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変形性膝関節症を悪化させない日常の工夫

変形性膝関節症を悪化させない日常の工夫

変形性膝関節症は、加齢・外傷・肥満・遺伝・日常における膝の負担になる生活様式など、さまざまな要素が関与して発症する病気です。変形性膝関節症になると、膝の関節に痛みや変形が出現するほか、膝を動かすと関節から音(関節軋轢)がなったり、可動域制限がかかったりします。また、炎症が起きると膝に水がたまる関節水腫がみられます。

そんな変形性膝関節症の治療は、運動療法により関節を安定させることです。しかし、膝に痛みがあると、満足に運動に取り組めなくなることから、日頃から膝に負担がかからないような生活が大切です。

変形性膝関節症の悪化

この記事では、変形性膝関節症を悪化させない日常の工夫を細かく解説します。膝の痛みでお困りの方はぜひご覧ください。

膝に負担がかからないような生活をする

日常から膝に負担がかかる生活は、関節軟骨のすり減りや軟骨下骨の新陳代謝に異常を及ぼします。さらに、すり減った軟骨のかけらが滑膜を刺激し痛みを感じるようになります。膝に痛みがあると、これまで通りの生活にも支障をきたすため、できる限り膝に優しい生活をしましょう。

和式から洋式へ生活スタイルを変える

膝の痛みは生活スタイルを変えるだけでも緩和します。地べたで過ごす和式から、椅子で過ごす洋式へ変えるのがおすすめです。洋式での生活は、正座や低い位置からの立ち上がりを必要とせず、膝の負担を軽減・痛みの緩和が期待できます。

膝に負担のかかる運動は避ける

体を動かすことは、膝の筋肉強化や健康増進が期待できるものの、膝に負担となる運動は禁物です。たとえば、テニス・卓球・ゴルフ・社交ダンスなど、急な方向転換・発進や停止・繰り返される膝の屈伸運動やジャンプを必要とする運動は要注意です。

減量をする

肥満であることは膝に大きな影響を与えます。立つ・歩く・座るなど、いかなる動作においても膝へ負担がかかっています。

二足歩行をする人間は、体重の半分を片脚で支えているだけでなく、歩くと体重の3倍は負担がかかると言われています。つまり、体重が重たいと、膝にかかる負担も大きく、軟骨のすり減りを進行させてしまうため、肥満傾向の方は減量に取り組みましょう。

背筋を伸ばして綺麗な姿勢

姿勢が悪ければ膝への負担になります。理想的な立ち方は、目線は正面を向き、肩を開き、骨盤を軽く前傾させることです。鏡などで確認した際に、足の外くるぶしから耳までが一直線になっていれば綺麗な姿勢を取れています。

また、綺麗な立ち方をしても、歩き出した途端に姿勢が崩れるようではいけません。歩行中に意識するのはもちろん、定期的に自分の姿勢を鏡で確認すると良いでしょう。

杖を使う

杖を使って、膝への負担を減らします。杖は痛みがある方と反対側の手で持ち、痛みがない脚と杖に重心を乗せることで、痛みのある膝に体重がかからないようにします。膝の痛みから、外出の機会が減っていたり、歩行に気乗りがしなかったりするときには、杖がおすすめです。

中には、杖を使うのに抵抗がある方もいらっしゃいます。しかし、杖を使用すると、姿勢を伸ばすだけでなく、膝への負担を減らせるので、ずいぶんと楽に歩けるはずです。最近では、デザインが施されていたり伸縮機能があったりと、いろんな杖がありますので、自分に合った杖を選びましょう。

足に合った靴を履く

足に合っている靴を履いて、膝を安定させます。靴はヒールやサンダルではなく、スニーカーがおすすめです。靴選びで失敗してしまうと、膝の安定性を高めるための歩行がかえって負担になるのです。さらに、外反母趾・膝痛・腰痛・股関節痛などのように、痛みが全身に広がる可能性まであります。

  • 靴選びのポイント
  • ・足のサイズに見合ったもの
  • ・クッション性が高いもの
  • ・足首までしっかり覆われているもの
  • ・靴紐やテープで足首をしっかり固定できるもの

手すりを使う

玄関・お風呂・階段などに手すりをつけ膝への負担を軽減します。階段を昇るときには、手すりを支えにして痛くない方の脚から出し、降りるときも同様に手すりを支えにしますが、痛みがある方の脚から下ろすのがポイントです。

また、運動で階段を昇り降りされる方がいらっしゃいますが、階段昇降時には体重の6〜7倍もの負荷がかかります。負荷が大きいほど、トレーニングの効果は期待できますが、余計に傷める可能性もあり注意が必要です。

特に変形性膝関節症の方は、膝に負担がかかりやすい足運びをされているケースがあるため、まずは水中歩行・地上でのウォーキング・室内でできるトレーニングをおすすめします。

継続して運動に取り組む

膝への負担を下げるには、関節を安定させている筋肉を鍛えることが大切です。太もも前面にある大腿四頭筋をはじめ、太もも後面にあるハムストリングスなど、バランスよくトレーニングします。

水中運動

浮力がある水中では、膝への負担を減らしながら運動ができます。水中での歩行をはじめ、クロールで使うバタ足も膝のトレーニングには有効です。泳ぎが得意ではない場合、プールサイドに腰をかけたり、つかまったりしながら脚をバタバタと動かすだけでも効果的です。

地上でのウォーキング

屋外での歩行で足腰を鍛えます。ウォーキングは、筋力トレーニングと比べて充分な運動に感じないかも知れません。しかし、ウォーキングを1年半継続すると、生活への支障や痛みに対して、トレーニングと同程度改善することがわかっています。ただし、ただ歩くだけではなく、靴選びにこだわり、歩行中は姿勢を意識し、必要であれば杖を使用して安定した歩行をしましょう。

また、変形性膝関節症を進行させるリスクに、ビタミンD不足があります。ビタミンDは、日光を浴びると体内で活性化される栄養素のため、屋外での運動は膝周囲の筋力を鍛え、変形を進行させるリスクも抑えます。

自宅でできるトレーニング

雨の日や外に出るのが億劫な場合、自宅でできる運動を紹介します。

  • 大腿四頭筋トレーニング
  • ① 椅子に腰をかけて、片側の脚を伸ばしきります
  • ② 座面と水平になるように脚を持ち上げて、10秒間キープします
  • ③ ゆっくり脚を下ろし3秒間休憩します
  • (①〜③を20回繰り返して、脚を入れ替えます。)
  • 大腿四頭筋・ハムストリングスのトレーニング
  • ① 椅子の背を両手で持ち、脚は肩幅に広げます
  • ② つま先と膝の向きはまっすぐ向くようにします
  • ③ 膝を前に出さず、お尻を後ろに突き出すように上体を落とします
  • (① 〜③を1セット5〜10回、1日3セットします。)

痛みがあるときには無理をしない

膝に痛みがあるときは、無理をせずに休息します。痛みに対しての対処法ですが、熱感や腫れがある場合には、冷やして炎症を抑え、慢性的な痛みには温めて血の流れを促します。痛みが強い場合には、病院を受診し、痛み止めの薬を処方してもらいましょう。

痛みの緩和は薬だけでなく、鍼灸治療やマッサージでも効果的だとわかっています。薬をできる限り飲みたくない場合や、薬でも効果が見られないときには、鍼灸やマッサージといった手段も覚えておきましょう。

膝の痛みの緩和にグルコサミンやコンドロイチンを服用する方がいらっしゃいます。両者は膝に軟骨に含まれる成分で、痛みの緩和を期待され服薬しますが、信頼度の高い研究は行われていないのが現状です。服用を検討している方は、かかりつけ医に相談することをおすすめします。

まとめ・変形性膝関節症を悪化させない日常の工夫

変形性膝関節症はさまざまな原因が組み重なって発症・進行してく病気です。膝の状態を悪化させないためには、膝に負担がかからないように生活をして、継続して運動に取り組みます。

日頃から膝に負担をかけていると、軟骨が摩耗するだけでなく、変形を進行させてしまいます。地べたではなく椅子に座るなど、できることから取り組みましょう。

運動療法に取り組む際は、くれぐれも無理は禁物です。痛みを我慢したまま続けてしまうと余計に悪化するため、膝の痛みがあるときは、炎症を起こしているのか、慢性的な痛みなのか判断し適切な対処が必要です。しかし自分では膝がどのような状態なのかわからない場合があります。そのような時は自己判断をせず病院を受診し、適切な処置を受けることが変形性膝関節症の悪化を防ぐことと覚えておきましょう。

以上、変形性膝関節症を悪化させないために日常生活においてできる工夫について記しました。

 

No.044

監修:医師 坂本貞範

 

関節の痛みは手術しないで
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