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高位脛骨骨切り術の利点と知っておきたいデメリット 変形性膝関節症の治療方法には、大きく分けて「保存療法」と、「手術療法」の2つがあります。 保存療法にはリハビリテーション、装具療法、薬物療法などがあり、これらを色々と組み合わせることで行われます。そして、手術という選択肢は保存療法で効果が得られない場合に検討することになります。 手術療法の中でも、特に「高位脛骨骨切り術」と呼ばれる手術は、O脚変形のために内側部(内側大腿から脛骨関節)に偏った過重なストレスを、自分の骨を切って少し角度を変える処置が施されるものです。 この手技によって、膝の内側部に過度の負担となっていた外力のベクトルを比較的きれいな軟骨の存在する外側部(外側大腿から脛骨関節)に移動させることが出来ます。 一般的には、手術を受けた結果として通常では脚の形はO脚からX脚に変化します。 この手術治療では、患者さんの膝関節が温存できますので、正座が引き続き可能であり、普段の生活はもとより、スポーツや、農業などの仕事へ復帰出来る方々も多くいらっしゃいます。 一方で、ある程度の入院期間が必要で術後に骨が癒合するまでの間、痛みが多少なりとも続くことや、膝関節部周囲の機能的な回復には、リハビリをしっかりと行うことが必要となってきます。 そこで今回は、高位脛骨骨切り術が適応となる症例や高位脛骨骨切り術について予後に後悔のないように、その利点、メリットとデメリットについて説明していきましょう。 高位脛骨骨切り術が適応となる症例とは? まず過度なスポーツ活動による関節に対して負担の大きな動き、専門的に言うと膝内反モーメント(ひねり)の増大により内側骨端線が早期閉鎖して脛骨内反(O脚)が起こりやすく、普段の生理的なレベルを逸脱した脛骨内反そのものが将来の「変形性膝関節症」の発症リスクとなります。 要は、通常とは違う動き、激しい動き、加重、ひねり、衝撃などが繰り返されることで関節の負担が増えると、同時に関節症のリスクも増えるということです。 後悔先に立たず!激しい運動の前には、ストレッチや準備体操をしっかり行い、終わりには整備体操やストレッチなどを入念に行うなど体に対する十分なケアを忘れず実施しましょう。 加えて申し上げるなら、これら体操やストレッチも自己流ではなく、適切な方法をトレーナーなどから指導を受けて行うべきです。通常では、股関節から足の甲までを一直線に結ぶ線を「荷重線」といいます。 一般的に変形性膝関節症を罹患している方の多くは、この荷重線が膝の内側を通っているので、膝の内側に荷重がかかり過ぎて膝に障害が起こります。高位脛骨骨切り術では、この「荷重線」を膝の中心に近づける手術を行います。 ではどんな方々がこの手術を受ける対象になるのでしょうか 一般的には、高位脛骨骨切り術の適用年齢は、概ね50歳〜75歳までで、変形性膝関節症を認める症例の中でも中程度の変形を呈する方に薦められることが多いです。 若年者でも症状が強いケースであるならば高位脛骨骨切り術を行って、下肢機能軸や脛骨近位の内反角を正常化すべきであるという意見もあります。 また、人工膝関節置換術は、骨と人工の異物を接合する都合上、ゆるみなど再手術が必要になることがあり、そうなれば初回の手術よりも再手術は、手技的に難しくなることがあります。 そのため、再手術のリスクを避けるために65歳よりも若い方にはこの高位脛骨骨切り術が勧められています。 また、変形性膝関節症の症状が中程度までで、まだまだ運動や肉体を使う仕事を続けたいなどの場合を含めて年齢を問わず活動性が高い患者さんには本手術治療を受けることをお勧めします。 高位脛骨骨切り術のメリットとデメリット さてここからは、「高位脛骨骨切り手術」自体の利点と欠点について紹介していきます。 まずは利点、「メリットから」ご説明します 高位脛骨骨切り術では、O脚に変形した脚を、X脚ぎみに矯正して変形性膝関節症の進行を遅らせることが出来る唯一の術式と考えられています。この手術の最大のメリットは、最終手段の人工関節を使わずに「自分の関節を残したまま」で症状を改善することが期待できる点です。 また、比較的侵襲(体への負担)が少ない手術であり、手術後の日常生活に対する制限も少なく、スポーツさえ継続できて、要否はともかく正座が可能になる症例も多く見受けられるため、変形性膝関節症において現在最も推奨される治療法であると言えるでしょう。 しかも、最近の高位脛骨骨切り術は、新しい手術方法が開発された結果、術後早期からの歩行も可能になっています。 入院期間も従来の人工膝関節置換術とほとんど変わらず、およそ4週間~6週間が平均的です。 高位脛骨骨切り術を受けた場合のリハビリは、術後1週間位から徐々に膝に体重をかけ始めて、3週間以内には全体重をかけて歩行訓練を施行します。そして、4週間~5週間程度で安定した歩行、階段の昇降、日常生活動作などをクリアすることで軽快退院の運びとなります。 次に、知っておくべき欠点、「デメリット」に関するお話しです 従来の高位脛骨骨切り術は、骨癒合までの数ヶ月間、手術した足に十分な体重をかけることが出来ず、入院が長期にわたるのが欠点でした。そのため、仕事をお持ちの方にとって復帰に時間が必要なことは大きな欠点でした。 そして、これまでにも高位脛骨骨切り術の処置に伴って腓骨短縮などの合併症や有痛性偽関節(骨がくっつかず、痛みも出る)が引き起こされることが問題としてあります。 また、高位脛骨骨切り術を受けたのちに、骨が癒合するまで多少なりとも膝部の痛みが続くと言われており、実際に術後の痛みが軽快して骨癒合が完了するまでに個人差はあるものの、およそ半年以上は時間がかかるとも伝えられています。 つまり、膝機能がある程度満足が得られるレベルまで回復するためには、気苦労の多いリハビリをコツコツ、しっかり行う必要があると言えるでしょう。 高位脛骨骨切り術のメリットとデメリット/まとめ 変形性膝関節症は慢性疾患であり、骨肉腫などのように、命に関わるといった疾患ではありません。従って、どのような治療法を選択するかは、患者さん一人ひとりが望むゴールによって変わってきます。 例えば、変形性膝関節症を抱える80代の高齢者であっても、「登山や舞踊が長年の生き甲斐なので今後もあきらめずに続けたい」などの目標がある場合には、高位脛骨骨切り術で自分の関節を温存できるようにチャレンジするケースもあります。 高位脛骨骨切り術とは、脚の形をO脚からX脚に変える手術であり、変形性膝関節症によって内側に偏っている過重ストレスを自分の骨を切って角度を変えることによって反対の外側に移動させる治療方法です。 この手術では、術後に多少疼痛は伴うデメリットが挙げられる一方で、自分の関節を温存して機能を維持することができるために術後の日常生活にほとんど制限がない所が大きなメリットと言えます。 いずれにしましても病院等の医療機関を受診され、しっかりご相談されることをおススメします。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 S006 監修:医師 加藤 秀一
最終更新日:2023.10.16 -
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膝に水が溜まる症状を放置しないでください!原因と治療法 病院やクリニックで「膝に水が溜まっていますね・・・」と言われた経験はありませんか。膝に水が溜まっていると、膝が全体的に腫れて重苦しい感じになり、膝の曲げ伸ばしが不自由になります。 少し専門的な話になり恐縮ですが少しだけお付き合いください。膝の関節は関節包という組織で覆われており、その内側に滑膜というものが存在します。その滑膜の中には「関節液(滑液)」という潤滑液とも呼べるもので満たされています。 この関節包の中の関節液は、膝関節の軟骨同士がぶつからないように関節の保護や潤滑を担い、スムーズな関節の曲げ伸ばしといった動きを実現するため存在し、歩いたり、走ったり、座ったりする仕草のあらゆる場面で無くてはならない大切な存在なのです。 機械に例えれば歯車に油をさして滑りを良くすることで、歯車の摩耗を防ぎつつ、滑らかな動きもサポートする。そんなイメージが近いと思われます。良くできた仕組みです。 しかし、この滑膜部位に何らかの無理な負担がかかって傷つくことが原因になり一旦、滑膜が炎症を起こしてしまうと、この「関節液」が余分に出てしまう状態になることがあり、そうなると困ったことになってしまうのです。 ・関節液こそが「膝の水」の正体です。 ・よく言う「膝に水が溜まる!」といった症状の原因となるものです。 そこで今回は、膝関節に違和感を感じたら放置しないで早めに整形外科を受診してほしいとの思いから「放置厳禁!膝の水」と題して膝の腫れや、膝の違和感、膝の痛みを我慢したり、放置することなく、ケアする大切さをお伝えするために「膝に水が溜まる病気」の原因とその治療法について解説させていただくことにしました。 1.膝に水が溜まる原因とは? 膝に水が溜まる直接的な原因は、関節液の多量分泌。要は、風呂の水を出しっぱなしにして、あふれるような状況になってしまうことです。このような状況になってしまう原因は、通常の場合、滑膜の炎症が起こることによってもたらされます。 では、なぜ滑膜に炎症が起こるのでしょうか。 それは関節液の内部構造における質の変化が大きく関係しています。年齢的に若くてもスポーツなどで激しい動きや、無理、負担の大きな動きで膝の部位に強い負荷がかかると膝の中の軟骨が損傷を受けてしまうことがあります。 また、40代以降の中年層や高齢者などでは、日常生活のちょっとした動作でも、それが繰り返されるうちに最初は小さな損傷であっても動きが繰り返されることで膝レベルでダメージが蓄積していくことになります。 その結果、少しずつ軟骨や、半月板などの膝周囲を囲む組織が摩耗して、削り取られてしまうのです。こうして削り取られた組織の一部のかけらが関節液の中を漂って、滑膜を刺激することになってしまいます。 一般的に関節液は、関節内にある滑膜という膜から産生されています。 この関節液、正常では関節軟骨の表面を潤すくらいのわずかな量だけ貯留していれば良いのですが「変形性膝関節症」や、「半月板損傷」などにより膝関節の中に何らかの炎症が引き起こされると、それに反応し過剰な関節液が産生されてしまうことになります。 その結果、「水が溜まる」という現象が起こってしまう!という訳です。 それ以外にも骨折や、靭帯損傷などの外傷性の変化、感染、関節リウマチ、痛風、偽痛風などでも膝に水が溜まると言われています。今日では膝の変形性膝関節症において、膝部における水腫や滑膜病変の存在自体が「変形性膝関節症」に伴う痛みと進行度の両方に密接に関連することが明らかになってきています。 つまり、水が溜ることで苦痛が増しかねないということで、放置は厳禁ということになります。 また、変形性膝関節症では軟骨下骨と、滑膜が重要な疼痛源(組織損傷が起こったとき、あるいは組織損傷が起こりそうなとき、あるいは痛みなどの不快な感覚体験)となっていることが知られております。 特に滑膜部では滑膜炎によって放出される炎症性サイトカイン(炎症を引き起こす物質で炎症反応を促進する働きを持つタンパク質)などが増加することで侵害受容器の受容体や感覚神経のイオンチャネルの興奮性を亢進(高めて進行)させることで膝痛が増悪すると言われています。 https://youtu.be/IyBCkOjTPi8?si=bas3ARteYRwx1IdR 2.膝に水が溜まった際の治療法とは? さてここからは、膝に水が溜まった際の治療法について紹介していきます。 従来からよく耳にするのは、「膝の水を抜くと癖になる!だから抜かない方が良いのではないか?」という疑問点について、この意見は必ずしも正しくはありません。 前章でも説明した通り、膝に水が溜まっている原因は膝の炎症が強く関与しているため、「水を抜くから癖になるというのではありません」正しくは、炎症が続いているから→ 水が溜まり続けて→ 癖になっているのでは?!と感じるのです。 ✕ 水を抜くから癖になる・・・違います! 〇 膝の炎症が続いているから、抜いても水が溜り続ける・・・正解(治療を行い症状の改善を目指す) したがって、重要なのは膝内部の炎症をしっかり抑制してコントロールすることにあります。時に水を抜かずに放置することは、滑膜部の炎症を長引かせる要因になりえます。 膝の水をどうする? ・放置しない → 抜く方が良い ・放置すると → 症状が悪化 ・放置すると → 炎症が長引く可能性 ・正解は → 水を抜きながら、根本的な症状の改善を目指す 繰り返し水が溜まるという症状は、膝に溜まる関節液の中に炎症を引き起こす物質(炎症性サイトカイン)が含まれていることをご存知でしょうか? そのため、放置せず膝内部の炎症を鎮めることを念頭に治療を行っていただくことが理にかなっています。適切に治療に繋げるためには、まずは損傷部位を正しく把握して、同部に対してしっかりと炎症を制御するアプローチを行うことが大切です。 また、膝に水が溜まった際に水を抜く処置を行う理由は他にもあります。 例えば、水が溜まっている原因が細菌感染の場合では、放置すれば膝関節内部でどんどんと細菌が繁殖して、益々膝部が腫脹して自覚的にも痛くなってきます。 この場合にも、水が大量に溜まった状態のままで放置しますと、膝の重苦しい感じが持続して、膝の動きがさらに悪くなり、日常生活において正座が出来ない、あるいは左右の膝の伸展度が違うなどといったことを経験する事も起こり得ます。 さらに、正常とは言えない関節液には様々な物質が含まれていて、関節の軟骨そのものに悪影響を及ぼすことも十分に考えられます。 もし、水が溜まっている原因が「変形性膝関節症」であった場合には、そのまま放置していると、どんどん病状が進行してしまい、末期になると人工関節の手術を選択するなど選択肢が狭められてしまいます。それだけは避けたいものですね。 再生医療の可能性 ただ、このような手術しかないとの診断を受けた方への朗報として近年、医学の目覚ましい発展で人工関節を避ける方法があることもご報告しておきます。これは人工関節を避けるだけではなく、手術すら不要。日帰りで治療できてしまう?というものです。 それが「再生医療」といわれる先端医療で傷ついた膝の軟骨を自力で再生させることで症状の改善を目指すものです。もしも、あなたが人工関節など、手術しかないとの診断を受けて迷われているなら、日進月歩のこのような先端医療分野を検討されても良いかもしれません。 このように治療方法に光明が見えては来ましたが、まずは放置せず、手遅れになる前に整形外科をはじめとした専門医に出向むいて、膝の状態を診てもらい、それに適した治療を受けることが重要な視点となります。 まとめ・膝に水が溜まる症状を放置しないで!原因と治療法 一般的に、膝関節は関節包という袋で覆われており、その内側には「滑膜」という組織があります。関節包の内部は滑膜から分泌される関節液で満たされていますが、その量は通常では約1~3mL程度です。 ところが、いったん滑膜部が炎症を起こすと、関節液の量は概ね20〜30mLにまで増加傾向を示し、「水が膝に溜まる」とはこのような状態を指しています。 膝の痛みや、膝が腫れ、膝に違和感を感じたら悪化を防ぐためにも早期に病院等、医療機関を受診しましょう。 したがって、膝に水が溜まっている際には膝関節内の骨以外の組織である軟骨、靭帯、半月板などの状態を把握しやすいMRI画像なども基準にして専門医が詳しい状態を分かり安く評価した上で、生活スタイルを考慮した形で的確な治療を提案してもらいましょう。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No,005 監修:医師 加藤 秀一 ▼ 再生医療で膝の痛みを治療する 膝の痛みは、再生医療なら入院や手術をせずに改善を目指せます ▼合わせてお読みください 膝に溜った水を抜いたあとの注意点とは
最終更新日:2024.03.05 -
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膝痛の原因と治し方|40代以降に急増する変形性膝関節症にご注意 年齢的に40代を過ぎたころ、中年期以降に膝の痛みでよくご相談いただくのが「変形性膝関節症」といわれる病気です。これは関節の軟骨がすり減りが原因となって起こる進行性の病変で注意が必要です。 この変形性膝関節症は、膝に痛みを生じさせ、症状が進行すると歩行も困難になってしまうなど、注意が必要です。この足の膝に対する病気は加齢に加え、慢性的に膝に機械的な刺激が加わることが原因で発症する骨の変形、変化です。 膝の痛みに対する治療として第一の選択肢は、保存的治療です 変形性膝関節症で膝の痛みが発症すれば、種々の保存的治療を試みるべきです。治療目標の達成度が十分でない場合には生活の質をできる限り高めるために、観血的治療(手術など)や再生治療も含めて個々人に沿った治療方針を定めるべきと考えられています。 そこで今回は、中年期以降に注意したい「膝痛の原因とその治し方」についてご説明してまいります 40代以降に起こる膝の痛み/変形性膝関節症の原因や症状 若いときには、ほとんど膝に痛みなど感じなかったのに、40歳を過ぎたあたりから徐々に膝の痛みを自覚し始めるという方が近年、増えてきています。 調査によれば、膝に痛みを感じ始めた年齢でもっとも多いのは50代(全体の約29%)であり、次いで40代(全体の25%を占める)であったとのことです。 40代から50代といえば、働き盛りで人生にとっても重要な時期に位置づけられているかと思います。そんな40代からはじまる膝の痛みの原因について、その多くは変形性膝関節症であると認められます。 変形性膝関節症とは、膝の関節内でクッションの役割をしている関節の軟骨が、すり減ってしまい、骨と骨が摩擦を起こすような状態になって膝の関節が変形する病気です。 痛みについての症状は、歩くだけで傷んだり、座る、かがむなどの動きに関する傷み、静止状態でも膝を曲げると痛いとか、伸ばしても痛む、それが複合するなど一旦発症すると色々な場面で痛みが起こる可能性があります。 典型的な症状としては、初期のころは「膝が強ばる」などの違和感から始まりますが、放置すると徐々に階段の上り降りする際や、立ち上がるときに「膝が痛む」、そして炎症により膝が腫れて、強い膝の痛みを自覚するという具合に、次第に強い症状が出現します。 変形性膝関節症 1. 膝関節の軟骨のすり減り 2. 骨と骨が摩耗を起こす 3. 関節が変形する 変形性膝関節症の原因・症状チェック!症状の場所は、内側か外側か? 変形性膝関節症の症状について、症状の出る場所は大きく二つに分けられ、一つは「膝関節の外側がすり減る外側型」、そして二つ目が「膝の内側の関節がすり減ってしまう内側型」であり、どちらの場所もその特徴は大きく異なります。 変形性膝関節症の症状、痛む場所 ・膝関節の外側がすり減る「外側型」 ・膝の内側の関節がすり減ってしまう「内側型」 例えば、外側型の場合には、怪我や病気などによる二次性の原因から発症に至ることが往々にしてあります。また、内側型のケースでは、「加齢や肥満」、「O脚」などの一次性の原因が多く認められます。 膝関節にかかる体重の負荷度合いとしては、内側が7割、外側が3割程度と言われていますので、加齢や肥満、O脚などの要因によって負担の大きな「内側型の変形性膝関節症を発症する方が多い」と考えられます。 膝の痛み|変形性膝関節症の原因 ・外側型の症状:ケガや病気などが原因となる二次性の要因 ・内側型の症状:「加齢や肥満」「O脚」などが原因となる一次性の要因 ・→ 内側型の変形性膝関節症を発症する方が多い(外側よりも) 膝関節は、平坦な道を歩くだけでも体重のおよそ3倍の負荷がかかり、立ったり、しゃがんだりすれば更に体重の概ね8倍も負担がかかると言われています。 私たちは、知らず知らずのうち、日常生活だけでも繰り返し膝を酷使しがちです。そこに加齢や体重が過剰になってしまうと、意識しない簡単な繰り返しの負荷が、いつしか過酷となり、膝軟骨が擦り減っていくことで支えきれなくなります。 知らず知らずのうち仕事や日常生活で膝の負担が増し、関節の軟骨がすり減ってしまいかねません。その意味でも中年期以降は、膝の負担を考え、肥満を避けて標準体重を意識した体重管理や、運動などで筋肉を維持し、予防を心がけましょう。 中年期以降に注意すべき膝痛の治し方 さて、ここからは40代以降の中年期に注意すべき膝の痛み、特に変形性膝関節症の治療方法について紹介してまいります。 まずは、ご自身でできる有効な予防法としては、膝の負担を減らすために極度に体重を増やさない。О脚の場合には治療に取り組み、また正しい姿勢で歩くことや正しい靴を選ぶ手段など様々考えられます。 膝の痛みには、膝の負担を減らす ・体重管理に努める(適正体重の維持) ・O脚の治療 ・正し姿勢を意識し、保つ ・正しい靴を選び正しい歩き方を身に付ける また、どんなケースでも有用となる膝痛のリハビリは「膝の曲げ伸ばし」や「軽めのストレチ」をすることが重要です。ただし、この膝の曲げ伸ばしについては、筋力トレーニングではありません。 変形性膝関節症の方で、膝の痛みに対して膝周りの筋力強化が有効と聞くと、早く治したい気持ちが勝って運動療法でありながらハードな筋力トレーニングやランニングなどで膝部分に過度な負担、無理を強いてしまいがちです。 それでは膝軟骨は余計に擦り減ってしまい症状が悪化し、かえって支障が出ます。したがって筋トレではなく、膝のストレッチや、ゆっくりとした曲げ伸ばし運動などのエクササイズを中心とした運動療法を毎日、継続的に行うようにしましょう。 人工関節の手術を避けて再生医療で治すという新たな選択肢 最近では、ヒトの皮下組織に存在する脂肪組織由来幹細胞を用いた再生医療によってひざ痛が改善する可能性が期待されており、本邦でも変形性膝関節症に対してこの幹細胞による再生医療が本格的に開始されています。 専門的になりますが、この脂肪組織由来幹細胞は、骨芽細胞、脂肪細胞、筋細胞、軟骨細胞などの間葉系に属する細胞への分化能を有しています。 変形性膝関節症は退行性疾患であり、疼痛には痛み止めの薬で痛みを抑え、対症療法的な理学療法のみを行って、根本的な治療を行わなければ徐々に症状が悪化すると考えられています。 従来、変形性膝関節症は治らないものでした。そのため、症状が進行すると人工関節置換術といった手術を選択するしかありませんでした。 それが脂肪組織由来の幹細胞を用いた再生医療により「膝軟骨が再生される」ことで膝周囲の疼痛が軽減した中で適切な理学療法を行えば変形性膝関節症における症状の改善効果が得られるようになってきたのです。 再生医療による治療は従来、これまで手術しか選択肢がなかった変形性膝関節症を切らずに改善を期待できる新しい方法として注目を集めています。以下をクリックしてお確かめください。動画や詳しいご説明がございます。 ご参照ください。 まとめ・膝痛の原因と治し方|40代以降に急増する変形性膝関節症にご注意 膝の痛みの原因について、その多くは変形性膝関節症です。仕事や、運動、日常の動作などを通じた膝の酷使、そして加齢が原因と考えられます。 40代以降に起こりがちな膝の痛み、変形性膝関節症において、擦り減った関節軟骨は再生医療を利用する以外、もとには戻りませんが、ただ努力次第で現状以上に擦り減らないように症状の進行を遅らせたり、状況を維持することは可能です。。 膝が痛いから、変形性膝関節症になったからと膝関節を安静にしすぎると良くないことです。膝関節は動かさなくなれば徐々に硬くなり機能が低下してしまいます。 そのためには、膝への負担をかけないよう意識しつつ、体重の管理やストレッチなどの筋肉量を落とさないエクササイズが有効です。それでも進行が進めば手術または再生医療などの先端医療に頼るという方法があります。 その意味で中高年の方で長時間座ってデスクワークを行う場合には、膝の痛みの強度や変形度合いに関係なく、出来る限り時間をみつけて膝の屈伸運動を心がけるなどの注意が必要です。 いずれにしましても中年期以降に少しでも膝の部分に違和感や、痛みを感じた際には、症状がひどくなる前、早めに整形外科を受診されることをお勧めします。放置が一番危険です。遅くなるほど選択肢が狭まってしまうからです。 尚、手術などの選択で迷われた場合、切らずに修復し、軟骨を再生し、症状を改善できる可能性のある「再生医療による治療」を検討する場合は、幹細胞を用いた最新の医療分野だけに、以下の点を注意して選びましょう。 1)厚生労働省の許認可を得ていること 2)再生医療専門の医師が対応すること 3)多くの症例を有し、豊富な経験と治療実績があること 4)親身になって相談に乗ってくれること この4つの条件をクリアしているか確認しましょう。以上、今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼歩行改善!笑顔を取り戻された患者様。診察風景など、こちらも是非ご覧ください。 https://youtu.be/2ok8ZbQ4OL4?si=dkj2-tyQN1U2y4oE ▼ 以上の条件をクリアした再生医療クリニックで治療を検討する 再生医療で手術せずに膝のお悩みを改善することができます S004 監修:医師 加藤 秀一」 ▼以下もご覧いただけます 変形性膝関節症を治療するには、治療法についても正しい知識を深めましょう
最終更新日:2024.03.22 -
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膝の痛みにグルコサミン、コンドロイチンのサプリは効くのか 膝の痛みや、腰・肩といった関節の痛みに対してテレビや雑誌で毎日のように見かける「グルコサミン」や「コンドロイチン」が配合されたサプリメントのCM! 飲むだけで歩行能力が向上する、関節の痛みが改善したり、楽になるといい!盛んに宣伝されています。ご年配の方が元気に歩いておられたり、走られたり、体操をされていたりと、お元気で活発な印象を受ける画像が多いですね。 このようなことが「グルコサミン・コンドロイチンのサプリ」を飲むむだけでOKという手軽さで実現できるのなら、こんなに良いことはありません! では実際のところ、本当に効果はあるのでしょうか?そのあたりを、分かりやすくご説明したいと思います。 そもそもグルコサミンやコンドロイチンって何だろう? グルコサミンは、アミノ糖の一種で、軟骨をはじめ爪や皮膚といったところに分布しています。コンドロイチンは、ムコ多糖と呼ばれ、グルコサミンなどのアミノ糖が連なってできた多糖体です。 どちらも体内で自然に生成される成分、関節を構成する成分として有名です。 ・グルコサミンやコンドロイチンの働きについて グルコサミンやコンドロイチンは、身体のあらゆる部分に存在しており、細胞同士をつなぎとめたり、水分を保持するといった性質を持っています。 関節内ではコンドロイチンはプロテオグリカンと呼ばれ、軟骨の構成成分としてクッションのような役割を果たし、骨と骨が接触しないよう保護してくれています。 ▼さらに知識を深めて、正しい使い方を学びましょう▼ ・軟骨成分、プロテオグリカンは本当に関節痛や美容に効果的なのか? ・コラーゲンのサプリやドリンクは関節に効果があるのか 膝や腰、肩などの関節が痛む原因 膝や腰、肩の痛みは多くの場合、加齢によるものが原因となります。 残念なことに体の機能は、年齢を重ねるにつれて徐々に衰えていきます。グルコサミンやコンドロイチンといった体内で生成される成分も加齢によって生産率は現象していき、関節内での柔軟性や弾力性がしだいに失われていきます。 関節を構成する成分が減ってしまうことで脆くなり、軟骨がすり減ることで骨がぶつかり合い、周辺の神経に伝わることで、痛みが出ます。重労働や激しい運動など膝や腰、肩を使いすぎてしまうような行動を継続することでも痛みの原因になります。 グルコサミンやコンドロイチンのサプリメントとしての効果 テレビや広告ではグルコサミンやコンドロイチンを含んだサプリメントが毎日のように数多く宣伝されています。 内容は、軟骨に豊富に含まれているグルコサミンやコンドロイチンといった成分をサプリメントとして体に補給してげることにより、軟骨の減少や膝や腰、肩の痛みといった症状の改善効果が期待されるといいます。 実際に、サプリメントを飲み続けることにより痛みが軽減したという声もありますが、本当のところ効果があるのでしょうか? サプリメントが痛みに効果があるか、影響するかの研究 米国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)が出資した主要な研究など一部の研究では、グルコサミンのサプリメントが痛みを軽減したというエビデンス(証明)は、ほとんど或いは、まったくありませんでした。 一部の研究発表では、コンドロイチンやグルコサミンといった成分をサプリメントとして服用することで膝の痛みや、腰、肩の痛みに対して痛みを軽減する可能性があると示唆しているものの・・・ 実際のところ「可能性レベル」であって、ほとんどの研究において「劇的な改善をもたらした!といえるほどの効果はない」と報告されています。 実際に大規模な研究の結果でもグルコサミンやコンドロイチンといった成分が関節の痛みに効果があるというエビデンス(証拠となるもの)を示していません。 つまり、グルコサミンやコンドロイチンといったサプリメントは、痛みを軽減するかどうかについては、十分なエビデンスが無いのが実際のところです。 グルコサミンやコンドロイチンは膝の痛みや、関節の痛みに効くのか マスメディアや、CMで大きく取り上げられている「グルコサミン、コンドロイチン」ですが研究結果をみると、これらの成分がもたらす効能というものは科学的な根拠に乏しく、膝の痛みをはじめ、各関節の痛みに効くとまでは断言できません。 痛みに効果がない要因として、口からの摂取による影響が考えられます。グルコサミンやコンドロイチンは、アミノ酸や糖質で構成されていますが、口から摂取することによって消化器官を通過します。 消化器官を通過するということは、胃液などにより消化および、分解されてしまうため、軟骨成分として身体に吸収され、軟骨まで到達するとは考えにくいからです。 また軟骨には血管がほとんどなく、栄養として成分が直接届くとも考えにくいところが本当のところです。 軟骨成分を摂取しても軟骨に届くのか?! ・口から接種すると胃液など消化器官で分解されてしまう ・軟骨には血管がほとんど無く、成分を届けることができない なぜ、サプリメントを飲むと膝痛など関節に効くと感じるのか? グルコサミン、コンドロイチン、プロテオグリカン、ヒアルロン酸など、膝の痛みをはじめとした各関節に対する効果・効能、改善を目的としたサプリメントが大手をはじめ、色々なメーカーから販売されています。 どの製品が良いかは、どの製品が効くのか正確には分かりませんが、実際に摂取された人の中で「痛みが軽くなった」「痛みが半減した」と声を上げている製品があるようです。 それなら聞くのではないか?思われたかもしれませんが、これについては「プラセボ(プラシーボ)効果が関わっている」のではないかと考えられています。 効いた!と感じる「プラセボ(プラシーボ)効果」とは? プラセボ(プラシーボ)効果とは、本来薬としての効能が全くない物質を摂取しているのにも関わらず、効能が得られたと感じる効果のことです。 ・実験してみた結果について 実際にアメリカの臨床研究では関節痛など問題を抱えている人を大人数用意し、以下のような二つに分けてモニタリングを行いました。 一方はグルコサミンやコンドロイチンの「本物のサプリメント」を与え、もう一方には、まったく何の効果もない「偽のサプリメント」を与えました。 その上で一定期間服用させたところ、確かにグルコサミン・コンドロイチンを服用した層から症状の改善を見ることができたのですが、それと同時に偽薬を服用させた患者さんの中からも「痛みが緩和した」「痛みが改善した」という結果が出ているのです。 ■臨床研究(プラセボ効果)の一例(アメリカ) ・グルコサミン・コンドロイチン入りのサプリメント ・どちらも効果を感じる層がいる ・何も入っていない二セのサプリメント ※結果 > グルコサミン・コンドロイチンは「入っていても」、「入っていなくても」効果が表れる これはどういうことでしょうか?! これがプラセボー効果といわれるもので一種の「思い込みによる心理的な働き」と考えられています。 「グルコサミンやコンドロイチンのサプリメントを摂取すると膝の痛みがとれる」といった情報や先入観、思い込み、イメージ等からそれを摂取することで実際に効いたように感じてしまう状態を指します。 これは、非現実的ですが、感覚的なものによって本当に効果が生み出されていると推察できるものです。つまり、痛みに効くというイメージに身体が騙された可能性が大きいといえるのではないでしょうか。 そのため、何の成分も入っていないサプリメントで膝の痛みなどが消えることがあっても、実際は思い込みということになるのです。つまり、成分が入っていても、入っていなくても効くということです。 しかし例え、思い込みだとしても、それはそれで実際に症状が改善した、良くなったのなら、ある意味、その方にとっての痛みの改善という「目的を達成できている」と見れば良いのかもしれません。 ということで痛みの改善にサプリメントを購入され、それで満足のいく結果が得られたのなら、それが正解でしょう。もし、残念ながら結果が得られなければ、この記事を思い起こしていただければと思います。 まとめ・グルコサミンやコンドロイチンは膝の痛みや関節に効くのか? グルコサミンやコンドロイチンといったサプリメントが色々なところで宣伝されていますが、腰や膝、肩の痛みに効くのかについてお話させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。 確かにグルコサミンやコンドロイチンは、体の軟骨成分に豊富に含まれている物質です。ただ、医学的は、これらの成分をサプリメントとして補ったとしても膝や肩など関節に届く可能性は低くいと言わざるを得ません。 そういった面では、実際に痛みに効くとは言い切れないのが現状です。しかしながら、今後の臨床研究により何らかの効能が見つかる可能性がないわけではありません。 ネットやテレビの情報をそのまま鵜呑みにし、過大な期待をされるのを避けて、楽になったらよいな・・・程度の気休めでお考えになった方が良いかもしれません。それで本当に楽になれば儲けものです。 ただし現在、膝の痛みや、肩など関節の痛みに悩まされているなら、サプリメントに頼りすぎず、ぜひ整形外科など専門の医療機関を受診され、しっかりとした診断に基づく治療をお受けになることをおすすめ致します。 痛みには思わぬ病が隠れていたりもします。早期発見、早期治療が何よりの対処方法です。身体の痛みや違和感といった症状を放置されませんように! 以上、グルコサミンやコンドロイチンは膝の痛みなど関節に効くのか?について記させて頂きました。 No.S003 監修:医師 加藤 秀一 ▼ グルコサミンなどのサプリに頼らない膝の痛みなどに対する再生医療とは 自ら再生しようとする力、自然治癒力を活かす最先端の医療分野です
最終更新日:2023.10.04 -
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変形性膝関節症の画像診断と進行度合の目安、ステージ分類の仕方、自覚症状の見方 変形性膝関節症と診断されてから「どれくらい進行しているのだろう?」ご心配や、お悩みは尽きないものです。もしかして「悪くなっているのか?、いや良くなっているかも」「平行線なのか?」自分の症状が今どの程度なのか。 実は、そんな症状の進行度合を指標とした指標があります。それが「ステージ分類」というものと「自覚症状からの分類」というものがあります。 変形性膝関節症は、膝に痛みや変形をもたらし、日常生活に多大なる影響を及ぼします。進行すると手術の適応となるのですが、その進行度合いは画像診断や、患者様の自覚症状から見極められます。 そこで今回は、症状の進行を現す変形性膝関節症のステージ分類と、自覚症状による分類についてご紹介しましょう。 変形性膝関節症の「ステージ分類」の仕方 変形性膝関節症は、X線検査(x-ray)にて診断されます。撮影には寝転んだ状態で正面・側面から撮影する方法(非荷重位)と、立って撮影する方法(荷重位)があります。寝転んだ状態では、関節の隙間が広がり、正確に隙間を見ることができないため、立位で撮影することが大事です。 膝の診断レントゲン撮影 ・寝て撮影:否荷重位 ・立って撮影:荷重位(正確な診断にはこちらを選択する) X線により白く映し出された大腿骨と脛骨の末端に注視し、膝の状態を確認します。特に大腿骨と脛骨の隙間・O脚やX脚・骨棘(異常に突出した骨)が形成されているかどうかです。これらを元に、Kellgren-Lawrence(ケルグレンローレンス)分類のグレード0〜4のいずれかに分けて変形性膝関節症の進行度合いを表示します。数字が大きくなるほど進行が進んでいる状態を表示します。 Kellgren-Lawrence (ステージ分類) グレード0 ・大腿骨と脛骨の関節の隙間が十分にある正常な状態です。 グレード1 ・骨棘のほか、関節液が骨に侵入 ・溶解され骨に穴が空く骨のう胞、度重なる骨への負担から骨が異常に固くなる骨の硬化がみられる。 グレード2 ・関節の隙間が狭くなりますが、正常の2分の1以上の隙間が残っている。 グレード3 ・関節の隙間がさらに狭くなり、正常の2分の1以下になる。 グレード4 ・関節の隙間が消え、大腿骨が内側に傾くなど大腿骨と脛骨のズレが見られます。 ・また明らかな骨棘の形成が見られる。 こられ「X線検査」は、骨の状態や隙間を確認することには長けていますが、靭帯や軟骨などの軟部組織はハッキリと映し出されません。靭帯や軟骨を確認するには、明暗がハッキリわかるMRI(Magnetic Resonance Imaging)が使われます。 このように変形性膝関節症はX線にて診断され、画像を元に分類分けされます。 次に自覚症状などから分けられる4つの分類を紹介します。 変形性膝関節症の進行に沿った「自覚症状による分類」の見方 変形性膝関節症の自覚症状は「前期」「初期」「中期」「末期」と進行していきます。 「前期」の自覚症状 ・痛みは感じず、健康な状態です。軟骨変性といい関節軟骨に劣化や傷みが起こることがありますが外部から確認はできない。 ・ここから長い年月をかけて関節軟骨の弾力が少しずつ衰え、病気は進行する。 「初期」の自覚症状 ・この頃から軟骨が擦り減り始める。 ・X線では膝関節に変形はほとんどない。 ・主な症状は、膝の「動かしにくさ、こわばり、違和感」がある。 ・軟骨変性が進むと、関節軟骨のクッション機能が失われていき、一箇所に負担がかかることで骨硬化が見られる。 ・滑膜が炎症を起こし、激しい痛みを感じることがあるのも初期の特徴。 「中期」の自覚症状 いよいよ膝関節の変形が始まるのが中期。 ・初期の炎症が落ち着き、痛みは軽減される。 ・しかし痛みは慢性化し、日常生活動作に影響が出始める。 ・特に階段の昇降や、正座や立ち上がりなど、膝の曲げ伸ばしに関する動作に支障が出る。 ・動くたびに痛みを感じるので、痛みを庇うことで膝周囲の筋肉や靭帯を動かす機会が減る。 ・膝関節の動きが固くなり、制限がかかる状態を関節拘縮と言う。 「末期」の自覚症状 ・変形はさらに進行し、軟骨がほとんど擦り切れた状態。 ・大腿骨と脛骨が直接ぶつかることから、立つ・座る・歩くといった生活の基本の動作がまともにできなくなる ・膝が動かなくなる。 ・基本的にはじっとしていても痛みを感じ、杖や手すりなど、何かを頼りにしないと歩くのも難しくなる。 ここまで単純X線写真で判断するグレードと、自覚症状などから判断する「前期」「初期」「中期」「末期」の4つの分類を紹介しました。 しかし前項で紹介したX線検査でのKellgren-Lawrence分類が進行していたとしても、自覚症状が一致するとは限りません。 自覚症状があまり強くない場合や、その逆の場合もあります。 まとめ・変形性膝関節症の画像診断と進行度合の目安、ステージ分類の仕方、自覚症状の見方 いかがでしたでしょうか? 変形性膝関節症の画像診断と自覚症状における分類について、その見方や仕方をご紹介しました。両者の進行度合いが一致するとは限らないことから、膝に痛みがないからと安心してはいけません。 膝に違和感を覚えた時点で早期受診・発見することが、変形性膝関節症の治療の幅を広げ、進行を遅らせることができます。 また変形性膝関節症の基本的な治療は「運動療法」になります。膝周囲の筋肉を鍛え、膝への負担を軽減させることで、進行を遅らせることができるからです。 たとえ手術の適応となった場合でも、術後も運動療法を継続することが大事です。運動療法により膝の可動域を維持することで、その先の人生をいかに支障なく過ごせるかに関わってきます。 ▼ 最新の再生医療で変形性膝関節症を治療する方法をご存知ですか? 変形性膝関節症は「再生医療なら手術をせずに改善できます」早期はもちろん、末期でもご相談下さい! No.0023 監修:院長 坂本貞範 ▼以下もご参照ください 変形性膝関節症の最新治療|ヒアルロン酸ではできない軟骨の再生を期待できる治療法とは
最終更新日:2024.02.20 -
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変形性膝関節症の痛みの段階と人工関節のメリット・デメリット、避けるために 変形性膝関節症とは、骨の先端にある軟骨がすり減ったり骨が変形し、痛みや腫れを伴う状態をいいます。残念ながら一度すり減った軟骨に自力で復活するなどの改善を期待することは通常できません。 軟骨のすり減りが進行すると骨の周りを覆っている骨膜が露出し、骨膜同士が当たるようになり、そのため痛みが伴うようになってきます。さらに、そこに変形した膝の骨が骨同士に負担をかけてしまうことになり、痛みが倍増することになります。このように痛みを伴うのは、骨膜同士がぶつかり合ってしまうための痛みです。 膝には関節包と呼ばれる袋があり、袋の中には滑液と呼ばれる潤滑液で満たされています。古くなった滑液は、骨の先端から吸収され新しい滑液が流され、その流れが繰り返されます。しかし、骨同士のぶつかりが頻発すると炎症が起きます。 炎症が起きると、滑液が骨の先に吸収されずつねに膝の袋の中に滑液が貯まります。これが「水がたまる」と言われる現象で膝が変形した人や膝に痛みを伴う人に見られる症状の一つです。 膝の痛みを抑えるために、医者が診察時に患者さんによく言う言葉に「膝の痛みを取るためには筋肉を鍛えなさい」という言葉があります。一度は耳にされたことがあるかもしれません!筋肉を鍛える理由は、膝の周りにはいくつもの筋肉が膝の骨同士がぶつからないように支えており、年を重ねるにつれて筋肉は衰えます。 衰えるということは、膝を支えている部分が弱くなり、膝の骨同士がぶつかりやすくなります。お互いにぶつかりがないようにするために、筋力をつけろと言うわけです。 変形性膝関節症|初期・中期・末期の症状 変形性膝関節症は時間をかけて変形し、痛みの度合いも変化していきます。変形による痛みがどのように変わるのかを以下の3つに分けてご説明します。 1)初期症状 2)中期症状 3)末期症状 ※ご注意 変形による痛みではなく、違う膝の病気という可能性もあります。自己判断ではなく、病院で診察を受けていただくなど正確な情報をもとにして、お膝の具合と照らし合わせて確認されることをお勧めします。 1)初期症状 朝起きて動き始めに、膝がこわばる(曲げ伸ばししづらい)感覚があり、鈍い痛みが伴います。しばらく動かしたり歩いていると、こわばりもとれいつもと変わらない膝の曲げ伸ばしができるようになり、気にならなくなる方が多いようです。 最初の頃だと、膝の痛みが直ぐに消えるため、気になる方が少ないのが現状です。このような症状が出始めたときは、膝の筋肉が弱くなり、膝の骨同士が少しずつ当たり始めている状態です。 2)中期症状 中期になると、しばらく動かしていたら消えた痛みが中々消えず、正座やしゃがむという動作が辛くなります。他にも階段の上り下りが痛みを伴います。 この場合だと、膝の炎症が起き始め、膝も腫れて熱感も生じます。関節包(関節の袋)の中に滑液が貯まりはじめ、膝の変形も少しずつ始まります。 また軟骨がすり減っているため、関節の曲げ伸ばしのときに軋む音がします。 3)末期症状 関節軟骨がほとんど無くなり、骨同士がぶつかるようになります。炎症も常に続いているので、骨の変形も著しくなります。初期・中期で見られた症状全てが悪くなった状態で、「しゃがむ」「正座」「階段の上り下り」が困難になります。 日常の歩行も難しく、常に痛みを伴う状態です。痛みを常に伴うため、体だけでなく心の負担も大きくなり、精神的に追いやられる方が多いようです。 このように段階を経て膝の変形に伴い痛みのレベルも変化していきます。少しでも痛みや違和感を感じたときには、最寄りの整形外科を受診されることを強くおすすめします。 人工関節|メリットとデメリット 症状が末期になり、膝の変形がひどくなると、医者から「人工関節にしては?」と手術を勧められた場合、人工関節にはメリットとデメリットがあることを知ってご判断されることをお勧めします。 メリットは、歩行時の痛みが和らぎ、歩くことが楽になります。膝が痛むため、歩く機会が減ったという方にとっては何よりのメリットと言えるでしょう。 しかし、手術には感染症や深部静脈血栓・塞栓症などの合併症を引き起こす可能性があります。 また人工関節には寿命があり、それは10~15年と言われていることです。つまり、年齢によっては再び入れ替えるための手術が必要となる可能性があります。 こ例外、膝の痛みは取れても、正座や運動制限といった日常動作に対する制限も加わることもデメリットと言えるでしょう。 膝の人工関節手術|メリットとデメリット メリット デメリット ・痛みの原因を改善できる ・痛みが和らぐ ・歩行の改善 ・入院に3~6週間を要する ・手術後はリハビリが必須 ・日常生活で動きに制限 ・手術後、10~15年で交換が必要(再手術) ・感染症、合併症を引き起こす可能性がある ・人工物に置換える心理的な抵抗感 膝の人工関節(手術)を避ける最新医療(再生医療)について 手術を避けたい、踏み切れないなら「再生医療(幹細胞治療)」という選択肢もあります https://youtu.be/ek8aeRHpKiA?si=R7VdYuGlwZD5HoLU 幹細胞による治療法とは、「幹細胞」と呼ばれる「自己複製能」と様々な細胞に「分化する能力(多分化能)」を持つ特殊な細胞を膝に注射をします。すり減った軟骨が幹細胞により再生し、膝の痛みが和らぎます。 状態によっては、手術をすることなく、これまでのように日常生活の動きに制限がない快適な生活を手にすることが可能となります。幹細胞を用いた治療は「再生医療」と呼ばれ、体に負担をかけない方にとって画期的な治療方法として注目を浴びています。 当院は厚生労働省から認められた再生医療の専門院です。再生医療による膝の治療について詳しいことはお気軽にお問い合わせください。 まとめ・変形性膝関節症の痛みの段階と人工関節のメリット・デメリット、避けるために 変形性膝関節症は、骨や軟骨の変形によって引き起こされる痛みを伴う進行性の疾患です。本稿では、初期から末期までの症状の変化や、人工関節手術のメリットとデメリット、さらには再生医療の選択肢について解説しました。 初期症状では、こわばりや軋みが感じられ、中期になると痛みが増し、末期には日常生活に支障をきたすまで進行します。人工関節手術は痛みを和らげる一方で、入院やリハビリが必要であり、人工物であるだけに寿命があることも理解しなければなりません。 一方で、新しい治療法として注目されている再生医療という治療法もあります。これはご自身の幹細胞を用いて自己の軟骨を再生させるこれまでに無い治療法です。手術を回避しつつ、痛みの緩和を図るもので治療の選択肢を与えてくれるものです。 いずれにしても治療は、患者様自身の状態や希望に応じて、適切な治療法を選択することが重要です。 医師との相談を通じて、最良の治療プランを見つけましょう。 s001 監修:医師 加藤 秀一 ▼ 再生医療は、人工関節を避けて変形性膝関節症を治療できる方法です 変形性膝関節症は、再生医療にで人工関節の手術をせずに改善することが可能です ▼こちらもご参考にされませんか 変形性膝関節症は膝痛の9割以上にその可能性!急増する原因と予防のヒント
最終更新日:2024.04.18 -
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変形性膝関節症の手術と保険費用について 変形性膝関節症で手術を薦められたけど、「膝の手術ってどれくらいの費用がかかるのだろうか?」「保険は適用されるのか?」そんなお悩みにお答えします。 変形性膝関節症は、膝の変形や痛みを伴う疾患で、進行すると手術が適応されることがほとんどです。そんな変形性膝関節症の手術には、「関節鏡視下手術」、」「高位脛骨骨切り術」、「人工関節置換術」の3つの手術方法があります。 それぞれの手術にかかる費用は、手術に用いる材料や技術料、入院の有無などにより決められ、健康保険の適応や軽減制度の利用で最終的な自己負担額が決定します。 変形性膝関節症の手術 ・関節鏡視下手術 ・高位脛骨骨切り術 ・人工関節置換術 変形性膝関節症の手術の内容と費用 変形性膝関節症の手術にかかる費用は、少額順に「関節鏡視下手術」→「高位脛骨骨切り術」→「人工関節置換術」となり人工関節に関する費用が一番高額になります。 手術を含めた治療費用の概算は、保険診療にかかった費用(保険組合に加入されている方は、1〜3割負担)+ 保険適応外診療(ベッド代や食事代)にかかった費用の合計です。また保険内診療が定められた金額を超える場合には、「高額療養費制度」を利用して費用の軽減ができます。 まずはそれぞれの手術内容、高額療養費制度が適応される前の負担金を紹介します。 関節鏡視下手術 関節内に内視鏡を入れ、画面を見ながら傷んだ軟骨(関節軟骨や半月板)・骨棘・増殖した滑膜を取り除く手術です。体への侵襲(影響)は少なく、手術にかかる時間や回復期間も短い一方で、効果の持続が短く、痛みが再発する可能性がある手術法です。 ・関節鏡視下手術にかかる費用は約25万円 (3割負担の方で約7.5万円、1割負担で約2.5万円) ここに差額のベッド代や食事代が入った金額が自己負担額になります。 高位脛骨骨切り術 脛骨の一部を切り取ることで、O脚のような膝の変形や、荷重の偏りを矯正する手術です。O脚になると膝の内側に荷重が集中することから、骨切りにより形を整え、変形を改善させることで、膝内側への負荷を軽減させます。 ・高位脛骨骨切り術にかかる費用は約146万円 (3割負担の方で約43.8万円、1割負担で約14.6万円) ここに差額のベッド代や食事代が入った金額が自己負担額になります。 人工関節置換術 膝の関節全体を人工関節に置き換える手術です。関節全体を取り換える人工関節全置換術と、傷んだ一部のみを入れ換える単顆置換術がありますが、適応されるほとんどが全置換術です。 関節を人工関節に入れ換えることで、痛みの改善が期待できます。ただし正座ができなくなるなど関節可動域は低下します。また体への侵襲が他の手術と比べて大きく、稀に重篤な合併症を引き起こすことがあります。 ・人工関節置換術にかかる費用は約186万円 (3割負担の方で約55万円、1割負担で約18.6万円) ここに差額のベッド代や食事代が入った金額が自己負担額になります。 手術内容 主代金例 費用 その他 関節鏡視下手術 250,000円 3割負担:約75,000円 1割負担;約25,000円 + 差額のベッド代 + 食事代 高位脛骨骨切り術 1,460,000円 3割負担:約438,000円 1割負担;約146,000円 人工関節置換術 1,860,000円 3割負担:約550,000円 1割負担;約1,860,000円 ▼「手術をすれば痛みは消えるの?」 ・変形性膝関節症の手術で痛みは消えるのか? ・高齢者が変形性膝関節症の手術を受けるリスク 自己負担を減額できる高額療養費制度をご存じですか? 次に高額療養費制度について紹介します。 膝の手術にかかる費用は、健康保険の有無や、その負担割合により決められますが、保険内診療の自己負担額が、定められた金額を上回る場合には、高額療養費制度が適応されます。 高額療養費制度とは、一ヶ月にかかる金額が高額になった場合、所得や年齢によって定められた金額(自己負担限度額)を超えた分だけ戻ってくる制度です。ただし、入院の際のベッド代や食事代などは保険外となり本制度の対象にはなりません。 高額療養費制度が適応される健康保険内診療 ・技術代 ・金属などの材料費 ・輸血料 ・麻酔料 ・検査料 ・画像診断料 ・注射料 ・再診療 ・入院料 ・リハビリ料などです。 高額療養費制度が適応されない保険外診療費 ・ベッド代 ・食事代など ただし、高額療養費制度を利用した場合、払い戻されるまで一時的に高額の支払いが生じる場合があります。 しかし70歳未満または、70歳以上の非課税世帯の方は医療機関の窓口に限度額適用認定証を提示することで、払い戻しではなく、支払い上限額があらかじめ「自己負担限度額」に抑えることができます。 限度額適用認定証取得方法は、市町村役場、区役所、全国健康保険協会、 健康保険組合にて、申請の手続きを行い取得できます。詳しくはお住まいの市町村役場などにお問い合わせください。 中には限度額適用認定証を必要としない場合もあります。70歳以上75歳未満の非課税世帯ではない方は、高齢受給者証を窓口に提示し、75歳以上で非課税世帯ではない方は、後期高齢者医療被保険者証を窓口提示することで窓口での支払いを自己負担限度額にできます。 ※平成30年8月から70歳以上の方の上限額に変更がありました。 これまで現役並みとされる課税所得145万円以上の方でも限度額適用認定証を必要としませんでしたが、新たに課税所得145万円〜689万円の方は、I〜Ⅲの区分に従って上限額が変更され、限度額適用認定証も必要になりました ▼詳しくはこちらをご覧ください。 厚生労働省HP 高額医療費制度の見直しについて https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000209857.pdf まとめ・変形性膝関節症の手術と保険費用について ここまで変形性膝関節症の手術にかかる費用の一例と、実際に手術を受ける場合の負担額の例をご紹介しました。 手術費用だけでみると、高額な費用がかかりますが、保険を適応し、高額療養費制度を利用することで最終的な自己負担額が決定します。 また事前に限度額適用認定証(必要に応じて高齢受給者証や後期高齢者医療被保険者証)を窓口に提示することで、支払い上限額をあらかじめ自己負担限度額にすることもできます。 手術というとこれら以外にも何かと費用がかかるもの、病院によっては別途、費用が必要なものもあります。入院前には、治療はもちろん、費用についてもよくご相談されるようにお勧めいたします。 No.0022 監修:院長 坂本貞範 ▼ 再生医療で変形性膝関節症を治療する方法をご存知ですか 変形性膝関節症の再生医療による治療費は、状態により変動します ▼以下のページもご参考にしていただけます 変形性膝関節症、最新の治療法!再生医療の手術をしない幹細胞治療という可能性
最終更新日:2024.02.20 -
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変形性膝関節症の人がしてはいけない仕事について 変形性膝関節症とは、膝の軟骨(半月板・関節軟骨)がすり減ることを起因とし、膝に痛みや変形をもたらします。変形性膝関節症になると悪化を防ぐために、膝への負担をできるだけかけないよう過ごすことが大切です。 膝は足関節と股関節の間に位置する関節で、立ち座りや歩くといった日常生活動作を行う上で重要な関節だけに、多大なる負担がかかります。例えば歩行では体重の2~3倍、走ると5倍もの負担がかかります。 ほかには階段の昇降では5~6倍、しゃがみ立ちでは7~8倍の負担がかかることが分かっています。 そこで今回は「変形性膝関節症の人がしてはいけない仕事と、その理由」そして、生活のために「どうしても、その仕事を辞めるわけにはいかない方」に向けてその対策を解説しました。 変形性膝関節症の人がしてはいけない仕事は、何といっても膝に負担がかかる動作が頻繁に起こる仕事です。具体的には立ったり座りの繰り返しが多い、急な方向転換やストップがある、ジャンプなど膝に強い衝撃が働きがち、長時間の立位や長距離歩行、重いモノの上げ下げなどが膝に負担がかかります。 そうはいっても、そのような仕事に就かれている場合、膝の関節痛でありながらも、続けなければならないことがあります。その際は、膝を意識して、どうすれば守れるかを考えて取り組まなければなりません。 >膝関節の悩みを最先端の幹細胞治療で治療する 膝に負担が掛かかる動作 ・立ったり、座りを繰り返えす ・急な方向転換やストップがある ・ジャンプなど膝に強い衝撃がある ・長時間の立位 ・長距離の歩行 ・重い荷物などの上げ下げ ・しゃがむ、立ち上がるといった動作 職種別、膝の痛みに対する仕事術 以下に、上記でご紹介した動作が多い職種について具体的に対策を考えてみました。痛みがあったりする場合は、根本的な解決にはなりませんが意識して予防に努めることは非常に大切です。 ▼こちらも合わせてご覧ください。 変形性膝関節症はサポーターをしたほうが良い!その理由と注意点 大工 床貼りや、ペンキ塗りの際には、立ったり、座ったり、しゃがみこむ必要があります。また重たい部材の上げ下げや、木材の運搬、長時間の立ち仕事など膝に負担が掛かりがちな仕事です。 仕事の際には、膝の曲げ伸ばしをサポートするようなタイプのサポーターを着けるなどのほか、膝を意識して、可能な限り負担のかからないような動作を研究してください。 時間配分を決めて定期的に休んだり、作業前後にストレッチを取り入れるなどが有効です。 引越し作業や、配達 引越しなどでは、重たい荷物を積み下ろしするため、膝には大きな負担がかかります。ほかにも階段の昇り降り、繰り返しての屈伸なども膝にとって負担が大きな作業の繰り返しになります。 可能なら階段の昇降には、できるだけ手すりを持ち上り下りをサポートしましょう。誤解されている方が多いのですが、実は階段や、坂道では上りよりも、下る方が膝への負担が大きくなります。そのため、階段の下りにもご注意ください。 基本は、痛めてしまう前に膝へはサポーターを装着し、膝の曲げ伸ばしをサポートさせ、作業の前後には準備運動やストレッチを習慣化しましょう。 トラックの運転手 トラックの運転をされる場合、最近はオートマチックが増えはしましたが、渋滞などにあうとクラッチを操作する左足の曲げ伸ばしでは、膝が悲鳴を上げがちです。同様に姿勢が崩れるとアクセルの動作でも膝に負担がかかります。 シートに腰をしっかりつけて正しい姿勢で座り、少しでも足の曲げ伸ばしに負担が掛からない姿勢を探しましょう。また、荷物の出し入れ、運搬する際はもちろんですが、高さのある荷台や、運転席から降りる時には十分な注意が必要です。 衝撃により靭帯を傷めてしまうと変形性膝関節症を悪化させる可能性があります。荷台や、運転席から降りる際はゆっくり降りて膝に荷重がかかりにくいよう意識しましょう。高速道路などでのサービスエリアではストレッチを習慣化しましょう。 短距離の場合でも作業の合間に簡単なストレッチを取り入れてください。 デスクワーク 室内でのデスクワークなら、心配は無いと思われがちですが、冷房が効いた室内にいることで膝が冷えます。膝が冷えると血管が収縮し、血液の流れが悪くなり筋肉が硬くなってしまいます。 また、長時間椅子に座っているのも良くないため、時間を決めて席を立つなどして膝のストレッチなど膝を含めた全体を動かすことが大切です。 膝を動かさないままでは痛みの物質の排出が滞り、痛みを感じやすくもなります。尚、寒さには膝にブランケットをかけたり、サポーターをつけるなど冷やさないようにする対策が必要です。 夏場の冷房対策には、ひざ掛けを用意し、椅子の高さを調整して膝に負担が掛からないようにしましょう。また、座る姿勢にも気を使い、姿勢が崩れてきたと感じたら、立ち上がって簡単でもストレッチや膝の曲げ伸ばしなど体を動かすように意識してください。 旅館や茶道の講師 多くの方が就かれる職業ではないかもしれませんが、このお仕事は膝への負担が大きな職業です。茶道では畳の作法や、お茶を振る舞う際の正座は膝への大きな負担になります。何より、この正座から立ち上がる動作は膝に大きな負担をかけます。 正座は、椅子から立ち上がる時と比べて地面からの高さがあるため、それだけ膝への負担になるからです。これは旅館や、茶道にかかわらず正座や、床に近いところでの作業が多い職業の方に注意が必要です。 正座は、膝が折りたたまれた上、自身の体重がかかります。できるなら正座を避け、行う場合でもクッションや正座椅子を使用できれば良いのですが、立ち上がる際には手で何か支えになるものを持つなど工夫を心がけましょう。 これまでと同様に定期的なストレッチは重要です。体重の管理も心がけましょう。 スーパーやコンビニのレジ打ち業務 スーパーや、コンビニをはじめとしたレジ打ちの特徴は、一定の場所で長時間、立ちっぱなしであるということです。特に変形性膝関節症になると、膝に偏った荷重がかかることで痛みを感じることがあります。 長時間の同じ姿勢の立位は、膝から上の体重がすべてかかることとなり、思ったより負担が多くなります。その意味では膝への負担を少なくするための体重管理も大切になります。 膝への負担を少しでも軽減させるためには、椅子を使用できれば良いのですが、そうもいかない場合は、その場で足踏みをしたり、多少でも体を動かす意識を持ちましょう。 営業職(外回り) 営業での外回りで歩く時間が多い方は、靴が重要です。女性の場合、ヒールのように安定性に欠けた靴では膝に負担がかかります。他にもサンダル、デッキシューズでも負担はかかります。 男性も女性も、靴選びは、踵がしっかり包み込まれるような靴や、ビジネスタイプのウォーキングシューズを選びましょう。また中敷き(インソール)などで衝撃を吸収するタイプのものを選んで使うのも有効です。 また、体重の管理をおこなって足腰への荷重を少なくし、歩く際の膝への負担をコントロールしましょう。 上記は、解決策ではないため、根本的な治療に取り組まれることをおススメします。 ▼ 再生医療で変形性膝関節症を根本治療する 変形性膝関節症の膝の痛みは早めに治療にお取組みください。再生医療は手術不要で改善を目指せます 変形性膝関節症になったら日常の過ごし方や、膝への負担を減らそう 膝に痛みがあると、関節を動かさず安静になりがちでが動きも必要です しかし膝周囲の筋力が不足すると、関節への負担が高まることから、症状的に初期の頃には、膝周囲の筋力が落ちないように意識して動かれることをお勧めします。ウォーキング等であれば、歩くことで、大腿四頭筋をはじめとする膝周囲の筋力の低下を防ぎます。 また肥満傾向の方は、体重を落とすことも大切です。 ただし体重を落とすといっても、筋力は落とさず、脂肪を落とすことが目的であるため、単に食事量を減らすのではなく、カロリーを制限するなどの食事制限を行い、負担にならない程度の軽い運動も心がけましょう。膝に負担になるほどの運動は行わないでください。 積極的に動くことと減量に同時に取り組むことで、膝への負荷を軽減させつつ、筋肉による膝の安定性を高めることができます。 ▼こちらもあわせてご覧ください 【変形性膝関節症の早期発見!気付きたい初期症状】 膝が腫れているときに考えられる病気とは 変形性膝関節症でしてはいけない仕事と理由について いかがでしたか? 今回は「変形性膝関節症の人がしてはいけない仕事とその理由」について解説しました。 膝に負荷がかかる仕事の動作が積み重なると、痛みを感じるだけでなく、軟骨下骨の新陳代謝(骨吸収と形成)に異常をきたすほか、関節軟骨の変性や破壊にもつながるため、注意が必要です。 膝関節に安定性をもたらすウォーキングや、大腿四頭筋のトレーニングのように、膝を動かすことは変形性膝関節症にとって大事なことです。しかし仕事での屈伸動作・正座・急な方向転換のように、膝の動かし方を間違えると、膝の負担になることもあります。 仕事で変形性膝関節症の悪化を防ぐためには、進行を予防する意識をお持ちいただくことが大切です。例えばサポーターを用いたり、ストレッチを定期的に取り入れるなど自分なりな工夫を心がけましょう。 また、ご紹介した仕事上での動作をお避けいただき、同時に膝関節に負担をかけがちな体重にも注意が必要です。もし肥満気味なら減量を目指していただいたり、肥満とは言わないまでも少しでも体重を落とせそうならダイエットを意識されることをオススメします。 このように膝の負担を避けるための取り組みや、自己管理は非常に大切です。ぜひ意識して、前向きお取組みください。 しかし、悪化を防ぐだけではなく、前向きな治療をご希望になられたり、既に手術を勧められてはいるが、お悩みの方は「膝の手術が不要な最新治療法」である「再生医療」を以下のページでご説明させていただきました。 こちらで、 膝の痛みを根本的に治療する「変形性膝関節症を再生医療で治療する方法」についてご説明しています。 ▼実際に来院された患者様のお声。こちらも悩んでいる方の一助になれば幸いです。 https://youtu.be/VAxeH1j4TEY?si=7YwbniIaT2KyFDQ1 No.0021 監修:院長 坂本貞範 ▼膝に悩みを抱えている方は下記の記事もご覧になっています。合わせてお読みください。 変形性膝関節症の原因と初期症状、早期治療のポイント
最終更新日:2024.03.22 -
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- 変形性膝関節症
変形性膝関節症の治療法や種類を一挙に解説します(薬物療法、保存療法、手術療法、理学療法、理学療法、再生医療) 変形性膝関節症の治療法(保存療法)にはどんな種類があるの? 変形性膝関節症の治療法については、様々な種類があります。今回は、その治療について徹底して解説させていただきます。変形性膝関節症は、関節軟骨の変性や摩耗を伴う退行性の病気です。 中高齢者の膝関節痛のいちばんの原因疾患として、その頻度は高くみられます。 そして、初期や中期の変形性膝関節症に対しては、さまざまな保存療法が有効であり、ある程度まで進行した変形性膝関節症に対しては、手術が必要となります。 変形性膝関節症の治療法 ・初期~中期:さまざまな「保存療法」が有効 ・~末期:「手術療法」が必要となる 症状としては、初期では起床時や休憩後などでの膝を動かした際に痛みが発生します。痛みは寒い日や、雨の降る日など、天気の悪い日に増悪することが多く、天気のよい日などは痛みを感じにくい場合もあります。 変形性膝関節症の進行に伴い、歩く場合に痛みが発生し、長距離歩行や階段昇降が困難になり、安静時痛や夜間痛が出現することもあります。 また、正座ができなくなるなどの膝関節の屈曲制限や、反対に膝が完全に伸ばせなくなるなどの関節可動域制限が生じてくると日常生活上いろいろな支障がみられます。 変形性膝関節症に対して行われる治療法にはおもに薬物療法・運動療法・理学療法・装具療法・内視鏡手術・人工関節置換術、そして最近注目されている先端医療分野で再生医療というものがあります。 1.薬物療法 変形性膝関節症の薬物療法では、さまざまな薬が処方されます。薬の種類には大きく分けて「内服薬(飲み薬)」「湿布薬」「塗り薬」「坐薬」の4種類があります。 通常、内服薬は頓用、塗り薬や湿布薬は痛みが慢性化した場合の長期使用、坐薬は耐え難い痛みがあるときの緊急用として使用されます。 薬物療法、薬の種類 ・内服薬(飲み薬) ・湿布薬 ・塗り薬 ・坐 薬 内服薬として最もよく処方されるのは鎮痛薬で、「NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)」と「アセトアミノフェン」が多く使用されます。NSAIDsはロキソニン、ボルタレンなどの製品名がよく知られています。 体内の炎症を鎮める薬で、主に痛みが関節の中にある場合によく効きます。ただし、副作用として胃腸障害が現れることがあり、胃痛や吐き気、ときには胃潰瘍になるというケースもあります。そのため、多くの場合「胃薬」も一緒に処方されます。 湿布薬や塗り薬は「外用薬」と呼ばれ、その中にはNSAIDsの成分が含まれており、患部に貼ったり塗ったりすることで経皮吸収(皮膚から吸収すること)され、炎症を鎮める効果が期待できます。 内服薬のような胃腸障害や内臓疾患の心配が少なく、長期使用も可能です。一方でかゆみや、かぶれ、アレルギー反応を起こすこともあり、皮膚が過敏な人は注意が必要です。 薬物療法の種類 ■内服薬:鎮痛薬 ■概 要:体内の炎症を鎮める薬、主に痛みが関節の中にある場合に効果が高い ■副作用:胃腸障害(胃痛、吐き気、胃潰瘍) ・NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬):ロキソニン、ボルタレンなどの製品名 ・アセトアミノフェン ■外用薬:湿布薬、塗り薬、 ■概 要:NSAIDsの成分を含み患部に貼付、塗布することで経皮吸収(皮膚から吸収) ■副作用:かぶれ、アレルギー等(長期使用も可能) 鎮痛薬や湿布薬などで痛みがひかない場合には、膝の関節内にヒアルロン酸注射を打つことがあります。ヒアルロン酸は、膝の動きを滑らかにし、クッションの役割を担うことに一役買っています。 変形性膝関節症では、関節液中のヒアルロン酸の量が少なかったり、弾性や粘性が低下していたりするため、不足するヒアルロン酸を注射器で関節内に注入します。 膝関節にヒアルロン酸を注入すると、痛みが和らぐほか、膝の動きが滑らかになり、また関節軟骨の栄養になるといった効果が期待できます。 鎮痛薬や湿布薬などで痛みがひかない場合 ・膝(関節内):注射(ヒアルロン酸) ・概 要:膝の動きを滑らかになる。 ・痛みを和らげ、動きを滑らかする。 運動療法/リハビリ 運動療法は、リハビリの一貫として専門家の指導の下、筋肉をほぐしたり、硬くなった関節の動きを広げて動きやすくするなどの適切な所作、運動を行うことによって痛みや機能の障害を回復させ、或いは改善を目指すために行います。 その他、運動療法は膝周りの弱った筋肉の力を向上させて膝を支えることができるよう、運動機能を取り戻すことを期待して行います。その内容は、以下のような目的をもって各種、組み合わせて行われます。 リハビリの目的 ・筋力アップ ・可動域の拡大 ・体重管理(必要ならダイエット) ※体重管理は、膝に負担をかけないために重要です。肥満傾向がある場合は、ダイエットも指導することになります。 理学療法・装具療法 装具療法では、装具を用いることで膝関節にかかる負担を軽減し、関節を安定させることで痛みを和らげます。装具は、関節の変形を治す効果はありませんが、普段の生活の立つ、歩くなど膝関節にかかる負担を軽減するのに役立ちます。 希望する人は医師に相談して、自分の関節の状態に合ったものをすすめてもらうといいでしょう。変形性膝関節症の治療に用いる装具には、次のようなものがあります。 ① 装具/サポーター ・目的:膝を温める。 ・効果:患部の細胞の新陳代謝を促進、炎症を鎮める。膝が守られているという安心感。 ・タイプ:薄型で伸縮性や保温性の高い医療用タイプを選ぶといいでしょう。 ② 足底板/インソール ・目的:歩いたりした際の痛みが緩和される。 ・概要:O脚、X脚タイプの変形性膝関節症の初期、靴の中や足裏に足底板(インソール)を活用する。 ・タイプ:靴への中敷きタイプ、足裏に直接つける室内用タイプがある。 ・注意 :初期~中期の患者さんに有効。変形が進行した末期の場合は改善効果が期待できない。 足底板は、物理的な作用で変形した膝関節の角度を一定角度補整できる治療法です。O脚の人の場合、足底板を使って足の外側を高くし、内側を低くすることで、膝の内側に偏っていた負荷が軽くなって痛みが和らぐのです。 内視鏡手術 内視鏡(関節鏡)手術は、腰椎麻酔をしてから膝蓋骨の周辺に1cmほどの小さな切開口を2〜3カ所あけて、カメラのついた内視鏡を挿入し、炎症の原因となるこすれ落ちた軟骨や断裂した半月板、炎症を起こした滑膜などを取り除き、膝痛を改善する手術法です。 滑膜の炎症が強くて水がたまりやすい人、半月板損傷や関節遊離体(いわゆる関節ネズミ)のある人など、膝の痛む原因がはっきりわかっている人に特に有効です。 内視鏡手術の最大の利点は、切開部が小さいため体力的負担が少ないことです。 手術時間は1時間前後と短く、手術当日は翌朝まで安静にしますが、翌日からは歩くことができます。入院も1日程度と短期間で済み、多くの場合2〜3日で通常の生活に戻れます。 人工関節置換術 変形性膝関節症が進行し、痛みがとても強くて歩行が困難になった場合、「人工膝関節置換術」が検討されます。変形した膝関節の骨をインプラント(人工の関節)に置き換えるというもので、膝関節の一部のみを入れ換える「片側置換術(UKA)」と、関節の接合部全体を入れ換える「全置換術(TKA)」に分けられます。 人工膝関節置換術の手術を受けると、痛みはほぼ完全に消え、可動域が広がって滑らかに膝を動かすことができるようになります。O脚やX脚がある場合には、まっすぐな足に矯正され、歩行時に膝のぐらつきがある人はそれも解消されます。 再生医療/PRP療法 再生医療とは、人の細胞が持つ「自然治癒力」を引き出して機能の回復を図る治療法です。 変形性膝関節症の場合、重症化すると手術に頼らざるを得ないのが実情ですが、こうした手術適応例において、組織修復力を持つ再生医療の治療効果が期待されています。 現在、最も多く行われている再生医療が「PRP療法(自己多血小板血漿注入療法)」です。 血小板とは、血液に含まれる細胞のことで、血液を固める働きのほかに、組織の修復を促す成長因子を出す働きがあります。PRP療法では、患者さん自身の血液から、血小板が多く含まれる血小板血漿(PRP)を抽出し、患部に注入します。すると、その部分の組織の修復が促されていきます。 PRPは自分の血液から抽出するため、薬物療法のような副作用がほとんどないという利点があります。その反面、PRPは軟骨や半月板にはならないので、完全に軟骨がなくなってしまった重症の膝痛に対する効果は低下します。 変形性膝関節症では、関節の炎症を抑えて痛みを和らげ、軟骨や骨の変形の進行を防ぐ目的でPRP療法が用いられます。 https://youtu.be/OHnPrPHbtZM?si=IVTQZdjdcf8krciR 再生医療/幹細胞治療 このほかの再生医療には「幹細胞治療」があります。これは、衰えた膝の関節軟骨を再生させて痛みを抑える再生医療です。 幹細胞とは、皮膚や血液など、絶えず細胞が入れ替わる組織を保持するために、新しい細胞を再び産生して補充する能力をもつ細胞のことです。 幹細胞には、分化能(皮膚、血液、神経、血管、骨、筋肉など細胞を作り出す能力)と、自己複製能(自らと同じ能力を持つ細胞に分裂することができる能力)の2つの能力があります。 変形性膝関節症の治療で実用化されているのは「間葉系幹細胞」による軟骨再生療法です。間葉系幹細胞は骨髄に由来する非造血系の細胞ですが、骨髄ばかりか脂肪や骨膜などから比較的容易に取り出すことが可能です。 しかも、骨芽細胞や脂肪細胞だけでなく、軟骨細胞や筋細胞、神経細胞にも分化する能力を持っています。患者さん自身の細胞を使うため拒絶反応や副作用もなく、増殖に伴う老化の影響や分化能の低下が少ないのも大きな特徴です。 培養幹細胞治療では、お腹の脂肪から採取した間葉系幹細胞を培養して膝関節内に注入する治療や、膝の滑膜から採取した間葉系幹細胞を関節内に定期的に注入したり、半月板損傷に対する内視鏡手術の際に幹細胞を移植したりする治療が行われています。 さらに、軟骨細胞そのものを取り出して培養し、欠けた軟骨の再生を促す「自家培養軟骨移植」の研究も進み、実用化されています。これは患者さん自身の軟骨から取り出した細胞を培養し、膝の軟骨が欠けた箇所へ移植することにより、痛みなどの症状を緩和します。 これらの再生医療は、一部を除き自由診療となり、全額が自己負担となります。費用は医療施設によって大きく異なりますのでお問合せされることをお勧めします。 ただ、再生医療は実施する医療機関によって培養手段、投与手法をはじめ特徴が違います。そのため、一律に比較することができず、費用感だけでの比較はあまり意味がありません。興味がお有りならお問合せされることをお勧めします。 当院も再生医療専門のクリニックです。お問合せ頂ければ親切丁寧にご説明させて頂き、無理にお勧めすることもございませんのでお気軽にお問い合わせください。 尚、医療機関が再生医療を行う、あるいは特定細胞加工物を製造する場合には、厚生労働省への届出が法律で定められています。再生医療をお考えならその施設が「再生医療等提供機関」として登録されているか、必ず確認のうえ受診しましょう。 https://youtu.be/JvYn_j6n9io?si=bIobL5rL_HgE3wt3 まとめ・変形性膝関節症の治療方法や種類を一挙に解説します 以上のように、変形性膝関節症を治すための治療法は、薬物療法、保存療法、手術療法、理学療法、理学療法、再生医療などのように様々ありますが、まずは予防が大切です。 普段、日常生活を過ごすというだけでも膝には、体重の何倍もの負担が掛かっています。体重管理に気を付けて体重の増加に敏感になっていただきたいと思います。 それでも膝に痛みや、違和感を感じられたら年齢や症状に応じて整形外科をはじめとした医療機関で検査・診察を受け、医師と相談の上、適応となる治療法を選択してください。 以上、変形性膝関節症の保存療法を徹底解説させていただきました。参考にしていただけると幸いです。 No.0020 監修:院長 坂本貞範 ▼ 再生医療で変形性膝関節症を治療する 変形性膝関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼以下の情報も参考にされませんか 変形性膝関節症の装具療法の種類と注意点について
最終更新日:2024.04.11 -
- 腱板損傷・断裂
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腱板損傷の画像診断|超音波(エコー)による検査方法について 超音波検査の特徴には、①簡便かつ非侵襲的(体に傷をつけない)、②リアルタイムで観察可能、③プローブを使用するなどの特徴があります。 検査をするにあたって、場所は選ばず、特別な準備も必要ありません。そのため超音波器械さえあれば、その場で好きなときに好きなだけ検査を行うことができます。また、体の外から当てた超音波は人体には無害で痛みもありません。簡便かつ非侵襲的な診断といえるものです。 最近ではポータブルの超音波器械が普及しており、性能も十分に高いため、器械そのものを持ち込んで集団検診、疫学調査が可能となっています。 スポーツ領域では競技グラウンドや練習現場に、学校などでは集団検診の場で検査が可能であり、一度に大量のデータを集積することも可能となっています。 リアルタイムで観察が可能 超音波画像はリアルタイムで観察できるため、腱板や関節唇上腕二頭筋長頭腱の動態検査、ストレス検査による不安定性の計測が可能です。また超音波の画像をみながら、損傷部位にピンポイントで穿刺(対外から針を刺す)することも可能です。 プローブを使用する 超音波検査ではプローブを用いますが、この際プローブによる軽い圧迫で、患部の圧痛との相関がみられることがあります。腱板の検査においては特にそれが認められ、診断率を上げることが可能です。 (1)使用する装置とプローブ 肩関節の超音波診断に使用する超音波断層装置は、ある程度の上級機種であれば大差はありません。プローブは7.5MHz~10MHz程度のリニアプローブを用いるのが一般的です。 体表面が凹となっている腋窩(わきの下のリンパ節)や肩峰—鎖骨間隙では、小型のコンベックスタイプのプローブが有用です。 (2)肩関節に対する超音波検査 ①患者を坐位または仰臥位とし、肩関節を中間位で軽度伸展させます。 ②まず、上腕二頭筋長頭腱および結節間溝を中心に検索します。肩甲下筋腱は、被検者の上腕を内外旋して小結節付着部を中心に検索します。 ③プローブを頭側へ移動させると棘上筋腱前縁が確認でき、さらに後方へ長軸像のまま棘上筋腱全体を検索します。 ④短軸像でも棘上筋腱全体を調べた後、棘下筋腱を長軸像で付着部を中心に検索します。 ⑤さらに、肩甲棘の中点で棘下筋の筋幅を両側計測します。 腱板損傷の超音波像 (1)肩甲下筋腱断裂・損傷 上腕骨を外旋させ、健側と厚み形態を比較します。健側と比べ腱が非薄化しており、投球障害では頭側関節包面に低エコーを呈します。 (2)棘上筋腱断裂 腱板の表面エコーと内部エコーの変化に注意しながら検査します。 表面エコーが平坦か下方凸になっていれば小断裂の存在を、内部エコーにおいて限局した低エコーが関節包面に存在していれば関節包断裂の存在を、境界エコーが不整で直下の内部エコーが低エコーになっていないケースでは滑液包断裂を示唆します。 また超音波で異常が存在した部位に限局している圧痛を認めたら、臨床的に同部が疼痛の主因になっていることが多いです。 (3)棘下筋断裂 棘下筋は薄いため、左右を比較します。頭側に低エコーを呈することが多いです。 (4)棘下筋萎縮 棘下筋の萎縮は投球動作で出現しやすいです。棘下筋の筋腹の厚みを左右比較するとともに、経時的に観察します。 まとめ・腱板損傷の画像診断|超音波(エコー)による検査方法について 超音波検査は、軟部組織を簡便かつ非侵襲的に診断できるとともに、患者自らモニターに映し出される画像をみることができるという利点があります。 最近では、超音波器機の発達に伴い画像が鮮明化し、診断の精度が向上するとともに、腱板のみならず他の部位にも応用されつつあります。 しかし、まだ診断率は検者の技量と経験に左右されるため、超音波検査の特性と限界を十分理解することが正診率を上げるうえで重要になってきます。 以上、腱板損傷における超音波・画像診断による検査についてご説明しました。 No.0018 監修:院長 坂本貞範 ▼ 再生医療で腱板損傷を治療する 腱板損傷は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼以下では腱板損傷の保存療法をご紹介しています 肩の腱板損傷の症状と機能改善のための保存療法について
最終更新日:2024.04.04 -
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
頚椎椎間板ヘルニアと似た症状の病気について、あわせて検査と治療法を解説します 背骨の骨と骨をつなぐ役割の組織を「椎間板」と言い、「頚椎椎間板ヘルニア」とは、椎間板組織が脊柱管内に突出または脱出して脊髓や神経根を圧迫し症状をきたす疾患です。 発症年齢としては、30~50歳代の男性に多くみられます。発生する部位ではC5、C/6(第5頚椎と第6頚椎の間の椎間板で発生)が最も多く、次にC4、C5並びにC6、C7にも多く発症します。(以下の図参照)事故による外傷性や加齢による経年性による変性が機序となることが多く、「喫煙も危険因子」とされています。 なお脊柱管横断面で「正中型」、「外側型」と「傍正中型」とヘルニアが飛び出た方向で3分類されます。正中ヘルニアを脊髄症、外側型や傍正中型は神経根症や脊髄神経根症(脊髄症と神経根症の合併)をきたすことが多く、画像検査で椎間根ヘルニアを認めても、無症状であることも多いので注意が必要です。 脊柱管横断面 正中型 脊髄症 外側型 神経根症、脊髄神経根症(脊髄症と神経根症の合併) 傍正中型 発症原因 ・事故による外傷性 ・加齢による経年性による変性 ・喫煙も危険因子とされる 症状について 頸椎症のほかに、脊髄が圧迫されると脊髄症の症状、神経根が圧追されると神経根症が生じます。 頚椎症 首から肩甲骨にかけて痛みがあり首を動かすに痛みが増強し、安静にすると軽快します。 神経根症(radiculopathy) 上肢への放散痛、知覚障害、しびれ感、脱力感などの症状が生じます。放散痛の領域を詳しく把握することで障害神経根を推測することが可能です。前胸部に放散する疼痛がある狭心症に似た頸性狭心症(cervical angina)と呼ばれる疾患があり、鑑別を必要とします。 脊髄症(myelopathy) ボタンが掛けにくい、著が使いにくい、ボタンを上手く掛けることができない、といった手指巧級運動障害や歩行障害を生じます。痙性歩行により歩容は揺劣となり、階段昇降時には手すりが必要となります。また小走りも難しくなります。 初期は大きなボタンを掛けることはできますが、ワイシャツのような小さいボタンが掛けにくくなります。指または手のひら全体のしびれを訴えることがあり、脊髄の圧迫する部位によってしびれの領域に違いがみられます。進行すると膀胱直腸障害(頻尿、尿勢低下、残尿感、便秘)も自覚するようになります。 身体所見について 身体的な所見としては、以下のような症状があげられます。 頸椎症 頸椎の可動域制限と僧帽筋、棘下筋、棘上筋などに圧痛を生じます。 神経根症 神経根の障害高位に一致した上肢の筋力低下および筋萎縮、感覚障害、深部腱反射の低下が生じます。スパーリングテスト(Spurling test)、ジャクソンテスト(Jackson test)が陽性となることが多いです。 脊髄症 上肢の障害髄節に一致して深部反射が弱くなり、筋力低下が生じることもあります。また錐体路障害により、それ以下の深部反射、ホフマン(Hoffmann)反射、ワルテンベルク(Wartenberg)反射が亢進し、バビンスキー(Babinski)反射、膝・足間代(足クローヌス)も陽性となります。 また小指が閉じることができない指離れ徴候(finger escape sign)がみられ、10秒テスト(手掌を下にしてできるだけ速く、グーパーを繰り返す)では通常20回以下になります。感覚障害は、初期には上肢のみに生じることが多いです。 画像検査について 診断には画像による診断が必要となり、そのため以下のような検査が行われます。 X線像(レントゲン) 椎間板ヘルニアでは一般に椎間板腔狭小化(椎間板と椎間板の間の隙間が狭くなること)や骨棘形成は軽度であることが多いです。高齢者では、骨棘などの変性が著明になると隣接椎間に椎間板ヘルニアが発生することもあります。 MRI(磁気共鳴画像法) 椎間板ヘルニアの局在や、圧迫された脊髄、椎間板変性の度合い、神経根の状態を確認することができます。 脊髄造影(ミエログラフィー) 脳槽・脊髄用の水溶性造影剤をくも膜下腔に注入して、脊髄や神経根を明瞭に描出することができる検査です。脊髄造影後にCTを撮影すると椎間板ヘルニアの局在、神経根や脊髄の圧迫を三次元的にとらえることが可能です。しかし、MRIが導入された現在では、脊髄造影をする機会は減ってきています。 頸椎椎間板ヘルニアと似た症状の病気 疾患によって治療方針が変わってくるため、頸肩腕痛を引き起こす疾患との鑑別が大変重要となります。 肩軟部組織の変性疾患(腱板断裂、凍結肩など) 肩関節の運動痛や肩関節可動域制限を認めれば、頸椎疾患以外と考えます。C5神経根症と腱板断裂は、ともに上腕近位外側の疼痛を訴え、関節の外転ができなくなるので鑑別を必要とします。 C5神経根症では、三角筋や上腕二頭筋で筋力低下を生じることが多いですが、腱板断裂では上腕二頭筋の筋力は通常正常です。 胸郭出口症候群 (thoracic outlet syndrome) 頸肋、中斜角筋、前斜角筋、鎖骨および第1肋骨、小胸筋などにより腕神経叢と鎖骨下動脈が胸郭出口部で圧迫され、上肢の疼痛、しびれ、握力低下、重だるさなどが生じます。 ライトテスト(Wright test)、モーレイテスト(Moley test)、アドソンテスト(Adson test)が陽性となります。胸郭出口症候群の症状は前腕尺側に多いのが特徴です。 肘部管症候群(cubital tunnel syndrome) 尺骨神経の絞扼性神経障害で尺骨神経溝にティネル様徴候(Tinel)がみられます。環指尺側から小指にかけてのしびれや麻痺など感覚障害が生じ、進行すると環指と小指の変形が起きます。 手根管症候群(carpal tunnel syndrome) 正中神経の絞扼性神経障害手根管部でティネル様徴候(Tinel)が陽性になります。母指から環指の痺れや疼痛など生じ、指先の症状は夜間や早朝に強い傾向があります。 母指球筋萎縮が進むと猿手変形が生じます。確定診断には、当該神経の神経伝導速度を測定が必要です。 脊随腫瘍 (spinal cord tumor)、脊椎腫瘍(spiatumor) MRIで容易に確定診断することが可能です。稀に パンコースト(Pancoast)腫瘍により、主に尺骨神経側に神経症状を生じることもあるので注意が必要です。 頚椎椎間板ヘルニアの治療法について 頚椎症状、神経根症、脊髄症に分けて説明します。椎間板ヘルニアは自然吸収されることが多いため、無理に手術を選択すべきではないと考えます。 頚椎症に対する治療 頚椎症状のみで手術療法を行うことはあまりありません。消炎鎮痛剤などの薬物療法、トリガーボイントブロック、ストレッチなどを行います。 神経根症に対する治療 ●保存療法 消炎鎮痛薬などの薬物療法を行います。頸椎カラーを装着して頸部の安静を図ることもあり、痛みが激しい場合には、副腎皮質ステロイドの内服、硬膜外ブロック、神経根ブロック、星状神神経ブロックなどを併用します。ほとんどの症例で、保存療法により2〜3カ月以内に軽快することが多いです。 ●手術療法 保存療法を2〜3カ月続けても効果がない場合や、進行性の麻痺を認めた場合には手術を行います。推間板ヘルニアは脊髄や神経根の前方にあるため、前方除圧固定術(anterior decompression and fusion)を選択することが多いです。 前方除圧固定術は胸鎖乳突筋の内側から進入し、気管と食道を内側によけて椎間板に到達し、当該高位の椎間板やヘルニアを完全に摘出し、椎体間に腸骨から採取した骨や人工物(インプラント)を移植して固定します。 アライメントの維持や移植骨の脱転を予防する目的で、前方にプレートを使用することもあります。神経根症をきたす椎間板ヘルニアは傍正中型あるいは外側型なので、後方から部分椎弓切除と椎間孔切除を行った上でヘルニアを摘出することもあります。 脊髄症に対する治療 ●保存療法 軽度であれば、鎖椎カラーで頸部の安静を図り、椎間板ヘルニアの自然吸収を待ちます。しかし痙性歩行、手指巧緻運動障害により日常生活に支障がある場合や、排尿障害がある場合には、機能障害が永続性となることを避けるために手術を行います。 ●手術療法 脊髄症の場合でも、通常は1椎間での障害で脊髄の前方にヘルニアがあるので、神経根症と同様に前方除圧固定術を選択することが多いです。しかし、椎間板ヘルニアの高位以外でも脊柱管の狭窄がある場合には、後方から椎弓形成術 (laminoplasty)を選択することもあります。 椎弓形成術は脊髄の広範囲な除圧を容易に行うことができ、さらに脊髄を保護する脊柱の後方要素を温存することができます。合併症は比較的少ないですが、頸椎後方伸筋群に侵襲を加えるため、術後に頸部痛をきたしやすいという難点があります。 以上、頚椎椎間板ヘルニアの辛い症状の種類と、似た病気、検査と治療法と題して記させて頂きました。 ▼こちらの動画もご参考になれば幸いです。 https://www.youtube.com/watch?v=0hyJR5VW3oY&t=63s まとめ・頚椎椎間板ヘルニアと似た症状の病気について、あわせて検査と治療法を解説 頚椎椎間板ヘルニアは、椎間板組織が脊柱管内に突出または脱出して脊髓や神経根を圧迫し症状を引き起こす疾患です。 30〜50歳代といった年齢の男性に多く見られ、特にC5-C6や、C6-C7の部位で頻繁に発生することが多い疾患です。発症原因は、事故による外傷性や、加齢による変性が主な原因とされ。喫煙も問題視されています。 症状には頚椎症、神経根症、脊髄症があり、それぞれ首から肩甲骨にかけての痛みや、上肢への放散痛、手指の運動障害、歩行障害などが見られます。 その診断には、レントゲン、MRI、脊髄造影などの画像検査によって行われます。 尚、他の疾患との鑑別も重要であり、類似した症状の病気として「肩腱板断裂」「胸郭出口症候群」「肘部管症候群」「手根管症候群」「脊髄腫瘍」なども考慮して判断されます。 治療法としては保存療法と手術療法があり、保存療法では「消炎鎮痛薬」の使用や「頸椎カラー(首を安定させて保護する目的で使用される装具。多くはプラスチック製で首を固定し、動きを制限することで頚椎を保護する)」の装着が行われます。 手術による治療は、保存療法が効果的ではない場合、また神経障害が進行している場合に選択されて前方除圧固定術や椎弓形成術といあった手術が行われます。 いずれにしても、検査の上、的確な診断をもとに総合的なアプローチで患者様の症状や病態に合わせた治療法を選択することが重要です。 監修:院長 坂本貞範 ▼以下の記事も参考にされませんか 頚椎椎間板ヘルニア!日常生活でやってはいけないこと
最終更新日:2024.04.17 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節
肩腱板損傷の画像診断|CT、MRI以外、関節の造影検査をご存知ですか 肩関節疾患の診断において、CTや、MRIの飛躍的な進歩にもかかわらず、造影検査は依然として重要な補助診断法の一つです。この造影検査方法には3種類あります。 1)陽性造影:ヨード製剤を用います。 2)陰性造影:空気を用います。 3)二重造影:ヨード製剤と空気の両方を用います。 この3種類の中では、「1)陽性造影」が広く行われています。 動態関節造影と肩峰下滑液包造影 動態関節造影 イメージ透視の映像をビデオなどに連続的に記録する方法で、造影剤のダイナミックな移動が観察でき、所見の見落としを防ぐ事もできるので、肩関節造影時に同時に行っています。 肩峰下滑液包造影 主に腱板滑液包面断裂の診断に用いられています。造影剤(ウログラフイン、イソビストなどの水溶性のもの) 5mLと1%キシロカイン5mLを混和した注射器に、23G短針を接続して、立位または座位で透視下にて、肩峰外側縁のやや下方から AHI(acromio-humeral interval:肩峰前下面の骨皮質と上腕骨頭の頂点との間の距離)の中上 1/3を目標にして、肩峰下滑液包内に刺入します。 二重造影では造影剤1mLと空気10mLを注入します。造影剤が腱板内に入り込んだり、腱板滑液包、局所に貯留したりする場合は腱板滑液包面断裂を疑います。 腱板断裂の関節造影について 腱板断裂で疑われる画像所見 造影剤が肩峰下滑液包に漏出すれば、腱板の全層断裂 (full-thickness tear)の診断が確定します。外旋位前後像で大結節直上に造影剤の漏出があれば棘上筋腱の断裂を疑い、内旋位前後像で大結節直上に造影剤の漏出があれば棘下筋腱の断裂を疑います。 scapular Y像 腱板の断裂部への造影剤の漏出だけでなく、水平断裂像の描出も可能です。長期間経過した腱板小断裂や腱板不全断裂 (関節包面断裂や水平断裂)の描出は難しいので、他動的に肩関節をよく動かして、関節内圧を上げてから再度調べる必要があります。 動態撮影を併用すると、断裂の大きさや断裂部位がより明らかとなります。また、腱板滑液包面断裂の診断には、肩峰下滑液包造影が用いられます。 ▼ 再生医療で腱板損傷を治療する 腱板損傷は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます 一般的な肩関節造影法について 前方刺入法 ① 検査前にヨードや局所麻酔薬に対するアレルギー反応の有無について確認します。 ② 透視台の上に仰臥位になって貰います。 ③上肢を体側に接して透視台の上に置いた状態で外旋位になるように体位を調整します。 ④ 烏口突起を中心に広範囲に消毒をします。 ⑤ 1%キシロカイン10mLの入った注射器に21Gスパイナル針を接続。 ➅透視下にて烏口突起先端の1cm尾側で、1cm外側から関節裂隙に垂直に刺入。 ⓻少量の局所麻酔薬を注入して抵抗がないこと、上肢を少し内外旋して針先が関節内にあることを確認。 ⑥ 21Gスパイナル針を留置したまま ・造影剤 (ウログラフィン、イソビストなどの水溶性のもの) 10mLと1 %キシロカイン10m Lを混和した延長チューブ付きの注射器に交換。 ・透視下にて確認しながら、ゆっくり注入します。(注入量は約 20rnLとされています。) ⓻造影は内旋位、外旋位および挙上位の3枚の前後像を撮影。 ⑧肩関節疾患に応じて軸射位像と scapular Y像などの撮影を追加します。 正常の画像所見 内旋位像 肩関節の前方組織が弛緩するので、内側に肩甲下筋滑液包(subscapularis bursa)、内下方に関節包前部 (anterior pouch)、および下方に関節包下部(腋窩陥凹; axillary pouchまたは inferior pouch) が描出されます。 外旋位像 肩関節の前方組織が緊張するので、肩甲下筋滑液包、関節包前部、および関節包下部は縮小します。外側に上腕二頭筋長頭腱腱鞘 (bicipital tendon sheath) が描出されます。 挙上位像 肩関節の下方組織が緊張するので、関節包下部は縮小します。上方に上腕二頭筋長頭腱腱 鞘、内側に肩甲下筋滑液位が描出されます。 軸射位像 関節窩の前縁と後縁に関節唇が三角形の陰影として描出され、前方には肩甲下筋滑液包も描出されます。 scapular Y像 前方に肩甲下筋滑液包、前下方に関節包前部、下方に関節包下部、および後下方に関節包後部 (posterior pouch)が描出されます。 以上、肩腱板損傷の画像診断について、CT、MRI以外の検査方法である関節の「造影検査」についてご説明いたしました。今回は、専門的な内容で難しかったかもしれませんが、ご不明な点があればご遠慮なくお問い合わせください。 少しでも参考にしていただけたなら幸いです。 No.0017 監修:院長 坂本貞範 ▼ 再生医療で腱板損傷を治療する 腱板損傷は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼以下の検査方法もご参考下さい 腱板損傷の診断法、超音波(エコー)による画像検査について
最終更新日:2024.02.12 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節
腱板損傷の症状を評価するテストとチェック方法 腱板損傷とは、肩についている腱板と呼ばれる筋肉が損傷する疾患です。腱板は回旋筋腱板(ローテーターカフ:Rotator cuff)ともいい、肩関節の深層にあるインナー筋です。この腱板は上腕骨と肩甲骨をつなぐ4つの筋肉であり、肩関節の前方にある肩甲下筋、上方にある棘上筋、後方にある棘下筋と小円筋から構成されています。 腱板はインナー筋のため筋収縮の牽引力はそれほど強くないものの、上腕骨を肩甲骨に引きつけて肩関節を安定させる重要な役目もあります。この腱板が部分的に、あるいは完全に断裂した状態を腱板損傷といいます。 腱板損傷の原因と症状 腱板損傷の原因は外傷や加齢によるものがあります。外傷では転倒や重たい物を持ち上げた際などに発生することが多いです。加齢では変性により腱板が擦り切れることがあります。この他にも野球の投球動作のように、繰り返し肩を酷使するスポーツの経験者にも好発します。 年齢層から見ると、若年者の場合は外傷のように大きな外力が必要ですが、高齢になると日常生活動作でも断裂が生じることがあります。肩に症状がない方を対象にしたM R I検査では、60歳以上の54%に腱板断裂が確認されました。 腱板が切れている(断裂している)と聞くと、肩の痛みを伴うように思われるかもしれませんが、実際は自覚症状がない方も多いです。それとは逆に症状が強い方もおられ、じっとしていても痛みを感じることがあります。 また肩の痛みよりも高頻度にみられるのが筋力低下です。腱板はそれぞれの筋肉がちがう作用(働き)があるため、筋力低下を確認するテスト法が異なります。 腱板損傷を評価する筋力テスト方法とチェックの仕方 患者さんは、対象となる筋肉が作用する方向に力を入れます。検査をするテスターがその方向とは逆に抵抗を加えることで筋力をチェックし評価します。この筋力のテストにより、疼痛の有無や筋力低下の程度をチェックし、確認します。 棘上筋(S S P)テスト 棘上筋は外転(腕を体の横から挙上する動作)で作用する筋肉です。腱板の中で最も損傷が多いのが棘上筋であり、棘上筋が断裂すると外転筋力が20〜30%低下するといわれています。 Full can test: ・肩関節外転30°で外旋位(親指を上に向ける)にする ・腕を上げてもらう力に対し、検者は抵抗を加えてチェックする Empty can test: ・肩関節外転30°で内旋位(親指を下に向ける)にする ・腕を上げてもらう力に対し、検者は抵抗を加えてチェックする 棘下筋(I P S)テスト 棘下筋は肩関節の外旋(腕を外にひねる動作)で作用する筋肉です。 External rotation lag sign: ・腕を下に下ろした状態から肘を90°に曲げます ・肘から先を外側に開いていき左右で差がみられれば陽性 肩甲下筋(S S C)テスト 肩甲下筋は肩関節の内旋(腕を内にひねる動作)で作用する筋肉です。腱板損傷の場合、痛みにより手を背中に回す動作ができないことがありますので、そのような時は下の2つのテストを試みる。 Lift off test: ・背中に手を回し、その手を背中から離して保持できるかチェックする Bear-hug test: ・患側(痛みのある方)の手で、健側(痛みのない方)の肩を押し込み、その力の強さをチェックして評価する Belly-press: ・患側(痛みのある方)の手で、お腹を押し込む力の強さをチェックし、評価する Drop arm sign(ドロップアームサイン) 検査する人が外転90°まで持ち上げ、支持している手を離す 患者さんが腕を支えられなかったり、わずかな抵抗で腕を下ろした場合は陽性 このように腱板の各筋肉を個別にスクリーニングするテスト法はありますが、実際は損傷している筋肉と検査結果が一致しない場合があります。 例えば、棘上筋が単独で損傷している時に肩甲下筋テストで陽性となる場合や、逆に肩甲下筋が損傷している時に棘上筋テストが陽性になる場合があります。 腱板損傷の有無はその他のテストも併用してチェックしましょう。 腱板損傷のテスト法には、筋力テスト以外に疼痛誘発テストがあります。疼痛誘発テストは検者が患者さんに特定の動きを操作する、または患者さん自身に体を動かしてもらうことで腱板に疼痛が発生するかをチェックし評価します。 ▼腱板損傷を再生医療で治療する 腱板損傷は、再生医療によって手術、入院不要で改善を目指せます 腱板損傷の疼痛誘発テスト 肩峰下インピンジメントサイン 1) Neer test: 検者は患側の肩甲骨を押し下げ、もう片方の手で外転させていく。 これは上腕骨を肩峰下面に押し当てるテストであり、外転90°を過ぎたあたりで疼痛がみられれば陽性 2) Hawkins test: 検者は屈曲(前方に腕を上げる動作)90°まで腕を上げ、内旋を加える。 これは上腕骨の大結節を烏口肩甲靭帯の下面に押し当てるテスト法であり、疼痛がみられれば陽性。 Painful arc sign(ペインフルアークサイン) 患者さんの力により外転方向に挙上する。 棘上筋が損傷していれば60°〜120°の間で疼痛を感じ、それ以外の角度では疼痛を感じない。 腱板損傷の画像検査 腱板損傷の診断では上記のテスト法が判断の手がかりになりますが、腱板損傷以外の疾患と鑑別し、正確に損傷部位を特定する場合には、画像による検査が必要となります。腱板損傷ではM R Iや超音波による検査が有用です。 M R I(Magnetic Resonance Imaging)検査 腱板損傷に対する画像診断では、M R Iによる検査が最も有用です。M R I検査とは磁気共鳴画像といい、レントゲン検査やC T検査のように放射線を使用するのではなく、電磁波を使用した画像診断です。 M R I検査では、どの腱板が損傷しているのか、どの範囲まで損傷しているのか、腱板のどの場所で損傷しているのかなどを評価することが可能です。 超音波(エコー)検査 超音波検査では、筋肉や腱の状況を確認することができ、炎症が起きている場所の特定も可能です。超音波検査はM R Iと違い診察室で手軽に行える検査のため、患者さんと一緒にモニターを見ながら肩の状態を説明することもできます。 また超音波を当てながら注射の針を進めることで、より正確な目的地(炎症部位や筋膜、神経など)まで誘導することができます。 レントゲン検査 レントゲン検査では筋肉や腱の状態は確認できないため、腱板損傷の判断をするには難しいです。ただし、腱板が断裂すると関節の隙間(肩峰と上腕骨頭の間)が狭くなることがあります。 また腱板損傷は肩関節の肩峰が変形し、骨棘(こつきょく:トゲのように変形した骨)により腱板がすり切れて発生する場合もありますので、原因究明の手がかりにもなります。 まとめ・腱板損傷の症状を評価するテストとチェック方法 腱板損傷を評価するためのテスト法は検査をする目的によって方法が異なります。陽性反応がみられるテストは痛みを伴いますので、痛みの出る強さはポジション、筋力低下の加減を記録しておくと、治療経過を確認する上での指標にもなります。 ただし、腱板損傷は時間の経過とともに疼痛が消失したり、拘縮により関節の動きに制限がかかり、正確なテストの評価ができないことがあります。また急性期であってもテスト法だけでは情報が不十分なため、画像診断も含めて判断する必要があります。 腱板損傷でお困りの方へ、こちらで「腱板損傷を再生医療で治療する」について動画を含めた詳しいご説明をさせて頂きました。以上、腱板損傷の判断で使う評価テストとチェック方法について記させて頂きました。ご参考になさって下さい。 No.0015 監修:院長 坂本貞範 ▼以下の方の画像診断もご参考にして下さい 腱板損傷の画像診断|超音波(エコー)による検査方法について
最終更新日:2024.04.04 -
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腱板損傷|発症後、段階別の注意点とリハビリについて 腱板とは肩に付いている筋肉(腱)のことで「棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋」の4つからなります。腱板損傷では、これらの筋肉のいずれかが損傷し、あるいは複数の筋肉が断裂している状態です。 損傷の程度は筋肉の一部分が損傷している「部分断裂」と、完全に切れてしまった「完全断裂」とに分けられます。腱板が完全に断裂したり、損傷が広範囲に及ぶと、自分の力では腕が挙げられなくなる場合もあります。 そうなると日常生活や仕事に支障をきたし、痛みもなかなか軽減しないことが多くあります。 腱板の損傷は、断裂の範囲が小さいと修復も期待できますが、完全断裂や広範囲の断裂の場合は、時間の経過とともに断裂の範囲が広がることがありますので、手術が適応となります。 しかし、その反面、部分断裂で損傷の範囲が狭ければ、「リハビリで症状の改善を期待する」ことも可能になります。 腱板損傷の急性期(発症直後)に注意したいこと 治療は、診断によっては手術をせずに行うことが可能です。また、患者様が手術を希望されない場合にも、保存療法(手術をしない治療法)を行い症状の改善を目指すことになります。 腱板損傷における保存療法の目的は、疼痛(痛み、不快な感覚)の除去や、損傷していない肩関節の機能を引き出して、挙上運動(肩甲上腕リズム)を再建することです。リハビリは、その症状に合わせて進める必要があります。 発症直後は、可動域制限や筋力の低下が認められても、関節内での炎症が強く、関節を動かすと疼痛を助長させてしまうことがあります。そのため、無理な動きができないよう三角巾などを用いて患部の安静がとれるように固定します。 また、損傷した腱板の筋緊張が強いと断裂した腱板を牽引してしまい、疼痛を誘発することがあります。このような時は筋緊張を和らげるためのリラクセーションを実施すると効果的です。 ただ注意したいのは筋緊張が強くなっていることで患部が固定されている状態もあります。そのような場合、患部をリラクセーションさせると、反対に疼痛を増悪してしまう可能性があるので注意が必要です。そのような時は、アライメントを評価した上で自然に筋緊張が緩和されるポジションを探し、リハビリでは無理せず他の部位の機能改善に取り組みましょう。 腱板損傷における保存療法の目的 ・疼痛(痛み、不快な感覚)の除去 ・損傷していない肩関節の機能を引き出す ・挙上運動(肩甲上腕リズム)を再建する 急性期以降で注意すべきこと 急性期以降の時期では、肩甲骨に対して上腕骨頭を引きつけるポジションを保持するために、肩甲上腕関節(肩甲骨と上腕骨からなる肩関節の1つ)の可動域獲得と筋機能の改善を中心におこないます。 腱板は隣り合っている腱との組織的なつながりがあるため、損傷した腱以外の腱板筋により代償することが可能です。最初は自動介助運動(患者自身が力を入れ、セラピストが補助をする運動)から開始し、徐々に自動運動へと移行します。 自動運動でも痛みを感じることなく運動することができるようになれば、抵抗運動のように腱板筋に負荷をかけていきます。腱板損傷をした肩関節の挙上動作の獲得は、スポーツに例えると一度覚えたフォームを改善するのと同じように時間を要することがあります。 ただ、このリハビリを焦っておこなうと肩甲骨の過剰な上方回旋のみの運動(肩甲骨の運動だけで挙上する代償動作)となってしまい、肩甲上腕関節の運動を得られるのに非常に時間がかかることがあります。 受傷後、長期間が経過してしまっていたら 受傷後、長期間が経過している場合は、関節包が硬くなることによる伸張性の低下や、疼痛によって動かさない状態が続き拘縮が存在することが多いです。 基本的には五十肩といわれる肩関節周囲炎の症状と同様に、まずは関節拘縮の除去をおこない、可動域が広がった部分の腱板機能を改善します。 リハビリと代償動作 肩関節を動かすために重要な働きをする腱板が障害を受けると、肩甲骨に骨頭を引きつける機能が損なわれた状態のままで上肢の運動ができるようにしなければなりません。そこでリハビリでは肩関節の求心性(肩甲骨に骨頭を引きつける力)を補償する機能を獲得し、その機能を維持する必要があります。 腱板断裂の症例の多くは肩峰下を上腕骨の大結節が通過するときに疼痛を訴えることが多いので、どのようにして大結節を肩峰下へ通過させるかがリハビリをおこなう上でのポイントとなります。専門的な内容でおわかりにくいかもしれませんが、腕を上げると痛みが出る場合、代償運動により、日常生活レベルでは挙上が可能となる方法をご説明しています。 方法1 ⚪️ 肩甲骨の関節窩に対して上腕骨頭が上昇して肩峰下で接触する ⚪️ 接触した点を支点として、肩甲骨に対して上腕骨を動かす 方法2 ⚪️ 上腕骨の運動よりも先に肩甲骨の下方回旋をさせ、ある程度、肩甲上腕関節の角度を作る ⚪️ 肩甲上腕関節の角度を保ったまま固定した後、肩甲骨の上方回旋をさせる ⚪️ 関節窩が上方を向いてから肩甲骨に対して上腕骨を動かす ※代償動作とは ・本来の動きに必要な機能ではない、別の機能が補助又は代わりに、その動きを行うこと。 ・代償動作による見かけ上の角度に注意。リハビリの評価は、代償動作に気を配る必要がある ▼ 腱板損傷を再生医療で治療する 最新の再生医療なら腱板損傷は、手術をせずに改善することができます リハビリの準備/MRIでの検査 腱板損傷に限らず、リハビリで効果を発揮させるためには、まず治療前の状態を把握する必要があり、そのためには、どこの腱板が損傷しているのかを判断する必要があります。 確実に損傷部分を判断するには、M R I検査による画像診断が最も優れています。M R I検査では、損傷の部位や範囲を確認することができるため、手術の適応判断にも役立ちます。 ところが、M R I検査は大掛かりな装置が必要であり、また検査にはある程度の時間も必要です。そこで素早く簡易に腱板損傷を評価する方法として、徒手検査法というものがあります。 この方法は、それぞれの筋肉が作用する方向に関節を動かしたり、 抵抗運動を加えることで損傷している腱板をチェックするテスト法です。 このテスト法には棘上筋(外転)テスト、棘下筋・小円筋(外旋)テスト、肩甲下筋(内旋)テスト、ドロップアームサイン(Drop arm sign)などがあります。 リハビリの準備/可動域の計測 リハビリを始める前には、可動域、肩の稼働状況を計測(評価)をしておく必要があります。 肩関節は球関節であり多方向に動くため、可動域を調べるため、それぞれのポジションで計測する必要があります。 特に内外旋は下垂位(腕を下に下ろした位置からの計測)だけでなく、外転(側方挙上)90°と屈曲(前方挙上)90°の位置による計測を加えると、より詳細な評価ができます。 ただし、可動域の検束(評価)をする上で注意しなければならないのが、※代償動作による「見かけ上」の角度に惑わされないということです。急性期の腱板損傷では疼痛性の、慢性期では筋性の可動域制限が発生することがあります。 この場合、可動域制限以上に腕を動かそうとして、体幹を傾ける代償動作がよく見られます。 体幹を後ろに反らせたり側方に傾けると、「見かけ上」、よく動かせているように見えても、実際のところ正確な関節可動域の評価ができませんので、可動域を評価する際は代償動作に注意をして計測を行うことが必要です。 また可動域の評価は、リハビリの進捗状況を客観的に把握することができるため、定期的に計測するようにすべきです。 可動域制限に対するリハビリ(運動療法) 腱板が断裂した症例では、肩甲上腕関節に著明な可動域制限をきたすことは少なく、代償動作の反復による筋性の制限や疼痛逃避による制限を認めることが多いです。 痛みを伴うような過剰なストレッチは、病態の悪化や筋の防御性収縮を招き逆効果となりますので、深呼吸とあわせて実施するなどリラックスをしながら無理のなくストレッチをおこないましょう。 腱板筋のトレーニング(リハビリ) 疼痛誘発テストをおこない、機能低下が認められた腱板に対しては、リハビリとして積極的なトレーニングを指導します。 ただし、腱板に収縮時痛(力を入れた時の痛み)や、伸張痛(ストレッチのように筋肉が伸ばされた時の痛み)が出現し、断裂が疑われる腱板に対しては積極的なトレーニングはおこなわず、他の腱板に対する運動をおこなうようにします。 運動をする際は腱板のどの筋を働かせるかを考えて、目的に合ったトレーニングの方法を選択する必要があります。 ただし、腱板筋のトレーニングは筋の収縮再学習としておこないますので、肩甲胸郭関節(肩甲骨と胸郭からなる肩関節の1つ)の運動が起こらない範囲で、なおかつアウター筋が優位に働かないよう低負荷で実践しなければなりません。 また筋肉によっては内外旋のトレ-ニングとして運動をすることがありますが、あらゆる挙上角度での肩甲上腕関節の求心位を保つために、いろいろな角度での内外旋運動をおこなう必要があります。 まとめ・腱板損傷|発症後、段階別の注意点とリハビリについて 腱板損傷では受症してからの経過により症状が異なるため、病態に合わせたリハビリが必要です。そして腱板損傷に対するリハビリでは、いかに残存している機能を引き出すか、また残存している機能で日常生活動作を獲得させるかがポイントとなってきます。 リハビリのプログラムを作成する時は、一つの機能にこだわらず、残存している色々な機能を活用しましょう。肩の痛みや腱板損傷の場合、リハビリは非常に大切です。 リハビリ、ストレッチ、トレーニングなどは、すべて無理のないプログラムを専門医の指導の下、行っていただくのが理想です。 ただ手術を勧められ迷われていたり、前向きな治療をお考えなら最新の「再生医療」という選択肢もございます。 動画を含めた詳しいご説明もございますのでご参考になさって下さい。。 https://youtu.be/bKupVfsXpHM?si=1FgvN_eZLUW2EDC7 No.0014 監修:院長 坂本貞範 ▼腱板を痛めたらお読みください 腱板損傷(腱板断裂)でやってはいけない動作や運動
最終更新日:2024.04.04 -
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腱板損傷を詳しく|その症状と検査、原因と治療方法、予防方法ついて 突然の肩の痛み!それは腱板損傷なのか!腱板損傷の症状と検査から治療方法(リハビリテーション、手術、再生医療)、腱板損傷の原因と予防についてご説明します。では、まず腱板についてご説明してまいりましょう。 肩関節(肩甲上腕関節)は、背中についている肩甲骨と、肘から上の骨である上腕骨から構成されています。この肩甲骨と上腕骨が関節となり、肩関節の筋肉の働きにより腕を挙げるなどの運動ができるようになっています。肩関節を動かすには様々な筋肉が関与していますが、腱板とは肩関節の深層にある筋肉(インナーマッスル)のことです。 腱板は棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4つから構成されており、これを「ローテーターカフ」または「回旋筋腱板」とも言われています。これらの筋肉はそれぞれ肩関節の挙上や回旋に関わっていますが、もう一つ重要な役割を担っています。それは上腕骨を肩甲骨に引き寄せる役目があります。 肩甲上腕関節は、上腕骨の骨頭と肩甲骨の受け皿が関節となっていますが、骨頭に対して受け皿の面積が小さく、また様々な方向に動かすことができるため、安定性が悪く外れやすい(脱臼しやすい)関節でもあります。 そのため腱板が働くことにより、上腕骨が肩甲骨に引き寄せられ、また挙上動作などを円滑におこなう補助作用も担っています。 腱板損傷で見られる症状とは 肩関節の中で重要な役割を持つ腱板が損傷すると、痛みが発生するだけでなく、肩関節の安定性が悪くなり、また肩を挙上することができなくなります。 よくある症状 ・支えると腕を挙げることができるが、自力では挙がらない ・腕を下ろす動作で痛みを感じる ・痛い方の肩を下にして寝ると、痛みで目が覚める ・引き戸の開閉が困難になる 腱板損傷・発症の原因を知って予防する 腱板損傷の原因の多くは、転倒や急激な肩への負荷など明らかな外傷です。しかし日常生活による何気ない動作の繰り返しや、加齢による腱板の変性などにより、徐々に腱板がすり減り損傷する場合があります。 年齢別で見ると50歳以上の4人に1人は発症するとされており、最も多いのが60歳代です。また若い方では、ボールを投げたりラケットを振るなど肩をよく使うスポーツをしていると、オーバーユース(使いすぎ)により腱板が損傷されやすいです。 そして受傷の原因によっては、損傷の程度も変わってくることがあります。腱板損傷には大きく分けて完全断裂と部分(不全)断裂がありますが、完全断裂での受傷では転倒など衝撃が大きい原因が多く、部分(不全)断裂では微細な負荷による原因が多いです。 予防について 腱板損傷は、何もしなければ起こらない。つまりは、無理な使いすぎが原因のことが多く、スポーツやトレーニングなどでは自分を過信しないことが第一!しかるべき準備体操や、ストレッチで十分に体を慣らしてから行うなど、準備に気を付けることが腱板損傷の予防につながります。無茶は禁物。 また、中年期以降になったなら若いころのようなイメージで身体を使うのもNGです。仕事で重い荷物を持ったり、移動させたり、激しいトレーニングや、スポーツは避けるべきでしょう。痛めてからでは遅いので「予防する・傷めない」という意識をもって気を付けましょう。それでも肩に違和感があるなら次の項目をよく読んで自分の状態を知り、症状が悪化させないようにしてください。 腱板損傷・検査方法について 診察をする上で、腱板が損傷しているかどうか、また損傷している場合はどの程度の損傷かを調べなければなりません。例えばどのような動きで痛みが出るのか、どの程度の痛みが出るのか、筋力はどうかなどをチェックします。また腱板損傷を疑う場合におこなうテスト法として、ドロップアームテストがあります。 ドロップアームテスト(Drop Arm Test) ドロップアームテストとは、検査をする人が支えながら90度まで外転(横方向への挙上)させていき、支えを外した状態からゆっくりと腕を下ろしていく。 自力で腕を支えられずに、急に腕が落ちるようであれば腱板の損傷を疑う。 レントゲン検査 肩関節の痛みによる診断では、まず始めにレントゲンを撮られることがあります。レントゲンは主に骨の状態を確認できる画像診断ですので、骨折の診断にはとても有効です。ところがレントゲンでは腱板が映らないため、損傷の程度を確認することができません。 ただし腱板が断裂すると、関節の隙間が狭くなることがあり、また肩関節に骨棘(骨の端がトゲのようにとんがっている状態)が見られると、肩を動かした時に骨棘がある部分で炎症を起こす可能性があります。このように、レントゲンでは腱板自体を把握することはできませんが、関節の状態から腱板損傷の推察をすることはできます。 超音波検査 超音波検査は、腱板の断裂の程度や炎症の有無、石灰(カルシウムの塊)の沈着などを判断することが可能です。超音波検査では、筋肉と筋肉の間にある筋膜や、滑液包に注射することができます。 また関節を動かしながら観察することで筋肉の動きも見ることができ、患者様と一緒にモニターを確認することで、よりわかりやすい説明ができます。 M R I検査 腱板損傷の診断にはM R Iでの検査が最も有効です。M R Iではレントゲンでは写らない腱板を描写することができ、また骨や関節包など腱板の周りの組織まで読み取ることができます。腱板損傷が起っている場合は、損傷している部位だけでなく、どれくらいの範囲まで損傷しているかを確認しなければなりません。 最初に説明したように腱板は4つの筋肉からできており、損傷した部位が小さければ他の筋肉で補助することができ、手術をしなくても済むことがありますが、広範囲に断裂をした場合は手術が適応となります。 腱板損傷の治療法(保存療法、手術療法) 腱板断裂の治療法には、手術をしない「保存療法」と、文字通り手術で治療する「手術療法」に分けられます。先ほどお伝えしたように、腱板の断裂の大きさによっては手術をした方がいい場合があります。 しかし、それほど大きな損傷でない場合は、保存療法と手術療法のどちらが良いでしょうか。腱板損傷に限らずどの疾患にも共通して言えることが、保存療法を選択する場合は当然ながら手術をしなくでも症状の改善が見込める場合でなければなりません。 その見込みを左右する要因の1つが、損傷部位の血行状態です。肉離れのような筋肉の損傷であれば、最終的には損傷部位の修復が見られます。 ところが腱板の損傷では筋肉と比べて血行が悪く、自然治癒が難しい疾患です。それに加えて、肩を動かす(筋肉が収縮する)と損傷した部分が広がる方向に力が加わり、むしろ断裂部分が広がることも多いです。 このように腱板損傷は保存治療をおこなっても、時間の経過とともに症状が悪化することもあり、保存療法の限界があります。また患者さん自身がどの程度の回復を望んでいるかによっても治療方針がわかれます。 痛みが収まり、しっかりと腕が挙がらなくても日常生活が送れる程度まで回復すれば良いという方にとっては保存療法から取り組むと良いでしょうし、スポーツや仕事をしていて復帰のためにしっかりと治したいという方は手術を選択する方が良いでしょう。 腱板損傷の治療:保存療法(リハビリ、痛みを抑える薬物療法) 痛みが強い時期の治療としては、薬物療法などで痛みを抑えることを第一に取り組みます。痛み止めの飲み薬や湿布薬などもありますが、強い痛みに対しては注射による治療が効果的です。 特にステロイドによる注射は高い治療効果をもたらしますが、頻繁にステロイドを投与すると腱が脆くなることがあり、またそれ以外にも様々な副作用があります。 ある程度痛みが軽減してきたら、肩関節が拘縮しないようリハビリに取り組みましょう。ストレッチなどで筋肉をほぐし、血流改善を促します。肩関節は肩甲骨の動きも大きく関わっているため、ストレッチや体操をする際は腕を動かすだけでなく、肩甲骨も意識して動かしてください。 また筋力トレーニングも効果的ですが、方法を誤ると同じ動作でも違った筋肉に刺激を送ることになるので気をつけましょう。最初に説明したように腱板は深層にある筋肉であり、腱板を鍛えるためには強い負荷は必要ありません。 なぜなら強い負荷をかけたトレーニングでは、ターゲットである腱板よりも表層にある三角筋などが優位に働くからです。そのため腱板の筋力トレーニングをするときは、軽めの重りやゴムチューブなどを使い、軽い負荷でたくさんの回数をおこなうように心がけましょう。 腱板損傷の治療:手術療法 腱板損傷の手術では、主に関節鏡視下術がおこなわれます。関節鏡視下術とは、1〜2cmほどの小さな穴から内視鏡と言われるカメラや手術器具を挿入し、断裂した腱板を元の骨の位置に縫い付ける術式です。この関節鏡を使った手術では傷口を大きく開かないため、体への負担が少なく感染率も低いです。 ただし手術を受けたからといって、すぐに元の状態に戻るわけではありません。手術をしても腱板に負荷がかかると再断裂をする恐れがあるので、しばらくは装具や三角巾を使って安静にする必要があります。 そして3週間から6週間が経つと腱板の接合部分が安定してくるので、徐々にリハビリを開始していきます。重症度にもよりますが目安としては、不便なく日常生活が送れるまでに約2〜3ヶ月、スポーツや重労働ができるまでには約6ヶ月かかります。 腱板損傷に対する第三の選択肢、手術を避ける再生医療について 腱板の損傷部分に関しては、自然治癒の可能性は低いと言われています。その為、痛みが強く保存療法でのコントロールが効きづらい場合には、一般的に手術を選択される医療機関が多いと思われます。 一旦断裂した腱板を縫い合わせる手術を実施したとしても、腱板が元の正常の状態に戻るわけではありません。そのため、縫い合わせた腱板は時間の経過と共に再度損傷していき、縫合部分が徐々に裂けてしまい、最終的には腱板が再断裂をしてしまうことが少なくありません。 また、手術を受けた際に関節を切開して出来た傷口が癒着し、組織同士がくっついて肩関節の動きを阻害してしまいます。そうなると本来の肩関節の動きを取り戻せず、五十肩(肩関節周囲炎)のような痛みを生じてしまいます。 このような状態を防ぐ為に有用な選択肢であるのが再生医療です。一般的には再生の可能性が低いと言われている腱板に再生医療では幹細胞を投与することで、損傷部位に幹細胞が行き渡り、腱板が再生されていきます。 幹細胞治療で再生された腱板は、縫合術のように糸で縫い合わせているわけではないので、再断裂を起こす確率は極めて低いです。また装具で安静にする必要がないため、拘縮を起こすことなく痛みや可動域制限が解消されます。 さらには手術をされた方にも再生医療は有効とされています。手術を受けた場合の最大のリスクは腱板縫合部分の再断裂です。そこで手術により縫い合わされた腱板に再生医療を併用することで、再断裂のリスクを抑えられるだけでなく、手術を受けた際の傷口の修復や術後に起こり得る疼痛も軽減することが期待されます。 https://youtu.be/bKupVfsXpHM?si=1FgvN_eZLUW2EDC7 ▶こちらの動画でも詳しく解説しています。是非ご覧ください。 まとめ・腱板損傷を詳しく|その症状と検査、原因と治療方法、予防方法ついて 腱板損傷は明らかな原因が元で発症することがあれば、加齢による変性などで発症することがあります。特に50歳代以上では発症率が高く、身近に起こり得る疾患と言えます。 しかし、損傷の程度によっては保存療法が功を奏せず、時間の経過とともに断裂が広がり手術となることもある疾患です。手術になるような損傷を起こさないためにも原因を知って、まずは予防に努めましょう! そして、少しでも肩に違和感を感じたら、医療機関を受診するなどして腱板損傷が拡大しないよう早めの治療に取り組みましょう。以上、腱板損傷の症状と治療法、併せてその原因と予防方法ついて、記させて頂きました。 参考にしていただければ幸いです。 No.0013 監修:院長 坂本貞範 ▼以下の肩腱板損傷の記事も参考にされませんか 腱板損傷(腱板断裂)でやってはいけない動作や運動
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変形性膝関節症|サポーターの注意すべき使用法!正しい選び方と装着方法 変形性膝関節症を発症され、歩行時にぐらついたり、痛みが生じたりする症状で苦労をされていませんか? そんな場合、サポーターを着ける機会も多くなるのではないでしょうか?!そんな場合、以下のようなことを考えられたり思われたことがお有りになるかもしれません。 ・「自分に合わせた専用のサポーターが欲しい」 ・「専用のサポーターってどうなのか?」 ・「自分に合わせてもらえるのか?」 そのサポーターについて以下のように思っていませんか? ✕「ドラックストアで売ってる既製品で良い」 ✕「着けてさえいれば良い」 ✕「オーダーする必要が分からない」 △「オーダーできるとは知らなかった」 まずお伝えしたいのは「変形性膝関節症」の場合、「サポーターを使用することは大変有効である」ということです。そこで今回は、「変形性膝関節症のサポーター」に関して、その選び方と使用法、装着方法について解説いたします。 ご自身の膝の状態、そしてご自身にフィットしたものが良いのは言うまでもなく、サポーターの選び方、更には効果的な装着方法、着け方について具体的にご説明したいと思います。 ご一読いただき通院先や、お近くの医療機関でご相談されることをお勧めします。 変形性膝関節症サポーター|使い方で注意したいこと 変形性膝関節症の対策としてサポーターを使われることは有効です。 しかし、適当にサポーターを選んでつけると、サポーターの効果が十分に発揮されない可能性があることをご理解いただかねばなりません。 せっかく付けるのですから効果的に装着していただきたいものです。 気を付けて頂きたいのは、変形性膝関節症の「進行具合」「炎症の箇所」などによってはサポーターをつけることが逆効果になることもありえるということです。 そのため、サポーターの使用について、まずは主治医にご相談されることをお勧めします。 主治医にご相談いただきサポーターを使用することになった場合は、その指示のもとで選んで頂きたいのですが、ご自身でもポーターの選び方や、つけ方についてご理解いただくことは非常に大切です。 清潔な状態で使用しよう 変形性膝関節症でサポーターを使用するときは、膝もサポーターも清潔な状態で使用するようにしましょう。清潔な状態が保たれていない状態で使用すると皮膚がアレルギー反応を起こしたり、接触性皮膚炎を引き起こす可能性があります。 サポーターはズレてしまうことがあります。汗をかいているときは、汗をしっかり拭きとってからサポーターをつけるましょう。 サポーター装着する注意点 ・清潔な状態を意識する ・膝の汗を拭きとってから使用 長時間の使用は避ける サポーターを正しく装着しても、長時間つけ続けていると患部が圧迫されて血流が悪くなってしまいます。楽だからと、ずっと装着したままでいると膝を支える筋力が低下してしまいかねません。 家にいる場合などは、はずして長時間の使用は控えるべきです。サポーターは外出直前につけ、定期的に外すことで、できるだけ着けている時間を短くする工夫をしましょう。 短い時間であっても安静時には外すなど、こまめに着け外す習慣をつけるようにしましょう。 定期的に交換しましょう サポーターは消耗品という認識を持ってください。 長期間使用していると素材が伸びたりして、劣化します。例え専用にオーダーして、正しいつけ方をしていてもフィット感が乏しくなってくることがあります。 サポーターは正しくフィットすることで効果を発揮するよう設計されているからです。長期間使用したために、伸びたり劣化したりして正しくフィットしなくなってきた場合は積極的に新しいものに交換しましょう。 劣化したサポーターを使って変な負担が掛かることで逆に症状が悪くなる危険性もあります。 変形性膝関節症|サポーターの選び方 変形性膝関節症でサポーターを使用し、効果を十分に得るためには、装着方法だけでなく、どのようなサポーターを使用するのか、選び方も重要です。 現在は、いろいろな種類のサポーターが販売されていますが、どれも大差ないだろうと適当に選んで使用するべきではありません。 適当な選び方をしたサポーターだと、正しいつけ方をしても変形性膝関節症への効果が得られないばかりか、悪影響になってしまうこともあります。 膝のサイズが合ったものを選ぶ 変形性膝関節症でサポーターを使うときは、まず、自分の膝のサイズに合ったものを選ぶことが大切です。 せっかくサポーターをつけてもサイズが合っていないと、膝をしっかり固定することができなくなり、サポーターをつける意味がなくなってしまいかねません。 サポーターを選ぶ場合 ・自分のサイズを知るため事前に測っておきましょう ・測り方は、メジャーで膝の皿の部分から上下10㎝の部分を測ります。 用途に合ったものを選ぶ 自分の用途に合ったものを選ぶことが大切です。 ・スポーツにおすすめのタイプ ・立ち仕事をする場合におすすめのタイプ ・高齢者におすすめのタイプ ・リハビリをおこなう人におすすめのタイプ 変形性膝関節症の対策として選ぶ場合は、症状の度合いや体重、筋力、足の状態(O脚など)によって、どれが合うかは異なってくるので、選び方は判断がすごく難しいです。 主治医に相談して自分の用途に合ったものを見つけましょう。 使用感の良いものを選ぶ 変形性膝関節症のサポーターを選ぶ際は、使用感についても重視すべきです。サイズが自分にピッタリであっても、実際に使用して不快に感じると、長く使用することが難しくなってしまいます。 サポーターは、サンプルを置いているお店もあるので、実際に試して使用感をチェックするのがおすすめです。 変形性膝関節症のサポーター|正しい装着法(つけ方) 変形性膝関節症の人がサポーターを使用する場合、サポーターの選び方だけではなく、正しいつけ方で使用することが大切です。 そこで変形性膝関節症のサポーターのつけ方のコツをご紹介します。 サポーターの装着(つけ方)、手順とコツ ベルトを締めるタイプのサポーターの場合、サポーターは上の方から締めていきます。上のベルトを締めるときは、強く締める必要はなく、フィットしているな!と感じられるくらいで十分です。 上を締めてズレがないかチェックしたら、今度は下のベルトを締めます。 下の方を締めるときは、膝の皿の部分をきちんと補助することができるように下から上に引き上げながら締めるのがポイントです。 下の方は上の方よりも強めに圧がかかるように締めますが、血流を阻害するほど強く締めすぎないように注意しましょう。 立った状態で装着する サポーターをつけるときは、立った状態で装着するのがおすすめです。 立ち姿勢で膝を伸ばした状態でサポーターをつけると、しっかりとサポーターが巻き付いて膝を曲げたときに緩みにくくなります。 ただし、サポーターなしで立つのが難しいという人は座った状態でつけても問題ありません。 座った状態でサポーターをつける場合は、膝を少しだけ曲げた状態でつけるとしっかりと付けることができます。 膝を動かして確認する サポーターをつけ終えたら一度膝を軽く動かしてみて、締め付けが強すぎないかチェックします。ズレがなくきちんとフィットしているかチェックしたりすることが大切です。 少しでも強すぎたり、フィットしていない場合は、面倒でもそのまま使用せず、つけ直しましょう。これが大切です。 まとめ・変形性膝関節症|サポーターの注意すべき使用法!正しい選び方と装着方法 ここでは変形性膝関節症のサポーターの使い方で注意すべきことや、選び方。そして、その着け方、装着方法についてご紹介させていただきました。 変形性膝関節症に悩む方にとって、サポーターは大きな助けとなります。しかし、正しい選び方や装着方法を知らずに使用すると、効果が得られないだけでなく、逆に症状を悪化させる恐れもあります。 まず、サポーターの選び方は自身の膝の状態や用途に合わせて慎重に行うことが重要です。 サポーターの装着方法も正しく行うことで効果的に症状の緩和が期待できます。清潔な状態で使用し、長時間の装着は避けるようにしましょう。 また、サポーターにも寿命があり、フィット感が乏しくなってきたら交換も必要になります。最もお勧めするのは主治医や専門家と相談しながら適切なサポーターを選ぶことです。 正しい装着方法を学び、これらのポイントを押さえて、変形性膝関節症に対するサポーターの効果を最大限に引き出しましょう。 以上、参考にしていただければ幸いです。 No.0012 監修:院長 坂本貞範 ▼ 再生医療で変形性膝関節症を治療する 変形性膝関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼こちらも参考にしていただければ幸いです 変形性膝関節症を悪化させないための運動方法と日常の工夫
最終更新日:2024.04.24 -
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変形性膝関節症で必須なサポーターのメリットと選択時の注意点 変形性膝関節症に悩まされている高齢者のなかには「膝が痛いのでサポーターをつけた方が楽になるかも?」「変形性膝関節症と言われたのでサポーターを着けるべきか?」などとお考えではないでしょうか。 今回は、「1.変形性や、デメリット」、「変形性膝関節症でサポーターをつけるメリット」、「3.サポーターの使用時に注意すべきこと」の3点についてご紹介します。 1.変形性膝関節症でサポーターをする方が良い理由 まず結論から述べると、変形性膝関節症では高齢者に限らず、若い方であっても「膝にはサポーターをしたほうが良い!」と言えます。そこで、その理由についてお話します。 変形性膝関節症の高齢者にはサポーターを積極的におすすめしています 変形性膝関節症の場合、高齢者はもちろん、それ以外の方にとっても「サポーター」は、単なるグッズではなく、"おすすめ"のアイテムです。変形性膝関節症になると、軟骨の擦り減りによって膝が不安定になったり、痛みが生じたりして歩行が困難になります。 しかし、サポーターの効果としては、膝を支えて固定することで、膝が安定し、痛みを和らげることができるので、歩行や動きが楽になります。また、サポーターによって膝が温められ、冷えによる痛みを和らげることでも人気があります。 症状:軟骨のすり減り → 膝が不安定、膝の痛み → 歩行や動くことにが困難に ・サポーターを着ける:膝を支え(固定) → 膝が安定(痛みが和らぐ)>歩行が楽に! ・サポーターを着ける:膝を温め(冷えを防ぐ)→ 痛みの軽減 >歩行が楽に! このように変形性膝関節症の方にとってサポーターの使用は、とても有効でオススメです。ただし、使い方には注意点があります。そんなサポーターに関する情報を記していきましょう。 変形性膝関節症でサポーターをつけるときの注意点 変形性膝関節症の場合、高齢者に限ったことではありませんが、サポーターで膝を安定さることができれば「歩行がしやすくなった!」「膝の痛みが軽減された!」という効果を感じることができます。 まさにサポーターを着けるだけの手軽さで可能になります。ただし、サポータを装着して良い効果を得るためには正しい使い方をすることが大切になります。 〇こちらも併せてご覧ください → 変形性膝関節症の装具両方の種類と注意点について サポーターの種類は千差万別、選択には注意が必要 変形性膝関節症の方にサポーターは、積極的におすすめできるアイテムです。しかし、ご注意いただきたいのは炎症の箇所や症状の度合いによってはサポーターを使用すると、余計に痛みが生じてしまうことがある点です。 また、慢性皮膚炎の人や、膝の周辺に傷や湿疹がある人などが使用すると皮膚の症状が悪化する可能性があります。化学繊維にアレルギーがある人はサポーターでアレルギー症状が出る可能性もあるので気をつけましょう。 サポーターには、単なるグッズから医療用のもの、また対策できる部位やサイズが違っているもの、保温性を加味したもの、メンズ・レディース・共用など性別を含めて色々なタイプや種類があります。 これらは通院されている整形外科をはじめ、手軽にドラッグストアや、ネット通販でも簡単に購入ができます。選び方としては通販サイトのランキング情報や、口コミを参考に選ぶこともできます。 サポーターを選択する際には医療用から選べば大きな間違いは無いと思われますが、大切なのは、膝をしっかり固定できて、支えてくれるもの、しっかり動きをサポートしてくるものを基本に、サイズが合ったものをお選びください。 このようにサポーターも多種多様にあるため、何の目的で、どんな対策で付けるのかなど、目的を明確にして選びたいものです。一番のオススメは試着できることです。 最も良いのは、主治医にご相談されることです。試着できることが多く、最適なサポーターを医者の目線で選んでもれえることが可能になります。ご自身に合ったものをで選んでもらえるので安心です。 サポーターの装着で注意すべきこと ・炎症が起こっている箇所、症状の度合いの判断が必要 ・慢性皮膚炎 ・膝の周辺に傷や湿疹 ・アレルギー(化学繊維) サポーター選びで大切なこと ・膝を支えて固定できるもの ・サイズがあったも ・保温性にも対応しているもの ・主治医がおられるなら相談をしてアドバイスを受ける 2.変形性膝関節症でサポーターをつけるメリット ①サポーターを着けるメリット:安心感が増し、歩行がしやすく、楽になる 変形性膝関節症の人は、膝を動かすと、その痛みによって歩くのが困難になってしまいます。さらに高齢者の場合は、膝を支える筋肉量そのものが低下してしまっているため、余計に歩行が辛く、困難になってしまう傾向があります。 このように歩行が不安定な状態が続くと歩くことに対して怖かったり、不安な気持ちになり、歩くことを躊躇するようになる人も少なくありません。 そのためにも膝を支えて、固定してくれるサポーターを使用されることを、おすすめします。サポーターは、膝を固定する効果があり、膝の安定感が増して「歩行時のふらつきを予防し」、「膝を安定させます」。「膝が固定されてぐらつかなくなる」ことで歩行するときの安心感を得ることができます。 ②サポーターを着けるメリット:痛みを感じにくくなる サポーターをつけることで痛みを軽減させ、感じにくくなるのも大きなメリットです。なぜサポーターをすると痛みを感じにくくなるかというと、サポーターをつけて膝を圧迫すると「触圧覚が刺激される」からです。 「触圧覚」とは、何かに触れたときに感じるもので、痛みを感じたときに痛みを脳に伝達する痛覚よりも早く、何かに触れたことを脳へ伝達します。サポーターで圧をかけ、触圧覚を刺激していると痛覚の反応が鈍くなるため、痛みを感じにくくなるのです。 ③サポーターを着けるメリット:膝の冷えを防止する サポーターは膝を安定させたり、痛みを感じにくくしたりする効果だけでなく、「冷えを予防する効果」も期待できます。膝が冷えてしまうと血管が収縮して血液の流れが悪くなり「筋肉が硬く」なってしまいます。 そして、膝の筋肉が硬くなったまま動かそうとすると筋肉への大きな負担がかかるため、痛みを感じやすくなります。そのため、変形性膝関節症の高齢者が寒い日に外出するときや、エアコンが効いている部屋にいるときなどは、サポーターをすることで「冷えを防止」することができます。 このように変形性膝関節症の高齢者を含め困っている方は「サポーターをつけることで多くのメリット」があります。 ④サポーターを着けるメリット:変形性膝関節症の悪循環をストップできる 変形性膝関節症が進行すると膝の安定性が低下したり、痛みが生じたりするため、安静にしようと思ったり、動かすのが億劫になったりして、できるだけ動かないようにしようとする人が多いでしょう。 しかし、ご注意頂きたいのは体を動かさないでいると軟骨の周囲を支えている筋力が低下します。すると、軟骨がさらに擦り減りやすくなるなど、悪循環を招いてしまいます。ですから悪循環をストップさせるためにサポーターを適切に使用しましょう。足を動かす機会が増えれば、軟骨の周囲を支える筋力が戻り、軟骨が保護されて、痛みにくくなります。 特に高齢者の場合、「年だから・・・」と諦めずにサポーターを使用することで無理のない運動に努めましょう。サポーターで膝を補助してあげることで動くことをためらったり、諦めたりする必要を減らすことができる点、大きなメリットと言えるでしょう。 ▼悪循環になりがち ・変形性膝関節症:膝の安定性が低下し痛みが生じる → 動かすのが億劫になる ・変形性膝関節症の悪循環:動かない → 筋力低下 → 膝の周りの筋力低下 → 膝軟骨のすり減り ・悪循環を断ち切る:動きをサポートし、痛みを低減するサポーターを有効活用すべき! ▼ 変形性膝関節症を再生医療で治療する 再生医療をご存知ですか?変形性膝関節症は、入院や手術を行うことなく症状を改善することができます 3.変形性膝関節症の高齢者がサポーターを使用する際に気をつけること? 変形性膝関節症で高齢者がサポーターを使用する場合、外出やリハビリに取り組む場合に多くのメリットがありますが、サポーターを効果的に使用するには、注意すべきことがいくつかあります。 汗を拭いて使用する 歩行時にサポーターがずれると歩行しにくくなります。 そのままでは、他の筋肉や部位に負担をかけることとなり、膝や腰などに痛みが出る可能性があります。このように膝に汗をかいた状態でサポーターをつけると、サポーターがずれやすくなり、膝を支えるという目的を果たせなくなります。 外出やリハビリに使用する場合は、サポーターをつける前に汗をかいていれば拭くようにしましょう。また汗をかいたら面倒でも、小まめに拭いてやり、快適な装着を心がけましょう。 正しく装着する サポーターは正しく装着することで効果を発揮します。 上下左右の方向や位置を間違って装着すると、サポーターの役割をじゅうぶんに果たすことができませんし、血行不良になることもあります。種類によっては上下や左右など分かりにくいものもあり、何か不自然、違うな・・・感じたら、最初から装着をやり直しましょう。おかしいと思いながら付け続けるのはお避け下さい。 安静時はサポーターを外す サポーターを長時間使用していると、うっ血や圧迫痛を引き起こしてしまう可能性がありますので、使用するのは運動時や歩行時だけにして、安静時はサポーターを外すようにしてください。 まとめ・変形性膝関節症で必須なサポーターのメリットと選択時の注意点 高齢者をはじめ多くの変形性膝関節症の方々にとってサポーターは”おすすめ”なのかどうか、また、使用する場合の注意点などについて記させていただきました。 サポーターを装着すれば、膝周りを支えて歩行時の安心感はもちろん、痛みを緩和してくれる有効なアイテムとしてご推薦できます。デメリットは特に無いのですが、注意点はあります。 それは、ご自身の症状にあったサポーターをお選びいただく必要がある点、装着方法に注意をはらう、サイズが合ったサポーターをしていただくということになります。 また、サポーター選びは医師へご相談された上、その指示やアドバイスに従い正しく使用することができればベストです。 No.0011 監修:院長 坂本貞範 ▼ 再生医療の幹細胞治療が変形性膝関節症の治療を変える! 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療なら、すり減った軟骨の再生を目指せる ▼サポーターの使い方をこちらで更に詳しくご説明 【変形性膝関節症用のサポーター】正しい使用法と選び方!
最終更新日:2024.02.20 -
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変形性股関節症|農業で発症も、やめないために!予防と悪化を防ぐ方法 農業をやっていて、不安定な姿勢で長時間作業を繰り返していくうちに変形性股関節症になってしまい、痛みがつらいという人もいるかもしれません。変形性股関節症は、関節の痛みと機能障害が起こりますが進行すると持続痛となり取れなくなる恐れもあります。 そのため、「変形性股関節症になってしまったら、農業はやめるべきなのか?」「股関節に関節症を発症したら農業は、してはいけない仕事なのか?」「そもそも立ち仕事は避けるべきなのか?」など、不安に感じるられているのではないでしょうか。 そこで今回は、変形性股関節症になったら農業をやめるべきなのか、という疑問について、やめるわけにはいかない場合の予防法と治療について解説します。 結論から言いますと、もし変形性股関節症になってしまった場合でも、「農業をやめるべきである」「してはいけない」とは一概に言いきれません。ただし、変形性股関節症になった状態で通常どおりに農業をおこなうというのは危険です。 変形性関節症になっても農業を続けるには? 変形性関節症になったとしても農業を続けたい場合は、痛みのコントロールや症状の進行を抑えるための治療をおこなうことが大切です。痛みの緩和や症状の進行を抑えていく必要があります。 股関節に負担がかからないように生活する 変形性股関節症は、股関節に負担がかかることにより痛みが生じ、症状が進行します。股関節には、農業以外にも、立ち仕事はもちろん、日常生活の中でも無意識のうちに大きな負担がかかる動作や仕事があります。 例えば、歩くだけでも負担がかかりますし、トイレが和式であったり、いつも履いている靴の質が悪いなどということが股関節への大きな負担になることもあります。 そのため、なるべく股関節に負担がかからないよう生活スタイルを変えることや、クッション性に優れ、弾力があって股関節への衝撃を和らげることができる靴を選ぶなど、身近なところから股関節への負担を軽減するように変えていくことが必要です。 変形性股関節症の治療法を検討する 変形性股関節症には、いくつか治療法が存在します。変形性股関節症の場合、股関節に負担のかからないエクササイズや、水中運動などの運動療法が有効です。 このした治療法は、股関節周辺の筋力をつけていくことで、痛みを緩和させる効果が期待できるからです。そのほかには、薬物による治療方法や、症状が進んでしまった場合には人工関節置換手術などがあります。 長期的かつ健康的な視野で見れば、軽度の変形性股関節症は、運動による治療も可能ですが、日常に支障をきたすレベルで関節が痛むなどの場合は、薬物や手術などによる治療を検討されたほうが良いでしょう。 主治医に相談をする 変形性股関節症では、進行の程度や症状によって治療法が異なります。股関節に違和感がある、痛みがあるという場合は、まずは、整形外科をはじめとした専門の医療機関を受診し、診断をしてもらいましょう。 その上で、これまで通りに農作業をおこなっても良いのか、股関節への負担を軽くするために、農業のやり方を変えていくほうがいいのかなどについて主治医に相談してみてください。 農業をしていると変形性股関節症になりやすいの? 農業をしていると変形性股関節症になりやすいという声もありますが、実際のところはどうなのでしょうか。 結論から述べますと、一概に農業をしていると必ず変形性股関節症になるというわけではありません。しかし、農業と変形性股関節症にはいくつかの関係性があります。 農業は変形性股関節症の原因となる姿勢や動作が多い 農業は長時間の立ち仕事であることはもちろんのこと、重たいものを運ぶ、不安定な体勢で作業をするなど、変形性股関節症の原因となる動作が多いです。 変形性股関節症は、股関節への過度な負荷によって引き起こされるため、そういう意味でも農業は多かれ少なかれ変形性股関節症のリスクがあると言えるでしょう。 農業でかかる関節への負担は股関節だけではない 農業は、不安定な姿勢が多いため股関節に負担がかかると言われますが、そのほかの関節にも負担がかかり、膝や腰を痛める人もいます。また、股関節に痛みが生じ、その痛みをかばいながら作業をすると、今度は腰や膝などほかの関節の痛みも併発する可能性もあります。 つまり農業は、股関節だけでなく全身の関節との付き合い方がとても大切になってくる職業であると言えます。 変形性股関節症|予防と悪化させないために 農業だけが変形性股関節症になるリスクがあるというわけではありません。 しかし、農業には変形性股関節症になるリスクが大きな動作が多いことは間違いありません。そのため、農業で変形性股関節症にならないように意識し、悪化させないようにするための予防が必要です。 椅子に座って農業をする 長時間の立ち仕事による農業は股関節に負担をかけるため、変形性股関節症になるリスクがあります。ですから、立ち仕事の時間を減らせるように工夫しましょう。最近は、座ったまま移動ができるキャスター付の農業作業用の椅子などが広く出回っています。そういったアイテムの使用もおススメです。 休憩をこまめにとる 農業で変形性股関節症にならないようにするには、小まめに休憩をとるようにしましょう。 一般のサラリーマンに比べ、農業は明確な就業時間や休憩時間が決まっていないことが多いと思います。そのため、農業を営む人の中には、定期的な休憩を取らずに働いてしまう人もいるようです。 しかし、休憩を取らずに、働き続けることは良くありません。例えば一時間ごとに10分などと決めておくと休憩を意識しやすくなります。どうしても休憩が取りづらい状況であるならば、立ち仕事を減らす工夫や、少しでも関節への負担をかけない工夫をしましょう。 疲労がたまったらストレッチをする 農業をしていて股関節が痛く感じることがあれば、疲労がたまっている証拠です。もしも痛みを感じたら、少し休み、股関節周辺のストレッチをしましょう。 また、お風呂上がりや寝る前などにも、太ももの筋肉やお尻の後ろにある大殿筋などをほぐすようにストレッチするのも効果的です。農業による筋肉の疲労を放置せず、日々しっかりとストレッチをすることで、変形性股関節症の予防につながります。 変形性股関節症でも農業を続けられる関節の痛みの緩和法とは 変形性股関節症になった状態で農業を続けることは大変です。しかし、医師の判断にもよりますし、個人差もありますが、痛みのコントロールをすることができれば、ある程度は農業を続けることが可能でしょう。 変形性股関節症の痛みの緩和方法を紹介します。 関節を温める 関節を温めることによって痛みを緩和できます。ホットタオルや使い捨てカイロなどで関節を温めましょう。股関節を温めることで血行が良くなり、体の修復機能が向上するので、「痛みの緩和」が期待できます。 半身浴をする 関節を温め、血行を良くするという観点から、半身浴もおススメです。お湯の温度を38度から40度ぐらいに設定して半身浴をしてみてください。ホットタオルなどで部分的に温めるよりも、半身浴は股関節全体を温めて、より血行を良くする効果が期待できます。 また半身浴は変形性股関節症の痛みをやわらげるだけでなく、血行が良くなることで体の新陳代謝機能が上がるため、健康そのものにも効果的です。毎日の疲れをとるためにも、ゆっくり半身浴をするという習慣を取り入れてみるのも良いでしょう。 農業を続けたい!変形性股関節症には再生医療という治療方法もある! 変形性股関節症になり、痛みが生じるようになると、農業を続けることが大変になってきますが、それでも農業を続けたい!そもそも農業が生業でやめるわけにはいかない!という場合は、短い治療期間で済み、副作用のリスクも少ない最先端の治療法「再生医療」という選択肢もあります。 再生医療で痛みの改善が可能になれば、生活の質が上がりますし、人工関節に置換えるなどの外科的手術も不要になる可能性が高まります。変形性股関節症の痛みで農作業に支障があると悩まれているのであれば、検討される価値のある治療法です。 https://youtu.be/isSkwxfHrbI?si=xBpcu7q-w5wcdT8Y ▶こちらの動画では、変形性股関節症に効果的な再生医療について解説しています。是非ご覧ください。 まとめ・変形性股関節症|農業で発症も、やめないために!予防と悪化を防ぐ方法 農業をしていると必ず変形性股関節症になるというわけではありません。しかし、ほかの仕事に比べて股関節への負担がかかりやすい農業は、股関節に対する関節症、特に変形性股関節症のリスクがあるのは確かです。 現在、農業に携わっていて変形性股関節症に悩まされている人や、痛みが強くなったら農業ができなくなるのではないかと不安に感じている人は、今回ご紹介した予防や痛みを緩和する方法を試されてはいかがでしょうか。 また、変形性股関節症は専門医による治療が必要です。せっかく診断を受けても軽度ならと仕事を優先し、つい無理な作業や立ち仕事を続けられてしまう方もおられます。 ご注意頂きたいのは放置して自然治癒することはありません。変形性股関節症は放置すると症状が進行する病気です。早めに専門医の指導の下、適切な治療を受けましょう。 以上、変変形性股関節症は農業で起こりやすいのか?その予防と治療法について、という視点でからご説明させていただきました。変形性股関節症と正しく向き合い、毎日元気に農業を続けていきたいものです。 No.0010 監修:院長 坂本貞範 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼以下もぜひご覧ください 変形性股関節症を悪化させないために気をつけたいこと
最終更新日:2024.03.28 -
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変形性股関節症、杖の正しい使い方と、杖の選び方 変形性股関節症の方が歩行するのに頼りになるのが「杖」です。そこで「正しい杖の選び方、使い方」をお話ししてまいります。 変形性股関節症と診断された人にとって「歩くのが辛い」、「歩行するのが不安」などといったことで悩まれている方はいませんか?すでに「杖」を使用されていたり、これから購入をお考えの方もおられることでしょう。 杖は、不安定になりがちな足元を支えて歩行を助けてくれる第三の足ともいえるものです。そのためにも杖の正しい使い方を理解して、少しでも不自由なく股関節に負担ない、自分に合った杖を選ぶことが大切になります。 杖の使用は、変形性股関節症の人にとって股関節の負担を和らげるだけでなく、歩行時の転倒防止などに対して大きなメリットがあります。股関節に痛みのある状態で生活を送っていると、痛みをかばうために膝や腰にも負担がかかり、結果として膝痛や腰痛を招いてしまうため、注意しなければなりません。 そのため、杖の使用が推奨されます。 杖を使えば股関節への負担だけではなく、膝や腰への負担の改善も期待できます。 しかし、ひとくちに杖と言っても、一本足タイプの杖や、複数足タイプの杖、木製のものや金属製のものなど、さまざまな種類があります。それらを使って正しい杖の使い方をしなければ、痛みの緩和や歩行のサポートとしての役割を発揮することができません。 歩行を補助するために安全で体に負担をかけることのない正しい杖の使い方をするためにも、まずは杖の選び方にこだわりましょう。自分に合った杖を選ぶことが大切です。 自分に合った正しい杖の選び方、気をつけたいポイント せっかく杖を買っても、その杖が自分に合っていないと、歩行のたびに股関節へ余計な負担がかかってしまう危険性があります。そこで杖について大切なことを以下に記しました。 1)杖の選び方・杖の重さ 杖に重さがあると安定感があり、杖自体も頑丈で歩行にも安心感を感じるかもしれません。しかし、重すぎると疲れやすくなり、慣れるまで時間がかかり、時間とともに使いづらく感じてしまう場合もあります。 一般的には強度と軽さを兼ね備えたアルミ製のものが多く販売されていますが、最近ではより軽いカーボン製の杖も販売されています。いずれも軽量でありながら強度が高いところが特徴です。 杖の重さ メリット デメリット 重い 頑丈、安心感 使用で疲れ、使いずらくなる 軽い 軽量で強度が高く使いやすい - 2)杖の選び方・握りやすさ 杖の持ち手にもコダワリが必要です。自分に合った握りやすく、太すぎず、細すぎず違和感のなく握れることができる杖であることが選ぶポイントです。 滑りにくく掴みやすい、自分の手にあった握りやすい杖を選ぶことで握力がなくても疲れにくくなるでしょう。購入前に、実際に握ってみて、ぜひ少しでも歩く練習をしてみてくださいね。 3)杖の選び方・長さ 杖の長さの目安は身長の半分+2~3cmが適切といわれています。 杖の長さが短いと、前傾姿勢になり、股関節へ負担が大きくなります。これでは、せっかく杖を使っても症状が悪化する原因となってしまいかねません。 逆に、杖が長すぎると扱いずらく歩きにくい、操作が難しくなります。長時間の使用や長距離の歩行の場合、疲れやすくなります。 正しい姿勢で歩行ができるように、自分にあった適切な長さの杖を選びましょう。長さを調整できる伸縮するタイプの杖もあり、これを選ぶと、細かく長さを調整することができます。 適切な長さポイント ・身長の半分プラスして2~3cm ・正しい姿勢で歩行できるよう調整する → 短い杖:前に姿勢が倒れるため、股関節への負担が大きい → 長い杖:扱いずらく、歩きにくい、疲れやすくなる 4)杖の形 杖の形も歩きやすさに影響を与えます。 デザインなどで選ぶことなく、杖としての基本的な性能を比べてご自身に合った形を探しましょう。 ・T字杖 一本杖に握り手がついた一番多くられる一般的な杖のひとつです。このタイプは、使用する人を選ばず、比較的、誰にでも簡単に使用することが可能です。 しかし、多脚杖ほどの安定感はないため、高齢の人や、症状が進み自分での歩行に難がある人に安定性の面からあまり向いていません。 ・ロフストランド杖 一本杖のひとつですが、上部に腕を通す輪があり、下部にも握り手がついていて、T字杖よりも安定感があります。 手が変形している人や、筋力が足りずにT字杖では、歩行の折に体重を支え切れない場合などで選択される杖です。 ・多脚杖 T字杖は一本杖なので地面と接している部分が一か所のみですが、多脚杖は3点あるいは4点が地面と接します。支える部分が多いため、力が分散され、T字杖よりも安定性が高い杖です。そのため、T字杖のような一本杖では安定しない、筋力が低下しているという人におすすめです。 多脚杖は安定感があるため、変形性股関節症の痛みがひどい人が杖に体重をかけても転倒しづらいですが、一本杖よりも重くなってしまうというデメリットもあります。 変形性股関節症における杖の使い方・選び方 変形性股関節症の人が杖を買うときには、実際に自分の手で持ってみる、少しでも歩いてみるなどして選ぶことも大切ですが、やはり専門家の意見を取り入れたほうが良いでしょう。理学療法士や専門の医師に相談しながら、自分に合った杖を見つけましょう。 そして、杖の長さは、重心をかける位置などにも関わってきます。立ったままでなく、直接手に取って、持って、歩いて、相談しながら長さの調節をすると良いでしょう。歩行時の安定感が大切です。 杖の正しい使い方について専門家の指導を受けよう 変形性股関節症の人が杖を購入したら、その杖の効果を最大限に発揮できるよう杖の使い方の指導を受けるようにしましょう。正しく杖を使うことで、痛みが改善されるほか、歩行が楽に感じられるようになると行動範囲も広がります。 変形性股関節症の人は、運動療法もおこなって筋力をつける必要があります。痛みの改善や行動範囲の拡大は、運動療法もやりやすくする効果があるため、正しい杖の使い方を習得して、少しずつウォーキングのような運動もするようにしましょう。 杖を正しく使うことによるメリット 変形性股関節症で歩行がつらくなっていても、正しい杖の使い方をすることで痛みの改善ができると、行動範囲も広くなります。 痛みが強いとトイレに行く、お風呂に入るといった日常動作が億劫になり、筋力が落ちてさらに痛みが増してしまうという悪循環に陥る人もいますし、さらに症状が進むと寝たきりになってしまう可能性もあります。 正しく杖を使って歩行できれば行動範囲を広げることになり、何より変形性股関節症の方でも気持ちを明るくすることができます。このように杖ひとつで前向きな気持ちになれるきっかけになれば何よりです。 まとめ・変形性股関節症の杖の正しい使い方と、杖の選び方 変形性股関節症で杖を使う場合は、杖を使った正しい歩行方法を知ることが大切です。今回は、正しい杖の使い方をするための第一歩、杖の選び方についてご紹介しました。 自分にピッタリな杖を正しい使い方で使ってこそ、杖を役立てることができます。変形性股関節症の人で杖の使い方や選び方に悩んでいる人は、実際に店舗や病院に行って理学療法士や専門の医師のアドバイスを受けながら杖を選ぶようにすると良いでしょう。 以上、変形性股関節症で歩行する際に知っておきたい正しい杖の使い方と、杖の選び方について記しました。 No.0009 監修:院長 坂本貞範 ▼ 再生医療が変形性股関節症の治療を変える 変形性股関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で入院や手術せずに症状を改善できます 変形性膝関節症についてはこちらも参照ください ▼こちらも参考にされませんか? 変形性股関節症のリハビリ|運動療法で治す!避けたい運動と、行うべき運動
最終更新日:2024.03.29 -
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変形性股関節症で使うステロイド薬!その必要性と副作用について 変形性股関節症の保温療法の一環としてよく使われるステロイドという薬、痛みに効く薬として、その必要性は理解できるけど、副作用が気になる!?という方が多いのではないでしょうか。 そこで今回は、変形性股関節症に対するステロイド薬を用いた治療についてご説明しましょう。 変形性股関節症でステロイドを使った治療は、保存療法で使われることが多いのですが効果的なのでしょうか。 ステロイド薬と聞くと、とにかく副作用が気になる!本当に効果が期待できるのか?、本当に使用しなければならないのか?など、多くの不安を感じる方が多くおられるようです。 変形性股関節症におけるステロイド薬の使用目的とは? ステロイド薬を使用する目的は、痛みに効く、痛みを止める薬として、痛みの緩和に対して効果を示すからです。つまり、変形性股関節症におけるステロイド薬を用いる目的は股関節の痛みに対処するためです。 保存療法は、形性股関節症の初期におこなわれる治療法の一つです。 変形性股関節症を発症したということは、何らかの自覚症状があるということで、それは多くの場合、痛みです。手術を回避するために初期のころ行う保存療法においては、この痛みを緩和させる必要があります。 これは手術をしないで痛みを止め、運動療法による効果を高めるための目的ですが、痛みがあると、どうしてもその部位を守ろうと他の筋肉や組織に力が入ったりして、意識、無意識にかかわらず負担を掛けてしまうことを避ける狙いもあります。 このように保存療法を有効に進めるためには、ある程度、痛みあげることも大切です。 ステロイド薬には抗炎症作用と鎮痛作用がある ステロイド薬の効果としては、痛に効く、痛みを抑える薬としてだけではなく、痛みの原因となる炎症そのものを抑える効果があります。痛みの原因物質の産生を抑えることで強い抗炎症作用や、鎮痛(痛みを止める)作用を示すという訳です。 そのため、変形性股関節症でステロイドを使用すると、炎症を防いで、痛みを止めるなどの改善効果が期待できるのです。ただし、ステロイド薬は、副作用が起こる可能性もあります。 ステロイド薬の副作用とは ステロイド薬の副作用のひとつに、骨が脆くなるというものがあります。そのため、事前の骨の検査や年齢によっては、ステロイド治療をおこなうことができない場合もあります。 医師とよく相談して、納得したうえで使用しなければなりません。 ▼ 再生医療で「変形性股関節症」を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善できます 変形性股関節症にステロイド薬を使用するデメリットは? ステロイド薬が変形性股関節症の痛みに効果を発揮し、改善できるとしても使用することによるデメリットはないのか?ということが心配になりますよね。そこで、ステロイド薬を使用することによって考えられるデメリットについてご紹介しましょう。 1.長期間の使用は避けたほうがいい ステロイドの鎮痛効果は強力です!変形性股関節症の痛みでつらい人に痛みを止めるという意味では、高い鎮痛効果が期待できます。 しかし、長期間の使用はおすすめできません。それは、ステロイドには副作用があるためです。 2.ステロイド薬を使うと骨が脆くなる可能性がある 長期的なステロイドの注射は、「大腿骨骨頭壊死」というさらに困難な症状を招く可能性があります。 変形性股関節症の人の股関節はすでに軟骨のすり減りや骨の変形が進んでいるため、より負荷がかかりやすい状態にあります。 そして、長期間のステロイド薬の投与は骨の代謝やホルモンの産生に影響を与え、骨を脆くしてしまうことがあり、長期的にステロイドを使うことで、大腿骨の骨頭と呼ばれる部分が壊死する大腿骨骨頭壊死を招くのです。 3.ステロイド薬を使うと感染症になりやすくなる 頻度はけして高くないものの、ステロイドは免疫を抑制するため、長期間の関節内投与により化膿性関節炎になる可能性があります。もし関節炎になってしまった場合は、抗生物質の内服薬で治療をします。重症化してしまった場合は、関節内の洗浄をおこないます。 4.長い期間の使用で骨粗しょう症のリスクがある ステロイドは長期間の使用により、骨の代謝やホルモンの代謝にも影響を与え、骨粗しょう症を引き起こす場合があります。 5.ステロイド薬は、変形性股関節症を根本的に治すものではない ステロイド治療は、痛みの改善には効果が期待できますが、損傷した関節を修復する効果はありません。 そのため、痛みの緩和をさせながら様子見をすることはできても、軟骨のすり減りや骨の変形の進行自体を止めるなど、変形性股関節症の根本的な治療をすることはできません。 また、変形性股関節症は進行する病気です。つまり、変形性股関節症の人がステロイド治療をおこなったとしても、最終的には手術を行う必要が出てくる可能性があります。 ▼ 変形性股関節症は再生医療で治療する 再生医療により「変形性股関節症」は、手術せずに症状を改善することが可能です 変形性股関節症のステロイド薬での治療はどのようにおこなうの? 変形性股関節症の人のステロイド治療は内服薬と注射があり、内服薬で痛み対する効果が感じづらくなってきた場合に関節内にステロイドを直接注射します。 ステロイドの注射薬を、直接損傷した股関節に注射することにより、ステロイド薬の強力な抗炎症作用が効果を発揮し、痛みを改善することができます。 しかし、長期的な使用は副作用のリスクがありますし、徐々に変形性股関節症の症状が進行するとステロイド注射の薬効が薄れ、効き目が感じられなくなることもあります。このように薬効がなくなると外科的治療である手術を検討しなければなりません。 痛みの緩和ということでは再生医療という分野が発達してまいりました。PRP療法は自己の血液から抽出した成分で痛みのある部分に投入することで痛みを緩和させる効果を狙うことが可能です。更に幹細胞治療という方法なら、すり減ってしまった軟骨そのものを回復させる効果を期待することが可能です。 今後、治療の選択肢に入って来るでしょう。 まとめ・変形性股関節症で使うステロイド薬!その必要性と副作用について 変形性股関節症の治療で使用されるステロイド薬についてご紹介しました。ステロイド薬には強い抗炎症作用と痛みに効果がある、鎮痛作用があって、内服薬や関節内に直接注入することで、痛みの止めたり、緩和することを期待することができます。 しかし、ステロイドには骨を脆くするなどの薬としての副作用があり、長期的なステロイド治療はおすすめできません。また根本的な変形性股関節症の治療に効果を発揮するわけでもありませんので、ステロイドの特性を知った上での服用が大切になります。 また、痛みに対して再生医療という方法でのアプローチも進化してきています。いずれにしましても専門医とご相談の上、無理のないより良い治療法を探し、痛みと向き合っていただくことをお勧めします。 No.0008 監修:院長 坂本貞範 ▼以下もご参考になさって下さい 変形性股関節症、正しい杖の使い方と、杖の選び方
最終更新日:2024.02.14 -
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臼蓋形成不全と変形性股関節症の関係性を知ることで症状の進行するリスクに備えましょう 病気の中には、ある疾患が起こると、別の疾患の発症原因になることがあります。それらの多くは疾患同士が密接に関係しているためです。 その意味で股関節の病!「変形性股関節症」と「臼蓋形成不全」という病気も密接にかかわっています。この関係性を知ることで、この病気の進行はリスクがあること、そして予防や治療に役立つため、参考にしていただければと思います。 そこで今回は、変形性股関節症と臼蓋形成不全という股関節の病気について治療や手術などを解説してまいります。まずは、変形性股関節症と臼蓋形成不全が、それぞれどのような病気なのかについて解説し、その関係性と治療方法について記してまいります。 変形性股関節症とは? 「変形性股関節症」とは、股関節の軟骨がすり減ってしまうことで、骨盤の受け皿の部分(臼蓋)と大腿骨の先端部分(骨頭)が変形する病気です。 股関節の軟骨は、股関節のクッションのような役割を担っており、軟骨がすり減ることで骨盤と大腿骨の変形をもたらし、股関節の痛みや、機能障害などを引き起こします。重度の場合、両足の長さに違いが生じるケースもある病気です。 正常な状態であれば、骨盤軟骨がクッションの役割を果たすことで衝撃を和らげるのですが、加齢などを原因として骨盤の軟骨がすり減ってしまうと徐々に骨が変形を起こし、そこで炎症が起きてしまいます。 初期の段階では、歩き初めや起き上がりの際に少しの違和感を覚えたり、痛みを感じる程度です。 しかし、症状が進行すると徐々に痛みが明確になり、安静時や就寝時に痛みを生じるケースや、歩行などに差し支えるほどの痛みが生じ、日常生活に大きな悪影響を及ぼすようになってきます。 検査・診断・治療は、問診および股関節の可動域の確認に合わせて、MRI検査や、X線検査を用いた画像による診断を行います。 初期の段階であれば軟骨のすり減りによる股関節の隙間の異変に留まりますが、症状が進行するにつれて軟骨が薄くなって股関節の隙間がさらに狭くなり、さらに進行すると関節の周辺に空洞や棘のようなものが発生します。 臼蓋形成不全とは? 「臼蓋形成不全(臼蓋形成不全症)」とは、臼蓋が小さい状態のことです。 前述の通り臼蓋は骨盤における大腿骨の受け皿のことであり、大腿骨頭の大きさの80~90%程度であることが、良いバランスとされていますが、臼蓋形成不全ではそれよりも臼蓋が小さく、50%程度の大きさしかない症例もあります。 臼蓋形成不全であると診断された場合においても、若い患者さんは軟骨の厚みが保たれていることによって症状はほとんどありません。ただ原因が不明な場合が多く、有効な予防法も確立していないのが実情です。しかし、乳児期の臼蓋形成不全は成長に伴って自然に改善されることも多いです。 臼蓋形成不全と変形性股関節症の密接な関係性について 以下に変形性股関節症と臼蓋形成不全に、どのような関係があるのかについて解説します。 ※臼蓋形成不全を放置すると変形性股関節症の原因になる可能性(リスク)がある※ 実は、臼蓋形成不全が、変形性股関節症の発症原因になる可能性があります。若いころに発症した臼蓋形成不全を気が付かづ、そのまま放置してしまった結果、変形性股関節症へと進行してしまうケースは珍しくありません。 一般的に変形性股関節症の主な発症原因は「加齢」とされており、中高年の女性に起こりやすい病気なのですが、臼蓋形成不全などで股関節が生まれつき傷みやすい人の場合、若年でも変形性股関節症を発症する可能性があります。 つまり、子どもの頃にかかった臼蓋形成不全の後遺症が原因となって変形性股関節症を発症する可能性があるということです。 臼蓋形成不全の治療法 そこで臼蓋形成不全の治療について、臼蓋形成不全は、成長に伴って自然に改善されるケースも多いですが、重度の場合は自然治癒することなく進行し、変形性股関節症などの股関節の病気に発展する可能性があります。 治療においては「ひも型装具」を装着するという方法がありますが、一部からは、この治療方法について「行う必要はない」という意見もあります。臼蓋形成不全の治療目的は、「変形性股関節症へ進行を防止すること」です。 臼蓋形成不全では、股関節が不安定になりやすいため、これを補うために軽度の臼蓋形成不全の場合は、股関節周囲の筋力トレーニングを保存療法として治療に取り組むこともあります。股関節周りの筋肉に股関節を支える力を与えるためです。 一方で、重度の臼蓋形成不全の場合は、変形性股関節症に進行するリスクが高まっているため、臼蓋を大きくするための手術を行うと判断される場合もあります。 変形性股関節症の治療法 変形性股関節症の治療法は、大きく分けて「保存療法」と「手術」の2つがあります。 保存療法は、初期の変形性股関節症の治療において選択されることの多い治療法であり、基本的な治療方針は変形性股関節症による痛みを薬物療法や物理療法によって軽減し、運動療法によって症状の進行を防ぐというものです。 保存療法の目的は「変形性股関節症が進行しにくいようにする」ことであり、「変形性股関節症を根本的に治す」というものではありません。そのため、保存療法で治療を継続していても変形性股関節症は徐々に進行し、次第に痛み止めなどが効きにくくなってしまいます。 手術は重度の変形性股関節症の治療法として選択されることが多く、人工股関節への置き換えや骨切り術などの手術法があります。手術を受けると症状の根源が取り除かれるため、症状の改善効果は高いのですが、体への負担や副作用・後遺症などのリスクを考慮しなければなりません。 まとめ・臼蓋形成不全と変形性股関節症の密接な関係性を知って進行に備える 臼蓋形成不全は、変形性股関節症の原因になり得る病気です。つまり、この二つの病には嬉しくない密接な関係性があるということです。 臼蓋形成不全そのものは危険な病気ではないケースが多くても、「変形性股関節症へ進行するリスクがある」ことを考えると、放置することは危険、問題になる可能性があります。 股関節に「何かおかしい?違和感がある!」などといった感覚を覚えたら、早めに病院等、医療機関で専門医の診断を仰がれることをお勧めします。何もなければ安心ですし、万一異常があっても早期なら、進行を遅らせることができたり、悪化してから治療を受けるより回復の目途がつけやすくなります。 また、変形性股関節症は重度の場合に手術を選択しますが、副作用のリスクや体への負担に対する考慮が必要です。上記と同様に早期発見、早期治療こそが股関節の病で非常に大切なことです。 以上、変形性股関節症と臼蓋形成不全の関係性、その治療について記しました。お役に立てれば幸いです。 No.0007 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼以下の記事もご覧いただけます 股関節の病気の種類と治療法・人工股関節を手術した場合のリハビリと注意事項
最終更新日:2024.03.29