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背中のヘルニア(胸椎椎間板ヘルニア)とは?首や腰との違いも医師が解説
「背中が痛い」「胸のあたりが痛む」といった症状が続き、「なにかの病気ではないか」と不安になっていませんか。その痛みは、背骨の胸の部分で起こる「胸椎椎間板ヘルニア(背中のヘルニア)」が関係している場合があります。
胸椎椎間板ヘルニアは放置すると歩行障害や排尿の障害など、重大な問題につながることもあります。
本記事では、胸椎椎間板ヘルニアの症状、首や腰のヘルニアとの違い、検査・治療法、何科を受診すべきかまで、医師の視点で解説します。背中の痛みが気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
背中のヘルニアとは|胸椎椎間板ヘルニアの可能性
胸椎椎間板ヘルニアとは、背骨の胸の部分(胸椎)にある椎間板が、加齢や外傷などによって本来の位置から飛び出した状態を指します。(文献1)椎間板は、背骨の骨と骨の間でクッションの役割を果たす組織で、ヘルニアには「脱出する・飛び出る」という意味があります。
飛び出した椎間板が近くの神経を圧迫すると、背中や胸の痛み、脚のしびれなど、さまざまな症状が現れます。放置すると重大な問題につながることもあるため、違和感を覚えたら医療機関を受診しましょう。
なお、胸椎椎間板ヘルニアの原因については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
背中のヘルニア(胸椎椎間板ヘルニア)の主な症状
胸椎椎間板ヘルニアは、神経が圧迫される場所や程度によって、現れる症状が異なります。代表的な症状は、以下の3つです。
それぞれ詳しく解説します。
背中や胸の痛み
胸椎椎間板ヘルニアの代表的な症状が、背中や胸の痛みです。
胸椎の神経(肋間神経)が圧迫されると、肋骨に沿ってぴりぴりと焼けつくような痛みや、鈍い痛みが現れることがあります。これは「肋間神経痛」と呼ばれます。
胸の痛みは心臓の病気と間違われやすいですが、胸椎椎間板ヘルニアによる痛みは、体の動きや姿勢の変化によって強くなったり弱くなったりするのが特徴です。
なお、安静にしても胸の痛みが続く場合や、冷や汗を伴う場合は、心臓の病気の可能性もあるため注意が必要です。
脚のしびれ・歩きにくさ
太ももやふくらはぎの痛み、しびれ、力が入りにくい感じ(脱力感)は、初期に現れやすい症状です。
また、痛みを我慢して放置すると、急に脚が動かしにくくなり、ふらつきや脚のもつれといった歩行障害につながるおそれがあります。
「以前より階段の昇り降りで手すりに頼ることが増えた」「歩くときにふらつきやすくなった」と感じる場合は、脚の筋力低下やバランスの変化が関係している可能性があります。症状が続く場合や悪化している場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
排尿・排便の障害
神経の圧迫が進むと、力を入れても尿や便が出しにくくなる「膀胱直腸障害」が起こる場合があります。
排尿・排便の障害は、神経への圧迫が強くなっているサインの一つです。放置すると排尿や排便の機能に影響が残るおそれがあるため、早めに原因を確認し、必要な治療につなげることが大切です。
排尿や排便のしにくさを感じたときは、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。
背中が痛むヘルニアの種類|胸椎以外が原因の場合も
背中が痛むからといって、必ずしも胸椎椎間板ヘルニアとは限りません。首や腰、内臓のヘルニアが背中の痛みの原因になっている場合もあります。
ここでは、背中の痛みに関係する代表的なヘルニアを紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
頚椎椎間板ヘルニア
頚椎椎間板ヘルニアは、首の骨(頚椎)で起こるヘルニアです。
首の骨で起こるヘルニアといっても、首だけでなく、首から背中、とくに肩甲骨の内側にかけて、痛みやしびれが広がることがあります。
そのため、肩甲骨まわりの痛みやこりが続く場合は、首のヘルニアが関係している可能性も考えられるのです。
なお、首のヘルニアの治療や日常の注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアは、腰の骨(腰椎)で起こるヘルニアです。
腰の痛みをかばう姿勢が続くと、背中の筋肉が緊張し、腰から背中にかけて張りや痛みが出ることがあります。背中の痛みであっても、もとをたどると腰のヘルニアが関係している場合があるのです。
腰のヘルニアの症状や対処法については、以下の記事で詳しく解説しています。背中の他に、腰にも違和感がある方は、ぜひ参考にしてください。
食道裂孔ヘルニアなど内臓のヘルニア
背中の痛みには、背骨や椎間板とは別に、内臓のヘルニアが関係していることもあります。代表的なのが食道裂孔(しょくどうれっこう)ヘルニアです。
食道裂孔ヘルニアは、胃の一部が横隔膜の食道裂孔から胸側へ入り込んだ状態で、背骨や椎間板が原因の「脊椎のヘルニア」とは異なります。(文献2)無症状のこともありますが、胃酸が逆流しやすくなり、胸やけや胸の痛み、みぞおちの違和感、つかえ感などが現れる場合があります。
胸やみぞおちの痛みが背中側に響くこともあるため、「背中が痛い=必ず胸椎椎間板ヘルニア」とは限りません。
胸やけが続く、飲み込みにくい、背中の痛みが長引くといった場合は、整形外科だけでなく消化器内科の受診も検討しましょう。
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背中のヘルニアの治療法
胸椎椎間板ヘルニアの治療は、症状の重さによって選択肢が変わります。主な治療法は、以下のとおりです。
それぞれ解説します。
保存療法と手術療法
症状が軽く、脚の筋力低下や排尿の障害などがない場合は、コルセットや内服薬で痛みを和らげる保存療法が中心になります。ヘルニアは自然に症状が落ち着く場合もあるため、軽症ではまず保存療法で経過を見ることが多いとされています。
一方、麻痺などの症状が進行している場合は、保存療法での改善が難しく、早めに手術が検討されます。
手術は、体の側方から椎間板を取り除いて骨を移植する「前方固定術」や、後方から椎間板を切除する「後方除圧術」などが代表的です。(文献1)症状の悪化が見られる場合は、手術も視野に入れる必要があります。
なお、以下の記事では胸椎椎間板ヘルニアの治療方法やストレッチ方法について詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
再生医療
胸椎椎間板ヘルニアの症状が改善しない場合、保存療法で経過をみるだけでなく、症状の程度によっては手術が検討されます。
一方で、「できるだけ手術は避けたい」「手術以外の治療法も知っておきたい」と考える方も多いはずです。そのような場合は、再生医療を選択肢の一つとして検討する方法があります。
再生医療とは、人間が本来持っている自己修復力に着目した治療法です。患者さまご自身の細胞や血液成分を用いるため、拒絶反応のリスクが少ないのが特徴です。
再生医療について詳しく知りたい方は、以下の症例記事をご覧ください。
背中のヘルニアは何科を受診すべきか
背中のヘルニアが疑われる場合は、まず整形外科(できれば脊椎を専門とする医師)の受診がすすめられます。
症状別の受診先の目安は、以下のとおりです。
| 症状・状況 | 受診先の目安 |
|---|---|
| 背中や胸の痛み、脚のしびれ・歩きにくさ | 整形外科(脊椎専門医) |
| 胸やけ・げっぷを伴う | 消化器内科 |
| 突然の激しい胸の痛みや冷や汗を伴う | 救急・循環器内科(ためらわず受診) |
なお、突然の激しい胸の痛みや冷や汗を伴う場合は、心筋梗塞など心臓の病気の可能性もあります。ためらわず、救急や循環器内科を受診しましょう。
まとめ|背中のヘルニアが疑われるときは早めに受診しよう
背中や胸の痛み、脚のしびれなどが続く場合は、胸椎椎間板ヘルニア(背中のヘルニア)が関係していることがあります。比較的まれな疾患ですが、放置すると歩行障害や排尿の障害につながることもあるため、早めの受診が大切です。
また、背中の痛みは、首や腰、内臓のヘルニアが原因の場合もあります。しびれや歩きにくさ、排尿・排便のしにくさといった症状は注意が必要なサインのため、気になる症状があるときは医療機関へ早めに相談しましょう。
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背中のヘルニアに関するよくある質問
ぎっくり背中とヘルニアの違いは?
ぎっくり背中は、筋肉や筋膜に急に起こる痛みで、多くは数日から2週間ほどで落ち着くとされています。
一方、しびれや脚の症状を伴う場合や、痛みが長引く場合は、胸椎椎間板ヘルニアなどの可能性もあります。症状が続くときは、自己判断せず医療機関を受診しましょう。
なお、以下の記事ではぎっくり背中について詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
背中のヘルニアにストレッチは効果がありますか?
診断を受ける前の自己流ストレッチは、かえって症状を悪化させるおそれがあります。まずは医師の診断を受けることが大切です。
ただ、原因や状態に合った方法を知った上で取り組むストレッチは、痛みを和らげる効果が期待できます。
背中のヘルニアの禁忌事項や痛みの軽減・予防を目的としたストレッチの詳しい方法は、以下の記事で解説しています。ぜひ参考にしてください。
背中のヘルニアはどんな痛みがありますか?
背中や胸に、肋間神経痛のような焼けつく痛みや鈍い痛みが現れることが多いとされています。
また、体の動きや姿勢によって痛みが強くなったり弱くなったりするのも特徴です。さらに、脚のしびれや歩きにくさを伴う場合もあります。
上記のような症状がある場合は、医療機関への受診を検討してください。
参考文献
(文献1)
「胸椎椎間板ヘルニア」|公益社団法人 日本整形外科学会
(文献2)
食道裂孔ヘルニア|MSDマニュアル家庭版





















