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脳出血の前兆!初期症状をセルフチェック!早期治療で後遺症を残さない 脳出血とは脳卒中の 1 つで、脳を走る血管が破れて脳の中で出血が起こる病気です。 高齢であったり、高血圧や動脈硬化が強いと血管が弱くなるため、脳出血を引き起こしやすくなります。出血が広がると血液で脳が圧迫されたり、血液が神経細胞に行き渡らず細胞が死んでしまったりすることでさまざまな症状が出現し、広がりに応じて進行します。 一度障害を受けた神経細胞は元に戻ることはないため麻痺や感覚障害などの後遺症を残します。脳出血の約 70 %が後遺症を残すと言われており、生活に支障をきたさない程度の後遺症から、四肢麻痺など、日常生活が以前のように送れなくなるほどの後遺症までさまざまです。 リハビリを行うことである程度までの回復を期待することはできますが、完全に元に戻すこと難しく、何よりかなりの時間を要します。 脳出血で強い後遺症を残さない為にも、発症早期に気づき、周囲の神経細胞に障害が起こる前に治療を受けることが重要になります。 この記事では、脳出血の比較的急性期に認める症状や好発部位ごとに現れる症状の特徴、ご自身で参考にしていただける初期症状のセルフチェックシートなどを紹介します。 脳卒中!脳出血の好発部位とその症状の特徴は? 脳出血は出血が起こりやすい部位によって種類が分けられており、それぞれで症状に特徴があります。 好発部位は大きく分けて 5 つあり、以下に特徴を示します。 ①被殻(ひかく)出血 脳出血の中で、一番頻度が高い部位です。 症状はまず頭痛や嘔吐から始まり、片側の手足の麻痺や感覚の異常、うまく言葉が話せない構音障害などを認めます。 また、被殻出血が起こるとどちらか一方に目がよる共同偏視を認めることもあります。 ②視床出血 被殻出血の次に多く見られる脳出血です。 視床は感覚を伝達する神経が多く走っている部位のため、視床出血では感覚障害や視床痛という半身のみの痛みを認めます。 また、視床出血は脳脊髄液が循環している脳室と近い位置にあるため、出血が脳室まで及ぶと水頭症という状態になり意識障害を起こします。 視床出血になると左右の目が内下方を向くようになることが特徴です。 ③小脳出血 小脳は平衡感覚をつかさどる部位です。 そのため、この小脳で出血が起こると頭痛と嘔吐、めまい、歩行障害が起こります。 小脳出血が広がり脳幹まで圧迫されると呼吸が止まり致命的になる可能性があります。小脳出血のみですと、麻痺は起こりません。 ④橋出血 橋は脳幹の一部で呼吸や全身の運動などをつかさどっている部位です。 橋で出血が起こると意識障害や全身の麻痺が起こり、出血が広がると呼吸ができなくなり重篤な状態になることがあります。 橋出血が起こると左右両方の目の瞳孔が小さくなることが特徴です。 ⑤皮質下出血 脳の比較的表層の部分に出血が起こるものです。 部位によって症状はさまざまで、片側の手足の麻痺や構音障害、視界の左右どちらかが見えなくなる半盲などを認めます。 脳出血の前兆・初期症状を知ることで早期治療を! 脳出血は出血範囲が広がるほど多くの神経細胞が圧迫され重症となり、最悪の場合寝たきりや死亡してしまうこともあります。 しかし早期に発見できれば、手術で血の固まり(血腫)を取り除いたり、血圧をコントロールして血腫が大きくなることを防ぐ治療を受けることができるため、後遺症などが軽症ですむ可能性が上がります。 脳出血の初期症状セルフチェックシート 初期症状リストを以下に示します。これらを参考にして、初期の段階から脳出血に気付きましょう。 いずれの部位の脳出血でも認める症状 ▢突然の激しい頭痛 ▢嘔吐 重篤な状態を示唆する症状 ▢意識障害 ▢昏睡 運動障害 ▢手足の麻痺、動かしにくさがある ▢片側の顔の麻痺、動かしにくさがある ▢表情に左右差がある ▢歩きにくくなる、足がもつれる ▢ごはんが食べにくくなる、飲み込みづらくなる 感覚障害 ▢片方の手足が痺れる ▢左右どちらかの顔面が痺れる ▢半身の痛みが突然生じる 言語障害 ▢舌がうまく回らず上手に話せない ▢話したい言葉が出てこない ▢言葉が理解できない 視覚障害 ▢突然視野が狭くなる ▢左右どちらかの視野が障害される ▢物が二重に見える ▢瞳孔の大きさが左右で違う・やけに小さい 平衡感覚障害 ▢めまい ▢ふらつき ▢まっすぐ歩けない チェックシートに記載の症状で 1 つでも当てはまる項目があれば、脳出血である可能性が高いです。迷わず医療機関を受診してください。 特に今まで感じたことのないような突然発症の激しい頭痛を認めた時は、脳出血が頭の中で発症した可能性がかなり高いです。 それに伴い、「激しい吐き気」や「嘔吐」がある場合は、更にその可能性が高まります。これら 2 つの症状は、どの部位に出血が起こっても認める症状で、かつ頭痛は血管が破れた際に起こる症状です。 すみやかに治療を受けることで、その他の症状を発症せずに済むかもしれません。 意識障害や昏睡状態になっている場合はすでに重篤な状態であり、命に危険が及んでるかもしれません。いずれの場合も救急車を使用するなどして、いち早く専門の医療機関を受診しましょう。 脳出血に前兆はない? 脳出血は突然血管が破れて発症するため、前兆は基本的にありません。前兆ではありませんが、血圧は 1 日の中で朝の 10 時ごろが最も高いためその時間帯に脳出血が起こりやすくなっています。 そのため、日頃から生活習慣を気をつけて、初期症状を認めた場合はすぐ受診し早期の治療を受けることが必要です。 まとめ・脳出血の前兆!初期症状をセルフチェック!早期治療で後遺症を残さない 脳出血はある日突然発症し、多くの場合で後遺症が残ってしまう病気です。 しかし早期に治療を行うことができれば後遺症を残さないか、残っても軽度で済む可能性が高まります。加えて、脳出血は画像検査ですぐに診断をつけることが可能です。 そのため、少しでも疑う場合はすみやかに医療機関を受診することが重要です。また、脳出血の治療を行うのは主に脳神経外科になるため、脳神経外科の体制が整っている病院を選んでください。 尚、後遺症については、リハビリ以外にも最先端医療の「再生医療」という新たな手法もあり、万一後遺症が残った場合は、その存在を知っておくことで後遺症が改善する可能性も残されています。 以上、本記事が参考になれば幸いです。 ▼以下もご覧になりませんか 脳出血にならないために!予防と再発を防ぐための血圧管理方法は
2022.12.19 -
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脳梗塞の予防や再発防止を図るためには、食事を見直すのが重要です。 脳梗塞の原因となる食品は数多くあり、普段から口にします。 したがって、脳梗塞の予防や再発防止のために食べてはいけない、食べすぎてはいけないものを把握した上で、食生活を築くのが大切。 本記事では、食べてはいけないものに合わせて予防や再発防止のために積極的に食べたいものも解説します。 脳梗塞のリスクを下げたいと考える人はぜひ参考にしてください。 脳梗塞の予防・再発防止のために食べてはいけないもの一覧 脳梗塞の予防・再発防止をする上で食べてはいけない・食べすぎてはいけない食べ物の代表例は以下です。 ・動物性脂肪・トランス脂肪酸が含まれる食品 ・加工食品 ・塩蔵品 ・アルコール ・高GI炭水化物 上記は脳梗塞の原因であり、発症や再発を避ける上で食べるのは好ましくありません。 それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。 ①動物性脂肪・トランス脂肪酸が含まれる食品 まず、動物性脂肪やトランス脂肪酸を摂取するのは避けましょう。 <動物性脂肪・トランス脂肪酸が含まれる食品一例> ・肉料理全般 ・卵 ・チーズ ・バター ・牛乳 ・チョコレート ・アイスクリームetc. 基本的に、肉類や乳が関係したものは、避けるようにしましょう。 動物性脂肪には、動脈を閉塞させるコレステロールを増やすはたらきがあります。 トランス脂肪酸は、血行を悪くする原因。 また後述する塩蔵品やアルコールとともに摂取する機会が多く、注意が必要です。 動物性脂肪とトランス脂肪酸の摂取を避けるためには、脂っこいものを避ける意識がポイントです。 ②加工食品 脳梗塞の発症と再発を避けるためには、加工食品の摂取も避けたいところです。 <加工食品の一例> ・インスタントラーメン ・スナック菓子 ・冷凍食品 ・菓子パン ・デザート 加工食品は添加物や保存料、炭水化物などを多く含んでいます。 また保存性を保つため、前述のトランス脂肪酸も、多くの場合で含まれているでしょう。 脳梗塞の原因となるものが多いため、加工食品の食べ過ぎには注意が必要です。 ③塩蔵品 また、塩蔵品(塩漬け)の類も避けましょう。 <塩蔵品の一例> ・漬物全般 ・塩辛 ・ハム ・ベーコン ・味噌漬け ・明太子etc. 塩蔵品は、動脈硬化や血栓形成の原因である塩分やナトリウムを大量に含みます。 また高血圧にも関係しており、脳梗塞の発症や再発のリスクが高い食品と言えるでしょう。 また、塩蔵品でなくとも塩分が多い食品にも同様のことが言えます。 塩蔵品も含め、食べすぎは避けるのをおすすめします。 ④アルコール 種類にかかわらず、アルコールは可能な限り避けましょう。 アルコールは、高血圧や血液の凝固など、脳梗塞の発症につながる現象を引き起こします。 さらに高血圧や血栓形成にも関係します。 さらにアルコールが提供される場所では、脳梗塞を発症・再発させうる食品も口にしやすいでしょう。 そしてアルコールには食欲を増進させる効果もあり、さらに脳梗塞発症・再発のリスクを高める懸念があります。 ⑤高GI炭水化物 また高GI炭水化物が豊富な食品も避けるようにしましょう。 GIとは「グリセミック指数」の略称です。 指標としては食品を食べたあとの血糖値の上昇の程度を示します。 <高GI炭水化物の一例> ・白米 ・食パン ・パスタ ・じゃがいも ・うどん ・シリアルetc. 一般的に白い、やや黄色い食品は、高GIの傾向があると覚えておきましょう。 高GI炭水化物は血糖値を急激に高め、脳梗塞の原因となる血栓生成や高血圧を引き起こします。 また血管内に炎症をもたらす点も、脳梗塞のリスクになります。 予防・再発防止の観点から見れば危険な食品であり、意識的に避ける必要があるでしょう。 脳梗塞の遺伝的要因と食事の関係性 脳梗塞は日本でも死因上位の病気であり、脳梗塞のリスクとして食生活と遺伝が関係します。 下記では、脳梗塞と、食事や遺伝の関係性を解説します。 合わせて後天的要因にも触れているので参考にしてください。 脳梗塞は遺伝する!?「食事」が関係する理由 脳梗塞の発症には多因子の関与が知られており、この多因子は大きく後天的要因と遺伝的要因に分けられます。 それぞれ解説していきます。 脳梗塞の遺伝的要因 遺伝的要因としては年齢 、性別 、人種 、家族歴 、高血圧 、糖尿病 、高脂血症 、肥満 、過凝固状態(血液が固まりやすくなること)などの要素が挙げられます。 以下の3つに関してより詳しく解説していきましょう。 脳梗塞の遺伝的要因 ・年齢 ・性別 ・家族歴 脳梗塞はどの年齢でも発生する可能性がありますが、リスクは 1 歳未満の乳児と成人で高くなります。 成人では、リスクは年齢とともに増加します。 また、若い年齢では、男性は女性よりも脳梗塞を起こす可能性が高くなります。 しかし、女性は長生きする傾向があるため、脳梗塞になる生涯リスクは高くなります。 また、経口避妊薬やホルモン補充療法を使用している女性や、妊娠中および出産後の数週間もリスクが高くなります。 脳梗塞の家族歴に関しては、親または他の家族が脳梗塞を発症したことがある場合、とくに若い年齢で脳梗塞を発症するリスクが高くなります。 後天的要因とは?体質の遺伝は食事と関係する そして後天的要因として、食事などの生活習慣なども関与し、危険因子と呼ばれます。 この後天的要因によって、脳梗塞が遺伝すると考えることもできます。 脳梗塞は稀ではありますが、遺伝に関係しているものはあります。 ほとんどの場合は生活習慣、とくに自宅で食べる際の食事の味付けに由来します。 たとえば塩辛い味が美味しいと感じる場合は、小さい頃から味付けが濃い食事を続けたことが影響していると言えます。 つまり、脳梗塞の家族歴があると、食生活も家族と同じようなものになる傾向があるため、高血圧症になりやすい体質が遺伝する可能性が高く、同様に発症リスクが高くなる考え方です。 脳梗塞の予防・再発防止のために摂りたい食事 脳梗塞の予防・再発防止のためには、食べてはいけないものを避けるのは大切です。 同じように、脳梗塞のリスクを下げる食品を食べるのも重要。 たとえば以下の食品は積極的に食習慣に取り入れましょう。 ・全粒穀物 ・青魚 ・果物 ・乳製品 ・タンパク質を含む食品 それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。 全粒穀物 まず、全粒穀物が予防や再発防止に役立ちます。 <全粒穀物の一例> ・玄米 ・オートミール ・ライ小麦etc. 全粒穀物には、食物繊維が多く含まれています。 食物繊維は、脳梗塞の原因になる血糖値やコレステロールの上昇を防ぎます。 またビタミンEやフィトケミカルが含まれている点も重要。 血管の硬化を防ぎ、血栓形成などのリスクを下げます。 ただし白米や精白パンなどの「精製穀物」には上記の効果が期待できず、むしろ脳梗塞の原因になる点に注意してください。 なお、全粒穀物は、白米や精白パンなどの代わりに主食の役割を果たします。 少しずつ精製穀物から切り替えていくと良いでしょう。 青魚 また青魚も、脳梗塞の予防や再発防止に有効な食品です。 <青魚の一例> ・サバ ・アジ ・サンマ ・イワシetc. 青魚にはDHAやEPAなどの成分が含まれています。 DHAやEPAは血行を促進し、血栓の生成を予防します。 またコレステロール値を下げる効果も。 さらに高血圧を改善するはたらきもあり、脳梗塞の予防や再発防止には欠かせない食品です。 また青魚は安価であり、普段の献立にも取り入れやすいです。 果物 果物も積極的に食べておきたい食品です。 <脳梗塞の予防や再発防止に役立つ果物の一例> ・オレンジ ・リンゴ ・パイナップル ・桃 ・ブドウ ・キウイetc. 果物には、血管や血行の状態を高める抗酸化物質、ビタミンなどが含まれています。 また血圧を下げるカリウムなども豊富。 さらに食物繊維も含まれているため、コレステロール値の低下も期待できます。 また、ほとんどの果物が安価かつ入手しやすいため、普段の食事に取り入れやすいでしょう。 乳製品 乳製品に関しては、効果的なものをきちんと選べば、予防や再発防止に役立ちます。 <乳製品の一例> ・牛乳 ・チーズ ・ヨーグルトetc. 乳製品に含まれるカルシウムは、脳梗塞の発症リスクを大きく下げるはたらきを示します。 国立がん研究センターによれば、乳製品由来のカルシウム摂取量が多いと、脳梗塞を含む脳卒中のリスクは、摂取量の低い群の0.64倍まで低下するとのこと。 ただしバターやマーガリン、練乳などの乳製品はむしろ脳梗塞のリスクを向上させるので注意してください。 参考記事:国立がん研究センター タンパク質 タンパク質を含む食品は、なるべく積極的に摂取しましょう。 タンパク質は、血圧を下げる、血行を促進する、血管をやわらかくするなど、脳梗塞のリスクを下げる上で欠かせないほとんどの効果を持っています。 とくにナッツや魚から得られる植物性タンパク質の摂取が好ましいでしょう。 一方で動物性タンパク質を含む肉類は、脳梗塞のリスクとなる動物性脂肪も多く含んでいます。 したがって口にする場合は注意が必要です。 ただし肉類でも、赤身のものを選択すれば、脳梗塞のリスクは低くなるでしょう。 脳梗塞の食事療法とは? 脳梗塞の時に摂るべき食事、控えるべき食事、さらに具体的にどのような工夫をすれば良いか解説していきます。 ①毎食さまざまな色の野菜を取り入れる 果物や野菜に含まれる栄養素をバランスよく得るため には、毎食、さまざまな色の食品を選ぶことが重要です。 濃い赤、オレンジ、鮮やかな黄色、濃い緑、青、紫など、さまざまな色の果物、野菜、豆類を選択することで、さまざまな栄養素を確実に取り入れられます。 ②飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロールの摂取を制限する 脂肪やコレステロールは体の健康のために必要ですが、血中のコレステロールが多すぎると、脳梗塞や心臓病のリスクが高まる可能性があります。 飽和脂肪酸などは、肉、チーズ、卵黄、バター、アイスクリームなどの動物性食品、および一部の植物油 (パーム、ココナッツ) などに含まれています。 これらの食品から摂取する飽和脂肪、トランス脂肪酸、コレステロールの量を制限するのが、脳梗塞予防の鍵となります。 ③食物繊維の多い食品を選ぶ 食物繊維はコレステロールと心血管疾患の全体的なリスクに関連します。 食物繊維の摂取量は、コレステロール値や脳梗塞のリスクに影響するだけでなく、血糖値をコントロールし、胃や腸などの病気を予防し、体重管理に役立つなどの利点があります。 ④食事中のナトリウムを減らす ほとんどの人が、必要以上にナトリウムを摂取します。 ナトリウムを摂りすぎると、体液が貯留し、血圧が上昇する可能性があります。 塩分を減らす方法としては、食卓塩の代わりにハーブやスパイスを使用しましょう。 塩味が控えめでも、風味が豊かになることで満足感を得られるのでおすすめです。 また、ナトリウムは食品の保存にも使用されるため、食品を加工すればするほど、ナトリウム含有量が高くなります。 したがって、加工食品や缶詰食品を使用しないことも大切です。 ⑤健康的な体重を維持する 脳梗塞のリスクを減らすためのもう 1 つの重要な戦略は、健康的な体重を維持することです。 食事量に注意して、食物繊維が多く脂肪の少ない食品を食べる、活動を増やすことで、健康的な体重を達成できます。 減量は無理なく続けることが大切です。 きちんと計画を立てて、最初から現実的に達成可能な短期、または長期の目標を設定して行うことが成功のポイントです。 ⑥糖分の摂取を減らす 糖分の過剰摂取は、高血圧、肥満、2 型糖尿病、脂質異常症と関連しており、これらはすべて脳梗塞の危険因子となっています。 砂糖の例としては、白砂糖、黒糖、蜂蜜、糖蜜、ゼリー、ジャム、加糖飲料などがあります。 使用頻度を減らすか、使用する量を減らすことが推奨されています。 ⑦カリウムを十分に摂る カリウムは果物、野菜、乳製品に豊富に含まれていますが、ほとんどの成人はカリウムを十分に摂取していません。 カリウムを摂るためには、バナナ、アプリコット、オレンジ、メロン、リンゴなどの果物がおすすめです。 野菜には、じゃがいも、さつまいも、ほうれん草、ズッキーニ、トマトなどがあります。 適切な心機能を維持するためには、十分な食事性カリウムの摂取が必要不可欠です。 関連記事:脳梗塞になりやすい人と?発症予防で注意しておくべきことはありますか? 脳梗塞のリスクについて食事療法で気をつけるべきことは? では、食事療法の工夫の次に、注意点についても見ていきましょう。 ただ単に食事内容に気をつけるだけではなく、以下のような注意点もあります。 ①肥満予防:食べる量に気をつける 満腹になるまで食べないことです。 肥満を防ぐためにも常に8割くらいに抑えて、食事量を調整しましょう。 ②脱水症状予防:水分を一緒に摂る 水分不足にならないように、食事と共に必ずこまめに水分摂取してください。 ただし、水分を摂るといっても、以下のような水分は推奨されません。 水分不足は、血流が滞り血栓ができやすくなる原因と言われています。 水または麦茶など、カフェインの入っていない飲み物は利尿作用がなく、水分の排出が少なく済むのでおすすめです。 水分でも以下は推奨しない ・アルコール ・コーヒー、緑茶 ・甘いジュース ③誤嚥予防:嚥下障害に気をつける 脳梗塞の後遺症として、飲み込みづらさなどがあり、飲み込みづらい場合は、ベット上で頭を上げるなど工夫して食事療法を行います。 誤嚥性肺炎などを引き起こす可能性もあるため、水分や固形物を飲ませる場合は、嚥下機能の評価を行ってからにしましょう。 まとめ・脳梗塞の遺伝的要因と後天的要因のリスク回避に食事療法を! 脳梗塞は食事療法を行うことで、予防できることもあります。 今回の記事でご紹介した、摂るべき食品、控えるべき食品を考えた食生活をすることで、血圧や体重をコントロールし、脳梗塞を再発するリスクを減らし、治療やその他の日常活動の負担を軽減できます。 より健康的な食事を摂るためにも、困った点があれば、栄養士に相談するのも大切です。 今回の記事をご参考にしていただき、ぜひ改善に取り組んでみましょう。ご参考になれば幸いです。 ※脳梗塞の後遺症でお悩みなら、再生医療と呼ばれる先端治療法があります。 再生医療は、多くの症例数を有する当院までお問い合わせください。 ▼以下も合わせてご覧ください 脳梗塞患者の家族が、看護で注意すべきポイントとは
2022.12.14 -
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脳梗塞の後遺症を改善するリハビリの方法と期間の目安とは 脳梗塞の後遺症で次のような悩みを抱えている方はいませんか? 「脳梗塞の後遺症を改善する方法について知りたい。」 「脳梗塞のリハビリについて具体的な方法を知りたい。」 脳梗塞を発症後、適切な治療を受けても後遺症が残ることがほとんどです。脳梗塞の後遺症を改善し、元の日常生活に戻るためにも、長期間のリハビリが欠かせません。 そこで今回は、脳梗塞の後遺症や改善する方法、脳梗塞のリハビリについて具体的に説明いたしますので、ぜひ参考にしてください。 脳梗塞の後遺症を改善するために! 脳梗塞には、さまざまな後遺症や合併症があり、治療後、回復の仕方もさまざまです。 脳梗塞の改善に向けたリハビリは、自立生活に必要な身体の状態や動作などなを取り戻し、生活の質を向上させるのに役立ちます。脳梗塞の影響を受けた脳の部分に応じて、さまざまなリハビリを行わねばなりません。 脳梗塞の後遺症の改善には、多くの専門家が関わります 以下のように脳梗塞の後遺症を改善させるためにはリハビリを含めて医療機関のさまざまな職種の専門家が関与します。 医師や看護師 かかりつけの医師は、神経科医や理学療法とリハビリテーションの専門家と同様に、あなたのケアを指導し、合併症の予防に役立ちます。 理学療法士 ウォーキングやバランスの維持などの動きを再学習するのに役立ちます。 作業療法士 着替え、入浴、家事のスキルなどのより自立した活動的な生活を送るのをリハビリを通して助けます。 改善に向けてさらに感情的、社会的なリハビリに焦点を当てた専門職もあります。 ソーシャルワーカー ソーシャルワーカーは、医療、福祉、介護などにおいて、相談員として支援を行い、日常生活を送る上で、困り事や問題を抱えている方に対して援助や支援の調整を行います。 心理学者 これらの専門家は、あなたの思考スキルを評価し、あなたの精神的および感情的な精神衛生上の懸念に対処するのに役立ちます。 脳梗塞の改善結果に影響を与える要因は? 脳梗塞の改善には個人差があります。 どれほどの能力を多く改善させられるか、また期間的にどれくらい早く改善できるかを予測するのは困難です。一般的に、脳梗塞の改善に向けたリハビリの成功には次のような要素に依存します。 身体的要因 脳梗塞の重症度など 感情的要因 モチベーションや気分など 社会的要因 友人や家族のサポートなど 治療上の要因 リハビリの早期開始や有無やリハビリチームのスキルなど 改善率は一般に、脳梗塞後の数週間から数ヶ月で最も大きくなります。脳梗塞後の改善に向けたリハビリは、長期間にわたって必要であり、途中で挫折してしまうことにないよう、改善に向けたリハビリで最大の効果を得るためには長時間かかることを理解しておくべきです。 脳梗塞後のリハビリ、具体的な方法と期間の目安 脳梗塞を改善させるために行うリハビリは計画的に行わねばなりません。その方法は、脳梗塞の影響を受けた体の部位や能力の種類によって異なり、主に以下の3つの時期に分けられます。 ①急性期のリハビリ ②回復期のリハビリ ③維持期のリハビリ ①急性期のリハビリ : 脳梗塞発症後〜 48 時間以内 ・急性期のリハビリとしては、運動機能の改善などが含まれます。 運動機能の回復訓練 全身の筋力と協調運動を改善するのに役立ちます。これらには、バランス、歩行、さらには飲み込むために使用される筋肉が含まれます。 歩行器、杖、車椅子、足首装具などの移動補助具の使い方を学んだり、ベッドから立つ、座るなどの離床訓練も必要です。 関節の可動域訓練 特定の運動や治療は、筋肉の緊張(痙縮)を緩和し、可動域を取り戻すのに役立ちます。看護師や理学療法士が行う他動的運動と自分で動かす自動運動に分けられます。 ②回復期のリハビリ : 3〜6 ヶ月 ・回復期では、日常生活に戻ることを目的とし、主に以下のようなリハビリを行います。 機能的電気刺激 弱った筋肉に電気を流して収縮させることで、筋肉に運動の仕方を再学習させることができます。 ロボット訓練 ロボット装置は、障害のある手足が反復運動を行うのを支援し、手足の強さと機能を回復するのを助けます。 言語機能訓練 失語症などの後遺症が残ったら、読み書きや言葉の言語機能の訓練を行います。 作業療法 作業療法と言語療法は、記憶、処理、問題解決、社会的スキル、判断力、安全意識などの認知能力の喪失を手助けすることができます。 心理的評価と治療 脳梗塞後の後遺症として心理的なケアも大切です。カウンセリングを受けたり、支援グループに参加したりすることもできます。 ③維持期のリハビリ : 回復期以降 ・維持期では退院後に主に日常生活を取り戻すためにストレッチなどの軽めの運動から始めます。 退院前に、患者さんとその家族は、病院のソーシャルワーカーやケアチームと協力して、最適なリハビリ環境を決定する必要があります。 ここで考慮すべき要因には、適用される保険、患者さんとその家族にとって何が最も便利かなどがあります。 病院の外来 病院または診療所の外来に通います。 専門的な介護施設 介護施設で受けられるケアの種類はさまざまです。 自宅でのリハビリ 自宅でリハビリを行うことで、柔軟性が高くなります。ただし、専門のリハビリ機器を利用できない可能性があります。また、在宅プログラムの保険適用範囲は大きく異なります。 最良の選択肢について、医師や家族としっかりと話し合うことが大切です。 脳梗塞の後遺症を改善するため、リハビリで気をつけるべきポイントとは? 脳梗塞の後遺症を改善するためにリハビリが有効ですが、気をつけるべきポイントについてみておきましょう。 残された能力も同時に鍛えながらリハビリを行うこと 失われた機能を取り戻すことに執着しがちですが、健常な機能を維持することも大切です。 例えば、片麻痺で健常な方を鍛えることで、後遺症を残した部位のサポートを行うことが可能です。バランスよくリハビリを行うことを心がけましょう。 リハビリは無理をせずじっくり行うこと リハビリはすぐに効果が出るわけではないため、焦らないことが大切です。 また、痛みが出たら、リハビリは中止しましょう。無理にリハビリを行うと逆効果になってしまいます。 脳梗塞の後遺症を改善するリハビリ、よくあるQ&A 最後に、よくある質問について Q & A でまとめましたので、参考にしてください。 Q ,脳梗塞のリハビリはいつから始めるべき? A ,一般的には、脳梗塞のリハビリを開始するのが早ければ早いほど、失われた能力やスキルを取り戻せる可能性が高くなります。 脳梗塞のリハビリは、脳梗塞発症後 24 時間から 48 時間以内の入院中に開始するのが一般的です。 Q ,脳梗塞のリハビリはどのくらい続けますか? A ,脳梗塞リハビリが必要な期間は、脳梗塞の重症度と関連する合併症によって異なります。ほとんどの場合、長期間にわたるリハビリが必要であり、数か月または数年続く可能性があります。 まとめ・脳梗塞の後遺症を改善するリハビリの方法と期間の目安が知りたい いかがでしたでしょうか。 脳梗塞の後遺症は、適切な治療とリハビリを行って改善を目指すことができます。その為には、退院後の日常生活でも継続的なケアが必要になってまいります。 今回の記事では、実際のリハビリの方法や気をつけるべき点について解説してきました。脳梗塞から早く仕事復帰するためには、入院期間中早い段階からのリハビリを適切に行うことが不可欠です。 今回の記事で、改めてリハビリについて理解を深めて頂き、活用してみてください。 ▼以下も参考にされませんか 20代、30代の若年性脳梗塞について|要注意「まだ若いから」と油断は禁物!
2022.12.09 -
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【脳出血後の看護と介護】脳出血後の看護ケアや介護ケア、家族が注意すべきポイント 「脳出血後のケアはどうしたらいい?」 「脳出血後の看護ケアと介護ケアについて知りたい。」 脳出血後は、患者とその家族の両方にとって突然人生が変わりかねず、どうすれば良いのか悩む方も多いのではないでしょうか? 脳出血後の患者はほとんどの場合、複数の薬や治療が必要になるため、リハビリの道のりは非常に長く、困難になる可能性が高くなります。 何よりも、脳出血後の患者の精神的、社会的な負担も計り知れません。元通りの生活に戻るには、看護師、介護士、友人、家族からのサポートが何よりも必要です。 そこで、今回の記事では、脳出血後の看護ケアや介護ケア、家族が注意すべきポイントについて含めて説明します。 脳出血後は後遺症が残る 脳出血とは、高血圧などによる動脈硬化症による血管の破裂により、脳の実質内に血液が流出する状態です。脳出血は死亡率が高く、最も致命的な病気の 1 つになっています。 脳出血後は、多くの合併症に苦しむ可能性があり、主に以下のような後遺症を残します。 ・運動麻痺 右上下肢や左上下肢が動かなくなり、歩行困難になることもある ・感覚障害 触覚や痛覚などの感覚が鈍くなったり、逆に過敏になる ・視覚障害 視野が狭くなったり、物が二重に見えたりする ・失語症 言葉の理解が悪くなったり、単語が出づらくなる ・構音障害 ろれつが回りにくくなる ・半側空間無視 片側の空間認識ができなくなる ・嚥下障害 食べ物が飲み込みにくくなる これらは患者とその家族の両方に著しく影響を与える可能性があります。 脳出血後の看護ケアについて では、実際の看護ケアについて考えていきましょう。観察項目について説明していきます。 観察項目とは、治療の効果、患者への適応を判断するために行います。 看護ケアにおける7つの観察項目 看護ケアではどのような項目について観察するべきなのか解説していきます。 脳出血後の入院中は、特に意識レベル、血圧の管理などを厳密に管理します。 ①意識状態 Glasgow Coma Scale (GCS) やJCSを通じて意識状態を評価し、新たな神経学的徴候の出現を確認します。 ②呼吸 入院中の呼吸管理としては、患者の頭をわずかに上げた位置に保ち、酸素飽和度(SpO2)を監視します。 呼吸抑制がある場合、カニューレを装着したり、マスクを用いて酸素を投与するなどして、呼吸を補助します。 ③血圧と心拍数 血圧と心拍数を頻繁に検出しましょう。特に血圧のコントロールは、血管痙攣による虚血性の合併症を避けるために必要です。収縮期血圧140mmHg未満を目指しましょう。 ④電解質バランスの変化(輸液管理) 輸液などで毎日の電解質のバランスを保ち、時間ごとの利尿を監視し、多尿または乏尿があれば、必要に応じて輸液量を調整します。 ⑤口腔内衛生や姿勢、褥瘡管理 1日に数回、口腔内を丁寧に掃除してください。 褥瘡管理は頻繁に体位変換を行う必要があり、片麻痺側の持続時間は健康な側の持続時間よりも短くする必要があります。床ずれ対策(エアマット、枕)を行いましょう。 また、姿勢管理では麻痺した手足に特に注意を払い、正しい姿勢をとります。 ⑥嘔吐、吐物管理 脳出血後は、予期せぬ嘔吐が出現しやすくなります。 嘔吐の場合は、気道が確保できているか確認し、誤嚥による肺炎の発生を回避する必要があります。 ・側臥位にする ・口の中の異物を吐き出させ、分泌物を吸引する 素早い判断で適切な対処を行うことが、とても重要です。 ⑦発作や薬の管理 発作時には、医師の指示に従って、抗けいれん薬を投与し、定期的に気道の状態を評価します。 また、血管内治療を受けた患者は、再出血を防ぐ薬を継続する必要があり、看護師は薬を飲めているか確認します。 脳出血後の介護で家族が知っておくべきこと では、続いて脳出血後に家族が自宅などで気をつける介護ケアについて解説していきます。 入院中は看護師やその他多くの専門職によってリハビリなどが行われますが、退院後は、家族が中心になってケアを行なっていく必要があります。 ほとんどの患者は、初期治療とリハビリ後に自宅で介護を受けることを選択します。 ①要介護認定は早めに受けるべき 脳出血などは特定疾病ですので、40歳以上であれば要介護認定を受けられます。 在宅介護の場合は、訪問介護や訪問入浴介護、自宅のバリアフリー化、福祉用具レンタル・購入などの在宅介護サービスを受けることができます。 ②在宅介護サービスを活用する 在宅介護サービスは、脳出血後の症状が残っており、比較的状態が安定している患者に推奨されるケアサービスです。 内容としては毎月の医師の診察、継続的なモニタリング、24 時間対応の電話応対などが含まれています。 在宅介護には、以下のようなメリットがあります。 ・長年住み慣れた自宅で生活できる ・経済的負担が少ない ・家族と一緒にいられるので安心感が生まれる ぜひ、このようなケアサービスも活用しましょう。 ③住宅改修で自宅の環境整備を行う 在宅介護を行う際は、補助器具と環境整備も行う必要があります。 患者が障害を抱えながら生活できるように、補助器具の使用や家庭環境の改善に取り組みます。 ④施設介護サービスも検討できる 自宅介護の他にも、施設サービスも検討しましょう。 自宅での介護が難しい場合は、日帰りでリハビリや介護などのケアを受けられるデイサービスやデイケアがあります。 在宅介護に比べて以下のようなメリットがあります。 ・専門性や高い介護ケアが受けられる ・介護をする家族の時間や精神的苦痛が少ない 家族の介護とはいえ、仕事との兼ね合いや子育て中であれば、精神的にも肉体的にも大変なことがあるかと思います。そんな時は、安心してお任せできる、施設の利用を検討するのもひとつかもしれません。 脳出血後の看護、介護に関するよくあるQ&A 最後によくある質問についてもまとめましたので、参考にしてください。 Q,要介護認定の相談は誰にすればいいですか? A,退院後の相談としては、医療ソーシャルワーカーなどに相談できます。 Q,要介護認定の方法は? A,要介護認定の申請方法としては、申請書の他に介護保険被保険者証や身分証明書などを準備して、役所の介護保険の担当課へ行きます。 申請手続きを済ませると、後日担当者が聞き取りによる認定調査に来ます。 まとめ・【脳出血後の看護と介護】脳出血後の看護ケアや介護ケア、家族が注意すべきポイント 脳出血後の入院中の看護や退院後の介護ケアは、患者さんがもとの日常生活に早く戻るためにもとても大切です。 退院後の介護ケアでは家族のサポートが不可欠なので、自分だけで抱え込まず、家族間でよく話し合う必要があります。時に、在宅介護と施設介護を上手く取り入れ、併用していくことも検討してみましょう。 今回の記事が看護や介護に向き合われる皆さまのご参考になれば幸いです。
2022.12.05 -
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くも膜下出血後の生活|手術と入院期間、治療後のリハビリを詳しく解説 「くも膜下出血の手術や入院について詳しく知りたい」 「くも膜下出血の後の生活はどのように送ればいい?」 このような悩みを抱えている方はいませんか? くも膜下出血は生活習慣病などが原因となり、突然発症する怖い病気です。大切なご家族が突然くも膜下出血になる可能性もゼロではありません。 具体的にどんな治療方法があり、入院期間はどのくらいなのか、治療後のリハビリの方法など気になる方もいることでしょう。 そこで今回は、くも膜下出血後の生活についてリハビリの方法を詳しく解説していきます。 くも膜下出血とは? くも膜下出血は、動脈瘤の破裂または頭部外傷などによって、くも膜と脳を取り囲む軟膜との間の、くも膜下腔と呼ばれる部位に出血が起こることで発症します。 発症すると重い頭痛を訴えますが、今までにないような頭痛を訴えて救急外来を受診した患者のうち、最終的にくも膜下出血を発症するのはわずか 10 %程度です。 関連する症状には、首の痛み、吐き気や嘔吐、羞明-しゅうめい-(異常に眩しさを感じること)などがあります。 くも膜下出血の手術について くも膜下出血の治療の一つとして手術を選択する場合があり、影響を受けた血管を修復し、動脈瘤が再び破裂するのを防ぐための手術を行います。 主に、「開頭クリッピング術」と「コイル塞栓術」と呼ばれる 2 種類の手術があります。 クリッピングとコイルのどちらを使用するかは、動脈瘤の大きさ、位置、形状などによって異なります。 コイルは、クリッピングよりも発作などの短期的な合併症のリスクが低いため、しばしば好まれる手術ですが、クリッピングよりも長期的な利点があるかは不明です。 ①血管内治療 : コイル塞栓術 血管内治療では、カテーテルと呼ばれる細い管を足や鼠径部の動脈に挿入し、血管を通って脳の動脈瘤に導きます。 次に、小さなプラチナコイルをチューブに通して動脈瘤に挿入し、動脈瘤がコイルで満たされると、再び破裂したりするのを防ぐことが可能になります。 ②開頭手術 : クリッピング クリッピングは開頭術とも呼ばれ、頭部に切り込みを入れ、動脈瘤の位置を特定します。そして、小さな金属製のクリップを動脈瘤の基部に取り付け、動脈瘤を密閉します。 時間が経つにつれて、クリップが配置された場所に沿って血管の内側の層が再生し、動脈瘤が永久に密閉され、再び破裂するのを防ぐことができます。 くも膜下出血の入院期間や費用は? 入院期間や費用に関しては、受ける治療内容や重症度によって左右されます。 治療内容に関しては手術以外にも保存治療もあります。また、コイルによる手術を受けた人は、クリッピング手術を受けた人よりも早く退院し、全体的な回復時間も短くなる可能性があります。 費用に関しては 3 割負担で 50〜70 万円程度と考えていいでしょう。手術内容や保険の内容によって以下のように異なります。 ・血管内コイル塞栓術:19〜55 万円 ・開頭クリッピング術:22〜65 万円 さらに、これらの種類の手術が緊急治療として行われる場合、入院期間は、受ける手術の種類よりも症状の重症度に大きく依存します。 どちらの治療を受けている場合でも、合併症を避けるために、しばらくの間注意深く監視する必要があり、基本的には、2 週間から 2 ヶ月程度は入院する必要があります。 くも膜下出血後の生活について くも膜下出血から元の生活に戻るまでの時間は、その重症度によって異なり、手や足の感覚の喪失や言語理解の問題(失語症)などの後遺症があるかどうかにも影響します。 重大な後遺症を残さないためにも早期のリハビリが必要 くも膜下出血後は少なからず後遺症が残るため、早期のリハビリが大切になります。 早期のリハビリ介入によって、くも膜下出血後の脳血管痙攣や再出血の頻度と重症度は軽減され、初期のリハビリテーションがいかに大切なのかわかります。 くも膜下出血のリハビリ方法 それでは具体的なリハビリ方法について以下の 3 つのステップに分けて説明したいと思います。 ①急性期 ②回復期 ③維持期 それぞれ詳しく説明していきます。 ①急性期リハビリ(治療後~14 日程度):廃用症候群の予防など 急性期には、身体の様々な機能がしにくくなり、褥瘡や足の血栓、感染症などさまざまな合併症が起こります。 また、ベッド上で動かず寝たきり状態になることで、筋肉が萎縮し衰え、関節が硬くなり運動機能が低下してしまうことを“廃用症候群”と言います。 この廃用症候群を予防するため、以下のようなリハビリを行います。 膝伸ばし運動 : 座った状態で片足の膝をゆっくり伸ばし、10 秒間保つ。 足の筋力運動 : 椅子に座り、背筋を伸ばして片足をゆっくり上げて下ろす 肩の上げ下げ運動 : 両肩を耳につけるイメージで、あげて下に落とす運動 手足の関節を動かす : 座った状態で手や足の関節を曲げて伸ばす 基本的には、座った状態でできる運動を行います。 ②回復期リハビリ: 日常生活動作の自立 急性期を脱し、病態や血圧が安定してきたら、症状の程度に応じて様々な回復期のリハビリに移りましょう。 日常生活を行う上で必要な基本動作が行えるよう運動機能を改善します。 基本動作の自立 : 寝返りをうつ、自力で座る、立つ 歩行訓練 : バランスを保つ、車いすへの移動、杖や歩行器などを用いた歩行練習 応用動作の訓練 : 手芸や工作、その他の作業 日常動作 : 食事やトイレ、着替え、入浴動作 さらに、食事ができるように嚥下機能を改善することも必要になります。 口の訓練 : 発声や舌・口・のどの筋肉を動かす運動 顔や首周りの訓練 : 首回りや肩の筋肉を動かす運動 間接的な嚥下訓練 : 水を含ませて凍らせた綿棒で喉の奥を刺激するなど 直接的な嚥下訓練 : ゼリーや水などの食物を用いる飲み込みの練習 そして、高次機能の改善としては以下のような特殊な訓練を行います。 ・風船、積木などの物を用いた訓練 ・繰り返し動作の練習 ・行動の順序を確認する練習 日常生活の動作に適応するためのリハビリを行っていきます。 ③維持期のリハビリ : デイサービス 維持期は、回復期で得た運動機能などを損なわないように機能を維持するために行うリハビリです。 ・生活の中の日常動作 ・散歩や軽い運動 維持期は生活期とも言われ、日常生活の中で取り戻した運動機能を低下させないように気をつける必要があります。 例えば、食事や着替え、入浴などはなるべく自分で行い、定期的に散歩やストレッチなどを行いましょう。 日帰りでリハビリなどの施設に通う、デイサービスなどもあります。ぜひ活用しましょう。 まとめ・くも膜下出血後の生活にはリハビリが欠かせない いかがでしたでしょうか。 今回は、くも膜下出血の手術後の生活について詳しく解説しました。くも膜下出血には大きく 2 種類の手術がありますが、重症度や治療内容によって入院期間や費用も異なります。 入院期間を短くして早く元の生活に戻るために欠かせないのが、入院時点で行う早期のリハビリです。完全に元の生活に戻るにはどうしても長期間かかり、なかなか根気強く続けるのが難しいかもしれませんが、続けることが大切です。 今回の記事がご参考になれば幸いです。
2022.11.30 -
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脳梗塞が女性に多い理由!脳梗塞を発症しやすい年代と発症確率とは 近年では、わが国でも生活習慣病などに関連した、脳梗塞に関する情報が注目されております。 また、昨今においては、男女間の性差に関連する医療研究が広く実施されるようになってきました。その中で、脳卒中の約3分の2の発症割合を占める脳梗塞についても、男女の性差での違いを認める疾患であることが分かりつつあります。 中でも、女性が脳梗塞に罹患するリスクが存在すると言われており、その原因として高血圧、糖尿病、脂質異常症などの危険因子が指摘されています。 今回は、脳梗塞の発症原因や脳梗塞になりやすい年代と発症確率、女性に脳梗塞が多い理由などに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 脳梗塞の発症原因は? 脳梗塞の患者では、普段から高血圧を始めとする生活習慣病を発症している方が多く、これらの疾患は血管の動脈硬化性変化を進行させるので、脳梗塞を招くリスクが高くなると言えますし、近年の脂質異常症や糖尿病の増加に伴って、最近ではアテローム血栓性梗塞が増えてきています。 また、高齢化にともない心房細動という不整脈を抱えた患者さんが増加しているため、心原性脳塞栓症も徐々に増えています。 脳梗塞を発症させる原因として挙げられるものは以下で脳梗塞の原因として忘れてはいけない要素です。 脳梗塞発症原因 ・加齢 ・食生活の欧米化に伴うメタボリック症候群 ・過剰な塩分摂取 ・慢性的な運動不足 ・糖尿病 ・脂質異常症 ・喫煙歴 ・大量飲酒 ・日々の過剰なストレス 加齢に伴ってラクナ梗塞の原因である動脈硬化、あるいはアテローム血栓性脳梗塞の原因である生活習慣病は徐々に進行して、脳梗塞を発症しやすい状況に陥ると考えられます。 したがって、動脈硬化や生活習慣病、心房細動などを抱える高齢者は特に注意が必要です。 脳梗塞になりやすい年代とその発症確率は? 脳梗塞は、一般的に高齢者に発症することが多い疾患であり、初発の発症例では 65 歳以上が全体の 9 割を占め、本疾患は中年以降から高齢層にかけて罹患しやすい病気というイメージがありますが、30 〜 40 歳代の若年者に発症する若年性脳梗塞も存在します。 厚生労働省の発表データによれば、1996 年時点で国内に約 170 万人に及んで存在した脳血管疾患を発症した患者数は、2017 年時点でおよそ 110 万人程度まで減少傾向を示しており、脳梗塞で病院や診療所を受診したのはおよそ15万人程度と言われています。 具体的に、年齢別の内訳としては、 0〜14 歳が 100 人 15〜34 歳が 300 人 35 〜 64 歳が 1 万 4000 人 65 歳以上が 13 万 5000 人 75 歳以上が 10 万 6000 人 という状況です。 つまり、脳梗塞を発症する患者数は特に 75 歳以上の方で全体の7割以上を占めています。 女性に脳梗塞が多いのは、なぜなのか? 脳梗塞は男性に多い病気と考えられる傾向があります。 しかし、実は女性の死亡原因の第三位に位置づけられている疾患であり、女性の脳梗塞は増加傾向であり、かつ重症化しやすいことが知られています。 一般的に、脳梗塞は男性に発症数が多い一方で、女性の方が少ないと言われていますが、女性の脳梗塞患者は男性に比べて高齢で発症するケースが多い特徴があり、生命予後も不良になる傾向が認められると指摘されています。 脳梗塞を男女差の面から考えると、一般的に患者数は男性の方が多いです。 女性の持つ危険因子とは ところが、女性には妊娠、経口避妊薬の使用、ホルモン補充療法など特有の脳梗塞を発症する危険因子が背景に存在すると伝えられています。 脳梗塞を代表とする脳心血管疾患における最大の発症要因ともいえる高血圧に関連して、通常約 50 歳前後までは女性よりも男性の方が高血圧の平均数値が高い傾向を認めますが、その後の年代以上では高血圧の有病率に性差はほぼありません。 この理由としては、女性が閉経した後に女性ホルモンであるエストロゲンなどの働きが低下することによって、女性の高齢時における高血圧の発症原因に繋がっていると考えられます。 女性ホルモン「エストロゲン」との関係性 特に、エストロゲンは血管や骨などの状態を維持する機能を有するホルモンであり、おおむね女性が 50 歳前後の更年期に入ると急激にエストロゲンの分泌量が減少して、これまで適正範囲に機能していた保護作用などが効果を示さなくなっていきます。 また、30 歳前後における若年女性の収縮期の血圧は、平均すると同年代の男性層よりも約 10mm Hg 程度低い値であることが知られていますが、女性は男性よりも高血圧の影響が強く出現する傾向がありますので、若い年代の時期から高血圧予防に努めることが重要です。 さらに、動脈硬化の進行を促進する大きな要因である脂質異常症に関しても、若年時には男性の発症率が女性より高いことが判明していますが、年齢を重ねるごとにその発症率において性差が認められなくなります。 その背景には、女性特有のエストロゲンの影響だけでなく、男性だけでなく女性も喫煙習慣、脂肪分のリッチな食事スタイル、糖類を大量に含む飲食物を多く摂取するなど、近年よく見られる生活習慣病が直接的な原因になっていると思われます。 脳梗塞と不整脈 さらに、中年期から高年齢層にかけての女性は男性に比べて不整脈を発症しやすいと言われており、特に不整脈の中でも心房細動は脳梗塞の発症リスクを 5 倍程度に上昇させることが指摘されています。 不整脈のひとつである心房細動は、心原性脳塞栓症における大きな発症危険因子として認識されており、脳梗塞を引き起こす患者さんの約 70 %の割合で合併していると指摘されています。心房細動の頻度は、一般的に男性が女性の約 3 倍高いという報告が見受けられます ところが、心原性脳塞栓症を続発しやすいという観点でみると女性の方が男性よりも発症率が高い傾向にあると言われています。 その他の危険因子 その他にも、偏頭痛、心房細動、うつ病、感情的なストレスは、女性に多い脳梗塞の危険因子となります。 そして、特に女性で妊娠を契機に妊娠高血圧症候群が認められる際には、その後高血圧を発症するリスクが約 4 倍、そして脳梗塞に罹患するリスクが約 2 倍に上昇すると言われています。 また、閉経後の女性に対して女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンを投与するホルモン代替治療は、骨密度を上昇させて骨折の危険を減らす利点がある一方で、脳梗塞の発症リスク因子になりますので十分に注意する必要があります。 したがって、女性が脳梗塞を発症した場合には、女性ホルモンの補充療法の有無を確認することが重要であるとともに、すでに投与されている際にはその中止も検討すべきであると言われています。 まとめ・脳梗塞が女性に多い理由と脳梗塞を発症しやすい年代と発症確率について 今回は、脳梗塞の発症原因や脳梗塞になりやすい年代と発症確率、女性に脳梗塞が多い理由などについて詳しく解説してきました。 脳梗塞の年代別発症率では、高齢者を中心に発症しやすいことが分かっており、その発症原因は色々考えられますが、良くない不規則な生活習慣の積み重ねが発症につながるケースは決して少なくありませんし、女性にも脳梗塞を発症するリスク因子が存在します。 特に、女性はエストロゲンの保護や生活習慣病という観点から、加齢に伴って閉経後など脳血管系疾患の影響が強く出て脳梗塞を発症するリスクがあります。 したがって、普段から食生活に気をつけて定期的に運動を実践するなどの予防策を若年期から意識しておきましょう。 脳梗塞の後遺症は取り返しのつかないものですので、元気なうちに対策を講じて、あらかじめ脳梗塞の危険因子を知っておくことが重要なポイントです。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 禁煙や体重管理、運動など生活習慣の改善によって、脳梗塞を引き起こさないようにすることが大切です。 引用文献 1)松山 友美, 佐竹 真理恵:女性ホルモン補充療法中に脳梗塞を発症した3症例.脳卒中. 2013 年 35 巻 4 号 p. 301-305 DOI https://doi.org/10.3995/jstroke.35.301 ▼以下もご覧になりませんか 脳梗塞は遺伝するのか!?食生活にも関係か?【食事療法でリスクを回避する方法】
2022.11.28 -
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女性のくも膜下出血は男性の2倍のリスク!今日から始める本気の予防策について 「女性の方がくも膜下出血になりやすいってほんと?」 「女性がくも膜下出血にならないための予防策について知りたい」 女性は、動脈瘤性くも膜下出血の発生の危険因子として認識されています。 そこで今回は、女性に「くも膜下出血」が多い理由や予防策について説明しますので、ぜひ参考にされてください。 くも膜下出血|女性は男性の2倍もの危険性! 女性は、くも膜下出血の発生の危険因子として認識されています。 日本におけるくも膜下出血は、【男性:女性= 1 : 2 】で、女性に多くみられ、男性では 50 歳代がピークですが、女性の場合は 50 〜 70 代に多く、ピークは 70 歳後半となります。 では、なぜ女性に多いのでしょうか。いくつか要因を見ていきましょう。 出産や女性ホルモンの変化は、くも膜下出血の発症リスクを高める 動脈瘤性くも膜下出血 の発生率は、男性よりも女性の方が 50 % 高くなっています。 このような性別の差が考えられる理由には、女性特有の出産の繰り返し、ホルモン要因などが考えられます。 出産を繰り返すと、くも膜下出血のリスクが増加します。これは、おそらく妊娠による高血圧と分娩中の血管の緊張によるもので、血管が弱くなり、動脈瘤の形成につながる可能性があるためです。 また、女性ホルモンの血中レベルはくも膜下出血のリスクに影響を与える可能性があります。 女性ホルモンであるエストロゲンには、くも膜下出血の原因となる動脈硬化を抑える作用があると言われていますが、特に 50 歳以上の女性においてエストロゲンが減少します。 したがって、女性ホルモンが減少する閉経後の高齢女性のリスクが高くなります。 女性はストレスを感じやすい また、女性の方がストレスを感じやすく、特に高齢になると女性ホルモンの分泌量の変化によって、気持ちが不安定になりがちです。 ストレスを溜め込んでしまうと、くも膜下出血のリスクとなります。 くも膜下出血、その他の危険因子は? くも膜下出血 (SAH) は誰にでも発生する可能性がありますが、最も一般的に 40 歳から 60 歳の間の人々に影響を及ぼします。 ただし、女性では 70 歳台でリスクが高まります。 くも膜下出血の可能性を高めるリスク要因には、次のようなものがあります。 くも膜下出血発症リスクを高める危険性 ・脳または体の他の場所にある未破裂の動脈瘤 ・以前に破裂した脳動脈瘤の病歴 ・喫煙 ・高血圧 ・線維筋性異形成(FMD)などの結合組織状態 ・多発性嚢胞腎の病歴 ・過度のアルコール飲酒歴 ・ワーファリンなどの血液希釈剤の使用 ・動脈瘤の家族歴 最も気をつけなければならないのが高血圧です。高血圧を誘発するものも原因となり得ます。 男性も必見!今日からできる、くも膜下出血の予防! では、そんな危険因子に立ち向かう予防策について、考えていきましょう。 主に生活習慣の改善を行うことで、そのリスクを抑えることができます。それぞれ詳しく説明していきましょう。 禁煙する 喫煙は高血圧の直接的な原因ではありませんが、くも膜下出血のリスクを大幅に高めます。 特に、女性は喫煙に対して男性よりも深刻な影響を受けやすくなっています。 喫煙は高血圧と同様に、動脈を狭くし、喫煙者で血圧が高いと動脈が急速に狭くなり、将来くも膜下出血になるリスクが劇的に高まります。 血圧コントロール 男女問わずに高血圧の方は、血圧コントロールを行いましょう。 高血圧の方は正常な方に比べ、くも膜下出血の発症リスクが 2~3 倍も高くなります。 ストレスケア 意外と知られていないのがストレスです。ストレスは血管を傷つけてしまい、くも膜下出血の原因となり得ます。 リフレッシュしてストレス発散するなどし、日頃からストレスを溜めないように工夫しましょう。 定期的に運動する 定期的な運動をすることで、心臓と血管を良好な状態に保ち、血圧を下げます。定期的な運動は体重を減らすのに役立ち、血圧を下げるのにも役立ちます。 成人は、毎週少なくとも 1 ~ 2 時間程度の有酸素運動 (サイクリングや早歩きなど) を行う必要があります。 身体活動には、スポーツからウォーキング、ガーデニングまで、あらゆるものが含まれます。運動にはリフレッシュ効果があるので、ストレスケアにも効果的です。 カフェインを減らす コーヒーを 1 日 4 杯以上飲むと、血圧が上昇する可能性があります。 コーヒー、紅茶、またはコーラや一部のエナジードリンクなど、カフェインが豊富な飲み物が好きな場合は、量を減らすことを検討してください。 バランスの取れた食事の一部としてお茶やコーヒーを飲むことは問題ありませんが、適度に飲むことが重要です。 まとめ・くも膜下出血|女性は男性の2倍のリスク!今日からしたい本気の予防策! いかがでしたでしょうか? くも膜下出血は、男性よりも女性の方がおこりやすく、これには女性ホルモンが関与していると考えられています。また、女性は出産やストレスを抱えやすく、喫煙に対しても影響を受けやすいため、日頃から対策することが大切です。 その他、動脈瘤や高血圧などの他の健康状態や生活習慣も関与しているため女性はもちろんの事、男性も注意していただきたい思います。 くも膜下出血予防するためには、生活習慣の改善が重要です。禁煙や血圧コントロールはもちろん、ストレスケア、定期的な運動、コーヒーをはじめとしたカフェインの摂取量に注意しすることが大切です。 そのためにも日ごろから生活習慣の見直しや改善、定期的な健康診断を受けて、ご自身の健康管理に努めてください。 今回の記事を参考にしていただき、症状や予防策に関して知っていただければ幸いです。 ▼こちらも参考にされませんか くも膜下出血の原因と症状!予後とその生存率 について
2022.11.23 -
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くも膜下出血は、脳を覆う薄い組織との間の領域で起こる出血です。突然起こる激しい頭痛で気づくことの多い病気ですが、首の痛みを伴う頭痛としても知られています。 「最近首の後ろが痛いけど原因がわからない」「痛みが引かなくて不安だ」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。 そこで本記事は、くも膜下出血の前兆として引き起こす首の痛みについて紹介します。 【くも膜下出血の前兆】首の痛みを伴う頭痛は要注意! 頭痛を伴う首の痛みは、くも膜下出血の代表的な前兆症状のひとつです。 ただし、首の痛みが必ずしも膜下出血につながるわけではなく、髄膜炎と呼ばれる病気を発症した際も似たような症状が現れます。 くも膜下出血の主な前兆 髄膜炎の主な前兆 首裏付近の痛み及び頭痛 血圧の乱れ 視覚の異常 めまい・吐き気 首裏付近の痛み及び頭痛 発熱・発疹 肩こり 活気の低下 上記の特徴をもとに区別する必要がありますが、いずれにせよ頭痛を伴う首の痛みは要注意であることは確かです。少しでも不安な方は最寄りの医療機関にご相談ください。 髄膜炎との区別にはMRI検査が重要 前兆(症状)だけでは自己判断が難しいため、精密な検査を実施し病院で詳しく調べてもらう必要があります。 精密検査の代表格であるMRI検査では、脳内の出血を検出できます。また、血管に造影剤を注入して動脈と静脈の流れを詳細に表示 (造影MRI検査)し、血流に注力した検査も可能です。 CT検査では見抜きにくい「くも膜下出血の徴候」をいち早く見つけることができます。 くも膜下出血とは? そもそもくも膜下出血とは、くも膜下腔(くも膜と脳を取り囲む軟膜間の領域) への出血です。 主な前兆としては、急速に発症する重度の頭痛・嘔吐・意識レベルの低下・発熱時の発作が挙げられます。 くも膜下出血の症状 くも膜下出血の典型的な症状は、頭を蹴られたような激しい頭痛で、数秒から数分かけて発症します。後頭部付近に発症する特徴をもち、吐き気や嘔吐を伴う場合もあります。 首の凝りや首の痛みを伴う頭痛も代表的な前兆症状であることから、早めの行動が重要です。 首の痛みを伴う頭痛があるときの行動と対処法 首の痛みとくも膜下出血の関係性について解説したところで、この項目では発症後の行動と対策について紹介します。 くも膜下出血の悪化や早期発見につながるため、発症後は以下の事項を厳守しましょう。 誘発の恐れのある行動は避ける 首の痛みを伴う頭痛がある場合はくも膜下出血を常に疑い、出血を誘発するような行動は避けましょう。 以下の行動は、くも膜下出血を誘発する恐れがあります。 速やかに病院を受診する くも膜下出血の症状は状況によって緊急度は異なる場合もあります。 雷鳴のような頭痛があるなど、以下のような症状が発症した場合は大変危険です。すぐに最寄りの病院に行きましょう。 その他、くも膜下出血の発症から 6 時間後に現れる頸部硬直や、瞳孔の散大などの症状発症は緊急を要します。 身近にいる方は速やかに119番通報を心がけましょう。 まとめ|くも膜下出血の前兆をいち早く察知しよう くも膜下出血は非常に危険であり、突然発生した首の痛みを伴う頭痛は前兆とされているため注意が必要です。。 また、緊急を要する病気であるため、発症後の迅速な診察と治療が必要となります。前兆を含む典型的な症状、くわえて対処法を知っておくことが重要です。 首の痛みを伴う慢性的な頭痛にあっては、当クリニックにご相談いただくことも可能です。お気軽にお問い合わせください。 膜下出血と首の痛みに関するQ&A 最後に、首の痛みを伴う場合のくも膜下出血に関するよくある質問についてQ&Aでまとめました。首の痛みにお悩みの方や不安を抱く方は、ぜひ参考にしてみてください。 くも膜下出血で首が痛くなるのはなぜ? 頭の中に出血が発生することで、頭の中の圧力が上がり、これによって脳が圧迫されて痛みが出ます。 首の痛みがある場合はどのように他の病気と区別する? 他の原因に心当たりがなく、首の凝りと激しい頭痛を経験した場合、くも膜下出血の兆候である可能性があります。 また、病院受診時のCT検査やMRI検査により他の病気と区別します。 CT検査は、脳をめぐる周りの血管の検出と、付随する脳の異常を特定します。さらに、出血の原因を明らかにするために造影剤を用いることにより、詳しく検査が可能です。 さらにMRI検査は頭の内部の詳細な画像として出力し、出血やその他の血管の異常問題を特定します。 くも膜下出血の前兆を感じたときは何科を受診すべき? くも膜下出血を疑う際は、脳神経外科や脳神経内科を受診しましょう。 緊急度の高い病気であるため前兆の段階であっても、予約なしでもすぐに受診ができる救急外来に対応した病院を探すべきです。 また、受診先がすぐに見つからない場合は救急車を呼ぶのも手段のひとつです。
2022.11.21 -
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くも膜下出血は予後が悪い病気というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。 一度発症すると、その後の生活や生存率についての不安が絶えず、「10年持つのだろうか」と考えることもあるかもしれません。 結論からいえば、くも膜下出血における10年後の生存率について明確なデータはありませんが、5年生存率は55%前後といわれています。 生存率は年齢や出血量などの要因で変わりますが、早期かつ適切な治療で改善が期待できるでしょう。 本記事では、くも膜下出血の生存率についてや予後を左右する要因などについて詳しく解説しています。 くも膜下出血の治療を検討する際の参考になれれば幸いです。 くも膜下出血の10年後の生存率は「重症度・治療の早さ」によって変わる くも膜下出血の主な原因は、脳動脈瘤(脳血管が膨らんだ状態)です。(文献1) その生存率は重症度と診断および治療の早さによって変わる傾向があり、統計では、以下のデータが報告されています。(文献2)(文献3) 初回のくも膜下出血出血で約35%が死亡 その後数週間以内に15%が再破裂で死亡 6カ月以降は年間約3%の割合で再破裂のリスクあり くも膜下出血の10年生存率は不明ですが、5年生存率は55%前後といわれており、生存率は年々改善傾向です。(文献4) くも膜下出血の予後を左右する4つの要因【10年後以降にもかかわる】 くも膜下出血の予後は、以下4つの要因により左右されます。 発症時の年齢 出血の場所と量 発症から治療までの時間 合併症の有無 本章を参考に、くも膜下出血の予後の改善に役立ててください。 発症時の年齢 くも膜下出血になる年齢が高いほど、予後が悪化しやすくなります。年齢を重ねるにつれ、高血圧や糖尿病などの病気によって動脈硬化が進行するためです。 その結果、出血時に止血しても回復しにくくなり、再出血の可能性が高まります。 首の後ろの痛みを伴う激しい頭痛は、くも膜下出血の前兆の可能性があるため注意が必要です。気になる方は下記の記事も参考にしてください。 また、当院「リペアセルクリニック」では高齢の患者様にも可能なくも膜下出血の治療方法を提案しています。 もしすでに違和感があるなら、悩まず当院の「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 出血の場所と量 出血量が多いほど脳が圧迫されるため、重症になり予後が悪くなります。 くも膜下出血が起こりやすい脳の部位は、脳血管が枝わかれする場所です。(文献5)脳血管が枝わかれする場所は、血管の壁が弱いため脳動脈瘤になりやすい傾向があります。 出血量が多く意識障害がある場合は、予後も不良になる可能性が高くなります。そのため、発症から早めの治療が重要です。 発症から治療までの時間 くも膜下出血の治療は、いかに早期発見をしてすぐに処置できるかが大切です。出血してから72時間以内に外科的治療を行うと、それ以降に治療を行ったときよりもその後の入院期間の短縮や予後が良好になるというデータがあります。(文献6) くも膜下出血でよくある初期症状は以下の3つです。(文献7) 顔が下がって動かない 腕の力が入らない ろれつが回らない これらの症状がみられたら、すぐに救急車を呼びましょう。 合併症の有無 以下のような合併症の有無も、くも膜下出血の予後に深くかかわります。(文献3) 再出血:脳出血が再発し、死亡率が高まる 脳血管れん縮:脳血管の収縮により血流が悪くなり、脳梗塞のリスクが高まる 水頭症:脳脊髄液の流れが悪くなり、歩行困難や認知症のリスクが高まる くも膜下出血の発症後は、上記のような合併症を防ぐ治療が大切です。 くも膜下出血の予後を改善するには「再出血の予防」と「適切な治療・リハビリ」が重要 くも膜下出血は、再出血を起こすと高確率で予後が悪化するため、血圧の管理や定期的な検査など、予防に努めることが重要です。 また、くも膜下出血発症後は、外科的治療とリハビリを組み合わせることで予後の改善が期待できます。主治医と相談の上、適切な治療・リハビリを続けましょう。 くも膜下出血の再発についての記事はこちら: くも膜下出血のリハビリについての記事はこちら: まとめ|適切な治療によりくも膜下出血の予後の改善を目指そう くも膜下出血は、依然として予後の悪い病気であり、早期の診断と治療次第では、重度の後遺症を残してしまいます。 早期の適切な治療を受けて、リハビリを行えば予後の改善が期待できます。今回の記事を参考にして、改めて予後や改善策に関して学んでおきましょう。 当院「リペアクリニック」では、人体にもともとある「幹細胞」を利用した再生医療により、くも膜下出血後の治療が可能です。「メール」や「オンラインでの無料カウンセリング」も実施しているので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 くも膜下出血の予後や生存率についてよくある質問 くも膜下出血で意識不明で運ばれた場合の生存率はどのくらいですか? 意識不明で搬送された場合の生存率は低い傾向です。 生存しても日常生活に支障をきたすような重い後遺症が出る可能性もあるでしょう。そのため、早期の段階で前兆に気がつき適切な治療を受けることが重要です。 くも膜下出血で最も多い後遺症は? くも膜下出血では、以下のような後遺症がよくみられます。 手足が動かしにくい しびれや脱力感 上手く話せず、会話が困難 記憶障害 くも膜下出血の後遺症の詳細は、以下の記事を参考にしてください。 参考文献 文献1 上畑鉄之丞.脳動脈瘤の成因 とくも膜下出血発症の諸要因.日本循環器管理研究協議会雑誌.1998;33(1):25-29. 文献2 デニス・J・ ニューカンプ医学a d.nieuwkamp@umcutrecht.nl ∙ ラリッサ・E a ∙ アレ・ アルグラ、MD a,b ∙ フランシスカ HH リン、医学博士a,c ∙ ニコリエン・K・ デ・ロイ、a ∙ ガブリエル・J・E .Changes in case fatality of aneurysmal subarachnoid haemorrhage over time, according to age, sex, and region: a meta-analysis. Fast track.2009. Volume 8. Issue 7.p635-642 文献3 Andrei V. Alexandrov, MD, The University of Tennessee Health Science Center;Balaji Krishnaiah, MD, The University of Tennessee Health Science Center.くも膜下出血 (SAH).MSDマニュアルプロフェッショナル版.2023年 7月改訂, 2024年10月21日. 文献4 今井明,鈴木ひろみ,渡辺晃紀,梅山典子,塚田三夫,中村勤,松崎圭一,加藤開一郎,冨保和宏.脳卒中患者の生命予後と死因の5年間にわたる観察研究: 栃木県の調査結果とアメリカの報告との比較. 第35回日本脳卒中学会 シンポジウム2. 2010年, 32巻,6号, P572-578. 文献5 上畑鉄之丞.脳動脈瘤の成因とくも膜下出血発症の諸要因.日循協誌. 1998年.第33巻.第1号.P25-29. 文献6 脳卒中合同ガイドライン委員会. 第4章くも膜下出血. 脳卒中治療ガイドライン2009.2009.P182-213.pdf 文献7 日本脳卒中協会.読んで学ぶ脳卒中. 脳卒中の予防と患者・家族の支援を目指して 公益社団法人日本脳卒中協会. 2018年3月19日更新.2024年10月21日.
2022.11.18 -
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脳梗塞患者の家族は、どうやって看護したら良いのだろう。 脳梗塞の看護のポイントについて知りたい。 この記事を読んでいるあなたは、家族や親戚が脳梗塞になり、どのように看護すれば良いか不安を抱いているのではないでしょうか。 「どのような経過になるのかを知りたい」と思っているかもしれません。 脳梗塞は早期に治療を受けても後遺症が出る場合があり、入院中から退院後まで継続的な看護が必要です。 本記事では、脳梗塞患者を看護する際のポイントについて、詳しく説明します。記事を最後まで読めば、脳梗塞の経過と必要な看護がわかり、今後の生活に向けた準備を始められるでしょう。 脳梗塞患者の家族が看護で注意すべきポイント【看護計画】 脳梗塞の看護は、急性期、回復期、慢性期の各段階で注意すべきポイントが異なります。 多くの脳梗塞患者は入院が必要で、とくに発症直後は集中治療室(ICU)での治療やケアが必要になるケースは珍しくありません。 脳梗塞の症状は急速に変化する可能性があり、迅速な処置が必要なためです。 さらに、脳梗塞の治療は長期化するケースも多く、看護師は身体的、心理社会的の両面について患者ケアを行います。 脳梗塞の種類や合併症については、以下の記事も参考にしてください。 発症直後 脳梗塞の発症直後は全身状態が悪く、脳梗塞の拡大や再出血などの急変リスクも高い時期です。 まずは医師・看護師などがチームとなって脳に詰まった血栓を溶かす治療(t-PA療法)や血栓を取り除くカテーテル治療(血栓回収療法)などを行います。 t-PA療法は、脳浮腫や血管の圧力増加による意識障害などの合併症が起こりやすいため、意識レベル、呼吸、循環動態のチェックが欠かせません。 さらに誤嚥予防の処置や体位の調整、けいれんが起きていないかの観察など、看護計画に基づいた慎重な看護を行います。 脳梗塞の治療については、以下の記事も参考にしてください。 急性期 発症直後を含めた「急性期」の看護でチェックする主なポイントは、以下のとおりです。 意識レベル(応答性、話す能力、見当識の変化など) 呼吸と循環の管理 血圧管理 体温管理 排尿管理 皮膚の状態 出血管理 意識レベルの確認には、「目を開けるか」「意識ははっきりしているか」「痛みに反応するか」「身体を動かせるか」などをチェックする以下の指標がよく使われます。 JCS(ジャパン・コーマ・スケール):日本で使用されている意識障害の評価方法 GCS(グラスゴー・コーマ・スケール):世界で広く使用されている意識障害の評価方法 寝たきりの時期が長くなると、筋肉の退化や誤嚥性肺炎、床ずれなどのリスクが上昇します。 そのため、十分なリスク管理のもとに、寝返り、座位、セルフケア訓練など、自分で身体を動かすためのリハビリをできるだけ早くから開始します。(文献1) また、脳梗塞は麻痺や失語などの後遺症が出やすいため、症状や今後の生活に関するメンタルケアも重要です。 脳卒中の治療やリハビリについての見通しは、以下の記事も参考にしてください。 回復期 「回復期」とは、全身状態や血圧などが安定する時期です。 引き続き全身管理を行いながら、日常生活動作を取り戻すためのリハビリや看護を行います。 回復期の看護のポイントは、以下のとおりです。 感覚と知覚(痛みと温度の認識が低下しているため) 栄養機能 : 嚥下、栄養と水分補給の状態 皮膚の状態、褥瘡対策 排尿機能 運動機能(上肢および下肢の動き) 精神状態 (記憶、注意力、知覚、感情、発話/言語など) 脳梗塞で失われた脳細胞は、基本的には元に戻らないといわれています。しかし、治療やリハビリをすると脳のほかの部分が失った機能の代わりを果たすようになるため、身体が動くようになるのです。(文献2) 本章の内容をもとに、回復期の看護を理解しておきましょう。 脳梗塞後のリハビリについては、以下の記事で説明しています。 1.栄養機能管理 栄養機能管理の看護では、以下のポイントをよく観察します。 咳の状態 口の片側に食物が溜まっていないか 液体を飲み込むときの逆流がないか また、言語聴覚士による飲み込み機能の評価を受けた上で、少量の小さな食物や水分を摂取するよう促します。 口からの摂取が不十分な場合は、チューブを介した経腸栄養の準備をします。 2.排尿管理 筋肉の制御が失われている間は自分の意思で排尿を管理できないため、医師・看護師が尿道にカテーテルを挿入し、人工的に排尿させます。 また、十分な水分(1日2〜3L)を与えて、規則正しい時間(朝食後)にトイレをするよう促します。 3.皮膚の状態と褥瘡管理 皮膚の状態が悪くなっていないかは、頻繁に評価します。 清潔で乾燥した状態に保った皮膚をやさしくマッサージし、皮膚の健康を維持します。 また、自分で身体を動かせないと、褥瘡(じょくそう:体重で圧迫されている部分の血流が悪くなり、皮膚がただれたり傷ができたりすること)のリスクが高い状態です。 ひどくなると傷から細菌が入って化膿して腫れる可能性があるため、1日数回(2時間ごと)身体の位置を変更して褥瘡を予防します。 4.運動機能の改善 意識が回復したら、積極的なリハビリテーションプログラム(以下リハビリ)を開始します。脳梗塞後のリハビリは、長時間のものを1回行うのではなく、短時間のものを複数回行います。 リハビリの目的は、以下のとおりです。 関節の可動性を維持する 運動機能を回復する 麻痺した四肢の拘縮を予防する 神経筋系のさらなる悪化を予防する リハビリ中の患者サポートも、重要な看護です。 看護では、肺塞栓や過剰な心臓負荷の徴候 (息切れ、胸の痛み、チアノーゼ、脈拍数の増加など)が起きていないかも観察します。 慢性期 「慢性期」は、退院に向けての準備が本格化します。そのため、患者の全身管理や健康維持に加えて以下の点を重視した看護を行います。 退院後の日常生活の支援(家族への説明) 心理的なケア 退院後、ご家族の協力のもとに患者が自宅で達成可能な目標を計画します。 医師や看護師は、不安を和らげるためにていねいな説明や感情的なサポートを行います。不安や気になる点があれば、遠慮なく聞いてみてください。 脳梗塞の看護でご家族が果たすこと 退院後は、ご家族による食事や運動などの生活支援・リハビリのサポート・服薬管理などの看護が必要です。 脳梗塞は、脳のダメージを受けた部位によって起こる症状や後遺症が異なり、約半数の人に後遺症が出るといわれています。再発もしやすく、10年再発率は49.7%というデータもあります。(文献3) ダメージを受けた部分と、起こる後遺症の例は以下のとおりです。 前頭葉:人格や性格が変化する 頭頂葉:体が動かなくなる(麻痺) 後頭葉:視野の半分が欠ける(半盲ともいう) 側頭葉:学習、記憶障害が起こる また、脳梗塞をはじめとする脳卒中のあとは、認知症になる人も珍しくありません。医療機関や介護サービスの手を借りながら、再発や後遺症を予防・軽減していきましょう。 脳梗塞の再発をコントロールする方法は、以下の記事で説明しています。 まとめ|脳梗塞の後は適切な看護が大切 本記事では、脳梗塞後に必要な看護について詳しく解説しました。 脳梗塞では、経過ごとに必要な看護が異なります。ご家族が中心となって看護するのは退院後で、日常生活の支援やリハビリなどが主な役割です。 心理的な問題は時間の経過によって解決するケースが多いのですが、不安な点は医師や看護師に質問し、解決しておきましょう。 脳梗塞の看護のよくある質問 脳梗塞のあとなぜ血圧が上がるのですか。 脳梗塞では、血流の低下によって脳がむくみます。 生じたむくみによって脳の血管が圧迫されると、結果的に血圧が高くなるのです。 脳梗塞のときはベッド上での安静が必要ですか。 脳梗塞の発症直後は、ベッド上での安静が基本です。 頭を上げたり、立ち上がったりすると血圧が下がり全身状態が悪くなるため、基本的には安静にします。 しかし近年は、状態が落ち着き次第、早めからリハビリを開始するのが一般的です。 脳梗塞はどのくらいで退院できますか。 症状や年齢によって異なりますが、平均的には2~3カ月ほどで退院するケースが多くみられます。 どのような症状が出たら脳梗塞の再発を疑えば良いですか。 以下の症状が出た際は脳梗塞の再発を疑い、救急車を呼びましょう。 手足の麻痺やしびれ ろれつが回らない 言葉が出てこない 視野が欠ける めまいがひどい 意識を失う 脳梗塞は再発しやすいため、患者の様子をよく観察し、気になる症状が出たらすぐに受診しましょう。 脳梗塞の前兆については、以下の記事を参考にしてください。 参考文献一覧 文献1 脳卒中治療ガイドライン2021における リハビリテーション領域の動向 理学療法科学 37(1):129–141, 2022 文献2 脳の可塑性(基礎の立場から) ―サルを使った大脳運動野の破壊後の回復に関する研究,認知神経科学Vol.7No.3 2005 文献3 Ten year recurrence after first ever stroke in a Japanese community: the Hisayama study J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2005 Mar;76(3):368-72. doi: 10.1136/jnnp.2004.038166.
2022.11.16 -
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くも膜下出血は脳疾患のなかでも症状が重いことで知られています。 発症時の一年死亡率は65%以上とも言われています。 後遺症や再発のリスクもあり、十分な警戒が必要な疾患と言えるでしょう。 本記事ではくも膜下出血の症状や合併症、治療法や再発予防法などを解説します。 関連記事:くも膜下出血|女性は男性の2倍ものリスク!今日からしたい本気の予防策! くも膜下出血の概要・症状・治療法 くも膜下出血とは、脳と周囲の膜との間の空間(くも膜下腔)で出血が起こる疾患です。 くも膜下で出血があると、脳に対して十分な血液が供給されません。虚血状態になり、心身にさまざまな症状が現れます。 ほとんどの出血は、生活習慣の乱れによって形成される「脳動脈瘤」の破裂に原因があると言われます。 直接の原因である脳動脈瘤が発生する理由は正確にはわかっていません。 ただ、次の特定の危険因子が関与していると見られます。 発症の危険 ・喫煙 ・過度のアルコール摂取 ・頭部外傷 喫煙やアルコール摂取は動脈硬化のリスクを高め、脳動脈瘤の発生や破裂を引き起こします。 また事故などによる外傷によっても、くも膜下出血は起こりえます。 くも膜下出血を発症した場合の予後は良くありません。一度発症した場合の一年死亡率は約65%と高く、生存した場合でも後遺症や再発リスクが生じます。 くも膜下出血の前兆には突如の強い頭痛や吐き気などがあり、これで発症に気づくケースが大半です。 発症は、激しい咳や運動、性行為など身体的負担が大きい生理反応や活動があった際に起こるケースが多いです。 くも膜下出血の初期症状 くも膜下出血では、以下の初期症状が突発的に起こります。 くも膜下出血の症状例 ・これまで経験したことない強さの、突発的な頭痛 ・極度の疲労感や気分不良 ・吐き気、嘔吐 ・光に対する過敏(羞明) ・かすみ目、複視、眼瞼下垂 ・脳梗塞のような症状(ろれつが回らない、体の片側の麻痺など) ・意識消失 ・全身の痙攣 最初に強い頭痛を感じるケースが多いでしょう。 痛みの程度は「雷に打たれたかのよう」と表現されるほど激しいものです。 しかし頭痛は時間経過により緩和する傾向にあり、「治ったので問題がない」と判断して、前兆を見逃すケースが少なくありません。 また、くも膜下出血があったあとの数か月間は、極度の疲労を感じるケースがあります。 たとえば、普段の通勤通学や買い物に対して従来よりも明らかに強い疲労感が生じます。 不眠症や睡眠不足、手足の痺れや感覚の喪失を訴えるケースも少なくありません。 しかし、これらの初期症状は数か月かけて徐々に改善するため、頭痛が発生した際と同様、「治ったので問題がない」と誤解されることがあります。 基本的な治療法 くも膜下出血が疑われる場合、病院でCT検査をおこない、脳の周囲に出血の兆候がないか確認します。 発症が認められた際には「動脈瘤クリッピング術」と「脳動脈瘤コイル塞栓」などの治療法が用いられます。 動脈瘤クリッピング術は、頭部を切開し、頭蓋骨に穴を開けて、脳動脈瘤を取り除くもの。 脳動脈瘤コイル塞栓は、すでにある脳動脈瘤の破裂を塞ぐ目的でおこなわれます。 脳動脈瘤コイル塞栓では頭部を切開しません。鼠蹊部(足の付け根)から特殊なカテーテルを挿入し、脳動脈瘤内にコイル(プラチナ製の小さな機器)を送り込みます。 コイルにより、脳動脈瘤への血液の流入を遮断し、破裂が予防されるしくみ。 その他対症療法として、降圧薬や鎮痛薬などの投与もなされます。 また近年では、再生医療による治療法も注目されています。再生医療とは、自己脂肪由来幹細胞やPRP療法などを用いた新しい医術。 くも膜下出血に対しては、失われた脳機能の回復や、脳内血管の再生などによる再発予防などの効果が期待されます。 詳しくは以下の関連ページをご覧ください。 関連記事:再生医療とは|リペアセルクリニック メール相談 オンラインカウンセリング くも膜下出血の合併症 くも膜下出血は、治療を行う際に以下のような短期的および長期的な合併症を引き起こす可能性があります。 くも膜下出血の合併症 ・水頭症 ・出血 深刻な合併症には、動脈瘤の再出血や、脳への血液供給の減少によって引き起こされる脳の損傷によるさまざまな機能低下があるため、合併症を起こさない治療が大切です。 治療後のリハビリ計画 くも膜下出血から回復するのにかかる時間は、その重症度によって異なります。 とくに出血の部位は、手足の感覚の喪失や言語理解の問題(失語症)などの後遺症にも関連します。 そこで、治療後は急性期〜回復期にかけて理学療法士の下で実施されるリハビリ計画は、影響を受けた手足の感覚と動きを回復するのに役立ちます。 ・リハビリ専門医 脳損傷による機能回復を専門とする医師 ・理学療法士 エクササイズやマッサージなどの特定の技術の専門家 ・言語療法士 コミュニケーションの問題を認識し、治療を支援する専門家 ・作業療法士 着替えなどの日常生活で発生する可能性のある問題を特定する専門家 上記のようなさまざまな職種が関わっています。 くも膜下出血の後遺症にはどのようなものがある? くも膜下出血は、適切な治療を早期に受けても後遺症が出る場合があります。 一般的に多くみられる後遺症 くも膜下出血は治療後の回復も、時間がかかるものであり、次のような後遺症が発生するのが一般的です。 くも膜下出血の後遺症 1.運動麻痺 右か左の手足が動かしづらくなる 2.感覚障害 痺れや脱力感 3.嚥下障害 物が飲み込みづらい 4.視野障害 半分の空間がうまく認識できない 5.高次脳機能障害 言葉がうまく話せない、理解がうまくできないなどの失語症、注意・集中ができない 6.認知や行動の障害 物事をうまく実行できない、最近の出来事を直ぐ忘れてしまう その他にみられる後遺症 そのほかにも次のような後遺症が現れることもあります。 くも膜下出血、後遺症 ・歩行不安定、尿便失禁 ・てんかん繰り返す発作 ・記憶などの認知機能障害 ・うつ病などの気分の変化 特に、認知機能障害はくも膜下出血の一般的な後遺症であり、ほとんどの人がある程度影響を受けます。 記憶の問題に関しては、発症前の記憶は通常影響を受けませんが、新しい情報や事実を思い出すのが難しくなります。 気分や思考にみられる後遺症 また、以下のような気分や思考の問題も現れます。 1.うつ病 気分が落ち込み、希望がなく、人生を楽しむことができない 2.不安障害 何か恐ろしいことが起こるのではないかという絶え間ない不安と恐怖感 3. 心的外傷後ストレス障害 (PTSD) 人は悪夢やフラッシュバックを通じて以前の外傷的出来事を追体験することが多く、孤立感、過敏性、罪悪感を経験することがある。 このような後遺症は、長期化するケースも稀ではなく、治療後のリハビリなどが重要になります。 くも膜下出血の再発リスクを減らす予防法 くも膜下出血を発症したあとも、再発の可能性が残ります。 再発した場合にも高い死亡リスクが残るため、予防は重要です。 予防法として以下が考えられるでしょう。 ・喫煙や飲酒を控える ・定期的な運動に取り組む ・健康的な食事を心がける 喫煙や飲酒を制限する まず、喫煙や飲酒を制限するのが重要です。 喫煙はくも膜下出血の主な原因になる脳動脈瘤を発生させる要因です。 したがって再発を防止する上では禁煙するのが基本となるでしょう。 飲酒は高血圧の原因になります。血圧が上昇すると膜下出血の主な要因である脳動脈瘤の破裂が起こりやすくなるため、飲酒は大きなリスクとなるでしょう。 上記の理由から喫煙や飲酒は控える、可能なら禁煙禁酒するのが望ましいです。 定期的な運動に取り組む 定期的な運動は、以下の効果をもたらすことから必要です。 ・血行不良の促進 ・高血圧の予防 ・ストレスの原因 血行不良や高血圧、ストレスは、すべてくも膜下出血の再発の原因です。 一方で定期的な運動の実施により、これらの影響をある程度解消できるでしょう。 とくにランニングやウォーキングなどの有酸素運動などが効果的です。 再発防止には、これらの運動を日常に取り入れるのが重要です。 健康的な食事を心がける 以下の健康的な食事は、くも膜下出血の再発防止に有効です。 ・緑黄色野菜や果物 ・青魚(イワシ、サバなど) ・ナッツ類 ・大豆製品 ・オリーブオイル、菜種油(トランス脂肪酸が含まれていないため) ・塩分が少ない食事 栄養バランスが偏ると、くも膜下出血の原因になる高血圧や血行不良につながります。 一方で上記の食物や食事には、血圧を下げ、血行を促進する効果があると言われています。 再発防止には、不健康なものを遠ざけ、健康的な食事を摂るのが重要になるでしょう。 メール相談 オンラインカウンセリング くも膜下出血によくあるQ&A 最後にくも膜下出血に関するよくある質問をまとめました。 後遺症がどのくらいで治るのか、仕事復帰の目安などを解説します。 Q.くも膜下出血に特徴的な前兆はありますか? A.くも膜下出血に特徴的な前兆としては、血圧の乱高下があります。 激しく上昇、下降する場合は可能性が高いです。 また脳梗塞などと同じように頭痛や吐き気などの前兆が現れることもあります。 Q.後遺症を残さずに仕事復帰はできますか? A.くも膜下出血で後遺症なく仕事復帰できるのは、3~4割程度といわれています。 完全に後遺症を残さないためにはリハビリが大切になります。 Q.くも膜下出血の後遺症で性格が変わりますか? A.くも膜下出血が原因で高次脳機能障害を患った場合、性格が変わるかもしれません。 高次脳機能障害は、脳に対するダメージが原因で、脳機能に影響が出る障害です。 とくに「意欲や情動のコントロールが困難になる」症状があり、これが現れると行動や言動に変化が生じます。 結果として「性格が変わった」と表される状態になるかもしれません。 まとめ:くも膜下出血を予防するには早期受診が重要! いかがでしたでしょうか? くも膜下出血は、突然起こると思われがちですが、血圧の変動や頭痛など特徴的な前兆があるため、少しでも不調があれば病院を受診するのが大切です。 くも膜下出血は、突然におこる激しい頭痛が特徴的です。後遺症が出ることもあります。 そのため、適切な治療や、リハビリのプランが重要です。 喫煙や、高血圧といった危険因子を管理し、健康的な生活習慣を心がけることが再発を予防するポイントです。 また、後遺症の程度によっては、仕事復帰に時間がかかる場合もありますが、治療後のリハビリは再発リスクを低減させて、回復を早めるためにも大切ですので医療機関の指導の下、前向きお取組みされることをお勧めします。 いずれにしましても、くも膜下出血で後遺症を残さないためには早期治療、そしてリハビリが大切です。 今回の記事を参考にして症状や、後遺症などに関して少しでも参考になれば幸いです。 関連記事:くも膜下出血の前兆?首の後ろの痛みを伴う激しい頭痛は危険! なお私たちリペアセルクリニックでは、再生医療を用いたくも膜下出血の治療を進めています。 関心がある方はぜひお問い合わせください。 メール相談 オンラインカウンセリング
2022.11.10 -
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脳梗塞になりやすい人とは?再発予防で注意しておくべきことについて 脳梗塞とは、脳の血管が血栓などで詰まり血流が悪くなることで、脳血管が細くなって脳細胞に障害が起こって様々な症状を呈する病気です。 高齢者が寝たきりになる原因の多くを占める脳梗塞は、初期段階での早期治療を行うと共に発症予防することが非常に重要なポイントであると言われています。 今回は、脳梗塞になりやすい人はどんな人なのか、脳梗塞の発症予防、あるいは再発を予防するための方法などの情報を詳しく解説していきます。 脳梗塞になりやすい人とは 脳梗塞は、いわゆる危険因子を持った方に起こりやすく発症しやすい方は存在します。その危険因子にはいくつかの要素があり、脳梗塞の主な危険因子は3つあり、「高血圧」「糖尿病」「心房細動」があげられます。 1,高血圧 脳梗塞は脳の血管が詰まることが原因で起こり、その原因疾患でもっとも多いのは高血圧であると考えられています。 一般的には、最高血圧(収縮期血圧)が140mmHg以上、あるいは最低血圧(拡張期血圧)が90mmHg以上であれば、「高血圧症」と診断されることからも、最高収縮期血圧が140mmHg以上を上回ったら脳梗塞の発症リスクが高くなります。 2,糖尿病 また近年では、糖尿病の増加に伴って、「アテローム血栓性脳梗塞」の発症数が増えてきており、血糖値が高い状態が続くと血液中に多量に存在するブドウ糖が血管の壁を傷つけることで、動脈硬化が悪化することとなり、脳梗塞などの病気の発症リスクが高くなります。 3,心房細動 さらに、心臓の中にできた血液の塊が時に遊離して、不幸にも脳の動脈の方に流れていってしまうことで脳の血管が詰まってしまう状態、つまり閉塞してしまうことが原因で起こる脳梗塞のことを、「心原性脳塞栓症」と呼んでいます。 心房細動と呼ばれる不整脈を有する場合には、心房内に血栓を形成し、その心房内の血栓は血流に乗って全身へ飛ばされる恐れがあるため、脳梗塞の発症リスクも上昇します。 脳梗塞の発症予防方法は? 脳梗塞を発症させる危険因子の有無をチェックして、ひとつでも危険因子が見つかった人は、「食事療法」「運動療法」「薬物療法」などで脳梗塞の発症予防に努める必要があります。 脳梗塞の発症予防 ・食事療法 ・運動療法 ・薬物療法 高血圧を制御して脳血管障害の発症を予防する 高血圧症は日本において約4000万人以上にも及ぶ国民が罹患しているといわれており、「高血圧を制御することによって脳血管障害の発症を抑制する」ことが大いに期待されています。 普段から高血圧を指摘されている方では「塩分を控える」「適正体重となるように日々の食生活で腹八分目にする」「なるべく歩くようにする」などの工夫が必要であるとともに、血圧降下作用のあるカリウムやカルシウムなどのミネラルを積極的に摂取することが重要となります。 高血圧を予防するためにできること ・塩分を控える ・規則正しい食生活 ・適正体重となるように日々の食生活で腹八分目にする ・なるべく歩くようにする ・日ごろから運動を心がける ・カリウムやカルシウムなどのミネラルを積極的に摂取する ・禁煙 ・ストレスの排除 また、普段から規則正しい食生活、運動をするようにして、ストレスや喫煙習慣など生活スタイルに注意して、糖尿病にならないように心掛けましょう。 脳梗塞を引き起こしやすいと考えられている危険な不整脈として認識される心房細動があると、毎年約5%の方に脳梗塞が発症すると指摘されているので、日常生活で動悸を自覚するなどの症状が出現した際には、心臓専門の医療機関で詳しく調べてもらいましょう。 脳梗塞を引き起こしやすい兆候に注意 ・心房細動:生命を脅かす危険性 ・心房細動:動悸、脱力感、息苦しさ、胸の不快感 ※自覚したら心臓専門の医療機関を速やかに受診する 脳梗塞は約3割が再発する可能性!再発予防について 最近、脳ドックを受診する方が増えて「無症候性脳梗塞」が見つかる頻度が増えてきており、この隠れ脳梗塞が発見されたのち数年以内に3割の人が再び脳梗塞の発作を起こすと言われていますので、脳梗塞に一度かかったら再発する危険性があると考えておくべきでしょう。 脳梗塞を発症した方においては、再発を予防するための薬剤を飲む必要があって、通常では「ラクナ梗塞」や、「アテローム血栓症」に対しては動脈のように血流がとても速い血管のなかで血栓がつくられるのを防ぐため、「抗血小板薬」が有用となります。 ご注意頂きたいのは、症状が悪化していない、調子が良いからと勝手に自己判断で薬剤服用をやめてしまう方がおられますが、基本的には脳梗塞を再発するための予防薬は継続する必要があります。 また、心臓が原因で起こる脳塞栓の場合には、心臓の中に出来る血液の塊そのものが血管の中に出来る血栓とは性質が異なっているために、その再発予防には通常では「ワーファリン」という薬を使用します。 この薬を飲んでいる方は、定期的に血液検査でプロトロンビン時間(PT-INR)を測定して、薬効を評価しておく必要がありますし、ワーファリンを服用している際には、薬の効果に影響を与えますので、納豆や青汁などを食べてはいけません。 脳梗塞の再発予防にために ・脳ドックで「無症候性脳梗塞」が見つかると3年以内に脳梗塞を発症しやすい ・脳梗塞の再発予防に「抗血小板薬」が有用となる ・脳梗塞の予防薬を自己判断で中断してはならない ・脳梗塞の予防として心臓内でできる血液の塊を防ぐ「ワーファリン」の服用時には納豆や青汁を摂取しないこと まとめ・脳梗塞になりやすい人とは?発症や再発予防で注意しておくべきこと 今回は脳梗塞になりやすい人はどんな人なのか、脳梗塞を発症予防、あるいは再発を予防するための方法などについて詳しく解説してきました。 脳梗塞は突然に起こる病気であり、かかってからしまったと後悔しても手遅れですので、健常人でも普段から脳梗塞を予防しておく方法を知って身に付けておくことが重要です。 脳梗塞の原因となる高血圧や糖尿病は動脈硬化を進展させますので、脳梗塞の発症や再発を予防するために、高血圧や糖尿病を罹患している場合には疾病の治療を行うとともに、常日頃の生活習慣を見直すことも重要な観点となります。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 引用文献 脳血管障害・脳卒中 | e-ヘルスネット(厚生労働省) ▼こちらも併せてご参照ください。 脳梗塞は治るのか!?治療方法や入院期間、費用を徹底解説!
2022.11.07