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脳溢血とは?前兆のサインを見逃さない、発症原因を症状別に医師が解説!

脳溢血とは?前兆のサインを見逃さない、発症原因を症状別に医師が解説!

脳卒中はある日突然発症し、最悪の場合そのまま命を落としたり、寝たきりの状態になってしまう病気です。さまざまな薬の開発によって発症率は低下傾向にありますが、それでもまだ日本での死亡原因の上位に位置しています。

この記事ではそんな脳卒中の一つである脳溢血に関して紹介します。

脳溢血

脳溢血とは何か

脳溢血とは「のういっけつ」と読み、文字通り脳に血が溢れる状態を指した病名です。脳の中の細い血管が破れて血液が溜まることにより周囲の神経細胞が圧迫されます。神経細胞が圧迫されると働きが障害されてしまうため、さまざまな症状が出現します。

この脳溢血は脳出血とも呼ばれ、同じ意味で用います。

脳溢血の原因

脳溢血の原因の多くは高血圧です。血管内の圧が上がり、その圧に血管壁が耐えられなくなるため出血が起こります。また、高血圧は動脈硬化のリスクでもあります。動脈硬化が起こると血管壁が弱くなるため、さらに血管が破れやすくなります。

脳溢血の症状

脳溢血の症状は、出血が起こった場所によって異なります。しかし、どの部位の脳溢血も発症時に頭痛や吐き気を訴えることが多くあります。

また、出血が止まらず血腫が大きくなると、その分圧迫される神経細胞も増えるため、症状も増え重篤化します。

被殻出血

被殻出血は脳溢血全体の 3 割程度を占めています。被殻出血の特徴的な症状は片側の手足の麻痺や片側の顔の動かしにくさです。さらに進行すると感覚障害や意識障害に至ることもあります。

視床出血

視床は人の感覚を司っています。そのため視床出血では片側の感覚障害を認めます。また、視床出血を発症した際に目が中央によって寄り目をしているように見えることが特徴です。視床の周りには運動神経が走行しているため進行すると運動麻痺も生じます。

橋出血

橋出血は、被殻出血の次によく見られる脳溢血です。橋は全身の運動や意識状態、呼吸をつかさどっています。そのため橋に出血が起こると、たとえ出血した血液量が少量であったとしても意識障害や両側の四肢麻痺などが生じます。また、自分で呼吸ができなくなってすぐ死に至ってしまうこともあります。

小脳出血

小脳には体の平衡感覚を保つ働きがあります。そのため小脳出血では強いめまいや吐き気を訴える方が非常に多いです。めまいが強くまっすぐ歩くことができなくなったり、立てなくなってしまいます。

小脳は大脳の後ろに位置しているため、出血が起こった際に頭の後ろの部分に頭痛を認めます。

大脳皮質下出血

大脳皮質とは大脳の表層に位置する部分のことを指します。つまり、大脳皮質下出血とはその大脳皮質から出血が起こったもののことを呼びます。大脳皮質は部位によって働きが異なるため、出血した部位に応じた症状が出現します。運動麻痺や感覚麻痺、言葉の出づらさなどから人格の変化、視力障害が起こることもあります。

脳卒中の治療

脳溢血で発熱が起こる?

これ以外に、脳溢血によって発熱が生じる場合があります。

発熱が起こる病気と聞くと、まず思い浮かぶのが細菌やウイルスによる感染症だと思います。もちろん脳溢血の経過中に何らかの細菌・ウイルスに感染して発熱を認める可能性は十分にあります。しかしそれ以外で発熱が起こることがあるのです。

脳溢血で発熱が起こる原因とは

脳溢血で発熱が起こる原因は、

・・出血によって体温のバランスを保つ部分(体温調節中枢)が障害を受ける

・・頭蓋内圧が亢進して体温調節中枢が刺激される

の 2 つです。

視床や被殻などが存在する大脳基底核や、大脳皮質下出血が起こった場合、体温調節中枢である視床下部が圧迫されてしまうことがあるため、発熱をきたしやすくなります。

脳溢血が起こると、出血が起こった部分から徐々に脳に浮腫が起こりはじめます。脳に浮腫が起こると、頭蓋内の圧が上がり、この状態を頭蓋内圧が亢進と呼びます。

これにより視床下部が刺激を受けると、体温が上昇し発熱します。

頭蓋内圧が亢進し、進行すると圧に耐えられなくなり浮腫んだ脳がさまざまな方向にはみ出てしまいます。この状態を「脳ヘルニア」と言います。

脳がはみ出る部位によって出現する症状は異なりますが、大後頭孔と呼ばれる隙間から脳がはみ出した大後頭孔ヘルニアが生じると、大脳により呼吸・循環を維持する働きをもつ脳幹が圧迫されるため急激に状態が悪くなり、突然死となってしまうことがあります。

これらの脳溢血が原因の発熱を「中枢性発熱」と呼び、中枢性発熱を認めた場合は予後が悪くなると言われています。そのため、少しでも予後をよくするためにこの中枢性発熱になるべく早く気づく必要があります。

脳溢血を予防するには?前兆はある?

先述したように、脳溢血の原因の多くは高血圧です。

高血圧の原因は塩分の多い食事や肥満・喫煙・過度なストレス・運動不足など生活習慣に関わるものが多いです。バランスの取れた食事や適度な運動とストレスを適宜発散することが高血圧の予防となります。

基本的に脳溢血の前兆はありません。ある日突然発症し、致命的になることもある怖い病気です。そのため日頃から予防に気を使うことが重要です。

まとめ・脳溢血とは?前兆のサインを見逃さない、発症原因を症状別に医師が解説!

脳溢血について紹介しました。

前述したように、脳溢血は前兆もなく突然起こる病気です。しかし少しでも早く症状に気付けば、生命を危険に晒すことなく元の生活に戻れることもあります。日頃から予防することを心がけて、少しでも怪しい症状を認めた場合は病院を受診しましょう。

この記事がご参考になれば幸いです。

 

No.110

監修:医師 坂本貞範

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