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「脳膿瘍の手術で後遺症が出るかもしれない」 「脳膿瘍の術後のリハビリで後遺症を改善したい」 脳膿瘍の手術に対して、不安や戸惑いを抱えている方は少なくありません。 脳膿瘍の手術は症状の改善が見込まれる一方で、後遺症が生じるリスクもあります。 本記事では、脳膿瘍の手術で起こりうる後遺症について解説します。 脳膿瘍の手術後、後遺症がなかなか改善しない場合でも、幹細胞を用いた再生医療によって回復を目指す新しい治療法が注目されています。 \脳膿瘍の後遺症改善が期待できる再生医療の治療効果とは/ 再生医療は、傷ついた神経や細胞を修復するだけでなく、今後の症状悪化を防ぐ予防的な効果も期待できる点が特徴です。 身体機能(後遺症)の回復 リハビリ効果の向上 再発や症状悪化の予防 当院(リペアセルクリニック)では、脳膿瘍術後の後遺症に対する再生医療について、無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 脳膿瘍の手術で期待される効果 症状の軽減 圧迫による視野障害・麻痺・けいれん発作などの症状の改善 神経機能の回復 脳機能の回復や維持を目指す 病状進行の抑制 膿瘍の切除により再発や悪化のリスク軽減 将来的な機能障害の予防 適切な時期の手術が機能障害の発症を防ぐことにつながる (文献1) 脳膿瘍の手術は、脳内に膿がたまり圧迫で生じる頭痛や麻痺、意識障害などの症状を軽減するために実施されます。 膿瘍を外科的に取り除くことで、神経への負担が減り、症状の改善や回復が期待できます。また、膿を取り除くことで抗菌薬が患部に届きやすくなり、感染の再発や重症化を防ぐ効果も高まります。適切なタイミングで治療を行い、将来的な後遺症の予防も視野に入れることが大切です。 脳膿瘍の手術内容 項目 内容 膿瘍の摘出による症状の改善 膿の除去や感染源の除去 頭蓋内圧の正常化 頭痛・吐き気・視覚異常・意識障害の改善 神経症状の改善 しびれ・運動障害・視覚や聴覚の異常の軽減 抗菌薬治療の効果を高める 膿瘍の縮小による薬剤効果向上 生活の質の向上 歩行や会話のしやすさ、社会復帰やコミュニケーションの円滑化 脳膿瘍の手術は、患者の全身状態や膿瘍の大きさ・部位を総合的に判断したうえで実施されます。 膿瘍の摘出による症状の改善 項目 内容 膿の除去 膿瘍によって生じる脳圧の上昇や周囲組織の圧迫が軽減される 頭痛や意識障害の改善 圧迫による神経症状(頭痛、吐き気、意識障害など)が軽減される可能性がある 神経機能の回復 膿瘍の位置によっては、言語障害や麻痺といった症状が手術後に改善する場合もある 感染源の除去 抗菌薬が届きやすくなり、全身状態の改善が促される (文献1) 脳膿瘍の手術では、膿を取り除くことで頭痛や吐き気、意識障害、手足の麻痺などの症状が改善することがあります。 膿の除去で脳の圧迫が和らぎ、抗菌薬が届きやすくなるため、全身の回復にもつながります。このような理由から、膿の除去は治療の重要な基盤です。 頭蓋内圧の正常化 項目 内容 頭蓋内圧が上がる原因 膿瘍の圧迫、脳の腫れ、脳脊髄液の流れの障害、出血によるスペースの圧迫 上昇による症状 頭痛、吐き気、意識障害、視覚異常、脈の乱れ、高血圧 手術による改善効果 膿瘍や出血の除去、脳の腫れの軽減、脳脊髄液の流れの回復 期待される結果 頭蓋内圧の正常化による症状の改善と脳機能の安定化 脳膿瘍が進行すると、膿の塊が脳を圧迫し、頭痛・吐き気・視覚異常・意識障害などの症状が起こるのが特徴です。 とくに、脳の腫れ(浮腫)や炎症により頭蓋内圧が上昇すると、命に関わるリスクも高まります。手術で膿瘍を除去し、脳の圧迫が軽減し、頭蓋内圧が正常に近づくことが期待されており、症状の改善と脳機能の安定化が見込まれます。 神経症状の改善 項目 内容 圧迫の解除 膿瘍による脳組織や神経への圧力の除去 脳脊髄液の流れの改善 膿瘍が脳脊髄液の通過路を圧迫している場合、摘出によりCSFの流れが正常化するケースがある 機能障害の原因除去 炎症や浮腫により障害されていた神経伝達機能の回復が期待される 薬剤効果の向上 抗菌薬治療の効果向上による間接的な症状の改善 改善が期待される主な症状 麻痺、感覚障害、言語障害、視力障害、頭痛、てんかんなど 膿瘍の場所や大きさによっては、運動麻痺や感覚障害、言語障害など、さまざまな神経症状が現れます。手術で膿瘍摘出を行うことで、運動麻痺などの症状が軽快する可能性があります。 ただし、神経細胞は一度損傷を受けると回復が難しい場合もあるため、早期の治療が大切です。 抗菌薬治療の効果を高める 要因 解説 膿瘍の除去 感染源である膿を取り除くことで、残った病巣に薬が届きやすくなる 脳圧の軽減 圧迫が減ると周囲組織の血流が改善し、薬剤が浸透しやすくなる 酸素環境の改善 酸素が届きやすくなることで、薬の効果が発揮されやすくなる (文献1)(文献2) 脳膿瘍では、抗菌薬による治療が実施されますが、膿が厚い膜に包まれているため、薬が届きにくいことがあります。手術で膿を取り除くと、薬が患部に届きやすくなり、治療効果の向上が望めます。そのため、手術は薬の効果を引き出す大切な治療法です。 生活の質の向上 項目 内容 症状の軽減・消失 頭痛・吐き気・麻痺・視力障害などの不快な症状の緩和 自立性の向上 着替え・移動・会話など日常動作の回復 精神的な安定 不安やストレスの軽減、前向きな気持ちの回復 社会生活への復帰 仕事や学校、家族・友人との交流の再開 将来への希望 手術を通じた治療効果の向上による予後改善への期待 注意点 QOLの感じ方には個人差があり、手術の効果にもばらつきがあるため注意が必要 膿瘍による症状が軽減されることで、日常生活における動作や思考の自由度が広がり、生活の質(QOL)が改善する可能性があります。 頭痛や麻痺などの症状がある程度改善されることで、家事や通勤に対する不安が軽減され、日常生活への自信が戻ってきます。その結果、社会復帰への意欲も高まりやすくなるでしょう。生活の質の向上は、身体機能だけでなく精神的な安定にもつながるため、術後の目標の一つといえます。 脳膿瘍の手術で起こりうる後遺症 脳膿瘍の手術は、症状の改善が期待される一方で、運動麻痺や感覚障害などの後遺症が出る可能性があります。 運動麻痺 手足の動かしにくさや筋力低下、歩行困難 感覚障害 手足のしびれや触覚の鈍さ、感覚の違和感 言語障害 言葉が出にくい、話すスピードの低下、語彙の思い出しづらさ 高次脳機能障害 記憶力・注意力・判断力の低下、段取りの悪さ、集中困難 てんかん 手術部位周囲の瘢痕や炎症によって、けいれん発作が新たに起きたり、術前にあった発作が再発したりする可能性がある 頭痛 圧力変化や術後の影響による一時的または慢性的な頭痛 以下で、脳膿瘍の手術で起こりうる後遺症を詳しく解説していきます。 運動麻痺 原因 内容 膿瘍の圧迫の影響 手術前に神経が長期間押しつぶされていたことによる機能の低下 手術操作による刺激や損傷 膿瘍除去時の操作による神経線維への負担 血管の損傷や血流の障害 手術中の出血や血流の一時的な停止による神経の栄養不足 術後の脳のむくみ(浮腫) 炎症によって運動に関わる部位が一時的に腫れることによる圧迫 神経線維の切断や妨害 手術時に神経の通り道が遮られたことによる指令の伝達障害 (文献3) 脳膿瘍が運動を司る脳領域に及ぶと、手足の動かしにくさや筋力低下といった運動麻痺が起こることがあります。この状態は、膿瘍の圧迫による神経機能の低下、手術時の操作による刺激、血流障害や脳の腫れ(浮腫)などが原因です。 また、術後に神経伝達経路が一時的に遮られることで、麻痺が現れるケースもあります。症状の程度には個人差があり、軽度であればリハビリにより改善が期待できるものの、重度の場合は回復に時間を要するケースもあります。 感覚障害 項目 内容 膿瘍の位置と手術操作 感覚をつかさどる脳の部位や神経経路への影響 術中・術後の脳の変化 血流の変化、腫れ、炎症による一時的または永続的な障害 術前からの神経圧迫 膿瘍による慢性的な圧迫や損傷の影響が持続し、血流の変化や脳が腫れる、炎症による一時的または永続的な障害 起こりうる感覚障害の例 触れた感覚の鈍さ、違和感や温度の異常な感じ方、しびれ、自身で感じる手足の位置感低下 (文献3) 脳膿瘍が感覚を司る脳の領域に及ぶと、手足のしびれや感覚の鈍さ、温度の感じ方の異常、位置感覚の低下などが現れることがあります。 膿瘍の圧迫や炎症、または手術操作の影響で神経が傷ついたり、血流が一時的に障害されたりするためです。膿瘍による感覚障害は術後にも残ることがありますが、リハビリや時間経過で改善する可能性もあります。 言語障害 項目 内容 手術による直接的な影響 言語をつかさどる脳の領域が手術中に傷つく可能性 手術による間接的な影響 脳の腫れ・血流の変化・脳圧の上昇による言語機能への影響 運動性失語 言葉が出にくくなり、話す速度が遅くなる状態 感覚性失語 話はできても意味が通じず、相手の言葉も理解しづらくなる状態 全失語 話す・聞く・読む・書く能力が全体的に障害される状態 健忘性失語 人や物の名前が思い出せなくなる状態 構音障害 舌や口の動きがうまくいかず、発音が不明瞭になる状態 嚥下障害(関連症状) 飲み込みが難しくなる障害(発声や会話と同じ筋肉の影響) (文献4) 脳膿瘍の手術後に言語障害を訴える方が一定数見られます。これは、脳膿瘍が言語中枢に近い場合や、手術による刺激・腫れ・血流の変化が原因と考えられます。また、日常会話に支障が出ると大きなストレス、周囲とのコミュニケーションが難しくなることがあります。 手術後にこうした言語障害が現れた場合には、言語聴覚士によるリハビリが有効です。症状の程度は人によって異なるため、焦らず少しずつ会話ができるように努めていくことが大切です。 高次脳機能障害 原因 内容 脳組織の損傷 記憶・判断・言語などを担う脳の部位への直接的な影響 血流の障害 手術中の血管損傷や血流不足による脳細胞のダメージ 圧力変化や脳の腫れ 術後の脳圧上昇や脳浮腫による周囲組織への機能障害 術後の合併症 感染症・出血などによる追加の脳ダメージ 神経ネットワークの損傷 複数の脳領域をつなぐ神経回路の分断による連携機能の低下 高次脳機能障害とは、記憶力・注意力・判断力などの認知機能が低下する状態を指します。脳膿瘍が記憶や判断などをつかさどる領域に及ぶ場合、術後に高次脳機能障害がみられることがあります。症状に対して、本人が気づきにくいこともあるのが特徴です。 症状は軽度から中等度まで幅広く、日常生活や仕事に支障をきたす場合もあります。神経心理リハビリなどで認知機能の回復を促す取り組みを実践し、医師だけでなく、家族や周囲の理解や支援が改善の手助けになります。 てんかん 項目 内容 脳組織への手術の影響 神経細胞の不安定化や過剰な電気活動の誘発 術後の瘢痕形成 傷跡による電気信号の異常伝播 化学物質のバランス変化 興奮性や抑制性の神経伝達物質の乱れ 残存するてんかんの焦点 手術前にあったてんかんの原因部位の持続的な活動 術後の合併症 出血や感染による新たな脳ダメージ 脳膿瘍の手術後は、膿瘍周囲の脳組織がダメージを受け、けいれん発作が生じやすくなるのが特徴です。 とくに、術後1週間以降に起こる晩期発作は、てんかんと診断される場合があります。膿瘍が存在していた部位の神経細胞が興奮しやすくなるリスクがあり、傷跡(瘢痕)や血流障害、神経伝達物質のアンバランスが発作の引き金となるケースもあります。抗てんかん薬による予防や生活環境の整備が、再発予防には大切です。 頭痛 項目 内容 手術による刺激 頭皮・筋肉・硬膜の切開や縫合による違和感の発生 脳の腫れ 手術後の炎症による一時的な脳の腫れ(脳浮腫) 髄液の変化 術後の髄液循環障害や低髄液圧状態が頭痛を誘発する場合もある 血流の乱れ 脳内の血管の拡張・収縮による違和感の発生 経過 多くは自然に軽快、まれに慢性頭痛として残ることもありうる (文献1) 脳膿瘍の手術後に、頭痛が生じることがあります。開頭手術での頭皮・硬膜切開や、術中操作による周辺組織への刺激や、脳の腫れ(脳浮腫)、髄液の流れの変化、血流の乱れなどが原因としてあげられます。 多くの場合は時間とともに軽快しますが、まれに慢性頭痛として続くケースもあります。後遺症による頭痛が日常生活に支障をきたす場合は、早めに医師へ相談が大切です。 また、まれに片頭痛の前兆として、閃輝暗点のような視覚症状が現れる場合もあります。視界にキラキラした光やギザギザした模様が見える場合は、閃輝暗点かもしれません。 以下の記事では、閃輝暗点の見え方について詳しく解説しています。 脳膿瘍手術における後遺症のリハビリ方法 リハビリの種類 対象となる症状 目的 理学療法 麻痺・筋力低下・歩行障害 体力回復と動作の自立支援 作業療法 日常生活動作(食事・着替えなど)の困難 実生活に即した動作の訓練と自信回復 言語聴覚療法 発語障害・言語理解障害・嚥下障害 会話や飲み込みの改善を通じた生活の質の向上 神経心理リハビリ 記憶障害・注意力低下・思考力の低下 認知機能の回復と社会復帰に向けた段階的支援 脳膿瘍の手術後は、症状に合わせたリハビリが必要です。効果を高めるには早期に始め、自己判断せず医師の指導のもとで行うことが大切です。 リハビリは中断せず継続することで、回復の可能性を最大限引き出せます。 理学療法 項目 内容 目的 麻痺・筋力低下・歩行障害の改善、日常生活動作の自立支援 訓練方法 筋力訓練、関節の柔軟性保持、歩行・バランス訓練、起居動作の練習 有効性 運動機能の回復、転倒や合併症の予防、体力向上、違和感の軽減 サポート体制 医師や専門職による個別指導、家族支援、他職種との連携による総合的サポート (文献4) 理学療法は、手足の麻痺や筋力低下、バランス障害といった身体的な後遺症に対して行われます。医師の指導のもと歩行訓練や関節の動きを保つ運動を継続的に実施します。 脳膿瘍の手術後は、安静による筋力低下も起こりやすいため、体力低下による合併症予防や再感染リスク軽減にもつながる有効な治療法です。リハビリは早期の開始で、効果が高まりやすくなります。 作業療法 項目 内容 目的 食事・着替え・入浴などの日常動作の自立支援 練習内容 動作練習、家事訓練、補助具の使い方指導 環境調整 自宅内の物の配置などの改善 支援面 自信回復、家族への介助指導 作業療法は、食事や着替え、家事などの日常生活動作(ADL)を自立して行えるよう支援するリハビリです。 脳膿瘍の手術後、手先がうまく使えないケースもあるため、作業療法は症状の改善を目指して実施されます。症状の回復には、患者と医師だけでなく、家族や周囲のサポートも大切です。 言語聴覚療法 項目 内容 目的 話す・聞く・読む・書く・飲み込む機能の回復、コミュニケーションの再構築 訓練例 発声練習、言葉の理解訓練、注意力や記憶のトレーニング、補助手段の活用、嚥下訓練 有効性 言語機能や飲み込みの改善、意思疎通の支援、認知機能の補強、生活の質の向上 (文献5) 言語聴覚療法は、言葉が出にくい・聞き取れない・飲み込みにくいといった症状に対して行われる訓練です。脳膿瘍が言語や嚥下を司る部位に影響していた場合、術後に会話や食事が難しくなるケースがあります。 言語聴覚療法では、発声・発語・理解のトレーニングや、食べ物の誤嚥を防ぐための嚥下訓練を医師の指導のもと行います。また、家族の協力で、日常生活における不安の軽減にもつながるでしょう。 神経心理リハビリテーション 項目 内容 目的 記憶力・注意力・判断力など認知機能の改善と、社会復帰への支援 訓練例 課題遂行訓練、集中力訓練、記憶訓練、見当識訓練、心理的サポート 有効性 認知機能障害への直接的対応、日常生活への適応支援、感情コントロールの強化、自己理解の促進 (文献6)(文献7) 神経心理リハビリは、記憶力・注意力・思考力などの認知機能に障害が残った場合に行われます。具体的には、課題を使って集中力を高める訓練や、日常生活での物忘れを補う工夫を習得するなどが挙げられます。 高次脳機能障害は見た目ではわかりにくく、本人だけでなく家族にも負担がかかりやすいのが特徴です。神経心理リハビリでは、段階的に機能回復を目指しながら、社会復帰につなげていくことが大切です。 脳膿瘍手術の後遺症でお悩みなら再生医療も選択肢のひとつ 脳膿瘍の手術後、運動麻痺や言語・認知機能の低下など、長期的に後遺症が残ることがあります。 こうした症状にお悩みの方にとって、リハビリだけでは改善が難しいケースも少なくありません。 そのような場合は、有効なアプローチ方法として幹細胞を用いた再生医療も一つの選択肢になります。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 身体機能(後遺症)の回復をめざしたい リハビリの効果をより高めたい 再発や症状の進行をできる限り防ぎたい 当院リペアセルクリニックでは、脳膿瘍手術の後遺症の悩みに丁寧に対応し、必要に応じて幹細胞を使った再生医療で治療をサポートしています。 「少しでも改善の可能性を探したい」とお考えの方は、当院(リペアセルクリニック)へお気軽にご相談ください。 脳膿瘍の手術と後遺症に関するよくある質問 脳膿瘍の手術と後遺症に関するよくある質問と回答は、以下の通りです。 脳膿瘍の手術は必須ですか? 入院期間はどれくらいですか? 脳膿瘍は再発しますか? 脳膿瘍の手術に不安を感じていますが事前にできることはありますか? 脳膿瘍の開頭手術後、日常生活にどのような影響がありますか? 脳膿瘍の手術は必須ですか? 脳膿瘍の治療は薬物療法と手術が基本で、手術の必要性は膿瘍の大きさや症状の進行度などで判断されます。 治療方針は自己判断せず、脳神経外科の医師の診断に従いましょう。 入院期間はどれくらいですか? 脳膿瘍の入院期間は、膿瘍の大きさ・部位・症状の程度や、治療に対する反応により異なります。 重症例や多発例、外科的な排膿処置が必要な場合は、抗菌薬治療の継続や合併症管理のために数週間から数カ月の入院が必要になるケースもあります。 退院後も通院による経過観察や内服治療が必要になることが多いです。 脳膿瘍は再発しますか? 脳膿瘍は手術後に再発する可能性があります。 原因菌の残存や感染源の治療不十分、免疫力の低下などが主な要因です。 再発を防ぐには、適切な手術と抗菌薬治療、原因疾患の治療、定期的な経過観察、免疫力の維持が大切です。 脳膿瘍の手術に不安を感じていますが事前にできることはありますか? 脳膿瘍の手術を受ける前には、医師と話し合い、治療内容をきちんと理解しておくことが大切です。 また、少しの悩みでも医師や家族に話しておくことで、不安を軽減できます。 手術に対して少しでも不安や迷いがある方は、どうか一人で抱え込まずにご相談ください。 リペアセルクリニックでは、どんなに小さな悩みでも、丁寧に対応いたします。「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて、当院へお気軽にご相談ください。 脳膿瘍の開頭手術後、日常生活にどのような影響がありますか? 脳膿瘍に対して開頭手術を受けたあとは、脳や身体の回復に時間がかかるため、しばらくの間は日常生活に制限や注意が必要となります。 術後しばらくの生活としては以下の点に注意が必要です。 安静が必要 手術直後はベッド上での安静が中心となり、少しずつ歩行や動作を再開していく 清潔の管理 頭部の管が抜けるまではシャワーを控え、抜去後に医師の指示のもとで洗髪や入浴が可能になる 食事・排泄 最初は点滴や制限がある場合もあるが、状態が安定すれば通常の食事やトイレでの排泄に戻れる また退院後の日常生活の注意点としては以下の通りです。 転倒予防 退院直後はふらつきや疲れやすさが残ることがあるため、歩行には注意が必要 再発・感染のチェック 発熱や強い頭痛、意識の変化があれば、すぐに医療機関へ連絡する 生活習慣の整え バランスのとれた食事や十分な睡眠を行う 社会復帰のタイミング 仕事や車の運転などは、主治医の判断に基づいて再開の時期を決める 脳膿瘍の開頭手術後は、回復に合わせて少しずつ日常生活を取り戻していく流れになります。 退院できる頃には基本的な生活は可能になりますが、体力や神経の働きが完全に戻るには時間がかかる場合もあります。 焦らずに医師や看護師、リハビリスタッフと相談しながら、安心できる生活を取り戻していくことが大切です。 参考資料 (文献1) Robyn S. Klein「脳膿瘍」MSDマニュアル 家庭版, 2024年7月 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/09-%E8%84%B3-%E8%84%8A%E9%AB%84-%E6%9C%AB%E6%A2%A2%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E8%84%B3%E3%81%AE%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87/%E8%84%B3%E8%86%BF%E7%98%8D(最終アクセス:2025年5月12日) (文献2) 川副雄史ほか.「地域医療支援病院における細菌性脳膿瘍の臨床的特徴と 転帰不良因子の検討」, pp.1-14, 2022年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsne/27/1/27_15/_pdf(最終アクセス:2025年5月12日) (文献3) 山根 清美ほか.「臨床クイズ解答 突然右麻痺を呈した 1症例」『日本内科学会雑誌』97(6),, pp.1-3, 2008年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/97/6/97_1395/_pdf(最終アクセス:2025年5月12日) (文献4) 白井 誠「随意運動改善のための運動療法」, pp.1-5, 2003年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/icpt/2/1/2_1_15/_pdf(最終アクセス:2025年5月12日) (文献5) 鶴川俊洋,生駒一憲.「脳腫瘍・頭頸部がんのリハビリテーション」『ガンのリハビリテーション エビセンス&プラクティス』, pp.1-6, 2016 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/53/2/53_124/_pdf(最終アクセス:2025年5月12日) (文献6) 温井 めぐみほか.「小児脳腫瘍治療後の神経心理学的合併症についての手引き」『JCCG』, pp.1-59 https://jccg.jp/wp-content/uploads/tebiki_ver1.2_2020.9.30.pdf(最終アクセス:2025年5月12日) (文献7) 日本学術振興会「間脳・脳室内腫瘍患者の神経心理学的合併症および社会生活機能に関する調査研究」KAKEN, 2020年4月28日 https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20K19342/(最終アクセス:2025年5月12日)
2025.05.30 -
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「側頭葉てんかんの手術後の後遺症に強い不安を感じている」 「側頭葉てんかんの手術の内容が気になる」 側頭葉てんかんと診断され、手術を勧められているものの、術後の生活や後遺症に不安を抱えている方も多いでしょう。手術への不安を抱えたままでは、冷静な判断が難しくなります。 本記事では、側頭葉てんかん手術について解説します。 記事の最後には、側頭葉のてんかん手術と後遺症に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 \側頭葉てんかんの後遺症改善が期待できる再生医療とは/ 側頭葉てんかんは手術によって発作の軽減・消失が期待できる一方で、記憶障害・言語障害・視野障害などの後遺症が生じる可能性があります。 近年、こうした術後の機能低下や慢性的な神経症状の改善を後押しする選択肢として、幹細胞を用いた再生医療が注目されています。 身体機能(後遺症)の回復 リハビリ効果の向上 再発や症状悪化の予防 当院(リペアセルクリニック)では、側頭葉てんかん手術後の後遺症や機能回復に関する再生医療について無料カウンセリングを実施していますので、ぜひご相談ください。 また再生医療については、以下の動画でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/WDZayyLiOYc?feature=shared 側頭葉てんかん手術の内容 区分 項目 内容 手術の基本 手術の対象 側頭葉が原因のてんかん発作 適応の目安 薬で発作が抑えられない場合 手術の目的 発作の軽減・消失、生活の質の向上 主な術式 選択的海馬扁桃体摘出術 海馬と扁桃体の摘出による発作源の除去 海馬多切術 海馬に小さな切れ目を入れて異常信号を遮断 前側頭葉切除術 側頭葉前部と海馬・扁桃体の広範囲な切除 手術後の効果と注意点 得られる効果 発作の回数や強さの軽減、薬の減量、精神的負担の軽減 手術後の注意点 記憶障害・視野障害などの後遺症の可能性 術後の評価 発作の変化と機能障害の有無を定期的に観察 (文献1) 側頭葉てんかんは、脳の側頭葉から発作が始まるタイプのてんかんです。薬だけでは発作を十分に抑えられない場合は手術が検討されます。手術の目的は、発作の原因となる異常な脳組織を切除し、発作の頻度や強さを減らすことです。 代表的な術式には前側頭葉切除術や選択的扁桃体海馬切除術があり、いずれも発作の原因部位に直接アプローチする手術です。 手術によって発作の改善が期待できる一方で、記憶障害や視野障害などの後遺症が生じるリスクもあります。また、まれに術後てんかんと呼ばれる新たな発作が起こることもあり、手術を受けるかどうかは、リスクや効果、今後の生活への影響について医師とよく相談し、納得した上での判断が大切です。 側頭葉のてんかん手術で期待される効果 効果 内容 発作の消失・軽減 発作の制御による生活の自由度の向上、転倒やけがの予防、運転・就労・学業への支障の軽減 高い発作抑制率 発作の軽減や消失が期待される 薬の減量・中止の可能性 長期服薬からの解放、副作用(眠気・集中力低下など)の軽減、薬剤数の減少 生活の快適さの向上 薬への依存度の低下による自立度や活動範囲の拡大 精神的負担の軽減 発作への不安や孤立感の緩和、気分の落ち込みや不安感の改善 社会生活への前向きさの回復 自己肯定感の向上、人間関係や仕事・学業への意欲の回復 生活の質(QOL)の向上 安定した日常の獲得 側頭葉てんかんに対する外科的治療は、発作のコントロールを目的とした有効な選択肢です。 発作の消失・大幅な軽減が期待できる 抗てんかん薬の減量・服用から解放される可能性がある 精神的・心理的負担の軽減が期待できる 手術にはリスクも伴いますが、てんかんの発作を根本から改善する手段として、期待できるため、医師と相談した上で実施されます。 発作の消失・大幅な軽減が期待できる 項目 内容 発作の完全消失 発作の原因となる脳組織の切除による根本的な発作の消失 発作頻度の減少 発作の回数や強さの大幅な軽減による生活の安定 社会生活への前進 就労・運転・学業などへの制限の緩和 QOLの改善 発作の心配が減ることで得られる日常生活への不安解消 手術の主な目的は、発作の繰り返しを抑えることです。意識を失うような発作が続く場合は、運転や就労などに大きな支障が出るため、手術によって障壁を取り除ける可能性があります。 手術効果の程度には個人差があるものの、術前に発作の焦点が明確であるほど効果が期待できます。 抗てんかん薬の減量・服用から解放される可能性がある 項目 内容 薬の必要性の低下 発作の消失・軽減による服薬依存度の軽減 副作用からの解放 眠気・倦怠感・認知機能低下などからの回復 生活の質の向上 薬の影響を受けにくい、自由な日常生活の実現 活動範囲の拡大 集中力や意欲の改善による社会参加の促進 薬剤数の減少 多剤併用からの移行による身体への負担軽減 薬だけで発作を抑えきれない場合や副作用が日常生活に支障をきたす場合、手術は選択肢です。側頭葉てんかんの手術によって発作が十分に抑制されれば、薬の量を減らす、または中止できる可能性があります。 臨床報告でも、手術によって薬を減らせた実績が示されています。東京医科歯科大学のデータでは、発作が消失した患者の84%のうち、35%が抗てんかん薬の中止に成功しています。(参考:東京医科歯科大学脳神経機能外科) さらに、静岡てんかん・神経医療センターの調査では、術後2年で91%、15年以上経過しても85%の患者が発作のない、またはごく軽い状態を維持し、薬に頼らず安定した生活を送っていることが報告されています。(文献2) 精神的・心理的負担の軽減が期待できる 項目 内容 発作間欠期の精神症状の改善 発作がない時に生じる不安や抑うつ、感情の不安定さの軽減 感情コントロールの安定 脳の電気的な不安定さの改善による情緒の安定化 自己効力感の向上 発作への不安の軽減による自信と行動範囲の拡大 社会参加の再開 就労・学業・趣味・交流の再開による生活満足度の向上 生活の質の向上 精神的な充実感と生活全体の質の向上 薬の副作用の軽減 抗てんかん薬の減量・中止による眠気や気分変化の改善 精神的負担の軽減 薬や発作によるストレスの緩和と心理的な安定 (文献3) てんかん発作は、単なる身体症状にとどまらず、精神的なストレスや社会的な孤立感にもつながります。側頭葉てんかん手術によって発作が軽減されることで、精神的負担も軽減されます。 また、抗てんかん薬の副作用として見られる気分の落ち込みや集中力の低下も、服用量の減少によって改善する可能性があります。 手術の効果は、発作の抑制だけでなく、日常の不安解消や人間関係の改善といった心理的側面にも良い影響をもたらすことが期待されます。 側頭葉のてんかん手術で起こりうる後遺症 後遺症の種類 内容 認知機能の低下 記憶力・注意力・思考力の低下による日常動作の困難 視野障害 見える範囲が狭くなることによる歩行や運転時の支障 言語機能の低下 言葉の理解や表現の困難、会話時の不自由さ 感情の不安定さ 怒りや不安、落ち込みなど情緒の変動の起こりやすさ 運動麻痺・感覚障害 手足の動かしにくさや、しびれ・感覚の低下 側頭葉は、記憶や言語、感情などの重要な機能を担っています。そのため、手術によって発作が抑制される一方で、一定の後遺症が生じる可能性もあります。 手術の有効性だけでなく後遺症についても理解しておく必要があります。 認知機能の低下 障害の種類 症状 発症のメカニズム 記憶障害 新しい情報の記憶困難、過去の出来事の想起困難 新しい情報の記憶困難、過去の出来事の想起困難 側頭葉(とくに海馬)への影響による記銘力・想起力の低下。左右で記憶の種類に差異あり 言語機能の低下 単語が出てこない、話や文章の理解が難しくなる 左側頭葉の損傷による言語中枢への影響(ウェルニッケ野など) 注意・集中力の低下 情報処理速度の低下、同時処理の困難 側頭葉と前頭葉の連携低下による認知負荷の上昇 遂行機能の低下 計画性の低下、問題解決の困難、行動の抑制低下 前頭葉とのネットワーク機能の変化による高次認知機能の障害 感情・社会性の変化 感情の起伏の変化、他者理解の困難 扁桃体や前頭側頭ネットワークの影響による情動調整や社会的認知の変化 側頭葉は記憶や理解力に関わる重要な領域です。そのため、側頭葉てんかんの手術後には、記憶力や集中力といった認知機能の低下がまれに起こることがあります。 記憶障害や注意力の低下といった認知面の変化が生活に支障をきたす可能性があるため、手術を検討する際は、このようなリスクもしっかり理解した上で、医師と相談しながら判断するのが大切です。 視野障害 障害の種類 原因 特徴や補足 上方視野欠損(上方同名性四分盲) 手術中の視放線下位線維の損傷 上1/4の視野が見えにくくなる。本の上部が読みづらい、標識に気づきにくいなど 半盲などの広範な視野欠損 広範囲の視覚経路の損傷 左右どちらかの視野が半分見えない可能性 一時的な視野障害 術後の脳浮腫や出血による圧迫 一時的に視覚情報の伝達が障害されることがある (文献4) 後遺症として起こる視覚障害は、手術によって視覚情報を処理する神経の一部が影響を受けた場合に生じるものです。視覚障害の中でも上1/4の視野が見えにくくなる症状が報告されています。 1/4の視野が見えにくくなる症状は日常生活に支障をきたすこともありますが、失明ではないため、見えない範囲を他の視覚で補う動作が習慣化し、時間とともに生活の不便さは軽減されていく傾向があります。 言語機能の低下 障害の種類 特徴 聴覚性言語理解の低下(ウェルニッケ失語) 他人の話す内容の理解困難、返答の不自然さ、自身の発話の意味不明瞭化 語想起困難(健忘失語) 名前や言葉の思い出し困難、指示語の多用、会話中の言葉詰まり 構文理解の低下 複雑な文や受動表現の理解困難 発語の流暢性の低下(ブローカ失語) 単語の区切り話し、不自然な文法、話すスピードの低下 呼称の錯誤 物の名前の言い間違い(例:「りんご」を「みかん」と言う) 失読・失書 読む力・書く力の低下(失読・失書) 高次言語機能の障害 比喩や冗談、文脈の理解の困難、不適切な言葉の選択 (文献5) 側頭葉の中でも、とくに左側にはウェルニッケ野や側頭回といった言語理解・記憶に関わる重要な領域が存在します。手術で影響を受けると、言語理解や発語の流暢性、記憶といった機能に障害(失語症)が生じる可能性があり、会話や業務に支障を及ぼしかねません。 対して、術後の言語リハビリで徐々に回復するケースも少なくありません。元の状態に戻るとは限りませんが、継続的なトレーニングで日常生活へ復帰は期待できます。 感情が不安定になる 側頭葉は感情のコントロールに関わる脳の重要な領域であり、内側には扁桃体や海馬など、感情処理を担う構造が含まれます。手術によってこれらの部位や、前頭葉との神経ネットワークに影響が及ぶことで、一時的に怒りっぽくなったり、涙もろくなったりするなど、感情の変化が生じることがあります。 感情の変化には個人差があるため、術後は医師やカウンセラー、家族と連携し、心のケアも含めたサポートを受けることが大切です。 運動麻痺や感覚障害 障害の種類 症状 片側の運動麻痺(不全麻痺を含む) 手足の力の入りにくさ、動作の鈍さ、細かい作業の困難 顔面神経麻痺(軽度なことが多い) 口角の下がり、まぶたの閉じにくさ 片側の感覚障害 手足のしびれ、ピリピリ感、鈍さ、ジンジンとした違和感 顔面の感覚障害 頬や唇などの感覚低下や違和感 側頭葉てんかんの手術は、通常、運動や感覚を司る領域からは離れていますが、まれに脳の深部にある神経経路(内包や視放線など)に近づくことで、影響が及ぶことがあります。その結果、手足の麻痺やしびれ、顔の感覚異常などが術後に現れる可能性があります。 万が一、術後に一時的な麻痺やしびれが現れた場合でも、早期からのリハビリによって改善が見込めるため、手や足の動き、顔や体の感覚に違和感を覚えた場合は、早急に医療機関を受診しましょう。 側頭葉てんかん手術で起こりうる後遺症の対策 対策 内容 手術前の準備を怠らない 精密検査によるリスクの把握と手術計画を立てる 手術後のリハビリテーション 運動・言語・感情面の機能回復を目指す継続的な訓練 メンタルケアを怠らない 感情の変化や不安への対応としてのカウンセリングや薬物療法 家族や職場への情報共有 周囲の理解とサポートを得るための適切な説明と連携 側頭葉てんかんの手術後に生じる後遺症に備えるには、事前の対策と周囲の協力が大切です。 術後は、運動や言語機能、感情面のリハビリを継続的に行うことで、回復が期待できます。 手術前の準備を怠らない カテゴリー 項目 内容 術前評価と情報収集 神経学的検査 運動や感覚の異常の有無を確認 MRI・脳波検査 病巣や発作の場所の特定と切除範囲の計画 神経心理学的検査 記憶・言語・注意などの認知機能の評価 MEG・PET検査 脳の活動領域や血流の確認 医師とのコミュニケーション 手術内容・効果・リスクの十分な理解と納得 健康状態の管理 基礎疾患の管理 高血圧・糖尿病などの安定化 禁煙・禁酒 術後合併症リスクの低減 栄養改善・睡眠 体力と免疫力の維持、心身の安定 感染予防 手洗い・うがいの徹底 術後の生活準備 リハビリ計画 術後の身体・言語機能の回復支援 生活環境の整備 家の段差・手すり設置などへの対策 精神的サポート 家族・専門家との連携による心のケア (文献6) 側頭葉てんかん手術に備えるには、術前の精密検査と体調管理が重要です。MRIや脳波、心理検査で脳の状態を把握し、医師と手術計画を立てます。 高血圧や糖尿病の管理、禁煙・禁酒、栄養や睡眠の改善、感染予防も大切です。術後に向けては、リハビリや生活環境の準備、家族との連携を整えることで、スムーズな回復と社会復帰が目指せます。 手術後のリハビリテーション 項目 内容 リハビリの目的 機能回復、日常生活の自立支援、社会復帰の促進 開始時期 容体安定後、医師の許可を得て開始 リハビリ内容 筋力や動作の訓練、感覚刺激、記憶や注意のトレーニング、言語や嚥下の練習 実施場所と期間 病院内または外来・訪問、数週間〜数カ月以上の継続もあり (文献7) 側頭葉てんかんの手術後は、発作の軽減に加え、機能の回復を目的としたリハビリが大切です。術後に現れる可能性のある運動麻痺、感覚障害、言語障害、記憶や注意力の低下、感情の不安定さなどに対して、医師の指導のもと、リハビリが実施されます。 理学療法では筋力やバランスの回復を、作業療法では日常動作の改善を目指します。言語聴覚療法では、言葉の理解や発話、飲み込みの訓練を行い、心理的な不安にはカウンセリングが効果的です。リハビリは術後の安定を確認し、早期に始めるのが望ましく、脳の回復力を引き出す上でも重要です。 期間には個人差がありますが、数週間から数カ月以上に及ぶこともあります。リハビリの継続や家族や医師のサポートが社会復帰への大きな助けとなります。 メンタルケアを怠らない メンタルケアの工夫 内容 感情の変化を受け止めること 不安・落ち込み・イライラを否定せず、手術後の一時的な影響として受け入れる姿勢 誰かに悩みを話すこと 家族・友人・医療スタッフとの会話による気持ちの整理 リラックスできる時間を持つこと 趣味、音楽、散歩、入浴など、心地よく過ごせる時間の確保 質の高い睡眠と休息の確保 睡眠環境の整備と、日中の適切な休憩による心身の回復 適度な運動の継続 医師の指導のもとでの軽い運動による気分転換とストレス軽減 栄養バランスの取れた食事 規則正しい食生活による心身の安定 焦らず自分のペースで回復を目指すこと 比較を避け、少しずつの変化を前向きに捉える姿勢 サポートグループへの参加(可能な範囲で) 同じ経験を持つ人との交流による孤独感の緩和と情報共有 (文献8)(文献9) 側頭葉てんかんの手術後は、身体的な回復だけでなく、心のケアも欠かせません。一方で後遺症や再発、社会復帰などの不安を抱える方もいます。また、側頭葉は感情を司る脳領域と深く関係しているため、術後に気分の浮き沈みや情緒の不安定さが生じることもあります。 このような変化は一時的な場合もありますが、放置すれば生活や人間関係に悪影響を及ぼすことがあるため、早めの対処が大切です。 家族や職場への情報共有 共有のタイミング 内容 手術前 検査内容の説明や不安の共有を行う 手術直後 手術結果や一時的な症状の可能性を家族に伝えておku 入院中 リハビリの進み具合や接し方の注意点を家族に理解してもらう 退院時 自宅での注意点や服薬・体調管理について家族と連携する 職場・学校への伝達 復帰時期や配慮が必要な症状について職場や学校と相談する 長期的なサポート 院や体調変化への理解と協力を周囲に求めておく (文献8)(文献10) 側頭葉てんかんの手術後の生活を円滑に進めるには、家族や職場との情報共有が欠かせません。術後は一時的に認知機能や感情面に変化が現れることがあり、周囲の理解があるかどうかで支援の質や生活のしやすさが大きく変わります。 家族には、手術内容や後遺症の可能性、リハビリの方針、日常生活での注意点をわかりやすく伝えることが大切です。職場にも復職に向けて、通院リハビリの調整や業務内容の見直しなどを相談しましょう。 不安を一人で抱え込まず、周囲と協力しながら環境を整えることが、回復に役立ちます。 側頭葉てんかん手術後の後遺症でお悩みの方はご相談ください 側頭葉てんかんの手術後に現れる後遺症は、生活の質に影響しやすく、人には相談しづらい悩みも多くあります。 当院(リペアセルクリニック)では、そうした術後のお悩みに丁寧に耳を傾け、幹細胞を用いた再生医療を組み合わせることで回復をサポートしています。 【再生医療で期待できること】 身体機能(後遺症)の回復 リハビリ効果の向上 再発や症状悪化の予防 リハビリだけでは改善が難しい慢性的な神経症状に対しても、新たな治療の選択肢として再生医療が注目されています。 一人で悩まずに少しでも改善の可能性を探したいという方は、当院(リペアセルクリニック)の無料電話相談にてお気軽にご相談ください。 側頭葉のてんかん手術と後遺症に関するよくある質問 側頭葉てんかんの手術は誰でも受けられますか? 側頭葉てんかんの手術は、すべての方が受けられるわけではありません。薬で発作が十分に抑えられないことや、発作の原因となる部位が明確に特定できること、さらに手術による効果とリスクのバランスが取れていることなど、いくつかの条件を満たす必要があります。 手術を受けるタイミングはいつですか? 側頭葉てんかんの手術を受けるタイミングは一概に決まっておらず、病状や年齢、生活状況、治療への希望によって異なります。医療機関での診察結果に基づき、医師の指示に従いましょう。(文献11) 手術の後遺症は元に戻すことはできますか? 側頭葉てんかんの手術後に生じる後遺症の回復には個人差があり、軽度なものは自然回復やリハビリによる改善が期待できます。 一方で、脳の損傷が大きい場合は、回復が難しいこともあります。根本的な治療法は限られますが、環境整備やリハビリによって機能の維持や生活の質の向上を図ることは可能です。(文献12) 退院後すぐに元の生活に戻れますか? 側頭葉てんかんの手術後の生活復帰には個人差があり、回復状況や生活の内容によって大きく異なります。 一般的にはすぐに元の生活に戻るのは難しく、術後は安静を保ちながら段階的に復帰を目指します。復帰までには数週間から数カ月かかることが一般的です。 参考資料 (文献1) 奥村 修三.「頭蓋内手術後の突発性脳波異常の出現とてんかん性痙攣発作の危険性及び抗痙攣剤の使用について」35(6), pp.1-4, https://www.jstage.jst.go.jp/article/iryo1946/35/6/35_6_527/_pdf(最終アクセス:2025年5月12日) (文献2) 国立保険医療科学院「側頭葉てんかん外科手術後の記憶障害機構の解明」厚生労働科学研究成果データベース , 2015年5月21日 https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/21416(最終アクセス:2025年5月12日) (文献3) 原 広一郎ほか.「てんかんとメンタルヘルスについて」『千葉県循環器病センター/てんかんセンター医療法人静和会 浅井病院』, pp.1-20, 2024年 https://www.pref.chiba.lg.jp/junkan/shinryoka/shinkate/documents/mentaruherusu.pdf(最終アクセス:2025年5月12日) (文献4) 岩崎 真樹.「てんかんの外科治療」『国立精神・神経医療研究センター病院 脳神経外科』, pp.1-21, 2020年 https://epilepsy-center.ncnp.go.jp/pdf/200808_document_03.pdf(最終アクセス:2025年5月12日) (文献5) 曽根大地ほか.「世界で初めて側頭葉てんかんの根治治療に最適な脳の切除範囲を同定〜術後の言語記憶障害のリスクを従来の 8 分の1に〜」『東京慈恵会医科大学』, pp.1-4, 2021年 https://www.jikei.ac.jp/news/pdf/press_release_20211126.pdf(最終アクセス:2025年5月12日) (文献6) 三嶋健司.「てんかん外科に必要な看護」『国立精神・神経研究センター病看護部3階南病棟』, pp.1-15, https://epilepsy-center.ncnp.go.jp/pdf/201219_document_07.pdf(最終アクセス:2025年5月12日) (文献7) 藤川真由.「てんかんリハビリテーションと社会制度の今」, pp.1-5, 2021年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/38/4/38_569/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年5月12日) (文献9) 「てんかんとともに働き暮らすために」『社団法人日本てんかん協会』, pp.1-128 https://www.jea-net.jp/wp-content/uploads/2018/11/useful_pdf_08.pdf(最終アクセス:2025年5月12日) (文献9) 田中優.「てんかん患者さんの社会復帰支援・精神科デイケアについて」『NCNP病医院 国立精神・神経医療研究センター』, pp.1-12 https://epilepsy-center.ncnp.go.jp/pdf/240721_document1_08.pdf(最終アクセス:2025年5月12日) (文献10) 福智 寿彦.「てんかん患者の自立と社会参加支援」, pp.1-7,2014年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjghp/26/1/26_21/_pdf(最終アクセス:2025年5月12日) (文献11) 石下 洋平,川合 謙介.「てんかん外科治療の適切なタイミング」『脳と発達』, pp.1-7, 2020年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/ojjscn/52/4/52_223/_pdf/-char/en(最終アクセス:2025年5月12日) (文献12) 向野 隆彦.「側頭葉てんかんにおける記憶障害」『臨床神経学』34(7), pp.1-7, 2024年 https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/064070453.pdf(最終アクセス:2025年5月12日)
2025.05.30 -
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「最近、いびきがひどいと家族に言われて気になっている」「朝起きるとのどが渇いている」 そんな悩みを持っていませんか? いびきは命の危険を伝えるサインの場合があります。 厚生労働省が発表している「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でもいびきの危険性が指摘されています。(文献1) いびきは睡眠時無呼吸を引き起こし、放っておくと脳梗塞につながる危険な症状のひとつです。 この記事ではいびきと脳梗塞の関係性や危険なサインの見分け方、予防法について解説します。 自分のいびきが気になる方、家族のいびきに異変を感じている方はぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 いびきについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 脳梗塞といびきの関係 脳梗塞といびきは密接に関係しています。 脳梗塞の発症がいびきを引き起こすケースがある一方で、慢性的ないびきが脳梗塞の原因となることもあります。 とくに睡眠中に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」は、死亡リスクの高い脳梗塞や心不全を併発する恐れがある疾患です。本人が睡眠中の症状を把握することは困難なため、起床時や日中の体調変化に注意を払う必要があります。 脳梗塞が原因で起こるいびき これまで静かに就寝していた人が急に大きないびきをかくようになった場合や、いびきの音が不規則になった場合は、脳梗塞を発症している可能性があります。 脳梗塞は、脳の血管が詰まったり、細くなったりすることで血流が滞り、酸素やエネルギーが十分に行き渡らず脳細胞が破壊される病気です。 脳梗塞により意識障害や麻痺を起こすと、喉周辺の筋肉が弛緩し、重力によって舌が気道を塞ぐことで激しいいびきを引き起こすのです。 脳梗塞が原因のいびきには、以下の症状が同時に見られることがあります。 揺すっても起きない 手足の動きが鈍い、または麻痺している 呼吸が不規則、または息が止まることがある とくに意識が朦朧としている状態では一刻を争います。 直ちに医療機関を受診するか、救急車を呼んでください。 脳梗塞の症状や原因など、包括的な解説は以下のページもご参照ください。 いびきが引き金で起こる脳梗塞 いびきが脳梗塞を引き起こす原因になる場合もあります。 いびきは気道が狭くなることで、空気の通りが悪くなり生じます。 呼吸効率が低下すると血液中の酸素が不足し、心臓は不足分を補うために過度な負荷をかけて血液を送り出そうとします。 その結果、血圧が上昇し血管に負荷がかかることで、動脈硬化が進展し、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まるのです。 脳梗塞を含む脳卒中の再発予防や後遺症の治療としては、再生医療という選択肢もあります。再生医療について詳細は、以下のページをご覧ください。 睡眠時無呼吸症候群(SAS)による脳梗塞リスクの上昇 睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に10秒以上呼吸が止まっている状態が1時間に5回以上繰り返される病態を指します。(文献2) 診断には「睡眠ポリグラフ検査」が用いられ、時間あたりの無呼吸・低呼吸の合計回数を示す「無呼吸低呼吸指数(AHI)」で重症度を判定し、数値が高いほど重症と判断されます。睡眠中に呼吸が止まる時間が長くなるほど身体への負担は増加しがちです。 睡眠中に無呼吸が生じると、血中の酸素濃度が低下します。酸素不足を補うため心臓への負荷が増大し、結果として血圧が上昇します。慢性的な血圧上昇は血管壁にダメージを与え、最終的に脳梗塞のリスク上昇につながるのです。 SASを疑うべき代表的な自覚症状には以下のものがあります。 【起床時に現れる症状】 口の中が渇いている、またはべたついている すっきり目覚められない、寝た気がしない 身体が重く疲労感がある 起床時に頭痛がする 夜中に何度も尿意で目が覚める 【日中の症状】 強烈な眠気に襲われ、集中力が維持できない 常に倦怠感があり、気分が沈みやすい これらの症状は、無呼吸による低酸素状態が血管を傷つけ、脳梗塞のリスクを高めている前兆です。 なお、海外で行われた研究では、脳卒中を発症または死亡した対象者1,022名のうち、697人(68%)が閉塞性睡眠時無呼吸症候群を患っていたことが示されました。(文献3) SASは睡眠中の症状であるため、自分では気づきにくい病気です。自覚症状が日常的に見られる場合はSASを疑い、専門医への相談を検討してください。 脳梗塞によるいびきが示す危険なサイン 慢性的にいびきをかいている人や、これまでとは異なる特徴的ないびき、身体症状を伴う場合は注意が必要です。この項目では、一刻を争う救急要請の目安となる「危険ないびき」のサインを解説します。 意識障害 睡眠中、家族が揺すってもまったく起きない、あるいは呼びかけに対して意識が朦朧(もうろう)としている状態でのいびきは、極めて危険なサインです。一刻を争うため、すぐに救急車を呼んでください。 脳梗塞による意識障害が生じると、喉や舌を支える筋肉のコントロールが失われます。その結果、舌根が沈下して気道を塞ぎ、いびきのような音が発生します。 このような状態では脳の機能が著しく低下しているため、直ちに医療機関を受診する必要があります。 手足の麻痺・顔のゆがみ いびきに加えて、身体の片側に麻痺やしびれが生じている場合は、脳梗塞の発症が疑われます。 脳血管が詰まると、その領域が司る運動機能に支障をきたし、手足の動きが鈍くなる、あるいは完全に動かなくなる症状が現れます。 脳卒中の兆候を判断する指標として、国際的な指標「FAST」というチェック法が推奨されています。(文献4) F(Face):顔の片側が下がっている、ゆがんでいる A(Arm):両腕を前に伸ばしたとき、片方が下がる S(Speech):言葉が出ない、ろれつが回らない T(Time):上記の症状が出た時刻を記録し、すぐに救急車を呼ぶ いびきとともにこれらの症状が一つでも確認された場合、脳梗塞の可能性が高く、時間が経つほど脳へのダメージが拡大します。 症状に気づいた時刻を記録し、すぐに119番へ連絡してください。 脳卒中の前兆について詳しく知りたい方は、以下もご参照ください。 チェーン・ストークス呼吸 脳梗塞などの脳血管障害によって呼吸中枢が正常に機能しなくなると、「チェーン・ストークス呼吸」と呼ばれる異常な呼吸パターンが現れることがあります。 これは、呼吸が徐々に深くなった後に浅くなり、一時的に止まるというパターンを繰り返す異常呼吸です。 呼吸を再開する際や深くなる瞬間に、いびきに似た激しい喉の音を伴います。本人は気づきにくいため、家族や同室者が異変に気づくケースが多い症状です。 この呼吸は心不全や重度の脳障害の可能性があり、生命に関わる危険な状態です。 すぐに声をかけて反応を確認し、意識がない場合は救急車を呼んでください。 けいれんを伴ういびき 脳梗塞の影響で、てんかん発作によるけいれんといびきが同時に起こる場合があります。 体が硬直する、手足がガクガクと震えるといった動きを伴う場合はとくに危険な状態です。 発作中は気道が狭まりやすく、いびきのような音や荒い呼吸音が生じます。 けいれん中は無理に体を押さえたり、口に物を入れたりせず、体を横向きにして気道を確保しましょう。 発作が続く場合、または繰り返される場合はすぐに119番へ連絡してください。 脳梗塞による危険性(緊急性)が低いいびき すべてのいびきが脳梗塞と関係しているわけではありません。原因や症状の程度によっては、緊急性が低いいびきも存在します。自分や家族のいびきがどの状態に当てはまるかを把握し、適切な対処につなげましょう。 単純性いびき症 単純性いびき症とは、日中の疲労や飲酒、風邪症状などによって引き起こされる一時的ないびきです。危険性は低く、原因を解消することで治まる場合がほとんどです。 主な原因は以下の通りです。 心身的な疲労 飲酒 鼻づまりなどの風邪症状 単純性いびき症の場合でも、体格や骨格の影響で大きないびきが出る場合があります。慢性的なものでなければ、いびき用マウスピースの使用で軽減できる場合もあります。 上気道抵抗症候群 上気道抵抗症候群とは、睡眠中に喉や鼻といった上気道の空気の流れが滞り、呼吸がスムーズにできなくなる睡眠障害のひとつです。 いびきのほかに睡眠中の浅い呼吸、日中の強い眠気などの症状が見られます。 睡眠時無呼吸症候群と症状は似ていますが、重症度は低く、無呼吸低呼吸指数(AHI)が5未満の場合に該当します。 緊急性は低いものの、放置すると睡眠時無呼吸症候群に移行するリスクがあるため、慢性的ないびきや日中の眠気が続く場合は、早めの専門医への相談が勧められます。 脳梗塞後の後遺症といびきについて 脳梗塞を一度発症した後も、いびきの管理は重要です。 脳梗塞による後遺症がいびきを慢性化させ、さらなる再発リスクを高める悪循環が生じる場合があります。 いびきが慢性化する主な原因は以下の通りです。 運動麻痺:喉や口腔内の筋肉が麻痺することで、気道を維持する力が弱まり、睡眠中に気道が閉塞しやすくなります。 嚥下障害:飲み込みに関わる機能が低下すると気道のコントロールが難しくなり、呼吸リズムが乱れます。 意識レベルの低下:意識レベルが低下した場合、呼吸中枢の指令が乱れ、異常な呼吸音(いびき)や無呼吸が発生しやすい状態です。 後遺症によるいびきは、睡眠中の低酸素状態を引き起こし、脳の回復を妨げるだけでなく、脳卒中の再発リスクを上昇させます。 脳梗塞を発症した後にいびきが出始めた、または悪化したという場合は、早めに主治医に相談してください。 脳梗塞の予防といびき対策 脳梗塞の予防には、いびきの根本原因にアプローチし、睡眠中の呼吸状態を正常化させる必要があります。 とくに慢性的に大きないびきをかいている方は、生活習慣の改善と、専門的な治療の検討が有効です。 生活習慣の改善 単純性いびき症を除き、いびきの主な原因は肥満です。首の周りに蓄積した脂肪により、物理的に気道が圧迫されて狭くなるためです。 日本呼吸器学会の診療ガイドラインでは、体重が10%増加すると中等症の睡眠時無呼吸症候群(AHI15以上)を発症するリスクが6倍になると報告されています。(文献2) 適切な減量がいびきや睡眠時無呼吸症候群の改善につながります。減量療法は、食事と運動の2つの柱を中心に行います。 食事療法の徹底:摂取カロリーの管理と栄養バランスの適正化 継続的な運動:体重の増減にかかわらず、運動自体が気道を支える筋肉の緊張を維持し、AHIを改善させる また、横向き寝や飲酒のタイミングの見直しも効果的です。 仰向け寝は重力で舌根が沈下しやすいため、抱き枕などを用いて側臥位(横向き)を保つことでいびきを抑制できます。 アルコールは喉周辺の筋肉を弛緩させ、気道が塞がりやすい状態を作ります。就寝前の飲酒はいびきを悪化させるため、量と時間帯に注意が必要です。 減量や生活習慣の改善だけで改善が見られない場合は、早めに専門医に相談し、別の治療も検討してください。 医療機関での治療 生活習慣の改善で効果が不十分な場合、医療機関での治療が選択肢になります。主な治療法は以下の2点です。 CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法):睡眠中に鼻に装着したマスクから空気を送り込み、気道を持続的に開いた状態に保つ治療法です。中等症以上の睡眠時無呼吸症候群に対して有効性が認められています。 マウスピース(口腔内装置):睡眠中に装着することで下顎を前方に固定し、気道を広げる治療法です。軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群や、CPAPが使用しにくい場合の代替治療として用いられます。 どちらの治療法が適しているかは症状の重症度によって異なります。 まずは医療機関で睡眠検査を受け、専門医の判断のもとで治療法を選択してください。 【脳梗塞のいびきへのアプローチ】再生医療」という選択肢 脳梗塞の後遺症や再発リスクの管理において、急性期の薬物療法や外科的治療、その後のリハビリテーションが重要です。近年はこれらに加え、再生医療という選択肢が注目されています。 再生医療とは、患者さん自身の細胞を活用して、損傷した組織の修復・再生を目指す治療法です。 リペアセルクリニックでは、脂肪由来の幹細胞を用いた治療を提供しています。 脳梗塞によってダメージを受けた脳神経へのアプローチを目的とし、入院を必要とせず、日帰りでの施術が可能です。 標準治療やリハビリを続けながらも、後遺症や再発への不安が残る方にとって、再生医療は新たな選択肢となります。脳卒中の再発予防や後遺症でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。 脳梗塞といびきの関係性を理解して適切に対応しよう 脳梗塞といびきは、双方向の深い関係があります。 いびきは気道が狭まり、呼吸効率が低下することで起こります。 心身の疲労や風邪などによる一時的ないびきであれば過度な心配は不要ですが、慢性的にいびきをかいている場合は注意が必要です。気道が狭まった状態が続くと血液中の酸素が不足し、血圧上昇や血管へのダメージを通じて脳梗塞のリスクが高まります。 また、脳梗塞を発症したサインとしていびきが生じることもあります。揺すっても起きない、呼吸がおかしいなど普段と異なる症状が見られたら、すぐに医療機関を受診しましょう。 いびきが慢性化すると、睡眠時無呼吸症候群に移行するリスクがあります。日中に強い眠気がある、夜中に目が覚めるといった症状が続く場合は、早めに専門医に相談してください。 いびきの主な原因は肥満です。食生活の改善や適度な運動による生活習慣の見直しが有効です。 脳梗塞を含む脳卒中の再発予防や後遺症でお悩みの方は、再生医療という治療の選択肢もあります。再生医療について気になる方は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にお問い合わせください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 いびきについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 脳梗塞といびきに関するよくある質問 危険ないびきの見分け方はありますか? 以下の4つのサインが見られる場合、脳梗塞の可能性があります。 意識障害:揺すっても起きない、声をかけても反応がない 手足の麻痺・顔のゆがみ:片側の手足が動かない、顔が左右非対称にゆがんでいる 呼吸の異常:呼吸が深くなったり浅くなったりを繰り返し、一時的に止まる(チェーン・ストークス呼吸) けいれんを伴ういびき:体が硬直する、手足がガクガクと震えるなどのけいれんを伴ういびき このような症状が見られた場合は、すぐに救急車を呼んでください。 脳梗塞の前触れとなる症状はありますか? 脳卒中(脳梗塞・脳出血など)のサインとして、世界的に「FAST」という指標が用いられます。 F(Face):顔の片側が下がっている、ゆがんでいる A(Arm):両腕を前に伸ばしたとき、片方が下がる S(Speech):言葉が出ない、ろれつが回らない T(Time):上記の症状が出た時刻を記録し、すぐに救急車を呼ぶ これらの症状は、いびきが始まる前、あるいは同時に現れやすい重要な前兆です。 一過性で数分以内に消える場合もありますが、油断は禁物です。一過性脳虚血発作(TIA)の可能性があり、その後に本格的な脳梗塞を発症するリスクがあります。症状が治まったからと安心せず、必ず医療機関を受診してください。 脳卒中の前兆となるサインについて、以下もご参照ください。 意識を失いいびきをかくのはどういう場合ですか? 主に以下の3つの病態が考えられます。 1. 脳梗塞による意識障害:脳のダメージで意識が低下し、喉の筋肉が弛緩して気道を塞ぐことで大きないびきが生じます。 2. チェーン・ストークス呼吸:脳の呼吸中枢が障害され、無呼吸と大きな呼吸(いびき音を伴う)を交互に繰り返す異常呼吸です。 3. けいれん発作:脳梗塞に伴うてんかん発作により、意識消失と筋肉の硬直、および激しいいびきが同時に発生することがあります。 いずれの場合も脳梗塞の可能性があり、一刻を争います。このような症状が見られた場合は、救急車を呼びましょう。 参考文献 (文献1) 健康づくりのための睡眠ガイド2023 (文献2) 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020|日本呼吸器学会 (文献3) Obstructive sleep apnea as a risk factor for stroke and death. (文献4) Stroke Symptoms|American Stroke Association
2025.05.27 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
「交通事故でけがをしてから、頭痛が続いている」 「首や目の奥が痛んだり、めまいを起こしたりしている」 このような症状でお悩みではありませんか? けがをしていないのにもかかわらず頭痛やめまいが急に現れて、辛い思いをされている方も多いでしょう。これらの症状は、低髄液圧症候群が原因の可能性があります。 本記事では低髄液圧症候群を発症する原因や診断基準、検査方法、治療方法などについて紹介します。 低髄液圧症候群を初めて知った方に役立つ内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。 低髄液圧症候群の原因は大きく2つに分けられる 低髄液圧症候群の原因は、大きく分けると以下の2つです。 外傷性の原因 外傷性以外の原因 外傷性の原因 文字どおり、なんらかの外傷により引き起こされるものです。主なものを以下に示しました。 交通事故による頭部打撲やむち打ち症 仕事中の事故 スポーツ時の外傷 階段昇降時の転倒 自転車運転中の転倒 低髄液圧症候群の大半は外傷によるものとされており、軽くしりもちをついただけで発症するケースもあります。 外傷性以外の原因 外傷性以外の原因としては、腰椎穿刺検査や腰椎麻酔、脳神経外科手術といった、医療行為によるものが考えられます。(文献1) 医療行為以外に原因としてあげられるものは、主に以下のとおりです。 整体治療 出産 発熱による脱水症状 外傷性、外傷性以外にかかわらず、原因が特定できないケースもあります。 低髄液圧症候群とは 低髄液圧症候群とは、脳脊髄液の漏れにより髄液の圧力が低下して、頭痛やめまい、首や背中の痛みなどを引き起こす疾患です。しかし実際には、髄液の圧力低下が測定できないケースも存在するため、脳脊髄液減少症と呼ばれることもあります。 低髄液圧症候群と脳脊髄液減少症の違いは、診断方法確立の有無です。低髄液圧症候群はMRI画像や腰椎穿刺検査などで診断されますが、脳脊髄液減少症は明確な診断方法が確立されていません。 国際的には、低髄液圧症候群が病名として主に使用されています。 脳脊髄液減少症について詳しく知りたい方は、以下の記事をあわせてご覧ください。 低髄液圧症候群の特徴的な症状は起立性頭痛です。(文献1)起立性頭痛の場合、立ったり座ったりすると痛みが強くなります。 その他の症状としては、以下のようなものがあげられます。 体のだるさ 不眠 食欲の低下 集中力の低下 記憶力の低下 低髄液圧症候群は、頭痛やめまいなどに加えて、精神・心理的症状が見られるため、片頭痛や緊張性頭痛、うつ病などと誤解されやすい疾患です。 低髄液圧症候群の診断基準 低髄液圧症候群の診断基準は、前提基準と大基準の2種類です。(文献2) 前提基準は2項目、大基準は3項目存在しており、「前提基準1項目+大基準1項目以上」に該当した場合に低髄液圧症候群と診断されます。 前提基準 前提基準の1つ目は起立性頭痛、2つ目は体位による症状の変化です。両者を表で示しました。 前提条件 詳細 起立性頭痛 頭部全体が鈍く痛む 立ったり座ったりすると、痛みが強くなる 体位による症状の変化 項部硬直(こうぶこうちょく) 耳鳴り 聴力低下 光過敏 吐き気 項部硬直とは、首から後ろにかけての筋肉のこわばりを指します。光過敏とは、少しの光でもまぶしさや不快感を覚える症状です。 大基準 大基準は、以下に示した3点です。 造影MRIでびまん性の硬膜肥厚増強 腰椎穿刺にて髄液圧の低値(60mmH2O以下)の所見 髄液漏れを認める画像所見 びまん性の硬膜肥厚増強とは、脳内の硬膜が広い範囲で厚くなっている状態で、MRI検査で確認できます。 髄液圧の正常値は、健康な成人の場合70~200mmH2Oとされています。(文献2) 髄液漏れを認めるための画像検査については、確立された方法がありません。CTミエログラフィーやMRミエログラフィー、RI脳槽シンチグラムなどを組み合わせて行います。 低髄液圧症候群の検査方法 低髄液圧症候群の検査としては、MRI検査や腰椎穿刺検査、RI脳槽シンチグラムなどです。これらの検査で、髄液圧や髄液漏れについて詳しく調べます。患者からの病歴聴き取りも必要な情報です。 検査方法について詳しく知りたい方は、以下の記事をあわせてご覧ください。 低髄液圧症候群の治療法 低髄液圧症候群の治療法は、主に以下の2種類です。 保存療法 ブラッドパッチ療法 保存療法 保存療法の基本は、安静と十分な水分補給です。 自宅での水分摂取とは別に、必要に応じて、生理食塩水の点滴を1~2週間程度行う場合もあります。点滴の量は、1日1,000~2000ml程度です。 髄液は1日につき約500ml作られます。脳や脊髄を守るために必要な髄液を作るには、十分な水分補給が欠かせません。 ブラッドパッチ療法 ブラッドパッチ療法は、自分の血液を硬膜外に注入して、髄液の漏れを塞ぐ治療法です。硬膜とは、脊髄を覆っている一番外側の膜です。硬膜外から注入された血液中の成分が、のりの役割を果たします。必要に応じて、X線により注入部の様子を観察しながら行う場合もあります。 ブラッドパッチ療法は、平成28年4月から保険適用されました。(文献3) 低髄液圧症候群の原因を把握し医療機関の受診を検討しよう 低髄液圧症候群の原因は、外傷性と非外傷性の2つに分けられます。非外傷性には、原因不明(特発性)のものも含まれます。 いずれの原因においても症状は共通しており、特徴的な症状は起立性頭痛です。それ以外にも、耳鳴りや吐き気、光過敏などの症状があれば、速やかに医療機関を受診しましょう。主な診療科は、脳神経外科です。 多くの都道府県ホームページでは、検査・治療ができる医療機関を紹介しています。医療機関の受診を検討している方は、検索してみると良いでしょう。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。低髄液圧症候群と思われる症状でお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。 低髄液圧症候群の原因に関するよくある質問 低髄液圧症候群を発症した芸能人は誰ですか? 俳優の米倉涼子さんが、低髄液圧症候群を発症しました。まっすぐに歩くことや立ち上がることが困難になり、一時は芸能界引退も覚悟したとテレビ番組で話しています。 脳脊髄液減少症を発症した芸能人については、以下の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。 低髄液圧症候群は慢性疲労症候群と関連していますか? 低髄液圧症候群と慢性疲労症候群との関連は不明です。 慢性疲労症候群とは、検査や診察で異常が認められないものの、日常生活を送ることが難しいほどの重度の疲労感が続く疾患です。症状としては、強い疲労感や頭痛、集中力低下、抑うつなどがみられます。低髄液圧症候群と似ている症状も少なくありません。 慢性疲労症候群は感染性疾患や免疫の異常、遺伝や環境要因に関連していると考えられますが、はっきりとした原因は解明されていません。 ベルギーの研究者によって執筆された論文では、脳脊髄液圧の上昇と慢性疲労症候群が関与している可能性が示されています。(文献4) 参考文献 (文献1) 戸田茂樹ほか.「低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)」『日本医科大学医学会雑誌』3(1), pp.44-45, 2007年 https://www.nms.ac.jp/sh/jmanms/pdf/003010044.pdf(最終アクセス:2025年4月23日) (文献2) 松本英之,宇川 義一.「脳脊髄液減少症」『日本内科学会雑誌』100(4), pp.1076-1083, 2011年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/100/4/100_1076/_pdf(最終アクセス:2025年4月23日) (文献3) 一般社団法人日本脳脊髄液漏出症学会「日本脳脊髄液漏出症学会公式診療マニュアル」一般社団法人日本脳脊髄液漏出症学会ホームページ https://js-csfl.main.jp/guideline.html(最終アクセス:2025年4月23日) (文献4) Mieke Hulens, et al.(2023).The Link Between Empty Sella Syndrome,Fibromyalgia, and Chronic Fatigue Syndrome: TheRole of Increased Cerebrospinal Fluid Pressure.Journal of Pain Research, 2023(16), pp.205-219. https://www.dovepress.com/article/download/81240(最終アクセス:2025年4月23日)
2025.04.30 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
「けがをしてから頭痛やめまいが続いている」 「ネットで検索してみたところ、脳脊髄液漏出症や脳脊髄液減少症といった病名が出てきた」 「この2つの違いは何だろう」 自分の症状を調べる中で、2つの疾患を見つけた方もいらっしゃるでしょう。 結論から申し上げますと、脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症はいくつか違いはあるものの、症状や治療法はほぼ同じです。 本記事では、脳脊髄液漏出症や脳脊髄液減少症の違いと共通点を中心に解説します。 異なる2つの病名が存在する理由がわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。 脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症の違い 脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症の違いとして挙げられるのは、主に以下の2点です。 疾患名の違い 病態の違い 疾患名の違い 疾患名が異なる理由として、歴史的背景や診断基準の有無があります。両者を表にまとめました。 脳脊髄液漏出症 脳脊髄液減少症 歴史的背景 1938年、腰椎穿刺後の頭痛と似た症状を示す病気として初めて報告された。 報告者は、ドイツの神経内科医ゲオルク・シャルテンブランド氏。 脳脊髄液の漏れそのものに焦点を当てたものである。 2006年9月、第65回脳神経外科学会において発表された。 論文発表者は、国際医療福祉大学熱海病院の篠永正道教授。 脳脊髄液の漏れや生産量の低下などにより、「脳脊髄液が減少した状態」に着目したものである。 診断基準の有無 診断基準あり。 画像診断により髄液の漏出が確認できた症例である。(文献1) 診断基準なし。 存在する可能性はあるが、現段階では診断方法が未確立であると理解されている。(文献2) 脳脊髄液漏出症の方が、報告および診断基準の確立が早いことが見てとれます。 病態の違い 脳脊髄液漏出症は、ひとことでいうと、脳脊髄液が硬膜の外に漏れている状態です。 主な原因としては、交通事故やスポーツ時の外傷や、腰椎穿刺検査、整体治療などがあげられます。原因不明のケースも存在します。 脳脊髄液減少症は、脳脊髄液の漏れやそれ以外の原因で、脳脊髄液そのものが減ってしまう状態です。髄液漏れがないにもかかわらず、脳脊髄液が減少する原因としては、以下の2点が考えられます。 脱水状態 髄液が体内へ多量に吸収される状態 脳脊髄液減少症は、従来「低髄液圧症候群」と呼ばれていた疾患とほぼ同じものです。 低髄液圧症候群については、以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。 脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症の共通点 この章では、脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症の共通点を表形式で紹介します。 共通点 詳細 主な症状 起立性頭痛 ふわふわとしためまい 倦怠感 目の奥の痛み 首の痛み 検査方法 病歴の聴き取り 脳脊髄液の検査 頭部MRI検査 脳槽シンチグラフィー検査 治療方法 保存的治療 ブラッドパッチ 硬膜外生理食塩水注入療法 検査方法や治療方法については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 【関連記事】 脳脊髄液減少症のセルフチェック方法を紹介|治療方法もあわせて解説 脳脊髄液減少症の初期症状を紹介|早期発見の必要性もあわせて解説 脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症が患者に与える影響 脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症が患者に与える影響は、主に以下の2点です。 日常生活に支障を及ぼすことが多い 認知度が低く誤解されやすい 日常生活に支障を及ぼすことが多い 脳脊髄液漏出症や脳脊髄液減少症は、日常生活に影響を及ぼしやすい疾患です。主な症状としては、以下のようなものがあります。 起立性頭痛 ふわふわとしためまい 倦怠感 目の奥の痛み 首の痛み 起立性頭痛とは、起きたり立ち上がったりすると強くなる頭痛です。 これらの症状は天候や気圧に左右されやすく、雨が降る前や台風接近前に悪化する傾向があります。加えて、下痢や発熱、嘔吐などで脱水を起こしたときも悪化しやすいとされています。 発見や治療が遅いと慢性化しやすく、体調が不安定になりがちです。外出も難しく、ときには起き上がれなくなる場合もあります。 脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症は、ともに慢性的な体調不良を引き起こし、日常生活に支障をきたしやすい疾患といえるでしょう。 認知度が低く誤解されやすい 脳脊髄液漏出症、脳脊髄液減少症ともに、認知度が低い疾患とされています。 また、他の疾患においても、頭痛やめまい、首の痛みといった症状が見られることがあります。同じような症状がある疾患は、主に以下のとおりです。 起立性調節障害 緊張型頭痛 片頭痛 うつ病 もしくは、検査で異常が見つからず「気のせい」と言われるケースもあります。原因がわかるまで病院受診を繰り返す、いわゆるドクターショッピング状態の方も少なくありません。 症状が強く、学校や職場を休みがちになると、「やる気がない」「甘えている」「怠けている」などと誤解される場合があります。 頭痛を伴う疾患については、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症の違いと共通点を理解しよう 脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症の違いは、歴史的背景や診断基準の有無、病態などです。しかし、症状や検査方法、治療法はほぼ同じと考えて差しつかえありません。 2つの病気に共通していえることは、医療面での認知度が低く他の病気と誤解されがちな点です。社会的認知度は高まりつつありますが、まだ十分とは言えません。気のせい、やる気がないなどと誤解されて、二重に苦しむ方もいます。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。脳脊髄液漏出症や脳脊髄液減少症の症状でお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) 日本脳脊髄液漏出症学会「診断基準」日本脳脊髄液漏出症学会ホームページ https://js-csfl.main.jp/guideline.html (最終アクセス:2025年4月21日) (文献2) 長野県「脳脊髄液減少症について」長野県ホームページ, 2024年3月25日 https://www.pref.nagano.lg.jp/iryo/kenko/iryo/hoken/nosekizuieki.html (最終アクセス:2025年4月21日)
2025.04.30 -
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「数日前に交通事故でけがをしてから、頭痛やめまいが続いている」 「寝ていると楽だけれど、座ったり起きたりすると頭痛が強くなる」 「頭痛やめまいは事故の後遺症なのだろうか」 外傷後にこのような症状が出た場合、多くの方が不安に感じるでしょう。これらの症状は、脳脊髄液減少症によるものかもしれません。 結論から申し上げますと、多くの場合、脳脊髄液減少症を発症するまでの期間は外傷後30分~数週間程度です。 本記事では脳脊髄液減少症を発症するまでの期間に加えて、発症のきっかけや、医療機関受診の必要性について解説します。 不安を感じている方の助けになりますので、ぜひ最後までご覧ください。 脳脊髄液減少症を発症するまでの期間 脳脊髄液減少症の症状は、外傷後30分から数週間程度で現れることが多いとされています。(文献1) 外傷直後ではなく少し遅れて発症する主な原因としては、以下の2つが考えられます。(文献2) 血栓の消失 脳浮腫の軽減 1つ目は、外傷後、一時的に発生した血栓が関係するケースです。血栓が脳脊髄液の漏れを塞いでいた場合、血栓が消失すると再び漏れ始めます。 2つ目は、外傷およびそれに伴う脳の浮腫と関連しているケースです。外傷により脳を包む硬膜やくも膜に傷ができたとしても、脳浮腫により一時的に傷が塞がれることがあります。しかし、脳浮腫が軽減されると傷が開き、そこから脳脊髄液が漏れ始めるメカニズムです。 脳脊髄液減少症を発症するきっかけとは? 脳脊髄液減少症を発症するきっかけは、主に以下の4つです。 外傷性(けがによるもの) 医原性(医療処置が原因のもの) 突発性(原因不明のもの) その他(出産、運動後の水分補給不足など) アメリカのクリーブランド・クリニックのサイトでは、脳脊髄液減少症の約90%は外傷性であり、残りの10%は原因不明で起こるとされています。(文献3) 脳脊髄液減少症を発症するきっかけについては、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 脳脊髄液減少症発症後の死亡率 この章では、脳脊髄液減少症後の死亡率および、寝たきりになる確率について解説します。 死亡率 2025年4月現在、脳脊髄液減少症による死亡率のデータは示されていません。 台湾の学術論文において、頭部外傷者患者10,638人を調査した結果が記されています。この研究では、外傷後に髄液漏れがあった患者は、髄液漏れがなかった患者と比べて1年以内に死亡する確率が有意に高い結果が示されました。(文献4) また、髄液が漏れ続けることで髄膜炎や脳炎などの発症につながり、ときには死亡するケースもあります。(文献4) イギリスの慈善団体「The CSF Leak Association(脳脊髄液漏出協会)」のサイトでは、「髄液漏出による死亡は極めてまれであるが、重症の場合、脳ヘルニアなどの合併症により死亡するケースがある」と記載されています。(文献5) 寝たきりになる確率 2025年4月現在、脳脊髄液減少症により寝たきりになる確率を明確に示したデータは存在していません。 緊張性気脳症とは、脳を取り囲む空間に空気が入り、頭の中の圧力が上昇する疾患です。治療を受けても重度の症状が続く場合は、合併症がなくても寝たきりになるケースが考えられます。 以下の記事では、髄膜炎について紹介していますので、あわせてご覧ください。 脳脊髄液減少症発症までの期間を理解して対処の遅れを防ごう 脳脊髄液減少症は、原因不明のものもありますが、多くは交通事故を含む外傷が原因です。 外傷性の場合、受傷後30分から数週間後の発症が多いとされています。明確なデータは存在しませんが、重症の場合、寝たきりになったり亡くなったりする可能性もあります。 外傷後に頭痛やめまい、倦怠感といった体調の異変が現れた場合は、脳脊髄液減少症を疑い脳神経外科や整形外科などを受診しましょう。 多くの都道府県公式ホームページでは、脳脊髄液減少症に関する情報が記載されているため、検索をおすすめします。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。脳脊髄液減少症と思われる症状でお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。 脳脊髄液減少症発症までの期間に関するよくある質問 脳脊髄液減少症を発症するとどのような症状が現れますか? 脳脊髄液減少で特徴的な症状が、起立性頭痛です。起立性頭痛とは、起き上がったり座ったりすると発生、もしくは悪化する頭痛のことです。 その他の症状としては、首や目の奥の痛み、めまい、倦怠感などがあります。 脳脊髄液減少症は特徴的な症状が少なく病気の認知度も低いため、起立性調節障害や片頭痛、うつ病などと診断されるケースも少なくありません。 原因不明の脳脊髄液減少症は何歳ころに多く発症しますか? アメリカのクリーブランド・クリニックのサイトでは、原因不明の脳脊髄液減少症は30歳以上の方に多く、発症する平均年齢は42歳と示されています。(文献3) 男女で比較すると、女性の方が発症しやすい傾向にあります。 脳脊髄液減少症を発症してから診断されるまでの期間はどのくらいですか? 脳脊髄液減少症は診断が難しいため、診断されるまでに数年間かかる方も少なくありません。(文献5) 日本の新聞記事でも、発症から診断まで3年かかり、複数の医療機関を転々として苦しんだ方の記事が掲載されています。(文献6) 参考文献 (文献1)一般社団法人千葉市医師会「事故後に不調が続いたらすぐ病院へ「脳脊髄液減少症」」一般社団法人千葉市医師会ホームページ, 2023年4月10日 https://www.chiba-city-med.or.jp/column/152.html (最終アクセス:2025年4月20日) (文献2)Ji-Woong Oh, et al.(2017).Traumatic Cerebrospinal Fluid Leak: Diagnosis and Management.Korean J Neurotrauma, 13(2),pp.63-67. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5702760/pdf/kjn-13-63.pdf (最終アクセス:2025年4月20日) (文献3)Cleveland Clinic「Cerebrospinal Fluid (CSF) Leak」Cleveland Clinic,2022年4月26日 https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/16854-cerebrospinal-fluid-csf-leak (最終アクセス:2025年4月20日) (文献4)Kuo-Hsing Liao, et al.(2016).Risk of death in patients with post-traumatic cerebrospinal fluid leakagedAnalysis of 1773 cases.Journal of the Chinese Medical Association,79(2)pp.58-54 https://journals.lww.com/jcma/fulltext/2016/02000/risk_of_death_in_patients_with_post_traumatic.4.aspx (最終アクセス:2025年4月20日) (文献5)The CSF Leak Association「CSF Leak FAQs: Essential Information About Cerebrospinal Fluid Leaks」The CSF Leak Association https://csfleak.uk/resource/frequently-asked-questions-faqs (最終アクセス:2025年4月20日) (文献6)讀賣新聞「脳脊髄液減少症のいま<1>診断つかず医療機関転々」讀賣新聞オンライン,2022年11月19日 https://www.yomiuri.co.jp/medical/renaissance/20221118-OYT8T50024/ (最終アクセス:2025年4月20日)
2025.04.30 -
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「立ったり座ったりすると頭痛がする」 「ふわふわとしためまいが続く」 「いつも体がだるい」 このような症状でお悩みの方も多いでしょう。これらはいずれも、脳脊髄液減少症の初期症状の1つです。 脳脊髄液減少症は、原因不明のものもあれば、外傷や疾患が原因で発症するものもあります。 本記事では脳脊髄液減少症の初期症状や、放置するリスクなどを解説します。脳脊髄液減少症を発症した芸能人の体験談も紹介しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 脳脊髄液減少症の初期症状 脳脊髄液減少症の初期症状で特徴的なものは、起立性頭痛です。(文献1)起立性頭痛とは、立ったり座ったりすると出現・悪化する頭痛のことです。 それ以外の初期症状としては、主に以下のようなものがあげられます。 首の痛み めまい 目の奥の痛み 耳鳴り 慢性的な症状としては、頭痛や疲れやすさ、注意力・思考力の低下、腰痛などがあげられます。 特徴的な症状が少ないため、片頭痛や頚椎椎間板ヘルニア、メニエール病、うつ病といった疾患と診断されるケースも少なくありません。 脳脊髄液減少症の概要・治療法、初期症状の1つ「目の奥の痛み」について詳しく知りたい方は、以下の記事をあわせてご覧ください。 【関連記事】 脳脊髄液減少症のセルフチェック方法を紹介|治療方法もあわせて解説 目の奥が痛いのは脳梗塞の前兆?目の病気との見分け方や対処法を解説【医師監修】 脳脊髄液減少症の初期症状を放置するとどうなる? 脳脊髄液減少症は、初期段階であれば、充分な水分補給と安静といった保存的治療で回復する可能性が高い疾患です。(文献1)しかし、初期症状を放置すると、慢性化、もしくは重症化する可能性もあります。 重症化した場合、頭の中に血のかたまり(慢性硬膜下血腫)ができることもあります。脳脊髄液が減少すると、脳を包む硬膜と脳の間にあるすき間が広がり、そこに血液が溜まるためです。血のかたまりが大きくなると、脳が圧迫されるため、溜まった血液を取り除く手術が必要です。 初期症状に気づいた時点で医療機関にかかることが、重症化を防ぐ大事なポイントといえるでしょう。 脳脊髄液減少症の初期症状が見られたときの受診先については、以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。 脳脊髄液減少症の主な原因 この章では、脳脊髄液減少症発症の主な原因を表にまとめました。 原因 詳細・具体例 特発性 原因不明のもの 外傷性 なんらかの外傷によるもの (例) 交通事故 スポーツ中の転倒や打撲 階段からの転倒 医原性 なんらかの疾患や医療処置によるもの (例) 発熱による脱水 腰椎穿刺検査 整体治療 その他 外傷や疾患、医療処置以外によるもの (例) 出産 金管楽器を強く吹く スポーツ後の水分補給が不十分であったために、発症したケースもあります。 脳脊髄液減少症の検査方法 脳脊髄液減少症の検査方法は、主に以下の4つです。 病歴の聴き取り 脳脊髄液の検査 頭部MRI検査脳槽 シンチグラフィー検査 病歴の聴き取り 脳脊髄液減少症の検査および診断の第一歩は、病歴の聴き取りです。 もともと、片頭痛や緊張型頭痛、薬の飲み過ぎによる頭痛などがある方の場合、脳脊髄液減少症の症状と区別する必要があります。そのような頭痛がある方は、隠さずに医師へ伝えましょう。 めまいや体のだるさなど、頭痛以外の症状がある場合もていねいに伝える必要があります。 片頭痛や緊張型頭痛に関しては、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 脳脊髄液の検査 腰椎(腰の背骨)に針を刺す腰椎穿刺により、脳脊髄液の圧力を調べる検査です。最初の検査結果で、圧力が6cm水柱以下のときは脳脊髄液減少症の可能性があります。ただし、正常値であっても、脳脊髄液減少症を完全に否定できない場合もあります。(文献2) なお、腰椎穿刺により脳脊髄液の漏れが悪化する可能性があるため、この検査は必須ではありません。 頭部MRI検査 頭部MRI検査で見られる主な所見を表でまとめました。 所見 詳細 脳の下方変位 脳と硬膜との間のすき間が広がる 小脳の一部が下がる脳幹が 平たく変形する 側脳室(脳脊髄液で満たされた空間)が狭くなる 血液量増加 硬膜が広範囲で厚くなる 頭の中の静脈が太くなる 脳下垂体が大きくなる ただし、慢性期には、このような所見が見られない場合もあります。MRI検査の結果は、あくまでも参考情報の1つです。 脳槽シンチグラフィー検査 脳槽シンチグラフィーとは、髄液の流れや漏れを調べる検査です。 腰椎穿刺で特殊な物質であるインジウムを注入し、30分~1時間後のインジウム量を100%として、24時間後に、再度インジウム量を測定します。 インジウム減少量や特定の場所への貯留状況などが、脳脊髄液の流れや漏れを調べる指標です。 胸椎や腰椎において、脳脊髄液がどこから漏れているかを調べるのに適した検査とされています。 脳脊髄液減少症を公表した芸能人 芸能人の中にも、脳脊髄液減少症を発症したことを公開している方がいます。 俳優の米倉涼子さんは2019年に脳脊髄液減少症を発症し、まっすぐ歩けない、身体がだるくて立ち上がれないといった症状に見舞われました。複数の医療機関を受診して、脳ドックや脳の検査を受けた結果、ようやく病名が判明しました。2023年8月に治療を受けて、翌年5月頃から重い症状が少し改善してきたとテレビ番組で語っています。 岐阜県を中心に活動しているタレントの塚本明里さんも、脳脊髄液減少症を発症した1人です。塚本さんは、発症してから病名がわかるまでに7年間かかりました。病名がわかるまでは、周りの人に説明できず辛い思いをしたそうです。長い時間頭を立てていると倒れることもあるため、外出時はリクライニング式の車椅子を使っていると語っています。 脳脊髄液減少症の初期症状がある場合は放置せずに医療機関を受診しよう 脳脊髄液減少症は、なんらかの原因によるものもあれば、原因不明のものもあります。 主な初期症状は起立性の頭痛ですが、それ以外にも、めまいや首の痛みなどさまざまな症状があります。 早期発見により早期回復が見込めるため、本記事で紹介したような症状がある場合は、放置せずに医療機関を受診しましょう。多くの都道府県公式ホームページでは、検査・治療ができる医療機関を紹介しているため、症状がある方は検索してみると良いでしょう。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。脳脊髄液減少症の初期症状が見られる方は、お気軽にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) 松本英之,宇川 義一.「脳脊髄液減少症」『日本内科学会雑誌』100(4), pp.1076-1083, 2011年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/100/4/100_1076/_pdf (最終アクセス:2025年4月19日) (文献2) 脳脊髄液減少症研究会ガイドライン作成委員会「脳脊髄液減少症ガイドライン2007」2007年 http://www.npo-aswp.org/data/2007-0330.pdf (最終アクセス:2025年4月18日)
2025.04.30 -
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「めまいや頭痛が続いている」 「貧血が原因だと思っていたが、血液検査では異常なしだった」 「異常がないのに、なぜめまいや頭痛が続いているのだろう?」 このような不安や疑問をお持ちの方も多いでしょう。原因不明のめまいや頭痛などが続くときには、脳脊髄液減少症の可能性があります。 本記事では脳脊髄液減少症のセルフチェック項目や、病気の概要、治療法について解説します。 症状が続く不安を軽減するために、ぜひ最後までご覧ください。 脳脊髄液減少症のセルフチェック方法 この章では、脳脊髄液減少症のセルフチェック項目を表にまとめました。 セルフチェック項目 詳細 主な症状 頭痛(起立性頭痛) 首の痛み めまい 耳鳴り 見え方の異常 身体のだるさ 疲れやすさ その他の症状 顔の痛みやしびれ 意識障害 症状の現れ方 座ったり起き上がったりしてから3時間以内に症状が出現・悪化しやすい 起立性頭痛とは、立ち上がったときや座っているときなどに強くなる頭痛のことです。 当てはまる項目が多く、過去に病院で「異常なし」と診断された方は、脳脊髄液減少症を発症している可能性があります。 脳脊髄液減少症の症状について詳しく知りたい方は、以下の記事をあわせてご覧ください。 そもそも脳脊髄液減少症とは 脳脊髄液減少症とは、脳脊髄液が常に、もしくは断続的に漏れ出してしまう疾患です。(文献1)脳脊髄液の役割は、脳と脊髄を守ることです。 脳脊髄液が漏れ出て量が減ると、頭痛や首の痛み、めまい、耳鳴り、見え方の異常、体のだるさなど、さまざまな症状が現れます。 脳脊髄液減少症は、以下の2種類に分けられます。 症候性:病気やけがが原因で発症する 特発性:発症の原因が不明である 発症しやすい年齢は40歳前後であり、女性に多い疾患です。 脳脊髄液減少症は現在も研究が進められており、診断基準や治療法は確立されていません。(文献2) 脳脊髄液減少症に症状が似ている疾患 脳脊髄液減少症に症状が似ている疾患としては、以下のようなものがあげられます。(文献2) 慢性頭痛 頸椎症 頚椎椎間板ヘルニア むち打ち症 うつ病 脳脊髄液減少症は正確な診断基準が確立されていないため、別の疾患名で診断されてきたケースも少なくありません。もしくは、異常なしと診断された方も多い状況です。 原因がわからずに症状が続いたため、苦しんできた方も多いことが想定されます。 以下の記事では、脳脊髄液減少症と症状が似ている、むち打ち症について詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 脳脊髄液減少症の治療方法【セルフチェック該当者向け】 この章では、セルフチェックにおいて脳脊髄液減少症の可能性が高かった方に向けて、治療方法を詳しく解説します。 保存的治療 保存的治療では、水分補給と安静が必要です。1~2週間程度は、追加摂取1日1000~2000mlの水分を摂り、安静にして過ごしましょう。(文献3)脳脊髄液の減少を止める効果が期待できます。 水分補給に関しては、入院やもしくは通院により、医療機関で点滴を受けるケースもあります。 水分補給時に経口補水液が効果的という説もありますが、科学的な根拠は提示されていません。 ブラッドパッチ ブラッドパッチとは、自分の血液を髄液が漏れ出ている部分に注入する治療法で、平成28年度から保険適用されました。 注入量は漏れ出ている部分によって異なります。腰椎(腰の背骨)で20〜40ml、胸椎(胸の背骨)で15~20ml、頚椎(首の背骨)で10~15mlです。 ブラッドパッチ治療後は1週間程度の安静が望ましく、同じ場所に再度治療する場合は、3か月以上の経過観察期間を設けることが望ましいとされています。(文献1) 硬膜外生理食塩水注入療法 腰椎からカテーテルを挿入して、生理食塩水を48~72時間持続的に注入する治療法で、注入のペースは1時間につき20ml程度です。(文献2) 生理食塩水のみ注入する方法に加えて、ブラッドパッチのときに、生理食塩水を35〜50ml程度注入する方法もあります。 セルフチェックで脳脊髄液減少症を疑う際は医療機関を受診しよう セルフチェックで当てはまる症状が多かった方や、症状があるにもかかわらず、異常なし、もしくは原因不明と診断された方は脳脊髄液減少症の可能性があります。 脳脊髄液減少症は、研究段階の疾患であるため、診断・治療できる医療機関が限られていますが、出来る限り早い受診をおすすめします。 お住まいの都道府県庁ホームページ内に、脳脊髄液減少症に関する情報が記載されていることも多いため、受診を検討される方は、検索してみましょう。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。脳脊髄液減少症と思われる症状でお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 脳脊髄液減少症に関するよくある質問 脳脊髄液減少症は何科を受診すると良いでしょうか? 脳脊髄液減少症に対応している主な診療科は、以下のとおりです。 脳神経外科 脳神経内科 神経内科 整形外科 麻酔科 ただし、「治療まで可能」、「相談・検査のみ」など医療機関によって対応が異なります。治療においても、ブラッドパッチ対応可能なところと、不可能なところにわかれます。 多くの都道府県ホームページでは、脳脊髄液減少症の医療機関に関する情報を公開しているので、検索してみましょう。 脳脊髄液減少症と起立性調節障害の違いは何ですか? 起立性調節障害とは、交感神経や副交感神経のバランスの乱れによりさまざまな症状が起こる疾患で、小学校高学年から高校生の方に多く見られます。(文献4) めまいや頭痛、立ちくらみといった症状は脳脊髄液減少症と共通していますが、脳脊髄液減少症の原因は、文字どおり脳脊髄液の減少です。そのため両者は、原因や治療法に違いがあります。 脳脊髄液減少症は難病指定されていますか? 2025年(令和7年)4月1日の時点で、国の指定難病は348種類存在しますが、脳脊髄液減少症は含まれていません。(文献5) 脳脊髄液減少症に関しては、2007年度(平成19年度)から厚生労働科学研究費補助金、2015年度(平成27年度)からは日本医療研究開発機構(AMED)において、研究が実施されています。(文献6) 脳脊髄液減少症は、さらなる研究および難病指定が求められる疾患といえるでしょう。 参考文献 (文献1) 脳脊髄液減少症研究会ガイドライン作成委員会「脳脊髄液減少症ガイドライン2007」2007年 http://www.npo-aswp.org/data/2007-0330.pdf (最終アクセス:2025年4月18日) (文献2) 松本英之,宇川 義一.「脳脊髄液減少症」『日本内科学会雑誌』100(4), pp.1076-1083, 2011年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/100/4/100_1076/_pdf (最終アクセス:2025年4月18日) (文献3) 兵庫県神河町「脳脊髄液減少症をご存知ですか?」https://www.town.kamikawa.hyogo.jp/cmsfiles/contents/0000000/507/nouekizui.pdf (最終アクセス:2025年4月18日) (文献4) 一般社団法人 起立性調節障害改善協会「脳脊髄液減少症と起立性調節障害の違いを解説-どちらに該当するかセルフチェック」一般社団法人 起立性調節障害改善協会ホームページ, 2024年2月25日 https://odod.or.jp/kiritsusei-tohaod-6279/ (最終アクセス:2025年4月18日) (文献5) 厚生労働省「指定難病の概要、診断基準等、臨床調査個人票(告示番号1~348)※令和7年4月1日より適用」厚生労働省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_53881.html (最終アクセス:2025年4月18日) (文献6) 厚生労働省「脳脊髄液減少症について」厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/nanbyo/100402-1.html (最終アクセス:2025年4月18日)
2025.04.30 -
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「足が思うように動かない」「以前より歩きづらくなった」と感じることはありませんか? 歩行は日常生活の基本であり、その障害は日々の行動や心の状態にも大きな影響を与えます。 突然の変化に戸惑い、原因が分からず不安を抱えている方も多いでしょう。 この記事では、痙性歩行やパーキンソン歩行など9つの主な歩行障害の種類と、それぞれの原因となる疾患について詳しく解説します。 原因を知ることは、回復の第一歩ですので、ぜひ最後までご覧ください。 主な歩行障害の種類と原因疾患 主な歩行障害としては、以下の9種類があげられます。 痙性歩行(けいせいほこう) はさみ足歩行 ぶん回し歩行 鶏歩(けいほ) 失調歩行 パーキンソン歩行 間欠性跛行 墜落性跛行 心因性歩行障害 歩行障害の状況と原因疾患について、それぞれ解説します。 痙性歩行(けいせいほこう) 痙性歩行とは、脚が伸び切った状態でつま先立ちの姿勢になり、つま先を引きずって歩く状態です。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 脳血管疾患 多発性硬化症 脊髄損傷 頚椎症性脊髄症(頚髄症) つま先を引きずって歩く関係で、靴の前側部分がすり減りやすい特徴があります。(文献1) はさみ足歩行 はさみ足歩行とは、両足ともつま先立ちで床をこすりながら、両足をはさみのように交差させて歩く状態です。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 脳血管疾患 多発性硬化症 脊髄損傷 X脚のため、膝をすり合わせるような歩き方も、はさみ足歩行と呼ばれるケースがあります。 ぶん回し歩行 ぶん回し歩行とは、弧を描くように足を動かして歩く状態です。 ぶん回し歩行の主な原因を、以下に示しました。 脳血管疾患による片麻痺 下肢の筋力低下 膝関節や足関節の柔軟性低下 歩幅は正常ですが、つま先を上げる動作が難しいため、少しの段差にもつま先が引っかかり、転倒の可能性があります。 鶏歩(けいほ) 鶏歩とは、足首が下がったまま歩いている状態です。つま先を引きずりながらぱたぱたと歩きます。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 腓骨神経麻痺(腓骨:ふくらはぎにある細い骨) 筋萎縮性側索硬化症 ポリオ 鶏歩の特徴は、つまずき防止のため、歩くときに股関節を強く曲げて、膝を高く上げることです。 失調歩行 失調歩行とは、麻痺や筋力低下がないにもかかわらず、バランスが悪くスムーズに歩けない状態です。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 脊髄小脳変性症 脊髄腫瘍 脳腫瘍 失調歩行の具体例は、よろめきながらの歩行や開脚した状態での歩行などです。 パーキンソン歩行 パーキンソン歩行とは、名前のとおりパーキンソン病特有の歩行障害です。 パーキンソン病以外の原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 パーキンソン症候群 レビー小体型認知症 前かがみの姿勢、狭い歩幅、最初の一歩が出ないすくみ足、徐々に早足になる突進歩行などが特徴としてあげられます。方向転換時にバランスが取りにくいため、転倒の危険性が高い状況です。 間欠性跛行 間欠性跛行とは、しばらく歩いていると、手足のしびれや痛みといった症状が出現し、休憩すると症状が緩和する状態です。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 脊柱管狭窄症 閉塞性動脈硬化症 歩くと痛み、休むと治まる。再び歩くと痛む。この状況を繰り返す歩行障害です。 以下の記事で、脊柱管狭窄症について解説していますので、あわせてご覧ください。 墜落性跛行 墜落性跛行とは、左右の足の長さが異なるため、歩く際に片方の足が地面に墜落するように落下する動きになる歩行障害です。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 変形性股関節症 先天性股関節脱臼 足の長さが異なる場合、片足立ちのときに、反対側の骨盤が下降しています。 以下の記事で、股関節の病気を詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 心因性歩行障害 心因性歩行障害とは、身体機能や運動機能に異常がないにもかかわらず、歩けなくなる状態です。ただし、介助により歩行可能です。 強い不安や心理的ストレスが身体症状に現れる、転換性障害(機能性神経症状症)のひとつとされています。 発症年齢は10代から30代前半までがほとんどと言われており、男性より女性に多く見られる症状です。 歩行障害の治療・リハビリテーション この章では、歩行障害に対する治療およびリハビリテーションについて詳しく解説します。 原因疾患の治療 ほとんどの歩行障害には原因となる疾患があるため、その治療が必要です。 治療方法としては、薬物療法やブロック注射、手術療法、再生医療などがあります。 再生医療は、脳血管疾患やパーキンソン病、脊髄損傷などさまざまな疾患に対して効果を示しています。 筋力トレーニング 筋力トレーニングの種類としては、以下のようなものがあげられます。 椅子に座って膝の曲げ伸ばし かかとの上げ下ろし 踏み台昇降 スクワット リハビリ専門職の指導により、トレッドミルやレッグプレスといった専用のマシーンで行う筋力トレーニングもあります。 バランストレーニング 代表的なバランストレーニングは、以下のとおりです。 ゆっくりとした片足立ち 横歩き 後ろ歩き 歩いている途中の方向転換 つま先上げ 障害物を乗り越えながら歩くことも、バランストレーニングのひとつです。(文献2) ご自宅でバランストレーニングを行うときは、転倒しないように壁やいす、手すりなどにつかまりましょう。 歩行補助器具の選定・指導 歩行障害は治療によって軽減するものもありますが、原因疾患によっては回復に時間がかかり、障害が固定される場合もあります。 移動能力や生活の質向上のために、歩行補助器具を使うこともリハビリのひとつです。歩行補助器具には、杖(一点杖、多点杖)や歩行器、シルバーカーなどの種類があります。 まとめ|歩行障害の種類を知り、適切な治療を受けよう 歩行障害にはさまざまな種類があり、原因もそれぞれ異なります。歩行障害は転倒のリスクを高め、閉じこもりや、さらなる身体機能低下につながるものです。 自分の歩きにくさはどのようなものかを理解した上で、状況に合った医療機関を受診し、適切な治療やリハビリを受けましょう。 歩行障害の種類に関するよくある質問 ここでは、歩行障害の種類に関するよくある質問を3つ紹介します。 歩行困難になったら何科を受診すれば良いですか? 歩行困難の種類と原因疾患別に、受診する診療科を表にまとめましたので、ご覧ください。 歩行障害の種類 疾患 受診する診療科 痙性歩行 はさみ足歩行 ぶん回し歩行 失調歩行など 脳梗塞 脳出血 くも膜下出血 脳腫瘍など 脳神経外科 パーキンソン歩行 失調歩行 鶏歩(けいほ)など パーキンソン病 脊髄小脳変性症 筋萎縮性側索硬化症など 神経内科 間欠性跛行 痙性歩行 墜落性跛行など 椎間板ヘルニア 脊柱管狭窄症 変形性関節症 頚髄症など 整形外科 心因性歩行障害 強い不安や心理的ストレスによる不調 (転換性障害も含まれる) 精神神経科 間欠性跛行 閉塞性動脈硬化症 内科 どの診療科を受診すると良いのか不明な場合は、かかりつけ医への相談をおすすめします。 歩行障害は若い人にも起こりますか? 若い人にも歩行障害は起こりえます。 若年者の歩行障害の原因としては、多発性硬化症、脊髄損傷、脳性麻痺、先天性疾患、あるいは外傷後の後遺症などがあります。若年性パーキンソン病も原因のひとつです。 パーキンソン病を40歳以下で発症した場合に、若年性パーキンソン病と呼ばれます。若年性パーキンソン病の特徴は、病気の進行がゆるやかであることや、薬の効きが良いことなどです。 ペンギンみたいな歩き方は病気の症状ですか? 正常圧水頭症やパーキンソン病、シャルコー・マリー・トゥース病といった病気の症状であると考えられます。 足の筋力や足首の柔軟性が低下して、歩くときに足を上げられないため、すり足や小さい歩幅での歩行になります。 正常圧水頭症については、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 参考文献 (文献1) 和田直樹「歩行障害の種類と原因疾患」55(9), pp.730-734, 2018 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/55/9/55_55.730/_pdf (最終アクセス:2025年3月21日) (文献2) Dotdash Meredith「Boost Your Mobility With These Gait Training Exercises」Verywell Health, 2025年1月28日 https://www.verywellhealth.com/gait-training-in-physical-therapy-5069884 (最終アクセス:2025年3月21日)
2025.03.31 -
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「寝起きに手足がしびれ原因は?」 「しびれの原因が病気ではないか不安」 寝て起きただけなのに手足のしびれを感じたことがある方には、上記のような疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。 寝起きの一時的な手足のしびれは、寝ている時の姿勢によるものがほとんどですが、まれに神経系疾患や脳血管疾患の前兆である可能性があります。 本記事では、寝起きに手足のしびれが起きる原因や自宅でできるセルフケアについて解説します。 「ただの手足のしびれ」と放置されてしまいがちですが、少しでも不安な方はまずは医療機関へ相談してみましょう。 また、寝起きに手足がしびれる原因が神経系疾患や脳血管疾患の場合、「再生医療」も選択肢の一つです。 \手足のしびれの原因に有効な再生医療とは/ 再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を用いて、損傷した神経や血管の再生・修復を促すことで、手足のしびれの改善が期待できます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 手足のしびれや痛みを早く治したい 根本的に治療したいが、手術はできるだけ避けたい 痛み止めや湿布が効かない、あるいはすぐに痛みがぶり返す リハビリやマッサージを続けているが、期待した効果が得られない >>再生医療専門の「リペアセルクリニック」に無料相談する 具体的な治療法については、当院リペアセルクリニックで無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 まずは「手足のしびれ」の治療について無料相談! 寝起きに手足がしびれる原因 寝起きに手足がしびれるときに考えられる原因は、主に以下の5つです。 寝ているときの姿勢 神経系疾患 糖尿病による神経障害 脳血管疾患 その他の疾患 寝姿勢による一時的なものから、神経系や脳血管などからくる神経症状として「しびれ」が生じる可能性もあります。 以下でそれぞれの原因について詳しく見ていきましょう。 寝ているときの姿勢 寝起きに手足がしびれる原因の1つが、寝ているときの姿勢です。 腕に頭をのせて寝た 腕を頭より上にして寝た 狭い場所で寝たために寝返りを打てなかった このような体勢が長時間続くと、手足の神経が圧迫されてしまい、しびれを引き起こします。 枕が合わないこともしびれの一因です。枕が高すぎると、あごを強く引いた体勢になります。その結果生じるのが、肩や肩甲骨周辺の筋緊張です。筋肉の緊張が血行不良を引き起こし、しびれにつながります。 神経系疾患 変形性頚椎症や脊柱管狭窄症、手根管症候群、椎間板ヘルニアなどの疾患により、神経が圧迫されて、手足のしびれが生じるケースもあります。 適切な治療を受けずに放置すると、激しい痛みやしびれが慢性化するリスクがあるため、注意が必要です。 従来の治療では、一定期間の保存療法によって改善しない場合、手術で神経の圧迫を取り除く治療が一般的でした。 しかし、近年の治療では、手術せずにしびれの原因となっている損傷した神経の再生・修復を促す再生医療が注目されています。 具体的な治療法については、当院リペアセルクリニックで無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 >>再生医療専門の「リペアセルクリニック」に無料相談する また、神経系疾患と手足のしびれの関係については、以下の記事でも解説していますので、併せてご覧ください。 糖尿病による神経障害 糖尿病の三大合併症の1つが神経障害です。手足のしびれは、感覚神経の障害に分類されます。 高血糖が続くと神経に栄養を与える血管に傷がつきます。その結果血流が悪くなり、神経の働きが障害されるのです。 糖尿病による神経障害では、手足のしびれのほか、感覚の低下や筋力の低下などの症状も現れます。(文献1) 糖尿病の合併症については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 脳血管疾患 脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳血管疾患でも、手足のしびれが起こります。 手足のしびれ以外に、手足の麻痺や激しい頭痛、視野の異常などの症状が現れたら、速やかに脳神経外科を受診しましょう。 チェックポイントは「ACT-FAST」です。(文献2) Face:顔の片方がゆがむ Arm:片方の腕に力が入らない Speech:いつもどおり話せない Time:時間を空けずに ACT:救急車を呼ぼう 脳血管疾患は命に関わるものなので、迅速な行動が大切です。 その他の疾患 過換気症候群や更年期障害などでも、手足のしびれが起こる場合があります。 過換気症候群とは、強い不安や緊張などが原因で、何度も激しく息を吸ったり吐いたりする状態です。 二酸化炭素が過剰に吐き出されることで血中の二酸化炭素濃度が低くなり、血液がアルカリ性に傾きます。血液がアルカリ性に傾くと、血管が収縮されてしまい、手足のしびれが生じるのです。 更年期障害の場合、女性ホルモンの低下が手足のしびれに関係しているとされています。 寝起きに手足がしびれるときの対処法(セルフケア) 寝起きに手足がしびれるときに推奨される対処法(セルフケア)は、以下の3つです。 寝る姿勢や枕を調整する 身体を温める 身体を適度に動かす 以下でそれぞれの対処法について詳しく見ていきましょう。 寝る姿勢や枕を調整する 寝る姿勢や枕の調整に関してのポイントを、表に示しました。 ポイント 調整方法 寝る姿勢 横向きで寝るときは、しびれやすい方を上にする あおむけで寝るときは、膝の下にクッションを入れるか腕の位置を少し高くする 枕選び 横幅50㎝以上、奥行き35㎝以上 中央が低く両サイドが高めの立体的な形 自然に立った姿勢をそのままキープできる高さが望ましい 1日の約3分の1は、睡眠時間です。筋肉の緊張や神経の圧迫がない自然な姿勢が、手足のしびれ予防のポイントといえるでしょう。 身体を温める しびれる部分を温めたり、揉んだりすると血流が改善されて、しびれがやわらぐこともあります。具体的な方法は、ゆっくりお風呂につかる、やさしくマッサージするなどです。 ただし、神経障害の方は皮膚の感覚が鈍くなることがあるため、やけどに注意する必要があります。寒いときも、長時間ストーブの前に座らないように心がけましょう。カイロで温めるときは肌に直接当てず、決められた時間を守ってご使用ください。 身体を適度に動かす ウォーキングやストレッチなどの適度な運動を行うことで、血流改善によるしびれの緩和が期待できます。 手を握ったり開いたりする、手首や足首をゆっくり曲げ伸ばしするなどもストレッチの一種です。 ただし、症状が強いときには無理に動かさず、安静にしましょう。 下記の記事では、手根管症候群による手のしびれを自分で治すためのストレッチが紹介されています。あわせてご覧ください。 まとめ|セルフケアを行っても寝起きに手足がしびれるときは医療機関を受診しよう 寝起きに手足がしびれる原因は、寝るときの姿勢から脳血管疾患までさまざまです。 自分でできるセルフケアもありますが、ケアを続けても手足のしびれが改善されない場合は、放置せず医療機関を受診しましょう。 とくに「手足が動かない」「ろれつが回らない」などの症状を伴う場合は、脳血管疾患の可能性があるため、ためらわず救急車を呼ぶことが重要です。 また、糖尿病を治療中で徐々に手足のしびれが出てきた方は、神経障害の可能性があるため、早めに主治医へ相談しましょう。 当院リペアセルクリニックでは、しびれの原因となる脳卒中や椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、糖尿病などの疾患に対して再生医療を提供しています。 以下のような方は、ぜひ再生医療をご検討ください。 手足のしびれや痛みを早く治したい 根本的に治療したいが、手術はできるだけ避けたい 痛み止めや湿布が効かない、あるいはすぐに痛みがぶり返す リハビリやマッサージを続けているが、期待した効果が得られない >>再生医療専門の「リペアセルクリニック」に無料相談する 具体的な治療法については、当院リペアセルクリニックで無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 まずは「手足のしびれ」の治療について無料相談! 寝起きに手足がしびれることに関するよくある質問 ここでは、寝起きに手足がしびれることに関するよくある質問を2つ紹介します。 手足がしびれるときは何科に行くと良いでしょうか? 更年期になると朝起きたら手がしびれるのはなぜですか? 以下でそれぞれの内容について詳しく見ていきましょう。 手足がしびれるときは何科に行くと良いでしょうか? 手足がしびれるときの受診先としてあげられるのは、整形外科や神経内科、脳神経外科などです。 しびれが急に出てきて、手足の麻痺があるときは早急に脳神経外科を受診しましょう。 脳血管疾患の可能性が高く、初期症状が見られた時点で医療機関への相談が推奨されます。 「ただの手足のしびれ」と放置されてしまいがちですが、少しでも不安な方はまずは医療機関へ相談してみましょう。 当院リペアセルクリニックでは、寝起きの手足のしびれの原因となっている「神経系疾患」「脳血管疾患」の改善が期待できる再生医療をご提供しています。 「手足のしびれが病気ではないか不安」「病気だった場合にすぐ治療したい」という方は、ぜひ当院までお気軽にご相談ください。 ▼まずは「手足のしびれ」の治療について無料相談! >>再生医療専門の「リペアセルクリニック」に無料相談する 更年期になると朝起きたら手がしびれるのはなぜですか? 原因として考えられるものが、女性ホルモンの1つ、エストロゲンの減少です。エストロゲンの減少は、自律神経の乱れにも関係しています。自律神経の乱れが、血流の悪化、ひいては手のしびれにつながっています。 エストロゲン減少の影響としてもう1つあげられるのが、皮膚の乾燥です。乾燥した皮膚は敏感であるため、しびれを感じやすくなるといわれてます。 参考文献 (文献1) 出口尚寿,西尾善彦.「糖尿病性末梢神経障害」『日本内科学会雑誌』108(8), pp.1538-1544, 2019 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/108/8/108_1538/_pdf (最終アクセス:2025年3月20日) (文献2) 厚生労働省「みんなで知ろう! からだのこと」厚生労働省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202410_006.html (最終アクセス:2025年3月20日)
2025.03.31 -
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- 脊柱管狭窄症
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「手や足のしびれが続いて困っている......何かの病気だろうか?」 このようにお悩みの方も多くいらっしゃることでしょう。 手足のしびれを引き起こす病気はさまざまであり、なかには原因がわからない疾患もあります。 本記事では、手足のしびれを引き起こす病気について、痛みや症状について解説します。 しびれが続くときの受診先や病気の予防法、前兆をチェックする方法なども解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、しびれの原因となる脳卒中やヘルニア、糖尿病などの治療に用いられている再生医療に関する情報をお届けしています。簡易オンライン診断を実施しておりますので、ぜひご登録ください。 手足のしびれが出る病気には早期対応が重要なものがあります 手足のしびれは一時的な体調変化によることもありますが、脳梗塞や脳出血、ギラン・バレー症候群、脊髄・脊椎の病気などが原因となっている場合もあります。 これらの中には、発症からの時間が治療や予後に影響する病気もあるため注意が必要です。 次のような症状があれば、早急に受診を検討してください。 突然、手足や顔のしびれが現れた 片側の手足だけにしびれや力の入りにくさがある しびれに加えて言葉が出にくい、ろれつが回らない 足先のしびれがどんどん悪化している、歩きにくくなってきた しびれに加えて、飲み込みにくさや顔の動かしにくさがある ただし、これらはあくまでも受診の目安であり、自己判断のためではありません。 手足のしびれに不安がある場合は、症状が軽く感じられても医療機関に相談することが大切です。 手足のしびれの原因となる病気|痛みや症状 以下は、しびれの出方から考えられる原因の目安です。自己判断せず、気になる症状があれば医療機関を受診してください。 病気の系統 該当しやすいしびれ・症状の特徴 脳神経系の病気 突然のしびれ/片側の手足や顔に出る/言葉が出にくい、ろれつが回らない 脊髄(脊椎)神経系の病気 両手・両足にしびれが出る/首や背中の痛みを伴う/歩きにくい 末梢神経系の病気 指先や足先のしびれ/左右対称に出る/特定の動作で悪化 内科系の病気 徐々に進行するしびれ/長期間続く/左右対称で慢性的 その他の原因 姿勢やストレスで変化/一時的/休むと軽減する 脳神経系の病気 ここでは、手足のしびれを引き起こす脳神経系の病気について解説します。 脳梗塞 脳梗塞とは、脳内の血管が詰まることによって血液の流れが止まり、酸素や栄養が脳細胞に届かなくなる結果、脳の組織が壊死してしまう病気です。 代表的な初期症状として、手足のしびれが挙げられます。 そのほかにも、手足の麻痺によって動かなくなる、言葉がうまく話せずろれつが回らない、突然意識を失うなどの症状が現れる場合があります。 脳梗塞の症状に関しては、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 脳出血 脳出血とは、脳内の血管が破れて出血し、脳細胞が損傷を受ける病気です。 出血によって脳の圧迫や腫れが生じるため、神経機能に深刻な障害が現れることがあります。 手足のしびれや麻痺、言葉がうまく話せないなどが主な症状です。 加えて、突然の激しい頭痛や吐き気、意識障害など、出血による特徴的な症状が見られる場合も少なくありません。 脳出血の症状に関しては、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 くも膜下出血 くも膜下出血は脳卒中の一種で、脳を覆う膜(くも膜)の下に出血する病気です。 今まで経験したことのない激しい頭痛が特徴で、意識障害や手足の麻痺を伴う場合もあります。 一方、片側の手足のしびれや脱力が急に出現する症状は脳梗塞で典型的にみられますが、くも膜下出血でも合併症として起こることがあります。 普段と違う強い頭痛に手足のしびれが伴う際は、迷わず119番で救急車を呼びましょう。 一過性脳虚血発作(TIA) 一過性脳虚血発作は、脳への血流が一時的に低下して酸素や栄養の供給が不足し、一時的な神経障害が生じる病気です。 具体的な症状には、手足のしびれ、麻痺、感覚の鈍さなどがあり、通常これらの症状は数分から1時間程度で自然に消失し、多くは24時間以内に回復します。(文献1) ただし、症状が一時的であっても安心はできません。 一過性脳虚血発作は、脳梗塞や脳出血の前兆として現れるケースがあるため、症状がすぐに消えた場合でも決して放置せず、速やかに医療機関を受診することが大切です。 脳腫瘍 脳腫瘍とは、脳に発生する腫瘍の総称です。 発生の仕方によって「原発性脳腫瘍」と「転移性脳腫瘍」に分類されます。 原発性脳腫瘍は脳そのものから発生する腫瘍であり、転移性脳腫瘍は肺や乳腺など他の臓器にできたがんが脳へ転移してできる腫瘍です。 主な症状には手足のしびれや麻痺、頭痛、吐き気などがあり、腫瘍の部位によっては視野の欠損や視力の低下といった、眼に関する症状が現れる場合もあります。 脊髄(脊椎)神経系の病気 ここでは、手足のしびれを引き起こす脊髄(脊椎)神経系の病気について解説します。 脊髄損傷・脊髄圧迫 手足のしびれを引き起こす大きな原因の一つが、脊髄損傷や脊髄・神経根の圧迫です。 脊髄や神経根は、手足に分布する末梢神経の幹にあたる部位であるため、異常が生じると影響が四肢に現れます。 具体的には、以下のような疾患が原因です。 椎間板ヘルニア 脊髄損傷 頚椎症 後縦靭帯骨化症 脊髄腫瘍 これらの病気では、椎間板の突出や骨のとげ(骨棘)、靭帯の骨化が脊髄または神経根を圧迫します。 手足が重く感じる、動かしにくい、力が入りにくいといったしびれや脱力が持続するのが特徴です。 進行すると、物を落としやすくなる、まっすぐ歩けないといった日常生活に支障をきたす症状が現れることもあります。 変形性頚椎症 変形性頚椎症は、首の骨(頚椎)に加齢などの影響で変性が起こる疾患です。 椎間板の高さが低下したり、椎骨に骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨のとげが形成されたりすることで、頚椎の構造が変化します。 首や肩の痛みが生じるほか、頚椎を通る神経が圧迫されることで、手のしびれや細かい動作のしづらさなどの神経症状が現れる場合があります。 頚椎椎間板ヘルニア 頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎の間にある椎間板が加齢や外力により変形し、一部が飛び出して脊髄や神経根を圧迫する病気です。 圧迫によって神経の働きが妨げられ、さまざまな症状が引き起こされます。 手や腕、首、肩にかけてのしびれや痛みが主な症状です。 また、足のもつれや歩行障害など、下肢にまで影響が及ぶ場合もあります。 さらに、首を動かすと症状が悪化するケースが多く、動作時の痛みが顕著になるのが特徴です。 以下の記事では、頚椎椎間板ヘルニアに対して幹細胞を使用した再生医療の症例をご紹介しています。 脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう) 脊柱管狭窄症は、腰椎(腰の背骨)の変形によって神経が通る脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されて発症します。 加齢とともに進行するため、50代から80代にかけて多く見られるのが特徴です。 手足のしびれのほかに、一定距離を歩くと足がしびれたり痛んだりして歩けなくなり、休むとまた歩けるようになる「間欠性跛行」や、膀胱や直腸の働きに異常をきたす「膀胱直腸障害」などが現れることがあります。 間欠性跛行や膀胱直腸障害については、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 後縦靱帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう) 後縦靭帯骨化症は、頚椎の後方に位置する背骨の靱帯(後縦靭帯)が骨のように硬化し、脊髄を圧迫して神経症状を引き起こす疾患です。 厚生労働省により指定難病として認定されており、進行性の神経障害を伴う場合もあります。 肩こりや手のしびれ、こわばり、痛みなどが初期症状です。 病気が進行すると、箸を使って食事をするのが難しくなったり、文字を書く動作がしにくくなったりするなど、日常生活に支障をきたす細かい動作障害も目立ってきます。 末梢神経系の病気 ここでは、手足のしびれを引き起こす末梢神経系の病気について解説します。 ギラン・バレー症候群 ギラン・バレー症候群は、末梢神経が障害されることで、手足のしびれと筋力低下を生じる病気です。 風邪や下痢のような症状が現れた後、数日から数週間後に発症します。 手足のしびれや感覚の違和感が左右対称に現れ、続いて下肢から上肢へ広がる進行性の筋力低下や歩きにくさが出現するのが特徴です。 免疫システムの異常によって自己の末梢神経を攻撃する「自己免疫反応」が要因と考えられています。 手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん) 手根管症候群は、手首にある「手根管」と呼ばれるトンネル状の空間で、正中神経が圧迫されて手指にしびれや痛みが生じる病気です。 とくに、40代以降の中高年女性に多く見られる疾患であり、初期には人差し指や中指を中心としたしびれが現れます。 症状が進行すると親指の付け根の筋肉が萎縮し、物をうまくつかめない、細かい作業がしにくいといった運動障害が目立ってくるのが特徴です。 足根管症候群 足根管症候群は、内くるぶし付近にある「足根管」と呼ばれるトンネル状の部分で、脛骨神経が圧迫または損傷されて発症する病気です。 神経への障害によって、足裏や足首にしびれや痛みが現れます。 痛みは、ピリピリと刺すような感覚が特徴です。 立位や歩行時、または特定の靴を履いたときに強くなる傾向があります。 さらに、足の冷えや感覚の異常を伴う場合もあり、症状が悪化すると日常生活に支障をきたすケースがあります。 内科系の病気 ここでは、手足のしびれが生じる内科系の病気について解説します。 糖尿病性神経障害 糖尿病の三大合併症の一つ「糖尿病性神経障害」は、手足のしびれを引き起こす原因となります。 高血糖状態の持続によって血管が損傷し、血流が悪化することで発症します。 手足の末端にまで酸素や栄養を含んだ血液が十分に行き届かなくなり、末梢神経が障害を受けてしびれや感覚異常が現れるのが特徴です。 閉塞性動脈硬化症 閉塞性動脈硬化症は、動脈硬化によって血管が狭くなったり詰まったりして血流が低下し、手足にさまざまな症状を引き起こす病気です。 手足の血管が障害されると、しびれや冷感、血行不良による皮膚の色調変化などが見られる場合があります。 進行すると歩行中に足に痛みやしびれが生じ、一時的に休むと症状が軽快し、再び歩けるようになる「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」と呼ばれる特徴的な症状が現れます。 更年期やストレスなどその他の原因 更年期のホルモン変動や精神的なストレスが、手足のしびれや痛みの一因となる場合があります。 詳細な検査を行っても原因が明確にならない一部のしびれや痛みについては、以下のような要素が関与しているケースがあるのです。 ウイルス感染 更年期障害 うつ病 ストレス ビタミン欠乏 検査で明らかな異常が見つからない場合でも、更年期症状や精神的負担などを内科医に具体的に伝えることで、原因の見当や今後の対処方針の検討が可能になります。 手足がしびれる病気の前兆をチェックする方法 手足のしびれは、さまざまな病気の前兆として現れることがあります。 しびれの特徴から、どのような疾患の可能性があるのかをチェックしておきましょう。 疾患名 しびれの特徴 脳血管疾患 (脳梗塞や脳出血) ・片方の手足だけがしびれる ・手足が麻痺する ・ろれつが回らない ・意識障害がある 変形性頚椎症 ・全体的に手がしびれる ・首の後ろを動かすと手のしびれが悪化する 頚椎椎間板ヘルニア ・手足のしびれに痛みを伴うことがある 手根管症候群 ・手の親指や人差し指、中指がしびれる ・手首を酷使したあとにしびれが生じる 手足のしびれと病気の前兆について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。 手足がしびれるときは何科を受診すべきか 手足のしびれで病院を受診する際は、しびれ以外の症状や、現在かかっている病気などから受診する科を決めましょう。 ここでは、手足のしびれで受診すべき3つの診療科について解説します。 片側の手足が動かないようなら「脳神経外科」 手足のしびれ以外に片側の手足が動かない、ろれつが回らない、言葉が出てこないなどの症状がある場合は脳梗塞や脳出血の可能性があるため、脳神経外科を受診しましょう。 脳梗塞や脳出血の場合は一刻も早い治療が必要なので、躊躇せずに救急車を呼んでください。 腰や手足の痛みがあれば「整形外科」 手足のしびれ以外に腰や手足の痛み、間欠性跛行などの症状がある場合は、整形外科が適しています。 受診時には、医師が状況を把握しやすいように、症状がある部位や出現時期などを伝えると良いでしょう。 手足のしびれ以外に症状がなければ「内科」 糖尿病や高血圧、高脂血症といった内科疾患があり、しびれ以外に症状がない場合は内科(かかりつけ医)を受診しましょう。 とくに、糖尿病治療中に手足のしびれが生じている場合は、神経障害を起こしている可能性が高いため、早めに受診してください。 手足がしびれる病気の予防法 手足がしびれる病気の種類はさまざまです。ここでは、3種類の病気について予防法を解説します。 脳神経系の病気 末梢神経系の病気 内科系の病気 脳神経系の病気の予防法 脳梗塞や脳出血といった脳卒中を防ぐには、高血圧を予防・改善しましょう。 高血圧の予防・改善には、日常的な減塩が必要です。 また、糖尿病や高脂血症といった生活習慣病のほか、喫煙、過度な飲酒なども脳血管を痛めます。 バランスの良い食事や適度な運動を心がけるなど、生活習慣を見直しましょう。 なお、脳卒中は再発予防も大切です。 当院「リペアセルクリニック」では、脳卒中の後遺症治療・再発予防として再生医療(幹細胞治療)を行っております。 再生医療について詳しくは、以下のページをご覧ください。 末梢神経系の病気の予防法 末梢神経系の代表的な疾患である手根管症候群の予防は、手首への過度な負担を避けることが重要です。 とくに、手首を繰り返し曲げる動作は神経の通り道である手根管を狭め、正中神経を圧迫するリスクを高めます。 日常的にパソコン作業を行う方や、ドライバーなどの工具を頻繁に使用する方は、作業の合間に手首を休ませる時間を意識的に確保しましょう。 また、糖尿病や甲状腺機能低下症を抱える方は、手根管症候群を発症しやすい傾向があります。 定期的に血液検査を受けるなど、基礎疾患の管理を徹底してください。 内科系の病気の予防法 内科系の病気の中でも、糖尿病は生活習慣の改善で予防できます。 糖尿病予防の主なポイントは次の通りです。 栄養バランスの良い食事や腹八分目を心がける ウォーキングやサイクリングといった適度な運動を続ける 適正体重を保つ 毎年健康診断を受ける 喫煙者は禁煙を検討する アルコールは適量を守る 放置せずに治療を継続する なお、糖尿病の治療では、再生医療が選択肢のひとつになっています。 以下のページで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 まとめ|手足のしびれの病気が疑われる際は早めに病院へ 手足のしびれを引き起こす病気は数多くありますが、原因がわからないケースも少なくありません。 脳血管疾患のように、命に関わる病気が原因の可能性もあります。 手足のしびれが続くときは放置せず、早めに医療機関を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、しびれの原因となる脳卒中やヘルニア、糖尿病などに対して再生医療を行っています。 公式LINEでは、再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しておりますので、手足のしびれでお悩みの方はお気軽にご相談ください。 手足のしびれの病気に関するよくある質問 手足のしびれと皮膚の表面がピリピリする感覚の関係は? 皮膚の表面がピリピリする感覚の主な原因は、痛みを伝える神経が損傷されるために起こる神経障害性疼痛や帯状疱疹などです。 神経障害性疼痛の場合は、痛み止めやブロック注射などの治療方法があります。 帯状疱疹の治療は抗ウイルス薬の内服、もしくは点滴です。 手足のしびれの治し方は? 手足のしびれの原因になっている病気があれば治療し、同時にしびれを抑える治療も行います。 しびれの主な治療法は消炎鎮痛剤やビタミン剤の内服ですが、病気によっては手術が必要です。 しびれに加えて足のむくみがある病気は? 足のむくみとしびれが同時に出る場合、下肢静脈瘤の初期症状の可能性があります。 下肢静脈瘤の初期は足のむくみやしびれが見られるため、明らかな理由がないのに症状が続く場合は注意が必要です。 手足のしびれと同時にめまいも生じる病気は? 手足のしびれとめまいが同時に始まった場合、脳梗塞や脳出血など危険な脳の病気の可能性があるため要注意です。 脳幹や小脳に梗塞や出血が生じると、しびれやめまいのほか、腕や脚の麻痺・歩行困難・嘔吐・頭痛などを伴うケースもあります。 手足のしびれに頭痛を伴う病気は? 手足のしびれに頭痛が加わる場合、脳梗塞や脳出血など脳血管障害の可能性があります。 突然体の片側だけにしびれや脱力症状が現れ、頭痛・めまい・吐き気・嘔吐を伴うときは脳梗塞や脳出血などが疑われます。 手足のしびれが片側だけの病気は? 体の左右片側の手や足がしびれる、だるいといった場合には、高血圧症や脊椎・脊髄疾患、脳腫瘍、脳出血などの重大な病気が疑われます。 このような症状が続くときは、早めに医療機関で相談しましょう。 若い女性が手足がしびれる病気は? 若い女性の場合、手根管症候群やモートン病、胸郭出口症候群などが手足のしびれの原因になる場合があります。 手根管症候群では、手首の正中神経が圧迫され、親指から薬指にかけてしびれが出現します。 モートン病はハイヒールなどで足の神経が圧迫されて起こり、胸郭出口症候群は上肢や肩甲骨周囲にしびれが生じるのが特徴です。 参考文献 (文献1) 一過性脳虚血発作は、早期に完成型脳梗塞を発症する可能性が高い|国立研究開発法人 国立循環器病研究センター
2025.03.30 -
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- 手部
手のしびれは一時的なものと思われがちですが、実は重大な病気の前兆の可能性もあります。 とくに、片側だけのしびれや、痛み、脱力感を伴う場合は注意が必要です。 本記事では、手がしびれる原因となる病気の特徴やセルフチェックの方法、医師が推奨する治療・予防法について詳しく解説します。 理解を深めて日常の違和感に気付けるようになって、早めの対処につなげましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、手のしびれの治療にも用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しているので、ぜひご登録ください。 手がしびれる病気の前兆とセルフチェック方法 手のしびれは、誰しも一度は経験する身近な症状ですが、実は重大な病気のサインである可能性も潜んでいます。 手がしびれる病気の前兆に気づいて早期治療するためにも、ご自身のしびれをよく観察し、セルフチェックしましょう。 以下では、チェックする場所や範囲、時間帯などさまざまな面からセルフチェックする方法を解説します。 しびれの場所 手のしびれを感じたとき、まず確認すべきなのは「しびれが出ている部位」です。 たとえば、親指・人差し指・中指にしびれが出ている場合、手首の中を通る神経が圧迫されて起こる「手根管症候群」が疑われます。 手根管症候群は、手首のトンネル(手根管)がなんらかの原因で狭くなり、その中を通る正中神経が圧迫されることで、しびれや痛みを生じる病気です。 Point! 薬指の内側(中指側)と外側(小指側)を、指でなぞってみてください。もし中指側だけがしびれているなら、高い確率で手根管症候群が疑われます。 両手の母指球筋を比べ、平らになって筋肉が痩せているなら、進行した手根管症候群になります。 しびれが弱くても母指球筋が小さくなっていたら、今以上に悪くならないように手術した方が良いでしょう。 進行すると、服のボタンが付けにくくなったり、お箸が持ちにくくなったりするなど、手術しても後遺症として残ってしまうケースもあります。 一方、小指や薬指にしびれがある場合は、「肘部管(ちゅうぶかん)症候群」の可能性も考えられます。 肘部管症候群は、肘の神経の通り道が狭くなって起こるしびれです。たとえば、椅子などに肘の内側をぶつけると指までしびれる場合がありますが、肘部管症候群の原因である尺骨神経によるものです。 また、手の甲側がしびれる場合は、「橈骨(とうこつ)神経麻痺」の疑いもあります。 橈骨神経麻痺は、腕の外側から手の甲にかけて走る神経が圧迫されることで起こるのが特徴です。 たとえば、腕枕をして寝てしまった後に手がしびれるのは、橈骨神経圧迫による一時的な麻痺による可能性を否定できません。 ひどい場合は手のひらがだらんと垂れて動かなくなる場合もありますが、2〜3カ月ほどリハビリを行って様子を見れば、改善するケースもあります。 しびれの範囲 しびれが出ている範囲も、原因を見極める上で重要な手がかりです。 たとえば、しびれが手全体に広がっている場合は、首や肩まわりの神経が圧迫される「頚椎症」や「胸郭出口(きょうかくでぐち)症候群」が疑われます。 首の骨の変形や筋肉による圧迫が原因で、手先まで神経の信号がうまく伝わらなくなる状態です。 一方で、手根管症候群は手首より先(手のひらや指)に限ってしびれ、肘や腕まで広がるケースはほとんどありません。 また、片側の手だけが急にしびれた場合は、脳の血管が詰まったり破れたりする「脳卒中」の可能性もあります。 脳卒中を発症すると手足の麻痺、ろれつの回らなさ、意識障害などが一緒に現れる場合があり、早急な対応が必要です。 ただし、頚椎症でも片方だけにしびれが出るケースはあります。 症状の出方は人によって異なるため、気になる変化があれば早めに医療機関で診察を受けましょう。 しびれの時間帯 しびれの原因を考えるときは、「いつ強く出るか」という時間帯にも注目です。 一日中続くのか、特定の時間だけなのか、ある姿勢をとったときだけなのかなどの情報は、診断の重要な手がかりになります。 たとえば、手根管症候群は夜間から明け方にかけてしびれや痛みが強くなり、目が覚めたときに親指〜中指あたりがビリビリする、手を振ると少し楽になるといった特徴があります。 「いつ・どのくらい続くしびれなのか」をメモしておくと、医療機関で原因を絞り込む際に役立つでしょう。 動作との関連性(特定の姿勢、動作で悪化など) 手のしびれを感じたときは、以下のように「どんな姿勢や動作で症状が変化するか」もあわせてチェックしてみましょう。 姿勢・動作 考えられる原因 パソコン作業やスマホ操作の後にしびれが強くなる 手根管症候群 首を後ろに反らすとしびれが悪化する 頚椎症 腕を頭の上に上げるとしびれが軽くなる 胸郭出口症候群 日常生活の中で、しびれが「いつ強くなるのか」「どうすれば楽になるのか」を意識すると、医師への相談時にも的確な情報を伝えやすくなります。 随伴症状(痛み、感覚異常、脱力など) 手のしびれに加えて、他の症状が同時に現れることがあります。 以下のような「随伴症状」は、原因を特定する上で重要な手がかりです。 しびれ以外の症状 考えられる原因や疾患 鋭い痛みがある 神経腫瘍 脱力感・感覚の鈍さを伴う 神経の損傷や圧迫が深刻な可能性 手のむくみや冷感がある 血流障害や神経圧迫による症状 たとえば、指の神経にできる「叢状シュワン腫(良性腫瘍)」では、しびれと同時に鋭い痛みを感じるケースもあります。 また、筋力が低下したり、触った感覚が鈍くなったりする場合は、神経の損傷が進行しているサインかもしれません。 こうした症状がある場合は早めに医療機関を受診し、詳細な検査を受けることが大切です。 過去の病歴 手のしびれの原因を正確に判断するためには、「過去の病歴」も大きな手がかりになります。 以下のような既往歴がある場合は、しびれの背景に何らかの疾患が関係している可能性があります。 関連する病歴 しびれとの関係性 糖尿病 末梢神経障害を起こし、手足のしびれの原因になることがある 高血圧 血流障害により、神経に影響が及ぶ可能性がある 神経系の既往症 再発や別の神経疾患の可能性がある 健康診断の結果やこれまでにかかった病気・治療内容も含めて、医師にできるだけ詳しく伝えると、的確な診断と治療につながります。 危険信号(麻痺の進行、意識障害など) 手のしびれに加えて、以下のような症状が現れた場合は脳卒中の可能性が高いため、迅速な対応が求められます。 症状 考えられる状態 麻痺の進行 脳の損傷による運動障害の悪化 意識障害 脳全体への影響が進行している可能性 ろれつが回らない・言葉が出ない 言語中枢へのダメージが疑われる 激しい頭痛 出血性の脳卒中(くも膜下出血など)の可能性 片側の手足や顔のしびれ 脳の片側への血流障害のサイン このような症状が少しでも見られたら、ためらわずに救急車を呼ぶ、もしくは速やかに医療機関に連絡することが大切です。 時間が経つほど、後遺症のリスクが高まります。 手がしびれる「脳卒中」の特徴・前兆チェックリスト 脳梗塞・脳出血などの脳卒中では、「手のしびれ」が前兆として現れる場合があります。 とくに、片側だけのしびれや急に力が入りにくくなる症状には要注意です。 次のチェック項目に当てはまるものがある場合は、早急な受診が必要になる可能性があります。 チェック項目 該当 片側の手だけ、または片側の手足に突然しびれが出た □ 顔の片側のゆがみ(口角が下がるなど)に気づいた □ ろれつが回らない、言葉がうまく出てこない、言葉が聞き取りにくい □ 片方の目が見えにくい、物が二重に見えるなど急な見え方の異常がある □ 原因不明のふらつきや、真っ直ぐ歩けない感じが突然あらわれた □ これらの症状が、数分〜数十分でいったん治まったことがある(TIAの可能性) □ これらの症状は、一時的におさまっても「一過性脳虚血発作(TIA)」など、将来の脳梗塞につながる重要なサインの可能性があります。 顔・腕・言葉に異変を感じたら、「そのうち治るだろう」と様子を見ず、至急救急外来や脳神経外科・脳神経内科の受診を検討してください。 手がしびれる病気|主な原因と発症メカニズム 軽いしびれであっても、放っておくと後々治療しにくくなるケースがあります。神経は一度傷ついてしまうと、一生後遺症として残る恐れがあるのです。 ここでは、手がしびれる病気の主な原因と発症メカニズムについて解説します。 首近くの神経が圧迫されて手がしびれる「頚椎症」 手のしびれの原因として、首の骨(頚椎)の異常が関係しているケースがあります。 とくに多いのが「頚椎症」で、加齢とともに首の骨が変形したり、骨のとげ(骨棘)ができたりにより、神経が圧迫されて起こります。 たとえるなら、長年使い続けた家の柱や梁が少しずつ歪んだり、ひびが入ったりするようなものです。 長時間のパソコン作業やスマートフォン操作で猫背になっている人は、頚椎に負担がかかりやすくなっているので注意しましょう。 手と足がしびれる可能性がある「椎間板ヘルニア」 椎間板ヘルニアとは、背骨の間でクッションの役割をする「椎間板」が飛び出し、近くの神経を圧迫してしまう病気です。 まるで饅頭の中身が押し出されるように椎間板の一部が突出し、神経を強く刺激する場合があります。 若い人でも、重いものを急に持ち上げたときなどに発症することがあり、ぎっくり腰のように突然の激しい痛みやしびれに襲われるケースもあるため注意が必要です。 首のあたりで起こる「頚椎ヘルニア」では、手や足の両方にしびれが出る可能性があります。 一方、腰で起こる「腰椎ヘルニア」は手にしびれは出ず、主に足に症状が現れるのが特徴です。 手のしびれ・痛み・だるさを引き起こす「胸郭出口症候群」 胸郭出口症候群は、首から腕、指先へと伸びる神経や血管が通る「胸郭出口」と呼ばれる狭い通路が、何らかの原因により圧迫されて起こります。 圧迫により、手のしびれや痛み、腕のだるさ、冷感などの症状を引き起こすのが特徴です。 胸郭出口は鎖骨と肋骨の間に位置するため、なで肩の人や重い荷物をよく持つ人だとスペースが狭まりやすく、症状が出やすくなります。 整形外科の外来では比較的まれなケースとされており、診断までに時間がかかる場合も少なくありません。 診断された場合は、まずリハビリや筋力トレーニングによる治療が基本です。 指にしびれや痛みが生じる「手根管症候群」 手首にある「手根管」というトンネル状の部分で正中神経が圧迫されると、「手根管症候群」が起こります。 正中神経は、親指・人差し指・中指・薬指の半分に感覚を伝えているため、圧迫されると指先のしびれや痛み、腫れぼったさなどの症状が現れるのです。 とくに、妊娠中や更年期の女性に多く見られ、ホルモンバランスの変化で手根管周辺が腫れやすくなるのが一因とされています。 また、手をよく使う作業や趣味がある方にも発症しやすい傾向があります。 両手がしびれることもある「末梢神経障害」 末梢神経は、脳や脊髄から体の各部へ信号を送る神経のネットワークです。 障害が起きると手足のしびれや痛み、感覚の異常が現れます。 糖尿病やビタミン不足などが主な原因で、とくに両手や両足にしびれが出やすいのが特徴です。 手のしびれが片側だけに現れたら要注意「脳卒中」 手のしびれでもっとも注意したいのが、脳卒中です。 脳の血管が詰まったり、破れたりすることで脳の機能が障害を受けます。 手のしびれだけでなく、片側の手足の麻痺、ろれつが回らない、意識がもうろうとするなど、重い症状が突然現れるケースも少なくありません。 とくに、しびれが片側だけに出ている場合や他の神経症状を伴う際は、早急に医療機関を受診する必要があります。 進行すると手全体がしびれる「糖尿病」 糖尿病が長期間続くと合併症として「糖尿病性神経障害」が起こり、手足のしびれや痛みが出る場合があります。 高血糖状態が続くと末梢神経の細胞内にソルビトールなどの物質が溜まり、神経が傷つくのが主な原因です。また、血流障害なども原因になります。 初期には足や手の指先の軽いしびれや違和感から始まり、進行すると手足全体へ広がり、感覚低下や触覚の低下、痛みを伴うケースもあります。 手のしびれが続く場合、「歳のせい」や「疲れ」と決めつけず、糖尿病の有無や血糖コントロールの状況も含めて医師に相談しましょう。 手がしびれる病気の治し方と予防法 手がしびれる病気にはさまざまな原因が潜んでおり、放置すると深刻な事態を招くため注意が必要です。 ここでは、手のしびれの主な治療法と、日常生活での予防ケアについて解説します。 薬物療法 手のしびれに対しては、原因や症状の程度に応じて以下のような薬が用いられます。 神経の炎症や痛みを抑える薬:炎症性のしびれ。重症の場合は、ステロイド薬も使用 血行を改善する薬:血流不足が原因のしびれ ビタミン剤(とくにビタミンB群):神経の働きを助ける作用 糖尿病に伴うしびれ:血糖コントロールを改善するための薬 ただし、しびれは薬だけで完全に治すのが難しい症状でもあります。また、治療の効果には個人差があるため、焦らず根気強く取り組むことが大切です。 理学療法・作業療法 薬物療法だけでなく、理学療法や作業療法も手のしびれに対する治療で重要な役割を担っています。 <理学療法(フィジカルセラピー)> ストレッチやマッサージ、温熱療法などで筋肉や関節の柔軟性を高めて血行を促進することで、しびれの軽減を目指します。 胸郭出口症候群では、両腕の重みを支える筋肉の強化が有効です。 <作業療法(オキュペーショナルセラピー)> 日常生活の中で支障が出ないように、動作の練習や自助具の活用を通じて生活の質をサポートします。 たとえば、手根管症候群では手首に負担をかけない使い方の練習や、専用の装具による安静保持の指導が行われます。 装具療法 手首・指を固定するサポーターや頚椎を支えるコルセットなどの装具は、患部を安静に保つことで神経への負担を軽減し、しびれの緩和に役立ちます。 とくに、手根管症候群や腱鞘炎など、手首の使い過ぎが原因となるケースで有効です。 たとえば、就寝中に手首をサポーターで固定すると、夜間のしびれを軽くできる場合があります。 ただし、装具にはさまざまな種類があるため、医師や理学療法士の指導のもと、自分に合ったものを選んで正しく使うことが重要です。 手術療法 手のしびれは、薬物療法・理学療法・装具療法などの保存療法で改善が期待できますが、神経の圧迫が強い場合や保存療法で効果がみられない場合には、手術が検討されます。 たとえば、手根管症候群で母指球筋がやせる、細かい動作が難しくなる(巧緻障害:こうちしょうがい)といった症状が出た場合、圧迫している靭帯を切開して神経を解放する手術が必要です。 また、頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアが原因の場合には、首の骨に対する手術が行われるケースもあります。 一般的に、筋力低下や排尿・排便障害が出ている場合は手術の対象となるほか、しびれが我慢できないほど強い場合も手術が選択肢になります。 再生医療 手のしびれには、再生医療という選択肢もあります。 再生医療とは、本来の機能を失った組織や細胞に対して、自分自身の幹細胞や血液を用いる治療法です。 当院「リペアセルクリニック」では、幹細胞がさまざまな種類の細胞に変化する「分化能」という能力を活かし、患者様自身から採取した幹細胞を培養・増殖させて用いる再生医療の「幹細胞治療」を実施しています。 入院や手術を必要とせず、日帰りでの施術が可能です。 以下の記事では、15年以上にわたって四肢のしびれや筋力低下に悩まされていた70代女性の症例をご紹介しているので、参考までにご覧ください。 日常生活での注意点と予防法 手のしびれを防ぐには、日常の習慣を見直すことも大切です。 長時間同じ姿勢を続けたり、手首や指に負担をかける作業を繰り返したりは避けてください。 パソコンやスマートフォンの使用中はこまめに休憩を取り、ストレッチをするようにしましょう。 デスクワークでは、椅子や机の高さを調整して正しい姿勢を保つと、首や肩への負担軽減につながります。 また、バランスの取れた食事・適度な運動・十分な睡眠も大切です。 なお、しびれを感じたら「そのうち治る」と自己判断せず、早めに医療機関を受診してください。重症化の予防と改善のためには、早期治療が重要です。 まとめ|手がしびれる病気の前兆をチェックしよう 手のしびれには、神経の圧迫や血流障害、代謝異常などさまざまな原因が隠れています。 放置すると後遺症が残る病気もあるため、しびれが続いている、もしくは悪化している場合は注意が必要です。 セルフチェックで症状の変化に気づき、理学療法や薬物療法など適切な治療を受けることで、改善も期待できます。 今回の内容を参考に、手のしびれから疑われる病気の前兆をチェックし、早めに医療機関を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、手のしびれに対する治療選択肢の一つ、再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。ぜひ一度ご利用ください。
2025.02.15







