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突き指は正しい応急処置で早く治す|湿布やテーピング方法 「突き指の応急処置はどうしたらいいの?」「突き指を早く治す方法が知りたい」 多くの方が経験のある突き指ですが、どのような応急処置をすれば、少しでも早く治るのか知りたい方も多いのではないでしょうか。今回は突き指の正しい応急処置について紹介します。 湿布やテーピングの方法についても解説するので、正しい知識を知って、対応できるようにしましょう。 突き指とは ボールやものが指先に当たって生じる怪我をまとめて「突き指」と呼びます。 子どものころドッジボールなどの球技で突き指を経験した方も多いかもしれません。何もせずに自然と治ったという場合もある突き指ですが、正しい治療をしなければ症状が悪化する危険性もあります。 まずは、突き指とはどのような怪我なのか詳しく解説します。 特徴 突き指は指先にものが強くぶつかって、指にまっすぐな力が加わって起こります。放っておいても自然に治る場合もあれば、骨折や関節を安定させる靭帯(じんたい)の損傷、関節が外れてしまう脱臼といった治療が必要な怪我が潜んでいる場合もあります。 中には手術が必要になる場合もあるため、整形外科を受診して、適切な診断や早めの治療が必要です。 症状 突き指の症状には以下のようなものがあります。 ・腫れ ・痛み ・内出血 ・関節の動きの制限(指の曲げ伸ばしがしにくい、関節が曲がったまま伸びない、関節が完全に曲がらない) このような症状は怪我の程度によって異なります。 また、突き指により指先が曲がったまま伸びなくなってしまう状態を、槌指(つちゆび)またはマレット変形と呼びます。 マレット変形には、指を伸ばすための腱が損傷することによって起こる腱性のマレット変形と、骨折によって起こる骨性のマレット変形があります。 原因 突き指の原因は次のようなものがあります。 ・球技でボールがぶつかる ・転倒して地面に指を打ちつける ・スポーツで人と衝突する ・事故で指先をぶつける 指先を強くぶつけるような出来事が原因となるため、いろいろな状況で生じる怪我です。 突き指の正しい応急処置 突き指になった場合にすぐできる対応として、「RICE処置」を覚えておきましょう。 RICE処置は4つの対応の頭文字をとった名前です。 RICE処置 R:Rest(安静) I:Icing(冷却) C:Compression(圧迫・固定) E:Elevation(挙上) それぞれの具体的な対応方法について紹介します。 Rest(安静) 怪我をした直後は無理に動かさずに、安静にしましょう。炎症や痛みがあるのに無理に動かしてしまうと、怪我の状態や症状を悪化させる恐れがあります。 Icing(冷却) 怪我により急激に生じる炎症症状を和らげるため、怪我をした部分を冷やしましょう。バケツや洗面器に氷水を入れて指を直接冷やします。 また、氷嚢やビニール袋に氷を入れて、指に当てる方法もよいでしょう。凍傷しないように気をつけながら、しっかり冷やすようにします。氷がない場合は、代わりに流水で冷やします。 Compression(圧迫・固定) 腫れや指を曲げると痛い場合は、圧迫して腫れを抑えたり、固定して動きにくくしたりします。木や金属の板を指に沿うように当てたり、テーピングや包帯を用いて固定しましょう。 Elevation(挙上) 腫れを防いだり、軽減させるために、怪我をした部分を心臓より高い位置まで挙上しましょう。高く上げることで、怪我によりたまった血液が流れやすくなります。 また、心臓より高くすることで、血液が心臓に戻りやすくなります。 突き指の誤った応急処置 「突き指をしたらすぐに引っ張ったほうがよい」「痛い部分をもんだら治る」このような応急処置は間違いです。 脱臼を元に戻すために、医師などの専門家が引っ張る場合はあります。しかし、怪我で損傷した部位を引っ張ると、かえって症状の悪化を引き起こす恐れがありますので行わないようにしましょう。 また、炎症が生じたばかりの部分を揉むことは、炎症を助長したり、損傷部位を悪化させたりする可能性があります。痛みを和らげるマッサージのつもりで揉むようなことは避けましょう。 突き指に対する湿布やテーピング 突き指に対する応急処置として湿布やテーピングの使用を思い浮かぶかもしれません。それぞれを正しく使えば、応急処置として使用できます。 そこで、具体的に使用方法や適応となる症状について解説します。 突き指に対する湿布 湿布は痛みや炎症を抑える成分が含まれるため、それらの症状を和らげる効果があります。そのため、突き指で痛みや腫れがある場合は、湿布を使用して症状の緩和を図るのはよいでしょう。 また、湿布には、温湿布や冷湿布といった種類がありますが、突き指の応急処置としては、炎症で熱を持った状態に貼るため、冷湿布を貼るのが一般的です。 突き指に対するテーピング 突き指でテーピングをするのは、指の動きを固定して、無理な動きによる痛みや炎症の悪化を防ぐためです。 テーピングには、怪我をした指だけテーピングをする方法と、怪我をした指に隣の指を一緒に固定するバディテーピングがあります。 応急処置としてはバディテーピングで強く固定しましょう。 指を曲げると痛い場合は、指を伸ばしたまま固定して、曲がらないようにしましょう。少し動かせるようになれば、保護するために怪我をした指のみに変更するとよいでしょう。 突き指で正しい応急処置をして症状の悪化を防ごう/まとめ 突き指の腫れや痛みを少しでも和らげるために、まずはRICE処置などの正しい応急処置をしましょう。 また、たかが突き指と思っても、どのような状態がひそんでいるかわかりません。応急処置をしたら、できるだけ早く整形外科を受診して、適切な治療を受けましょう。 固定にはテーピング、痛みの緩和には湿布の活用ができます。ただし、誤った使い方をすると症状の改善につながらないため、整形外科の受診時などに正しい使い方を教えてもらいましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.114 監修:医師 坂本貞範
最終更新日:2023.12.28 -
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胸郭出口症候群とは?症状、原因と治療法、病気を解説します 胸郭出口症候群とは、腕を上げる動作や、上げたままの姿勢が続くと肩や腕、手にしびれや痛み、だるさなど、上肢に症状が現れる病気です。 とくに、なで肩の女性や筋トレ習慣のある男性をはじめ、野球やバレーボール、バドミントン、テニスなどのように、腕をよく回すアスリートや運動部の学生によく見られるスポーツ障害でもあります。 そこでこの記事では、胸郭出口症候群とは?と題して、その特徴や原因、リハビリや手術などの治療法について紹介しますのでご一読ください。 胸郭出口症候群の原因と症状 胸郭出口とは、手や腕を動かす神経や血管が走っている首と胸の間にある通路のことです。この通路は、首の付け根にあり、その隙間にある神経や血管が締め付けられたり、圧迫されたりすると、胸郭出口症候群の原因になります。 なお、胸郭出口にあるどの筋肉と関係するかによって、次の3つの症候群があり、胸郭出口症候群とは、下記の3つの症候群をまとめた病名なのです。 胸郭出口症候群とは以下の症候群をまとめた病名 ・ 斜角筋(しゃかくきん)症候群 ・ 肋鎖(ろくさ)症候群 ・ 小胸筋(しょうきょうきん)症候群(≒過外転症候群) 原因(動作) 胸郭出口症候群は、日常生活やスポーツで次のような動作をよく行った場合、原因となります。 胸郭出口症候群の原因(一例) ・ 野球でボールを投げる ・ テニスでラケットを振る ・ 剣道で竹刀を上下に動かす ・ 水泳のクロールで繰り返し腕を回す ・ つり革を持つ ・ 洗濯を物干し竿に干す ・ 腕や肩の筋トレを繰り返す ・ なで肩や片肩でバッグを持つなどの姿勢不良 上記のうち4つ目までは、そのスポーツでの独特な動きが発症原因となっています。 スポーツ障害と胸郭出口症候群 先程紹介したように、胸郭出口症候群は、なで肩や良くない姿勢、日常動作の動きのクセ(リュックサックや肉体労働など)によって起きるといわれています。 一方で、野球やバレーボール、バドミントンなど、プレーの中で腕を上げたり、よく腕を回転させたりするスポーツでも発症する病気です。そのため、オスグッド病、シンスプリント、野球肘など、繰り返し同じ動きによって痛みが続く「スポーツ障害」の一種でもあります。 日頃からスポーツや運動、トレーニングなどをしている方で上肢や肩、腕や手の違和感がある場合、胸郭出口症候群の可能性があることを知っていただき意識の上、注意しておきましょう。 胸郭出口症候群の「症状」 胸郭出口症候群になると腕を上げる動作を取ることで、肩や腕、手、肩甲骨周辺などに「しびれ」や「痛み」、「だるさ」が生じます。 症状が進行すると、前腕から手の指(とくに小指側)に強い痛みや、しびれ、ピリピリ感が走る、握力が低下する、指先を使う作業が不器用になる、といった症状も加わります。 このように胸郭出口症候群を発症すると上肢に痛みやしびれが生じ、運動麻痺の症状が重なるは、日常生活に支障をきたす病気です。 人によっては、手の甲の骨の間が凹んだり、手のひらの小指側の小指球筋と呼ばれる盛り上がりが痩せてくることもあります。さらに、血行不良によって腕が白っぽくなったり、青紫色になったりするケースも少なくありません。 胸郭出口症候群の「治療法」 胸郭出口症候群の治療には、次の 4つがあります。とくに 3 番目のリハビリは、整形外科に通院して効果が期待できる方法なのでぜひチェックしましょう。 治療法 1. 生活指導 2. 薬物療法 3. リハビリ 4. 手術 1. 生活指導 原因となっている日常生活での腕を挙げる動作やスポーツ・運動を控えることが大切です。また、正しい姿勢を維持したり、生活動作を腕に負担のないように見直す必要もあります。 ストレッチやエクササイズなどの運動療法で筋肉の緊張や血行不良を改善する方法も有効です。 2. 薬物療法 痛みを和らげる消炎鎮痛剤(ロキソニン・ボルタレンなど)や神経の痛みに対する薬(プレガバリン・ミロガバリンなど)といった内服薬の処方が一般的です。 痛みが強い場合は、ブロック注射を行うこともあります。 3. リハビリ(理学療法) 整形外科に通院して、理学療法士から正しい姿勢を学んだり、手技で胸郭出口周辺の筋肉の緊張を和らげたり、神経や血管への刺激を緩めたりして痛みの緩和を目指します。 生活指導と理学療法を合わせて受けられるケースが多いため、今後の予防にもつながる方法です。 4. 手術 症状が重くて日常生活やスポーツに大きな支障をきたしているときは、原因となっている筋肉や肋骨の一部を切除して隙間を広げ、神経や血管の圧迫を取る手術を選択することがあります。 近年、手術のほかカテーテルによる治療が行われるケースも増えています。 まとめ:胸郭出口症候群とは?原因と治療法についても詳しく解説! 今回紹介した胸郭出口症候群には、次のようなポイントがありました。 ・ 腕を挙げると動作で肩や腕、手のしびれや痛みが生じる ・ 胸郭出口周辺の神経や血管の圧迫が原因 ・ 日常動作や姿勢、スポーツが原因で発症する ・ 治療法は内服薬やリハビリが中心 ・ 重度の場合は手術を選択することもある 胸郭出口症候群は、日常の腕を上げる動作や、スポーツなどで発症しやすい疾患です。原因は主に胸郭出口における神経や血管の圧迫であり、特になで肩の女性やスポーツ選手に多く見られます。 症状は上肢にしびれや痛みが生じ、日常生活に支障をきたします。治療法は生活指導や薬物療法、リハビリ、手術などですが、リハビリを用いた治療が大切です。また、手術は症状が著しい場合に選択される場合があります。適切な治療法を選択し、生活指導やリハビリを積極的に行うことが重要です。 普段から姿勢が気になっている方、スポーツを楽しんでいる方で腕や手のしびれや痛みがある場合、胸郭出口症候群かもしれません。 この記事を読まれて、身体の違和感に気が付かれたなら、症状が進行する前に、整形外科を受診しましょう。 以上、参考にしていただければ幸いです。 No.115 監修:医師 坂本貞範 ▼胸郭出口症候群について以下も参考にされませんか 【胸郭出口症候群】自分でできる!症状チェック法を紹介!
最終更新日:2024.04.17 -
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肋骨骨折の原因と安静期間中の注意事項、仕事復帰の目安について 肋骨(ろっこつ)骨折について、以下のような疑問やお悩みがある方はいませんか?尚、正確な復帰の判断は整形外科の専門的な知識が必要ですので医療機関の受診をおすすめします。 「肋骨骨折は、いつまで安静にすればいいの?」 「肋骨骨折は、どのくらいで仕事復帰ができるか知りたい」 今回は肋骨骨折と、その安静期間や仕事復帰までの目安をご紹介します。本記事を参考にしていただき整形外科の受診時、医師に確認するための参考にして頂ければと思います。 肋骨骨折とは?症状や原因について解説 肋骨骨折とは、胸を囲っている肋骨にひびが入ったり、折れたりする怪我です。一部が骨折する場合もあれば、いくつかの骨折が同時に起こることもあります。 骨折の原因はさまざまで、年齢問わず起こりうる骨折です。 まずは、肋骨とはどのような骨なのかを紹介し、肋骨骨折の原因や症状を解説します。 肋骨とは? 肋骨は胸を囲むようについている骨で、左右 12 対の合計 24 本あります。 胸の正面にある胸骨と、背中にある背骨をつなぐようについていて、心臓や肺などを覆っています。肋骨の役割は、これらの重要な臓器を守ることです。 また、呼吸のときには肺が膨らんだり、縮んだりするのに合わせて肋骨も動きます。そのため、肋骨の動きが制限されると、呼吸がしづらくなってしまいます。 肋骨骨折の原因 肋骨骨折はすべての骨折の 10〜20 %を占めるとされています。肋骨に直接衝撃が加わり起こる骨折は、転倒や交通事故、転落などが原因です。 また、肋骨に直接衝撃が加わらなくても、他の部位に大きな衝撃が加わり、肋骨がたわむことで骨折が生じることもあります。 交通事故や転落などで強い衝撃が加わると、肺の損傷を伴う場合があります。 スポーツ外傷としても肋骨骨折が生じ、外傷による骨折は、ラグビーや柔道といったコンタクトスポーツで胸を強打することが原因です。また、ゴルフや野球などで繰り返し同じ動作をすることで肋骨にかかる負担が蓄積して疲労骨折が生じる場合もあります。 高齢者で骨が脆くなっていると、くしゃみや体をひねる動作も肋骨骨折を引き起こす原因となります。 肋骨骨折原因 ・転倒、転落 ・交通事故 ・スポーツ傷害(ラクビー、柔道などのコンタクトスポーツ) ・スポーツ傷害:ゴルフ、野球の繰り返し動作での疲労骨折) ・高齢者(くしゃみ、身体の動作) 肋骨骨折の症状 骨折部の痛みが主な症状で、特に呼吸や体を動かしたときに痛みが増えるのが特徴です。肋骨が動く、寝返りや体を反らす、肩を動かすという動作で痛みが強まります。 骨折してからしばらく経つと痛みがピークを迎えて、3 〜 4 週間で症状は和らぎます。 また、胸を圧迫したときの痛みや内出血、腫れがみられます。骨折による肋骨の動きの制限や痛みにより、息苦しさや呼吸がしづらいといった点も症状の 1 つです。 もし、肺などに損傷がある場合は、酸素が不足して皮膚が青っぽく変色する「チアノーゼ」がみられたり、意識がもうろうとしたりします。放置すると危険ですので、すぐに救急車を呼んだり、近くの病院を受診しましょう。 肋骨骨折の安静期間 肋骨骨折は、骨折の状態により安静期間が異なります。そのため、必ず整形外科に受診をして、医師の判断を仰ぎましょう。 肋骨に「ひび」が入っている程度だったり、骨折箇所が 1カ所だとすると、痛みは 1カ月以内に和らいでくることが多いです。 ただ、骨折の状態によってはそれ以上、痛みが続く場合があります。基本的に痛みがある間は、痛みが出る動作は極力行わないようにして、安静にしておくのが良いでしょう。 骨が癒合(※)するのは3週間〜6週間とされており、骨折の程度によって差があります。 (※癒合(ゆごう)・・・骨がくっつくこと) その間は骨に負担がかかるような動作はしないようにしましょう。 ただし、骨折部に響かないように生活するのは問題ありません。むしろ、安静にしすぎて寝てばかりでは、体のほかの部分の機能が衰えてしまいかねません。 病院で骨折している肋骨が動かないように、バストバンドと呼ばれる装具(コルセット)を巻いて固定しますので、強い痛みが落ち着いてきたら、肋骨に負担のないように動くようにしましょう。 骨折後の注意 骨の癒合(ひっつく)機関の目安:3~6週間 安静期間:痛みが治まったら、負担の無い範囲で活動すること、安心にし過ぎは他の機能が衰えるため、注意が必要 肋骨骨折で仕事復帰をする目安 肋骨骨折の場合、骨折の状態や復帰する職種によって復帰の目安が変わってきます。 肋骨骨折の程度がひどくなければ、バストバンドで固定し、痛み止めの内服薬を服用しながら自宅での生活を送ることになります。 そのため、骨折部に負担をかけないデスクワークなどは骨折の数日後からの復帰も可能です。しかし、重い荷物を抱えたり、体の捻りを繰り返したりといった肋骨に直接負担がかかるような仕事は、骨が癒合するまでは控えた方が良いでしょう。 例え痛みが和らいだとしても、肋骨が完全に元の状態にまで治癒しているとは限りません。骨が癒合していないのに無理をすると、骨折や痛みなどの症状が悪化する危険性があります。 仕事復帰を検討する場合は、整形外科で医師に診察してもらい、許可を得てからにしましょう。 復帰の目安 ・デスクワークなど:骨折の数日後 ・身体に負担が掛かる仕事:医師の指示に従ってください ※重い荷物や身体を動かす仕事は注意が必要です 肋骨骨折の安静期間は骨折の程度により違うため、正しい復帰時期は医師に確認しよう 肋骨骨折は骨折の程度により安静期間や仕事復帰の時期が異なります。 そのため、骨が不十分に癒合した状態で無理な動きをすると、症状が強まったり、骨がくっつきにくくなったりします。 必ず整形外科の医師に相談して、正しい復帰時期を教えてもらいましょう。 また、復帰時期は仕事の内容によっても差があります。 デスクワークなど動きの少ない仕事は早期に復帰しやすいですが、体を酷使するような仕事は骨折部に負担がかかるため、しっかり治癒してからになります。 痛みが和らいだからといって、無理に復帰を焦らないように注意しましょう。 No.113 監修:医師 坂本貞範 ▼以下も参考にされませんか 肋骨骨折で放置は禁止!症状とその治療法を解説!
最終更新日:2024.04.17 -
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【胸郭出口症候群】自分で分かる!症状をチェックできる方法をご紹介! 胸郭出口症候群とは、腕を上げる動作を行った時に腕の痺れや肩周りの痛みが生じる疾患です。日本人の女性に多く見られ、症状が強いと日常生活に影響が出ることもあります。 この記事では、そんな胸郭出口症候群の原因や、症状を疑った際に確かめられるチェックリスト、セルフテスト方法を紹介します。 胸郭出口症候群の原因 肩甲骨周りから腕にかけての、運動と感覚を支配する神経の集まりを、腕神経叢(わんしんけいそう)と言います。 この腕神経叢と、同部位に血流を送る鎖骨下動脈は、同じ筋肉や骨の間を通ります。その間で圧迫され、神経障害や血流障害が生じるため痺れや痛みの症状が起こるのです。 具体的に、「前斜角筋と中斜角筋の間・鎖骨と第一肋間の間・小胸筋の肩甲骨烏口突起 停止部の後方」を走行し、圧迫される部位により名前は異なりますが、総称して"胸郭出口症候群"と呼びます。 なで肩の女性や重いものを持ち上げることが多い人、野球やバスケット、バドミントンなど腕を上げる動作が多いスポーツをよくおこなう方になりやすい疾患です。そのため、スポーツ障害の一種ともされています。 また、頚肋(けいろく)の方も胸郭出口症候群になりやすいとされています。人の頚椎には、横突起という側方に出っ張るような構造があります。頚肋とは、第 7 頚椎の横突起が発達して、まるで短い肋骨のように側面まで伸びてきてしまっているもののことを言います。 胸郭出口症候群の症状 胸郭出口症候群の主な症状は、神経や血管が圧迫されることによる神経症状や血行障害によるものです。 神経症状は、肩周りから腕にかけてのビリビリとした痺れや感覚障害です。 血行障害は、動脈が腕に行き届かず白くみえたり、逆に静脈がきちんと帰っていかず、鬱血状態になってしまうことで青紫色のように見えてしまうなどです。 それ以外に、腕のだるさや肩凝りのような肩の重い感じ、腕の冷えを訴える方も多くおられ、症状は人によってさまざまです。 上記のような神経症状や血管症状が持続し進行すると、手の握力低下や細かい動作がしにくくなるといった指の運動障害を認めることがあります。この運動障害がある場合、手の筋肉が萎縮してしまうため手の甲の骨の間がへこんでしまいます。 胸郭出口症候群の治療 胸郭出口症候群の治療は、原則保存療法です。痛み止めや血流を改善させる薬を用いつつ、リハビリを行い症状の軽減を目指します。頚肋が原因の場合や症状がとても強い場合などは、手術で骨の遺残を取り除く手術を行うことがあります。 胸郭出口症候群のセルフチェックリストとセルフテスト 前述したように胸郭出口症候群は症状が人によってさまざまであるため、診断することが難しくきちんと治療を受けることができない場合があります。そんな時に活用できる、ご自身で胸郭出口症候群かどうか疑うためのチェックリストと、より明確なセルフテスト方法を紹介します。 以下のチェックリストにある症状のうち、 1 つでもある場合は、胸郭出口症候群の可能性があります。 胸郭出口症候群セルフチェックリスト ▢重いものを持つと肩こりがひどくなる、もしくは腕の痛みや痺れが出現する ▢腕を上げると、腕から背中にかけての痛みや痺れが出現し辛い ▢腕が冷える、白っぽく見える ▢腕のむくみが最近ひどくなり、色調も悪い 胸郭出口症候群セルフテスト 胸郭出口症候群を疑うかどうかを判断するためのテスト方法があります。ご自身で簡単に行うことができるため、紹介します。 胸郭出口症候群のセルフテストの代表的なもので 4 種類のテスト方法があります。 a.モーレイテスト モーレイテストは、症状が出現する腕側の鎖骨上窩で腕神経叢を圧迫するテストです。胸郭出口症候群であった場合は、圧迫した際に腕や肩周りに痛みや痺れが生じます。 b.アドソンテスト アドソンテストは椅子に座って行います。また、2 人で行う必要があるため家族などの力を借りて行ってください。 やり方は、椅子に座って手首で脈拍を確認してもらい、その状態のままであご先をあげて、頭を症状が生じる側に傾けます。 この時に脈が触れなくなったり、触れにくくなった場合は陽性と判断します。 c.ライトテスト ライトテストも 2 人で行うテストです。 まず手首で脈拍を確認してもらいます。そしてその状態で腕を開いて肩まで挙上し、手が上になるように肘を直角に曲げます。 アドソンテストと同様に、あげた状態で脈が触れなくなったり弱くなったりした場合陽性と判断します。 d.ルーステスト ルーステストは 1 人で行うことができるテストです。 ライトテストと同じように、腕を開いて肩まで挙上し手が上になるように肘を直角に曲げます。その状態で、手を握って開くという動作を繰り返します。この動作を腕を上げたまま 3 分継続できない場合、陽性と判断します。 これらのテストが陽性であった場合、胸郭出口症候群の可能性が高まります。 まとめ・【胸郭出口症候群】自分でできる症状チェック方法を紹介! 胸郭出口症候群やそのセルフチェックに関して紹介しました。この記事で述べたようにこの疾患は、腕を上げるなど日常的に行う動作で痛みや痺れが生じるため日々の生活に支障をきたします。 治療は基本的に保存療法となりますが、発見と治療介入が遅れると症状緩和のために手術を行わなければならなくなる場合もあります。早期にリハビリなどを始めることで少しでも症状を和らげましょう。 そんな時にこの記事で紹介した「チェックリスト」や「セルフテスト」が有効です。 違和感をはじめ、少しでも疑う症状があった場合は、ぜひ一度確認してみられてはいかがでしょうか。 症状があるのであれば、整形外科を受診しましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S112 監修:医師 加藤 秀一 ▼以下にも胸郭出口症候群の情報を記しました 胸郭出口症候群のセルフケア!効果的なマッサージやストレッチ方法をご紹介
最終更新日:2024.04.17 -
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ばね指でやってはいけないこととは? 「ばね指ってなに?」「ばね指になったときにやってはいけないこと?」 ばね指は手をよく使う方に起こりやすく、発症すると痛みや指の動かしづらさを感じます。 この記事では、ばね指について、またばね指になってしまった場合にやってはいけないことを紹介します。 ばね指とは? バネ指とは、「指に起こる腱鞘炎」のことで、弾発指とも呼ばれます。 手の指は、骨・筋肉・神経などが共に働くことで曲げ伸ばしをしています。指を曲げる時に使う筋肉は、指の手のひら側についておりそれらの筋肉はそれぞれ骨と繋がっています。筋肉と骨がつながっている部分を「腱」と呼び、その腱の周りをトンネルのように覆っているものを「腱鞘」と呼びます。 この腱鞘は、指を曲げる筋肉(屈筋)が指の骨から浮き上がらないようにする働きを持ちます。この働きをもつ腱鞘を靱帯性腱鞘と呼び、浮き上がらないようにすることで曲げる力を逃すことなく、滑らかに指を曲げることが可能になります。 ばね指とは、この腱鞘に何らかの原因で炎症が起こることで指の動きが悪くなる病気です。 ばね指の症状 腱鞘に炎症が起こると腫れが生じます。腱鞘が腫れると、腱が腱鞘の間をスムーズに通りづらくなり、圧迫されたりします。そのため、腫れてしまうと関節のスムーズな動きが阻害され指を曲げた後に伸ばしづらくなり、動かす際に強い痛みを生じます。 曲がった状態の指を伸ばそうとする時ばね指の場合、最初は腱鞘に腱が引っかかるため伸ばすことができません。 しかし、ある一定のところで急に腱との引っかかりが外れると、ガクンとばねのように指が急に伸びます。この現象をばね現象と呼び、ばね指の特徴的な症状です。 ばね指の原因 ばね指は腱や腱鞘に負荷がかかることで発症します。そのため、日常から手や指を使う動作を繰り返す場合ばね指となる可能性が高くなります。 それ以外にホルモンバランスでも腱や腱鞘が弱くなるため、日常から家事をする女性(特に更年期や妊娠前後、妊娠中)に認めることが多いです。また糖尿病の方や人工透析をおこなっている方、関節リウマチなど膠原病をお持ちの方は、手や指の血行が悪くなりやすいため腱や腱鞘に十分な栄養が行き届かず弱くなりやすく、ばね指のリスクが高くなります。 ばね指でやってはいけないこと ばね指の症状や原因について紹介しました。ここからは、ばね指になってしまった場合にやってはいけないことについて、ばね指は治療が遅れるとさまざまな問題が生じます。放置し症状が進行すると痛みが今まで以上に強くなり、関節の動きも悪くなります。 指が全く伸ばせなくなるまで進行してしまうと、手術で腱鞘を切開しなければなりません。 また、手の指は1本1本が協調して動いているため、ばね指になったのが1本だけであったとしても他の指の動きも悪くなり、手を握ることが難しくなってしまうこともあります。 強い炎症が起こった影響で、最終的に関節が変形する場合もあるため、放置せずしっかり病院を受診しましょう。 無理に伸ばす 指が曲がって動きにくくなっている場合、無理に伸ばそうとしてしまう方がいらっしゃいます。確かに、ばね指の発症を予防するために軽いストレッチは有効かもしれません。しかし、すでに腱と腱鞘に炎症が起こっている場合は、無理に動かそうとするとそれ以上の負担を患部にかけることになります。 無理に伸ばすことでさらに強い痛みが起こったり、それ以降指がさらに伸ばしにくくなることもあるでしょう。ばね指の症状がある場合は動かさず、安静を保ってください。 患部をマッサージする ばね指は指を動かしたときに痛みが強く出ます。そのためマッサージをすれば症状が緩和されると思われている方も多いです。 しかし、炎症が起こっている部位をマッサージで強く押さえるなどすると、さらに炎症の範囲を広げてしまう可能性があり、むしろ痛みは悪化します。触らず安静を保ちましょう。 放置する 患者さんの中には症状が引っかかりのみであったり、痛みも軽度のため病院を受診せず放置してしまう方もいらっしゃいます。確かに腱や腱鞘の炎症が軽い場合は、指を一定期間安静にしていれば自然に治ることもあります。しかし安静を保たずに負荷がかかり続けると、当然のことながら自然に治らず状態は悪くなります。 まとめ・ばね指でやってはいけないこと ばね指でやってはいけないことを紹介しました。 この記事で述べたようにばね指の原因のほとんどが腱鞘炎です。しかし、まれに腱鞘炎ではなく腫瘍などそれ以外の影響でばね指となっていることもあります。 また、ばね指は手の指をよく使う仕事をしている方がよくなる病気です。ばね指の治療はまず安静です。安静にすることで仕事に支障をきたしてしまうため、なかなか安静を保つことは難しいかもしれませんが、そうしなければ症状が悪化し、今後仕事を継続すること自体が難しくなってしまうかもしれません。 少しでも疑う場合は、まず病院を受診してください。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S110 監修:医師 加藤 秀一 ▼こちらも参考にされませんか ばね指とは?放置すると重症化のリスクが大!原因と治療法を医師が解説
最終更新日:2024.04.17 -
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脳卒中の前兆をリストでチェックして危険を予防しませんか?! 脳卒中は、時に命の危険や障害、寝たきりのリスクもある重い病気です。そのため、前兆となる初期症状を理解し、「脳卒中かもしれない」と思ったらいち早く治療を受ける必要があります。 そこでこの記事では、脳卒中を早期発見するために知っておきたい前兆や初期症状、脳卒中のリスクが高い方の特徴をチェックリストにして解説していきます。 脳卒中の前兆に対する理解を通して、早期発見や早期治療につなげましょう。 脳卒中は脳の血管に起こる病気のこと 脳卒中とは、脳の血管が破れたり、詰まったりする病気です。脳に酸素や栄養を送っている血流が悪くなるため、脳の細胞は重大なダメージを受けます。その結果、命の危険や障害が残るケースも多く見られます。 脳卒中には、血管のダメージの現れ方によって大きく次の種類があります。 脳卒中 脳出血・くも膜下出血 脳の血管が破れて出血する 脳梗塞 脳の血管が詰まる 脳卒中の原因は様々です。 主に生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症など)、生活習慣(食生活、飲酒・喫煙、運動不足)、ストレスなどの影響が積み重なって発病すると言われています。 脳卒中は脳血管障害とも呼ばれますが、種類によって好発部位は異なります。脳出血の場合は被殻・レンズ核や視床などが代表的ですが、一般的に脳のどの領域でも起こりうる病気です。 脳卒中の代表的な症状 脳卒中によって人間のからだや心をコントロールしている脳がダメージを受けると、生命を維持すること、からだや頭を使うことなど、生活全般に重大な支障をきたします。 ただ、ダメージがどの部分で起こったかによって、脳卒中の症状は異なることがポイントです。 脳卒中による代表的な症状は以下の通りです。 頭痛:激しく頭が痛む 麻痺:主に片方の半身がしびれる、動かなくなる 言語障害:言葉が出ない、ろれつが回らない 視野障害:主に片目が見えにくくなる めまい:天井が回るようなぐらぐらしためまいがある 失調:ものがうまくつかめない ひとつでも当てはまる症状があれば、脳卒中を疑いましょう。 脳卒中の前兆・初期症状 脳卒中の前兆を「TIA(一過性脳虚血性発作)」と呼びます。 初期症状であるTIAは数分〜数十分程度で消えることが多く、脳卒中の前兆と気づかないこともしばしばです。 TIAも、脳卒中と同じ症状が現れます。ただし、一時的な脳の血流の悪化が原因なので、短時間で収まることがポイントです。 TIAの主な症状 以下で、脳卒中の前兆であるTIA(一過性脳虚血性発作)の主な症状を見ておきましょう。 ・突然片方の手や足、顔半分がしびれる ・激しい頭痛が起きる ・言葉が出ない、ろれつが回らない ・相手の言葉を理解したり、自分の思いを上手く言葉で伝えられない ・箸やコップを持とうとしても力が入らず落としてしまう ・立ったり歩こうとしたりしてもふらついてバランスを崩してしまう TIAは、脳卒中、とくに脳梗塞の前兆として現れることが多い初期症状です。 国立循環器病研究センターによると、TIAは通常24時間以内に症状が消失する一方で、TIA発症後90日以内に15〜20%の割合で、そのうち半数は2日以内に脳梗塞になるリスクがあると注意喚起しています。 そのため、短時間で収まったからといってそのままにせず、早期受診で脳卒中を予防することが大切です。 参考:国立循環器病研究センター 脳卒中を防ぐために!脳卒中チェックリスト 年齢や生活習慣などによって脳卒中になりやすい方がいます。ここでは、脳卒中を予防する意識を高めるために確認しておきたいセルフチェックリストをご紹介します。 脳卒中セルフチェック 1.年齢・遺伝 ▢60歳以上である ▢家族の中に脳卒中や脳動脈瘤の持病がある 2.体質・既往歴 ▢肥満がある ▢睡眠時無呼吸症候群がある ▢高血圧・糖尿病・脂質異常症など生活習慣病である ▢腎臓病や不整脈・狭心症などがある 3.生活習慣 ▢喫煙・飲酒をよくする ▢運動不足である ▢「野菜が嫌い」など偏食気味である 4.前兆 ▢片側の手足のしびれや動きの鈍さを感じたことがある ▢片方の目が見えにくくなったことがある ▢言葉が出なくなった・舌がもつれたことがある ▢最近急に頭痛や肩こりがひどくなった ▢頭がボーッとして考え事や計算が苦手になった これらのセルフチェックで当てはまる項目が多い方は、日頃から日常生活の改善や持病の管理を続けることが大切です。 普段から「FAST(ファスト)」を合い言葉に 「脳卒中かもしれない」 「TIAの症状ではないだろうか」 日常生活で身体の不調を感じたとき、以下の4つのセルフチェックを思い出してみましょう。「FAST」というキーワードで、脳卒中の初期症状をわかりやすくの4文字にしたものです。 「FAST」によるセルフチェック 「F (ace)」フェイス:顔のゆがみの症状はないか? ・顔の片側(とくに口角)がだらんと下がっている ・食事中に食べ物が口の片側からこぼれ落ちる 「A (rm)」アーム:片腕の麻痺はないか? ・片腕だけしびれる、動きが鈍い ・箸や茶碗がもてない、手に力が入らず落としてしまう 「S (peech)」スピーチ:言語障害はないか? ・ろれつが回らない ・言いたいことがうまく言葉にして話せない 「T (ime)」タイム:症状が出てからどのくらいの時間が経ったか? ・脳卒中は、早期発見で早期治療を受けるほど、重症化や後遺症を防ぐチャンスが高まります。とくに脳梗塞は、発症から4.5時間以内であれば条件によって症状を改善できる薬を使える場合があるため、症状が現れてからの時間経過が重要です。 なお、最初の3文字「F」「A」「S」は、どれか1つでも症状があれば脳卒中である可能性が高いので注意してください。 まとめ:脳卒中の前兆をリストでチェック!項目に当てはまったら危険信号! 今回は、脳卒中の前兆や初期症状、セルフチェックリストをまとめてご案内しました。 脳卒中の前兆や初期症状で知っておきたいポイントは次の3つです。 ・脳卒中の前兆や初期症状(激しい頭痛、手足のしびれ、ろれつが回らない、など) ・脳卒中になりやすい人の特徴(生活習慣病や生活習慣の乱れが気になる方)) ・脳卒中の早期発見のため「FAST」によるセルフチェックを 脳卒中は発症してから治療を受けるまでの時間によって、病気の改善や後遺症の程度が大きく変わってくる病気です。そのため、日頃からチェックリストを確認して、脳卒中の前兆はないか、TIAの初期症状は出ていないかセルフチェックすることをおすすめします。 年齢や体質、生活習慣などで脳卒中になる可能性が高い方は、持病の治療や生活習慣の見直しを優先しましょう。そして、万一脳卒中の前兆や初期症状に当てはまったときは、できるだけ早く病院を受診してください。 No.112 監修:医師 坂本貞範 ▼以下も参考にされませんか ある日突然起こる脳卒中にご注意!その症状と原因、予防法
最終更新日:2024.03.27 -
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- 下肢(足の障害)
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ジョーンズ骨折とは?立ち仕事で歩くと痛い時は要注意! 「立ち仕事で、足の外側が痛い」「スポーツをしたわけではないのに、足の小指側の側面に痛みが走る」 それ、ジョーンズ骨折という症状かもしれません。ジョーンズ骨折は、足の骨折の 1 つで、スポーツをしている人以外にも、立ち仕事をしている人やヒールを履くことの多い若い人にもよく見られます。 この記事では、そんなジョーンズ骨折に関して紹介します。 ジョーンズ骨折かも!?その特徴と原因 ジョーンズ骨折とは、第 5 中足骨近位部の疲労骨折のことを指します。 発症する原因はさまざまあると言われており、欧米人に比べて日本人に起こりやすいとされています。 ジョーンズ骨折の特徴 ジョーンズ骨折の特徴は、一般的によく見る骨折とは違って症状が出にくいことです。 一般的な骨折は、急に外力が骨にかかることで生じます。その場合、患部がすごく腫れて強い痛みを生じるため、その見た目と症状から診断することは比較的容易なことが多いです。 一方でジョーンズ骨折は、慢性的な負荷により骨が折れるため腫れはあっても軽度なことが多く、そのため見た目ではあまり変化がありません。また、痛みはあっても強くないか、痛みを訴えない方もいらっしゃいます。 そのため、完全に骨が折れてしまうまで骨折していることに気づかれない場合もあります。 ジョーンズ骨折の原因 ジョーンズ骨折の原因は、慢性的に骨に負荷がかかることです。 ランニングやジャンプ動作は足の骨に体重以上の負荷をかけます。たまに行う程度であれば問題にはなりませんが、そういった動作を日常的におこなっていると足の骨に負荷がかかり続けてしまいます。負荷がかかり続けた影響で、軽く踏ん張ったり、少し捻ってしまうだけで骨折してしまいます。 そのため、陸上競技やサッカー・バスケットボール・ラグビーなどのスポーツをおこなっている選手によく発症するのです。 しかし、このジョーンズ骨折は日常的にスポーツをしない方でも発症することがあります。スポーツをしているわけではないのに、なぜ発症してしまうのか疑問に思われる方もいるでしょう。 スポーツをしていない方でジョーンズ骨折を発症してしまう原因は、主に以下となります。 ・中足骨(足の甲)に負荷がかかりやすい姿勢をよくとる → ヒールをよく履く、しゃがみ込んだ姿勢での作業等 ・立ちっぱなしの仕事をしている ・足を酷使することが多い生活をしている これらの条件に当てはまっている場合は、足の骨に負荷がかかるため、スポーツをしていなくても骨折を起こしてしまいます。 立ち仕事をしていて、ある日を境に段々と歩行時の足の痛みが生じてきている場合は発症している可能性があります。 ジョーンズ骨折は自然に治る? ジョーンズ骨折の患部である第 5 中足骨は、血流があまり多くないため、一度骨が折れてしまうと治るまでに時間がかかります。 また、骨折が綺麗に治らず、骨癒合していないところがまるで関節のように動いてしまう"偽関節"という状態になる可能性もあります。そのため、ジョーンズ骨折で完全に骨が折れている場合は自然治癒は見込めず手術での治療が推奨されます。 しかし、完全には折れていない不全骨折の状態で、かつ症状が日常生活に支障がないくらいの軽症の場合は、患部への負荷軽減や筋力強化・ストレッチを行うことで自然治癒ができる可能性があります。 手術で治療を行う場合、術後数週は足に体重をかけずに生活する必要があり、その後もリハビリの期間を設けなければなりません。そのため、早期にジョーンズ骨折を予防し、発症したとしても早期に発見することが重要です。 ジョーンズ骨折の予防 先ほども述べたように、ジョーンズ骨折は予防と早期発見が重要です。ジョーンズ骨折を予防する方法は、 ・シューズの調整 ・インソールの活用 ・足のストレッチ・マッサージ ・体重のかけ方の訓練 などがあります。 シューズの調整 足に合わないシューズを履いていると、きちんと体重が分散出来ず、ある一定の部位への負荷が増大します。 また、ランニングやサッカーなど行うトレーニングや競技によって足の使い方が異なり、体重のかかり方もそれぞれで変化します。そのため、ランニングをするならランニングシューズに履き替えるなど競技に沿ったシューズを使用しましょう。 インソールの活用 人によってはもともとの足の形の影響で、どうしても足に負担がかかりやすくなっている場合があります。足のアーチが低い扁平足であったり、逆に通常よりアーチが大きい場合などはインソールが効果的です。 普段使用している靴にインソールを入れることで体重が分散されやすくなり、かかる負荷が減少します。自分のアーチにあったインソールがない場合は、テーピングが有効です。 足のストレッチ・マッサージ 定期的にストレッチを行うことで、筋肉・腱の柔軟性が増します。柔軟性が高まると関節や骨にかかる負担の軽減が期待でき、ジョーンズ骨折だけでなくその他の怪我の予防にも効果があります。 また、ストレッチやマッサージを行うことで血流が改善し疲労が軽減されるため仕事や競技のパフォーマンスも向上するでしょう。 体重のかけ方・足の使い方の訓練 立ち方や走り方の癖で、小指側に体重がかかりやすい人はジョーンズ骨折を発症しやすいです。予防するためには、癖を治すための訓練をする必要があります。日常生活から体重のかけ方や足の使い方を意識し、足にかかる負荷を軽減させましょう。 まとめ・ジョーンズ骨折とは?立ち仕事で歩くと痛い時は要注意! 以上、ジョーンズ骨折について紹介しました。 スポーツ選手などに多く見られる骨折ですが、そうでない人でも発症する可能性があります。一度完全骨折に至ってしまうと、手術や術後のリハビリが必要です。日頃の予防や、早期発見を心がけましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S111 監修:医師 加藤 秀一
最終更新日:2023.10.06 -
- 半月板損傷
- ひざ関節
- 靭帯損傷
スノーボード、スキーなど冬のスポーツで多い膝の怪我について解説 冬のウィンタースポーツ!シーズンになるとスキーやスノーボードを楽しみにしていらっしゃる方も多いと思います。 ただ、これらのスポーツは、スピードが出るために転倒や、衝突の危険性があるスポーツですので怪我のリスクについては、十分に知っておく必要があります。 本記事ではウィンタースポーツで起こりやすいスポーツ外傷、ウインタースポーツで起こりやすい膝の怪我に焦点を当てて解説していきます。 冬のスポーツ!膝の怪我で多いのは前十字靭帯損傷と半月板損傷 スキーやスノーボードなどのウィンタースポーツにおいては、膝の損傷、捻挫といった怪我が多く見られます。これは滑走中に膝を捻ってしまったり、ジャンプからの着地、転倒時に大きな負担がかかってしまうためです。 膝の怪我の中で最も頻度が多いのが、「前十字靭帯損傷」「半月板損傷」です。 そこで、これら起こりやすい怪我について詳しく見ていきましょう。 前十字靭帯とは ・膝の関節の中にある靭帯のうちの一つ ・膝関節を安定化させる ・前十字靭帯は膝の捻りと前後方向のぐらつきを抑えている 前十字靭帯損傷の症状 受傷直後は激しい痛みのため、その場から動けなくなることが多いです。その際に「ぶちっ」という筋肉が切れるような音が聞こえることもあります。 受傷直後に動けていた方でも、約70%に関節内血腫(関節内に血がたまる)が生じるとされており、時間が経過するとともに、痛みや腫れが強くなり、動くことが出来なくなっていきます。。 2~3週間後には腫れや痛みは軽減されることが多いですが、下記のような症状が継続してみられることがあります。 前十字靭帯損傷の症状 ・膝の不安定感 ・膝が外れる感じがする ・膝に力が入らない ・膝がすぐ腫れてしまう ・膝が伸びない ・正座ができない 膝を使う動作、特にスポーツ競技中などの様々な動作で症状が出ます。 診断 医師による診察や、レントゲン検査で骨折の有無を確認します。MRI検査が靭帯の評価(靭帯の形状や靭帯の走行など)に有用です。 治療 前十字靭帯損傷の治療法には、保存療法と手術療法の2種類があります。それぞれについてみていきましょう。 保存療法 大腿四頭筋などの筋力訓練を行ったり、必要に応じて装具を作成して日常生活やスポーツ活動への復帰を目指します。 しかし、この場合は靭帯が完治したわけではなく、日常生活で膝が安定せず、痛みが続く場合もあります。症状が残る場合は、半月板の損傷などの二次損傷を起こすリスクが高くなります。以前はスポーツをしない場合は、保存療法を選択する場合も多かったですが、現在では膝の老化の進行を早める可能性があり、若年者でも手術を勧められることが多くなっています。 手術療法 靭帯は自然に修復されることはなく、再建術が行われます。再建術は膝の後内側にある屈筋腱を移植する自家移植が一般的に行われます。手術後はリハビリが必須となりますが、術後10~12か月後に元のスポーツに復帰できることが多いです。 前十字靱帯損傷を放置すると、膝が安定性を失い、膝崩れといいガクッと崩れ落ちてしまったり、膝があらゆる方向に捻じれやすくなります。前十字靱帯損傷によって膝が安定しない状態が続くと、クッションの役割をしている半月板や、関節軟骨に負荷が多くかかってしまいます。その結果、半月板損傷など二次的な障害が生じることがあります。 半月板損傷とは 半月板とは膝関節の大腿骨と脛骨の間にある線維軟骨のことです。内側と外側にそれぞれにあり、膝にかかる衝撃を吸収する働きがあります。 症状 症状としては膝の曲げ伸ばしが困難になることが挙げられます。また、動かそうとしたときに激しい痛みを伴うこともあります。重症の場合には、膝に水(関節液)が溜まり腫れてしまったり、激痛を伴って関節が動かせなくなる「ロッキング」という症状が現れ、歩行困難になることもあります。 検査 医師による診察やMRIが行われます。また、状況に応じて、関節の中に内視鏡を入れて調べる、関節鏡検査を行う場合もあります。 治療法 半月板損傷の主な治療法には、保存治療と手術療法の2種類があります。 保存療法 サポーターなどで患部を固定し、抗炎症薬などの薬物療法やリハビリなどを行います。保存療法を行っても痛みや、ロッキングなどの症状が続く場合には手術を行います。 手術療法 断裂部位の幅が 1 cm以上と大きい場合や、保存療法を行っても症状が持続する場合は手術療法が検討されます。手術法には、損傷した部分を切り取る切除術と、損傷した部分を縫い合わせる縫合術の2種類があり、関節鏡を使った鏡視下手術を行います。 切除術の場合は、半月板を取り除くことで膝軟骨の消耗が進んでしまうことがあるため、近年では縫合術が選択されることもあります。ただし、損傷した半月板の状態によって縫合が難しいと判断された場合は切除術を行います。 手術後はリハビリが必須であり、スポーツへ復帰できるタイミングは、半月板切除術で約3ヵ月、半月板縫合術で約6ヵ月程度とされています。 まとめ・スノーボード、スキーなど冬のスポーツで多い膝の怪我について解説 スキーや、スノーボードを行う際にはプロテクターを着用するようにしましょう。これにより、怪我のリスクが格段に下がります。また自分の実力に見合った楽しみ方をすることも重要です。 治療後はケガをした時と同じ動作を続けると、再び膝を損傷する可能性があるため、スポーツの際などは特に注意が必要です。また、股関節や足首など下肢全体の関節が柔軟だと、膝へかかる負担が軽減されやすくなり、再発予防にもつながります。 下肢の筋力トレーニングも必須です。特に大腿四頭筋とハムストリングスを強化することが重要です。普段からストレッチや筋トレを習慣づけ、運動する際には、準備運動や整理運動をしっかり行うようにして、体全体の柔軟性を保つようにしましょう。 スキーやスノーボードを行う際は、怪我のリスクについても備えておくことが重要です。膝の怪我は日常生活にも影響が出ることが多いので、安全にスポーツを楽しみましょう。この記事がご参考になれば幸いです。 No.111 監修:医師 坂本貞範 ▼以下もご参考にしてください 膝の痛みを引き起こすスポーツ上の慢性障害について
最終更新日:2024.04.08 -
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視床出血における後遺症|リハビリと看護について医師が解説 視床出血とは、脳出血の中で「視床」という部位に出血が起こったもののことを指します。 この視床出血は、脳出血全体の2〜3割程度を占めるとされており、その多くが高血圧を原因としています。 この記事では、そんな脳出血の中でも頻度が高い視床出血における後遺症や、それに対するリハビリ・看護に関して解説します。 視床出血の症状と後遺症 視床は、主に感覚をつかさどっています。そのため視床出血が起こると、痺れなどの感覚障害を認めます。また、視床の周囲には運動神経が走っているため、出血が拡大すると運動麻痺が生じます。 さらに出血が拡大するとその分脳の神経細胞が圧迫されるため、圧迫された部位に応じた症状が現れます。 視床は脳の深い場所に位置するため、原則手術は行わず、出血の拡大防止のために血圧を下げるなどの内科的な治療を主に行うことになります。そのため視床出血は、症状が消失せず後遺症となってしまうことが多くあります。 視床出血で多く見られる後遺症は、視床痛と呼ばれる手足の強い痛みやしびれ、感覚障害を伴った半身麻痺です。 視床痛はジンジン・ピリピリというような痛み(しびれ)を認め、鎮痛薬は効果がないことがほとんどです。また、麻痺も感覚障害を伴わない麻痺と比べて、手先の感覚や、立ったり歩いたりするときの位置感覚が分かりづらくなります。そのため日常生活に支障をきたしてしまうことが多いです。 視床出血後遺症のリハビリ 半身麻痺が残り体の運動機能が低下した場合、運動機能障害に対するリハビリとして理学療法と作業療法を行います。 理学療法 理学療法は平行棒や歩行器を使用した歩行の練習や姿勢を保持する練習、体力・筋力の維持や向上など日常生活を送る上で必要な動作の練習を行います。 前述したように視床出血の半身麻痺は感覚障害を伴っていることが多いです。そのため歩行の練習では免荷式(めんかしき)トレッドミルという機械を用います。 免荷式トレッドミル・・・体を上から吊るし、ハーネスで体を支えることで、足にかかる体重を調整できるためバランス感覚を鍛えます。これによって体重のかかり方を意識した歩行の練習を行うことができます。 作業療法 作業療法は、お箸の使い方など、日常生活を送るために必要な作業の訓練を行います。 麻痺側の手を積極的に使うことで、作業の質の向上を図るCI療法がガイドラインなどでも推奨されています。 1日6時間以上麻痺した手を使用することで、手の機能が改善したという報告もあります。また、このCI療法を行うことで指先などの動きだけでなく、高次機能も回復したという方も報告もされています。 視床出血で嚥下機能が低下した場合、言語聴覚士による嚥下の訓練を行います。口周りや顔の筋肉の運動やゼリーなどを用いた飲み込む練習を行うことで、発症前のように口から食事が取れるようにリハビリを行います。 脳出血後のリハビリは毎日、長期間継続することが重要です。途中で中断してしまうと一度は回復した身体機能が再度低下してしまう可能性もあります。 長い道のりにはなりますが、モチベーションを保ちつつリハビリを継続しましょう。 視床出血の看護 視床出血を含む脳出血の看護は、急性期と慢性期で大きく異なります。 急性期は再出血や血腫の増大、脳浮腫などが起こる可能性があり、そうなった際は早期発見と早期治療が回復の大きな鍵となります。そのため、急性期の看護では全身状態をしっかり観察することが重要です。 以下のことに注意を向けて観察しながら看護しましょう。 意識や瞳孔の確認 視床出血の患者さんの中には自発運動ができない方や発語がない方も多くいらっしゃいます。そのためこまめにバイタルサインをはかり、意識や瞳孔の変化などに注意しましょう。 血圧コントロール 脳出血にとって血圧コントロールは再出血予防のために最重要です。決められた範囲内で血圧が維持できているかどうかを、きちんと確認しましょう。 褥瘡(じょくそう)予防の適切なポジショニング 再出血などを予防するために急性期は安静を保たなければなりません。ベッド上での安静保持は、関節の拘縮や褥瘡のリスクです。 褥瘡の好発部位の皮膚観察や、こまめな体位変換、拘縮予防するための適切なポジショニングを意識しましょう。 一人一人の後遺症に沿った看護 急性期を終えた回復期などの慢性期は、再発防止のため内科的治療と、後遺症に対するリハビリを主に行います。患者さん一人一人の後遺症に沿った看護を行いましょう。 引き続き、褥瘡予防の皮膚観察や関節拘縮予防のポジショニング調整を行いながら、栄養状態・運動機能・精神状態などに気を配りましょう。 嚥下機能が低下してしまった場合、誤嚥性肺炎を発症すると致命的になることがあります。食事の際の姿勢や口腔ケアをしっかり行いましょう。 そして、視床出血の患者さんは感覚麻痺や視床痛が残ってしまう方が多くいらっしゃいます。そういった症状からくる心の苦痛に対するケアも、回復に至るためには重要です。そして感覚が低下しているからこそ、体に触れる際に声かけをするといった気遣いを忘れないようにしましょう。 まとめ・視床出血における後遺症は、一人一人の後遺症に沿った看護とリハビリが大切 視床出血のリハビリと看護に関して紹介しました。 患者さんが1日でも早く、発症前のような生活に戻れるように看護ケアやリハビリを行いましょう。 また、脳梗塞による障害で精神的な苦痛を感じてしまう方もたくさんいます。そういった精神的苦痛にも寄り添ったケアを行ってください。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.110 監修:医師 坂本貞範
最終更新日:2023.12.26 -
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その症状ジョーンズ骨折かもしれません!症状や原因を解説します ジョーンズ骨折をご存じでしょうか? 「サッカーをすると足の外側が痛くなるけどなぜ?」 「バスケットでつま先の外側が痛むけど放置して大丈夫?」 このような症状がある場合、もしかするとジョーンズ骨折かもしれません。 今回はスポーツ選手に多いジョーンズ骨折について、特徴や骨折のなりかけで見られる症状について解説します。チェックリストも紹介しますので、記事を読んで気になる場合は早めに整形外科に受診しましょう。 ジョーンズ骨折とは ジョーンズ骨折は別名を第 5 中足骨(ちゅうそくこつ)骨折と言います。まずはジョーンズ骨折の特徴や発生する場所、原因について紹介します。 ジョーンズ骨折の特徴 ジョーンズ骨折は小指の骨である第 5 中足骨の疲労骨折です。 一般的な骨折は、事故や転倒などの強い衝撃での発生を想像されるでしょう。しかし、ジョーンズ骨折はサッカーやバスケット、ランニングなどのスポーツで足の外側に繰り返しストレスがかかって生じる疲労骨折です。 第 5 中足骨は血液の供給が乏しく、骨折する部分の近くは複数の筋肉が付着していて常に牽引力が働くため、一度骨折するとくっつきにくく、骨が離れたままになってしまう偽関節(ぎかんせつ)になりやすいのも特徴です。 骨折の発生場所 小指の骨は指先から末節骨(まつせつこつ)、中節骨(ちゅうせつこつ)、基節骨(きせつこつ)、中足骨(ちゅうそくこつ)に分かれています。 ジョーンズ骨折の生じる中足骨は、足首に近い部分にある骨です。 ジョーンズ骨折では中足骨の中でもより足首側の端から 1.5 〜 2cmの部分に骨折が起こります。 原因 原因は、スポーツ動作で足の外側に繰り返しかかるストレスです。 人の足裏は体重をうまく分散させるために、たいらではなくアーチ状の形をしています。第 5 中足骨はまっすぐな骨ではなく、丸くアーチ状になっており、足の裏のアーチの一部となっています。 そのため、体重を分散させるためにストレスを受けやすいのです。 特にサッカーやバスケットボールなどの横への動きが多いスポーツで反復したストレスがかかりやすく、疲労骨折の原因になります。 また次のような環境や個人の要因も原因として挙げられます。 ・急な激しい練習 ・固すぎるグランド(人工芝) ・不適切なシューズ ・不良な姿勢(がに股) このような環境や姿勢でストップやサイドステップなどを繰り返すとストレスがかかりやすくなってしまうのです。 以上のようにストレスが蓄積して生じる骨折ですが、立ち仕事による慢性的な疲労や、しゃがみ込み動作の繰り返しによる疲労骨折など、スポーツをしていない方で発症する場合もあります。 ジョーンズ骨折の症状とは ジョーンズ骨折は、骨折のなりかけの状態と、完全に骨折した状態で症状が違います。それぞれの症状について解説します。 ジョーンズ骨折のなりかけの症状の場合 ジョーンズ骨折のなりかけの症状は、痛みや腫れなど一般の骨折に見られるような自覚症状が出にくいのが特徴です。 骨折のなりかけでは、一般的な骨折のように骨が分離するのではなく、ストレスの蓄積により徐々に骨が脆くなっている状態です。この状態では日常生活だけでなくスポーツ中も痛みを感じない場合があります。 また、痛くてもそれほど強くはないため、そのまま競技を続けてしまう場合も少なくありません。その結果、プレー中やプレー後に痛みが増えるということを繰り返します。 完全に骨折したときの症状の場合 前述のように、完全に骨折してから、初めて強い痛みを訴える場合があります。 骨折部の痛みが増加して、プレーはもちろん歩くのが難しくなることがあります。 ジョーンズ骨折になりやすい環境かどうかをチェックリストで確認 ジョーンズ骨折になりやすい環境かどうかを、チェックするポイントを紹介します。 以下にチェックリストをあげます。 ・競技しているスポーツが、足の外側にストレスのかかるものか ・練習場がどこか(床・芝・土・人工芝) ・練習量 ・シューズ ・キックの利き足 ・ジャンプの踏切 ・シューズの底のすり減り方 ・足の外側が痛むか このようなチェックをして、足の外側にストレスがかかりやすいかどうかをチェックします。 例えば、競技しているスポーツが、サッカーやバスケットボールであれば、ストップやステップを繰り返すため、足の外側にかかるストレスが強まります。 また、原因で紹介したように、練習場所が人工芝のように固いグランドである、練習量が多すぎる、足に合わないシューズを使用しているといった環境が原因で、ストレスが強まる可能性があるためチェックが必要です。 また、シューズの底を見たときに、外側ばかりすり減っている場合は、足の外側にストレスがかかりやすい動きをしている結果なので、チェックしてみましょう。 もし、すでに痛みが外側にあり継続する場合は、ジョーンズ骨折の可能性があります。 前述のように骨折のなりかけの場合は、痛みが自覚しにくかったり、あったとしても競技中のときだけだったりするため、放置せず早めに整形外科へ受診をしましょう。 まとめ・その症状ジョーンズ骨折かもしれません!症状や原因を解説します ジョーンズ骨折はストレスが蓄積して徐々に進行する疲労骨折のため、完全に骨折するまでは痛みがない場合もあります。例え痛みがあっても、できるからといってつい競技を続けてしまいがちです。 しかし、放置して競技を続けると、症状が悪化したり、完全に骨折してしまったりするリスクがあります。そのため、少しでも気になる症状があれば早めの受診や予防をするのが重要です。 本記事を参考にしてジョーンズ骨折の早期発見、予防をして、好きなスポーツを楽しみましょう。 No.S109 監修:医師 加藤 秀一
最終更新日:2023.10.06 -
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脳溢血とは?前兆のサインを見逃さない、発症原因を症状別に医師が解説! 脳卒中はある日突然発症し、最悪の場合そのまま命を落としたり、寝たきりの状態になってしまう病気です。さまざまな薬の開発によって発症率は低下傾向にありますが、それでもまだ日本での死亡原因の上位に位置しています。 この記事ではそんな脳卒中の一つである脳溢血に関して紹介します。 脳溢血とは何か 脳溢血とは「のういっけつ」と読み、文字通り脳に血が溢れる状態を指した病名です。脳の中の細い血管が破れて血液が溜まることにより周囲の神経細胞が圧迫されます。神経細胞が圧迫されると働きが障害されてしまうため、さまざまな症状が出現します。 この脳溢血は脳出血とも呼ばれ、同じ意味で用います。 脳溢血の原因 脳溢血の原因の多くは高血圧です。血管内の圧が上がり、その圧に血管壁が耐えられなくなるため出血が起こります。また、高血圧は動脈硬化のリスクでもあります。動脈硬化が起こると血管壁が弱くなるため、さらに血管が破れやすくなります。 脳溢血の症状 脳溢血の症状は、出血が起こった場所によって異なります。しかし、どの部位の脳溢血も発症時に頭痛や吐き気を訴えることが多くあります。 また、出血が止まらず血腫が大きくなると、その分圧迫される神経細胞も増えるため、症状も増え重篤化します。 被殻出血 被殻出血は脳溢血全体の 3 割程度を占めています。被殻出血の特徴的な症状は片側の手足の麻痺や片側の顔の動かしにくさです。さらに進行すると感覚障害や意識障害に至ることもあります。 視床出血 視床は人の感覚を司っています。そのため視床出血では片側の感覚障害を認めます。また、視床出血を発症した際に目が中央によって寄り目をしているように見えることが特徴です。視床の周りには運動神経が走行しているため進行すると運動麻痺も生じます。 橋出血 橋出血は、被殻出血の次によく見られる脳溢血です。橋は全身の運動や意識状態、呼吸をつかさどっています。そのため橋に出血が起こると、たとえ出血した血液量が少量であったとしても意識障害や両側の四肢麻痺などが生じます。また、自分で呼吸ができなくなってすぐ死に至ってしまうこともあります。 小脳出血 小脳には体の平衡感覚を保つ働きがあります。そのため小脳出血では強いめまいや吐き気を訴える方が非常に多いです。めまいが強くまっすぐ歩くことができなくなったり、立てなくなってしまいます。 小脳は大脳の後ろに位置しているため、出血が起こった際に頭の後ろの部分に頭痛を認めます。 大脳皮質下出血 大脳皮質とは大脳の表層に位置する部分のことを指します。つまり、大脳皮質下出血とはその大脳皮質から出血が起こったもののことを呼びます。大脳皮質は部位によって働きが異なるため、出血した部位に応じた症状が出現します。運動麻痺や感覚麻痺、言葉の出づらさなどから人格の変化、視力障害が起こることもあります。 脳溢血で発熱が起こる? これ以外に、脳溢血によって発熱が生じる場合があります。 発熱が起こる病気と聞くと、まず思い浮かぶのが細菌やウイルスによる感染症だと思います。もちろん脳溢血の経過中に何らかの細菌・ウイルスに感染して発熱を認める可能性は十分にあります。しかしそれ以外で発熱が起こることがあるのです。 脳溢血で発熱が起こる原因とは 脳溢血で発熱が起こる原因は、 ・・出血によって体温のバランスを保つ部分(体温調節中枢)が障害を受ける ・・頭蓋内圧が亢進して体温調節中枢が刺激される の 2 つです。 視床や被殻などが存在する大脳基底核や、大脳皮質下出血が起こった場合、体温調節中枢である視床下部が圧迫されてしまうことがあるため、発熱をきたしやすくなります。 脳溢血が起こると、出血が起こった部分から徐々に脳に浮腫が起こりはじめます。脳に浮腫が起こると、頭蓋内の圧が上がり、この状態を頭蓋内圧が亢進と呼びます。 これにより視床下部が刺激を受けると、体温が上昇し発熱します。 頭蓋内圧が亢進し、進行すると圧に耐えられなくなり浮腫んだ脳がさまざまな方向にはみ出てしまいます。この状態を「脳ヘルニア」と言います。 脳がはみ出る部位によって出現する症状は異なりますが、大後頭孔と呼ばれる隙間から脳がはみ出した大後頭孔ヘルニアが生じると、大脳により呼吸・循環を維持する働きをもつ脳幹が圧迫されるため急激に状態が悪くなり、突然死となってしまうことがあります。 これらの脳溢血が原因の発熱を「中枢性発熱」と呼び、中枢性発熱を認めた場合は予後が悪くなると言われています。そのため、少しでも予後をよくするためにこの中枢性発熱になるべく早く気づく必要があります。 脳溢血を予防するには?前兆はある? 先述したように、脳溢血の原因の多くは高血圧です。 高血圧の原因は塩分の多い食事や肥満・喫煙・過度なストレス・運動不足など生活習慣に関わるものが多いです。バランスの取れた食事や適度な運動とストレスを適宜発散することが高血圧の予防となります。 基本的に脳溢血の前兆はありません。ある日突然発症し、致命的になることもある怖い病気です。そのため日頃から予防に気を使うことが重要です。 まとめ・脳溢血とは?前兆のサインを見逃さない、発症原因を症状別に医師が解説! 脳溢血について紹介しました。 前述したように、脳溢血は前兆もなく突然起こる病気です。しかし少しでも早く症状に気付けば、生命を危険に晒すことなく元の生活に戻れることもあります。日頃から予防することを心がけて、少しでも怪しい症状を認めた場合は病院を受診しましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.110 監修:医師 坂本貞範
最終更新日:2023.12.26 -
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胸郭出口症候群のセルフケア!自分でできる効果的なマッサージやストレッチ方法について 胸郭出口症候群でお悩みではありませんか? この疾患には、スポーツ選手から主婦まで、幅広い年代や分野の人が悩まされています。 今回は、その胸郭出口症候群に対するストレッチ方法やマッサージ方法、効果的なツボの位置も合わせたセルフケアをご紹介します。 胸郭出口症候群ってなに? 胸郭出口症候群をはじめて聞く方もいらっしゃるかもしれません。腕の動きや感覚を支配する神経(腕神経叢)や、血管(鎖骨下動脈・静脈)が胸郭出口で圧迫されて起こる疾患です。 首から腕に走る神経や血管が、骨や筋肉、腱によって圧迫されることで、手の指先の痺れや、首から腕にかけての痛み、力の入りづらさ、血行不良など様々な症状を引き起こします。 胸郭出口症候群の原因は? 野球やバレーボール、バドミントンなど腕を上から振り下ろすような動作を反復するスポーツ選手が罹患するスポーツ外傷としても知られています。 他にも、なで肩の女性や、重いものを持ち運びする仕事の人にも多く、普段の姿勢や負担のかかる動作が原因となることが多いです。 割合は少ないですが、頚肋といって発達段階で生じる骨の形態異常から神経・血管を圧迫するケースもあります。 胸郭出口症候群になりやすい人の特徴 胸郭出口症候群になる人の多くは以下のような特徴がみられます。 自分に当てはまるものが一つでもあれば、注意が必要です。 オーバーハンドスポーツをする人 オーバーハンドスポーツとは、野球のピッチングやバレーボールのアタック、バドミントンのスマッシュなど、腕を上に挙げる動作を繰り返すスポーツのことを指します。 腕を上から振り下ろす動作は、肩の前方から前胸部の筋肉を使うことが多いため、それらの筋肉が発達し過ぎて、腕神経叢や鎖骨下動静脈を圧迫する可能性がでてきます。 オーバーワークの人も、カラダのコンディションがついていかず、発症する危険性も上がるため注意が必要です。 なで肩の人 胸郭出口症候群で特徴的な姿勢の一つが「なで肩」です。 なで肩では、鎖骨の位置が下がるため、神経・血管が通る鎖骨と肋骨の間が狭くなり、圧迫を起こしやすくなります。 猫背など姿勢が悪い人 猫背にみられるような背中が曲がった姿勢を長時間とってしまうと、胸の前の筋肉の一つである小胸筋が短縮してしまいます。 その小胸筋は硬くなってしまうと、腕神経叢や鎖骨下動静脈を圧迫してしまう恐れがあります。 小胸筋の柔軟性が低下している状態で胸を張ろうとすると、小胸筋がある脇の下で圧迫が強くなり、症状が酷くなることも多いです。 普段から背中が曲がった姿勢をとってしまう人は、胸郭出口症候群になる可能性も高まります。 胸郭出口症候群は治らない?いいえ治ります! 神経症状が辛い胸郭出口症候群ですが、症状が長引くことも多く、「治らないんじゃないか?」と心配の声も多く聞かれます。 しかし、胸郭出口症候群は基本的には治る疾患です。日常生活での姿勢や動作習慣の見直し、そしてこれからお伝えする「セルフケア」によって原因を取り除くことができれば、症状の改善が見込めるはずです。 胸郭出口症候群に対するセルフケア 胸郭出口症候群に対するケアの方法で重要なことは、“胸を開ける状態にする”ことです。胸を開けるとは、胸を張ること。 しかし、胸周りの筋肉が硬い状態で胸を張ろうとしても返って逆効果になることもあります。 まずは、首から胸、肩甲骨周りなどの筋肉、関節の柔軟性を出して、胸を張りやすい状態にすることが大切です。 それでは柔軟性改善のために必要な具体的な方法をお伝えします。マッサージに効果的な、東洋医学のツボの位置も合わせてご紹介します。 胸鎖関節のマッサージ ①「兪府(ゆふ)」というツボを押さえる(鎖骨の真下、胸骨の際から指一本分横の位置に取ります) ②手で胸骨と鎖骨の繋ぎ目のところをさするようにマッサージする ③慣れてきたら、同部位を押さえた状態で肩を回す 鎖骨周囲筋のマッサージ ①「欠盆(けつぼん)」というツボを挟むようにつかむ(鎖骨中央のすぐ上、大きくへこんでいる場所にあります) ②少し前屈みになり鎖骨を浮き出させたら、反対の手の親指を鎖骨の下に入れ、その上から人差し指で挟むようにつかむ ③つかみながら周りの筋肉をほぐすようにマッサージする 小胸筋のストレッチ ⓵「中府(ちゅうふ)」というツボの位置を押す(鎖骨の外側端から指一本分下の場所です) ②反対側の手で小胸筋(※)に対して垂直に押す ※鎖骨外側 1 / 3部から 3 ~ 4 横指下の部分をゆっくりと触診します ③押した状態で腕を 20 回ほど前後に振る ④少しずつ位置をずらしながら 5 セット程度行う 無理のない範囲で、様子を見ながら行いましょう。 まとめ・胸郭出口症候群のセルフケア!効果的なマッサージやストレッチ方法をご紹介 胸郭出口症候群に対するセルフケアの方法を紹介してきました。 症状の程度は人それぞれであり、セルフケアだけではなかなか改善が難しいケースももちろんあります。 セルフケアを行うと同時に、専門の医療機関でしっかり状態をみてもらい、専門家より適切なアドバイスを受けることが大切です。 気になる症状がある人は、できるだけ早めに受診することを心がけましょう。 No.S108 監修:医師 加藤 秀一 ▼胸郭出口症候群の治療法につて 胸郭出口症候群とは?原因と治療法についても詳しく解説!
最終更新日:2024.04.17 -
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側弯症を改善する!ストレッチとエクササイズのやり方 健康診断などで「側弯症」と診断されたことはありませんか?この側弯症、その種類によっては、原因を取り除くようなケアをしていくことで治すことができます。 そこで今回は、側弯症に対するセルフストレッチとエクササイズの方法を中心にお伝えします。 自宅で簡単にできるものから、ボールやストレッチポールなどの道具を使った方法まで紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。 側弯症とは? 側弯症とは、背骨(脊柱)が横方向に曲がったり捻れたりする病気で、原因は違えど幅広い年代で発症します。 痛みを伴わないことが多いのですが、重度の側弯症では神経の症状が出たり、見た目上の問題から心理的ストレスを感じたりなど、早急に治療が必要な場合もあります。 側弯症の種類 側弯症には大きく 2 つの種類があります。 1 つは「構築性側弯症」で、もう 1 つが「機能性側弯症」という症状です。 ①構築性側弯症 構築性側弯症は、もともと疾患や発達障害などが原因で進行していく側弯症で、背骨を構成する椎骨の変形を伴います。 大きく側弯していくものが多く、場合によっては手術療法も必要となってきます。 特に幼少期に発症した場合は、成長と共に側弯が強くなりやすいため、装具療法で側弯の進行を抑えて、成長が止まった時点で手術をする、という治療方針をとることがあります。 構築性側弯症は治すのが難しい 構築性側弯症に有効な手段は、装具療法により進行を抑えること、そして手術により側弯を解消することしかありません。 ストレッチやトレーニングではなかなか改善が難しいのが現実です。ただ、今後研究の数が増えてくることで、有効な治療方法が見つかるかもしれません。 それだけ医学の世界は分かっていないことが多いのです。 ②機能性側弯症 機能性側弯症は、構築性側弯症に比べ側弯の程度は大きくありません。 この症状は、以下のような原因が考えられます。 ・日頃の姿勢 ・スポーツでの偏った姿勢 ・仕事などによって同じ動作を反復する ・痛みによって逃避的に側弯の姿勢をとってしまう 機能性側弯症は、背骨自体の変形がないため、原因を取り除くようなケアをしていくことで治すことができます。 機能性側弯症に有効なケアとは? ここで紹介するケアの方法は、「機能性側弯症」に対するものを中心にお伝えします 側弯症に有効なケア方法は、「ストレッチ」、「エクササイズ」そして、「姿勢改善」の 3 つです。 1.ストレッチ ストレッチは、短縮している筋肉を元に戻すのに適したケア方法です。 機能性側弯症の患者の場合、偏った身体の使い方から左右非対称になることが多いため、どうしても筋肉が短縮(硬くなっている状態)している部分がでてきます。 そこで有効なのがストレッチです。ストレッチの基本は、以下のことに注意して行います。具体的な方法は後で述べていきます。 ・無理に伸ばしすぎず、心地よい突っ張り感を感じるくらいで行う ・息を止めず、深くゆっくりした呼吸を意識して行う ・1 回のストレッチ時間は 20 秒〜30 秒くらいで行う 2.エクササイズ(体操) エクササイズとは、運動全般のことを指しますが、今回は筋力トレーニングやフィットネス、体操などの筋肉をしっかり使って動かすようなものを紹介します。 エクササイズには、対象となる筋肉(主動作筋)の力を上げるだけでなく、その筋肉と反対の働きをする筋肉(拮抗筋)を抑制する効果があります。つまり、やり方によっては柔軟性を失っている筋肉を効果的に改善させることもできるのです。 エクササイズを行うにあたって、注意すべき点は以下の通りですが無理のない範囲で行いましょう。 ・姿勢やフォームを意識して行う ・効かせたい筋肉、部位を意識して行う ・適切な負荷量、回数で行う(多すぎても少なすぎてもダメ) 3.姿勢改善 側弯症のリハビリにおいて一番重要だといっても過言ではないのが、「姿勢の改善」です。 そもそも、機能性側弯症の原因は、偏った姿勢や動作の繰り返しによる影響が大きいため、その根本を改善しないことには、整体やカイロプラクティックで一時的に姿勢を改善しても、また元に戻ってしまう可能性が高いのです。 大切なことは、偏った姿勢や動作を繰り返さないよう意識すること。そして、意識的に行ったことが無意識にできるようカラダに染み付かせることです。 側弯症で注意すべきことについて、こちらも併せてご覧ください。 https://fuelcells.org/topics/20813/ 側弯症に対するケアの方法 それでは、側弯症に対するケアの方法として、ストレッチ方法とエクササイズ方法をいくつかご紹介していきます。 側弯症に対するストレッチ方法 体側部のストレッチ ①仰向けになり両手を横に広げ、肩が浮かないように床につける ②両ひざを揃えて少し曲げ、ねじるようにゆっくり左側に倒していく ③右前胸部から側腹部、臀部にほどよい張り感を感じたところで止める ④反対も同様に行う 骨盤と脊柱を意識したキャットバック ①四つ這いの姿勢で行う ②頭を下げお腹を見るように背中を丸めていく ③頭を上げ背中を反らしていく。この時、肩甲骨を寄せるよう意識する ④この動きをゆっくり呼吸しながら5〜10回行う 側弯症に対するエクササイズ方法 次に、側弯症に対するエクササイズをいくつかご紹介していきます。 体幹の対角の動きを意識したエクササイズ ①四つ這いの姿勢で行う ②右手と左足を伸ばす ③余裕があれば、上げた右肘と左膝をお腹の前でくっつける ④②と③を交互に5〜10回繰り返し、反対も同じように行う ⑤カラダがぐらつかないよう、体幹を床と並行に保ちながら行う 姿勢を保つ筋力を鍛えるサイドプランク ①横向きになり、片肘を床につけた状態でセットする ②肘と足のみ床につけた状態で、体を真っ直ぐに保つ ③身体がぐらつかないように20秒〜60秒キープし、反対も行う ※きつい場合は、膝を後ろに折り曲げて支え、負荷を軽減する 姿勢の改善を意識した呼吸法 良い姿勢を保つためには、腹圧を高め、背骨を支える必要があります。 その効果的な方法の一つが、腹式呼吸です。姿勢の改善には腹式呼吸が重要です。 姿勢の改善を意識した腹式呼吸 ①仰向けになり、両膝をたて、両手を下腹部に置く ②しっかり息を吐いて、その時にお腹が凹んでいくのを感じる ③全て吐ききったら、鼻から息を吸い、お腹を膨らませていく ④また口をすぼめてゆっくりと息を吐いてお腹を凹ませていく ⑤③と④を繰り返し行う(10回程度) 💡慣れてきたら、座った姿勢や立った姿勢でもチャレンジ コルセットによる姿勢の矯正はできるのか? 側弯症にはコルセットを使用することはありますが、硬くて矯正を行うようなコルセットは構築性側弯症のケースが多いです。 機能性側弯症の場合は、柔らかい素材のコルセットを用いることがあります。その多くは、痛みにより側弯が出ている場合です。 コルセットを装着することで、腹圧を高めることができ、背骨と骨盤の安定感が増し、痛みが抑えられることがあります。 コルセットは、既製品のものや身体に合わせて作るタイプのものがあり、必要に応じて処方されます。 コルセットの費用 側弯症用のコルセットは既製品がないため、オーダーメイドでの作成が一般的となります。 子供用と大人用、素材によってもコルセットの費用は異なります。 子供用(矯正目的) 高齢者(大人)用 10 万円程度 軟性素材・・・3 ~ 4 万円程度 硬性素材・・・6 ~ 7 万円程度 費用については、治療方針や目的により作成するものが異なって参りますので、詳しくはかかりつけ医へお問い合わせください。 まとめ・側弯症を改善する!ストレッチとエクササイズのやり方 今回は、機能性側弯症に対するケアの方法を具体的に紹介しました。 側弯症のリハビリにおいて一番重要だといっても過言ではないのは、姿勢の改善です。 機能性側弯症の原因は、偏った姿勢や動作の繰り返しによる影響が大きいです。その根本を改善しないことには、整体やカイロプラクティックで一時的に姿勢を改善しても、また元に戻ってしまう可能性が高いのです。 大切なことは、偏った姿勢や動作を繰り返さないよう意識すること。そして、意識的に行ったことが無意識にできるよう身体に染み付かせることです。 側弯の度合いや、原因はその人によってさまざまです。しっかり専門家と相談し、あなたに合ったケアの方法をみつけて実践しましょう。 ご参考になれば幸いです。 No.108 監修:医師 坂本貞範
最終更新日:2023.07.05 -
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視床出血の特徴的な症状とは?治療後の予後を予測 「視床出血と診断されたけど、一体どんな病気?」 脳内出血には出血部位により 5つの種類があり、視床出血はそのうちのひとつです。 突然の頭痛で発症する点は脳内出血全般で共通の症状です。本記事では視床出血について症状の特徴や治療方法などについて詳しく見ていきましょう。 視床出血とは 視床出血とは脳内出血のうち、視床と呼ばれる部位に出血を生じたもので 2 番目に多い出血部位になります。 視床は脳の奥にある 5 - 6 ㎝程の神経細胞が集まっている場所であり、嗅覚以外のあらゆる感覚情報(痛覚、視覚、聴覚、味覚など)を大脳に伝達する中継所としての機能を果たしています。この重要な部位が出血し、障害されることで様々な症状が出現します。 症状について詳しく見ていきましょう。 視床出血の症状 視床出血の症状の特徴としては下記のようなものがあります。 ・意識障害 ・眼球障害(両眼が内下方を向き、鼻先を見つめるようになる) ・感覚障害(痺れやピリピリしたような感覚) ・運動障害(手足が思い通りに動かしにくくなる) ・失語 (言葉が出てこなくなり会話がしにくくなる) これらの症状は一例であり、全てが同時に起こりうるわけではありません。出血の範囲、程度により上記のような多様な症状が出現します。 これら以外にも、発症してから数か月~数年後に視床痛(出血側の反対側の手や足に生じる強い痛み)が発症することがあります。 最初は感覚障害から始まり、その後焼き付くような、剣山を押し付けられたようななどといった表現しづらい疼痛が生じます。 視床出血の原因 視床出血は、高血圧による動脈硬化が主な原因です。 動脈硬化により血管がもろくなり、さらに高い血圧に晒されることにより血管が破綻し出血が起こります。出血の原因となる血管は穿通枝と呼ばれる極めて細い血管になります。 診断 頭部CT検査で視床部位の出血を確認することで確定診断となります。 CTでは出血は白く映り、出血の程度や脳室出血の有無などを判定します。これにより治療方法や予後の予測の参考とします。 MRIでも出血の判定は可能ですが、検査に時間を要するためCT検査が行われることが多いです。 治療法 視床出血に対しては、どれほど出血量が多くても、血腫(出血による血の塊)を除去する手術は基本的に行われません。 これは視床は脳の奥深くにあり到達が容易ではなく、重要な神経が多く集まっているため、手術を行うことで脳にさらにダメージを与えてしまう可能性が高いからです。ただし出血の範囲があまりに大きい場合は、合併症を最小限に食い止めるために手術が行われるケースもわずかながら存在します。 また、水頭症(髄液の循環不全により、髄液が過剰に溜まった状態)により命のリスクがあると判断された場合は、シャント術が行われます。 手術療法:シャント術 シャント術とは、溜まってしまう髄液を体内の他の場所へ流し込むバイパスを作る手術になります。 主な経路としては、 ①脳室から腹部(脳室―腹腔シャント) ②脳室から心臓(脳室―心房シャント) ③腰から腹部(腰椎―腹腔シャント) などがあります。現在では脳室―腹腔シャントが最も多く行われています。 薬物療法:薬剤による血圧コントール 手術の有無に関わらず重要な治療になるのが、薬剤による血圧コントールです。 視床出血は高血圧が原因で発症することが多く、特に症状発症時には収縮期血圧が 200 mmHg以上となってしまうことも珍しくありません。発症から 6 時間以内は再出血が非常に起こりやすいとされており、再出血を予防し出血範囲を拡大させないために、血圧を安定させる降圧剤の点滴や内服などが用いられます。 また、慢性期に生じることのある視床痛においては、残念ながら有効な治療は確立されておらず、一般的な鎮痛剤は無効であることが多いです。ノルアドレナリンや塩酸マプロチンといった薬剤が用いられることもありますが、効果がない場合はガンマ線を用いた定位放射線手術が行われることがあります。 予後 視床出血の症状は、出血量と範囲によって異なります。 予後についても同様で、出血が多ければ多いほど、広範囲であればあるほど後遺症が残る可能性が高くなり、予後不良となることが多いです。 また中脳にまで出血範囲が広がると生命の危機に繋がる可能性が高いともいわれています。これは中脳が生命を維持するために重要な役割を果たしているためです。視床出血の死亡率は一般的に 14 - 52 %と報告されておりますが、これは基礎疾患やもともとの健康状態などに大きく左右されます。 水頭症を発症したり、視床出血発症後も出血範囲が広がるようなことがあると、予後がさらに悪化するケースもあるため、厳格な血圧コントロールが重要となります。また、少しでも後遺症を軽減するために早期からのリハビリも非常に重要となります。 まとめ・視床出血の特徴的な症状とは?治療後の予後について 視床出血の詳細に関して解説いたしました。 視床出血は脳出血の中でも重症化しやすく予後不良な疾患です。後遺症が残る場合も多く、発症してしばらく経過してからも症状に苦しむことが多い厄介な疾患です。刻一刻を争う病態ですので疑わしい症状がみられた際は速やかに医療機関を受診しましょう。 ご参考になれば幸いです。 No.109 監修:医師 坂本貞範
最終更新日:2024.03.06 -
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側弯症の手術の流れや、術後のリハビリ、後遺症について 「側弯症の手術はどのような流れなの?」「手術後の後遺症やリハビリについて知りたい」 このような疑問や不安がある方はいませんか? 今回の記事では、側弯症の手術の流れや後遺症、リハビリの内容を解説します。 側弯症の手術について疑問や不安のある方は、ぜひ参考にしてください。 側弯症の手術の内容や流れ 側弯症は、前から見ると背骨が左右に曲がっている状態のことです。さまざまな原因によって起こりますが、多くが原因不明とされています。 変形が重度の場合は、進行しやすいとされ、息がしづらいなどの他の症状も出るため背骨をまっすぐにする手術が推奨されます。 まずは、手術の内容や流れを解説します。 手術の内容 手術は金属製のさまざまな器具を使って変形を矯正して、背骨を固定します。脇腹を切開する前方法と、背中の真ん中を切開する後方法があります。 手術は 3 〜 6 時間程度かかり、手術の方法や変形の程度によって差があります。 入院期間は 10 日前後で、退院後から通学が可能となることが多いです。 整形外科の手術の中で、最も大きく体に傷を入れるため、合併症や後遺症の注意が必要な手術です。 後遺症の詳細については後ほど解説します。 手術の流れ 手術をしてからの流れを表に示します。 手術からの日数 手術から退院までの流れ 手術前 術前に画像や血液の検査を行い、手術に向けた準備をします。 また手術により多くの出血をするため、自分の血液をためる自己血貯血(じこけつちょけつ)をします。自己血貯血は手術の 1 カ月くらい前から何回かに分けて行います。 手術当日 手術後は全身麻酔後のため、ICU(集中治療室)で状態の観察をします。全身の状態が落ち着いていれば、一般病棟に戻ります。 手術翌日以降 術後で痛みや動きにくさがあり、起き上がりや立ち上がりなども難しい場合があります。その場合、床ずれを防ぐために体の向きを定期的に変えてもらいます。 手術後 4 〜 5 日 痛みが我慢できる範囲で起きたり、歩いたりします。1 週間前後でシャワーも可能になります。 手術後 1 週間 背骨に負担がかからないよう固定するための装具を装着します。装具は手術後 3〜 6 カ月装着します。 手術後 10 日前後 痛みも和らぎ、合併症もないようなら退院します。 10 日以降で退院したら、すぐに通学も可能となります。 しかし、体をひねったり、かがむといった動作は禁止で、体育など背骨に負担のかかる運動もできません。 接触が激しくないスポーツは 6 カ月以降での再開が望ましいです。 側弯症の手術による後遺症 体の損傷が大きい側弯症の手術では、次のような後遺症のリスクがあります。 ・神経損傷 ・肺炎や無気肺などの肺の病気 ・感染 ・腰痛 手術では背骨の周辺に傷をつけるため、背骨を通る脊髄(せきずい)や、脊髄から枝分かれする神経を損傷させる危険性があります。 その場合、足に力が入りにくくなったり、感覚が麻痺したりといった後遺症が残ります。また、肺を損傷すると肺炎や無気肺といった肺の病気を引き起こす危険があります。 大きな傷をつけるため感染のリスクも高いです。 また、骨のくっつきが不十分なままになってしまったり(偽関節:ぎかんせつ)、固定した以外の関節が不安定になったりすることで腰痛が発生する場合もあります。 側湾症の手術での更に詳しいメリット・デメリットについては、こちらの記事をご参考ください。 https://fuelcells.org/topics/20662/ 側弯症の術後リハビリ 側弯症の手術は体に大きな傷をつけるため痛みがあります。そのため、リハビリでは手術による体の状態に合わせた内容になります。 大きく分けて 3 つの時期に分けられます。 1, 術直後から離床前のリハビリ 手術直後は痛みも強く、体も十分に動かせないため、ベッド上でのリハビリとなります。 特に側弯の手術は胸や背中に傷をつけて、痛みを生じさせるため、呼吸がしにくくなります。そのため、呼吸を改善するリハビリをします。 また、痛みで起きられない場合は、体の機能がどんどん低下する「廃用症候群:はいようしょうこうぐん」を引き起こします。そのため、ベッドでできる運動やストレッチをして、廃用症候群を予防することが重要です。 2, 離床後から退院までのリハビリ 全身の状態が安定していれば、痛みの範囲で起きたり、立ち上がったりして、ベッドから離れる時間を増やします。 可能であれば 1 週間以内で病院内での歩行を始めて、以降は痛みの強まらない範囲で、階段や屋外といった応用的な歩行練習をします。 自宅に帰れば、無理に体をひねったり、前にかがんだりしなければ、普通の生活が可能です。 3, 退院後のリハビリ 退院後は徐々に活動量を増やしていき、体力を戻していきます。また、手術後の背骨を安定させて腰痛などを予防するために、体幹の筋肉を鍛える必要があります。 背骨をひねったり、かがまないような工夫をするなど、背骨に負担のかからないように気を付けてトレーニングをしましょう。 例えば、四つ這いで手足を対角に上げる運動や、仰向けで両足を上げる運動は、体幹だけでなく股関節などの筋力も同時に鍛えられるためおすすめです。 四つ這いトレーニング 両足上げトレーニング 運動は自宅に帰った直後は制限されており、術後 3 ヶ月程度でランニングなどの軽い運動から始めて、スポーツや体育が可能になるのは術後 6 カ月程度です。 さらに、器械体操など激しいスポーツは術後 1 年間程度控える必要があります。 まとめ・側弯症の手術の流れや、術後のリハビリ、後遺症について 側弯症は子どもに多い疾患で、手術をするとなると体に大きな傷をつけるため不安になる方も多いでしょう。 そのため、事前に手術の流れや後遺症、リハビリといった情報を知ることで、少しでも不安を減らしましょう。 最近は治療成績も良くなり、しっかりした術前の説明もされます。手術を検討する場合は、しっかりメリットやデメリットを把握することも大切です。 そのため、遠慮せずに整形外科の医師に相談し、納得した治療が受けられるようにしましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S107 監修:医師 加藤 秀一
最終更新日:2023.07.05 -
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- 手部
手根管症候群を自分で治す!ストレッチとマッサージでセルフケア 本記事では、手根管症候群に対する、自分でできるケアの方法を中心にご紹介します。 家事に追われている主婦や、妊娠中の女性、手をよく使う建築業の方など、手の痛みや痺れに悩まされている人にはぜひ読んでいただきたいです。 手根管症候群とは 手根管症候群とは、手根管を形成する掌の小さい骨の集まり(手根骨)と、手根骨に蓋をするようにつく横手根靭帯の間に、正中神経(指を動かすための神経)が挟まり圧迫された状態をいいます。 手根管症候群の症状 神経が圧迫されることにより、親指から薬指の一部分に痺れや痛みを発します。 また、夜間から明け方にこの症状が強くなることが多く、場合によっては寝ている途中に覚醒してしまうほどです。 手を振ったり、手の形を変えることで症状が和らぐのも特徴の一つです。 圧迫の程度がひどく、長期間症状が続くと、親指の付け根の筋肉が萎縮してしまい、指先で物を掴む動作(ピンチ動作)が難しくなることがあります。 手根管症候群の原因 手根管症候群は、原因がよく分かっていない特発性のものが多く、妊娠・出産時期や更年期の女性に多いとされています。 手の屈伸動作の繰り返しや骨折などのケガから続発して発症するとも考えられており、家事動作が多い主婦、重労働で手に力を入れる建築関係の人にも見られます。 手根管症候群が疑われた場合やるべきこと 手根管症候群の初期症状は、手指の痺れや痛みですが、我慢できないほどではないため見過ごされやすい疾患です。 そのため、医療機関に相談に来た際には、手のひらの筋肉の萎縮が進んでいる状態で手術が必要となるケースも少なくありません。 上記に挙げたような症状がみられたら、迷わず専門の医療機関へ相談してみましょう。 手の指の痺れは、頸や肩周り、肘周囲で起こる他の神経障害との見分けもつきにくいため、原因を探ることは大切なことです。 自分でできる手根管症候群のセルフケア 次に、手根管症候群になった際、自分でできるケアついてご紹介します。 初期の手根管症候群や、筋肉の張りにより症状が出ている場合などは効果がでやすいため、試してみる価値ありです。 温めるのと冷やすのはどっちがいい? 手根管症候群に対しては、温めた方(温熱療法)が有効である場合が多いです。 手根管症候群のような神経を圧迫している場合、同時に血管も圧迫しており循環が悪くなっているケースがあります。 そのため、温めて循環を促すことで症状が緩和されるでしょう。 ただ、熱を帯びている場合はかえって痛みを増強させてしまうこともあるため、患部の状態を確認して行うようにしてください。 湿布の貼り方は?サポーターは有効? 結論から言えば、どちらも少なからず効果はあります。 湿布は痛み止め成分が入っているため、痛みが強い場合は一時的に軽減させる効果があります。 また、サポーターに関しては、手首を固定するサポーターだと安静を保つことができるため、症状が強い場合には効果的です。 手根管症候群は、手首や手指を使い過ぎて発症するとも考えられているため、サポーターにより動きに制限をつけることで使い過ぎを防いでくれます。 痛みが強い場合は、手首から手のひらにかかるところに湿布を貼り、その上からサポーターをすることを推奨します。 手根管症候群のセルフケアの方法を紹介 それでは自分で行うストレッチやマッサージの方法をいくつかご紹介していきます。 手関節屈曲筋のストレッチ 【対象となる筋肉】 ・橈側手根屈筋 ・尺側手根屈筋 ・浅指手根屈筋 ・深指手根屈筋 ①手のひらから手指にかけて把持し、その手で、手首を手の甲側に反らす ②その状態を保ったまま、ゆっくり肘を前方に伸ばす ③前腕につっ張り感を感じたところで、20〜30秒キープ 手関節伸展筋のストレッチ 【対象となる筋肉】 ・長橈側手根伸筋 ・短橈側手根伸筋 ・尺側手根伸筋 ・総指伸筋 ・示指伸筋 ①手の甲から指先までを軽く包み込むよう把持し、手首を手のひら側へ曲げ、ゆっくり肘を伸ばす ②前腕の外側部分に張りを感じたところで20〜30秒キープ 手指の腱のエクササイズ 手根管を通る腱の動きを滑らかにする運動 ①手指をまっすぐ伸ばした状態から始める ②指の第一、第二関節から曲げていく ③①の状態に戻すように指を伸ばしていく ④これを10〜20回繰り返し行う 手内在筋(手のひらの筋肉)のエクササイズ 虫様筋(手のひらにある筋肉)の運動 ①手指をまっすぐ伸ばした状態から始める ②指の第一、第二関節は伸ばしたまま、第三関節(指の付け根)から指全体がお辞儀をするように曲げる ③直角近くまできたら、①の状態に戻るよう起こしていく ④これを10〜20回繰り返し行う 横手根靭帯のマッサージ ①手首と手のひらの境目ぐらいを反対の手の親指、人差し指で押さえ、つまむようにそれぞれの指を近づけていく ③次にそれぞれの指を離すように広げていく ④これを繰り返し行う セルフケアの注意点 簡単なセルフストレッチやエクササイズを紹介しました。 気をつけてほしいところは、無理に強い力で行わない、ということです。強い力の方が、効果が出やすいと思っている人も多いかもしれません。 しかし、ストレッチやマッサージは、強い力や、痛みが出るほどの伸張感で行ってしまうと、かえって硬くなることがあります。これが防御性収縮と呼ばれるものです。 いずれのケアも、力の入れ過ぎには注意し、効いているのか効いていないのか分からないくらいの力加減で行うようにしましょう。 どうしても症状がとれない場合は? これまで紹介したセルフケアは、手根管症候群の初期の状態では効果を示すことはありますが、重症化したものだと十分な効果は得られません。 「痺れや痛みがつよくなってきた」 「力が入らず箸を落としてしまう」 など、症状が顕著になった場合は、手術療法の適応になることもあります。 このような場合では、専門医に相談し、詳しい検査、治療を受けることを推奨します。 まとめ・手根管症候群を自分で治す!マッサージとストレッチでセルフケア 今回は、手根管症候群に対し、自分でできるケアの方法をお伝えしました。 同じような症状でも、一人一人原因が違います。 セルフケアを行うと同時に、負担になっている動作はないか、普段の生活を振り返り、改善していくことが大切です。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.107 監修:医師 坂本貞範
最終更新日:2023.06.30 -
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鎖骨骨折とは?!症状と手術、入院期間とリハビリについて 鎖骨骨折は、骨折全体の約 10%を占めると言われており、非常に頻度の高い骨折です。年齢も若年層から高齢者まで幅広く、ほとんどが転倒によって引き起こされます。 今回は、鎖骨骨折全治に向けて、少しでも早く治すための治療方法をお伝えします。特に手術療法については、その期間とリハビリの内容などを交えてご紹介します。 鎖骨骨折とは? 鎖骨骨折は、前述した通り、発生頻度が高い骨折の一つです。肩の痛みや機能障害(肩を動かせない等)を呈する疾患です。自転車走行中の転倒をはじめとして、スポーツで横から倒れた際に受傷するなどのスポーツ外傷が多くみられます。 鎖骨骨折の症状 鎖骨骨折の受傷直後は、とにかく肩の痛みが強く、自力で動かせないことが多くあります。 そのため、反対の手でケガした側の腕をカラダの近くで抑えて来院する方をよく見かけます。 鎖骨骨折の症状は以下です。 鎖骨骨折の症状 ・腕が上がらない ・気分不良 ・吐気、嘔気 ・手の指の感覚障害 ・鎖骨部の腫れ ・鎖骨の連続性の欠如(骨が途中で突出している状態) 鎖骨骨折の手術 鎖骨骨折後の治療は大きく「保存療法」と「手術療法」の 2つに分けられます。ズレが少ない、小さい子どもなどの条件の場合は、保存療法が用いられることが多いです。 一方、ズレや骨折の場所、年齢などによっては手術療法を選択した方が治りが早い場合もあります。ではどのような場合に手術療法が用いられるのでしょうか。 手術療法が選択されるケースは以下です。 手術が必要となる場合 ・骨片同士のズレが大きい ・複雑骨折(開放骨折、骨が皮膚から飛び出るケースなど) ・骨片が多い、3 つ以上 ・神経や血管、靭帯を損傷している可能性がある ・より早く確実に治したい さらに詳しく解説していきましょう。 骨のズレが大きい場合 骨のズレが大きい場合は、手術で固定した方が治りが早く、偽関節になるリスクも抑えられます。また、ズレが大きいと整復が難しい場合もあり、鎖骨の短縮が起こってしまい、肩の運動制限につながる恐れもあります。 このような理由から、ズレが大きい場合にオススメする治療は手術療法です。 骨片が複数ある場合、複雑骨折の場合 骨片(折れた骨のかけら)が複数ある骨折の場合は、きれいな整復が難しいため、手術療法の方が適している場合があります。 また、骨が体外に出てしまうような複雑骨折(解放骨折)の場合は、感染や多量出血により危険な状態に陥る可能性もあるため、できるだけ早めに手術で対応したほうがいいです。 いずれの骨折も、相当な痛みと動きの制限が伴うので、早めに医療機関への受診をしましょう。 烏口鎖骨靭帯が損傷または、断裂している場合 鎖骨は、肩甲骨の烏口突起と呼ばれるところに付く靭帯により、下から引っ張られています。この靭帯が烏口鎖骨靭帯といい、鎖骨の浮き上がりを抑えてくれる重要な役割を果たしています。 鎖骨骨折の時に、この烏口鎖骨靭帯が断裂してしまうと、胸に近い側の鎖骨骨片が浮き上がってしまい、折れた骨同士がくっつきにくくなるのです。 その場合は、骨の固定とともに、靭帯の修復まで行う必要があります。 鎖骨骨折の手術方法 手術による治療は一般的なもので、ワイヤーで固定する方法と、プレートで固定する方法の 2 種類があります。 ワイヤーの場合は、ズレが比較的小さい骨折が適応となり、小さい傷口で済みます。 プレート固定では、傷口は大きくなりますが、ズレが大きい骨折も強固に固定することができ、また靭帯損傷など合併している場合にも用いられることがあります。 プレート固定のデメリットとしては、費用がかかる、固定に使われた金属を取り除くためもう一度手術が必要となる、など何かと負担がかかることがあります。 いずれの治療方法も、保存療法と比較して、より確実に骨癒合が得られるでしょう。 ただ、保存療法よりも費用や身体的、精神的な負担も増えることが多いため、家族や専門医としっかり相談をして、より良い治療法を見つけてください。 1.ワイヤーによる固定 出典:一般社団法人 日本骨折治療学会(https://www.jsfr.jp/ippan/condition/ip03.html ) 2.プレートによる固定 出典:一般社団法人 日本骨折治療学会(https://www.jsfr.jp/ippan/condition/ip03.html) 鎖骨骨折の手術後の流れ~固定方法や入院期間〜 手術をした後の流れや固定方法、入院期間について解説していきます。 鎖骨骨折後の固定方法 鎖骨骨折の手術後は、基本的に三角巾固定をします。 固定期間は骨の繋がり状況によって変わりますが、順調に行けば 3 〜 4 週間で外すことができます。(プレート固定であればもっと早期に外すことが可能です。) 鎖骨骨折の手術後の入院期間? 鎖骨骨折の手術後の入院期間は、早くて 2 泊 3 日、長くても 1 〜 2 週間で退院できます。 痛み自体は比較的早く落ち着くため、早期に退院される方が多い印象です。但し、1 人暮らしの高齢者や術後の経過が思わしくなかった場合などはその限りではありません。 自宅に帰って身の回りのことをやる自信が無い人は、遠慮なく医師や看護師に相談しましょう。 入院期間 ・早い場合:2泊3日 ・長い場合:1~2週間(経過次第) 力仕事は骨癒合がしっかりしてきた後 手術後、力を入れる動作や体重をかける動作ができるのは、おおよそ 2 〜 3 ヶ月後です。 プレート固定であれば、もっと早めに許可が出る場合があります。 車の運転や力仕事は、3 か月を過ぎた辺りの骨がしっかりした時期より再開することを推奨します 鎖骨骨折の手術後のリハビリテーション 以前は、手術後のリハビリテーションは骨のズレを恐れて慎重に進めることが多かったのです。 しかし、動かさないことによる拘縮(関節が固まってしまった状態)などの後遺症が引き起こされてしまうため、早期に動かすことがスタンダードとなりました。 そのため、プレート固定では術翌日から、ワイヤー固定では 1 〜 2 週間後に肩を動かす訓練を行います。 可動域訓練(関節の動きを広げる運動) 可動域訓練の初めは、患者自身は力を抜き、リハビリスタッフ(理学療法士・作業療法士)が腕を挙げていく他動運動から始めます。 2 〜 3 週目あたりから、自分で力を入れて動かす自動運動を開始します。 角度は、腕を下ろした状態から 90°(直角、目の前より低い位置)までの間で動かします。 そして、骨の繋がりがしっかりしてきた時に、より腕を挙げていくリハビリを行います。 これらの訓練は、骨の繋がり具合や、骨の転位、手術の方法により変動しますので、自分で勝手に判断しないよう注意が必要です。 【可動域訓練の順序の一例】 ①術後初期は、肩周囲の筋肉のリラクゼーションを中心に行う ②他動運動から開始し、徐々に 90°を目標に挙げていく ③痛みがなく骨癒合もできてきたら、徐々に動かす範囲を広げていく ④他動運動に加え、自分で動かす自動運動を開始する ⑤目標は、ケガをしていない方の肩と同じ範囲まで動かせるようにすること ※いずれのメニューも、代償動作が入らないように、専門のリハビリスタッフ(理学療法士・作業療法士)の指導のもと行います 筋力訓練(力を戻していく運動) 可動域(動かせる範囲)が戻ってきたら、次に力を戻す運動を始めます。 ケガをしてから手術直後は安静期間で固定しているため、どうしても筋力が落ちていきます。 リハビリで大事なことは、焦らずに段階的に筋力を戻す、ということです。 【筋力訓練の順序の一例】 ①ケガをしていない方と手術側の手を握り、一緒に上に挙げていく ②手術側の腕だけで挙げていく(前、外、後ろの順番で行う) ③力が入ってきたら、ペットボトルなど軽い負荷をかけた状態で腕を挙げていく ④弱いバンドや、1 〜 2 キロのダンベルを持った状態で挙げていく ⑤痛みなくしっかり力が入るようになったら( 2 ヶ月ほど)、膝をついた状態での腕立て伏せを行う(慣れてきたらスタンダードな腕立て伏せを行う) ※④以降は患者の力量に合わせて行います 鎖骨骨折の手術前後に気を付けておくべきポイント! 鎖骨はつながりやすい骨折であり、ほとんどの場合スムーズに良好な経過を辿ります。 しかし、手術後早めに無理をしたことで、癒合が遅れたり、痛みがなかなか引かないと訴えたりするケースも少なくありません。 手術後早期はリハビリ以外しっかり固定をしておく 手術後は、基本的に三角巾やアームホルダーで固定(腕を吊るしておく)します。 これは、肩にかかる負担を減らすとともに、腕を極力使わないようにする予防策でもあります。骨の繋がりをしっかり確認し、担当医師より許可が出てから外すようにしましょう。 仕事の復帰や車の運転は3ヶ月から 特に力仕事や車の運転といった患部に負担のかかる動作は、手術後 3ヶ月後より始めるようにしましょう。 ただ、プレート固定など強固な固定をした手術の場合、その時期が早まることがあります。しかし、自分で判断せず、担当医師に確認することが大事です。 手術療法は保存療法と比べ費用がかかる 当然ですが、手術療法は保存療法と比べ費用が高くなります。 鎖骨骨折の場合、医療機関にもよりますが、おおよそ 15 〜 20 万円の手術代、入院費用、ご飯代、その他諸々の費用がかかります。 高額な医療費に対して、全国健康保険協会の「限度額適用認定証」により費用を抑えることは可能ですが、個室代や入院費用の中には実費負担のものもあります。 いずれにしても、保存療法よりは高額になることが予想されますので、注意が必要です。 手術療法の費用 ・ 手術代:15 〜 20 万円 ・入院費用、ご飯代、その他 ※「限度額適用認定証」は、自分で申請する必要があります。詳しくは、手術を受けられる医療機関でお尋ねください。 まとめ・鎖骨骨折とは?!症状と手術の場合、入院期間とリハビリについて 今回は、鎖骨骨折の手術に至るケースや、手術後の経過や費用についてもお話ししました。 鎖骨骨折の治療には「保存療法」と「手術療法」の2つがあります。 保存療法は、骨片のズレが少ない場合や、小さな子どもの場合に適用されます。一方、手術療法は、骨片のズレが大きい場合や、複雑な骨折の場合に選択されることが多いです。 手術後は患部を適切に固定した上、リハビリが重要となります。手術後のリハビリでは、可動域訓練と筋力訓練が行われ、正しい手順で行われることが大切です。 手術療法は、保存療法よりも手術費用やそれ以外に負担が大きい場合があります。骨の癒合(ひっつく)をより確実に得られる利点があります。 注意点としては鎖骨骨折は、骨がくっつきやすく、痛みもすぐ引くことが多いため、早めから患部に負担をかけたり、動かす方が少なくありません。 「せっかく手術までしたのに・・・」と、ならないよう医師からの提示された指示をしっかり守って過ごしていきましょう。 治療方法の選択や手術後のケア、リハビリについては医師としっかりご相談されお進めください。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S104 監修:医師 加藤 秀一 ▼以下の記事も参考にされませんか 鎖骨骨折中の過ごし方|この痛みはいつまで続くの?
最終更新日:2024.04.24 -
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脊柱管狭窄症を自力で治す!ストレッチと筋トレの方法を紹介 「脊柱管狭窄症の痺れや痛み、自力で和らげる方法を知りたい」 「脊柱管狭窄症に効果的な運動療法は、どのようなものがあるの?」 このような疑問がある方はいませんか? この記事では、脊柱管狭窄症とはどのようなものかを理解して、自分で治すためにできる、ストレッチや筋トレについて知ることができます。 運動をしたくても、正しい方法がわからない方はぜひ参考にしましょう。 脊柱管狭窄症とは?原因や症状を紹介 背骨は脊椎(せきつい)とも呼ばれ、椎骨(ついこつ)という骨がつながってできています。椎骨の後ろ部分には穴が空いており脊柱管と呼ばれます。 脊柱管には脳から続く神経である脊髄(せきずい)が通り、脊髄から全身につながる神経が枝分かれします。 脊柱管狭窄症は脊椎の変形などにより脊柱管が狭くなり、神経を圧迫してさまざまな症状を呈する病気です。 脊柱管狭窄症の原因 脊柱管狭窄症の原因で最も多いのは、加齢による脊椎の変形です。骨の一部が飛び出たり、骨がずれたりして神経を圧迫します。 また、事故や生まれつきの変形、手術による脊椎の固定なども原因になります。 脊柱管狭窄症の症状 脊柱管狭窄症の症状はお尻から足にかけての痺れや痛みです。筋肉を動かす神経が圧迫されると力が入りにくくなります。 また、しばらく歩くと痛みや痺れが強まり歩けなくなるものの、数分間休んだり、前屈みの姿勢をとったりすると症状が和らいで歩けるようになる神経性間欠跛行(しんけいせいかんけつはこう)の症状が特徴的です。 重症な場合は排泄や排便が障害されます。 脊柱管狭窄症におすすめのストレッチ 脊柱管狭窄症のストレッチの重要な目的は、次の 2 点です。 ・狭くなっている神経の通り道を広げて、神経の圧迫を取り除く ・腰や足の付け根の、関節の動きを妨げる筋肉の凝りをほぐす これらを踏まえた具体的なストレッチの方法を 、ポイントを交えながら3 つ紹介します。 1 ,膝かかえストレッチ 初めに紹介するのは、神経の通り道を広げたり、背中の筋肉をほぐしたりするストレッチです。 ・仰向けになり両膝をかかえます ・太ももをお腹に近づけるようにします ・ 15 秒キープします ・ 5 回ほど繰り返します POINT: 太ももを近づけるタイミングで息をフーッと吐き出しましょう。 2 ,正座ストレッチ 次も、膝かかえストレッチと同じ効果が期待できるストレッチです。 少し難易度が高くなります。 ・四つ這いの状態で背中を丸めます ・手の位置は変えずに徐々に膝を曲げていきます ・背中を丸めるように意識して、正座のような姿勢になります ・また四つ這いの姿勢にゆっくり戻ります ・ 5 回ほど繰り返します POINT: 先ほどのストレッチと同じように、正座をするときは息を止めないようにして、リラックスをしましょう。 3 ,片膝立ちストレッチ 最後は太ももの前の筋肉である腸腰筋(ちょうようきん)のストレッチです。 腸腰筋が硬くなると腰が反る姿勢になりやすいため、柔軟性を保つことが大切です。 ・壁などを支えにして片膝立ちになります ・膝をつけている方の足を後ろに少し引きます ・前方の足の膝を曲げて、膝をついている方の太ももの前をストレッチします POINT: 腰を反ったり、上半身が前かがみにならないように注意しながら行いましょう。 脊柱管狭窄症におすすめの筋トレ 脊柱管狭窄症の筋トレのポイントは、脊椎にかかる負担を減らすために、腹筋や背筋といった体幹(インナーマッスル)の筋肉を鍛えることが大切です。 ここでは、 2 つの方法をポイントとともに紹介します。 1 ,ドローイング 椎骨を支える筋肉として、コルセットのような役割をする「腹横筋(ふくおうきん)」という筋肉があります。 お腹が割れたように見える筋肉は腹直筋(ふくちょくきん)ですが、脊柱管狭窄症の場合は腹筋の中でも「腹横筋」を鍛え、椎骨にかかる負荷をサポートしましょう。 ・仰向けになり両膝を立てます ・腹式呼吸の要領で、息を大きく吸ったり吐いたりします ・息を吐くときに合わせて、お腹を限界までへこませます ・これを 10 回程度繰り返します POINT: 息を吐くときは口をすぼめるようにして、ゆっくり長く吐くようにしましょう。 2 ,ダイアゴナル 腹筋と背筋の中でも、「インナーマッスル」という姿勢を保つ筋肉を鍛える運動です。 ・四つ這いの姿勢で、背中が曲がったり反ったりしないようにします ・右手と左足をまっすぐ上げて 15 秒キープします ・次に左手と右足をまっすぐ上げて 15 秒キープします ・ 10 回程度繰り返します POINT: 手足を上げたときに、体が傾かないように意識しましょう。また、お腹をへこませるように力を入れると効率よく筋肉を刺激でき、反り腰の防止にもなります。 ストレッチや筋トレをする上での注意点 3 つ ストレッチや筋トレなどの運動療法は、正しい方法で行う必要があります。 そこで 、3 つの意識したいことと注意点を紹介します。 1 ,痛みがあるときは無理をしない 「痛みを我慢した方がよく効く気がする」と思われる方がいるかもしれません。しかし、痛みがあるのに無理して運動療法をすると、脊柱管狭窄症の症状を悪化したり、別の部位を怪我したりする危険性があります。 筋肉がつっぱる程度のストレッチに止め、痛みや痺れが出るまで無理をしないようにしましょう。 2 ,崩れた姿勢で行わない 運動療法は正しい姿勢で行わないと、怪我の原因となったり、狙った効果がえられなかったります。 脊柱管狭窄症のストレッチでは、「腰を反らない」という点が大切になります。お腹に力を入れることを意識すれば腰が反りにくいです。 3 ,継続して取り組む ストレッチや運動を実施して症状が和らいでも、脊柱管狭窄症の原因となっている脊椎の状態や姿勢は、すぐには元に戻りません。 そのため、症状が楽になる運動は、特に継続して取り組むのが大切です。 特に筋トレは継続しなければ筋肉がつきません。最低 1 ヵ月は継続しましょう。 まとめ・脊柱管狭窄症に合わせた正しいストレッチや筋トレで症状を和らげよう 脊柱管狭窄症の症状を和らげるためには、原因を理解して、状態に合わせたストレッチや筋トレをするのが大切です。 今回の運動療法は家でもできる簡単な方法ですので、症状が和らぐのを確認しながら、継続するようにしましょう。 また、脊柱管狭窄症は運動療法の他にも、薬物療法や生活の工夫などを組み合わせて治療をするのが基本です。 そのため、症状が気になる場合は整形外科を受診して、医師や理学療法士などの専門家による助言を受けながら実施するようにしましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S105 監修:医師 加藤 秀一
最終更新日:2023.06.30 -
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脳出血の後遺症、寝たきりにならないためのリハビリについて 脳出血とは、脳の中の血管が破れて頭の中で出血が起こる病気です。溜まった血液が神経細胞を圧迫することでさまざまな症状を引き起こします。 また、障害を受けた脳の神経細胞は一定時間を過ぎると障害を受けたままになり、元には戻りません。そのため脳出血になると手足が動かないなどの麻痺症状や、言葉の出にくさなどの後遺症を残すことが多いです。 これらの後遺症が重症であると、そのまま回復せず寝たきりになってしまう場合もあります。そのような寝たきりの状態にならないために重要となるのがリハビリです。 この記事では、脳卒中のリハビリについて、具体的にどのようなことを行うのか、回復過程までの流れを紹介します。 脳出血後のリハビリとは リハビリとはリハビリテーションの略で、日常生活の自立や介護の軽減のために行われるものです。 それぞれの状態に応じて理学療法や作業療法などを組み合わせて行い、基本的動作の回復を目指し、できるだけ発症前の生活に戻れるようにするのです。 脳出血後の回復する過程は急性期、回復期、維持期の 3 段階に分かれておりそれぞれの段階に応じたリハビリを行います。 脳出血の回復過程 1)急性期 2)回復期 3)維持期 1)急性期 急性期は脳出血の発症直後から 2 週間程度までの間のことを指します。脳出血の急性期は全身の状態がまだ不安定な時期のため、再び危険な状態に陥らないかどうか慎重に経過をみる必要があります。 しかし、だからといってずっとベッドの上で安静にしていると筋肉が衰えたり関節が動かしにくくなり体の運動機能が低下します。この状態を廃用症候群と呼び、廃用症候群は褥瘡(じょくそう)や感染症のリスクとなります。 急性期のリハビリはこの廃用症候群を予防するために、無理のない範囲で手足を動かしたり、ずっと同じ姿勢にならないように体位の交換を適宜行います。 また、神経細胞が障害を受けた後に回復や神経機能の再構築が望める期間は3ヶ月と言われています。そのため発症直後からリハビリを開始することで、脳の機能の回復や代償機能の獲得が期待できるのです。 2)回復期 回復期は急性期の期間が終了してから約 6 ヶ月までの期間のことを指します。急性期の不安定な状態を脱した状態であるため、生じた症状に応じてさまざまなリハビリが始まります。 回復期のリハビリの目的は発症前の日常生活に戻るために必要な動作や身体機能の強化をはかります。それぞれの退院後の生活をイメージして、どのような訓練が必要かを考えて個人個人に沿ったリハビリが必要です。 脳出血、運動機能のリハビリ 身体機能の強化をはかります。 具体的にはベッドから起き上がる・立ち上がる動作や、自分で車椅子に乗り移って使用する・支持棒などを用いて歩行を行うなど移動に関するものから、食事の動作やトイレでの動作など、日常を送るために欠かせないものまで行います。 回復期は急性期の期間が終了してから約6ヶ月までの期間のことを指します。急性期の不安定な状態を脱した状態であるため、生じた症状に応じてさまざまなリハビリが始まります。 筋力強化 安静にしていた期間に低下した筋力を回復する目的のリハビリです。自重のトレーニングや重さの負荷をかけて行います。 持久力強化 持久力の低下に対して行うリハビリです。ウォーキングやエルゴメーターを用います。 協調運動訓練 協調運動とは、何かの動作を行う際に体の部位ごとの力の入れ方を調整する機能です。このリハビリを行うことでバランスの取れた動作を行えるようになります。 基本動作訓練 基本動作訓練とは日常生活に戻るために必要な動作の訓練を行います。具体的にはベッドから起き上がる・立ち上がる動作や自分で車椅子に乗り移って使用するなどです。 歩行訓練 歩行機能の向上を図ります。支持棒や歩行器を用いて安定した歩行を行う練習を行います。 巧緻(こうち)動作訓練 手や指を用いた細かい動きの訓練を行います。お箸を使用する、文字を書くなどの練習を繰り返し行い手指の巧緻性を高めます。 移動などに関するリハビリは理学療法士が、食事や排泄に関する動作などは作業療法士が行います。 言語機能・嚥下機能のリハビリ 言葉がうまく出てこないなど失語の症状がある場合は、言葉を出やすくするようなリハビリを行います。円滑な会話をする訓練や、読み書きの練習などが主な例です。 嚥下とは食べ物を飲み込み、気管に詰まらせないようにきちんと胃に食べたものを送る機能のことを言います。この機能が低下すると口からご飯が食べられなくなり、気道に食べ物が入り込み肺炎を起こしてしまいます。 そうならないように口や喉、舌の筋肉を鍛える運動を行います。このようなリハビリは、言語聴覚士が行います。 高次脳機能障害に対するリハビリ 人間の脳の機能は呼吸など生命を維持するために必要不可欠な機能から視覚や聴覚、嗅覚などの機能などが備わっています。高次脳機能は記憶力や注意力、行動や感情のコントロールを行う機能でこれらが障害されてしまうことを高次脳機能障害といいます。 高次脳機能障害に対するリハビリでは、どのような症状が起こっているのかを正確に把握しそれに沿ったリハビリを行うことが重要です。 記憶力が障害されている場合は、言葉や絵を覚えて記憶力を鍛える訓練や、忘れても思い出せるようにメモを取ったり物を定位置におくなどする練習を行います。 注意力が障害された場合は計算など集中力を鍛える訓練などを行います。 また、高次脳機能障害がある場合は周囲の方の協力も必要になります。患者様本人がわかりやすいように使用する言葉を統一する、生活環境を整えるなどがあります。 神経細胞の障害の度合いやリハビリの開始の時期などの影響で、人によってはリハビリの効果があまり実感できない場合もあります。 しかし回復期のリハビリを怠ると身体機能がさらに低下し、もとの生活に戻れなくなる可能性が上がります。そのためリハビリを継続することがとても重要です。 3)維持期のリハビリ 維持期とは急性期と回復期を終えて、症状と障害がある程度安定した時期のことを言います。発症後 6 ヶ月以降に行われるリハビリを維持期リハビリテーションと呼び、自宅や施設に戻った後に行います。 維持期のリハビリの目的は、急性期や回復期のリハビリで回復した機能を維持することです。一度回復したからとそこでリハビリを終えてしまうと再度機能が低下する可能性があるため、継続してリハビリを行う必要があります。 また、脳出血を一度発症するとどうしても機能障害が残り、以前はすんなりと行えていた動作が簡単に行うことが難しくなるなど、生活の質が落ちてしまうことが多くあります。 そのようにならないために、またそういった生活の質を改善するということも維持期のリハビリの目的です。 まとめ・脳出血の後遺症、寝たきりにならないためのリハビリについて 脳出血後に行うリハビリについて紹介しました。脳出血後のリハビリはなるべく早く始めて、根気強く継続することが重要です。 また、周囲の方の理解と環境調整も患者様本人の生活の質の改善のために必要です。 少しでも発症前の生活に戻れるようにリハビリを継続していきましょう。ご参考になれば幸いです。 No.S106 監修:医師 加藤 秀一 ▼脳出血関係で以下の参考にされませんか 脳出血の治療方法と手術になったときの入院期間や費用について
最終更新日:2024.03.29 -
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鎖骨骨折の過ごし方|痛みはいつまで続くのか?を解説します 鎖骨骨折の発生要因と症状、治療、注意すべきポイントを紹介していきます。 鎖骨骨折は、どうやって起こるのか? 鎖骨骨折は、交通事故や転倒、スポーツ中などのスポーツ外傷として、鎖骨に対して強い衝撃が加わることで起こるケガです。骨折全体の中でもかなり多い骨折と言えるでしょう。 よく耳にするのが、自転車から落車。そして、鎖骨骨折をしてしまったという話やラグビーの試合中にタックルを受けて、肩から地面に倒れて骨折するスポーツ外傷など、いずれもコントロール不能な状態で肩を強打し受傷しています。 鎖骨骨折は、転倒した時に肩から落ちてその衝撃が鎖骨に伝わり受傷するパターン(介達外力)と、鎖骨を直接強く打って受傷するパターン(直達外力)があります。 受傷パターン ・肩から落ちるなど衝撃が鎖骨に伝わり受傷:介達外力 ・鎖骨を直接強く打って受傷:直達外力 このような鎖骨への力の加わり方の違いは、折れる場所などに影響してくるため、どのような状況で骨折したのか確認することが非常に重要です。 出典:一般社団法人 日本骨折治療学会( https://www.jsfr.jp/ippan/condition/ip03.html ) 鎖骨骨折の症状 鎖骨骨折の症状で特徴的なものは、骨折部の痛みと腫れ、腕を上に挙げられないなどの運動制限です。 さらに、鎖骨周囲には血管や神経が通っているため、骨折の程度によりそれらの組織を傷つけ、手指がしびれたり動かせなくなる場合もあります。 また、鎖骨は皮膚の上から触れるほど体表にあるため、骨折している場合は簡単に観察できます。 肌を露出することが可能であれば、骨折があるかどうか目で確認してみましょう。 鎖骨骨折した後の対応 鎖骨骨折をしてしまった、もしくは鎖骨骨折が疑われる場合の対処についてお話しします。 鎖骨骨折はすぐに受診を 鎖骨骨折が疑われる場合は、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。 なぜなら、症状の時にも述べましたように、鎖骨の骨片で大事な神経や血管を傷つけている可能性があるからです。その場合は、早急な対処が必要になります。 三角巾を使った鎖骨骨折の固定 また、そのまま固定もせずに無理に過ごしていると、折れた箇所がズレてしまい(転移)、骨癒合しにくくなることもあります。そうなると、手術をせざるを得ない状況になるのです。 早急に病院受診をおすすめしましたが、時間帯や日にちによっては専門の医療機関が空いていない場合もあります。 そんな時に使える鎖骨骨折後の応急処置として、三角巾での固定方法をお伝えします。 ①怪我した方の手を反対の手で固定してもらいます。(この姿勢が楽だと感じる人が多い) ②三角巾の頂点を骨折側の肘の下に挟み込むようにセットし、一方の端を反対の肩に回します。 ③他方の端を骨折側の脇の下を通すように背中側に回します。そうすると骨折側の腕を包み込むように固定できます。 ④首のところで両端を結び固定します。 ⑤頂点は肘の位置がズレないように結びます。 ⑥もう一つ三角巾を用意し、肘を体幹で固定するように巻くとぶれずに固定できます。 鎖骨骨折後の治療 ここまで、鎖骨骨折の発生要因や症状、鎖骨骨折後の対処についてお話ししてきました。それでは実際にどのような治療方法があり、どのような経過をたどるのでしょうか? 治療の方法は大きく2つに分けられます。一つは、体にメスを入れない保存療法、そしてもう一つは折れた骨同士を癒合させる手術療法です。 今回は、保存療法を中心にご説明します。保存療法が選択されるケースは以下です。 保存療法が必要となるケース ・単純骨折(骨片が2つ) ・骨片同士のズレが小さい ・骨形成率が早い子ども ・神経や血管、靭帯を損傷していない ・手術に対して抵抗がある 骨のずれが少ない場合は、鎖骨バンド(クラビクルバンド)と呼ばれるサポーターで固定をし、骨が繋がるのを待ちます。 出典:一般社団法人 日本骨折治療学会(https://www.jsfr.jp/ippan/condition/ip03.html) 鎖骨骨折の特徴として、胸の中心に近い方の骨片が上に移動し、外側の肩に近い方の骨片が相対的に下に位置することがあります。 そのため、バンドで胸の中心の方の骨片を上から抑えこむことで、そのズレを少なくし、骨を繋がりやすくします。通常であれば、2 〜 3 ヶ月もすれば、ある程度骨癒合(ひっつく)します。 ただ、鎖骨バンドを早期に外してしまったり、つけ方が甘かったり、早くから腕を動かし過ぎたりすると、骨が癒合するのが遅れ、遷延治癒(※)となることもあるので注意が必要です。 (※遷延治癒・・・一定期間が経過しても治らない状態) 鎖骨骨折の完治までの期間は? 鎖骨骨折は、およそ全治 3ヶ月と言われています。また、骨折部自体の痛みは 1ヶ月でかなり軽減し、2ヶ月頃には、ほとんど感じなくなる人も多いです。 腕をしっかり上まで挙げると鎖骨も大きく動くため、痛みが出ることもありますが普段の日常生活では、ほとんど痛まなくなるでしょう。 しかし、ズレが大きい場合、治療内容によっては 3ヶ月より長くかかることがあります。専門医と相談の上、適切な治療方法を選ぶよう心がけましょう。 鎖骨骨折後に気をつけること 最後に鎖骨骨折後に気を付けるポイントを2つご紹介します。やはり不便な場面は出てきますが、以下の注意点をしっかり守ることが早期治癒に繋がります。 ①鎖骨骨折後の日常生活ではとにかく腕を挙げないこと 鎖骨は腕(上肢)を動かすための、非常に重要な骨です。鎖骨が動かせなければ、腕はほんの少ししか上がりません。 腕を大きく挙げようとすれば鎖骨は動く、ということです。つまり、鎖骨が折れている状態で腕を大きく動かせば、鎖骨は自ずと動き、ズレようとする力が働くため、強い痛みが出てしまい、さらには骨の癒合を邪魔してしまいます。 そうなると、治りが遅くなり肩の動きが悪くなる後遺症が残る可能性もあります。 また、偽関節ができてしまい、力が入りづらくなることも考えられます。そのため、鎖骨骨折後の早期は手術の有無に関わらず、腕を挙げる行動を控えることが重要です。 ②鎖骨骨折後は寝方にも注意 鎖骨骨折後の早期は、寝る姿勢にも注意しなければなりません。 基本的に仰向けか患部を上にした横向きで寝ることが推奨されています。その際、骨折した側の腕が動かないようにバンドや三角巾などで固定しておくとよいでしょう。 仰向けで寝る場合は、肘が下に落ち過ぎて肩に負担がかかる場合もありますので、バスタオルを折り畳んだものを骨折側の肘の下に敷いておくと安定感が得られます。 車の運転はいつからいいの? よく聞かれる質問の一つに、「車の運転はいつからしていいのか?」というものがあります。 一人一人骨の繋がり具合や手術の有無によって差があるので一概には言えませんが、腕をしっかり挙げてOKと医師から許可が出た頃から練習をし始めるのがいいでしょう。 運転では、やむを得ず急ハンドルを切る場面が出てくるかもしれませんし、大きいカーブでは腕が上がる動作も加わります。 予測できないハンドル操作が出てくることも考えると、少なくとも1ヶ月半〜2ヶ月程度は我慢した方が良さそうです。 とにかく、鎖骨骨折をしてしまったら、自分で判断せずに専門の医療機関に診てもらい、骨折後や手術後すぐに肩を大きく動かす動作は避けましょう。 骨の繋がり状況は、レントゲンなどによって判断されるので、医師の指示のもと、段階的に動かすよう心がけましょう。 まとめ・鎖骨骨折の過ごし方|痛みはいつまで続くのか? 今回は、鎖骨骨折について発生要因や症状、治療方法、過ごし方などについてご紹介しました。 骨折の中では頻度が高い鎖骨骨折ですが、その予後は良く、医療機関の指示を守って生活すると大部分は前と同じように動かせるようになります。 鎖骨骨折そのものは、交通事故やスポーツ外傷などで発生しやすい怪我の一つです。 骨折するパターンとしては介達外力と直達外力の二種類があり、これによって治療法や経過に影響が出ます。症状は痛みや腫れ、腕の運動制限などで現れ、いずれも早めの受診が重要となります。 治療方法は保存療法と手術療法に分かれ、保存療法では鎖骨バンドの使用が一般的です。また、日常生活では腕の挙げ方や寝方にも注意が必要です。 骨の繋がり具合や手術の有無によって完治までの期間や注意点が異なるため、専門医の指示に従い、段階的な動作復帰を心がけましょう。 尚、鎖骨の骨片で大事な神経や血管を傷つけている可能性もあるため、骨の繋がり状況を確認しながら段階的に治療に取り組むことが完治への一番の近道、早く治すために有効です。 鎖骨骨折が疑われる場合は、手術をせざるを得ない状況も考えられますので「大丈夫だろう」と自分の判断で無理されることなく早めに医療機関を受診してください。 No.103 監修:医師 坂本貞範 ▼以下も参考にされませんか 鎖骨骨折の症状!?見た目の特徴、治療法と後遺症
最終更新日:2024.04.24 -
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手根管症候群|手のしびれ放置はNG!手術と仕事復帰までの期間 「手のしびれがあるけど原因が何か知りたい」 「手のしびれは放っておいても大丈夫なの?」 このような疑問を持つ方はいませんか?手のしびれはもしかすると手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)が原因かもしれません。 この記事では、手根管症候群について紹介し、手術や必要な費用と仕事復帰までの流れを解説します。 手がしびれて気になる方は、ぜひ参考にしましょう。 手根管症候群とは?原因や症状、治療について 手根管症候群とは手首を通る神経(正中神経)が圧迫されたり、しめつけられたりして、神経の障害を引き起こす状態を言います。 正中神経は手首の骨や屈筋支帯(くっきんしたい)と呼ばれる靭帯でできたトンネルを通ります。 このトンネルを手根管と呼び、手根管の圧が高まることが症状を引き起こす原因になるため、手根管症候群と呼ばれます。 手根管症候群の原因 特発性と呼ばれ原因不明である場合が多いです。 以下のようなものが原因の1つと考えられています。 ・閉経 ・妊娠や出産 ・アルコールの多飲 ・腎臓病による透析 ・糖尿病 ・骨折や変形 ・腫瘤(こぶ) ・腱鞘炎(手の使い過ぎ) など 中高年の女性、手を酷使する職業やスポーツをする人に症状がでやすいとされています。 手根管症候群の症状 症状の出始めは、人差し指や親指の手のひら側にしびれやピリピリ感、痛みがあり、進行すると中指や薬指まで症状が広がります。 手根管症候群は手首を手のひら側に曲げると手根管にかかる圧が増えて上記の症状が悪化します。症状は夜中や明け方に強いのも特徴で、しびれや痛みが強まると手をふることで症状が和らぎます。 重症になると親指の付け根がやせてしまい、オッケーサインをしようとしても、うまく丸が作れなくなります。 しびれがあっても、すぐに元に戻り再発しないものは、足がしびれたときのように一時的に血行が悪くなっただけで心配ないです。 しかし、上記のようなしびれや痛みは放置すると症状が悪化して、重症化してしまいます。放置をせずに症状が気になる場合は、すぐにお近くの整形外科を受診しましょう。 手根管症候群の治療法 発症してすぐのため症状が軽かったり、妊娠していたりする場合は、手術をしない保存療法をします。 保存療法では手首を少しそらして固定する装具を使ったり、日常生活で手首に負担のかからない工夫をしたりします。 また、ステロイドを注射したり、痛み止めや神経の働きをよくするビタミンB12を服用したりして痛みやしびれの軽減を図る場合もあります。 保存療法で症状が改善しない場合や痛みが強い場合に選択されるのが手術療法です。 手術については次の見出しで詳しく解説します。 手根管症候群の手術内容や費用 手根管症候群の手術は以前に比べ短時間で、負担が軽くなっています。 そこで手術の具体的な内容や手術に必要な費用の目安を紹介します。 手根管症候群の手術とは 手術療法は、手根管開放術と母指対立再建術の二種があります。 手根管症候群の手術は手根管開放術と呼ばれ、屈筋支帯を切開して、神経の圧迫を取り除くのが目的です。 以前は手のひらから手首にかけて大きく皮膚を切っていましたが、今は内視鏡と呼ばれる小型のカメラ付きの管を挿入して手術をするため、短時間かつ小さな傷ですみます。 また、親指の筋肉がやせて力が入りにくくなっている場合は、親指の筋肉を別の部分から移行して再建する母指対立再建術が適応です。 さらに、腫瘤を取り除く必要がある場合は、皮膚を切開して腫瘤を取り除きます。 手術にかかる費用の目安 手術にかかる費用は、開放術の場合、概ね 12,000円から 30,000円です。 内視鏡を使用する場合は、使用しない場合に比べてやや金額があがります。 また、母指対立再建術を同時に実施する場合は、さらに費用が高くなります。 手根管症候群の手術から仕事復帰までの期間 内視鏡下で行う手根管開放術では、手術時間は 30 分もかからず、日帰りで終わる場合も少なくありません。そのため、長期間の入院で体が衰えることもなく、早期の社会復帰ができます。 母指対立再建術の場合は 1 〜 2 週間の入院をして、手術後には 1 週間程度の固定が必要です。 内視鏡手術後は翌日以降から痛みのない範囲であれば安静にする必要はなく、通常の生活が可能です。 ただし、神経が圧迫されて損傷したために起こるしびれがある場合、手術をしてもしびれが回復するのは半年程度かかる場合もあります。 1 週間ほどは傷口を水に濡らさないようにする必要があるため、水仕事が必要な仕事は行わないようにしましょう。 力仕事やタオルを絞ったりするのは手術部に負担がかかるため、術後 1 カ月程度を目安に控えるようにしましょう。 母指対立再建術の場合は、手術後に約 1 カ月の固定をする必要があるため、仕事復帰もそれ以降になります。 これらの期間は手術した病院や手術後の状態によって、ずれがありますので、医師に詳しく確認しましょう。 手根管症候群のしびれは放置せずに早めの受診が重要/まとめ 手根管症候群でしびれや痛みがある場合、適切な治療をしなければ症状が進行します。単なるしびれだからといって放置するのは危険です。 毎朝起床時にしびれる、しびれが続いて治らないなどの場合は、できるだけ早く整形外科を受診しましょう。 最近では短い時間で済む手術も増えています。 進行すると手術費も入院期間も増えてしまいますので、状態の進行を防ぐことが大切です。 この記事を参考にして、手根管症候群の悪化を防ぎましょう。 No.105 監修:医師 坂本貞範
最終更新日:2023.06.30