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肩の腱板損傷にはテーピングが有効!巻き方やリハビリについて専門医が解説

肩腱板損傷
公開日: 2022.10.08 更新日: 2025.01.15

肩の痛みに悩まされていませんか?もしかしたら、その症状は「腱板損傷」かもしれません。

腱板損傷は自然修復が困難であるため、リハビリなどの保存療法を行う必要があります。また、スポーツ中のケガで腱板損傷を発症した場合は、テーピングで腱板の機能の補助をすることも可能です。

この記事では、腱板損傷の症状や原因、テーピングの巻き方、治療方法(保存療法)を中心に解説します。

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そもそも肩の腱板損傷とは

肩の腱板とは、肩甲骨と上腕骨をつなぐ肩の奥の筋肉で、正式名称は、回旋筋腱板(ローテーターカフ)です。肩の上腕骨の骨頭と呼ばれる部分を包み込むように付着し、一枚の板のように並んでいるため腱板と言われています。

肩の腱板は、以下の4つの筋肉からなります。

  • ・棘上筋
  • ・棘下筋
  • ・小円筋
  • ・肩甲下筋

肩の腱板損傷とは、腱板が切れることにより肩の安定性が損なわれることをいいます。肩をあげるときに力が入らなくなったり、痛みの原因になったりします。

腱板損傷の症状

腱板を損傷すると、以下のような症状がみられます。

  • ・夜眠れないほどの痛みが出る
  • ・手を上げたときに、ある一定の範囲だけ痛みや引っかかり感が出る
  • ・手を水平の位置に保てない
  • ・手を上げるときに肩全体が上がってしまう
  • ・腕の上げ方が左右で違う
  • ・見た目でわかるほど肩の筋肉(とくに棘下筋)の萎縮が進む

なかでも腱板損傷の症状で多くみられるのが、夜寝ているときに痛みがひどくなり眠れない「夜間痛」です。

下記の記事では腱板損傷の診断に役立つテスト方法を詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。

腱板の役割

肩の筋肉はアウターマッスルとインナーマッスルの2つに大別され、それぞれの役割を果たしています

インナーマッスルに属する腱板の4つの筋肉は、肩を動かす上で非常に重要な役割を担います。

 

筋肉の位置

筋肉の名称

役割

アウターマッスル

関節に近い位置

棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋

関節を安定させてアウターマッスルを働きやすくする

インナーマッスル

体の表層

三角筋、上腕二頭筋など

速くて強い力を生み出す

腱板損傷の原因

腱板損傷が起こる原因は、以下のとおりです。

  • ・加齢によって筋肉や腱などの軟部組織が変性した
  • ・重い荷物を持ち運んだ
  • ・野球など投げる動作を繰り返すスポーツをした
  • ・不自然な肩の動きをした
  • ・転んだ拍子に手もしくは肩を打った

腱板損傷は、加齢によって筋肉や腱などに変性がみられる中年以降に多くみられます

また、重いものを抱える配送の仕事や、肩に強い負荷がかかる野球のピッチャーなど肩に負担のかかる動作を繰り返すと発症しやすくなります。

他にもさまざまな原因で腱板損傷が起こります。

腱板損傷の状態

腱板損傷とは、筋肉や腱の線維が部分的に傷んでいる、または切れている状態を指します。損傷がひどく、一部または大部分に断裂がみられるものは、腱板断裂と呼ばれています。

腱板損傷や腱板断裂は、筋肉や腱の変性が起きやすい50代以降の男性に多くみられます。発症のピークは60歳代です。

若い世代でも、肩を酷使するスポーツ選手などにもみられることもあるため、医療機関できちんと検査をすることがおすすめです。

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肩の腱板損傷にはテーピングが有効【巻き方も解説】

肩 腱板損傷 テーピング

スポーツ中のケガで腱板損傷を発症した場合は、リハビリやトレーニング等で機能を戻すことが大前提ですが、場合によってはテーピングで腱板の機能の補助をすることも可能です。

上記の画像は、棘上筋、棘下筋、小円筋をサポートするテーピングの一例です。テーピングをすることで動きに違和感を覚えるかもしれませんが、安定性が増し、より安全にスポーツを行うことができます。

ただし、テーピングにも限界があります。痛みが強く出てしまう場合は無理に動かさず、患部の鎮痛および機能回復を待ちましょう。

肩の腱板損傷の診断

腱板損傷はレントゲンではわかりにくく、五十肩と勘違いされがちです。そのため、正確に診断するためにMRIやエコー検査などが用いられます。

他にも、前述した腱板損傷の所見を視診や触診で確認することも重要です。他の肩関節疾患との鑑別を正確にすることで、今後の治療方針を早期に決めることができるため、気になる症状がある場合は早期に医療機関へ受診することがおすすめ。

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肩の腱板損傷の保存療法(リハビリ)

腱板損傷の治療法は、外科的な処置を施す「手術療法」と、注射やリハビリなどで機能の改善を図る「保存療法」とに分けられます。ここでは、保存療法を中心に詳しくご紹介します。

腱板が傷んでしまうと、その性質から腱板自体が自然に修復するのは困難です。保存療法では、以下の目的をもってリハビリ等の治療にあたります。

  • ①痛みを減らす
  • ②傷んだ腱板への負担をできる限り減らす
  • ③肩周囲の動きを良くする

順番に解説します。

①痛みを減らす

まず一番に対処すべき症状は痛みです。痛みが残っていると脳がその痛みを覚えてしまい、長引くことがあります。さらに、痛みが続いて無意識に患部を動かさなくなることで、関節の動きが悪くなり、肩関節の機能が低下します。。

医療機関を受診すると、腱板損傷による痛みを減らすために、痛み止めの注射を打たれたりお薬が処方されたりすることがあります。痛み止めの注射やお薬の処方は、腱板損傷を根本的に治す治療ではありませんが、痛みを一時的に軽減するのに有効です。

また、寝る姿勢を調整することで、痛みの軽減が期待できます。

腱板損傷の方の多くは、夜間痛を訴えています。痛みのせいで悪い寝姿勢になっている方はぜひ試してみましょう人もしばしば見受けられます。

夜間痛を軽減するための寝姿勢

  • ・上半身を少し高くして寝る
  • ・寝る時に痛いほうの腕の下にバスタオルを敷き、リラックスした姿勢を保つ
  • ・抱き枕で横向きに寝る

しっかり睡眠をとることは、脳や体に良い休息を与え、自律神経の改善につながります。自律神経が改善されると、筋肉の余計な緊張が抜け、痛みが軽くなることがあります。

②傷んだ腱板への負担をできる限り減らす

一度傷んでしまった腱板は自然修復が難しく、より重度の損傷が起きてしまうと手術が必要なケースもあります。そのため、以下の点に注意し、余計なストレスをかけず重症化を防ぐことが大切です。

痛んだ腱板の負担を少なくするための注意点
  • ・重いものを持たない

どうしても持たなければならない場合は、以下の点に注意する

  • ・小分けにする
  • ・腰をしっかり落として体の近くで持つ
  • ・急に持ち上げない
  • ・無理な体勢で物を取ろうとしない
  • ・痛みが出ている肩を下向きにして寝ない

③肩周囲の動きを良くする

胸の中心にある胸骨、鎖骨、肩甲骨、肋骨など周辺にあるさまざまな骨や関節を総合して『肩』と言います。つまり、肩を効率的に動かすためには、これらの部位もしっかり動かせることが重要です。

とくに鎖骨周りや肩甲骨などは動きが悪くなることが多いので、鎖骨周りのセルフマッサージや、肩甲骨を意識した肩回しをするなど、意識的に動かしましょう

まとめ|肩の腱板損傷はテーピングを活用しながら医療機関の受診もしよう

肩の腱板損傷とは、腱板が切れることにより肩の安定性が損なわれることをいいます。他の肩の疾患と見分けがつきにくいため、。痛みがあったり長引いたりするときは迷わず医療機関にご相談ください。腱板損傷の所見を、視診や触診で確認することも重要です。

適切な治療を受けて不安を取り除き、快適な日常を少しでも早く取り戻しましょう。

以上、肩の腱板損傷の症状と機能改善を目指す保存療法(リハビリ)について解説しました。
ご参考になれば幸いです。

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