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【医師監修】脳幹出血の原因とは|高血圧との関係や予防法を解説
脳幹出血はなぜ起こるのか、自分や家族にリスクはあるのかと不安に感じている方もいるのではないでしょうか。
脳幹出血の主な原因は、高血圧による血管への負担です。高血圧が続くと脳の細い血管が傷み、血管が破れて出血につながります。ただし、若い人や子どもでは、脳動静脈奇形など血管の異常が関係することもあります。
この記事では、脳幹出血の原因、疑われる症状、治療法、予防のためにできることを解説します。
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目次
脳幹出血とは
脳幹出血とは、脳の中心部に位置する「脳幹」の血管が破れて出血する病気です。脳出血の一種で、出血が起こる部位によって症状の重さや現れ方が異なります。
脳幹は「中脳」「橋(きょう)」「延髄」の3つからなる部位で、呼吸や心拍、体温調節、嚥下(えんげ)など、生命を維持するために欠かせない機能を担っています。そのため、脳幹で出血が起こると、これらの機能が損なわれるため、重症化しやすい病気です。
突然の意識障害、手足の動かしにくさ、ろれつが回らない、強いめまい、激しい頭痛などの脳幹出血が疑われる症状があるときは、通常の外来相談ではなく救急受診が優先されます。早い段階で救急要請を検討してください。
脳幹出血の治療や生存率については、以下の記事も参考にしてください。
脳幹出血の主な原因
脳幹出血の主な原因は、高血圧による動脈硬化ですが、高血圧だけで起こる病気ではありません。脳動静脈奇形などの血管の異常や生活習慣が関係する人もいます。
脳幹出血後の回復については、以下の記事を参考にしてください。
高血圧による動脈硬化
脳幹出血の主な原因は、高血圧による動脈硬化です。
高血圧の状態が続くと、血管の壁に慢性的な圧力がかかり続けます。この状態が長く続くと血管の壁が傷み、硬く、もろくなっていきます。これが動脈硬化です。
動脈硬化が進んだ血管は破れやすい状態となり、脳幹の血管で破綻が起こると脳幹出血に至ります。(文献1)
高血圧は「塩分の取りすぎ」「食生活の乱れ」「ストレス」「喫煙習慣」など、複数の要因が重なって発症します。
高血圧は自覚症状がないまま進行するため、健診で指摘されても放置してしまう人が少なくありません。しかし、血圧コントロールは脳幹出血の予防において重要な対策の一つです。高血圧と診断された場合は、医師の指導のもとで治療と管理を継続してください。
脳動静脈奇形などの血管の異常
高血圧とは別に、血管の構造的な異常が脳幹出血の原因になるケースがあります。代表的なものが「脳動静脈奇形(AVM)」です。
脳動静脈奇形とは、本来は毛細血管を経由してつながるはずの動脈と静脈が、「ナイダス」と呼ばれる異常な血管の塊を通じてつながっている状態です。この異常な血管は壁が薄く、圧力がかかりやすいため、破れると脳出血やくも膜下出血を起こします。(文献2)
脳動静脈奇形は20~40代の若年者に多く、高血圧に関係なく脳出血を起こす原因の一つとして知られています。自覚症状がないまま成長し、出血して初めて発見されるケースも珍しくありません。
飲酒・喫煙などの生活習慣
飲酒・喫煙・運動不足・肥満といった生活習慣は、高血圧や動脈硬化を進行させるリスク因子として知られています。
喫煙は、たばこの煙に含まれる有害物質が血管を傷つけ、動脈硬化を進めます。喫煙者は非喫煙者と比べて、男性で1.3倍、女性で2.0倍、脳卒中(脳出血・くも膜下出血・脳梗塞)を発症しやすいというデータがあります。(文献3)
過度な飲酒は血圧を上昇させる要因です。ストレスについては、それ単体で脳幹出血を引き起こすとは断定できませんが、血圧の上昇や生活習慣の乱れを通じて間接的に関係します。
血圧を安定させるためには、食事や運動だけでなく、睡眠や休養のとり方も意識しましょう。
脳出血とストレスの関係については、以下の記事も参考にしてください。
脳幹出血が疑われる主な症状
脳幹出血が起こると、以下のような症状が突然現れます。
- 意識が遠のく、または意識を失う
- 手足の麻痺、体の片側が動かしにくい
- ろれつが回らない、言葉が出にくい
- 飲み込みにくい、物が二重に見える
- 激しい頭痛、吐き気、嘔吐、強いめまい
これらの症状は、脳幹が担う呼吸・運動・嚥下・眼球運動などの機能が、出血によって損なわれるために現れます。脳卒中では、片側の手足や顔の麻痺、しびれ、言葉が出にくい、ろれつが回らないなどの症状も知られています。(文献4)
脳幹出血は発症から治療開始までの時間が予後に関わります。症状が突然現れた場合は、「様子を見る」「少し休めば治るかもしれない」と判断せず、迷わず119番に連絡することが大切です。
脳幹出血の治療法
脳幹出血の急性期治療では、出血の拡大を防ぎ、全身状態を安定させる対応が中心です。
脳出血では、発症直後に血圧が高くなっていることが多く、高い血圧が続くと出血の拡大につながります。そのため、降圧薬を用いて血圧を調整し、意識状態や呼吸状態を確認しながら治療を進めます。
脳幹出血に対して手術が選択されることは多くありません。脳幹は生命維持に直結する神経が密集している部位であり、手術による周囲組織へのダメージが重篤な結果につながるリスクが高いためです。出血の部位・量・患者の全身状態によって治療方針は異なり、手術の適応については医師が総合的に判断します。
急性期を脱した後は、後遺症の症状に応じてリハビリテーションを行います。
脳幹出血後の回復・リハビリについては、以下の記事をご覧ください。
脳幹出血を予防するためにできること
脳幹出血を予防するには、血圧の管理と生活習慣の見直しが大切です。脳幹出血の主な原因は高血圧であり、血管にかかる負担を減らすことが発症リスクの低下につながります。
すでに高血圧を指摘されている場合は、医師の指導のもとで治療を継続しながら、生活習慣の見直しもあわせて取り組んでください。
血圧の管理
血圧の管理では、減塩と治療の継続が基本です。
食塩摂取量の目標は、健康日本21(第三次)では7.0g未満、日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満とされています。(文献5)(文献6)
日本人の食生活では、漬物・干物などの塩蔵食品、麺類のスープ、外食・加工食品・惣菜などから塩分を摂りすぎる傾向があります。
減塩の取り組みとして、麺類のスープを残す、調味料を使う前に味を確認する、香辛料や酢・柑橘類の酸味を活用するといった工夫から始めましょう。
なお、すでに高血圧と診断されている場合は、減塩だけでなく、医師の指示に従った薬物療法もあわせて継続することが重要です。
生活習慣の見直し
減塩以外にも、以下の生活習慣の見直しが高血圧・動脈硬化の予防につながります。
具体的には禁煙、飲酒量の調整、体重管理、運動習慣、ストレス管理です。
喫煙:喫煙は血管を傷つけ、動脈硬化を進めるリスク因子です。まずは、かかりつけ医や禁煙外来に相談してください。
飲酒量の見直し:過度な飲酒は血圧を上昇させます。厚生労働省の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」では、生活習慣病のリスクを高める飲酒量として、1日あたりの純アルコール量が男性で40g以上、女性で20g以上とされています。純アルコール20gはビール(5%)500ml・日本酒1合(180ml)に相当します。(文献7)自分の飲酒量を純アルコール量で把握し、飲みすぎない習慣をつけましょう。
体重管理と運動:肥満は高血圧の重要なリスク因子です。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人に対して、歩行または同等以上の身体活動を1日60分以上行うことを推奨しています。(文献8)運動習慣がない方は、ウォーキングなど無理なく続けられる活動から始めてください。心疾患や関節の病気がある方、脳卒中後の方は、運動の種類や強度を医師に確認した上で取り組んでください。
ストレスの管理:過度なストレスは血圧を上昇させ、過食・過度な飲酒・睡眠不足などの生活習慣の乱れを招きます。ストレスを完全に排除することは難しいですが、睡眠を十分にとる、趣味や運動で気分転換するといった対策を日常的に取り入れることが、血圧管理の観点から大切です。
脳幹出血の原因と予防法を把握し発症を防ごう
脳幹出血の主な原因は、高血圧による動脈硬化です。高血圧の状態が続くと血管に負担がかかり、脳の細い血管が破れて出血につながります。飲酒・喫煙・肥満・運動不足なども、高血圧や動脈硬化に関わる要因です。
若い人や子どもでは、脳動静脈奇形など血管の異常が原因として確認されます。年齢だけで脳出血のリスクを低く見ず、突然の頭痛、意識障害、麻痺、ろれつが回らないなどの症状が出たときは、迷わず119番に連絡してください。
脳幹出血を含む脳卒中の後遺症に対しては、再生医療という選択肢もあります。当院「リペアセルクリニック」では、脳卒中後の後遺症に対する治療選択肢の一つとして、脂肪由来の幹細胞を用いた再生医療を行っています。幹細胞には、他の細胞に変化する「分化能」という能力があります。治療は手術や入院を必要とせず、日帰りでの施術が可能です。
脳幹出血の後遺症や再発に不安がある方、再生医療について詳しく知りたい方は、以下の症例もあわせてご覧ください。
脳卒中のお悩みに対する新しい治療法があります。
再生医療について詳しく知りたい方は、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEからご相談ください。
脳幹出血の原因に関するよくある質問
脳幹出血の前兆はありますか?
脳幹出血は、前触れなく突然発症する病気です。「前兆があれば気づける」とは言い切れません。ただし、発症直前に激しい頭痛、急なめまい、意識障害、手足の麻痺、ろれつが回らない、吐き気や嘔吐といった症状が現れます。これらの症状が突然現れた場合は、脳幹出血をはじめとする脳卒中の可能性があるため、ためらわずに救急車を呼んでください。
脳幹出血は手術しないのはなぜですか?
脳幹は、呼吸・心拍・嚥下など生命維持に関わる神経が集まる部位です。脳の深い位置にあるため、手術によって周囲の神経を傷つけるリスクも考慮されます。そのため、脳幹出血では、血圧管理を中心とした保存的治療が選択されることが多くなります。
ただし、すべての脳幹出血で手術をしないわけではありません。出血の部位、出血量、意識状態、全身状態、画像検査の結果をもとに、医師が総合的に判断します。
ストレスは脳幹出血の原因になりますか?
ストレスそのものが直接脳幹出血を引き起こすとは断定できません。
ただし、過度なストレスは血圧を上昇させ、過食・過度な飲酒や睡眠不足といった生活習慣の乱れにつながります。こうした状態が続くと血圧管理が難しくなり、高血圧や動脈硬化のリスクにも関わります。
脳幹出血の主な原因は高血圧による血管への負担です。血圧を安定させるために、減塩や禁煙、飲酒量の調整だけでなく、睡眠や休養のとり方も見直してください。
脳出血とストレスの関係については、以下の記事も参考にしてください。
子どもでも脳幹出血は起こりますか?
子どもや若い人でも、脳幹出血を含む脳出血は起こります。
成人では高血圧が脳出血の主な原因になりますが、若い人では脳動静脈奇形など血管の異常が原因として確認されます。
脳動静脈奇形は、脳の動脈と静脈が異常な血管のかたまりにより直接つながる病気です。自覚症状がないまま成長し、出血をきっかけに発見されることもあります。
子どもや若い人に、突然の強い頭痛、意識障害、麻痺、けいれん、嘔吐などが出たときは、年齢で判断せず、速やかに救急受診してください。
脳幹出血は再発しますか?
脳幹出血を含む脳出血は再発するリスクがある病気です。とくに血圧が適切にコントロールされていない場合、再出血のリスクが高まります。
再発を防ぐには、医師の指導に沿った治療、定期的な血圧測定、減塩や禁煙といった生活習慣の見直しが必要です。
脳幹出血後は自己判断で治療を中断せず、医師の指示に従った管理を継続してください。
参考文献






















