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変形性膝関節症の画像診断と進行度合の目安、ステージ分類の仕方、自覚症状の見方
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目次
変形性膝関節症の画像診断と進行度合の目安、ステージ分類の仕方、自覚症状の見方
変形性膝関節症と診断されてから「どれくらい進行しているのだろう?」ご心配や、お悩みは尽きないものです。もしかして「悪くなっているのか?、いや良くなっているかも」「平行線なのか?」自分の症状が今どの程度なのか。
実は、そんな症状の進行度合を指標とした指標があります。それが「ステージ分類」というものと「自覚症状からの分類」というものがあります。
変形性膝関節症は、膝に痛みや変形をもたらし、日常生活に多大なる影響を及ぼします。進行すると手術の適応となるのですが、その進行度合いは画像診断や、患者様の自覚症状から見極められます。
そこで今回は、症状の進行を現す変形性膝関節症のステージ分類と、自覚症状による分類についてご紹介しましょう。
変形性膝関節症の「ステージ分類」の仕方
変形性膝関節症は、X線検査(x-ray)にて診断されます。撮影には寝転んだ状態で正面・側面から撮影する方法(非荷重位)と、立って撮影する方法(荷重位)があります。寝転んだ状態では、関節の隙間が広がり、正確に隙間を見ることができないため、立位で撮影することが大事です。
膝の診断レントゲン撮影
- 寝て撮影:否荷重位
- 立って撮影:荷重位(正確な診断にはこちらを選択する)
X線により白く映し出された大腿骨と脛骨の末端に注視し、膝の状態を確認します。特に大腿骨と脛骨の隙間・O脚やX脚・骨棘(異常に突出した骨)が形成されているかどうかです。これらを元に、Kellgren-Lawrence(ケルグレンローレンス)分類のグレード0〜4のいずれかに分けて変形性膝関節症の進行度合いを表示します。数字が大きくなるほど進行が進んでいる状態を表示します。
Kellgren-Lawrence (ステージ分類)
グレード0
- 大腿骨と脛骨の関節の隙間が十分にある正常な状態です。
グレード1
- 骨棘のほか、関節液が骨に侵入
- 溶解され骨に穴が空く骨のう胞、度重なる骨への負担から骨が異常に固くなる骨の硬化がみられる。
グレード2
- 関節の隙間が狭くなりますが、正常の2分の1以上の隙間が残っている。
グレード3
- 関節の隙間がさらに狭くなり、正常の2分の1以下になる。
グレード4
- 関節の隙間が消え、大腿骨が内側に傾くなど大腿骨と脛骨のズレが見られます。
- また明らかな骨棘の形成が見られる。
こられ「X線検査」は、骨の状態や隙間を確認することには長けていますが、靭帯や軟骨などの軟部組織はハッキリと映し出されません。靭帯や軟骨を確認するには、明暗がハッキリわかるMRI(Magnetic Resonance Imaging)が使われます。
このように変形性膝関節症はX線にて診断され、画像を元に分類分けされます。
次に自覚症状などから分けられる4つの分類を紹介します。
変形性膝関節症の進行に沿った「自覚症状による分類」の見方
変形性膝関節症の自覚症状は「前期」「初期」「中期」「末期」と進行していきます。
「前期」の自覚症状
- 痛みは感じず、健康な状態です。軟骨変性といい関節軟骨に劣化や傷みが起こることがありますが外部から確認はできない。
- ここから長い年月をかけて関節軟骨の弾力が少しずつ衰え、病気は進行する。
「初期」の自覚症状
- この頃から軟骨が擦り減り始める。
- X線では膝関節に変形はほとんどない。
- 主な症状は、膝の「動かしにくさ、こわばり、違和感」がある。
- 軟骨変性が進むと、関節軟骨のクッション機能が失われていき、一箇所に負担がかかることで骨硬化が見られる。
- 滑膜が炎症を起こし、激しい痛みを感じることがあるのも初期の特徴。
「中期」の自覚症状
- いよいよ膝関節の変形が始まるのが中期。
- 初期の炎症が落ち着き、痛みは軽減される。
- しかし痛みは慢性化し、日常生活動作に影響が出始める。
- 特に階段の昇降や、正座や立ち上がりなど、膝の曲げ伸ばしに関する動作に支障が出る。
- 動くたびに痛みを感じるので、痛みを庇うことで膝周囲の筋肉や靭帯を動かす機会が減る。
- 膝関節の動きが固くなり、制限がかかる状態を関節拘縮と言う。
「末期」の自覚症状
- 変形はさらに進行し、軟骨がほとんど擦り切れた状態。
- 大腿骨と脛骨が直接ぶつかることから、立つ・座る・歩くといった生活の基本の動作がまともにできなくなる
- 膝が動かなくなる。
- 基本的にはじっとしていても痛みを感じ、杖や手すりなど、何かを頼りにしないと歩くのも難しくなる。
ここまで単純X線写真で判断するグレードと、自覚症状などから判断する「前期」「初期」「中期」「末期」の4つの分類を紹介しました。
しかし前項で紹介したX線検査でのKellgren-Lawrence分類が進行していたとしても、自覚症状が一致するとは限りません。
自覚症状があまり強くない場合や、その逆の場合もあります。
まとめ・変形性膝関節症の画像診断と進行度合の目安、ステージ分類の仕方、自覚症状の見方
いかがでしたでしょうか?
変形性膝関節症の画像診断と自覚症状における分類について、その見方や仕方をご紹介しました。両者の進行度合いが一致するとは限らないことから、膝に痛みがないからと安心してはいけません。
膝に違和感を覚えた時点で早期受診・発見することが、変形性膝関節症の治療の幅を広げ、進行を遅らせることができます。
また変形性膝関節症の基本的な治療は「運動療法」になります。膝周囲の筋肉を鍛え、膝への負担を軽減させることで、進行を遅らせることができるからです。
たとえ手術の適応となった場合でも、術後も運動療法を継続することが大事です。運動療法により膝の可動域を維持することで、その先の人生をいかに支障なく過ごせるかに関わってきます。
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監修者
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坂本 貞範 (医療法人美喜有会 理事長)
Sadanori Sakamoto
再生医療抗加齢学会 理事
再生医療の可能性に確信をもって治療をおこなう。
「できなくなったことを、再びできるように」を信条に
患者の笑顔を守り続ける。