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【医師監修】ドケルバン病とは|症状・原因・治療法を徹底解説

ドケルバン病
公開日: 2025.08.31

「手首の親指側が痛いけど、これって腱鞘炎?」
「ドケルバン病って聞いたけど、どんな病気?」
「病院に行くべきか迷っている……」

このような疑問や不安をお持ちではありませんか。

手首や親指の痛みが続いていても、原因や病名が分からず、どう対処すれば良いか迷ってしまう方も多いかもしれません。

ドケルバン病とは、親指を動かす腱が炎症を起こす腱鞘炎の一種で、産後の女性やデスクワークの方に多くみられます。

本記事では、ドケルバン病の症状や原因、セルフチェック方法、治療・再発予防まで、やさしく解説します。

不安な気持ちを少しでも和らげるためのヒントとして、ぜひ最後までお読みください。

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ドケルバン病は手首の親指側に生じる腱鞘炎

ドケルバン病は、手首の親指側にある腱鞘というトンネル部分が狭くなり、中を通る腱がこすれて炎症を起こす病気です。腱鞘炎の一種で、親指の使い過ぎやホルモンバランスの影響によって起こります。

ドケルバン病になりやすい人の特徴

ドケルバン病になりやすい人は、以下のとおりです。

  • 産後・授乳中の女性
  • 更年期の女性
  • 育児や家事で手首を酷使している人
  • デスクワーク中心でパソコンやスマホをよく使う人

とくに20〜30代と50代の女性に発症が多く、女性ホルモンの変化も関係しているといわれています。文献1

さらに詳しく知りたい方は、こちらでドケルバン病と腱鞘炎の違いや重症度についても解説しているためご覧ください。

ドケルバン病の症状

親指を動かした際に手首の親指側に痛みが出てきたら、ドケルバン病の可能性があります。

典型的な症状の特徴

代表的な症状は、以下のようなものです。(文献1),(文献2

  • 親指の付け根〜手首の親指側が痛む
  • 親指を動かすと痛みが増す
  • 腫れを伴うことがある
  • 握る・つまむなどの動作で力が入りにくい

心当たりのある方は医療機関の受診を検討しましょう。

悪化すると日常生活に影響も

痛みを我慢して親指や手首を使い続けていると、日常のさまざまな動作がつらくなってきます。

たとえば、赤ちゃんを抱っこするだけで手首にズキッと痛みが走ったり、ボタンを留めるなど細かな作業が思うようにできなくなったりする可能性があるのです。

また、スマートフォンを持つ手がつらく感じることもあれば、パソコン作業のたびにストレスを感じるようになる方もいます。

こうした状態を放置すると、関節の動きが悪化したり、最悪の場合は腱が切れたりする恐れがあります。違和感を覚えた時点での早めの対応が大切です。(文献3

スマホが原因の腱鞘炎についてはこちらで詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

ドケルバン病の原因

ドケルバン病では、親指を動かす2本の腱(短母指伸筋腱・長母指外転筋腱)が、腱鞘(けんしょう)と呼ばれるトンネル内でこすれ合い、炎症を引き起こします。

主な原因は、次のとおりです。(文献2

原因

具体例

親指や手首の使いすぎ

家事

育児(赤ちゃんの抱っこや授乳)

過度なスマホ操作

パソコンの長時間使用

ピアノの練習

スポーツ

ホルモンバランスの変化

妊娠・出産後のホルモン変化

更年期によるホルモン変化

かつては仕事によるパソコンの長時間使用やピアノの練習などで発症する例も多く、「職業病」と呼ばれることもありました。

原因によっては、長期間その動作をやめるのは難しい場合もあるでしょう。

その場合は、使い方の工夫や適切なケアを取り入れながら症状の悪化を防ぐことが大切です。

パソコン作業や楽器演奏による腱鞘炎についてはこちらも参考にしてください。

【関連記事】

パソコン腱鞘炎の症状とは?原因や治し方・予防法も徹底解説!

ピアノ腱鞘炎の症状チェック|原因から治療法・予防まで詳しく解説

ドケルバン病の検査・診断

ドケルバン病は、整形外科での診察や問診に加え、痛みの出方を確認するいくつかのテストで診断されます。

代表的なのは、親指を内側に折り込んで手首を小指側に倒す「フィンケルシュタインテスト」や、親指を握り込んでから手首を小指側に曲げる「アイヒホッフテスト」です。

さらに、必要に応じて超音波検査やレントゲンなどの画像検査をしてほかの病気が隠れていないか、併発していないかを確認します。

腱鞘炎の種類と症状については、こちらでも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

ドケルバン病の治療法

ドケルバン病の治療は、症状の段階によって選択肢が変わってきます。

保存療法|安静・湿布・装具

まずは手首の安静が基本です。

症状に合わせて、以下のような方法が行われます。

  • 湿布や消炎剤で炎症を抑える
  • 温熱やレーザー治療
  • シーネや装具による固定

症状が軽い段階なら、これだけでも改善するケースがあります。(文献2

薬物療法・注射|痛み止めやステロイド注射

炎症が強いときや保存療法で効果がみられない場合の治療は、以下のような薬物療法です。

  • ステロイド注射
  • 局所麻酔薬の注入

注射で痛みが改善する人もいますが、原因を取り除けていなければ再発する可能性があります。

さらに、ステロイド注射は、何度も繰り返すと感染を起こしたり腱の断裂を引き起こしたりすることもあるため、慎重な治療が必要です。(文献1

手術療法|腱鞘切開術

保存療法や注射をしても症状が改善しない場合には、腱鞘を切開して腱の通り道を広げる手術が検討されます。文献2

多くの場合は日帰りでの対応が可能ですが、親指の近くには大切な知覚神経が走っており、腱の構造にも個人差があるため、経験豊富な医師による手術が望まれます。(文献1

手術後は当日から手を動かすことが可能です。

ただし、ガーゼ交換の必要や傷を濡らさないなどの注意点があるため、医師の指示に従い段階的に日常生活に戻っていく必要があります。

ドケルバン病のセルフチェック方法【自宅でできる】

手首や親指の痛みが「ドケルバン病かもしれない」と感じたときは、簡単なセルフチェックで目安を知ることが可能です。

以下のテストはいずれも痛みの有無を確認する方法で、自宅でも行いやすいのが特徴です。

また、ドケルバン病のセルフケアについては、こちらの記事に詳しく書かれています。セルフチェックで気になった方はぜひ参考にしてください。

フィンケルシュタインテスト

フィンケルシュタインテストは、ドケルバン病の代表的な診断方法のひとつです。

痛みのある手の親指を反対の手で軽く握ります。

その状態で、握った親指を小指側へ引っ張る動作を加えたときに、親指側の手首に鋭い痛みが出る場合は、ドケルバン病が疑われます。(文献2

痛みが強く出る可能性があるため、親指の力を抜き、ゆっくりと無理のない範囲で行うようにしましょう。

アイヒホッフテスト

フィンケルシュタインテストと似ていますが、アイヒホッフテストでは、親指を手の中に入れてグーの形をつくったあと、自力でゆっくりと手首を小指側に倒していきます。

この動作で強い痛みが出た場合も、ドケルバン病が疑われます。

また、医師の間では、フィンケルシュタインテストの「変法」として扱われることもあります。(文献2

岩原・野末のサイン

岩原・野末のサインは、日本整形外科学会がドケルバン病のセルフチェック法として紹介している方法です。

手首を内側に直角に曲げた状態で、親指を外側にまっすぐ伸ばしたとき、親指の付け根や手首の母指側に痛みや違和感が出るかを確認します。(文献2

圧痛(押したときの痛み)や腫れがあるかどうかも、あわせて観察すると良いでしょう。

ドケルバン病の悪化を防ぐには早期対処と予防が大切

ドケルバン病は、放っておくと慢性化しやすいため、症状を感じた段階での早めの対処と、日常的な予防が大切です。

ドケルバン病対策のストレッチ

予防や再発防止のために効果的なのが、手首や親指のストレッチです。

無理のない範囲でゆっくりと伸ばすことで、症状の改善や悪化の予防が期待できます。

家事や仕事の合間にこまめにストレッチを心がけましょう。

痛みを感じる動きは避け、心地よく伸びる範囲で行うことがポイントです。

おすすめの方法はこちらで詳しく紹介しています。

ドケルバン病を予防する生活習慣

普段の生活の中で、手首や親指を酷使しすぎないことも大切です。

長時間同じ作業を続けないよう、こまめに休憩を挟みましょう。

スマートフォンやパソコンを使う際は、姿勢や手首の角度にも注意し、できるだけ負担が少なくなるよう意識してみてください。

これらの対策を意識しても痛みが続く、あるいは悪化しているように感じる場合は、無理をせず早めに医療機関を受診しましょう。

ドケルバン病と似た症状の病気には、関節リウマチや感染性腱鞘炎など、進行すると関節や腱に大きな障害を残すものも含まれます。

正しい診断と早期の適切な治療が大切なため、「腱鞘炎かも?」と感じた時点で専門医に相談することをおすすめします。

更年期と関節痛の関係が気になる方はこちらもあわせてご覧ください。

ドケルバン病の改善を目指すなら早めに医療機関を受診しよう

ドケルバン病は、育児やデスクワークなど、手首や親指を酷使する日常のなかで起こりやすい腱鞘炎のひとつです。

放っておくと症状が悪化し、日常動作に支障をきたすおそれもあります。

親指の付け根や手首に痛みや違和感があるときは、早めに整形外科など専門の医療機関を受診しましょう。

手首の痛みがほかの原因かも、と思った方は、以下の記事も参考にしてください。

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ドケルバン病に関するよくある質問

ドケルバン病はサポーターやテーピングで治せますか?

サポーターやテーピングで親指や手首を固定すると、動かす回数が減り、痛みの軽減につながることがあります。

とくに症状が軽い場合は、自宅でのケアとして有効な方法です。

ただし、こうした対処はあくまで一時的なものであり、根本的な治療にはなりません。

痛みが続いたり、悪化したりしているときは、医療機関で診察を受けることが大切です。

また、症状が改善したあとも、すぐに育児や家事などで親指を酷使すると、再発しやすくなるので注意しましょう。

とくに出産直後の女性に多いドケルバン病は、授乳期が終わると自然に軽くなることもあります。(文献1

必要に応じて、授乳スタイルや抱っこの方法を見直すのもひとつの方法です。

ドケルバン病はどれくらいで治るの?

治り方には個人差がありますが、一般的には安静や湿布、痛み止めなどの保存療法を続けることで、数週間〜数カ月ほどで症状が落ち着くことが多いとされています。

こうした保存療法で十分な効果が得られないときには、ステロイド注射が選択肢に入ります。

注射後は1週間ほどで痛みが半減するケースも少なくありません。

ただし、保存療法で改善しない場合や再発を繰り返す場合には、手術を検討する必要があります。

手術後は数週間で日常生活に復帰できるケースが多いものの、回復スピードには個人差があるため、無理のないペースでの復帰が大切です。

参考文献

(文献1)

狭窄性腱鞘炎(ドケルバン病)|一般社団法人日本臨床整形外科学会

(文献2)

「ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)」|公益社団法人日本整形外科学会

(文献3)

健康一口メモ~腱鞘炎の予防・対策について~|公益社団法人三重県健康管理事業センター