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- 膝の内側の痛み
- ひざ関節
膝の内側にふと感じる違和感。階段を上るたびに走る痛み。忙しい日々の中、つい後回しにしていませんか?その小さな違和感が、あなたの日常生活に大きな影響を及ぼす鵞足炎のサインかもしれません。 鵞足炎(がそくえん)は膝の内側(脛骨の上内側)にある鵞足部に炎症が起こり、歩行や階段動作で痛みを生じる障害です。小さな違和感程度のうちは放置しがちですが、そのままにすると痛みが徐々に悪化し、激痛になるおそれがあります。 そこで、どのような症状が出たら病院に行くべきか、また受診のタイミングについて医師の視点から解説します。早期受診の必要性、具体的な症状や受診のタイミング、治療法まで専門医の視点で詳しく解説します。本記事を読むことで、何をすべきか、どこに相談すればよいかが明確になり、将来の大きな不安を解消するきっかけになるでしょう。 病院に行くべき鵞足炎の症状 鵞足炎の代表的な症状は、膝の内側(膝のお皿の下約5cmあたり)に生じる痛みです。痛みは通常、運動や階段の上り下りで強まり、安静にすると和らぐ傾向があります。患部を指で押すと痛みがあり、症状が進むとその部分に腫れ(膨らみ)や熱感を伴うこともあります。(文献1) 日常生活で次のような症状がみられたら要注意です。 注意すべき症状 解説 歩行や階段昇降時に膝の内側が痛む。 とくに階段を下りるときや立ち上がるときに痛みが走る場合は、鵞足部の炎症が疑われます。 膝を曲げ伸ばしすると内側に違和感や引っかかり感がある。 鵞足部の腱や滑液包の炎症で膝の動きに支障が出ている可能性があります。 膝の内側に触れると局所的な圧痛や軽い腫れを感じる。 痛むカ所に触れてみて、片側だけ明らかな圧痛がある場合は鵞足炎の徴候です。 痛みで正座や膝立ちが困難になる。 膝の曲げ伸ばしが制限されるほどの痛みは重症化のサインで、早めの受診が望まれます。 これらの症状が出るようになったら、我慢せず病院で診断を受けましょう。とくに膝に熱感や腫脹を伴う場合、他の疾患の可能性もあるため放置は禁物です。少し痛む程度だからと様子を見ても悪化していく一方ですので、お早めの受診をおすすめします。 鵞足炎における病院に行くべきタイミング 膝の内側に痛みや違和感を覚えたら、できるだけ早めに整形外科を受診するのが理想的です。軽度であれば数日から2・3週間程度の安静で症状が改善するケースが大半です。対して、痛みが2週間以上続く場合や、安静にしても痛みが引かない場合は、自己判断せず医療機関を受診しましょう。一般に鵞足炎などの膝の滑液包炎は、適切な治療を行えば約6〜8週間ほどで完治します。(文献2) 逆に言えば、1〜2か月経っても改善しない場合は治療法の見直しが必要なサインです。また、運動後に膝の違和感や軽い痛みを感じた段階で、一度受診しておくのも有効です。早期に診断を受けて適切な対策(休息の指示やストレッチ指導など)を取れば、症状の悪化を未然に防げます。痛みの程度が中等度以上(例:階段の上り下りが困難、就寝中にも疼く)なら、発症から数日以内に受診するのが望ましいでしょう。放置期間が長くなるほど完治までの時間も延びる傾向があるため、迷ったときは早めに専門医に相談することが鵞足炎完治への近道です。 放置リスクと症状の進行度チェック 鵞足炎を放置すると、症状が「違和感」から「痛み」へ、さらに「激痛」へと段階的に進行してしまうリスクがあります。軽い痛みのうちは運動を続けてしまい、気づけば休まざるを得ないほど悪化して受診するケースも少なくありません。鵞足炎の進行度を自己チェックする目安として、次のようなステージがあります。 重症度 解説 ステージ1(軽度) 膝の内側に違和感があるが、スポーツ中でもさほど気にならないレベル。腫れや熱感はほとんどありません。この段階で対策せず運動を続けると次第に悪化する恐れがあります。 ステージ2(中等度) 運動後に膝の痛みがはっきり自覚できるようになる段階です。階段昇降で痛みを感じ、患部に軽い圧痛が出現。ここで適切に休養を取らないと、さらに重症化していきます。 ステージ3(重度) 膝の痛みが強く、運動を継続できない。日常生活でも膝の曲げ伸ばしに支障が出て、患部に腫れや熱感が見られる場合もある。安静にしていても痛むようならかなり進行している状態です。 ステージ4(最重度) 痛みが激しく、歩行さえ困難になる。膝関節以外(股関節や腰)にまで負担が及び、他の部位まで痛み出すことも。ここまで悪化すると完治まで長期化し、元の状態に戻すのが難しくなります。 ※これらはあくまで参考であり、膝の痛みを感じたら軽度でもすぐに専門医に相談してください。 鵞足炎を放置すると、腱や滑液包周辺の組織に慢性的なダメージが蓄積し、治りにくい状態になるリスクがあります。鵞足炎は早期対応が肝心です。違和感を感じたらテーピングやアイシングなどの対処を行い、痛みが強まるようなら速やかに医療機関へ相談しましょう。 整形外科や再生医療専門クリニックの選び方 鵞足炎が疑われる場合は、まず整形外科を受診しましょう。整形外科で診察と必要な画像検査(レントゲンやMRIなど)を受ければ、他の膝疾患との鑑別も含めて正確な診断が得られます。 とくにスポーツが原因で痛みが出た場合は、スポーツ整形外科を専門とする医師がいる病院を選ぶとより適切な診療を受けられるでしょう。整形外科では一般的な保存療法や必要に応じてステロイド注射などの治療が行われ、症状改善が期待できます。 一方、最近では再生医療専門クリニックで鵞足炎の治療を相談するケースも増えています。再生医療専門クリニックでは、整形外科的な治療に加えてPRP療法(多血小板血漿療法)や幹細胞治療など、組織の修復・再生を促す治療法を提供しているのが特徴です。 病院で受けられる鵞足炎の治療法 鵞足炎の治療はほとんどが手術しない保存治療で行われます(文献1)。症状や原因に応じて、医療機関では次のような治療法を組み合わせて受けられます。 治療法 説明 アイシング(冷却) 痛むカ所に氷や保冷剤を1日3回、各15分程度当てて冷やします。冷却は炎症と腫れを鎮め、痛みの軽減に役立ちます。 薬物療法 痛みや炎症が強い場合は、消炎鎮痛剤の内服が処方されます。ロキソニンなどの市販薬は痛みと腫れを抑える効果がありますが、効果が短期的なため医師の指示に従い使用しましょう。(文献5) 理学療法・リハビリ 理学療法士によるストレッチや筋力トレーニングの指導が行われます。とくに太ももの裏の筋(ハムストリングス)が硬いと鵞足部に負荷がかかりやすいため、ストレッチで柔軟性を高めます。また大腿四頭筋や股関節周囲の筋力強化により膝への負担軽減を図ります。 足底板(インソール)療法 膝のアライメント(配列)に異常がある場合や扁平足の場合、医師が足底板を処方します。(文献2)インソールで膝の角度を適正に保つことで、鵞足部への過剰な負担を減らします。 ステロイド局所注射 症状が強く保存療法で十分な改善が得られない場合、患部にステロイド薬を直接注射する治療があります。(文献2)メリットとしては即効性が挙げられますが、効果は持続しないため、根本治療ではなく迅速な痛みの緩和を目的に使用されます。(文献1) PRP注射(多血小板血しょう療法) 保存療法で繰り返す鵞足炎に対し、再生医療の一環としてPRP療法を受けられる病院もあります。(文献2)患者自身の血液から血小板を豊富に含む血漿成分を抽出し、患部に注射することで組織修復を促進する治療法です。従来の治療で効果不十分な痛みに対し、新たな選択肢として注目されています。 手術療法 非常にまれなケースですが、保存的治療でどうしても改善しない慢性化した鵞足炎や、滑液包に感染が起きて膿がたまった場合などは手術が検討されます。手術では滑液包を切除します。ただし一般的な鵞足炎では手術に至ることはほとんどありません。(文献2) 以上のように、病院では症状の程度に応じた段階的な治療が受けられます。多くの場合、安静・薬物・リハビリなどの保存療法で痛みは改善し、数週間〜数か月で通常の生活に戻れます。とくに早期に適切な処置で治癒期間の短縮が期待できるため、痛みを我慢せず医療機関のサポートを活用しましょう。 病院に行っても改善しない鵞足炎のアプローチ 通常、鵞足炎は保存療法で改善しますが、一部には治療を続けても痛みが長引く難治性のケースもあります。そのような場合には、病院での一般的な治療に加えて別のアプローチを検討します。 治療法 説明 体外衝撃波療法(ESWT) 難治性の腱付着部炎に対して近年注目される物理療法で、鵞足炎に適用されることもあります。高エネルギーの衝撃波を痛みの部位に与えることで血流改善や治癒促進を図る方法です。まだ歴史が浅い治療法のため、できる整形外科は限られており、効果についても個人差が大きいようです。 PRP療法 前述のPRP注射は、慢性化した鵞足炎にも効果を発揮する可能性があります。実際、慢性的な鵞足部痛患者33名にPRP療法を施した臨床研究では、約85%の患者で治療後6か月以内に痛みがほぼなくなるか大幅に軽減したと報告されています。(文献3) PRPに含まれる血小板由来因子が組織修復を促し、難治性の炎症を鎮めたと考えられますが、一般的な治療法で治らない場合は検討する価値はありそうです。 幹細胞治療 患者自身の幹細胞(主に脂肪由来幹細胞)を患部に注入し、損傷組織の再生を図る治療法です。幹細胞は抗炎症作用や組織修復促進作用を持つことから、腱・靭帯付着部の炎症を根本から沈静化させる可能性があります。 ただし幹細胞治療は高度な医療であり、実施している医療機関も限られるため、希望する場合は再生医療認定を受けたクリニックで詳細を問い合わせる必要があります。 このように、病院に行ったが痛みが引かない場合でも諦める必要はありません。再生医療や先進的な理学療法など、従来とは異なるアプローチで症状改善の道が開ける可能性があります。当院リペアセルクリニックは、厚生労働省から再生医療の認定も受けております。PRP療法も幹細胞治療も施術可能な再生医療のプロフェッショナルですので、再生医療に興味があればぜひ一度当院へご相談ください。 関連記事:鵞足炎(がそくえん)の再発を防ぐ3つの方法とは?繰り返す痛みに再生医療という選択肢 早期の受診が鵞足炎の改善につながる! 鵞足炎は適切な治療を受ければ改善が期待できる疾患ですが、その鍵となるのが早期の受診です。痛みを我慢して慢性化させてしまうと、治るまでに時間がかかったり、再発を繰り返したりする恐れがあります。鵞足炎には有効な保存療法や再生医療を含む多様な治療オプションが存在し、医師と二人三脚で取り組めば痛みのない生活を取り戻せる可能性が高いため、少しでも違和感があれば、まずは整形外科へ受診しましょう。 痛みが軽いうちに病院へ行くのは大げさでは?と心配になるかもしれません。しかし、膝の違和感や軽い痛みは身体からの重要なサインです。早めに対処して、将来にわたった健康な膝の状態を保ちましょう。 病院では痛みの原因を丁寧に説明し、あなたに合った治療プランを提案してくれます。一日でも早く痛みから解放されて、普段の生活やスポーツを安心して楽しむためにも、鵞足炎かな?と思ったら早期受診を心がけてください。 鵞足炎で病院行くべきかお悩みの方からよくある質問 膝の違和感や痛みで病院に行くべきかどうかお悩みの方は少なくありません。病院に行くのが大事とはわかっていても、つい自分で判断してしまって我慢してしまう方も多くいます。そこで、病院に行くべきかお悩みの方からよく頂く質問をピックアップしましたので、紹介いたします。 鵞足炎を自分で治す方法はありますか? 軽度の鵞足炎であれば、自宅での応急処置と安静で改善を図る場合があります。痛みを感じたら運動や長時間歩行を避けて安静にし、患部を氷で冷やして炎症を抑えましょう。また、市販の消炎鎮痛剤を短期間服用したり、湿布を貼ったりするのも痛みを和らげる手段です。 痛みが落ち着いてきたら、ハムストリングス(太もも裏)や大腿四頭筋のストレッチを無理のない範囲で行いましょう。ただし、自己ケアで対処できるのは軽症の場合に限られます。上記のような方法で1〜2週間試しても痛みが引かない場合や、痛みがむしろ悪化する場合は自分で治そうとせず病院を受診してください。無理に動かし続けるとかえって回復が遅れることもあります。早めに受診して、現在の状態に合った適切な治療やリハビリの指導を受けましょう。 病院に行くべき目安はセルフチェックで判断できますか? 鵞足炎かどうか、また病院に行くべきかを完全にセルフチェックで判断するのは難しいですが、目安はあります。まず、痛みの強さと持続期間が重要な指標です。軽い痛みで、なおかつ数日間の休息で改善傾向にあるなら、もう少し様子を見てもよいでしょう。逆に、痛みが日増しに強くなっていて、1〜2週間経ってもほとんど良くならないといった場合は受診のタイミングです。とくに日常生活に支障が出るレベルなら、迷わず整形外科を受診してください。 膝の内側を触って圧痛のポイントを特定してみるのも有効です。膝の内側から5〜7センチ下あたりに指を当て、左右の膝で痛みを比べてみましょう。(文献5) 明らかに痛みが強いポイントがある場合、その部位の炎症が疑われます。ただし素人判断では鵞足炎と似た症状の別の疾患(半月板損傷や内側側副靭帯の損傷など)を見逃す可能性もあります。膝の痛みには他の原因も多いため、「鵞足炎かも」と思っても素因がはっきりしない場合は医師の診断に委ねましょう。 ロキソニンで症状が抑えられている鵞足炎は病院に行くべきですか? ロキソニン(ロキソプロフェン)などの市販薬で痛みが和らいでいる場合でも、長期的に薬に頼り続けるのは好ましくありません。鎮痛薬はあくまで痛みを一時的に緩和する対症療法であり、根本的な原因である炎症や組織損傷を治すものではないからです。また、薬の効果が切れた後に症状がぶり返すこともあります。薬を飲めば大丈夫と放置するのではなく、症状の経過に応じて病院で診察を受けましょう。 参考文献 (文献1) American Academy of Orthopaedic Surgeons「Pes Anserine (Knee Tendon) Bursitis」OrthoInfo, 2021-09 https://orthoinfo.aaos.org/en/diseases--conditions/pes-anserine-knee-tendon-bursitis/ (Accessed:2025-03-22) (文献2) Cleveland Clinic「Pes Anserine Bursitis: What It Is, Symptoms & Treatment」Cleveland Clinic Health Library, 2025-03-05 https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/pes-anserine-bursitis (Accessed: 2025-03-22) (文献3) Rowicki Kほか.「Evaluation of the effectiveness of platelet rich plasma in treatment of chronic pes anserinus pain syndrome.」『Ortop Traumatol Rehabil』16(3), pp.307-318, 2014年https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25058106/ (Accessed: 2025-03-22) (文献4) Lopa S, Colombini A, Moretti M, & de Girolamo L. (2019). Injective mesenchymal stem cell-based treatments for knee osteoarthritis: from mechanisms of action to current clinical evidences. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc, 27(6), pp.2003-2020. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30159741/ (Accessed: 2025-03-22) (文献5) StatPearls:Pes Anserine Bursitis. (2025) StatPearls Publishing, Treasure Island (FL)ncbi.nlm.nih.gov(Accessed 2025-03-22)
2025.03.31 -
- 膝の内側の痛み
- ひざ関節
膝の内側がじわじわと痛み、時には強い痛みにも襲われる鵞足炎(がそくえん)。安静や湿布で痛みが軽減しても、運動再開とともに痛みがぶり返してしまう。このような状態に悩む方は多くいらっしゃいます。特にランナーや球技を楽しむ方に多いイメージですが、加齢による膝周りの筋力低下や姿勢の乱れでも起こりやすい症状です。 実は、鵞足炎の痛みが長期化する背景には、膝周辺だけでなくさまざまな要因が隠れています。足首や股関節の使い方、筋膜の硬化、他の膝疾患との併発など、多くの要因が複雑に絡み合っています。 そのため、治療しても再発してしまったり、痛みの場所を特定できないケースも少なくありません。本記事では、なかなか治らない鵞足炎の原因を医師の視点も交えてわかりやすく解説し、根本的に痛みを改善するための治療法やセルフケア、再発防止策を紹介します。鵞足炎と診断されて諦めかけている方、膝の内側の痛みに苦しむすべての方に有益な情報をお届けできれば幸いです。 【前提知識】鵞足炎とは 鵞足炎とは、膝の内側(膝から5~7cm下)にある鵞足部と呼ばれる部分(縫工筋・薄筋・半腱様筋が集まる付着部)が炎症を起こし、痛みや熱感を生じる疾患です。鵞足部の名前の由来は、これらの筋がガチョウ(鵞鳥)の足のように見えることに由来しています。 鵞足部には滑液包と呼ばれる潤滑液の入った小さな袋が存在し、筋や腱と骨の間でクッションの役割を果たしていますが、鵞足炎はこの鵞足部の滑液包に炎症が起こった状態(滑液包炎)で、膝の内側下部に痛み・腫れ・圧痛(押すと痛い)などの症状が現れます。(文献1) 痛みが顕著な方は、階段の上り下りや椅子からの立ち上がり、長時間の歩行の後などに膝の内側がズキズキしたり、腫れを伴ったりする場合もあります。 原因としては、膝の使いすぎによる慢性的な摩擦ストレスです。スポーツや仕事で膝を酷使した場合や、姿勢や歩行時のクセ、筋力のバランスが悪いなどさまざまな要因が挙げられます。O脚やX脚などの下肢に異常があると、鵞足部に負荷が集中しやすいので注意が必要です。また、加齢に伴い筋力や柔軟性が低下すると、同様に鵞足炎を発症しやすくなります。 多くの場合、炎症を抑える薬やサポーター、適度な休息などで症状が改善しますが、原因となる身体の使い方や関節の不具合を解消できていないと、痛みがぶり返すのも事実です。本来、膝周辺だけでなく、足首や股関節、さらに筋膜の状態まで考慮しないと、なかなか治らないまま慢性化する可能性があります。 鵞足炎がなかなか治らない原因 鵞足炎がなかなか治らないと感じる方が多い理由には、膝周辺だけでなく身体全体のバランスや動作パターンに起因する問題が複雑に絡んでいます。具体的には、以下のような要因が挙げられます。 要因 説明 筋膜や腱の問題 膝の内側だけでなく、太もも、股関節、足首に至る広範囲の筋膜が硬化していると、鵞足部への負担が蓄積します。筋膜の問題を放置すると血流が滞り、炎症が長引く原因になります。 フォーム・姿勢の乱れ 歩き方やランニングフォーム、さらには立ち姿勢が乱れていると、膝の内側へ過度なストレスがかかります。特にO脚の人や、足首の可動域が狭い人は、鵞足部に負担が集中しやすく、再発・慢性化を招きがちです。 誤ったケアや対処の遅れ 痛み止め注射やサポーターに頼りすぎる対症療法、あるいは自己流のストレッチ・マッサージで痛みを増幅させてしまうなど、正しいケアが行われていないと炎症は落ち着きにくくなります。 根本原因が解消されていない 鵞足炎を引き起こした原因が、ストレッチ不足による柔軟性低下や急な坂道ダッシュのような不適切なトレーニング方法が原因の場合、炎症がぶり返して治りにくくなります。原因に対処せず運動を続ける限り鵞足炎は自然には良くならず、痛みが一時的に和らいだように感じても治癒が妨げられて損傷が蓄積し、結果的に回復が遅れてしまいます。(文献2) これらの要因を踏まえずに膝の内側だけの治療を続けても、改善するどころか、痛みが断続的に続いたり強くなったりする可能性があります。鵞足炎を本当に治すには、身体全体に対するアプローチが重要です。 鵞足炎と併発した膝疾患によって痛みが続いている 膝の内側が痛む原因は鵞足炎だけとは限りません。内側側副靱帯の損傷や半月板の損傷、変形性膝関節症など、似たような症状を引き起こす疾患は多数存在します。実際には鵞足炎と別の膝疾患が併発しているのに、鵞足炎のみに注目した治療を続けてしまえば、当然痛みはなかなか改善しないままです。 内側側副靱帯損傷が併発すると、膝の安定性が損なわれ、普段の動作で鵞足部への負荷が過度にかかりやすくなります。また、半月板の損傷があった場合、膝をひねる・曲げ伸ばしするときに痛みが増し、鵞足炎による痛みとの区別がつきにくいこともあります。 変形性膝関節症は、関節内の炎症によって内ももの筋肉(内転筋群)が緊張しやすくなり、それが近接する鵞足部への慢性的なストレスとなって炎症を誘発・増悪させる悪循環が生じることがあります。(文献3) このように、膝疾患が併発してしまうと診断も曖昧になり、根本原因を治療できずに鵞足炎が長期化してしまう可能性があります。 鵞足炎と膝疾患が併発しているケースは珍しくなく、ある研究では変形性膝関節症の患者のうち、約20%に鵞足炎も併発していたとの報告があり、しかも関節症の重症度が高いほど鵞足部の滑液包が大きく腫れていることが指摘されています。(文献4) 痛みが続く場合は、早めに整形外科医や理学療法士に相談し、必要な診察を受け併発している疾患がないか見極めることが大切です。早期の診断によって、症状に合った的確な治療プランを提案しやすくなります。 治らない鵞足炎の治療・ケア方法 安静にしたり注射を打ったりしているのに、まったく良くならない方は鵞足炎の根本原因の解消にまで至っていない可能性があります。 ここでは、従来行われている一般的な治療法と、それらを理解した上で取り組むべきアプローチを紹介します。治らない鵞足炎で悩んでいる方ほど、自分の身体のどこに問題があり、どう対処すればよいかを多角的に把握することが重要です。 膝周辺の筋力をバランスよく強化し、歩行フォームを見直すような運動療法を取り入れたり、問題点がわからない場合は医師や理学療法士のような専門家に意見を聞きましょう。以下で示す一般的な鵞足炎の治療法と、より根本的な改善を目指す先進的アプローチの双方を理解し、痛みの再発を繰り返す状態を抜け出す道筋が見えてくるはずです。 一般的な鵞足炎の治療法 保存療法(保存的治療)が鵞足炎治療の基本となります。まず患部を安静に保ち、炎症が治まるまで運動や膝への過度な負荷を軽減します。痛みのある箇所には氷のうなどで冷却し、1日に3回まで、各15分程度のアイシングを行います。腫れや痛みが強い場合には消炎鎮痛剤の内服や湿布など薬物療法で炎症と痛みを和らげます。 一般的に鵞足炎と診断されると、鎮痛薬による炎症の抑制、サポーターやテーピングによる装具療法やアイシングやストレッチによる負担軽減などが提案されます。急性期の強い痛みを和らげる手段としては、これらの方法は一定の効果が期待できます。こうした保存療法でも症状が改善しない場合のみステロイド注射が検討されますが、一定期間を経過すると痛みがぶり返す可能性があるため推奨はされません。(文献1) 痛みが一時的に落ち着いても、膝や股関節、足首を含めた身体全体の機能改善が行われなければ、再発や慢性化のリスクが高くなります。これらの一般的治療法は、あくまで「膝の痛みを抑える」対症的な面が強いといえるでしょう。鵞足炎が治りにくい方ほど、次のステップとして姿勢や筋膜、全身の筋力を考慮した根本的なアプローチが必要になります。 鵞足炎を根本から治療する先進的なアプローチ 一般的な対処法だけでは改善しきれない鵞足炎に対して、近年は保存療法では改善しにくい慢性の鵞足炎に対して再生医療によるアプローチが注目されています。再生医療とは、患者自身の細胞や成分を利用して損傷組織の修復・再生を促す治療法です。代表的なPRP療法と幹細胞治療は、修復促進と炎症抑制効果が期待できます。 PRP療法は、患者自身の血液を用いた再生医療の一種です。少量の血液を採取して血小板を痛みの部位に注射します。血小板には組織の修復を促す成長因子が豊富に含まれており、注入部位の治癒促進や炎症の軽減が期待できます。自分の血液由来の療法なのでアレルギー反応や拒絶反応のリスクがほとんどないのも利点です。 自己脂肪由来幹細胞治療(幹細胞療法)は、患者自身の脂肪組織から採取した幹細胞を用いて損傷部位の組織再生を促す先進医療です。腹部などから脂肪を少量採取し、そこから幹細胞を分離・培養して数千万~2億個規模まで増やしたうえで膝関節内に注射します。 当院リペアセルクリニックでは自己脂肪由来幹細胞を培養して約1億個を関節内に注入し、併せてPRPも施行する独自の治療を行っております。 このような再生医療により、従来の保存療法では改善しなかった慢性的な鵞足炎でも、原因となっている組織そのものの修復・再生が促進され、根本的な痛みの解消につながる可能性があります。再生医療に興味がある方は、ぜひ当院にご相談ください。 関連記事:鵞足炎(がそくえん)の再発を防ぐ3つの方法とは?繰り返す痛みに再生医療という選択肢 鵞足炎の再発防止策と生活習慣の見直し 鵞足炎は、治療して痛みが軽減しても、日常生活の動作や習慣を改めないと再発するリスクが高いのが特徴です。とくに膝を酷使するスポーツや仕事に従事している場合、膝への負荷をコントロールする必要があります。 まず重要なのは、ウォーミングアップとクールダウンの徹底です。運動前後に数分のストレッチや関節ほぐしをするだけでも、筋肉や筋膜への過度なストレスを軽減し、鵞足炎の再発リスクを下げられます。さらに、歩行フォームや立ち姿勢のチェックを定期的に行い、必要なら理学療法士やトレーナーに修正指導を受けることも大切です。 また、体重管理や栄養バランス、十分な睡眠も見落とせないポイントです。体重が増えれば膝への負荷が増し、炎症を誘発しやすくなりますし、睡眠不足で回復力が落ちると痛みが慢性化しやすくなります。通院で一時的に痛みを取るだけでなく、ライフスタイル全体を見直すことで、膝にかかる負担を継続的に減らせます。 セルフケア・トレーニングで再発を予防 鵞足炎の再発を防ぐには、医療機関での治療だけに依存するのではなく、自宅やジムなどでできるセルフケアとトレーニングが欠かせません。とくに太ももの筋肉が硬くなると鵞足炎は悪化するため、太ももをほぐすストレッチは効果的です。(文献4)筋肉や関節の温度を上げて、運動時の怪我や炎症リスクを下げましょう。 併せて、膝を支える周囲の筋力強化も再発予防に有効です。大腿四頭筋(太ももの前面)や臀筋などのトレーニングを実施し、膝関節の安定性を高めます。筋力が向上すれば膝への衝撃を和らげ、走ったり階段を降りたりする際の鵞足部への過度な負担を減らせます。 ただし、痛みが強い間は無理をせず、専門家のアドバイスを得ながら少しずつ負荷を調整するのがポイントです。正しいフォームや適切な負荷量で継続していけば、鵞足炎の再発リスクを大幅に低減できます。 鵞足炎を再発しないために普段から意識するポイント 日常の中で、ちょっとした意識の変化が鵞足炎の再発リスクを下げられます。まずは日常動作でも膝の内側に痛みを感じる動作は避けましょう。たとえば、長時間のあぐら姿勢(膝を内旋させる座り方)は膝内側に負荷を与えるので控えてください。 また、膝だけでなく足全体にも注意が必要です。偏平足のように足のバランスに異常がある場合、足の骨格の崩れが膝に伝わり内側へのストレスとなることがあります。そのような場合は適切なシューズ選びやインソールで足のアーチをサポートし、下肢のバランスを整えてあげることも再発予防に有効です。(文献4) そして、体重の増加は膝関節への荷重を増やし、鵞足部への圧力も高めます。肥満傾向にある方は適正体重への減量を検討しましょう。体重を減らすことで膝への負担が軽減します。(文献5) 治らない鵞足炎には根本的なアプローチが重要 長引く鵞足炎は、単なる「膝の炎症」だけで語れるものではありません。局所的な注射や安静にとどまらず、身体全体のバランスやライフスタイルを見直す根本的なアプローチが必要です。そのためには、専門医や理学療法士、トレーナーなど多職種の連携、もしくは再生医療技術を活用した治療法を組み合わせるなど、複合的な治療法を検討しましょう。 一度痛みが治まったとしても、膝に負担がかかる姿勢・動作を続ければすぐに再発する可能性があります。だからこそ、再発を防ぎながら快適に日常生活やスポーツを楽しむためには、ウォーミングアップやクールダウン、体重管理などさまざまな悪化要素を日常的にケアする習慣を付けるのが重要です。 もし完治は難しいと諦めかけている方も、セルフケアや再生医療など一般的な保存療法から先進的アプローチまで試すことで、膝の痛みから解放されるケースは少なくありません。痛みの根本原因に着目し、必要な施術やケアを粘り強く継続しましょう。鵞足炎の慢性化を乗り越えるには、正しい知識と行動力が大きな鍵を握っています。 当院では、再生医療のプロフェッショナルとして多くのお悩みを解決してきた実績がございます。長引く膝の痛みにお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。 参考文献 (文献1)オクノクリニック.「鵞足炎(がそくえん)|痛みと身体のQ&A」オクノクリニック公式サイトokuno-y-clinic.com(最終アクセス:2025年3月22日) (文献2)Sports Clinic NQ(n.d.)Pes Anserine Bursitis Tendinopathy.sportsclinicnq.com(Accessed:2025-03-22) (文献3)いしがみ整形外科クリニック (2022)「変形性膝関節症と鵞足炎の関係性」ishigami-seikei-cl.com(最終アクセス:2025年3月22日) (文献4)StatPearls:Pes Anserine Bursitis. (2025) StatPearls Publishing, Treasure Island(FL)ncbi.nlm.nih.gov(Accessed:2025-03-22) (文献5)Cleveland Clinic (n.d.)Pes Anserine Bursitis: What It Is, Symptoms & Treatment.my.clevelandclinic.org(Accessed2025-03-22)
2025.03.31 -
- 膝の内側の痛み
- ひざ関節
膝の内側が痛む鵞足炎は、膝の内側下部(脛骨の内側面)にある縫工筋(ほうこうきん)・薄筋(はくきん)・半腱様筋(はんけんようきん)が付着する「鵞足(がそく)」と呼ばれる部分の滑液包に炎症が起こった状態です。(文献1) 鵞足炎は身近な障害で、ランナーやゴルファーなどのスポーツ愛好家だけでなく、日常生活で階段昇降や歩行を繰り返す人も発症します。 とくに筋膜が硬くこわばった部分(トリガーポイント)が形成されると、膝の痛みが慢性化しやすくなります。 鎮痛剤やアイシングなどによる一時的なケアだけでは、深部にある原因へ十分に働きかけられない場合があるため、痛みをくり返さないためにもトリガーポイントは重要な要素です。 本記事では鵞足炎とトリガーポイントの関係を掘り下げることで、膝の痛みを根本から理解できるようになります。長引く膝の内側痛に悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。 鵞足炎のトリガーポイント 鵞足炎は、表面的な炎症を軽減しても痛みが消えないこともあり、その背後に隠れているのが「トリガーポイント」です。トリガーポイントとは、筋膜や筋線維の一部が硬くなり、押すと響くような痛みを引き起こす部位を指します。 鵞足部に関わる縫工筋・薄筋・半腱様筋だけでなく、大腿四頭筋や内転筋群、膝周辺の複数の筋肉で硬結が生じる場合もあり、その影響で膝の内側痛が続くことがあります。代表的な筋肉と、そのトリガーポイントが生じやすい具体的部位および分類は次のとおりです。 筋肉名 主なトリガーポイント部位 分類 痛みの関連先 縫工筋(ほうこうきん) 太もも前面内側の筋腹 筋膜内(筋腹) 膝の内側(鵞足部)に刺すような痛みを飛ばすことが多い 薄筋(はくきん) 太もも内側中央の筋腹 脛骨内側(鵞足)付着部 筋膜内(筋腹)腱・骨膜付着部 内もも~膝下内側にヒリヒリとした痛みや関連痛を起こす 半腱様筋(はんけんようきん) 太もも後面中央の筋腹 脛骨内側(鵞足)付着部 筋膜内(筋腹)腱・骨膜付着部 膝裏からふくらはぎ内側にかけてズキズキと痛みが放散 大腿四頭筋(内側広筋・大腿直筋など) 内側広筋の筋腹 大腿直筋の付着部(下前腸骨棘付近) 筋膜内(筋腹)腱付着部 膝のお皿周辺や膝の前内側にうずく痛み、膝折れ感 内転筋群(長内転筋・短内転筋・大内転筋等) 股関節に近い筋腹大腿骨内側上顆付近(骨膜) 筋膜内(筋腹)腱・骨膜付着部 内もも~膝内側への深い痛み・しびれ感が出やすい 膝の内側痛がある場合、これらの筋膜・腱・骨膜付着部で形成されたトリガーポイントを適切にケアしなければ、鵞足炎の炎症が落ち着いても痛みが長引いたり再発をくり返すため注意が必要です。(文献2)(文献3) 「膝の内側の痛み」が長引く理由とトリガーポイントの関係 鵞足炎が慢性化しやすい背景には、筋膜のこわばりが深く絡んでいます。炎症はアイシングや安静である程度落ち着く場合がありますが、筋膜や筋繊維が硬くなった状態を放置していると、膝をかばいながら動かす状態が続いてしまうからです。 鵞足部だけでなく、太もも全体や股関節周辺でトリガーポイントが形成されると、膝を曲げ伸ばしするたびに刺激が伝わり、痛みが抜けにくくなります。 一般的な炎症ケアだけで不十分なケースも多く、痛みの原因が筋膜に潜んでいると意識しないまま過ごすと症状の長期化を招いてしまいます。 専門的な視点でトリガーポイントを捉え、膝を動かしやすい環境へ整えていくことが、痛みの根本解決へ向けた第一歩になります。 鵞足炎のトリガーポイントをセルフチェックする方法 鵞足炎によるトリガーポイントがある場合、レントゲンやMRIでは異常を発見しにくいケースがあります。 ここでは、自身で簡単にトリガーポイントの有無を確認できる方法を紹介します。 チェックポイント 解説 1.膝周辺の筋肉を指で圧してみる まずは太ももの前側、内側、膝のすぐ上あたりをやさしく押してみてください。 圧迫したとき、鋭い痛みがあるか確認しましょう。痛みを感じた場合、筋肉内のトリガーポイントの可能性があります。 2.しこりの有無を探る トリガーポイントは「筋肉にできたしこり」にたとえられます。硬く盛り上がった部分を感じる場合は、関連痛と呼ばれる周辺への痛みの広がりを伴うことがあります。(文献4) 膝の内側だけでなく、大腿四頭筋や内転筋までチェックすると、思わぬ部分が痛みの引き金になっていることがわかるかもしれません。 3.レントゲン・MRIに写りにくいことを認識する トリガーポイントは画像検査で発見が難しいため、整形外科などで異常なしと診断されても、実はトリガーポイントが潜んでいる場合があります。 セルフチェックによって「ここを押すと膝の内側にビリッと響く」部分を見つけたら、トリガーポイントの存在が疑われます。 放置すると鵞足炎の回復を遅らせる一因になるので、必要に応じて専門の医師や治療家へ相談してください。 誤ったセルフケアで悪化させないために トリガーポイントが気になり、自分で強く押してしまいがちです。しかし、強い刺激を与えると筋繊維がさらに損傷してしまい、痛みが増したり炎症を誘発したりするリスクもあります。 自己流のケアはやりすぎると逆効果になりやすいため、以下の点に注意してください。 注意点 解説 過度なマッサージを避ける トリガーポイントは筋肉が敏感な状態になっています。入念に揉みほぐせば良いわけではなく、過剰な刺激が筋線維を痛め、症状を増悪させる可能性があります。 痛みが強いときは安静を優先する ある程度のセルフケアは大切ですが、痛みが強いときは膝や太ももを酷使しないよう安静を心がけましょう。 専門医へ相談する 鵞足炎が慢性化しているときや、セルフケアで改善が見られないときは専門クリニックの受診をおすすめします。 局所へ的確にアプローチする治療法がありますので、早めに適切な処置を受けると回復の見込みが高まります。 セルフチェックでトリガーポイントの疑いがあっても、自己流のケアだけで鵞足炎を根本的に解消することは難しいです。膝の内側痛が気になるときは専門医による正確な診断と、適切な治療プランのもとで対策を進めてみましょう。 なぜ鵞足炎のトリガーポイントができるのか?主な原因とリスク要因 鵞足炎は、膝の内側に集まる筋肉が使いすぎや血流不足によって硬くなりやすく、その結果トリガーポイントが形成されて痛みが長引くケースがあります。鵞足炎のトリガーポイントが生じる主な原因とリスク要因について整理します。(文献5) 主な原因 リスク要因 1.オーバーユースと筋疲労 ストレッチを怠った状態で長距離ランニングや過度な坂道走行など、膝の内側に大きな負荷がかかる運動を反復して行うと、筋肉が微細損傷や疲労を重ねて血行が悪化し、トリガーポイントを生みやすくなります。 2.姿勢の乱れや筋力のアンバランス 内股やO脚のように姿勢が乱れた状態での生活が続くと、膝に不自然な力が集中し、筋肉が過度に緊張してトリガーポイントが形成されやすくなります。 3.肥満 生活習慣が乱れ、肥満になると膝に負担がかかり、トリガーポイントを生み出しやすくなります。 4.鵞足炎以外の炎症 足首や股関節などの不調が膝に波及して鵞足炎を悪化させたり、鵞足炎と混合されやすい膝の変形性関節症を発症すると副次的に膝に負担がかかり、トリガーポイントを生み出す可能性があります。 鵞足炎の症状や原因は下記の記事でも詳しく解説しておりますので、ぜひご確認ください。 トリガーポイントにアプローチする鵞足炎の治療法 鵞足炎による膝の内側痛を根本から改善していくには、炎症の沈静化だけでなく、筋膜や筋肉内部のトリガーポイントへ適切にアプローチする治療法が必要です。ここでは鵞足炎に対して考えられる治療方法を紹介します。 治療法 説明 トリガーポイント注射 トリガーポイント注射は、筋肉のしこりが生じている部分(トリガーポイント)へ直接薬液を注入して痛みや緊張を和らげる施術です。 トリガーポイント注射をすると、凝り固まった筋繊維をリセットし、血流を促しながら筋肉を正常な状態へ近づけられます。(文献6) 薬物療法 鎮痛剤(イブプロフェン、ナプロキセンナトリウム)を内服し、鵞足炎の痛みや腫れを短期的に和らげます。(文献7) 理学療法(フィジカルセラピー) 理学療法(フィジカルセラピー)では、専門の理学療法士の指導のもとで膝周囲の筋肉の柔軟性と筋力を改善する運動をします。 ハムストリング(太もも裏)や大腿四頭筋など膝に関与する筋群のストレッチや筋力強化エクササイズによって関節の可動域や安定性を高め、痛みの軽減と再発予防が期待できます。(文献7) 装具の使用とテーピング 必要に応じて膝関節への負担を軽減するための補助具の利用を推奨されています。 足のアーチや膝の角度の問題が鵞足炎の一因となっている場合には、靴の中にインソールを入れて膝の位置関係を矯正し、鵞足部への過度な負荷を減らせます。また、膝にテーピングを貼って筋肉や腱をサポートする方法は、動作時の痛みを和らげるのに役立ちます。(文献8) 多血小板血漿(PRP)療法 近年、難治性の鵞足炎に対する新たな選択肢としてPRP注射療法が試みられることもあります。 これは患者自身の血液を採取して血小板が濃縮された血漿(けっしょう)部分を抽出し、炎症部位に注入する再生医療です。PRPに含まれる成長因子によって組織の治癒や修復を促すことが期待され、痛みの軽減への効果も認められています。(文献8) 上記の選択肢から、鵞足炎による痛みの強さや生活スタイルに合わせた治療を選ぶと良いでしょう。治療を続けやすい方法や通院ペースを考慮しながら、根本的な改善を目指してみてください。 また、当院では再生医療のスペシャリストとして上記で紹介した多血小板血漿(PRP)療法についても取り扱っておりますので、気になる方は以下の記事をご確認ください。 再発を防ぐには?トリガーポイントへの継続的なケアが重要 膝の内側に痛みが生じる鵞足炎は、筋肉や腱が硬くなった状態が長く続くと痛む部分をかばうような歩行や運動フォームがクセになってしまいます。その結果、トリガーポイントが残り一時的に治療しても痛みが再燃しやすくなります。 ハードな運動だけでなく、姿勢が悪いまま過ごすことでも膝へのストレスが繰り返され、症状がぶり返す危険もあります。痛みが軽減してきた段階でも、姿勢や柔軟性を適宜チェックし、股関節や太ももの筋力アップを図るなどのリハビリを続けましょう。 日頃から膝周りを丁寧にほぐすウォーミングアップやクールダウンを行い、ランニングシューズやインソールのサイズを見直してみてください。日常的に膝へ負担をかける動作が多い方は、とくに意識的にセルフケアやストレッチを継続すると良いでしょう。(文献9) 鵞足炎を再発させないポイントとしては、定期的な専門医のフォローや理学療法士などのサポートが挙げられます。専門家によるアドバイスを受けながら運動量を調整し、筋膜や筋肉のこわばりを早めに解消すると、膝の状態を安定させやすくなります。痛みがなくなってからも膝周囲のケアを怠らず、トリガーポイントを常に意識したメンテナンスを心がけましょう。 鵞足炎のトリガーポイントを自分でケアする!効果的なセルフケア法 鵞足炎は膝の内側で炎症が起こる状態ですが、セルフケアで緩和できるようになると、回復の手がかりをつかみやすくなります。そこで、日常生活の中で意識しやすいセルフケアの要点をいくつか挙げます。 まず、膝の内側を押したときに筋肉のこわばりや鋭い痛みがある場合は、無理に動かそうとせず休息を優先しましょう。膝に負担のかかる動作を続けると炎症がぶり返す恐れがあります。痛みが軽く感じられるようになったら、ストレッチを念入りに行い、膝周辺や太ももの内側を適度にほぐすよう心がけてください。 身体が固い方は、ウォーミングアップやクールダウンなど短時間でもこまめに伸ばす工夫をすると、筋肉が緊張しにくくなります。 アイシングも有効です。鵞足炎が疑われるときは患部を冷やして炎症を落ち着かせると楽に動かしやすくなります。ただし皮膚へ直接氷を当てるのは避け、タオルで包んだ保冷剤を1日3回まで、15分程度ずつ当てる方法が望ましいです。炎症が強いときはアイシングを優先し、痛みが落ち着いてきたら温めて血行促進を図るように切り替えると、筋肉や腱の回復を助けやすくなります。 それでも痛みが続くときは、医療機関や整体など専門家の診断を受け、状態に合わせたケア方法を学ぶのを推奨します。鵞足炎の症状を放置すると悪化のリスクがあるため、気になるときは早めの対処を心がけてください。すでに強い痛みがある方は、まずは医師の診断を受けてからセルフケアやリハビリを検討しましょう。 関連記事:鵞足炎とは?なりやすい人とは?セルフケア方法とは 鵞足炎のトリガーポイントを理解して痛みを根本から解消しよう 鵞足炎は膝の内側にある筋肉や腱が炎症を起こしやすい状態ですが、その背後にはトリガーポイントが潜んでいるケースが多いです。単に痛み止めを使用したり、しばらく安静にして炎症を落ち着かせても、根本要因であるトリガーポイントが改善されなければ、再び同じ痛みを繰り返すおそれがあります。 膝に強い負担がかかるスポーツをしている方や、年齢を重ねて筋肉が硬くなっている方こそ、トリガーポイントをほぐして血流を整えてみてください。鵞足炎が継続している方は、ハードな動作やトレーニングを一時的に控え、本記事で紹介した治療法を活用すると膝の健康を長く保てるでしょう。 膝の内側痛が慢性化している方や、従来の治療に限界を感じている方は、当院へ一度相談してみてはいかがでしょうか。症状の程度や生活スタイルに合わせた治療を行い、日々の動作やスポーツをもっと快適に楽しめるよう痛みを根本から解消する提案をいたします。 参考文献 (文献1)オクノクリニック「痛みと身体のQ&A鵞足炎(がそくえん)」慢性痛治療の専門医による痛みと身体のQ&A(オクノクリニック公式サイト)2021年公開https://okuno-y-clinic.com/itami_qa/pes-anserine-bursitis.html(最終アクセス:2025年3月22日) (文献2)トリガーポイントによる大腿・膝・下腿の痛み(やまだカイロプラクティック・鍼灸院) https://www.yamadachiroshinkyu.com/%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%9D%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%88%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E5%A4%A7%E8%85%BF-%E8%86%9D-%E4%B8%8B%E8%85%BF%E3%81%AE%E7%97%9B%E3%81%BF/(最終アクセス:2025年3月22日) (文献3)<あなたの膝痛はどのタイプ?>膝痛のタイプ別エクササイズ~前面の痛み編~(ひじりボディケアー)https://triggerpoint-therapy.com/20190902-2/(最終アクセス:2025年3月22日) (文献4)木村裕明監修「関連痛とは?痛みの場所と原因となるトリガーポイントは異なる場合が多い」メディカルノート, 2015年9月6日 https://medicalnote.jp/contents/150730-000007-WGTNWS(最終アクセス:2025年3月22日) (文献5) American Academy of Orthopaedic Surgeons (AAOS), “Pes Anserine (Knee Tendon) Bursitis” (OrthoInfo), Updated Sept 2021 https://orthoinfo.aaos.org/en/diseases--conditions/pes-anserine-knee-tendon-bursitis (Accessed:2025-03-22) (文献6) 井関雅子「当院における疼痛治療 - トリガーポイント注射を中心に」(疼痛治療レポート) Trigger Point .net(ビタカイン製薬医療関係者向けサイト), 2020年 https://triggerpoint-net.vitacain.co.jp/healthcareworkers/pain-treatment/articles/vol1 (最終アクセス:2025年3月22日) (文献7) Mayo Clinic. Knee bursitis – Diagnosis and treatment. Mayo Clinic, 2022. https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/knee-bursitis/diagnosis-treatment/drc-20355506 (Accessed:2025-03-22) (文献8)Cleveland Clinic. Pes Anserine Bursitis: What It Is, Symptoms & Treatment. Cleveland Clinic, 最終更新日 2025年3月5日. https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/pes-anserine-bursitis (Accessed: 2025-03-22) 文献9)大阪平川接骨院/鍼灸治療院グループ『鵞足炎(がそくえん) – ひざの内側が痛い』https://osaka-hirakawa.jp/symptom/knee/gakusokuen/ (最終アクセス日: 2025年3月22日)
2025.03.31 -
- 膝の内側の痛み
- ひざ関節
膝の内側に生じる痛みには、さまざまな原因が隠れています。 その中でも、ももの内側にある筋肉や腱が集まる「鵞足(がそく)」と呼ばれる部位の炎症である鵞足炎は、気づかないまま進行していることも少なくありません。 正確な原因を把握できないまま自己流のケアを続けると、回復が遅れて症状が長引く可能性があります。 そのため、早めに鵞足炎かどうかを確認し、適切に対処していくことが大切です。 この記事では、自分でできる簡単なチェック方法や、鵞足炎を引き起こす原因、さらに自宅で取り組めるセルフケアについて取り上げます。 まずはセルフチェックで膝の内側の痛みを正しく捉え、専門的なケアを組み合わせながら痛みの緩和と再発予防につなげましょう。 鵞足炎のセルフチェック方法 鵞足炎は膝の内側に起こる炎症で、ランニングやジャンプなど運動強度の高い動作だけでなく、長時間の立位やデスクワークでも負担がかかるときがあります。 ただし、膝が痛いといっても別の原因が潜んでいることもあるため、早めに自分の症状が鵞足炎かどうかチェックしましょう。 ここでは、自宅やオフィスでも取り組みやすいチェック方法を2つ紹介します。痛みの位置や動作による違和感を客観的に把握し、適切な対処につなげましょう。 1.痛い方の足を一歩前に出してチェック まずは立位で行う簡単なセルフチェックです。膝の内側に違和感を覚える方は、以下のステップを試してみてください。 ステップ 説明 1.痛みを感じる側の足を前に出す まっすぐ立った状態から、膝に痛みがある側の足を軽く前方へずらします。 このとき、後ろ足に大きく重心を残し、前足には体重をかけすぎないようにするのがポイントです。 2.膝の屈伸 前に出した足の膝を少しだけ曲げ、再び伸ばす動作をゆっくりと繰り返します。膝の内側に違和感や痛みが出るかどうかを確かめてください。もし痛みが出る場合は、その強度や痛むタイミング(曲げ始め、曲げ終わり、伸ばしきったときなど)を意識してみましょう。 3.つま先の向きによる変化を見る 膝の痛みが出るかどうかは、つま先の向きによっても変わる場合があります。 つま先を正面に向ける つま先をやや外側に向ける つま先をやや内側に向ける この3種類の角度で膝の屈伸を行い、それぞれで痛みが変化するかを確認してください。鵞足を形成する筋肉は、下腿が外向きになるときに緊張が高まるため、つま先を外向きにすると痛みが出やすい傾向があります。 痛みが顕著に感じられる場合は、鵞足炎の可能性が高まります。ただし、痛みの原因がすべて鵞足炎とは限りません。もし強い痛みや腫れ、曲げ伸ばしが困難なほどの症状が出ている場合は、早めの受診をおすすめします。 2.可動域と動作の痛みの有無を確認する 膝の痛みが鵞足炎によるものかどうかを把握するには、膝がどの程度曲がるか、あるいは動作時にどのような痛みが出るのかも大切な目安になります。 鵞足炎は膝関節内そのものが腫れるわけではないため、関節自体の可動域が制限されることは比較的少ないといわれています。 チェックポイント 圧痛があるかどうか 膝のお皿(膝蓋骨)の少し下、内側の脛骨上端(膝関節より約5cm下)のあたりを指で押してみて、強い痛みや腫れ(押し返すような膨らみ)がないか確かめます。この部位に圧痛があれば鵞足炎が疑われます。(文献1) 動作時の痛み 普段の動作で、膝の曲げ伸ばしや階段の上り下り、椅子から立ち上がる動作などで膝の内側に痛みが走るか観察します。鵞足炎では運動や動作の開始直後に違和感や痛みが出現し、ウォーミングアップで一時的に和らぐものの、反復するうちに再び痛みが増すことが多いです。症状が進行すると、十分温めても痛みが引かず日常動作でも痛むようになります。 こうした可動域テストや動作チェックによって、鵞足炎をセルフチェックできます。痛みが膝の内側に集中していて、なおかつ膝関節自体の可動範囲が大きく制限されていない場合は、鵞足炎を疑い、早めの対策に取り組むことが大切です。 もし痛みや違和感が長期間続くようであれば、医療機関での診察を検討してください。すべて独力で解決しようとせず、専門家の力を借りることも重要な一歩になります。 鵞足炎の原因 鵞足炎は膝の内側にある縫工筋(ほうこうきん)・薄筋(はっきん)・半腱様筋(はんけんようきん)が集中する部位、いわゆる「鵞足(がそく)」と呼ばれるところで炎症が起こる状態です。 ランニングやジャンプなどの反復動作で膝を曲げ伸ばしし続けると、骨との摩擦が増えて炎症に発展しやすくなります。しかし、必ずしもアスリートだけの問題ではありません。正座・和式トイレの使用・横座りなど、膝を深く曲げる姿勢が長く続く生活習慣もリスクを高めます。 とくに下腿(かたい)が外へねじれるフォームや、膝が内側へ入りやすい姿勢で動作している人は、鵞足部への負担が大きくなります。さらに、足裏のアーチが低い(偏平足)、X脚やO脚といった足の変形、太ももの筋肉(内転筋群)や太もも裏側の筋肉(ハムストリングス)が硬い状態なども、膝の内側に負荷を集中させる原因になります。 このように、鵞足炎はオーバーユース(使いすぎ)だけでなく、足元から膝・股関節へ続く動きの癖や身体の使い方によっても発症しやすくなります。膝の内側に違和感を覚えたら、まずは生活習慣やフォームに問題がないか見直すことが大切です。(文献2) 鵞足炎の治療法 鵞足炎は軽症のうちに対処すると比較的早期に痛みが落ち着く場合が多いですが、痛みを我慢して運動や仕事を続けると慢性化や再発を招きやすくなります。早めに症状を捉えて、以下のような治療やケアを検討しましょう。 1.理学療法士による施術 身体の固さやフォームのくせが鵞足炎の大きな原因になっている場合は、理学療法士によるストレッチ指導・筋力トレーニングが効果的です。膝まわりだけでなく、股関節や足首を含めた動作全体を調整し、鵞足部への負担を減らすことを目指します。(文献1) 2.薬物療法・ハイドロリリース 痛みや炎症が強いときには、消炎鎮痛薬(内服・外用)や局所注射を用いて症状を抑えます。筋膜が硬くなっていると考えられる場合は、生理食塩水を注入して癒着を剥がす「ハイドロリリース」が有効な例もあります。 3.装具療法(テーピング・サポーター・インソール) サポーターやテーピングを用いると、膝関節のぐらつきを抑えて鵞足部への負担が減り、痛みを軽減できます。足裏のアーチを支えるインソールを作製し、歩行・ランニング時の負担を和らげられる可能性があります。 4.再生医療 難治性の鵞足炎や慢性化した痛みに対しては、幹細胞の培養を用いた再生医療の選択肢もあります。外科手術のように入院の必要がなく、体にメスを入れない点もメリットです。 5.手術の選択 鵞足炎は保存的な治療で改善する例が大半ですが、骨の突出や腱鞘の狭さが原因で炎症が続く場合は、外科的に支帯を切開し、炎症を引き起こす要因を取り除く手術も検討します。 痛みが長引いて日常生活に支障が出る場合は、早めに整形外科や専門クリニックで正確な診断を受けてください。 鵞足炎は単なる膝の使いすぎだけでなく、筋肉の硬さやフォームの問題、足の骨格バランスが影響している場合があり、原因に合わせた適切な治療とリハビリが回復への近道です。リペアセルクリニックは再生医療のプロフェッショナルとして多くの実績があります。膝の再生医療についてもっと知りたい方は以下の記事をご確認ください。 鵞足炎のセルフケア方法 鵞足炎の痛みを和らげるために、自宅でもできるいくつかのセルフケア方法があります。ここでは効果的な方法を5つご紹介します。 ストレッチ 鵞足炎の痛みを和らげるには、筋肉の緊張をほぐすことが大切です。仰向けに寝た状態で、痛む側の足にタオルをかけ、膝を伸ばしたままゆっくりと足を上げてください。ももの筋肉が伸びているのを感じながら、反動をつけず15秒間呼吸を止めずに保ちます。 また、座位で行うストレッチも有効です。足の裏を合わせて座り、背筋を伸ばしたまま上体を前方に倒します。膝を左右に開いて内ももが伸びる感覚を感じながら、痛みが出ない範囲で無理のない時間を目安に続けてください。(文献3) アイシング(冷却) 炎症が強く、痛みや腫れがあるときは、氷や保冷剤などをタオルに包んで15分程度患部に当てると、痛みが緩和しやすくなります。 1日に2〜3回をめどに続けますが、眠っているあいだは避け、冷やしすぎに注意してください。 痛みが落ち着いたあとも、違和感や鈍い痛みが出たときはアイシングして痛みを緩和してください。(文献4) テーピング 膝の内側を安定させるには、動作時に鵞足部を保護するテーピングが使えます。膝を少し曲げた状態で、内側下あたりを中心に貼り、強く引っ張りすぎないよう調節しましょう。 圧迫感がきつい場合は貼り直し、皮膚がかぶれたり赤くなったりしたときは使用を中止してください。 テーピングは歩行や運動など、膝への負荷がかかる動作に限定し、長時間の連続使用は控えると良いでしょう。 筋力バランスの改善 痛みが落ち着いたら、膝周辺だけでなく、股関節や体幹を含めた下半身全体の筋力を向上させることが再発予防に役立ちます。 とくに太ももの裏側や内側が弱いと、膝の内側に負荷が集中しがちです。スクワットやヒップリフトなど軽めの筋トレを試し、痛みが出ないよう回数や姿勢を調整しながら続けてみてください。 運動のやり方がわからない場合は医療機関や専門家の指導を受けましょう。 日常生活の注意点 日常の動作や姿勢も鵞足炎の改善・再発防止に大きな影響を与えます。体重が増えると膝にかかる負担も増えるため、食事を見直して適正体重の維持を心がけましょう。 立ち上がる動作では、片足だけに過度な重さがかからないよう注意し、階段を下りるときは手すりを使うと負担を分散できます。正座や横座りなど膝を深く曲げる姿勢を長時間続けるのは避けることが大切です。 靴選びは、足に合ったサイズで衝撃を吸収しやすいものを選ぶと良く、必要に応じてインソールの活用も検討してください。 こうした日常生活での小さな工夫の積み重ねが、膝の痛みを軽減し、長期的な予防にもつながります。 長引く鵞足炎への対策 鵞足炎は、炎症だけを抑えても再発を繰り返しやすい特徴があります。なぜなら、根本的な原因として、走り方や歩き方におけるフォームの崩れ、膝の内側に偏った負荷、筋肉が収縮したまま緩めない状態(筋肉の緊張)が放置されている場合が多いからです。 とくにマラソンやサッカー、水泳などの反復動作があるスポーツでは、過度な負荷が蓄積しやすいだけでなく、瞬間的に大きな負荷がかかることで再び鵞足部を痛めてしまいかねません。 フォーム修正と筋力強化 いったん痛みがおさまっても、もとの動き方やトレーニング法を変えなければ、膝の内側が再び炎症を起こしやすくなります。 そこで、歩行やランニングフォームの修正と、筋肉の緊張を適切にゆるめながら鍛える方法が効果的です。フォーム修正では、膝が内側に入りすぎないよう股関節や足首を合わせて動かす意識を持ち、過度なねじれが起きないかを確認します。 筋力強化では、太ももの前部である大腿四頭筋を鍛える必要があります。大腿四頭筋を鍛えると太ももの骨が内側に捻れる状態を防げるため、鵞足炎の根本原因にアプローチできます。 ステロイド注射や手術 炎症が非常に強いときは、ステロイドの局所注射によって症状が急速に緩和するかもしれません。ただし、注射を繰り返し行うと結果として痛みがぶり返すケースもあるため、最終手段である位置づけが基本です。 注射後に痛みが落ち着いたからといってすぐに運動を再開すると、原因となるフォームや筋肉の緊張状態が変わっていないため、再発リスクは高いままです。 手術に関しても、骨や腱の形状的な問題や、慢性化して他の治療法では改善がみられない場合に限り検討されます。 セルフチェックで早期発見・早期ケアが大切 鵞足炎は軽い痛みから始まっても、動作のクセや筋肉の緊張、フォームの乱れなどがそのままになっていると、いつまでも症状がぶり返して慢性化しがちです。 とくにマラソンやサッカーなど膝を酷使するスポーツを続けている方は、痛みや違和感を覚えたときにセルフチェックを実施し、必要に応じて早めの受診や専門家のアドバイスを受けることが非常に大切になります。 セルフチェックでは、膝の内側を指で軽く押したときの圧痛、膝を曲げ伸ばししたときの違和感や痛み、階段の昇り降りで感じる不快感などをポイントにしてみましょう。 少しでも鵞足炎が疑われる場合は無理を続けず、適切なケアやリハビリを取り入れてください。 炎症が強いときはアイシングや安静で腫れを抑えつつ、痛みが落ち着けばストレッチや筋トレで再発を防ぐためのフォーム修正や筋力強化に移行するのが効果的です。 リペアセルクリニックでは、膝の痛みに対する再生医療を提供しております。もし長引く鵞足炎や再発を繰り返す膝痛でお悩みでしたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) American Academy of Orthopaedic Surgeons「Pes Anserine (Knee Tendon) Bursitis」OrthoInfo https://orthoinfo.aaos.org/en/diseases--conditions/pes-anserine-knee-tendon-bursitis/ (Accessed: 2025-03-20) (文献2) Cleveland Clinic「Symptoms of pes anserine bursitis」https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/pes-anserine-bursitis(Accessed: 2025-03-20) (文献3) 医療法人社団弘人会中田病院「膝の内側の痛みについて(鷲足炎:がそくえん)」中田病院HP, https://www.nakada-hp.com/publicity/column/archive-20(最終アクセス:2025年3月20日) (文献4) Palmetto Bone and Joint「9 Self-Care Tips for Acute or Chronic Bursitis」Palmetto Bone and Joint https://www.palmettoboneandjoint.com/blog/9-self-care-tips-for-people-with-bursitis/ (Accessed: 2025-03-20)
2025.03.31 -
- 下肢(足の障害)
- ひざ関節
- スポーツ外傷
- 膝部、その他疾患
ジャンパー膝の正しい湿布の貼り方がわからない ジャンパー膝は冷やすべきか温めるべきかわからない ジャンパー膝の湿布の貼り方に悩んでいませんか? 湿布は、ジャンパー膝の症状を改善させるのに効果的なものです。しかし湿布の貼り方や、温める方法を間違えると、適切な効果を得られません。 ジャンパー膝の湿布の貼り方 ジャンパー膝の温めるべきケース・冷やすべきケース ジャンパー膝に対する「冷湿布」の効果 ジャンパー膝に対する「温湿布」の効果 ジャンパー膝における湿布以外のセルフケア ジャンパー膝と湿布の貼り方に関するよくある質問 本記事では、症状を悪化させない適切な貼り方や、冷やす・温めるべきケースをわかりやすく解説します。 最後には、ジャンパー膝と湿布の貼り方に関するよくある質問をまとめておりますので、ぜひ最後まで読み進めていただければと思います。 ジャンパー膝の湿布の貼り方 ステップ 内容 目的 1.患部の洗浄と乾燥 膝周囲の皮膚を洗浄し、乾燥させる 汗や汚れを取り除き、湿布の密着を高める 2.湿布に切れ目を入れる 湿布の中央に縦の切れ目を入れる 膝の動きにフィットさせ、剥がれにくくする 3.湿布の貼り付け 違和感のある箇所(膝蓋骨の下部など)に貼る 患部に薬剤を浸透させる 4.固定 テーピングやサポーターで固定する 湿布の剥がれを防ぎ、効果を持続させる ジャンパー膝の湿布は、膝蓋腱の炎症を抑える目的で使用します。貼り方の手順は、患部の洗浄と乾燥→湿布の切れ目入れる→湿布の貼り付け→固定の流れで行います。 湿布を貼る前に、皮膚の汗を拭き取り、清潔にしておきましょう。また、膝は動きが多い部分なので、湿布が剥がれないように工夫する必要があります。 湿布で症状の改善がみられない場合は、医療機関の受診が必要です。 ジャンパー膝は冷やすべき?温めるべき? ジャンパー膝の症状に対して冷やすべきか、症状の種類とその時点での膝の状態によって異なります。 冷やす・温めるタイミングを間違えると、症状が悪化する可能性があるため注意しましょう。 冷湿布などで冷やすべきケース 温湿布などで温めるべきケース 症状や状況別で、解説します。 冷湿布などで冷やすべきケース ケース 理由 使用方法 急性期(発症0~6週) 炎症が進行しやすいため、冷却し、症状の悪化を防ぐ 20分間冷却し、30-40分間休憩を挟みながら繰り返す 運動直後 運動による筋肉の微細損傷を抑え、炎症を最小限に抑える 運動後すぐに冷湿布を適用し、腫れを予防する 腫れや炎症がある場合 血管を収縮させることで、腫れや違和感を抑える 腫れが引くまで定期的に冷やし、違和感が治まるか様子を見る 急激な違和感がある場合 神経の感受性を低下させ、膝への違和感の伝達を遅らせ、症状を和らげる 氷や冷湿布を布で包み、直接皮膚に触れないよう注意する (文献1) 冷湿布で冷やすべきケースは、違和感が顕著に現れて、炎症を起こした段階です。ジャンパー膝の直後は、冷湿布を使用し血管が収縮させることで、炎症の拡大を抑えます。 冷湿布の効果に関する研究では、急性期の違和感に対して冷却療法が推奨されています。(文献1) 違和感が現れた初期の段階では、冷湿布で冷やすようにしましょう。 温湿布などで温めるべきケース ケース 理由 使用方法 慢性期(発症から12週間以上) 血流を促進し、組織の回復を助けるため、慢性的なこわばりや不調に適している 15~20分程度、温湿布や温めたタオルを使用し、血流を促す 運動前のウォームアップ 筋肉の柔軟性を高め、ケガの予防や動きのスムーズさを向上させる 運動開始前に10~15分ほど温めて、筋肉の柔軟性を向上させる 筋肉のこわばりや違和感がある場合 筋肉が硬くなり、動きが制限されるとパフォーマンスが低下するため、温めることで緊張を緩和する 温めながら軽いストレッチを行い、筋肉をほぐすと効果的 冷やしても症状が改善しない場合 冷却しても症状が改善しない場合、血行を促進し、組織の修復を助ける 冷湿布で改善が見られない場合、温湿布を試して様子を見る 慢性期(発症から12週間)の場合は、血流を促進し、組織の回復力を助けるために、温湿布を使用します。 炎症が落ち着き、膝周囲の筋肉が硬くなっている段階では、冷やすよりも温めることで血流が促進され、柔軟性が向上し膝への負荷が軽減されます。 冷やしても症状が改善しない段階で、温湿布の使用を検討しましょう。 ジャンパー膝に対する「冷湿布」の効果 効果 解説 炎症による腫れや熱感を抑える 冷却効果により、血管が収縮し、炎症物質の放出を抑制 違和感を和らげる 冷たさにより神経の伝達速度が遅くなり、違和感を鈍らせる 炎症の拡大を防ぐ 血管収縮により、炎症が周囲に広がるのを防ぐ 筋肉のこわばりを緩める 冷却により筋肉の緊張が緩和され、柔軟性が向上する 冷湿布は、主に急性期の炎症症状に対して有効です。冷湿布の効果について解説します。 炎症による腫れや熱感を抑える 作用 メカニズム 効果 冷却作用 水分蒸発による患部の冷却、血管収縮、血流抑制 腫れ、熱感の軽減 鎮痛作用 メントールなどの成分による感覚神経刺激 違和感の緩和 冷湿布の冷却効果により、血管を収縮させることで、炎症を抑制させます。 冷湿布に含まれるメントールなどの成分は、皮膚の感覚神経を刺激し、鎮痛効果をもたらします。 違和感を和らげる 作用 メカニズム 効果 冷却作用による感覚麻痺 メントールなどが皮膚の温度感覚を鈍らせる 腫れなどの違和感を一時的に軽減 血管収縮による炎症抑制 患部の血管を収縮させ、炎症物質の放出を抑える 炎症が鎮まり、腫れなどの違和感を軽減 冷湿布は、ジャンパー膝で起こる膝への違和感に対して有効です。 とくに冷湿布に含まれるメントールが皮膚の温度感覚を一時的に鈍らせることで、腫れや違和感を軽減します。 炎症の拡大を防ぐ 炎症が起こると、患部の血管が拡張し、血液中の炎症物質が組織内に漏れ出します。冷湿布は炎症物質の拡大を防ぐための手段として有効です。 ただし、冷湿布は初期段階での炎症を防ぐために使われるため、炎症が落ち着いた慢性期には、冷湿布よりも温湿布が適しています。 筋肉のこわばりを緩める ジャンパー膝で起きた筋肉の強張りに対して、冷湿布の冷却は効果的です。患部を冷却すると、血管が収縮し、患部への血流が抑制されます。 また、冷却は神経の伝達速度を遅らせ、膝にかかる違和感を一時的に鈍らせるため、初期段階の対応として有効です。 冷却で筋肉の過剰な収縮を抑制できるものの、冷やしすぎると筋肉が逆にこわばる可能性があります。 冷湿布は、症状の変化を見ながら使用しましょう。 ジャンパー膝に対する「温湿布」の効果 効果 解説 血行を促進させる 温熱効果により血管を拡張させ、血流を促進させる 慢性的な違和感や筋肉のコリを和らげる 温熱効果に柔軟性の向上、筋肉の緊張緩和を促す リラックス効果 違和感の軽減や悪循環を抑える 温湿布は主に慢性期の違和感や筋肉のこわばりを和らげるために使用されます。 ジャンパー膝に対して、温湿布が有効である理由を解説します。 血行を促進させる メカニズム 効果 血管拡張 血流増加、酸素・栄養素の供給促進 血流速度増加 代謝活性化、疲労物質・発痛物質の排出促進 代謝活性化 違和感の軽減、筋肉の緊張緩和 温湿布を使用し、温まった部位が血管を広げ、血流が改善されます。 血流が改善されると、患部に栄養素や酸素が供給されやすくなり、症状の回復を促します。 ジャンパー膝の初期段階での血行促進は、炎症や違和感を悪化させる可能性があるため、温湿布は落ち着いた慢性期に使用しましょう。 慢性的な違和感や筋肉のコリを和らげる メカニズム 効果 血行促進 筋肉の柔軟性向上、疲労物質の排出促進 神経の鎮静化 違和感の緩和 心理的リラックス 筋肉の緊張緩和、違和感の軽減 温湿布は、慢性的な違和感や筋肉のコリを軽減します。注意点としては、低温やけどに注意し、長時間同じ場所に貼り付けないようにしましょう。特に寝る前に貼る場合は注意が必要です。 また、炎症がひどい状態では、症状を悪化させる可能性があるため、温湿布ではなく、冷湿布を使用しましょう。 リラックス効果 メカニズム 効果 筋肉の緊張緩和 違和感や悪循環を抑える ストレス軽減 違和感を和らげる 睡眠の質の向上 疲労回復を促進する (文献2) 温湿布には、ジャンパー膝に有効なリラックス効果があります。 温熱刺激は副交感神経に対してリラックス効果を与え、交感神経の活動を抑制します。 また、リラックス効果によるストレス軽減は、違和感に対してだけでなく、生活や睡眠の質を上げるためにも有効です。 ジャンパー膝における湿布を貼る際の注意点 項目 注意点 貼る前の準備 湿布を貼る前に、肌を清潔に、関節には目を切れさせて密着させる 貼り方 湿布はフィルムを剥がした後、軽く伸ばし、必要に応じてテープやネット包帯で固定する 剥がし方 湿布は体毛の流れに沿ってゆっくり剥がし、剥がした後は、肌を休めるために時間を空ける 使用上の注意 お風呂上りや汗で濡れている場合や、湿疹や発疹がある部位には使用しない その他 膝への違和感が続く場合は、医療機関を受診する 湿布を貼る際は、正しい使い方や、注意点を守ることが大切です。まず、炎症の状態に応じた湿布を選びます。 急性期には炎症を抑える冷湿布、慢性期には血行を促進する温湿布を選びましょう。 湿布を貼る際は、水や汗で皮膚が濡れていないことを確認し、必要に応じてテープやネットを使用します。湿布は、8~12時間を目安に交換しましょう。 湿布を貼り付けた場所にかゆみや発疹が出た際は、すぐに使用を中止します。かゆみや赤み、ジャンパー膝が続く場合は、医療機関を受診しましょう。 ジャンパー膝における湿布以外のセルフケア セルフケア 重要な理由 アイシング 炎症を抑制し、違和感を軽減する ストレッチ 筋肉の柔軟性を高め、膝への負担を軽減する サポーターの活用 膝を安定させ、負担を軽減する 安静にする 炎症の悪化を防ぎ、組織の修復を促す 湿布はジャンパー膝の症状を一時的に緩和するのに役立ちますが、根本的な改善には、ストレッチや安静などのセルフケアが必要です。 ジャンパー膝におけるセルフケアについて解説します。 アイシング 手順 内容 準備 氷や保冷剤を薄いタオルで包む 実施時間 患部に15 ~20分間程度(凍傷にならないよう注意する) 調整 当てる時間を短くする、タオルの厚さを調整する 冷やす頻度 1日に数回、とくに運動後や違和感がある時 (文献3) ジャンパー膝は、膝蓋腱の炎症によって違和感が生じる疾患です。そのため、発症時は、炎症を拡大させないためにアイシングを行います。 アイシングを行う場合の注意点としては、凍傷を防止するために氷や保冷剤を薄いタオルで包み、患部に15〜20分程度冷やします。 冷やす時間はあくまで目安なので、冷たいと感じた場合は、無理をせずに調節しましょう。 ストレッチ ストレッチ 方法 大腿四頭筋(前もも) 立った状態や横向きに寝た状態で、かかとをお尻に近づけるように膝を曲げ、太もも前側を伸ばす ハムストリングス(肉裏) 立った状態や座った状態で、足を伸ばしてつま先を上げ、太ももの裏側を伸ばす 腸腰筋(股関節付け根) 足を前後に開いて立ち、後ろ足の付け根を伸ばす ストレッチは筋肉の柔軟性向上と負担軽減する手段として有効です。ストレッチは、無理のない範囲で行うことが重要です。 運動前後のウォームアップやクールダウンに取り入れることで、筋肉の緊張をほぐし、ジャンパー膝の防止にできます。 ストレッチは自己判断ではなく、医師の指導のもと行いましょう。 以下の記事では、ジャンパー膝に有効な効果的なストレッチ方法を解説しております。 サポーターの活用 効果 詳細 膝蓋腱の負担軽減 サポーターが膝蓋腱周囲を圧迫し、負担を分散 膝の安定性向上 膝のぐらつきを抑え、関節の安定性を高める。衝撃を和らげ、悪化を防ぐ 動きやすさのサポート 膝のサポートにより、正しい動作を維持しやすくなる サポーターを活用し、膝蓋腱の周囲を適度に圧迫します。 また、サポーターには、関節の安定性を高める効果があり、膝への負担を軽減するために役立ちます。 サポーターを選ぶ際は、サイズ・種類・圧迫の強さを考慮し、自身の症状に合ったものを選ぶことが大切です。 サイズが合わない、圧迫が強すぎるまたは弱すぎるなど、自分に合わないサポーターを選んでしまうと、症状が悪化するリスクがあります。 違和感や不快感がある場合は、無理に使用せずに調整や交換を検討しましょう。 以下の記事では、サポーターの注意点を詳しく解説しております。 安静にする ジャンパー膝は、膝蓋腱に何度も負荷がかかることで炎症や腫れを起こします。そのため、発症初期の段階では、安静が大切です。 しかし、一定期間が経過し、安静にしすぎると、筋力低下を引き起こします。その結果、膝蓋腱への負担が再び増加し、再発する可能性があります。 再発しないためにも、安静だけでなく、適度なリハビリやトレーニングで徐々に膝を慣らしていきましょう。 湿布で改善しないジャンパー膝は早めの受診を ジャンパー膝に対する湿布は、膝にかかる違和感や炎症を一時的に抑える応急処置として有効ですが、根本を解決するものではありません。 ジャンパー膝の症状が湿布で改善しない場合は、早めに整形外科を受診しましょう。 ジャンパー膝の改善が湿布で見込めないと感じた方は当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。 再生医療を活用し、膝の違和感や炎症に対して、回復を促します。 湿布で改善しないジャンパー膝でお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にお問い合わせください。 ジャンパー膝と湿布の貼り方に関するよくある質問 湿布は1日に何回張り替えれば良いですか? 湿布の貼り替え回数は、湿布の種類によって異なります。1日1回タイプであれば、8〜10時間程度効果が持続します。 1日2回タイプの湿布の場合の効果持続は、4〜6時間程度です。(文献3) 湿布を貼ったまま運動しても大丈夫ですか? 運動によって湿布がずれたり汚れたりする場合があるため、運動後は患部を確認して新しい湿布に貼り替えるようにしましょう。 湿布とサポーターは併用できますか? 湿布とサポーターは併用できます。併用する際は、皮膚に炎症や圧迫に気をつけ、違和感を感じたら使用を中止しましょう。 湿布は寝るときに貼っても良いですか? 注意するべき点はありますが、基本的に問題ありません。湿布を使用する前に、製品の取扱説明書をよく読み、皮膚のかぶれや湿疹に注意しましょう。 皮膚に異常が現れるようであれば、就寝時は湿布を剥がすなど、工夫する必要があります。 湿布を貼るのと飲み薬(鎮痛剤)ではどちらが効果的ですか? どちらが効果的かは症状や状況によって異なります。症状が軽度であれば、湿布で十分な効果が得られる場合があります。 湿布で症状の改善が見込めない場合は、飲み薬(鎮痛剤)の服用を検討しましょう。 湿布や飲み薬を使用する際は、説明書をよく読み、用法・用量を守り、自己判断はせず、医師や薬剤師の指示に従いましょう。 参考文献 (文献1) 綾田 練ほか,「ジャンパー膝に対する運動後のアイシングの効果」『体力科学(2007)』pp.1-6, (2007) https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/56/1/56_1_125/_pdf(最終アクセス:2025年3月15日) (文献2) 2008年から2019年に発表された温罨法に関する国内文献の検討 武田七海ほか,「〈総説〉2008年から2019年に発表された温罨法に関する国内文献の検討」pp.1-9, 2008年 https://www.thcu.ac.jp/research/pdf/bulletin/bulletin17_09.pdf(最終アクセス:2025年3月15日) (文献3) 宮川,羽毛田「薬の伝言版 湿布薬の使い方」, pp.1-2, 2024年 (最終アクセス:2025年3月15日)
2025.03.31 -
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ジャンパー膝で毎日が辛い ジャンパー膝が治らなかったらどうしよう ジャンパー膝と診断されて、数カ月経過しても症状が良くならず、不安を感じていませんか。ジャンパー膝は適切な治療とケアで改善が見込めます。 ジャンパー膝が治らない理由 ジャンパー膝が治らない際の改善策 ジャンパー膝の予防法 なかなか治らないジャンパー膝に関してよくある質問 記事末にはジャンパー膝に関してよくある質問をまとめています。最後まで読み進めていただくことで、ジャンパー膝への理解が深まるでしょう。 ジャンパー膝が治らない理由 原因 詳細 症状の重さ 腱の損傷が大きく、回復に時間がかかる場合がある オーバーユース 膝への過度な負荷が継続し、回復を妨げる 誤った対処法 不適切なストレッチや運動、休息不足が症状を悪化させる 柔軟性・筋力不足 膝周りの筋肉の柔軟性や筋力不足が、膝への負担を増加させる 安静・休息不足 十分な休息を取らないことで、組織の修復が遅れる ジャンパー膝の症状が重度だと、治るまでに2〜3カ月以上かかります。これから紹介する内容が1つでも当てはまる場合、膝に負担をかけないようにする改善が必要です。 以下の記事では、ジャンパー膝の症状と効果的なストレッチ・テーピングについて詳しく解説しています。 症状が重い 進行度 症状 初期 運動後、運動中に軽度の違和感 中期 運動中、運動後に強い疼痛。日常生活に支障をきたす場合がある 後期 安静時にも疼痛。運動困難 症状の進行が中期〜後期の状態は、運動中にも膝に強い違和感があり、日常生活にも支障をきたします。 膝蓋腱への負担がかかり、炎症や微細な損傷が慢性化すると、治癒力が低下し、症状の改善が困難になります。 中期〜後期の段階は、セルフケアやリハビリだけでなく最悪の場合、手術が必要です。症状が悪化する前に、適切な治療と休息を取り入れるようにしましょう。 オーバーユース(膝の酷使) 項目 詳細 腱の修復遅延 膝蓋腱は負荷を受けると微細な損傷が生じ、適切な休息があれば修復される 炎症悪化と腱の変性 炎症悪化に加え、腱組織の変性を誘発する。変性腱は脆弱化し、再損傷リスクが増加する 疼痛の悪循環 疼痛による庇護動作が膝への負担を増大させ、疼痛を悪化させる 不適切な動作の継続 原因となる不適切な動作(誤った跳躍・着地など)の反復が、症状慢性化を招く スポーツや立ち仕事など、膝の酷使は症状回復を遅らせます。 とくに過度な走り込みやジャンプなど、負荷のかかりやすい行動です。その結果、腱に微細な損傷が蓄積し、炎症や違和感を引き起こします。 膝蓋腱への反復負荷は、修復を阻害し、症状長期化を招きます。膝への負担を減らすためにスポーツや立ち仕事を制限し、改善しない場合は、医療機関への受診を行いましょう。 誤った対処法を実践している 誤った対処法 治癒を妨げる理由 過度な安静 膝周りの筋力低下、腱への負担増大、柔軟性低下、血行不良による修復遅延 疼痛下での運動継続 炎症悪化、損傷拡大、腱の変性 不適切なストレッチ・マッサージ 症状悪化、炎症増強 誤ったアイシング 血行不良による治癒遅延 不適切なサポーター使用 血行不良、筋萎縮 自己判断での薬剤使用 根本的解決の阻害、副作用のリスク 誤った運動フォーム 膝への過剰な負担、症状悪化 誤った対処法を実施すると、回復が遅延する恐れがあります。 自己流で行うリハビリや、医師の許可なく薬の服用を中断してしまうと、回復の遅延だけでなく、症状が重症化するリスクがあります。 症状の改善には、医師の指導に基づく適切な処置が大切です。自己判断での対処法は避けましょう。 柔軟性不足、筋力不足 要因 治りにくい理由 膝蓋腱への過剰な負荷 柔軟性や力が不足すると、ジャンプや着地の際に膝蓋腱への負担が増加し、微細な損傷が生じる 衝撃吸収能力 筋力や柔軟性が不足すると衝撃を分散できず、膝蓋腱に直接負担がかかる 膝関節の不安定性 筋力不足により膝の安定性が低下し、膝蓋腱への負荷が増大する 動作の悪化 筋力が不足すると、正しいフォームでの動作が困難となり、膝蓋腱への負担が増加する 柔軟性が不足すると筋肉や腱の可動域が狭くなり、膝蓋腱への負荷が増加します。筋力が不足すると膝関節の安定性が低下します。 柔軟性と筋力は相互に影響し、一方が不足すると他方も低下し、改善の遅延につながります。柔軟性と筋力を維持するには、適度なストレッチと膝に負担のかからないリハビリが大切です。 安静や休息を怠っている 症状の程度 回復期間の目安 対処法 軽度 2~4週間 安静、アイシング、ストレッチ、セルフケア、筋力トレーニング、リハビリ 中程度 4~8週間 運動制限、物理療法、ストレッチ、筋力トレーニング、段階的な運動再開 重度 3カ月以上 保存療法、手術(必要時)、数カ月のリハビリ 症状の程度によりますが、軽度の場合でも2〜4週間は安静や通院が必要です。これらを怠ると、重症化するケースもあるので、膝に負荷のかかる運動や立ち仕事は控える必要があります。 また、睡眠不足や栄養不足でも、回復を妨げる要因になります。睡眠は組織修復を促し、栄養は、腱の構成要素であるコラーゲンの生成に必要不可欠です。 適切な安静と休息、栄養バランスを考慮した食事を日々取り入れましょう。 ジャンパー膝が治らない際の改善策 改善策 詳細 医療機関での治療 物理療法、薬物療法、手術(重度の場合)など、個々の症状に合わせた治療を行う 正しいリハビリテーション 専門家の指導のもと、適切なストレッチ、筋力トレーニング、運動療法を実施する 焦らずに休息を取る 症状の程度に応じた適切な安静期間を確保する ジャンパー膝を改善するには、膝への負担を減らしながら適切なケアの継続が大切です。また、改善しない場合は専門機関での治療が必要になります。 ジャンパー膝が治らない際の改善策を解説します。 医療機関での治療 ジャンパー膝は、適切なケアなしでは完治しにくい傾向があります。そのため、症状の程度に関わらず、医療機関の受診が必要です。 軽度の症状であれば、保存療法や薬物療法と並行し、医師の指導に基づく運動療法で改善を目指します。重度では、保存療法などに加え、場合によっては手術療法も視野に入れる必要があります。 早期の医療機関受診と適切な治療により、早期回復と再発防止を目指しましょう。 以下の記事では、ジャンパー膝の治療期間について詳しく解説しています。 正しいリハビリテーション リハビリ内容 詳細 目的 ストレッチ 大腿四頭筋、ハムストリングス、下腿三頭筋などの柔軟性向上 膝周辺の可動域拡大、柔軟性向上 筋力トレーニング 大腿四頭筋、ハムストリングスなどの筋力強化 膝への負担軽減、膝関節の安定性向上 動作指導 跳躍、着地、膝への負担軽減を目的とした動作の習得 適切な動作パターンの習得、再発予防 段階的運動復帰 膝に抱える違和感に合わせた運動強度の段階的増加 運動復帰、再発リスクの最小化 リハビリでは、大腿四頭筋の筋力改善や柔軟性向上を目指します。ジャンパー膝の症状は安静や休息だけでは、再発予防にはつながりません。 そのため、適切なリハビリを適度に取り入れる必要があります。無理な負荷をかけず、少しずつ症状の改善を目指しましょう。 焦らずに休息を取る 症状の程度 回復期間の目安 主な治療法 軽度 2〜4週間 安静、アイシング、ストレッチ、セルフケア 中程度 4〜8週間 運動制限、物理療法、ストレッチ、筋力トレーニング、段階的な運動再開 重度 3カ月以上 保存療法(効果が見られない場合は手術)、手術後のリハビリ 症状の程度に合わせて、休息を取ることで、ジャンパー膝の重症化を防げます。重度かつ、保存療法で改善が見られない場合が手術を検討する必要があります。 休息期間の終了は自己判断ではなく、医師の指示を仰ぐようにしましょう。 ジャンパー膝の予防法 ジャンパー膝を発症させないためには、適切な予防を行うことが大切です。 運動前後のストレッチ・ウォーミングアップ・クールダウン 適切なトレーニング 炎症を悪化させる食品は避ける 同じ姿勢や無理な姿勢を続けない 正しい予防法を身につけ、発症や再発を防ぎましょう。 運動前後のストレッチ・ウォーミングアップ・クールダウン ケアの種類 効果 具体例 運動前ストレッチ 筋肉・腱の柔軟性向上、可動域拡大、負荷軽減 大腿四頭筋、ハムストリングス、下腿三頭筋の静的ストレッチ(各20~30秒保持) ウォーミングアップ 体温上昇、血流増加、筋肉の柔軟性・反応性向上、傷害リスク低減 軽いジョギング、サイクリング、動的ストレッチ(各10~15回) 運動後クールダウン 筋肉の緊張緩和、疲労物質蓄積の抑制、筋肉痛の軽減、疲労回復を促進 軽いジョギング、サイクリング、静的ストレッチ(各20~30秒保持) ジャンパー膝の予防には、運動前後の適切なストレッチ、ウォーミングアップ、クールダウンが不可欠です。 運動の前後でウォーミングアップやストレッチを行うことで、筋肉や腱が温まり、柔軟性が向上し、怪我のリスクを軽減します。 また、運動後のクールダウンは運動によって緊張した筋肉をリラックスさせることで、血液の促進を促し、疲労物質の排出を助けます。 運動前後のケアは、ジャンパー膝の予防につながるため、継続的に行いましょう。 適切なトレーニング トレーニング内容 具体例 目的 フォームの改善 ジャンプ、着地、スクワットなどの動作フォーム確認 膝蓋腱への局所的負荷集中回避、広範囲への負荷分散 筋力トレーニング 大腿四頭筋、ハムストリングス、下腿三頭筋の強化 膝関節の安定性、衝撃吸収能力向上、膝蓋腱への負担軽減 柔軟性トレーニング 大腿四頭筋、ハムストリングス、下腿三頭筋のストレッチ 膝関節の安定性、衝撃吸収能力向上、膝蓋腱への負担軽減 バランストレーニング 片足立ち、バランスボール、アジリティトレーニング 膝関節の安定性、動作の正確性向上、再発予防 膝周りの筋肉、とくに大腿四頭筋やハムストリングスを正しく鍛えることで、膝蓋腱にかかるストレスを軽減できます。 急激な負荷増加は、膝蓋腱の組織を傷つけ、症状を誘発させるため、医師の指導のもと適切なトレーニングで改善を図ります。 トレーニング中に膝に違和感や炎症が現れた場合は、すぐに中断しましょう。 炎症を悪化させる食品は避ける 成分 食品例 説明 糖分 菓子類、清涼飲料水、白砂糖、果糖ブドウ糖液糖など 高糖分食品は炎症を促進し、症状を悪化させる可能性がある 飽和脂肪酸、トランス脂肪酸 揚げ物、加工肉、スナック菓子、マーガリン、ショートニングなど 炎症を引き起こす可能性がある オメガ6脂肪酸 コーン油、ひまわり油、マヨネーズなど 過剰摂取は炎症を促進させる可能性がある 加工食品 インスタント食品、レトルト食品、ハム、ソーセージ 精製炭水化物は体内での炎症を引き起こすことがある アルコール 各種アルコール飲料 過剰摂取は炎症の悪化や、組織の修復を阻害する可能性がある 一部の乳製品 牛乳、チーズ、ヨーグルト 人によっては、炎症を誘発する可能性がある (文献1)(文献2) 特定の成分や食品の摂取が、ジャンパー膝を誘発させるわけではないものの、過剰摂取は回復の妨げになる恐れがあります。 糖分や加工食品など、一切食べてはいけないのではなく、偏った食事をしないことが大切です。 炎症を抑えるタンパク質(肉、魚、豆類など)やビタミンC(柑橘類、イチゴ、ブロッコリーなど)を中心とした食事が、ジャンパー膝の改善につながります。 同じ姿勢や無理な姿勢を続けない 同じ姿勢や無理な姿勢は、膝蓋腱に持続的な負荷がかかり、症状を誘発させる可能性があります。猫背や身体の歪みは、膝への負担を増大させ、症状の慢性化を招くため、注意が必要です。 デスクワークや長時間の立ち仕事であれば、姿勢をこまめに変え、ストレッチを取り入れることで、膝への負荷を軽減できます。 ジャンパー膝が治らないときは医療機関を受診しよう! ジャンパー膝は、症状の程度に関わらず、医療機関を受診しましょう。ジャンパー膝は軽度の段階であれば、2~4週間ほどで症状を改善できます。 しかし、自己流などの間違った方法を継続してしまい、重症化してしまうと、手術が必要になるケースもあります。 長引くジャンパー膝でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。 再生医療を活用し、治らずに困っているジャンパー膝への回復を促します。症状改善にお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にお問い合わせください。 なかなか治らないジャンパー膝に関してよくある質問 ジャンパー膝は治らないですか? 適切な治療とリハビリテーションを行えば、多くの場合は改善が見込めます。しかし改善に時間がかかることや、適切な対策を行わないと再発する可能性もあります。 ジャンパー膝は、自然治癒や自己判断で治る症状ではありません。医師の診断を受け、適切な対応を行いましょう。 ジャンパー膝は後遺症が残りますか? 重症化すると後遺症が出る可能性があります。具体例として、膝機能の低下や膝への違和感が慢性化するなどが挙げられます。 軽度でも自己判断せず、医師の診断を受けることが大切です。 ジャンパー膝になったら運動は完全に中止すべきですか? 症状の程度によります。しかし多くの場合は運動を控える必要があります。ジャンパー膝は膝の使いすぎによって生じるため、膝に違和感を覚えたら、医療機関を受診しましょう。 無理な運動の継続や、放置は重症化につながる可能性があるので、注意が必要です。 参考文献 (文献1) Bhavin Mistry,(2023). 5 Types of Food to Avoid With Tendonitis,CARESPACE https://carespace.health/post/5-types-of-food-to-avoid-with-tendonitis/(Accessed: 2025-03-15) (文献2) Kim Grundy, Andra Picincu. Foods to Avoid for Bursitis & Tendinitis,LIVESTRONG.com https://www.livestrong.com/article/402808-foods-to-avoid-for-bursitis-tendonitis/(Accessed: 2025-03-15)
2025.03.31 -
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ジャンパー膝がどれくらいで治るのか ジャンパー膝でやってはいけないことを知りたい ジャンパー膝と診断されたものの、いつ治るのか、どう治療するべきかを悩んでいませんか。ジャンパー膝が治る期間には、個人差があります。 医療機関での正しい治療とケアを行えば、ジャンパー膝の症状は改善できます。 しかし、症状の放置や誤った方法でのリハビリは、回復を遅らせるだけでなく、再発するリスクがあるため、正しい知識と治療を行うことが大切です。 ジャンパー膝が治る期間 ジャンパー膝でやってはいけないこと ジャンパー膝の改善法 ジャンパー膝を治したい方からよくある質問 ジャンパー膝の治療でお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。 【結論】ジャンパー膝が治る期間にはバラつきがある! 症状の程度 回復期間の目安 軽度 1~2カ月程度 重度 2~3カ月以上 ジャンパー膝の回復期間は症状の重さによって異なります。軽度の場合はおおよそ1~2カ月程度、重度の場合は2~3カ月以上、症状が改善するまでに時間がかかります。 症状の程度にかかわらず、自己判断はせず、医療機関への受診を受けることが大切です。 軽度の場合|1~2カ月程度 改善方法 目的 具体的な内容 注意点 安静 膝への負担を軽減 スポーツ活動の一時中止、日常生活での膝への負担軽減 過度な安静は筋力低下を招くため、医師と相談しながら期間を決める アイシング 炎症抑制 1回15~20分、1日数回、患部を冷却 タオルで包む、感覚がなくなったら中止する ストレッチ 膝周りの柔軟性向上 大腿四頭筋、ハムストリングス、大腿筋膜張筋などのストレッチ 違和感のない範囲でゆっくりと行う、反動をつけない 筋肉トレーニング 膝周りの筋力強化 大腿四頭筋、ハムストリングスなどの筋力トレーニング 負担をかけずに軽い負荷から始める、正しいフォームで行う 症状が軽度の場合、改善に1~2カ月程度かかります。主な治療法として、適切な安静とリハビリを行います。 リハビリやストレッチは自己判断せず、医師の指導のもと、段階的に負荷のかからない程度に行いましょう。 重度の場合|2~3カ月以上 対処法 目的 内容 注意点 医師の診察と診断 正確な状態把握と適切な治療計画 整形外科を受診し、MRIや超音波検査などで膝の状態を確認する 自己判断せず、専門家の指示に従う 保存療法 炎症と違和感の軽減、組織の修復促進 安静、アイシング、物理療法(電気治療、超音波治療など)、薬物療法(鎮痛薬、湿布など)、リハビリテーション 自己判断せず、症状に合わせて、医師の指導のもと行う リハビリテーション 膝周りの筋力強化、柔軟性向上、動作改善 ストレッチ、筋力トレーニング、バランス訓練、動作指導 段階的に負荷を上げていく 運動制限 膝への負担軽減、悪化防止 ジャンプ、ランニング、急な方向転換など、膝に負担のかかる運動を避ける 運動再開時期や運動の種類は、医師と相談して決める 手術療法 保存療法で改善しない場合 関節鏡手術などで、炎症を起こしている組織を切除または修復 手術後のリハビリも重要 症状が重度の場合、改善に2~3カ月以上かかります。また保存療法やリハビリを継続しても改善が見込めない場合は、手術を検討するケースもあります。 手術後の回復期間は、手術方法や個人の状態によって異なるため、自己判断はせず、医師の指示に従いましょう。 早く治すためのジャンパー膝でやってはいけないこと やってはいけないこと 理由 具体例 違和感を抱えたまま運動を続ける 炎症が悪化し、回復が遅れる 違和感のある状態で、ジャンプやランニングを続けるなど 自己流でストレッチやマッサージをしてしまう 症状を悪化させる可能性がある 違和感を我慢して無理なストレッチ、炎症部位を強く揉むなど 長時間の立ち仕事や歩行 膝への負担が大きくなり、回復を妨げる 立ちっぱなしの作業、長距離の歩行 治癒を自己判断で中断する 再発のリスクを高める 違和感が引いたからといって、医師の指示なしに運動を再開する 安静期間を守らない 炎症が治まらず、回復が遅れる 医師から指示された安静期間を守らず、運動を行う ジャンパー膝を早く治すために、やってはいけないことを把握しておくことが大切です。 やってはいけないことについて、詳しく紹介します。 違和感を抱えたまま運動を続ける 症状悪化の要因 具体的なリスク 詳細 炎症の悪化 慢性化、治癒遅延 運動による継続的な負荷が膝蓋腱の炎症を悪化させ、違和感が長期間続く状態になる 腱の損傷進行 部分断裂、完全断裂、手術の必要性 炎症の進行により腱の微細な損傷が拡大し、重度の損傷に至るリスクが高まる 違和感の慢性化 日常生活への支障 我慢して運動を続けることで違和感が慢性化し、日常生活にも影響を及ぼす可能性がある 回復の遅延 組織修復の妨げ 安静期間が不足すると、組織の修復が妨げられ、回復が遅れる 膝に違和感を抱えたまま運動を継続すると、炎症が悪化する恐れがあります。 医師の診断後、治療で改善が見られたとしても、自己判断で運動を再開すると、症状が再発する可能性があります。 膝に違和感がある場合は運動を中止し、医療機関を受診しましょう。 自己流でストレッチやマッサージをしてしまう 悪化の要因 具体例 リスク 炎症の悪化 炎症部位への過度な刺激(強いマッサージ、無理なストレッチ) 違和感や炎症の拡大 腱の損傷進行 腱の付着部への強い牽引力や圧迫、無理なストレッチ 腱の断裂、回復遅延 誤った運動方向 正しい運動方向や負荷を無視した自己流ストレッチやマッサージ 症状の悪化、回復遅延 ジャンパー膝の早期回復を目指す際にストレッチやマッサージを自己流で行なってはいけません。 誤った方法でマッサージを行なってしまうと膝に抱える違和感の増大や、炎症の拡大を引き起こす恐れがあります。(文献1) ジャンパー膝のストレッチやマッサージは自己判断ではなく、医師の指導のもと行いましょう。 長時間の立ち仕事や歩行 要因 詳細 リスク 持続的な負荷 立ち仕事、歩行による膝蓋腱への反復負荷 違和感や炎症の拡大 血行不良 長時間同一姿勢による膝周りの血行阻害 組織修復遅延、違和感の慢性化 筋肉疲労 膝周り筋肉の疲労蓄積 腱への負担増大、損傷リスク増加 長時間の立ち仕事や歩行は、症状回復の妨げになります。とくに同じ姿勢で長時間過ごすと、膝への負担が増大し、膝への違和感や炎症が拡大する恐れがあります。 立ち仕事が多い場合は、座れる業務への変更を職場に相談してみましょう。 治癒を自己判断で中断する リスク 詳細 結果 炎症の悪化と慢性化 炎症が治まる前に運動を再開 慢性的な違和感、運動能力低下 腱の損傷の進行 安静期間を守らない 腱の断裂、手術のリスク増加 回復期間の長期化 安静期間を守らずに運動を再開 症状の再発、回復遅延 ジャンパー膝の治療を自己判断で中断すると、症状の再発や回復を遅らせる恐れがあります。 とくに膝蓋腱は、血流が少なく回復に時間がかかる部位であり、医師の指示に従い、継続的な治療とリハビリが行われなければなりません。 違和感や炎症が治ったとしても、一時的なものである可能性が高いため、症状が緩和しても、一度医師に指導を仰ぐようにしましょう。 安静期間を守らない 安静期間を守らないと、症状の悪化や慢性化を引き起こす可能性があります。 膝蓋腱は血流が少なく、回復に時間がかかる部位なので、安静期間を守らず、自己判断で復帰してしまうと、症状が再発する可能性が高いです。 とくに症状が重度の場合、6週間以上の安静が求められることがあります。 また、安静期間を守らずに症状が悪化してしまうと、最終的には手術が必要になる可能性があるので、自己判断での復帰はやめましょう。 ジャンパー膝の改善法 改善法 詳細 目的 注意点 RICE処置 安静(Rest)冷却(Ice)圧迫(Compression)挙上(Elevation) 炎症の抑制、違和感の軽減 冷却は15~20分を目安に行う、冷やしすぎに注意する リハビリテーション ストレッチ、筋力トレーニング、物理療法 膝周りの柔軟性向上、筋力強化、組織修復促進 負荷のかからない範囲で、専門家の指導のもと行う 医療機関での受診 医師の診察、診断、治療 正確な状態把握、適切な治療計画 自己判断せず、専門家の指示に従う ジャンパー膝は正しい改善法を行うのが大切です。これから紹介する内容は、自己判断ではなく、医師の指導のもと実践するようにしましょう。 RICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上) 処置 詳細 目的 注意点 安静(Rest) 運動や活動を中止し、膝への負担を軽減 炎症の悪化を防ぎ、組織の修復を促進 過度な安静は筋力低下を招くため、医師と相談しながら期間を決める 冷却(Ice) 1回15~20分、1日数回、患部を冷却 炎症と違和感を抑制 冷たすぎる場合はタオルで包む、感覚がなくなったら中止 圧迫(Compression) 弾性包帯などで患部を圧迫 腫れや内出血を抑制 締めすぎに注意し、血行を阻害しない 挙上(Elevation) 膝を心臓より高い位置に挙上 腫れや内出血を抑制 クッションなどを利用し、楽な姿勢で行う (文献2) ジャンパー膝の応急処置として、RICE処置は有効な手段です。RICE処置は、炎症の拡大を防ぎ、膝に対する違和感の軽減に役立ちます。 RICE処置は症状を改善するものではなく、最悪を防ぐための緊急対応です。適切に行うことで進行を抑えられますが、根本的な治療ではないため、必要に応じて医療機関を受診しましょう。(文献2) リハビリテーション リハビリの目的 内容 具体的な方法 筋力バランスの改善 大腿四頭筋とハムストリングの筋力を整え、膝蓋腱への負担を軽減 スクワット・ランジなどの筋力強化エクササイズ 柔軟性の向上 ストレッチで筋肉や腱の柔軟性を高め、膝蓋腱のストレスを軽減 大腿四頭筋やハムストリングのストレッチ 正しい動作の習得 ジャンプやランニングの正しいフォームを習得し、再発を防ぐ フォーム指導で膝への負担を最小限にする (文献3) ジャンパー膝は、膝蓋腱への過剰な負荷によって引き起こされるため、リハビリを通して、膝周りの状態を改善させることが大切です。 リハビリでは、膝周りの筋力を強化し、柔軟性を高めることで、膝蓋腱の負担を軽減し、大腿四頭筋とハムストリングのバランスを整えます。 また、リハビリでは一時的な改善ではなく、再発を起こさないように長期的な部分を視野に入れて行います。 リハビリは、自己流ではなく、医師の指導のもと行いましょう。 医療機関での受診 治療法 内容 保存療法 運動制限やストレッチ、消炎鎮痛剤の使用で症状の改善を目指す 物理療法 超音波や低周波などの物理的な刺激で、炎症を軽減し組織の修復を促す 再生医療 自身の血液から成長因子を抽出後、患部に注入し修復を促進する ジャンパー膝の症状は医療機関での受診をしましょう。ジャンパー膝の症状の程度は、状況や症状によって個人差があります。 医療機関で正しい診断を受けることで、適切な治療やリハビリを受けられます。症状の程度に関わらず、医療機関の受診が大切です。 以下の記事では、ジャンパー膝の症状改善に役立つ再生医療について詳しく解説しています。 ジャンパー膝の再発防止策 対策 詳細 目的 アイシング 運動後や入浴後に膝周りを冷却 炎症の抑制、疲労回復促進 運動メニューの見直し 運動環境やメニューを調整 膝への負担軽減、適切な運動負荷 膝への負担軽減 膝に負担のかかる動作を避ける 膝蓋腱への負荷軽減、再発防止 体重管理 適正体重を維持 膝や、関節への負荷軽減 ジャンパー膝の治療は短期的ではなく、再発などを引き起こさない長期的な対策が大切です。 ジャンパー膝の再発を防ぐためには、1つだけでなくすべての対策を継続的に実践しましょう。 運動後や入浴後に膝周りをアイシングする 項目 内容 炎症の抑制 血流を抑制し、炎症の拡大を防ぐ 違和感の緩和 神経の働きを鈍らせ、違和感を軽減する 筋肉のクールダウン 筋肉の緊張を和らげ、疲労回復を促進する 冷却時間 1回15~20分を目安に行う、冷やしすぎに注意 冷却方法 氷嚢や保冷剤をタオルで包み、直接肌に当てない 冷却頻度 運動後や入浴後、違和感を感じたときに実施 (文献4)(文献5) 運動や入浴後は、膝周りの血流が増加し、炎症が起こりやすくなります。アイシングは、温度を下げる役割があり、炎症の抑制や疲労回復を促します。 アイシングを行う際は、保冷剤を直接当てるのではなく、タオルなどで包み、凍傷を防ぐように行いましょう。 また予防のためにアイシングだけでなく、合わせて運動前のストレッチや、適切なリハビリも行うのが大前提です。(文献6) 運動環境やメニューを見直す 対策 内容 運動環境の改善 柔らかい地面で運動、温度・湿度管理を行い、筋肉の柔軟性を保つ 運動メニューの改善 運動時間や強度を調整し、膝への負担をコントロールする ジャンパー膝を再発させないためには、運動環境やメニューを見直すことが大切です。 固い地面でのトレーニングや、過度な負担のかかるメニューは、筋肉に負担をかけ、炎症を引き起こすリスクがあります。 運動量は医師と相談し、徐々に増やしていきましょう。 膝に負担のかかる動作を避ける ジャンパー膝の再発を防ぐためには、膝に負担のかかる動作を避けることが大切です。膝蓋腱に過剰なストレスを与えると、炎症を引き起こし、再発する恐れがあります。 ジャンパー膝は炎症が治っていない状態で、無理をすると再発しやすい症状です。 そのため、症状が治っても、自己判断で立ち仕事やスポーツに復帰はせず、医師の指示に従うようにしましょう。 適正体重を維持する 要素 内容 適切な運動 膝に負担をかけすぎない有酸素運動(ウォーキングや水中運動)を取り入れ、筋力を維持しながら体重を管理する 食事管理 オメガ3脂肪酸(サバ、イワシ、サーモンなど)や、抗酸化作用のある野菜(トマト、ブロッコリー、ほうれん草など)を積極的に取り入れる (文献7) ジャンパー膝の再発を防止するには、適正体重の維持が大切です。歩く際に膝にかかる負荷は体重の約3倍と言われています。そのため、1kg体重が増えるだけで、膝への負担が約3kg増加します。 極端な体重増加を起こさないように、運動不足や不摂生は控え、適切な体重管理を心がけましょう。 バランスの良い食事と膝に負担の少ない運動を取り入れることが、ジャンパー膝を再発させない上で大切です。 ジャンパー膝の回復期間を知り悪化を防ぐことが大切 ジャンパー膝は回復期間を知り、悪化を防ぐことが大切です。ジャンパー膝は軽度であれば、おおよそ1~2カ月程度で改善に向かいますが、重度の場合、手術が必要になるケースもあります。 ジャンパー膝の症状に対して、手術を行うことに抵抗がある方は、当院リペアセルクリニック」にご相談ください。 手術を必要としない、再生医療を活用し、膝への回復を促します。ジャンパー膝の症状にお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にお問い合わせください。 ジャンパー膝を治したい方からよくある質問 ジャンパー膝は自然に治りますか? ジャンパー膝の症状が自然に治ることはありません。適切な治療をしないと症状が慢性化し、悪化する可能性があります。 症状が軽度でも、医療機関を受診しましょう。 ジャンパー膝になったときにお風呂は入っても良いですか? 湯船に長時間浸かるのは控えましょう。湯船に長時間浸かることで、血行が促進され、炎症が悪化する恐れがあります。 湯船に浸かる場合は熱いお湯は避け、38~40℃のぬるめのお湯に15~20分程度浸かるようにします。 また、違和感がある場合は、無理に入浴せず、安静にしましょう。 ジャンパー膝にサポーターは有効ですか? サポーターの使用は、再発予防には有効です。しかし、根本的な治療にはなり得ない部分は認識しておく必要があります。 また、サポーターは自分の膝に合うサイズや、正しい装着方法で実践しないと効果が得られません。 自分に合うサポーターがわからない方は、医師に相談し、選ぶようにしましょう。 ジャンパー膝は何科を受診すれば良いですか? 整形外科(スポーツ整形外科やスポーツ医学科)の受診が適切です。 整形外科(スポーツ整形外科やスポーツ医学科)では、画像診断(MRIや超音波検査)を用いて腱の状態を詳細に評価し、患者に合わせた治療計画を提供します。 参考文献 (文献1) 「運動器疾患とスポーツ外傷・障害」『膝蓋腱炎(ジャンパー膝)』(1)pp.1-2 https://jsoa.or.jp/content/images/2023/05/vol.1_%E8%86%9D%E8%93%8B%E8%85%B1%E7%82%8E.pdf(最終アクセス:2025年3月14日) (文献2) 一般社団法人 日本臨床整形外科学会事務局「スポーツでケガをしたら、どうすれば良いの?」一般社団法人 日本臨床整形外科学会 https://jcoa.gr.jp/%E5%81%A5%E5%BA%B7%E7%9B%B8%E8%AB%87/%E6%A5%BD%E3%81%97%E3%81%8F%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%84%E3%82%92%E7%B6%9A%E3%81%91%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB/%E5%BF%9C%E6%80%A5%E5%87%A6%E7%BD%AE/%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%84%E3%81%A7%E3%82%B1%E3%82%AC%E3%82%92%E3%81%97%E3%81%9F%E3%82%89%EF%BC%9F/#:~:text=%E5%BF%9C%E6%80%A5%E5%87%A6%E7%BD%AE%E3%81%AE%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E3%81%AF,%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%8C%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82(最終アクセス:2025年3月14日) (文献3) 原 賢二.「ジャンパー膝の機能的評価と鍼治療の効果に関する 研究」『TulipsR』, pp.1-193, 2013年 https://core.ac.uk/download/pdf/56658805.pdf(最終アクセス:2025年3月14日) (文献4) 綾田 練ほか.「ジャンパー膝に対する運動後のアイシングの効果」『体力科学』, pp.1-6, 2007年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/56/1/56_1_125/_pdf(最終アクセス:2025年3月14日) (文献5) 塩田 真史.「Osgood-Schlatter 病の病態と治療 発症から復帰までの現状と今後の課題」『日本アスレティックトレーニング学会誌』4(1), pp.1-6, 2018年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsatj/4/1/4_29/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年3月14日) (文献6) 一般社団法人 千葉市医師会「運動時の膝の痛み「ジャンパー膝」かも?」一般社団法人 千葉市医師会, 2023年7月11日 https://www.chiba-city-med.or.jp/column/155.html#top(最終アクセス:2025年3月14日) (文献7) 独立行政法人日本スポーツ振興センター,ハイパフォーマンススポーツセンター「ハイパフォーマンスを発揮して勝つ!アスリートのためのトータルコンディショニングハンドブック」2024年 https://www.jpnsport.go.jp/hpsc/Portals/0/resources/hpsc/TCRP/handbook.pdf(最終アクセス:2025年3月14日)
2025.03.31 -
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太ももに違和感がある 動けなくなるほどの違和感があった スポーツやトレーニング中に突然、足元に強い違和感はありませんか。 その症状は、肉離れの可能性があります。 肉離れは、スポーツだけでなく、日常生活でも起こりうる症状です。 太ももの肉離れの原因 太ももの肉離れの症状 肉離れの重症度 肉離れのチェックリスト 太ももの肉離れを起こしたときの対処法 肉離れの原因や症状を解説し、発症した場合の対処法も合わせて紹介します。 肉離れは、早期発見で改善できる症状です。ぜひ最後まで読み進めていただければと思います。 太ももの肉離れの原因 原因 説明 チェック項目 急激な動作による筋肉への過度な負荷 ダッシュやジャンプなど、急激な動作で筋肉に大きな力がかかり、筋肉が耐えきれずに損傷してしまう 急なダッシュが多い、ジャンプが多い、急な方向転換が多いなど 筋肉の疲労 運動などで筋肉が疲労している状態で、さらに負荷をかけると、筋肉が損傷しやすくなる 運動する機会が多い、疲労が溜まっていると感じるなど ウォーミングアップ不足 筋肉が温まっていない状態で運動を始めると、筋肉が伸びにくく、損傷しやすくなる ウォーミングアップ不足だと感じるなど 筋肉の柔軟性不足 筋肉が硬いと、急な動作に対応できず、損傷しやすくなる 身体が硬いと感じる、ストレッチ不足だと感じるなど 筋力低下 筋肉が弱いと、大きな力に耐えられず、損傷しやすくなる 運動不足だと感じる、以前より力が弱くなったと感じるなど (文献1) 太ももの肉離れの主な原因は、運動によって引き起こされるものです。 太ももに急激なストレスや、筋肉が硬直した状態での走り込みや、ジャンプが肉離れを引き起こす要因になります。 以下の記事では肉離れの症状について、詳しく解説しています。 急激な動作による筋肉への過度な負荷 原因となる動作 筋肉への負荷 具体例 急なダッシュやストップ 筋肉が急激に伸び縮みし、耐えきれずに損傷する スポーツでの全力疾走、急ブレーキ ジャンプや踏み込み動作 筋肉が強く縮んだり、急激に引き伸ばされたりする バスケットボールのジャンプ、サッカーの着地 方向転換(急な切り返し) 片足に強い力がかかり、筋肉が急激に引き伸ばされる テニスの方向転換、サッカーのドリブル 急な走り込みや、急ブレーキは太ももの肉離れを誘発します。 筋肉疲労や十分な準備運動ができていない状態で、急激な動作を繰り返すと、筋肉が急な衝撃に適応できません。結果、太ももの筋肉が衝撃に耐えられなくなります。 スポーツを行う以上、ある程度の負荷は避けられません。十分な準備運動やウォーミングアップを行い、筋肉への負担を軽減しましょう。 筋肉の疲労 疲労の種類 筋肉の状態 肉離れのリスク エネルギー不足 筋肉を動かすエネルギーが足りない 力が入らず、無理に動かすと筋肉が損傷しやすい 疲労物質の蓄積 筋肉に疲労物質がたまり、動きが鈍くなる 筋肉が硬くなり、急な動作に対応できない 血流の低下 筋肉への酸素や栄養が不足する 筋肉の修復力が低下し、柔軟性も失われる (文献2) 筋肉に疲労が蓄積した状態は、柔軟性が低下し、筋肉組織の損傷を起こします。 エネルギー不足や、疲労物質の蓄積、血流の低下が筋肉の活動を低下させ、肉離れを引き起こす要因になります。 筋肉疲労を起こさないためには、適度な休息や、運動前後のストレッチ・マッサージ、水分補給・栄養摂取を怠らないことが大切です(文献2) ウォーミングアップ不足 ウォーミングアップの役割 ウォーミングアップが不足した状態 肉離れのリスク 筋肉を温める 筋肉が硬く、伸びにくい状態 急な動きに対応できず、筋肉が損傷しやすい 血流を促進する 筋肉への酸素や栄養が不足した状態 筋肉が固くなり、傷つきやすい 神経と筋肉の連携をスムーズにする 脳と筋肉の連携が乱れた状態 必要以上に筋肉へ負荷がかかり、損傷しやすい (文献2) ウォーミングアップは筋肉を温め、血流を促進する効果があります。 また、ウォーミングアップを行うことで、筋肉の硬直状態が解消され、運動で発生する太ももの負荷にも対応できます。 しかし、ウォーミングアップが不十分な状態での運動は、筋肉の収縮や脳と筋肉の連携が乱れてしまい、肉離れを引き起こすリスクが高いです。 運動前に軽いジョギングや、屈伸運動で身体を温めると、筋肉の柔軟性が向上し、肉離れを起こすリスクを減らせます。 筋肉の柔軟性不足 柔軟性 筋肉の状態 肉離れのリスク 柔軟性がある 筋肉が柔らかく、伸びやすい 急な動きにも対応しやすい 柔軟性がない 筋肉が硬く、伸びにくい 急な動きに対応できず、筋肉が損傷しやすい 筋肉の柔軟性が不足すると、急な動きや衝撃に太ももが耐えきれず、肉離れを引き起こす原因になります。(文献3) 筋肉の柔軟性不足は主に、準備運動不足や加齢、筋肉疲労の蓄積によって引き起こされます。 柔軟性不足を解消するために、日頃からストレッチや適度な運動を行い、運動後はマッサージや温浴で、筋肉をケアする習慣を取り入れましょう。 筋力低下 筋力低下の状態 筋肉への影響 肉離れのリスク 筋肉が支えきれない 急な動きや負荷に耐えられず、筋肉が損傷しやすい ダッシュやジャンプで、ピリッとした違和感が発生する 疲れやすい フォームが崩れ、無理な動きをしてしまう 長時間運動で足がもつれ、肉離れを起こしやすい 柔軟性も低下 筋肉が硬くなり、伸びにくくなる 急な動きに対応できず、筋肉が断裂しやすい (文献4) 筋力が低下すると、筋肉が運動時の負荷や、不意に足がもつれてしまった際に、肉離れを引き起こす可能性があります。 筋力低下は、太もも周囲を支える力が失われている状態であり、柔軟性も低い状態です。 筋力低下を防ぐには、日頃から準備運動やクールダウンを怠らないことが大切です。 太ももの肉離れの症状 症状 状態 具体例 激しい違和感に襲われる 突如、太ももに鋭い違和感や衝撃が走る 筋肉が引き裂かれるような感覚 患部の腫れ・内出血 太ももが著しく腫れ上がり、皮膚の下に青黒い変色がある 患部が大きく膨らみ、内側から変色している状態 筋肉が痙攣する 太ももの筋肉が、自らの意志とは無関係に収縮と弛緩を繰り返す 筋肉が断続的に強く握り締められるような状態 患部に熱が籠る 太ももの患部が、周囲の皮膚よりも明らかに高温になる 患部が内部から発熱しているような状態 太ももにいつもと違う違和感があれば、それは肉離れのサインかもしれません。早期発見が、症状の悪化を防ぎます。 太ももの肉離れを発症した時に現れる症状について解説します。 激しい違和感に襲われる 肉離れは、筋肉が切れたり裂けたりし、炎症や内出血で起こる症状です。 断裂の多くは、部分的に起こりますが、まれに筋肉が完全に断裂してしまうケースもあります。 とくに、太ももからブチッと音が聞こえ、違和感で立ち上がれない場合は、肉離れの可能性が高いです。 激しい違和感に襲われ、立てない状態の場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。 患部の腫れ・内出血 肉離れは、患部の腫れや内出血を引き起こします。 筋肉が急激な力で引き伸ばされたり、断裂したりすると、その部分の毛細血管が損傷し、内出血が起こります。 腫れの程度は損傷の大きさや、出血量によりますが、重度の場合だと広範囲にわたって腫れ上がり、内出血の症状も顕著です。 ブチッと異音を耳にし、上記の症状が現れた際は、炎症の進行を防ぎます。 炎症や腫れに対し、応急処置を行ったうえで医療機関を受診しましょう。 筋肉が痙攣する 原因 メカニズム 状態をたとえるなら 損傷部位の保護反応 損傷した筋肉を保護するため、周囲の筋肉が反射的に収縮する 筋肉が、これ以上動かないで!と叫んでいる状態 神経系の影響 筋肉の損傷が周囲の神経を刺激し、異常な信号が送られる 神経が、筋肉を動かせ!と誤った指令を出している状態 電解質バランスの乱れ 激しい運動や発汗により、筋肉の興奮性が高まる 筋肉が過剰反応してしまっている状態 (文献1) 太ももの肉離れが発症すると、筋肉の痙攣が起こります。 筋肉が痙攣する主な理由は、損傷した筋肉が神経系の異常な興奮を引き起こすためです。 筋肉の神経系が興奮すると、異常な信号が神経に伝達され、無意識に痙攣を起こします。 痙攣が頻繁に起こる場合は、運動を中止し、医療機関を受診しましょう。 患部に熱が籠る 肉離れによる炎症の影響で、部分的に温まると、患部に熱が籠った状態になります。 また、損傷した筋繊維や血管から漏れ出した血液が組織内に溜まることで、熱感を引き起こします。 重度の場合、自力での歩行が困難になるため、医療機関の受診が必要です。 肉離れの重症度 重症度 症状 具体例 Ⅰ型(軽症) 軽い違和感、腫れ、内出血 階段の昇り降りで多少、違和感がある程度 Ⅱ型(中等症) 強い違和感、腫れ、内出血、歩行困難 普段の歩行が困難になり、足を引きずった状態になる Ⅲ型(重症) 激しい違和感、広範囲の腫れ・内出血、歩行不能、筋肉の断裂 足に体重をかけられない 太ももの肉離れには、Ⅰ型(軽症)〜Ⅲ型(重症)の段階があります。 Ⅰ型(軽症)であれば、日常生活への大きな支障はありません。ですが、Ⅲ型(重症)になると、手術が必要になるケースもあります。 太ももの肉離れの重症度について、解説します。 Ⅰ型(軽症) 項目 状態 具体例 違和感 軽度の違和感 階段の昇り降りで多少の違和感が程度、日常生活での動作に支障は少ない 腫れ わずかな腫れ 患部を触ると、少し腫れているのがわかる程度 内出血 軽度の内出血 患部に薄い青あざが見られる程度 筋肉の状態 筋肉の損傷は軽微 筋肉の機能はほぼ正常、軽いストレッチで違和感がある 日常生活への影響 ほとんどなし 日常生活に支障はないが、運動は制限される 治療 安静、冷却、圧迫 数日から一週間程度の安静で回復が見込まれる Ⅰ型(軽症)の段階では、日常生活に大きな支障はないものの、運動の制限が必要です。 症状としては、患部に軽い違和感や、わずかな腫れがあります。 内出血も軽度であり、安静や冷却を適切に行えば、一週間程度で回復が見込めます。 以下の記事では、肉離れが軽度の場合について詳しく解説しています。 Ⅱ型(中等症) 項目 状態 具体例 違和感 強いの違和感 歩行時に強い違和感があり、足を引きずる必要がある 腫れ 明らかな腫れ 患部が大きく腫れ上がり、触ると熱を持っている 内出血 広範囲の内出血 患部に広範囲にわたって青黒い変色が見られる 筋肉の状態 筋肉の損傷が広範囲に及ぶ 筋肉の機能が低下し、力を入れることが困難 日常生活への影響 日常生活に支障が出る 普段の動作が制限され、安静が必要 治療 安静、冷却、圧迫、医療機関での治療 一週間以上の安静と、医療機関でのリハビリが必要になる場合がある Ⅱ型(中等症)では、筋繊維の部分的な断裂を伴い、日常生活にも支障をきたします。目立つ腫れが現れ、内出血も広範囲です。 Ⅱ型(中等症)の段階では、筋肉を伸ばしたり縮めたりする運動を行うと、強い違和感があります。 そのため、一週間以上の安静と、医師の指示に従ったリハビリテーションが必要です。 また、Ⅱ型(中等症)は適切な治療を行わないと後遺症が出る可能性があるので、医療機関を受診しましょう。 Ⅲ型(重症) 項目 状態 具体例 違和感 激しい違和感 患部に触れることすら困難なほどの激しい違和感 腫れ 広範囲の著しい腫れ 患部全体が大きく腫れ上がり、変形しているように見える 内出血 広範囲の著しい内出血 患部全体が青黒く変色し、皮下出血が広範囲に及ぶ 筋肉の状態 筋肉の完全断裂 筋肉に明らかなへこみや断裂が見られ、力を入れることが不可能 日常生活への影響 歩行不能 足に体重をかけられず、自力での歩行が不可能 治療 手術の検討が必要 手術による筋肉の修復が必要な場合や、長期のリハビリが必要 Ⅲ型(重症)まで進行すると、激しい違和感や著しい腫れ、内出血を引き起こし、私生活にも大きな支障をきたします。 医療機関の受診だけでなく、症状の進行によっては手術の検討が必要です。また、手術後は医師の指導のもと、長期のリハビリが必要になります。 【チェックリスト】1つでも当てはまったら太ももの肉離れを疑おう! 項目 例 運動中または運動後に太ももに急激な違和感を感じる ダッシュ中に「ピキッ」と音がした、運動後に太ももに急な違和感が走る 太ももの特定の部分を押すと違和感を感じる 太ももの裏側を押すと、ズキッとした違和感がある 太ももに腫れや熱感がある 太ももがいつもより太く感じる、触ると熱がある 「ブチッ」や「バチッ」のような断裂音や感覚があった 運動中に太ももで音がした、何か切れたような感覚があった 太ももに内出血(青あざ)がある 太ももの裏側に青黒いあざができている 太ももの筋肉にへこみや硬い部分がある 太ももの筋肉にへこんだ部分がある、触ると硬いしこりのようなものがある 股関節を伸ばすと違和感を感じる 太ももの前側を伸ばすと、太ももの裏側に違和感がある 歩行や階段の昇り降りがいつも以上に辛い 階段を一段上がるのも辛い、歩くのが困難 安静にしていても、太ももに違和感を感じる 寝ていても太ももがズキズキ痛む 過去に同じ部位で肉離れを起こしたことがある 以前肉離れしたところが、再発した これから紹介する肉離れのチェックリストに1つでも当てはまった場合、太ももの肉離れを疑いましょう。肉離れの早期回復は早期発見が大切です。 太ももの肉離れの症状がわかるチェックリストを紹介します。 運動中または運動後に太ももに急激な違和感を感じる 肉離れは筋肉にストレスや負担がかかることで、違和感を引き起こします。 運動中または、運動後に太ももに普段は感じない、急激な違和感を覚えた場合は肉離れの症状を疑いましょう。 太ももの特定の部分を押すと違和感を感じる 肉離れを起こした筋肉は、炎症を引き起こします。 炎症や断裂、腫れなどが発症し、その部分を押すと違和感があります。 太ももを押したときの違和感は、肉離れを疑いましょう。 太ももに腫れや熱感がある 太ももに腫れや熱感が現れるのも、肉離れの特徴です。肉離れは、筋肉の繊維が部分的または完全に断裂し、発症します。 断裂を引き起こすと、身体は自然治癒を促すために炎症反応を起こし、皮膚に熱感が現れます。 違和感のある箇所だけが、熱感を持つ場合、肉離れの症状を疑いましょう。 「ブチッ」や「バチッ」のような断裂音や感覚があった 肉離れを起こすと、普段耳にしない「ブチッ」や「バチッ」のような異音がします。必ず音が鳴るわけではありませんが、この断裂音は筋膜や筋線維が損傷、断裂した際に起こる音であり、強い違和感に襲われます。 断裂音や違和感が発生した場合は、すぐに運動を中止し、応急処置を行なった後、医療機関を受診しましょう。 太ももに内出血(青あざ)がある 太ももが損傷を起こすと、内出血(青あざ)の症状が現れます。 筋肉が急な力で引き伸ばされ、部分的に断裂すると、筋肉内の毛細血管が損傷します。 症状が軽度であれば、内出血が目立つことはありません。しかし重度の場合、広範囲に渡り、内出血(青あざ)ができます。(文献5) 太ももの筋肉にへこみや硬い部分がある 肉離れを起こした箇所の損傷が大きいと、断裂した部分がへこんで見えることがあります。 へこんで見える理由は、筋肉の修復過程で線維化(せんいか)が起こり、結合組織が硬直するためです。 筋肉にへこみがある状態を放置すると、筋肉の柔軟性が低下し、再発する恐れがあります。 股を伸ばすと違和感を感じる 太ももの肉離れが起こると、股を伸ばすと違和感があります。 股関節に違和感が生じるのは、損傷した筋肉が伸張されるためです。 股を伸ばした際に違和感がある場合は、無理に運動やストレッチをせず、安静などの適切な処置を行いましょう。 歩行や階段の昇り降りがいつも以上に辛い 歩行や階段の上り下りは、症状が太ももに顕著に現れます。 肉離れの症状を抱えた状態で、歩行や階段の上り下りを無理して続けることで、筋肉への違和感が増し、重症化する恐れがあります。 歩行や階段で問題なくとも、違和感があれば安静・治療を優先しましょう。 安静にしていても、太ももに違和感を感じる 原因 状態 具体例 瘢痕組織の形成 筋肉の修復過程で、柔軟性の低い瘢痕組織が形成される 長時間座った後に立ち上がると、太ももの裏側がつっぱる、以前のようにスムーズに足が上がらない 神経の過敏化 損傷部位周辺の神経が過敏になり、わずかな刺激でも違和感がある 寝返りを打つときや、太ももに軽く触れただけで、ピリッとした違和感がある 炎症の持続 筋肉の損傷部位で炎症が完全に治まらず、違和感が続く 安静にしていても、太ももの奥の方がズキズキする、患部が熱っぽく感じる 太ももの肉離れは、安静にしていても、違和感が改善されないことがあります。 肉離れで起きた筋肉の損傷や、炎症が治るまでに時間がかかります。 しかし、時間が経過しても違和感が改善しない場合は、医療機関を受診しましょう。 過去に同じ部位で肉離れを起こしたことがある 原因 状態 対策 筋肉の柔軟性低下 損傷部位の筋繊維が修復されても、元の柔軟性に戻らない 回復後も継続的なストレッチで柔軟性を維持する 筋力の低下 安静期間中に筋肉が弱まり、運動再開時に負荷が集中する リハビリで段階的に筋力を回復させ、運動再開後も筋力トレーニングを継続する 不完全な回復での復帰 違和感が残ったまま運動を再開し、筋肉の耐久力が十分に戻っていない 回復後もリハビリを継続し、筋肉の状態を十分に整えてから運動を再開する 肉離れは再発しやすい症状です。一度肉離れを引き起こすと、筋肉が損傷した部分を補うために瘢痕組織(はんこんそしき)が形成されます。 この組織は元の筋肉組織に比べて、柔軟性が低いため、再び同じ部位に負荷がかかると損傷しやすいのが特徴です。 肉離れ後は、安静期間で筋肉が弱まり、回復後も耐久力が低下するため、再発する恐れがあります。 太ももの肉離れを起こしたときの対処法 対処法 内容 目的 RICE処置 安静(Rest)冷却(Ice)圧迫(Compression)挙上(Elevation) 炎症と腫れを抑え、症状を軽減する リハビリテーション 専門家(医師や理学療法士)の指導の下、ストレッチや筋力トレーニングを行う 筋肉の柔軟性と筋力を回復させ、再発を予防する 再生医療(PRP療法) 自身の血液から抽出したPRP(多血小板血漿)を患部に注入し、組織の修復を促進する 自然治癒力を高め、回復を早める 太ももの肉離れは、適切な対処を早期に実施しましょう。 肉離れを起こしたときの対処法について解説します。 以下の記事では、肉離れが全治するまでの期間を詳しく解説しています。 RICE処置 項目 内容 理由 具体例 Rest(安静) 太ももを動かさないようにし、安静に保つ 損傷した筋肉の回復を促し、悪化を防ぐ 横になって足を高く上げる、松葉杖を使う Icing(冷却) 患部を氷や冷却パックで15~20分冷やし、数時間おきに繰り返す 炎症と腫れを抑え、症状を軽減する 冷凍した保冷剤や氷嚢をタオルで包み、患部に当てる Compression(圧迫) 弾性包帯などで患部を圧迫し、腫れを防ぐ 内出血と腫れを抑制する 太もも全体を覆うように弾性包帯を巻く(締めすぎに注意) Elevation(挙上) 患部を心臓より高い位置に保ち、腫れを軽減する 重力により腫れや内出血を抑制する クッションや椅子を使って太ももを高く上げる 太ももの肉離れの応急処置として、最初に行われるのがRICE処置です。 RICE処置では、Rest(安静)→Icing(冷却)→Compression(圧迫)→Elevation(挙上)の流れで応急処置を進めます。 RICE処置はあくまで、応急処置のため、対応後は早急に医療機関を受診しましょう。 以下の記事では、肉離れの応急処置について詳しく解説しています。 リハビリテーション 目的 内容 期間 筋肉の修復促進 ストレッチ、軽い運動 回復期(受傷後1週間~数週間) 筋力低下の防止・回復 段階的な筋力トレーニング 回復期、スポーツ復帰期 再発予防 正しい体の使い方、運動方法の習得 スポーツ復帰期 肉離れを起こした後は、医師の指導のもと、リハビリを開始します。 リハビリでは、筋力が衰えないようにストレッチや、軽い運動からスタートし、段階的にトレーニングを行います。 リハビリは無理せず、違和感があれば中止し、医師に相談しましょう。 以下の記事では、肉離れのストレッチについて詳しく解説しています。 再生医療(PRP療法) 再生医療(PRP療法)は自身の血液から抽出した、PRP(多血小板血漿)を活用し、太ももの肉離れで発生した組織の損傷に回復を促す治療法です。 PRP(多血小板血漿)に含まれる抗炎症作用は、炎症を抑制し、機能回復の向上を促進させます。 自身の血液を使用するため、アレルギー反応や感染症のリスクが低いのも利点です。 手術や長期リハビリに抵抗がある方には、再生医療(PRP療法)が有効です。 以下の記事では、再生医療(PRP療法)のメリット・デメリットを詳しく解説しています。 太ももの肉離れを疑う際は医療機関を受診しよう 太ももの肉離れが疑われる場合は、医療機関を受診しましょう。肉離れは早期発見が大切です。 また、太ももの肉離れをなるべく早く改善したい方は、再生医療を検討いただければと思います。 再生医療であれば、手術を必要とせず、太ももを始めとした肉離れの症状に、患者様自身から採取した血液『多血小板血漿(Platelet-Rich Plasma:PRP)』を抽出し、症状の回復を促します。 太ももの肉離れにお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて、当院へお気軽にご相談にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) 奥脇 透.「肉離れの診断と治療」『第26回 日本臨床スポーツ医学会 学術集会』pp.1-3.2016年 https://www.rinspo.jp/journal/2010/files/24-3/331-333.pdf(最終アクセス:2025年3月17年) (文献2) 久保田喬之,兵頭甲子太郎「運動後の筋疲労回復処置がストレスマーカーに及ぼす影響」『理学療法―臨床・研究・教育』, pp.1-3, 2014年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/ptcse/21/1/21_56/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年3月17年) (文献3) 「5.肉離れ」『スポーツ損傷シリーズ』pp.1-2 https://jsoa.or.jp/content/images/2023/05/s05.pdf最終アクセス:2025年3月17年) (文献4) 栄養コンサルタント社(NCco.)「炎症について最もわかりやすい解説」日本ビューティーヘルス協会,2022年4月18日 https://eiyo-c.com/ensho/(最終アクセス:2025年3月17年) (文献5) 公益社団法人日本整形外科学会「症状・病気をしらべる」公益社団法人日本整形外科学会. https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/pulled_muscle.html(最終アクセス:2025年3月17年)
2025.03.31 -
- その他、整形外科疾患
仙腸関節炎の原因を知りたい 仙腸関節炎のずれと症状の関係性について知りたい 腰や、下半身の違和感で毎日のデスクワークが辛いと感じていませんか。その症状は仙腸関節炎と呼ばれる関節の疾患かもしれません。 仙腸関節炎に馴染みがない方も多いことでしょう。仙腸関節炎は、腰と骨盤をつなぐ仙腸関節に炎症が生じる疾患です。 放置すると慢性的な違和感が続き、後遺症となる可能性があります。 仙腸関節炎の原因 仙腸関節炎の主な症状 【自宅でできる】仙腸関節炎の改善策 仙腸関節炎の治療法 仙腸関節炎の原因に関するよくある質問 記事の最後には、仙腸関節炎に関する質問にお答えしますので、ぜひ最後までご覧ください。 仙腸関節炎の原因 原因 詳細 長時間の座り仕事 デスクワークなどで長時間座り続けると、仙腸関節周辺の筋肉が硬くなり、関節への負担が増る。 重量物を持ち上げる 重い物を持ち上げる動作は、仙腸関節に大きな負荷をかけ、炎症を引き起こすことがある 体重の増加 体重が増加すると、仙腸関節への負担が増え、炎症のリスクが高くなる。とくに、腹部の脂肪は腰椎を前弯させ、仙腸関節への負担を増加させる 無理な姿勢 腰を捻る、足を大きく前後に開く、中腰などの無理な姿勢は、仙腸関節に過度の負担をかけ、炎症を引き起こす 足を組んで座る習慣 足を組むと骨盤が歪み、仙腸関節への負担が増る 筋力の低下 仙腸関節周辺の筋肉が弱いと、関節を十分に支えられず、負担が増加する 仙腸関節炎は、長時間の座り仕事や、重量物を持ち上げるなどの作業で発症します。 仙腸関節炎の原因について、詳細に解説します。 長時間の座り仕事 原因 仙腸関節への影響 症状への影響 血行不良と筋肉の硬直 仙腸関節周囲の筋肉・靭帯の血流阻害、組織硬化 炎症の誘発など 姿勢の悪化と関節への負担 骨盤歪曲、仙腸関節への過剰負荷 関節の不安定化、炎症の誘発 運動不足による筋力低下 体幹・骨盤周囲筋力低下、関節支持性低下 関節の不安定化、炎症の誘発 長時間の座り仕事は、仙腸関節へ負担をかける原因になります。長時間の座り仕事が習慣化している場合は、適度に椅子から立ち上がり、ストレッチを入れることで、仙腸関節炎の発症リスクを減らせます。 重量物を持ち上げる 要因 仙腸関節への影響 症状への影響 不適切な持ち上げ方 腰部・骨盤周囲への過剰な負荷、仙腸関節への過剰なストレス 炎症の誘発、関節の不安定化 背中を丸めた姿勢 仙腸関節への過剰なストレスが集中する 炎症の誘発、関節への違和感を誘発させる (文献1)(文献2) 重量物を不適切な持ち方で持ち上げたり、背中を丸めた姿勢で持ち上げたりすると、腰部・骨盤周囲に過剰な負荷がかかり、仙腸関節炎を誘発させます。 力仕事などで重量物を持ち上げる場合は、膝を曲げて腰を落とし、背筋を伸ばした状態で持ち上げるなど、仙腸関節にストレスを与えないのが大切です。 体重の増加 要因 仙腸関節への影響 症状への影響 体重の増加 関節への負荷増大、骨盤への負担増大 炎症の誘発、関節の不安定化など 腹部への脂肪蓄積 腰椎前弯増強(ようついぜんわんぞうきょう)、仙腸関節への負担増大 腰部の違和感の増加、姿勢悪化 仙腸関節は、上半身の体重を下半身で支えるための重要な関節です。体重が増加すると、仙腸関節にかかる負荷が大きくなり、筋肉は重さに耐えきれません。 仙腸関節は、わずかな動きで衝撃を吸収するクッションのような役割も担っていますが、負荷がかかると、その機能が低下し、仙腸関節炎を引き起こします。 仙腸関節炎を発症させないためには、体重管理や仙腸関節炎の予防や改善が大切です。 腰を捻る・足を大きく前後に開く・中腰などの無理な姿勢 姿勢 仙腸関節への影響 症状への影響 腰を捻る 関節への回転方向の過剰負荷 靭帯・筋肉への負担増大、炎症の誘発 足を大きく前後に開く 骨盤の前後への過剰伸長 骨盤の前後への過剰伸長 中腰 上半身の体重集中、関節への過剰負荷 炎症の誘発、腰部へのストレス 腰を捻る・足を大きく前後に開く・中腰などの無理な姿勢は、仙腸関節に過剰な負荷がかかります。この負荷が継続すると、仙腸関節に炎症を引き起こします。 座り・立ち仕事では、不安定な体勢は控え、正しい姿勢で仕事をしましょう。また作業の合間にストレッチや休憩を入れ、筋肉をほぐすのも効果的です。 足を組んで座る習慣 要因 仙腸関節への影響 症状への影響 骨盤の歪み 仙腸関節への負荷、関節の不安定化 炎症の誘発など 筋肉のアンバランス 骨盤の支持力低下、関節への負担増大 炎症リスクの増大 関節への圧力 片側股関節への過剰圧力、仙腸関節への負担 炎症の誘発など 足を組んで座る習慣は、仙腸関節炎のリスクを高める要因です。足を組むと、骨盤が左右どちらかに傾き、歪みが生じます。 歪みが慢性的に続くと、仙腸関節にかかる負荷が不均等になり、間接周囲の靭帯や筋肉に負荷がかかり、炎症を引き起こす原因になります。 仙腸関節炎を誘発させないために、足を組んで座る習慣はやめるようにしましょう。 筋力の低下 項目 説明 仙腸関節への影響 仙腸関節の安定性 仙腸関節は上半身と下半身をつなぎ、体重の支持や衝撃の吸収に関与する 周囲の筋肉が安定性を保つために重要 体幹筋機能の低下 体幹筋(コアマッスル)の機能低下は、腰痛のリスクを高める 仙腸関節への負荷が増加し、炎症や不快感の原因となる 仙腸関節障害患者の筋活動パターン 大臀筋の出力遅延、ハムストリングスの早期活動が見られる 筋力バランスが崩れ、関節への負荷が増加する 筋力の低下は、仙腸関節炎を引き起こします。筋力低下は、関節への負担を増やし、腰痛などの不調を引き起こす原因になります。 仙腸関節炎の予防には、適度な運動による筋力維持が大切です。定期的な運動で筋力を維持しましょう。 仙腸関節炎の主な症状 症状 詳細 片側の腰や臀部に違和感がある 腰の奥や臀部の片側に、ズキズキとした違和感や、重だるいような感覚がある 長時間座っていると負担を感じる デスクワークなどで長時間座っていると、腰や臀部に違和感やこわばりが強くなる 長時間立っていると辛い 長時間立っていると、腰や臀部の違和感が増し、立っているのが辛くなる 歩くのが辛い 歩く度に腰や臀部に違和感がある、歩幅が狭くなったり、歩くスピードが遅くなったりする 仰向けに寝れない 仰向けに寝ると、腰や臀部に違和感があり、横向きやうつ伏せでしか眠れなくなる (文献3) 仙腸関節炎の主な症状は、腰部や臀部に違和感を覚え、長時間の同じ姿勢が辛くなるなどが挙げられます。 仙腸関節炎で引き起こる症状について、解説します。 片側の腰や臀部に違和感がある 症状 原因 仙腸関節の不安定化 周囲の筋肉のサポート不足や、骨盤の歪みなど 仙腸関節への負担増加 衝撃吸収力の低下や、姿勢の悪化 筋力低下や仙腸関節のバランスが不安定になると、安定性が損なわれ、骨盤の歪みや炎症の原因になります。 腰や臀部の違和感防止のためにも、日頃から正しい姿勢を意識し、足を組む座り方などは控えましょう。 長時間座っていると負担を感じる 負担の要因 詳細 持続的な圧力 体重の集中、不良姿勢による骨盤歪み 筋肉の硬直と血行不良 同一姿勢による筋硬直、酸素・栄養供給阻害 骨盤の不安定化 周囲筋の弱体化、関節負担増加 長時間座位は、仙腸関節に持続的な圧力をかけ、周囲筋の硬直と血行不良を招きます。とくに長時間の同じ姿勢は、仙腸関節炎を引き起こす原因になります。 デスクワークが習慣の場合は、数分に一回は立ち上がるなど、体重が一点にかからない工夫が大切です。 長時間立っていると辛い 負担の要因 詳細 持続的な負荷 体重集中、関節圧迫による摩擦増加 筋肉の疲労と緊張 周囲筋の緊張、血行不良による炎症物質蓄積 関節の不安定性 可動域制限、衝撃吸収機能低下 長時間同じ姿勢での立位は、体重を仙腸関節に集中させ、持続的な負荷をかけます。仙腸関節に負荷がかかることで、関節の摩擦が増加し、炎症を引き起こしやすくなります。 長時間の立ち仕事の場合は、定期的にストレッチや座れるタイミングで数分座るなど、仙腸関節を休ませましょう。 歩くのが辛い 不快感の要因 詳細 体重移動時の負担 片足に体重移動で関節にズレ、炎症部位を刺激 歩行パターンの変化 関節の違和感回避で歩幅が狭まり、他の部位に負担増 階段・坂道での負担増 平地より関節への負荷が増大し、不快感が増強 仙腸関節炎は、歩行時の体重移動で関節にズレが生じます。ズレが炎症部位が刺激し、違和感を引き起こします。(文献4) 関節の違和感をかばって歩き方を変えると、他の場所に負担がかかり、悪化する可能性があります。歩くのが辛いと感じた場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。 仰向けに寝れない 仰向けに寝れない原因 詳細 体圧の集中と姿勢の歪み 体重が特定の部位に集中、骨盤や背骨の歪み 筋肉の過緊張 日中の姿勢不良、ストレスによる筋肉の硬直 睡眠環境の不適合 寝具の硬さや温度、騒音や光 仙腸関節炎を発症すると、体重が特定の部位に集中し、骨盤や背骨の歪みに歪みが生じます。また、筋肉の過緊張や睡眠環境が重なると、さらに仰向けに寝れず、安眠の妨げになります。 睡眠の妨げは、仙腸関節炎を悪化させるため、睡眠環境は日頃から整えましょう。 【自宅でできる】仙腸関節炎の改善策 改善策 詳細 姿勢の改善 正しい姿勢の保持、骨盤の安定性向上 ストレッチとエクササイズ 筋肉の柔軟性向上、筋力強化 体重管理 適切な体重維持、関節への負担軽減 仙腸関節炎の改善は、日常生活の中で、継続的に取り組むことが大切です。これから紹介する内容は医師の指導のもと行い、無理のない範囲で行いましょう。 以下の記事では、仙腸関節炎の治し方を詳しく解説しています。 姿勢の改善 改善ステップ 詳細 1. 仙腸関節炎への負担軽減 正しい姿勢と動作で負荷を分散し、骨盤を安定させ、炎症と違和感を抑制 2. 筋肉のバランス調整 筋肉を緩め、骨盤を強化し、関節を安定させる 3. 日常生活動作の改善 動作時の負担を減らし、正しい動作を習慣化 姿勢の改善は、日々の継続が大切です。骨盤を正しい位置に保ち、長時間同じ姿勢を避けることで、関節への負荷を抑制します。 日常生活では、立ち座りや歩行時の姿勢、重い物の持ち方など、動作時の負担を減らす工夫をしましょう。 ストレッチとエクササイズ 改善ポイント 詳細 筋肉の柔軟性向上と強化 ストレッチ:筋肉の柔軟性を高め、関節の可動域を広げる エクササイズ:関節を支える筋肉を強化し、安定性を高める 骨盤の歪み改善と姿勢の矯正 特定のストレッチやエクササイズで骨盤の歪みを矯正し、正しい姿勢を維持するための筋肉を強化する 血行促進と違和感の緩和 筋肉の血行を促進し、疲労物質の排出を促すことで、炎症を抑制し違和感を緩和 仙腸関節炎の改善には、ストレッチとエクササイズが効果的です。ストレッチは筋肉の柔軟性を高め、関節の可動域を広げます。エクササイズは関節を支える筋肉を強化し、安定性を向上させます。 自己流のストレッチとエクササイズは、無理な負荷や、間違った骨盤矯正の恐れがあります。ストレッチとエクササイズを実践する際は、医師の指示に従いましょう。 体重管理 改善ポイント 詳細 仙腸関節への負担軽減 体重増加による負荷を軽減し、骨盤の安定性を保つ 筋肉や関節への好影響 筋肉への負担を軽減し、関節の軟骨の磨耗を抑制する 全身への好影響 全身の炎症反応を抑制し、運動機能を向上させる 仙腸関節炎の改善には、継続的な体重管理が大切です。体重が増加すると、仙腸関節への負荷が増大し、炎症や違和感を悪化させる可能性があります。 適切な体重管理は、仙腸関節へ負荷を軽減し、骨盤の安定性を保ちます。体重管理は、過度なダイエットではなく、医師の指示に従った管理方法で行いましょう。 仙腸関節炎の治療法 治療法 詳細 薬物療法 鎮痛剤や湿布などを用いて、違和感を緩和する 神経ブロック(麻酔) 仙腸関節周辺に局所麻酔薬を注射し、違和感を遮断する 理学療法 専門家によるストレッチや運動療法で、関節の動きを改善し、違和感を軽減する 再生医療 PRP療法や幹細胞療法などを用いて、損傷した組織の修復を促す 仙腸関節炎の治療は、状態や症状によって治療法が異なります。各治療法は、医師の診察のもと行われます。 仙腸関節炎の治療法について、紹介します。 薬物療法 治療法 詳細 炎症と違和感の抑制 NSAIDsや鎮痛薬で炎症を抑え、違和感を緩和し、日常生活を改善 症状の緩和と機能回復 違和感を和らげ、運動療法やリハビリを促進し、日常生活の質を向上 薬物療法の種類 各種薬剤で炎症や違和感を抑制、筋肉を弛緩させ、強力な抗炎症作用で速やかに違和感を緩和 仙腸関節炎の薬物療法は、炎症と違和感を抑制し、症状の緩和を促します。NSAIDsや鎮痛薬は、炎症を引き起こす物質の生成を抑える効果があり、日常生活の改善に役立ちます。 NSAIDs、鎮痛薬、筋弛緩薬、ステロイド注射などの多様な種類が特徴です。薬物療法は、仙腸関節炎の状態や、薬剤の適正を考慮して行われます。 神経ブロック(麻酔) 治療ポイント 詳細 期待できる効果 違和感の悪循環を遮断 違和感の伝達経路を遮断し、筋肉の緊張を緩和 違和感の軽減、関節の動き改善 炎症の抑制 局所麻酔薬やステロイドで炎症を抑制 違和感の根本原因にアプローチし、症状を改善 診断と治療の併用 違和感の原因を特定し、同時に治療も行う 違和感の発生源を診断し、機能回復を促進 神経ブロック療法は違和感を遮断し、炎症の抑制を促します。局所麻酔薬やステロイドなどの抗炎症薬を併用し、根本的な原因の改善を目指します。 ブロック注射後は激しい運動は控え、入浴は避けましょう。 以下の記事ではブロック注射について詳しく解説しています。 理学療法 治療ポイント 詳細 期待できる効果 仙腸関節の機能改善 手技や運動療法で関節の可動域と安定性を向上 関節の柔軟性向上、負担軽減、違和感の緩和 違和感の緩和 マッサージやストレッチで筋肉の緊張を緩和させる 血行促進、動作時の違和感を軽減 再発予防 正しい姿勢や日常生活動作の指導で、関節への負担を軽減 負担を軽減、再発リスクの低減、日常生活での違和感の軽減 (文献5) 仙腸関節炎の理学療法は、関節の機能改善、違和感の緩和、再発予防を目的に行われます。 理学療法では、仙腸関節に負担のかからない動作を医師が指導し、日常生活で違和感の発症や再発の予防を目指します。 再生医療 治療ポイント 詳細 期待できる効果 組織の修復促進 PRP療法や幹細胞療法により、損傷した組織の修復を促進 関節や靭帯の修復、違和感の根本を改善 軽減と機能回復 成長因子や細胞の働きにより、炎症を抑制し、違和感を軽減 長期的な違和感の緩和、関節機能の回復、運動能力の向上 他の治療法との併用 理学療法や薬物療法と組み合わせて、相乗効果が期待できる 総合的な症状改善、再発予防 仙腸関節炎に対する再生医療は、損傷した組織の修復を促進し、違和感の根本的な改善を目指します。再生医療は、患者様自身の細胞を用いた治療法のため、副作用や感染症のリスクが低いのが利点です。 以下の記事では当院の再生医療について、詳しく解説しています。 仙腸関節炎の原因を理解し症状の悪化を防ごう 仙腸関節炎の原因は、長時間の座り仕事や体重の増加など、仙腸関節に対する負荷が挙げられます。仙腸関節炎の症状を改善するには、姿勢や負荷のかからないストレッチ・エクササイズを継続的に行いましょう。 改善しない仙腸関節炎には、再生医療も選択肢です。再生医療であれば、仙腸関節炎の原因を根本から取り除き、症状の改善が望める可能性があります。 リペアセルクリニックでは、再生医療以外にも、患者様に適した仙腸関節炎の治療法を提案します。 改善が見込めない仙腸関節炎でお悩みの方は、お気軽に「メール相談」や「オンラインカウンセリング」にお問い合わせください。 仙腸関節炎の原因に関するよくある質問 仙腸関節炎のずれと症状の関係性はありますか? 仙腸関節のずれと症状の関連性については、医学的に証明されていません。仙腸関節のずれは、画像検査で明確に確認するのは困難です。 症状の原因は、関節周囲の組織の炎症や神経の過敏化とされています。 仙腸関節炎はどのような人に多いですか? 仙腸関節炎は、長時間の同じ姿勢や、無理な体勢を日常的に行う人に多いです。 仙腸関節に負荷のかかる姿勢で負荷が積み重なり、炎症を引き起こします。無理な姿勢や体重の増加が気になる方は、ライフスタイルの改善を行いましょう。 スポーツや運動で仙腸関節炎になりますか? スポーツや運動で仙腸関節に負荷がかかると発症のリスクが高まります。 発症を予防するには、運動前に十分な準備運動とストレッチを日頃から取り入れ、筋肉や関節の柔軟性を保つようにしましょう。 仙腸関節炎は遺伝しますか? 仙腸関節炎を含む脊椎関節炎と呼ばれる疾患群は、HLA-B27遺伝子と関連がある可能性があります。しかし必ず発症するわけではありません。(文献6)(文献7) 遺伝以外の生活習慣や環境要因にも注意し、適切な予防を行いましょう。 仙腸関節炎は加齢が原因で起こることはありますか? 仙腸関節炎の主な原因は、姿勢の偏り、外傷、体重増加です。加齢も要因となります。しかし、仙腸関節炎の症状が現れた場合は、加齢と判断せず、医療機関を受診しましょう。 参考文献 (文献1) 腰痛予防指針「重量物取扱いなどによる腰痛を予防しましょう」 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000099336_3.pdf(最終アクセス:2025年3月18日) (文献2) 独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所「腰部負担からみた我が国の重量物持ち上げガイドラインについて」労働安全衛生総合研究所, https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/mail_mag/2024/187-column-1.html(最終アクセス:2025年3月18日) (文献3) 黒澤 大輔, 村上 栄一.「仙腸関節痛の発生・慢性化のメカニズム」『J-STAGE』2021年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspineres/12/6/12_2021-0604/_article/-char/ja(最終アクセス:2025年3月18日) (文献4) 松本守雄ほか.「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021(改訂第3版)」pp.1-103, 2021年 https://minds.jcqhc.or.jp/common/wp-content/plugins/pdfjs-viewer-shortcode/pdfjs/web/viewer.php?file=https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00645.pdf&dButton=false&pButton=false&oButton=false&sButton=true#zoom=auto&pagemode=none&_wpnonce=3b871a512b(最終アクセス:2025年3月18日) (文献5) 羽田 清貴.「仙腸関節痛を有する症例に対する理学療法の一考察」『J-STAGE』2007年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyushuptot/2007/0/2007_0_161/_article/-char/ja/(最終アクセス:2025年3月18日) (文献6) 一般社団法人 日本リウマチ学会「脊椎関節炎(SpA)」一般社団法人 日本リウマチ学会,2022年5月22日 https://www.ryumachi-jp.com/general/casebook/sekitsuikansetsuen/(最終アクセス:2025年3月20日) (文献7) Copyright(C) 公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター「強直性脊椎炎(指定難病271)」難病情報センター」難病情報センター,2024年11月 https://www.nanbyou.or.jp/entry/4847(最終アクセス:2025年3月20日)
2025.03.31 -
- その他、整形外科疾患
乾癬性関節炎が治った実例を知りたい 乾癬性関節炎と診断されたが、休むべきかを知りたい 乾癬性関節炎と診断され、不安を感じていませんか?皮膚の腫れや関節の違和感に悩み、治る見込みがあるのか・仕事を続けるべきかなど、さまざまな疑問を持つ方も多いでしょう。 結論、乾癬性関節炎は適切な治療と対策で症状が改善する見込みがあります。 乾癬性関節炎の治った事例について 乾癬性関節炎が治らないと言われる理由 乾癬性関節炎の活動性を抑える治療法 乾癬性関節炎を治したい方からよくある質問 本記事では、乾癬性関節炎の完治について言及したのち、対策案やよくある質問について解説します。 乾癬性関節炎が治った事例はないが緩和させることはできる 2025年現在、乾癬性関節炎が治った事例はありません。しかし、乾癬性関節炎の症状を緩和させることはできます。 乾癬性関節炎が改善したキャスリーンさんのインタビューでは、症状を治すのではなく、コントロールが大事であると答えています。乾癬性関節炎は治すのではなく、症状と向き合う姿勢が大切です。 乾癬性関節炎の治療は、症状の進行を抑え、日常生活や社会復帰を目指すことが目的です。適切な治療と生活習慣の改善により、多くの人が症状をコントロールしながら生活しています。(文献1)(文献2) 以下の記事では、乾癬性関節炎の症状を改善するために症状別で何科を受診するべきかを紹介しています。 乾癬性関節炎が治らないと言われる理由 乾癬性関節炎は現在の医学では治らない病気と言われています。治らない主な理由としては、乾癬性関節炎は自己免疫疾患であり、根本的に免疫異常を修正する治療法がありません。 乾癬性関節炎は自己免疫疾患のため 慢性疾患であり、寛解と再発を繰り返すため 関節のダメージは元に戻らないため 免疫抑制剤や生物学的製剤は完治させるわけではない 症状の程度が異なる 乾癬性関節炎が治らないと言われる理由について解説します。 乾癬性関節炎は自己免疫疾患のため 乾癬性関節炎は自己免疫疾患に分類されます。 免疫は本来、ウイルスや細菌などから身体を守る役割を担っていますが、何かしらの要因で誤って自分自身の組織を攻撃してしまうようになり、炎症や組織破壊を引き起こします。このような免疫異常を完全に元に戻す治療法は現時点では確立されていません。 乾癬性関節炎を治すことはできませんが、早期発見であれば適切な治療で症状の緩和や進行の抑制は可能です。 慢性疾患であり、寛解と再発を繰り返すため 乾癬性関節炎は、慢性疾患のため寛解と再発を繰り返します。免疫系の異常でおきた炎症は持続しやすく、傷ついた組織が腫れなどを引き起こすためです。 再発しないためには、ストレスや感染症、食生活の乱れなどに注意し、過度な負担は与えないことが大切です。 ある程度コントロール可能な病気ではあるものの、いつ再発してもおかしくないことを認識しておきましょう。(文献3) 関節のダメージは元に戻らないため 乾癬性関節炎の炎症が長期間続くと、関節や腱の損傷が進行し、変形が起こる可能性があります。関節へのダメージを元通りにする治療法はありません。 公益財団法人結核予防会 複十字病院 膠原病リウマチセンターの資料によると、早期の乾癬性関節炎の患者で2年後くらいの間に関節障害が増加し、発症から期間が長くなればなるほど、関節破壊が進行すると記載されてます。(文献4) 関節へのダメージを元通りに修復させるのは難しいですが、治療を行うことで日常生活への支障を減らすことはできます。 免疫抑制剤や生物学的製剤は完治させるわけではない 薬の種類 作用 特徴 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) 炎症を抑える 炎症をある程度抑えることはできるものの、症状の進行を止める効果はない DMARDs(抗リウマチ薬) 関節の破壊を抑える 関節の変形を防ぐが、免疫の異常を根本から止められない 生物学的製剤・JAK阻害薬 免疫の異常な働きを抑える 炎症を強力に抑えるが、病気を根本的に治すわけではない (文献2) 現在の治療薬では、ある程度症状のコントロールはできても、根本の解決はできません。治療薬は、免疫の異常な反応の抑制や、関節の炎症や腫れを軽減などを目的としています。 治療薬は症状の緩和、関節破壊の進行抑制、生活の向上のために服用するものです。また、治療薬を服用する際は自己判断で量を調整したり、中断したりしてはいけません。 医師の指示に従い、服用しましょう。 症状の程度が異なる 症状の程度 関節の症状 その他の症状 日常生活への影響 軽度 関節の腫れや違和感がわずか、こわばりが比較的軽い 皮膚の炎症が部分的で、発疹の範囲が狭い 日常生活にほとんど影響がない 重度 複数の関節に激しい炎症や、変形が進行してる 爪の変形や剥離などがある 日常生活に支障をきたす、または困難になる (文献2) 乾癬性関節炎の症状には、個人差があります。そのため、適切な治療法も改善スピードも人それぞれです。 軽度であれば、適切な治療で日常生活に支障がない状態を維持できます。しかし重度の場合、関節破壊が進み、日常生活がままならない状態になる可能性があります。 また、乾癬性関節炎の発見が遅れるほど関節破壊が進行し、症状が重症化します。(文献2) そのため、医師と相談しながら、自分に合った治療法を見つけることが大切です。 乾癬性関節炎の活動性を抑える治療法 治療法 作用 特徴 適用される症状 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) 炎症と違和感を軽減 症状の緩和を目的とし、症状の進行を抑える効果はない 軽度 生物学的製剤(免疫抑制剤) 免疫の過剰な働きを抑え、炎症をコントロールする 関節破壊の進行を抑制する効果が期待できる 中度〜重度 抗リウマチ薬(DMARDs) 関節の炎症を抑え、進行を遅らせる 関節破壊の進行を抑制し、長期的な効果が期待できる 中度〜重度 ステロイド剤(短期間の使用) 強い炎症を一時的に抑えるが、長期使用は副作用のリスクがある 炎症が急激に悪化した際に短期間使用し、医師の指示に従うことが大前提 症状が急に悪化したとき 生活習慣の改善(食事・運動) 栄養バランスの取れた食事や適度な運動が、症状の悪化を防ぐのに役立つ 肥満は関節への負担を増加させるため、体重管理も重要 すべての症状 (文献2) 乾癬性関節炎は、皮膚症状と関節症状(違和感や腫れ、こわばり)の両方に対応し、症状を最小限に抑えることが目標です。 以下の治療法はすべて医師と相談した上で行うことが大前提です。 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) 乾癬性関節炎の初期治療では、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が用いられます。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は関節の違和感や炎症を抑えますが、症状の進行を抑えるものではありません。 非ステロイド性抗炎症薬を3~6カ月間使用しても改善が見られない場合は、他の治療法を検討する必要があります。 生物学的製剤(免疫抑制剤) 生物学的製剤は、特定の炎症性物質(TNF-α、IL-17、IL-23など)の働きを阻害し、炎症を抑制します。生物学的製剤を使用するのは、既存の治療法での改善が難しい場合や、関節破壊のリスクが高いときです。(文献3) 関節症状の改善や関節破壊の進行抑制に効果があるとされているものの、使用は症状や患者の状態によって異なります。アレルギー反応などが見られた場合は、使用を中止し、医師へ相談しましょう。 抗リウマチ薬(DMARDs) 抗リウマチ薬(DMARDs)は、免疫システムの異常な働きを調整し、炎症を抑えることで、関節の腫れや違和感を軽減します。使用タイミングは中度〜重度のときに使用を検討します。 抗リウマチ薬(DMARDs)の中でも、とくにメトトレキサートは、乾癬性関節炎の治療で使用される代表的な治療薬です。 炎症や関節の違和感を抑えるのに役立つ反面、副作用として、吐き気、食欲不振、肝機能障害、骨髄抑制などが現れる可能性もあり、使用する際は定期的な血液検査や診察を受ける必要があります。 ステロイド剤(短期間の使用) ステップ 治療内容 薬剤例 期間 備考 1.初期治療 違和感・炎症の緩和 NSAIDs、ステロイド関節注射 症状に応じて 必要に応じてステロイド注射を併用 2.DMARDs(非ステロイド性抗炎症薬)導入 NSAIDsの効果不十分な場合 メトトレキサート、サラゾスルファピリジンなど 3~6カ月 メトトレキサートが第一選択、副作用で使用不可の場合は代替薬 3.DMARDs(非ステロイド性抗炎症薬)強化/生物学的製剤・JAK阻害薬導入 DMARDsの効果不十分な場合 追加のDMARDs、TNF阻害薬、JAK阻害薬など 3~6カ月 重症度や関節外症状に応じて生物学的製剤・JAK阻害薬を検討 4.生物学的製剤・JAK阻害薬変更 効果不十分な場合 他の生物学的製剤 症状に応じて 薬剤の切り替えを検討 (文献2) ステロイド初期治療では症状に応じて使用されますが、改善が見込めない場合にステップを進めていきます。 ステロイド剤は即効性がある一方、長期使用で骨粗しょう症や糖尿病、感染症のリスクが高まるため、医師の指示に従い最小限の量での服用が大切です。 以下の記事では、ステロイド剤の効果について詳しく解説しています。 生活習慣の改善(食事・運動) 項目 内容 積極的に摂るべき食品 オメガ3脂肪酸(青魚、亜麻仁油、チアシード)抗酸化ビタミン(柑橘類、ピーマン、ナッツ、アボカド)食物繊維(野菜、海藻、全粒穀物) 控えるべき食品 糖分・加工食品(清涼飲料水、お菓子、白米・白パン)トランス脂肪酸(ファストフード、スナック菓子)過剰なアルコール・カフェイン おすすめの運動 ウォーキング(20~30分)水中運動(関節の負担軽減)ヨガ・ストレッチ(可動域維持) 避けたほうが良い運動 高負荷筋トレーニング(スクワット・デッドリフト)過度なランニング (文献5)(文献6) 乾癬性関節炎は、生活習慣の改善で完治するものではありませんが、見直すことで症状の悪化をある程度防げます。 食事に関しては、極端に偏らないようにし、体重管理を怠らないようにしましょう。また運動も適度に行うことで、ストレスの軽減や血行促進に役立ちます。 食事も運動も直接的な改善にはならないものの、肥満やメタボリックシンドロームの併発が多いため、日頃の暴飲暴食や運動不足には注意しましょう。(文献6) 以下では糖尿病やメタボリックシンドロームを予防する食事について詳しく紹介しています。 乾癬性関節炎は早めの受診で活動性を抑えよう 乾癬性関節炎は早めの受診で活動性を抑えることが大切です。根本的な治療法は現在の時点では見つかっていないものの、症状のコントロールやある程度の改善は望めます。 乾癬性関節炎の症状にお悩みの方は、無理をせずに当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。再生医療を活用し、乾癬性関節炎の回復を促します。 治らない乾癬性関節炎に対しての不安や悩みは「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にお問い合わせください。 乾癬性関節炎を治したい方からよくある質問 乾癬性関節炎は難病指定されていますか? 2025年現在、乾癬性関節炎は難病指定されていません。乾癬性関節炎は難病指定の条件である患者数が少ないことに該当しないため、指定されていない可能性があります。(文献7) しかし、今後も研究が進むにつれて、将来的に指定難病に認定される可能性はあるでしょう。 乾癬性関節炎における仕事を休むべき基準はありますか? 症状が軽度で、職場環境が整っていれば、働き続けることは可能です。リモートワークや負担軽減策を活用できる環境であれば、利用を検討しましょう。 症状が重度の場合は、休職を検討する必要があります。休職する際は以下の手当てが支給される可能性があります。 傷病手当金 障害者年金 高額療養費制度 その他の支援制度 制度を利用するためには、それぞれ条件を満たす必要があります。申請方法や必要書類は、制度によって異なりますので、事前に以下の窓口で確認しましょう。 全国健康保険協会 日本年金機構 お住まいの地域の自治体の窓口 医療機関の相談窓口 参考文献 (文献1) 一般社団法人 日本リウマチ学会「乾癬性関節炎(PsA)」一般社団法人 日本リウマチ学会 ホームページ, 2022年5月22日 https://www.ryumachi-jp.com/general/casebook/kansenseikansetsuen/(最終アクセス:2025年3月13日) (文献2) 「乾癬性関節炎(psoriatic arthritis: PsA)」慶應義塾大学病院医療・健康情報サイトKOMPAS ,2024年7月9日 https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000611.html(最終アクセス:2025年3月13日) (文献3) Kinanah Yaseen, &Cleveland Clinic(2024)Psoriatic Arthritis,MSD MANUAL professional Version https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/06-%E7%AD%8B%E9%AA%A8%E6%A0%BC%E7%B3%BB%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%A8%E7%B5%90%E5%90%88%E7%B5%84%E7%B9%94%E7%96%BE%E6%82%A3/%E9%96%A2%E7%AF%80%E7%96%BE%E6%82%A3/%E4%B9%BE%E7%99%AC%E6%80%A7%E9%96%A2%E7%AF%80%E7%82%8E(Accessed:2025-03-13) (文献4) 谷口 敦夫「乾癬性関節炎をよりよく理解いただくために」『アヴィ合同会社』 pp.1-12, 2023年 https://a-connect.abbvie.co.jp/health_care_workers_agreement.html?returnUrl=%2f-%2fmedia%2fassets%2fpdf%2fproducts%2fhumira%2fpatients_support%2fJP-HUMD-190144.pdf(最終アクセス:2025年3月13日) (文献5) 朝比奈昭彦ほか.「日本皮膚科学会ガイドライン」『乾癬性関節炎診療ガイドライン 2019』 pp.1-59, 2019年 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/PsAgl2019.pdf(最終アクセス:2025年3月13日) (文献6) 株式会社ケアネット「乾癬患者に推奨される食事への介入とは」CareNet,2018年7月11日 https://www.carenet.com/news/general/carenet/46344(最終アクセス:2025年3月13日) (文献7) 厚生労働省「指定難病」2025年 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000084783.html(最終アクセス:2025年3月13日)
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関節がこわばり動かしにくい 肘や頭皮に赤みが出ている その症状は、乾癬性関節炎の初期症状かもしれません。関節の違和感や皮膚に出る赤みを放置しておくと重症化する可能性があります。 乾癬性関節炎を早期発見するには、初期症状と対策をしっかり行うことが大切です。 乾癬性関節炎の初期症状 乾癬性関節炎の初期症状を見抜くチェックリスト 乾癬性関節炎を重症化させないための対策 乾癬性関節炎における初期症状を理解したのち、適切な治療で乾癬性関節炎の進行を防ぎましょう。 乾癬性関節炎の初期症状 症状 詳細 爪の症状 点状のへこみ、変形、剥がれ 関節の腫れ・違和感 手足の指、肘、膝、足首など、左右非対称に腫れや違和感 皮膚の赤み・かゆみ 肘、膝、頭皮、腰、臀部などに赤い発疹、かゆみ 腰・背中の違和感 腰痛、背中のこわばり、起床時に症状が強く、日中は軽減 全身の症状 倦怠感、疲労感、発熱 (文献1) 乾癬性関節炎の初期症状には、通常では現れない違和感や腫れなどが発症します。初期症状は人によって現れ方が異なります。 気になる症状があれば、自己判断はせず、医療機関を受診しましょう。 爪に点状のへこみや変形が現れる 症状 詳細 点状のへこみ(点状陥凹) 爪の表面に小さな凹みが多数現れる 爪の変形 爪が分厚くなる、剥がれる、ボロボロになる 爪の色調変化 爪の色が黄色や茶色に変色する 爪の剥離 爪の先端が剥がれて浮き上がる 爪の肥厚 爪が厚く盛り上がる 乾癬性関節炎は皮膚の病気である乾癬と関節炎が合併して起こります。爪に起こる症状の特徴としては、点状のへこみや変形が現れます。 爪に症状が現れる原因は、免疫系の異常です。免疫系が体内組織を攻撃することで、爪の炎症や違和感が現れます。爪に表内記載の症状が現れた際は、早めに医療機関を受診しましょう。 手足の指の関節に腫れが起こる 乾癬性関節炎の種類 詳細 付着部炎(ふちゃくぶえん) 靭帯や腱が骨に付着する部分に炎症が生じ、違和感や腫れを伴う 指趾炎(ししえん) 手足の指全体が腫れ、ソーセージのような見た目になる 末梢関節炎(まっしょうかんせつえん) 関節リウマチと似た症状があるが、左右非対称に現れることが特徴 体軸関節炎(たいじくかんせつえん) 骨盤の関節や脊椎に炎症が生じ、背中・首・腰にこわばりや違和感が出る 乾癬性関節炎の初期症状として、手足の指の関節に腫れや違和感が出る場合があります。関節リウマチと似た症状が現れます。しかし、乾癬性関節炎は左右非対称に症状が出るのが特徴です。 乾癬性関節炎の中にも発症の種類があるため、症状が気になる方は、医療機関を受診しましょう。 肘や頭皮などに赤みが出る 乾癬性関節炎の初期症状として、肘や頭皮などに赤みが出ることがあります。赤みの出方に個人差はあるものの、症状としては、かゆみや赤い発疹などです。 赤みは関節炎より先に出ることもあれば、後から出ることもあります。 乾癬性関節炎は皮膚症状だけでなく、関節の腫れや違和感、爪の変形などが見られるため、複合的に現れた際は、注意が必要です。 腰や背中に違和感を覚える 腰や背中の違和感も、乾癬性関節炎のサインです。脊椎関節炎とも呼ばれており、背骨や仙腸関節(せいちょうかんせつ)に炎症が起こります。 また、背中・腰・首に違和感やこわばりが現れるのが特徴です。皮膚に赤みが出るなどの症状と比較すると、乾癬性関節炎であることに気づきにくく、腰痛と勘違いされやすいです。 症状は見逃しやすいだけでなく、進行すると強直して固まるので上を向く、前かがみになるなどの動作が困難になります。 気づきにくい症状のため、普段腰痛持ちの人や、日頃から腰に負担のかかる作業や仕事に従事している方は注意しましょう。 全身の倦怠感や疲労感 特徴 説明 持続的な疲労感 ほぼ一日中、疲れを感じることがある 発熱や悪寒 発熱や悪寒などの全身症状を伴うことがある 関節の違和感や腫れ 関節の炎症が進むと、違和感や腫れが生じ、倦怠感を伴う 乾癬性関節炎の症状として、全身の倦怠感や疲労感を伴うことがあります。関節の違和感や炎症、皮膚がボロボロになるなどの症状とともに身体の気だるさを感じた場合、乾癬性関節炎の疑いがあります。 生活に支障が出る場合は、無理をせずに医療機関を受診し、生活習慣の見直しやストレスを感じにくい環境に身を置くのが大事です。 乾癬性関節炎を初期から見抜こう!症状チェックリスト チェック項目 概要 関節に違和感を感じる 関節の動きにくさや違和感がある 3カ月間の間に週2回以上関節痛の薬を服用した 頻繁に違和感を抑制するための薬を使用している 腰の違和感で睡眠中に目が醒める 腰の不快感で睡眠が妨げられる 朝起きてから30分以上手指にこわばりがある 朝の手指のこわばりが長時間続く 手首や手指に違和感を感じる 日常の動作で手首や手指に違和感がある 足先や足首に違和感を感じる 足の関節に違和感を覚える ひじやおしりに違和感を感じる ひじやおしりの関節に不快感がある 手首や手指が腫れている 手首や手指の腫れが目立つ 手指が3日以上腫れや違和感を感じる 3日以上手指に腫れや違和感が続いている アキレス腱が腫れている アキレス腱が腫れて違和感もある状態 1日中疲れを感じている 常に倦怠感や疲労感が抜けない 乾癬性関節炎には、初期症状があります。これから紹介するチェックリストの内容が3つ以上当てはまった方は、乾癬性関節炎の疑いがあるため、医療機関の受診が必要です。 1.関節に違和感を感じる 症状 概要 軽いこわばりや違和感 朝起きたときや長時間同じ姿勢の後に、関節のこわばりや違和感がある 関節の動かしにくい 以前はスムーズに動かせた関節が、少し動かしにくく感じる 関節の腫れぼったさ 見た目には腫れがなくても、関節が腫れぼったく感じる 関節の熱感 関節が熱っぽく感じることがある 乾癬性関節炎の初期段階では、関節に違和感が出ることがあります。日常生活で関節の動かしにくさや、見た目は腫れていないのに腫れぼったさを感じる場合は、乾癬性関節炎の疑いがあります。 日常生活で多少不便に感じているものの、大きな支障がない場合はとくに要注意です。症状が進行すると関節の破壊や変形につながる恐れがあります。(文献2) 2.3カ月間の間に週2回以上関節痛の薬を服用した 3カ月間に週2回以上、関節痛の薬を服用しているにもかかわらず症状が改善に向かわないのは、単なる関節痛ではなく、乾癬性関節炎の可能性が高いです。(文献2) 薬を飲んでいるのに改善が望めない場合は、一度医療機関の受診をおすすめします。 3.腰の違和感で睡眠中に目が醒める 乾癬性関節炎は、関節だけでなく、脊椎や仙腸関節に炎症を起こすケースもあります。腰の違和感は腰痛や別の症状と勘違いされることも多く、初期症状としては気づきにくいです。 とくに腰に日常的に違和感を感じている方は、乾癬性関節炎に気づかず、睡眠中に目が覚めたとしても、日常的なことで済ませてしまいがちです。 腰に違和感があり睡眠の妨げになると、健康上でのリスクも懸念されるため、早めに医療機関を受診する必要があります。 4.朝起きてから30分以上手指にこわばりがある 朝の手指のこわばりは、関節に炎症が起きているサインです。関節に違和感や炎症が起きると手指がこわばり、症状によっては30分以上持続するケースもあります。 また、朝の手指のこわばりがストレスになり、症状を悪化させる可能性が懸念されます。朝起きてから30分以上、手指にこわばりが起こる場合は、一度医療機関で医師に相談しましょう。 5.手首や手指に違和感を感じる 症状 詳細 関節の腫れと違和感 指の第一関節(DIP関節)や指全体が腫れる、左右非対称に起こりやすい こわばり 朝起きたときに手首や手指がこわばるが、日中に身体を動かすと症状が軽くなる ソーセージ指 指全体がソーセージのように腫れ上がる 爪の変化 爪の凹み、変色、剥がれなどが起こる 手首や手指に普段見ない爪の変化や、ソーセージ指の症状が現れた場合、乾癬性関節炎を疑う必要があります。 症状が大きく進行している可能性があるため、医療機関への受診が必要です。 6.足先や足首に違和感を感じる 症状 詳細 関節の腫れと違和感 足の指、足首の関節が腫れて、違和感がある 足底の違和感 かかとや足の裏に違和感がある(足底筋膜炎、アキレス腱付着部炎を併発しやすい) 指の腫れ(ソーセージ指) 足の指全体がソーセージのように腫れ、違和感や熱感を伴う 関節のこわばり とくに朝に強く、日中動くと軽減する 乾癬性関節炎は、手指だけでなく、足先や足首の関節にも炎症が起こります。とくに足の指、足首、かかとなどの小さな関節に症状が出やすく、こわばりやソーセージのような腫れが現れます。 手首や手指同様に、症状が大きく進行している可能性があるので、医療機関への受診が必要です。 7.ひじやおしりに違和感を感じる 部位 症状 詳細 ひじ 違和感、腫れ、こわばりなど 外部からの刺激を受けやすく、乾癬の皮膚症状が現れやすい部位であり、関節炎も発症しやすい おしり 違和感、こわばり、坐骨神経痛のような症状 ひじと同様に、乾癬の皮膚症状が現れやすい部位であり、おしりの付け根部分(仙腸関節)は、炎症が起こりやすい ひじやおしりは、乾癬の皮膚症状と関節炎の両方が現れやすい部位です。ひじやおしりも該当箇所による違和感や炎症だけでなく、坐骨神経痛のような症状が出る場合もあります。 とくにおしりはケアがしにくい箇所なので、症状が出た場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 8.手首や手指が腫れている 症状 詳細 左右非対称性 関節リウマチとは異なり、左右対称ではなく、どちらか一方の手足に症状が現れることが多い 指趾炎(ソーセージ指) 指全体がソーセージのように腫れ上がり、違和感や熱感を伴う 末梢関節炎 手足の指先の小さな関節(末梢関節)に炎症が起こりやすく、腫れや違和感を起こす 爪の変化 爪の変形(凹み、変色、剥がれなど) 手首や手指が腫れる症状は、関節リウマチと似ています。しかし左右対称ではなく、どちらか一方の手足に症状が現れる部分が異なります。 また、爪の変形や指全体が腫れ上がるソーセージ指も、乾癬性関節炎のサインです。手首や手指に普段感じることのない、腫れや炎症が起きた場合は、自己判断はせずに医療機関を受診しましょう。 9.手指が3日以上腫れや違和感を感じる 手指の腫れや違和感が3日以上続く場合、乾癬性関節炎の可能性が高いです。3日以上腫れや炎症が引かない場合に放置しておくと、症状が悪化につながります。 放置や自己判断は、症状を進行させるだけでなく、後遺症になる可能性があるため、早めの治療が大切です。 10.アキレス腱が腫れている 乾癬性関節炎は、関節だけでなく腱や靭帯の付着部にも発症します。アキレス腱が腫れると、踵に違和感が生じ、重症だと歩行が困難になるケースもあります。 アキレス腱の腫れに加えて、関節のこわばりや指の腫れなど他の症状がある場合、乾癬性関節炎の疑いがあり、放置すると歩行が難しくなり、日常生活に支障をきたします。 症状が重くなる前に医師へ相談し、適切な治療を受けましょう。 11.1日中疲れを感じている 項目 詳細 原因 自己免疫疾患による慢性的な炎症や、精神的なストレス 症状 休息や睡眠で回復しない疲労感、日常生活困難なほどの倦怠感 日常生活への影響 仕事、家事、趣味への支障や睡眠の質低下、疲労感悪化 症状の特徴 単なる疲れとは異なる 乾癬性関節炎は、免疫系に異常が起こり、関節や皮膚だけでなく全身に悪影響を及ぼします。 乾癬性関節炎を発症すると、炎症性サイトカインと呼ばれる物質が過剰に産生され、疲労感や倦怠感を引き起こしやすくなります。 疲労感や倦怠感だけでは、乾癬性関節炎だと判断するのが難しいです。そのため、疲労感と合わせて関節や皮膚に症状が出ていないか確認しましょう。 乾癬性関節炎を重症化させないための対策 乾癬性関節炎は適切な対策を行うことで、活動性を抑えられます。 早めの受診を心がける 生活習慣の見直し ストレス管理を行う 感染予防に努める 乾癬性関節炎への対策を解説します。 早めの受診を心がける 乾癬性関節炎は、早期診断と適切な治療の開始により、関節破壊の進行を抑制できます。 2025年現在、乾癬性関節炎を完治する治療法はありません。しかし、症状の進行を遅らせつつ、重症化を避けることはできます。(文献2)(文献3) 皮膚の炎症や爪の変形などが症状として現れた際は、早めの受診が大切です。 以下の記事では、乾癬性関節炎は何科を受診するべきかを症状別で解説しています。 生活習慣の見直し 栄養素 効果 食材例 オメガ3脂肪酸 炎症抑制 青魚(サバ、イワシ、マグロなど)亜麻仁油、えごま油 抗酸化物質 関節ダメージ軽減 緑黄色野菜、果物、ナッツ類 ビタミンD 免疫機能調整、骨の健康維持 魚介類、卵、キノコ類 カルシウム 骨の健康維持 乳製品、小魚、緑黄色野菜 食物繊維 腸内環境調整、免疫機能調整 野菜、果物、海藻、きのこ (文献4)(文献5) 生活習慣の見直しは、乾癬性関節炎の症状の抑制に役立ちます。抗炎症作用のある食品(青魚、野菜、果物など)を中心とした食生活を始め、適度な運動や十分な睡眠と休息を行いましょう。 また、禁煙と過度な飲酒は、乾癬性関節炎のリスクを高める可能性があります。 生活習慣の改善はあくまでも、補助的なものなので、医師の指示に従い適切な治療を受けましょう。 以下では症状を予防する食事について詳しく紹介しています。 ストレス管理を行う ストレスや生活習慣などの環境要因で、乾癬性関節炎を悪化させる可能性があります。 ストレスは炎症性サイトカインと呼ばれる物質の分泌を促し、関節や皮膚の炎症を悪化させます。そのため、ストレスの少ない環境で治療を行うのが大切です。 精神的なもの以外にも暴飲暴食など、無意識に身体に与えるストレスにも注意が必要です。ストレスを抱え込まない、十分な睡眠やリラックスできる環境を行いましょう。 感染予防に努める 対策項目 詳細 手洗い・うがい 外出後、食事前、トイレ後などは徹底して行う マスクの着用 飛沫感染のリスクを軽減 予防接種 医師と相談の上、適切な予防接種を受ける 規則正しい生活 十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動など 早期受診 発熱、咳、喉の違和感などは、早めの受診を心がける 乾癬性関節炎は、免疫系の異常によって引き起こされる自己免疫疾患の1つです。免疫機能が過剰に活性化している影響で、感染症に対する抵抗力が低下している可能性があります。(文献2) 感染症を防止するには、手洗いやうがいを徹底し、規則正しい生活を送ることが大切です。 また、乾癬性関節炎の治療では免疫抑制薬が使用されることが多く、感染症にかかりやすくなるリスクがあるため、医師の指示に従った感染症対策が重要になります。 乾癬性関節炎に限らず、発熱、咳、喉の違和感が生じた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 乾癬性関節炎は初期症状の段階で受診しよう 乾癬性関節炎は初期症状の段階で、医療機関を受診するのが大切です。乾癬性関節炎を完治する治療法は確立されていませんが、症状の活動性を抑制し、進行を抑えることはできます。 乾癬性関節炎の初期症状だと感じた方は当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。 再生医療を活用し、乾癬性関節炎の進行を抑え、回復を促します。乾癬性関節炎ではないかとお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) 高山かおるほか.「手湿疹診療ガイドライン」『日本皮膚科学会ガイドライン』pp.1-20,2008年 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/Hand_eczema_GL.pdf(最終アクセス:2025年3月14日) (文献2) 「乾癬性関節炎(psoriatic arthritis: PsA)」慶應義塾大学病院医療・健康情報サイトKOMPAS ,2024年7月9日 https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000611.html(最終アクセス:2025年3月14日) (文献3) 厚生労働科学研究費補助金「乾癬性関節炎の不可逆的関節破壊進行阻止のための早期発 見と治療を目指した診療ガイドライン策定に関する研究 」2019年 https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/download_pdf/2018/201811014B.pdf(最終アクセス:2025年3月14日) (文献4) S Upala,&A Sanguankeo(2015).Effect of lifestyle weight loss intervention on disease severity in patients with psoriasis: a systematic review and meta-analysis.PudMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25920774/ (Accessed: 2025-03-14) (文献5) Céline Phan, MD,et al.(2018)Association Between Mediterranean Anti-inflammatory Dietary Profile and Severity of PsoriasisResults From the NutriNet-Santé Cohort,JAMA,Network https://jamanetwork.com/journals/jamadermatology/fullarticle/2687981#google_vignette (Accessed: 2025-03-14)
2025.03.31 -
- 手部、その他疾患
- 手部
乾癬性関節炎かもしれないけど、何科を受診するべきかわからない 乾癬性関節炎の症状別の受診先を知りたい 関節に腫れや違和感、皮膚の発疹に爪の変化が現れ、乾癬性関節炎の症状かもしれないと思っても、何科を受診するべきかわからないとお悩みではないでしょうか。 乾癬性関節炎とはどんな症状なのか 【症状別】乾癬性関節炎の受診先 乾癬性関節炎の診断基準 乾癬性関節炎になった場合の治療法 乾癬性関節炎は症状によって受診先が変わります。また、乾癬性関節炎についても詳しく紹介します。 乾癬性関節炎でお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。 乾癬性関節炎とは 原因 説明 免疫異常 自己免疫の働きが過剰になり、関節や皮膚に影響を与えることがある 遺伝的要因 家族に乾癬や関節炎のある場合、発症リスクが高まる可能性がある 環境要因 感染症や気候の変化などが影響し、症状が出ることがある 皮膚の乾癬 乾癬を発症している人は、関節の症状が現れることがある 乾癬性関節炎(PsA)は、乾癬(皮膚の疾患)と関節炎が合併した疾患です。日本人では乾癬を発症した方の10~15%に発症すると言われています。(文献1) 症状は多岐に渡り、以下に分類されます。 末梢関節:手足の指の第1関節(DIP関節)を中心に、左右非対称に多関節が侵される 腱付着部炎:アキレス腱や膝蓋腱など、腱・靭帯といった骨に付着する部位に違和感が生じる 指趾炎:手足の指がソーセージの様に腫れることがあり、特に足の第3・4趾によく見られる 脊椎関節炎:背骨や仙腸関節に炎症が起こり、腰痛を発症する(安静時に強くなり、動き出すと改善する) 爪病変:爪の一部の剥離、肥厚、凹みなどの変化が見られる (文献1)(文献2) 2025年現在時点では、乾癬性関節炎が引き起こされる明確な原因やエビデンスは存在せず、根本的な治療法も見つかっていません。 (文献3) 症状が進行し、関節の変形などが引き起こされ、日常生活に支障をきたす可能性があります。 症状の種類としては、関節・皮膚・その他の症状(爪や眼など)があります。症状が合併する可能性もあり、早期の診断と適切な治療が大切です。 【症状別】乾癬性関節炎の受診先 症状 推奨される受診科 説明 皮膚症状 皮膚科 皮膚の発疹や爪の変化が主な症状の場合は、皮膚科を受診 関節症状 リウマチ科(膠原病科) 関節の腫れやこわばりが主な場合は、リウマチ科(膠原病科)を受診 皮膚症状と関節症状の両方 科が連携している医療機関 皮膚症状と関節症状が両方ある場合、専門科が連携している医療機関を選ぶのが望ましい 乾癬性関節炎の受診先は、症状によって異なります。そこで本項目では、症状別で乾癬性関節炎の受診先を解説します。 また、乾癬性関節炎の初期症状について詳しく知りたい方は以下の関連記事をご確認ください。 皮膚症状の場合|皮膚科 乾癬性関節炎の症状が主に皮膚の場合、皮膚科の受診が推奨されます。 乾癬の発症から時間が経過していない場合、別の皮膚病である可能性も高いです。皮膚科を受診する際は、皮膚の症状だけでなく、関節の違和感についても伝えましょう。 関節症状の場合|リウマチ科(膠原病科) 乾癬性関節炎では、関節の腫れ、こわばり、動かしたときの違和感などが現れます。 関節の違和感は炎症によるもので、放置すると関節の変形や可動域の制限につながります。 リウマチ科であれば、関節の炎症や変形を適切に診断し、ダメージを抑えるための治療を受けられます。 関節の違和感に悩まれている方は、早めにリウマチ科を受診し、治療を受けることが大切です。 皮膚症状と関節症状の両方がある場合|科が連携してる医療機関 乾癬性関節炎の関節症状は、関節リウマチと似ている部分が多いです。そのため、皮膚科とリウマチ科が連携している医療機関への受診が推奨されます。(文献3) 乾癬性関節炎は、皮膚科とリウマチ科の両方の診療が必要な疾患です。乾癬の治療と関節の炎症の管理を並行しないと、治療のバランスが崩れることがあります。 また、科が連携している医療機関であれば、皮膚もしくは関節に異常をきたした場合に早期に察知し、適切な治療を受けやすくなります。 関節リウマチについては、以下の記事で詳しく解説しています。 乾癬性関節炎の診断基準 項目 詳細 点数 現在の乾癬 皮膚または爪に活動性の乾癬病変がある 2点 乾癬の既往歴 過去に医師によって乾癬と診断されたことがある 1点 乾癬の家族歴 家族(一親等、二親等)に乾癬の人がいる 1点 爪の病変 爪に特徴的な変化(陥凹、剥離、肥厚など)がある 1点 指炎 指全体がソーセージのように腫れている 1点 リウマトイド因子陰性 リウマトイド因子が陰性である 1点 レントゲン所見 手足のレントゲンで特徴的な骨の変化がある 1点 乾癬性関節炎の診断基準の1つとして、CASPAR分類基準(Classification Criteria for Psoriatic Arthritis)があります。(文献3) CASPAR分類基準は表の項目で計算し、当てはまるごとに点数が加算されて、合計で3点以上に乾癬性関節炎と評価されます。 CASPAR分類基準の中でも、現在の乾癬が当てはまる場合は2点加算され、それ以外の項目は1点加算です。 ただし、CASPAR分類基準は診断方法の1つであり、診断は臨床症状や他の検査結果も総合的に判断され、症状の有無を医師が判断します。 CASPAR分類基準で、3点以上の方は医療機関を受診しましょう。 乾癬性関節炎になった場合の治療法 治療法 有効な理由 薬物療法 炎症を抑える薬や免疫を調整する薬により、関節や皮膚の症状を管理しやすくなる 運動療法 関節の可動域を維持し、筋力を保つことで、関節の機能低下を防ぐ 食事療法 抗炎症作用のある食品を摂取し、体内の炎症を抑え、症状の悪化を防ぐ可能性がある (文献4) 2025年現在、乾癬性関節炎の明確な治療法は見つかっていません。しかし、適切な治療を行うことである程度症状をコントロールし、日常生活や仕事への支障がない状態を目指せます。 主な治療法としては、薬物療法、運動療法、食事療法の3つがあり、症状によって治療法が異なります。 治療法について、詳しく紹介します。 薬物療法 薬の種類 代表的な薬 役割 注意点 鎮痛薬 アセトアミノフェン NSAIDs(イブプロフェン ロキソプロフェン 違和感を和らげる NSAIDsは胃腸障害に注意が必要 疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs) メトトレキサート サラゾスルファピリジン レフルノミド 関節の進行を遅らせる 効果が出るのに時間がかかり、定期的な検査が必要 生物学的製剤 TNF阻害薬 (インフリキシマブ、アダリムマブなど) IL-17阻害薬 (セクキヌマブ、イキセキズマブなど) JAK阻害薬(トファシチニブなど) 炎症を抑える 感染症のリスクに注意が必要 (文献3) 薬物治療は医師の診断のもと薬が処方されます。薬の種類によって、役割や症状改善の効果に違いがあるものの、乾癬性関節炎の改善が望めます。 薬物治療を行う際は、自己判断で薬の量や飲むペースを決めずに医師の指示に従います。 また、副作用が出た場合は使用を中止し、医師へ相談しましょう。 運動療法 運動の種類 目的 具体例 解説 ポイント 関節可動域訓練 関節の動きを良くする 関節をゆっくり動かすなど 関節の柔軟性を保ち、動きをスムーズにします 負荷のかからない範囲で行い、違和感があれば、すぐに中止する 筋力強化訓練 関節を支える筋肉を強化する 軽いダンベル操作など 関節の動きを安定させる 無理のない回数から始め、徐々に増やしていく 有酸素運動 健康状態を改善させる ウォーキングや水泳など 心肺機能を高め、全身の血行をよくする 長時間続けられる、軽い運動を選ぶこと (文献1)(文献3) 運動療法は関節の動きの改善や筋肉強化に役立ち、乾癬性関節炎の症状を軽減できます。 運動療法を行う場合は、自己判断ではなく、医師の指示のもと行うようにしましょう。 また、どの運動を行う場合でも負担が少ないものを選び、無理のない範囲で徐々に慣らしていくのが大切です。 もし、運動療法中に違和感や腫れが発生した場合は運動を中止し、医師に相談しましょう。 食事療法 栄養素 役割 食品の具体例 推奨される食品 オメガ3脂肪酸 炎症を抑える 青魚(サバ、イワシ、マグロ)、亜麻仁油、えごま油 抗酸化物質 関節のダメージを軽減 緑黄色野菜、果物、ナッツ類 ビタミンD 免疫調整、骨の健康維持 魚介類、卵、きのこ類 カルシウム 骨の健康維持 乳製品、小魚、緑黄色野菜 食物繊維 腸内環境を整え、免疫調整 野菜、果物、海藻、きのこ類 栄養素 起こりうる症状 食品の具体例 避けるべき食品 飽和脂肪酸 炎症悪化の可能性 肉の脂身、バター、ラード トランス脂肪酸 炎症を引き起こす可能性 加工食品、揚げ物、マーガリン 精製された炭水化物 血糖値の急上昇、炎症悪化の可能性 白米、パン、麺類、菓子類 過剰な糖分 炎症悪化の可能性 炭酸飲料、菓子類、果物ジュース グルテン グルテン過敏症の場合、炎症悪化の可能性 小麦、ライ麦、大麦 乾癬性関節炎を治す食べ物はありません。しかし、食事で症状の改善は目指せます。 大事なのは、推奨されている食事を普段の食事で、継続的に取り入れることです。 乾癬性関節炎の改善に役立つ食事としておすすめなのが、塩分控えめの和食料理です。 逆に乾癬性関節炎を悪化させる特定の食品はありませんが、過剰な糖分や精製された炭水化物は太りやすく、乾癬悪化につながります。 特定の食品を摂取、避けるだけでは 乾癬性関節炎の改善にはつながらず、食事の取り方に気を付ける必要があります。 具体例としては、腹八分目の食事や暴飲暴食を避けるなどです。乾癬性関節炎だからといって厳密に食べるべき、食べてはいけない食品はなく、バランスの良い食事を日頃から意識すること大切です。(文献5) 乾癬性関節炎の疑いがある方は皮膚科・リウマチ科で早めの受診を 乾癬性関節炎の疑いがある方は、早めの皮膚科・リウマチ科の受診をおすすめします。 乾癬性関節炎の疑いがあるものの、どの科を受診して良いのかわからず診療を躊躇われている方は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。 再生医療を活用し、乾癬性関節炎の回復を促します。 辛い乾癬性関節炎の症状でお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) 一般社団法人 日本リウマチ学会「乾癬性関節炎(PsA)」 一般社団法人 日本リウマチ学会 ホームページ, 2022年5月22日 https://www.ryumachi-jp.com/general/casebook/kansenseikansetsuen/(最終アクセス:2025年3月12日) (文献2) 朝比奈 昭彦「癬性関節炎の不可逆的関節破壊進行阻止のための早期発見と治療を目指した診療ガイドライン策定に関する研究」『厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)』pp1-170, 2019年 https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/download_pdf/2018/201811014B.pdf(最終アクセス:2025年3月12日) (文献3) 「乾癬性関節炎(psoriatic arthritis: PsA)」慶應義塾大学病院医療・健康情報サイトKOMPAS ,2024年7月9日 https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000611.html(最終アクセス:2025年3月12日) (文献4) 朝比奈昭彦ほか,「乾癬性関節炎診療ガイドライン 2019」『日本皮膚科学会ガイドライン』pp1-59, 2019年 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/PsAgl2019.pdf(最終アクセス:2025年3月12日) (文献5) S Upala&A Sanguankeo(2025).Effect of lifestyle weight loss intervention on disease severity in patients with psoriasis: a systematic review and meta-analysis,PubMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25920774/(Accessed:2025-03-12)
2025.03.31 -
- その他、整形外科疾患
「歩けるけど痛い。これって肉離れなの?」と不安に思っていませんか? 肉離れは、筋肉が部分的に損傷するけがで、重症度によっては歩行が可能なケースもあります。しかし、「歩けるから大丈夫」と油断すると、悪化や再発のリスクが高まることもあるため要注意です。適切な処置を行うことで、早期回復につながります。 本記事では、肉離れで歩けるけど痛い場合の原因や対処法、早く治すためのポイントを詳しく解説します。正しい知識を身につけて、無理なく回復を目指しましょう。 【基礎知識】肉離れとは 肉離れは、筋肉が部分的または完全に損傷する怪我であり、急激な動きや過度の負荷によって発生します。スポーツ活動中に多く見られますが、日常生活の中でも突然の動作や無理な姿勢によって起こることがあります。 とくに太ももの裏側(ハムストリングス)やふくらはぎ(下腿三頭筋)に発生しやすく、急な痛みや腫れ、内出血などを伴います。症状の程度は軽度の筋繊維の損傷から完全断裂までさまざまです。 適切な初期対応としては、RICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)が基本です。重症度によっては医療機関での診察が必要で、完全な回復には適切なリハビリテーションと十分な休養期間が欠かせません。再発予防のためには、ウォームアップやストレッチを習慣づけることが重要です。(文献1) 歩けるけど痛い肉離れの状態 歩行時に痛みを感じるものの歩ける状態は、軽度の肉離れの可能性が高いといえます。しかし、この段階で無理をすると症状が悪化する恐れがあるため、細心の注意が必要です。 肉離れは以下のように分類されます。 重症度 状態 軽度(1度) 筋肉のわずかな損傷 中度(2度) 筋肉、筋膜の一部断裂状態。皮下出血や患部のへこみが見られる場合がある 重度(3度) 筋繊維や筋膜の断裂。患部のへこみが明確に確認できる (文献2) 軽度であっても適切な処置を怠ると、より重症化する可能性があります。痛みを感じた場合は早めに安静にし、冷却などの応急処置を行いましょう。 自己判断で放置せず、専門医による適切な診断と治療を受けることが、完全回復への近道となります。痛みが持続する場合は、迷わず医療機関の受診をおすすめします。 肉離れで歩けるけど痛いときの対処法 肉離れを起こした際は、RICE処置が効果的な応急処置としておすすめです。 Rest(安静):無理に歩かず、患部を休ませる Iceing(冷却):アイシングを行い、炎症を抑制する Compression(圧迫):テーピングやサポーターで患部を固定する Elevation(挙上):足を心臓より高い位置に保ち、腫れを防ぐ 少し痛いけど歩けるから大丈夫といった考えは危険です。症状が軽いうちに適切な対応をしないと、再発リスクが高まります。痛みがあるにもかかわらず無理に活動を続けると、治癒が遅れる可能性があります。 軽度の肉離れであっても、初期の適切な対応が肝心です。痛みを感じたら早めに処置を行い、必要に応じて医療機関の受診が重要です。完全に回復するまで段階的に活動を再開するよう心がけましょう。 肉離れを早く治すポイント 肉離れは損傷の程度によって治療が異なりますが、回復を促進する重要なポイントがいくつかあります。効果的な回復を目指すためには、以下の3つの側面からのケアが不可欠です。 ストレッチやリハビリ 食事 再生医療(PRP療法) 損傷の程度や回復段階に合わせて適切に組み合わせると、早期回復を目指せます。 ストレッチやリハビリ 軽度から中度の肉離れでは、適切なタイミングで軽いストレッチを行うことで回復を促す効果があります。筋肉の柔軟性を維持し、血行促進や筋繊維の再生を促し、治癒を早めるのです。 しかし、ストレッチやリハビリテーションの開始時期や運動強度を、自己判断しないことです。不適切なタイミングや強度でのストレッチは、損傷した筋組織にさらなる負担をかけ、治癒を遅らせたり症状を悪化させたりする恐れがあります。 医師や理学療法士などの専門家に相談し、個々の状態に合わせた適切なリハビリテーションのプランを立ててもらうことが必須です。肉離れの回復のためには、専門家の指示に従いましょう。 食事 肉離れの予防および治療過程では、適切な栄養摂取が筋組織の修復と強化に重要な役割を果たします。タンパク質の十分な摂取は、損傷した筋繊維の再生と強化に不可欠です。良質なタンパク質源として鶏肉、魚、卵、乳製品、豆類などを積極的に食事に取り入れましょう。 ビタミン類も肉離れの回復をサポートします。ビタミンはコラーゲン生成を促進し、筋機能の維持を助けます。カルシウム、マグネシウム、亜鉛などのミネラルは筋肉の修復に必要不可欠です。(文献3)(文献4) 栄養素をバランスよく摂取すれば、肉離れからの回復が促されるだけでなく、再発リスクも低減できます。ただし、サプリメントに頼る前に、まずはさまざまな食品から自然な形での栄養摂取が基本です。 再生医療(PRP療法) PRP(多血小板血漿)療法は、患者自身の血液から抽出した血小板を高濃度に濃縮し、損傷部位に直接注入する再生医療の一種です。血小板には組織修復を促す物質が豊富に含まれており、患部に直接注射するため治療に効果が期待できます。 肉離れに対するPRP療法は、筋線維や筋膜の修復を加速させるでしょう。従来の保存療法で回復が遅い症例や、中度から重度の損傷に対して有効性が報告されています。PRP注入により、損傷部位の炎症を抑制しながら組織再生を促進し、修復と機能回復を目指します。 リペアセルクリニックでは、あなたの症状に合わせた治療プランをご提案します。再生医療による治療も行っておりますので、メール相談やオンラインカウンセリングをご利用の上、お気軽にお問い合わせください。 肉離れと間違えやすいケガ一覧 肉離れの症状は、ほかの部位のケガと似ている場合があり、適切な治療のためには正確な診断が重要です。注意すべき紛らわしいケガには以下の3つがあります。 筋肉痛 靭帯損傷 アキレス腱断裂 それぞれ発症の状況や治療法が異なるため、症状が似ていても医師による正確な診断が必要です。 筋肉痛 筋肉痛と肉離れは、しばしば混同されやすいものの、発症時期や症状に明確な違いがあります。 筋肉痛は、一般的に運動後の12〜48時間経過してから徐々に痛みが現れる「遅発性筋痛」の特徴を持ちます。これは筋繊維の微小損傷による炎症反応が原因で、外観上の変化はほとんど見られません。通常は数日間で自然に回復します。 肉離れは受傷と同時に即座に痛みを感じるのが特徴です。これは筋線維や筋膜が急激に損傷するために起こります。さらに特徴的なのは、皮下出血による紫色や青色の変色、また筋繊維の断裂により筋肉にくぼみが現れる場合があることです。 発症時期と外観の違いは、自己判断の場合のチェックポイントになります。即時に強い痛みを感じ、外観に変化がある場合は肉離れの可能性が高く、早急な医療的対応が必要です。 靭帯損傷 靭帯損傷は、関節を安定させる重要な結合組織が過度に伸びたり、部分的あるいは完全に断裂したりするために生じる外傷です。主な症状として、受傷直後からの強い痛みと、速やかに現れる腫れが特徴的です。 痛みは非常に強烈であるため、患者は損傷部位周辺の関節や筋肉をほとんど動かせないことがあります。このような可動域の著しい制限は、靭帯損傷の重要な特徴の1つです。(文献5) 損傷の程度によっては、関節の不安定性やきしみ音を伴うこともあり、足首や膝などの荷重関節では、体重をかけることが困難になることも少なくありません。 靭帯損傷が疑われる場合は、自己判断での運動再開を避け、医療機関での診断と治療を受けることが重要です。 アキレス腱断裂 アキレス腱断裂は、下腿三頭筋と踵骨(かかとの骨)を連結する人体最大の腱であるアキレス腱が切れる深刻な外傷です。受傷時には、非常に特徴的な症状が現れます。 多くの人は断裂瞬間に「バチッ」「パチン」といった音を聞く場合もあり、後ろからかかとを強く蹴られたような感覚を経験します。続いて足首からふくらはぎにかけての激痛が走ります。 動作の特徴として、通常の歩行は可能であっても、つま先立ちができなくなることが挙げられます。アキレス腱はつま先を下に向ける動きに必要であるためです。(文献5) このような症状がある場合は、早急に整形外科を受診しましょう。適切な治療が遅れると、回復に要する時間が長くなる可能性があります。 肉離れで歩けるけど痛いときに病院にいくべき判断ポイント 肉離れにおいて、歩けるから大丈夫といった自己判断は非常に危険です。たとえ歩行可能な軽度の肉離れであっても、医療機関での受診をおすすめします。理由は、適切な治療が回復に大きく影響するためです。 軽度と思われる症状であっても、専門家の目で評価されない限り、その損傷の状態を正確に判断するのは難しいためです。自己判断で経過観察を選択すると、治療の適切なタイミングを逃がし、症状が悪化する可能性があります。 以下のような場合は受診を考えましょう。 痛みが24時間以上続く 患部に腫れや内出血がある 通常の動作で痛みが増す 過去に肉離れを経験している 初期段階での適切な診断と処置は、回復期間の短縮や再発リスクの低減、筋肉の機能維持につながります。最終的には、専門家の判断に従いましょう。(文献6) 歩けるけど痛い肉離れでも病院を受診しよう 肉離れの疑いがある場合は、症状の程度にかかわらず、迅速な医療機関の受診をおすすめします。歩けるから大丈夫といった判断は、肉離れの治療において誤った判断となります。痛みを感じながら歩行可能な状態であっても、決して自己判断で経過観察をしてはなりません。 医師による適切な診断は損傷の正確な状態を把握し、患者本人に合った治療計画を立てる上で不可欠です。早期の適切な処置は、回復期間の短縮だけでなく、再発防止や今後の筋肉状態の維持にも関わります。 肉離れと思われる症状を感じたら、様子を見ようと考えるのではなく、早めの受診を心がけましょう。一見軽度に思える症状でも、医師が診察すると予想以上の損傷が見つかる場合もあります。 自分の身体を大切にし正しい判断を仰ぐことが、スポーツ復帰への最短ルートです。 肉離れでお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」のメール相談やオンラインカウンセリングにてお気軽にお問い合わせください。 参考文献 文献1 医療法人社団 信愛会 瀬戸整形外科クリニック「肉離れの応急処置、および、治療&予防方法」瀬戸整形外科クリニックホームページ https://setoseikei.com/2024/10/21/first-aid-for-separation-of-the-flesh/(最終アクセス:2025年3月16日) 文献2 MSD「捻挫およびその他の軟部組織損傷の概要」MSDマニュアルプロフェッショナル版,2023年7月 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/22-%E5%A4%96%E5%82%B7%E3%81%A8%E4%B8%AD%E6%AF%92/%E6%8D%BB%E6%8C%AB%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E3%81%9D%E3%81%AE%E4%BB%96%E3%81%AE%E8%BB%9F%E9%83%A8%E7%B5%84%E7%B9%94%E6%90%8D%E5%82%B7/%E6%8D%BB%E6%8C%AB%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E3%81%9D%E3%81%AE%E4%BB%96%E3%81%AE%E8%BB%9F%E9%83%A8%E7%B5%84%E7%B9%94%E6%90%8D%E5%82%B7%E3%81%AE%E6%A6%82%E8%A6%81?query=%E7%AD%8B%E6%8C%AB%E5%82%B7(最終アクセス:2025年3月16日) 文献3 城西大学「アスリート・運動をする人が摂るべき栄養素やサプリメントについて解説」JOSAI★LAB,2024年12月27日 https://www.josai.ac.jp/josai_lab/692/(最終アクセス:2025年3月16日) 文献4 TENTIAL「肉離れからいち早く回復するための食事とは?必要な栄養素を解説」TENTIALホームページ,2021年2月23日 https://tential.jp/journals/others/flesh_away/010(最終アクセス:2025年3月16日) 文献5 あらおと整形クリニック「靭帯損傷・腱断裂・肉離れ」あらおと整形クリニックホームページ http://www.araoto.net/wound/ligament.html(最終アクセス:2025年3月16日) 文献6 森整形外科リハビリクリニック「肉離れ」森整形外科リハビリクリニックホームページ https://www.moriseikei.or.jp/weaned-off-meat/(最終アクセス:2025年3月16日)
2025.03.31 -
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太ももが少し痛いんだけど、肉離れかな 昨日サッカーした時に足が痛くなったけど、軽い肉離れになったかも 肉離れは、筋肉の一部または全体の組織の断裂をいいます。激しくスポーツする人や、久しぶりに体を動かした人などが受傷する場合が多いです。 本記事では、軽度の肉離れの症状や原因、治療法などを詳しく解説します。治療期間や早く治す方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。 軽度な肉離れとは 軽度の肉離れは筋肉の一部が損傷している状態です。症状は比較的軽く、多くの場合は適切な休息と処置で回復します。肉離れの瞬間、「プチっ」といった音が聞こえることがありますが、これは筋肉が断裂する音です。 肉離れは筋肉の断裂状態によって重症度が変わります。 重症度 特徴 軽症 筋肉の細かな損傷 中等症 筋肉の部分的な断裂 重症 筋肉の完全な断裂 (文献1) 以下の筋肉で肉離れが多くみられます。それぞれの部位ごとの重症度を説明します。 重症度 大腿四頭筋 ハムストリングス 腓腹筋 軽症 うつ伏せで膝を90度以上曲げられる 仰向けで膝をまっすぐ伸ばし脚を70度位まで上げられる アキレス腱を伸ばすと若干の痛みがある 中等度 うつ伏せで膝を45度~90度曲げられる 仰向けに寝て膝をまっすぐ伸ばし脚を30度~70度位まで上げられる アキレス腱を伸ばすと強い痛みがあり、膝を曲げた状態で行うと痛みが弱くなる。つま先立ちができる 重症 うつ伏せで膝を45度位まで曲げられる 仰向けに寝て膝をまっすぐ伸ばし脚を30度位まで上げられる 膝を曲げた状態でもアキレス腱を軽く伸ばしただけで強い痛みがある。つま先立ちができない (文献2) 軽度と思っていても重症だった場合もあるため、適切な診断と治療のためには専門医に診察してもらいましょう。 肉離れの原因 ここからは、以下のような肉離れの原因を紹介します。 急な動作 筋肉疲労 準備運動不足 水分不足 急な動作 肉離れは、急激な筋肉への負荷が原因で発生する筋肉の損傷です。急なダッシュやジャンプなどの瞬発的な動作時に、筋肉がその急激な負荷に対応できなくなった際に起こります。 急な動作で筋肉に過度のストレスがかかることにより、筋肉の一部が切れたり裂けたりします。筋肉が本来の伸縮性の限界を超えて強制的に引き伸ばされると、耐性を超えてしまい損傷が生じるのです。 肉離れはとくにスポーツ活動中に多く見られ、ウォーミングアップ不足は危険要因となります。急な動作をしようとせず、適切な準備運動やトレーニングをしましょう。 筋肉疲労 筋肉の疲労は肉離れのリスク因子です。疲労状態の筋肉は正常な収縮・弛緩パターンを維持できず、急激な負荷に対して適切に反応できなくなります。能力が低下した状態で瞬発的な動きを行うと、筋肉が損傷するリスクが高まるでしょう。 十分な休息なく運動を継続すると、肉離れの危険性が増します。運動後にはストレッチやクーリングを行い、筋肉の疲労回復を促します。 十分な休息と回復時間の確保が重要なため、トレーニングスケジュールに回復日を組み込み、筋肉の過労を避ける対策をしましょう。 準備運動不足 適切なウォーミングアップとストレッチは、肉離れの予防において大切な役割を果たします。準備運動を怠ると、筋肉は十分な血流を得られず硬い状態のまま活動しなければなりません。 硬いままの筋肉は柔軟性が低下し、急激な動きや強い負荷に対して適応しにくくなります。通常なら対応できるはずの力にも耐えられなくなり、筋肉の断裂リスクが高まるでしょう。 効果的な準備運動は体温の上昇と、筋肉の伸縮を促します。適切なストレッチをすると筋肉を柔らかい状態に保てるため、安全に運動できるようになるでしょう。軽い有酸素運動の後、それぞれの筋肉に対する動的ストレッチを行うと、肉離れのリスクを大幅に減少できます。 水分不足 体内の水分不足は肉離れの発生リスクを高める原因となりますが、水分摂取は肉離れ予防において見過ごされがちです。 筋組織は約75%が水分で構成されており、適切な水分レベルは筋肉の正常な機能と柔軟性の維持に必要不可欠です。脱水状態になると筋肉内の水分が減少し、筋力低下や疲労感、けいれんなどを引き起こします。(文献3) 強度の高い運動や暑い環境での活動時には、発汗により水分不足が急速に進むため注意が必要です。運動前、運動中、運動後の水分補給は、筋肉の機能を適切に保ち、肉離れのリスクを軽減するための基本的な対策です。 軽度な肉離れの症状 軽度な肉離れは、受傷の瞬間に特徴的な「プチッ」といった音が聞こえることがあり、これは筋肉が部分的に断裂する音です。 軽度な肉離れの症状は以下のとおりです。 損傷部位は痛むが動くことはできる 損傷部位を押すと痛む 関節を動かしたときに強く痛む 皮膚上からもわかるへこみ 内出血 軽度な肉離れからの回復は、適切な処置と休息により、通常1〜2週間程度で日常生活に支障をきたさないレベルまで回復します。筋組織の完全な修復と機能回復にはより期間が必要な場合もあり、スポーツ活動への完全復帰には慎重に経過観察しなければなりません。 早期の無理な活動再開は、再発リスクを高めるため注意しましょう。 軽度な肉離れを早く治す治療法 軽度な肉離れは、対処方法によって回復が早くなる場合があります。ここからは、以下のような軽度な肉離れを早く治す治療法を解説します。 RICE処置 リハビリ PRP療法 RICE処置 軽度の肉離れを早く治すにはRICE処置が効果的です。これはRest(安静)、Icing(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字を取った言葉です。それぞれの処置の方法は、以下のようになります。 治療法 具体的方法 安静 (Rest) 損傷部位の使用を最小限に抑える 冷却 (Icing) 20分間の氷湿布を繰り返す 圧迫 (Compression) 弾性包帯やテーピングで適度に圧迫 挙上 (Elevation) 損傷部位を心臓より高い位置に上げる (文献2) 初期対応を適切に行うと、肉離れからの回復期間が短縮でき機能回復につながります。ただし、症状が重い場合や改善が見られない場合は、医師の診察を受けましょう。 リハビリ 軽度の肉離れでは、RICE処置による急性期の対応後、リハビリが回復において極めて重要になります。受傷後3〜5日経過して痛みや腫れが落ち着いてきていれば、リハビリの開始に適した時期といえます。(文献4) リハビリでは、修復しつつある筋肉に対して適切な刺激を与え、組織の再生や機能を回復させることが目標です。リハビリは患者さん一人ひとりの症状に合わせて段階的に進められます。最初は軽度の痛みを感じない範囲での静的ストレッチから始め、徐々にダッシュやジャンプなど強度を増していきます。 専門家の指導の下でリハビリを行えば、無理なく効果的な回復が期待できるでしょう。 PRP療法 PRP(多血小板血漿)療法は、肉離れの先進的な治療です。PRP療法では、患者自身の血液から高濃度の血小板を含む血漿を分離し、損傷した筋組織に直接注入します。血小板には多くの成長因子が含まれており、筋組織の再生と修復を促進します。 PRP療法は、従来の保存療法に反応が乏しい慢性的な肉離れや、競技復帰を早める必要がある選手に考慮されるケースが多いです。 リペアセルクリニックでは、あなたの症状に合わせた治療プランをご提案します。再生医療による治療も行っておりますので、メール相談やオンラインカウンセリングをご利用の上、お気軽にお問い合わせください。 軽度な肉離れの治療期間 軽度の肉離れは筋肉の細かな損傷であり、完全な断裂ではありません。適切な処置と休息により、1〜2週間程度で回復します。 軽度な肉離れは、急激な動きや過度の負荷により筋肉が耐えられる限界を超えてしまい、筋肉の一部が断裂した状態です。部分的な損傷に留まるため、機能が完全に失われている状態ではありません。 症状としては損傷部位に限定した痛みや、圧迫時の痛みが特徴的です。軽度の内出血や腫れを伴うこともありますが、自力歩行や基本動作は可能な状態です。 症状の消失後も再発防止のため、段階的なリハビリテーションを通じて筋力と柔軟性を徐々に回復させる必要があります。十分に回復期間を確保して、将来にわたり安心してスポーツのできる筋肉を保っていきましょう。 軽度な肉離れを正しく理解し適切な対処と予防を心がけよう 軽度な肉離れは筋肉の細かな損傷で、急激な動きや過度の負荷により発生します。受傷時には「プチッ」といった音が聞こえる場合があり、局所的な痛みや圧痛、軽度の内出血やへこみが特徴です。基本的な動作や歩行は可能ですが、関節を動かすと痛みが増強します。 対処法としては、RICE処置が最も効果的です。急性期の症状が落ち着いた後は、適切なリハビリを通じて、段階的に筋力と柔軟性を回復させましょう。通常1〜2週間で日常生活に支障のないレベルまで回復しますが、完全な治癒にはより長い時間を要します。 予防には、十分なウォーミングアップや適切な水分補給、筋肉疲労時の休息が効果的です。過去に肉離れを経験した部位は再発しやすいため、筋力トレーニングと柔軟性を向上しましょう。 肉離れでお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」のメール相談やオンラインカウンセリングにてお気軽にお問い合わせください。 軽度な肉離れに関するよくある質問 肉離れが軽度の場合はお風呂に入っても問題ありませんか? 軽度の肉離れでも入浴時の注意が必要です。肉離れ直後は筋肉に炎症が生じており、血行を促進する入浴は避けるべきとされています。入浴によって炎症が悪化する可能性があるため、受傷後2~3日はシャワーのみがおすすめです。 この期間は患部を温めず、安静にして炎症の悪化防止が回復への第一歩です。医師の指示に従い、適切な処置と休息を取れば、肉離れからの回復を早められます。 軽度な肉離れでもテーピングした方が良いですか? 軽度の肉離れに対してもテーピングは効果的です。テーピングは予防や応急処置としてだけでなく、患部保護と再発リスク軽減にもなります。 軽度の肉離れでは、テーピングが筋肉の動きをサポートするため、炎症の広がりを防止できます。適切にテーピングして痛みを和らげながら回復を促進し、日常生活への早期復帰につなげましょう。 肉離れが軽度の場合自然に治癒しますか? 軽度の肉離れは筋肉の細かい損傷が特徴で、自然治癒が可能です。完治までは1〜2週間程度が必要です。受傷直後は安静にし、RICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)を適切に行い回復を促します。 しかし、自己判断で軽度と思っていても実際には中度な損傷の可能性もあるため、自然治癒を期待する場合でも医療機関の受診がおすすめです。医師による適切な診断とアドバイスが、回復への近道となるでしょう。 参考文献 文献1 伊藤超短波株式会社「肉離れとはどんな症状?原因や対処法も合わせて解説」伊藤超短波株式会社ホームページ https://www.wellness.itolator.co.jp/column/003.html(最終アクセス:2025年3月18日) 文献2 三笠製薬株式会社「3.スポーツ外傷の応急処置(RICE処置)」三笠製薬株式会社発行資料 https://jsoa.or.jp/content/images/2023/05/s03.pdf(最終アクセス:2025年3月18日) 文献3 あまん整体院・接骨院「水分と筋肉の関係について」あまん整体院・接骨院ホームページ https://www.amanseitaiin.com/post/%E6%B0%B4%E5%88%86%E3%81%A8%E7%AD%8B%E8%82%89%E3%81%AE%E9%96%A2%E4%BF%82%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6(最終アクセス:2025年3月18日) 文献4 社会医療法人 松田整形外科記念病院「理学療法科(リハビリテーション)」松田整形外科記念病院ホームページ https://matsuda-oh.com/rehabili/lowerlimbs_4124(最終アクセス:2025年3月18日)
2025.03.31 -
- その他、整形外科疾患
スポーツをしていたら急に足に激しい痛みが走ったけど肉離れなのかな 肉離れになったら、まずどんな応急処置をすれば良いの 上記のような疑問をお持ちの方もいるでしょう。 肉離れは突然起こることが多く、痛みや腫れ、内出血などを引き起こします。適切に対処しないまま放置すると、回復が遅れるだけでなく再発のリスクも高まってしまう可能性があるため要注意です。 本記事では、肉離れを疑ったときの応急処置方法から、治療の流れ、予防のポイントまでを解説します。肉離れになったときの応急処置がわからないと考えている方は、ぜひご覧ください。 肉離れの応急処置 肉離れの応急処置には、RICE処置が効果的です。これはRest(安静)、Icing(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字を取った言葉です。(文献1) ケガをした直後にRICE処置を適切にすれば、症状の悪化を防ぎ、回復を早められます。医療機関を受診する前に、まずはこの基本的な処置をしましょう。 ここからはRICEの4つの処置について、詳しく説明していきます。 安静 肉離れを起こした際、重要な処置の一つが安静です。安静とは、損傷した筋肉を無理に動かさずに十分に休ませることを意味します。 肉離れは筋繊維の部分的な断裂や損傷が起こっている状態です。さらに筋肉を使い続けると、断裂箇所が大きくなり、より深刻な損傷へと進行する恐れがあります。(文献1)つまり、軽度の肉離れが中度や重度へと悪化する可能性が高まるのです。 安静を保つことで、傷ついた筋繊維が自然治癒するための準備を整えられます。受傷直後の数日間は、痛みのある動作を避け、患部への負担を最小限に抑えることで回復へ近づきます。 医師の指示に従いながら、適切な安静期間を設けましょう。 冷却 肉離れが発生すると、筋繊維の断裂によって組織が炎症を起こし、腫れや内出血が生じます。このとき冷却をすると、症状を効果的に抑えられます。 冷却は、血管を収縮させる作用があり、出血量の軽減、腫れの抑制、痛みの緩和に効果的です。受傷後できるだけ早く冷却を始めましょう。 具体的な冷却方法としては、氷や保冷剤をビニール袋に入れ、薄いタオルで包んでから患部に当てます。直接皮膚に氷を当てると凍傷のリスクがあるため、必ず布などを間に挟みましょう。1回のアイシングは15~20分程度が目安で、その後は再び痛くなったら冷却を数回繰り返します。(文献2) 受傷後24〜48時間は冷却がとくに効果的ですが、その後も痛みや腫れが続く場合は継続してみましょう。(文献3) 圧迫 肉離れを起こした筋肉には、適切な圧迫処置が効果的です。テーピングや弾性包帯を使って患部に適度な圧力をかけると、内出血や腫れの進行を抑制できます。圧迫は毛細血管からの出血を最小限に抑え、過剰な浮腫(むくみ)を防ぐ働きがあります。 太ももの肉離れの場合、具体的な圧迫方法としては、まず弾性包帯とパットが必要です。包帯を巻く前に、患部が清潔で乾いていることを確認してください。パッドを患部に当て、弾性包帯でらせん状に巻いていきます。 圧迫は強すぎず弱すぎない適度な強さで行います。血行不良の兆候(しびれ、皮膚の色の変化、冷感など)が現れた場合は、すぐに緩めましょう。(文献3) 挙上 肉離れが発生した場合、患部を心臓より高い位置に保つ挙上をしましょう。挙上すると、心臓に向かって血液が流れるため、腫れや炎症を効果的に抑制できます。 具体的な挙上方法としては、太ももの肉離れの場合、仰向けに寝た状態で患部の下に枕やクッションを何個か重ねて配置し、脚全体が心臓より高くなるようにします。ソファや椅子に座る場合は、別の椅子やスツールを使って脚を高く上げるようにしましょう。(文献3) 挙上は腫れが続く限り、可能な限りの継続が望ましいです。就寝時も枕を使って患部を少し高くすると、夜間の腫れを軽減できます。 他のRICE処置(安静・冷却・圧迫)と組み合わせると、肉離れの回復には効果的です。ただし、痛みを伴う無理な姿勢での挙上は避けましょう。 肉離れにおける応急処置後の治療方法 肉離れの治療の基本となるのが安静です。痛みを感じる動作を控え、患部の負担を軽減します。湿布薬の使用も効果的で、消炎鎮痛作用のある成分が含まれた湿布を患部に貼ると、痛みや炎症を和らげられます。 消炎鎮痛作用のある塗り薬を患部に塗布したり、医師の処方による内服薬の服用も症状改善につながります。 肉離れは適切な治療とリハビリを行わないと再発しやすい特徴をもちます。完全に回復するまでには一般的に4週間程度かかり、その間は適切なケアが重要になります。(文献4) 近年、注目されている治療法の一つが再生医療のPRP療法です。PRP療法は患者自身の血液から血小板を高濃度に濃縮した血漿を抽出し、損傷部位に直接注入する方法です。血小板に含まれる成長因子が組織修復を促進し、自然治癒力を高める効果が期待できます。 リペアセルクリニックでは、あなたの症状に合わせた治療プランをご提案します。再生医療による治療も行っておりますので、メール相談やオンラインカウンセリングをご利用の上、お気軽にお問い合わせください。 肉離れの予防方法 肉離れはスポーツの場面で起こることが多いですが、予防が可能です。ここからは、肉離れの予防方法について解説します。 身体を温める 肉離れを予防するには、筋肉の冷えを防ぐことが重要です。体温が低下すると筋肉も冷えてしまい、柔軟性や弾力性が失われて伸縮性が低下します。このような状態で急に強い力をかけたり、無理な動きをしたりすると、筋繊維が断裂して肉離れを起こしやすくなります。 冬場や冷房の効いた室内、運動前の体が十分に温まっていない状態では注意が必要です。予防のためには、運動前の十分なウォームアップが欠かせません。具体的には、軽いジョギングやその日使う筋肉を意識した動的ストレッチが効果的です。また、日常的に適切な服装で体を冷やさないよう心がけ、入浴での全身の血行促進も効果的です。 運動時には保温性のある適切なウェアを着用し、屋外での活動時には天候や気温に合わせた服装を心がけましょう。体を温めると筋肉の柔軟性が保て、肉離れのリスクを軽減できます。 十分にストレッチをする 肉離れの主な原因の一つに、運動前の準備不足が挙げられます。日頃から運動習慣がない方は筋肉が硬くなっており、急に激しい動きをすると筋繊維が断裂しやすくなります。運動不足の状態から突然激しい運動をすると、肉離れのリスクを大幅に高めることになるでしょう。 肉離れのリスクを軽減するには、運動前に適切なストレッチをして、筋肉を十分にほぐすことが重要です。ストレッチにより筋肉の柔軟性が向上し、急な動きや負荷にも対応できるようになります。普段使わない筋肉を使う運動をする場合は、その部位を重点的にストレッチすると、肉離れの予防効果が期待できます。 肉離れの起きやすいふくらはぎやハムストリングス、太ももを中心にストレッチしましょう。 無理な動作をしない スポーツ活動中に肉離れを起こす主な原因の一つは、無理な動きや急激な負荷です。競技中の勝負へのこだわりや、自分の限界を超えた無理な動きは筋肉に過度の負担をかけ、肉離れのリスクを高めます。 自分の体力や筋力の限界を理解し、段階的に運動強度を上げていきましょう。また、疲労が蓄積している状態では、筋肉が適切に機能せず、負荷に耐えられなくなるため注意が必要です。 指導者がいる環境では、正しい技術や体の使い方を学ぶと肉離れ予防に効果的です。専門知識を持った指導者からフォームの指導を受けると、筋肉への不必要な負担を軽減できます。初心者や若年層のアスリートは、基本的な動作をていねいに学ぶと、将来的な肉離れのリスクを減らせます。 無理をせず、適切に体を動かし、安全にスポーツを楽しみましょう。 しっかりと休息を取る 十分な休息は肉離れ予防において非常に重要です。過度なトレーニングや連続した運動により休息時間が不足すると、筋肉が常に緊張状態となり硬くなってしまいます。緊張状態では筋肉の弾力性が低下し、わずかな負荷でも肉離れを起こすリスクが高まります。 また、精神的なストレスも筋肉の緊張を引き起こす要因です。ストレスを感じると身体は自然に緊張し、筋肉も硬くなりやすい状態になります。メンタル面のケアも肉離れ予防には欠かせません。 適切な休息日を設けると、筋肉は本来の柔軟性を取り戻しリラックスした状態になります。次の運動時に筋肉が適切に伸縮できるようになり、肉離れのリスクを軽減できます。 日常から身体を動かしておく 運動不足が続くと筋肉が徐々に硬くなり、柔軟性が失われていきます。このような状態では、特別な運動をしなくても、日常生活の何気ない動作で突然肉離れを起こすリスクが高まります。 肉離れを予防するためには、定期的な軽い運動が効果的です。ウォーキングや軽いジョギングは、筋肉に過度な負担をかけることなく血流を促進し、筋肉の柔軟性を維持するのに適しています。(文献5) 軽い有酸素運動を日常に取り入れれば、筋肉が硬くなるのを防ぎ、健康的な身体機能を維持できます。 肉離れは応急処置の有無が早期回復のカギ 肉離れを起こした直後の適切な応急処置は、回復期間を大きく左右します。発症直後のRICE処置が重要です。 初期対応を怠ると、症状が悪化して回復が遅れる可能性があります。逆に適切な応急処置をすれば、治癒過程がスムーズに進み、早期回復につながります。 肉離れでお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」のメール相談やオンラインカウンセリングにてお気軽にお問い合わせください。 肉離れの応急処置に関するよくある質問 ここからは、肉離れの応急処置に関するよくある質問を紹介します。 肉離れの応急処置にテーピングは効果的ですか? 肉離れの応急処置として、テーピングは効果的な方法です。適切にテーピングすると患部が圧迫されるため、内出血の広がりを防ぎ、炎症の拡大を抑制する働きもあります。組織のダメージを最小限に抑え、結果として回復期間の短縮につながります。 テーピングは簡単でありながら、肉離れの初期対応として非常に重要な役割と言えるでしょう。 肉離れの応急処置に湿布は効果的ですか? 肉離れの応急処置として冷湿布は効果的です。冷湿布は患部を適度に冷却し、炎症や痛みを和らげる働きがあります。 就寝時にも患部を冷やした方が良いですが、保冷剤の使用は危険性を伴う場合があります。睡眠中に皮膚と長時間接触したままになると、気づかないうちに凍傷を引き起こす可能性があるためです。 凍傷を避けるためにも、就寝時には安全性の高い冷湿布の使用がおすすめです。 肉離れの応急処置はどのくらい冷やしたら良いですか? 肉離れを起こした直後はアイシングが効果的ですが、冷やしすぎないようにしましょう。過剰なアイシングは筋肉を必要以上に硬くさせ、回復に必要な血行を阻害してしまうリスクがあります。一度のアイシングは15~20分程度を目安とし、それ以上長時間続けないようにしましょう。 適切な時間でのアイシングは、炎症を抑えつつも回復に必要な血流を維持できるため、回復へとつながります。 参考文献 文献1 社会福祉法人 恩賜財団 済生会「筋挫傷(きんざしょう)」済生会ホームページ,2016年9月28日 https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/muscle_strain/#:~:text=%E7%9B%AE%E6%8C%87%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%82%87%E3%81%86%E3%80%82-,RICE%E5%87%A6%E7%BD%AE%E3%81%A8%E3%81%AF,-%E5%AE%89%E9%9D%99%EF%BC%88Rest%EF%BC%89(最終アクセス:2025年3月14日) 文献2 一般社団法人 日本スポーツ整形外科学会「スポーツ外傷の応急処置(RICE処置)」日本スポーツ整形外科学会ホームページ https://jsoa.or.jp/content/images/2023/05/s03.pdf(最終アクセス:2025年3月15日) 文献3 ニチバン株式会社「RICE(ライス)処置」battlewinホームページ https://www.battlewin.com/beginners_taping/rice.html(最終アクセス:2025年3月15日) 文献4 大正大学「保健室だより」2016年 https://www.tais.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2016/10/4f11fee531b8256a8ed52f95158831e7.pdf(最終アクセス:2025年3月15日) 文献5 医療法人社団 信愛会 瀬戸整形外科クリニック「肉離れの応急処置、および、治療&予防方法」瀬戸整形外科クリニックホームページ https://setoseikei.com/2024/10/21/first-aid-for-separation-of-the-flesh/#:~:text=%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82-,%E2%96%A0%E8%82%89%E9%9B%A2%E3%82%8C%E3%81%AE%E4%BA%88%E9%98%B2%E6%96%B9%E6%B3%95,-%E2%97%8E%E7%AD%8B%E8%82%89%E3%82%92%E6%B8%A9(最終アクセス:2025年3月15日)
2025.03.31 -
- その他、整形外科疾患
肉離れになったらストレッチした方が良いのか 肉離れしない方法を知りたい 肉離れは、主にスポーツをした際に起きるケガの1つです。痛みや腫れなどが出現するため、ストレッチで和らげようとする場合もあるでしょう。しかし、肉離れした後にストレッチするのは注意が必要です。 本記事では、肉離れの原因や症状、整形外科の受診ポイントとあわせて、ストレッチの注意点や、予防法について詳しく解説していきます。 肉離れとは 肉離れとは、筋肉の繊維が部分的または完全に断裂する状態です。筋肉は細い繊維の束で形成されており、強い衝撃や急激な負荷により繊維が傷つくと、痛みや内出血、腫れなどの症状が現れます。 主に瞬発的な動き(ダッシュやジャンプなど)で大きな力が筋肉にかかった際に発生しやすく、部活動やスポーツ中に起こることが多いケガです。症状は痛みの程度や炎症の度合いによって異なります。(文献1)(文献2) 軽度では軽い痛みがある程度ですが、中程度以上になると歩行困難なほどの強い痛みを伴います。重症の場合は筋繊維の大きな断裂を引き起こし、完全回復までに長期間を要する場合が多いです。早期の適切な対処と整形外科での診断が重要になります。 【前提知識】肉離れ発症直後のストレッチはNG! 肉離れを起こした直後、少し伸ばした方が良いのではと考えてストレッチをしてしまう方がいますが、これは避けるべきです。 肉離れは筋繊維が断裂した状態であるため、発症直後のケアとしては、まずアイシングが最優先です。冷却によって炎症を抑え、内出血の拡大を防ぎます。弾性包帯などを用いた適切な圧迫も重要で、腫れの進行を抑制できます。 肉離れを起こした後の数日間は、ストレッチや筋肉トレーニングは行わないでください。断裂した筋繊維に再び負荷をかけることで、症状が悪化し、回復期間が長引いてしまう恐れがあります。(文献3) 正しいケアをして、医師の指示に従って適切なタイミングでリハビリを始めることが、スムーズな回復へつながっていきます。 肉離れ後のストレッチ方法(リハビリテーション) 肉離れからの回復過程では、段階に応じた適切なストレッチが重要です。どの段階でも、痛みが出ない範囲内で行うことが大前提となります。 3~5日後 肉離れの痛みが落ち着く3〜5日後にリハビリ開始を判断しましょう。ハムストリングス(太ももの裏側)の場合、仰向けになって太ももの裏を抱え、膝が伸ばせるようであればストレッチを始める目安になります。 ハムストリングスの肉離れには、段階的に以下のエクササイズが効果的です。 ヒップエクステンション レッグカール ハーフスクワット ブリッジエクササイズ を痛みの出ない範囲で行い、徐々に強度を上げていくと筋肉の回復を促進できます。ただし、痛みが再発する場合は無理せず、専門家の指導を受けることをお勧めします。(文献3) 回復期 ストレッチを行っても痛みや違和感がなくなったら、スポーツ復帰に向けた運動を段階的に開始できます。このときの負荷の上げ方が再発防止のポイントです。 最初はジョギングなど比較的負担の少ない有酸素運動から始めましょう。身体の状態を確認しながら、徐々にジャンプやダッシュといった瞬発力を必要とする動きへと移行します。(文献3) 注意すべき点として、焦りは禁物です。急激に強い負荷をかけてしまうと、回復した筋肉が再び損傷してしまう可能性があります。もう大丈夫だろうと考えずに、計画的に運動強度を増加していきましょう。 肉離れを予防するストレッチ方法 ここからは、以下のような肉離れのよく起きる筋肉別のおすすめのストレッチ方法を紹介します。 大腿四頭筋 ハムストリングス 下腿三頭筋 大腿四頭筋 このストレッチは大腿四頭筋(太ももの前側)の筋肉を効果的に伸ばすストレッチです。 まず横向きに寝た状態で、下側の脚の股関節と膝関節を軽く曲げて安定させます。この姿勢がストレッチの土台となります。 次に、上側の脚の膝を曲げて、同じ側の手で足首をしっかりとつかみます。そのまま股関節をゆっくりと後方に伸ばしていきます。(文献4) このとき、太ももの前側に心地良い伸張感を感じる強さで行うことがポイントです。無理に引っ張りすぎず、痛みが出ない範囲で筋肉が伸びていると感じる程度に調整しましょう。 ハムストリングス ハムストリングス(太ももの裏側)の筋肉を効果的に伸ばすストレッチです。 まず地面に座った状態から始めます。片方の膝を曲げて足裏を反対側の太ももの内側に添えるようにし、もう片方の脚はまっすぐ伸ばします。次に、伸ばしている脚の方向へ上半身をゆっくりと前傾させていきます。(文献4) 動作を行う際は、膝の裏からお尻にかけて心地良い伸張感を感じる程度の強さで行うことがポイントです。無理に前屈せず、自分の柔軟性に合わせて少しずつ深めていきましょう。 下腿三頭筋 このストレッチは、下腿三頭筋(ふくらはぎ)の筋肉を効果的に伸ばすシンプルなストレッチです。 まず床に座り、両脚をまっすぐ前に伸ばします。次に、タオルやストレッチ用のロープなどを足の裏に引っ掛けます。手でタオルやロープの両端をしっかりと握り、ゆっくりと手前に引きます。膝がしっかり伸びている状態になっているか確認してから行いましょう。(文献4) 動作を行う際のポイントは、ふくらはぎや膝の裏側の筋肉が伸びていると感じる強さで引くことです。痛みを感じるほど強く引くのはやめましょう。 肉離れからの回復期にはとくに慎重に行い、少しでも痛みを感じたらすぐに中止しましょう。 肉離れになったときの応急処置 肉離れが起きた直後は、RICE処置をしましょう。これはRest(安静)、Icing(アイシング)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字を取ったもので、ケガの急性期における基本的な応急処置です。この処置により、炎症を抑え痛みを緩和し、回復を早められます。 ここから詳しく解説していきます。 安静 肉離れの応急処置では、まず最優先すべきはRest(安静)です。傷ついた筋繊維をこれ以上損傷させないために、患部を動かさず休息を与えることが必要不可欠です。(文献1)(文献5) 少し動かした方が良くなるのではと考えてしまうのは危険です。無理に動かすことで断裂した筋繊維がさらに損傷し、回復期間が長引く可能性があります。適切な医療的判断があるまでは、患部への負荷を最小限に抑え、安静を保つことが回復へとつながります。 冷却 肉離れの応急処置における次のステップは、Icing(アイシング)です。患部を氷のうなどで冷やしましょう。 アイシングは血管を収縮させ内出血の拡大を防ぐとともに、炎症を抑制し痛みの緩和効果も期待できます。 受傷後直ちに20分程度のアイシングをして、その後も痛みが出現したら繰り返すことが理想的です。ただし、氷や氷のうを直接皮膚に当てないよう、タオルなどで包んで使用しましょう。(文献1)(文献5) 圧迫 肉離れの応急処置の3番目のステップは、Compression(圧迫)です。患部を弾性包帯やサポーターなどで適度に圧迫して、腫れの拡大を抑制しましょう。 圧迫によって断裂した筋繊維からの出血や浸出液の広がりを最小限に抑え、炎症の範囲を限定させる役割があります。患部を固定して不必要な動きを制限する効果もあります。 ただし、強すぎる圧迫は血流を過度に抑えてしまい、回復を遅らせる可能性があるため注意が必要です。指先や足先の色や感覚に異常が出る場合は、圧迫が強すぎるサインなので速やかに調整しましょう。(文献1)(文献5) 挙上 肉離れの応急処置の最後は、Elevation(挙上)です。患部を心臓よりも高い位置に保つことで、血流がコントロールできます。 この姿勢により患部への血液の流入が抑えられ、腫れや内出血の拡大を防ぎます。脚の肉離れの場合は横になった状態で足を台の上に置いたり、枕で高くすれば挙上が可能です。 安静時や就寝時など、できる限り長く挙上姿勢を保つことが理想的です。ただし、無理な体勢は別の部位に負担をかけることがあるため、考慮して行いましょう。(文献1)(文献5) 肉離れを疑う際はストレッチではなく医療機関を受診しよう 肉離れは軽症でも数日以上痛みが続く場合は早期受診が重要です。放置すると痛みの慢性化や不完全な修復の恐れがあります。 整形外科では症状確認と必要に応じたMRIやエコー検査を受け、理学療法士と連携した適切なリハビリ指導が受けられます。PRP療法などの再生医療も早期回復に効果的です。 専門医の診断により、肉離れの程度や回復目安が明確になり、無理のない復帰計画が立てられます。適切なタイミングでのストレッチ導入は回復促進と再発防止に有効です。 リペアセルクリニックでは、あなたの症状に合わせた治療プランをご提案します。再生医療による治療も行っておりますので、メール相談やオンラインカウンセリングをご利用の上、お気軽にお問い合わせください。 肉離れのストレッチに関するよくある質問 ここからは、肉離れのストレッチに関するよくある質問を紹介します。 肉離れをおこしたときにやってはいけないことは? 肉離れをおこした際は、避けなければならない行為があります。 無理なストレッチやマッサージは危険で、損傷を悪化させる恐れがあります。入浴や飲酒、温湿布の使用も炎症を促進し、出血を増加させる可能性があるため控えましょう。痛みを無視して無理に動くことは、治癒を遅らせるだけでなく、より深刻な損傷を引き起こす危険があります。 このような行為はすべて炎症を悪化させ、回復を遅らせる要因となります。 肉離れは自然に治りますか? 軽度の肉離れは、適切なRICE処置(安静、冷却、圧迫、挙上)を行うことで自然に近い形で回復する可能性があります。しかし、誤ったケアや不十分な休息により回復が遅れたり、再発を繰り返したりするケースも少なくありません。 とくに重症例では筋肉の大きな断裂を伴うため、放置すると治癒に長期間を要したり、痛みが慢性化したりする恐れがあります。症状の程度に関わらず、早めに整形外科を受診し、専門家のアドバイスを受けることが望ましいでしょう。(文献6) 肉離れは何科を受診するべきですか? 肉離れは基本的に整形外科を受診するのがおすすめです。整形外科では、肉離れの程度を適切に診断し、必要に応じてレントゲンやMRI、エコーなどの画像検査を受け、筋肉の損傷状態を詳細に評価できます。 ケガの重症度に合わせた治療方針の提案やリハビリテーションの指導も受けられます。肉離れの症状を感じたら早めに整形外科を受診し、適切な治療とケアを受ければ、スムーズな回復が期待できるでしょう。(文献6) 参考文献 文献1 大正大学「保健室だより」2016年 https://www.tais.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2016/10/4f11fee531b8256a8ed52f95158831e7.pdf(最終アクセス:2025年3月14日) 文献2 木村護郎ほか「大腿四頭筋ならびに内・外側ハムストリングの筋力比と大腿部肉離れの発生との関係」『医学療法科学』19(4),pp.323-329,2004年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/19/4/19_4_323/_pdf 文献3 社会医療法人 松田整形外科記念病院「理学療法科(リハビリテーション)」松田整形外科記念病院ホームページ https://matsuda-oh.com/rehabili/lowerlimbs_4124(最終アクセス:2025年3月14日) 文献4 佐久平整形外科クリニック「肉離れ予防のストレッチ」佐久平整形外科クリニックホームページ https://ar-ex.jp/sakudaira/831490160727/%E8%82%89%E9%9B%A2%E3%82%8C%E4%BA%88%E9%98%B2%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%81(最終アクセス:2025年3月14日) 文献5 茨城県水戸市「プロスポーツナビ」広報みと,2022年9月15日 https://www.city.mito.lg.jp/uploaded/attachment/24341.pdf(最終アクセス:2025年3月14日) 文献6 医療法人社団 信愛会 瀬戸整形外科クリニック「肉離れの応急処置、および、治療&予防方法」瀬戸整形外科クリニック トピックス https://setoseikei.com/2024/10/21/first-aid-for-separation-of-the-flesh/(最終アクセス:2025年3月14日)
2025.03.31 -
- 下肢(足の障害)
- スポーツ外傷
ふくらはぎに違和感を感じる ふくらはぎが赤く腫れ上がっている 運動中に突然、肉離れを起こしたかもと不安に感じているかもしれません。 ふくらはぎの違和感や、腫れ上がりを放置すると重症化する恐れがあります。 突然の肉離れにどうすれば良いのか焦りを感じている方もいれば、違和感はあるものの、歩けるから問題ないと思っている方もいることでしょう。 この記事では、ふくらはぎの肉離れについて解説します。 肉離れ(ふくらはぎ)の症状 ふくらはぎの肉離れの原因 肉離れ(ふくらはぎ)の前兆 ふくらはぎの肉離れは歩ける場合でも油断してはいけない理由 ふくらはぎの肉離れを起こしたときの対策 歩けるからといって油断は禁物です。正しい知識を身につけることで、ふくらはぎの肉離れに対し、適切な対応ができるようになります。 肉離れ(ふくらはぎ)の症状 分類 症状 Ⅰ度(軽度) アキレス腱ストレッチで若干の違和感がある Ⅱ度(中度) アキレス腱ストレッチで強い違和感があるものの、膝を曲げた状態で行うと違和感は弱まり、つま先立ちができる Ⅲ度(重度) アキレス腱ストレッチで、膝を曲げた状態でも軽く伸ばしただけで強い違和感があり、つま先立ちが困難 肉離れは筋肉が急激に引き伸ばされることで、筋繊維が切れて起こる症状です。症状としては熱感、炎症性の違和感、腫脹、皮下出血が起こります。 また、肉離れ(ふくらはぎ)を引き起こした瞬間に「プチッ」といった音が聞こえるのも特徴です。 肉離れ(ふくらはぎ)の症状は表のⅠ度(軽度)〜Ⅲ度(重度)で分類されます。 症状がもっとも軽いⅠ度(軽度)であれば、自力で歩行でき、若干の違和感がありつつもアキレス腱ストレッチも行えます。 しかし、Ⅲ度(重度)になると、アキレス腱ストレッチが難しい状態になり、自力での歩行が難しい状態です。 以下の記事では、肉離れについて現役医師が詳しく解説しています。 ふくらはぎの肉離れの原因 ふくらはぎの肉離れの原因としては、急激な筋肉の収縮や準備運動不足など、運動中に引き起こされることが多いです。 運動以外では、加齢や筋肉疲労などで引き起こされるケースも存在します。 ふくらはぎの肉離れの原因を詳しく解説します。 急激な筋肉の収縮と伸張 急激な筋肉の収縮と伸張でふくらはぎに負担がかかることで、肉離れが起こります。 原因としては、運動中に急なダッシュやジャンプ、方向転換など脚の筋肉に急激な負荷がかかるためです。 とくに運動前に十分なウォーミングアップを怠ると、筋肉が柔軟になっていない状態で筋肉の収縮と伸張が起こるため、肉離れを引き起こしやすくなります。 筋肉の疲労 筋肉疲労による影響 肉離れのリスク 筋肉の柔軟性低下 筋肉が硬くなり、急な動きに耐えられず損傷しやすい 筋力低下 筋肉が正常な動作を維持できず、損傷しやすい 運動制御の乱れ 筋肉の協調性低下、不自然な動作やバランスの乱れで損傷しやすい 筋肉疲労はさまざまな要因で引き起こされます。疲労を抱えたまま、筋肉に負担を与え続けるのは危険です。 ふくらはぎの筋肉に対して、オーバーユース(使いすぎ)や十分な休息を与えていないことが重なることで筋繊維が切れ、肉離れが起こります。 筋肉疲労を引き起こさないためには、運動後に軽いストレッチや、クールダウンを習慣化するのが大切です。 また、脚に少しでも違和感を感じた場合は運動を中断し、アイシングなどで対策しましょう。 準備運動不足 準備運動の役割 効果 筋肉の温度上昇 筋肉の柔軟性が高まり、収縮と伸張がスムーズになり、急激な動作への耐性が向上し、肉離れのリスクが低下 関節の可動域拡大 関節の可動域が広がり、動作範囲が広がることで筋肉への負担が分散され、肉離れのリスクを軽減 神経の活性化 神経系が活性化し、筋肉の協調性が高まることで動作がスムーズになり、筋肉への負担が軽減 準備運動を十分に行わず、急な走り込みや脚の使い込みも肉離れを引き起こす原因になります。 準備運動は筋肉や関節を温め、柔軟性を向上させてくれますが、準備運動が十分に行われていない場合、筋肉に過度な負担がかかりやすくなり、肉離れを起こすリスクが高くなります。 普段運動が習慣化されていない人は、筋肉が硬直しやすいので、入念な準備運動を心がけることが大切です。 加齢 加齢によって筋肉の力が弱まり、柔軟性が失われることで、肉離れ(ふくらはぎ)を引き起こす原因になります。 また、加齢によって血管が硬くなり、筋肉への血液を流す力も減少し、筋肉への酸素や栄養の供給が滞り、修復機能が低下します。 加齢による筋肉量の減少を予防するには、無理のないトレーニングや軽い運動の習慣化が大切です。 症状の再発 肉離れ(ふくらはぎ)は過去に経験歴があると、再発しやすい症状です。 再発の理由としては、損傷した筋繊維は瘢痕組織(はんこんそしき)と呼ばれる硬い組織に置き変わります。 硬い組織に置き換えることで、柔軟性や伸縮性が低くなり、再発しやすくなります。 再発を防ぐために正しいフォームなどを意識し、負担が偏らないようにしましょう。 肉離れ(ふくらはぎ)の前兆 肉離れ(ふくらはぎ)には前兆があります。 筋肉の違和感や張り感 筋肉の疲労感 筋肉の痙攣 肉離れの前兆を解説します。 筋肉の違和感や張り感 ふくらはぎの肉離れは運動中に負荷がかかり、発症するケースが多いです。しかし、前兆として普段とは違うふくらはぎに違和感や張りを感じることがあります。 筋肉に普段感じない違和感や張り感が現れた場合は運動を中止し、安静やアイシングを行います。 また、症状が改善せずに悪化するようであれば、医療機関を受診しましょう。 筋肉の疲労感 ふくらはぎの肉離れの前兆として、筋肉の疲労感が挙げられます。筋肉疲労は筋肉が悲鳴を挙げており、柔軟性や強度が低下してる状態です。 筋肉の疲労感を無視して運動を行うと、肉離れを起こすリスクがあります。 いつもより筋肉にだるさを感じる場合は、無理な運動はせずに安静や軽いストレッチを行いましょう。 また、筋肉を温められる入浴なども有効です。筋肉の疲労感が数日続くようであれば、医療機関の受診をおすすめします。 筋肉の痙攣 痙攣は筋肉が異常な収縮を起こしている状態です。筋肉の痙攣が起きている状態は、ミネラルバランスの乱れや筋肉疲労を起こしているサインです。 筋肉の痙攣が起きた場合は、すぐに運動を中止し、適切な休息や水分補給などを行い、筋肉の状態を正常に戻すことが最優先です。 痙攣の症状が頻繁に起こる場合は、医療機関を受診しましょう。 ふくらはぎの肉離れは歩ける場合でも油断は禁物です! ふくらはぎの肉離れの症状が軽度であれば、歩ける場合があります。しかし歩けるからといって油断は禁物です。 ふくらはぎの肉離れは、適切な治療を怠ると以下のリスクがあります。 放置すると重症化するリスク 症状が良くなるまでに時間がかかる 内出血や腫れが遅れて現れることがある 起こりうるリスクについて解説します。 放置すると重症化するリスク ふくらはぎの肉離れは、歩行可能な状態でも放置すると重症化するリスクがあります。 適切な処置や治療が遅れると後遺症として、筋肉の修復が不完全になり、慢性的な違和感や機能障害が残る可能性が高いです。 また不完全な修復は、筋肉の微弱性を高めるため、再発のリスクがあります。 軽度でも自己判断はせず、応急処置を行い、医療機関を受診しましょう。 症状が良くなるまでに時間がかかる ふくらはぎの肉離れは、軽度の症状でも初期段階で適切な対応を怠れば、症状がよくなるまでに時間がかかります。 損傷した筋繊維は、瘢痕組織(はんこんそしき)と呼ばれる硬い組織に置き変わるため、伸展性や収縮性が低下します。 そのため、負荷のかかる動きには耐えにくい組織に切り替わるので、再発しないよう注意が必要です。 自己判断はせず、医師の指示に従い適切な治療を受けることで、早期回復につながります。 内出血や腫れが遅れて現れることがある 肉離れの症状は個人差も大きく、内出血や腫れが出るタイミングも人それぞれであり、遅れて症状が現れた場合でも、自己判断は禁物です。 内出血や腫れが遅れて出る理由は、組織損傷後の炎症反応が時間をかけて進行するためです。 進行のスピードは人それぞれであり、肉離れを起こした時点で内出血や腫れが現れる人もいれば、遅れて症状が出る人もいます。 歩けるからといって無理すると、後から内出血や腫れの症状がでる可能性があるため、早い段階での適切な対応が大切です。 ふくらはぎの肉離れを起こしたときの対策 ふくらはぎの肉離れを起こしたときは、焦らずに対策しましょう。 安静にする 応急処置を行う 適切なリハビリを行う 症状の再発を防止する 再生医療(PRP療法) ふくらはぎの肉離れを起こしたときの対策を解説します。 安静にする ふくらはぎの肉離れを起こした場合は、安静にしましょう。肉離れを起こしたときはすぐに運動を中止し、必要に応じて冷却などを行います。 RICE処置(安静(Rest)・冷却(Ice)・圧迫(Compression)・患部を心臓より上に上げる(Elevation))の流れの1つであり、一時的な処置として効果的な手法です。 発症してから数日間は受傷部を保護する必要があるので、おおよそ3〜5日は安静にする必要があります。 安静期間は症状の程度によって異なるため、自己判断はせず医師の指示に従いましょう。 応急処置を行う 処置 詳細 目的 安静 (Rest) 患部を動かさない 症状の悪化を防ぐ 冷却 (Ice) 保冷剤をタオルで包み15~20分冷やす(1日数回) 腫れと炎症を抑える 圧迫(Compression) 包帯などで患部を圧迫 内出血と腫れを抑える 挙上(Elevation) 患部を心臓より高い位置に 腫れを軽減する ふくらはぎの肉離れが起きたときに有効なのが、RICE処置:安静(Rest)・冷却(Ice)・圧迫(Compression)・挙上(Elevation)です。 肉離れを起こした初期の段階ではRICE処置が有効であり、とくに安静(Rest)と冷却 (Ice)が大切です。 冷却 (Ice)を行う際は、冷やしすぎると凍傷になる可能性があります。保冷剤をタオルなどで包み、数秒に一回は肌から離すなど工夫しましょう。 また、圧迫 (Compression)も力任せではなく、加減を調整しながら行います。圧迫時にしびれや変色を起こした際はすぐに緩めることが大切です。 あくまでも応急処置のため、症状が改善しない場合は医療機関への受診が必要です。 適切なリハビリを行う 内容 目的 効果 瘢痕組織の改善 柔軟性向上 正常な筋肉に近づける 筋力と柔軟性の回復 機能回復 日常生活・運動への復帰 筋力バランスの調整 バランス改善 再発リスク軽減 再発防止 筋肉の状態回復 運動再開を目指す 安静にすると同時に適切なリハビリが大切です。リハビリでは、瘢痕組織の改善や筋力バランスの調整を行い、症状の改善を目指していきます。 リハビリは自己判断ではなく医師指導のもと、無理のない範囲で行うのが大切です。 症状の再発を防止する ふくらはぎの肉離れは再発の可能性が高いので、再発を防止する必要があります。 再発を防ぐには適切なリハビリや休息、食生活のバランスが大切です。 筋肉の修復を考え、無理な運動は控え、食事はタンパク質(鶏肉・魚・卵・豆類・ナッツ・乳製品など)や、ビタミンC、ビタミンE、オメガ3脂肪酸などを含む食事を中心に行いましょう。 肉離れはクセになりやすい症状なので、油断は禁物です。 再生医療(PRP療法) ふくらはぎの肉離れに対して、PRP療法(多血小板血漿療法)は有効な手段です。 PRP療法(多血小板血漿療法)は、患者様自身から採取した血液から、多血小板血漿(Platelet-Rich Plasma:PRP)を抽出します。 抽出した多血小板血漿(Platelet-Rich Plasma:PRP)を肉離れで起きた損傷部位に注射し、症状改善を目指します。 手術を必要としない上に副作用のリスクもほとんどありません。最短30分で施術が完了します。 短い時間で対応かつ通院だけで行えるため、スポーツ選手にも効果的な療法です。 以下の記事では再生医療(PRP療法)について、詳しく解説しています。 ふくらはぎに肉離れの疑いを感じたら医療機関を受診しよう ふくらはぎに肉離れの疑いを感じたら、自己判断はせず医療機関を受診しましょう。 症状が軽いと歩ける場合もありますが、放置してしまうと症状が悪化し、後遺症が出る可能性があります。 ふくらはぎの肉離れを重症化させないためにも応急処置は適切に行い、軽度だったとしても、医療機関で診察を受けることが大切です。 肉離れの症状が辛い方は当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。再生医療で組織の修復をサポートします。 ふくらはぎの肉離れでお悩みの方は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にお問い合わせください。
2025.03.31 -
- その他、整形外科疾患
激しい運動をしたあと、突然の痛みで動けなくなった経験はありませんか。それはもしかすると「肉離れ」かもしれません。 筋肉が部分的に断裂し起こる肉離れは、適切な対処を怠ると症状が長引いたり、再発を繰り返す恐れがあります。 この記事では「肉離れとは何か」といった基本的な疑問から、原因・症状・治療・予防策までを幅広く解説していきます。スポーツだけでなく日常生活の急な動作でも起こりうるケガだからこそ、正しい知識を身につけておきましょう。 肉離れとは 肉離れとは、正式には「筋挫傷」と呼ばれる状態で、筋肉の繊維の部分的な断裂を指します。主に太もも(大腿部)やふくらはぎ(腓腹筋)などの大きな筋肉に発生しやすい傷害です。(文献1) 重症度は以下の3段階に分類されます。 1度:筋肉内の内出血はあるが筋膜や筋線維に大きな損傷がない軽度の状態 2度:筋腱移行部に損傷があるものの完全断裂や付着部裂離はない中程度の状態 3度:腱の完全断裂または付着部の裂離がある重度の状態 (文献2) 筋肉別の肉離れの判別方法は以下のとおりです。 大腿四頭筋 ハムストリングス 腓腹筋 1度 うつ伏せで膝を90度以上曲げられる 仰向けで膝をまっすぐ伸ばし脚を70度位まで上げられる アキレス腱を伸ばすと若干の痛みがある 2度 うつ伏せで膝を45度~90度曲げられる 仰向けに寝て膝をまっすぐ伸ばし脚を30度~70度位まで上げられる アキレス腱を伸ばすと強い痛みがあり、膝を曲げた状態で行うと痛みが弱くなる。つま先立ちができる 3度 うつ伏せで膝を45度位まで曲げられる 仰向けに寝て膝をまっすぐ伸ばし脚を30度位まで上げられる 膝を曲げた状態でもアキレス腱を軽く伸ばしただけで強い痛みがある。つま先立ちができない (文献3) 症状が疑われる場合は自己判断せず、整形外科医の診察を受けてください。スポーツ活動再開時には、段階的なリハビリテーションが必須です。 肉離れの原因 肉離れは主に以下の3つの原因によって発生します。 筋肉疲労 準備運動不足 水分不足 これらの要因を理解し、適切な予防策を講じることが重要です。ここから詳しく解説します。 筋肉疲労 激しい運動や筋力トレーニングを連続して行うと、筋繊維に微細な損傷が蓄積します。本来であれば、適切な休息により筋肉は修復・強化されますが、十分な回復時間がないまま負荷の多い活動を継続すると、筋繊維の耐久力が著しく低下します。これが肉離れ(筋挫傷)の発生原因です。 疲労した筋肉は伸縮性や反応性が低下し、通常の負荷でも断裂しやすい状態になります。したがって、効果的なトレーニングと怪我予防のためには、適切な休養期間の確保が不可欠です。回復過程における質の高いタンパク質摂取や十分な水分補給など、適切な栄養管理も重要な要素となります。 筋肉に適度な負荷と十分な回復時間のバランスを取ることが、パフォーマンス向上と肉離れ予防の鍵となるのです。(文献1) 準備運動不足 適切な準備運動は肉離れ予防において必須の要素です。運動前に筋肉や関節を十分に温めれば、組織の柔軟性が高まり、急激な負荷にも対応できる状態になります。しかし、準備運動が不十分なまま激しい運動をすると、筋繊維は冷えた硬い状態のまま急激な伸縮を強いられ、断裂リスクが上昇します。 効果的な準備運動として、徐々に負荷を上げていくスキップや軽いジョギングなどの動的ストレッチがおすすめです。これにより、筋温の上昇や血流が促進し、運動に適した身体状態を整えられます。とくに大きな筋肉を使う競技では、入念な準備運動が肉離れ予防のポイントです。 安全かつ効果的なトレーニングを実現するために、準備運動を習慣化しましょう。(文献1) 水分不足 適切な水分バランスの維持は筋肉機能の保持に不可欠です。体内の水分が不足すると、血液の粘度が上昇し体内の循環が低下します。筋肉への酸素や栄養素の供給が滞り、疲労物質の除去も遅れるため、筋肉疲労が蓄積しやすくなります。水分不足の状態は筋肉の柔軟性を低下させ、肉離れのリスクを高めてしまうでしょう。 発汗量が増加する激しい運動や気温の高い状況での活動は、水分が急速に失われるためとくに注意が必要です。 効果的な水分補給としては、運動前・中・後の各段階でのこまめな摂取がおすすめです。ナトリウムや糖質を含むスポーツドリンクは、長時間の運動時に失われる成分を補充する点で有効でしょう。 水分管理は肉離れ予防の基本であり、パフォーマンス維持につながります。(文献1) 肉離れの症状 肉離れには、特徴的な症状が出現します。急激な動作時に走る鋭い痛みを訴える方が多く、受傷時には「プチッ」といった断裂音が聞こえることもあります。 触診による痛みを感じることも多く、損傷部位に触れると強い痛みを訴えるのが特徴的です。損傷した筋肉を伸ばしたり収縮させたりする動作も、著しい疼痛を引き起こします。 重症度が高い場合、時間の経過とともに重力により損傷部位から血液が下方へ移動し、数日かけて皮膚表面に内出血が現れます。内出血の範囲や程度は、損傷の重症度を判断する際の指標になるでしょう。重症度によって、腫れやへこみが見られる場合もあります。 このような症状が認められる場合は整形外科を受診し、専門医による診断と治療を受けることが必要です。 肉離れの対処法 肉離れを発症した際は、RICE処置による応急対応が効果的です。 【RICE処置】 Rest(安静):損傷部位への負荷を最小限にとどめ、炎症の拡大を防ぐ Icing(冷却):損傷部分を水や氷で冷やし、組織の腫脹や内出血を効果的に軽減する Compression(圧迫):弾性包帯やテーピングで適度な圧を加え、過剰な体液貯留を抑制する Elevation(挙上):損傷部位を心臓より高い位置に保持し、腫脹の軽減を図る (文献1) 急性期を過ぎた受傷後3〜5日目からは、筋萎縮や関節拘縮を防ぐため、段階的なリハビリテーションへと移行します。専門家の指導のもと、筋肉の柔軟性の回復や筋力強化など、本人に合ったリハビリテーションの実施が機能回復へのポイントとなります。(文献2) 痛みの再発がないことを確認しながら、慎重に活動レベルを上げていくことが重要です。適切な初期対応とリハビリテーションが、後遺症のない回復と再発防止につながります。 肉離れの検査と診断 肉離れの適切な診断と評価には、複数の検査法が組み合わせて用いられます。筋肉の詳細な情報がわかるのはMRI検査で、損傷した筋線維や周囲の組織の状態が明確にみえるため、断裂の程度や範囲を正確に評価できます。 超音波検査(エコー)は、リアルタイムで筋繊維の断裂状況や血腫を確認できる検査です。数分で検査が可能であり、コストパフォーマンスに優れた検査として広く活用されています。(文献3) レントゲン検査は筋肉自体の検査には適していませんが、骨の異常を調べるために実施されることがあります。 画像診断に加え、熟練した医師による触診も重要です。痛みの部位や程度、腫脹範囲、筋肉の状態などの情報から、総合的な評価が行われます。 検査結果に基づき、適切な治療計画と予後の予測が立てられます。 肉離れの治療 肉離れの治療法は損傷の程度によって大きく異なります。部分断裂の場合は主に保存的治療が選択され、患部の安静、消炎鎮痛薬の服用、患部保護のためのテーピングやサポーターの使用が基本です。 完全断裂の場合は、運動機能の完全回復が求められるアスリートなどには手術が必要になるケースが多いです。手術では断裂した筋繊維や腱を再接合し、機能的回復を目指します。(文献4) 痛みが消失した後のリハビリテーションは、段階的に進められます。初期には軽度のストレッチから始め、徐々にジョギングへと移行し、走行距離や強度を増やしていくケースが多いです。(文献5) 近年注目されているPRP(多血小板血漿)療法は、患者自身の血液から抽出した成長因子を豊富に含む血小板を損傷部位に注入する治療法で、組織の修復・再生を促進する効果が期待されています。 いずれの治療においても、医療専門家の適切な指導のもとで実施すれば、完全回復と再発防止につながります。 リペアセルクリニックでは、あなたの症状に合わせた治療プランをご提案します。再生医療による治療も行っておりますので、メール相談やオンラインカウンセリングをご利用の上、お気軽にお問い合わせください。 肉離れが治る期間 肉離れの完全な回復に要する期間は、損傷の重症度や患者様自身によって異なりますが、一般的な目安として3〜5週間とされています。(文献6) 重症度別に見ると、軽度の部分的筋繊維損傷では、適切な初期対応を行った場合、1〜2週間程度で疼痛は軽減し、日常生活動作への復帰が可能となります。中等度では筋肉に明らかな損傷があり、3〜5週間の計画的な安静期間とリハビリテーションが必要です。重度の完全断裂では、2〜3カ月の長期回復期間を要し、場合によっては手術も検討されます。 同じ重症度でも年齢や基礎体力、代謝機能などの個人差や、初期対応の適切さ、リハビリテーションへの取り組み方によって回復までの期間は大きく左右されます。若年層と比較して高齢者では、組織修復能力の低下から回復に時間を要するケースが多いでしょう。 肉離れが治る期間には、専門医による定期的な評価が重要です。 肉離れの予防法 肉離れ予防には、以下の方法を組み合わせましょう。 運動前のウォームアップ 筋肉のバランスを整える 栄養摂取と休息 十分な水分補給 運動前の準備として、ウォームアップにより筋肉を温めて、柔軟性を高めることが重要です。運動後の適切なクールダウンは急激な筋肉の緊張が緩和されます。(文献7) 日常的なトレーニングは筋肉の柔軟性を向上させ、突発的な負荷に耐える力を強化します。筋肉のバランスを整え、負荷が集中しにくい体づくりが必要です。 筋肉の回復と強化には、適切な栄養摂取と休息が不可欠です。質の高いタンパク質やビタミンなどの栄養を補給し、筋組織の修復に努めましょう。(文献8) 水分補給も肉離れの予防になります。十分な水分補給が、筋組織のコンディションを整え、疲労物質の蓄積を防ぎます。 予防策を総合的に実践すれば、肉離れのリスクの大幅な低減が可能です。 肉離れを正しく理解し適切な対処と予防を心がけよう 肉離れは筋繊維の断裂を指し、主に大腿部やふくらはぎなどの大きな筋肉に発生します。発症時はRICE処置が重要で、重症度に応じた適切な治療とリハビリが回復のポイントです。 予防には十分なウォームアップとクールダウン、筋力トレーニング、適切な栄養と水分摂取が効果的です。筋肉の疲労サインを見逃さず適切な対応を心がけ、安全にスポーツを楽しみましょう。 肉離れが改善しない場合は、「リペアセルクリニック」にご相談ください。再生医療の活用で組織の回復を助け、肉離れの改善を目指した治療を行っています。 肉離れでお悩みの方は、メール相談やオンラインカウンセリングにてお気軽にお問い合わせください。 肉離れに関するよくある質問 ここでは、肉離れに関するよくある質問を3つ紹介します。 肉離れと筋肉痛の違いは何ですか? 肉離れは運動中や急激な動作時に痛みが発生しますが、筋肉痛は運動後数時間から翌日以降に痛みが現れます。肉離れでは、内出血や腫れが見られる場合がありますが、筋肉痛には通常目に見える変化はありません。 肉離れは何科を受診するべきですか? 肉離れは通常、整形外科の受診をおすすめします。症状が重い場合やスポーツ中の急な痛みを伴う場合は、とくに受診が必要です。スポーツ医学を専門とする整形外科医がいる病院を選ぶとより専門的な治療が受けられます。 寝てる時でも肉離れは発症しますか? 一般的に、肉離れは急激な動作や過度な負荷がかかることによって発生しますが、寝ている間に発症する場合もあります。身近なものでは、起床時に首からかけて痛みが出る寝違えです。 睡眠中、頭部が中央からずれることで、前後左右どちらかの筋肉の血流が止まり、強い凝りが発生します。起床時に急に動くことで、凝った筋肉に刺激が加わり、症状が発症する場合があります。 寝違えなどの症状が発生し強い痛みを感じた場合は、自己対処せずに専門家に相談しましょう。 参考文献 文献1 伊藤超短波株式会社「肉離れとはどんな症状?原因や対処法も合わせて解説」伊藤超短波株式会社ホームページ https://www.wellness.itolator.co.jp/column/003.html (最終アクセス:2025年3月17日) 文献2 医療法人 同信会 福岡整形外科病院「肉離れとは」福岡整形外科病院ホームページ https://www.fukuokaseikei.com/disease/foot/muscle-strain/ (最終アクセス:2025年3月17日) 文献3 医療法人社団 信愛会 瀬戸整形外科クリニック「肉離れ 症状・原因・検査方法 肉離れが起きやすい部位とは?」瀬戸整形外科クリニックホームページ https://setoseikei.com/2024/10/10/symptoms-causes-and-tests-for-separation-of-the-flesh/ (最終アクセス:2025年3月17日) 文献4 MSD「捻挫およびその他の軟部組織損傷の概要」MSDマニュアルプロフェッショナル版,2023年7月 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/22-%E5%A4%96%E5%82%B7%E3%81%A8%E4%B8%AD%E6%AF%92/%E6%8D%BB%E6%8C%AB%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E3%81%9D%E3%81%AE%E4%BB%96%E3%81%AE%E8%BB%9F%E9%83%A8%E7%B5%84%E7%B9%94%E6%90%8D%E5%82%B7/%E6%8D%BB%E6%8C%AB%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E3%81%9D%E3%81%AE%E4%BB%96%E3%81%AE%E8%BB%9F%E9%83%A8%E7%B5%84%E7%B9%94%E6%90%8D%E5%82%B7%E3%81%AE%E6%A6%82%E8%A6%81?query=%E7%AD%8B%E6%8C%AB%E5%82%B7(最終アクセス:2025年3月17日) 文献5 足立慶友整形外科「肉離れの症状・診断・重症度・治療について」足立慶友医療コラム,2020年1月 https://clinic.adachikeiyu.com/1131(最終アクセス:2025年3月17日) 文献6 からさわ整形外科クリニック「肉離れ」症状のご相談(肉離れの原因・治療) https://www.karasawa.gr.jp/case/nikubanare/(最終アクセス:2025年3月17日) 文献7 Nクリニック「肉離れ」Nクリニックホームページ https://www.n-cli.com/muscle_strain/(最終アクセス:2025年3月17日) 文献8 OKUNOCLINIC「繰り返す肉離れ(反復性肉離れ)」OKUNOCLINICホームページ https://okuno-y-clinic.com/itami_qa/nikubanare.html(最終アクセス:2025年3月17日)
2025.03.31 -
- 上肢(腕の障害)
- スポーツ外傷
上腕二頭筋にこれまでにない違和感がある 腕に力が入らず、困っている その症状、もしかしたら上腕二頭筋断裂かも知れません。 上腕二頭筋断裂は、上腕二頭筋腱長頭腱が損傷し、腕を動かすなどの動作に支障が出る症状です。 スポーツや日常生活で腕を酷使する方がなりやすい症状であり、放っておくと重症化する恐れがあります。 本記事では以下について解説します。 上腕二頭筋断裂について 上腕二頭筋断裂の診断方法 上腕二頭筋断裂の原因 上腕二頭筋断裂の治し方 断裂後の生活で気を付けるべきこと 上腕二頭筋断裂は正しい知識を身につけ、適切な処置と治療を受けることで改善できます。 腕に違和感がある方は、ぜひ最後まで読み進めてみてください。 上腕二頭筋断裂とは 上腕二頭筋断裂の症状は、肩や肘の近くの強い違和感です。 肩関節で肩甲骨につながる2本の腱と、肘で腕の骨の1本(橈骨)につながる1本の腱が重いものを持つ行為などで損傷し、上腕二頭筋断裂が引き起こされます。 上腕二頭筋断裂は部分的な断裂もあれば、完全に断裂してしまい、腱が骨から完全に離れることもあります。 また、肘から骨が離れることで、腕を特定の方向に動かすことが困難になります。 腱の断裂が部分的なものであれば、患部を動かすことはできるものの、無理な酷使で腱の断裂状態が悪化し、完全に断裂する可能性もあるので注意が必要です。(文献1) 上腕二頭筋断裂の診断方法 診断方法 内容 問診 受傷時の状況、違和感のある部位や程度、日常生活での支障などを確認します。 視診・触診 腕の腫れや変形(ポパイサイン)圧痛の有無などを確認します。 理学検査 腕の可動域や筋力、動作中の違和感の有無などを確認します。 画像検査 レントゲン、超音波検査、MRIなどで腱の状態を確認します。 血液検査 通常は不要ですが、感染症などが疑われる場合には行われることがあります。 上腕二頭筋断裂の診断方法は以下の5つです。 問診 視診・触診 理学検査 画像検査 血液検査 上腕二頭筋断裂の診断は、検査を総合的に判断して行われます。検査の内容について解説します。 問診 診断項目 医師が確認する項目 患者が伝えること 断裂時の状況 いつ、どのような状況で受傷したか(重い物を持ち上げた、スポーツ中に強い負荷がかかったなど) いつどこで何をしている時に違和感があったなど、詳細に伝える 症状 腕のどこに違和感があるか。腕を曲げる、持ち上げるのが辛くないか 腕のどこに違和感を感じるか。力を入れたり腕を曲げたりすると辛いかどうか 既往歴 過去に肩や腕に違和感があったか。過去に治療や服用している薬がないかなど 過去に肩や腕に怪我を負ったかの有無。現在の健康状態や服用している薬があれば、漏れなく伝える (文献1) 問診では断裂時の状況や症状、既往歴などを医師が確認します。断裂時の状況や症状をできるだけ細かく伝えることが大切です。 過去に腕や肩を怪我したことのある方は、その旨を伝えましょう。また、現在服用している薬も忘れずに伝えましょう。 問診の情報を元に医師は視診や触診を行い、必要に応じて画像検査などを実施します。 正確に状況や症状を伝えることで診断や治療精度の向上が期待できます。 また問診の段階で少しでも気になることがあれば、遠慮なく医師に相談しましょう。 視診・触診 診察項目 確認事項 ポイント 上腕の形状 力こぶの形が変わっていないか(ポパイ徴候) 通常、断裂すると上腕の筋肉が下方にずれる 圧痛の有無 腱の走行に沿って押したときに違和感があるか 圧痛があると部分断裂の可能性が高い 筋力テスト 腕に力を入れたときの筋力が低下していないか 筋力の低下が見られる場合、腱が完全に切れている可能性がある (文献1) 視診・触診では、医師が患部の外観を確認します。上腕の形状などが変形していないかの有無や、色の変化を視診します。 腱の走行に沿って押したときに違和感や、筋力テストでいつもより力が入らない場合は腱が切れている可能性が高いです。 視診・触診で上腕二頭筋長頭腱の有無を確認し、適切な治療方針を定めます。 理学検査 テスト名 目的 方法 結果の見方 ルーズテスト 上腕二頭筋腱の安定性を評価 腕を外旋しながら肘を曲げ伸ばし、安定性を確認(文献3) 異常な動きや引っかかりがあれば腱の不安定性を示唆 フックテスト 上腕二頭筋腱の完全断裂を評価 肘を90度に曲げた状態で、指を使って腱を引っ掛けられるか確認(文献2) 違和感がある場合、炎症や部分断裂の可能性がある バイセプス・スクイズ・テスト 上腕二頭筋腱の完全断裂を評価 肘を90度に曲げた状態で上腕を両側から圧迫し、筋収縮を確認 筋収縮がなければ腱が完全に断裂している可能性がある スピードテスト 上腕二頭筋腱の炎症を評価 腕を前方に伸ばした状態で抵抗をかけながら挙上し、違和感を確認 違和感がある場合、炎症や部分断裂の可能性がある 上腕二頭筋腱の症状に対して、どのテストを行うかは医療機関によって異なるものの、大枠は症状の確認です。 結果を医師が確認し、異常や違和感があれば、上腕二頭筋腱と診断される可能性があります。 画像検査 検査名 目的 特徴 適したケース 超音波検査 腱の断裂や炎症を確認 リアルタイムで腱の損傷を確認しつつ、動かしながら評価 簡易的な診断や、動作による変化を評価したいとき MRI検査 腱や周囲組織の状態を詳細に評価 腱だけでなく、関節や周囲の軟部組織も詳細に確認可能 より詳細な評価が必要な場合や手術の判断をする場合 (文献1) 上腕二頭筋腱の画像検査では、主にMRI検査と超音波検査が行われます。MRI検査では腱の断裂だけでなく、周囲の組織の状態を確認できます。 一方、超音波検査では腱の損傷や程度を視覚化する方法です。腕を動かしながらでも断裂の位置や大きさを正確に把握できます。 血液検査 血液検査は、必要に応じて行われます。腱断裂の直接的な診断では行いません。 感染症の有無や炎症反応、健康状態などを確認するために用いられます。 上腕二頭筋断裂の原因 原因 どんなときに起こりやすい? 加齢による腱の変性・脆弱化 年齢とともに腱が弱くなり、ちょっとした力でも切れやすくなる スポーツなどの反復的な使用 野球やテニスなど、腕をよく使うスポーツで繰り返し負荷がかかったとき 転倒や直接的な衝撃での外傷 転んだり、ぶつけたりして、強い力が腕にかかったとき 腱板損傷などの肩の疾患 肩の他の部分が傷んでいると、上腕二頭筋に負担がかかりやすくなり、発症しやすくなる ステロイド薬の長期使用 薬の影響で腱が弱くなることがある(文献4) 上腕二頭筋断裂の原因は、加齢やスポーツなどで発生した外傷です。上腕二頭筋断裂の原因について解説します。 加齢による腱の変性・脆弱化 上腕二頭筋の腱は年齢とともに強度が弱まり摩耗しやすくなるため、発症リスクが上がります。 腱や筋肉の柔軟性を維持するために、日頃から軽いストレッチや適度な運動が大切です。 スポーツなどの反復的な使用 スポーツが原因で上腕二頭筋断裂は発症します。とくに腕を酷使するスポーツである野球やテニスなどは腕に負担がかかりやすく、発症リスクが高いです。 また、工場作業や土木作業で重いものを運ぶのが日常になっている人も、腕に負荷がかかりやすく、断裂の原因になります。 スポーツや重労働を行う前は適切な準備運動を行い、腱や筋肉を慣らしておくことが大切です。 転倒や直接的などの外傷 処置名 説明 ポイント Rest(安静) 患部を動かさずに安静にし、さらなる損傷を防ぐ 無理に動かさず、適切な休息を取る Ice(冷却) 氷や冷却パックを当て、炎症や腫れを抑える(1回20分目安) 冷やしすぎに注意し、直接皮膚に当てないようにする Compression(圧迫) 包帯などで適度に圧迫し、腫れを最小限に抑える 強く締めすぎず、血流が悪くならないようにする Elevation(挙上) 患部を心臓より高く持ち上げ、血流をコントロールして腫れを防ぐ 横になってクッションを使うと楽に挙上できる 転倒した際に腕を地面につけたり重いものを押さえたりすると、腱に負荷がかかります。とくに急な負荷だった場合、断裂する可能性があります。 もし転倒や重いものを持ち上げ、腕に負荷がかかってしまった場合は、RICE処置:Rest(安静)・Ice(冷却)・Compression(圧迫)・Elevation(挙上)を行いましょう。 ただし、RICE処置はあくまでも応急処置のため、違和感が続く場合は自己判断せず、速やかに医療機関を受診しましょう。(文献1) 腱板損傷などの肩の疾患 メカニズム 影響 肩関節の不安定性 腱板が損傷すると、肩関節の安定性が低下し、上腕二頭筋腱がずれやすくなる 腱の摩擦と炎症 腱が周囲の組織と摩擦しやすくなり、炎症が生じる 血流の低下 血流が低下すると、腱の修復能力が落ち、断裂しやすくなる 腱板損傷などの肩の疾患で、上腕二頭筋断裂が引き起こされます。 腱板の中でも棘上筋腱は上腕二頭筋腱のすぐ上に位置します。そのため、棘上筋腱の断裂は上腕二頭筋腱の断裂に直接的な影響を与える可能性もあります。(文献1) 慢性化すると腱の脆弱化が進行し、断裂の危険性が高まります。対策として、過度な負荷や無理なトレーニングは控えましょう。 ステロイド薬の長期使用 2024年1月更新の患者向薬品ガイド資料7Pによると、ステロイド薬であるプレドニン錠 5mgの副作用として、腱断裂が自覚症状とて現れることが記載されています。(文献4) 患者向薬品ガイド資料では、ステロイド薬の使用による腱組織の脆弱化などが指摘されています。 ステロイド薬については以下の記事で詳しく解説しています。 上腕二頭筋断裂の治し方 上腕二頭筋断裂の治療法の選択 対象者 推奨される治療法 メリット 適した人 腕を酷使しない人 保存療法 リハビリやサポーターで日常生活に支障が出にくい 腕を強く使う必要がない人 力仕事やスポーツをする人 手術療法 筋力が回復し、腕の動きが元通りに近づく 仕事やスポーツで腕をしっかり使う人 (文献1)(文献5)(文献6) 上腕二頭筋断裂の治し方は、主に保存療法と手術療法です。保存療法と手術療法について解説します。 保存療法 保存療法の方法 内容 安静 患部を安静に保ち、過度な負荷を避ける 冷却 患部を冷却し、腫れや炎症を抑える 薬物療法 鎮痛剤や抗炎症薬を使用して、違和感を緩和する リハビリテーション 腕に抱える違和感が改善次第、筋力の回復を目指す 保存療法が選択されるケースとしては主に腕を治療する時間があり、腕を酷使しない人の場合です。 保存療法のメリットは、日常生活に支障が出にくいことです。 しかし、ポパイサイン(断裂した後にできる力こぶのような変形)が肘を曲げた際に生じることが理由で、手術療法を選択するケースもあります。 手術療法(縫合・再建手術) 手術の種類 概要 手術を行うケース 特徴 腱の縫合(再接着手術) 切れた腱を元の位置に戻し、縫合して再接着する 完全断裂の場合 腱を強固に固定し、機能回復が期待できる 内視鏡を使った手術(関節鏡手術) 内視鏡を使い、小さな切開で腱を修復 腱の切れ目が深い場所にあるときや、体の負担を減らしたいとき 傷口が小さく、回復が早い 再建手術(腱移行術) 失われた腱を他の筋肉や腱で再建する 長期間放置された断裂や、大きく腱が失われた場合 なくなった腱を補える 腱の転移(筋腱移行術) 他の筋肉を移植し、上腕二頭筋の機能を補う 上腕二頭筋の腱がなく、再建も難しいとき 筋肉の力を利用して、腕の機能を回復させる (文献1)(文献7) 保存療法で改善せず、症状が重度の場合は手術療法が必要です。手術は肘関節や肩関節の機能を回復させるのが目的です。 手術の方法は腱の切れ方や、症状によって異なるため、医師の判断で行われます。手術後は医師の指導のもと、リハビリで症状改善を目指します。 手術を受ける際にわからないことや、不安なことは遠慮せず医師に質問しましょう。 断裂後の生活で気を付けるべきこと 断裂後の生活で気を付けるべきことを解説します。 上腕二頭筋断裂を起こした際は腕に負担のかかる動作は控え、無理のない範囲でリハビリを行いましょう。 腕に負担のかかる動作は控える 上腕二頭筋断裂を発症した後は、腕に負荷のかかる動作は控えることが大切です。腕に負荷がかかることで、症状悪化や回復が遅くなる可能性があります。 リハビリやトレーニングを行う際は、急な負荷は避けるようにしましょう。 無理のない範囲でリハビリを行う リハビリの段階 主な目的 リハビリ内容 注意点 手術直後(行なっている場合)〜数週間 腱の保護と炎症の軽減 ギプスやサポーターで固定し、過度な動きを避ける 無理な動きはせず、医師の指示に従う 数週間〜1カ月 関節の可動域を広げる 軽いストレッチや他動運動で可動域を広げる 腕に違和感を強く感じる場合は無理をせず、徐々に動かす 1〜3カ月 筋力の回復を促す ゴムバンドや軽いダンベルを使った筋力トレーニング 急に負荷を増やさず、段階的に強度を上げる 3カ月以降 通常の動作やスポーツ復帰 日常生活動作やスポーツ向けの実践的な運動を行う 症状改善を焦らず、継続的にトレーニングを行う 上腕二頭筋断裂の治療としてリハビリは有効です。リハビリを行う際は自己判断ではなく、医師の指導のもと、行うことが大切です。 リハビリは焦らず、炎症や違和感などを考慮して行います。いきなり腕を動かすのではなく、段階ごとに腕を慣らしていきます。 症状改善を焦ると、無意識のうちに腕に負担をかけてしまうことがあるため、焦らずリハビリに取り組みましょう。 スポーツや仕事への復帰は医師と相談する 上腕二頭筋を断裂した後、無理に復帰すると再断裂や回復が遅くなる恐れがあります。 上腕二頭筋断裂の症状や回復のスピードには個人差があり、医師は患者に合わせた復帰計画を立てて指導します。 自己判断で復帰や無理をしてしまうと、腱の再断裂だけでなく、肩関節周囲の他の組織を損傷する恐れがあるので、復帰時期は医師と相談しましょう。 またスポーツや仕事に復帰する際は、軽い運動から徐々に慣らしましょう。 食事に気をつける 栄養素 役割 推奨される食材 タンパク質 筋肉や腱の修復を促進する 肉、魚、卵、大豆製品 (豆腐、納豆) カルシウムとビタミンD 骨の健康を維持し、腱の強化をサポートする 乳製品(牛乳、チーズ)魚介類(鮭、いわし) ビタミンC コラーゲンの合成を助け、組織の修復を促進する 果物(オレンジ、キウイ)野菜(パプリカ、ブロッコリー) オメガ-3脂肪酸 炎症を抑え、回復をサポートする 魚油(サバ、マグロ)ナッツ類(アーモンド、クルミ) 上腕二頭筋断裂後は症状改善に向けて、食事にも気を付ける必要があります。 栄養素の摂取は大切ですが、極端に食事が偏らないよう注意しましょう。 上腕二頭筋断裂の疑いがある場合は早めの受診を 上腕二頭筋断裂の疑いがある場合は早めの受診が大切です。上腕二頭筋断裂は発見が遅れると回復が遅れ、重症化する恐れがあります。 また、上腕二頭筋断裂と診断された後も無理はせず、医師の診断のもとリハビリや復帰を行いましょう。 上腕二頭筋断裂が数カ月経過しても改善しない場合は、当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。再生医療を活用し腱の構造的な修復だけでなく、機能的な回復も促します。 改善しない上腕二頭筋断裂でお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) Danielle Campagne, (2023)Biceps Tendon Tears,MSD MANUAL,Reviewed/Revised Jul 2023, https://www.msdmanuals.com/home/injuries-and-poisoning/sprains-and-other-soft-tissue-injuries/biceps-tendon-tears(最終アクセス:2025年3月11日) (文献2) Danielle Campagne, et al. (2023),Biceps Tendon Tears,MSD MANUALProfessionalVersion,Reviewed/Revised Jul 2023 https://www.msdmanuals.com/professional/injuries-poisoning/sprains-and-other-soft-tissue-injuries/biceps-tendon-tears(Accessed:2025-03-11) (文献3) 「胸郭出口症候群」慶應義塾大学病院医療・健康情報サイトKOMPAS ,2021年6月1日 https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000944.html#:~:text=%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88%3A,%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%8D%E3%81%9F%E3%82%8A%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82(最終アクセス:2025年3月11日) (文献4) 「プレドニン錠 5mg」『患者向医薬品ガイド』,pp.1-10, 2024年 https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/guide/ph/343018_2456001F1310_4_00G.pdf(最終アクセス:2025年3月11日) (文献5) Carl R Freeman, et al.(2023),Nonoperative treatment of distal biceps tendon ruptures compared with a historical control group,PubMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19797566/(Accessed:2025-03-11) (文献6) Simon P Lalehzarian, et al.(2022),Management of proximal biceps tendon pathology,PubMed https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8771414/(Accessed:2025-03-11) (文献7) 中川拓也ほか,「遠位上腕二頭筋腱断裂における術後早期理学療法後の長期経過─術後 3 年間の症例検討─」『JPTA』.pp1-1, https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2011/0/2011_Cb0503/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年3月11日)
2025.03.31 -
- 頭部
- 脊椎
- 内科疾患
「足が思うように動かない」「以前より歩きづらくなった」と感じることはありませんか? 歩行は日常生活の基本であり、その障害は日々の行動や心の状態にも大きな影響を与えます。 突然の変化に戸惑い、原因が分からず不安を抱えている方も多いでしょう。 この記事では、痙性歩行やパーキンソン歩行など9つの主な歩行障害の種類と、それぞれの原因となる疾患について詳しく解説します。 原因を知ることは、回復の第一歩ですので、ぜひ最後までご覧ください。 主な歩行障害の種類と原因疾患 主な歩行障害としては、以下の9種類があげられます。 痙性歩行(けいせいほこう) はさみ足歩行 ぶん回し歩行 鶏歩(けいほ) 失調歩行 パーキンソン歩行 間欠性跛行 墜落性跛行 心因性歩行障害 歩行障害の状況と原因疾患について、それぞれ解説します。 痙性歩行(けいせいほこう) 痙性歩行とは、脚が伸び切った状態でつま先立ちの姿勢になり、つま先を引きずって歩く状態です。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 脳血管疾患 多発性硬化症 脊髄損傷 頚椎症性脊髄症(頚髄症) つま先を引きずって歩く関係で、靴の前側部分がすり減りやすい特徴があります。(文献1) はさみ足歩行 はさみ足歩行とは、両足ともつま先立ちで床をこすりながら、両足をはさみのように交差させて歩く状態です。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 脳血管疾患 多発性硬化症 脊髄損傷 X脚のため、膝をすり合わせるような歩き方も、はさみ足歩行と呼ばれるケースがあります。 ぶん回し歩行 ぶん回し歩行とは、弧を描くように足を動かして歩く状態です。 ぶん回し歩行の主な原因を、以下に示しました。 脳血管疾患による片麻痺 下肢の筋力低下 膝関節や足関節の柔軟性低下 歩幅は正常ですが、つま先を上げる動作が難しいため、少しの段差にもつま先が引っかかり、転倒の可能性があります。 鶏歩(けいほ) 鶏歩とは、足首が下がったまま歩いている状態です。つま先を引きずりながらぱたぱたと歩きます。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 腓骨神経麻痺(腓骨:ふくらはぎにある細い骨) 筋萎縮性側索硬化症 ポリオ 鶏歩の特徴は、つまずき防止のため、歩くときに股関節を強く曲げて、膝を高く上げることです。 失調歩行 失調歩行とは、麻痺や筋力低下がないにもかかわらず、バランスが悪くスムーズに歩けない状態です。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 脊髄小脳変性症 脊髄腫瘍 脳腫瘍 失調歩行の具体例は、よろめきながらの歩行や開脚した状態での歩行などです。 パーキンソン歩行 パーキンソン歩行とは、名前のとおりパーキンソン病特有の歩行障害です。 パーキンソン病以外の原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 パーキンソン症候群 レビー小体型認知症 前かがみの姿勢、狭い歩幅、最初の一歩が出ないすくみ足、徐々に早足になる突進歩行などが特徴としてあげられます。方向転換時にバランスが取りにくいため、転倒の危険性が高い状況です。 間欠性跛行 間欠性跛行とは、しばらく歩いていると、手足のしびれや痛みといった症状が出現し、休憩すると症状が緩和する状態です。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 脊柱管狭窄症 閉塞性動脈硬化症 歩くと痛み、休むと治まる。再び歩くと痛む。この状況を繰り返す歩行障害です。 以下の記事で、脊柱管狭窄症について解説していますので、あわせてご覧ください。 墜落性跛行 墜落性跛行とは、左右の足の長さが異なるため、歩く際に片方の足が地面に墜落するように落下する動きになる歩行障害です。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 変形性股関節症 先天性股関節脱臼 足の長さが異なる場合、片足立ちのときに、反対側の骨盤が下降しています。 以下の記事で、股関節の病気を詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 心因性歩行障害 心因性歩行障害とは、身体機能や運動機能に異常がないにもかかわらず、歩けなくなる状態です。ただし、介助により歩行可能です。 強い不安や心理的ストレスが身体症状に現れる、転換性障害(機能性神経症状症)のひとつとされています。 発症年齢は10代から30代前半までがほとんどと言われており、男性より女性に多く見られる症状です。 歩行障害の治療・リハビリテーション この章では、歩行障害に対する治療およびリハビリテーションについて詳しく解説します。 原因疾患の治療 ほとんどの歩行障害には原因となる疾患があるため、その治療が必要です。 治療方法としては、薬物療法やブロック注射、手術療法、再生医療などがあります。 再生医療は、脳血管疾患やパーキンソン病、脊髄損傷などさまざまな疾患に対して効果を示しています。 筋力トレーニング 筋力トレーニングの種類としては、以下のようなものがあげられます。 椅子に座って膝の曲げ伸ばし かかとの上げ下ろし 踏み台昇降 スクワット リハビリ専門職の指導により、トレッドミルやレッグプレスといった専用のマシーンで行う筋力トレーニングもあります。 バランストレーニング 代表的なバランストレーニングは、以下のとおりです。 ゆっくりとした片足立ち 横歩き 後ろ歩き 歩いている途中の方向転換 つま先上げ 障害物を乗り越えながら歩くことも、バランストレーニングのひとつです。(文献2) ご自宅でバランストレーニングを行うときは、転倒しないように壁やいす、手すりなどにつかまりましょう。 歩行補助器具の選定・指導 歩行障害は治療によって軽減するものもありますが、原因疾患によっては回復に時間がかかり、障害が固定される場合もあります。 移動能力や生活の質向上のために、歩行補助器具を使うこともリハビリのひとつです。歩行補助器具には、杖(一点杖、多点杖)や歩行器、シルバーカーなどの種類があります。 まとめ|歩行障害の種類を知り、適切な治療を受けよう 歩行障害にはさまざまな種類があり、原因もそれぞれ異なります。歩行障害は転倒のリスクを高め、閉じこもりや、さらなる身体機能低下につながるものです。 自分の歩きにくさはどのようなものかを理解した上で、状況に合った医療機関を受診し、適切な治療やリハビリを受けましょう。 歩行障害の種類に関するよくある質問 ここでは、歩行障害の種類に関するよくある質問を3つ紹介します。 歩行困難になったら何科を受診すれば良いですか? 歩行困難の種類と原因疾患別に、受診する診療科を表にまとめましたので、ご覧ください。 歩行障害の種類 疾患 受診する診療科 痙性歩行 はさみ足歩行 ぶん回し歩行 失調歩行など 脳梗塞 脳出血 くも膜下出血 脳腫瘍など 脳神経外科 パーキンソン歩行 失調歩行 鶏歩(けいほ)など パーキンソン病 脊髄小脳変性症 筋萎縮性側索硬化症など 神経内科 間欠性跛行 痙性歩行 墜落性跛行など 椎間板ヘルニア 脊柱管狭窄症 変形性関節症 頚髄症など 整形外科 心因性歩行障害 強い不安や心理的ストレスによる不調 (転換性障害も含まれる) 精神神経科 間欠性跛行 閉塞性動脈硬化症 内科 どの診療科を受診すると良いのか不明な場合は、かかりつけ医への相談をおすすめします。 歩行障害は若い人にも起こりますか? 若い人にも歩行障害は起こりえます。 若年者の歩行障害の原因としては、多発性硬化症、脊髄損傷、脳性麻痺、先天性疾患、あるいは外傷後の後遺症などがあります。若年性パーキンソン病も原因のひとつです。 パーキンソン病を40歳以下で発症した場合に、若年性パーキンソン病と呼ばれます。若年性パーキンソン病の特徴は、病気の進行がゆるやかであることや、薬の効きが良いことなどです。 ペンギンみたいな歩き方は病気の症状ですか? 正常圧水頭症やパーキンソン病、シャルコー・マリー・トゥース病といった病気の症状であると考えられます。 足の筋力や足首の柔軟性が低下して、歩くときに足を上げられないため、すり足や小さい歩幅での歩行になります。 正常圧水頭症については、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 参考文献 (文献1) 和田直樹「歩行障害の種類と原因疾患」55(9), pp.730-734, 2018 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/55/9/55_55.730/_pdf (最終アクセス:2025年3月21日) (文献2) Dotdash Meredith「Boost Your Mobility With These Gait Training Exercises」Verywell Health, 2025年1月28日 https://www.verywellhealth.com/gait-training-in-physical-therapy-5069884 (最終アクセス:2025年3月21日)
2025.03.31 -
- 脊椎
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腰部脊柱管狭窄症の手術を経て、退院後の生活が気になる方もいるのではないでしょうか。 腰部脊柱管狭窄症で退院した後は、安静に過ごしたり少しずつ体を動かしたりするなど、気を付けたいポイントがいくつかあります。 今後退院を控えているのであれば、退院後の生活を知っておくと、腰の回復を図る上で役立つでしょう。 本記事では、腰部脊柱管狭窄症の退院後の生活を、心掛けるべきポイントや避けるべき禁忌とともに徹底解説します。 腰部脊柱管狭窄症の退院後の生活のポイント 腰部脊柱管狭窄症とは、脊椎を通る脊柱管と呼ばれる管が老化や椎間板ヘルニアなどの原因によって狭まり、神経を圧迫する疾患です。 腰部脊柱管狭窄症になると、足の痛みやしびれなどの症状が発生します。 治療は保存療法や手術を行うのが一般的ですが、手術が終わって退院した後の生活も大切です。 腰部脊柱管狭窄症で退院した後の生活で、欠かせないポイントをご紹介します。 コルセットを装着する 腰部脊柱管狭窄症の手術後は、腰椎コルセットを装着して腰の部分を安定させながら過ごします。 とくに、手術で腰椎を固定させた場合は、骨がくっつくまでの間に腰椎に負担がかからないように、固めのコルセットを装着するのが一般的です。 なお、コルセットは下着の上から装着します。 入浴時は姿勢に注意 腰部脊柱管狭窄症の手術・退院後は、入浴時の姿勢にも注意が必要です。 手術や退院後の入浴はシャワーが基本で、医師が術後の傷口の状態を見ながら許可するかを決定します。 シャワーは手術した部位を保護した状態で、座った状態の姿勢で浴びます。 ただし、姿勢に不安を感じるときは、立った状態や椅子に腰かけた状態でのシャワーでも問題ありません。 なお、体を洗うときは、手術した背中の部位はこすらないようにするのもポイントです。 規則正しい生活を心掛ける 退院後は規則正しい生活を心掛けることも、重要なポイントといえます。 手術や退院してからはコルセットを着用しての生活が続くためです。 コルセットを外すまでの期間は腰が安定するため、背中やお腹周りの筋肉が衰えがちです。 退院後の筋力の低下を極力避けるには、定期的な医療機関でのリハビリと並行して、散歩などの軽いエクササイズも欠かせません。 ただし、骨がくっつくまで時間がかかるため、長時間の散歩のように痛みが出るエクササイズは禁物です。 またバランスの取れた栄養のある食事も、退院後の体力回復を促してくれます。 ただし、体重が増えると腰への負担も増加するため、食べすぎには注意が必要です。 仕事復帰は主治医と相談して決める 腰部脊柱管狭窄症の退院後に仕事に復帰したいのであれば、まずは主治医に相談しましょう。 主治医が術後や退院後の回復の度合いをチェックした上で判断します。 また、退院後に仕事を再開する時期は、復帰予定の仕事の内容によってさまざまです。 デスクワークでの再開を目指すのであれば、2~3週間程度で復帰できる可能性が十分あります。 一方、物の持ち運びのように腰を使う肉体労働であれば、2カ月以上かかるケースもあります。 ただし、患者様の体力や回復状況などによって復帰時期が前後することは理解しておきましょう。 腰部脊柱管狭窄症の退院後の生活【禁忌・注意点】 腰部脊柱管狭窄症の退院後の生活では、禁忌(してはいけないこと)や注意すべき点もいくつかあります。 退院後の生活で気を付けるべき点は、次のとおりです。 腰への負担を避ける コルセットの汚染・破損は医療機関に知らせる 手術や退院後に痛みを感じる場合は主治医に知らせる 退院後の生活のポイントとともに禁忌・注意点を理解しておくと、スムーズな回復を図れるでしょう。 それぞれ詳しく見ていきます。 腰への負担は避ける 腰部脊柱管狭窄症の退院後の生活では、腰に負担のかかる行為は避ける必要があります。 重い物の持ち運びはもちろんのこと、ゴルフや長時間の運動は控えることが大切です。 とくに腰椎を固定する手術を行った方は、腰を必要以上にねじったりひねったりすると、回復が遅れたり症状が悪化したりしかねません。 少なくとも、コルセットを装着している間は、安静にしながら腰にはあまり負担をかけないことがポイントです。 コルセットの汚染・破損は医療機関に知らせる コルセットが汚染・破損したら、極力早めに医療機関に知らせます。 コルセットは、日常生活の中でかく汗や、入浴(シャワー)時のお湯などで汚れてしまいます。 軽度の汚染であれば、水ぶきや手洗いできれいにした後、ドライヤーで乾かせば問題ありません。 ただし、コルセットが壊れるなどしてしまった場合は、すぐにでも医療機関に連絡しましょう。 手術や退院後に痛みを感じる場合は主治医に知らせる 腰部脊柱管狭窄症の手術を経て退院した後に痛みを感じたときも、すぐに主治医に知らせましょう。 手術後に痛みを感じる場合は、手術で改善できなかった、あるいは改善はしたが再発したというケースが考えられます。また、手術時に神経を傷つけてしまう可能性も否定できません。 腰部脊柱管狭窄症で手術を受けても痛みを感じる場合は、無理は禁物です。 腰部脊柱管狭窄症の手術・退院後の流れ 腰部脊柱管狭窄症で手術を受けたあとや退院後は、どのように生活が変化するのでしょうか。 本章では手術後から退院後までの流れについて解説します。 手術や退院後の生活の流れを大まかに理解するだけでも、落ち着いて手術や術後の回復に専念できます。それぞれ見ていきましょう。 手術翌日からリハビリ開始 手術が終わると、回復の状況に応じて早くて翌日からリハビリが始まります。 リハビリ当初は、病室のベッドで起きる・座る動作を確認した上で、歩行器を使って少しずつ歩ける距離を伸ばしていく流れです。 なお、リハビリには専門家である理学療法士が付き添い、回復に向けてさまざまな指導を行っていきます。 リハビリは退院後も続くため、入院していた病院には定期的に通院します。 退院後は外出や軽い運動などが可能 退院後は各自での外出や軽い運動ができます。 コルセットを装着した状態での生活が続くため、筋力の維持や増進のために少しずつ動く量を増やしたり、移動範囲を広げたりしていくことが大切です。 ただし、退院して日が浅いうちは、極度に運動量を増やさないようにします。 手術後1~2週間程度で車の運転が可能な場合も 手術から1、2週間程度経過すると、退院後最初の診察です。 診察時に主治医が回復の状況や痛みの有無を問診し、回復状況によっては仕事の復帰や車の運転の許可を出す場合があります。 もし車を運転して問題ないと判断された際は、乗り降りで無理に腰をひねらないようにします。 乗るときはまず、座席に腰かけてから、両足を車の中に移すのがポイントです。 手術後3カ月程度でコルセットを外せる 腰部脊柱管狭窄症の手術から3カ月程度が経過すると、ようやくコルセットを外す許可が出ます。 ただし、コルセットを外せる時期は個人によって差が出るため、3カ月はあくまでも目安とお考えください。 コルセットを外す許可が出ることは、安静期間の終わりを意味します。とくに問題がなければ、肉体労働関係の仕事でも復帰を申し出られるでしょう。 腰部脊柱管狭窄症の治療では再生医療も注目されている 腰部脊柱管狭窄症の治療には、再生医療という選択肢もあります。 再生医療では、患者様自身の幹細胞を採取・培養する「幹細胞治療」と、血液に含まれる血小板を用いる「PRP療法」があります。 どちらも患者様自身の幹細胞や血液を用いるため、副作用のリスクが少ないのが特徴です。 当院「リペアセルクリニック」では、脊椎損傷に対する治療として再生医療を行っています。 腰部脊柱管狭窄症の治療に再生医療をご検討の方は、当院へお気軽にご相談ください。 まとめ|腰部脊柱管狭窄症の退院後3カ月ほどはコルセットを着用して生活 腰部脊柱管狭窄症の退院後の生活は、基本的に腰椎コルセットを装着した状態で安静に過ごすことが求められます。 ただ、コルセットを装着した状態では筋力が衰えるため、無理のない運動や栄養の摂取も大切です。 手術から3カ月程度が経過すれば、コルセットを外せるケースが増えるため、それまでは安静と規則正しい生活を心掛けましょう。 腰部脊柱管狭窄症でお悩みの方には、再生医療という治療選択肢もあります。 再生医療について詳しく知りたい方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 腰部脊柱管狭窄症の退院後の生活に関してよくある質問 腰部脊柱管狭窄症の手術後に歩けないときの対策は? 腰部脊柱管狭窄症で手術後に関節が痛くなる場合がありますが、安静にしていると次第に痛みが取れるケースが多いです。 ただし、痛みが長引く場合は、神経の損傷などの可能性もあるため、我慢せず主治医へ相談しましょう。 腰部脊柱管狭窄症のリハビリ期間は何日間ですか? 腰部脊柱管狭窄症のリハビリ期間は、入院中に1~2週間、退院後はコルセットを外せるまでの約3カ月が目安です。 全体で合計すると、3カ月半程度と考えて良いでしょう。 ただし、患者様の回復度や健康状態などによって、前後する場合もあります。 腰部脊柱管狭窄症の退院後にスポーツはOKですか? 腰部脊柱管狭窄症のスポーツは、退院後3カ月ほどしてコルセットが外せれば可能になります。 ゴルフや野球のような腰を使うスポーツは、退院直後の状態では大きな負担がかかります。 退院直後のスポーツであれば、リハビリも兼ねて簡単なウォーキングのような、腰に負担のかかりにくいものがおすすめです。 腰部脊柱管狭窄症の手術後に性行為はできますか? 腰部脊柱管狭窄症の手術後は腰に大きな負荷がかかる行為はタブーとされています。 このため、腰を激しく動かすことが多い性行為も、手術後しばらくは避けるのが無難です。 再開する際には必ず主治医に相談し、自分の回復状況に応じた指導を受けると良いでしょう。
2025.03.31