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高齢者が股関節の手術をするリスクとは?リハビリ内容を含め現役医師が解説

人工股関節 レントゲン
公開日: 2021.01.13 更新日: 2025.02.10

「股関節の手術が必要になりそう……」

「術後のリスクが正直心配……」などと悩んでいませんか。

とくに高齢者が股関節の手術をする際に実施される人工股関節置換術では、痛み以外にも多くのリスクがあるのも実情です。

そこで今回は高齢者が人工股関節置換術をする前に知っておきたいリスクを解説します。

手術以外の選択肢や治療期間、歩けるまでどれくらいかかるのかなども取り上げているので、ぜひ最後までご覧ください。

【基礎知識】高齢者の股関節手術でおこなわれる人工股関節置換術とは

高齢者がおこなう人工股関節置換術とは、加齢に伴ってすり減った股関節部分を切除し、人工関節に置き換える手術です。

人工股関節置換術は加齢による関節の劣化や痛みを軽減し、生活の質を向上させるための有効な手段です。

人工股関節置換術をおこなうのは主に高齢者になり、逆に50歳未満の場合は「骨切り術」を実施するケースが大半です。

たとえ80歳以上であっても、股関節の手術前に診断した結果次第では、年齢制限なく手術を受けられます。

人工股関節には20〜30年以上の耐久性能があるため、年齢によっては再手術の必要がありません。しかし、高齢者が人工股関節置換術をする際は、後述するリスクについてよくご確認ください。

高齢者が股関節の手術をする前に知っておきたいリスク

高齢者が人工股関節置換術をする際、リスクを把握せずにおこなってしまうと、日常生活に支障をきたす可能性があります。

手術後に発生する可能性のあるリスクは、主に以下の通りです。

  • 術後に起こりうる合併症(後遺症)のリスク
  • 年齢によるリスク

リスクが発生する原因や具体的なリスク内容を順番に解説していきます。

術後に起こりうる合併症(後遺症)のリスク

高齢者が人工股関節置換術をおこなう場合、合併症のリスクが高くなることが懸念されます。

病気は年齢を重ねるごとに発症のリスクが高まります。高齢者はとくに基礎疾患を有しているケースもあるため注意が必要です。

糖尿病などの病歴がある人は、手術前に発症する可能性のある合併症について理解し、リスクを認識することが重要です。

合併症の種類

詳細

感染

・多くの場合で発症する合併症

・発症率は0.5〜3.0%とされ高齢者は10%

・手術中の細菌侵入が主な原因

・糖尿病や関節リウマチの治療をしている人、ステロイド治療を受けている人は感染リスクが高い

血栓症・肺塞栓症

・手術中、手術後に深部静脈血栓症

・脚のむくみや痛みを引き起こす

・血栓が肺に移動すると肺塞栓症になり突然死のリスクが発生

・発症率は0.2%以下だが要注意

脱臼・骨折

・人工股関節置換術の術後、転倒や無理な姿勢で発生

・骨折は術後の転倒で発生

・高齢者、骨粗しょう症の女性はリスクが高い

人工関節のゆるみ

・骨と人工関節の接着面にゆるみが生じて痛みや歩行障害になる

・過度な体重増加、重たい荷物を持つ、激しいスポーツなどが主な原因

高齢者に限らず発症する人工股関節置換術のリスクについては、以下の記事もあわせてご覧ください。

年齢によるリスク

人工股関節置換術を含めた手術は、高齢になればなるほどリスクが大きくなります。

高齢者は、老化に伴って股関節を支える筋肉が衰え、次第に腰が曲がって姿勢が変わります。筋肉の衰えから、若い人よりもリハビリにかける時間が長くなってしまうのです。

寝たきりになってしまうリスクもあるため、家族のサポートも重要になります。何より、高齢者が手術する際、体や心肺機能への負担も忘れてはいけません。

人工股関節置換術が必要になる変形性股関節症では、全身麻酔で手術をするケースが大半です。

心肺機能の低下に伴って、手術を受けられない場合もあるため、事前に担当医と相談して治療法を決める必要があります。

手術の年代別リスクについてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

【高齢者向け】人工股関節における手術後のリハビリ内容

高齢者が人工股関節置換術をおこなった後は、手術の翌日からリハビリが始まります。

患者様の状態に応じてリハビリの強度が変わり、以下の段階で実施されます。

リハビリ段階

リハビリ内容

リハビリの目的

初期段階

・ベッド上での軽い運動

・関節のストレッチ

・筋力維持エクササイズ

・体を動かすのに慣れる

・関節の可動域を広げる

・筋力を維持する

中期段階

・歩行訓練(歩行器や杖を使用)

・正しい姿勢で歩く練習

・歩行距離を増やす

・バランス感覚と筋力の向上

後期段階

・有酸素運動

・心肺機能の強化

・日常生活への復帰

・心肺機能の向上

上記のように、段階に応じてリハビリ内容が異なるため、焦らずリハビリをしていきましょう。

高齢者が股関節の治療をする際の手術以外の選択肢

手術に頼らず、股関節の症状を改善するための選択肢もいくつか存在します。

  • 保存療法
  • 再生医療

これらの治療法は、症状や患者様の状態に応じて選ばれます。それぞれ詳しく解説します。

保存療法

高齢者が股関節の治療において「手術はしたくない」と考える場合、まず保存療法が選択肢として挙げられます。

保存療法は、股関節の痛みや機能障害を軽減させる手術以外の治療法です。

保存療法には主に、以下の種類があります。

保存療法の種類

治療の目的

詳細

薬物療法

痛みの緩和

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛剤を使用

理学療法

筋力維持と柔軟性向上

理学療法士による運動プログラムで関節の可動域を広げ、筋肉を強化

上記の治療法が保存療法ですが、あくまで「症状の進行を遅らせる」のが主な目的です。

再生医療

従来であれば、高齢者が股関節の治療をする際、保存療法で改善されなかった場合は手術するしかありませんでした。

しかし昨今では、手術をしない治療法である「再生医療」が注目を集めています。

再生医療とは、これまで再生不可能だと思われてきた軟骨に対して、自分の幹細胞を使って再生できるようになった治療法です。

体への負担が少なく、自らの脂肪を米粒3粒程度採取して、その脂肪から幹細胞を抽出、培養します。

人工関節置換術のような手術や、長期の入院、長期のリハビリも不要なだけでなく、日帰りで済む治療法です。

変形性股関節症に関する再生医療について詳しくは、下記のリンク先をご覧ください。

手術しなくても治療できる時代です。

股関節の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。

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股関節の手術で起こりうるリスクで不安な方は気軽にご相談ください

高齢者が発症するケースの多い変形性股関節症のような病気は、年齢を問わず初期であれば保存療法が有効です。

ただし、症状自体を止めるのは不可能です。症状が進行すると、人工股関節置換術を検討しなくてはなりません。

また、人工股関節置換術のような手術は、合併症につながるリスクがあります。手術は多くの場合、傷口からの感染症が伴うため、手術をしない再生医療が注目を集めています。

リペアセルクリニックでは、メール相談オンラインカウンセリングも受け付けています。

再生医療について詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。

\まずは当院にお問い合わせください/

高齢者が股関節の手術をする上でよくある質問

手術後は何に注意すれば良いの?

手術後の注意点は、回復をスムーズに進めるために「安静」が求められます。

具体的には、無理な動作や過度な負荷を避け、少しずつ日常生活に戻るようにします。

とくに、階段の昇降や長時間の立ち仕事は、最初は避けるのがおすすめです。

また、転倒のリスクを減らすために、家の中の環境を整える必要もあります。滑りやすい床や障害物を取り除き、手すりを設置するなど、安全対策を講じましょう。

さらに、手術後は免疫力が低下している可能性があるため、傷口の管理に注意し、衛生状態を保つ必要があります。

何か異常を感じた場合は速やかに医療機関に相談しましょう。

以下の記事では、より詳細に注意すべきポイントをまとめているので、ぜひ参考にしてください。

治療の期間はどれくらい?

人工股関節置換術の治療期間は、患者様の健康状態によって異なりますが、術後6〜12カ月程度です。

治療をスムーズに済ませるためにも、まずは入院前の準備として禁煙や体重管理などの徹底が必要です。

まず手術をする前には、人工股関節置換術を受ける医療機関ごとに設けられた検査項目に基づき、検査入院の有無を決めていきます。

手術を含めた入院期間中は多くの場合で、理学療法(リハビリ)も実施するので、リハビリ内容を聞いておくのも良いでしょう。

杖を使った歩行訓練や階段の上り下りなど、日常生活をイメージした訓練をおこない、2〜3週間程度で退院になります。

退院後は定期的な医師の診察も必要で、術後1カ月、3カ月、半年、1年といったタイミングでのフォローアップが推奨されています。

高齢者の場合はとくに、回復には個人差が大きいため、医師と相談しながら、無理のないペースで治療を進めていきましょう。

手術をした後は歩けるの?

人工股関節置換術を受けた後、多くの高齢者が最も気にするのは、再び歩けるようになるかどうかです。一般的には、手術後しばらくのリハビリ期間を経て、多くの患者が歩行能力を回復します。

手術直後は、痛みや腫れがあるため、杖のような歩行補助具の使用がおすすめです。

リハビリの初期段階では、理学療法士が患者様の状態に合わせたプログラムを組み、筋力や柔軟性の回復を目指します。

先述で解説したように、まずはベッド上での軽い運動から始まり、徐々に歩行訓練を開始します。

しかし、回復の速度は個人差があり、体力や健康状態、術後のケアの質に依存するため、焦らず歩けるよう訓練していきましょう。

リペアセルクリニックでは、メール相談オンラインカウンセリングも受け付けているので、気軽にご連絡ください。

 

\まずは当院にお問い合わせください/

高齢者が人工股関節で歩けるようになるまでにどれくらいかかる?

高齢者が人工股関節置換術を受けた後、歩行が可能になるまでの期間は手術をしてから1週間程度です。

当然、個人の健康状態やリハビリの進捗によって異なりますが、1週間後には杖を使った歩行訓練が始まります。

手術後、最初の1〜2日間は安静が必要ですが、多くの患者様の手術が終わった2週間後には、杖を使いながら安定的に歩行が可能です。

杖を使って安定した歩行ができれば無事、退院できます。

ただし、股関節の痛みが入院中に完全回復しないケースもあるため「数カ月は軽度な痛みが残る」と捉えておきましょう。

何より、合併症のリスクも見逃せないポイントなので、定期検診では我慢せずに症状を伝えるのがおすすめです。

監修者

坂本 貞範(医療法人美喜有会 理事長)

坂本 貞範 (医療法人美喜有会 理事長)

Sadanori Sakamoto

再生医療抗加齢学会 理事

再生医療の可能性に確信をもって治療をおこなう。

「できなくなったことを、再びできるように」を信条に
患者の笑顔を守り続ける。

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