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胸椎椎間板ヘルニアとは?原因や症状を専門医が解説

公開日: 2022.09.27
更新日: 2024.11.06

胸椎椎間板ヘルニアとはどのような病気なのか、どのような対応が必要なのか知りたい方はいませんか。

この病気は、背骨の椎間板と呼ばれる組織が外に飛び出ている状態のことで、痛みやしびれなどの症状が現れるのが特徴です。

このヘルニアを放置すると症状が悪化し、日常生活に大きな支障をきたす恐れがあります

この記事では、胸椎椎間板ヘルニアの原因や症状についてご紹介します。ヘルニアの危険性を知ることで、発症した際にすぐ対処するきっかけとなるでしょう。

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胸椎椎間板ヘルニアとは?

胸椎椎間板ヘルニア

胸椎椎間板ヘルニアとは、胸の背骨の間にある「椎間板」が外へ飛び出てしまうことです。ヘルニアには、「飛び出る」という意味があります。

椎間板とは、背骨の間にあるクッションのような組織です。人の背骨は全部で24個あります。これらのうち首(頸椎)の部分が7個、胸(胸椎)が12個、腰(腰椎)が5個あり、それぞれに椎間板があります。

椎間板がつぶれたり変形したりすると、その負担に耐えられなくなり、外へ飛び出してしまうのです。

ここでは、胸椎椎間板ヘルニアの原因や症状について解説します。

胸椎椎間板ヘルニアの特徴

胸椎のヘルニアは珍しい疾患で、頸椎や腰椎よりも起こりにくいとされています。これは、胸椎は肋骨とつながって安定しているからです。胸椎は首や腰に比べて椎間板にかかるストレスが少ないため、ヘルニアが起こりにくいのです。

背骨は前後に曲がってバネのような形状になっており、胸椎の下はちょうどストレスがかかりやすい位置にあります。そのため、胸椎椎間板ヘルニアは胸椎の下側に発症しやすいといわれています。

胸椎椎間板ヘルニアの特徴について、以下の記事で詳しく解説しているので、興味がある方はぜひこちらもご覧ください。

胸椎椎間板ヘルニアの原因

胸椎椎間板ヘルニアの原因は、おもに以下があげられます。

  • ・加齢による老化
  • ・過度なスポーツ
  • ・車の長時間の運転
  • ・肉体労働

これらは背骨にかかる負担を高める要因となり、胸椎椎間板ヘルニアの発症につながります。
また高齢者だけでなく、働き盛りの20〜40代の方も発症する可能性がある点に注意しましょう。

胸椎椎間板ヘルニアを予防するには、背骨に負担を長時間かけないような工夫が重要です。

胸椎椎間板ヘルニアの症状

胸椎椎間板ヘルニアの症状は、おもに脚に現れます。具体的な症状としては、以下のとおりです。

  • ・太ももやふくらはぎのしびれ
  • ・太ももやふくらはぎの痛み
  • ・脚の脱力感
  • ・歩きにくさ

症状が進行すると、最悪の場合歩けなくなることもあるので注意が必要です。脚だけでなく、背中に痛みを感じることもあります

さらに、脇に放散する痛みが出ることもあり、これを肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)と呼びます。中には背中や肋間神経痛が現れず、脚の症状だけが出現する人もいるでしょう。

胸椎椎間板ヘルニアと似た症状の肋間神経痛とは

胸椎の椎間板には脇から肋骨に沿って神経が出ており、これを肋間神経と呼びます。この肋間神経が圧迫されると、肋骨に沿ったしびれや痛みが現れます

胸椎椎間板ヘルニアによって肋間神経が圧迫されると、神経に沿ってしびれや痛みを伴うことも少なくありません。脇の下がしびれることが多くなったら、胸椎椎間板ヘルニアを疑いましょう。

胸椎椎間板ヘルニアと肋間神経痛の違いについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

胸椎椎間板ヘルニアを放置する危険性

胸椎椎間板ヘルニアを放置すると、以下のような危険が伴うことがあります。

  • ・足が急に動かなくなる
  • ・尿や便が出なくなる

ここでは、それぞれの症状について詳しく解説します。

急に足が動かなくなる可能性がある

胸椎椎間板ヘルニアを放っておくと、急に脚が動かなくなる可能性があります。

胸椎椎間板の後ろには、脊髄があります。脊髄とは身体を動かす神経の大もとで、これが椎間板によって圧迫されると、急に脚が動かなくなることがあるのです。

胸椎はもともと神経の通り道がせまいため、軽い椎間板ヘルニアでも症状が出やすいといわれています。

急に尿や便が出なくなる可能性もある

胸椎椎間板ヘルニアになると、尿や便が出なくなる恐れもあります。これは胸椎の後ろを通る脊髄に、尿や便をコントロールする神経があるからです。

その神経が椎間板ヘルニアによって圧迫されると、排尿・排便障害が現れる可能性があります。

胸椎椎間板ヘルニアの診断方法

適切な治療を受けるためには、診断が必要です。胸椎椎間板ヘルニアは診断が難しく、見逃されてしまうケースも多い病気です。

診断を受けるためには、症状に気付いたら早めに整形外科を受診しましょう。

胸椎椎間板ヘルニアの診断で行われるのが、レントゲン撮影やMRI画像検査です。とくにMRIは椎間板がはっきりと確認できるので、確定診断につながります。

胸椎椎間板ヘルニアの入院期間や費用については、以下の記事で詳しく解説しています。興味がある方は、ぜひこちらもご覧ください。

まとめ|胸椎椎間板ヘルニアは専門的な医療機関と相談しながら治療をしよう

胸椎椎間板ヘルニアは、背骨の胸の部分にある椎間板が飛び出すことで引き起こされ、脚や背中、脇のしびれ・痛みなどの症状が現れます。胸椎椎間板ヘルニアは椎間板の加齢による老化や、過度なスポーツが原因で発症します。

胸椎は肋骨で固定されているため、首や腰に比べてヘルニアが起こりにくいですが、一度発症すると身体に深刻な影響を及ぼしかねません

症状が進行すると脚に力が入りにくくなったり、尿や便が出にくくなったりして、日常生活に大きな支障をきたす恐れもあります。足や背中に違和感を覚えたら、胸椎椎間板ヘルニアを疑ってみましょう。

軽い椎間板ヘルニアであっても、症状が出た場合は早期の診断(検査)と治療が重要です。気になる方は医療機関を受診し、専門的な診断と治療を受けましょう。

胸椎椎間板ヘルニアのよくある質問

ここでは、胸椎椎間板ヘルニアに関するよくある質問に対して、当クリニックの観点からお答えいたします。胸椎椎間板ヘルニアに関して疑問を抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

胸椎椎間板ヘルニアは予防できる?薬で治るの?

残念ながら、胸椎椎間板ヘルニアに対して有効とされる予防方法はありません。ヘルニアを治す薬もないのが現状です。

また、症状が悪化している場合は手術となるケースが多く、脚の運動障害は薬や運動、鍼灸などでは改善が期待できません。

そのため、胸椎椎間板ヘルニアの疑いがある場合は、早めに病院へ受診しましょう。

胸椎ヘルニアでやってはいけないことはありますか?

胸椎椎間板ヘルニアでやってはいけないことは、以下のとおりです

  • ・中腰の姿勢を続ける
  • ・重い荷物を持つ
  • ・長時間のデスクワークをする
  • ・スマホを長時間操作する

このような動作は、姿勢が丸まって椎間板への負担を高める原因となります。

とくにデスクワークやスマホの長時間の操作は、猫背につながり、肩こりや腰痛などの身体の不調につながる恐れもあります。姿勢が崩れやすい動作はなるべく避けて、椎間板の負担を減らしましょう。

胸椎椎間板ヘルニアの保存療法について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

胸椎ヘルニアで入院すると期間はどれくらい?

胸椎椎間板ヘルニアで入院した際の期間は状態によって異なり、2週間〜2カ月ほどです。症状が強く、手術の必要性がある場合に入院が検討されます。

おもな手術としては、以下のとおりです。

  • ・LOVE法:背骨の一部を削って椎間板を切除する方法
  • ・椎弓切除術:背骨の椎弓と呼ばれる骨を切り取って神経の圧迫を防ぐ方法
  • ・脊椎固定術:背骨を削った後にプレートで固定する方法

LOVE法と椎弓切除術では2〜3週間ほどの入院期間で済みますが、脊椎固定術では2カ月かかることもあります。

胸椎椎間板ヘルニアの入院期間や費用についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

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