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- 糖尿病
- 内科疾患
糖尿病!運動療法なら改善はもとより予防にも効果を発揮 糖尿病には、その発症状況から、いくつかのタイプがあることが判明しています。ただ、その中でも自己免疫の異常によって引き起こされる「1型糖尿病」は、完全に予防できる方法が発見されていません。 その一方で、日頃の生活習慣が関与している「2型糖尿病」、あるいは妊娠を契機に発症する「妊娠糖尿病」は生活習慣やライフスタイルを見直すことで、それらの発症自体や、症状悪化を一定の割合で回避または改善することが可能です。 そこで本稿では、この2型糖尿病について、その改善方法を記してまいります。(以下に記す「糖尿病」の表記は、2型糖尿病を指すものとします) 糖尿病は、規則正しい食生活の改善は勿論のこと、日常から意識して身体を動かすなどの運動を実践することが大切です。それにより、ストレスも発散できるように努めることが重要です。 運動を行うことにより、心身共に健やかに保つことが改善はもちろん、予防にも効果的です。以下、糖尿病を改善し、予防に有効な「運動に関する情報」を詳細に紹介してまいります。 1型糖尿病 ・治療、予防が難しい 2型糖尿病 妊娠糖尿病 ・予防が可能 ・生活習慣やライフスタイルを見直す ・規則正しい食生活 ・適度な運動(ストレス発散) 糖尿病を予防し、改善に効果的な運動 運動を継続的に実行することは、食事による療法と並んで糖尿病における治療の基本となっています。 特に「2型糖尿病」における発症要因として、「肥満体形」「過食傾向」「運動不足」の関与が強く疑われており、運動することでエネルギーを消費し、ストレスも解消し、肥満を撃退できるのみならず、運動を行えば筋肉活動量が向上して「インスリン機能を改善」ずる効果を期待できます。 糖尿病の発症要因 ・肥満体形 ・過食傾向 ・運動不足 糖尿病の改善効果をあげるための心掛け 運動を行うタイミングについて食事を摂取した直後は、なるべく控えたほうが良いものの、食後1時間程度を経過してから行うことができれば、食事から取り込まれたブドウ糖や脂肪成分の利用を効率的に促進することができ、血糖値を有効的に下げられる可能性があります。 食後に血糖値をさげるために ・食後1時間程度、経過後に運動を行う ・ブドウ糖、脂肪成分を効率的に促進できる ・血糖値を有効的に下げられる可能性が高い 血糖値を良好にコントロールしてその状態を維持するには、運動と食事は両輪での対策が必要です。治療効果としては、どちらか一方が欠けてもうまく制御することができません。 注意したいのは、「毎日運動しているから!」という理由で、入念な食事療法を怠ることです。その反対も同じです。「食事療法しているから」と運動を避けるのは避けたいものです。 片方だけを頑張るのではなく、食事も運動も双方を取り入れて有効な予防、回復効果を目指しましょう。 運動 + 食事 = 予防、改善(どちらかに偏らないバランスが大切) 運動の方法 糖尿病の運動療法について、ダンベルや、重りなど、器具を用いて筋肉に負荷をかけるようなトレーニングジムで行う運動(レジスタンス運動)よりも、一般的で手軽にできるウォーキングや、ジョギング、水泳などの全身を使った有酸素運動が適しています。 なぜならば有酸素運動を継続して実践することでインスリンの働きがよくなり血糖値を上手く調整しやすくなるからと考えられています。 したがって、糖尿病における運動療法は、まずは運動不足を改善させる有酸素運動から始めるべきです。その上で余裕が出てくれば次のステップとして、身体に負荷をかけるレジスタンス運動を検討すれば良いと思われます。 具体的な、有酸素運動(ウオーキングやジョギング等)については、少なくとも週に3回は、一回当たり40分~60分間程度行うことが理想です。 これは通常、「糖の代謝が改善する期間」が運動してから、およそ半日から3日間前後持続することから導いたもので、血糖値を上手く制御するためには運動行為を1週間のなかで3日間は実践することが理想的だからです。 有酸素運動の実施 ・週に3回(一回当たり40分~60分間程度) 現在が運送不足の状態として、一念発起し、一気にやり始めるのではなく、毎日少しずつ取り組まれ、週3回、行うことを目指しましょう。無理は禁物ですがコツコツとした継続は、大きな力になってくれます。 運動の長さは、このような有酸素運動では、週当たり150分(2時間30分)以上、一回あたり50分を確保するのが理想ですが、無理は禁物です。可能な時間から徐々に行い、最終的にそうなることを目標にしましょう。継続は力です! 運動の開始時間 食事後1時間程度経過してから 効果的にするために 運動だけに偏らない、食事療法も一体で行う 運動内容 ウオーキング、ジョギング等の有酸素運動 回数 週3回を目途、間隔を3日空けない 時間 一回当たり30分~60分程度 1型糖尿病の場合には、2型糖尿病と異なってインスリンを分泌する膵臓細胞が壊れてしまうことで発症するため、インスリン機能そのものの回復を期待できるような治療効果は期待できません。 いかし、運動することで心身の健全な発達やストレス解消に貢献するため、けして無駄ではありません。 糖尿病の運動療法の効果 このような運動療法の効果は数々考えられており、運動することで血液中のブドウ糖が筋肉にとり込まれやすくなることでブドウ糖などの利用が促される結果、血糖値が下がる現象が認められます。 特に2型糖尿病では低下したインスリン機能が改善すると言われています。 また、このような運動は糖尿病のみならず、高血圧や脂質異常症の改善にも役立ち、エネルギー消費のバランスが安定化することで減量に繋がって肥満を防止することにも貢献します。 さらに運動を実行すれば加齢に伴って起こる筋肉の衰弱や、骨粗鬆症を改善できる期待を持てるばかりか、それ以外に心肺機能が高まるのみならず爽快感が向上してストレスを解消させる効果をも併せて考慮できるのです。 実際に、運動療法を実践する場合は、事前に準備運動やストレッチを丹念に行って軽い動作から開始し、徐々に運動強度を高めていくように意識しましょう。 実施にあたっては、適宜体調に合わせて、無理をしないように継続できる運動の種類を選択するように心がけましょう。 運動療法の効果 ・ブドウ糖が筋肉にとり込まれ血糖値が下がる ・低下したインスリン機能が改善する ・高血圧や脂質異常症の改善にも役立つ ・エネルギーの消費で肥満の防止 ・加齢による筋肉の改善 ・骨粗鬆症の改善を期待 ・心肺機能が高まる ・ストレスの解消効果 まとめ・糖尿病!運動療法なら改善はもとより予防にも効果を発揮 今回は糖尿病を予防して改善するための運動について詳しく紹介しました。 糖尿病の発症を防ぎ、症状を改善させるために運動は有効的であり、特に有酸素運動である歩行運動をする際には1日あたり1万歩以上を目標にして、1週間に少なくとも3日間以上の頻度でウォーキングエクササイズを実行することがお勧めされています。 いつでも、どこでも、一人だけでも実践しやすい歩行運動などは常日頃から多忙でまとまった時間が確保できない方でも通勤や通学中などでも行うことが可能ですし、どこまで運動強度を上げていいか不安に感じる患者さんはかかりつけ医ともよく相談してみましょう。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼糖尿病の合併症|最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目を浴びています ▼以下、食生活の改善についてもご参考にしていただけます 糖尿病|食事で予防、食生活のチェックや見直しで悪化や合併症を防ぐ
2022.04.15 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節
・肩の痛みがなかなか治らない ・運動中や夜に肩が痛む ・肩は上がるのに痛みがひかない 当クリニックでは、上記のような相談を受けるケースが頻繁に発生しており、多くの方が「肩の痛み」に関するお悩みを抱えている印象を受けます。 そこで本記事では、肩の痛みの代表的な原因である「腱板断裂」についてご紹介いたします。 原因や症状、治療法までを医師が詳しく解説しているので、腱板断裂を疑う痛みを発症中の方は最後までご確認いただき、症状の改善へ繋げていただけると幸いです。 腱板断裂とは!その原因や症状、治療法について 腱板断裂とは、上腕骨と肩甲骨をつないでいる腱組織が断裂して切れてしまう状態を指しています。 肩に強い痛みを自覚するところは、いわゆる「四十肩や五十肩」に類似していますが、それらの疾患は自然に軽快するケースが大半です。一方で、腱板断裂は肩に力が入りにくく、痛みが長期的に継続するために適切に治療する必要があります。 今回は、腱板断裂とはどのような病気なのか、その原因、症状、治療方法などに関する情報を中心に詳しく解説します。 腱板断裂の原因 一般的に肩の痛みを引き起こす疾患には色々なものがありますが、整形外科領域で広く知られている代表的な病気に「腱板断裂」が挙げられます。 腱板断裂では腱板の老化などが影響して中高年の方々が多く罹患する傾向にあり、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つの腱から構成される腱板の断裂で肩の痛みを自覚します。 本疾患は腱板組織が年齢を重ねるごとに脆くなってくるために発症するパターンが最も多く、それ以外にも外傷によるものが半数、あるいは肩の使いすぎが原因となっている症例も少なからず存在します。 外傷では、転んで肩を強打したケースのみならず手を軽く突いただけでも肩関節部に相対的な負担がかかって腱板部が損傷、あるいは断裂を引き起こすことがあります。 そして、例えば野球のピッチャーが投球動作を繰り返す、力仕事に長年従事されてきた人なども肩関節のオーバーユース(使いすぎ)によって比較的、腱板損傷を発症する例が多くあります。 腱板断裂、原因の一例 ・加齢 ・使いすぎ ・外傷(外的な衝撃) ・スポーツ いずれもオーバーユース(使いすぎ)が原因 腱板断裂の症状 40歳以上の男性で特に右肩に発生しやすい腱板断裂は、運動時における肩の痛みや夜間痛を訴えやすいのですが、肩の挙上(腕を上げる動作)自体は可能であることが多いとされています。 一般的に、本疾患が四十肩や五十肩と異なる点としては、肩関節が拘縮して関節部の動きが固くなることがあり、肩関節を挙上しようとすると力が入りにくい、あるいは挙上時に肩の部分でジョリジョリという軋轢音が聞こえることもあります。 腱板断裂は通常では肩関節に存在する腱板組織が裂けて起こりますが、ほとんどの場合、断裂を引き起こした初期の段階では断裂部の範囲は小さいと考えられています。 ところが、症状を放置すると次第に断裂部が大きくなり、病状が悪化して日常生活に支障をきたす恐れがあります。発症初期の段階で早期受診を心がけることが大切です。 ▼こちらも併せてご覧ください 腱板損傷の判断で使う評価テストとは? 腱板断裂の治療方法 腱板断裂の治療方法について、その症状に応じてリハビリによって治療する「保存療法」と、保存療法での改善が目指せない場合の「手術療法」があります。そして近年、先端治療として注目を集める「再生医療」と言われる第三の選択肢があります。それぞれ解説してまいります。 1.保存療法 腱板断裂では、診断が遅れてしまうと症状が進行したり、改善が難しくなってしまうことがあるため、肩を痛めたと自覚した際には、早期に整形外科をはじめとした医療機関の受診に踏み切ることが重要です。 一般的に、外傷によって腱板断裂を認めた際には、三角巾で数週間安静を保持します。断裂部そのものが完全に修復治癒することはないものの、約7割は症状が軽快すると考えられています。 仮に腱板断裂に加えて肩関節周囲炎を合併し、強い夜間痛を認めた場合には、炎症を抑制する副腎皮質ホルモンと鎮痛作用を有する麻酔剤を肩峰下滑液包に局所的に注射して症状推移を経過観察します。 腱板を構成する腱組織すべてが一気に断裂することはほとんど無いと言われています。断裂部以外の健常に残っている腱板機能を活性化させて強靭化することが重要であり、このような腱板機能をリハビリ訓練する手段は有効です。 また、ストレッチ運動で腱板断裂が完全に治癒することは期待できませんが、関節の可動域を良好にする、あるいは腱板周囲の筋肉群の緊張を和らげて肩の痛みを軽減させる効果があります。 2.手術療法 万が一、保存的な療法で肩関節部における痛みといった症状と運動機能の障害が改善しない場合には、関節鏡視下手術や直視下手術などの根治的治療策が考慮されます。 前者の関節鏡視下手術の方がより低侵襲(身体的に少ない負担)で患者さんに優しく、術後の痛みが少ないと考えられていますが、大きな断裂になると、それでは縫合処置が困難であることも指摘されていますので、後者の直視下手術を選択する場合があります。 腱板断裂に関しては治療後再断裂のリスクも懸念されています。これは縫合した糸が筋肉や腱板と擦れることで引き起こされます。もしも再断裂を起こすと損傷範囲が大きくなり、修復がさらに難しくなるだけでなく、もう一度手術を受けなくてはいけないという精神的な苦痛も与えることになりますので、術後の再発防止には慎重に取り組む必要があります。 再断裂防止にはいずれの手術や加療を選択したとしても、術後は約1か月間にわたる患部固定が必要です。術後の固定には患部へのストレスを軽減させる装具を使用します。装具は脱着が可能ですが、基本的には患部を動かさないために装具を装着して生活しますので、日常生活動作に大きく制限がかかります。 さらに固定期間が1ヶ月に及ぶと、関節周囲の組織に癒着が起こり、肩が動かしにくくなる「関節拘縮」が生じることも多いです。関節拘縮を防ぐためには、数か月に及ぶ肩関節部の機能訓練、リハビリの継続が最善です。 3.手術に代わる新たな治療法(手術がしたくない、入院を避けたい) このように手術による治療は、慎重かつ根気強くリハビリをしなければならないため、術後しばらくの間安静が取れない方やリハビリの時間が作れない方、仕事や家事で手を使わなければいけない方などにとってはハードルの高い治療とも言えます。 ところが近年、手術を受けなくとも腱板断裂を修復する幹細胞治療といわれる再生医療があります。幹細胞とは体の様々な組織に分化できる細胞であり、腱板も例外ではないです。もともと腱板は血流が乏しく組織的にも脆いにも関わらず、腕を動かすと腱板は引っ張られるため、損傷した箇所を広げようとする力が働きます。このような状態では腱板はなかなか自然に治癒しませんが、幹細胞の力を使えば断裂した腱板の修復が可能です。 幹細胞を使った再生医療であれば、糸で縫い合わせるような治療ではなく注射による治療のため、再断裂のリスクが極めて少ないです。一方手術をした場合では、わずか数年でも再断裂が多くみられますので、この点において再生医療のメリットは大きいといえます。 しかも幹細胞による治療であれば、再断裂のリスクが少ないため術後のような長期間の固定が必要ありませんので、痛みが出ない範囲であれば日常生活に制限はありません。再生医療においてもリハビリに取り組むことは重要ですが、拘縮を引き起こす治療方法ではないため、術後のように緻密な計画に沿ったリハビリを必要としないのもメリットの1つです。 もちろん手術を受けてしっかりとリハビリに取り組めば、上記のような後遺症があったとしても7割近い満足度があります。ところが再生医療では手術の後遺症を引き起こす恐れが少なく、高い除痛効果や可動域の改善もみられるため、9割近い満足度があるといわれています。 手術後の腱板断裂にも再生医療が効果大! 実は腱板損傷に対する再生医療では、手術を受けた後の場合であっても効果が発揮されます。先述しましたように手術で腱板を縫い合わせると、縫合した部分から再び断裂を引き起こす割合が高く、せっかく手術を受けても腱板の断裂部分が小〜中等度であれば10〜30%、断裂部分が大きいと40〜60%の確率で再断裂が発生します。 そのため再断裂を回避するには、手術よりも再生医療の方がリスクの少ない選択と言えますが、術後の再断裂の予防としても再生医療は効果を発揮します。もし腱板断裂の手術を受けたけれど、再断裂を起こさないように更なる修復を望むのであれば、手術後に再生医療を併用すると再断裂の確率を抑えることができます。 さらに再生医療の併用で、術後に発生する疼痛の抑制も期待でき、計画通りにリハビリを進めやすくなります。 このように手術療法のデメリットを受けることなく腱板断裂を修復できる治療法として、そして手術療法のデメリットをフォローできる治療法としても、「幹細胞治療による再生医療」が注目を集めています。 ▶こちらの動画で詳しく解説しています。是非ご覧ください。 https://www.youtube.com/watch?v=bKupVfsXpHM まとめ・腱板断裂とは!その原因や症状、治療法について 今回は腱板断裂とはどのような病気なのか、その原因、症状、治療方法などについて詳しく解説してきました。腱板断裂は、肩のインナーマッスルである4種類の腱板筋群の腱組織が断裂して切れてしまう状態を意味しています。 主に上腕骨と肩甲骨を接合している腱組織が切れてしまう本疾患では、肩を挙上する際に力が入りにくくなる、あるいは肩関節面で軋轢音を聴取することがありますので、何らかの自覚症状がある方は自己診断せずに専門の医療機関などで的確な診断を受けることが重要です。 医療機関で腱板断裂と診断された方は、医師の判断を受けて保存療法や手術療法、あるいは近年新たな治療選択として注目されている再生医療など様々な治療アプローチに従い、症状の改善を目指しましょう。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼ 再生医療で腱板損傷を治療する 肩の腱板断裂を再生医療(幹細胞治療)で改善を目指す第三選択肢! ▼こちらも併せてご覧ください 肩の腱板断裂は放置では治らない!早めの受診が必要!
2022.04.14 -
- 足底腱膜炎
足底腱膜炎の症状と治し方・治療法について!スポーツ傷害で多く発症 足底腱膜炎(そくていけんまくえん)とは、あまり聞き慣れないかもしれませんが、「足底腱膜」と呼ばれる足の裏側に存在している「腱膜の組織」が何かの原因によって炎症を起こしている状態を指します。 足底腱膜とは、いわゆる「土踏まず」と呼ばれる足底部、アーチ状になっている構造を保ち、身体を支えるクッション、バネのような役目をする腱膜(筋肉ではなく筋肉を支えるシート状の存在)です。 外力など足部への負担や、衝撃などを吸収する役割を果たすほか、衝撃を受け止める以外の働きもあります。それは、足裏にかかった物理的な衝撃を吸収しながらも、その力を逆方向に蹴り出すエネルギーに変換する機能です。 このように足底腱膜は、衝撃を吸収したり、その逆に力を発する機能を有していて、いわばバネのような存在です。歩く、走るということに無くてはならず、特にスポーツなどでは大きな働きをしてくれる組織です。 逆に言うとスポーツが原因となって起こることが多い症状でもあります。 足底腱膜炎を発症すると足で衝撃が吸収されにくくなり、結果として蹴りだすことも不自由になります。これは、足裏が痛くなるため、足を蹴り出して歩く、走るなどの動作時において足底部の力学的バランスが悪化するために起こります。 そこで、今回は「足底腱膜炎とはどのような病気なのか」、その原因、症状、治療方法などに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 1.足底腱膜炎の原因で多いのはスポーツ 足底腱膜炎は、スポーツや競技で走ったり、歩いたりを長距離、継続して行った場合や、ジャンプしたり、急なストップ&ゴーを繰り返したり、あるいは自分の足に適さない靴を履いて長時間行動する、硬い道路でトレーニングを続けるなどの行動によって足底腱膜に過剰な負荷が生じることで発症すると考えられています。 本疾患は、足の筋力不足や柔軟性の低下などが原因となり、運動競技を通じて、その部分がオーバーユースになること。つまり使い過ぎることで引き起こされることが多いため、スポーツをする際などにはストレッチ運動をすると同時に練習環境やメニュー内容を調整することが大切になることを知識として知っておくべきです。 それ以外にも、扁平足や外反母趾など、もともと足領域に変形などの異常所見がある場合にも足底にある腱膜部に負荷がかかって足底腱膜炎を発症する可能性がありますので十分な注意が必要です。 足底腱膜炎に注意が必要なスポーツや状況 ・マラソンをはじめとした陸上競技全般 ・バレーボール、バスケットボール(ジャンプなどが多い) ・サッカーや、ラクビー(走る距離が長く、急停止や方向転換が多い) ・硬いグラウンドやコンクリート上で走る、弾むなどの運動量が多い練習等 ・しっかりしたクッションを伴わないシューズで運動の繰り返し 2.足底腱膜炎の症状 足底腱膜炎とは足底の腱付着部に起こる炎症を指しており、踵の痛みを呈する疾患のひとつであり、成人では足に治療を要する病気のなかで約10%程度を占めると言われていて、しばしば難治性であると伝えられています。 本疾患では、陸上競技ランナーなどに多く認められるスポーツ障害の一種とも考えられており、安静などによって一時的に症状が改善しても、再度弊害を繰り返すことがあります。一時的に良くなっても繰り返して発症することがあるので注意が必要です。 この病気は、走れば、走るほど足底部の痛みが顕著になると考えられていて、主に足部において踵を中心とした足裏に疼痛症状を来すことが知られています。階段を昇降する際や、つま先立ちの姿勢をとる時に痛みの症状が悪化すると言われています。 一般的に、運動時間が長くなればなるほど足裏部の痛みが強度になっていくことが知られており、最悪の場合には日常生活で歩けないぐらいの強い痛みに進展することもあります。 3.足底腱膜炎の治療・治し方 足底腱膜炎に対する治療は、「保存療法」および「手術療法」を検討することになります。まずは、セルフケアとしてできることは、足底腱膜部の痛みを感じた部分に、1日2回ほど10分程度かけて患部を冷却するように心がけましょう。 保存療法 足底腱膜炎の治療は、リハビリを中心とした理学療法での治療が基本となります。まずは症状が軽くなるまでは安静にしてください。スポーツはもちろんのこと、長距離の歩行や、長い時間、立っていることも避けねばなりません。 その他、必要があればテーピングなどを行うことで患部の負担を軽減を目指します。 薬物療法 患部に炎症がある場合は、消炎鎮痛剤の塗布や、湿布で炎症を抑えて症状の改善を待ちます。また、痛みが強い場合は、和らげるために鎮痛剤の服用も有効ですが長期間での使用は胃に負担がかかるため、ご注意ください。 その他、治療上の注意点として、患部へのステロイド注射を行うことがありますが、副作用の心配もあり、長期頻回に行うことは回避すべきです。 リハビリテーション 症状が重篤でない状況では、ほとんどの場合は数か月程度で症状が軽快していくと言われています。リハビリで重要となるのは筋膜の柔軟性を向上させることです。そのためには足底腱膜だけでなく、それに続くアキレス腱やハムストリング、下腿三頭筋を含めた柔軟性の確保を目指しストレッチを中心にアプローチします。 このようなリハビリを用いた治療法は、ステロイド注射のように明らかな即効性は見られませんが長期的なスパンで見ていただくと非常に有効です。尚、こういったリハビリは、低周波による電気療法や超音波を用いた療法、レーザー照射などといった物理療法を組み合わせるのが一般的です。 装具療法(インソール) 上記以外、靴選びも重要になります。靴を履く際は自分の足の形に適したクッション性の優れた靴を選択すると共に着地する際の衝撃を少しでも緩和できるよう、衝撃を吸収できるインソールを挿入するなどで足底腱膜部にかかるストレスを和らげる対策を取りましょう。 インソールとは、靴底に敷くことで足底のアーチ形状を解剖学的に補正することで足のアライメントを調整し改善するものです。そのため、個人に合わせてオーダーメードで作成します。 以上のような薬剤やリハビリ、インソールを中心とした保存的治療で症状が改善しないケースにあっては、根治的な手術療法が考慮されることになります。 まとめ・足底腱膜炎の症状と治し方・治療法について!スポーツ傷害で多く発症 今回は、足底腱膜炎とはどのような病気なのか、その原因と症状、治療方法について詳しく解説してまいりました。 誰しも足底部にはかかとの骨から足指にかけて強靱な繊維組織である足底腱膜が広がっており、足底部の土踏まずであるアーチ部を支えることで歩行時や走る際における足裏の衝撃力を吸収する役割を有しています。 さらに、足底腱膜部は衝撃を吸収した外力などを蹴り出しするエネルギーとして変換して活用する機能も果たしているため、足底腱膜炎に罹患すると足底部が地面に着地する際の衝撃吸収力だけでなく蹴り出す力が低下して走りにくさや歩きにくさに繋がります。 本疾患は一時的に症状が改善しても将来的に再発することが広く知られており、症状を放置して病状が悪化すると侵襲的な手術を必要とするのみならず、日常的に運動やスポーツができず普段の生活が制限されますので早期的に整形外科をはじめとした病院で専門医の診断を受け治療を実施しましょう。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼ 再生医療に関する詳細は以下をご覧下さい 自分自身の自ら再生しようとする力、自然治癒力を活かした最先端の医療です
2022.04.14 -
- 脊椎
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 腰部脊柱管狭窄症
- 脊椎、その他疾患
坐骨神経痛、下半身に起こる電撃や痺れるような辛い痛みの治療法 坐骨神経痛とは、いわゆる腰付近に存在している坐骨神経に沿ってお尻辺りの臀部から下肢のうしろ面などにかけて電撃のように引き起こされる痛みを伴う症状の総称です。 坐骨神経は腰の辺りから足先までに伸びている神経の束であり、この坐骨神経が何らかの原因によって物理的に刺激されると下半身に痛みや、しびれ、といった症状が引き起こされることとなります。 今回は、そのような坐骨神経痛という病気の原因、症状、検査、治療などに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 坐骨神経痛の原因 坐骨神経痛の原因は、一般的には「腰椎椎間板ヘルニア」や、「腰部脊柱管狭窄症」などが挙げられます。傾向としては若年者の場合では、腰椎椎間板ヘルニアが多く、その一方で高齢者では腰部脊柱管狭窄症の罹患率が増加してきます。 腰椎椎間板ヘルニアの場合は、日常的に腰部に負担がかかりやすい重労働やスポーツ、長時間のデスクワークなどが主な発症原因として知られています。 腰部脊柱管狭窄や腰椎椎間板ヘルニアの両者とも腰椎と呼ばれる背骨の部分に引き起こされる異常によって脊髄の神経根が圧迫されて、同様に坐骨神経痛を始めとする下半身痛や下肢領域の「痺れるような痛み」を起こすと言われています。 また頻度としては少ないですが、坐骨神経痛は骨盤内腫瘍などによって神経束が圧迫されることが原因として症状を表すこともあります。 さらに注意したいのは、体重が増加すると腰に負担がかかるため、肥満体形にならないように食事や運動などを意識して行い体重管理に努めることが必要です。また、下半身の冷えが坐骨神経痛につながることがあることも知っておきましょう。 坐骨神経痛の辛い症状 坐骨神経痛による代表的な症状としては、お尻や脚の後面にかけて「電撃のような痛み」や、「痺れるような痛み」が起こります。 また、それ以外にも、冷感や灼熱感を自覚する事もありますし、それらの症状は下肢の一部の領域のみに出現することもあれば、下肢全体にかけて認められることもあります。 腰椎椎間板ヘルニアが原因の坐骨神経痛では局所的な疼痛症状を訴えることが多い一方で、腰部脊柱管狭窄症が原因のケースでは間歇性跛行という症状を生じることが往々にして認められます。 間歇性跛行とは、日常生活において、しばらく歩くなど動くことでお尻や太ももにかけて痛みといった症状を自覚するものの、一旦休むことで自然と痛みが治まり、歩行を再開すると再度同様に疼痛症状を起こすことが特徴の一つです。 本疾患では、様々な症状をくり返すうちに、痛みがさらに悪化して、歩行自体や椅子から立ち上がることすら困難になる可能性も指摘されているため、日常生活に高度に支障をきたす恐れがある病気ですので十分な注意が必要です 坐骨神経痛の検査 坐骨神経痛における検査方法は、本疾患の原因となっている病気を精査することで特定します。 ほとんどの腰椎レベルにおける病変自体が坐骨神経痛の原因となることが多いとされているのですが、時に帯状疱疹、子宮筋腫、変形性股関節症などの病気が主症状の根本的な原因となっていることもあるため、疑われる病気に応じて各種検査が行われます。 実際に医療機関を受診する場合の一般的な診断の流れは、まずは問診や診察を行って坐骨神経痛が強く疑われたときには、その後にX線によるレントゲン検査やMRIを用いた画像検査などを行うことによって病変部を詳細に評価します。 坐骨神経痛の治療方法 坐骨神経痛に対する治療策はさまざまであり、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症が原因となるケースでは、まずは患部安静や固定、薬物療法、理学療法などを中心とした保存療法が勧められます。 1.薬物療法 非ステロイド性消炎鎮痛薬が処方されることが一般的であり、それ以外にも神経障害性疼痛に対する治療薬、筋緊張を和らげる薬剤、あるいは血管拡張薬などを服用することもあります。 2.理学療法 日常生活の質の維持などを目標として、コルセットと呼ばれる装具を身につけながらストレッチ体操や歩行訓練などを行って疼痛症状を緩和できるようなリハビリを実践します。 3.神経ブロック療法 局所麻酔を行うことで、神経に痛みが伝わらないように行うのがブロック療法です。(痛みをブロックすることから)整形外科や、ペインクリニックなどで行われ流ことが多いです。 4.認知行動療法 物事の考え方・捉え方や行動に働きをかけて、ストレスを軽減する治療法です。痛みについての認識を改めて理解し、必要以上のストレスや悪い感情を軽減することを目的としています。 5.装具療法 コルセットをはじめとした装具を用いて、腰椎を安定させることで痛みを和らげる療法です。ただし、あまり長い期間使いすぎてしまうと元々の体力が低下してしまうため、医師と相談をしながら、1ヶ月前後を目安にしましょう。 6.物理療法 神経痛の原因の一つに、血行不良が挙げられるケースがあります。そのため、マッサージや低周波電気療法などを行い、血液の流れに訴えかけたり、刺激を促す効果を期待します。 身体への負担が少ないため、自身の体力に合わせて検討してください。 万が一、これらの保存的治療で症状が改善しない場合、あるいは下半身の脱力症状や膀胱直腸における排尿や排便に関する機能そのものに障害が認められるケースでは脊椎内視鏡を用いた外科的手術治療を考慮することがあります。 坐骨神経痛の痛みの予防方法と改善の仕方 坐骨神経痛を予防・改善するためには椎間板や背骨の関節への負担をかけないことが重要です。小さなことでも日頃から意識をすることで、大怪我の予防につながるためしっかり理解しておきましょう。 1.坐骨神経痛を予防するために 坐骨神経痛を予防するためには、ストレッチを行うことが効果的です。特に、デスクワークなどで長時間同じ姿勢になりがちな方は、こまめにストレッチを挟むことで、筋肉や背骨の緊張をほぐすことにつながります。 2.坐骨神経痛を改善するために 坐骨神経痛の改善には以下にご注意ください。 ・同じ姿勢を長時間とらない ・あまり重たいものを持ち上げる動作を行わない ・腰回りの筋力をつける ・肥満を避ける生活を心がける ただし、症状や原因によっても異なるため、具体的な予防法・改善方は診断を受けている医師と相談しましょう。 まとめ・坐骨神経痛、下半身に起こる電撃や痺れるような辛い痛みの治療法 今回は坐骨神経痛とはいったいどのような病気なのか、また本疾患の原因、症状、検査、治療などについて詳しく解説してきました。 坐骨神経痛とは、主に腰部から足先にかけて走行している坐骨神経束が色々な原因によって圧迫されて物理的に刺激されることで痛みやしびれなどの症状を来す疾患を指します。 この病気は、日々の生活習慣を見直すことで予防や症状改善に繋がりますので、疑わしい症状がある際には自己判断で放置せずに専門医に相談しましょう。 以上、坐骨神経痛とは、その原因と症状、治療についてと題してご説明させていただきました。今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼ 再生医療の幹細胞治療に関する詳細は以下をご覧下さい 当院の再生医療は、自己脂肪由来の幹細胞治療を推進しています
2022.04.13 -
- ひざ関節
- 膝の内側の痛み
- 変形性膝関節症
- 膝の慢性障害
鵞足炎と変形性膝関節症の違い、症状とその原因を解説 日常生活において、膝に痛みろいった症状が出現したことはありませんか。 ひざが痛む原因となるのは膝に慢性的な炎症を引き起こす病気があるためで、その代表例として「鵞足炎」や、「変形性膝関節症」がありますが、この名前をご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。 今回は、この鵞足炎や変形性膝関節症が一体どのような病気なのか、また両者の相違点について詳しく解説してまいりましょう。 鵞足炎とは ・過度のスポ―ツ活動や運動などによって引き起こされる ・膝の鵞足部における「滑液包炎」であると考えられてる 変形性膝関節症とは ・肥満や加齢などで膝の軟骨部分がすり減ることで発症 ・膝に強い痛みを引き起こす進行性の病気 鵞足炎(がそくえん)とは、どういった病気なのか そもそも鵞足(がそく)という言葉は、普段聞き慣れない方も多いかと思います。膝関節の下に存在している脛骨に連続している三個の腱組織の形状がまるでガチョウの足のように見える事から「鵞足」と名付けられた経緯があります。 人体の膝関節は日常生活において頻繁に曲げ伸ばしといった運動が行われている部位です。何らかの原因で靱帯や腱が、膝を屈曲伸展させる際に骨と摩擦することによって時に炎症といた所見を引き起こすことがあります。その結果として、膝の内側の下方周辺に痛みといった症状が現れた場合は、鵞足炎(あるいは鵞足滑液包炎)を発症して痛みを自覚している可能性があります。 この疾患は、普段の生活の中で過度のランニングなどのスポーツ活動によってひざ関節を使いすぎ(オーバーユース)、酷使する事が発症原因であると言われています。 それ以外にも、自分の足に合っていない靴で運動する、あるいは膝部分の怪我などの、外傷によっても引き起こされる可能性があります。 変形性膝関節症とは、どういった病気なのか 変形性膝関節症という病気は、加齢に伴って慢性的、機械的な刺激が膝部分に加わることで骨が変形して発症すると考えられています。特に40代を過ぎた女性に発生することが多く、加齢、肥満、外傷などの要素が変形性膝関節症の発症に関与していると言われています。 変形性膝関節症では、膝の関節内でクッションの役割をしている関節軟骨がすり減って、骨と骨が摩擦を起こして膝関節が変形すると捉えられています。 元来より日本人は一般的にO脚の人が多いとされており、膝が外へずれるために、その内側に負担がかかりやすくなります。こうしてO脚では、外側部分の筋肉と内側の筋肉のバランスが崩れることになります。 悪化すると軟骨がすり減り、痛みが生じるようになります。このように膝関節を支えている半月板も徐々に質が変化して、少しのストレスで容易に切れてしまうことが指摘されています。 膝関節を支持する重要な役割を担っている半月板が切れてしまうとその位置がずれて膝のクッションの役目を果たさなくなり、膝関節の変形につながり変形性膝関節症を罹患することになります。 ▼変形性膝関節症についてはこちらもご覧ください 膝の痛み/変形性膝関節症のおススメの最新治療法 鵞足炎と変形性膝関節症の違い ここまで簡単に「鵞足炎」や、「変形性膝関節症」に関する病気の特徴を紹介してきました。 鵞足炎は、変形性膝関節症と似たような膝の部位に痛みを起こすことから両者は非常に混同されやすい「似て非なる疾患」と言えますが、お分かりのように膝部の痛みを引き起こす原因がそれぞれ違っています。 鵞足炎の特性としては、膝関節の少し下に圧痛があり、関節部分の腫れを伴うこともあるものの、骨の変形は基本的には認められない、そして変形性膝関節症と比較して半月板組織のすり減りが原因で起こるのではなく筋肉の炎症によって症状がもたらされるという点があります。 したがって、膝関節における半月板の場所と鵞足部の筋肉部位が違うことと同様に、痛みや炎症を起こしている圧痛点がそれぞれ異なる点で両者を鑑別できると言えるでしょう。 鵞足炎の場合には、根本的に症状を改善していくためには、過剰な膝関節部のオーバーユースを回避して足のねじれを取る工夫をすることが必要となります。 変形性膝関節症においては、大腿骨と、その下の骨である脛骨の間で発症します。典型的な症状として最初は膝関節が強ばるなどの違和感から始まって、徐々に階段を上り降りする際や立ち上がったときに膝が痛むという具合に次第に症状が強くなって悪化していきます。 変形性膝関節症の原因は、関節部の軟骨が加齢で弾力性が低下したり、使いすぎ、肥満などが原因と言われています。 その他にも靭帯損傷や、半月板損傷、骨折などの外的要因によるもの、一部には化膿性関節炎の後遺症としても発症すると言われます。 御存知の通り、膝という部位は体重から受ける負担が大きくかかる場所であり、変形性膝関節症の発症を防ぐためには体重を増やしすぎないようにコントロールすることが重要であり、さらに膝周囲の筋力をしっかりと保持することが膝の負担を減らすために有効です。 また、病院などで変形性膝関節症と診断された方は鎮痛剤などの投薬、湿布貼付が選択肢になることがありますし、関節部に比較的多く水が貯留しているケースでは患部を注射して水成分を抜く処置が必要となることもあります。 鵞足炎の症状 ・膝関節の少し下に圧痛 ・関節部分の腫れを伴うことがある ・骨の変形は基本的には認められない 原因 ・筋肉の炎症によって発症する 変形性膝関節症の症状 ・階段の昇り降りで膝に痛み ・進行すると平地での歩行にも痛み ・膝関節が強ばる等、違和感から、徐々に悪化、進行進行する ・関節は、変形し、硬くなり、曲げ伸ばしに支障 原因 ・加齢や肥満、靱帯損傷、半月板損傷、骨折等の外傷、化膿性関節炎等の後遺症 まとめ・鵞足炎と変形性膝関節症の違い、その症状と原因を解説 膝関節部の痛みを呈する病気として代表的なものに変形性膝関節症や鵞足炎が挙げられます。 両者は類似的に膝の痛みを引き起こす原疾患として知られているがゆえに、これまでひざ痛の原因が変形性膝関節症だと思っていた場合でもよくよく調べてみると実は鵞足炎だったという場合も考えられます。 レントゲン検査だけで両者を鑑別することは難しく、正しい診断に繋がらないこともあろうかと思いますので、膝が痛い時には詳細に検査をして確実に原因を精査して的確な治療を実践できれば長期的に悩んでいたひざ痛が改善できる可能性があります。 心配であれば、最寄りの整形外科クリニックや専門病院などの医療機関を受診して相談してみることも考慮してみましょう。今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼ 再生医療が変形性膝関節症等膝の治療を根本から変える! 変形性膝関節症は、再生医療の幹細胞治療で手術せず、入院不要で改善できます ▼鵞足えんについてはこちら参考にしていただけます 鵞足炎は、膝の酷使が原因に!その痛みと治療法とは
2022.04.13 -
- 股関節
- 変形性股関節症
股関節の病気の種類と治療法・人工股関節を手術した場合のリハビリと注意事項 股関節の痛みをもたらす原因となる病気は、初期の段階では「保存療法」を行い、症状が進行した結果、末期に近づくにつれて「手術」となるケースが多く見られます。 医師より、「人工股関節を入れたほうがいい」などと言われると、「手術という不安感」と、「人工関節という戸惑い」、そして「痛み」などについて動揺や心もとない、不安なお気持ちになられるのではないでしょうか? そこで人工関節の検討が必要となる股関節の病気を明らかにし、その治療法を解説致します。また、人工関節の手術で気になる痛みを「手術そのものの痛み」、「手術後の痛み」について解説し、ご心配にお応えいたします。 股関節の病気と治療法 まずは、股関節に対する人工関節の手術(人工関節置換術)についての基本的なことについて解説します。 股関節を手術する原因となる病気の種類 股関節を人工股関節に置き換える手術を行うには、何らかの原因が存在しています。例として股関節の手術が必要になる可能性がある病気としては、以下のような病気が挙げられます。 ▼手術の可能性がある ・変形性股関節症 ・大腿骨頭壊死症 ・関節リウマチ ・股関節脱臼や股関節骨折の後遺症 変形性股関節症 股関節の軟骨成分が変性し、すり減ってしまうことで股関節に炎症を起こし、股関節の痛みや変形などの症状を引き起こす病気です。 大腿骨頭壊死症 大腿骨頭部の血流が滞って骨頭の細胞が壊死を起こし、細胞が死んだ部分の骨が変形を起こすことで痛みや歩行障害などを引き起こす病気です。 関節リウマチ 免疫異常によって自己抗体(体内の正常な細胞を損傷させる物質)が生み出され、全身のさまざまな関節がその影響を受けることで痛みなどの症状を引き起こす病気です。 股関節脱臼や股関節骨折の後遺症 事故などの外傷による衝撃で股関節がダメージを受け、脱臼や骨折を起こした後の後遺障害として関節疾患を引き起こすことをいいます。 上記、いずれにしても「股関節の痛み」や「歩行機能障害」など、日常生活にさまざまな影響を及ぼす可能性が高い症状を引き起こすため、適切な治療を継続する必要があるのです。 股関節の病気の治療法(保存療法) 股関節に関する上記の病気の治療方針としては、主に「初期段階には保存療法を適用し、保存療法が奏功しなくなったら手術を検討する」という方針がとられていました。 保存療法とは、発生している症状を緩和し、運動療法などによって患部の機能障害の進行を防止する治療法のことです。 保存療法は体への負担が小さい治療法として多くの症例で用いられる治療法ですが、上記の「機能障害の進行を防止する」という効果は完全なものではなく、加齢などの条件も重なって次第に症状は進行してしまいます。 結果、進行期から重度の疾患にまで症状が進行してしまい、次第に保存療法では十分に痛みなどの症状を緩和できなくなってしまうのです。 そうなると、以下のような股関節の手術を選択する可能性があります。 股関節の病気の治療法(手術の選択) 手術 ・人工股関節置換術 ・骨切り手術 ・関節鏡手術 人工股関節置換術の「手術中の痛み」と「手術後の痛み」について 手術というだけでも「痛み」については誰もが気になるところです。しかも、人工関節置換術となると、その言葉だけで更に心配になられる方が多いのではないでしょうか。 まず安心していただきたいのは、変形性股関節症などの治療において用いられる人工股関節置換術は、当然ながら「麻酔」を利用しますので、手術中に痛みを感じることはありません。 しかも、人工股関節置換術を実施する際には「全身麻酔」を用いることが多いため、痛みはもちろん、患者さんが手術中の様子や音などで不安を感じることもないのです。 人工股関節の手術に関する痛みについて、問題になるのは、麻酔が切れた後の「手術後の痛み」です。麻酔が切れると当然ですが痛みが起こります。 手術後の痛みに関しては痛み止めを使用します。薬剤によって痛みをコントロールすることになるのでご安心ください。手術後の痛みのピークは、手術直後から手術当日の夜の間が最も強く、その後は時間の経過に伴って軽減していき、手術後数日でおおまかな痛みは落ちつくでしょう。 また、「硬膜外麻酔」という麻酔術を手術前にすることで、手術後の痛みを軽減する治療が可能なケースもあります。 人工股関節置換術後リハビリと注意事項 股関節の痛みは、痛み自体や歩行機能への影響などがあるため、可能な限り最小限に抑えたいところです。股関節の人工股関節置換術の後、いわゆる「リハビリ期」において注意するべきポイントを押さえておきましょう。 リハビリは指示に従う 人工股関節の手術をしたら、入院とリハビリが必要になりますが、リハビリを行うにあたっては必ず「指示に従う」ことを遵守してください。 股関節の手術に限らず、手術後はデリケートな状態にありますので、早く退院したい、早く治したいとの想いで医師が禁止していることをしてはいけません。医師の指示通りにしないと、最悪の場合は手術をやり直さなければならなくなるケースもあります。 仮に人工股関節の手術後の痛みが抑えられて「きちんと治った!」と思っていても、実は勘違いという可能性もあるので、リハビリは医師の指示に従って安全におこないましょう。 股関節の脱臼リスクが高い動作は避ける 人工股関節置換術の後、気を付けるべきなのは「脱臼を避ける」ことです。リハビリ中、大きく仰け反るような動作、正座からひねって立ち上がるといった動作で脱臼しやすく、脱臼リスクの高い動作は意識して避けなければなりません。 スポーツなど、激しい動きがあるものは医師の許可を得る 人工股関節置換術の後、「スポーツ」や激しい動きと伴うものは、必ず医師の許可を得てからおこなってください。 特に重いものを持ったり、ジャンプの多い競技、急なストップや方向転換などなどの激しい動きあったり、相手にぶつかるような競技を避ければ、特に制限を設けることなく好きなスポーツに復帰することができるでしょう。 やりたいスポーツに関して担当医に相談し、どういった動作は避けなければならないか、そもそもリハビリ中に復帰可能なスポーツであるかの判断をもらうようにしてください。ただし、OKが出ても無理は禁物です。最初は試運転、徐々に取り組みましょう。 股関節への負荷を抑えるための体重コントロール 人工股関節置換術の後、人工股関節を少しでも長持ちさせるためには「体重コントロール」が欠かせません。股関節には上半身の重さがかかるため、体重が重いと人工股関節への影響が大きくなり、人工股関節の損傷リスクを高めることになります。特に運動を行う場合は、注意が必要です。 ただ適度な運動習慣を身につけることは大切です。この機会に適度な体重を維持できるように運動や食習慣といった生活全体の習慣を見直し、必要に応じて医師の指示した運動・生活メニューを実施するようにしましょう。 手術そのものを避けられる!再生医療という選択肢も生まれています 股関節の重い症状に対して人工股関節の手術などをおこなう場合、手術後の痛みのリスクを無視することはできません。保存療法は効かない、けれども手術は痛みや体への負担が気になるという患者さんは最新の医療分野「再生医療」も検討してみてください。 股関節の再生医療は自身の細胞によって股関節の軟骨の損傷を修復し、変形性股関節症などの症状の進行を遅らせて痛みを改善する効果が期待できます。 例えば「幹細胞」を利用した再生医療をする場合は、患者さん自身から幹細胞を採取(切開して脂肪を採取する等)し、これを培養してから患部に注射するという治療をおこないます。 この治療法であれば、人工股関節の手術ほど体への負担はありませんし、手術後の痛みの心配もほとんどないでしょう。 従来の保存療法では奏功しなくなった患者さんでも効果がみられる可能性があり、アレルギー・感染症・拒否反応といった副作用のリスクも少ないので、メリットの多い治療法と言えます。 下記の動画では、再生医療がどのようにして変形性膝関節症や変形性股関節症の患者様の痛みを軽減し、生活の質を向上させることができるかを示しています。是非参考にしてみてください。 https://youtu.be/03G87sTv2D4?si=soT1LvOnshMVSFB_ まとめ・股関節の病気の種類と治療法 人工股関節の手術(人工股関節置換術)は、手術後の痛みをコントロールすることは可能です。 手術後のリハビリは医師の指示のもとで安全におこない、脱臼や人工股関節の損傷などのリスクを少しでも減らすようにして痛みの改善ができれば、生活の質がグンと良くなるでしょう。 しかし、外科的な手術はどうしても避けたい、人工股関節のような手術を受けると、手術後の痛みがどうしても心配で仕方がないなどという人は、再生医療を選択するのもおススメです。 以上、人工股関節の原因となる股関節の病気と手術の痛みについて、手術中及び、手術後について記させて頂きました。 尚、再生医療は、股関節の痛みについて、多くのメリットがある治療法です。お気軽にお問い合わせください。親身になって詳しくご説明させて頂きます。 ▼ 最先端医療「再生医療」で股関節を治療する方法 股関節症の新しいい治療法、再生医療は、人工関節を避けて治療できる新しい医療分野です ▼以下も変形性股関節症の記事をご紹介しています 股関節の人工関節置について、高齢者が手術前に知っておくべきリスクとは?
2022.04.08 -
- ひざ関節
- 膝の内側の痛み
- 変形性膝関節症
- PRP治療
変形性膝関節症の再生医療(PRP療法)の治療と体験談を公開します こんにちは Dr.サカモトです。 今回はPRP療法(PRP治療)が実際どのように行われるかを、患者さんの声を交えながら解説していきます。それでは行ってみましょう! PRP治療での注射方法 PRP治療では、膝のお皿の外から関節の中にめがけて注射をします。膝の関節の中にはちょうど袋がありまして、その中にPRPを注射するという形になります。痛みもそれほど痛いものではないと思います。 PRP療法がオススメの症状 実際どういった方がPRP治療を受けられるかというと、以下のような方々がPRP治療を選択されています。 変形性膝関節症でPRP療法を選ばれた方 ・保険診療のヒアルロン酸注射が効かなくなった方 ・薬を飲んでも痛みが取れない方 ・スポーツや仕事に早く復帰したい方 ・薬剤アレルギーが怖い方 ・手術を避けたい方 ・長期入院ができない方 PRP療法は短期間で痛みも少ない治療法 PRP治療などの再生医療は、すごく難しいことをするんじゃないの?といった声もよく聞かれますが、実際は大げさなことは何もなく、短時間で痛みも少ない方法です。だから手術も入院も不要という医療分野といえるのです。 実際のPRP治療の流れは、まず腕から少し採血をし、それを特殊な機械で約30分ほど分離します。それを膝の関節に注射をするだけの治療なので、それほど痛いものでもなく時間も30分ほどで終わります。 このようにPRP治療はとてもシンプルなので何か大きな準備をしなきゃいけないだとか何か大変な検査をしなきゃいけないということはありません。特に身構えなくても大丈夫なのでご安心ください。 ▼変形性膝関節症をPRPで治療/その効果を動画で解説 PRP治療の体験談をご紹介 では実際にPRP治療を受けられた方の実例がありますのでご紹介します。 (PRP治療を受けられた女性) 「テレビで再生医療についての特集を見たり、プロ野球選手が再生医療で治ったという話を人から聞いたりして興味はあったのですが、私は車いすの状態だったので、本当に再生医療で歩けるようになるの?と思っていました。 採血をして少し時間を置いて、いつものような膝の注射をしただけだったので、つらい気持ちは全然感じる感じることなく、スムーズに治療を受けられました」 この方は、もともと膝がとても痛くて歩行困難が見られ、ヒアルロン酸の注射をしても1日しかもたないということで、PRPの治療を選択されました。かなり膝の変形も強く、人工関節をしてもおかしくない方だったのですが、手術はどうしても避けたいということで注射をしました。 (PRP治療を受けられた女性) 「PRP注射は6回していただいたのですが、1~3回目に関しても少しずつ効いているなという感じはしていたのですが、4回目のときには杖なしで自分の足で立つことができるようになっていて、 自分でもすごくびっくりしました。『すごく効いた』という実感があってとてもうれしかったです」 はじめ10あった痛みが、4回注射した後には、2か3になり、もともと杖で歩かれていたのですが、その杖も必要ないぐらい痛みが軽快し、ぎこちないながらもスムーズに歩けるようになりました。 その後、数ヶ月様子を見ていましたが痛みの程度が始め10あったものの、2~3に落ちて、その後5ぐらいには戻ってはきましたが、5でとても安定しておられます。 (PRP治療を受けられた女性) 「今までは料理のときも杖をついたり椅子に座ったりしていましたが、PRP治療後は立ったまま料理や家の片付けができるようになりました。 友だちとUSJに遊びにいったり、ひとりで旅行したり色々なところに自分の足でいきたいと思います」 このように色々と個人差はありますが持続期間も長く認めてますので、かなりPRPの効果はあったと思われます。今まで再生医療と出会う前は、このように劇的に注射で痛みが取れるということは考えられませんでした。 PRP治療の注意点 以上、いかがでしたでしょうか? 私もPRP治療でこれほど歩けるようになるのかとビックリしました。PRPは、痛みを取るために非常に有効で、ご自身の血液を使った治療法なので安全性も高く、入院も手術も不要です。患者さん自身も本当に喜んでおられたのが印象的でした。 ただし、知っていて欲しいのは、「PRP療法には、すり減った軟骨を再生する力は無い」ということです。確かに痛みを止める効果には優れていますが「根本的な解決策ではないので注意が必要」です。そのため、いずれかの段階で痛みが戻って来る可能性があります。 痛みを止め、軟骨レベルで再生を目指すなら、同じ再生医療の分野でもう一歩踏み込んだ治療法として「幹細胞治療」というものがあります。これはPRP療法のように即日実施できるというものではありませんが非常に優れた手法です。 もちろん、手術や入院は不要です。 患者さんの脂肪、米粒2~3粒を専門施設で幹細胞を抽出して培養、患部に戻すことで、これまで不可能と言われてきた軟骨の再生を即する手法です。根本的な治療を望まれるな以下で詳しく説明しましたのでご参照下さい。 ▼こちらもご覧ください PRP療法について、そのメリットとデメリットについて まとめ・変形性膝関節症の再生医療(PRP療法)の治療と体験談 いかがでしたでしょうか? 今回は、PRP治療の流れとPRP治療を受けた方の実際の声をご紹介しました。PRP治療が画期的な治療だと思われた方は多くいらっしゃると思います。実際受けてみたい方、そしてまだ疑問がある方はお問合せください。 以上、変形性膝関節症|PRP療法の治療効果と体験談について記しました。PRPはもちろん、幹細胞治療に興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。お悩みをお伺いして詳しくご説明させていただきます。 ▼PRP療法(再生医療)をもっと詳しく PRPによる治療は、これまでない画期的な治療法です ▼以下もご参考にしていただけます 変形性膝関節症のガイドラインと痛みを緩和する運動について
2022.04.07 -
- 股関節
- 変形性股関節症
変形性股関節症を発症!悪化させないために気をつけたいこと 変形性股関節症と診断されたら、今以上に悪化させないようにしたいものです。変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減ったり、骨の変形によって骨同士がこすれあうことで炎症が起こり、痛みを伴う病気です。 悪化すると日常生活にも支障をきたします。今回は、この変形性股関節症を悪化させないために気をつけるべきことについて解説してまいります。 変形性股関節症になったら気をつけることとは? 変形性股関節症は、股関節に負担がかかると症状が進行してしまいます。そのため、変形性股関節症の症状の進行を抑え、悪化を防ぐために、気をつけたいことがあります。 股関節への負担を減らす 変形性股関節症の初期の段階では、痛みを感じない場合も多くあります。しかし、股関節には日常の動作、つまり、歩いたり、階段を上ったり、座ったりといた動作が起こり、それだけでも股関節に負担がかかっています。 また、股関節の骨と骨の間に存在し、衝撃を吸収したり、骨同士が直接触れ合わないようクッションの役割を果たしている軟骨は、加齢だけでなく、関節を使うことで徐々にすり減ってしまいます。 そのため、変形性股関節症では、日常生活を工夫して、股関節への負担を減らすように気をつけることが大切です。 股関節を安静に保つ 荷物など、重いものを持つことを避けたり、腰をかがめる動作を減らすなど、股関節への負担を減らすことを意識して、安静に保つことで股関節への負担が減り、変形性股関節症の進行を遅らせることができます。 ゆっくり歩き/長時間歩かない 変形性股関節症と診断された場合は、歩くときにもできるだけ股関節に負担がかからないようにゆっくり歩くことを意識してください。また、連続して長時間歩くことも避けるようにしましょう。自分の大丈夫だろうという意識を捨て、無理は禁物です。 変形性股関節症は軽度の運動でも気をつける 変形性股関節症の初期の治療では、軽度の運動が推奨されます。これは筋肉をつけることで股関節の動きをサポートし、股関節の位置を正しい位置に矯正することで痛みの緩和が期待できるからです。 ただし、変形性股関節症でありながら運動する場合には、軽度の運動であっても気をつけることがあります。 15分以上の運動は控える 15分以上の連続した運動は筋肉が疲労してしまい、関節に負担をかけてしまうので控えるようにしましょう。 痛みを感じるような運動は控える 早く治そうと無理することは禁物です。筋力をつけようとして痛みを感じるほど運動してしまうと、かえって症状が進行してしまうこともあるので無理のない範囲で運動するようにしましょう。 肥満を解消する 普通に歩くだけでも、関節には体重の約3~5倍の負担がかかります。そのため、変形性股関節症の人が気をつけることの1つとして、肥満解消や体重コントロールも挙げられます。 股関節の負担が掛からないよう体重を管理し、肥満を防ぐ 中高年になると身体の基礎代謝が落ちてまいります。そのため、体重管理が難しくなります。運動も大切ですが、肥満を改善するためには食生活の見直しが必要です。 体重は、股関節へ直接負荷をかけることになるため、注意しなければなりません。体重は、けして切り離せないだけに留意すべき大切な要素です。 変形性股関節症において食事で気をつけたいことは、とにかく食べ過ぎないことと、栄養バランスよく食べることです。夕食は、寝る2~3時間以上前には済ませるようにしましょう。暴飲暴食は厳禁です。 また、早食いにならないようにゆっくりとよく噛むことで、食欲が抑えられ、食べすぎを防ぐことができます。食事内容のバランスにも気をつけましょう。脂っこい食事を避けて緑黄色野菜を多めに摂る、筋肉の基となるたんぱく質も意識して食べるようにしましょう。 無理に股関節を動かさない 変形性股関節症では適度な運動は推奨されますが、無理に股関節を動かすと、症状が悪化する可能性があります。激しいダンスやエアロビクス、ボーリングやウェイトマシーンを使っての筋力トレーニングは関節へ過度な負担がかかるため避けるべきです。 変形性股関節症のリハビリは、関節への負担が少なくて済むウォーキングや水中歩行のようなスポーツをゆっくり行うなど、関節に無理をかけないように気をつけることが必要です。 変形性股関節症の悪化|家族が気をつけること 変形性股関節症と診断された場合に、その家族が気をつけることを以下にまとめました。どのようなことがあるのでしょうか。 重いものを持たなくて済むようにサポートする 重いものを持つと関節に負担がかかりやすくなります。また、重いものを持つために、腰をかがめる動作も股関節に負担がかかるため、変形性股関節症の場合に荷物を持つときには、できるだけ家族が持つなどのサポートが大切です。 痛みの管理をサポートする 変形性股関節症では、痛み止めなどの内服薬も処方されます。痛み止めは、副作用で胃が荒れてしまうこともあり、それを予防するための胃薬や湿布のような外用薬など、数種類の薬が処方されることもあるため、薬の管理をサポートしましょう。 また、どのようなときに痛みが出たり、ひどくなったりするかの記録をつけることで、痛みの管理ができるため、家族もいっしょになって記録を取る手伝いをしましょう。 これら変形性股関節症では、その個人だけではなく、周りの家族も思いやりと、協力で、症状の進行を遅らせ、痛みを改善させ、より快適に過ごすことができるのではないでしょうか。 精神面でも支えになる 変形性股関節症の人は、症状が進むと動いていなくても痛みを感じる場合があります。今までできていたことができなくなり、トイレに行くにも不自由になり、ストレスを感じるようになる人もいます。 ですから、変形性股関節症の人の家族は、日常的な生活のサポートだけでなく、精神的な支えにもなるように気をつけることが必要です。 変形性股関節症の悪化|治療で気をつけること 変形性股関節症の治療で気をつけることも確認しておきましょう。 本人や家族が満足、納得できる医療機関を見つける 変形性股関節症の治療では、「薬物治療」、「運動療法」、「手術療法」などさまざまな治療がおこなわれます。手術療法を行う場合は入院が必要になりますが、どうしても仕事が忙しく時間がとれないなどの理由で手術を希望しない人もいます。 また、手術療法にも骨切り術や人工関節置換術があり、その後の通院頻度や入院期間も異なります。病院までの距離や医師との相性なども含め、本人や家族が満足できる、納得できる医療機関を見つけて治療を受けることが必要です。 意思や希望を主治医に伝える 変形性股関節症の人は、今後どのように治療を進めていきたいか、自分の意思をしっかりと主治医に伝えるようにしましょう。また、家族の意思や希望も伝えておけば良いでしょう。 なぜなら自分の望む治療がおこなわれないと、治療に対するモチベーションも下がってしまい、治療自体に影響が出ることもあります。 すぐに手術を受けたいのか、しばらくは薬で治療をしたいのか、飲み薬のほかに湿布薬や座薬も使いたいのかなど、医師にしっかり話をして、相談しながら治療をしていきましょう。 変形性股関節症に再生医療という選択肢もある! 変形性股関節症の治療の選択肢のひとつに、「再生医療」という最新の治療法もあります。今までの変形性股関節症の治療では、薬で痛みが抑えられなくなった場合には手術をするしかないと言われていました。 そのため、変形性股関節症は、日常生活においても股関節に負担がかからないように気をつけ、痛みが出たら痛み止めを飲んで緩和しながら進行を遅らせるなど、精神面や痛みのコントロールもとても大変でした。 しかし、最近ではスポーツ選手なども選択している再生医療という治療方法が注目を浴びています。 手術との違い 変形性股関節症における痛みの原因は、関節の軟骨がすり減ることで発生しています。再生医療では、修復が不可能と言われている関節の軟骨を新たに再生させていく画期的な治療法です。 この再生医療では手術を行いませんので、身体への侵襲が少ない治療となります。人工関節のような大掛かりな手術を実施した場合には、少なからずリスクを伴います。代表的な合併症としては、深部静脈血栓症・肺塞栓症・人工関節の再脱臼などがありますが、再生医療においてはこれらの合併症が発生することはありません。 再生医療の効果はいつまであるのか また、人工関節には耐久年数があり、一般的には平均15〜20年程度と言われています。人工関節をすると、経年劣化による不具合により疼痛などが発生することがあり、日常生活に支障が出た時には、再手術が必要となる場合も少なくありません。 再生医療の治療効果は人工関節の耐久年数と同じ程度の持続が期待されています。しかも手術に伴う合併症のリスクを負うことなく、手術と同じ程度の治療成績が得られることからも、再生医療を選択するメリットは大きいと考えられます。 これまでの治療では効果が感じられず、手術を受けようかとお悩みの方、あるいはどうしても手術を受けたくないという方にとって、安全で治療効果の高い再生医療は新たな選択肢と言えるでしょう。 下記の動画ではは、再生医療が変形性股関節症の痛みをどのように軽減し、患者様が日常生活でより多く動けるようになったかを示しています。是非参考にしてみてください。 https://youtu.be/ZYdyeWBuMQA?si=VGWXjnYGmS4UpHbm まとめ・変形性股関節症の発症後に気をつけたいこと 変形性股関節症で症状を悪化させないために気をつけたいことをご紹介しました。 変形性股関節症の治療においては、股関節に負担をかけないように気をつけることが大切で、安静や食生活の管理、適度な運動、また、家族のサポートも必要です。 これまでの変形性股関節症の治療では、痛み止めを服用して痛みを緩和し、手術をおこなう方法しかありませんでした。そのため症状の進行を抑える目的でリハビリを含め、生活上で注意すべきことが多々あります。 しかし、近年注目を浴びている再生医療は、変形性股関節症の治療の選択肢にすることができます。副作用が少なく、高い治療効果が期待できるので、治療方法を検討する際には、再生医療の選択もできるようになりました。 以上、変形性股関節症を悪化させないために気をつけたいことを記しました。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼以下もご参考になりませんか 変形性股関節症を進行させない生活の工夫とリハビリについて
2022.04.07 -
- 変形性膝関節症
- ひざ関節
変形性股関節症の保存療法で治療効果を上げるため注意したいこと 変形性股関節症の初期の治療では、保存療法という治療法を選択することが多いです。 保存療法には、運動療法や薬物療法、温熱療法などが挙げられます。また、日常生活における動作を見直すなど、股関節への負担を軽減するための生活習慣の改善もおこないます。 変形性股関節症の人がおこなう保存療法の1つにも、運動療法があり、軽いストレッチや筋力トレーニングが推奨されます。 筋力をつけることで股関節をサポートし、股関節を正しい位置に矯正することで、股関節への負担の軽減、痛みの緩和が期待できます。 今回は、変形性股関節症の人が保存療法をするときの注意点について解説します。 変形性股関節症の保存療法で「運動療法」に取り組むための注意点 運動療法では、まずストレッチやマッサージをおこない、筋肉をほぐします。股関節周囲の筋肉の柔軟性は、痛みの改善だけでなく、関節の動く範囲の改善にもつながります。 しかし、運動療法をするときに、早く筋肉をつけようとして無理に運動しないように注意しなければなりません。 また、ジョギングやサッカーのような激しい運動も股関節に負担をかけ、変形性股関節症を進行させてしまうため、ゆっくりと歩くウォーキングや、負担の少ない水泳などをおこなうようにしましょう。 変形性股関節症の保存療法でウォーキングをするときの注意点 ウォーキングをするときに早く歩きすぎたり、長距離歩いてしまうと、股関節への負担が増大します。ですから、ゆっくりと歩く15分程度のウォーキングにとどめましょう。 変形性股関節症の保存療法で筋トレをするときの注意点 股関節をラクに動かすことができるようになったら、徐々に運動強度をあげて、筋力トレーニングもおこないます。筋力トレーニングをするときも、やりすぎると股関節に負担がかかってしまうため、毎日少しずつ継続しておこなうようにしましょう。 変形性股関節症の保存療法で日常生活における注意点 変形性股関節症の人は、生活習慣を見直して、股関節に負担をかけない生活をするようにしましょう。重いものを持つときにしゃがみこむような動作は、股関節に大きな負担をかけてしまいます。 できるだけ重いものを持ったり、しゃがみこむような動作は避け、布団で寝ている人はベッドに変える、和式トイレも洋式トイレにするなど、生活様式も洋式に見直すと良いでしょう。 場合によっては、杖を使うことも股関節への負担軽減に役立ちます。 体重管理は非常に大切! 変形性股関節症で肥満気味の人は、ダイエットが必要になる場合があります。股関節には、自分自身の体重による負担がかかります。体重が重ければそれだけ負担が増します。できるだけ標準的な体重を保つよう体重管理を行うことが必要です。 とはいっても、過激なダイエットをして健康を害してしまったのでは元も子もないので主治医と相談しながら体重管理に努めましょう。運動療法だけでなく食生活も見直して体重を管理をし、体重による股関節への負担を軽減できるように努めましょう。 変形性股関節症の保存療法で薬物療法をする場合の注意点 変形性股関節症の保存療法では、痛みの改善のために薬物療法もおこないます。痛み止めを服用して炎症を抑え、痛みの改善を図るため、内服薬のほかにも、湿布薬や座薬が処方されることもあります。 飲み間違いや飲み忘れに注意して、痛みと上手に付き合うようにしましょう。 変形性股関節症の保存療法を「効果的に実践する」ための注意点 変形性股関節症の人が保存療法を効果的に実践するためには、どのような注意点に気をつければ良いのでしょうか。 自分にあった医療機関を見つける 変形性股関節症の人が効果的に保存療法をするためには、病院までの距離や、医師との相性も大切です。通院が負担になってしまうと、その後の治療に対するモチベーションにも関わります。 運動療法や生活習慣、薬の内容や手術の希望など、自分の希望を医師に伝えて、よく話し合うようにしましょう。 自己判断で治療を中断しない 保存療法をおこなって、痛みの改善や動きやすさを感じるようになっても、自己判断で治療を中断しないようにしましょう。筋力がついたり、体重コントロールに成功して股関節の痛みが軽減したとしても、一度損傷した股関節が元通りになったわけではありません。 自己判断で治療を中断すると、再度症状が進行してしまう可能性もあるので、医師の指示通りにきちんと受診して、治療を継続するようにしましょう。 痛み止めの増減は医師とよく相談する 痛み止めを処方されるときに、痛みがあるときだけ飲むように言われることもあります。しかし、痛みを感じるからといって飲みすぎると、副作用が出てしまう危険性もあります。 もし、処方された痛み止めが効かないなど、不安がある場合は痛み止め薬の変更などを医師に相談するようにしましょう。 家族が変形性股関節症と診断され保存療法を選択した場合の注意点 家族が変形性股関節症と診断され、保存療法をおこなうことになった場合の注意点を紹介します。 股関節に負担がかからない生活について! ・立ち上がり時には身体を支えるなど、股関節に負担が掛けない工夫する。 ・重い荷物を持つと、股関節に負担がかかり症状が進行しかねません。 ・しゃがみ込みや、立ち上がりのような動作は股関節への負担が大きくなります。 ・自宅から病院間など外出する場合、家族が運転し、歩行距離を減らして股関節の負担を軽減する。 変形性股関節症の治療には再生医療という最先端の方法もある! https://youtu.be/z0E4lmqViXI?si=L3JMhHYo4T7UvSgB ▶こちらの動画では、再生医療の治療の流れを解説しています。 変形性股関節症の治療法として、再生医療という最先端の方法があります。最近ではスポーツ選手が再生医療で治療をするなど、注目を浴びている治療法です。 変形性股関節症の再生医療とは? 変形性股関節症の再生医療では、自身の幹細胞や血小板を利用することで、すり減った軟骨や骨の変形の修復や再生を促し、痛みの改善を目指します。幹細胞には、さまざまな組織や細胞に変化する能力が備わっています。 この幹細胞を変形性股関節症の人(本人)から取り出し、量を増やしてから体に戻すことで、幹細胞が組織の修復を促し、股関節の炎症や痛みを抑える効果が期待できます。 また、血小板にも、組織の修復や再生を促す能力があります。血液を採取し、血小板成分を濃縮させて損傷した股関節部位に注入することで、組織の修復を促し、症状の進行を抑え、痛みの改善を目指します。 再生医療は、自身の幹細胞や血液成分を用いるため、拒絶反応やアレルギーの危険性も低い安全な治療法です。 まとめ・変形性股関節症の保存療法で治療効果を上げたい方へ 変形性股関節症の人が保存療法をおこなうときの注意点を紹介しました。保存療法には、運動療法や生活習慣の改善、薬物治療などがありますが、注意点としては、とにかく股関節に負担をかけないこと、医師とよく話し合って最適な治療を受けること、家族がサポートすることなどが挙げられます。 また、変形性股関節症の治療方法の一つとして、再生医療があります。自身の幹細胞や血液成分を利用して損傷した股関節の修復や再生を促すことで、痛みの改善が期待できる最先端の治療方法です。 今までの治療では効果が感じられない、なるべく薬物治療や手術をしたくないという人は、再生医療も変形性股関節症の治療の選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。 以上、変形性股関節症の保存療法を行う際の注意点をまとめてみました。保存療法は正しく継続することが秘訣です。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善する先進医療です ▼以下もご参考下さい 変形性股関節症の人工関節手術と年齢の問題
2022.04.07 -
- 肝疾患
- 内科疾患
肝臓の重要な働きと注意すべき気について解説 肝臓とは、人間が生きて行く上で重要な働きを有する大切な臓器であることはご存知かと思います。では、肝臓がなぜ重要でどのような働きを行っているかご存知でしょうか? 肝臓は、人体の腹部内において右上の肋骨に位置する臓器であり、成人では約1kg以上もの重量がある臓器で体重の50分の1にあたるほどの存在感があります。 肝臓という臓器の役割は、栄養素などを含めて様々な物質を化学的に変化させる機能を有していて人間の身体の中で最大の代謝機能を司る重要な臓器です。 この臓器は、日々何千という生体酵素を介して500種類以上の複雑な代謝過程を起こしており、肝臓が元気であることは、その他のすべての器官や臓器にとっても非常に重要なことと言えるのです。 そこで今回は、「肝臓の役割」と「肝臓に関する主な病気」に関して詳しく解説していきます。 肝臓の働きと役割 肝臓は多くの働きをする臓器ですが、その中でも大きく4つの事項に分けることができます。ただ、肝臓の働きは多岐にわたります。 本稿では働きを便宜上4つに分けて示しましたが代謝と備蓄を別にとらえたり、免疫を含めなかったり、色々な面から解説されています。そのため、肝臓の働きを4つと限定するものではないのでご注意ください。 肝臓の4つの役割 1.胆汁を作る(脂肪成分を消化するための液体) 2.代謝、栄養素(エネルギー)を貯える 3.有害な同素等の中和、解毒 4.免疫機能 1)胆汁を作る 胆汁は、食べ物の中に含まれる脂肪成分などを消化するために必要な液体の分泌物であり、おおむね黄緑色の色調を呈しています。 胆汁は、肝臓における細胞から絶えず分泌されており、肝細胞レベルでは脾臓から運搬されてきたビリルビンという黄色の色素性成分を水に溶けやすいように変化させています。 2)栄養素を貯えて変化させる 普段私たちが摂取している多くの食べ物はそのままの状態では身体に吸収されませんので、有効な栄養素として効率よく吸収できるように肝臓で代謝することが必要になります。 肝臓は糖や脂質における代謝という観点においても中心的な役割を果たしている臓器のひとつです。例えば、炭水化物から摂取されるブドウ糖成分をグリコーゲンという物質に変化させた状態で体内に貯えることができます。 その上で、必要な時に合わせてエネルギーとして使用できるよう肝臓外の体内へ送り出す機能も有しています。 更に骨髄という場所で赤血球などの血液成分を作成するために必要な物質である葉酸やビタミンB12を貯蔵し、必要時に分配する役割も担っています。 ほかにも、たんぱく質から摂取されるアミノ酸成分からアルブミンとフィブリノゲンという物質を作って血中に循環させる機能を持っています。 3)解毒作用を有している 肝臓は生体にとって極めて重要な機能を司っており、体内に侵入した毒物を分解して毒性のない物質に変換することが出来ます。例えば、飲酒時のアルコールを中和したり、喫煙では、ニコチンを人体にとって無害なものへと中和して解毒する作用を有しています。 また、体内に乳酸が余分に溜まると倦怠感を自覚すると言われていますが、肝臓内においてはその乳酸成分をグリコーゲンに変化させることが出来ます。 4)免疫細胞が活躍 肝臓内においてクッパー細胞と呼ばれる重要なセル成分が生体に入ってきた異物を貪食する、あるいはナチュラルキラー(NK)細胞がウイルスに感染した細胞や老廃物を処理するなど免疫機構にとって重要な細胞に対して肝臓は指令する重大な働きを担っているのです。 肝臓の注意が必要な病気とは ここでは、肝臓に関連する非常に怖い病気について、いくつか紹介していきます。 急性肝炎 まずは、「急性肝炎」に関してご説明いたします。この病気は、肝炎ウイルスやアルコール、薬剤などの影響によって肝臓内に存在する細胞が破壊されて強い炎症所見を呈するものです。 例えば、「アルコール性肝炎」は、飲酒の習慣化し、その量が多い場合に起こりやすい疾患です。肝臓に脂肪が蓄積されることで炎症が起こります。また、飲酒の習慣が内にも関わらずアルコール性肝炎似ている症状で肝臓に脂肪が蓄積し炎症が起こす「非アルコール性肝炎」というものもあります。 肝炎ウイルス(A・B・C・E型/Dもあるが日本ではあまり見られない)に感染する「ウイルス性肝炎」の場合、数週間から数カ月経過して身体の倦怠感、食欲不振、白目や皮膚が黄染される黄疸などの症状が出現すると言われています。 これらの疾患では、原因となっている「飲酒をやめる」、原因となる「ウイルスを排除」する、原因となっている「薬剤を中止」するなどの対応ができれば、数カ月単位で症状が改善していく傾向があります。 慢性肝炎 次に、「慢性肝炎」に関して説明します。この病気は、急性肝炎とは異なりおよそ半年以上に渡って肝臓自体の炎症が継続している状態を指しています。 主な発症要因としては、急性肝炎が完全に治りきらない状態が続くために引き起こされますが、本疾患における自覚症状が非常に軽微であるために健康診断の血液検査でたまたま発見されることのほうが多いと言われています。 仮にそのまま放置すると肝硬変や肝臓癌などに移行することもあると問題視されているため、健康診断の数値などに対して十分に注意を払う必要があります。異常な数値がみられる場葵は早期に病院等、医療機関の早期受診をお勧めします。 肝硬変 そして、次に「肝硬変」という病気を紹介したいと思います。 この病気は皆さんもよく耳にする機会が多いかもしれませんが、慢性肝炎などによって肝臓内の細胞が破壊されて修復再生を繰り返すうちに、肝臓組織が繊維化されて固くなってしまう特徴を有していることから名づけられた疾患です。 肝臓における重要な機能や役割が低下して、元の正常な状態に改善できなくなってしまい、肝細胞癌など悪性腫瘍病変に進展してしまうことも十分に考えられます。 初期にはほとんど有意な症状を認めないことが多いですが、進行するにしたがって倦怠感や吐き気、あるいは体重減少など多彩な症状が出現することが知られています。 さらに病状が悪化すると、四肢の浮腫像や腹部膨満感、そして全身が黄色く染まる黄疸と呼ばれる症状などが自覚されることになります。 肝臓病の例 ・急性肝炎 ・慢性肝炎 ・アルコール性肝炎 ・非アルコール性肝炎 ・ウイルス性肝炎 ・肝硬変 ・肝臓がん まとめ・肝臓の病気は怖いのでくれぐれもご注意ください 今回は、肝臓の役割と肝臓に関する主な病気に焦点を当ててご紹介してまいりました。肝臓という臓器は身体にとって非常に重要な役割を数多く有している大切な臓器です。組織を修復する能力や代償する機能にも優れています。 今回、代表的な肝臓の病気をご紹介しましたが、皆様ご存じの通り、肝臓は「沈黙の臓器」と言われています。通常、わたしたちは体のどこかに異常があると、何かしらかの痛みを自覚するなど、様々な自然反応が出現します。 これに対して、肝臓は非常に我慢強く、多少の異常が起こっても症状が乏しい特徴があります。そのため、病変の存在に気付きにくく、知らぬ間に病状が進行していることが往々にしてあります。 ある意味、非常に怖い臓器なのです。注意して見守ってやらねばなりません。 したがって、定期的な健康診断などを受診して自分の肝臓が正常に機能しているかどうかを評価することは大変重要なことですし、実際に肝臓病になって出現する症状は個々で異なる場合も考えられますので、不安であれば主治医や肝臓専門医に相談しましょう。 また自身で予防できることとして、「暴飲暴食などの習慣化を避ける」だけでも一部の肝臓病は避けることができます。もの言わぬ臓器だけに自分自身を労わる気持ちをもって生活を見直し、管理するようにしましょう。 肝臓の病気は怖いのでくれぐれもご注意ください。今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼肝臓に関わる病気|最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、肝臓病の新たな治療法として注目を浴びています
2022.04.04 -
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
「頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないことはある?」 「頚椎椎間板ヘルニアの予防で注意したいポイントは?」 頚椎椎間板ヘルニアを始め、頚椎疾患は、日常診療のなかでも多い病気のひとつです。頚椎疾患自体は、30~50代前後の中年層に患者数が多い傾向にあります。 ときには訳もなく発症するケースがあるものの、多くは日常生活で悪い姿勢のまま作業をしたり、首に負担のかかりやすい運動(スポーツ)をしたりすると起きやすくなります。 また、頭の重さは5~6Kgほどです。要はボーリングの球が首に乗っている様子をイメージしてみてください。いかに首への負担がかかっているのか、ご理解いただけるでしょう。 そのため、日常生活において大きな衝撃がないときでも、ほんの数センチ頭が傾くだけで、首に負担がかかってしまうのです。 今回は頚椎椎間板ヘルニアを患った人が、日常生活においてやってはいけないことを解説します。最後までお読みいただければ、注意点や予防法を理解できるはずです。 先に主要ページに飛びたい方は、頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと5つの項目を参考にしてみてください。 頚椎椎間板(けいついついかんばん)ヘルニアについて 頚椎椎間板ヘルニアは、椎間板の一部が本来の正常な位置からずれて後方、背中側に向けて突出してしまう病気をいいます。 ちなみに「椎間板(ついかんばん)」とは、脊椎(せきつい)領域において、骨と骨の間にあるクッションの役割を担っている軟骨のことです。 首の骨は「頚椎(けいつい)」と呼ばれ、7つの骨で構成されています。 特に、頭側に位置する上位頚椎椎間板ヘルニアは、加齢にともなう下位頚椎の変形などにより、上位頚椎に負荷がかかって引き起こされるのが一般的です。 若年者から中年層にかけて幅広く発症し、多くは悪い姿勢でのデスクワークが原因で起こる傾向にあります。 あるいは頚部に重い負担や、大きな衝撃がかかる以下のようなスポーツで発症する可能性もあるでしょう。 ・ラグビー、アメフト ・柔道 ・レスリング、ほか格闘技など ・スキー、スノーボードなど(ウインタースポーツ) また、頚椎椎間板ヘルニアになったときにあらわれる症状は、以下のとおりです。 ・首や肩、腕にかけて広範囲に痛みやしびれが出てくる ・食事中に箸が持ちづらくなる ・服を着るときにボタンがかけづらくなる ・歩くときに足がもつれる 医療機関などで頚椎椎間板ヘルニアの患者さんを診療するときは、手足の感覚や筋力が通常より低下していないかを確かめます。 あるいは四肢の腱(けん)反射異常などを観察したうえで、MRI検査(核磁気共鳴装置)で画像を確認し、脊髄の圧迫状態を確認します。 頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと5つ【予防法も解説】 前項で触れた通り、頚椎椎間板ヘルニアという病気は、スポーツなどが契機となって発症しやすい傾向にあります。 頚部のしびれや痛みなどの症状がみられる場合には、運動を一旦中止し、医療機関の受診を検討しなければなりません。 以下では、日常生活で注意するためにも、頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと5つをご紹介いたします。動画の解説もあわせてご確認をいただけるとうれしいです。 https://www.youtube.com/watch?v=xbxEK7kz0y0 ・スポーツでの違和感は放置しない ・姿勢が良くないまま過ごさない ・体重管理をせず体に負担をかけない ・自転車・バイクなどに乗って負担をかけない ・喫煙を習慣化しない スポーツでの違和感は放置しない アメリカンフットボールやラグビー、格闘技系など、激しいコンタクトを要求されるスポーツ選手は特に注意が必要です。 また、体操選手などは、体に対して急激で強い外力が頻繁に加わる動作をおこない、長時間同じような動作を反復するので頚椎椎間板ヘルニアを発症するリスクがあります。 とくに年齢を重ねると椎間板が劣化しやすいため、激しい動きがある種目は行わないようにするか、可能な限りリスクに注意して行うなどの対策を取ってみてください。 ほかにも、症状が軽度な場合に「この程度なら大丈夫」と自己判断して放置し、治療をしないままスポーツや生活を続けるのは避けましょう。 頚椎椎間板ヘルニアは自然に良くならないので、違和感を放置すると症状を悪化させる原因に繋がりかねません。 首に痛みや違和感があるときは、早めに医療機関で診察を受けて、医師から適切な判断をあおいでみてください。 姿勢が良くないまま過ごさない 頚椎椎間板ヘルニアを引き起こしやすい例としては、日常的な姿勢の悪さがあげられます。 たとえば、腰の部分が反ってしまう「そり腰」を始め、腹部に体幹を支える力が入っていない状態の「猫背」が代表例です。 頚椎椎間板ヘルニアの発症防止や、発症後に症状を悪化させないためにも、日常生活で背筋を伸ばすなど「正しい姿勢を意識する」ことが大切です。 以下では、姿勢が崩れていないかの確認方法を解説いたします。 【姿勢の確認方法】 まずは、大きな鏡の前で自身の姿勢を確認しましょう。 もしくは自然に壁の後ろに立ち、かかとを壁に付ける形で確認します。 その際、お尻・肩・頭は、壁に軽くついているかを始め、背中は手のひら1枚分ほどの隙間があるかも確かめましょう。 準備が整ったら、姿勢が悪いときに当てはまる以下のポイントをチェックします。 ・お尻、肩、頭が壁につかない部分がある ・頭の後頭部がつかない(頚椎に負担がかかっている) 姿勢の悪さに気づいたときは、背筋を伸ばすなど、日頃から正しい姿勢を意識するように注意しましょう。 正しい姿勢を知って維持したい方は、正しい歩き方を含めて解説している以下の記事も参考になります。 体重管理をせず体に負担をかけない 平均的な体重の成人は、上半身の重さが全体重の6割ほどといわれています。 体重が重い肥満傾向の場合は、そのぶん頚椎椎間板にかかる負荷が大きくなります。 身長に対して過剰な体重にならないためにも、適度な運動や食生活の見直しをおこない、体重を管理することが大切です。 自転車・バイクなどに乗って負担をかけない すでに頚椎症の疑いや症状がある場合は、自転車やバイク、自動車などに乗るのは控えるほうが良いでしょう。 特に自転車やバイクの転倒時には、急激に首に力が入ってしまいます。リスクを避けるためになるべく運転を控えましょう。 それでも自転車に乗る場合は、停止時はすぐに地面に足が着くようサドルを調整し、無理のない走行を心がけます。 また、自動車でほかの人に運転してもらう場合は、乗る前に事情を説明しておき、安全運転をお願いしましょう。 乗り物に乗るときは、以下の点にご注意ください。 【自転車・バイク・自動車などに乗るときの注意点】 ・発進や停止するときは、首に大きな負担がかかる点を意識する ・急発進や急ブレーキも、首に大きな負担がかかるので避ける 乗り物以外では、重い荷物を持ち上げるなど、首に負担がかかる動作は控えてみてください。 どうしても持ち上げる必要があるときは、腰を曲げてかがむのではなく、膝を折ってかがめば首にかかる負担を減らして持ち上げやすくなります。 正しい姿勢を意識しながら、何らかの動作が必要なときは、首に負担がかからないようご注意ください。 喫煙を習慣化しない 何より注意すべきは喫煙です。喫煙は、全身の毛細血管の血流を悪化させて、椎間板の劣化が起こりやすくなると考えられています。 頚椎椎間板ヘルニアを患っているにも関わらず、喫煙習慣があるのなら、なるべくタバコを吸わないようにしましょう。 もしくは大幅に減らすなど、できる限り禁煙するといった努力を心がけてみてください。 ご存知のように、タバコは万病のもとといわれるため、この機会に禁煙されてはいかがでしょうか。 最近は電子タバコなどもあり、切り替えながら少しずつでも減らしていければベストですね。 頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと【まとめ】 ・激しいスポーツを避ける(それ以外のスポーツも要注意) ・重い荷物を持つなどの重労働は避ける ・腰を曲げてお辞儀するようにかがまない(首に負担がかかる) ・猫背、そり腰を避ける(正しい姿勢を知る) ・太らないこと、体重の増加に注意する ・自転車やバイク、自動車の急発進や急停止などに注意する ・スマホを悪い姿勢で見ない(首への負担を意識する) ・禁煙が望ましい 【頚椎椎間板ヘルニアの予防法】 ・正しい姿勢を知って維持する ・腹部で体幹を支えるように意識して姿勢を正す 頚椎椎間板ヘルニアを予防するには、ストレッチ方法を知っておくのもおすすめです。詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。 まとめ|頚椎椎間板ヘルニアは姿勢を意識して負担を減らそう 椎間板が劣化する原因は、加齢などを含めてさまざまです。 頚椎椎間板ヘルニアになる要因やリスクを避けるために、以下のポイントを押さえておきましょう。 ・肥満 ・喫煙習慣 ・悪い姿勢 ・激しいスポーツ活動 など 普段の生活における環境要因(乗り物の運転など)を始め、頚椎椎間板ヘルニアの予防は正しい姿勢を知ることが第一です。 ほかにも、正しい姿勢で散歩したり、泳ぐのが好きな方はスイミングを取り入れたりするなど、持続的に無理のない範囲で運動する習慣を持つことも大切です。 現在、頚椎椎間板ヘルニアの治療中で、本記事をお読みいただいている方は、無理をなされないよう気をつけてお過ごしください。 頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないことを知る上で、少しでも参考になれば幸いです。 当院「リペアセルクリニック」では、頚椎椎間板ヘルニアのしびれなどにおける治療方法のひとつとして、再生医療(幹細胞治療)を行っています。 現在、頚椎椎間板ヘルニアで悩まれている方は、メール相談、またはオンラインカウンセリング(電話番号:0120-706-313)からご相談ください。 頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないことに関するQ&A 頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないことに関して、よくある質問と答えをご紹介いたします。 Q.頚椎椎間板ヘルニアの治療法は? A.頚椎椎間板ヘルニアでは「保存的治療」もしくは「外科的治療」を行います。 保存的治療において、主な治療方法は以下の3つです。 ・薬物治療:鎮痛薬の内服、神経ブロックなど(安静保持を含む) ・牽引治療:頚椎カラー装具で首を固定、首の牽引治療など ・理学療法:マッケンジー法、首のエクササイズなど ただ、保存的治療では顕著な症状改善を見込めず、手や足の筋力低下が続いて悪化するケースもあるかもしれません。 もしくは、スムーズに歩けないなどの歩行障害、尿失禁を始めとする排尿障害を合併する場合には、外科的治療(手術)を検討するケースもあります。 頚椎椎間板ヘルニアの治療法における詳細は、以下の記事で解説しているので参考にしてみてください。 Q.頚椎椎間板ヘルニアの初期症状は? A.初期症状は、主に以下の3つがあげられます。 ・首の痛み(最初期の症状) ・片方の腕や手の痛み、痺れ ・両手の痺れ、感覚障害 進行すると症状が悪化する可能性があります。少しでも違和感があるときは、早い段階で医療機関を受診してみてください。 頚椎椎間板ヘルニアにおける初期症状の詳細は、以下の記事も参考になります。 Q.頚椎椎間板ヘルニアの入院期間・休業期間はどのくらい? A.手術を受けた場合、入院期間の目安は、リハビリなどを含めて10~14日ほどです。休業期間の目安は、2~3週間ほどになります。 頚椎椎間板ヘルニアの入院期間や休業期間の詳細を知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。 Q.頚椎椎間板ヘルニアのリハビリ方法は? A.患者さまの状態や生活習慣に応じて、運動療法や物理療法などを行います。 また、専門家からセルフケアの方法や動作に関するアドバイスも受けられます。 リハビリの目的などを含めて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
2022.04.04 -
- 健康・美容
要介護や寝たきりを避ける!元気で自立した生活を送るため大切なこと 寝たきり状態(要介護状態)になることは、本人だけでなく介護する家族にとっても身体的・精神的負担が大きな問題です。そのため、大半の人が「年をとっても元気に!自立した生活を送りたい」とお考えではないでしょうか。 では、要介護、寝たきりにならずに毎日を自由に楽しく過ごすためにはどうすれば良いのでしょうか? 高齢者の寝たきりの原因には、脳血管疾患や骨折、認知機能の低下などが挙げられます。これらの発生を防ぐためには、普段からバランスの良い食生活や身体を動かす習慣をつけておくことが大切です。 「要介護なんて自分には関係ない」「自分には、先の話」と思っている人も、今のうちから寝たきりを予防するための生活習慣について知っておくことは大切なことです。 介護が必要となったり、寝たきりとになる原因 寝たきりになってしまうことには、どんな原因があるのでしょうか?高齢者が寝たきりになり要介護となる原因には、病気や骨折などの身体的な疾患や認知機能の低下などの精神的な疾患が挙げられます。 それぞれの具体的な症状には、次のようものがあります。 脳血管疾患 脳血管疾患(脳卒中)は長期間の入院や治療を余儀なくされることが多いだけでなく、身体に麻痺が残って思うように動けなくなる恐れがある病気です。そのため、ベッドで過ごす時間がどうしても長くなってしまいます。発症すると会話ができなくなったり、口から食事が摂れなくなる可能性もあります。 骨折 骨折、特に大腿骨の骨折も寝たきりの要因として代表的なものであり、高齢者の骨折のきっかけとなりやすいのが骨粗鬆症です。骨折が治るまで時間がかかるため、長い期間自由に身体を動かすことができなくなり、筋力衰えてしまうというといった問題があります。 認知機能の低下 脳血管疾患やアルツハイマー病によって認知機能の低下(認知症)が引き起こされる場合があります。認知機能が低下すると物忘れが増える、会話が成り立たなくなるなどの症状が現れ最終的には自分で生活できない寝たきり状態になることもあります。 寝たきりにならない!要介護にならないための予防法 日常生活の中で寝たきりを予防するためのポイントにはどんなものがあるのでしょうか。先に述べた寝たきりの原因と照らし合わせながらチェックしてみましょう。 血糖値、血圧、コレステロール値の上がり過ぎを防ぐ 脳血管障害は、糖尿病や高血圧、動脈硬化によって引き起こされます。そのため、日頃から血糖値や血圧、コレステロール値を正常値に保つことが大切です。暴飲暴食は避けタバコを吸っている人は禁煙を検討しましょう。 身体を動かすことを意識する 骨折が怖いから「なるべく歩かないようにしている」という人がいますが、それは逆効果です。骨を支える筋肉が衰えると、身体を動かすことが困難になり、転んで骨折を起こしやすくなります。 筋肉の衰えを防ぐためには、体調に無理のない範囲でストレッチなどの体操やウォーキングで身体を動かすことを意識することが大切です。 バランスの良い食事ををしっかり摂る 高齢者は食事の内容が単調になり、食べる量も少なくなることから低栄養になりやすいといわれます。身体に必要な栄養素が不足していると筋肉や骨の力が弱くなって病気や骨折のリスクが高くなります。 腹八分目にする、よく嚙んで食べる、誰かと一緒に楽しく食べる、こまめに水分を摂ることも重ねて意識してみましょう。 メリハリのある生活で認知機能の低下を防ぐ 認知機能の低下は早期に気付いて適切な対処をすれば症状の悪化を抑えることが十分可能です。変化がなく、感情の動きが少ない生活は認知機能の低下を起こしやすいといわれています。 やりたいと思っていたことにチャレンジしたり、日記を付けて生活を振り返るなどしてみましょう。また、悩みを抱えこまずストレスを発散することも大切です。 廃用症候群に要注意! 人の身体は使っていない分だけその機能が衰えていきます。普段から身体を動かさずに安静にしていると、筋力が低下し関節も固くなってしまうのです。身体を動かさない状態が行き過ぎた結果、身体が部分的に動かなくなる症状を「廃用症候群」といいます。 寝たきりは、この廃用症候群が直接的な原因ともいえるのです。 特に高齢者は、家族からも「無理をしてはいけない」と安静にしているように言われたり手厚い介護サービスを受けることもありますが、それが行き過ぎるとかえって廃用症候群のリスクが高くなるため注意しましょう。 和式のトイレでしゃがめない、片足で靴下が履けないという人は筋力やバランス機能が低下しているため、廃用症候群のリスクが高くなっているかもしれません。 まとめ・要介護や寝たきりを避ける!元気で自立した生活を送るため大切なこと どんなに長生きしても、寝たきりになってしまっては生きている時間を自由に楽しく過ごすことはできません。自分の足で歩く、自分のことは自分でできる状態を維持することが寝たきりを防止し健康寿命を延ばすことに繋がります。 寝たきり状態は脳血管疾患や骨折などをきっかけとして身体を動かさない生活を続けた結果起こります。身体が良く動く若いうちから食生活や運動習慣について意識することで、加齢による筋肉の衰えを最小限に抑えて寝たきり防止に繋げていきましょう。 以上、要介護状態、寝たきりにならないため、大切にしたいことに関して記しました。参考にしていただければ幸いです。
2022.04.01 -
- 股関節
- ひざ関節
- 肩関節
- 手部
- 肘関節
「痛み止めにステロイド注射を使う効果は?」 「痛み止めのステロイド注射はどんな副作用があるの?」 ステロイドは、変形性膝関節症や変形性股関節症を始め、各種関節症の保存療法(薬物療法)で、痛み止めとして使われているメジャーな薬です。 ステロイドは痛み止めの薬として効果を発揮します。ただ、ステロイドの副作用が気になり、怖いと感じる方もおられるはずです。 今回は関節症の痛み止めに使われる機会が多いステロイド注射の効果、副作用などをご説明いたします。 最後まで読んでいただければ、ステロイド注射を使うメリットとデメリットを理解できるので、治療を受けるべきか迷われている方は参考にしてみてください。 関節症に痛み止めのステロイド注射を使う効果は2つ 関節症に痛み止めのステロイド薬(ステロイド注射)を使う効果を2つ解説します。 ・鎮痛効果 ・抗炎症作用 鎮痛効果 ステロイド薬を使うメリットには、鎮痛効果による痛みの緩和があげられます。 各種関節症の発症初期には、保存療法(薬物療法)がおこなわれるケースが一般的です。 ステロイド注射は痛みを緩和させる目的で、以下のようなときに使います。 ・生活を送るときの不自由さを減らすため ・運動療法による治療効果を高めるため とくに運動療法を行うときに痛みがあると、痛む部位を守ろうとするあまり、ほかの筋肉や組織に力が入りがちです。結果としてほかの部位まで痛める可能性もあります。 保存療法を有効に進めるためにも、ステロイド注射で痛みを減らす必要があるのです。 抗炎症作用 ステロイド薬には、炎症(痛みの原因)を和らげる抗炎症作用があります。 痛みの原因物質の産生を抑えられると、鎮痛(痛みを抑える)効果が期待できるのです。 各種関節症の保存療法では、初期の段階ではステロイド注射で痛みを緩和しながら炎症を防ぎ、リハビリなどの運動療法における効果を上げる目的で使います。 痛み止めのステロイド注射に関する副作用 ステロイドに悪いイメージがあるのは、副作用があると聞いたからではないでしょうか。 実際に、ステロイド注射の副作用のひとつに「骨が脆くなる」点があげられます。そのため、事前の骨の検査や年齢によっては、ステロイド治療を行えない場合があるのです。 以下で、副作用における一例をまとめています。 【ステロイドの副作用】 ・ステロイド注射を長期間、あるいは短期間に多く投与された場合 →股関節の「大腿骨頭」、肩関節の「上腕骨頭」、 「膝関節」の骨への血流が阻害され、骨の組織が壊死する危険性がある ・短期的に大量に使ったり、長期的に使ったりした場合 →骨の代謝やホルモンの産生に影響を与える ・長期的に使うと骨を脆くする危険性がある →「大腿骨骨頭壊死」「上腕骨頭壊死」「膝関節骨壊死」 といった困難な症状を招く可能性もある 【骨粗鬆症のリスク】 ・ステロイド注射は短期間に多くの投与、あるいは長期間使うと、 骨やホルモンの代謝に影響を与えかねない 【感染症になりやすい】 ・ステロイド注射は免疫を抑制するため、 長期間、関節内に投与を行うと「化膿性関節炎」になる危険性がある ・関節炎になった場合、抗生物質の内服による治療や、 重症化した場合は、関節内の洗浄が必要になる しかし、ステロイド注射は、変形性膝関節症や変形性股関節症、肩の関節症などの痛みに対して鎮痛、消炎(炎症をとりさること)の改善効果が得られます。 デメリットを過大評価すると使うのをためらってしまいがちです。 先にステロイド注射を使うデメリットを知っておくと、ステロイド治療に対する判断の一助となり、医師の診断や意見を理解する上でも役立ちます。 医療機関などで医師の管理のもと、適切にステロイド治療を行えると、必要以上に怖がる必要はなくなるはずです。 【長期使用はNG】痛み止めのステロイド注射は根本治療にならない ステロイド注射は、関節症の痛みで困っている場合に高い鎮痛効果が期待できます。 ただ、副作用があるステロイド注射を長期間、継続して使うのはおすすめできません。短期間でも大量に使うのは避けましょう。 また、ステロイド治療は、骨の変形や軟骨のすり減りなど、関節の状態を修復する効果はありません。病気の進行を止めるなど、根本的な治療を目的としていないのです。 たとえば、変形性関節症は進行する病気です。変形性関節症の人がステロイド治療を行っても、最終的には手術が必要となる可能性があります。 関節症におけるステロイドでの治療方法について 関節症でのステロイド治療は、内服薬と注射があります。 症状や状態にもよりますが、内服薬で痛みに対する効果が感じにくくなった場合に、関節内にステロイド薬を直接注射する流れが一般的です。 ステロイド薬を関節に注射すると、抗炎症作用により痛みを改善します。ただ、何度も申しますが、長期的な使用や短期の大量投与は、副作用のリスクがあるので避けましょう。 また、関節症の症状が進行するとステロイドの効果が減少して、外科的治療として手術の選択を迫られるかもしれません。 しかし、近年はステロイド注射以外にも、手術や入院を避けられる再生医療の治療方法もあります。 再生医療の幹細胞治療では、膝や股関節、肩などの治療において、自身の幹細胞を培養して関節注射を行う流れです。 まとめ|関節症のステロイド注射は痛み止めに効果がある ステロイド薬は、内服や痛む関節に直接注射する方法で使います。鎮痛効果と抗炎症作用により、痛みを緩和させる効果があります。 ただし、ステロイド注射はメリットがある反面、副作用もあるので注意が必要です。短期的な大量投与や、長期的なステロイド治療は避けるべきです。 ステロイド注射は問題のある部位を修復できないので、根本的な解決はできません。 ただ、医療機関などで医師の管理下で治療するなら、必要以上に怖がる必要はないでしょう。ステロイドの特性を知った上で、治療に使っていただければと思います。 また、関節症に関わる治療のひとつとして、再生医療もあります。ステロイド治療以外で、根本的な治療を探している方は、再生医療の治療方法も視野に入れてご検討ください。 痛み止めのステロイド注射に関するQ&A 痛み止めのステロイド注射に関して、質問と答えをまとめています。 Q.関節症における痛み止めのステロイド注射は保険適用ですか? A.はい、一般的には保険適用になります。 ただし、症状や治療方法によっても変わる可能性があるので、詳細は医療機関でご確認ください。
2022.04.01 -
- 股関節
- 変形性股関節症
変形性股関節症の手術後の生活で注意したいことを詳しく 変形性股関節症の手術をされた方や、手術が決まっている、また病院で人工股関節への置換術をすすめられたけれど、術後の生活について詳しく知ってから手術を受けるかどうかを検討したいという人へこの記事を書かせていただきました。 変形性股関節症の手術を行って人工股関節を入れた場合、それですべて元通りになるかというと・・・そうではありません。股関節に気を配る、動作や姿勢に気をつけるなどの必要があります。つまり、手術前の生活と手術後の生活では日常が少し異なってきます。 今回は、変形性股関節症の手術後の生活で気を付けることをポイントごとに解説します。変形性股関節症の手術後の生活は、とにかく股関節に負担がかからないように注意しなければなりません。 過度の運動は避ける 運動によって股関節周りの筋肉を鍛えることができるため、運動をすることはおススメです。 しかし、変形性股関節症の手術をしたからとハードな運動を行えるというものではありません。過度な運動は控えたほうが良いでしょう。実際、変形性股関節症の手術後の生活で、ハイキングやウォーキングなど、いろいろなスポーツをしている人もいます。 ですが、このような運動をすることで、股関節の脱臼が起こることがあることを知っておくべきです。とはいっても運動を全く否定するものではありません。無茶をしない範囲でお取組みください。 変形性股関節症の手術後の生活の中で無理なく行っていただけるのは、水泳やウォーキングなどのスポーツとなります。しかし、例えば水泳であれば、平泳ぎは股関節に負担がかかるので控えるべきでバタ足などがお勧めです。ウォーキングは15分程度など軽めにするなどの配慮が必要です。 何より、過度な運動は合併症を起こしてしまう可能性があり、後々股関節のゆるみが生じてしまう恐れがあるので注意しましょう。 転倒しないようにする 変形性股関節症で人工股関節を入れた場合、手術後の生活は、この人工股関節と上手く付き合っていく意識が必要になります。人工関節の破損を避けるためにも転倒には気をつけましょう。 また、転倒は、破損だけでなく骨折の原因にもなり、そうなれば歩行が難しくなる可能性もあり、手術をした意味がなくなりかねません。 変形性股関節症の手術後の生活では、外出時には階段を避けてエスカレーターや、エレベーターを積極的に利用する。足場の悪いところは極力歩かないということを心がけるようにしてください。 股関節に負担のある姿勢を避ける 変形性股関節症の手術後の生活では、股関節を曲げて膝を内側にねじるような姿勢は負担が大きいので避けるようにしましょう。 また、あぐらやしゃがむ動作なども股関節に負担がかかります。そして、股関節の屈曲などの複合動作が続くと、股関節に大きな負担がかかってしまい脱臼や骨折の原因になります。無意識をできるだけ避けて股関節の動きや状態を意識して生活してください。 変形性股関節症の手術後の生活で工夫すべきこと 変形性股関節症の手術後の生活で工夫すべきことを以下にご紹介します。 1.生活スタイルを変える 変形性股関節症の手術後の生活では、股関節に負担のかかる生活を避けなければいけません。特にしゃがむ姿勢は、変形性股関節症において厳禁です。和式トイレなどでしゃがむ姿勢や、座布団に座る、重いものを持ち上げるなどは、意識してしないようにしましょう。 変形性股関節症の手術後の生活では、徐々にでもできる範囲で椅子や、洋式トイレを利用するなど、和式から洋式へと生活スタイルを切り替えることをおすすめします。 布団を敷いて寝ているという人は、ベッドにしたほうが股関節に負担をかけずに済みます。 2.運動時間を短くする 運動は、股関節の筋肉をつける上で有効な保存治療の一つですので変形性股関節症の手術後の生活でも、基本的にはおこなっても問題はありませんが、過度な運動は禁忌です。 徐々に股関節を慣らすようにして、運動は1日15分程度、ウォーキングなど軽いものからスタートしましょう。 また、体重が重いというだけでも股関節には負担が大きくなるので、運動をして体重管理をすることが大切です。標準体重よりも重い場合や、体重を重く感じていたり、落としたいと思ったら思い切ってダイエットを志向しましょう。ダイエットと言わず体重の管理は非常に大切です。 3.重いものを持たない 変形性股関節症の場合、手術後の生活では日常的に重たいものを持たないようにしましょう。重量のあるものを持ち上げたり、持って移動するのは、股関節に大きな負担がかかります。もちろんしゃがんだ姿勢から持ち上げることはやめてください。 軽い荷物であれば大丈夫ですが、もし足腰を使うぐらい重い荷物を運ばなければいけないときは、家族や友人に遠慮せず手伝ってもらいましょう。 特に家族には、変形性股関節症のことを伝えて、手術後の生活についても話し合い、よく理解してもらうことが大切です。 変形性股関節症の手術後の生活で起こりやすいトラブル 変形性股関節症の手術後は、股関節に負担がかからないように生活することが大切ですが、気をつけていても起こりやすいトラブルがあります。変形性股関節症の手術後の生活で想定されるトラブルを順に解説します。 ちょっとしたことや、油断が危険につながる 変形性股関節症は股関節への配慮が最も重要で、負担のかかる姿勢や動作を繰り返さないようにするだけでなく、物につまずいて転倒しないように気をつけることが大切です。手術前の生活と術後では体力が変わっている可能性があります。 これぐらい・・・、この程度なら・・・という油断はくれぐれも禁物です。慣れ親しんだ普段の生活にこそ危険が潜んでいるものです。歩く、座る、立つなどの行動はもちろんのこと、何事も慎重な動作をお願いいたします。 変形性股関節症でない状態であれば、全く不安のない動作でも、またかすり傷程度で済むような、ちょっとした転倒であっても、変形性股関節症の人にとっては非常に危険な事故につながる恐れがあります。 ちょっとしたことや、油断が大きな危険、事故につながることがあるため、十分に気をつけるようにしましょう。 筋肉量の低下に注意する 変形性股関節症の手術後の生活は、とにかく安静にしておくのが一番だろうと、まったく体を動かさない人もいるようです。しかし、それはそれで全く体を動かさない、安静にし過ぎるのは良くありません。なぜなら筋肉量の低下につながるため回復に向けて大きな問題になります。 手術後の生活は、最初のうちは痛みが伴うことが多いため安静にすることが多いと思いますが、しばらく経過して痛みが落ち着いてきたら、外に出て、散歩を行うなど、無理のない範囲で軽い運動を心がけましょう。 短い時間での散歩や、軽めのジョギングなどの運動を通して筋肉を維持する、保つことが大切です。筋肉量を落とさないよう気を付けておかねば、歩行ができなくなったり、寝たきりになるリスクをはらんでいます。 もちろん運動に際しては、医師などの指導を受けて無理のない範囲で取り組むようにしましょう。具合が悪い時は、無理しないで、できる時に根気よく、継続的に行うようにしてください。関節の筋肉を維持するため、日々の運動を取り入れていきましょう。 まとめ・変形性股関節症の手術後の生活で注意したいことを 今回は、変形性股関節症の手術後の生活で気を付けるべきことや工夫すること、予想されるトラブルなどを解説しました。基本的に変形性股関節症の手術後の生活は、人工股関節に配慮をすれば大きな支障をきたすようなことはないでしょう。 しかし、人工股関節とうまく付き合っていく必要があるため、どうしても注意や工夫をしなければならない場面も出てきます。生活における注意事項や、運動、リハビリなどは必ず主治医に指導を受けるよう致しましょう。 ▼参考:股関節の負担を軽くする 変形性股関節症で股関節の負担を軽減する「立ち上がり動作」について
2022.03.31 -
- ひざ関節
膝の痛みでリハビリ中(保存療法)に膝が痛みだした場合について 膝関節は日常生活の中で当たり前にしている動き、例えば立ち座り、歩く、走るといった動作を行う上で必要不可欠な関節です。その動作の度に膝へは、体重の何倍もの負荷が掛かっていることをご存知でしょうか? つまり、膝は痛みが出やすい部位ともいえるのです。ただ、そうした前提であっても膝に痛みが出ると心配になるものです。それが膝のための運動療法中であった場合に膝が痛みだしたら、「膝が痛くても運動は続けて良いのか」「運動を続けても悪化しないか」と不安になって当然です。 そこで今回は、膝に痛みがあった場合でも運動による治療(リハビリ)は行うべきなのか、行うなら、どんな運動を、どう行えば良いのか、加えて痛みが出た時の対処法も併せてご紹介しましょう。 膝が痛みだしたらリハビリ中でも休む まず申し上げるべきは、「膝に痛みがある場合」には、重症になることを予防するためにも運動療法であっても休んで欲しいということです。 膝に痛みを感じる原因に、急激な方向転換や、度重なる負担からきた筋肉や靭帯の損傷、骨への衝撃が関節内部まで及ぶことによって膝の故障に加えて半月板損傷や滑液包炎を発症していることが考えられます。また、体の防御反応である「炎症」が起きている可能性もあります。 もしも炎症がある場合、運動療法であっても炎症が回復してから再開されるのが賢明でしょう。では、炎症はどのように判断すれば良いのでしょうか?これを判断する基準は、5つあります。それは腫脹、疼痛、発赤、機能障害、熱感というものです。。 膝の炎症を判断する基準 ・腫脹 ・疼痛 ・発赤 ・機能障害 ・熱感 炎症が起きると、傷めた箇所の毛細血管が広がり、局所的に血の流れが増大することで発赤や、熱感がみられるようにます。また血液が血管外へ漏れ出すことで組織が腫脹、つまり「腫れ」ます。 組織が腫れると傷めた箇所が圧迫され、痛みを感じます。すると痛みにより思うように体を動かせない機能的な障害が起こります。そして炎症が起きるきっかけとして血管が拡張します。 もちろん、これら判断基準はあくまで、このような状況になった場合の医療機関を受診するキッカケにしていただくものです。炎症を感じたら素人判断せずに医師の診断を受けていただけるようお願いいたします。 膝痛の慢性化に注意 膝を傷めた場合、まずは冷やすことで血管を収縮させ、腫れや炎症の広がりを抑えることが推奨されています。 尚、炎症が起きているのにも関わらず、運動を続けてみたり、治りきっていないのに早すぎる復帰には十分、気をつけたいところです。注意しなければ炎症が長引くだけでなく、傷めた箇所の修復が追いつかず「いつまでたっても痛みが取れない」という痛みの慢性化につながってしまうからです。 膝が痛んだ場合は冷やしますか?温めますか? ここまで膝を傷め、炎症が起こっている場合は冷やしましょう!と説明してきましたが、どれくらいの間、冷やせばよいのか、また冷やしたあとはどうすれば良いのかみていきましょう。 ・膝を傷めてすぐの炎症は「冷やして」ください。受傷後、2〜3日間冷やすことで炎症反応(腫れや痛み)を抑えることができます。 ・その後はホットパックや、お風呂に浸かるなどし、患部を「温めること」で血流を促し、回復を促進します。 ただ2〜3日経っても痛みが強く残る場合には、大きな怪我の可能性もあることから病院の受診をおすすめします。 中には痛みが慢性化してしまった人や、変形性膝関節症のように、軟骨がすり減り、O脚やX脚などから、膝に痛みが出やすい方もいらっしゃいますよね。 そのような場合には、運動方法の強度を変えることで膝への負担を減らす工夫を行いましょう。 急性期(痛めた当初)炎症(腫れなど)が考えられる:膝を冷やす 慢性期(腫れが引き、炎症が引いた場合):膝を温める 膝の慢性的な痛みに可能な負担をかけない運動 痛みが慢性化してしまった人や、「変形性膝関節症」のように、膝に痛みが出やすい方は無理して運動を続けると、かえって膝の状態を悪化します。運動を行う際には、痛みを我慢しながら行うのではなく、痛みなくできる運動を取り入れることがおすすめです。 いずれの運動も始めるときや、終わりには、ストレッチなどで身体をほぐすことが非常に効果的です。また、運動が不安な場合は、膝へサポーターを着けて支えてやれば不安なく動けるかもしれません。 等尺性収縮の運動で、膝への負担を軽減 ・膝に痛みを感じるタイミングのほとんどが、立ち上がる時、動き出しなどの膝に体重をかけた時です。 ・そんな方におすすめの運動が、座りながらできる大腿四頭筋を使う運動です。 ・椅子に座ったまま片方の膝を伸ばしたままキープします。 ・この方法は膝へ体重による負荷をかけずに大腿四頭筋のトレーニングが行えます。 このように関節を曲げ伸ばしせず、筋肉を収縮させる運動方法を「等尺性運動」といい、負担なく行えるのが特徴です。軽度な運動で痛みを感じる方にはおすすめとなる運動方法です。 プールの浮力を活かし、膝への負荷を軽減 ・プールに入ることで体へ浮力が生まれます。 ・浮力は体重による負荷を50%減らせることができます。 ・プールでのウォーキングは膝に痛みを抱えている方におすすめの運動方法です。 特に地上でのウォーキングでは痛みを感じるけれど、椅子を使って行う等尺性運動では物足りない。そんな方におすすめの運動方法です。 ウォーキング ・膝の筋肉を付けるためにウォーキングが推奨されます。 ・ただし、痛みがある中で歩き続けると逆効果で悪化する可能性もあります。 ウォーキングの注意点 ・時間や歩数を目標に歩くよりも膝を傷めないような歩行フォームを身につけましょう。 ・運動を継続することが何よりも大切です。 ・変形性膝関節症の方は、1日に6,000歩程度に抑えましょう。 まとめ・膝の痛みのリハビリ中(運動療法)に膝が痛みだしたらどうする ここまで膝の痛みを改善する目的でリハビリをしている中、そのための運動療法であっても膝が痛くなってきたという場合の対処法と、そもそも膝に負担をかけない運動について解説しました。 膝に痛みを感じる場合は、炎症が治るまで運動は休みましょう。 炎症が起きているかどうかは5つの徴候をもとに判断し、急性期には2〜3日冷やし、その後は温めることで回復を促進します。 もし2〜3日経過しても強い痛みを感じる場合などは、医療機関、病院等の整形外科を受診し、検査を受けるなど、その指示に従われることをおすすめします。また、その際、運動方法などの助言を得たり、サポーターなどの装具のアドバイスを受けても良いでしょう。 痛みが慢性化していたり、変形性膝関節症の方は、運動の度に痛みを感じたり、痛みが出やすい状態になります。痛みがあるときは無理は禁物です。 それでもで早期回復に向けて運動療法に取り組む場合は、今回紹介した椅子で行う等尺性運動、プールで行う運動、ウォーキングに、ストレッチを取り入れ、膝の痛みと相談しながら適切な強度で運動を選択し、膝への負担を減らして行うようにしてください。 以上、膝の痛みのリハビリ中(保存療法)に痛くなってきたら!どうする?という点についてご説明を致しました。 参考にしていただければ幸いです。 ▼ 再生医療で膝の状態を改善できるとしたら興味はありませんか? 膝の悩みは、再生医療により、症状を改善することが可能です ▼こちらも参考にしてください 膝関節が痛い時に疑われる病気と注意すべきこと
2022.03.30 -
- ひざ関節
- 脊椎
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膝や肩、股関節の関節痛の診断に何故MRI検査が必要なのか 長時間の立ち仕事、座ったままのオフィスワークはもちろん、日頃から運動やスポーツをよくされる方にとって、首や肩はもちろん、腰や膝の痛みは日々の大きな悩みです。これらの痛みについて、その原因をつきとめるためには画像による情報をもとにした診断がとても重要です。 中でも膝や腰の痛みについて判断する際には、画像検査の中でもMRIを使っての検査が重視されます。今回は、膝や腰、股関節など深刻な関節痛の診断にMRI検査を使う理由についてみていきます。 1、画像検査について 診察時の画像検査として、誰もがご存知のレントゲン検査に加えて、CT検査、MRI検査という画像診断の方法があります。それぞれの長所・短所があるのでご説明させて頂きます。 1)レントゲン検査 レントゲン検査は、多くの方にとってなじみのある放射線の一種であるエックス線を用いた検査方法です。短時間で簡単に行えますし、苦痛もほとんどないため、まずはレントゲンを撮る病院が多いかと思います。 レントゲン検査は、骨の状態、部分を詳しく見るのに適しています。たとえば骨折や、骨の変形などがその代表です。しかし、筋肉・軟骨・神経などの骨より柔らかい組織を撮影することができません。 また最近はデジタル化の影響で線量が格段に少なくなっているため通常の検査であれば問題はありません。ただ、放射線を用いる検査ですので、何度も繰り返して検索を行うなどの場合は被曝の可能性については気になるところです。 2)CT検査 (Computed Tomography) CT検査は、レントゲンと同じエックス線を用います。このエックス線をあらゆる方向から照射することで体の輪切りした画像を撮影することが可能にするものです。レントゲンと違って体の内部まで輪切りにした状態で確認ができます。 輪切り画像を重ね合わせて他の断面の画像を構築したり、三次元(3D)の立体画像で確認することもできる検査です。レントゲン検査よりもさらに詳しく骨の状態を評価することが可能ですが、レントゲンと同じく筋肉・軟骨・神経などの骨より柔らかい組織については判断しにくいことがあります。 3)MRI検査(Magnetic Resonance Imaging) MRI検査とは、大きな磁石(磁場)を利用して体の内部を画像化する検査です。レントゲン検査や、CT検査ではわからない筋肉や神経などの柔らかい組織を写し出すことを得意としています。また、何より放射線を使用しないため被曝も無く、患者さんの人体に無害な検査という点で優れています。 ただ、装置自体が大きく、とても高価なため、大学病院をはじめとした一部の施設にしか配置されていません。また、検査に際しては、筒状の装置の中で30分程度は検査時間として、じっと我慢する必要があります。 狭い筒の中で閉じ込められるため、(閉所恐怖症)がネックとなります。また機械の作動音が大きく、それが我慢できないという方もおられます。もちろん具合が悪くなったら係員に知らせるためのボタンなどがありますので安心してください。 その他の注意としては、MRI検査は、誰でもできる訳であはありません。仕組みとして非常に強力な磁石を用いた装置であることから、体内に金属があると検査できないことがあります。 整形外科等の骨折の手術等でボルトや、プレートなどが入っていたり、特に心臓にペースメーカーを入れている方は、MRI検査に対応したペースメーカーでなければ撮影することができません。これはペースメーカーに付属の手帳で詳細が案内されているはずですのでご確認ください。 また、歯科インプラントはチタンでできていますし、心臓や脳血管のステントも大丈夫なことが多いのですが年のため、主治医にご相談ください。 ただし、注意が必要なのは刺青です。 最近はファッションで手軽に刺青を入れる方が増えてきました。実はこの刺青の色素に金属成分が含まれることがあります。色素の金属がMRI検査により熱を持ち、火傷にいたる可能性があります。そのため注意が必要です。 2、腰が痛い場合のMRI検査 腰痛の原因は様々ですが、MRI検査でわかるのは、軟骨の変形や神経の圧迫などです。 腰にある筋肉が肉離れを起こしたような状態であるギックリ腰や、腰の筋肉の疲労からくる筋・筋膜性腰痛症はMRI検査では異常がわかりません。 一方、椎間板ヘルニアではMRI検査が重要です。腰の骨(腰椎)には椎間板と呼ばれる円盤状の軟骨部分があります。この部分が外に出てきたのが椎間板ヘルニアという訳です。 神経が圧迫されると、腰、お尻、下肢にまで痛みやしびれが出ることがありますが、椎間板が出ていても神経を圧迫しなければ、痛みはありません。この椎間板の飛び出てきた様子をMRI検査を用いることで確認することができ、診察に当って正確な診断が行えます。 3、膝が痛い場合のMRI検査 膝の痛みには、交通事故、スポーツによる外傷、運動のやりすぎ、中年以降に慢性的に起きるものなどがあります。外傷による代表的なものとして、膝半月板損傷および膝靱帯損傷、変形性膝関節症があります。 MRI検査による画像情報なら半月板、膝軟骨、ひざの靭帯が、どのように痛んでいるのかなどの疾患を正確に知ることができ、これらの症状の診断には欠かせません。 特に変形性膝関節症の場合は、レントゲン検査では骨の外観しか判断できないところ、MRI検査によれば骨の中の状態まで把握できるため、医師は骨の内部にまで損傷がおよんでいないか確認することができます。 1)膝半月板損傷 膝関節のすき間には、内・外側それぞれに半月板と呼ばれる三日月型の軟骨(膝半月板)があり、膝にかかる衝撃を分散させています。例えばスポーツ等で強く膝を捻ったときに損傷することが多く見られたりします。 損傷直後には、強い痛みと共に腫れたり、関節内に血液が溜まる事があります。しばらくして痛みが和らいでも、膝の中で引っかかる様な感じや動きにくい感じが続いたりします。 2)靱帯損傷 膝を支えるため、膝には内・外側の側副靱帯および前・後十字靱帯の計4つの膝靱帯があります。半月板の損傷と同じように、スポーツ等で膝を捻った時や交通外傷で発生する事が多くあります。 強い膝の痛みと共に皮下や関節内に出血が生じます。膝関節が不安定になることが一番の問題であり、膝のくずれや持続する痛みでスポーツが出来なくなることもよくあります。これら靭帯の状態を確認する上でもMRI検査を用いた検査が一番わかりやすい検査となります。 もし、上記のうちに気になる症状があれば、早めに専門医院の受診をお勧めいたします。その際にMRI検査での精査を勧められることがあるかもしれません。その折のご参考としていただけると幸いです。 以上、「膝や肩、股関節の関節痛の診断に何故MRI検査が必要なのか」について記させていただきました。 ▼こちらも合わせてご覧ください MRI検査についてと、検査を受ける際の注意点 O脚とは?O脚の原因とおすすめの治し方を知りたい方へ必見です!
2022.03.30 -
- ひざ関節
- 膝の内側の痛み
- 変形性膝関節症
変形性膝関節症のサポーターなど装具療法の種類と注意点 この記事は、「膝の痛みを緩和してくれる装具が欲しい」と自分にあった装具を探している。そんなあなたに書いています。装具は、足などの弱った部分に装着して、その部分を支えることで痛みを軽減したり、運動の能力を補助して向上させる目的で行うものをいいます。 変形性膝関節症は、膝のクッションの役割を担う関節軟骨のすり減りが起因となって膝に痛みなどの障害を感じる疾患です。進行すると関節が変形したり、安静時にも痛みを感じるようになることから、日常生活だけでなく、健康寿命まで脅かす病気です。 そんな変形性膝関節症の治療は大きく外科的療法と、保存的療法の2つに分けることができます。外科的療法では、関節鏡視下手術・骨切り術・人工関節置換術があります。 また、保存的療法には運動療法・薬物療法・物理療法、そして膝や足底に装具をつけることで、痛みの緩和や運動機能の補助を目的とする装具療法があります。変形性膝関節症による膝の痛みでお悩みの方に向けて装具療法とその種類について参考になればと記させて頂きました。 膝の痛みの緩和や、歩行などの動くために、どんな装具にしたら良いのかと、迷われている方はぜひご覧ください。 変形性膝関節症の治療 1.外科的療法: → 関節鏡視下手術 → 骨切り術・人工関節置換術 2.保尊療法: → 運動療法 → 薬物療法 → 物理療法 → 装具療法 変形性膝関節症に対する装具と注意点 変形性膝関節症に対する装具は、大きく分けてサポーターとインソールといった2つがあります。 サポータを装着することで、不安定になった関節を安定させます。変形性膝関節症では膝を安定させる大腿四頭筋をはじめ、膝周囲の筋肉が弱まることで膝を支えることができずに膝が不安定な状態になります。 不安定な膝に対して不規則な負担が繰り返されると、軟骨がすり減り痛みにつながるのですが、サポーターで膝を支え、安定性を高めて痛みを減らします。サポーターで膝が支えられると安心感が増すため、精神的にも効果が上がります。 サポーター ただし、安心だから、楽だからとサポーターに頼りっぱなしになるのはオススメできません。 サポーターはあくまで筋肉の代わりをする補助的な役割を果たしているだけで、痛みがないのにも関わらずサポーターを常に装着していては、かえって膝の筋力が低下しかねないからです。 サポーターは、薬局、ドラッグストアに置いてあるような市販のサポーターから、健康保険を適応して医療機関から入手できるモノまであります。市販のものは膝を一周覆うような簡易的なものが特徴です。 医療機関で入手できるものは、膝の両側、または片側に支柱が付いている特徴があり、装着に際して医療的見地から個人に合ったものをフィットさせてくれる特徴があります。 支柱タイプのサポーターは、簡易的なものと比べ高価なものが多いですが、市販のものと比べ安定感は強いです。支柱は金属やプラスティックでできており、荷重の偏りを減らすほか、太ももから膝下までの範囲をサポートしてくれます。 最近は、支柱タイプのサポーターであってもインターネットを使えば入手することが可能ですが、自分にフィットする保証が無いだけに心配です。膝の変形が強いほど、サポーターの支柱にかかる負担も大きくなるため、膝に支柱が当たることで皮膚にすり傷ができるなどのケガをする可能性があります。 簡単な擦り傷でも、サポーターを着けると、傷にあたって痛むため、あたらないようにかばっていると不自然な力が入って、悪化しかねません。これでは痛みを取るための装具としての意味が無くなってしまいかねません。 装具は、できるだけ医師に相談し、あなたの症状はもちろん、膝のサイズに合ったサポーターを購入しましょう。 こちらでもサポーターについて詳しく解説しています。ぜひご覧ください。 変形性膝関節症はサポーターをしたほうが良い!その理由と注意点 インソール 膝内側への負荷を減らすインソールは、別名「ラテラルウェッジ(外側くさび状)型足底板」と呼ばれます。 下肢に体重がかかるラインを荷重線またはミクリッツ線(大腿骨頭と足関節の中心を結んだライン)といい、通常であれば膝の中央を通ります。しかしO脚(内返膝)になると荷重線は膝の内側を通るようになります。 そこで、インソールを用いることにより荷重線を膝の中心へ近づけるように、膝の角度、すなわち荷重線を調整することで、内側軟骨のすり減りや痛みを減らせます。 変形性膝関節症のほとんどの方は、O脚になってしまいます。 O脚になると体重が小指側に乗りやすく、膝の内側部に負荷がかかることで痛みを感じます。 小指側を高く持ち上げるように足裏にインソールを挿入することで、親指側へ体重が乗るように膝の角度を調整します。すると小指ではなく親指側へ荷重が抜けるような歩行ができるほか、膝内側にかかる過剰な負担を軽減させ、痛みを緩和します。 X脚を抱えた方の場合は、その逆に親指側を持ち上げる装具があります。 一般的にインソールは屋外で履く靴に使用しますが、屋内で使用できるタイプや、足に直接装着するタイプもあります。 インソールもサポーター同様、市販で購入できるものよりも、健康保険が適応される医療機関での購入をお勧めします。 病院で購入できるインソールは、市販のものより高価になりがちですが、あなたの膝の状態に合わせて採寸することで、症状に合わせて矯正が可能になります。治療効果を得て頂くためにも国家資格である義肢装具士に依頼できるよう、かかりつけ病院の担当医に相談されてはいかがでしょうか。 まとめ・変形性膝関節症のサポーターなど装具療法の種類と注意点 いかがでしたでしょうか?変形性膝関節症の装具療法、サポーターとインソールについて、その種類や効果について解説しました。 サポーターをすることで、筋肉の代わりに膝の安定性を高める効果があります。サポーターの種類には、支柱がないものと、支柱があるものに分けられます。支柱タイプのサポーターは、膝にかかる荷重の偏りを防げますが、時には支柱が膝に接触し、痛みを伴うことがあります。 インソールは膝の固定はしないものの、O脚やX脚のように偏った荷重線に対して膝の中央ラインを通るように膝の角度を調整し、関節への負担を軽減させます。 サポーター、インソールともに薬局など市販で購入できます。しかし変形性膝関節症の変形の度合いは一人ひとり違うこと、進行に伴い角度が変わることから、医療機関であなたにあったサポーター・インソールを購入されることをオススメします。 以上、変形性膝関節症の装具療法と、その種類について、を記させていただきました。自分に合った装具を身につけて心身ともに前向きな生活を見つけましょう。 ▼以下の記事もご参照ください 変形性膝関節症の治療は整骨院でできるか?改善可能なのか!
2022.03.30 -
- 健康・美容
寝たきりを防止したい!骨を強くする食事、弱くする食事医師が解説します 骨を強くて丈夫なものにするためには、カルシウムの力が必要不可欠です。しかし、日本人の多くは骨を丈夫にするために重要なカルシウムが足りていないといわれています。 カルシウム不足の食生活は、骨が弱くなる大きな原因です。骨が弱くなると、骨折や寝たきり、ロコモティブシンドローム※によって日常生活に大きな支障が生まれてしまいます。 本記事では、食事で上手にカルシウムを摂る方法や骨を弱くする食事習慣についてご紹介しています。普段の食生活を見直して、丈夫な骨をつくっていきましょう。 ロコモティブシンドローム※とは 人間の基本動作である、立ったり・歩いたりといった移動するための機能が低下している状態をいいます 骨を強くするメリット 骨を強くするということは、骨密度が高い丈夫な骨をつくるということを意味します。骨を強くすると、加齢に伴う骨粗鬆症や骨折などのリスクを少なくし、要介護や寝たきり状態の予防に繋がるのです。 また、骨を強くする方法は、関節軟骨のすり減りを抑える方法とも深い関わりがあるため、関節痛や腰痛の予防にも高い効果を発揮します。 骨折や関節痛に悩まされる事の無い生活を送るためにも、骨を強くするための生活習慣について知っておきましょう。 骨を弱くする生活習慣チェック項目 まずは、骨を弱くするリスクのある生活習慣について紹介していきます。次に挙げる項目の中で、思い当たるものがないかチェックしてみましょう。 思い当たりませんか? ・1日の中で、牛乳やヨーグルトを全く飲食しない ・1日3食(朝食、昼食、夕食)をきちんと食べることが少ない ・スナック菓子が好きでよく食べる ・自分は肥満だと思う ・運動する習慣がない ・O脚である 上記で当てはまる項目が多いほど、知らず知らずのうちに骨が弱くなっている可能性があるため、生活スタイルを改善するなどの注意が必要です。 また、加齢によって骨は弱くなりやすく、特に閉経後の女性は骨粗鬆症のリスクが高いといわれているため注意が必要です。 極端なダイエットで骨は危険な状態に ただ、骨を弱くする生活習慣に気を付けなければならないのは中高年だけではありません。若い人でも極端なダイエットや激しい食事制限をしていると、身体の中が栄養不足になり高齢者と同じくらいの骨密度になってしまう可能性があるのです。 骨密度の低下は骨粗鬆症のリスク増大に繋がるため、無理な食事制限は行わないようにしましょう。 カルシウムは骨を丈夫にする栄養素 骨はカルシウム、コラーゲンなどのたんぱく質、リンなどからできており、特に骨を硬く丈夫にする栄養素がカルシウムです。カルシウムは人体の中で最も多いミネラルであり、そのうち99%は骨や歯に含まれています。 骨は血液中のカルシウムを取り込んで日々再生を繰り返しています。このとき、カルシウムやカルシウムを補助する栄養素が不足すると、骨は自分を溶かしてでもカルシウムを補給しようとするので更なるカルシウム不足を引き起こしてしまうのです。 カルシウムが多く含まれる主な食品 カルシウムを多く含んでいる食品には次のようなものが挙げられます。 丈夫な骨のため、積極的に採りたい食品 ・牛乳、乳製品(ヨーグルト) ・大豆、大豆加工品(豆腐、おから、納豆) ・魚介類(干しエビ、小魚) ・野菜(モロヘイヤ、小松菜) ・海藻類(昆布、ひじき) ただし、注意したいのは、カルシウムを多く含んでいるからといって乳製品ばかり飲食していると他のの栄養素が不足してしまいます。いろいろな種類の食品を取り入れてバランスの良い食事をすることが理想的です。 カルシウムの吸収をサポートする栄養素 食事で摂るカルシウムは腸で吸収されますが、カルシウムはそのままでは吸収されにくい性質があります。そのため、カルシウムの吸収をサポートする栄養素組み合わせることが重要です。 カルシウムの吸収をサポートする栄養素と、それらが多く含まれる食品には次のようなものが挙げられます。カルシウムを多く含む食品と合わせて摂るようにすると食事全体のバランスも良くなるため、おすすめです。 ・たんぱく質(コラーゲン):豆腐、肉、魚 ・ビタミンC:野菜、果物 ・ビタミンD:きのこ類 ・ビタミンK:納豆 ・マグネシウム:大豆、アーモンド 骨の強化を妨げる栄養素 せっかくカルシウムを沢山摂っても、カルシウムの吸収を妨げる食事や骨を弱くする生活習慣をしていると骨を強くすることが難しくなってしまいます。 ・リン リンは身体に必要な栄養素ですが、摂り過ぎるとカルシウムの吸収を妨げてしまいます。加工食品に多く含まれることが多いため外食やコンビニ弁当をよく食べる人は気を付けましょう。 ・塩分 塩分はカルシウムの吸収を妨げるため摂り過ぎには注意が必要です。カルシウムを摂ろうとしてチーズや小魚を食べ過ぎてしまうと塩分も摂り過ぎてしまうため注意が必要です。 ・アルコール お酒を飲み過ぎるとカルシウムの吸収が悪くなってしまいます。適量までに抑えるか、休肝日を作るように心がけましょう。 ・タバコ タバコに含まれるニコチンもカルシウムの吸収を妨げる他、骨粗鬆症のリスク増大にも繋がります。喫煙習慣のある人は、禁煙するか本数を減らすだけでも骨を強くする効果が期待できます。 他にも、身体を動かす習慣がない人も骨が弱くなりやすいため注意が必要です。 まとめ・寝たきり防止!骨を強くする食事と、弱くする食事がある 骨の強さを表す骨密度は加齢に伴い減少していきます。特に女性は閉経を期に骨密度が大きく低下し骨粗鬆症のリスクが増大するといわれています。また、中高年に限らず若い人も極端なダイエットや食事制限は骨密度の低下を引き起こすためおすすめできません。 骨を健康な状態に保つには食事でカルシウムをしっかり摂取することと適度な運動の2つが重要です。カルシウムの吸収を妨げる食事や生活習慣はなるべく避けるようにしましょう。 以上、骨を強くする食事と、弱くする食事があります。普段から気を付けたいものです。
2022.03.29 -
- 脊髄損傷
- 脊椎
脊髄損傷後の機能回復に効果的なリハビリについて 脊髄損傷は、外傷または病気により脊髄に損傷が起きることで発生し、原因は外傷性と非外傷性にわけられます。 外傷性では強力な外力が加わったときに、脊椎が脱臼・骨折・過剰伸展・過剰屈曲することが原因で、非外傷性では、腫瘍・循環障害・感染症・先天的がきっかけとなります。 脊髄を損傷すると、自分で歩けなくなる、呼吸できなくなるなど、日常生活に大きな影響をもたらします。そうした中でも社会復帰を目指し、残された機能を使って取り組むのがリハビリです。 この記事では、脊髄損傷の概要から、機能回復に効果的なリハビリなどを紹介します。 脊髄を損傷した場合 脊髄損傷になる外傷には、交通事故・高い所からの転落・平地での転倒・スポーツなどがあります。非外傷性では、癌性骨粗鬆症・多発性硬化症・炎症性脊髄炎・脊椎関節症などがあります。 好発年齢は20歳と59歳ですが、近年の調査では70代での発症が多発していると報告されています。これは、加齢により平地での転倒が増加するためと考えられています。 脊髄損傷の分類 脊髄が損傷すると、運動や感覚神経に障害が起こるほか、自律神経や膀胱直腸障害の症状がみられます。 脊髄損傷は、完全麻痺と不全麻痺にわけられます。脊髄損傷の約40%を占める完全損傷では、脊髄の連続性が完全に断たれてしまい、「手足を動かせない、感覚がわからない」状態に陥ります。 残りの約60%は不全麻痺で、脊髄の連続性は保たれているものの、麻痺の重症度は損傷部位と程度によりさまざまです。 受傷してすぐ気をつけたいこと 脊髄を損傷すると、受傷した位置から下に麻痺などの症状が出現します。脊髄損傷の約60%は頚髄損傷が占め、完全麻痺では手足が全く動かせないなど、麻痺の程度は大きくなるのが特徴です。 受傷直後は、脊椎に負担が加わらないよう極力動かさないようにすることで損傷の拡大を抑えます。交通事故など、外部からの強い力が入ったときには、頚髄へ外力が加わったことを念頭に、頸部の安静と固定が推奨されています。 また、脊髄に損傷を受けた際に発生する「脊髄ショック」がみられることがあります。脊髄ショックを起こすと、運動や感覚麻痺だけでなく、脊髄反射も消失します。1日から2日続くショック状態を抜けても症状が重たければ予後は期待できにくくなります。 脊髄ショック 脊髄損傷を負った場合に損傷した部位だけにとどまらず脊髄全体に損傷した影響が現れることがあります。これは脊髄から脳への連絡が絶たれることで起こり、数日程度から、長いと数週間続くことがあり、安静を継続しなければなりません。 受傷後の過ごし方 ベッド上で過ごす時間が長いと、褥瘡(床ずれ)・筋力の低下・起立性低血圧・関節可動域の低下・呼吸器疾患・尿路感染症などの合併症に注意しなくてはいけません。 褥瘡予防には体位変換を行います。褥瘡になると、皮膚や筋肉が壊死するだけでなく、感染リスクが高まります。こまめに寝る姿勢を変えたり、圧を分散できるマットやクッションを使用するなどの工夫が必要です。 脊髄損傷の機能回復に効果的なリハビリ 脊髄損傷の主な治療法はリハビリになります。残った機能を活かして社会復帰できるように取り組みます。 可動域訓練 拘縮を予防するために早期から関節可動域訓練を行います。脊髄を損傷すると、正常な筋肉・麻痺がある筋肉・筋力低下した筋肉が混在するようになります。そうした筋肉の均等が乱れることで拘縮が起きるのです。 下部頸髄損傷による拘縮では、肘・膝・足の関節が屈曲位で固定されるだけでなく、全身の柔軟性が低下します。また、拘縮があると座り姿勢・起き上がり・寝返り・移乗などに支障が出ます。 筋力トレーニング 筋肉を鍛えることで、麻痺を負った筋肉とのバランスを保つだけでなく、残存した機能を使い、日常生活を送れるようにします。 呼吸を止めお腹に力を入れることで、呼吸筋を鍛えるバルサルバ手技では、呼吸機能の回復が期待でき、呼吸機能の向上は生活の質を高めることにもつながります。バルサルバ手技を実施する際の推奨時間は30秒未満です。 歩行訓練 歩行訓練を早期から実施すると、歩行機能の向上だけでなく、身体機能も高まります。脊髄損傷の歩行には、吊り上げ式免荷歩行が行われます。ジャケットを装着し、体を上方へ牽引することで、負担や転倒リスクなく訓練ができます。 電気刺激 機能的電気刺激(FES:functional electric stimulation)を入れることで、麻痺を起こした筋肉を動かし、身体機能を取り戻します。具体的には、体の表面に装着、もしくは体内に埋め込んだ電極から電気信号を送り筋肉を収縮させる方法です。 電気刺激により、歩行や起立動作などの日常生活動作の改善から、高位脊髄損傷者では人工呼吸器が不用になった報告があります。また、動作の向上は脊髄損傷を負った方にとって、リハビリ意欲の向上につながります。 まとめ・脊髄損傷後の機能回復に効果的なリハビリについて 脊髄損傷は、体の中枢にある神経が損傷することです。脊髄を損傷すると、損傷した部位や程度により違いがあるものの麻痺が発生します。 損傷する脊髄レベルが高いほど重症度も高くなり、頸髄が横断される形で損傷する完全麻痺では、体を動かせなくなったり、感覚が感じ取れなくなったりします。 脊髄損傷後の主な治療法はリハビリで、回復・残存した神経機能を日常生活に結び付けるため、体位変換・可動域訓練・筋力トレーニング・歩行訓練・電気刺激などに取り組みます。 また、リハビリで思ったような効果がみられなかった場合、最新の治療法である再生医療を覚えておくと良いでしょう。再生医療では、これまで不可能だった損傷した脊髄の修復・再生が期待できるようになりました。 以上、脊髄損傷後の機能回復に効果的なリハビリについて記しました。参考にしていただければ幸いです。 ▼ 脊髄損傷の再生医療|最新の幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脊髄損傷の新たな治療法として注目を浴びています
2022.03.28 -
- ひざ関節
- 膝の内側の痛み
- 変形性膝関節症
変形性膝関節症の人が増えている!その原因から予防のヒントを探りました 近年、膝痛(変形膝関節症)の患者さんが急増しています。 2005年に東京大学医学部の研究グループが行った疫学調査によると、日本における「中高年の膝痛の患者数は約2400万人」と推測されるそうです。 その後も患者数は増加し続けており、現在では、膝痛の患者さんと、その予備軍を含めると実に約3000万人にのぼると推測されています。そして、膝痛を訴える患者さんののうち約9割以上が「変形性膝関節症」が原因と考えられています。 そこで今回は、この「変形性膝関節症」に悩まれている人が増えてる理由を解説。その理由を通じて予防のヒントをつかんで頂ければと思います!また、リハビリとして運動療法を行う際に注意したいことを併せて記しました。 変形性膝関節症|膝の痛みの原因 変形性膝関節症は長年、膝が受け続けた負担によって膝の軟骨がすり減り、炎症が起きた結果、しだいに関節が変形してしまう病気です。 私たちの膝は、この世に生を受けて、はじめて歩行を始めてから現在まで、日常生活はもちろん、労働や運動を通じて様々な負担をかけ暮らしてきました。 普段、何もなければ膝を意識することはありませんが、膝は立っているだけでも体重を受け止め、歩くと体重の5倍以上もの負荷が実際に掛かることが分かっています。 この負荷を受け続けると膝関節の軟骨は、徐々にすり減り、最終的に炎症を起こす可能性があるのです。 膝関節は、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の末端が接合する部分で、その間には、「クッションのような役割をしている関節軟骨」や、「半月板という軟骨組織」から出来ています。 この関節軟骨や半月板が、年齢を重ねることで徐々にすり減り、その過程で削れた摩耗粉が関節包の内側に滞留し、膝を覆っている「滑膜」を刺激するようになります。 すると、この摩耗粉を体は異物とみなして免疫反応を起こしてしまうのです。その結果、滑膜の細胞から「炎症性サイトカイン」という、生理活性物質(体の働きを調整する役割のある物質)の一種が分泌されます。 この炎症性サイトカインは本来、細菌やウイルスが体に侵入した際、それら異物を撃退して体を守るため、重要な働きをする物質です。 それが意に反して摩耗粉を異物と認識して分泌されることで炎症が起こり、痛みが現れるということです。 これが膝が痛む原因です。 変形性膝関節症|膝痛で悩む患者さんが急増している原因 原因|その① 膝にお悩みの患者さんが増えた第一の理由は、本格的な「高齢社会」が到来したことです。2019年におけるわが国の総人口は前年よりも26万人少なくなっているにもかかわらず、65歳以上の高齢者は32万人も増加し、3588万人と過去最高となっています。 日本人の平均寿命も、男性81.25歳、女性87.32歳(2019年)と年々長生きになっており、高齢者の人口は、これからもますます増加していくものと思われます。 変形性膝関節症は高齢者ほど発症しやすく、日本では、60歳以上の人の約6割が変形性膝関節症というデータもあり、高齢者が増加する傾向はまだ当分続くと考えられるため、変形性膝関節症で悩まれている患者さんは、今後も増えるものと考えられます。 原因|その② 膝にお悩みの患者さんが増えた第二の理由は「運動不足」です。現代社会では自動車や電車など便利な交通機関が発達し、さらにはエレベーターやエスカレーターといった移動を楽にする設備が普及しています。 その結果、歩いたり、階段を上り下りする機会が減り、現代人はあまり体を動かさなくなってしまいました。また、高齢になると移動が億劫になり、家に引きこもりがちとなり、運動不足になってしまいます。 膝関節を支える骨や軟骨、筋肉や靭帯(骨と骨をつなぐ丈夫な線維組織)は、日頃から体を動かし適度な刺激を与えていないと、少しずつ衰えていきます。 現代人としては、意識して運動をすることが大切です。けして、激しい運動である必要は無く、適度な刺激を筋肉や軟骨などに与えることで膝関節の健康を維持することが可能になり、膝の健康はもちろん、心身の健康のためにも重要です。 また、膝にためは運動以外にも日ごろからストレッチやウォーキングなどの習慣化も大切です。 原因|その③ 膝にお悩みの患者さんが増えた第三の理由は「肥満」です。運動不足は肥満を招きがちです。体重が増えると、立ったり歩いたりするだけで膝関節に大きな負荷がかかってしまうことはご想像頂けるろ思います。 肥満は、体重の増加により、膝痛の原因となる軟骨や半月板を、通常より圧迫するリスクが増し、傷めやすくなってしまいます。そのため、膝痛を予防するためには、普段から適度な運動をして、適正体重を維持することが重要です。 膝の痛み|誤解(安静にしずぎに注意) 以前、膝痛の患者さんに対して「安静にすること」が勧められていました。 鎮痛薬で痛みを和らげた上で膝に負担をかけないように安静にして、自然の回復力にまかせ、治癒するのを待っていたのですがこれでは次のような問題が生じます。 膝の痛み|安静にし過ぎて起こる膝の衰えという問題 ・膝が痛いからと、安静にばかりしていると、体重が増えがちとなります。 ・膝周辺の筋肉や靭帯などが、どんどん衰えていきます(廃用性症候群という) ・膝を支えている筋肉や靭帯が衰えると、膝を支えることができなくなります。 ・その結果、軟骨への負荷が余分にかかり、軟骨の摩耗が進む悪循環に陥ってしまいます。 ------------------------------------ 安静に加えて鎮痛薬を使うと ・膝の痛みは治まります。ただし、痛みが出ないため、膝を以前と同じように使います ・膝を支える筋肉や靭帯が衰えているため、しばらくするとまた発症してしまいます。 従来の安静にするという治療法では、こうした「炎症サイクルの悪循環」に陥りやすいのです。特に肥満の場合は、膝に対する負担が大きいため更に注意が必要です。 膝の痛み|運動療法(リハビリの活用) リハビリでの「運動療法を活用」すれば、2〜3週間ほどで痛みが軽減した上、楽に歩けるようになることがあります。膝の周囲の筋肉が膝を支えることができるようになるためです。 それによって日常生活の活動性が増すと、膝周囲の筋肉や靭帯が自然に鍛えられ、結果として関節軟骨の摩耗が抑えられるようになります。その結果、膝関節の炎症が起こりにくくなり、痛みもどんどん軽減します。 痛みが軽減すれば、さらに患者さんの悩みは薄れていき、行動は活発となり、膝関節の安定性は一段と高まることで膝痛は遠ざかります。 この好循環に導くことができれば「膝痛から卒業できる可能性」が上がります。 膝の痛みを予防するヒント! これまでの記事で変形性膝関節症が増えてる理由についてご理解は進みましたでしょうか?簡単に要約すると高齢化社会の到来ということで、発症率が高い高齢者の人口が多いため、カウント数が伸びたということ。 加えて運動不足と、肥満という理由があげられています。ここから分かるのは、「適度な運動をすることで体重の増加を止め、その結果若々しくいれば変形性股関節症を発症するリスクを低くできる」ということで、これは予防のヒントになります。 簡単に要約しましたが、膝の痛みの予防は、難しく考えないことが大切です。加齢は誰にも訪れることで仕方がありません。年齢があがると、どうしても体は衰えるもので自然の摂理です。思い悩みすぎずに気持ちを明るく、前向きにすごされることが大切です。 気持ちが前向きになれば、体に負担のない範囲という条件のもと、簡単でも軽めの運動を継続的に心がける動機になりえます。家に籠ることなく、外に出かけて色々な人と会ったり、景色を見たり、そんな何気ない行動だけでも運動になります。 もちろん、もっと積極的にウォーキングを行うことも効果的です。日課にして継続的に行いうことを強くお勧めします。尚、体重の増加が気になる方は体重計を用意しカレンダーに記録したり、食べたモノを書き出したりして体重を意識することから始めてみてはいかがでしょうか! ただ。前向きになりすぎて体を痛めてしまわないように見定めてください。できれば医療機関などで医師から助言を受けて取り組まれることをおススメします。 変形膝関節症・予防のヒント ・前向きな気持ち ・体重コントール(肥満を防いで適正体重を維持する) ・軽めの運動を継続して行うようにする(外に出かけよう) ・無理はしすぎないように ・運動内容、量は医療機関にて助言を得ましょう 運動療法(リハビリ) 変形性膝関節症の運動療法について 「変形性膝関節症患者には、定期的な有酸素運動、筋力強化訓練および関節可動域拡大訓練を実施し、かつこれらの継続と奨励する」としており、「筋力強化訓練」「有酸素運動」「可動域拡大」の3つを効果的なリハビリとして推奨しています。 (参照:日本整形外科学会による変形性膝関節症診療ガイドラインより) リハビリとしての筋力強化訓練では、太ももの前面の筋肉「大腿四頭筋」の家庭での強化、有酸素運動については、激しい運動ではなく穏やかな無理のない運動が推奨されています。 可動域拡大については、膝関節を動かさないでいると可動域が狭くなり柔軟性が失われてしまうためリハビリの目的としながらも無理をしない範囲で訓練するようにします。 膝は、無理のない程度に動かすことで、炎症を起こしている滑膜や軟骨の細胞に一定のソフトでも力が作用し、以下の様な3つの効果を得ることができます。 適切なリハビリの効果 ① 炎症の原因:炎症性サイトカイン(細胞から分泌される生理活性物質)の産生を抑える作用 ② 炎症を鎮める効果:抗炎症性サイトカインが分泌される作用 ③ 膝関節の軟骨成分:膝関節の組織修復に必要なコラーゲン、プロテオグリカンが増加する作用 変形性膝関節症の予防|運動療法(リハビリ)の注意点 膝関節を適度に動かすことが膝痛を改善に導くとはいえ、膝にあまり強い力をかけてしまうと、むしろ症状が悪化し、痛みも強まることになってしまいます。 リハビリの一環としての運動は必要ですが膝を動かす場合には激しい運動は禁物です。適度な運動であれば①〜③の効果が得られ、関節内の炎症を抑えられます。さらには組織の新陳代謝が促され、効果的に膝痛の改善が期待できることになります。 運動が良いとなると早く治したい、また予防する意識が強すぎて限度を超えた運動に取り組む方がおられますが、過度な運動は逆効果です。できれば整形外科などのリハビリに通ったり、運動方法のアドバイスを受けて適切な方法と必要な運動量を確保しましょう。 適切な運動を無理なく、継続しましょう! まとめ・変形性膝関節症の人が増えている原因から予防のヒントを探る 変形性膝関節症の増えている理由は、高齢化社会、運動不足、肥満などさまざまな要因が絡み合っています。しかし、それらの理由を探り、ヒントにすれば適切な対策が分かり、予防や改善が可能なのです。 何より膝に負担を掛けない適正な体重を維持する意識を持ちましょう。 そのためには前向き意識で適度な運動を続け、関節や筋肉を健康に保つことができれば膝痛を予防することが可能です。ただ、既に症状を発症してしまったのなら適切なリハビリや、運動療法を行いましょう。 リハビリは無理に無い範囲で適切に行うことで症状の改善を期待することができますが、治りたい意識が強すぎて過度な運動は避けるようにするべきです。 そのためにも、膝の痛みに悩んでおられるなら、医師や専門家の助言を受けて適切な運動や、治療方法を試みましょう。 自分の体に合った方法で、健康な膝を維持しましょう。 以上、変形性膝関節症が急増した原因から予防や治療のヒントを探してみました。 ▼ 再生医療で変形性膝関節症を治療する なってしまった変形性膝関節症は、再生医療により症状を改善することができます ▼以下のご参照ください 変形性膝関節症に東洋医学の鍼灸(はり、おきゅう)治療は効くのか
2022.03.25 -
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肝臓の数値に異常がある場合!肝機能障害の原因と対策を解説 健康診断などにおいて肝臓の数値が悪い、あるいは肝臓の機能が低下(肝機能障害)していると指摘された人はいませんでしょうか。 日本人間ドック学会によると、ドック受診者の中でおよそ3割の方が肝機能の障害や肝臓数値の異常を指摘されていると報告されています。 肝機能障害とは、何らかの原因によって肝臓にある細胞が障害を受けて炎症が起こることで細胞が破壊されてしまう病態のことを意味します。 肝機能障害を引き起こす原因は、B型やC型の肝炎ウイルス感染、アルコールの多飲、過剰な脂質の摂取や肥満、そして自己免疫の異常など非常に多岐にわたります。 肝機能障害によって肝臓の機能が著しく低下する状態が続くと「肝硬変」や「肝臓癌」を発症するリスクも高くなります。顕著な肝障害を呈する場合には「食道静脈瘤」や「肝性脳症」など命に関わる重篤な合併症を併存しやすくなります。 今回は、肝臓の機能障害(肝機能障害)を引き起こす原因を中心に詳しく解説していきます。 肝臓の数値異常・肝機能障害の数値 普段、職場で受診する定期健康診断などで肝機能障害を指摘され、不安に思われている方も少なからずいらっしゃるかもしれません。 肝臓の機能障害が起こされると健診の血液検査項目で肝臓数値異常として表示されることになります。これは、肝臓の細胞内に含まれるAST(GOT)や、ALT(GPT)といった指数で表示されます。 これらは肝臓の細胞に含まれる酵素のことで、肝臓がダメージを受けると、この酵素が血液中に漏れ出てくるため、その量をもって肝臓のダメージを数値化して計ることができます。 ダメージが大きいほどASTや、ALTの数値は増え、数値が著しく大きな場合は「脂肪肝」「慢性肝炎」「急性肝炎」「アルコール性肝炎」などに罹患している可能性があります。 AST(GOT)とは AST(GOT)は「アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ」という酵素です。主に肝臓に存在しますが、心臓、腎臓、筋肉などにも含まれていて、ASTは細胞がダメージを受けると血液中にこの酵素が放出されることから、この数値が上昇すると、肝臓や他の臓器に問題がある可能性があると判断されています。 AST(GOT)が高くなる原因 ・ 肝炎や肝硬変などの肝臓疾 ・ 心筋梗塞 ・ 筋肉の損傷や破壊 ALT(GPT)とは ALT(GPT)は「アラニンアミノトランスフェラーゼ」という酵素です。主に肝臓に存在して肝細胞が破壊されると血液中に放出されます。ALTの値は、肝臓の健康状態を知る重要な指標となります。 ALT(GPT)が高くなる原因 ・ 肝炎や肝硬変 ・ 脂肪肝 ・ アルコール性肝障害 AST(GOT)、ALT(GPT)はどれも肝臓の健康状態を示す重要な指標です。 これらの数値が高くなった場合は、肝臓に負担がかかっている可能性があります。生活習慣の見直しや適度な運動、定期的な健康診断を通じて、肝臓の健康を維持することが必要です。 肝機能障害の原因 一般的にこういった肝臓の機能障害は、何が原因となって引き起こされるのでしょうか。 慢性的に認められる肝機能障害の原因として有名なのは、「B型・C型肝炎ウイルスによる慢性肝炎」「アルコール性肝炎」「脂肪性肝炎」「自己免疫性肝炎」などが挙げられます。 これらの代表的な肝機能障害の原因によって、長期間にわたり肝臓に炎症が継続することで、肝臓の細胞は徐々に破壊され、その部位に硬い組織が蓄積して形成されていきます。 また近年、現代の飽食や運動不足といった背景から引き起こされる肥満や、糖尿病などの生活習慣病から発症する非飲酒者における脂肪肝といった非アルコール性脂肪性肝機能障害といった例も増加しているといいます。 欧米ではアルコール(飲酒)が原因の肝臓の機能障害が多いと言われています。 一般的に、エタノールを1日に男性は30g以上(ビールで換算すれば750ml、日本酒で計算すれば1合半相当に該当)、また女性は20g以上、アルコールを接収すると肝臓の機能障害を引き起こすと考えられています。 アルコール関連の肝機能障害は、慢性的な過剰飲酒によって生じることが知られており、脂肪肝炎をはじめとして急性肝不全、肝硬変、肝がんなど多彩な病型を呈することが報告されています。 その一方で、わが国では肝炎ウイルスの感染によるものが多く、特に肝機能障害の原因となる肝炎ウイルスの中でも「C型肝炎(以下、HCV)」と「B型肝炎(以下、HBV)」が多く見られます。それに次いで飲酒が主たる原因となります。 通常では、肝炎を引き起こすウイルスの中にはA型、B型、C型、E型の4種類が存在しますが、HBVの場合には輸血歴や出産歴、注射針の使い回しや性行為によって感染し、HCVでは、輸血や血液製剤、あるいは体に入れ墨を施す行為などによって感染することが知られています。 ウイルス感染による肝炎 感染原因の一例 C型肝炎(HBA) 輸血歴、出産歴、注射針の使い回し、性行為 B型肝炎(HCV) 輸血、血液製剤、入れ墨 また、薬剤によって肝機能の障害が起こる可能性があることも忘れてはいけません。 通常、基礎疾患の治療目的であったとしても、その薬物の副作用によって肝臓に障害が起こることがあります。具体的に肝障害の原因となる薬剤の代表例としては抗生物質や解熱鎮痛剤、精神神経薬、抗がん剤、漢方薬など多岐に渡ります。 その他、原発性胆汁性胆管炎などで胆汁がスムーズに排出されなくなる、あるいは中年以降の女性に発症しやすい自己免疫性肝炎などにおける免疫異常、または慢性心不全などの病気を契機に肝機能障害に陥ることもあります。 肝炎を引き起こす感染以外の原因の一例 アルコール、飲酒 抗生物質、解熱鎮痛剤、精神神経薬、抗がん剤、漢方薬等 自己免疫性肝炎などにおける免疫異常、慢性心不全 肝臓の機能障害は将来的に肝硬変や肝臓癌に移行するリスクが高い状態と考えられているため、常日頃から肝障害の原因となるものを認識しておく必要があります。 改善策 肝機能を改善するためには、以下のような生活習慣の見直しが必要です。 1. 飲酒量を減らす アルコールの過剰摂取は、肝臓に大きな負担をかけます。週に2日は休肝日を設けましょう、飲酒量を抑えることが重要です。 2. 健康的な食生活 バランスの取れた食事を心がけ、あしょう。特に野菜や果物を多く摂取することで肝機能の改善に役立ちます。脂肪分の多い食品や加工食品の摂取を控えましょう。 3. 適度な運動 適度な運動は体重管理にも役立ち、脂肪肝の予防になります。無理のない範囲で、毎日の散歩や軽い運動を取り入れると良いでしょう。 4. 定期的な健康診断 定期的に健康診断を受けましょう。肝機能の状態を把握し、早期に問題を発見することができます。 5. 体重管理 肥満は肝臓に負担をかけるため、適正体重を維持することが大切です。肥満ぎみならダイエットを心がけましょう。 まとめ・肝臓の数値に異常がある場合、肝機能障害の原因と対策 今回は特に肝機能障害の原因に焦点を当ててご説明してきました。 肝臓はその一部が線維化して働けなくなってしまっても、残っている細胞が代わりに機能を受け持つことで、しばらくは自覚症状がほとんど出ません。それゆえに、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれます。 一般的に自覚症状が出にくく、症状の出現に気づいた時には肝臓の機能障害がかなり進行していたという場合も決して珍しくありません。したがって、健康診断などで肝臓の数値に異常があった場合には自覚症状がないからという理由だけで放置すると深刻な病気に進行する懸念があることを認識すべきです。 肝臓の機能障害は、肝臓の様々な病気やお酒などによって肝臓の細胞が破壊され続けることでも起こります。心配であれば、病院や、最寄りの内科クリニックや、消化器内科などをの専門医療機関を受診して相談してみることも考慮してみましょう。 以上、肝臓の数値にドキッ!機能障害を引き起こす原因について記載させていただきました。今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼肝臓に関わる病気|最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、肝臓病(肝炎、肝硬変)の新たな治療法として注目を浴びています ▼肝臓の働きについて以下もご参考になれます 肝臓の重要な働きと注意したい症状と病気について
2022.03.25