性股関節症に効果的な再生医療について解説しています。是非ご覧ください。 まとめ・変形性股関節症を農業で発症!予防と悪化を防ぐには 農業をしていると必ず変形性股関節症になるというわけではありません。しかし、ほかの仕事に比べて股関節への負担がかかりやすい農業は、股関節に対する関節症、特に変形性股関節症のリスクがあるのは確かです。 現在、農業に携わっていて変形性股関節症に悩まされている人や、痛みが強くなったら農業ができなくなるのではないかと不安に感じている人は、今回ご紹介した予防や痛みを緩和する方法を試されてはいかがでしょうか。 また、変形性股関節症は専門医による治療が必要です。せっかく診断を受けても軽度ならと仕事を優先し、つい無理な作業や立ち仕事を続けられてしまう方もおられます。 ご注意頂きたいのは放置して自然治癒することはありません。変形性股関節症は放置すると症状が進行する病気です。早めに専門医の指導の下、適切な治療を受けましょう。 以上、変変形性股関節症は農業で起こりやすいのか?その予防と治療法について、という視点でからご説明させていただきました。変形性股関節症と正しく向き合い、毎日元気に農業を続けていきたいものです。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼以下もぜひご覧ください 変形性股関節症を悪化させないために気をつけたいこと
2021.02.10 -
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- 変形性股関節症
変形性股関節症で歩行の負担を和らげる頼りになる杖の選び方を解説 変形性股関節症の方が歩行するのに頼りになるのが「杖」です。そこで「正しい杖の選び方、使い方」をお話ししてまいります。 変形性股関節症と診断された人にとって「歩くのが辛い」、「歩行するのが不安」などといったことで悩まれている方はいませんか?すでに「杖」を使用されていたり、これから購入をお考えの方もおられることでしょう。 杖は、不安定になりがちな足元を支えて歩行を助けてくれる第三の足ともいえるものです。そのためにも杖の正しい使い方を理解して、少しでも不自由なく股関節に負担ない、自分に合った杖を選ぶことが大切になります。 杖の使用は、変形性股関節症の人にとって股関節の負担を和らげるだけでなく、歩行時の転倒防止などに対して大きなメリットがあります。股関節に痛みのある状態で生活を送っていると、痛みをかばうために膝や腰にも負担がかかり、結果として膝痛や腰痛を招いてしまうため、注意しなければなりません。 そのため、杖の使用が推奨されます。 杖を使えば股関節への負担だけではなく、膝や腰への負担の改善も期待できます。 しかし、ひとくちに杖と言っても、一本足タイプの杖や、複数足タイプの杖、木製のものや金属製のものなど、さまざまな種類があります。それらを使って正しい杖の使い方をしなければ、痛みの緩和や歩行のサポートとしての役割を発揮することができません。 歩行を補助するために安全で体に負担をかけることのない正しい杖の使い方をするためにも、まずは杖の選び方にこだわりましょう。自分に合った杖を選ぶことが大切です。 自分に合った正しい杖の選び方、気をつけたいポイント せっかく杖を買っても、その杖が自分に合っていないと、歩行のたびに股関節へ余計な負担がかかってしまう危険性があります。そこで杖について大切なことを以下に記しました。 1)杖の選び方・杖の重さ 杖に重さがあると安定感があり、杖自体も頑丈で歩行にも安心感を感じるかもしれません。しかし、重すぎると疲れやすくなり、慣れるまで時間がかかり、時間とともに使いづらく感じてしまう場合もあります。 一般的には強度と軽さを兼ね備えたアルミ製のものが多く販売されていますが、最近ではより軽いカーボン製の杖も販売されています。いずれも軽量でありながら強度が高いところが特徴です。 杖の重さ メリット デメリット 重い 頑丈、安心感 使用で疲れ、使いずらくなる 軽い 軽量で強度が高く使いやすい - 2)杖の選び方・握りやすさ 杖の持ち手にもコダワリが必要です。自分に合った握りやすく、太すぎず、細すぎず違和感のなく握れることができる杖であることが選ぶポイントです。 滑りにくく掴みやすい、自分の手にあった握りやすい杖を選ぶことで握力がなくても疲れにくくなるでしょう。購入前に、実際に握ってみて、ぜひ少しでも歩く練習をしてみてくださいね。 3)杖の選び方・長さ 杖の長さの目安は身長の半分+2~3cmが適切といわれています。 杖の長さが短いと、前傾姿勢になり、股関節へ負担が大きくなります。これでは、せっかく杖を使っても症状が悪化する原因となってしまいかねません。 逆に、杖が長すぎると扱いずらく歩きにくい、操作が難しくなります。長時間の使用や長距離の歩行の場合、疲れやすくなります。 正しい姿勢で歩行ができるように、自分にあった適切な長さの杖を選びましょう。長さを調整できる伸縮するタイプの杖もあり、これを選ぶと、細かく長さを調整することができます。 適切な長さポイント 身長の半分プラスして2~3cm 正しい姿勢で歩行できるよう調整する → 短い杖:前に姿勢が倒れるため、股関節への負担が大きい → 長い杖:扱いずらく、歩きにくい、疲れやすくなる 4)杖の形 杖の形も歩きやすさに影響を与えます。 デザインなどで選ぶことなく、杖としての基本的な性能を比べてご自身に合った形を探しましょう。 T字杖 一本杖に握り手がついた一番多くられる一般的な杖のひとつです。このタイプは、使用する人を選ばず、比較的、誰にでも簡単に使用することが可能です。 しかし、多脚杖ほどの安定感はないため、高齢の人や、症状が進み自分での歩行に難がある人に安定性の面からあまり向いていません。 ロフストランド杖 一本杖のひとつですが、上部に腕を通す輪があり、下部にも握り手がついていて、T字杖よりも安定感があります。 手が変形している人や、筋力が足りずにT字杖では、歩行の折に体重を支え切れない場合などで選択される杖です。 多脚杖 T字杖は一本杖なので地面と接している部分が一か所のみですが、多脚杖は3点あるいは4点が地面と接します。支える部分が多いため、力が分散され、T字杖よりも安定性が高い杖です。そのため、T字杖のような一本杖では安定しない、筋力が低下しているという人におすすめです。 多脚杖は安定感があるため、変形性股関節症の痛みがひどい人が杖に体重をかけても転倒しづらいですが、一本杖よりも重くなってしまうというデメリットもあります。 変形性股関節症における杖の選び方 変形性股関節症の人が杖を買うときには、実際に自分の手で持ってみる、少しでも歩いてみるなどして選ぶことも大切ですが、やはり専門家の意見を取り入れたほうが良いでしょう。理学療法士や専門の医師に相談しながら、自分に合った杖を見つけましょう。 そして、杖の長さは、重心をかける位置などにも関わってきます。立ったままでなく、直接手に取って、持って、歩いて、相談しながら長さの調節をすると良いでしょう。歩行時の安定感が大切です。 杖の正しい使い方について専門家の指導を受けよう 変形性股関節症の人が杖を購入したら、その杖の効果を最大限に発揮できるよう杖の使い方の指導を受けるようにしましょう。正しく杖を使うことで、痛みが改善されるほか、歩行が楽に感じられるようになると行動範囲も広がります。 変形性股関節症の人は、運動療法もおこなって筋力をつける必要があります。痛みの改善や行動範囲の拡大は、運動療法もやりやすくする効果があるため、正しい杖の使い方を習得して、少しずつウォーキングのような運動もするようにしましょう。 杖を正しく使うことによるメリット 変形性股関節症で歩行がつらくなっていても、正しい杖の使い方をすることで痛みの改善ができると、行動範囲も広くなります。 痛みが強いとトイレに行く、お風呂に入るといった日常動作が億劫になり、筋力が落ちてさらに痛みが増してしまうという悪循環に陥る人もいますし、さらに症状が進むと寝たきりになってしまう可能性もあります。 正しく杖を使って歩行できれば行動範囲を広げることになり、何より変形性股関節症の方でも気持ちを明るくすることができます。このように杖ひとつで前向きな気持ちになれるきっかけになれば何よりです。 まとめ・変形性股関節症|歩行の負担を和らげる頼りになる杖の選び方とは 変形性股関節症で杖を使う場合は、杖を使った正しい歩行方法を知ることが大切です。今回は、正しい杖の使い方をするための第一歩、杖の選び方についてご紹介しました。 自分にピッタリな杖を正しい使い方で使ってこそ、杖を役立てることができます。変形性股関節症の人で杖の使い方や選び方に悩んでいる人は、実際に店舗や病院に行って理学療法士や専門の医師のアドバイスを受けながら杖を選ぶようにすると良いでしょう。 以上、変形性股関節症で歩行する際に知っておきたい正しい杖の使い方と、杖の選び方について記しました。 ▼ 再生医療が変形性股関節症の治療を変える 変形性股関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で入院や手術せずに症状を改善できます 変形性膝関節症についてはこちらも参照ください ▼こちらも参考にされませんか? 変形性股関節症のリハビリ|運動療法!避けたい運動と行うべき運動
2021.02.08 -
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変形性股関節症の治療|ステロイド薬の必要性と副作用を解説します 変形性股関節症の保存療法の一環としてよく使われるステロイドという薬、痛みに効く薬として、その必要性は理解できるけど、副作用が気になる!?という方が多いのではないでしょうか。 そこで今回は、変形性股関節症に対するステロイド薬を用いた治療についてご説明しましょう。 変形性股関節症でステロイドを使った治療は、保存療法で使われることが多いのですが効果的なのでしょうか。 ステロイド薬と聞くと、とにかく副作用が気になる!本当に効果が期待できるのか?、本当に使用しなければならないのか?など、多くの不安を感じる方が多くおられるようです。 変形性股関節症におけるステロイド薬の使用目的とは? ステロイド薬を使用する目的は、痛みに効く、痛みを止める薬として、痛みの緩和に対して効果を示すからです。つまり、変形性股関節症におけるステロイド薬を用いる目的は股関節の痛みに対処するためです。 保存療法は、変形性股関節症の初期におこなわれる治療法の一つです。 変形性股関節症を発症したということは、何らかの自覚症状があるということで、それは多くの場合、痛みです。手術を回避するために初期のころ行う保存療法においては、この痛みを緩和させる必要があります。 これは手術をしないで痛みを止め、運動療法による効果を高めるための目的ですが、痛みがあると、どうしてもその部位を守ろうと他の筋肉や組織に力が入ったりして、意識、無意識にかかわらず負担を掛けてしまうことを避ける狙いもあります。 このように保存療法を有効に進めるためには、ある程度、痛みを和らげることも大切です。 ステロイド薬には抗炎症作用と鎮痛作用がある ステロイド薬の効果としては、痛に効く、痛みを抑える薬としてだけではなく、痛みの原因となる炎症そのものを抑える効果があります。痛みの原因物質の産生を抑えることで強い抗炎症作用や、鎮痛(痛みを止める)作用を示すという訳です。 そのため、変形性股関節症でステロイドを使用すると、炎症を防いで、痛みを止めるなどの改善効果が期待できるのです。ただし、ステロイド薬は、副作用が起こる可能性もあります。 ステロイド薬の副作用とは ステロイド薬の副作用のひとつに、骨が脆くなるというものがあります。そのため、事前の骨の検査や年齢によっては、ステロイド治療をおこなうことができない場合もあります。 医師とよく相談して、納得したうえで使用しなければなりません。 ▼ 再生医療で「変形性股関節症」を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善できます 変形性股関節症にステロイド薬を使用するデメリットは? ステロイド薬が変形性股関節症の痛みに効果を発揮し、改善できるとしても使用することによるデメリットはないのか?ということが心配になりますよね。そこで、ステロイド薬を使用することによって考えられるデメリットについてご紹介しましょう。 1.長期間の使用は避けたい ステロイドの鎮痛効果は強力です!変形性股関節症の痛みでつらい人に痛みを止めるという意味では、高い鎮痛効果が期待できます。 しかし、長期間の使用はおすすめできません。それは、ステロイドには副作用があるためです。 2.ステロイド薬を使うと骨が脆くなる可能性がある 長期的なステロイドの注射は、「大腿骨骨頭壊死」というさらに困難な症状を招く可能性があります。 変形性股関節症の人の股関節はすでに軟骨のすり減りや骨の変形が進んでいるため、より負荷がかかりやすい状態にあります。 そして、長期間のステロイド薬の投与は骨の代謝やホルモンの産生に影響を与え、骨を脆くしてしまうことがあり、長期的にステロイドを使うことで、大腿骨の骨頭と呼ばれる部分が壊死する大腿骨骨頭壊死を招くのです。 3.ステロイド薬を使うと感染症になりやすくなる 頻度は決して高くないものの、ステロイドは免疫を抑制するため、長期間の関節内投与により化膿性関節炎になる可能性があります。もし関節炎になってしまった場合は、抗生物質の内服薬で治療をします。重症化してしまった場合は、関節内の洗浄をおこないます。 4.長い期間の使用で骨粗しょう症のリスクがある ステロイドは長期間の使用により、骨の代謝やホルモンの代謝にも影響を与え、骨粗しょう症を引き起こす場合があります。 5.ステロイド薬は、変形性股関節症を根本的に治すものではない ステロイド治療は、痛みの改善には効果が期待できますが、損傷した関節を修復する効果はありません。 そのため、痛みの緩和をさせながら様子見をすることはできても、軟骨のすり減りや骨の変形の進行自体を止めるなど、変形性股関節症の根本的な治療をすることはできません。 また、変形性股関節症は進行する病気です。つまり、変形性股関節症の人がステロイド治療をおこなったとしても、最終的には手術を行う必要が出てくる可能性があります。 ▼ 変形性股関節症は再生医療で治療する 再生医療により「変形性股関節症」は、手術せずに症状を改善することが可能です 変形性股関節症のステロイド薬での治療はどのように行うのか? 変形性股関節症の人のステロイド治療は内服薬と注射があり、内服薬で痛み対する効果が感じづらくなってきた場合に関節内にステロイドを直接注射します。 ステロイドの注射薬を、直接損傷した股関節に注射することにより、ステロイド薬の強力な抗炎症作用が効果を発揮し、痛みを改善することができます。 しかし、長期的な使用は副作用のリスクがありますし、徐々に変形性股関節症の症状が進行するとステロイド注射の薬効が薄れ、効き目が感じられなくなることもあります。このように薬効がなくなると外科的治療である手術を検討しなければなりません。 痛みの緩和ということでは再生医療という分野が発達してまいりました。PRP療法は自己の血液から抽出した成分で痛みのある部分に投入することで痛みを緩和させる効果を狙うことが可能です。更に幹細胞治療という方法なら、すり減ってしまった軟骨そのものを回復させる効果を期待することが可能です。 今後、治療の選択肢に入って来るでしょう。 まとめ・変形性股関節症の治療|ステロイド薬の必要性と副作用について 変形性股関節症の治療で使用されるステロイド薬についてご紹介しました。ステロイド薬には強い抗炎症作用と痛みに効果がある、鎮痛作用があって、内服薬や関節内に直接注入することで、痛みの止めたり、緩和することを期待することができます。 しかし、ステロイドには骨を脆くするなどの薬としての副作用があり、長期的なステロイド治療はおすすめできません。また根本的な変形性股関節症の治療に効果を発揮するわけでもありませんので、ステロイドの特性を知った上での服用が大切になります。 また、痛みに対して再生医療という方法でのアプローチも進化してきています。いずれにしましても専門医とご相談の上、無理のないより良い治療法を探し、痛みと向き合っていただくことをお勧めします。 ▼以下もご参考になさって下さい 変形性股関節症、杖の正しい使い方と選び方
2021.02.02 -
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変形性股関節症と臼蓋形成不全の関係性や治療法について医師が解説します 病気の中には、ある疾患が起こると、別の疾患の発症原因になることがあります。それらの多くは疾患同士が密接に関係しているためです。 その意味で股関節の病!「変形性股関節症」と「臼蓋形成不全」という病気も密接にかかわっています。 この関係性を知ることで、この病気の進行は大きなリスクがあること、それを知ることで予防や治療にも役立つため、以下を参考にしていただければと思います。 変形性股関節症と臼蓋形成不全という股関節の病気について治療方法や手術などを解説します。まずは、変形性股関節症と臼蓋形成不全が、それぞれどのような病気なのかについて解説し、その関係性と治療方法について記してまいります。 変形性股関節症とは? 「変形性股関節症」とは、股関節の軟骨がすり減ってしまうことで、骨盤の受け皿の部分(臼蓋)と大腿骨の先端部分(骨頭)が変形する病気です。 股関節の軟骨は、股関節のクッションのような役割を担っており、軟骨がすり減ることで骨盤と大腿骨の変形をもたらし、股関節の痛みや、機能障害などを引き起こします。重度の場合、両足の長さに違いが生じるケースもある病気です。 正常な状態であれば、骨盤軟骨がクッションの役割を果たすことで衝撃を和らげるのですが、加齢などを原因として骨盤の軟骨がすり減ってしまうと徐々に骨が変形を起こし、そこで炎症が起きてしまいます。 初期の段階では、歩き初めや起き上がりの際に少しの違和感を覚えたり、痛みを感じる程度です。 しかし、症状が進行すると徐々に痛みが明確になり、安静時や就寝時に痛みを生じるケースや、歩行などに差し支えるほどの痛みが生じ、日常生活に大きな悪影響を及ぼすようになってきます。 検査・診断・治療は、問診および股関節の可動域の確認に合わせて、MRI検査や、X線検査を用いた画像による診断を行います。 初期の段階であれば軟骨のすり減りによる股関節の隙間の異変に留まりますが、症状が進行するにつれて軟骨が薄くなって股関節の隙間がさらに狭くなり、さらに進行すると関節の周辺に空洞や棘のようなものが発生します。 臼蓋形成不全とは? 「臼蓋形成不全(臼蓋形成不全症)」とは、臼蓋が小さい状態のことです。 前述の通り臼蓋は骨盤における大腿骨の受け皿のことであり、大腿骨頭の大きさの80~90%程度であることが、良いバランスとされていますが、臼蓋形成不全ではそれよりも臼蓋が小さく、50%程度の大きさしかない症例もあります。 臼蓋形成不全であると診断された場合においても、若い患者さんは軟骨の厚みが保たれていることによって症状はほとんどありません。ただ原因が不明な場合が多く、有効な予防法も確立していないのが実情です。しかし、乳児期の臼蓋形成不全は成長に伴って自然に改善されることも多いです。 臼蓋形成不全と変形性股関節症の関係性 以下に変形性股関節症と臼蓋形成不全に、どのような関係があるのかについて解説します。 ※臼蓋形成不全は、変形性股関節症の発症リスクが高い※ 実は、臼蓋形成不全が、変形性股関節症の発症原因になる可能性があります。若いころに発症した臼蓋形成不全を気が付かづ、そのまま放置してしまった結果、変形性股関節症へと進行してしまうケースは珍しくありません。 一般的に変形性股関節症の主な発症原因は「加齢」とされており、中高年の女性に起こりやすい病気なのですが、臼蓋形成不全などで股関節が生まれつき傷みやすい人の場合、若年でも変形性股関節症を発症する可能性があります。 つまり、子どもの頃にかかった臼蓋形成不全の後遺症が原因となって変形性股関節症を発症する可能性があるということです。 臼蓋形成不全の治療法 そこで臼蓋形成不全の治療について、臼蓋形成不全は、成長に伴って自然に改善されるケースも多いですが、重度の場合は自然治癒することなく進行し、変形性股関節症などの股関節の病気に発展する可能性があります。 治療においては「ひも型装具」を装着するという方法がありますが、一部からは、この治療方法について「行う必要はない」という意見もあります。臼蓋形成不全の治療目的は、「変形性股関節症へ進行を防止すること」です。 臼蓋形成不全では、股関節が不安定になりやすいため、これを補うために軽度の臼蓋形成不全の場合は、股関節周囲の筋力トレーニングを保存療法として治療に取り組むこともあります。股関節周りの筋肉に股関節を支える力を与えるためです。 一方で、重度の臼蓋形成不全の場合は、変形性股関節症に進行するリスクが高まっているため、臼蓋を大きくするための手術を行うと判断される場合もあります。 変形性股関節症の治療法 変形性股関節症の治療法は、大きく分けて「保存療法」と「手術」の2つがあります。 保存療法は、初期の変形性股関節症の治療において選択されることの多い治療法であり、基本的な治療方針は変形性股関節症による痛みを薬物療法や物理療法によって軽減し、運動療法によって症状の進行を防ぐというものです。 保存療法の目的は「変形性股関節症が進行しにくいようにする」ことであり、「変形性股関節症を根本的に治す」というものではありません。そのため、保存療法で治療を継続していても変形性股関節症は徐々に進行し、次第に痛み止めなどが効きにくくなってしまいます。 手術は重度の変形性股関節症の治療法として選択されることが多く、人工股関節への置き換えや骨切り術などの手術法があります。 手術を受けると症状の根源が取り除かれるため、症状の改善効果は高いのですが、体への負担や副作用・後遺症などのリスクを考慮しなければなりません。 まとめ・変形性股関節症と臼蓋形成不全の関係性と治療法について 臼蓋形成不全は、変形性股関節症の原因になり得る病気です。つまり、この二つの病には嬉しくない密接な関係性があるということです。 臼蓋形成不全そのものは危険な病気ではないケースが多くても、「変形性股関節症へ進行するリスクがある」ことを考えると、放置することは危険、問題になる可能性があります。 股関節に「何かおかしい?違和感がある!」などといった感覚を覚えたら、早めに病院等、医療機関で専門医の診断を仰がれることをお勧めします。 何もなければ安心ですし、万一異常があっても早期なら、進行を遅らせることができたり、悪化してから治療を受けるより回復の目途がつけやすくなります。 また、変形性股関節症は重度の場合に手術を選択しますが、副作用のリスクや体への負担に対する考慮が必要です。上記と同様に早期発見、早期治療こそが股関節の病で非常に大切なことです。 以上、変形性股関節症と臼蓋形成不全の関係性、その治療について記しました。お役に立てれば幸いです。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼以下の記事もご覧いただけます 股関節の病気の種類と治療法・人工股関節を手術した場合のリハビリと注意事項
2021.01.18 -
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「股関節の手術が必要になりそう……」 「術後のリスクが正直心配……」などと悩んでいませんか。 とくに高齢者が股関節の手術をする際に実施される人工股関節置換術では、痛み以外にも多くのリスクがあるのも実情です。 そこで今回は高齢者が人工股関節置換術をする前に知っておきたいリスクを解説します。 手術以外の選択肢や治療期間、歩けるまでどれくらいかかるのかなども取り上げているので、ぜひ最後までご覧ください。 【基礎知識】高齢者の股関節手術でおこなわれる人工股関節置換術とは 高齢者がおこなう人工股関節置換術とは、加齢に伴ってすり減った股関節部分を切除し、人工関節に置き換える手術です。 人工股関節置換術は加齢による関節の劣化や痛みを軽減し、生活の質を向上させるための有効な手段です。 人工股関節置換術をおこなうのは主に高齢者になり、逆に50歳未満の場合は「骨切り術」を実施するケースが大半です。 たとえ80歳以上であっても、股関節の手術前に診断した結果次第では、年齢制限なく手術を受けられます。 人工股関節には20〜30年以上の耐久性能があるため、年齢によっては再手術の必要がありません。しかし、高齢者が人工股関節置換術をする際は、後述するリスクについてよくご確認ください。 高齢者が股関節の手術をする前に知っておきたいリスク 高齢者が人工股関節置換術をする際、リスクを把握せずにおこなってしまうと、日常生活に支障をきたす可能性があります。 手術後に発生する可能性のあるリスクは、主に以下の通りです。 術後に起こりうる合併症(後遺症)のリスク 年齢によるリスク リスクが発生する原因や具体的なリスク内容を順番に解説していきます。 術後に起こりうる合併症(後遺症)のリスク 高齢者が人工股関節置換術をおこなう場合、合併症のリスクが高くなることが懸念されます。 病気は年齢を重ねるごとに発症のリスクが高まります。高齢者はとくに基礎疾患を有しているケースもあるため注意が必要です。 糖尿病などの病歴がある人は、手術前に発症する可能性のある合併症について理解し、リスクを認識することが重要です。 合併症の種類 詳細 感染 ・多くの場合で発症する合併症 ・発症率は0.5〜3.0%とされ高齢者は10% ・手術中の細菌侵入が主な原因 ・糖尿病や関節リウマチの治療をしている人、ステロイド治療を受けている人は感染リスクが高い 血栓症・肺塞栓症 ・手術中、手術後に深部静脈血栓症 ・脚のむくみや痛みを引き起こす ・血栓が肺に移動すると肺塞栓症になり突然死のリスクが発生 ・発症率は0.2%以下だが要注意 脱臼・骨折 ・人工股関節置換術の術後、転倒や無理な姿勢で発生 ・骨折は術後の転倒で発生 ・高齢者、骨粗しょう症の女性はリスクが高い 人工関節のゆるみ ・骨と人工関節の接着面にゆるみが生じて痛みや歩行障害になる ・過度な体重増加、重たい荷物を持つ、激しいスポーツなどが主な原因 高齢者に限らず発症する人工股関節置換術のリスクについては、以下の記事もあわせてご覧ください。 年齢によるリスク 人工股関節置換術を含めた手術は、高齢になればなるほどリスクが大きくなります。 高齢者は、老化に伴って股関節を支える筋肉が衰え、次第に腰が曲がって姿勢が変わります。筋肉の衰えから、若い人よりもリハビリにかける時間が長くなってしまうのです。 寝たきりになってしまうリスクもあるため、家族のサポートも重要になります。何より、高齢者が手術する際、体や心肺機能への負担も忘れてはいけません。 人工股関節置換術が必要になる変形性股関節症では、全身麻酔で手術をするケースが大半です。 心肺機能の低下に伴って、手術を受けられない場合もあるため、事前に担当医と相談して治療法を決める必要があります。 手術の年代別リスクについてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 【高齢者向け】人工股関節における手術後のリハビリ内容 高齢者が人工股関節置換術をおこなった後は、手術の翌日からリハビリが始まります。 患者様の状態に応じてリハビリの強度が変わり、以下の段階で実施されます。 リハビリ段階 リハビリ内容 リハビリの目的 初期段階 ・ベッド上での軽い運動 ・関節のストレッチ ・筋力維持エクササイズ ・体を動かすのに慣れる ・関節の可動域を広げる ・筋力を維持する 中期段階 ・歩行訓練(歩行器や杖を使用) ・正しい姿勢で歩く練習 ・歩行距離を増やす ・バランス感覚と筋力の向上 後期段階 ・有酸素運動 ・心肺機能の強化 ・日常生活への復帰 ・心肺機能の向上 上記のように、段階に応じてリハビリ内容が異なるため、焦らずリハビリをしていきましょう。 高齢者が股関節の治療をする際の手術以外の選択肢 手術に頼らず、股関節の症状を改善するための選択肢もいくつか存在します。 保存療法 再生医療 これらの治療法は、症状や患者様の状態に応じて選ばれます。それぞれ詳しく解説します。 保存療法 高齢者が股関節の治療において「手術はしたくない」と考える場合、まず保存療法が選択肢として挙げられます。 保存療法は、股関節の痛みや機能障害を軽減させる手術以外の治療法です。 保存療法には主に、以下の種類があります。 保存療法の種類 治療の目的 詳細 薬物療法 痛みの緩和 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛剤を使用 理学療法 筋力維持と柔軟性向上 理学療法士による運動プログラムで関節の可動域を広げ、筋肉を強化 上記の治療法が保存療法ですが、あくまで「症状の進行を遅らせる」のが主な目的です。 再生医療 従来であれば、高齢者が股関節の治療をする際、保存療法で改善されなかった場合は手術するしかありませんでした。 しかし昨今では、手術をしない治療法である「再生医療」が注目を集めています。 再生医療とは、これまで再生不可能だと思われてきた軟骨に対して、自分の幹細胞を使って再生できるようになった治療法です。 体への負担が少なく、自らの脂肪を米粒3粒程度採取して、その脂肪から幹細胞を抽出、培養します。 人工関節置換術のような手術や、長期の入院、長期のリハビリも不要なだけでなく、日帰りで済む治療法です。 変形性股関節症に関する再生医療について詳しくは、下記のリンク先をご覧ください。 股関節の手術で起こりうるリスクで不安な方は気軽にご相談ください 高齢者が発症するケースの多い変形性股関節症のような病気は、年齢を問わず初期であれば保存療法が有効です。 ただし、症状自体を止めるのは不可能です。症状が進行すると、人工股関節置換術を検討しなくてはなりません。 また、人工股関節置換術のような手術は、合併症につながるリスクがあります。手術は多くの場合、傷口からの感染症が伴うため、手術をしない再生医療が注目を集めています。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けています。 再生医療について詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 高齢者が股関節の手術をする上でよくある質問 手術後は何に注意すれば良いの? 手術後の注意点は、回復をスムーズに進めるために「安静」が求められます。 具体的には、無理な動作や過度な負荷を避け、少しずつ日常生活に戻るようにします。 とくに、階段の昇降や長時間の立ち仕事は、最初は避けるのがおすすめです。 また、転倒のリスクを減らすために、家の中の環境を整える必要もあります。滑りやすい床や障害物を取り除き、手すりを設置するなど、安全対策を講じましょう。 さらに、手術後は免疫力が低下している可能性があるため、傷口の管理に注意し、衛生状態を保つ必要があります。 何か異常を感じた場合は速やかに医療機関に相談しましょう。 以下の記事では、より詳細に注意すべきポイントをまとめているので、ぜひ参考にしてください。 治療の期間はどれくらい? 人工股関節置換術の治療期間は、患者様の健康状態によって異なりますが、術後6〜12カ月程度です。 治療をスムーズに済ませるためにも、まずは入院前の準備として禁煙や体重管理などの徹底が必要です。 まず手術をする前には、人工股関節置換術を受ける医療機関ごとに設けられた検査項目に基づき、検査入院の有無を決めていきます。 手術を含めた入院期間中は多くの場合で、理学療法(リハビリ)も実施するので、リハビリ内容を聞いておくのも良いでしょう。 杖を使った歩行訓練や階段の上り下りなど、日常生活をイメージした訓練をおこない、2〜3週間程度で退院になります。 退院後は定期的な医師の診察も必要で、術後1カ月、3カ月、半年、1年といったタイミングでのフォローアップが推奨されています。 高齢者の場合はとくに、回復には個人差が大きいため、医師と相談しながら、無理のないペースで治療を進めていきましょう。 手術をした後は歩けるの? 人工股関節置換術を受けた後、多くの高齢者が最も気にするのは、再び歩けるようになるかどうかです。一般的には、手術後しばらくのリハビリ期間を経て、多くの患者が歩行能力を回復します。 手術直後は、痛みや腫れがあるため、杖のような歩行補助具の使用がおすすめです。 リハビリの初期段階では、理学療法士が患者様の状態に合わせたプログラムを組み、筋力や柔軟性の回復を目指します。 先述で解説したように、まずはベッド上での軽い運動から始まり、徐々に歩行訓練を開始します。 しかし、回復の速度は個人差があり、体力や健康状態、術後のケアの質に依存するため、焦らず歩けるよう訓練していきましょう。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けているので、気軽にご連絡ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 高齢者が人工股関節で歩けるようになるまでにどれくらいかかる? 高齢者が人工股関節置換術を受けた後、歩行が可能になるまでの期間は手術をしてから1週間程度です。 当然、個人の健康状態やリハビリの進捗によって異なりますが、1週間後には杖を使った歩行訓練が始まります。 手術後、最初の1〜2日間は安静が必要ですが、多くの患者様の手術が終わった2週間後には、杖を使いながら安定的に歩行が可能です。 杖を使って安定した歩行ができれば無事、退院できます。 ただし、股関節の痛みが入院中に完全回復しないケースもあるため「数カ月は軽度な痛みが残る」と捉えておきましょう。 何より、合併症のリスクも見逃せないポイントなので、定期検診では我慢せずに症状を伝えるのがおすすめです。
2021.01.13 -
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- 変形性股関節症
変形性股関節症|人工関節の手術のリスクを説明します 変形性股関節症と診断された場合、「薬物療法」や「運動療法(リハビリ)」といった「保存治療」以外に、「手術療法」という選択肢があります。 しかし、変形性股関節症での手術療法は、股関節を人工関節に置換える文字通り「人工股関節置換術」といい、手術としても大掛かりな部類になります。 医療機関で、人工関節を勧められた場合、以下のようなお悩みや、心配をされるのではないでしょうか?! 人工関節にする手術を勧められた場合の心配やお悩み 今ある自分の関節を人工物に取り換える違和感や恐れ 摩耗や緩みで数年後に再手術が必要な場合があること 人工関節にすることで変えなばならない生活スタイル 一度、人工関節にすると引き返せないこと 合併症の不安、万一細菌が入ると怖い再手術(3~10%) 長い手術時間や全身麻酔、輸血の心配 接続する脆くなった骨への影響 など、知れば知るほど不安に思われるのも当たり前だと思います。 そこで今回は、「変形性股関節症の人工関節手術(人工関節置換術)」について、以下のような疑問やお悩みにお答えできればと思います 「どのようなリスクがあるのか?」 「高齢者の場合のリスク?」 「術後に何を、どのように気を付けるべきなのか?」 「それ(手術)以外に方法は無いのか」 変形性股関節症の人工関節手術のリスクについて 変形性股関節症に関わらず手術は、手術であるかぎり、他の病気や、けがの手術と同じように必ずリスクは伴います。逆にリスクが一切ない手術は存在しません。 そのため、「変形性股関節症の手術に限ってリスクはない」ということは言えません。しかも手術を受ける人によってリスクは様々、「高い、或いは低い」「大または小」があります。 そのため、手術を行うためには前もって多くの検査が必要となります。 その結果、リスクが大きいと判断されれば、手術自体を受けることはできません。つまり、手術による治療は、手術をしないよりもリスクがあるともいえるのです。 高齢者の変形性股関節症の人工関節手術のリスク 高齢者の方が変形性股関節症の人工関節手術を行う場合は、リスクが高くなる可能性があります。医療機関での治療過程で「あとは手術しかない」と言われたとしても、医師に納得いくまで説明を受けて、よく検討する必要があります。 「こんなはずでは無かった」とならないように注意しましょう。 高齢者の場合、股関節はもちろんのこと、骨そのものが脆くなっていることがあり、骨ではないチタン合金、クロム合金などといった人工的に作った股関節を今ある自分の股関節に置き換えるため、体内の骨と接合する必要があります。 接合には、骨ではない合金などといった異物を取り付けるために、「セメント(骨セメント)」や、「セメントレス」といった2つの接合方法があり、患者の骨の状態を見て判断されます。 素材や技術は日々、進歩を続けていますが、どうしても一長一短があります。 人工関節、身体(骨)との接合、固定方法上のリスク セメント:当初は非常に強固だが経年で緩む危険性がある。 セメントレス:緩みにくい反面、安心できる(固定が定まる)まで6か月ほど必要。 しかし、いずれの手術であっても、成功しても、セメントはもちろん、セメントレスであったとしても時間とともに緩む可能性は0ではありません。将来に再手術というリスクという可能性を考えておくべきです。 また、特に女性の場合、事前の検査で骨粗鬆症の罹患率が高く、骨密度が低ければ、人工関節は丈夫でも周囲の骨に対して骨折というリスクがあることを注意しなければなりません。 手術の合併症、手術で感染症が重篤化するリスク 人工関節の可否、骨だけの問題ではなく、身体の免疫機能そのものが低下している場合、変形性股関節症の手術が無事終わったあとでも、その後に感染症を引き起こせば重篤になる可能性があります。 一度感染症を引き起こしてしまうと傷の治りが悪くなるため、結果として再手術が必要となり人工股関節を取り替えなければならないような事態になる恐れもあります。 感染症をおこしてしまう確率を0%にすることはできず大変危険なので、免疫機能についても十分に検査をして、変形性股関節症の手術に適応するかどうかを検討しなければなりません。 それ以外にも全身麻酔のリスク、輸血のリスクなど検討しなければならないことは数多くあります。 これらは、けして大げさに申し上げているのではなく、実際に人工関節手術を受ける前に説明を受ける内容です。 保存療法では人工関節を避けることはできない 保存療法とは、内服薬や外用薬などの薬物を利用する薬物療法や、ウォーキングなどの軽い運動を行い股関節周囲や足の筋力を高めるリハビリテーション、運動療法があるのですが、これら地道な努力を行なっているにもかかわらず痛みが緩和されずに効果を感じられないという人もいます。 また、初期のころは多少でも効果を感じることができたけど、徐々に効果が低くなるという場合もあります。 このように保存療法は、コツコツできる範囲で行っていても効果が感じられず、常に痛みがあり、日常生活に支障をきたすようであれば、手術を受けたほうが良いと判断される場合もあり、保存療法等リハビリを行っているからと人工関節の手術を避けられるものではありません。 人工関節、術後のリスク 変形性股関節症の手術を受けて、めでたく成功した場合でも注意は必要です。 実は、術後の日常生活にこそリスクが潜んでいます。 そこで手術後にどのような生活を心がければ良いのかを事前に知っておきましょう。そうすることで手術を受けた後も、危険を回避しながら安全に過ごすことができます。 日常的に自分の姿勢や動作に注意しなければなりません 変形性股関節症の手術を終えた直後、リハビリをすることで体の調子が徐々に戻ってきます。上手くいけば痛みも改善し、無理をしなければ日常生活を送ることができるようになるでしょう。 しかし、常に気を付けなければいけないことがあります。それは、股関節への配慮です。 ご注意いただきたいのは、股関節を無理に内側にひねるような姿勢は、脱臼を起こしてしまう恐れがあります。また、あぐらや正座、しゃがむ動作などの姿勢は、変形性股関節症の手術の後におこなうと非常に危険です。 つまり、和風の床に直接座るような生活スタイルから、椅子やベットで過ごせる洋風の生活へ意識してチェンジしていく必要があります。この辺りも家族の理解を得ながら進めていきましょう。 もしもの場合、再手術になることもあるので、このあたりは十分に注意しなければなりません。 手術後の細菌による感染に注意(皮膚炎や歯周病も) 変形性股関節症の手術の後に起こるリスクは脱臼などだけではありません。感染症にも十分注意が必要です。 感染は、手術した部位だけの問題ではありません。手術後の感染を防ぐためには「水虫」や、「皮膚炎」などにも注意すべきです。足まわりを清潔に保っておくことが大切です。 また虫歯、歯槽膿漏などの症状によって細菌が入り、感染が起こす可能性もあるため、常に口腔内を清潔にしておくことも重要です。必要であれば手術の前に歯科、口腔外科などに通い、オーラルケアをしておけば更に安心です。 変形性股関節症|人工関節を選択する場合に知っておきたいこと 変形性股関節症の手術は、手術中だけでなく手術後の生活にもリスクが伴います。なるべく危険を避けて手術を受けるようにしましょう。 事前に手術内容を理解しておく(納得する) 変形性股関節症の手術で、自身の股関節を人工の股関節に置き換える手術を行う場合、手術中、術後の感染リスクや、人工股関節が入ることによるリスク。どのような生活が待っているのかなどを十分に説明を受け、理解しておくことが必要です。 事前に手術内容を把握しておくことで、手術をしたその日から危険を回避できるような対策をとれるようにもなります。また、知識を持っていれば手術を受ける前に股関節に負担のかからない生活環境を整えるなどの対応を取ることも可能になります。 いずれにしても変形性股関節症の手術を行うことが自分にとって本当に最善なのか検討し、危険が多いと感じるようであれば、まずは薬物療法や、運動療法で痛みを改善することを優先したほうが良いかもしれません。 これら主治医ともよく話し合って、納得して手術を受けるようにしてくださいね。今の時代、他の医療機関でセカンドオピニオン受けるという手もあります。手術は最終手段です。 信頼できる医療機関を選択する(自身で納得できること) 自分はもとより、家族の同意を得て変形性股関節症の手術を決断したなら、多くの症例を持ち、信頼できる先生がいたり、設備が整った病院である等の基準も大切です。普段から通いなれて気心が知れた医療機関という手段もあります。 選び方としては今やネット社会です。情報は検索することで過剰なほど得られます。 変形性股関節症の手術を行っている医療機関は全国に多くありますがインターネットや、口コミを参考にしながら事前に情報収集しましょう。 手術に関して家族や信頼できる友人などの意見を聞ければ聞き、ご自分でメリットはもちろんですが、リスクもしっかりと理解し、納得した上で手術を受けましょう。後戻りはできないので注意してください。 手術後リハビリをしっかりと行う 変形性股関節症の手術が成功したあと大切なのはリハビリです。 急がず、コツコツ気長に継続して人工股関節を体に慣らしていくことが大切です。手術後の危険のリスクを少なくするためにも前向きに取り組んで回復を目指しましょう。 歩行が問題なくできるようになっても無理は禁物。転倒などの危険性もあります。自信がつくまでは杖を使うなど危険を回避する方法を取り入れることも大切です。 変形性股関節症|人工関節以外の選択肢「再生医療」という先端医療 変形性股関節症の手術は、症例を有した信頼のできる医療機関であれば、基本的に安全に受けることができるます。 しかし、手術である以上、危険が全くないというわけではないため、手術後の生活に不安を感じている人や年齢の問題、骨密度や再手術の可能性、感染のリスク、何より人工のもので置き換える違和感に恐怖を感じておられる方にご紹介したいのが近年注目されている先端治療である「再生医療」という手段です。 手術を決断する前に自分に可能性がないか調べてみてはいかがでしょうか。上手くいけば手術というリスクを回避して改善を目指すことができるかもしれません。 再生医療は、患者自身の細胞を利用するため、拒絶反応やアレルギーなどの副作用が少なく、安全性に優れた治療方法です。また、人工股関節を入れるというような大掛かりな手術ではないので、感染のリスクが少ないのも魅力です。 変形性股関節症で、従来の治療方法ではあまり痛みの改善効果が期待できなかった人や、手術の危険要素がどうしても不安であるという人にとって、再生医療は選択肢の一つになるでしょう。 > 股関節の再生医療について詳細 https://youtu.be/BIzpa2SVAt4?si=D4MITF9M-bqvJbKo まとめ・変形性股関節症|人工関節手術のリスクについて 今回は、変形性股関節症の手術における「リスク」について紹介しました。これは脅しなどではなく、危険性やリスクを知識として知っておき、理解しておくことが自らを守ることに繋がると判断したためです。 医療機関で納得のいく説明を受けるためにも手術の実際とリスクを知っておき、疑問点は臆すること質問できるようになって欲しいと思います。 手術を検討する場合は、手術そのものだけでなく、手術後の生活についても事前にしっかりと理解し、信頼できる医療機関を選ぶこと、自分自身はもちろんのこと、家族も納得してもらった上で手術を受けることが大切です。 また、最後にご紹介した再生医療は、手術を避けることができる危険の少ない最先端の医療として注目を集めています。変形性股関節症の治療においても効果を期待することできます。 いずれにしましても、手術はもちろん、治療にあたってはしっかりとした実績を持った専門医や医療機関にご相談になってください。以上、変形性股関節症の人工関節手術のリスクと術後の注意点について記させて頂きました。 人工関節の話が出たり、人工関節置換術の説明を受けたり、変形性股関節症でお悩みの場合、参考にしていただければ幸いです。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、最新の再生医療なら手術せずに症状の改善を目指せます(詳細) ▼以下もご覧ください 変形性股関節症の保存療法|治療効果を上げるための注意
2021.01.06