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脳出血が起きたら予後は良くないの? 脳出血で後遺症が残らない確率はどのくらい? 脳出血になったら余命は短いの? 脳出血が起きたら予後が悪いと聞いて、心配になっていませんか? 本人はもちろん、ご家族にとっても余命がどのくらいで、退院後の生活がどうなるのか想像できないと不安ですよね。 結論、脳出血は予後が悪い病気ですが、早期に適切な治療をすれば改善することもあります。 実際に重度の後遺症なしで退院後に自宅で過ごせる確率は約26%と報告されています。 脳出血が起きたあとの経過について正しく理解し、治療やリハビリ・予防を続けることが大切です。 本記事では脳出血後の予後や余命を解説します。 回復過程についても説明していますので、最後まで読んで退院後の過ごし方の参考にしてください。 参照:「脳卒中レジストリを用いた我が国の脳卒中診療実態の把握(日本脳卒中データバンク)報告書 2022年」 脳出血の予後を予測する上で知っておきたい2つのこと 脳出血の予後を決めるのは、以下の2つです。 脳出血のタイプ 発症時の意識レベル 2022年の脳卒中データバンクによると、脳出血の割合は脳卒中全体の18.0%と高くないものの、入院中に13.8%が亡くなると報告されてます。 脳梗塞と比較すると予後が悪く、後遺症に悩む人も少なくありません。 脳出血の予後について正しく理解し、治療の見通しを立てましょう。 参照:「脳卒中レジストリを用いた我が国の脳卒中診療実態の把握(日本脳卒中データバンク)報告書 2022年」 脳出血の後遺症でお悩みの方はお気軽にご相談ください お電話でのお問い合わせ 0120-706-313(受付時間:09:00〜18:00) メール相談 メール相談はこちらから(無料) 来院予約 来院予約はこちらから 脳出血の発症で死亡してしまう方に多いタイプ 脳出血で死亡してしまう方が多いタイプは以下の通りです。 血腫の量が多い 混合型の出血 脳幹の出血 急性閉塞性水頭症の合併 特に血腫量が多い場合や水頭症を合併している場合は手術が適応になることがあります。 2022年のデータでは急性期に手術した割合は12.6%と報告されており、 重症例と考えられるでしょう。 時間の経過とともに症状が進行するので、予後を悪化させないためには急性期の治療が重要です。 参照:「脳卒中レジストリを用いた我が国の脳卒中診療実態の把握(日本脳卒中データバンク)報告書 2022年」 ▼脳出血の中でも生存率の低い脳幹出血について知りたい人は以下の記事もご覧ください。 脳出血の予後は発症したときの意識レベルで変わる 脳出血の予後や死亡率は発症時の意識レベルに大きく影響を受けます。一般的に発症時に意識状態が悪いほど、後遺症も重くなり、死亡率が高くなるからです。 実際に2022年のデータでは、19.6%の方は脳出血を発症し、来院した時には昏睡状態(Japan Coma Scale 100以上)だったと示されています。 まずは脳出血を発症させないよう日々の血圧管理が必要ですが、発症したらすぐに受診することも予後をよくするためには重要です。 参照:「脳卒中レジストリを用いた我が国の脳卒中診療実態の把握(日本脳卒中データバンク)報告書 2022年」 脳出血の回復過程は3段階【適切なリハビリが必要】 脳出血を起こした後の回復過程には、以下の3段階があります。 急性期【発症~2週間】 回復期【急性期後~6カ月】 生活期【6カ月以降】 2022年の脳卒中データバンクによると、脳出血後のリハビリとして86.4%の人が理学療法を、84.4%の人が作業療法を、74.3%の人が言語聴覚療法を受けています。 段階に応じた治療・リハビリが必要ですので、概要を確認しておきましょう。 参照:「脳卒中レジストリを用いた我が国の脳卒中診療実態の把握(日本脳卒中データバンク)報告書 2022年」 ▼脳出血の後遺症やリハビリについて詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 急性期【発症~2週間】 急性期は発症直後から2週間程度です。 出血が広がらないように血圧を下げる治療や呼吸・循環を補助する治療や場合によって手術が行われます。急性期のリハビリは筋肉が衰えたり、関節が固くなったりしないよう無理のない範囲で行います。 回復期【急性期後~6カ月】 回復期は、急性期の終了後から6カ月までの期間です。 麻痺や動作の障害には理学療法や作業療法、しゃべり辛さや飲み込みの障害には言語聴覚療法を行います。 生活期【6カ月以降】 生活期には軽めの運動を取り入れながら、生活の範囲を広げ、動作に慣れるリハビリを行っていきます。 脳出血を発症した際の余命や後遺症なしの確率【平均余命12年】 発表済みのデータによると、脳出血を発症した際の平均余命は約12年、重大な後遺症なく退院して自宅で過ごせる方は約26%です。 脳出血は脳の血管が破れて出血する病態なので、出血が脳の重大な機能を司る箇所に影響を与える可能性があります。回復できるかどうかは出血の程度や治療の速さにかかっており、発症時に早期に治療へ結びつけることが大切です。 脳出血の1年以内の再発率は25%、5年以内の再発率は50%との報告もあります。余命を延長し後遺症が残る確率を減らすなら、脳出血を起こさないよう、また起きた後も再発しないよう血圧コントロールを継続しましょう。 参照:「脳卒中レジストリを用いた我が国の脳卒中診療実態の把握(日本脳卒中データバンク)報告書 2022年」 まとめ|脳出血を起こしたらすぐに病院へ受診を 脳出血の予後を良くするためには、発症してからできるだけ早く治療を始める必要があります。 脳出血が起きた箇所やタイプにもよりますが、発症から時間が経つほど症状は悪化し、意識レベルが低くなってしまいます。 意識レベルが低いほど後遺症の残る確率が上がるので、発症したらすぐに救急車を呼んで治療を受けるようにしましょう。 万が一、後遺症が残ってしまい痺れや麻痺でお困りの場合は、リペアセルクリニックへご相談ください。 ▼脳出血の再生医療について詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 脳出血の後遺症でお悩みの方はお気軽にご相談ください お電話でのお問い合わせ 0120-706-313(受付時間:09:00〜18:00) メール相談 メール相談はこちらから(無料) 来院予約 来院予約はこちらから 脳出血を発症した場合についてよくある質問 Q.脳出血は治りますか。 A.完治することはありませんが、適切に治療をすれば残っている機能を回復させることができます。特に問題になる後遺症は、軽度であればリハビリを通して回復が期待できます。重度の場合は難しいケースもありますが、再生医療が役に立つ可能性がありますので、一度リペアセルクリニックへご相談ください。 Q.脳出血を発症したあとに後遺症なしの確率はどのくらいですか。 A.2022年の脳卒中データバンクによると、退院時に自宅に戻れた人は約26%です。 一方、リハビリ目的の施設へ退院した人が約68%なので、生活機能が低下して自宅で過ごせないほどの後遺症が残ってしまうケースが多いことが分かります。 参照:「脳卒中レジストリを用いた我が国の脳卒中診療実態の把握(日本脳卒中データバンク)報告書 2022年」 Q.脳出血の予防方法はありますか。 A.血圧をコントロールすることです。脳出血の原因は、高血圧性脳出血が約8割と最も多いです。 高血圧は基本的には無症状ですが、動脈硬化による脳梗塞や脳出血の原因になってしまいます。異常値を指摘されている方は、早めに医療機関を受診して治療を始めましょう。 ▼脳出血の予防方法や原因について詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 Q.意識障害はよくなりますか。 A.出血した場所、出血の量によって異なりますが、適切な治療で改善するケースがあります。 意識障害を起こしている場合は、脳幹という神経が集まっている部位の出血や、出血の量が多く脳が浮腫を起こしている可能性があります。そのため、血圧を下げる、浮腫を和らげる、呼吸を補助するといった治療が必要です。 ただし、損傷した神経自体を回復させる治療はまだないため、重度の意識障害では症状が残る可能性が高くなります。 脳出血を発症しないように、血圧管理を含めて日常的な生活習慣に気をつけることが重要です。 Q.脳出血はどこまで回復しますか。 A.脳出血による後遺症が回復するかどうかは、発症時の症状とその後リハビリにより大きく異なります。 発症した時に意識障害がある場合や高度の麻痺がある場合には、一般的に後遺症が残ってしまいます。また、発症後6ヶ月までは回復する見込みがあるので、集中してリハビリを行うことが勧められます。 ご自身の想定される回復の程度やリハビリが必要な期間については、担当の医師とよく相談するようにしましょう。 ▼脳出血の後遺症・リハビリについて詳しく知りたい人は以下もご覧ください。
2023.04.05 -
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脳出血とストレスの関係性について!その種類と部位を分かりやすく解説! 脳出血とは脳卒中の一種で、脳内の血管が破裂することで出血する病態のことです。脳出血が起きると、出血によってあふれた血液が血腫(血の塊)を形成し、脳神経を圧迫することで多様な症状を生じます。 本記事では脳出血の原因、症状、そしてよく耳にする“脳出血とストレスの関係性”について詳しく解説していきます。 脳出血とストレスの関係性とは ストレスは万病の元とされており、脳出血の一因となります。 人間はストレスを受けると、副腎からコルチゾールという「ストレスホルモン」が多量に分泌されるようになります。 コルチゾールは適度であれば、生活リズムの調整や代謝促進などを行ってくれますが、過剰に分泌されることで、血管が収縮し血圧が高くなり、脳出血の発症リスクが高めてしまいます。高血圧や血圧の乱高下は、血管への圧力となってしまうためです。 ストレスによって生じる脳出血リスク また、ストレスによって脳出血が生じやすい、下記のような状況にも注意が必要です。 睡眠不足による動脈硬化リスク 過剰なストレスによって脳や体は緊張状態となり、睡眠障害となることがあります。不眠症によって動脈硬化が進むこともあり、脳出血の要因となります。 暴飲暴食による高血圧リスク ストレス解消をお酒や食事に求める方も多いと思われます。適度な酒量であれば、問題となることは少ないですが、過度の飲酒が続くと血圧が上昇し、脳出血のリスクを高めてしまいます。 食事も食べ過ぎると胃や腸に負担をかけ、生活習慣病の原因になり、脳出血を生じやすくなります。 喫煙による動脈硬化リスク ストレスにより喫煙の本数が多くなることもあるかと思いますが、喫煙も当然のように動脈硬化のリスクの一つです。 お酒に関しては適量であれば血流が改善する面もありますが、喫煙に関しては悪影響しかありません。 脳出血の種類 脳出血の原因としては、高血圧などの生活習慣が関与しているイメージがありますが、その他にも多様な原因疾患があります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。 高血圧性脳出血 脳出血の中で最も頻度が高いのが、「高血圧性脳出血」で、その名の通り高血圧が主な原因です。 高血圧は動脈に強い負担をかけるため、長期間高血圧に晒されることにより、血管が脆くなり出血してしまいます。ストレスによる影響が最も強いのはこのタイプとなります。 血管腫 血管腫とは、血管にできるコブのような塊のことです。血管が拡張したり増殖することによって生成され、多くは良性ですが血管腫ができると、脳出血を招いてしまうことがあります。 血管腫の中でも海綿状血管腫は出血するリスクが高く、稀に多発することがあります。出血自体も繰り返すことが多いのが特徴で、出血を繰り返すごとに血腫が成長し、脳神経などを圧迫することでてんかん発作を引き起こすことがあります。 動静脈奇形 動静脈奇形とは、胎生期に起こる先天性異常で、血管に奇形が生じる状態のことです。 脳内の動脈と静脈は毛細血管を経由してつながっていますが、動静脈奇形が起きると、動脈と静脈が直接つながるようになります。結合した動脈と静脈の間には、「ナイダス」という異常な血管の塊が生じ、これは通常の血管と比べて非常に脆くなっています。そこに動脈の血流が直接静脈に流れ込むため、血管に負担がかかり、破れることで出血が生じます。 硬膜動静脈瘻(:こうまくどうじょうみゃくろう) 硬膜動静脈瘻は、脳にある硬膜のなかで、動脈と静脈が直接つながってしまう状態のことです。上述した動静脈奇形が先天異常であるのに対し、硬膜動静脈癭は後天的に発生しますが、その原因についてまだ詳しいことはわかっていません。 動脈の血流が静脈に直接流れ込むことで、静脈の血管が耐えきれずに破れてしまい出血が生じます。 脳腫瘍(悪性) 脳腫瘍(悪性)は脳に発生する癌のことで、腫瘍自体が破裂することにより出血することがあります。 脳アミロイド血管症 脳アミロイド血管症は、高齢者に多い脳出血で、脳血管にアミロイドという異常な物質が溜まることで生じます。アミロイドが沈着することで血管が脆くなり、最終的に出血に至ります。 脳アミロイド血管症による脳出血は、再発を繰り返すことが特徴で、脳出血と同時に認知症を発症することも少なくありません。 脳出血は上記のように多様な原因がありますが、高血圧などの生活習慣病を患っていると動脈硬化が進行し、より出血のリスクが高まります。 この他にも、運動や睡眠不足、過剰なストレスを抱え込むことでも血圧が上昇しやすくなり、脳出血のリスクは高まるので、規則正しい生活を送ることが重要です。 脳出血の生じやすい部位と症状 脳出血の症状では強い頭痛や嘔気などが出ることは共通していますが、出血の起こる部位によって他にも様々な症状が出現します。 被殻出血 脳出血の中で最も多い出血部位(約40%)が被殻出血です。頭痛や体の半身が麻痺を起こす片麻痺や表情が歪んでしまう顔面神経麻痺などが生じます。 視床出血 被殻出血の次に多いのが視床出血で脳出血の約30%程度にみられます。視床は視覚や聴覚などで得た情報を集め、感覚中枢に送り届ける役割を担っており、この部分で出血が起こると、頭痛や片麻痺といった上記の症状に加えて、意識障害なども見られることがあります。 小脳出血 小脳は大脳の下に位置しており、運動機能を司っています。この部分で出血が起きると体を動かしづらくなり、ふらつきなどといった運動失調が生じます。徐々に意識障害が起こることもあります。 橋(脳幹)出血 脳幹は大脳と脊髄をつなぐ部位のことで、大脳が処理した情報を身体の運動機能につなげる役割を果たしています。そのため脳幹出血が起きると、四肢の麻痺や眼球運動障害があらわれやすくなり、意識障害なども生じることがあります。発症から数分で昏睡状態になり、数時間で死亡する場合もある重篤な疾患です。 皮質下出血 皮質下出血とは、大脳皮質という大脳を覆う膜の下で出血が起きることです。上記の4つの出血は高血圧が原因となることが多いですが、皮質下出血は動静脈奇形や硬膜動静脈瘻が原因であることが多いです。症状としてはけいれんや、軽めの意識障害などがみられることが多いです。他の部位の脳出血よりも比較的症状が軽い場合が多く、予後が良好なことが多いとされています。 まとめ・脳出血はストレスを和らげ規則正しい生活で予防しよう! 脳出血はストレスなどに起因した高血圧などや生活習慣の乱れなどによって発症することが多いですが、その他にも血管自体の異常によって発症することがあります。 脳出血の予防には、規則正しい生活やストレスを抱え込み過ぎないことが重要となります。 この記事がご参考になれば幸いです。
2023.03.27 -
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脳出血の原因と症状、後遺症の種類とリハビリによる改善の可能性 脳出血は、手足の麻痺や呂律が回らないなどの症状で発症することが多く、後遺症が残った場合は日常生活に支障をきたしてしまいます。そのため、治すことができるかは深刻な問題です。 一般的に脳出血の後遺症の程度は出血が起こった場所や発症した時の症状の重さと関係があります。そのため、症状が重い場合は完全に症状をなくすことは難しいのですが、早期からのリハビリテーション(リハビリ)によって、改善する可能性があります。 この記事では、脳出血の症状と原因、後遺症の種類、さらに後遺症を改善するためのリハビリについて解説していきます。 脳出血の症状と原因 脳出血は頭痛や吐き気、手足の麻痺など様々な症状を引き起こします。 脳に張り巡らされている血管の一部が破れて出血を起こす病気で、漏れ出た血液が脳の細胞を圧迫してしまい、脳細胞が障害を負ってしまうことが症状の原因です。 脳は部位によって機能が分かれているため、出血した部位に応じた症状が出てきます。脳幹という脳の重要な神経が密集している部分や錐体路(すいたいろ)という運動神経が走行している部分に障害が及ぶと、意識状態が悪くなってしまったり、重い麻痺が出てしまうことがあります。 また、場所の他に出血の量が多ければ、それだけ脳が圧迫される部分が多くなってしまうので症状が強くなります。部位による症状の例として、前頭葉という脳の前の部分の脳出血では、意欲の低下などが起こりやすくなります。さらに言語・記憶などを制御する側頭葉に障害が及ぶと、言語障害や記憶障害などが出てしまいます。 また、ご高齢であることや、初めの症状が重症であるほど、後遺症が残ってしまう可能性が高くなります。一度障害を負った脳細胞は完全に回復することができず、脳の他の部分がカバーして機能を改善させていきますが、それにも限度があります。そのため、急激に症状が悪化しないように発症してすぐは血圧を下げるなどの症状を悪化させない管理、治療が必要となります。 脳出血|後遺症の種類 脳出血は適切な治療をしても、後遺症が残ることが少なくありません。 脳出血による主な後遺症は以下のような種類があります。 運動麻痺 片側の手足が動かしづらくなる症状で、脳出血が生じた部位によって変わります。 感覚障害 触覚や痛覚が鈍くなったり、逆に過敏になり痺れを感じる場合もあります。 言語障害 構音障害という呂律が回りづらくなる症状や、失語症という言葉が出づらくなったり、理解できなくなる症状があります。 目の障害 視野が狭くなったり、物が二重にみえる症状がでる場合があります。 嚥下障害 食べ物を飲み込みにくくなります。 高次脳機能障害 記憶や注意の障害、感情障害(怒りっぽい、感情の起伏が激しくなる、感情が鈍くなる、悲観的になる、何事にもやる気が出なくなる)などが出現します。 後遺症によっては、治療後も日常生活に影響が出ることもあるので、後遺症の内容を知っておくことが大切です。 リハビリの可能性と改善の程度 このように、脳出血は一度発症すると、完全に回復することは難しいです。しかし、脳出血の後遺症は、リハビリ次第で軽くできる可能性があるので、なるべく自立した生活を取り戻すことができるように積極的にリハビリを行うことが勧められます。 脳出血では発症してから早期のリハビリが推奨され、特に廃用症候群(※)の予防をすることや、障害された部位を積極的に使うリハビリが必要となります。 ※廃用症候群とは、病気の治療のために安静にしすぎた結果、筋力が衰え身体機能が低下してしまう状態です。 そのため、全身状態を管理しながら、関節を動かす程度の負荷の少ないリハビリから行っていきます。特に麻痺側は関節拘縮(こうしゅく)が起こりやすい状態となっているため、可動域制限の予防のためにできるだけ早期に行うことが重要です。その後、状態が安定してきたら、徐々にベッドから離れて、様々なリハビリを開始します。 次に日常生活に復帰するためのリハビリを行います。回復期リハビリと言われ、およそ発症後2ヶ月から6ヶ月程度が目安です。ここでは機能や日常生活動作の障害の程度に基づいて多職種でリハビリを行い、在宅復帰や復職を目指していきます。また障害の程度に応じた介護のサービスも含めて、在宅支援のための調整を行っていきます。 脳出血の後遺症・リハビリに関してよくある質問 Q:後遺症はどの程度改善する可能性がありますか。 A:時間が経ってしまった麻痺症状は、改善の見込みが難しくなります。脳出血による麻痺では、一般的に発症後6ヵ月までは改善する見込みがあります。回復期と呼ばれるこの時期に、ダメージを受けた脳神経のネットワークの再構築が起こると考えられているため、機能回復を最大限にするための積極的なリハビリが必要です。 Q:脳出血のリハビリの期間は? A:急性期病院で脳出血の治療を受けた後は、回復期病院でリハビリを中心とした治療を行い、自宅復帰という流れが一般的です。 回復期病院での入院およびリハビリの可能な期間は、発症から最大で150日、高次脳機能障害を伴う場合は180日と決まっているので、長くても6ヶ月となります。 Q:リハビリはどこで受けられますか。 A:リハビリは医師の指示のもと、病院や診療所、医院もしくは在宅でも医療保険を利用して受けることができます。 また、介護保険を利用して、通所リハビリや訪問リハビリテーション等のサービスも利用することができます。 発症から最大で150日、高次脳機能障害を伴う場合は180日まで可能です。また期間を過ぎた後でも自費でリハビリを提供している施設などで、自費リハビリを行うことも可能です。施設によって多くのプランがあり、自分で選ぶことができます。 まとめ・脳出血の原因と症状、後遺症の種類とリハビリによる改善の可能性 いかがでしたでしょうか。脳出血で考えられる後遺症や、症状を改善させるためにリハビリが必要なことについて解説してきました。 脳出血は生活習慣病の1つであり、発症後の治療も重要ですが、予防が最も大切です。後遺症を残したり、寝たきりとなってしまわないように、日常生活を見直して発症予防に努めていくことが必要です。 この記事がご参考になれば幸いです。 ▼脳出血のチェック方法について 脳出血の初期症状をセルフチェック!早期治療で後遺症を残さない
2023.03.15 -
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脳溢血による後遺症と麻痺症状の治療について 脳卒中は突然発症し、命にかかわることのある重篤な病気であり、日本での死亡の原因上位とされています。 脳卒中には、脳の血管が詰まる脳梗塞と、脳の血管から出血が起きる脳溢血(のういっけつ)に分けられます。本記事では脳溢血の後遺症と麻痺症状の治療について詳しく解説していきます。 脳卒中:脳の血管が詰まる 脳溢血:脳の血管から出血が起きる(脳出血とも言われます) 脳溢血(のういっけつ)とは 脳溢血とは、脳の血管が破れることで血液が流出し、脳内の神経細胞を圧迫してしまう状態のことで、現在は脳出血と呼ばれることが多いです。 脳溢血は発症後に治療しても後遺症が残ることが少なくありません。脳の細胞がダメージを受けることで、体の麻痺や感覚の障害、脳に障害が残る可能性もあります。 後遺症によっては、治療後も日常生活に影響が出ることがあるので、症状だけでなく後遺症まで知っておくことが大切です。 以下より一般的な後遺症について解説していきます。 脳溢血による後遺症 運動麻痺 ・運動麻痺は脳溢血の代表的な後遺症で片側の手足に力が入らなくなったり、動かしづらくなります ・左右どちらかの半身にのみ症状が起きます 感覚障害 ・感覚障害も脳溢血の代表的な後遺症であり、触覚や痛覚が鈍くなります。 ・反対に過敏になることで痺れなどといった麻痺症状を感じることがあります ・こちらの症状も左右のどちらか一方にのみ生じます 言語障害 ・言語障害には、言葉が出にくくなったり、理解ができなくなる失語症があります →失語症の場合は言葉の理解が出来にくくなるため、読み書きなども難しくなります ・そのほかに口や舌がうまく動かせないことで話しづらくなる構音障害があります →構音障害の場合は理解には問題ないため、読み書きは可能です 視野障害 ・視野障害:視野が狭くなったり、物が二重に見えたりする障害 ・視野障害:片目の視野が見にくくなる半盲という障害 ・これらの症状は発症後長期間経過しても症状が改善しないことがあります 嚥下障害 ・のどの筋肉などが動かしづらくなることで、食べ物や飲み物を飲み込みにくくなります ・食べ物などが食道ではなく気管に入ってしまうと、誤嚥性肺炎を発症する可能性があります ・誤嚥性肺炎は高齢者の死亡原因となることも多く注意が必要です 高次脳機能障害 ・高次脳機能障害とは、脳の細胞がダメージを受けることで脳機能が低下した状態です ・高次脳機能障害としては下記のように複数の症状が現れます ・記憶障害(数分前の出来事を忘れてしまいます) ・注意障害(一つの作業を集中して行うことが出来ない、注意散漫になる) ・遂行機能障害(自分で計画を立てて実行することが出来ない) ・半側空間無視(外界の半側に意識が向かないようになり、空間を認識できなくなる) 感情障害 ・脳溢血の後遺症は感情面にまで及びます。 ・常にイライラしたり、感情の起伏が激しくなってしまうことがあります。 ・意欲が起きなくなる ・うつ病のような症状が起きることもあり、精神面のケアも重要となります。 脳溢血による後遺症の治療 一度脳溢血を発症すると、完全に回復することは難しいことがあります。これは、神経細胞は一度障害されてしまうと、再生することができないためです。 しかし、リハビリ治療を行うことによって、その症状は軽減することができます。特に早期からリハビリを開始することによって、機能予後は格段に良くなることが期待されます。 脳溢血のリハビリは大きく分けて 3 段階あり、それぞれについて詳しくみていきましょう。 急性期 脳溢血の症状が現れ、身体の症状が安定するまでの期間を急性期と言います。発症直後の時期は全身状態が安定しないため、生命維持が優先されます。いきなり歩行などを始めたりすると、血圧が上昇し再出血などのリスクもあるためです。 急性期は一般的に2週間程度の期間であることが多く、ベッドサイドでのリハビリが行われます。これは、ベッド上で過ごす期間が長くなると、廃用症候群※を招くことがあるからです。以下のような状態を避けるためにも、急性期からのリハビリは必要となります。 ※廃用症候群とは 寝たきりの状態が長くなることで、筋肉量が減少したり、関節が固くなり、運動機能が低下する状態のことです。このような状態になると、床ずれができやすくなったり、感染症にかかりやすくなるなど様々な合併症を引き起こすことがあります。 ・生命維持が優先 ・その後、ベットサイドでリハビリ開始 ・廃用症候群を避けるためにもリハビリは積極的に行う 回復期 急性期を脱して、全身状態が安定し本格的にリハビリを進めることが出来るようになる時期を回復期といいます。 回復期は主に病院でリハビリが行われ、日常生活への復帰を目標として、ベットサイドでの運動や、杖や歩行器などを用いた歩行訓練、また日常動作として食事やトイレ、入浴に関するリハビリも開始されます。 この他にも言語や嚥下機能の回復を行うリハビリや、高次脳機能障害に対するリハビリも開始していきます。 維持期 維持期は回復期を経て日常動作を獲得し、退院後の時期に当たります。一度回復した機能も、何もしなければ再度機能低下してしまうので、外来に通ったり、日常生活の中で意識して体を動かす習慣作りをすることが重要です。 脳溢血による麻痺症状の治療 麻痺の治療については近年研究が進んでおり、通常のリハビリ以外にも様々な方法があります。 CI療法(Constraint-induced movement therapy) 麻痺側の手がある程度動ける方に対して、強制的に麻痺がない手を使えないようにし、麻痺側の手をたくさん使うように日常生活を送るようにすることで、麻痺の手を回復させることを目的とした訓練のことです。 1日に6時間以上の訓練を必要とするなど大変ですが、手の機能が改善したという報告もされています。 促通反復療法 促通反復療法は、繰り返し同じ運動をすることで、障害された神経回路を再建、強化することを目標とします。この治療を受けたことで、手足の麻痺の程度が改善したという報告もされています。 近年では、これから述べる機能的電気刺激や経頭蓋直流電気刺激、経頭蓋磁気刺激といった治療と併用して治療効果を高めるための研究がされています。 電気刺激療法、磁器刺激療法 麻痺のある手足の筋肉に電気を流したり、頭から磁気を流すことにより弱った機能を活性化させ、歩行能力などを高める方法です。促通反復療法などと併用することで、治療効果が高まることが期待されています。 再生医療 障害された神経細胞自体を再生しようとする、再生医療が近年注目を集めています。 再生医療とは、幹細胞※を使用した治療です。 現時点では保険適応ではなく、自費での治療となりますが、治療実績が着実に積み重ねられており、今後の発展が大きく期待されています。 ※幹細胞とは 肝細胞は、人の体にある様々な細胞に変化できる能力を持っています。幹細胞そのものや、幹細胞から目的の細胞を作成し、病変へ移植するといった手法で治療が行われています。 これにより、幹細胞が神経細胞に変化し、体内で機能するようになることで麻痺症状などの改善が期待されます。 当院は、厚生労働省に届出し、受理された再生医療専門のクリニックです。ご質問などございましたらお気軽にお問い合わせください。 まとめ・脳溢血による後遺症と麻痺症状の治療について 脳溢血による後遺症と、麻痺症状の治療について解説してまいりました。脳溢血には前兆がなく、ある日突然起こる怖い病気です。そのため、日ごろから健康に気を使うことが必要です。 脳溢血の入院期間は 3ヶ月~半年程度と長期間必要となることが多くあります。その期間のほとんどが後遺症を治療するリハビリ期間に相当します。脳溢血は日常生活を突然変貌させる非常に怖い病気です。 発症後は、本人だけでなく、ご家族をはじめとした周囲のサポートも非常に重要となります。この記事がご参考になれば幸いです。
2023.03.03 -
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脳出血にならないために!予防と再発を防ぐための血圧管理方法について 高血圧を管理、治療する目標の1つに脳出血の予防、再発予防があります。 脳出血の主な原因は高血圧であり、一度脳出血を起こしてしまうと 1 年以内の再発率は5%程度、5 年以内の再発率は 2 割近くに及ぶと報告されています。 脳出血を起こしてしまうと、仕事に支障が出たり、介護が必要になってしまうこともあるため、予防が非常に重要です。この記事では、脳出血を予防するための血圧管理について詳しく解説していきます。 脳出血と血圧の関係 脳出血は、脳の中の血管が破けて出血してしまい、頭痛や吐き気、手足の麻痺などが出てしまう重大な病気ですが、発症には高血圧が最大の危険因子であることがわかっています。 血圧が高い状態は日常的に血管に強い力が加わってしまい、血管が破けやすくなり、動脈が硬くなる動脈硬化のリスクも上がるため、脳や心臓の血管の病気が多くなってしまいます。 また、高血圧は非常に多くの方がかかる病気であり、日本には高血圧患者は約 4300 万人もいると推定されています。高血圧自体は無症状のため、放置してしまう方もいるかもしれませんが、高血圧の治療は単に数値を下げるのではなく、脳や心臓の血管の病気を予防するためにとても重要なのです。 さらに血圧の管理は脳出血の再発予防にも必要です。一度脳出血を起こしてしまった方や喫煙者、糖尿病やコレステロールなどの他の病気を持っている方は、脳出血を起こすリスクが上昇してしまいます。そのため、一度発症してしまった方では、より厳重に血圧の管理をすることが大事です。 高血圧の診断と治療目標は 血圧は、上の数値を収縮期血圧、下の数値を拡張期血圧といいます。 高血圧治療ガイドラインの2019年版では、収縮期血圧 140 mmHg以上、または拡張期血圧 90mmHg以上( 140 / 90 mmHg以上)の状態を高血圧といい、治療の目標は 130 / 80 mmHg未満が推奨されています。 また診断・治療のときには家庭血圧(ご自宅で測定した血圧の数値のこと)の測定と血圧手帳への記入が重要です。病院で測定した血圧は緊張のため高くなりやすく、白衣高血圧といわれる病院でだけ血圧が上がってしまう方も比較的多くいらっしゃいます。 また、家庭血圧をもとにした場合の高血圧の診断基準は、135 / 85 mmHg以上をいい、治療の目標は125 / 75 mmHg未満と若干数値が異なるのが特徴です。そのため、高血圧の診断、コントロールには血圧計を購入し、ご自宅で測定した血圧を記入して医師にみせることが大事なのです。 高血圧の治療の目標は、ご本人の状況により変わることにも注意が必要です。年齢や喫煙の状況、心臓、脳血管の病気など、持病の有無によって推奨される血圧の目標値が異なるため、ご自分の治療目標がどの程度となるかは担当の医師とよく相談することが必要です。 一般的に、脳出血を起こしたことがある方は、再発予防のために130 / 80mmHg未満(家庭血圧で125 / 75 mmHg未満)とすることが推奨されているので、1 つの目安にしてください。 血圧を下げる方法 治療の基本は、生活習慣の改善(減塩、減量・運動、食事の見直し、禁煙、節酒)とお薬の内服です。まずは生活習慣の改善を行い、血圧の数値によりますが1 〜 3ヶ月ごとの評価で必要に応じてお薬を開始します。 生活習慣の改善方法とお薬の治療について順番に解説していきます。 生活習慣の改善 減塩 塩分は1日6g未満を目標とします。味噌汁や漬物など塩辛いものは可能な限り控えるようにしましょう。 適度な運動 有酸素運動は効果が認められているので推奨されます。週に2 - 3回、20 ~ 30分間程度の運動を行うことが重要です。ウオーキングや息が上がらない程度のジョギング、サイクリング、水泳などがおすすめです。 健康的な食生活 脳出血のリスクを減らすために、DASH( Dietary Approaches to Stop Hypertension )食という高血圧を防ぐ食事方法が勧められます。具体的にはカリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維、タンパク質を多く含む果物、野菜、豆類、魚、肉、卵などのバランスの良い食事を摂り、高脂肪、高炭水化物の食事は避けるようにしましょう。 禁煙 タバコは脳出血のリスクを高めます。禁煙することが最も効果的な方法です。 適度なアルコール摂取 過剰なアルコール摂取は脳出血のリスクを高めます。週に 1 ~ 2 日程度の飲酒とするか、毎日飲むのであればビールは中瓶 1 本、日本酒 1 合以下に制限するようにしましょう。 お薬での治療 生活習慣を変えても目標の血圧にすることができない場合には、お薬による治療が考えられます。お薬には複数の種類があり、目標とする血圧になるように薬を組み合わせて内服をします。 多くの研究で、お薬で血圧を下げることによって、脳出血の発症・再発を予防できることが示されているので、医師の指示通りにしっかりと治療を行うことが大事です。 血圧についてよくある質問 Q&A 血圧管理方法に関するよくある質問に、Q&A方式でお答えしています。 Q.自宅で血圧を測るときのポイントは? A:上腕に巻くタイプの血圧計で起床後 1 時間以内(内服前)と夜(就寝前)の1 日 2 回、座って 1 ~ 2 分安静にしてからの測定がおすすめです。 Q.上の血圧と下の血圧どちらを見た方がいいですか。 A:上の血圧は収縮期血圧と言い、心臓が血液を送りだすときの血圧をいいます。下の血圧は拡張期血圧と言い、血液が心臓に戻るときの血圧をいいます。どちらも重要であり、高血圧の定義は収縮期血圧 140 mmHg以上/または拡張期血圧 90 mmHg以上ですので、下の血圧の数値も重要になってきます。 Q.血圧が毎回違うのはどうしてですか。 A:血圧はさまざまな要素で変わってきます。緊張や運動、お薬やカフェイン摂取、痛み、ストレスなどによって変動します。そのため 1 日 2 回、安静にしてから血圧を測定し、平均の数値をみることが大事になってきます。 まとめ・脳出血にならないために!予防と再発を防ぐための血圧管理方法とは 脳出血の予防・再発予防に重要な血圧の管理、治療目標と、その方法について解説しました。 高血圧は無症状ですが、放置してしまうと、重大な病気につながることがあります。血圧が高いことを指摘されたら早めに病院を受診して、生活習慣の見直しと治療を受けるようにしていきましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 ▼以下も参考にしてください 脳出血とストレスの関係性!その種類と部位を分かりやすく解説!
2023.02.20 -
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視床出血は脳出血の一種で、脳の深部にある「視床」という重要な部位に出血が起こる疾患です。 高血圧などが原因で発症し、身体の片側の麻痺や感覚障害など、後遺症が出ることも少なくありません。 そんな視床出血後の回復には、適切なリハビリが欠かせません。 この記事では、視床出血の後遺症の特徴と、リハビリを通じた回復までの過程、さらに看護のポイントについて医師が詳しく解説します。 ぜひ参考にしてください。 そもそも視床とは? そもそも視床とは、脳の中心部に位置し、感覚情報を大脳皮質に伝達する重要な役割を担っている脳の一部です。 視床は視覚や聴覚、触覚など、さまざまな感覚情報を統合し、体の各部分から送られてくる情報を適切に処理する、など私たちの行動や認識に関与しています。 また、視床は運動機能にも関わりがあり、感覚と運動を調整する重要な役割があります。 本記事のテーマである「視床出血」とは、脳の一部である「視床」に出血が起こった状態を指します。 視床出血は、脳出血全体の2〜3割程度を占めるとされており、その多くが高血圧を原因としています。 次の章からは、そんな脳出血の中でも頻度が高い視床出血における後遺症や、それに対するリハビリ・看護に関して解説します。 関連:視床出血の特徴的な症状とは?治療後の予後を予測 視床出血の症状と後遺症 視床は、主に感覚をつかさどっています。 そのため視床出血が起こると、痺れなどの感覚障害を認めます。 また、視床の周囲には運動神経が走っているため、出血が拡大すると運動麻痺が生じます。 さらに出血が拡大するとその分脳の神経細胞が圧迫されるため、圧迫された部位に応じた症状が現れます。 視床は脳の深い場所に位置するため、原則手術は行わず、出血の拡大防止のために血圧を下げるなどの内科的な治療を主に行うことになります。 そのため視床出血は、症状が消失せず後遺症となってしまうことが多くあります。 視床出血で多く見られる後遺症は、視床痛と呼ばれる手足の強い痛みや痺れ、感覚障害を伴った半身麻痺です。 視床痛はジンジン・ピリピリというような痛み(痺れ)を認め、鎮痛薬は効果がないことがほとんどです。 また、麻痺も感覚障害を伴わない麻痺と比べて、手先の感覚や、立ったり歩いたりするときの位置感覚がわかりづらくなります。 そのため日常生活に支障をきたしてしまうことが多いです。 右視床出血と左視床出血の違いは? 脳は左右にわかれた大脳半球から構成されており、各半球は身体の反対側を制御しています。 視床出血は主に高血圧などの原因で生じ、出血の部位によって異なる症状が現れます。 右側の視床で出血が起こると左半身に麻痺が生じ、左側の視床での出血は右半身に麻痺を引き起こします。 さらに、視床出血は視床痛や視床性の運動障害といった二次的な症状をもたらすこともあり、患者の生活に大きな影響を与えることがあります。 参考:J-STAGE|視床出血における左右半球の違いは歩行に影響を与えるのか? 視床出血後遺症のリハビリ 半身麻痺が残り体の運動機能が低下した場合、運動機能障害に対するリハビリとして理学療法と作業療法を行います。 それぞれ解説していきます。 理学療法 理学療法は平行棒や歩行器を使用した歩行の練習や姿勢を保持する練習、体力・筋力の維持や向上など日常生活を送る上で必要な動作の練習を行います。 前述したように視床出血の半身麻痺は感覚障害を伴っていることが多いです。 そのため歩行の練習では免荷式(めんかしき)トレッドミルという機械を用います。 免荷式トレッドミル・・・体を上から吊るし、ハーネスで体を支えることで、足にかかる体重を調整できるためバランス感覚を鍛えます。これによって体重のかかり方を意識した歩行の練習を行えます。 >脳卒中の再生医療について詳しく確認する方はこちら< メール相談はこちら オンライン相談はこちら 作業療法 作業療法は、お箸の使い方など、日常生活を送るために必要な作業の訓練を行います。 麻痺側の手を積極的に使うことで、作業の質の向上をはかるCI療法がガイドラインなどでも推奨されています。 1日6時間以上麻痺した手を使用することで、手の機能が改善した報告もあります。 また、このCI療法を行うことで指先などの動きだけでなく、高次機能も回復した報告もされています。 視床出血で嚥下機能が低下した場合、言語聴覚士による嚥下の訓練を行います。 口周りや顔の筋肉の運動やゼリーなどを用いた飲み込む練習を行うことで、発症前のように口から食事が取れるようにリハビリを行います。 脳出血後のリハビリは毎日、長期間継続が重要です。 途中で中断してしまうと一度は回復した身体機能が再度低下してしまう可能性もあります。 長い道のりにはなりますが、回復を信じて、モチベーションを保ちつつリハビリを継続しましょう。 >脳卒中の再生医療について詳しく確認する方はこちら< 視床出血の看護 視床出血を含む脳出血の看護は、急性期と慢性期で大きく異なります。 急性期は再出血や血腫の増大、脳浮腫などが起こる可能性があり、そうなった際は早期発見と早期治療が回復の大きな鍵となります。 そのため、急性期の看護では全身状態をしっかり観察することが重要です。 以下のことに注意を向けて観察しながら看護しましょう。 ・意識や瞳孔の確認 ・血圧コントロール ・褥瘡(じょくそう)予防の適切なポジショニング ・一人ひとりの後遺症に沿った看護 それぞれ解説します。 意識や瞳孔の確認 視床出血の患者さんの中には自発運動ができない方や発語がない方も多くいらっしゃいます。 そのため、こまめにバイタルサインをはかり、意識や瞳孔の変化などに注意しましょう。 血圧コントロール 脳出血にとって血圧コントロールは再出血予防のために最も重要です。 決められた範囲内で血圧が維持できているかどうかを、きちんと確認しましょう。 褥瘡(じょくそう)予防の適切なポジショニング 再出血などを予防するために、急性期は安静を保たなければなりません。 ベッド上での安静保持は、関節の拘縮や褥瘡のリスクとなります。 褥瘡の好発部位の皮膚観察や、こまめな体位変換、拘縮予防するための適切なポジショニングを意識しましょう。 一人ひとりの後遺症に沿った看護 急性期を過ぎて回復期や慢性期に入った患者さんには、再発防止のための内科的治療と、後遺症へのリハビリが中心となります。 各患者さんの後遺症に応じた看護を行いましょう。 また、褥瘡を予防するための皮膚観察や関節拘縮を防ぐための体位調整に加え、栄養状態、運動機能、精神状態にも注意が必要です。 嚥下機能が低下した場合、誤嚥性肺炎のリスクがあるため、食事時の姿勢と口腔ケアを徹底しましょう。 また、感覚麻痺や視床痛が残る患者さんには心のケアも重要です。 感覚が鈍くなっていることを意識し、体に触れる際には声をかけるなどの気遣いを忘れないようにしましょう。 まとめ・視床出血における後遺症は、一人ひとりの後遺症に沿った看護とリハビリが大切 視床出血のリハビリと看護に関して紹介しました。 患者さんが1日でも早く、発症前のような生活に戻れるように看護ケアやリハビリを行いましょう。 また、脳梗塞による障害で精神的な苦痛を感じてしまう方も多くいらっしゃいます。 そういった精神的苦痛にも寄り添ったケアを行ってください。 この記事がご参考になれば幸いです。 >脳卒中の再生医療について詳しく確認する方はこちら< メール相談はこちら オンライン相談はこちら
2023.01.30 -
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脳溢血(のういっけつ)とは脳の血管が破れ、脳内に血が溢れる病気です。脳卒中の種類のひとつで「脳出血」とも呼ばれています。 脳溢血は、ある日突然発症します。出血量や出血場所によっては、運動麻痺や感覚障害といった後遺症を引き起こします。最悪の場合、命を落とす恐ろしい病気です。 本記事では、脳溢血の症状や原因、前兆のサインを解説します。予防法や治療法も紹介しているので、脳溢血について詳しく知りたい方は記事を読んで理解を深めましょう。 脳溢血でダメージを受けた脳は、もう元には戻らないと言われてきました。しかし「再生医療」によって脳機能が復活するとわかったのです。再生医療なら症例実績が豊富な『リペアセルクリニック』にお任せください。無料のメール相談、オンラインカウンセリングも実施中です。 脳溢血(脳出血)とは脳に血が溢れる状態のこと 脳溢血(のういっけつ)とは、文字通り脳に血が溢れる状態を指した病名です。脳の中の細い血管が破れて血液が溜まることにより周囲の神経細胞が圧迫されます。神経細胞が圧迫されると働きが障害されてしまうため、さまざまな症状が出現します。 この脳溢血は脳出血とも呼ばれ、同じ意味で用います。 脳卒中・脳梗塞との違い 脳溢血は、脳卒中や脳梗塞と混同される傾向にあります。しかし、これらの意味や症状はまったく異なります。下記に、それぞれの定義をまとめました。 脳卒中 脳の血管が破れたり、詰まったりすることで発症する脳の病気。「脳溢血(脳出血)」「脳梗塞」「くも膜下出血」の総称。 脳溢血 脳卒中の一種。脳の血管が破れ、脳内に血が溢れる病気。 脳梗塞 脳卒中の一種。血管の細化や血栓の形成により脳の血管が詰まる病気。 つまり、脳卒中の種類のなかに「脳溢血」と「脳梗塞」が含まれます。 脳溢血の前兆【いびきとの関係性】 基本的に脳溢血の前兆はありません。何の前触れもなく突然症状が現れるケースがほとんどです。 しかし、寝ているときに突然大きないびきをかき始めたときは、脳溢血や脳梗塞の可能性を視野に入れましょう。 脳卒中で意識障害を引き起こすと、舌根が落ちて気道がふさがり、いびきをかく場合があります。 脳溢血の原因 脳溢血の原因の多くは高血圧です。血管内の圧が上がり、その圧に血管壁が耐えられなくなるため出血が起こります 高血圧は、塩分の多い食事や過度なストレス、喫煙などが原因とされているので、健康的な生活を心がけましょう。また、高血圧は動脈硬化のリスクもあります。動脈硬化が起こると血管壁が弱くなるため、さらに血管が破れやすくなるのです。 脳溢血の症状は出血が起こった場所によって異なる 脳溢血の症状は、出血が起こった場所によって異なります。主な出血箇所は、下記5つです。 被殻出血 視床出血 橋出血(脳幹出血) 小脳出血 大脳皮質下出血 それぞれの特徴を見ていきましょう。 被殻出血 被殻出血は脳溢血全体の50%程度を占めています。被殻出血の特徴的な症状は片側の手足の麻痺や片側の顔の動かしにくさです。さらに進行すると感覚障害や意識障害に至ることもあります。重症度や血腫の圧迫の程度によって、症状が変わる場合もあります。 視床出血 視床は人の感覚を司っています。そのため視床出血では片側の感覚障害を認めます。また、視床出血を発症した際に目が中央によって寄り目をしているように見えることが特徴です。視床の周りには運動神経が走行しているため進行すると運動麻痺も生じます。また「視床痛」といって腕や脇、脚などに激しい痛みをともなうケースもあります。 橋出血(脳幹出血) 橋出血(脳幹出血)は、脳幹の一部である橋で出血が起こる脳溢血です。橋は全身の運動や意識状態、呼吸をつかさどっています。そのため橋に出血が起こると、たとえ出血した血液量が少量であったとしても意識障害や両側の四肢麻痺などが生じます。また、自分で呼吸ができなくなってすぐ死に至ってしまうこともあります。 小脳出血 小脳には体の平衡感覚を保つ働きがあります。そのため小脳出血では強いめまいや吐き気を訴える方が非常に多いです。めまいが強くまっすぐ歩くことができなくなったり、立てなくなってしまいます。 小脳は大脳の後ろに位置しているため、出血が起こった際に頭の後ろの部分に頭痛を認めます。 大脳皮質下出血 大脳皮質とは大脳の表層に位置する部分のことを指します。つまり、大脳皮質下出血とはその大脳皮質から出血が起こったもののことを呼びます。大脳皮質は部位によって働きが異なるため、出血した部位に応じた症状が出現します。運動麻痺や感覚麻痺、言葉の出づらさなどから人格の変化、視力障害が起こることもあります。 これまで、一度機能を失った脳細胞は、元には戻らないと言われてきました。しかし、再生医療により脳機能が回復するとわかったのです。 再生医療とは、修復力のある幹細胞の働きを利用して、弱ったり、傷ついたりした細胞を再生する医療技術です。 再生医療では、麻痺や痺れといった脳溢血の後遺症の回復を早めたり、脳卒中の再発を予防したりする効果が期待されています。 再生医療で脳溢血の治療を進めたい方は、弊社『リペアセルクリニック』にご相談ください。再生医療の症例数8,000例以上の経験を活かし、患者さま一人ひとりにあった治療プランをご提案いたします。 \クリックで電話できます/ メール相談 オンラインカウンセリング 発熱の症状 これ以外に、脳溢血によって発熱が生じる場合があります。 視床や被殻などが存在する大脳基底核や、大脳皮質下出血が起こった場合、体温調節中枢である視床下部が圧迫されてしまうことがあるため、発熱をきたしやすくなります。 脳溢血が起こると、出血が起こった部分から徐々に脳に浮腫が起こりはじめ、その結果、頭蓋内の圧が上がる頭蓋内圧亢進の状態になるのです。これにより視床下部が刺激を受けると、体温が上昇し発熱します。 頭蓋内圧が亢進し、進行すると圧に耐えられなくなり浮腫んだ脳がさまざまな方向にはみ出てしまいます。この状態が「脳ヘルニア」です。 脳がはみ出る部位によって出現する症状は異なりますが、大後頭孔と呼ばれる隙間から脳がはみ出した大後頭孔ヘルニアが生じると、大脳により呼吸・循環を維持する働きをもつ脳幹が圧迫されるため急激に状態が悪くなり、突然死となってしまうことがあります。 これらの脳溢血が原因の発熱を「中枢性発熱」と呼び、中枢性発熱を認めた場合は予後が悪くなると言われています。そのため、少しでも予後をよくするためにこの中枢性発熱になるべく早く気づく必要があるでしょう。 脳出血の予防方法 先述のとおり、脳溢血の原因の多くは高血圧です。つまり、血圧が上がらないような生活習慣を身につけると、脳溢血の予防につながります。 下記は、血圧を上げないための予防法です。 禁煙する 適度に運動不足する ストレスをためない 塩分を控えた食事をとる 適度にアルコールを摂取する 自分の血圧状態をしっかり把握するためにも、健康診断を定期的に受診しましょう。 下記の記事では、脳溢血(脳出血)の予防法や再発を防ぐ方法を解説しています。予防の知識を深めたい方は、参考にしてみてください。 脳溢血の治療方法 脳溢血は、出血した場所によって後遺症の症状や程度が異なります。脳溢血の治療方法は、後遺症の状態に応じたリハビリを進めるケースが多くなります。 下記は脳溢血でよく見られる後遺症と、一般的におこなわれるリハビリです。 後遺症 リハビリ 運動麻痺 ・電気刺激 ・装具療法 感覚障害 ・電気刺激 ・さまざまな形や素材を触る触覚トレーニング 言語障害 ・音読訓練 ・口腔の体操 これらのリハビリは、医師やリハビリテーションの専門家の指導のもと、無理のない範囲で実施されます。 脳溢血は再生医療でも治療できます。 人間の自然治癒力を活かした最先端治療に興味がある方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にご相談ください。実際の治療例をお見せしながら再生医療の仕組みをわかりやすくお伝えいたします。 まとめ|脳溢血の理解を深めて適切な予防や対処をしよう! 脳溢血は前兆もなく突然起こる病気です。しかし少しでも早く症状に気づけば、生命を危険に晒すことなく元の生活に戻れることもあります。日頃から予防することを心がけて、少しでも怪しい症状を認めた場合は病院を受診しましょう。 現在、脳溢血の治療法のひとつとして「再生医療」が注目されています。 再生医療は人間の自然治癒力を活用した最先端の医療技術です。 幹細胞の修復力を利用して、脳細胞の機能回復を促進します。 「再生医療に興味があるけど具体的なイメージがつかめなくて不安…」という方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 再生医療による脳溢血の治療方法や治療事例などをわかりやすくお伝えします。
2023.01.25 -
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視床出血の特徴的な症状とは?治療後の予後を予測 「視床出血と診断されたけど、一体どんな病気?」 脳内出血には出血部位により 5つの種類があり、視床出血はそのうちのひとつです。 突然の頭痛で発症する点は脳内出血全般で共通の症状です。本記事では視床出血について症状の特徴や治療方法などについて詳しく見ていきましょう。 視床出血とは 視床出血とは脳内出血のうち、視床と呼ばれる部位に出血を生じたもので 2 番目に多い出血部位になります。 視床は脳の奥にある 5 - 6 ㎝程の神経細胞が集まっている場所であり、嗅覚以外のあらゆる感覚情報(痛覚、視覚、聴覚、味覚など)を大脳に伝達する中継所としての機能を果たしています。この重要な部位が出血し、障害されることで様々な症状が出現します。 症状について詳しく見ていきましょう。 視床出血の症状 視床出血の症状の特徴としては下記のようなものがあります。 ・意識障害 ・眼球障害(両眼が内下方を向き、鼻先を見つめるようになる) ・感覚障害(痺れやピリピリしたような感覚) ・運動障害(手足が思い通りに動かしにくくなる) ・失語 (言葉が出てこなくなり会話がしにくくなる) これらの症状は一例であり、全てが同時に起こりうるわけではありません。出血の範囲、程度により上記のような多様な症状が出現します。 これら以外にも、発症してから数か月~数年後に視床痛(出血側の反対側の手や足に生じる強い痛み)が発症することがあります。 最初は感覚障害から始まり、その後焼き付くような、剣山を押し付けられたようななどといった表現しづらい疼痛が生じます。 視床出血の原因 視床出血は、高血圧による動脈硬化が主な原因です。 動脈硬化により血管がもろくなり、さらに高い血圧に晒されることにより血管が破綻し出血が起こります。出血の原因となる血管は穿通枝と呼ばれる極めて細い血管になります。 診断 頭部CT検査で視床部位の出血を確認することで確定診断となります。 CTでは出血は白く映り、出血の程度や脳室出血の有無などを判定します。これにより治療方法や予後の予測の参考とします。 MRIでも出血の判定は可能ですが、検査に時間を要するためCT検査が行われることが多いです。 治療法 視床出血に対しては、どれほど出血量が多くても、血腫(出血による血の塊)を除去する手術は基本的に行われません。 これは視床は脳の奥深くにあり到達が容易ではなく、重要な神経が多く集まっているため、手術を行うことで脳にさらにダメージを与えてしまう可能性が高いからです。ただし出血の範囲があまりに大きい場合は、合併症を最小限に食い止めるために手術が行われるケースもわずかながら存在します。 また、水頭症(髄液の循環不全により、髄液が過剰に溜まった状態)により命のリスクがあると判断された場合は、シャント術が行われます。 手術療法:シャント術 シャント術とは、溜まってしまう髄液を体内の他の場所へ流し込むバイパスを作る手術になります。 主な経路としては、 ①脳室から腹部(脳室―腹腔シャント) ②脳室から心臓(脳室―心房シャント) ③腰から腹部(腰椎―腹腔シャント) などがあります。現在では脳室―腹腔シャントが最も多く行われています。 薬物療法:薬剤による血圧コントール 手術の有無に関わらず重要な治療になるのが、薬剤による血圧コントールです。 視床出血は高血圧が原因で発症することが多く、特に症状発症時には収縮期血圧が 200 mmHg以上となってしまうことも珍しくありません。発症から 6 時間以内は再出血が非常に起こりやすいとされており、再出血を予防し出血範囲を拡大させないために、血圧を安定させる降圧剤の点滴や内服などが用いられます。 また、慢性期に生じることのある視床痛においては、残念ながら有効な治療は確立されておらず、一般的な鎮痛剤は無効であることが多いです。ノルアドレナリンや塩酸マプロチンといった薬剤が用いられることもありますが、効果がない場合はガンマ線を用いた定位放射線手術が行われることがあります。 予後 視床出血の症状は、出血量と範囲によって異なります。 予後についても同様で、出血が多ければ多いほど、広範囲であればあるほど後遺症が残る可能性が高くなり、予後不良となることが多いです。 また中脳にまで出血範囲が広がると生命の危機に繋がる可能性が高いともいわれています。これは中脳が生命を維持するために重要な役割を果たしているためです。視床出血の死亡率は一般的に 14 - 52 %と報告されておりますが、これは基礎疾患やもともとの健康状態などに大きく左右されます。 水頭症を発症したり、視床出血発症後も出血範囲が広がるようなことがあると、予後がさらに悪化するケースもあるため、厳格な血圧コントロールが重要となります。また、少しでも後遺症を軽減するために早期からのリハビリも非常に重要となります。 まとめ・視床出血の特徴的な症状とは?治療後の予後について 視床出血の詳細に関して解説いたしました。 視床出血は脳出血の中でも重症化しやすく予後不良な疾患です。後遺症が残る場合も多く、発症してしばらく経過してからも症状に苦しむことが多い厄介な疾患です。刻一刻を争う病態ですので疑わしい症状がみられた際は速やかに医療機関を受診しましょう。 ご参考になれば幸いです。
2023.01.18 -
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脳出血の後遺症、寝たきりにならないためのリハビリについて 脳出血とは、脳の中の血管が破れて頭の中で出血が起こる病気です。溜まった血液が神経細胞を圧迫することでさまざまな症状を引き起こします。 また、障害を受けた脳の神経細胞は一定時間を過ぎると障害を受けたままになり、元には戻りません。そのため脳出血になると手足が動かないなどの麻痺症状や、言葉の出にくさなどの後遺症を残すことが多いです。 これらの後遺症が重症であると、そのまま回復せず寝たきりになってしまう場合もあります。そのような寝たきりの状態にならないために重要となるのがリハビリです。 この記事では、脳卒中のリハビリについて、具体的にどのようなことを行うのか、回復過程までの流れを紹介します。 脳出血後のリハビリとは リハビリとはリハビリテーションの略で、日常生活の自立や介護の軽減のために行われるものです。 それぞれの状態に応じて理学療法や作業療法などを組み合わせて行い、基本的動作の回復を目指し、できるだけ発症前の生活に戻れるようにするのです。 脳出血後の回復する過程は急性期、回復期、維持期の 3 段階に分かれておりそれぞれの段階に応じたリハビリを行います。 脳出血の回復過程 1)急性期 2)回復期 3)維持期 1)急性期 急性期は脳出血の発症直後から 2 週間程度までの間のことを指します。脳出血の急性期は全身の状態がまだ不安定な時期のため、再び危険な状態に陥らないかどうか慎重に経過をみる必要があります。 しかし、だからといってずっとベッドの上で安静にしていると筋肉が衰えたり関節が動かしにくくなり体の運動機能が低下します。この状態を廃用症候群と呼び、廃用症候群は褥瘡(じょくそう)や感染症のリスクとなります。 急性期のリハビリはこの廃用症候群を予防するために、無理のない範囲で手足を動かしたり、ずっと同じ姿勢にならないように体位の交換を適宜行います。 また、神経細胞が障害を受けた後に回復や神経機能の再構築が望める期間は3ヶ月と言われています。そのため発症直後からリハビリを開始することで、脳の機能の回復や代償機能の獲得が期待できるのです。 2)回復期 回復期は急性期の期間が終了してから約 6 ヶ月までの期間のことを指します。急性期の不安定な状態を脱した状態であるため、生じた症状に応じてさまざまなリハビリが始まります。 回復期のリハビリの目的は発症前の日常生活に戻るために必要な動作や身体機能の強化をはかります。それぞれの退院後の生活をイメージして、どのような訓練が必要かを考えて個人個人に沿ったリハビリが必要です。 脳出血、運動機能のリハビリ 身体機能の強化をはかります。 具体的にはベッドから起き上がる・立ち上がる動作や、自分で車椅子に乗り移って使用する・支持棒などを用いて歩行を行うなど移動に関するものから、食事の動作やトイレでの動作など、日常を送るために欠かせないものまで行います。 回復期は急性期の期間が終了してから約6ヶ月までの期間のことを指します。急性期の不安定な状態を脱した状態であるため、生じた症状に応じてさまざまなリハビリが始まります。 筋力強化 安静にしていた期間に低下した筋力を回復する目的のリハビリです。自重のトレーニングや重さの負荷をかけて行います。 持久力強化 持久力の低下に対して行うリハビリです。ウォーキングやエルゴメーターを用います。 協調運動訓練 協調運動とは、何かの動作を行う際に体の部位ごとの力の入れ方を調整する機能です。このリハビリを行うことでバランスの取れた動作を行えるようになります。 基本動作訓練 基本動作訓練とは日常生活に戻るために必要な動作の訓練を行います。具体的にはベッドから起き上がる・立ち上がる動作や自分で車椅子に乗り移って使用するなどです。 歩行訓練 歩行機能の向上を図ります。支持棒や歩行器を用いて安定した歩行を行う練習を行います。 巧緻(こうち)動作訓練 手や指を用いた細かい動きの訓練を行います。お箸を使用する、文字を書くなどの練習を繰り返し行い手指の巧緻性を高めます。 移動などに関するリハビリは理学療法士が、食事や排泄に関する動作などは作業療法士が行います。 言語機能・嚥下機能のリハビリ 言葉がうまく出てこないなど失語の症状がある場合は、言葉を出やすくするようなリハビリを行います。円滑な会話をする訓練や、読み書きの練習などが主な例です。 嚥下とは食べ物を飲み込み、気管に詰まらせないようにきちんと胃に食べたものを送る機能のことを言います。この機能が低下すると口からご飯が食べられなくなり、気道に食べ物が入り込み肺炎を起こしてしまいます。 そうならないように口や喉、舌の筋肉を鍛える運動を行います。このようなリハビリは、言語聴覚士が行います。 高次脳機能障害に対するリハビリ 人間の脳の機能は呼吸など生命を維持するために必要不可欠な機能から視覚や聴覚、嗅覚などの機能などが備わっています。高次脳機能は記憶力や注意力、行動や感情のコントロールを行う機能でこれらが障害されてしまうことを高次脳機能障害といいます。 高次脳機能障害に対するリハビリでは、どのような症状が起こっているのかを正確に把握しそれに沿ったリハビリを行うことが重要です。 記憶力が障害されている場合は、言葉や絵を覚えて記憶力を鍛える訓練や、忘れても思い出せるようにメモを取ったり物を定位置におくなどする練習を行います。 注意力が障害された場合は計算など集中力を鍛える訓練などを行います。 また、高次脳機能障害がある場合は周囲の方の協力も必要になります。患者様本人がわかりやすいように使用する言葉を統一する、生活環境を整えるなどがあります。 神経細胞の障害の度合いやリハビリの開始の時期などの影響で、人によってはリハビリの効果があまり実感できない場合もあります。 しかし回復期のリハビリを怠ると身体機能がさらに低下し、もとの生活に戻れなくなる可能性が上がります。そのためリハビリを継続することがとても重要です。 3)維持期のリハビリ 維持期とは急性期と回復期を終えて、症状と障害がある程度安定した時期のことを言います。発症後 6 ヶ月以降に行われるリハビリを維持期リハビリテーションと呼び、自宅や施設に戻った後に行います。 維持期のリハビリの目的は、急性期や回復期のリハビリで回復した機能を維持することです。一度回復したからとそこでリハビリを終えてしまうと再度機能が低下する可能性があるため、継続してリハビリを行う必要があります。 また、脳出血を一度発症するとどうしても機能障害が残り、以前はすんなりと行えていた動作が簡単に行うことが難しくなるなど、生活の質が落ちてしまうことが多くあります。 そのようにならないために、またそういった生活の質を改善するということも維持期のリハビリの目的です。 まとめ・脳出血の後遺症、寝たきりにならないためのリハビリについて 脳出血後に行うリハビリについて紹介しました。脳出血後のリハビリはなるべく早く始めて、根気強く継続することが重要です。 また、周囲の方の理解と環境調整も患者様本人の生活の質の改善のために必要です。 少しでも発症前の生活に戻れるようにリハビリを継続していきましょう。ご参考になれば幸いです。 ▼脳出血関係で以下の参考にされませんか 脳出血の治療方法と手術になったときの入院期間や費用について
2023.01.06 -
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脳出血の治療方法と手術になったときの入院期間や費用について 「脳出血と診断された。これからどんな治療をするのだろうか?」 「脳出血になったら、入院期間や費用はどれくらいかかるのだろう?」 脳出血は、早期の診断・治療がとても重要な疾患であり、治療が遅れれば遅れるほど、話しにくさや手足を動かしにくくなるという重篤な後遺症が残る可能性があります。 本記事では、脳出血が疑われる際の検査についてや、治療や手術、入院期間などについて解説してまいります。 脳出血の検査について 脳出血とは脳内の血管が破れて出血した状態で、一般的な症状として多くの人に認められるのが、突然の激しい頭痛や手足が動かしにくくなるという麻痺症状です。 出血がひどくなると意識障害などもみられることがあります。 このような脳出血の症状がみられる場合には、まず CT 検査を早急に行い、出血部位(被殻、視床、脳幹、小脳、皮質下)や出血量を確認することで確定診断に至ります。 脳出血は高血圧が原因であることが多いですが、MRIの検査によって脳動脈瘤や脳血管奇形といった脳内の血管自体の異常や損傷範囲などを調べることができます。 脳出血の手術と治療について 脳出血の治療は、内科的治療と外科的治療に分かれます。 それぞれについて、詳しくみていきましょう。 内科的治療法 内科的治療(薬物療法)として、最も重要になるのは、薬剤による血圧コントールです。 脳出血は高血圧が原因で発症することが多く、特に脳出血発症時には収縮期血圧が 200 mmHg以上となってしまうことも珍しくありません。 脳出血の発症から 6 時間以内は再出血が非常に起こりやすいと言われており、再出血を予防するために、血圧を安定させる降圧剤の点滴や内服などが用いられます。 退院後における慢性期においても、高血圧を放置することで脳出血の再発もあり得ますので、定期的な降圧剤の内服が必要なことが多く、血圧を安定させるための治療が行われます。 もう一点、内科治療として、脳出血により脳が浮腫み、腫れてくることがあります。そのまま放置してしまうと、出血していない部位にまで悪影響が出ることがあるため、マンニトールやグリセロールという抗脳浮腫薬の点滴を行うことがあります。 外科的治療法 脳出血の外科的治療法(手術)は、以下のような時に対して行われます。 ・出血量が 30 ml以上と多量であり、出血による血の塊(血腫)の圧迫により生命の危機がある場合 ・水頭症(髄液の循環不全により、髄液が過剰に溜まった状態) ・意識レベルの低下が疑われる場合 ただし、視床出血や脳幹出血の場合は重要な神経が通っているため手術は困難であり、また深昏睡状態(意識がなく自発呼吸もない状態)の場合も手術による改善が望めないため治療適応外となります。 手術方法としては血腫を除去する血腫除去術と、水頭症に対するシャント術が一般的です。 それぞれの手術法について詳しく見ていきましょう。 ◇血腫除去術 開頭血腫除去術 開頭血腫除去術は全身麻酔下で行われる手術で、3 時間程度要します。約 10 ㎝程度の大きさで頭蓋骨を切開し、脳内に溜まった血腫を摘出する手術になります。 内視鏡的血腫除去術 内視鏡的血腫除去術は開頭血腫除去術とは異なり、局所麻酔で行われる手術になります。数㎝程度皮膚を切開し、頭蓋骨に 1.5 ㎝程度の穴をあけて細い筒のようなものを挿入し、血腫の吸引を行っていきます。 開頭手術と比べるとおよそ半分程度の手術時間で完了するため、患者さんの負担も少なく、リハビリを早期から行うことが出来るというメリットがあります。 ◇シャント術 シャント手術とは、溜まってしまう髄液を体内の他の場所へ流し込むバイパスを作る手術になります。 主な経路としては、以下のようになります。現在では、脳室―腹腔シャントが最も多く行われています。 ①脳室から腹部(脳室―腹腔シャント) ②脳室から心臓(脳室―心房シャント) ③腰から腹部(腰椎―腹腔シャント) リハビリ 治療・手術後は、社会復帰に向けて必ずリハビリが必要となります。 「急性期」「回復期」「維持期」の回復過程に応じて、適切なリハビリを段階的に行うことになります。 脳出血の入院期間や費用について 入院期間 脳出血の平均入院日数は、およそ 107 日間となっており、下表のように年齢が上がると、日数は増える傾向にあります。 例えば、40~44 歳の方の平均入院日数は 56 .4 日となっていますが、80~84 歳の方の入院日数は約 3 倍の日数の 151 .3 日となっています。 これはご高齢になればなるほど、重症化のリスクやリハビリに要する期間が長くなるためだと思われます。 40 ~ 44 歳 56 .4 日 60 ~ 64 歳 81 .1 日 65 歳~ 69 歳 104 .8 日 70 歳~ 74 歳 96 .9 日 75 歳~ 79 歳 99 .1 日 80 ~ 84 歳 151 .3 日 入院費用 入院費用の平均は、約 70 万円前後( 3 割負担の場合)となっています。 なお、そのうち血腫除去術の一般的な手術費用は診療報酬点数が 47 ,020 点となっているので、1 点= 10 円とすると約 14 万円( 3 割負担)となります。 高額療養費制度を利用すると、自己負担限度額を超えた部分が払い戻されるので、最終的には更に軽減される可能性があります。 ただし、高額療養費制度の自己負担の上限額は、年齢や所得によって異なり、差額ベッド代や食事代等は制度対象外となります。 以上の入院日数や入院費用はあくまで平均値となっており、年齢や治療内容、症状などの差で変動します。 まとめ・脳出血の治療方法と手術になったときの入院期間や費用について いかがでしたでしょうか。 本記事では、脳出血の手術と治療、入院期間や入院費用について主に解説しました。 脳出血は早期の治療介入が非常に重要であり、重症度に応じて様々な治療方法が選択されます。発症から時間が経過すればするほど重い後遺症が残ったり、命の危機に晒されることに繋がりますので早期受診が重要です。 この記事がご参考になれば幸いです。 ▼脳出血、以下の記事も参考にされませんか 脳出血、後遺症の種類とリハビリによる改善の可能性
2022.12.23 -
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脳出血の前兆!初期症状をセルフチェック!早期治療で後遺症を残さない 脳出血とは脳卒中の 1 つで、脳を走る血管が破れて脳の中で出血が起こる病気です。 高齢であったり、高血圧や動脈硬化が強いと血管が弱くなるため、脳出血を引き起こしやすくなります。出血が広がると血液で脳が圧迫されたり、血液が神経細胞に行き渡らず細胞が死んでしまったりすることでさまざまな症状が出現し、広がりに応じて進行します。 一度障害を受けた神経細胞は元に戻ることはないため麻痺や感覚障害などの後遺症を残します。脳出血の約 70 %が後遺症を残すと言われており、生活に支障をきたさない程度の後遺症から、四肢麻痺など、日常生活が以前のように送れなくなるほどの後遺症までさまざまです。 リハビリを行うことである程度までの回復を期待することはできますが、完全に元に戻すこと難しく、何よりかなりの時間を要します。 脳出血で強い後遺症を残さない為にも、発症早期に気づき、周囲の神経細胞に障害が起こる前に治療を受けることが重要になります。 この記事では、脳出血の比較的急性期に認める症状や好発部位ごとに現れる症状の特徴、ご自身で参考にしていただける初期症状のセルフチェックシートなどを紹介します。 脳卒中!脳出血の好発部位とその症状の特徴は? 脳出血は出血が起こりやすい部位によって種類が分けられており、それぞれで症状に特徴があります。 好発部位は大きく分けて 5 つあり、以下に特徴を示します。 ①被殻(ひかく)出血 脳出血の中で、一番頻度が高い部位です。 症状はまず頭痛や嘔吐から始まり、片側の手足の麻痺や感覚の異常、うまく言葉が話せない構音障害などを認めます。 また、被殻出血が起こるとどちらか一方に目がよる共同偏視を認めることもあります。 ②視床出血 被殻出血の次に多く見られる脳出血です。 視床は感覚を伝達する神経が多く走っている部位のため、視床出血では感覚障害や視床痛という半身のみの痛みを認めます。 また、視床出血は脳脊髄液が循環している脳室と近い位置にあるため、出血が脳室まで及ぶと水頭症という状態になり意識障害を起こします。 視床出血になると左右の目が内下方を向くようになることが特徴です。 ③小脳出血 小脳は平衡感覚をつかさどる部位です。 そのため、この小脳で出血が起こると頭痛と嘔吐、めまい、歩行障害が起こります。 小脳出血が広がり脳幹まで圧迫されると呼吸が止まり致命的になる可能性があります。小脳出血のみですと、麻痺は起こりません。 ④橋出血 橋は脳幹の一部で呼吸や全身の運動などをつかさどっている部位です。 橋で出血が起こると意識障害や全身の麻痺が起こり、出血が広がると呼吸ができなくなり重篤な状態になることがあります。 橋出血が起こると左右両方の目の瞳孔が小さくなることが特徴です。 ⑤皮質下出血 脳の比較的表層の部分に出血が起こるものです。 部位によって症状はさまざまで、片側の手足の麻痺や構音障害、視界の左右どちらかが見えなくなる半盲などを認めます。 脳出血の前兆・初期症状を知ることで早期治療を! 脳出血は出血範囲が広がるほど多くの神経細胞が圧迫され重症となり、最悪の場合寝たきりや死亡してしまうこともあります。 しかし早期に発見できれば、手術で血の固まり(血腫)を取り除いたり、血圧をコントロールして血腫が大きくなることを防ぐ治療を受けることができるため、後遺症などが軽症ですむ可能性が上がります。 脳出血の初期症状セルフチェックシート 初期症状リストを以下に示します。これらを参考にして、初期の段階から脳出血に気付きましょう。 いずれの部位の脳出血でも認める症状 ▢突然の激しい頭痛 ▢嘔吐 重篤な状態を示唆する症状 ▢意識障害 ▢昏睡 運動障害 ▢手足の麻痺、動かしにくさがある ▢片側の顔の麻痺、動かしにくさがある ▢表情に左右差がある ▢歩きにくくなる、足がもつれる ▢ごはんが食べにくくなる、飲み込みづらくなる 感覚障害 ▢片方の手足が痺れる ▢左右どちらかの顔面が痺れる ▢半身の痛みが突然生じる 言語障害 ▢舌がうまく回らず上手に話せない ▢話したい言葉が出てこない ▢言葉が理解できない 視覚障害 ▢突然視野が狭くなる ▢左右どちらかの視野が障害される ▢物が二重に見える ▢瞳孔の大きさが左右で違う・やけに小さい 平衡感覚障害 ▢めまい ▢ふらつき ▢まっすぐ歩けない チェックシートに記載の症状で 1 つでも当てはまる項目があれば、脳出血である可能性が高いです。迷わず医療機関を受診してください。 特に今まで感じたことのないような突然発症の激しい頭痛を認めた時は、脳出血が頭の中で発症した可能性がかなり高いです。 それに伴い、「激しい吐き気」や「嘔吐」がある場合は、更にその可能性が高まります。これら 2 つの症状は、どの部位に出血が起こっても認める症状で、かつ頭痛は血管が破れた際に起こる症状です。 すみやかに治療を受けることで、その他の症状を発症せずに済むかもしれません。 意識障害や昏睡状態になっている場合はすでに重篤な状態であり、命に危険が及んでるかもしれません。いずれの場合も救急車を使用するなどして、いち早く専門の医療機関を受診しましょう。 脳出血に前兆はない? 脳出血は突然血管が破れて発症するため、前兆は基本的にありません。前兆ではありませんが、血圧は 1 日の中で朝の 10 時ごろが最も高いためその時間帯に脳出血が起こりやすくなっています。 そのため、日頃から生活習慣を気をつけて、初期症状を認めた場合はすぐ受診し早期の治療を受けることが必要です。 まとめ・脳出血の前兆!初期症状をセルフチェック!早期治療で後遺症を残さない 脳出血はある日突然発症し、多くの場合で後遺症が残ってしまう病気です。 しかし早期に治療を行うことができれば後遺症を残さないか、残っても軽度で済む可能性が高まります。加えて、脳出血は画像検査ですぐに診断をつけることが可能です。 そのため、少しでも疑う場合はすみやかに医療機関を受診することが重要です。また、脳出血の治療を行うのは主に脳神経外科になるため、脳神経外科の体制が整っている病院を選んでください。 尚、後遺症については、リハビリ以外にも最先端医療の「再生医療」という新たな手法もあり、万一後遺症が残った場合は、その存在を知っておくことで後遺症が改善する可能性も残されています。 以上、本記事が参考になれば幸いです。 ▼以下もご覧になりませんか 脳出血にならないために!予防と再発を防ぐための血圧管理方法は
2022.12.19 -
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【脳出血後の看護と介護】脳出血後の看護ケアや介護ケア、家族が注意すべきポイント 「脳出血後のケアはどうしたらいい?」 「脳出血後の看護ケアと介護ケアについて知りたい。」 脳出血後は、患者とその家族の両方にとって突然人生が変わりかねず、どうすれば良いのか悩む方も多いのではないでしょうか? 脳出血後の患者はほとんどの場合、複数の薬や治療が必要になるため、リハビリの道のりは非常に長く、困難になる可能性が高くなります。 何よりも、脳出血後の患者の精神的、社会的な負担も計り知れません。元通りの生活に戻るには、看護師、介護士、友人、家族からのサポートが何よりも必要です。 そこで、今回の記事では、脳出血後の看護ケアや介護ケア、家族が注意すべきポイントについて含めて説明します。 脳出血後は後遺症が残る 脳出血とは、高血圧などによる動脈硬化症による血管の破裂により、脳の実質内に血液が流出する状態です。脳出血は死亡率が高く、最も致命的な病気の 1 つになっています。 脳出血後は、多くの合併症に苦しむ可能性があり、主に以下のような後遺症を残します。 ・運動麻痺 右上下肢や左上下肢が動かなくなり、歩行困難になることもある ・感覚障害 触覚や痛覚などの感覚が鈍くなったり、逆に過敏になる ・視覚障害 視野が狭くなったり、物が二重に見えたりする ・失語症 言葉の理解が悪くなったり、単語が出づらくなる ・構音障害 ろれつが回りにくくなる ・半側空間無視 片側の空間認識ができなくなる ・嚥下障害 食べ物が飲み込みにくくなる これらは患者とその家族の両方に著しく影響を与える可能性があります。 脳出血後の看護ケアについて では、実際の看護ケアについて考えていきましょう。観察項目について説明していきます。 観察項目とは、治療の効果、患者への適応を判断するために行います。 看護ケアにおける7つの観察項目 看護ケアではどのような項目について観察するべきなのか解説していきます。 脳出血後の入院中は、特に意識レベル、血圧の管理などを厳密に管理します。 ①意識状態 Glasgow Coma Scale (GCS) やJCSを通じて意識状態を評価し、新たな神経学的徴候の出現を確認します。 ②呼吸 入院中の呼吸管理としては、患者の頭をわずかに上げた位置に保ち、酸素飽和度(SpO2)を監視します。 呼吸抑制がある場合、カニューレを装着したり、マスクを用いて酸素を投与するなどして、呼吸を補助します。 ③血圧と心拍数 血圧と心拍数を頻繁に検出しましょう。特に血圧のコントロールは、血管痙攣による虚血性の合併症を避けるために必要です。収縮期血圧140mmHg未満を目指しましょう。 ④電解質バランスの変化(輸液管理) 輸液などで毎日の電解質のバランスを保ち、時間ごとの利尿を監視し、多尿または乏尿があれば、必要に応じて輸液量を調整します。 ⑤口腔内衛生や姿勢、褥瘡管理 1日に数回、口腔内を丁寧に掃除してください。 褥瘡管理は頻繁に体位変換を行う必要があり、片麻痺側の持続時間は健康な側の持続時間よりも短くする必要があります。床ずれ対策(エアマット、枕)を行いましょう。 また、姿勢管理では麻痺した手足に特に注意を払い、正しい姿勢をとります。 ⑥嘔吐、吐物管理 脳出血後は、予期せぬ嘔吐が出現しやすくなります。 嘔吐の場合は、気道が確保できているか確認し、誤嚥による肺炎の発生を回避する必要があります。 ・側臥位にする ・口の中の異物を吐き出させ、分泌物を吸引する 素早い判断で適切な対処を行うことが、とても重要です。 ⑦発作や薬の管理 発作時には、医師の指示に従って、抗けいれん薬を投与し、定期的に気道の状態を評価します。 また、血管内治療を受けた患者は、再出血を防ぐ薬を継続する必要があり、看護師は薬を飲めているか確認します。 脳出血後の介護で家族が知っておくべきこと では、続いて脳出血後に家族が自宅などで気をつける介護ケアについて解説していきます。 入院中は看護師やその他多くの専門職によってリハビリなどが行われますが、退院後は、家族が中心になってケアを行なっていく必要があります。 ほとんどの患者は、初期治療とリハビリ後に自宅で介護を受けることを選択します。 ①要介護認定は早めに受けるべき 脳出血などは特定疾病ですので、40歳以上であれば要介護認定を受けられます。 在宅介護の場合は、訪問介護や訪問入浴介護、自宅のバリアフリー化、福祉用具レンタル・購入などの在宅介護サービスを受けることができます。 ②在宅介護サービスを活用する 在宅介護サービスは、脳出血後の症状が残っており、比較的状態が安定している患者に推奨されるケアサービスです。 内容としては毎月の医師の診察、継続的なモニタリング、24 時間対応の電話応対などが含まれています。 在宅介護には、以下のようなメリットがあります。 ・長年住み慣れた自宅で生活できる ・経済的負担が少ない ・家族と一緒にいられるので安心感が生まれる ぜひ、このようなケアサービスも活用しましょう。 ③住宅改修で自宅の環境整備を行う 在宅介護を行う際は、補助器具と環境整備も行う必要があります。 患者が障害を抱えながら生活できるように、補助器具の使用や家庭環境の改善に取り組みます。 ④施設介護サービスも検討できる 自宅介護の他にも、施設サービスも検討しましょう。 自宅での介護が難しい場合は、日帰りでリハビリや介護などのケアを受けられるデイサービスやデイケアがあります。 在宅介護に比べて以下のようなメリットがあります。 ・専門性や高い介護ケアが受けられる ・介護をする家族の時間や精神的苦痛が少ない 家族の介護とはいえ、仕事との兼ね合いや子育て中であれば、精神的にも肉体的にも大変なことがあるかと思います。そんな時は、安心してお任せできる、施設の利用を検討するのもひとつかもしれません。 脳出血後の看護、介護に関するよくあるQ&A 最後によくある質問についてもまとめましたので、参考にしてください。 Q,要介護認定の相談は誰にすればいいですか? A,退院後の相談としては、医療ソーシャルワーカーなどに相談できます。 Q,要介護認定の方法は? A,要介護認定の申請方法としては、申請書の他に介護保険被保険者証や身分証明書などを準備して、役所の介護保険の担当課へ行きます。 申請手続きを済ませると、後日担当者が聞き取りによる認定調査に来ます。 まとめ・【脳出血後の看護と介護】脳出血後の看護ケアや介護ケア、家族が注意すべきポイント 脳出血後の入院中の看護や退院後の介護ケアは、患者さんがもとの日常生活に早く戻るためにもとても大切です。 退院後の介護ケアでは家族のサポートが不可欠なので、自分だけで抱え込まず、家族間でよく話し合う必要があります。時に、在宅介護と施設介護を上手く取り入れ、併用していくことも検討してみましょう。 今回の記事が看護や介護に向き合われる皆さまのご参考になれば幸いです。
2022.12.05