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「退院できても、重い後遺症で生活に影響が出てしまうのではないか」「麻痺や言語障害が残ったらどうしよう…」。 脳梗塞は本当に治る見込みがあるのか、早期治療やリハビリなど、既存の選択肢に留まってはいませんでしょうか。 今回は脳梗塞に対するアプローチとして、新たな治療の選択肢である「再生医療」をリペアセルクリニックが詳しく解説します。 \リペアセルクリニック坂本理事長のコメント/ 再生医療は脳梗塞に対して効果が期待できます。 よく聞かれるのが、発症してすぐに治療しないと効かないでしょう?というものです。 その答えとして、もちろん早期の方が効果は高いですが、10年以上経過した方でも驚くべき改善を認める例はたくさんあります。 また、脳梗塞を患い不安に感じている方に希望を感じていただけるよう、現在当院では「脳卒中・脳梗塞の改善が見込めた事例」をLINEで公開しています。 脳梗塞への対策は早期治療とリハビリだけには留まりません。 本記事と当院のLINEで、新しいアプローチ方法をぜひご参考ください。 ▼LINEで当院の治療に対する事例を配信中! 脳梗塞は早期治療によって治る見込みがあります 脳梗塞は早期治療ができれば治る見込みがあります。 ただし発症してから早い段階で適切な検査・治療をおこなわないと、後遺症のリスクが高くなるのも事実です。 近年では従来の治療法に加えて、当クリニックも専門分野として提供している「再生医療」という新たな選択肢も登場し、より多くの患者様に回復の希望をもたらしています。 本章では脳梗塞における早期治療の必要性や後遺症について解説します。 治療が遅れると後遺症が出る危険性がある 脳梗塞で重い後遺症を出さないためには、発症してから早い段階での治療が必要です。 脳梗塞とは、脳の血管が詰まることで脳細胞が壊死し、脳機能が低下してしまう病気です。 脳梗塞によって損傷した脳組織を元に戻すことは、一般的な治療では不可能といわれています。そのため、継続的なリハビリによって損傷した部分を補う必要があります。 治療が遅れると後遺症が出るリスクが高まるため、専門機関で早期に治療・リハビリを受けましょう。 脳梗塞による後遺症は、その後の生活の質を大きく低下させる可能性があります。 しかし、適切な治療とリハビリ、そして「再生医療」を組み合わせることで、後遺症の軽減や機能回復を目指すことができます。 脳梗塞に対して期待できる再生医療の特徴 身体の機能(後遺症)回復 脳卒中のリハビリ効果を高める 脳卒中の再発予防 再生医療は脳梗塞発症のタイミングから早期であればあるほど効果を発揮しますが、一定時間が経っていても改善が期待できます。 リペアセルクリニックでは、再生医療による後遺症治療にも力を入れています。 脳梗塞の後遺症について不安を感じている方、もっと詳しく知りたい方は、当院の公式LINEにご登録ください。 従来の治療法よりも脳梗塞の症状に対して改善が期待できる再生医療についてLINE限定で配信していますので、ぜひご確認ください。 ▼公式LINEで再生医療について配信中 >>脳梗塞や再生医療に関する情報はこちら 脳梗塞の種類と原因 脳梗塞の種類は以下の3つです。 アテローム血栓性脳梗塞 : 首や脳などのより太い血管が詰まることで起こる ラクナ梗塞 : 比較的小さな血管が詰まり、緩やかに症状が現れる 心原性脳梗塞 : 心臓の血栓の一部が血流により脳に運ばれ、血栓を作る いずれも高血圧や脂質異常症、高血糖などの生活習慣病による動脈硬化が原因で発症するケースが多くあります。 発症後は、脳内の正常な血流を回復する急性期治療を実施し、リハビリによって後遺症など二次的影響への治療をおこなうのが一般的です。 脳梗塞の原因や種類については、以下の記事も参考にしていただければ幸いです。 脳梗塞の早期治療に必要な検査とは 脳梗塞に対して早期に治療介入する上で重要になるのが検査です。 脳梗塞の主な検査は以下のとおりです。 身体検査:心臓の音や血圧を測ったり、神経学的診察を行います。 血液検査:血液が凝固する速さ、血糖値、感染症の有無を調べます。 CT検査:脳内出血、虚血性脳梗塞、腫瘍などを調べます。 MRI検査:虚血性脳梗塞や脳出血によって損傷した脳組織を検出します。 頸動脈超音波検査:頸動脈の脂肪沈着物 (プラーク) の蓄積と血流が示されます。 脳血管造影検査:脳と首の動脈を詳細に調べます。 心エコー検査:心臓から脳に移動して脳梗塞を引き起こした可能性のある心臓内の血栓の原因を見つけます。 脳梗塞を診断するためだけでなく、他の考えられる原因を除外する必要があるため非常に大切です。 これらの検査をおこなうことで正しく脳梗塞を診断でき、適切な治療へと導くための大切な治療プロセスになります。 脳梗塞の後遺症と生活への影響 脳梗塞の発症後は、身体の麻痺や言語障害などの後遺症が出るケースもあります。 本章で脳梗塞によって生活にどのような影響が出るのかを理解し、受けるべき治療や退院後の生活について検討しておきましょう。 後遺症の種類 脳梗塞の後遺症に多い症状は以下のとおりです。 後遺症の種類 症状 運動麻痺 歩行が困難になる 日常生活動作が難しい 飲み込みがしにくい(嚥下障害) など 感覚麻痺 温度や触感がわかりにくい 痺れを感じる など 高次脳機能障害 物忘れがひどい(記憶障害) 注意力散漫になり混乱しやすい(注意障害) 言葉が話しにくい、言葉を理解できない(失語症) など 脳梗塞が生じた部位や重症度によって、後遺症の種類・程度も変わる場合があります。 生活への影響 脳梗塞の後遺症により、日常生活にさまざまな影響が出ることがあります。 たとえば、運動麻痺の後遺症がある場合、歩行などの日常動作が難しくなり、食事や入浴、排泄などに介助が必要になるでしょう。 また、高次脳機能障害により、失語症や認知機能の低下がみられる場合は、周囲とのコミュニケーションが難しくなることもあります。 後遺症の種類や程度に応じて、日常動作訓練や言語訓練などのリハビリをおこない、社会・職場への復帰を目指します。 脳梗塞における3つの治療(急性期) 脳梗塞は脳梗塞の急性期における治療法は、主に以下の3つです。 血栓溶解療法(t-PA治療) 血管内治療(血栓回収療法) 抗血栓療法(内服治療) 本章を参考に、脳梗塞の治療に関する理解を深めておきましょう。 血栓溶解療法(t-PA治療) 虚血性の脳梗塞の場合は、血栓を溶かして脳への血流を回復させるアルテプラーゼと呼ばれる薬を注射することで治療できます。 このアルテプラーゼは、脳卒中の発生後できるだけ早く、確実に4.5時間以内に開始すると最も効果的です。4.5 時間以上経過した場合は、薬が出血性脳梗塞による出血を悪化させる可能性があるため、利用できません。 血管内治療(血栓回収療法) 重度の虚血性脳梗塞の場合は、血栓回収療法と呼ばれる血管内のカテーテル治療によって治療できます。 局所麻酔下または全身麻酔下でカテーテルを動脈に挿入し、小さなデバイスを、カテーテルを通して脳の動脈に挿入します。このデバイスを使用して血栓を除去することで、脳への血流が回復します。 血栓溶解療法同様に、脳梗塞後できるだけ早く開始すると最も効果的です。 抗血栓療法(内服治療) 血管の閉塞を治す急性期治療に加え、再発予防として、内服による治療も同時に行います。 1.抗血小板薬(アスピリン/クロピドグレル) アスピリンは抗血小板薬であり、新しく血栓が形成される可能性を減らすことができます。また、クロピドグレルなど、他の抗血小板薬も同時に併用する場合があります。 2.抗凝固剤(ワーファリンなど) 将来、新たな血栓ができるリスクを軽減するために、抗凝固薬を投与されることがあります。ワルファリン、ダビガトランなど、長期間使用できる抗凝固薬があります。 脳梗塞のリハビリについて 急性期治療の後は、できる限り多くの機能を回復するようリハビリに努めることが大切です。それが自立した生活を取り戻すことに繋がるからです。 リハビリには主に急性期、回復期、生活期の3つの段階があり、年齢、全体的な健康状態、および脳梗塞による障害の程度に基づいて、リハビリ内容を医師が決定します。 退院後は、同じ病院はもちろんですが、利便性を考慮して自宅の近くなど、別のリハビリ施設で、リハビリを続けることもできます。 リハビリは患者の状態に応じて以下のようなチームで行われます。 医師(脳外科、脳神経内科、精神科など) 看護師 栄養士 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 ソーシャルワーカー 発症後48時間以内の早期にリハビリを開始することで、脳梗塞による後遺症を軽減することがわかっています。 リハビリは脳梗塞後の機能回復に非常に重要な役割を果たしますが、慢性期を過ぎてしまうとリハビリも効果が薄くなってしまいます。 一方で最先端の医療技術である再生医療では、既に一定期間を過ぎてしまった脳卒中の後遺症に対して改善が期待できます。 もちろん治療が早ければ早いほど改善が見込みやすくなりますので、少しでも可能性を上げたい方は、再生医療という選択肢もぜひご検討ください。 現在当院の公式LINEでは、再生医療で改善傾向が見られた脳卒中の症例についても情報を提供していますので、以下からご確認ください。 ▼LINEで脳梗塞と再生医療に関する情報を限定配信中! >>【無料】公式LINEを確認する 脳梗塞の治療期間・費用 脳梗塞の発症後は、一般的に2〜3カ月間の入院が必要です。入院・治療の期間によってかかる費用も変動します。 本章を参考に、脳梗塞の治療にかかる期間や費用を具体的に把握し、事前に準備を進めておきましょう。 入院・治療期間 厚生労働省の「令和2年(2020)患者調査」によると、脳梗塞を含む脳血管疾患の平均入院期間は77.4日です。障害のある脳の部位や範囲など、脳梗塞の重症度によって、入院期間は変動します。 軽度の場合は2週間程度で退院できることもありますが、一般的には2〜3カ月の入院が必要になるでしょう。 悪性新生物(がん)による平均入院日数は19.6日であることから、脳梗塞の入院期間は一般的な病気に比べ長いといえます。 また、脳梗塞による入院期間は、年齢によっても差があります。年齢別の平均入院期間は以下のとおりです。 年齢 平均入院期間(平均在院日数) 0~14歳 31.3日 15~34歳 61.7日 35~64歳 51.8日 65歳以上 83.6日 70歳以上 86.9日 75歳以上 93.2日 ※厚生労働省|令和2年(2020)患者調査(確定数)の概況(P13)をもとに作成 高齢で脳梗塞を発症した場合、リハビリが長期化しやすい傾向があります。 脳梗塞になった本人やご家族が高齢の場合、入院が長期化する可能性があることを理解しておきましょう。 費用 厚生労働省の「令和2年度 医療給付実態調査報告」によると、脳梗塞を含む脳血管疾患の平均入院費用は約90万円となっています(健康保険3割負担の場合)。 脳梗塞の入院・治療費は、高額療養費制度を活用することである程度負担を抑えられる可能性があります。 高額療養費制度とは、医療機関などでかかった医療費が1カ月で上限額を超えた場合、超えた分の金額があとから払い戻される制度のことです。 参照:厚生労働省|高額療養費制度を利用される皆さまへ ただし、脳梗塞の医療費は入院期間や重症度などによって変動するため、具体的な金額は医療機関へ確認しておきましょう。 まとめ|脳梗塞を治すなら早めに適切な治療を受けましょう 本記事では、脳梗塞の治る見込みや後遺症、治療期間・費用などを詳しく解説しました。 脳梗塞は早期の治療開始が大切で、適切なリハビリをおこなうことで克服できる病気です。ただし、治療が遅れれば後遺症が重くなる可能性が高まり、日常生活にも大きな影響を及ぼしかねません。 早期の治療開始と適切なリハビリにより、発症前と同じような生活や仕事復帰も可能になるでしょう。 しかし、発症後の時間経過や後遺症の程度によっては、従来の治療法だけでは改善が難しい場合もあります。 そこで、ぜひ知っていただきたいのが「再生医療(幹細胞治療)」という選択肢です。 当院「リペアセルクリニック」では、国内でも数少ない、自己の幹細胞を用いた再生医療(幹細胞治療)を提供しており、より多くの患者様に回復と再発防止の抑止につなげています。 なかでも、厚生労働省に届出済の当院の幹細胞治療は、2億個もの「フレッシュ」な幹細胞を、患者様ご自身の血液を用いて培養する点が特長。 再生医療で一度壊れた脳細胞を復活させることで、リハビリ効果を高めたり脳梗塞の再発を予防したりする効果が期待できます。 脳梗塞の後遺症でお悩みの方で、「脳梗塞の症状を少しでも改善したい」「今すぐにでも改善見込みがあるのか知りたい」という方は、リペアセルクリニックの無料相談をご利用ください。 脳梗塞の治療や入院に関するよくある質問 Q.脳梗塞の治療後、仕事復帰はどのくらいでできる? A.仕事復帰までの期間は、患者それぞれによって異なりますが、基本的には3ヶ月後に退院できるケースが多いようですが、退院してすぐに復帰できるわけではありません。 多くの場合、発症から半年または1年後を目途に復帰できるケースが多いようです。 Q.脳梗塞を早く治すにはどうしたらいいですか? A.脳梗塞を早く治すには、何といっても早期治療が大切です。ただし、早期治療後にすぐに治るというわけではなく、リハビリなど日常生活に戻るには個人差があるのが実情です。 発症後 3ヶ月過ぎると、治りづらくなるため、できるだけ早くリハビリに取り組むことが、早く治すことにつながります。 ▼脳梗塞の後遺症|脳卒中の幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脳梗塞の新たな治療法として注目を浴びています
2022.10.28 -
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「脳梗塞は20代や30代でも発症するの?」「若いうちから脳梗塞の予防を考えるべき?」と疑問に思っている人もいるのではないでしょうか。 結論からいえば、脳梗塞は20代や30代など若い人であっても起こりうる病気で、若年性脳梗塞と呼ばれることもあります。 20代・30代の若いうちから生活習慣を整え、脳梗塞の予防に努めることが大切です。 本記事では、20代の脳梗塞のリスクや予防方法について詳しく解説します。 本記事を参考に、20代から脳梗塞の予防に努めましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では、脳梗塞の後遺症改善や再発予防として再生医療を行っています。 気になる方は、当院の「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 20代・30代で脳梗塞になる確率は1% 脳梗塞は高齢者に多い病気ではあるものの、20代や30代でも1%の確率で発症する可能性があります。 現に、30代の脳血管患者(脳梗塞含む)は約1,000人もいるとの報告もあります。(文献1) 若年層の脳梗塞の発症は珍しいことではありません。 早期に発見できず治療が遅れると、その後の後遺症や生活へ大きな悪影響を及ぼすことも考えられます。 そのため、日常から健康に気を配ることが大切です。 「まだ20代だから大丈夫」と侮らずに、今からできる脳梗塞の予防策を実践してみてください。 脳梗塞とは「脳血管の詰まり」による脳障害 脳梗塞とは、脳にある血管が詰まることで脳への血流が途絶え、脳機能に障害が起こる病気です。 2025年1月現在、日本人の多くの死因である疾患として注目されています。 脳梗塞のタイプは大きく分けて以下の3つです。 種類 特徴 ラクナ梗塞 脳血管の中でも細い血管が詰まる脳梗塞。 無症状の場合があるものの、重要なカ所の血管が詰まると重篤になることがある。 アテローム性脳梗塞 コレステロールの塊が脳血管の中に蓄積することで生じる脳梗塞。 心原性脳梗塞 足や心臓など、脳以外のカ所が原因で引き起こされる脳梗塞。 これらの脳梗塞はいずれも血管が詰まることで発症するものの、原因が異なります。 原因や脳梗塞の範囲によって、対策方法や治療方法が異なるため、医師の指示のもとで適切な治療を受けることが大切です。 【すぐに受診しよう】脳梗塞における3つの前兆 脳梗塞の初期症状は、主に以下の3つです。 顔が動かない 片腕が動かない 会話ができない 脳梗塞の後遺症は、いかに早期に発見し、迅速な治療ができるかでその後の後遺症が変わります。 本章を参考に、初期症状を事前に理解して早期に脳梗塞を疑いましょう。 1. 顔が動かない 脳梗塞の前兆として、以下のように顔面の一方に麻痺があらわれる場合があります。 顔の半分が下がる 笑顔が上手につくれない 片目が開きにくいまたは閉じにくい 顔面神経に近い血管が詰まることで、神経の働きが阻止されて顔面麻痺があらわれる可能性があります。 鏡をみると顔の動きに違和感があり、周囲の人に指摘されたりした場合は迷わず脳神経外科へ受診しましょう。 2. 片腕が動かない 片腕が動かなくなる症状も、脳梗塞の前兆の一つとして知られています。 具体的な症状は以下のとおりです。 両手を同時にあげても、片方だけ下がる 物を持つ動作がぎこちない 片腕の感覚がないまたは薄い 片腕に違和感がある場合、両腕を上げてみて片腕が垂れてこないかどうかを確認してみましょう。 3. 会話できない 以下のような言語障害も、脳梗塞の前兆です。 いつも通り言葉が出てこない ろれつが回らない 他の人の言葉が理解できない 言語障害は自分自身で気づくこともあるものの、身近な人が会話していて異常に気がつく場合もあります。 自覚症状はもちろんのこと、他の人に言語障害の症状が見られる場合は迅速に受診を促すようにしましょう 今回解説したような前兆に早めに気がつき、すぐに処置を行うことで後遺症の悪化を防げる可能性があります。 脳梗塞の前兆についてより詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしていただければ幸いです。 20代で脳梗塞になる7つの原因 20代で脳梗塞が起こる原因は、主に7つあります。 脂肪分や塩分の高い食品の摂取 ストレス 運動不足やデスクワーク タバコ 遺伝 妊娠 女性ホルモン剤の副作用 原因に対して今からでも予防が可能です。 本章の内容が該当する方は、脳梗塞を予防するために対策をしましょう。 1.脂肪分や塩分の高い食品の摂取 20代で脳梗塞のリスクを高める大きな一因が「脂肪分・塩分の多い食品の過剰摂取」です。 2025年1月現在では、食生活の欧米化が進み、ファストフードやスナック菓子など不健康な食生活が常態化している方も多いかもしれません。 脂肪分や塩分が高い食品の一例として、以下があります。 脂肪分が多い食品 フライドポテト ケーキ から揚げ など 塩分が高い食品 インスタントラーメン ポテトチップス 梅干し など 豊富な栄養素を含んだ食事にすると、脳梗塞のリスク低減が期待できます。 今回紹介したような食品を日常的に食べている方は、頻度や量を控えましょう。 2.ストレス ストレスも脳梗塞のリスクを増加させる一因です。 過度なストレスは交感神経を刺激し、ストレスホルモンの分泌を促します。 その結果血圧が上昇し、脳梗塞のリスクを高めてしまいます。 とくに20代や30代は仕事や学業、人間関係などでストレスを感じやすい年代です。 日頃からストレスを感じている方は、以下のようなストレス発散方法を生活に取り入れてみてください。 新しい趣味をはじめる 好きな音楽を聞く 自然に触れる ストレスを管理することが、結果的に脳梗塞の予防につながります。 3.運動不足やデスクワーク 運動不足や長時間座り続ける生活は、血流を悪化させ血管内で血の塊が作りやすくなる一因です。 デスクワークなどで座りっぱなしの状態を続けると、脳梗塞リスクを高めてしまいます。 適度な運動の習慣を取り入れるのはもちろんのこと、座りっぱなしを防ぐために「こまめに立つ」方法も脳梗塞防止に効果的です。 日常的に座りっぱなしの状態が続いている方は、1時間に1回程度は立つようにしましょう。 4.喫煙 喫煙は血管に悪影響を与える代表的な習慣です。 タバコに含まれる有害物質には血管を収縮させ、血圧を上げる作用があります。 その結果、血管が硬くなる「動脈硬化」を悪化させ脳梗塞のリスクも大幅に高まることも否定できません。 若い世代であっても、喫煙習慣を続けると脳梗塞になるリスクを高めます。 必要に応じて禁煙外来の受診も検討し、早めに禁煙できるよう心がけましょう。 5.遺伝 遺伝は20代での脳梗塞発生リスクを高める原因の一つです。 とくに「親や兄弟など近親者で脳梗塞にかかった人がいる」場合、遺伝的な体質によりリスクが上昇するとの報告もあります。 遺伝による原因を取り除くのは困難であるため、生活習慣の改善や定期的な検査で早期発見を心がけることが大切です。 また、脳血管障害の一つ「もやもや病」も、遺伝が一因であるとされています。 もやもや病について詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしていただければ幸いです。 6.妊娠 妊娠により脳梗塞のリスクが上がる場合があります。 とくに妊娠高血圧症候群は脳血管への負担を増すため、脳梗塞のリスクが上がると言われているのです。 また、妊娠中は出産に備えて血液が固まりやすくなるよう体質が変わります。 そのため、妊娠高血圧症にかかっていなくても注意が必要です。 妊娠中は血圧管理や定期的な検診で、脳梗塞の予防になるため、出産を控えている方は心がけてみてください。 妊娠高血圧症について詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしていただければ幸いです。 7.女性ホルモン剤の副作用 女性ホルモン剤の使用も脳梗塞のリスクを増加させる要因です。 女性ホルモン剤の服用で稀に血栓症が副作用としてあらわれる可能性があるため、脳梗塞につながる可能性があります。 血栓症が報告されている女性ホルモン剤は、以下のような目的で使用されるケースが多いです。 PMS(月経前症候群) 月経困難症 避妊 不安な方は、薬の使用前に医師から副作用について相談してみましょう。 20代の脳梗塞を予防する4つの方法 20代からできる脳梗塞の予防として、以下の4つがあります。 バランスの取れた食事をする 定期的に運動する 禁煙する 定期的に検査を受ける 若年層から脳梗塞を予防するためには、生活習慣を見直し、脳血管に負担をかけないことが重要です。 本章を参考に、脳梗塞のリスクを減らしましょう。 1.バランスの取れた食事をする 若年性脳梗塞を予防するためには、食生活の改善にて動脈硬化を防ぐことが大切です。 食生活が乱れていると感じる方は、以下のような工夫で食事を見直してみましょう。 野菜や果物、魚を積極的に取り入れる スープやみそ汁の塩分を減らし、具材を多く入れる インスタント食品のような加工食品を食べる頻度を減らす 20代や30代は仕事や育児で忙しく、食生活が乱れがちです。 塩分や脂質の摂りすぎに注意した食生活で、脳梗塞の予防に努めてみてください。 2.定期的に運動する 運動不足は血流を悪化させ、血の塊を作りやすくして脳梗塞のリスクが上がります。 ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を定期的に行うと、脳梗塞の予防につながるでしょう。 毎日無理なく続けられる運動を取り入れることが大切です。 また、デスクワークが中心の生活を送っている場合は、1時間に1回程度こまめに立ち上がり、ストレッチを行うことで血流の改善が期待できます。 デスクワークの方は、座りっぱなしの状態を防ぐように意識してみてください。 3.禁煙 喫煙は血管を収縮させ、動脈硬化を進行させる原因になります。 そのため、喫煙している人は早めの段階で禁煙することが重要です。 自力での禁煙が難しい場合、専門機関で治療が行える「禁煙外来」の活用も選択肢のひとつです。 以下の条件すべてに当てはまる場合、禁煙外来を利用できます。(文献2) ニコチン依存症と診断されている すぐの禁煙を希望している 禁煙治療について説明を受けて文書により同意している 無理をせずに、専門医の力を借りて禁煙を心がけましょう。 4.定期的に検査を受ける 高血圧や糖尿病、高コレステロール血症は自覚症状がほとんどないことが多いため、脳梗塞の発見が遅れる可能性があります。 定期的な健康診断で脳梗塞を早期に発見・治療すると、脳梗塞の悪化の防止が期待できます。 「無症状だから大丈夫」と侮らず、早期に脳梗塞の原因となる芽を見つけて対策をしましょう。 まとめ|20代でも脳梗塞リスクはある!生活習慣の改善で予防しましょう 本記事では、若年層、20代でも起こりうる脳梗塞について解説しました。 20代は高齢者に比べて脳梗塞にかかる可能性は低いものの、ストレスや食生活の乱れにより突然発症する可能性も否定できません。 そして、後遺症を残してしまうことも考えられます。 普段の生活習慣を改めた上で、医療機関での検診を活用し、若い頃から脳梗塞にならないように気をつけていきましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、脳梗塞の後遺症改善や再発予防として再生医療を行っています。 気になる方は、当院の「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 20代の脳梗塞についてよくある質問 20代で脳梗塞になったあとの再発率はどのくらいですか? 20代で脳梗塞を発症した場合の再発率は極めて少ないといわれています。 ただし、全体の脳梗塞患者における10年間の再発率は約50%であるため、若い世代でも注意が必要です。(文献3) とくに高血圧や高コレステロール血症などの持病がある場合は、定期的な検査と治療を怠らないようにしましょう。 当院「リペアセルクリニック」で行っている脳梗塞の後遺症改善や再発予防について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。 20代でも脳の検査をした方が良いですか? 家族に脳梗塞の往来歴がある方や、喫煙習慣がある方は定期的な検査をおすすめします。 また、高血圧や糖尿病など生活習慣病がある場合も同様に、定期的な検査で脳梗塞の早期発見が期待できます。 若年層でも、脳梗塞のリスクは否定できません。 定期的な検査を怠らないようにしましょう。 20代で脳梗塞で死に至る可能性はどのくらいですか? 20代の脳梗塞による死亡率は約5%未満と報告されています。(文献4) 若年層での脳梗塞による死亡率は極めて低いものの、発症後の治療までの時間が予後を大きく左右します。 脳梗塞の初期症状があらわれた際には、迷わず医療機関を受診しましょう。 参考文献一覧 (文献1) 厚生労働省.脳血管疾患患者数の状況.図表1-2-4 (文献2) 谷口 千枝 中村 正和.禁煙治療ってどんなもの?. e-ヘルスネット(厚生労働省). 2024.3.6. (文献3) 鳥谷 めぐみ, 長谷川 真澄, 粟生田 友子高齢軽症脳梗塞患者の再発に関するリスク認知.日本看護科学会誌. 2020 年 40 巻 p. 14-22 (文献4) 厚生労働省."死因順位(第5位まで)別にみた年齢階級・性別死亡数・死亡率(人口10万対)".平成21年(2009)人口動態統計(確定数)の概況.
2022.10.26 -
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くも膜下出血は、脳の血管にできたコブ「脳動脈瘤」が破裂して出血が起きる病気です。重い後遺症が出る方や亡くなってしまう方も少なくない一方で、後遺症が軽く済む方もいます。しかし運良く後遺症が出なくても、再発のリスクが低くないため、怖いと感じている方もいるのではないでしょうか。 この記事ではくも膜下出血の再発率や、発症から5年後の生存率を紹介します。また、くも膜下出血を経験した方に向けて、再発予防のために意識すべきポイントや、再発の前兆となる症状を解説します。ぜひ最後までご覧ください。 なお、当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による脳卒中の治療を行っています。気になる方はお気軽にご相談ください。 くも膜下出血は後遺症がなくても再発のリスクがある くも膜下出血の原因となるのは、脳の血管にできたコブ「脳動脈瘤」の破裂です。血管には壁が薄く弱い部分があり、強い血流を受けると膨らんでコブができることがあります。このコブに高い血圧がかかるなどして破裂してしまうと、くも膜下出血が起きます。 くも膜下出血が起きると、運動麻痺・感覚障害・高次脳機能障害など後遺症が出ることも多いです。また、適切な治療が行われ後遺症がなくても、後から同じ場所や別の場所に再び脳動脈瘤ができてしまうことは珍しくありません。 再発しないように気をつけることが、くも膜下出血を経験した方にとって重要なテーマになります。 くも膜下出血の概要については以下の記事で詳しく紹介しているので、あわせてご覧ください。 くも膜下出血の再発率|1カ月以内に20~30%が再発 くも膜下出血の再発率の高さを数字で見てみましょう。 くも膜下出血は、発症から1カ月までの初期に最も再発しやすいのが特徴です。具体的には、最初の1カ月で20〜30%の方が再発するとの報告があります。(文献1)別の報告では、発症初日の再発率が3〜4%、以降4週間は1日あたり1〜2%です。(文献1) 発症から3カ月目以降の再発率は、1年あたり3%との報告があります。(文献1)少なく感じるかもしれませんが、1万人の患者様がいれば約300人が再発する計算となり、決して低い数字ではありません。 くも膜下出血の再発の前兆 くも膜下出血が再発する前兆・初期症状の代表例は目の症状と頭痛です。 これらの症状をもとに、脳動脈瘤が破裂する前に受診できれば、早期の治療で再発を防げる可能性があります。また、再発のごく初期で気付ければ、治療が成功する可能性も高まります。 くも膜下出血を経験した方は再発の前兆を知っておき、常日ごろから注意する意識が大切です。 再発の前兆①動眼神経麻痺 くも膜下出血の再発の前兆または初期症状として、以下のような目の症状が代表的です。 両目でモノを見るとモノが二つに見える 視力の低下 視野が欠ける これらの症状は、大きくなった脳動脈瘤が目につながる神経を圧迫するために起こります。 モノが二つに見える症状は、眼球の運動やまぶたの開閉を担当する「動眼神経」の麻痺が原因です。片方の瞼が開かなくなる症状も併発します。 視力が低下したり視野が欠けたりする症状は、目で見たものを脳に伝える「視神経」への圧迫が原因です。 以上のような目の異常に気付いたら、脳動脈瘤が大きくなっている可能性があります。脳動脈瘤が破裂してしまうと、くも膜下出血の再発につながる可能性があるため、速やかに脳外科や脳神経外科を受診してください。 再発の前兆②頭痛 注意すべき二つ目の症状は「頭痛」です。頭痛を感じた場合は、すでに少量の出血が生じている可能性が高いため、早急に治療すべきとの意識を持ってください。 頭痛に関して知っておきたいポイントは、以下の2点です。 痛みの程度はさまざまである(軽くても要注意) 視野の乱れとともに起きることもある とくに軽い頭痛の場合、くも膜下出血の再発の前兆とは考えずに見過ごしてしまうことも多いです。痛みが軽くても、異常を感じたら念のため病院へ向かいましょう。 受診する際には、くも膜下出血の経験があることを必ず医師に伝えてください。伝えないと、単なる風邪などと診断されてしまうケースがあるからです。 ほかにも気になる症状があれば、「いつもと違う」「初めての痛み」などと、症状の内容を詳しく医師に伝えるよう努めてください。 くも膜下出血の再発を防ぐには生活習慣の改善と定期検査が大切 くも膜下出血の再発予防には、生活習慣の改善と定期的な検査が大切です。それぞれ説明します。 生活習慣の改善 日常生活で注意すべきポイントは以下のとおりです。 処方薬は主治医・薬剤師の指示通りに服用する 定期的に血圧を測る ストレスを溜めず規則正しい生活を送る 過度な飲酒を控える・禁煙をする 塩分の取りすぎに注意してバランスの良い食事を心がける くも膜下出血の危険因子は過度な飲酒、高血圧、喫煙です。(文献1)糖尿病も脳卒中全般のリスクとなるため、コントロールが欠かせません。(文献2)飲酒は適量に抑え、喫煙習慣のある方は禁煙しましょう。 高圧薬や糖尿病薬などを処方されていれば、指示通りに服用してください。ストレス管理や減塩も高血圧のコントロールに有用です。自宅で血圧を測り、血圧手帳に記録しておけば、医師が体の状態を判断する助けとなります。 生活上の注意点は、以下の記事で詳しく紹介しているので、あわせてご覧ください。 定期的な検査 くも膜下出血の再発防止には、定期的に検査を受けることも非常に重要です。脳動脈瘤を検査で発見できれば、破裂してしまう前に処置できるからです。 くも膜下出血を発症して10年くらい経過してから、治療した脳動脈瘤が再び大きくなったり、新しい脳動脈瘤ができて破裂したりする可能性もあります。一度検査して問題なかったからと油断せずに、定期的に検査を受けましょう。 くも膜下出血になると長生きできない?5年後の生存率 くも膜下出血を発症してから5年後の生存率は、55%前後といわれています。(文献3)生存率が低い要因の一つは、発症30日以内に、くも膜下出血自体で亡くなる方が多いことです。(文献1)発症初期の死亡率は、発症時の重症度や、どれだけ早く治療を開始できたかに左右されます。(文献1) 最初の30日を乗り越えたら、その後は再出血の有無が大きな要素となります。(文献1)生活習慣を整え、定期的に検査を受けて再出血の予防につなげましょう。 万が一再発してしまった場合も、もし早めに気づければ、治療が間に合う可能性が高まります。本記事で紹介した再発の前兆を覚えておき、体に異変を感じたらためらわずに受診しましょう。 くも膜下出血を発症し後遺症が出たが3年で改善した事例 ここでは、くも膜下出血の後遺症がある患者様に再生医療を行った事例を紹介します。 患者様は50代の女性です。当院「リペアセルクリニック」を受診したとき、くも膜下出血を発症してから3年が経過しており、後遺症として左半身麻痺が残っていました。日常生活で大きな不自由はないものの、ときどき足がもつれて転びそうになる、左手が思うように動かせない、ときどき呂律が回らなくなる、といった症状がありました。 幹細胞を点滴する再生医療を行ったところ、治療後3週間ほどで以下の変化が見られています。 足の踏ん張りが効くようになり、転倒しなくなった 左上肢の力がつき、左腕で背中を洗えるようになった 左手の力がつき、左手でボールを握れるようになった 今まで不自由だった動作ができるようになり、毎日の生活が楽になったとのことです。 この症例については以下の記事で詳しくご覧ください。 くも膜下出血は後遺症なしでも再発のリスクあり!油断せず予防に努めよう くも膜下出血は再発率が非常に高い病気です。たとえ後遺症がなくても、再発防止を意識して生活しましょう。とくに節度ある飲酒、高血圧の管理、禁煙がポイントです。定期的な検査も欠かさず受けましょう。 再発の前兆となる症状は、目の異常と頭痛です。このほかにも体の異常を感じたら、すぐに脳外科や脳神経外科などを受診してください。早期に対処すれば再発を防げる可能性が高まります。 くも膜下出血の後遺症でお困りの方は、再生医療が役立つかもしれません。日常生活に大きな支障がない症状でも、再生医療で改善する可能性があります。興味があれば、お気軽に当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 参考文献 (文献1) 日本脳卒中学会「脳卒中治療ガイドライン2009 Ⅳ.クモ膜下出血」2009年 https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/nou2009_04.pdf(最終アクセス:2025年2月22日) (文献2) 四條克倫.「脳卒中ガイドライン2021(改訂2023)」『日大医学雑誌』82(6), pp.325-322, 2023年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/numa/82/6/82_325/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年2月22日) (文献3) 今井明ほか.「脳卒中患者の生命予後と死因の 5 年間にわたる観察研究:栃木県の調査結果とアメリカの報告との比較」『脳卒中』32(6), pp.572-578, 2010年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/32/6/32_6_572/_pdf(最終アクセス:2025年2月22日)
2022.03.14 -
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脳卒中の3つの症状と治療法!脳梗塞の再発を予防するコントロール方法について 厚生労働省によると、脳卒中は、2018年の1年間における死因別死亡総数のうち、脳血管疾患は10万8,186人で全体の7.9%を占め、死因の上位から4番目という結果となっています。 その翌年、2019年においても、10万6,552人で全体の7.7%となり、こちらも2018年同様に死因の上位から4番目という結果になっています。 脳血管疾患で亡くなった方のうち、60%にあたるおよそ7万人の方が脳梗塞で亡くなっており、一命を取り留めたとしても、後遺症である麻痺が残り、寝たきりになってしまう場合も少なくない怖い病気です。 しかし以前、1950年頃より約30年間、脳卒中は日本人の死因の第1位でした。 少しではあるものの順位が下がったのは、1960年頃より脳卒中発症において最大のリスク原因である高血圧に対する治療が広く行われるようになり、脳卒中の発症を一定以上抑制することが可能になったからです。 また、脳梗塞の発症直後に閉塞した血管を再開通させ、神経細胞死を防止する血栓溶解薬(t-PA)が日本でも認可(2005年)され、さらにカテーテルで脳血管を閉塞している血栓を除去する血管内治療も認可(2010年)されるなど、脳卒中直後の超急性期において神経細胞死を防ぐ治療法も進歩してきました。 脳卒中の兆候を見つけたら即病院を受診 脳卒中は、その兆候を発見したら直ちに病院へ向かいましょう。 早期に治療を開始することで「後遺症が軽くなる可能性」があるからです。 治療を行うには検査が必要となり、その検査に1時間程度必要ですので症状を発見したら早急!遅くとも2時間以内を目処に速やかに病院で受診すべきです。この時間が症状を左右する可能性があります。 病院ではまず、問診、診察、採血、胸部レントゲン、心電図、頭部CT、頭部MRI、頸動脈エコー、心エコーなどの検査を行います。検査の結果、脳卒中と診断されると次は治療に移ります。 脳卒中の中でも「脳出血」、「くも膜下出血」、「脳梗塞」など各症状別に治療法は少し異なり、点滴や飲み薬による脳血流改善、血栓をできにくくする抗凝固療法や抗血小板療法、脳梗塞後に脳内で発生する活性酸素などの有害な物質を除去して、脳の障害を予防する脳保護薬の使用などがメインで行われます。 また、血圧、体温、脈拍などの全身状態の管理も行い、併せて日常生活動作の改善を目的としてリハビリも行います。 脳卒中の3つの症状とその治療法 1)脳出血 高血圧が脳出血の原因になることが多いので、降圧薬(血圧を下げる)を投与します。また、出血を止めるために止血剤を使用されることもあります。 さらに、出血によって脳が圧迫されるので、浮腫をとるための薬剤(抗浮腫剤)も投与します。また出血量が多い場合には、命にかかわる事もあるので、開頭手術によって血のかたまりを取り除く手術を行うこともあります。 2)くも膜下出血 脳の血管にできた「こぶ」が破裂して出血するので、破裂した部位をふさぐ手術をします。手術の方法は2通りあります。 開頭クリッピング術 頭の骨をはずして、「こぶ」の根元を洗濯ばさみのような道具(クリップ)ではさんでふさぎます。 血管内コイル塞栓術(動脈瘤塞栓術) 「こぶ」の中にコイルと呼ばれる細い金属をいれて「こぶ」全体をふさいでしまいます。カテーテルという細いストローのような道具を使って血管を通し、「こぶ」までコイルを運ぶので、開頭手術をすることはありません。 3)脳梗塞 脳梗塞は、脳の血管の動脈硬化が起きた部位に形成された血栓、あるいは心臓で出来た血栓によって脳の血管が詰まり脳が壊死してしまうものです。 脳梗塞がおこってから4.5時間くらいまでを超急性期といい、この時間内に詰まった血管を再開通させることができると、劇的に症状が改善する可能性があります。 脳梗塞がおこってから48時間以内であれば、血が固まるのを抑制する抗凝固薬を投与します。 脳梗塞の急性期のみに施行される治療には「t-PA」という点滴や、血管内治療などがあります。これらの治療を受けるには、発症してからの経過時間をはじめ、さまざまな条件があります。 それらをクリアする必要があり、そのため脳梗塞で病院に来られた方の2~5% (100人中で2~5人)程度しか、この治療は行われていません。 さらに、ルールを守って使っても 6%(100人に6人)程度の確率で症状が悪化するような脳出血を生じます。 うまくいけば劇的に症状が改善する一方で、効果が期待できなかったり、症状が悪化したりする可能性がある治療法であることを知っておいていただければと思います。 t-PA:組織型プラスミノゲン・アクティベーター(tissue-type plasminogen activator:t-PA) こちらの薬を点滴して血栓を溶かし、脳の血流を再開させます。t-PAを使用することで、3ヶ月後に自立した生活を送れる患者さんが、使用しなかった時と比べて約50%増加するとされています。 脳梗塞により脳神経細胞が死に至る経過は早く、適切なタイミングを逃すと、出血などの合併症で逆に症状が悪化する危険があります。基本的には発症してから4.5時間以内に治療が開始できる患者さんに限り、治療の対象となります。 (t-PAは2005年10月から日本で認可され、発症後3時間以内の患者さんを対象に使用されていましたが、2012年9月より対象となる治療間が4.5時間に延長されています。) 血管内治療 脳梗塞の血管内治療は、発症してから8時間以内の患者さんが対象となる治療です。 細いビニールの管(カテーテル)を足の血管から挿入して、脳の血管へ進めて、血管の詰まりの原因となっている血栓を溶解したり、回収したりして、閉塞した脳血管を再度開通させます。 具体的な方法として、カテーテルを閉塞した血管に導入し、血栓溶解剤(ウロキナーゼ)を投与する方法、バルーンを閉塞した血管に留置し血栓を破壊する方法。 また、メルシーリトリーバーという、先端がらせん状になっている柔らかいワイヤーで、脳の血管をつめている血栓をからめとって回収する方法。 ペナンブラという血栓を吸引する器具で、まるで掃除機のように血栓を吸引し回収する方法(柔らかい血栓も回収することが可能)などがあります。 t-PA療法の注意点 問題点としては、t-PA療法の適応対象となる時間「4.5時間」が強調されるあまり、「4.5時間を過ぎた場合は治療してもあまり意味がない」と誤解されることが多く、専門病院への受診を躊躇されるケースもみられます。 また発症時刻がはっきりとわからない場合では、発見から早急に病院へ搬送してもt-PA療法の適応とならないことがありました。しかし2019年3月より、頭部MRI検査で「発症からあまり経過していない可能性が高い」という所見がみられる場合には、t-PA療法を検討できるようになりました。 そして、脳卒中専門の病棟であるSCU(脳卒中ケアユニット)で従来使用される薬を用いた治療や急性期のリハビリテーションを積極的に行うことで、発症後4.5時間を過ぎて来院された患者さんでも良い治療効果が現れることも少なくないので時間にかかわらず専門施設でしっかりとした初期治療を始めることが重要です。 脳梗塞の再発予防 一度脳梗塞を起こすと再発しやすい傾向があり注意が必要です。統計的には脳梗塞発症後1年で10%、5年で35%、10年で50%もの人が再発しています。 そこで、脳卒中の再発を予防するには、まず生活習慣の改善を行うことです。脳卒中の危険因子とされている高血圧や喫煙、多量の飲酒、糖尿病、肥満、運動不足などは脳卒中の発症の危険性が高まります。 医師、薬剤師、栄養士など専門職の指導に従い、規則正しい生活や禁煙、減塩や減量に取り組みましょう。 また再発予防として、抗血栓薬を処方されることがあります。脳卒中の原因によって処方される薬剤は違い、心臓が原因で発症した心原性脳塞栓症には抗凝固薬が、心臓以外の原因(血管由来)の非心原性脳梗塞には抗血小板薬が使用されます。 ①具体的な再発予防~危険因子のコントロール~ 脳卒中の危険因子は、再発の危険因子でもあります。過去に一度脳卒中を発症しているということは、すでに危険因子があるということなので、十分注意をしましょう。 脳卒中の危険因子は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、多量飲酒、肥満、喫煙、運動不足などです。これらを予防し、さらにコントロールしていくことが再発予防につながりますので、以下のようなことを心がけましょう。 禁煙 文字通りタバコを止めましょう 塩分の取り過ぎを控える 成人男性8g未満、女性7g未満で高血圧患者では6g未満 減量 標準体重を知ってダイエットを行う 食事に気を付ける 毎日5種類以上の野菜(350g/日以上)、魚、果物の摂取 減塩、低カロリー、低コレステロール入浴 節酒 アルコール換算20g程度(日本酒1合程度)に抑える 既往症に注意する 高血圧、脂質異常症、糖尿病、心臓病などがある場合には適切に治療する 運動 適度な運動を行う、ストレスや疲労をやめない 定期健診 定期的に健診を受け、血圧、コレステロール、中性脂肪、血糖などをチェックする 水分を取る 脱水症状にも注意 ②具体的な再発予防~定期的な検査~ 脳梗塞が治まった後も年に1回程度専門病院へ行き、検査を受けることが重要です。CT、MRIの他に頸部の血管を検査する頚動脈エコーも脳梗塞再発予防には有用です。 ③具体的な再発予防~服薬継続~ 再発予防のためには、処方された薬をきちんと服用することも大切です。主治医の指示に従って、正しく継続して服用しましょう。なお、服用中に副作用が現れるなど気になることがある場合は、すぐに相談しましょう。 まとめ・脳卒中の3つの症状と治療法!脳梗塞の再発を予防するコントロール方法 脳卒中の治療には、手術・点滴・内服薬などがあります。 これらの中で内服薬な自分で管理をする必要があります。ところが、処方された量を決められた日数できちんと飲みきる人は意外と多くありません。実際のところ、薬を飲み残してしまう理由の大半は単なる飲み忘れです。 服薬カレンダーの使用や一包化するといった工夫で、その時間帯に服用すべきお薬を選ぶのは容易ですが、定刻に服薬することを思い出すことは、高齢者にとっては難しい面もあります。 定刻に服薬することを思い出すためには、お知らせ機能付きのピルケースやスマートフォン・携帯を利用してアラームや通知を設定し、飲み忘れを防ぎましょう。 以上、脳卒中の3つの症状とそれぞれの治療法、再発を予防する具体的なコントロール方法について解説にしました。参考にしていただければ幸いです。 ▼脳卒中の後遺症|脳卒中の最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脳卒中の先端治療法として脚光を浴びています ▼以下のご覧いただけます 脳卒中の治療!リハビリについての予後予測 1.くも膜下出血とは?その症状と後遺症を医師が徹底解説! 2.脳梗塞になりやすい人とは?発症や再発予防で注意しておくべきこと 3.脳出血の初期症状をセルフチェック!早期治療で後遺症を残さない
2021.12.21 -
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二木の予後予測って何? 脳卒中のリハビリの見通しはどうやって立てる? 脳卒中を発症した家族を支えるのは、大きな不安と向き合う日々の連続です。「どのくらい回復するのか」「いつ自立できるのか」など、先が見えない状況に戸惑う方も多いでしょう。 そのようなときに役立つのが「二木の早期自立度予測基準」です。 本記事では、入院時・発症2週・1カ月時点での予後予測の具体的な活用方法を解説します。 予後を知ることで、リハビリ計画が立てやすくなりますので、ぜひ最後までご覧ください。 また、当院「リペアセルクリニック」では手術や入院を必要としない「再生医療」を提供しています。 脳卒中の後遺症治療にも効果が期待できますので、「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 二木の予後予測(早期自立度予測基準)とは? 脳卒中後の回復を予測する「二木の早期自立度予測基準」は、リハビリ計画を立てる際に重要な指標です。 入院時・発症2週・1カ月時点で回復の見込みを段階的に予測し、患者の自立度を評価します。 予測時期 評価項目 目的 入院時 運動機能、意識レベル、嚥下機能 初期の回復見込みを判断する 発症2週時 運動機能、日常動作、コミュニケーション リハビリの強度や内容を調整する 発症1カ月時 歩行能力、手足の動き、日常生活動作 退院後の生活計画を立てる 本章では、それぞれの時期における予測のポイントを解説します。内容を参考に、リハビリを進めるうえでの指針を明確にしましょう。 入院時の予測 入院時の予測では、発症から入院後できるだけ早い段階で、患者さんの状態を評価して行う予測です。 具体的には年齢、麻痺の程度、そして日常生活動作(ADL)の3つの要素から総合的に判断します。 入院時のADL能力 歩行能力予測 ベッド上の生活自立(※1) 歩行自立(大部分が屋外歩行可能で、かつ1カ月以内に屋内歩行自立) 基礎的ADL(※2)のうち2項目目以上実行 歩行自立(大部分が屋外歩行かつ、2カ月以内に歩行自立) 運動障害軽度(※3) 発症前の自立度が屋内歩行以下かつ運動障害重度(※4)かつ60歳以上 自立歩行不能(大部分が全介助) Ⅱ桁以上の意識障害かつ運動障害重度(※4)かつ70歳以上 ※1:介助なしでベッド上での起坐・座位保持が可能 ※2:基礎的ADL=食事、尿意の訴え、寝返り ※3:Brunnstorm stage4以上(麻痺側下肢伸展挙上可能) ※4:Brunnstorm stage3以下(麻痺側下肢伸展挙上不能) 発症2週時での予測 脳卒中の発症から2週間が経過すると、ある程度の回復が見られるようになり、この時点で再度、患者さんの状態を評価し予後予測を行います。 具体的には麻痺の程度、日常生活動作などを総合的に判断します。 発症2週時でのADL 歩行能力予測 ベッド上生活自立(※1) 歩行自立(かつその大部分が屋外歩行、かつ大部分が2カ月以内に歩行自立) 基礎的ADL(※2)3項とも介助かつ、60歳以上 自立歩行不能(かつ、大部分が全介助) Ⅱ桁以上の遷延性意識障害、重度の認知症、夜間せん妄を伴った中程度の認知症があり、かつ60歳以上 ※1:介助なしでベッド上での起坐・座位保持が可能 ※2:基礎的ADL=食事、尿意の訴え、寝返り 発症1カ月時の予測 発症から1カ月が経過すると、多くの患者さんで症状が安定してきますので、この時点で、より詳細な評価を行い最終的な予後予測を行います。 具体的には麻痺の程度、日常生活動作、認知機能などを総合的に判断材料とします。 発症1カ月でのADL 歩行能力予測 ベッド上生活自立(※1) 歩行自立(かつ、その大部分が屋外歩行、3カ月以内に歩行自立) 基礎的ADL(※2)の実行が1項目以下かつ、60歳以上 自立歩行不能(かつ、大部分が全介助) Ⅱ桁以上の遷延性意識障害、重度の認知症、両側障害、高度心疾患などがあり、かつ60歳以上 ※1:介助なしでベッド上での起坐・座位保持が可能 ※2:基礎的ADL=食事、尿意の訴え、寝返り 以下の記事では、脳卒中後のリハビリ方法について詳しく解説していますので、興味がある方はぜひご覧ください。 【脳卒中】予後予測に基づくリハビリが重要な理由 脳卒中の発症後、予後予測に基づくリハビリが重要な理由は以下の2つです。 リハビリ計画を立てる上で目標設定に役立つ 患者や家族が将来の見通しを知り安心できる 本章を参考に、二木の予後予測への理解を深めましょう。 リハビリ計画を立てる上で目標設定に役立つ リハビリには、明確な目標設定が欠かせません。 予後予測の活用によって回復見込みを把握し、段階的なリハビリ計画を立てられます。 無理のない範囲で適切な目標設定をしておくと、リハビリへのモチベーションも維持しやすくなります。 たとえば、発症2週時点での評価をもとに、どの程度歩行訓練を進めるべきかの判断も可能です。 また、発症1カ月時の予測によって、退院後の生活を見据えた計画も立てやすくなります。 患者や家族が将来の見通しを知り安心できる 予後の見通しがわかることで、患者や家族の不安が軽減されるメリットもあります。 脳卒中の回復には個人差がありますが、二木の予後予測を活用すれば、ある程度の見通しを立てられるためです。 たとえば、1カ月時点の予測をもとに、退院後に自宅でどの程度自立した生活が送れるかを判断できます。 そのため、必要な介護サービスの手配や、住環境の調整もスムーズに進めやすくなります。 予後を知ることで、家族も適切なサポートができるようになり、患者の自立を支える大きな力となるでしょう。 脳卒中の種類と原因については以下の記事で解説しています。予防するための注意点もチェックできますので、ぜひ参考にしてください。 脳卒中の予後は損傷部位や大きさによって変わる 脳卒中の回復度合いは、損傷した部位や病変の大きさによって大きく異なります。 同じ規模の脳卒中でも、損傷部位によって運動機能の回復が難しい場合や、逆に予後が良好なケースもあります。 本章では以下3つの損傷部位・損傷の大きさに分けて、予後への影響を解説します。 損傷が小さくても予後が不良な部位 損傷の大きさに比例して運動予後が決まる部位 損傷が大きくても運動予後が比較的良好な部位 本章の内容を、自分やご家族の予後をイメージするのにお役立てください。 損傷が小さくても予後が不良な部位 損傷が小さくても予後が不良な部位には以下が挙げられます。 放線冠(中大脳動脈穿通枝領域)の梗塞 内包後脚 脳幹(中脳・橋・延髄前方病巣) 視床(後外側の病巣で深部関節位置覚脱失のもの) 上記のような部位で脳梗塞が起こると、わずかな損傷でも機能低下を引き起こしやすいのが特徴です。 とくに内包や脳幹といった重要な神経経路を含む部位では、小さな病変でも運動機能に深刻な影響を与えます。(文献1)(文献2) 手足の動きや歩行能力が低下する可能性があるため、わずかな損傷でも機能回復が難しくなりやすいのです。 リハビリでは損傷部位に応じた適切なアプローチが求められます。 麻痺が強く残る可能性がある場合でも、適切なリハビリの継続によって、日常生活での自立度を向上させる可能性もあります。 損傷の大きさに比例して運動予後が決まる部位 病巣の大きさと比例して、運動予後がおおよそ決まるものは以下のとおりです。 被殻出血 視床出血 前頭葉皮質下出血 中大脳動脈前方枝を含む梗塞 前大脳動脈領域の梗塞 脳の大部分では、損傷の大きさが予後に直結します。損傷が大きいほど回復には長期間のリハビリが必要になる傾向があります。 適切な訓練を継続すれば、少しずつでも機能の回復を促すことが可能です。 無理をせず、損傷状態に合わせたプログラムを取り入れていけば、少しずつ日常動作の改善が期待できるでしょう。 損傷が大きくても運動予後が比較的良好な部位 大きい病巣でも運動予後が良好なものは、次のとおりです。 前頭葉前方の梗塞・皮質下出血 中大脳動脈後方の梗塞 後大脳動脈領域の梗塞 頭頂葉後方~後頭葉、側頭葉の皮質下出血 小脳半球に発生した片側性の梗塞・出血 たとえば、大脳皮質の非優位半球に損傷がある場合、もう一方の半球が機能を代償しやすいため、運動機能の回復が比較的良好な傾向にあります。 このような代償機能を「脳の可塑性(かそせい)」といいます。可塑性によって損傷が大きくても回復が進むケースがあるのです。 ただし、脳の可塑性を活用して回復を促すには、早期からの適切なリハビリが重要です。適切なトレーニングの継続で、日常生活に必要な動作を取り戻せる可能性があります。(文献3) 脳卒中の症状や治療法については、以下の記事でわかりやすくまとめていますので、ぜひご確認ください。 二木の予後予測の注意点は? 二木の予後予測は、脳卒中リハビリにおける有益な指標ですが、以下の点には注意が必要です。 あくまで予測であることを理解する 過信しすぎない 本章では、予後予測に関するそれぞれのポイントをわかりやすく解説します。 あくまで予測であることを理解する 二木の予後予測は、過去のデータに基づいて統計的に算出されたものです。 しかし実際の予後は個人差があり、予測よりも回復が早かったり、遅かったりするケースもあります。状態や置かれている環境によって、回復の度合いは大きく異なる可能性があるでしょう。 そのため、予後予測はあくまでも参考程度にとどめ、過度な期待や不安を抱かないように注意してください。 過信しすぎない 二木の予後予測の内容を過信しすぎないことも大切です。 予後が良いと予測されていても、積極的なリハビリテーションを行わなければ十分な回復を得られない可能性があります。 一方、予後が悪いと予測された場合でも、諦めずにリハビリを続けていれば状態が改善するケースもあります。 予後予測の結果を過信しすぎず、医師や専門家の指示のもと、適切なリハビリテーションを行いましょう。 まとめ|脳卒中のリハビリには二木の予後予測を取り入れよう 脳卒中の回復には、適切なリハビリ計画が欠かせません。 二木の予後予測の活用により、回復の見通しを立てやすくなり、より効果的なリハビリが可能になります。 入院時・発症2週・1カ月の評価を基に、適切なプランを立てることが重要です。 二木の予後予測を取り入れ、無理のないリハビリを続けて脳卒中後の自立を目指しましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では脳卒中の後遺症にお悩みの方へ、手術や入院の必要がない「再生医療」を提供しています。 まずはお気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 二木の予後予測に関するよくある質問 脳卒中の回復期はどれくらいの期間ですか? 脳卒中の回復期は、一般的に発症後1カ月〜6カ月程度と言われています。(文献4) この時期は、集中的なリハビリテーションによって、機能回復が期待できる大切な時期です。 しかし、回復の度合いは個人差が大きく、損傷部位や程度、年齢、合併症の有無などによって大きく異なります。 リハビリにおける予後予測とは何ですか? リハビリにおける予後予測とは、患者さんの状態や検査結果などを基に、リハビリテーションによってどれくらい回復が見込まれるのかを予測する指標です。 予後予測は、リハビリテーションの目標設定や計画立案、患者本人や家族への説明にも役立ちます。 ただし、予後予測はあくまでも予測であり、実際の回復状況とは異なる場合がある点も理解しておく必要があります。 参考文献 (文献1) 生理学研究所「脳卒中後のリハビリによる運動機能の回復には、脳幹を介した複数の回路が協力して関わる」 https://www.nips.ac.jp/release/2019/09/post_399.html (文献2) Chen CL, et al. (2000). Brain lesion size and location: effects on motor recovery and functional outcome in stroke patients. Arch Phys Med Rehabil, 81(4), pp.447-452. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10768534/(最終アクセス:2025年2月28日) (文献3) 角田 亘「脳卒中リハビリテーションの今後|臨床神経学(60巻,3号) https://www.jstage.jst.go.jp/article/clinicalneurol/60/3/60_cn-001399/_article/-char/ja/#article-overiew-abstract-wrap
2021.12.21 -
- 脳卒中
- 頭部
脳卒中は脳の血管が詰まったり破れたりして脳の機能が損なわれる病気の総称です。(文献1)大きく脳梗塞・脳出血・くも膜下出血の3種類に分けられ、発症すると運動障害や感覚障害など後遺症のリスクが増加します。 代表的な運動障害が手足の麻痺で、身体のいずれか片側にあらわれるのが特徴です。脳卒中の発症後早期から積極的なリハビリに取り組むと、ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作の向上)が見込めます。 今回は脳卒中の後遺症で多く見られる足の麻痺について、リハビリのやり方を詳しくお伝えします。リハビリを始める前に知っておくべき点も解説するため、ぜひ参考にしてください。 足の麻痺のリハビリは必要!早めに始めるほど回復する可能性が高まる 足の麻痺のリハビリは、早期に社会復帰するために必要です。足の麻痺が残ると歩行が困難になったり転倒危険性が高くなったりする上、社会参加の機会が失われると精神面にも悪影響を及ぼす恐れがあります。 リハビリで足の麻痺をどこまで改善できるかは症状の程度や年齢、損傷部位により異なるため一概には断言できません。しかし脳神経には可塑性があるため、早期にリハビリを開始するほど歩行機能の改善が見込めます。 足の麻痺のリハビリに取り組む目的・必要性としては筋肉の弱体化を防止したり、身体のバランス感覚を保持したり、日常生活における動作に必要な筋力を維持したりする点が挙げられます。 足の麻痺のリハビリを始める前に知っておきたいこと 足の麻痺のリハビリを始める前に、以下4つのポイントを知っておきましょう。 正しいフォーム(姿勢)で実施する 転倒・転落の対策を十分に行う 適度に水分補給・休憩をとる 痛みがある(出る)場合は無理しない 足の麻痺のリハビリに取り組む際は、正しいフォーム(姿勢)で実施するのが原則です。誤ったフォーム(姿勢)では狙った筋肉にアプローチできない上、筋肉痛や腰痛などのリスクが増加します。 リハビリを実施する際は転倒・転落への対策を十分に講じてください。自宅の部屋で行う方はリハビリのためのスペースを十分に確保し、滑りやすい物を足元に置かないようにしましょう。 導線上に不要な物を置かないようにするだけでなく、万が一の転倒に備えてすぐに壁に触れられる環境を整えることも大切です。 リハビリの実施中は水分補給と適度な休憩を欠かさず、途中で痛みが出た場合は無理をせず中断しましょう。リハビリ中に頻繁に痛みが出る方は、正しいフォーム(姿勢)で実施できているか確認する必要があります。 リハビリの初期は筋出力が低下しているため、少ない回数・時間からはじめ、慣れてきたら徐々に増やすのがポイントです。 足の麻痺のリハビリ方法|自主トレする場合 足の麻痺のリハビリ方法について、自宅で自主トレする場合に効果的な運動を以下に分けて解説します。 ベッド上でできるリハビリ 座ったままできるリハビリ 起立してできるリハビリ 脳卒中の発症から48時間以内に離床すると、不動関連の合併症のリスクを低減できるとわかっています。(文献2)医師の許可が出たら自分にできるリハビリに取り組み、足の麻痺を少しでも軽減しましょう。 ベッド上でできるリハビリ ベッド上でできる足の麻痺のリハビリ方法は以下の3つです。 片足を上げる運動 お尻を上げる運動(ブリッジ) タオルを膝裏でつぶす運動 それぞれについて詳しく解説します。 片足を上げる運動 ベッド上でできるリハビリの一つが、寝た状態から片足を上げる運動です。 目的 股関節を屈曲させる際にはたらく腸腰筋を強化する 方法 1.ベッドにあおむけで寝て両足を伸ばす 2.手のひらを下にしてお尻の両脇に置く 3.ひざを伸ばしたまま右足をゆっくりと上げる 4.足をあげた状態を2秒ほどキープしたらゆっくりと元に戻す 5.左右10回ずつ行う 腸腰筋は腰の骨と太ももの骨をつなぐ筋肉で、歩行の際に太ももをあげる(股関節を屈曲させる)はたらきがあります。腸腰筋をしっかり使えると足が高く上がるため、転倒リスクを下げる効果が期待できます。 仰向けだけでなく横向きでリハビリに取り組むと、お尻の筋肉(中殿筋)が鍛えられ、歩行時に体幹(全身から四肢を除いた部分)を安定させるのに効果的です。 お尻を上げる運動(ブリッジ) お尻を上げる運動もベッド上でできるリハビリの一つです。 目的 股関節を伸展させる際にはたらく大殿筋を強化する 方法 1.ベッドにあおむけで寝て両足を伸ばす 2.手のひらを下にしてお尻の両脇に置く 3.両ひざを立ててお尻をゆっくりと上げる 4.2秒ほど姿勢をキープしたらゆっくりと元に戻す 5.最初は10回から始め慣れてきたら回数を増やす 大殿筋は骨盤と太ももの骨を結ぶお尻の大きな筋肉で、歩行の際に後ろ足で地面をける動作(股関節の伸展)の際にはたらきます。 大殿筋が鍛えられると地面をしっかりと蹴れるようになるため、歩行をスムーズにする効果が期待できます。お尻を上げた際に、肩から膝が一直線になるイメージで行うのがポイントです。 タオルを膝裏でつぶす運動 丸めたタオルを膝裏でつぶす運動も、足の筋肉の強化に効果的です。 目的 股関節の屈曲・膝関節の伸展の際にはたらく大腿直筋を強化する 方法 1.ベッドにあおむけで寝て左ひざを立てる 2.丸めて棒状にしたタオルを右膝の下に入れる 3.右膝を伸ばし膝裏でタオルをつぶすように力を加える 4.左右10回ずつ行う 大腿直筋は骨盤と膝下(脛骨粗面)を結ぶ筋肉で、太ももをあげたり(股関節の屈曲)、膝関節を曲げたり(膝関節の伸展)する際にはたらきます。 大腿直筋が鍛えられると膝を曲げ伸ばししやすくなるため、歩行をスムーズにする効果が期待出来ます。ベッドに座れるようであれば、両手を後ろについてリハビリしても構いません。 座ったままできるリハビリ 座ったままできる足の麻痺のリハビリ方法は以下の3つです。 太ももを上げる運動 つま先を上げる運動 膝を閉じる運動 それぞれについて詳しく解説します。 太ももを上げる運動 椅子に座れるようになったら、太ももを上げる運動に取り組みましょう。 目的 股関節を伸展させる際にはたらく腸腰筋を強化する 方法 1.両足の裏が地面につく高さの椅子に座る 2.両手で椅子の縁をつかむ 3.右足を上げて膝を胸の方へ近づける 4.2秒ほど姿勢をキープしたらゆっくりと元に戻す 5.左右10回ずつ行う 椅子に座り太ももを上げる運動に取り組むと、足を上げる際にはたらく腸腰筋の強化につながります。太ももをあげる際は、上半身が後ろに倒れないよう意識しましょう。 上半身が後ろに倒れると体重を利用して太ももを上げてしまうため、腸腰筋が十分に刺激されません。歩行がおぼつかない方は、ベッドの端に座ってリハビリしても構いません。 つま先を上げる運動 つま先を上げる運動は、立ったり座ったりする際に使われる筋肉を強化するのに効果的です。 目的 股関節の屈曲・膝関節の伸展の際にはたらく大腿直筋を強化する 方法 1.両足の裏が地面につく高さの椅子に座る 2.両手で椅子の縁をつかむ 3.膝を伸ばしたまま右足を床と平行になるまで上げる 4.2秒ほど姿勢をキープしたらゆっくりと元に戻す 5.左右10回ずつ行う 椅子に座りつま先を上げる運動に取り組むと、股関節を曲げて膝を伸ばす際にはたらく大腿直筋の強化につながります。つま先を上げる際は、足が床と平行になる高さまでで構いません。 足を上げる際に上半身が後ろに倒れないよう意識しましょう。上半身が後ろに倒れると体重を利用して足を上げてしまうため、大腿直筋を鍛える効果が低くなります。 膝を閉じる運動 椅子に座って膝を閉じる運動に取り組むと、骨盤が安定して歩行の際に足を上げやすくなります。 目的 股関節を屈曲したり骨盤を安定させたりするはたらきを持つ内転筋群を強化する 方法 1.両足の裏が地面につく高さの椅子に座る 2.両手で椅子の縁をつかむ 3.膝の間に挟んだボールをつぶすように足を閉じる 4.2秒ほど姿勢をキープしたらゆっくりと元に戻す 5.最初は10回から始め慣れてきたら回数を増やす 内転筋群は骨盤と太ももの骨の内側を結ぶ筋肉で、骨盤を安定させたり足を上げる際に補助的なはたらきをしたりする筋肉です。内転筋群を強化すると足が外側に広がるのを抑え、まっすぐ歩きやすくなるメリットがあります。 自宅に適当なボールがない方は、タオルを丸めたものやクッション、折りたたんだ座布団などでも代用可能です。 起立してできるリハビリ 起立できるようになったら以下3つのリハビリに取り組むのがおすすめです。 立ったり座ったりを繰り返す運動 足を後ろに蹴る運動 片足を横に開く運動 それぞれについて詳しく解説します。 立ったり座ったりを繰り返す運動 立ったり座ったりを繰り返す運動に取り組むと、バランスよく立つための筋力アップに効果的です。 目的 足全体の筋力強化、および麻痺側の足に体重をかけてバランスよく立つ 方法 1.テーブルを前にして椅子に腰かける 2.両手をテーブルについて体重をかけ立ち上がる 3.両足に均等に体重をかけるイメージで姿勢を維持する 4.お辞儀するように上半身を前に倒しながら椅子に腰かける 5.最初は10回から始め慣れてきたら回数を増やす 立ったり座ったりを繰り返す運動のコツは、立つときも座るときもゆっくり時間をかけることです。時間をかけることで筋肉が十分に収縮するため、効率よく筋力アップにつながります。 腕の力に頼らなくても立てるようになったら、机がない場所で椅子に座った状態から立ち上がる訓練にも取り組みましょう。ただし、転倒に備えて壁の近くで行うなど工夫してください。 足を後ろに蹴る運動 足を後ろに蹴る運動を繰り返すと、歩行の際に足で地面をしっかり蹴れるようになります。 目的 股関節を伸展させる際にはたらく大殿筋を強化する 方法 1.立った状態で椅子の背もたれや机の縁に両手を置く 2.膝を伸ばしたまま右足を大きく後ろに蹴る 3.右足を後ろに下げた姿勢を2秒ほどキープしてゆっくりと元に戻す 4.左右10回ずつ行う 足を後ろに蹴る運動は地面をける際にはたらく大殿筋を鍛えるリハビリのため、素早く行う必要はありません。できるだけゆっくり行い、お尻の筋肉に効いていることを意識するのがポイントです。 足を後ろに下げるときは、上半身が前に倒れないよう意識しましょう。上半身が前に倒れると反動で足を後ろに下げてしまうため、大殿筋に十分な負荷がかからなくなります。 片足を横に開く運動 片足を横に開く運動を繰り返すと、骨盤を安定させるための筋力アップが期待できます。 目的 骨盤を安定させる際にはたらく中殿筋を強化する 方法 1.立った状態で椅子の背もたれや机の縁に両手を置く 2.膝を伸ばしたまま右足を大きく左側に開く 3.足を開いた姿勢を2秒ほどキープしてゆっくりと元に戻す 4.左右10回ずつ行う 片足を横に開く運動も素早く行うのではなく、できるだけ時間をかけてゆっくり取り組むのがポイントです。足を開く際は上半身が左右に傾かないよう意識しましょう。 上半身が左右に傾くと反動で足を振り上げてしまうため、十分に中殿筋が刺激されなくなります。つま先を外側に開かず真っすぐ前に向けると、より効率的に中殿筋を刺激できます。 足の麻痺のリハビリ方法|病院のリハビリテーション室で実施する場合 足の麻痺のリハビリは、病院のリハビリテーション室で実施する場合もあります。脳卒中の発症直後は集中治療室で過ごしますが、車いすに座れるようになると一般病棟へ移るのが一般的です。 一般病棟でベッドサイドでのリハビリに取り組んだ後、立ったり座ったりするための筋力が付いてきたら、リハビリテーション室で歩行機能を回復させるためのリハビリを実施します。 リハビリテーション室で取り組む歩行機能の回復に向けたリハビリ方法は、以下の通りです。 立つ訓練に取り組む 手すりを用いた歩行練習に移る 杖を使って歩く練習を開始する リハビリテーション室では最初に両足でバランスよく立つための訓練に取り組み、立位が安定して保持できるようになれば手すりを用いた歩行練習に移ります。歩様が安定してきたら、杖を使って歩けるようになるためのリハビリに取り組みます。 脳卒中の発症に伴う歩行障害の程度は個人によりさまざまです。作業療法士が一人ひとりに適したプログラムを作成し、回復度合いを見ながら運動強度を強めていきます。 足の麻痺はリハビリしても後遺症が出る可能性はある 脳卒中の発症後から速やかにリハビリに取り組むと、歩行障害の改善が期待できます。実際に脳卒中を発症した方のおよそ3人に2人は、リハビリによる自立歩行が可能です。(文献3) しかし、現在の医療技術で脳卒中の発症に伴う感覚麻痺を完全に治すことは難しく、足の麻痺のリハビリに取り組んでも、後遺症が出る可能性は否定できません。実際、18歳から65歳までの発症者では、3割以上に中等度以上の後遺症が残るとされています。(文献4) 具体的な後遺症の例としては運動麻痺や感覚麻痺、失語症、高次機能障害、嚥下障害、排尿障害、認知症、うつなどが挙げられます。 脳卒中による後遺症のリスクを少しでも低減するため、発症後の早い段階から適切な治療およびリハビリに取り組むことが重要です。 \まずは当院にお問い合わせください/ 足の麻痺の治療には再生医療をご検討ください 近年、足の麻痺の治療法の一つとして、再生医療が挙げられるようになりました。 足の麻痺に対する再生医療の具体的な手順は以下の通りです。 脳卒中患者の血液を採取する 同様に骨髄液を採取する 幹細胞を培養する 脳卒中患者に幹細胞を投与する 再生医療に関しても、治療を始めるタイミングが早ければ早いほど良い結果が見込めます。 当院リペアセルクリニックでは、脳卒中による足の麻痺の治療にも用いられる再生医療を扱っておりますので、ご興味のある方はぜひ一度ご相談ください。 まとめ|足の麻痺のリハビリは早期からコツコツ進めるのがポイント 脳卒中の発症後に見られる代表的な運動障害が手足の麻痺ですが、発症後の早期から積極的なリハビリに取り組むと、ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作の向上)が見込めます。 実際に脳卒中を発症した方のおよそ3人に2人が、適切な治療およびリハビリによって自立歩行が可能になるとわかっています。 脳卒中の累積再発率は初回発症後から5年で約35%とされていますが、再生医療により損傷した血管が修復されると、将来の脳卒中の再発を予防できる点もメリットの1つです。(文献5) リペアセルクリニックでは、足の麻痺に対する再生療法に関するご相談を受け付けています。患者様の症状に応じて期待できる効果を丁寧にご説明しますので、お気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 参考文献 (文献1) 東京都保健医療局「脳卒中とは」 https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/hokeniryo/siryou25-2(最終アクセス:2025年4月17日) (文献2) 理学療法学「脳卒中患者に対する発症後48時間以内の規律と定義した早期離床導入の効果」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/advpub/0/advpub_11753/_pdf(最終アクセス:2025年4月16日) (文献3) 理学療法科学「脳卒中片麻痺患者における下肢感覚障害が歩行が自立するまでの期間の長さに及ぼす影響」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/38/6/38_456/_pdf/-char/en(最終アクセス:2025年4月17日) (文献4) 厚生労働省「脳卒中患者(18-65歳)の予後」 https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/18/backdata/01-01-02-06.html(最終アクセス:2025年4月17日) (文献5) 厚生労働省「脳卒中の回復期・維持期の診療提供体制の考え方」 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/5_4.pdf(最終アクセス:2025年4月17日)
2021.12.14 -
- 脳卒中
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脳卒中の種類と原因|発症を予防する生活上の生活目標と修正方法について 脳卒中とは、脳の血管が突然つまったり破れたりすることで脳の血管に障害を起こす病気を総称して「脳卒中」といいます。この脳卒中、いくつか種類に分かれ、それぞれ発症原因も異なります。 そこで、脳卒中を4つの種類に分けて、それぞれの特徴と発症原因、その対策を分かりやすく解説します。その後、脳卒中の原因を提示して、予防できることと、できないことを解説します。 それぞれのリスクを知ることで普段の生活から予防を心がけていただければと思います。 脳卒中の原因 脳卒中の種類 ・脳の血管がつまる ① 脳梗塞 ・脳の血管が破れる ② 脳出血 ③ くも膜下出血 ・一時的に脳の血管がつまる ④ 一過性脳虚血発作 ①脳梗塞 脳梗塞とは、脳卒中のなかでも最も患者数が多いとされている病気で、脳の血管が詰まることが原因となって脳に栄養が運ばれなくなり、その結果、脳の組織が壊死(えし)してしまう病気を指します。 脳梗塞では、運動機能を司っている場所が障害を受けると、手足の麻痺が現れるといったように、壊死した部分が司っていた機能に応じた症状が現れるという特徴があります。 ②脳出血 脳出血とは、脳の血管が破れることが原因となって出血が起こり、脳の組織が壊されてしまう病気です。脳梗塞と同様、脳の障害された場所が司っている機能に応じた症状が現れる特徴があります。 ③くも膜下出血 くも膜下出血とは、血管にできた「こぶ(「脳動脈瘤」と呼ばれる)」が破裂することが原因となって脳の表面に出血が起こる病気です。特徴として、突然、強烈な頭痛を生じることが多く、緊急の処置を必要とするケースが多くみられ注意が必要です。 ④一過性脳虚血発作 一過性脳虚血発作とは、脳梗塞に近い病態であり、脳梗塞の前兆として現れることがあります。一時的に脳の血管がつまることで症状が現れますが、24時間以内に症状が消えてなくなる点が特徴的です。 脳卒中の原因 ①脳梗塞:動脈硬化や血栓が原因 脳梗塞には、主に「脳血栓症」と「脳塞栓症」があります。脳塞栓症は、脳血栓症と比べて脳の太い血管がつまり、広い範囲で脳梗塞を生じることが原因となって重症化することが多いのが特徴です。 ・脳血栓症 脳や頸部の血管に動脈硬化による狭窄や閉塞が起こることによって生じるもの。 ・脳塞栓症 心臓や足など全身のどこかにできた血栓(血のかたまり)が、血流に乗って脳に到達することによって生じるもの。 特に近年の高齢化に伴い、心房細動という不整脈によって心臓内に血栓が形成され、これが血流に乗って脳に到達して生じる「心原性脳塞栓症」が増加しています。 ②脳出血:動脈硬化が原因 脳出血は、脳の血管の動脈硬化が原因で発症します。動脈硬化によってもろくなった血管に高い血圧がかかることで血管が破れ、脳出血が起こると考えられており、運動時や用便時、入浴時など血圧が急激に上昇した際に発症しやすいとされています。 ③くも膜下出血:脳動脈瘤の破裂が原因 くも膜下出血は、脳動脈瘤と呼ばれる脳の血管にできたこぶが破裂することが原因となって起こります。脳動脈瘤ができる原因は正確にはわかっていませんが、高血圧や脳血管への血流、ストレス、喫煙や遺伝的要因が関与していると考えられています。 高血圧、喫煙は脳動脈瘤が破裂する危険因子にもなるといわれています。 また、脳動脈瘤が生じやすい体質は遺伝するともいわれており、家族の中に脳動脈瘤が生じたことがある方やくも膜下出血を起こしたことがある方がいる場合は発症しやすいといえます。 脳卒中の原因から理解する予防できること!予防できないこと! 脳卒中の危険因子(原因)は「修正できない危険因子」と生活上で「修正できる危険因子」とがあり、脳卒中を予防するためには「修正できる危険因子」を改善するように日頃から注意していく必要があります。 そこで、修正できない危険因子と、修正できる危険因子を明確にして、修正できる危険因子については、その対策を明示させて頂きました。 (1) 修正できない危険因子(原因)とは 自分ではどうしようもない発症原因となるもの 年齢:55歳以上では、10歳ごとに脳卒中の発症リスクが約2倍になります 性別:男性は女性よりもリスクが高いとされています 家族歴 (脳卒中):両親や祖父母に脳卒中の既往がある場合、発症のリスクが高くなるとされています。 (2)修正できる危険因子(原因)とは 修正できる危険因子を知ることは、予防できない危険因子を知った上で、取り組めば脳卒中の発症リスクを下げることが可能になります。意識することで自分でできる対策です。 修正できる危険因子(原因) 高血圧 糖尿病(高血糖) 脂質異常症 心房細動などの心疾患 喫煙 飲酒 肥満 ①高血圧 高血圧は脳卒中の最大の危険因子であり、血圧が高いほど脳卒中の発生率は高くなります。食生活の乱れやアルコールの飲みすぎ、急激な運動などで血液の粘り気が強くなったり、血液が流れるときの抵抗が大きくなったりすることで血圧が上昇します。 【高血圧】の場合の修正目標 高齢者: 140/90mmHg 未満 若年、中年者: 130/85mmHg 未満 糖尿病や腎障害合併例: 130/80mmHg 未満が推奨されています (2009 脳卒中治療ガイドラインより) ▼ ▼ ▼ 【高血圧の場合】脳卒中の発症を避けるための生活目標 起床後や就寝前など、定期的に血圧を測定する(自己測定) 眼底検査や心電図、尿検査などで高血圧の合併症を定期的にチェックする 薄味にしたり減塩しょうゆを使ったりするなど、食塩を摂りすぎないようにする →理想の塩分摂取量:6g/日未満 精神的、身体的ともに過剰なストレスを避ける →疲れたら無理をせず休む、気分転換など 暖かい部屋から寒い廊下に出る、突然エアコンの風を直接受けるなど、急激な寒暖差を避ける ぬるま湯は血管を拡張させるため、入浴時はぬるま湯にそっと入る 定期的に有酸素運動を行う(例:毎日30分の散歩) 野菜・果物・魚類(カリウムを多く含む食品が望ましい)を積極的に摂る 体重を減らす 医師の指示通りに降圧剤を内服する (カルシウム拮抗剤、アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬、ACE 阻害薬、β遮断薬など) ②糖尿病(高血糖) 糖尿病は、インスリンの作用不足によって血糖値が上昇する病態で、脳卒中のうち特に脳梗塞の危険因子として重要とされています。 【糖尿病の場合】の修正目標 空腹時血糖:110mg/dl以下 HbA1c:5.8%以下(ヘモグロビンA1c=過去約1ヵ月間の血糖値を反映する) ▼ ▼ ▼ 【糖尿病の場合】脳卒中の発症を避けるための生活目標 医療機関で定期的に血糖を測定する(食前採血が望ましい) 眼底検査や心電図、尿検査などで糖尿病の合併症を定期的にチェックする 食事カロリー(エネルギー摂取量)を減らす バランスのよい食事摂取を心がけ、偏食傾向を治す 散歩やジョギングなど、定期的に有酸素運動を行う 規則正しく、疲れすぎない生活を送る 医師の指示通りに、経口血糖降下剤を内服、またはインスリン注射を行う →インスリン注射を行っている場合は、血糖自己測定が望ましい インスリン注射を行っている場合、低血糖状態を正しく理解して、対処法(飴をなめるなど)を知っておく ③脂質異常症 脂質異常症とは、高コレステロール血症(高 LDL-コレステロール血症)、高トリグリセリド血症(高中性脂肪血症)、低 HDL-コレステロール血症を指します。 その中でも、高コレステロール血症が脳卒中のうち、特に脳梗塞の危険因子として重要で、高LDL-コレステロール血症は冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症)の危険因子としても知られています。 【脂質異常症の場合】の修正目標 LDL-コレステロール 120~160mg/dl 以下 HDL-コレステロール 40mg/dl以上 トリグリセリド 150mg/dl ※他の冠動脈疾患の危険因子(年齢、高血圧、糖尿病、冠動脈疾患の家族歴など)の有無によって LDL-コレステロールの目標値は異なる (動脈硬化性疾患予防ガイドラインより) ▼▼▼ 【脂質異常症の場合】脳卒中の発症を避けるための生活目標 肉や乳製品に多く含まれる動物性脂肪の摂りすぎに注意する (一日のコレステロール摂取量は 300g 以下にする) 野菜、海そう、穀類、豆類に多く含まれる食物繊維を多く摂る 植物油、大豆、緑黄色野菜を多く摂る 定期的に有酸素運動を行う ④心房細動などの心疾患 心房細動は、脳梗塞(心原性脳塞栓症)の危険因子です。心房細動では心房内の血流が乱れて滞るため、血栓(血のかたまり)ができやすくなります。血栓が血流に乗って脳に運ばれ脳の血管がつまると、脳梗塞を引き起こします。 治療法として、ワーファリンの内服による抗凝固療法を行うことで、脳梗塞の発症率が低下することが確認されています。 【心疾患の場合】の修正目標 ワーファリンを適切に内服して、定期的に医師の診察を受ける ▼▼▼ 【心疾患の場合】修正すべき生活目標 精神的、身体的ともに過剰なストレスを避ける 動悸、息切れ、めまい、胸痛などが出現したらすぐに医療機関を受診する 体内水分が過剰になると、心臓に負担がかかるため過剰な水分摂取を避ける 医師の指示通りにワーファリンを内服、定期的にプロトロンビン時間(INR)を測定する (INR を 2.0~3.0(高齢者では、1.6~2.6)にコントロールする) ※ワーファリンを内服している場合 ビタミン K を多く含む食品(納豆、緑色野菜など)の摂取を避ける 打撲、切り傷で出血しやすいため出血傾向に気をつける ⑤喫煙 喫煙は、脳卒中のうち特に脳梗塞とクモ膜下出血の危険因子です。タバコは交感神経系を興奮させるため、タバコを吸うと一過性に血圧が上がり、ニコチンは、血管を収縮させて高血圧や動脈硬化を一層悪化させます。 また受動喫煙も、脳卒中の危険因子と考えられています。 【喫煙の場合】の修正目標 禁煙する ▼▼▼ 【喫煙の場合】の生活目標 タバコを買わない 灰皿やライターを捨てる 皆の前で「禁煙宣言」をする 禁煙外来を受診して、専門的な治療を受ける ⑥飲酒 飲酒量が増えるほど、脳内出血とクモ膜下出血の発症率は高くなります。脳梗塞の発症率は、少量や中等量の飲酒者ではむしろ低くなりますが、大量飲酒者では高くなるとされています。 大量飲酒は、脱水を誘発し血液が濃くなり、固まりやすく=詰まりやすくなります。 【飲酒の修正目標】 摂取アルコール量を一日 30g 以下にする (日本酒で 1 合以下、ビールで中びん1 本以下、ワインで 240cc 以下に相当) ▼▼▼ 【飲酒の場合】の生活目標 アルコールを買わない 「飲み会」「宴会」への参加を控える 「休肝日」を作る ⑦肥満(メタボリック・シンドローム)・運動不足 肥満やメタボリック・シンドロームは新たな脳卒中の危険因子として注目されています。 ※メタボリック・シンドロームの診断基準 ウエスト周囲径が男性 85cm以上、女性 90cm 以上 トリグリセリド 150mg/dl 以上かつ/またはHDL-コレステロール 40mg/dl 未満 収縮期血圧 13mmHg 以上かつ/または拡張期血圧 85mmHg 以上 空腹時血糖 110mg/dl 以上 このうちの 2 項目以上が存在すること、とされています。 【肥満の場合】の修正目標 BMIを25未満にする (BMI=体重(kg) ÷ {身長(m) X 身長(m)}) ▼▼▼ 【肥満の場合】の生活目標 過剰なカロリー摂取(エネルギー摂取)を避ける 毎日、体重やウエスト周囲径を測定し、自己への動機づけを行う 散歩、早歩き、ジョギング、自転車など定期的に運動を行う まとめ・脳卒中の種類と原因|発症を予防するため、注意すべき生活目標と修正方法 脳卒中は、一旦発症すると命に係わる病です。避けれるものなら避けたい病です。そこで、注意できない事柄を「修正できない危険因子」とし、注意することで避けられるものを「修正できる危険因子」に分けてご説明しました。 ご自身の状態に合わせて取り組むべき課題を見つけて頂ければと思います。以上、脳卒中の種類と原因について記しました。 30代になったら自分の血圧を把握し、コントロールすることを心がける 塩分控えめの食生活で、コレステロールを減らす 仕事の時間以外でリラックスできる趣味を持ち、適度な運動を習慣化する 40代になったら脳ドックを定期的に受診し、脳の健康状態をきちんと把握する 脳卒中を発症してしまったら、再生医療という手段もございます。興味ある方は以下もご参考になさってください。 以上、脳卒中の4つの種類と発症原因、脳卒中にならないためにできること!について、記させて頂きました。 参考になれば幸いです。 ▼脳卒中の後遺症|脳卒中の最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脳卒中の新たな治療法として注目を浴びる再生医療とは ▼こちらのご覧ください 脳卒中のリハビリで手足の麻痺を回復させ残った機能を最大化させるために
2021.12.14