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むちうち症は自動車の追突事故や、ラグビーやアメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツでよく見られる外傷の一つです。 首の痛みや手のしびれなど明らかな症状が見られるケースもありますが、事故の直後は無症状のケースが多く、放置すると思わぬ健康被害に見舞われる恐れがあります。 また、交通事故が原因でむちうちを発症した場合、医師の診察を受けておかないと、症状と事故との因果関係が証明できず、保険が下りない可能性もあるため注意が必要です。 本記事ではむちうち症の症状や治し方、予後に関する注意点まで解説します。 むちうち症を発症した方はもちろん、後遺症にお悩みの方も参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 むちうち症について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 むちうち症とは?主な症状や原因を紹介 むちうち症は、自動車の追突事故やコンタクトスポーツにおける衝突などがきっかけで起こる頚椎捻挫の一種です。 後方からの追突により頭が前後に大きく揺さぶられる現象が鞭のしなりのように見えるため、むちうち症の名が付けられました。 むちうち症は正確には病名ではなく、首に大きな負荷がかかった結果、筋肉や腱、靭帯、神経などを損傷した状態を意味します。 首のどこに損傷が見られるのか、またどんな症状が出ているのかにより、さまざまな病名が付けられます。 ここでは、むちうち症の主な症状や原因について詳しく解説します。 むちうち症のタイプと主な症状 むちうち症は自動車の追突事故やコンタクトスポーツのタックルなど、後方からの衝撃により頭が大きく前後に揺さぶられ、頚部が鞭をうったようにしなって生じるのが特徴です。 むちうち症の症状は受傷部位や加わった衝撃の程度によりさまざまですが、頚部や肩、頭などに表れやすいです。 むちうち症にはいくつかのタイプがあり、それによっても症状の種類が異なります。 むちうち症の種類 特徴 出現しやすい症状の例 頚椎捻挫型 椎間板や靭帯が損傷している可能性がある 首や肩の痛み、肩の動かしにくさ、肩や腕の重さ 神経根損傷型 腕の感覚を司る神経が椎間板に圧迫される 腕の痛み、知覚異常、しびれ、筋力低下 脊髄損傷型 脊髄が傷つく 手足のしびれ、麻痺、歩行障害、排泄障害 自律神経障害型 (バレー・リュー型) 首の自律神経が障害される 頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気、後頭部の痛みなど これらの症状は受傷後数時間〜数日後に自覚されることが多いです。 受傷から発症までにタイムラグがある原因として、事故の際に多く分泌されるアドレナリンの作用により症状を自覚しにくい、あるいは受傷部位の炎症の増強に伴って痛みが徐々に悪化していくなどの理由が考えられます。 むちうち症の原因 自動車の追突事故の場合、むちうち症が発生する原因は次の通りです。 後方からの衝撃で胴体は前に振られ、頭は後ろにしなる 胴体に引っ張られるようにして、頭が前に振られる 頚椎が過屈曲してむちうち症が発生する このような一連の動作は数秒という短時間で起こりますが、首の構造上、急激で不自然な動きに対応することができません。 その結果、首の筋肉や靭帯、神経などが急激に伸ばされたり圧迫されたりして、むちうち症特有の症状が現れるのです。 むちうち症になった直後は安静にして速やかに病院へ行きましょう むちうち症の症状は個人によりさまざまですが、場合によっては首を少し動かすだけでも激痛が走り、身動きもままならないことがあります。 ズキズキとした痛みがあり患部が熱を持っているようであれば、氷や保冷剤をアイスパックやビニール袋に入れて冷やしましょう。 冷やしすぎると凍傷を起こす恐れがあるため、10〜15分ほど冷やしたら、5〜10分程度の休憩をはさむようにしてください。 痛みで眠れないようであれば、一時的に市販の痛み止めを服用しても構いません。 むちうち症による痛みが強い間は無理をせず安静を心がけ、動けるようになったら速やかに医療機関を受診するのがポイントです。 むちうち症の治療方法 むちうち症を発症した場合、以下2つの方法で改善を図るのが一般的です。 医学的アプローチ 家庭でできる対処法 それぞれについて解説します。 医学的アプローチ むちうち症の発症が疑われる場合、医療機関では以下の方法で症状の改善を図ります。 治療法 目的 安静 激しい痛みが生じるのを抑制する 消炎鎮痛剤 服用・外用によりむちうち症に伴う痛みを緩和する 冷シップ・アイシング 患部の炎症を鎮める 装具療法(頚椎カラー) 動作に伴う頚椎への負担を軽減する リハビリテーション 適度な運動で血行を促進し、症状の回復をうながす ストレッチ 関節の可動域を広げて首にかかる負担を軽減する 牽引療法 神経圧迫を緩和する むちうち症に伴う症状は長期化するケースもあるため、適切な治療により早期改善を図る必要があります。 家庭でできる対処法 むちうち症を発症した場合、医療機関での治療と合わせて、家庭でも以下の対処を講じる必要があります。 対処法 目的 安静 症状の増悪を抑制する 冷湿布 急性期の炎症状態を鎮め、自発痛や夜間痛を緩和する 温湿布 慢性期の疼痛を緩和する 入浴 血行を促進し症状の回復を促進する リハビリテーション 適度な運動により身体の回復力を高める ストレッチ 関節の可動域を広げて首へのダメージを減らす 自宅でできる簡単なリハビリ・ストレッチは以下のとおりです。 仰向けに寝てバスタオルを丸めて首の下に置き、リラックスする フェイスタオルを首に巻き、両手でタオルを前に引っ張りながら首をゆっくりと後ろに反らす 正面を向き、首をゆっくりと上下左右に動かす ただし、動きによって痛みが増強した場合は決して無理をせず、安静にしましょう。 むちうち症の後遺症|影響と予防策を解説 むちうち症の特徴の一つが、後遺症を残しやすい点です。 主な後遺症としては以下の例が挙げられます。 首の痛みや肩こり 腕や手のしびれ 頭痛や耳鳴り 吐き気や嘔吐 動悸やめまい 不眠症や全身倦怠感など むちうち症の後遺症の特徴として、身体症状だけでなく自律神経系の症状が見られやすい点が挙げられます。 交通事故やコンタクトスポーツに伴うダメージが自律神経にまで及ぶと、さまざまな自律神経系症状が出やすくなります。 また、自律神経系の後遺症はなかなか治りにくい点も特徴です。 場合によってはむちうち症による後遺症が後遺障害として認定されるケースもあるため、発症が疑われる際は医療機関を受診するのが重要です。 むちうち症や後遺症の治療法として再生医療もご検討ください むちうち症や後遺症を治療する際に、再生医療を受ける選択肢があります。 当院リペアセルクリニックの再生医療においては、患者様自身の脂肪細胞から抽出した幹細胞を培養・増殖させ、点滴や注射を用いて患部に投与します。 幹細胞とは、他の細胞に変化する(分化)能力を持つ細胞で、さまざまな外傷への適応が可能です。 自分自身の細胞を用いた治療法のため、副作用や拒絶反応のリスクが低い点がメリットの一つです。 日帰りでの治療も可能なため、できれば入院しての治療を避けたい方にとって、再生医療は新たな選択肢の一つとなっています。 カウンセリングは無料で受けられるため、むちうち症がなかなか治らないとお悩みの方は、リペアセルクリニックまでお気軽にご相談ください。 むちうち症になった後にやってはいけないこと むちうち症になった後、やってはいけないことは以下のとおりです。 自己判断での放置 急性期の無理な運動 慢性期の過度な安静 首に負担がかかる習慣 むちうち症になった後、自己判断で放置するのは禁物です。初期症状が軽微な場合であっても、後から症状が悪化するケースが多いためです。 とくに交通事故の場合は、無症状でも必ず病院を受診して検査を受けてください。後から症状が出て保険を請求する際に、病院を受診しておかないと因果関係が説明できません。 むちうち症の症状が強く出ている急性期には、無理な運動を避けましょう。急性期の無理な運動は炎症状態を悪化させ、症状の増悪を招く可能性があります。 また、強い痛みや炎症が落ち着いたら適度に身体を動かし、血行を促進して回復に努めましょう。過度の安静は筋拘縮や血行不良を引き起こし、かえって症状の回復を遅らせます。 そのほか、猫背や巻き肩などの不良姿勢や、高い枕での睡眠などは首への負担を増すため注意してください。 むちうち症後の生活や治療を続ける上でのポイント むちうち症後の生活や治療を続ける上でのポイントは以下の4つです。 痛みがある場合は服薬や湿布などでコントロールする 鍼治療・電気治療なども活用する 症状が長引く・ひどいときは無理をしない メンタルヘルスも含めて周りにサポートしてもらう それぞれについて解説します。 痛みがある場合は服薬や湿布などでコントロールする むちうち症の症状は個人によりさまざまですが、急性期(炎症期)には身動きが困難なほどの痛みを生じるケースがあります。 痛みで自由に動くこともままならない場合や、眠ることもできない場合や、痛み止めの服用や湿布などでコントロールするのがおすすめです。 できれば薬は飲みたくないとおっしゃる方もいますが、痛みで睡眠が満足にとれないと、かえって症状の回復を遅らせてしまいます。 急性期を早く乗り越えるためにも服薬や湿布などで痛みをコントロールし、リハビリテーションに取り組める状態に持っていくことが大切です。 鍼治療・電気治療なども活用する むちうち症後の生活や治療を続ける上で、鍼治療や電気治療なども活用するのがおすすめです。むちうち症の急性期を過ぎると、首や肩のこりが原因で頭痛や吐き気を生じるケースがあります。 鍼治療や電気治療には筋緊張を緩和して血行を促進する作用があるため、むちうち症後の首や肩のこりを改善する際に効果的です。 鍼の施術には鎮痛物質の一種であるエンドルフィンの分泌を促進させ、痛みを緩和する効果も期待されています。(文献1) 投薬などの対症療法とは異なり、人間が本来持っている自然治癒力を高める点も、鍼灸の施術を受けるメリットの一つです。 手技療法では揉み返しが出る方にも、鍼治療や電気治療がおすすめです。 症状が長引く・ひどいときは無理をしない むちうち症後の生活や治療を続ける上では、症状が長引く・ひどいときは無理をしないのもポイントです。 むちうち症に限らず外傷からの回復には適度な運動が効果的ですが、痛みが強い際に身体を動かすと逆効果のことも少なくありません。 むちうち症に伴う急性期の持続期間は個人によりさまざまなため、適切な時期に身体を動かし始めるのが大切です。 かかりつけ医や専門医に、いつから・どの程度の運動を始めるべきか相談し、自分の判断で無理をするのは避けてください。 症状があまりにも長く続く際は後遺症の可能性も疑われるため、後遺障害の申請も検討しましょう。 メンタルヘルスも含めて周りにサポートしてもらう むちうち症後の生活や治療を続ける上では、メンタルヘルスを含めた周りのサポートも欠かせません。 交通事故やコンタクトスポーツによるダメージが筋肉だけでなく自律神経にまで及ぶと、頭痛やめまい、吐き気、耳鳴りなどの不快な症状(バレー・リュー症候群)が出やすくなります。 バレー・リュー症候群は頚椎捻挫型のむち打ちに比べて長期化する傾向にあり、つらい症状がなかなか治らないとイライラや不眠、不安、抑うつ症状などを引き起こしがちです。 むちうち症に伴う自律神経系の不調がある方は、家族やパートナー、職場の同僚などに理解を求め、サポートしてもらいましょう。 むちうち症は経過に応じて適切な治療を実施しましょう むちうち症は時間の経過により症状が変化しやすい点が特徴です。 交通事故やスポーツの後に急激に痛みが強くなるケースもあれば、外傷から1週間以上して症状が出てくるケースもあります。 患部がズキズキと痛む場合は無理をせず安静やアイシングを心がけ、症状が落ち着いてきたらリハビリテーションやストレッチに取り組むのが基本です。 むちうち症を発症すると後遺症に悩まされる方も多いため、とくに交通事故の後は必ず医療機関を受診しておきましょう。 医療機関を受診しておかないと交通事故と症状との因果関係が説明できず、後遺障害の認定に支障が生じる恐れがあります。 むちうち症を治療する際の選択肢の一つが再生医療です。 自分の幹細胞を培養・増殖して患部に注入する治療方法で、手術や入院を必要としない点が特長といえます。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報発信や簡易オンライン診断を実施しています。再生医療に興味がある方や、むちうち症がなかなか治らないとお悩みの方は、ぜひ一度お試しください。 参考文献 (文献1) 臨床鍼灸の現場より|明治国際医療大学
2024.07.30 -
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「脊髄硬膜外血腫」とは、背骨の中で出血が起きる病気の一種です。(文献1)脊髄を覆う「硬膜」の外側で出血し、激しい痛みが起きるほか、溜まった血が脊髄を圧迫すれば麻痺やしびれなどを引き起こします。 脊髄硬膜外血腫の患者様の中には、後遺症が出て日常生活に不便を感じ、お悩みの方もいるのではないでしょうか。 後遺症は今までリハビリテーションなどの対症療法でのみ治療されていましたが、現在では再生医療も選択可能となり、根治的治療として注目を浴びています。 今回は脊髄硬膜外出血の後遺症や、急性期の治療法と発症後のリハビリテーション、予後についてもお伝えします。また、後遺症の治療法(再生医療)についても解説するのでぜひ参考にしてください。 脊髄硬膜外血腫の主な後遺症 脊髄硬膜外血腫は、溜まった血を取り除くまでに脊髄が傷ついてしまうと、治療後に後遺症が出る可能性があります。 後遺症の症状や程度は、障害部位(頸髄や胸髄、腰髄、仙髄、馬尾)や脊髄へのダメージ具合(部分的か全体的なダメージか)によってさまざまです。 代表的な後遺症を以下にまとめました。 運動障害(麻痺) 感覚障害(温痛覚や振動感覚、位置感覚の障害など) 膀胱直腸障害(尿失禁、頻尿、便秘、頻便など) 呼吸障害 体温調節障害 起立性低血圧 など それぞれ説明していきます。 運動障害(麻痺) 筋肉がうまく動かせなくなるのが運動障害です。具体的には以下の症状が現れます。 手足に力が入らない しびれる まったく動かせない など 出血が起きた部位により、運動障害の範囲は異なります。首のあたりで起きれば両手足の麻痺が、胸や腰の背骨内で起きれば両足の麻痺が出やすいです。 一方で、左右の片方だけに麻痺が起きることもあります。 日常生活での困難は歩けない、座ったり立ったりしていられない、手の細かい動作ができないなどです。 着替えや食事、入浴といった日常生活動作が難しくなり、介助が必要となる場合もあります。リハビリテーションが重要となりますが、どれくらい回復するかは個人差があります。 感覚障害(温痛覚・振動感覚・位置感覚の障害など) 感覚障害とは、以下に示す感覚が鈍くなったり消失したりする障害です。 熱さ・冷たさ 痛み 触覚(触られている感覚) 振動感覚(震えを感じとる感覚) 手足の位置感覚 など 感覚障害も、出血が起きた部位によって範囲が異なります。首のあたりで出血が起きれば両手足に感覚障害が出やすく、胸や腰で起きれば下半身に症状が出ることが多いです。また、左右どちらかだけに症状が出ることもあります。 日常生活では、やけど・けがに気付きにくくなります。歩くときにバランスが取りにくい、箸を使いにくいなどもよくある症状です。 運動障害と同様、リハビリテーションによって回復が見込める場合があります。 膀胱直腸障害(尿失禁・頻尿・便秘・頻便など) 膀胱直腸障害とは、排泄に関する障害です。 排尿に関する症状は以下の通りです。 尿意切迫感 頻尿 尿失禁 排尿困難 残尿感 など また、排便に関する症状として以下が挙げられます。 便秘 排便困難 便失禁 頻便 など 日常生活では、突然の尿意や便意あるいは失禁により、生活に大きな支障をきたすでしょう。 逆に排尿困難や便秘があると、お腹の張りや不快感につながります。外出時のトイレの不安から、活動範囲が狭くなる方も多いです。 症状に応じて自己導尿や排便コントロールを身につけたり、薬の力を借りたりして適切に管理することが大切です。 その他(呼吸障害・体温調節障害・起立性低血圧など) 脊髄硬膜外血腫では、運動・感覚・膀胱直腸障害以外にもさまざまな後遺症の可能性があります。 呼吸障害は、頸椎の上の方で出血が起きた場合の症状です。呼吸に必要な筋肉が麻痺し、人工呼吸器が必要となる場合もあります。 自律神経が障害されれば、体温や血圧の自動調節がうまくいかず、体温調節障害や起立性低血圧などを引き起こします。自律神経への影響が大きくなるのは、胸椎より上で出血が起きた場合です。 筋肉が緊張しすぎる「痙縮」では手足が突っ張ったり、意識しないのに動いてしまったりします。ビリビリとした痛みや刺すような痛みを感じる場合は「神経障害性疼痛」かもしれません。これは神経が傷ついたことで、外傷がない部位でも痛みを感じる症状です。 脊髄硬膜外血腫の治療法 脊髄硬膜外血腫の治療法は、手術をしない保存的治療と、手術による外科的治療に分けられます。どちらを選択するかは、症状の程度や持続時間、出血が止まりにくい要因の有無を考慮して決定します。 保存的治療|症状が軽度の場合 保存的治療では安静を保ち、必要に応じて止血剤や降圧剤を投与します。保存的治療を選択する明確な基準はありません。(文献2)脊髄硬膜外血腫102例を分析した報告では、以下の両方に当てはまれば、保存的治療での回復も期待できるとされています。(文献3) 血をサラサラにする薬(抗凝固薬)を使っていない 運動機能が完全に麻痺していない 上記の片方だけに当てはまる場合も、保存的治療を選択する場合があります。抗凝固薬を使用中なら、必要に応じて効果を打ち消す薬を投与します。 保存的治療では、注意深い経過観察が重要です。症状の変化を定期的に確認し、保存的治療を続けるか手術に変更するかを判断するのです。 麻痺が出てから15時間以内に症状が回復に向かえば、出血が自然に止まって血腫の吸収が始まり、神経への圧迫がゆるんできていると考えられます。(文献3)この場合は自然に完治する可能性が高いとされます。 外科的治療|症状が重篤な場合 運動機能が完全に麻痺している場合や、神経症状の進行が見られる場合は速やかに外科的治療を検討します。少しでも麻痺が見られれば速やかに手術すべきとの考えもあります。 発症から24時間以内に手術できれば、重度の麻痺から回復できる可能性が高まるとの報告もあり、素早い判断が重要です。(文献3) 脊髄硬膜外血腫の手術では、血腫ができている部分の背骨の一部(椎弓(ついきゅう)と呼ばれる部分)を削り、奥にある血腫を取り除きます。(文献1)手術用の顕微鏡を使って血腫を除去し慎重に止血すれば、脊髄を圧迫する原因はなくなります。 脊髄硬膜外血腫に対するリハビリテーション 初期治療後に残った症状は、リハビリテーションを行いながら改善を目指します。 リハビリテーションとは、病気や怪我の後に社会復帰を目指して行う訓練の総称です。 病気や怪我以前の生活水準を目指し、日常生活を見据えた身体的訓練のほか、不安や無力感などの精神的な障害には心理的訓練、また必要に応じて職業訓練も行われます。 リハビリテーションに携わるスタッフは、医師や看護師に加えて、作業療法士や理学療法士、言語聴覚士などのスペシャリストです。 病院で行われることもあれば、リハビリ専門施設で実施されることもあります。 脊髄硬膜外血腫の急性期リハビリ 怪我や病気を患った直後の急性期は、まず全身状態を落ち着かせ、損傷や障害を最低限に抑えるためのリハビリテーションが必要となります。 具体的には、以下の訓練を実施します。(文献5) 頸髄や上位胸髄の損傷による呼吸機能低下に対しては呼吸訓練 手術後にうまく寝返りができない場合には、床ずれ予防のために体位変換訓練 ベッド上で動けない間に関節が固まってしまわぬように関節可動域訓練 全身状態が安定後のリハビリ 全身状態が落ち着いた後は、症状に合わせて積極的にリハビリテーションを進めていくことが重要です。 脊髄硬膜外出血によって脊髄が大きなダメージを受けた場合は、神経障害などを完全に取り除くのは難しく、後遺症が出ることが多いでしょう。 そのため、早期からのリハビリテーションを通じて、残存した能力を強化し、必要な筋力や柔軟性を取り戻します。 具体的には以下を実施し、合併症を避けて自分で尿路管理できることを目指します。 両下肢の麻痺(対麻痺)の場合には上肢の筋力を高め、プッシュアップ動作を練習し、車椅子の訓練 排尿障害を患っている場合は、腹壁徒手圧迫法や反射誘発、自己導尿法などの指導 脊髄硬膜外血腫の予後 脊髄硬膜外血腫はまれな疾患で、死亡率や予後についての情報も少ないのが現状です。 最初の運動麻痺が軽度の場合や、重度であっても早く血腫を取り除ければ良好に回復する傾向がありますが、確実に回復するかどうかは一概にはいえません。 海外で脊髄硬膜外血腫の報告を1000例以上集めて検討した論文では、死亡が確認された例は7%だったと報告されています。年齢別では40歳以上が9%、40歳未満が4%で、治療法によらず40歳以上では死亡率が有意に高くなると報告されました。(文献8) 後遺症については、初めの症状が軽度であった患者群では、8.5%がわずかな障害を示すのみでした。一方で、初めの症状が重篤だった患者群では、28.3%に軽度の障害が残っています。(文献8) また、日本国内のある病院では、自院で治療を行った16症例を分析しました。この報告では、完全治癒が10例(2回発症し2回とも完全治癒した例を含む)、軽度の運動麻痺が残ったケースが6例、死亡が1例でした。死亡例は、合併していた大動脈解離と腎不全が直接の原因とされています。(文献9) 脊髄硬膜外血腫の術後後遺症に対する再生医療 再生医療は、失われた身体の組織を再生する能力、つまり自然治癒力を利用した医療です。脊髄硬膜外血腫の手術後に残ってしまったしびれ、麻痺などの後遺症に対する治療として「幹細胞治療」が適応される可能性があります。 当院リペアセルクリニックで行う再生医療「自己脂肪由来幹細胞治療」では、患者様から採取した幹細胞を培養して増殖し、その後身体に戻します。自分自身の細胞から作り出したものを用いるため、アレルギーや免疫拒絶反応のリスクが極めて低い治療法です。 日本での一般的な幹細胞治療は、点滴によって血液中に幹細胞を注入するものです。しかし、それでは目的の神経に辿り着く幹細胞数が減ってしまいます。 そこで当院では、損傷した神経部位に直接幹細胞を注入する「脊髄腔内ダイレクト注入療法」を採用しています。注射によって脊髄のすぐ外側にある脊髄くも膜下腔に幹細胞を投与します。 幹細胞の培養には時間を要しますが、治療そのものは短時間の簡単な処置で、入院も不要です。 実際に当院では術後や外傷、脊髄梗塞、頚椎症による神経損傷に由来する麻痺やしびれ、疼痛などの後遺症に対して再生療法を施しております。 脊髄硬膜外血腫の術後後遺症にお悩みの方は、ぜひ一度リペアセルクリニックへお問い合わせください。 まとめ|脊髄硬膜外血腫の後遺症への理解を深めて正しい治療法を選択しましょう 脊髄硬膜外血腫を発症した場合、保存的治療または外科手術により治療を行います。麻痺の程度や、出血しやすい要因を考慮して治療を選択しますが、症状の変化に応じた素早い判断が重要です。 また、後遺症には運動障害や感覚障害、排尿・排便障害などがあります。回復には早期のリハビリテーションによる残存能力の強化や、合併症予防のための訓練が大切です。 さらに、多大なダメージを受けてしまった神経を元に戻す治療がなかった中で、近年になって再生医療が多くの患者様へ提供可能となりました。 当院では入院不要、外来診療のみで再生医療を受けられますので、気になる方はぜひ当院へ一度ご相談ください。 参考文献 (文献1) 日本脊髄外科学会「特発性脊髄硬膜外血腫」日本脊髄外科学会ホームページ https://www.neurospine.jp/original63.html(最終アクセス:2025年3月21日) (文献2) 中村直人ほか.「特発性脊髄硬膜外血腫の臨床診断と治療方針」『脊髄外科』32(3), pp.306-310, 2018年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/spinalsurg/32/3/32_306/_pdf(最終アクセス:2025年3月21日) (文献3) 武者芳朗ほか.「急性脊髄硬膜外血腫に対する保存療法の適応と手術移行時期」『脊髄外科』29(3), pp.310-314, 2015年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/spinalsurg/29/3/29_310/_pdf(最終アクセス:2025年3月21日) (文献4) 西亮祐ほか.「特発性脊髄硬膜外血腫に対する当院での治療成績の検討」『済生会滋賀県病院医学誌』32, pp.15-20, 2023 https://www.saiseikai-shiga.jp/content/files/about/journal/2023/journal2023_4.pdf(最終アクセス:2025年3月21日) (文献5) 日本リハビリテーション医学会「脊髄損傷のリハビリテーション治療」日本リハビリテーション医学会ホームページ https://www.jarm.or.jp/civic/rehabilitation/rehabilitation_03.html(最終アクセス:2025年3月21日) (文献6) 日本脊髄外科学会「脊髄損傷」日本脊髄外科学会ホームページ https://www.neurospine.jp/original62.html(最終アクセス:2025年3月21日) (文献7) 吉原智仁ほか.「当科で経験した脊髄硬膜外血腫の 3 例」『整形外科と災害外科』65(4), pp.845-848, 2016年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai/65/4/65_845/_pdf(最終アクセス:2025年3月21日) (文献8) Maurizio Domenicucci, et al. (2017). Spinal epidural hematomas: personal experience and literature review of more than 1000 cases.J Neurosurg Spine, 27(2), pp.198–208. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28574329/ (Accessed: 2025-03-21) (文献9) 原直之ほか.「特発性脊髄硬膜外血腫の 16 症例の臨床分析 ―脳卒中との類似点を中心に―」『臨床神経学』54(5), pp.395-402, 2014年 https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/054050395.pdf(最終アクセス:2025年3月21日)
2024.07.23 -
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脊髄出血と呼ばれる疾患に聞きなじみがない方も多いのではないでしょうか。 脊髄出血は脊髄血管障害の一つであり、外傷や脊髄の血管奇形などが主な原因です。 稀な疾患であり、研究症例数としては1826年から1996年までの170年間で613例しか報告されていません。しかし、脊髄出血は重大な脊髄損傷や神経障害を引き起こす可能性があります。(文献1) この記事では、脊髄出血の原因や症状、治療について詳しく解説するので、脊髄出血の理解を深める手助けになれば幸いです。 脊髄出血について 脊髄出血とは、脊髄内やその周囲の組織が出血した状態です。 脊髄は、脳から背骨の中を腰に向かって走る太い神経を指し、脳からの指令を筋肉に伝えるのが主な役割です。脊髄血管障害と呼ばれる病気を発症する場合があり、脳と同じように出血したり、血管が詰まったりします。 出血した場合は脊髄出血、血管が詰まった際は脊髄梗塞と呼びます。 脊髄梗塞について詳細は、以下の記事をご覧ください。 脊髄出血の種類 脊髄出血は、出血した場所により4つの種類に分けられます。 脊髄内出血(脊髄内部の出血):麻痺やしびれなど急激に症状が進行する場合が多い 脊髄くも膜下出血(軟膜とくも膜の間の出血):発熱や頭痛、嘔吐など 脊髄硬膜下出血(くも膜と硬膜の間の出血):首や背中の強い痛みなど 脊髄硬膜外出血(硬膜よりも外側の出血):4つのうちで症例が多い傾向にあり、首や背中の強い痛みなどがみられる 脊髄は軟膜・くも膜・硬膜の3層の膜に覆われていて、出血した場所によって疾患名は異なります。出血している部位の検査は、脳神経外科によるCTスキャンやMRIなどが一般的です。 脊髄出血の患者背景と特徴 1869年から2012年までの脊髄出血の症例1010件を検討した報告では、患者様の平均年齢は47.97歳(年齢幅:0〜91歳)であり、6割以上が男性でした。(文献2) その後の医療発展や画像検査技術の向上により、脊髄出血の報告数も増えてきましたが、稀な疾患といえます。 脊髄を守る3つの膜の一番外側である、硬膜よりも外側の出血(脊髄硬膜外出血)が最も多い傾向にあります。出血が多い部位は、首の下方や胸の下方です。 また、出血は背骨の2つ以上に渡っていることが多く、最大で6つに広がるケースがみられました。そのため、出血が広がる前に医療機関で適切な治療を受けるのが重要です。 脊髄出血の原因 脊髄出血の主な原因は以下のとおりです。 外傷:交通事故や転落など 血管奇形:動脈や静脈、リンパ管などが異常に発生する 硬膜外動静脈瘻:動脈と静脈が硬膜の中でつながる 医療行為による合併症:髄液組成を調べる腰椎穿刺や脊椎麻酔など 脊髄腫瘍:脊髄やその周囲で腫瘍が発生し、脊髄を圧迫する 抗血栓薬:血液を固まりにくくする薬の服用 脊髄出血の原因は、交通事故や転落などによる外傷が一番多いとされています。 また、動脈と静脈がつながる血管の異常や腫瘍の発生、血液を固まりにくくする薬も原因に挙げられます。血液を固まりにくくする薬は、血栓や梗塞の予防に必要なので自分の判断で服薬を止めず、不安があれば医師に相談しましょう。 脊髄出血の症状 脊髄出血によって神経が圧迫されると、以下の症状を引き起こします。 首や背中の強い痛み 身体を動かしにくくなる(運動障害) 温度や痛みを感じない、しびれを感じる(感覚障害) 出血は急に起きることが多いので突発的に発症するのが一般的ですが、24時間~数日経ってから症状が現れることもあります。 また、出血した部位によって麻痺が及ぶ範囲が以下のように異なる場合があります。 胸部の脊髄が出血:股関節からつま先までの麻痺 首の脊髄が出血:下半身に加えて、肩から手の指まで麻痺 出血量が多いほど血液の塊が大きくなり、症状が重くなる傾向があるので、上記のような症状がみられる方は早急に医療機関を受診しましょう。 脊髄出血の診断 脊髄出血の診断には、以下の検査を用いるのが一般的です。 CT:骨の損傷を調べる MRI:脊髄の出血や血のかたまり(血腫)を調べる 血管造影検査:血管を詳しく調べる 脊髄出血の検査はMRIが一般的で、出血や血のかたまりである血腫がないか調べます。 複数の層にまたがって出血している際は、MRIより詳しく調べられる血管造影検査を行います。血管造影検査とは、太ももの付け根の血管から細い管を入れ、造影剤を流して撮影する検査です。 出血量が多く疾患が早く進行した場合、麻痺や強い痛みなど日常生活に深刻な影響を与えるリスクが高まります。適切な診断を受けて回復の可能性を高めるには、正確な検査を受けることが重要です。 脊髄出血の治療 脊髄出血の治療について、以下の表にまとめました。 治療の種類 治療の内容 適用される条件 外科的治療 神経への圧迫を取り除く 血管内治療 身体に麻痺症状がある 保存的治療 安静 止血剤(血液を固める薬)の投与 降圧剤(血圧を下げる薬)の投与 血液をサラサラにする薬を服用していない 身体の麻痺症状がない 脊髄出血は、出血の原因や部位、出血によって治療の方法が異なります。そして、急を要する場合が多い疾患です。 脊髄出血では外科的手術を行うことが多く、特に麻痺症状が重篤な場合は早期の手術が重要です。不全麻痺の場合は48時間以内、完全麻痺の場合は36時間以内の治療で回復の見込みが高まるとされています。 手術では、背骨の一部を削り神経への圧迫を取り除くのが一般的です。血管の奇形が見られる際は、血管からカテーテルと呼ばれる細い管を通して出血している血管を塞ぐ血管内治療を行います。 一方、血液をサラサラにする薬を服用しておらず身体の麻痺症状もない場合は、薬物療法などの手術しない保存的療法を行うことがあります。 脊髄出血の詳しい治療や症状の見通しについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 脊髄出血の後遺症 脊髄出血の主な後遺症は以下の通りです。 運動麻痺:身体の麻痺やしびれ 感覚障害:痛みや温度などの感覚低下 膀胱直腸障害:排尿や排便に支障が出る 出血の量が多かったり、血腫(血管外に血液が漏れて固まった状態)による圧迫が強かったりすると、脊髄が損傷して身体の麻痺やしびれ、痛みや温度などの感覚低下を引き起こします。後遺症は脊髄が損傷した部位によって異なりますが、首や胸の部分の脊髄が損傷すると下半身が麻痺する場合もあります。 発症から早期に適切な治療を受けるほど回復の可能性が高くなるため、脊髄出血が疑われる場合は一刻も早く治療を受けることが大切です。 脊髄出血のリハビリ 脊髄出血のリハビリは、時期によって異なります。 急性期:可動域の訓練や呼吸筋の強化 回復期:寝返りや起き上がりなどの動作訓練 慢性期:日常生活の動作の訓練や精神的なケア 脊髄は一度損傷すると、組織の再生はほとんど見込めません。そのため、脊髄出血のリハビリの主な目的は残っている機能の維持や強化です。 脊髄出血を発症した直後の急性期では、寝たきりの防止や後遺症の軽減のためできるだけ早い時期からリハビリを始めます。麻痺によって動けない関節が固まらないように可動域の訓練をしたり、体位交換やエアマットの使用などで床ずれを予防したりします。 状態が落ち着いた回復期以降は、症状に合わせて寝返りや車いすに乗る動作、日常生活の動作などを練習します。 まとめ|脊髄出血とは?脊髄血管障害の原因や症状 脊髄出血は、脊髄内やその周辺に出血が生じた状態を指します。原因の多くは外傷ですが、脊髄の血管奇形も考えられます。脊髄出血の症状は突然に見られ、背中の痛みの後に運動障害や感覚障害を引き起こすのが一般的です。 出血の場所や程度によりますが、発症してから早急に治療を受けると回復する可能性があります。ただし、脊髄へのダメージが大きい場合や障害を受けてから時間が経ってしまった場合は、身体の麻痺や感覚の低下などの後遺症が出るリスクが高まります。 損傷した脊髄は、自然回復がほとんど期待できません。そのため、脊髄出血の後遺症には、残っている機能の維持や強化が目的のリハビリが一般的です。 医学分野ではさまざまな治療アプローチが研究されており、再生医療もその一つです。脊髄出血の後遺症にお悩みの方は、再生医療を提供している当院「リペアセルクリニック」までお気軽にご相談ください。 脊髄出血についてよくある質問 脊髄ショックと言われましたがよくなりますか? 脊髄ショックの回復には、数日から数週間かかる場合が一般的です。 脊髄ショックとは、重度の脊髄損傷が見られた際、一時的に脊髄が機能不全を起こし、反射反応が無かったり、筋肉が緩んだ状態になったりします。身体の麻痺やしびれの評価は、脊髄ショックを離脱した後に行います。 脊髄出血はなぜいくつも検査するのですか? 脊髄出血では、CTで骨の損傷を調べたり、MRIで出血の状態を調べます。 出血が複数の層にまたがっている際や、血管の奇形が疑われる場合は、MRIよりも詳しく血管を調べるために血管造影検査を行います。血管造影検査とは、太ももの付け根や腕の血管から、カテーテルと呼ばれる細い管を入れ、造影剤を流して撮影する検査です。また、血管が細くなっている場所まで進み、血管の中から押し広げて血流を正常にしたり、塞栓物質と呼ばれる血管をふさぐ物質を注入して止血したりする治療ができます。 脊髄出血は、早期に適切な治療を受けると、後遺症が軽減する可能性があります。良好な予後のためにも、検査を受けて出血の状態を正しく把握しましょう。 参考文献 (文献1) Spinal hematoma: a literature survey with meta-analysis of 613 patients|Springer Nature Link (文献2) Spinal epidural hematomas: personal experience and literature review of more than 1000 cases|J Neurosurg Spine
2024.07.16 -
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脊髄梗塞は稀な疾患で原因が不明なものも多く、現在でも明確な治療方針が定められてはいません。 そのため「脊髄梗塞が治るのか」不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。 本記事では、脊髄梗塞の回復見込みや治療法について詳しく解説します。 従来の治療では有効な治療法が確立されていないため、リハビリテーションによって症状の改善を目指すことがほとんどです。 しかし、近年の治療では先端医療である再生医療が新たな選択肢として注目されています。 \脊髄梗塞の改善が期待できる再生医療とは/ 再生医療は、損傷した神経に対してアプローチできる治療法で、今まで根治が困難だった脊髄梗塞の改善が期待できます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 脊髄梗塞の根治を目指せる治療法を探している 脊髄梗塞による痛みやしびれを早く治したい 現在受けている治療で期待した効果が得られていない 当院リペアセルクリニックの「脊髄腔内ダイレクト注射療法」は、従来の点滴では届きにくかった損傷部位へ幹細胞を直接届ける治療法で、神経損傷による痛みやしびれに対しても高い治療効果が期待されます。 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは脊髄梗塞の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 以下の動画では、実際に再生医療を受け、脊髄梗塞に悩まれていた患者様の事例を紹介しています。 https://youtu.be/hNXMlNYRAkI?si=xeOHGpwaSNk1X6Nx 【予備知識】脊髄梗塞の発生率・好発年齢・性差情報 ある研究においては、年齢や性差を調整した脊髄梗塞の発生率は年間10万人中3.1人と報告されています。 脳卒中などの脳血管疾患と比較し、脊髄梗塞の患者数はとても少ないです。 また、脊髄梗塞の患者さんのデータを集めた研究では、平均年齢は64歳で6割以上は男性だったと報告されています。 参考:A case of spinal cord infarction which was difficult to diagnose しかし、若年者の発症例もあり、若年者の非外傷性脊髄梗塞の発生には遺伝子変異が関係していると示唆されています。 脊髄梗塞は治るのか? 結論、脊髄梗塞を完全に治すことは困難です。 しかし、近年の治療では脊髄梗塞の根治を目指せる再生医療が注目されています。 現在のガイドラインにおいて完治までの有効な治療法は確立されておらず、リハビリテーションによって症状の緩和と日常生活への復帰を目指すことが中心です。 再生医療は損傷した神経に対してアプローチできる治療法で、今まで根治が困難だった脊髄梗塞の改善が期待できます。 「再生医療について詳しく知りたい」という方は、当院リペアセルクリニックで無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは脊髄梗塞の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 脊髄梗塞の後遺症について 脊髄梗塞の発症直後には急激な背部痛を生じることが多く、その後の後遺症として四肢の運動障害(麻痺や筋力低下など)や感覚障害(主に温痛覚低下)、膀胱直腸障害(尿失禁・残尿・便秘・便失禁など)がみられます。 四肢の運動障害(麻痺や筋力低下など) 感覚障害(主に温痛覚低下) 膀胱直腸障害(尿失禁や残尿、便秘、便失禁など) これらの症状に関しては入院治療やリハビリテーションの施行で改善することもありますが、麻痺などは後遺症として残ることもあります。 歩行障害の予後に関して、115人の脊髄梗塞患者の長期予後を調査した研究報告では、全患者のうち80.9%は退院時に車椅子を必要としていましたが、半年以内の中間調査で51%、半年以降の長期調査では35.2%と車椅子利用者の減少がみられました。 出典:Recovery after spinal cord infarcts Long-term outcome in 115 patients|PubMed 同じ研究における排尿カテーテル留置(膀胱にチューブを挿入して排尿をさせる方法)の予後報告ですが、退院時には79.8%だったのが中間調査では58.6%、長期調査では45.1%へと減少がみられました。 症状が重度である場合の予後はあまり良くありません。 しかし、発症してから早い時期(1〜2日以内)に関しては症状が改善する傾向にあり、予後が比較的良好とされています。 【原因別】脊髄梗塞の治療方法 原因 治療方法 大動脈解離 手術 / 脳脊髄液ドレナージ(1) / ステロイド投与 / ナロキソン投与(2) 結節性多発大動脈炎 ステロイド投与 外傷 手術 動脈硬化・血栓 抗凝固薬 / 抗血小板薬(3) 医原性(手術の合併症) 脳脊髄液ドレナージ / ステロイド投与 / ナロキソン投与 (1)背中から脊髄腔へチューブを挿入し脊髄液を排出する方法 (2)脊髄の血流改善を認める麻酔拮抗薬 (3)血を固まりにくくする薬剤 比較的稀な病気である脊髄梗塞は、いまだに明確な治療法は確立されていません。 脊髄梗塞の発生した原因が明らかな場合にはその治療を行うことから始めます。 たとえ例えば、大動脈解離や結節性多発動脈炎など、脊髄へと血液を運ぶ大血管から中血管の病態に起因して脊髄の梗塞が生じた場合にはその、原因に対する治療がメインとなります。 一方で、原因となる病態がない場合には、リハビリテーションで症状の改善を目指します。 脊髄梗塞に対するリハビリテーション 脊髄梗塞で神経が大きなダメージを受けてしまうと、その神経を完全に元に戻す根本的治療を行うのは難しいため一般的には支持療法が中心となります。 支持療法は根本的な治療ではなく、症状や病状の緩和と日常生活の改善を目的としたものでリハビリテーションも含まれます。 リハビリテーションとは、一人ひとりの状態に合わせて運動療法や物理療法、補助装具などを用いながら身体機能を回復させ、日常生活における自立や介助の軽減、さらには自分らしい生活を目指すことです。 リハビリテーションは病院やリハビリテーション専門の施設で行うほか、専門家に訪問してもらい自宅で行えるものもあります。 リハビリテーションの流れ ①何ができて何ができないのかを評価 ②作業療法士による日常生活動作練習や、理学療法士による筋力トレーニング・歩行練習などを状態に合わせて行う 日常生活において必要な動作が行えるよう訓練メニューを考案・提供します。 脊髄梗塞発症後にベッド上あるいは車椅子移動だった患者さん7人に対して検討を行った結果、5人がリハビリテーションで自立歩行が可能(歩行器や杖使用も含まれます)となった報告もあります。 時間はかかりますし、病気以前の状態まで完全に戻すのは難しいかもしれません。しかし、リハビリテーションは機能改善に有効であり、脊髄梗塞の予後を決定する因子としても重要です。 再生医療が脊髄梗塞に有用! https://www.youtube.com/watch?v=D-THAJzcRPE 確立された治療法がない脊髄梗塞に対して、損傷した神経にアプローチし根治を目指す再生医療が注目されています。 再生医療では、患者様自身の細胞や血液を用いて損傷した神経の再生・修復を促し、従来の治療では難しかった脊髄梗塞の改善が期待できます。 当院リペアセルクリニックで行なっている再生医療「自己脂肪由来幹細胞治療」では、患者様から採取した幹細胞を培養して増殖し、その後身体に戻す治療法となっています。 \リペアセルクリニックの再生医療をご検討ください/ 【こんな方は再生医療をご検討ください】 脊髄梗塞の根治を目指せる治療法を探している 脊髄梗塞による痛みやしびれを早く治したい 現在受けている治療で期待した効果が得られていない また、当院リペアセルクリニックの「脊髄腔内ダイレクト注射療法」は、従来の点滴では届きにくかった損傷部位へ幹細胞を直接届ける治療法で、神経損傷による痛みやしびれに対しても高い治療効果が期待されます。 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは脊髄梗塞の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 脊髄梗塞に関するQ &A この項目では、脊髄梗塞に関するQ &Aを紹介します。 多くの方が抱えているお悩み(質問)に対して、医者の目線から簡潔に回答しているのでご確認ください。 脊髄梗塞の主な原因は? 脊髄梗塞の主な原因は以下のとおりです。 脊髄動脈の疾患 栄養を送る血管の損傷 詳細な原因については以下の関連記事で紹介しているのでぜひご確認いただき、症状改善の一助として活用ください。 脊髄梗塞の診断は時間を要する? そもそも脊髄梗塞は明確な診断基準がありません。 発症率が低い脊髄梗塞は最初から強く疑われず、急速な神経脱落症状(四肢のしびれや運動障害、感覚障害など)に加えてMRIでの病巣確認、さらに他の疾患を除外してからの診断が多いです。 また、MRIを施行しても初回の検査ではまだ変化がみられず、複数回の検査でようやく診断に至った症例が少なくありません。 ある病院の報告では、発症から診断に要した日数の中央値は10日となっており、最短で1日、最長で85日となっていました。 まとめ|脊髄梗塞は治るのか?症状改善には再生医療による治療を検討しよう 脊髄梗塞に対する従来の治療では有効な治療法が確立されていないため、リハビリテーションによって症状の改善を目指すことがほとんどです。 しかし、確立された治療法がない脊髄梗塞に対して、損傷した神経にアプローチし、根治を目指す再生医療が注目されています。 再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を用いて人間の持つ自然治癒力を向上させることで、脊髄梗塞や後遺症の改善が期待できる可能性がある治療法です。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 脊髄梗塞の根治を目指せる治療法を探している 脊髄梗塞による痛みやしびれを早く治したい 現在受けている治療で期待した効果が得られていない また、当院リペアセルクリニックでは、従来の点滴で届きにくかった損傷部位へ幹細胞を直接届ける「脊髄腔内ダイレクト注射療法」によって、神経損傷による痛みやしびれに対しても高い治療効果が期待されます。 「具体的な治療法を知りたい」「脊髄梗塞が治るか不安」という方は、ぜひ当院リペアセルクリニックにご相談ください。 ▼脊髄梗塞に対する再生医療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる ▼こちらも併せてお読みください。
2024.07.02 -
- 脊髄損傷
- 上肢(腕の障害)
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失ったはずの腕や脚が痛むのはどうして? 幻肢痛に効果的な治療法はあるの? この記事に辿り着いたあなたは、幻肢痛に悩んでおり、なんとかして痛みを和らげたいと感じているのではないでしょうか。 幻肢痛の治療法には「薬物療法」や「鏡療法」などの選択肢があり、複数の方法を組み合わせて治療を進めることもあります。ご自身の状態に合った治療法を試すことが大切です。 本記事では、幻肢痛でよく用いられる治療法やセルフケア、そして新しい治療法について解説します。幻肢痛に悩んでいる、また幻肢痛に苦しむ方の力になりたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。 幻肢痛に対する4つの治療法 幻肢痛(げんしつう)とは、事故や病気で四肢を切断したあと、失ったはずの腕や足に痛み・しびれを感じる現象です。四肢の切断によって脳内にある身体の地図が書き換わり、認識と感覚の不一致が生じて起こるといわれています。 幻肢痛の一般的な治療方法は、以下の4つです。 薬物療法 鏡療法 電気刺激療法 リハビリテーション ひとつの治療法で痛みが緩和され、一定の効果が得られる場合もありますが、さまざまな方法を組み合わせて治療を進めていくケースが多いです。 本章を参考に、幻肢痛における治療法の選択肢を知っておきましょう。 薬物療法 薬物療法では、以下のような種類の薬を使用します。 鎮痛薬 抗けいれん薬 抗うつ薬 抗てんかん薬 抗不整脈薬 オピオイド系鎮痛薬(モルヒネやドラマドール)が使われるケースもありますが、依存や乱用のリスクが高く副作用も懸念されるため、使用は慎重におこなうべきだと考えられています。 また、局所療法として、カプサイシンクリームの塗布やリドカインスプレーの噴霧などがおこなわれる場合があります。 いずれにしても、薬物療法は作用と副作用のバランスを考え投与するのが望ましいため、主治医と十分コミュニケーションを取りましょう。 鏡療法 鏡療法は、ミラーセラピーとも呼ばれている方法です。 健常な四肢を幻肢があるかのように鏡に映します。健常な四肢を動かすと、鏡にも同様に映るため、あたかも幻肢を動かしていると錯覚するのです。 これを繰り返すうちに、「幻肢が思った通りに動いている」と脳が認識するようになります。知覚と運動の情報伝達が脳内で再構築され、幻肢痛が軽減していきます。 具体的な方法は以下のとおりです。 1. 身体の正面中央付近に適切な大きさの鏡を設置します。 2. 切断部位が見えないようにし、健常肢が鏡に映るように調整します。 3. 鏡に映った健常肢の像がちょうど幻肢の位置と重なるようにします。 4. 健常肢側から鏡を見ると、幻肢があるかのように鏡に映ります。 5. その状態で健常肢でさまざまな動きをし、鏡の像を集中して見ます。 鏡療法をおこなう時間は決められていませんが、15分~30分程度おこなうのが一般的です。ただし、疲労状況や集中できる時間を考慮して、調整しましょう。 電気刺激療法 電気刺激療法には、3つの種類があります。 脊髄刺激 視床刺激 大脳皮質刺激 脊髄刺激を与えると、痛みが脳に伝わりにくくなります。刺激を与えると、痛みの伝達を抑制する物質が増加するため、神経の興奮を抑制して痛みの緩和につながるのです。 また、大脳皮質にある一時運動野や視床へ電気刺激を与えても、幻肢痛を和らげるケースが報告されています。刺激を与える部位は、切断部位や神経の残っている部分によって治療方法が異なります。 リハビリテーション 義肢や装具には、失った機能や役割を補うだけでなく、幻肢痛を和らげる効果があります。 義肢や装具の装着は、鏡療法と同様に脳に失った四肢を認識させるため、義肢の装着が日常的になると幻肢痛も消失していく場合が多いです。 ただし、幻肢痛がひどく、義肢や装具の装着ができない場合もあります。リハビリは、医師をはじめ、理学療法士や義肢装具士など、医療者と相談しながら進めていきましょう。幻肢痛は、常に一定に感じているわけではなく、突然襲われる場合もあります。 寝ていても飛び起きてしまうような突然の痛みに襲われたり、失った手足が締め付けられるように感じたり、痙攣している、幻肢がねじれる、しみるなど、感じ方や程度はさまざまです。 数年で幻肢痛がなくなる方もいれば、長年痛みに苦しめられる方もいます。そのため治療法の選択は、医師をはじめとするさまざまな医療者と相談し、それぞれの痛みの程度やライフスタイルに合わせた継続できる治療法の選択が必要でしょう。 幻肢痛治療経験者の中には、治療に成功し、徐々に痛みが緩和され消失した方もたくさんいます。 「なるべく痛みではなく、他に意識が向くようにしていると徐々に痛みが引いた」「義足をつけてリハビリを続けていると幻肢痛が緩和した」など、幻肢痛はすぐになくすことはできませんが、治療を続け徐々に痛みから解放された方は多くいます。 しかし、長年幻肢痛に悩まされているケースもあります。幻肢痛の治療は、根気強く治療を続けていくモチベーションが必要です。 幻肢痛のセルフケア方法2つ 幻肢痛のセルフケアをする方法として、以下2つが挙げられます。 ストレスをコントロールする 家族・支援者によるサポートを受ける 本章で幻肢痛のセルフケア方法を知り、医療機関での治療以外にできることがないか検討してみましょう。 ストレスをコントロールする 適切なストレス管理で痛みを和らげることもできます。 幻肢痛患者は、痛みによって、不安や怒り、恐れなど、さまざま感情が入り混じっている心理状態です。慢性的なストレスは、痛みを過敏に感じさせるため、幻肢痛が悪化する原因にもつながります。 自分でできるストレスのコントロール方法は、以下の通りです。 趣味に没頭する 散歩をする 映画やドラマを見る 好きな物を食べる お風呂にゆっくりつかる 規則的な睡眠をとる 香りを楽しむ 声を出して笑う 日光を浴びる 過度な運動などの幻肢痛が悪化するようなものは避け、まずは自分ができそうなものから始めてみましょう。暴飲暴食、過度な飲酒・喫煙などはかえって体調不良や睡眠不足の原因となり、痛みの悪化を招くため注意が必要です。 家族・支援者によるサポートを受ける ストレス管理は本人だけでなく、周囲からのサポートが必要になるケースもあります。 なるべくストレスを抱え込まず、周りの人の力を借りながらうまくコントロールすることが大切です。 家族・支援者ができるサポートは、以下の通りです。 痛みが一番のストレスなら、残存した方の腕や足を軽くマッサージしてもらう リハビリがストレスなら、リハビリのやり方やメニューを主治医と相談する 生活の不自由さがストレスなら、補助グッズの使用や利用できる支援の導入を検討する まずは自分がストレスに感じていることは何かを、家族やサポートしてくれる人に話して理解してもらう必要があります。 また、精神的に不安定になっている場合は、心療内科・精神科の受診やカウンセリングを受けることなども検討しましょう。 新たな技術を用いた幻肢痛の治し方2選 四肢の一部を失った方が、幻肢痛を乗り越え、生活の再構築をしていくのは、とても困難な道のりでしょう。 幻肢痛には、従来先述したような4つの治療法が用いられていますが、IT技術の進化に伴い、以下2つのような新しい治療法も登場しています。 VR技術による「遠隔セラピー」 BCI(ブレインコンピューターインターフェイス)による「脳のトレーニング」 体験を行う交流会もあるため、積極的に参加することで新たな発見があるかもしれません。お住まいの地域での開催がないか調べてみましょう。 VR技術による「遠隔セラピー」 VR空間のなかで、失った四肢を補間し、脳を錯覚させるセラピーも開発されています。幻肢痛を感じる患者とセラピストが一緒にVR空間の中に入り、手足を動かすイメージを共有する手法です。 3Dを利用したリアルな空間なので、実際にリハビリをしているような雰囲気が味わえます。 さらに、VR空間でセラピーを行うため、セラピストが近くにいなくても、いつでもどこでも実施が可能です。 鏡療法は切断部位によって有効でない場合もありますが、VR技術による遠隔セラピーならばより多くのケースに対応できます。 BCI(ブレインコンピューターインターフェイス)による「脳のトレーニング」 BCIによる「脳のトレーニング」では、脳活動を計測し、得られた計測信号から脳情報を読み解き、それに基づいて架空の手足の映像をオンラインで動かします。 架空の手足を動かすことで、脳の変化を促し、新しい感覚を得られたり、治療につながっていくことを目的としたものです。 この訓練を3日間行うことで、訓練後5日間の痛みが30%以上減弱した調査結果もあります。 まとめ|自分に適した幻肢痛の治療法を検討しよう 本記事では、幻肢痛の治療法とセルフケアの方法について詳しく解説しました。 治療の際には、失った部位や痛みの状態に合わせた方法を選択する必要があります。 また、IT技術を活かし、リアルに失った四肢を感じられるような遠隔セラピーやBCIによるトレーニングといった新しい治療法も開発されています。日々情報収集をおこないながら、自分に合った治療法を見つけましょう。 当院「リペアセルクリニック」は、幹細胞の働きを活かし、本来の機能ができなくなった臓器や骨などを修復する「再生医療」を扱うクリニックです。再生医療には、膝や腰の痛みを改善させる治療もあります。再生医療に興味を持たれた方は、ぜひ当院のホームページをご覧ください。 参考文献一覧 (文献1) 住谷昌彦 幻肢の感覚表象と幻肢痛 バイオメカニズム学会誌Vol. 39,No.2(2015) (文献2) インタビュー「最先端の幻肢痛治療に見る、「脳のリプログラミング」の可能性」 (文献3) UTokyo バーチャルリアリティー治療で緩和される幻肢痛の特徴 (文献4) 住谷昌彦、宮内哲ほか 幻肢痛の脳内メカニズム 日本ペインクリニック学会誌Vol.17No.1 2017 (文献5) UTokyo 失った手足の痛みを感じる仕組み (文献6) 日本ペインクリニック学会 「神経障害制疼痛薬物療法ガイドライン 改訂第2版」 (文献7) 緒方徹、住谷昌彦「幻肢痛の機序と対応」Jpn J Rehabil Med 2018;55:384-387 (文献8) ミラーセラピーについて | 脳梗塞集中リハビリセンター │ 社会医療法人 生長会 (文献9) 大内田裕 「幻肢・幻肢痛を通してみる身体知覚」2017年 (文献10) 片山容一、笠井正彦 「幻肢・幻肢痛を通してみる身体知覚」2017年 (文献11) 落合芙美子 日本義肢装具学会誌「義肢装具に対するチームアプローチ」日本義肢装具学会誌Vol.13 No.2 1997 (文献12) 幻肢痛VR遠隔多人数セラピーシステム|JDP (文献13) 事故で失った幻の手の痛みが脳活動を変える訓練により軽減 - ResOU
2024.06.19 -
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NHKの教育番組「おかあさんといっしょ」にて「体操のお兄さん」として活躍した佐藤弘道さんが、2024年、脊髄梗塞による下半身麻痺のため、芸能活動を一時休止すると発表しました。 脊髄梗塞は誰にでも発症する可能性がある疾患です。 とくに背中の痛みや両手足の痺れを感じているなら、すでに初期症状が現れているかもしれません。 本記事では脊髄梗塞の概要や症状、診断方法などを解説します。 脊髄梗塞とはどのような状態? 脊髄とは、脳から腰までの背骨の内部を走る、神経群を指します。 脊髄は、主に脳からの指令を体の各部に伝え、また体が受けた刺激を脳に伝える役割を果たします。 私たちが自由に手足を動かしたり、何かに接触したときに反応したりできるのは、脊髄のはたらきがあるからに他なりません。 脊髄は、いわば「情報伝達の高速道路」のような役割を担っています。そして、高速道路を機能させるためには、酸素と栄養を供給する血液が欠かせません。 しかしなんらかの原因で血管が詰まると、脊髄に対して血液が行き届かなくなり、酸素と栄養も十分に行き渡りません。この状態を脊髄梗塞と呼びます。 脊髄梗塞になると、脊髄は正常に機能しません。 また酸素と栄養の供給が絶たれたことにより、脊髄がダメージを被り、身体に以下のような症状が現れます。 突然の背中の痛み 両手足の痺れ、感覚の喪失 筋力の低下 排泄の障害 症状が重篤な場合は、「歩くのも難しい」状態に陥ります。 脳梗塞のようにただちに生命が危ぶまれるものでないものの、適切な治療と十分なリハビリが必要になるでしょう。 メール相談 オンラインカウンセリング 脊髄梗塞の発生頻度 脊髄梗塞はまれな疾患であり、発生率は年間10万人中3.1人と報告されています。 広い年齢層で症状が見られますが、50〜60代での発症例がとくに多く報告されています。 また性差はありません。男女ともに同程度の可能性での発症がありえます。 参考:日本関東救急医学会|J-STAGE 脊髄梗塞は治るのか?後遺症は? 脊髄梗塞を根本的に治療する方法は、現時点で確立されていません。 一方で早期発見や専門的治療、適切なリハビリにより、症状を緩和したり、機能を回復させることは可能です。 とくにリハビリの効果は高く評価されており、約7割のケースで歩行可能な状態に回復します。 参考:JCHO大阪病院 脊髄梗塞の症状・前兆 脊髄梗塞の前兆として、以下があげられます。 突然の背中の痛み 両側の手足の筋肉の弛緩 両側の感覚の喪失 それぞれ以下で詳しく解説します。 突然の背中の痛み 脊髄梗塞の一般的な症状としては、突然現れる背中の痛みから始まることが多いです。 とくに予兆もなく突然症状が現れるのは、血管の詰まりや破裂を引き起こす病気の特徴です。 脊髄梗塞もこのケースに当てはまり、脊髄を栄養する動脈が詰まったり破裂したりして、突然の痛みの発生へとつながります。 また、症状は背中だけにとどまらないこともあり、肩などにも広がりやすいです。 両側の手足の筋肉の弛緩 両手足の筋肉が弛緩し、力が入らなくなるのも前兆のひとつです。 具体的には以下の症状が現れます。 両足がふらつく 物を強く握れなくなる 症状の進行は急速であり、数時間で歩行が困難になるケースも存在します。 また左右一方ではなく、両手足同時に症状が現れるのも、脊髄梗塞の前兆の特徴です。 両側の感覚の喪失 身体の感覚は脊髄を通して脳へと伝わりますが、この経路にある脊髄が障害されてしまうため、両側の感覚までもが障害を受けてしまいます。 また、脊髄梗塞の感覚障害にはある特徴が見受けられます。 それは、痛覚や温覚を伝える神経経路が主に障害されるため、痛みや温度が感じにくくなります。 その一方で、触覚(触れている感覚)や振動覚(振動を感じる感覚)、また自分の手足がどの位置にあるのかなどの感覚を伝える神経経路は比較的障害を受けない場合もあります。 このように脊髄梗塞では突然の症状に襲われて、これまで経験をしたことがないような背中の痛みや手足の脱力感、感覚の異常を経験します。 後ほど治療法についても詳しく説明しますが、脊髄梗塞に対してはまだまだ確立された治療法がなく、苦しい日々を送っている方がたくさんおられます。 再生医療を専門とするリペアセルクリニックでは、この稀な疾患である脊髄梗塞に対しても治療実績があり、高い効果が得られており、300名以上の脊髄疾患の方が治療に来られています。 通常では点滴により投与される幹細胞治療ですが、当院では国内でも珍しく脊髄腔内へ直接幹細胞を投与しております。 詳しくはこちらの動画をご覧ください。 https://www.youtube.com/watch?v=9S4zTtodY-k メール相談 オンラインカウンセリング 脊髄梗塞の原因とは? 脊髄梗塞の原因にはさまざまな要因が考えられますが、ここでは身体の構造にしたがって原因を分類します。 脊髄動脈の疾患 脊髄は前方と後方の2方向から血液が供給されています。 前方の血管を前脊髄動脈と言い、脊髄の前方3分の2を栄養しています。 そして、後方の血管を後脊髄動脈と言い、脊髄の後方3分の1を栄養しています。 栄養を送る血管の損傷 心臓からつながる動脈には栄養が豊富に含まれています。 そのなかでもとくに太い血管である大動脈の動脈硬化や大動脈解離などが発症すると、脊髄へ送られる栄養が行き届かなくなり、脊髄梗塞が起きてしまいます。 また病気が原因ではなく、手術中の手技により脊髄へ栄養を送る動脈が損傷されてしまい、脊髄梗塞となることも事例もあります。 脊髄梗塞の診断方法 脊髄梗塞の診断は、主に以下二つの検査でおこなわれます。 MRI検査 CT脊髄造影検査 最初にMRI検査を実施します。 脊髄梗塞が疑われる段階では、急性横断性脊髄炎、脱髄疾患、脊髄炎、転移性硬膜外腫瘍などを発症している可能性もあり、正確に疾患名を特定できません。 しかしMRI検査によって、何を発症しているか判断ができます。 MRI検査でも判断が難しい場合は、CT脊髄造影検査をおこない、疾患名を特定します。 脊髄梗塞の治療法やリハビリ、後遺症や予後については以下の記事で詳しく解説しています。 脊髄梗塞の治療法 脊髄梗塞を発症した場合、脊髄や周辺がダメージを被っています。 そのダメージを取り除く根本的な治療法は確立されていません。 したがって根治ではなく、症状の緩和や機能の部分的な回復を目的とした、以下の治療法が用いられます。 リハビリ|地道に筋力や感覚の回復を目指す 血行再建術|手術による血行を回復させる 血栓溶解療法|薬剤注入により血栓を解消する それぞれ以下で解説します。 メール相談 オンラインカウンセリング リハビリ|地道に身体機能を目指す 脊髄梗塞の治療では、身体機能を回復させるためのリハビリが用いられます。 リハビリはほとんどの症例で必要となるでしょう。 とくに運動療法による股関節や膝関節の訓練を重視し、歩行をはじめとした基本的な動作を取り戻すことを目指します。 また食事や入浴、更衣などの日常生活動作を取り戻すリハビリもおこなわれます。 また心理的なサポートを目的としたカウンセリングが用いられるケースもあるでしょう。 脊髄梗塞による症状改善を目指すリハビリは長期にわたるため、精神的な支援が必要だからです。 なお長期的なリハビリは、脊髄梗塞からの回復に対して効果的だとされており、たと例えばJCHO大阪病院は、約7割の人が歩行回復なまでに回復すると述べています。 参考:JCHO大阪病院 血行再建術|手術により血行を回復させる 血行再建術とは、血管が詰まった、閉じた状態を改善し、血流を活発化させるための手術です。 先ほど脊髄梗塞は血管がなんらかの原因で詰まることで発症すると解説しました。 したがって詰まりを放置していると症状が悪化すると考えられ、看過できません。 しかし血行再建術の実施により、詰まりが解消されれば、脊髄に酸素や栄養が十分に行き渡ります。 症状の程度によりますが、手術後の症状の悪化は避けられるでしょう。 また早期に実施できれば脊髄梗塞による症状を軽微な状態でとどめられます。 なお血行再建術だけでは、現在の症状の改善は期待できません。 すでに生じた神経の壊死などを回復する手術ではないからです。 症状の回復は、後述のリハビリにて目指します。 血栓溶解療法|薬剤の注入により血栓を解消する 血栓溶解療法とは、アルテプラーゼなどの特殊な薬剤を血管に注入し、つまりの原因である血栓を溶かす治療法です。 血栓が解消されれば、脊髄梗塞の症状の悪化は避けられるでしょう。 早期に血栓溶解療法を実施できた場合、脊髄梗塞の症状を軽微な状態でとどめられます。 ただし血栓溶解療法が有効なのは、発症から6〜8時間以内とされています。 それ以上経過した場合、症状の改善や治療はリハビリや血行再建術などで図られるでしょう。 まとめ・脊髄梗塞は早期診断・治療が大切 この記事では脊髄梗塞の症状の経過や診断方法、原因などについてまとめました。 記事の中でも触れたように、脊髄梗塞は稀な疾患で、明確な治療方法が確立している病気ではありません。 また、急激な背中の痛みは脊髄梗塞かどうかに関わらず、とても危険な状態であると示す身体からの信号です。 そのような痛みを感じたときには、すぐにお近くの医療機関に連絡するようにしましょう。 メール相談 オンラインカウンセリング 参考文献 脊髄への血流遮断 - 09. 脳、脊髄、末梢神経の病気 - MSDマニュアル家庭版 脊髄梗塞 - 07. 神経疾患 - MSDマニュアル プロフェッショナル版 診断に難渋した脊髄梗塞の 1 例 脊髄梗塞 14 例の臨床像および予後の検討 ▼こちらもあわせてご参考ください。
2024.06.14 -
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高周波熱凝固法は高周波の電磁波から放出される熱を用いて、神経を構成するタンパク質の一部を凝固させる治療法です。 局所麻酔剤やステロイド製剤を用いた神経ブロックでは十分な効果が得られない際に行われる治療法として知られています。 比較的長期にわたり痛みを抑えられる治療法ですが、後遺症や合併症を起こす可能性についても知っておかなければなりません。 本記事では高周波熱凝固法の効果やメリット・デメリットについて解説します。 高周波熱凝固法の後遺症や合併症に対しては、再生医療も治療選択肢の一つです。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 高周波熱凝固法の後遺症や合併症のお悩みを解消したい・再生医療に興味がある方は方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 高周波熱凝固法を受けるメリットとその効果 高周波熱凝固法を受ける主なメリットと効果は以下のとおりです。 長期的に痛みを抑える効果が期待できる パルス高周波法は低温で神経を傷つけにくい 手術ではないため日帰りで実施できる それぞれについて解説します。 長期的に痛みを抑える効果が期待できる 高周波熱凝固法のメリットの一つが、長期的に痛みを抑える効果が期待できる点です。 症状を引き起こしている神経を特定した上で高周波の電磁波で凝固させると、比較的長期にわたり脳に痛みが伝達されるのを阻害します。 効果の持続期間には個人差がありますが、凝固の程度により半年から1年以上効果が持続するケースも少なくありません。 一般的な神経ブロックの効果が数時間から数週間ほどしか持続しないことを考えると、生活の質を向上させる上で大きなメリットといえるでしょう。 高周波熱凝固法の対象となる主な疾患は以下のとおりです。 頚椎・腰椎椎間板ヘルニア 頚部・腰部脊柱管狭窄症 仙腸関節障害 腰椎すべり症 腰椎椎間関節症 三叉神経痛など ただし、高周波熱凝固法の適応症例は病院やクリニックにより異なります。 パルス高周波法は低温で神経を傷つけにくい 高周波熱凝固法と似た治療法の一つがパルス高周波法です。 高周波熱凝固法は70℃から90℃の温度で電磁波をおよそ120秒間流し、熱の力で神経を構成するタンパク質を凝固させます。(文献1) パルス高周波法は42℃の電磁波をおよそ300秒流し、間欠的に電気的刺激を与えるのが特徴です。 比較的低温の刺激のため神経を傷つけにくく、しびれや脱力感などの副作用を引き起こすリスクが低いメリットがあります。 整形外科やペインクリニックなどでは、症状のあらわれ方や程度に応じて、高周波熱凝固法とパルス高周波法のどちらが適しているか判断した上で実施しています。 手術ではないため日帰りで実施できる 高周波熱凝固法のメリットの一つが、手術ではないため日帰りで実施できる点です。 局所麻酔剤やステロイド製剤を用いて行う神経ブロックと同じく、高周波熱凝固法の施術も痛みを引き起こしている神経の近くに針を挿入して高周波の電磁波を流します。 高周波熱凝固法の治療には、およそ0.5mmから0.7mmと細い針が用いられます。 治療に伴う痛みが少ない上、切開して行う手術に比べて非常に傷口が小さく、外来で治療が受けられるため入院の必要がありません。 局所麻酔剤やステロイド製剤を用いたブロック注射に比べると、副作用のリスクが比較的低い点も高周波熱凝固法のメリットの一つです。 高周波熱凝固法の主なデメリット・副作用 高周波熱凝固法のデメリット・副作用としては以下の例が挙げられます。 神経を焼くため感覚が鈍くなることがある 身体の状態によっては受けられない可能性がある 術後でも後遺症や合併症のリスクがある 一度治った慢性難治性疼痛も再発する可能性がある 保険診療の適用外となる場合があり費用が高くなることがある それぞれについて解説します。 神経を焼くため感覚が鈍くなることがある 高周波熱凝固法のデメリットの一つが、電磁波で神経を焼くため術後に感覚が鈍くなるケースがある点です。 高周波熱凝固法では痛みの原因となる神経の近くに針を挿入し、ピンポイントで高周波の電磁波を流すのが特徴です。 針から放出される電磁波が神経内部のイオン分子を振動させると、分子運動が活発化した組織が高温となり、神経を構成する一部のタンパク質を変性させます。(文献2) 高周波熱凝固法により変性した神経は、脳に痛みを伝達する機能を失うため、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などに伴う疼痛の改善に効果的です。 一方で、神経が変性すると周囲の皮膚の感覚が鈍くなるリスクがあります。 運動神経の鈍麻による脱力感が生じたり、筋力の低下を引き起こしたりする可能性がある点も、高周波熱凝固法のデメリットの一つです。 高周波熱凝固法によって感覚が鈍くなった状態は、神経が自然に再生されるまで続きます。 身体の状態によっては受けられない可能性がある 高周波熱凝固法のデメリットの一つに、身体の状態によって施術が受けられない点も挙げられます。 以下に該当する方は、高周波熱凝固法の治療を受けられない可能性があります。 抗凝固薬・抗血小板薬を服用中の方 ペースメーカー・除細動器を使用している方 局所麻酔に対するアレルギーをお持ちの方 妊婦・妊娠の可能がある女性および授乳婦 抗凝固薬や抗血小板薬など血液が凝固しにくい状態にある方は、高周波熱凝固法をはじめとする神経ブロックを受けるべきではありません。(文献3) ペースメーカーや除細動器を使用している方が高周波熱凝固法の治療を受けると、電磁波により機器に悪影響を及ぼす可能性があります。 局所麻酔薬に対するアレルギーをお持ちの方は、術前の麻酔剤の投与によりアナフィラキシーショックを起こす恐れがあるため注意が必要です。 妊婦や妊娠の可能性がある女性、授乳婦に関しても高周波熱凝固法の治療は推奨されていません。 術後でも後遺症や合併症のリスクがある 高周波熱凝固法の治療を受けた後に、以下の後遺症や合併症を発症するケースがあります。 症状 具体的な症状 後遺症 しびれ・チクチクした感覚・出血・熱傷など 合併症 感染・知覚鈍麻・運動障害など 高周波熱凝固法で神経に変性が生じると、手足のしびれやチクチクとした感覚などの後遺症を生じる可能性があります。 針を刺した場所に出血を起こしたり、熱により火傷を起こしたりするケースも珍しくありません。 稀な例ですが針を刺入した場所に細菌が入り込んで感染症を発症したり、神経ブロックの作用で知覚鈍麻が生じたりするケースもあります。 高周波熱凝固法は原則として運動神経は対象外ですが、治療の際に誤って傷つけてしまうと運動障害を発症する可能性があります。 一度治った慢性難治性疼痛も再発する可能性がある 高周波熱凝固法のデメリットの一つが、一度は治ったと思われた慢性難治性疼痛が再発する可能性がある点です。 高周波熱凝固法によって消失した痛みが再発する主な理由は以下のとおりです。 原疾患が改善していない 神経が再生する 効果が不十分 高周波熱凝固法により消失した痛みが再発する理由の一つが、原因となる疾患が改善していない点です。 たとえば腰椎圧迫骨折が原因で痛みが生じている場合、高周波熱凝固法の治療で一時的に痛みが緩和しても、骨折自体が治らなければ痛みが再発しがちです。 また、高周波熱凝固法で焼いた神経が再生すると、痛みのサインが再び脳へと伝達されはじめる可能性があります。 痛みの原因によっては、高周波熱凝固法の治療だけでは不十分なケースもあります。 保険診療の適用外となる場合があり費用が高くなることがある 高周波熱凝固法のデメリットの一つが、保険診療の適用外となった場合に費用が高くなる可能性がある点です。 高周波熱凝固法は多くが健康保険の適用範囲内で受けられますが、場合によっては自費診療となるケースがあります。 高周波熱凝固法と似た治療法のパルス高周波法の場合、健康保険が適用されるのは1カ月の間に一度だけです。 1カ月に二回以上の治療を受ける場合、二回目以降の治療は自費診療が原則です。 自費診療の際にいくらかかるかは、病院やクリニックごとに異なります。 健康保険が適用されるケースでも、治療内容に応じて自己負担額が異なるため事前の確認が必要です。 高周波熱凝固法の術後後遺症でお悩みの際は再生医療もご検討ください 高周波熱凝固法の治療を受けた後に後遺症が発生した場合や、なかなか後遺症が改善しない場合の選択肢として幹細胞治療が期待されています。 幹細胞治療には他の細胞へ変化する分化能という能力があり、神経系の疾患やスポーツ外傷、変形性関節症などさまざまな症状が適応対象です。 当院リペアセルクリニックでは患者様自身の脂肪細胞から抽出した幹細胞を培養・増殖させ、点滴・注射を用いて患部に注入します。 手術の必要がなく大きな傷跡が残るリスクがない上、日帰りで治療を受けられる点がメリットの一つです。 腰部脊柱管狭窄症の術後後遺症に対する再生医療の治療例については、以下の症例記事をご覧ください。 日帰りできる!再生医療を受ける際の流れ 3ステップ 再生医療は手術の必要がなく大きな傷跡が残らない上、回復までに要する日数も短い点が特徴です。 当院リペアセルクリニックにおける再生医療は、以下の流れで実施するのが基本です。 1.脂肪採取:米粒3粒ほどの脂肪組織を採取 2.細胞培養・増殖:採取した幹細胞を培養・増殖 3.患部への投与:幹細胞を点滴・注射で患部に注入 当院リペアセルクリニックの再生医療では、患者自身の脂肪細胞から幹細胞を抽出し、培養・増殖させたのちに患部へ投与します。 細胞の培養には約1カ月かかりますが、培養後の投与・治療自体は1日で終わります。自己の細胞を用いた治療法のため副作用のリスクが少なく、拒絶反応の心配が限りなく少ない点がメリットの一つです。 再生医療の詳しい治療内容や適応症例については、以下のページをご覧ください。 高周波熱凝固法のメリット・デメリットを考慮して治療法を選択しましょう 高周波熱凝固法は電磁波によって生じた熱の作用により、神経を構成するタンパク質の一部を凝固させる治療法です。 神経を凝固させることで痛みのサインが脳へ伝えられるのをブロックする点が特徴で、局所麻酔剤やステロイド製剤を用いた神経ブロックでは十分な効果が得られない場合に適用されます。 比較的長期にわたり痛みを抑えられる上、入院の必要がなく日帰りで治療を受けられる点がメリットです。 一方で、知覚神経の鈍麻や感染症、運動障害などの合併症や、チクチクした感覚や手足のしびれ、火傷などの後遺症が生じる可能性があります。 高周波熱凝固法により合併症や後遺症が生じた場合は、再生医療も有効な選択肢の一つです。 再生医療に興味がある方や、高周波熱凝固法の合併症・後遺症にお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」お気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) 神経ブロック|一般社団法人日本ペインクリニック学会 (文献2) 治療機器:高周波熱凝固装置|2020年6月748号医機学 (文献3) 神経ブロック|一般社団法人日本ペインクリニック学会
2024.03.29 -
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リゾトミー(Rhizotomy)は、痛みに対して過敏に反応する知覚神経を、高周波のラジオ波で焼灼(しょうしゃく:焼き切ること)する治療法です。 腰には腰椎を動かすための椎間関節がありますが、加齢や疲労に伴い変形が生じると知覚神経が増殖します。 リゾトミーにより知覚神経を焼灼すると、慢性・難治性腰痛に伴う症状の改善に効果的です。 本記事ではリゾトミーの適応症状や治療の流れ、メリット・デメリットなどを詳しく解説します。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 慢性腰痛にお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 リゾトミーとは神経の一部を切断・焼灼する治療法 リゾトミーは痛みに過敏に反応する知覚神経を、高周波のラジオ波で焼灼する治療法です。 知覚神経を焼灼すると脳に痛みのサインが伝達されなくなります。 慢性的な痛みのなかでも、とくに椎間関節の変形が原因で生じる首や腰の痛みに対して効果的な治療法です。 レントゲンやMRIなどの検査では原因が明確にわからない慢性腰痛(非特異的腰痛)に対しても効果を発揮します。 治療に用いられる専用の電極針はボールペンや鉛筆よりも細く、傷跡が小さくて済むため日帰りで治療を受けられる点がメリットの一つです。 どんな症状にリゾトミーが有効なのか? リゾトミーは疼痛過敏症に対して有効な治療法です。 腰椎には腰を動かす際にはたらく椎間関節がありますが、加齢や疲労により変形すると知覚神経が増殖します。 知覚神経が増殖すると、以前に比べて痛みを感じやすく(疼痛過敏症)なります。 リゾトミーは、ラジオ波(高周波の熱)を用いて、過敏になった知覚神経の働きを抑える治療です。疼痛過敏症に伴って生じる腰痛に対して効果的とされています。 リゾトミーの主な適応症状は以下のとおりです。 慢性難治性腰痛 椎間関節の変形による腰痛 知覚過敏による腰痛 保存療法では改善しない腰痛 椎間関節ブロックが一時的に有効な腰痛 なお、リゾトミー手術のメリット・デメリットについては、以下の記事が参考になります。 リゾトミーの詳しい治療方法と流れ リゾトミーの治療は以下の流れで行われます。 局所麻酔をして痛みを感じにくい状態にする 専用の細い電極針を皮膚から神経の近くに挿入する レントゲン透視で針の位置を正確に確認する ラジオ波(高周波)を照射して過敏になった神経を焼灼する 処置が終わったら短時間安静にする それぞれについて解説します。 1:局所麻酔をして痛みを感じにくい状態にする リゾトミーの治療前に、レントゲンやMRIなどの画像検査で痛みの原因となる関節および神経を特定します。 治療する場所が特定できたら、皮膚の洗浄および滅菌処置を施し、局所麻酔を注射して痛みを感じにくい状態にします。 リゾトミーの治療は基本的に狭い範囲が対象で治療時間も短いため、身体に大きな負担がかかる全身麻酔は必要はありません。 局所麻酔の効果があらわれ、痛みを感じにくい状態になったらリゾトミーの治療に移ります。 2:専用の細い電極針を皮膚から神経の近くに挿入する 局所麻酔の効果があらわれたら、専用の細い電極針を皮膚から痛みの原因となる神経の近くに挿入します。 治療する部位によっては、電極針の挿入口を複数個あける必要があります。 挿入口には筒形の傷口ができますが、針の太さはボールペンや鉛筆より細いため、傷口の大きさは3ミリメートルから5ミリメートル程度です。 皮膚を切開する必要がなく傷口が小さいため、回復に要する時間が短い点がリゾトミーの特徴の一つです。 3:レントゲン透視で針の位置を正確に確認する 電極針を対象となる関節や神経の近くに挿入したら、レントゲン透視下でより正確な位置に電極針を移動します。 一部の施設では内視鏡下でリゾトミーの治療を実施するケースもありますが、日本国内で実施できる施設はまだ少ないです。 内視鏡下で治療を進めるとより確実に痛みの原因となる神経にアプローチできるため、今後、実施できる病院やクリニックが増えていくかもしれません。 腰椎椎間板ヘルニアに伴う経皮的内視鏡下椎間板切除術(PELD)では、内視鏡を用いるのが一般的です。 4:ラジオ波(高周波)を照射して過敏になった神経を焼灼する レントゲン透視で痛みの原因となる関節や神経の位置が特定出来たら、ラジオ波(高周波)を照射して、疼痛過敏症を引き起こす知覚神経を焼灼します。 治療に際しては局所麻酔剤を注入するため、強い痛みが生じるケースは多くありません。 痛みが強い場合や不快感が生じるケースでは、鎮痛剤を追加で投入して対処します。 ラジオ波の治療に伴う痛みは個人により差があるため、心配な方はカウンセリングの際に担当医に相談するのがおすすめです。 5:処置が終わったら短時間安静にする ラジオ波で痛みの原因となる神経を照射し終えたら、短時間の安静が必要です。 リゾトミーの治療は傷口が3ミリメートルから5ミリメートルと小さく、施術に要する時間も15分から30分と短いのが特徴です。 しかし、皮膚に傷口が生じることには変わりないため、手術後は1時間ほどの安静が求められます。 1時間ほど経過したら担当の医師により傷口の状態や症状の確認が行われ、問題がないと判断されれば歩いて帰宅できます。 リゾトミーの術後回復とリハビリ リゾトミーの治療後は1時間程度の安静が求められます。 手術自体は15分から30分と短く、電極針を挿入する際に生じる傷口も3ミリメートルから5ミリメートルと小さいため、入院する必要はありません。 1時間程度の安静の後に症状や身体の状態に問題がないと判断されれば、その日のうちに歩いて帰宅できます。 手術後、麻酔の効果が消失した際に症状が改善していれば、特別なリハビリテーションは必要ありません。 ただし、椎間関節の変形が腰への過度の負荷や不良姿勢に起因する場合は、身体の正しい使い方に関するリハビリテーションが求められるケースもあります。 リゾトミーのメリット・デメリット リゾトミーの主なメリットとデメリットは以下のとおりです。 メリット:痛み・こわばりの緩和が見込める デメリット:後遺症・合併症のリスクあり 次項でさらに詳しく解説します。 メリット|痛み・こわばりの緩和が見込める リゾトミーのメリットとしては、以下の4点が挙げられます。 難治性の慢性腰痛への効果が期待できる 体への負担が少ない 回復が早い 複数部位の同時治療が可能 リゾトミーのメリットの一つが、難治性の慢性腰痛への効果が期待できる点です。 椎間関節が変形すると疼痛過敏症の原因となる知覚神経の増加が起きますが、リゾトミーの治療で神経を焼灼すると痛みの緩和につながります。 保存療法では改善が見られない難治性の腰痛に対しても効果を発揮するため、どのような治療を受けても症状が良くならなかった方にもおすすめです。 手術に要する時間は15分から30分程度と短く、傷口も3ミリメートルから5ミリメートルと小さいため、体にかかる負担が少なく、切開しての手術に比べて回復が早い点もメリットの一つです。 椎間関節の変形が複数ある場合でも、局所麻酔で一度に治療できます。 デメリット|後遺症・合併症のリスクあり リゾトミーのデメリットとしては、以下の5点が挙げられます。 費用が高額 実施している医療機関が限られている 後遺症が出る可能性がある 神経が再生すると痛みが再発する可能性がある 患者の状況によっては適応できない リゾトミーのデメリットの一つが費用が高額で、実施している医療機関が限られている点です。 健康保険が適用されず自由診療のため、手術費がおよそ60万円~70万円と高額な点もリゾトミーのデメリットといえるでしょう。 手術の際に誤って神経を傷つけると、後遺症を発症する可能性があります。 血栓症や術後血種、細菌感染など、合併症の可能性がある点もリゾトミーのデメリットです。 神経の再生により痛みが再発する可能性がある上、患者の状況によってはそもそもリゾトミーが適応できない可能性もあります。 リゾトミーの弱点とは?これからの可能性について解説 リゾトミーは神経を変性させるため、効果は永続的と考えるかもしれません。 実際は、しっかりと焼き切れていないと神経が再生して痛みが繰り返し てしまうため、長期に効果が続くわけではありません。 しかし、新たな手法により、この弱点をカバーできるかもしれません。それはPELD(Percutaneous Endoscopic Lumbar Discectomy :経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術)という最先端のヘルニア治療で使われる技術を応用した「内視鏡的リゾトミー」です。 PELDでは7mm程度のとても細い筒状の内視鏡を用いてヘルニアの手術を行います。この内視鏡を、リゾトミーで焼く神経を定めるのに使うのが、内視鏡的リゾトミーです。内視鏡で実際に神経を確かめるため、より確実な神経の焼灼ができます。 実際に海外の研究では、椎間関節の内視鏡的リゾトミーは、従来の透視下で実施する方法よりも効果がある期間が長かったという報告がされています。日本で内視鏡的リゾトミーを行なっている施設はまだ少ないのが現状ですが、今後普及すればより確実に腰痛を治療できるようになるでしょう。 リゾトミーの特徴を正しく理解して腰痛の治療法を選びましょう リゾトミーは痛みに対して過敏に反応する知覚神経を、高周波のラジオ波で焼灼する治療法です。 痛みのサインを脳に伝える知覚神経を焼灼するため、知覚過敏による腰痛や慢性難治性腰痛など、保存療法では改善が難しい腰痛に対して効果を発揮します。 実際の治療には鉛筆やボールペンよりも細い電極針を用いる上、傷口が3ミリメートルから5ミリメートルと小さいため身体にかかる負担が小さく、日帰りで手術が受けられる点もメリットの一つです。 リゾトミーの後遺症で神経障害を発症した場合は、再生医療で対処できる可能性があります。 腰部脊柱管狭窄症の手術後に生じたしびれや残尿感に対する再生医療の治療例については、以下の症例記事をご参照ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 慢性腰痛にお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 リゾトミーに関するよくある質問 リゾトミーを受ければ慢性腰痛は完治する? リゾトミーで慢性腰痛が完治するかどうかは、症状の原因や生活習慣によります。 痛みの原因となる知覚神経を焼灼するリゾトミーは、痛みの症状を和らげることを目的とした対症療法に分類される治療法です。 慢性腰痛の原因が普段の姿勢や日常的な身体の使い方にある場合、リゾトミーの治療で一時的に痛みが消失しても、時間が経過すると再び腰痛を発症する可能性があります。 リゾトミーで腰の痛みが緩和したら、身体の使い方や姿勢を見直し、慢性腰痛を根本的な解消へ導くことが大切です。 リゾトミーは何科で受けられる? 多くはペインクリニック専門医という痛みの緩和を行う医師が治療を担当します。また、一部の整形外科でも受け付けていることがあります。 リゾトミーだけでなく、「高周波熱凝固法」や「ラジオ波焼灼脱神経化」などさまざまな呼び名で紹介されているため、お探しの際にはご注意ください。 リゾトミーの費用は?保険は適用される? リゾトミーは健康保険が適用されず自由診療のため、費用は全額自己負担が原則です。 自由診療では病院やクリニックが価格を自由に設定できるため、医療機関により費用が異なります。 平均するとおよそ60万円〜70万円が相場ですが、詳細は各医療機関にお問い合わせください。 リゾトミーと似た治療法に、高周波熱凝固法があります。高周波熱凝固法のうち、高周波パルス法は保険適応の対象となる可能性があります。 ただし、パルス高周波で一カ月に治療できるのは一部位のみです。
2024.03.25 -
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慢性腰痛が治らない背景には、筋肉や神経、姿勢、生活習慣など複数の要因が関係している場合があります。 湿布や痛み止めの服用を続けても改善が見られないときは、痛みの根本原因を見極めましょう。加齢や姿勢の崩れだけでなく、内臓疾患が潜んでいるケースもあるため注意が必要です。 この記事では、慢性腰痛が治らない主な原因や年代別の特徴、生活習慣の見直しポイントなどを詳しく解説します。慢性腰痛に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。 慢性腰痛の術後後遺症に対しては、再生医療も治療選択肢の一つです。 慢性腰痛の術後後遺症のお悩みを今すぐ解消したい・再生医療に興味がある方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 慢性腰痛が治らないと不安な方へ最初に伝えたいこと 慢性的な腰痛が続くと、眠れない日が増えたり、仕事に集中できなかったりと、心身ともに大きな負担を感じるものです。「このまま治らなかったらどうしよう」と将来への不安を抱える方も少なくありません。 しかし、慢性腰痛の多くは深刻な疾患によるものではなく、姿勢のゆがみや筋肉の炎症、ストレスなどの要因が重なっていることがほとんどです。原因をきちんと把握して治療を行えば、痛みが軽減し日常生活を取り戻せる可能性があります。 正しい治療方針を立てれば、長く続く腰痛も改善が目指せます。まずは冷静に現状と向き合いましょう。 慢性腰痛が治らない原因は?代表的な6つの要因を紹介 慢性腰痛が治らない原因は一つではなく、筋肉や関節の炎症、神経の過敏など複数の要因が絡み合っています。ここでは代表的な6つの原因を解説します。 筋肉・関節の炎症が慢性化している 筋肉や関節の炎症が長期間続くと、慢性的な腰痛を引き起こす要因になります。 炎症が治まりきらない状態では、わずかな動きでも痛みが再発し、体をかばう姿勢がクセになりやすくなります。結果として血流の悪化や筋肉のこわばりが進み、痛みの悪循環に陥るケースも少なくありません。 湿布や一時的な鎮痛薬だけでは根本的な改善につながりにくいため、専門的な治療によって炎症そのもののコントロールが重要です。 神経が過敏になり痛みを感じやすくなっている 神経が過敏になると、わずかな刺激でも強い痛みを感じるようになります。 腰痛が長引くと神経系が痛みに敏感な状態を「記憶」し、実際には炎症が軽くなっていても痛みの信号が脳に伝わり続ける状態になるケースがあります。 ストレスや不安が痛みを強めている 慢性的なストレスや不安は、神経を過敏な状態にし、痛みの信号を強めてしまうことがあります。 精神的な負担は神経のはたらきにも影響を与えるため、痛みのコントロールが難しくなります。脳が痛みを「危険信号」として過剰に受け取り、実際よりも強く痛みを感じてしまうのが特徴です。 精神的な不調が続くと、抑うつ状態を引き起こし、痛みへの感受性がさらに高まるケースもあります。ストレス由来の腰痛を改善するには、体への治療だけでなく、心理的なケアを並行して行うことが欠かせません。 姿勢や体のゆがみが痛みにつながっている 姿勢の崩れや体のゆがみは、慢性腰痛を引き起こす大きな要因の一つです。長時間のデスクワークや立ち仕事によって姿勢がゆがむと、骨盤の位置がずれて腰周りに大きな負担がかかります。 骨格のバランスが崩れると神経が圧迫され、痛みを強く感じやすくなる場合があります。さらに筋肉の緊張や血流の悪化も進行し、腰痛が治りにくい状態に陥ることも少なくありません。 日常生活での姿勢を意識するだけでなく、ストレッチやリハビリを取り入れてゆがみを整えることが、痛みの改善につながる重要なポイントです。 内臓疾患やがんなどの病気から症状が出ている 腰痛が長引く場合、以下のような病気が痛みの裏に隠れていることがあります。 内臓疾患 がん・感染症 神経圧迫(椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症) 具体的には、消化器系では胃や十二指腸潰瘍、泌尿器系では尿路結石や腎結石、婦人科系では子宮内膜症や子宮がんなどです。(文献1) 加えて、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの神経圧迫も慢性腰痛の原因です。(文献2)長期間続く腰痛は軽視せず、医療機関での原因の特定が改善への近道となります。 別の病気・症状を治療してから後遺症が残っている 慢性腰痛が長引く背景には、過去の病気や症状の後遺症が深く関わることがあります。腰椎や関節の手術後、筋力低下や可動制限が残り、腰に負担がかかりやすくなります。 また、ぎっくり腰や骨折、スポーツや交通事故による怪我の後も、体のゆがみや姿勢の崩れから慢性的な痛みを生みやすいです。後遺症は痛みの出方や日常生活の動き方にも影響し、放置すると慢性化が進む可能性があります。 【年代別】慢性腰痛が治らない方によくある原因 年代ごとに慢性腰痛が治らない原因は異なり、生活習慣や体の変化が影響します。ここでは以下の世代別に代表的な要因を解説します。 20代~30代|運動不足や反り腰 30代~40代|加齢や長時間のデスクワーク 50代以降|骨の変形や筋力低下 20代~30代|運動不足や反り腰 20代~30代で慢性腰痛が治らない背景には、運動不足や反り腰といった若年層特有の要因があります。デスクワークやスマホの長時間使用で腰周囲の筋肉が十分に使われず、骨盤や腰椎に過度な負荷がかかりやすいです。 とくに反り腰は腰椎の前弯を強調し、軽い動作でも腰にストレスがかかるため、痛みが慢性化しやすくなります。このように、若年層であっても筋肉のアンバランスや姿勢の崩れによって慢性的な腰痛が生じるリスクはあります。 30代~40代|加齢や長時間のデスクワーク 30代~40代で慢性腰痛が治らない理由には、加齢に伴う体幹筋力の低下と、長時間のデスクワークや運転といった生活習慣が深く関係しています。 腹筋や背筋といった体幹のインナーマッスルが弱まることで、体重を支える腰椎や関節への負担が大幅に増加し、以前であれば感じなかったような少しの動作でも痛みを感じやすくなります。 さらに、同じ姿勢を長時間続けることで、腰周囲の筋肉が硬直し、組織の柔軟性が失われ血流が悪化することも慢性化の原因の一つです。筋力の低下と、日常的な姿勢の負荷が複合的に重なることで、腰痛が長期化しやすくなります。 50代以降|骨の変形や筋力低下 50代以降の慢性腰痛は、加齢に伴う骨の変形や、全体的な筋力低下が主な原因として挙げられます。50代以降になると、背骨のクッション材である椎間板の弾力性が大きく低下し、腰椎や周囲の関節にかかる負荷が若い頃よりも増えます。 そのため、立ち上がりや重い物の持ち上げなど軽い動作でも痛みを感じやすいです。さらに、背筋や腹筋といった体幹を支える深部の筋肉が衰えることで、腰を安定させる力が弱まり、猫背や反り腰などの姿勢の崩れや腰への負担増加が慢性化につながります。 女性に多い慢性腰痛の原因とその対処法 女性の慢性腰痛は、月経や更年期に伴うホルモンバランスの変化、冷え、骨盤のゆがみが複合的に関わって起こります。 ホルモンバランスの変化は、関節や靭帯の柔軟性、痛みの感じ方にまで影響を与えます。とくに、腰回りの冷えは血行を滞らせ、筋肉に疲労物質が溜まりやすくなるため、腰痛の慢性化を招きやすいです。 また、体型維持を目的とした極端な食事制限などの無理なダイエットは、筋肉量を低下させ、腰を支える力が弱まることで腰痛を悪化させます。 日常的な骨盤のゆがみに対処するには、ストレッチやインナーマッスルを鍛える運動を取り入れ、根本的な改善を目指すのが重要です。 慢性腰痛が治らないときに見直すべき生活習慣とは? 慢性腰痛が治らない場合、日常の生活習慣が症状を悪化させることがあります。以下の見直すべき代表的な生活習慣を紹介します。 長時間の座りっぱなし 睡眠不足 運動不足 長時間の座りっぱなし 長時間の座りっぱなしは、慢性腰痛を悪化させる要因の一つです。座っている姿勢は立っているときよりも腰椎に高い圧力がかかるため、とくにデスクワークや長距離運転などで同じ姿勢を続けると、腰回りの筋肉が常に緊張して硬直していきます。 筋肉の硬直は血流を極端に悪化させ、疲労物質の排出を妨げる結果を招きます。また、座りすぎは骨盤のゆがみを誘発し、体全体のバランスを崩す原因にもなるでしょう。 睡眠不足(痛みの回復の阻害) 睡眠不足は、体の組織が痛みを回復させるプロセスを阻害し、慢性腰痛の治りを遅らせる原因の一つです。就寝中は、日中に負担のかかった筋肉や靭帯が修復される大切な時間ですが、睡眠が不足すると組織の回復に必要な成長ホルモンの分泌が低下します。 さらに、慢性的な寝不足は脳を過敏にするため、少しの刺激でも強い痛みとして認識しやすくなります。 運動不足(筋力低下) 慢性腰痛が治らない原因として、体幹を支える筋力の低下を招く運動不足も挙げられます。 とくに、腰椎を支える腹筋群や背筋群といったインナーマッスルが衰えると、姿勢を維持する力が弱まり、腰椎や椎間板に過度な負担が集中しやすくなります。 筋力不足の状態は、骨盤のゆがみの原因にもなるでしょう。激しい運動は不要ですが、ウォーキングや軽度なストレッチ、体幹トレーニングなどを習慣化し、腰を支える土台となる筋力を維持・強化していくことが重要です。 慢性腰痛が治らないときは医療機関の選び方も大切 慢性的な腰の痛みが改善しない場合、原因に応じて適切な診療科を選ぶことが早期改善の鍵となります。 以下に症状の状況と、最初に検討すべき診療科の目安をまとめました。 状況 検討すべき診療科 役割 初期診療 整形外科 骨、関節、筋肉、神経の構造的な問題を総合的に診断する初期窓口 整形外科で改善しない ペインクリニック 神経ブロック注射や薬物療法など痛みの緩和治療に特化 強いストレスや不安が伴う 心療内科 痛みに伴う不安や不眠、心因性の影響を診断・治療 手術後の後遺症や根本的な組織修復を目指す 再生医療クリニック PRP療法や幹細胞治療など組織修復アプローチを検討 とくに慢性腰痛の場合、単なる骨や筋肉の問題だけでなく、心理的な要因が関わっていることもあります。そのため、整形外科だけでなく、ペインクリニックや心療内科など、症状に応じた専門的な治療が必要になる場合があります。 また、慢性腰痛の術後後遺症に対しては、再生医療も治療選択肢の一つです。 以下の記事では、腰椎ヘルニアの術後後遺症に対する再生医療の症例を紹介しています。ぜひ参考までにご覧ください。 慢性腰痛の術後後遺症のお悩みを今すぐ解消したい・再生医療に興味がある方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 慢性腰痛が治らないときにやってはいけないNG行動 慢性腰痛が治らないとき、自己流の誤った対処法は症状を悪化させるリスクが高まります。とくに以下の行動は避ける必要があります。 自己流で強いマッサージ・ストレッチを行う 痛みを無視して無理に動く 痛み止めに頼りすぎる 強いマッサージやストレッチは、炎症を起こしている組織をさらに傷つけ、かえって痛みを強めてしまいます。また、痛みを薬で一時的に抑えて無理に活動を続けると、症状を悪化させるリスクがあるため無理は禁物です。 痛みが長期化している場合は、自己判断を避け、必ず専門医に相談して適切な診断を受けましょう。 慢性腰痛が治らない場合は適切な医療機関で治療を受けましょう 長引く慢性腰痛を治すためには、自己判断を避け、適切な医療機関で根本原因に対する治療を受けることが重要です。 この記事で解説したように、腰痛には加齢や生活習慣、心理的要因、そして後遺症などさまざまな原因が潜んでいます。とくに、これまでの治療で改善が見られない方や、手術後の後遺症が疑われる場合は、従来の治療法にとらわれない選択肢の検討も必要です。 慢性腰痛の術後後遺症に対しては、再生医療も治療選択肢の一つです。 当院リペアセルクリニックでは再生医療を活用し、長引く腰痛や術後後遺症に向き合う治療を行っています。専門スタッフが症状を丁寧にヒアリングした上で、適切な治療プランを提案します。 腰痛に対する再生医療の治療例については、以下の症例記事をご覧ください。 慢性腰痛の術後後遺症のお悩みを今すぐ解消したい・再生医療に興味がある方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談まで、お気軽にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) がん疼痛の分類・機序・症候群 |日本緩和医療学会 (文献2) 「治療と職業生活の両立等 の支援手法の開発」 のための事業 |厚生労働省
2024.03.22 -
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慢性腰痛とは、一般的に「12週間以上持続する腰痛」のことです。多くの場合、治療が効かずに慢性化してしまっており、痛みを一気に解決する方法はなかなか見つかりません。 しかし、腰痛によってあまり動けない状態が続くと、体幹や全身の機能が低下していきます。日常生活や仕事への影響が拡大する前に、何とか治したいと考える方は多いでしょう。 腰痛の治療は保存的療法が基本ですが、手術が有効なケースもあります。 この記事では、手術が有効な可能性がある腰痛の種類と、主な手術方法について解説します。また、手術以外の選択肢として再生医療についても紹介しますので、長引く腰痛に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。 慢性腰痛の治し方として手術が有効かは症状による 慢性腰痛の治療には、手術以外にもさまざまな保存的治療があります。(文献1) 治療項目 詳細 運動療法 ・全身を鍛えることで腰が安定する ・腰の負担が軽くなる 薬物療法 内服薬や神経ブロック注射で痛みを軽減する 物理療法 マッサージや鍼治療、温熱療法、経皮的電気刺激(TENS)などで痛みの軽減を図る 腰痛教室 ・腰痛のメカニズムを知る ・動作上の注意点や腰痛体操といった予防策を学ぶ 認知行動療法・心理面のケア ・痛いから何もできない、といった思い込みを解消する ・ストレス対策、カウンセリングなど 症状によっては、運動療法と心理面のケアを組み合わせれば、手術と同等の効果があるともいわれます。(文献2)手術はあくまで選択肢の一つであることを知っておきましょう。 手術が有効な治療法となる慢性腰痛の原因・症状 手術が有効となりえるのは、神経が圧迫されて腰痛が生じている場合です。(文献2)病名としては以下が挙げられます。 椎間板ヘルニア 腰椎すべり症 腰椎分離症 変形性脊椎症 など こうした病気でも、最初は保存的治療により様子を見ます。しかし、痛みやしびれ、排泄障害などによって日常生活への支障が大きい場合は手術を検討します。 一方で、神経を圧迫する明らかな狭窄やすべり症を伴わない慢性腰痛の場合は、慎重な判断が必要です。少なくとも脊椎固定術については、効果は限定的とされており、積極的には行いません。(文献2) 慢性腰痛における手術での治療方法を紹介 ここでは慢性腰痛の治療で検討される代表的な手術方法を紹介します。 リゾトミー(高周波熱凝固法) 脊椎固定術 全内視鏡下脊椎手術 再生医療 手術以外の選択肢として再生医療についても解説するので、ぜひ参考にしてください。 リゾトミー(高周波熱凝固法) リゾトミーは神経ブロックの一種で、高周波の熱を使って痛みの原因となる神経を焼き切る治療法です。神経を完全に殺すわけではなく、数か月ほどで再生します。 局所麻酔薬による神経ブロックが効くけれど、長持ちせず困っている方に良い適応となります。とくに神経根の圧迫による痛みに対して効果があるとされています。 リゾトミーを行う手順は以下のとおりです。 手術台にうつ伏せになっていただき、対象となる腰椎の横突起関節(おうとっきかんせつ)の皮膚を洗浄・滅菌する 局所麻酔薬を注射し、皮膚とその下の組織の痛覚を抑える X線で確認しながら、腰椎へ特殊な針を挿入し、腰痛の原因と考えられる神経に針先を向ける 針に小さな電流を流して、筋肉のひきつれや痛みの誘発をテストし、正しい神経に届いていることを確認する 針を通して高周波エネルギーを送り、神経を加熱して焼き切る 針を抜き、挿入部位を包帯で覆う これでリゾトミー治療は終了です。しばらく経過観察した後、その日のうちに帰宅できます。 脊椎固定術 脊椎固定術とは、不安定になったり変形したりしている脊椎を固定する手術です。脊椎をボルトで固定し安定を図る方法(脊椎固定術)と、狭くなった背骨の間にスペーサーを挟んで整える方法(LIF:椎体間固定術)があります。 両者を併用する場合も多く、総称して脊椎固定術と呼ぶこともあります。 神経を圧迫している明らかな狭窄がある場合や、腰椎すべり症により背骨がずれている場合は、脊椎固定術の良い適応です。腰痛の原因が椎間板障害だとわかっている場合は、脊椎固定術で痛みが軽減する可能性があります。(文献3) 脊椎をボルトで固定する手術は、一般的に背中側から行います。狭くなった脊椎にスペーサーを挟む手術は、おなか側から手術する方法(ALIF)、背中側から手術する方法(PLIF・TLIF)、内視鏡を使って脇腹を経由する方法(LLIF)に大きく分けられます。(文献4) どの方法で手術する場合も、入院して全身麻酔で行うのが一般的です。 全内視鏡下脊椎手術 内視鏡だけで完結する脊椎の手術が、全内視鏡下脊椎手術です。腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症といった一部の慢性腰痛症に適用となります。飛び出している椎間板を切除する手術や、スペーサーを挟んで椎間を広げる手術などが、内視鏡だけで可能です。 内視鏡手術の利点として、傷が小さく痛みも少ない、筋肉や内臓を触ることによる合併症が起きにくい、といった体への負担の少なさが挙げられます。治療内容や病院の対応状況によっては、局所麻酔で手術可能な場合もあります。また、入院期間も短く済むのが一般的です。 なお、過去の手術により癒着が起きている恐れがある場合や、脊椎周辺の靱帯が全体的に硬くなっている場合など、内視鏡では対応できないケースもあります。ただし、たとえば背中からの手術歴がある方に、脇腹経由で再手術できるケースもありますので、主治医とよく相談してみてください。 再生医療 再生医療は手術ではありませんが、保存的治療とも異なります。さまざまな細胞に分化できる幹細胞の性質を活かした、体への負担がの少ない治療法です。入院の必要はなく、日帰りの処置と注射で治療が完結します。 再生医療は、慢性腰痛の手術をどうしても避けたい方や、事情があって手術を受けられない方でも行える可能性があります。また、手術を受けたけれど症状が変わらない方や、再発・悪化した方も検討可能です。 当院「リペアセルクリニック」での再生医療「幹細胞治療」の流れは以下のとおりです。 患者様の腹部から、米粒2~3粒程度の脂肪組織を採取する 脂肪組織から幹細胞を抽出し、約1カ月間培養する 増やした幹細胞を、点滴または脊髄腔内に直接注射して投与する 脊髄腔内への投与は注射により、傷ついた神経の近くに直接幹細胞を届けられます。 慢性腰痛の手術治療における費用目安・治るまでの期間 慢性腰痛の手術治療の費用感(自己負担額)と、およその入院期間をまとめました。症状や治療内容によって異なるため、あくまで目安とお考えください。 手術の種類 費用目安(検査や入院費用も含む) 入院期間 リゾトミー(高周波熱凝固法) ・保険診療:数千円 ・自由診療:約30~60万円 日帰り可能 脊椎固定術 約60〜85万円 7日~2週間 全内視鏡下脊椎手術 約25〜40万円 5日~7日 リゾトミーを保険で行うには条件があるため、自由診療で治療を行う医療機関もあります。 脊椎固定術では一般的に、術後3カ月ほどコルセットの着用が必要です。 どの手術においても、完全な痛みの軽減を実感するまでには個人差があり、数週間から数カ月かかることがあります。治療後は、手術を受けた医療機関へ定期的に通院し、必要なフォローアップを受けたり、リハビリテーションに取り組んだりしましょう。 慢性腰痛に対する各手術のリスク 慢性腰痛の手術にはリスクも伴います。先に紹介した手術の主なリスクについてまとめました。 手術の種類 主なリスク リゾトミー(高周波熱凝固法) ・感染 ・軽度の熱傷 ・迷走神経反射(血圧低下などの自律神経反応) 脊椎固定術 ・一時的な筋力低下や感覚障害(手術中に筋肉に触った場合) ・腎臓、尿管、大腸などの損傷や、動静脈損傷 ・下肢麻痺、下肢知覚鈍麻、排尿排便障害 ・硬膜の損傷、脳脊髄液の漏出 ・髄膜炎 全内視鏡下脊椎手術 ・一時的な筋力低下や感覚障害(手術中に筋肉に触った場合) ・下肢麻痺、下肢知覚鈍麻、排尿排便障害 ・硬膜の損傷、脳脊髄液の漏出 ・髄膜炎 リゾトミーは、重い合併症の発現率が0.92%と低く、安全性が高い手術とされています。(文献2) 脊椎固定術と全内視鏡下脊椎手術は、どちらも手術操作に伴う合併症のリスクがあります。長時間にわたり同じ姿勢で手術を受けるため、下になっていた皮膚の損傷や、皮膚の神経麻痺が起きる可能性もゼロではありません。 まとめ|慢性腰痛の治療で手術が有効か気になる場合は専門医へ相談 慢性腰痛の原因が、椎間板ヘルニアや腰椎すべり症などによる神経への圧迫の場合、手術が有効なケースがあります。しかし、手術には多額の費用がかかるほか、さまざまな合併症のリスクも伴います。 慢性腰痛の治療方法は手術だけではありません。運動療法や薬物療法、心理療法といった保存的治療や、再生医療も選択肢となります。慢性腰痛に悩んでいれば、医療機関へ相談しましょう。どの治療が適しているか、医師としっかり相談して治療していくのが大切です。 また、手術をどうしても避けたい方や、手術の結果が思わしくない方は、再生医療が力になれるかもしれません。慢性腰痛の再生医療に興味のある方は、当院へお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 参考文献 (文献1) 村田淳ほか.「慢性腰痛の疼痛管理─リハビリテーションの視点で」『日本腰痛会誌』10(1), pp.23-26, 2004年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/yotsu/10/1/10_1_23/_pdf(最終アクセス:2025年4月19日) (文献2) 真興交易(株)医書出版部「慢性疼痛診療ガイドライン」2021年 https://www.jhsnet.net/pdf/totsu_guideline_jp.pdf(最終アクセス:2025年4月19日) (文献3) 一般社団法人 日本腰痛学会「腰痛に関する手術治療」日本腰痛学会ホームページ https://www.jslsd.jp/medical/surgical-treatment/(最終アクセス:2025年4月19日) (文献4) 上田茂雄ほか.「側方経路椎体間固定術のメカニズム─手術適応と合併症の回避」『脊髄外科』32(2), pp.143-150, 2018年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/spinalsurg/32/2/32_143/_pdf(最終アクセス:2025年4月19日)
2024.03.19 -
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この記事を読んでいる方は「椎間板ヘルニアのPLDD手術で失敗したらどうなるのだろう」と不安になっているのではないでしょうか。 椎間板ヘルニアのPLDD手術は、メスを使わないため出血が少なく、全身麻酔の必要もないため、患者さんの負担の少なさが特徴です。しかし、適応できるヘルニアは限られ、自分の状態に合うかをよく見極める必要があります。 本記事では、椎間板ヘルニアのPLDD手術について、失敗と言われる例や失敗を防ぐポイント、失敗した際の対処法などを詳しく解説します。記事を最後まで読めばPLDD手術の注意点がわかり、より失敗の少ない施術を検討できるでしょう。 【効果なし?】ヘルニアのPLDDが失敗だったと言われる3つの例 椎間板ヘルニアは、背骨の間にある椎間板が飛び出して神経を圧迫し、痛みやしびれを引き起こす病気です。その治療法として、経皮的レーザー椎間板減圧術(PLDD:Percutaneous Laser Disc Decompression)が注目を集めています。 しかし、PLDDはすべての患者さんにとって最適な治療法とは限りません。 「ヘルニアのPLDDが失敗だった」と言われる主な例は以下の3つです。 十分な効果が得られずに痛みが続く 合併症や後遺症が起こる ヘルニアが再発する 本章の内容をもとに、PLDDが失敗だったと言われる例を確認しておきましょう。 なお、PLDD手術の詳細は、以下の記事で詳しく説明しています。 十分な効果が得られずに痛みが続く もともと効果が期待できない人が手術を受けた場合、術後も痛みが続いて「PLDDに失敗した」と思う可能性があります。 PLDDは、局所麻酔で1ミリmm程の穴から針を挿入し、レーザーを椎間板中心部に照射します。髄核を一部蒸発させて内圧を下げることで、神経を圧迫していたヘルニアが引き戻され、腰痛やしびれが改善する手術です。 適するヘルニアの大きさや症状には限りがあり、残念ながら他の手術法の方が良い方におこなわれて「効果がなかった」となるケースもあります。 PLDDが適するヘルニアの種類については、記事の後半で説明します。 合併症や後遺症が起こる PLDDはリスクが少ないと言われていますが、以下のような合併症が起こるケースもあります。 手術後の感染 レーザーの影響による骨壊死 レーザーの誤照射や針による損傷 どんな手術にもリスクは存在します。メリットだけでなくデメリット・リスクなども事前によく確認するようにしましょう。 ヘルニアが再発する 手術後に痛みが改善しても、その後ヘルニアが再発して「PLDDは失敗だった」と思うケースも考えられます。 PLDDの治療成功率は約70%で比較的高い傾向ですが、約5%の確率で再発するといわれています。(文献1) ただしPLDD以外の手術であっても、手術後の再発リスクはゼロではないことが多いでしょう。 手術を受ける前に再発リスクについて確認し、PLDDを受けるべきか検討することが大切です。 当院「リペアセルクリニック」では、椎間板ヘルニアのPLDDにおける後遺症の治療に再生医療(幹細胞治療)をおこなっています。従来の点滴による投与方法のほかに、より神経の再生にアプローチしやすい「脊髄腔内ダイレクト注射」も選択可能です。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」から気軽にお問い合わせください。 ヘルニアのPLDD手術で失敗しないためのポイント3選 リスクが少ないといえども、PLDD法が失敗する可能性はあります。治療を後悔しないために大切な内容は、以下のとおりです。 自分のヘルニアにPLDD手術が適しているかチェックする 費用や期待できる効果を事前に確認する 手術後の注意点を守る 本章の内容をもとに、PLDDの失敗を防ぐための知識を身に着けておきましょう。 自分のヘルニアにPLDD手術が適しているかチェックする 椎間板ヘルニアには、PLDDが適するものと適さないものがあります。 ここからの内容をもとに、自分のヘルニアが、PLDDに適しているかどうかを確認しましょう。 症状が似ている「脊柱管狭窄症」とヘルニアの見分け方については、以下の記事をごらんください。 PLDDが適している可能性が高いケース 椎間板ヘルニアに対してPLDDが適する可能性が高いケースは、以下のとおりです。(文献2) 内容 詳細 神経根の圧迫による症状である 以下の典型的な症状がある: 下肢への放散痛(坐骨神経痛) 腕への放散痛など 画像診断でヘルニアが確認され、症状と一致する 椎間板の突出が神経根を圧迫しているのが明確である とくに椎間板が全体的に膨らんだような形になっているヘルニア(膨隆型:ぼうりゅうがた)は良い適応 保存的治療(薬物療法、物理療法など)で十分な改善が見られない 数週間から数カ月の保存的治療後に効果が不十分な場合、PLDDを検討することがある 医師の説明を良く聞き、相談した上で手術を受けるか検討するようにしましょう。 腰椎椎間板ヘルニアについては、以下の記事で詳しく解説しています。 PLDDが適していない可能性が高いケース PLDDが適さない可能性が高いケースは、以下のとおりです。 内容 理由・解説 椎間板の破裂や大きな脱出がある PLDDは椎間板の小さな突出に対して効果的だが、大きな脱出や破裂には適さないため 重度の椎間板狭窄や脊椎管狭窄がある PLDDによる改善が難しく、他の手術的治療が必要な可能性があるため 椎間板感染症や腫瘍がある PLDDの適応外であるため 椎間板以外の原因による症状がある 椎間板ヘルニア以外の原因で症状が出ている場合は、PLDDが適さないため 例) 筋肉の緊張 関節の問題など PLDDの適応は状態や症状によって異なるため、専門医による詳細な診断と評価が欠かせません。他の治療方法との比較検討も含めて、専門医と十分に相談しましょう。 PLDD以外の手術法については、以下の記事で詳しく説明しています。 費用や期待できる効果を事前に確認する PLDD手術を受ける前は、以下の4点を確認しておきましょう。 費用 期待できる効果 副作用 治療後の経過観察やリハビリの必要性 痛みがつらいときは、「早く痛みを取り除きたい」という一心で手術を決断しがちです。しかし、手術後のトラブルや失敗を減らすには、費用や副作用、術後のケアなども事前に確認すべきです。 気になる点は必ず質問し、疑問を残さないようにしましょう。 PLDDの費用については、以下の記事で解説しています。 手術後の注意点を守る PLDDは、身体に与える負担が小さい治療です。しかし、治療後には以下のような注意点を守る必要があります。 術後は安静にし、医師の指示に従って徐々に活動を再開する 痛みやしびれが再発した場合は、早めに医師に相談する 定期的な通院やリハビリなどのフォローアップを受け、症状の変化に注意する 手術後の不十分なケアによる再発防止にも、注意点は大切な役割を果たします。 PLDDの有効性や手術後の痛みについては、以下の記事も参考にしてみてください。 ヘルニアのPLDDで失敗したら再生医療を検討しよう PLDDは、ヘルニアによる短期的な痛みの軽減に有効であると考えられます。しかし、変性した椎間板そのものの修復はできません。 PLDDの他に、椎間板ヘルニアに対する治療選択肢としては、再生医療があります。 再生医療の一つである「幹細胞治療」は、身体から採取した幹細胞を培養して投与する治療法です。椎間板ヘルニアによる神経損傷や変性した椎間板に対する治療として実施されています。 また、PLDDと再生医療を組み合わせることで、椎間板ヘルニアの痛みの軽減と椎間板の修復・再生の両方を目指すアプローチとなる可能性があります。。 ただし、再生医療は治療費が高額になる可能性があるため、費用と効果のバランスを考慮する必要があります。 まとめ|ヘルニアのPLDDで失敗しないためのポイントを知っておこう PLDDは、椎間板ヘルニアの治療に有効な選択肢ですが、すべての患者さんに適するわけではありません。 治療を受ける前には、自分の状態がPLDDに適するかを理解し、医師と十分に相談することが重要です。また、治療後の適切なケアとフォローアップも欠かせません。 患者さんご自身が積極的に情報を収集し、自分に適した治療法を選択することが、後悔しないための鍵となるでしょう。 当院「リペアセルクリニック」では、ヘルニアにおけるPLDDの失敗や後遺症に関して再生医療(幹細胞治療)を提供しています。 もし術後の後遺症にお困りであれば、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」にご相談ください。 PLDDのヘルニア手術の失敗が気になる人によくある質問 PLDDを失敗しない名医を探す方法はありますか? どんな手術にもリスクはあります。 そのため、「絶対失敗しない名医」ではなく、「自分が信頼できる医師」を探す方が現実的ではないでしょうか。 医療機関を探す際は、以下のポイントを確認しましょう。 病院や医師の実績 納得できる説明がされたか なお、PLDDは自由診療のため、金額をはじめとする詳細は医療機関によって異なります。他の手術方法も念頭に置き、自分に合う治療法・医師を探してみてください。 PLDDが失敗する確率はどのくらいですか? 文献によってばらつきがありますが、PLDDが有効な症例に対して行った場合の成功率は75~89%というデータがあるため、失敗する確率は11~25%程度とわかります。(文献3) しかし、効果がなく、失敗する確率が高いヘルニアの人にPLDDがおこなわれる可能性を考えると、正確な失敗率は何とも言えません。 自分の症例にどの程度の確率でPLDDの効果が期待できるかは、医師へ確認してみるのが良いでしょう。 当院「リペアセルクリニック」では、PLDD手術の失敗例や後遺症に対して再生医療(幹細胞治療)をおこなっています。相談は無料で受け付けておりますので、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」まで気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) 石井克典ほか,椎間板ヘルニア髄核組織の光学特性の算出と経皮的レーザー椎間板減圧術の最適波長に関する一考察.2010;31(2):152-157 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jslsm/31/2/31_2_152/_pdf(最終アクセス:2025年2月25日) (文献2) 中溝 寛之ほかレーザーによる経皮的椎間板減圧術 (PLDD法) の経験.中四整会誌.1997;10 (2): 229-233. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcsoa1989/10/2/10_2_229/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年2月17日) (文献3) Hellinger J. ,Technical aspects of percutaneous laser disc decompression (PLDD),Lasers in Surgery and Medicine, 1999.Dec;16(6):325-31. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10204439/(最終アクセス:2025年2月17日)
2024.03.15 -
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腰椎椎間板ヘルニアによる慢性的な痛みやしびれに悩む方の中には「手術は避けたいが、痛みを改善したい」と思う方も多いでしょう。 放置すると症状が悪化し、歩行困難や日常生活への影響が深刻になることもあるので、適切な治療を選んで早めに対処することが重要です。とくにPLDD(経皮的レーザー椎間板減圧術)は、低侵襲で回復が早い治療法として注目されています。 手術よりも身体的負担が少なく、日帰りも可能ですが、効果や後遺症のリスクも気になるでしょう。 この記事では、PLDDのメリット・デメリット、後遺症の可能性、費用感について詳しく解説します。治療方法の参考にしてください。 メリット・デメリットを理解するための PLDD治療に関する基礎知識 PLDD(Percutaneous Laser Disc Decompression経皮的レーザー椎間板減圧術)は、レーザーを使用して椎間板内の圧力を低下させ、神経への圧迫を軽減する治療方法です。 具体的には、皮膚とその下の筋肉に局所麻酔を施した後、非常に細い針(0.4㎜)を背中から椎間板に挿入します。その針の中にレーザーファイバーを通し、レーザーを照射して椎間板内の髄核の一部を蒸発させます。この過程により、椎間板が縮小するため圧力が下がり神経への圧迫が軽減する手術です。 PLDDは主に頚椎や腰椎のヘルニア治療に用いられ、従来の手術に比べて侵襲性(体への負担)が低いのが特徴です。 PLDD治療のメリット PLDD治療のメリットは4つあります。 直接神経に触れない治療のため安心して受けやすい 切開をほとんど伴わず手術後に日帰りできる 局所麻酔で手術可能なので身体への負担が少ない 再生医療とPLDD治療を併用しやすい それぞれ詳しく解説します。 直接神経に触れない治療のため安心して受けやすい PLDD治療は、直接神経に触れることなく施術を行えるのがメリットです。レーザーファイバーを椎間板内に直接挿入し、神経から十分に距離をとった状態で処置を行うため、手術中の神経損傷を起こしにくく安全性が高いとされています。 従来の外科手術に比べて出血も少なく、身体への負担が軽減できるため、高齢者や体力に不安がある方でも安心して受けやすい治療法です。また、局所麻酔で行うため、全身麻酔ほどのリスクがありません。 ただし、すべてのヘルニアに適応できるわけではなく、効果にも個人差があるため、事前の画像診断や診察による適応判断が重要です。 切開をほとんど伴わず手術後に日帰りできる PLDD治療は、直径0.4㎜程度のレーザーファイバーを挿入するだけであり、切開をほとんど伴わない治療法です。施術時間は30〜60分程度と短く、多くの場合は手術当日に退院できます。 皮膚を大きく切開しないので感染症のリスクが低く、術後の回復もスムーズです。術後の痛みも少なく、歩行や軽い日常動作はすぐにできます。入院が不要なため、以降の仕事や家庭への影響はほとんどありません。 保存療法でなかなか改善しない方、高齢で大がかりな手術が難しい方などにおすすめの治療方法です。 局所麻酔で手術可能なので身体への負担が少ない PLDD治療は、局所麻酔で手術が可能なため、身体への負担が少ない治療法です。全身麻酔のリスクを避けられるため、手術中の負担を軽減できます。高齢者や全身麻酔が困難な方でも、安心して治療を受けることが可能です。 局所麻酔による手術は、術後の回復が早く、長時間の入院も不要です。とくに持病を抱えている方や体力に不安がある方に適しています。全身麻酔が不要なため、術後の体調管理も容易です。痛みが比較的少なく、社会復帰もスムーズに進められます。 身体への負担を抑えながら、効果的な治療を受けたい方におすすめです。 再生医療とPLDD治療は併用しやすい PLDD治療は、レーザーで椎間板の圧力を下げて神経の圧迫を和らげやすい低侵襲の治療法です。再生医療と組み合わせることで、さらに治療効果を高められます。 PLDD後に幹細胞を注入すると、神経の修復が促進され、炎症の軽減や組織の再生が期待できます。PLDDは皮膚を小さく穿刺するだけで負担が少ないため、再生医療との相性が良好です。 細胞の修復能力を活用することで術後の回復が早まり、痛みの再発リスクも抑えられます。ヘルニアの再発を防ぎたい場合、PLDDと再生医療の併用が有効です。 PLDD治療のデメリット(リスク) PLDD治療のデメリットは以下の5つがあります。 効果が即効性に乏しい 治療にかかる費用が全額負担になる ヘルニアの状態・種類によって治療を適用できない場合がある 手術後に後遺症が出ることがある ヘルニアが再発するリスクがある それぞれ解説します。 効果が即効性に乏しい PLDDは即効性に乏しい点がデメリットです。手術後すぐに症状が改善するわけではなく、1週間程度経過してから徐々に効果が現れます。完全に改善するまでには2〜3カ月ほどかかることが一般的です。ヘルニアの状態によっては、痛みの軽減が十分でない場合も考えられます。 レーザーによる椎間板の減圧が少しずつ進むため、即効性を求める方には向いていません。日常生活への影響を抑えながら治療を受けられる反面、効果を実感するまでに時間が必要です。そのため、改善までの期間を考慮した治療計画を立てることが大切です。 治療にかかる費用が全額負担になる PLDDの治療費は自己負担となり、保険が適用されません。病院によって費用は異なりますが、30〜50万円程度が相場です。自由診療のため、高額療養費制度は利用できません。 治療を検討する際は、費用と想定される効果を考慮し、納得した上で選ぶことが大切です。クレジットカード払いや医療ローンを利用できる場合もあるため、支払い方法について事前に確認すると安心でしょう。 また、PLDD治療費は他の医療費と合わせて年間10万円を超える場合、医療費控除の対象となり還付金を受け取れる可能性があります。ただし、医療費控除を受けるには確定申告が必要なので注意してください。 ヘルニアの状態・種類によって治療を適用できない場合がある PLDDは、すべての椎間板ヘルニアに適用できるわけではありません。ヘルニアの状態や種類によっては、治療を行えないか効果が限定される場合があります。 たとえば、椎間板の変性が進んでいると、PLDDのレーザー照射による減圧が十分に機能しない可能性が高いです。 また、大きく突出したヘルニアや、神経を強く圧迫しているケースでは、手術が必要になる場合もあります。骨の変形を伴うヘルニアや脊柱管狭窄症がある場合も、適応外となる可能性があります。 このようなケースがあるため、事前に画像診断を受けることが大切です。適用範囲に制限がある点を理解した上で治療を検討しましょう。 手術後に後遺症が出ることがある PLDD(経皮的レーザー椎間板減圧術)は低侵襲な治療法ですが、手術後に後遺症が出ることがあります。主な後遺症は以下の通りです。 症例 概要 神経障害 神経の損傷や圧迫によるしびれや感覚異常が生じることがあります。 炎症の持続 手術後の炎症が長引き、痛みが続くケースもあります。 症状の再発 PLDDは根治治療ではなく、時間の経過とともに症状が再発することがあります。 椎間板の損傷 レーザーによる熱ダメージで椎間板が脆くなり、損傷が広がる可能性があります。 感染症 低侵襲手術とはいえ、感染リスクが少なからずあります。 PLDDは侵襲性が低いものの、少なからず後遺症のリスクがあります。 これらの後遺症に対し、再生医療が適用できます。再生医療の幹細胞治療により、損傷した組織の回復を促すことが可能です。症状に応じた適切な治療を受けることで、改善が見込めます。 ヘルニアが再発するリスクがある PLDDの有効率は、文献によって異なりますが、約70%と報告されています(文献1)。一方、一般的に行われる椎間板切除術では、術後5年で再発率が1.5〜8.5%です(文献2)。単純な比較はできませんが、PLDDはこれらより治療成績が劣ると考えられます。 PLDDは、椎間板の内圧を下げることでヘルニアの圧迫を改善する治療法です。しかし、ヘルニアが後縦靭帯を突き破っている場合、すでに椎間板内圧が低下しているため、レーザーで髄核を焼いてもヘルニアが縮小しません。そのため、PLDDの適応は保存療法が効かず、後縦靭帯を破っていないヘルニアに限られます。 頸椎・腰椎ヘルニア・狭窄症の治療や後遺症には再生医療をご検討ください 頸椎・腰椎のヘルニア・脊柱管狭窄症は、十分な改善が得られず手術後も後遺症が出ることがあります。 当院リペアセルクリニックでは、幹細胞を脊髄の損傷部位へ直接投与する再生医療を提供中です。この治療法は、国内ではほとんど届出されていない先進的な治療方法で、損傷部位の神経修復を目的としています。 脊髄の神経が損傷し、慢性的なしびれや痛みが続く方におすすめです。リハビリと組み合わせることで、症状の改善や生活の質の向上も期待できます。 従来の治療で十分な改善が見られなかった方、治療後に後遺症が出てお悩みの方はぜひ当院の再生医療をご検討ください。 PLDD治療のデメリットが気になる方は再生医療もご検討ください PLDDは、低侵襲で回復期間が短いため日帰りで手術を受けられるのがメリットの治療法です。 検討する際は適応やリスクを十分に理解し、他の治療法と比較することが重要です。再生医療と組み合わせることを選択肢の一つとして検討するのも良いでしょう。 また、症状によっては再生医療のみでも高い治療効果が出ています。 当院では、脊髄損傷や椎間板の変性に対する再生医療として、自己脂肪由来幹細胞治療や脊髄腔内ダイレクト注射療法により直接投与する方法を提供しております。 椎間板ヘルニアや術後の後遺症にお悩みの方は、一度リペアセルクリニックまでご相談ください。 参考文献 (文献1) 佐藤 正人ほか.「レーザー照射が椎間板細胞に与える影響ーPLDDへの警鐘ー」『日本レーザー医学会誌』 31(2),pp.146-151, 2010. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jslsm/31/2/31_2_146/_pdf/-char/ja (最終アクセス:2025年3月20日) (文献2) 日本整形外科学会「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021 改訂第3版」2021年 https://minds.jcqhc.or.jp/common/wp-content/plugins/pdfjs-viewer-shortcode/pdfjs/web/viewer.php?file=https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00645.pdf&dButton=false&pButton=false&oButton=false&sButton=true#zoom=auto&pagemode=none&_wpnonce=3b871a512b (最終アクセス:2025年3月20日)
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