-
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「痛風と診断されたけど、納豆が好きで食べるのをやめられない」「納豆は体に良いと聞くけど、痛風の人には危険なのかな?」 痛風と診断され、納豆が好きでも食べるのを控えている方が多いのではないでしょうか。納豆にはプリン体が含まれているため、尿酸値を上げてしまうのではと不安に思う気持ちもありますよね。しかし、納豆の適切な食べ方を理解すれば、痛風の方も納豆の健康効果を活かせます。 本記事では、納豆の栄養価や痛風への影響、適切な食べ方などについて、医療の観点からわかりやすく解説していきます。痛風患者様が納豆を安心して取り入れられるよう、食事療法の手助けとなれば幸いです。 痛風の症状や食事管理でお悩みの場合には、当院のメール相談やオンラインカウンセリングをご活用ください。 また、痛風対策に効果的な食事をさらに知りたい方は、以下の記事をご覧いただければ幸いです。 納豆は痛風でも「食べすぎなければ問題ない」 納豆は適量であれば、プリン体の摂取量としては問題ありません。なぜなら、納豆に含まれるプリン体の量は、他の肉類や魚介類と比べると比較的少ないことがわかっているからです。 納豆1パック(40g)あたりのプリン体含有量は約45mgで、高プリン食品の基準である200mg(例:レバー類、ビールなど)を大きく下回ります。 つまり、適量の納豆であれば、プリン体の摂取量としては問題ない範囲といえるでしょう。 ほかにプリン体を多く含む食品としては、レバーや肝臓、魚卵、干しシイタケ、ビールなどが知られています。一方、比較的プリン体が少ない食品は卵、乳製品、果物、野菜などです。 プリン体は、体内で代謝されて尿酸になります。尿酸は、通常であれば腎臓でろ過されて尿中に排泄されますが、尿酸の生成量が多すぎたり、排泄が滞ったりすると、血中の尿酸値が上昇してしまいます。 血中尿酸値が高い状態が長く続くと、尿酸の結晶が関節などに沈着し、痛風発作を引き起こすリスクが高まるのです。(文献2、3) だからといって、プリン体を含む食品を完全に避ける必要はありません。大切なのは、適量を心がけることです。 日本痛風・核酸代謝学会のガイドラインでは、痛風患者様のプリン体摂取量の目安を1日あたり400mg以下としています。 納豆なら、1パック(40〜50g)に含まれるプリン体量は約25〜32mg程度で、この目安の範囲内に十分収まるでしょう。(文献4) ただし、納豆にもプリン体が含まれている以上、摂取量には注意が必要<です。 とくに痛風発作を頻発する方や重症の高尿酸血症の方は、医師や管理栄養士の指導のもと、納豆の摂取量を調整することが大切です。 痛風患者の納豆の適正摂取量は1日1パック 痛風で納豆を食べるときは1日1パックを目安にしましょう。納豆は比較的プリン体が少ない食品ですが、適切な摂取量を守ることが大切です。 痛風で納豆を摂取するときのポイントは以下のとおりです。 注意点 説明 1日の摂取量は1パック(40~50g)程度に抑える 前述の通り、納豆のプリン体含有量は比較的少ないとはいえ、摂り過ぎは禁物です。1日1パック程度を目安に、適量を心がけましょう。 他の高プリン食品との組み合わせに注意する レバーや魚卵など、プリン体を多く含む食品と納豆を同時に食べると、プリン体の摂取量が増えてしまいます。バランスを考えて、組み合わせを工夫しましょう。 アルコールと一緒に摂取するのは避ける アルコールは、尿酸の排泄を妨げる作用があります。とくにビールは、プリン体も多く含むため、納豆と一緒に摂取するのは避けましょう。(文献5) 体調や尿酸値の変化に気を配り、適宜摂取量を調整する 定期的に尿酸値を測定し、自分の体の変化を観察することが大切です。もし尿酸値が上昇傾向にあるようなら、納豆の摂取量を一時的に減らすなどの対応が必要かもしれません。 また、納豆の粘り気を活かした料理を工夫することで、野菜などの食物繊維も一緒に摂取できます。さらに野菜はビタミンやミネラルを含むアルカリ性の食品で、尿酸の排泄も助けてくれます。(文献6) たとえば、納豆サラダ、納豆巻き、冷奴などがおすすめです。 痛風の食事療法では、プリン体の摂取制限とともに、バランスの取れた栄養摂取が重要です。主食、主菜、副菜をバランスよく組み合わせ、食物繊維や低脂肪のたんぱく質を積極的に取り入れましょう。また、十分な水分補給も忘れずに。(文献5) 納豆は、適量を守れば、痛風患者様にも有益な食品の一つといえるでしょう。ただし、症状や体質には個人差がありますので、かかりつけ医や管理栄養士に相談しながら、自分に合った食べ方を見つけていくことが大切です。 豆類は血清尿酸値を下げる効果がある 「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版」によると、納豆のような豆類を含む食事を続けたところ、血清尿酸値が低下したという報告があります。(文献4) ただし、豆の種類や加工方法によってプリン体の量には差があります。 「公益財団法人 痛風・尿酸財団」が公開している、豆類ごとプリン体含有量(100gあたり)は以下のとおりです。(文献1) 食品名 プリン体含有量(100gあたり) 納豆 113.9 乾燥大豆 172.5 乾燥小豆 77.6 ピーナッツ 49.1 そら豆 35.5 豆腐(冷や奴) 31.1 豆腐(湯豆腐) 29.1 豆乳 22.0 味噌(赤味噌) 63.5 味噌(白味噌) 48.8 醤油 45.2 枝豆 47.9 おから 48.6 上記のプリン体含有量も参考にし、1日あたりの適正摂取量(400㎎)を超えないよう他の食品と組み合わせながら摂りましょう。 痛風患者向けの納豆の食べ方 痛風患者に推奨される食事法の基本は、プリン体の摂取制限と、バランスの取れた食生活です。適量の納豆は、以下のような重要な役割を果たします。 役割 説明 タンパク質源 良質な植物性タンパク質を提供する 食物繊維の供給源 腸内環境を整え、尿酸の排泄を促す 大豆イソフラボンの供給 抗酸化作用と炎症抑制効果が期待できる このように、納豆は健康的なタンパク源となるだけでなく、食物繊維やイソフラボンの供給源としても優れています。さらに、上手に他の食品と組み合わせることで、痛風患者でも満足度の高い食生活を実現できるでしょう。(文献7) 納豆に限らず、さまざまな食品を上手に組み合わせてバランスを取ることが、痛風対策の食事で大切なポイントです。本章では積極的に組み合わせたい食品や実際のレシピ、メニューをご紹介します。 納豆と他の食品との組み合わせ 納豆と組み合わせると良い食品には、以下のようなものがあります。 食品 効果 野菜 尿酸排泄を促進するビタミンCが豊富 低脂肪乳製品 カルシウムが尿酸の排泄を助ける 果物 クエン酸が尿のpHを上げ、尿酸の溶解度を高める 全粒穀物 食物繊維が豊富で腸内環境を整える これらの食品を積極的に取り入れることで、痛風対策として効果的な食事法を実践できる可能性があります。 痛風の人におすすめの納豆レシピ 納豆は、そのままでも十分においしく食べられますが、他の食材と組み合わせることで、さらに多彩な味わいを楽しめます。 痛風の人でも安心して食べられる、納豆を使ったレシピの一例を表にまとめました。ぜひ普段の食事の参考にしてください。 レシピ 特徴 プリン体含有量の目安 納豆とアボカドのサラダ アボカドに含まれる不飽和脂肪酸は、心血管系の健康に良いとされています。納豆と組み合わせることで、タンパク質と食物繊維、良質な脂肪がバランスよく摂れます 納豆1パック分 (約45mg) 納豆と野菜のスープ 納豆を溶き卵でとじて、野菜スープに加えるレシピ。体を温める効果があり、タンパク質と食物繊維を手軽に摂取できます 納豆1/2パック分(約20~25mg) 納豆とトマトのパスタ トマトに含まれるリコピンは、強力な抗酸化作用を持つカロテノイドの一種です。納豆に含まれるイソフラボンも抗酸化作用を持つため、両者を組み合わせることで、相乗的に活性酸素を除去し、細胞の酸化ストレスを軽減することが期待できます。また、トマトはビタミンCやカリウムも豊富に含むため、免疫機能の向上や血圧の調整にも役立つでしょう 納豆1パック分 (約45mg) 納豆と野菜のチャーハン 納豆に含まれるビタミンB群は、炭水化物や脂質のエネルギー代謝を助ける働きがあります。ビタミンEは抗酸化作用を持ち、細胞の老化を防ぐ効果が期待できます 納豆1パック分 (約45mg) 納豆とキムチのビビンバ風 納豆とキムチはともに発酵食品であり、善玉菌が豊富に含まれています。これらの菌は、腸内環境を整え、免疫機能を高める効果が期待できます。また、キムチに含まれるカプサイシンには、代謝を上げる効果があるとされ、ダイエットにも役立つ可能性があります 納豆1パック分 (約45mg) 納豆とオクラの和え物 オクラのねばねば成分は、納豆の粘り気と相性抜群。食物繊維やビタミンも豊富に含まれています 納豆1パック分 (約45mg) 納豆とトマトのブルスケッタ トマトに含まれるリコピンと納豆のイソフラボンの組み合わせは、強力な抗酸化作用が期待できます。また、トマトに含まれるビタミンCは、コラーゲンの生成を助け、肌の健康維持に役立ちます 納豆1パック分 (約45mg) 納豆と豆腐のハンバーグ 大豆製品同士の組み合わせで、良質なタンパク質が摂れるヘルシーなハンバーグ。野菜を添えれば、バランスの取れた一皿になります 納豆1パック分 (約45mg) これらはあくまで一例ですが、納豆の持つ栄養価を活かしつつ、プリン体に気を付けた組み合わせを工夫することで、痛風患者様でも納豆を楽しめるはずです。 まとめ|納豆は痛風でも1日1パックならOK!他の食品も組み合わせて食べよう 痛風患者にとって、納豆は適量を守れば食べられる健康的な食品の一つです。 ただし、納豆にもプリン体が含まれていることを意識し、適切な量を心がけて低プリン体の食事を習慣化する必要があります。痛風と診断されたからといって、好きな食べ物をすべて諦める必要はありません。納豆の栄養価を理解し、適切な食べ方を実践することで、痛風の症状改善と予防につなげていきましょう。 日々の食事は、尿酸値コントロールの鍵を握っています。納豆を味方につけながら、バランスの取れた食生活を目指していきましょう。ご不明な点がありましたら、かかりつけ医や管理栄養士にご相談ください。 また、当院でも痛風患者様に対してのメール相談やオンラインカウンセリングを行っています。ぜひお気軽にお問い合わせください。 痛風の食事管理を行うなかで、コーヒーを飲んで良いか気になったことはありませんか?痛風患者のコーヒーの摂取目安について、以下の記事で解説しています。 参考文献一覧 文献1 帝京大学薬学部物理化学講座 臨床分析学研究室 金子希代子名誉教授提供,食品中プリン体含量(mg/100g) 文献2 千葉県栄養士会,痛風の予防と食事 文献3 MSD マニュアルプロフェッショナル版,痛風 文献4 一般社団法人日本痛風・尿酸核酸学会,高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版 文献5 e-ヘルスネット,アルコールと高尿酸血症・痛風 文献6 順天堂大学医学部附属順天堂医院栄養部,高尿酸血症・痛風の食事療法
2024.10.16 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
肺がんは、日本で多く診断されるがんのひとつで、2021年の罹患数は約124,500人に上ります。 死亡数については、2023年には約75,762人と報告されており、がんによる死因の中で男女を合わせて最も多い疾患のひとつです。(文献1) 本記事では、肺がんの基礎知識から治療法までを解説した上で、手術後に起こりやすい合併症や後遺症について紹介します。 さらに、それらに対する治療や対処法、再生医療の可能性についても触れています。 手術前後の不安を抱えている方や、術後の生活に関心のある方にとって参考となる内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。 なお、肺がん手術後の後遺症に対しては、再生医療も治療選択肢の一つです。 肺がん手術後の後遺症のお悩みを今すぐ解消したい・再生医療に興味がある方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 肺がん手術後の後遺症と対処法 本章では、肺がんの手術後に後遺症として残ってしまう可能性のある症状や状態について、その対処法も含めて紹介します。 呼吸のしにくさ、息苦しさ 肺がん手術後は、肺を切除したことにより肺活量が低下し、うまく呼吸できなくなったり、労作時の息切れ、息苦しさが残る可能性があります。 <対処法> 呼吸リハビリテーションを行って改善を促すなどの方法があります。 理学療法士の指導のもと、呼吸筋を鍛えるリハビリを行います。 声のかすれ、飲み込みにくさ 肺がん手術で、反回神経と呼ばれる声帯を動かす神経が影響を受けた場合に生じる可能性のある症状です。 反回神経の障害によって声帯が動かしにくくなり、声のかすれや飲み込みにくさが生じます。 まれに数カ月以上たっても症状が改善しない場合があります。 <対処法> 声のかすれが重度の場合や飲み込みにくさが強い場合には、麻痺した声帯を移動させる等、手術による治療法があります。 術後の咳や痰が続く 肺がん手術後は、肺を切除した影響や気道が刺激を受けることで、咳や痰が長く続くことがあります。 とくに痰がうまく排出できないと、肺炎などのリスクを高めるため注意が必要です。 <対処法> 咳や痰が強い場合には、吸入薬や去痰薬を用いることで症状を和らげられます。 また、水分をしっかりと摂ることも効果的です。 さらに、呼吸リハビリを取り入れることで、痰を効率よく排出する方法を学ぶことができます。 胸や背中の痛み・しびれが長引く 手術で肋骨や神経に負担がかかることで、術後に胸や背中の痛み、あるいはしびれが長期間残ることがあります。 これは「術後慢性痛」と呼ばれ、数カ月から数年にわたって続く場合もあります。 <対処法> 鎮痛薬で痛みを和らげるほか、神経ブロック注射が選択される場合もあります。 痛みによって体を動かさなくなるとさらに回復が遅れるため、無理のない範囲で体を動かし続けることが推奨されます。 体力低下・疲れやすさ 肺を切除した影響で酸素を取り込む力が弱まり、以前より疲れやすくなることがあります。 また、手術や抗がん剤治療によって筋力が落ち、体力の回復が遅れるケースも少なくありません。 <対処法> ウォーキングなど軽い有酸素運動を取り入れたり、理学療法士の指導を受けて筋力トレーニングを行うことが効果的です。 さらに、栄養バランスのとれた食事を心がけることで体力の回復をサポートできます。 肺がん手術後の合併症とその対処法 肺がん手術後の合併症は、手術の方法や、患者様自身の体質などによっても異なります。 ここでは、一般的に想定される主な術後合併症とその対処法について挙げていきます。 肺胞瘻(はいほうろう|肺から空気が漏れる状態) 肺を切除したところから空気が漏れる合併症です。 肺がんの手術の中では約5%と比較的頻度が高い合併症です。 通常であれば手術により肺の一部が取り除かれるため、呼吸機能が低下することがあります。 <対処法> 多くの場合自然に改善しますが、まれに治らないケースがあります。 その場合には薬剤を用いて空気の漏れを止める胸膜癒着術や、再手術が必要になることがあります。 気管支断端瘻(きかんしだんたんろう|気管支の縫合部分から空気が漏れる) 一般的な肺がんの手術では、肺と気管支の一部も切除します。 その気管支を切ったところから空気が漏れてしまう合併症です。 <対処法> 起こりうる可能性は極めてまれですが、起こってしまった場合には重篤になるため、緊急手術によって閉鎖したりする必要があります。 術後肺炎(手術後に肺が炎症を起こす) 手術後に肺炎が生じ、咳、発熱、呼吸困難などがみられることがあります。 <対処法> 抗生剤を投与して治療を行います。 膿胸(のうきょう|胸に膿がたまる) 手術した側の肺の胸腔内に膿がたまる合併症です。 膿による発熱や、感染が全身にまわると敗血症をきたす恐れもあります。 <対処法> 膿が少量であれば、胸に小さな穴を開けてそこから洗浄して膿を排除します。 小さな穴からの洗浄で不十分な場合には、手術による洗浄が必要です。 いずれの場合でも抗生剤を併用して治療する必要があります。 乳び胸(にゅうびきょう|胸にリンパ液が漏れる) 手術の際に、胸管とよばれる太いリンパ管が傷つき、胸腔内にリンパ液が漏れてしまう合併症です。 <対処法> 症状が軽度であれば、脂肪分を制限した食事にすることでリンパ液の漏出を抑え、改善する可能性があります。 ただし、場合によっては再手術で漏れを塞ぐこともあります。 肺動脈血栓塞栓症(足の血栓が肺に詰まる) 手術中や手術後など、ベッドに長期間横になって下肢を動かさない状態になると、足の静脈がうっ滞して血栓が作られます。 その血栓が、立ったり歩き始めた際に肺の血管に移動して詰まることで起こる合併症で、いわゆるエコノミークラス症候群として知られています。 発生頻度は高くないものの、生じた場合には重篤で死亡する危険性もある合併症です。 <対処法> 血栓が作られるのを予防することが大切で、手術中や術後歩けるようになるまでストッキングを装着したり、下肢のマッサージを行うフットポンプを着用します。 また、血栓が生じてしまい、肺に詰まってしまうリスクが高い場合には、血液をサラサラにする抗凝固薬を投与して治療します。 反回神経麻痺(声のかすれ・飲み込みにくさにつながる神経障害) 肺の近くを走行している反回神経を手術中に傷めてしまうと、反回神経麻痺を起こす可能性があります。 この神経の障害によって、声のかすれ(嗄声)や飲み込みにくさが出る場合があります。 <対処法> 反回神経麻痺は一時的な症状であることが多く、通常数カ月程度で改善しますが、まれに回復しないケースもあります。 肺がん手術後に後遺症が残ってしまったら|再生医療について 肺がん手術後に後遺症が長く続く場合、治療の選択肢のひとつとして「再生医療」があります。 再生医療では、患者様ご自身の脂肪から採取した細胞を培養し、点滴で体内に戻す「幹細胞治療」という方法があります。 幹細胞が他の細胞へ変化する「分化能」能力を活用する治療法です。 当院「リペアセルクリニック」は再生医療を提供できる施設の1つです。 患者様自身の脂肪から幹細胞を採取・培養し、点滴する「自己脂肪由来幹細胞治療」を行っています。 自分自身の細胞を用いるため、拒絶反応やアレルギーが生じにくい方法です。 手術後の後遺症でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 肺がんの原因 肺がんの主な原因は喫煙で、発症の約7割を占めると言われています。 タバコを吸わない人に比べ、喫煙者の発症リスクは4倍以上に高まり、副流煙でも危険性は増します。 そのほか、大気汚染やアスベストの吸入、遺伝的要因なども肺がんのリスク因子です。 肺がんの症状 肺がんの初期は多くの場合無症状であり、早期に発見するのは困難です。 進行に応じて咳や痰、息切れなどがみられることがあります。 肺がんに特徴的とまではいえない症状がほとんどですが、痰に血が混じる(血痰)場合には肺がんが疑わしい可能性が高まるため、早めに医療機関を受診しましょう。 それ以外にも極端な体重低下や肩の痛み、しゃっくりなど、がんの進行によってさまざまな症状を引き起こします。 また、肺がんが転移した場所の症状が出ることがあり、脳転移による頭痛、手足の麻痺、めまい、吐き気、骨転移による痛みなどがあります。 肺がんの検査と診断 肺がんの検査は、肺がんを見つけるための検査、肺がんであることを確定する、肺がんの種類を調べる検査、治療方針を決めるために必要な検査など様々です。 肺がんを見つけるための検査 肺がんを見つけるための検査としては、画像検査が一般的です。 胸部レントゲン検査や胸部CT検査が挙げられます。 レントゲン検査は、健診や人間ドックなどでも幅広く使用されている基本的な検査です。 CTではレントゲンよりも画像で得られる情報量が豊富で、より小さな病変も見つけることが可能となります。 一方レントゲンよりも放射線被ばく量が多くなることがデメリットです。 その他、肺がんの転移を調べるのに有用なMRI検査、シンチグラフィー、PET検査などがあります。 また、血液検査の中で腫瘍マーカーと呼ばれるものがあり、この腫瘍マーカーを調べて数値が異常値を示す場合には肺がんを疑います。 ただし、このマーカーは他のがんや病気でも上昇することがあるため、この検査のみで肺がんを診断することはできません。 あくまで他の検査と合わせて総合的に判断するための材料です。 肺がんを確定する診断と治療法の検討のための検査 肺がんであることを確定させるには、がん細胞がいることを確認する必要があります。 そのためには、痰に混じったがん細胞を見つける方法(喀痰細胞診検査)や、病変を内視鏡やCTなどで確認して、組織に直接針を刺して細胞を採取して確認する方法(組織診検査)があります。 この組織を詳しく調べることで、がん細胞の存在の有無だけでなく、どういった種類の肺がんかを見分けることが可能です。 また、がんの種類によっては遺伝子検査を追加で行い、そのがんの遺伝子変異について詳しく調べることがあります。 これは、ある特定の遺伝子変異が見つかった場合、その変異に特異的に効く分子標的薬と呼ばれる治療薬を使うことで、治療効果が期待できるためです。 肺がんの治療法 肺がんの治療は大きく「手術」「化学療法」「放射線療法」の3つです。 がんの種類や進行度に応じて組み合わせて行います。 肺がんの組織型による違い 肺がんは大きく「小細胞肺がん」と「非小細胞肺がん」に分けられ、それぞれ進行のスピードや治療の方針が異なります。 小細胞肺がん(SCLC) 小細胞肺がんは進行が非常に早く、発見された際にはすでに転移してしまっているケースが多いため、化学療法や放射線療法を組み合わせて治療を行います。 非小細胞肺がん(NSCLC) 非小細胞肺がんは、小細胞肺がんに比べると進行速度は比較的ゆるやかで、早期に見つかれば手術の適応となる場合があります。 肺がんの病期と治療法について 肺がんの病期(ステージ)は、以下のように分類されます。 Ⅰ期(ⅠA、ⅠB):肺内に腫瘍が限局していて、リンパ節転移がないもの Ⅱ期(ⅡA、ⅡB):肺内に限局しているが大きい、もしくは同じ側の肺門部リンパ節に転移がみられるもの Ⅲ期(ⅢA、ⅢB、ⅢC):病変と同じ側の縦隔リンパ節にも転移がみられる、または肺外のリンパ節にも転移が生じているもの Ⅳ期(ⅣA、ⅣB):肺から離れた臓器に転移がみられるもの 非小細胞肺がんの場合、病期によって治療法が異なります。 ⅠA期では、手術のみを行います。 ⅠBからⅢB期までは手術を行い術後に化学療法を行うのが一般的です。 ⅢA、ⅢB期で手術が不可能な場合には、放射線治療と化学療法を併用した治療法を検討します。 Ⅳ期の場合では、まず遺伝子検査によって特定の遺伝子変異の有無を確認し、有効な分子標的薬があればそれによる薬物療法を検討します。 有効な遺伝子変異がない場合には、抗がん剤を用いた化学療法を選択します。 ただし、これはあくまでも基本的な方針のため、一律にこのように決まるとは限りません。 実際には患者様ごとの状態や事情なども考慮して治療を決定していきます。 肺がんの3つの手術方法 肺がんの手術方法は、切除範囲とがんの進行度や位置、患者様自身の状態などによって異なってきます。 手術方法 説明 特徴・注意点 肺葉切除術 肺がん手術の標準的な方法。右肺3葉、左肺2葉のうち、がんのある肺葉を切除。 多くの場合、近くのリンパ節も同時に切除される。 最も一般的な術式。 肋骨の間から胸部を切開し、がんを含む肺の葉を取り除く。 区域切除術・楔状切除術 肺の一部分だけを切除する方法。 区域切除術は肺葉より小さい単位の切除、楔状切除術はさらに小さな部分を切除。 早期で小型のがんが対象。 胸腔鏡を用いることで小さな切開で済み、身体への負担が軽い。 再発リスクは考慮が必要。 肺全摘術 片側の肺をすべて切除する大きな手術。 がんが一側の肺全体や中心部に広がっている場合に選択される。 心肺機能への影響が大きく、体力や呼吸機能が低下している人には適応が難しい。 まとめ|肺がん手術後の後遺症を最小限にするための治療と生活習慣 肺がんは喫煙などを主な原因とし、早期発見が難しい病気です。 手術によって命を救える一方で、呼吸のしにくさや声のかすれといった後遺症、肺炎や血栓などの合併症が生じることがあります。 こうした症状はリハビリや生活習慣の工夫によって改善が期待でき、再生医療のような新しい治療法も注目されています。 肺がん手術後の後遺症でお悩みの方は、再生医療を行っている当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。 肺がん・肺がん手術後の後遺症についてよくある質問 新型タバコ(電子・加熱式)は肺がんの原因になりますか? 新型タバコは紙巻タバコに比べて害が少ないと思われがちです。 しかし実際は、含まれるニコチンの量は紙巻タバコと同等もしくはそれ以上であることもあり、タールも7割程度と言われています。 さらに、それ以外にも約70種類の発がん物質が含まれていると言われており、新型タバコも同様に肺がんのリスクとなります。 肺がんを予防する方法はありますか? 肺がんを完全に予防できる方法は現時点でありませんが、肺がんになるリスクを減らすことはできます。 まず、肺がんの最も多い原因である喫煙をしている場合には禁煙をしてください。 また、受動喫煙によっても肺がんのリスクが上がるため、タバコの煙を避けるのも大切です。 最も重要なのは肺がんの早期発見です。 予防できることは限られますが、定期的に健康診断などで胸部のレントゲン検査など、画像検査を受けるようにしてください。 肺がんが見つかったとしても大きくなる前に早期発見できれば、完治の可能性が高まります。 手術後の息苦しさはいつまで続きますか? 肺がんの手術後は、肺を切除したことによる肺活量の低下や胸の傷による痛みなどから、息苦しさがしばらく続くことがあります。 多くの場合は時間の経過とともに軽快していきますが、回復には個人差があります。 術後数か月から半年ほどで日常生活に支障がない程度に改善するケースが多いですが、広範囲の切除を行った場合や基礎疾患がある場合には、長期的に息切れが残ることもあります。 仕事復帰はいつ頃できますか? 手術の種類や切除範囲、患者様の体力や合併症の有無によって復帰時期は異なります。 一般的には、胸腔鏡手術などの負担が比較的少ない手術であれば、2〜3か月ほどで仕事に復帰できるケースもあります。 一方で、肺全摘術のように大きな手術を受けた場合は、体力回復に半年以上かかることも珍しくありません。 体を使う仕事や重労働に復帰するにはさらに時間がかかることが多いため、主治医と相談しながら段階的に復職を進めることが大切です。 参考文献 (文献1) 公益財団法人|日本対がん協会
2024.09.23 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
痛風の予防や再発防止には、日々の食事内容が大きく関係しています。 プリン体を多く含む食品やアルコールの摂りすぎは尿酸値を上昇させ、痛風の発作を引き起こす原因となります。 しかし、食事を少し見直すだけで、尿酸値を安定させて痛風を予防・改善することが可能です。 本記事では、痛風と食事の関係についての解説と、プリン体を減らす食習慣や無理なく続けられる食事法を紹介します。 薬に頼りすぎず、食生活から体を整えたい方は、ぜひ参考にしてください。 また、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 痛風について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 痛風と食事の深い関係|尿酸値を左右するのは毎日の食生活 痛風は、毎日の生活習慣が大きく影響する病気です。 とくに、食事は尿酸値の変動に深く関わっているため、日々の食生活を整えることが痛風の予防や改善につながります。 ここでは、日々の食事がどのように痛風の発症や悪化に関わっているのか解説します。 痛風は「尿酸」が関係する生活習慣病の一つ 痛風は、血中の尿酸が増え、関節内に結晶ができて炎症を起こす「代謝異常による関節炎」の一種で、とくに足の親指など末端部に強い痛みが生じるのが特徴です。 尿酸は、食事から摂取した「プリン体」という成分が体内で分解されてできる老廃物の一つで、本来は尿として体外に排出されます。 しかし、プリン体を多く含む食品を摂りすぎたり、水分不足で排出が追いつかなくなったりすると、尿酸が血液中にたまりやすくなります。 これは「高尿酸血症」と呼ばれる状態で、放置すると関節に尿酸結晶が沈着し、激しい痛みを伴う痛風発作を引き起こします。 乱れた食習慣は痛風を悪化させる最大の要因 痛風を悪化させる要因には、日常的な「食習慣の乱れ」が大きく関係しています。 たとえば、脂っこい食事やアルコールの摂りすぎ、水分不足、不規則な食事時間などは、尿酸の生成や排出バランスを乱します。 とくにアルコールは、体内で尿酸を増やすだけでなく、腎臓からの排出を妨げるため、痛風発作の引き金になりやすいとされています。 また、食事を抜いたり、極端なダイエットも、代謝バランスを崩し尿酸値を上昇させる要因です。 無理な制限をするよりも、日々の食事を少しずつ整えることが、痛風の予防につながります。 プリン体の摂りすぎが尿酸値を上げる理由 尿酸は、体内でプリン体が分解されることで生成されます。 プリン体自体はエネルギー代謝に欠かせない成分ですが、摂りすぎるとその分だけ尿酸が過剰に生成され、血液中の尿酸値が上昇します。 プリン体を多く含む食事を頻繁に摂ると、尿酸が増加しやすく、関節内に結晶として蓄積しやすくなり、痛風発作の原因となります。(文献1) 痛風を発症している場合は、プリン体を含む食品の摂取量を意識したバランスの良い食事を心がけましょう。 痛風の食事で避けるべき食品・飲み物 日々の食事は健康を支える基本ですが、知らないうちに痛風を悪化させる食習慣が身についている場合もあります。 痛風を悪化させないためには、尿酸をためやすい食べ物や飲み物を理解しておくことが重要です。 ここでは、痛風の悪化を防ぐために控えたい食品や飲み物の種類について詳しくみていきましょう。 プリン体を多く含む食品 プリン体は体内で尿酸に分解されるため、摂りすぎると血液中の尿酸値を上昇させます。 とくに、肉類・魚卵・レバーなどの内臓類・乾物類などに多く含まれており、過剰摂取は痛風発作の引き金になります。 以下の表は、食品100g中のプリン体含有量の一例です。 【食品100g中のプリン体含有量】(文献2) 食品名 プリン体含有量(mg/100g) 鶏レバー マイワシ(干物) タラ・ふぐ(白子) あんこう(肝酒蒸し) 健康食品(DNA/RNAなど) 約300mg~ 豚・牛レバー カツオ マイワシ マアジ・サンマ(干物) エビ 約200~300mg 肉類(豚・牛・鶏)の多くの部位 魚類 ブロッコリースプラウト ほうれんそう(芽) 約100~200mg 肉類(豚・牛・羊)の一部 魚類の一部 カリフラワー ほうれんそう(葉) 約50~100mg ※数値は一般的な成分表をもとにしたおおよその目安です。 上記の数値を目安に、プリン体の摂りすぎを防ぐよう意識しましょう。 アルコールの過剰摂取は要注意 アルコールは、体内で尿酸を増やすだけでなく、腎臓からの尿酸の排出を妨げる働きもあります。 とくにビールや日本酒はプリン体を多く含み、日常的に飲みすぎると尿酸値が上昇しやすくなります。 一方、焼酎・ウイスキーなどの蒸留酒はプリン体が少ないものの、アルコールそのものが尿酸の排出を阻害するため、過剰摂取は禁物です。 飲酒をする場合は、週に2日以上の休肝日を設けたり、水や炭酸水などで割って飲むことがポイントです。 飲み方を少し工夫するだけでも、痛風発作のリスクを抑えることができます。 外食・コンビニで避けたいメニュー例 外食やコンビニ食品は手軽で便利な反面、脂質や塩分、プリン体が多く含まれているものが多い傾向があります。 なかでも唐揚げ・ハンバーグ・ラーメン・カレーライスなどは、肉類や油を多く使用しており、尿酸値を上げやすい代表的なメニューです。 また、丼ものやセットメニューも炭水化物や動物性たんぱく質が多く、バランスを崩しやすくなります。 外食の際は、野菜や海藻の小鉢を追加する、主菜を魚や豆腐料理に置き換えるなど、少しの工夫で栄養バランスを整えられます。 コンビニ食品では、サラダ・ゆで卵・おにぎり(鮭や梅など)を選ぶなど、無理なく続けられる工夫を意識しましょう。 糖質・果糖の多い飲み物にも注意 清涼飲料水やフルーツジュース、エナジードリンクなどに含まれる「果糖」は、体内で分解される際に尿酸を生成します。 そのため、糖分の多い飲み物を頻繁に摂ると、知らず知らずのうちに尿酸値を上げてしまう可能性があります。 また、スポーツドリンクや加糖コーヒー、缶入りの紅茶飲料なども注意が必要です。 どうしても甘い飲み物が欲しいときは、果汁100%ジュースを少量に抑える、ノンカロリー飲料を選ぶなど、上手にコントロールしていきましょう。 尿酸を下げる効果が期待できる食材 痛風の改善には、尿酸値を上げにくい食材を選び、体の代謝をサポートすることが大切です。 とくに野菜や果物、乳製品には、尿酸をため込みにくくしたり、炎症をやわらげる働きを持つ成分が含まれています。 ここでは、尿酸値のコントロールに役立つ食材と、その栄養成分の特徴を紹介します。 フルーツ|バナナ・さくらんぼ・ベリー系 果物の中でも、バナナやさくらんぼ、ブルーベリーなどのベリー系はカリウムを豊富に含んでおり、体内の塩分バランスを整えて尿酸の排出を促します。 さらに、さくらんぼやベリー類に含まれるアントシアニンには抗酸化作用があり、炎症を和らげる働きが期待できます。 ただし、果物でもブドウやマンゴーなどの果糖が多いものは、尿酸を増やす可能性があるため、1日1〜2皿を目安に適量を守って摂取することが大切です。 野菜|トマト・玉ねぎ トマトや玉ねぎには、尿酸値を安定させる効果が期待できる成分が含まれています。 トマトに多いリコピンには抗酸化作用があり、炎症や血流の悪化を防ぐことで体内環境を整えます。 また、玉ねぎに含まれるケルセチンは、尿酸の生成を抑える作用を持つとされており、動物性食品と組み合わせることでよりバランスの良い食事になります。 日々の食卓では、サラダやスープ、炒め物に取り入れるなど、無理なく続けられる形で摂ることを意識しましょう。 きのこ類|しめじ・しいたけ・えのき きのこ類はプリン体が比較的少なく、安心して摂取できる食材です。 なかでも、しめじ・しいたけ・えのきなどは食物繊維が豊富で、腸内環境を整えると同時に尿酸の排出もサポートします。 また、カロリーが低いため、食べすぎによる体重増加を防ぐ効果も期待できます。 炒め物や味噌汁、鍋料理など、日常のメニューに取り入れやすいのも魅力です。 肉や魚の代わりに一部をきのこに置き換えると、プリン体を抑えつつ満足感のある食事ができます。 乳製品|低脂肪ヨーグルト・低脂肪牛乳 低脂肪のヨーグルトや牛乳には、カゼインやラクトアルブミンなどのたんぱく質が含まれており、尿酸の排出を促す働きがあるとされています。 さらに、乳製品はプリン体をほとんど含まないため、痛風の方でも安心して摂れる食品です。 カルシウムの補給にもつながり、骨や筋肉の健康維持にも役立ちます。 毎日の習慣として、朝食や間食に低脂肪ヨーグルトを取り入れるなど、無理なく続けられる方法を意識すると良いでしょう。 痛風の予防・改善に役立つ栄養素と食事のポイント 痛風の予防・改善には、プリン体を控えるだけでなく、尿酸の排出を促す栄養素を意識的に取り入れることも大切です。 また、日々の食事の組み合わせや水分摂取の工夫からでも、尿酸値の安定をサポートできます。 ここでは、尿酸値を下げる効果が期待できる栄養素と、食事で無理なく摂取するポイントについて解説します。 尿酸の排出を助ける栄養素 尿酸の排出を促すためには、体内の代謝を整える栄養素を積極的に摂ることが大切です。 なかでもカリウム・ビタミンC・マグネシウムは、痛風の予防や再発防止を支える栄養素で、次のような効果が期待できます。 以下のように表にまとめました。 栄養素 効果・特徴 カリウム ・体内の塩分バランスを整え、尿の排出を促して尿酸を体外に排出しやすくする ・野菜・果物・海藻類に豊富に含まれる ビタミンC ・尿酸値を下げる作用があるとされている ・果物やブロッコリー・ピーマンなどに多く含まれる マグネシウム ・細胞のエネルギー代謝を助け、腎臓の働きをサポートする ・ナッツ類・大豆製品・全粒穀物に多く含まれる 上記の栄養素を日常的に摂取すると、体の中で尿酸をためにくくする習慣をつくることができます。 プリン体の少ない食材を使って主菜・副菜を組み合わせる 痛風を予防するためには、食材の組み合わせ方も重要です。 たとえば、次のようなプリン体が少ない食材を中心とした主菜・副菜の組み合わせは、満足感を保ちながら尿酸の上昇を防ぐことができます。 【おすすめの食材組み合わせ例】 鶏むね肉+豆腐+野菜の炒め物 白身魚+きのこ+海藻サラダ 豚しゃぶ+冷やしトマト+お浸し また調理方法も、揚げ物よりも茹でる・蒸す・焼くなどの方法を選ぶとさらに効果的です。 こまめな水分摂取で尿酸を排出 尿酸は尿として体外に排出されるため、水分摂取が欠かせません。水分が不足すると尿量が減り、尿酸が体にたまりやすくなります。 そのため、1日あたり1.5〜2リットルを目安に、こまめな水分摂取が大切です。飲み物は、水・麦茶・炭酸水などのカフェインや糖分を含まないものがおすすめです。 起床時・食事中・入浴後など、少しずつ分けて飲むと、体に負担をかけずに尿酸の排出を促せます。 とくに痛風を繰り返している方は、「喉が渇いたと感じる前に飲む」習慣を意識しましょう。 尿酸値を安定させるための1日の理想的な食事メニュー(献立) 食材の選び方や食べるタイミングを少し意識するだけでも、尿酸値の安定や発作の予防につながります。 ここでは、尿酸値を安定させるための理想的なメニュー例を朝・昼・夜・間食のタイミング別に紹介します。 朝食 朝食は、寝ている間に低下した代謝を整え、尿酸の排出をスムーズにするために欠かせません。 おすすめは、和食スタイルで栄養バランスを整えることです。 【メニュー例】 主食 :ごはん 主菜・副菜:納豆や野菜の小鉢 汁物 :味噌汁 その他 :牛乳・ヨーグルトなど 納豆は、植物性たんぱく質が豊富でプリン体が少なく、痛風対策に適しています。 また、朝の一杯の水や牛乳で尿酸排出を促すとより効果的です。 昼食 昼食が外食やコンビニ食品が多い場合でも、選び方次第で尿酸値の上昇を抑える工夫ができます。 揚げ物や肉中心のメニューを避け、バランスの取れた定食を選びましょう。 【メニュー例】 場所 おすすめメニュー 外食 そば+野菜+豆腐 定食 焼き魚定食(冷奴付き) コンビニ おにぎり(鮭・梅)+サラダ+味噌汁 夕食 夕食は一日の疲れを癒す時間ですが、食べすぎやアルコールの飲みすぎは尿酸値を上げる原因になります。 肉や魚は控えめにし、野菜や海藻・豆腐でかさ増しするなど、食事のボリュームを抑えつつ、満足感を両立する工夫が大切です。 【メニュー例】 主菜 :豚しゃぶ(少量) 副菜 :豆腐・わかめと野菜のサラダ 汁物 :野菜たっぷりの味噌汁 飲み物:麦茶・炭酸水 間食・飲み物 間食や飲み物の選び方も、尿酸コントロールに大きく関係します。 糖分を多く含むお菓子や清涼飲料水は尿酸を上げやすいため控えましょう。 【おすすめ食品・飲み物】 無糖ヨーグルト ナッツ(無塩アーモンド・くるみなど) 果物(バナナ・さくらんぼ・ベリー類など) 飲み物:水・麦茶・炭酸水・牛乳 水分は1日1.5〜2リットルを目安に、こまめに摂るようにしましょう。 痛風の再発を防ぐために見直したい食習慣と生活リズム 痛風は一度発症すると、再発を繰り返しやすい傾向があります。 再発を繰り返さないためには、日々の生活リズムや飲酒習慣を整え、尿酸値の安定を維持することが大切です。 ここでは、痛風の再発を防ぐために見直したい食習慣と生活のポイントを紹介します。 1日3食をバランスよく摂る 食事を抜いたり、まとめて摂ると、体内の代謝バランスが崩れ、尿酸値が急上昇しやすくなります。 とくに、空腹状態が長く続いたあとに高たんぱく・高脂質の食事をとると、尿酸の生成が一気に増える可能性があります。 1日3食を規則正しく摂ることで、血糖値と尿酸値の変動を安定させることができます。 朝食・昼食・夕食をなるべく同じ時間にとり、間食を上手に活用しながらエネルギーを分散させましょう。 アルコール休肝日を週2日以上設ける 毎日のように飲酒していると、肝臓や腎臓への負担が蓄積し、痛風の再発リスクが高まります。 痛風の再発を防ぐためには、週に2日以上の休肝日を設けて肝臓を休ませることが大切です。 どうしても飲酒をする場合は、焼酎やウイスキーなどの蒸留酒を選び、水や炭酸水で割るなど、飲み方を工夫して負担を減らすようにしましょう。 食べる順番を意識する 同じ食事内容でも、食べる順番によって体への影響が変わります。 とくに、野菜やきのこ類などの食物繊維を最初に食べる「ベジファースト」は、血糖値の上昇をゆるやかにし、尿酸の過剰生成を防ぐ効果が期待できます。 ベジファーストを意識して食事する際は、野菜→たんぱく質(肉・魚・豆腐など)→ごはんやパンの順に食べるようにしましょう。 この食べ方は満腹感を得やすく、食べすぎの防止にもつながります。 塩分や脂質の摂りすぎに注意する 塩分や脂質を摂りすぎると、腎臓や肝臓に負担がかかり、尿酸を排出する力が弱まります。 加工食品や外食メニューには塩分や脂質が多く含まれているため、味付けを控えめにする工夫が重要です。 調理の際は、出汁やレモン汁・香味野菜などを活用して風味で満足感を出すとよいでしょう。 また、脂質は揚げ物ではなく、オリーブオイルや青魚などの良質な脂を少量取り入れるのがおすすめです。 痛風の新しい選択肢「再生医療」という考え方 痛風の管理には尿酸値のコントロールが重要です。 食事でのプリン体制限に加えて、再生医療による治療も選択肢の一つとなる場合があります。 再生医療では、自己の幹細胞を採取・培養して点滴にて投与します。 幹細胞が持つ、他の細胞に変化する「分化能」という能力を活用する治療法です。 以下は糖尿病に対する当院の症例です。治療前の尿酸値は8.1mg/dL、治療後は3.1mg/dLでした。 詳しい治療の経過については、以下の症例記事をご参照ください。 まとめ|食事と生活習慣の改善で痛風は予防・改善できる 痛風は、食事内容や生活リズムの見直しによって予防・改善が十分に可能な病気です。 プリン体を多く含む食品やアルコールの摂取を控え、野菜や乳製品など尿酸の排出を助ける食材を積極的に取り入れることで、再発を防ぎやすくなります。 また、1日3食をバランスよく摂ることや、十分な水分補給、適度な運動など、日常の小さな習慣も尿酸値の安定に大きく関わります。 もし食事や生活を見直しても痛みが続く場合は、医師や専門機関へ相談し、適切な治療を受けましょう。 痛風と上手に付き合っていくには、自分の体と向き合いながら、無理のない範囲で生活を整えることが大切です。 痛風の食事治療に関するよくある質問 痛風でもコーヒーやアルコールを飲んでも問題ありませんか? 痛風でも適量であれば、コーヒーの摂取は問題ありません。 一般的に推奨されるコーヒーの摂取量は1日3〜4杯(カフェイン摂取量400mg未満)が目安とされています。 ただし、痛風の重症度や体質によってはカフェインの影響を受けやすい場合もあるため、体調を見ながら調整することが大切です。 一方、アルコールは尿酸値を上昇させる要因となるため注意が必要です。 尿酸値への影響を最低限にするため、以下の摂取量を目安に、週2日以上の休肝日を設けて節度ある飲酒を心がけましょう。 日本酒1合 ビール350mL~500mL(販売元によって異なる) ウイスキー60mL ワイン148mL まで 尿酸値を下げる食品の一覧はありますか? 株式会社三和化学研究所が公開している「プリン体の摂りすぎに注意!」では、食品に含まれるプリン体の一覧表が掲載されています。(文献2) また、野菜や豆類、きのこ類、海藻類は低カロリーで、尿酸の排泄を促す食物繊維を多く含みます。 これらの食品には尿をアルカリ性に傾ける働きがあり、尿酸が尿に溶けやすくなることで、尿酸結石の予防にも役立ちます。 より具体的な食事管理については、医師や管理栄養士に相談することをおすすめします。 痛風のときに肉を食べても大丈夫ですか? 肉に含まれるたんぱく質は、体の修復に欠かせない栄養素のため、摂取量と頻度を調整すれば問題ありません。 たとえば、鶏むね肉・ささみ・豚もも肉などを選び、1食あたり80〜100g程度を目安にすると良いでしょう。 また、炒める・揚げるよりも「茹でる・蒸す」など脂質を落とす調理法を選ぶと、体への負担を減らせます。 肉だけでなく豆腐や魚、野菜などを組み合わせて栄養バランスを整えることが再発予防につながります。 参考文献 (文献1) 「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版」2018年12月|日本痛風・核酸代謝学会 (文献2) プリン体の摂りすぎに注意!|株式会社三和化学研究所
2024.09.09 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
甲状腺を半分摘出手術の予定があり「手術したら後遺症は出るのだろうか」と不安に感じている人もいるかもしれません。 実際、甲状腺を半分摘出する手術のあと、声かれやホルモンバランスの乱れ、体調不良といった症状が現れるケースがあります。 この記事では、甲状腺半分摘出で起こりうる後遺症や合併症、具体的な対処法をわかりやすく解説していきます。 本記事で適切な知識と対処法を知ることで、甲状腺の手術の不安が少しでも和らげられれば幸いです。 甲状腺手術後の後遺症に対し、お悩みの方は再生医療というもご検討ください。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 手術後の「声がれ」がなかなか元に戻らない ホルモンバランスの乱れや、原因のわからない体調不良が続いている 薬物療法やリハビリ以外の治療法を探している 「この不調と、いつまで付き合えばいいのか」 「後遺症が残ったらどうしよう」と悩まれる前に、ご自身の細胞を使った根本的な治療の選択肢として、まずは当院(リペアセルクリニック)の無料電話相談にて、お気軽にご相談ください。 甲状腺の半分摘出したときに現れる主な後遺症 甲状腺を半分摘出する手術を受けた後、声や体調に変化を感じる方がいます。 これは手術が声帯やホルモン分泌、カルシウム吸収に影響を与えるためです。 術後の起こりうる主な後遺症は以下のとおりです。 声がかすれるなどの声帯への影響 ホルモンバランスの乱れ カルシウム不足が引き起こす体調不良 手術による傷跡の痛みや違和感 ここでは、手術後に起こりやすい後遺症について、わかりやすく説明します。 声がかすれるなどの声帯への影響 甲状腺の近くには、声帯を動かすための神経(反回神経)が通っています。 手術でこの神経が傷つくと、声がかすれたり、出にくくなったりする場合があります。 これは「反回神経麻痺」と呼ばれる後遺症です。(文献1) 程度には個人差があり、一時的なものから長引くものまでさまざまです。 また、声が低くなる、話し続けると疲れるなどの症状も後遺症として挙げられます。 ホルモンバランスの乱れ 甲状腺は、体の代謝を調整するホルモンを分泌する臓器です。 半分摘出すると、ホルモンの分泌量が減少しホルモンバランスが乱れるケースがあります。 女性の場合は、月経不順や更年期障害のような症状が現れることもあるでしょう。 また、甲状腺ホルモンが不足すると、全身の倦怠感やむくみ、体重増加などが起こる可能性もあります。 カルシウム不足が引き起こす体調不良 甲状腺の裏側には、カルシウムのバランスを調整する副甲状腺があります。 手術で副甲状腺が傷つくと、カルシウム不足に陥り、手足のしびれや筋肉のけいれんが起こる場合があります。 また、長期的には骨がもろくなるなどのリスクも考えられますので、日常的にカルシウムを含む食品を意識して摂取するのも大切です。 手術による傷跡の痛みや違和感 甲状腺の手術では、首元に切開を行うため傷跡が残ります。 傷跡は時間の経過とともに薄くなっていきますが、体質によっては、赤く盛り上がったり、痛みやかゆみを感じたりするケースもあるでしょう。 また、傷跡が気になって首元を隠す服装ばかりになってしまうなど、精神的なストレスを感じる可能性もあります。 甲状腺摘出で起こりやすい合併症・後遺症 甲状腺の摘出手術は、以下のような術後に特有の合併症や後遺症が発生する可能性があります。 反回神経麻痺 甲状腺機能低下症 副甲状腺機能低下症 乳糜漏(にゅうびろう) ここでは、4つの合併症や後遺症について、手術後に起こりやすい主な症状と特徴を詳しく説明します。 反回神経麻痺 反回神経は甲状腺の裏側を通り、声帯を動かす筋肉を支配する重要な神経です。 左右に1本ずつ存在し、片側が損傷すると声帯が動きにくくなり、声がかすれる反回神経麻痺が生じます。 手術中のわずかな刺激でも麻痺を引き起こす可能性があり、多くは半年以内に改善しますが、まれに永続的に残る場合もあります。 また、左右両方の反回神経が損傷した場合、声を出せないだけでなく呼吸困難に陥り、命に関わる危険性があるため、迅速な対応が必要です。 反回神経麻痺の治療法 反回神経麻痺によるかすれ声が改善しない場合は、声帯に対する手術で症状を和らげる方法があります。 また、両側の反回神経麻痺で呼吸が困難な場合には、喉仏の下に空気の通り道を作る気管切開が必要になる場合もあります。 甲状腺機能低下症 甲状腺がんの手術では、甲状腺を摘出する必要があります。 とくに半分以上を摘出すると、甲状腺ホルモンの分泌が低下する可能性があります。 また、ホルモンが不足すると代謝バランスが乱れ、体調を崩しやすくなるのが特徴です。 この状態を甲状腺機能低下症と呼びます。 甲状腺機能低下症の治療法 治療には甲状腺ホルモン剤の内服が必要です。 この薬で不足したホルモンを補充しますが、基本的に生涯にわたって服用を続ける必要があります。 副甲状腺機能低下症 副甲状腺は甲状腺の裏にくっついており、左右2個ずつ存在する臓器です。 非常に小さな臓器ですが、副甲状腺ホルモンという物質を分泌して血液中のカルシウムやリン濃度を調節する働きがあります。 甲状腺がんの手術で甲状腺を摘出する際に副甲状腺も一緒に摘出されたり、副甲状腺を栄養する血流の低下などにより、術後に副甲状腺機能低下症を起こす可能性があります。 副甲状腺機能低下によって副甲状腺ホルモンが不足すると、血液中のカルシウム濃度が低下し、手や口のしびれやけいれんを引き起こすテタニーと呼ばれる症状が生じる可能性があります。 副甲状腺機能低下症の治療法 治療には、カルシウム製剤の内服と、カルシウム吸収を助けるビタミンDの補充が行われます。 副甲状腺をすべて摘出した場合は、生涯にわたり服用が必要です。 一方、副甲状腺が一部でも残されている場合、機能が回復し補充が不要になるケースも少なくありません。 乳糜漏(にゅうびろう) 乳糜漏(にゅうびろう)は、リンパ液が漏れ出す稀な合併症です。 手術後に首元の腫れや液体が滲み出るような症状が見られる場合に疑われます。 発症すると治療が必要となるため、早期の診断が重要です。 乳糜漏の治療法 多くの場合は安静や圧迫によりリンパ液の漏出を止められますが、まれに再手術が必要となり、漏れている箇所を閉じる処置を行うケースもあります。 甲状腺半分摘出後の後遺症を和らげるには? 甲状腺の半分を摘出した後、後遺症の発生や生活の変化に不安を感じる方は少なくありません。 しかし、適切なケアを行えば症状を和らげ、生活の質を保つことができます。 本章では、後遺症を軽減するための具体的な方法を4つ紹介します。 医師の指示に従い薬物療法やリハビリを行う 規則正しい生活を送りバランスの取れた食事を心がける ストレスを溜めないように適度な運動や休息を取る 術後後遺症に対する再生医療を検討 術後の不安解消のためにも、チェックしておきましょう。 医師の指示に従い薬物療法やリハビリを行う 手術後、甲状腺ホルモンの不足や声の変化が現れる場合があります。 これらの症状に対処するためには、医師が処方する薬を服用したり、音声リハビリなどが効果的です。 とくにホルモン補充療法は、甲状腺ホルモンのバランスを維持するために重要です。 医師の指導に従い治療を継続していけば症状が改善する可能性が高まります。 規則正しい生活を送りバランスの取れた食事を心がける ホルモンバランスを整えるためには、生活習慣の見直しが必要です。 栄養バランスの良い食事を意識し、カルシウムやビタミンDを多く含む食品を取り入れるのがおすすめです。 また、十分な睡眠を確保し、生活リズムを整えると体調の安定が期待できます。 健康的な生活習慣が後遺症の軽減に役立つでしょう。 ストレスを溜めないように適度な運動や休息を取る 術後のストレスは体調を悪化させる要因となるため、適度な運動やリラクゼーションが重要です。 たとえば、軽いウォーキングやヨガなど、無理のない範囲で体を動かしていると、ストレスの軽減が期待できます。 さらに、心の健康を保つためには、休息やリフレッシュの時間を積極的に取り入れていくのも効果的です。 術後後遺症に対する再生医療を検討 近年、術後の後遺症治療の選択肢として注目されているのが「再生医療」です。 たとえば、損傷した声帯や甲状腺組織の再生を促す治療法が研究されています。 再生医療はまだ一般的ではありませんが、興味のある方は医療機関や専門医に相談して治療法を検討してみるのも良いでしょう。 まとめ|甲状腺摘出後の後遺症と対策は理解しておこう! 甲状腺の半分を摘出すると、声の変化や体調の変化といった後遺症が起こる可能性があります。 ただし、適切な治療や生活習慣の見直しによって症状を和らげられます。 本記事で紹介した対策を活用し、不安を減らしながら術後の生活を前向きに過ごしていきましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では術後の後遺症に対して再生医療を行っております。 新しい治療法に興味がある方は、無料カウンセリングにてお気軽にご相談ください。 甲状腺を半分摘出した際の後遺症に関する質問 甲状腺摘出後に疲れやすいのはなぜですか? 甲状腺摘出後に疲れやすくなる理由は、甲状腺ホルモンの不足が関係しています。 分泌量が減るとエネルギーの生産が低下し、倦怠感や疲労感を感じやすくなるのです。 しかし、適切なホルモン補充療法を行えば、これらの症状を改善できる可能性がありますので、気になる方は早めに医師に相談してみましょう。 甲状腺手術のデメリットはありますか? 甲状腺手術には、後遺症や合併症が発生するリスクがあります。 具体的には、声がかすれる反回神経麻痺や、ホルモンバランスの乱れ、副甲状腺の機能低下などが挙げられます。 ただし、事前にリスクを把握し、術後のケアをしっかり行えば多くの症状を予防・軽減することが可能です。 また、当院「リペアセルクリニック」では術後の後遺症が気になる方へ、手術や入院の必要がない「再生医療」を提供しています。 まずはお気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 参考文献 (文献1) 小川真.甲状腺術後嗄声の頻度およびリスク因子と音声改善手術の問題点.日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌2016(33,4) https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaesjsts/33/4/33_224/_html/-char/ja
2024.09.03 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「乳がん治療後の痛みがひどい…」 「手術後、腕や脇辺りが腫れていて痛む」 乳がんの手術後は上記のような痛みを感じることがあります。 手術後長期間にわたって慢性的に続く痛みは「乳房切除後疼痛症候群(PMPS)」と呼ばれています。 また、薬物療法による副作用で痛みが残ることもあり、適切な対応を行わないと日常生活に支障をきたすことがあります。 こうした状況を避けるためには、乳がんの治療とその後遺症、特に痛みについて理解を深めることが重要です。 もし後遺症の痛み治療に行き詰まりを感じたら、再生医療も検討しましょう。 この記事を読むとわかること 乳がん手術後の後遺症の種類 乳がんのステージ分類と治療方法 術後後遺症についてよくあるQ&A 後遺症に対する再生医療の可能性 それでは、乳がん治療後の痛みの種類とその対処法について詳しく見ていきましょう。 乳がんの手術後の慢性的な痛みと後遺症 基本的に、どんな手術や治療にも合併症が起こり得ます。 もちろん、乳がんの治療も例外ではありません。 治療後、長期間にわたって後遺症に悩まされることもあるでしょう。 本章では、乳がん治療の合併症とその対処方法について詳しく見ていきます。 手術後に痛む「乳房切除後疼痛症候群(PMPS)」 乳房切除後疼痛症候群(PMPS)は、乳がんの手術後に乳房、胸部、腋窩、上腕にかけて起こる慢性的な痛みです。 PMPS は、手術で肋間上腕神経などの神経が損傷されることで起こる神経障害性疼痛に分類されます。 乳房切除後疼痛症候群(PMPS)の主な症状は、火傷をした後のようなひりつく痛みやびりびりした痛みです。 痛みとともに、何かが挟まっているような違和感を覚える方も多くいます。 下着がすこし擦れただけでも強い痛みを感じるという方もいるのです。 これらの症状は仕事や日常生活に支障をきたしたり、うつ病・適応障害などの精神障害と関与したりする可能性があります。 治療の中心は薬物療法です。一般的な痛み止めはあまり効果がありません。 神経の痛みを抑える薬・抗うつ薬・抗けいれん薬などが処方されます。 また、痛みで関節や筋肉が動かせなくなり、日常生活に影響が出ている方はリハビリも必要です。 心理的な因子や症状の精神面での影響を評価してサポートすることも考慮されます。 乳がんの転移による「骨の痛み」 乳がん治療後の痛みは、ほかにもあります。 乳がんの転移が多い場所の一つは骨です。 転移が起こった骨は、骨折をしやすくなります。 治療後も、骨折の痛みが残ってしまう可能性があります。 また、抗がん剤治療による副作用も少なくありません。 一部の抗がん剤では末梢神経障害を起こします。 手や足のびりびりした痛み・しびれが起こると、長期間持続することもあります。 手術後の合併症「リンパ浮腫」 術後の合併症で多いリンパ浮腫は通常痛みを伴いません。 しかし、急激に腫れたり感染を合併したりすると痛みが起こることがあります。 このように、がんの治療後の痛みは様々です。 まずは、痛みの原因を探り、それぞれに適した対応をしていく必要があります。 乳がんのステージ分類について 乳がんはその進行の度合いにより、0期からⅣ期までのステージに分類されます。 ステージを決定するのは、がんの大きさや広がり・リンパ節転移の有無・遠隔転移の有無といった要素です。 なお、遠隔転移とは他の臓器への転移のことで、乳がんが転移しやすいのは骨・肝臓・肺・脳などです。 以下に各ステージについて解説します。 <乳がんのステージ分類> 遠隔転移(他の臓器への転移)がない場合 → 0〜Ⅲ期のいずれか 0期 非浸潤がん(乳がんが、発生した場所にとどまっており、広がったり転移を起こしていたりしない状態) Ⅰ期 がんの大きさが2cm以下+リンパ節転移をしていない ⅡA期 がんの大きさが2cm以下+腋窩リンパ節に転移がある(リンパ節は固定されておらず動く) がんの大きさが2cm以上5cm以下+リンパ節転移がない ⅡB期 がんの大きさが2cm以上5cm以下+腋窩リンパ節に転移がある(リンパ節は固定されておらず動く) がんの大きさが5cm以上+リンパ節転移がない ⅢA期 がんの大きさが5cm以下+腋窩リンパ節に転移がある(リンパ節は固定されているか、リンパ節同士が癒着している) がんの大きさが5cm以下+腋窩リンパ節に転移がない+内胸リンパ節に転移がある がんの大きさが5cm以上+腋窩リンパ節あるいは内胸リンパ節のどちらか一方に転移がある ⅢB期 がんが胸壁に固定されている がんが皮膚に食い込んでいたり、皮膚から出ていたりする 炎症性乳がん(乳房が腫れたり赤くなったりといった炎症を伴う乳がん) ⅢC期 腋窩リンパ節と内胸リンパ節のどちらにも転移がある 鎖骨の上あるいは下のリンパ節に転移している 遠隔転移(他の臓器への転移)がある場合 →Ⅳ期 乳がんの手術・治療法について 乳がんの治療は外科的手術・放射線治療・化学療法(薬物治療)の3つを組み合わせて行います。 これから紹介するのはあくまでも標準療法です。 実際には患者様の状態や希望にあわせて臨機応変に治療が行われます。 治療を受ける際には、担当の医師としっかり話をした上で選びましょう。 本章では、先ほど紹介した乳がんのそれぞれのステージごとに、選択されることが多い治療内容を紹介していきます。 <0期からⅢA期の治療について> 0期からⅢA期の乳がんでは、治療の中心は手術です。 がんのサイズや広がり方で、乳房の切除範囲が異なります。 がんが小さければ乳房部分切除術が可能です。 最近では、早期のがんはラジオ波で焼いたり、内視鏡の手術で切除したりという方法も徐々に広まってきています。 一方、大きい場合や広がりが大きい場合は、乳房全切除術を行わなければなりません。 リンパ節への転移が疑われれば、その部位のリンパ節も切除します。 また、状況に応じて放射線療法を行なったり、手術の前や後に薬物療法を行ったりすることもあります。 患者様のご希望に応じて、乳房再建術を検討します。 <ⅢB期からⅣ期の治療について> ⅢB期からⅣ期の場合の中心は薬物療法です。 患者様の体の状態や希望・がんの性質など様々な要因を加味して治療薬を選びます。 乳がんの薬物療法で使う薬には一般的な抗がん剤のほか、ホルモン療法薬や分子標的薬と呼ばれる薬もあります。 分子標的薬とは、がん細胞に特有の遺伝子・タンパクなどをターゲットにした治療薬のことです。 治療の効果・症状の経過次第で手術や放射線療法が追加されることもあります。 <再発した場合の治療について> 再発した乳がんの場合には、その再発部位により治療法が異なります。 手術を受けた側の乳房やその周囲の皮膚、リンパ節に発生する局所領域の再発では、治癒を目指して手術でがんを切除します。 必要に応じて放射線療法や薬物療法を併用します。 手術で切除するのが難しいような局所再発や、他の臓器への遠隔再発では、薬物療法を中心に行います。 <緩和ケアについて> がんの患者様は緩和ケアを受けることができます。 緩和ケアは、がんで苦しんでいる人たちが、できるだけ穏やかに生活できるように助けるためのケアです。 緩和ケアは終末期のケアというイメージがあるかもしれません。 しかし、実はがんと診断されてからいつでも緩和ケアを受けることができます。 がんに伴うつらい症状を和らげるだけでなく、気持ちの落ち込みや不安を軽くしたり、生活での困りごとに対処したり、人生の意味についての悩みにも対応します。 患者様とその家族が抱えるいろいろな苦しみに対して、身体的、精神的、社会的な面から全体的に支援するのが緩和ケアなのです。 まとめ|乳がんの手術後の痛みは乳房切除後疼痛症候群などの可能性あり 乳がんはその進行の度合いにより、治療は手術や薬物療法など多岐にわたります。 乳房切除後疼痛症候群(PMPS)や乳がんの転移による骨の痛み、手術後の合併症リンパ浮腫など様々な原因が考えられます。 これから治療を受ける方は、ご自身の治療内容についての説明をよく聞いてどのようなことに気をつけるべきかしっかり理解しましょう。 後遺症に悩まされている方は、一人で抱え込まずに主治医に相談してください。 後遺症の痛みの治療に行き詰まったら、再生医療も一つの選択肢です。一般的に神経の障害は治らないとされています。 しかし、幹細胞治療とよばれる再生医療では、神経の修復ができるかもしれません。 当院「リペアセルクリニック」では、幹細胞治療を提供しています。実際に乳がん治療の後遺症の痛みにお困りの方の治療実績もあります。 【関連記事】 乳がん術後後遺症のしびれや胃腸障害、倦怠感が改善!50代女性 再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひお問合せください。 乳がんの手術後の後遺症に関してよくある質問【Q&A】 Q:乳がん手術後ずっと痛みが続きます。いつ良くなりますか? A:乳房切除後疼痛症候群において、症状が改善するまでは長い時間がかかる可能性があります。 例えば、国内の報告では、術後9年経過後も21%、およそ5人に1人が痛みを抱えていると言われています。 自然に良くなると思わず、早めに受診をすることをご検討ください。 Q:乳がん手術後の痛みは何科に相談したら良いの? A:麻酔科やペインクリニックなどで相談すると良いでしょう。 お近くにそういった医療機関がない、どこに行ったら良いかわからない場合は、主治医やかかりつけ医に相談することをおすすめします。 必要に応じて専門の病院・クリニックなどを紹介してもらうことができます。 Q:乳がん手術後の腕や脇の腫れが治まりません A:乳がん手術後の腕や脇の腫れ(リンパ浮腫)は、手術や放射線治療によるリンパ管の詰まりが原因で起こることがあります。 対応としてまずは、腕の傷のケアを徹底しましょう。 小さな傷でも感染のリスクがあるため、アルコール消毒と軟膏の使用がおすすめです。 リンパの流れを改善するために、リンパマッサージやアームスリーブの着用も有効です。 適度な腕の位置調整(長時間座る際は心臓より高くする)や、重い物を持たないようにすることも大切です。 少しでも腫れを引き起こしている原因を少なくする対応が重要です。 もし腫れが続いたり、腕が赤く熱を持ち、強い痛みや発熱を伴う場合は、速やかに医師に相談しましょう。 参考文献 小島圭子. Practice of Pain Management 5(3): 164-168, 2014. 国立がん研究センター プレスリリース. 早期乳がんに対するラジオ波焼灼療法による切らない治療が薬事承認・保険適用を取得先進医療制度下で実施した医師主導特定臨床研究の成果を活用. 国立がん研究センター. がん情報サービス. 乳がん 治療. 日本乳癌学会. 乳癌診療ガイドライン 2022年版. 日本乳癌学会. 患者さんのための乳癌診療ガイドライン2023年版.
2024.08.28 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
胃がんは、日本で罹患数が多いがんのひとつです。 手術によって治療を行うケースも多いですが、術後はダンピング症候群や下痢、栄養障害、胆石症、骨粗鬆症などさまざまな後遺症が起こる可能性があります。 症状に応じて食事療法や栄養補助食品の使用、手術などが行われます。 また、近年では長く続く痛みや長期的ながん予防には再生医療といった新しい選択肢もあります。 この記事では、胃がんの症状や原因、診断や治療法の他、術後の後遺症の種類や後遺症に対する対処法、また、再生医療の可能性について詳しく解説していきます。 胃がんの手術をこれから受ける予定で術後について不安がある方、また術後後遺症でお悩みの方はぜひ参考にしてください。 胃がん手術後の後遺症に対しては、再生医療も治療選択肢の一つです。 胃がん手術後の後遺症のお悩みを今すぐ解消したい・再生医療に興味がある方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 胃がん手術後の後遺症と対処法 胃がんの手術後には「胃切除後症候群」と呼ばれるさまざまな後遺症があらわれることがあります。 代表的な後遺症として、以下が挙げられます。 ダンピング症候群 貧血 消化・吸収不良(体重減少) 骨粗鬆症 胆石症・胆嚢炎 これらの後遺症は症状の内容や程度によって対応方法が異なります。 たとえば、食事の摂り方を工夫したり、薬物療法や栄養補助食品を取り入れることで改善を目指すことが可能です。 なかには時間の経過とともに軽快するものもありますが、長引く症状は放置せずに医師へ相談することが大切です。 ①ダンピング症候群 胃を切除すると食べ物を一時的にためる容量が減り、胃酸の分泌も少なくなります。 その結果、通常よりも濃い内容物が一気に腸内へ流れ込み、ダンピング症候群が起こります。 食後すぐに動悸・立ちくらみ・めまい・吐き気・発汗などが出るのを「早期ダンピング症候群」、食後2~3時間後に疲労感・失神・手の震えなどが出るのを「後期ダンピング症候群」と呼びます。 対処法 1時間以上かけてゆっくり食べる 1回の食事量を減らして1日5~6回に分けて食事する よく噛んでから飲み込む 食事中の水分摂取を減らす ②貧血 胃酸の分泌が減ることで胃からの鉄の吸収が妨げられ、胃の切除から数カ月で鉄欠乏性貧血を起こしやすくなります。 さらに数年経つと、胃の壁から分泌される内因子というビタミンB12の吸収を助ける糖たんぱく質が減り、ビタミンB12欠乏による貧血が生じることもあります。 対処法 鉄剤の内服 ビタミンB12注射補充 ③消化・吸収不良(体重減少) 胃酸や消化酵素の働きが低下し、さらに手術で迷走神経を切除すると消化管の動きも弱くなります。 その結果、栄養をうまく吸収できず体重が減少してしまいます。 対処法 一度に多く食べず、少しずつ時間をかけて食べる 医師や栄養士に相談しながら食事の調整を行う 少量で効率よく栄養が取れる補助食品を活用する ④骨粗鬆症(こつそしょうしょう) 胃を切除すると胃酸分泌の減少や腸内細菌の変化が起き、カルシウムの吸収が低下します。 その結果、骨がもろくなり骨粗鬆症のリスクが高まります。 対処法 カルシウムやビタミンD製剤の服用 骨密度を上げる薬の使用 ⑤胆石症・胆嚢炎 胃切除後は胆嚢の動きが弱まり、胆石ができやすくなります。 胃切除後の患者様の、2〜3割にみられます。 対処法 無症状の場合は経過観察 発作や胆嚢炎を起こした場合は治療が必要 根治的には胆嚢摘出術(場合によっては胃切除と同時に行うこともある) 胃がん手術後の生活と注意点|食事・仕事復帰・痛みのケア 胃がんの手術後は、後遺症だけでなく日常生活の工夫や体調管理が大切です。 食事の取り方や復職のタイミング、さらに長引く痛みやしびれへの対処について理解しておくことで、術後の生活をより快適に過ごすことができます。 ここでは、生活上のポイントを3つの観点から解説します。 食事の工夫(食べ方・避けたい食品・おすすめ食品) 手術後は胃の容量が減り、消化や吸収がスムーズにいかなくなります。 そのため、少量をゆっくり、回数を分けて食べることが基本です。 1日3食ではなく、5〜6回に分けて摂取する よく噛んでゆっくり食べる 食事中や直後の水分は控えめにする 避けたい食品には、高脂肪・刺激物・アルコールなどがあります。 一方で、消化に良い白身魚や豆腐、柔らかい野菜スープなどはおすすめです。 栄養士のアドバイスを受けながら、自分に合った食生活を整えると安心です。 日常生活と仕事復帰の目安 退院後すぐに無理をすると体力の回復が遅れてしまうため、段階的に日常生活に戻ることが大切です。 軽い散歩などから始めて体力を徐々に回復させる 車の運転や重い荷物の持ち運びは医師に相談してから 仕事復帰はデスクワークであれば数週間〜1カ月程度、肉体労働ではさらに時間がかかるケースが多い 個人差はありますが、医師の診断を受けながら無理のない復帰スケジュールを立てましょう。 痛みやしびれが長引く場合の対処 手術後に感じる痛みやしびれは、通常は時間とともに改善します。 しかし、3カ月以上続く場合は「遷延性術後痛」の可能性があります。 これは手術による神経障害や心理的要因などが関係しており、自己判断で我慢するのは危険です。 医療機関での適切な検査・治療を受ける 鎮痛薬や神経障害に対応した薬の使用 必要に応じてリハビリや心理的サポート 症状を早期に医師へ相談することで、回復を早めることができます。 胃がんとは【基礎知識】 胃がんは、胃の内壁を覆う粘膜の細胞が異常に増殖し、がん化することで発生します。 日本では比較的多くみられるがんの一つで、早期発見が治療の鍵となります。 胃がんの症状 胃がんは初期段階では自覚症状がほとんどないのが特徴です。 そのため、検診で偶然見つかるケースも多くあります。 初期 無症状 進行すると 吐き気や嘔吐 貧血によるふらつき 吐血 腹痛 など 胃がんの原因 胃がんの発生にはいくつかの要因が関わっています。 代表的なものは次の通りです。 ヘリコバクター・ピロリ菌感染 高塩分食 喫煙 ストレス アルコール 刺激物 これらの要因が複合的に作用し、胃の粘膜にダメージを与えることで発症リスクが高まります。 胃がんの診断 診断には次のような検査を組み合わせて行います。 胃内視鏡検査(胃カメラ) 内視鏡で採取した組織の病理診断 血液検査 CT検査 胃X線検査 これらを総合的に判断して確定診断がなされます。 胃がんの治療法 胃がんの治療には以下の方法があります。 内視鏡治療(早期がんに有効) 外科的手術(胃を部分的またはすべて切除) 化学療法(抗がん剤治療) 放射線療法 進行度(ステージ)に応じて適切な治療法が選ばれます。 とくに外科的手術では胃を一部またはすべて切除することが多く、その結果として「胃切除後症候群」と呼ばれる後遺症が発生する場合があります。 長く続く胃がん手術後の痛みと再生医療の可能性 胃がんの手術後、時間が経っても傷跡の痛みや周囲のしびれが続くことがあります。 これが3カ月以上続く場合、「遷延性術後痛」の可能性があり注意が必要です。(文献1) 遷延性術後痛の原因は複雑で、手術による神経障害だけでなく、精神的・心理的因子や遺伝的素因、生活環境などが絡み合って生じることがあります。検査をしても原因が特定できないケースも少なくありません。 手術の後遺症に対しては、再生医療という治療法があります。 当院では、再生医療の「自己脂肪由来幹細胞治療」と「PRP(多血小板血漿)療法」を行っています。 治療法 方法 特徴 所要時間・治療時間 自己脂肪由来幹細胞治療 脂肪から幹細胞を採取・培養し、点滴で投与する 幹細胞が他の細胞に変化する「分化能」という能力を活用した治療法 入院・手術を必要とせず日帰りの施術が可能 脂肪の採取(約30分) 細胞培養(約1カ月) 特定細胞加工物の投与 静脈点滴投与(約80分)/ 局所投与(約5分~) PRP(多血小板血漿)療法 血液を遠心分離して血小板を濃縮し、患部に投与 血小板の成長因子が持つ「炎症を抑える働き」を活用した治療法 入院・手術を必要とせず日帰りの施術が可能 ・採血・加工・投与(約30分~) 長期にわたる痛みやしびれは、身体的なつらさだけでなく、気分の落ち込みやうつ状態を引き起こすこともあります。 症状が改善すると、活動範囲が広がり、精神的・社会的にも患者様の満足度が上がります。 ▼実際に当院では、乳がん術後の化学療法で末梢神経が障害され、長い間足のしびれと原因不明の胃腸症状・倦怠感に悩まされていた患者様が、幹細胞治療によって改善した症例を経験しています。 また、再生医療のひとつであるNK(ナチュラルキラー)細胞免疫療法は、がんの予防に有効とされています。 自己の血液中にある免疫細胞の一種、NK細胞と呼ばれるものを血液から採取し、培養後に点滴でまた体内に戻す治療です。 当院「リペアセルクリニック」の免疫細胞療法については、以下をご覧ください。 まとめ|胃がん手術後の後遺症は生活習慣の工夫で改善できる 胃がんは初期に症状が出にくく、腹痛や嘔吐などの症状が出たときには手術が必要な状態になっていることも少なくありません。 手術後は胃切除後症候群と呼ばれる後遺症が生じることがあり、代表的なものにはダンピング症候群、消化・吸収不良、貧血、骨粗鬆症、胆石症などがあります。 これらの症状は、食事の摂り方を工夫したり、不足する栄養素を補ったりすることで改善を目指すことが可能です。 また、手術後に長く痛みやしびれが続く「遷延性術後痛」に悩まされる場合もあり、身体的・精神的なサポートが必要となります。 再生医療は、末梢神経障害を根本的に治療できる手立てとして注目されており、今後ますます普及していくことが予想されます。 胃がん手術後の後遺症は一人ひとり症状の現れ方が異なるため、気になる症状がある場合は早めに医師に相談し、生活習慣の工夫と適切な治療を組み合わせて改善を目指すことが大切です。 再生医療に興味がある方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 胃がんに関してよくある質問 胃がんは日本人に多いがんの一つであり、手術後の生活や再発の可能性など、患者様やご家族にとって気になる点は少なくありません。 ここでは、よく寄せられる質問をピックアップし、わかりやすく解説します。 胃がんの罹患者数や死亡率は他のがんと比べてどれくらい多いの? 2021年の部位別がん罹患数では、男性の胃がんは前立腺がん、大腸がん、肺がんに次いで4番目に多く、女性の胃がんは乳がん、大腸がん、肺がんに次いで4番目に位置しています。 また、2023年の部位別がん死亡数では、胃がんは肺がん、大腸がんに次いで3番目に多く、男女別でみると男性は3番目、女性は5番目という結果でした。(文献2) 胃がんは依然として日本における主要ながんの一つといえます。 若年者に多くて進行も早い胃がんの種類があるって本当? 胃がんは内視鏡やX線の所見から、以下のように分類されます。 表在型(0型) 腫瘤型(1型) 潰瘍限局型(2型) 潰瘍浸潤型(3型) びまん浸潤型(4型) この中で、びまん浸潤型(4型)にあたるスキルス性胃がんは、若年者や女性に多くみられるタイプです。 胃の壁が硬く厚くなり、進行が速く、腹膜転移が起こりやすい特徴があります。 そのため早期発見・早期治療が非常に重要です。 参考文献 (文献1)遷延性術後痛の対策|日本ペインクリニック学会誌 (文献2)がんの部位別統計|公益財団法人 日本対がん協会
2024.08.22 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
大腸癌の手術を終えた後、多くの方が「これからの生活はどうなるのだろう」「再発のリスクは?」と不安を抱きます。 実際には、排便リズムの乱れや体力低下、合併症のリスクなど、手術後ならではの課題があります。 しかし、手術後に起こりやすい症状や生活上の工夫を理解しておけば、不安を軽減し安心して回復へと進むことが可能です。 本記事では、大腸癌手術後の後遺症や合併症による体の変化、そして日常生活で取り入れたい工夫についてわかりやすく解説します。 また、大腸癌手術後の合併症や後遺症に対しては、再生医療も治療選択肢の一つです。 手術後の体調変化や生活面でのお悩みを今すぐ解消したい・再生医療に関心のある方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお気軽にお問い合わせください。 大腸癌手術後の体の変化 大腸癌の手術後は、身体的負担で体力が落ちたり、腸の動きが一時的に乱れて排便リズムが変化するなど、体にさまざまな変化が起こります。 さらに、回復過程での不安や気持ちの揺れから、精神的な負担を感じる方も少なくありません。 ここでは、大腸癌手術後に起こる主な3つの体の変化について解説します。 体力の低下 大腸癌手術後は、体力が落ちて「少し歩くだけで疲れる」「家事が思ったよりもつらい」と感じることが多くあります。 体力の回復には個人差がありますが、退院後すぐに以前のように動ける人は少なく、日常生活に無理なく戻れるようになるまでには数週間から数カ月かかるといわれています。 無理をせず、短い散歩や軽い活動から少しずつ体を慣らしていくことが、焦らず回復を進めるコツです。 担当の医師やリハビリの専門家と相談しながら、ゆっくりと生活のリズムを取り戻していきましょう。 排便リズムや便の状態の変化 大腸癌の手術後、腸の一部を切除した影響から、排便リズムや便の状態が大きく変わる場合があります。 下痢や便秘、頻便、残便感、ガスがたまりやすい状態、お腹の張りなどが起こりやすく、手術後数週間から数カ月間は排便の不安定さを感じる方が多いです。 これは腸が新しい状態に慣れるまでの自然な経過で、徐々に落ち着いてくることがほとんどです。 また、症状を和らげるための工夫として、水分補給や消化に良い食事、腹部マッサージなども役立ちます。 ただし、排便やガスが全く出ない、強い腹痛や嘔気、血便などの症状がみられる場合は、腸閉塞や他の合併症の可能性があるため、速やかに医療機関への相談が必要です。 心理的な不安や落ち込み 大腸癌の手術後、体の回復と同時に「再発の不安」や「これからの生活がどうなるか」といった将来への不安を抱える方が多く、気持ちが沈んだり落ち込んだりする場合があります。 これは「手術後うつ」と呼ばれることもあり、誰にでも起こりうる自然な反応です。 沈んだ気持ちをそのままにしておくと、眠れなかったり、食欲が減るなど、普段の生活や対人関係にも影響を及ぼす可能性があるため、早めの対処が大切です。 一人で抱え込まずに家族や友人、医療スタッフなど、信頼できる相手に気持ちを話すだけでも心の負担が軽くなる場合もあるため、必要に応じて、精神的なサポートを受けることを検討しましょう。 大腸癌手術後に起こりやすい3つの後遺症 大腸癌手術後、長期的に続く後遺症が起こることがあります。 代表的な後遺症として、次の3つが挙げられます。 排尿・性機能への影響 排便障害 人工肛門(ストーマ)造設による生活の変化 それぞれの後遺症について、詳しくみていきましょう。 排尿・性機能への影響 大腸癌手術や治療の影響により、以下のような排尿や性機能に関する症状が現れる場合があります。 排尿がスムーズにできない 尿意を感じにくい・残尿感が続く 勃起機能の低下や射精の変化 性欲の減退 上記症状は、時間の経過とともに回復するケースが多いですが、場合によっては薬やカテーテルの使用が必要になることもあります。 また、症状の程度や回復の速さは個人差が大きいため、手術前から医師と十分に相談し、必要に応じて泌尿器科など専門医のサポートを受けることが大切です。 排便障害 大腸癌の手術によって、大腸の一部を切除したり、手術の影響で腸や臓器同士がくっつく「癒着」が生じたりすると、長期的な排便障害が残る場合があります。 代表的な症状は、次の3つです。 便失禁 頻便 残便感 排便障害は腸の切除範囲や神経への影響によって起こりやすく、時間がたっても改善しにくいケースがあります。 生活の質に大きく関わるため、上記のような症状が続く場合は我慢せず医師に相談し、薬の使用や骨盤底筋トレーニングなどのリハビリを取り入れることが大切です。 人工肛門(ストーマ)造設による生活の変化 人工肛門(ストーマ)とは、手術で腸の一部をお腹の表面に出し、そこから便を排泄できるようにした出口のことです。 腸の切除範囲が大きい場合や、縫合部を安静に保つ必要がある場合に、一時的または永久的に造設されます。 ストーマを造設すると、専用の袋で便を受け止める排便方法になるため、生活習慣が大きく変わります。 最初は管理や外出に不安を感じる方も多いですが、正しいケア方法を身につければ、入浴や旅行、仕事など日常生活をこれまで通り送ることも可能です。 また、皮膚のトラブル予防や、身体イメージの変化に伴う心理的な負担への対応も大切です。 専門の看護師やサポートを活用すると、安心してストーマと向き合う生活を続けることができます。 大腸癌手術後に注意すべき3つの合併症 大腸癌の手術後には、後遺症のほかにも合併症が起こることがあります。 ここでは、大腸癌手術後に起こりうる以下3つの合併症について解説します。 感染症や創部トラブル 縫合不全 腸閉塞・イレウス それぞれ、詳しくみていきましょう。 感染症や創部トラブル 大腸癌手術後は、縫合部分(創部)やお腹の内部で細菌が感染を引き起こし、次のような症状が現れることがあります。 発熱 傷口の赤みや強い痛み 膿(うみ)が出る 腹部の張りや痛みが続く 上記の症状がみられたら、創部感染や腹腔内感染を疑う必要があります。 こうした症状を放置すると、炎症が広がったり、全身状態が悪化したりする可能性があるため、速やかに医療機関に相談しましょう。 縫合不全 大腸癌の手術では、癌を含む腸の一部を切除したあとに、残った腸同士をつなぎ合わせる「吻合(ふんごう)」 という処置を行います。 この腸管を再びつなぎ合わせた部分(つなぎ目)がうまくくっつかず、接合部が開いてしまう状態を「縫合不全」と言います。 縫合不全になると腹腔内で炎症や感染が起こり、次のような症状が現れ、重症化すると腹膜炎や敗血症など命に関わる合併症を引き起こす可能性もあります。 発熱 吐き気や腹痛 腹水(お腹の中の水) 下痢や下血 縫合不全は早期発見と治療が重要なため、違和感や異変を感じた場合はすぐに医師の診察が必要です。 腸閉塞・イレウス 腸閉塞とは、腸の中で物理的なつまりが起こることで、食べ物やガスが通れなくなる状態を指します。 一方で、イレウスは腸の動きが麻痺したり痙攣(けいれん)し、内容物の通過がうまくいかない「機能的な通り道の障害」です。 どちらの場合も、次のような症状が現れます。 激しい腹痛 吐き気・嘔吐 お腹の張り 便やガスが全く出ない 上記症状は放置すると重篤になる可能性があるため、早めの医療機関への受診が必要です。 大腸癌手術後の生活で気をつけたいこと 大腸癌手術後は、体力や腸の働きが少しずつ回復していくため、生活の中でいくつかの工夫が必要になります。 ここでは、運動、食事、社会復帰の3つの視点から大腸癌手術後の生活について解説します。 運動とリハビリの進め方 大腸癌の手術後すぐは体力が落ちているため、無理に動くと体に負担がかかります。 まずはベッドの上で体を動かすところから始め、退院後は短時間の散歩など軽い運動を取り入れると良いでしょう。 目安としては、手術から1カ月ほど経ち、医師の許可が得られればウォーキングなどの有酸素運動を少しずつ再開できるケースが多いです。 無理のない範囲での継続が、体力回復や気分のリフレッシュにつながります。 食事の工夫と栄養管理 大腸の一部を切除すると、消化や排便のリズムが乱れやすくなります。 そのため、消化に良い食材を中心に選び、油っこい料理や香辛料の強い食品は控えることが大切です。 一度にたくさん食べるのではなく、少量を数回に分けて食べる「少量頻回食」を意識すると、腸への負担を軽減できます。 また、たんぱく質やビタミンなど体の回復に必要な栄養素をバランスよく摂ることも重要です。 仕事や日常生活への復帰目安 大腸癌手術後は、体力や体調が安定するまでに時間がかかるため、社会復帰にはある程度の時間が必要です。 一般的には手術後1〜3カ月ほどで職場や日常生活に少しずつ復帰できる人が多いですが、最初のうちは短時間勤務や在宅勤務を取り入れるなど、無理をしないことが大切です。 また、肉体労働や長時間の勤務は体に負担をかけやすいため、医師の判断を参考にしながら段階的に生活を整えていきましょう。 大腸癌手術後の予後・再発率について 大腸癌の手術後の予後や再発率は、癌の進行度(ステージ)によって大きく異なります。 大腸癌の再発は、手術後の経過の中でもとくに注意が必要で、ステージが早いほど再発のリスクは低く、進行している場合ほど再発や転移の可能性が高まります。 以下表は、5年生存率や手術後再発率をステージごとにまとめたものです。(文献1,2,3) ステージ 5年生存率の目安 手術後再発率の目安 0期 (上皮内がん・粘膜内がん) 非常に高く、ほぼ再発なし ごくわずか (再発は極めて稀) I期 約90〜95% 約3~6%程度 II期 約80~85% 約13~15% III期 約60~70%程度 約30%前後 IV期 (遠隔転移あり) 大幅に低下 (進行具合や治療内容によって大きな差がある) 再発率・転移の可能性が高い (統計値はさらにばらつきがある) ※数値は過去の臨床研究やがん情報サイトによる平均値であり、実際のリスクは年齢・癌の場所(結腸か直腸かなど)、手術後の治療内容、遺伝的要因、術中の状況などによって個人差があります。 統計的には、再発の8〜9割が手術後3年以内に起こり、およそ95%は手術後5年以内に確認されているため、手術後5年間の定期的な経過観察が非常に重要とされています。(文献4) 経過観察は再発や転移を早期に見つけるため、腫瘍マーカーを調べる血液検査やCT・MRIなどの画像検査、大腸内視鏡検査を組み合わせて行います。 再発が見つかった場合でも、その広がり方や部位によっては再手術や化学療法によって治癒や長期的なコントロールを目指せる可能性があります。 再発リスクを少しでも減らすためには、手術後の生活習慣改善や必要に応じた追加治療を取り入れることが大切です。 大腸癌手術後の再発予防と長期的なケア 大腸癌の手術後は、生活習慣の見直しや家族や支援サービスの利用、そして定期的な検査による経過観察が予後を左右します。 ここでは、再発予防と安心して生活を送るための具体的なポイントを紹介します。 生活習慣の改善 大腸癌手術後の再発リスクを下げるためには、日々の生活習慣を整えることが重要です。 野菜や魚を中心としたバランスの良い食事を心がけ、脂っこい食べ物や加工肉の摂取は控えめにしましょう。 また、禁煙も癌の再発予防に直結する大切な習慣であり、アルコールのとりすぎにも注意が必要です。 さらに、無理のない範囲でウォーキングなどの適度な運動を続けることは、体力回復だけでなく免疫力の維持にも役立ちます。 免疫細胞療法 免疫細胞療法は、自分の免疫細胞を活性化させてガン細胞を攻撃する力を高める治療法で、癌の再発予防や補助療法の一つとして注目されています。 手術や抗がん剤治療と併用されることもあり、副作用が比較的少ない点が特徴です。 まだ新しい治療法ではありますが、再発への不安を抱える方にとっては、今後の治療選択肢の一つとなり得ます。 詳細は専門の医療機関で相談し、適応があるかどうかの確認が大切です。 家族や福祉などサポート体制の活用 大腸癌の手術後は、体調や気持ちの面で不安が続くこともあり、家族や身近な人のサポートが非常に大切です。 全国に設置されている「がん相談支援センター」では、医療や生活に関する相談を無料で受けられるため、必要に応じて活用しましょう。 また、福祉サービスや地域のサポート団体を利用することで、経済面や生活面の負担の軽減も可能です。 定期的な検査・通院の重要性 大腸癌手術後は、再発を早期に見つけるために定期的な検査と通院が欠かせません。 検査の頻度は、癌のステージや受けた治療内容によって異なりますが、手術後5年間は特に丁寧な経過観察が行われます。 医師の診察を定期的に受ける習慣が、手術後を安心して過ごすことにつながります。 まとめ|大腸癌手術後も笑顔で毎日を送れる生活を 大腸癌の手術後は、体力の低下や排便の乱れ、合併症や後遺症など、さまざまな変化に直面します。 しかし、手術後に起こりやすい症状や注意点を知っておけば、不安を必要以上に抱えずに過ごすことができます。 食生活や運動など日常の工夫を取り入れることは、体の回復を促し、再発のリスク軽減にもつながります。 また、定期的な検査や通院を続け、少しでも気になる症状がみられた場合は医師へ早めに相談するのも、安心した生活を送るための大切なポイントです。 前向きに工夫を重ねながら、一日一日を大切に過ごしていきましょう。 参考文献 (文献1) 大腸がん(結腸がん・直腸がん)|国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ (文献2) 7.大腸癌手術後について|日本臨床外科学会 (文献3) 1.4 大腸がんの病期分類と予後|国立がん研究センター がん対策研究所 (文献4) 大腸がんの術後の経過観察と再発・転移 / 再発・転移|大腸がんを学ぶ
2024.08.19 -
- 関節リウマチ
- 内科疾患
「両手の関節がこわばっている気がする」 「朝になるとこわばりが強くなる」 「もしかしたら関節リウマチなのではないか」 手足や指などの関節に腫れやこわばりといった症状があると、関節リウマチを疑う方も多いことでしょう。医療機関で、「関節リウマチの疑いがある」と説明された方もいらっしゃるのではないでしょうか。 関節リウマチは、免疫異常により関節に炎症が生じる疾患です。しかし、関節炎症は他の疾患でも起こり、関節リウマチには確定的な診断基準が存在しません。そのため関節リウマチは、症状や各種検査所見などを総合的に判断した上で診断されます。 そこで本記事では、関節リウマチの診断で用いられる分類基準や、各種検査の役割について詳しく解説します。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 関節リウマチの診断基準について知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください 関節リウマチの診断基準 関節リウマチには、単一の症状で確定診断できる診断基準が存在しません。(文献1) そこで使われるのが、分類基準と呼ばれるものです。従来は、1987年の米国リウマチ学会による基準が用いられていました。しかし、この基準では早期のリウマチ患者を診断できないケースがあったため、2010年に新たな分類基準が発表されました。詳しい内容は、次の章で説明します。 なお、分類基準はあくまで診療の目安として用いられるものです。実際は、医師が患者の症状や発症経過、検査結果などを総合的に判断した上で診断すると知っておきましょう。 関節リウマチの概要や症状などは、下記の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 関節リウマチの診断スコア|2010年分類基準の内容 2010年に、米国および欧州リウマチ学会が合同で新しい分類基準を発表しました。この分類基準は、関節の腫れや炎症があり、それらの症状が他の疾患で説明がつかない場合に適用されるものです。(文献1)(文献2)関節症状、血液検査、症状の持続期間について点数を合計し、6点以上であれば、関節リウマチの可能性が高いとされます。 関節症状の評価 関節症状については、症状が出ている関節の部位と数を数値化して評価します。詳細を表に示しました。(文献1)(文献2) 症状が出ている関節の部位と数 点数 大関節1か所 0点 大関節2~10か所 1点 小関節(大関節症状の有無を問わない)1~3か所 2点 小関節(大関節症状の有無を問わない)4~10か所 3点 11か所以上の関節(小関節1か所以上を含む) 6点 大関節とは、足や膝、ひじ、肩、股関節などを指します。小関節は、手や足の指、手関節などです。 血液検査で調べる項目 血液検査では、血清学的検査と炎症反応の2種類を調べます。(文献1)(文献2) 血清学的検査の項目は、リウマトイド因子と抗CCP抗体の2種類です。詳細を表に示しました。 検査結果 点数 2種類とも陰性 0点 1種類が陽性かつ、数値が基準値の3倍以下 2点 1種類が陽性かつ、数値が基準値の3倍より大きい 3点 炎症反応の項目は、CRP値と赤血球沈降速度の2種類です。詳細を表に示しました。 検査結果 点数 2種類とも正常値 0点 2種類のうちいずれかが異常値 1点 症状の持続期間 症状の持続期間も点数にカウントされます。詳細を表に示しました。(文献1)(文献2) 症状の持続期間 点数 6週間未満 0点 6週間以上 1点 診断における挑戦と注意点 早期の関節リウマチでは、典型的な症状や血液検査の異常が見られないことがあり、診断が難しい場合もあります。 また、他の関節疾患との区別も重要です。専門医は、豊富な経験をもとに総合的に判断します。 診断後も、定期的に患者の状態をモニタリングし、治療方針を適宜見直すことが必要です。 また症状や検査結果の変化を見逃さず、適切な治療を続けることが重要です。 血液検査および画像検査の役割 関節リウマチの主な検査としてあげられるのが、血液検査と画像検査です。この章では、各検査の役割を紹介します。 血液検査 免疫に関する検査としては、リウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体などがあります。 リウマトイド因子陽性は、リウマチ患者の約70~80%に見られます。しかし、リウマトイド因子は膠原病や肝臓病などリウマチ以外でも陽性を示すことがあるため、単独での診断は難しい状況です。(文献3) 抗CCP抗体もリウマチ患者の約70~80%で陽性を示します。リウマトイド因子とは異なり、リウマチ以外で陽性になることは少ないとされています。(文献3) 炎症に関する検査としてあげられるものが、CRPや赤血球沈降速度です。CRPは、全身の急性炎症を表す指標であり、赤血球沈降速度は、慢性的な炎症の指標です。この2つはリウマチ以外の炎症性疾患でも高値を示します。そのため、炎症の検査単独で関節リウマチを診断するのは難しいといえるでしょう。 関節リウマチの血液検査については、下記の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 画像検査 画像検査としては、単純X線検査、MRI検査、関節超音波検査などがあげられます。(文献4) X線検査で確認できる所見は、主に以下のとおりです。 関節周辺の軟骨の腫れ 関節付近の骨の萎縮 関節の変形 骨びらん(関節周囲の骨が破壊される所見) 骨びらんは、リウマチの進行とともに見られる所見です。(文献4) MRI検査では、関節の内部を覆う滑膜や骨の炎症などを調べます。MRI画像を有効に活用すると早期診断に役立ちます。 超音波検査は、骨びらんの有無や滑膜の厚み、血流などを調べることにより、関節破壊や炎症の状況を確認できる検査です。診察で確認できなかった関節の炎症を診ることも可能とされます。 検査所見は診断における重要な指標ですが、症状や発症経過も大切な判断材料です。検査結果が正常でも症状が持続する場合は、再度医療機関を受診してください。 なお、治療方法については再生医療という選択肢もあります。 当院「リペアセルクリニック」で行っている、関節リウマチに対する再生医療については以下の記事をご覧ください。 関節リウマチの診断基準を知った上で正しい診断を受けよう 関節リウマチの診断では、主に2010年分類基準が用いられます。しかし、この基準は関節リウマチの特徴を把握するための目安であり、確定診断に用いるものではありません。分類上の数値や検査所見に加えて、医師による総合的な診断が必要です。 検査結果が正常であっても症状が続く場合は、自己判断せず再度医療機関を受診しましょう。 関節リウマチは、早期診断と早期治療が重要であり、進行を防ぐためにも、早めの受診が望ましいといえます。 当院、リペアセルクリニックではメール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。関節リウマチの診断基準や現在の症状について疑問や不安をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。 関節リウマチの診断基準に関するよくある質問 関節リウマチの検査は何科で受けるものですか 基本的には、リウマチ科や膠原病科、もしくはこれらの科を標榜している整形外科です。自宅近くにこれらの診療科がない場合は、かかりつけの内科医を受診しましょう。リウマチの疑いがある場合は、かかりつけ医が紹介状を書いてくれるケースが多いため、それを持って専門の科を受診する流れになります。 公益財団法人日本リウマチ財団や、公益社団法人日本整形外科学会のホームページで専門医を探すことも可能です。 関節リウマチは検査をしたらすぐにわかりますか 関節リウマチは、検査をしたらすぐにわかるものではありません。関節リウマチの症状は、他の疾患による症状と類似していることも多く、診断が容易ではないためです。 レントゲンや超音波検査などは、検査結果がすぐに出ますが、MRI検査や各種血液検査は、結果が出るのに数日かかります。検査結果に加えて、患者の症状や医師の診察所見も加えて診断するため、確定診断には時間がかかると覚えておくと良いでしょう。 参考文献 (文献1) 関節リウマチの診断|公益財団法人日本リウマチ財団 (文献2) 関節リウマチと診断するための基準|リウマチe-ネット (文献3) 診断のための検査|公益財団法人日本リウマチ財団 (文献4) 関節リウマチの画像診断|臨床リウマチ
2024.07.22 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
血友病は、生まれつき血液を固める力が弱い「先天性の出血性疾患」です。 放置すると、関節障害や日常生活への支障をきたす恐れもあります。 しかし、近年は治療法が進歩し、早期発見と適切な管理によって健常な人とほとんど変わらない生活を送ることが可能です。 本記事では、血友病の基礎知識から検査・治療法、日常生活での注意点をわかりやすく解説します。 正しい知識を身につけ、安心して向き合うための第一歩として参考にしてみてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」では、公式LINEで情報提供と簡易オンライン診断を実施しています。 再生医療について知りたいことや不明な点があれば、ぜひご利用ください。 血友病とは|出血が止まりにくくなる病気 血友病とは、血液の凝固因子が生まれつき不足または欠損しているため、出血した際に血が止まりにくくなる遺伝性の疾患です。 通常の止血機能が働かないため、軽い打撲やけがでも出血が長引く場合があります。 血友病には主に2つのタイプがあり、治療方針も異なる場合があるため、正確な診断が重要です。 血友病の種類と特徴は以下のとおりです。 血友病A:第VIII因子(抗血友病因子A)が欠乏しているタイプ。全体の約80%を占める。(文献1) 血友病B:第IX因子(抗血友病因子B)が不足しているタイプ。 血友病は先天性が大半を占めますが、まれに後天的に発症する「後天性血友病A」というタイプもあります。 自己免疫の異常により体内で凝固因子に対する抗体が作られ、血が固まらなくなるのが特徴です。 いずれにおいても、日常生活で注意が必要な疾患であり、早期の診断と適切な治療が出血のリスクを減らす鍵となります。 血友病の症状 血友病では血液が固まりにくいため、皮膚表面だけでなく体の深部でも出血が起こりやすくなります。 とくに、筋肉や関節内での出血が特徴的で、日常生活に支障をきたす場合もあるため注意が必要です。 以下に、血友病でよく見られる代表的な症状をまとめました。 症状の種類 具体的な内容 筋肉内出血 腕や脚などの筋肉が腫れて痛む 関節内出血 膝や肘などの関節に腫れ・熱感・痛みが出る 皮下出血 ぶつけていないのに青あざができる 鼻出血・口腔内出血 鼻や口の中からの出血が止まりにくい 手術・抜歯後の出血 通常よりも長時間にわたって出血が続く 関節拘縮 出血により関節が固まり、動かしづらくなる また、以下のような症状が日常的に見られる場合も、血友病の可能性があるため、早めの医療機関を受診しましょう。 明らかな外傷がないのにあざができる 関節が腫れて痛み、動かしづらくなる 歯ぐきや鼻からの出血が長引く 以前より関節の可動域が狭くなってきた 症状が進行すると生活の質を大きく損なうため、早期発見と適切な管理が重要です。 血友病の検査・診断 血友病の診断では、まず血液がどれくらいの時間で固まるかを調べる「血液凝固検査」が行われます。 血が固まりにくい状態が確認された場合、さらに詳細な「凝固因子活性検査」に進み、第VIII因子または第IX因子の働きがどれほどあるかを評価し、病型と重症度を判定します。 凝固因子活性の値に応じた分類は以下の通りです。(文献2) 病型 凝固因子活性値 割合(目安) 特徴 重症型 1%以下 約50~60% 自発的出血が頻繁に起こる 中等症型 1~5% 約20% 軽い打撲でも出血することがある 軽症型 5%以上 約20% 手術やけがの際に出血しやすい 凝固因子の働きに基づいて重症度を把握することで、適切な治療方針を決定します。 とくに、重症型では無症候でも体内で出血している場合があるため、早期の診断が重要です。 血友病の治療法 血友病の治療では、不足している凝固因子を補充する「補充療法」が基本です。 重症度や出血頻度に応じて、以下の治療法を組み合わせて使い分けます。 定期補充療法 予備的補充療法 出血時補充療法(オンデマンド療法) それぞれ詳しく見ていきましょう。 定期補充療法 定期補充療法は、出血が起きる前から定期的に凝固因子製剤を静脈投与する治療法です。 重症型の血友病患者様に対しての標準治療ですが、軽中等症でも予防を目的に投与するケースがあります。 製剤によって週2〜3回、または2週間に1回の注射を継続的に行うことで、関節内出血や筋肉内出血などの出血リスクを未然に防げます。 定期補充療法の最大の利点は、日常生活の質(QOL)の向上です。 出血に対する不安を軽減し、学校や職場での活動を安心して行えるようになり、とくに小児期からの早期導入が関節障害の予防につながるとされています。 予備的補充療法 予備的補充療法とはスポーツや旅行、歯科治療など、出血リスクが予測される特定の場面に限定して、事前に凝固因子製剤を投与する方法です。 重症型以外の患者様や、日常的に出血の頻度が少ない方に適しています。 必要なときだけ補充を行うため、治療の負担を軽減できるのがメリットです。 ただし、タイミングを逃すと出血を防げない可能性があるため、患者様自身や家族が状況を正確に判断しながら適切な対処が求められます。 出血時補充療法(オンデマンド療法) 出血時補充療法は、実際に出血が起きたときに凝固因子製剤を投与する方法です。 軽症型や中等症型の患者様を対象とし、出血頻度が少ない場合に選択される場合があります。 出血が確認された段階で速やかに製剤を使用することが重要で、出血の進行を最小限に抑え、症状の悪化を防ぐのが目的です。 ただし、関節や筋肉の深部出血は初期症状がわかりにくいため、早期対応が難しいという課題もあります。 血友病の方が日常生活を送る上での注意点 血友病のある方が安全に日常生活を送るためには、出血を防ぐ工夫と周囲の理解が大切です。 とくに、外傷や薬の使用、医療機関との連携など、あらかじめ注意しておくべき点を理解しておくと、万が一の際にも迅速に対応できるでしょう。 ここでは、日常生活のうえで押さえておきたい具体的なポイントを紹介します。 外傷・ケガの予防意識を持つ 血友病の方は出血が止まりにくいだけでなく、関節や筋肉内での深部出血が起きやすいため、日常生活でも以下のような予防を意識しましょう。 段差の多い場所や滑りやすい床では慎重に歩行する ひじやひざなどの関節を保護するプロテクターを活用する スポーツは出血リスクを考慮し、事前に医師と相談する とくに、転倒しやすい場所では注意が必要です 予防する意識を持つように心がけて不要な出血のリスクを避け、安心して生活を送るための環境を整えましょう。 緊急時患者カードを携帯する 血友病の方は、外出時や災害・事故時に備えて「緊急時患者カード」の携帯が推奨されています。 緊急時患者カードは、血液凝固異常症の方がかかりつけ以外の医療機関を緊急で受診したり、救急車で搬送されたりした際に、医療関係者へ必要な情報を迅速かつ正確に伝えるためのカードです。 血友病の種類や使用している治療薬、投与量、かかりつけ医療機関などの情報が記載されています。 万が一の事故や意識障害などで本人が説明できない状況でも、周囲の医療関係者に正確な対応を促すことが可能です。 日常的に財布やスマートフォンケースに入れておくなど、常時携帯する習慣をつけましょう。 成人の場合は、各自治体から医療費助成の関連書類とともに、小児は患者会や製薬会社を通じて配布されています。 血友病の方でカードがまだ手元にない方は、「一般社団法人日本血液凝固異常症調査研究機構(JBDRO)」にお問い合わせください。 解熱剤・鎮痛剤の使用は避ける 血友病の方は、一般的な解熱剤や鎮痛剤の使用に注意が必要です。 とくに、アスピリンやインドメタシンなどの成分には血液を固まりにくくする作用があり、出血を助長する恐れがあります。 市販薬の中にも、これらの成分が含まれている可能性があるため、以下の点に注意しましょう。 解熱・鎮痛薬の購入時は、薬剤師に成分を確認する 医師の処方がない薬は使用しない 歯科や他科の受診時にも、血友病であることを必ず申告する 安全な薬物治療を行うためには自己判断を避け、医療従事者の指導のもとで薬を選びましょう。 口腔ケアを怠らない 口腔内は出血しやすい部位のひとつであり、血友病の方にとっては日々の口腔ケアがとても大切です。 虫歯や歯周病を予防すれば、歯ぐきからの出血を減らせます。 日常の歯磨きでは、以下の点に注意しましょう。 柔らかめの歯ブラシを使用し、歯ぐきを傷つけない 歯と歯ぐきの境目の汚れを丁寧に除去する 継続してケアを行う 定期的な歯科受診も欠かさずに、出血のリスクを最小限に抑えるよう心がけましょう。 なお、歯ぐきは適切にケアされていれば出血を抑えられますが、少量の出血が見られても問題ありません。 保育園や学校に出血が起きた際の対処法を共有する 小さい子どもの血友病患者様が安心して学校生活を送るには、保育園や学校側との情報共有が不可欠です。 以下のように、外傷や出血時の対応方法などを事前に伝えておくと、迅速かつ適切な対応が可能になります。 緊急時の連絡先と対応方法を文書で共有する 保管している凝固因子製剤の使い方を説明する 生活の中で注意すべき動作や活動を明確に伝える 子どもが血友病であっても、適切な治療と計画で多くの活動に参加できます。 以下のサイトのページでは、血友病の子どもを担当する先生向けに対応を説明しているので、情報共有時に参考にしてください。 学校・保育園などの先生方へ|ヘモフィリアTODAY 血友病の子どもさんを担当する学校の先生方へ|ヘモフィリアステーション まとめ|血友病は正しい知識と治療で管理できる病気 血友病は先天的に血液が固まりにくくなる疾患で、出血しやすい体質が特徴です。 完治は困難ですが、定期的な補充療法や生活上の注意によって、健常な人と変わらない生活を送れます。 早期診断と適切な治療の継続により、合併症の予防や生活の質の維持につなげていきましょう。 また、出血リスクへの理解に加え、周囲の協力や医療機関との連携も欠かせません。 なお、当院「リペアセルクリニック」では、公式LINEにて再生医療に関する情報提供と簡易オンライン診断を実施していますので、ぜひご登録ください。 血友病に関してよくある質問 血友病は治りますか? 現時点で、血友病を根本的に治す治療法は確立されていません。 しかし、定期的な補充療法によって不足している凝固因子を補うことで、出血を予防し、健常な人とほとんど変わらない生活を送れます。 とくに、早期の治療開始が関節障害の予防や生活の質の維持に大きく貢献する点に留意しておきましょう。 血友病Aと血友病Bの違いはなんですか? 血友病は主に2つのタイプに分類されており、それぞれの違いは次の通りです。 血友病A:第VIII因子(抗血友病因子A)が欠乏しているタイプ 血友病B:第IX因子(抗血友病因子B)が不足しているタイプ 両者の出血症状や経過は似ていますが、治療に用いる凝固因子製剤が異なるため、正確な診断が重要です。 血友病は予防できますか? 現在のところ、血友病そのものを予防する方法は存在しません。 しかし、出血による合併症を防ぐことはできるため、以下のような早期対応が重要です。 出血が起きた際は、速やかに凝固因子製剤を補充する あざや関節痛などの初期症状を見逃さない とくに乳児期後半にみられる皮下出血に注意する 症状を発見した場合には、医療機関での早めの相談が重症化を防ぐための第一歩となります。 参考文献 (文献1) Hemophilia ‒ Hematology and Oncology | Coagulation Disorders ‒ Merck Manual Professional Version|Merck Manual Professional Version (文献2) 血友病 (けつゆうびょう)とは | 恩賜財団 済生会
2024.07.10 -
- 肝疾患
- 内科疾患
「アルコール性肝炎になったら、もう肝臓は元に戻らないの?」 「アルコール性肝炎は治る病気?」 そんな疑問や不安を抱える方は少なくありません。 長年の飲酒習慣で傷ついた肝臓ですが、完全に回復不可能なわけではないのです。 本記事では、アルコール性肝炎からの回復可能性や有効な治療法、肝臓が健康を取り戻すまでの期間について詳しく解説します。 肝臓の健康を取り戻すための知識を身につけ、今からできる対策を始めましょう。 【結論】アルコール性肝炎は治る病気 アルコール性肝炎は、適切な治療と生活習慣の見直しにより回復が期待できる病気です。 とくに早期発見と適切な対策により、肝臓へのダメージを最小限に抑えられます。 しかし、進行すると回復が難しくなるため、早めの対応が重要です。 早期発見と適切な治療で回復は見込める 重症度によっては回復が難しい場合も 本章では、アルコール性肝炎の回復の可能性や治療法について詳しく解説します。 早期発見と適切な治療で回復は見込める アルコール性肝炎は、早期発見と適切な治療により回復が期待できる病気です。 肝臓には再生能力があり、飲酒を避けて健康的な生活を続けることで改善が見込めます。(文献1) まず禁酒が最優先です。アルコールを摂取し続けると炎症が進み、回復が遅れるだけでなく、肝硬変へ進行するリスクが高まります。 さらに、栄養療法や薬物療法により、肝機能の回復を促します。 早期発見のためには、定期的な健康診断で肝臓の数値をチェックしておくのもポイントです。 今まで自覚症状がなくても異変を感じたら、すぐに医療機関を受診し適切な対応をとりましょう。 アルコール性肝炎の初期症状については、以下の記事でも詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。 重症度によっては回復が難しい場合も アルコール性肝炎は早期発見と適切な治療により回復が期待できますが、重症度によっては改善が難しい場合もあります。 とくに長年の飲酒で肝臓に深刻なダメージが蓄積すると、完全な回復は困難です。(文献2) たとえば、アルコール性肝硬変に進行すると、肝臓の線維化が進み、元の健康な状態への回復はほぼ不可能になります。 そのため、症状が軽いうちに適切な治療を受けるのが重要です。 「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓は、ダメージを受けても自覚症状が出にくいため、日頃から健康管理を意識しましょう。 アルコール性肝炎における4つの治療法 アルコール性肝炎の治療には、主に以下の4つの方法があります。 断酒する 栄養療法で肝臓の回復を促す 薬物療法で症状を緩和する 再生医療を受ける それぞれの方法を組み合わせることで、より高い回復効果が期待できます。 断酒する アルコール性肝炎の最も効果的な治療法は、断酒です。(文献1) アルコールを摂取し続けると肝臓の炎症が進行し、回復が難しくなります。 そのため、完全に飲酒をやめることが肝臓を守る第一歩となります。 断酒による精神的ストレスや誘惑を乗り越えるためには、家族や友人の理解とサポートが重要です。 また、アルコール依存により断酒が難しい場合は、精神科や心療内科の専門医による治療も有効な選択肢となります。 適切なサポートを活用しながら、無理のない範囲で断酒を継続しましょう。 肝臓の数値に異常がある場合の原因や対策については、こちらの記事でも解説していますので、参考にしてください。 栄養療法で肝臓の回復を促す 肝臓の回復を助けるには、適切な栄養摂取が不可欠です。(文献1) とくにタンパク質やビタミンを十分に摂取すると、肝細胞の再生が促進されます。 具体的には、高タンパク質の食品(肉、魚、大豆製品など)や、ビタミン類を多く含む食材を積極的に取り入れると良いでしょう。 一方で、脂肪分の多い食事や糖分の過剰摂取は肝臓に負担をかけるため、なるべく控えることをおすすめします。 薬物療法で症状を緩和する アルコール性肝炎の症状が進行している場合、アルコール依存症と同様に薬物療法を行う場合があります。(文献3) アルコール依存症は、本人の意思ではどうすることもできないため、抗酒薬や抗不安薬などの薬物療法が用いられますが、同様に断酒を目的として治療が挙げられます。 ただし、薬物療法はあくまで精神的な症状の緩和や断酒を補助するためのものであり、根本的な治療にはなりません。 そのため、断酒を継続しつつ生活習慣の改善と並行して行っていくのが重要です。 再生医療を受ける 肝臓疾患に対する治療法には再生医療という選択肢もあります。 再生医療は、患者様自身から採取・培養した幹細胞を用いて治療を行う、副作用のリスクが少ない治療法です。 当院「リペアセルクリニック」では肝臓疾患に対して、再生医療による治療を行っています。再生医療について詳しくは、以下のページをご覧ください。 アルコール性肝障害の分類における位置付け アルコール性肝障害は以下の五つに分類され、そのうちの一つがアルコール性肝炎です。 アルコール性脂肪肝 アルコール性肝線維症 アルコール性肝硬変 アルコール性肝炎 アルコール性肝がん 慢性的に過剰飲酒を続けると、脂肪肝→肝線維症→肝硬変と順番に進行していく可能性があるため、注意が必要です。 なお、アルコール性肝炎ではこの慢性経過とは別に、酒量の増加などをきっかけにして肝臓に強い炎症が起こります。 背景の肝臓の組織が軽度の脂肪肝であっても進行した肝硬変であっても、肝細胞が変性や壊死を起こしていればアルコール性肝炎と考えられます。 つまり、もともとアルコールによる肝臓の障害がある方が、さらに過剰飲酒することで肝臓に強い炎症とダメージが起こってしまっているのがアルコール性肝炎なのです。 本章では、アルコール性肝障害の五つの分類についてそれぞれ解説します。 アルコール性脂肪肝 アルコールの摂取により、肝臓に脂肪が蓄積する初期段階の状態です。 この段階で飲酒をやめれば、比較的早い回復が見込めます。 アルコール性肝線維症 アルコール性脂肪肝が進行すると、肝細胞がダメージを受け、線維化が始まります。 この段階ではまだ回復の可能性がありますが、飲酒を続けると悪化する恐れがあります。 アルコール性肝硬変 長期間の飲酒により、肝臓が硬化し、機能が低下します。 この段階になると回復は困難で、合併症のリスクも高まります。 アルコール性肝炎 アルコールの影響で肝臓に炎症が生じる状態です。 重症になると命に関わる場合もあり、早急な治療が必要です。 アルコール性肝がん アルコールによるダメージを肝臓が受けている状況下に肝がんができており、他の原因が除外できている状態です。 肝臓の重要な働きと注意すべき病気については以下の記事でも解説しています。 気になる症状がある方は、ぜひご覧ください。 アルコール性肝炎の検査と診断 アルコール性肝炎を診断するには、複数の検査が行われます。 正確な診断を受けることで、適切な治療を選択し、回復へつながる可能性も高まります。 肝生検 肝生検は、肝臓の一部を採取し、組織を詳しく調べる検査です。 この方法により、炎症の進行度や線維化の程度を把握できます。 検査は局所麻酔を行い、細い針を肝臓に刺して組織を採取します。 検査後は数時間(検査自体は数分~20分程度、安静時間も含めて約4~6時間)の安静が必要ですが、肝臓の状態を詳しく知るために有効な方法です。 肝硬変などの進行具合を診断する際にも用いられます。 血液検査・画像検査 血液検査は、肝臓の状態を把握する基本的な検査です。 とくにAST(GOT)やALT(GPT)などの肝酵素の数値を調べることで、炎症の有無を確認できます。 また、超音波検査やCTスキャン、MRIなどの画像検査も活用されます。 これらの検査では、肝臓の形状や脂肪の蓄積、線維化の進行具合を視覚的に確認できます。 血液検査との組み合わせによって、より正確な診断が可能になります。 まとめ|アルコール性肝炎は節酒や断酒で回復を目指そう 本記事では、アルコール性肝炎の回復の可能性や治療法について解説しました。 アルコール性肝炎になっても、断酒や栄養管理、薬物療法によって、肝臓の機能は改善し、健康を取り戻せる可能性があります。 ただし、早期発見と対策が重要なため、生活習慣を見直し、必要に応じて医師の診察を受けましょう。 適切な対応を続けることで、肝臓への負担を軽減し、病状の悪化を防げます。 また、当院「リペアセルクリニック」では肝臓(脂肪肝・肝硬変・肝炎)の再生医療・幹細胞治療を提供しています。 肝機能の治療に不安がある方は、まずはお気軽にご相談ください。 アルコール性肝炎の治療についてよくある質問 アルコール性肝炎の治療についてよくある質問肝臓は禁酒すると回復しますか? 肝臓は回復力の高い臓器であり、禁酒することでダメージが改善する可能性があります。 とくに初期段階であれば、断酒によって肝細胞が再生し、健康な状態に戻ることが期待できます。 しかし、肝硬変など病状が進行すると、完全な回復は難しくなります。 そのため、肝臓のダメージが深刻化する前に、禁酒を徹底する意識が大切です。 アルコール性肝炎が回復するまでの期間は? 回復期間には個人差がありますが、軽度のアルコール性肝炎であれば、数週間から数カ月で改善が期待できます。 一方、重度の肝障害がある場合は、回復に数年かかるケースもあります。 断酒を継続し、適切な治療を受けることが回復の鍵となるため、医師と相談しながら自分に合った治療計画を立てましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では肝硬変・肝炎に対し手術を伴わない「再生医療」を提案しています。 治療に不安がある方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) 竹井謙之,アルコール健康医学協会「アルコール性肝障害の最新トピックス」 https://www.arukenkyo.or.jp/information/pdf/kirokusyu/09/04.pdf(最終アクセス:2025年3月26日) (文献2) 全国健康保険協会「アルコール性肝障害 (Alcoholic Liver Disease:ALD)」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/kochi/20140325001/2016120600012kannshougai.pdf(最終アクセス:2025年3月26日) (文献3) 山田隆子,秋元典子.「アルコール性肝障害入院患者が断酒を決意し断酒を継続するプロセス」『日本看護研究学会雑誌』 Vol. 35 No. 5.pp.25-34,2012https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsnr/35/5/35_20121030003/_pdf(最終アクセス:2025年3月26日)
2024.07.09 -
- 幹細胞治療
- 肝疾患
- 脊椎
- 内科疾患
- 脊椎、その他疾患
- 再生治療
脊髄梗塞は稀な疾患で原因が不明なものも多く、現在でも明確な治療方針が定められてはいません。 そのため「脊髄梗塞が治るのか」不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。 本記事では、脊髄梗塞の回復見込みや治療法について詳しく解説します。 従来の治療では有効な治療法が確立されていないため、リハビリテーションによって症状の改善を目指すことがほとんどです。 しかし、近年の治療では先端医療である再生医療が新たな選択肢として注目されています。 \脊髄梗塞の改善が期待できる再生医療とは/ 再生医療は、損傷した神経に対してアプローチできる治療法で、今まで根治が困難だった脊髄梗塞の改善が期待できます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 脊髄梗塞の根治を目指せる治療法を探している 脊髄梗塞による痛みやしびれを早く治したい 現在受けている治療で期待した効果が得られていない 当院リペアセルクリニックの「脊髄腔内ダイレクト注射療法」は、従来の点滴では届きにくかった損傷部位へ幹細胞を直接届ける治療法で、神経損傷による痛みやしびれに対しても高い治療効果が期待されます。 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは脊髄梗塞の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 以下の動画では、実際に再生医療を受け、脊髄梗塞に悩まれていた患者様の事例を紹介しています。 https://youtu.be/hNXMlNYRAkI?si=xeOHGpwaSNk1X6Nx 【予備知識】脊髄梗塞の発生率・好発年齢・性差情報 ある研究においては、年齢や性差を調整した脊髄梗塞の発生率は年間10万人中3.1人と報告されています。 脳卒中などの脳血管疾患と比較し、脊髄梗塞の患者数はとても少ないです。 また、脊髄梗塞の患者さんのデータを集めた研究では、平均年齢は64歳で6割以上は男性だったと報告されています。 参考:A case of spinal cord infarction which was difficult to diagnose しかし、若年者の発症例もあり、若年者の非外傷性脊髄梗塞の発生には遺伝子変異が関係していると示唆されています。 脊髄梗塞は治るのか? 結論、脊髄梗塞を完全に治すことは困難です。 しかし、近年の治療では脊髄梗塞の根治を目指せる再生医療が注目されています。 現在のガイドラインにおいて完治までの有効な治療法は確立されておらず、リハビリテーションによって症状の緩和と日常生活への復帰を目指すことが中心です。 再生医療は損傷した神経に対してアプローチできる治療法で、今まで根治が困難だった脊髄梗塞の改善が期待できます。 「再生医療について詳しく知りたい」という方は、当院リペアセルクリニックで無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは脊髄梗塞の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 脊髄梗塞の後遺症について 脊髄梗塞の発症直後には急激な背部痛を生じることが多く、その後の後遺症として四肢の運動障害(麻痺や筋力低下など)や感覚障害(主に温痛覚低下)、膀胱直腸障害(尿失禁・残尿・便秘・便失禁など)がみられます。 四肢の運動障害(麻痺や筋力低下など) 感覚障害(主に温痛覚低下) 膀胱直腸障害(尿失禁や残尿、便秘、便失禁など) これらの症状に関しては入院治療やリハビリテーションの施行で改善することもありますが、麻痺などは後遺症として残ることもあります。 歩行障害の予後に関して、115人の脊髄梗塞患者の長期予後を調査した研究報告では、全患者のうち80.9%は退院時に車椅子を必要としていましたが、半年以内の中間調査で51%、半年以降の長期調査では35.2%と車椅子利用者の減少がみられました。 出典:Recovery after spinal cord infarcts Long-term outcome in 115 patients|PubMed 同じ研究における排尿カテーテル留置(膀胱にチューブを挿入して排尿をさせる方法)の予後報告ですが、退院時には79.8%だったのが中間調査では58.6%、長期調査では45.1%へと減少がみられました。 症状が重度である場合の予後はあまり良くありません。 しかし、発症してから早い時期(1〜2日以内)に関しては症状が改善する傾向にあり、予後が比較的良好とされています。 【原因別】脊髄梗塞の治療方法 原因 治療方法 大動脈解離 手術 / 脳脊髄液ドレナージ(1) / ステロイド投与 / ナロキソン投与(2) 結節性多発大動脈炎 ステロイド投与 外傷 手術 動脈硬化・血栓 抗凝固薬 / 抗血小板薬(3) 医原性(手術の合併症) 脳脊髄液ドレナージ / ステロイド投与 / ナロキソン投与 (1)背中から脊髄腔へチューブを挿入し脊髄液を排出する方法 (2)脊髄の血流改善を認める麻酔拮抗薬 (3)血を固まりにくくする薬剤 比較的稀な病気である脊髄梗塞は、いまだに明確な治療法は確立されていません。 脊髄梗塞の発生した原因が明らかな場合にはその治療を行うことから始めます。 たとえ例えば、大動脈解離や結節性多発動脈炎など、脊髄へと血液を運ぶ大血管から中血管の病態に起因して脊髄の梗塞が生じた場合にはその、原因に対する治療がメインとなります。 一方で、原因となる病態がない場合には、リハビリテーションで症状の改善を目指します。 脊髄梗塞に対するリハビリテーション 脊髄梗塞で神経が大きなダメージを受けてしまうと、その神経を完全に元に戻す根本的治療を行うのは難しいため一般的には支持療法が中心となります。 支持療法は根本的な治療ではなく、症状や病状の緩和と日常生活の改善を目的としたものでリハビリテーションも含まれます。 リハビリテーションとは、一人ひとりの状態に合わせて運動療法や物理療法、補助装具などを用いながら身体機能を回復させ、日常生活における自立や介助の軽減、さらには自分らしい生活を目指すことです。 リハビリテーションは病院やリハビリテーション専門の施設で行うほか、専門家に訪問してもらい自宅で行えるものもあります。 リハビリテーションの流れ ①何ができて何ができないのかを評価 ②作業療法士による日常生活動作練習や、理学療法士による筋力トレーニング・歩行練習などを状態に合わせて行う 日常生活において必要な動作が行えるよう訓練メニューを考案・提供します。 脊髄梗塞発症後にベッド上あるいは車椅子移動だった患者さん7人に対して検討を行った結果、5人がリハビリテーションで自立歩行が可能(歩行器や杖使用も含まれます)となった報告もあります。 時間はかかりますし、病気以前の状態まで完全に戻すのは難しいかもしれません。しかし、リハビリテーションは機能改善に有効であり、脊髄梗塞の予後を決定する因子としても重要です。 再生医療が脊髄梗塞に有用! https://www.youtube.com/watch?v=D-THAJzcRPE 確立された治療法がない脊髄梗塞に対して、損傷した神経にアプローチし根治を目指す再生医療が注目されています。 再生医療では、患者様自身の細胞や血液を用いて損傷した神経の再生・修復を促し、従来の治療では難しかった脊髄梗塞の改善が期待できます。 当院リペアセルクリニックで行なっている再生医療「自己脂肪由来幹細胞治療」では、患者様から採取した幹細胞を培養して増殖し、その後身体に戻す治療法となっています。 \リペアセルクリニックの再生医療をご検討ください/ 【こんな方は再生医療をご検討ください】 脊髄梗塞の根治を目指せる治療法を探している 脊髄梗塞による痛みやしびれを早く治したい 現在受けている治療で期待した効果が得られていない また、当院リペアセルクリニックの「脊髄腔内ダイレクト注射療法」は、従来の点滴では届きにくかった損傷部位へ幹細胞を直接届ける治療法で、神経損傷による痛みやしびれに対しても高い治療効果が期待されます。 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは脊髄梗塞の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 脊髄梗塞に関するQ &A この項目では、脊髄梗塞に関するQ &Aを紹介します。 多くの方が抱えているお悩み(質問)に対して、医者の目線から簡潔に回答しているのでご確認ください。 脊髄梗塞の主な原因は? 脊髄梗塞の主な原因は以下のとおりです。 脊髄動脈の疾患 栄養を送る血管の損傷 詳細な原因については以下の関連記事で紹介しているのでぜひご確認いただき、症状改善の一助として活用ください。 脊髄梗塞の診断は時間を要する? そもそも脊髄梗塞は明確な診断基準がありません。 発症率が低い脊髄梗塞は最初から強く疑われず、急速な神経脱落症状(四肢のしびれや運動障害、感覚障害など)に加えてMRIでの病巣確認、さらに他の疾患を除外してからの診断が多いです。 また、MRIを施行しても初回の検査ではまだ変化がみられず、複数回の検査でようやく診断に至った症例が少なくありません。 ある病院の報告では、発症から診断に要した日数の中央値は10日となっており、最短で1日、最長で85日となっていました。 まとめ|脊髄梗塞は治るのか?症状改善には再生医療による治療を検討しよう 脊髄梗塞に対する従来の治療では有効な治療法が確立されていないため、リハビリテーションによって症状の改善を目指すことがほとんどです。 しかし、確立された治療法がない脊髄梗塞に対して、損傷した神経にアプローチし、根治を目指す再生医療が注目されています。 再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を用いて人間の持つ自然治癒力を向上させることで、脊髄梗塞や後遺症の改善が期待できる可能性がある治療法です。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 脊髄梗塞の根治を目指せる治療法を探している 脊髄梗塞による痛みやしびれを早く治したい 現在受けている治療で期待した効果が得られていない また、当院リペアセルクリニックでは、従来の点滴で届きにくかった損傷部位へ幹細胞を直接届ける「脊髄腔内ダイレクト注射療法」によって、神経損傷による痛みやしびれに対しても高い治療効果が期待されます。 「具体的な治療法を知りたい」「脊髄梗塞が治るか不安」という方は、ぜひ当院リペアセルクリニックにご相談ください。 ▼脊髄梗塞に対する再生医療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる ▼こちらも併せてお読みください。
2024.07.02 -
- 肝疾患
- 内科疾患
アルコール性肝炎は初期症状が軽いため、気づかずに放置してしまう人が多い病気です。 しかし、進行すると肝硬変や肝がんに移行し、命に関わる場合もあります。 肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、症状が現れたときにはすでに手遅れの可能性もあるため注意が必要です。 本記事では、初期症状や検査方法、重症化を防ぐためのポイントを解説します。 自分の体の異変にいち早く気づき、適切な対応を取りましょう。 アルコール性肝炎の初期症状 アルコール性肝炎は、初期段階では症状が出にくく、気づいたときには進行しているケースも少なくありません。 早期発見には、どのような兆候があるのかを知ることが大切です。 アルコール性肝炎でみられる初期症状と原因は以下のとおりです。(文献1) 症状 主な原因 倦怠感 肝臓の機能低下によるエネルギー不足 食欲不振 肝臓の炎症による消化機能の低下 腹痛 肝臓の腫れや炎症による右上腹部の痛み 発熱(微熱) 炎症反応による体温上昇 尿が濃い ビリルビン排出異常により尿の色が濃くなる 肝臓は、体内の解毒や栄養の代謝を行う重要な臓器です。 アルコールを大量に摂取すると、肝臓の細胞がダメージを受け、正常に働かなくなります。 その結果、エネルギー不足から倦怠感が生じ、消化機能の低下で食欲不振が起こります。 さらに、炎症が進行すると微熱が出たり、肝臓が腫れて腹痛がしたりするのも初期症状の特徴です。 アルコール性肝炎の初期症状は、風邪や疲労と勘違いしやすいため、長引く場合は注意が必要です。 【血液検査】アルコール性肝炎が疑われる検査値 アルコール性肝炎の診断は、黄疸の有無や血液検査における肝機能を示す酵素の異常値がポイントとなります。 ただし、これらの数値は他の肝疾患でも上昇するため、飲酒歴や追加の検査と併せて判断する必要があります。 血液検査で確認する主要な数値は次のとおりです。(文献2)(文献3) 検査項目 異常値の特徴 意味 γ-GTP 上昇(男性70IU/L超・女性40IU/L超) 肝臓がダメージを受けている AST(GOT)/ALT(GPT)比 AST>ALTが特徴的 アルコール性肝炎や脂肪肝で見られる傾向 白血球数 増加 肝臓の炎症による免疫反応 ビリルビン 上昇 黄疸が出る可能性が高い アルブミン 低下 肝臓の合成機能が低下している アルコール性肝炎では、γ-GTP、AST(GOT)、ALT(GPT)が上昇しやすく、とくにASTがALTより高くなる(AST>ALT)のが特徴です。 白血球数の増加が見られる場合は、炎症が進行している可能性が考えられます。 また、ビリルビン値の上昇によって皮膚や白目が黄色くなる黄疸が現れるケースもあります。 ただし、これらの数値は他の肝疾患でも異常を示す可能性があるため、医師の総合的な判断が必要です。 肝臓の数値に異常がある場合の原因や対策については、以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にご覧ください。 アルコール性肝炎の進行サイン・症状 アルコール性肝炎が進行すると、黄疸や消化器症状が現れる場合があります。 黄疸は血液中のビリルビンが過剰に増え、皮膚や白目が黄色くなる症状で、肝機能の深刻な低下を示します。 この状態になった場合は、早急に受診しましょう。 また、嘔吐や下痢が続く場合も注意が必要です。 肝臓の働きが低下すると消化機能が乱れ、食べ物の消化や吸収がスムーズに行われなくなります。 とくに、アルコール摂取後に強い気持ち悪さや腹痛が続く場合は、肝炎が進行している可能性があります。 アルコール性肝炎が進行すると栄養吸収が悪化して体力の低下につながるため、早めの検査と適切な対応が重要と言えるでしょう。 アルコール性肝炎を放置するリスク アルコール性肝炎を放置すると、症状が進行し、命に関わる合併症を引き起こす可能性があります。 とくに以下のリスクが高まるため注意が必要です。 肺炎・腎不全・消化管出血のリスク 肝硬変や肝がんのリスク 初期症状が軽くても軽視せず、早めに医療機関を受診しましょう。 肺炎・腎不全・消化管出血のリスク アルコール性肝炎が進行すると、免疫低下や血流異常によって以下のような症状が発生するケースがあります。(文献3) 起こりうるリスク 症状 肺炎 細菌感染を起こし、高熱や呼吸困難をともなう 腎不全 老廃物が排出されにくくなる 尿量の減少やむくみが起こる 重症化すると意識障害が起こる可能性がある 消化管出血 血流が滞り食道や胃の血管が破裂すると、吐血・黒色便などがあらわれる可能性がある いずれも進行すると命に関わるため、早急な治療が必要です。 肝硬変や肝がんの発症リスク アルコール性肝炎を放置すると、肝硬変や肝がんへ進行する可能性が高まるため注意が必要です。(文献4) 肝硬変は肝臓の細胞が線維化し、腹水や黄疸、手のひらの赤み(手掌紅斑)などの症状が現れ、最終的には肝不全につながります。 さらに、肝硬変が続くと肝細胞ががん化しやすくなり、肝がんを発症するリスクが高まります。 初期の肝がんは症状が乏しく、発見が遅れることが多いため、定期的な検査が欠かせません。 そのため、普段から酒量が多いと感じている方は、少しでも異常を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。 こちらの記事では、アルコール性肝炎の治療法について詳しく解説しています。 アルコール性肝炎の検査方法 アルコール性肝炎の診断には、血液検査や画像検査、肝生検、飲酒習慣のチェックが用いられます。 検査方法 検査内容 特徴 血液検査 肝機能の数値を測定 AST・ALT・γ-GTPの上昇、ビリルビン値の確認 画像検査(エコー・CT・MRI) 肝臓の状態を確認 肝臓の腫れ・脂肪の蓄積・血流異常の検出 肝生検 肝臓の組織を採取 病変の進行度を詳細に分析 飲酒習慣のスクリーニング 飲酒量や依存度を評価 AUDITなどのテストを活用 自覚症状が乏しい場合も多いため、これらの検査を組み合わせることで病状を正確に把握できます。 本章では、それぞれの検査方法について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。 血液検査で肝機能の異常を確認 血液検査では、肝臓の炎症や機能低下を示す数値の異常が確認できます。 主にγ-GTP、AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇が見られ、ASTがALTより高くなるのが特徴です。 また、ビリルビン値が上昇すると黄疸の可能性が高まります。 ただし、これらの異常値は他の肝疾患でも見られるため、血液検査だけで確定診断はできません。 画像検査(エコー・CT)で肝臓の状態をチェック 肝臓の状態を詳しく調べるために、腹部エコー(超音波検査)やCT検査が行われます。 エコーは、肝臓の腫れや脂肪の蓄積、血流の異常などの確認に有効です。 また、CT検査では、より詳細な画像が得られ、肝硬変や肝がんの有無も判断しやすくなります。 血液検査と組み合わせることで、肝臓のダメージを総合的に評価できます。 肝生検で病変の進行度を詳しく調べる 肝生検は、肝臓の組織を直接採取して病状を詳しく分析する検査です。 肝炎の進行度や肝細胞の損傷の程度を確認するために実施されます。 とくに、肝硬変や肝がんの疑いがある場合に有効です。 ただし、ほかの検査より体に負担がかかりやすいため、他の検査で診断が難しい場合に行われるのが一般的です。 飲酒習慣のスクリーニングテストでリスクを見極める アルコール性肝炎は、長期間の過剰な飲酒が主な原因です。 一度肝炎が回復しても、飲酒による再発・悪化の可能性があるため、飲酒習慣を把握するスクリーニングテストを行うケースがあります。 具体的には、飲酒量や依存度を評価する「AUDIT(アルコール使用障害スクリーニング)」と呼ばれる質問形式のテストを活用します。 また、スクリーニングテストのほかに、血液・画像・生検・飲酒歴の確認を組み合わせると、より正確な診断が可能です。 そのため、飲酒量が多い人は、肝機能が大きく低下する前に治療を開始することが大切です。定期的な検査をうけるようにしましょう。 まとめ|アルコール性肝炎の初期症状を見逃さず早めに受診しよう この記事では、アルコール性肝炎の初期症状や進行リスク、検査方法について解説しました。 アルコール性肝炎は自覚症状が乏しく、気づかないうちに進行する病気です。 倦怠感・黄疸・食欲不振・尿の色の変化がある場合は、早めの受診が必要です。 また、血液検査や画像検査を活用すれば、肝機能の低下を早期に発見できる可能性があります。 とくに、長期間の飲酒習慣がある場合は、定期検査を受けるのがおすすめです。 放置すれば肝硬変や肝がんのリスクが高まるため、異変を感じたら早めに医療機関で検査を受けましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では肝硬変・肝炎に対し手術を伴わない「再生医療」を提案しています。 再生医療について詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。 アルコール性肝炎の初期症状に関するよくある質問 アルコール性肝炎の自覚症状はありますか? 初期のアルコール性肝炎は自覚症状がほとんどありません。 しかし、倦怠感・食欲不振・黄疸・腹痛・微熱などが見られるケースがあります。 また、尿の色の変化や黄疸が出た場合は、肝機能の低下が進んでいる可能性があるため要注意です。 アルコール性肝炎は初期症状の段階で禁酒すれば治りますか? 初期の段階で禁酒すれば、肝機能が回復する可能性はあります。 肝臓は再生能力が高いため、飲酒をやめることで炎症が落ち着き、回復するケースも多いです。 ただし、肝硬変まで進行すると回復は難しくなります。 一度回復しても、飲酒を再開すると再発するリスクがあります。医師の指導のもと、禁酒と生活習慣の改善を継続し、異変を感じたら早めに受診しましょう。 参考文献 (文献1) 土島睦,金沢医科大学「お酒と肝臓」 https://www.kanazawa-med.ac.jp/~hospital/docs/%2854-2%29%E3%81%8A%E9%85%92%E3%81%A8%E8%82%9D%E8%87%93%EF%BC%88%E5%9C%9F%E5%B3%B6%E6%95%99%E6%8E%88%29.pdf (最終アクセス:2025年3月16日) (文献2) 福岡労働衛生研究所「肝臓病」 https://www.rek.or.jp/js/kcfinder/upload/files/%E2%91%A4%E8%82%9D%E8%87%93%E7%97%85%E3%80%902020.6.10%E6%94%B9%E8%A8%82%E3%80%91%281%29.pdf (最終アクセス:2025年3月16日) (文献3) 全国健康保険協会「アルコール性肝障害 (Alcoholic Liver Disease:ALD)」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/kochi/20140325001/2016120600012kannshougai.pdf (最終アクセス:2025年3月16日) (文献4) 岡山県肝炎相談センター「肝臓のおはなし」2016年 http://kanen.ccsv.okayama-u.ac.jp/upload/topics/58/file.pdf (最終アクセス:2025年3月16日)
2024.06.25







