くも膜下出血の10年後の生存率はどのくらい?予後や治療法も解説
投稿日: 2022.11.18更新日: 2024.11.06
くも膜下出血は予後が悪い病気というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
一度発症すると、その後の生活や生存率についての不安が絶えず、「10年持つのだろうか」と考えることもあるかもしれません。
結論からいえば、くも膜下出血における10年後の生存率について明確なデータはありませんが、5年生存率は55%前後といわれています。
生存率は年齢や出血量などの要因で変わりますが、早期かつ適切な治療で改善が期待できるでしょう。
本記事では、くも膜下出血の生存率についてや予後を左右する要因などについて詳しく解説しています。
くも膜下出血の治療を検討する際の参考になれれば幸いです。
目次
くも膜下出血の10年後の生存率は「重症度・治療の早さ」によって変わる
くも膜下出血の主な原因は、脳動脈瘤(脳血管が膨らんだ状態)です。(文献1)
その生存率は重症度と診断および治療の早さによって変わる傾向があり、統計では、以下のデータが報告されています。(文献2)(文献3)
- 初回のくも膜下出血出血で約35%が死亡
- その後数週間以内に15%が再破裂で死亡
- 6カ月以降は年間約3%の割合で再破裂のリスクあり
くも膜下出血の10年生存率は不明ですが、5年生存率は55%前後といわれており、生存率は年々改善傾向です。(文献4)
くも膜下出血の予後を左右する4つの要因【10年後以降にもかかわる】
くも膜下出血の予後は、以下4つの要因により左右されます。
- 発症時の年齢
- 出血の場所と量
- 発症から治療までの時間
- 合併症の有無
本章を参考に、くも膜下出血の予後の改善に役立ててください。
発症時の年齢
くも膜下出血になる年齢が高いほど、予後が悪化しやすくなります。年齢を重ねるにつれ、高血圧や糖尿病などの病気によって動脈硬化が進行するためです。
その結果、出血時に止血しても回復しにくくなり、再出血の可能性が高まります。
首の後ろの痛みを伴う激しい頭痛は、くも膜下出血の前兆の可能性があるため注意が必要です。気になる方は下記の記事も参考にしてください。
また、当院「リペアセルクリニック」では高齢の患者様にも可能なくも膜下出血の治療方法を提案しています。
もしすでに違和感があるなら、悩まず当院の「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。
出血の場所と量
出血量が多いほど脳が圧迫されるため、重症になり予後が悪くなります。
くも膜下出血が起こりやすい脳の部位は、脳血管が枝わかれする場所です。(文献5)脳血管が枝わかれする場所は、血管の壁が弱いため脳動脈瘤になりやすい傾向があります。
出血量が多く意識障害がある場合は、予後も不良になる可能性が高くなります。そのため、発症から早めの治療が重要です。
発症から治療までの時間
くも膜下出血の治療は、いかに早期発見をしてすぐに処置できるかが大切です。出血してから72時間以内に外科的治療を行うと、それ以降に治療を行ったときよりもその後の入院期間の短縮や予後が良好になるというデータがあります。(文献6)
くも膜下出血でよくある初期症状は以下の3つです。(文献7)
- 顔が下がって動かない
- 腕の力が入らない
- ろれつが回らない
これらの症状がみられたら、すぐに救急車を呼びましょう。
合併症の有無
以下のような合併症の有無も、くも膜下出血の予後に深くかかわります。(文献3)
- 再出血:脳出血が再発し、死亡率が高まる
- 脳血管れん縮:脳血管の収縮により血流が悪くなり、脳梗塞のリスクが高まる
- 水頭症:脳脊髄液の流れが悪くなり、歩行困難や認知症のリスクが高まる
くも膜下出血の発症後は、上記のような合併症を防ぐ治療が大切です。
くも膜下出血の予後を改善するには「再出血の予防」と「適切な治療・リハビリ」が重要
くも膜下出血は、再出血を起こすと高確率で予後が悪化するため、血圧の管理や定期的な検査など、予防に努めることが重要です。
また、くも膜下出血発症後は、外科的治療とリハビリを組み合わせることで予後の改善が期待できます。主治医と相談の上、適切な治療・リハビリを続けましょう。
くも膜下出血の再発についての記事はこちら:
くも膜下出血のリハビリについての記事はこちら:
まとめ|適切な治療によりくも膜下出血の予後の改善を目指そう
くも膜下出血は、依然として予後の悪い病気であり、早期の診断と治療次第では、重度の後遺症を残してしまいます。
早期の適切な治療を受けて、リハビリを行えば予後の改善が期待できます。今回の記事を参考にして、改めて予後や改善策に関して学んでおきましょう。
当院「リペアクリニック」では、人体にもともとある「幹細胞」を利用した再生医療により、くも膜下出血後の治療が可能です。「メール」や「オンラインでの無料カウンセリング」も実施しているので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。
くも膜下出血の予後や生存率についてよくある質問
くも膜下出血で意識不明で運ばれた場合の生存率はどのくらいですか?
意識不明で搬送された場合の生存率は低い傾向です。
生存しても日常生活に支障をきたすような重い後遺症が出る可能性もあるでしょう。そのため、早期の段階で前兆に気がつき適切な治療を受けることが重要です。
くも膜下出血で最も多い後遺症は?
くも膜下出血では、以下のような後遺症がよくみられます。
- 手足が動かしにくい
- しびれや脱力感
- 上手く話せず、会話が困難
- 記憶障害
くも膜下出血の後遺症の詳細は、以下の記事を参考にしてください。
参考文献
文献1
上畑鉄之丞.脳動脈瘤の成因 とくも膜下出血発症の諸要因.日本循環器管理研究協議会雑誌.1998;33(1):25-29.
文献5
上畑鉄之丞.脳動脈瘤の成因とくも膜下出血発症の諸要因.日循協誌. 1998年.第33巻.第1号.P25-29.
文献6
脳卒中合同ガイドライン委員会. 第4章くも膜下出血. 脳卒中治療ガイドライン2009.2009.P182-213.pdf
文献7
日本脳卒中協会.読んで学ぶ脳卒中. 脳卒中の予防と患者・家族の支援を目指して 公益社団法人日本脳卒中協会. 2018年3月19日更新.2024年10月21日.