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橋出血による運動失調の種類とリハビリプログラム

橋出血による運動失調の種類とリハビリプログラム

橋という脳の一部に出血が起こった後には、運動失調という後遺症が残ることがあります。

今回は、橋出血後の運動失調とはどのようなものか、そしてどのようなリハビリプログラムがあるのか解説し、最新治療法の一つである、再生医療の可能性にも触れていきます。

ぜひ参考にしてみてくださいね。

橋出血 リハビリ

橋出血とは?どのような症状が出るの?

橋出血(きょうしゅっけつ)とは、脳幹という脳の一部分の中の橋で起こる出血のことです。

脳幹は、中脳・橋・延髄に分けられますが、構造や機能は脳幹全体が同じようなものとなっています。橋出血は脳出血の中の約10%で、脳幹出血の中では橋出血が多くみられます。そのため、脳幹出血と橋出血が同じような意味で用いられるようです。

橋は大部分の脳神経の出入口であり、運動や感覚をつかさどる神経が通り、睡眠や覚醒、呼吸運動や循環機能などの自律運動をつかさどっている重要な部分です。

そのため、橋出血が起こると、以下のような重篤な症状が生じることがあります。

  • 1)高度の意識障害
  • 2)高熱
  • 3)両側の瞳孔縮小
  • 4)片側・両側の四肢麻痺、異常反射、知覚障害
  • 5)高血圧
  • 6)呼吸異常
  • 7)眼球運動障害
  • 8)運動失調

運動失調は、小脳の障害で現れることが典型的ですが、橋と小脳が連絡繊維を持っているため、橋出血を起こすと運動失調も生じます。

脳卒中は手術しなくても治療できる時代です。

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橋出血による運動失調の症状はどんなものがある?

それでは、まずは運動失調の分類について解説し、その後橋出血による運動失調についても説明していきます。

運動失調の症状とは

運動失調とは、運動麻痺はない、または軽度であるにもかかわらず、動作や姿勢保持などの協調運動ができなくなるという状態のことです。

運動失調は、起立・歩行時のふらつきといった症状が代表的なものです。

その他にも、手の細かな動作も障害され、字を書くのが下手になったり、水を満たしたコップを持つと手が震えてこぼしてしまったり、またボタンをかけたり箸を使ったり、食事をすることがスムーズに行えなくなります。

また、むせるようになる、呂律が回らなくなるといった症状も出ます。

運動失調障害の分類

運動失調障害は、障害される部位によって、以下の3つに大きく分けられます。

  • 1)小脳性運動失調
  • 2)感覚性運動失調
  • 3)前庭性運動失調

これらの3つは、以下のような特徴を持ちます。

運動失調の特徴

引用)2 神経メカニズムから捉える失調症状 

この中でも、先ほども述べたように、橋の出血でも小脳と橋が神経繊維で連絡をしているため、小脳性運動失調をきたすことがあります。

橋出血後のリハビリプログラムについて

橋出血後に、運動失調障害に対するリハビリプログラムをご紹介します。

フレンケル体操

フレンケル体操は、運動失調に対して古くから行われている治療法です。

反復訓練と、その訓練に集中することを基本としています。

身体の動きを目で見ながら、つまり視覚を使いながらの身体の動きのコントロールをします。

そのコントロールを反復して練習することで、協調運動を再びできるようになることを期待しています。

重り負荷での運動

足関節や手関節、または腰部に重りをつけ、固有感覚入力の強化、つまり感覚を強めると、過剰な運動を抑える力が働き、運動失調が軽減するというものです。

弾性緊縛帯

重り負荷での運動と同様の発想です。

上肢・下肢の近位部を弾性包帯で圧迫し、感覚入力の強化をすることで、上下肢の過剰な運動を抑えられ、運動失調が軽減することを目的としています。

固有受容性神経筋促通手技(proprioceptive neuromuscular facilitation:PNF)

これは、筋肉や皮膚、関節などにある感覚の受容体を刺激しながら、体を動かしていくという手技です。

治療者(セラピストなど)が患者の関節を交互に動かし、 患者はその抵抗に打ち勝つように、 その関節を常に特定の位置に保つように指示します。

治療の効果の持続性は短時間ですが、毎日反復して行うことで、機能の回復が期待できるという報告もあります。

橋出血による運動失調についてよくある質問

Q1. 運動失調と麻痺の違いは?

A1. 何かの運動をしようとする際に障害があるという状態を運動障害といいます。

運動障害には、「運動麻痺」と「運動失調」があります。

運動麻痺は、筋肉そのものや、筋肉に命令を送る大脳皮質や脊髄・末梢神経の障害によって、筋肉を自分の意思で動かせなくなった状態をさします。

一方、運動失調は、運動に関わる筋肉の動きを調整する機能が失われたため、スムーズな運動が難しくなった状態のことをさすという違いがあります。

Q2. リハビリの効果を高めるための方法はあるの?

A2. リハビリは確かに失われた機能を改善する効果が期待できますが、一方で橋出血により死んでしまった脳細胞を再生させることは難しいです。

また、発症から時間が経つにつれて、リハビリの効果は現れにくくなることもあります。

一方、自己脂肪由来幹細胞の投与をすることで、脳神経細胞が修復再生し、運動失調からの回復や、リハビリの効果を高める効果も期待できます。

まとめ・橋出血による運動失調の種類とリハビリプログラム

今回は、橋出血による運動失調の特徴やリハビリプログラムなどを解説しました。

急性期のみならず、発症から時間がたっている場合でも、再生医療を組み合わせてリハビリを行うことで、運動失調の改善が期待できます。

運動失調に今お悩みの方や、身近で困っている方がいる場合には、ぜひ一度当院の再生医療のご相談を受けてみてくださいね。

 

No.S140

監修:医師 加藤 秀一

 

▼以下もご参考下さい
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脳卒中の治療

 

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