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アキレス腱が切れる!アキレス腱断裂の前兆・危険信号について アキレス腱はわたしたちの体の中で、最も強靭といわれている靭帯です。断裂してしまうと、手術やギプス固定による長期間の治療が必須であり、日常生活に大きく影響を与えます。実はアキレス腱断裂には、予兆があることがあります。予兆を知っていれば、断裂を防ぐために予防もできるでしょう。 今回はアキレス腱が切れる予兆と、その原因について詳しく解説します。疑わしい場合のアキレス腱断裂テストについてもお答えしています。ぜひ参考にしてください。 アキレス腱断裂とは アキレス腱断裂は30代から40代に最もよく起こる外傷です。 若い人ではスポーツによって受傷することが多いですが、40代以上では、日常生活のちょっとした動作で断裂してしまうこともあります。 アキレス腱断裂は、当初は歩くことができる場合もあり、整形外科を受診しないと、見逃されてしまうこともあります。ですが、放置すると後遺症を残す可能性が非常に高いため、しっかりと治療することが大切です。 健常なアキレス腱は、約1トンもの張力に耐えられるといわれています。しかしアキレス腱も、歳を重ねると徐々に老化してきます。アキレス腱はコラーゲン繊維でできているため、だんだんと硬くなり、柔軟性がなくなるのです。高齢になってから起こるアキレス腱断裂は、このように老化したアキレス腱が原因になっている場合も多くあります。 若年者でも、スポーツによる繰り返しのストレスが、アキレス腱を痛めてしまうことがあり、傷んだアキレス腱は断裂しやすくなります。 アキレス腱断裂の前兆 アキレス腱断裂の前兆として、アキレス腱周囲に痛みや腫れなどの症状や異変がある場合があります。 アキレス腱断裂を引き起こす状況や症状について解説していきます。 立ち仕事がアキレス腱に与える影響 老化や過度なスポーツ以外にも、アキレス腱断裂の危険性を高める要因があります。それは、日常生活でのアキレス腱への負荷です。 特に長時間の立ち仕事は、アキレス腱にストレスをかけ続けます。その結果、アキレス腱自体に小さな傷がついたり、アキレス腱の周囲に炎症を起こしたりします。これをアキレス腱炎、アキレス腱周囲炎と呼びます。 アキレス腱炎やアキレス腱周囲炎は、当初は立っているときやスポーツした時などに痛みが起こりますが、進行すると安静時にもアキレス腱周囲に痛みが出現します。 以下のようなアキレス腱のまわりの炎症は、腱自体の強度を落とすため、アキレス腱断裂の危険因子です。 アキレス腱断裂の危険因子 ・過度なスポーツや老化 ・日常生活でのアキレス腱への負荷 ・長時間の立ち仕事 ・アキレス腱炎、アキレス腱周囲炎の進行 「ふくらはぎ」の痛みや足のむくみはアキレス腱断裂への危険信号! アキレス腱周囲に炎症が起こると、ふくらはぎや踵に痛みがでます。特に、動き出しや、朝(起床時)の1歩目が痛いとおっしゃる方が多いです。 また、アキレス腱が全体的に腫れていたり、コブ状に盛り上がったりする場合もあります。これもアキレス腱断裂の危険信号です。 さらに過度な足の浮腫み(むくみ)も、アキレス腱断裂の可能性を示す予兆となり得ます。浮腫みは血液やリンパ液の流れが悪くなることで起こります。その結果アキレス腱への血液供給が不足し、ストレスを受けたアキレス腱が十分に修復されなくなってしまいます。 アキレス腱断裂の危険信号 ・ふくらはぎや踵に痛みがある ・動き出しや起床時の1歩目に痛みを感じる ・アキレス腱の全体の腫れ、コブ状の盛り上がりがある ・過度の足の浮腫みがある アキレス腱断裂の前兆に気付いたら アキレス腱周囲の痛みや腫れなど、アキレス腱周囲に症状がある場合は、まず負荷のかかるスポーツや日常生活動作を中止しましょう。痛みがあるけど、無理して運動をするのはとても危険です。アキレス腱周囲炎の治療の基本は安静です。また踵を高くした靴を用いて、アキレス腱への負担を軽減する方法もあります。 また、アキレス腱断裂をしてしまった人は、ストレッチを行っていなかったという研究もあり、アキレス腱への負荷を軽減するために日常的なストレッチを取り入れることをお勧めします。 そして、早期に整形外科を受診することをお勧めします。ときどきステロイドの注射を打ってほしいという患者さんがいますが、ステロイド自体がアキレス腱の断裂の危険性を高めてしまうため、アキレス腱周囲炎に対しては行いません。 まずは整形外科を受診し、専門医の正しい指示を仰ぎましょう。 アキレス腱断裂についてよくあるQ&A 以下は、アキレス腱断裂について、よくお聞きする質問から抜粋して解説しました。 Q:「服用しているとアキレス腱断裂を起こしやすい薬」があると聞いたのですが、本当? A:フルオロキノロン系の抗菌薬を長期間服用していると、アキレス腱の変性を誘発し断裂が起こりやすくなるという報告があります。 しかし、抗菌薬は必要時に短期間処方されることが多いので、日常的に心配しすぎる必要はありません。ただし、長期間に及ぶ場合は注意が必要です。 Q:アキレス腱断裂テストは簡単にできますか? A:アキレス腱断裂テストは一般的に、「トンプソンテスト」と呼ばれています。整形外科の診察でも行います。自分でやるとなかなかうまくいかないので、2人でやるのがいいと思います。 トンプソンテスト ①まずうつ伏せになり、膝を曲げます。 ②そのまま力を抜いた状態で、ふくらはぎを握って圧迫した際に、足首が動くかどうか確認します。 ③アキレス腱が切れていない場合は、足首が下向きに動きますが、切れていると動きません。 まとめ・アキレス腱が切れる予兆の症状とその原因 アキレス腱断裂は、日常生活の中で誰にでも起こりうる怪我です。一度起こしてしまうと、元の生活に戻れるまでには長期間の治療を必要とします。 特に30代から40代にかけて多く見られる外傷であり、スポーツ活動中や日常生活のちょっとした動作でも発生することがあります。アキレス腱は強靭な靭帯ですが、老化や過度の負荷によりその強度が低下し、断裂のリスクが高まかねません。 アキレス腱断裂には前兆があります。 これらを知ることで予防することが可能です。主な前兆には、アキレス腱周囲の痛みや腫れ、ふくらはぎや踵の痛み、動き出しや起床時の1歩目の痛み、アキレス腱の腫れやコブ状の盛り上がり、足の過度なむくみなどがあります。これらの症状が見られる場合は、アキレス腱に負担をかける動作やスポーツを中止するなど早期に対処することが大切です。 長時間の立ち仕事や日常生活でのアキレス腱への負荷も、アキレス腱断裂の危険因子となります。 特に、アキレス腱炎やアキレス腱周囲炎といった症状が進行すると、断裂のリスクが高まります。これらの症状が見られる場合は、アキレス腱への負担を軽減するために安静にし、必要に応じて踵を高くした靴を使用されることをお勧めします。 アキレス腱断裂を防ぐためには、日常的なストレッチや適切なトレーニングも重要です。研究によれば、アキレス腱断裂を経験した人の多くがストレッチを怠っていたとの報告があります。したがって、日常的にアキレス腱の柔軟性を保つためのストレッチを取り入れ、予防につとめてください。 もしアキレス腱周囲に異常を感じた場合は、速やかに整形外科を受診し、専門医の指導を受けることが大切です。適切な診断と治療を受けることで、アキレス腱断裂を防ぎ、健康な日常生活を維持することができます。 アキレス腱断裂の予兆を覚えておくと、休息を取るタイミングを見極められるようになります。痛みやむくみなど症状が出ている場合は、無理をせずしっかりと対策をしましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S131 監修:医師 加藤 秀一 ▼以下も参考にされませんか アキレス腱断裂の予防と再発予防策を医師が解説!
最終更新日:2024.05.14 -
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アキレス腱断裂の全治期間!スポーツ、仕事への復帰と歩けるまで アキレス腱断裂は、足首を伸ばす力の伝達を担うアキレス腱が完全に切れてしまう怪我で、手術をしない保存療法とアキレス腱を縫合する手術療法の選択肢があります。 それぞれの治療では歩けるまで、もしくはスポーツ復帰までにはどのくらいかかるのでしょうか。治療方針を選ぶためには、治療の具体的な内容について知っておく必要があります。 この記事では保存療法と手術療法における歩行や仕事復帰までの経過、全治期間などについて詳しく解説していきます。 保存療法と手術療法の比較 どちらの治療を選んでも長期的には良好な経過が得られることが多いのですが、手術の方が歩行やスポーツの復帰までの期間が短く、再断裂の可能性も低いことがわかっています。 しかし、手術は傷の痛みや感染症、神経損傷のリスクもあるので、保存療法で治したい方も多いと思います。そこで以下に具体的な期間を詳しく解説していきます。 ギプス固定期間 アキレス腱断裂では足関節を反らすと断裂した腱同士が離れてしまい、くっつかないため足関節を伸ばした状態でギプス固定を行います。 手術では腱同士を縫合しているのでギプス固定は腱に負担がかからないようにすることが目的で期間は1〜2週間程度です。保存療法ではそれより長く2〜4週間程度ギプス固定されることが一般的です。 ギプス固定期間 ・手術療法:1〜2週間程度 ・保存療法:2〜4週間程度 松葉杖の期間 足首を伸ばした状態でギプス固定を行うので、ギプス固定のうちは上手く歩くことが難しく、松葉杖を使用することが必要です。 そのため、どちらの治療でもギプス固定の期間は松葉杖を使用することになります。 装具の期間 ギプスを除去してからはアキレス腱断裂用の装具(アキレスブーツ)を使用します。 ギプスでは足関節を動かすことや、角度の調整が不可能で歩行することができませんが、装具を使用することにより、踵を付けて歩行することが可能になります。 装具の特徴としては、踵の高さが調節できることで、初期は踵が高い状態で腱への負担を減らしますが、徐々に踵の高さを低くして通常の歩行ができるように調整していきます。 装具を使用する機関医ついて手術療法では1〜2週間後から開始して、6〜8週間程度で装具の装着を終了します。保存療法になると2〜4週目から装具の使用を開始することになり、その後約1ヶ月程度使用することになります。 装具の期間 ・手術療法:1〜2週間後から装具を使用し、6〜8週間程度 ・保存療法:2〜4週目から装具の使用し、約1ヶ月程度 歩行までの期間 一般的にギプスを外して装具を着用できた段階で歩行することが可能になります。ただし、装具を着用してすぐの段階では、踵が高く歩行が不安定なので松葉杖の併用をおすすめします。 車の運転について アキレス腱が断裂している際の車の運転については明確な取り決めはありません。しかし、一般的にギプス固定や装具を着用している状態では運転することはおすすめできません。 もし交通事故を起こしてしまった場合には怪我による過失を指摘される可能性もあるので、ギプスや装具を終了して日常生活について問題なく過ごすことができるようになってから運転を開始することがよいでしょう。 最終的には自己責任になってしまうので、運転時期については医師とも十分相談するようにしましょう。 スポーツ復帰までの期間 スポーツ復帰については、手術を受けた場合は3ヶ月、保存療法を受けた場合は6ヶ月以上の期間を要するとされています。そのため最短でスポーツ復帰をしたい方は手術療法がお勧めされます。 また早く確実に治すためには、どちらの治療法でも医師や理学療法士の指導を守り、徐々に負荷を増やしていくトレーニングを行い、無理をしないように注意することが大切です。 スポーツ復帰までの期間 ・手術療法:3ヶ月程度 ・保存療法:6ヶ月以上 仕事復帰までの期間 仕事復帰までの期間は業務内容によって異なります。 事務作業であれば座った状態で行えるので松葉杖、装具で歩行できている段階で可能ですが、走ったり、重いものを運んだりする重労働では、スポーツ復帰できるまで筋力が回復した時期からの復帰をお勧めします。 アキレス腱断裂についてよくあるQ&A アキレス腱断裂について良くご質問頂く内容を以下に記載しました。 Q, 痛み、腫れはいつまで続きますか? A, 術後の痛みや腫れが完全になくなるまでは個人差があります。 手術を受けてから抜糸をするまでは1〜2週間程度ですが、その後も傷、腱を治す過程で炎症が起こっているので1ヶ月から2ヶ月程度かかることもあります。 Q, 装具の歩き方、調整方法について A, アキレス腱断裂用装具は踵に着脱できるヒールが付いており、段階を追って徐々にアキレス腱を伸ばすことができるようになっています。 治療開始直後はアキレス腱への負担を減らすために踵が高い状態で歩く必要があるので、つま先立ちの形で歩行することとなります。この状態で上手に歩けない方は松葉杖を使用するとよいでしょう。 治療が進むと徐々にアキレス腱に負担をかけてもよくなるため、踵を少しずつ低くしていき、最終的に装具を終了します。装具の調整は医師と相談しながら行うようにし、ご自分で調整しないようにすることが必要です。 Q, お酒の解禁はいつからですか? A, アルコールを摂取すると血流が増加するので、出血や腫れが悪化してしまう要因となります。そのため怪我をしてから腫れが落ち着くまでの数週間、手術を受けた方では抜糸をして傷がしっかり治るまでは摂取しないようにしましょう。 まとめ・アキレス腱断裂の全治期間とは?仕事復帰や歩けるまでどのくらい? アキレス腱断裂の治療には、保存療法と手術療法があります。それぞれの方法によって歩行やスポーツへ、復帰までの期間が異なります。またギプス固定の期間も異なるため、歩行や仕事への早期復帰を考えると手術療法にメリットがあります。 保存療法ではギプス固定や、装具の使用が必要であり、手術療法では手術後のリハビリが重要です。スポーツ復帰までの期間は手術療法が早く、保存療法よりも短いものの、症状によっては医師の指示に従い、無理をせず徐々に回復を目指しましょう。 また、仕事復帰までの期間も業務内容によって異なるため、医師との相談が必要です。治療期間的には手術療法が勝りますがリスクもあるので、ご自身の目的をしっかり考えて治療を選ぶようにしましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.131 監修:医師 坂本貞範 ▼以下もご覧いただけます アキレス腱断裂の手術の流れと注意点|入院期間と費用について
最終更新日:2024.05.10 -
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アキレス腱断裂の治療、手術と保存療法どちらがよい?失敗しない選択肢! アキレス腱は、腓腹筋とひらめ筋という、ふくらはぎの筋肉から踵の骨につながる強力な腱で人体で最も太い腱です。中高年者に多く、激しい運動やスポーツ中の突然の動作、あるいは転倒などが原因で発生することがほとんどです。 アキレス腱は足首の動作に関与するので、断裂してしまった場合には歩行が困難になり、生活に支障をきたしてしまうことがあります。 アキレス腱断裂の治療には、手術と保存療法があり、どちらの治療を選んでも適切に行うことで完治することができます。 しかし、手術と保存療法のどちらを選択するかには保存療法で失敗するリスクや歩けるまでの期間の比較、手術の合併症などの正確な情報を知っておく必要があります。 この記事では、アキレス腱断裂の治療方法について、それぞれのメリットとデメリットを詳しく説明し、失敗しない選択肢について解説します。 アキレス腱断裂の診断方法 アキレス腱が断裂した時には、「ふくらはぎをバットで叩かれた感じ」や、「ボールが当たった感じ」などの衝撃を感じることが多く、「破裂したような音がした」など断裂時の音が自覚できている場合もあります。 断裂した部分は凹みができ、レントゲン写真は明らかな異常がないことがほとんどです。問診と診察で診断は可能ですが、診断が難しい場合や、治療中の腱の治癒過程を観察するためにエコーやMRIが用いられることもあります。 アキレス腱断裂の治療方法について 保存療法と手術療法があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。どちらの治療でも成績は良好で1年後の状態はほとんど同じなのですが、患者さん毎に状況は異なるので、治療の特徴を理解して主治医とよく相談することが必要です。 保存療法のメリット、デメリット 保存療法では、まずギプス固定を行ってから、アキレス腱断裂専用のヒールの調節が可能な踵を高くした装具を着用して歩行練習を開始します。 保存療法のメリットとして、入院や手術が不要なので費用が安い点と、手術による合併症のリスクがなく安全であるという点があります。 デメリットとして、ギプスの固定期間が長く、ギプスを終了してから歩行を開始するので歩行の開始時期が遅くなること、再断裂率が手術と比較して高いことが挙げられます。 メリット ・入院や手術が不要なので費用が安い ・手術による合併症のリスクがなく安全 デメリット ・ギプスの固定期間が長く、ギプス終了後の歩行の開始時期が遅くなる ・再断裂率が手術と比較して高い ギプスの固定期間は医療機関によって幅がありますが、4週間〜6週間程度のことが多く、装具を終了してスポーツを開始できるまでに4〜6ヶ月程度かかります。 手術治療のメリット、デメリット 手術治療では断裂したアキレス腱を縫合しますが、大きく直視化縫合術と経皮的縫合術という傷が小さい手術の2つに分けられます。行っている手術は病院ごとに異なるので、詳しい内容は病院に問い合わせるようにしましょう。 手術治療のメリットは再断裂率が低く、ギプス固定の期間が短く、スポーツ復帰までの期間が早いことです。デメリットとして手術の合併症である傷の感染症、神経損傷などのリスクがあることと、手術代+入院費用がかかることが挙げられます。 スポーツ復帰までの期間は手術内容によりますが、3〜5ヶ月程度です。 メリット ・再断裂率が低い ・ギプス固定の期間が短く、スポーツ復帰までの期間が早い デメリット ・手術の合併症である傷の感染症、神経損傷などのリスクがある ・手術代、入院費用がかかる アキレス腱断裂についてよくあるQ&A アキレス腱断裂でよく頂く質問を以下に記載しました。 Q.アキレス腱断裂の保存治療と手術治療の復帰までの期間の違いはどのくらい? A.ギプス固定の期間は医師により異なりますが、通常の保存治療では4〜6週間程度ギプス固定を行います。その後装具をつけて歩行練習、足関節の可動域訓練を行います。 装具の踵の高さを少しずつ調節していき、足関節を十分に反らすことができるようになったころに装具を終了します。装具を終了できるまでは約4〜5ヶ月でスポーツ復帰までは6ヶ月程度です。 手術治療では術後1〜2週間程度ギプス固定を行い、その後装具を使用して歩行練習を開始します。装具を終了できるまでは6〜8週程度で、スポーツ復帰は3〜5ヶ月程度です。 ただし、治療の詳細は患者さんの状態、病院ごとに異なるので医師に確認するようにしましょう。 Q. アキレス腱断裂は保存療法と手術治療のどちらがおすすめですか。 A.患者さんの目的と、医師の考えによるため完全な正解はありません。目安として、競技レベルのスポーツをしており、早期の復帰を希望する方や再断裂を起こしたくない方は手術治療のよい適応です。 一方で、日常的にスポーツをしていない方や手術の合併症が気になる方は保存治療を選択してもよいと考えられます。 Q.アキレス腱が再断裂する可能性はそれぞれの治療でどの程度ですか。 A.様々な研究のデータを集めて解析した質の高い論文では再断裂率は手術で3.6%、保存療法で8.8%と保存療法の再断裂率が高い結果でした。 日本整形外科学会のガイドライン2019年版でも再断裂率は保存療法で高いと記載されており、再断裂のリスクを下げたい方は手術治療が適していると言えます。 まとめ・アキレス腱断裂の治療、手術と保存療法!失敗しない選択肢! アキレス腱断裂の治療方法として、手術と保存療法があります。どちらを選択するかは患者の状況や希望によって異なりますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。 保存療法は手術や入院が不要で費用が安く、手術による合併症のリスクもないという利点がありますが、ギプス固定の期間が長く、再断裂率が高いというデメリットがあります。 一方、手術治療では再断裂率が低く、スポーツ復帰までの期間が早いという利点がありますが、手術に伴う合併症や費用がかかるというデメリットがあります。 治療方法の選択に際しては、患者自身の状況や希望を考慮し、主治医とよく相談することが重要です。 一方で手術に伴う合併症の可能性もあるので、ご自身の予定や治療の目的などをはっきりとさせて治療に臨むことが必要です。この記事を参考にしてご自身の治療に役立ててください。 No.S129 監修:医師 加藤 秀一 ▼以下も参考されませんか アキレス腱断裂でも手術しない再生医療!最新治療と効果について
最終更新日:2024.05.14 -
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アキレス腱断裂は放置しない、応急処置と検査から治療を解説 アキレス腱断裂は、スポーツ中などに起こることが多い怪我です。ただし、主に40代以上の方では、スポーツをしていなくても、日常生活で断裂してしまうこともあります。 いずれ治るだろうと放置すると、歩行困難や慢性的な痛みなどの後遺症が発生する可能性があります。 今回は、アキレス腱断裂の症状や、応急処置、ギプスによる固定方法、後遺症などについて詳しく解説します。 アキレス腱断裂は断裂音がするってほんと? アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉である下腿三頭筋と、かかとの骨をつなぐ、体の中でもとても太い腱です。このアキレス腱が断裂してしまうと、かかと周辺に強い痛みを生じます。 実際に怪我をされた人からお聞きすると、以下のような経験をされる方が多いようです。 「後ろから誰かに踵を蹴られたような気がしたほどの強い衝撃と痛み」 「ブチッという断裂音」を自覚することもあります。 断裂直後は、歩行困難になる場合も多く、徐々に腫れや内出血が出現してきます。 アキレス腱断裂直後の応急処置 アキレス腱断裂かなと思ったら、運動中の場合は直ちに中断し、歩行はしないようにしましょう。また、固定できるものがある場合は、足首を動かないように固定できると良いです。 腫れや痛みを防ぐため、足を心臓より高くして、足首を氷などで冷やすことも有効です。 アキレス腱断裂かな?と思ったら ・運動中の場合は直ちに中断 ・歩行しない ・足首を動かないように固定する ・足を心臓より高くし、足首を氷などで冷やす アキレス腱断裂を放置することによる後遺症とは アキレス腱断裂は放置すると、歩行困難となる場合があります。 アキレス腱を断裂してしまうと、足首を動かす動作で重要な役割を果たすふくらはぎの筋肉である、下腿三頭筋がうまく機能しないため、つま先立ちはもちろん、立ち上がりや階段昇降が難しくなる可能性があります。 また、断裂した部位が治癒しないままになると、慢性的な痛みが残ることもあります。時間が経過すると、ふくらはぎの筋肉である下腿三頭筋が徐々に痩せて、筋肉が萎縮してしまいます。 そのため、早期に適切な治療を行うことが必要であり、放置せずなるべく早く整形外科を受診するようにしましょう。 アキレス腱断裂の検査方法 アキレス腱断裂は、視診や触診だけでも、ある程度判断することができます。アキレス腱が断裂した部位には、delle(デレ)と呼ばれる凹みがあり、皮膚表面からでも触れることができます。 また、うつ伏せになり、ふくらはぎを圧迫した際に、足首が動くかどうか確認するトンプソンテストを行います。 アキレス腱がつながっていれば、ふくらはぎを圧迫すると自然に足首が動きますが、アキレス腱断裂の場合、ふくらはぎを圧迫しても足首は動きません。 超音波でも、アキレス腱の断裂を確認することができます。ほかに骨折がないかどうか、レントゲンを撮影したり、触診でわかりづらい場合は、MRI検査を行ったりすることもあります。 アキレス腱断裂の治療 アキレス腱断裂の治療方法は、手術を行わずにギプスや装具を用いて治療する保存療法と、断裂したアキレス腱を直接糸で縫合する手術療法に分けられます。 どちらが良いのかは、十分に担当医と相談して決定するべきでしょう。 保存療法 保存療法では、断裂したアキレス腱が離れていかないように、足首を底屈(つま先立ちする際の方向)にした状態でギプス固定を行います。その後、専用の装具を用いて、徐々に歩行練習などを行います。 手術療法 スポーツ選手や若年者など、活動性が高い人は手術を行うことが多いです。ただし、手術をしたとしても、すぐにスポーツが可能になるわけではなく、保存療法と同じく専用の装具を用いた治療期間を必要とします。 再断裂するリスクは手術療法の方がやや低いですが、どちらも再断裂の危険性はあります。また、手術を行うと細菌感染などのリスクも生じます。 アキレス腱断裂についてよくあるQ&A アキレス腱断裂について、よくお聞きする質問をまとめました。 Q:いつからスポーツ復帰できますか? スポーツの復帰時期には個人差がありますが、一般的には保存療法の場合は6か月程度、手術療法でも4カ月程度の治療期間は要することが多いです。復帰してからも、徐々に運動強度を上げていく必要があり、再断裂を防ぐための筋力トレーニングなど、リハビリは必須です。 Q:手術はどのような方法で行いますか? 手術は、基本的には腹臥位(うつぶせ)で行います。アキレス腱の断裂している部分に近い皮膚を切開し、直接アキレス腱に糸をかけて縫い合わせます。縫い方にはいくつかの方法があり、いずれを選択するかは医師の判断によりますが、いずれの方法でもしっかりと縫合できます。 全身麻酔や腰椎麻酔(下半身麻酔)で行うことが多いですが、局所麻酔のみで、日帰りで行っている病院もあります。 まとめ・アキレス腱断裂は放置しない!応急処置と検査から治療を解説 アキレス腱断裂はスポーツを行う方だけでなく、誰にでも起こりうる怪我です。 ただ、放置すると歩行困難や慢性的な痛みなどの後遺症が生じる可能性があります。そのため、早期の適切な治療が必要となります。発症直後は、運動の場合は中止し、足の固定、冷やすことが大切となります。 医療機関では視診や触診、トンプソンテスト、超音波、MRIなどを使って診断します。アキレス腱断裂の治療方法は、保存療法と手術療法があり、担当する医師とよく相談し、適切な選択をしましょう。 再断裂のリスクや手術に伴う合併症も考慮しながら治療を進めることが重要です。 治療期間は長くかかりますが、放置せずに適切な治療を行うことで、後遺症を防ぎ、早期に日常生活やスポーツに復帰することが可能となります。 アキレス腱断裂を疑う症状がある場合は、速やかに整形外科を受診しましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S130 監修:医師 加藤 秀一 ▼以下も参考にされませんか アキレス腱断裂!仕事復帰と歩けるまでの全治期間について
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アキレス腱炎の予防! 正しい靴の選び方と履き方の注意 「アキレス腱炎はどうしたら治るの?」「アキレス腱炎を予防するには?」こんな疑問のある方はいませんか。アキレス腱炎の原因は、靴にあるかも知れません。 アキレス腱炎はランニングやバスケなどでジャンプを繰り返すことで起こります。それらの動作を合わない靴で行うことは、怪我の発生を招きます。そのため、正しい靴選びをすることが怪我の予防には大切です。 今回はアキレス腱炎を予防する対処法として、靴選びのポイントやインソール(中敷き)の活用方法を解説します。 アキレス腱炎を予防する!靴選びのポイント4つ アキレス腱炎の原因はアキレス腱に繰り返しかかるストレスです。 ランニングやジャンプでかかるストレスを軽減する靴を選ぶためには、以下の4つポイントを押さえましょう。 足にストレスを与えない靴選び!4つのポイント 1. 靴底、ソールの厚み、踵(カカト)に厚み(薄すぎない)があること 2. 靴底の素材に注目、クッション性が高いこと 3. ヒールのカウンターがしっかりしていること 4. サイズの合ったものを選ぶこと それぞれポイントとなる理由を詳しく解説します。 1.靴底、ソールの厚み、踵(カカト)に厚み(薄すぎない) アキレス腱はふくらはぎの筋肉が踵につく部分です。そのため、ふくらはぎの筋肉が働くと、つま先立ちになるような力が働きます。つまり、アキレス腱をゆるめて負担を減らす場合は、靴底のソール部分の厚みに注意!中でも「踵の部分が厚い靴」を履く方が良いです。 ただし、踵が高すぎると不安定になりやすいので専門ショップで目的(日常、スポーツ)を伝えてアドバイスを受けて選べば大丈夫です。尚、スポーツで使用する場合は、踵への負担が大きいため、適度に厚みがある靴を選びましょう。 逆に靴底がすり減った靴は、アキレス腱の負担を強めます。また、踵部分が薄すぎる靴は、アキレス腱を常に緊張させてしまう恐れがあるので避けたいものです。 靴底の良い基準 ・アキレス腱の負担を減らすため、靴底の踵部分が厚い靴を選ぶ ・踵が高すぎると不安定、目的に合わせた適度な厚みが理想 靴底の悪い基準 ・靴底がすり減った靴はアキレス腱の負担を強める ・踵が薄すぎる靴はアキレス腱を常に緊張させる 2. 靴底の素材も注目、クッション性が高い アキレス腱にかかる衝撃を和らげるために、靴底のクッションが良いものを選びましょう。 靴底のソール部分、踵の薄さについて前述しましたが、靴底全体を見ても、ある程度厚みのあるもので、クッションの性能が良いものを選ぶのが大切です。 足に負担のかからない靴を選ぶ際には、ソールの素材が重要です。以下にいくつかの素材とその特性をご紹介します。 ラバーソール:(天然ゴム、合成ゴム): ・クッション性は、ほどほど ・メリット: 耐摩耗性が高く、雨の日でも滑りにくい。 ・デメリット: 通気性がなく、硬さがある場合もある EVAソール(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂): ・クッション性は、高い ・メリット: 軽量で柔らかく、疲れにくい。 ・デメリット: 耐摩耗性が低く、劣化しやすい ウレタンソール(ポリウレタン樹脂): ・クッション性は、高い ・メリット:軽量ながら耐久性が高く、長持ちする ・デメリット:通気性がない。湿気に弱い 3.ヒールのカウンターがしっかりしている ヒールカウンターとは、靴の踵(かかと)部分に挿入されている半円形の芯のことで、月型芯とも呼ばれています。靴のかかとを包み込むように硬く形成されており、踵(かかと)を支えて、内外側への傾きを防ぐ機能を持っています。 このヒールカウンターがあることで踵が安定し、歩行やスポーツでのパフォーマンス(動き)を安定させることが可能です。 アキレス腱炎の原因の1つが、回内(かいない)と言って、足の裏を外に向けるような動きが過剰に生じることです。この状態を「過回内(かかいない)」や「オーバープロネーション」と呼びます。過回内が起こると、アキレス腱をひねるようなストレスがかかり、ジャンプやランニングの着地でアキレス腱の負担が強まります。そのため、アキレス腱炎の要因として挙げられます。 靴の後ろ側の部分で踵を左右で挟み込む部分をカウンターや月型(つきがた)と呼びます。カウンターがしっかりしていると、足首の安定性を高めて、過回内を防ぎます。結果として、アキレス腱炎も予防につながるのです。 4 .サイズが合ったものを選ぶ 当たり前ですが、アキレス腱炎の予防に関わらず、正しいサイズの靴を選ぶことは何よりも重要です。 人に譲ってもらったり、なんとなくサイズが同じくらいだから、と履き続けていませんか?靴は履いているうちにそれぞれの足の形に変形するため、お下がりの靴では自分の足が馴染まないことも多いものです。 サイズの小さすぎる靴を選べば、アキレス腱をしめつけすぎてしまい、アキレス腱に直接負担がかかります。大きすぎる靴では、靴の中で足動いたり、本来のポジションからずれてしまい、靴の機能が生かせず、足への負担も強まってしまい、怪我の危険性を高めます。 また、インソールやサポーターを使用する場合は、靴の大きさを大きめにした方が良い場合もあるため、注意しましょう。 アキレス腱炎の予防にはインソールも効果的 アキレス腱炎の予防には正しい靴の着用とともに、靴の中敷きとしてインソールを活用するのも効果的です。インソールには、前述のアキレス腱炎を予防する靴選びのポイントと同じ機能が備わったものがあります。 例えば、ヒールカップと呼ばれる、踵を左右で覆うような構造をしたインソールでは、靴のカウンターと同じように、踵が過回内にならないように安定させる機能があります。 また、過回内の要因である扁平足(へんぺいそく)に対して、土踏まずを支えるようなアーチサポートと呼ばれる機能のついたインソールが活用できます。アーチサポートをすることで、過回内を防ぎ、アキレス腱にかかる負担を減らすのも良いでしょう。 このように、アキレス腱炎の予防のために、インソールをうまく活用してみましょう 靴の履き方にも気をつけよう アキレス腱炎を予防するためには、靴の履き方にも気をつける必要があります。靴を不適切に履いてしまうと、せっかく良い靴を選んでも、靴の機能を十分活かせません。 靴の履き方のポイントは以下の2点です。 履き方のポイント 1. 靴紐を調整する 2. 踵(かかと)をしっかり合わせて履く それぞれ詳しく解説します。また、最後に靴を履く手順を紹介します。 1.靴紐を調整する 靴紐のあるスニーカーやシューズを履くときには必ず靴紐を調整しましょう。 履くときは靴紐を一度ゆるめて、履いた後はしっかりと靴紐を締めて結ぶのが大切です。 もし、靴紐をほどかずにきついままの状態で履いてしまった場合、靴の上部であるアッパー部分が伸びたり、踵部分を引っ張って履こうとするためカウンターが崩れたりするなど、靴の機能低下を招きます。 また、履きにくいからといって紐がゆるんだ状態で靴を履くと、靴の固定性が弱まり、足が靴の中で滑って、踵をうまく支えられなくなってしまいます。 上記のような状態は、靴のカウンター機能の働きを低下させるため、アキレス腱炎のリスクを高める要因になるので注意しましょう。 2.踵(かかと)をしっかり合わせて履く アキレス腱を保護するとともに、足首が回内しすぎないようにするためには、靴のヒール部分、カウンターでしっかり踵(かかと)を支えてもらう必要があります。 そこで、靴を履くときに大切なのが、踵をしっかり合わせて履くことです。踵がしっかりはまっていないと、靴のカウンター機能が充分働きません。足を靴の中に入れるときは、踵から合わせることを覚えておきましょう。 靴を履く手順 上記を踏まえた上で、靴の履き方の手順を紹介します。普段何気なく行っている靴を履く動作も怪我の予防には大切です。 ついつい面倒になってしまい忘れがちですが、アキレス腱炎の予防のために意識して、習慣化しましょう。 靴を履く手順 1. 靴紐をゆるめる 2. 足を靴に入れて、つま先をあげながら踵を地面に押しつける 3. 足に合うように靴紐のきつさを調整して結ぶ 4. 履いた後、ゆるさやきつさを感じないか、アーチサポートやカウンターがしっかり合っているかを確認する まとめ・アキレス腱炎の予防! 正しい靴の選び方と履き方の注意 アキレス腱炎を予防するためにはもちろん、日常生活での靴選びは大切です。 特にスポーツの場合は、ジャンプやランニングなどアキレス腱にかかる衝撃も多いため、踵をしっかり守ってくれる靴を選んで足の傷害を予防しましょう。 アキレス腱炎を予防するためには、適切な靴選びと正しい履き方が重要です。靴選びでは、本稿に記載した「4つのポイント」に注意しましょう。 靴底の厚みや踵の厚さはアキレス腱への負担を軽減するために大切です。特に踵部分が厚い靴は、アキレス腱の緊張を和らげる効果があります。次に、靴底の素材にも注目しましょう。クッション性が高いEVAソールやウレタンソールは、アキレス腱にかかる衝撃を和らげてくれます。 また、ヒールカウンターがしっかりしている靴を選ぶことも重要となります。これにより踵の安定性が向上し、足の過回内を防ぎ、アキレス腱への過剰な負担を避けることができるからです。さらに、靴のサイズは足にしっかりと合ったものを選ぶよう注意してください。サイズが合わない靴は、アキレス腱に直接負担をかける原因となるからです。 インソールの活用もアキレス腱炎の予防に効果的です。ヒールカップやアーチサポート付きのインソールを使用することで、踵を安定させ、アキレス腱への負担を減らすことができます。 それから正しい靴の履き方を忘れてはいけません。靴紐をしっかり調整し、踵をしっかり合わせて履くことで、靴の機能を最大限に活かせます。靴紐を緩めてから履き、履いた後に再度締めることで、足が靴の中で滑るのを防ぎます。 以上のポイントを押さえて、適切な靴選びと履き方を実践することで、アキレス腱炎の予防、スポーツでの傷害を減らすことにつながります。 日常生活やスポーツシーンでのアキレス腱への負担を減らし、健康な足を保つために、ぜひ参考にしてみてください。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.130 監修:医師 坂本貞範 ▼アキレス腱炎、以下も参考にされませんか アキレス腱炎を効果的に予防・軽減するテーピングの方法とその効果
最終更新日:2024.05.15 -
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アキレス腱炎を効果的に予防・軽減するテーピングの方法とその効果 アキレス腱炎で以下ののような疑問のある方は、テーピングの活用を検討しましょう。アキレス腱炎は、ランニングやジャンプを繰り返すことで、アキレス腱にストレスがかかり、生じる怪我です。 「ランニングするとアキレス腱が痛む」 「アキレス腱の痛みを和らげる方法が知りたい」 今回はアキレス腱炎への対処法の1つである、テーピングの効果や実践方法について解説します。 アキレス腱炎に対するテーピングの効果 アキレス腱炎は、バスケットボールや、陸上、バレー、マラソン、バレエなどランニングやジャンプを繰り返すスポーツで起こりやすい怪我です。これらの動作により、アキレス腱に繰り返しストレスがかかり、アキレス腱に炎症が発生してしまう疾患です。 症状としては以下にまとめましたが、足首を動かしたり、主に歩いたりするときに生じるアキレス腱周辺の痛みや、腫れ、動作障害などがあります。 これらの症状が見られる場合は、早めに医師の診断を受けることが重要です。適切な治療とケアを行うことで、症状の悪化を防ぎ、回復を早めることができます。 アキレス腱炎の症状 1. 痛み ・初期には運動後に感じることが多い ・進行すると安静時や日常生活でも痛みを感じる ・ 痛みは踵(かかと)からふくらはぎにかけてのアキレス腱沿いに生じる 2. 腫れ ・アキレス腱の周囲が腫れることがある ・ 腫れた場合、患部に熱を持つことがある 3. 硬さやこわばり ・朝起きたときに感じることがある ・動かすと改善することがあるが、安静にすると硬さが戻る 4.動作時の痛み ・ 階段を上る、ランニングをする、ジャンプなど、アキレス腱に負荷がかかると痛みが増す ・ 走るときや、つま先立ちで痛みを感じることが多い 5. 発赤 ・重度の場合、アキレス腱の周囲が赤くなることがある そこで、本記事では、これらの症状に対するテーピングの効果を紹介します。 テーピングの効果、痛みを軽減する テーピングによりアキレス腱にかかる負担を軽くして、痛みを軽減できます。 アキレス腱はふくらはぎの筋肉である腓腹筋(ひふくきん)とヒラメ筋が合流して、踵にくっつく部分の腱(けん)です。そのため、ふくらはぎの筋肉が働くとアキレス腱に負担がかかります。具体的には、つま先立ちや足首を下に向けるように動かしたときです。 ランニングやジャンプでは、ふくらはぎの筋肉の働きにより、しっかり地面を蹴り出すため、アキレス腱に大きな負担がかかります。 テーピングにより、ふくらはぎの筋肉の働きをサポートしたり、足首の動きを制限したりすることでアキレス腱の負担を軽減でき、痛みを軽くする効果が期待できます。 テーピングの効果、動きをサポートする アキレス腱炎のために、立ったり、歩いたりしにくい場合でも、テーピングで痛みを軽減させたり、筋肉の働きを補助することで、動きをサポートできます。 前述のようにアキレス腱炎の原因は、アキレス腱に繰り返しかかるストレスです。スポーツやランニングなどは一時的に休止できますが、立つ、歩くといった動作は日常生活には不可欠で、アキレス腱に負担がかかるからといって行わないわけにはいきません。そのため、テーピングで少しでも動きやすくなるようにサポートすることが大切です。 テーピングの効果、アキレス腱炎の発生・再発の予防も可能 テーピングにより、アキレス腱炎にかかる負担を減らしたり、動きをサポートしたりすることで、アキレス腱炎の再発を予防が期待できます。 アキレス腱炎の発生する要因として、もともと足首の関節の動きが不安定だったり、足の筋肉の機能が不十分だったりする点が挙げられます。そのため、テーピングにより足首の動きを固定したり、ふくらはぎの筋肉をサポートしたりすることで、発生・再発を予防することができるのです。 また、アキレス腱炎後にスポーツを再開する場合にもテーピングは有効です。炎症により固くなったふくらはぎの筋肉やアキレス腱などの組織に急に負担をかけると、再発のリスクが高まります。そこで、テーピングによりサポートをしながら、運動を再開することで、アキレス腱に急な負担をかけないことが可能です。 アキレス腱炎に対してはテーピング以外の治療も必要 テーピング自体でアキレス腱の炎症が治るわけではありません。そのため、根本的な治療のためには、整形外科を受診して、適切な治療を受けましょう。 アキレス腱炎に対しては以下のような治療があります。 また、再発予防には、アキレス腱の柔軟性低下や筋力低下、ランニングフォームの改善、練習量や練習環境の調整など、発生のリスクを評価して対策をします。医師や理学療法士などの専門家による指導を受けながらの実施が必要です。 アキレス腱炎の治療は、下記のような手術をしない保存療法が治療の中心になります。 アキレス腱炎の治療 ・安静 ・外用薬の塗布 ・踵(かかと)を高くする装具 ・物理療法(超音波など) アキレス腱炎に対するテーピングの方法 アキレス腱炎に対するテーピングの巻き方を具体的に紹介します。 以下の方法でテープの伸縮性を利用してアキレス腱を支えながら、その働きをサポートできます。また、アキレス腱に直接テープを貼ることで、保護するという意味もあります。 【用意するテープ】 ・伸びるタイプのテープ4本 ・踵から膝下までの長さを3本、足首に巻ける長さを1本 【テープの巻き方】 1. 踵から膝下までふくらはぎの中央を通るようにテープを貼る 2. 踵の外側から始めて、踵の内側を覆ったあと、アキレス腱の上を通って、ふくらはぎの外側までテープを貼る 3. 踵の内側から始めて、踵の外側を覆ったあと、アキレス腱の上を通って、ふくらはぎの内側までテープを貼る 4. 3本のテープを固定するため、テープが交差したところを覆うように、足首に1周テープを巻きつける 【注意点】 ・貼り始めは引っ張りながら貼り、最後2cm程度はそのまま貼る まとめ・アキレス腱炎を効果的に予防・軽減するテーピングの方法とその効果 アキレス腱炎は、ランニングやジャンプなどの動作によりアキレス腱への過度のストレスや、使い過ぎたことで発生する怪我です。 痛みや腫れ、動作障害などの症状が見られ、特に運動時や、朝起きたときにこわばりを感じることもあります。これらの症状に対する有効な対処法の一つがテーピングです。 テーピングは、アキレス腱への負担を軽減し、痛みを和らげる効果があります。ふくらはぎの筋肉をサポートし、足首の動きを制限することで、アキレス腱を支え、そのストレスを緩和します。 結果として炎症の進行を防ぐことが可能になります。 また、テーピングは、日常生活における動作のサポートにも役立ちます。テーピングを適切に行うことで、立つ、歩くといった基本的な動作が容易になり、アキレス腱炎の症状緩和に寄与するからです。。 さらに、テーピングはアキレス腱炎の再発予防にも効果がああります。足首の関節の動きを安定させ、ふくらはぎの筋肉を補助することで、アキレス腱にかかる負担を減らすことが出来るからです。スポーツ復帰時にも、テーピングを利用することで急激な負荷を避けて安全に再開することが可能になります。 しかし、注意したいのはテーピングだけではアキレス腱の炎症を根本的に治すことはできないことです。 根本的に治すには、医師の診断を受け、適切な治療を行うことが必要です。治療方法には安静、外用薬、物理療法などがあり、これらを併用することで効果的に症状を改善できます。再発予防のためには、アキレス腱の柔軟性や筋力を高め、適切なランニングフォームを身につけることも大切です。専門家の指導のもと、適切な指導を受けましょう。 日常生活やスポーツ活動を安心して楽しむためにも、正しいケアと予防策をしっかりと取り入れていくことが大切です。 テーピングは自分でも可能ですが、もし不安な場合はお近くの整形外科などを受診して、直接指導を受けましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.129 監修:医師 坂本貞範 ▼以下のアキレス腱炎の注意も参考にされませんか アキレス腱炎|やってはいけないこと
最終更新日:2024.05.15 -
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アキレス腱炎のつらい痛みの治し方!自宅でできるセルフケアのポイントとは? アキレス腱は、踵の骨とふくらはぎの筋肉をつなぐ腱で足関節を動かす際に重要な働きをします。そのため、アキレス腱炎になってしまった場合には日常生活や歩行でも痛みを感じてしまうため、早く治したい症状の 1つです。 アキレス腱炎と病院で診断された場合には、スポーツの中止、安静などのほかに鎮痛薬の処方や、運動療法が指導されます。その他にも整体や整骨院でのマッサージなどの様々な治療法がありますが、ご自宅で行うセルフケアも治療において重要です。 この記事ではアキレス腱炎のつらい痛みを一日でも早く治すために、ご自宅でできるセルフケアのポイントについて解説していきます。 安静・ストレッチ 痛みが生じてすぐの場合、強い炎症が起こっています。そのため、原則としてまずは運動を中止して、安静にするようにしましょう。一般的には2〜6週間程度の安静、スポーツ活動の休止が必要です。2週間程度安静にしてから再度医師の診察を受けて、スポーツの再開時期について指導を受けるようにしましょう。 ストレッチに関しては、足関節を反らして、アキレス腱を伸ばすように行います。 1. 階段などの段差につま先をかけて、踵をゆっくり下ろします 2. アキレス腱が伸びてきたら、我慢できる程度の痛みまで踵を下ろしてアキレス腱を伸ばしていきます 3. この状態を15秒ほどキープします 15秒ほどキープするのを1回とし、3 回 1セットとして1日2セットを目標に行うようにしましょう。 運動療法 ストレッチに加えて、ふくらはぎの筋力訓練が効果的です。 「カーフレイズ」や「つま先立ち体操」という方法であり、ストレッチと動作が似ていますが、踵を上げる動作によって筋力を強くすることができます。 1. 階段や台の縁に立ち、踵を段の端から出します 2. その状態で、踵をゆっくりと上げ下げさせます 3. この上下運動を10回ほど行います 10回1セットを1日2セットとして、少なくとも3ヶ月程度継続するようにしてください。この運動は痛みがあっても行うのを推奨していますが、我慢できないほどの痛みの場合には中止するようにしてください。 サポーター、インソールの使用 アキレス腱炎の発症にはふくらはぎの筋肉の柔軟性の低下や、足の回内や回外などのアライメントの異常が関連していると言われています。 また、足関節を反らしすぎるとアキレス腱が伸びて痛みが悪化するため、サポーターを使用して足関節が反りすぎないように制限したり、インソールを用いて、アキレス腱への負担を減らすことが有効です。 お薬の使用 病院では、ロキソニンなどの消炎鎮痛薬や、湿布が処方されます。いずれも用法用量を守ることが大事です。特に湿布は貼りっぱなしにしていると湿疹を起こしてしまうこともあるので、効き目が少なくなってきたら一度剥がして、次に貼るまでに時間を空けることが必要です。 整体、整骨院などでの治療 安静、運動療法、お薬といった治療法をしっかり行っていただいた上であれば、整体、整骨院、鍼灸院などでのマッサージ、ツボを刺激して痛みを軽減させる電気鍼療法、お灸などは必要に応じて受けていただいて大丈夫です。 病院ではマッサージなどは提供していないため、ご自身でケアが難しい場合には、ご利用いただくことも考えてよいかもしれません。 アキレス腱炎についてよくあるQ&A 1.アキレス腱炎のときにはどのようなサポーター、インソールを使えばいいですか。 回答:サポーターには様々な種類がありますが、アキレス腱専用のサポーターの使用がおすすめです。アキレス腱や踵を安定させることで、アキレス腱への負担の軽減や、足関節の背屈を制限することにより、痛みを抑える効果が期待できます。 インソールは踵の部分が高くなっているものを使うと、アキレス腱の過度な緊張を緩めることができます。 2.マッサージはどのように行えばいいですか。 回答:アキレス腱炎に対しては、まずアキレス腱を十分に伸ばすストレッチを行いましょう。 痛みによって体重をかけてストレッチをすることができない時には、座った状態で痛い方の足を持って、ゆっくりと足関節を曲げたり反らしたりすることでアキレス腱をマッサージすることができます。 3.病院や自分で治療をしていてもよくなりません。 回答:アキレス腱炎は大部分の方が数ヶ月で自然に改善しますが、中には痛みが続く場合もあります。適切な治療を4ヶ月以上行っても効果がない方では、手術治療が行われる場合があります。よくならない場合には注射や手術などの他の治療について病院に問い合わせるようにしましょう。 手術の方法はアキレス腱内部の変性した組織の除去や、腱周囲の癒着剥離、足底筋腱の切離など様々な方法があります。どのような治療を行っているか、事前に病院に確認しておくことがお勧めです。 まとめ・アキレス腱炎を早く治すには日々のセルフケアも重要! アキレス腱炎では、なかなか症状がよくならないこともあり、治療について不安になることも多いと思います。 アキレス腱炎は、踵の骨とふくらはぎの筋肉をつなぐアキレス腱に炎症が起こる病気です。日常生活やスポーツでの過度な負荷が原因となることが多く、早期の治療が重要です。病院での診断や治療が基本ですが、自宅でのセルフケアも効果的です。 まず、アキレス腱炎の初期には安静が最も重要です。 運動を中止し、患部を休めることで炎症の悪化を防ぎます。一般的には2〜6週間程度の安静が必要とされ、その後、医師の指導のもとでスポーツ活動を再開します。 次に、ストレッチと運動療法を行うことでアキレス腱を柔軟にし、ふくらはぎの筋力を強化します。例えば、階段の段差を利用して踵をゆっくりと下ろすストレッチや、カーフレイズと呼ばれる踵の上下運動を行いましょう。これらの運動を毎日継続することで、アキレス腱への負担を軽減し、再発を防ぎます。 さらに、サポーターやインソールの使用も有効です。これらの補助具は足関節の動きを制限し、アキレス腱への負荷を減らす役割を果たします。特に運動時や長時間の歩行時にはサポーターを使用することで痛みを軽減できます。 薬物療法も重要です。 消炎鎮痛薬や湿布は、痛みと炎症を抑えるのに効果的です。ただし、使用法や用量を守りましょう。 最後に、整体や整骨院での治療、マッサージや電気鍼療法、お灸などは、痛みの緩和に役立ちます。自宅でのセルフケアと併用することで、より早い回復が期待できます。 アキレス腱炎の予防と治療には、適切なセルフケアが欠かせません。日常的なケアを心がけ、無理のない運動計画と正しいフォームを維持することで、再発を防ぎ、健康的な生活を送ることができます。 病院での治療以外にも、ご自身で日々のケアを行うことも重要な病気なので、参考にしていただいて、一日でも早く治すための日々の治療に役立ててください。また治療には病院での正確な診断が必要なので、痛みがでて困っている方は早めに病院で診察・治療を受けるようにしましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S128 監修:医師 加藤 秀一 ▼以下の参考にされませんか アキレス腱炎の予防! 正しい靴の選び方と履き方の注意
最終更新日:2024.05.14 -
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アキレス腱の痛み、放っておくとどうなる?悪化する前に知っておきたいこと 「最近、なんだかアキレス腱が痛い」「アキレス腱が痛かったのがなかなか治らない」とアキレス腱周囲に痛みを感じ、それを不安に思った経験がある人は多いと思います。それはもしかすると、アキレス腱炎かもしれません。アキレス腱に炎症が起こることをアキレス腱炎といい、多くは自然に軽快します。 この記事ではアキレス腱の周囲の痛みについて「放置しているけど大丈夫かな」「悪化しないように何かできることはないかな」という疑問にお答えします。 アキレス腱炎とは? 不安に思う要因の一つは「分からないこと」ですので、まずはアキレス腱炎とはどのようなものかを知ってもらいたいと思います。 筋肉は腱という硬い組織を跨いで骨にくっつくことで、効率的に運動できる作りになっています。アキレス腱は人体の中でも最も大きい腱の一つです。筋肉の動作としては、足首を下に向ける(底屈)、下腿を後方から支えるという役割を担っており、歩行、走行、ジャンプ、スクワットのような膝を曲げ伸ばしする動作で重要な存在です。 アキレス腱炎とは文字通り、アキレス腱に炎症が起こることによる疾患です。アキレス腱の周囲の膜に炎症が及ぶとアキレス腱周囲炎といい、痛みの部位がわずかに移動することが特徴です。ただし、診断は区別されても治療法はほとんど同じになります。 アキレス腱炎の症状 アキレス腱炎の症状は、ふくらはぎから踵にかけての運動時の痛みです。特にアキレス腱を押さえると痛みが増加し、時にはアキレス腱が腫れて見えることもあります。重症になると歩けないほどの疼痛になることもあります。 アキレス腱炎の原因 アキレス腱炎の原因は、運動やスポーツなどの繰り返す動作の中で、アキレス腱に負荷がかかることで生じます。明らかな外傷はなくとも、微小なダメージが積み重なり発症します。 ・運動習慣のない人が急激に強い運動を行った ・運動習慣がある方でも、強い負荷が日常的に持続した ・強い扁平足がある ・適切でない靴を履いている(サイズが合わない、靴底がすり減っているなど) 上記のようなケースではアキレス腱炎になりやすいと言われています。 アキレス腱炎の診断 まず、アキレス腱に圧痛があるかという身体所見は最も重要です。超音波(エコー)検査やMRIで腱に損傷があるか、炎症があるかを確認することで確定診断になります。どちらも痛みや侵襲を伴う検査ではありませんので、安心して受けてください。 アキレス腱炎の治療 基本的には保存療法で経過をみます。保存療法とは、手術(小さなものも含む)を伴わない治療法で、安静、過度な負荷になる動作を行わない、消炎鎮痛剤の外用や内服などがあります。多くは保存療法で改善しますが、症状が強い場合では手術が行われることもあります。 明らかな受傷のタイミングがある場合は、アキレス腱以外にも損傷を生じている可能性があるので、注意が必要です。 応急処置としてPOLICE処置を行うのが良いでしょう。 POLICE処置 ・Protection(保護) ・Optimal Loading(適切な負荷) ・Ice(冷却) ・Compression(圧迫) ・Elevation(挙上) POLICE処置とは、Protection(保護)、Optimal Loading(適切な負荷)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字を取った処置です。 アキレス腱炎かなと思ったら アキレス腱炎は、多くは保存的に軽快する疾患です。「たまに痛い気がする」くらいであれば概ね問題はないことが多いです。しかし「運動の時に必ず、比較的強い痛みがある」くらいの状態になると、安易な判断は危険になります。 受診したほうが良いかなと迷った場合には、ぜひ専門家への受診をおすすめします。受診するのであれば、整骨院・接骨院よりも、整形外科の方が望ましいです。X線で骨折がないか、MRIやエコーがあればそのままアキレス腱や周囲の組織で炎症や断裂がないかの評価が行えます。痛みに応じて消炎鎮痛剤の処方や松葉杖の貸出もしてくれるでしょう。 アキレス腱炎を放っておくとどうなる? 初期に適切な対応ができていないと、症状が長引いてなかなか治らない、一時的に症状が改善して治ったと思ってもまた再発するといったように、ずるずると長い期間痛みと共にする可能性があります。あまりに長引くようであれば保存的には改善は望めないとして、手術を受ける必要もあります。 炎症が持続すると瘢痕化(結合組織の増殖)が起こり、足首の可動域が減り、力が入りにくいといったことになることもあります。アキレス腱は多くの動作で重要な役割をしているので、力が入りにくくなればそれだけ動作(立ち座りや歩行)への影響も出てきます。 悪化する前に知っておきたいこと 「アキレス腱炎と思ったら/アキレス腱炎と診断されたら、まずは安静と過度な負荷を避ける」これを知っておくだけでも、アキレス腱炎の治り方が違います。 足をくじいてしまった、あの運動をした日から痛い、と思うことがあれば上記にあるPOLICE処置ができれば初期対応としては良いでしょう。 アキレス腱炎についてよくある質問 Q : アキレス腱炎を自分で診断する方法はありますか? A : アキレス腱部分に痛みを感じる場合は、アキレス腱炎の可能性があります。ただし、正確な診断をするためには医師または専門医の診察が必要です。 Q : アキレス腱炎は完全に治るのでしょうか? A : 大半の場合は治癒しますが、適切な治療を受けない場合や重症化した場合には、痛みが長引いたり、慢性的な痛みが残ることがあります。早期の治療が重要です。 まとめ・アキレス腱炎、放っておくのはNG!長引く痛みは病院の受診を! この記事ではアキレス腱炎について、皆さんに知っておいてほしいこと、放っておくとどうなるかについて解説しました。 アキレス腱炎は適切な対応をすれば多くは自然に軽快する疾患です。何もせずに放置してしまうと痛みが長引いたり、ふくらはぎに力が入りにくくなったりすることもあります。少しの痛みであれば問題ないことが多いですが、特に痛い間は無理することなく、安全に生活できるとよいですね。受診するかを迷うくらいの強い症状、長引く症状があれば整形外科を受診しましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.128 監修:医師 坂本貞範
最終更新日:2023.08.22 -
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アキレス腱炎やってはいけないこと、予防についてご説明 アキレス腱炎になってしまった場合、過度な運動や無理な負荷をかけることは、症状を悪化させてしまう可能性があります。そのため、アキレス腱炎になった際には、避けるべき行動や注意点を把握し、適切な治療法を行うことが大切です。 この記事では、アキレス腱炎になった際にやってはいけないこと、予防のために重要なことについて詳しく解説します。 アキレス腱炎とは アキレス腱炎とは、ふくらはぎの筋肉と踵の骨を繋ぐ腱であるアキレス腱が炎症を起こし、痛みをだす病気です。 慢性的な負荷や急激な運動量の増加によって引き起こされることが多く、ランニングやジャンプ競技のアスリートに多い病気です。 アキレス腱炎で避けるべき行動や注意点 アキレス腱炎を避けるため、または症状の悪化を防ぐために以下の行動や注意点に気をつけましょう。 1.過度な運動を避ける 治療の原則として、まずは運動を中止して適切な期間の安静が必要です。 運動で避けて欲しいこと ・突然の激しい運動を避ける: 急に激しい運動を始めるとアキレス腱に過剰な負担がかかります。運動の強度は徐々に上げるようにする。 ・同じ動作の繰り返しを避ける: ランニングやジャンプなど、アキレス腱に負担がかかる動作は、長時間続けないようにする。 一般的にアキレス腱炎になってしまった場合には2〜6週間の安静、スポーツ活動の休止が指示されます。その間の運動療法として「つま先立ち体操」という、下腿三頭筋の筋力訓練が改善に有効です。 このトレーニングでは痛みがあっても継続し、無痛となるまで実施することが推奨されています。ただし、動作に影響がでるほどの痛みの場合には中止するようにしましょう。その上で、運動の再開時期については症状に応じて決定されます。 アキレス腱炎を改善する【つま先立ち体操】 ・階段や台の縁に立ち踵を段の端から出した状態でゆっくりと上下させます。 ・膝を伸ばして行うのと、曲げて行う場合とで、使う筋肉が異なるので両方を試してみましょう。 ・10回1セットを1日2回で、少なくとも3ヶ月継続します。 2.不適切な靴の選択を避ける アキレス腱炎を引き起こす原因となったり、症状を悪化させてしまう可能性があるため、靴選びはとても重要です。 不適切な靴の使用を避ける: クッション性が不足している靴や、踵(かかと)が薄すぎる靴は避ける。運動に適した靴を選び、定期的に交換することが重要 サイズが合わない靴を避ける: サイズが合わない靴は、足全体に負担が掛かります。適切なサイズの靴を選ぶこと こんな靴、履いていませんか?下記のような靴は、足への負担が大きいので控えるようにしましょう。 不適切な靴選び ・足に合わない靴 ・つま先が細い靴 ・ヒールの高い靴 ・靴底がすり減った古い靴 3.無理な自己治療を避ける アキレス腱部の痛みがあるときには、安易に自己治療を行わず、まずは病院を受診して診断を受けるようにしましょう。どのような病気でも言える事ですが、自己治療は、間違った治療により症状が悪化する可能性もありお勧めできません。 自己判断での治療を避ける: 痛みが続く場合は、自己判断せず、早めに医師の診断を受けることが大切。適切な治療を受ければ早期回復が可能 専門家の指導を受けない: アキレス腱炎は再発しやすい疾患。理学療法士や医師の指導を受け、適切なリハビリやトレーニングを行う 病気は放置することで、痛みが長引く可能性もあるので、早めに病院で治療を開始することをお勧めします。 4.無理な運動を避ける 痛みが続いている状態でスポーツを継続すると、改善しないだけではなく、アキレス腱の痛みをかばうことによって別の部位の障害を発症してしまう可能性もあります。 痛みを感じたら運動を避ける: 痛みを感じたらすぐに運動を中止し、適切な休息を取ることが重要。無理をすれば症状が悪化する 休息を取る: 十分な休息を取らないと、アキレス腱の回復が遅れ、症状が悪化しかねない。適度な休息が重要 アキレス腱炎の治療は、安静と、適切な運動療法を取り入れることが重要です。 アキレス腱炎の予防について 1.適度な運動の種類・方法 前述したような下腿三頭筋をストレッチしながら挙上させる【つま先立ち体操】は、アキレス腱炎の治療に有効です。 予防のためにも、運動前にはアキレス腱を十分にストレッチさせてからスポーツを行うようにし、つま先立ち体操で下腿三頭筋の筋力強化も行うようにしましょう。 2.予防のための靴選びについて 運動する際には、靴の選び方も重要です。 靴は、足にフィットし、クッション性があり、アキレス腱に負荷がかからないものを選ぶことが望ましいです。また、運動用の靴は、使用期間を守り、新しい靴に買い替えることが大切です。 また、アキレス腱への負担を減らすための予防に、インソールの着用も効果的です。最近では、足の形に合わせたオーダーメイドのインソールも出ているのでおすすめです。 靴選びで予防する ・足にフィットするかどうか ⇨サイズ・幅・高さ ・クッション性があるかどうか ⇨足への衝撃を吸収してくれるもの ・アキレス腱に負荷がかからないか ⇨かかとが高すぎないか、安定しているか ・インソールの着用 3.日常生活での注意点とは アキレス腱は、日常生活でも負荷がかかることがあります。 たとえば、長時間の立ち仕事や、ハイヒールの着用は、アキレス腱に負担をかけることがあります。そのため、できるだけ座ったり、ヒールが低い靴を選んだりすることが予防につながります。 またアキレス腱の柔軟性の低下が発症につながるので、起床時や入浴後など十分にアキレス腱をストレッチするようにしましょう。 4.アキレス腱炎になった際にするべきこと まずは適切な診断をつけることが必要です。症状がでて改善しない時や、日常生活、スポーツをすることが困難なときには無理をせずに早めに病院を受診して、診断と今後の治療についてアドバイスを受けるようにしてください。 5.アキレス腱炎は早期発見・早期治療が重要 アキレス腱炎は大部分が保存治療で良くなりますが、痛みが長引き手術を受ける方もいらっしゃいます。 また、悪化を防ぐためにも、痛みが出た場合には、運動を控えることが必要です。自己判断や自己治療を行わず、早めに医師の診断を受け、適切な治療を行うようにしましょう アキレス腱炎についてよくあるQ&A 以下に、アキレス腱炎の治療でよく質問を受ける内容をまとめました。 Q. アキレス腱炎の治療にはどのようなものがありますか。 A. 安静や運動療法のほかに、局所注射療法、PRP(自己多血小板血漿)注入療法、手術治療などの方法があります。 PRP(自己多血小板血漿)注入療法は新しい治療法ですが、保険の適応が十分でないことや実施している施設も限られています。しかしながら最近ではアスリートが実施するなど、注目を浴びています。 治療を受けるかどうかは、担当の医師と十分に相談してから治療を選択するようにしましょう。 Q. アキレス腱炎に対する注射はどのような方法ですか。 A. 炎症を抑える目的で腱内部や周囲注射する方法があります。 注射する薬剤は局所麻酔薬、ヒアルロン酸、生理食塩水、ステロイド剤など様々です。ステロイドは炎症を抑える効果が強いのですが、腱の脆弱化や断裂を起こす可能性があるので、何度も注射することは勧められません。 Q. アキレス腱炎に対する手術はどのようなものがありますか。 A. 保存治療を少なくとも4ヶ月以上行っても効果がない方では、手術治療が行われる場合があります。 痛みが長引く方では、手術を実施している施設かどうか受診の前に事前に確認しておくと以降の治療がスムーズとなります。 まとめ・アキレス腱炎|やってはいけないこと、予防について アキレス腱炎になってしまった場合、無理な運動は症状が悪化してしまう可能性があります。そこで、この記事では、アキレス腱炎を防ぎ、症状の悪化を避けるための重要なポイントを解説しました。 まず、急激な運動の開始や同じ動作の繰り返しは避け、適度な運動と十分なストレッチを行うことが大切であること、適切な靴選びも重要であり、クッション性のある靴を選び、定期的に交換することをお勧めしました。 アキレス腱炎の症状が出た場合にやってはいけないこと!といて、無理な運動を避け、痛みを感じたらすぐに休息を取ること。痛みが続く場合は自己判断せず、早めに医師の診断を受け、専門家の指導の下で適切なリハビリやトレーニングを行いましょう。また、運動を再開する際は、アキレス腱に過度な負担がかからないよう慎重に行い、インソールやサポーターの使用を検討することも効果的です。 さらに、アキレス腱炎の予防には、日常生活での注意も欠かせないものです。長時間の立ち仕事やハイヒールの着用は避け、アキレス腱に負担をかけない生活を心がけましょう。起床時や入浴後には十分なストレッチを行い、柔軟性を保つことが予防に繋がります。 アキレス腱炎は早期発見と早期治療が肝心です。痛みが出た場合には、運動を控え、自己判断で治療せず、専門家の指導を仰ぐことが重要です。 適切な対処を行うことで、アキレス腱炎の症状を軽減し、早期回復を目指しましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S127 監修:医師 加藤 秀一 ▼アキレス腱炎について以下も参考にしていただけます アキレス腱炎の症状とは?セルフチェックの方法を解説!
最終更新日:2024.05.15 -
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アキレス腱炎の症状とセルフチェックの方法について解説! アキレス腱炎は、急激な運動量の増加や過度なストレスによって引き起こされることが多い、足の痛みが生じる病気の一種です。 今回はアキレス腱炎の症状と対処方法、セルフチェック方法や運動再開のポイントなどについて解説します。 アキレス腱炎とは アキレス腱炎は、踵の骨(踵骨)とふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)をつなぐ腱であるアキレス腱が、炎症を起こす状態です。運動や立ち仕事が原因となることが多く、急激な運動量の増加や、過度な負担が症状を悪化させることがあります。 スポーツでは、ジャンプを繰り返すスポーツや陸上、剣道などを行う選手に発症することが多いです。下腿三頭筋はつま先立ちや、地面を蹴って歩くなど、足関節の底屈運動とよ呼ばれる動きに関与します。地面を蹴る動きが多いこれらのスポーツでは、この動きが多くアキレス腱に負荷がかかり続けます。 ただし、スポーツなどをしていない場合でも、加齢によるアキレス腱の変性や靴の不適合、偏平足、肥満などが原因で、アキレス腱炎になる方もいます。 アキレス腱炎の症状 アキレス腱炎になると、以下のような症状がみられます。 特にアキレス腱の痛みやこわばりは、朝( 起床後 )、最初の数歩が痛いことが特徴的です。また、炎症が進行すると腱の周りが腫れたり、熱をもって赤くなったりすることもあります。 症状 ・アキレス腱周囲が痛い ・つま先立ちをすると痛い ・ふくらはぎのこわばり ・アキレス腱に腫れや熱感がある アキレス腱炎のセルフチェック なんとなくアキレス腱のあたりが痛むけど、まだ病院に行くほどではない、という場合は、以下の方法でセルフチェックをしてみましょう。 アキレス腱炎かなと思って放置していたら、「アキレス腱断裂」や「踵骨骨折」だったという場合もありますので、これらのセルフチェックで当てはまる項目がある方は、まず整形外科の診察を受けて、正しく診断してもらうことが大切です。 アキレス腱炎は、運動し始めた時は痛みが強くありますが、我慢して運動を続けていると軽減してくるという特徴があります。アキレス腱炎を我慢したまま運動を続けると、難治性になったり、アキレス腱の断裂につながったりするので、無理して続けないことが重要です。 セルフチェックの方法 ①立ち姿勢を取る ②かかとを浮かせる動作を繰り返す → □ 痛みがある場合:アキレス腱に軽度の炎症がある可能性がある → □ スポーツの中止や運動強度の調整を考えましょう ①両手でアキレス腱を触り、痛みや腫れを確認する ②左右で比べてみる → □ 腫れや熱感がある場合:炎症を起こしている可能性がある → □ スポーツの中止や運動強度の調整を考えましょう アキレス腱炎の治療 整形外科では、痛みの場所や性質、腫れなどを確認します。また、他の疾患と鑑別するために、エコー検査やMRI検査で、腱の状態や変性の程度などを見ることもあります。 アキレス腱炎と診断されたら 治療の基本は安静です。運動やアキレス腱に負担のかかる動きをしている場合は、一時的にそれを中止し、アイシングや消炎鎮痛剤などを使用します。テーピングなども併用して、アキレス腱にかかる負担を軽減させることも可能です。 また、踵の部分を高くした中敷きや偏平足用の中敷きを使用することで、アキレス腱の緊張を緩める方法もあります。 どうしても治りづらい場合は注射を行うこともありますが、ステロイドの注射は、アキレス腱を痛めて断裂しやすくするリスクもあるので、安易に使用するべきではありません。 あまりにも改善がみられない場合は、手術療法やカテーテルによる血管内療法などを行うこともありますので、専門機関へ相談することを検討してみてください。 再発予防と運動再開について 治療と同時に、再発予防を考えることも非常に重要です。 単なるオーバーユースだけでなく、練習環境やシューズ、体幹筋力の低下による姿勢不良なども影響してくるため、足りない部分を補う筋力トレーニングやストレッチ、練習環境の見直しも必要です。 運動再開は、痛みや腫れがなくなり通常通り歩けるようになってからです。いつから運動していいかについては、治療している医師や理学療法士と、しっかり相談しましょう。ただし、急激な運動量の増加は避け、徐々に時間や強度を上げていくようにしてください。 また、前述の通り再発予防のトレーニングやストレッチも積極的に取り入れましょう。 アキレス腱炎についてよくある質問 以下にアキレス腱炎でよくご質問頂く内容を抜粋しました。参考になれば幸いです。 Q:アキレス腱炎のような症状です。整形外科を受診する前に自分でできる応急処置はありますか? A:アキレス腱の痛みなどの症状が出た場合は、まず運動を中止しましょう。そしてなるべく動かさないように安静にして下さい。また、氷嚢などを使用し、アキレス腱部を冷やすことも有効です。 包帯がある場合は、アキレス腱をふくめて足首を固定することで、痛みを軽減できる可能性があります。 Q:市販薬を使用してもいいですか? A:市販の薬にも、鎮痛・抗炎症効果がある湿布や飲み薬があります。薬局の場合は、薬剤師の方に聞いてみるのもいいと思います。ただし、薬の使用は症状の一時的な緩和ですので、薬を使用して痛みが引いたからといって、すぐに運動を再開するのは避けて下さい。 また、病院を受診している場合は、適切な処方のために市販薬を使用していることを医師に伝えてください。 Q:再発予防のためのストレッチはどのようなものがありますか? A:ふくらはぎをのばすストレッチがよいといわれています。階段や段差などに片足のつま先だけかけて、ゆっくりと踵を下ろしながらアキレス腱を伸ばします。最初は無理のない範囲で行いましょう。 座った状態で、つま先にタオルをかけて引っ張るようにしながら、伸ばしていく方法も効果的です。 運動前や運動後にこれらのストレッチを行うことで、ふくらはぎの筋肉の柔軟性が高まり、アキレス腱の緊張を軽減することができます。 まとめ・アキレス腱に痛みを感じたら早めに医療機関の受診を! 今回はアキレス腱炎について解説しました。 アキレス腱炎は、急な運動や過度なストレスによって引き起こされることがあり、スポーツ選手だけでなく日常生活を送る一般の方にも発症する可能性があります。特にアキレス腱の周囲に痛みや、こわばり、腫れや熱感といった症状が見られる場合は、早期の対処が必要となります。 セルフチェックの方法は、立ち姿勢を取ってかかとを浮かせる動作を繰り返すことや、両手でアキレス腱を触って痛みや腫れを確認してみてください。これらのチェックで痛みや炎症が認められた場合は、けして無理に運動を続けず、まずは整形外科で診察を受けることをお勧めします。 アキレス腱炎の治療は安静が基本です。運動など、アキレス腱に負担をかける動作を中止し、アイシングや消炎鎮痛剤を使用し、テーピングや適切な中敷きの活用で症状の改善を図りましょう。痛みが強いなど場合によってはステロイド注射や、重度になると手術の可能性もあります。 再発を予防するには、適切な筋力トレーニングやストレッチが重要です。練習環境や、シューズの見直し、体幹筋力の強化など、包括的なアプローチが大切になります。運動の再開は、痛みや腫れが完全に引いてから、医師や理学療法士などの専門家と相談しながら慎重に進めてください。 アキレス腱炎は早期発治療が回復の鍵です。違和感を感じたら、ぜひ簡単なセルフチェックですので取り組んで頂き、少しでも異常を感じたら自分だけで対処しようといせず、早めに医療機関を受診しましょう。発症後は、無理をせず、計画的なリハビリと再発予防に取り組めば健康な足を取り戻すことが可能です。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.127 監修:医師 坂本貞範 ▼アキレス腱が断裂してしまわないよう予防を考えるなら以下もお目通しください アキレス腱炎の原因と治療方法、悪化を防ぐための対策とは?
最終更新日:2024.05.14 -
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アキレス腱炎の原因と治療方法、悪化を防ぐための対策とは? アキレス腱はふくらはぎの筋肉から踵の骨につながる腱であり、歩行やランニングにおいて重要な役割を果たしています。 アキレス腱周囲の痛みを起こす病気としてアキレス腱自体に痛みの原因がある「アキレス腱炎」と、腱が踵の骨に付着する部分に痛みの原因がある「アキレス腱付着部症」があります。どちらも慢性的な負荷や急激な運動量の増加によって引き起こされることが多く、ランニングやジャンプ競技を行うスポーツ愛好家に特に多く見られますが、どこにどんな痛みがでるのでしょうか。 この記事では、アキレス腱炎の原因や症状、治療方法と対策について詳しく解説していきますので、参考にしてみてください。 アキレス腱周囲の痛みを起こす病気 ・アキレス腱炎 ・アキレス腱付着部症 アキレス腱炎の症状と原因について アキレス腱部を押すと痛いというのが主な症状です。安静時の痛みはないことが多く、運動時の痛み、腫れがみられることが多い疾患です。 痛みの部位はアキレス腱が踵の骨に付着している部分から中枢側2~6cmがほとんどで、足関節を反らした際に腱が伸びることで痛みが増強します。 主な原因はスポーツ、自転車などでのオーバーユースや不適切なランニングフォームでのランニングなど、誤ったトレーニングによる負担の増加などです。しかし、原因不明の場合や別の病気の可能性もあるので診断のために早めに病院を受診することが大切です。 アキレス腱炎の診断について 診断のためには整形外科で診察を受けることが必要です。痛みの部位、症状から診断は可能ですが、補助的に画像検査を行うことがあります。 レントゲン・エコー・MRIによる診断 レントゲン写真ではアキレス腱の内部に石灰化を認めることがあり、エコーではアキレス腱の肥厚と、腱周囲の血流の増加を確認できることがあります。またMRIが診断に有用であり、アキレス腱の肥厚や、腱の炎症を反映して腱の内部や周囲の異常信号を呈する場合があります。 アキレス腱炎の治療と期間について 初期の治療は基本的に保存治療が行われます。悪化しないための対策をご紹介していきます。 保存療法の場合 軽症の場合は全治3ヶ月程度です。 回復までの治療期間は症状が続いた期間や病気の重症度によって変わってきます。治療は整形外科で行うことが多く、局所安静やアイシングで患部を冷やすこと、鎮痛薬の服用や局所への注射、理学療法士によるリハビリ・ストレッチングの指導・マッサージなどの方法があります。 局所の安静についてですが、痛みが強い場合には炎症が強いことが多いので松葉杖を使用するなどして痛い方の足を無理に使わないことが大切です。 局所への注射は、アキレス腱と周囲の組織の癒着を剥離する筋膜リリースや炎症を抑えるステロイドの投与などが行われます。 また整骨院の通院についても行なっていただいて構いません。整骨院では電気治療や超音波治療、低周波治療器での治療、温める温熱療法などを行う場合があり、医師の指導のもと治療を受けるようにしてください。 手術療法の場合 保存治療を行なっても6ヶ月以上痛みが続き効果がないなど、保存療法での完治が難しい場合には手術治療の方法もあります。 手術では皮膚を切開して、炎症を起こしている腱の周囲の組織を部分的に切除します。さらに腱自体に異常がある場合には腱の部分切除を行い、腱の切除部分が多くなった場合には他の部位から腱を移植して補強を行います。 治療内容が病気の重症度によって異なるため治療費も様々です。詳しい治療費の見込みについては担当医師に確認するようにしましょう。 アキレス腱炎についてよくある質問 以下に、アキレス腱炎に関して良きご質問頂く内容を抜粋しました。 Q:アキレス腱炎で痛くなる場所はどこですか。 A:アキレス腱が踵の骨に付着している部分から中枢側で腱自体に痛みがある病気を、「アキレス腱炎(別名:アキレス腱周囲炎)」と言います。アキレス腱と踵の骨の境界部分の痛みは「アキレス腱付着部症」といい、治療方法が多少変わってきます。 Q:アキレス腱炎に対する注射は効果がありますか。 A:炎症を抑える目的で腱内部や周囲にステロイドを注射する方法があります。しかし、腱の脆弱化や断裂を起こす可能性があるので、何度も注射することは勧められません。また、腱の周囲を剥離する目的でヒアルロン酸や生理食塩水などの注射を行う場合もありますが、病気の状態によってはご本人に適していない場合もあることや、行なっていない施設もあるので事前に確認することが望ましいです。 Q:アキレス腱炎に効果的なストレッチはどのような方法ですか。 A: 下腿三頭筋や、太ももの裏にあるハムストリングのストレッチは、治療、再発の予防に効果的です。下腿三頭筋のストレッチは階段や足台などの段差があるところに痛い方の足の先をかけ、踵をゆっくりと降ろしていきます。我慢できる程度の痛みの範囲で10〜15秒ほど伸ばすのを3回行い、これを朝・夕の1日2回行います。夜は入浴後など身体が温まっている状態で行うのが効果的です。 まとめ・アキレス腱炎の原因と治療方法、悪化を防ぐための対策とは? アキレス腱部の痛みはアキレス腱炎のほかに、アキレス腱付着部症という病気があります。どちらもオーバーユースや急な運動によって起こります。症状、治療方法が多少異なりますので、正確な診断のために整形外科を受診するようにしましょう。 アキレス腱炎は、スポーツ愛好家や日常生活でも過度な負荷がかかる場合に見られる疾患です。アキレス腱自体やその付着部に痛みが生じるこの病気は、オーバーユースや不適切なトレーニングフォームが主な原因と言えるものです。症状としては、運動時の痛みや腫れが一般的で、安静時には痛みが少なくなることが特徴です。 アキレス腱炎の診断には、整形外科での診察を受けましょう。レントゲンやエコー、MRIなどの画像検査でアキレス腱の状態を詳細に確認します。初期の治療は保存療法が基本で、安静やアイシング、鎮痛薬の服用などの指導が行われることが多いです。ただ、場合によってはステロイド注射が行われます。整骨院での電気治療や温熱療法も有効です。 しかし、これら保存療法で改善が見られない重症の場合には手術療法が検討されることがあります。手術では、炎症を起こしている組織の部分的な切除や、必要に応じて他の部位からの腱移植が行われます。 アキレス腱炎を防ぐためには、適切な靴の選択、正しいフォームの維持、無理のない運動計画、そして運動前後のストレッチが重要です。痛みや異常を感じた場合は、早期に整形外科を受診し、専門的な診断と治療を受けましょう。 日常的なケアと予防を心がけることで、アキレス腱炎のリスクを軽減し、健康的な生活を維持することができます。 自身の体に適切な注意を払い、アキレス腱を大切に守っていきましょう。アキレス腱炎に悩む方や、スポーツをされる方はぜひ参考にしていただき、健康な身体作りに役立ててください。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S126 監修:医師 加藤 秀一 ▼以下、セルフケアについて記しています。 アキレス腱炎のつらい痛みの治し方!自宅でできるセルフケアのポイントとは?
最終更新日:2024.05.14 -
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脳梗塞の種類!知っておきたい合併症と治療を解説します 脳梗塞は、ある日突然、脳の血管が詰まって血流が止まることで脳の神経細胞が死んでしまう病気です。脳の血流が止まると、脳にある細胞は数時間以内に死んでしまいます。 死んでしまった脳の神経細胞の再生は非常に難しく、時に生命に関わることもあり、大きな後遺症が残る危険性があります。脳梗塞は誰にでも起こる起こる可能性がある重篤な病気です。 そこで脳梗塞の原因や症状について正しい知識を持つことが重要となるのです。 この記事では脳梗塞の原因と、3つの種類について解説してまいります。また、治療を行う上で気をつけるべき合併症と、合併症の原因ほか、脳梗塞についても記載し、脳梗塞でよくある質問もご紹介してまいります。 脳梗塞の3つの種類とは? まず脳卒中は、脳の血管が詰まって起こる「脳梗塞」と、血管が破れて出血する「脳出血」に大きく分けられます。 脳梗塞では神経細胞に血液を運ぶ血管の一部が詰まってしまい、神経が障害されることにより麻痺や痺れ、意識障害などのさまざまな症状を起こします。 このように脳梗塞の原因は、血管が詰まることにありますが、以下のように3つに分類されます。 1.ラクナ梗塞 動脈硬化によって細くなった血管が詰まる「ラクナ梗塞」です。 細い血管が詰まることが多く、他の種類の脳梗塞と比べて症状が軽いことが多い点が特徴です。 2.アテローム血栓性脳梗塞 血管にコレステロールが溜まった結果、そこに血の固まりができて詰まる「アテローム血栓性脳梗塞」です。 最初は軽症でも、徐々に血管が詰まっていくことで症状が悪化するなど、段階的に増悪することが特徴です。 3.心原性脳塞栓症 心臓など他の部位で作られた血の固まりが血流によって脳の血管に運ばれて詰まる「心原性脳塞栓症」です。 大きな血の塊が太い血管に詰まることによって突然発症し、障害される脳の範囲が広いため重症な場合が多い点が特徴です。 ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞は、高血圧、糖尿症、脂質異常症や喫煙などの生活習慣が危険因子のため、これらを適切に治療することが予防のために必要です。 一方で、心原性脳塞栓症は心房細動という不整脈が原因であることが多く、その他にも心臓弁膜症でも起こりえます。心房細動では脈が乱れ打ちになってしまい、心臓の中で血液がよどんで血栓ができてしまう場合があります。 この血栓が脳の血管に運ばれて詰まってしまうと脳梗塞を発症します。 そのため、脳梗塞のリスクが高い方は抗凝固薬という血液をサラサラにするお薬を服用して予防をする場合があります。お薬には副作用もあるため、薬のリスクや服用のメリット、デメリットを考えて治療が検討されます。 脳梗塞の3分類 脳梗塞:分類別の原因 ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞 高血圧、糖尿症、脂質異常症や喫煙などの生活習慣 心原性脳塞栓症 心房細動(不整脈)、その他にも心臓弁膜症 脳梗塞の合併症とは 脳梗塞では、合併症として発熱、肺炎、脳・消化管出血、脳梗塞の再発など、さまざまなものがあります。 こういった合併症は、なぜ起こるのでしょうか。 脳梗塞の合併症の種類と原因、治療法 知っておくべき主な合併症の種類と原因、併せて治療に関して解説します。 種類:発熱 ・原因:体温は脳の中枢で管理されていて脳が障害を受けると体温調節中枢も障害され発熱することがあります ・治療:通常は解熱鎮痛薬で対症的に治療します。 種類:誤嚥性肺炎 ・原因:意識障害や、飲み込みの機能の低下で唾液や痰が肺に入り肺炎を起こしてしまうことがあります ・治療:誤嚥性肺炎と呼ばれており、抗菌薬の投与や酸素投与などを必要とする場合もあります 種類:脳出血・消化管出血 ・原因:動脈硬化は血管の色々な部位に起こり、一度脳梗塞を発症した方は再発する危険性が高くなっています ・治療:再発予防には、血液をサラサラにする薬を服用することが推奨されます※ ※血液をサラサラにする薬の副作用として、脳、胃や腸などの消化管で出血を起こしてしまう場合があります。脳出血では、麻痺の悪化、消化管の出血では貧血によって全身状態が悪化してしまうリスクがありますが、完全に予防することは困難で早期発見、対処が重要になってきます。 脳梗塞について、よくあるQ&A 普段、脳梗塞で患者様からお聞きする代表的な質問を記載しました。 Q : 脳梗塞になりやすい人の特徴は? A:脳梗塞の危険因子として生活習慣病があります。 高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、肥満などが挙げられ、健診で異常を指摘されている方は早めに治療を開始することが勧められます。 Q : 脳梗塞の前兆の症状はありますか? A:脳梗塞は突然発症するものから、前兆を伴う場合もあります。脳梗塞の前兆とは急に手足や顔の麻痺やしびれが出現して、時間が経って改善することです。 この症状は一過性脳虚血発作と言われており、動脈硬化などによって一時的に脳の血流が悪くなることが原因とされています。 一過性脳虚血発作がみられた場合には脳梗塞になってしまう危険性があり、早期に病院で治療することが必要です。 Q : 合併症を予防する方法はありますか? A:現代の医学でも合併症を完全に予防することは困難です。危険性を下げるために、発症してからすぐの間は医師、看護師の治療や指導を守ることが必要です。 また消化管出血については、胃潰瘍の既往がある方などでは胃酸の分泌を抑えるお薬を服用してリスクを下げる方法が取られる場合があります。 まとめ ・脳梗塞とは、原因と種類!知っておきたい合併症と治療について 脳梗塞には、「ラクナ梗塞」「アテローム血栓性脳梗塞」「心原性脳塞栓症」の3つがあり、それぞれ発症の原因や重症度が異なるのが一般的です。 また、治療の過程では、合併症として発熱や肺炎を起こす場合があったり、再発予防のための血液をサラサラにする薬を使用することが原因となって出血を起こしてしまうことがあります。 そのため、脳梗塞を起こさないようにすることが最も重要ですので、脳梗塞に関する正しい知識を持ち、予防に努めた上で症状がある時には早期発見・治療することが大切です。 健康で充実した生活を送るためにも、ぜひ参考にしてみてください。 No.126 監修:医師 坂本貞範 ▼発症、前兆を見逃さないため以下も参考にされませんか 脳梗塞の前兆を逃さない!初期症状のチェックリストはこちらです!
最終更新日:2024.06.24 -
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頭に「こぶ」のようなものができて押すと痛い!考えられる疾患についてご説明します シャンプーのときや髪をかきあげた時など、ふとしたときに頭に「こぶ」のようなものに触れた経験はありませんか? 放置して何事もなかった場合にはよいですが、押したり触れたりすると痛みがある場合は不安ですよね。 今回は、頭にできる「こぶ」の原因と受診の目安について解説します。 コブの種類 ・皮下血腫(たんこぶ) ・感染(ニキビ) ・皮膚炎 ・腫瘍(良性、悪性) 頭にできる「こぶ」の種類 頭のこぶは大きく、皮下血腫、感染症、皮膚炎、腫瘍に分けられます。 皮下血腫(たんこぶ) 皮下血腫はいわゆる「たんこぶ」のことです。頭をぶつけた際に、皮膚の近くの血管が切れてしまい、血溜まりを作ってしまった状態です。 皮下血腫自体は特に治療をせずに治ることが多いですが、頭を打撲して嘔吐したり、意識が悪くなったり、打撲した前後のことを覚えていなかったりする場合にはすぐに受診をするようにしましょう。 感染(ニキビ) ニキビは皮脂が毛穴を閉塞することで、アクネ菌が増殖することで炎症を起こします。ニキビといえば顔のイメージがありますが、頭皮にも起こることはあります。 また、毛包炎・毛嚢炎は毛穴に黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などの皮膚常在菌が感染することで炎症を起こす疾患です。どちらも菌により炎症が起こるので、押すと痛い、赤く腫れることがあるのが特徴です。 皮膚炎 頭皮がシャンプーや整髪料、髪染めなどに反応してしまい、炎症を起こす接触性皮膚炎もこぶ・できものの原因になります。ただれ、水ぶくれが多く、大きなしこりはあまり起こりません。原因となるものを使用しないことが重要です。 腫瘍 腫瘍には良性のものと悪性のものがあります。医療機関でのご相談をお勧めします。 良性の腫瘍(粉瘤、脂肪腫) 良性の腫瘍には「粉瘤(ふんりゅう)」があります。粉瘤は、毛穴の一部に皮脂などが溜まって、袋状となった良性の腫瘍です。柔らかいしこりとして触れ、痛みはあまりありません。 内部で細菌が増殖して炎症を起こしてしまうと、痛くなったり膿が出たりすることがあります。脂肪腫も良性の腫瘍です。同じく、柔らかいしこりとして触れます。 悪性の腫瘍 頭皮にできる悪性腫瘍には、「有棘細胞癌」や「悪性黒色腫」があります。触るとごつごつしたり、硬いという特徴があります。また、潰瘍となって液体が出てきたり、血がでたりすることもあります。 一般に良性のものでは大きさは変わらずに経過することが多いです。しかし、小さな「イボ」として感じていたものがどんどん大きくなっている、血が出ているなどは悪性を疑う情報となります。 「こぶ」と脳卒中との関係は? 頭は外面から、皮膚、骨膜、頭蓋骨、硬膜、くも膜、軟膜、脳とたくさんの層構造になっています。 頭蓋骨という非常に硬いもので分け隔てられているので、皮膚のできものと脳卒中に直接的な関係はありません。イボやこぶとして触れる病気は、主に頭の皮膚に起こることが多いです。 逆に脳卒中になっても、頭皮にこぶができることもありません。くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤も、皮膚の上から触れるものはありません。脳卒中が考えられる症状は、突然起こることが特徴です。 脳の発症部位によりその症状は様々ですが、代表的な脳卒中の症状は、以下のようなものです。 脳卒中の症状 ・言葉が出づらい ・左右どちらかの手足が動かしにくい ・意識の状態が悪い 注意!頭の「こぶ」で受診したほうがよい場合 こぶや、しこりが赤く腫れて痛い場合、膿が出てくる場合は感染症の可能性があります。切開や抗菌薬を投与したほうが速やかに治る可能性があるため、数日待っても良くならない場合は受診をおすすめします。 こぶやしこりが、大きくなっていたり、数が増えたりする場合は悪性腫瘍を考えなければなりません。早めの受診をしましょう。 また、頭をぶつけた際にできたこぶが、どんどん大きくなっている、意識の状態が悪くなっている、話しづらさや手足の動きづらさが出てきたりするなどの場合は、早急に受診をするようにしましょう。 早急に受診してください!(皮膚科、形成外科、脳外科) ・こぶや、しこりが赤く腫れて痛い: 感染症の可能性 ・膿が出てくる場合: 感染症の可能性 ・こぶやしこりが、大きくなっている: 悪性腫瘍の可能性 ・こぶやしこりがの数が増えてきた場合: 悪性腫瘍の可能性 ・頭をぶつけて:「こぶ」が大きくなってきた場合 ・頭をぶつけて:意識の状態が悪くなってきた場合 ・頭をぶつけて:話しづらさ、手足の動きづらい場合 頭の「こぶ」についてよくある質問 頭にできるコブについて患者様から、よく頂く質問から抜粋して記載します。 Q: 小さな時からある頭の「こぶ」は、どうしたらよいですか? A:幼少期から長期間ある場合は、重篤な病気である可能性はそこまで高くはないでしょう。見た目として気になる場合、赤みや痛みなど新しい症状がでた場合、大きくなる場合は受診するようにしましょう。 Q:頭の「こぶ」が心配なとき、何科を受診したらよいですか? A:皮膚科や形成外科を受診するのが良いでしょう。 頭のこぶやしこりが気になるのなら、皮膚科もしくは形成外科を受診しましょう。頭をひどくぶつけて、皮下血腫(たんこぶ)ができた際には、脳外科を受診するのが良いでしょう。 受診する際は、いつ頃からできているか、できものに心当たりはあるか、痛みはどうか、他に症状がないかを言えるようにすると、正確な診断に繋がりやすいです。 Q:頭の「こぶ」に痒みがある場合、どうしたらよいですか? A:まずは頭を清潔にしましょう。シャンプーや整髪料を変えたなどがあれば、一時的に使わずに様子を見ましょう。かゆみがひどくて掻きむしってしまう場合は、皮膚科などを受診するとよいでしょう。 まとめ・頭のこぶに少しでも異常を感じたら早急に受診をしよう! 頭の「こぶ」は自分では見えない部分なのでより不安にも感じやすいと思います。 「こぶ」の原因は、皮下血腫、感染症、皮膚炎、腫瘍などさまざまな原因が考えられます。一般的には良性のものが多いのですが、痛みや腫れがひどい場合や、悪性腫瘍が疑われる場合は、早めの受診をお考え下さい。 尚、頭皮の「こぶ」と脳卒中との関係はありませんし、頭のこぶが脳卒中の前兆というわけでもありません。脳卒中の症状は突然起こることが特徴的であり、言葉が出づらい、手足の動きが鈍くなるなどの症状があります。 頭に「こぶ」ができた際は、症状や変化に注意し、必要に応じて早めに医師の診断を受けることが重要です。 特に痛みや膿がある場合、大きくなっている場合、数が増えている場合は、感染症や悪性腫瘍の可能性があるので、お近くの皮膚科や形成外科、脳外科など、早急に受診をしたほうが良いでしょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S125 監修:医師 加藤 秀一 ▼頭のことについて以下もご覧になりませんか 頭を打つと危ない場所!危険な打ち方と症状を医師が解説!
最終更新日:2024.05.17 -
- 足部、その他疾患
- 足部
捻挫を早く治すための正しい応急処置方法をご紹介します 捻挫はスポーツや日常生活の中でよく生じる外傷の一つです。しかし、捻挫がどのようなものか、さらに応急処置の方法についてご存じでしょうか。 この記事では、捻挫を早く治すためと、その応急処置方法を詳しくご紹介します。さらに、捻挫についてのよくある質問にもお答えしています。ぜひご参考にしてください。 捻挫とは? 関節は、骨と骨の間に構成されるものです。基本的な構造には、関節軟骨(クッションの働き)、関節包(関節の周りを包み込む外側の膜)、靱帯(関節の安定性を補強する役割で、関節内のものも、関節外のものもある。)などがあります。 捻挫とは関節に何らかの外力がかかって起こる、骨折や脱臼以外の怪我のことを指します。つまり、軟骨や靱帯、腱(筋肉と骨をつなぐもの)の怪我です。 骨折や脱臼はX線写真で判断ができますが、捻挫はX線では判断出来ません。どのような衝撃が加わって怪我をしたのか、今の関節の状態はどうなのかが重要であり、必要があればMRIを利用しながら診断を行います 捻挫の中でも靱帯の重症度は、靱帯の損傷の程度によって決められます。 捻挫の重症度 ・1度:靱帯が伸びてはいるが切れてはない状態 ・2度:靱帯の一部が切れている状態 ・3度:靱帯が完全に切れている状態 捻挫の応急処置 捻挫を早く治すには、まずは応急処置と適切な診断が必要です。捻挫だと思っていたのに実は骨折だった、大したことないと思っていたら全然症状がよくならない・・・などがないように受診をしましょう。 捻挫が起きた際には「POLICE処置」がよいとされています。 「POLICE処置」とは ・Protection(保護) ・Optimal Loading(適切な負荷) ・Ice(冷却) ・Compression(圧迫) ・Elevation(挙上) 以前は「RICE(Rest:安静、Ice:冷却、Compression:圧迫、Elevation:挙上)処置」が進められていましたが、近年ではPOLICE処置に置き換わりつつあります。 POLICE処置の具体的な方法 それぞれの項目は以下の通りです。 Protection(保護) ・装具やシーネ、三角巾、サポーターなどで受傷部位を保護します ・更なる外力で損傷を悪化させるのを防ぐ目的です Optimal Loading(適切な負荷) ・以前は受傷部位の安静(Rest)がよいとされていましたが ・最近では適切な負荷が組織の修復によいのではと言われています ・適切な負荷については、医師などの専門家による指示を聞くのが良いでしょう Ice(冷却) ・氷嚢や氷を入れた袋などで冷やします ・感覚がない中、無理してまで行う必要はありません ・風邪の際に用いるような冷却シートは、表面をひんやりと冷やす程度で関節の内部まで冷やす効果はありません。 ・用いるのなら消炎鎮痛剤の入った湿布を用いましょう ・最近、神戸大学より、重症の筋挫傷に対するアイシングは筋の修復を遅らせるということが報告されました。 ・軽度の筋挫傷についてはまだ効果がわかっていないため、今は迷ったらアイシングをする方がよいでしょう Compression(圧迫) ・受傷部位の腫れや内出血の増悪を予防するために、テーピングや包帯などで圧迫をします Elevation(挙上) ・腫れを防ぐ、軽減するために、心臓よりも上に受傷部位を置きましょう ・足を怪我した際は、仰向けになって足を椅子などに置くとよいでしょう ・あくまでも応急処置としてなので、移動の必要などやむを得ない場合は足を下ろしても構いません 応急処置の後は、適切に受診を行いましょう。軽度であれば保存的に加療が行われ、関節の不安定性が高い重度の場合は手術療法も検討されます。サポーターなどを使い関節に過度な負荷がかからない程度の運動から始めましょう。 捻挫に関してよくある質問 Q:捻挫とはどのような状態ですか? A:関節に外力が加わって生じた怪我のうち、骨折と脱臼以外のものを指します。X線で骨折、脱臼がないことを確認し、必要があればMRIを撮像します。どうやって怪我をしたかも診断には重要です。 Q:捻挫を早く治すには? A:まずは適切な診断が必要です。応急処置としてはPOLICE処置がよいでしょう。炎症が起きている間は消炎鎮痛薬なども併用し、過度な負担がかからないように注意しましょう。 Q:受診するなら整形外科?整骨院? A:正しく診断をつけるという意味でも、X線やMRIでの検査を行える整形外科をおすすめします。近くに整形外科がない、診察時間外の場合には整骨院でも良いでしょう。自分で判断して自己流で治療をするのはよくありません。 まとめ・捻挫を早く治すためには正しい応急処置と整形外科の受診を! この記事では捻挫について解説しました。 スポーツだけでなく日常生活でも怪我をする可能性はあるので、もし捻挫による怪我をしてしまった際は、「POLICE」による応急処置と適切な受診を忘れないようにしましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.125 監修:医師 坂本貞範 ▼以下もご参考にしていただけます 捻挫かもしれない…歩けるけど痛いとき、対処法はどうする?
最終更新日:2024.04.12 -
- その他、整形外科疾患
肋骨骨折の症状と治療方法について解説します 肋骨骨折は、胸部の外傷で最も多くみられる疾患です。 ラグビーや柔道などの激しいスポーツ外傷や転倒、転落などのケガ、ゴルフのスイング、慢性的な咳などの繰り返しの負担で骨折する場合もあります。また、ケガをしてレントゲン写真を撮っても、骨折がわからない場合もあります。 「肋骨を骨折したかも・・・痛むけど放置してても大丈夫かな」など、痛みが続く場合、いつまで続くのか、自然に治るのか不安に感じてしまうことと思います。 この記事では、肋骨を痛めた時に病院を受診するべき目安の症状チェックと、肋骨骨折の治療法について解説していきます。 肋骨骨折の症状 肋骨は左右12対の骨で背中の胸椎から胸の前にある胸骨までかごのようになっており、その中にある心臓や肺などの臓器を保護しています。 肋骨骨折は胸部外傷の中で最も多くみられ、激しいスポーツ、転倒や打撲などの軽いケガ、交通事故などの大きいケガによって損傷してしまうことがあります。 症状としては、骨折した部位の痛み、皮下出血、腫れです。骨折部を軽く圧迫すると骨がきしむ音がすることがあります。また、体をそらしたり、肩を動かしたりした時や、咳、深呼吸で痛みが強くなることが特徴です。 肋骨骨折の症状 ・骨折部位の痛み ・皮下出血 ・腫れ ・骨折部位の圧迫で骨の”きしむ”音がする ・体をそらす、肩を動かす、咳、深呼吸等で強い痛み 肋骨骨折の診断 診断は、問診と胸部の触診、レントゲンが一般的ですが、病院によってはエコーで診断を行うことがあります。 肋骨は肺や肋骨同士の重なりがあるためレントゲンでの判断が難しく、特に小さい骨折はレントゲンでは見つからない場合も多いことがあります。レントゲン写真のメリットとして、肋骨骨折に合併する気胸(肺を損傷して空気が漏れてしまうこと)を診断できることがあります。 エコーでは、レントゲンで明らかにならない小さいひびを見つけることも可能ですが、実施していない医療機関もあるので注意が必要です。 病院受診の目安 病院を受診する目安を記しますが、痛みや、違和感が強い場合は、放置することなく医療機関を受診するようにしましょう。 受信する目安について、胸をぶつけた後に押して痛みがある、呼吸やくしゃみで痛みが悪化する、内出血がある場合には、骨折をしている可能性があるので受診をすることが勧められます。 また、息苦しさがある場合には気胸を起こしていることがあるので、できるだけ早めに受診するようにしましょう。 医療機関を受診の目安 ・押すと痛い ・呼吸、くしゃみで痛みが強い ・内出血がある ・息をするいのが苦しい(気胸の可能性) 肋骨骨折の治療法 明らかな骨折、不全骨折(いわゆる“ひび”)、X線で骨折がはっきりしない打撲の場合でも治療は、ほぼ同じです。 痛みが軽い場合には、消炎鎮痛薬の内服と湿布などで痛みを和らげます。 痛みが強い場合には、バストバンドやトラコバンドとよばれる固定帯(コルセット)で、骨折した部分を圧迫固定します。呼吸で胸が広がることによって、骨折した肋骨に負担がかかり痛みが出てしまいますが、息を吐いた状態でバンドを巻くことで、骨折部の動きが少なくなり痛みが緩和されます。 これらの治療で、多くは数週間で痛みが軽快します。骨折部のずれが大きいときや、複数の肋骨が折れている時には手術が行われることもありますが、かなり稀です。 また、大きいケガで血気胸(胸の中に血液や空気がたまること)がある場合には、呼吸の管理や胸にチューブを挿入する治療が行われる場合もあります。 肋骨骨折についてよくある質問 肋骨骨折でよくお伺いする質問をまとめました。 Q:肋骨が痛いのですが、どのような病気が考えられますか。 A:ケガなど明らかな原因がある場合には打撲、肋骨骨折が最も考えられます。また、ゴルフなどのスポーツ、慢性的な咳などがある時にも肋骨の疲労骨折の可能性があります。 これらの原因がない場合には、肋間神経痛という神経の痛みや、帯状疱疹、稀ですが骨の“がん”などを考える必要があります。帯状疱疹では皮膚のぶつぶつができますが、皮膚の症状より先に痛みがでることが多いので、肋骨周辺の痛みがあるときには、皮膚の上からの、見た目にも注意するようにしてください。 Q:肋骨骨折はどのくらいで治りますか? A:骨折の痛みが軽減するまでは数週間、骨癒合するまでは2-3ヶ月を要するのが一般的です。 肋骨骨折は自然に骨が癒合する確率が高いので、固定のバンドは痛みが和らぐまでの数週間の装着で問題ありません。骨折を起こした後、骨折した部分には3週間程度で仮骨(骨のもと)が作られ、これによって骨折部が安定化することで痛みが和らぎます。その後徐々に骨形成が進むことで骨癒合していき、症状がなくなります。 Q:肋骨骨折をした後にしてはいけないことはありますか? A:大きなケガで血気胸がなければ、痛みの範囲で日常生活に制限はありません。ただし、重いものを持つなどの重労働、激しいスポーツなどの衝撃は痛みが悪化することにつながるので、控えるようにしてください。 まとめ・肋骨骨折の症状と治療方法 胸部の外傷で最も多い肋骨骨折について解説しました。 肋骨骨折は、胸部の外傷で非常に多く見られる疾患であり、激しいスポーツや転倒、交通事故などさまざまな原因で発生します。症状としては、骨折部位の痛み、皮下出血、腫れ、骨のきしむ音、体を動かした際の痛みなどがあります。特に咳や深呼吸、くしゃみをすると痛みが増したり現れることが特徴です。 診断方法としては、問診と触診、レントゲン検査が一般的ですが、エコー検査も用いられることがあります。レントゲンでは小さな骨折が見つけにくいことがあるため、痛みや内出血などの症状が続く場合は注意が必要です。特に息苦しさがある場合は気胸の可能性がありますので早めに受診するようにしましょう。 治療法としては、痛みが軽い場合は消炎鎮痛薬や湿布を用いることが多いです。痛みが強い場合はバストバンドやトラコバンドと呼ばれる固定帯を使用し、骨折部分を圧迫固定することで痛みを緩和することが出来ます。多くの場合、これらの治療により数週間で症状が改善されます。 ただ、中には骨折部のずれが大きい場合や複数の肋骨が折れている場合は手術が必要となることもあります。また、重症の場合は呼吸管理や胸にチューブを挿入する治療が行われることもあります。 肋骨骨折の放置は禁物です。胸をぶつけた後に痛みや違和感を感じた場合、または呼吸困難や内出血が見られる場合は、放置すると危険な場合があります。このような症状が出た後は早めに病院で診断してもらい治療を受けることが大切です。早めに医療機関を受診しましょう。 肋骨骨折は通常なら数週間で痛みが減少し、特別な治療も必要としない骨折ですが、肺などの臓器の損傷や別の病気が隠れている可能性もあるため、注意が必要なことをご理解いただければと思います。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S124 監修:医師 加藤 秀一 ▼以下も参考にされませんか 肋骨骨折の原因と安静期間中の注意、仕事復帰の目安について
最終更新日:2024.06.17 -
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頭痛で吐き気は危険!一次性頭痛と注意すべき二次性頭痛の見分け方 頭痛は、ありふれた疾患であり、日本人の約4割は、慢性的な頭痛持ちとも言われています。慢性的ではなくても、頭が痛いというような頭痛を感じたことがない人は、ほとんどいないのではないでしょうか。 一口に「頭痛」といっても様々なタイプがあります。国際頭痛分類ってご存知でしょうか?なんと数百種類の頭痛が示されていることに驚かれるはずです。 今回は、そんな頭痛の中でも危険な「吐き気を伴う頭痛」について、具体的にどのような病気が考えられるか、どのように対処したらよいのかなどを中心に解説します。 頭痛の種類 まず、頭痛の種類について詳しくみていきます。頭痛にはたくさんの種類がありますが、大きく分類すると「一次性頭痛」と「二次性頭痛」にわけられます。 一次性頭頭痛とは、頭痛の原因となる疾患が特定できないものをいい、二次性頭痛は原因の疾患が特定できる頭痛です。具体例としては以下の通りです。 一次性頭痛(原因を特定できない) ・片頭痛 ・緊張型頭痛 ・群発頭痛 注意が必要な二次性頭痛(原因を特定できる) ・脳卒中 ・脳腫瘍 ・髄膜炎 ・慢性硬膜下血種 ・緑内障 ・副鼻腔炎 一次性頭痛は直接、命にはかかわらない頭痛ですが「二次性頭痛」は、命に関わることもあり特に注意しなければなりません。 頭痛の種類と特徴|一次性頭痛と二次性頭痛の見分け方 ではどうやって、一次性頭痛と二次性頭痛を見分ければよいのでしょうか。頭痛診療ガイドラインでは、以下のような症状の場合は、注意が必要といわれています。 頭痛でこれらのような症状を伴う場合は、二次性頭痛の可能性があります。原因となる疾患が隠れている可能性があるため、我慢せずに病院を受診し、検査を受けることをおすすめします。 二次性頭痛が疑われる注意すべき症状(医療機関を受診する) ・発熱や意識の低下を伴う場合 ・がんや免疫不全疾患などを患っている ・急激に発症する ・今まで経験したことのない痛み ・50歳以上で初めて経験する症状 ・最近発症した新しい頭痛 ・ろれつが回らない ・目が見えにくくなる ・上記が合併している 吐き気を伴う危険な頭痛と対処法 頭痛が強いと、吐き気も伴うという方も多いかもしれません。ここからは、吐き気を伴う頭痛について、詳しく見ていきます。吐き気を伴う頭痛は、主に3つあります。脳卒中、髄膜炎、片頭痛です。 ・脳卒中 脳卒中は、脳の血管が破れたり詰まったりすることで起こる疾患の総称です。具体的には「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」の3つを指すことが多いです。脳卒中による頭痛は吐き気を伴うことが多く、注意が必要です。 くも膜下出血の場合は、「突然発症し、今までに経験したことがない強い頭痛」が特徴といわれています。 脳出血や脳梗塞の場合は、頭痛に意識障害やろれつが回らない、目が見えないなどの脳神経が障害されている症状を合併します。また、頭がふらふらする感じやめまいを伴うこともあります。 このような症状がある場合は、すぐに病院を受診しましょう。 注意すべき命に係わる頭痛 ・ くも膜下出血:突然、経験したことがない強い頭痛 ・脳出血や脳梗塞:頭痛に意識障害やろれつが回らない、目が見えない、めまい ・髄膜炎 髄膜炎は、脳や神経を包む「髄膜」という膜に炎症が起きたものです。細菌やウイルスが原因のこともありますが、がんや薬剤が原因で起こることもあります。 頭痛や嘔吐を伴うものが多く、髄膜刺激症状と呼ばれる首を前に曲げると痛みがあるといった特徴的な症状を起こすことが多いです。発熱や下痢を伴うことも多く、風邪と間違われることもあります。 子供でも起こることがあり、子供が頭痛を訴えて嘔吐している場合はすぐに病院を受診して検査を受けるようにして下さい。 ・片頭痛 吐き気を伴う一次性頭痛として割合が多いのが、片頭痛です。 片頭痛は20〜40代の女性に多く発症し、こめかみから側頭部にかけてズキンズキンと脈打つような頭痛が生じます。また、頭痛が起きる前には、閃輝暗点(せんきあんてん)といって、視野にギザギザした光がちらつく前兆がある場合もあります。 片頭痛を発症した際には、光や音、においなどに過敏になることもあるので、暗く静かな場所で安静にするのが良いといわれています。 また、血管が開いて血行がよくなると症状が増悪するため、リラックスするために長風呂をしたり、マッサージを受けたり、お酒を飲んだりすることは逆効果なので避けましょう。 あまりにもひどい片頭痛の場合は、薬で症状を軽くすることもできるため、悩んでいる方は病院を受診するようにしてください。 頭痛でよくある質問 Q:片頭痛持ちですが、食事で気を付けることはありますか? A:赤ワイン、チョコレート、チーズ、ピーナッツ、豚肉などは片頭痛を誘発する可能性があるアミン類を含んでおり、控えるべきといわれています。 また、緑茶やコーヒーなどに含まれているカフェインは、摂取しすぎると悪化の原因となるため控えましょう。 Q:デスクワークだと頭痛が起こりやすいですか? A:ストレスや長時間のデスクワークが原因となって発症する、「緊張型頭痛」と呼ばれるものがあります。頭や首の筋肉の緊張によって引き起こされるといわれており、頭を締め付けられるような痛みがおこります。同じ姿勢を長時間続けることで悪化するため、30分に1回程度は休憩をとるようにしましょう。 また、筋肉の緊張をほぐすために、肩や首などをこまめに動かすストレッチを行いましょう。 まとめ ・頭痛で吐き気は危険!一次性頭痛と注意すべき二次性頭痛の見分け方 今回は頭痛について解説しました。 頭痛は、誰もが経験したことがある一般的な症状であり、日本人の多くがその経験をしています。しかし、頭痛にはさまざまなタイプがあり、一次性と二次性の区別が重要です。 一次性頭痛は、直接命に関わることは少ないですが、二次性頭痛には命にかかわる可能性もあります。特に吐き気を伴う頭痛は、脳卒中や髄膜炎など深刻な疾患のサインであることがあります。 このような症状がある場合は、すぐに医師の診察を受けることが重要です。また、片頭痛のような一次性頭痛でも、適切な対処が必要な場合があります。 安静にし、リラックスすることで症状を軽減できる場合もありますが、症状がひどい場合は医師の指示に従うことが大切です。 頭痛はよくある症状ですが、たかが頭痛と甘く見ず、いつもと違う、何か違和感を感じられたら早めに病院を受診するようにしてください。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.124 監修:医師 坂本貞範 ▼頭痛に関し以下も参考にされませんか 頭が痛い、重いとき…頭痛の種類と、それらの原因と治し方!医師が解説
最終更新日:2024.05.23 -
- 手部、その他疾患
- 手部
ばね指を自分で治すためのストレッチとセルフケアについてご説明します ばね指(指の腱鞘炎)で以下のような悩みのある方はいませんか? 「ばね指の症状を和らげる方法が知りたい?」 「自力で、ばね指を治す方法はないものか?」 ばね指は、中指に多く発症しますが、どの指でも発症する可能性があります。 ばね指で起こる症状を和らげるためには、適切な時期に正しいストレッチをするのがオススメです。 この記事では、ばね指を自力で治すためのセルフケアとして、ストレッチや生活で工夫するポイントなどを解説します。指の付け根の痛みや、こわばりに悩む方は、ぜひ参考にしてください。 ばね指を改善するストレッチ方法3選 簡単に誰でもできる「ばね指」を改善させるストレッチの方法を3種類ご紹介します。 ばね指に対するストレッチは、痛みが和らいでから行うのが原則です。なぜなら、痛みが強い時期は炎症が生じているため、無理なストレッチは逆効果になりかねません。 痛みが強い時期の対処法は後ほど解説いたしますので、まずは正しいストレッチを学びましょう。 ストレッチの原則 ・痛みがある場合は逆効果 ・痛みが和らいでから行うこと 1. 腱鞘(けんしょう)ストレッチ ばね指は、指の腱が通るトンネルのような「腱鞘」と呼ばれる部分や、腱そのものが炎症により痛みや、動きにくくなる病気です。 そこで、腱鞘と腱の動きを滑らかにするストレッチを行う必要があり、「腱鞘ストレッチ」と言われるものになります。このストレッチを行うことにより、腱の緊張や腱鞘で生じる摩擦を和らげる効果が期待できます。 腱鞘ストレッチの方法 1. 手首を手の甲側に軽く曲げる 2. 親指の付け根と指の腹でブロック状のもの(リモコンや小箱など)を挟む 3. 指の付け根とその隣の関節は直角になるようにする 4. 指の付け根がしっかり縮むように2のブロック状のものを押し合う 2. 親指の腱鞘ストレッチ ばね指になりやすい親指の腱鞘ストレッチです。 腱鞘ストレッチは、関節を曲げたり伸ばしたりといった反復した動きを行わないのがポイントです。 親指の腱鞘ストレッチ(右手が痛む場合の例) 1. 右手首を手の甲側に軽く曲げる 2. 右親指の付け根をできる限り曲げる 3. 左親指で右親指を伸ばすように抵抗をかける 4. 右親指は抵抗に対して負けないように力を入れて押し合う 3. 指のストレッチ 指全体を伸ばすストレッチです。できるだけリラックスした状態で行いましょう。 指のストレッチ 1. 手首を手の甲側に軽く曲げる 2. 指をできるだけ伸ばす 3. 反対側の手でさらに指を伸ばす 指の腱は手首を通過していますので、手首のストレッチも柔軟性の改善につながります。 指を動かすと痛みが出る場合でも、手首なら痛みなく動かせるようであれば、手首を手の甲側に曲げたり、手のひら側に曲げたりといったストレッチも行うと良いでしょう。 ばね指でストレッチを行う場合の注意点 ばね指は、日常的に指をよく使う場合に生じやすいため、ストレッチにも注意が必要です。 むやみにストレッチをして、症状を悪化させないために、以下の点に注意しましょう。 ストレッチの注意点 1)痛みのない範囲で行う 2)長時間行わない 3)お風呂上がりに行う それぞれの注意点について詳しく解説します。 1)痛みのない範囲で行う ストレッチは必ず痛みのない範囲で行いましょう。痛みを我慢して無理にストレッチを続けると、腱や腱鞘に過剰な負担がかかり、炎症を悪化させる危険性があります。 また、勢いよくストレッチをすると無理なストレスが生じやすく、痛みの原因になります。ストレッチはゆっくり慎重に行いましょう。 2)長時間行わないこと ストレッチの時間は長くても10分程度にとどめておきましょう。 前述の通り、ばね指の原因は、指を使い過ぎて腱鞘や指の腱に繰り返しかかる負担です。そのため、ストレッチを過剰に繰り返したり、長時間行ったりすると、使い過ぎになってしまいます。 ストレッチは、あくまでも固くなった部分をほぐすのが目的です。長時間、何度も繰り返さないように注意しましょう。 お風呂上がりなど、温めて行うこと 入浴後など温めると血液の循環が改善します。その結果、組織の柔軟性が高まり、その状態でストレッチを行うと通常よりも高い効果を期待することが可能です。 そのため、入浴後または、入浴中にストレッチに取り組まれることをお勧めします。 ばね指で気をつけたい2つのこと ばね指では日常生活で気をつけたいポイントが2つあります。 指を冷やさないこと 1つ目は、炎症が改善したあとは、できるだけ冷やさないことです。血流の悪化は組織の固さにつながります。 腱鞘や腱の固さが強まると、腱鞘炎のリスクが高まるため、なるべく指を温めましょう。 指を使い過ぎないこと 2つ目は、パソコンやスマホ、手芸などで指を使い過ぎないことです。 パソコンは指の負担を減らすため、肘から先を机に乗せて、手首を安定させましょう。スマホは片方の手でばかり打つのではなく、両手をバランスよく使えば負担を分散できます。 あまり長時間作業をするのを控え、休憩とストレッチを挟んで作業をするのも良いでしょう。 ばね指で痛みが強い場合は、安静や固定する ばね指の痛みが強いときは、腱鞘に炎症が生じているため、ストレッチにより症状を悪化させる可能性があります。痛みがある場合は、無理せず安静にして、テーピングやサポーターで固定するのもオススメです。 また、炎症が起きてすぐの場合は、温めるよりも、冷やす方を優先してください。アイシングをして、炎症の悪化を防ぎましょう。 ばね指は手指の使い過ぎが刺激となって生じるため、固定をすれば使いすぎを防ぎ、負担を軽減させることができます。 炎症が生じている時期には、早めに整形外科を受診して、炎症を抑える内服薬や外用薬を処方してもらうのも良いでしょう。 ばね指の注意点 ・痛みがある場合:テーピングやサポーターで固定し、安静にする ・ばね指が起こった時点:炎症がある場合は温めないで、アイシングなどで冷やして炎症を抑える まとめ・ばね指を自分で治すためのストレッチとセルフケア ばね指はストレッチで症状を改善!痛みがあるときは無理せず安静にしよう ばね指にはストレッチを行い、腱の動きをスムーズにすることで症状の改善が期待できます。本記事で紹介した方法を参考にして、痛みのない範囲で、無理せず継続しましょう。 ただし、痛みが強い時期は炎症を悪化させる恐れがあるため、ストレッチを控えて、安静にするよう心がけましょう。日常生活で指に負担をかけないよう注意して、サポーターなどを活用したセルフケアも大切です。 ばね指の痛みや引っかかりに悩まされないためにも、ストレッチとセルフケアに取り組みましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S123 監修:医師 加藤 秀一 ▼ばね指は、以下も参考にされませんか ばね指でやってはいけないこと!
最終更新日:2024.05.03 -
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脳出血は発症時の意識レベルが予後を左右する!その回復過程について 脳出血とは、脳内の血管が破れて脳内で出血する病気です。これにより神経組織がダメージを受け、命を左右し、さまざまな後遺症を起こす危険性があります。 脳出血は、日本における三大死亡原因のひとつである重篤な病気です。社会復帰できる方もいますが、中には意識不明、重症のまま意識が戻らず亡くなってしまう場合もあります。 脳出血を起こしてしまった方や、ご家族にとって、余命はどのくらいなのか、生存率・死亡率はどの程度で、退院後の生活はできるのか、長生きできるのかなど、多くの心配事に悩まされることでしょう。 この記事では、脳出血を起こした後の予後予測、生存率や回復過程について解説していきます。 脳出血後の予後予測 脳卒中は、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血の3つに分けられますが、2022年の脳卒中データバンクでは、「脳出血」の頻度は18.0%と報告されています。また、脳出血の死亡率は高く、発症した方の13.8%が入院中に亡くなっています。 脳出血の発症で死亡してしまう方が多いタイプとは 死亡してしまう方が多いタイプとして、血腫の量が多い、混合型の出血、脳幹の出血、急性閉塞性水頭症を合併している場合などがあります。血腫量が多い場合は血腫の除去、水頭症に対しては脳脊髄液を排出して圧力を下げるドレナージ手術の方法があり、同じく2022年のデータでは手術率は12.6%と報告されています。 このように、脳出血の大部分は保存的に治療されますが、約1割程度は手術を必要とする重症であると考えられます。 脳出血の予後は発症時の意識レベルが重要 脳出血の重症度、死亡率に影響するものとして、発症時の意識レベルがあります。一般的に発症時に意識状態が悪いほど、後遺症も重くなり、死亡率が高くなってしまいます。 また、時間経過とともに、症状が進行することも予後が悪い原因となります。実際に2022年のデータでは、脳出血において19.6%の方は発症時に昏睡状態(Japan Coma Scale 100以上)を呈しています。 脳出血後の5年生存率は報告によってばらつきがありますが、27〜57%程度と報告されており、発症した時の年齢が高齢で意識状態が悪い方ほど死亡率が高くなってしまいます。 参照:「脳卒中レジストリを用いた我が国の脳卒中診療実態の把握(日本脳卒中データバンク)報告書 2022年」 参照:「PubMed®初めての脳卒中後の5年生存率」 脳出血の回復過程の3段階 脳出血を起こした後の回復過程は、急性期、回復期、生活期の3段階に分かれていて、それぞれの段階に応じた治療、リハビリが必要です。 回復過程は3段階 急性期(発症~3か月) 急性期は発症直後から2週間程度の期間です。 出血が広がらないように血圧を下げる治療や呼吸・循環を補助する治療が行われ、場合によって手術治療が行われます。急性期のリハビリは筋肉が衰えたり、関節が固くならないように無理のない範囲で行います。 回復期(3~6か月) 回復期は、急性期の終了後の3か月から6ヶ月までの期間です。 麻痺や動作の障害に対しては理学療法や作業療法を行い、しゃべり辛さ、飲み込みの障害に対しては言語聴覚療法を行います。 生活期(6か月以降) その後の生活期のリハビリでは軽めの運動を取り入れながら、生活の範囲を広げ、動作に慣れるリハビリを行っていきます。 実際に、2022年の脳卒中データバンクでは脳出血後のリハビリは、理学療法を86.4%、作業療法を84.4%、言語聴覚療法を74.3%の方が受けており、55.4%の方がリハビリ目的に転院できています。 しかし、同じく2022年のデータでは、自宅に退院できた方は約26%で、リハビリ目的以外の病院への転院が12.4%、その他の施設(介護老人保険施設、老人ホーム等)への退院が5.4%となっており、急性期を過ぎた後に自宅へ退院できる方は少なく、約2割程度の方は生活機能が低下してしまっていて、療養型病院への転院や施設へ入所していることがわかります。 脳出血についてよくある質問 Q: 脳出血の予防方法はありますか。 A:脳出血の原因は、高血圧性脳出血が約8割と最多です。 高血圧は基本的には無症状ですが、動脈硬化による脳梗塞や脳出血の原因になってしまうため、異常値を指摘されている方は早めに医療機関を受診して治療することをお勧めします。 Q:意識障害はよくなりますか。 A:脳出血の症状と治療は、出血した場所、出血の量によって異なります。 意識障害を起こしている場合は、脳幹という神経が集まっている部位の出血や、出血の量が多く脳が浮腫を起こしている可能性があります。 高血圧に対する降圧、脳の浮腫を和らげる点滴、呼吸状態が悪い場合には、呼吸の補助をするための人工呼吸を行い、場合によっては血腫を取り除くために開頭手術などが必要となることもあります。これらの治療によって意識状態が回復する場合もありますが、損傷した神経自体を回復させる治療はまだないため、重度の意識障害では症状が残ってしまう可能性が高くなると言われています。 そのため、脳出血を発症しないように、血圧管理を含めて日常的な生活習慣に気をつけることが重要です。 Q:脳出血はどこまで回復しますか。 A:脳出血による後遺症、回復の程度は、発症時の症状とその後リハビリにより大きく異なります。 発症した時に意識障害がある場合や高度の麻痺がある場合には、一般的に後遺症が残ってしまいます。また、発症後6ヶ月までは回復する見込みがあり、その期間に集中してリハビリを行うことが勧められます。 ご自身の想定される回復の程度、リハビリが必要な期間について担当の医師とよく相談するようにしましょう。 まとめ・脳出血は発症時の意識レベルが予後を左右する!その回復過程とは 脳出血は、生命はもちらん、一命を取り留めてもその後の生活に関わる重症な病気であり、発症の予防、早期治療が最も大切です。 現代の医療でも損傷された神経を完全に回復させることはできませんが、適切に治療をすることによって残された機能を回復させることができます。少しでも発症前の生活に戻れるようにリハビリを頑張っていただくことが必要です。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.123 監修:医師 坂本貞範 ▼脳出血の情報はいかにもございます。 脳出血の後遺症、寝たきりにならないためのリハビリについて
最終更新日:2024.03.29 -
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捻挫の痛みや腫れは骨折や靭帯断裂の可能性!病院へ行くべきか判断する5つのチェック項目とは! 足を捻ってから、腫れや、痛みがあるけど「軽度の捻挫かな…」などと思って無理や放置をしていませんか?その判断、実はリスクが潜んでいるかもしれません。 症状がひどい場合は、病院に行くべきか、何科を受診したらよいのかと迷われることも多いと思います。その点、軽症であれば湿布や安静にして経過観察しようと思いがちですが、しばらく経っても腫れが引かない、痛みが治らない場合は、ただの捻挫ではないかもしれないのです。 内出血や腫れがひどい場合は、靭帯断裂や骨折の可能性もあります。この記事では、捻挫で病院を受診するべきか、受診の必要がないかなど、それらを判断するために症状別、重症度のチェックをするための5項目を解説していきます。 捻挫とは 捻挫の多くは外傷が原因で、スポーツ中や歩行中などに段差を踏み外して、足関節を捻った場合などに生じます。 大部分は、距骨と足関節の外側にある腓骨(ひこつ)を結び付けている外側の靱帯(前距腓靭帯)の損傷で、この部分の損傷が捻挫の90%を占めるという報告もあります。小児では靱帯よりも骨のほうが弱いので、靱帯が付いている骨の部分が剥離する「裂離骨折」が多くなってきます。 捻挫の症状としては、足関節外側の腫れ、痛みがあり、体重をかけた場合に痛みが悪化することが多く、歩行が困難になる場合もあります。 捻挫の治療について、通常は軽度の靭帯損傷が最も多く、その場合にはギプスやシーネ、サポーターで保存的に治療することが可能です。しかし、骨折の場合や靭帯の完全断裂、足関節の不安定性がある場合には手術を要する場合すらあります。そのため、初期の重症度の診断をはじめとした、早期の治療が大切になるというわけです。 病院へ行くべき?捻挫の重症度を判定する5項目のチェックリスト 足首を捻挫した時などに使われる「重症度を判定するために使用するチェックリスト」に「Ottawa Ankle Rule(以下、オタワ アンクル ルール)」というものがあります。 このチェックリストは5項目からなり、「該当する項目が1つでもあれば骨折が否定できない」ため、医療機関を受診し、レントゲン写真を撮影した方がよいという、病院を受診すべきか、しないかの指標とするものです。逆にどれにも該当しなければ、骨折の可能性は低く、病院への受診やレントゲン写真は不要と考えてられます。 ただし、何か違和感があるなど、不安や痛み、腫れが引かない場合は、病院へ行きましょう。診療科は整形外科になります。 オタワ アンクル ルールの5項目 一つでも当てはまれば骨折の可能性がああります。病院を受診しましょう □1.腓骨遠位端(外くるぶし)より6cmまでの中心線に※圧痛がある □2.脛骨遠位端(内くるぶし)より6cmまでの中心線に圧痛がある □3. 第5中足骨基部(かかとの小指側の骨の出っ張り付近)の痛み(圧痛) □4.舟状骨(足背から内側にかけての部分)の痛み(圧痛) □5.怪我をした側で 4歩以上その足に体重をかけることができない/歩けない ※圧痛とは 皮膚に圧力(押すなど)を与えた際に痛みを感じること いかがでしょうか?上の項目に1つでも当てはまってはいませんか?上記に関わらず違和感や、痛み腫れで心配がある場合は迷わず病院での受診をお勧めします。 一方で、靭帯の完全断裂については明確なチェックリストはないのですが、一般的に重症な靭帯損傷では痛みが強いため、オタワアンクルルールに該当することとなり、骨折、靭帯損傷のいずれにしても病院への受診を考えた方がいいという結果となります。 捻挫についてよくある質問 Q: 捻挫をした場合、どうしたらいいですか? A:まずは痛みの部位を確認して、体重をかけることができるか確認しましょう。 痛みの部位は上記のチェックリストを参考にして、「くるぶしの内側」「くるぶしの外側」「かかとの外側」「足背から内側」にかけて押して確認します。押して痛みがある場合や、体重をかけることができない場合には、病院受診をお勧めします。 また、捻挫の初期対応として知っておきたいのが受傷の初期、急性期と言われる時点での対応をまとめた「POLICE」です。 POLICEとは ・Protection(保護) ・Optimal Loading(最適な負荷) ・Ice(冷却) ・Compression(圧迫) ・Elevation(挙上) ※拳上とは 捻挫した患部を心臓より高い位置に保つことで内出血による腫れを防ぐためです。 急性期の傷害対処法は、一般的に受傷後48~72時間以内にPOLICEによる処置を行うことが基本となります。しかし、急性期を過ぎても患部が腫れている、触ると熱を持っているなどの場合は、引き続き「POLICE」処置を継続し、病院のて受診されることをお勧めします。 急性期には負荷をかけられないので、怪我をした直後は包帯で圧迫してアイシングを行い、足を挙上しておくようにしましょう。冷感湿布による冷却も、炎症の鎮静に効果的です。 Q:捻挫は、どの程度の期間で治りますか? A:軽度の靭帯損傷で、手術が必要ない場合には足関節をシーネやギプスで最低3週間固定することが推奨されており、長い場合には6週間程度固定を行うこともあります。また、スポーツの復帰時期については症状経過によります。 一般的には痛みがなくなった後からサポーターをして、ウオーキング、ジョギングなどの軽いスポーツから復帰し、徐々に元の競技へ復帰とします。その間にチューブやタオルを使って足関節周囲筋を鍛えておき、必要であれば予防のためのリハビリも行う場合があります。 病院でのアドバイスにしたが追いましょう。 Q:捻挫後、時間が経過したが、痛みが残っている場合はどうしたらいいですか? A:捻挫による靭帯損傷は重症度により3段階に分類されます。このうち最も重症な「靭帯の完全断裂」では手術も検討されますし、治療が適切に行われなかった場合には足関節の不安定性を生じてしまいます。また、捻挫と思っていても、距骨という骨の軟骨が損傷してしまっていることもあります。 このように、痛みが残っている場合には、足関節の不安定性や軟骨損傷の有無など、原因を詳しく調べる必要があるため早めの病院受診が大切です。 Q:病院を受診する場合は何科を受診すれば良いですか? A:捻挫した場合は、整形外科を受診しましょう。 まとめ・捻挫の痛みや腫れ!骨折や靭帯断裂に注意!病院へ行くべきか5つのチェック項目について 捻挫はありふれた症状であり、軽く考えている方も多いかもしれませんが、症状が強い場合には、骨折や靭帯の完全断裂の可能性もあります。本記事内で解説した5つのチェックリストを目安にしてください。 また、多くの捻挫は怪我をしてから数ヶ月すると強い痛みは取れ、日常生活に支障はなくなります。しかし、症状が軽いからといって無理をすると関節内に二次的な損傷が進行することがあります。 このような関節内の損傷は、“変形性関節症”へと進行する原因にもなるため、早めに病院で診断・治療を受けることが大切です。 以上、捻挫の腫れ、症状が軽いからといって無理をすると重症化のリスクについて記しました。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.121 監修:医師 坂本貞範 ▼以下も参考にされませんか 捻挫を早く治すために!正しい応急処置方法を紹介
最終更新日:2024.05.23 -
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頭を打つと危ない場所!危険な打ち方と症状を医師が解説! 日常生活のなかで、頭を打つことは少なくありません。立ち上がろうとして頭を打った、転倒した、階段から落ちた、交通事故で頭をぶつけた、殴られた・・・など、さまざまなエピソードがあります。 頭を打つとより危ない場所・安全な場所というのはありませんが、ぶつけた部位と強さにより様々な危険な症状が出ることがあります。では、どのような場合が危険なのでしょうか。 今回の記事では、頭を打った場合に見られる危険な症状や、考えられる疾患について詳しく解説していきます。 危険な頭の打ち方 頭を打った際、「強い力がかかって頭をぶつけた場合」には注意が必要です。 例えば、以下のような場面などが考えられます。 危険な頭の打ち方 ・1m以上の高さから転落した ・階段で5段以上の高さから落ちた ・受け身をとらずに転倒した ・交通事故で頭を打った ・車の外に放り出された ただし、高齢な方や薬(特に血液を固まりにくくする薬剤)の影響もあるため、同じ打ち方だから大丈夫ということはなく、その人ごとに判断する必要があります。 また、どのような原因で頭をぶつけたかも重要です。 例えば、「気を失って転倒して頭をぶつけた場合」には、心疾患や不整脈などの別の失神の原因も探さなければなりません。「急に手足の力が抜けて転倒した場合」には、脳卒中などの可能性もあります。 受診をした際には「どのようにぶつけたか」を伝えられるとよく、さらに目撃者がいれば伝わりやすいでしょう。 頭を打った際に危険な症状 誰が見ても重症な場合(明らかに意識の状態が悪い、手足の一部が動かない、血が止まらないなど)は救急で受診をしましょう。 一見重症に見えなくとも、以下の症状がある場合にはできるだけ早く医師の診察を受けるようにしましょう。 医師に相談すべき状態 ・何回も嘔吐する ・頭をぶつけた理由や受傷前の記憶がない ・けいれんがある ・耳や鼻から液体(血も含む)が出てくる ・目の周りや耳の後ろが黒くなる また、自分で症状を言うことができる人もいますが、小さな子供や高齢者では症状を言えないことがあります。何かがおかしいと思った際には、周りに助けを求め、子供でも大人でも悩まず受診するほうがよいでしょう。 頭を打ったことで起こること 大きく急性期(頭をぶつけてすぐ)と慢性期(頭をぶつけてしばらくたってから目立つようになる)に分けられます。代表的なものを以下に記載します。 急性硬膜下血腫・急性硬膜外血腫 脳と骨の間には膜が3層(外側から硬膜、くも膜、軟膜)あります。 頭をぶつけた数時間以内に、硬膜と脳の間で出血するものを「急性硬膜下血腫」、骨と硬膜の間で出血するものを「急性硬膜外血腫」といいます。 急性硬膜下血腫は受傷すぐから意識が悪くなることが多いのに対し、急性硬膜外血腫は受傷しても数時間ほど症状が出ない「意識清明期」があるのが特徴です。 他の症状には、手足の麻痺、悪心・嘔吐、けいれん、瞳孔の左右差などがあります。いずれもCTで診断でき、重症な場合には緊急で手術を行います。 外傷性くも膜下出血 頭をぶつけたことにより、くも膜と脳の間で出血が広がった状態です。 くも膜下出血はほとんどが脳動脈瘤(血管の一部が「こぶ」のようにふくらみ、破れやすくなった状態)によるものであり、頭をぶつけた場合は区別して外傷性くも膜下出血と呼ばれます。 基本は入院での経過観察で、脳圧が高くなる場合は投薬や手術などを行います。 脳挫傷 頭部打撲により、脳そのものが損傷してしまうことです。 頭をぶつけた場合は、ぶつけた部分とその反対の部分を損傷する場合があります。損傷された部位により、片麻痺(左右どちらかの手足が動かしにくい)や失語症(言葉が理解できない、言葉を表に出しにくい)、高次脳機能障害(後述)などがあります。重症な場合は、意識が悪くなったり呼吸がうまくできなくなったりします。 呼吸・循環(血圧や脳血流量)・脳圧・体温をコントロールを第一に行い、それでも進行する場合は手術も検討されます。 高次脳機能障害 頭部外傷では後遺症として、高次脳機能障害を起こすことがあります。 高次脳機能障害には以下のようなものがあります。 記憶障害 ・新しくものを覚えられない、思い出せない 注意障害 ・作業や生活の中で集中できなくなる ・気が散りやすくなったりする 社会的行動障害 ・自分から何もしようとしない ・「無関心」や社会常識から外れた行為が目立つ ・怒りやすい、性的に逸脱する行為、ギャンブルに熱中しすぎる 遂行機能障害 考えて、判断して、課題を解決するという一連の流れができない 頭を打った際のよくある質問 Q.頭を強くぶつけたが、どのようなときに受診したらよいですか? A.意識が不明瞭、手足の麻痺、嘔吐、転倒の記憶がない、けいれんなどがある場合には受診しましょう。 また、高齢者や基礎疾患のある方(特に血液を固まりにくくする薬を飲んでいる場合)も受診したほうがよいです。 Q.何科を受診すればよいですか?その際に注意することは? A.受診するのは脳神経外科や脳神経内科を検討しましょう。 また、顔面のぶつけ方により、眼科や耳鼻咽喉科、歯科などの受診をするのが良いです。受診する際は、どのようにして頭をぶつけたかを伝え、目撃者がいる場合は様子を聞くのが良いです。 普段飲んでいる薬があれば、忘れずに伝えてください。 まとめ・頭を打った際の危険な症状を見逃さないように!迷わず受診しよう 今回の記事では強く頭をぶつけた場合に、どのような症状が出ると危険かを解説しました。 頭を打つことは日常生活でよくあることですが、危険な症状が発生する可能性もあることを知っておきたいものです。特に、強い力がかかって頭をぶつけた場合や、頭部を損傷するような事故に遭った場合には注意が必要です。 頭を打った際には、以下のような危険な症状に注意する必要があります。 ・ 嘔吐が続く ・ 頭をぶつけた理由や受傷前の記憶がない ・けいれんがある ・耳や鼻から液体(血も含む)が出てくる ・目の周りや耳の後ろが黒くなる また、急性期と慢性期の両方にわたって、頭を打ったことによって生じる様々な症状があります。急性期では、急性硬膜下血腫、急性硬膜外血腫、外傷性くも膜下出血、脳挫傷などが起こる可能性があります。 慢性期では、高次脳機能障害が後遺症として現れることがあります。 頭をぶつけないことが第一ですが、もしぶつけてしまった際には、症状や事故の状況をしっかりと把握し、「何かがおかしい」と感じた際には、病院の受診を躊躇わないようにしましょう。 また安全な選択をするために、周囲の人々のサポートも活用しましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S122 監修:医師 加藤 秀一 ▼頭痛に関する記事も参考にされませんか 頭痛で吐き気を伴うと危険!考えられる病気やその対処法
最終更新日:2024.04.25 -
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ばね指とは?症状と原因、重症度の基準と治療法 ばね指とは、指の腱や腱鞘に炎症が起こることで手指に痛みや動作時の引っかかりが起こる病気です。 以下のような特徴があります。放置して症状が悪化すると指が伸びなくなってしまうこともあるので、早めの対策が必要です。 ばね指の特徴 ・朝に症状が強くなる ・指の曲げ伸ばしでカクカクとした感じがする ばね指の治療では、注射や手術などもあり、病気の不安に加えて費用面の不安もあると思います。 この記事では、ばね指の症状や原因、検査や治療方法について解説していきます。さらに、ばね指について「よくある質問」には、Q&Aでお答えしています。参考にしていただければ幸いです。 ばね指の症状と原因 指を動かすのに必要な筋肉は前腕にあり、その力を腱が指に伝えることで曲げ伸ばしをすることができます。その通り道で、指を曲げる腱が浮き上がらないように押さえているのが腱鞘(けんしょう)と呼ばれるものです。その構造はベルトとベルト通しの関係に似ています。この腱鞘や腱に炎症を起こし、痛みが生じてしまうのが「腱鞘炎」です。 軽い腱鞘炎の状態で指を使いすぎてしまうと、摩擦のために炎症が進み、腱鞘が厚くなったり、腱が太くなってしまうことで通過しづらくなり、ばね指へと悪化してしまいます。悪化してしまうと、簡単に指を伸ばせなくなり、曲がったままとなってしまいます。 症状 症状は、指の付け根の手のひら側の痛み、腫れや引っかかり感です。朝方に症状が強く、日中は使っていると症状が軽減することも多いです。 ばね指に進行してしまうと、指の可動域が悪くなってしまう場合もあります。 原因 家事や仕事、スポーツなどによる「手や指の使い過ぎ」が主な原因となっており、ホルモンバランスの乱れる更年期、妊娠出産期の女性にも多く生じます。 また、糖尿病、関節リウマチ、透析患者さんにもよくみられる症状で、母指・中指に多くみられます。 ばね指の重症度の基準 ばね指の症状の重症度は、以下の3段階の基準で判断します。 軽症はバネ現象(腱の引っかかりによるカクカクとなってしまう症状)がないもの、中等症はバネ現象があるものの、指の可動域がいいもの、重症は指が曲がった状態となっており、伸ばせない状態を指します。 引っかかりが起きている状態を“ばね指”と言い、腱鞘炎が進行すると、ばね指に悪化してしまいます。 1, 軽症 バネ現象(腱の引っかかりによるカクカクとなってしまう症状)がない 2, 中等症 バネ現象があるものの、指の可動域がいい 3, 重症 指が曲がったままの状態となっており、伸ばせない ばね指の検査 一般的に症状と診察から診断は可能であり、レントゲン検査は不要です。 しかし、関節リウマチや変形性関節症などの骨、関節に生じる病気を見つけるために行われる場合もあります。 ばね指の治療/保存療法 保存治療、腱鞘内ステロイド注射、手術治療について解説します。 保存治療は痛みのみで、引っかかり感のない軽症例や注射、手術希望がない方が対象です。 ①安静(手指の使用制限、シーネ・装具など) 軽症例の自然経過は良好ですので、数日間の安静で、自然に改善する可能性があります。 また、シーネ・装具で指を良肢位で固定することが効果的です。 ②薬物療法(外用薬、消炎鎮痛薬投与など) 内服薬、外用薬はいろいろな状況下で使用されますが、非ステロイド性消炎鎮痛薬の投与は、初期治療に他の保存的療法と組み合わせて使用されます。 また、腱鞘炎の治療にエストロゲン(女性ホルモン)と類似作用のあるエクオール(大豆イソフラボンの代謝物)が有効であるという報告が散見されています。 ③理学療法 消炎鎮痛と関節拘縮予防や可動域改善目的で行われる場合があります。 腱鞘内ステロイド注射 腱鞘内ステロイド注射は軽症、重症を問わず有効な治療方法です。 局所麻酔薬とステロイドを手の平側から腱鞘に注射する方法で、症状改善が期待できます。再発する場合は再度注射が可能ですが、腱が断裂する危険性もあり3カ月以上あけることが望ましいです。 手術治療 手術の適応は、以下のような場合に検討されます。 指の付け根の手のひら側を1―1.5 cmほど切開して、腱の周囲にある腱鞘を切離します。日帰りで可能な手術であり、術後のリハビリは特に必要ありません。 手術を検討する判断基準 ・保存治療が無効だった場合 ・保存治療が有効でも再発しやすく疼痛の強い場合 ・指を伸ばすのに制限があり改善しない場合 ・職業などの事情で早期に確実な回復を望む場合 ばね指についてよくある質問 ばね指についてよくある質問に、Q&A形式でお答えしています。 Q:ばね指は朝だけなぜ痛くなるのですか? A:正確な原因は明らかになっていませんが、夜間寝ている間は指を動かさないので、腱が炎症でむくむためだと推測されています。 指を動かしていると腱のむくみが減少するので、日中には症状が少なくなると考えられています。 Q:ばね指の手術費用はどの程度ですか? A:ばね指の手術は健康保険が適用されます。保険点数は2,050点のため、3割負担では6,000円前後で費用を提示している病院が多くなっています。 実際の手術では薬剤費なども含め、もう少し金額が高くなるため、事前に病院に確認するようにしましょう。 Q:注射の副作用はありませんか? A:ステロイド注射の合併症として、腱断裂、感染症があります。実際に、腱自体へのステロイド注入では腱の軟化を生じる場合がありますが、断裂自体の報告は少数です。医師もその危険性は知っており、連続で使用する場合は3ヶ月以上あけるか、手術治療をおすすめすることが多いです。 同様に感染症についても報告は少数であり、コントロール不良な糖尿病では注意を要しますが、過度な心配は不要と考えられています。 まとめ・ばね指とは?症状と原因、重症度の基準と治療法 ばね指は、中高年の方に追い病気です。指の腱や腱鞘に炎症が起こることで生じる病気で手指の痛みや動作時の引っかかりなどの症状が現れます。日常生活に支障をきたすことも少なくありません。 症状が軽いうちに無理をしてしまったり、指が伸びない状態で放置してしまうと、関節の拘縮など悪化してしまうこともある病気です。 主な原因は手や指の使い過ぎであり、更年期や妊娠出産期の女性にも多く見られます。 症状は朝に強く現れ、日中は軽減することもあります。ばね指は軽症から重症まで進行する可能性があり、重症になると指の可動域が悪化し、指を伸ばせなくなることもあります。 ばね指の治療方法には、「保存治療」「腱鞘内ステロイド注射」「手術」などがあります。 保存治療では安静や薬物療法が行われ、腱鞘内ステロイド注射は痛みの軽減が期待されます。手術は重症や保存治療が効果的でない場合に検討されます。 適切な治療を受けられるように、早めに病院で診断・治療を受けるようにしましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.122 監修:医師 坂本貞範 ▼ばね指は、以下も参考にしていただけます ばね指を自分で治すためのストレッチとセルフケア
最終更新日:2024.06.25