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変形性膝関節症を悪化させないための日常の工夫と、運動のすすめ! 変形性膝関節症は、加齢・外傷・肥満・遺伝・日常における膝の負担になるような生活様式など、さまざまな要素が関与して発症する病気です。 変形性膝関節症になると、膝の関節に痛みや変形が出現するほか、膝を動かすと「関節から音(関節軋轢)」が鳴ったり、可動域制限がかかったりします。また、炎症が起きると「膝に水がたまる関節水腫」がみられます。 そんな変形性膝関節症の治療は、なずは運動療法によって膝の周りの筋力をあげて関節を安定させることが大切です。しかし、膝に痛みがあると、満足に運動に取り組めなくなるため、日頃から膝に負担がかからないような生活も大切になります。 この記事では、「変形性膝関節症を悪化させないための日常の工夫」を細かく解説します。膝の痛みでお困りの方はぜひご覧ください。 膝に負担がかからない生活を心がける 日常から膝に負担がかかる生活は、関節軟骨のすり減りや軟骨下骨の新陳代謝に異常を及ぼします。さらに、すり減った軟骨のかけらが滑膜を刺激し痛みを感じるようになります。膝に痛みがあると、これまで通りの生活にも支障をきたすため、できる限り膝に優しい生活をしましょう。 膝に負担が掛かると ・膝関節内の軟骨がすり減る ・軟骨の下、軟骨下骨の新陳代謝に異常が起こる ・すり減った軟骨のかけらが滑膜を刺激し痛む これらを避けるため、膝に負担を掛けない優しい生活とは。どのようなモノなのでしょうか?以下ご説明してまいります。 和式から、洋式へ!生活スタイルを変える 膝の痛みは生活スタイルを変えるだけでも緩和します。 地べたで過ごす和式から、椅子で過ごす洋式へ変えるのがおすすめです。 洋式での生活は、正座や低い位置からの立ち上がりを必要とせず、膝の負担を軽減・痛みの緩和が期待できます。 膝に負担のかかる運動は避ける 体を動かすことは、膝の筋肉強化や健康増進が期待できるものの、膝に負担となる運動は禁物です。 たとえば、テニス・卓球・ゴルフ・社交ダンスなど、急な方向転換・発進や停止・繰り返される膝の屈伸運動やジャンプを必要とする運動は要注意です。 減量(ダイエット)する 肥満であることは膝に大きな影響を与えます。 立つ・歩く・座るなど、いかなる動作においても膝へ負担がかかっています。 二足歩行をする人間は、体重の半分を片脚で支えているだけでなく、歩くと体重の3倍は負担がかかると言われています。つまり、体重が重たいと、膝にかかる負担も大きく、軟骨のすり減りを進行させてしまうため、肥満傾向の方は減量に取り組みましょう。 背筋を伸ばす!綺麗な姿勢に改善する 姿勢が悪ければ膝への負担になります。 理想的な立ち方は、目線は正面を向き、肩を開き、骨盤を軽く前傾させることです。 鏡などで確認した際に、足の外くるぶしから耳までが一直線になっていれば綺麗な姿勢を取れています。 また、綺麗な立ち方をしても、歩き出した途端に姿勢が崩れるようではいけません。 歩行中に意識するのはもちろん、定期的に自分の姿勢を鏡で確認すると良いでしょう。 杖を使う 杖を使って、膝への負担を減らします。 杖は痛みがある方と反対側の手で持ち、痛みがない脚と杖に重心を乗せることで、痛みのある膝に体重がかからないようにします。 膝の痛みから、外出の機会が減っていたり、歩行に気乗りがしなかったりするときには、杖がおすすめです。 中には、杖を使うのに抵抗がある方もいらっしゃいます。しかし、杖を使用すると、姿勢を伸ばすだけでなく、膝への負担を減らせるので、ずいぶんと楽に歩けるはずです。最近では、デザインが施されていたり伸縮機能があったりと、いろんな杖がありますので、自分に合った杖を選びましょう。 足に合った靴を履く 足に合っている靴を履いて、膝を安定させます。 靴はヒールやサンダルではなく、スニーカーがおすすめです。 靴選びで失敗してしまうと、膝の安定性を高めるための歩行がかえって負担になるのです。 さらに、外反母趾・膝痛・腰痛・股関節痛などのように、痛みが全身に広がる可能性まであります。 靴選びのポイント ・足のサイズに見合ったもの ・クッション性が高いもの ・足首までしっかり覆われているもの ・靴紐やテープで足首をしっかり固定できるもの 手すりを使う 玄関・お風呂・階段などに手すりをつけ膝への負担を軽減します。 階段を昇るときには、手すりを支えにして痛くない方の脚から出し、降りるときも同様に手すりを支えにしますが、痛みがある方の脚から下ろすのがポイントです。 また、運動で階段を昇り降りされる方がいらっしゃいますが、階段昇降時には体重の6〜7倍もの負荷がかかります。負荷が大きいほど、トレーニングの効果は期待できますが、余計に傷める可能性もあり注意が必要です。 特に変形性膝関節症の方は、膝に負担がかかりやすい足運びをされているケースがあるため、まずは水中歩行・地上でのウォーキング・室内でできるトレーニングをおすすめします。 継続して運動に取り組むこと 膝への負担を下げるには、関節を安定させている筋肉を鍛えることが大切です。太もも前面にある大腿四頭筋をはじめ、太もも後面にあるハムストリングスなど、バランスよくトレーニングします。 水中運動 浮力がある水中では、膝への負担を減らしながら運動ができます。 水中での歩行をはじめ、クロールで使うバタ足も膝のトレーニングには有効です。 泳ぎが得意ではない場合、プールサイドに腰をかけたり、つかまったりしながら脚をバタバタと動かすだけでも効果的です。 地上でのウォーキング 屋外での歩行で足腰を鍛えます。 ウォーキングは、筋力トレーニングと比べて充分な運動に感じないかも知れません。 しかし、ウォーキングを1年半継続すると、生活への支障や痛みに対して、トレーニングと同程度改善することがわかっています。 ただし、ただ歩くだけではなく、靴選びにこだわり、歩行中は姿勢を意識し、必要であれば杖を使用して安定した歩行をしましょう。 ビタミンD 変形性膝関節症を進行させるリスクに、ビタミンD不足があります。 ビタミンDは、日光を浴びると体内で活性化される栄養素のため、屋外での運動は膝周囲の筋力を鍛え、変形を進行させるリスクも抑えます。 自宅でできるトレーニング 雨の日や外に出るのが億劫な場合、自宅でできる運動を紹介します。 大腿四頭筋トレーニング ① 椅子に腰をかけて、片側の脚を伸ばしきります ② 座面と水平になるように脚を持ち上げて、10秒間キープします ③ ゆっくり脚を下ろし3秒間休憩します (①〜③を20回繰り返して、脚を入れ替えます。) 大腿四頭筋・ハムストリングスのトレーニング ① 椅子の背を両手で持ち、脚は肩幅に広げます ② つま先と膝の向きはまっすぐ向くようにします ③ 膝を前に出さず、お尻を後ろに突き出すように上体を落とします (① 〜③を1セット5〜10回、1日3セットします。) 痛みがあるときには無理をしない 膝に痛みがあるときは、無理をせずに休息します。痛みに対しての対処法ですが、熱感や腫れがある場合には、冷やして炎症を抑え、慢性的な痛みには温めて血の流れを促します。痛みが強い場合には、病院を受診し、痛み止めの薬を処方してもらいましょう。 痛みの緩和は薬だけでなく、鍼灸治療やマッサージでも効果的だとわかっています。薬をできる限り飲みたくない場合や、薬でも効果が見られないときには、鍼灸やマッサージといった手段も覚えておきましょう。 膝の痛みの緩和にグルコサミンやコンドロイチンを服用する方がいらっしゃいます。両者は膝に軟骨に含まれる成分で、痛みの緩和を期待され服薬しますが、信頼度の高い研究は行われていないのが現状です。服用を検討している方は、かかりつけ医に相談することをおすすめします。 まとめ・変形性膝関節症を悪化させないための日常の工夫と運動のすすめ! 変形性膝関節症はさまざまな原因が組み重なって発症・進行してく病気です。膝の状態を悪化させないためには、膝に負担がかからないように生活をして、継続して運動に取り組みます。 日頃から膝に負担をかけていると、軟骨が摩耗するだけでなく、変形を進行させてしまいます。地べたではなく椅子に座るなど、できることから取り組みましょう。 運動療法に取り組む際は、くれぐれも無理は禁物です。痛みを我慢したまま続けてしまうと余計に悪化するため、膝の痛みがあるときは、炎症を起こしているのか、慢性的な痛みなのか判断し適切な対処が必要です。しかし自分では膝がどのような状態なのかわからない場合があります。そのような時は自己判断をせず病院を受診し、適切な処置を受けることが変形性膝関節症の悪化を防ぐことと覚えておきましょう。 以上、変形性膝関節症を悪化させないために日常生活においてできる工夫について記しました。 参考にしていただければ嬉しく思います。 No.044 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療の幹細胞治療で変形性膝関節症を治療する 手術不要、入院不要の変形性膝関節症の新たな治療法。再生医療の幹細胞治療で症状を改善できます ▼以下も参考になれば幸いです 膝の病気!鵞足炎と変形性膝関節症についてと、その違いを解説!
最終更新日:2024.02.21 -
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コラーゲンドリンクやサプリは関節に効果的なのか説明します 近年、CMなどでよく見かけるサプリメントや、ドリンクとしてのコラーゲン!このような摂取方法で本当に効果があるのでしょうか?コラーゲンは美容的に注目されていますが、実は体にとっても非常に大切な栄養素です。 そこで本記事では、コラーゲンを摂取することで体にどのような効果があり、またどのような働きをしているのか解説していきます。関節に違和感があったり、痛みを感じられている方でコラーゲンのサプリメントやドリンクの摂取をお考えの場合は、ぜひ参考にしてみてください。 コラーゲンについて コラーゲンと聞くと、肌に良いイメージを持たれる方もいるのではないでしょうか。しかし、コラーゲンの働きは皮膚だけではありません。そもそもコラーゲンとは何かをみていきましょう。 コラーゲンとは コラーゲンとは、人間の体に存在するタンパク質の一種です。タンパク質は人間の筋肉や臓器など体のさまざまなところに分布されています。また、タンパク質は三大栄養素(タンパク質、炭水化物、脂質)の一つとして数えられ、人間の体に必要なエネルギー源にもなっています。 コラーゲンは体内のタンパク質のうち約30%を占めていて、皮膚や骨、血管などに多く含まれています。組織の部位ごとに分類され、繊維性コラーゲンや基底膜コラーゲン、短鎖コラーゲンなど、現在分かっているものだけでも29種類あります。 コラーゲンのはたらき 肌に良いイメージがあるコラーゲンは、皮膚の約70%がコラーゲンでできていると言われていて、肌に弾力とハリを与える働きをしています。 コラーゲンは皮膚だけではなく、骨や関節、腱、靭帯などにも存在し、強度や柔軟性を保つ機能があります。骨の中にコラーゲンがあることでクッション性が加わり、骨にしなやかさを与え、転んだときなどの強い衝撃から守っています。 また、関節の部分にもコラーゲンが存在し、骨と骨の摩擦による擦り減りから骨が傷つくのを防ぐ役割もしています。このようにコラーゲンは骨や関節にも密接に関わっています。 加齢による体内のコラーゲンの減少 コラーゲンは健康の維持に欠かせないものですが、年齢とともに減少していきます。加齢に伴って細胞の数が減ったり、衰えたりすることでコラーゲンの合成力が衰えてしまうためです。 また、紫外線による影響で皮膚のコラーゲンが減少することが分かっており、シワやたるみなどの原因になっています。では、コラーゲンを摂取した場合に、減少したコラーゲンを補うことができるのでしょうか。 コラーゲンを飲むことで効果は期待できるのか 日本整形外科学会によれば、直接関節にヒアルロン酸を注射した場合には科学的データに基づいて、有効性が認められているとされています。 しかし、食べ物などの口からの摂取の場合は有効性が確認できる科学的データはないとし、効果が期待できないと結論づけています。ですが、まったく効かないというデータもないため、悩ましいですね。 参考資料:サプリメントの効果について|公益法人日本整形外科学会 https://www.joa.or.jp/public/about/supplement.html 希望の星!低分子コラーゲン(コラーゲンペプチド) 食べ物からの摂取でコラーゲンの有効性が認めれられていないとされているものの、最近の研究では低分子コラーゲンを摂取することでコラーゲンを作る材料になったり、コラーゲンの生成量を増やしたりすることが期待できることが分かってきました。 低分子コラーゲンとはコラーゲンタンパク質を小さくしたものを言います。低分子化したものは、コラーゲンペプチドともよばれ粒子が細かく、腸壁で吸収され血液を通って皮膚や骨、関節など全身に行き渡ります。 サプリメントの種類と成分 コラーゲンペプチドはサプリメントとして錠剤やパウダー、ドリンクに配合されており種類もさまざまあります。 サプリメントのコラーゲンの成分には主に動物性由来と魚由来があり、動物性由来であれば、牛や豚、鶏などの皮から抽出したもの、魚由来は魚皮や魚鱗から抽出したものが原料となっています。 注意!コラーゲンとアレルギーの関係性 サプリメントの原料になっている牛や豚、鶏、魚などが原因でアレルギー反応を起こす可能性があります。アナフィラキシーを起こした事例も報告されているため、サプリメントなどでコラーゲンを摂取する際は十分に注意が必要です。 特に鶏や卵にアレルギーがある方は、鶏が原料になっているコラーゲンは避けた方が良いでしょう。 コラーゲン・トリペプチドの効果 コラーゲン・トリペプチドとはコラーゲンの最小単位で、その大きさは一般的なコラーゲンサプリメントの20分の1から50分の1の大きさと言われています。 そのため小腸から直接そのままの形で吸収されることが分かっています。最近の研究では関節や骨など体内でコラーゲンが不足しているところに、効率よく届くことが期待できるという報告がされています。 関節や骨への具体的効果について 関節 傷ついた関節の治療の際、患者さんがコラーゲンペプチドのサプリメントを摂取したところ、関節の修復が早いという結果の報告されています。また、変形性膝関節症の症状の改善にも効果があることも分かってきました。 骨 骨を丈夫にするにはカルシウムのイメージが強いですが、カルシウムだけでは強度な骨は作れません。 骨の約30%がコラーゲンできていると言われ、コラーゲントリペプチドを摂取することでコラーゲンの生成を助ける働きがあることが分かっています。 まとめ・コラーゲンドリンク、サプリは、関節に効果的なのか? これまではコラーゲンを食べ物で摂取しても、体の中でアミノ酸としてバラバラに分解されて吸収されてしまうため効果がないと考えられてきました。 しかし、小さな分子のコラーゲンペプチド(低分子コラーゲン)であれば腸壁から吸収され血液を通って、体の中のコラーゲンが不足しているところへ効率よく届くということが分かってきています。 そのため、コラーゲンのサプリやドリンクを購入する場合は「低分子コラーゲン」、「コラーゲンペプチド」との表記があるものが良いかもしれません。いずれにしてもコラーゲンの効果には個人差があり、短期ではなく、長期で考える必要があります。 関節のために体内のコラーゲンをキープしたいと摂取する場合は、毎日の食生活に取り入れ、長期的な視点で取り組みましょう。コラーゲンが関節や健康の維持に役立つと良いですね。 以上、コラーゲンのサプリやドリンクは関節に効果があるのかについて記させて頂きました。 No.S041 監修:医師 加藤 秀一 ▼以下も参考にされませんか グルコサミンやコンドロイチンは膝の痛みに効くのか?
最終更新日:2024.06.13 -
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鵞足炎は膝の酷使が原因!その症状と治療法について解説します 皆様の中で日常的に立ち上がる瞬間や、階段を昇り降りする際などに「膝が痛い、痛む」と自覚している人はおられませんか。 普段生活している中で「膝が痛む症状」で悩んでおり、その対策や改善方法を探索している方も少なからずいらっしゃることでしょう。仮にひざを酷使して膝痛を自覚している場合には「鵞足炎(がそくえん)」という病気を見逃してはいけません。 普段聞きなれない、この病気は「鵞足(がそく)」と呼ばれる場所、膝関節の内側より下方に位置する脛骨付近に炎症が引き起こり、膝に痛みが出現することで知られています。 今回は、膝を酷使すると起こりやすい鵞足炎という病気の特徴や症状、その疾患に対する対策や治療法について詳しく解説してまいります。 鵞足炎の症状(膝の内側の痛み) そもそも「鵞足」と呼ばれる部位は、膝から5㎝程度足側に存在している脛骨という骨の内側部分に位置しており、一般的には縫工筋、半腱様筋、薄筋という三種類の筋肉に付着している腱がその脛骨にくっついている場所を指しています。 この鵞足部位にある「滑液包の内部に強い炎症が起こっている状態が鵞足炎」であると考えられており、鵞足炎を発症していると膝を屈曲するときや股関節を内転する動きにより慢性的に膝に痛みを覚えます。 本疾患は、膝を酷使するマラソンなどの走る系の一般アスリートや、それ以外でもトップアスリートなどプロスポーツ選手に生じやすいと言われており、打撲などの外傷を契機に発症する可能性も指摘されています。 鵞足炎の原因は、自分に見合っていない不適切なトレーニングをする、運動前にストレッチを怠る、急な坂道を急激に長時間走る、肥満体形で膝に負担が掛かりやすいなどが発症に関与していると考えられています。 このように鵞足炎という病気は、スポーツにかかわる障害として代表的な疾患のひとつであり、その臨床的な特徴所見としては鵞足部への圧痛や、同部の動作時における疼痛症状が現れることであります。 この疾患に罹患すると、初期では膝関節の内側部より5㎝ほど下方の部位に痛みを覚えて、その部位を押すと強い痛みを自覚します。また、運動時や階段昇降時に疼痛症状が悪化しやすく、更に病状が進行すると安静時にも同部位が疼くように痛みを感じることがあります。 鵞足炎の特徴 ・スポーツ障害として代表的な疾患 ・膝の酷使 ・マラソン ・トップアスリート、プロスポーツ選手に生じやすい ・打撲などの外傷を契機に発症 鵞足炎の原因 ・不適切なトレーニング ・運動前のストレッチを怠る ・急な坂道を急激に長時間走る ・肥満体形で膝に負担が掛かかる 鵞足炎の治療法について 鵞足炎に対する治療策は、一般的には理学療法、あるいは投薬や注射などの保存的な療法が通常の流れになっています。 理学療法の一環として、本疾患においては大腿部の筋肉が硬くなると膝の症状が悪化すると考えられていますので、効果的なストレッチで筋肉部の緊張を和らげることが重要な視点となります。 注意点としては、炎症が強くて痛み症状が顕著な時期にストレッチ運動を過剰に実践してしまうと、逆に膝の痛みが悪化する原因になりかねないとの指摘もあります。 したがって、症状がひどい際には軽めのストレッチに留めておき、十分な安静を保持して、患部のアイシングや、湿布をはったり、外用消炎剤を塗布する、あるいは消炎鎮痛剤を服薬するなどの対処策を検討することになります。 また、鵞足炎に対する理学療法の一つとしてテーピングや、サポーターが挙げられます。 具体的には、膝関節を少し曲げながら股関節をやや内側に保持した状態で伸縮性のあるテーピングを貼付したり、サポーターを用いることで膝関節部における内側方向の動作を物理的に制限することができ鵞足部への負担を減らすことが出来ます。 もし鵞足炎に対して患部安静、局所的アイシング、抗炎症薬の使用、理学療法を実践するなどの治療方法を施行しても症状が改善しないケースでは、滑液包の内部に少量ステロイド薬を直接的に注射する療法も考慮されます。 このステロイドによる注射治療は施行後すぐに症状が軽快することが多く認められますが、数か月経過すると再度膝の痛みが再燃する可能性がありますので十分に注意を払っておくべきです。 また、痛みを覚えると身体を動かさなくなり、運動量が減ると体重が増加する恐れがあります。膝には体重の数倍の付加が、かかるとされ、体重の増加はそのまま症状の悪化につながりかねません。予防も含めて体重管理には注意したいものです。 まとめ・鵞足炎は膝の酷使が原因!その症状と治療法 鵞足炎という病気は鵞足部に存在している滑液包における炎症が主な病態であり、通常の場合には過度の運動などによって同部において繰り返して引き起こされる摩擦と物理的なストレスが原因で発症するものです。 特に、マラソンランナーや陸上選手などを始めとして膝を屈曲あるいは内旋する動作そのものが膝の内側、鵞足部への過剰な負担となりますし、縫工筋や半腱様筋、薄筋などの筋肉の緊張度が高い状況下に鵞足炎は頻繁に発症することが知られています。 鵞足炎の治療法 ・薬物療法、湿布などのアイシング ・ストレッチ ・鎮痛剤の内服 ・消炎鎮痛剤の塗布、炎症部位をアイシングし、熱感を除去する 鵞足炎は再発しやすいとも指摘されているため、焦らずにきちんと治すことを意識しながら、担当の医師や理学療法士などの医療従事者や専属トレーナーと一緒に使用するシューズを見直すなど症状が再発しないように出来る工夫策を共有することが重要な観点です。 心配であれば、最寄りの整形外科クリニックや専門病院などの医療機関を受診して相談してみることも考慮してみましょう。以上、鵞足炎は膝の酷使で起こる、その痛みと治療法と題して記させて頂きました。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.S040 監修:医師 加藤 秀一 ▼ 再生医療の幹細胞治療が膝の治療を変える! 膝の痛みに新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せずに症状を改善できます ▼以下も参考にされませんか ご注意!スノーボード、スキーなど冬のスポーツで起こしやすい膝の怪我とは?
最終更新日:2024.05.31 -
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- 半月板損傷
半月板損傷は放置禁止|進行で重症化の恐れ!その症状と治療法 膝に痛みや違和感を感じて、日常生活に支障が生じている!という方へ。その痛み、半月板が損傷して起こっているのかもしれません。 膝には半月板という組織があり、膝を滑らかに動かすために重要な働きをしています。半月板が損傷するのは、大きく分けて年齢を重ね組織が脆くなった場合、或いはスポーツの衝撃などで損傷する場合もあります。いずれにしても半月板損傷は、膝に負荷のかかる動きをしたときに起こりやすい病気です。 このように半月板損傷の原因としては、一般的に「スポーツ障害」で見られることもありますが、「加齢」によって起こることもあり、スポーツをしない人でも日常生活の中で半月板損傷を起こすリスクがあります。 半月板損傷の原因 ・スポーツ障害で見られる(競技における膝への衝撃) ・加齢によって半月板がもろくなる(日常生活での膝への衝撃) 実際、膝が痛いな・・・と思っていたら半月板損傷だった!いう人もおられます。今回は、そんな半月板損傷の原因から治療法、ご注意頂きたいことについてお話します。 半月板損傷は、一度発症すると自然に治ることはありません。 そればかりか放置すると重症化し、変形性膝関節症にも進行しかねず、最終的に人工関節という結果にもつながりかねない注意が必要な病気です。そこで、半月板損傷を放置することなく治療し、進行する前に早く治していただくためにも、その症状や痛みの原因、治療法について記載させていただくことにしました。 半月板とは 半月板は、膝関節に存在し、太もも側の大腿骨と、すね側の脛骨の間に存在する軟骨でできた板です。アルファベットのC 型という特徴的な形状をしていて膝関節の内側と外側に1つずつ存在します。 半月板の周囲には、軟骨や靭帯、腱といった膝関節を構成する組織があり、半月板は、それらを安定させる役割を果たしています。それ以外にも半月板は膝関節のクッションとして役立っており、膝に対する荷重や、衝撃などの負荷を軽減したり、膝の動きを滑らかにしたりと、足の動きに関して非常に重要な働きを担っています。 このように半月板は、膝を構成する大切なパーツなのですが、急激な衝撃や動作を行ったり、過度な負荷が掛かることで損傷することがあります。 これが半月板損傷と言われるもので次で詳しく解説します。 https://youtu.be/qH46jDFK9Mc?si=hBwHXPr4IxFpdBZ8 半月板損傷の症状について 人は歩くだけでも体重の5倍もの負担が膝関節に掛かっていると言われています。そんな荷重を受け止めている半月板ですが、強い衝撃や突然の負荷によって傷ついてしまうことがあり、これが半月板損傷といわれるものです。 半月板は一度損傷すると自然に元の状態に戻ることはほとんど無いため、放置せず治療が必要です。半月板は膝関節のクッションの役割を担っているため損傷するとクッション性が無くなり、歩くときに痛むようになります。 また、それ以外にも膝の引っかかり感や、動かすと音が鳴ったり、膝の腫れ、関節がずれるような感覚、また嚙み合っていないような違和感を感じることがあります。 また、断裂した半月板が膝関節に挟まるこで急に膝の曲げ伸ばしができなくなる(ロッキング)こともあり、そうなると膝の動きにも支障が生じます。 半月板損傷|症状の一例 ・膝の痛み ・膝の動きに引っかかり感 ・膝を動かすと音がなる ・膝の腫れ ・膝関節がズレるような感覚 ・膝関節が嚙み合っていないような感覚 ・膝の違和感 ・膝の曲げ伸ばしに制限がかかる 半月板損傷で膝に痛みが起こる原因 半月板損傷が起こると、痛みが起こるのですが実は痛みが発生しているのは半月板ではありません。痛みの原因は、大きくわけて「筋収縮」と「炎症」によるものです。 半月板損傷の痛みの原因:筋収縮 ・半月板損傷を引き起こす強い衝撃や、負荷が掛かると、周辺の腱や靭帯にも同時に強い負荷がかかります。 ・この負荷や衝撃から関節を守るために筋肉に力が入ることになります(筋肉が収縮し、筋肉を傷める) ・これらは組織を守るために身体が起こす防御反応で痛みの原因となります。 半月板損傷の痛みの原因:炎症 ・半月板が損傷すると傷ついた組織を修復しようと体が反応する。 ・修復するための反応が炎症で、痛みの原因になります。 ・膝に炎症が起こると、膝が腫れたり、水が溜まったりすることがあります。 注意!半月板損傷は、変形性ひざ関節症に進行(重症化)する危険 半月板損傷により、半月板としての機能が損なわれて時間が経過すると、その間に軟骨に大きな負担がかります。 注意すべきは、この軟骨のすり減りが原因として「変形性膝関節症」を発症してしまう可能性があることです。 そのため半月板損傷が発症した場合には、放置することなく治療を行い、膝を正常な状態に回復させることが大切になります。「半月板損傷」を放置し、「変形性膝関節症」に移行すると、さらに重篤な症状へとつながり、更には「人工関節」という可能性すらありえます。 半月板損傷を発症したら早めに治すために行動を起こしましょう。ついては、病院、医療機関の整形外科等で診断を受け、「早期に治療」を始めることが大切です。 半月板損傷の治療 半月板損傷の治療は「保存療法」か、「手術療法」がメインとなります。保存療法は、リハビリをメインに行い、膝に水が溜まる場合には、水を抜いて潤滑性と抗炎症作用を期待できるヒアルロン注射を行います。 痛みに対しては、薬物を用いた痛み止めを使用することになります。また、抗炎症剤を用いて炎症を鎮めることもあります。炎症が原因で痛みが出ている場合は、炎症が収まれば痛みも落ち着いてくることが多いからです。 それでも痛みが強くなる「ロッキング(膝が動かない)」の状態になると手術療法の検討が必要となります。 手術療法は、「半月板を縫い合わせる縫合術」と、「断裂した半月板を取り除く切除術」があります。ただ、手術を行った場合でも。将来的に変形性ひざ関節症を発症するリスクがあり、リハビリなどの保存療法は欠かせません。 半月板損傷の手術 ・断裂した半月板を縫い合わせる手術:縫合術 ・断裂した半月板を取り除く手術法:切除術 手術をするとなれば入院も必要となり、中には手術自体が不安という方もいることでしょう。 また、スポーツをされている方は復帰までに時間がかかることを覚悟しなければならず選手生命を絶たれる可能性すらあります。 ※ 注目の「再生医療」という治療法 これまで半月板損傷の根本的治療には手術という選択肢が主でしたが「手術をしない」、「入院もしない」で治療できる新たな方法が注目されています。それが最先端の医療で「再生医療」という選択肢です。 これは自身の脂肪から採取・抽出し培養で増やした肝細胞を膝に直接注射するという方法です。幹細胞が傷ついた半月板を修復し、痛みや炎症を抑える効果が期待できます。 自分自身の脂肪から培養する幹細胞であるため、アレルギーなどの心配も不要、この方法なら患者さんの体に負担が少なく、外科的な手術に比べて治癒までの期間が短く済むなどのメリットもあります。 特にスポーツ選手にとっては手術を避けることができるため、大切な体にメスを入れないで済むこと、入院が不要なため患部以外の痛めていない部分の筋力を落とさないで済みます。 https://www.youtube.com/watch?v=1Ef096EWPWs 再生医療 ・手術を避けることができる ・入院が不要となる 再生医療での半月板損傷の治療(参考) まとめ・半月板損傷は放置禁止|進行で重症化の恐れ!その症状と治療法 今回は、半月板損傷は治療しなければ治らないということ。そして、放置して自然に治ることは無いこと。放置することの危険性について簡単にご説明いたしました。 半月板損傷を早く治すには、膝の違和感を感じた時点で放置しないこと早期に治療に取り組みましょう。半月板損傷の痛みの原因は、損傷したときの衝撃による筋収縮や、炎症です。 その治療については、保存療法やリハビリ、そして手術があります。損傷した半月板を縫い合わせたり、半月板を取り除く方法があります。 そして、新たな可能性として注目を集めている再生医療という方法もご紹介いたしました。損傷した半月板の修復も期待できる治療法です。 膝に違和感や痛みを感じた際には、早く治すためにも整形外科等、専門の医療機関を受診されることをおススメしました。以上、半月板損傷は自然には治らない、その症状と治療法について記しました。 本記事が参考になれば幸いです。 No.S039 監修:医師 加藤 秀一 ▼ 半月板損傷を再生医療で治療する 再生医療なら半月板損傷は、手術せずに改善できます ▼こちらもあわせてご覧ください 半月板損傷の手術についてメリット、デメリット
最終更新日:2024.08.30 -
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変形性膝関節症の進行を予防!膝の負担を減らす効果的な運動と注意点 ご存知でしょうか?膝の痛みに悩まれている方は非常に多い事実を!特に中高年以降の女性に頻発する疾患が「変形性膝関節症」です。 変形性膝関節症は、年齢とともに罹患率が高まり、潜在的なものを含めると国内だけで3000万人もの患者がいるとされています。実に日本国民の四分の一もの数になります。 変形性膝関節症になると、膝に痛みを感じるだけでなく、進行し、末期になると手術をせざるを得なくなる場合もあります。 そんな変形性膝関節症が発症する主な原因は、「軟骨のすり減り」です。軟骨がすり減る要因には、「加齢・外傷・肥満・遺伝」などのほか、普段から何げなくしている「膝に負担のかかりやすい姿勢や動作」などもその原因となりえます。 この記事では、膝関節の構造、変形性膝関節症を予防するための方法、気を付けるべきことを紹介してまいります。 膝関節の構造 変形性膝関節症を予防するために、まずは膝関節の構造を理解することが大切です。 膝関節は、太ももの大腿骨・すねの脛骨・膝のお皿の膝蓋骨からなる関節です。それぞれの骨には関節軟骨が覆われているほか、大腿骨と脛骨の隙間には内側・外側に合計2枚の半月板が存在します。 関節軟骨と半月板の両者を合わせて、「膝の軟骨」と言います。膝の軟骨の役割は、滑らかに膝を動かし、立つ・座る・歩くなどの動作で膝にかかる衝撃を分散させて膝を守ることです。 膝関節の主体となる運動は、膝を曲げ伸ばしする屈伸運動です。ほかに、わずかな回旋(まわす)運動がありますが、曲げすぎや伸ばしすぎ、急な回旋運動では軟骨に大きな負担になるのです。 膝に負担がかかる動作の積み重ねが、関節軟骨の弾力性を徐々に失われていき、変形性膝関節症を発症させるきっかけになります。 膝に負荷がかかる姿勢や動作 膝に負担が掛かる動作としては、以下のようなものがります。 ・正座など深く膝を曲げてしゃがむ ・両脚を横に投げ出して座る(横座り) ・あぐらをかく ・歩いたり、走ったりするときの急な方向転換 膝の関節を安定させている組織に、大腿四頭筋・ハムストリングスといった筋肉があります。膝周囲の筋肉が働くことにより、膝の曲げ伸ばしなどの動作を安定して行えます。 これら膝の周囲の筋肉が弱ることでも、膝の安定性は低下し、結果的に軟骨への負担が上がります。つまり、変形性膝関節症を予防するには、膝に負担がかからないよう工夫をし、同時に筋肉を鍛えることが大切なのです。 変形性膝関節症の進行を予防する方法 変形性膝関節症を予防するには、膝関節への負荷を下げて、膝の安定性を高めると良いです。具体的には、日常生活の見直しやダイエット・筋力トレーニングを実施します。それぞれについて解説していきます。 生活習慣の見直し 膝に負担がかからない過ごし方をします。膝の負担を減らすには、椅子とテーブルを用いた洋式の生活スタイルへ変更することがおすすめです。 和式のように地べた生活では、どうしても頻繁に膝が曲げ伸ばしされるほか、膝が深く曲がる正座、あぐらや脚を横に投げ出す座り方といった膝の負担になる動作が多くなります。また、布団で寝ると地面から立ち上がる時に膝への負担になるため、ベッドへの変更も効果的です。 ダイエット 体重が重いほど膝に負担がかかります。普通に歩くだけでも体重の2〜3倍の負荷がかかり、走ると3〜5倍もの負荷がかかることため、体重が重たいほど膝への負担も増します。 肥満傾向の方は、ダイエットに取り組み膝への負担を軽減させましょう。 筋力トレーニングや体操 関節の安定性を向上させ、膝への負担を軽減させます。また、変形性膝関節症につながる半月板損傷といった外傷を防止します。 いざ変形性膝関節症になると、膝の痛みをかばって運動療法ができないケースがあります。そうなると筋力や関節の可動域は低下し、さらに膝への負担があがるため、余計に痛みが悪化します。 痛みがないうちから筋力トレーニングや可動域訓練に取り組み、関節の安定性や柔軟性を高めることが大切です。 変形性膝関節症の予防に効果的な運動 大腿四頭筋を鍛える ① 椅子に座ります ② 片側の膝を伸ばします ③ 5〜10秒そのまま保持します ④ 反対側も同様に行います 膝の可動域を保つ ① お風呂で両脚を伸ばします ② 片側の太ももを抱えながら、かかとを引き寄せ膝を曲げます ③ かかとを滑らせて、できる限りかかとを伸ばします どちらの体操も、無理なく痛みの出ない範囲で行いましょう。 運動を行う上で気を付けたいこと 筋力トレーニングやダイエットを実施し、膝にかかる負荷を軽減することは予防に効果的ですが、無理に行うことで悪化してしまうこともあります。 無理なく自分のペースで行うことが大切です。以下のことに気を付けながら取り組みましょう。 無理なく継続できる負荷の設定 筋力トレーニングは、月に一回ほどの運動頻度では思ったような効果は期待できません。また、運動に慣れていないのに高い負荷を体に課すと、膝を痛めてしまったり、運動後の疲労が抜けず、休息に時間を取られてしまったりと、筋力はつきにくいでしょう。 予防のために実施する筋力トレーニングで、大切なのは継続です。運動の負荷は、無理なく継続できる程度の負荷に設定しましょう。 トレーニング中は呼吸を止めない 運動時は呼吸を止めて行うと、血圧が上昇し、体への負担になります。呼吸を止めた方が力は入るような感じがしても、くれぐれも呼吸は止めず実施しましょう。 膝の痛みや違和感|医療機関を受診する 変形性膝関節症の初期には、立ち上がりや歩きはじめに膝に痛みや違和感を覚えます。 しかし、しばらくすると痛みはなじんでくることが多いため、痛みが治まったからと言って安心はできません。異変があれば迷わず病院で診てもらいましょう。 まとめ・変形性膝関節症の進行を予防!膝の負担を減らす効果的な運動と注意点 変形性膝関節症になると、これまで当たり前にできていたことができなくなります。変形が進行すると、膝の手術がすすめられますが、体への負担になることから決断することは難しいはずです。 たとえ、手術をせずに運動療法などの保存療法に取り組んだとしても、痛みが悪化すれば満足に運動が継続できず、ますます身体機能が低下します。やがては外出するのも億劫になり、寝たきり生活を余儀なくされる場合があります。 これまで通りの生活を続けるには、変形性膝関節症にならないように予防が重要です。変形性膝関節症を予防するには、膝への負担を避けながら、筋力トレーニングで関節を安定させるように、バランスの取れた予防に取り組みましょう。 また可動域訓練では、関節を柔らかくし、負担が偏らないようにします。今後の人生を考えて、痛みがないうちから行動を起こすことが将来の健康のためには大切です。 以上、変形性膝関節症の予防法・膝の負担を減らすための工夫についてご説明させていただきました。ご参考していただければ幸いです。 No.043 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療の幹細胞治療で変形性膝関節症を治療 変形性膝関節症の新たな選択肢、手術、入院不要な再生医療で症状の改善を目指す ▼以下もご覧ください 変形性膝関節症の人がしてはいけない仕事とその理由
最終更新日:2024.02.23 -
- 糖尿病
- 内科疾患
糖尿病|食事や運動で進行を遅らせて事実上の完治を目指すには 2017年国民健康・栄養調査によると、男性の18%、女性の11%が「糖尿病」と疑われていることがわかりました。これは男性6人中1人が糖尿病という計算になります。それだけ多くの人が糖尿病に悩まされていることになります。 では、糖尿病は、「治る」のでしょうか? 糖尿病は、一度発症すると医学的に完治することは難しいと言われていますが「食事療法」と「運動療法」で「薬物療法」に頼らずとも健康な人と同等の状態を維持できる可能性があります。 糖尿病と診断され「糖尿病を発症した後に治った人はいるのか」と気になる方に、糖尿病を改善するためにできる治療方法や薬について紹介します。 糖尿病の治療 ・食事療法 ・運動療法 ・薬物療法 糖尿病の症状を改善させて進行を遅らせるために 糖尿病とは、何らかの原因よってインスリンが働かない、あるいは分泌されないことによって高血糖が続いてしまう病気です。 糖尿病に症は成因によって1型と2型に分けられます。1型糖尿病はインスリンを分泌するすい臓のβ細胞が破壊されるため、現代の医学では機能を回復させられる見込みがありません。したがって、インスリン製剤を生涯にわたって投与し続ける必要があります。 一方、生活習慣の悪化などから発症する2型糖尿病なら、β細胞の早期治療に取り組めむことで機能の改善が期待でき、健康な人と同様の生活が送ることが可能になります。 さらに1型、2型のどちらに対しても症状が初期である段階で、医療機関できちんとした治療を行えば合併症の発症を遅らせることが可能になります。 1型糖尿病 ・インスリンを分泌する「すい臓」のβ細胞が破壊される ・現代医学では機能の回復は難しい ・インスリン製剤を継続して投与する必要 2型糖尿病 β細胞の早期治療に取り組めむ 機能の改善が期待でき健常者と同様の生活が可能 ※1型、2型共に初期であるなら医療機関での治療で合併症を遅らせられる可能性がある 体重のコントロールの必要性!肥満の悪循環を知る 糖尿病の寛解を目指す臨床試験「DiRECT」がイギリスで行われ、次のことがわかりました。 食事療法と運動療法をしっかり行い、体重をコントロールすることで2型糖尿病患者の半数近くは「事実上の完治」を維持できる では、なぜ食事療法と運動療法と体重コントロールだけで、薬物を使わず「事実上の完治」を達成できたのかを解説します。暴飲暴食や運動不足が続くと、全身に脂肪がたまり、肝臓にも脂肪がたまります。脂肪がたまった肝臓は働きが低下します。 肝臓の働きが低下するとインスリンへの体の反応が鈍くなることがわかっています。これを「インスリン抵抗性」といいます。インスリン抵抗性が強まると、体は大量のインスリンを必要とするようになります。 すると、すい臓は「フル稼働」でインスリンをつくろうとするので、次第に疲弊してインスリンの分泌に支障をきたすようになります。インスリンの分泌が減ると、さらに肝臓に脂肪がたまるので、インスリン抵抗性がさらに強まることになります。 この悪循環を断ち切るには、食生活と運動不足を改善し、脂肪がたまらないように肥満を解消する必要があるのです。 糖尿病の悪循環(断ち切ること) ・暴飲暴食、運動不足で全身に脂肪がたまる ・肝臓に脂肪がたまり、肝臓の働きが低下 ・インスリン抵抗性が発生:インスリンへの体の反応が鈍くなる ・インスリン抵抗性が強まる:大量のインスリンが必要となる ・すい臓が「フル稼働」でインスリンをつくる ・疲弊し、インスリンの分泌に支障をきたす ・インスリンの分泌が減ると、さらに肝臓に脂肪がたまる ・インスリン抵抗性がさらに強まる>ますます悪化 糖尿病の悪循環を断ち切るには肥満の解消が必要 2型糖尿病の症状は、上記の悪循環を断ち切ることが必要性をご理解いただいたでしょうか。 悪循環のメカニズムを知れば、「体重コントロール(脂肪を減らす)」によって症状を緩和できることが理解できると思います。体重コントロールとは、標準体重(身長(m)×身長(m)×22)に近づけることです。 糖尿病の場合、標準体重と比べて、やせている人より、太っている人のほうが問題になるため、肥満の解消が課題になります。そして標準体重がわかったら、次に適正なエネルギー摂取量を求め、それ以上に食べすぎないようすることが大切です。 栄養バランスを考えたり、運動や睡眠の改善も重要です。では、具体的にどのような方法で肥満を解消(ダイエット)すれば良いのかみていきます。 脂肪は、食事量のコントロールで減らす ダイエットの原則は「入りを減らして」「出を増やす」ことです。まずは食べる量を減らして、入りを減らすようにしましょう。具体的には次のような方法で食事量(摂取エネルギー)を減らしましょう。 糖尿病患者の理想の食生活ポイント ・糖質やカロリーの低い食事を摂る ・1日3食、規則正しい時間に摂る ・1日の活動量に合わせた適正なエネルギー量の食事をする ・栄養バランスの取れた食事をする 食事量が多い人は、食事量を適正エネルギー量に調整しましょう。 1日の適正エネルギー量は、人によって異なり、「標準体重×身体活動量」で算出できます。 標準体重と身体活動量 ・標準体重=身長(m)×身長(m)×22 ・身体活動量 軽い労作(デスクワークが多い)25~30kcal/kg 普通の労作(立ち仕事が多い)30~35kcal/kg 重い労作(力仕事が多い)35~kcal/kg 運動で脂肪を減らし、インスリンを活発化させる 体重を管理し、「入りを減らす」ことができたら、次は「出を増やす」ことに取り組みましょう。 運動でを行うことで脂肪を燃焼させれば体内の脂肪を減らすことができます。 また、運動にはインスリンの働きを良くする効果があるとされているので、その意味でも糖尿病患者の方は運動に取り組む必要があります。おすすめしたい運動は、ウォーキングやジョギング、水泳やサイクリングなどの有酸素運動と、スクワットや腹筋、ダンベル体操などの筋肉トレーニングです。 運動の重要性 ・運動:脂肪を燃焼させ、脂肪量を減らす ・運動:インスリンの働きが活発化 ・運動:1回あたり20~60分、週3~5回が理想 睡眠でストレスを軽減させる 食事、運動による肥満解消と併せて、睡眠を十分にとることが重要です。睡眠によってストレスを解消することが大切です。睡眠不足が続くと、空腹時の血糖値が上昇し、インスリンの分泌が減ることがわかっています。。これは、ストレスが加わると血糖値を上昇させるホルモンが分泌されるためです。 糖尿病を改善したいなら、7~8時間は睡眠時間を確保したいところです。 それ以外にも趣味を持つことや、旅行など、自分に合った方法を取り入れて、ストレスの解消に努めましょう。 ストレスの改善を目指す ・睡眠不足:血糖値が上昇、インスリンの分泌が減少する ・ストレス:血糖値を上昇させるホルモンを分泌させる それでも難しければ薬物療法があります ここまで、食事療法と運動療法や生活習慣の重要性について解説してきました。これらの対処を行っても糖尿病の症状が改善しない場合は薬物療法に移行せねばなりません。 糖尿病は、空腹時血糖値以外に、HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)など、さまざまな指標を用いて判断します。HbA1c(%)は「糖が結合したヘモグロビン量÷すべてのヘモグロビン量」で算出します。ヘモグロビンは赤血球内にあるたんぱく質のことをいい、細胞に酸素を送る働きを担っています。 つまり、HbA1cが高いと血中内の糖が多いということになります。以下の薬は血中内の糖を減らす効果を有するので、これらを服用・投与することでHbA1cの低下が期待できるのです。 薬物療法|HbA1cを減少させるための薬 ・DPP-4阻害薬 ・スルホニル尿素(SU)薬 ・速攻型インスリン分泌促進薬(グリニド薬) ・ビグアナイド薬 ・チアゾリジン薬 ・α-グルコシダーゼ阻害薬 ・SGLT2阻害薬 まとめ・糖尿病|食事や運動で進行を遅らせ事実上の完治を目指すには 「糖尿病は、一度発症すると完治しない」と、よく言われています。しかしイギリスの臨床試験では「生活習慣を改善することで事実上の完治」まで持っていくことが可能であることが示されているのです。 食事療法や運動療法を通じて症状を改善し、進行を遅らせることが可能です。特に2型糖尿病では、肥満や不健康な生活習慣が悪循環を生み出し、症状を悪化させることがあります。 この悪循環を断ち切るためには、食事のタイミングや、量をコントロールして、更に運動を行うことで脂肪を減少させることに取り組むことが重要です。 また、ストレスは血糖値を上昇させてしまうため、睡眠や適度な運動、趣味や旅行などストレスを溜めない習慣を持つことも大切です。 薬物療法でも症状の改善が期待できますが、できる限り生活習慣の見直しを行い、けして諦めることなく、糖尿病の改善に努めましょう。 以上、2型糖尿病の完治は困難であっても食事や運動を行い、ストレスを開放することができれば進行を遅らせ、事実上の完治を目指すことが可能であることをご説明いたしました。 実行にあたっては医師の指導を受けながら、病状の管理に取り組むことが重要です。 以上、参考にしていただければ幸いです。 監修:院長 坂本貞範 ▼糖尿病|最新の「幹細胞治療」は、以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目されています ▼よろしければ以下もご覧ください 糖尿病患者数の推移と地域差、患者を増やさないためにできること
最終更新日:2024.04.30 -
- 糖尿病
- 内科疾患
糖尿病に地域差!多い県と少ない県から分かる患者にならないためにできることを解説します 日本において糖尿病は、国民病などと不名誉な呼ばれ方をされていますが、日本以外の国はどうなのでしょうか。また、国内でも糖尿病を発症しやすい地域や発症しにくい地域はあるのでしょうか。 この記事では、日本と世界での糖尿病患者数の推移や特徴、日本国内での糖尿病発症率の地域差について解説します。 糖尿病の患者数の推移 米国の疾病対策予防センターは、2015年時点で米国の人口の約9%(3,030万人)が糖尿病、34%(8,410万人)が糖尿病予備群と報じています。しかし、糖尿病の有病者において約23.8%(720万人)は糖尿病と診断されているわけではないことも報じています。 これは糖尿病有病者の約4人に1人が「自分は糖尿病である」ということを知らないということになります。また糖尿病予備群(糖尿病前症や前糖尿病ともいう)の人は88%が糖尿病のことを知らず、自分の健康状態を理解していないことが浮き彫りになりました。 そこで糖尿病患者数の推移を世界と日本に分けて以下の項目ごとに説明していきます。 1)世界の糖尿病の患者数の推移 2)日本の糖尿病の患者数の推移 3)糖尿病の患者数として数えられていない予備群 1)世界の糖尿病の患者数の推移 2016年4月の世界保健機関(WHO)の発表によると、2014年までに世界の糖尿病の有病者人口は4億2,200万人に達したことがわかっています。このまま対策を取らない場合、2025年までに世界の糖尿病有病者人口は7億人以上に増えると予測されています。 4億2,200万人のうち、約2分の1は中国、インド、米国、ブラジル、インドネシアに集中しています。 2)日本の糖尿病の患者数の推移 厚生労働省によると2017年10月時点の日本の糖尿病患者数は328万人を超えていることが報告されています。また、一貫して高齢の糖尿病患者数が増え続けていることもわかっています。 一方、日本を含む西太平洋地域では男性は40~59歳、女性は50~59歳で糖尿病と関連する原因による死亡率が高くなっています。 3)糖尿病の患者数として数えられていない予備群も多数 厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、糖尿病が強く疑われる成人患者の数は2016年時点で推計1,000万人を超えたことがわかりました。これは2012年の前回調査よりも50万人増えていることになります。 また、日本透析学会によると1983年に5万3,017人だった透析患者数が2016年には32万9,609人にまで増加しており、原因疾患の約4割が糖尿病性腎症であることがわかっています。 地域別、糖尿病の患者数 糖尿病は地域によって患者数に差があることをご存知でしょうか。日本の場合、厚生労働省の「2016年人口動態統計月報年報」によると、人口10万人に対して糖尿病による死亡率が最も高いのは青森県、最も低いのは愛知県ということがわかっています。 日本や世界の地域による糖尿病患者数について以下の項目にわけて見ていきます。 1)患者数が地域 2)地域の特色 3)国別 1)糖尿病の患者が多い県 前述の厚生労働省のデータによると、日本国内で糖尿病患者数が多い都道府県は以下となります。 糖尿病患者数が多い県 ・青森県 ・秋田県 ・福島県 ・香川県 ・徳島県 糖尿病死亡率の高い都道府県には青森や秋田など雪国が多いことがわかります。これは雪国という土地柄ゆえに生じる運動不足や健康診断の受診率の低さなどが原因として考えられます。 反対に、全都道府県のうち糖尿病死亡率が最も低かったのは、愛知県で7.7人でした。 愛知県では糖尿病指導者の養成に乗り出しており、糖尿病の発症リスクの高い人に対して早期発見や適切な保健指導が行えるような仕組みづくりを進めています。 糖尿病の患者数が最も少ない県 ・愛知県 2)地域の特色と糖尿病の関係 日本国内では、都道府県や地域によって野菜や食塩の摂取量など食文化にも差があります。このような食文化の違いも糖尿病の患者数の違いと関係していると考えられています。 例えば、成人の一日の平均野菜摂取量(g)は男女ともに長野県が最も多く、野菜摂取量の少ない徳島県や香川県と比較して100g以上の差があることがわかっています。 一方、食塩の一日の平均摂取量(g)は男女とも山形県が最も多く、食塩摂取量の最も少ない沖縄県と比較して3g以上の差があることがわかります。 3)国別の糖尿病の患者数 IDE(International Diabetes Federation/国際糖尿病連合)によると、2017年時点での成人(20〜79歳)における世界の糖尿病人口は約4億2,500万人にのぼることがわかりました。これは世界の成人人口の約8.8%が糖尿病であるという結果になります。 特に糖尿病患者数の多い国は以下となります ・中国 ・インド ・米国 ・ブラジル これらの国では、経済発展が進んだことによる食生活の欧米化や予防医療という概念が定着していないことなどが糖尿病の患者数が多い原因と考えられています。 糖尿病の患者数を増やさないために 平成23年、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部の第11回医療情報化に関するタスクフォースにおいて、厚生労働省健康局総務課生活習慣対策室は「厚生労働省における生活習慣病対策について」という資料を作成し、国民の健康寿命の延伸を実現するための基本方針を示しています。 また、世界規模においても糖尿病患者数を増やさないためのさまざまな取り組みが行われています。 糖尿病などの生活習慣病患者数を増やさないための動き 「厚生労働省における生活習慣病対策について」のなかで、厚生労働省は「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)の推進について」「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針について」に基づき、健康寿命の延伸を実現するための基本方針として以下の項目を挙げています。 糖尿病など生活習慣病を増やさないための基本方針 ・一次予防の重視 ・健康づくり支援のための環境整備 ・目標等の設定と評価 ・多様な関係者による連携のとれた効果的な運動の推進 これらの基本方針に対して以下の9分野で70項目の具体的な目標設定を行っています。糖尿病を増やさないため、例えば、「栄養・食生活」分野では「野菜の1日当たり平均摂取量350g以上」「身体活動・運動」分野では「日常生活における歩数(男性)9,200歩以上」といったものがあります。 糖尿病など生活習慣病を増やさないための目標項目 1.栄養・食生 2.身体活動、運動 3.休養、こころの健康づくり 4.たばこ 5.アルコール 6.歯の健康 7.糖尿病 8.循環器病(脳卒中を含む) 9.がん 糖尿病の患者数を増やさないため、WHOの動き 1948年に始まった世界保健機関(WHO)による世界保健総会では、1950年から毎年4月7日を「世界保健デー」として定めており、2016年には世界保健デーのテーマに糖尿病が選ばれています。 これに際し、国際糖尿病連合(IDF)理事長のショウカト セイデコット氏は「糖尿病がもたらす問題が世界でより深刻になっている」と述べ、糖尿病のスクリーニング検査の必要性を強く訴えています。 まとめ・糖尿病が多い県と少ない県!発症に地域差!患者を増やさないためにできること 糖尿病患者数の推移や日本国内外の地域による糖尿病発症率の特徴や対策について見てきました。国や地域によって、食生活の欧米化や検診率に差があり、それによって糖尿病の患者数も変わる傾向があります。 糖尿病は早い段階で発見し、治療に取り組むことができれば健康な人と変わらない生活を送ることができる病気です。 糖尿病の患者数の多い地域に住んでいたとしても、早い段階で食習慣を改善し、積極的に検診を受けることを心がければ、糖尿病を予防し、進行を遅らせることにつながります。 以上、糖尿病が多い県や国、発症に地域差がああること。患者を増やさないためにできることについて記してまいりました。 参考にしていただけると幸いです。 No.S038 監修:医師 加藤 秀一 ▼糖尿病|最新の幹細胞治療は以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目されています ▼以下もご覧ください 妊娠糖尿病|その治療法や、出産への影響について
最終更新日:2024.07.11 -
- ひざ関節
- 下肢(足の障害)
- 膝の慢性障害
- スポーツ外傷
膝の痛みを起こすスポーツで起こるの慢性障害3つの要因と4つの症状について 走ったり、ジャンプをするなどのスポーツ、運動をすると、膝に力が加わり続け、靭帯や腱の組織が損傷したり炎症を起こして、膝に痛みなどの障害を引き起こす場合があります。 これは、いわゆるスポーツ障害の一種で「膝の慢性障害」です。これは、運動による膝の使い過ぎが原因であり、スポーツによる「使い過ぎ症候群」とも言われています。そこで今回は、膝の使い過ぎにより発症するスポーツ障害のうち「膝の慢性障害」とその症状について、詳しく解説します。 膝の使いすぎによるスポーツ障害「膝の慢性障害を起こす3大要因」とは ① 身体要因 1つ目は、筋力不足や筋肉のアンバランス、体の柔軟性の不足など、体自体の発達具合に起因する身体要因です。 ② 環境要因 2つ目は、合わない靴を履いている、地面が固すぎたり柔らかすぎたりして膝に負担がかかるなどの環境要因です。 ③ トレーニング要因 3つ目は、過度な運動量、技量や体力に合わない運動をするなど、自分に合わないトレーニングやスポーツを行うことに起因するトレーニング要因です。 これらの要因が発生している状況で、膝の靭帯や腱に骨が付着する部分や、靭帯が骨の上を通る部分に繰り返し負荷がかかり続けると、付着部分や重なっている部分に摩擦が起き、損傷や炎症が生じて痛みを感じるようになります。 軽度な症状であれば、運動中や運動後に痛みを感じることもありますが、トレーニングやプレーは通常通りできるため、大きな影響はありません。しかし、進行すると運動中に常に痛むようになり、支障をきたすようになります。 さらに重症化してくると、運動が出来なくなったり、靭帯や腱の断裂を引き起こし、日常生活に支障が出るなど、スポーツによる膝の慢性障害を発症してしまいます。 スポーツ障害|膝への代表的な症状で4つの慢性障害とは 前述した要因により引き起こされる、スポーツによる膝の慢性障害の代表的な症状としては、以下の4つが挙げられます。 スポーツで起こる膝の慢性障害 ①鵞足炎 ②大腿四頭筋腱付着部炎 ③膝蓋腱炎 ④腸脛靭帯炎 これら4つの症状は、ひざ関節の外側や内部で生じるものですが、特定の動きにより発症しやすくなります。 ①鵞足炎の症状と原因 「鵞足」とは、ひざを曲げる筋肉や腱が付着する骨の部位をさしますが、ランニング動作などの、足を後ろに蹴り出す動作を繰り返したり、急に方向転換をする動きを繰り返すことで、鵞足がすれて炎症し痛みが出るようになります。 ②大腿四頭筋腱付着部炎の症状と原因 膝の関節の外側が炎症することで症状が出ますが、バレーボールやバスケットボールなどのジャンプ動作やサッカーボールを蹴る動作、ジョギングなどの走る動作を繰り返したことにより発症します。 ③膝蓋腱炎の症状と原因 膝蓋骨という通称「膝の皿」と言われる部分の下部からすぐ下の靭帯にかけて痛みが出るもので、バレーボールやバスケットボールなどのジャンプ動作を繰り返すと発症しやすくなります。 ④腸脛靭帯炎の症状と原因 膝の外側を通る腸脛靭帯が、長距離ランニングなど、長時間の膝の屈伸運動により、炎症を起こして発症します。 以上のように、ジャンプをしたり、足を蹴り出したり、長時間動かし続けることで、各動作で使われる膝の周りの靭帯や腱と骨の付着部分に摩擦が生じて炎症を起こし、痛みが生じるようになります。 スポーツによる膝の慢性障害への対処法 スポーツによる膝の痛みなどの慢性障害の対処法としては、まず症状が出るのを予防すること、そして、発症してしまった症状を改善することが重要となってきます。そして、予防をするためには自己対処がとても大切です。 痛みに対して鎮痛剤を投与したり、装具療法や、時に手術が必要になるなど、各個人で症状や対処法は異なりますので、お近くの整形外科での診察を受け、個々の症状に応じた診断と適切な治療やアドバイスを受けるようにしてください。 ストレッチを行う 体の柔軟性を高めるために、運動開始前に十分にストレッチを行ってください。ストレッチを行うことにより、運動前に体の筋を十分伸縮させ筋肉の緊張をほぐすことで、運動による膝への衝撃を和らげることができます。 アイシングを行う 運動後に、急性炎症を抑えるために、氷や水などで膝を局所的に冷やすアイシングを15分程度行うのも効果的です。 その他 もしスポーツによる膝の慢性障害を発症してしまったら、無理をしないように休憩を適度にとったり、トレーニングメニューを強度の低いものに変更するなど、まずはご自身で調整しましょう。 症状が重い場合は、リハビリテーションを含む専門知識や技術が必要となる場合があります。 まとめ・膝の痛みを起こすスポーツで起こる慢性障害3つの要因と4つの症状 健康を意識する方が増え、運動を継続的に行ったり、趣味で競技スポーツを行う方が年々増加傾向にあります。 適度な運動を体に無理がかからない範囲で行うのは良いですが、過度な運動をしたり、合わない靴を履いての運動などをすることで、気づかないうちに膝に負担をかけ続けていると、スポーツによる膝の慢性障害を発症する確率が高くなります。 また、我慢できる程度の痛みだからと、準備運動のためのストレッチや運動後のケアを怠ったり、トレーニングメニューの調整をしないと、症状が悪化し日常生活に支障が出る場合があります。 スポーツによる膝の慢性障害は症状が進行すると、自然治癒することが難しく手術が必要になることもありますので、無理な運動をせず、日頃のコンディショニングをしっかりと行いつつ、トレーニングをするようにしてください。 以上、膝の痛みを引き起こすスポーツ上の慢性障害について解説させていただきました。参考になれば幸いです。 No.S037 監修:医師 加藤 秀一 ▼以下も参考にしてください 膝の病気|膝から下が痛い、重い、だるい!症状から考えられる病気と治療法
最終更新日:2024.04.08 -
- 手部
- 手部、その他疾患
TFCC損傷は、どこに、どんな痛みが出るのか 「手首が痛い!」というとき、それは捻挫かもしれないし、腱鞘炎かもしれません。 転倒した際、手をついたり、その後に痛みが出れば「捻挫」かもしれない?と思うかもしれませんし、手首を酷使するような仕事やスポーツをした後なら「腱鞘炎」を疑うかもしれません。 しかし、実際に病院に行ってみたところ「TFCC損傷」だと診断されることがあります。ただ、多くの場合、TFCC損傷と言われても聞きなれない言葉で、どんな症状か不明なことが多いと思います。 そこで今回は「TFCC損傷について」どんな痛みが、どんな時に起こるのか解説してみたいと思います。また、併せてTFCC損傷の治療法についてもご紹介しましょう。 TFCC損傷は、「小指側の手首の付け根の部分」に痛みが出ます。ただし、安静にしているときは傷みません。 こんな動作をすると痛む ・手首の小指側を押したら痛い ・手首を外にひねると痛い ・手首をつくと痛い ・手首を小指側に曲げると痛い 日常生活の中で傷む場面 ・ドアノブやドアの鍵を回す ・タオルを絞る ・蛇口をひねる また、痛みを感じる場面としては調理時、フライパンや、水の入ったヤカンや鍋などの重みのあるモノを持つと痛みを感じます。スポーツではテニスのラケットを握ったときなどに痛みが出ます。 TFCC損傷の診断は難しい 実は、TFCCは骨の損傷ではないのでレントゲン写真では異常が見られず、捻挫として診断されてしまうことが多くあります。しかし、上記で紹介したような動作をしたときに痛みが出たり、痛みが長引いたりするようであれば、TFCC損傷の可能性があります。 そんな意味でも上で示したような痛みの部位と、痛みが出る動作を覚えておき、専門の医療機関を受診すると共に、その旨を伝えて正しい診断を得るようにしてください。 尚、TFCC損傷の診断は、触診、MIR検査や関節造影などを用いて行われます。 TFCC損傷の治療法 TFCC損傷の治療法は、安静を保つ保存療法が一般的で、保存療法では改善が見られない場合は手術を選択することもあります。しかし、TFCC損傷は完治が難しいです。 そこで紹介したいのが、体の自然治癒力を生かして完治を目指す「再生医療」という治療法です。 TFCC損傷の治療に効果的な再生医療「PRP療法」とは? 血液の中には多くの成長因子をもつ血小板が存在し、血小板は、損傷を受けた部位を修復する機能を持っています。 患者さん自身の血液から血小板を取り出し濃縮し、濃縮されることによって修復能力が増幅した血小板を損傷個所に注入し、修復するのがPRP療法です。 プロ野球選手の肘の治療にも使われるなど、スポーツ医療の分野で注目を集め、話題になっています。「慢性化した痛みがある」「早くスポーツに復帰したい」「薬剤アレルギーがある」などに当てはまる方にはおすすめの治療法です。 まとめ/TFCC損傷は、どこに、どんな痛みが出るのか TFCC損傷は、安静時に痛みは出ず、手首の小指側にひねると痛みが出ることが特徴です。 痛みは、大きなストレスになりますし、日常生活や仕事に影響が出ることもあります。早く治すためにも自分に合った最善の治療法を選ぶことが必要です。近年、話題になっている再生医療による治療も、選択肢の1つとして検討してみてはいかがでしょうか。 以上、TFCC損傷は、どこに、どんな痛みが出るのかについて記させて頂きました。参考にしていただけるなら幸いです。 No.S036 監修:医師 加藤 秀一 ▼ PRP治療法・再生医療に関する詳細は以下をご覧下さい TFCC損傷へのPRP(再生医療)治療に関してご説明しています
最終更新日:2023.10.09 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
変形性膝関節症の原因、スポーツから発症するリスクについて説明します 変形性膝関節症は、重症化すると歩行などの動作に支障をきたす厄介な病気です。また、この病気を発症する原因の1つに「運動」が挙げられます。今回は、運動と変形性膝関節症の関係についてまとめました。 膝関節は、私達の日常動作をスムーズにしてくれています。例えば、歩くのはもちろんですし、立ったり座ったり、飛び上がったり踏ん張ったり…これらの動作をするのにも欠かすことができない部分です。 このように膝関節が稼働することで日常生活以外でもスポーツなどではランニングやマラソンといった走る競技はもとより、水泳、野球、バスケットボール、ラクビー、スキー、テニス、ゴルフと数え上げればきりがないほど膝の動きは大切です。 膝のスムーズな曲げ伸ばしや、稼働に重要なのが働きをしているのが膝関節の軟骨です。しかし、この膝関節の軟骨は、年齢を重ねるごとに、すり減ってしまうことを知っておきましょう。 膝関節を酷使するスポーツ(例) ・ランニング、マラソンなどの陸上競技全般 ・野球、バスケットボール、ラクビー、スキー、テニス、ゴルフなどの球技 ・水泳、水球 ・スキー、スノーボード、スケートなどのウインタースポーツ ・その他ス多くのスポーツで膝は使われます 変形性膝関節症|発症リスクが高い注意すべき人 運動やスポーツを頑張りすぎた場合、「膝の軟骨がすり減って変形性膝関節症になる」と聞いたりすると「だったら運動はやめておこう」という極端な人も出てくるかもしれません。ですが健康な体や、正常な関節を維持するためにはある程度の運動は必要で精神的にも体を動かすことは大切です。気を付けたいのは痛みを感じた時の対処法です。 例えば変形性膝関節症は急に症状が進行したり、急に痛くて歩けなくなることは無いからです。この病気の場合は、段階を経て重症化していくため、痛みが出た時に適切な対処法を心がけることが必要です。 運動で発症リスクが高い人 ・今、現役で競技もしくは、日常的にスポーツに取り組んでいる人 ・若い頃、膝に強い負荷がかかるようなスポーツをしていた人、競技スポーツなど日頃から激しい運動をしていた人 ・肥満体型など常に膝に負荷をかけ続けている人(軽いスポーツでも膝への負担が大きい) 変形性膝関節症に気を付けたいスポーツ ・膝に強い負荷が掛かるスポーツ(ウエイトリフティング、登山ほか) ・激しく膝をつかうスポーツ(陸上競技、サッカー、ラグビー、テニス、バスケットボールほか) ・肥満体体形の場合、日常的に膝に大きな負担が掛かっているため、そのようなスポーツでも注意が必要 普段「運動している人」が注意すべきこと 普段から運動する習慣がある人は、多少の痛みを感じても無視してしまいがちな傾向があります。そのため、炎症に気が付かず運動を続けてしまい、症状が悪化する可能性が高いです。 痛みが一晩休めば治まる程度であれば、さほど問題はありませんが、翌日まで続くようであれば、一旦運動をお休みし、安静にしましょう。 休む期間は3日から1週間。休んでいる間に痛みが治まったら運動を再開しても良いですが、以前と同じレベルの運動をいきなり再開するのではなく、痛む前の半分程度の運動から始めると良いでしょう。 休んでも痛みが治まらない、運動を再開したら再度痛みが出たというような場合は、変形性膝関節症の症状が進行している可能性があります。早めに病院を受診してください。 普段「運動しない人」が注意すべきこと 普段ほとんど、或いは全く運動しない人は、急に長時間の運動をする時に注意が必要です。 例えば、登山やハイキングなどで長時間歩くというようなことをすると、急に膝関節に大きな負担がかかるため、軟骨がすり減り炎症が起きる、つまり変形性膝関節症を発症する可能性があります。 急な炎症が起きると、炎症による痛みや膝の腫れ、水がたまるなどの症状が出ることもあります。 もし、運動の最中に痛みを感じたら、それ以上の運動は控えてください。そして安静にしましょう。痛みが長く続くようであれば、早めに医師の診察を受けてくださいね。 変形性膝関節症|注意は必要だが、適度な運動は大切 運動することによって、変形性膝関節症を発症しやすくなるという場合もありますが、適度な運動を無理なく行うことは変形性膝関節症を予防する効果もありますし、健康そのもの維持に役立ちます。 具体的に、「変形性膝関節症を防ぐには、脚に筋力をつけることがポイント」です。筋肉が鍛えられると膝の関節が安定するので、自然と軟骨のすり減りも抑えられるのです。 運動は毎日無理なく続けましょう 運動は無理のない範囲で、そして出来れば毎日行うことが望ましいです。 ウォーキングや軽めのジョギング、水泳なども良いでしょう。運動するのは苦手、外を出歩くのはあまり好きではないという方は、ラジオ体操やスクワット、テレビで放送されるテレビ体操などにチャレンジしてみるのも良いでしょう。 ただし、無理は禁物!運動中に膝が痛み出した場合は、運動を中断し、安静にするよう心掛けてください。 まとめ・変形性膝関節症の原因、スポーツから発症するリスク 変形性膝関節症の発症には、スポーツを通じた運動が関係します。しかし、運動をすることは健康維持のために必要不可欠です。しかも「変形性膝関節症の予防」にも繋がります。 ただ一方、変形性膝関節症は、運動によって発症リスクが高まるという面があり、注意が必要なです。膝関節は日常生活はもちろん、スポーツにおいて重要な役割を果たします。 変形性膝関節症は、軟骨のすり減りが進行することで発症リスクが高まります。日常生活に加えてスポーツで激しい運動を行うと軟骨に悪い影響が出る場合があります。 そこで、スポーツを日常的に行うなどの発症リスクが高い人に注意すべき点、予防方法などについて解説しました。特に、運動を積極的に行っている人は、痛みや違和感を感じた時には適切な対処をすることが重要です。 ただ、病気を注意するために運動やスポーツをしないのはお勧めできません。 運動は無理のない範囲で行うこと、予防する意識を持つことが大切です。 注意しながら取り組みましょう。 ▼ 再生医療が変形性膝関節症の治療を変える 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せずに症状を改善します No.S035 監修:医師 加藤 秀一 ▼以下のご覧になりませんか 変形性膝関節症!痛みが取れない、治らない理由と対処法
最終更新日:2024.04.18 -
- 糖尿病
- 内科疾患
糖尿病|運動してはいけない人と制限付なら可能な人 糖尿病と診断されてしまったらどうしますか? 当然、治したい、その治療に取り組みたいと思って当然です。糖尿病の治療は「食事療法」と「運動療法」という二つの治療方法があります。 どちらにも取り組むべきで、どちらかに偏らないことが大切になります。治療には、どちらも必要ということです。 食事療法は、カロリーを制限する治療法であり、運動療法は、その名の通り、運動を行う治療法です。実は、この運動療法について糖尿病の治療であっても運動をしてはいけないケースがあるのです。 糖尿病の人にこんな話をすると「自分は運動しても良いのだろうか」と不安になることでしょう。 そこで「糖尿病で運動療法を行ってはいけない人」とは、どんな人か、その中でも「制限付きなら可能」という場合もあり、それはどんな人か」について解説しましょう。 糖尿病の運動療法|やってはいけない人 糖尿病治療の基本は先にも記しましたが「食事療法」と「運動療法」です。しかし、運動の種類や強度によっては「血圧を上げるなどのリスクがある」ものがあります。 運動療法を始める前に、自分自身が運動療法を禁忌(やってはいけない)とされているかどうかを主治医に確認する必要があります。 以下に当てはまる場合は、運動療法が難しいことがあります。 運動療法が難しい人 ・増殖網膜症・増殖前網膜症を発症している ・レーザー光凝固後3〜6カ月以内の網膜症を発症している ・第3B期(顕性腎症後期)以降の腎症(血清クレアチニン:男性2.5mg/dl以上、女性2.0mg/dl以上) ・心筋梗塞など重篤な心血管系障害がある ・高度の糖尿病自律神経障害がある ・1型糖尿病でケトーシスがある ・代謝コントロールが極端に悪い(空腹時血糖値≧250mg/dlまたは尿ケトン体中等度以上陽性) ・急性感染症を発症している ※禁忌とは:悪化したり、副作用の危険性があるため、してはいけない、すべきではないこと。 糖尿病の運動療法|制限付きなら良い人 運動することを禁忌とはされていないものの、制限や注意をすれば運動療法として取り組んで良いという一部制限付きの糖尿病患者もおられます。いずれの療法も医師と相談し、その指導のもと運動をうまく取り入れることができれば糖尿病治療に効果的です。 では、どのような人が対象になるのか見ていきましょう。 インスリン治療中の人 何度も申し上げますが糖尿病の治療は「食事療法と運動療法」の両輪が基本です。それでも改善しない場合は「薬物治療」に進むことになります。糖尿病の薬物療法として、体の外からインスリンを補う「インスリン治療」というものがあります。 インスリンによる薬物治療を受けている場合、血糖値が低い、寝起きや食前に運動をすると、空腹時ということで低血糖を引き起こす可能性があります。その意味で運動は、血糖値が高くなる食後に行うのが理想です。 いずれにしても薬物治療中の運動は、主治医等に適切な指示を受けるようしてください。 薬物治療中の運動は慎重に行う必要があります 運動は、空腹時にご注意ください。血糖値が低い寝起きや、食事前の運動は低血糖を起こしやすいため、血糖値が高くなる食後に行うようにしましょう。 単純網膜症の人 糖尿病の合併症の1つで恐れられている症状に「糖尿病網膜症」があります。糖尿病網膜症は病気の進行度によって単純糖尿病網膜症・増殖前網膜症・増殖網膜症に分かれます。 糖尿病網膜症は血圧の変動によって出血する可能性があります。また低血糖になることで眼底出血が引き起こされることもわかっているため注意が必要です。軽度の場合は運動療法を取り入れても差し支えありませんが、状況によっては運動が制限されたり、禁止されることがあります。 単純糖尿病網膜症とは糖尿病網膜症の初期段階です。後述する増殖前網膜症と増殖網膜症と混同しないようにしましょう。 増殖前網膜症・増殖網膜症を患っている人 増殖前網膜症の場合は血圧におよぼす影響の少ない軽度の運動にとどめます。 頭を強く振る、頭を下げる、力むといったことは血圧を上げ、頭部への血流を増やすため、眼底出血などを起こす可能性があります。 増殖網膜症:運動以外、日常生活でも力んだり、息をこらえたり、重量物を持ち上げるような行為は避ける 糖尿病神経障害の人 糖尿病神経障害では、「感覚神経障害」と「自律神経障害」を招くことがあります。感覚神経障害の場合、足に負担をかけにくい「自転車エルゴメーター」や「水泳」などの運動が望ましいとされています。 自律神経障害の場合:日常生活以外で運動を行うことは禁忌(禁止) 重篤な心血管障害や肺の病気を患っている人 心血管疾患がある方やそのリスクのある方が運動療法を行う際は負荷心電図などの評価が必要です。負荷心電図は運動負荷心電図ともいい、運動中の心電図を観察するものです。 どのくらいの運動なら問題がないのか?あらかじめチェックする 腎症を患っている人 「糖尿病性腎症」は病期によって5段階にわかれます。従来は糖尿病性腎症の患者の方に対して運動を制限する傾向がありました。 しかし、適度な運動は持久力などの運動耐容能を向上させ、脂質代謝などを改善させることから、現在は病期に応じた運動を行うことを推奨しています。 第3期B(顕性腎症後期)まで進行した場合:運動療法を制限する必要がある。 ケトーシス状態の人 空腹時血糖値が250mg/dl以上(高血糖)、ケトーシス状態の場合は運動することは制限されます。ケトーシスとは血中のケトン体が増加し、尿中のケトン体が中等度以上のことをいいます。 高血糖の状態:運動すると糖代謝が悪化。食事療法と薬物療法で血糖値をコントロールしながら運動を行う。 運動療法の前に医師によるメディカルチェックが必要 ここまで説明したように、糖尿病患者の方が運動療法を行う際、やり方を間違えると事故や症状を悪化させることがあります。そのため運動療法を始める前には医師によるメディカルチェックを受けることが大切です。 糖尿病患者の運動療法を行う際のメディカルチェック基本項目 ・問診:自覚症状 → 糖尿病以外で治療中の病気や服薬中の薬 → 家族の既往歴 → 現在の生活状態や運動習慣 ・血液検査:空腹時血糖 →HbA1c ・診察:内科診察 → 血圧 → 脈拍数 → 身体計測(身長、体重、腹囲) → 肥満度 ・尿検査:蛋白・ケトン体 ・心電図:安静時心電図 運動療法を開始後も、少なくとも年に一回は医師によるメディカルチェックを受けましょう。 まとめ・糖尿病|運動してはいけない人と制限付なら可能な人 今回は、糖尿病で運動療法を行ってはいけないケースと、制限付きであれば運動を行っても良いケースについて説明しました。 また、運動療法の実施にあたってはメディアカルチェックが大切であることもご説明しました。 尚、禁忌とは、単なる禁止という意味ではなく、それを行うことで悪化させたり、副作用などのリスクがあるという意味で用いられています。 糖尿病の治療は自己判断で行うのではなく医療機関の指導を受けて適切に行うようにしましょう。今回は、糖尿病の治療で運動療法が禁忌とされる患者さんや、運動制限が必要な患者さんについてご説明しました。 糖尿病は、治らない病気と言われています。しかし、近年「再生医療」という新しい医療分野が発達してきたことにより、かなり症状の改善が図られたり、恐ろしい合併症を避けられるようになってきました。 糖尿病の再生医療に興味がある方は以下を参考にしてください。 No.S034 監修:医師 加藤 秀一 ▼以下もご参考下さい 糖尿病(2型)完治は困難、ただし改善や進行を遅らせはできる! ▼糖尿病の最新治療法である幹細胞治療は以下をご参照下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として垣生方面から多大な注目を浴びています
最終更新日:2024.04.26 -
- 変形性膝関節症
- ひざ関節
変形性膝関節症で痛みが取れない、治らない!その理由と対処法 1日の内に何度も曲げ伸ばしされるのが膝の関節で、立つ・座る・歩行動作など、あらゆる場面で膝に負担がかかります。そんな負担から膝を守っているのが関節軟骨です。 関節軟骨は膝のクッション機能のほか、関節をスムーズに動かせる役割を果たしています。しかし、加齢ともに関節軟骨が徐々にすり減ると、膝に痛みを感じたり、変形が出現したりする変形性膝関節症を発症します。 変形性膝関節症と診断されると、膝を守るためのベースとなる治療法である「保存療法」に取り組みます。しかし、いくら膝関節にかかる負担を減らし、治療として運動療法に取り組んだとしても、「なかなか膝の痛みが取れない、治らない」ことがあります。 なぜ熱心に膝の治療に取り組んでいるのに、痛みは改善されないのでしょうか。この記事では、「変形性膝関節症の治療に取り組んでいるにもかかわらず、膝の痛みが取れない、治らない」ことについて、その理由と痛みを改善する方法についてご紹介します。 痛みが取れない、治らない理由とは 変形性膝関節症の治療に取り組んでも痛みが取れない原因は、「関節内で炎症が起きている」「関節が安定していない」「関節へ負荷がかかっている」といった3つ原因の内でどれか、または複合している可能性が考えられます。 炎症を起こしている(膝に水が溜る) 膝の曲げ伸ばしなどで関節に負担がかかると、すり減った関節軟骨のかけらが滑膜を刺激します。刺激された滑膜が炎症を起こし、膝の痛みとして認識されます。 炎症が起きた際には、「膝に熱感を感じる」ほか、白血球を含んだ大量の関節液が軟骨のかけらを除去しようと排出されます。大量に排出された関節液が膝にたまると、いわゆる「膝に水がたまった状態」となります。 炎症を起こしているときは、冷やしたり、薬で炎症や痛みを抑制したりします。また、炎症が起きているにも関わらず運動を続けると悪化するため、無理をせず休むようにします。 治療で過度な筋トレは逆効果 誰でも早く痛みから逃れたいものです。しかし運動療法とは言え、トレーニングに慣れてないうちから、過度に強度が強く、時間が長い筋力トレーニングを行うと、治療であっても膝に痛みを感じやすくなり、かえって逆効果です。 関節が安定していない 筋力トレーニングを始めたけど、痛みが取れない場合、トレーニングを始めて間もないことが考えられます。トレーニング開始後、個人差はあるものの効果が現れるまで1〜2ヶ月かかると言われています。 そのため、運動を始めてまだ間もない頃は効果を感じにくいため、まずは1〜2ヶ月継続して運動に取り組むようにしましょう。継続した運動に取り組んでも効果がみられなければ、運動の負荷が弱すぎる、軽すぎる可能性があり、十分な効果が発揮されません。 そんな時は、3ヶ月目にトレーニング種目や強度の見直しをお勧めします。くれぐれも過度な筋トレにならないよう、痛みのない範囲で取り組めるメニューを組みます。 運動種目や強度の見直し例 ・室内でできる簡単な運動から屋外での運動に切り替える ・水中での歩行から地上での歩行に切り替える ・歩行距離を伸ばす 関節に負荷がかかっている 関節の負担となる習慣の存在が考えられます。変形性膝関節症の治療では、運動療法と並行して生活習慣を見直し、関節にかかる負荷を下げることが大切です。運動療法のように時間を必要とせず、工夫次第で誰でも簡単に膝への負荷を減らせます。 膝の関節には、立っているだけでも体重を支えるほか、歩いているだけでも体重の最大8倍は負荷がかかると言われています。そのため、日常生活で関節の負荷となる習慣の改善はとても大切です。 これまで、生活スタイルの改善に取り組まれた方でも、もう一度、膝に負担を減らすため、生活習慣を見直してみましょう。 関節への負荷を下げる生活習慣の見直し例、対処法 ・膝を深く曲げる動作を止める ・よく使う調味料などを低い位置に収納しない ・玄関、階段、お風呂に手すりをつける ・地べたでの生活から椅子とテーブルを用いた洋式へ変える ・膝の調子が悪ければ迷わずエレベーターを使う ・バランスよく歩くために杖を使う いつまでも痛みが取れない、治らないときは 生活スタイルを変え運動療法を継続的に取り組んでも痛みが取れない、治らないとき、変形性膝関節症はかなり進行していることが予想されます。変形性膝関節症が進行し、膝が痛く普段の生活を送るのが困難だと感じる、もしくは医師から判断されれば観血療法(手術)が勧められます。 ただ、手術の中にはリハビリが必要で、退院まで長くて1ヶ月ほどかかるなど、簡単に決断できるものではないはずです。 そうした手術をしたくない・できない場合には、痛みと付き合いながら、騙しだまし日常を送ることになり、最終的には寝たきりになってしまう方も現実としていらっしゃいます。 しかし近年、大きな手術や入院を必要とせず、保存療法と観血療法の中間の治療法として「再生医療」という最新の医療が注目されています。 再生医療では、変形性膝関節症の発症の原因となるすり減った膝の軟骨の再生が期待できるほか、変形性膝関節症の初期から取り入れることで進行を予防できます。 ▼ 再生医療の幹細胞治療が変形性膝関節症の治療を変える! 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せずに症状を改善できます まとめ・変形性膝関節症で痛みが取れない、治らない!その理由と対処法 変形性膝関節症の治療の基本は、関節への負荷を下げ、安定させることです。いつまでも痛みが取れない、治らない場合には、自分の膝の状態を見極めることがポイントです。 炎症が起きているのか・関節への負荷がかかっているのか・運動してまだ間もないのか判断し、状況に見合った対処をしましょう。保存療法で痛みが取れなければ、手術が選択肢に入ります。手術といっても体への負担が少ないものから大きなものまでさまざまです。 膝の進行度合いによって、手術の選択肢も狭まることから、定期的に病院を受診し、自分の膝の状態をよく知っておきましょう。 また手術はしたくない、できない場合には、再生医療の存在を覚えておくと、治療の選択肢を広げ、多角的な視点で治療に取り組めることでしょう。 以上、変形性膝関節症、なぜ痛みが取れない、治らないについて記させて頂きました。 https://youtu.be/uQlymyi0eSI?si=Mun2I7oeczBsksow ▶こちらも是非ご視聴ください。図でわかりやすく解説しています。 No.042 監修:医師 坂本貞範 ▼以下もご参考にしていただけます。 変形性膝関節症|手術別の入院期間とリハビリについて
最終更新日:2024.08.30 -
- 糖尿病
- 内科疾患
糖尿病はなぜ治らない!種類と症状、治療と予防法について 糖尿病に関して「糖尿病は治らない病気」、「糖尿病は一生付き合っていかなばならない病気」などと言われることを聞かれたことはありませんか?本当にそうなら治療を続ける気力もなくなりかねませんね。 確かに「糖尿病は完治しない病気」です。 だとしても治療によっては「健康な人と変わらない状態を保つことは可能」ということを理解いただくことが大切です。 そこで、以下「糖尿病がなぜ治らない」かについて説明し、糖尿病と診断後の「治療法」や糖尿病を発症しないための「予防法」をご紹介いたします。 糖尿病はなぜ治らない? 日本では糖尿病患者のほとんどが生活習慣病の一つである「2型糖尿病」患者といわれています。 2型糖尿病は、体質などの「遺伝的要素」と「生活習慣」が組み合わさることで発症します。治療によって血糖値が正常値に戻ったとしても、血糖値の上がりやすい体質(遺伝的要素)や年齢は変わりません。 そのため、「生活習慣」を変えない限り、治療を中止すればすぐに治療前の状態に戻ってしまいます。つまり、糖尿病には「治る」「治らない」という概念自体がないのです。 もちろん、血糖値のコントロールを行うことで健康な人と変わらない状態に保つことは可能です。そういう意味で、糖尿病治療は「血糖値をコントロールし、健康な状態を保つためのもの」と前向きに考えることが大切です。 血糖値のコントロール ・健康な人と変わらない状態に保てる ・健康な状態を保つためのもの また、糖尿病は、発症原因によって「1型糖尿病」と「2型糖尿病」に大別され、治療法も異なります。それぞれどういう特徴があるのか以下で見ていきます。 2型糖尿病とは 日本の糖尿病患者の約9割は、2型糖尿病といわれます。 2型糖尿病は体質などの遺伝的要素と乱れた食習慣などの生活習慣が組み合わさることで発症する病気です。通常、食事を摂ると、すい臓からインスリンが分泌され、血糖値を下げます。 2型糖尿病は、過食や運動不足によってインスリンの分泌量が低下したりインスリンが効きにくくなり、高血糖状態が続くことで発症します。 初期の段階で乱れた生活習慣を改善できれば、血糖値を健康な人と同じ状態に戻すことは十分可能です。しかし、糖尿病が進行してしまうと健康な状態に戻すことは困難になります。そのため、初期段階で治療に取り組むことが大切です。 ・初期なら ・生活習慣で改善できる > 血糖値を健康な人と同じ状態に戻す ・進行後 ・健康な状態に戻すことは難かしくなる 1型糖尿病 1型糖尿病は、何らかの原因で「すい臓」にあるβ細胞が破壊されて発症する病気です。 インスリンはβ細胞から分泌されるため、1型糖尿病はほとんどインスリンを分泌できなくなります。β細胞が破壊される原因は正確にはわかっていませんが、原因の1つに免疫異常(自己免疫)があると考えられています。 1型糖尿病は現代医学では「治らない」といわれている病気です。発症すると一生付き合っていかなければなりません。一方、1型糖尿病の治療方法は日夜進んでいます。 最近では「再生医療」や「膵島移植(ランゲルハンス島)」などの研究も行われています。将来的には「1型糖尿病は治る病気」となる可能性もゼロではありません。 糖尿病の症状 ここまで糖尿病は、大きく分けて2つの種類があって、「完治しない」「治らない」病気といわれる理由についてご説明しました。では、糖尿病になると、どのような症状が現れるのでしょうか。以下にまとめました。 2型糖尿病は初期の段階では「自覚症状がほとんどありません」ただし、進行すると以下のような症状がゆっくりと現れます。 2型糖尿病の症状 ・疲労感 ・皮膚の乾燥、かゆみ ・手足の感覚低下 ・感染症 ・頻尿 ・目のかすみ ・性機能の低下 ・傷が治りにくい ・空腹感やのどの渇き 1型糖尿病と2型糖尿病の大きな違いは発症原因や、症状の現れ方です。 いずれの糖尿病(1型、2型共に)の場合も高血糖による症状が現れます。 ただし、1型糖尿病は「突然」次のような症状が現れる特徴があります。 1型糖尿病の症状 ・強いのどの渇き ・頻尿 ・急な体重減少 ・重度の疲労感 糖尿病の予防方法 2型糖尿病は、遺伝的要素と生活習慣が組み合わさることで発症します。そのため、食事療法と運動療法で生活習慣の改善に努めることが糖尿病の予防法であり、病気の進行を食い止めることにもつながります。 糖尿病の予防や治療の基本は「食事療法」と「運動療法」です。 食事療法 糖尿病の食事療法では以下のポイントを押さえて行うことが大切です。 食事 ・摂取カロリーを抑える ・栄養バランスの良い食事を取る ・一日3食をしっかり食べる 身体活動量の目安 ・軽労作(デスクワークが多い職業など) 25~30 kcal/kg標準体重 ・普通の労作(立ち仕事が多い職業など) 30~35 kcal/kg標準体重 ・重い労作(力仕事が多い職業など) 35~ kcal/kg標準体重 食品交換表 ・1日の摂取カロリー(エネルギー摂取量)は以下の計算式が目安となります。 ・エネルギー摂取量(kcal)=身体活動量 (*1) ×標準体重(*2) ・カロリー計算 ・*1身体活動量(kcal) ・*2標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22 「食品交換表」というものをご存知でしょうか? 上記でカロリー計算の結果、適切な摂取カロリーがわかっても、どのような食品を、どれだけ食べれば良いのか分からないと思います。 そんな場合は「糖尿病食事療法のための食品交換表」を利用していただく方法があります。糖尿病治療の考え方や食事療法の基本的な考え方が分かりやすく解説されています。 また昨今、ネット上にはカロリー計算できるアプリを紹介しているサイトもありますので使いやすいものを選ばれても良いでしょう。 運動療法 糖尿病の予防に効果的な「運動療法」なのですが、実は運動を積極的に行うと食欲が増すため、かえって糖尿病を招いたり、症状が悪化することもありえるので注意が必要です。 そのため、糖尿病の予防や治療は「食事療法」と合わせて「運動療法」をセットすることが大切です。運動療法を行う際は以下の点に注意して行いましょう。 運動療法の始め方 ・軽い有酸素運動から始める ・継続して運動を続けることが重要 ・週3日は運動の時間を確保 NEAT(非運動性熱産生) NEATとは、「運動以外の日常生活活動で消費されるエネルギー」を意味し、掃除や洗濯、通勤や階段の昇り降りなどで消費するエネルギーのことを指します。 すでに糖尿病の症状がある方や持病がある方など、運動に制限がある人もいます。運動療法を取り入れる際は医師に相談してから行うようにしましょう。また、日頃、まとまった時間が取れずに運動ができないという人もいるでしょう。 このような場合、NEAT(非運動性熱産生)を高めることを心がけると良いでしょう。 NEATを高めるために ・エレベーターではなく階段を利用する ・通勤時に一駅前で降りて歩く ・歩幅を大きくする ・その他、身体を動かすことを心がけよう まとめ・糖尿病はなぜ治らない!種類と症状、治療と予防法について ここでは、糖尿病が治らないといわれる理由について説明しました。 「糖尿病は治らない」と考えてしまうと治療に積極的に取り組めません。糖尿病の治療は「血糖値をコントロールすることで健康な状態を保つためのもの」と考え、前向きに治療に取り組むことが大切です。 上記に記したような症状や異変を感じたら、積極的に医療機関を受診するように致しましょう。糖尿病の予防や治療の基本は「食事療法」と「運動療法」が基本です。食事療法は、カロリーを計算して食べるものに気を付けましょう。 また運動療法は、やりすぎるとかえって食欲が増してしまい食事療法がう無くいかない可能性があります。食事と運動のどちらにも偏ることのないよう取り組むことが大切です。 以上、糖尿病は治らないのは本当か?その種類と症状、治療と予防法について、糖尿病は治らない怖い病気だということを知っていただき、ぜひとも普段の生活から予防(食事・運動)を心がけて健康な生活を送ることが大切であることをご理解下さい。 ▼糖尿病でお困りに再生医療の幹細胞治療という方法があります 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目を浴びています No.S033 監修:医師 加藤 秀一 ▼以下もご参考くください 糖尿病|適正エネルギーを知り血糖値コントロールから改善を目指す
最終更新日:2024.05.01 -
- 変形性膝関節症
- ひざ関節
変形性膝関節症|高齢者も知っておくべき手術の種類とそのリスク 中年以降の女性に多く発生するのが「変形性膝関節症」です。初期の頃には軽い痛みや違和感だったものが、徐々に進行していく病気です。その治療はリハビリを中心とした保存療法をベースに、生活スタイルの改善や運動療法に取り組み、必要に応じて装具療法という手段があります。 保存療法でも効果がみられない場合には、観血療法(手術)が選択肢に入ります。しかし、いざ手術を受けようとした時には、患者様自身が高齢になられているケースがあります。 そんなとき、「退院までどれくらいかかるのだろうか?」「リハビリは頑張れるのだろうか?」と、本人はもちろん、ご家族が不安に思われる場合もあります。この記事では、高齢者が変形性膝関節症の手術を受ける際の不安やリスクをわかりやすく解説していきます。 高齢者に適応される手術とは 変形性膝関節症の手術には、関節鏡視下手術・高位脛骨骨切り術・人工関節置換術の3種類あり、どの手法が適応されるかは進行の程度に沿って決まります。主に初期には関節鏡視下手術・中期には高位脛骨骨切り術・末期には人工関節置換術が選択されます。 ただし、変形性膝関節症の手術をいざ受けようと決心したとしても、高齢者の場合は進行しているケースがほとんどです。そういったときには、人工関節置換術が適応されます。 進行に合わせて選択される膝関節の手術 ・初期:関節鏡視下手術 ・中期:高位脛骨骨切り術 ・末期:人工関節置換術 人工関節置換術(手術)とは 人工関節置換術とは、変形性膝関節症の進行末期などで傷んだ膝の関節を人工の関節に入れ替える手術です。ご自身の骨を除き、金属やセラミックでできた人工関節に置換えることで、O脚など脚の変形が改善させて膝を安定させるものです。 人工関節置換術を受けると、激しい痛みによりスッと立ち上がれない、スイスイ歩けないといったお悩みが解消されるなど、高い効果が期待できます。ただし、利点ばかりではなく、術後は正座や、深くしゃがむなどの姿勢ができなくなるほか、重い荷物を持てないなど生活スタイルを含めた変更が必要になります。またリハビリを継続して進める必要があります。 人工関節置換術のリスク 手術から退院まで日数がかかる 人工関節置換術をした場合、退院までの目安は1ヶ月です。また術後の痛みが消えるのに、数週間から数ヶ月かかるため、日常に戻るには2〜3ヶ月程度の期間が必要です。 継続したリハビリが必要 人工関節置換術はリハビリが必要な手術です。術後2日目から、国家資格である理学療法士や作業療法士の支援のもとリハビリを開始します。 日常生活に復帰できるように、筋力トレーニングや可動域訓練とともに、立ち座りや歩行も訓練します。 日常動作に制限がかかる 術後は人工関節の摩耗や破損、膝蓋骨の脱臼を避けるために、走る動作や膝に負担のかかる激しいスポーツができなくなります。 深く膝を曲げられないため、正座ができなくなるなど日常生活動作に制限がかかります。 深部静脈血栓 術後は長時間の安静から血流が滞って血栓ができる「深部静脈血栓」に注意が必要です。血栓は自然に消失することが多いのですが、まれに血栓が肺や脳に飛んでしまうと、肺塞栓による突然死や、脳塞栓による手足にしびれや動かしにくさが出現します。 血栓症を予防するには、弾性ストッキングを着用、さらに間欠的空気圧迫法にて、血液の流れを良くします。 肺にまつわる合併症 手術中は長時間もの間、寝た姿勢が続くため、肺に負担がかかります。肺がつぶれてしまう無気肺や、肺に水がたまる肺水腫のリスクがあります。また全身麻酔により、一時的に肺の機能が低下することで、痰の排出がうまくできず、痰が原因で肺炎を起こします。 術後は痛みや全身の倦怠感からうまく呼吸ができないことが多く、肺にまつわる合併症を防ぐためには、術前から深呼吸の練習や痰を出す練習をします。 また喫煙をすると、体内へ取り込む酸素の量が少なく、肺合併症のリスクを高めるほか、傷の治りにも影響を及ぼします。手術を検討されている喫煙者はなるべく早くから禁煙し、少しでも禁煙期間を長くします。最低でも手術が決まった時点で禁煙に取り組みましょう。 細菌感染 抗生物質を服用し、術後は傷口を清潔に保つよう予防はするものの、細菌感染が起こると再手術しなければなりません。また感染経路は傷口からだけとは限りません。 麻酔をかけるためのチューブを気管に挿入する際に、虫歯や歯槽膿漏、口内が汚染されていると、その細菌も一緒に気管に運んでしまう可能性があります。手術を受ける前には虫歯や歯槽膿漏の治療を行うことと、丁寧に歯磨きをしてから手術に臨みます。 人工関節のトラブル 術後は人工関節の破損に注意です。術後はなるべく早くからリハビリに取り組むと、膝の働きが良くなるため早期離床が大切です。しかし、いきなり強度な運動をしてしまうなど、無理がかかると、人工関節の緩み・破損・摩耗や脱臼の危険性があります。 術後、人工関節のトラブルを防ぐには、焦ってリハビリを進めないことと、膝に負担をかけない生活を送るなど工夫が必要です。 まとめ・変形性膝関節症|高齢者も知っておくべき手術の種類とそのリスク 変形性膝関節症の手術を受ける場合、高齢であるほど人工関節置換術が適応されます。 人工関節置換術を実施すると、痛みのない生活を送れることが期待できます。しかしリスクもありますので、手術を検討されている方は、術後にそんなはずではなかったと後悔しないように、手術のリスクについてもしっかり把握しておきましょう。 また加齢とともに、体力や筋力・術後のリハビリに取り組めるか不安がある方は、一度、担当医に相談してみることをおすすめします。以上、変形性膝関節症の手術で高齢者も知っておくべき手術のリスクについて記しました。参考にしていただければ幸いです。 No.041 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療の幹細胞治療が変形性膝関節症の治療を変える! 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せずに症状を改善できます ▼手術に関し、以下もご参考にされませんか 変形性膝関節症の手術と保険費用について詳しく解説します
最終更新日:2024.02.23 -
- 股関節
- 変形性股関節症
変形性股関節症を進行させない生活の工夫とリハビリ 変形性股関節症は中高年以降の女性に多く発生する病気で、動き出しなど動作のはじめや、長時間の歩行後に痛みを感じます。悪化すると安静時にまで痛みを感じるようになるため、日常生活を送る上で大きな支障となります。 股関節が痛む原因は2つあり、関節軟骨の摩耗と関節唇の損傷です。股関節へかかる負荷が原因で、クッション材である関節軟骨がすり減り、そのかけらが滑膜を刺激することで痛みを感じます。 また、股関節の安定性を高める関節唇が傷むことでも、関節が不安定になり痛みにつながります。 そんな変形性股関節症への治療は、関節への負荷を減らしながら、同時に関節を安定させることが重要です。この記事では、変形性股関節症を悪化させない具体的な工夫や取り組みを紹介します。 変形性股関節症の特徴 ・中高年以降の女性に多く発症 ・動き出しなど、初期動作に痛み ・悪化すると安静時にも痛む 生活スタイルを変え負担を避ける 日常生活を工夫することで股関節へかかる負荷を減らし、痛みを軽減します。日常生活で最も股関節に負荷がかかる姿勢は、関節が深く曲がるようなしゃがむ動作です。また低い位置から立ち上がる動作でも負荷がかかるため注意が必要です。 背筋を伸ばす 変形性股関節症の初期には、痛みをかばうことから骨盤が前傾し、不自然な姿勢を取りがちです。そうした姿勢が腰椎の前弯と胸椎の後弯を増強させ、股関節の可動域や筋力は低下します。そうして不安定になった関節に体重が加わると、関節軟骨への負荷が増し、痛みにつながります。 では骨盤を後傾させれば良いのか?というと、そうでもありません。猫背のように骨盤が後傾する姿勢では、その問題は背骨の湾曲だけでなく、股関節に不安定さをもたらし、それもまた痛みにつながります。(ヒップ−スパイン・シンドローム) 大切なのは、体操を通して常に股関節や骨盤の柔軟性を高め、できる限り背筋を伸ばしておくことです。 低い位置での生活をやめる 畳のような和式ならではの低い位置で過ごす生活では股関節に負荷がかかります。さらに立ち上がり動作でも股関節の負荷になることから、地べたでの生活から椅子を活用するなど、洋式の生活へと変えていく必要があります。 ほかには、トイレを洋式へ変えたり、布団からベッドに変更したりと低い位置での生活はなるべくやめていきましょう。また、キッチンで料理をする際、頻繁に使う物は高い位置に収納することで、頻繁にかがむ機会を減らします。 減量する 肥満であることは、股関節にかかる負荷も上がるため、変形性股関節症を進行させる要因の一つです。肥満傾向の方は体重を落とすことで、病気の悪化を防ぐことができます。 手すりの設置 段差の昇降は、股関節に負荷がかかるだけでなく、転倒するリスクが高まります。階段やお風呂場などには手すりをつけることで関節への負荷と転倒リスクを減らします。 積極的に運動療法(リハビリ)に取り組む 運動療法では筋肉を鍛え、関節の安定性を高めます。また適度な運動が股関節の可動域を拡大させ、変形の進行を防ぎます。運動療法は、自分のペースで無理せず行います。痛みを我慢して運動を続けると痛みは悪化し、ついには運動に取り組めないことがあるため気をつけましょう。 ウォーキング 歩くことで股関節の筋力を向上させ、脚を動かすことで関節可動域が広げる効果があります。 健康を目的とした歩行では、早歩きが推奨されることが一般的ですが、変形性股関節症の場合は違います。歩行速度が上がるほど股関節へ衝撃が伝わりやすくなるほか、歩行フォームが乱れ、不安定な股関節にさらに負荷がかかります。ウォーキングを始める際は、自分のペースでゆっくり歩くことがポイントです。 また慣れないうちから長時間や長距離を歩くのはオススメできません。無理をした疲労から動けなくなると、継続的な運動ができないため、短い距離・時間でも毎日継続することが大切です。 プールでの運動 水の浮力を生かした運動で、地上での歩行より負荷の少ないトレーニングができます。体重から股関節へかかる負荷を軽減できるため、地上でのウォーキングでは痛みを感じる方でも、水中では痛みなく歩ける場合があります。 また、水の抵抗に負けないように歩く必要があるため、筋力強化が期待できます。普段から股関節に痛みを感じており、満足に運動療法に取り組めない方には最適です。さらに地上でのウォーキングと比べて転倒リスクがないこともポイントです。 室内での運動 1日の大半を家で過ごす方も多いのではないでしょうか。そうした場合、室内で手軽にできる体操やトレーニングがあります。股関節の可動域が制限される原因の一つが筋肉の緊張です。室内での運動を通して、筋肉の柔軟性を取り戻し、関節可動域を高めます。可動域が高まれば、運動にも効率よく取り組めます。 股関節に関する筋肉の体操 1. 椅子に座り骨盤に手をかけます 2. おへそを出すように、ゆっくり骨盤を前方へ倒す 3. おなかを引っ込めるように、ゆっくり骨盤を後方へ倒す ※ 2~3を繰り返しを1分間行います。 1. 仰向けで寝転び、両膝を立てる 2. 両膝をそろえた状態で左右へ倒す ※ 左右各10回を、1日2セット行う 股関節に関する筋肉のトレーニング 1. 仰向けに寝転び、膝を立てます 2. 両膝にゴムを固定します 3. 左右同時に外へ向けてゴムを引っ張ります 4. 元の位置へ戻します 中臀筋や大腿筋膜張筋のような股関節の外転筋のほか、梨状筋や大臀筋のような外旋筋を鍛えます。 まとめ・変形性股関節症を進行させない工夫 変形性股関節症と診断された方は、痛みが少ない頃から股関節への負荷を減らし、関節を安定させ進行を遅らせます。 もし変形性股関節症が進行した場合、痛みをかばって歩くことで対側の股関節にも痛みがでることがあります。そうなると、活動量は低下し、さらに状態が悪くなる悪循環になります。 変形性股関節症を進行させないためには、股関節へ負荷がかからないように、低い位置で過ごすことが多い和式から洋式へと生活スタイルを見直し、自分のペースで痛みのない運動療法に継続して取り組みましょう。 No.040 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する方法 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼以下も参考にされませんか 変形性股関節症でやってはいけない禁忌肢位とは
最終更新日:2024.06.10 -
- 手部
- ヘバーデン結節
ヘバーデン結節やってはいけない!気を付けたいこと! ヘバーデン結節とは、手指部における第1関節に相当する箇所が変形し、曲がってしまうことで痛みを感じる原因不詳の病気です。 発症要因としては、関節にある軟骨がすり減り、骨が増殖する結果、痛みともに変形を引き起こすと考えられています。 この疾患は、手における変形性関節症の部類で最も罹患数が多く、特に日本人に多い病気であると言われています。そのため、痛みといった症状で悩まれている方が多い病気です。 ちなみに「ヘバーデン」とは、もともと英国人医師の名前です。1802年にヘバーデン氏が手指の第一関節のうしろ側にいわゆる慢性的な関節リウマチや痛風とは異なる病変が生じると指摘したことに由来して名づけられました。 へバーデン結節は、関節組織の加齢による変化によって、色々な変形所見が認められ、第1関節のうしろ(手背)側の中央付近に2つのコブのような結節所見を認めるのが特徴的とされています。 今回は、そんな「へバーデン結節」を発症した人が、基本的に日常生活などにおいて「やってはいけないこと」「注意すべきこと」を中心に詳しく解説していきます。 発症要因 実は、このへバーデン結節という病について、これまでの医学的研究の数々をもってしても、未だ発症させる明確な原因は不明なのです。しかし、これまでに何点か判明している要因も幾つかあり、それをご説明いたしましょう。 一般的に年齢を重ねれば、重ねるほどへバーデン結節など変形性関節症の発生率は高くなると言われていますので、「加齢というキーワード」は。本疾患の発症要因に該当するものの、唯一の原因ではないと考えられています。 まず、普段から生活面や、仕事内容などにより、「手や手指を頻繁に使用」する人に本疾患が表れやすいという傾向があります。 発症リスクの背景として、普段の生活歴にも関係があり、外傷によるものを除外して「裁縫や刺しゅう、農業関係の手仕事に従事」していた方々に発症しやすいと同時に、患者さんの概ね「8割が主婦」であったとの調査結果があります。 また、へバーデン結節は、「更年期以降の女性に多く発生」し、特に「女性は男性の約2倍以上の確率で発症」することが分かっていることから、本疾患の背景には「女性ホルモンの変調」が関与している可能性が推測されています。 また、「遺伝や環境」などといった様々な要素が複合的に組み合わさって発症するとも考えられています。ただし、明確に遺伝性というエビデンス(証明)には乏しいものの、これまでに母娘間、あるいは姉妹間などの家族内で多発する例が散見されているのも事実です。 それ以外にも、発症原因としては「外傷、甲状腺疾患、糖尿病」など各種疾患に合併して発症する場合や、特に誘因なく特発性に現れるケースも存在しています。 へバーデン結節、発症原因(発症リスク):明確な原因は未だ不明 ・加齢(年齢と共に発生率が上昇)ただし唯一ではない ・仕事等にて手指を頻繁に使用する ・裁縫や刺しゅう、農業関係の手仕事を業務といて日常的に行う ・発生者の8割が主婦 ・更年期以降の女性に多い(女性ホルモン) ・遺伝的要素(母娘間、姉妹間、家族内)証明できていない ・その他(外傷性、甲状腺疾患、糖尿病等の合併症) https://youtu.be/fzyqMTIc7dI?si=On7Hw-JuXYZgG9D0 症状 へバーデン結節では、典型的な症状として「軟骨のすり減り」、「骨の骨棘形成によって出っ張り」、「関節部分が膨らみ」がみられます。特に、手指の中でも母指(親指)、あるいは示指(人差し指)から小指にかけて第1関節が赤く腫れあがり、過度に屈曲運動をすると疼痛症状(痛み)を合併します。 それらの所見が認められるのと同時に、関節を支える役割を有する「靭帯部分も緩む」とされていて、例えば物を指でつまむ時など、関節が不安定となり指の先の力が入りにくくなることもあります。 時間の経過とともに、痛みといった症状そのものは落ち着いてくることが多いのですが、手指が変形して指の動きがさらに悪化し、日常生活に支障をきたすことも十分に考えられます。へバーデン結節を発症した人は、早めに症状悪化を防止する対策を講じるべきです。 また、この疾患を発症した場合には、爪母(爪の根本部分)が第1関節に非常に近傍に位置しているために影響をうけて「爪が変形して凸凹になる」ことがありますので、そのような所見がみられた際には放置せずに皮膚科などでも診察を受けるように心がけましょう。 へバーデン結節の典型的症状 ・軟骨のすり減り ・骨の骨棘形成による関節の出っ張り、膨らみ ・母指(親指)、あるいは示指(人差し指)から小指にかけて第1関節の赤い腫れ ・屈曲運動(曲げると)疼痛(痛み)が起こる ・爪が変形(凸凹になることがある) やってはいけないこと へバーデン結節における治療方法としては、普段から指先に過度な負担が生じることを避ける、指の腫れや熱感があるときには患部を積極的に冷却する、軽くマッサージを実践する、あるいは装具などにより関節部の安静を保つことで痛み症状を軽快させることが期待されます。 したがって逆に言えば、へバーデン結節を発症した人が「やってはいけないこと」として、指先に過度の負荷がかかるような作業、あるいは患部を温める、強くマッサージを行う、関節部の安静を守らないなどの行動はやってはいけないということになります。 へバーデン結節でやってはいけないこと ・指先に過度の負荷をかけない ・患部を温めない ・強くマッサージしない ・重い鞄を手で持たない(ショルダータイプにする) ・スマホなどにも注意(指を動かしすぎない) ・指を使う作業を避ける 治療方法 へバーデン結節の治療には、保存的治療、薬物療法、手術療法といった概ね3種類の方法から検討することになります。 保存療法としては、「テーピング、サポーター」、「外固定(金属のリング等)」によって関節を固定(安定)させたり、「アイシング」といった治療が行われることが一般的です。 薬物療法としては、関節内へのステロイド注射が用いられることが多くあります。これも、痛みや、変形といった症状が進行すると手術療法が必要となり、「関節固定術、関節形成術(コブ結節の切除)」といった手術を検討することになります。 高度変形や、強い疼痛が伴う場合には、手指の運動機能障害や、整容上(見た目)の問題が発生する為に日常生活で無理をせずに、早期に医療機関を受診されることをお勧めします。 へバーデン結節の治療法 ・保存療法:テーピング、サポーター、外固定(金属のリング等)で関節を固定(安定)、アイシング ・薬物療法:関節内へステロイド注射 ・手術療法:関節固定術、関節形成術(コブ結節の切除) 気を付けたいこと 現代社会では、日常生活においてスマートフォンが手指の障害をきたすと言われ、特に小指でスマートフォンを持つ動作が小指のヘバーデン結節を誘発して症状を増悪させることも考えられますので、スマホの操作時に小指に痛みを自覚した際には画面操作は出来る限り両手で行うよう意識しましょう。 そして、前章で述べたように本疾患の発症リスクを上昇させる要素のひとつとして「女性ホルモン」があり、実は大豆に含まれている「イソフラボン」が女性ホルモンと成分が類似していることから「豆乳や豆腐、納豆、きなこ」などを日常的に摂取すれば症状改善に繋がる可能性はあります。 指の第1関節というのは、日常生活では意識していませんが、意外と知らず知らずのうちによく使っています。手指を動かすたびに強い疼痛症状が出現するようならばこれ以上痛みを悪化させないための対策や工夫を講じることが重要です。 例えば、ガーデニングが好きな方が小さな草取りなど実施する際には、どうしても指先に負担がかかりますので、極力手袋など補助となるものを装着して作業するなどの注意が必要です。 また、ペットボトル等の蓋を開ける際には、指先にどうしても力を加える必要がありますので、へバーデン結節を発症し、症状に苦悩しているなら、オープナーの使用を検討するなど対策が必要です。 さらに、かばんを持つ時には本体を持ち上げるとどうしても手指に荷重が加わって症状が悪化してしまうことが懸念されますので、出来る範囲で手提げバックなど鞄本体を持たずに手提げ部分を持つように心がけましょう。 このように小さなことでも日常生活で指を使うことが多く、たとえば靴を履く際にも手指を使わず靴ベラを使う、ドアの開け閉め、タンス、クローゼット、ボタン掛け、調理、掃除などちょっと思い起こすだけでも多くの動作があります。 このように普段の生活で徹底的に指を使う場面を徹底的に洗い出して、指を使わずにできる方法を工夫してみましょう。もちろん、ご家族の方々にも簡単な事であっても、できないことがあることを話して、理解と協力を得ることが大切です。 へバーデン結節、発症後に気を付けるべきこと ・スマートホンの操作や持つ方の注意 ・ペットボトル等のキャップの開閉(オープナーを使う) ・ガーデニング ・鞄は指で持たない(ショルダー等) ・ドアの開け閉め ・タンス、クローゼット ・ボタン掛け、調理、掃除、裁縫ほか 💡手指を使わない工夫を考える 💡家族にできることは依頼する(できないことを説明、理解を得る) まとめ・ヘバーデン結節!やってはいけない!気を付けたいこと! いわゆる50代など中年時期も過ぎてくると農作業やプライベートな趣味における草取りやペットボトルのキャップやふたを開ける際に手指の第1関節が痛くなることがあります。 放置すると、徐々に指の変形が進行して、極端の話では横を向いてしまうこともあります。これらの所見は、関節の変形で軟骨が減って骨変形が起こることにより発症する「へバーデン結節」という病気を指しています。 本疾患ではすり減った軟骨や骨の変形そのものは完全に元通り健常状態に回復しないですが、指の痛みなどの症状は日常生活における色んな工夫によって改善することが期待できます。 したがって、へバーデン結節を発症した人がやってはいけない事項を認識しながら、並行して前向きな対処策を実践することで痛みなどの症状を和らげて普段から手や指を使いやすくすることが可能になりますので出来るだけ諦めずに対策するように心がけましょう。 以上、ヘバーデン結節の発症リスクが上がる要因と発症後やってはいけないことについて記しました。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.S032 監修:医師 加藤 秀一 不安な方は一度お問い合わせ下さい。 > 無料相談 ▼ 再生医療に関する詳細は以下をご覧下さい 自分自身の自ら再生しようとする力、先端医療が自然治癒力を活かして治します
最終更新日:2024.08.30 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
変形性膝関節症!発見には膝の症状がポイント 膝に痛みを及ぼす疾患が変形性膝関節症です。 変形性膝関節症になると、人間の基本的な動作である「歩行」に影響をもたらすことで、活動量が減るなど日常生活に支障を及ぼします。その原因は、靭帯や半月板の怪我からくる場合を除いて、ほとんどは加齢に伴った関節軟骨の摩耗がきっかけです。 特に40代以降の女性に多く発生するため、中高年で感じる膝の痛みのほとんどは、変形性膝関節症からくる痛みだともいわれています。そんな変形性膝関節症の治療方針は、膝に負担のかかる生活スタイルを見直し、膝周囲の筋肉を鍛える運動療法に取り組むことです。 そうした保存療法の継続が、関節を安定させ、これまで通りの痛みのない日常につながるのです。そのためには、いかに早期に発見できるかがポイントです。そこで今回は、変形性膝関節症の初期症状から、もし当てはまった場合には、実際にどういった行動に移せば良いのかまで紹介していきます。 変形性膝関節症の進行度と症状 変形性膝関節症の自覚症状は、前期>初期>中期>末期の4つの段階を踏んで進行していきます。前期では、膝にほとんど痛みはありませんが、初期になると軟骨がすり減り始め、膝に痛みや違和感や感じるようになります。 進行が進んだ中期になると膝に変形がみられ、さらに進行した末期になると痛みから立つ・歩くなどの日常生活を過ごすのが困難になり、手すりや杖などに頼らないと姿勢を保てない状態になります。 症状 変形性膝関節症・進行度 ・前期:ほとんど痛みを感じない ・初期:軟骨にすり減り、痛み、違和感を感じ始める ・中期:膝に変形がみられる ・末期:日常生活が困難になる、手すり杖が必要になる 変形性膝関節症を見逃さないため、初期に現れやすい症状を知る 変形性膝関節症は早期発見が大切です。そのためには進行が始まり、「痛み」や「違和感」を感じだす前段階で発見することが重要になります。 この段階で異変に気づき病院を受診され、変形性股関節症を早期に発見できれば、治療の選択肢が増えるだけでなく、積極的に運動療法に取り組め、重症化を防げる可能性が高くなります、。 初期症状を見逃さないポイント ・朝起きた時に膝にこわばりを感じる ・膝を伸ばそうとすると引っ掛かりを感じる ・椅子から立ち上がろうとすると痛みが走る ・歩き出しに痛みがある ・正座をすると「ズキっ!」と痛みを感じる 早期発見が治療の選択肢を増やす 変形性膝関節症に早期に気づき、運動療法に取り組むことで悪化を防ぐことができます。運動療法で痛みが引かない場合、薬物療法や物理療法、装具療法などで痛みを抑えながら、運動療法に取り組めるよう工夫します。 あらゆる手を尽くしても効果がみられない場合には、観血療法という選択肢がありますが、手術の種類によっては進行しすぎていると実施できないケースがあります。 たとえば、体への侵襲が大きな人工関節置換術や高位脛骨骨切り術を、「今はしたくない」場合には、負担が少なく、術後の回復も早い関節鏡視下手術という選択肢があります。 しかし、変形が進行した状態では、関節鏡視下手術をしたところで、改善が見込めない場合があるので注意が必要です。 変形性膝関節症の初期なら運動療法で悪化を防げる 変形性膝関節症の治療の基本は運動療法ですが、初期から実施するのと、末期から実施するのでは大きな違いがあります。初期の運動療法には悪化を防ぐ目的があり、継続して行うとこれまで通りの生活を送れる可能性があります。 一方、発見が遅れた末期では、痛みが強く日常生活をまともに送るのは難しい状態です。そのため、満足に運動療法に取り組めず、これまで通りの生活を送れる可能性は低くなることから、早期発見が変形性膝関節症の治療において大切です。 病院で変形性膝関節症と診断されるまで 中高年以降で、膝に「痛み」や「違和感」を感じたら整形外科の受診をおすすめします。 変形性膝関節症の診断は、問診・視診・触診・画像診断などの検査を複合して判断されます。問診では家族歴・半月板や靭帯損傷などの怪我の既往歴を聞き、視診では歩行状態から進行の程度を確認、触診では膝の変形具合や水がたまっていないかなどを確認します。 変形性膝関節症の進行の程度は、X線検査の後、Kellgren-Lawrence分類によって分けられます。関節の隙間が確保されているグレード0から、関節の隙間がなくなってしまった状態のグレード4まで分けられます。 しかし、必ずしも画像診断の進行度合いと自覚症状が一致するとは限りません。画像診断では進行していても、自覚症状があまり強くない場合や、その逆の場合もあります。 そのため、軽度の痛みや、ちょっとした違和感でも変形性膝関節症が進んでいる可能性があることから、注意が必要です。 変形性膝関節症と似たような病気 膝に痛みがあっても、全ての膝の痛みが変形性膝関節症ではありません。膝関節以外の痛みや発熱の有無など、問診や触診の情報を元に、「関節リウマチ」「痛風」「化膿性関節炎」などを疑います。 検査では血液検査や関節液の成分を検査し、検査結果を元に変形性膝関節症以外の病気である要素を取り除いた上で、はじめて変形性膝関節症と診断されます。 まとめ・変形性膝関節症!発見には膝の症状がポイント 変形性膝関節症は中高年以降の女性に多く発生する病気で、膝の痛みの多くは変形性膝関節症からだといわれています。 変形性膝関節症の症状は、痛みと変形が特徴です。初期には強い痛みや変形を感じることは少ないものの、変形性膝関節症は進行性の病気です。放っておくと取り返しがつかないところまで進行するケースがあります。 そうならないためにも、早期に変形性膝関節症に気付くことが治療の選択肢を増やし、悪化を防ぎます。 変形性膝関節症の早期発見ができれば、保存療法(運動療法、薬物療法など)や手術療法というように、あらゆる選択肢の中から、膝の状態や自分自身の意向に沿って治療に取り組めるのです。 そのため、「軽度な痛み」や「違和感」程度でも放ったらかしにしないで、整形外科を受診しましょう。 ▼ 再生医療で変形性膝関節症の治療する 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せず、入院不要で症状を改善する No.039 監修:医師 坂本貞範
最終更新日:2024.02.14 -
- 手部
- CM関節症
CM関節症は、50歳以上やゴルフなどの運動をする方、女性によくみられる疾患です。親指の根本にある「CM関節」の使いすぎや加齢による変性が関係しています。 瓶やペットボトルのふたを開けたり、ボタンを閉めたりと、親指に力を入れた動作をすると「親指と人差し指の間あたりが痛い」と感じます。日常生活の質に影響する痛みなので、早めに解消したいと考える方は多いでしょう。 そこで本記事では、CM関節症の原因や症状を解説するとともに、治療法や筋肉のほぐし方などについて詳しくご紹介します。 親指と人差し指の間が痛いときに考えられるCM関節症とは? CM関節症とは、親指の根本にある「CM関節」の使い過ぎや加齢により変性し、痛みや腫れ、さらには亜脱臼などの症状を引き起こす疾患です。 「CM関節」は、母指(親指)の根本の骨である第1中手骨と、手首の小さい骨である大菱形骨の間に存在している関節をいいます。 母指が他の指と対立運動(つまみ動作)ができるのは、このCM関節の役割が大きくかかわっています。「握る」「つまむ」などの動作を行う際に負担がかかる部位を「CM関節」と覚えておきましょう。 ただ「握る」「つまむ」などの動作は、けして特別なものではなく、日常生活においても比較的多く行われる動作のため、CM関節には常に負担が掛かり続けていると言えるのです。そのため、関節をスムーズに動かしたり、衝撃を和らげるクッションの役割を果たす軟骨がすり減ったりすることで関節の腫れや亜脱臼などが生じることとなり、これが「CM関節症」といわれます。 CM関節症で考えられる8つの症状 CM関節症の場合、母指(親指)に力を入れた動作をした際、手首の母指の付け根付近に痛みが生じます。主に痛みが生じる場面は下記8つのとおりです。 瓶やペットボトルのふたを開ける ホッチキス・ハサミ使用時 タオルを絞る ドアのノブを回す 字を書く 草むしり 布団を挙げる ボタンをかける また、症状が進行すると、手首の母指の付け根付近が腫れて膨らんできて母指を開くことが難しくなります。場合によっては、関節が変形して親指の指先の関節が曲がり、付け根の関節が反る「白鳥の首変形(スワンネック変形)」になる可能性もあります。 CM関節症のステージごとの症状 CM関節症の症状は、ステージごとに区分され以下のように細かく分類されています。 stage1 レントゲン上での問題はみられない stage2 関節の隙間が少し狭くなり、骨硬化が少しみられる stage3 関節に隙間がほとんどなくなり、骨硬化や骨棘がみられる stage4 完全に関節の隙間がなくなり、骨棘の形成もみられる。 一般的にstage1・2は保存療法、stage3・4は重症になり手術の検討が必要となります。 ただ、必ずしもレントゲン上の結果と一致しないため、最初はサポーターなどの装具、テーピング、リハビリなどの手術以外の選択肢で治療を行うこともあります。 CM関節症の原因 CM関節症を生じる主な原因は、加齢・ホルモンバランスの変化・関節の変形です。それ以外にも、過去に母指に受けた外傷・怪我も原因になりえます。 CM関節が正常の場合は、軟骨がしっかり骨を覆っており、スムーズな曲げ伸ばしや、クッション性も豊かです。しかしCM関節症の場合、軟骨がすり減ってしまった結果、骨と骨同士がぶつかり合い、関節への負担が生じることとなります。 一般的には下記の因子(原因)が当てはまる人はCM関節症になりやすいと推測されます。 女性 肥満 40歳以上 靭帯のゆるみなどの遺伝 親指周囲の骨折など過去の外傷や怪我 スポーツや労働で親指に強い負担が、かかっている状況 CM関節症の治療方法 CM関節症の治療法は大きく下記の4つに分けられます。 保存療法:テーピング・サポーターなどの装具治療・リハビリ 薬物療法:消炎鎮痛剤・痛み止め・注射によるステロイド製剤 手術療法:関節形成術・骨切り術・靭帯再建術 再生医療:幹細胞の投与 CM関節症は、まず保存治療を実施します。テーピング・サポーターなどの装具治療、リハビリをしっかり行うだけで症状の改善がみられる場合がほとんどです。 装具治療は、手の状態に合わせて取り外し可能な装具を作成し、症状が軽い場合は、寝るときに装具を付けて過ごすだけで数週間後には痛みが軽減する場合もあります。装具治療でも痛みが軽減しない場合は、消炎鎮痛剤の内服・注射治療を実施します。 保存療法や薬物療法を実施しても症状が改善しない場合は、手術による治療法も選択の1つとしなければなりません。手術の内容は「関節形成術」「骨切り術」「靭帯再建術」の3つ方法が主要となり、どの手術後も一定期間の固定が必要なため、母指を正常に使えるようになるまでに長い期間を要することがデメリットとなります。 ただし、手術を必要としない方法として、再生医療による幹細胞の投与が挙げられます。関節の軟骨がすり減っている部分などに、幹細胞を投与することでCM関節症の改善が期待できるのです。実際に痛みが10分の2まで軽減された事例もあり、下記の動画で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 CM関節症による筋肉への影響とほぐし方 手には多くの筋肉が存在するため、CM関節症になると、さまざまな筋肉に影響が出ます。今回はその中でも主要な筋肉のほぐし方について解説します。 第一背側骨間筋 背側骨間筋は、第1中手骨(親指)と第2中手骨(人差し指)の間にある筋で、親指を内側(手のひら側)に曲げたときに背側へ盛り上がってくる筋です。 この筋肉が緊張すると、痛みが出る・指がこわばる・力が入りにくくなります。また、中手骨の間にも走行するため、場合によって、神経が圧迫されて、しびれの原因にもなります。 背側骨間筋のほぐし方は下記のとおりです。 ほぐす側の手の平を台に置いて安定させる 手の甲を上に向ける 逆側の手で第1中手骨と第2中手骨の間に指を入れる 親指と人差し指の間の筋をつかむ 押さえるように、ほぐしましょう。 母指対立筋 母指(親指)を動かす筋は全部で4つあり、そのうち、短母指屈筋・短母指外転筋・母子対立筋の3つの筋で親指の付け根の膨らみである母指球を形成しています。 母指対立筋は短母指屈筋と短母指外転筋に覆われており、親指を手の平に近づける作用である対立運動に関与します。母指対立筋のほぐし方は下記のとおりです。 ほぐす側の手の平を上に向けて指を広げる 反対側の手で母指を握る 母指CM(親指の根本)を手のひらとは反対側、手の甲側へ伸ばす まとめ|親指と人差し指の間が痛いと感じたら医師に相談を! 本記事では、親指と人差し指の間が痛いときに考えられる「CM関節症」の症状や治療法について詳しく解説しました。 CM関節症は、50歳以上の人に多く見られる疾患で、親指の根元に位置するCM関節の軟骨がすり減ることにより発症します。主な原因は加齢・ホルモンバランスの変化・関節の変形・過去に親指に受けた外傷や怪我の影響とお伝えしました。 「握る」や「つまむ」などの日常的な動作で親指に負担がかかり、痛みや腫れを引き起こす疾患です。日常生活の質を大きく左右するため、早期発見と適切な治療が欠かせません。親指と人差し指の間に痛みが少しでもあれば、我慢せず自己判断を避け、専門医の診断とアドバイスを受けることが重要です。 当院「リペアセルクリニック」は、手術を必要としない再生医療を得意としており、CM関節症の治療もしていますので、まずはお気軽にご相談ください。 >>リペアセルクリニックにメール相談してみる No.S031 監修:医師 加藤 秀一
最終更新日:2024.09.26 -
- 手部
- ヘバーデン結節
手指に起こる原因不明のヘバーデン結節!どんな病気なのか?その症状と治療法について へバーデン結節とは、どういう病気かご存知でしょうか? へバーデン結節は、手指部における「第1関節に位置するDIP関節*が変形して曲がってしまう」という、いまだ原因不詳の疾患とされています。関節リウマチなどの膠原病とは異なる病気だと考えられています。 このDIP関節*の変形という疾患については、大小があります。すべての症状で大きく曲がる(変形する)わけではありません。指の第一関節の後ろ(背側)、中央付近に親指から小指にかけて、2つのコブのような結節が見られる特徴があります。 現在、この指のふくらみは年齢に伴う変形性関節症であると判明しています。 ちなみに、この「ヘバーデン」という名称は、この疾患を報告したイギリスの医師、ウイリアム・ヘバーデン博士の名から付けられた呼称です。 へバーデン結節は、関節組織の加齢による変化を基にして発症する変形性関節症として手指部に認められる病変なのですが、いろいろな変形や所見が見られます。 一般的には、第1関節に変形や、疼痛があって、X線レントゲン写真にて「関節の隙間が狭い」、「関節が壊れている」、「骨棘」と呼ばれる骨のとげ所見が見られると、「へバーデン結節」ではないかと疑います。 そこで今回、へバーデン結節について、一体どのような病気なのか、その症状と原因を紐ひも解き、治療法についても解説してまいります。 ヘバーデン結節の診断 ・DIP関節に対してX線によるレントゲン検査で以下を確認 ・関節の隙間が狭い ・関節が壊れている ・骨棘と呼ぶ骨のとげ ※ 参考)DIP関節*とは 手指は指関節や骨、それを腱・靭帯が取り巻き、指の複雑な動きに対応できるように機能しています。 その指関節は以下のような呼称で分類されています。DIP関節は、指先に一番近い関節です。 ・第1関節:DIP関節(指先から1番目の関節)ヘバーデン結節が起こる部位 ・第2関節:PIP関節(指先から2番目の関節) ・第3関節:MP関節(指先から3番目の関節で、指の付け根) ・第4関節:CM関節(手の甲の中にある関節) へバーデン結節の原因を探る へバーデン結節の発症について、これまでの医学的な研究においても今だに明確な原因は不明なのですが、普段から手や手指を頻繁に使用する方が発症しやすい傾向があると言われています。 へバーデン結節は、疫学的に40歳代以降の中高年齢層の女性に多く発症します。つまり、本疾患の背景には女性ホルモンの変調、ストレス要素に加えて外的な環境、およびストレスを過度に受けやすい体質や性格なども関与している可能性も検討されています。 過去の調査では確固たる遺伝性要因の影響があると証明されていないものの、傾向的に母娘間、あるいは姉妹間で高率な頻度で発症すると言われています。 したがって、例えば自分の母親や祖母の家系がヘバーデン結節に発症した経験を有する場合には、予防として普段から指先や手の部分に過剰な負担をかけないよう意識して注意すべきでしょう。 へバーデン結節の原因といわれるもの ・今だ明確な原因は不明 ・女性ホルモンの変調、ストレス要素(手や手指を頻繁に使用すると発症しやすい傾向) ・疫学的に40歳代以降の中高年齢層の女性に多く発症 ・傾向的に母娘間、あるいは姉妹間で高率な頻度で発症する ・ストレスを過度に受けやすい体質 へバーデン結節の症状について 典型的な症状としては、手指の中でも母指(親指)、あるいは差し指(人差し指)から小指にかけて第1関節が赤く腫れあがり、屈曲して疼痛症状があります。 へバーデン結節に罹患すると、時には安静時にも痛み症状があるため、強く手を握ることが困難になりますし、指のこわばりを感じて十分に手指を動かせなかったりもします。 指の変形が進むにつれて痛みといった症状そのものは落ち着いてくることが多いのですが、その分、手指の動きがさらに悪化して日常生活に支障をきたすようになりがちです。 補足ですがこの症状のうち、第1関節のうしろ側に水ぶくれのような所見を認めることもあり、この水ぶくれをガングリオンや粘液嚢腫などと呼称されています。 へバーデン結節の診断について へバーデン結節を診断する際には、診察上の視診や触診などの理学的所見を基本としてエックス線による画像検査が実施されます。 第1関節の腫れや熱感、変形、運動障害、疼痛症状の有無などを診察によって確認して、レントゲン検査で関節間の隙間が狭い、又は骨棘と呼ばれる骨のとげが突出しているなど変形性関節症所見を認める際には、典型的な「へバーデン結節」と診断されることになります。 症状が類似しており本疾患と鑑別を要する疾患として最も重要なのは関節リウマチです。一般的には、関節リウマチにおける症状は、関節痛、自己免疫に関連した炎症による体の倦怠感、朝のこわばりなどが典型的です。 ところが、関節リウマチでは手指における好発部位(病変が起こりやすい部位)としてはPIP関節(指先から2番目の関節)、MP関節(指先から3番目)のことが多く、へバーデン結節のようにDIP関節(第1関節)に現れることは、ほとんど無いと言われています。 同様に、画像検査上でも両疾患には異なる所見を認めることが知られており、関節リウマチの場合には骨が炎症によって溶解する(溶けてゆく)のに対して、へバーデン結節では骨が逆に増殖していくことになり、その点が大きく違うため、両者を鑑別することが出来ると考えられます。 へバーデン結節と、関節リュウマチの違い へバーデン結節 ・部位:DIP関節(第1関節)に現れる ・骨が増殖していく 関節リュウマチ ・部位:PIP関節(指先から2番目の関節)、MP関節(指先から3番目) ・骨が炎症で溶解する へバーデン結節の治療法について へバーデン結節における治療策としては、普段から「指先への過度な負担が生じることを避ける」、「指の腫れや熱感があるときには患部を積極的に冷却する」、「軽いマッサージを実践する」、あるいは装具などにより、「関節部の安静を保つ」ことで症状からくる痛みを軽快にすることが期待できます。 へバーデン結節における手指関節の保護には、装具として一般的には「テーピング」や、「金属製リング」などを治療策として使用されることが多くあります。 どうしても疼痛症状が強い場合は、漢方や消炎鎮痛剤を服用する、湿布や塗り薬などの外用薬を積極的に使用する、あるいは少量の関節内ステロイド注射なども有効に働きます。 へバーデン結節は、多少の個人差はありますが概ね数か月から年単位で痛みの症状そのものが落ち着いていくため、手術の必要性に迫られる、あるいは何が何でも手術を希望されるという患者さんはそれ程多くないのが実情です。 それでも、保存的な治療で症状が改善しない場合、または手指部の変形がひどくなり日常生活に機能的に支障をきたすケースでは、手術療法を検討することになります。 具体的な手術法としては、「コブになっている結節部を切除する」パターンや、「関節を固定」してしまう方法が取り入れられています。 手術についてもう少し詳しく概説すると、でっぱった骨(結節部、骨棘)や水ぶくれ(嚢胞)を切除する関節形成術や、傷んだDIP関節(1番指先の関節)のグラつき(不安定性)を改善させる関節固定術が一般的に行われています。 関節形成術に関しては外観上の所見が改善する長所がありますし、関節固定術は最も機能的に良好で使いやすい位置で関節を固定することで術後に痛みも無くなる利点があります。 へバーデン結節における治療策 基本 ・指先への過度な負担が生じることを避ける ・指の腫れや熱感があるときには患部を積極的に冷却する ・軽いマッサージを実践する ・関節部の安静を保つ(装具※) 鎮痛(痛みが強い場合) ・漢方や消炎鎮痛剤の服用 ・湿布や塗り薬等、外用薬 ・関節内へのステロイド注射 手術 ・関節形成術:でっぱった骨(結節部、骨棘)や水ぶくれ(嚢胞)を切除 ・関節固定術:傷んだDIP関節(1番指先の関節)のグラつき(不安定性)の改善 装具 ※テーピング、金属製リング等 まとめ・手指に起こる原因不明のヘバーデン結節!どんな病気なのか?その症状と治療法について いわゆる「へバーデン結節」と呼ばれる病気では、親指や人差し指から小指にかけて、第1関節が赤く腫れあがり、変形して曲がってしまう症状を呈します。 また、第1関節の手のうしろ側(背側)に関節を挟んでふたつのコブ(結節性病変)ができるという特徴があります。 へバーデン結節は、いまだ原因不明の疾患であり中高年齢の女性に比較的頻度が多く認められる病気とされており、手指部の症状のために日常生活に支障をきたすことがあります。 痛みや症状がひどくなると心配も多くなり、医療機関を訪れる患者さんが多いようです。もし、指の痛みや、変形の兆候など、症状を我慢したり不安がある場合は、整形外科などのクリニックや病院を受診して医師に相談されることをおススメします。 専門医による診察や画像検査、血液検査などを実施することで、関節リウマチなど他の類似疾患との鑑別を行うこともできますし、本疾患の治療はもちろん、症状の解消法などのアドバイスを期待できるでしょう。 以上、ヘバーデン結節とは、どんな病気?その原因と治療について記してまいりました。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.S030 監修:医師 加藤 秀一
最終更新日:2023.10.06 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
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- 再生治療
変形性膝関節症|最新治療!手術をしない再生医療(幹細胞治療)の実力 変形性膝関節の痛みに悩まされてきた方は多いのではないでしょうか? 変形性膝関節症は、関節軟骨や半月板の損傷から、膝に痛みや変形がみられる疾患です。その治療法は、運動療法に取り組みながらも、痛みに対しては、薬を服用したり、膝にヒアルロン酸注射をしたりし悪化を防ぎます。 これまでの治療方法としては、運動療法や、薬物療法があり、効果がみられない場合には、「手術という選択肢」が一般的でした。では、一方で「手術はしたくない」「手術が受けられない」方は、どうすれば良いのでしょうか?!この場合、「痛みと付き合っていくしかない」のが現状なのです。 しかし近年、保存療法では効果が感じられず、観血療法(手術)ができない場合でも受けられる治療法に、「再生医療による治療」が確立されたのでご紹介してまいりましょう。 症状が進行した場合 ▶ 従来の医療 最新の医療 手術ができない、受けられない ▼手術以外の選択肢に乏しい ・様子を見る ・痛みがあるなら付き合っていくしかない ▼再生医療(幹細胞治療) ・手術をしない ・入院不要 手術は嫌だ、避けたい 再生医療|幹細胞治療とは? 人は怪我をして傷ついたとしても、多少の傷なら自然に治り回復します。つまり、修復力を持っているということで、これは人間が本来備えている自然治癒力です。これを活かした治療法が「再生医療」といわれる新たな医療分野なのです。 この再生医療の一種、「自己脂肪由来・幹細胞治療」では、患者様の体から採取した幹細胞を培養後、数万から数億にも増やしたもの(幹細胞)を膝に注射することで、傷んだ軟骨や細胞を自然に修復・再生させる効果を見込むものです。 https://youtu.be/2GCVH-Jw5Ps?si=4kHgIjsG3cFqNsO7 再生医療における幹細胞治療とは 幹細胞とは、人間の骨髄や皮下脂肪にある細胞で、皮膚や骨・軟骨・血管などの、いろんな細胞に性質を変える特徴(分化能)があります。幹細胞治療では、幹細胞の分化能を利用して、傷んだ軟骨や、そのほか組織の修復・再生が期待できる最新の治療法です。 幹細胞は普段は活動的ではありませんが、体が傷つくと、損傷した細胞の代わりになるよう細胞分裂が起こり、修復・再生が行われます。変形性膝関節症の場合、幹細胞の分化能を利用し、自己修復力を高めて、磨耗した軟骨を修復させます。 軟骨が再生すると、本来備わっていた膝のクッション性がアップするほか、関節の動きが滑らかになり、膝の痛みの緩和が期待できます。 つまり、これまで運動療法や薬物療法ではできなかった軟骨の修復・再生が、自己脂肪由来幹細胞治療で可能になったのです。 幹細胞治療はどのように行われる? 変形性膝関節症に対しての自己脂肪由来幹細胞治療では、自分の体から幹細胞を採取し、培養後、幹細胞を体内に戻します。幹細胞を体内に戻す方法には、静脈注射(静脈点滴)と関節注射の2種類があります。 静脈注射は直接注射できない内臓(肝臓疾患や糖尿病など)や脳の病気に用いられ、膝や肩、股関節などには直接関節に注射する方法があります。幹細胞は骨髄や皮下脂肪に存在しますが、体への侵襲(体への負担)が少ないほか、細胞の性質が良いとされることから皮下脂肪から採取されます。 自己脂肪由来幹細胞治療の流れ ・腹部(おへそ周り)に局所麻酔をします。 ・5mmほど皮膚を切開し脂肪を採取します。 ・採取する脂肪の範囲は、米粒2粒ほどの大きさです。 ・採取した脂肪から幹細胞だけを分離し、4〜6週間ほどかけて培養します。 ・増殖した幹細胞を膝に関節内注射します。 幹細胞治療は、体への侵襲が低く、自分の細胞を利用した治療法です。大きな手術と比べて感染症のリスクは低く、拒絶反応やアレルギーも起こりにくいため、安全性が高い治療法です。 膝の痛みを放置するとどうなるか? 変形性膝関節症が進行し痛みが強くなると、治療の基本となる運動療法に満足に取り組めなくなります。さらに進行すると、ちょっとした動作や安静時でも膝が痛み、その痛みをかばうことで、関節の可動域が狭まっていき、余計に痛みを感じやすくなります。 そして、どうしようもなくなったときには、体に負担となる人工関節置換術や骨切り術などの手術が選択肢にあります。手術をすると、痛みの改善は期待できますが、感染症のリスクや、正座ができなくなるなどのリスクがあります。 手術をしたくない、手術ができない場合には、痛みと付き合っていくしかありませんが、痛みが悪化すると、次第に歩行ができなくなり、筋力が低下することで車椅子生活や寝たきりでの生活になってしまう可能性が高まります。 まとめ・変形性膝関節症、最新の治療法!手術をしない再生医療の幹細胞治療という可能性 自己由来幹細胞治療は、人が持つ修復力を引き出す治療法で、これまで不可能だった軟骨の再生が期待できます。幹細胞治療では、自分の細胞を使うことから、大きな手術のような、体にかかる負担はほとんどなく、長期間に及ぶ入院期間を確保できない場合にも、日帰りで行える治療法として注目されています。 変形性膝関節症の治療の基本は、膝周囲の筋力を鍛えることで、必要に応じて変形性膝関節症と診断された初期から幹細胞治療に取り組むことで悪化を防ぐことが期待できます。 幹細胞治療にかかる費用は、保険が効かず自由診療のため、全額自己負担での治療ですが、「現在の治療で効果を感じられない」「関節鏡や人工関節などの大きな手術をすすめられたが抵抗がある」方は、保存療法と観血療法の中間に位置する最新の再生医療による治療法、「自己由来幹細胞治療」を選択肢の一つとして覚えておきましょう。 以上、変形性膝関節症の治療に幹細胞治療/再生医療という新たな選択肢!になっていることについて記させて頂きました。 No.038 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療の幹細胞治療が変形性膝関節症の治療を変える! 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せずに症状を改善できます ▼以下もご参照ください 変形性膝関節症は早期発見が大切!膝の違和感を見逃さない!
最終更新日:2024.08.30 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
最近、横向きで寝ると膝が痛くて眠れない……。 膝に負担のかからない寝方はある? この記事を読んでいるあなたは、横向きで寝ると膝が痛む原因を調べているのではないでしょうか。 膝の痛みで眠れない日が続くと、日中のパフォーマンスに影響してしまうかもしれません。 結論、横向きで寝ると膝が痛いのは「膝周りの筋肉の緊張」もしくは「膝関節の疾患」が原因の可能性があります。自己判断は難しいため、膝が痛くて眠れない日が続くなら整形外科を受診しましょう。 本記事では、横向きで寝ると膝が痛い原因や、自宅でもできる対処法を解説します。 記事を最後まで読めば、寝る時に膝が痛い理由がわかり、病院に行くべきか正しく判断できるでしょう。 横向きで寝ると膝が痛い!考えられる3つの原因 横向きで寝ると膝が痛い場合、以下3つの原因が考えられます。 筋肉の緊張 膝関節の組織の炎症 変形性膝関節症 寝ているときの膝の痛みの原因を知り、必要に応じて病院での受診も検討しましょう。 筋肉の緊張 横向きで寝ていて膝が痛む場合、膝の筋肉が緊張し、こわばっている可能性が考えられます。 寝ている間は、日中に比べて膝を動かしていない時間が長いため、膝の筋肉が収縮・緊張しやすい状況です。 さらに、横向きで寝ると下になっている膝に負担がかかり、血行不良で筋肉が緊張し、痛みにつながります。 また、加齢や運動不足も、膝周りの筋肉が固まり痛みを感じる原因になります。こまめに膝の筋肉のストレッチをするなど、膝周りの筋肉をほぐすことを意識しましょう。 膝関節の組織の炎症 横向きで寝ると膝が痛い場合、膝関節の組織の炎症が原因かもしれません。 膝関節の組織でよくある炎症として、「半月板損傷」「関節リウマチ」が挙げられます。 半月板とは、大腿骨と脛骨の間にある線維軟骨で、膝関節のクッションの役割をしています。外傷や加齢により、半月板に亀裂が入り痛みが生じる状態を「半月板損傷」といいます。 また、関節リウマチは自己免疫疾患の1つです。免疫異常により、関節の滑膜と呼ばれる部分に炎症が起こると、膝に痛みを感じることがあります。 いずれも、慢性化すると歩行が困難になるケースもあるため、膝の痛みが続いている場合は早めに整形外科などで受診しましょう。 変形性膝関節症 横向きで寝ると膝が痛むのは、変形性膝関節症の可能性も考えられます。 変形性膝関節症は、加齢や度重なる膝への負担から、軟骨が摩耗して起こる疾患です。 最初は膝の違和感程度でも、進行すると立ち上がりや歩き出しといった膝を動かすタイミングに痛みを感じるようになります。膝が伸ばしにくくなることもあり、寝ていても痛みを感じるという人も少なくありません。 変形性膝関節症の治療としては、温めたり冷やしたりする物理療法のほか、薬物療法や手軽に取り組めるストレッチが効果的です。 膝が痛くて眠れないときの対処法3選 膝が痛くて眠れないときに、今すぐできる対処法は以下の3つです。 寝る時の姿勢を工夫する ストレッチをする 温める、もしくは冷やす 本章が、寝る時の膝の痛みに悩んでいる方の参考になれば嬉しく思います。 寝る時の姿勢を工夫する 寝る時に膝が痛い場合、寝方を工夫してみましょう。 横向きで寝ると、身体にひねりが加わり、膝に負担がかかりやすくなります。そのため、基本的には仰向けで寝ることをおすすめします。 もし仰向けで膝を伸ばした際に痛みが出る場合は、膝下にクッションを挟んで寝るのもおすすめです。 うつ伏せなど顔が下になる寝方は、膝周囲の血流が阻害されやすくなるため避けましょう。 ストレッチをする 膝の痛みで眠れない場合、膝周りの筋肉をほぐすストレッチをするのも良いでしょう。 ストレッチによって膝まわりの血流が良くなると、こわばりがほぐれ、痛みが和らぐ可能性があります。とくに、ふくらはぎにある腓腹筋や、太ももの裏にあるハムストリングのストレッチが効果的です。 具体的なストレッチ方法は以下のとおりです。 膝の痛みを軽減するための、腓腹筋のストレッチ 1. 壁や椅子の背もたれに手をつき、脚を交差させます 2. 前脚の膝を曲げていき、後ろ脚のふくらはぎの伸びを感じます 3. 気持ちが良いところで20秒キープします 4. 左右の脚を入れかえて1〜3を、1日3セット行います。 膝の痛みを軽減するための、ハムストリングのストレッチ 1. 地面に座り脚を開きます 2. 背筋を伸ばした状態で、片側のつま先に向かって、体を倒します 3. 気持ちが良いところで20秒キープします 4. 左右の脚を入れかえて1〜3を、1日3セット行います ストレッチは即効性が高くないため、継続でおこなう必要があります。無理のない範囲で習慣的に実施しましょう。 温める、もしくは冷やす 寝ているときに膝が冷えると、血流が悪くなり、膝がこわばって痛みを感じることがあります。夏場はエアコンが直接膝にあたらないようブランケットなどを活用するなどの工夫が必要です。 一方、寝ているときに膝が熱を持っていたり腫れていたりする場合は、患部を冷やすのが効果的です。アイスパックや氷嚢などを使って冷やせば、膝周りの血管が収縮し、炎症や痛みを抑えられる可能性があります。 もし、温めても冷やしても膝の痛みが引かない場合は、医療機関を受診の上、痛み止めの薬を服用しても良いでしょう。 寝てるときの膝の痛みで病院に行く目安 横向きで寝ると膝が痛い状態が続く場合、以下の項目に当てはまるかチェックしてみましょう。 寝ているときや朝起きたときに痛みを感じる 膝を伸ばすときに引っかかる感じがする 立ち上がりや歩き出すときに膝に痛みが走る 正座すると痛みがある 1つでも該当する項目がある場合、変形性膝関節症の可能性も考えられます。 早期発見・早期治療につなげるためにも、寝ているときの膝の痛みが気になる場合は医療機関に相談しましょう。 まとめ|横向きで寝てるときの膝の痛みが続くなら医療機関を受診しよう 本記事では、横向きで寝ると膝が痛いときの原因や、自分でできる対処法を紹介しました。 横向きで寝ると膝が痛むときは、筋肉の緊張によるこわばりや、膝の疾患が考えられます。筋肉の緊張が原因の場合、ストレッチなどでほぐすと痛みが和らぐ可能性があるため、ぜひ試してみてください。 変形性膝関節症などの疾患は、自己判断が難しい上に、放置すると歩行が難しくなるリスクもあります。ストレッチなどをおこなっても痛みが引かない場合は、早めに整形外科に相談しましょう。 ちなみに、当院「リペアセルクリニック」では、変形性膝関節症など膝の痛みに効果が期待できる再生医療を実施しています。 「人工関節の手術が怖い」「膝の痛みを根本的に治療したい」と考えている方は、ぜひ一度当院にご相談ください。 本記事が、寝る時の膝の痛みで病院に行くべきかの判断材料として役立ったのであれば嬉しく思います。 変形性膝関節症の再生医療は以下のページもご覧ください。 横向きで寝ると膝が痛いときによくある質問 朝起きると膝が痛い理由はなんですか? 朝起きて膝が痛むときは、寝ている間に膝周りの筋肉が緊張して固まっている可能性があります。 筋肉の緊張だけでなく、半月板損傷や変形性膝関節症の可能性もあるため、痛みが続くなら整形外科を受診しましょう。 変形性膝関節症の初期症状は? 変形性膝関節症の初期症状として、歩き始めや階段の上り下りなどをした際に痛みを感じることが挙げられます。また、あぐらができない、しゃがめないといった症状を自覚することもあります。 膝を動かしたときに痛み・違和感があるなら初期症状の可能性があるため、医療機関への相談がおすすめです。 変形性膝関節症の初期症状については、以下の記事も参考にしてください。 監修:医師 坂本貞範
最終更新日:2024.10.02