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- 半月板損傷
膝の痛み、気になりますよね? 半月板は膝のクッションの役割を果たす重要な組織。ここでは、半月板損傷の原因から治療まで、医師がわかりやすく丁寧に解説します。加齢や激しいスポーツ、肥満などが原因で起こるこの損傷、実は放置すると変形性膝関節症のリスクを高めることも。早期発見・早期治療が肝心です。あなたの膝の健康を守るための知識を、ぜひここで手に入れてください。 半月板損傷の原因から治療まで解説 膝の痛み、もしかして半月板損傷かも?と心配になりますよね。この記事では、半月板損傷について、原因や症状、診断方法まで、わかりやすく丁寧に解説します。一緒に見ていきましょう。 半月板の役割と構造 半月板は、膝関節の中にあって、太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)の間にあるC字型の軟骨です。左右の膝に1つずつ、合計2つあります。例えるなら、お寺の鐘の中にある撞木(しゅもく)のような形をしています。 半月板の役割は、大きく分けて2つあります。1つ目はクッションの役割です。ジャンプやランニングなどで膝に体重の何倍もの力が加わるとき、半月板が衝撃を吸収し、膝への負担を軽減します。ちょうど、トランポリンのように衝撃を和らげる働きをしています。2つ目は、膝関節を安定させる役割です。半月板があることで、大腿骨と脛骨の接触面がより広くなり、関節が安定し、スムーズな動きが可能になります。これは、積み木を安定させるために、間に小さな積み木を挟むようなイメージです。 半月板は主に水分とコラーゲンでできています。コラーゲンは、体の中の様々な組織を構成するたんぱく質の一種で、皮膚や骨、軟骨などにも含まれています。年齢とともに、この水分とコラーゲンが減少し、半月板はもろくなります。みずみずしいゼリーが乾燥して固くなる様子を想像してみてください。そのため、加齢とともに、以前は問題なかった動きでも、半月板に負担がかかり、損傷しやすくなるのです。 半月板損傷の主な原因3つ 半月板損傷の主な原因は3つあります。 加齢:半月板の水分やコラーゲンが年齢とともに減少し、もろくなるため、損傷しやすくなります。若い頃は何ともなかった動きでも、年齢を重ねると膝への負担が大きくなり、損傷のリスクが高まります。50代以降は特に注意が必要です。 激しいスポーツ:バスケットボール、サッカー、テニスなど、ジャンプや急な方向転換を伴うスポーツは、膝に大きな負担がかかります。特に、プロのスポーツ選手のように、毎日激しいトレーニングを行うと、半月板が損傷するリスクが非常に高くなります。成長期の子供に起こるオスグッド・シュラッター病とは異なり、スポーツによる半月板損傷は大人にも起こりうる疾患です。 肥満:体重が増加すると、膝にかかる負担も増えます。特に、体重がかかった状態で膝をひねると、半月板損傷のリスクが大幅に上昇します。健康的な体重を維持することは、半月板損傷だけでなく、変形性膝関節症などの他の膝の疾患の予防にもつながります。 半月板損傷の症状5つ 半月板損傷の症状は、損傷の程度や場所によって様々です。初期症状は軽微な場合もあり、違和感や音が鳴る程度の場合もあります。しかし、放置すると症状が悪化し、日常生活に支障をきたす可能性があります。 痛み:損傷した部分に炎症が起こり、痛みが生じます。特に、階段の上り下りや正座など、膝を深く曲げたときに強い痛みを感じることが多いです。 腫れ:炎症によって関節内に水が溜まり、膝が腫れることがあります。腫れがひどい場合は、膝のお皿が隠れてしまうこともあります。 関節可動域の制限:痛みや腫れによって、膝の曲げ伸ばしが難しくなります。靴下を履く、椅子に座るといった動作が困難になることもあります。 膝の引っ掛かり感:半月板が裂けると、膝の曲げ伸ばしの際に引っ掛かり感やクリック音を感じることがあります。これは、半月板が裂けて、その裂けた部分が膝関節の動きを妨げているために起こります。 ロッキング:膝が急に動かなくなる状態をロッキングといいます。これは、半月板の一部が剥がれて関節に挟まってしまうことで起こります。ロッキングが起こると、非常に強い痛みを伴い、自力で膝を動かすことが難しくなります。 半月板損傷の診断方法 半月板損傷の診断には、問診、徒手検査、画像検査など、複数の方法を組み合わせて行います。 まず、医師は患者さんの症状について詳しく聞きます(問診)。いつから痛み始めたのか、どのような時に痛むのか、過去に膝を怪我したことがあるかなど、詳細な情報を収集します。次に、医師が膝を触ったり動かしたりして、損傷の有無や程度を調べます(徒手検査)。 レントゲン検査では、骨の状態を確認できます。半月板自体はレントゲンに写りませんが、骨の状態をチェックすることで、他の疾患の可能性を検討したり、MRI検査の必要性を判断したりすることができます。半月板損傷の確定診断には、MRI検査が不可欠です。MRI検査では、半月板の状態を詳細に確認できます。損傷の程度や種類、損傷部位などを正確に把握することができ、適切な治療方針を決定する上で重要な情報となります。近年では、内側半月板根部修復は、部分的な半月板切除や手術をしない治療と比較して、変形性膝関節症や人工関節置換術に至る確率を下げることが示されています。半月板を修復することで、膝関節の機能をより長く維持できる可能性が高まります。また、半月板修復術は、半月板の一部を取り除く手術に比べ、術後の機能的な回復が良好で、時間の経過とともに変性変化も少ないと報告されています。これは、できるだけ半月板を残すことが、長期的な膝関節の健康にとって重要であることを示唆しています。 半月板損傷と間違えやすい疾患 膝に痛みを感じると、「半月板損傷かな?」と不安になりますよね。確かに半月板損傷は膝の痛みの原因として一般的ですが、似たような症状を引き起こす疾患は他にもあります。今回は、半月板損傷と間違えやすい疾患について、それぞれの特徴や違いを詳しく解説します。正しく理解することで、適切な治療に繋がるため、ぜひ最後までお読みください。 変形性膝関節症 変形性膝関節症は、加齢や肥満、激しい運動、遺伝的要因などによって、膝関節の軟骨がすり減り、炎症や痛みが生じる病気です。半月板損傷と同じように、痛み、腫れ、動きの悪さなどが現れます。実は、半月板損傷を適切に治療しないと、将来的に変形性膝関節症のリスクが高まることが知られています。半月板は膝関節のクッションの役割を果たしているため、損傷によってクッション機能が低下すると、関節への負担が増加し、軟骨のすり減りを加速させてしまうのです。 靭帯損傷 靭帯は、骨と骨をつなぎとめる丈夫な紐のような組織です。膝関節には、前十字靭帯、後十字靭帯、内側側副靭帯、外側側副靭帯の4つの主要な靭帯があり、これらが損傷すると、半月板損傷と同様に、痛み、腫れ、関節の不安定感などが現れます。特に、損傷した直後は強い痛みを感じることが多く、膝関節内で出血を起こすこともあります。 半月板損傷との違いは、靭帯損傷の場合、「膝がぐらつく」「外れる感じがする」といった不安定感を伴うことが多い点です。また、損傷の程度によっては、手術が必要になることもあります。特に、前十字靭帯損傷は、スポーツ活動中に多く発生し、半月板損傷を合併することも少なくありません。 鵞足炎(がそくえん) 鵞足とは、膝の内側にある3つの筋肉(縫工筋、薄筋、半腱様筋)の腱が合流する部分のことで、この部分に炎症が起きることを鵞足炎といいます。ランニングやジャンプなどの繰り返しの動作で、鵞足部に摩擦や牽引力が加わり、炎症を引き起こします。 鵞足炎の主な症状は、膝の内側の痛みです。半月板損傷でも膝の内側に痛みを感じることがあるため、鑑別が難しい場合があります。鵞足炎の特徴は、膝を曲げ伸ばしした時や、鵞足の部分を押すと痛みが増すことです。また、安静時にも鈍い痛みを感じることもあります。 オスグッド・シュラッター病 オスグッド・シュラッター病は、成長期の子供、特にスポーツをしている子供に多く見られる疾患です。ジャンプやダッシュなど、膝に負担がかかる運動を繰り返すことで、膝のお皿の下にある脛骨粗面(けいこつそめん)という骨の突起部に炎症が起こります。 オスグッド・シュラッター病の主な症状は、膝の前面の痛みや腫れ、脛骨粗面の圧痛です。運動後に痛みが増強し、安静にすると軽減するのが特徴です。半月板損傷でも似たような症状が出る場合がありますが、オスグッド・シュラッター病は成長期の子供に特有の疾患であるため、年齢である程度区別できます。成長痛と勘違いされることもありますが、適切な治療が必要です。 ジャンパー膝(膝蓋腱炎:しつがいけんえん) ジャンパー膝は、ジャンプ動作を繰り返すことで、膝蓋腱(膝のお皿と脛骨をつなぐ腱)に炎症が起こる病気です。バスケットボールやバレーボールなどのジャンプ動作が多いスポーツ選手に多く見られます。 ジャンパー膝の主な症状は、膝のお皿の下に痛みを感じることです。ジャンプやランニングなど、膝に負担がかかる動作で痛みが増強します。半月板損傷でも似たような症状が出る場合がありますが、ジャンパー膝の場合は、膝のお皿の下を押すと痛みを感じることが特徴です。安静にしていても鈍い痛みを感じることもあります。 これらの疾患は、症状が似ているため自己判断は難しく、医療機関を受診して適切な診断を受けることが重要です。特に、変性半月板病変に対する関節鏡手術は、運動療法と比較して長期的な改善効果が示されていないという研究結果もあり、安易に手術を選択するのではなく、保存療法から始めることが推奨されています。どの疾患も早期発見、早期治療が大切です。少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。 半月板損傷の治療法4選 半月板損傷は、スポーツ選手だけでなく、日常生活の中でも起こりうる身近な怪我です。この章では、半月板損傷の治療法について、保存療法と手術療法のそれぞれの特徴や種類、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。 保存療法(リハビリテーション、薬物療法、注射) 保存療法とは、手術を行わずに、リハビリテーション、薬物療法、注射などを用いて、痛みや腫れなどの症状を和らげ、膝の機能を回復させる治療法です。 まずリハビリテーションについてですが、これはストレッチや筋力トレーニングを通して、膝関節の安定性を高め、関節の動きをスムーズにすることを目的としています。プールでの水中運動のように、膝への負担が少ない運動から始めることで、痛みを悪化させることなくリハビリを進めることができます。痛みが強い時期は無理せず、痛みの様子を見ながら徐々に運動量を増やしていくことが大切です。 薬物療法では、炎症や痛みを抑える薬を使用します。炎症が強い場合は、消炎鎮痛剤の内服薬や湿布薬が処方されるでしょう。痛みが強い場合は、医師と相談して適切な薬を処方してもらいましょう。自己判断で市販薬を服用するのではなく、医師の指示に従って薬を服用することが重要です。 注射による治療では、ヒアルロン酸を関節内に注射することで、関節の動きを滑らかにし、痛みを軽減します。ヒアルロン酸は、関節液の主成分であり、関節のクッションの役割を果たしています。加齢や損傷によってヒアルロン酸が減少すると、関節の動きが悪くなり、痛みが生じやすくなります。ヒアルロン酸注射は、これらの症状を改善する効果が期待できます。 保存療法は体に負担が少ない治療法ですが、症状が改善しない場合や損傷の程度が大きい場合は、手術療法が検討されます。 手術療法の種類 保存療法で症状が改善しない場合や、半月板が大きく断裂している場合は、手術療法が選択されます。手術療法には、大きく分けて半月板修復術と半月板切除術の2種類があります。半月板修復術は損傷した半月板を縫合する手術で、半月板切除術は損傷した半月板の一部または全部を切除する手術です。 手術のメリット・デメリット 手術療法のメリットは、半月板の損傷を直接修復または切除することで、痛みや腫れなどの症状を早期に改善できる可能性があることです。損傷が大きく、日常生活に支障が出ている場合は、手術によって速やかに症状を改善できる可能性があります。 しかし、手術療法にはデメリットもあります。手術による傷や感染症のリスク、術後のリハビリテーション期間の長さ、そして手術費用などが挙げられます。また、半月板切除術では、半月板の一部または全部を取り除くため、将来的に変形性膝関節症のリスクが高まる可能性があることも知られています。半月板は膝関節のクッションの役割を果たしているため、切除によってクッション機能が低下すると、関節への負担が増加し、軟骨のすり減りを加速させてしまう可能性があります。 半月板修復術と半月板切除術 半月板修復術は、損傷した半月板を縫合糸などで修復する手術です。半月板の機能を温存できるため、術後の変形性膝関節症のリスクが低いというメリットがあります。近年では、ハイブリッド型オールインサイドインプラントを用いる方法が一般的で、CT関節造影検査と関節鏡検査で治癒が確認されているという報告があります。これは、半月板修復術の有効性を示す重要な知見です。しかし、半月板の損傷部位や程度によっては、修復が難しい場合もあります。例えば、半月板の辺縁部など、血流が乏しい部位の損傷は治癒しにくいため、修復術が適さない場合があります。 一方、半月板切除術は、損傷した半月板の一部または全部を切除する手術です。修復術に比べて手術時間が短く、回復も早いというメリットがあります。しかし、半月板の機能が失われるため、長期的には変形性膝関節症のリスクが高まる可能性があります。 どちらの手術法が適しているかは、損傷の部位や程度、年齢、活動レベルなどによって異なります。医師とよく相談し、自分に合った治療法を選択することが大切です。 最新の治療 保険診療での半月板損傷に対する手術は、根本的に半月板を修復させるものではありません。たとえ半月板を縫合しても、数年後には40%の割合で再断裂を起こします。縫合したところの半月板が、またくっつくという訳ではないのです。 そこで、リペアセルクリニックでは幹細胞による再生医療で、根本治療を目指します。多くの患者様が手術をしなくても、手術以上の効果を実感していただいております、詳しくはこちらで説明しています。 https://youtu.be/lSv3oWA6mdk?si=YqKSqLchKDWSndF4 半月板損傷を予防するための対策 半月板損傷を予防するためには、日頃から膝への負担を減らす工夫を心がける必要があります。具体的には、以下のような対策が有効です。 ウォーミングアップとクールダウン: 運動前後のウォーミングアップとクールダウンは、筋肉や関節の柔軟性を高め、怪我のリスクを軽減する上で非常に重要です。特に、膝関節周辺のストレッチを入念に行うことで、半月板への急激な負荷を避け、損傷のリスクを減らすことができます。ウォーミングアップでは、軽いジョギングやストレッチで体を温め、クールダウンでは、ストレッチで筋肉の緊張をほぐしましょう。 適切な筋力トレーニング: 太ももの筋肉(大腿四頭筋やハムストリングス)やふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)を鍛えることで、膝関節を安定させ、衝撃を吸収しやすくなります。具体的には、スクワットやランジなどの下半身の筋力トレーニングが効果的です。これらの筋肉が強化されると、膝関節への負担が軽減され、半月板損傷の予防につながります。筋力トレーニングは、週に2~3回程度行い、無理のない範囲で徐々に負荷を上げていくことが大切です。 体重管理: 体重が増加すると、膝関節にかかる負担も大きくなり、半月板損傷のリスクが高まります。適正体重を維持することで、膝への負担を軽減し、半月板損傷のリスクを減らすことができます。バランスの取れた食事と適度な運動を心がけ、健康的な体重を維持しましょう。 正しい姿勢と動作: 姿勢が悪い、または間違った動作を繰り返すと、膝関節に過剰なストレスがかかり、半月板損傷のリスクが高まります。日常生活動作やスポーツ動作を見直し、正しい姿勢と動作を意識することで、膝への負担を軽減し、半月板損傷の予防につなげることができます。例えば、重い荷物を持つ際は、膝を曲げて持ち上げるようにし、腰への負担を軽減することも重要です。 適切な靴の選択: クッション性の高い靴を選ぶことで、地面からの衝撃を吸収し、膝への負担を軽減することができます。特に、ウォーキングやランニングなどの運動をする際は、スポーツ専用のシューズを着用し、足への負担を軽減することが大切です。 参考文献 Kennedy MI, Strauss M, LaPrade RF. "Injury of the Meniscus Root." Clinics in sports medicine 39, no. 1 (2020): 57-68. Krych AJ, Hevesi M, Leland DP, Stuart MJ. "Meniscal Root Injuries." The Journal of the American Academy of Orthopaedic Surgeons 28, no. 12 (2020): 491-499. Rotini M, Papalia G, Setaro N, Luciani P, Marinelli M, Specchia N, Gigante A. "Arthroscopic surgery or exercise therapy for degenerative meniscal lesions: a systematic review of systematic reviews." Musculoskeletal surgery 107, no. 2 (2023): 127-141. Feehan J, Macfarlane C, Vaughan B. "Conservative management of a traumatic meniscal injury utilising osteopathy and exercise rehabilitation: A case report." Complementary therapies in medicine 33, no. (2017): 27-31. Beaufils P, Pujol N. "Management of traumatic meniscal tear and degenerative meniscal lesions. Save the meniscus." Orthopaedics & traumatology, surgery & research : OTSR 103, no. 8S (2017): S237-S244. Chirichella PS, Jow S, Iacono S, Wey HE, Malanga GA. "Treatment of Knee Meniscus Pathology: Rehabilitation, Surgery, and Orthobiologics." PM & R : the journal of injury, function, and rehabilitation 11, no. 3 (2019): 292-308. Wells ME, Scanaliato JP, Dunn JC, Garcia EJ. "Meniscal Injuries: Mechanism and Classification." Sports medicine and arthroscopy review 29, no. 3 (2021): 154-157. Beaufils P, Pujol N. "Meniscal repair: Technique." Orthopaedics & traumatology, surgery & research : OTSR 104, no. 1S (2018): S137-S145. 監修医師 リペアセルクリニック 理事長 医師 坂本貞範
2025.02.08 -
- 動作時の痛み
- ひざ関節
- 半月板損傷
- 靭帯損傷
冬のウィンタースポーツシーズンになると、スノーボードやスキーを楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。 ただし、スノーボードやスキーなどは、スピードが出るほか、転倒や衝突の危険性が高いスポーツです。また、膝を中心に使うスポーツであることから、膝の痛みや怪我を伴うケースも珍しくありません。 今回はスノーボードやスキーで起こりやすい膝の痛みや怪我について解説します。治療法や予防策についてもまとめているので、膝の痛みを我慢して症状を悪化させないよう、ぜひ参考にしてください。 スノーボードやスキーで起こりやすい膝の痛みや怪我 スノーボードやスキーなどによる膝の痛みの原因として最も多いのは、「前十字靭帯損傷」と「半月板損傷」です。 スノーボードやスキーでは、滑走中に膝を捻ってしまったり、ジャンプからの着地や転倒時に大きな負担がかかったりするため、膝の損傷や捻挫のリスクが高まります。 以下で、膝の痛みの原因となるそれぞれの怪我について詳しく見ていきましょう。 膝の痛みの原因|前十字靭帯損傷 前十字靭帯とは、膝の関節内にある靭帯のうちの一つです。前十字靭帯は、膝の捻りや前後のぐらつきを抑え、膝関節を安定させる役割を担います。 前十字靭帯損傷とは、具体的に以下のような靭帯の状態を意味します。 伸びている 部分的に裂けている 完全に裂けている(断裂) 前十字靭帯損傷は、ジャンプの着地や急な方向転換などで起こりやすい怪我です。 ▼ 前十字靭帯損傷の受診の目安について知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 前十字靭帯損傷の症状 前十字靭帯の受傷直後は、激しい痛みのために動けなくなるケースがほとんどです。なかには、「ブチッ」と筋肉が切れるような音が聞こえる場合もあります。 受傷直後には動けていても、時間が経過すると関節内血腫(関節内に血がたまる状態)が生じるとされています。そして、時間の経過とともに、痛みや腫れが強くなって動くことが難しくなります。 一般的には、2〜3週間で腫れや痛みが軽減されるものの、以下のような症状が継続して見られるケースも珍しくありません。 膝の不安定感 膝が外れる感じがする 膝に力が入らない 膝がすぐ腫れてしまう 膝が伸びない 正座ができない 前十字靭帯損傷の症状は、とくに膝を使う動作やスポーツ競技中などで現れます。 前十字靭帯損傷の診断 前十字靭帯損傷は、医師による診察やMRI検査によって診断されます。とくにMRI検査は靭帯の評価(靭帯の形状や靭帯の走行など)に有用です。また、骨折の有無を確認するためにレントゲン検査を用いる場合もあります。 前十字靭帯損傷の治療法 前十字靭帯損傷の治療法は、主に保存療法と手術療法の2種類です。以下で、それぞれの治療法について解説します。 保存療法 前十字靭帯損傷の保存療法では、大腿四頭筋などの筋力訓練を行い、必要に応じて装具を使用することで、日常生活や軽度のスポーツ活動への復帰を目指します。 この治療法は手術を伴わないため、体への負担が軽い点が特徴です。 一方で、保存療法では膝の安定性が十分に確保されない場合があり、痛みや不安定感が続くことがあります。 そのため、適切なリハビリを行わない場合、半月板損傷や他の靭帯損傷といった二次損傷のリスクが高まる可能性があります。 以前は、スポーツ活動への復帰を目指さない場合に保存療法が一般的に選択されていましたが、近年は、膝の不安定性が長期的に関節軟骨や半月板に負担をかけ、変形性膝関節症などの膝関節の変性リスクを高める可能性が示唆されています。そのため、若年者に対しても保存療法ではなく手術療法が推奨されるケースがあります。 手術療法 前十字靭帯は断裂すると自然に修復されず、必要に応じて再建術を行います。前十字靭帯再建術では、膝の後内側にある屈筋腱を移植する自家移植が一般的です。 手術後はリハビリが必須ではあるものの、手術から10~12カ月後にはスポーツ復帰が見込めます。 前十字靱帯損傷を放置すると、膝が安定性を失い、ガクッと崩れ落ちてしまったり、膝があらゆる方向に捻じれやすくなったりします。 前十字靱帯損傷によって膝が安定しない状態が続くと、半月板や関節軟骨に負荷がかかるため注意が必要です。 ▼ 前十字靭帯損傷の手術をしない場合に考えられるリスクについては、以下の記事で詳しく解説しています。 膝の痛みの原因|半月板損傷 半月板とは、膝関節の大腿骨と脛骨の間にある線維軟骨です。膝の内側と外側にあり、膝にかかる衝撃を吸収する働きがあります。 半月板損傷は、半月板に亀裂が生じたり、欠けたりした状態のことです。若年者から高齢者まで世代を問わず発症し、慢性化すると変形性膝関節症を引き起こす可能性もあります。 半月板損傷の症状 半月板損傷の程度によって異なるものの、主な症状は以下の通りです。 膝の曲げ伸ばしが困難になる 膝を動かすと激しい痛みが生じる 膝に水が溜まる 膝が腫れて圧痛が生じる 膝関節が突然ロックされたように動かせなくなる(ロッキング) ロッキングが起こると歩行困難になる場合があるなど、日常生活に支障をきたします。とくに運動中や階段の昇降時などに強い痛みを感じる傾向にあります。 ▼ 半月板損傷の症状について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。 半月板損傷の診断 半月板損傷の診断方法は、医師による診察やMRI検査などです。状況に応じて、膝関節内にカメラ(関節鏡)を入れて直接損傷の程度を確認する、関節鏡検査を行う場合もあります。 半月板損傷の治療法 半月板損傷の主な治療法として、保存治療と手術療法の2種類があります。 保存療法 半月板損傷が軽度の場合は、保存療法を選択するケースがほとんどです。保存療法では、サポーターで患部を固定し、抗炎症薬などの薬物療法やリハビリを中心とした治療を行います。 保存療法で痛みや症状が改善されない場合や、ロッキングなどの症状が続く場合には、手術療法を検討する必要があります。 手術療法 亀裂部位の幅が1cm以上の場合や、保存療法による効果が見られない場合は、手術療法を選択することが一般的です。半月板損傷の手術には、損傷した部分を切り取る切除術と、損傷した部分を縫い合わせる縫合術の2種類があり、関節鏡を使った鏡視下手術が行われます。 切除術の場合、半月板を取り除くことで膝軟骨の消耗が進んでしまう可能性があるため、近年は縫合術が選択されるのが一般的です。一方で、損傷した半月板の状態によって縫合が難しいと判断された場合には切除術が行われます。 手術後はリハビリが必須で、スポーツへ復帰までの期間は半月板切除術で約3カ月、半月板縫合術で約6カ月とされています。 ▼ 半月板損傷の手術のメリット・デメリットについて知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 再生医療ならスノーボードやスキーによる膝の痛みの軽減に効果的 スノーボードやスキーによる膝の痛みを軽減するためには、再生医療という選択肢もあります。再生医療とは、幹細胞や血小板の投与によって、症状の改善を目指す治療方法です。 リペアセルクリニックでは、半月板損傷・半月板断裂に対する再生医療・幹細胞治療を行っています。以下で、当院における半月板損傷に対する再生医療の症例を紹介するので、ぜひ参考にしてください。 症例1.スノーボードで受傷した半月板損傷に対する再生医療 50代の男性は、スノーボードをしていて膝に違和感を感じ、その後に足を踏ん張ったときに強い痛みが現れました。しばらくして症状が和らいだものの、階段の昇降時に痛みが認められました。 半月板は、一度損傷すると自然治癒することはありません。半月板損傷はたとえ痛みがなくなっても、放置すると悪化するリスクが高い怪我の一つです。 当院のレントゲン所見にて、半月板の水平断裂が認められたため、膝関節に幹細胞5000万個を3回投与しました。当院における脂肪由来の幹細胞を用いた再生医療は、身体に大きな負担をかけずに半月板の損傷や断裂に対する治療が可能です。 初回の投与から約1カ月で効果が現れはじめ、2カ月が経つ頃には膝の痛みがなくなりました。スノーボードを継続するため、幹細胞の投与と並行して、筋肉トレーニングとストレッチにも取り組んだ事例です。 ▼ こちらの症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。 症例2.スキーができないほどの膝の痛みに対する再生医療 60代の男性は、昔からスキーをよくしており、約15年前から膝に痛みを感じていました。当院を受診する3年前には、ほかのクリニックでPRP療法を受けたそうです。その後、少し痛みが和らいだものの、普段の生活に支障が出始めて幹細胞治療を選択しました。 MRIとレントゲン検査の結果、半月板損傷と膝の変形が認められたため、両膝に各2500万個の幹細胞を2回投与しました。初回の投与から1カ月で痛みがほぼ半減し、2カ月が経つ頃には両膝とも10分の1まで痛みがなくなった事例です。 同時に、左膝周りの筋力低下に対するトレーニングを指導し、膝の動きを良くするためのリハビリテーションを実施しました。これにより、両膝とも正常な可動域が得られるまで回復しました。 ▼ こちらの症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。 スノーボードやスキーによる膝の痛みや怪我の予防策 スノーボードやスキーによる膝の痛みや怪我を予防するためには、運動前のストレッチやサポーターの使用などが効果的です。 以下で、膝の痛みや怪我の予防策を解説するので、ぜひ参考にしてください。 滑る前にしっかりとストレッチする スノーボードやスキー中に膝を痛めないよう、滑る前にはしっかりとストレッチをしましょう。膝周りの筋肉をほぐしておくと、膝関節を柔軟に保てるようになり、転倒や衝突などによる怪我のリスクを減らせます。 具体的には、以下を中心としたストレッチがおすすめです。 大腿四頭筋(太ももの前) ハムストリングス(太ももの後ろ) 股関節周り 雪山でのウィンタースポーツは、体を冷やしやすいため注意が必要です。10〜15分くらいかけてしっかりとウォームアップしておくと、身体の柔軟性が高まり、怪我の防止につながります。 サポーターやプロテクターを使用する スノーボードやスキーによる膝の痛みを予防するためには、サポーターやプロテクターの使用も効果的です。サポーターやプロテクターは、外部からの衝撃や過剰な負担から膝を守ります。また、膝を過度に捻らないようにするための役割も担います。 スノーボードやスキーでは、突発的な怪我が多い傾向にあります。たとえ膝に痛みがない場合でも、怪我の予防のために、サポーターやプロテクターを着用しておくと安心です。 日頃から筋力トレーニングをする 日頃から筋力トレーニングに取り組んでおくと、スノーボードやスキー中の怪我の予防につながります。膝周りの筋力を強化すると安定性が増し、膝に過度な負担がかかることを防ぎます。 怪我の予防には、膝周りだけではなく、太ももやお尻、ふくらはぎの筋力強化も効果的です。スクワットのほか、体幹を鍛えるために片足で立ったり、バランスボールを使ったりするトレーニングも膝の安定性を高めることに役立ちます。 まとめ・スノーボードやスキーによる膝の痛みを感じたら早めに医療機関を受診しよう スノーボードやスキーで怪我をして膝の痛みを抱えると、日常生活にも支障をきたす可能性があります。運動前のストレッチやプロテクターの着用などによって、怪我を予防しましょう。 スノーボードやスキーを楽しんだ後に膝の痛みを感じる場合は、前十字靭帯損傷や半月板損傷などが疑われます。適切な治療を受けるためにも、膝の痛みを感じたら早めに医療機関を受診してください。 また、前十字靭帯損傷や半月板損傷の治療後は、怪我をしたときと同じ動作を続けると、再び膝を損傷する可能性があるため注意が必要です。スノーボードやスキーを楽しむためにも、普段からストレッチや筋力トレーニングを習慣づけ、全身の柔軟性を保つようにしましょう。 半月板損傷などの膝の痛みの治療には、再生医療という選択肢もあります。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。再生医療をご検討の際は、ぜひ気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/
2023.02.01 -
- 膝の外側の痛み
- ひざ関節
- 半月板損傷
「半月板損傷を早く治したい」「1日でも早くスポーツへの復帰を目指したい」といった方も多いでしょう。 膝の障害と聞くと年配者のイメージですが、若年者であっても過度な運動などによってスポーツ傷害を引き起こすリスクがあります。 なかでも、頻繁に認められる疾患が半月板損傷といえます。半月板を損傷し、万が一慢性化すると、将来的に変形性膝関節症を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。 半月板損傷は、リハビリテーションを視野に入れながら適切に治療を行うことが重要です。今回は、半月板損傷を慢性化させず、早く治すための方法について詳しく解説していきます。 半月板損傷とは 半月板とは、繊維軟骨でできている組織で、Cの型や半月状の形をしていることが特徴です。膝関節の大腿骨と脛骨の間にあり、膝の内側と外側に存在している組織です。 半月板は、膝の滑らかな動きを可能にするほか、膝を安定させて荷重を分散させたり、物理的な外力による衝撃を吸収したりする機能を果たしています。 半月板が損傷すると膝部に疼痛が生じ、膝を屈曲・伸展する際に引っかかりを感じるようになります。ひどいケースでは、激痛のために歩行できなくなったり、関節内部で強い炎症を引き起こして膝全体が腫れあがったりするケースも珍しくありません。 半月板損傷の主な原因 半月板損傷は、スポーツの際に起きる怪我から発症するのみならず、加齢に伴う場合が多いのも事実です。 傷つきやすくなっている半月板組織に外部からわずかな力が加わることで、損傷・断裂を引き起こす症例もあるため注意が必要です。 外傷性の半月板損傷は、激しいスポーツのほか、長時間のランニングや急に立ち止まる動作などによって起こります。また、事故などによって膝が物理的なダメージを負ったときにも、外傷性の半月板損傷につながる可能性が考えられます。 また、年齢とともに長い年月をかけて半月板への負担が蓄積されると、わずかな衝撃や力が加わっただけでも損傷するケースが少なくありません。 とくに、長時間のウォーキングや膝をねじるような動きをした際に損傷リスクが高まります。 半月板損傷は自然に治らないため治療が必要 半月板損傷は、基本的に自然には治りません。 なぜなら、半月板は血管が乏しく、修復に必要な栄養素が運ばれにくいためです。 膝に痛みや違和感を感じるからといって、半月板損傷を発症しているとは限りません。しかし、半月板損傷を放置してしまうと、膝の軟骨部分が露出してすり減ったり関節の変形が進行したりするリスクが高まるため注意が必要です。 膝に痛みや違和感を感じる場合は、医療機関で検査を受けることをおすすめします。検査の結果、半月板損傷と診断された場合には、早く治すためにも適切な治療を受けましょう。 半月板損傷を早く治す方法 半月板損傷を発症した際の主な治療法としては、以下の3つが挙げられます。 保存療法 手術療法 再生医療 個別の症状や生活習慣に応じて、早く治すための治療法を選択する必要があります。 保存療法 保存療法とは、薬物の内服や適切なリハビリテーションを通じて回復を目指す方法です。軽度な痛みや半月板損傷に対して優先的に試みる方法で、3カ月程度を目安に治療を続けるのが一般的です。 具体的には、膝に負担をかけないよう安静を保ちながら、抗炎症薬の投与やヒアルロン酸注射、筋力強化のためのリハビリテーションを行って痛みの緩和を目指します。なお、保存療法を続けても症状が改善されない場合は、手術療法に進むかどうかを判断する必要があります。 手術療法 手術療法は、保存療法で効果がない場合や、膝の安定性を維持するために半月板の修復が必要な場合に検討すべき治療法です。 手術療法の主な目的は、膝関節の機能を回復させ、半月板損傷の再発や関節の変形を防ぐことです。 半月板損傷の手術には、縫合術と切除術の2種類があります。 半月板縫合術 半月板が部分的に切れたり裂けたりした場合に選択する術式 半月板切除術 半月板が広範囲に損傷しており、縫合による修復が難しい場合に選択する術式 半月板は血流がもともと少なく、損傷したところが修復されにくい組織です。そのため、縫い合わせても元の通りにくっつかないことが多く、手術の9割は切除術を選択せざるを得ない状況だといわれています。 ▼ 半月板損傷の手術について詳しく知りたい方は、以下をご参考ください。 再生医療 保存療法で効果が得られない場合、手術に代わる治療法として、再生医療という選択肢があります。再生医療とは、自然治癒力を最大限に引き出す医療技術です。 幹細胞を投与することで、半月板損傷に対する高い治療効果が期待できます。 再生医療なら、半月板を切り取る手術をしなくて良い分、膝の関節が変形するリスクを避けられるメリットがあります。 リペアセルクリニックでは、再生医療による膝の痛みや半月板損傷の治療が可能です。当院では、メール相談やオンラインカウンセリングも実施しているので、ぜひ気軽にご連絡ください。 ▼ 半月板損傷を再生医療で治療する 再生医療なら半月板損傷は、手術せずに改善できます 半月板損傷を早く治すためのリハビリテーションの4ステップ 半月板損傷を早く治すためには、適切なリハビリテーションが欠かせません。 運動器リハビリテーションは、患者の運動能力や生活機能を回復させた上で、レベルの維持を目指す治療法です。 半月板の損傷度や症状は一人ひとり異なるため、実際にリハビリテーションを実践するタイミングはさまざまです。 しかし、リハビリテーションの基本的なステップはほとんど変わらないため、以下で解説する内容を参考に、担当の理学療法士とよく相談して進めましょう。 1.関節可動域を増やすために訓練する リハビリテーションにおける最初のステップは、関節可動域の訓練です。具体的には、膝関節を曲げ伸ばしできる角度を改善するために、リハビリテーションを行います。 半月板損傷を発症すると、一般的に膝の曲げ伸ばしが困難になって日常生活に多大な支障が生じます。そのため、可動域を増やすことを目標にした理学的な訓練を実施することが大切です。 また、膝関節をかばって股関節や足関節が拘縮すると、かえって膝に負荷が集中してしまうため注意が必要です。半月板損傷を早く治すためには、膝関節のみならず、股関節や足関節に対するリハビリテーションも行う必要があります。 2.筋肉をつける 関節の可動域を増やすための訓練や、股関節あるいは足関節のリハビリに慣れてきたら、並行して膝周辺の筋力増強を図ります。具体的には、膝関節を支えやすくなるようなトレーニングを取り入れていくことがポイントです。 半月板が損傷している状況では、膝周りにあるほかの構造物で半月板を代理して体を支えなければなりません。半月板損傷の再発を防止するためにも、膝周辺の筋力強化によって膝を安定化させ、身体を支えられるようにすることが大切です。 3.バランストレーニングを行う リハビリテーションが後半に差し掛かると、バランストレーニングを始めます。バランストレーニングとは、本来の膝領域におけるバランス感覚を取り戻すためのリハビリテーションです。 半月板は膝関節を安定させる機能を有しており、損傷によって膝が不安定になると、身体を支えられずに怪我を引き起こす危険性があります。 そのため、バランスを取り戻すための理学療法は、半月板損傷のリハビリテーションにおける重要なトレーニングの一つであるといえるでしょう。 4.アスレチック・リハビリテーションを実践する リハビリテーションの最終段階になると、スポーツ競技や運動動作の再開を見据えて、アスレチック・リハビリテーションを実践します。 アスレチック・リハビリテーションは、筋力がある程度回復し、膝関節の痛みをほとんど自覚しない状態になった場合に、本格的なスポーツへの復帰に向けて行う理学療法です。 まずはジョギングに取り組み、ひざの痛みが悪化しないかを確認します。とくに問題がないようであれば、徐々に梯子を用いたラダートレーニングや両脚ジャンプなどの動作を取り入れていくのが一般的です。最終段階では、競技に応じた特有の動きがスムーズにできるように、より実践的な運動動作を確認していきます。 半月板損傷を早く治すためは手術前のリハビリも効果的 半月板損傷を早く治すためには、手術後に限らず、手術前のリハビリテーションも効果的です。 とくに、術後すぐに動けない場合は、足首周りや股関節周りなど、ほかの部位の関節機能を低下させる可能性が高いため注意が必要です。半月板の手術後、スムーズに回復・リハビリテーションを進めるためには、手術前から筋力トレーニングを行ったり、生活指導を受けたりしておくと良いでしょう。 また、半月板損傷を早く治すために何をすべきか、術後のリハビリテーションについて理解を深めておくことも大切です。 軽度の半月板損傷|術後のリハビリ期間の目安 半月板を損傷した場合、治療法や症状によってリハビリテーションの方法や期間が異なります。以下で、手術後のリハビリテーションについて詳しく解説します。 半月板縫合術は術後6〜10週間で運動しても良い 半月板縫合術による施術の場合、損傷の程度や部位によってリハビリテーションのスケジュールが異なるため注意してください。 縫合部分が再び断裂してしまうことを防ぐため、術後2週間程度は松葉杖での生活になるでしょう。また、膝の曲げ伸ばしにも制限があるため、激しい運動はできません。 術後6週程度から、軽めのジョギング等の運動が可能になります。スポーツなどへの復帰は10週程度で段階を経て行っていくのが一般的です。 ただし、重症のケースや経過によってはスポーツへの復帰が半年前後かかる場合もあります。術後の経過や回復に応じて臨機応変に対応していくことがポイントになります。 半月板切除術は術後2〜4週間で運動しても良い 半月板切除による施術の場合、縫合術と比べてリハビリテーションを早く進められます。多くの場合は、松葉杖やサポーターを使用しながら、術後すぐに体重をかけて歩行できるでしょう。 術後2週間程度で軽めのジョギングなどをはじめ、膝の安定性を高めるための筋力トレーニングを段階的に行っていくのが一般的です。日常生活の動作に支障がなくなったら、スポーツへの復帰に向けて徐々に運動強度を上げていきます。 半月板切除による施術の場合、1カ月前後でスポーツへの復帰が可能です。 半月板損傷を早く治すためにやってはいけないこと 半月板損傷を早く治すためには、治療の過程でやってはいけないことがあります。半月板損傷を悪化させたり、回復を遅らせたりしないためにも、以下のような動きには注意してください。 膝をひねるような動き 膝の過度な曲げ伸ばし 長時間の歩行 座りっぱなしや立ちっぱなし 階段の上り下り 半月板損傷の治療中は、膝に負担をかける姿勢や動作を避けることが大切です。 なかには、日常生活でうっかりやってしまう可能性も考えられます。これらの動作をしていることに気がついたら、できるだけ短時間でやめるようにしてください。 半月板を早く治すためには、慎重なアプローチが必要です。リハビリ期間中は、無理をせず専門家の指導に従って回復を目指しましょう。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングも実施しているので、半月板損傷の治療に不安がある方は、気軽にご連絡ください。 ▼ 半月板損傷の治療における注意点は、以下の記事で詳しく解説しています。 【医師監修】半月板損傷でやってはいけないこと!放置するリスクや治療方法も解説 まとめ・半月板損傷を早く治すためにはリハビリテーションが効果的 半月板損傷とはどのような病気なのか、早く治すためのリハビリテーションを4つのステップに分けて詳しく解説しました。 半月板は、膝関節の内部にある軟骨様の構造物で、軟骨部に負荷がかかるような外からの物理的な力を和らげる重要な役割を担っています。半月板を損傷した場合には、損傷度合いに応じて具体的な治療期間やリハビリテーションの内容を個別に決めなければなりません。 半月板のような軟骨組織は、完全に治癒するまでにかなりの時間を要します。身体機能をカバー出来るよう、患部はもちろん身体の状況を判断しながら計画的にリハビリテーションに取り組む必要があります。 決して無理をせずにトレーナーや理学療法士と相談して適切な治療を行いましょう。 ▼ 半月板損傷を再生医療で治療する 再生医療なら半月板損傷は、手術せずに改善できます ▼ヒアルロン酸注射による治療について詳しく知りたい方は、以下もご参考ください。
2022.07.26 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
- 膝の慢性障害
- 靭帯損傷
膝の病気や痛みをかかえている方のなかには、定期的に膝へヒアルロン酸注射している方が多くいます。 しかし「最初は注射をすれば膝の痛みがひいたのに最近は効かなくなってきた」「効かないのは失敗が原因?」と感じた経験もあるでしょう。 そこで今回はヒアルロン酸注射をしていて、効かないと感じたり失敗を疑っている方に向けて、ヒアルロン酸の効果を解説します。 膝のヒアルロン酸注射が効かなくなる原因と、効果が乏しいときの対処法も紹介するので、最後までご覧ください。 膝にヒアルロン酸注射をしても効かないのは失敗が原因なの? 膝のヒアルロン酸注射が効かず、失敗を心配する方もいるかも知れませんが、病気の進行や膝の変形が重度になると効果が薄くなります。 ヒアルロン酸注射自体の問題や治療の失敗などではなく、膝自体に炎症がある場合、ヒアルロン酸注射が、効かないケースも多くあります。 膝に感染があるときは、ヒアルロン酸注射自体が余計に症状を悪化させてしまう症例もあるので注意が必要です。 変形性膝関節症は、年齢を重ねると進行する病気なので、誰でも変形が強くなっていく可能性はあります。 しかし体重が重かったり、もともと運動習慣がなかったりする方は、変形が進行する原因になるとも言われているので注意しましょう。 膝の変形性関節症における重症度や膝の組織を評価するために、レントゲン検査やMRI検査など、画像検査が行われます。 MRI検査では、膝の軟骨や靭帯、半月板が傷ついていないかも診断できるため、治療方法の選択をするためにも重要な検査です。 MRI検査が重要な理由は、以下の記事で詳しくまとめました。 そもそもヒアルロン酸注射とは 「膝のヒアルロン酸注射が効かないのは失敗が原因なの?」と不安に感じる方に向けて、ヒアルロン酸注射の概要を解説していきます。 ヒアルロン酸注射の効き目を感じず失敗と捉える前に、まずは注射として期待できる効果の概要を見ていきましょう。 ヒアルロン酸注射は初期症状におすすめ ヒアルロン酸は、膝の変形性関節症における初期症状におすすめの治療方法です。 ・ヒアルロン酸注射のみで完結する軽度な治療 ・軟骨保護のような炎症緩和 など 上記のような治療目的で使用されるのがヒアルロン酸注射です。 そもそもヒアルロン酸は水分をたくさん含む物質で、主に関節の内部を満たしている液体成分を補充する目的で注射します。 膝にヒアルロン酸を注射すれば、動きをよくする潤滑油のような役割になるのです。 膝以外にも眼の乾燥としてヒアルロン酸の目薬を行います。 目に潤いを与えるためヒアルロン酸が用いられるように、短時間で効果を得たい場合に提供される治療方法としてヒアルロン酸が活用されているのです。 ヒアルロン酸注射は根本的な治療にはならない いろいろな用途に用いられるヒアルロン酸ですが「変形性膝関節症」で、膝関節の動きを滑らかにするため注射している方もいるでしょう。 注射治療になるので手術のような日常生活の支障を気にする必要もありません。 しかしヒアルロン酸注射は、液体成分なので体内に吸収されてしまいます。 持続期間は約1〜2週間程度と言われているため、時間経過とともに「注射の効果がない」「失敗した」と感じてしまうでしょう。 膝の関節にはヒアルロン酸をたくさん含んでいる滑液で満たされています。 滑液が膝の滑らかな動きを保つのに重要な役割を担っています。 しかし、年齢を重ねたり外傷や他の疾患があったりすると、滑液の中のヒアルロン酸の量が減ってしまうのです。 ヒアルロン酸の量が減ってくると、膝を滑らかに動かすのが難しくなり、結果として膝にある骨や軟骨がこすれて痛みを感じてしまいます。 ヒアルロン酸注射をしただけでは一時的な治療になり「痛みを感じにくい状態」である持続期間が切れた際「効果がない」と捉えてしまいがちなのです。 以下の記事では、ヒアルロン酸注射の有効性と限界について詳しくまとめているので、あわせてご覧ください。 膝のヒアルロン酸注射が効かなくなった場合の対処法 ヒアルロン酸注射は、はじめは効いても徐々に効かなくなるケースがあります。 ヒアルロン酸注射以外の治療法を併用していくことも大切です。 ここからは膝のヒアルロン酸注射が効かなくなった場合の対処法として挙げられる治療法などを解説します。 適度な運動 膝のヒアルロン酸注射を必要とする代表的な症例である「膝変形性関節症」には、病院に受診しなくても自分自身で行える治療があります。 たとえば体重が重い方は、体重を減量するための運動も治療として重要な方法です。 専門的な治療を施すのであれば、運動療法を実施するのをおすすめします。 規則正しい有酸素運動や筋力トレーニング、関節可動域運動を実施して継続していくのが大事です。 膝をサポーターで保護し、テーピングを実施するのも推奨されています。 膝の負担を減らしながらできる運動については、以下の記事に詳しくまとめているので、ぜひ役立ててください。 ステロイド薬の投与 膝に炎症がある場合、ヒアルロン酸の注射ではなくステロイド薬を膝に注射する治療法もあります。 ステロイド薬の投与だけでなく、炎症を抑えるための薬を飲む治療法をしつつ、数カ月のリハビリなど保存療法を進めていく治療法も挙げられます。 人工関節を用いた手術 重症になった場合や注射が効かない状態が続くと手術が必要なケースもあります。 手術では関節の代用部品である「人工関節」を関節の代わりに埋め込む治療を実施します。 皮膚を切って開く必要があるため、全身麻酔で手術が行われます。 手術は傷口が感染しないか、麻酔によるアレルギーなどがないかを診るためにも入院が必須です。 入院自体は数日〜数週間ですが、もともとの歩行状態に戻るためには数カ月膝のリハビリが必要です。 人工関節を使った手術で知っておくべき項目については、以下の記事でまとめているので、あわせてご覧ください。 手術(人工関節)を避ける再生医療の選択肢 最近では手術の代わりに「PRP療法」や、「幹細胞治療」と呼ばれる新しい先端治療を選択できるようになってきました。 PRP療法は、患者様の血液から抽出した「血小板血漿(PRP)」を傷んでいる部位に注射する治療法です。 一方で「幹細胞治療」は、少しの脂肪を採取し、幹細胞を抽出して数千から億の単位まで培養し、増やした細胞を患部に注射で投与します。 どちらも患者様の自然治癒力を高めて治療するもので手術や入院の必要はありません。どちらも副作用はほとんどなく、患者様の身体にかかる負担が少ない治療法です。 詳しくは、お問い合わせください。 まとめ・膝のヒアルロン酸注射が効かなくて失敗を疑う前に診療を! 膝へのヒアルロン酸注射は膝の動きを滑らかにするために有用な治療法です。 最初効果があっても、治療の過程で「効かなくなった」「失敗した」と感じる可能性があります。 治療の失敗やヒアルロン酸注射自体の問題ではなく、膝の状態が良くない恐れも考えられます。 効果が乏しいのにもかかわらず、漫然と注射を重ねるのは良くないでしょう。 現在では再生医療(幹細胞治療、PRP療法)といった先端医療も考慮できます。 ヒアルロン酸の注射の効果が以前に比して減ったように感じている場合、専門家に相談し、適切な治療に切り替えを検討してはいかがでしょうか。 再生医療は、先端医療であるため厚生労働省から認められている限られたクリニックでしか受けられない治療法です。 手術も入院も避けられる身体にやさしい治療法なので、気になった方は気軽にお問い合わせください。 膝のヒアルロン酸注射でよくある質問 Q.ヒアルロン酸注射に副作用はないの? A.ヒアルロン酸注射による副作用は「まったくない」とは断言できません。 ヒアルロン酸注射をしたあと、起こる可能性がある副作用は以下の通りです。 ・内出血 ・むくみや腫れ ・かゆみ ・チンダル現象 ・血管閉塞 など 上記のような副作用が起こっても、時間経過とともに回復するケースが大半です。 ただし、副作用は放置せずヒアルロン酸注射をした医療機関で専門的なケアをしてもらうのをおすすめします。 Q.何度も打ち続けるとどうなるの? A.ヒアルロン酸注射を何度も打ち続けると、ヒアルロン酸の吸収力が低下する可能性があります。 ヒアルロン酸は膝を含めた関節部分の潤滑油として働いているので、補充する目的で注射治療を施します。 しかし、初めてヒアルロン酸注射をした方は、複数回注射をしている方より吸収が早い傾向にあるので、次第に「失敗した」と捉えてしまうでしょう。 あくまで一時的な治療になるので、膝の痛みが続く方は別の治療法を検討しましょう。 Q.痛みを感じる場合失敗を疑うべき? A.ヒアルロン酸注射は、膝に注射を刺す痛みになりますが、血管注射とは異なります。 注射針を刺した後にヒアルロン酸を注入するので、人によっては痛いと感じる方もいます。 ヒアルロン酸注射をする前に麻酔テープやクリームを塗る方法もあるので、少しでも心配な方は事前に相談しておきましょう。 とくに変形性膝関節症が重度な方は、関節に注射針を刺すのが困難なケースもあります。 副作用として痛みを感じる可能性もあるので、我慢せず医師に相談するのをおすすめします。 ▼以下もご参照ください
2022.06.30 -
- ひざ関節
- 関節リウマチ
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
- 膝の慢性障害
- 靭帯損傷
膝の水が溜まって痛みがある。 溜まっている膝の水を、できるなら自分で抜きたい。 膝に溜まった水が気になり、抜く方法を知りたいと考えていませんか。しかし、膝の水を抜くのは癖になってしまうという話を聞いて、不安になっている方もいるかもしれません。 膝の水が溜まる原因は、炎症反応が起こっているためです。病院では、注射器を使用して膝の水を抜きます。 また、セルフケアではストレッチやマッサージで膝の水を抜く方法もあります。しかし、誤ったセルフケアは痛みや炎症の悪化につながるため、症状が強い場合は病院で適切に処置してもらった方が良いでしょう。 本記事では、病院やセルフケアで膝の水を抜く方法を詳しく解説しています。皆様が納得できる膝の水を抜いて痛みを緩和する方法の選択に役立てれば幸いです。 病院で膝の水を抜く方法 膝の水を抜く方法のひとつとして、病院での処置をイメージする方も多いでしょう。 本章では、病院での処置や注意点について解説します。本章を参考に膝の水を抜くかどうかを検討してください。 処置には注射器を使う 病院では主に整形外科にて、注射針を関節に刺して膝の水を抜く「関節穿刺」を行う場合があります。(文献1) 膝の水の正体は「滑液(かつえき)」です。滑液が膝に溜まることで関節を圧迫し、膝の痛みを悪化させる可能性があります。そのため、膝の水を抜くと症状の緩和が期待できます。 膝の水を抜く際、注射針を刺した直後以外に激しい痛みを伴うケースは稀です。ただし人によっては痛みが気になる方もいるため、処置後に違和感がある場合は、担当の医師に相談しましょう。 症状に応じてヒアルロン酸を注入する 膝の水を抜いた後や変形性膝関節症では、症状を和らげる目的でヒアルロン酸を注入することがあります。通常、週に1度あるいは数週間に1度の頻度でヒアルロン酸を注入し、効果がみられれば継続します。 病院でのヒアルロン酸の注入は保険適応になるケースが多いため、治療費を抑えられるメリットも期待できるでしょう。 ヒアルロン酸の注入は一時的に痛みや炎症を抑える効果がありますが、持続的ではないため定期的な通院が必要です。 また、根本的な原因疾患の治療でないため、医師の指示に従いリハビリや運動療法など根本的な原因を改善する治療と並行しましょう。 病院で膝の水を抜いた直後は安静にする 病院で膝の水を抜いた直後は、安静にして過ごすように指導されます。処置を行った当日は、以下の2点は行わないように注意しましょう。 激しい運動 入浴 また、処置の後には以下の合併症のリスクがあります。 合併症 症状 感染症 注射部位の腫れや熱感、痛みが長時間続く、または症状の悪化 出血 注射部位を圧迫しても止血しない 上記のような症状があらわれたら、早めに受診するようにしましょう。 膝の水を抜いた後の注意点について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 自分で膝の水を抜く方法 病院で処置してもらう以外にも、自分でストレッチやマッサージを行って膝の水を抜くことも可能です。 本章では、セルフケアで膝の水を抜く方法と注意点を解説します。 「できるなら自分で膝の水を抜きたい」という方は、本章を参考に、ストレッチやマッサージを行ってみましょう。 膝の水を抜くストレッチ・マッサージ 膝の水を抜くために効果的なストレッチ・マッサージとして、以下の4つがあげられます。 ストレッチ 足上げ運動 1. 仰向けになり、両足を伸ばす 2. 左右の足を交互にゆっくりと上げるたり降ろしたりを繰り返す パテラセッティング(膝の前側の筋肉を鍛える) 1. 床に足を伸ばして座る 2. 片側の膝下に丸めたタオルやクッションを置く 3. クッション・タオルを膝下で床に押し付ける 4. 3〜5秒経ったら力を抜き、再度3.を行う 5. 数回行ったら左右の足を交換し、2.~4.を同様に繰り返す マッサージ 膝下のほぐし 1. 片側の膝下に両手で親指を添える 2. 強めの力で押し、前後左右に動かす 3. 反対側の足も同様に1.2.を行う 太もものほぐし 1. 椅子に座る 2. 片側の外ももに手のひらを添え、押しながらゆっくり回す 3. 反対側の足も同様に1を行う 4. 両足の前ももに手のひらを添え、足の付け根から膝上まで強い力でほぐす すべて自宅で手軽にできます。無理のない範囲で、上記のストレッチやマッサージを行ってみましょう。 痛みや違和感がある場合は無理に動かさない 痛みや違和感があるときは、炎症が起こっているサインです。むやみに触ると悪化する可能性があるため、ストレッチやマッサージなどのセルフケアはおすすめできません。無理に動かさず、早めに医療機関へ行きましょう。 マッサージやストレッチは血の巡りをよくする効果が期待できますが、誤った方法で無理に行うと、症状が悪化する恐れもあります。 また、痛みを感じるときは、膝に負担をかけないよう歩行や荷物の持ち運びなどの動作にも注意しましょう。 膝の水が溜まる原因は「炎症による関節液の過剰分泌」 膝の水が溜まる原因は、炎症反応によって「関節液」が余分に分泌されるためです。 関節液は、関節がスムーズに動くための潤滑油のような役割をしています。関節液は常につくられながら吸収され、一定量になるよう調整されています。 しかし、なんらかの疾患によって炎症が起こると、いつもより早いペースで関節液がつくられ、膝の水が溜まります。(文献2) 膝に水が溜まる原因の病気は、以下のとおりです。 半月板損傷 変形性関節症 靭帯損傷 痛風、偽痛風 関節リウマチ 骨折 感染や外傷 これらの病気になると膝に水が溜まりやすくなります。膝の水を根本的に改善するには、水を抜く処置をして痛みを緩和しつつ、原因となる病気を治療することが大切です。 まとめ|膝の水を抜くなら医療機関に相談しよう 今回の記事では膝の水を抜く方法やセルフケアを中心に解説しました。 症状が出現した際に、自己判断で放置したり誤ったセルフケアを行ったりすると、悪化する可能性があります。膝の水を適切な方法で抜きたい場合は、医療機関に相談しましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では、人体に元々ある幹細胞を活用した「再生医療」による膝の痛みや変形性膝関節症の治療が可能です。 「メール相談」や「オンラインカウンセリング」も実施しているので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 膝の水に関してよくある質問 膝の水を抜くと癖になりませんか? 膝の水を何度も抜くのが原因で、癖になるわけではありません。 膝の水を抜いても再び溜まってしまうのは、関節に炎症が起こっている根本的な原因の病気が改善されていないためです。 原因の病気として、半月板損傷や変形性関節症などが知られています。痛みを和らげるためには、原因の病気の治療をしながら膝の水を抜くことも大切です。 膝の水は自然に抜けますか? 稀に自然治癒する場合もあります。長期期間放置しても、必ず自然治癒するわけではありません。 放置すると関節が固まって動きにくくなった「拘縮状態」に陥るリスクもあります。 拘縮状態になると膝の曲げ伸ばしが辛くなり、日常生活に支障をきたす可能性もあります。そのため、1カ月以上膝の水の溜まりを放置するのはおすすめできません。 膝の水を自然に抜けるまで長期間待たずに、早めに受診するようにしましょう。 参考文献一覧 文献1 水原寛康. 関節穿刺. 医学書院 医療情報サービス. 2024年10月18日. 文献2 斉藤 聖二,関節痛(炎):診断と治療の進歩1.関節の構造と関節痛(炎)の原因, 日本内科学会雑誌, 1994年, 第83巻, 第11号, p1871-1875
2022.06.29 -
- ひざ関節
- 膝の外側の痛み
- 半月板損傷
スポーツをする方や高齢者の中には、膝を痛めて半月板損傷になった方もいらっしゃるでしょう。手術によって本当に治るのか、悪化や再手術にならないのか治療に対し不安を抱える方もいるかもしれません。 半月板損傷の手術は、変形性膝関節症のリスクを減らせるメリットがある一方で、再手術の可能性があるデメリットもあります。メリットとデメリットを考慮し、医師と相談の上で手術するかどうかを検討すると良いでしょう。 本記事では、半月板損傷の手術の種類やメリットデメリットについて詳しく解説しています。本記事が半月板損傷になった方が手術を検討する材料となれれば幸いです。 半月板損傷はスポーツマンや高齢者に多い 半月板損傷は高齢者やスポーツマンに多くみられる外傷です。 半月板は膝の内側と外側に位置し、膝関節に起こる衝撃を吸収するクッションの役割を果たしています。加齢とともに弱くなるため、半月板損傷は老化現象のひとつとして普通に起こりうることです。 また、スポーツにおいては、急に体を曲げたりひねったりする動作を繰り返すと、半月板への負担が増して損傷するリスクが高まります。 半月板が損傷すると膝の曲げ伸ばしが不安定になったり、痛みや腫れで膝が動かなくなったりする場合もあります。 半月板損傷の原因や症状について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 半月板損傷の手術半月板損傷における2つの手術方法 半月板損傷後は、手術が必要な場合と不要な場合があります。最終的には損傷のレベルや年齢など個人の状態に合わせて手術を検討します。 半月板損傷の手術の種類は下記の2種類です。 縫合術 切除術 自分自身でもどのような手術があるのかを理解して、医師に相談して決めましょう。 軟骨をつなげる「縫合術」 「縫合術」は、その名の通り損傷した軟骨を縫い合わせて修復する手術です。 一般的に縫合術は以下の手順で行われます。 膝の蓋近くに数か所穴をあける 手術に関節鏡(小型カメラ)と使用する器材を体内に入れる 関節鏡で患部を確認しながら縫い合わせる 縫合術は傷ついた軟膏を取り除く「切除法」と比べて、半月板の温存しやすいメリットがあります。そのため、縫合術が可能な状態であれば、こちらが優先的に選択されます。 その反面、考えられるリスクは半月板の再損傷と再手術です。半月板の再発は高くて5人に1人と低い確率ではありません。(文献1) その他、下記の合併症のリスクの可能性があります。 感染症 関節水腫(関節液が関節にたまり腫れ・痛みを生じる) リスクも踏まえて慎重に検討しましょう。 損傷した部分を取り除く「切除法」 切除法は、文字通り半月板で損傷している部分を切除し取り除く手術です。損傷部位の縫合が難しい場合、多くの場合は切除術が選択されます。 一般的に切除法は、下記の手順で行います。 膝の蓋近くに数か所穴をあける 手術に関節鏡(小型カメラ)と使用する器材を体内に入れる 関節鏡で患部を確認しながら少しずつ専用のハサミで切除する 半月板の損傷状態によっては、傷ついた軟骨のみ取り除いて正常な部分は残す方法も選択されます。 縫合術よりも感染症の合併リスクが少ない一方で、ロッキングの繰り返しが多くなり変形性膝関節症のリスクが高まるリスクもあります。 半月板の治療についてより詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 半月板損傷の手術をするメリットは「変形性膝関節症のリスクを減らせる」 半月板損傷の手術を受けることで、半月板損傷が重症化して起こる「変形性膝関節症」のリスクを低減できる可能性があります。 変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨が摩擦によって変形することで膝の腫れや痛みを伴う病気です。加齢や肥満により膝関節に負担がかかって発症するケースが多くみられます。 変形性膝関節症の症状によっては、人工関節を入れる手術が必要になることもあります。 半月板損傷の手術は、長期的な目線で見ると、このような2次的な病気を防げるメリットがあるといえるでしょう。 半月板損傷の手術をするデメリットは「再手術の可能性がある」 半月板損傷は、早期の手術により慢性的な膝関節の病気を防げるのがメリットである一方、再手術のリスクがあるのがデメリットです。 手術により半月板の痛みや損傷が一時的に改善しても、再度激しい運動の繰り返しや加齢によって再発し、再手術となる可能性も否定できません。 膝の変性に伴う半月板損傷の場合、切除法は縫合術よりも変形性膝関節症へ進行する可能性が高まります。 半月板損傷の手術を検討する上で、どのようなリスクがあるのか不安がある方は、かかりつけの医師に相談しましょう。 半月板損傷の手術によって歩けるまでの期間が違う 半月板損傷をする場合、治療期間の目安は以下のとおりです。 縫合術 切除術 入院期間 約2週間 約4日間 歩行可能期間 術後約2週間 術後の翌日から スポーツ復帰 術後約3カ月 術後約1~2カ月 退院後はリハビリが必要になるため、定期的な通院が必要です。医師や理学療法士の指示に従って適切なリハビリを行いましょう。 半月板損傷の術後のリハビリについて詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 まとめ|半月板損傷の手術に臨む前にメリットとデメリットを考えましょう 半月板損傷の手術には、メリット・デメリットがそれぞれ存在します。これらを十分に理解した上で、手術を受けるべきか検討しましょう。 また、手術を受けても膝の痛みが改善されない場合、治療法の選択肢として、「再生医療」が挙げられます。 とくに幹細胞治療は、ご自身の脂肪から幹細胞を抽出し培養、患部に投与すると膝の痛みの改善が期待できる可能性があります。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による半月板損傷の治療が可能です。メールやオンラインでの無料カウンセリングも実施しているので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 また、膝の症状を改善する再生医療が気になる方は、下記リンクも参考にしていただければ幸いです。 半月板損傷の手術に関してよくある質問 手術にはどのくらいの費用がかかりますか? 手術にかかる費用は、病院や治療内容によって変動します。半月板損傷の治療は健康保険適応です。3割負担の方の場合、負担金は7〜20万円程度と考えられるでしょう。 いずれにしても、手術にかかる費用は高額です。負担が大きい場合は、高額療養費制度や限度額適用認定証の活用で費用の負担を減らすことも可能です。(文献2)(文献3) 費用を減らせる金額は自身の収入や加入している保険区分によって変動します。詳しく知りたい方は、自身が加入している健康保険組合に問い合わせてみてください。 半月板損傷で手術をしない選択肢はないのでしょうか? 半月板損傷になっても、必ず手術しなければいけないわけではありません。半月板損傷が軽度の場合は、手術をしない方法を選択できます。 手術をしない治療法の例として、以下があります。 ヒアルロン酸の注入 関節穿刺(かんせつせんし) 鎮痛剤の服用 このほか、近年では自身の幹細胞を利用した再生医療による治療も可能です。当院「リペアセルクリニック」でも、再生医療による膝の痛みを対象とした治療を行っています。メールやオンラインでの無料カウンセリングも実施しているので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 参考文献一覧 (文献1) 緒方 悠太, 佐藤 孝二, 木内 正太郎, 田渕 幸祐. 外側半月板縫合術後3 ヵ月における身体機能の特徴. J-STAGE]. 2022年11月. https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyushupt/2022/0/2022_54/_article/-char/ja/, 2024.11.10. (文献2) 高額療養費制度を利用される皆さまへ. 厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html, 2024.11.10. (文献3) マイナ保険証または限度額適用認定証をご利用ください . 全国健康保険協会.https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g5/cat550/1137-91156/,2024.11.10.
2022.06.18 -
- ひざ関節
- 関節リウマチ
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
- 靭帯損傷
- 膝部、その他疾患
膝関節は、大腿骨、脛骨および腓骨、また膝蓋骨などが組み合わさって作られています。日常生活でスムーズかつ自由な伸展運動ができるよう、半月板や靭帯をはじめとする周囲の構造物が膝関節を補助しています。 何気ない動作において、「膝の裏に痛みを感じる」「ピキッと音が鳴る」といった違和感を覚えた経験がある方もいるでしょう。 膝を形成している組織が、スポーツなどの外傷や加齢、自己免疫異常などによる異常をきたして損傷が起こると、膝の裏の部位で疼痛(痛み)が生じます。 今回は、膝の裏が痛い原因やピキッと鳴るときに考えられる病気と対策を解説します。医療機関での治療法のほか、セルフケア方法もまとめているので、ぜひ参考にしてください。 膝の裏がピキッと痛むときに考えられる9つの病気 膝の裏が痛む際に原因として考えられる疾患には、変形性膝関節症や関節リウマチのほか、膝部位に存在する靱帯の損傷などがあります。 膝の裏が痛い場合に考えられる疾患 変形性膝関節症 半月板損傷 ベーカー嚢腫(のうしゅ) 関節リウマチ 靭帯の損傷(事故や、スポーツなど) 以下で、それぞれ詳しく解説していきます。 ▼ 膝の痛みを放置するリスクについて知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 1.変形性膝関節症 変形性膝関節症は、中高年の女性によくみられます。 関節の軟骨がすり減って膝の内側や裏からふくらはぎにかけて痛くなり、正座がしにくくなります。変形が進行して症状が悪化するとO脚になり、末期になると歩行が困難になって人工関節の手術が必要です。 変形性膝関節症によって膝の関節が硬くなると、膝を伸ばすときに裏が痛くなります。また、膝を曲げ伸ばしする際に「ミシミシ」「ゴリゴリ」といった音が鳴るケースも珍しくありません。 ▼ 変形性膝関節症によるO脚の例 また、膝関節が炎症して水が溜まると、膝の裏から太ももの前側にかけて全体的に痛みを感じるようになります。(文献1) ▼ 変形性膝関節症について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。 2.半月板損傷 膝の裏がピキッと痛む原因として考えられる疾患の一つが、半月板損傷です。 半月板は膝関節におけるクッションの役目があり、スポーツや事故による怪我、あるいは加齢に伴う変性によって損傷することがあります。 半月板が損傷すると、膝の裏側に痛みを感じるケースも珍しくありません。また、膝が動かなくなるロッキングを起こしたり、曲げ伸ばししづらくなったりします。 3.ベーカー嚢腫 ベーカー嚢腫も、膝の裏がピキッと痛むときに考えられる疾患の一つです。 ベーカー嚢腫とは、なんらかの原因で膝関節が炎症を起こし、関節液が増えて膝裏の滑液包に流入してできた袋状のコブを指します。 ゴルフボールぐらいのサイズに大きく腫れることもあり、膝の裏が突っ張った感覚を覚えます。 放置しているうちに腫れが治る場合もありますが、痛みが強いときは、針で水を抜くケースも少なくありません。なお、ベーカー腫瘍は主に変形性膝関節症や半月板損傷、関節リウマチ、化膿性関節炎などが原因とされています。(文献2) ▼ ベーカー嚢腫について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。 4.関節リウマチ 関節リウマチの患者数は、現時点でおおむね80万人といわれており、発症原因は自己免疫系統の異常とされています。自分自身の軟骨組織や骨成分を攻撃・破壊して関節部位に炎症を引き起こすと、膝裏に疼痛症状をもたらすと考えられます。(文献3) 関節リウマチを発症しやすい年齢は、30~50代前後の中高年層です。また、性別に関しては男性よりも女性で発症率が高いことが指摘されています。 なお、関節リウマチの初期段階では、手指の関節領域が左右対称に腫れるほか、倦怠感や食欲不振など自覚症状を引き起こす懸念があります。 ▼ 関節リウマチの対処方法を詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 5.靭帯損傷 靭帯損傷のなかでも、とくに後十字靱帯の損傷の場合、膝裏を伸ばしたときにピキッとした痛みを感じることも少なくありません。(文献4) 膝関節には4つの靱帯があり、重要な役割を担っています。膝の左右両側にあるのが内側側副靱帯と外側側副靱帯で、前後部位には前十字靱帯と後十字靱帯が走行しています。 たとえば、交通事故に遭ったり、スポーツ活動中に怪我を負ったりして、物理的に大きな衝撃が膝関節に負荷となってかかると、膝の靱帯が損傷・断裂して強い痛みを伴うでしょう。 とくに、靭帯を損傷してから3週間前後の発症して間もない頃には、膝裏の痛みのほか、伸展運動がしにくいといったサインも認められます。 受傷後1か月ほど経過した段階では、膝関節内部に血腫が貯留して腫れの所見が目立つこともあれば、損傷部位によっては膝関節の不安定さが少しずつ顕著になるケースもあります。 6.膝裏の筋肉の損傷 膝の裏側に位置する膝窩筋(しつかきん)の損傷も、ピキッと痛む原因の一つです。膝窩筋とは、膝裏の奥にある小さな筋肉で、膝を屈曲する際に重要な役割を果たします。 過度な負荷や無理な動きによって筋肉や腱が損傷すると、次のような症状が現れます。(文献5) しゃがむと痛い しゃがんで立つと膝の裏が痛い 膝を伸ばすとふくらはぎや太ももの裏が痛い 膝を曲げると膝裏が痛い 階段を上り下りする際に膝の裏からふくらはぎにかけて痛い 膝窩筋が損傷すると、膝裏にピキッと痛みを感じることが多く、とくにしゃがむ動作や立ち上がる動作で痛みが顕著になります。症状が悪化するとふくらはぎや太ももの裏など、周辺の筋肉にも痛みが波及するため注意が必要です。 7.腰椎ヘルニア・坐骨神経痛 太ももの後ろからふくらはぎにかけて痛みがある場合は、腰椎ヘルニアや坐骨神経痛も考えられます。神経の圧迫によって膝裏に痛みが放散され、痺れやズキズキした痛みを感じることがあります。 腰椎ヘルニアや坐骨神経痛による膝裏の痛みは、とくに立ったり歩いたりしているときに痛みが強くなることが特徴です。また、安静時にも痛みを感じる場合があり、睡眠中に痛みで目が覚めるケースも珍しくありません。 腰椎ヘルニアや坐骨神経痛が痛みの原因の場合は、腰部の治療が不可欠です。膝裏の痛みがひどくなる前に、早めに理学療法や薬物療法を行ってください。 8.リンパによる膝の裏の痛みや腫れ リンパ液の流れが悪化することによる膝裏の痛みや腫れも、ピキッと音が鳴る原因の一つです。 リンパ管は体内の老廃物を運ぶ役割を担っており、通常、筋肉の収縮や体の動きなどによって流れています。しかし、同じ姿勢で長時間過ごしたり、食生活が偏ったりしてリンパの流れが悪くなると、膝裏に痛みや腫れが生じます。 なお、リンパ液が滞った状態を放置すると、膝周辺が硬くなりさらに痛みを伴う可能性が高いため注意してください。 適度な運動やマッサージ、適切な食事をしてリンパの流れを改善・促進することが大切です。 9.反張膝 反張膝(はんちょうひざ)が原因で、膝裏がピキッと痛む場合があります。 反張膝は、膝関節が角にそり返った状態を意味します。通常、膝はまっすぐに伸びているのが正常です。しかし、班長膝の場合は膝が後ろに飛び出るような形に曲がるため、結果として膝裏に圧力がかかり、痛みが生じます。 なお、反張膝は太ももの前後の筋肉バランスの悪さや、大腿四頭筋や腸腰筋、前脛骨筋などの筋力の低下によって起こります。反張膝を放置すると、膝への負担が蓄積され、関節の変形や痛みの慢性化につながるため注意が必要です。 膝の裏がピキッと痛むときの治療法 ここでは、膝の裏がピキッと痛むときの具体的な対処法や治療法を解説します。 幹細胞やPRPによる再生医療 膝裏がピキッと痛むときの治療法として、最近では幹細胞やPRPによる再生医療が注目されています。再生医療とは、自然治癒力を最大限に引き出すための医療技術で、幹細胞や血小板の投与によって高い治療効果が期待できることが特徴です。 たとえば、変形性膝関節症が原因で膝の裏が痛む場合、初期段階ではヒアルロン酸注射やリハビリテーション、内服で様子を見ます。しかし、変形が進むと、人工関節置換術などをすすめられる場合がほとんどです。幹細胞やPRPによる再生医療は、手術を避けたい場合の新しい選択肢だといえるでしょう。 再生医療は、変形性膝関節症のほか、半月板損傷や腰椎ヘルニアなどの治療としても期待されています。 リペアセルクリニックでは、再生医療による膝の痛みの治療を行っています。なお、メール相談やオンラインカウンセリングも実施しているので、ぜひ気軽にご連絡ください。 ▼ 再生医療で膝の痛みを治療する 膝の痛みは、再生医療なら入院や手術をせずに改善を目指せます 手術治療とリハビリテーション 膝裏に重度の痛みを感じる場合や保存療法が効果を示さない場合には、手術を検討します。 とくに、変形性膝関節症や半月板損傷、靭帯断裂などが原因で膝裏に痛みがある場合は、手術治療が必要になるケースも珍しくありません。 また、術後には理学療法士やトレーナーなど専門職と相談しながら、状況に応じて適切なストレッチやリハビリテーションを実践し、早期回復に努めます。リハビリテーションは、膝の再受傷や二次的な外傷を回避するために以下の内容を中心に行われます。 体幹を鍛える 柔らかいボールなどを膝下で転がすように動かす 座位の状態になって膝を伸展させる 大腿部の筋肉を鍛える など なお、手術治療の方法は、膝の痛みの根本的な原因によって異なります。早期回復を目指す場合には、最小限の切開で済む膝関節鏡による手術をすることが一般的です。 膝の水抜き 膝の裏の痛みと同時に水が溜まっているときは、膝の水抜きをします。膝に水が溜まる原因には、変形性膝関節症や半月板損傷、ベーカー嚢腫などがあります。 膝の水が自然になくなるケースもありますが、膝裏の腫れや突っ張り、違和感があるときには水を抜くことが一般的です。 膝に水が溜まるのは、膝関節内で炎症が起こり、関節液が過剰に分泌されるためです。膝の水を抜くことで、痛みを軽減できます。ただし、膝の水抜きは一時的な効果にすぎないケースも多いため、原因に対する根本的な治療もあわせて行う必要があります。 ▼ 膝の水を抜く方法を詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 病勢進行の抑制 膝の裏が痛む原因によっては、病勢の進行を抑制するための治療をします。とくに、関節リウマチや変形性膝関節症など、進行性の疾患においては、症状を抑えるだけではなく、関節の損傷や変形を防ぐために以下のような治療が必要です。 抗炎症薬の使用 関節内注射(ステロイド注射やヒアルロン酸注射など) 生活習慣の改善 など 早期に適切な治療ができれば、生活する上で困らない程度まで痛みを軽減できるでしょう。 病勢進行を可能な限り抑制し、痛みを少しでも改善させるためには、普段から膝に大きな負荷をかけないように意識しながら対策することが大切です。 膝の裏がピキッと痛む場合のセルフケア方法 膝の裏がピキッと痛む場合は、早めの対応が痛みの軽減や早期の回復につながります。 以下で、膝裏の痛みに対するセルフケア方法を解説するので、ぜひ参考にしてください。 安静にする 膝の裏にピキッとした痛みを感じたら、まずは無理に動かさず、安静を保つことが大切です。膝に負担をかけすぎると、痛みが悪化する可能性があるため注意しましょう。とくに、急性の痛みがある場合は、できるだけ安静にするようにしてください。 安静にする際は、膝を高く保つと腫れや血流の滞りを防げます。横になるときにはクッションや枕などを使用し、膝を軽くあげると良いでしょう。安静にすることで、膝の炎症や筋肉の過度な緊張を抑えられるため、早期の回復につながります。 ストレッチをする 膝の裏がピキッと痛むときには、ストレッチも効果的です。 膝の裏のストレッチをすることで、筋肉に柔軟性を持たせて血流を促進します。膝裏の痛みに対しては、以下のストレッチがおすすめです。 ふくらはぎのストレッチ 太ももの後ろ(ハムストリング)のストレッチ 膝窩筋のストレッチ ストレッチをする際の注意点として、無理に引っ張ったり、痛みを感じるまで伸ばしたりするのは避けましょう。また、痛みを感じたときにはすぐにストレッチを中止し、かかりつけの医師に相談してください。 ▼ 以下の動画では、ふくらはぎと太ももの後ろの筋肉を中心にストレッチのやり方を紹介しています。 マッサージをする 膝の裏の痛みには、ストレッチと同様にマッサージも効果的です。膝の裏や周辺の筋肉を軽くマッサージすることで、筋肉の緊張をほぐし、血流が促進されます。 膝の裏がピキッと痛む場合は、膝の後ろからふくらはぎにかけて、手のひらで円を描くようにマッサージするのがおすすめです。 ふくらはぎを軽く揉むことで、膝裏にかかる圧力が軽減されると、痛みが和らぐ場合があります。 マッサージをする際は、痛みが悪化しないよう、力を入れすぎないことがポイントです。 テーピングやサポーターを使用する 膝の裏がピキッと痛むときには、テーピングやサポーターの使用も有効です。膝の安定性を高めることで無理な動きを制限したり負担を減らしたりすることで、痛みの軽減に役立ちます。 とくにテーピングは、膝を固定しつつ可動域を制限しないための適切な方法で行うことが大切です。テーピングの方法には専門的な知識が必要になるため、最初は専門医に相談するようにしてください。 テーピングやサポーターは膝への負担を軽減するために役立つものの、長時間使用しすぎると、筋力の低下や血行不良につながるリスクもあります。かかりつけ医に相談しながら適切にテーピングやサポーターを使用しましょう。 まとめ・膝裏のピキッとした痛みが長引くときは迷わず専門医に相談しよう 今回は、膝の裏がピキッと痛むときに考えられる病気と対策について詳しく解説しました。膝裏部が痛む原因としては、主に変形性膝関節症や関節リウマチ、膝靱帯損傷などが考えられます。 たとえば、関節リウマチは薬剤の治療成績が著しく向上し、初期段階できちんと診断して的確な治療を実践すれば治癒が期待できる病気になってきました。また、膝の靱帯を損傷した際は、早期的なアイシング(冷却)や患部固定で症状緩和につながります。 自分なりに対処策を実践しても症状が軽快しない場合や膝裏部の疼痛症状がひどくて悪化するような場合は、早めに整形外科などの専門医を受診しましょう。 膝裏のピキッとした痛みに関するよくある質問 ここでは、膝裏のピキッとした痛みに関するよくある質問をまとめました。 膝の裏は歩きすぎると痛みやすい? 長時間の歩行は膝に負担がかかるため、膝裏の痛みを引き起こす可能性があります。とくに、硬い地面を歩いたり、無理なペースで歩行したりすると痛みがでやすいでしょう。 長時間歩くときには、適切な靴を履き、歩行姿勢に気をつけることがポイントです。また、歩行する前後でストレッチや軽いマッサージをすると、筋肉の緊張を和らげて膝への負担軽減につながります。 膝の裏が痛むときに専門医に相談すべき目安は? 膝の裏が痛むときは早めに医師へ相談するべきです。 膝の裏が痛むときに考えられる原因はさまざまで、比較的軽度なものから、自身では気づけないような重度な疾患まで存在します。自己判断して膝の痛みを放置してしまうと、日常生活に支障をきたす恐れがあります。症状が悪化すると歩行が困難となり、治療後に後遺症が残ってしまう可能性もゼロではありません。 膝の裏の痛みは軽視せず、最寄りの医療機関を受診するか、リペアセルクリニックのメール相談やオンラインカウンセリングまで気軽にご連絡ください。 膝裏のピキッとした痛みは予防できますか? 膝裏の痛みに対する予防には、筋力トレーニングやストレッチが効果的です。 大腿四頭筋やハムストリング、ふくらはぎなどの筋肉を鍛えて柔軟性を保つことで、膝の安定性を維持しやすくなります。また、正しい歩行姿勢を保ったり適切な体重を維持したりすることも、膝への負担を軽減し、痛みの予防につながります。
2022.06.07 -
- ひざ関節
- 膝に赤みや腫れ
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
この記事に辿り着いたあなたは、突然膝が腫れ、原因がわからず悩んでいるのではないでしょうか。 心当たりがないのに、膝の赤みや熱感、痛みがひどくなり、不安になる方もいるかもしれません。 膝の腫れは、炎症反応によるもので、なんらかの病気によるものが隠れている可能性も考えられます。 場合によっては、長期的な治療を必要とするものもあるでしょう。 本記事では、膝が腫れる原因の病気と対処法について詳しく解説しています。本記事が膝の腫れを改善させるきっかけとなれれば幸いです。 膝が腫れる原因は病気による炎症の可能性あり 膝が腫れて炎症が起こっている原因には、以下のような病気が隠れている可能性があります。 変形性膝関節症 半月板損傷 関節リウマチ 痛風 その他の病気(糖尿病や感染症) 本章では、膝が腫れる原因の病気について解説します。紹介した症状に心当たりのある方は、受診を検討しましょう。 また、膝に水が溜まっている感じがする方は、下記の記事も参考にしてみてください。 変形性膝関節症 膝が腫れて痛む有名な病気としては「変形性膝関節症」があげられます。 変形性膝関節症の原因は、加齢や遺伝的要因、もしくは体重増加による膝関節への過度な負担です。膝関節に負担がかかると関節軟骨が摩擦ですり減り、強い痛みを感じやすくなります。 初期症状は軽度(膝のこわばりや違和感)の場合があり、病気に気づきにくいケースもあります。 悪化すると、膝の可動域が狭くなり、歩行や正座など日常の動作が痛みでつらくなるでしょう。 末期には動いていないときでも痛みを感じ、日常生活に支障をきたす場合も少なくありません。 変形性膝関節症の初期症状や治療法は、以下の記事も参考にしてください。 半月板損傷 膝の腫れを伴う症状として「半月板損傷」も疑われます。半月板は膝関節の中にある三日月の形をした軟骨組織です。膝にかかる負荷を和らげるクッションの役割を果たしています。 スポーツや事故などにより膝に急激な負担や強い衝撃を与えると、半月板損傷になる可能性があります。 変形性膝関節症のほとんどは高齢者であるのに対し、半月板損傷は激しいスポーツをする若年層でも多くみられるのが特徴です。 半月板損傷になると、膝の痛みや腫れで動かしにくくなり、スイッチが入ったように膝関節が動かなくなる「ロッキング」が起こります。 関節リウマチ 「関節リウマチ」は、軟骨や骨組織が「免疫異常」によって攻撃されて関節部位の炎症が起こる病気です。この炎症反応により、関節の腫れ・強い痛みを自覚することもあるでしょう。 関節リウマチの症状の特徴は、手足の指の関節が左右対称性に腫れることです。 初期段階では指のような小さい関節に多くみられますが、膝や股関節など大きな関節に出る場合もあります。(文献1) そのため、関節リウマチによって膝が腫れることも考えられるでしょう。 関節の症状に加えて発熱や倦怠感、貧血など全身症状を伴う場合もあります。また、病気が進行すると軟骨の破壊が始まり、関節の曲げ伸ばしがつらくなる場合もあるでしょう。 関節リウマチについてより詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。 痛風 膝関節部が腫脹を認める疾患として「痛風」も考えられます。痛風は尿酸値が高い「高尿酸血症」に付随する症状のひとつです。 生体内で尿酸成分が過剰に貯留されると、膝関節を始めとする関節部位に尿酸の結晶が溜まり、炎症を引き起こして腫れを生じます。 痛風は足の親指が有名ですが、膝関節にも症状があらわれるケースもあります。 痛風を放置すると関節の激痛や腫れを繰り返し、最終的には腎不全にまで進行する可能性も考えられるでしょう。放置せずに適切な処置をとることが大切です。 尿酸はビールや甲殻類に多く含まれる「プリン体」が体内で分解されてつくられる成分です。そのため、カロリーの高い食事やアルコールの過剰摂取など食生活の乱れは痛風の一因と考えられています。(文献2) 痛風が出る部位や症状について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 その他に考えられる病気 糖尿病や感染症なども膝が腫れる一因として考えられます。 手術やケガなどでできた傷口から細菌が入り、炎症を引き起こします。 症状が悪化すると敗血症のリスクがあるため注意が必要でしょう。(文献3) 感染症により膝の腫れを引き起こす「化膿性関節炎」について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 日常生活に関する習慣性によって膝が腫れる場合もあります。 普段から立ち仕事や激しいスポーツなど膝への負担が多い場合は注意が必要です。無理をせず適当なタイミングで休憩するようにしましょう。 また、肥満状態は膝に大きな負担をかけています。肥満による体重増加は、膝の腫れを悪化させる大きな要素です。 バランスの良い食事や定期的な運動で適正体重を保つように注意しましょう。 膝が腫れて痛い場合は冷やして安静にする 膝に熱感があり、腫れて痛い場合は冷やして安静にして様子をみましょう。 自宅や突然膝の腫れを感じた場合の応急処置は、下記の「RICE」が基本です。(文献4) R(Rest):患部を固定して安静にする I(Ice):氷をアイスバッグや袋に入れて、患部を冷やす C(Compression):テープや包帯などで患部を圧迫ぎみに固定する E(Erevation):患部を心臓より高い位置に挙げる 上記はあくまですぐにできる応急処置です。不安があれば翌日または当日に受診をしましょう。 また、冷やすことで膝の痛みが悪化する場合は、筋肉の凝りや血流の悪化からきている可能性があります。その場合は冷やさず、湯船やカイロなどで温めましょう。 何科に受診すべきか悩むときは整形外科へ 膝の腫れで受診する際、何科に受診するか悩んだ際は「整形外科」を受診しましょう。 整形外科では今回解説した「変形性膝関節症」「半月板損傷」「痛風」など膝の症状があらわれる病気を対象に診療しています。 関節リウマチの特徴がみられる場合は、専門診療科の「リウマチ科」を受診しても良いでしょう。関節リウマチも他の病気と同様で、整形外科で診てもらうことも可能です。 また、膝の腫れや痛みで受診を悩む場合もあるでしょう。下記のいずれかに該当する場合は病院で診察を受けることをおすすめします。 突然膝の腫れや痛みが出た 膝の腫れが数日間も続く 冷やしても改善しない スポーツやケガなど、膝が腫れた原因が思い当たらない だるさや発熱など、他の症状もあらわれている 膝が動かしにくい、または動かない 上記に限らず膝の腫れや痛みに不安を感じる場合も、専門医に診てもらい適切な処置を受けましょう。 病院では手術・リハビリで治療する場合もある 膝の腫れに対する治療は、原因によってさまざまです。症状や医師の判断によっては、病院でリハビリや手術による治療を行う場合があります。 膝の腫れや痛みが生じる病気の治療は、以下のような処置がとられます。 症状・病気 治療の一例 手術 変形性膝関節症(文献5) 生活習慣の指導 膝関節を固定 ヒアルロン酸を注入 あまり行われないが、場合によっては手術の可能性あり> 半月板損傷 鎮痛剤の服用 膝関節の固定 リハビリ(筋肉の状態により) 手術の可能性あり 半月場縫合術 半月板切除術 ※手術によりスポーツの復帰が難しい可能性あり(文献4) 関節リウマチ(文献1) メトトレキサート(免疫抑制剤)の服用 鎮痛剤の服用または注射 リハビリ リハビリや鎮痛剤で症状が緩和しない場合は手術も検討する 人工関節置換術 関節形成術 痛風(文献2) 尿酸を下げる薬の服用 鎮痛剤や抗炎症薬の服用 患部の感染や関節機能の異常が大きい場合は手術する場合もある いずれの疾患でも、医師と患者の両者の意見に基づいて治療方針が決まります。病気の治療に不安があれば、主治医に相談してみましょう。 まとめ | 膝が腫れる原因がわからないときは医療機関に相談しよう 膝が腫れる原因は、関節の病気や外傷などさまざまです。 膝の腫れで受診した際には、症状出現前後のイベント、スポーツや立ち仕事など心当たりのあることを医師に伝えてください。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 膝が腫れるときによくあるQ&A 運動後に膝が腫れるのはなぜですか? 運動により膝が腫れるのは「半月板損傷」である可能性が高いです。 下記のようなスポーツ種目は、膝のひねりや無理のある方向転換により半月板損傷になる可能性があります。 マラソン ゴルフ バレー バスケ 野球 定期的にスポーツをされる方は、無理な膝の使い方をすると半月板を傷めやすいので注意しましょう。 膝の腫れはどのくらいで治りますか? 膝の腫れが治る期間は、原因の病気や程度によってさまざまです。数カ月で治る場合もあれば、数年以上かかることもあります。 早期に適切な処置を行うことで比較的早めの改善も期待できます。膝の腫れに違和感があれば早めに専門医に診てもらいましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療にて膝の腫れや変形性膝関節症の治療が可能です。気になる方は下記のページも参考にしてください。 膝が腫れてブヨブヨで痛いのですが… 膝に水が溜まっている可能性があります。 普段は関節の潤滑油として役割を果たしている「関節液」が炎症反応により過剰につくられているため、膝に水が溜まる現象が起こります。(文献6) 病院で水を抜く処置をしてもらうと、ブヨブヨの解消が期待できるでしょう。 また、場合によっては水を抜いた後に痛みや炎症を抑える目的でヒアルロン酸を注入する治療も可能です。受診した際に相談してみてください。 膝と同様、肘にも炎症が起こる「肘頭滑液包炎」の可能性があります。詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 参考文献一覧 文献1 日本リウマチ学会. 関節リウマチ診療ガイドライン2020. , 診断と治療社, 数カ月2021年,初版, p171 文献2 日本痛風・尿酸核酸学会. 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン[2022年追補版]. 第3版, 診断と治療社, 2022年, p73 文献3 Steven Schmitt, MD, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine at Case Western Reserve University. 感染性関節炎.MSDマニュアル家庭版. 2022.6. 文献4 日本整形外科スポーツ医学会広報委員会.3.スポーツ外傷の応急処置(RICE). スポーツ損傷シリーズ, 2023.5. 文献5 日本整形外科学会診療ガイドライン実行委員会/変形性膝関節症診療ガイドライン策定委員会. 変形性膝関節症診療ガイドライン2023. 初版, 株式会社南江堂, 2023, p147 文献6 斉藤 聖二,関節痛(炎):診断と治療の進歩1.関節の構造と関節痛(炎)の原因, 日本内科学会雑誌, 1994年, 第83巻, 第11号, p1871-1875
2022.06.07 -
- ひざ関節
- 膝の外側の痛み
- 半月板損傷
「膝の痛みが気になっているけれど手術するか悩む……」 「手術をしたあと後遺症が心配……」など、気になっていませんか? 半月板損傷の手術で起こる後遺症が心配になり、放置すると症状を悪化させる可能性があります。 そこで本記事では、半月板損傷で施す手術療法の種類とともに、治療の注意点を解説しています。 手術をして起こりうる後遺症、手術しないリスクについてもまとめました。半月板損傷でおすすめしたい治療法も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。 半月板損傷とは 膝の半月板とは、膝関節の太ももの骨(大腿骨:だいたいこつ)とスネの骨(脛骨:けいこつ)の間にある軟骨で、衝撃を吸収する役割があります。 「C型」や「O型」をした線維の軟骨からなり、内側と外側の両方に存在します。上半身の負荷や関節をスムーズに動かす大切な存在ですが、実は半月板には約10〜20%しか血が通っていません。 一度損傷してしまうと自然に治癒するのは極めて困難です。 再発防止やスポーツ活動への復帰を考慮して保存療法ではなく、手術を選択される方もいます。 40歳を超えたら半月板損傷がよくみられるので、以下の症状がある方は手術を検討しましょう。 【半月板損傷の主な症状】 膝の痛みや腫れがある 膝の動きが制限される 普段より膝に水が溜まりやすくなる など 膝の半月板手術を受ける上で、先に細かい注意点が知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。 半月板損傷の手術療法の違いとそれぞれの注意点 半月板損傷の手術療法は大きく分けて以下の手術を行います。 内視鏡術 縫合術 切除術 手術療法の違いについて、それぞれの違いや注意点を解説していきます。 内視鏡術 半月板損傷の症状が長引くか、良くなっても再発する場合は、関節鏡を使用した内視鏡手術を行います。 内視鏡術は腰椎麻酔で行うケースが多く、手術中は意識があるので希望する方に向け、説明をしながら手術を受けられるのが特徴です。 しかし画像上で半月板に損傷がみられても、痛みの程度や動作による支障があまり出ていない症状も考えられるでしょう。 症状によっては、投薬し安静にしていれば症状が軽くなる場合もあります。 縫合術 半月板損傷の手術は、安定した生活動作や若年層の方、スポーツによるパフォーマンス維持のためにも、可能な限り縫合術で行います。 半月板が中心で裂けるように損傷しているケースでは、縫合術の適応となります。 損傷の度合いや形態を観察し、損傷しているカ所の激しい患部を優先的に処置する施術です。 血液の流れを考慮しながら、組織の状態が良好な部分は最大限に活かす方向で縫合していきます。 膝の外側に3cmほど切開をつくり、縫合専用の器具を使用して半月板に糸を数本通し、膝の関節の外側で結びつけて縫合していく流れです。 糸を膝関節の外側に通して縫合していますが、損傷しているカ所によっては関節の中だけで処置を終え、手術跡を作らず済む方法もあります。 ただし縫合術を終えたあとは、以下の点には注意しましょう。 入院期間である術後2週間は足を床につけてはいけない 固定具を装着し膝を伸ばした状態をキープする 2週間後は経過観察の上で適切なリハビリを実施する 詳しいリハビリ法については、以下の記事でまとめていますので、ぜひあわせてご覧ください。 また、手術をすれば必ず痛みが取れるわけではありません。 手術をしても「痛みが取れない」「手術前よりも痛くなった」とよく言われます。 リスクを回避する方法については、以下のページで詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。 切除術 半月板損傷で行う切除術は、断裂している部分に血行がなく、断裂しているカ所が縫合しても改善されないほど損傷が大きい場合に適応されます。 損傷範囲が広い症状では、断裂している部分を専用器具で切り取り除去します。 半月板の辺縁部分には血行があるため、縫合術で対応するのが大半です。 しかし、断裂部分の繊維が不揃いになっているときには、切除しながら辺縁部を整える必要があるので、切除術が選択肢になります。 傷んだ半月板が膝関節部の軟骨と摩擦せず、軟骨の損傷をも防げます。 注意点として、切除術は半月板の機能を低下させるリスクやデメリットがあるので注意が必要です。 可能な限り温存させる方向で、必要最低限の切除にとどめた手術を行います。 他にも以下のケースで切除術が行われるので、症状によって適切に判断しましょう。 縫合が可能な辺縁部と切除する部分の両方が損傷している(縫合術との組み合わせ) 円板状半月板の方 半月板の治療で切除術を選択した場合、関節軟骨が変形する「膝関節症」になる可能性もあります。 術後1〜2カ月は水が溜まりやすく、むくみが生じるリスクもあるので注意しましょう。 縫合術との違いは、術後翌日には歩行になり、退院も4日程度なので比較的すぐ歩けるようになる点です。 切除術もまた縫合術と同じく、手術をすれば必ず痛みが取れず、むしろ余計に痛みを感じた方もいます。 半月板損傷の手術後の後遺症 手術後は、以下のようなリスクが存在するため、術後には注意して観察が必要となります。 感染 静脈血栓塞栓症(肺血栓塞栓症) しびれ それぞれの後遺症について、詳しく解説していきます。 感染 半月板の手術で起こる可能性がある後遺症でまず挙げられるのが細菌感染です。 手術時の傷跡から細菌に感染し、化膿すると発症します。 内視鏡術の場合で細菌感染する可能性は、1%と言われていますが、一度感染すると半月板損傷としての治療以外を行うリスクが伴います。 あらかじめ細菌感染の後遺症が発症しないよう、抗生物質を使うケースもあるので、専門医のカウンセリングで相談しておくのが無難です。 静脈血栓塞栓症(肺血栓塞栓症) 静脈血栓塞栓症(肺血栓塞栓症)は、半月板の手術で発症する後遺症ではないものの、下肢の手術や脊椎の手術、骨折などにより発症しやすくなります。 名の通り、足の静脈にできた血栓が、肺の動脈で詰まってしまう症状です。 長時間座ったままでいたときにも起こる可能性がある症状なので、胸の痛みや呼吸困難を感じた方は要注意です。 半月板の手術自体で発症する後遺症ではなくても、気になる症状がある方は、ぜひ以下の記事も参考にしてください。 膝の痛みを感じた方がよく処置を受ける「膝の水を抜く」治療を行ったあとの注意点をまとめています。 しびれ 半月板損傷の手術をすると、患部にしびれを感じます。 手術の過程で下肢への血流を遮断しているので、しびれが起きます。 しかし多くの場合で術後数日ほどで、しびれが改善するので、改善されない場合は必ず担当医師に相談しましょう。 半月板損傷の手術をしたあとの後遺症を含め、不安に感じている点があれば、当院ではオンラインカウンセリングも実施しています。 「1週間経ってもしびれが改善されない」「痛みが軽減されない……」など、お気軽にご連絡ください。 半月板損傷を放置するリスク 半月板損傷が発症していて、手術を検討していても、後遺症が心配な方のなかには「後遺症があるならそのままにしよう」と考える方もいるでしょう。 半月板損傷の手術で起こる可能性がある後遺症が気になり、放置してしまうと、以下のリスクが起きてしまいます。 ロッキング現象が起こる 水が溜まり運動機能が低下する 半月板損傷を放置するリスクも、把握できるよう順番に解説していきます。 ロッキング現象が起こる 半月板損傷を放置すると、ロッキング現象が起こります。 ロッキング現象とは、膝の痛みだけでなくロックされたように動かなくなる症状です。 ロッキング現象は何かの予兆があるわけではなく、急に起こる可能性があります。半月板損傷で発症した破片が膝に引っ掛かり起こる症状なので、目で見て判断するのは困難です。 ロッキング現象が起こると、膝の曲げ伸ばしなどの動きが制限されるので、手術をしなければいけなくなります。 水が溜まり運動機能が低下する 半月板損傷が発症すると水が溜まりやすくなり、何度も溜まった結果、運動機能が低下する可能性もあります。 膝に水が溜まったら抜けば良いと思われがちですが、根本的な治療を施さない限り、また溜まってしまいます。 半月板損傷の慢性化により発症する傾向にあるので、放置するより手術で根本的な治療をするのが良いでしょう。 以下の記事では、半月板損傷が発症したときにやってはいけない項目をまとめています。 放置するリスクとともに、リスク回避の参考にしてもらえると幸いです。 手術後の後遺症を抑えたいなら再生医療がおすすめ! 半月板損傷の手術には縫合術・切除術ともにリスクを伴います。 実は幹細胞を用いた再生医療では、手術による後遺症のリスクを負わず治療を受けられるのです。 縫合術との比較 縫合術の場合、縫い合わせた半月板が再断裂する可能性があり、縫合術をして4年後に再断裂をする確率は30%と言われています。 縫合をしても半月板がしっかりとくっついていないため発生するのです。 一方で幹細胞治療の再生医療では、断裂した半月板を接着剤で留めるように修復するので、日常生活だけでなくスポーツ復帰も可能です。 縫合術を受けると2週間は足に体重をかけられなかったり、4週間ほどの松葉杖生活を強いられます。 再生医療では、治療を受けた当日に歩いて帰れるのが特徴です。 切除術との比較 切除術の場合、半月板の一部を取り除くので、関節のクッション性がなくなります。 数年後には関節軟骨がすり減り、変形性膝関節症になる方が大半です。 実際に切除術を行なった10年後には、一般の方であれば30%、スポーツをしている方は70%もの方が変形性膝関節症へと移行しています。 切除術をすると切った部分から再び断裂が生じる可能性もあり、術後数週間が経過した頃より再び膝の痛みを感じるでしょう。 一方で幹細胞治療は、半月板をそのまま温存できるので、クッション性がなくなる心配がありません。 変形性膝関節症や再断裂のリスクも減らしてくれるのが再生医療の魅力です。 幹細胞治療は手術を受けた後でも有効! 切除術で半月板を切り取ってしまうと、切り取った半月板が元に戻りません。 後戻りができない治療を受ける前だけでなく、術後の再断裂の予防にも再生医療を検討する価値は十分にあると言えます。 縫合術を受けた後に幹細胞治療を行えば、より強固に半月板が修復されるでしょう。切除術を受けた後も同様に、断面に新たな亀裂が生じ痛みが再発する場合もよくあります。 しかし、多くのケースで「手術は成功しています。しばらく様子を見ましょう。」と言われるでしょう。 幹細胞治療は、再発した術後の痛みの原因となっている新たな半月板損傷の治療としても有効です。 ▼ 半月板損傷を再生医療で治療する方法があります 再生医療なら半月板損傷は、手術せず、入院せず改善を目指せます まとめ・後遺症が不安なら受診とともに再生医療を検討しよう! 本記事では半月板損傷の手術をしたあとに起こる可能性がある後遺症について解説しました。 膝の痛みや腫れ、動きが制限されるなどの症状が伴う半月板損傷の手術をしても、感染、静脈血栓塞栓症などの後遺症が挙げられます。 後遺症になるのは避けたく、手術せずに放置するとロッキング現象や水が溜まりやすくなり運動機能の低下が起きてしまいます。 膝の曲げ伸ばしができず歩きにくくなるので、半月板損傷を放置するのは避けるべきでしょう。 適切な処置をするためにも、自分で判断せず病院やクリニックで受診するのをおすすめします。 ▼以下もご参考にしてください
2022.05.04 -
- ひざ関節
- 動作時の痛み
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
- 靭帯損傷
膝関節が痛い!そんな時に疑われる病気と注意点、その治療について解説します 日常の生活で、階段の昇り降りや、立ったり、座ったり、ふとした時に膝に痛みや、違和感を自覚したことはありませんか? そんな時、その痛みに不安を感じはするものの、それ以外の状態で痛くなければ、「大丈夫だろうと・・・」医療機関を受診することなく放置しがちです。 いや、お待ちください!膝の痛みを放置すると重大な病気に繋がることがあります。 膝の痛みからくる疾患も早期発見、早期治療が大切。けして放置してはなりません!痛みは、身体のサインです! そこで、ふとした時などに、膝に痛みを感じたときに疑われる病気について解説してまいりましょう。 膝関節の痛みや違和感を感じる場面 階段の上り降り 立つとき 座るとき 起床時のこわばり 私たちが膝を曲げ伸ばしするということを医学的に表現すると「脛骨の上を大腿骨が前後になめらかに転がっている状態」だとお考え下さい。これらの骨の表面には弾力性に富み、膝のスムーズな動きをサポートするための「軟骨」という、やわらかいクッションで覆われています。 そして、もう一つ大腿骨と脛骨の間に位置する半月板と呼ばれる部分があり、この部位は膝関節にかかる物理的な衝撃を吸収するというクッションの役割を果たしてくれています。 膝関節に痛みを感じるということは、これらの部分で何か問題が起きていると考えて良いでしょう。 そこで、膝に関する正しい知識を知っていただき、日々の適切なケアを継続すれば痛いといった「疼痛症状」を緩和させることが可能なことをお伝えできればと思います。 今回は、膝に痛みを感じた際に「どういった病気が疑われる?」のか」、そして膝の痛みを自覚するようになった場に「どのような対応策」があるのか?という2つの観点から解説してまいります。 膝が痛む場合、どのような病気が疑われるのか 通常、膝に痛みを生じさせる代表的な病気には「変形性膝関節症」と言われるものが最も多くみられます。 その他、運動などのスポーツ障害として「半月板損傷」や、「前十字靱帯損傷等」などが知られています。また、一部に「関節リウマチ」という場合もあります。 それ以外、膝の障害には以下のように多岐にわたる疾患があるため、自覚する症状によって自分で判断するのは難しいとお考え下さい。 膝が痛む場合、違和感がある場合は初期の段階、早めの受診をお勧めします。 「膝が痛む」ときに多い疾患 変形性膝関節症 関節リウマチ 膝骨壊死症ほか 半月板損傷 前十字靱帯損傷等 後十字靱帯損傷 内側・外側々副靱帯損傷 離断性骨軟骨炎 関節ネズミ オスグッド病 軟骨損傷ほか 変形性膝関節症について 変形性膝関節症は、加齢によって発症することが多い病気です。原因の多くは、年齢を重ねるごとに軟骨が少しずつ摩耗し、半月板が損傷、炎症が起こり、関節の変形がみられるようにもなります。 変形性膝関節症の初期段階では「座った状態から立ち上がる瞬間」や、「歩行を開始する時」などに膝に痛みを感じます。ただ、休息すれば自然と症状が改善する傾向にあります。 ところが、病状が進行すると正座をすることが難しくなり、階段を昇り降りすることが困難にもなります。さらに悪化すると安静にしている時でさえも膝の痛みがとれないようになります。 最終的に膝関節の変形が顕著になると歩行することが出来なくなってしまう進行性がある怖い病気です。 「変形性膝関節症」について知っておきたいこと 進行する怖い病気です 初期は立ち上がる瞬間や、歩行の開始時に膝に痛みを感じる そのうち正座ができない、階段を上り下りが困難となる 末期では安静時も膝が痛み、膝関節の変形が顕著になると歩行も困難になる 本疾患における原因としては、加齢に伴って膝の関節内にある「軟骨組織が老化」することのみならず、肥満体形であることや、元々の遺伝的素因、そして膝関節周囲における骨折、病変や半月板損傷を始めとした外傷などの後遺症として発症することも往々にしてあります。 変形性膝関節症の発症原因 加齢で軟骨組織が老化する 肥満体形で膝への負担が大きい 遺伝的素因 膝関節周囲の骨折の後遺症 病変や半月板損傷外傷などの後遺症 変形性膝関節症は進行性の病気で元の状態に回復させることが困難な病気です。 いかに現状の状態を維持できるかといったことが治療の主眼となり、保存療法を中心としたリハビリが有効な治療法となります。 注意すべきは最終的に手術が必要になることです。それが「人工関節」という選択です。そうならないためにも、上記に記したような膝への痛みや、違和感を感じたら、早めに病院等にて診察を受けることです。万一、変形性膝関節症であった場合は、リハビリ等にて進行を、可能な限り遅らせるような取組みが可能です。 関連記事 変形性膝関節症の人がしてはいけない仕事とその理由 関節リウマチ 膠原病という自己免疫が関連した病気で膝関節のみならず手指、手関節、肘関節などを中心に身体のあらゆる関節で炎症が引き起こされる病気です。 関節リウマチを引き起こす要因としては未だに明確なことは判明していませんが、どうやら生体の自然免疫システムが発症に深く関係していると言われており、病状が悪化するメカニズムは最近の医学研究などによって少しずつ明らかになってきています。 本疾患における初期症状としては、関節自体に炎症が起こることに伴って関節部の腫れが認められ、それが膝部分で発症すると膝の関節に痛みが出現することになります。 さらに病状が進行してしまうと関節を構成している骨や軟骨などが破壊されることによって関節が変形して屈曲拘縮や関節脱臼など日常生活に多大に支障をきたすことに繋がっていまいります。 ▼合わせて読みたい 関節リウマチ放置してはいけない!初期症状と治療法 膝骨壊死症 骨壊死の特徴として、急な痛みがあります。変形性膝関節症にように病気が進行することで徐々に痛みが進行していくものとは違って骨壊死は、急に、突然に!痛みが発症する場合が多いと報告されています。 原因としては、軟骨の土台になっている軟骨下骨に微小骨折が生じて骨の壊死が発症していくと推測されています。夜間など寝ている時や、体を動かしていないのに膝の痛みがある場合に膝骨壊死(大腿骨内顆骨壊死、脛骨内顆骨壊死)が考えられます。 半月板損傷、前十字靱帯損傷等 これらの損傷は、比較的若い世代で起こることが多く、運動や、スポーツによって強い力を受けたときに生じる外傷によって膝に痛みがみられる場合に疑われます。 半月板損傷などは、年をとって弱くなった半月板に力が掛かると損傷することもあります。この場合は、日常の軽い怪我、転んだりした場合にも起こるため、年齢を重ねた場合は転倒や、つまずきに注意すべきでしょう。 半月板損傷や前十字靱帯損傷、軟骨損傷などでは膝が伸びないロッキングと言われる症状が出ることがあったり、膝が痛みと共に、曲がらなくなったり、走れなくなる場合があります。 また、前十字靭帯損傷には完全断裂や部分断裂、弛緩といった症状があります。 前十字靭帯は、膝関節の脛骨と大腿骨を繋いでいる靱帯で、この部分に強い力が加わることで断裂や伸びてしまったりして損傷が起こります。 この症状はスポーツや運動を行うことで発症することが多く、サッカーやラグビー、バレーボール、バスケットボール、スキーやスノボード。柔道や空手などの格闘技等、激しいぶつかり合いやジャンプしたり、急な捻りが起こったり、転倒が起こることで損傷することが多く見られます。 ▼こちらも合わせてご覧ください 半月板損傷は自然には治らない/その症状と治療法 変形性膝関節症の治療 膝関節痛の原因が「変形性膝関節症」の場合には、日常生活において、膝の周囲の筋肉、特に「ふとももの筋肉(大腿四頭筋)」を鍛えて、出来る限り「正座」の姿勢を取らないように心がけましょう。 また、肥満気味と指摘されれば減量が必要です。食生活を見直し、運動習慣を持つようにし、ダイエットに努めて下さい。また膝を極力冷やさずに血行を良好に保つ、そして毎日のトイレでは和式は避けて洋式トイレを使用する。また生活様式を畳などの和式から、机と椅子を用いた洋式に変更するように認識しておきましょう。 変形性ひざ関節症で注意したいこと 正座を行わない 肥満気味であれば食生活の見直し、運動でダイエットに取組む 膝を冷やさないこと(冷房に注意、サポーターなどで保護も有効) 洋式トイレを利用し、和式トイレは避ける 畳の和式から、椅子とテーブルといった洋式に生活を変更する 変形性膝関節症の治療は、膝関節の痛みが軽度であれば鎮痛剤を内服するあるいは湿布などの外用薬を貼付する、あるいは膝関節内にヒアルロン酸を注射する処置を実施することがあります。 それに並行して保存療法(リハビリテーション)を行います。大腿四頭筋を強化するリハビリ訓練を受け、関節可動域を改善させるための理学療法を実践する、膝を温める物理療法を試みる、あるいは膝関節にかかる負担を補助するための足底板や膝専用装具を作成するなどの工夫策を組み合わせることになります。 これらの保存的な治療でも症状が改善しない場合には関節内視鏡手術、高位脛骨骨切り術、人工膝関節置換術などを中心とした手術治療を考慮することになります。 変形性ひざ膝関節症の治療 鎮痛剤 ヒアルロン注射 保存療法(リハビリ)大腿四頭筋を強化する 理学療法で可動域を改善する 膝の装具(サポーター等) 足底版 手術による場合 関節内視鏡手術 高位脛骨骨切り術 人工膝関節置換術 ▼合わせて視聴したい 治療を行っても、一向に良くならないことはありませんか? https://youtu.be/o2ASEGbQ-R8?si=RlJCPeTjsyi2sDV8 こちらの動画では、変形性膝関節症と間違われやすい膝関節周辺の疾患5選をご紹介しています。是非ご覧ください。 関節リウマチ疾患の治療 膝関節の疼痛症状のみならず発熱や体重減少などの全身症状を合併することも多いため、病状の活動性が盛んな際には絶対的安静も必要になるでしょう。 本疾患の病状進行度は患者さん自身の日常生活の習慣と密接に関与していると考えられているため、周囲のサポート環境がリウマチ患者さんに日常生活指導を実践して生活習慣を改善させることで膝関節の痛みなどを代表とする症状を軽減させる効果が期待できます。 普段の食生活においてはタンパク質やビタミン成分、そして微量ミネラル元素などを中心にバランスに優れた食事内容を摂取することをお勧めしますし、体重が増加し過ぎて肥満にならないように心がけることが重要な観点となります。 関節リウマチに対する薬物療法としては、抗リウマチ薬や生物製剤を用いた免疫療法、ならびに原疾患に伴う炎症所見や痛みを緩和させる非ステロイド系鎮痛消炎剤などを用いた対症療法が主流となります。 膝関節における屈曲制限などを含めた機能障害の重症度によっては、その機能を回復させることを主目的として滑膜切除術や人工膝関節置換術などの手術療法を検討するケースも考えられます。 関節リウマチの治療 生活習慣の改善 タンパク質、ビタミン成分、ミネラルなどバランスの良い食生活 体重管理 抗リウマチ薬、生物製剤を用いた免疫療法 炎症所見や痛みを緩和させる非ステロイド系鎮痛消炎剤 手術 滑膜切除術 人工膝関節置換術 前十字靭帯損傷の治療について 損傷が起こった場合は、リハビリを中心とした運動療法を中心に理学療法、装具療法等の保存療法を行います。それでも症状が改善しない場合は、手術療法を検討することになります。 手術療法には、関節鏡視下にて行う低侵襲の手術であるため、術後の回復も早く、スポーツの場合では競技への復帰、また社会への復帰も早く見込めます。 ただし、注意点としては、靭帯損傷で適切な治療を行わないままに運動や、スポーツを継続すると半月板等、周囲の軟骨を損傷することとなりかねません。そうなると変形性膝関節症に移行しかねない危険性があります。 前十字靭帯損傷の治療 保存療法(リハビリ) 装具(サポーター等) 手術 関節鏡視下手術 まとめ・膝関節が痛い!そんな時に疑われる病気と注意点、その治療について 膝関節痛を来す病気として代表的なものは変形性膝関節症や、半月板損傷、前十字靱帯損傷、関節リウマチが挙げられます。 これらの関節疾患に罹患した場合には、疼痛症状の度合い、病状の進行度、日常生活における支障度などにはそれぞれ個人差があるので、個々のケースに応じて状態を評価して綿密な治療計画を立案する必要があります。 これらの病気に対する治療や予防に関しては、まずは膝関節を含めて自分の身体の状態を適切に知ることが重要です。その詳細な症状や具体的な治療法、薬剤効果などを本人や家族自身が十分に向き合って理解することが重要な視点となります。 上記、どんな症状であっても初期の治療が非常に大切です。 治りきらないまま放置したり、運動を行うのは危険であることをご理解いただければ幸いです。 膝に痛みや違和感などがあって心配であれば、最寄りの整形外科クリニックや専門病院などの医療機関を受診して相談されることを検討しましょう。けして放置しないでください。 以上、関節の痛み!そんな時、どういった病気が疑われるのかについて記載しました。今回の記事、情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼ 再生医療の幹細胞治療で膝の関節症を治療する 膝に起こる各種関節の問題を再生医療の幹細胞治療で手術せずに症状を改善する ▼以下もご参考にしてください 膝の病気!鵞足炎と変形性膝関節症についてと、その違いを解説!
2022.04.18 -
- 半月板損傷
- 膝の外側の痛み
- ひざ関節
膝の半月板損傷に対する治療として、ヒアルロン酸注射を思い浮かべる人は多いかもしれません。「本当に効果はあるのだろうか」「いつまで続けないといけないのだろうか」と疑問に思うこともあるでしょう。 半月板損傷におけるヒアルロン酸注射は有効ですが、一時的な効果しか得られない点は注意が必要です。 半月板損傷を根本的に治療するには、他の方法も検討する必要があります。 本記事では半月板損傷に対するヒアルロン酸注射の効果やメカニズム、ヒアルロン酸以外に必要な治療などを解説します。 半月板損傷の治療法の選択肢を広げたい人は、ぜひ最後までチェックしてみてください。 【結論】半月板損傷にヒアルロン酸注射は有効な可能性がある 結論からいえば、半月板損傷に対してヒアルロン酸注射は有効な可能性があります。 過去の研究から、ヒアルロン酸注射によって炎症を強める成分を抑え、さらに炎症を抑える成分を回復させることが示唆されています。(文献1) 加えて、ヒアルロン酸が軟骨の劣化を抑え、衝撃吸収作用を高めることもわかっています。(文献2) 半月板損傷の治療については以下の記事でも解説しています。ぜひチェックしてみてください。 そもそもヒアルロン酸注射とは? ヒアルロン酸注射とは、ヒアルロン酸ナトリウムを膝関節に注入する治療法です。 ヒアルロン酸は膝の軟骨の成分の一つで、水分を多く含んでいます。膝関節に注射することで、関節の動きをスムーズにしたり、炎症を抑える効果が期待できるでしょう。 ヒアルロン酸は半月板損傷だけでなく、変形性膝関節症で軟骨がすり減り、関節の動きが悪くなったり痛みが出たりするときの治療にも使われています。 ヒアルロン酸注射の効果はあくまでも一時的 ヒアルロン酸注射は半月板損傷に有効と考えられていますが、効果は一時的です。ヒアルロン酸が関節内で分解され、ヒアルロン酸濃度が薄くなるためです。 1回の効果は持続しても1~2週間程度と考えられています。 また、ヒアルロン酸注射によって痛みが治まっても損傷した半月板は元に戻っていないため、痛みが再発する可能性があります。 ヒアルロン酸注射で効果が出ないケース 半月板損傷におけるヒアルロン酸注射で効果が得られないケースは以下のとおりです。 膝関節内の炎症が強い場合 関節の変形が重度の場合 半月板損傷の炎症が大きすぎると、ヒアルロン酸では抑えられない可能性があります。また、関節の変形が重度の場合は、ヒアルロン酸の潤滑油としての働きが効かないこともあるでしょう。 膝のヒアルロン酸注射が効かないケースについては、詳しくは以下の記事で解説しています。半月板損傷でヒアルロン酸注射を検討している人は目を通しておきましょう。 【いつまで?】半月板損傷でヒアルロン酸注射を続ける期間 半月板損傷に対するヒアルロン酸注射は、基本的に5回1クールの周期でおこないます。 ヒアルロン酸の効果を持続するためには、完全に分解される前に次のヒアルロン酸を補充しなければいけません。 まずは1週間に1回のペースで開始して5週程度連続して実施することが多い治療です。間隔を少しずつ空けていき、約2週間に1回のペースで注射を5回~10回前後継続して行います。 3カ月程度を目処に継続し、改善が見込めない場合はステロイド注射や手術など別の治療方法も検討していきます。 \まずは当院にお問い合わせください/ ヒアルロン酸注射の費用は1割負担で1,000円程度 ヒアルロン酸注射は医療保険が適応になる治療方法です。 治療費用は再診料や技術料金も含めて1割負担の人なら両膝1,000円程度、3割負担の人なら3,000円程度が一般的です。 そのほか薬の処方箋料や、レントゲンなどの撮影をした場合には撮影料が別途必要となります。初回の診察ではレントゲンなどの画像撮影も必要です。 詳しい治療費については、病院の窓口で確認しましょう。 半月板損傷でヒアルロン酸注射の効果がなかった場合の対処法 半月板損傷に対してヒアルロン酸注射を実施しても効果が乏しいときの対処法として、以下の3つが挙げられます。 炎症に対してのステロイド注射や内服 運動療法や物理療法などのリハビリ 半月板の縫合術や人工関節などの手術 ヒアルロン酸注射で効果がない場合、ステロイド注射や非ステロイド性消炎鎮痛薬などの薬物療法を行うことがあります。また、運動療法や物理療法などを導入することもあるでしょう。 もしこれらの保存療法でも改善がみられない場合は手術を検討することもあります。 なお、当院リペアセルクリニックでは膝関節の再生医療も実施しています。 再生医療は自然治癒が難しいとされる半月板の損傷に対して期待されている治療方法です。お気軽にメール相談もしくはオンラインカウンセリングからご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ まとめ|半月板損傷の治療はヒアルロン酸注射以外も検討しよう 半月板損傷に対して、ヒアルロン酸注射は炎症を抑えたり、痛みを軽減したりなどの効果が期待できます。週1回や2週間に1回のペースでヒアルロン酸注射をおこない、3カ月程度継続する治療です。 しかし、ヒアルロン酸注射の効果はあくまでも一時的です。 根本的な治療をするには、ヒアルロン酸注射と並行してリハビリをしたり、手術を受けることも視野に入れる必要があるでしょう。 なお、当院リペアセルクリニックでは半月板損傷に対して再生医療をおこなっています。 再生医療は、半月板のほか軟骨・神経など自然治癒が難しい組織に対して期待されている治療方法です。 半月板を根本治療を検討している人は、当院のメール相談もしくはオンラインカウンセリングからご相談ください。この記事が少しでも参考になれば幸いです。 \まずは当院にお問い合わせください/ 半月板損傷のヒアルロン酸注射についてよくある質問 半月板損傷に対してヒアルロン酸注射は効果がありますか? 半月板損傷による炎症を抑える効果や痛みを軽減する効果が期待できます。 ヒアルロン酸注射は半月板損傷の症状を軽減する可能性がある治療方法です。しかし、半月板損傷が大きく、関節が変形するなど症状が大きい場合にはあまり効果がない可能性もあります。 半月板損傷でヒアルロン酸注射の効果がなかったときの対処方法はありますか? ほかの注射や痛み止め、リハビリ、手術が検討されます。 ヒアルロン酸注射の効果が乏しかった場合、ステロイド注射や非ステロイド性消炎鎮痛薬などの痛み止め、リハビリ、手術療法が有効です。また、当院リペアクリニックでは再生医療も実施しています。 参考文献 (文献1) 加藤幸夫 ほか「ラット変形性膝関節症モデルにおける高分子ヒアルロン酸の作用:ヒアルロン酸応答遺伝子の網羅的解析|ClinRheumatol(25)」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cra/25/3/25_174/_pdf/-char/ja (文献2) 科研製薬株式会社「早期変形性膝関節症の病態解明による診療の変遷」 http://e-kansetsu.jp/asset/pdf/interview_ishijima_210115.pdf
2022.03.11 -
- ひざ関節
- 半月板損傷
半月板の亀裂、組織が欠損する半月板損傷、その症状、痛みの原因と治療法 半月板というのは膝関節に位置する大腿骨と脛骨間に存在する線維軟骨を意味します。 一般的には、膝部分の内側と外側のそれぞれに存在し、主には膝にかかる荷重や負担を分散して物理的な衝撃を吸収する役割を有しています。 半月板損傷という病気は、膝関節内にある半月板に亀裂が生じる、あるいは組織が欠損する状態であり、若年者から高齢者まで発症し、慢性化すると変形性膝関節症を引き起こすことが懸念される病気です。本疾患に罹患した際には進行しないように早期に医療機関を受診し、適切に治療することが重要となります。 今回は、そのような半月板損傷という病気の原因、症状、検査、治療などに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 1.半月板損傷、膝が痛む原因 近年、積極的にスポーツに取り組む人とそうでない人の二極化傾向が指摘される背景があり、通常の運動不足に伴う運動能力の低下のみならず、過度なエクササイズによって「スポーツ傷害」を引き起こしかねない、どちらにもリスクが存在するようになりました。 一般的に、スポーツや運動による膝の外傷には、大きく分類すると骨折、靱帯損傷、半月板損傷、軟骨損傷がメジャーな疾患となっていますが、このうち最も頻繁にみられるのが半月板損傷と言っても過言ではありません。 また、半月板損傷は運動時の怪我から発症する場合だけでなく、加齢により傷つきやすくなっている半月板組織に僅かな外力が加重されて損傷し変性断裂が引き起こされるケースが存在します。 外傷による半月板損傷では、急なターンなどスポーツ中に膝部を傷めて膝前十字靱帯の断裂に合併して引き起こされることもありますし、特に外側半月板損傷は内側に比べて発症率は少ないと言われているものの若年者でよく罹患すると考えられています。 外傷とはまったく関係なく発症するタイプには生まれつき半月組織が大きく分厚いのが特徴的な円板状半月の症例で半月板損傷を認める場合もあります。 2.半月板損傷の症状 半月板が仮に損傷すると膝部に強い痛みが生じて運動する際や膝を屈曲伸展するときに膝に引っかかり感を覚えることがありますし、症状が進行した場合には膝に関節液が貯留して急激に膝が曲げ伸ばしできなくなるロッキングという状態に陥ります。 万が一、半月板が損傷すると激痛のために歩行できなくなることも経験されますし、関節の内部で強い炎症を惹起して水が溜まって膝部分が顕著に腫れあがる、あるいは膝内部の関節区域で出血が引き起こされて血液が貯留することも考えられます。 3.半月板損傷の検査 仮に本疾患が疑われる際には医療機関で整形外科の医師などが用手的に半月板部分に外的ストレスをかけることで、痛み症状などを再現させる診察が施行されることも多いです。 理学的所見などに基づいて積極的に半月板損傷を疑うときには、追加で半月板損傷に伴う関節症変化の有無を評価できるレントゲン検査を始めとする画像検査が実践されます。 また、核磁気共鳴装置を用いて行うMRI検査の場合は、半月板そのものが撮影されないレントゲン写真とは異なって、半月板自体を写し出せるので半月板損傷の診断率が非常に高く有用であると考えられています。 MRI検査を施行することによって半月板に縦断裂や水平断裂、横断裂、弁状断裂を始めとしてどのような組織損傷が起こっているか把握することができますし、半月板の変性状態を推察することにも貢献します。 4.半月板損傷の治療 半月板損傷に対する主な治療策としては、大まかに言うと保存治療と手術療法があります。保存療法とは、一般的に安静を保持する、抗炎症薬などの薬物を内服する、リハビリテーションなどを行うことを意味します。 仮に、これらの保存療法を実践してみても、膝部の痛み、引っかかり感、ロッキングなどの症状が継続して認められる場合には手術療法を検討します。 手術療法には、半月板のなかで損傷した部分を切り取る切除術、ならびに損傷した部分を上手い具合に縫い合わせる縫合術のふたつのタイプが挙げられ、通常では関節鏡を駆使した鏡視下手術を施行することが主流です。 実際には、半月板手術例のうち約9割は切除術が選択されていますが、この方法では膝関節の衝撃を吸収して膝関節の安定性を保持する役割を持つ半月板の機能そのものが失われるため、将来的に変形性膝関節症へ進行するリスクが高率であることが指摘されています。 したがって、特に近年では可能な限り縫合術を選んで半月板を出来る限り温存するという考え方がメジャーとなっています。 まとめ・半月板の亀裂、組織が欠損する半月板損傷、その症状、痛みの原因と治療法 今回は半月板損傷とはいったいどのような病気なのか、また本疾患の原因、症状、検査、治療などについて詳しく解説してきました。 半月板という組織は膝関節の内部に存在している軟骨様の構造物であり、内側と外側に各々ひとつずつあり、主な役割としては関節に加わる体重の負荷を分散させて関節部を安定に保つ働きを担っています。 半月板には、軟骨部に荷重される物理的なストレスを軽減させる重要な役割があるために現在では手術療法を選択した際には出来る限り半月板を温存して残す治療方法が重要視されています。 以上、半月板損傷とは、その原因と症状、治療法についてご説明させていただきました。今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼ 再生医療の幹細胞治療で半月版損傷を治療する 半月板損傷の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せず、入院も不要で症状をする ▼以下もご覧になりませんか 半月板損傷を早く治す!効果的なリハビリテーションの3つのステップ
2022.03.10