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肩の腱板断裂は放置では治らない!早めに医療機関を受診して!

公開日: 2022.07.05
更新日: 2024.10.07

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肩の腱板断裂は放置では治りません!医療機関での受診が必要なことをご説明します

肩の腱板断裂(けんばんだんれつ)について

  • どんな症状?
  • どんな年齢層で多く起きるの?

腱板断裂を分かりやすく症状で表すと、「肩上がらない」、「肩が痛い」、「夜寝ていると、肩が痛くて眠れない」、「腕を上げようとしても力が入らない」、「腕を上げるときに肩の前の方で変な音がする」、などといったものになります。
年齢的には、40歳以上の男性に、特に60歳代の方に多くみられる病気になります。

ところが肩が痛くて、40歳以上で・・・というと、「四十肩?、五十肩!?」と思われる方が多いのではないでしょうか?では、「五十肩」とはどう違うのでしょう?

「五十肩」は別名「凍結肩」とも呼ばれているように、関節の動きが固まってしまうものです。

これに対して、「腱板断裂」では、痛みはあっても反対側の手を添えたりすると肩を動かすことができるので肩が動くか、動かないかが大きな違いになります。

腱板断裂 症状 発症しやすい年代
    • ・肩が上がらない
    • ・肩が痛い
    • ・肩が痛くて眠れない
    • ・腕を上げようとしても力が入らない
  • ・腕を上げると肩の前の方で変な音がする
  • 40代以上の男性に多い
  • 60歳代に多くみられる

腱板断裂の状況図

肩の腱板って何ですか?

肩の腱板とは、肩関節の中にあり、いわゆる「腱」が筋肉とつながっているために板のようにみえるグループ構造のことで、肩関節の動きを支えています。

肩関節とは、鎖骨(身体の正面、首のしたで中心から左右に伸びる骨)、肩甲骨(肩の後ろの翼のような形の骨)、上腕骨(いわゆる腕の骨)に囲まれた部分です。

肩関節の動きはとても複雑なことができます。例えば、肩をぐるぐる回したり、手(腕)を上に挙げたり、手を後ろに回したり、肘は体につけて「小さく前にならえ」のような動きをしたり、様々な動きができます。

  • 以下のような動きに関係しているのが肩の腱板です。
  • ・手を横に広げて上げてくる時(鳥が翼を大きく広げるような動作)には「棘上筋」
  • ・小さく前にならえの姿勢から手を外側に広げる時の動きは「棘下筋」「小円筋」
  • ・手を体の後ろで組んで少し体から離すような動きの時は「肩甲下筋」

腱板断裂のタイプには、「完全断裂」と「不全断裂」があります。これは、治療方針を決める上で大事になります。

腱板断裂はどんな時に起きるのか?

腱板断裂は、大きく分けて3つあります。
また、スポーツ選手などの活動性の高い人たちの肩の使いすぎで腱板断裂が起きることもあります。野球選手のシーズンオフのニュースなどでも時々耳にすることがあるので、「腱板断裂」という言葉は結構身近に耳にする言葉かもしれません。

  • (1)転んでしまった時などの怪我を原因とするもの
  • (2)スポーツが原因となるもの
  • (3)主に年齢が上がるにつれて腱板が徐々にすり減っていくことを原因とするもの

明らかに転んでしまった、などの怪我が原因の場合は、多くの方が整形外科を早めに受診されるので、その際にレントゲン撮影、超音波検査、MRI検査などをして診断されることが多いので、適切な治療を早めに開始することができます。

一方で、徐々に腱板がすり減っていって腱板断裂を起こしてしまった場合は、整形外科受診のタイミングを逃してしまう方も多く、「なんとなく肩が痛かったけど、騙しだまし、やってきた・・・、日常生活に不足なかったから」などの理由で放置されることが多く、それも障害がある限りは限界がきます。

そういえば、いつだったか、ずいぶん前にちょっと転んだけど、しばらくしたら痛くなくなって、病院では診てもらわずに放っておいたというのは、よく聞く話です。

こういう方々は、実際に整形外科の受診時に
「ひどい痛みで肩が動かない、、、。日常生活に支障が出てきて困っている!なんとかしてほしい!!」となることがあります。

また、スポーツで断裂が起こる場合は大きく次の3つのタイプに分かれます。

1)慢性障害 野球や、バレーボール、水泳など、肩を大きく回す動作を日常的に繰り返すことで起こります。筋肉の疲労を伴うもので完全に断裂することはあまりなく、多くは部分断裂です。
2)急性障害 急激に大きな力が掛かり急性に完全断裂が起こることがあります。ジムでの筋力トレーニングや、体操、テニス等で見られます。
3)外傷型障害 衝突や転倒により生じる症状です。スキーやスノーボード、ラグビーやサッカーなどで多く見られます。

 

腱板断裂は放置しないで肩に違和感があれば医療機関を受診する

腱板断裂は放っておけば断裂してしまった部分が自然に修復されるなどということは期待できません。つまり、なんらかの対策、治療や、リハビリテーションが必要となります。

痛みが無くて、日常生活に不便がない場合でも、放置した場合は、肩の機能は低下していきます。また別の病気に移行する危険性があります。

転倒や、スポーツなどの急な怪我で腱板断裂が起きてしまった場合、または肩に違和感がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。三角巾などで1−2週間安静にしていただき、強い痛みがある場合は炎症を抑えるための鎮痛剤の内服あるいは、ステロイド注射などの「薬物療法」、湿布、テーピングなども使いつつ、残った部分の腱板や肩回りの筋肉の増強に向けたリハビリテーションを行います。

これで約70%の方が状態は良くなります。しかし、肩の痛みが続き、肩の動きも思うようにままならない場合は、手術(断裂部の修復手術など)も検討しなければなりません。

まとめ・肩の腱板断裂は放置で治りません!早めに受診されることをお勧めします

腱板断裂の症状は、全ての人に痛みが強く出るものではありません。腱板断裂ではあるが痛みがなく、肩が動いて日常生活に不便がない無症候性腱板断裂という方もおられます。また、無症状ではないものの日常の生活には支障がない方もおられます。

そのような方々が腱板断裂を放置する選択をされ(痛くない、支障がない)ますが、肩の機能は低下していくため、最終的に困った状態になってから医療機関を受診されるということになります。

そうなった場合の問題は、症状が進行してしまい極端な場合は、手術による修復が難しく、太ももの筋膜の移植、人工関節手術を検討する羽目になりかねません。まだ、大丈夫と自分で判断するのは重症化のリスクをはらんでいることをご理解ください。

ここまで肩の腱板断裂と放置による危険性を記してまいりました。明らかな痛みや、症状がある場合に病院等、医療機関を受診された方は、スムーズに治療に入れるため放置にはなりません。

肩に軽い痛みや違和感があるだけでは、つい病院等に行きそびれてしまったり、あまり痛まない、肩が上がるから大丈夫などと自己判断で腱板断裂を放置すると症状が悪化することがあります。

日常生活に支障がないからと放置するのではなく、肩に痛み、違和感を感じたら整形外科等、医療機関を受診し、治療は勿論、現状の把握と万一、放置した場合のリスクについて説明を受け、ぜひ前向きに治療を開始されることをお勧めいたします。

 

▼こちらも合わせてご覧ください
腱板断裂と四十肩(五十肩)はどう違うのか

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