-
- 糖尿病
- 内科疾患
妊娠中には、いろいろと気を付けなければならないことがあります。妊娠糖尿病もその1つです。 もしも、妊娠中に母親が糖尿病になったら、生まれてくる子ども(胎児)や母体にどういった影響があるのか不安になるかと思います。 この記事では、妊娠中に診断される妊娠糖尿病の胎児への影響と、その治療法・予防法について詳しく解説します。また、妊娠糖尿病が母体に与える影響や産後の注意点についても触れていきます。 妊娠糖尿病の胎児への影響 妊娠糖尿病は胎児にさまざまな悪影響を及ぼす危険性が指摘されています。 また妊娠中だけでなく、出産後の子どもに合併症が出てしまう可能性があります。 本項目では妊娠、出産など各時期に起こる可能性のある危険性を紹介します。 さまざまな合併症を引き起こす可能性が高まる 妊娠中に高血糖状態が続くとお腹のなかの胎児も高血糖になり、以下のような合併症を引き起こすことがあります。 子宮内胎児死亡 新生児低血糖 巨大児 低出生体重児 多血症 特発性呼吸促拍症候群 頭蓋内出血 鎖骨骨折 頭血腫 上腕神経麻痺など これらの合併症を予防するためには、妊娠中の血糖値を適切にコントロールすることが重要です。 妊娠中期以降には子宮内胎児死亡の可能性が増加 妊娠糖尿病を患った場合、妊娠32週ごろから突然子宮内胎児死亡を起こすことがあります。36週以降はその頻度が上昇するため、適宜検査を行い、問題がある場合入院処置が必要です。 難産になる可能性が上がる 妊娠糖尿病は難産のリスクも上がることが分かっています。 巨大児や奇形児といった合併症を引き起こした場合、出産時に頭が出た後肩がひっかかってしまい、うまく産道を通れない「肩甲難産」を起こすリスクが高くなります。 また、妊娠糖尿病による母体の高血圧、臓器障害などから、帝王切開分娩の発生率も上がってしまいます。 出産後の子どもへの影響 妊娠糖尿病中は血糖値が高い状態が続き、体内をめぐるブドウ糖の量が増えてしまいます。その結果胎児にもブドウ糖がめぐり、血糖値が上がります。 早い段階で治療に臨めば影響も少なく済みますが、妊娠糖尿病のまま放置してしまうと胎児も高血糖がつづいてしまいます。 血糖値が高いまま生まれた子どもは将来的にメタボリックシンドロームになりやすいという報告も上がっています。生活習慣病、動脈硬化などが発症しやすくなってしまう危険性があるため注意が必要です。 妊娠糖尿病とは? 妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて発見または発症した糖代謝異常のことを指します。 「明らかに糖尿病である」と妊娠中に診断された場合は厳密には妊娠糖尿病とは呼ばず、「妊娠中の明らかな糖尿病」として区別されます。また、妊娠前に発症している糖尿病は「糖尿病合併妊娠」と呼ばれます。 妊娠糖尿病の原因 妊娠すると胎盤から分泌されるホルモンの影響でインスリン抵抗性が強くなってしまいます。インスリンは血糖値を正常にコントロールする働きを担っているため、インスリン抵抗性が上がり働きが弱くなると、血糖値が上がりやすくなります。 妊娠糖尿病を発症すると、母体だけでなくお腹のなかの胎児も高血糖になるため、さまざまな合併症を発症する危険性が高まってしまいます。 妊娠糖尿病の診断方法と診断基準 妊娠糖尿病は、スクリーニング検査と75gブドウ糖負荷試験の2段階の検査で判断します。 スクリーニング検査 妊娠糖尿病のスクリーニング検査はすべての妊婦を対象に妊娠初期と中期に行う検査で、妊娠糖尿病の可能性がある人を抽出する目的で行われます。 妊娠初期の随時血糖値の基準は検査施設によって95mg/dlまたは100mg/dlと異なります。また、妊娠中期の随時血糖値の基準は100mg/dl、50gブドウ糖負荷試験の基準は140mg/dlとなります。 妊娠糖尿病スクリーニング検査で陽性と判断された方は次で説明する75gブドウ糖負荷試験に進みます。 日本産科婦人科学会が推奨している妊娠糖尿病スクリーニング検査 妊娠初期:随時血糖値 妊娠中期:随時血糖値あるいは50gブドウ糖負荷試験 75gブドウ糖負荷試験 妊娠糖尿病スクリーニング検査で陽性が出た場合、75gブドウ糖負荷試験を行います。75gブドウ糖負荷試験では、以下の基準を1つでも満たした場合に妊娠糖尿病と診断されます。 試験基準 空腹時血糖値 ≧92mg/dl 1時間後の血糖値≧180mg/dl 2時間後の血糖値 ≧153mg/dl 妊娠糖尿病の治療 妊娠糖尿病と診断されたら、「血糖値コントロール」に取り組まねばなりません。ただし、妊娠中は運動療法を行うことが難しいため、主として「食事療法」と「薬物療法」を行うことになります。 食事療法で注意すべき点 妊娠糖尿病の治療は食事療法で血糖コントロールを行うことが基本になります。 妊娠中は食後高血糖を起こしやすい傾向がありますが、一方で長時間の空腹状態ではインスリン不足により体内でケトン体が作られ、糖尿病ケトアシドーシスを引き起こすリスクが高まります。特に妊娠中は体調の変化が激しいため、規則正しい食事が大切です。 薬物療法で注意すべき点 食事療法を行っても血糖値のコントロールがうまくいかない場合は薬物療法を行います。 妊娠中の薬物療法では経口血糖降下薬ではなく、インスリン治療を行うことになります。 通常のインスリン療法では血糖値コントロールがうまくいかないという場合はインスリンの基礎量や追加量を補充する方法を取ることがあります。これを強化インスリン療法(インスリンの頻回注射療法やインスリン持続皮下注入療法のこと)といいます。 妊娠糖尿病を早期発見・予防するには 妊娠糖尿病を予防できれば、母体や胎児への影響を減らすことにつながります。 そのためには、まず妊娠糖尿病にかかりやすい人の体質や、悪影響を与える生活習慣を理解しておくことが重要です。 以下で妊娠糖尿病の早期発見、予防に必要な項目を詳しく解説します。 妊娠糖尿病にかかりやすい人の特徴を理解する 以下の体質を持つ人は妊娠糖尿病にかかりやすいと言われています。 肥満 家族に糖尿病の人がいる 35歳以上の妊娠 尿糖の陽性が続く 羊水過多 原因不明の流産、早産、死産の経験がある人 妊娠高血圧症候群の人、もしくは既往歴がある人 もしいずれかの項目に該当しているようであれば注意が必要です。妊娠糖尿病を予防するためには、下の項目を参考に生活習慣の見直しを行う必要があります。 生活習慣の見直し 妊娠中はインスリンの分泌量が増えるため、空腹状態をなるべく作らないことが大切です。空腹を感じた場合は、野菜や豆類、鶏のささみなど良質のたんぱく質を摂るようにしましょう。 また、食事は食べる順番も大切です。野菜から食べ始め、汁物、メイン、炭水化物という順番で食べることで血糖値の急激な上昇を防ぐことができます。 妊娠糖尿病は通常の糖尿病と同様に、生活習慣だけでなく遺伝的要素も関係するといわれています。そのため上記で紹介したような方法を取り入れたにも関わらず妊娠糖尿病を発症したという場合も、あまりストレスに感じる必要はありません。 食事以外には適度な運動も大切です。血流を改善するウォーキングやヨガ、エアロビクスなどの有酸素運動が適切です。しかし、過度な運動はむしろ逆効果になる可能性もあるため、医師の許可を得て行いましょう。 定期健診の受診 妊娠糖尿病は早期発見が大事な病気です。胎児に影響が及ばないよう定期的に妊婦検診を行いましょう。 定期健診を行うことは、正しい生活習慣の維持にも有効です。 出産後、妊娠糖尿病の影響 出産後は急速にインスリン必要量が減少します。そのため、薬物療法を行っている人はインスリンの量を血糖値に合わせて調整する必要があります。 また、妊娠糖尿病患者の方は、正常な妊婦と比べて将来糖尿病を発症する頻度は41~62%だといわれています。(文献1) 産後6~12週間後にブドウ糖負荷試験を受け、妊娠糖尿病が治っているか確認し、その後も定期的に検査を受けることが重要になります。 産後に正常値に戻った人でも、最低でも3年間は産後のフォローアップが必要です。 授乳中の食事は妊娠前の摂取エネルギーから約450kcal程度増やすことを目安にしましょう。これは授乳のための付加エネルギーですので、授乳が終われば元の摂取エネルギーに戻す必要があります。 また、妊娠糖尿病を発症した人がそのままメタボリックシンドロームを起こす例もあります。上記で紹介した治療や予防を行いながら、産後も注意していく必要があります。 まとめ|妊娠糖尿病が胎児や母体に与える影響について解説|治療・予防法も紹介 妊娠前や妊娠中に糖尿病と診断されたときの対処法と母体や胎児への影響について説明しました。 妊娠糖尿病は、妊娠中に発症する糖代謝異常であり、母体や胎児にさまざまな影響を及ぼします。発症すると母体だけでなく、胎児にも影響をおよぼします。また、妊娠中は運動療法が困難なうえ、使用できる薬が限定されるため、治療は慎重に行う必要があります。 妊娠糖尿病は、妊娠中だけでなく出産時、出産後にもさまざまなリスクを引き起こす可能性が高い病気です。 予防のためにも妊娠中の食事や体調管理は特に気を使い、正しい生活習慣を心がけましょう。また、定期的な検査や医師との相談が大切です。 妊娠糖尿病と診断されたら、まずは食事療法や薬物療法を行いましょう。特に妊娠中は運動療法が難しいため、食事やインスリン治療が主な方法となります。 また、糖尿病患者が妊娠を望む場合は血糖コントロールに努め、医師と相談しながら計画的に妊娠することも重要です。妊娠糖尿病にかかりやすい人の特徴についてもまとめていますので、妊娠前に確認することをおすすめします。 妊娠糖尿病患者は産後の糖尿病発症率が高いため、産後も定期的に検査を受けましょう。 当院「リペアセルクリニック」では糖尿病に対する治療として、再生医療を行っております。 幹細胞による再生医療は、血糖値や肝機能値の改善にアプローチします。 再生医療について詳しく知りたい方は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) 平松 祐司. 「妊娠糖尿病」 岡山医学会雑誌, 2011年, 123(3), pp. 243-245. https://www.jstage.jst.go.jp/article/joma/119/1/119_1_79/_pdf (最終アクセス:2025年3月25日)
2022.02.22 -
- 糖尿病
- 内科疾患
「糖尿病の発症率が高い都道府県はどこ?」 「自分の住んでいる地域のリスクを知りたい…」 このような疑問をお持ちではないでしょうか? 糖尿病は生活習慣によって発症リスクが変わる病気です。そのため、地域ごとに患者数や割合に差があり、特定の都道府県では発症率が高い傾向にあります。 本記事では、最新の糖尿病患者数が多い都道府県ランキングを紹介します。地域ごとの特徴や予防策についても解説するので、糖尿病対策を考えている方はぜひ参考にしてみてください。 【最新版】糖尿病の都道府県ランキング 糖尿病の都道府県別ワースト・トップランキングを見ていきましょう。 以下は、厚生労働省が報告している都道府県ごとの糖尿病による死亡率のワースト・トップランキングです。 ワースト(死亡率が高い都道府県の順位)※数値は死亡率 トップ(死亡率が低い都道府県の順位)※数値は死亡率 1位 青森県:20.2% 神奈川県:7.8% 2位 徳島県:17.9% 愛知県:7.9% 3位 香川県:17.8% 東京都:8.8% 参考:厚生労働省|平成30年人口動態統計「主な死因の死亡数・死亡率(人口10万対)都道府県別」 糖尿病の死亡率が高いワースト1位の都道府県は、青森県でした。次いで、徳島県、香川県と続きます。 一方、死亡率が低いトップ1位の都道府県は、神奈川県、愛知県、東京都となっています。 以下で、ワースト1位の青森県と、トップ1位の神奈川県について詳しく見ていきましょう。 ワースト1位は青森県|考えられる原因は? 青森県では、冬の厳しい寒さに備えるために、塩分を多く含む食事が長年親しまれてきました。 たとえば、保存食として塩漬けの魚や漬物を食べる文化が根付いています。これにより、食塩の摂取量が増え、糖尿病のリスクが高まります。 また、冬季は積雪が多く、外での運動が難しいのが現状です。運動不足は血糖値を下げる働きが低下し、糖尿病の発症や悪化の原因となります。 青森県では糖尿病の予防と管理のために、公式ホームページで糖尿病の基礎知識やリスクについての情報を発信しています。さらに「青森県糖尿病性腎症重症化予防プログラム」を策定し、糖尿病による腎症の重症化を防ぐための取り組みを強化しました。このプログラムは令和4年3月24日に改定され、より効果的な対策が進められています。 トップ1位は神奈川県|独自の取り組みは? 神奈川県がトップである背景には、県民の健康意識の高さと、行政の積極的な取り組みが関係していると考えられます。 神奈川県では、喫煙率が全国平均よりも低く、日々の運動量も多い傾向があります。(文献1) たとえば、歩数の平均値は全国平均を上回っており、女性は全国でもっとも歩いていることが分かっています。(文献1) こうした生活習慣が、糖尿病の発症リスク軽減につながっているのでしょう。 神奈川県は「かながわ糖尿病未病改善プログラム」を打ち立て、市町村や医療機関と連携し糖尿病が重症化する前の予防に力を入れています。 11月14日の世界糖尿病デーには、シンボルマークであるブルーサークルにちなみ県内5カ所の建物をブルーライトで照らし、糖尿病予防の重要性を広く伝えています。 こうした多角的な取り組みが、神奈川県民の糖尿病発症率を抑制しているのでしょう。 都道府県によって糖尿病の死亡率に差がある理由 糖尿病の死亡率は、都道府県ごとに大きな差があります。その理由には、食生活や生活習慣の違いが関係しています。 塩分や糖分の多い食生活 運動不足になりやすい環境 飲酒量 喫煙率 それぞれの要因が糖尿病のリスクにどのように影響するのかを見ていきましょう。 塩分や糖分の多い食生活 塩分や糖分の摂り過ぎは高血圧および糖尿病のリスクを高めます。 糖尿病死亡率ワースト1位の青森県は、野菜の摂取量は多いものの、塩分摂取量が男女ともに全国平均を上回っています。 これは、青森県の伝統的な食文化である塩分の多い保存食や、濃い味付けの料理が影響していると考えられるでしょう。 運動不足になりやすい環境 運動不足も糖尿病のリスク要因です。運動しないと、血糖値をコントロールしにくくなるためです。 地方は車社会であり、日常的に体を動かす機会が少ない傾向にあります。糖尿病の死亡率ワースト1~3位である青森県・徳島県・香川県は、いずれも地方に該当します。また、雪国である青森県は、冬期間は屋外での運動が難しく、室内で過ごす時間が増えるでしょう。 これらの環境要因が、地域住民の運動不足を招き、糖尿病のリスクを高めていると考えられます。 飲酒量 アルコールの過剰摂取は、肝臓や膵臓に負担をかけ、糖尿病発症のリスクがあると知られています。 お酒には糖分が含まれている種類も多いため、過度な飲酒は血糖値の上昇につながります。 糖尿病死亡率ワースト1位の青森県は、成人1人当たりの酒類販売(消費)数が全国2位と、飲酒量が多い県です。(文献2)飲酒が習慣化している地域では、糖尿病の発症率も高くなる傾向にあります。 喫煙率 喫煙は、血管を収縮させて血圧を上昇させるため、糖尿病のリスクを高めます。また、血管を傷つけることでインスリンの働きが弱まり、発症率が高まるリスクもあります。 糖尿病死亡率ワースト1位の青森県は、喫煙率が全国で10位以内です。運動不足や食生活の問題に加え、喫煙による健康への悪影響が懸念されます。 日本における糖尿病患者数の推移 厚生労働省によると2023年10月時点の日本の糖尿病患者数は218万人を超えていることが報告されています。(文献3) また、以下のグラフから、糖尿病は高齢になるにつれて発症しやすい病気だとわかります。 出典:厚生労働省|国民健康・栄養調査「糖尿病が強く疑われる者の割合」 日本透析学会によると1983年に5万3,017人だった透析患者数が2023年には34万3,508人にまで増加しており、原因疾患の約4割が糖尿病性腎症であることがわかっています。(文献4) 糖尿病の患者数を増やさないための動き 厚生労働省は、糖尿病をはじめとする生活習慣病を防ぐために、健康づくりを進める取り組みをおこなっています。 具体的には、基本方針を決めて、以下9分野で70項目の具体的な目標設定を定めています。(文献5) 栄養・食生 身体活動、運動 休養、こころの健康づくり たばこ アルコール 歯の健康 糖尿病 循環器病(脳卒中を含む) がん 糖尿病を増やさないための取り組みは「栄養・食生活」分野では「野菜の1日当たり平均摂取量350g以上」、「身体活動・運動」分野では「日常生活における歩数(男性)9,200歩以上」などです。 なお、糖尿病の治療においては再生医療も選択肢として挙げられます。体内の幹細胞を点滴投与して、すい臓・血管の機能再生を促し糖尿病治療を進めます。 再生医療について詳しく知りたいという方は、メール相談、オンラインカウンセリング も承っておりますので、ぜひご活用ください。 まとめ|最新の糖尿病における都道府県ランキングをチェックして健康の意識を高めよう 都道府県ごとの糖尿病における死亡率や糖尿病患者数の推移を見てきました。 地域によって、食生活や運動習慣に差があり、それによって糖尿病の患者数も変わる傾向があります。 糖尿病は早い段階で発見し、治療に取り組めば健康な人と変わらない生活を送れる病気です。 糖尿病の患者数の多い地域に住んでいたとしても、早い段階で食習慣を改善し、積極的に検診を受ける意識を持てば、糖尿病の予防や進行の抑制につながります。 健康意識を高めて、糖尿病の対策を進めていきましょう。 当院リペアセルクリニックでは、糖尿病の症状や治療法についてのご相談を受け付けております。メール相談やオンラインカウンセリングより気軽にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) 厚生労働省「平成28年国民健康・栄養調査」 https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/kekkagaiyou_7.pdf (最終アクセス:2025年2月21日) (文献2) 国税庁「令和3年度成人1人当たりの酒類販売(消費)数量表(都道府県別)」 https://www.nta.go.jp/taxes/sake/shiori-gaikyo/shiori/2023/pdf/0035.pdf (最終アクセス:2025年2月21日) (文献3) 厚生労働省「推計患者数」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/23/dl/suikeikanjya.pdf (最終アクセス:2025年2月21日) (文献4) 日本透析医学会雑誌「わが国の慢性透析療法の現況」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsdt/57/12/57_543/_article/-char/ja (最終アクセス:2025年2月21日) (文献5) 厚生労働省「健康増進法の概要」 https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/12/dl/s1202-4g.pdf (最終アクセス:2025年2月21日)
2022.02.21 -
- 糖尿病
- 内科疾患
2024年11月に発表された「国民健康・栄養調査」によれば、糖尿病の疑いが強い人は成人男性の16.8パーセント、女性は8.9パーセントにものぼります。(文献1) 糖尿病は完治しない病気であるといわれていますが、筋トレやウォーキングなどの運動を日常に取り入れることで、薬のみに頼らずとも症状を改善していくことは可能です。 この記事では、筋トレをはじめとする運動療法が糖尿病の改善につながる理由、糖尿病の方におすすめな運動方法を紹介しています。 糖尿病の完治は難しいが筋トレで改善が目指せる まず重要なポイントとして、糖尿病は完治する病気ではありません。 これは、血糖値が上昇しやすい代謝特性や加齢による生理的変化を根本的に変えることができないためです。 しかし、血糖値が上がらないよう生活習慣の見直しを続けることで、薬に頼らずに血糖値を下げ「寛解(一時的に症状が軽減・消失した状態)」を目指すことはできます。 薬に頼らない治療法には、筋トレやウォーキングなどの「運動療法」、食生活を見直す「食事療法」が主に挙げられます。 糖尿病の改善に筋トレが有効な理由 運動療法は、2型糖尿病を患っている人にとって重要な治療のひとつです。 日本糖尿病学会が発表しているガイドラインによると、運動療法を取り入れることで、以下の症状が改善するとされています。(文献2) 血糖コントロールの改善 肥満 内臓脂肪の蓄積 インスリン抵抗性 脂質異常症 高血圧症 慢性炎症 うつ状態 認知機能障害 上記は有酸素運動、筋トレ(無酸素運動)どちらを行っても得られる効果です。どちらか一方を行うより、有酸素運動と筋トレ(無酸素運動)を組み合わせることでさらに効果が上がることが報告されています。 さらに、高齢者の糖尿病患者の人は非糖尿病患者と比べて筋肉量の低下が著しいことが指摘されています。 有酸素運動の実施が困難な高齢者の人にとって筋トレ(無酸素運動)は有効な手段のひとつだといえるでしょう。 糖尿病は筋力の低下を引き起こす 糖尿病の改善に筋トレが有効な理由として、糖尿病を患っている人は非糖尿病患者と比べ筋肉量が減りやすいという点が挙げられます。 糖尿病は血糖値を下げるインスリンというホルモンの働きが弱くなることで発生します。 インスリンは血糖値のコントロールだけでなく、細胞の成長を促す特性も備えています。インスリンの働きが弱くなることによって、細胞の成長も低下し、筋肉にも影響を与えてしまうのです。 さらに、神戸大学の研究では、血糖値の上昇によって発生するKLF15というタンパク質によって筋肉の成長が抑制され、筋肉量の減少を起こしていることが明らかになりました。 健康な人は、KLF15を分解し量を減少させるWWP1というタンパクの一種が発生することで筋肉量の低下を防いでいます。しかし、糖尿病の人は血糖値の上昇によりWWP1が減少してしまうため、筋肉量が落ちてしまうのです。(文献3) 上記の理由からも、能動的に筋トレを行うことが重要であるとわかります。 体重のコントロールの必要性!肥満の悪循環を知る 糖尿病の寛解を目指す臨床試験「DiRECT」がイギリスで行われ、食事療法と運動療法をしっかり行い、体重をコントロールすることで2型糖尿病患者の半数近くは「寛解(症状が軽減・消失した状態)」を維持できることがわかりました。 では、なぜ食事療法と運動療法と体重コントロールだけで、薬物を使わず「寛解」を達成できたのかを解説します。 暴飲暴食や運動不足が続くと、全身に脂肪がたまり、肝臓にも脂肪がたまります。脂肪がたまった肝臓は働きが低下します。肝臓の働きが低下するとインスリンへの体の反応が鈍くなることがわかっています。これを「インスリン抵抗性」といいます。インスリン抵抗性が強まると、体は大量のインスリンを必要とするようになります。 すると、すい臓は「フル稼働」でインスリンをつくろうとするので、次第に疲弊してインスリンの分泌に支障をきたすようになります。インスリンの分泌が減ると、さらに肝臓に脂肪がたまるので、インスリン抵抗性がさらに強まってしまうのです。 この悪循環を断ち切るには、食生活と運動不足を改善し、脂肪がたまらないように肥満を解消する必要があります。 糖尿病の悪循環(断ち切ること) 暴飲暴食、運動不足で全身に脂肪がたまる 肝臓に脂肪がたまり、肝臓の働きが低下 インスリン抵抗性が発生:インスリンへの体の反応が鈍くなる インスリン抵抗性が強まる:大量のインスリンが必要となる すい臓が最大限に働いてインスリンをつくる 疲弊し、インスリンの分泌に支障をきたす インスリンの分泌が減ると、さらに肝臓に脂肪がたまる インスリン抵抗性がさらに強まる>ますます悪化 糖尿病の悪循環を断ち切るには肥満の解消が必要 2型糖尿病の改善には、上記の悪循環を断ち切ることが必要です。悪循環のメカニズムを知れば、「体重コントロール(脂肪を減らす)」によって症状を緩和できることが理解できると思います。 体重コントロールとは、標準体重(身長(m)×身長(m)×22)に近づけることです。 糖尿病の場合、標準体重と比べてやせている人より、太っている人のほうが問題になります。 食事量のコントロールも効果的ですが、脂肪を燃焼させるための筋肉がなければ長期的な改善は難しいといえるでしょう。 糖尿病を改善するおすすめの筋トレ方法を紹介 糖尿病の改善のために推奨されている筋トレ方法について、厚生労働省が推進している「2型糖尿病の人を対象にした運動プログラム」から抜粋して紹介します。 運動療法は主治医と相談の上で行ってください。代謝のコントロール状態や心疾患などの合併症、整形外科的疾患による運動の制限が必要な場合があります。 有酸素運動 有酸素運動はインスリンの働きを強め、糖の流れを改善してくれます。 ウォーキング トレッドミル エアロバイク エアロビクス ヨガ 水中歩行 などが推奨されています。運動の頻度は週に150分以上の中等度~高強度の運動がガイドラインでは推奨されていますが、週30分~100分程度の運動でも血糖改善効果が出ていることがわかっています。(文献2) 無理のない範囲で取り入れてみてください。 有酸素運動に併せて筋トレ(無酸素運動)を行う 有酸素運動と併せて筋トレ(無酸素運動)を行うことで、糖尿病の改善効果をさらに高めることができます。 糖尿病患者の方におすすめしたいのは、大きな筋肉を鍛えるトレーニングです。 大きな筋肉として挙げられるのは「胸」「背中」「下半身」の3カ所です。ダンベルなどの重りを使用し、適切なフォームで行いましょう。 動作中に重りをあげる際は息を吐き、重りを下げる際は息を吸うと筋肉の成長に効果的です。 各部位のトレーニングでは以下の種目がおすすめです。 胸筋 ダンベルフライ:仰向けに寝て、両手のダンベルを胸の上で開閉させる運動 チェストプレス:仰向けで両手のダンベルを胸から上へ押し上げる運動 水中で腕を開閉する運動 背筋 ダンベルローイング:前かがみになり、ダンベルを腰の高さまで引き上げる運動 ラットプルダウン:上部のバーを肩の高さまで引き下げる運動 バックエクステンション:うつ伏せで上半身を持ち上げる運動 下半身 ダンベルスクワット:両手にダンベルを持ち、膝を曲げ伸ばしする運動 レッグプレス:足で重りを押し出す運動 ダンベルを使用する運動と考えるとハードルは高いですが、自重のトレーニングでも十分効果は得られます。 ジムに行くことが困難だったり、ダンベルを持っていないという人は、ダンベルの応用として水を入れたペットボトルを使うこともおすすめです。 医師と相談し、自分に合った筋トレを選ぶ 糖尿病の改善のため運動療法に取り組みたくても、体調面の制約や時間的な余裕がない方もいるでしょう。 ある研究では短い運動時間でも血糖値の抑制は可能であるという報告が上がっています。まずは散歩や軽いストレッチなど、負担の少ない運動から始め、徐々に強度や時間を増やしていきましょう。 いきなりの高負荷な運動はけがのリスクを高めてしまうため注意が必要です。 運動を始める前には必ず主治医に相談し、ご自身の状態に適した運動の種類や強度、頻度について指導を受けることが重要です。 筋トレ以外の治療法 ここまで運動療法を中心に紹介しましたが、運動療法以外にも糖尿病の改善に効果的な治療法として食事療法があります。 また、近年は「再生医療」の注目も高まっています。それぞれの治療法についても理解を深めていきましょう。 糖尿病には筋トレだけでなく食事療法も効果的 糖尿病の改善には体重コントロールが必要ですが、運動療法だけでは十分とは言えません。適切な筋トレや有酸素運動を行っていても、食生活の改善がなければ摂取カロリーが過剰なままとなり、十分な効果が得られないことがあります。運動療法と食事管理を組み合わせることで、より効果的に糖尿病の症状を改善できます。 糖尿病患者の理想の食生活ポイント 糖質やカロリーの低い食事を摂る 1日3食、規則正しい時間に摂る 1日の活動量に合わせた適正なエネルギー量の食事をする 栄養バランスの取れた食事をする 食事量が多い人は、食事量を適正エネルギー量に調整しましょう。 1日の適正エネルギー量は、人によって異なり、「標準体重×身体活動量」で算出できます。 標準体重と身体活動量 標準体重=身長(m)×身長(m)×22 身体活動量 軽い労作(デスクワークが多い)25~30kcal/kg 普通の労作(立ち仕事が多い)30~35kcal/kg 重い労作(力仕事が多い)35~kcal/kg 近年糖尿病の治療として注目されている「再生医療」 再生医療とは、患者様自身の細胞から採取・培養した幹細胞を投与する先進的な医療法です。 糖尿病治療においては、自身の脂肪から培養した幹細胞をすい臓に投与することで、弱っていたすい臓の機能の改善を図ります。 すい臓が回復することによりインスリン分泌の増加、血管内の糖の吸収を促進することが可能になります。 一般的な内服治療やインスリン治療では糖尿病の進行を遅らせる効果はあるものの、根本的な回復を目指す治療ではありませんでした。 再生医療は自分自身が持つ「回復力」にアプローチする治療であるため、薬物療法とは異なった治療法だといえます。 まとめ|糖尿病は筋トレや運動療法、再生医療で改善を目指そう 「糖尿病は、一度発症すると完治しない」と、よく言われています。しかし、筋トレなどの運動療法や食事療法を通じて症状を改善することは可能です。特に2型糖尿病では、肥満や不健康な生活習慣が悪循環を生み出し、症状を悪化させることがあります。 この悪循環を断ち切るためには、食事のタイミングや、量をコントロールして、更に運動を行うことで脂肪を減少させることに取り組むことが重要です。 実行にあたっては医師の指導を受けながら、病状の管理に取り組みましょう。 また、糖尿病に対しては、運動療法の他にも「再生医療」という治療法もあります。 糖尿病に対する再生医療について詳しくは、以下のページをご覧ください。 参考文献 (文献1) 厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要」 2024年 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45540.html(最終アクセス:2025年3月25日) (文献2) 日本糖尿病学会. 糖尿病診療ガイドライン2024「第4章 運動療法」pp.67-68.日本糖尿病学会, 2024年. https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/04_1.pdf(最終アクセス:2025年3月25日) (文献3) Hirata Y, et al. (2019). Hyperglycemia induces skeletal muscle atrophy via a WWP1/KLF15 axis. JCI Insight, 4(4), e124952. https://doi.org/10.1172/jci.insight.124952(最終アクセス:2025年3月25日)
2022.02.11 -
- 糖尿病
- 内科疾患
「糖尿病だけど、運動しても大丈夫なのか不安…」 「運動をしてはいけない人もいるって聞いたけど本当?」 このように悩んでいる方もいるのではないでしょうか? 糖尿病の人にとって、適度な運動は血糖値を安定させる上で大切です。 しかし、すべての運動が良いわけではありません。間違った方法で運動すると、血糖値のバランスが崩れたり、合併症を悪化させたりして体に悪影響を及ぼすリスクがあります。 本記事では、糖尿病で運動療法をやめるべき基準や運動が許可された場合の注意点を解説します。運動療法の方針を考えていく際の参考にしてください。 【禁忌】糖尿病で運動療法をやめるべき基準 糖尿病の治療において運動療法は効果的な治療法の一つですが、患者様の状態によっては運動が逆に症状を悪化させる場合があります。 以下の条件は禁忌(実施すると危険性がある行為)に該当するため、運動療法をやめるべき基準となります。 増殖網膜症・増殖前網膜症を発症している レーザー光凝固後3〜6カ月以内の網膜症を発症している 第3B期(顕性腎症後期)以降の腎症(血清クレアチニン:男性2.5mg/dl以上、女性2.0mg/dl以上) 心筋梗塞など重篤な心血管系障害がある 高度の糖尿病自律神経障害がある 1型糖尿病でケトーシスがある 代謝コントロールが極端に悪い(空腹時血糖値≧250mg/dlまたは尿ケトン体中等度以上陽性) 急性感染症を発症している 自身がこれらの状態に該当するかどうかは、医師の診断や判断が必要です。糖尿病の方は運動療法をはじめる前に、必ず医師に相談してください。 糖尿病の基本的な治療は「運動療法」と「食事療法」 糖尿病の基本治療は、本来「運動療法」と「食事療法」です。それぞれの治療効果を詳しく見ていきましょう。 運動療法|運動しないとどうなるかのリスク管理も大切 運動療法は糖尿病の基本治療の1つです。 運動は血糖値を下げ、インスリン(血糖値を下げるホルモン)の働きを助ける効果があります。 糖尿病の人が運動をしないと、血糖値が上がりやすくなるほか、インスリンの働きも弱まるため、症状が悪化する可能性があります。 糖尿病の方に適した運動のタイミングは血糖値が上昇する食後です。食後の急激な血糖値上昇を運動によって抑えることが大切です。 毎日の生活の中に取り入れ、無理のない範囲で運動を続けましょう。 食事療法|食材選びや食べ方の工夫が症状を安定させるコツ 食事療法では、食べるものや食べ方を工夫して血糖値をコントロールしたり、適切な体重を維持したりするのが目標です。 血糖値の上昇を引き起こしやすい栄養素は、糖質です。糖質は、パンやご飯、甘いお菓子などに多く含まれます。一方で、食物繊維は血糖値の上昇を緩やかにする働きがある栄養素です。食物繊維は、野菜や海藻、いも類などに多く含まれています。 栄養バランスを考えた食事選びが、糖尿病管理の基本となります。 なお、糖尿病の治療においては再生医療も選択肢として挙げられます。体内の脂肪細胞を活用して、すい臓・血管の機能回復を図り糖尿病治療を進めます。 再生医療について詳しく知りたいという方は、メール相談、オンラインカウンセリング も承っておりますので、ぜひご活用ください。 【関連記事】 糖尿病!運動療法なら改善はもとより予防にも効果を発揮 効果が上がる!糖尿病の予防に最適な運動!その効果と注意点 運動療法の制限が必要な糖尿病の人|7つの特徴 糖尿病の方の中には、完全に運動を禁止するのではなく、医師の指導のもとで制限付きの運動療法が可能な場合があります。 以下は、注意深く運動を行う必要がある人の7つの特徴です。 インスリン治療中の人 単純網膜症の人 増殖前網膜症・増殖網膜症を患っている人 糖尿病神経障害の人 重篤な心血管障害や肺の病気を患っている人 腎症を患っている人 ケトーシス状態の人 それぞれの特徴を詳しく解説します。 インスリン治療中の人 インスリンを使った治療を受けている人は、運動のタイミングに注意が必要です。 適切な運動は血糖値を安定させるのに役立ちますが、誤ったタイミングで行うと低血糖を引き起こす危険があります。 とくに、寝起きや食事前は血糖値が低くなりやすいため、この時間帯の運動は避けたほうが良いでしょう。 運動中に血糖値が急激に下がると、めまいやふらつきが起こり、意識を失う可能性もあります。そのため、血糖値が上がりやすい食後に運動を取り入れるのが理想的です。 薬を使いながら運動をする場合は、主治医に相談し、自分に合った運動方法を確認してください。 単純網膜症の人 糖尿病の合併症の1つに「糖尿病網膜症」があります。 これは、目の奥にある網膜(光を感じる部分)の血管が傷つき、視力に影響を与える病気です。 糖尿病網膜症は進行の度合いによって「単純糖尿病網膜症」「増殖前網膜症」「増殖網膜症」の3段階に分かれます。 糖尿病網膜症は血圧の変動によって出血する可能性があります。また、低血糖になれば眼底出血が引き起こされる場合があるので、運動のタイミングや強度には注意が必要です。 病状によっては、運動が制限される場合や禁止されるケースもあります。 増殖前網膜症・増殖網膜症を患っている人 増殖前網膜症の場合は血圧におよぼす影響の少ない軽度の運動にとどめます。 頭を強く振る、頭を下げる、力むといったことは血圧を上げ、頭部への血流を増やすため、眼底出血などを起こす可能性があります。 また、増殖網膜症の方は、運動以外にも、力んだり、息をこらえたり、重量物を持ち上げたりするような行為は身体に負担がかかるので避けましょう。 糖尿病神経障害の人 糖尿病神経障害には、「感覚神経障害」と「自律神経障害」があります。 感覚神経障害では、足の感覚が鈍くなり、痛みに気づきにくくなるため、足に負担の少ない運動が適しています。たとえば、自転車エルゴメーターや水泳などです。 一方、自律神経障害では、血圧や心拍の調整が難しくなるため、運動療法が禁止される可能性があります。 重篤な心血管障害や肺の病気を患っている人 心臓や肺に病気がある人が運動を始める際は、事前に体への負担を確認する取り組みが大切です。 とくに、心臓の病気がある場合は、運動中の心拍の変化を調べる「負荷心電図」(運動中に心臓の働きを記録する検査)の実施が推奨されます。 運動の強さによっては、心臓に負担をかける可能性があるため、どの程度の運動が安全かを医師と相談しましょう。 腎症を患っている人 糖尿病による腎臓の病気「糖尿病性腎症」は、進行度によって5段階に分かれます。 第1期:腎症前期(尿中アルブミンが正常範囲) 第2期:早期腎症期(微量アルブミン尿) 第3期:顕性腎症期(顕性アルブミン尿or持続性タンパク尿) 第4期:腎不全期(腎機能の著しい低下) 第5期:透析療法期(透析療法中) 第1期から第3期までは、病状に応じた適切な運動が推奨されています。 第3期の顕性腎症期まで進行すると、腎臓の負担を減らすために運動を制限する可能性があります。 以前は腎症患者には運動を控えるよう一律に指導されていましたが、現在の医学的見解では、適度な運動による持久力向上や血中脂質代謝改善の効果が認められています。 ケトーシス状態の人 血糖値が250mg/dl以上(高血糖)やケトーシス状態の場合は運動が制限されます。 ケトーシスとは血中のケトン体が増加し、尿中のケトン体が中等度以上の状態です。 高血糖のときに運動をすると、糖の代謝がうまくいかず、症状が悪化する可能性があります。そのため、まずは食事や薬の治療で血糖値を安定させてから運動を取り入れましょう。 糖尿病の人が運動するときの注意点 運動が許可されている糖尿病の方は、以下の点に注意して安全に運動をする必要があります。 運動時の状況 起こりうるリスク 低血糖を引き起こしている めまいや意識障害を引き起こし、転倒・事故のリスクを高める 運動の強度や頻度が高すぎる 関節や筋肉を損傷する可能性がある インスリン調整剤や飲み薬を服用している 低血糖になりやすいため、体調の変化に注意する必要がある 運動療法は継続が何より大切です。運動を長続きさせるためにも、安全を第一に心がけましょう。 糖尿病を発症したら運動療法の前に医師によるメディカルチェックが必要 糖尿病患者の方が運動療法を行う際、やり方を間違えると事故や症状を悪化させるリスクがあります。 そのため、運動療法を始める前には医師によるメディカルチェックを受けて、安全性を確認することが大切です。 以下は、糖尿病患者の運動療法を行う際のメディカルチェックにおける基本項目です。 項目 検査内容 問診 ・糖尿病以外で治療中の病気や服薬中の薬 ・家族の既往歴 ・現在の生活状態や運動習慣 血液検査 ・空腹時血糖 ・HbA1c(ヘモグロビン量の測定) 診察 ・血圧 ・脈拍数 ・身体計測(身長、体重、腹囲) ・肥満度 尿検査 たんぱく、ケトン体の測定 心電図 安静時心電図 運動療法を開始後も、少なくとも年に一回は医師によるメディカルチェックを受けましょう。 まとめ|糖尿病の運動療法における禁忌を知って正しい治療を進めよう 禁忌とは、単なる禁止という意味ではなく、それを行うことで症状を悪化させたり、予期せぬ副作用が起きたりするなどのリスクがあるという意味で用いられています。 よって、自分の状態が運動療法の禁忌に該当するかどうかを医師に確認し、安全な範囲で糖尿病の治療を進めていく姿勢が大切です。 糖尿病はこれまで「治らない病気」と言われてきました。しかし、近年「再生医療」という新しい医療分野が発達し、血糖値が大幅に改善した事例が数多く報告されています。糖尿病の再生医療に興味がある方は、当院リペアセルクリニックにお気軽にお問い合わせください。 【関連記事】 糖尿病が改善!肝機能も良くなる 幹細胞治療 60代女性 糖尿病に対する幹細胞治療でHbA1Cは正常値に戻る!70代男性
2022.02.07 -
- 糖尿病
- 内科疾患
「糖尿病は治らない?」「糖尿病になったら一生付き合っていかなばならないの?」と、疑問を抱いている方もいるのではないでしょうか。 結論からいえば、糖尿病は「完治しない病気」です。原因によって「1型」「2型」に分かれますが、いずれも発症すると一生付き合っていく必要があります。 ただ、程度や治療内容によっては「健康な人と変わらない状態を保つことは可能です。 この記事では、糖尿病が治らないといわれる理由や治療法、予防法をご紹介します。 本記事を参考に、糖尿病に関する正しい知識や認識を身につけましょう。 糖尿病に対する \再生医療という選択肢/ 薬物療法やインスリン注射は糖尿病の進行を遅らせる効果がありますが、膵臓や血管そのものを根本的に修復するアプローチではありません。 食事療法・運動療法を続けても血糖コントロールが難しい場合や、合併症の進行が心配な場合、再生医療もご検討ください。 再生医療とは患者さまご自身の脂肪から採取した幹細胞を活用し、機能が低下した膵臓や血管の修復環境を整えることを目指す治療法です。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 食事療法や運動療法を続けても血糖値が下がらない 薬やインスリン治療を続けているが改善を感じにくい これ以上薬を増やしたくない 将来の合併症(失明・透析・心筋梗塞など)が不安 糖尿病を根本的に改善できる可能性のある治療を知りたい >>再生医療専門の「リペアセルクリニック」に無料相談する 当院の糖尿病に対する再生医療については、以下の動画でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/XGCb17slyO8 「血糖値が下がらない」「合併症が怖い」「このまま薬を増やし続けるしかないのか」と感じている方は、まずは当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングにてご相談ください。 糖尿病の症状や不安を抱えている方は、まずは無料相談! 糖尿病かな?と思う症状がある方は、糖尿病の初期症状についてまとめたこちらの記事もご覧ください。 糖糖尿病が完治しないといわれる理由 糖尿病は発症の原因によって「1型糖尿病」と「2型糖尿病」に大別されます。それぞれの発症原因と、なぜ治らないのかを以下で解説します。 【2型糖尿病】血糖値が上がりやすい体質や年齢は変えられないため 【1型糖尿病】現代医学では破壊された膵臓の細胞を再生できないため 前提として、日本では糖尿病患者のほとんどが生活習慣病の一つである「2型糖尿病」患者です。そのため、「2型糖尿病」から治らない理由をご紹介します。(文献2) 【2型糖尿病】血糖値が上がりやすい体質や年齢は変えられないため 2型糖尿病は、体質などの「遺伝的要素」と食習慣などの「生活習慣」が組み合わさり発症します。治療や生活習慣改善によって血糖値は元に戻せても、体質や加齢といったリスクになる部分は変えられないため、完治が難しいといわれています。(文献1) 通常、食事を摂ると、すい臓からインスリンが分泌され、血糖値を下げます。 2型糖尿病は、過食や運動不足によってインスリンの分泌量が低下したりインスリンが効きにくくなり、高血糖状態が続くことで発症します。 初期の段階で乱れた生活習慣を改善できれば、血糖値を健康な人と同じ状態に戻すことは十分可能です。しかし、糖尿病が進行してしまうと健康な状態に戻すことは困難になります。そのため、初期段階で治療に取り組むことが大切です。 【1型糖尿病】現代医学では破壊された膵臓の細胞を再生できないため 1型糖尿病は、なんらかの原因で「すい臓」にあるβ細胞が破壊されて発症する病気です。 インスリンはβ細胞から分泌されるため、1型糖尿病はほとんどインスリンを分泌できなくなります。β細胞が破壊される原因は正確にはわかっていませんが、原因の1つに免疫異常(自己免疫)があると考えられています。 1型糖尿病は現代医学では「治らない」といわれている病気です。発症すると一生付き合っていかなければなりません。 最近では「再生医療」や「膵島移植(ランゲルハンス島)」などの研究も行われています。将来的には「1型糖尿病は治る病気」となる可能性もゼロではありません。 ちなみに、当院「リペアセルクリニック」でも、糖尿病への効果が期待できる再生治療を行っています。「メール相談」や「オンラインカウンセリング」も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。 糖尿病になってしまったらどうする?重症化を防ぐポイント 2型糖尿病は、遺伝的要素と生活習慣が組み合わさり発症します。 そのため、食事療法と運動療法で生活習慣の改善に努めることが糖尿病の予防法といえるでしょう。すでに糖尿病を発症している場合でも、生活習慣の改善が病気の進行を食い止めることにもつながります。 糖尿病の予防や治療の基本は「食事療法」と「運動療法」ですが、必要に応じて薬物療法を行う場合もあります。(文献3) 薬物療法 糖尿病の薬物療法では、飲み薬や注射薬にて治療を行います。それぞれどのような効き目のものがあるかは表のとおりです。 飲み薬の種類 インスリンの分泌をよくする インスリンの効き目をよくする 糖の分解・吸収を遅らせる 糖の排泄を促す 注射薬の種類 インスリン分泌を促進させる インスリンを補う どの薬物治療を行うかは、その方の糖尿病の状態や体格によって異なります。 1型糖尿病か、2型糖尿病かといった部分や、インスリンの出にくさや薬の効きやすさなどで判断をします。 食事療法 糖尿病の食事療法では以下のポイントを押さえて行うことが大切です。 摂取カロリーを抑える 栄養バランスの良い食事を取る 一日3食をしっかり食べる 適切な摂取カロリーがわかっても、どのような食品を、どれだけ食べれば良いのかわからない場合は、「糖尿病食事療法のための食品交換表」を利用するのも良いでしょう。 糖尿病治療の考え方や食事療法の基本的な考え方がわかりやすく解説されています。 また昨今、ネット上にはカロリー計算できるアプリを紹介しているサイトもありますので、使いやすいものを選んでみてください。 運動療法 運動療法のポイントは以下の3つです。 軽い有酸素運動から始める 継続して運動を続けることが重要 週3日は運動の時間を確保 運動は糖の消費を促します。また、筋肉の量を増やし糖の取り込みを促進することでインスリンの効果を高め、血糖コントロールを助けます。 ただし、運動を積極的に行うと食欲が増すため、かえって糖尿病を招いたり、症状が悪化することもありえるので注意が必要です。 糖尿病の予防や治療は「食事療法」と合わせて「運動療法」をセットで行うことが大切です。運動療法を行う際は以下の点に注意して行いましょう。 NEAT(非運動性熱産生) NEATとは、「運動以外の日常生活活動で消費されるエネルギー」を意味し、掃除や洗濯、通勤や階段の昇り降りなどで消費するエネルギーのことを指します。 すでに糖尿病の症状がある方や持病がある方など、運動に制限がある人もいます。運動療法を取り入れる際は医師に相談してから行うようにしましょう。また、日頃、まとまった時間が取れずに運動ができないという人もいるでしょう。 このような場合、NEAT(非運動性熱産生)を高めることを心がけると良いでしょう。 まとめ|糖尿病は完治の難しい病気。適切な管理により悪化を防ぐことが最も重要 糖尿病は一度発症すると完治が難しい病気ですが、適切な治療により血糖値をコントロールすることで、健康な状態を保つことが可能です。 普段の生活から糖尿病の予防(食事・運動)を心がけ、健康な生活を送りましょう。 一方で、「薬を続けているが数値がなかなか改善しない」「合併症の症状が出てきた」「インスリン注射に頼らない方法を探している」という方には、従来の治療とは異なるアプローチとして、再生医療という選択肢があります。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 薬を飲み続けているのに、血糖値がなかなか下がらない インスリン注射の回数が増えてきて、この先が不安 手足のしびれや目のかすみなど、合併症の症状が出てきた 食事制限や運動を頑張っているのに、数値が改善しない 薬以外の方法で、根本から改善できないか探している >>再生医療専門の「リペアセルクリニック」に無料相談する 糖尿病の治療は長期にわたるものだからこそ、一人で抱え込まず、新たな選択肢についても気軽に相談できる環境を持つことが大切です。 「今の治療に限界を感じている」「合併症が心配で、新しい方法を試してみたい」という方は、まず一度お電話でご相談ください。 糖尿病の症状や不安を抱えている方は、まずは無料相談! また、糖尿病の運動療法について、より効果的な方法を知りたい方は以下の記事もご覧ください。 参考文献 (文献1) 厚生労働省|糖尿病 (文献2) 糖尿病情報センター|糖尿病とは (文献3) 糖尿病情報センター|糖尿病の治療ってどんなものがあるの?
2022.02.07 -
- 糖尿病
- 内科疾患
糖尿病予備軍と診断され、「何を食べたらいけないの?」と悩んでいませんか? 実は、血糖値を上げやすい食品や、食べすぎに注意が必要な「意外な食品」もあるんです。 放っておくと本格的に糖尿病へ進行する可能性もあるため、毎日の食事内容がとても重要になります。 この記事では「糖尿病予備軍が避けたい食品7選」とともに、「安心して食べられる食品」や、「血糖値の安定に役立つ野菜」として注目されている大根の栄養と効果的な食べ方も解説します。 無理な制限ではなく、食事の「選び方」を知ることが、健康を守る第一歩になりますのでぜひご覧ください。 糖尿病予備軍が「食べてはいけないもの」とは? 糖尿病予備軍と診断されても、「これを絶対に食べてはいけない!」という特定の食材があるわけではありません。 重要なのは、血糖値を急激に上げないようにコントロールし、将来的な糖尿病や合併症のリスクを防ぐことです。 そのためには、エネルギー(カロリー)や栄養素のバランスを意識した食事を心がけることが基本になります。 「糖分・脂質・塩分」の過剰摂取を避け、体に負担の少ない食べ方を選ぶことで、血糖値の安定につながります。 \まずは当院にお問い合わせください/ 糖質が多く「血糖値」を急上昇させる食品 食事の栄養素のうち、血糖値に影響を及ぼすのは炭水化物です。 炭水化物には、食後の血糖値を上昇させ、エネルギー源となる「糖質」と、ほとんど消化されず血糖値の上昇を抑える「食物繊維」の2つがあります。 そのため、血糖値をコントロールするためには、食事中にどれだけ糖質が含まれるかを知っておくのは重要です。 しかし、だからといって糖質制限ダイエットや糖質制限食を行うのはあまりおすすめできません。 理由は、極端な糖質制限は腎症や動脈硬化に繋がる恐れがあり、逆効果となってしまうためです。 糖質を全く食べないのではなく、ご飯やパンを食べる前に、野菜など食物繊維の多いものを先に摂るよう意識するだけでも、血糖値の上昇を穏やかにする効果が期待できます。 食物繊維の摂取目標(18~64歳) 男性 1日21g以上 女性 1日18g以上 糖尿病の改善のために取りたい食材 食物繊維 野菜(特に根菜類) 海藻 キノコ 大豆 果物(糖分の過剰摂取に注意) 水溶性食物繊維が多い カボチャ オートミール 大根 大豆 キノコ 果物(糖分の過剰摂取に注意) 脂質・塩分が多く血管に負担をかける食品 糖尿病予備軍の方は、脂質や塩分の摂取にも気を配ることが重要です。 とくに脂質の中でも「飽和脂肪酸(例:肉の脂身やバター、チーズなど)」は、血中の悪玉コレステロール(LDL)を増やし、動脈硬化のリスクを高める可能性があるといわれています。 一方、魚や大豆などに多く含まれる「不飽和脂肪酸」には、悪玉コレステロールを下げる作用があり、積極的に取り入れたい脂質です。 また、塩分の摂りすぎも要注意です。 高血圧を招くことで糖尿病の合併症リスクを高める可能性があります。 食塩摂取の目標量として、以下の数値が推奨されています。 18歳以上の男性は1日7.5g未満 18歳以上の女性は1日6.5g未満 高血圧や腎症をお持ちの方は6g未満(文献1) 塩分の多い食品には、肉や魚の加工食品、漬物や佃煮などが挙げられます。 毎日の習慣ではなく「たまに楽しむ」程度に留めるなど、調整が必要です。 一見ヘルシーでも注意が必要な食品 「野菜ジュースを飲んでいるから健康的」「フルーツなら安心」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は見た目以上に糖質が多く含まれている場合があります。 市販の野菜ジュースや果汁100%のジュースには、糖質が多く含まれていたり、フルーツ缶詰はシロップ漬けになっていたりと、知らずに血糖値を上げてしまう要因となることがあります。 また、「カロリーオフ」や「ヘルシー」と書かれている食品でも、人工甘味料や脂質が多い場合があり、思った以上に血糖値へ影響を及ぼすことがあるため注意が必要です。 こうした食品を選ぶ際は、パッケージの「栄養成分表示」を確認する習慣をつけましょう。 「健康そう」というイメージだけで判断せず、成分を見て選ぶことが、血糖値コントロールには大切です。 糖尿病予備軍が「食べてはいけない」具体的な食品一覧【7選】 糖尿病予備軍の段階であっても、日々の食生活において血糖値の急激な上昇を避けることがとても重要です。 特に、糖質や脂質、塩分が多く含まれる食品は、インスリンの働きを乱す原因となり、糖尿病の発症リスクを高めてしまいます。 ここでは、糖尿病予備軍の方ができるだけ避けたほうが良い具体的な食品を7つご紹介いたします。 いずれも身近にある食品ばかりですが、「控える意識」を持つことで、血糖コントロールと健康維持の第一歩となります。 菓子パン・ドーナツなどの高糖質パン類 菓子パンやドーナツには、砂糖や小麦粉、油脂が多く含まれており、血糖値を急上昇させやすい食品です。 見た目以上にカロリーも高く、糖尿病予備軍の方にとっては控えたい食品のひとつです。 朝食代わりや間食として習慣化するのは避けましょう。 白米・うどんなどの高GI炭水化物 白米やうどんなどの精製された炭水化物は、消化吸収が早く、血糖値を急に上げやすい傾向があります。 できるだけ玄米や全粒粉のパン、そばなどの低GI食品に置き換える工夫をすることが、血糖値の安定につながります。 お菓子・スナック菓子 チョコレートやクッキー、ポテトチップスなどのお菓子類には、糖質と脂質が多く含まれています。 特に空腹時に摂取すると血糖値が大きく上がるため、日常的な間食として摂るのは控えましょう。 どうしても食べたい場合は、量を決めて楽しむことが大切です。 フルーツ缶詰・果汁飲料 フルーツ自体は栄養価が高いものの、缶詰や濃縮果汁飲料には砂糖が多く使われている場合があり、血糖値に悪影響を及ぼす恐れがあります。 果物を摂取する際は、生のものを適量にとどめるように心がけてください。 砂糖入りの飲み物(清涼飲料水・甘酒など) スポーツドリンクやジュース、甘酒などの甘い飲料には多くの糖分が含まれています。 液体は吸収が早いため、少量でも血糖値を大きく上げてしまうことがあります。 飲み物を選ぶ際は「無糖」や「糖質ゼロ」のものを選ぶようにしましょう。 加工肉(ウインナー・ベーコンなど) 加工肉には脂質と塩分が多く含まれており、糖尿病の合併症リスクである高血圧や脂質異常症にも関係してきます。 朝食やお弁当によく使われがちですが、できるだけ頻度を減らし、野菜や魚中心のメニューに切り替えるのがおすすめです。 コーンフレーク・甘いシリアル 一見ヘルシーに見えるシリアルですが、糖分が添加されているタイプが多く高カロリーです。 朝食として手軽な反面、血糖値の上昇を招く原因にもなります。 選ぶなら砂糖不使用のタイプにし、ヨーグルトやナッツと組み合わせる工夫が効果的です。 糖尿病予備軍でも安心して食べられる食品とは? 糖尿病予備軍の方にとって、毎日の食事はとても大切です。 ですが、「何を食べたらいいのかわからない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。 ここでは、血糖値を急激に上げにくく、安心して取り入れられる食品をいくつか紹介いたします。 無理な制限ではなく、上手に選ぶことがポイントです。 低GI食品(玄米・全粒粉パンなど) GI値(グリセミック・インデックス)が低い食品は、血糖値の上昇をゆるやかにする特徴があります。 特に玄米や全粒粉パンなどは、精製された白米や食パンに比べて食物繊維が多く含まれており、腹持ちも良いのが魅力です。 主食を選ぶ際は、白いものよりも「茶色いもの(未精製のもの)」を意識すると良いでしょう。 血糖値の上昇を抑える野菜・海藻類 野菜の中でも、葉野菜や根菜類(ただしイモ類は除く)、海藻類には食物繊維が豊富に含まれており、血糖値の急上昇を抑える働きがあります。 特に、食事の最初に野菜を食べることで「ベジファースト効果」が期待され、糖の吸収を穏やかにすることができます。 わかめやひじきなどの海藻も、日々の副菜に取り入れてみてください。 間食には素焼きナッツやゆで卵がおすすめ おやつを食べたいときは、血糖値が急に上がりにくい食品を選ぶことが大切です。 素焼きのナッツ(アーモンドやくるみなど)や、たんぱく質が豊富なゆで卵は間食として優れています。 ただし、ナッツ類はカロリーが高いため、1日あたりの量には注意が必要です(アーモンドであれば10粒程度が目安です)。 糖尿病予備群の食生活に取り入れたい「大根」について 大根は、糖尿病予備軍の方にも取り入れやすい、身近で優秀な食材の一つです。 食物繊維や消化酵素を豊富に含み、血糖値の上昇をゆるやかにする効果が期待されています。 また、カロリーが低いため、主食やおかずのボリュームを増やしたいときにも役立ちます。 ここでは、大根の栄養素や効果的な食べ方、注意点についてご紹介いたします。 大根の栄養素と食べ方のポイント 大根には、水溶性と不溶性、両方の食物繊維が含まれており、糖の吸収をおだやかにし、血糖値の急上昇を防ぐ働きがあります。 さらに「ジアスターゼ」などの消化酵素も豊富で、食後の消化を助けてくれるのも特長です。 生のまま食べることで酵素の効果を活かせますが、胃腸が弱い方や寒い時期には加熱するのもおすすめです。 加熱しても食物繊維はしっかり残るため、煮物や味噌汁、蒸し料理などに取り入れるのも良いでしょう。 大根の摂取量の目安と注意点 大根はカロリーが低く、たくさん食べても安心な印象がありますが、食べ過ぎはお腹を冷やしたり、胃腸に負担をかける可能性があります。 1日の摂取目安としては100g程度、加熱調理ならもう少し多めでも問題ないとされています。 また、大根おろしにすると酵素が活性化されますが、空腹時に大量に摂ると胃が荒れることもあるため、主食やたんぱく質と一緒にバランスよく取り入れることがポイントです。 糖尿病予備軍が注意したい合併症とは? 糖尿病予備軍の段階でも、血糖コントロールが不十分な状態が続くと、さまざまな合併症を引き起こす恐れがあります。 特に注意すべきは、目・腎臓・神経などの臓器に及ぶ慢性的な障害です。 予備軍の段階から、将来の合併症リスクを減らすための生活改善が重要とされています。 血管・臓器に広がる合併症のリスク 糖尿病が進行すると、「糖尿病性網膜症(失明の原因)」「糖尿病性腎症(人工透析の原因)」など、深刻な合併症を引き起こす可能性があります。 さらに、高血圧や脂質異常症が加わることで、動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中といった重篤な疾患に繋がるリスクも高まります。 \まずは当院にお問い合わせください/ 合併症を防ぐカギは「食事」と「運動」 合併症の予防には、食事と運動のバランスが欠かせません。 まずは、自分の活動量に応じた1日のエネルギー量を計算することが大切です。 無理な制限ではなく、継続可能な習慣を心がけ、必要であれば主治医や管理栄養士に相談しましょう。 また、ご自身の身体のことを把握しておくことも大切です。 まずはご自身の適正体重(BMI)を知っておきましょう。 1)適正体重(BMI)を計算する 適正体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22 2)適正エネルギー量を把握する 適正体重(BMI)に自分の日常生活の身体活動レベルをかけることで自分の適性エネルギー量を求めることができます。 身体活動レベルの目安と、適性エネルギー量を求める計算方法は次の通りです。 デスクワーク、主婦など 25~30×標準体重(kg)=1日の適性エネルギー量(kcal) 立ち仕事が多い 30~35×標準体重(kg)=1日の適性エネルギー量(kcal) 力仕事が多い 35×標準体重(kg)=1日の適性エネルギー量(kcal) まとめ|糖尿病予備軍は食事管理がカギ!避ける食品と正しい選び方を意識しよう 糖尿病予備軍の方は、合併症を未然に防ぐためにも、毎日の食事内容を見直すことが重要です。 ポイントは、糖質・脂質・塩分のとり過ぎを避けつつ、食物繊維を意識的に取り入れること。 エネルギー量のバランスを整え、極端な食事制限をせず、無理なく続けられる内容を心がけましょう。 また、体の状態によっては必要な栄養バランスも変わってきますので、すでに合併症の兆候がある方や不安がある場合は、自己判断せずに主治医や専門家に相談することが大切です。 参考文献 (文献1) 日本人の食事摂取基準(2020 年版)「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書p306 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf(最終アクセス:2025年4月27日)
2021.12.24 -
- 肘関節
- 関節リウマチ
- ひざ関節
- 股関節
- 肩関節
- 手部
- 足部
「人工関節の手術は痛みをなくすために必要なのはわかるけれど、合併症や後遺症が心配でなかなか踏み切れない……」そのような不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 肩の人工関節置換術は、つらい痛みを和らげ、生活の質を取り戻す有効な方法です。 しかし一方で、手術には特有のデメリットやリスクがあるのも事実です。 本記事では、肩人工関節の手術に伴う代表的な7つのデメリットを整理して解説します。 それぞれのリスクの特徴や発生しやすい条件、予防の工夫についても触れますので、正しくリスクを理解し、後悔のない治療選択につなげましょう。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。肩の痛みや人工関節について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 肩の人工関節の7つのデメリット・リスク 肩人工関節手術は、痛みを軽減し生活の質を取り戻す有効な方法ですが、肩は可動域が広く、膝や股関節とは異なるリスクを抱えやすい部位です。 そのため、手術を受ける前に想定される合併症を理解しておくことが大切です。 ここでは代表的な7つのリスクを紹介します。 感染症や血栓症といった生命に関わるものから、脱臼や可動域制限、再手術の必要性といった長期的に影響するものまで、それぞれ確認していきましょう。 なお、人工関節とは何か詳しく知りたい方には、以下の記事が参考になります。あわせてご覧ください。 感染症リスク 肩の人工関節手術で最も注意すべき合併症の一つが感染症です。 人工関節は体内に異物を入れるため、いったん細菌が侵入すると自然には治りにくく、再手術が必要になることもあります。 感染症には大きく2つのタイプがあります。手術後すぐに起こる「早期感染」と、数年後に発症する「遅発感染」です。 早期感染では発熱や患部の強い痛み、腫れなどがみられ、遅発感染では軽い痛みや動かしにくさが長く続く形で現れることがあります。 感染症リスクを高める要因としては以下が知られています。 糖尿病 関節リウマチ 免疫抑制剤を使用している 肥満 喫煙習慣 これらの条件がある方は、感染の危険性が高まるため、手術前に十分な準備や対策を行うことが重要です。 感染症にかかった場合の治療は、まず抗菌薬による点滴が行われます。症状が強い場合や感染が広がっている場合には、人工関節を入れ替える再手術が必要になることもあります。 予防策としては、手術前に虫歯や皮膚炎などの感染源を治療しておくこと、手術時には抗菌薬を予防的に投与することが有効とされています。 また、清潔な環境での手術操作と手術後の適切なリハビリ管理も重要です。 血栓症の危険性 肩人工関節の手術では、血栓症も重要なリスクの一つです。血栓症とは、血管の中に血のかたまり(血栓)ができて血流を妨げる状態を指します。 とくに脚の深い血管にできる深部静脈血栓症(DVT)と、血栓が肺に飛んで血管を詰まらせる肺塞栓症は、命に関わることもある合併症です。 症状としては、脚の腫れや赤み、強い痛みが現れる場合があります。 肺塞栓症では、急な息切れ、胸の痛み、めまいなどが起こり、緊急対応が必要になります。 リスクを高める要因には次のようなものがあります。 高齢 肥満 がんなどの悪性疾患 血栓症の既往歴 長時間の手術や手術後の安静 手術後の体調に異変を感じた場合は、すぐに医療スタッフに伝えましょう。 脱臼リスクと動作制限 肩は体の関節の中でも最も動きの幅が広い構造を持っています。 そのため、人工関節に置き換えると、特定の動作で脱臼が起こりやすくなる特徴があります。 注意が必要なのは、次のような動作です。 背中に手を回す(帯を結ぶ、ポケットに手を入れるなど) 腕を大きく上げる(洗濯物を干す、高い場所に物を取るなど) 手を体の内側に大きくひねる動作 これらは人工関節に強い負担をかけ、脱臼のリスクを高めるとされています。 予防のためには、手術後のリハビリで正しい動かし方を学ぶことが欠かせません。 一度脱臼すると再発しやすい傾向があるため、手術後は慎重な管理で脱臼を防ぎましょう。 生活の中では脱臼しやすい姿勢を避けたり、無理に腕を伸ばさない工夫も必要です。 理学療法士による生活指導も受けて、動作の工夫を取り入れてください。 摩耗・ゆるみによる再置換の可能性 人工関節は一度入れれば一生使えるわけではありません。 時間の経過とともに摩耗や「ゆるみ」が起こり、再手術(再置換)が必要になる場合があります。 人工関節の摩耗は、金属やポリエチレンといった部品同士が繰り返し擦れ合うことで進行します。 その結果、関節の安定性が低下し、痛みや腫れ、動かしにくさが再び現れてきます。 また、摩耗によって生じた微細な粉が骨を刺激し、骨が少しずつ体に吸収されて弱くなることで、人工関節がゆるみやすくなります。 再置換が必要となる主な兆候は以下の通りです。 関節の痛みが再発する 肩を動かしたときに違和感や異常な音がある X線検査でインプラントの位置がずれている 再置換手術は、初回の手術よりも難易度が高く、合併症のリスクも大きくなります。 人工関節の寿命は一般的に15〜20年程度とされますが、患者様の年齢や生活スタイルによって大きく変わります。 若い方や活動量が多い方は、再置換の可能性が高まるため、長期的な視点で手術を検討しましょう。 神経損傷と機能障害のリスク 肩人工関節手術では、周囲を走行する重要な神経を傷つけてしまう可能性があります。神経は細く繊細で、一度損傷すると回復が難しい場合があるため、とても注意が必要です。 代表的な神経損傷には次のようなものがあります。 神経 働き・役割 腋窩神経(えきかしんけい) 三角筋を通っており、損傷すると腕を横に持ち上げる(外転)動作ができなくなります。 筋皮神経(きんぴしんけい) 上腕二頭筋を通り、肘を曲げる力が弱くなるほか、前腕の外側の感覚が鈍くなることがあります。 これらの神経は肩関節のすぐ近くを通っているため、人工関節の設置や手術器具の操作中に影響を受けやすい位置にあります。 神経損傷が起こると、日常生活の質に大きな影響を与えます。 このため、手術を担当する医師が肩の解剖を熟知していること、また術後の神経症状を見逃さずに早期対応する体制が整っていることがとても重要です。 可動域制限による生活動作の困難 肩人工関節手術の後、多くの患者様が直面する課題の一つが可動域の制限です。 とくにリバース型人工関節では、肩の構造を反転させて安定性を高めるため、どうしても動かせる範囲が狭くなります。 代表的に制限されやすい動きは以下の通りです。 動作 難しくなる動き・事例 屈曲(前に腕を上げる) 洗濯物を干す、高い棚に手を伸ばすといった動作が難しくなる。 外転(横に腕を広げる) 荷物を持ち上げる、体操で両手を広げるといった動きに制限が出る。 内旋(腕を内側にひねる) 背中に手を回す動作が困難となる。 外旋(腕を外にひねる) 洗髪や髪を後ろで束ねる動作がしにくくなる。 研究報告では、リバース型人工関節は痛みの改善や安定性の向上に有効である一方、背中に手を回す動作(内旋)や頭上動作の制限が残ることが多いと示されています。(文献1) このため、術後にはどの動きが難しくなるのかを事前に理解し、理学療法士と一緒に日常生活に適した代替動作を学ぶことが重要です。 たとえば、衣服の着脱では前開きの服を選ぶ、入浴では入浴補助具を活用するなど、生活を工夫することで制限の影響を軽減できます。 再手術が必要になる可能性 肩人工関節は、痛みを和らげ生活の質を改善する有効な治療法ですが、一度の手術で一生使えるとは限りません。 感染、脱臼、摩耗・ゆるみなどの問題が生じると、再手術(再置換や再固定)が必要になる場合があります。 再手術は初回の手術に比べて難易度が高く、以下の課題があります。 骨の欠損や変形:人工関節の取り外しにより骨がさらに損なわれ、固定が難しくなる。 合併症の増加:感染や神経損傷、血栓症などのリスクが高まる。 回復期間の延長:リハビリが長引き、日常生活への復帰に時間がかかる。 とくに高齢者の場合、再手術時には体力や合併症の影響が大きくなるため、初回手術の段階で将来の再手術の可能性を念頭に置いて計画を立てることが大切です。 肩の人工関節の種類別デメリット|従来型とリバース型 肩人工関節には、大きく分けて「アナトミカル型(従来型)」と「リバース型」の2種類があります。 それぞれの構造や適応が異なるため、発生しやすいデメリットにも違いがあります。以下の通りです。 アナトミカル型(従来型) リバース型 特徴 自然に近い動きを再現しやすい 若年層や活動性の高い患者にも用いられる 腱板損傷があっても施術可能 脱臼リスクあり デメリット 腱板が損傷している場合は安定性が低い 脱臼リスクが比較的高い 可動域制限が生じやすい 負荷をかける動作で脱臼リスクがある 主な適応 腱板が保たれている場合に適応 腱板断裂性関節症、高齢者 このように、肩の人工関節はどちらを選ぶかで将来の生活に与える影響が変わります。 担当医と十分に相談し、自分の症状や生活スタイルに合った方法を選択することが重要です。 肩の人工関節手術の概要とポイント 肩人工関節手術は、保存療法で改善が得られない患者様に行われる治療法です。 損傷した関節を人工関節に置き換えることで、痛みを和らげ、生活の質を高めることを目的としています。 手術は全身麻酔で行われ、入院は一般的に2〜4週間程度です。術後はリハビリを通じて徐々に可動域と筋力を回復させていきます。 肩の人工関節手術の適応疾患別リスク 肩人工関節手術は、基礎疾患によって手術後のリスクや経過が異なります。主な疾患ごとの特徴を以下の表にまとめました。 疾患名 手術が適切と判断される特徴 主なリスク・注意点 変形性肩関節症 関節のすり減りによる痛み・可動域制限 高齢者では感染や血栓症リスクが高い 関節リウマチ 炎症で関節が破壊される 免疫抑制薬の影響で感染リスクが上昇 腱板断裂性関節症 腱板が損傷し肩を動かせない リバース型が多く、可動域制限や脱臼が残りやすい 上腕骨頭壊死 骨への血流障害で壊死が進行 若年者でも起こり、再手術の可能性が比較的高い 疾患ごとのリスクを理解しておくことで、手術後の生活に備えられます。 変形性肩関節症のリスクについては、以下の記事で詳細に解説しておりますので、気になる方はご確認ください。 肩の人工関節手術の入院期間と回復までの流れ 肩人工関節手術は、入院から退院後のリハビリまで一定の流れがあります。以下の表に一般的な目安をまとめました。 時期 主な内容 ポイント 手術当日〜翌日 全身麻酔で手術、安静 痛み止めや感染予防の管理が行われる 1週目 基本的なリハビリ開始 医師や理学療法士の指導で可動域訓練を少しずつ開始 2〜3週目 入院リハビリ 日常生活に必要な動作(更衣・洗面など)の練習 退院後(1〜3カ月) 外来リハビリ中心 洗濯物を干す・棚に手を伸ばすなど生活動作を徐々に回復 半年以降 社会生活復帰 家事・趣味・軽いスポーツが可能となる例もある 入院は平均で2〜3週間程度ですが、年齢や合併症によって延びることもあります。完全な回復には半年ほどかかるケースもあるため、焦らず段階的にリハビリを続けることが大切です。 肩の人工関節手術にかかる費用目安 手術費用については、自己負担3割の場合、おおむね50万〜60万円前後が一つの目安になります。 例として、ある病院では人工肩関節置換術(入院8日)で約56万円と案内されています。 医療機関や入院日数、個室利用などで上下しますが、総医療費が200万〜250万円に達するケースもあり、その場合の3割負担は約60万〜75万円もあります。 ただし、高額療養費制度を併用すれば自己負担は月ごとの上限額までに抑えられる仕組みです。 以下は、肩の人工関節手術で費用が掛かる項目についてまとめたものです。 費用項目 概要 確認ポイント 手術料・麻酔料 人工関節本体を含む外科手技と麻酔管理の費用 保険適用範囲、インプラントの種類、術式の違い 入院費 病室・投薬・処置・検査などの入院管理費 入院日数、個室か大部屋か、食事療養費の扱い リハビリ費 急性期から外来期までの理学療法費 入院中の頻度、退院後の通院回数と期間 術後外来・投薬 創部チェック、画像検査、疼痛コントロール 通院間隔、画像検査の種類と回数 装具・消耗品 スリング、保護材、創部ケア用品 自費分の有無、交換頻度 公的制度 高額療養費制度、限度額適用認定証、医療費控除 手続き方法、自己負担上限、対象外費用の確認 費用を抑えるには、公的制度の活用が鍵となります。高額療養費制度などを活用して、人工関節手術の費用を抑えましょう。 肩疾患の人工関節に再生医療は適用される? 再生医療は、すでに人工関節を入れた肩には適用されません。しかし、人工関節手術を行う前の段階であれば、症状や画像所見、生活背景などを総合して、手術前の選択肢として検討されることがあります。 再生医療は、患者様自身から採取・培養した幹細胞を患部に投与する治療法です。入院や手術を行わずに受けられます。ただし、対象疾患や期待できる経過には個人差があり、医師の評価が前提となります。 以下は、当院リペアセルクリニックで行った肩腱板断裂に対する再生医療の症例です。左肩の痛みに悩む70代の男性が再生医療により症状が改善した事例を紹介しているので、参考までにご覧ください。 患者様の状態によって、再生医療の実施可否、治療計画、想定される経過、リスクなどが異なります。 詳細については、当院リペアセルクリニックまでご相談ください。 まとめ|肩人工関節のデメリットを理解して後悔のない治療選択を 肩に人工関節を入れるかどうかの判断は、リスクの理解から始まります。 本記事では、感染症・血栓症・脱臼・摩耗やゆるみ・神経損傷・可動域制限・再手術の7点を軸に整理しました。 人工肩関節置換術後に変形性肩関節症などの合併症が起こるリスクは、患者様の年齢や基礎疾患、手術方法、術後の過ごし方によって変わります。 また、使用する人工関節が従来型かリバース型かによって、術後に残る機能制限や日常生活での注意点も異なります。 人工肩関節置換術後の入院はおおむね2〜3週間が目安で、外来リハビリを経て数カ月かけて生活を整える流れになります。 費用は複数の項目で構成されるため、高額療養費制度などの公的支援も視野に入れて、見積もりの内訳を早めに確認しましょう。 迷いが残るときは、専門医に相談して診察を受けるのが一番の解決策です。 手術を避けたいとお考えの場合は再生医療の選択肢もあるので、お悩みの方はぜひ当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。 リペアセルクリニックでは再生医療に精通した医師が、患者様の状態に応じて個別に治療方針を提案いたします。 参考文献 (文献1) 肩関節リバース型人工関節置換術後の可動域と機能評価|日本リハビリテーション医学会誌
2021.12.20 -
- 糖尿病
- 内科疾患
厚生労働省の調査によると、2019年時点で20歳以上のうち、糖尿病が強く疑われる人は約1,196万人。 予備軍も含めると、実に2,000万人以上が糖尿病リスクを抱えていることがわかっています。 それだけ多くの人が悩む病気ですが、「糖尿病」と一口にいっても、実は「1型」と「2型」の2つのタイプがあるのをご存知でしょうか。 今回は、糖尿病について「1型糖尿病」「2型糖尿病」それぞれの違いや特徴、治療法についてわかりやすくご紹介します。 糖尿病は1型より2型の方が多い 糖尿病には1型と2型の2種類がありますが、実際に患者数が多いのは2型糖尿病です。 厚生労働省の2023年「患者調査」によると、現在治療を受けている糖尿病患者は全国で約552万人。 そのうち2型糖尿病の人は約364万人にのぼり、全体の65%以上を占めています。(参考1) いっぽうで、1型糖尿病の患者数は約12万人とされ、全体の中ではごくわずかです。 さらに、「その他の糖尿病」に分類されている約176万人の多くも、実際には2型に含まれる可能性が高いため、糖尿病の9割以上が2型と考えられています。 2型糖尿病は、中高年以降に発症しやすく、生活習慣が深く関係しているのが特徴です。 それに対して1型糖尿病は、自己免疫の異常などが原因とされ、年齢に関係なく発症するものの、子どもや若者で多く見られる傾向があります。 1型糖尿病とは?原因や症状を詳しく解説 1型糖尿病は、膵臓のランゲルハンス島という部分にあるβ細胞が壊され、その結果、血糖を下げる役割があるインスリンを作り出せずに高血糖の状態が続く疾患です。 糖尿病全体のうち、1型は約5%程度と少数派ですが、先天的な体質や遺伝的素因が関与しているとされ、生活習慣とは関係なく若い人を中心に幅広い年齢で発症します。 1型糖尿病の主な原因とは? 1型糖尿病でなぜβ細胞が壊れるのかは現時点では判明していませんが、免疫反応が正しく働かず、自分の細胞にもかかわらず、外部から侵入しようとしてきた細菌・ウイルスなどの有害物質などと間違って攻撃してしまう、自己免疫反応がかかわっていると考えられています。 そのため、生活習慣病が大きな原因である2型糖尿病とは異なり、注射によってインスリンを補う必要があります。 1型糖尿病の3つのタイプ(劇症・急性・緩徐進行) β細胞の破壊は一般的には進行性で、病気が進行すると、ほとんどインスリンを出せなくなります。 1型糖尿病は、β細胞が破壊される進行スピードによって、下記のように分類されます。 劇症1型糖尿病 発症から1週間程度でインスリン依存状態になるタイプです。 そのため、すぐにインスリンを補充しなければ、糖尿病の急性合併症である「糖尿病ケトアシドーシス」となり重症になる可能性があります。 急性発症1糖尿病 1型糖尿病で最も頻度の高いタイプで、糖尿病の症状が出てから数ヶ月でインスリン依存状態になります。 人によっては、発症したすぐ後であれば、一時的に残っている自己のインスリン効果がある場合もありますが、長続きせず、その後は再びインスリン治療が必要です。 緩徐進行(かんじょしんこう)1型糖尿病 半年~数年と比較的ゆっくりとインスリン分泌が低下していくタイプです。 発症した最初は、2型糖尿病と同じようにインスリン注射を使わなくても血糖値を抑えることができます。 しかし、途中で血液検査の結果から、実は緩徐進行1型糖尿病だったと判明する場合が多くあります。 1型糖尿病の治療方法 1型糖尿病は、原則としてインスリン療法が必要です。 また原因として、生活習慣の乱れということはありませんが、薬物療法だけでは、重度の低血糖になる可能性があるため、2型糖尿病と同じように食事・運動習慣に注意します。 1型糖尿病の食事療法 基本的に食べてはいけない物はありません。 1人ずつ生活スタイル・インスリン治療法が違うため、普段の食事方法については、主治医・管理栄養士としっかり話し合うことが重要です。 また、炭水化物は食後の血糖値の上昇に大きくかかわります。 そのため、炭水化物を調整する方法である「カーボ(炭水化物)カウント」をおこない、食事の炭水化物量に合わせてインスリンの量を調節する。 もしくは、インスリン治療に合わせて食事の炭水化物の量を調節すると血糖値が安定しやすくなります。 1型糖尿病の運動療法 重い合併症がなく、血糖値が落ち着いていれば、運動の制限はありません。 実際に、プロのスポーツ選手も存在します。 しかし、運動する際は、低血糖に注意が必要なため、インスリン療法や補食を調整します。 どのような方法が推奨されるかは、1人ずつ異なるため、主治医の先生と相談して決めることが重要です。 \まずは当院にお問い合わせください/ 2型糖尿病とは?原因と3つのリスク 2型糖尿病は、糖尿病の中で最も多く、いわゆる「生活習慣病」として知られています。 膵臓から分泌されるインスリンの働きが悪くなったり、十分に作られなくなることで、血糖値が高い状態が続く病気です。 原因は1つではなく、遺伝的な体質に加えて、加齢や生活習慣の乱れがきっかけとなって発症する、後天的な疾患としての側面が強いのが特徴です。 食生活の乱れや運動不足などの生活習慣が深く関係していると言われています。 2型糖尿病の原因 「糖尿病=生活習慣の問題」と思われがちですが、それだけではありません。 2型糖尿病は、遺伝的な体質と生活習慣が積み重なって発症するケースが多いのが特徴です。 たとえば、家族に糖尿病の人がいると、体質的に血糖値が上がりやすいことがあり、そこに運動不足や過食、ストレスなどが加わることで発症のリスクが高まります。 空腹感や口の渇き、頻尿、視界のかすみなどの初期症状が現れたら、早めの検査が大切です。 2型糖尿病の3つのリスク(肥満・遺伝・生活習慣) 2型糖尿病の発症には、以下のようなリスクが深く関わっています。 肥満・内臓脂肪の蓄積 体重が増えるとインスリンの効きが悪くなり、血糖値が下がりにくくなります。 遺伝的な体質 親や兄弟に糖尿病の人がいると、発症のリスクが高くなります。 不規則な生活習慣 運動不足や食べすぎ、夜遅い食事、ストレスなどがインスリンの分泌・作用に悪影響を与えます。 これらの要素が重なることで、発症リスクが高まるため、普段から生活を見直すことが予防にもつながります。 2型糖尿病の治療方法 2型糖尿病の治療には、大きく分けて「食事療法」「運動療法」「薬物療法」があります。 中でも、食事と運動による生活習慣の見直しは、治療の基本とされています。 特に初期の段階では、食事と運動だけで血糖値を安定させられることもあるため、医師の指導のもと、できるだけ早く生活改善に取り組むことが重要です。 薬物療法が必要になる場合もありますが、今回は特に「食事療法」と「運動療法」について詳しく解説していきます。 2型糖尿病の食事療法 2型糖尿病の管理において、食事の工夫はとても大切です。 基本は、栄養バランスの取れた食事を心がけること。 糖質の摂りすぎを避けつつ、主食・主菜・副菜の3つをしっかり揃えるよう意識しましょう。 また、食べ方もポイントです。 「ゆっくりよく噛んで食べる」「夜遅くに食事をしない」といった食習慣の見直しも血糖コントロールに役立ちます。 さらに、1日に必要なカロリーを把握することも大切で、適正な摂取カロリーは、以下の式でおおよそ求められます。 標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22 必要エネルギー量=標準体重 × 身体活動量(25〜30程度) 計算例) たとえば、身長160cm・軽めの活動量の人なら、 1.6×1.6×22=56.3kg(標準体重) 56.3×25~30=1407~1689kcal/日が目安です。 炭水化物:50~60% たんぱく質:15~20% 脂質:20~25% 数字ばかりで難しく感じるかもしれませんが、医師や管理栄養士と相談しながら、自分に合った食事スタイルを見つけていくことが大切です。 2型糖尿病の運動療法 運動は、2型糖尿病の改善に欠かせない習慣のひとつです。 体重の管理や心肺機能の向上だけでなく、血糖値を下げる効果やインスリンの働きを助ける効果も期待できます。 特に2型糖尿病の人は、食事療法と運動療法を組み合わせることで、より血糖コントロールが安定しやすくなると言われています。 運動の種類には主に2つあります。 有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など) レジスタンス運動(筋トレなど) 糖尿病への運動療法は、ダンベルなどを使用して筋肉に負荷をかけるレジスタンス運動より、歩行やジョギング、水泳などの全身運動にあたる有酸素運動のほうがインスリンの働きがよくなるため、糖尿病の管理に適しています。 運動の目標として、1日20~60分程度の運動をできれば毎日、もしくは週3回以上。 合計で週150分以上を目指すと効果的です。 また、可能であれば週に2~3回程度、有酸素運動とともにレジスタンス運動を組み合わせることで、体力や筋力アップにもつながります。 \まずは当院にお問い合わせください/ その他の糖尿病 糖尿病は「1型」と「2型」だけではなく、実はその他のタイプもあります。 たとえば、妊娠中に発症する「妊娠糖尿病」や、薬の副作用・病気などが原因で起こる「二次性糖尿病」などがあります。 妊娠糖尿病 妊娠中に一時的に血糖値が高くなるタイプで、出産後には自然と治ることも多いですが、将来的に2型糖尿病になるリスクがあるため注意が必要です。 二次性糖尿病 ステロイド薬の長期使用や、ホルモン異常、膵臓の病気などが原因で起こる糖尿病です。 原因となる病気や薬を見直すことが、改善のポイントになります。 これらの糖尿病も早期発見と治療がとても大切です。 いつもと違う体調の変化があれば、放置せずに病院で相談するようにしましょう。 まとめ|生活習慣を整えて糖尿病を予防しよう 糖尿病には「1型糖尿病」と「2型糖尿病」の2つのタイプがあります。 1型糖尿病は自己免疫反応によって膵臓のβ細胞が破壊され、インスリンを生成できなくなる疾患です。主に先天的な要素が強く、急性発症型や緩徐進行型などがあり、治療にはインスリン補充が必要となります。 一方、2型糖尿病は生活習慣の乱れや遺伝的要因により膵臓のインスリン分泌が低下する疾患で、「生活習慣病」としても知られています。治療は食事療法や運動療法が中心となり、適切な体重管理と運動が重要です。 どちらのタイプでも共通して大切なのは生活習慣を整えることです。バランスのとれた食事と適度な運動を習慣づけることで血糖値を安定させやすくなります。 また、信頼できる主治医との相談や定期的な健康診断も欠かせません。糖尿病の予防や治療法に悩んでいる方も、まずはできることから少しずつ始めてみましょう。 当院では、糖尿病に対する再生医療を提供しております。再生医療に関する詳細は、以下のページをご覧ください。 参考文献 (文献1) 日本生活習慣病予防協会「糖尿病で治療を受けている総患者数は、552万3,000人 令和5年(2023)「患者調査の概況」より」 https://seikatsusyukanbyo.com/statistics/2025/010845.php(最終アクセス:2025年4月27日)
2021.12.18 -
- 糖尿病
- 内科疾患
糖尿病の食事療法では、食事量が多いと血糖値が上がり、少なすぎても体力が落ちてしまうため、「適正エネルギー量」がわからず悩んでいませんか。 多くの方が「何を食べるか」を考えながらも、「どのくらい食べるか」と言ったエネルギー量の管理を後回しにしがちです。 自分に合った「適正エネルギー量」を知ることで、血糖値を安定させ、無理なく改善が目指せます。 本記事では、糖尿病治療におけるエネルギー管理の基本から計算方法、メニュー作りのポイントまで医師監修で解説します。 食べる楽しみを保ちながら、血糖をコントロールしたい方は、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 糖尿病について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 糖尿病の食事療法では「エネルギー管理」が重要 糖尿病は、薬物療法で症状が改善しても食事内容を見直さなければ、再び悪化しかねません。 糖尿病の予防・管理には、エネルギー量の適正化が血糖コントロールに役立ちます。 食事療法では、「何を、どのくらい食べるか」が大切です。 なお、本記事で紹介する食事方法は、あくまで目安となるものです。適正な食事量は人によって異なるため、より詳しく知りたい方は主治医や管理栄養士、糖尿病療養指導士に相談しましょう。 エネルギー摂取量の基準 糖尿病の食事療法では、「摂取エネルギー量(=1日に食べる総カロリー)」を適切に保つことが重要です。 摂取エネルギーが多すぎると血糖値が上がりやすくなり、薬やインスリンの効果が十分に期待できなくなります。 一方で、極端に食事量が少ないと、低血糖や筋肉量の低下を起こすリスクが高まり注意が必要です。 自分に合った「適正エネルギー量」を知ることが食事療法の基本です。 エネルギー量の目安は、目標体重に活動量に応じたエネルギー係数(25〜35kcal/kg)を掛けて算出します。 詳しい計算方法や具体的な目安については、次の項目で紹介します。 エネルギー摂取量を適切に保つことが、血糖コントロールの基本です。 適正エネルギー量により合併症予防 エネルギー摂取量を適正に保つことは、血糖コントロールに役立つだけでなく、糖尿病合併症の予防にもつながります。 過剰なエネルギー摂取は肥満につながり、インスリン抵抗性を悪化させ、動脈硬化や高血圧、脂質異常症などのリスクを高める要因です。 一方で、適正エネルギー量を維持すれば、体重増加を防ぎ、糖尿病性腎症や神経障害、網膜症など三大合併症のリスクを抑えられます。 食事療法は、健康維持のために長期的な生活改善が必要です。 エネルギー管理により、血糖値の安定だけでなく合併症のリスクを減らし、健康的な生活を送ることができます。 総エネルギー摂取量の計算方法 糖尿病を改善するためには、自分にとって適正なエネルギー量を知る必要があります。 エネルギー摂取量の目安は、計算で導くことができます。計算方法を知ることで、無理なくコントロールしましょう。 なお、1日の適性エネルギー量は年齢や性別によっても変わってきます。本記事の記載はあくまでも目安量と考えて、詳しく知りたい方は主治医、管理栄養士、糖尿病療養指導士にご相談ください。 適正エネルギー量の計算式 適正エネルギーの算出方法を紹介します。 以下、3つのステップで算出します。(文献1) Step1:目標体重の算出 Step2:エネルギー係数の設定 Step3:1日の適正エネルギー量の算出 Step1:目標体重の算出 まずは自分の目標体重を計算します。目標体重は、身長とBMI(Body Mass Index)から算出します。ご自身の身長から求められます。 目標体重(kg)=身長(m)×身長(m)×BMI(kg/m2) ※身長160cmの場合、計算式の身長は1.6mとなります。 ※BMIは、体重と身長から算出される痩せや肥満度を表す体格指数です。 65歳未満の方は22kg/m2、65歳~74歳(前期高齢者)の方は22~25kg/m2、75歳以上(後期高齢者)の方は22~25kg/m2です。なお、75歳以上の方は、体格や食事量などにより個別に目標体重の設定が必要ですので、主治医や管理栄養士に相談しましょう。 Step2:エネルギー係数の設定 身体活動量と健康状態より、その人に適した摂取エネルギー量(エネルギー係数)を決定します。 エネルギー係数は、活動量や年齢、肥満の有無に応じて異なります。係数は、主治医に相談して決めましょう。 活動量目安 エネルギー係数(kcal/kg目標体重) デスクワークなどの軽い身体活動量の人 25~30 デスクワーク中心であるものの、通勤・家事、軽い運動など普通の身体活動量の人 30~35 力仕事、活発な運動習慣があるなど重い身体活動量の人 35~ Step3:1日の適正エネルギー量の算出 Step1の目標体重とStep2で決定したエネルギー係数を掛けた値が1日の適正エネルギー量です。 適正エネルギー量(kcal/ 日)=目標体重×エネルギー係数 年齢・活動量による目安 適正エネルギー量は、年齢や日常の活動量によって変わります。 同じ体重でも、日常生活での動き方が違えば消費エネルギー量も異なるためです。 たとえば、デスクワーク中心の人は消費エネルギーが少ないため、体重1kgあたり25〜30kcalが目安です。 一方で、通勤や家事など、軽く体を動かす機会が多い人は30〜35kcal、力仕事や定期的な運動をしている人は35kcal以上を目安に設定します。 また、高齢者など筋力低下の予防が必要な場合はエネルギー係数を大きめに、肥満により減量が必要な場合はエネルギー係数は小さめに設定します。 「自分の年齢」と「日常の活動量」「肥満の有無」によりエネルギー量を調整することが、長期的な血糖コントロールにつながります。 目安値はあくまで一般的なものですので、実際の食事量は主治医や管理栄養士の指導のもとで調整しましょう。 簡単な計算方法と活用例 1日の適正エネルギー量は、計算式「目標体重×エネルギー係数」より算出されますが、もっと簡単に知りたいという要望もあります。 おおまかにエネルギー量を求める場合、目標体重ではなく「標準体重」を基準に計算する方法があります。標準体重はBMI値を22として算出します。 標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22(kg/m2) この標準体重にエネルギー係数(25〜30kcal/kgなど)を掛けると、1日の摂取エネルギーの目安を求められます。 【たとえば身長160cm、デスクワーク中心の45歳女性の場合】 標準体重 : 1.6(m)×1.6(m)×22=56.3kg エネルギー係数:デスクワーク中心で「軽い身体活動量」に該当するため、エネルギー係数は25~30 kcal/kgです。ここでは中間的な値である28 kcal/kgを選択します。 1日の摂取エネルギー量:56.3(kg)×28(kcal/kg)=1576.4kcal この計算結果から、この方の1日の摂取エネルギー量の目安は約1600 kcalとなります。 なお、標準体重とは、統計的に「最も病気にかかりにくいとされる健康的な体重」のことで、実際の体型や年齢、筋肉量とは異なる場合があります。 そのため近年では、個々の健康状態や減量目標に応じた「目標体重」を基準にしています。 食事のエネルギー量を把握するには 算出した「1日の適正エネルギー量」は目安であり、実際にどのくらい食べているかエネルギー摂取量の把握が大切です。 しかし、すべての食品のカロリーを計算するのは現実として難しいでしょう。そこで役立つのが、「食品交換表」です。 食品交換表は、普段食べている食品を似たような栄養ごとにグループ分けし、同じグループ内で食品を交換できるようにしたツールです。 グループ内で食品を交換することで、適正なエネルギー量・栄養バランスの良い食事が摂れます。 毎日の食事をバランスよく組み立てながら、無理なくエネルギー量を管理できるようになります。(文献2) 食品交換表を活用する 糖尿病の食事療法で使われている「食品交換表」は、主食・主菜・副菜などを1単位=80kcalとして置き換えて考えるツールです。 たとえば、ご飯・パン・いも類などは同じ「炭水化物グループ」として扱い、どれを選んでも同じエネルギー量になるように調整できます。 食品交換表を使うと、献立全体のカロリーバランスを簡単に計算できるので、「ご飯を減らしてその分おかずを増やす」といった調整がしやすくなります。 書籍で販売している他、インターネットでも確認できます。農林水産省では「食事バランスガイド」として簡易版が公開されていますので、ご参照ください。(文献3) 詳しい使い方については、糖尿病専門医や管理栄養士に相談すると良いでしょう。 無理に食事を我慢するより、食品を上手に入れ替えて満足感を得るのが長く続けるコツです。 外食・コンビニでのエネルギー管理のコツ 外食やコンビニで弁当を買う際には、エネルギー表示をチェックしましょう。 最近はファミリーレストランやファストフード店などでも、メニューや公式サイトにカロリー・糖質などの栄養成分が記載されています。 弁当や惣菜を買う際も、ラベルの「エネルギー(kcal)」欄を見れば、1日の適正エネルギー量に占める割合が把握できます。 もし高カロリーな食品を選んだ場合、次の食事で野菜中心にするなどの調整が可能です。 食事の栄養素のうち、血糖値に影響を及ぼすのは炭水化物です。 炭水化物には、食後血糖値を上昇させエネルギーとなる糖質と、ほとんど消化されず血糖値の上昇を抑え、エネルギーにならない食物繊維があります。 糖尿病改善のためには、食物繊維が含まれる食品を多く摂るように心がけましょう。食物繊維の目標は、1日20g以上といわれています。 栄養バランスとメニュー作りのポイント 2型糖尿病の食事療法は、エネルギー量と各栄養素をバランスよく摂ることで、「血糖コントロール」を良好に保ちます。また、1回の食事中の糖質量が多いと食後高血糖を引き起こす可能性があるため、1日の食事をなるべく均等に3回に分けて食べるようにしましょう。 同じカロリーでも、栄養素の組み合わせによって血糖値の上がり方は変わります。 糖質・たんぱく質・脂質といった三大栄養素のバランスを整え、ビタミンや食物繊維を十分に摂ると血糖コントロールが安定します。 次に、三大栄養素の理想的なバランスと、血糖を穏やかに保つ食事の工夫を紹介します。 三大栄養素(糖質・たんぱく質・脂質)のバランス 血糖コントロール安定のためには、エネルギーのもととなる三大栄養素(糖質・たんぱく質・脂質)の割合が大切です。 バランスの良い栄養摂取量は、次の通りです。(文献1) 炭水化物:摂取エネルギーの40~60% たんぱく質:摂取エネルギーの20%まで 脂質:残り 炭水化物(糖質)の摂りすぎは食後血糖値の上昇を招く一方で、極端に減らすとエネルギー不足や筋肉量の減少につながるおそれがあります。 ご飯やパンなどの主食を適量にし、肉・魚・大豆製品などのたんぱく質をバランスよく取り入れましょう。 野菜・食物繊維を増やして血糖をコントロール 糖尿病改善のためには、食物繊維が含まれる食品を多く摂るように心がけましょう。 野菜やきのこ、海藻に多く含まれる「食物繊維」には、糖の吸収をゆるやかにして食後血糖値の上昇を防ぐ働きがあります。 食物繊維の摂取目標は、1日20g以上といわれています。 食物繊維を多く含む食品には、野菜(とくに根菜類)、海藻、キノコ、大豆、果物(糖質も多いので食べ過ぎに注意が必要)が挙げられるので、日々の食事に取り入れてみましょう。 また、血糖値が上がり過ぎないための食べ方を工夫できます。具体的な方法は、次のとおりです。 ゆっくり時間をかけて食べる よく噛んで食べる 野菜を先に食べる 糖尿病治療に「再生医療」という選択肢 糖尿病治療において食事療法は基本ですが、食事療法だけでは不十分なケースもあります。 そのような場合に、新しい治療法も視野に入れると選択肢が広がります。近年では再生医療による治療も注目されています。 再生医療では、ご自身の脂肪から培養した幹細胞を投与し、膵臓や血管の再生・修復を目指します。 当院「リペアセルクリニック」で行っている再生医療については、以下の症例をご覧ください。 また、再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っております。 糖尿病に関する再生医療の治療内容について詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。 糖尿病の食事を楽しみながらエネルギーを管理しよう 糖尿病が悪化すると全身にさまざまな合併症が生じます。しかし、食事療法を始めとする糖尿病治療を適切に行うことにより、合併症や動脈硬化の発症や悪化が防げます。 食事は毎日の生活で欠かせないものです。急激な食事制限は、ストレスにより長続きしないだけではなく、かえって症状が悪化する恐れがあります。 現在糖尿病を患っている人は、主治医や管理栄養士、糖尿病療養指導士と相談しながら、継続しやすい食事療法を進めていきましょう。 糖尿病の食事治療に関するよくある質問 糖尿病の食事療法に関するガイドラインはありますか? 糖尿病の食事療法については、日本糖尿病学会が作成した「糖尿病治療ガイドライン 2024」が公開されています。(文献4) ガイドラインでは、血糖コントロールのための食事療法やエネルギー摂取量・炭水化物の制限などの考え方が示されています。 糖尿病の食事療法は「エネルギー管理」と「栄養バランス」を両立させることが重要とされています。 食事内容を見直す際は、ガイドラインを参考にしつつ、主治医や管理栄養士の指導を受けると安心です。 糖尿病の食事指導に関するパンフレットはありますか? 農林水産省や日本糖尿病学会などが、患者さん向けのわかりやすい資料やパンフレットを公開しています。 農林水産省「食事バランスガイド」 一般社団法人日本糖尿病学会「日本糖尿病学会がすすめる健康食スタートブック」 これらは公式サイトから無料で閲覧・ダウンロードできます。日々の食事管理に役立ててください。 また、病院やクリニックなど施設によってはパンフレットなどを用意しているところもあるので、相談してみると良いでしょう。 参考文献 (文献1) 日本糖尿病学会がすすめる健康食スタートブック|一般社団法人日本糖尿病学会 (文献2) 糖尿病の食事|厚生労働省 (文献3) 食事バランスガイド|農林水産省 (文献4) 糖尿病治療ガイドライン 2024|一般社団法人日本糖尿病学会
2021.12.16 -
- 関節リウマチ
- 内科疾患
- お皿付近に違和感
関節リウマチとは、免疫の異常により、関節の内側を覆う膜(滑膜)などに炎症が起きる病気です。典型的な初期症状は、朝のこわばりと、指の付け根・指の第二関節・手首・足の指の腫れや痛みが数週間続くことです。 「年齢のせいかもしれない」「しばらく様子を見てもよいのか」と迷い、受診のタイミングでお悩みの方も多いのではないでしょうか。 本記事では、初期症状のセルフチェックや痛みが出やすい関節、似ている病気との見分け方、受診の目安について解説します。手指や足の関節の違和感が続いている方は、ぜひ参考にしてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな病気の治療に応用されている再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 関節リウマチの痛みに悩んでいる方は、ぜひ一度公式LINEをご利用ください。 関節リウマチの初期症状【セルフチェック】 関節リウマチの初期症状は、こわばり・腫れ・痛みが特定の関節に数週間以上続くことが特徴です。気になる症状がある方は、以下の項目を確認してみてください。 チェック欄 項目 ▢ 朝や昼寝のあとに手指がこわばり、動かすうちに楽になる ▢ 指の付け根・指の第二関節・手首・足の指が腫れて痛む ▢ 腫れた関節を触ると、熱っぽくぶよぶよしている ▢ 腫れや痛みが数週間以上続いている ▢ 痛む関節が増えたり、日によって移り変わったりする ▢ 微熱やだるさが続いている 当てはまる項目がある方は、医療機関での相談をおすすめします。一方、「指の第一関節だけが硬く腫れる」「動かしたときだけ痛い」場合は、別の病気の可能性もあります。 このチェックはあくまで受診の目安です。関節リウマチの診断には、血液検査や画像検査が必要です。 ここからは、代表的な初期症状を詳しく解説します。 以下の記事では、関節リウマチの症状について詳しく解説しています。 朝のこわばり 朝のこわばりとは、関節を動かし始めるときに硬くて動かしにくく、使ううちに楽になる状態です。起きたときにもっとも強く感じるため、この名前で呼ばれます。 昼寝のあとや、長時間座っていたあとなど、関節を動かさなかった後にも起こります。関節の痛みより先に、最初の症状として現れることもあります。 「ぞうきんが絞りにくい」「物を握りにくい」といった形で気づく方も多いです。こわばりが長く続くほど、病気の勢いが強いと考えられてきました。 なお、以前の基準では「1時間以上続く朝のこわばり」が項目の一つでした。現在の分類基準には含まれていないため、時間の長さだけで判断しないことが大切です。(文献1) 関節の腫れ 関節リウマチの腫れは、関節の内側の膜(滑膜)に炎症が起きたり、関節に液体がたまったりすることで生じます。 腫れた部分は触ると柔らかく、弾力があります。熱っぽさを伴うこともあります。はっきり腫れていなくても、「なんとなく腫れぼったい」と感じる程度で始まることもあります。 はじめは痛みだけで腫れがない場合もありますが、通常は腫れを伴います。一方、骨のように硬い腫れは、関節の軟骨がすり減る変形性関節症でよくみられる特徴です。 関節の痛み 関節の痛みは、1つから数カ所の関節で始まり、数週間から数カ月のあいだに次々と別の関節に広がることがあります。いつも同じ関節とは限らず、かわるがわる痛むこともあります。 炎症を伴うため、熱をもったような痛みが特徴です。長い経過では左右の同じ部位に出ることが多いものの、必ず左右対称になるわけではありません。初期は片側だけのこともあります。 また、痛みは天候に左右されやすく、天気が崩れる前や雨の日、寒い日に強まりやすい傾向があります。季節では、春から梅雨にかけて悪化しやすいとされています。(文献2) 全身のだるさ・微熱 関節の症状と並行して、だるさや微熱、食欲の低下など全身の症状が出ることがあります。 関節リウマチは関節だけでなく、全身に炎症が起きる病気です。そのため、指の痛みに全身の症状が加わる場合は、指だけに起きる病気(ヘバーデン結節など)よりも、関節リウマチなどを疑う手がかりになります。 「疲れがたまっているだけ」と見過ごしやすい症状のため、関節の症状とあわせて記録しておきましょう。 関節リウマチの初期症状が出やすい関節・出にくい関節 関節リウマチかどうかを考えるときは、「どこの関節が痛むか」が大きな手がかりになります。出やすい関節と出にくい関節は以下のとおりです。 分類 主な関節 出やすい関節 ・指の付け根 ・指の第二関節(指先から2番目の関節) ・手首 ・足の指の付け根 ほかの病気で症状が出やすい関節 ・指の第一関節(指先に一番近い関節) ・親指の付け根(手首寄りの関節) ・足の親指の付け根 これらの関節は、変形性関節症(足の親指の付け根は痛風も)でよく症状が出ます。そのため関節リウマチを見分ける手がかりになりにくく、関節リウマチかどうかを判断する目安となる基準(分類基準)でも、評価の対象から外されています。(文献1) 第一関節だけに症状がある場合は、ヘバーデン結節など別の病気を考えます。ここでは、部位ごとの特徴を解説します。 手指・手首 関節リウマチの初期症状は、指の付け根や指の第二関節、手首に出やすいのが特徴です。 手指の症状は、日常の細かい動作で気づくことが多いです。 ボタンをかけにくい ペットボトルや瓶のふたを開けにくい 小さな物をつまみにくい 指輪がきつくなった こうした変化が数週間続く場合は、腫れている関節の場所を確認してみてください。 足の指・足の裏 関節リウマチは、足の指の付け根や足の裏の痛みから始まることもあります。 「少し歩くと足先や足の裏が痛い」といった症状は、靴が合わないせいや外反母趾のせいと思い込みやすいものです。 靴を替えても痛みが続く場合や、足の指の付け根が腫れている場合は、関節リウマチの可能性も考えて受診を検討しましょう。 膝・肘・肩 関節リウマチは、肘や膝など大きな関節から始まることもあります。 現在は60歳代の発症がもっとも多く、高齢で発症する方も増えています。(文献3)そのため、膝などの痛みを「年齢のせい」と決めつけないことが大切です。 一方、両肩や首、腰の筋肉の痛みとこわばりが中心の場合は、リウマチ性多発筋痛症という別の病気も考えられます。後述の「関節リウマチと初期症状が似ている病気と見分け方」で詳しく解説します。 関節リウマチと初期症状が似ている病気と見分け方 関節の腫れや痛みが出る病気は、関節リウマチ以外にもたくさんあります。痛む場所と腫れの質感を比べると、見分ける手がかりになります。 主な病気の違いは以下のとおりです。 病名 痛む場所 腫れの質感 こわばりの特徴 多い年代 関節リウマチ 指の付け根・第二関節・手首・足の指 柔らかく熱っぽい 朝や安静後に強く、動かすと楽になる 60歳代が最多、女性に多い ヘバーデン結節・ブシャール結節 指の第一関節・第二関節 骨のように硬い 軽いことが多い 閉経期前後の女性 ばね指(腱鞘炎) 手のひら側の指の付け根 押すと痛むしこり 朝に指が引っかかりやすい 手をよく使う方、中高年の女性 リウマチ性多発筋痛症 両肩・首・腰やお尻まわりの筋肉 関節の腫れは目立ちにくい 朝が最もつらく、午後に軽くなる 50歳以上、70〜80歳代に多い 全身性エリテマトーデス 手指など複数の関節 腫れは軽いことが多い 朝のこわばりが出ることがある 20〜40歳代の女性 乾癬性関節炎 指の第一関節を含む手足の関節 指全体が腫れることがある 朝のこわばりが出ることがある 乾癬(皮膚の病気)のある方 自己判断は難しいため、表はあくまで目安としてご覧ください。それぞれの病気について解説します。 ヘバーデン結節・ブシャール結節(変形性手指関節症) ヘバーデン結節・ブシャール結節は、指の関節が骨のように硬く腫れて変形する病気です。第一関節に起こるものをヘバーデン結節、第二関節に起こるものをブシャール結節と呼びます。 女性に多く、閉経期前後に発症しやすいとされています。初期に赤みや痛みが出ることもありますが、腫れは骨のように硬いのが特徴です。血液検査の炎症の値は、正常であることが多いです。(文献4) 腫れが柔らかく熱をもつ関節リウマチとは、この点が見分けの手がかりになります。 ばね指(腱鞘炎) ばね指は、指を曲げ伸ばしするときに引っかかる症状が特徴です。手のひら側の指の付け根に、押すと痛むしこりができることが多いです。 関節そのものではなく、指を動かす腱の通り道に炎症が起きる病気です。主に1本の指に起こります。 ただし、関節リウマチの初期にも腱鞘炎(ばね指)が起こることがあります。複数の指で繰り返す場合や、関節の腫れを伴う場合は、医療機関を受診しましょう。 リウマチ性多発筋痛症 リウマチ性多発筋痛症は、両肩・首・腰やお尻まわりの筋肉に痛みとこわばりが出る病気です。50歳以上で発症し、70〜80歳代に多くみられます。 比較的急に始まり、2週間以内に典型的な症状がそろうことが多いです。朝がもっともつらく、午後には軽くなる傾向があります。発熱を伴うこともあります。(文献5) 手指の小さな関節が中心の関節リウマチとは、痛む場所が異なります。 以下の記事では、リウマチ性多発筋痛症について詳しく解説しています。 乾癬性関節炎 乾癬性関節炎とは、皮膚に赤みやかさぶた状のはがれが出る「乾癬」に、関節炎が合併した病気です。 関節リウマチでは起こりにくい指の第一関節にも炎症が起こる点が、見分けのポイントです。特徴的な症状は以下のとおりです。 症状 特徴 皮膚の症状 ・皮膚が赤くなり、白っぽくはがれ落ちる 爪の変化 ・爪に小さなくぼみができる ・爪が分厚くなり、水虫のような見た目になる 皮膚の症状より先に、関節の症状が出ることもあります。関節の痛みとあわせて皮膚や爪の変化がある場合は、その点も医師に伝えましょう。 全身性エリテマトーデス 全身性エリテマトーデスとは、全身に炎症症状が現れる自己免疫疾患(免疫が自分の体を攻撃してしまう病気)です。発症には、遺伝や感染症、紫外線などが関わると考えられています。 関節リウマチと似ている症状は、関節の痛みや腫れです。ただし、関節リウマチとは異なり骨や軟骨の破壊は起きにくいのが特徴です。20〜40歳代の女性に多い病気です。 特徴的な症状は以下のとおりです。 症状 特徴 蝶形紅斑 (ちょうけいこうはん) ・鼻から両頬にかけて蝶の羽のように現れる発疹 ・目立つ赤色が特徴でかゆみはない 円板状ループス ・顔面や頭、耳たぶなど円盤状に現れる発疹 ・かゆみはなく経過に伴い白くカサカサした状態になる 日光を浴びるとこれらの症状が出現または悪化するおそれがあります。 初期症状を放置するとどうなる?関節リウマチの進行過程 関節リウマチは、こわばり・腫れ・痛みといった初期症状から始まり、軟骨の破壊、骨の破壊、関節の変形へと進みます。進行すると、日常生活に支障が出ることもあります。 症状は2年を過ぎると、治療をしても完全な回復が難しくなります。そのため、できれば半年以内に治療を始めることが必要です。(文献2) 医師は進行の程度を「関節破壊の程度(ステージ)」と「日常生活への影響(クラス)」の2つで判断します。進む速さには個人差がありますが、ここではそれぞれの目安を解説します。 関節破壊の進行度(ステージⅠ〜Ⅳ) ステージは、レントゲン検査で関節の壊れ具合を確認して判断するものです。自覚症状だけでは判断できません。各ステージの目安は以下のとおりです。 ステージ 関節の状態 自覚しやすい変化 ステージⅠ(初期) 骨や軟骨の破壊はない こわばり・腫れ・痛み ステージⅡ(中等期) 軟骨が薄くなり、関節のすき間が狭くなる 痛みや動かしにくさが続く ステージⅢ(高度進行期) 骨と軟骨が壊れる 関節の変形が目立ち始める ステージⅣ(末期) 関節が壊れて動かなくなる 関節がほとんど動かせない 初期症状が出ている段階は、ステージⅠにあたることが多いです。この時期に治療を始めることが、関節を守るうえで大切です。 日常生活への影響(機能障害のクラスⅠ〜Ⅳ) クラスは、関節リウマチが日常生活にどの程度影響しているかを示す目安です。ステージと違い、ある程度はご自身でも判断できます。 クラス 生活の状態 クラスⅠ 健康な人とほぼ同じように生活や仕事ができる クラスⅡ 多少の障害はあるが、普通の生活ができる クラスⅢ 身の回りのことは何とかできるが、外出時などには介助が必要 クラスⅣ 寝たきりや車いすの生活で、身の回りのことがほとんどできない 「ボタンがかけにくい」「箸が使いにくい」と感じ始めたら、生活への影響が出始めているサインです。早めに医師へ伝えましょう。 中期以降に起こる関節の変形 関節リウマチが進行すると、関節の骨や軟骨が壊れて変形し、関節を動かせる範囲が狭くなります。主な変形は以下のとおりです。 起こりうる関節の変形 特徴 尺側偏位(しゃくそくへんい) 手の指が小指側に傾いた状態 スワンネック変形 指の第二関節が反り、第一関節が曲がった状態 ボタンホール変形 指の第二関節が曲がり、第一関節が反った状態 外反母趾(がいはんぼし) 足の親指が外側に曲がり、足の人差し指にぶつかったり乗り越えたりした状態 ハンマートー 足の指が折れ曲がったような状態 屈曲拘縮(くっきょくこうしゅく) 膝や肘が伸ばしきれなくなった状態 首の関節がずれやすくなると、後頭部の痛みや手のしびれ、手に力が入りにくいといった症状が出ることもあります。また、肘の外側や腰骨の上など、圧迫されやすい部位の皮膚の下にしこり(リウマチ結節)ができることがあります。 一度変形した関節は、手術以外で元に戻すのが難しいとされています。 関節以外の症状 関節リウマチは、関節以外にも症状が出ることがあります。全身の症状としては、疲れやすさや脱力感、体重減少、食欲低下などがみられます。 肺に炎症が起きて硬くなる間質性肺炎を合併すると、息切れや、痰を伴わない咳(から咳)が出ます。肺のまわりに水(胸水)がたまることもあります。 涙や唾液が出にくくなるシェーグレン症候群を伴う場合もあります。 まれに、血管に炎症が起きて発熱などを引き起こす「悪性関節リウマチ」というタイプもあります。なお、関節の症状が強いリウマチを指す言葉ではありません。 以下の記事では、関節リウマチの合併症である間質性肺炎について詳しく解説しています。 関節リウマチが疑われるときの受診の目安と検査 関節リウマチは、早く見つけて早く治療を始めるほど、関節を守りやすい病気です。「何科に行けばよいのか」「どのような検査をするのか」がわかると、受診のハードルも下がります。 ここでは、受診の目安と、医療機関で行う検査について解説します。 何科を受診する?受診の目安 医療機関で行う主な検査 診断に使われる分類基準(2010年ACR/EULAR) 受診前にメモしておきたい4つのこと それぞれ詳しく解説します。 何科を受診する?受診の目安 関節リウマチが気になる場合は、リウマチ科・膠原病内科、またはリウマチ専門医のいる整形外科に相談しましょう。膠原病内科は、免疫の異常で全身に炎症が起きる病気(膠原病)を診る内科です。 近くの専門医は、日本リウマチ財団の医療機関検索で探せます。 受診の目安となる症状は以下のとおりです。 関節の腫れや痛みが数週間続いている 痛む関節の数が増えてきた 朝のこわばりが毎日のように続いている 関節の症状に加えて、微熱やだるさがある 1つでも当てはまる場合は、早めに受診しましょう。 医療機関で行う主な検査 関節リウマチの診断では、血液検査と画像検査を組み合わせて判断します。主な検査は以下のとおりです。 検査 わかること リウマトイド因子(RF) ・関節リウマチの方の70〜80%程度で陽性になる ・健康な人でも陽性になることがあり、高齢者では4〜5人に1人が陽性 抗CCP抗体 ・関節リウマチに特徴的な自己抗体 ・関節リウマチの方の70〜80%程度で陽性になる ・関節リウマチ以外で陽性になることは少ない CRP・赤沈(赤血球沈降速度) ・炎症があると値が上がる血液検査で、体の中の炎症の強さを調べる 画像検査 ・レントゲンで骨が欠けていないか(骨びらん)を確認する ・関節エコーやMRIでは、より早い段階の炎症を確認できる RFが陽性でも、関節リウマチとは限りません。反対に、高齢で発症した関節リウマチでは、RFも抗CCP抗体も陰性のことが多いとされています。(文献6) 診断に使われる分類基準(2010年ACR/EULAR) 関節リウマチの診断の目安として、2010年に米国と欧州のリウマチ学会が合同で発表した分類基準が広く使われています。以前の1987年の基準では、早い段階の患者様を診断しにくかったためです。 1カ所以上の関節に腫れを伴う炎症があり、ほかの病気が除外できる場合に、以下の4項目を点数化します。 症状がある関節の数 RF・抗CCP抗体の値 CRP・赤沈の値 症状が6週以上続いているか 合計6点以上で関節リウマチと分類されます。(文献1)最終的な診断と治療の開始は、診察や画像検査の結果もあわせて医師が判断します。 4項目のうち「関節の数」と「症状が続いている期間」は、ご自身でも記録できます。 受診前にメモしておきたい4つのこと 受診前に症状をメモしておくと、診察で症状を正確に伝えやすくなります。分類基準の項目にあわせて、以下の4つを記録しておきましょう。 腫れや痛みのある関節の場所と数(手足の絵に印をつけると伝わりやすい) 症状が始まった日(6週以上続いているか) 朝のこわばりが続く時間 発熱やだるさの有無、家族に関節リウマチの方がいるか、喫煙や歯周病の有無 関節の腫れは、日によって引いていることもあります。腫れているときにスマートフォンで写真を撮っておくと、受診日に症状が落ち着いていても伝えやすくなります。 関節リウマチの治療方法 関節リウマチの治療は、早い段階で抗リウマチ薬を始め、症状がほとんどなく病気が落ち着いた状態である「寛解(かんかい)」を目指すのが基本です。 近年は薬の進歩により、病気の進行を抑えられるようになってきました。生物学的製剤やJAK阻害薬も、抗リウマチ薬の一種です。主な治療方法は以下のとおりです。 薬物療法 生活指導・リハビリテーション 再生医療 ここでは、それぞれの概要を解説します。 薬物療法 薬物療法は、関節リウマチの治療の中心です。主に使われる薬は以下のとおりです。 薬の種類 治療上の特徴 従来型の抗リウマチ薬 ・免疫の異常に働きかけ、病気の進行を抑える ・治療の基本となる薬で、代表的な有効成分はメトトレキサート(製品名:リウマトレックスなど) 生物学的製剤 ・炎症を引き起こす物質の働きを抑える注射や点滴の薬 ・従来型の抗リウマチ薬で効果が不十分な場合に使う ・代表的な有効成分はアダリムマブ(製品名:ヒュミラ)、トシリズマブ(製品名:アクテムラ)など JAK阻害薬 ・炎症を伝える体内の信号を抑える飲み薬 ・従来型の抗リウマチ薬で効果が不十分な場合に使う ・代表的な有効成分はトファシチニブ(製品名:ゼルヤンツ)、バリシチニブ(製品名:オルミエント)など 痛みを抑える補助薬 ・痛み止め(消炎鎮痛薬)やステロイドで、痛みや炎症を一時的に和らげる ・病気の進行を抑える薬と組み合わせて使う 治療を始めたあとも定期的に効果を確認し、目標に届かない場合は薬の種類や量を見直します。 生活指導・リハビリテーション 生活指導とリハビリテーションは、薬で炎症を抑える治療と並行して行うものです。 炎症が強い時期は、関節を休ませることが大切です。腫れや痛みが落ち着いたら、関節を動かして動く範囲を保ちましょう。関節は保温を心がけ、冷房の風を直接当てないようにします。 日常生活では、太い持ち手のペンや瓶のふたを開ける道具など、関節に負担をかけにくい道具を使うのも一つの方法です。 リハビリテーションでは、関節の動く範囲や握力を保つ軽い運動を行います。関節への負担を減らし、変形を防ぐための装具を使うこともあります。 再生医療 再生医療は病気の進行を抑える薬の代わりにはなりませんが、薬で炎症を抑えても関節の痛みが残る場合に選択肢の一つとしてご検討いただけます。再生医療は、患者様ご自身の細胞や血液を用いる治療法です。 当院で行っている再生医療は以下のとおりです。 再生医療の種類 詳細 幹細胞治療 患者様の脂肪から採取した幹細胞を培養し、患部に投与する治療方法 PRP療法 患者様の血液から血小板を濃縮し、患部に投与する治療方法 いずれも入院の必要はなく、日帰りで受けられます。症状や状態によって適応が異なり、効果には個人差があるため、医師とご相談のうえ検討することが大切です。 当院で行った関節リウマチに対する再生医療の症例については、以下の記事をご覧ください。 【症例記事】 関節リウマチで膝関節の痛みが取れない・40代女性 関節リウマチ・高濃度PRPで手首の痛みが激減! 関節リウマチの治療を続けても関節の痛みが残ってお悩みの方は、当院の公式LINEからお気軽にご相談ください。 関節リウマチになりやすい人 関節リウマチは男性より女性に多く、男性の約3倍とされています。以前は30〜50代の女性に多いといわれていましたが、2020年代では60歳代の発症がもっとも多くなっています。高齢で発症する場合は、男女差が小さくなります。(文献3) 原因は完全にはわかっていません。免疫の異常に、遺伝や感染したウイルス・細菌の影響が関わると考えられています。また、喫煙や歯周病も発症のリスクを高めます。 「若くないから」「男性だから」関節リウマチではない、と思い込まないことが大切です。禁煙や丁寧な歯磨きなど、日頃の生活習慣にも気を配りましょう。 朝のこわばりや指の腫れが続いたら早めにリウマチ科を受診しよう 関節リウマチの初期症状は、朝のこわばりと、指の付け根・指の第二関節・手首・足の指の腫れや痛みです。指の第一関節だけが硬く腫れる場合は、ヘバーデン結節など別の病気の可能性もあります。 放置すると軟骨や骨の破壊が進み、関節が変形することがあります。できれば半年以内に治療を始めることが大切です。腫れや痛みが数週間続く方、痛む関節が増えてきた方は、リウマチ科や膠原病内科などを早めに受診しましょう。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。関節リウマチの痛みでお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 関節リウマチの初期症状に関するよくある質問 ここでは、関節リウマチの初期症状についてよくいただく質問にお答えします。 関節リウマチの前兆となる症状は? 朝のこわばりが、関節の痛みより先に最初の症状として現れることがあります。 また、だるさや微熱などの全身の症状が先に出ることもあります。気になる症状がある方は、本記事のセルフチェックで確認してみてください。 片側の指だけが痛い場合も関節リウマチの可能性はある? 片側の指だけでも、関節リウマチの可能性はあります。 初期は1つから数カ所の関節から始まることが多く、必ず左右対称に症状が出るわけではありません。片側だけでも、腫れが数週間続く場合は受診をおすすめします。 血液検査でリウマトイド因子が陰性ならリウマチではない? 陰性でも、関節リウマチではないとは言い切れません。 リウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体が陽性になるのは、関節リウマチの方の70〜80%程度です。とくに高齢で発症した場合は、どちらも陰性のことが多いとされています。 診断は、症状や診察、画像検査の結果をあわせて判断します。 関節リウマチでしてはいけないことは? 腫れて熱をもつ関節を無理に使うことは避けましょう。炎症が強い時期に関節を酷使すると、痛みや腫れが悪化するおそれがあります。 そのほか、以下の点にも注意が必要です。 関節を冷やす(冷房の風を直接当てるなど) 喫煙を続ける 自己判断で受診を先延ばしにする 自己判断で薬をやめる 気になることがあれば、主治医に相談しながら治療を続けましょう。 参考文献 (文献1) 関節リウマチ新分類基準(ACR/EULAR2010)|日本リウマチ学会 (文献2) 初めから起こる症状|日本リウマチ財団 リウマチ情報センター (文献3) 関節リウマチについて|日本リウマチ財団 リウマチ情報センター (文献4) 変形性関節症|日本リウマチ財団 リウマチ情報センター (文献5) リウマチ性多発筋痛症|日本リウマチ財団 リウマチ情報センター (文献6) 診断のための検査|日本リウマチ財団 リウマチ情報センター
2021.12.10







