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【医師監修】変形性膝関節症の最新治療「再生医療」について解説|従来の治療法との違いを紹介

変形性膝関節症 最新治療
公開日: 2022.03.03 更新日: 2025.11.30

膝の痛みから変形性膝関節症と診断された方の中には、

「注射やリハビリを続けているけれど、なかなか良くならない」

「できれば手術は避けたい」

と考えている方も多いのではないでしょうか。

変形性膝関節症は、症状が進行して中期以降になると痛みが強くなり、末期には膝が変形するほどの症状となります。

痛みを我慢して生活を続けると、歩く機会が減って運動不足になり筋力が低下します。結果として肥満が進み、内臓の働きが悪くなってさまざまな病気を引き起こす原因にもなりがちです。

そのためにも膝の痛みや違和感は我慢せず、早めに医療機関を受診してください。

こうした中、近年では最新治療として「再生医療」が注目を集めています。

今回は、膝の痛み・変形性膝関節症について、新たに注目されている「最新の治療法」と、従来の治療法についてご紹介します。

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【前提知識】変形性膝関節症とは

変形性膝関節症とは、米国整形外科学会では「関節軟骨だけでなく、軟骨下骨組織や靱帯、関節包、滑膜、関節周囲筋を含めた関節全体に影響を及ぼすもので、臨床的には関節痛、圧痛、可動域制限、軋轢音や関節水症、全身症状を伴わない局所の炎症を呈する疾患」と定義されています。(文献1

つまり、軟骨がすり減ることで膝の動きが悪くなり、痛みや腫れを生じる病気です。

発症リスクの原因として、肥満(過体重)や女性、高齢者、膝関節を怪我したことがある、膝関節に負荷をかける活動や職業に就いていることがあげられています。

最初は、歩き始めに脚の付け根に痛みを感じるものの、一時的に症状の改善が見られるのが特徴です。しかし、何度か症状を繰り返すうちに、徐々に悪化していきます。末期になると、膝頭が外を向きO脚に変形し、正座や膝をまっすぐに伸ばせなくなります。

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変形性膝関節症の最新治療「再生医療」

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保存療法や手術に代わる、新しい選択肢としておすすめしたいのが「再生医療」です。

膝の痛みの原因のひとつ、膝軟骨のすり減りに対しては、軟骨を再生させることはこれまで不可能と言われてきました。それが先端医療の再生医療では、患者さんの幹細胞を培養して軟骨を再生できるようになりました。

この「再生医療」によって、運動が可能になるほど症状の緩和に期待ができます。

再生医療は大掛かりな手術を必要とせず、ご自身の細胞を利用することで患部の再生を促す医療です。保存療法よりも早期の治療効果が期待できます。確実性が高く、従来の手術法よりも体への負担が少ない治療法として注目されています。

変形性膝関節症に行われる再生医療として、「PRP療法(自己多血小板血漿注入療法)」と「幹細胞治療」があります。

PRP療法とは、患者さんの血液を採取し、血液中に含まれる血小板の多い血漿だけを抽出し、膝へ注射する治療法です。多血小板血漿には、組織や細胞の成長を促す成長因子が多く含まれています。

また、幹細胞治療は、衰えた膝の関節軟骨を再生させて痛みを抑える再生医療です。幹細胞は、軟骨や皮膚、骨などに分化(複雑なものに発展していくこと)する機能があります。体から採取した幹細胞を培養(増やす)して膝の関節内へ注射することで、傷んだ軟骨の再生を期待でき、これまでになかった新しい治療法です。

再生医療の中でもおすすめは、自分の幹細胞を培養して用いる幹細胞治療です。幹細胞治療では、さまざまな組織に分化(変化)する働きをもつ幹細胞を、何千〜何百万倍にも培養し、膝に注射します。この幹細胞が集中的にすり減った軟骨に働きかけることで、これまで不可能とされてきた「軟骨を再生」させます。

培養するための時間は必要ですが、手術や入院することなく、日常生活に復帰できる点が評価されています。

なお、再生医療は新しい医療分野だけに、医師であっても知見に乏しいことがあります。ご相談の際は、一般の病院ではなく、再生医療を専門とするクリニックや専門医に相談されることをおすすめします。

当院でも、再生医療による変形性膝関節症の治療をおこなっています。是非一度お問い合わせください。

手術しなくても治療できる時代です。

膝の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。

変形性膝関節症における従来の治療法

変形性膝関節症の従来の治療では、症状が軽いうちは、生活習慣の改善と内服薬での治療がメインとなります。もう少し進行するとリハビリも取り入れた治療となり、症状が重い末期では手術を行うこともあります。

生活習慣の改善

症状が軽い段階では、日常生活における膝の負担軽減を目的として、生活習慣の改善を行います。具体的には、普段の立ち方・歩き方・階段の上り下りなどの動作を見直す、肥満であれば減量によって膝への負担を軽くするのが効果的です。

膝への負担を減らす目的での体重管理は大切ですが、自己流で行うのは難しく、かえって膝を痛めてしまうこともあります。医療機関で医師や理学療法士の指導を受けながら取り組みましょう。

運動療法(リハビリテーション)

運動によって脚に筋力をつけ、膝周辺の筋肉を強化し、膝関節を保護します。

一方で、運動をすると膝の痛みが強くなるのでは?と不安になる患者さんもいらっしゃいます。しかし、適切・適度な運動を行うことで膝周囲の筋肉強化が可能になります。筋肉が強化されると、膝関節の負担を軽減することができるため積極的に取り組みましょう。

ただし、自己流は逆に膝を痛めることもあります。病院のリハビリ等、専門家の指導を受けて無理のない範囲で行いましょう。

運動療法とあわせて、膝への負担を軽くするための治療法も行われます。

装具療法

歩行や立ち上がりの際の膝への負担を軽減するため、膝サポーターや足底(インソール)への装具着用を行います。

物理療法

膝周辺を温めて血行を促したり、炎症が酷く腫れている場合は冷やすなどします。

薬物療法

痛みのある患者さんには、内服薬や外用薬を使った痛み止め治療を行います。

ガイドラインで推奨されている薬剤は次の通りです。(文献1

  • アセトアミノフェン
  • NSAIDs外用薬
  • 非選択的NSAIDs内服薬
  • COX-2選択的阻害薬
  • ヒアルロン酸関節内注射

外科手術

症状が進行した場合、外科的治療が必要になることがあります。膝の症状が進行し、変形性膝関節症で辛い思いをしている患者さんは少なくありません。とくに、投薬や注射でも改善しない痛みが続く末期の患者さんは日常生活に支障をきたしています。そのような場合、次のような方法が選択肢となります。

  • 関節鏡視下手術:内視鏡を使った手術
  • 高位脛骨(けいこつ)骨切り術:骨を切って矯正する手術
  • 人工膝関節置換術

人工膝関節置換術とは

変形性膝関節症の人工膝関節置換術では、特殊な金属とポリエチレンから作られる人工関節を設置して、膝関節の動きをサポートできます。

術後は、それまでの膝関節の痛みがなくなる、もしくは大きく和らぎ、膝の痛みが軽くなることで、日常生活の不便が減り、運動もできるようになることが多くあります。

一方で、手術には注意点やリスクを伴います。

例えば、人工関節が外れたり、異物を入れたことによる細菌感染が起きる可能性は否定できません。また、時間の経過に伴い人工関節が緩む恐れもあり、注意が必要です。

変形性膝関節症で最新治療を受ける場合は、次の点に気を付けましょう。

  • 信頼できる病院を選ぶ
  • 術後も定期的に受診し、適切な検査を受ける

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変形性膝関節症の最新治療で健常な私生活を実現しよう

軽度な変形性膝関節症は、外科手術を必要としなくても進行を抑えることが可能ですが、進行すると外科的手術が必要になる場合があります。しかし、末期の変形性膝関節症でも「最新治療」によって運動が可能になるほど症状を緩和できます。

最新治療を検討する場合、変形性膝関節症の治療実績の高い病院やクリニックを選ぶこと、術後のトラブルを防ぐために、定期的に受診し検査を受けることが重要です。

変形性膝関節症は、早期治療が何よりも大切です。膝に痛みや違和感を覚えたら、自己判断せずに医療機関の受診を推奨します。

変形性膝関節症で悩まれている方に向けて、注目されている最新の治療法である再生医療を説明しました。

再生医療について、さらに詳しく知りたい方は、メール相談オンラインカウンセリングも承っておりますのでご利用ください。

この記事がご参考になれば幸いです。

変形性膝関節症の最新治療に関するよくある質問

変形性膝関節症の最新治療である再生医療は保険適用になりますか?

現時点では、変形性膝関節症に対する再生医療は原則として保険適用外です。

ヒアルロン酸注射や手術(人工膝関節置換術など)は保険の対象ですが、再生医療は自由診療として行われています。

費用は治療内容によって異なりますが、数十万円から百万円前後となるケースもあります。

ただし、再生医療の一部は国の認可を受けた医療機関でのみ提供されており、安全性や効果については「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」のもとで管理されています。(文献2

検討される場合は、認可を受けたクリニックや再生医療専門医に相談することをおすすめします。

変形性膝関節症は手術しないで放置するとどうなりますか?

変形性膝関節症を放置すると、軟骨のすり減りが進行し、痛みや関節の変形が強くなる可能性があります。

初期のうちは「動き始めだけ痛い」「階段の上り下りがつらい」といった症状ですが、進行すると安静時でも痛む・膝が曲がらない・歩行が難しいなど、日常生活に大きな支障をきたすでしょう。

さらに放置すると、関節が変形してO脚が進行したり、転倒リスクが高まることもあります。

内側型変形性膝関節症患者を対象とした報告では、手術を受けなかった変形性膝関節症患者では、経過とともに生活活動レベルが低下し、予後が悪化する傾向があると報告されています。(文献1

症状を悪化させないためには、早期の受診と適切な保存療法(運動・体重管理・装具など)を行うことが大切です。

参考文献

(文献1)

変形性膝関節症診療ガイドライン2023|南江堂

(文献2)

再生医療等の安全性の確保等に関する法律|e-GOV 法令検索