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「腫れて動かしづらい」 「しばらくすれば治ると思ったのに改善しない」 その靭帯の痛みが続くのであれば、靭帯損傷の可能性があります。靭帯は関節を安定させる重要な組織であり、損傷すると歩行や運動に支障をきたします。こうしたケガはスポーツだけでなく、段差での転倒や日常の動作でも起こることがあります。「全治までどのくらいかかるのか」「手術は必要なのか」といった不安を感じる人も多いでしょう。 しかし、受傷の原因や症状を正しく理解し、適切な治療やリハビリを行えば、回復までの道筋を明確にできます。 本記事では、現役医師が靭帯損傷について詳しく解説します。 記事の最後には、靭帯損傷に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 靭帯損傷について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください 靭帯損傷とは 項目 説明 靭帯の役割 骨と骨をつなぐ強靭な線維組織。関節の過度な動きを制御し、安定性を保つ 靭帯の構造 主成分はコラーゲン線維。伸縮性は乏しく、頑丈なロープのような構造をもつ 損傷の発生機序 許容範囲を超える外力によって、靭帯線維が部分的または完全に断裂することで発生 靭帯損傷の定義 捻挫のうち、靭帯自体が損傷したもの。スポーツ活動や日常動作中にも起こり得る 主な原因 急な方向転換、他者との接触、転倒、段差の踏み外しなどによる強い負荷 主な症状 受傷時の「ブチッ」とした音や感覚、関節の腫れ、痛み、可動域の制限 靭帯損傷は、関節を安定させる靭帯が、過度な力で伸ばされたり切れたりした状態を指します。 靭帯を損傷すると関節の動きが制限され、体重をかけた際に違和感が生じます。足首・膝・手首など負荷がかかりやすい部位に多く発生します。適切な治療で回復が見込めますが、放置すると再発や慢性的な関節不安定を招くため、早めの受診が必要です。 以下の記事では、肘関節の外側にある靭帯が傷つくことで引き起こされる肘外側側副靭帯損傷について詳しく解説しています。 靭帯損傷が起こりやすい部位 部位 主な損傷部位・特徴 主な原因 足首(足関節) 外側靭帯の損傷が最も多く、内反捻挫で発生する 段差の踏み外し、着地時のバランス崩れ、スポーツ中のひねり動作 膝(膝関節) 前十字靭帯・後十字靭帯・内外側側副靭帯の損傷がみられる サッカーやバスケットボールなどでの急な方向転換や他者との接触 手首(手関節) 転倒時に手をついた際の衝撃で損傷し、骨折を伴うこともある 転倒や転落、スポーツ・日常動作での手をつく動作 指 母指MP関節側副靭帯損傷(スキーヤーズサム)などが代表的 球技での突き指、スキー中の転倒による衝撃 肩 肩関節脱臼に伴い靭帯が損傷することが多い コンタクトスポーツや転倒時の強い外力 靭帯損傷は全身の関節で起こり得ます。とくに多いのは足首(前距腓靭帯)と膝(前十字靭帯・内側側副靭帯)です。これらの部位は体重を支えながら複雑に動くため、ねじれや外力の影響を受けやすい構造をしています。 スポーツでは急な方向転換やジャンプの着地などで損傷しやすく、日常生活でも段差の踏み外しや転倒によって発生することがあります。また、肩・肘・手首なども転倒や無理な動作で負担がかかると損傷することがあります。靭帯の部位によって治療法や回復期間が異なるため、正確な診断と早期の対応が必要です。 以下の記事では、外側側副靭帯の損傷で引き起こされる、外側側副靭帯損傷について詳しく解説しています。 靭帯損傷の初期症状 初期症状 詳細 受傷時の音や違和感 「ブチッ」「プチッ」といった断裂音や関節のずれを感じる。受傷直後の違和感や不安定な感触 腫れと関節内出血 靭帯損傷による炎症反応や出血による関節周囲の腫脹。皮下出血や内出血による赤紫色の変化 関節の不安定性と運動制限 関節を支える靭帯の損傷によるぐらつきや支えにくさ。痛みによる可動域の制限 (文献1) 靭帯損傷の初期には、関節周囲に腫れや熱感が生じ、動かしにくくなります。受傷直後に「何かが切れたような感覚」や「関節を支えられないほどの違和感」が主な特徴です。 靭帯が損傷すると内部で出血や炎症が起こり、数時間以内に腫れが強くなることがあります。 軽度の損傷でも放置すると症状が悪化し、見た目の腫れが引いても関節の不安定さが残る場合があります。早期に整形外科を受診し、必要に応じて画像検査を行いましょう。 以下の記事では、靭帯損傷の初期症状に関連する内容を詳しく解説しています。 【関連記事】 膝が痛い時に疑われる病気を一覧表で解説|立ったり座ったりがつらい方は要チェック 捻挫の後遺症とは|症状のチェック項目や治し方を現役医師が解説 受傷時の音や違和感 靭帯損傷の初期には、関節の内部で「ブチッ」「プツッ」といった音がすることがあります。これは靭帯の線維が断裂する際に生じる音で、中等度から重度の損傷でみられます。ただし、音がしなくても損傷している場合があり、音の有無だけで重症度を判断できません。 受傷直後には「じんわりとした違和感」や「関節が外れたような感覚」を伴うことがあります。これは靭帯損傷による安定性の低下や内部出血、炎症反応が関係しています。 損傷部位に触れると熱を帯びているように感じることもあり、これは炎症に伴う血流増加によるものです。こうした初期症状は損傷のサインであり、放置せず早めに整形外科で診察と画像検査を受けることが重要です。 腫れと関節内出血 症状・特徴 詳細 急速な腫れの出現 受傷後まもなく関節が腫れ、張ったように感じる状態。24時間以内の腫れは関節内出血の可能性 関節の張り感・圧迫感 関節内に血液や液体がたまり、関節包が膨らむような感覚 熱感・発赤 炎症や出血により患部が温かくなり、赤みを帯びる状態 可動域制限・動かしにくさ 出血や炎症による液体貯留で関節の動きが制限される状態 振動・打撲感(鈍痛) 関節内の血液や浮遊物質が刺激となり生じる不快感や違和感 (文献2) 靭帯損傷による腫れや関節内出血は、損傷した靭帯や周囲組織から血液や体液が関節包内に流れ込み、炎症によって関節が膨らむことで起こります。 関節の張り感や圧迫感、熱感が現れ、膝や足首では皮下出血を伴うことがあり、腫れが急速に強まったり動かした際に強い痛みを感じたりする場合は関節内出血が疑われます。 出血が多いと関節内圧が高まり、軟骨や滑膜に負担がかかることもあるため、冷却と安静を保ちながら速やかに整形外科を受診しましょう。 関節の不安定性と運動制限 症状 詳細 関節の不安定性 損傷した靭帯の支えが失われ、関節がぐらつきやすくなる状態。歩行時や動作時に膝が抜けるような感覚や膝くずれを伴うこともある。関節のずれやすさによる再受傷や変形のリスク 運動制限 腫れや痛み、関節内出血による可動域の制限。関節の曲げ伸ばしが困難となり、日常生活やスポーツ動作に支障をきたす状態。炎症や損傷部位の引っかかりも要因 靭帯が損傷すると関節を支える力が弱まり、不安定性が生じます。歩行時に膝が「ガクッ」と抜けるような感覚や、足首が繰り返し捻れる症状が代表的です。 軽度では運動時のみ、重度では日常動作でも関節の不安定性や可動域制限が現れ、膝の前十字靭帯損傷では階段昇降やしゃがむ動作が困難になります。 無理に動かし続けると関節軟骨や半月板など他の組織にも負担がかかり、二次的な損傷を招きます。不安定性を感じたら装具で固定し、医師の指導のもと段階的にリハビリを進めることが重要です。 靭帯損傷の原因 原因 詳細 スポーツによる靭帯損傷 急な方向転換やジャンプの着地、他者との接触によって生じる過度な関節への負荷 転倒や事故・外部からの強い衝撃 転倒時に手足をついた際の衝撃や交通事故によって加わる急激な関節への外力 加齢や慢性的な負荷 加齢による靭帯組織の変性や、長期間の過使用によって生じる持続的なストレス 靭帯損傷は、関節に通常を超える力が加わったときに発生します。とくに急な方向転換やジャンプ後の着地、段差での踏み外しなど、関節がねじれる動作で起こりやすいのが特徴です。 スポーツ中の衝撃だけでなく、日常生活での転倒や無理な姿勢でも生じます。加齢とともに靭帯の柔軟性や強度が低下すると、わずかな外力でも損傷しやすくなります。 再発を防ぐためには、原因を理解した上で正しい動作の習得や筋力バランスの改善に取り組むことが重要です。 以下の記事では、膝の痛みについて詳しく解説しています。 スポーツによる靭帯損傷 スポーツによる靭帯損傷は、ジャンプの着地や急な方向転換、急停止などで関節に強い力やねじれが加わることで発生します。サッカーやバスケットボールなどでは、対人接触による衝撃が直接靭帯に及ぶこともあります。 筋力不足や誤ったフォーム、同じ動作の繰り返しによる疲労は靭帯損傷のリスクを高めるため、予防には正しいフォームの習得と筋力の強化、十分な休養が不可欠です。 転倒や事故・外部からの強い衝撃 原因 詳細 転倒時の関節のねじれや過伸展 階段の踏み外しや路面での滑倒による急なねじれや過伸展による靭帯損傷 交通事故やスポーツでの衝突による外力 自転車・自動車事故やコンタクトスポーツの衝突によって生じる強い外力の集中 高所からの転落による着地衝撃 高い場所からの飛び降りや転落による着地時の過度な負荷の集中 スポーツ以外の日常生活でも起こり得る 段差でのつまずきや歩行中の転倒による関節への急激な衝撃 予期せぬ外的要因で回避動作ができない 突発的な事故や不意の衝突によって防御姿勢が取れず生じる靭帯への直接負荷 転倒や交通事故など、外部から強い力が加わった場合にも靭帯損傷は発生します。とくに膝や足首、手首は衝撃を受けやすく、転倒時に手をついたり膝をひねったりすると損傷が起こります。 衝撃が大きい場合には、複数の靭帯や関節包が同時に損傷する重症例もみられます。高所からの転落やスポーツ中の接触プレーでは、一瞬で強い外力が加わるため、早期の医療介入が必要です。 外傷後に関節の腫れや動かしづらさが続く場合は、速やかに整形外科を受診してください。 加齢や慢性的な負荷 加齢により靭帯の弾力性や強度が低下し、柔軟性が失われることで、わずかな負荷でも損傷しやすくなります。関節軟骨のすり減りや筋力低下によって靭帯への負担が増し、長時間の立ち仕事や無理な姿勢の継続も損傷を進行させる要因となります。 とくに肥満や偏った動作を繰り返す場合はリスクが高く、高齢者では転倒や身体機能の低下により靭帯損傷の危険性が増すため、注意が必要です。 靭帯損傷の全治までの期間 全治までの期間 詳細 軽度|Ⅰ度 靭帯の一部が軽く伸ばされた状態。回復までの目安は約2〜4週間程度。安静と固定による自然治癒 中度の損傷|Ⅱ度 靭帯の部分断裂がみられる状態。全治の目安は約4〜8週間(1〜2カ月)。安静・固定・リハビリの併用 重度の損傷|Ⅲ度 靭帯の完全断裂が生じた状態。全治まで3〜6カ月を要することが多く、手術や集中的リハビリが必要 靭帯損傷の全治期間は損傷の程度によって異なり、軽度のⅠ度損傷では数週間で日常生活に復帰できることが多いのに対し、完全断裂を伴うⅢ度損傷では回復までに数カ月から半年以上を要する場合があります。 回復期間は損傷部位や年齢、治療開始の時期、リハビリへの取り組み方によって異なり、膝の靭帯損傷では歩行が可能になる時期とスポーツ復帰が許可される時期に差が生じます。 焦って無理をすると再損傷のリスクが高まり、回復が遅れることもあります。医師の診断に基づいて段階的にリハビリを進めることが回復への近道です。 以下の記事では、捻挫の重症度について詳しく解説しています。 軽度|Ⅰ度 軽度の靭帯損傷の全治期間は、一般的に2〜4週間程度です。膝の軽度損傷では、炎症や腫れが落ち着くと日常生活レベルの動作まで回復することが多くみられます。 ただし、この期間は固定や安静、リハビリなどの保存療法を適切に行った場合の目安です。年齢や基礎体力、栄養状態、他組織の損傷有無、治療への取り組み方によって回復速度は異なります。 軽度の損傷でも自己判断で放置したりリハビリを怠ると、関節の不安定性が残ったり慢性化したりする恐れがあります。 中度の損傷|Ⅱ度 中等度の靭帯損傷の全治期間は、一般的に4〜8週間(約1〜2カ月)が目安とされています。回復期間は損傷部位や範囲、治療の適切さに加え、血流や可動性、年齢、体力、基礎疾患などによって大きく異なります。 リハビリを早く始めたり、無理に負荷をかけたりすると治癒が遅れる場合があるため、医師の指導のもとで段階的に運動を再開することが重要です。 重度の損傷|Ⅲ度 重度の靭帯損傷の全治期間は、一般的に3〜6カ月程度を要します。重度損傷では靭帯再建術を行うことが多く、とくに膝の前十字靭帯完全断裂では回復に半年以上を要する場合があります。 若年者や体力のある方は回復が早い傾向にありますが、リハビリの質と進度が機能回復の鍵となるため、医師の指導のもと計画的に進めることが大切です。 靭帯損傷の治療法 治療法 詳細 保存療法(固定・安静・リハビリ) 損傷の軽度〜中等度に行う基本治療。ギプスやサポーターでの固定、安静の保持、段階的なリハビリによる関節機能の回復 薬物療法 炎症や痛みの軽減を目的とした治療。消炎鎮痛薬や湿布、注射薬などによる炎症反応の抑制と疼痛緩和 手術療法 靭帯の完全断裂や保存療法で改善が難しい場合に実施。靭帯再建術や縫合術による関節安定性の回復 再生医療 損傷部位の自然治癒を促す治療法。PRP(多血小板血漿)療法や幹細胞治療による組織再生の促進 軽度〜中等度の損傷では、固定・安静・リハビリを中心とした保存療法で回復を図り、必要に応じて炎症や痛みを抑える薬物療法を併用します。重度の損傷や再発を繰り返す場合は、靭帯再建術などの手術療法が検討されます。 近年では、自己修復力を高めるPRP療法や幹細胞治療といった再生医療も選択肢のひとつです。早期に正確な診断を受け、個々の状態に合わせた治療計画を立てることが回復につながります。 以下の記事では、膝の皿が痛い原因と治療法について詳しく解説しています。 保存療法(固定・安静・リハビリ) 施策 詳細 固定と安静 サポーターや装具で損傷部位を固定し、関節の動きを制限。炎症と腫れを抑え、靭帯回復を助ける治療 RICE療法(安静・冷却・圧迫・挙上) 受傷直後に患部を冷却・圧迫し、心臓より高い位置に挙上して安静を保つ処置。腫れや炎症の抑制 リハビリテーション 急性期後に行う関節可動域訓練や筋力強化、バランス訓練による段階的回復法 日常生活指導 動作の工夫や休息の取り方、再損傷防止のためのリスク管理 保存療法は軽度から中等度の靭帯損傷に有効な治療法です。靭帯は一定の修復能力を持つため、ギプスやサポーターで固定し安静を保つことで自然治癒を促します。 炎症が落ち着いたら理学療法で可動域と筋力を段階的に回復させます。身体への負担が少なく入院の必要もないため、日常生活への影響を最小限に抑えられます。過度な安静は筋力低下を招くため、医師の指導のもと計画的にリハビリを進めることが重要です。 以下の記事では、保存療法で使用される膝サポーターについて詳しく解説しています。 薬物療法 薬物 詳細 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) 痛みや腫れ、炎症の抑制を目的とした内服薬や湿布の使用。長期使用時の副作用への注意 鎮痛薬 強い痛みの軽減を目的とした一時的な使用。症状に応じた用量と期間の調整 ヒアルロン酸注射(関節症や疼痛緩和など目的限定) 関節内の潤滑改善と軟骨保護を目的とした注射療法。痛み軽減への応用 薬物療法は靭帯損傷における補助的な治療法です。消炎鎮痛薬を用いて炎症と症状を抑えることで、早期のリハビリ参加を促し治癒を促進します。 しかし、薬物療法だけで靭帯を完全に再生させるのは困難です。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)では胃腸障害や腎機能への影響、注射薬では感染リスクなどの副作用に注意が必要です。 手術療法 手術法 詳細 靭帯再建術 患者自身の腱(ハムストリング腱・膝蓋腱など)を用いて新たな靭帯を作成。関節鏡で行うため傷口が小さく回復が比較的早い手術法 靭帯縫合術 部分断裂や複合損傷に対して断裂部を縫合。完全断裂では適応外となる場合が多い手術法 手術後の流れと期間 リハビリで筋力と柔軟性を回復。スポーツや日常生活への復帰まで6カ月〜1年を要する経過 手術療法は、靭帯が完全に断裂した場合や保存療法で改善しない場合に実施されます。手術による靭帯再建は関節の安定性を回復させ、半月板や関節軟骨の二次的な損傷、再断裂、変形性関節症のリスクを減らします。 手術は身体への負担が大きく長期間のリハビリを要するため、生活スタイルや損傷の程度を踏まえて医師と相談し治療法を選択することが重要です。 再生医療 再生医療は、損傷した靭帯の自己修復を促す治療法です。靭帯や関節の組織は血流が少なく自然治癒しにくいですが、血小板に含まれる成長因子や脂肪由来の幹細胞を利用することで修復を促進します。 代表的なPRP療法では、患者自身の血液から血小板成分を抽出して損傷部位に注入します。成長因子が炎症を抑え、症状の軽減に寄与します。 ただし、すべての症例に適応できるわけではなく、実施できる医療機関も限られます。治療を希望する場合は、医師と相談して適応を確認しましょう。 前十字靭帯断裂に対する再生医療の治療例については、以下の症例記事をご覧ください。 スポーツ外傷に対する再生医療についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。 靭帯損傷の予防法 予防法 詳細 運動前後のウォーミングアップとクールダウン 関節や筋肉を温め可動域を広げ、運動後に筋や靭帯を緩める習慣 筋力強化とバランストレーニング 関節周囲の筋力向上と姿勢制御力の向上による負荷分散 適切なフォームと装具の活用 動作の改善とサポーターなどの使用による関節保護 日常生活でのケアと体調管理 無理な動作回避と休養、疲労や体調不良時の負荷調整 靭帯損傷は、正しい知識と日常的なケアによって予防できます。運動前後のストレッチやウォーミングアップは関節や筋肉の柔軟性を高め、急な動きへの対応を助けます。筋力とバランスを整えるトレーニングも関節の安定性向上に有効です。 正しいフォームの習得やサポーターの活用によって関節への負担を軽減し、再発を防止できます。疲労をためない体調管理も重要です。 運動前後のウォーミングアップとクールダウン 靭帯損傷の予防には、日常的な準備運動と整理運動の習慣が欠かせません。ウォーミングアップで筋肉や関節を温めることで急な負荷への耐性が高まり、クールダウンは柔軟性を保ち損傷リスクを減らします。 加えて、関節周囲の筋力強化やバランストレーニングで安定性を高め、適切なフォームや装具の活用、無理のない生活と体調管理を徹底することで、靭帯への負荷を軽減できます。 筋力強化とバランストレーニング 筋力強化とバランストレーニングは靭帯損傷の予防に欠かせません。膝周囲の大腿四頭筋やハムストリングスを鍛えることで関節への負担が分散され、靭帯への過度なストレスを軽減できます。 スクワットやランジ、バランスボール、片足立ち、バランスボードなどのトレーニングは、筋力と神経系の反応速度を高め、関節の安定性を向上させて転倒リスクを減らします。 筋力強化とバランストレーニングを組み合わせて行うことで相乗効果が得られ、関節の安定性が高まるため、定期的に正しいフォームで実施することが重要です。 適切なフォームと装具の活用 正しい運動フォームの習得は靭帯損傷予防の基本です。スクワットやランジでは膝がつま先より前に出ないようにし、膝が内側に入らないよう注意します。体幹をまっすぐ保ち、不適切なフォームによる靭帯へのストレスを避ける必要があります。 運動強度は自分の体力に合わせて段階的に進め、適切な休息を取り入れることが大切です。テーピングやサポーターは関節の動きを補助し、不安定な動きを制限して靭帯への負担を軽減します。 とくにスポーツ時やリハビリ初期に有効ですが、医師の指導を受けて正しく使用することが不可欠です。 日常生活でのケアと体調管理 項目 内容 RICE療法の実施 安静・冷却・圧迫・挙上の4つの基本処置で炎症と腫れを抑制 膝への負担軽減 無理な動作や長時間の立ち仕事を避け、杖やサポーターで関節を保護 栄養管理 タンパク質・ビタミンC・亜鉛を含むバランスの良い食事で組織修復を促進 十分な睡眠 疲労回復と治癒促進に不可欠な休養時間の確保 適切な運動療法 症状が落ち着いた段階でのストレッチや筋力トレーニングの継続 日常生活でのケアと体調管理は靭帯損傷の回復を大きく左右します。受傷直後はRICE療法を速やかに実施し、炎症や腫れを最小限に抑えることが重要です。 回復期には膝に過度な負担をかけず、栄養と休養をしっかり取り入れることが必要です。痛みや腫れが落ち着いた段階で、医師や理学療法士の指導のもと、痛みのない範囲で徐々に運動療法を進めます。 急な激しい運動は避け、段階的に負荷を上げることが再発防止と早期回復につながります。 靭帯損傷でお悩みの方は当院へご相談ください 靭帯損傷を放置すると慢性的な痛みや関節の不安定性につながり、将来的に変形性関節症を招く可能性もあります。早期に診断を受け、適切な治療を始めることが回復への第一歩です。 靭帯損傷の治療についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、靭帯損傷に対して再生医療を用いた治療をご提案しています。 再生医療は、患者自身の細胞が持つ修復力を活かし、損傷した靭帯組織の再生を促す治療法です。従来の治療法と比べて身体への負担が少なく、自然な回復を期待できるのが特徴です。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 靭帯損傷に関するよくある質問 靭帯損傷は歩いて治りますか? 軽度の損傷であれば、適切な固定と安静により数週間で改善する可能性がありますが、歩行だけでは十分な治癒は得られません。 中等度以上の損傷では、無理に歩き続けると靭帯や関節に負担がかかり、治癒が遅れたり慢性的な関節不安定性を残したりする恐れがあります。 靭帯損傷の治療には、損傷の程度に応じた固定、段階的なリハビリ、医師による経過観察が不可欠です。 靭帯損傷が疑われる場合は、まず整形外科を受診し、画像検査による正確な診断を受けてください。損傷の程度を評価した上で、保存療法か手術療法かを含めた治療方針を決定します。 以下の記事では、歩けるけど痛い肉離れの症状について詳しく解説しています。 靭帯損傷でやってはいけないことは? 受傷直後に無理に動かしたり、痛みを我慢して運動を続けたりすることは避けましょう。アイシングや固定をせずに放置すると炎症が長引き、回復が遅れます。 また、自己判断でマッサージやストレッチを強く行うと組織修復を妨げる恐れがあります。受診を先延ばしにせず、早期に整形外科で診断を受けることが重要です。 以下の記事では、靭帯損傷でやってはいけないことについて詳しく解説しています。 膝の靭帯損傷の応急処置でやってはいけないことは?RICE処置の正しい方法から病院での治療まで解説 靭帯損傷を早く治す食べ物は? 特定の食品だけで靭帯損傷が早く治ることはありません。しかし、適切な栄養摂取は組織修復を支えます。 靭帯損傷の回復には、タンパク質・ビタミンC・亜鉛・鉄分・オメガ3脂肪酸を含むバランスの良い食事と十分な水分補給が重要です。 靭帯損傷でお風呂はいつから入れますか? 靭帯損傷の急性期は炎症や腫れが強いため、湯船は避けシャワーで済ませましょう。患部を温めると炎症が悪化する恐れがあります。 痛みが落ち着いた回復期には短時間の入浴が可能ですが、異常を感じた場合は冷却などの対処を行い、医師に相談してください。 靭帯断裂は自然治癒しますか? 靭帯が完全に断裂した場合、血流が乏しいため自然治癒はほとんど期待できません。放置すれば関節の不安定性が残ります。 部分断裂など軽度の損傷は固定やリハビリで回復する場合もありますが、完全断裂では手術が必要となることが多いです。 靭帯損傷は整形外科と整骨院どちらを受診するべきですか? 靭帯損傷が疑われる場合は、まず整形外科を受診してください。整形外科では画像検査により損傷の程度を正確に診断し、保存療法から手術まで適切な治療を受けられます。 整骨院では画像診断や医療行為ができないため、初期診断には不十分です。 参考文献 (文献1) 膝のねんざおよび関連する損傷(前十字靱帯断裂、半月板損傷、内側側副靱帯断裂、後十字靱帯断裂)|MSD マニュアル 家庭版 (文献2) NATIONWIDE CHILDREN'S When your child needs a hospital, everything matters.|Swelling: The Body's Reaction to Injury
2025.11.26 -
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「後十字靭帯損傷」というケガをご存じでしょうか? 後十字靭帯は、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)をつなぐ膝の裏側にある靭帯で、膝関節を安定させるうえで重要な役割を担っています。 靭帯損傷というとスポーツ中の激しい動作で起こる印象を持つ方が多いかもしれませんが、後十字靭帯損傷は、転倒や交通事故など日常生活や予期せぬアクシデントでも発症するケースがあります。 放置すると、膝の不安定感が慢性化し、将来的に変形性膝関節症を引き起こすリスクもあるため、初期段階での適切な診断と治療が重要です。 今回は、後十字靭帯損傷について、主な症状や診断方法、治療法について詳しく解説します。 後遺症のリスクや完治までの期間などもまとめているので、ぜひ参考にしてください。 「痛みは引いたけど違和感が続く」「リハビリをしても安定しない」といったケースでは、経過が順調でない可能性も考えられますので当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 保存療法・手術の適応判断を含めて、再生医療を取り入れた選択肢もご提案しています。 ▼以下をクリックでご自宅からでも簡単に相談いただけます。 >>0120-706-313(受付時間:9:00〜18:00) 後十字靭帯損傷(断裂)とは 後十字靭帯損傷(断裂)とは、膝関節を構成する後十字靭帯が部分的または完全に断裂した状態のことです。 後十字靭帯が損傷または断裂すると、膝の安定性が失われ、運動時や日常生活において膝が崩れるような違和感が現れます。また、膝が腫れて痛みを感じるケースがほとんどです。 以下で、後十字靭帯の役割や損傷の原因などを解説するので、ぜひ参考にしてください。 なお、靭帯損傷の原因や治療法については、以下の記事で解説しています。 後十字靭帯の主な役割 後十字靭帯は、膝関節の内側に位置し、大腿骨の内側顆から後方外側に向かって伸び、脛骨(すねの骨)の顆間隆起の後外方に停止します。後十字靭帯は、膝関節の安定性を保つために欠かせない靭帯です。 「後」十字靭帯と呼ばれる名前からわかるように、膝には「前」十字靭帯も存在します。膝の内部で2つの靭帯が十字型に見えることから、それぞれの名前で呼ばれています。人が膝を安定して動かせるのは、前十字靭帯と後十字靭帯が共に機能するためです。 後十字靭帯は、前十字靭帯よりも太さと強度があり、脛骨(すねの骨)が後ろに脱臼しないように保持する働きをしています。また、安定して膝を捻る動作ができるよう膝を支える役目も担っています。 後十字靭帯損傷(断裂)の原因 後十字靭帯損傷(断裂)は、主に膝を曲げた状態で強く地面に打ち付けることによって発生するケガです。たとえば、交通事故でダッシュボードに膝を強く打ち付けたり、転倒して膝から転んで強い衝撃を受けたりするケースなどが、典型的な受傷機転として挙げられます。 ほかにも、スポーツでは、ラグビーやアメリカンフットボールなど、コンタクトが激しいスポーツ中に受傷するケースがあります。実際に、後十字靭帯損傷は、交通事故やスポーツ動作によるものがほとんどです。 後十字靭帯損傷(断裂)の症状 後十字靭帯損傷(断裂)の多くは、膝を打ちつけたことによって、膝の皿の下に擦り傷や打撲などの外傷が見られます。場合によっては、関節内に少量の血が溜まることもあります。 また、靭帯だけではなく、後ろの関節包(関節を包んでいる袋)も損傷している場合には、膝後方に皮下出血が見られることもあるため注意が必要です。なかには、膝窩部(膝裏)の痛みや、膝を曲げると痛いといった症状を訴える方もいます。 後十字靭帯は、一部の損傷で済むケースも少なくありません。しかし、靭帯が完全に断裂し、膝の安定性が乏しい場合は、階段の上り下りやしゃがみ込むときに膝がグラグラする感覚があります。 ▼ 膝が痛むときに疑われる病気について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 後十字靭帯損傷(断裂)の診断方法 後十字靭帯損傷(断裂)を疑う外傷があった場合、徒手検査と画像検査によって診断します。 以下で、後十字靭帯損傷の診断方法を解説するので、ぜひ参考にしてください。 徒手検査 後十字靭帯損傷(断裂)が疑われる場合は、まず診察を行い、膝関節の不安定性がないかどうかをチェックします。徒手検査とは、患部を動かしたり叩いたりして、患者の反応を観察し、治療すべき部位を特定するための検査です。 後十字靭帯損傷の検査として有名なものに、「後方引き出しテスト」と呼ばれる検査があります。後方引き出しテストの実施方法は、以下の2ステップです。 寝た状態で膝を曲げる 医師が脛骨(すねの骨)を後ろに押していく 後十字靭帯が機能していないと、後方引き出しテストをした際に、脛骨が後ろに落ち込んでしまうような感覚があります。 画像検査 後十字靭帯損傷(断裂)の画像診断は、レントゲンとMRIで実施します。靭帯自体はMRIだけでも評価できるものの、骨折を合併していないか確認するためにレントゲン撮影をするケースも少なくありません。 MRIでは、靱帯が完全に断裂しているのか、または部分的に損傷しているのかの評価が可能です。また、半月板や側副靱帯といったほかの部位の損傷についてもMRIで評価できます。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。後十字靭帯損傷が疑われる場合は、来院前でも良いのでぜひ気軽にご相談ください。 後十字靭帯損傷(断裂)の治療法 後十字靭帯の機能は、保存的治療でも比較的に良好に回復するとされています。そのため、一般的には保存療法が選択されるケースが多い傾向です。 以下で、後十字靭帯損傷(断裂)の治療法について解説するので、ぜひ参考にしてください。 保存療法 保存療法の場合は、基本的に膝関節の安定性を補助するための装具を2カ月程度使用します。保存療法は、後十字靭帯損傷が軽度で、膝の不安定感があまり強くない場合に選択する治療法です。 受傷から1〜2週間の急性期は、膝の腫脹や痛みがある時期のため、ある程度痛みが治るまでは負担をかけないように松葉杖やサポーターなどを使用します。また、痛みのない範囲で、早期から関節可動域訓練やストレッチなどを開始し、治療を進めていきます。 3週間程度で徐々に膝が動かせるようになり、装具を使用しながら筋力トレーニングやランニングなどを開始できるでしょう。その後、3カ月程度で8割を目安に筋力が回復したら、スポーツ復帰が可能です。 手術療法 後十字靭帯損傷(断裂)が重度で、保存療法では効果的な回復が見込めない場合には手術を選択します。手術は通常全身麻酔で行われます。 手術では、断裂した靱帯同士を縫合するのが難しいため、代わりにもも裏の筋肉(ハムストリング)の一部を採取し、靱帯のように形成して移植する方法が一般的です。 手術後は、膝を固定するために装具を使用し、術後3週間程度は体重をかけないようにします。入院期間は病院によって異なるものの、通常は膝に体重をかけられるようになると退院が可能です。 なお、後十字靭帯損傷の手術は、50万円前後の費用がかかるとされています。基本的には高額療養費制度の適応となるため、自己負担は軽減されます。高額療養費制度に関しては、加入している健康保険窓口で問い合わせてください。 再生医療 再生医療は、後十字靭帯損傷(断裂)を含めた膝関節の新しい治療法として注目されています。再生医療とは、損傷した靭帯や組織を修復するために体の自然治癒力を活用する治療法です。 再生医療には、主に以下の2種類があります。 幹細胞治療 患者自身から採取した幹細胞を膝関節内に注入する 炎症や痛みを抑えて、損傷部位の修復や改善を促進する効果が期待できる PRP療法 患者自身の血液から抽出した多血小板血漿(PRP)を膝関節内に注入する 成長因子の働きを利用し、損傷部位の修復を促進する効果が期待できる なお、リペアセルクリニックの再生医療では、採取する際の安全性が高く、体への負担が少ないとされている脂肪由来の幹細胞を使用しています。再生治療について詳しく知りたい方は、気軽にメール相談やオンラインカウンセリングをご利用ください。 運動療法(リハビリや筋トレ) 後十字靭帯損傷(断裂)後の回復において、リハビリテーションや筋力トレーニングなどの運動療法はとても重要です。適切な運動療法は、膝の可動域を回復させるだけではなく、筋力を強化して膝の安定性を高めることにつながります。 後十字靭帯損傷後の運動療法は、主に以下の要素を含みます。 膝関節の可動域訓練 筋力強化訓練 バランストレーニング 競技に特化した専門的なトレーニング とくに、スポーツ復帰を目指す場合はリハビリテーションが治療の中心的な役割を占めます。また、運動療法は、将来的な再発リスクを減らすためにも欠かせないプロセスの一つです。 ▼ 後十字靭帯損傷のリハビリにおける禁忌事項については、以下の記事で詳しく解説しています。 後十字靭帯損傷(断裂)の放置は後遺症のリスクを高める 後十字靭帯損傷(断裂)を放置すると、後遺症のリスクが高まるため注意が必要です。後十字靭帯損傷の主な後遺症として、以下のような症状が挙げられます。 膝の不安定性 膝の痛みの慢性化 膝のぐらつき 半月板損傷 変形性膝関節症 膝が不安定な状態のまま日常生活を送ると、大腿骨と脛骨の動きが通常よりも大きくなり、膝全体にストレスがかかります。この状態が長期間続くと、膝の軟骨や半月板などまで損傷が広がりかねません。 さらに悪化すると膝関節が変形してしまい、極端なO脚やX脚になってしまう可能性があるため注意してください。膝の痛みは放置せず、早めに医療機関を受診しましょう。 まとめ・後十字靭帯損傷(断裂)は早めに医療機関を受診しよう 後十字靭帯は膝を安定させるために重要な役割を果たしています。たとえ膝の痛みが軽い場合であっても、放置すると日常生活に支障が出るケースも少なくありません。 後十字靭帯を損傷(断裂)したら、損傷の程度やスポーツ復帰への希望有無など、状況に合わせて保存療法や手術療法などを選択します。そして、それぞれの治療方法に適したリハビリテーションを行い、膝の機能の回復に努めることが大切です。 少しでも膝に違和感を感じている場合は、自己判断で放置せず、早期に専門医を受診してください。 「これくらいの症状で病院に行くべきか迷っている」「どこに相談すればいいのか分からない」という方は、当院(リペアセルクリニック)の無料電話相談をご活用ください。 症状やご状況を丁寧にお伺いし、適切な対応や治療の選択肢をご提案いたします。 ▼以下をクリックでご自宅からでも簡単に相談いただけます。 >>0120-706-313(受付時間:9:00〜18:00) ▼ 変形性膝関節症について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 後十字靭帯損傷(断裂)の治療に関するよくある質問 ここでは、後十字靭帯損傷(断裂)の治療に関するよくある質問をまとめました。 後十字靭帯損傷(断裂)の完治にはどれくらいの期間がかかる? 後十字靭帯損傷(断裂)の完治にかかる期間は、損傷の程度によって異なります。 保存療法の場合、一般的には2〜4カ月程度のリハビリテーション期間を経て、膝の安定性が回復する傾向です。また、手術療法の場合は、最終的なスポーツ復帰までには10〜12カ月かかると考えましょう。 後十字靭帯損傷(断裂)を早く治す方法はある? 後十字靭帯損傷(断裂)を早く治すためには、 早期の受診と適切な治療がとても重要です。 後十字靭帯損傷の治療にはさまざまな方法があるものの、いずれの場合もリハビリテーションが欠かせません。医師や理学療法士などの指導のもと、早期から継続的なリハビリテーションを行うことで、早い回復が期待できるでしょう。
2023.09.11 -
- 靭帯損傷
- ひざ関節
後十字靭帯損傷(こうじゅうじじんたいそんしょう)とは、膝の関節内にある後十字靭帯の損傷を指します。 主に車の事故やバイク事故、ラグビーなどのコンタクトスポーツで他人と衝突して生じ、痛みや症状改善についてお悩みの方も多いことと存じます。 そこで本記事では、後十字靭帯損傷の治療方法やリハビリにおける禁忌事項について解説します。読者の方々の一助となるべく、分かりやすく内容をまとめているのでぜひご一読ください。 後十字靭帯損傷の治療法 後十字靭帯の単独損傷では、大腿四頭筋訓練を中心とした保存療法が行われます。 膝動揺性抑制装具(サポーター)を装着して早期から痛みの無い範囲で可動域訓練を行い、筋力低下を最小限にとどめるようにします。受傷初期は疼痛緩和と安静を兼ねてギプス固定を行うこともあります。 後十字靭帯単独損傷の場合には多少の緩みが残ってもスポーツ活動に支障をきたさないことが多いです。このことから、軽度な症状の場合には先ずは保存療法を試みるようにします。 以下の記事では、靭帯損傷の原因や治療法について解説しているので、あわせてご覧ください。 後十字靭帯損傷のリハビリにおける禁忌 後十字靭帯損傷におけるリハビリの禁忌として以下の事項が挙げられます。 しゃがみ・膝立ち 正座 膝に直接負担をかける行為は症状を悪化させる危険性があり、完治を妨げる要因ともなります。 また、後方へのストレス(不安定性)が強く、日常動作に不自由を感じる際は靭帯再建術を考慮しなければなりません。速やかに最寄りの医療機関または当クリニックにご相談ください。 なお、当院も専門領域なので、不安がある方は下記のバナーをクリックのうえ、お気軽にお問い合わせください。 後十字靭帯損傷の完治期間 https://youtu.be/ZYOV-Er0mnU?si=krijmhYRz9t7Ggd_ 後十字靱帯損傷の完治までの期間・道のりとしては、ハムストリングスを用いた再建術後の理学療法、術直後には免荷で膝装具0° 固定し等尺性筋収縮運動を行います。 1〜2週間で部分荷重、スクワット運動開始とします。4週間で全荷重、4カ月でジョギング、水泳などのスポーツ復帰が可能となります。 期間 トレーニング内容 1〜2週間 部分荷重、スクワット運動開始 4週間 全荷重 4カ月 ジョギング、水泳などのスポーツ復帰 上記の期間を経て、全治までには数ヶ月を要します。 後十字靭帯損傷の予後は比較的良好とされていますが、自然治癒するわけではないことを覚えておきましょう。 最近では、早期の競技復帰を望むアスリートの間などで靭帯組織の修復に期待できる「再生医療」が注目されています。 ▼再生医療について詳しく見る 後十字靭帯損傷の診断方法 脛骨の後方ストレスへの不安定性とMRI画像で後十字靭帯断裂を確認し、後十字靭帯損傷を診断できます。 また、レントゲン写真では骨折の有無の判別が可能です。 くわえて、後十字靭帯損傷の診断方法のひとつにsagging(サギング)テストがあります。 脛骨が落ち、関節に窪みが生じていれば後十字靱帯断裂を疑います。 そもそも後十字靭帯損傷とは 後十字靭帯は、膝関節の中で前十字靭帯とともに関節を強固に連結している靱帯です。 大腿骨(太ももの骨)の内側と、脛骨(すねの骨)の中央をつなぎ、前十字靭帯と十字のかたちに交差して膝関節を支えています。普段は膝関節のひねる動作を支えたり、脛骨が後ろにずれないように支えるように働いたりしています。 後十字靭帯損傷は、膝裏にあたる位置にある靭帯損傷のことであり、後十字靭帯が一部あるいは完全に断裂した状態を指します。 また、混同しやすい傷病名として「後十字靭帯断裂」が挙げられます。詳細が気になる方は、以下の記事をご確認ください。 後十字靭帯損傷の原因 スポーツ外傷や交通事故などで、脛骨上端に、前から後ろへ向く大きな力が加わることで後十字靭帯が損傷するケースが多いとされています。 具体的には、以下のような受傷機転が考えられます。 交通事故 ダッシュボード損傷とも言われ、車が急停車しダッシュボードに膝(脛骨の上端部)をぶつけることによって起こります。 転倒 膝を90°曲げた状態で転倒すると脛骨が後ろへ押し込まれるため受傷します。 コンタクトスポーツ(ラグビーなど) 膝下にタックルを受けることで、後十字靭帯を損傷することがあります。 後十字靭帯損傷の症状 後十字靭帯損傷の症状を解説します。 急性期(受傷後3週間くらい) 膝の痛みと可動域制限がみられますが、歩ける場合が多いです。しばらくすると腫れ(関節内血腫)や、膝窩部の皮下出血が出現することもあります。 痛い部位は、膝の裏となります。また、脛骨に後方へのストレスをかけると、膝窩部に激痛がみられます。 急性期を過ぎると 痛み・腫れ・可動域制限はいずれも軽快してきます。しかしこの頃になると損傷部位によっては膝の不安定感が徐々に目立ってくることがあります。下り坂やひねり動作の際に症状が顕著となります。 慢性期の症例(受傷から時間がたった場合) 前十字靭帯損傷と比べると膝の機能障害は軽度ですが、歩行やスポーツ時に脛骨の後方ストレス(不安定感)を感じます。 また、関節軟骨変性による膝蓋大腿関節や内側の関節裂隙の圧痛や、仰向けで膝関節を90度屈曲すると、脛骨近位端が後方へ移動する落ち込み徴候(サギングサイン)が確認できます。 不安定感を放置してしまうと半月(板)損傷や軟骨損傷などを新たに引き起こし、慢性的な痛みや腫れ(水腫)が出現するおそれもあります。 まとめ|後十字靭帯損傷にお悩みの方は再生医療に注目 靱帯損傷は、靭帯の一部あるいは全部が断裂してしまうことです。 当院では、自己脂肪由来幹細胞治療やPRP療法を行っています。 後十字靭帯損傷後に膝の不安定感があったり、スポーツに早期復帰したいという方のために、膝の靭帯損傷をより早く治すために再生医療を提供しています。ご興味のある方は、ぜひ一度当院の無料相談を受けてみてください。 参考文献 膝の最前線. 理学療法科学 第23巻2号 「膝靭帯損傷」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる プライマリケアのための関節のみかた 下肢編(2)―膝(下)[臨床医学講座より] - 医科 - 学術・研究 | 兵庫県保険医協会
2023.09.07 -
- 靭帯損傷
- ひざ関節
「膝の外側に痛みがあり、動かすたびに不安定感を感じる..」 このような症状に悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。 外側側副靱帯損傷は、日常的に頻発する怪我ではないものの、適切な治療がなければ膝の機能に後遺症が残りやすく、場合によっては手術が必要になることもあります。とくにスポーツや事故による強い衝撃で起こることが多く、早期の診断と治療が重要です。 当院では、このような外側側副靱帯損傷に対して、再生医療も含めた治療法を提案し、患者様に合った治療選択ができるようサポートしています。本記事では、外側側副靱帯損傷の原因や症状、治療方法について詳しく解説し、適切な対策を知るための知識をお伝えします。是非お読みいただき、膝の健康を守るための一助となれば幸いです。 外側側副靭帯損傷とは 外側側副靱帯(がいそくそくふくじんたい)損傷は、膝の外側にある靭帯がスポーツや交通事故で外傷による損傷する怪我です。膝の関節は太ももの骨である大腿骨(だいたいこつ)とすねの骨である脛骨(けいこつ)、お皿の骨である膝蓋骨(しつがいこつ)からできています。比較的平らな面同士が合わさってできており、安定性に欠くため、大腿骨と脛骨の間を別の組織で補強しています。 外側側副靱帯損傷は、いくつかある靭帯損傷の中でも、比較的まれな怪我ですが、他の靭帯と一緒に損傷することが多く、場合によっては手術が必要になります。 なお、靭帯損傷の原因や治療法については、以下の記事が参考になります。 「三段階」に分かれる症状 靭帯は膝関節を補強する組織の1つで、骨同士を固い組織でつなぎ、膝の安定性を高めています。外側側副靱帯は膝の外側にあり、膝の内側からの衝撃に抵抗する靭帯です。そのため、膝の内側から強い衝撃が加わると、外側側副靱帯にストレスが加わり、場合によって靭帯が傷ついたり、ちぎれたりして、外側側副靱帯損傷を引き起こします。 外側側副靱帯損傷の症状は損傷の程度に応じて三段階に分かれ、それぞれ異なる治療が必要になります。 症状の概要 具体的な症状 軽度の損傷 靭帯の微細な損傷で、腫れや軽度の痛みを伴いますが、膝の不安定さはありません。通常、数週間で自然に回復します。 中程度の損傷 靭帯が部分的に断裂し、腫れや痛みが強くなり、膝が少し不安定になることがあります。安静とリハビリが必要で、回復まで数カ月かかることもあります。 重度の損傷 靭帯が完全に断裂し、膝の強い不安定感を伴います。手術が必要となる場合が多く、回復には長期間のリハビリが必要です。 外側側副靱帯損傷の原因 外側側副靱帯は靭帯損傷の中でも比較的めずらしい怪我です。単独で生じることは少ないですが、外側側副靱帯が損傷している場合の特有の症状や原因があります。 外側側副靱帯損傷の原因は大きく分けて、スポーツ中の接触と交通事故に分けられます。スポーツでは、サッカーやラグビーのタックルや柔道の足払いなどで膝の内側に強い衝撃が加わり、外側側副靱帯が強制的に伸ばされて起こります。 交通事故の場合も、スポーツ同様に膝の外側が無理に伸ばされるような衝撃を受けることで、外側側副靱帯が損傷されるのです。どちらにせよ強い衝撃が原因となるため、外側側副靱帯が単独で損傷することは少なく、他の靱帯や半月板といった組織の損傷と合わさる場合が少なくありません。 外側側副靱帯損傷の症状 外側側副靱帯の損傷の症状は、膝の外側の痛みや腫れです。また、膝から下が内側に傾くような動きが生じると、傷ついた靱帯が伸ばされるため、痛みを生じます。たとえば、あぐらをかいた場合に膝の外側が痛い状態です。外側側副靱帯を損傷した状態で放置すると、膝がグラグラするように不安定感が生じます。 外側側副靱帯損傷の診断 外側側副靱帯が損傷しているかどうかは、以下の方法で診断されます。 診断方法 ・徒手検査(としゅけんさ) ・画像診断 それぞれの診断について具体的に解説します。 徒手検査(ストレステスト) 患者を仰向けに寝かせた状態で膝の内側と足首の外側を持ち、膝から下を内側に動かすように力を入れて、外側側副靱帯にストレスを加える内反(ないはん)ストレステストと呼ばれる検査をします。内反ストレステストで、痛みや関節が通常より大きく動く不安定性を認めた場合は、外側側副靱帯損傷が疑われます。 膝を軽く曲げた状態と完全に伸ばした状態といった両方の姿勢で検査を行い、膝屈曲位で症状が出た場合は外側側副靱帯の損傷、伸ばした状態で症状が出た場合は、他の靱帯の損傷も疑うことが必要です。 画像診断 外側側副靱帯の損傷はレントゲンでは異常を示しづらく、詳細な診断にはMRIを用います。MRIだと他の靭帯や半月板などの組織もはっきりと写るため、複合損傷や合併症の確認にも有効です。膝の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。 外側側副靱帯損傷の治療 外側側副靱帯損傷の治療外側側副靱帯の損傷の治療方法は手術を行わない保存療法と、手術を行う手術療法に分けられます。それぞれの治療方法について具体的に解説します。 保存療法 外側側副靱帯のみの損傷で、膝の不安定感が少なく、日常生活に大きな支障がなければ、手術による外科的な治療を行わない保存療法が選択されます。保存療法には装具療法やリハビリテーションがあります。 装具療法(テーピング・ギプスなど) 外側側副靱帯損傷により、膝が不安定になれば、さらなる損傷や膝周辺の痛みを伴うリスクが高まります。そのため、テーピングやギプスを着用して、膝の安定性を高めれば、外側側副靱帯へのストレスを減らせます。まず、怪我の直後(約1〜2週間)は、痛みや腫れが強い場合が多いため、膝の負担を軽減する目的でギプスや専用の装具で完全に固定します。この間は、膝にかかる負担を極力減らし、できるだけ安静にすることが重要です。 装具やサポーターの使用方法 以下は具体的な装具使用の目安です: 装着期間:リハビリ初期から約1〜3カ月間、必要に応じて日中はサポーターを着用する。 強度と頻度:日常生活では中等度のサポート力があるサポーターを使用し、膝の安定感を補います。運動や軽いトレーニング時には、強度が高いサポーターに切り替え、膝にかかる負担をさらに軽減します。 装着時間:運動や立ち仕事をする際には常に装着し、リラックスする時間帯や寝るときには外して膝を休ませるようにします。 リハビリテーション リハビリテーションでは、膝の安定性を高め、再発を防ぐために膝周辺の筋力を鍛える筋力トレーニングが行われます。初期の段階では、膝への負担が少ない静的な筋力トレーニングから始め、太ももやふくらはぎの筋肉を強化します。たとえば、週に3〜5回、各10〜15分程度の軽いトレーニングを推奨します。 トレーニングの例 静的トレーニング:たとえば「クアッドセッティング」(太ももの筋肉を収縮させる運動)や、「かかと押し運動」などを行い、膝に負荷をかけず筋力をつけます。 負荷の強化:リハビリが進むにつれ、少しずつ動的な運動やスクワットなどを加えて、膝周りの筋力を強化します。 関節の可動域を広げるストレッチと練習 装具で固定していたことによる関節の動きの制限を改善するため、1日に数回、各5〜10分程度のストレッチや可動域練習を行います。膝の柔軟性を取り戻すため、次のようなストレッチを行います。 ストレッチ例:「太ももの裏を伸ばすストレッチ」や「膝を曲げ伸ばしする運動」をゆっくりと行い、膝関節の動きをスムーズにします。 手術療法 複合靭帯損傷の場合や膝の不安定性が強い場合は、手術による治療が適応になります。手術は損傷した靱帯を他の部分の靱帯を使って再建する靱帯再建術が実施されます。手術後は状態に合わせて段階的なリハビリテーションが必要です。その後、スポーツ復帰して試合などの通常に戻れるまでは、3〜6カ月の治療期間がかかります。 再生医療 複合靭帯損傷や膝の不安定性が強い場合、一般的には靱帯再建術などの手術が適応され、損傷した靱帯を他の部位の靱帯を用いて再建します。手術後は状態に合わせた段階的なリハビリテーションが不可欠で、通常、スポーツや試合に完全復帰するまでに3〜6カ月の治療期間が必要です。 近年では、従来の手術やリハビリだけでなく、**再生医療(幹細胞治療やPRP療法)**も注目されています。再生医療は損傷した組織の再生を促し、後遺症を軽減しながら短期間での回復が期待できる治療法です。この治療は、スポーツ選手や早期の回復を望む人、後遺症や再発を防ぎたい人におすすめです。 再生医療の特徴と効果 特徴:幹細胞やPRP(自己血小板血漿)を用いることで、膝靱帯の損傷部位の組織再生を促進します。 効果:従来治療と比べ、短期間での回復が期待でき、後遺症の軽減や再発の防止に効果的とされています。 幹細胞治療 幹細胞治療は、人体にある「幹細胞」という、さまざまな組織に変化する能力を持つ細胞を利用した再生医療の一つです。幹細胞は通常は活動しませんが、体内の損傷や細胞減少を感知すると、分裂して傷ついたり不足している細胞に変わり、体の機能を修復します。 当クリニックでは、自己脂肪から採取した幹細胞を培養・増殖し、関節や組織に注入する「自己脂肪由来幹細胞治療」を行っています。この治療では、患者自身の細胞を使用するため、アレルギーや拒絶反応のリスクが低く、安全性の高い技術として注目されています。 幹細胞治療は、スポーツ障害や関節疾患の他、脳卒中や脊髄損傷、糖尿病、肝疾患などにも対応でき、さまざまな疾患への適応が期待されています。直接注射が難しい部位には、静脈注射によって幹細胞を体内に導入し、全身を巡らせることで臓器や組織の修復を促します。 PRP治療 PRP(Platelet Rich Plasma:多血小板血漿)治療は、再生医療の一種で、患者自身の血液から血小板を高濃度に抽出して患部に注入し、体の持つ「治癒力」を活性化させる治療法です。PRPには血小板が豊富に含まれており、血小板が分泌する成長因子が傷ついた組織の修復を促します。この治療により、痛みを軽減し、自己治癒力を高める効果が期待されます。 PRP治療の基本原理は、損傷した部位に新たな「ケガ」を作り出すことです。これにより、治癒が停滞していた組織が「損傷を受けている」と認識し、血小板成分による炎症反応と自己修復が再び活性化します。PRPには通常の血液の3〜5倍もの成長因子が含まれ、これが損傷した組織や細胞の修復を促進するため、早期の改善が期待できます。 外側側副靱帯損傷の治療選択は医師の診断で 外側側副靱帯損傷は、頻度が高い怪我ではありませんが、治療をせずに放置すると、膝の痛みや損傷部位の悪化を招く危険性があります。 診断には徒手検査やMRIなどの画像診断が用いられ、損傷の程度や他の合併症の有無が確認されます。治療法としては、保存療法(装具やリハビリによる膝の安定強化)が軽度の場合に適用され、重度の損傷や複合損傷には靱帯再建術などの手術が行われます。手術後は段階的なリハビリを必要とし、回復には数カ月を要します。 近年では、再生医療(幹細胞治療やPRP療法)も選択肢の一つとして注目されており、組織の再生を促し、回復期間を短縮させる効果が期待されています。とくに後遺症や再発を避けたい場合には再生医療も検討することをおすすめします。 膝の外側が痛んだり、膝がグラグラするような不安を感じたりした場合は、できるだけ早めに整形外科に受診しましょう。
2023.09.04 -
- 靭帯損傷
- ひざ関節
「ランナー膝の治し方を知りたい」「ランナー膝の原因って何?」 ランニングなどによって膝の痛みが出るランナー膝ですが、原因や改善策を知りたい方も多いのではないでしょうか。 ランナー膝は、適切な対策を取らないと慢性的な痛みへと発展する恐れがあります。 多くのランナーが悩む症状ですが、実は自宅でも改善できる方法もあります。 この記事では、症状を軽減する方法から、予防対策まで具体的に解説していきます。最後まで読めば、ランナー膝をぜひ最後までお読みください。 ランナー膝(腸脛靭帯炎)の治し方3選 ランナー膝(腸脛靭帯炎)は、膝の外側に痛みが生じるスポーツ障害です。とくに長距離ランナーに多く見られ、初期の対処が重要です。治療法は主に以下の3つがあります。 保存療法(安静・ストレッチ・リハビリなど) 運動環境・フォームの改善療法 外科的治療・再生医療 まずは自宅でできる保存療法、次はフォームや運動環境の改善、最後に外科の治療や再生医療といった選択肢です。ここからは、それぞれの方法について詳しく解説していきます。 保存療法(安静・ストレッチ・リハビリなど) 保存療法は、ランナー膝の最も一般的な治療法です。 痛みや炎症がある場合はランナー膝の原因となる運動を中止し、安静にするよう心がけましょう。膝をアイシングしたり、湿布を使ったりするのも効果的です。 炎症が改善したら、大腿筋膜張筋や股関節外側部を中心としたストレッチを行います。 リハビリで筋力を回復させることで、再発予防にもつながります。(文献1) 運動環境・フォームの改善療法 ランナー膝は、走る際のフォームや、履いているシューズを変えることで改善できる場合があります。 上半身が左右に揺れたり、膝が内側に入ったりする走り方は、ランナー膝を悪化させる原因になりかねません。そのため、体幹や股関節、足首などを強化し、膝に負担がかかりにくいフォームに矯正する必要があります。 また、着地時の衝撃を吸収してくれるインソールや、膝の動きを支えるサポーターなどを活用するのも良いでしょう。(文献2) 運動環境やフォームの改善は、ランナー膝の治療だけでなく予防にも効果的です。とくに日常的にランニングをする方は、普段から正しい走り方を意識し、膝の負担を軽減するシューズの使用がおすすめです。 外科的治療・再生医療 症状によっては外科的治療や再生医療も選択肢に含まれます。 ランナー膝の外科的治療は一般的でないものの、保存療法で効果が見られない場合や、難治性と診断された場合は手術を検討します(文献3)。 また、PRP療法をはじめとする再生医療を実施するケースもあります。PRP療法は、自分の血液から抽出した成分を注入し組織の再生を促進する方法であり、炎症の抑制や痛みの軽減が期待できます。 膝の痛みを再生医療を用いて治療する方法は、以下の記事もご覧ください。 ランナー膝(腸脛靭帯炎)における原因 ランナー膝(腸脛靭帯炎)は、膝の外側に痛みを引き起こすランニング障害です。 主な原因は以下の2つにわかれます。 ランナー膝の原因 詳細 選手側の問題 筋力のアンバランス 柔軟性の不足 O脚(内反膝) 練習内容や環境の問題 オーバートレーニング 不適切な靴 選手側が要因となるO脚では、腸脛靭帯が大腿骨に擦れやすく炎症のリスクを高めます。 また、オーバートレーニングのほか、下り坂・不整地でのランニングも摩擦が増して症状を悪化させる要因です。 ランナー膝(腸脛靭帯炎)の症状 ランナー膝(腸脛靭帯炎)は、膝の外側に痛みが生じる症状が特徴です。 軽症の場合、スポーツ後に痛みが出る程度ですが、放置すると中等症へ進行し、プレー中にも痛みを感じるようになります。 悪化すると、スポーツをしていないときでも痛みが現れ、日常生活にも影響する可能性があります。 重症化すると手術などの外科的治療が必要になり、入院やリハビリ期間が長引く可能性が高くなるため、膝の痛みを感じたら早めに整形外科に相談しましょう。 ランナー膝(腸脛靭帯炎)の診断 ランナー膝(腸脛靭帯炎)は、ランニングやジャンプの動作時や日常生活での痛み、膝の外側の圧痛の有無をヒアリングすることで診断されます。 また、レントゲンやMRIなどの画像診断や、「グラスピングテスト」と呼ばれる方法を用いて診断するケースもあります。 まとめ|ランナー膝は保存療法で効果が見られないなら他の治療法も検討しよう ランナー膝の治療は、保存療法だけでなく、予防対策を意識した運動環境・フォーム改善療法も並行しておこないます。再発を繰り返す場合や難治性と診断された場合は、手術療法や再生医療といった選択肢も検討しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、自己の幹細胞を用いた再生医療を提供しています。膝の靭帯部分に幹細胞を投与することで、手術なしで症状を改善できるケースもあります。 従来の保存療法や運動療法による治療で効果がみられない場合は、ぜひ当院の再生医療もご検討いただければ幸いです。 メールでの無料相談やオンラインカウンセリングも実施しておりますので、お気軽にご相談ください。 この記事がランナー膝の治療方法の選択肢を知るのに役立ち、治療を受けるきっかけになれば嬉しく思います。 ランナー膝(腸脛靭帯炎)についてよくある質問 ランナー膝(腸脛靭帯炎)ではどこをほぐすべきですか? ランナー膝の改善には、腸脛靭帯自体を直接ほぐすのではなく、大腿筋膜張筋や股関節、大腿部前面を重点的にストレッチするのが有効です。 フォームローラーやストレッチを使い、これらの筋肉を柔らかくし、症状の緩和と再発防止につながります。 ランナー膝のストレッチについては以下の記事もご覧ください。 ランナー膝でやってはいけないことは何ですか? ランナー膝の痛みを感じた際は、無理に動かさずスポーツを中止して安静にしましょう。とくに下り坂や傾斜がきついコースでのランニングは、膝に負担をかけやすいため控えるべきです。 負荷を調整しつつ、適切なストレッチやリハビリを行うことを意識してみてください。 ランナー膝を早く改善するポイントについては以下の記事でも解説しておりますので、ぜひご覧ください。
2023.08.31 -
- 靭帯損傷
- 膝の内側の痛み
- ひざ関節
内側側副(ないそくそくふく)靭帯損傷は、内側側副靭帯という膝の内側の安定性を保っている靭帯が何らかの原因で損傷を受けることです。 今回は、医師の目線から、内側側副靭帯損傷の症状や治療法について解説します。 内側側副靭帯損傷(MCL)とは? 内側側副(ないそくそくふく)靭帯損傷(MCL)とは、膝関節の裏側にある内側側副靭帯によくみられる外傷です。 靭帯が何らかの原因で損傷を受けた状態を指します。 内側側副靭帯損傷は、後述しますが珍しいものではありません。 自力での治療は難しいため、症状が疑われた場合は、早めに医師の診察を受けることが大切です。 また、放置してしまうと悪化する恐れがあるので、早めに受診しましょう。 なお、靭帯損傷の原因や治療法については、以下の記事が参考になります。 内側側副靭帯の役割 内側側副靭帯は、膝の裏側にあって、関節が必要以上に開かないようにおさえる役割を果たします。 この靭帯は、膝関節に関わる大腿骨と脛骨をつないでいます。 しかし、2つの骨は、決して側面に受ける衝撃に強くありません。 しかし内側側副靭帯があることで、外部からの衝撃に耐性を発揮できます。 結果として、この靭帯により、強い衝撃があっても必要以上に関節が開かないようになります。 なお、膝関節には、前十字靭帯と後十字靭帯という靭帯があり、関節の側面には内側側副靭帯が、外側側副靭帯があります。 その中でも、内側側副靭帯は、特に膝の内側の安定性を保つ役割を持ちます。 内側側副靭帯損傷(MCL)の原因とは? スポーツ外傷や、交通事故などで、膝に外反強制(がいはんきょうせい:すねを無理に外側に向けられること)するような大きな力が加わった際に、内側側副靭帯損傷(MCL損傷)が起こりやすいとされています。 内側側副靭帯損傷は、膝の靭帯損傷の中で最も多いとされています。 メール相談:オンラインカウンセリングはこちら 内側側副靭帯損傷の4つの症状 次に、内側側副靭帯損傷に多い以下4つの症状に関して解説します。 痛みや腫れ 膝の不安定感 運動動作が困難になる 可動域の低下 内側側副靭帯損傷があると、上記する症状によって、スポーツへの参加や日常生活に支障が生じます。 それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。 内側側副靭帯損傷の症状①痛みや腫れ 急性期(怪我をしてから3週間頃)に、膝の痛みと可動域制限がみられます。 しばらくして腫れ(関節内血腫)が目立ってくることもあります。 急性期が過ぎると、重症度にもよりますが、一般的に痛みや腫れ、可動域制限は軽快してきます。 内側側副靭帯の損傷の症状②膝の不安定感 この頃になると損傷部位によっては膝の不安定感が徐々に目立ってくることがあります。 ひねり動作の際にはっきりすることが多いです。 内側側副靭帯損傷の場合は、膝の内側の不安定感が出ます。 この状態のまま放置しておくと、新たに半月(板)損傷や軟骨損傷などを生じ、慢性的な痛みや腫れ(水腫)になってしまうこともあります。 内側側副靭帯の損傷の症状③運動動作が困難になる さらに、以下のような形で運動動作を取るのが困難になります。 痛みや腫れによって、ランニング、ジャンプなどがしにくくなる 症状が重い場合は歩きにくくなる 膝の安定感が失われ、思うように方向転換できなくなる スポーツの参加はもちろん、日常生活でも感じる方が多いです。 また、トレーニングができなくなるため、筋力が低下するという問題もあります。 内側側副靭帯の損傷の症状④可動域の低下 内側側副靭帯の損傷によって、動かせる関節の範囲が限られます。 膝をまっすぐにしたり、自由に曲げたりするのが難しくなります。 膝が固くなったようにも感じられます。その結果、足を引きずったような歩き方になるかもしれません。 内側側副靭帯損傷の重症度 内側側副靭帯損傷は、American Medical Associationの分類によって、1〜3度に分かれます。 1度 軽症ですが、治療とリハビリを行うことが推奨されます。 2度 中等症で、膝の外反動揺性つまりぐらぐら感を中程度に認めます。 初期治療(ギ プス固定、装具療法など)が重要となります。 3度 重症で、膝の外反動揺性が顕著であり、手術を要する場合が多いです。 内側側副靭帯損傷の検査方法 それでは、次に内側側副靱帯の検査方法について解説します。 ストレステスト 診察では膝関節にストレスを加えて緩みの程度を健側と比較します。 ① 外反ストレステスト(valgus stress test) 患者が仰向けになり、膝を伸ばした姿勢と30°膝に曲げた姿勢の2パターンでチェックをします。 医師などの検査者が膝関節の外側に一方の手を置き、他方の手で足関節を持ち膝関節に外反強制力、つまりすねを内側に向ける力を加え、膝関節の外反不安定性をみます。 この際、30°屈曲位で外反不安定性があれば、MCL損傷を疑います。 MCL単独損傷では伸展位での不安定性は認めません。 ② 内反ストレステスト(varus stress test) 外反ストレステストとは逆に、医師などの検査者が膝関節の内側に一方の手を置き、他方の手で足関節を持ち膝関節に内反強制力、つまりすねを外側に向ける力を加え、膝関節の内反不安定性をみます。 この際、30°屈曲位で内反不安定性があれば、内側側副靱帯損傷を疑います。 画像検査 画像診断ではMRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断装置)が有用です。 X線(レントゲン)写真では靭帯は写りませんがMRIでは損傷した靭帯を描出できます。 また、半月(板)損傷合併の有無も同時に評価できます。 メール相談:オンラインカウンセリングはこちら 内側側副靭帯損傷の治療法 内側側副靭帯損傷の治療法は、損傷の程度や症状に基づいて決められます。 保存的治療 内側側副靭帯の単独靱帯損傷の場合には、手術ではなくリハビリテーション治療による保存的治療が選択されます。 受傷後急性期には、 RICE(安静または短期の固定、冷却、弾力包帯などによる圧迫、患肢の挙上)処置に引き続いて、できるだけ早期から筋力訓練を開始します。 サポーター装着 膝に不安定性がある場合は、損傷靱帯保護の目的で支柱付きのサポーター装用を考慮します。 手術療法 前十字靭帯や半月板との混合損傷や、重症度3度であり保存的治療では治らないことが予想される場合には手術療法が行われます。 再生医療 内側側副靭帯損傷を含むスポーツ外傷に対しては、再生医療という治療法もあります。 再生医療は幹細胞や血液を用いた治療法で、手術や入院を必要とせず、早期復帰が目指せる点が特徴です。 実際に、大相撲の大関琴桜関が右膝内側側副靭帯損傷の治療に再生医療を受け、わずか2回の治療で靭帯が回復して場所出場を果たした事例があります。 師匠の佐渡ケ嶽親方は「再生医療がバッチリ合った。2回打って(靱帯が)元に戻った感じ」とコメントしており、プロスポーツ選手にとって再生医療が早期復帰を実現する有効な選択肢となることが示されています。 ※出典:右膝痛め先場所途中休場、ロンドン公演休場の琴桜が九州場所出場決断 師匠「再生医療が合った」|日刊スポーツ 関連記事:次世代の再生医療とは メール相談:オンラインカウンセリングはこちら 内側側副靱帯損傷についてよくある質問 Q1:内側側副靱帯損傷は自然に治りますか? A1 :内側側副靱帯損傷は、損傷の程度が軽い場合や部分的な断裂では、膝関節周囲の血流が豊富で栄養供給が行われやすいため、治癒しやすく保存療法が行いやすいといえます。 しかし完全な断裂など、重症の場合は自然治癒は期待しがたいので、靭帯の再腱術を行うことが必要になります。 Q2:内側側副靱帯損傷の固定期間はどれくらいですか? A2:個人差はありますが、約1〜2週間程度ギプスシーネやニーブレースなどで固定後、靭帯矯正サポーターを装着し、リハビリテーションとして可動域、歩行訓練を行っていきます。 膝装具は一般的には約6週間以上装着します。 膝の可動域と不安定性が、怪我をしていない方の膝と同じレベルまで改善したらスポーツ復帰が可能となります。 まとめ|内側側副靭帯損傷(MCL)とは?早く治す方法を現役医師が解説 今回の記事では、内側側副靭帯損傷の症状や治療法について解説しました。 内側側副靱帯損傷が起こると、その治療には数週間を要する場合が多いです。 しかしながら、再生医療によって、治療期間や回復までの時間を短くできる可能性があります。 こちらの動画も是非ご覧ください。 https://youtu.be/ZYOV-Er0mnU?si=ka6C0oujvcAaaLKY 膝の靭帯のメカニズムと再生医療について解説。 また当院では、自己脂肪由来幹細胞治療を行うことで、膝の靭帯損傷をより早く治し、筋力低下などを防ぐための再生医療を提供しています。 ご興味のある方は、ぜひ一度当院の無料相談を受けてみてください。 この記事がご参考になれば幸いです。 メール相談:オンラインカウンセリングはこちら
2023.08.21 -
- 半月板損傷
- 靭帯損傷
- ひざ関節
- 動作時の痛み
冬のウィンタースポーツシーズンになると、スノーボードやスキーを楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。 ただし、スノーボードやスキーなどは、スピードが出るほか、転倒や衝突の危険性が高いスポーツです。また、膝を中心に使うスポーツであることから、膝の痛みや怪我を伴うケースも珍しくありません。 今回はスノーボードやスキーで起こりやすい膝の痛みや怪我について解説します。治療法や予防策についてもまとめているので、膝の痛みを我慢して症状を悪化させないよう、ぜひ参考にしてください。 スノーボードやスキーで起こりやすい膝の痛みや怪我 スノーボードやスキーなどによる膝の痛みの原因として最も多いのは、「前十字靭帯損傷」と「半月板損傷」です。 スノーボードやスキーでは、滑走中に膝を捻ってしまったり、ジャンプからの着地や転倒時に大きな負担がかかったりするため、膝の損傷や捻挫のリスクが高まります。 以下で、膝の痛みの原因となるそれぞれの怪我について詳しく見ていきましょう。 膝の痛みの原因|前十字靭帯損傷 前十字靭帯とは、膝の関節内にある靭帯のうちの一つです。前十字靭帯は、膝の捻りや前後のぐらつきを抑え、膝関節を安定させる役割を担います。 前十字靭帯損傷とは、具体的に以下のような靭帯の状態を意味します。 伸びている 部分的に裂けている 完全に裂けている(断裂) 前十字靭帯損傷は、ジャンプの着地や急な方向転換などで起こりやすい怪我です。 ▼ 前十字靭帯損傷の受診の目安について知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 前十字靭帯損傷の症状 前十字靭帯の受傷直後は、激しい痛みのために動けなくなるケースがほとんどです。なかには、「ブチッ」と筋肉が切れるような音が聞こえる場合もあります。 受傷直後には動けていても、時間が経過すると関節内血腫(関節内に血がたまる状態)が生じるとされています。そして、時間の経過とともに、痛みや腫れが強くなって動くことが難しくなります。 一般的には、2〜3週間で腫れや痛みが軽減されるものの、以下のような症状が継続して見られるケースも珍しくありません。 膝の不安定感 膝が外れる感じがする 膝に力が入らない 膝がすぐ腫れてしまう 膝が伸びない 正座ができない 前十字靭帯損傷の症状は、とくに膝を使う動作やスポーツ競技中などで現れます。 前十字靭帯損傷の診断 前十字靭帯損傷は、医師による診察やMRI検査によって診断されます。とくにMRI検査は靭帯の評価(靭帯の形状や靭帯の走行など)に有用です。また、骨折の有無を確認するためにレントゲン検査を用いる場合もあります。 前十字靭帯損傷の治療法 前十字靭帯損傷の治療法は、主に保存療法と手術療法の2種類です。以下で、それぞれの治療法について解説します。 保存療法 前十字靭帯損傷の保存療法では、大腿四頭筋などの筋力訓練を行い、必要に応じて装具を使用することで、日常生活や軽度のスポーツ活動への復帰を目指します。 この治療法は手術を伴わないため、体への負担が軽い点が特徴です。 一方で、保存療法では膝の安定性が十分に確保されない場合があり、痛みや不安定感が続くことがあります。 そのため、適切なリハビリを行わない場合、半月板損傷や他の靭帯損傷といった二次損傷のリスクが高まる可能性があります。 以前は、スポーツ活動への復帰を目指さない場合に保存療法が一般的に選択されていましたが、近年は、膝の不安定性が長期的に関節軟骨や半月板に負担をかけ、変形性膝関節症などの膝関節の変性リスクを高める可能性が示唆されています。そのため、若年者に対しても保存療法ではなく手術療法が推奨されるケースがあります。 手術療法 前十字靭帯は断裂すると自然に修復されず、必要に応じて再建術を行います。前十字靭帯再建術では、膝の後内側にある屈筋腱を移植する自家移植が一般的です。 手術後はリハビリが必須ではあるものの、手術から10~12カ月後にはスポーツ復帰が見込めます。 前十字靱帯損傷を放置すると、膝が安定性を失い、ガクッと崩れ落ちてしまったり、膝があらゆる方向に捻じれやすくなったりします。 前十字靱帯損傷によって膝が安定しない状態が続くと、半月板や関節軟骨に負荷がかかるため注意が必要です。 ▼ 前十字靭帯損傷の手術をしない場合に考えられるリスクについては、以下の記事で詳しく解説しています。 膝の痛みの原因|半月板損傷 半月板とは、膝関節の大腿骨と脛骨の間にある線維軟骨です。膝の内側と外側にあり、膝にかかる衝撃を吸収する働きがあります。 半月板損傷は、半月板に亀裂が生じたり、欠けたりした状態のことです。若年者から高齢者まで世代を問わず発症し、慢性化すると変形性膝関節症を引き起こす可能性もあります。 半月板損傷の症状 半月板損傷の程度によって異なるものの、主な症状は以下の通りです。 膝の曲げ伸ばしが困難になる 膝を動かすと激しい痛みが生じる 膝に水が溜まる 膝が腫れて圧痛が生じる 膝関節が突然ロックされたように動かせなくなる(ロッキング) ロッキングが起こると歩行困難になる場合があるなど、日常生活に支障をきたします。とくに運動中や階段の昇降時などに強い痛みを感じる傾向にあります。 ▼ 半月板損傷の症状について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。 半月板損傷の診断 半月板損傷の診断方法は、医師による診察やMRI検査などです。状況に応じて、膝関節内にカメラ(関節鏡)を入れて直接損傷の程度を確認する、関節鏡検査を行う場合もあります。 半月板損傷の治療法 半月板損傷の主な治療法として、保存治療と手術療法の2種類があります。 保存療法 半月板損傷が軽度の場合は、保存療法を選択するケースがほとんどです。保存療法では、サポーターで患部を固定し、抗炎症薬などの薬物療法やリハビリを中心とした治療を行います。 保存療法で痛みや症状が改善されない場合や、ロッキングなどの症状が続く場合には、手術療法を検討する必要があります。 手術療法 亀裂部位の幅が1cm以上の場合や、保存療法による効果が見られない場合は、手術療法を選択することが一般的です。半月板損傷の手術には、損傷した部分を切り取る切除術と、損傷した部分を縫い合わせる縫合術の2種類があり、関節鏡を使った鏡視下手術が行われます。 切除術の場合、半月板を取り除くことで膝軟骨の消耗が進んでしまう可能性があるため、近年は縫合術が選択されるのが一般的です。一方で、損傷した半月板の状態によって縫合が難しいと判断された場合には切除術が行われます。 手術後はリハビリが必須で、スポーツへ復帰までの期間は半月板切除術で約3カ月、半月板縫合術で約6カ月とされています。 ▼ 半月板損傷の手術のメリット・デメリットについて知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 再生医療ならスノーボードやスキーによる膝の痛みの軽減に効果的 スノーボードやスキーによる膝の痛みを軽減するためには、再生医療という選択肢もあります。再生医療とは、幹細胞や血小板の投与によって、症状の改善を目指す治療方法です。 リペアセルクリニックでは、半月板損傷・半月板断裂に対する再生医療・幹細胞治療を行っています。以下で、当院における半月板損傷に対する再生医療の症例を紹介するので、ぜひ参考にしてください。 症例1.スノーボードで受傷した半月板損傷に対する再生医療 50代の男性は、スノーボードをしていて膝に違和感を感じ、その後に足を踏ん張ったときに強い痛みが現れました。しばらくして症状が和らいだものの、階段の昇降時に痛みが認められました。 半月板は、一度損傷すると自然治癒することはありません。半月板損傷はたとえ痛みがなくなっても、放置すると悪化するリスクが高い怪我の一つです。 当院のレントゲン所見にて、半月板の水平断裂が認められたため、膝関節に幹細胞5000万個を3回投与しました。当院における脂肪由来の幹細胞を用いた再生医療は、身体に大きな負担をかけずに半月板の損傷や断裂に対する治療が可能です。 初回の投与から約1カ月で効果が現れはじめ、2カ月が経つ頃には膝の痛みがなくなりました。スノーボードを継続するため、幹細胞の投与と並行して、筋肉トレーニングとストレッチにも取り組んだ事例です。 ▼ こちらの症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。 症例2.スキーができないほどの膝の痛みに対する再生医療 60代の男性は、昔からスキーをよくしており、約15年前から膝に痛みを感じていました。当院を受診する3年前には、ほかのクリニックでPRP療法を受けたそうです。その後、少し痛みが和らいだものの、普段の生活に支障が出始めて幹細胞治療を選択しました。 MRIとレントゲン検査の結果、半月板損傷と膝の変形が認められたため、両膝に各2500万個の幹細胞を2回投与しました。初回の投与から1カ月で痛みがほぼ半減し、2カ月が経つ頃には両膝とも10分の1まで痛みがなくなった事例です。 同時に、左膝周りの筋力低下に対するトレーニングを指導し、膝の動きを良くするためのリハビリテーションを実施しました。これにより、両膝とも正常な可動域が得られるまで回復しました。 ▼ こちらの症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。 スノーボードやスキーによる膝の痛みや怪我の予防策 スノーボードやスキーによる膝の痛みや怪我を予防するためには、運動前のストレッチやサポーターの使用などが効果的です。 以下で、膝の痛みや怪我の予防策を解説するので、ぜひ参考にしてください。 滑る前にしっかりとストレッチする スノーボードやスキー中に膝を痛めないよう、滑る前にはしっかりとストレッチをしましょう。膝周りの筋肉をほぐしておくと、膝関節を柔軟に保てるようになり、転倒や衝突などによる怪我のリスクを減らせます。 具体的には、以下を中心としたストレッチがおすすめです。 大腿四頭筋(太ももの前) ハムストリングス(太ももの後ろ) 股関節周り 雪山でのウィンタースポーツは、体を冷やしやすいため注意が必要です。10〜15分くらいかけてしっかりとウォームアップしておくと、身体の柔軟性が高まり、怪我の防止につながります。 サポーターやプロテクターを使用する スノーボードやスキーによる膝の痛みを予防するためには、サポーターやプロテクターの使用も効果的です。サポーターやプロテクターは、外部からの衝撃や過剰な負担から膝を守ります。また、膝を過度に捻らないようにするための役割も担います。 スノーボードやスキーでは、突発的な怪我が多い傾向にあります。たとえ膝に痛みがない場合でも、怪我の予防のために、サポーターやプロテクターを着用しておくと安心です。 日頃から筋力トレーニングをする 日頃から筋力トレーニングに取り組んでおくと、スノーボードやスキー中の怪我の予防につながります。膝周りの筋力を強化すると安定性が増し、膝に過度な負担がかかることを防ぎます。 怪我の予防には、膝周りだけではなく、太ももやお尻、ふくらはぎの筋力強化も効果的です。スクワットのほか、体幹を鍛えるために片足で立ったり、バランスボールを使ったりするトレーニングも膝の安定性を高めることに役立ちます。 まとめ・スノーボードやスキーによる膝の痛みを感じたら早めに医療機関を受診しよう スノーボードやスキーで怪我をして膝の痛みを抱えると、日常生活にも支障をきたす可能性があります。運動前のストレッチやプロテクターの着用などによって、怪我を予防しましょう。 スノーボードやスキーを楽しんだ後に膝の痛みを感じる場合は、前十字靭帯損傷や半月板損傷などが疑われます。適切な治療を受けるためにも、膝の痛みを感じたら早めに医療機関を受診してください。 また、前十字靭帯損傷や半月板損傷の治療後は、怪我をしたときと同じ動作を続けると、再び膝を損傷する可能性があるため注意が必要です。スノーボードやスキーを楽しむためにも、普段からストレッチや筋力トレーニングを習慣づけ、全身の柔軟性を保つようにしましょう。 半月板損傷などの膝の痛みの治療には、再生医療という選択肢もあります。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。再生医療をご検討の際は、ぜひ気軽にご相談ください。
2023.02.01 -
- 靭帯損傷
- ひざ関節
- 動作時の痛み
「前十字靭帯が断裂した場合、スポーツ復帰はいつ頃なのか」「そもそも復帰できるのかが心配」と考えている方もいるでしょう。 結論、前十字靭帯断裂(損傷)のスポーツ復帰は半年〜1年が目安とされています。 前十字靭帯断裂が軽度であっても、放置すると他の症状が発症するリスクがあるだけでなく自然に修復されないので、基本的には手術が必要です。 【前十字靭帯断裂の手術後の流れ】 1週間程度(最短4日)の入院期間中は車いす生活 退院後は松葉杖で足を安静にする リハビリを継続していれば1カ月で日常生活が可能 →前十字靭帯断裂の再建術後、33〜92%が1年以内にスポーツ復帰! 本記事では前十字靭帯断裂の再建術後、スポーツ復帰できる目安や、手術しないリスクなどを解説します。 治療法や前十字靭帯断裂が起きたままスポーツをするリスクなども解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。 前十字靭帯断裂(損傷)のスポーツ復帰は半年〜1年が目安 前十字靭帯断裂の手術(再建術)後、スポーツ復帰できる目安は半年から1年です。 1週間程度(最短4日)の入院期間中は車いす生活で、退院後は松葉杖となり、きちんとリハビリを継続していれば1カ月で日常生活が可能です。 中には、最短3カ月で歩けるまで回復した患者様もいます。 国立医学図書館に掲載された情報によると、前十字靭帯断裂の再建術後、スポーツ復帰にかかる期間は「6カ月」と記載されています。 なお、研究結果によると再建術後、33〜92%もの方が1年でスポーツ復帰できたという結果もあるのです。 損傷の程度には個人差があるため、スポーツ復帰までの期間だけでなく「そもそも復帰できるのか」も変動すると把握しておきましょう。 前十字靭帯断裂の程度によって異なるスポーツ復帰できるまでの期間が気になる方は、以下の記事をご確認ください。 前十字靭帯断裂後のスポーツ復帰を阻害する因子と対策 前十字靭帯断裂を手術(再建術)後であっても、様々な要因によってスポーツ復帰が難しい場合があります。 ここでは、その因子について大きく4つに分けて紹介します。 膝伸展筋力の回復が不十分 再受傷への恐怖や心理的要因 スポーツへの早期復帰による再損傷リスク 対策方法も解説しますので、前十字靭帯断裂から早期復活を考える場合は参考にしてください。 膝伸展筋力の回復が不十分 膝伸展筋力の回復が不十分な場合、とくに激しいスポーツへの復帰は遅くなってしまいます。 再建術後のスポーツ復帰において筋力回復は必須事項であり、膝伸展筋力健患比80%※以上が基準の一つとされています。 ※出典:第9回日本スポーツ理学療法学会 学術大会 特に大腿四頭筋の筋力回復が不十分な場合、ジャンプや方向転換など高負荷動作が難しいだけでなく、股関節の安定性も損なわれ、思うように動かせないことも。 膝伸展筋力の回復を十分にするためにも、術後早期からの適切な筋力トレーニングが重要です。 ただし、術後2~3ヶ月の期間は最も脆弱な状態とも言われているので、焦らず地道なトレーニングとリハビリを行いましょう。 再受傷への恐怖や心理的要因 「再び前十字靭帯断裂を引き起こしてしまうのではないか」という恐怖心を含む心理的要因も、スポーツ復帰を阻害する要因です。 研究によると、再建術後のスポーツ復帰した患者のうち20%が再受傷の恐怖により、17.8%が膝関節の不安定性と痛みにより同レベルには復帰しなかったと報告されています。 また、再受傷自体の発生率も若年アスリートで約23-31%、術後5年以上で健常側が約11.8%などと、決して低い数字ではありません。 筋力の回復が不十分だったことによる膝の不安定性も、断裂前の感覚と異なることで心理的に億劫になりがちです。 再受傷への恐怖を克服するには地道なリハビリやトレーニングを続けつつ、小さな成功体験の積み上げといった自己効力感を生むことが大切になります。 医師や理学療法士といったスポーツ復帰への協力者や、身近な支援者と密にコミュニケーションを取りながら、少しずつ状態を良くしていくことを目指しましょう。 ※参考:膝前十字靭帯(ACL)損傷理学療法診療ガイドライン スポーツへの早期復帰による再損傷リスク 手術後、焦りからスポーツへの早期復帰を目指すことで、再損傷のリスクが高くなってしまう可能性があります。 「早い競技復帰」は再断裂の危険因子になるため、再損傷してしまうことでさらに本調子まで遠のくことを回避するためにも、手術後は段階的にリハビリを行いましょう。 段階的復帰を目指すリハビリとしては、以下が1つの例になります。 術後2週:ACL用膝硬性装具を装着下で全全荷重歩行 術後3ヵ月:ジョギング開始 術後6ヵ月:ノンコンタクト練習開始 術後8ヵ月:ノンコンタクトスポーツ復帰 術後10ヵ月:コンタクトスポーツ復帰 個人差はありますが地道なリハビリを続けていけば、元通り活動することは十分に可能です。 しかし、後遺症が残ったり思うような回復が見込まれない場合は、自然治癒能力を高める最先端の治療法である「再生医療(幹細胞治療)」もご検討ください。 当院「リペアセルクリニック」では、腱や骨といった特定の部位に、高い効果が期待できる「分化誘導」という最先端の再生医療技術を提供しております。 まずはどんなご相談でも大丈夫ですので、本当にこのまま治るのか不安な方や、別のアプローチを考えたい方は、当院までお気軽にご相談ください。 ※参考:東海スポーツ傷害研究会会誌:Vol.33(Dec.2015)膝前十字靭帯再建術後の再受傷に関する調査 前十字靭帯断裂後の治療方法 前十字靭帯が断裂すると、自然に修復されません。 将来スポーツを行う可能性がある場合には、靱帯を再建する手術療法、将来的にスポーツなどをしない方であれば運動療法を行うのが一般的です。 それぞれの治療法について、詳しく解説していきます。 1.自家腱移植 「自家腱移植」は、自分の組織を用いて再建する方法です。 膝の内側にある腱(ハムストリング腱)や、前面の腱(膝蓋骨を割った骨付きの膝蓋腱)を使います。 手術は関節鏡を用いて、小さな切開を行います。 大腿骨と脛骨をつなぐトンネルをつくり、加工した腱を通して上下を金具で固定する手術です。 最低限の切開で、早くリハビリを始められる点からスポーツ選手がよく採用しています。 2.保護的早期運動療法 将来的にスポーツなどをしない方であれば、前十字靭帯専用の装具を装着して、リハビリをする治療を選択する場合もあります。 保存的治療ではいずれは日常生活やレクリエーションレベルの動作は可能ですが、競技スポーツへの復帰は困難とされています。 また前十字靭帯損傷後に手術を行わなかった場合、約6割の患者が変形性膝関節症になる報告がされているため注意しましょう。 治療を選択する際、きちんと損傷の程度を理解し、術後の生活やスポーツへの影響を考えて決める必要があるでしょう。 そもそも前十字靭帯とは 靭帯とは、コラーゲンや弾性線維でできている多少伸び縮み可能なひも状のような部位です。 関節で骨同士をつないで、過剰に骨が離れるのを防いで関節の安定性を保っています。 膝の関節は太ももの大腿骨(だいたいこつ)とすねの内側にある脛骨(けいこつ)、膝のお皿とよく呼ばれる膝蓋骨(しつがいこつ)の3つから成り立っています。 大腿骨と脛骨をつないでいる靱帯は、以下の4つです。 内側側副靱帯 外側側副靱帯 前十字靭帯 後十字靭帯 内側と外側側副靱帯は、膝関節の左右にあり、膝が左右にずれすぎないようにする役目をしています。 前と後十字靭帯は、大腿骨と脛骨の間で交差していて、前十字靭帯は脛骨が前に出すぎないようにしています。 前十字靭帯断裂の損傷分類 前十字靭帯の怪我を「前十字靭帯損傷」と言います。 前十字靭帯損傷は程度によって1度から3度までに分類され、数字が大きいほど損傷の強さを表しています。 1度損傷 前十字靭帯は切れておらず、軽い痛みと腫れのみ。膝の不安定さはない。 2度損傷 前十字靭帯は部分的に断裂し、膝には不安定さが現れる。 3度損傷 前十字靭帯が完全に断裂している。内出血も起きる。膝には不安定さがある。 上記のうち「前十字靭帯断裂」は2度と3度が該当しているのです。 前十字靭帯断裂が起きる原因 前十字靭帯断裂は、強い力で脛骨だけが前に押し出されたり、膝を過剰にひねると、前十字靭帯の限界を超えるため靱帯断裂が起こります。 損傷の原因にも、大きく分けて接触型と非接触型の2種類があり、それぞれの違いは以下の通りです。 損傷の原因 概要 接触型 膝に強い衝撃が加わり、靭帯が切れて発症する 非接触型 ジャンプの着地や方向転換で、膝を捻る動作で発症する 上記以外にも、サッカーやバスケットボール、バレーボールなどのスポーツをする方も発症しやすいため注意が必要です。 前十字靭帯断裂の症状 前十字靭帯が断裂した瞬間は膝の中で紐がちぎれたような感覚になる症状があります。 膝が腫れたり熱を持ったりする 膝がぐらぐらして不安定になる 歩行時に膝がガクッと崩れる感覚になる 膝に力が入らなくなる 膝が伸びなかったり曲がらなかったりする(可動域が制限) 前十字靭帯が断裂すると、上記のような症状も見られます。 しばらく放置すると痛みと腫れは引いてきますが、靱帯は勝手に治ることは少なく、膝の不安定さが残ります。 そのまま生活していると、膝関節の中にある半月板や軟骨も傷み、変形性膝関節症も発症するので注意しましょう。 以下の記事では、前十字靭帯断裂が軽度な方に向け、受診の目安や治療法を解説しました。 「軽度でも手術が必要なの?」と気になる方は、ぜひ参考にしてください。 前十字靭帯断裂の検査方法 前十字靭帯断裂が起きているか検査したい場合、MRI検査がおすすめです。 従来では関節鏡で前十字靭帯断裂を起こしているか確認していましたが、近年はMRI検査の技術が進歩しているため、ある程度は検査可能です。 また、膝の不安定さや力が加わるとどう痛みが出るか、触って確認するなど検査も行います。 当院でも検査を受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。 まとめ・前十字靭帯断裂をしてスポーツ復帰を早めたいなら適切なリハビリを! 前十字靭帯断裂は、膝の中の靭帯が切れた状態です。 とくにスポーツをしているときに多く発生する外傷です。 受傷直後は傷みや膝の腫れがありますが、時間が経てばその症状は軽くなります。 ただし、何も治療をしないと膝が不安定なままになったり、将来「変形性膝関節症」を発症する可能性もあります。 前十字靭帯断裂の可能性がある場合は、早期に整形外科を受診するのが重要です。 以下の記事では、前十字靭帯断裂が治るまでの期間について解説しました。 ぜひ、あわせてご覧ください。 前十字靭帯断裂のスポーツ復帰に関するよくある質問 ここからは、前十字靭帯断裂で1日でも早くスポーツ復帰したいと考える方に向け、よくある質問を取り上げます。 前十字靭帯断裂の手術をしないとどうなるの? 前十字靭帯断裂したままスポーツするリスクは? 前十字靭帯断裂の手術をしないで済むリハビリ方法はあるの? それぞれ回答しながら回答していくので、ぜひ参考にしてください。 前十字靭帯断裂の手術をしないとどうなるの? 前十字靭帯断裂で手術せず放置すると、変形性膝関節症が発症するリスクがあげられます。 軽度の場合、安静にしていると痛みや腫れが軽減される症例もあるため、いつも通りの日常生活に戻ってしまう方もいるでしょう。 しかし前十字靭帯断裂は自然回復する可能性が低く、慢性的な痛みや腫れが起きてしまいます。 そもそも前十字靭帯断裂は、靭帯が切れている状態なため、スポーツ復帰後に再断裂する可能性もあります。 スポーツ復帰するためにも、適切な手術を受けるのがおすすめです。 前十字靭帯断裂したままスポーツするリスクは? 前十字靭帯断裂したままスポーツすると、半月板損傷が起きるリスクを高めてしまいます。 膝のクッションが断裂し、軟骨に傷をつけてしまうため、ギプスをつけても自然回復が難しくなってしまうのです。 慢性的な症状が発症しないよう、早期の発見と治療を検討しましょう。 前十字靭帯断裂の手術をしないで済むリハビリ方法はあるの? 前十字靭帯断裂の手術をせず放置すると、変形性膝関節症や半月板損傷のリスクがあり、手術以外でスポーツ復帰は難しいと言えます。 しかし、中には競技を控えている方がテーピングで応急処置している方もいるでしょう。 前十字靭帯が完全に断裂している場合、手術以外で再生する可能性は限りなく低いため、適切な手術とリハビリが重要です。 「手術は傷が残るから……」と気になる方は、再生医療がおすすめです。 再生医療を用いれば、注射のみになるため、入院が不要になります。 前十字靭帯断裂の手術をしようと決断された方は、再生医療も1つの選択肢にあげてみてはいかがでしょうか。
2022.11.02 -
- 靭帯損傷
- ひざ関節
- 動作時の痛み
スポーツ選手の大きな怪我としてよく耳にする前十字靭帯断裂とは 、膝の関節内にある前十字靭帯が断裂するケガです。 受傷した場合、全治がいつになるのか気になる方も多いのではないでしょうか。特にスポーツ復帰までの時間が心配な方も多いことでしょう。 結論、前十字靭帯断裂は自然に治癒することはないため、手術やリハビリが必要となり、全治まで約8カ月〜10カ月程度の時間がかかります。 本記事では、歩けるまでの期間や仕事復帰までの期間だけでばく、入院やリハビリの期間も紹介しているので、全治までの流れを知りたい方は参考にしてみてください。 前十字靭帯断裂は全治までの期間は? 前十字靱帯断裂が全治するまでの期間は、手術やリハビリが必要なことにより約8カ月〜10カ月かかります。 一度前十字靱帯を断裂すると自然に治癒することはないため、手術を受けてリハビリを継続的に行う必要があります。 前十字靱帯損傷で損傷部分が少なく、症状があまり見られなければ、手術しなくても通常の日常生活を送れる場合もあります。 しかし、本来、前十字靱帯が担っている膝を安定させる機能が低下してしまうため、膝にかかる負担が大きくなってしまいます。 その結果、膝にある半月板などの別の組織を傷めたり、老後に関節の変形を生じたりする可能性が高くなります。 前十字靱帯断裂から歩けるまでの期間 前十字靱帯断裂の手術後に歩けるようになるまでは、2〜4週間ほどかかります。 しかし、松葉杖を使用すれば一般的に手術翌日から歩けます。 身体にメスを入れない「再生医療」による治療であれば、大きな手術や入院不要で治療できます。 「具体的な治療内容や効果が知りたい」方は、再生医療を専門とする『リペアセルクリニック 』にご相談ください。 前十字靱帯断裂から仕事復帰できるまでの期間 デスクワークや軽作業といった身体的負担の少ない仕事であれば、1カ月ほどで仕事復帰できます。 歩き回ったり、重いものを運んだりするような仕事であれば、仕事復帰までに3カ月程度かかるケースもあります。 前十字靱帯断裂からスポーツ復帰できるまでの期間 前十字靭帯断裂の手術後、スポーツ復帰できるまでの期間は6ヶ月〜1年程度です。 国立医学図書館に掲載されている情報によると、スポーツ活動の復帰にかかる期間は「術後6カ月」との記載※もあります。 ※出典: 国立医学図書館 全治までの期間には個人差があり、損傷の程度によって回復期間は変動するため、医師と相談しながらリハビリを継続しましょう。 前十字靱帯断裂における手術の入院期間 前十字靭帯断裂の手術では、関節鏡(かんせつきょう)を使って断裂した靱帯を体の腱(けん)と呼ばれる部分に移植します。 関節鏡を使用した手術では、数ミリほどの穴からカメラを侵入させて手術するため傷口が小さくて、入院期間が短くなります。 入院期間は短い場合で、手術後 4 〜 7 日間を目安に退院が可能です。 この時点ではまだ全体重をかけて歩けない場合が多いので、松葉杖を使った状態で退院になります。しっかり歩けて、日常生活が送れるようになるまでは約1カ月程度入院する場合もあります。 しかし、前十字靱帯断裂は学生など若い年代に多いため、学校や仕事を1カ月も休めば生活に大きな支障を及ぼします。 そのため、短い期間で退院をして、通院しながらリハビリや競技復帰を目指す場合が多いです。 前十字靱帯断裂の手術後から全治までのリハビリ期間 手術直後からスポーツ復帰までの流れを時系列で紹介します。 手術からの時期 リハビリ内容 手術直後 膝周辺の組織の柔軟性を確保する 膝は完全に伸ばさないように装具を着用 膝関節の動きを伴わない筋力トレーニング 膝以外の部分の筋力トレーニング 1週間 体重1/3の荷重練習 関節の動きを改善する運動を開始 2〜3週間 全体重をかける練習 軽く曲げる程度のスクワットなど体重をかけながらのトレーニング 4〜6週間 自転車などマシーンでの運動 より積極的に体重をかけたトレーニングを進める 3カ月 ジョギング開始 4カ月 両足ジャンプ、ターン開始 6カ月 スポーツ練習開始 8カ月 競技復帰 術後は移植した腱を保護しながらのリハビリが必要になります。 腱が負担に耐えられるようになるまでは3カ月ほどかかるため、それまでは無理な運動は避けます。 3カ月以降ジョギングやジャンプなどのスポーツ動作を開始して、8カ月以降のスポーツ競技復帰を目指します。 また、前十字靭帯断裂はスポーツでのジャンプや切り返しといった動作で発生しやすいため、それらの動作時に膝が内側に入らないようにするなど、再発を予防するための動作を習得するのも重要です。 以下の記事では、前十字靭帯断裂を受傷してから日常生活やスポーツに復帰できる期間を詳しく解説しています。復帰までのイメージを掴みたい方は、参考にしてみてください。 前十字靱帯断裂の全治までの期間に関するよくある質問 最後に前十字靱帯断裂後に関するよくある質問と回答をまとめます。 サッカーで前十字靭帯断裂した場合、全治にどれくらいかかりますか? 損傷の程度によって、全治に要する期間は異なります。前十字靱帯断裂における全治までの一般的な期間は、8 カ月〜10 カ月ほどです。 なお、サッカーで前十字靭帯断裂を受傷した場合、再生医療による「スポーツ医療」も効果的です。人間の自然治癒力を活用した治療なので、身体への負担を最小限にできます。 前十字靭帯損傷と半月板損傷は合併しやすいんですか? 前十字靭帯を損傷すると半月板損傷を併発するケースもあります。なぜなら、前十字靭帯損傷によって膝が不安定になると、半月板に負担がかかって損傷するリスクが高まるからです。 半月板損傷を併発したら、早期に治療を開始し、半月板を温存する方向で進めていくのが一般的です。 以下の記事では半月板損傷の原因や症状を解説しています。半月板損傷の理解を深めたい方はあわせてご覧ください。 半月板損傷の全治にはどれくらいかかりますか? 手術の種類によって、全治までにかかる期間は異なります。 損傷した部分の半月板を切り取る切除手術の場合、全治までは約3カ月です。損傷した部分を縫い合わせる縫合術の場合は、全治まで6カ月ほどです。 前十字靭帯損傷で復帰できる最短期間はどれくらいですか? 回復には個人差があるため、最短期間を一概には言い切れません。 一般的な全治期間は約8カ月〜10 カ月といわれています。国立医学図書館に掲載されている情報によると、スポーツ活動の復帰にかかる期間は「術後6カ月」との記載もあります。 損傷の程度や個人差によって、回復期間は変動するでしょう。 出典: 国立医学図書館 前十字靱帯断裂の手術後どれくらいで走れるようになりますか? 個人差がありますが、術後3カ月くらいから走れるようになります。急に走り出すと再断裂のリスクが高まるため、最初は様子を見ながら軽いジョギングから始めていきましょう。 前十字靱帯断裂の手術費用はどれくらいですか? 手術や入院にかかる費用は、手術の方法や入院期間、入院中の治療内容などによって異なります。 目安として手術・入院費などを含めて 25万円〜30万円ほど必要になるケースが多いです。 病院によって幅があるので、入院前におおよその目安を確認しておきましょう。早めに退院する場合でも、リハビリの継続は必要です。 とくに全治してスポーツ競技に復帰できるまでは、8カ月程度が目安になるため、それまではリハビリなどの費用が必要になります。 前十字靱帯断裂の全治に向けて焦らずリハビリを進めよう 前十字靭帯断裂は自然に治癒することはないため、手術やリハビリが必要となり、全治まで約8カ月〜10カ月程度の時間がかかります。 個人差はありますが、日常生活への復帰やスポーツ競技の復帰は、以下の期間が目安となります。 日常生活(歩行)復帰までの期間は、約2〜4週間 仕事復帰までの期間は、約1ヶ月 スポーツ復帰までの期間は、約8ヶ月〜10ヶ月 手術後に正しい順序でリハビリをおこなえば、スポーツへの復帰も可能になります。 しっかり医師や理学療法士などの専門スタッフから指導を受けながら、正しい治療で全治を目指しましょう。 前十字靭帯断裂には「再生医療」の治療法も効果的です。 本来なら手術しなければいけない状態でも、再生医療で治療できる可能性があります。手術による傷跡や後遺症の心配もないので、安心して治療を受けられます。
2022.10.24 -
- 靭帯損傷
- ひざ関節
- 動作時の痛み
スポーツをしていて、膝を捻った経験がある人は多いでしょう。そんな人がインターネットで症状を検索したとき、前十字靭帯損傷が多くヒットするはずです。 前十字靭帯損傷になると手術をしないといけないとの情報も多くみられ、不安になる人もいるかもしれません。 結論、軽度の前十字靱帯損傷では、膝の不安定感をはじめとした症状がみられます。前十字靱帯損傷からスポーツに復帰する場合には手術が推奨されていますが、損傷の程度が軽度であれば、手術せず治療できる可能性あるのです。 この記事では、前十字靭帯損傷が軽度だった場合の症状や対処方法などを解説します。前十字靭帯損傷かもしれないと不安に思っている方の参考になれば幸いです。 前十字靱帯損傷の軽度の症状は「膝の不安定感」 前十字靭帯とは、膝関節を支える4つの靭帯のうち、大腿骨(太ももの骨)の前方から脛骨(すねの骨)の後方に向かって伸びる靭帯です。 前十字靱帯損傷は、スキーやサッカーなど膝を捻る動作が多いスポーツで多くみられるケガです。損傷した靭帯は自然と元に戻ることはほぼないと考えられています。 重症であれば動かすのが困難なほどの痛みがありますが、軽度では痛みは少なく、歩けるケースも珍しくありません。 しかし膝を支える靭帯が損傷すると膝の支えが弱くなり、力が入らない・グラグラするなど膝の不安定感がみられるようになります。とくに歩いているときなどに急に膝が折れる「膝くずれ」は前十字靭帯損傷の特徴です。 なお、靭帯損傷の原因や治療法については、以下の記事が参考になります。 受傷直後は軽度でも「プツッ」と靱帯が切れる音がする 前十字靭帯損傷は、受傷した瞬間、靱帯から「プツッ」と切れる音がするのが特徴です。 靭帯損傷の度合いにかかわらず、切れた直後から痛みを感じ、膝関節周囲の腫れなど炎症が起きます。 炎症反応は数週間続きますが、ほとんどのケースでは1カ月程度で落ち着くでしょう。 しかし、前述したとおり損傷した靭帯が元に戻ることはほぼありません。前十字靭帯損傷の程度が軽度であっても靭帯の支えが弱くなり、膝くずれをはじめとした膝の不安定感がみられるようになります。損傷が重度であるほど不安定感は強くみられるでしょう。 なお、こちらの記事でも前十字靭帯損傷について解説しています。詳細を知りたい人はぜひチェックしてください。 重症の場合は痛みの増悪や膝を動かせる範囲が狭まることも 前十字靭帯損傷が重度の場合、膝の動く範囲が狭くなったり、痛みが生じたりすることがあります。 前十字靭帯は膝のクッションである半月板とつながっており、半月板にも損傷が及んでいる可能性があるためです。 半月板には膝の動きを滑らかにする働きがあり、損傷すると膝の動きが悪くなりやすくなります。 膝を支える靭帯が損傷し、クッションとなる半月板の働きも悪くなると、膝に痛みを感じたり、可動域が狭まるケースがあるのです。 前十字靱帯損傷の主な原因は「スポーツや交通事故」 前十字靭帯損傷の主な原因はスポーツや交通事故です。 膝の中には前十字靭帯と後十字靭帯があり、それぞれの靱帯が絡まるように大腿骨と脛骨をつなげることで膝を安定させています。スポーツや交通事故で膝が強制的に捻られると、前十字靭帯と後十字靭帯が引っ張られてしまい、損傷につながります。 なお前十字靭帯損傷の原因については、以下の記事でも詳しく解説しています。興味がある人はぜひご覧ください。 ちなみに、当院「リペアセルクリニック」では、前十字靱帯損傷にも効果が期待できる再生医療をおこなっています。膝の痛みにお悩みの方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談いただければ幸いです。 前十字靱帯損傷では軽度でも病院に行くべき理由 結論から言えば、前十字靭帯損傷では軽度であっても病院の受診をおすすめします。 前十字靭帯は血流が乏しいため、自然治癒が難しいと考えられている組織です。放置することで膝の不安定感が残ったり、変形性膝関節症などにつながったりする可能性があります。 なお、損傷の程度はMRIやエコー検査ではっきりするケースがほとんどです。損傷の程度を知るためにも、前十字靭帯損傷が疑われる状態であれば整形外科の受診をおすすめします。 【要チェック】前十字靭帯損傷で受診すべき基準 前十字靭帯損傷が疑われたときに、受診すべき基準は以下の症状が見られるかどうかです。 ケガをしたときに「プツッ」という靱帯が切れるような音(ポップ音)があった 歩行など膝くずれがある 体重をのせたときに力が入りにくい 痛み・腫れがある 可動域(膝を動かせる範囲)の制限がある ポップ音や膝くずれは前十字靭帯損傷の特徴的な症状であるため、これらの症状がみられるときは整形外科の受診をおすすめします。 また力の入りにくさや痛み・腫れ・可動域制限は、前十字靭帯損傷以外にも、捻挫など別の疾患が疑われる可能性もあるでしょう。 病院で検査しないと診断名がわからないケースも多いため、これらの症状に心当たりがある人は受診を検討してみてください。 前十字靱帯損傷の治療における2つの選択肢 前十字靭帯損傷の治療には「手術療法」と「保存療法」の2種類があります。 もし軽度の前十字靭帯損傷である場合には、保存療法が一般的です。しかし、スポーツに復帰するといったケースでは手術を進められる可能性があります。 本章では、前十字靱帯損傷の治療における選択肢やその内容を詳しく解説していきます。 なお、前十字靭帯損傷の手術についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。手術を検討したい人はチェックしてみてください。 スポーツを続けたいなら「手術療法」 前十字靱帯損傷の場合、軽度であっても損傷した靱帯は自然治癒しないケースがほとんどで、膝の不安定感は残り続けます。 放置すると膝への負担が強まり、半月板の損傷や関節の変形などにつながるかもしれません。そのため、スポーツに復帰をしたり、膝に負担のかかる仕事をしたりする場合は手術がおこなわれます。 また、損傷が重度だったり、他の部分の損傷を合併したりして、日常生活でも膝くずれを繰り返すような場合も手術を検討する必要があるでしょう。 手術療法では、前十字靱帯の代わりに使用する人工的に靱帯を使用する再建術(さいけんじゅつ)がおこなわれます。 靱帯の再建には筋肉が骨につく部分である腱(けん)の使用が一般的で、手術に使われる筋肉は太ももの前(大腿四頭筋腱)と後ろ(半腱様筋腱)があります。 手術後は8〜10カ月後にスポーツに復帰可能とされていますが、リハビリをしないといけません。 日常生活に支障がないなら「保存療法」 長期的な視点では、靱帯が損傷したままだと将来の怪我につながったり、活動的な動きが制限されたりするため、年齢が若い場合は靱帯の再建手術をするケースが多いです。 しかし、活動量が低く損傷が軽度であれば、日常生活に支障がなく過ごせることも少なくありません。そのため、中高齢者で日常生活に支障がなかったり、スポーツや仕事で膝に負担をかけなかったりする場合は手術をせず保存療法のみ行うこともあります。 保存療法としては、膝の関節を支える装具やサポーターを使用したりして膝を安定させて、膝にかかる負担を少なくします。 膝周辺の筋力を鍛えて自身の力で膝を支えることも重要です。とくに太ももの前にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん)の筋力強化が重要といわれています。この筋肉は膝を伸ばす筋肉ですので、前十字靱帯損傷後にみられる膝くずれの予防に有効です。 なお、当院「リペアセルクリニック」では手術以外の治療法として「再生医療」を提供しています。前十字靱帯損傷の治療の選択肢を広げたい方は、一度「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」からご相談いただければ嬉しく思います。 まとめ|前十字靭帯損傷は軽度でも適切な治療が大事!迷ったら早めに受診しよう 今回の記事では軽度の前十字靭帯損傷について詳しく解説しました。 前十字靭帯損傷は軽度であっても自然治癒が見込めないため、年齢や生活スタイルに応じて適切な治療を受けることが大切です。 また、前十字靭帯損傷を放置しておくと、膝の不安定感や力が入りにくいといった後遺症が出る可能性があります。もし前十字靭帯損傷が疑われるようなケガをした場合は、できるだけ早めの受診をおすすめします。 当院「リペアクリニック」では膝の治療として再生医療に取り組んでいます。国内で初めて特許を取得した「分化誘導による関節の再生医療」は従来より高い再生能力を持った幹細胞による治療です。幅広い膝疾患への効果が期待できるため、手術をしたくない人におすすめの治療といえます。 もし前十字靭帯損傷で手術以外の治療を選択したい人は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」からご相談ください。 この記事が少しでも前十字靭帯損傷でお悩みの人のお役に立てれば光栄です。 前十字靭帯損傷についてよくある質問 前十字靭帯損傷は安静にしていたら自然治癒しますか? 前十字靭帯は自然治癒が見込めない組織なため、安静ではもとに戻らない可能性が高いでしょう。 放置すると、膝の不安定感から突然膝が折れ曲がる「膝くずれ」がみられたり、膝の変形につながったりするリスクがあります。 前十字靭帯損傷の症状が軽度でも手術が必要ですか? 前十字靭帯損傷は軽度でも膝の不安定感などの後遺症が出るため、スポーツをしたい場合の治療には手術の選択が一般的です。 スポーツをせず、日常生活で支障がない場合には、手術をせず保存療法のみ行うこともあります。
2022.10.21 -
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
- 靭帯損傷
- ひざ関節
- 膝の慢性障害
膝の病気や痛みをかかえている方のなかには、定期的に膝へヒアルロン酸注射している方が多くいます。 しかし「最初は注射をすれば膝の痛みがひいたのに最近は効かなくなってきた」「効かないのは失敗が原因?」と感じた経験もあるでしょう。 そこで今回はヒアルロン酸注射をしていて、効かないと感じたり失敗を疑っている方に向けて、ヒアルロン酸の効果を解説します。 膝のヒアルロン酸注射が効かなくなる原因と、効果が乏しいときの対処法も紹介するので、最後までご覧ください。 膝にヒアルロン酸注射をしても効かないのは失敗が原因なの? 膝のヒアルロン酸注射が効かず、失敗を心配する方もいるかも知れませんが、病気の進行や膝の変形が重度になると効果が薄くなります。 ヒアルロン酸注射自体の問題や治療の失敗などではなく、膝自体に炎症がある場合、ヒアルロン酸注射が、効かないケースも多くあります。 膝に感染があるときは、ヒアルロン酸注射自体が余計に症状を悪化させてしまう症例もあるので注意が必要です。 変形性膝関節症は、年齢を重ねると進行する病気なので、誰でも変形が強くなっていく可能性はあります。 しかし体重が重かったり、もともと運動習慣がなかったりする方は、変形が進行する原因になるとも言われているので注意しましょう。 膝の変形性関節症における重症度や膝の組織を評価するために、レントゲン検査やMRI検査など、画像検査が行われます。 MRI検査では、膝の軟骨や靭帯、半月板が傷ついていないかも診断できるため、治療方法の選択をするためにも重要な検査です。 MRI検査が重要な理由は、以下の記事で詳しくまとめました。 そもそもヒアルロン酸注射とは 「膝のヒアルロン酸注射が効かないのは失敗が原因なの?」と不安に感じる方に向けて、ヒアルロン酸注射の概要を解説していきます。 ヒアルロン酸注射の効き目を感じず失敗と捉える前に、まずは注射として期待できる効果の概要を見ていきましょう。 ヒアルロン酸注射は初期症状におすすめ ヒアルロン酸は、膝の変形性関節症における初期症状におすすめの治療方法です。 ・ヒアルロン酸注射のみで完結する軽度な治療 ・軟骨保護のような炎症緩和 など 上記のような治療目的で使用されるのがヒアルロン酸注射です。 そもそもヒアルロン酸は水分をたくさん含む物質で、主に関節の内部を満たしている液体成分を補充する目的で注射します。 膝にヒアルロン酸を注射すれば、動きをよくする潤滑油のような役割になるのです。 膝以外にも眼の乾燥としてヒアルロン酸の目薬を行います。 目に潤いを与えるためヒアルロン酸が用いられるように、短時間で効果を得たい場合に提供される治療方法としてヒアルロン酸が活用されているのです。 ヒアルロン酸注射は根本的な治療にはならない いろいろな用途に用いられるヒアルロン酸ですが「変形性膝関節症」で、膝関節の動きを滑らかにするため注射している方もいるでしょう。 注射治療になるので手術のような日常生活の支障を気にする必要もありません。 しかしヒアルロン酸注射は、液体成分なので体内に吸収されてしまいます。 持続期間は約1〜2週間程度と言われているため、時間経過とともに「注射の効果がない」「失敗した」と感じてしまうでしょう。 膝の関節にはヒアルロン酸をたくさん含んでいる滑液で満たされています。 滑液が膝の滑らかな動きを保つのに重要な役割を担っています。 しかし、年齢を重ねたり外傷や他の疾患があったりすると、滑液の中のヒアルロン酸の量が減ってしまうのです。 ヒアルロン酸の量が減ってくると、膝を滑らかに動かすのが難しくなり、結果として膝にある骨や軟骨がこすれて痛みを感じてしまいます。 ヒアルロン酸注射をしただけでは一時的な治療になり「痛みを感じにくい状態」である持続期間が切れた際「効果がない」と捉えてしまいがちなのです。 以下の記事では、ヒアルロン酸注射の有効性と限界について詳しくまとめているので、あわせてご覧ください。 膝のヒアルロン酸注射が効かなくなった場合の対処法 ヒアルロン酸注射は、はじめは効いても徐々に効かなくなるケースがあります。 ヒアルロン酸注射以外の治療法を併用していくことも大切です。 ここからは膝のヒアルロン酸注射が効かなくなった場合の対処法として挙げられる治療法などを解説します。 適度な運動 膝のヒアルロン酸注射を必要とする代表的な症例である「膝変形性関節症」には、病院に受診しなくても自分自身で行える治療があります。 たとえば体重が重い方は、体重を減量するための運動も治療として重要な方法です。 専門的な治療を施すのであれば、運動療法を実施するのをおすすめします。 規則正しい有酸素運動や筋力トレーニング、関節可動域運動を実施して継続していくのが大事です。 膝をサポーターで保護し、テーピングを実施するのも推奨されています。 膝の負担を減らしながらできる運動については、以下の記事に詳しくまとめているので、ぜひ役立ててください。 ステロイド薬の投与 膝に炎症がある場合、ヒアルロン酸の注射ではなくステロイド薬を膝に注射する治療法もあります。 ステロイド薬の投与だけでなく、炎症を抑えるための薬を飲む治療法をしつつ、数カ月のリハビリなど保存療法を進めていく治療法も挙げられます。 人工関節を用いた手術 重症になった場合や注射が効かない状態が続くと手術が必要なケースもあります。 手術では関節の代用部品である「人工関節」を関節の代わりに埋め込む治療を実施します。 皮膚を切って開く必要があるため、全身麻酔で手術が行われます。 手術は傷口が感染しないか、麻酔によるアレルギーなどがないかを診るためにも入院が必須です。 入院自体は数日〜数週間ですが、もともとの歩行状態に戻るためには数カ月膝のリハビリが必要です。 人工関節を使った手術で知っておくべき項目については、以下の記事でまとめているので、あわせてご覧ください。 手術(人工関節)を避ける再生医療の選択肢 最近では手術の代わりに「PRP療法」や、「幹細胞治療」と呼ばれる新しい先端治療を選択できるようになってきました。 PRP療法は、患者様の血液から抽出した「血小板血漿(PRP)」を傷んでいる部位に注射する治療法です。 一方で「幹細胞治療」は、少しの脂肪を採取し、幹細胞を抽出して数千から億の単位まで培養し、増やした細胞を患部に注射で投与します。 どちらも患者様の自然治癒力を高めて治療するもので手術や入院の必要はありません。どちらも副作用はほとんどなく、患者様の身体にかかる負担が少ない治療法です。 詳しくは、お問い合わせください。 まとめ・膝のヒアルロン酸注射が効かなくて失敗を疑う前に診療を! 膝へのヒアルロン酸注射は膝の動きを滑らかにするために有用な治療法です。 最初効果があっても、治療の過程で「効かなくなった」「失敗した」と感じる可能性があります。 治療の失敗やヒアルロン酸注射自体の問題ではなく、膝の状態が良くない恐れも考えられます。 効果が乏しいのにもかかわらず、漫然と注射を重ねるのは良くないでしょう。 現在では再生医療(幹細胞治療、PRP療法)といった先端医療も考慮できます。 ヒアルロン酸の注射の効果が以前に比して減ったように感じている場合、専門家に相談し、適切な治療に切り替えを検討してはいかがでしょうか。 再生医療は、先端医療であるため厚生労働省から認められている限られたクリニックでしか受けられない治療法です。 手術も入院も避けられる身体にやさしい治療法なので、気になった方は気軽にお問い合わせください。 膝のヒアルロン酸注射でよくある質問 Q.ヒアルロン酸注射に副作用はないの? A.ヒアルロン酸注射による副作用は「まったくない」とは断言できません。 ヒアルロン酸注射をしたあと、起こる可能性がある副作用は以下の通りです。 ・内出血 ・むくみや腫れ ・かゆみ ・チンダル現象 ・血管閉塞 など 上記のような副作用が起こっても、時間経過とともに回復するケースが大半です。 ただし、副作用は放置せずヒアルロン酸注射をした医療機関で専門的なケアをしてもらうのをおすすめします。 Q.何度も打ち続けるとどうなるの? A.ヒアルロン酸注射を何度も打ち続けると、ヒアルロン酸の吸収力が低下する可能性があります。 ヒアルロン酸は膝を含めた関節部分の潤滑油として働いているので、補充する目的で注射治療を施します。 しかし、初めてヒアルロン酸注射をした方は、複数回注射をしている方より吸収が早い傾向にあるので、次第に「失敗した」と捉えてしまうでしょう。 あくまで一時的な治療になるので、膝の痛みが続く方は別の治療法を検討しましょう。 Q.痛みを感じる場合失敗を疑うべき? A.ヒアルロン酸注射は、膝に注射を刺す痛みになりますが、血管注射とは異なります。 注射針を刺した後にヒアルロン酸を注入するので、人によっては痛いと感じる方もいます。 ヒアルロン酸注射をする前に麻酔テープやクリームを塗る方法もあるので、少しでも心配な方は事前に相談しておきましょう。 とくに変形性膝関節症が重度な方は、関節に注射針を刺すのが困難なケースもあります。 副作用として痛みを感じる可能性もあるので、我慢せず医師に相談するのをおすすめします。 ▼以下もご参照ください
2022.06.30 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
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- 関節リウマチ
- 膝の慢性障害
膝の水が溜まって痛みがある。 溜まっている膝の水を、できるなら自分で抜きたい。 膝に溜まった水が気になり、抜く方法を知りたいと考えていませんか。しかし、膝の水を抜くのは癖になってしまうという話を聞いて、不安になっている方もいるかもしれません。 膝の水を抜く方法は「病院」と「セルフケア」で2種類ありますが、自分でできるストレッチやマッサージは負担軽減の側面が大きいため、根本的な改善に至らないこともある点には注意が必要です。 この記事では【医師監修】のもと、病院で行われる膝の水を抜く処置の具体的な流れや注意点、そしてご自身でできるストレッチ・マッサージといったセルフケア方法を詳しく解説します。 「癖になるって本当?」「自分でできることはないの?」といった疑問にもお答えしていきますので、あなたの膝の悩みを解消するための一歩として、ぜひ最後までお読みください。 また、リペアセルクリニック公式YouTubeでも「膝の水を抜く方法」について詳しく解説していますので、あわせてご参考ください。 病院で膝の水を抜く方法 膝の水を抜く方法のひとつとして、病院での処置をイメージする方も多いでしょう。 本章では、病院での処置や注意点について解説します。本章を参考に膝の水を抜くかどうかを検討してください。 処置には注射器を使う 病院では主に整形外科にて、注射針を関節に刺して膝の水を抜く「関節穿刺」を行う場合があります。(文献1) 膝の水の正体は「滑液(かつえき)」です。滑液が膝に溜まることで関節を圧迫し、膝の痛みを悪化させる可能性があります。そのため、膝の水を抜くと症状の緩和が期待できます。 膝の水を抜く際、注射針を刺した直後以外に激しい痛みを伴うケースは稀です。ただし人によっては痛みが気になる方もいるため、処置後に違和感がある場合は、担当の医師に相談しましょう。 症状に応じてヒアルロン酸を注入する 膝の水を抜いた後や変形性膝関節症では、症状を和らげる目的でヒアルロン酸を注入することがあります。通常、週に1度あるいは数週間に1度の頻度でヒアルロン酸を注入し、効果がみられれば継続します。 病院でのヒアルロン酸の注入は保険適応になるケースが多いため、治療費を抑えられるメリットも期待できるでしょう。 ヒアルロン酸の注入は一時的に痛みや炎症を抑える効果がありますが、持続的ではないため定期的な通院が必要です。 また、根本的な原因疾患の治療でないため、医師の指示に従いリハビリや運動療法など根本的な原因を改善する治療と並行しましょう。 病院で膝の水を抜いた直後は安静にする 病院で膝の水を抜いた直後は、安静にして過ごすように指導されます。処置を行った当日は、以下の2点は行わないように注意しましょう。 激しい運動 入浴 また、処置の後には以下の合併症のリスクがあります。 合併症 症状 感染症 注射部位の腫れや熱感、痛みが長時間続く、または症状の悪化 出血 注射部位を圧迫しても止血しない 上記のような症状があらわれたら、早めに受診するようにしましょう。 膝の水を抜いた後の注意点について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 自分で膝の水を抜く方法は?ストレッチやマッサージ方法を紹介 病院で処置してもらう以外にも、自分でストレッチやマッサージを行って膝の水を抜くことも可能です。 本章では、セルフケアで膝の水を抜く方法と注意点を解説します。 「できるなら自分で膝の水を抜きたい」という方は、本章を参考に、ストレッチやマッサージを行ってみましょう。 ①パテラセッティング:膝のお皿周りの筋肉を刺激する パテラセッティングは、膝を支える重要な筋肉である太もも前側(大腿四頭筋)を、比較的膝関節に負担をかけず安全に鍛えることができる基本的な運動です。 この運動は、膝関節自体を大きく動かさずに大腿四頭筋を刺激できるため、膝に痛みがある場合でも比較的行いやすいトレーニングです。 膝のお皿(膝蓋骨)が少し上に動くのを確認しながら行うと効果的です。 ② 太もも前側(大腿四頭筋)のストレッチ:膝を支える筋肉の柔軟性を高める 膝の曲げ伸ばしに大きく関わる太もも前側の筋肉(大腿四頭筋)を伸ばし、柔軟性を高めることで膝への負担を軽減するストレッチです。 膝自体に痛みがある場合は、曲げる角度を調整するか、このストレッチを控えてください。 筋肉が温まっているお風呂上りなどに行うとより効果的です。 ③ お尻周りのストレッチ:股関節から膝への負担を軽減する お尻周りの筋肉(殿筋群)の柔軟性を高めることで股関節の動きをスムーズにし、結果的に膝への負担を軽減する効果が期待できるストレッチです。 股関節や膝に痛みがある場合は、無理のない範囲で行いましょう。 デスクワークの合間などにも手軽に取り入れやすいストレッチです。 ④ 膝周り・太もものマッサージ:血行を促進し筋肉をほぐす 膝周りや太ももの筋肉の緊張を和らげ、血行を促進することで、膝の不快感の軽減や動きの改善をサポートするマッサージです。 マッサージは、筋肉がリラックスしている入浴中や入浴後に行うのが効果的です。 オイルやクリームを使うと滑りが良くなり、肌への負担も軽減できます。 注意点:痛みや違和感がある場合は無理に動かさない 痛みや違和感があるときは、炎症が起こっているサインです。 むやみに触ると悪化する可能性があるため、ストレッチやマッサージなどのセルフケアはおすすめできません。無理に動かさず、早めに医療機関へ行きましょう。 マッサージやストレッチは血の巡りをよくする効果が期待できますが、誤った方法で無理に行うと、症状が悪化する恐れもあります。 また、痛みを感じるときは、膝に負担をかけないよう歩行や荷物の持ち運びなどの動作にも注意しましょう。 膝の水が溜まる原因は「炎症による関節液の過剰分泌」 膝の水が溜まる原因は、炎症反応によって「関節液」が余分に分泌されるためです。 関節液は、関節がスムーズに動くための潤滑油のような役割をしています。関節液は常につくられながら吸収され、一定量になるよう調整されています。 しかし、なんらかの疾患によって炎症が起こると、いつもより早いペースで関節液がつくられ、膝の水が溜まります。(文献2) 膝に水が溜まる原因の病気は、以下のとおりです。 半月板損傷 変形性関節症 靭帯損傷 痛風、偽痛風 関節リウマチ 骨折 感染や外傷 これらの病気になると膝に水が溜まりやすくなります。膝の水を根本的に改善するには、水を抜く処置をして痛みを緩和しつつ、原因となる病気を治療することが大切です。 膝に水が溜まる原因についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 まとめ|膝の水を抜くなら医療機関に相談しよう 今回の記事では膝の水を抜く方法やセルフケアを中心に解説しました。 症状が出現した際に、自己判断で放置したり誤ったセルフケアを行ったりすると、悪化する可能性があります。膝の水を適切な方法で抜きたい場合は、医療機関に相談しましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では、人体に元々ある幹細胞を活用した「再生医療」による膝の痛みや変形性膝関節症の治療が可能です。 「メール相談」や「オンラインカウンセリング」も実施しているので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 膝の水に関してよくある質問 膝の水を抜くと癖になりませんか? 膝の水を何度も抜くのが原因で、癖になるわけではありません。 膝の水を抜いても再び溜まってしまうのは、関節に炎症が起こっている根本的な原因の病気が改善されていないためです。 原因の病気として、半月板損傷や変形性関節症などが知られています。痛みを和らげるためには、原因の病気の治療をしながら膝の水を抜くことも大切です。 膝の水は自然に抜けますか? 稀に自然治癒する場合もあります。長期期間放置しても、必ず自然治癒するわけではありません。 放置すると関節が固まって動きにくくなった「拘縮状態」に陥るリスクもあります。 拘縮状態になると膝の曲げ伸ばしが辛くなり、日常生活に支障をきたす可能性もあります。そのため、1カ月以上膝の水の溜まりを放置するのはおすすめできません。 膝の水を自然に抜けるまで長期間待たずに、早めに受診するようにしましょう。 参考文献一覧 文献1 水原寛康. 関節穿刺. 医学書院 医療情報サービス. 2024年10月18日. 文献2 斉藤 聖二,関節痛(炎):診断と治療の進歩1.関節の構造と関節痛(炎)の原因, 日本内科学会雑誌, 1994年, 第83巻, 第11号, p1871-1875
2022.06.29







