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- 変形性股関節症
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変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減って、痛みや動きの制限が起こる進行性の関節疾患です。 初期には歩き始めや立ち上がりの際に違和感を覚える程度ですが、進行すると階段の昇降や長時間の歩行が困難になるケースもあるため注意しなければなりません。 とはいえ、早期に発見して適切な治療や生活改善を行えば、症状の悪化を抑えながら日常生活の質を保つことも可能です。 本記事では、変形性股関節症の原因や症状、治療法、セルフチェック方法を詳しく解説します。 股関節の痛みや違和感が気になっている、もしくは予防したい方は、ぜひ最後までご覧ください。 なお、当院「リペアセルクリニック」では、公式LINEにて再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。ぜひ公式LINEにご登録いただき、股関節の危険度診断や症例をチェックしてみてください。 変形性股関節症とは|どんな痛みなのか 変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減ることで炎症が起こり、関節の動きが悪くなる疾患です。 加齢や関節の使い過ぎなどによる「一次性変形性股関節症」と、生まれつき股関節を構成するカップ状のくぼみ「寛骨臼(かんこつきゅう)」の受け皿が浅いことが原因の「二次性変形性股関節症」があります。(文献1) 初期には立ち上がりや歩き始めに股関節が痛み、休むと改善しますが、進行すると安静時にも痛みを感じるようになるのが特徴です。 とくに、階段の昇り降りや長時間の歩行が困難になりやすく、ひきずり足歩行になるなど日常生活に支障をきたすケースも少なくありません。 また、股関節の可動域が狭くなり、「靴下を履く」「足の爪を切る」といった動作も困難になります。 痛みの感じ方は個人差がありますが、鈍く重い痛みや刺すような痛みが見られるのが一般的です。 変形性股関節症の原因 変形性股関節症の発症には、以下のような原因が考えられます。 加齢で軟骨がすり減る 体重増加で股関節に負担がかかっている 遺伝が要因で発症する なかでも、加齢に伴う関節軟骨のすり減りは、発症の大きな要因のひとつです。 股関節は体重を支える重要な関節であり、長年酷使されて軟骨が摩耗し、関節の滑らかな動きが失われていきます。 さらに、体重の増加による股関節への負担増大や、関節への圧力が増すことで軟骨の損傷が進行するのです。 とくに、肥満傾向のある方は、発症リスクが高まる傾向があります。 日常生活での姿勢や歩き方も、股関節への負担を左右する要素です。 生まれつき股関節が脱臼しているなど、遺伝的な要因によって変形性股関節症を発症するケースも見逃せません。 家族に同様の疾患がある場合は、とくに注意が必要です。 そのほか、股関節や膝に負担が大きな過重労働をしていたり、日常的に激しいスポーツをしていたりすると、変形性股関節症の発症要因になります。 変形性股関節症の原因と治し方については、以下の記事でも詳しく紹介しています。 変形性股関節症の主な症状 変形性股関節症では、初期の段階から股関節に違和感や痛みが生じるのが特徴です。 関節軟骨がすり減って関節の滑らかな動きが損なわれると、立ち上がりや歩き始めなどの動作時に脚の付け根が痛むようになります。 痛みは休息で一時的に軽減する場合がありますが、病気が進行するにつれて、関節の可動域が徐々に狭くなっていきます。 その結果、「靴下を履く」「足の爪を切る」「正座する」といった日常的な動作が困難になり、階段の昇り降りや長時間の歩行がつらくなるケースも少なくありません。 進行すると、安静にしているときにも痛みを感じるようになります。 さらに、夜に寝ているときに感じる「夜間痛」が現れ、睡眠に影響を及ぼす点も懸念材料です。 股関節の機能低下によって、体全体のバランスがくずれて体をかばうような歩き方になるため、「跛行(はこう)」と呼ばれる肩を前に出しながら足を引きずる歩行が見られるようになります。 上記のように、変形性股関節症を一度発症すると進行して日常生活に大きな支障をきたすようになるため、早期の発見と対応が欠かせません。 以下の記事でも変形性股関節症の症状について詳しく解説しているので、参考にしてみてください。 変形性股関節症の治し方 変形性股関節症の治療は、症状に応じて以下の対処法が検討されます。 保存療法 手術療法 リハビリ 初期段階では、手術せずに進行を抑える保存療法が基本です。 症状が強く、日常生活に支障が出てきた場合には手術療法が検討されます。 また、いずれの治療においても、股関節周囲の機能回復や動作改善を図るリハビリが欠かせません。 では、それぞれの治療法について詳しく解説していきましょう。 手術せず治療するなら「保存療法」 変形性股関節症の初期から中期では、関節の状態を保ちつつ痛みを軽減するべく保存療法が用いられます。主な方法は以下の3つです。 方法 内容 薬物療法 消炎鎮痛薬(NSAIDs)で痛みや炎症を抑える 運動療法(ストレッチ) 関節に負担をかけずに可動域と筋力を維持 生活習慣の見直し 体重管理、正しい姿勢、関節に優しい動作を心がける 保存療法では、痛みを抑えながら関節機能を維持し、進行を遅らせる薬物療法が基本です。 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や湿布薬、必要に応じて関節内ステロイド注射などが用いられます。 運動療法では、水中歩行やストレッチなど股関節に負担の少ない運動がおすすめです。 生活習慣の見直しは、股関節にかかる負荷を減らす重要な取り組みとなります。 とくに、体重管理は予後に大きく影響するため、日頃から注意しなければなりません。 上記の保存療法の組み合わせにより、長期的に関節を守りながら快適な日常生活を目指せます。 以下の記事では、変形性股関節症に効くストレッチや生活習慣、治療法を検討する際のポイントを紹介していますので、参考にしてみてください。 日常生活に支障が出る重症なら「手術療法」 保存療法で症状が改善しない、もしくは日常生活に支障をきたすほど症状が進行している場合には、手術療法が検討されます。 代表的な手術には、「骨切り術」と「人工股関節置換術」の2種類があります。(文献2) 骨切り術は関節を温存できるため、自分自身の骨を活かせるのが大きなメリットです。 ただし、リハビリに時間がかかる傾向があります。 人工股関節置換術は、傷んだ股関節を人工関節に置き換えて痛みを大幅に軽減させる手術方法です。 比較的リハビリ期間が短く、社会復帰を目指しやすい治療法とされています。 どちらかを選択する際は、股関節の状態や患者の年齢・職業、生活環境などさまざまな点を考慮しながら、医師と相談しましょう。 人工関節手術のリスクについては、以下の記事でも詳しく解説しています。 手術後の「リハビリ」も大切 手術療法を受けたあとは、リハビリが重要です。 リハビリは、関節の可動域を回復し、筋力を強化して再発を防ぐ目的で行われます。 術後数日以内から歩行訓練や関節の動きを促す運動を開始し、日常生活に必要な動作を徐々に回復させていく方法が一般的です。 太ももやお尻、腹筋など股関節周辺の筋力強化も、股関節の負担軽減には欠かせません。 術後の状態に適した、無理のない筋力トレーニングや体操も取り入れていきましょう。 適切なリハビリの継続は再手術のリスクを減らし、長期的な機能維持につなげるために大切です。 変形性股関節症の治し方については、以下の記事でも詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。 人工関節手術を避けたい方の選択肢「再生医療」 変形性股関節症の治療では人工股関節置換術が選択される場合がありますが、手術への不安や身体への負担を理由に避けたいと考える方も少なくありません。 手術をしない新たな選択肢として注目されているのが再生医療です。 治療法の一つ「幹細胞治療」では、患者様から採取した幹細胞を培養して股関節に注入します。 幹細胞の「分化能(さまざまな細胞に変化する性質)」を活かした治療法です。幹細胞は米粒2~3粒程度の脂肪から採取できるため、体の負担は大きくありません。 治療の選択肢を広げたい、もしくは人工関節を入れるような大がかりな手術を避けたい場合は、再生医療も治療の選択肢としてご検討ください。 当院「リペアセルクリニック」では、変形性股関節症に対する再生医療の症例を紹介しています。再生医療について知りたい方は、ぜひご覧ください。 変形性股関節症でやってはいけないこと 変形性股関節症では、股関節に負担をかける動作を避けなければなりません。 以下の点に注意するように心がけましょう。 長時間立ち続けない 重い荷物を持ち運ばない 膝を深く曲げない 正座やあぐらを組まない 長時間立ち続けると関節に大きな圧力をかけ、軟骨の摩耗を促進するので控える必要があります。 同様に、重い荷物の持ち運びも股関節への負担が増し、炎症や痛みを悪化させる原因になるため注意しましょう。 また、買い物や移動の際はできるだけ荷物を分けて持つ習慣を心がけるほか、キャリーカートの使用もおすすめです。 さらに、膝を深く曲げる動作は股関節の可動域を超えて負荷を与えやすく、関節内の圧力が急激に上がるため避けましょう。 とくに、正座やあぐらの姿勢は、股関節を大きく開いたり曲げたりするため、軟骨や周囲組織へのストレスが強くなります。 関節変形を進行させる可能性があるため、なるべく椅子に腰かけるようにしてください。 日常生活の中で上記のような動作を意識的に避ければ、痛みを抑えながら関節の状態をより良く保つことにつながります。 変形性股関節症でやってはいけないことについては、以下の記事でも詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。 変形性股関節症の症状セルフチェック方法 変形性股関節症を早期発見するためには、次のような症状や状態がないかセルフチェックしてみましょう。 運動したあと、太ももの付け根が痛い 寝ているときに、股関節が痛い 階段を上りづらい 車を乗り降りで太ももの付け根が痛い 歩く際に体が左右に揺れている 歩きはじめに、太ももの付け根が痛い 寝返りをうつと、太ももの付け根が痛い ズボンやスカートの丈に左右差がある あぐらをかくのがつらい 靴下が履きづらい 正座しにくい 足の爪が切りにくい 日常生活で感じる違和感や痛みの有無をまずチェックし、気になる症状がある場合は、専門医の診察を受けましょう。 変形性股関節症の進行スピードは原因や体重、生活環境などによって異なりますが、一度進行がはじまると一気に軟骨が減っていく恐れがあります。 悪化させないためには、少しでも早く発見することが大切です。 まとめ|早期に治療をはじめて症状をコントロールしよう 変形性股関節症は、初期の段階で適切に対処すれば進行を遅らせ、日常生活への影響を最小限に抑える効果が期待できます。 痛みや動きの制限、歩行時の違和感など小さなサインも見逃さず、早めに整形外科を受診することが重要です。 また、正しい姿勢や動作の工夫、体重管理も大切です。 早期治療と日々のセルフケアで、長く快適に動ける体を守っていきましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、PRP療法や幹細胞治療などの再生医療による治療を行っています。 公式LINEでは、再生医療に関する情報や簡易オンライン診断をご利用いただけます。 ぜひ登録してお試しください。 参考文献 (文献1) 手術・治療|あいちスポーツ・人工関節クリニック (文献2) 変形性股関節症|済生会
2025.08.31 -
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変形性股関節症の人工関節|手術で年代別に考慮すべき問題やリスク 変形性股関節症に悩まされ、運動療法や薬物治療に取り組むも改善が見られず、症状が進行した場合、人工関節への置換治療を薦められることがあります。 しかし、その選択に関して「年齢」という側面があることを忘れてはなりません。変形性股関節症の最終的な選択肢である手術は今ある関節を「人工関節」と取り換える大掛かりなものになります。 人工関節そのものに抵抗がある、手術を避けたい、入院期間が気になる、痛みが心配など、体や心、生活などの多様な心配事が浮かんで来られるのではないでしょうか。 この中にもありますが、手術について年齢的な問題を特に心配にされる方がおられます。 実際のところ「何歳まで受けることができるのか?」「リスクは・・・」「何歳位の人が多いのか?」「早すぎる、また遅すぎる・・・」など、といった不安や疑問を感じられるのではないでしょうか。 そこで今回は、変形性股関節症の人工関節の手術を受ける際の心配事の内「年齢について」解説致します。 人工関節について患者様の不安(リスク) 人工関節そのものが心配 異物を入れる不安感 手術は避けたい 入院期間が気になる 痛みが心配 リハビリが心配 生活や仕事の心配 年齢的な心配 > 股関節の悩みを最先端の幹細胞治療で治療する 変形性股関節症での人工関節手術|その特徴と年代について 変形性股関節症の発症年齢は、40代以上が多い傾向があります。 手術は、関節の痛みを感じて保存療法等リハビリを行っても症状が進行し、薬物療法等でも痛みが緩和できなくなり、生活に支障をきたす状況になると選択肢として検討されることになります。 変形性股関節症の場合、手術は人工関節の置換術となることが多く、注意したいのが人工関節は、文字通り「人工物」ということです。つまり、物である以上、耐用年数が存在するということです。 考えるまでもなく、股関節には日常生活において大きな力が掛かっていることはご理解いただけるはずです。そのため年数による経年劣化は避けることができないという特徴があります。 ここが大切なところで、年齢的に早くに手術をすると人工関節が緩んだり、そのもの耐用年数が来て機能を果たさなくなってくることがあります。そうなると再手術という可能性があります。 そのため、変形性股関節症の手術を受ける年齢は、60代と70代が圧倒的に多いのです。ただ、変形性股関節症は、40代以下の若い人でも患う可能性があるため、比較的若い年齢でも手術を検討せざるを得ないことがあります。。 30代から40代の年齢で変形性股関節症を発症し、保存療法を続けていたけれど、痛みが強くなってきたため、50代で手術を受けることになるという人もいますし、もっと若い年齢で発症する人もいます。 ただ、近年の人工関節は技術の進歩で耐用年数が長くなってきたことは事実です。そのため、若年層であっても、再手術のリスクがあることを知った上でも、痛みのない普通の生活を取り戻したいとの想いから手術を受ける方もおられます。 若い年代(40~50歳代)で変形性股関節症の手術を選ぶ場合の問題点 変形性股関節症には、高齢者が悩まされるイメージがありますが、40代から50代という比較的若い年齢でも、その痛みに悩んでいる人はいますし、実際に手術を受けている人もいます。 人口関節には寿命があります。そのため、若いうちに人工関節を選択すると将来、再手術が必要になる場合が多く、手術を避ける傾向があります。 ただ、40代、50代という若く、再手術のリスクがある年齢でありながら、変形性股関節症の手術を選択する場合は、長く苦しむよりも、痛みのないスムーズな生活(QOL※の確保)を送ることを優先したいという想いに尽きますが、それ以外にも以下の1~3のような理由が見られます。 ※QOLとは クオリティ・オブ・ライフ(Quality of Life)の略です。 患者さんの肉体、精神、経済、社会といった各面での生活の質にこだわり、豊かな人生を確保するための概念です。 1.体を動かす仕事に就いている 40代~50代といった年齢であれば、まだまだ現役で仕事をする世代です。特に営業の外回りなどをしている、立ち仕事をしている、というような人は、変形性股関節症になると、思うように仕事ができなくなってしまう恐れがあります。 しかし、40代や50代という若い年齢であれば、変形性股関節症になってしまっても手術後にリハビリを行うことで、早い回復が見込めます。 そのため、職場復帰などを考慮するのであれば、なるべく早く変形性股関節症の手術を受けたほうが良い場合もあります。 2.50代・60代以降|スポーツを続けたい 仕事や趣味でスポーツをしている40代の人で、50代、60代になってもスポーツを続けたいと思われるかたは多くいます。そんな場合は、変形性股関節症の手術を早めに検討することがあります。 変形性股関節症は進行する病気、保存療法をおこなっても治癒は困難 変形性股関節症の治療は、「進行を抑えること」と、「痛みを抑える」ことを目的としたものになります。つまり、頑張っても症状は進行するし、痛みも伴うことになります。 そのため、再手術のリスクを抱えていたとしても、手術を受ける年齢が早いほど、術後のリハビリからの回復も早くなり、40代のうちに手術を受けておけば、それ以降、50代、60代でも元気にスポーツができる可能性が高まります。 このようなことから、あまり痛みが出ていない若い年齢であっても変形性股関節症の手術を受ける人がいるのです。ただ人工関節は万能ではありません。手術自体にもリスクがあります。 3.若くても既に変形性股関節症の痛みが出て日常生活に支障がある 変形性股関節症は、あぐらやしゃがみ込むなど、股関節に負担のかかる動作や姿勢を控えるようにして運動療法や薬物療法といった保存療法を続けていれば、ある程度痛みを抑えて日常生活を過ごすことは可能です。 しかし、既に日常生活で痛みが出てしまっている40代の人の場合は、早めに変形性股関節症の手術をおこなったほうが良い場合もあります。 早く手術を受ければ、リハビリの効果も発揮されやすくなりますし、人工関節を入れた場合は、人工関節の扱いに早く慣れることもできます。 そのため、変形性股関節症の痛みがすでに強いという場合は、保存療法で時間稼ぎをするのではなく、40代など若い年齢で手術をおこなうことがあります。 変形性股関節症の手術を控えたほうが良い年齢 変形性股関節症の手術を受けることが多い年齢の平均は60代~70代です。それ以上の年齢になってくると手術を控えたほうが良いケースもあります。 80代以上の高齢者は手術を控えたほうが良い 絶対ということではありませんが80代や90代の高齢者は、一般的に変形性股関節症の手術を控えたほうが良いと言われます。 その理由としては、80代以上の高齢者の場合、身体や筋力の衰えなどのため、手術後のリハビリは、若い人以上に根気よく続ける必要があること、また、本人にも、「リハビリを頑張りたい」という強い意志が求められるためです。 また、家族の十分なサポートがない場合、寝たきりになってしまう可能性もあります。変形性股関節症の手術後のリハビリは、家族のサポートも必要とされます。 80代以上の年齢になると手術は、体力や心肺機能に懸念 80代や90代以上の変形性股関節症の手術は、体力や心肺機能の面でリスクが高いという理由もあり、手術を控えたほうが良い場合もあります。 たとえ本人や家族が手術を希望していたとしても、持病や年齢によって既に心肺機能が低下している場合は、手術が受けられないことも少なくありません。 変形性股関節症の手術は一般的に全身麻酔による手術であるため、心肺機能が低下した状態で手術を受けるというのは、非常に大きな危険が伴うからです。 90代で手術を受けた症例もあるが・・・リスクが大きい 年齢について逆に高齢の場合はどうでしょうか?最高齢だと、90代で変形性股関節症の手術を受けたという症例があります。つまり、人工関節の手術自体は高齢が理由で妨げられないことになります。 ただし、一点。術後はある程度、高度なリハビリが必要となるため、手術のあとにリハビリを受けられるだけの体力がある人に限られます。 逆にリハビリができない場合は、寝たきりになるリスクもあり、手術を受けた意味がなくなる可能性もあり、医師としっかり相談して進めなければなりません。 もちろん家族の術前の同意や、術後の協力、支えが必要不可欠になります。 まとめ・変形性股関節症|人工関節手術の年代別リスクについて 変形性股関節症の手術は、大掛かりな手術になるため、年齢や生活環境、将来なども見据えた上で手術をおこなうかどうかの選択をしなければなりません。 また、変形性股関節症の手術を受けた後は、リハビリが必要ですが、そのリハビリは年齢が高くなるにつれて難しくなる場合もあります。そのため、変形性股関節症の痛みを手術で改善したいけれど、手術を受けることができないという人もいます。 そこで紹介したいのが、近年注目されている変形性股関節症を「再生医療で治療する」という方法です。 再生医療は、人工関節などを入れる手術と比べても治療期間が少なく済み、副作用のリスクも少ない安全で安心な治療です。そして、年齢が高くても治療できる可能性が広がりますし、高い治療効果を期待することが可能です。 変形性股関節症の手術を検討すべき状態ではあるけれど、体力面、心肺機能などで懸念材料があるという人、治療期間を短くしたい、なるべく体に負担が少ない治療を受けたいという人は、再生医療を検討してみてはいかがでしょうか。 >変形性股関節症は「再生医療」という最新治療法で手術・入院を避けて治療することできる方法があります。 以下の動画では、変形性股関節症に悩む患者様が手術ではなく再生医療を選択した経験について語っています。是非参考にしてみてください。 https://youtu.be/cjMBSIy0rG0?si=bbBce0OZEgtPY48d 以上、変形性股関節症|人工関節手術の年代別リスクについて記させていただきました。ご質問などございましたらお気軽にお問い合わせください。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼こちらも合わせて確認しておきませんか 変形性股関節症と臼蓋形成不全の関係性と治療法について
2022.05.12 -
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股関節の病気の種類と治療法・人工股関節を手術した場合のリハビリと注意事項 股関節の痛みをもたらす原因となる病気は、初期の段階では「保存療法」を行い、症状が進行した結果、末期に近づくにつれて「手術」となるケースが多く見られます。 医師より、「人工股関節を入れたほうがいい」などと言われると、「手術という不安感」と、「人工関節という戸惑い」、そして「痛み」などについて動揺や心もとない、不安なお気持ちになられるのではないでしょうか? そこで人工関節の検討が必要となる股関節の病気を明らかにし、その治療法を解説致します。また、人工関節の手術で気になる痛みを「手術そのものの痛み」、「手術後の痛み」について解説し、ご心配にお応えいたします。 股関節の病気と治療法 まずは、股関節に対する人工関節の手術(人工関節置換術)についての基本的なことについて解説します。 股関節を手術する原因となる病気の種類 股関節を人工股関節に置き換える手術を行うには、何らかの原因が存在しています。例として股関節の手術が必要になる可能性がある病気としては、以下のような病気が挙げられます。 ▼手術の可能性がある 変形性股関節症 大腿骨頭壊死症 関節リウマチ 股関節脱臼や股関節骨折の後遺症 変形性股関節症 股関節の軟骨成分が変性し、すり減ってしまうことで股関節に炎症を起こし、股関節の痛みや変形などの症状を引き起こす病気です。 大腿骨頭壊死症 大腿骨頭部の血流が滞って骨頭の細胞が壊死を起こし、細胞が死んだ部分の骨が変形を起こすことで痛みや歩行障害などを引き起こす病気です。 関節リウマチ 免疫異常によって自己抗体(体内の正常な細胞を損傷させる物質)が生み出され、全身のさまざまな関節がその影響を受けることで痛みなどの症状を引き起こす病気です。 股関節脱臼や股関節骨折の後遺症 事故などの外傷による衝撃で股関節がダメージを受け、脱臼や骨折を起こした後の後遺障害として関節疾患を引き起こすことをいいます。 上記、いずれにしても「股関節の痛み」や「歩行機能障害」など、日常生活にさまざまな影響を及ぼす可能性が高い症状を引き起こすため、適切な治療を継続する必要があるのです。 股関節の病気の治療法(保存療法) 股関節に関する上記の病気の治療方針としては、主に「初期段階には保存療法を適用し、保存療法が奏功しなくなったら手術を検討する」という方針がとられていました。 保存療法とは、発生している症状を緩和し、運動療法などによって患部の機能障害の進行を防止する治療法のことです。 保存療法は体への負担が小さい治療法として多くの症例で用いられる治療法ですが、上記の「機能障害の進行を防止する」という効果は完全なものではなく、加齢などの条件も重なって次第に症状は進行してしまいます。 結果、進行期から重度の疾患にまで症状が進行してしまい、次第に保存療法では十分に痛みなどの症状を緩和できなくなってしまうのです。 そうなると、以下のような股関節の手術を選択する可能性があります。 股関節の病気の治療法(手術の選択) 手術 人工股関節置換術 骨切り手術 関節鏡手術 人工股関節置換術の「手術中の痛み」と「手術後の痛み」について 手術というだけでも「痛み」については誰もが気になるところです。しかも、人工関節置換術となると、その言葉だけで更に心配になられる方が多いのではないでしょうか。 まず安心していただきたいのは、変形性股関節症などの治療において用いられる人工股関節置換術は、当然ながら「麻酔」を利用しますので、手術中に痛みを感じることはありません。 しかも、人工股関節置換術を実施する際には「全身麻酔」を用いることが多いため、痛みはもちろん、患者さんが手術中の様子や音などで不安を感じることもないのです。 人工股関節の手術に関する痛みについて、問題になるのは、麻酔が切れた後の「手術後の痛み」です。麻酔が切れると当然ですが痛みが起こります。 手術後の痛みに関しては痛み止めを使用します。薬剤によって痛みをコントロールすることになるのでご安心ください。手術後の痛みのピークは、手術直後から手術当日の夜の間が最も強く、その後は時間の経過に伴って軽減していき、手術後数日でおおまかな痛みは落ちつくでしょう。 また、「硬膜外麻酔」という麻酔術を手術前にすることで、手術後の痛みを軽減する治療が可能なケースもあります。 人工股関節置換術後リハビリと注意事項 股関節の痛みは、痛み自体や歩行機能への影響などがあるため、可能な限り最小限に抑えたいところです。股関節の人工股関節置換術の後、いわゆる「リハビリ期」において注意するべきポイントを押さえておきましょう。 リハビリは指示に従う 人工股関節の手術をしたら、入院とリハビリが必要になりますが、リハビリを行うにあたっては必ず「指示に従う」ことを遵守してください。 股関節の手術に限らず、手術後はデリケートな状態にありますので、早く退院したい、早く治したいとの想いで医師が禁止していることをしてはいけません。医師の指示通りにしないと、最悪の場合は手術をやり直さなければならなくなるケースもあります。 仮に人工股関節の手術後の痛みが抑えられて「きちんと治った!」と思っていても、実は勘違いという可能性もあるので、リハビリは医師の指示に従って安全におこないましょう。 股関節の脱臼リスクが高い動作は避ける 人工股関節置換術の後、気を付けるべきなのは「脱臼を避ける」ことです。リハビリ中、大きく仰け反るような動作、正座からひねって立ち上がるといった動作で脱臼しやすく、脱臼リスクの高い動作は意識して避けなければなりません。 スポーツなど、激しい動きがあるものは医師の許可を得る 人工股関節置換術の後、「スポーツ」や激しい動きと伴うものは、必ず医師の許可を得てからおこなってください。 特に重いものを持ったり、ジャンプの多い競技、急なストップや方向転換などなどの激しい動きあったり、相手にぶつかるような競技を避ければ、特に制限を設けることなく好きなスポーツに復帰することができるでしょう。 やりたいスポーツに関して担当医に相談し、どういった動作は避けなければならないか、そもそもリハビリ中に復帰可能なスポーツであるかの判断をもらうようにしてください。ただし、OKが出ても無理は禁物です。最初は試運転、徐々に取り組みましょう。 股関節への負荷を抑えるための体重コントロール 人工股関節置換術の後、人工股関節を少しでも長持ちさせるためには「体重コントロール」が欠かせません。股関節には上半身の重さがかかるため、体重が重いと人工股関節への影響が大きくなり、人工股関節の損傷リスクを高めることになります。特に運動を行う場合は、注意が必要です。 ただ適度な運動習慣を身につけることは大切です。この機会に適度な体重を維持できるように運動や食習慣といった生活全体の習慣を見直し、必要に応じて医師の指示した運動・生活メニューを実施するようにしましょう。 手術そのものを避けられる!再生医療という選択肢も生まれています 股関節の重い症状に対して人工股関節の手術などをおこなう場合、手術後の痛みのリスクを無視することはできません。保存療法は効かない、けれども手術は痛みや体への負担が気になるという患者さんは最新の医療分野「再生医療」も検討してみてください。 股関節の再生医療は自身の細胞によって股関節の軟骨の損傷を修復し、変形性股関節症などの症状の進行を遅らせて痛みを改善する効果が期待できます。 例えば「幹細胞」を利用した再生医療をする場合は、患者さん自身から幹細胞を採取(切開して脂肪を採取する等)し、これを培養してから患部に注射するという治療をおこないます。 この治療法であれば、人工股関節の手術ほど体への負担はありませんし、手術後の痛みの心配もほとんどないでしょう。 従来の保存療法では奏功しなくなった患者さんでも効果がみられる可能性があり、アレルギー・感染症・拒否反応といった副作用のリスクも少ないので、メリットの多い治療法と言えます。 下記の動画では、再生医療がどのようにして変形性膝関節症や変形性股関節症の患者様の痛みを軽減し、生活の質を向上させることができるかを示しています。是非参考にしてみてください。 https://youtu.be/03G87sTv2D4?si=soT1LvOnshMVSFB_ まとめ・股関節の病気の種類と治療法 人工股関節の手術(人工股関節置換術)は、手術後の痛みをコントロールすることは可能です。 手術後のリハビリは医師の指示のもとで安全におこない、脱臼や人工股関節の損傷などのリスクを少しでも減らすようにして痛みの改善ができれば、生活の質がグンと良くなるでしょう。 しかし、外科的な手術はどうしても避けたい、人工股関節のような手術を受けると、手術後の痛みがどうしても心配で仕方がないなどという人は、再生医療を選択するのもおススメです。 以上、人工股関節の原因となる股関節の病気と手術の痛みについて、手術中及び、手術後について記させて頂きました。 尚、再生医療は、股関節の痛みについて、多くのメリットがある治療法です。お気軽にお問い合わせください。親身になって詳しくご説明させて頂きます。 ▼ 最先端医療「再生医療」で股関節を治療する方法 股関節症の新しいい治療法、再生医療は、人工関節を避けて治療できる新しい医療分野です ▼以下も変形性股関節症の記事をご紹介しています 股関節の人工関節置について、高齢者が手術前に知っておくべきリスクとは?
2022.04.08 -
- 股関節
- 変形性股関節症
変形性股関節症と診断されたら、今以上に悪化させないように気をつけたいと考える方は多いのではないでしょうか。 変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減ったり、骨の変形によって骨同士が擦れ合ったりして炎症が起こり、痛みを伴う疾患です。 変形性股関節症の悪化を防ぐには、ストレッチをして股関節の柔軟性を高めることが効果的です。股関節周りやお尻に効くストレッチを中心におこない、可動域を広げましょう。 今回は、変形性股関節症を悪化させないためのストレッチ方法や、気をつけるべきことを解説してまいります。手術を伴わない再生医療による治療法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。 変形性股関節症を悪化させないためのストレッチ方法 変形性股関節症を悪化させないためには、ストレッチをはじめとする運動療法が効果的です。ここでは、変形性股関節症の方におすすめのストレッチ方法を紹介します。 股関節の前側に効くストレッチ 股関節の内側に効くストレッチ 寝ながらできる股関節のストレッチ 股関節に負担をかけないように気をつけながら、ストレッチをして股関節の柔軟性や可動域の維持に努めましょう。なお、痛みがあるときは無理をしないことが大切です。やりすぎは逆効果になる場合があるため、ストレッチをして痛みが強くなったら医療機関を受診するようにしてください。 股関節の前側に効くストレッチ 変形性股関節症の悪化を防ぐためには、股関節の前側に効くストレッチがおすすめです。 左右いずれかのお尻を椅子に置き、横向きに座る 椅子に腰掛けていないほうの足を軽く後ろに伸ばし、つま先を立てる 椅子に腰掛けていないほうの足をさらに後方に伸ばしていく このとき、前側の股関節から太ももまでの筋肉を伸ばすイメージでおこなうことがポイントです。1セットあたり40秒程度を2〜3回繰り返し、左右の足を替えておこないます。 椅子に半分腰掛けた姿勢でストレッチするため、椅子の大きさや形によってはバランスを崩しやすいため注意が必要です。 股関節の内側に効くストレッチ 股関節の内側に効くストレッチも、変形性股関節症の悪化を防ぐために効果的です。 椅子に座って左右いずれかの足をもう片方の膝の上に乗せる 乗せた足の膝を下方向から外側に押し下げる 上半身をゆっくりと前に倒す このとき、股関節の内側からお尻の筋肉を伸ばすよう意識してください。1セットあたり40秒程度で2〜3回繰り返し、左右の足を替えて同じようにストレッチします。椅子に深く腰掛け、安定した状態でおこなうことがポイントです。 寝ながらできる股関節のストレッチ 股関節に効くストレッチには、寝ながらできるものもあります。 仰向けで寝る 左右いずれかの膝を両手で抱えて身体に引き寄せる この姿勢を約15秒間キープし、2〜3回繰り返して左右の足を替えます。膝を抱えて身体に引き寄せるとき、反対側の足は伸ばしたままの状態にします。痛みを感じない程度に無理なくストレッチしてください。 ストレッチ以外の運動療法 変形性股関節症の悪化を防ぐためには、ストレッチ以外の運動療法も効果的です。軽いウォーキングも、股関節の柔軟性を高め、可動域を広げるために有効です。 ウォーキングをする際は、ゆっくりとしたペースで歩行しましょう。歩く速度が早いと股関節に負担がかかり、かえって症状を悪化させるリスクがある点に注意してください。 また、筋力トレーニングをして筋力強化を図ることも大切です。股関節周りの筋力強化によって、股関節の動きを安定させたり衝撃から関節を守ったりできます。ただし、ストレッチと同様に過度な負荷がかかる筋力トレーニングは逆効果です。ウォーキングや筋力トレーニングも、痛みのない範囲内で無理なく続けましょう。 変形性股関節症に効果的な筋力トレーニングについて詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。 変形性股関節症の悪化を防ぐためにやってはいけないこと【ストレッチ以外】 変形性股関節症は、股関節に負担がかかると症状が進行してしまいます。そのため、変形性股関節症の症状の進行を抑え、悪化を防ぐために、やってはいけないことがあります。 以下で、それぞれ詳しく見ていきましょう。 股関節に負担をかける 変形性股関節症の初期の段階では、痛みを感じない場合も少なくありません。しかし、変形性股関節症の悪化を防ぐために、やってはいけない姿勢(禁忌肢位)があります。 変形性股関節症の禁忌肢位は、主に以下の通りです。 横座りや割り座 しゃがむ姿勢や長時間ひざまずく姿勢 足組み テニスやゴルフなどの股関節を捻る動作を伴うスポーツ ほかにも、長時間同じ姿勢を維持しない、横向きか仰向けで寝るといったことを心がけると股関節への負担を減らせます。変形性股関節症の進行を防ぐためにも、日常生活からできることを意識しましょう。 長時間連続して歩く 変形性股関節症の場合、長時間連続して歩くことは避けましょう。長時間の連続した運動は、たとえ軽度であっても筋肉が疲労してしまい、関節に負担をかけてしまうためです。 また、股関節の骨と骨の間にある軟骨は、衝撃を吸収し、骨同士が直接触れ合わないようクッションの役割を果たしています。しかし、軟骨は関節を使うことで徐々にすり減ってしまうため注意が必要です。 変形性股関節症と診断されたら、歩くときにもできるだけ股関節に負担がかからないように意識する必要があります。少しくらい大丈夫だろうといった考えは捨てて、無理をしないようにしてください。 痛みを感じるような運動やトレーニングを控える 変形性股関節症と診断されたら、無理は禁物です。筋力をつけようとして痛みを感じるほど運動してしまうと、かえって症状が進行してしまうケースも少なくありません。 変形性股関節症では、適度な運動が推奨されます。しかし、激しいダンスやエアロビクス、ボーリングやウェイトマシーンを使っての筋力トレーニングは関節へ過度な負担がかかるため避けるべきです。 変形性股関節症のリハビリテーションでは、関節への負担が少ないウォーキングや水中歩行などをゆっくりおこない、関節に無理をかけないように気をつける必要があります。 肥満を放置する 変形性股関節症の場合にやってはいけないこととして、肥満の放置が挙げられます。普通に歩くだけでも、関節には体重の約3~5倍の負担がかかります。そのため、体重は直接股関節へ負荷をかけることになるため注意が必要です。 とくに中高年になると身体の基礎代謝が落ち、体重管理が難しくなります。運動も大切ですが、肥満を改善するためには食生活の見直しが必要です。 変形性股関節症において気をつけたいことは、食べ過ぎないことと栄養バランスの良い食事を心がけることです。夕食は寝る2~3時間以上前には済ませ、暴飲暴食は避けましょう。 また、早食いにならないようにゆっくりとよく噛むことで、食欲が抑えられ、食べすぎを防げます。変形性股関節症と体重管理は切り離せないだけに、十分気をつけましょう。 変形性股関節症の治療法を検討する際のポイント ここでは、変形性股関節症の治療法を検討する際に気をつけることについて解説します。 納得できる医療機関を見つける 変形性股関節症の治療においては、納得できる医療機関を見つけることが大切です。変形性股関節症では、以下をはじめとするさまざまな治療がおこなわれます。 薬物療法 運動療法 手術療法 まずは薬物療法や運動療法で症状の改善を目指し、思うような効果が現れない場合には、手術療法を検討します。 変形性股関節症の手術療法では、入院が必要です。しかし、なかにはどうしても仕事が忙しくて時間が取れないといった理由で手術を希望しない人もいます。 また、手術療法にも骨切り術や人工関節置換術があり、その後の通院頻度や入院期間も異なります。 変形性股関節症の治療においては、病院までの距離や医師との相性なども含め、本人や家族が納得できる医療機関を見つけることが必要です。 意思や希望を主治医に伝える 変形性股関節症の方は、今後どのように治療を進めていきたいか、自分の意思をしっかりと主治医に伝えるようにしましょう。また、家族の意思や希望もあわせて伝えておくと安心です。 自分の意思や希望が治療に反映されていないと、モチベーションが下がってしまい、治療自体に影響が出るケースも珍しくありません。 すぐに手術を受けたいのか、しばらくは飲み薬のほかに湿布薬や座薬を使って様子をみたいのかなど、医師に希望を伝えた上で、相談しながら治療を進めましょう。 変形性股関節症に対するステロイド薬の使用について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 変形性股関節症には再生医療という選択肢もある 変形性股関節症の治療における選択肢として、再生医療があります。かつて変形性股関節症の治療では、薬で痛みが抑えられなくなった場合には手術をするしかないといわれていました。 しかし、現在では身体への負担が少なくて済む再生医療による治療も選択可能です。 再生医療と手術はどのように違うのか 再生医療は、自分の血液や幹細胞を使用するため、体への負担が少なく、数回の通院で完結する治療法です。 一方、人工関節置換術のような比較的大がかりな手術では、深部静脈血栓症・肺塞栓症・人工関節の再脱臼といった合併症のリスクを伴います。 再生医療の効果はいつまで続くのか 再生医療の治療効果は人工関節の耐久年数と同じ程度の持続が期待されています。 人工関節には耐久年数があり、一般的には平均15〜20年程度といわれています。人工関節の場合、経年劣化による不具合によって疼痛が発生するリスクがあります。 また、日常生活に支障が出る場合には、再手術が必要になるケースも少なくありません。 薬物療法や運動療法では効果が感じられず、手術を受けようか悩んでいる方、あるいはどうしても手術を受けたくない方にとって、再生医療はもう一つの選択肢になります。 以下の動画では、再生医療が変形性股関節症の痛みをどのように軽減したかを説明しています。ぜひ参考にしてみてください。 https://www.youtube.com/watch?v=ZYdyeWBuMQA まとめ|ストレッチをして変形性股関節症の悪化を防ごう 変形性股関節症の治療においては、股関節に負担をかけないように気をつけることが大切です。 おすすめは、股関節の前側・内側、お尻周りに効くストレッチです。なお、ストレッチは痛みを感じない程度でおこなうことがポイントです。痛みが現れたり、股関節に違和感を感じたりする場合は、ストレッチを中止して医療機関を受診してください。 ストレッチ以外にも、日常生活でできるだけ股関節に負担をかけないよう気をつけ、変形性股関節症の悪化を防ぎましょう。 なお、リペアセルクリニックでは、無料のメール相談を実施しています。変形性股関節症の症状が改善せずにお悩みの方は、ぜひ気軽にご相談ください。
2022.04.07 -
- 変形性股関節症
- 股関節
「最近、股関節の痛みが気になる…でも、手術はまだ考えたくない」 「この先も自分の足で元気に歩き続けるために、今からできることはないだろうか?」 変形性股関節症と診断され、そのようなお悩みや疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 手術を回避し、痛みをコントロールしながら日常生活を送るためには、保存療法について正しく理解し、実践することが非常に重要です。 本記事では、変形性股関節症の保存療法の基本となる4つの柱(運動・生活指導・薬物・物理療法)から、治療を続ける期間の目安までを詳しく解説します。 また、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報と簡易オンライン診断をお届けしています。 ご登録いただき、ご自身の身体と向き合う機会としてご利用ください。 変形性股関節症の保存療法とは|手術に頼らない治療の基本 変形性股関節症の治療は、「保存療法」と「手術療法」の二つに大別されます。 このうち保存療法とは、その名の通り手術をせずに股関節の機能を温存し、痛みなどの症状をコントロールしていく治療法の総称を指します。 その目的は、痛みや炎症を和らげ、症状の進行を緩やかにし、日常生活の質を最大限に維持・向上させることにあります。 病状が初期から進行期にある多くの患者様にとって、まず取り組むべき治療の第一選択肢となるのが、この保存療法です。 治療プロセスは、専門医による正確な診断から始まります。 レントゲンやMRIといった画像検査、丁寧な問診、身体診察を通じて股関節の状態を多角的に評価します。 そして患者様一人ひとりの年齢、活動量、生活背景などを総合的に考慮し、オーダーメイドの治療計画が立てられます。 この医師との二人三脚のプロセスが、治療成功の第一歩と言えるでしょう。 変形性股関節症の保存療法|4つの治療法と効果的な組み合わせ 保存療法は、単一の治療だけで効果を出すのは難しい場合があります。より高い治療効果を得るためには、複数のアプローチを戦略的に組み合わせることが不可欠です。 中心となるのは、以下の4つの柱です。 運動療法・リハビリ:関節を支える筋力を強化し、安定性を高める 生活指導:日常動作や体重を見直し、股関節への負担を根本から減らす 薬物療法:薬の力で、つらい痛みや炎症を効果的にコントロールする 物理療法:温熱効果や装具を利用し、痛みを和らげる これらは互いに補完し合う関係にあり、どれか一つだけを頑張るのではなく、バランス良く取り組むことが症状改善への近道となります。専門医や理学療法士と相談しながら、ご自身に最適な治療の組み合わせを見つけていきましょう。 1.運動療法・リハビリ|筋力強化と可動域改善 運動療法では、まずストレッチやマッサージをおこない、筋肉をほぐします。 股関節周囲の筋肉の柔軟性は、痛みの改善だけでなく、関節の動く範囲の改善にもつながります。 しかし、運動療法をするときに、早く筋肉をつけようとして無理に運動しないように注意しなければなりません。 また、ジョギングやサッカーのような激しい運動も股関節に負担をかけ、変形性股関節症を進行させてしまいます。 ゆっくりと歩くウォーキングや、負担の少ない水泳などをおこなうようにしましょう。 ウォーキング 関節への負担が少ない運動の代表格がウォーキングです。 とくに水中でのウォーキングは、浮力によって体重負荷が大幅に軽減されるため、痛みが強い方でも取り組みやすいでしょう。 陸上を歩く際は、衝撃吸収性に優れたクッション性の高い靴を選び、まずは平坦な道を1日20〜30分程度から始めてみるのがおすすめです。 筋力トレーニング 股関節の安定性に直接寄与するのが、お尻の筋肉(中殿筋)や太ももの筋肉(大腿四頭筋)です。 これらの筋肉を重点的に鍛えることで、歩行時のふらつきを防ぎ、関節をしっかりと支えることができます。 横向きに寝て脚をゆっくりと持ち上げる運動や、仰向けで膝を曲げた状態からお尻を浮かせる運動など、自宅でも安全に行えるトレーニングが数多く存在します。 変形性股関節症のリハビリについては、以下の記事にて詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。 2.生活指導|日常動作の工夫と体重管理 日々の何気ない動作や生活習慣が、知らないうちに股関節へ大きな負担をかけていることがあります。 この負担を意識的に減らす生活指導も、運動療法と並行して行うべき重要なアプローチです。 中でも最も重要なのが体重管理です。体重が1kg増えるだけで、歩行時には股関節に約3〜4kgもの負荷がかかるとされています。 つまり、体重をコントロールすること自体が、効果的な治療法なのです。 その他、以下のような生活上の工夫を取り入れることで、股関節への負担は大きく変わってきます。 洋式の生活:正座やあぐら、低い椅子からの立ち座りは股関節に大きな負担をかけます。可能な限り、椅子やテーブル、ベッドを中心とした生活スタイルに切り替えましょう。 動作の工夫:床の物を拾う際は、膝を曲げて腰を落とすように意識する、重い荷物はカートを利用するなど、一つ一つの動作を見直すことが大切です。 靴の選択:歩行時の地面からの衝撃は、股関節痛の大きな要因です。クッション性が高く、かかとが安定した靴を選びましょう。 3.薬物療法|薬物による疼痛・炎症管理 痛みが強く、運動や日常生活に支障が出ている場合、薬物療法を併用して症状をコントロールします。 薬物療法は、痛みによる動作制限の悪循環を断ち切り、運動療法などをよりスムーズに進めるためのサポーターとしての役割を果たします。 投与方法 内容・注意点 内服薬 痛みや炎症を抑える目的で、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などが主に処方されます。胃腸障害などの副作用が出る可能性もあるため、必ず医師の指示通りに服用することが鉄則です。 外用薬 湿布や塗り薬といった外用薬は、内服薬に比べて全身への副作用のリスクが低く、手軽に使える利点があります。 関節内注射 痛みが局所的に強く、内服薬などでは十分にコントロールできない場合、股関節に直接ヒアルロン酸やステロイドを注射する方法があります。 これらの薬は、あくまで痛みを緩和し、生活の質を維持するための手段です。 自己判断で量を増減したり中断したりせず、必ず医師と相談の上で使用してください。 4.物理療法|温熱療法と装具の効果的活用 物理療法は、熱や物理的な補助具を用いて、痛みの緩和や機能の改善を図る治療法です。 薬物療法とは異なるアプローチで、症状の改善をサポートします。温熱療法と装具の2つについて解説します。 温熱療法 股関節周辺を温めることで血行が促進され、筋肉の緊張がほぐれ、痛みが和らぐ効果があります。 温熱療法は、とくに筋肉のこわばりからくる鈍い痛みに対して有効です。ご家庭での入浴やホットパックの利用が手軽ですが、注意点もあります。 痛みが起きた直後の急性期には、温めることでかえって炎症が悪化することがあるため、自己判断で行わず、医師に確認してから実践しましょう。 装具療法 杖やサポーター、インソール(足底板)といった装具を用いて、股関節への力学的な負担を軽減する方法です。 とくに杖は、歩行時の股関節への負荷を最大で60%も軽減できるとされ、非常に有効な手段です。(文献1) 杖は、痛い方の脚と反対側の手で持つのが基本です。体を安定させ、効率的に負荷を分散させることができます。 変形性股関節症の保存療法はいつまで続ける?改善効果と期間目安 保存療法の期間は、症状の程度や治療への取り組み方によって個人差があります。そのため、全ての患者様に共通する決まった期間はありません。 一般的には、保存療法の効果は10年程度続くと考えられていますが、あくまで目安です。股関節の状態は日々変化するため、日々の痛みの強さや歩行量、家事のしやすさなどを記録し、専門医と相談しながら治療計画を柔軟に見直すことが重要です。 保存療法は「いつまで」と決めるものではなく、生活の一部として無理なく続けることが基本です。迷ったときは一人で抱え込まず、担当医と一緒にプランを整えていきましょう。 保存療法で避けるべき行動を知っておくと、ご自身の体に合った取り組み方が理解しやすくなります。詳しくは、こちらの記事もご確認ください。 変形性股関節症に対する保存療法以外の選択肢「再生医療」について 保存療法を継続しても症状の改善が難しい場合や、手術以外の方法を検討したい場合に、選択肢の一つとして再生医療があります。 再生医療は、患者様ご自身の血液や脂肪から特定の成分(血小板や幹細胞など)を抽出し、関節内に投与する方法です。 このアプローチは、ご自身の体にもともと備わっている組織の修復過程や、炎症を抑える働きに着目した治療法です。 ご自身の細胞を用いるため、アレルギー反応などのリスクは低いとされています。 変形性股関節症に対する再生医療について、以下の記事で症例を紹介しています。治療内容の参考にぜひ一度ご覧ください。 再生医療をご検討の際は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。再生医療に精通した医師が、患者様の状態に応じて個別に治療方針をご提案いたします。 変形性股関節症でお悩みの方へ|専門医と一緒に治療法を見つけましょう 保存療法の目的は、手術以外の方法で痛みを管理し、今ある関節機能を最大限に維持することです。 その成功の鍵は「運動療法」「生活指導」「薬物療法」「物理療法」という4本柱を、専門家のアドバイスのもとでバランス良く組み合わせることにあります。 保存療法は息の長い治療です。焦らず根気強く続けることが何よりも大切ですが、再生医療という選択肢が存在することも、ぜひご認識ください。 ご自身の状態を正しく理解し、専門家と共に粘り強く治療を続けることが、より豊かな日常生活を取り戻すための鍵となります。 もし現在の治療に行き詰まりを感じていたり、今後の治療方針に悩んでいるのであれば、一人で抱え込まず気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) 杖を用いた歩行の特性|昭和大学保健医療学部
2022.04.07 -
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「病院で人工股関節への置換術をすすめられた」「変形性股関節症の手術が決まっている」といった方の多くは、手術後の生活が気になるのではないでしょうか。 股関節の変形などの治療として手術で人工股関節を入れても、すべてが元通りになるわけではありません。 手術後は、股関節に負担がかからないように以下のような動作や姿勢に気をつけて生活する必要があります。 本記事では、人工股関節手術後の生活で気をつけるべきことを解説します。 早期回復のためのポイントや仕事復帰までの目安もまとめているので、人工股関節手術を控えている・検討している方は、ぜひ参考にしてください。 人工股関節手術後の生活における注意点 人工股関節手術後の生活では、過度な運動や股関節に大きな負担がかかる姿勢を避ける必要があります。 具体的には、以下の6つに注意して過ごしましょう。 それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。 以下の記事では、変形性股関節症の方が人工関節手術を行うリスクについて解説しているので、合わせてご覧ください。 適度に歩く時間をつくる 人工股関節手術後の歩行に関して、とくに制限はありませんが、以下の点に注意しましょう。 筋力の低下を防ぐため歩く時間を作る 歩行時は革靴ではなく滑り止めがついた運動靴を履く 翌日まで疲労が残る場合は、運動量が多すぎる可能性が高いため、ペースを調節してください。 股関節に負担がかかる日常動作は避ける 人工股関節手術後の生活では、股関節を曲げて膝を内側にねじるような姿勢は負担が大きいので避けましょう。 とくに股関節の屈曲などの複合動作が続くと、股関節に大きな負担がかかって脱臼や骨折の原因になります。 人工股関節の脱臼を防ぐためにも、日常生活の中では以下の点に注意が必要です。 あぐらや横座りなどを避ける ズボンや靴下などを履くときは床ではなく椅子に腰掛ける ただし、座るときにどの程度の注意が必要かは、手術方法によって異なります。 近年は筋肉や腱を切らずに済む方法が増え、人工股関節手術後の脱臼のリスクそのものが低下しています。 手術後に避けるべき動作や姿勢については、医療機関や主治医に確認しましょう。 過度な運動やスポーツを避ける 人工股関節手術後は、過度な運動やスポーツを避ける必要があります。 手術をしたからといって、ハードな運動ができるわけではありません。 過度な運動は股関節の脱臼やゆるみを起こしてしまう可能性があるため、注意が必要です。 ただし、適度な運動は、股関節周りの筋肉を鍛えることにつながるため、無理のない範囲で体を動かすことをおすすめします。 実際に、人工股関節手術後の生活で、ハイキングやウォーキングなど、さまざまな運動を楽しんでいる人もいます。 手術後の生活で無理なくできる運動は、水泳やウォーキングなどです。 ただし、水泳の場合、股関節に負担がかかる平泳ぎよりもバタ足などがおすすめです。 また、ウォーキングは15分程度の軽い運動にとどめるなどの配慮が必要です。 重いものを持たないようにする 人工股関節手術後の生活では、日常的に重たいものを持たないように注意しましょう。 重いものを持ち上げたり、持って移動したりすると、股関節に大きな負担がかかります。 もちろん、しゃがんだ姿勢から荷物を持ち上げることも避けましょう。 軽い荷物であれば大丈夫ですが、足腰を使わなければ持ち上がらないほどの重い荷物であれば、家族や友人に手伝ってもらって運んでください。 とくに家族には、人工股関節手術ことを伝え、手術後の生活についてよく理解してもらっておくと安心です。 入浴時は膝を大きく曲げないようにする 人工股関節手術後の入浴時は、とくに身体を洗う姿勢に注意してください。 ほかにも、以下の点に気をつけると股関節への負担を減らせます。 シャワーチェアを使用して椅子に腰掛けた姿勢で身体を洗う かがみこまなくて済むようにタオルではなく柄が長いブラシを使用する 浴槽で両足を伸ばせない場合は浴槽用の小さな椅子を使用する 椅子を使うスペースがない場合は、浴槽の縁にも腰掛けることも可能です。しかし、足先を洗う際などは無理にかがみこむと脱臼する可能性が高いため注意しましょう。 なお、浴槽への出入りしやすくするためには、浴室の壁に手すりを取り付けると便利です。 転倒を防ぐための生活環境を整える 人工股関節手術後は、人工股関節の破損を避けるためにも転倒に気をつけましょう。 手術後の生活では、人工股関節とうまく付き合っていく意識が必要です。 転倒は、人工股関節の破損だけではなく骨折の原因にもなります。 骨折によって歩行が難しくなると、手術をした意味がなくなってしまいます。 手術後は、外出の際に階段を避けてエスカレーターやエレベーターを利用したり、足場の悪いところは極力歩かないようにしたりするといった心がけが必要です。 人工股関節手術後から仕事復帰までの目安期間 人工股関節手術後に仕事復帰できるまでの期間は職種によって異なり、事務職であれば、数週間から1カ月程度で復帰が可能です。 しかし、業務上でしゃがんだりかがんだりする動作を伴う場合は、復帰までに時間がかかります。 人工股関節手術後の仕事復帰までの目安は、以下の通りです。 事務職 2~4週 立ち仕事(半日) 4~6週 立ち仕事(1日) 6~8週 ドライバー・配送業 2~3カ月 激しい肉体労働が中心の仕事 3カ月以降 ただし、手術後の回復には個人差があるため、まずは主治医に相談してから仕事に復帰する計画を立てましょう。 人工股関節手術後に生活へ復帰するためのポイント ここでは、人工股関節手術後の生活において、早期回復のために工夫すべきポイントを紹介します。 股関節に負担の少ない生活スタイルに変える 人工股関節手術後の生活では、股関節に負担のかかる姿勢を避ける必要があります。 たとえば、正座や足を前に投げ出して座る姿勢は手術後でも問題ありませんが、体育座りや横座りなどは脱臼のリスクが高まります。 和式トイレなどでしゃがみ込む、座布団に座る、重いものを持ち上げるなどの動作は、意識して避けましょう。 人工股関節手術後は、できる範囲で椅子や洋式トイレを利用するようにして、生活スタイルを切り替えていくことをおすすめします。 また、布団を敷いて寝ている方は、ベッドにしたほうが股関節に負担をかけずに済みます。 体重管理をする 人工股関節手術後の回復を早めるためには、体重管理もポイントです。 体重が重いだけでも、股関節には大きな負担がかかるため、適度な運動をして体重管理しましょう。 標準体重よりも重い場合や、普段から身体が重いと感じている場合は、思い切ってダイエットを始めることもおすすめです。 ただし、単に体重を減らすだけではなく、筋力の維持にも努める必要があります。手術後は徐々に股関節を慣らすようにして、1日15分程度のウォーキングなど軽い運動をしましょう。 適切なリハビリテーションを続ける 人工股関節手術後の回復を早めるためには、適切なリハビリテーションを続ける必要があります。 人工股関節手術後は、筋力が低下している状態です。 とくに手術前から痛みで動きが制限されていた場合は、筋力の低下が顕著になる傾向があります。 人工股関節手術後に目指す生活レベルにもよるものの、筋力を回復させるためには、手術後も長期間にわたってリハビリテーションを続けることが大切です。 医療機関や主治医に相談しながら、納得のいく治療計画を立てましょう。 人工股関節手術後の生活の注意点に関するよくある質問 人工股関節手術後の日常生活の注意点に関するよくある質問と回答を紹介します。 人工股関節手術後の生活で気を付けることは? 人工股関節手術後の日常生活では、股関節に負担がかからないように気を付けましょう。 近年では人工股関節の耐久年数が向上していることから、日常生活だけでなく運動をする方も増えてきています。 しかし、人工関節は使えば使うほど摩耗していくため、股関節に負担がかかる動作を続けることで人工股関節の寿命が短くなっているといえます。 そのため、人工股関節を少しでも長持ちさせるためにも、術後の日常生活では股関節に負担がかからないように注意することが重要です。 自宅でもリハビリは必要ですか? 基本的に退院後でも自宅でリハビリは継続した方が良いです。 必要なリハビリは患者さまの目的によって異なるため、自分に合ったリハビリを続けましょう。 例えば「趣味のスポーツを再開したい」という場合には、そのスポーツで股関節にかかる負担を軽減できるように筋力トレーニングやストレッチが必要です。 しかし、自宅付近の移動ができれば良いという方は、スポーツをやりたい人ほどリハビリを頑張る必要はないといえます。 日常生活をおくる上で影響がない程度に筋力や柔軟性の維持に努めましょう。 人工股関節手術後にやってはいけないスポーツは? 人工股関節手術後は、股関節を捻るような以下のスポーツは控えましょう。 サッカー バスケットボール 野球 バレーボール テニス 水泳 柔道 ラグビー 上記のようなスポーツは、股関節を捻る際に大きな負荷がかかるため、人工関節の摩耗や破損につながる可能性が高いです。 しかし、筋力や柔軟性を低下させないために適度な運動は推奨されています。 どの程度の運動ができるかは個人差があるため、主治医と相談した上で行いましょう。 人工股関節手術後に杖はいつまで使うべき? 人工股関節手術後は、3ヶ月前後を目安に杖を使用しましょう。 術後に転倒してしまうと人工股関節の脱臼や損傷のリスクがあるため、転倒防止に杖の使用が有効です。 とくに混雑しやすい場所や長時間歩く場合などの状況をみて、3ヶ月を過ぎても杖を使用した方が良いでしょう。 人工股関節手術後の生活では関節に負担をかけないようにしよう 今回は、人工股関節手術後の生活で気をつけるべきことや工夫すると良いことなどを解説しました。 基本的に人工股関節手術後の生活では、人工股関節に配慮さえすれば大きな支障はきたさないでしょう。 しかし、人工股関節とうまく付き合っていく必要があるため、どうしても注意や工夫をしなければならない場面も出てきます。 なお、手術後の生活における注意事項や運動、リハビリテーションなどに関しては、必ず主治医の指導を受けるようにしてください。 ▼ 立ち上がり動作における股関節への負担を減らすポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。
2022.03.31 -
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変形性股関節症は中高年以降の女性に多く発生する病気で、動き出しなど動作のはじめや、長時間の歩行後に痛みを感じます。悪化すると安静時にまで痛みを感じるようになり、日常生活を送るうえで大きな支障となるため注意が必要です。 変形性股関節症にはさまざまな治し方があり、症状の進行状況によって治療法が行われます。手術をしない治療法でも症状の緩和や進行抑制が期待できるため、ご自身の状態に合った治し方を検討するのが大切です。 本記事では、変形性股関節症の治し方についてまとめました。症状軽減へ向けた生活の工夫も紹介するので、治し方や日常生活で気を付けるべき点を知りたい方は参考にしてください。 変形性股関節症は手術しないで治すことは可能か 変形性股関節症は手術をしなくても、症状を緩和できる可能性があります。前提として変形性股関節症は、脚の骨となる大腿骨(だいたいこつ)と骨盤との間に位置する関節軟骨がすり減ってしまう病気です。 すり減ったり、変形したりした骨を元に戻す治療法はなく、症状緩和や進行抑制が目的となります。痛みを和らげ、可動性の改善が期待できる治療法はいくつか存在するため、変形性股関節症では症状に合わせて適切な治療プランを選ぶのが大切です。 変形性股関節症の治し方 変形性股関節症の主な治し方は、以下の通りです。 物理療法 リハビリ療法 薬物療法 手術療法 ご自身に合った治療を受けられるよう、各療法について解説するので参考にしてください。 物理療法 物理療法とは、痛みの改善やむくみの軽減により身体を動かしやすくするために実施される治療法です。治療法には、以下の物理的手段があります。 主な療法の種類 治療内容 温熱療法 身体を温めて股関節周囲の血行を促進させ、筋肉をほぐして痛みを和らげる治療 電気療法 電気刺激を加えて筋肉の緊張をやわらげる治療 光線療法 レーザーを活用して関節照射を行い、血行を促進させて筋肉の緊張をほぐす治療 マッサージ療法 空気圧式マッサージ器や手技で筋肉や関節、リンパなどを刺激して血行促進を図り、痛みを緩和させる治療 物理療法は、主に血行促進により筋肉の緊張をほぐして痛み軽減につなげる治療になります。 リハビリ療法 運動療法は変形性股関節症の一般的な治療法で、股関節における筋肉の柔軟性を保ったり、位置を矯正して痛みを緩和させたりする効果が期待できます。 主な治療法は、以下の通りです。 筋トレ ストレッチ 水中ウォーキング ウォーキング 変形性股関節症では、主にお尻の横に位置する中殿筋をはじめとする股関節周囲の筋肉をトレーニングで鍛えます。筋トレとストレッチを組み合わせた運動は、変形性股関節症の進行を抑える効果が期待できます。 また、水中ウォーキングやウォーキングは、股関節を守るための筋力強化や柔軟性向上に役立つため、リハビリとして効果的です。いずれも、過度な負担をかけず無理のない範囲で続ける治療法になります。 薬物療法 変形性股関節症で強い痛みを伴う場合は、薬物療法が行われます。薬物療法は一時的に痛みを軽減したり、炎症を抑えたりする目的で行われる対症療法です。 医薬品を使用したからといって、変形性股関節症が完治するわけではないことは理解しておきましょう。 変形性股関節症で使用される主な薬物療法は、以下の通りです。 薬物療法の種類 特徴 外用薬 主に塗り薬を使用しますが、痛みが強い場合は座薬を用いる場合もある 内服薬 主に、炎症を抑える作用がある非ステロイド性消炎鎮痛薬を用いる 注射薬 ヒアルロン酸やステロイド製剤を使用し、関節の動きをスムーズにさせて痛みや炎症の緩和を図る 使用する薬物の種類は症状の進行によって異なるため、担当医と相談して適切な薬物療法を検討しましょう。 手術療法 物理療法やリハビリ療法などの保存治療で症状の緩和が図れない場合、手術が必要になる場合もあります。変形性股関節症の主な手術治療法は、以下の通りです。 主な手術療法 手術内容 関節鏡手術 内視鏡を使用して関節軟骨の傷んだ部分を削り滑らかにして炎症を改善する手術 骨切り術 患者の骨の一部を活用して、変形した股関節の形を整えて症状緩和を図る手術 人工関節手術 傷んだ股関節を取り除き、人工関節に置き換える手術 術式は症状の進行具合によって異なり、痛みの程度や日常生活での不自由さ、将来的な悪化を考慮のうえ決定されます。 変形性股関節症の症状回復が見込めない場合は、自分に合った手術治療法の検討がおすすめです。 変形性股関節症の症状軽減に向けた日常生活の工夫 変形性股関節症の症状軽減するには、日常生活における工夫が必要になります。症状を悪化させないためにも、生活をするうえでのポイントを理解しておくのが大切です。ここでは、変形性股関節症の症状軽減に向けた日常生活の工夫を紹介します。 背筋を伸ばす 変形性股関節症の際は、体操を通して常に股関節や骨盤の柔軟性を高め、できる限り背筋を伸ばしましょう。 症状が発症すると痛みをかばおうと骨盤が前傾し、不自然な姿勢を取りがちになるためです。姿勢が腰椎の前弯と胸椎の後弯を増強させ、股関節の可動域や筋力は低下します。 とはいえ、猫背のように骨盤が後傾する姿勢では、背骨の湾曲だけでなく、股関節に不安定さをもたらし、痛みにつながります。 変形性股関節症では、肩を後ろに引いた状態で背筋を伸ばし、自然なカーブを保つ姿勢が大切です。 低い位置での生活をやめる 変形性股関節症の場合、低い位置での生活は股関節に大きな負荷をかけるため、以下のような洋式の生活スタイルへの変更をおすすめします。 椅子を活用する トイレを洋式へ変える 布団からベッドに変更する 料理をする際、頻繁に使うものは高い位置に置く 畳のような和式の生活環境では、座る・立ち上がるといった動作のたびに股関節に負担がかかります。かがむ機会を極力減らし、地べたからの生活を避けることが症状軽減への効果的な対策となります。 減量する 変形性股関節症の症状軽減には、減量も重要です。股関節は骨盤と下肢をつなぐ部分であり、体重による負荷がかかりやすい関節になります。 肥満の場合、体重が重い分、股関節にかかる負荷も上がるため、変形性股関節症を進行させる要因の一つです。 つまり、肥満傾向の方は体重を落とすと、症状の軽減が期待できます。股関節の負担を減らすために、適度な運動や食事管理などを実施して、適正体重を目指しましょう。 手すりを設置する 変形性股関節症の症状軽減には、股関節に負荷がかかりやすい場所に手すりを設置するのがおすすめです。昇降動作は、股関節に負荷がかかるだけでなく、転倒するリスクが高まります。 例えば、お風呂場やトイレなど、立ち座り動作がある場所に手すりを設けると関節への負担軽減が期待できます。また、浴槽へ浸かるためにまたぐ場合は、脱臼しやすくなるため注意が必要です。 階段やお風呂場などに手すりをつけると関節への負荷と転倒リスクを減らせます。 靴の選び方を意識する 変形性股関節症の症状を軽減するには、靴選びが重要です。靴を工夫すると痛みや疲れを軽減できるため、変形性股関節症の症状緩和が期待できます。 変形性股関節症の患者が靴を選ぶ際のポイントは、以下の通りです。 足の長さの差を整えて臀筋のサポートができるもの 靴の先端が丸くローリング加工が施されているもの(スムーズに押し出せる) クッション性が高く着地の際に衝撃軽減できるもの 身体が左右に揺れたり、地面の衝撃が強かったりすると痛みを感じやすくなる原因になるため、安定感を高められるよう靴の加工やインソールを工夫しましょう。 杖の使用を検討する 杖は股関節への負担を軽減し、痛みを和らげる効果が期待できるため、日常生活で積極的に活用するのが効果的です。変形性股関節症で杖を使用すると歩く際に安定感が高まり、歩幅を広げるメリットがあります。 また、バランスを安定させられる杖の使用は転倒のリスクを減らせます。変形性股関節症の方が杖を選ぶときのポイントは、以下の通りです。 症状や生活スタイルに適した種類を選ぶ 身長に合った長さのものを選ぶ 杖を使用する際は、正しい使い方を覚えておくのもポイントです。 痛めにくい歩き方の特徴を押さえておく 変形性股関節症の場合、正しい歩き方が症状軽減につながります。痛めにくい歩き方の特徴を押さえておくと、関節への負荷を軽減できるため、動くのを億劫に感じにくくなる点がメリットです。 歩く際は、かかとから着地して、つま先で地面を蹴るように意識しましょう。着地するときに足首や膝関節が衝撃を吸収するため、股関節にかかる負担を軽減できます。 また、歩くときは背筋を伸ばすのもポイントです。べた足やすり足は股関節への負担が大きいだけでなく、転倒のリスクが高まるため、正しい歩き方のコツを押さえましょう。 変形性股関節症におすすめのストレッチ 変形性股関節症の場合、股関節まわりの筋肉を緩めるストレッチを取り入れるのが効果的です。ストレッチを取り入れると、股関節まわりの筋肉をほぐせるため、可動域が広がります。 変形性股関節症の患者におすすめのストレッチ方法は、以下の通りです。 仰向けになる 膝を両手でゆっくり抱える 膝をゆっくり抱えた状態を10秒キープする (1)~(3)の動作を5回繰り返す ストレッチをするときは、呼吸を忘れないようにするのがポイントです。また、肩の力は抜きリラックスした状態を意識しましょう。ただし、痛みを感じた場合は、直ちにストレッチを中断してください。 変形性股関節症にお悩みの場合は再生医療を選択するのも手段の一つ 変形性股関節症に対しては、再生医療も治療選択肢となります。治療法の一つとなる幹細胞治療では、採取した幹細胞を培養して股関節に注入します。 当院「リペアセルクリニック」では、患者様自身から米粒2~3粒程度の脂肪を摂取して幹細胞を培養、投与します。幹細胞は冷凍せず、投与の度に採取するのが当院の特徴です。 また、再生医療は入院が不要です。 当院では、メール相談やオンラインカウンセリングを受け付けておりますので、治療に関する悩みがある方は、お気軽にお問い合わせください。 まとめ・変形性股関節症の治し方を参考に適切な治療を選ぼう 変形性股関節症の治し方には、物理療法やリハビリ療法などの保存治療があります。保存治療で症状回復が見込めなかった場合、手術治療法を行うケースが一般的です。 変形性股関節症を進行させないためには股関節へ負荷がかからないように和式から洋式へと生活スタイルを見直し、自分のペースで痛みのない運動療法に継続して取り組むのが大切です。 また、手術を必要としない再生医療を選択するのも手段の一つになります。変形性股関節の治し方を理解したうえで、ご自身に合った治療法を選択しましょう。
2022.01.22 -
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変形性股関節症|股関節の負担が大きな「立ち上がり動作」で注意したいこと 変形性股関節症を発症すると、軟骨のすり減りや骨の変形を防ぐため、できるだけ股関節に負担を掛けないようにする必要があります。 特に、変形性股関節症の日常生活で気をつけて欲しい動作として、「立ち上がり動作」があります。今回は、変形性股関節症を発症した場合に、なぜ「立ち上がり動作に気をつけるべきなのか」について、その理由を解説します。 変形性股関節症とは 変形性股関節症とは、股関節にある軟骨が「すり減り」、骨の変形によって「股関節の隙間」が減ることで、骨同士が直接すれ合うことで痛みを感じる病気です。 軟骨のすり減りや、骨が変形するような股関節の摩耗は、多くの場合、加齢が中心ですが、実はそれ以外にも日常動作や、激しいスポーツでの負担が原因となっている場合があります。 いずれの理由であっても一旦、軟骨のすり減りや、骨が変形し、組織が損傷してしまうと元通りの状態に治すのは、非常に難しくなります。 変形性股関節症を発症後の「立ち上がり動作」は、股関節の屈曲による負担がかかる上、体重もかかってしまうため、「股関節にとっては大きな負担」になりやすい動作となります。 そのため、変形性股関節症は、可能な限り股関節に負担がかからないように過ごすことを意識し、進行を遅らせる努力が必要になります。 その意味で立ち上がり動作には特に特に気をつけなければなりません。変形性股関節症で股関節の負担に関わる「立ち上がり動作」で気を付けたいことを記してまいります 立ち上がり動作しだいで症状が悪化しかねない 変形性股関節症は、股関節を使用することで症状が進む病気です。しかも、立ち上がり動作は股関節に大きな負担がかかる動作です。股関節は、歩くときにはもちろん、立っているだけでも負担がかかります。 前傾した姿勢や、しゃがみこんだ姿勢から立つような「立ち上がり動作」をするときには、大きな動きをしていないつもりでも自分自身の体重そのものが股関節に負荷を与えることになるため、どうしても痛みを伴います。 立ち上がり動作を繰り返すと痛みが出る 初期の変形性股関節症では、痛みを感じない場合が多くあります。 初期のころは、痛みがないだけに不用意に股関節に負荷をかけがちとなり、注意が必要です。股関節への負担が日常的に続くと軟骨のすり減りが進むことになります。股関節の摩耗や疲弊が進むと期せずして歩行時、立ち上がり時に徐々に痛みが出るようになります。 このように変形性股関節症を発症後、頻繁に「立ち上がり動作」を繰り返すと、関節の摩耗や疲弊が進み、症状が進行して痛みを強く感じるようになります。さらに症状が進行すると安静にしていても痛みを感じたり、就寝時にも痛みで目が覚め、眠れなくなってしまうこともあります。 股関節以外(腰や膝)にも負担がかかります 注意したいのは、変形性股関節症の人が「立ち上がり動作」を行うと、どうしても股関節をかばってしまうため腰や、膝にも負担がかかり、時間とともに「腰の痛み」や、「膝の痛み」に繋がる可能性があります。 負担の少ない「立ち上がり動作」をするために 変形性股関節症を発症した場合でも、できるだけ症状の進行は抑えたいものです。そのためには、日常の過ごし方はがとても大切になります。 生活様式を洋式に変える 立ち上がり動作が股関節に負担になる…とはいっても、症状によっては、まだ痛みが少なく、痛みなしに立ち上がることができる場合があるかもしれません。それでも症状は徐々に進行していきます。 注意が必要とはいえ、日常生活で立ち上がり動作を一切しないことは難しいと思います。そのようなときには、生活自体を変更してく必要性があります。 例えば床に布団を敷くことはやめてベッドにする。トイレが和式であるなら洋式に変更する。畳に座っているなら椅子にする。食事もテーブルで行う。玄関には椅子を置くなど、生活様式そのものを徹底して、洋風に変えたり、しゃがむ動作を無くしていく工夫が大切です。 そうすることで、変形性股関節症であっても日常生活上で立ち上がる動作を減らすことが可能になります。 生活様式を変える/生活を洋風にするイメージ 布団をやめてベットにする トイレを和式から洋式にする 畳から椅子にする 低いテーブルから、椅子に座って使うテーブルにする その他 筋肉をつけるようにする 変形性股関節症で、強い痛みを感じるようになると、ますます歩くことが億劫になり、そうなると股関節周辺の筋力も低下してきます。そもそも股関節は筋肉によってサポートされているため、筋力の低下は、変形性股関節症を悪化させる原因になります。 そのため、負担の少ない適度な運動をおこない、筋力をつける意識を持つことが必要です。 変形性股関節症で立ち上がり動作を繰り返し続けるとどうなる? 立ち上がり動作とは、例えば下記ような日常の動作のことを指します。どれも日常生活でおこなうことが多い動作です。変形性股関節症の人が、このような立ち上がり動作を繰り返し続けるとどうなるのでしょうか。 無理していると 落ちている物を拾う 椅子から立ち上がる トイレに行く 靴ひも結ぶ 靴下を履く・・・ 歩くのも困難になりかねない 変形性股関節症は、初期の場合は痛みを感じない場合もありますが、軟骨のすり減りが進み股関節の隙間がなくなってくると、骨同士が直接こすれあうようになり痛みが出始めます。 股関節は歩く際にも使用されるため、症状の進んだ変形性膝関節症の人は歩くことすら難しくなる可能性があります。 進行すると杖や車いすに移動を頼るようになる 杖を使うことで股関節への負担を軽減することができるため、より早い段階で杖を使うと症状の進行を抑えることができます。 しかし、徐々に変形性股関節症が進むと、歩き始めや歩行時にも痛みを感じるようになり、最終的には歩くことが困難となり、車いすに移動を頼ることになってしまう可能性があります。 変形性股関節症の治療に「再生医療」という選択肢 これまでの変形性股関節症は、損傷した軟骨や骨の変形は二度と元に戻らないため、最終的な治療として今ある関節を人工関節に置換える手術を行うしかありませんでした。 しかし、外科的な手術には抵抗がある、療養期間が長くなることから仕事が忙しいなどの理由で手術を躊躇する。その他、さまざまな理由から手術を受けることができないという人もいます。 また、人工関節を入れる手術をしても、人工関節のメンテナンスのための通院や、最も憂慮すべきは、人工関節の経年劣化による再手術の必要性があるということです。 そこで紹介するのが、「再生医療」です。再生医療とは、自分自身の「幹細胞」や「血小板」を用いて、股関節の修復を促す新しい治療方法です。 自己脂肪由来・幹細胞治療 幹細胞には、さまざまな細胞に変化する能力があり、皮膚や筋肉のほか、軟骨や骨にも変化できる細胞です。この幹細胞の能力を利用して軟骨や骨の変形の修復を促し、痛みの改善を目指すのが、「自己脂肪由来・幹細胞治療」という再生医療です。 PRP療法・再生医療 血液に含まれる血小板にも、組織を修復する能力があります。自分の血液を採取し、血小板を濃縮させたものを損傷した部位へ注入することで、関節組織の修復や再生を促し、痛みの改善を目指すのがPRP再生医療です。 再生医療は、副作用のリスクが少なく、メリットが多い 自己脂肪由来・幹細胞治療、PRP再生医療は、どちらの治療方法も、自分自身の細胞や血液を用いるため、拒絶反応や、アレルギーなどの副作用の心配が少なく、安全性が高く治療期間も短いという特徴があります。 さらに、手術よりも身体的な負担が少なく、手術の時間が取れない、高齢で手術をする体力がない人でも受けられるというメリットがあります。 まとめ・変形性股関節症|股関節の負担が大きい立ち上がり動作に注意 変形性股関節症の人が気をつけるべき「立ち上がり動作」についてご紹介しました。立ち上がり動作は、日常生活をする上で、どうしても必要な動作ですが股関節に負担のかからない方法で動作をおこなう工夫をするなどして、変形性股関節症の進行を遅らせるように意識しましょう。 しかし、工夫して進行を遅らせることは可能であっても、残念ながら症状そのものの進行を止めることはできません。いつしか痛みが強くなり、最終的には安静にしていても痛みを感じるようになるばかりか、移動を車椅子に頼らざるを得なくなることは希ではありません。 このように日常生活に支障をきたすような場合、手術によって人工関節に置換える治療法もありますが近年は、手術を避けて再生医療を選択することも可能になりました。 以上、変形性股関節症を発症した場合は、立ち上がり動作をはじめ、股関節に負担をかけない意識で生活しましょう。もちろん早期に整形外科をはじめ、病院等にて専門的な治療をお受けになること強くお勧め致します。 尚、既に治療をはじめておられ、その治療では効果を感じづらい、手術を受ける時間がない、できるだけ副作用の心配がない治療を受けたい。そもそも手術は嫌だ!という場合は、「再生医療」も選択肢のひとつとして検討されることをオススメします。 https://youtu.be/isSkwxfHrbI?si=-Q71vVuG9D6rlNPe ▶こちらの動画も是非ご覧ください。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術・入院を避けて改善することが可能です ▼話題/以下もご覧ください 変形性股関節症|農業で発症、やめる!やめない?悪化させないために
2021.12.17 -
- 股関節
- 変形性股関節症
変形性股関節症を農業で発症!予防と悪化を防ぐには 農業をやっていて、不安定な姿勢で長時間作業を繰り返していくうちに変形性股関節症になってしまい、痛みがつらいという人もいるかもしれません。変形性股関節症は、関節の痛みと機能障害が起こりますが進行すると持続痛となり取れなくなる恐れもあります。 そのため、「変形性股関節症になってしまったら、農業はやめるべきなのか?」「股関節に関節症を発症したら農業は、してはいけない仕事なのか?」「そもそも立ち仕事は避けるべきなのか?」など、不安に感じるられているのではないでしょうか。 そこで今回は、変形性股関節症になったら農業をやめるべきなのか、という疑問について、やめるわけにはいかない場合の予防法と治療について解説します。 結論から言いますと、もし変形性股関節症になってしまった場合でも、「農業をやめるべきである」「してはいけない」とは一概に言いきれません。ただし、変形性股関節症になった状態で通常どおりに農業をおこなうというのは危険です。 変形性関節症になっても農業を続けるには? 変形性関節症になったとしても農業を続けたい場合は、痛みのコントロールや症状の進行を抑えるための治療をおこなうことが大切です。痛みの緩和や症状の進行を抑えていく必要があります。 股関節に負担がかからないように生活する 変形性股関節症は、股関節に負担がかかることにより痛みが生じ、症状が進行します。股関節には、農業以外にも、立ち仕事はもちろん、日常生活の中でも無意識のうちに大きな負担がかかる動作や仕事があります。 例えば、歩くだけでも負担がかかりますし、トイレが和式であったり、いつも履いている靴の質が悪いなどということが股関節への大きな負担になることもあります。 そのため、なるべく股関節に負担がかからないよう生活スタイルを変えることや、クッション性に優れ、弾力があって股関節への衝撃を和らげることができる靴を選ぶなど、身近なところから股関節への負担を軽減するように変えていくことが必要です。 変形性股関節症の治療法を検討する 変形性股関節症には、いくつか治療法が存在します。変形性股関節症の場合、股関節に負担のかからないエクササイズや、水中運動などの運動療法が有効です。 このした治療法は、股関節周辺の筋力をつけていくことで、痛みを緩和させる効果が期待できるからです。そのほかには、薬物による治療方法や、症状が進んでしまった場合には人工関節置換手術などがあります。 長期的かつ健康的な視野で見れば、軽度の変形性股関節症は、運動による治療も可能ですが、日常に支障をきたすレベルで関節が痛むなどの場合は、薬物や手術などによる治療を検討されたほうが良いでしょう。 主治医に相談をする 変形性股関節症では、進行の程度や症状によって治療法が異なります。股関節に違和感がある、痛みがあるという場合は、まずは、整形外科をはじめとした専門の医療機関を受診し、診断をしてもらいましょう。 その上で、これまで通りに農作業をおこなっても良いのか、股関節への負担を軽くするために、農業のやり方を変えていくほうがいいのかなどについて主治医に相談してみてください。 農業をしていると変形性股関節症になりやすいの? 農業をしていると変形性股関節症になりやすいという声もありますが、実際のところはどうなのでしょうか。 結論から述べますと、一概に農業をしていると必ず変形性股関節症になるというわけではありません。しかし、農業と変形性股関節症にはいくつかの関係性があります。 農業は変形性股関節症の原因となる姿勢や動作が多い 農業は長時間の立ち仕事であることはもちろんのこと、重たいものを運ぶ、不安定な体勢で作業をするなど、変形性股関節症の原因となる動作が多いです。 変形性股関節症は、股関節への過度な負荷によって引き起こされるため、そういう意味でも農業は多かれ少なかれ変形性股関節症のリスクがあると言えるでしょう。 農業でかかる関節への負担は股関節だけではない 農業は、不安定な姿勢が多いため股関節に負担がかかると言われますが、そのほかの関節にも負担がかかり、膝や腰を痛める人もいます。また、股関節に痛みが生じ、その痛みをかばいながら作業をすると、今度は腰や膝などほかの関節の痛みも併発する可能性もあります。 つまり農業は、股関節だけでなく全身の関節との付き合い方がとても大切になってくる職業であると言えます。 変形性股関節症|予防と悪化させないために 農業だけが変形性股関節症になるリスクがあるというわけではありません。 しかし、農業には変形性股関節症になるリスクが大きな動作が多いことは間違いありません。そのため、農業で変形性股関節症にならないように意識し、悪化させないようにするための予防が必要です。 椅子に座って農業をする 長時間の立ち仕事による農業は股関節に負担をかけるため、変形性股関節症になるリスクがあります。ですから、立ち仕事の時間を減らせるように工夫しましょう。最近は、座ったまま移動ができるキャスター付の農業作業用の椅子などが広く出回っています。そういったアイテムの使用もおススメです。 休憩をこまめにとる 農業で変形性股関節症にならないようにするには、小まめに休憩をとるようにしましょう。 一般のサラリーマンに比べ、農業は明確な就業時間や休憩時間が決まっていないことが多いと思います。そのため、農業を営む人の中には、定期的な休憩を取らずに働いてしまう人もいるようです。 しかし、休憩を取らずに、働き続けることは良くありません。例えば一時間ごとに10分などと決めておくと休憩を意識しやすくなります。どうしても休憩が取りづらい状況であるならば、立ち仕事を減らす工夫や、少しでも関節への負担をかけない工夫をしましょう。 疲労がたまったらストレッチをする 農業をしていて股関節が痛く感じることがあれば、疲労がたまっている証拠です。もしも痛みを感じたら、少し休み、股関節周辺のストレッチをしましょう。 また、お風呂上がりや寝る前などにも、太ももの筋肉やお尻の後ろにある大殿筋などをほぐすようにストレッチするのも効果的です。農業による筋肉の疲労を放置せず、日々しっかりとストレッチをすることで、変形性股関節症の予防につながります。 変形性股関節症でも農業を続けられる関節の痛みの緩和法とは 変形性股関節症になった状態で農業を続けることは大変です。しかし、医師の判断にもよりますし、個人差もありますが、痛みのコントロールをすることができれば、ある程度は農業を続けることが可能でしょう。 変形性股関節症の痛みの緩和方法を紹介します。 関節を温める 関節を温めることによって痛みを緩和できます。ホットタオルや使い捨てカイロなどで関節を温めましょう。股関節を温めることで血行が良くなり、体の修復機能が向上するので、「痛みの緩和」が期待できます。 半身浴をする 関節を温め、血行を良くするという観点から、半身浴もおススメです。お湯の温度を38度から40度ぐらいに設定して半身浴をしてみてください。ホットタオルなどで部分的に温めるよりも、半身浴は股関節全体を温めて、より血行を良くする効果が期待できます。 また半身浴は変形性股関節症の痛みをやわらげるだけでなく、血行が良くなることで体の新陳代謝機能が上がるため、健康そのものにも効果的です。毎日の疲れをとるためにも、ゆっくり半身浴をするという習慣を取り入れてみるのも良いでしょう。 農業を続けたい!変形性股関節症には再生医療という治療方法もある! 変形性股関節症になり、痛みが生じるようになると、農業を続けることが大変になってきますが、それでも農業を続けたい!そもそも農業が生業でやめるわけにはいかない!という場合は、短い治療期間で済み、副作用のリスクも少ない最先端の治療法「再生医療」という選択肢もあります。 再生医療で痛みの改善が可能になれば、生活の質が上がりますし、人工関節に置換えるなどの外科的手術も不要になる可能性が高まります。変形性股関節症の痛みで農作業に支障があると悩まれているのであれば、検討される価値のある治療法です。 https://youtu.be/isSkwxfHrbI?si=xBpcu7q-w5wcdT8Y ▶こちらの動画では、変形性股関節症に効果的な再生医療について解説しています。是非ご覧ください。 まとめ・変形性股関節症を農業で発症!予防と悪化を防ぐには 農業をしていると必ず変形性股関節症になるというわけではありません。しかし、ほかの仕事に比べて股関節への負担がかかりやすい農業は、股関節に対する関節症、特に変形性股関節症のリスクがあるのは確かです。 現在、農業に携わっていて変形性股関節症に悩まされている人や、痛みが強くなったら農業ができなくなるのではないかと不安に感じている人は、今回ご紹介した予防や痛みを緩和する方法を試されてはいかがでしょうか。 また、変形性股関節症は専門医による治療が必要です。せっかく診断を受けても軽度ならと仕事を優先し、つい無理な作業や立ち仕事を続けられてしまう方もおられます。 ご注意頂きたいのは放置して自然治癒することはありません。変形性股関節症は放置すると症状が進行する病気です。早めに専門医の指導の下、適切な治療を受けましょう。 以上、変変形性股関節症は農業で起こりやすいのか?その予防と治療法について、という視点でからご説明させていただきました。変形性股関節症と正しく向き合い、毎日元気に農業を続けていきたいものです。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼以下もぜひご覧ください 変形性股関節症を悪化させないために気をつけたいこと
2021.02.10 -
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「歩くときにふらつく感じがするので、杖を使いたいけれど選び方がわからない」 「すでに杖を使っているけれど、本当に自分に合っているのか自信がない」変形性股関節症と診断され、歩行時の不安から上記のように悩む方もいるでしょう。 不安定になりがちな足元を支え、歩行を助けてくれる杖は、もう1本の足ともいえます。 本記事では、変形性股関節症に適した杖の選び方と気を付けたいポイントを解説します。杖の正しい使い方も紹介するので、少しでも股関節の負担を軽減させたい方は、参考にしてください。 変形性股関節症に合った正しい杖の選び方と気をつけたいポイント せっかく杖を買っても自分に合っていなければ、歩くたびに股関節へ余計な負担がかかってしまう恐れがあります。杖を購入する際は、実際に自分で持って歩いてみるのも大切ですが、理学療法士や専門の医師に相談すると良いでしょう。 変形性股関節症に合った杖の選び方について、気をつけたいポイントも交えて紹介します。 変形性股関節症に関して詳しく知りたい人は、こちらの記事もご覧ください。 1)杖の重さ 杖を選ぶうえで、とくに重視したい点は軽さと強度です。 一般的に販売されているのは、軽さと強度を兼ね備えたアルミ製や、より軽いカーボン製の杖で、軽量でありながら強度の高さが特徴です。 重量がある杖は十分な強度をもつだけでなく、歩行に安心感を与えるメリットがあります。 ただし、あまりに重い杖は持つ手や腕に負担がかかるため、使い続けると疲れやすく結果的に使いづらく感じてしまうかもしれません。 杖の重さ メリット デメリット 重い杖 頑丈、安心感 使用で疲れ、使いづらくなる 軽い杖 軽量で強度が高く使いやすい 安定性は重い杖に劣る 2)握りやすさ 杖を選ぶポイントは、持ち手が自分の手になじみ、無理なく握れる太さである点です。 持ち手の素材には、木製やゴム製などさまざまな種類があります。滑りにくく自分の手にフィットする素材を選ぶと、握力が弱い人でも疲れにくく快適に使用できるでしょう。 購入前は実際に握って歩く練習をすると、自分に合った持ち手の杖を見つけられます。 3)長さ 杖の長さは「身長÷2+2~3cm」が目安といわれています。 短すぎる杖を使うと前傾姿勢になり、股関節への負担が大きくなるため、歩行を補助するつもりが、かえって症状が悪化する原因になりかねません。 一方、長すぎると扱いづらく、スムーズな歩行を妨げます。長時間の使用や長距離を歩行する際には、疲れやすさを感じるでしょう。 正しい姿勢で歩けるよう、自分にあった適切な長さの杖を選ぶのがポイントです。伸縮可能なタイプも販売されており、自分の身長に合わせて細かく長さを調整して使用できます。 適切な長さポイント 身長の半分に2〜3cmプラスした長さ 正しい姿勢で歩行できるよう調整する → 短い杖:前に姿勢が倒れるため、股関節への負担が大きい → 長い杖:扱いづらさや歩きにくさを感じ、疲れやすくなる 【症状別】変形性股関節症の方に適した杖の種類 杖には複数の種類があり、杖の形も歩きやすさに影響を与えます。 変形性股関節症の症状に適した杖の種類を紹介するので、ご自身に合った形が探せるよう基本的な性能を比べてみてください。 【症状が軽い方】T字杖 T字杖は、一本杖に握り手がついたタイプで、一般的な杖のひとつです。T字杖は、特別な使い方を覚える必要がなく誰でも簡単に使用できるため、比較的症状が軽い人に向いています。 多脚杖ほど安定しないため、高齢者や症状が進み自力での歩くのが困難な人には、安定性の面から不向きといえます。 同じT字杖でも、持ち手の形状や大きさ、重心などさまざまな種類があります。持ち運びに便利な折りたたみ式の製品もあるため、実際の使用感や使用シーンを考慮して選びましょう。 【手が変形している方】ロフストランド杖 ロフストランド杖は、別名「前腕固定型杖」とも呼ばれる一本杖の一種です。上部にある腕を通す輪と、下部についている握り手の2点で体重を支えられる構造になっており、T字杖よりも安定感があります。 手が変形している人や、握力・腕の筋力が低下し、T字杖では歩行時に体重を支えきれない人などに選択されます。 【筋力が低下している方】多脚杖 3点あるいは4点が地面と接する多脚杖は、接地面が複数あり体重が分散されるため、T字杖よりも安定感が増します。 一本杖では歩く際にふらつく人や、症状が進み筋力が低下している人には、多脚杖がおすすめです。 変形性股関節症の痛みが強い場合、杖に体重を預けて歩く機会が増えますが、多脚杖は高い安定性により転倒リスクを軽減できるメリットがあります。一方、一本杖よりも重くなってしまうデメリットもあるのも事実です。 変形性股関節症における正しい杖の使い方 変形性股関節症の人は、購入した杖の効果を発揮できるよう購入したお店や受診している医院などで使い方の指導を受けるようにしましょう。 正しく杖を使えると、痛みが改善されるだけでなく、歩行が楽に感じられ、行動範囲も広がります。 本章では、正しい杖の使い方を紹介します。 杖は痛みのある足と反対側の手で持つ 杖を使う際は、痛みがある足と反対側の手で持つのが基本です。 たとえば、右股関節が痛いなら左手で、左股関節が痛いなら右手で杖を持ちます。症状がある反対側の手で杖を持つと、歩行時に体重を分散させ、痛みのある股関節にかかる負担が減らせます。 痛みがある足と同じ側の手で杖を持つと、体重が痛みのある足に偏り、さらに負担がかかって症状が悪化する恐れがあるため、注意してください。 杖を持つ際は、体の横で自然に腕を下ろした位置が基本です。杖の長さは身長に合わせて調節し、肘が伸びきらず軽く曲がる程度の高さに設定しましょう。 杖と痛みのある足を同時に出す 歩行時は、杖と痛みのある足を同時に出すのが基本です。 右足が痛む場合は、左手の杖と右足を前に出し、続けて左足を前に出します。右足を出した際に、左手の杖に体重を預けるよう意識すると、痛みがある足への負担が軽減できます。 「杖と痛みがある足を同時に出す」動作を意識的に繰り返せると、歩行のリズムが整い体の重心が安定するでしょう。平地での歩行に慣れたら、少しずつ歩幅を広げていくと、より自然な歩行に近づきます。 杖に体重を預けすぎず、あくまで補助として使う意識が大切です。 階段は手すりも利用してゆっくり昇降する 階段の昇降は、平地の歩行以上に注意が必要です。とくに、変形性股関節症の人は股関節の動きが制限されるため、バランスを崩しやすく転倒リスクが高まります。必ず手すりを利用し、1段ずつゆっくりと、安全を最優先に昇降しましょう。 <階段の上り方> 杖を1段上に出す 痛みがない側の足を1段上げる 杖で体重を支えながら痛みのある足を引き上げる <階段の下り方> 杖を1段下に下ろす 痛みのある足を下ろす 杖で体重を支えながら痛みのない足を下ろす 「上る際は健康な足から、下りる際は痛みがある足から」という手順を守り、1段ずつ確実に昇降します。焦らず、自分のペースを守るのが、転倒防止につながります。 手すりがない階段や、どうしても不安な場合は、他の人に介助を求めることも検討しましょう。 変形性股関節症で杖を使うメリット 変形性股関節症の人にとって、杖は単なる歩行補助具ではありません。適切に杖を使用すると、日常生活の質を大きく向上できます。 杖の使用がもたらす具体的なメリットを紹介するので、ぜひチェックしてください。 股関節への負担が減らせる 変形性股関節症の方が杖を使うメリットとして、股関節にかかる負担を軽減できる点が挙げられます。 歩行時は、両足の股関節に体重が均等にかかるのが理想的です。しかし、変形性股関節症では、痛みから無意識のうちに痛みがない足に体重をかけてしまう傾向があります。 片方の足に体重が偏ったままだと、股関節にかかる負担も増加し、症状悪化の可能性があるのも事実です。 杖を使用すると、体重の一部が杖に分散され、股関節にかかる圧力が減少します。とくに、長時間の歩行や階段の昇降など、股関節に負担がかかりやすい状況下でも、杖は大きな助けとなるでしょう。 歩行時の痛みが和らぎ安定する 杖の使用は歩行時の痛みを和らげ、歩行が安定するメリットをもたらします。杖が第3の足となり体の重心が安定すると、ふらつき・よろめきは軽減され、転倒リスクを減らせるでしょう。 変形性股関節症による歩行時の痛みは、多くの人が抱える悩みです。 痛みが強いと、トイレ・お風呂などの日常動作が億劫になり、筋力低下や症状悪化などの悪循環に陥る人もいます。さらに症状が進むと寝たきりになってしまう可能性があります。 安定した歩行は、身体的なメリットだけでなく、精神的な安定にもつながります。 歩行範囲が拡大し運動不足が解消する 変形性股関節症で歩行がつらくなっていても、正しく杖を使えると、痛みが軽減されて歩行範囲も広くなります。 「少し遠くまで歩いてみよう」「新しいお店に行ってみよう」と、意欲的に行動できるようになるかもしれません。 歩行範囲が広がると、運動不足の解消にも大きく貢献します。変形性股関節症の人は痛みから運動不足になりがちですが、歩けると筋力維持や関節の柔軟性向上につながります。 散歩や買い物など、日常生活の中で無理なく運動を取り入れ、より健康的な毎日を過ごしましょう。 変形性股関節症に合った杖を選んで歩行の負担を減らそう 変形性股関節症で杖を使う場合は、症状に合った種類の杖を選ぶのが大切です。自分の身長に合った高さや握りやすさだけでなく、使用シーンや使用時間も考慮すると、より使いやすい杖を選べます。 自分にピッタリな杖を選べると、股関節への負担が減るだけでなく、行動範囲も広がるなどのメリットをもたらします。変形性股関節症で杖の選び方や使い方に悩んでいる人は、実際に販売している店舗や病院へ行って理学療法士や専門の医師によるアドバイスを受けながら杖を選ぶと良いでしょう。 変形性股関節症についてはこちらもご参照ください。
2021.02.08 -
- 股関節
- 変形性股関節症
股関節の痛みが強いときに行われる治療のひとつに、ステロイド注射があります。 とくに変形性股関節症の治療では、痛みを和らげるためにステロイド注射がよく使われますが、長期間の使用には副作用のリスクがあるため注意が必要です。 本記事では、股関節のステロイド注射の必要性や副作用の可能性について詳しく解説します。 治療に対する不安を少しでも軽減できるよう、正しい知識を身につけておきましょう。 変形性股関節症の治療|ステロイド薬の必要性と副作用を解説 ステロイドは、変形性股関節症の保存療法の一環でよく使われる薬です。 痛みに効く薬として、主にステロイド注射や経口薬として治療に用いられます。 「必要性は理解できるけど、副作用が気になる」 「どのぐらいの効果があるの?」など 副作用や効果について不安を感じる方は多く、なかには、ステロイドの使用を躊躇してしまう方もいらっしゃいます。 本章では、変形性股関節症に対するステロイド薬を用いた治療についてご説明します。 変形性股関節症におけるステロイド薬の使用目的とは? ステロイド薬は、痛みの緩和や痛みを抑える目的で使用されます。 変形性股関節症は、股関節の軟骨が摩耗し、関節が変形して痛みや可動域の制限を引き起こす疾患です。 治療法には「保存療法」と「手術療法」があり、初期から中期の症状の場合は保存療法で治療します。 保存療法では、手術を回避するためにまず痛みの緩和が求められます。 これは、運動療法の効果を高めるためだけでなく、痛みによって生じる体の防御反応を抑える目的もあります。 股関節に痛みがあると、無意識のうちに他の筋肉や組織に余計な負担がかかるため、ステロイド注射などで痛みを防ぐことが重要です。 ステロイド薬には抗炎症作用と鎮痛作用がある ステロイド薬の効果は、痛みを抑えるだけでなく、痛みの原因となる炎症そのものを抑える効果があります。 痛みの原因物質の産生を抑え、強い抗炎症作用や鎮痛(痛みを止める)作用を発揮します。 そのため、変形性股関節症でステロイド注射や経口薬を使用すると、炎症を抑え、痛みを軽減するなどの改善効果が期待できます。 ただし、ステロイド薬は免疫力の低下や骨密度の低下など、副作用が起こる可能性もあるため使用には注意が必要です。 ステロイド薬の効果時間(期間)はどのくらい? ステロイド薬の効果時間は、使用方法や投与経路によって異なります。 一般的に、以下のような持続時間が考えられます。 経口薬(内服薬):数時間〜1日程度 薬の種類によって異なりますが、中程度の作用時間を持つ薬は1日に1〜2回の服用が必要になる場合が多いです。 注射(関節内注射):1週間〜数か月 特に関節内に投与されるステロイド注射は、短期間で効果が現れ、持続時間は数週間から数か月とされています。 外用薬(塗り薬):数時間〜1日 皮膚に塗るタイプのステロイドは即効性があり、1日数回塗布することで効果を持続させます。 吸入薬:数時間〜1日 喘息などの治療に使用される吸入ステロイドは、即効性よりも継続的な使用で効果を発揮します。 変形性股関節症においては、ステロイド注射が使用される場合が多く、一時的に痛みを和らげる効果が期待できますが、持続時間には個人差があり、効果が切れると再度痛みが現れることもあります。 ステロイド薬の副作用 ステロイドは、さまざまな病気の治療に使用されていますが、長期間または高用量で使用すると、副作用が現れる可能性があります。 主な副作用として、次の5つがあります。 免疫力の低下 骨密度の低下(骨粗しょう症) 血糖値の上昇(糖尿病のリスク) 体重増加・むくみ 精神的な影響 ここから、上記副作用の解説とステロイド注射で副作用が現れる期間・対処法について紹介します。 免疫力の低下 ステロイドは免疫機能を抑制するため、感染症にかかりやすくなる可能性があります。 風邪やインフルエンザにかかるリスクが高まるほか、傷の治癒も遅くなるため、手術後の回復にも影響を与える場合があります。 骨密度の低下(骨粗しょう症) 長期間使用すると、骨形成を抑制し、骨吸収を促進することで骨密度低下を引き起こします。 そのため、骨折しやすくなる可能性があります。 とくに高齢者や閉経後の女性は、骨密度の低下が進みやすいため注意が必要です。 骨粗しょう症を予防するために、カルシウムやビタミンDの摂取、適度な運動を心がけましょう。 血糖値の上昇(糖尿病のリスク) ステロイドは血糖値を上げる作用があり、糖尿病の発症リスクを高めることがあります。 糖尿病の既往がある場合や家族に糖尿病の人がいる場合は注意が必要です。 体重増加・むくみ ステロイドは体内の水分や塩分のバランスを変えるため、顔や手足がむくみやすくなります。 また、食欲が増進するため、体重が増えやすくなります。 塩分を控えた食事と、適度な運動で、体重増加を抑えることが可能です。 精神的な影響 ステロイドの使用により、気分の変動が大きくなったり、不眠、不安感、うつ症状が現れたりする場合があります。 高用量のステロイド注射や経口薬を使用すると、一時的に気分が高揚する(多幸感)こともありますが、急に気分が落ち込むこともあるため、注意が必要です。 症状が強い場合は、医師に相談し、適切な対策を講じることが大切です。 ステロイド注射の副作用が現れるまでの期間 副作用が現れるまでの期間と主な症状は以下のとおりです。 【ステロイド注射を受けた直後から数時間以内】 注射部位の痛みや腫れ:一時的に患部が痛くなることがありますが、通常は数日以内に治まります。 顔のほてり(フラッシング):特に女性に多く見られ、顔が赤くなったり、体が熱く感じたりする場合があります。 軽度のめまい・頭痛:一時的な症状として現れることがありますが、長く続く場合は医師に相談が必要です。 【ステロイド注射を受けた数日から数週間後】 血糖値の上昇:糖尿病のある人や血糖値が上がりやすい体質の人は、注射後数日以内に血糖値が高くなることがあります。 睡眠障害や気分の変化:一部の人は、注射後に不眠や気分の浮き沈みを感じることがあります。 食欲の増加:ステロイドの影響で食欲が増し、体重増加につながることがあります。 【数ヶ月以上など長期間による、ステロイド注射を受ける場合】 骨密度の低下(骨粗しょう症):長期間にわたる使用は骨をもろくし、骨折のリスクを高めます。 皮膚の変化:皮膚が薄くなったり、注射部位に色素沈着が起こることがあります。 免疫力の低下:頻繁に使用すると感染症にかかりやすくなる可能性があります。 ステロイド注射の副作用が現れるまでの期間は、使用量や個人の体質、健康状態によって異なります。 ステロイド注射を受けた後は、体の変化に注意を払い、少しでも違和感を覚えたら、速やかに医師に相談しましょう。 ステロイド注射で副作用が現れたときの対処法 ステロイド注射後に副作用が現れた場合、軽度の症状であれば、経過を観察などで様子を見る場合が主ですが、症状が重篤であったり、日常生活に支障をきたすような場合は、ステロイドの減量や中止、または他の治療法への変更を検討する必要があります。 軽度な症状でも、自己判断は避け、すぐに医師に相談しましょう。 自己判断で放置してしまうと、症状が悪化し、最悪の場合は命に関わることもあるため、適切な処置を受けることが非常に重要です。 ステロイド薬は、変形性股関節症を根本的に治すものではない ステロイド注射や経口薬による治療は、痛みの改善には効果が期待できますが、損傷した関節を修復する効果はありません。 そのため、痛みの緩和をさせながら様子見はできても、軟骨のすり減りや骨の変形の進行自体を止めるなど、変形性股関節症の根本的な治療をすることはできません。 また、変形性股関節症は進行する病気です。 つまり、ステロイド注射などで治療をおこなったとしても、最終的には手術を行う必要が出てくる可能性があります。 変形性股関節症のステロイド薬での治療はどのように行うのか? 変形性股関節症の治療にはステロイド注射と経口薬があり、まずは経口薬から始め、痛みに対する効果が感じづらくなってきた場合に関節内にステロイドを直接注射します。 ステロイド注射を、直接損傷した股関節に注射することにより、ステロイド薬の強力な抗炎症作用が効果を発揮し、痛みを改善することができます。 しかし、長期的な使用は副作用のリスクがあり、徐々に変形性股関節症の症状が進行するとステロイド注射の薬効が薄れ、効き目が感じられなくなることもあります。 このように薬効がなくなると外科的治療である手術を検討しなければなりません。 ステロイド以外の治療選択肢としての再生医療 ステロイドは炎症を抑える効果が高い一方で、副作用のリスクも伴います。 そのため、近年では再生医療がステロイドに代わる新たな治療法として注目されています。 再生医療は、自己治癒力を高め、損傷した組織や細胞を修復・再生することを目的とした治療法です。 再生医療の治療法には、主にPRP(多血小板血漿)療法と幹細胞治療があります。 どちらも患者様自身から採取した血液・幹細胞を用いるため、副作用のリスクが低いのが特徴です。 再生医療に興味がある方は、ぜひ当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。 まとめ|変形性股関節症の治療におけるステロイド注射の副作用を知っておこう 本記事では、変形性股関節症の治療で使用されるステロイド薬についてご紹介しました。 ステロイド薬には強い抗炎症作用と鎮痛作用があり、経口薬やステロイド注射で、痛みの軽減と緩和が期待できます。 しかし、ステロイドには骨を脆くするなどの薬としての副作用があり、長期的なステロイド治療はおすすめできません。 また、ステロイドは変形性股関節症の根本的な治療に効果を発揮するわけでもありません。ステロイドの特性を知った上での服用が大切です。 いずれにしても、専門医と相談の上、無理のないより良い治療法を探し、痛みと向き合っていただくことをおすすめします。 変形性股関節症には、再生医療という治療選択肢もあります。 再生医療について詳しく知りたい方は、以下もあわせてご覧ください。
2021.02.02 -
- 股関節
- 変形性股関節症
股関節の痛みや違和感が特徴的な「臼蓋形成不全」と診断され、本当に治るのか不安になっていませんか。 なかには症状がつらくて改善するイメージができず、今後の生活が成り立つかどうか心配されている方も多いでしょう。 しかし、臼蓋形成不全は早期治療で改善が期待できます。軽症ならリハビリや安静などの保存療法で症状が緩和されるため、早めの対処が大切です。 本記事では、臼蓋形成不全の治療や日常生活のポイントを詳しく解説します。 この記事を参考に、適切な治療やセルフケアを行って臼蓋形成不全の症状を緩和させましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、股関節痛の軽減や変形性股関節症の重症化予防を目的とした再生医療を行っております。 「メール相談」または「オンラインカウンセリング」にて無料相談を受付中です。股関節痛でお悩みの方は、ぜひ当院までご相談ください。 臼蓋形成不全は適切な治療で治る可能性が高まる 専門医による適切な治療を受けると、臼蓋形成不全の治癒率は高まる可能性があります。 臼蓋形成不全とは、大腿骨をつないでいる骨盤のくぼみ「臼蓋」が浅い状態です。大腿骨と臼蓋の安定性が破綻することで骨盤のバランスが崩れ、股関節の痛みや違和感が生じます。(文献1) ここでは、臼蓋形成不全の主な治療について詳しく解説します。股関節の痛みでつらい方も、本章を参考に前向きに治療を検討してみてください。 1.初期の場合は「保存療法」 「変形性股関節症への進行を防ぐこと」が、臼蓋形成不全の治療目的です。 臼蓋形成不全では、股関節が不安定になりやすい状態です。軽度の場合は股関節を支える筋肉を鍛えるために、筋肉トレーニングを保存療法として取り入れることもあります。 また、つらいときは安静にすることもありますが、筋肉が衰えて歩行困難になるリスクがあるため、長期間続けないようにします。 変形性股関節の保存療法について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。 2.重症の場合は「手術療法」 保存療法で改善がなければ、悪化を予防するために臼蓋を大きくする手術が行われる場合があります。 臼蓋形成不全の治療で用いられる手術は、主に以下の2つです。 術式 方法 骨切り術 股関節の骨を削り、大腿骨との咬み合わせを調整する 人工股関節置換術 人工関節に替え、大腿骨と臼蓋をつなぐ ただし、あくまで手術は保存療法を用いても重症化したときに行われます。臼蓋形成不全の診断を受けても、必ず手術をしなければならないわけではありません。そのため、懸念がある方は医師と入念に話し合ってから決めましょう。 臼蓋形成不全に伴う股関節痛は、保存療法・手術療法以外では「再生医療」を用いた治療も可能です。気になる方は、以下のページをご覧ください。 臼蓋形成不全は「変形性股関節症」のリスクがあるため放置は厳禁 実は、臼蓋形成不全が「変形性股関節症」の発症原因になる可能性があります。 一般的に変形性股関節症の主な発症原因は「加齢」です。しかし、臼蓋形成不全にて股関節が傷みやすい人の場合、若年でも変形性股関節症を発症する場合があります。 また、小児期の臼蓋形成不全は画像診断でわかることが多く、自覚症状がない場合もあります。そのため、幼少期に発症した臼蓋形成不全の後遺症に気が付かず放置し、変形性股関節症になってしまったケースも珍しくありません。 大人になってから股関節の違和感や痛みを放置せず、早期に適切な治療を受けることが大切です。 臼蓋形成不全でやってはいけないこと3つ 臼蓋形成不全になった際にやってはいけないことは、主に以下の3つです。 無理な運動や重労働 しゃがむ動作 関節に負担をかける座り方 本章を参考に日常生活の注意点をおさえ、悪化を防ぐようにしましょう。 無理な運動や重労働 激しい運動や重労働は、股関節に負担がかかります。股関節痛が気になる際は、以下のような動作を避けるようにしましょう。 重たい荷物の持ち運び 股関節を大きく動かす筋トレやストレッチ 激しく飛び跳ねる運動(ジョギング・ジャンプなど) ただし、まったく動かない状態が続くと筋肉が衰えてしまう原因になります。医師の指示に従って適切な運動をしましょう。 しゃがむ動作 深くしゃがむ動作は、股関節周辺の骨に負担をかけるため、痛みの悪化につながります。激しい運動のみならず、何気ない日常生活の動作にも注意が必要です。普段の生活で無意識に深くしゃがみ込む動作の例として、以下があります。 トイレでしゃがむ 床のものを拾う 靴ひもを結ぶ これらを行う際に、うっかり股関節に負担をかけると痛みが増すこともあります。臼蓋形成不全の方は、動作を過剰に繰り返さないよう十分注意しましょう。 座り方 以下の座り方は、股関節に負担をかける可能性があります。股関節の痛みがある際は避けるようにしましょう。 あぐら 正座 横座り とくに、普段から床に直接座る習慣のある方は注意が必要です。地べたに座らず、座布団・クッション・椅子などを活用して股関節の負担を和らげるようにしましょう。 臼蓋形成不全の人におすすめの筋力トレーニング ここからは、臼蓋形成不全の人におすすめの筋トレ方法を3つご紹介します。どれもすぐに実践できる方法のため、股関節痛で悩んでいる方はぜひ実践してみてください。 仰向けで膝を抱えるトレーニング 床の上に、仰向けの状態で横になる 右ひざを両手で抱える 無理のない範囲で胸に引き寄せ、10秒ほどキープ 左膝も同様に2.~3.を行う 自宅でリラックスした状態で、股関節の周りの筋肉を伸ばせます。寝る前や起床時のスキマ時間にお試しください。 立って足を広げるトレーニング 床に垂直になるようにまっすぐ立つ 右足をゆっくり真横に広げ、ゆっくり閉じる 数回繰り返す 左足も同様に行う ※転倒しないよう必要に応じて壁などに手をついて行ってください 上記の動作は、太ももの外側の筋肉が鍛えられます。また、体の軸がぶれないよう意識するとより効果的です。ぜひ実践してみてください。 座って股関節を回すトレーニング 椅子に座る 足を少し浮かせる 足の付け根を右回り・左回りにそれぞれ5回ずつ回す 上記のトレーニングは、股関節を動かす範囲を広げて柔らかくする効果が期待できます。自宅でくつろいでいるときや、仕事の合間にお試しください。 今回ご紹介した筋トレは臼蓋形成不全の方におすすめですが、無理に動かすと股関節の痛みが悪化する恐れがあります。痛みがつらい場合は、運動をすぐに中止してください。 まとめ|臼蓋形成不全を早めに治療して悪化を防ぎましょう 臼蓋形成不全は直ちに生命に関わる疾患ではありませんが、「変形性股関節症へ進行するリスクがある」ことを考えると、放置することは危険、問題になる可能性があります。 股関節に違和感があれば、早めに病院等、医療機関で専門医に相談しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、股関節痛の軽減や変形性股関節症の重症化予防を目的とした再生医療による治療を行っております。 「メール相談」または「オンラインカウンセリング」にて無料相談を受付中です。股関節痛でお悩みの方は、ぜひ当院までご相談ください。 臼蓋形成不全の治療についてよくある質問 臼蓋形成不全は進行しますか? 成長過程で自然治癒する場合が多いものの、臼蓋形成不全が重度になると自然に治らず悪化して変形性股関節症に移行するリスクも考えられます。 臼蓋形成不全は、股関節が不安定になりやすい状態です。軽度の場合は股関節を支える筋力を強化する目的で股関節周囲の筋力トレーニングを行うことがあります。一方で重度の場合は、変形性股関節症に進行するリスクが高いため、臼蓋を大きくするための手術を行う場合もあります。(文献2) 臼蓋形成不全になったら手術した方が良いですか? 臼蓋形成不全と診断されたからと言って、必ず手術しなければならないわけではありません。症状の程度により、適切な治療が異なります。多くの場合であれば保存療法が、重度では手術が選択されます。しかし、医師の判断と患者のライフスタイルや希望によるため、担当医としっかり相談しましょう。 年代別の変形性股関節症の進行リスクについては、以下の記事にて詳しく解説しています。気になる方は、あわせて参考にしてください。 参考文献 (文献1) 南角学ほか.「変形性股関節症患者の臼蓋形成不全は腸腰筋の筋萎縮と関連する」『第49回日本理学療法学術大会 抄録集』2巻(41号), https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2013/0/2013_0526/_article/-char/ja/(最終アクセス:2025年2月19日) (文献2) ニノ宮節夫.「リハ医のための股関節手術-その適応と術式の選択-」『リハビリテーション医学』5巻(35号), p330-p.333, 1998年https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm1964/35/5/35_5_330/_pdf(最終アクセス:2025年2月19日)
2021.01.18