-
- ひざ関節
- 靭帯損傷
後十字靭帯断裂の症状と治療法について医師が詳しく解説 後十字靭帯断裂という怪我をご存じですか? 後十字靭帯は大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)をつなぐ重要な靭帯で、膝の裏側にあります。靭帯断裂というと、スポーツで起きるイメージを持たれるかもしれませんが、後十字靭帯断裂はスポーツだけでなく転倒や交通事故でも起こります。 今回は、後十字靭帯断裂について、症状や診断方法、治療や手術費用などについても詳しく解説します。 後十字靭帯とは 後十字靭帯は、大腿骨の内側顆と呼ばれる膝の内側の部分を起始とし、後方外側に向かってのび、脛骨の顆間隆起の後外方に停止します。 「後」十字靭帯という名前がついていることからわかるように、私たちの膝には「前」十字靭帯も存在します。膝の中でこの2つが十字型に見えることから、こう呼ばれています。 この前十字靭帯と後十字靭帯がともに機能することで、私たちの膝は安定して動かすことができます。 後十字靭帯は、前十字靭帯よりも太さと強度があり、特に脛骨(すねの骨)が後ろに脱臼しないように保持する働きをしています。また、膝をひねる動作が安定して行えるよう支える役目も担っています。 後十字靭帯断裂の原因 後十字靭帯断裂は、主に膝を曲げた状態で強く地面に打ち付けることによって発生します。交通事故でダッシュボードに膝を強く打ち付ける、転倒して膝から転ぶなどが典型的な受傷機転です。 スポーツでは、ラグビーやアメフトなどのコンタクトスポーツでの受傷が多いです。 後十字靭帯断裂の症状 多くの場合、膝を打ちつけているため、膝のお皿の下に擦り傷などの外傷があることが多いです。 関節内に、少量の血が溜まる場合もあります。靭帯のみでなく、後ろの関節包(関節を包んでいる袋、関節の安定性に寄与している)も損傷している場合には、膝後方に皮下出血があり、注意が必要です。 膝窩部(膝裏)の痛みや、膝を曲げると痛いという症状を訴える方もいます。 後十字靭帯は、一部の損傷のみにとどまることもありますが、完全に断裂し、膝の不安定性が強い場合は、階段の上り下りや、しゃがみ込み時に膝がグラグラする感覚があります。 放置するとどうなる? 膝が不安定な状態のまま日常生活を送ると、大腿骨と脛骨の動きが通常よりも大きくなり、その分、膝全体にストレスがかかります。この状態が長期間続くことによって、膝の軟骨や半月板などが徐々に損傷を受けます。 そのままさらに放置すると、膝が変形してしまい、痛みを伴いながら、極端なO脚やX脚になってしまう可能性があります。(変形性膝関節症) 後十字靭帯断裂の診断 後十字靭帯断裂を疑う外傷があった場合、身体診察と画像検査によって診断します。 徒手検査 まずは身体診察を行い、膝関節の不安定性がないかどうかをチェックします。 特に有名なものに、「後方引き出しテスト」とよばれる検査があります。 後方引き出しテスト 1. 寝た状態で膝を曲げる 2. 医師がすねの骨(脛骨)を後ろに押していく その際に、後十字靭帯が機能していないと、脛骨が後ろに落ち込んでしまうような感覚があります。 画像検査 画像診断は、レントゲンとMRIで行うことが多いです。 靭帯自体はMRIでないと評価できませんが、合併する骨折を見逃さないためにも、レントゲンでの評価も必要です。MRIでは、靱帯が完全に断裂しているのか、部分的に損傷しているのかを評価することができます。 また、半月板や側副靱帯など他部位の損傷が合併しているかどうかについてもMRIで評価します。 後十字靭帯断裂の治療 後十字靭帯の機能は、保存的治療でも比較的に良好に回復すると言われており、保存療法が選択されることが多いです。 保存療法 保存療法の場合は、膝関節の安定性を補助するための装具を2カ月程度使用します。また、膝の安定性を高めるためにはリハビリも欠かせません。 受傷から1,2週の急性期は、腫脹や痛みがある時期なので、ある程度痛みが引いてくるまでは負担をかけないように松葉杖などを使用します。痛みのない範囲で、早期から関節可動域訓練やストレッチなどは開始します。 その後、3週間程度経過すると、徐々に膝が動かせるようになり、筋力トレーニングやランニングなど、装具を着用したまま行えるようになります。 スポーツ復帰までどのくらい? 筋力トレーニングによって、筋力が8割程度戻ってくればスポーツ復帰となりますが、少なくとも3ヶ月程度はかかります。 ただし、保存療法を行っても、膝の不安定性が強い場合や、不安定感でスポーツなどへの復帰が傷害される場合は、再建術などの手術が検討されます。 手術療法 手術は全身麻酔で行われる場合が多いです。 切れた靱帯同士を縫合するのは難しく、強度も不十分であるため、もも裏の筋肉(ハムストリング)の一部を採取し、靱帯のように形成して移植します。 入院期間とスポーツ復帰まで 手術後は装具を使用して膝を固定します。体重をかけていいのは、術後3週間程度してからになります。入院期間は病院によって様々ですが、体重をかけられるようになることまで入院している場合が多いです。 退院後も、通院でリハビリテーションを行い、術後6ヶ月でランニングを許可し、術後10〜12ヶ月でスポーツ復帰が目安となります。 手術はどのくらい費用がかかる? かかる費用は、入院期間や処置の内容によっても前後しますが、50万前後となることが多いです。装具や通院なども含めると、さらに金額は上がってきます。 基本的には高額療養費制度の適応となりますので、自己負担は軽減されます。高額療養費制度に関しては、ご加入の健康保険窓口で問い合わせてください。 まとめ・後十字靭帯断裂の症状と治療法について医師が詳しく解説 今回は、後十字靭帯断裂について詳しく解説しました。 後十字靭帯は私たちの膝を安定させるのに非常に重要な役割を果たしています。当初は軽い症状でも、放置すると日常生活に支障が出る場合も珍しくありません。少しでも違和感を感じた場合は、早期に専門医を受診してください。
2023.09.11 -
- ひざ関節
- 靭帯損傷
後十字靭帯損傷(こうじゅうじじんたいそんしょう)とは、膝の関節内にある後十字靭帯の損傷を指します。 主に車の事故やバイク事故、ラグビーなどのコンタクトスポーツで他人と衝突して生じ、痛みや症状改善についてお悩みの方も多いことと存じます。 そこで本記事では、後十字靭帯損傷の治療方法やリハビリにおける禁忌事項について解説します。読者の方々の一助となるべく、分かりやすく内容をまとめているのでぜひご一読ください。 後十字靭帯損傷の治療法 後十字靭帯の単独損傷では、大腿四頭筋訓練を中心とした保存療法が行われます。 膝動揺性抑制装具(サポーター)を装着して早期から痛みの無い範囲で可動域訓練を行い、筋力低下を最小限にとどめるようにします。受傷初期は疼痛緩和と安静を兼ねてギプス固定を行うこともあります。 後十字靭帯単独損傷の場合には多少の緩みが残ってもスポーツ活動に支障をきたさないことが多いです。このことから、軽度な症状の場合には先ずは保存療法を試みるようにします。 後十字靭帯損傷のリハビリにおける禁忌 後十字靭帯損傷におけるリハビリの禁忌として以下の事項が挙げられます。 しゃがみ・膝立ち 正座 膝に直接負担をかける行為は症状を悪化させる危険性があり、完治を妨げる要因ともなります。 また、後方へのストレス(不安定性)が強く、日常動作に不自由を感じる際は靭帯再建術を考慮しなければなりません。速やかに最寄りの医療機関または当クリニックにご相談ください。 なお、当院も専門領域なので、不安がある方は下記のバナーをクリックのうえ、お気軽にお問い合わせください。 後十字靭帯損傷の完治期間 https://youtu.be/ZYOV-Er0mnU?si=krijmhYRz9t7Ggd_ 後十字靱帯損傷の完治までの期間・道のりとしては、ハムストリングスを用いた再建術後の理学療法、術直後には免荷で膝装具0° 固定し等尺性筋収縮運動を行います。 1〜2週間で部分荷重、スクワット運動開始とします。4週間で全荷重、4カ月でジョギング、水泳などのスポーツ復帰が可能となります。 期間 トレーニング内容 1〜2週間 部分荷重、スクワット運動開始 4週間 全荷重 4カ月 ジョギング、水泳などのスポーツ復帰 上記の期間を経て、全治までには数ヶ月を要します。 後十字靭帯損傷の予後は比較的良好とされていますが、自然治癒するわけではないことを覚えておきましょう。 最近では、早期の競技復帰を望むアスリートの間などで靭帯組織の修復に期待できる「再生医療」が注目されています。 ▼再生医療について詳しく見る 後十字靭帯損傷の診断方法 脛骨の後方ストレスへの不安定性とMRI画像で後十字靭帯断裂を確認し、後十字靭帯損傷を診断できます。 また、レントゲン写真では骨折の有無の判別が可能です。 くわえて、後十字靭帯損傷の診断方法のひとつにsagging(サギング)テストがあります。 脛骨が落ち、関節に窪みが生じていれば後十字靱帯断裂を疑います。 そもそも後十字靭帯損傷とは 後十字靭帯は、膝関節の中で前十字靭帯とともに関節を強固に連結している靱帯です。 大腿骨(太ももの骨)の内側と、脛骨(すねの骨)の中央をつなぎ、前十字靭帯と十字のかたちに交差して膝関節を支えています。普段は膝関節のひねる動作を支えたり、脛骨が後ろにずれないように支えるように働いたりしています。 後十字靭帯損傷は、膝裏にあたる位置にある靭帯損傷のことであり、後十字靭帯が一部あるいは完全に断裂した状態を指します。 また、混同しやすい傷病名として「後十字靭帯断裂」が挙げられます。詳細が気になる方は、以下の記事をご確認ください。 後十字靭帯損傷の原因 スポーツ外傷や交通事故などで、脛骨上端に、前から後ろへ向く大きな力が加わることで後十字靭帯が損傷するケースが多いとされています。 具体的には、以下のような受傷機転が考えられます。 交通事故 ダッシュボード損傷とも言われ、車が急停車しダッシュボードに膝(脛骨の上端部)をぶつけることによって起こります。 転倒 膝を90°曲げた状態で転倒すると脛骨が後ろへ押し込まれるため受傷します。 コンタクトスポーツ(ラグビーなど) 膝下にタックルを受けることで、後十字靭帯を損傷することがあります。 後十字靭帯損傷の症状 後十字靭帯損傷の症状を解説します。 急性期(受傷後3週間くらい) 膝の痛みと可動域制限がみられますが、歩ける場合が多いです。しばらくすると腫れ(関節内血腫)や、膝窩部の皮下出血が出現することもあります。 痛い部位は、膝の裏となります。また、脛骨に後方へのストレスをかけると、膝窩部に激痛がみられます。 急性期を過ぎると 痛み・腫れ・可動域制限はいずれも軽快してきます。しかしこの頃になると損傷部位によっては膝の不安定感が徐々に目立ってくることがあります。下り坂やひねり動作の際に症状が顕著となります。 慢性期の症例(受傷から時間がたった場合) 前十字靭帯損傷と比べると膝の機能障害は軽度ですが、歩行やスポーツ時に脛骨の後方ストレス(不安定感)を感じます。 また、関節軟骨変性による膝蓋大腿関節や内側の関節裂隙の圧痛や、仰向けで膝関節を90度屈曲すると、脛骨近位端が後方へ移動する落ち込み徴候(サギングサイン)が確認できます。 不安定感を放置してしまうと半月(板)損傷や軟骨損傷などを新たに引き起こし、慢性的な痛みや腫れ(水腫)が出現するおそれもあります。 まとめ|後十字靭帯損傷にお悩みの方は再生医療に注目 靱帯損傷は、靭帯の一部あるいは全部が断裂してしまうことです。 当院では、自己脂肪由来幹細胞治療やPRP療法を行っています。 後十字靭帯損傷後に膝の不安定感があったり、スポーツに早期復帰したいという方のために、膝の靭帯損傷をより早く治すために再生医療を提供しています。ご興味のある方は、ぜひ一度当院の無料相談を受けてみてください。 参考文献 膝の最前線. 理学療法科学 第23巻2号 「膝靭帯損傷」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる プライマリケアのための関節のみかた 下肢編(2)―膝(下)[臨床医学講座より] - 医科 - 学術・研究 | 兵庫県保険医協会
2023.09.07 -
- ひざ関節
- 靭帯損傷
外側側副靭帯損傷|症状と原因、治療法について解説! 外側側副靱帯(がいそくそくふくじんたい)損傷は、膝の外側にある靭帯がスポーツや交通事故で外傷による損傷する怪我です。 外側側副靱帯損傷は、いくつかある靭帯損傷の中でも、比較的まれな怪我ですが、他の靭帯と一緒に損傷することが多く、場合によっては手術が必要になります。 本記事では、外側側副靱帯の症状や原因について解説し、治療法について詳しく解説します。 外側側副靱帯損傷とは? 膝の関節は太ももの骨である大腿骨(だいたいこつ)とすねの骨である脛骨(けいこつ)、お皿の骨である膝蓋骨(しつがいこつ)からできています。比較的平らな面同士が合わさってできており、安定性に欠くため、大腿骨と脛骨の間を別の組織で補強しています。 靭帯は膝関節を補強する組織の1つで、骨同士を固い組織でつなぎ、膝の安定性を高めています。外側側副靱帯は膝の外側にあり、膝の内側からの衝撃に抵抗する靭帯です。 そのため、膝の内側から強い衝撃が加わると、外側側副靱帯にストレスが加わり、場合によって靭帯が傷ついたり、ちぎれたりして、外側側副靱帯損傷を引き起こします。 単独で損傷することはあまりなく、他の靭帯と同時に損傷する、複合靭帯損傷(ふくごうじんたいそんしょう)として生じることが多いです。 外側側副靱帯損傷の症状や原因 外側側副靱帯は靭帯損傷の中でも比較的めずらしい怪我です。 単独で生じることは少ないですが、外側側副靱帯が損傷している場合の特有の症状や原因があります。 どのような症状や原因があるのかを詳しく解説します。 外側側副靱帯損傷の症状 外側側副靱帯の損傷の症状は、膝の外側の痛みや腫れです。 また、膝から下が内側に傾くような動きが生じると、傷ついた靱帯が伸ばされるため、痛みを生じます。例えば、あぐらをかいた場合に膝の外側に痛いという状態です。 外側側副靱帯を損傷した状態で放置すると、膝がグラグラするように不安定感が生じます。 外側側副靱帯損傷の原因 外側側副靱帯損傷の原因は大きく分けて、スポーツ中の接触と交通事故に分けられます。 スポーツでは、サッカーやラグビーのタックルや柔道の足払いなどで膝の内側に強い衝撃が加わり、外側側副靱帯が強制的に伸ばされて起こります。 交通事故の場合も、スポーツ同様に膝の外側が無理に伸ばされるような衝撃を受けることで、外側側副靱帯が損傷されるのです。どちらにせよ強い衝撃が原因となるため、外側側副靱帯が単独で損傷することは少なく、他の靱帯や半月板といった組織の損傷と合わさる場合が少なくありません。 外側側副靱帯損傷の診断 外側側副靱帯が損傷しているかどうかは、以下の方法で診断されます。 診断方法 ・徒手検査(としゅけんさ) ・画像診断 それぞれの診断について具体的に解説します。 徒手検査 患者を仰向けに寝かせた状態で、膝の内側と足首の外側を持ち、膝から下を内側に動かすように力を入れて、外側側副靱帯にストレスを加える内反(ないはん)ストレステストと呼ばれる検査をします。 内反ストレステストで、痛みや関節が通常より大きく動く不安定性を認めた場合は、外側側副靱帯損傷が疑われます。 膝を軽く曲げた状態と完全に伸ばした状態といった両方の姿勢で検査を行い、膝屈曲位で症状が出た場合は外側側副靱帯の損傷、伸ばした状態で症状が出た場合は、他の靱帯の損傷も疑うことが必要です。 画像診断 外側側副靱帯の損傷はレントゲンでは異常を示しづらく、詳細な診断にはMRIを用います。 MRIだと他の靭帯や半月板などの組織もはっきりと写るため、複合損傷や合併症の確認にも有効です。 外側側副靱帯損傷の治療 外側側副靱帯の損傷の治療方法は手術を行わない保存療法と、手術を行う手術療法に分けられます。 それぞれの治療方法について具体的に解説します。 保存療法 外側側副靱帯のみの損傷で、膝の不安定感が少なく、日常生活に大きな支障がなければ、手術による外科的な治療を行わない保存療法が選択されます。 保存療法には装具療法やリハビリテーションがあります。 装具療法 外側側副靱帯損傷により、膝が不安定になれば、さらなる損傷や膝周辺の痛みを伴うリスクが高まります。そのため、装具やサポーターを着用して、膝の安定性を高めれば、外側側副靱帯へのストレスを減らすことが可能です。 また、怪我の直後は痛みや腫れが強く、膝へのかかる負担をできる限り減らすため、ギプスによる固定をする場合もあります。 リハビリテーション リハビリテーションでは、膝の安定性を高めるため筋力トレーニングを実施して、膝周辺の筋力を鍛えるトレーニングを実施します。 また、装具などで膝を固定することによる関節の動きの制限を改善するため、ストレッチや関節可動域練習を行います。 手術療法 複合靭帯損傷の場合や膝の不安定性が強い場合は、手術による治療が適応になります。手術は損傷した靱帯を他の部分の靱帯を使って再建する靱帯再建術が実施されます。 手術後は状態に合わせて段階的なリハビリテーションが必要です。その後、スポーツ復帰して試合などの通常に戻れるまでは、3〜6カ月の治療期間がかかります。 まとめ・外側側副靭帯損傷|症状と原因、治療法について解説! 外側側副靱帯損傷は、頻度が高い怪我ではありませんが、治療をせずに放置すると、膝の痛みや損傷部位の悪化を招く危険性があります。 外側側副靱帯損傷は、膝の外側に位置する靱帯が外部からの強い衝撃によって損傷する怪我です。スポーツや交通事故が主な原因であり、特に膝の内側からの強い衝撃が発生源となります。この損傷は単独で発生することは少なく、他の靱帯や半月板とともに損傷することが多いです。症状としては膝の外側の痛みや腫れ、膝の不安定感が挙げられます。 診断は徒手検査や画像診断(特にMRI)によって行われます。徒手検査では、膝の内反ストレステストが用いられ、MRIでは詳細な損傷部位や他の合併症の有無を確認します。治療法には保存療法と手術療法があり、損傷の程度や症状によって選択することになります。 保存療法では、装具療法やリハビリテーションが中心となり、膝の安定性を高めるための筋力トレーニングやストレッチが行われ、重度の損傷や複合損傷の場合には手術が必要となり、靱帯再建術が実施されます。手術後は段階的なリハビリが必要で、完全に回復するまでには数ヶ月の時間を要します。 外側側副靱帯損傷は比較的まれな怪我ですが、適切な診断と治療を受けることで、日常生活やスポーツへの早期復帰が可能です。怪我を予防するためには、適切なトレーニングと膝の保護が大切です。 膝の外側が痛んだり、膝がグラグラするような不安を感じたりした場合は、できるだけ早めに整形外科に受診しましょう。 本記事を参考にいざというときに外側側副靱帯の治療がスムーズに受けられるよう、正しい知識を身につけておきましょう。
2023.09.04 -
- ひざ関節
- 靭帯損傷
「ランナー膝の治し方を知りたい」「ランナー膝の原因って何?」 ランニングなどによって膝の痛みが出るランナー膝ですが、原因や改善策を知りたい方も多いのではないでしょうか。 ランナー膝は、適切な対策を取らないと慢性的な痛みへと発展する恐れがあります。 多くのランナーが悩む症状ですが、実は自宅でも改善できる方法もあります。 この記事では、症状を軽減する方法から、予防対策まで具体的に解説していきます。最後まで読めば、ランナー膝をぜひ最後までお読みください。 ランナー膝(腸脛靭帯炎)の治し方3選 ランナー膝(腸脛靭帯炎)は、膝の外側に痛みが生じるスポーツ障害です。とくに長距離ランナーに多く見られ、初期の対処が重要です。治療法は主に以下の3つがあります。 保存療法(安静・ストレッチ・リハビリなど) 運動環境・フォームの改善療法 外科的治療・再生医療 まずは自宅でできる保存療法、次はフォームや運動環境の改善、最後に外科の治療や再生医療といった選択肢です。ここからは、それぞれの方法について詳しく解説していきます。 保存療法(安静・ストレッチ・リハビリなど) 保存療法は、ランナー膝の最も一般的な治療法です。 痛みや炎症がある場合はランナー膝の原因となる運動を中止し、安静にするよう心がけましょう。膝をアイシングしたり、湿布を使ったりするのも効果的です。 炎症が改善したら、大腿筋膜張筋や股関節外側部を中心としたストレッチを行います。 リハビリで筋力を回復させることで、再発予防にもつながります。(文献1) 運動環境・フォームの改善療法 ランナー膝は、走る際のフォームや、履いているシューズを変えることで改善できる場合があります。 上半身が左右に揺れたり、膝が内側に入ったりする走り方は、ランナー膝を悪化させる原因になりかねません。そのため、体幹や股関節、足首などを強化し、膝に負担がかかりにくいフォームに矯正する必要があります。 また、着地時の衝撃を吸収してくれるインソールや、膝の動きを支えるサポーターなどを活用するのも良いでしょう。(文献2) 運動環境やフォームの改善は、ランナー膝の治療だけでなく予防にも効果的です。とくに日常的にランニングをする方は、普段から正しい走り方を意識し、膝の負担を軽減するシューズの使用がおすすめです。 外科的治療・再生医療 症状によっては外科的治療や再生医療も選択肢に含まれます。 ランナー膝の外科的治療は一般的でないものの、保存療法で効果が見られない場合や、難治性と診断された場合は手術を検討します(文献3)。 また、PRP療法をはじめとする再生医療を実施するケースもあります。PRP療法は、自分の血液から抽出した成分を注入し組織の再生を促進する方法であり、炎症の抑制や痛みの軽減が期待できます。 膝の痛みを再生医療を用いて治療する方法は、以下の記事もご覧ください。 ランナー膝(腸脛靭帯炎)における原因 ランナー膝(腸脛靭帯炎)は、膝の外側に痛みを引き起こすランニング障害です。 主な原因は以下の2つにわかれます。 ランナー膝の原因 詳細 選手側の問題 筋力のアンバランス 柔軟性の不足 O脚(内反膝) 練習内容や環境の問題 オーバートレーニング 不適切な靴 選手側が要因となるO脚では、腸脛靭帯が大腿骨に擦れやすく炎症のリスクを高めます。 また、オーバートレーニングのほか、下り坂・不整地でのランニングも摩擦が増して症状を悪化させる要因です。 ランナー膝(腸脛靭帯炎)の症状 ランナー膝(腸脛靭帯炎)は、膝の外側に痛みが生じる症状が特徴です。 軽症の場合、スポーツ後に痛みが出る程度ですが、放置すると中等症へ進行し、プレー中にも痛みを感じるようになります。 悪化すると、スポーツをしていないときでも痛みが現れ、日常生活にも影響する可能性があります。 重症化すると手術などの外科的治療が必要になり、入院やリハビリ期間が長引く可能性が高くなるため、膝の痛みを感じたら早めに整形外科に相談しましょう。 ランナー膝(腸脛靭帯炎)の診断 ランナー膝(腸脛靭帯炎)は、ランニングやジャンプの動作時や日常生活での痛み、膝の外側の圧痛の有無をヒアリングすることで診断されます。 また、レントゲンやMRIなどの画像診断や、「グラスピングテスト」と呼ばれる方法を用いて診断するケースもあります。 まとめ|ランナー膝は保存療法で効果が見られないなら他の治療法も検討しよう ランナー膝の治療は、保存療法だけでなく、予防対策を意識した運動環境・フォーム改善療法も並行しておこないます。再発を繰り返す場合や難治性と診断された場合は、手術療法や再生医療といった選択肢も検討しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、自己の幹細胞を用いた再生医療を提供しています。膝の靭帯部分に幹細胞を投与することで、手術なしで症状を改善できるケースもあります。 従来の保存療法や運動療法による治療で効果がみられない場合は、ぜひ当院の再生医療もご検討いただければ幸いです。 メールでの無料相談やオンラインカウンセリングも実施しておりますので、お気軽にご相談ください。 この記事がランナー膝の治療方法の選択肢を知るのに役立ち、治療を受けるきっかけになれば嬉しく思います。 ランナー膝(腸脛靭帯炎)についてよくある質問 ランナー膝(腸脛靭帯炎)ではどこをほぐすべきですか? ランナー膝の改善には、腸脛靭帯自体を直接ほぐすのではなく、大腿筋膜張筋や股関節、大腿部前面を重点的にストレッチするのが有効です。 フォームローラーやストレッチを使い、これらの筋肉を柔らかくし、症状の緩和と再発防止につながります。 ランナー膝のストレッチについては以下の記事もご覧ください。 ランナー膝でやってはいけないことは何ですか? ランナー膝の痛みを感じた際は、無理に動かさずスポーツを中止して安静にしましょう。とくに下り坂や傾斜がきついコースでのランニングは、膝に負担をかけやすいため控えるべきです。 負荷を調整しつつ、適切なストレッチやリハビリを行うことを意識してみてください。 ランナー膝を早く改善するポイントについては以下の記事でも解説しておりますので、ぜひご覧ください。 No.149 監修:医師 坂本貞範 参考文献一覧 (文献1) 日本スポーツ整形外科学会(JSOA)「スポーツ損傷シリーズ 10.膝の慢性障害」 (文献2) 林優、林典雄ほか.腸脛靭帯炎における臨床的特徴と運動療法成績について.東海北陸理学療法学術大会誌.2006;22 (0), 38-38 (文献3) JCHO東京山手メディカルセンター|腸脛靭帯炎(ランナー膝)
2023.08.31 -
- 膝の内側の痛み
- ひざ関節
- 靭帯損傷
内側側副(ないそくそくふく)靭帯損傷は、内側側副靭帯という膝の内側の安定性を保っている靭帯が何らかの原因で損傷を受けることです。 今回は、医師の目線から、内側側副靭帯損傷の症状や治療法について解説します。 内側側副靭帯損傷(MCL)とは? 内側側副(ないそくそくふく)靭帯損傷(MCL)とは、膝関節の裏側にある内側側副靭帯によくみられる外傷です。 靭帯が何らかの原因で損傷を受けた状態を指します。 内側側副靭帯損傷は、後述しますが珍しいものではありません。 自力での治療は難しいため、症状が疑われた場合は、早めに医師の診察を受けることが大切です。 また、放置してしまうと悪化する恐れがあるので、早めに受診しましょう。 内側側副靭帯の役割 内側側副靭帯は、膝の裏側にあって、関節が必要以上に開かないようにおさえる役割を果たします。 この靭帯は、膝関節に関わる腿骨と脛骨をつないでいます。 しかし、2つの骨は、決して衝撃に強くありません。 しかし内側側副靭帯があることで、外部からの衝撃に耐性を発揮できます。 結果として、この靭帯により、強い衝撃があっても必要以上に関節が開かないようになります。 なお、膝関節には、前十字靭帯と後十字靭帯という靭帯があり、関節の外側には内側側副靭帯が外側側副靭帯があります。 その中でも、内側側副靭帯は、特に膝の内側の安定性を保つ役割を持ちます。 内側側副靭帯損傷(MCL)の原因とは? スポーツ外傷や、交通事故などで、膝に外反強制(がいはんきょうせい:すねを無理に外側に向けられること)するような大きな力が加わった際に、内側側副靭帯損傷(MCL損傷)が起こりやすいとされています。 内側側副靭帯損傷は、膝の靭帯損傷の中で最も多いとされています。 メール相談:オンラインカウンセリングはこちら 内側側副靭帯損傷の4つの症状 次に、内側側副靭帯損傷に多い以下4つの症状に関して解説します。 ・痛みや腫れ ・膝の不安定感 ・運動動作が困難になる ・可動域の低下 内側側副靭帯損傷があると、上記する症状によって、スポーツへの参加や日常生活に支障が生じます。 それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。 内側側副靭帯損傷の症状①痛みや腫れ 急性期(怪我をしてから3週間頃)に、膝の痛みと可動域制限がみられます。 しばらくして腫れ(関節内血腫)が目立ってくることもあります。 急性期が過ぎると、重症度にもよりますが、一般的に痛みや腫れ、可動域制限は軽快してきます。 内側側副靭帯の損傷の症状②膝の不安定感 この頃になると損傷部位によっては膝の不安定感が徐々に目立ってくることがあります。 ひねり動作の際にはっきりすることが多いです。 内側側副靭帯損傷の場合は、膝の内側の不安定感が出ます。 この状態のまま放置しておくと、新たに半月(板)損傷や軟骨損傷などを生じ、慢性的な痛みや腫れ(水腫)になってしまうこともあります。 内側側副靭帯の損傷の症状③運動動作が困難になる さらに、以下のような形で運動動作を取るのが困難になります。 ・痛みや腫れによって、ランニング、ジャンプなどがしにくくなる ・症状が重い場合は歩きにくくなる ・膝の安定感が失われ、思うように方向転換できなくなる スポーツの参加はもちろん、日常生活でも感じる方が多いです。 また、トレーニングができなくなるため、筋力が低下するという問題もあります。 内側側副靭帯の損傷の症状④可動域の低下 内側側副靭帯の損傷によって、動かせる関節の範囲が限られます。 膝をまっすぐにしたり、自由に曲げたりするのが難しくなります。 膝が固くなったようにも感じられます。その結果、足を引きずったような歩き方になるかもしれません。 内側側副靭帯損傷の重症度 内側側副靭帯損傷は、American Medical Associationの分類によって、1〜3度に分かれます。 ・1度 軽症ですが、治療とリハビリを行うことが推奨されます。 ・2度 中等症で、膝の外反動揺性つまりぐらぐら感を中程度に認めます。 初期治療(ギ プス固定、装具療法など)が重要となります。 ・3度 重症で、膝の外反動揺性が顕著であり、手術を要する場合が多いです。 内側側副靭帯損傷の検査方法 それでは、次に内側側副靱帯の検査方法について解説します。 ストレステスト 診察では膝関節にストレスを加えて緩みの程度を健側と比較します。 ① 外反ストレステスト(valgus stress test) 患者が仰向けになり、膝を伸ばした姿勢と30°膝に曲げた姿勢の2パターンでチェックをします。 医師などの検査者が膝関節の外側に一方の手を置き、他方の手で足関節を持ち膝関節に外反強制力、つまりすねを内側に向ける力を加え、膝関節の外反不安定性をみます。 この際、30°屈曲位で外反不安定性があれば、MCL損傷を疑います。 MCL単独損傷では伸展位での不安定性は認めません。 ② 内反ストレステスト(varus stress test) 外反ストレステストとは逆に、医師などの検査者が膝関節の内側に一方の手を置き、他方の手で足関節を持ち膝関節に内反強制力、つまりすねを外側に向ける力を加え、膝関節の内反不安定性をみます。 この際、30°屈曲位で内反不安定性があれば、内側側副靱帯損傷を疑います。 画像検査 画像診断ではMRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断装置)が有用です。 X線(レントゲン)写真では靭帯は写りませんがMRIでは損傷した靭帯を描出できます。 また、半月(板)損傷合併の有無も同時に評価できます。 メール相談:オンラインカウンセリングはこちら 内側側副靭帯損傷の治療法 内側側副靭帯損傷の治療法は、損傷の程度や症状に基づいて決められます。 保存的治療 内側側副靭帯の単独靱帯損傷の場合には、手術ではなくリハビリテーション治療による保存的治療が選択されます。 受傷後急性期には、 RICE(安静または短期の固定、冷却、弾力包帯などによる圧迫、患肢の挙上)処置に引き続いて、できるだけ早期から筋力訓練を開始します。 サポーター装着 膝に不安定性がある場合は、損傷靱帯保護の目的で支柱付きのサポーター装用を考慮します。 手術療法 前十字靭帯や半月板との混合損傷や、重症度3度であり保存的治療では治らないことが予想される場合には手術療法が行われます。 膝の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。 関連記事:次世代の再生医療とは メール相談:オンラインカウンセリングはこちら 内側側副靱帯損傷についてよくある質問 Q1:内側側副靱帯損傷は自然に治りますか? A1 :内側側副靱帯損傷は、損傷の程度が軽い場合や部分的な断裂では、膝関節周囲の血流が豊富で栄養供給が行われやすいため、治癒しやすく保存療法が行いやすいといえます。 しかし完全な断裂など、重症の場合は自然治癒は期待しがたいので、靭帯の再腱術を行うことが必要になります。 Q2:内側側副靱帯損傷の固定期間はどれくらいですか? A2:個人差はありますが、約1〜2週間程度ギプスシーネやニーブレースなどで固定後、靭帯矯正サポーターを装着し、リハビリテーションとして可動域、歩行訓練を行っていきます。 膝装具は一般的には約6週間以上装着します。 膝の可動域と不安定性が、怪我をしていない方の膝と同じレベルまで改善したらスポーツ復帰が可能となります。 まとめ|内側側副靭帯損傷(MCL)とは?早く治す方法を現役医師が解説 今回の記事では、内側側副靭帯損傷の症状や治療法について解説しました。 内側側副靱帯損傷が起こると、その治療には数週間を要する場合が多いです。 しかしながら、再生医療によって、治療期間や回復までの時間を短くできる可能性があります。 こちらの動画も是非ご覧ください。 https://youtu.be/ZYOV-Er0mnU?si=ka6C0oujvcAaaLKY 膝の靭帯のメカニズムと再生医療について解説。 また当院では、自己脂肪由来幹細胞治療を行うことで、膝の靭帯損傷をより早く治し、筋力低下などを防ぐための再生医療を提供しています。 ご興味のある方は、ぜひ一度当院の無料相談を受けてみてください。 この記事がご参考になれば幸いです。 メール相談:オンラインカウンセリングはこちら No.S146 監修:医師 加藤 秀一 参考文献 膝の最前線|理学療法科学23(2):335−340,2008.p336 https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/23/2/23_2_335/_pdf 「膝靭帯損傷」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/ligament_injury_of_th_knee.htm 膝のスポーツ外傷・障害と装具 東京女子体育大学小出清一|日本技師装具学会誌4(4):291〜295,1988.p292 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspo1985/4/4/4_4_291/_pdf/-char/en スポーツ理学療法で必要となる 整形外科徒手検査と徴候|理学療法科学23(2):337−362,2008.p361 https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/23/3/23_3_357/_pdf スポーツにおける膝外傷・障害に対する リハビリテーション治療 p1029 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/56/12/56_56.1027/_pdf
2023.08.21 -
- 動作時の痛み
- 半月板損傷
- ひざ関節
- 靭帯損傷
スノーボード、スキーなど冬のスポーツで多い膝の怪我について解説 冬のウィンタースポーツ!シーズンになるとスキーやスノーボードを楽しみにしていらっしゃる方も多いと思います。 ただ、これらのスポーツは、スピードが出るために転倒や、衝突の危険性があるスポーツですので怪我のリスクについては、十分に知っておく必要があります。 本記事ではウィンタースポーツで起こりやすいスポーツ外傷、ウインタースポーツで起こりやすい膝の怪我に焦点を当てて解説していきます。 冬のスポーツ!膝の怪我で多いのは前十字靭帯損傷と半月板損傷 スキーやスノーボードなどのウィンタースポーツにおいては、膝の損傷、捻挫といった怪我が多く見られます。これは滑走中に膝を捻ってしまったり、ジャンプからの着地、転倒時に大きな負担がかかってしまうためです。 膝の怪我の中で最も頻度が多いのが、「前十字靭帯損傷」「半月板損傷」です。 そこで、これら起こりやすい怪我について詳しく見ていきましょう。 前十字靭帯とは ・膝の関節の中にある靭帯のうちの一つ ・膝関節を安定化させる ・前十字靭帯は膝の捻りと前後方向のぐらつきを抑えている 前十字靭帯損傷の症状 受傷直後は激しい痛みのため、その場から動けなくなることが多いです。その際に「ぶちっ」という筋肉が切れるような音が聞こえることもあります。 受傷直後に動けていた方でも、約70%に関節内血腫(関節内に血がたまる)が生じるとされており、時間が経過するとともに、痛みや腫れが強くなり、動くことが出来なくなっていきます。。 2~3週間後には腫れや痛みは軽減されることが多いですが、下記のような症状が継続してみられることがあります。 前十字靭帯損傷の症状 ・膝の不安定感 ・膝が外れる感じがする ・膝に力が入らない ・膝がすぐ腫れてしまう ・膝が伸びない ・正座ができない 膝を使う動作、特にスポーツ競技中などの様々な動作で症状が出ます。 診断 医師による診察や、レントゲン検査で骨折の有無を確認します。MRI検査が靭帯の評価(靭帯の形状や靭帯の走行など)に有用です。 治療 前十字靭帯損傷の治療法には、保存療法と手術療法の2種類があります。それぞれについてみていきましょう。 保存療法 大腿四頭筋などの筋力訓練を行ったり、必要に応じて装具を作成して日常生活やスポーツ活動への復帰を目指します。 しかし、この場合は靭帯が完治したわけではなく、日常生活で膝が安定せず、痛みが続く場合もあります。症状が残る場合は、半月板の損傷などの二次損傷を起こすリスクが高くなります。以前はスポーツをしない場合は、保存療法を選択する場合も多かったですが、現在では膝の老化の進行を早める可能性があり、若年者でも手術を勧められることが多くなっています。 手術療法 靭帯は自然に修復されることはなく、再建術が行われます。再建術は膝の後内側にある屈筋腱を移植する自家移植が一般的に行われます。手術後はリハビリが必須となりますが、術後10~12か月後に元のスポーツに復帰できることが多いです。 前十字靱帯損傷を放置すると、膝が安定性を失い、膝崩れといいガクッと崩れ落ちてしまったり、膝があらゆる方向に捻じれやすくなります。前十字靱帯損傷によって膝が安定しない状態が続くと、クッションの役割をしている半月板や、関節軟骨に負荷が多くかかってしまいます。その結果、半月板損傷など二次的な障害が生じることがあります。 半月板損傷とは 半月板とは膝関節の大腿骨と脛骨の間にある線維軟骨のことです。内側と外側にそれぞれにあり、膝にかかる衝撃を吸収する働きがあります。 症状 症状としては膝の曲げ伸ばしが困難になることが挙げられます。また、動かそうとしたときに激しい痛みを伴うこともあります。重症の場合には、膝に水(関節液)が溜まり腫れてしまったり、激痛を伴って関節が動かせなくなる「ロッキング」という症状が現れ、歩行困難になることもあります。 検査 医師による診察やMRIが行われます。また、状況に応じて、関節の中に内視鏡を入れて調べる、関節鏡検査を行う場合もあります。 治療法 半月板損傷の主な治療法には、保存治療と手術療法の2種類があります。 保存療法 サポーターなどで患部を固定し、抗炎症薬などの薬物療法やリハビリなどを行います。保存療法を行っても痛みや、ロッキングなどの症状が続く場合には手術を行います。 手術療法 断裂部位の幅が 1 cm以上と大きい場合や、保存療法を行っても症状が持続する場合は手術療法が検討されます。手術法には、損傷した部分を切り取る切除術と、損傷した部分を縫い合わせる縫合術の2種類があり、関節鏡を使った鏡視下手術を行います。 切除術の場合は、半月板を取り除くことで膝軟骨の消耗が進んでしまうことがあるため、近年では縫合術が選択されることもあります。ただし、損傷した半月板の状態によって縫合が難しいと判断された場合は切除術を行います。 手術後はリハビリが必須であり、スポーツへ復帰できるタイミングは、半月板切除術で約3ヵ月、半月板縫合術で約6ヵ月程度とされています。 まとめ・スノーボード、スキーなど冬のスポーツで多い膝の怪我について解説 スキーや、スノーボードを行う際にはプロテクターを着用するようにしましょう。これにより、怪我のリスクが格段に下がります。また自分の実力に見合った楽しみ方をすることも重要です。 治療後はケガをした時と同じ動作を続けると、再び膝を損傷する可能性があるため、スポーツの際などは特に注意が必要です。また、股関節や足首など下肢全体の関節が柔軟だと、膝へかかる負担が軽減されやすくなり、再発予防にもつながります。 下肢の筋力トレーニングも必須です。特に大腿四頭筋とハムストリングスを強化することが重要です。普段からストレッチや筋トレを習慣づけ、運動する際には、準備運動や整理運動をしっかり行うようにして、体全体の柔軟性を保つようにしましょう。 スキーやスノーボードを行う際は、怪我のリスクについても備えておくことが重要です。膝の怪我は日常生活にも影響が出ることが多いので、安全にスポーツを楽しみましょう。この記事がご参考になれば幸いです。 ▼以下もご参考にしてください 膝の痛みを引き起こすスポーツ上の慢性障害について
2023.02.01 -
- 動作時の痛み
- ひざ関節
- 靭帯損傷
前十字靭帯断裂、復帰までの期間は?症状と治療法も併せて解説! 前十字靭帯断裂は膝のケガでよくみられ、運動する人が多く受傷するスポーツ外傷の1つでもあります。前十字靭帯はACL(anterior cruciate ligament)と省略されることもあります。 今回は、前十字靭帯が断裂したとき、気になる復帰までの期間、症状と治療法も併せて解説していきます。 前十字靭帯とは 靭帯とは、コラーゲンや弾性線維でできている多少伸び縮み可能なひも状のようなもので、関節で骨同士をつないで、過剰に骨が離れるのを防いで関節の安定性を保っています。 膝の関節は太ももの大腿骨(だいたいこつ)とすねの内側にある脛骨(けいこつ)、そして膝のお皿とよく呼ばれる膝蓋骨(しつがいこつ)の3つの骨でできています。 そのうち大腿骨と、脛骨をつないでいる靱帯は、以下の4つです。 ・内側側副靱帯 ・外側側副靱帯 ・前十字靭帯 ・後十字靭帯 内側/外側側副靱帯は、膝関節の左右にあり、膝が左右にずれすぎないような役目をしています。 前/後十字靭帯は、大腿骨と脛骨の間で交叉していて、前十字靭帯は脛骨が前に出すぎないように、後十字靭帯は脛骨が後ろにずれないような役目を担っています。 前十字靭帯の断裂とは?/損傷の分類 前十字靭帯の傷害を「前十字靭帯 損傷」と言います。 前十字靭帯損傷は程度によって1度から3度までに分類され、数字が大きいほど損傷が強いことを表しています。 1度損傷 前十字靭帯は切れておらず、軽い痛みと腫れのみ。膝の不安定さはない。 2度損傷 前十字靭帯は部分的に断裂し、膝には不安定さが現れる。 3度損傷 前十字靭帯が完全に断裂している。内出血も起きる。膝には不安定さがある。 このうち、「前十字靭帯 断裂」は2度と3度が該当します。 前十字靭帯断裂の原因 前十字靭帯は、大腿骨と脛骨をつなぐ靱帯です。 役割としては脛骨が前に移動しすぎないように制御すること、そして、膝をひねったときにひねりすぎないように制御する役割があります。 ただし、強い力で脛骨だけが前に押し出されたり、膝を過剰にひねると、前十字靭帯の限界を超えるため靱帯断裂が起こります。 前十字靭帯に負担がかかる動き ・ジャンプした後の着地 ・走っている間に急に向きを変える ・全力で走って急に止まる ・他人とぶつかる(接触プレー) とくに前十字靭帯の断裂は、バスケットボールやサッカー、バレーボールや野球などのスポーツ中に起きることが多く、上記のような激しい動きの時に発症しやすいと考えられています。 前十字靭帯断裂の症状 前十字靭帯が断裂した瞬間は膝の中で紐がちぎれたような感覚を感じることがあります。 その後、膝がガクガクしたり、膝の痛み、膝の腫れなどが見られます。多くの場合では膝の関節の中で出血もしています。 しばらく放置すると痛みと腫れは引いてきますが、靱帯は勝手に治ることは少なく、膝の不安定さが残ります。 そのまま生活していると、膝がガクッと崩れたり、長期的には膝関節の中にある半月板や軟骨も傷んできます。すると変形性膝関節症という状態になります。 そうなるのを防ぐために、検査や治療を行うのが一般的です。 前十字靭帯断裂の検査 膝の不安定さや、どのような力が加わると痛みが出るかを触って確認するなどの検査を行います。 ・ラックマンテスト ・前方引き出しテスト その他にレントゲンやMRI検査を行うこともあります。 前十字靭帯の治療方法と、気になる復帰までの期間は? 前十字靭帯が断裂すると、自然に修復されることはありません。 将来スポーツを行う可能性がある場合には、靱帯を再建する手術療法、将来的にスポーツなどをしない人であれば運動療法を行うことが一般的です。 1.自家腱移植 自分の組織を用いて再建する方法です。 腱移植は膝の内側の腱(ハムストリング腱)や、前面の腱(膝蓋骨を割った骨付きの膝蓋腱)を使う方法があります。 手術は関節鏡という鉛筆くらいの細いカメラを用いて、小さな切開で行なうことが主流です。この関節鏡で大腿骨と脛骨をつなぐトンネルをつくり、そこに加工した腱を通して、上下を金具で固定します。 最低限の切開で、早くリハビリを始められることからスポーツ選手でよく行われています。 この手術の一般的な術後経過は、1週間程度(最短4日)の入院でその間は車いす生活、退院後は松葉杖となり、きちんとリハビリを継続していれば1ヶ月で日常生活が可能となり、約半年から1年でスポーツ復帰となります。 再建術を行った後、スポーツへの復帰ができる割合は手術後1年で約6割程度と報告されています。 2.保護的早期運動療法 将来的にスポーツなどをしない人であれば、前十字靭帯専用の装具を装着して、リハビリをするという治療を選択する場合もあります。 保存的治療ではいずれは日常生活やレクレーションレベルの動作は可能ですが、競技スポーツへの復帰は困難とされています。 また前十字靭帯損傷後に手術を行わなかった場合、約6割の患者さんが変形性膝関節症となることが報告されているため、治療を選択する際にはきちんと損傷の程度を理解し、その後の生活やスポーツへの影響を考えて決めましょう。 まとめ/前十字靭帯断裂、復帰までの期間は?症状と治療法について解説! いかがでしたでしょうか。 前十字靭帯断裂は、膝の中の靭帯が切れた状態です。特にスポーツをしているときに多く発生する外傷です。 受傷直後は傷みや膝の腫れがありますが、時間が経てばその症状は軽くなります。ただし、何も治療をしないと膝が不安定なままになったり、将来「変形性膝関節症」を発症することもあります。 前十字靭帯断裂の可能性がある場合は、早期に整形外科を受診することが重要です。 前十字靭帯断裂、復帰復帰までの期間は?症状と治療法について解説しました。ご参考になれば幸いです。 ▼ スポーツ外傷(靭帯損傷、腱)の治療に有効な再生医療とは 当院の再生医療は、スポーツ選手のパフォーマンス(QOL)を維持する治療を推進しています
2022.11.02 -
- 動作時の痛み
- ひざ関節
- 靭帯損傷
スポーツ選手の大きな怪我としてよく耳にする「前十字靭帯断裂」。 前十字靭帯断裂とは 、膝の関節内にある前十字靭帯が断裂するケガです。 受傷された場合、全治がいつになるのか気になる方も多いのではないでしょうか。とくに、スポーツの復帰までの時間が心配な方もおられることでしょう。 そこで今回は、前十字靱帯断裂で全治までにかかる期間について解説します。入院やリハビリの期間も紹介しているので、全治までの流れを知りたい方は参考にしてみてください。 前十字靭帯断裂は全治8〜10カ月 前十字靱帯の断裂または損傷の全治は、約8カ月〜10カ月とされています。 これは、スポーツ選手の場合、前十字靱帯断裂後に手術してからリハビリを終えて復帰するまでの目安です。一般人でなら日常生活が問題なく送れるようになるまでは術後約11カ月程度です。 前十字靱帯損傷で損傷部分が少なく、症状があまり見られなければ、手術しなくても通常の日常生活を送れる場合もあります。 しかし、本来、前十字靱帯が担っている膝を安定させる機能が低下してしまうため、膝にかかる負担が大きくなってしまいます。その結果、膝にある半月板などの別の組織を傷めたり、老後に関節の変形を生じたりする可能性が高くなります。 前十字靱帯の治療は手術以外にも選択肢があります。その1つが「再生医療 」です。 再生医療とは人間の自然治癒力を活用した医療技術です。身体にメスを入れない治療法で、今注目を浴びています。 前十字靱帯断裂における手術の入院期間 前十字靭帯断裂の手術では、関節鏡(かんせつきょう)を使って断裂した靱帯を体の腱(けん)と呼ばれる部分に移植します。 関節鏡を使用した手術では、数ミリほどの穴からカメラを侵入させて手術するため傷口が小さくて、入院期間が短くなります。入院期間は短い場合で、手術後 4 〜 7 日間を目安に退院が可能です。 この時点ではまだ全体重をかけて歩けない場合が多いので、松葉杖を使った状態で退院になります。しっかり歩けて、日常生活が送れるようになるまでは約1カ月程度入院する場合もあります。 しかし、前十字靱帯断裂は学生など若い年代に多いため、学校や仕事を1カ月も休めば生活に大きな支障を及ぼします。そのため、短い期間で退院をして、通院しながらリハビリや競技復帰を目指す場合が多いです。 前十字靱帯断裂の手術後にかかる全治までのリハビリ期間 手術直後からスポーツ復帰までの流れを時系列で紹介します。 手術からの時期 リハビリ内容 手術直後 ・膝周辺の組織の柔軟性を確保する ・膝は完全に伸ばさないように装具を着用 ・膝関節の動きを伴わない筋力トレーニング ・膝以外の部分の筋力トレーニング 1週間 ・体重1/3の荷重練習 ・関節の動きを改善する運動を開始 2〜3週間 ・全体重をかける練習 ・軽く曲げる程度のスクワットなど体重をかけながらのトレーニング 4〜6週間 ・自転車などマシーンでの運動 ・より積極的に体重をかけたトレーニングを進める 3カ月 ジョギング開始 4カ月 両足ジャンプ、ターン開始 6カ月 スポーツ練習開始 8カ月 競技復帰 術後は移植した腱を保護しながらのリハビリが必要になります。 腱が負担に耐えられるようになるまでは3カ月ほどかかるため、それまでは無理な運動は避けます。 3カ月以降ジョギングやジャンプなどのスポーツ動作を開始して、8カ月以降のスポーツ競技復帰を目指します。 また、前十字靭帯断裂はスポーツでのジャンプや切り返しといった動作で発生しやすいため、それらの動作時に膝が内側に入らないようにするなど、再発を予防するための動作を習得するのも重要です。 以下の記事では、前十字靭帯断裂を受傷してから日常生活やスポーツに復帰できる期間を詳しく解説しています。復帰までのイメージを掴みたい方は、参考にしてみてください。 手術がいらない 「再生医療 」なら、リハビリする必要がありません。再生医療における前十字靭帯断裂の治療法を知りたい方は再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお問い合わせください。 まとめ|前十字靱帯断裂の全治に向けて焦らずリハビリを進めよう 前十字靭帯断裂は、手術によって治療が進められるケースが多い傾向にあります。 そして手術後に正しい順序でリハビリをおこなえば、スポーツへの復帰が可能になります。しっかり医師や理学療法士などの専門スタッフから指導を受けながら、正しい治療で全治を目指しましょう。 前十字靭帯断裂には「再生医療」の治療法も効果的です。 本来なら手術しなければいけない状態でも、再生医療で治療できる可能性があります。手術による傷跡や後遺症の心配もないので、安心して治療を受けられます。 前十字靱帯断裂後に関するよくある質問 最後に前十字靱帯断裂後に関するよくある質問と回答をまとめます。 サッカーで前十字靭帯断裂した場合、全治にどれくらいかかりますか? 損傷の程度によって、全治に要する期間は異なります。前十字靱帯断裂における全治までの一般的な期間は、8 カ月〜10 カ月ほどです。 なお、サッカーで前十字靭帯断裂を受傷した場合、再生医療による「スポーツ医療」も効果的です。人間の自然治癒力を活用した治療なので、身体への負担を最小限にできます。 前十字靭帯損傷と半月板損傷は合併しやすいんですか? 前十字靭帯を損傷すると半月板損傷を併発するケースもあります。なぜなら、前十字靭帯損傷によって膝が不安定になると、半月板に負担がかかって損傷するリスクが高まるからです。 半月板損傷を併発したら、早期に治療を開始し、半月板を温存する方向で進めていくのが一般的です。 以下の記事では半月板損傷の原因や症状を解説しています。半月板損傷の理解を深めたい方はあわせてご覧ください。 半月板損傷の全治にはどれくらいかかりますか? 手術の種類によって、全治までにかかる期間は異なります。 損傷した部分の半月板を切り取る切除手術の場合、全治までは約3カ月です。損傷した部分を縫い合わせる縫合術の場合は、全治まで6カ月ほどです。 前十字靭帯損傷で復帰できる最短期間はどれくらいですか? 回復には個人差があるため、最短期間を一概には言い切れません。 一般的な全治期間は約8カ月〜10 カ月といわれています。国立医学図書館に掲載されている情報によると、スポーツ活動の復帰にかかる期間は「術後6カ月」との記載もあります。 損傷の程度や個人差によって、回復期間は変動するでしょう。 出典: 国立医学図書館 前十字靱帯断裂の手術後、歩けるまでにどれくらいかかりますか? 松葉杖を使用すれば、一般的に翌日から歩けます。松葉杖を使用しないで歩くには、2〜4週間ほどかかります。 身体にメスを入れない「再生医療」による治療であれば、術後のリハビリは不要です。 「具体的な治療内容や効果が知りたい」方は、再生医療を専門とする『リペアセルクリニック 』にご相談ください。症状を詳しく診断し、個々に合った再生医療の進め方をご提案いたします。 前十字靱帯断裂の手術後、どれくらいで走れるようになりますか? 個人差がありますが、術後3カ月くらいから走れるようになります。急に走り出すと再断裂のリスクが高まるため、最初は様子を見ながら軽いジョギングから始めていきましょう。 前十字靱帯断裂の手術後、どれくらいで仕事復帰できますか? デスクワークや軽作業といった身体的負担の少ない仕事であれば、1カ月ほどで仕事復帰できます。歩き回ったり、重いものを運んだりするような仕事であれば仕事復帰までに3カ月ほどはかかります。 前十字靱帯断裂の手術費用はどれくらいですか? 手術や入院にかかる費用は、手術の方法や入院期間、入院中の治療内容などによって異なります。 目安として手術・入院費などを含めて 25万円〜30万円ほど必要になるケースが多いです。 病院によって幅があるので、入院前におおよその目安を確認しておきましょう。早めに退院する場合でも、リハビリの継続は必要です。 とくに全治してスポーツ競技に復帰できるまでは、8カ月程度が目安になるため、それまではリハビリなどの費用が必要になります。 監修:医師 加藤 秀一
2022.10.24 -
- 動作時の痛み
- ひざ関節
- 靭帯損傷
スポーツをしていて、膝を捻った経験がある人は多いでしょう。そんな人がインターネットで症状を検索したとき、前十字靭帯損傷が多くヒットするはずです。 前十字靭帯損傷になると手術をしないといけないとの情報も多くみられ、不安になる人もいるかもしれません。 結論、軽度の前十字靱帯損傷では、膝の不安定感をはじめとした症状がみられます。前十字靱帯損傷からスポーツに復帰する場合には手術が推奨されていますが、損傷の程度が軽度であれば、手術せず治療できる可能性あるのです。 この記事では、前十字靭帯損傷が軽度だった場合の症状や対処方法などを解説します。前十字靭帯損傷かもしれないと不安に思っている方の参考になれば幸いです。 前十字靱帯損傷の軽度の症状は「膝の不安定感」 前十字靭帯とは、膝関節を支える4つの靭帯のうち、大腿骨(太ももの骨)の前方から脛骨(すねの骨)の後方に向かって伸びる靭帯です。 前十字靱帯損傷は、スキーやサッカーなど膝を捻る動作が多いスポーツで多くみられるケガです。損傷した靭帯は自然と元に戻ることはほぼないと考えられています。 重症であれば動かすのが困難なほどの痛みがありますが、軽度では痛みは少なく、歩けるケースも珍しくありません。 しかし膝を支える靭帯が損傷すると膝の支えが弱くなり、力が入らない・グラグラするなど膝の不安定感がみられるようになります。とくに歩いているときなどに急に膝が折れる「膝くずれ」は前十字靭帯損傷の特徴です。 受傷直後は軽度でも「プツッ」と靱帯が切れる音がする 前十字靭帯損傷は、受傷した瞬間、靱帯から「プツッ」と切れる音がするのが特徴です。 靭帯損傷の度合いにかかわらず、切れた直後から痛みを感じ、膝関節周囲の腫れなど炎症が起きます。 炎症反応は数週間続きますが、ほとんどのケースでは1カ月程度で落ち着くでしょう。 しかし、前述したとおり損傷した靭帯が元に戻ることはほぼありません。前十字靭帯損傷の程度が軽度であっても靭帯の支えが弱くなり、膝くずれをはじめとした膝の不安定感がみられるようになります。損傷が重度であるほど不安定感は強くみられるでしょう。 なお、こちらの記事でも前十字靭帯損傷について解説しています。詳細を知りたい人はぜひチェックしてください。 重症の場合は痛みの増悪や膝を動かせる範囲が狭まることも 前十字靭帯損傷が重度の場合、膝の動く範囲が狭くなったり、痛みが生じたりすることがあります。 前十字靭帯は膝のクッションである半月板とつながっており、半月板にも損傷が及んでいる可能性があるためです。 半月板には膝の動きを滑らかにする働きがあり、損傷すると膝の動きが悪くなりやすくなります。 膝を支える靭帯が損傷し、クッションとなる半月板の働きも悪くなると、膝に痛みを感じたり、可動域が狭まるケースがあるのです。 前十字靱帯損傷の主な原因は「スポーツや交通事故」 前十字靭帯損傷の主な原因はスポーツや交通事故です。 膝の中には前十字靭帯と後十字靭帯があり、それぞれの靱帯が絡まるように大腿骨と脛骨をつなげることで膝を安定させています。スポーツや交通事故で膝が強制的に捻られると、前十字靭帯と後十字靭帯が引っ張られてしまい、損傷につながります。 なお前十字靭帯損傷の原因については、以下の記事でも詳しく解説しています。興味がある人はぜひご覧ください。 ちなみに、当院「リペアセルクリニック」では、前十字靱帯損傷にも効果が期待できる再生医療をおこなっています。膝の痛みにお悩みの方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談いただければ幸いです。 前十字靱帯損傷では軽度でも病院に行くべき理由 結論から言えば、前十字靭帯損傷では軽度であっても病院の受診をおすすめします。 前十字靭帯は血流が乏しいため、自然治癒が難しいと考えられている組織です。放置することで膝の不安定感が残ったり、変形性膝関節症などにつながったりする可能性があります。 なお、損傷の程度はMRIやエコー検査ではっきりするケースがほとんどです。損傷の程度を知るためにも、前十字靭帯損傷が疑われる状態であれば整形外科の受診をおすすめします。 【要チェック】前十字靭帯損傷で受診すべき基準 前十字靭帯損傷が疑われたときに、受診すべき基準は以下の症状が見られるかどうかです。 ケガをしたときに「プツッ」という靱帯が切れるような音(ポップ音)があった 歩行など膝くずれがある 体重をのせたときに力が入りにくい 痛み・腫れがある 可動域(膝を動かせる範囲)の制限がある ポップ音や膝くずれは前十字靭帯損傷の特徴的な症状であるため、これらの症状がみられるときは整形外科の受診をおすすめします。 また力の入りにくさや痛み・腫れ・可動域制限は、前十字靭帯損傷以外にも、捻挫など別の疾患が疑われる可能性もあるでしょう。 病院で検査しないと診断名がわからないケースも多いため、これらの症状に心当たりがある人は受診を検討してみてください。 前十字靱帯損傷の治療における2つの選択肢 前十字靭帯損傷の治療には「手術療法」と「保存療法」の2種類があります。 もし軽度の前十字靭帯損傷である場合には、保存療法が一般的です。しかし、スポーツに復帰するといったケースでは手術を進められる可能性があります。 本章では、前十字靱帯損傷の治療における選択肢やその内容を詳しく解説していきます。 なお、前十字靭帯損傷の手術についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。手術を検討したい人はチェックしてみてください。 スポーツを続けたいなら「手術療法」 前十字靱帯損傷の場合、軽度であっても損傷した靱帯は自然治癒しないケースがほとんどで、膝の不安定感は残り続けます。 放置すると膝への負担が強まり、半月板の損傷や関節の変形などにつながるかもしれません。そのため、スポーツに復帰をしたり、膝に負担のかかる仕事をしたりする場合は手術がおこなわれます。 また、損傷が重度だったり、他の部分の損傷を合併したりして、日常生活でも膝くずれを繰り返すような場合も手術を検討する必要があるでしょう。 手術療法では、前十字靱帯の代わりに使用する人工的に靱帯を使用する再建術(さいけんじゅつ)がおこなわれます。 靱帯の再建には筋肉が骨につく部分である腱(けん)の使用が一般的で、手術に使われる筋肉は太ももの前(大腿四頭筋腱)と後ろ(半腱様筋腱)があります。 手術後は8〜10カ月後にスポーツに復帰可能とされていますが、リハビリをしないといけません。 日常生活に支障がないなら「保存療法」 長期的な視点では、靱帯が損傷したままだと将来の怪我につながったり、活動的な動きが制限されたりするため、年齢が若い場合は靱帯の再建手術をするケースが多いです。 しかし、活動量が低く損傷が軽度であれば、日常生活に支障がなく過ごせることも少なくありません。そのため、中高齢者で日常生活に支障がなかったり、スポーツや仕事で膝に負担をかけなかったりする場合は手術をせず保存療法のみ行うこともあります。 保存療法としては、膝の関節を支える装具やサポーターを使用したりして膝を安定させて、膝にかかる負担を少なくします。 膝周辺の筋力を鍛えて自身の力で膝を支えることも重要です。とくに太ももの前にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん)の筋力強化が重要といわれています。この筋肉は膝を伸ばす筋肉ですので、前十字靱帯損傷後にみられる膝くずれの予防に有効です。 なお、当院「リペアセルクリニック」では手術以外の治療法として「再生医療」を提供しています。前十字靱帯損傷の治療の選択肢を広げたい方は、一度「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」からご相談いただければ嬉しく思います。 まとめ|前十字靭帯損傷は軽度でも適切な治療が大事!迷ったら早めに受診しよう 今回の記事では軽度の前十字靭帯損傷について詳しく解説しました。 前十字靭帯損傷は軽度であっても自然治癒が見込めないため、年齢や生活スタイルに応じて適切な治療を受けることが大切です。 また、前十字靭帯損傷を放置しておくと、膝の不安定感や力が入りにくいといった後遺症が出る可能性があります。もし前十字靭帯損傷が疑われるようなケガをした場合は、できるだけ早めの受診をおすすめします。 当院「リペアクリニック」では膝の治療として再生医療に取り組んでいます。国内で初めて特許を取得した「分化誘導による関節の再生医療」は従来より高い再生能力を持った幹細胞による治療です。幅広い膝疾患への効果が期待できるため、手術をしたくない人におすすめの治療といえます。 もし前十字靭帯損傷で手術以外の治療を選択したい人は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」からご相談ください。 この記事が少しでも前十字靭帯損傷でお悩みの人のお役に立てれば光栄です。 前十字靭帯損傷についてよくある質問 前十字靭帯損傷は安静にしていたら自然治癒しますか? 前十字靭帯は自然治癒が見込めない組織なため、安静ではもとに戻らない可能性が高いでしょう。 放置すると、膝の不安定感から突然膝が折れ曲がる「膝くずれ」がみられたり、膝の変形につながったりするリスクがあります。 前十字靭帯損傷の症状が軽度でも手術が必要ですか? 前十字靭帯損傷は軽度でも膝の不安定感などの後遺症が出るため、スポーツをしたい場合の治療には手術の選択が一般的です。 スポーツをせず、日常生活で支障がない場合には、手術をせず保存療法のみ行うこともあります。
2022.10.21 -
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
- ひざ関節
- 膝の慢性障害
- 靭帯損傷
膝の病気や痛みをかかえている方のなかには、定期的に膝へヒアルロン酸注射している方が多くいます。 しかし「最初は注射をすれば膝の痛みがひいたのに最近は効かなくなってきた」「効かないのは失敗が原因?」と感じた経験もあるでしょう。 そこで今回はヒアルロン酸注射をしていて、効かないと感じたり失敗を疑っている方に向けて、ヒアルロン酸の効果を解説します。 膝のヒアルロン酸注射が効かなくなる原因と、効果が乏しいときの対処法も紹介するので、最後までご覧ください。 膝にヒアルロン酸注射をしても効かないのは失敗が原因なの? 膝のヒアルロン酸注射が効かず、失敗を心配する方もいるかも知れませんが、病気の進行や膝の変形が重度になると効果が薄くなります。 ヒアルロン酸注射自体の問題や治療の失敗などではなく、膝自体に炎症がある場合、ヒアルロン酸注射が、効かないケースも多くあります。 膝に感染があるときは、ヒアルロン酸注射自体が余計に症状を悪化させてしまう症例もあるので注意が必要です。 変形性膝関節症は、年齢を重ねると進行する病気なので、誰でも変形が強くなっていく可能性はあります。 しかし体重が重かったり、もともと運動習慣がなかったりする方は、変形が進行する原因になるとも言われているので注意しましょう。 膝の変形性関節症における重症度や膝の組織を評価するために、レントゲン検査やMRI検査など、画像検査が行われます。 MRI検査では、膝の軟骨や靭帯、半月板が傷ついていないかも診断できるため、治療方法の選択をするためにも重要な検査です。 MRI検査が重要な理由は、以下の記事で詳しくまとめました。 そもそもヒアルロン酸注射とは 「膝のヒアルロン酸注射が効かないのは失敗が原因なの?」と不安に感じる方に向けて、ヒアルロン酸注射の概要を解説していきます。 ヒアルロン酸注射の効き目を感じず失敗と捉える前に、まずは注射として期待できる効果の概要を見ていきましょう。 ヒアルロン酸注射は初期症状におすすめ ヒアルロン酸は、膝の変形性関節症における初期症状におすすめの治療方法です。 ・ヒアルロン酸注射のみで完結する軽度な治療 ・軟骨保護のような炎症緩和 など 上記のような治療目的で使用されるのがヒアルロン酸注射です。 そもそもヒアルロン酸は水分をたくさん含む物質で、主に関節の内部を満たしている液体成分を補充する目的で注射します。 膝にヒアルロン酸を注射すれば、動きをよくする潤滑油のような役割になるのです。 膝以外にも眼の乾燥としてヒアルロン酸の目薬を行います。 目に潤いを与えるためヒアルロン酸が用いられるように、短時間で効果を得たい場合に提供される治療方法としてヒアルロン酸が活用されているのです。 ヒアルロン酸注射は根本的な治療にはならない いろいろな用途に用いられるヒアルロン酸ですが「変形性膝関節症」で、膝関節の動きを滑らかにするため注射している方もいるでしょう。 注射治療になるので手術のような日常生活の支障を気にする必要もありません。 しかしヒアルロン酸注射は、液体成分なので体内に吸収されてしまいます。 持続期間は約1〜2週間程度と言われているため、時間経過とともに「注射の効果がない」「失敗した」と感じてしまうでしょう。 膝の関節にはヒアルロン酸をたくさん含んでいる滑液で満たされています。 滑液が膝の滑らかな動きを保つのに重要な役割を担っています。 しかし、年齢を重ねたり外傷や他の疾患があったりすると、滑液の中のヒアルロン酸の量が減ってしまうのです。 ヒアルロン酸の量が減ってくると、膝を滑らかに動かすのが難しくなり、結果として膝にある骨や軟骨がこすれて痛みを感じてしまいます。 ヒアルロン酸注射をしただけでは一時的な治療になり「痛みを感じにくい状態」である持続期間が切れた際「効果がない」と捉えてしまいがちなのです。 以下の記事では、ヒアルロン酸注射の有効性と限界について詳しくまとめているので、あわせてご覧ください。 膝のヒアルロン酸注射が効かなくなった場合の対処法 ヒアルロン酸注射は、はじめは効いても徐々に効かなくなるケースがあります。 ヒアルロン酸注射以外の治療法を併用していくことも大切です。 ここからは膝のヒアルロン酸注射が効かなくなった場合の対処法として挙げられる治療法などを解説します。 適度な運動 膝のヒアルロン酸注射を必要とする代表的な症例である「膝変形性関節症」には、病院に受診しなくても自分自身で行える治療があります。 たとえば体重が重い方は、体重を減量するための運動も治療として重要な方法です。 専門的な治療を施すのであれば、運動療法を実施するのをおすすめします。 規則正しい有酸素運動や筋力トレーニング、関節可動域運動を実施して継続していくのが大事です。 膝をサポーターで保護し、テーピングを実施するのも推奨されています。 膝の負担を減らしながらできる運動については、以下の記事に詳しくまとめているので、ぜひ役立ててください。 ステロイド薬の投与 膝に炎症がある場合、ヒアルロン酸の注射ではなくステロイド薬を膝に注射する治療法もあります。 ステロイド薬の投与だけでなく、炎症を抑えるための薬を飲む治療法をしつつ、数カ月のリハビリなど保存療法を進めていく治療法も挙げられます。 人工関節を用いた手術 重症になった場合や注射が効かない状態が続くと手術が必要なケースもあります。 手術では関節の代用部品である「人工関節」を関節の代わりに埋め込む治療を実施します。 皮膚を切って開く必要があるため、全身麻酔で手術が行われます。 手術は傷口が感染しないか、麻酔によるアレルギーなどがないかを診るためにも入院が必須です。 入院自体は数日〜数週間ですが、もともとの歩行状態に戻るためには数カ月膝のリハビリが必要です。 人工関節を使った手術で知っておくべき項目については、以下の記事でまとめているので、あわせてご覧ください。 手術(人工関節)を避ける再生医療の選択肢 最近では手術の代わりに「PRP療法」や、「幹細胞治療」と呼ばれる新しい先端治療を選択できるようになってきました。 PRP療法は、患者様の血液から抽出した「血小板血漿(PRP)」を傷んでいる部位に注射する治療法です。 一方で「幹細胞治療」は、少しの脂肪を採取し、幹細胞を抽出して数千から億の単位まで培養し、増やした細胞を患部に注射で投与します。 どちらも患者様の自然治癒力を高めて治療するもので手術や入院の必要はありません。どちらも副作用はほとんどなく、患者様の身体にかかる負担が少ない治療法です。 詳しくは、お問い合わせください。 まとめ・膝のヒアルロン酸注射が効かなくて失敗を疑う前に診療を! 膝へのヒアルロン酸注射は膝の動きを滑らかにするために有用な治療法です。 最初効果があっても、治療の過程で「効かなくなった」「失敗した」と感じる可能性があります。 治療の失敗やヒアルロン酸注射自体の問題ではなく、膝の状態が良くない恐れも考えられます。 効果が乏しいのにもかかわらず、漫然と注射を重ねるのは良くないでしょう。 現在では再生医療(幹細胞治療、PRP療法)といった先端医療も考慮できます。 ヒアルロン酸の注射の効果が以前に比して減ったように感じている場合、専門家に相談し、適切な治療に切り替えを検討してはいかがでしょうか。 再生医療は、先端医療であるため厚生労働省から認められている限られたクリニックでしか受けられない治療法です。 手術も入院も避けられる身体にやさしい治療法なので、気になった方は気軽にお問い合わせください。 膝のヒアルロン酸注射でよくある質問 Q.ヒアルロン酸注射に副作用はないの? A.ヒアルロン酸注射による副作用は「まったくない」とは断言できません。 ヒアルロン酸注射をしたあと、起こる可能性がある副作用は以下の通りです。 ・内出血 ・むくみや腫れ ・かゆみ ・チンダル現象 ・血管閉塞 など 上記のような副作用が起こっても、時間経過とともに回復するケースが大半です。 ただし、副作用は放置せずヒアルロン酸注射をした医療機関で専門的なケアをしてもらうのをおすすめします。 Q.何度も打ち続けるとどうなるの? A.ヒアルロン酸注射を何度も打ち続けると、ヒアルロン酸の吸収力が低下する可能性があります。 ヒアルロン酸は膝を含めた関節部分の潤滑油として働いているので、補充する目的で注射治療を施します。 しかし、初めてヒアルロン酸注射をした方は、複数回注射をしている方より吸収が早い傾向にあるので、次第に「失敗した」と捉えてしまうでしょう。 あくまで一時的な治療になるので、膝の痛みが続く方は別の治療法を検討しましょう。 Q.痛みを感じる場合失敗を疑うべき? A.ヒアルロン酸注射は、膝に注射を刺す痛みになりますが、血管注射とは異なります。 注射針を刺した後にヒアルロン酸を注入するので、人によっては痛いと感じる方もいます。 ヒアルロン酸注射をする前に麻酔テープやクリームを塗る方法もあるので、少しでも心配な方は事前に相談しておきましょう。 とくに変形性膝関節症が重度な方は、関節に注射針を刺すのが困難なケースもあります。 副作用として痛みを感じる可能性もあるので、我慢せず医師に相談するのをおすすめします。 ▼以下もご参照ください
2022.06.30 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
- 関節リウマチ
- 膝の慢性障害
- 靭帯損傷
膝の水が溜まって痛みがある。 溜まっている膝の水を、できるなら自分で抜きたい。 膝に溜まった水が気になり、抜く方法を知りたいと考えていませんか。しかし、膝の水を抜くのは癖になってしまうという話を聞いて、不安になっている方もいるかもしれません。 膝の水が溜まる原因は、炎症反応が起こっているためです。病院では、注射器を使用して膝の水を抜きます。 また、セルフケアではストレッチやマッサージで膝の水を抜く方法もあります。しかし、誤ったセルフケアは痛みや炎症の悪化につながるため、症状が強い場合は病院で適切に処置してもらった方が良いでしょう。 本記事では、病院やセルフケアで膝の水を抜く方法を詳しく解説しています。皆様が納得できる膝の水を抜いて痛みを緩和する方法の選択に役立てれば幸いです。 病院で膝の水を抜く方法 膝の水を抜く方法のひとつとして、病院での処置をイメージする方も多いでしょう。 本章では、病院での処置や注意点について解説します。本章を参考に膝の水を抜くかどうかを検討してください。 処置には注射器を使う 病院では主に整形外科にて、注射針を関節に刺して膝の水を抜く「関節穿刺」を行う場合があります。(文献1) 膝の水の正体は「滑液(かつえき)」です。滑液が膝に溜まることで関節を圧迫し、膝の痛みを悪化させる可能性があります。そのため、膝の水を抜くと症状の緩和が期待できます。 膝の水を抜く際、注射針を刺した直後以外に激しい痛みを伴うケースは稀です。ただし人によっては痛みが気になる方もいるため、処置後に違和感がある場合は、担当の医師に相談しましょう。 症状に応じてヒアルロン酸を注入する 膝の水を抜いた後や変形性膝関節症では、症状を和らげる目的でヒアルロン酸を注入することがあります。通常、週に1度あるいは数週間に1度の頻度でヒアルロン酸を注入し、効果がみられれば継続します。 病院でのヒアルロン酸の注入は保険適応になるケースが多いため、治療費を抑えられるメリットも期待できるでしょう。 ヒアルロン酸の注入は一時的に痛みや炎症を抑える効果がありますが、持続的ではないため定期的な通院が必要です。 また、根本的な原因疾患の治療でないため、医師の指示に従いリハビリや運動療法など根本的な原因を改善する治療と並行しましょう。 病院で膝の水を抜いた直後は安静にする 病院で膝の水を抜いた直後は、安静にして過ごすように指導されます。処置を行った当日は、以下の2点は行わないように注意しましょう。 激しい運動 入浴 また、処置の後には以下の合併症のリスクがあります。 合併症 症状 感染症 注射部位の腫れや熱感、痛みが長時間続く、または症状の悪化 出血 注射部位を圧迫しても止血しない 上記のような症状があらわれたら、早めに受診するようにしましょう。 膝の水を抜いた後の注意点について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 自分で膝の水を抜く方法 病院で処置してもらう以外にも、自分でストレッチやマッサージを行って膝の水を抜くことも可能です。 本章では、セルフケアで膝の水を抜く方法と注意点を解説します。 「できるなら自分で膝の水を抜きたい」という方は、本章を参考に、ストレッチやマッサージを行ってみましょう。 膝の水を抜くストレッチ・マッサージ 膝の水を抜くために効果的なストレッチ・マッサージとして、以下の4つがあげられます。 ストレッチ 足上げ運動 1. 仰向けになり、両足を伸ばす 2. 左右の足を交互にゆっくりと上げるたり降ろしたりを繰り返す パテラセッティング(膝の前側の筋肉を鍛える) 1. 床に足を伸ばして座る 2. 片側の膝下に丸めたタオルやクッションを置く 3. クッション・タオルを膝下で床に押し付ける 4. 3〜5秒経ったら力を抜き、再度3.を行う 5. 数回行ったら左右の足を交換し、2.~4.を同様に繰り返す マッサージ 膝下のほぐし 1. 片側の膝下に両手で親指を添える 2. 強めの力で押し、前後左右に動かす 3. 反対側の足も同様に1.2.を行う 太もものほぐし 1. 椅子に座る 2. 片側の外ももに手のひらを添え、押しながらゆっくり回す 3. 反対側の足も同様に1を行う 4. 両足の前ももに手のひらを添え、足の付け根から膝上まで強い力でほぐす すべて自宅で手軽にできます。無理のない範囲で、上記のストレッチやマッサージを行ってみましょう。 痛みや違和感がある場合は無理に動かさない 痛みや違和感があるときは、炎症が起こっているサインです。むやみに触ると悪化する可能性があるため、ストレッチやマッサージなどのセルフケアはおすすめできません。無理に動かさず、早めに医療機関へ行きましょう。 マッサージやストレッチは血の巡りをよくする効果が期待できますが、誤った方法で無理に行うと、症状が悪化する恐れもあります。 また、痛みを感じるときは、膝に負担をかけないよう歩行や荷物の持ち運びなどの動作にも注意しましょう。 膝の水が溜まる原因は「炎症による関節液の過剰分泌」 膝の水が溜まる原因は、炎症反応によって「関節液」が余分に分泌されるためです。 関節液は、関節がスムーズに動くための潤滑油のような役割をしています。関節液は常につくられながら吸収され、一定量になるよう調整されています。 しかし、なんらかの疾患によって炎症が起こると、いつもより早いペースで関節液がつくられ、膝の水が溜まります。(文献2) 膝に水が溜まる原因の病気は、以下のとおりです。 半月板損傷 変形性関節症 靭帯損傷 痛風、偽痛風 関節リウマチ 骨折 感染や外傷 これらの病気になると膝に水が溜まりやすくなります。膝の水を根本的に改善するには、水を抜く処置をして痛みを緩和しつつ、原因となる病気を治療することが大切です。 まとめ|膝の水を抜くなら医療機関に相談しよう 今回の記事では膝の水を抜く方法やセルフケアを中心に解説しました。 症状が出現した際に、自己判断で放置したり誤ったセルフケアを行ったりすると、悪化する可能性があります。膝の水を適切な方法で抜きたい場合は、医療機関に相談しましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では、人体に元々ある幹細胞を活用した「再生医療」による膝の痛みや変形性膝関節症の治療が可能です。 「メール相談」や「オンラインカウンセリング」も実施しているので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 膝の水に関してよくある質問 膝の水を抜くと癖になりませんか? 膝の水を何度も抜くのが原因で、癖になるわけではありません。 膝の水を抜いても再び溜まってしまうのは、関節に炎症が起こっている根本的な原因の病気が改善されていないためです。 原因の病気として、半月板損傷や変形性関節症などが知られています。痛みを和らげるためには、原因の病気の治療をしながら膝の水を抜くことも大切です。 膝の水は自然に抜けますか? 稀に自然治癒する場合もあります。長期期間放置しても、必ず自然治癒するわけではありません。 放置すると関節が固まって動きにくくなった「拘縮状態」に陥るリスクもあります。 拘縮状態になると膝の曲げ伸ばしが辛くなり、日常生活に支障をきたす可能性もあります。そのため、1カ月以上膝の水の溜まりを放置するのはおすすめできません。 膝の水を自然に抜けるまで長期間待たずに、早めに受診するようにしましょう。 参考文献一覧 文献1 水原寛康. 関節穿刺. 医学書院 医療情報サービス. 2024年10月18日. 文献2 斉藤 聖二,関節痛(炎):診断と治療の進歩1.関節の構造と関節痛(炎)の原因, 日本内科学会雑誌, 1994年, 第83巻, 第11号, p1871-1875
2022.06.29 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
- 関節リウマチ
- 靭帯損傷
- 膝部、その他疾患
膝関節は、大腿骨、脛骨および腓骨、また膝蓋骨などが組み合わさって作られています。日常生活で安定して自由な伸展運動などがスムーズに実行できるよう半月板や複数個の靭帯などを始めとする周囲の構造物が補助しています。 これらの膝を形成している組織が「スポーツなどの外傷」、あるいは「加齢」や「自己免疫異常」などの要因に伴って異常をきたして損傷が起こると、膝の裏の部位で疼痛(痛み)が生じることに繋がります。 【膝の裏が痛い原因の代表例】 ・スポーツなどの外傷 ・加齢 ・自己免疫異常 そこで、「膝の裏が痛い原因、考えられる病気と対策」と題して解説してまいります。 膝の裏が痛いときに考えられる9つの病気 膝の裏が痛む際に原因として考えられる膝疾患には、「変形性膝関節症」や「関節リウマチ」の他、膝部位に存在する「靱帯の損傷」などがあります。 膝の裏が痛い場合に考えられる疾患 ・変形性膝関節症 ・半月板損傷 ・ベーカー嚢腫(のうしゅ) ・関節リウマチ ・靭帯の損傷(事故や、スポーツなど) 以下でそれぞれ詳しく解説していきます。 変形性膝関節症 中高年の女性によくみられます。 関節の軟骨がすり減り、膝の内側や膝の裏からふくらはぎにかけて痛くなり正座もしにくくなります。変形が進行してひどくなるとO脚になり、いよいよ歩行困難になると人工関節の手術となります。 膝の関節が硬くなり、膝を伸ばすときに裏が痛くなったりします。 膝の屈伸の時に『ミシミシ』『ゴリゴリ』とした音が鳴る時もあります。 膝に水が溜まると、膝の裏から太ももの前側にかけて全体的に痛くなります。(文献1) ▶変形性膝関節症についてこちらもご参考にされてください。 半月板損傷 膝関節のクッションの役目があり、スポーツや怪我、加齢に伴って断裂などの損傷が生じます。 膝が伸びなくなるロッキングを起こしたり、正座やしゃがんだり、立ったりするときに膝の裏側が痛くなります。 ベーカー嚢腫 何らかの原因で膝関節が炎症を起こし、増えた関節液が膝の裏の滑液包に流入し袋状のコブになったものを言います。ゴルフボールぐらいの大きさにボッコリ腫れることもあり、大きくなると膝の裏が突っ張った状態になります。 放置していて腫れが治ることもありますが、痛みが強いときは、針で水を抜くこともあります。 変形性膝関節症、半月板損傷、関節リウマチ、化膿性関節炎などが原因とされています。(文献2) ▶ベーカー嚢腫についてこちらでも詳しく解説していますのでよろしければご覧ください。 関節リウマチ 関節リウマチの患者数は、現時点でおおむね80万人と言われており、その発症原因は自己免疫系統の異常とされていて、自分自身の軟骨組織や骨成分を攻撃し、破壊することとなり、関節部位に炎症を引き起こします。(文献3) 特に膝裏部に疼痛症状を認めると考えられます。この病気を発症しやすい年齢は、30代~50代前後の中年齢層で、性別に関しては男性よりも女性で発症率が高いことが指摘されています。 初期の段階では、手足における特に手指部の関節領域が左右対称に腫れる以外にも、倦怠感や、食欲不振など自覚症状が合併することも懸念されています。 関節リウマチの特徴 ・原因:自己免疫系統の異常 ・年齢:30代~50代前後 ・性別:女性の発症率が高い 靭帯損傷 膝関節には4つの靱帯が存在して重要な役割を担っています。 そのうち膝の左右両側にあるのが内側側副靱帯、外側側副靱帯で、前後部位には前十字靱帯、後十字靱帯が走行しています。 例えば、交通事故に遭う、もしくはスポーツ活動中に怪我を負うなど、受傷を引き起こすことによって大きな物理的衝撃が膝関節に負荷となってかかると、膝の靱帯部に強い損傷や断裂などが起こり、膝の裏側が痛むことが考えられます。 特に後十字靱帯の損傷の場合、膝裏を伸ばすとピキッとした痛みが出ることが多くみられます。(文献4) 通常の場合、内側側副靱帯と前十字靱帯が外力によって損傷を受けやすいと言われていますが、受傷してから3週間前後の発症してまだ間もない頃には膝痛と膝の伸展運動がしにくいなどといったサインが認められます。 受傷後1か月程度、しばらく経過した段階では、膝関節内部に血腫が貯留して腫れの所見が目立つこともありますし、損傷部位によっては膝関節の不安定さが少しずつ顕著化してくることもあります。 膝の裏側の筋肉の損傷 膝の裏には膝窩筋があり、身体が硬かったり無理な運動や動きで筋肉や腱が損傷します。 損傷すると次のような症状が出ます。(文献5) ・しゃがむと痛い ・しゃがんで立つと膝の裏が痛い ・膝を伸ばすとふくらはぎや太ももの裏が痛い ・膝を曲げると膝の裏が痛い ・階段上り下りの時に膝の裏からふくらはぎが痛い 腰椎ヘルニア・坐骨神経痛 太ももの後ろからふくらはぎにかけて痛みがある場合は、腰椎ヘルニアや坐骨神経痛も考えられます。 痺れやズキズキした痛みを感じることもあります。安静時に痛みがあるのも特徴です。 リンパによる膝の裏の痛みや腫れ 同じ姿勢で長時間いたり、肥満や食事の偏りでリンパの流れが悪くなり膝の裏に痛みや腫れが生じます。 リンパ管には体の老廃物を運ぶ役目があり、リンパ節でその老廃物が処理されます。リンパ管の流れが悪くなることで、リンパ節が腫れて痛くなります。 反張膝 太ももの前と後ろの筋肉のバランスが悪かったり、大腿四頭筋や腸腰筋、前脛骨筋の筋力の低下で起こります。 そのため膝が後ろに飛び出るような形に曲がるため、膝の裏が痛くなるのです。 膝の裏が痛いときの治療法 前章では、主に膝裏が痛む代表疾患に関して触れてまいりました。 ここからはそれぞれの疾患について対処法や治療法を解説していきます。 変形性膝関節症の治療法は幹細胞やPRPによる再生医療 初期の頃は、ヒアルロン酸注射やリハビリ、内服で様子を見ます。 変形が進むと、骨切り術や人工関節置換術などが行われます。最近では幹細胞やPRPによる再生医療も行われていて新しい治療の選択肢として注目されています。 半月板損傷の治療法は手術か再生医療 日常生活に支障が出たり、スポーツ復帰を目指す場合は関節鏡による手術が行われます。断裂部を切除や縫合して治療します。 こちらも新しい選択肢として再生医療が注目されています。 ベーカー嚢腫の治療法は水を抜くか自然に治す 自然に治ることもありますが、膝の裏の腫れや突っ張りや違和感がある時には水を抜くこともあります。 関節リウマチは病勢進行を可能な限り抑制 関節リウマチに対する治療について、近年では特に目覚ましく進歩しています。 早期に適切な治療を行えば関節の変形も抑えられて、痛みも生活する上で特に困らない程度にもなります。 関節リウマチの病勢進行を可能な限り抑制して、症状を少しでも改善させるためには普段から関節に大きな負荷をかけないように認識しながら対策を講じることが重要な観点となります。 例えば、携帯電話を操作するときに片手ではなく、両手を使って動作すると、手首の関節にも優しい姿勢になりますし、デスクワークするときに両腕部分を机やクッションなどで支えるように対策すると関節にかかる負担を軽減させることが期待できます。 膝の靭帯損傷の治療法は手術治療 膝の靭帯損傷については、急激にストップするような動作をした際、あるいは方向を突然転換するときに膝を強く捻ることによって発症します。 一般的に、外側側副靱帯や内側側副靱帯は、膝が左右に動くのを制御しています。前十字靱帯は膝から足側の部分が前方に突出しないようにストップをかける役割を担っており、後十字靱帯でも前十字靭帯と協調して膝が安定的に可動するように機能しています。 これらの靱帯組織が仮に断裂して受傷してしまうと、膝の安定性が減り、下半身における踏み込み動作や切り返しの作業が難しく実施できなくなるのみならず半月板損傷など合併する場合もあります。 内側側副靭帯損傷の場合には手術せずに治療するケースが多く、後十字靭帯が損傷を受けたケースでは、ほとんどの症例で手術治療が適応となります。 膝受傷して靱帯を損傷した直後は、迅速にアイシング(冷却)を行ってから患部を固定し、患部に極力負担が掛からないように免荷処置をしましょう。 症状によっては、手術治療を検討する場合もあります。その際は、術後に理学療法士やトレーナーなど専門職と相談しながら状況に応じて適切なストレッチやリハビリテーションを実践して、筋力を鍛えて早期復帰できるように努めることになります。 特に、膝の再受傷や二次的な外傷を回避するために、体幹を鍛える、柔らかいボールなどを膝下で転がすように動かす、あるいは座位の状態になって膝を伸展させる、そして大腿部の筋を鍛えることなどが主なリハビリ療法の内容となります。 膝の裏が痛い場合のストレッチの仕方 膝の裏をストレッチしたりマッサージを行うことで、筋肉の柔軟性を持たせ血流促進にもつながります。 ふくらはぎの筋肉と太ももの後ろの筋肉を中心にストレッチやマッサージの仕方を紹介しています。注意点として、ストレッチによる痛みを感じたときには、直ちにかかりつけの医師との相談をお勧めします。 https://youtu.be/WQZfXd6s1iA 膝の裏が痛いときにとるべき行動 結論、膝の裏が痛いときは早めに医師へ相談するべきです。 膝の裏が痛い原因(病気)はさまざまで、比較的軽度なものから、自身では気づけない思いもよらぬ重度なものまで存在します。 また、「そのうち治るだろう」「大した症状ではないだろう」と自身で判断し、膝の痛みを放置してしまうと歩行や日常生活に大きな支障をきたしてしまいます。最悪の場合には歩くことが次第に困難となり、後に治療したとしても後遺症が残ってしまう可能性もあります。 膝の裏の痛みを軽視せずに最寄りの医療機関に受診するか、リペアセルクリニックに気軽にご相談ください。 まとめ|膝裏の痛みが長引くときは迷わず治療を 今回は、膝の裏が痛い原因で考えられる病気と対策について詳しく解説してきました。 膝裏部が痛む原因としては、主に変形性膝関節症、関節リウマチや、膝靱帯損傷などが考えられます。 関節リウマチについては薬剤の治療成績が著しく向上していますし、初期段階できちんと診断して的確な治療を実践すれば治癒が期待できる病気になってきました。膝靱帯損傷した際には早期的にアイシング(冷却)して患部固定で症状緩和に繋がります。 このような対処策を自分なりに実践しても症状が軽快しない際や膝裏部の疼痛症状がひどくて悪化するような際には、早期的に整形外科など専門医を受診するように心がけましょう。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 参考文献 文献1^ Øiestad BE, Juhl CB, Culvenor AG, Berg B, Thorlund JB. Knee extensor muscle weakness is arisk factor for the development of knee osteoarthritis: an updated systematic review and metaanalysis including 46 819 men and women. Br J Sports Med. 2022 Mar;56(6):349-355. doi:10.1136/bjsports-2021-104861. Epub 2021 Dec 16. PMID: 34916210. 文献2^ Abate M, Di Carlo L, Di Iorio A, Salini V. Baker's Cyst with Knee Osteoarthritis:Clinical and Therapeutic Implications. Med Princ Pract. 2021;30(6):585-591. doi:10.1159/000518792. Epub 2021 Aug 2. PMID: 34348320; PMCID: PMC8739941. 文献3^ Maderbacher G, Greimel F, Schaumburger J, Grifka J, Baier C. Kniegelenk bei rheumatoiderArthritis – aktuelle orthopädisch-chirurgische Therapieoptionen [The knee joint in rheumatoidarthritis-current orthopaedic surgical treatment options]. Z Rheumatol. 2018 Dec;77(10):882-888.German. doi: 10.1007/s00393-018-0534-2. PMID: 30194490. 文献4^ Schüttler KF, Ziring E, Ruchholtz S, Efe T. Verletzungen des hinteren Kreuzbands [Posteriorcruciate ligament injuries]. Unfallchirurg. 2017 Jan;120(1):55-68. German. doi: 10.1007/s00113-016-0292-z. Erratum in: Unfallchirurg. 2017 Jun;120(6):530. doi: 10.1007/s00113-017-0353-y. PMID: 28058447. 文献5^ Covey DC. Injuries of the posterolateral corner of the knee. J Bone Joint Surg Am. 2001Jan;83(1):106-18. doi: 10.2106/00004623-200101000-00015. PMID: 11205847.
2022.06.07