-
- 脳梗塞
- 脳卒中
- 頭部
「閃輝暗点から脳梗塞に進展する確率を知りたい。」 「閃輝暗点が出たらどうしたら良いのだろう?」 この記事を読んでいるあなたは、「閃輝暗点」と脳梗塞の関係について、不安に思っているのではないでしょうか。 「受診の目安や受診先を知りたい」と思っているかもしれません。 結論として、閃輝暗点が脳梗塞の前兆となる可能性はあります。過度に恐れる必要はありませんが、脳梗塞であった場合のリスクを考えて受診をおすすめします。 本記事では、閃輝暗点が脳梗塞の前兆である確率や、脳梗塞の場合の症状やサインなどを現役医師が詳しく解説しています。記事を最後までご覧いただくことで閃輝暗点と脳梗塞の関係を理解し、適切な対処ができるようになるでしょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 閃輝暗点と脳梗塞について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 閃輝暗点とは?脳梗塞との関係性 項目 閃輝暗点とは 脳梗塞との関係性 症状の特徴 ジグザグ・キラキラした光や模様が視界に現れ、一時的に見えにくくなる 脳の視覚野の血流低下や血管攣縮で似た症状が現れることがある 持続時間 数十分以内で自然に消失 持続する場合や他症状を伴う場合は脳梗塞やTIAの可能性 よくみられる原因 片頭痛の前兆 脳血管の障害や一時的な脳の血流障害 注意すべきサイン 中高年で頭痛を伴わず初発・繰り返すケース 麻痺や言語障害、視覚異常など他の神経症状が同時に出現 リスクが高まる条件 前兆を伴う片頭痛がある45歳未満女性 片頭痛に喫煙・経口避妊薬を併用すると脳梗塞リスクが7〜9倍に上昇 おすすめの対応 症状や経過の記録、心配な場合は脳神経外科受診 初発や異常を感じた場合はMRIやCTによる早期精密検査 閃輝暗点とは、視界にギザギザした光やチカチカした模様が現れ、数分から30分程度続く一過性の視覚異常です。多くの場合は片頭痛の前兆として生じますが、脳の血流障害が原因となることもあり注意が必要です。 閃輝暗点の初期症状や治療法など、包括的な解説を見たい方は「【医師監修】閃輝暗点とは|放置によるリスクから初期症状・治療法まで詳しく解説」をご覧ください。 脳梗塞では、血流が障害されることで視覚異常が起こることがあります。片頭痛に伴う閃輝暗点と、脳梗塞に関連する視覚症状は、症状の経過や見え方に違いがあるため、区別することが大切です。 とくに初めて経験した場合や、これまでと異なる症状が出た場合には、速やかに医療機関を受診し、必要に応じて検査を受けることが推奨されます。 閃輝暗点の見え方については「【医師監修】閃輝暗点の見え方について解説|片目だけ・初めての症状は危険?」をご覧ください。 閃輝暗点が脳梗塞の前兆である確率は低い 閃輝暗点が脳梗塞の前兆である確率は高くありません。 多くの場合は片頭痛に関連した現象であり、直接脳梗塞に結びつくことは少ないとされています。しかし、これまでの研究では脳梗塞の前兆として閃輝暗点が出現した例も報告されています。 とくに40歳以上の方や、高血圧・糖尿病・不整脈といった生活習慣病を有する場合には注意が必要です。症状の頻度が急に増えたり、見え方がこれまでと異なったりする場合は、一過性脳虚血発作(TIA)など脳血管障害のサインである可能性も考えられます。 脳梗塞は早期に発見し適切な治療を受けることで、進行や悪化を防げるケースもあります。不安を感じた際には、速やかに脳神経外科などを受診しましょう。 以下の記事では、脳梗塞の前兆について詳しく解説しています。 【症状例】閃輝暗点から脳梗塞を発症した2つのケース 発症ケース 詳細 ケース1. 閃輝暗点から片頭痛になり脳梗塞を発症する 閃輝暗点が片頭痛の前兆として発生し、通常は数十分で消失。片頭痛の後に手足のしびれや脱力感が加わり、脳の後頭葉で脳梗塞が診断された例。片頭痛による血管の収縮が血栓を作り脳梗塞へ進展する可能性 ケース2. 頭痛のない閃輝暗点から脳梗塞を発症する 頭痛を伴わない閃輝暗点が突然起き、視野の一部欠損や見え方の異常が続く。脳の後頭葉に脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)が発生し血流障害による症状。自己判断が難しく受診による画像診断が必要 閃輝暗点から脳梗塞になる際は、片頭痛発作の後になるパターンと頭痛なしで脳梗塞になるパターンがあり、症状や経過によって背景にある病態は異なります。 片頭痛に続いて脳梗塞が発症するケースでは、血管の収縮や血栓形成が関与すると考えられています。一方、頭痛を伴わない閃輝暗点は一過性脳虚血発作(TIA)の前兆で、見逃すと脳梗塞につながる危険があります。いずれの場合も自己判断は難しく、早期の受診と検査が重要です。 ケース1. 閃輝暗点から片頭痛になり脳梗塞を発症する 年齢・条件 脳梗塞発症リスクの増加 45歳未満の前兆のある片頭痛女性 脳梗塞リスクが2倍 50歳未満の前兆のある片頭痛女性(年12回以上の発作がある場合) 脳梗塞リスクが2~10倍 閃輝暗点とは、視界にギザギザした光が現れ数十分でおさまる、片頭痛の前兆です。片頭痛は、脳梗塞のリスクを増加させる可能性があります。 また、喫煙する人や経口避妊薬を服用している人は、脳梗塞の発症リスクが7〜9倍になると報告されています。 若年者で脳梗塞は稀です。しかし、閃輝暗点を伴う片頭痛がある人ではリスクが2倍以上に高まります。 以下の記事では、片頭痛を含む頭痛の危険性について詳しく解説しています。 ケース2. 頭痛のない閃輝暗点から脳梗塞を発症する 項目 内容 頭痛を伴わない閃輝暗点 脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)の前兆の可能性 発症の特徴 突然の視覚異常が数分~数十分で回復するが脳血管異常のサイン 発生部位 視覚情報を処理する脳の後頭葉 主な症状 視野欠損や視界の異常 自己判断の難しさ 脳梗塞かどうかの判断が困難 受診の推奨 初めての症状や異常な経過時は脳神経外科または内科での検査が必要 閃輝暗点は、視界にギザギザやチカチカした光が現れる一過性の視覚異常で、多くは片頭痛の前兆として起こります。 頭痛を伴わない閃輝暗点の中には脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)の前兆として現れることもあります。TIAは数分から数十分で自然に回復するものの、将来的に脳梗塞へ進展するリスクが高い病気です。 脳の部位である後頭葉は、視野を司る部位であり、血流障害が生じると視野の欠損、視覚異常などが起こります。 頭痛を伴わない閃輝暗点は脳梗塞の兆候の可能性があるため、自己判断せず医療機関を受診することが重要です。 脳梗塞のサインとして現れる視覚異常の特徴 視覚異常の特徴 詳細 片側だけが見えにくくなる(半盲) 脳の後頭葉や視覚路の障害による、左右どちらかの視野が欠ける状態 視界の一部が欠ける(視野欠損) 視界の一部分が見えなくなり、日常生活に支障をきたす視覚障害 物が二重に見える(複視) 脳神経の障害により物が二重に見える状態。両眼で見ると二重に見えることが特徴 急に視力が落ちる・かすむ 突然の視力低下やぼやけ、ピントが合わない状態 目の奥が我慢できないほど痛む 脳や神経の異常による強い眼球奥の痛み。頭痛や吐き気を伴うこともある 脳梗塞のサインとして、半盲、視野欠損、複視、急な視力低下やかすみ、強い眼痛などの視覚異常が現れることがあります。 これらは脳の後頭葉や視覚に関わる神経の異常による症状であり、脳梗塞の前兆の可能性もあります。症状が突然出たり繰り返す場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。 片側だけが見えにくくなる(半盲) 項目 内容 半盲とは 両目の同じ側の視野が欠ける状態 発症の原因 脳梗塞による視放線や後頭葉の血流障害 欠損視野の左右 右脳障害で左視野欠損、左脳障害で右視野欠損 日常生活での影響 欠けた視野に気づきにくく、壁にぶつかるなど支障 注意点 視野欠損の多くは脳梗塞起因、中年以降はとくに注意 半盲は、視野の半分が突然見えなくなる視覚障害です。右側または左側の視野全体が欠け、真っ黒に見える、あるいは見えない壁があるように感じることが特徴です。 原因は、視覚情報を処理する後頭葉や視放線といった経路が、脳梗塞によって障害されることです。閃輝暗点が光のジグザグや一部の欠けとして現れるのに対し、半盲は広範囲が失われる点で異なります。 自身では気づきにくく、物にぶつかる、文字の一部が読めないなど日常生活に支障をきたします。半盲は脳梗塞の重要なサインであり、出現した際には速やかに医療機関で診察とMRIなどの検査を受けることが重要です。 視界の一部が欠ける(視野欠損) 項目 内容 見え方の特徴 視界の片側一部が見えなくなる、文字の一部が欠ける、かすかに光が見えるが全体的に欠損感あり 日常生活での気づき 通路や道で片側から人や柱にぶつかる、読書や画面で文字の一部が突然見えなくなる 原因 脳梗塞による後頭葉や視覚伝導路の損傷で視覚情報が脳に届かなくなること 自覚症状 視野の一部が黒く抜けたように感じることがあり、症状が固定する場合もある 注意点 目の問題ではなく脳の障害によるもので、早期受診が重要 視野欠損とは、視野の一部が欠けて見えなくなる状態で、閃輝暗点と異なり光を伴わず見えない、ぼやけるといった症状が持続するのが特徴です。 脳梗塞による後頭葉や視覚経路の障害で起こり、片側の視野が欠ける、文字が読めない、黒く抜けたように見えるなどの症状として現れます。 日常では、人や柱に片側からぶつかることで気づかれることもあり、一部は回復するものの固定して残る場合もあります。目の異常ではなく脳の障害による重要なサインであり、脳梗塞の可能性があるため、早期の受診とMRI検査などによる確認が必要です。 物が二重に見える(複視) 複視とは物が二重に見える症状で、脳幹の血流障害により眼球を動かす神経が障害され、左右の目が協調して動かなくなることで起こります。 動眼神経の障害で目の動きやまぶたに異常が生じ、複視は脳梗塞のほか脳腫瘍・動脈瘤・頭部外傷でも起こります。突然の複視は脳卒中の重要なサインのひとつであり、片目が動かしにくい、二重に見えるといった症状が現れた場合は、速やかに医療機関で検査を受けることが重要です。 急に視力が落ちる・かすむ 項目 内容 原因 脳への血流遮断による後頭葉や視覚経路の障害 急な視力低下・かすみ 片側眼または両眼での急激な視力低下やぼやけ 一過性黒内障 片眼の視野がカーテンのように暗くなる、一時的な血流遮断による症状 後頭葉梗塞の影響 右脳後頭葉障害による両眼の左側視野欠損(同名半盲)、視界の欠損や薄暗さ 閃輝暗点との違い 閃輝暗点は光や模様の視覚異常、こちらは直接的な視力低下や視野欠損を伴う症状 急な視力低下やかすみは、脳梗塞による視覚野や視覚経路の血流障害で起こる重要なサインです。代表的なものに一過性黒内障があり、片目だけ突然暗くなり、カーテンが下りるように視野が遮られます。 これは頚動脈の血栓による一時的な血流遮断が原因です。また、後頭葉の梗塞では両眼の同じ側に視野欠損(半盲)が生じ、視界が欠けたり全体が薄暗く見えることがあります。 閃輝暗点が光や模様を伴う一過性の現象であるのに対し、これらは直接的な視力低下や持続する視野障害が特徴です。こうした症状が現れた場合は、脳梗塞の可能性を考慮し、速やかな受診と検査が必要です。 目の奥が我慢できないほど痛む 目の奥の激しい痛みは、多くの場合は眼精疲労やドライアイ、緑内障発作、群発頭痛など目や頭の病気が原因です。しかし、まれに脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)、さらには脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血といった脳血管障害の前兆として現れることがあります。 とくに突然の強い痛みに加えて視力低下、視野の欠損、物が二重に見えるなどの症状を伴う場合、あるいはしびれ・麻痺・言語障害が一緒に出る場合は注意が必要です。 これらは脳卒中の緊急サインであり、速やかな受診、場合によっては救急要請が推奨されます。 以下の記事では、目の奥の痛みと脳梗塞の関係性を詳しく解説しています。 【脳梗塞?】閃輝暗点が起きたときの受診の目安 受診の目安 詳細 身体の麻痺・しびれ、視覚異常、言語障害の有無をチェック 手足の麻痺やしびれ、視覚の変化、言葉がうまく話せない症状の有無の確認 「初めて」「頻度・性質・持続時間が変わった」ときは要注意 閃輝暗点が初発の場合や、症状の頻度・強さ・持続時間に変化があった場合は早めの受診推奨 閃輝暗点は多くの場合、片頭痛の前兆として現れますが、稀に脳梗塞のサインの可能性もあります。そのため、ただの片頭痛と自己判断せず、受診の目安を知っておくことが大切です。 とくに手足の麻痺やしびれ、視覚異常、言葉が出にくいなどの神経症状を伴う場合、また初めて症状が出たときや頻度・性質・持続時間に変化がある場合は注意が必要です。受診の目安は示されていますが、少しでも異変を感じた場合は早めの受診が重要です。 身体の麻痺・しびれ、視覚異常、言語障害の有無をチェック 閃輝暗点は多くの場合、片頭痛の前兆として現れる一時的な視覚症状ですが、稀に脳梗塞などの脳血流障害の前兆として発症します。 脳梗塞では視覚異常に加えて片側の手足の麻痺やしびれ、言葉が出にくい、理解が難しいといった言語障害を伴うことが多く、これらは血流が途絶えた部位の機能障害を反映する重大な兆候です。そのため閃輝暗点が起きたときには、麻痺やしびれ、普段と異なる視覚障害、言葉のもつれや認知障害がないかを確認することが重要です。 こうした症状を伴う場合は脳梗塞の可能性が高いため救急受診が必要であり、視覚症状のみであっても頻度や性質が変化する際には早めに医療機関を受診することが重要です。 「初めて」「頻度・性質・持続時間が変わった」ときは要注意 閃輝暗点は多くの場合、片頭痛の前兆として一過性に現れますが、初めて症状が出た場合には脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)など脳の血流障害による可能性もあります。とくに40歳以降で初発の場合は、医療機関で検査を受けることが推奨されます。 また、以前から閃輝暗点がある方でも、出現頻度が急に増えたり、見え方がこれまでと異なったり、症状が長引く場合には注意が必要です。こうした変化は単なる片頭痛の前兆ではなく、脳の血管異常を示す可能性があります。 閃輝暗点は多くが一過性ですが、脳梗塞の早期サインと重なることもあるため、自己判断せず、異変を感じた際には早急に医療機関を受診しましょう。 【脳梗塞?】閃輝暗点が起きたときの対処法 対処法 詳細 眼科ではなく脳神経外科を受診する 閃輝暗点は脳が原因の症状のため、眼科ではなく脳神経外科の受診が必要 脳梗塞を見逃さないためにCTやMRI検査を受ける 脳神経外科で問診・診察後、頭部CTやMRIで脳梗塞の有無を詳しく確認 脳梗塞と診断された場合は血栓回収療法を受ける 脳梗塞診断後は血栓を取り除く治療(血栓回収療法)などを早期に開始することで重症化予防が可能 閃輝暗点は多くの場合片頭痛の前兆ですが、稀に脳梗塞のサインとして発症します。とくに手足の麻痺やしびれ、言葉のもつれなど他の神経症状を伴う場合は、自己判断せず速やかに受診することが重要です。 眼の病気と思って眼科に行く方もいますが、原因は脳にあるため脳神経外科を受診する必要があります。診察後には頭部CTやMRIで脳梗塞の有無を詳しく確認し、脳梗塞と診断された場合は血栓回収療法など早期治療を開始することで重症化を防止できます。 眼科ではなく脳神経外科を受診する 閃輝暗点は一見すると目の病気のように感じられますが、実際には脳の血流異常や神経の働きの異常が関与していることが少なくありません。 脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)が背景にあり、正確な診断のためには脳を専門とする脳神経外科や神経内科の受診が必要です。眼科は緑内障や網膜剥離など目そのものの疾患を対象とする診療科であり、脳の異常を十分に評価することは困難です。 一方、脳神経外科や神経内科ではCTやMRIといった画像検査によって脳の血管や神経の状態を詳細に確認でき、脳梗塞の早期発見や適切な治療につながります。とくに初めて症状が出現した場合や経過がこれまでと異なる場合、さらに麻痺や言語障害を伴う場合には、速やかに医療機関を受診することが重要です。 脳梗塞を見逃さないためにCTやMRI検査を受ける 項目 内容 脳出血の除外 急な症状発症時にCTで脳出血の有無を迅速確認、治療方針決定に必須 初期脳梗塞の検出 MRIの拡散強調画像(DWI)で小さな梗塞や見落としやすい領域も高精度で把握 血栓位置・血流状態の把握 CTAやMRAで血栓の位置や範囲を特定し、適切な血栓回収療法やt-PA投与の判断につなげる 診断精度の向上・誤診防止 症状だけでは片頭痛等との区別困難なため、画像検査で脳以外の原因との鑑別を可能に 脳梗塞の診断にはCTやMRIが欠かせません。CTは脳出血の有無を迅速に確認でき、治療方針の決定に直結します。MRIは発症直後のごく小さな梗塞も捉えられ、とくに後頭葉など見落としやすい部位の診断に有用です。 CTAやMRAで血管の詰まりを把握でき、血栓回収療法など治療の適応判断に役立ちます。症状だけでは片頭痛などとの区別が難しいため、画像検査による早期評価がより正確な診断につながる可能性があります。 以下の記事では、MRI検査について詳しく解説しています。 脳梗塞と診断された場合は血栓回収療法を受ける 項目 内容 血栓回収療法の目的 詰まった血栓を機械的に取り除き、血流を再開させる治療 脳細胞の壊死防止 血流遮断による脳細胞の死滅進行を抑え、後遺症の軽減を図る 高い再開通率 カテーテル使用で約90%の再開通率 治療可能時間の拡大 発症から最大24時間まで治療可能な場合があり、発症から時間が経過していても治療を受けられる可能性がある 後遺症リスク軽減と社会復帰支援 早期治療により麻痺や言語障害の後遺症を減らし、生活や社会復帰の支援を促進 脳梗塞は、血栓によって脳の血管が詰まり、神経細胞に酸素や栄養が届かなくなることで急速に壊死が進行し、重い後遺症や生命の危険を招く疾患です。血栓回収療法は、カテーテルを用いて血栓を直接除去し血流を再開させる治療であり、高い再開通率が報告されています。 脳梗塞では、発症から最大24時間まで適応可能な場合があり、発症時刻が不明なケースや発症から4.5時間を超えた患者にも治療の選択肢が広がっています。早期に血流を再開することで脳細胞の壊死を最小限に抑え、後遺症を軽減し社会復帰や自立につなげられるため、速やかな血栓回収療法は命と生活の質を守る上で極めて重要です。 以下の記事では、脳梗塞の治療や後遺症について詳しく解説しています。 脳梗塞の予防策 予防策 詳細 高血圧を防ぐ 定期的な血圧測定と記録、減塩や適度な運動による生活習慣改善 片頭痛をコントロールする 医師の診断と薬物療法、ストレス管理や規則正しい生活習慣の維持 定期健診を受ける 健康状態の把握と早期発見のための血圧、血糖、脂質検査の継続 脳梗塞の予防には、高血圧の管理、片頭痛のコントロール、定期健診の受診が重要です。高血圧は定期的な測定と記録、減塩や運動による生活習慣改善で防ぐことができます。 片頭痛は医師の診断による薬物療法や、ストレス管理、規則正しい生活でコントロールが可能です。定期健診では血圧・血糖・脂質を継続的に確認し、生活習慣病の早期発見につなげます。閃輝暗点が直接脳梗塞を起こすことは稀ですが、脳梗塞は誰にでも起こり得るため、日頃から予防策を実践することが大切です。 なお、脳梗塞の再発予防を目的とした治療法として、再生医療という選択肢があります。脳梗塞に対する再生医療の治療例については、以下の症例記事をご覧ください。 高血圧を防ぐ 項目 内容 脳卒中リスクの最重要因子 高血圧は脳梗塞や脳出血の主な原因であり、血圧上昇に伴いリスクも直線的に増加する 血圧の持続的上昇の影響 収縮期・拡張期ともに高い状態が続くと血管がダメージを受け、脳卒中の発症率が上昇する 血管負担軽減と動脈硬化抑制効果 血圧を下げることで血管への負担を軽減し、動脈硬化の進行を遅らせることで予防効果を発揮 脳卒中リスクの明確な低下 収縮期血圧が10mmHg下がると脳卒中リスクが約40%減少し、5mmHg低下でもリスク低下が確認されている 早期管理の重要性 高血圧の早期発症や長期持続はリスク増大と降圧薬の必要性増加につながり、早期対応が必須 発症率抑制の可能性 高血圧を完全予防できれば、脳卒中の発症率を約半分に減少させる可能性がある (文献1)(文献2) 高血圧は脳梗塞をはじめとする脳卒中の最大のリスク因子であり、血圧を下げることで動脈硬化の進行を抑え、脳卒中の発症率を減少させることが期待できます。 収縮期血圧を10 mmHg下げると脳卒中リスクが約40%低下することが報告されています。(文献1) さらには日常的な降圧で発症率を半減させる可能性もあるため、生活習慣の改善や定期測定による早期管理が極めて重要です。 以下の記事では、脳梗塞の発症予防について詳しく解説しています。 片頭痛をコントロールする 片頭痛に関連する可能性のある要因 内容 空腹 食事を抜くことや長時間の空腹状態 運動 激しい運動や身体活動 月経周期 ホルモン変化に伴う周期的な影響 天候の変化 気圧や温度の変化 光・におい・音・温度差 強い光、特定のにおい、大きな音、温度差 睡眠の乱れ(寝不足・寝すぎ) 不規則な睡眠や過不足による影響 食べ物(チョコレート・ナッツ・ワインなど) 特定の食材が誘因となる場合がある ストレス(感じる・解放される) 精神的緊張や解放後の反応 片頭痛の誘発要因として、空腹による血糖値の低下、急激な運動による身体的負担、月経周期に伴うホルモン変動、天候の変化や光・におい・音・温度差などの環境刺激、睡眠の乱れ(寝不足・過剰睡眠)、特定の食品(チョコレート・ナッツ・ワインなど)、ストレスの蓄積や解放といった要素が挙げられます。 さらに、閃輝暗点などの前兆のある片頭痛を持つ女性においては、脳梗塞の発症リスクが約2倍とされ、喫煙や経口避妊薬の併用、高頻度の発作(年12回以上)などが重なると、そのリスクはさらに上昇します。(文献3) 前兆のある片頭痛の場合は、頭痛としての対処だけでなく専門医に相談し、脳卒中のリスクを踏まえた全身的な管理を行うことが重要です。 以下の記事では、頭痛の対処法について詳しく解説しています。 定期健診を受ける 脳梗塞は、高血圧・糖尿病・脂質異常症・不整脈(心房細動)などの生活習慣病が主な原因です。これらは自覚症状が現れにくく、気づかないうちに進行して脳の血管に負担をかけ、脳梗塞を引き起こす可能性があります。 定期健診では血圧・血糖値・コレステロール値・心電図を確認でき、脳梗塞のリスク因子を早期に発見し、生活習慣の改善や薬でコントロールすることで将来の発症リスクを大きく下げられます。 また、健診で医師に相談することで、自分の体質や生活習慣に合わせた予防方法を取り入れられる点も大きなメリットです。 閃輝暗点から脳梗塞に進展する確率は低いが医療機関での受診が重要 閃輝暗点から脳梗塞に至る確率は低いとされていますが、その症状が問題ないものなのかを自身で判断することは困難です。 脳梗塞だった場合、治療が遅れると症状が悪化するリスクが高まるため、不安な閃輝暗点が現れた際は早めに脳神経外科を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、脳梗塞後の治療として再生医療(幹細胞治療)を行っています。再生医療は、脳梗塞によってダメージを受けた脳細胞の修復や麻痺の改善、リハビリ効果の向上などに効果が期待できます。 再生医療へのご質問・ご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けております。気になる点がありましたら、どうぞ気軽にご相談ください。 閃輝暗点と脳梗塞の確率に関するよくある質問 閃輝暗点から脳梗塞になる原因はスマホですか? 閃輝暗点は脳の血流低下が原因で起こるため、スマホが直接的に閃輝暗点や脳梗塞を起こす可能性は低いと考えられます。 しかし、以下のようなパターンでは、スマホの使用が閃輝暗点や脳梗塞へ間接的に影響する可能性があります。(文献4) スマホの光から片頭痛発作が起こり、脳梗塞になる 疲れているときにスマホを操作し、片頭痛発作から脳梗塞になる 悪い姿勢でのスマホ操作が続き、脳を含めた全身の血流が低下する 操作姿勢やタイミング、使用時間などを見直し、適切なスマホ使用を心がけましょう。 閃輝暗点を放置するとどうなりますか? 閃輝暗点が片頭痛の前兆だった場合、その後頭痛発作が起きると考えられます。 また、閃輝暗点が脳梗塞の前兆だった場合は、しびれ、言葉が出なくなるなどの症状が出る可能性もあります。閃輝暗点が脳梗塞に移行するかどうかを自分で判断するのは困難です。不安を感じる場合には、医療機関を受診することが望まれます。 頭痛がない閃輝暗点は危険ですか? 頭痛が伴わない閃輝暗点が出現した場合、片頭痛以外の異常が起きている可能性があります。 閃輝暗点が脳梗塞の前兆である可能性は否定できません。脳梗塞は早期対応によって予後が大きく左右されます。頭痛を伴わない閃輝暗点が見られた場合は、脳梗塞の前兆を確認するために医療機関への受診が推奨されます。 脳梗塞の後遺症が出た場合はどうすれば良いでしょうか? 脳梗塞の後遺症には、早期からのリハビリと多職種による支援が重要です。理学療法での機能回復、作業療法での日常動作支援、言語療法でのコミュニケーション回復に加え、心理的なサポートも効果的です。入院後も外来や訪問でリハビリを続けることで、機能の維持・向上につながります。 また、自己管理を取り入れることで生活の質や自立性は高められますが、リハビリは自己流ではなく、医師の指導のもとで行うことが不可欠です。医師と連携し、自分に合ったプランを進めることで、より適切で効果的な回復が期待できます。 以下の記事では、脳梗塞の後遺症について詳しく解説しています。 参照文献 (文献1) 脳卒中の1次,2次予防と血圧管理|シンポジウム (文献2) 脳血管障害・脳卒中|厚生労働省 (文献3) 性差を勘案した片頭痛診療|(日本頭痛学会誌,50:135―139,2023) (文献4) 頭痛の診療ガイドライン2021|日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会
2025.01.24 -
- 頭部
脳挫傷は、脳に外部からの衝撃や圧力が直接的に加わることで起こる疾患です。スポーツ中の衝突や交通事故、転倒などが原因になるケースが多く、軽度から重度まで損傷の程度によって症状はさまざまです。 脳挫傷を負ってから体調が優れない日が続くと、「後遺症が出るのではないか」「症状が進行するのではないか」と不安に感じる方も多いでしょう。 実際に、脳挫傷は以下のような後遺症が残りやすく、日常生活に大きく影響する可能性があります。 そのため、脳挫傷の後遺症が疑われる場合は、早期に医療機関で検査を受けることが大切です。 今回は、脳挫傷の後遺症について現役医師が解説します。 主な症状や注意点をまとめているので、正しい理解を深めるための参考にしてください。 \根本治療につながる再生医療とは/ 再生医療とは、損傷を受けた細胞や組織に対し、体が本来持っている再生能力を活用して機能回復を目指す新しい医療技術です。 従来のリハビリや投薬では難しかった脳挫傷による後遺症の改善にも、近年注目が集まっています。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 脳挫傷の後遺症(記憶障害・注意力の低下・感情のコントロール障害など)に長く悩まされている 現在のリハビリや治療で思うような改善が見られない 手術や長期入院ではなく、体への負担が少ない治療法を探している 「もう元に戻らない」と回復をあきらめかけている 「脳挫傷の後遺症を少しでも改善したい」「再生医療について詳しく知りたい」という方は、再生医療を専門とする当院リペアセルクリニックにお問い合わせください。 脳挫傷による7つの後遺症 脳挫傷とは、脳の一部が損傷している状態のことです。脳は硬膜と呼ばれる膜に包まれており、頭蓋骨の中にあります。 しかし、事故などで頭部に強い衝撃を受けると、脳が頭蓋骨にぶつかって損傷を受ける場合があります。 脳挫傷は外傷性脳損傷の一種で、主な症状は意識障害や記憶障害、頭痛などです。軽度の場合は数日で回復するものの、重度の場合は深刻な後遺症を引き起こす場合があります。 以下で、脳挫傷による主な後遺症を7つ解説するので、ぜひ参考にしてください。 高次脳機能障害 身体性機能障害 遷延性意識障害 平衡機能障害 感覚器等の機能障害 外傷性てんかん 頭痛 1.高次脳機能障害 脳挫傷による後遺症として多いのが、高次脳機能障害です。高次脳機能とは、具体的に以下のような能力を意味します。 認知 思考 判断 記憶 計画 学習 脳挫傷によって高次脳機能を司る部分がダメージを受けると、記憶障害をはじめ、集中力や判断力の低下などの症状が現れます。 高次脳機能障害の主な症状 記憶障害 集中力の低下 判断力や計画力の低下 情緒的な変化 記憶障害が現れると、新しい情報を覚えることが難しくなり、記憶力が低下します。とくに最近の出来事を覚えられなくなる「短期記憶障害」を発症するケースが多いとされています。 高次脳機能障害による症状は、学校生活や職場など、日常生活に支障をきたすため、リハビリテーションによる認知機能の回復に努めることが大切です。 2.身体性機能障害 脳挫傷によって、運動機能を司る部分が損傷すると、身体性機能障害を引き起こします。身体性機能障害とは、脳の損傷によって身体の一部が麻痺したり、身体に痛みやだるさを感じたりする症状が続く状態を意味します。 身体性機能障害の主な症状 身体の麻痺 手足の痺れ 歩行障害 バランス感覚の低下 筋力低下 身体性機能障害の症状は、リハビリテーションによって徐々に回復が見込まれるものの、完全な回復には時間がかかるといえるでしょう。 3.遷延性意識障害 遷延性意識障害も、脳挫傷による後遺症の一つです。遷延性意識障害とは、脳挫傷によって意識が完全に回復しない場合や、覚醒状態と昏睡状態を繰り返している状態を意味します。遷延性意識障害はとくに重度の脳挫傷で多く見られる後遺症です。 遷延性意識障害の主な症状 昏睡状態 意識がぼんやりとしている状態 短時間の覚醒 外部からの刺激に対する反応の低下 なお、遷延性意識障害の症状が長期間続く場合は、回復の見込みが低くなり、治療の難易度も高まります。 4.平衡機能障害 脳挫傷による後遺症には、平衡機能障害もあります。脳挫傷によって平衡感覚を司る部位が損傷すると、目が回って立っていられなかったり、歩行時にフラついたりするなどの症状が現れる場合があります。立ち上がり時や歩行時に強いフラつきを感じると、転倒のリスクが高まるため注意が必要です。 平衡機能障害の主な症状 めまいや吐き気 バランス感覚の喪失 歩行や立位の不安定性 平衡機能障害の症状がある場合は、リハビリテーションやバランス訓練などに取り組むことで、回復を目指していきます。 5.感覚器等の機能障害 脳挫傷による後遺症として、視覚や聴覚、嗅覚などの感覚器が影響を受けるケースも珍しくありません。脳挫傷によって感覚器等の機能障害が起こると、視力の低下や聴力障害、嗅覚や味覚の異常などを引き起こします。 感覚器等の機能障害の主な症状 視力の低下 耳鳴りや聞こえにくさ 味覚異常 嗅覚異常 感覚器等の機能障害は、脳の損傷部位や程度によって具体的な症状が異なります。たとえば、脳の後頭葉部分を損傷すると視覚障害が起こりやすいほか、内耳や中枢神経を損傷すると聴覚障害につながる可能性が高いでしょう。 なお、感覚器等の機能障害は生活の質の低下に直結しやすく、患者の精神的な負担も大きいといえます。 6.外傷性てんかん 脳挫傷を原因とする外傷性てんかんも、後遺症の一種です。外傷性てんかんとは、外傷による損傷をきっかけに、脳が異常な信号を発することで引き起こされます。てんかん発作は、意識の喪失や激しいけいれんを伴うほか、突然現れるため周囲の人にとっても対応が困難な状況が考えられます。 外傷性てんかんの主な症状 激しい体のけいれん 意識喪失 認知機能の低下 発作頻度の増加 てんかん発作は繰り返し発生するケースがほとんどで、時間の経過とともに頻度が増えることも珍しくありません。抗てんかん薬や適切な治療によって発作の頻度を減らせるものの、外傷性てんかんは完治が難しいとされています。 7.頭痛 脳挫傷後の頭痛は、回復過程において一般的な症状です。しかし、脳の損傷部位や炎症反応などによっては、後遺症として慢性的な頭痛や偏頭痛が長期間続く場合があります。 脳挫傷による頭痛の主な症状 慢性的な頭痛 偏頭痛 光や音への過敏症状 吐き気 脳挫傷の後遺症として慢性頭痛が現れた場合は、適切な薬物治療や生活習慣の見直しなどによって症状が改善する場合もあります。 脳挫傷の後遺症に関する注意点 脳挫傷の後遺症は、必ずしも脳を損傷後すぐに現れるとは限りません。とくに、軽度の場合は、一見回復しているように見えて、数年後に後遺症が現れたり、当事者が症状を自覚できなかったりする場合もあります。 以下で、脳挫傷の後遺症について理解しておくべき注意点を解説するので、ぜひ参考にしてください。 軽度の脳挫傷でも数年後に後遺症が現れる可能性がある 脳挫傷は頭を強く打った後、脳内で少しずつ損傷部位が拡大する場合があります。実際に、脳を損傷してからしばらくの間は問題なく過ごしていても、数年後に後遺症が現れるケースも珍しくありません。そのため、脳挫傷は初期の治療後も注意深く経過観察を続けることが大切です。 脳を損傷してから数カ月〜数年が経った後でも、記憶力や集中力の低下を感じる場合は、脳挫傷による後遺症を疑ってみてください。 たとえ軽度の脳挫傷であっても、CTスキャンやMRIなどで定期的に脳の状態を確認すると、後遺症を早期に発見できるでしょう。 再生医療に特化したリペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。脳挫傷の後遺症に該当する症状でお悩みの方は、ぜひ気軽にご相談ください。 当事者が症状を自覚できない場合がある 脳挫傷による後遺症は、当事者が症状を自覚しにくい場合があります。とくに、高次脳機能障害や軽度の身体的機能障害がある場合は、違和感があっても脳挫傷の後遺症による症状であると気づかないケースも少なくありません。 また、記憶力や認知機能が低下してしまうと、日常生活の変化や違和感そのものに気づくことが難しくなります。たとえ脳挫傷による影響とは関係がなさそうに感じられても、気になる症状があれば、医師に相談しましょう。 なお、後遺症の症状に気づくためには、周囲の家族や友人のサポートも不可欠です。日常生活での異変を感じたら、適切にアドバイスしたり、医療機関の受診を促したりすると良いでしょう。 交通事故が原因で後遺症が残った場合は慰謝料を請求する 交通事故が原因で脳挫傷を負って後遺症が残った場合は、慰謝料や損害賠償金を請求できます。慰謝料請求の手続きをする際は、医師による診断書や検査結果などが必要になるため、専門家への相談がおすすめです。 交通事故を原因とする脳挫傷で後遺症が残ったら、まずは後遺症の認定手続きをする必要があります。 適切な診断に基づき、後遺症の程度に応じて後遺症等級が認定されると、賠償金を受け取れます。慰謝料や損害賠償金の請求手続きについては、交通事故を専門とする弁護士などに詳細を確認してください。 脳挫傷の疑いがあるときは早めの受診がおすすめ スポーツや交通事故などで頭を強く打った場合には、脳挫傷が疑われます。そのため、頭を強く打ったり衝撃によって意識を失ったりした際は、症状の有無にかかわらず、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。 脳挫傷は、CTスキャンやMRIなどの画像検査による診断が行われ、脳に損傷が認められれば早期に治療を開始できます。また、初期の治療段階で後遺症が予測される場合には、リハビリテーションを実施して機能低下の予防に努めることも可能です。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。脳挫傷による症状や治療法でお悩みの方は、ぜひ気軽にご相談ください。 ▼ 頭やおでこを打ったときに疑われる病気については、以下の記事で詳しく解説しています。 まとめ・脳挫傷の後遺症を見逃さないために医療機関を受診しよう 脳挫傷による後遺症は、発症直後に必ずしも症状が現れるわけではありません。 見た目には元気そうでも、脳内では損傷が徐々に広がっている可能性もあるため、注意が必要です。 また、脳挫傷の後遺症は、当事者が症状を自覚しづらいことも特徴です。後遺症を見逃さないためには、初期の治療後も定期的な受診が不可欠です。 なお、基本的に脳の損傷は完全に修復できません。そのため、脳挫傷の後遺症とは長く付き合っていく必要があります。後遺症のような症状が続く場合には、医療機関で適切な診断と治療を受け、症状の軽減や予防に努めることが大切です。 当院(リペアセルクリニック)では、損傷した脳組織の修復や再発予防が期待できる再生医療を提供しております。 ご自身の幹細胞を使って脳の自然な修復力を引き出す治療法で、薬では改善が難しいケースや、もう回復は難しいと言われた後遺症にも、新たな可能性が広がっています。 まずは一度リペアセルクリニックへご相談ください。無料カウンセリングで、専門医が丁寧にご説明いたします。 \無料相談はこちらから/ 0120-706-313 (受付時間:9:00〜18:00)
2025.01.15 -
- 内科疾患、その他
新型コロナウイルスに感染後、倦怠感や頭痛、味覚・嗅覚の異常などの症状が長期間にわたって続く「コロナ後遺症」に悩まされている方が増えています。 コロナに罹った後、「なんだかずっと身体がだるい」「集中力が続かない」「味や匂いがよくわからない」といった不調が続いている方は、それは後遺症かもしれません。 コロナ後遺症は原因や完治までの期間がまだはっきりと分かっておらず、対処法も確立されていません。 長引く症状の背景には、ウイルス感染をきっかけとした免疫バランスの乱れや、持続的な炎症が関わっている可能性も指摘されています。 本記事では、コロナ後遺症はいつまで続くのか、主な症状や対処法とあわせて解説します。 コロナの辛い後遺症を改善するためにも、ぜひ参考にして、自身に合った治療法を見つけていきましょう。 \コロナ後遺症に再生医療という新しい選択肢/ 従来の治療法では改善が見られないコロナ後遺症にお悩みの方には、再生医療という新しい選択肢があります。 自身の細胞(幹細胞)を活用することで、ダメージを受けた身体の機能回復や免疫系の正常化をサポートし、症状の改善が期待できます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 従来の治療を試しても改善が見られない場合 日常生活に支障が出ている場合 後遺症が3ヶ月以上続いている場合 これらの症状に悩む方にとって、終わりの見えないトンネルに新たな光を見つけるきっかけとなるかもしれません。 今、コロナ後遺症の倦怠感で苦しんでいる場合、1人で悩まずに、ぜひ当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 コロナ後遺症がいつまで続くかは個人差がある コロナ後遺症は、新型コロナウイルス疾患後、感染症が治癒してからも続くさまざまな症状を差します。具体的に現れる症状は人それぞれで異なるほか、いつまで続くかも個人差があります。 コロナ後遺症に関する研究は進んでいるものの、いまだに原因や完治までの期間は解明されていません。そのため、コロナ後遺症と診断された場合には、症状別の適切な対処が不可欠です。 数カ月から1年以上にわたって症状が続くケースが多い コロナ後遺症がいつまで続くかは、一人ひとりの症例によって異なります。実際に、数カ月で症状が改善する場合がある一方で、1年から1年半以上にわたって症状が続いているケースも報告されています。 コロナ後遺症によって倦怠感や疲労感、嗅覚障害などが長期間にわたって続くことで、仕事を休みがちになったり、休職したりする人も珍しくありません。 現在は、コロナ後遺症を専門とした外来診療を行っている医療機関も増えています。症状が長く続いて不安な場合は医療機関へ相談しましょう。 当クリニック(リペアセルクリニック)でもコロナ後遺症に対する治療法として、再生医療を提供しています。 無料相談も受け付けておりますので、コロナ疾患後に続く体調不良でお悩みの方は、ぜひ気軽にご相談ください。 新型コロナウイルスの後遺症とは コロナ後遺症は風邪やアレルギー症状とよく似ており、たとえ症状が続いていても本人が後遺症とは気づかない場合もあります。 そもそもコロナ後遺症とはどのようなものか、以下で定義と症状について解説するので、ぜひ参考にしてください。 WHO(世界保健機関)の定義 代表的な症状 コロナ後遺症の症状は、感染からしばらく経過しても改善せず、生活 WHO(世界保健機関)の定義 WHO(世界保健機構)は、コロナ後遺症を「新型コロナウイルスに感染した人に見られ、少なくとも2カ月以上続き、ほかの疾患による説明ができない症状」と定義しています。医療機関では、WHOの定義のもとコロナ後遺症の診断をしています。 コロナ後遺症は、原因や治療法を解明するために今も多くの研究が進められている分野です。 参考:World Health Organization「Coronavirus disease(COVID-19): Post COVID-19 condition」 代表的な症状は倦怠感や味覚・嗅覚障害 コロナ後遺症の主な症状は、以下の通りです。 疲労感 倦怠感 関節痛 筋肉痛 咳 喀痰 息切れ 胸痛 脱毛 記憶障害 集中力低下 頭痛 抑うつ 嗅覚障害 味覚障害 動悸 下痢 腹痛 睡眠障害 筋力低下など ※出典:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)に関するQ&A」 コロナ後遺症の症状は、感染からしばらく経過しても改善せず、生活に影響を及ぼします。 また、回復傾向にあるように思われても、なかなか症状が完治ないケースもあるでしょう。コロナ後遺症の症状は、身体的かつ精神的に大きな負担がかかります。 いつまで続くかわからないコロナ後遺症の対処法 コロナ後遺症による症状がいつまで続くかわからず、不安を感じる方も少なくありません。コロナ後遺症の症状を改善するためには、生活習慣を見直したり、適切な治療を受けたりする必要があります。 以下で、コロナ後遺症の対処法を解説するので、ぜひ参考にしてください。 ロナ後遺症の主な症状は、以下の通りです。 生活習慣を見直す 免疫力の維持や回復に努める 医療機関を受診する コロナ後遺症がいつまでも続く場合の受診目安 生活習慣を見直す コロナ後遺症の症状を改善するためには、生活習慣を整えることがポイントです。十分な睡眠や適度な運動は、身体の回復を促進します。また、規則正しい生活は、精神的な安定にもつながります。 具体的には、1日7〜8時間の質の良い睡眠を心がけ、無理のない範囲でウォーキングや軽いストレッチなどをすると良いでしょう。また、ストレスによって症状が悪化する場合もあるため、深呼吸してリラックスできる時間を作ることもポイントです。 免疫力の維持や回復に努める 免疫力の維持や回復も、コロナ後遺症の症状を改善できる可能性があります。栄養バランスの良い食事を心がけるほか、サプリメントを摂取して免疫力の向上に努めることもおすすめです。 たとえば、ビタミンCやビタミンDなどの各種ビタミン、亜鉛をはじめとするミネラルは、炎症を抑えて免疫を正常化する効果が期待できます。ただし、サプリメントの過剰摂取は症状を悪化させたり、ほかの疾患を引き起こしたりする可能性もゼロではありません。そのため、サプリメントは医師の助言のもと摂取するようにしましょう。 医療機関を受診する コロナ後遺症による症状が長引く場合は、医療機関を受診して適切な治療を受けることが大切です。 コロナ後遺症の治療は、症状に応じた対処療法が中心です。動悸や息切れが続く場合は、運動療法を中心とする呼吸リハビリテーション、慢性的な頭痛には鎮痛薬の処方など、多角的なアプローチが効果的だとされています。 また、慢性的な倦怠感や抑うつ感などが続く場合は、精神的なケアも必要になるでしょう。カウンセリングや心理療法などが、症状の改善につながる場合があります。 リペアセルクリニックでは、現在LINEにて無料オンライン診断を実施しています。コロナ後遺症の症状がなかなか改善せずに悩んでいる方は、ぜひ気軽にご相談ください。 ▼再生医療での改善症例も配信中 >>公式LINEはこちら コロナ後遺症がいつまでも続く場合の受診目安 コロナ後遺症による症状が続く場合は、以下を目安に医療機関を受診するようにしてください。 倦怠感が3カ月以上続いている 日常生活に支障をきたしている 睡眠や休息を取っても回復しない疲労感が数週間続いている 徐々に症状が悪化している 精神的な症状が現れている(不安、抑うつ、集中力の低下など) すでに医療機関を受診してコロナ後遺症の診断を受けている場合でも、症状が続く場合は、迷わず再受診しましょう。 コロナ後遺症は幹細胞治療による改善効果が期待できる https://youtu.be/Rryh0YMXkOQ 近年、コロナ後遺症の改善に有効な治療法として、幹細胞治療が注目されています。リペアセルクリニックでは、幹細胞治療でコロナ後遺症の倦怠感や吐き気が改善した症例があります。 コロナウイルスの感染をきっかけに、2年前から疲れやすさや気分の落ち込みなどの症状が現れた方は、当初更年期障害を疑われました。ホルモン検査をしても異常が見つからず、うつ病と診断されて内服薬を開始してからも、症状は改善されなかったようです。そして、根本的な治療として、幹細胞治療を選択しました。 具体的には、下腹部の脂肪細胞から採取した幹細胞を分離・培養し、静脈から点滴をします。幹細胞を3回点滴投与したところ、頭痛がなくなり、よく眠れるようになったなどの効果が現れました。 このように、当院では幹細胞治療によってコロナ後遺症が改善に向かった症例があります。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 従来の治療を3ヶ月程度試しても改善が見られない 日常生活、仕事、学業、人間関係などに支障が出ている 症状が慢性化し、長期的な健康への影響が懸念される 後遺症の症状が精神的な負担となっている 大切なのは諦めないことです。一人で悩まずに、まずは専門医に相談することが重要です。 まずは無料相談をご利用ください。 ▼まずは電話で無料相談! >>今すぐ電話してみる ▼ 幹細胞治療によってコロナ後遺症が改善した症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。 まとめ・コロナ後遺症がいつまで続くか不安な場合は早めに受診しよう コロナ後遺症は個人差が大きく、数カ月で回復する場合もあれば、長期間にわたって症状が続くケースも珍しくありません。 コロナ後遺症には、生活習慣の見直しや免疫力の回復など、自分で取り組める対処法もあります。しかし、症状が長期間にわたって続く場合や徐々に悪化する場合には、早めに医療機関を受診し、専門的なサポートを受けることが重要です。 コロナ後遺症の治療に関しては、今も研究が進められています。また。幹細胞治療をはじめとする新しい治療法も注目されています。コロナ後遺症がいつまで続くか不安な場合は、専門家に相談し、自分に合った治療法を選択しましょう。 コロナ後遺症に関するよくある質問 ここでは、コロナ後遺症に関するよくある質問をまとめました。 コロナ後遺症は自然に治る? 一般的にコロナ後遺症による症状の多くは、時間の経過とともに改善するとされています。一方で、症状が長期的に残ったり、悪化したりするケースも少なくありません。 とくに症状が軽度の場合は、コロナ後遺症を風邪と同じように考えがちです。しかし、症状が改善しない場合や徐々に悪化する場合は、自己判断で放置せず、医療機関を受診しましょう。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。コロナ後遺症かどうか自分で判断できないときは、ぜひ気軽にご利用ください。 コロナ後遺症を予防する方法はある? コロナ後遺症を予防する最も効果的な方法は、新型コロナウイルスに感染しないことです。以下をはじめとする感染症対策の基本を心がけましょう。 手洗いやマスクの着用を徹底する 密閉空間を避ける 部屋を十分に換気する ワクチンを接種して感染リスクや重症化リスクを低減する 感染対策を徹底するほか、感染した場合でも軽症で済むように、ワクチン接種をしておくのも効果的な方法の一つです。 また、現在後遺症に苦しんでいたり、後遺症と疑わしき症状で苦しんでいる方は、当院(リペアセルクリニック)の無料相談もご利用ください。 当クリニックが提供している再生医療では、今まで回復見込みの薄かった症例に対しても改善が見込めた事例が多くあります。 従来の治療とは別の選択肢として、リペアセルクリニックの幹細胞を用いた再生医療をぜひご検討ください。
2025.01.15 -
- 頭部
高次脳機能障害を抱えている方の日常生活には、さまざまな困難が伴います。 「高次脳機能障害によって日常生活に支障がある」「接し方がわからず困っている」など、対応の仕方に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。 高次脳機能障害によって集中力や記憶力が低下したり、社会的に適切な行動が取れなくなったりする場合には、人間関係にも影響を及ぼします。そのため、本人だけではなく、周囲の家族や介護者などもストレスを感じやすいといえるでしょう。 今回は、当事者と第三者のそれぞれの立場における高次脳機能障害への対応の仕方を解説します。高次脳機能障害の介護疲れを軽減するためのポイントもまとめているので、ぜひ参考にしてください。 高次脳機能障害とは 高次脳機能障害への対応においては、まずどのような疾患なのかを理解しておくことが大切です。高次脳機能障害とは、脳の損傷や疾患によって引き起こされる障害で、記憶力や注意力などのほか、社会的行動に影響を及ぼします。 この章では、高次脳機能障害の原因や主な治療法について解説します。 高次脳機能障害の種類や原因など、包括的な解説を見たい方は「【医師監修】高次脳機能障害とは|種類・原因・治療法を解説」をご覧ください。 高次脳機能障害の原因 高次脳機能障害の主な原因は、脳へのダメージによるものです。具体的には、以下のような原因が挙げられます。 脳血管障害(脳梗塞や脳出血、くも膜下出血など) 脳外傷(事故やスポーツによる頭部外傷) 低酸素脳症(酸素不足による脳損傷) 感染症や腫瘍(脳炎や脳腫瘍など) 高次脳機能とは、記憶や思考、判断する能力など、人が社会生活を送る上で重要なものです。しかし、脳内の血管に異常が生じたり、外部からの強い衝撃を受けたりして脳が損傷すると、脳機能に障害が起きてしまいます。 ▼ 頭やおでこを強く打ったときに考えられる疾患については、以下の記事で詳しく解説しています。 高次脳機能障害の治療法 高次脳機能障害の場合、主にリハビリテーションを中心とした治療が一般的です。高次脳機能障害は、脳の損傷部位や程度によって症状が異なるため、個別にプランを立ててリハビリテーションに取り組みます。リハビリテーションの目的は、脳の機能を回復・改善させて生活の質を向上させることです。 高次脳機能障害の症状によっては、薬物療法が用いられるケースもあります。たとえば、脳血管障害に対する血流改善薬や精神的な症状に対する薬などです。 また、最近注目を集めているのが、脳血管障害の再生医療による治療です。再生医療(幹細胞治療)の効果として、脳神経細胞の修復や再生、脳の血管を新しく再生させる作用が期待できます。 リペアセルクリニックでは、脳血管障害の再生医療を行っています。再生治療について詳しく知りたい方は、気軽にメール相談やオンラインカウンセリングをご利用ください。 5つの症状別|高次脳機能障害への対応の仕方 高次脳機能障害の代表的な症状として、次の5つが挙げられます。 注意障害 記憶障害 遂行機能障害 社会的行動障害 失語症 以下で、症状別に高次脳機能障害への対応の仕方を解説します。当事者と第三者のそれぞれの立場における対応の仕方をまとめているので、ぜひ参考にしてください。 1.注意障害 高次脳機能障害による注意障害の主な症状は、以下の通りです。 物事に集中できない 周囲の刺激に反応してしまう 気が散りやすい 注意障害への対応は、環境を整えることが最も重要です。静かな場所で落ち着いて作業をしたり、休憩を挟んだりしながら、できるだけ集中を維持できるよう工夫しましょう。 対応の仕方 当事者 短時間でできる作業に小分けする こまめに休息を取る 第三者 周囲の刺激を減らして静かな環境を整える 一つずつ作業を確認して注意の持続をサポートする 2.記憶障害 高次脳機能障害による記憶障害は、主に以下のような症状が現れます。 生活における出来事を忘れる 自分が言ったことや人に言われたことを忘れる 約束や予定を忘れる 高次脳機能障害による記憶障害では、とくに短期的な記憶に障害が生じるケースが多いとされています。記憶障害への対応には、できるだけ物事を忘れないような工夫が求められます。 対応の仕方 当事者 メモを取る習慣をつける カレンダーに予定や重要事項を書き留める アラーム機能やリマインダーアプリを活用する 第三者 習慣化や環境整備のサポートをする メモ帳やカレンダーを見て一緒に振り返る 3.遂行機能障害 遂行機能障害とは、計画を立てたり、物事を段階的に進めたりすることが難しくなる症状です。遂行機能障害は、ほかにも以下のような症状があります。 優先順位をつけられない 衝動的な行動を取る 主体的に行動できない 遂行機能障害が現れると、計画的な行動ができなくなり、結果的に無関心や無気力に見えるケースも珍しくありません。また、物事を遂行するためには集中力や記憶力も必要です。そのため、注意障害や記憶障害に対するポイントも含めて、対応の仕方を工夫しましょう。 対応の仕方 当事者 時間に余裕を持って計画する 小さな目標を設定する 作業を小さなステップに細分化する 第三者 簡潔にタスクを伝えて一緒に手順を確認する 完了したタスクをチェックリストで確認する 4.社会的行動障害 社会的行動障害は、状況に合わせた行動や言動、感情などのコントロールが難しくなり、社会生活が困難になる状態を意味します。社会的行動障害の症状は、以下のようにさまざまです。 感情をコントロールできずに急に怒ったり泣いたりする 相手と良好な関係を築けない 相手の意見に耳を傾けられない 意欲が低下して引きこもりがちになる 社会的行動障害の症状は多岐にわたるため、ケースバイケースの対応が求められます。社会的行動障害の対応で基本となるのが、生活リズムの確立です。安定した生活リズムで日々を過ごすことで、少しずつ社会に順応していけるようになるでしょう。 対応の仕方 当事者 時間に余裕を持って計画する 小さな目標を設定する 作業を小さなステップに細分化する 第三者 簡潔にタスクを伝えて一緒に手順を確認する 完了したタスクをチェックリストで確認する 5.失語症 言語障害の一種である失語症とは、言葉を理解したり話たりするなどの言語機能が損なわれた状態を意味します。脳の言葉を司る部分がダメージを受けると、以下のような症状が現れます。 言いたいことがあっても言葉にして伝えられない 人が話す内容の理解が難しい 本や新聞から内容を読み取れない 書きたくても文字を思い出せない 具体的な症状は、脳の損傷部位や程度によってさまざまです。そのため、一人ひとりの症状に合わせた対応が必要になります。 対応の仕方 当事者 絵やジェスチャーなどのコミュニケーション方法を試みる 静かな環境で落ち着いて話すことを心がける うまく伝わらないときは時間をおいて別の方法を試みる 第三者 話を聞くときは余裕を持って接する 話すときはゆっくり簡潔に伝える はい・いいえで答えられる質問をする 高次脳機能障害の介護疲れを軽減する3つのポイント 高次脳機能障害の介護は精神的かつ身体的な負担が大きく、介護者はストレスや疲労を溜め込みやすいため注意が必要です。 以下で、高次脳機能障害の介護疲れを軽減するポイントを3つ解説するので、ぜひ参考にしてください。 1.症状を理解する 高次脳機能障害の症状は、一人ひとり異なります。そのため、高次脳機能障害に対応するためには、症状の正しい理解が大切です。たとえば、どのような症状がどのようなときに強く現れるのかを把握しておくと、事前にストレスを回避するための対応ができるでしょう。 高次脳機能障害の症状を理解するためには、専門書やインターネットなどでの情報収集や、かかりつけ医やリハビリテーションの専門家への相談がおすすめです。具体的な対応の仕方を知るためには、日頃から気になる症状を書き留めておくと、相談しやすくなります。 2.医療機関に相談する 高次脳機能障害は長期にわたって支援を必要とするケースがほとんどです。介護疲れを軽減するためには、医療機関やリハビリテーションの専門家と連携しながら、適切な治療やサポートを受けることが大切です。 高次脳機能障害は気づかないうちに進行する可能性もゼロではありません。そのため、医師による定期的な診察を受け、症状の進行や改善についてモニタリングし続ける必要があります。医療機関との連携強化によって、介護の負担を軽減できるだけではなく、より適切なケアが可能になります。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。高次脳機能障害の症状や治療法でお悩みの方は、ぜひ気軽にご相談ください。 3.公的制度やサービスを利用する 高次脳機能障害に伴う介護では、公的制度や福祉サービスを利用できる場合があります。以下をはじめとする制度などを利用すると、より専門的な支援が受けられ、介護者の負担を軽減できるでしょう。 介護保険制度 障害者福祉サービス 医療費助成制度 地域支援ネットワーク たとえば、介護保険制度では、通所介護や通所リハビリテーションの利用によって、日中の介護を専門スタッフに任せられます。地域の福祉専門窓口やケアマネージャーなどに相談しながら、公的制度やサービスをうまく利用しましょう。 まとめ・高次脳機能障害は症状にあわせて対応の仕方を工夫しよう 高次脳機能障害は、一人ひとりの症状や状況に応じて対応の仕方を工夫することが大切です。高次脳機能障害による症状の多くは、日常生活に支障をきたすものです。そのため、本人だけではなく、周囲の第三者にとってもストレスや疲れを感じやすいといえるでしょう。 高次脳機能障害は、症状をよく理解して対応の仕方を工夫すると、身体的かつ精神的な負担を減らせます。また、適切な治療によって、症状の進行を遅らせたり、改善したりする効果も期待できます。本人も第三者も負担が少なくて済むよう、医療機関や専門期間と連携して対応していきましょう。 以下の動画では、高次脳機能障害の後遺症に対して、実際に再生医療を受けた方の声を紹介しています。 脳の損傷・疾患に対しては、早期に治療やリハビリ行うほど予後が良いとされています。治療の選択肢のひとつとして、再生医療をご検討ください。 高次脳機能障害に関するよくある質問 ここでは、高次脳機能障害に関するよくある質問をまとめました。 高次脳機能障害はどのように診断される? 高次脳機能障害は、症状の確認や画像検査(CT・MRI・脳波)によって診断が可能です。 また、高度脳機能障害の診断には除外項目があります。たとえば、脳の損傷前から有する症状や発達障害や認知症などを原因とする症状については、治療や対応が異なるため区別されます。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。高次脳機能障害が疑われる場合は、ぜひ気軽にご相談ください。 高次脳機能障害は回復する? 高次脳機能障害は、症状や障害の程度によって治療方法や得られる効果が異なります。適切なリハビリテーションによって症状の回復が期待できる場合があるものの、すべての方に効果があるとは限りません。 高次脳機能障害による症状を少しでも改善するためには、発症からできるだけ早期のリハビリテーションの開始が望ましいとされています。
2025.01.15 -
- 頭部
「高次脳機能障害は治るの?」 高次脳機能障害の症状にお悩みの患者様やご家族の中には、ちゃんと治るのか不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。 結論、適切な治療やリハビリを継続することで高次脳機能障害は治る可能性があります。 本記事では、高次脳機能障害の治療法や、リハビリテーション方法について詳しく解説します。 また、根本治療につながる再生医療も紹介しているため、高次脳機能障害が治るか不安な方は、ぜひ参考にしてください。 \根本治療につながる再生医療とは/ 再生医療とは、機能障害や機能不全になった脳細胞に対して、体が持つ再生能力を利用して損なわれた機能を再生させる医療技術のことです。 従来の治療では難しかった脳血管障害の後遺症治療にも注目されています。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 高次脳機能障害は治らないと思っている 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 患者本人が治療やリハビリに積極的になれない 「現在の治療で期待した効果がでていない」「患者様が治療やリハビリに積極的になれない」という方は、ぜひ再生医療を検討してみましょう。 再生医療によって損傷した脳細胞の改善を促し、言語機能や認知機能を改善することで患者さまの生活の質を大きく向上させることが期待できます。 詳しい治療法については、再生医療を専門とする当院「リペアセルクリニック」にお問い合わせください。 【結論】高次脳機能障害は良くなる! 高次脳機能障害は適切な治療とリハビリを通じて、改善が期待できる障害です。 医療機関での診断と治療計画を策定するのが重要であり、症状に応じたアプローチが求められます。 詳しくは後述しますが、薬物療法やリハビリテーション、さらには再生医療の進展により、症状の改善が見込まれるケースも増えているのです。 しかし、高次脳機能障害が治るかどうかは、早期の発見と治療が鍵となります。 患者様自身や家族が障害に対する正しい理解を持ち、共に取り組んでいけば日常生活の質を向上させられるでしょう。 環境を整え専門機関のサポートを受けながら、持続的なリハビリを進めていき、社会復帰や自立生活の実現につなげていきましょう。 以下の記事では、脳梗塞を例に治療法や入院期間を解説しているので、1つの参考にしてください。 そもそも高次脳機能障害とは 高次脳機能障害とは、脳の損傷によって生じる記憶や注意、言語、判断力などに影響を及ぼす障害です。 そもそも高次脳機能とは、人間が複雑な思考や行動を行うために欠かせない機能であり、以下のような重要な役割を担っています。 問題解決能力 計画力 感情のコントロール 他者とのコミュニケーション能力など 高次脳機能障害が発症している方だけでなく、家族や周囲の方にも日常生活で大きな影響を与えるケースがある障害です。 たとえば歩行や排せつなど日常生活上の行動では問題なくても、手続きや遠方への移動を含め、普段行わない行動で影響があります。 外的な損傷がないため、周りから気づかれにくいため、本人や家族が高次脳機能障害の症状を理解できるかも重要です。 高次脳機能障害の種類や原因など、包括的な解説を見たい方は「【医師監修】高次脳機能障害とは|種類・原因・治療法を解説」をご覧ください。 高次脳機能障害の症状と発症の原因 高次脳機能障害の症状は、脳の損傷によって引き起こされる認知、行動、感情などの機能障害を指します。 脳卒中や外傷性脳損傷、脳腫瘍などの病気や事故によって発生するケースが大半です。 高次脳機能障害の症状は多岐にわたり、個々の症状や程度によって異なります。 主な症状には、記憶障害、注意障害、判断力の低下、言語障害、感情のコントロールの難しさなどがあります。 なお、高次脳機能障害の症状や発症の原因については、以下の記事で詳しく解説しました。 ここからは、高次脳機能障害は治るのかを解説するために「認知症との違い」と、回復過程について解説します。 認知症との違い 高次脳機能障害は、脳の特定領域が損傷を受け、記憶、注意、言語、計画立案などの高度な脳機能に影響を及ぼす疾患です。 たとえば、短期記憶の低下や集中力の欠如、理解力や判断力の低下が見られます。 上記の症状について、認知症と混合して認識している方もいるでしょう。 認知症は加齢によって徐々に進行する症状で、高次脳機能障害は外的要因によって発症する症状です。 交通事故によって脳へダメージを負った際、高次脳機能障害の症状が見られるケースがあります。 つまり、発症時期が明確なのが高次脳機能障害で、不明確なのが認知症なのです。 年齢を重ねるごとに進行する認知症とは異なり、高次脳機能障害は適切な治療やリハビリを実施すれば、回復の可能性があります。 回復過程 高次脳機能障害は脳の損傷が原因になるケースが多いため、すべての患者様が回復するわけではありません。 しかし、脳卒中のような症状が原因で発症した場合、早期の発見と治療次第では、症状が回復する傾向にあるのです。 そもそも高次脳機能障害が発症する過程は、病変や外傷が脳に影響を与え、神経細胞や神経回路が損傷を受けて発症します。 損傷がどの程度・どの範囲に及ぶか、またどの部位に影響を与えるかによって、具体的な症状や障害の度合いが決まります。 高次脳機能障害の症状は、時間とともに変化するため、初期段階での適切な診断と治療が重要です。 つまり、早期に原因を特定し、適切な治療を行えれば、症状の悪化を防ぎ、回復の可能性を高められるのです。 高次脳機能障害への対応方法 ここからは高次脳機能障害の方が家族にいる方に向け、どうサポートしていけば良いのか解説します。 対応方法を理解し、適切な治療へ進められるよう、ぜひ参考にしてください。 症状の理解 高次脳機能障害への対応方法を考える上で、まずは症状の理解が不可欠です。 高次脳機能障害は、記憶、注意、思考、判断、言語など、脳の高次機能に影響を及ぼし、日常生活においてさまざまな困難をもたらします。 症状は患者様によって異なり、記憶障害、集中力の欠如、意思決定の困難、感情の不安定などが見られます。 症状を理解しておかないと「なぜそのような行動を取るのか」とイライラしてしまう方もいるでしょう。 患者様本人も感情のコントロールが上手くいかない症状もあるため、双方がストレスを感じないためにも、まずは症状を理解しておくのが重要です。 環境の整備 高次脳機能障害に対応するために、環境の整備も重要です。 患者様が安心して生活できるようサポートできれば、症状の悪化を防ぎ、改善を促す可能性を高めてくれます。 具体的には、日常生活の流れを明確かつ簡易化させ、必要な手順や情報を視覚的に整理しておくのが有効です。 また、感覚過敏を持つ方には、過度な刺激を避けるために静かな環境を提供するのが望ましいでしょう。 なお、環境整備については厚生労働科学研究が公開している「高次脳機能障害支援マニュアル」も参考になります。 専門機関の利用 高次脳機能障害の方がいる場合、専門機関の利用も考慮すべきです。 医療機関やリハビリテーション施設など、専門の支援を受けられる環境が整っています。 専門機関を利用すれば、適切な診断と治療が可能になり、回復への道筋が明確になります。 専門家による評価を受け、個々の症状に応じたプログラムを導入すると、効果的なリハビリを取り入れられるのが特徴です。 また、身体障害者手帳を取得すれば、医療費負担の軽減や国税・地方税の控除が可能です。 要介護認定を受け、介護保険を取得している方は、訪問介護による介助も受けられます。 高次脳機能障害の治療法 高次脳機能障害の治療法は、大きく分けて薬物療法とリハビリの2種類があります。 それぞれの治療法について詳しく解説していきます。 薬物療法 薬物療法では、主に症状の軽減や日常生活の質を向上させるのを目的として使用されます。 脳の神経伝達物質のバランスを整えられる薬物が多く、抗うつ薬や抗精神病薬、認知機能を改善するための薬が用いられるのが一般的です。 たとえば、抗うつ薬は気分の安定を図るだけでなく、注意力や集中力の向上にも寄与します。 また、抗精神病薬は、衝動性や攻撃性を抑える効果が期待されます。 また、薬物療法はあくまで症状のコントロールを目的としており、根本的な治療法ではないと、理解しておきましょう。 薬物療法のみでの改善を期待するのではなく、リハビリテーションや心理的サポートと組み合わせた多角的アプローチが求められます。 薬物療法を開始する際には、医師と詳細な相談を行い、副作用や薬の相互作用についても十分に理解しておきましょう。 リハビリ 高次脳機能障害におけるリハビリは、患者様の回復をサポートする重要な手段です。 リハビリでは、患者様の症状や障害の程度に応じて個別に計画され、日常生活での機能回復を目指します。 具体的には、作業療法や理学療法、言語療法などが含まれ、それぞれ異なる目的で実施されます。 リハビリ内容 目的 作業療法 日常生活のスキルを再び習得するのが目的。 料理や掃除などの活動を通じて実践的な訓練を行う。 理学療法 身体の運動機能を向上させるために、筋力トレーニングや姿勢改善のエクササイズが行われる。 言語療法 コミュニケーション能力の回復を目的とし、言葉の発音や理解力を高めるための練習を行う。 リハビリを適切に実施し続けていれば、発症から6カ月で74%、1年で97%の方が一定の症状が改善されたという調査結果も出ています。 障害別でみるリハビリ方法一覧 高次脳機能障害の治療法は、個々の症状や患者の状態に応じて多岐にわたります。 以下で障害別にみるリハビリ方法の一覧をまとめたので、ぜひ参考にしてください。 症状例 リハビリ内容 注意障害 作業を小さなステップに分け、集中しやすい環境を整える 遂行機能障害 タスク管理をサポートするデジタルツールの活用(マニュアルやスケジュール帳の作成など) 半側空間無視 視覚的なリマインダーや特定の視覚訓練(塗り絵や折り紙など) 以下の記事では、脳出血を例に寝たきり生活にならないためにも「何をすべきか」解説しているので、あわせてご覧ください。 自宅でできるリハビリ ここからは専門機関を利用せずとも、自宅で実施できる簡易的なリハビリ方法を紹介します。 1日のスケジュールを作る 家事や散歩などで軽く体を動かす 脳トレを実施する リラックスする 順番に具体的な実施方法を解説していきます。 1日のスケジュールを作る 自宅で高次脳機能障害のリハビリを実施する際、まずは1日のスケジュールをしっかりと組み立てるのがおすすめです。 1日のスケジュールを作るのも、高次脳機能障害の患者様は脳疲労が起きやすい傾向にあるからです。 高次脳機能障害の方が疲れやすいと感じた際、1日のスケジュール表があれば、どのタイミングで疲れやすいのかが振り返れます。 何をしても疲れやすい場合、朝起きたら軽いストレッチや呼吸法で体と心を目覚めさせるのも良いでしょう。 1日のスケジュール通り行動できていれば、自分のペースに合ったリハビリを進めるだけでなく、生活のリズムが整います。 家事や散歩などで軽く体を動かす 高次脳機能障害のリハビリは、日常生活の中で無理なく取り入れられるかどうかが重要です。 たとえば家事や散歩のような軽い運動を日常に取り入れると効果的です。 軽く体を動かすと、身体の機能を維持させるだけでなく、精神的にもリフレッシュできるでしょう。 つまり、日々の小さな積み重ねが、高次脳機能障害の改善につながるのです。 脳トレを実施する 自宅でのリハビリで、脳トレと呼ばれる知的活動を取り入れるのも効果的です。 たとえば、パズルやクロスワード、簡単な計算問題などを日常的に実施してみましょう。 脳の活性化を図り、記憶力や注意力の向上を期待できます。 昨今ではインターネットやスマートフォンで無料公開されている脳トレもあるため、お遊び感覚で実施できるでしょう。 高次脳機能障害の改善に特化させたドリルも販売されているため、書店や通販サイトでチェックしてみるのもおすすめです。 リラックスする リハビリの一環としてリラックスするのは、高次脳機能障害のある方にとって重要なリハビリです。 ストレスや緊張は、脳の回復を妨げる要因となるため、日常生活の中で意識的にリラックスする時間を設けるのが大切です。 リラックスする方法として、深呼吸や瞑想、ヨガなどの軽いエクササイズを取り入れる方法があげられます。 また、音楽を聴いたり、読書をしたりするのも効果的です。 好きな音楽を聴いてリズムに身を委ねていけば、心が落ち着き、気持ちがリフレッシュされるでしょう。 読書は、興味のあるジャンルを選び、集中力を高めつつリラックスするのがおすすめです。 他にもアロマテラピーで好きな香りのエッセンシャルオイルを使って、部屋を心地良い空間にするのも効果的です。 気分が和らぎ、ストレスを軽減する効果が期待できます。 とくにラベンダーやカモミールなどは、リラックス効果の高い香りとして知られており、睡眠の質を向上させるとも言われています。 再生医療なら高次脳機能障害の治療効果に期待できる! 高次脳機能障害の症状を治すのは、早期の発見や治療だけでなく継続的なリハビリによって改善が期待できます。 昨今では医療の進歩により、再生医療を取り入れてさらなる治療効果へアプローチしています。 再生医療において中心的なアプローチ方法が幹細胞治療です。 幹細胞は特定の条件下において細胞を分化させる能力があるため、高次脳機能障害を含めた症状に向けた治療として有効的です。 「再生医療について詳しく知りたい」という方は、ぜひ当院リペアセルクリニックまでご相談ください。 まとめ・高次脳機能障害は治るのかは早期発見と対応が重要! 高次脳機能障害は治るのかを決めるのは、早期の発見と治療、家族のサポートが重要です。 認知症とは異なり、発症の時期が比較的明確で、治療の実施により改善がみられる障害です。 しかし、外的損傷がないため周囲からの理解が大切になります。 まずは高次脳機能障害の症状を理解し、環境を整えつつ専門機関を利用して、早期改善へつなげていきましょう。 当院では高次脳機能障害でお困りの方に向け、電話相談やオンラインカウンセリングを実施しているので、気軽にお問い合わせください。
2025.01.15 -
- 頭部
「同じ作業を長時間行っているとイライラする」 「新しい物事を覚えていられない」などの症状を訴えている方はいませんか。 実は高次脳機能障害の症状が発症している可能性があるのです。 そこで今回は、高次脳機能障害の発症でよくみられる症状について解説します。 家族や周囲の方がどう対処し支援できるのかも触れているので、ぜひ最後までご覧ください。 高次脳機能障害とは 高次脳機能障害とは、脳の損傷や異常によりさまざまな知的能力や行動に影響を及ぼす状態を指します。 具体的には、記憶や注意、言語、社会的行動などの高次脳機能に影響を与え、日常生活におけるさまざまなシーンで困難を引き起こします。 高次脳機能障害の症状が発生する原因は多岐にわたり、交通事故や脳卒中、脳炎などの外的な要因によってもたらされるケースが大半です。 そもそも高次脳機能とは、人間が複雑な思考や行動を行うために欠かせない機能であり、以下のような重要な役割を担っています。 問題解決能力 計画力 感情のコントロール 他者とのコミュニケーション能力など 高次脳機能障害の症状が発症すると、自立した生活が難しくなり、社会行動において不適応さが目立ってしまうでしょう。 なお、高次脳機能障害の種類や原因など、包括的な解説を見たい方は「【医師監修】高次脳機能障害とは|種類・原因・治療法を解説」をご覧ください。 高次脳機能障害の症状一覧 高次脳機能障害を発症すると、以下のような症状がみられます。 症状 特徴 脳や神経の疲労 集中力や持続力が低下する 注意障害 同じ作業を長時間できない 記憶障害 新しい情報を記憶するのが困難になる 失語 言葉を発したり物書き能力が低下する 遂行機能障害 計画性や問題解決能力が低下する 半側空間無視 空間把握能力が低下する 社会的行動障害 感情のコントロールがつかなくなる それぞれの症状について詳しく解説していきます。 脳や神経の疲労 高次脳機能障害の症状が発症すると、脳や神経が疲労状態になり、日常生活における些細な作業でも極度の疲労感を感じやすくなります。 集中力や持続力が低下するため、日常生活や仕事において以下の症状を感じるでしょう。 いつも眠かったりボーッとしたりする 仕事や作業のミスが多い ソワソワする イライラするシーンが増えた 高次脳機能障害の症状は、本人が自覚していないケースが多いため、周りからは「やる気がない」と思われてしまう傾向にあります。 注意障害 高次脳機能障害の症状としてあげられる注意障害は、集中力の持続が困難になる症状です。 複数のタスクを同時に処理するのが難しくなり、日常の作業効率が低下し、ミスが増えるでしょう。 同じ作業を長時間続けるのも難しい傾向にあり「うわの空」状態が続きます。 質問されると理解に時間がかかる すぐに疲れてしまう じっとしていられない 上記のような症状が高次脳機能障害で発症します。 一度に複数の作業をする「マルチタスク」は、高次脳機能障害の症状がみられる方には不向きです。 記憶障害 記憶障害も高次脳機能障害の代表的な症状であり、新しい情報を記憶するのが難しくなったり、過去の出来事を思い出すのが困難になったりします。 今日の日付を忘れやすい 普段とは違ったスケジュールを忘れて、いつも通りの行動を取る 高次脳機能障害の症状は認知症とは異なるため、脳腫瘍が発見される前に記憶した内容を忘れる事態はごく稀です。 つまり、発症後に何かを覚えようとした際に忘れやすい傾向なのが高次脳機能障害になります。 失語 失語は、高次脳機能障害の一部として現れる言語障害です。 主に言葉を理解したり話したりする能力に影響を及ぼします。 失語の症状は多岐にわたり、個々のケースによって異なりますが、一般的には以下のような特徴が見られます。 種類 症状 表出性失語 話したい内容が頭の中にあっても言葉を発するのが難しくなる。 受容性失語 他者の言葉を理解するのが難しくなる。 失読 文字の読解能力が低下する。 失書 文字を書く能力が低下する。 上記の症状は、日常生活における情報の受け取りや発信に大きな支障をきたします。 失語の症状が現れた場合、早期に専門医の診断を受け、適切な治療を受けるのが重要です。 失語はコミュニケーション能力に直接影響しますが、適切な支援を受ければ、日常生活での困難を軽減できます。 遂行機能障害 遂行機能障害とは、計画を立てたり、問題を解決する能力が損なわれたりする症状で、日常生活での意思決定や段取りが困難になります。 たとえば仕事で効率の良い方法を模索・実施する能力が損なわれ、優先順位をつけるのも苦手な傾向にあります。 自分から率先して行動に移せず、時間の見積もりも苦手なので、遅刻が多い傾向にもある症状です。 やるべき事項や、手順書が用意された仕事の方が向いています。 半側空間無視 高次脳機能障害の症状の1つに、空間的な認識や理解が困難になる症状もあります。 半側空間無視は、日常生活において方向感覚を失ったり、物体の位置関係を把握するのが難しくなったりするのが特徴です。 たとえば、以下のような症状がみられるでしょう。 部屋の中で物を探す際、目の前にあるはずのものが見つからない 道に迷いやすくなる 地図を読むのが困難になる 左右で見えている範囲が違う また、空間的な構造を理解するのが難しくなるため、立体的な物を描いたり、組み立てたりする作業も困難です。 社会的行動障害 高次脳機能障害は、日常生活への影響が大きく、社会的な活動においてもさまざまな困難をもたらします。 社会的行動障害では、感情のコントロールが難しくなり、他者との適切な関係を築くのが困難になるケースがあります。 孤立や誤解を招くだけでなく、物事に対して固執する傾向にもあるのです。 その場の空気が読めなかったり、すぐ怒ったりする症状もあります。 高次脳機能障害が発症する原因 高次脳機能障害の症状が発症する原因は、交通事故や脳卒中などがあげられます。 交通事故や高所からの落下により、硬膜外血腫や脳出血が発症し、高次脳機能障害の症状が認められるケースがあります。 つまり、脳へのダメージが加わり、脳組織が損傷した際に発症する傾向にあるのです。 感染症による脳炎でも高次脳機能障害が発症する原因でもあるため、脳へ何かしらのダメージを負った際は高次脳機能障害を疑いましょう。 以下の記事では「くも膜下出血」を例に、症状や後遺症などを解説したので、ぜひあわせてご覧ください。 高次脳機能障害の主な診断方法 高次脳機能障害の症状が疑われた場合、主に以下の方法で診断します。 神経心理学的評価 CTやMRI検査の画像診断 それぞれの診断方法について詳しく解説していきます。 神経心理学的評価 高次脳機能障害の診断は、まず神経心理学的評価が行われます。 神経心理学的評価では、患者の知的能力、記憶、注意力、言語能力、視空間能力、遂行機能などの認知機能を詳細に調べます。 神経心理学的評価をすれば、日常生活での困難さを具体的に特定し、どの機能がどの程度障害されているかを把握できるのです。 神経心理学的評価は、臨床心理士や神経心理士が行うケースが多く、標準化されたテストや観察を通じて実施されます。 CTやMRI検査の画像診断 CTやMRI検査の画像診断では、脳の構造的な変化や損傷を視覚的に確認するために用いられます。 画像診断は、脳の損傷部位や範囲を特定し、具体的な病態を把握するのに有効です。 とくに、外傷や脳卒中の後に生じる高次脳機能障害では、画像診断がその原因を明らかにするのに重要な役割を果たします。 さらに、脳波検査やPETスキャンなどの生理学的検査が実施されるケースもあります。 脳波検査は、脳の電気的活動を調べ、異常なパターンを検出し、てんかんのような合併症の可能性を評価しているのです。 高次脳機能障害の対応の仕方や支援法 高次脳機能障害の症状がみられる方が家族にいる場合、適切な対応・支援が求められます。 ここからは、高次脳機能障害の症状がみられる方への対応や支援法を詳しく解説していきます。 なお、今回は厚生労働科学研究が公開している「高次脳機能障害支援マニュアル」をもとに紹介するので、ぜひ参考にしてください。(文献1) 高次脳機能障害の対策を立てるチェックリスト 高次脳機能障害に対する対応と支援は、個々の症状とニーズに応じてカスタマイズするのが重要です。 支援内容 具体的な方法 日常生活の支援 日記やメモで予定を管理。 タスクを細分化。 コミュニケーションの支援 簡潔な言葉やジェスチャーを使用。 スキルトレーニングやグループ活動。 専門的リハビリテーション 作業療法士や言語聴覚士と連携し、個別のリハビリプランを作成。 具体的には、以下のチェックリストを埋め込んでいくイメージで実施してみるのも1つの手段です。 どんなとき穏やかなのか どんなときイライラするのか いつ、どこで、誰と何をしているときに起きやすいのか 上記をまとめていき、最終的にはパターン化していきます。 できるだけ単純にできるよう、成功・失敗体験を言語化していきましょう。 【対策例】 混雑している場所に行くとイライラするため静かな場所で過ごす 眠いときに言葉がきつくなるため睡眠時間を十分に確保する 高次脳機能障害に対する支援のポイント 高次脳機能障害を持つ方への対応や支援は、個々の症状や生活環境に応じて柔軟に行う必要があります。 障害の種類 対策・支援方法 注意障害 作業を小さなステップに分け、集中しやすい環境を整える 記憶障害 メモや記録を利用して情報を視覚的に整理する 失語 言語療法士によるリハビリテーション 遂行機能障害 タスク管理をサポートするデジタルツールの活用 半側空間無視 視覚的なリマインダーや特定の視覚訓練 社会的行動障害 社会スキル訓練や心理カウンセリング 高次脳機能障害の症状でお困りの場合、生活環境を単純化するのが重要です。 1日のスケジュールをカレンダーに書いたり、チェックリストを用意するのが良いでしょう。 コミュニケーション能力が低下する傾向にはありますが、家族のサポートが重要な点は忘れないようにしましょう。 なお、各都道府県には支援コーディネーターが配置されているため、早めに相談するのも1つの選択肢です。 まとめ・高次脳機能障害の症状でストレスを溜める前に早期対策を! 高次脳機能障害の症状は、日常生活において自立した生活が困難になる症状がみられます。 問題解決能力や計画力、他者とのコミュニケーションで症状がみられるため、周囲からの理解が難しいと感じてしまう方もいるでしょう。 仕事でのミスが多かったり、じっとしていられなかったりなど、社会活動においても困難になってしまう傾向にあります。 高次脳機能障害の症状を家族を含めた周囲の方がよく理解し、適切な対処や支援をするのが重要です。 高次脳機能障害の症状で何かお困りな場合、当院ではメール相談やオンラインカウンセリングを実施しているので、気軽にお問い合わせください。
2025.01.15 -
- 脊椎
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
- 脊椎、その他疾患
「帯状疱疹が治ったのに、なぜ痛みが続くの?」「この痛みは一生続くのだろうか…」 このように不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。 帯状疱疹後神経痛は、患者さんのQOL(生活の質)を大きく低下させ、日常生活に支障をきたす可能性があります。しかし、近年の研究によって、その生理学的メカニズムが少しずつ明らかになってきました。 この記事では、帯状疱疹後神経痛のメカニズムについて詳しく解説します。科学的な理解を深めることが、痛みを和らげる希望につながるでしょう。 帯状疱疹後神経痛とは? 帯状疱疹は、子どもの頃に多くの方が感染する水痘(みずぼうそう)と同じウイルスが原因で起こる病気です。水痘が治った後も、ウイルスは体の中の神経の近くに潜んでいます。普段は眠っているこのウイルスが、なんらかのきっかけで再び活動をはじめることを「再活性化」と言います。 再活性化したウイルスは神経に沿って移動し、皮膚で増えることで発疹や水ぶくれを作ります。この時、強い痛みを感じることが多いです。多くの人は数週間で治りますが、中には痛みが長く続く人もいます。これを帯状疱疹後神経痛と呼びます。 帯状疱疹後神経痛は、痛みのせいで日常生活が送りにくくなることがあります。痛みが生活に与える影響を「QOL(生活の質)の低下」と表現します。 帯状疱疹後神経痛は、患者さんの生活に大きな影響を与える可能性がある、つらい病気なのです。 帯状疱疹後神経痛の診断は、国際的な基準に基づいて行われます。この基準では、帯状疱疹の発疹が治ってから3か月以上続く痛みを「帯状疱疹後神経痛」と定義しています。痛みは、発疹があった場所に限らず、その周辺にも広がることがあります。 また、日本のペインクリニック学会でも、独自の診断基準を作成しています。この基準では、痛みの性質や部位、程度などを詳しく評価することが重要だとされています。 医師は、これらの基準を参考に、患者さんの症状や経過を詳しく調べることで、帯状疱疹後神経痛かどうかを判断します。もし、帯状疱疹にかかった後で、長く続く痛みに悩んでいるなら、専門医に相談してみることをおすすめします。 帯状疱疹後神経痛の生理学的メカニズム 帯状疱疹後神経痛は、体の中で複雑な変化が起こることによって引き起こされます。ここでは、その生理学的なメカニズムについて詳しく解説します。 神経細胞の損傷と再生 帯状疱疹の原因となるウイルスは、子どもの頃にかかる水ぼうそうが治った後も、体の中に潜んでいます。このウイルスは、神経の近くで長い間じっとしています。 ところが、何かのきっかけでウイルスが目覚めると、神経に沿って移動をはじめます。そして、皮膚の中で増えていくことで、発疹や水ぶくれを作るのです。 この時、ウイルスに感染した神経の細胞は、ダメージを受けてしまいます。神経細胞は、脳と体の各部分をつなぐ大切な役割を持っています。痛みを感じると、その信号を脳に伝えるのも神経細胞の仕事です。 しかし、ウイルスに攻撃された神経細胞は、うまく働けなくなってしまうのです。痛みの信号が脳に正しく伝わらなかったり、必要以上に強い痛みを感じてしまったりします。これが、帯状疱疹後神経痛の原因の一つだと考えられています。 神経細胞は傷ついても、少しずつ回復することができます。けれども、完全に元通りになるのはとても難しいのです。一度ダメージを受けた神経細胞は、以前のように痛みの信号を伝えられなくなってしまうこともあるのです。 このように、帯状疱疹後神経痛は、ウイルスによる神経細胞へのダメージが原因で起こると考えられています。神経の回復を助け、痛みを和らげる治療法の開発が、今も進められているところです。 痛みの伝達メカニズム 帯状疱疹後神経痛では、傷ついた神経細胞が過敏な状態になっているのが特徴です。そのため、本来なら痛みを感じないような軽い刺激でも、痛みとして脳に伝わってしまうのです。この状態を「アロディニア」と呼んでいます。 さらに、痛みの信号が体の中の神経の通り道で増幅されることで、より強い痛みを感じるようになることもあり得ます。このように、痛みを伝えるしくみに異常が起こることが、帯状疱疹後神経痛が長引く原因の一つと考えられているのです。 帯状疱疹後神経痛の痛みは、「侵害受容器の感作」や「中枢性感作」といった変化が関係していると考えられています。 侵害受容器は、痛みを感じ取る神経の末端にある受容体です。帯状疱疹によって神経が傷つくと、この侵害受容器が過敏になり、本来は痛みを感じない刺激でも痛みを感じるようになってしまいます。 また、痛みの信号が繰り返し脳に伝わることで、脳の痛みに対する反応も敏感になってしまう「中枢性感作」という変化が起こります。その結果、痛みがさらに強く感じられるようになるのです。 このように、帯状疱疹後神経痛の痛みには、神経のダメージによる末梢での変化と、脳での痛みの処理の変化が関わっていると考えられています。これらのメカニズムを理解することは、効果的な治療法の開発につながると期待されています。 免疫システムの役割 私たちの体には、病気から体を守ってくれる「免疫システム」があります。免疫システムは、ウイルスなどの侵入者から体を守る重要な役割を持っています。 しかし、年をとったり、ストレスを受けたりすると、この免疫システムがうまく働かなくなることがあります。免疫力が下がると、体の中に潜んでいた帯状疱疹のウイルスが、再び活動をはじめてしまうのです。 一方で、帯状疱疹後神経痛が起こる原因の一つに、免疫の反応が過剰になってしまうことが関係しているようです。本来、免疫システムはウイルスから体を守るために働きますが、時には行きすぎた反応を起こしてしまうことがあるのです。 この過剰な免疫反応によって、体の中で炎症を引き起こす物質が増えてしまいます。これらの物質は、神経を傷つけたり、過敏にしたりして、痛みを悪化させてしまう可能性があります。 つまり、帯状疱疹後神経痛は、免疫システムのバランスが崩れることが原因の一つになっていると考えられているのです。免疫力が下がることで、ウイルスが活性化し、また、免疫の反応が過剰になることで、痛みが長引いてしまうのです。 免疫システムを整えることが、帯状疱疹後神経痛の予防や治療に役立つかもしれません。バランスの取れた食事や適度な運動、ストレス管理などが、免疫力を維持するために大切だと言われています。 帯状疱疹後神経痛の影響 帯状疱疹後神経痛は、患者さんの生活の質に大きな影響を与えます。痛みは日常生活のあらゆる場面で支障をきたし、精神的な健康にも悪影響を及ぼすのです。 日常生活への影響 帯状疱疹後神経痛は、患者さんの日常生活にさまざまな影響を与えます。 まず、痛みのために十分な睡眠がとれなくなることがよくあります。夜中に痛みで目が覚めてしまったり、痛みが気になって寝付けなかったりするのです。睡眠不足は、日中の活動にも影響を及ぼします。集中力が低下したり、疲れやすくなったりするでしょう。 また、痛みは仕事や家事の効率を下げてしまうことがあります。デスクワークでは、長時間同じ姿勢でいるのがつらくなったり、資料を運ぶのが難しくなったりするかもしれません。家事では、掃除や洗濯など、体を動かす作業が痛みで困難になる場合もあります。 外出時には、衣服が患部に触れることで痛みが増したり、長時間歩くのがつらかったりと、移動そのものが大変になることもあります。公共交通機関の利用や、買い物など、これまであたり前にできていたことが、痛みによって制限されてしまうのです。 趣味や社会活動も、痛みの影響を受けます。スポーツや運動が思うようにできなくなったり、外出が減ったことで人との交流が減ったりするかもしれません。痛みは、人とのコミュニケーションにも影響を及ぼすのです。 さらに、痛みは患者さまの心理状態にも影響を与えます。痛みが続くことで、イライラしたり、落ち込んだりする方もいます。痛みのコントロールができないことへの不安や、先の見えない闘病生活への疲れが、心の負担になるのです。 このように、帯状疱疹後神経痛は、患者さんの日常生活のあらゆる場面に影響を及ぼします。仕事、家事、外出、趣味、人間関係、心理状態など、生活のすべての側面で、痛みがつきまとうのです。 しかし、適切な治療とサポートによって、これらの影響を最小限に抑えることができます。医療者と相談しながら、自分に合った痛みのコントロール方法を見つけることが大切です。また、家族や友人、同じ悩みを持つ人たちと支え合うことも、困難を乗り越える大きな力になるでしょう。 精神的健康への影響 長期的に持続する痛みは、脳内のセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質のバランスを崩す可能性があります。これらの物質は気分の調整に重要な役割を果たすため、その不均衡がうつ症状につながる場合があるでしょう。 帯状疱疹後神経痛は、患者さんの精神面にも大きな影響を与えます。慢性的な痛みはストレスを増大させ、不安やうつ症状を引き起こすことがあるのです。 痛みがなかなかコントロールできないことで、将来への不安を感じる患者さんも少なくありません。「このまずっと痛みに苦しむのだろうか」と悲観的になってしまう方もいるでしょう。 また、周囲の人が帯状疱疹後神経痛の痛みを理解してくれないと、患者さんは孤独感を抱えてしまうかもしれません。「自分だけが痛みに苦しんでいる」と感じ、心理的に追い詰められてしまう方もいます。 実際に、50代の女性は帯状疱疹後神経痛のために仕事を辞めざるを得なくなり、経済的な不安から抑うつ状態になってしまったそうです。また、80代の男性は痛みのために家族との関係がぎくしゃくし、孤独感から不眠に悩まされていたと言います。 このように、帯状疱疹後神経痛は患者さんの精神的な負担を大きくし、QOLを著しく低下させる可能性があるのです。痛みに苦しむ患者さんが、周囲の理解とサポートを得られるよう、社会全体で支えていくことが大切だといえるでしょう。 現在の治療法と未来の可能性 帯状疱疹後神経痛の治療には、日本ペインクリニック学会が発表しているガイドラインがあります。 ガイドラインによると、帯状疱疹後神経痛に対する治療法は、薬物療法を中心にさまざまな選択肢があります。現在の主な治療法とその効果について見ていきましょう。また、最新の研究で注目されている新たな治療法や予防法についても触れていきます。 伝統的治療法 帯状疱疹後神経痛の治療には、いくつかの種類の薬が用いられます。 治療法 説明 効果 副作用 三環系抗うつ薬 脳内の神経伝達物質のバランスを整える 痛みを和らげる効果が期待できる 眠気、口の渇きなど 抗てんかん薬(プレガバリン、ガバペンチンなど) 神経の過敏性を抑える 痛みを軽減する めまい、眠気など オピオイド鎮痛薬 脳内の痛みを抑える物質の働きを強める 強い痛みに対して鎮痛効果を発揮 便秘、嘔吐、依存性のリスク リドカインパッチ 患部に直接貼る 局所的に痛みを和らげる 皮膚刺激など 神経ブロック療法 痛みを伝える神経の近くに麻酔薬やステロイドを注射 痛みの伝達を遮断 感染リスク、一時的な神経障害など 経皮的電気神経刺激療法(TENS) 皮膚に電極を貼り、弱い電流を流す 痛みを感じにくくする 皮膚刺激、まれに筋肉の痙攣 まず、三環系抗うつ薬は、脳内の神経伝達物質のバランスを整えることで、痛みを和らげる効果が期待できます。ただし、眠気や口の渇きなどの副作用に注意が必要です。 次に、プレガバリンやガバペンチンなどの抗てんかん薬は、神経の過敏な反応を抑えることで痛みを軽減します。めまいや眠気などの副作用がある場合もありますが、多くの患者さんで効果が見られています。 また、オピオイド鎮痛薬は、強い痛みに対して使用されることがあります。これらの薬は、脳内の痛みを抑える物質の働きを強めることで、鎮痛効果を発揮します。ただし、便秘や吐き気、依存性などの副作用のリスクがあるため、慎重に使用する必要があります。 このほか、リドカインパッチなどの貼り薬を痛みのある部分に直接貼ることで、局所的に痛みを和らげる方法もあります。神経ブロック療法では、痛みを伝える神経の近くに麻酔薬やステロイドを注射し、痛みの伝達を遮断します。 経皮的電気神経刺激療法(TENS)は、皮膚に電極を貼り、弱い電流を流すことで痛みを和らげる治療法です。この方法は、痛みの信号を脳に伝えにくくすることで効果を発揮します。皮膚への刺激感はありますが、大きな副作用は少なく、とくに薬物療法と組み合わせることで効果が期待できます。ただし、効果の程度には個人差があり、すべての患者さんに同じように効くわけではありません。 これらの治療法を組み合わせることで、多くの患者さんである程度の痛みの緩和が得られますが、完全に痛みをなくすことは難しいのが現状です。 最新の研究と将来の治療法 近年、帯状疱疹後神経痛に対する新たな治療法の開発が進んでいます。 治療法 説明 期待される効果 現状 カプサイシン貼付剤 トウガラシの辛み成分を含む貼り薬 痛みを伝える神経終末の感受性を低下させ、鎮痛効果を発揮 研究段階 ボツリヌス毒素注射 ボトックス注射として知られる 痛みに関連する神経伝達物質の放出を抑制し、痛みを和らげる 臨床試験中 帯状疱疹ワクチン 予防接種 帯状疱疹の発症そのものを予防し、結果として帯状疱疹後神経痛の発症も防ぐ 一部実用化 カプサイシン貼付剤は、唐辛子の辛み成分を含む貼り薬です。これを痛みのある部分に貼ることで、痛みを感じる神経の働きを弱め、痛みを和らげる効果が期待できます。 ボツリヌス毒素注射は、一般的にはしわ取りで知られるボトックス注射と同じものです。この注射は、痛みを伝える神経の働きを抑えることで、痛みを軽減する効果が期待されています。 帯状疱疹ワクチンは、帯状疱疹そのものの発症を予防するワクチンです。このワクチンを接種することで、体の中で眠っている帯状疱疹のウイルスが活動をはじめるのを抑え、結果として帯状疱疹後神経痛の発症も防げる可能性があります。 これらの新しい治療法や予防法は、帯状疱疹後神経痛で苦しむ患者さんの痛みを和らげるための新たな選択肢として注目されています。帯状疱疹後神経痛の治療は日々進歩しており、患者さんの生活の質を改善するためのさまざまな方法が増えています。 まとめ:科学的理解がもたらす希望 痛みのメカニズムを理解することで、患者さんは自身の症状をより客観的に捉えられるようになります。たとえば、天候の変化で痛みが増す現象も、気圧の変化が神経に与える影響として説明できるでしょう。これにより、不安や恐れが軽減される可能性があります。 医療者や研究者たちは、帯状疱疹後神経痛のメカニズムを少しずつ解明してきました。ウイルスによる神経の傷、痛みの信号伝達の異常、免疫システムの関与など、複雑な要因が絡み合っていることがわかってきたのです。 この科学的な理解は、あなたが自分の症状と向き合う上で、大きな助けになるでしょう。痛みの原因が少しずつ明らかになることで、あなたは自分の状態をより正しく理解することができます。そして、その理解を基に、医師とともに、あなたに合った治療法を選ぶことができるでしょう。 現在、多くの治療選択肢があります。薬物療法、神経ブロック、心理療法など、さまざまなアプローチが試みられています。これらの治療法は、あなたの痛みを和らげ、生活の質を改善するために役立つかもしれません。 帯状疱疹後神経痛は、簡単には克服できない病気かもしれません。しかし、医療者や周りの人々に支えられながら、一歩ずつ前に進むことができます。今日の痛みに負けず、希望を持ち続けることが大切です。 たとえ痛みがあっても、あなたの人生にはまだ多くの可能性があります。医師と相談しながら、自分に合った方法で痛みと向き合い、日々の生活を送っていきましょう。小さな進歩や改善を大切にし、自分のペースで前に進んでいきましょう。 痛みを単なる'敵'ではなく、身体からのメッセージとして捉え直すことで、より建設的な対処が可能になります。たとえば、痛みが強い時は休息を取り、和らいだ時に少しずつ活動を増やすなど、痛みと共存しながら生活の質を高める方法を見出すことができるでしょう。 この記事が、帯状疱疹後神経痛についての理解を深め、今後の生活に少しでも役立つ情報となれば幸いです。 参考文献一覧 加藤実,帯状疱疹後神経痛に対する薬物療法,日本臨床麻酔科学会vol.28,No.1/Jan.2008,J-STAGE 日本ペインクリニック学会,Key Point,オピオイド 日本ペインクリニック学会,ⅢーA帯状疱疹と帯状疱疹後神経痛,第3章 各疾患・痛みに対するペインクリニック治療指針p095ー100 日本ペインクリニック学会,ペインクリニックで扱う疾患と治療の現在,帯状疱疹関連痛を含む神経障害性痛 日本ペインクリニック学会,Key Point,神経ブロック 日本ペインクリニック学会,Key Point,NSAIDsとアセトアミノフェン 日本ペインクリニック学会,Key Point,オピオイド 日本ペインクリニック学会,Key Point,抗うつ薬、抗痙攣薬 国立感染症研究所,帯状疱疹ワクチン ファクトシート,厚生労働省 日本ペインクリニック学会,神経障害性疼痛の概要 日本ペインクリニック学会,痛みの機序と分類
2024.11.27 -
- 足部、その他疾患
- 足部
- スポーツ外傷
「シンスプリントの原因を知りたい」 「すねに違和感を抱えたまま、練習を続けても大丈夫なのか」 ランニングや部活動の練習を続けていると、すねの内側に違和感を覚えることがあります。走る習慣のある人に多くみられる代表的なトラブルのひとつがシンスプリントです。 無理な練習量やフォームの乱れ、硬い路面やシューズの状態など、日常のさまざまな負荷がシンスプリントの原因です。シンスプリントの原因を理解することで、改善や再発の予防につながります。 本記事では、現役医師がシンスプリントの原因について詳しく解説します。最後には、シンスプリントの原因に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 シンスプリントについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 シンスプリントの原因 原因 詳細 運動負荷の影響 急激な走行距離や練習量の増加によるすね内側への繰り返されるストレス 不適切なランニングフォーム 過回内や姿勢の乱れによる筋肉と骨膜への不均一な負担 シューズと路面の問題 クッション性の低下した靴や硬い路面での走行による衝撃の増加 筋力・柔軟性の不足 下肢筋群の筋力低下や柔軟性不足による衝撃吸収力の低下 (文献1) シンスプリントは、医学的に脛骨過労性骨膜炎と呼ばれるスポーツ障害です。すねの内側の骨膜が繰り返す衝撃により炎症を起こすことで発症します。主な症状は運動時や運動後の鈍い痛みです。 原因には、過度な練習、不適切なフォーム、シューズや路面の環境、筋力や柔軟性の不足などが複合的に関与します。 以下の記事では、シンスプリントの症状について詳しく解説しています。 運動負荷の影響 原因 詳細 過剰なトレーニング 長時間のランニングやジャンプによるヒラメ筋・後脛骨筋・長趾屈筋の疲労と骨膜への炎症 急激な運動量の増加 運動初心者や再開者に起こりやすい急激な負荷増加による筋肉と骨膜への過度なストレス 不適切なランニングフォームや身体の使い方 過回内足や扁平足による衝撃増大や関節柔軟性の低下による骨膜の微細損傷 足の構造や筋力の問題 扁平足や過回内足などのアライメント異常と筋力不足による骨膜への牽引増加 運動環境の影響 硬い路面やクッション性の乏しいシューズによる衝撃増幅と骨膜への反復ダメージ シンスプリントは、運動量を急激に増やした際に発症しやすいスポーツ障害です。とくに部活動やマラソン練習で短期間に走行距離を伸ばすと、すねの骨膜や周囲の筋肉に繰り返し負担がかかり炎症を生じます。 硬い地面での走行や休養不足により、組織の回復が追いつかず炎症が蓄積することが原因です。予防には、運動量を段階的に増やし、週単位で無理のないペースに調整することが重要です。 不適切なランニングフォーム 原因 詳細 過剰な衝撃がすねに伝わる着地 かかとからの強い着地による骨膜や筋肉への反復負担、オーバープロネーション(過回内)による足首の内倒れ オーバープロネーション(過回内) 足首の過度な内倒れによる骨膜の牽引と筋肉への不均等な負担 筋力や柔軟性のバランスの乱れ 足首やふくらはぎの筋力不足・硬さによる衝撃吸収力の低下 足の指の使い方の問題 足指の機能低下による足の安定性不足と衝撃分散不良 足のアーチ構造の問題 扁平足による足底クッション性低下と着地衝撃の直達 ランニングフォームの乱れは下腿への負担を偏らせ、シンスプリントの原因となります。かかとからの強い着地や体重の偏りは骨膜や筋肉を繰り返し刺激し、とくに足首が内側に過度に傾くオーバープロネーションは代表的な要因です。 予防には、自身の走りを鏡や動画で確認し、必要に応じて専門家の指導を受けることが有効です。正しい姿勢とバランスの取れた動作を習慣化することで、下腿への過剰な負担を軽減できます。 シューズと路面の問題 原因 詳細 シューズのクッション性不足 薄い底や硬い素材による衝撃吸収力の低下と骨膜への直接負担 靴底の摩耗や劣化 片側に偏った荷重による筋肉と骨膜への不均等なストレス 足に合わないシューズの使用 足形に合わない靴による安定性低下と下肢関節への余計な負担 硬い路面での運動 アスファルトやコンクリートによる地面衝撃の直達と負担増加 シンスプリントの発症には、シューズや走行環境も大きく影響します。クッション性の乏しい靴やかかとの摩耗したシューズを使用すると、衝撃が直接すねに伝わりやすくなります。 アスファルトやコンクリートなど硬い路面での長時間走行は骨や筋肉への負担を増大させるため、予防には適切なランニングシューズを定期的に交換し、芝生やトラックなど柔らかい路面を練習に取り入れることが有効です。 筋力・柔軟性の不足 原因 詳細 筋力不足による負担集中 前脛骨筋・腓腹筋・ヒラメ筋のバランス不良による後脛骨筋や長趾屈筋への過剰負担 筋力バランスの乱れと身体連動性の低下 骨盤周囲や背筋の硬直による下肢筋肉への負担集中と衝撃吸収力低下 筋肉の柔軟性不足 ふくらはぎやすね周囲の筋硬直による骨膜への牽引増加 筋力不足が起こりやすい状況 初心者や運動再開者に多い筋力低下と柔軟性不足 筋肉ケアの重要性 後脛骨筋やヒラメ筋のマッサージ・筋トレ・ストレッチによる骨膜負担軽減 下腿の筋力不足は走行時の衝撃吸収を妨げ、骨膜への負担を増加させます。さらに、ふくらはぎや大腿の筋肉が硬く柔軟性が低下すると、動作のたびにすねへ強い張力が加わり、炎症を起こしやすくなります。 予防と改善には、下腿や足部を安定させる筋力トレーニングと、柔軟性を保つストレッチが有効です。とくに運動後のストレッチは筋疲労を和らげ、再発リスクの低減につながります。 シンスプリントの治し方 治し方 詳細 休養とセルフケア 練習量調整と運動制限による負担軽減、アイシングやストレッチによる炎症抑制 シューズ・インソールの見直し 足型に合ったシューズ選択とインソール使用による衝撃分散と負担軽減 医療機関への受診 疲労骨折との鑑別や画像検査による診断、専門的治療による適切な改善 シンスプリントの治療には、まず休養とセルフケアが重要です。練習量を調整し必要に応じて運動を制限することで負担を軽減し、アイシングやストレッチで炎症を抑えます。また、足型に合ったシューズやインソールを使用することで衝撃を分散させ、再発予防につながります。 強い痛みがある場合や疲労骨折が疑われるときは、医療機関を受診して画像検査と専門的治療を受けることが回復への近道です。 以下の記事では、シンスプリントの治療法や発症する原因について解説しています。 休養とセルフケア 内容 詳細 運動の休止・調整による炎症の回復促進 負担軽減による炎症悪化防止と自然治癒促進 冷却ケア(アイシング)による炎症・痛みの緩和 血管収縮による腫れ軽減と症状緩和 ストレッチ・筋トレによる筋肉の柔軟性・筋力強化 下肢筋群の柔軟性向上と衝撃吸収力強化による骨膜負担軽減 シンスプリントを発症した場合は、まず運動を中止して休養を取ることが基本です。無理に続けると炎症が悪化し、治癒が遅れる原因となります。 自宅でのセルフケアとしては、患部のアイシングや軽いマッサージにより炎症や筋緊張を和らげる方法が有効です。痛みが落ち着いた段階では、軽いストレッチを取り入れることで徐々に回復を促せます。ただし、違和感が生じた場合は直ちに中止することが重要です。 以下の記事では、シンスプリントにおける休む期間を詳しく解説しています。 シューズ・インソールの見直し 内容 詳細 足の負担を軽減するクッション性 着地衝撃の吸収による骨膜へのストレス減少 足のアラインメントをサポート 偏平足や過回内の補正による重心バランス改善 個々の足の形状に合わせた調整 カスタムインソールによる効率的な負担分散 適正な靴の選択による姿勢とフォーム改善 足の安定性確保による繰り返し負担の軽減 シンスプリントの再発予防には、シューズとインソールの見直しが重要です。不適切な靴や摩耗したシューズを使用し続けると負担が蓄積し、症状を繰り返す原因となります。 クッション性と安定性のあるランニングシューズを選び、自分の足型に合ったインソールを使用することで衝撃を分散できます。とくに扁平足や過度の内反足がある場合には補正効果が有効です。再発予防には、専門店や医療機関で足型測定を受け、適切なサポートを選ぶことが推奨されます。 以下の記事では、シンスプリントを走りながら治せるかについて詳しく解説しています。 医療機関への受診 シンスプリントは疲労骨折など他疾患と症状が類似するため、医療機関での正確な診断が不可欠です。画像検査により病態を把握し、運動制限や保存療法を含む適切な治療計画を立てます。 医師によるリハビリ指導で再発防止を図り、必要に応じて体外衝撃波治療(患部に衝撃波を当てて治癒を促す治療法)などの治療法も選択できます。自己判断で放置すると慢性化や悪化を招くため、症状が現れた場合は早期の受診が必要です。 シンスプリントの再発予防策 再発予防策 詳細 運動量とコンディション管理 負荷の段階的調整と体調や筋肉状態の観察による回復促進 シューズ・路面・インソール 足型に合ったシューズ選択と路面環境調整、インソールによる衝撃分散 筋トレ・ストレッチ 下肢筋群の筋力強化と柔軟性向上による骨膜負担の軽減 ウォームアップ・クールダウン 始動前の筋温上昇と運動後の血流改善による疲労回復促進 シンスプリントの再発予防には、運動量を段階的に調整し、体調や筋肉の状態を観察しながら負荷を管理することが基本です。加えて、足型に合ったシューズやインソールを用いて衝撃を分散し、硬い路面を避ける工夫も有効です。 さらに、下肢筋群の筋力強化と柔軟性向上により骨膜への負担を軽減できます。運動前のウォームアップで筋温を高め、運動後のクールダウンで血流を改善することで疲労回復を促し、再発防止につながります。 運動量とコンディション管理 内容 詳細 運動量を段階的に増やすことで負担を調整 急激な練習増加を避けた段階的な負荷調整による炎症再発防止 適切なウォームアップとクールダウンによる筋肉の準備・回復 柔軟性向上と疲労除去による衝撃吸収力改善と回復促進 体調や筋肉の柔軟性の維持・管理 ストレッチと筋トレによる下肢柔軟性維持と骨膜負担分散 適切な休息と体重管理による負担軽減 疲労蓄積予防と適正体重維持による下肢負担軽減 シンスプリントの再発予防には、計画的な運動量の調整が不可欠です。練習量は週単位で徐々に増やし、疲労が強い状態でのトレーニングは避けることが推奨されます。 さらに、運動前後のウォームアップとクールダウンを徹底し、下肢の柔軟性と筋力を継続的にケアすることが重要です。十分な休養、適切な睡眠や食事による体調管理、体重コントロールも有効であり、これらを実践することで再発を防ぎつつ競技パフォーマンス向上にもつながります。 以下の記事では、シンスプリントにおけるテーピングの方法を詳しく解説しています。 シューズ・路面・インソール 内容 詳細 衝撃吸収力が予防の要 クッション性シューズやインソールによる地面衝撃の緩和と骨膜への負担軽減 足のアライメント補正による負担軽減 インソールによる扁平足や過回内の補正と重心移動の安定化 適切な路面選びによる負担軽減 土や芝など柔らかい路面による衝撃減少と炎症再発防止 個別のフィット感で疲労軽減 足形に合った靴やカスタムインソールによる安定性確保とフォーム維持 シンスプリントの再発予防には、シューズ・路面・インソールの見直しが重要です。クッション性を確認し摩耗した靴は早めに交換すること、インソールで足のアーチを支えバランスを整えることが局所的な負担軽減につながります。 さらに、芝生や土のトラックなど柔らかい路面を活用することで下腿への衝撃を和らげられます。自分の足に合った用具選びと練習環境の工夫が、再発防止に不可欠なセルフケアであり、専門的アドバイスの活用も推奨されます。 筋トレ・ストレッチ 内容 詳細 筋力強化で衝撃吸収力を向上 後脛骨筋やヒラメ筋の強化による衝撃吸収力改善と骨膜負担軽減 筋肉の柔軟性向上で負担を分散 ストレッチによる筋緊張緩和と骨膜牽引力低下 姿勢とフォームの改善 関節周囲筋群のバランス改善による正しい姿勢と走行フォーム維持 継続的なケアで疲労の蓄積防止 筋耐久性向上によるフォーム乱れ防止と再発リスク低減 シンスプリントの再発予防には、筋力強化とストレッチを継続することが重要です。下腿や足部の筋力を高めることで衝撃を吸収し、骨膜への負担を軽減できます。 予防には、カーフレイズやチューブを用いた足首運動が効果的です。加えて、ふくらはぎや大腿のストレッチで柔軟性を保つことで負荷を分散し、正しいフォーム維持や疲労防止につながります。 以下の記事では、シンスプリントに効くストレッチを詳しく解説しています。 ウォームアップ・クールダウン 内容 詳細 筋肉と関節の準備(ウォームアップ) 筋肉と関節の柔軟性向上と血流促進による負担分散 運動後の筋肉の回復促進(クールダウン) 筋緊張緩和と疲労物質除去による炎症予防と回復促進 正しいフォームを維持しやすくする 筋肉の準備による着地安定化と骨膜への過剰負担防止 継続的な習慣化が身体に良い効果をもたらす 柔軟性維持と疲労回復機能向上による再発リスク低減 シンスプリントの再発防止には、運動前後のケアが欠かせません。ウォームアップで筋肉と関節を温め血流を促すことで、運動中の負担を軽減できます。 運動後はクールダウンを行い、筋肉の疲労回復と柔軟性維持を図ることが重要です。これらを習慣化することで、正しいフォームが維持され過剰な負担を防ぎ、再発リスクを低減できます。医療機関やトレーナーの指導を受けつつ継続することが、スポーツを続けるために有効です 原因不明のシンスプリントは医療機関を受診しよう シンスプリントは原因を理解することで予防が可能なスポーツ障害です。発症すると痛みが落ち着くまで安静が必要となります。そのため、日頃からストレッチや筋力トレーニングを行い、発症を防ぐことが大切です。 また、症状を放置すると回復が遅れ競技復帰にも影響するため、長引く場合は早めに医療機関を受診することが推奨されます。 シンスプリントが改善しない場合は、当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。再生医療を用いて組織の回復を促し、シンスプリントの改善を目指す治療法を選択肢のひとつとして提案しています。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 シンスプリントの原因に関するよくある質問 成長期の子どもはシンスプリントになりやすいですか? 成長期の子どもは骨や筋肉、腱が未発達で負担に弱く、シンスプリントを起こしやすい状態です。 とくに練習量の急増、硬い路面、不適切なシューズ、筋力や柔軟性の不足が重なるとリスクが高まります。予防には段階的な練習、休養の確保、シューズや環境の見直しが重要です。 体力があればシンスプリントは防げますか? 体力や筋力があることはシンスプリント予防に一定の効果がありますが、それだけでは防げません。 練習量の急増、硬い路面や不適切なシューズ、扁平足などの足の特徴、柔軟性の低下などが重なると発症することがあります。シンスプリントは運動量・環境・身体特性が複合的に関与するため、休養、シューズの見直し、ストレッチやフォーム改善を含む総合的な対策が必要です。 シンスプリントと疲労骨折はどう違いますか? シンスプリントと疲労骨折はいずれも下腿に起こるランニング障害ですが、病態や重症度に違いがあります。シンスプリントは脛骨内側の骨膜に繰り返しの衝撃や筋肉の牽引が加わり炎症を起こす状態で、運動時に鈍い痛みが出て休むと軽快することが多いのが特徴です。 一方、疲労骨折は骨そのものに微細なひびが入った状態で、安静時にも痛みが続くことがあり、X線やMRIなどの画像検査で診断が必要です。シンスプリントは炎症主体で比較的改善しやすいのに対し、疲労骨折は骨損傷が主体で運動制限や固定を要することがあります。 以下の記事では、疲労骨折について詳しく解説しています。 家族がシンスプリントになったときの対処法や注意点はありますか? 家族がシンスプリントになった場合は、無理に運動を続けさせず休養を確保することが大切です。練習後のアイシングやストレッチを促し、シューズやインソールの状態を確認しましょう。 痛みが強い、長引く場合は医療機関への受診が必要です。とくに成長期の子どもでは症状を軽視しやすいため、家族の早期対応が重要です。 参考文献 (文献1) Shin Splints|Orthoinfo
2024.11.27 -
- 脊椎
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
- 脊椎、その他疾患
「帯状疱疹が治ったのに、痛みが続く…」「痛くて夜も眠れない…」 このような帯状疱疹後神経痛にお悩みの方は多いのではないでしょうか。帯状疱疹後神経痛は、皮膚の症状が治まった後も数か月から数年にわたって続く可能性がある、非常につらい症状です。 病院での治療と併せてマッサージを取り入れると、痛みの緩和に役立つ可能性があります。ただし、マッサージには注意すべき点もあり、正しい知識を持って行うことが大切です。 この記事では、自宅でできる帯状疱疹後神経痛のマッサージや注意点について解説します。痛みを和らげ、生活の質を高めるヒントとしてお役立てください。 また帯状疱疹後神経痛は、皮膚症状が治った後も神経のダメージが残ることで痛みが長期化しやすく、日常生活に負担がかかるケースも少なくありません。 そのような方には治療の選択肢のひとつとして再生医療があります。 再生医療は、損傷した神経や炎症を抑え、痛みの根本原因にアプローチすることを目指す治療法で、詳細は以下の動画でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/NeS1bk2i5Gs?si=-Kvk7EX-xDZ2ABYK 【こんな方は再生医療をご検討ください】 処方された薬を続けても、痛みが改善しない 既存の治療では効果が見られない 薬の副作用が気になる、あるいはこれ以上薬を増やしたくない まずは具体的な治療法について、当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングにて、お気軽にご相談ください。 【自宅でできる】帯状疱疹後神経痛のマッサージ方法 マッサージを行う上で役立つ道具や準備、簡単に実践できるマッサージ法をご紹介します。 マッサージには神経の損傷を治す効果はないため、あくまで補助的なケアとして取り入れましょう。 必要な道具と準備 セルフマッサージや介助者によるマッサージを行う際は、以下の道具を準備しましょう。 道具 用途 マッサージオイルやクリーム 肌の摩擦を減らし、マッサージをスムーズに行うのに役立ちます。 タオル オイルやクリームを拭き取るのに使います。 バスタオル マッサージ中に下に敷いておくと、オイルなどで周りが汚れるのを防げます。 枕やクッション 体を楽な姿勢に保つのに使います。 マッサージをはじめる前に、手を清潔にし爪を短く切っておくことが大切です。また、お風呂上がりなど、体が温まっているときにマッサージを行うと、より効果的です。 簡単なセルフマッサージ法 マッサージ方法 手順 円を描くようにマッサージ 痛みのある部分の周りを、指の腹で円を描くようにやさしくマッサージします。痛くない程度の圧で行いましょう。 遠くから近くへのマッサージ 痛みのある部分から少し離れたところを、両手で優しくさすります。徐々に痛みのある部分に近づけていきます。 手のひら全体で温める 痛みのある部分を、手のひら全体で包み込むようにして温めます。 これらのマッサージを1日に2~3回、それぞれ5分ほど行ってみてください。痛みを感じたら、無理せずに中止しましょう。 痛みが強い部位や手の届かない場所については、1人でのマッサージが難しい場合があります。家族や介護者にお願いするか、医師や理学療法士に相談することをおすすめします。 帯状疱疹後神経痛の痛みを和らげるマッサージの種類 マッサージの種類 効果 トリガーポイントセラピー 筋肉内の痛みの引き金となる緊張点(トリガーポイント)を刺激し、筋肉の緊張による痛みの軽減を目指す リンパドレナージュ 優しくリンパの流れを促し、むくみによる神経への圧迫を和らげる スウェディッシュマッサージ 全身の血行を促進し神経の修復を助け、痛みを軽減する ツボマッサージ 神経痛や皮膚症状に対応するツボを刺激し、痛みの緩和や回復を促すと考えられている マッサージは症状や目的に応じて使い分け、神経痛に伴う筋肉の緊張や血行不良の改善を目指しましょう。 トリガーポイントセラピー トリガーポイントセラピーは、筋肉のこりや痛みの引き金となるポイントをほぐすマッサージ法です。神経痛による慢性的な筋緊張や姿勢の崩れがある場合、筋肉のこわばりを和らげる効果が見込めます。 トリガーポイントセラピーの手順は、以下の通りです。 張っている部分やしこりを感じる部分を探す 指先やテニスボールなどを使う 軽く押し当てて10秒程キープしてゆっくり離す、を繰り返す 痛いけど気持ち良いと感じる程度の刺激を与える トリガーポイントセラピーは、筋肉の深層にアプローチするイメージで行いましょう。 また、慢性的な痛みや痺れがある方は、医師や理学療法士など専門家の指導を受けましょう。 リンパドレナージュ リンパドレナージュは体内のリンパの流れを促し、老廃物や余分な水分の排出を助けるマッサージ法です。リンパの滞りによって起こるむくみや組織の圧迫を軽減し、帯状疱疹後神経痛による不快感を和らげる効果が期待できます。 リンパドレナージュのポイントは、以下の通りです。 痛みのない部位から始める 手のひら全体を使い、鎖骨周辺や脇の下、足の付け根など、リンパ節に向かって流すように皮膚をやさしくなでる 撫でた手を元に戻す 5~10回繰り返す 痛みが強い部分を無理にマッサージするとかえって悪化する可能性があります。発熱時やリンパ浮腫のある方は自己判断で行わず、医師に相談しましょう。 スウェディッシュマッサージ スウェディッシュマッサージは筋肉や関節など身体構造に沿ってやさしくアプローチする、伝統的な全身マッサージです。ヨーロッパでは医療やリハビリにも使われており、疲労回復やストレス軽減、免疫機能の向上が期待できます。 スウェディッシュマッサージのポイントは、以下の通りです。 オイルを少量手に取り、手のひらで温めてから肌に塗布する 力を入れすぎず、手のひらや指でゆっくり滑らせる オイルが馴染んだら、筋肉をこねたり揺らしたりして深層の筋肉を緩める 痛みの強い部位は避けましょう。また、高熱、皮膚疾患、血液循環系の病気がある方は、事前に医師に相談しましょう。 帯状疱疹後神経痛のツボマッサージ 東洋医学では、神経痛や皮膚症状に対応するツボを刺激して、痛みの緩和や回復を促すと考えられています。 帯状疱疹後神経痛と関わりが深いとされるツボは、以下の通りです。 ツボの名前 場所 期待できる主な作用 合谷(ごうこく) 親指の骨と人差しの骨の間 顔の痛み 至陰(しいん) 小指の爪の生え際から約3mm外側 背中、腰、臀部、ふくらはぎの痛み 竅陰(きょういん) 薬指の爪の生え際から約3mm外側 脇腹など身体の側面の痛み 太渓(たいけい) 内側のくるぶしとアキレス腱の間 身体のむくみ緩和 太白(たいはく) 足の親指、足の甲と足底の境目で、くぼみがある 腸内環境を整え、免疫機能の活性化を促す ツボは、1日1~2回、各2~3分程度を目安に無理のない範囲で行いましょう。 帯状疱疹後神経痛マッサージの注意点 マッサージは帯状疱疹後神経痛の症状緩和に効果的ですが、状況によっては控えるべき場合もあります。 ここでは、マッサージが推奨されない症状や健康状態、および適切なマッサージの頻度と強度について説明します。 注意すべき症状と状況 以下のような症状や状況では、マッサージは控えめにするか、医師に相談してから行いましょう。 症状や状況 理由 熱があるとき 体調が優れない場合、マッサージによって症状が悪化する可能性があります。 皮膚に炎症や傷があるとき マッサージによって皮膚の状態が悪化したり、感染のリスクが高まったりする可能性があります。 痛みが強くてマッサージに耐えられないとき 強い痛みがある場合、マッサージによって痛みが増強される可能性があります。 血栓症や出血しやすい病気があるとき マッサージによって血栓が移動したり、出血が起こったりする危険性があります。生命に関わる重大な事態を引き起こす可能性があるため避けましょう。 帯状疱疹の発疹が出ている時期 発疹部分へのマッサージは、症状を悪化させる可能性があります。 また、妊娠中の方は、念のため医師に相談してからマッサージを受けるようにしましょう。 マッサージの頻度と強度 マッサージを行う際は、適切な頻度と強度を守ることが大切です。 項目 推奨 頻度 1日1~2回、それぞれ10~20分程度が適当です。 強度 痛くない程度の圧から始め、徐々に圧を強めていきます。痛みのある部分は、痛みに合わせて加減しましょう。 マッサージは帯状疱疹後神経痛の緩和に役立つ手法ですが、適切な注意点を守ることが重要です。症状や体調に合わせてマッサージを行い、無理のない範囲で継続して痛みの緩和につなげましょう。 帯状疱疹後神経痛にマッサージが効果的な理由 帯状疱疹後神経痛にマッサージが効果的な理由は、以下の通りです。 理由 説明 血流を促進する 痛みがあると血液の流れが悪くなりがちです。 マッサージは血流を改善し、痛みを和らげる効果があります。 血液の流れが良くなると栄養分が行き渡りやすくなり、身体の回復を助けます。 筋肉の緊張を和らげる 痛みがあると筋肉が緊張しがちです。 マッサージは緊張をほぐし、痛みを和らげる効果があります。 リラックス効果をもたらす マッサージにはリラックス効果があります。 リラックスすると痛みに対する敏感さが下がり、痛みを和らげる効果が見込めます。 マッサージはあくまで補助的な治療であり、効果の出方には個人差があります。実施する際は、医師の指導を受けましょう。 まとめ|帯状疱疹後神経痛に効くマッサージ法 帯状疱疹後神経痛は、水痘・帯状疱疹ウイルスによって神経が傷つき、痛みが残る状態です。 マッサージには損傷した神経を修復する作用はありませんが、筋肉の緊張緩和やストレス軽減を通じて、痛みの感じ方に影響を与えることがあります。 また、神経の損傷修復を促す新しいアプローチとして、細胞や血液を活用した再生医療による治療も選択肢の一つです。 帯状疱疹後神経痛による痛みにお悩みの方や、再生医療による治療に関心がある方は、当院「リペアセルクリニック」までお気軽にご相談ください。 帯状疱疹後神経痛に関してよくある質問 帯状疱疹後神経痛はいつまで続くの? 帯状疱疹後神経痛の持続期間には個人差があり、比較的若い方では数週間程度で治まることが多いとされています。一方で、高齢の方ほど長引く傾向があります。 帯状疱疹後神経痛の持続期間に関するデータは、以下の通りです。(文献1) 年齢 1カ月後に痛みがある方 3カ月後に痛みがある方 12カ月後に痛みがある方 60歳未満 約6% 約1.8% 0% 60~69歳 約9% 約12% 約4% 上記の研究では、5年以上痛みが続いたケースも確認されています。痛みを長引かせないためにも、帯状疱疹の段階からの早期治療が非常に重要です。 帯状疱疹の痛みを和らげる方法は? 帯状疱疹の痛みを和らげる方法は、以下の通りです。 絹など、刺激の少ない素材の衣類を選ぶ ストレスや疲労をためないよう、しっかり休息を取る 症状が落ち着いたら、入浴や蒸しタオル、カイロなどで体を温めて血行を促進する また、再生医療などを取り入れた新しい治療法も選択肢のひとつです。詳しくは当院「リペアセルクリニック」までご相談ください。 参考文献 (文献1) 帯状疱疹の最初のエピソード後の帯状疱疹後神経痛の有病率|PubMed
2024.11.25 -
- 脊椎
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
- 脊椎、その他疾患
「帯状疱疹が治ったのに痛みが続くのはなぜ?」「帯状疱疹後神経痛にはどのような薬が効くの?」このように悩んでいる方も多いのではないでしょうか。 帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹の後遺症として起こる難治性の痛みです。 皮膚の痛みやしびれ、灼熱感などが長期間続き、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。 今回は、帯状疱疹後神経痛に効果が期待できるさまざまな薬について、選択肢や効果、副作用などを詳しく紹介します。 この記事が、痛みに悩むあなたの治療選択の助けになれば幸いです。 また帯状疱疹後神経痛は鎮痛薬や神経に作用する薬を飲んでも痛みが慢性化しやすく、日常生活に大きな負担がかかるケースが少なくありません。 そのような方にとって、「再生医療」は新しい選択肢の一つです。 \帯状疱疹後神経痛に対する再生医療とは/ 再生医療は、損傷した神経や炎症を抑え、痛みの根本原因にアプローチすることを目指す治療法です。 治療法については以下の動画でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/NeS1bk2i5Gs?si=-Kvk7EX-xDZ2ABYK 【こんな方は再生医療をご検討ください】 処方された薬を続けても、痛みが改善しない 既存の治療では効果が見られない 薬の副作用が気になる、あるいはこれ以上薬を増やしたくない 「薬を飲み続ける以外の選択肢」として、まずは具体的な治療法について、当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングにて、お気軽にご相談ください。 帯状疱疹後神経痛に使用される5つの薬 帯状疱疹後に残る神経痛には、症状に応じてさまざまな薬が使われます。 抗ウイルス薬 抗てんかん薬 抗うつ薬 鎮痛薬(オピオイド含む) トピカル治療薬 ここでは、よく処方される代表的な5種類の薬について、それぞれの特徴や働き、注意点などをわかりやすく解説します。 抗ウイルス薬 抗ウイルス薬とは、ウイルスの増殖を抑える薬のことです。 帯状疱疹後神経痛の原因となる水痘帯状疱疹ウイルスの活動を抑えることで、神経の損傷を防ぎ、痛みの発症リスクを下げる効果が期待できます。 代表的な薬剤としては、アシクロビルやバラシクロビルなどがあります。 抗てんかん薬 抗てんかん薬とは、本来はてんかんの治療に用いられる薬ですが、神経の過剰な興奮を抑える働きがあるため、帯状疱疹後神経痛の治療にも使われます。 痛みの信号を伝える神経の活動を抑制することで、痛みを和らげる効果が期待できます。 代表的な薬剤としては、ガバペンチンやプレガバリン(リリカ)などがあります。 抗うつ薬 抗うつ薬とは、うつ病の治療に用いられる薬ですが、慢性の痛みに対しても効果があることが知られています。 セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の働きを調整することで、痛みの信号を抑制し、痛みを和らげる効果が期待できます。 代表的な薬剤としては、三環系抗うつ薬(アミトリプチリンなど)や、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(デュロキセチンなど)があります。 鎮痛薬(オピオイド含む) 鎮痛薬とは、痛みを和らげる薬の総称です。 帯状疱疹後神経痛に対しては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアセトアミノフェンなどの一般的な鎮痛薬が使われることがあります。 また、痛みが強い場合には、オピオイド鎮痛薬(トラマドールなど)が処方されることもあります。 これらの薬は、痛みの信号を遮断したり、痛みを感じにくくしたりすることで、鎮痛効果を発揮します。 トピカル治療薬 トピカル治療薬とは、患部に直接塗布したり貼付したりする薬のことです。 帯状疱疹後神経痛に対しては、リドカインパッチやカプサイシンクリームなどが用いられることがあります。 これらの薬は、痛みの信号を局所的に遮断したり、痛みを感じにくくしたりすることで、症状の緩和に役立ちます。 帯状疱疹後神経痛の薬について紹介してきましたが、そもそもの原因や詳しい症状について知りたい方は、あわせて以下の記事をご覧ください。 帯状疱疹後神経痛の薬の効果と副作用 帯状疱疹後神経痛の治療に用いられる薬物は、痛みの伝達を遮断したり、神経の感受性を調整したりすることで鎮痛効果を発揮します。 ただし、薬の効果と同時に、副作用のリスクについても理解しておく必要があります。 以下の表で、それぞれの薬の効果、副作用をまとめています。 薬剤 効果 副作用 抗てんかん薬 神経細胞の興奮を抑制し、鎮痛効果を発揮 眠気、めまい、体重増加など 三環系抗うつ薬・SNRI 痛みの伝達を遮断 口渇、便秘、視力障害など 外用薬 局所的な鎮痛効果 塗布部位の皮膚炎など オピオイド 強力な鎮痛作用 嘔気、便秘、眠気、依存リスクなど これらの薬剤は、それぞれ異なる作用機序を持っていますが、いずれも帯状疱疹後神経痛の痛みを和らげることを目的として使用されます。 抗てんかん薬は、神経の過剰な興奮を抑制することで、痛みの信号伝達を抑えます。 三環系抗うつ薬やSNRI(抗うつ薬の一種)は、セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の働きを調整し、痛みの伝達を遮断します。 外用薬は、患部に直接作用することで局所的な鎮痛効果を発揮します。 オピオイドは、強力な鎮痛作用を持っていますが、副作用や依存のリスクが比較的高いため、他の治療法で十分な効果が得られない場合に限って使用されます。 これらの薬剤の使用に際しては、患者様の状態や痛みの程度、他の合併症の有無などを考慮し、医師が適切な薬剤を選択します。 また、定期的なモニタリングを行いながら、効果と副作用のバランスを見極め、必要に応じて薬剤の種類や用量を調整していきます。 副作用については、患者様によって現れ方や程度が異なるため、医師や薬剤師からの説明を十分に理解し、異変を感じたら速やかに報告することが大切です。 【選定基準】薬の適した選び方 帯状疱疹後神経痛に適した薬を選ぶ際のポイントは、以下の表のとおりです。 年齢や、服用中の薬との相性、身体の状態などを加味して選択されます。 考慮すべき要因 具体的な内容 年齢 高齢者では、薬物の代謝・排泄が遅れる傾向があるため、慎重な投与が必要 全身状態 患者様の全身的な健康状態を評価し、薬の選択に反映させる 合併症 腎機能障害や肝機能障害など、合併症の有無や程度を考慮する 他の服用中の薬剤 併用薬との相互作用を確認し、必要に応じて投与量の調整や薬剤の変更を行う 痛みの性質・部位 痛みの性質(灼熱感、チクチク感など)や部位に応じて、適切な薬剤を選択する 治療歴 これまでの治療経過や効果、副作用の情報を参考にする 医師は、これらの要因を総合的に判断し、患者様に最適な薬を選択します。 また、定期的なモニタリングを行いながら、効果と副作用のバランスを見極め、必要に応じて投与量の調整や薬剤の変更を行います。 患者様も、自身の症状や体調の変化を医師に伝え、治療方針について積極的に相談することが大切です。 医師と患者様が協力して、最適な薬の選択と調整を行っていくことが、帯状疱疹後神経痛の効果的な管理につながります。 早期治療の大切さをクリニックの研究をもとに解説 帯状疱疹後神経痛の薬物治療は、患者様の年齢や症状、合併症の有無、治療歴などを考慮して、医師が適切な薬剤を選択します。 治療効果や副作用の現れ方には個人差がありますが、早期の治療が大切ということが日本ペインクリニック学会のいくつかの研究によってわかっています。 帯状疱疹後神経痛の薬物治療は、患者さまの年齢や症状、合併症の有無、治療歴などを考慮して、医師が適切な薬剤を選択します。 神経ブロックに関する研究結果 日本ペインクリニック学会の研究によると、帯状疱疹後神経痛の予防における神経ブロックの効果は、全患者データでは統計的に有意な差は認められませんでした。 しかし、受診時期によって層別解析を行ったところ、帯状疱疹発症から病院受診までの期間が短いほど、神経ブロックが帯状疱疹後神経痛の予防に効果を示す可能性が高くなることがわかりました。(文献1) 帯状疱疹関連痛の改善に関する研究結果 東京女子医科大学の研究チームによる研究では、帯状疱疹関連痛の改善には受診時期と初期治療内容が重要であることが明らかになりました。 この研究では、次のように示されています。 帯状疱疹発症から30日以内にペインクリニックなどの痛みの専門機関を受診した患者は、痛みの改善率が高いことがわかりました。 発症から30日以内に専門機関を受診できない場合は、かかりつけ医で神経障害性疼痛治療薬の処方や神経ブロック治療を受けることが、その後の痛みの改善に重要な影響を与えます。 発症から31日以上経過してから痛みの専門機関を受診した患者のうち、それまでに適切な神経障害性疼痛治療を受けていなかった患者は、痛みの改善率が有意に低くなることが示されました。 この研究結果は、帯状疱疹発症時には早期の専門的治療が望ましく、それが難しい場合でも初期段階での適切な疼痛管理が長期的な痛みの改善に重要であることを示しています。 \まずは当院にお問い合わせください/ まとめ|神経痛が気になったら早めに医師に相談を! 帯状疱疹後神経痛の薬物治療では、痛みの程度や生活への影響を医師にしっかりと伝えることが大切です。 治療の選択肢や期待される効果、起こり得る副作用について、医師から十分な説明を受けましょう。 また、薬の効果や副作用の現れ方を注意深く観察し、定期的な診察で医師に報告していくことも欠かせません。 帯状疱疹後神経痛は、なるべく早期から適切な治療を継続することで、多くの場合徐々に改善が見込めます。 痛みと向き合う辛さはありますが、諦めずに医師と協力しながら、自分に合った方法を見つけていきましょう。 また往来の治療法では改善が見られないという方は、再生医療も検討ください。 再生医療は、損傷した神経の修復を促し、炎症の軽減を目指すことで、痛みの根本原因にアプローチする治療法です。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 薬を続けても痛みが改善しない 既存の治療では効果が見られない 薬の副作用が気になる、あるいはこれ以上薬を増やしたくない 当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングも実施していますので、痛みが続いてつらい方・治療に迷っている方はお気軽にご相談ください。 帯状疱疹後神経痛に関するQ&A 本章では、帯状疱疹後神経痛について、予防法や診断、自宅ケアのコツ、市販薬やリリカの副作用など、よくある質問に5つお答えします。 帯状疱疹後神経痛を予防することは可能? 帯状疱疹後神経痛の診断方法は? 自宅でできる帯状疱疹後神経痛のケアの方法は? プレガバリン(リリカ)の副作用は? 帯状疱疹後神経痛におすすめの市販薬はある? 帯状疱疹後神経痛を予防することは可能? 帯状疱疹後神経痛の予防には、帯状疱疹そのものを早期に治療することが大切です。 特に発疹が出てから3日以内に抗ウイルス薬を服用することで、神経へのダメージを抑え、後遺症のリスクを下げられるとされています。 また、50歳以上の方は帯状疱疹ワクチンの接種も有効です。 ワクチンは免疫力の低下によるウイルスの再活性化を防ぎ、帯状疱疹の発症を抑えることができます。 普段からストレスや疲労を溜め込まず、体調を整えることが大切です。 帯状疱疹後神経痛の診断方法は? 帯状疱疹後神経痛の診断は、主に問診と視診によって行われます。 医師は帯状疱疹の既往歴や皮膚に残る痕、痛みの場所や性質を確認し、継続する神経痛かどうかを判断します。 血液検査やレントゲンは通常必要ありませんが、他の疾患との鑑別が難しい場合には追加されることもあります。 痛みが長引いている場合や、日常生活に支障が出るほど痛む場合には、早めに受診することをおすすめします。 自宅でできる帯状疱疹後神経痛のケアの方法は? 神経痛が続くときは、肌への刺激をなるべく避けることが大切です。 柔らかく通気性のよい衣類を選び、痛みがある部分には直接圧がかからないよう工夫しましょう。 冷却パックをタオル越しに軽く当てると、一時的に痛みを和らげる効果が期待できます。 また、体を温めすぎたり、強いマッサージを加えるのは逆効果になることがあるため注意が必要です。 プレガバリン(リリカ)の副作用は? リリカは帯状疱疹後神経痛の治療によく使われる薬ですが、副作用も確認されています。 代表的なものとしては、ふらつきや眠気、めまいがあります。 人によっては体重の増加や手足のむくみ、集中力の低下を感じることもあります。 特に高齢の方や、他の薬を併用している方は副作用が出やすいため、服用を始める際は医師とよく相談することが大切です。 急に自己判断で中止すると症状が悪化する可能性があるため、必ず医師の指示に従って調整しましょう。 帯状疱疹後神経痛におすすめの市販薬はある? 市販薬の中には、帯状疱疹後神経痛に対してある程度の効果が期待できるものがあります。 例えば、消炎鎮痛成分を含む外用薬や、しびれや神経痛向けのビタミンB群を含む内服薬が選択肢となります。 外用薬 インドメタシンやフェルビナクを含む消炎鎮痛パッチ・テープ剤 (例:フェイタス®、モーラステープ®など) メントールやカンフルを含む清涼感のある塗り薬 (例:メンソレータム®、アンメルツ®など) リドカイン配合の局所麻酔成分を含む貼付剤 (例:ユートクバン®など) 内服薬 ビタミンB群(B1、B6、B12)を含む神経痛向けの薬 (例:アリナミンEX®、ノイロビタン®など) アセトアミノフェンを含む鎮痛剤 (例:タイレノール®、カロナール®など) しかし、これらはあくまで補助的な立ち位置であり、強い痛みや長引く症状には十分な効果が得られない場合が多いです。 市販薬で痛みが和らがない場合や、症状が悪化するようなら、早めに医療機関を受診した方がよいでしょう。 参考文献 (文献1) 日本ペインクリニック学会「帯状疱疹後神経痛予防のための神経ブロックの有効性」 https://www.jspc.gr.jp/mass/mass_clin-res01.html(最終アクセス:2025年4月27日) (文献2) 長谷川晴子ほか.「当院における帯状疱疹関連痛の疼痛改善に影響を与える要因の後ろ向き研究」『日本サポーティブケア学会誌』30(4), pp.71-78, 2023年 https://doi.org/10.11321/jjspc.22-0031(最終アクセス:2024年4月27日)
2024.11.22 -
- 足部、その他疾患
- 足部
- スポーツ外傷
「外反母趾を手術しないで治す方法ってある?」 「自宅でもできる外反母趾の治療方法を知りたい」 このような不安を抱える方は多いでしょう。 外反母趾は、初期段階であれば自宅でのケアや生活習慣の見直しによって進行を抑えられます。 しかし、放置してしまうと症状が悪化し、手術を検討しなければならないケースも少なくありません。 本記事では、外反母趾を手術せずに治す方法から、手術の種類・リハビリまで、医師の知見をもとにわかりやすく解説しています。 外反母趾の治療法を把握できれば、自分の症状に合った適切な選択ができるので、ぜひ最後までご覧ください。 外反母趾の非外科的治療法|手術しないで治す 外反母趾の非外科的(手術しない)治療法を、5つ紹介します。 テーピング・サポーターの活用 インソールの使用 足の運動や体操・ストレッチ 湿布やクリームの併用 日常生活の見直し 非外科的治療法は、外反母趾の程度が軽度から中等度の場合に有効です。 ここでは、5つの非外科的治療法について詳しく解説します。 外反母趾の原因について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 テーピング・サポーターの活用 テーピング・サポーターの活用は、外反母趾の症状を軽減できる可能性があります。 テーピングやサポーターを使うと、内側に入り込む母趾の向きを変えられ、母趾にかかる負担を軽減できるためです。 実際にテーピングを巻く手順を解説します。 ■準備 足の親指と人差し指の間にスポンジなどをはさみ、親指が正しい位置になるように調整する。 ■テーピングの手順 1.親指の付け根(内側)から、かかとの内側に向かってテープ(幅2.5cmの細め)を貼る 2.足裏の親指付け根から内くるぶしへ貼る 3.足の甲の親指付け根から、かかとの裏側まで貼る テーピングにより、親指の位置を安定させ、外反母趾の進行を抑える効果が期待できます。 しかし、無理に親指の位置を直そうとすると、かえって症状が悪くなる場合があります。 テーピング・サポーターはあくまで応急処置程度に考えておきましょう。 インソールの使用 インソールの使用は、外反母趾の予防や症状の改善に有効です。 外反母趾の原因には、足の骨が弓状に並んで形成されたアーチの崩れが関係しているからです。 足のアーチが崩れる要因として加齢や肥満、運動不足や足に合わない靴の使用が挙げられます。 足の縦アーチが崩れると「扁平足」、足の横アーチが崩れると「開張足」となり、それぞれ外反母趾を引き起こす一因です。 インソールの使用で、以下の効果が期待できます。 足のアーチをサポートし崩れを防ぐ 足裏の圧力を分散し母趾への負担軽減 立位や歩行時の痛みを和らげる 足のアーチの崩れを予防する目的であれば、市販のインソールを購入するだけでも足のアーチの崩れ防止効果を実感でき、靴屋またはスポーツショップで数千円で購入できます。 一方で、すでに外反母趾による痛みがある方は、オーダーメイドのインソールの使用が効果的です。 価格は数万円と高額ですが、足にぴったり合うようにインソールを作成するため、市販の物よりも足へのサポート力があり、痛みの軽減につながります。 注意点として、インソールの使用は簡単に行える対策ですが、あくまで症状の緩和や予防の一環であり、根本的な治療法ではないことを理解しておきましょう。 足の運動や体操・ストレッチ 外反母趾の予防や痛み、進行を緩和するためには、以下3つの足の運動やストレッチが有効です。 足ゆびを開く運動 足指でタオルを引き寄せる運動 Hohmann(ホーマン)体操 「足指を開く運動」は、足指で「パー」の形を作ることです。 足指を開くことで「母趾外転筋」を強化できるため、母趾が小指側へ向きにくくなります。 「足指でタオルを引き寄せる運動」は、床に敷いたタオルの上に足を置き、足指でタオルをつまんで離してを繰り返し、タオルを手前に引き寄せる運動です。 「長母趾屈筋」と「長趾屈筋」が強化され、足のアーチの崩れを予防できます。 「Hohmann(ホーマン)体操」は、幅の広いゴムを両足の親指にかけ、かかとを合わせたまま両足のつま先を開き5〜10秒間キープさせ、20回ほど繰り返します。 小指側に曲がった母趾を元の位置に戻す効果があります。 ゴムがない場合は、手で母趾を元の位置に戻すように動かすだけでも同様の効果を得られます。 これらの運動やストレッチは、日常生活の中で簡単に取り入れられますが、すぐに効果が出ないため、日頃からの継続が大切です。 湿布やクリームの併用 外反母趾による炎症を和らげる方法として、湿布やクリームの使用が有効です。 湿布には、冷感タイプと温感タイプがあります。 湿布のタイプ 期待できる効果 冷感湿布 腫れや熱感を伴う感覚への対処に適しており、捻挫や打撲などの初期段階での使用が推奨される 温感湿布 慢性化した症状や血行不良によるこりに効果的で、長期的ケアや肩こり・腰痛などに用いられる 外反母趾の場合、初期段階では冷感湿布を、慢性化した症状には温感湿布を選択すると良いでしょう。 市販の消炎鎮痛クリームは、患部に直接塗って使うため、とくに局所的な対処に適しています。 炎症を抑える成分が直接患部に作用するため、炎症に伴う痛みや腫れを落ち着かせる効果が期待できます。 注意点として、湿布やクリームだけでは外反母趾の進行は防げません。 あくまで他の治療法との併用が前提です。 日常生活の見直し 外反母趾の発症や進行には、以下3つの生活習慣が大きく影響しています。 幅の狭い靴の着用 長時間の立ち仕事 乱れた食生活 幅の狭い靴、とくに革靴やハイヒールを頻繁に履くと、母趾が小指側へ押し付けられ、変形のリスクを高めます。 予防のためには、幅が広く適切な大きさの靴を選びましょう。 ハイヒールの場合は、かかとの低い靴の使用が推奨されています。 長時間の立ち仕事や歩行は足のアーチを崩す原因となるため、適度な休息が必要です。 仕事により長時間の立ち仕事が避けられない場合は、インソールを使用すると足のアーチが支えられ、足にかかる負担が減り、外反母趾の予防につながります。 また、食生活の乱れによる体重増加もリスクの1つです。 肥満になると足への負担が増え足のアーチが崩れ、外反母趾の発症・悪化につながります。 そのため、栄養バランスが取れた食事で体重管理にも気を配りましょう。 外反母趾の外科的治療法|手術で治す 外科的(手術)治療法は、外反母趾の症状が重度である場合や、痛みが強く日常生活に支障が出ている際に選択されます。 ここでは外科的(手術)治療法にかかわる以下4つの事柄について紹介します。 手術の種類 手術のメリット 手術のリスク 手術後に行うリハビリテーション それぞれ詳しく解説していきます。 手術の種類 外反母趾は症状が重くなると手術の適応となります。 具体的には、以下のケースが手術の適応とされます。 母趾の見た目が気になる 母趾の付け根が痛く日常生活が大変になる 母趾の付け根が飛び出し靴が合わない これらに該当する場合、手術適応となりますが、リスクも伴います。 手術を受ける際は、リスクを事前に把握しておきましょう。 外反母趾の外科的(手術)治療法には多くの種類が存在し、大きく分けると以下の3つに分類されます。 遠位骨切り術 骨幹部骨切り術 近位骨切り術 いずれも、母趾の付け根の骨を切りアライメント(角度)を矯正する手術です。 骨を切る場所により上記のように術式が異なります。 一般的に、外反母趾が軽度から中等度の場合には「遠位骨切り術」、重度の場合には「骨幹部骨切り術」または「近位骨切り術」が選択されます。 手術のメリット 外反母趾の手術により、痛みの軽減や見た目の改善が期待できます。 痛みが軽減されることで、日常生活を快適に過ごせるようになり、運動やウォーキングも楽しめます。 また、母趾の付け根の出っ張りが解消されるため、好きな靴を履けるようになり、おしゃれも楽しめるでしょう。 手術のリスク 外反母趾の手術には、以下のリスクがあります。 感染症のリスクは、外反母趾の手術に限らず、手術全般に伴うリスクです。 また、手術後に骨が癒合するまでには個人差があり、とくに骨粗鬆症の方はさらに時間を要します。 手術後に一定の確率で外反母趾が再発する可能性があります。 術式による再発の可能性は以下の通りです。 術式 再発率 遠位骨切り術 2.5〜19% 近位骨切り術 10〜15% このように、外反母趾の手術を行う際には、メリットだけでなくリスクもあるため、医師と十分に話し合い、自分に合った治療法の選択が重要です。 手術後に行うリハビリテーション 外反母趾の手術後は、積極的に母趾を動かしたり体重をかけたりはできません。 そのため、手術後すぐは患部の腫れや痛みを抑えるため、冷却パッドの使用や軽度のストレッチから始めます。 リハビリテーションは理学療法士の指導のもと、横になった状態や座った状態で太ももやふくらはぎの筋力トレーニングを行います。 また、松葉杖を使った歩行練習も行い、自力での移動を目指します。 また、再発予防の一環として、運動療法だけでなく正しい靴の選び方も指導されます。 入院期間は約3週間ですが、退院後も外来でリハビリテーションの継続が必要です。 手術後2〜3カ月ほどで、手術部の腫れが引き骨の癒合も完了するため、靴を履いての歩行が可能ですが、長時間の歩行は難しい時期です。 手術後、約4カ月経過ほどで立ち仕事や長時間の歩行が可能になり、6カ月ほどで運動も再開できるようになり、日常生活への支障がなくなります。 外反母趾の治療法を選択する際のポイント 外反母趾の治療法を選ぶ際は、以下の3つのポイントを意識しましょう。 症状や日常生活への影響 外科的(手術)治療にかかる時間や費用 治療法の効果やリスク 外反母趾の症状が軽度で日常生活への影響が少ない場合は、非外科的(手術しない)治療法を選択します。 非外科的治療法では効果をすぐに実感できない場合もありますが、運動やストレッチの継続で、外反母趾の悪化を予防できます。 外反母趾の程度が重度の場合は、医師から外科的(手術)治療法を勧められます。 手術を検討する際は、治療にかかる時間や費用、手術の効果やリスクも考慮する必要があります。 どの治療法を選ぶかは、医師と相談しながら自分にとって適した方法とタイミングを焦らず検討しましょう。 外反母趾の治療方法を把握して適切に対処しよう 外反母趾の治療法には、非外科的(手術しない)治療と外科的(手術)治療法の2つがあります。 それぞれの特徴を理解し、自分の症状に合った方法を選びましょう。 非外科的治療では、足の運動やストレッチ、インソールなどによって、足のアーチ崩れを予防できます。 さらに、幅の広い靴を履いたり、食生活を整えたりするなど、日常生活の見直しも重要です。 外科的治療法を行う際は、以下の4つの内容を理解しましょう。 手術の種類 手術のメリット 手術のリスク 手術後に行うリハビリテーション 手術には必ずリスクがあるため、手術を行う際は、メリットとリスクを十分に理解した上で医師とよく相談し、自分の症状に合った治療法を選択していきましょう。 もし、足の外側が痛い場合は、ほかの疾患である可能性も考えられます。 以下の記事では足の外側が痛む疾患を紹介しているので、合わせてご覧ください。 監修:医師 黄金 勲矢 参考文献 同友会グループ,ガイドラインに基づいた外反母趾の正しい知識と治し方 外反母趾の痛みは我慢しないで専門医へ 靴選びなどの工夫で緩和されることもあります|人工関節ドットコム整形外科治療専門サイト
2024.11.20 -
- 足部、その他疾患
- 足部
「外反母趾を改善したい」 「ヒールやパンプスを履く機会が多く、足に違和感を覚える」 外反母趾(がいはんぼし)は足の親指が外側に曲がる症状で、歩行や靴選びに支障をきたす代表的な足の疾患です。ヒールやパンプスを履く習慣に加えて、骨格や遺伝の影響も関与するため、多くの女性が不安を抱えやすい症状といえます。 本記事では、外反母趾について現役医師が詳しく解説します。 外反母趾の原因 外反母趾の改善・予防策 最後には、外反母趾についてよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 外反母趾について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 外反母趾とは 項目 内容 病気の特徴 足の親指が小趾側に曲がり、付け根の関節がずれて足の内側が突出する状態 症状 出っ張り部分の痛み・腫れ・炎症、歩行時の疲れやすさ、バランスの崩れ 起こりやすい人 女性に多く、ヒールや先の細い靴を履く習慣がある人、遺伝的な体質を持つ人 原因 靴の形、足の骨格や遺伝、筋力低下や体重増加、生活習慣や加齢の影響 進行した場合 変形が固定し、保存療法(装具・リハビリ)で改善が難しくなることがある 治療の選択肢 症状が軽い場合は靴の工夫や装具・リハビリ、重度の場合は手術が検討される (文献1) 外反母趾(がいはんぼし)は、足の親指(母趾)が小趾側へ傾き、付け根の関節(MTP関節)が外側偏位で生じる足の変形です。母趾が小趾側へ傾き、第1中足骨頭が内側へ突出して出っ張りが目立つようになります。 この部分は靴と擦れやすく、炎症や腫れ、痛みの原因です。さらに、母趾が正常に機能しにくくなることで体重のかかり方が偏り、歩行時の疲労やバランスの不安定さにつながります。 外反母趾は女性に多く、ハイヒールや先の細い靴の影響に加えて遺伝的素因や足の構造も関与し、進行すると変形が固定して保存療法では改善が難しくなり、強い痛みや生活への支障を伴う場合には手術が検討されます。 外反母趾の原因 原因 詳細 遺伝的要因 骨格の形状や関節の柔らかさを受け継ぐ体質 靴の形や履き方 先の細い靴やハイヒールによる足先への圧迫 足の構造に対する筋力低下・体重増加 足裏アーチの崩れや親指付け根への負担増加 年齢・生活習慣による影響 加齢による靭帯の緩みや長時間の立ち仕事による疲労蓄積 外反母趾の発症には、遺伝的素因や履物の影響、足の構造や生活習慣など複数の要因が関与します。 骨格の特徴や関節の柔らかさ、先の細い靴やハイヒールによる圧迫、筋力低下や体重増加による足裏アーチの崩れ、加齢に伴う靭帯の緩み、長時間の立ち仕事などが複合的に作用し、外反母趾の変形や症状の進行を助長します。 遺伝的要因 項目 内容 足の骨格の特徴が受け継がれるため 扁平足や開張足、第1中足骨が長い足の形など家族内で共通する骨格的特徴 関節や靭帯の柔らかさが遺伝するため 生まれつき関節が柔らかく靭帯が伸びやすい体質 家族内発症の多さ 母親や祖母に多い場合、娘や孫にも出現しやすい傾向 遺伝素因と環境因子の相互作用 遺伝的に外反母趾になりやすい足の形に、靴の種類や体重増加、歩行習慣が重なる影響 外反母趾の発症メカニズムはまだ完全には解明されていませんが、靭帯が緩みやすい性質や足の過回内といった体質が遺伝的に受け継がれることに加え、生活習慣などの環境要因も影響すると考えられています。 さらに、扁平足や足のアーチが弱い骨格、関節や靭帯の柔らかさなども足の親指の付け根に負担をかけ、変形を起こしやすくします。 また、外反母趾は体質だけで発症するのではなく、先の細い靴やハイヒール、歩き方や体重増加といった生活習慣の要因も関与し、とくに女性に多いのは男性に比べてきつい靴を履く機会が多いためです。(文献2) 骨格・関節の遺伝について 外反母趾には、足の骨格や関節・靭帯の遺伝的素因が発症リスクを高めることが明らかになっています。(文献3) 扁平足や足のアーチが低い形態、また第1中足骨が長い・角度が内側に傾きやすい形状といった特徴は、母趾付け根に過剰な力をかけ変形を促進する素因です。さらに、生まれつき関節や靭帯が柔らかく母趾を支える力が弱い体質も遺伝しやすく、これが女性に多く見られる靭帯柔軟性と重なると発症率の上昇要因となります。(文献4) また、足の構造は3種類に分類されます。日本人に多い「エジプト型」は親指が最も長いため、体重がかかった際に小指側に曲がりやすく、外反母趾になりやすいとされています。 ギリシャ型:親指よりも人差し指が長い(全体の25%) エジプト型:親指が人差し指よりも長い(全体の70%) スクエア型:足指全体的に同じ長さ(全体の5%) 性差の影響について 外反母趾は統計的に女性に多く発症し、骨盤の構造や女性ホルモンの影響で関節や靭帯が柔らかく、足の安定性が低下しやすいため、足のアーチが崩れやすい体質を持つことが背景にあるとされています。 実際に、女性は男性に比べて外反母趾の発症リスクが明らかに高く、手術を必要とする症例の約90%を占め、韓国の農村部の調査でも痛みを伴う患者の76.7%が女性であったことが報告されています。これらの知見は、女性特有の身体的要因が外反母趾の発症リスクを高めていることを示しています。 靴の形や履き方 項目 内容 先の細いつま先の靴 親指を小指側に押し付け関節に過度な圧力がかかる状態 ヒールの高さ 体重が前方に集中し母趾付け根に負担が増える状態 靴のサイズの不適合 狭い靴による圧迫や摩擦、広い靴による不安定さ 素材の硬さや靴底の柔軟性 衝撃吸収の不足による足の疲労や負担の増大 長時間の同じ靴の着用 足への負担蓄積による変形や症状の進行 つま先が細い靴やヒールの高い靴は足先を圧迫し、親指を外側へ押し出す形をつくるため、外反母趾の進行を促しやすくなります。とくに長時間の着用や歩行習慣、かかとを踏む癖や片側荷重も変形を助長します。 さらに、サイズの合わない靴やクッション性の乏しい靴は足への衝撃を増やし、症状を悪化させる要因です。加えて、かかとを踏んで履く癖や片側に体重をかける習慣も変形を助長します。そのため、適切な靴選びと正しい履き方を意識することが外反母趾予防の基本となります。 足の構造に対する筋力低下・体重増加 外反母趾の発症には、足の構造的特徴と筋力低下が大きく関与します。日本人の約70%が持つエジプト型の足は親指が最も長く、体重がかかった際に母趾付け根にねじれやすい力が加わり、関節の変形を起こしやすく外反母趾のリスクが高まります。 また、土踏まず(縦アーチ)や横アーチの崩れによる扁平足や開張足、骨格の過可動性や足部不安定性も変形を助長する原因です。さらに、足底筋群や母趾内転筋といった足裏の筋肉が加齢や運動不足、肥満などで低下するとアーチを支えきれずに重心が偏り、変形が進行します。 これらの特徴は遺伝的に受け継がれることも多く、遺伝素因と生活習慣の双方が外反母趾の原因となるため、足の構造を理解し筋力を維持・強化することが予防に重要です。 年齢・生活習慣による影響 外反母趾は女性の割合が多く、その理由として男性より靭帯や関節が柔らかく、妊娠や更年期に関わるホルモン(リラキシンなど)の影響で靭帯が緩みやすいことにあります。加えて、ハイヒールや先の細い靴を履く機会が多いことが要因です。 年齢を重ねると筋力や靭帯の支持力が低下し、足のアーチが崩れやすくなるため、中高年以降では変形の進行が目立ちます。さらに、長時間の立ち仕事や歩行、硬い床での生活、体重増加は母趾に過剰な負担を与え、運動不足による筋力低下も変形を助長します。 【日本における歩数の経年変化】 【6000歩以上歩いている高齢者の割合】 とくに女性では更年期以降に骨密度や筋力が低下しやすく、外反母趾の悪化につながることが少なくありません。 外反母趾の改善・予防策 改善・予防策 詳細 靴と装具の工夫 つま先にゆとりのある靴の選択、衝撃を和らげるインソールの使用、親指の位置を補正する装具の活用 体重・生活習慣の管理 適正体重の維持、長時間のヒール使用を避ける習慣、立ち仕事や歩行環境の見直し 足の運動(筋力・ストレッチ) 足指でタオルをつかむ運動、足裏の筋肉を鍛えるエクササイズ、土踏まずを伸ばすストレッチ 外反母趾の改善・予防には、日常生活での工夫が欠かせません。つま先にゆとりのある靴を選び、衝撃を吸収するインソールや親指の位置を補正する装具を活用することが推奨されます。 適正体重の維持や長時間のヒール使用を避けるなど、生活習慣の調整も重要です。さらに、足指でタオルをつかむ運動や足裏の筋力強化、土踏まずのストレッチを取り入れることで、足のバランスを保ち、変形の進行を予防できます。 以下の記事では、外反母趾の治療法を詳しく解説します。 靴と装具の工夫 項目 内容 足趾への圧迫を軽減できる つま先に余裕があり足幅に合った靴による母趾関節への圧迫回避 体重の分散が可能になる インソールで足裏全体に荷重を分散しアーチを補正する効果 変形の矯正や補助ができる パッドや夜間装具による母趾の外側倒れ込み防止と関節への矯正作用 日常生活で取り入れやすい 靴の変更や装具使用による軽度〜中等度外反母趾の進行予防 外反母趾の予防や進行抑制には、足幅に合った靴を選ぶことが大切です。 研究では、靴幅が狭い靴を履くことが外反母趾の発症と関連することが示され、足幅が母趾角に影響する因子として抽出されています。また、自分の足長サイズを把握していても足幅サイズを理解していない人は多く、実際に適切な靴を選べていない可能性が指摘されています。(文献5) つま先に余裕があり足幅に合った靴を選択し、インソールや装具を併用することが、外反母趾の圧迫軽減と進行予防につながる有効な方法です。 体重・生活習慣の管理 項目 内容 足への負担を減らせる 適正体重の維持による母趾付け根への過剰な圧力軽減 筋力低下やアーチ崩れを防ぐ 適度な運動習慣による足底筋や足趾筋群の維持と足の構造安定 生活習慣病との関連に配慮できる 肥満や糖尿病の予防による足への負担や血流障害の軽減 日常生活での負担を軽減できる 長時間の立ち仕事や無理な歩行習慣の見直しによる関節へのストレス減少 外反母趾の予防や進行抑制には、体重と生活習慣の管理が重要です。体重の増加は足への負担を大きくするため、適正体重を維持することが不可欠です。そのためには、栄養バランスの取れた食事や無理のない範囲での運動習慣が有効です。 また、長時間の立ち仕事や同じ姿勢を続けることは母趾の関節に過度な負荷を与えるため、こまめに休憩を取り入れて足を休める工夫も必要です。日常の小さな取り組みが、足の健康を守り外反母趾の進行抑制につながります。 外足の運動(筋力・ストレッチ) 項目 内容 足のアーチを支える筋力を強化できる 短母趾外転筋や足底筋群を鍛えることで足のアーチを保持し母趾を安定させる効果 関節の柔軟性を保てる 母趾や足趾のストレッチによる関節可動域の維持と外側傾きの防止 血流改善による疲労軽減 運動やストレッチによる足裏や下肢の血流促進と筋肉・関節の負担軽減 セルフケアとして継続しやすい 特別な器具を必要とせず自宅で簡単に取り入れられる長期的な予防策 足の指を広げる運動やタオルを使った足指トレーニングは、足の筋力を高めアーチを維持するのに役立ちます。また、ふくらはぎや足底のストレッチを行うことで柔軟性が保たれ、足への負担を分散できます。 足の運動は自宅で簡単に取り入れられる方法であり、継続することで予防効果が期待できます。筋力強化と柔軟性維持の両面からアプローチすることが重要です。 以下の記事では、外反母趾に対するストレッチ方法について詳しく解説しています。 外反母趾を適切に理解し予防・改善に努めよう 外反母趾は、遺伝や年齢、生活習慣など複数の要因が重なって発症し、放置すると進行して歩行困難や他の関節への影響を引き起こす可能性があります。 外反母趾は靴選びや生活習慣の改善、適度な運動で進行を防げますが、改善がみられない場合は医療機関での適切な治療が重要です。 改善しない外反母趾でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、外反母趾の治療において再生医療を選択肢のひとつとして提案しています。再生医療は外科的な切開を伴わずに実施できるため、手術とは異なる方法を希望される方にも検討いただけます。 また、薬物治療に比べて全身的な副作用の懸念が少ないとされ、関節や周囲組織の環境に働きかける新しいアプローチとして注目されている治療法です。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 外反母趾に関するよくある質問 外反母趾の進行度は自分で判断できますか? 外反母趾は母趾の曲がり角度で軽度・中等度・重度に分類されますが、正確な判定にはレントゲン検査が必要です。 外見上の傾きや出っ張りで目安はつきますが、痛みや生活への影響は個人差が大きいため、自己判断は避け、医療機関を受診する必要があります。 受診は整形外科で問題ありませんか? 外反母趾の診療は整形外科で対応可能です。レントゲンでの進行度判定に加え、靴の指導・インソールや装具療法・運動療法から手術まで幅広い治療が行えます。 必要に応じて義肢装具士やリハビリスタッフも関与します。糖尿病や循環障害がある場合は、内科などと連携して治療を進めます。 外反母趾は手術が必要ですか? 外反母趾は手術が必須ではありません。軽度〜中等度では靴の調整やインソール、運動療法など保存療法で進行を抑えられることがあります。 しかし、変形が強く日常生活に支障がある場合や保存療法で効果が得られない場合には手術が検討されます。 外反母趾は手術する後悔しますか? 外反母趾手術は多くの方で改善が期待できますが、術後の対応を誤ると後悔につながることがあります。靴や生活習慣を見直さず再発したり、リハビリを怠って効果が不十分となったり、思った以上に回復に時間がかかるケースもあります。 後悔を避けるためには、手術の適応や方法について医師と十分に相談し、自分の生活スタイルに合った治療法を選ぶことが大切です。さらに、術後も靴の工夫や運動習慣を継続することで満足度を高められます。 参考文献 (文献1) 「外反母趾」|公益社団法人日本整形外科学会 (文献2) Common Foot Disorders|Pubmed CentraI (文献3) What to do about bunions|Harvard Health Publishing (文献4) Hallux Valgus|PubMed (文献5) 女性高齢者の外反母趾に影響を及ぼす因子の検討 Evaluation of factors affecting hallux valgus in elderly females|Japanese Journal of Health Promotion and Physical Therapy Vol. 7, No. 4 : 165–169, 2018
2024.11.18 -
- 足部、その他疾患
- 足部
「足の変形や歩きづらさに悩んでいる」 「外反母趾に効果的なストレッチを知りたい」 外反母趾による足の変形や歩きづらさに悩む人は少なくありません。軽度の症状であれば、自宅で行える運動やストレッチで改善を目指す方は多くいます。 中でもつま先立ち運動は、足の筋力維持に効果的とされ、外反母趾の進行抑制や効果が期待できます。一方で、やり方や頻度を誤ると足に負担をかける恐れがあるため、正しい方法で行うことが大切です。 本記事では、現役医師が外反母趾におけるつま先立ちの効果を詳しく解説します。 外反母趾の改善につながるストレッチ方法 外反母趾に対してつま先立ちとストレッチを組み合わせるメリット 外反母趾のつま先立ち・ストレッチにおける注意点 外反母趾における医療機関を受診すべきサイン 快適な歩行を目指すセルフケアの参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 外反母趾について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 外反母趾におけるつま先立ち運動の効果 効果 詳細 足趾・足裏の筋肉を鍛える 母趾(足指)を支える小さな筋肉群を活性化し、安定性を高める 足部アーチの保持とバランス改善 内側縦アーチや横アーチの維持による変形進行抑制 血流促進と疲労軽減 ふくらはぎから足先への血行改善によるむくみ軽減と回復促進 つま先立ち運動は、外反母趾に伴う足の機能低下や歩行時の不安定さを改善する有効な方法です。母趾や足裏の筋肉を鍛えることで指先まで力が伝わりやすくなり、歩行の安定性が向上します。 また、足部アーチの保持により土踏まずの崩れを防ぎ、体重を分散し、バランスを改善するとともに、血流促進による冷えやむくみの軽減、筋疲労の回復を助け、外反母趾の進行抑制にも有用です。 足趾・足裏の筋肉を鍛える 効果 詳細 足のアーチを支える筋肉の強化 後脛骨筋・長母趾屈筋・長趾屈筋を中心とした足裏の筋肉強化による内側縦アーチの保持 母趾の可動性とバランス維持 母趾筋力の強化による柔軟性向上と歩行時の姿勢安定 衝撃吸収機能の改善 足裏の筋肉によるクッション機能の回復と母趾や足関節への負担軽減 転倒予防と全身の安定性向上 立位や歩行時の足元安定による転倒予防とバランス能力の向上 つま先立ちは母趾(足指)や足底の小さな筋肉を効率的に鍛える運動です。外反母趾では親指の変形により踏ん張る力が弱まり、歩行の安定性が低下します。 つま先立ちは足の筋力を高め、負担を分散します。外反母趾の進行抑制や歩行の安定性、疲労感の軽減にも有用です。 足部アーチの保持とバランス改善 項目 詳細 足部アーチの構造と役割 内側縦アーチ・外側縦アーチ・横アーチによる土踏まず形成、体重分散、衝撃吸収、推進力発生、安定性保持 足部アーチが崩れると起こる問題 扁平足や開張足による負担集中、外反母趾進行、膝・腰への負担増加、全身バランスの破綻 足部アーチ保持とバランス改善の意義 足裏の筋肉強化によるアーチ保持、負担分散、衝撃吸収作用、歩行安定化 バランス改善による転倒予防や歩行の安定性 安定性向上による転倒リスク低減、高齢者の生活の質改善、快適歩行維持 足の縦アーチと横アーチは、歩行時の衝撃吸収と体のバランス保持に欠かせない構造です。外反母趾が進行するとアーチが崩れ、体重の偏りや足の負担増加を招きます。 つま先立ち運動は足裏の筋肉を鍛え、崩れたアーチの保持を助ける有効な方法です。これにより姿勢や歩行の安定性が向上し、足首や膝の負担軽減、長時間歩行での疲労抑制、さらには外反母趾の進行抑制にもつながります。 血流促進と疲労軽減 項目 詳細 血流促進による組織の代謝改善 下腿三頭筋の刺激による血流改善と酸素・栄養供給、老廃物排出促進による回復力向上 筋肉の疲労回復とむくみの軽減 リンパ循環改善による水分滞留の軽減と足の重だるさ解消 血管拡張の一助と動脈硬化予防への寄与 血流改善による血管拡張作用と動脈硬化予防 疲労感軽減による運動継続 疲労物質除去促進によるだるさ軽減と運動継続の動機維持 つま先立ち運動は、ふくらはぎの筋収縮によるポンプ作用で下肢血流を促進し、酸素・栄養供給と老廃物排出を改善して足の疲労を軽減するとともに、外反母趾で低下しやすい足部循環を整えます。 血流改善は筋肉や関節の柔軟性を高め、動きをスムーズにするとともに、運動の習慣化によって足の冷えやむくみの予防にもつながります。 外反母趾の改善につながるストレッチ方法 ストレッチ方法 詳細 母趾のストレッチ 母趾(足指)をゆっくり反らして関節可動域を広げる柔軟性保持 足裏アーチを伸ばすストレッチ タオルやチューブを使い土踏まずからふくらはぎにかけての伸展 足指じゃんけん(グー・パー運動) 母趾を曲げて握る動きと大きく開く動きによる筋力と柔軟性強化 タオルギャザー 母趾でタオルをたぐり寄せる動作による足裏の筋肉の強化 ふくらはぎとアキレス腱のストレッチ 膝を伸ばしてかかとを床につける姿勢による下腿後面の伸展 外反母趾の改善には、足部や下肢の柔軟性と筋力を高めるストレッチが有効です。母趾を反らして関節可動域を保つ母趾のストレッチや、足裏アーチを伸ばして土踏まずからふくらはぎを柔軟にする方法があります。 母趾を握ったり開いたりするじゃんけん運動や、タオルを母趾でたぐり寄せるタオルギャザーは足裏の筋肉強化に有効です。さらに、膝を伸ばしてかかとを床につけるストレッチはふくらはぎからアキレス腱を伸ばし、足全体の動かしやすさに寄与します。 母趾のストレッチ 手順 詳細 1.姿勢を整える 椅子に腰掛け片足を反対の太ももに乗せ、無理のない体勢 2.母趾(足指)を持つ 手で母趾をやさしくつかみ足の甲を軽く支える状態 3.外側に広げる 母趾をゆっくり外側に開き5〜10秒保持する伸展動作 4.元に戻す 母趾をゆっくり元の位置へ戻す動作 5.繰り返し 1セット片足5回程度を目安に左右バランスよく行う 母趾のストレッチは、母趾をゆっくり外側に引き、硬くなった関節をほぐして柔軟性や可動域を高める方法です。身体が温まっている時に行うと効果的です。 無理な角度まで広げると関節や靭帯を痛める恐れがあるため、痛みや強い不快感が出た場合は中止してください。安定した継続が不可欠ですが、症状が進んでいる方や変形が強い方は、自己判断せず医療機関を受診しましょう 足裏アーチを伸ばすストレッチ 手順 内容 1.姿勢を整える 床や椅子に座り、片足を前に伸ばした姿勢 2.タオルをかける 足裏の土踏まずにタオルやチューブをかけ、両手で端を持った状態 3.足先を引き寄せる 膝を伸ばしたまま、つま先を手前にゆっくり引き寄せ、土踏まずからふくらはぎにかけての伸び 4.保持と戻し 5〜10秒間の保持と、ゆっくり元に戻す動作 5.繰り返し 左右の足を交互に、1セット5回程度の実施 足裏アーチを伸ばすストレッチは、足裏を反らして足底の緊張を和らげる方法です。アーチの柔軟性を保つことで外反母趾の進行を抑え、歩行の安定性にもつながります。 反動をつけず、無理のない範囲で行い、痛みが出た場合は中止してください。入浴後や就寝前に実施すると効果的で、継続することで柔軟性が維持され、歩行時の衝撃吸収や母趾(足指)への負担軽減に役立ちます。 足指じゃんけん(グー・パー運動) 手順 詳細 1.姿勢を整える 椅子に腰掛け両足を床に着けた安定した体勢 2.グーの動作 母趾(足指)をしっかり丸め土踏まずが軽く持ち上がる状態 3.パーの動作 母趾を大きく開き足を外側に広げる動作 4.繰り返し グーとパーを交互に1セット10回程度行う反復運動 足指じゃんけん(グー・パー運動)は、母趾を握るグーと大きく開くパーを繰り返す簡単な運動です。母趾の細かな筋肉を刺激し、母趾の動きを滑らかにします。 足指じゃんけんは、反動をつけず指の動きを意識してゆっくり行うことが重要です。最初は動かしにくくても、毎日の継続で次第にスムーズになります。入浴後や就寝前など筋肉が温まった状態で実施すると効果的です。 継続により母趾の協調性と柔軟性が高まり、歩行時の安定性や衝撃吸収が向上し、母趾への負担軽減につながります。強い痛みやしびれを感じた場合は中止し、医療機関を受診しましょう。 タオルギャザー 手順 詳細 1.準備 椅子に腰掛け、床にタオルを広げ裸足で行う体勢 2.母趾(足指)でタオルをたぐる 指先でタオルをつかみかかとを床につけたまま手前に寄せる動作 3.タオルをすべて寄せる タオルを足元まで寄せ切り元に戻して繰り返す流れ 4.回数の目安 片足1〜2セット(約10回)を目安に行う タオルギャザーは、床に敷いたタオルをかかとをつけたまま母趾でたぐり寄せ、足裏の内在筋を鍛える運動です。母趾も意識して動かすことが重要で、継続することで筋力が高まりやりやすくなります。 無理な力を加えると母趾や足裏を痛める恐れがあるため、ゆっくり丁寧に行うのがコツです。足裏の筋力が強化されることで横アーチが整い、歩行の安定性向上や母趾への負担軽減につながります。 ふくらはぎとアキレス腱のストレッチ 手順 詳細 1.姿勢を整える 壁に手をつき両足を前後に開き後ろ足のかかとを床につけた体勢 2.ストレッチを行う 前の膝を軽く曲げ後ろ足のふくらはぎとアキレス腱を伸ばす姿勢 3.保持 伸展を感じた状態で10〜20秒間の姿勢維持 4.繰り返し 左右それぞれ2〜3回を目安とした反復実施 ふくらはぎとアキレス腱のストレッチは、外反母趾で母趾(足指)に集中しやすい力の負担を和らげるのに有効です。柔軟性を高めることで足首から足裏までの動きがスムーズになり、歩行時の衝撃吸収や母趾関節の負担軽減につながります。 壁に両手をつき片足を後ろに引いてふくらはぎを伸ばし、膝を軽く曲げるとアキレス腱まで効果的に伸ばせます。反動はつけず、無理のない範囲で行います。入浴後など筋肉が温まった状態での実施がより効果的です。 外反母趾に対してつま先立ちとストレッチを組み合わせるメリット 組み合わせるメリット 詳細 足の機能を高める 筋肉や腱をバランスよく鍛えることで歩行時の安定性や衝撃吸収力の向上 アーチ保持と進行抑制 足裏のアーチを支える筋力強化による外反母趾の進行抑制と変形予防 生活に取り入れやすい 特別な器具を必要とせず日常生活の合間に無理なく実施可能な利便性 つま先立ちとストレッチを組み合わせると、外反母趾のケアはより効果的になります。筋肉や腱を鍛えることで歩行の安定性や衝撃吸収力が高まり、足裏のアーチ保持によって変形の進行を抑える効果も得られます。 特別な器具を必要とせず日常生活に取り入れやすいため、継続しやすいのも利点です。異なる作用を組み合わせることで相乗効果が期待できます。 足の機能を高める 理由 詳細 足裏のアーチ機能の回復と維持 後脛骨筋や長母趾屈筋など足裏の筋肉強化によるアーチ保持 母趾の筋力強化と柔軟性向上 ストレッチと運動による足趾の柔軟性改善と地面把握力の向上 バランス能力の向上 ふくらはぎ筋群の強化による重心移動の安定と負担分散 血流促進と疲労軽減 下腿三頭筋の刺激による血流改善と代謝促進、疲労回復 継続しやすく日常生活に取り入れやすい 道具不要で自宅実施可能な利便性と継続性 つま先立ちとストレッチを組み合わせることで、足裏のアーチ保持、母趾(足指)の柔軟性向上、ふくらはぎの筋力強化が同時に得られます。 つま先立ちとストレッチの組み合わせによって歩行時の安定性が高まり、重心移動がスムーズになって外反母趾の進行抑制や症状軽減につながります。また血流促進による疲労回復効果も期待でき、道具を必要としないため日常生活に取り入れやすく、継続しやすい点も大きな利点です。 アーチ保持と進行抑制 人間の足には内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチの3つがあり、体重の分散や衝撃吸収に重要な役割を果たしています。これらが正常に機能することで足や膝、腰への負担も軽減されます。 一方で、アーチが崩れると外反母趾の進行により骨配列の乱れや痛み、胼胝を生じやすくなるため、つま先立ちやタオルギャザーで足裏の筋肉を鍛えて支えることが有効です。 補助的にインソールやパッドの使用も役立ちますが、根本には筋力強化が欠かせません。早期から対策を行えば、変形の進行や歩行障害を防ぎやすくなります。 生活に取り入れやすい 自宅や職場で器具を使わずに取り入れられる手軽な運動です。数分の隙間時間でも筋力強化や柔軟性の向上に効果があり、痛みや変形が強い場合には座位での実践など強度を調整できます。 立つ・歩くといった日常動作の合間に取り入れやすく、継続すれば効果を実感しやすいため、モチベーション維持につながり、外反母趾の予防や改善を支える要素となります。 外反母趾のつま先立ち・ストレッチにおける注意点 注意点 詳細 負荷とフォームの調整 回数や姿勢を適切に調整し足部への過度な負担を避ける実施方法 痛みを感じたら無理をしない 運動中に違和感を覚えた場合は中止し症状悪化を防ぐ対応 他の疾患がある場合は医師に相談する 糖尿病や関節疾患など合併症がある場合の事前確認と専門的判断 外反母趾に対するつま先立ちやストレッチは効果的ですが、実施には注意が必要です。回数や姿勢を調整し、足部に過度な負担をかけないことが重要です。 運動中に痛みや違和感を覚えた場合は直ちに中止し、症状悪化を防ぐことが求められます。また、糖尿病や関節疾患などを合併している場合は、実施前に医師へ相談してから行うことが推奨されます。 負荷とフォームの調整 外反母趾のケアとして行うつま先立ちやストレッチは、正しい方法で取り組むことが重要です。過度な負荷や回数は関節や靭帯へのストレスとなり、炎症や変形を悪化させる可能性があります。 体重は足裏全体で支え、母趾(足指)に偏らせないことが効果を高めるポイントです。また、症状の程度に応じて負荷を調整し、無理のない範囲で継続することが、セルフケアの実効性を高め、外反母趾の進行抑制にもつながります。 痛みを感じたら無理をしない 外反母趾では痛みを我慢して運動を続けると、炎症や変形の悪化を招く恐れがあります。痛みを避けることで運動が継続しやすくなり、その結果セルフケアの効果も高まります。 痛みは身体からの重要なサインであり、強い症状が出た場合は中止し医師への相談が適切です。無理をすると歩行姿勢が崩れ、膝や腰など他部位に負担が及ぶ可能性もあるため、痛みを感じたら無理をしないことが外反母趾のケアには不可欠です。 他の疾患がある場合は医師に相談する 外反母趾の方が糖尿病や関節疾患などを合併している場合、自己判断での運動は危険です。糖尿病では感覚障害や血流低下により損傷や潰瘍を招くリスクがあり、膝関節症やリウマチでは通常の運動が負担となる恐れがあります。 医師に相談することで、疾患に応じた運動療法や装具療法を選択でき、早期に適切な治療や生活指導を受けることができます。 外反母趾における医療機関を受診すべきサイン 受診すべきサイン 詳細 生活への影響 歩行や靴選びに支障をきたし日常生活に困難を生じる状態 変形の進行 母趾(足指)の角度が増し外反が進んでいく傾向 合併症や二次的な症状 胼胝・関節痛・足裏の痛みなどの付随症状出現 外反母趾では、受診が必要となる重要なサインがあります。強いこわばりや筋緊張が持続する場合、日常生活での歩行や階段昇降、立ち上がりが困難になる場合は注意が必要です。 また、母趾や足関節の可動域が低下し動きが制限されてきた場合も、進行性の拘縮を防ぐために医療機関の受診が望まれます。これらのサインを見逃さず、早期に対応することが外反母趾の悪化防止につながります。 以下の記事では、外反母趾の治療法について詳しく解説しています。 生活への影響 外反母趾が進行すると、靴が合わない、長時間歩けないといった不便が生じ、歩行姿勢の崩れから膝や腰に二次的な負担を及ぼすことがあります。さらに、タコやウオノメなどの皮膚トラブルは潰瘍や感染に発展する危険があり、糖尿病や血流障害のある方はとくに注意が必要です。 歩行困難や外出制限はQOL(生活の質)を低下させ、全身の健康にも影響します。こうした段階ではセルフケアだけでなく、医師による適切な治療が求められます。 変形の進行 外反母趾の変形は自然には元へ戻らず、進行するとセルフケアだけでは対応ができません。母趾(足指)が隣の指に重なり圧迫や摩擦を生じると、第2趾以降の変形やタコなど二次的な問題が起こり、足全体のバランスが崩れます。 さらに、蹴り出し動作が妨げられて歩行が不安定になり、膝や腰への負担が広がる危険もあります。変形が進んだ場合は保存療法だけでは不十分となり、装具や手術を検討する必要があるため、早期受診が重要です。 合併症や二次的な症状 項目 詳細 母趾(足指)に影響する疾患 関節炎・外反母趾・強剛母趾・母趾種子骨疾患などによる変形や機能障害 手術と合併症の可能性 経験豊富な外科医による手術でも起こり得る合併症発生 合併症の重要性 痛みや変形の残存など生活に影響する難しい問題 早期発見と対応 合併症の特定・定量化・管理・解決に基づく計画的治療 解決策の設計 既存の問題を悪化させないよう配慮された多角的対処 長期的治療の視点 温存手術や長期的視点に立った再建的アプローチ 外科医の判断要素 複数の治療法から適切な方法を選び計画的に実施する重要性 (文献1) 外反母趾が進行すると、関節障害や足の変形に伴うタコ・魚の目の形成によって歩行障害が生じやすくなります。外科的治療には、感染症や骨癒合不全、神経損傷、矯正不良や再発に加え、術後の安静による深部静脈血栓症などの合併症リスクがあります。 とくに糖尿病や関節リウマチなどの全身疾患を併存する場合には、これらの合併症リスクが増大するため、定期的な診断と適切な医療機関での管理が不可欠です。 以下の記事では、合併症について詳しく解説しています。 【関連記事】 糖尿病の初期症状とは?合併症の特徴やセルフチェックリストを紹介 関節リウマチの合併症|主な種類や原因を医師が詳しく解説 つま先立ちとストレッチで改善しない外反母趾は医療機関を受診しよう つま先立ちやストレッチは、外反母趾の進行抑制や軽度の症状緩和に有効です。しかし、根本的な治療法ではありません。 痛みが強い場合やセルフケアで改善が見られない場合には、整形外科を受診し、医師の評価を受けることが重要です。診察によって、装具療法や手術など、症状に応じた適切な治療法が検討されます。 つま先立ちとストレッチで改善しない外反母趾でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、治療法の選択肢として外科的切開を伴わない再生医療を導入しています。手術以外の方法を希望される方にも検討可能であり、症状の程度や生活への影響に応じて、ご提案いたします。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 参考文献 (文献1) 母趾手術後の合併症|PubMed
2024.11.15 -
- 股関節、その他疾患
- 股関節
妊娠出産で骨盤がゆるむと、陰毛の生え際あたりにある恥骨に負荷がかかりやすいです。場合によっては、左右の恥骨をつなげている軟骨と靱帯が伸びて「恥骨結合離開」を起こします。 痛みをなんとかしたくても、育児中だとなかなか病院にも行けず、妊娠中や授乳中だと薬を飲んで良いか悩むこともあるでしょう。 この記事では恥骨結合離開の原因や症状、検査方法、治療方法について解説します。自宅でケアするポイントや、自然に治る可能性があるのかもお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。 恥骨結合離開は妊娠・出産時に発症しやすい 恥骨結合離開は、恥骨結合部分が過度に広がる状態です。 そもそも恥骨結合は骨盤の一部分で、左右の恥骨が軟骨と靱帯でかたくつながっています。おへそからまっすぐ下がっていくと、陰毛の生え際のあたりにかたい骨が触れますが、恥骨結合があるのはこのあたりです。 妊娠・出産の際に、ホルモンの影響で靱帯がゆるんだり、恥骨結合に圧力がかかったりすると、恥骨結合が引き伸ばされて隙間が広がることがあります。この状態が恥骨結合離開で、痛みが起きたりうまく歩けなかったりといったさまざまな症状が現れます。 恥骨結合離開の関連症状| 恥骨結合炎について 恥骨結合離開と似ている症状に「恥骨結合炎」があります。恥骨結合炎とは、恥骨結合に負担がかかって炎症が起きている状態です。恥骨結合炎が悪化して恥骨結合離開に至るケースもあります。 恥骨結合離開は妊娠・出産に関連して起きることが多い一方、恥骨結合炎は、スポーツによって強い力が加わり発症することも少なくありません。手術の合併症として起こることもあります。 両者の違いをまとめると以下のとおりです。(文献1、文献2) 恥骨結合離開 恥骨結合炎 主な原因 ・妊娠に伴うホルモンバランスの変化 ・出産時の恥骨への圧迫 ・恥骨への運動ストレス ・恥骨結合にねじれる力がかかる ・恥骨に付着している筋肉により強く引っ張られる 恥骨結合の距離 10mm以上 変化がない、または10mmより短い 恥骨結合離開になる方の割合は多くありません。妊娠中や産後に恥骨が痛む場合は、恥骨結合炎の可能性もあります。 恥骨結合離開の原因 ここでは恥骨結合離開の原因について確認しましょう。原因を知ることで、どんな対策ができるかも見えてきます。 妊娠・出産によるホルモン分泌で骨盤が緩むため 妊娠中に増えた体重が恥骨結合へ余計な負荷をかけるため 妊娠中の運動不足により筋力が低下するため 出産時に恥骨周辺が圧迫されるため 一つずつ解説します。 妊娠・出産によるホルモン分泌で骨盤が緩むため 妊娠中はホルモンの一種であるエストロゲンとリラキシンが、妊娠の維持や出産の準備のために分泌され骨盤がゆるみます。骨盤がゆるむと恥骨結合に負荷がかかりやすくなり、痛めてしまうことは多いです。 骨盤が不安定ななかで、子どもを抱っこしたり無理な姿勢で育児したり、痛みを我慢して家事をしていると、恥骨結合や恥骨にくっついている筋肉に疲労がたまります。悪化すれば恥骨結合炎を発症したり、恥骨結合離開に進展したりする可能性もあります。 妊娠中に増えた体重が恥骨結合へ余計な負荷をかけるため 恥骨結合があるのは、上半身の重みがかかりやすい位置です。妊娠中に体重が増えると、それだけ恥骨結合の負担も増えます。 また、赤ちゃんの重みでも恥骨結合に負荷がかかります。骨盤および骨盤の周りの筋肉で子宮を支えているため、赤ちゃんが大きくなるほど痛みが出やすいです。 左右に傾いた姿勢や、前かがみの姿勢では恥骨への負荷が大きくなります。片足に体重を乗せる、足を組むなどの姿勢は避け、背筋を伸ばすと痛みが緩和されるでしょう。 妊娠中の運動不足により筋力が低下するため 身体が重くなる妊娠中は、歩くのも面倒になりがちです。しかし運動不足による筋力低下も、恥骨結合離開のリスクとなります。 とくに骨盤の下側を覆う骨盤底筋群や、脇腹から骨盤につながる腹横筋は、妊娠中にも骨盤を支えている大切な筋肉です。これらの筋力が弱まりすぎると、体重や赤ちゃんの重みが骨盤に集中し、恥骨結合にも過剰な負担がかかってしまいます。 対策として、お腹が大きい状態でできる運動には限りがありますが、無理のない範囲で筋力を維持しましょう。 出産時に恥骨周辺が圧迫されるため 出産時に骨盤が広がり、赤ちゃんの頭や体が出てくる際、恥骨周囲が直接圧迫されて恥骨結合離開となるケースがあります。 恥骨結合離開のリスクが高いとされるのは、初産の場合や双子の場合です。(文献1)また、小柄な方や骨盤がせまい方は、恥骨結合に無理な力がかかりやすく発症しやすいといわれます。赤ちゃんが標準より大きい場合も、出産時に骨盤が広がり過ぎて、恥骨結合が引き伸ばされてしまうことがあります。 妊娠時に筋力が弱まった骨盤まわりに、出産で大きな力がかかり恥骨結合離開となるケースが多いです。妊娠時から筋力維持のための運動や姿勢を意識し、対策しておきましょう。 恥骨結合離開の主な症状 ここでは恥骨結合離開の主な症状について説明します。 恥骨まわりや股関節が痛む 思ったように歩けない 痛くて横向きの寝方・寝返りができない 脚の内側に力が入らない 順番に確認していきましょう。 恥骨まわりや股関節が痛む 恥骨結合離開では、恥骨まわりに強い痛みを感じます。(文献1)じっとしていても痛む場合が多く、押すと痛みが増すのが特徴です。 また股関節や内ももには、恥骨から筋肉がつながっており、炎症が広がって痛みを感じることがあります。歩いたり前かがみになったりする動作、立ち上がり動作、太ももを閉じるような動作でとくに痛みが増すため、動作に注意しましょう。 思ったように歩けない 恥骨にはお腹や太ももの筋肉がくっついています。恥骨結合離開になると、痛みがひびいて筋肉を動かせなくなったり、骨盤が安定しなかったりして、いつものように歩けなくなります。 妊娠中に骨盤痛があると早く歩けないほか、片足を地面から離すのがつらく、短い歩幅でちょこちょこした歩き方になりやすいです。(文献3) 痛くて横向きの寝方・寝返りができない 横向きに寝ると骨盤の片側が圧迫され、恥骨結合にも負担がかかって痛みが強くなることがあります。どうしても横向きで寝るときは、足の間にクッションなどをはさんで骨盤がねじれないようにすると、痛みがやわらぎやすいです。 また、恥骨結合部分が痛くて寝返りができない方もいます。そもそも寝返りを打つときは、骨盤にくっついている腹筋や足の筋肉に力を入れて、体全体を連動させて動かします。そのとき、骨盤にも力が加わるため、恥骨結合が痛むのです。 脚の内側に力が入らない 脚を内側に閉じる筋肉は恥骨に付着しています。動かそうとすると恥骨が引っ張られて強い痛みが起き、うまく力が入りません。 そもそも恥骨結合がゆるんでいると、骨盤も不安定になっています。これにより筋肉の力がうまく伝わらないことも、脚に力が入らない一因です。 恥骨結合離開の検査方法 妊娠中や出産後に恥骨結合離開を疑うときの、診察と検査についてまとめました。主要な検査はレントゲン撮影です。妊娠・授乳中に行って良いのかも解説します。 触診 痛みの正確な位置や痛みの程度を確認するため、医師が患部を触って診察します。どのような動作で痛みが増すか、体重をかけたときはどうかなども確認します。 痛い部分を触られるのはつらいですが、正しい診断のために必要な診察です。少しの間がんばりましょう。 レントゲン・MRI検査 恥骨のあたりに痛みがある場合、骨の状態や炎症の具合をみる検査を行います。 レントゲン MRI レントゲンはかたい骨がうつりやすいため、恥骨がどれくらい離れているかが見やすく、恥骨結合離開の診断によく使われます。 MRIはやわらかい組織をうつすのが得意で、骨以外の靱帯や筋肉などの炎症も分かりやすいのが特徴の一つ。時間のかかる検査のため、より精密に検査したい場合に行われます。 妊娠中・授乳中にレントゲン・MRI検査はできる? レントゲン検査は放射線を照射するため、妊娠中や授乳中に検査しても良いのか不安ではないでしょうか。 レントゲン撮影は放射線被ばく量が少ないため、妊娠中も授乳中も可能です。(文献4) 少量の放射線は空気中や大地、食物に含まれており、わたしたちは日頃から少量の被ばくをうけています。自然の被ばく量とレントゲンの被ばく量を比較してみましょう。(文献5) 空気中から 大地から 宇宙から 食物から レントゲン(胸) 被ばく量 0.48mSv/年 0.33mSv/年 0.3mSv/年 0.99mSv/年 0.06mSv/回 レントゲンの被ばく量の少なさがわかります。 帝王切開などの手術の事前検査でレントゲンを撮影したり、身長の低い方・胎児が大きい場合に産道を赤ちゃんが通れるか骨盤計測するためにレントゲンを撮ったりする場合もあります。また、放射線は母乳に影響しないため授乳中も検査ができます。 安心してレントゲン検査を受けてください。 また、MRI検査は磁気を利用した検査で、通常のMRI検査は胎児に影響しません。 ただし、造影剤を用いるMRI検査は胎児に影響がでる報告があり妊娠中は行えません。妊婦さんにMRIが必要なときは、造影剤を使わず検査可能なのでご安心してください。 恥骨結合離開の治療法 妊娠中や育児中でもできる治療やケアを紹介します。妊娠中や授乳中は飲める薬が限られるので、自分でできるケア方法を知っておくと便利です。 痛み止め・炎症止めの薬の服用 患部の冷却 安静 骨盤ベルトの装着 ストレッチや散歩 病院での治療や自宅でできるケア方法をまとめたので、ぜひ参考にしてください。 痛み止め・炎症止めの薬の服用 恥骨結合離開の一般的な治療は、投薬や冷却、注射などです。妊娠中や授乳中は痛み止めが飲めないわけではありません。 しかし、種類が限られるため、なるべく受診して医師に処方してもらいましょう。妊娠中や授乳中に飲める痛み止め成分はアセトアミノフェンです。 アセトアミノフェンが主成分の市販薬もありますが、市販薬はほかの成分も含まれているため必ず薬局の薬剤師やかかりつけの医師に相談しましょう。 患部の冷却 痛みが強い・炎症が強い場合は冷やすのも効果的です。保冷剤などをタオルで巻き、冷やしてみてください。 市販の冷湿布は妊娠中・授乳中に使えない成分が含まれているものがあります。湿布の成分は皮膚を通してからだに吸収されるため、おうちにある湿布を安易に貼らないようにしましょう。 湿布を使いたい場合は薬剤師に相談するか、病院を受診して処方してもらいます。 安静 なるべく動かずに安静にすることも恥骨結合離開で大事な治療の一つです。 育児中は安静を保つことが難しい状況ですが、痛みが強い場合は無理をしないようにしましょう。 子どもが寝ているときになるべく一緒に休息をとったり、ネットスーパーを利用して外出を減らしたりするなど、できるだけ家で過ごす工夫をすることが大切です。 骨盤ベルトの装着 骨盤ベルトを日頃から使い、骨盤を安定させると痛みの軽減につながります。 妊娠中は出産に向けてすこしずつ骨盤がひらき、胎児が大きくなることで恥骨への負担が増えます。出産後も骨盤はすぐ元にもどらないため、ベルトで骨盤を安定させましょう。 骨盤ベルトは産婦人科のある病院や助産院で購入できる場合があるので、恥骨の痛みを感じたらはやめに助産師や医師に相談してください。 市販の骨盤ベルトを選ぶ場合は、「妊娠中から産後まで使える」と書いてあるなど、妊産婦向けの商品を選んでくださいね。 ストレッチや散歩 痛みが強い急性期は、痛み止めの内服や冷却をして安静にするのが基本ですが、痛みが慢性化している場合は軽い運動が効果的です。再発予防にもなるため、医師の診察で軽い運動の許可が出たら少しずつ行いましょう。 マタニティヨガや産後ヨガなど痛みの出ない範囲で行うと良いでしょう。ベビーカーを使い、お子さんとお散歩するのもおすすめです。 恥骨の痛みに効果的なストレッチは、以下の記事でも紹介しているので参考にしてください。 恥骨結合離開はいつ治る?治療しなくても治る可能性があるかも紹介 恥骨結合離開は、骨盤ベルトや安静によって6週間ほどで安定し始め10ヶ月時点で自覚症状が無く経過良好という報告があります。(文献1)また、恥骨結合離開を含む骨盤の痛みは、通常は産後3カ月以内に自然に回復するといわれています。(文献3) 一方で、恥骨結合の開きが大きかったり、恥骨結合以外の部分も傷ついていたりする場合は、なかなか改善が見られません。産後1〜2年が過ぎても10人に1人は骨盤痛が続いているとの報告もあり、個人差が大きいです。(文献3) 恥骨結合離開は、早めに治療すれば早めの改善が期待できます。症状が強ければ、我慢せず産婦人科で相談してください。必要に応じて整形外科を紹介してもらえるでしょう。 恥骨結合離開で現れる可能性のある後遺症 恥骨結合離開になった後、残る可能性のある症状について説明します。 まずは痛みです。恥骨周辺に慢性的な痛みが残る場合があるほか、歩くときや立ち上がるときに痛みを感じる方や、くしゃみや咳で痛みが響く方もいるでしょう。 次に運動機能への影響です。恥骨結合の不安定さが残れば、寝返りをしにくい、長い時間歩けないなどの症状が残るかもしれません。子どもを抱っこしたり重いものを持ったりするときに、不安定さを感じる場合もあります。 これらの症状は、次回の妊娠・出産で負荷が増したときに、再発のリスクが高まります。月経前に恥骨結合が緩んで痛みが出る場合や、更年期の体の変化にともなって痛みが出る場合もあるでしょう。 恥骨結合離開を予防するために産後の生活で気を付けること 産後は赤ちゃんの抱っこやお世話・授乳時に無理な姿勢をとりやすく、恥骨結合離開が悪化することもあります。 出産後、育児中の恥骨結合離開との付き合い方についてまとめました。 赤ちゃんの抱っこ 出産後は赤ちゃんを抱っこすることが多いですよね。 抱っこするときは前かがみの姿勢になりやすいですが、前かがみは恥骨に体重がかかるため負荷がかかります。床など低い位置から赤ちゃんを抱っこするときは、なるべく背筋をのばし、片膝を立てて抱き上げましょう。 また、抱き上げたあとも、左右どちらかに体重がかからないよう注意し、片方の腰の骨に赤ちゃんを乗せる抱き方もひかえます。 抱っこして歩くときはなるべく骨盤ベルトを使用してくださいね。 授乳などお世話の姿勢 授乳時も前かがみになりやすいため、なるべく前かがみにならないよう床ではなく椅子に座り、授乳クッションを使いましょう。 オムツ替えやお着換えなどのお世話も前かがみになりやすいですが、オムツ交換台を使用すると腰の負担が減ります。オムツ交換台は転落に十分注意しながら使ってみてください。 恥骨結合離開とうまくつきあって再発を予防しよう! ここまで、妊娠・出産における恥骨結合離開の原因や検査、ケアや注意点を紹介しました。 妊娠や出産で骨盤まわりは変化しますが、痛みがでやすいなかでの妊婦生活や育児は大変ですよね。どうしても姿勢がくずれてしまったり、慌ててしまって腰や恥骨に負荷がかかったりすることはよくあります。しかし、お母さんが健康でいることも大切なことです。 痛みがあるときはなるべく安静にし、しっかりケアしてください。痛みが強ければ、我慢せず病院へ行きましょう。また、痛みがひいても姿勢に気を付け、ヨガなどのストレッチや散歩を習慣にして再発を予防しましょう。 参考文献 (文献1) 高須厚ほか.「創外固定で治療した出産に伴う恥骨結合離開の1例」『中部日本整形外科災害外科学会雑誌』62(2), pp.379-380, 2019年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/chubu/62/2/62_379/_article/-char/ja/ (最終アクセス:2025年3月19日) (文献2) 医学書院医療情報サービス「恥骨炎(恥骨結合炎)」医学書院, 2025年3月3日 https://imis.igaku-shoin.co.jp/contents/reference/sei_04260-08/4260/sei_04260-08_a023z0005/ (最終アクセス:2025年3月19日) (文献3) 坂本飛鳥ほか.「妊娠・産後の骨盤痛が歩行に及ぼす影響:システマティックレビュー」『Japanese Journal of Health Promotion and Physical Therapy』10(1), pp.1-8, 2020年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/hppt/10/1/10_1/_pdf (最終アクセス:2025年3月19日) (文献4) 日本医学放射線学会ほか5機関「「母乳中放射性物質濃度等に関する調査」についてのQ&A」平成23年6月8日 https://www.jsog.or.jp/news/pdf/Q&A_20110608.pdf (最終アクセス:2025年3月19日) (文献5) 環境省「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(平成26年度版)第1章 放射線の基礎知識と健康影響 8身の回りの放射線」環境省ホームページ https://www.env.go.jp/content/900413502.pdf (最終アクセス:2025年3月19日)
2024.11.13 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「尿酸値を下げる具体的な対策は?」 「痛風の予兆が現れた際に発作を防ぐ方法はある?」 痛風を予防するには、食事内容などの生活習慣の見直しが重要です。病状によっては、薬物療法も検討しなければなりません。 本記事では、主に以下について解説します。 痛風予防の対策8選 痛風の予兆が起きた際の対策 適切な対策をとらないと、痛風だけでなく尿路結石や腎臓の障害などを引き起こす恐れがあります。本記事を尿酸値の改善に役立ててください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 痛風について気になる症状やご相談がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 痛風予防の対策8選 痛風予防の対策8選は以下の通りです。 尿酸値を上げる原因を理解する 定期的に健康診断を受ける プリン体の多い食事は避ける 尿酸値を下げる食事を摂取する 十分な水分補給をする 運動習慣を取り入れる 節酒と禁煙を心がける ストレスをためないようにする それぞれの詳細を解説します。 1.尿酸値を上げる原因を理解する 痛風を予防するには、まず尿酸値が上がる原因を正しく理解することが大切です。尿酸値が高くなる原因は、ほとんどが生活習慣の乱れです。 代表的なものには、ビールの飲み過ぎや野菜の不足、肉類に偏った食生活などが挙げられます。尿酸値を改善して痛風発作を予防するには、食生活の見直しが大切ということです。 肥満傾向である方は、運動を取り入れる必要もあるでしょう。病状によっては、薬物療法の検討も必要です。まずは医療機関を受診して医師に相談してください。 2.定期的に健康診断を受ける 痛風予防において、定期的に健康診断を受けることは重要です。健康診断で尿酸値の経過を確認すれば、高尿酸血症を早期に発見できるためです。 とくに以下に該当する方は、尿酸値が上がりやすい傾向であるため、定期的に健康診断を受けてください。 大食いや早食いをする方 お酒をたくさん飲む方 無酸素運動をよくする方 肥満の方 家族に痛風歴がある方 (文献1) すでに「尿酸値が高め」と指摘された方や、高尿酸血症と診断された方は、定期的に医療機関を受診して、尿酸値の管理をしましょう。 3.プリン体の多い食事は避ける プリン体を多く含む食事を摂ることは、尿酸値を高める大きな原因です。 以下を参考にして、1日のプリン体の摂取量が400mgを超えないようにしましょう。(文献4) プリン体含有量(100gあたり) 食品 非常に多い(300mg以上) 鶏レバー、マイワシの干物、白子、あん肝の酒蒸し、太刀魚、ちりめんじゃこなど。 多い(200〜300mg) 豚レバー、牛レバー、マイワシ、カツオ、マアジの干物、サンマの干物、大正エビなど。 中等量(100〜200mg) 鶏ささみ、砂肝、鶏手羽、皮付き鶏もも、鶏皮、するめいか、カキ、あじ、あさり、マグロ、ブリ、牛モモ、ほうれん草の芽、ブロッコリースプラウトなど。 少ない(50〜100mg) ほうれんそう葉、カリフラワー、ほたて、うなぎ、牛ヒレ、豚ヒレ、豚ロース、牛ロース、牛タン、ボンレスハム、豚バラ、牛バラなど。 非常に少ない(50mg以下) 野菜全般、穀類、卵類、乳製品、豆類、きのこ類など。 (文献2)(文献3) 外食やコンビニなどで食事をする際も、上記の表を参考にプリン体を過度に摂取するのは控えてください。 4.尿酸値を下げる食事を摂取する ビタミンやミネラルを豊富に含む野菜類、海藻類、イモ類などは、尿酸の排泄を促進させる働きがあります。また、特定の食べ物や飲み物の中には、尿酸値を下げる効果を期待できるものがあります。 具体的には以下の通りです。 バナナ 低脂肪ヨーグルト チェリー カツオ レモン 低脂肪牛乳 ワイン 緑茶 日々の食事の中に、以上のような食べ物や飲み物を取り入れてみても良いでしょう。 ただし、ワインで尿酸値を下げる効果を得られるのは、1日150mL程度までと飲酒量の目安があります。そのため、ワインであっても飲み過ぎないようにしてください。(文献6)また、ビールや蒸留酒は尿酸値を上げるため注意が必要です。 5.十分な水分補給をする 十分な水分補給は痛風予防において重要です。水分をたくさん摂ることで、尿と一緒に尿酸を排泄できるためです。 反対に、水分を十分に摂取しないと、尿酸の排泄が滞って血液中の尿酸値が上昇しやすくなります。 推奨されている1日の水分摂取量は2L以上です。(文献2)なお、アルコール飲料や加糖飲料は、尿酸値を高めるため水分に含めないでください。 6.運動習慣を取り入れる 運動は肥満やメタボリックシンドロームを改善して、尿酸値を下げる効果が期待できます。ただし、筋トレや短距離走などの無酸素運動は、尿酸値を高める恐れがあります。 運動内容は、以下のような有酸素運動が効果的です。 ウォーキング ジョギング サイクリング 水泳 社交ダンス 運動は継続が大切です。少なくとも1回10分以上の有酸素運動を1日30〜60分は取り入れましょう。(文献2) すでに痛風を発症したことがある方は、関節に負担がかかり発作を誘発する恐れがあります。医師と相談して運動内容を決めましょう。 7.節酒と禁煙を心がける 節酒と禁煙は痛風予防において重要です。アルコール飲料は、プリン体が豊富に含まれている場合が多いです。また、たとえプリン体の少ないアルコール飲料でも、アルコール自体に尿酸値を高める働きがあるため節酒を心がける必要があります。 尿酸値への影響を少なくする1日のアルコール摂取量の目安は、以下の通りです。 アルコール飲料 1日の飲酒量の目安 ビール 350〜500mL ウイスキー 60mL 日本酒 1合 ワインは1日148mLまでであれば、尿酸値への影響はないと報告があります。(文献2)タバコに関しては、痛風に直接影響があるわけではありませんが禁煙を推奨します。高尿酸血症の合併症である尿路結石や、その他高血圧などさまざまな病気のリスクを高めるためです。 8.ストレスをためないようにする ストレスは尿酸値を高める恐れがあります。ストレスは尿酸を産生させる物質を内臓脂肪や肝臓、小腸などで活性化させてしまうためです。(文献5) また、ストレスは高尿酸血症の合併症である尿路結石の発症に関係していると報告もあります。痛風を予防するためには、休息や余暇活動を行いストレスの軽減をすることも大切です。 痛風発作の予兆が起きた際の対策 痛風は発作が起こる予兆の段階で、コルヒチンという薬を内服すれば予防できます。 痛風の予兆を示す症状は以下の通りです。 むずむず、チクチクなどの患部の違和感 熱っぽさ だるさ ただし、発作が起きてしまったあとに内服しても効果は期待できません。コルヒチンの処方に関しては、医師に相談してください。 まとめ|適切な対策を実施して痛風を予防しよう 痛風を予防するには、多くの場合に生活習慣の見直しが必要です。プリン体がたくさん含まれる食事は避けて、野菜類や海藻類などをバランス良く食べましょう。 バナナや低脂肪ヨーグルト、チェリーなどの尿酸値を下げる効果が期待できる食べ物を摂取しても良いでしょう。アルコール飲料は尿酸値を高めるため節酒も必要です。 肥満傾向である方は、1回10分以上の有酸素運動を1日30〜60分取り入れることを推奨します。すでに尿酸値が高めと指摘されている方は、定期的に医療機関を受診して、尿酸値の経過を見るようにしましょう。 痛風対策に関するよくある質問 食べてはいけない食事はある? 痛風予防において食べてはいけない食事をまとめると、以下の通りです。 レバーや干物などのプリン体が豊富に含まれる食べ物 ビールなどのプリン体が豊富に含まれるアルコール飲料 果糖が豊富に含まれる清涼飲料水 以上は、尿酸値を高めてしまうため、多量摂取は控えるようにしてください。 痛風は1日で治る? 痛風は、発作が起きたあとに痛みが引いたからといって1日で治るわけではありません。発作を完全に落ち着かせるには、数日から数週間は必要です。 また、尿酸値が改善しなければ、発作が再度起こるリスクが高いです。治療を進めていない方は、医療機関を受診してください。 参考文献 (文献1) 痛いだけじゃない痛風の怖さ|千葉県医師会 (文献2) 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン|日本痛風・核酸代謝学会 (文献3) 魚介類50gあたりの脂質とプリン体の関係|厚生労働省 (文献4) 高尿酸血症と食事|厚生労働省労災疾病臨床研究事業 (文献5) ストレスが高尿酸血症の発症に関与するメカニズムを解明|名古屋大学 (文献6) 血清尿酸値の低下作用が示唆される食材および食材に含まれる物質の作用機序|一般社団法人日本痛風・尿酸核酸学会
2024.11.11 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「痛風の痛みがすぐ引いたけど1日で治るの?」 結論、痛風の痛みは発作的に現れるため痛みが引いたからといって治ったわけではありません。 本記事では、日常生活に大きな支障をきたす痛風の発作に対する適切な対処法と予防策が重要を解説します。 また痛風を放置すると、以下のようなリスクも高まります。 激しい痛み 関節の変形 痛風結節、尿路結石 腎不全 心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中) 痛風について気になる症状がある方は、当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングにて、お気軽にご相談ください。 実際の治療法については、以下の動画でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/WDZayyLiOYc?si=Ezg3BXBwFxRhrBaW 痛風の発作は一日で治らない 「痛風は一日で治る」とよく耳にしますが、これは誤解です。実際には、痛風の発作を完全に治すには数日から数週間はかかります。 痛風の発作が起こると、関節内の炎症を抑えるために、医師から消炎鎮痛薬やステロイド薬、コルヒチンなどの薬が処方されます。薬を適切に使うと症状を速やかに和らげて、回復までにかかる期間の短縮が可能です。 しかし、たとえ症状が改善されたように感じても、関節内の炎症が完全に治まるには時間がかかります。 一日での完治を期待せず、医師の指示に従って適切な治療を受けましょう。症状が軽くなっても、自己判断で治療を中断すると再発のリスクが高まります。 痛風は長期的な疾患であり、発作を予防するには、以下のように日常的な生活習慣の改善が欠かせません。 食事療法や運動習慣の見直し 定期的な検査と薬物療法 など 早期の適切な対処と長期的な疾患管理により、症状をコントロールし、健康的な生活を送るのも可能です。 痛風に関する正しい知識を身につけて、医療従事者と協力しながら、継続的な管理と治療に取り組みましょう。 痛風発作の原因と急性期の特徴 痛風発作は、体内で作られた尿酸が関節内に結晶として蓄積した際に、引き金となって起こる急性の炎症反応です。 痛風発作の典型的な症状例は、以下のとおりです。 激しい関節痛(主に足の親指の付け根に起こる場合が多い) 発赤、腫れ、熱感を伴う 触れるだけでも痛みを感じるほどの敏感さ 発作は突然始まり、適切な治療を行わないと数日から長くて2週間ほど続きます。 激しい痛みが持続し、日常生活に大きな支障をきたす場合があります。 痛風の発作初期における痛みの対処法【自宅でできる】 痛風の発作が疑われるときは、以下のような自宅での対処法を試みましょう。 痛風の発作が起きた場合、できるだけ早く痛みを和らげるのが大切です。 上記の方法で症状が和らぐ場合もありますが、効果が不十分な場合は迷わず医療機関を受診しましょう。 現在、当院(リペセルクリニック)の公式LINEでは、先端医療である再生医療に関する詳細や症例を公開しております。 再生医療は痛風でよくある合併症の改善にも期待できる治療方法なので、将来的な不安がある方はこの機会にぜひ知っておきましょう。 ▼LINE限定のガイドブックが無料! >>公式LINE限定の再生医療に関する情報を見てみる 痛風は緊急治療になるケースもあり! 激しい痛みが続くときや関節の腫れが強い場合は、医師による治療が必要です。代表的な治療オプションは以下のとおりです。 治療の選択肢 説明 期待される効果 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の処方 NSAIDsは、炎症を引き起こす物質の生成を抑えて、関節の痛みと腫れを和らげる効果が期待できます 痛みと炎症の緩和 ステロイド薬の内服または関節内注射 ステロイド薬は強力な抗炎症作用を持ち、速やかに症状を改善させる可能性があります。内服薬や関節内注射の形で投与します 速やかな症状の改善 コルヒチンの処方 コルヒチンは、炎症を引き起こす白血球の活動を抑制して、発作を鎮める効果が期待できます 発作の鎮静化 上記の薬剤は炎症を速やかに抑えて、痛みを和らげる効果が期待できます。ただし、薬剤は副作用のリスクもあるため、医師と相談しながら治療を選択するのが大切です。 痛風の発作時は、早期の適切な対処が重要です。医師と連携しながら効果的な治療を受けられると、痛みを和らげて回復までの期間を短縮できるでしょう。 自宅での応急処置を行いつつ、症状が改善しない場合は速やかに医療機関を受診してみてください。 また、痛風以外にも、体の症状でなにかお悩みを抱えておられる方は、当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 痛風の予防における2つのポイント 痛風の発作を一日で治すのは難しいですが、適切な管理により再発の予防は可能です。 以下で長期的な尿酸値管理の重要性と、生活習慣の改善策を解説します。 尿酸値を管理しよう 生活習慣を改善しよう 尿酸値を管理しよう 痛風の発作を防ぐには、血中尿酸値を適正にコントロールするのが大切です。具体的には以下のような方法が有効です。 方法 説明 尿酸値を下げる薬物療法 アロプリノール、フェブキソスタットなどの薬を使用し、尿酸値をコントロールします 定期的な尿酸値のモニタリング 定期的な血液検査で尿酸値を確認し、必要に応じて治療方針を調整します プリン体の多い食品の制限 肉類、魚介類、ビールなど、プリン体を多く含む食品の摂取を控えめにします 医師と相談しながら、自分に合った尿酸値の管理法を見つけるのが重要です。 なお、個人差があるので画一的な方法ではなく、自分の体の反応を観察しながら方法を探りましょう。 また、痛風と尿酸値における詳細は、以下の記事で詳しく解説していますのであわせて参考にしてみてください。 生活習慣を改善しよう 日常生活でできる痛風の予防策も忘れてはいけません。具体的には以下のような点に注意しましょう。 予防策 具体例 十分な水分補給で尿酸の排泄を促す 1日1.5〜2リットル程度の水分摂取を目安に、こまめな水分補給を心がけましょう 適度な運動で体重管理と血行促進 ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を定期的に行うと、体重管理や血行促進に役立ちます。 ただし、急激な運動は避け、自分のペースで無理なく続けるのが大切です ストレス管理とリラクゼーション ストレスは尿酸値を上昇させる要因のひとつです。 リラックスできる時間を設けて、心身の健康維持に努めましょう アルコール(とくにビール)の制限 アルコールのなかでも、ビールは尿酸値を上昇させやすいため、できるだけ控えめにするのが望ましいです。 アルコールを飲む場合は、ビール以外の種類を選ぶなどの工夫も効果的です 上記の生活習慣を見直すと、痛風発作のリスクを下げる効果が期待できます。ただし、生活習慣の改善は短い期間では難しいため、無理のない範囲で少しずつ取り組んでいくのが大切です。 医師や栄養士と相談しながら、自分に合った予防策を見つけて長期的に実践していくのが、痛風とうまく付き合うための鍵となります。 痛風は完治が難しい病気ですが、適切な管理により、発作を最小限に抑えて健康的な生活を送れるでしょう。 痛風の発作が仕事・日常生活に与える影響について 痛風の発作は突然起こるため、仕事の予定に支障をきたす場合があります。 重要な会議の当日に発作が起こると、欠席せざるを得ない状況になるかもしれません。激しい痛みのため集中力が低下し、仕事の効率が下がる可能性もあるでしょう。 長期的な痛風の管理を怠ると、関節の変形や機能障害につながる恐れもあります。関節が変形すると、歩行や家事などの日常的な動作が難しくなり、生活の質が大きく低下します。 また、痛風の発作を恐れるあまり、外出や運動を控えてしまう人もいるかもしれません。 しかし、適切な痛風管理を行えば、これらの影響を最小限に抑えられます。医療チームと協力しながら、薬物療法や生活習慣の改善に取り組むのが大切です。 痛風と上手に付き合うコツ 痛風と上手に付き合うには、以下のような生活戦略が有効です。 戦略 具体例 痛風発作に備えた応急処置キットを常備する 鎮痛剤、氷のう、補助具などをつねに持ち歩く 職場や旅行先にもキットを置いておく ストレスマネジメントの方法を身につける 深呼吸やマインドフルネスなど、リラクゼーション技法を習得する 趣味や運動など、ストレス発散の時間を作る 周囲の理解と協力を得る 上司や同僚に病状を説明し、必要な配慮を求める 家族や友人に協力を呼びかけ、サポート体制を整える 定期的な通院と自己管理を怠らない 医師の指示に従い、定期的な検査と治療を受ける 日々の食事、運動、服薬を自己管理し、病状の安定を図る 上記の戦略を実践すると、痛風があっても充実した社会生活を送れるはずです。たとえば、職場で痛風の理解を得たいときは、上司や人事部門に相談しましょう。 症状や治療の必要性を説明し、通院や休息の配慮が必要な点を伝えてみてください。また、同僚にも状況を伝えてサポートを求めると、仕事上の負担を軽減できるかもしれません。 プライベートでは、家族や友人に痛風の話をして協力を求めるのも大切です。発作時には家事や育児を代わってもらったり、通院に付き添ってもらったりするなど、具体的な支援を求めましょう。 理解者を増やせると、痛風とうまく付き合いながら充実した生活を送れます。 痛風は生活に大きな影響を及ぼす病気ですが、適切な管理と周囲の支援があれば、影響を最小限に抑えられます。 医療チームと相談しながら、自分に合った生活戦略を立てて、実践していくのが重要です。痛みに負けず、前向きな気持ちで日々を過ごしていきましょう。 まとめ|痛風の発作は一日で治らないので生活習慣を整えて改善しよう 痛風の発作は一日で完治できませんが、適切な対処と予防策により、症状の急速な軽減と再発防止が可能です。 以下の表で、痛風の発作における管理のポイントをまとめています。 管理のポイント 具体的な方法 発作時の対処 安静を保ち、患部を冷やす 十分な水分を摂取 激しい痛みや発熱があるときは医療機関を受診 医師の指示に従い、鎮痛剤や炎症を抑える薬を服用 長期的な尿酸値管理 定期的な血液検査で尿酸値を確認 必要に応じて尿酸降下薬を服用 プリン体の多い食品を控えめにする 十分な水分摂取を心がける 生活習慣の改善 適度な運動(ウォーキング、ストレッチなど)を取り入れる ストレスの管理方法を身につける 体重管理を行う 仕事との両立 上司や同僚に病状を説明し、必要な配慮を求める 痛風の発作時は、在宅勤務や休暇を取得できるよう事前に相談 職場に応急処置キットを常備する 通院や体調管理の時間を確保する ストレスの多い仕事は可能な範囲で調整してもらう 痛風と向き合う姿勢が、充実した人生を送るための鍵となります。具体的には、以下のようなアプローチが大切です。 痛みに負けずに前向きに取り組む 医療チームと相談しながら、自分に合った痛風の管理方法を見つける 痛風を自分の健康と向き合うチャンスと捉える 痛風の治療に前向きに取り組む 毎日の小さな習慣を積み重ねる 痛風と診断されたからといって諦める必要はありません。痛風とうまく付き合うためにも一人で抱え込まず、医療機関などに相談してみてください。 また、痛風を放置すると激しい痛みや関節の変形など、様々な症状が起きる可能性はあります。 体のお悩みを抱えておられるときは、ぜひ当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。 痛風が一日で治るのかに関するよくあるQ&A 以下では、痛風が一日で治るのかに関して、よくある質問と答えをまとめています。 痛風の初期症状は何がありますか? 痛風の対策におすすめの食事はありますか? 痛風に市販薬を使っても良いですか? 痛風のときはコーヒーを飲まないほうが良いですか? Q.痛風の初期症状は何がありますか? A.以下の症状があげられます。 足の親指の付け根の激痛 関節の腫れと発赤 関節の熱感 歩行困難 上記でなにか当てはまる症状がある場合は、すぐに医療機関を受診するのが大切です。 痛風の初期症状については、以下の記事で詳細を解説しているので、あわせて参考にしてみてください。 Q.痛風の対策におすすめの食事はありますか? A.痛風対策の食事では、プリン体の少ない食材を中心に選ぶのが大切です。 以下で、推奨される食品をまとめています。 低脂肪乳製品 全粒穀物 大豆製品 など 痛風になったときの食事法は、以下の記事が参考になります。 Q.痛風に市販薬を使っても良いですか? A.痛風の発作時に一時的な痛みを和らげるために、ロキソニンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を含む鎮痛消炎薬が市販されています。 ただし、根本的な治療にならない点は注意が必要です。また、薬には副作用もあるので、使うときはかかりつけの医師や薬剤師に相談しましょう。 また、痛風の市販薬に関する詳細は、以下の記事で解説しているので参考にしてみてください。 Q.痛風のときはコーヒーを飲まないほうが良いですか? A.カフェインの過剰摂取を避ければ、痛風の方でもコーヒーを飲んで構いません。 ただし、本人の体調や体質によって変わるため、不安なときはかかりつけの医師に相談してみてください。 また、コーヒーと痛風の関係は、以下の記事で詳しく解説しているのであわせてご確認ください。 参考文献一覧 MSD マニュアルプロフェッショナル版,痛風 千葉県栄養士会,かしこく食べる,痛風の予防と食事 順天堂大学医学部附属順天堂医院栄養部,高尿酸血症・痛風の食事療法 e-ヘルスネット,アルコールと高尿酸血症・痛風 e-ヘルスネット,高尿酸血症 日本生活習慣病予防協会,生活習慣病,高尿酸血症/痛風 日本生活習慣病予防協会,生活習慣病の調査・統計,高尿酸血症/痛風 沢井製薬株式会社,高尿酸血症・痛風ハンドブック
2024.11.08 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「痛風の発作がつらくて仕事や日常生活に支障が出ている」「痛風の薬を飲んでいるけれど、副作用が心配」といったお悩みをお持ちではないでしょうか。 痛風は適切な治療を行わなければ、関節の損傷や日常生活の質の低下を招く恐れがあります。しかし、正しい薬の選択と使用法を理解し、生活習慣の改善を併せて行えば、症状の改善がより期待できます。 本記事では、痛風治療に用いられる代表的な薬剤の特徴と副作用対策、痛風予防のための生活習慣改善のポイントについて詳しく解説します。 なお、痛風は単独で発症することは少なく、糖尿病などの生活習慣病と相互に影響し合うことが知られています。そんな糖尿病に対しては再生医療という治療法もあります。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施していおります。ぜひ公式LINEにご登録ください。 痛風治療薬の種類と副作用 痛風の薬は、大きく分けて「痛風発作を抑える薬」と「尿酸値を下げる薬」の2種類があります。(文献1) 分類 目的 主な薬剤 痛風発作を抑える薬 急性の関節炎症状を抑える NSAIDs(ロキソプロフェンなど) コルヒチン ステロイド(プレドニゾロンなど) 尿酸値を下げる薬 高尿酸血症を改善し、再発を予防する 尿酸生成抑制薬:アロプリノール、フェブキソスタット 尿酸排泄促進薬:ベンズブロマロン、プロベネシド 痛風発作を抑える薬(急性痛風関節炎の治療薬) 痛風発作を抑える薬として、NSAIDs、コルヒチン、ステロイド薬などが使われます。 これらは、痛風発作の予兆がある患者様や尿酸降下薬の開始初期の患者様に処方されることが多く、痛風発作の予兆(足の違和感など)がある時に服用すると、発作を予防・軽減できるとされています。 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) 主な薬剤 特徴 主な副作用 ロキソプロフェン インドメタシン ナプロキセン 炎症を抑える 関節の腫れや痛みを緩和 胃腸障害や腎機能への影響に注意 NSAIDsは、痛みや発熱を伴う症状を抑える薬として広く使われており、一般的には「痛みどめ」として知られています。 痛風発作が起きてしまった患者様向けに処方されることが多く、激しい痛みや腫れを緩和する目的で処方されます。(文献2) 一方で、胃腸障害(胃粘膜病変や胃潰瘍の誘発・増悪)や腎障害を引き起こす可能性があるため注意が必要です。 また、ワーファリン(抗凝固薬)を服用中の患者様には、NSAIDsではなく、代わりにステロイド薬の処方が検討されます。 コルヒチン 薬剤名 特徴 主な副作用 コルヒチン 白血球の遊走を抑制し、炎症反応を阻害 発作初期に有効 予防投与にも用いる 下痢・嘔吐などの副作用が出やすい 腹痛、発疹 コルヒチンは、痛風発作の予防と急性期治療の両方に用いられる薬剤です。 この薬は、炎症を引き起こす白血球の活動を抑制することで、発作を抑える効果が期待できます。 大量投与すると、吐き気や下痢などの消化器症状を引き起こす可能性があるため、少量から開始し、慎重に用量を調整する必要があります。 ステロイド薬 薬剤名 特徴 主な副作用 ・プレドニゾロン ・強力な抗炎症作用 ・NSAIDsやコルヒチンが使えない場合の選択肢 ・糖尿病や感染症リスクに注意 ステロイド薬は、強力な抗炎症作用を持ち、重度の痛風発作に対して用いられる薬剤です。 NSAIDsやコルヒチンが使えない患者様に処方されることがあります。 しかし、長期使用によって、血糖値の上昇、感染症リスクの上昇、骨密度の低下を引き起こす可能性があります。 尿酸値を下げる薬(高尿酸血症の治療薬) 尿酸値を下げる薬は、体内での尿酸の生成を抑える「尿酸生成抑制薬」と、腎臓からの尿酸の排泄を促す「尿酸排泄促進薬」に分けられます。(文献3) これらは、痛風発作の治療薬ではなく、体内に蓄積した尿酸を減らすことで、痛風発作の予防や腎障害の改善が期待されています。 尿酸降下薬の開始時期は、発作が落ち着いた後に検討するのが一般的です。開始時期は医師が総合的に判断します。 尿酸生成抑制薬 主な薬剤 特徴 主な副作用 アロプリノール フェブキソスタット 体内での尿酸の生成を抑える 皮膚の発疹 肝機能障害 下痢 尿酸生成抑制薬とは、体内で尿酸をつくるキサンチンオキシダーゼという酵素の働きを弱め、尿酸の産生を減らす薬です。 薬の選定は、副作用や合併症の有無などを考慮し、主治医が一人ひとりの状況に応じて選びます。 アロプリノール 薬剤名 特徴 主な副作用 アロプリノール プリン体に似た構造を持つ薬 尿酸産生を抑える 投与回数1日2〜3回 世界中で古くから利用 重度の腎障害では使用制限がある 腎機能が低下している場合は用量調整が必要 免疫抑制薬(メルカプトプリンやアザチオプリン)との併用は注意 皮疹や過敏症に注意 アロプリノールは、体内のプリン体(DNAやRNAの材料になる物質)に似た構造を持っている薬です。 世界的に長年使用されていますが、腎機能に関連した副作用が確認されており、腎機能が低下している場合は用量を調整する必要があります。 また、免疫抑制薬であるメルカプトプリンやアザチオプリンとの併用には、減量のうえ慎重に使用する必要があります。 フェブキソスタット 薬剤名 特徴 主な副作用 フェブキソスタット 非プリン型の薬 尿酸産生を抑える 投与回数1日1回 肝機能への影響が報告 投与開始初期の痛風発作発症率が高い 免疫抑制薬(メルカプトプリンやアザチオプリン)との併用は禁止 フェブキソスタットは、プリン体の形をしていない「非プリン型」の薬で、1日1回の服用が可能です。 アロプリノールで十分な効果が得られない場合や、副作用などでアロプリノールが使えない場合に処方されます。 また、免疫抑制薬であるメルカプトプリンやアザチオプリンとの併用は禁止されています。 尿酸排泄促進薬 主な薬剤 特徴 主な副作用 ベンズブロマロン プロベネシド 腎臓からの尿酸の排泄を促す 必要に応じて尿をアルカリ性に保つ薬と併用利用 尿路結石 肝機能障害 胃腸障害 尿酸排泄促進薬とは、腎臓で尿酸が血液に戻るのを防ぎ、尿で排出を促す薬です。尿酸を排出し、血清尿酸値を下げます。 とくに、尿酸を作りすぎているわけではなく、腎臓からの排泄が不十分な「尿酸排泄低下型」の患者様に処方されます。 ただし、尿酸を体の外に出す働きが強まると、尿路結石ができやすくなる可能性があるため、薬を飲んでいる間は十分な水分を摂り、尿量を増やすことが大切です。 必要に応じて、尿をアルカリ性に保つ薬を併用することもあります。 ベンズブロマロン 薬剤名 特徴 主な副作用 ベンズブロマロン 尿酸の再吸収を強く抑え、尿中への排泄を増やす 投与開始6か月以内の肝障害が起こる可能性あり ワーファリンなど抗凝固薬の作用を強める可能性あり ベンズブロマロンは、尿酸排泄促進作用は強力で、効果が比較的長く続くと報告されており、プロベネシドに代わり、広く使用されています。 とくに飲み始めの6か月は肝障害に注意が必要なため、服用初期は定期的な検査が必要です。 また、ワーファリン(抗凝固薬)など一部の薬の効き方に影響することがあるため、服用中の薬がある場合は、必ず医師・薬剤師に伝えてください。 プロベネシド 薬剤名 特徴 主な副作用 プロベネシド 尿酸の再吸収を抑制して排泄を促す (作用はベンズブロマロンより弱め) ・ペニシリン系抗菌薬、メトトレキサートなどの血中濃度を上げることがある プロベネシドは、腎臓で尿酸が再吸収されるのを抑えることを主な作用としています。その結果、血液中の尿酸が体に蓄積しにくくなり、尿酸値の低下につながります。 また、ペニシリン系抗菌薬やメトトレキサートなど、一部の薬剤の血中濃度を上昇させる可能性があるため、併用時には注意が必要です。 一般的に用法は人によって異なります。実際の用量・回数は医師が処方するため、服用中の薬がある場合は必ず医師・薬剤師に伝えてください。 痛風の原因・症状について知りたい方は、こちらの記事も併せてお読みください。 痛風治療の市販薬と処方薬の違い 痛風の治療薬には、医療機関で処方されるものと、薬局で購入できる市販薬があります。市販薬は治療ではなく、症状を一時的に和らげる目的で使用される薬です。 痛風発作時の激しい痛みに対しては、市販のロキソニンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が痛みを和らげる効果があります。 発作が続く場合は、根本原因に着目した治療が必要になります。また、市販薬を使用する際は、用法・用量を守り、適切に使用することが重要です。 過剰摂取や長期連用は副作用のリスクを高める可能性があります。市販薬を使用する前には、医師や薬剤師に相談しましょう。 痛風予防と生活習慣 – 再発防止のためにできること 薬物療法と並行して、生活習慣の改善に取り組むことが痛風の再発予防につながります。とくに食事の工夫と適度な運動習慣が重要です。 食事と生活習慣の改善 痛風の予防には、プリン体の摂取を控えてバランスの良い食事をとることが大切です。 以下のプリン体を多く含む食品は、尿酸値上昇の原因となるため、なるべく控えましょう。 食品カテゴリ 主な食品 内臓類 レバー(鶏・豚・牛)、あん肝、腎臓、脳など 魚類 イワシ、サンマ、カツオなどの青魚 野菜類 マッシュルーム、ほうれん草、アスパラガスなど アルコール類 ビール、ワイン、日本酒などアルコール飲料 ただし、何も食べずにいると、体内脂肪の分解と尿酸排泄が滞ることで、尿酸値が上昇するケースもあります。プリン体を多く含む食品を避けながら、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。 また、尿酸値を下げることが期待されている「低脂肪乳製品」や「無糖コーヒー」を取り入れるのもおすすめです。 【関連記事】 痛風の食事療法とは?食べてはいけないもの一覧やストレスをためない食生活改善のポイント 痛風にコーヒーはダメ?OK?尿酸値への影響と安全な飲み方を医師が解説 痛風を防ぐための日常のポイント 適度な運動習慣と水分補給は、尿酸値を下げる効果が期待されています。 目安は以下の通りです。 項目 期待できる効果 内容 目安 有酸素運動 尿酸値を下げる可能性がある ジョギング(軽め) ウォーキング 水泳など 週3〜5回 30分〜1時間程度 水分補給 尿酸を多く排出しやすくなる ジョギング(軽め) ウォーキング 水泳など 1日に2リットル以上 ※個人差あり、医師との相談が必要 痛風予防のための生活習慣の改善は、薬物療法と並行して行うことで、再発防止につながります。 無理のない範囲で、生活習慣の見直しを行っていくことが大切です。 まとめ|痛風の薬・症状への理解を深めて適切な治療を選択しよう 痛風治療には「痛風発作を抑える薬」と「尿酸値を下げる薬」の2つがあり、それぞれ異なる目的で使用されます。 NSAIDsやコルヒチンは急性発作の痛みを和らげ、尿酸生成抑制薬や尿酸排泄促進薬は根本的な原因である高尿酸血症を改善します。 市販薬は一時的な症状緩和に留まるため、継続的な発作がある場合は医療機関での適切な診断と治療が必要です。 また、薬物療法と併せてプリン体を控えた食事、適度な運動、十分な水分補給など生活習慣の見直しを行うことで、痛風の再発予防と症状の改善が期待できます。 痛風は適切な治療と生活習慣の見直しによって十分にコントロール可能な疾患です。まずは医師に相談して治療計画を立て、健康的な日常生活を取り戻しましょう。 痛風の薬に関するよくある質問 痛風発作が治まったら、薬をやめてもいい? 自己判断でやめてはいけません。 痛風発作が治まっても、体内の尿酸結晶が溶けていない状態は続いています。 尿酸値を下げる薬を中断すると、再び尿酸値が上がりやすくなり、痛風発作の再発リスクが高まります。 薬を飲んでいれば、好きなものを飲食できる? 薬を飲んでいても、食事内容には注意しましょう。症状の改善には、プリン体が多く含まれる食事を避けて、栄養バランスの良い食事を摂ることが重要です。 痛風治療の基盤は、生活習慣(食事・飲酒・運動・体重管理)の見直しです。 好きなものを自由に摂る生活を続けた場合、薬の効果が不十分となり、薬剤量の増加や別の治療が必要になる可能性があります。 尿酸値を下げる薬を飲み始めたら、逆に痛風発作が起きた。なぜ? 尿酸値が長く高かった方が治療を始めると、尿酸が急に下がります。その結果、関節にたまっていた尿酸の結晶が刺激されやすくなり、白血球が反応して一時的に痛みや腫れ(痛風発作)が起こることがあります。(文献4) 発作が起きても薬は中断せず、医師に相談してください。 健康食品やサプリメントで尿酸値は下がりますか? 治療の基本はあくまで「医師から処方される医薬品」と「生活習慣の改善」です。 サプリや健康食品は補助として検討する位置づけなので、利用する場合は、必ず事前に医師や薬剤師に相談してください。 痛風発作時にすぐにすべきことはある? 痛風発作が疑われる場合、まずは安静にして患部を動かさないようにしましょう。 冷却パックなどを用いて患部を冷やすことで、炎症と痛みを和らげることができる可能性があります。 また、発作時には水分を十分に摂取することが重要です。 水分をとることで尿量が増え、尿酸が体外に出やすくなることが期待されます。 参考文献 (文献1) 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版|日本内科学会雑誌第109巻第8号 (文献2) 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(ダイジェスト版)|公益財団法人 痛風・尿酸財団 (文献3) 痛風・高尿酸血症治療のフローチャート|一般社団法人 日本動脈硬化学会 (文献4) 2016 updated EULAR evidence-based recommendations for the management of gout|BMJ Jornals
2024.11.06 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「痛風の激痛に襲われて、どんな治療を受ければいいのか不安」「薬は一生飲み続けないといけないの?」といった疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。 痛風の治療は、急性期の発作を抑える治療と、慢性期の再発予防という二段階のアプローチで行われます。 適切な薬物療法と生活習慣改善を組み合わせることで、痛風発作のない快適な生活を送れるようになります。 本記事では、痛風治療の基本的な考え方から具体的な治療法、使用される薬剤の詳細、治療期間の目安まで詳しく解説します。 なお、当院「リペアセルクリニック」では、無料電話相談を実施しております。痛風について痛みやお悩みがある方は、ぜひ一度当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 痛風治療の基本的な考え方と目標 痛風治療は「急性期治療」と「慢性期治療」の二段階で構成されており、それぞれ異なる目的と治療方法があります。 急性期治療では、痛風発作による激しい関節の炎症を速やかに鎮静化することを優先していますが、選択肢としては低用量コルヒチン、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)、副腎皮質ステロイドの経口投与の中から選ばれます。 治療法を選択する判断基準は、患者様の腎機能や消化性潰瘍歴、併用薬などです。 一方、慢性期治療では高尿酸血症の根本的な改善を目指し、血清尿酸値を6.0mg/dL以下に維持して痛風の再発を防ぐのが目的となります。(文献1) さらに、痛風には腎障害、尿路結石、高血圧、糖尿病などの合併症が伴いやすいため、これらへの対応も治療計画に含めるのが基本的な考えです。 治療の最終目標は、単に痛みを取り除くだけでなく、尿酸値を適正にコントロールして合併症を予防することです。健康的な日常生活を取り戻すことを第一に考えて治療計画を立てます。 急性期治療|痛風発作時の対処法 痛風発作時の治療では、急激に尿酸値を下げる薬を服用すると発作が悪化してしまいます。 そのため、急性期は炎症や痛みを抑えることが重要です。 治療においてはまずNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を選択し、ロキソプロフェン、ジクロフェナク、インドメタシンなどが症状の程度や患者様の状況に応じて選択されます。 薬の名称 特徴 ロキソプロフェン 速効性があり痛風発作の急性期に有効 胃腸への負担が比較的少ない 1日3回服用で効果が持続 ジクロフェナク NSAIDsの一種で痛風の急性発作に使用可能 消化器症状や心血管リスクには注意が必要 経口剤のほか筋肉内注射剤もある インドメタシン 中枢神経系の副作用(頭痛、錯乱など)に注意 慢性腎臓病がある場合は使用を避け別の薬の服用を検討(文献7)(文献8) コルヒチン 発作前兆から極早期に低用量で投与すると効果的 発作が進行した後では効果が限定的 下痢などの消化器症状に注意 腎機能低下時は用量調整が必要(文献9) NSAIDs使用時には、胃腸障害や腎機能への影響に注意が必要で、とくに高齢者や腎機能低下のある患者様では慎重な投与が求められます。(文献7) コルヒチンは発作の初期段階で使用すると高い効果を発揮しますが、発作が本格化してからは効果が限定的になるため、投与のタイミングは慎重な判断が必要です。 副腎皮質ステロイド薬は、NSAIDsやコルヒチンが使用できない場合の代替選択肢として用いられ、腎機能障害や消化性潰瘍の既往がある患者様に適用されます。 慢性期治療|高尿酸血症の治療と再発予防 慢性期治療の目的は、血清尿酸値を目標値である6.0mg/dL以下に維持し、痛風発作の再発を防ぐことです。(文献1) 治療には主に尿酸降下薬が使用され、患者様の病型(尿酸産生過剰型、尿酸排泄低下型)に応じて薬剤を選択します。 【尿酸産生阻害薬】 •アロプリノール:古くから使用されている標準的な薬剤。 •フェブキソスタット:アロプリノールより強力で、腎機能低下例にも使用可能。 【尿酸排泄促進薬】 •ベンズブロマロン:尿酸の腎排泄を促進。有効性が高い一方、重篤な肝障害リスクが知られており、定期的な肝機能検査が必要。 •プロベネシド:尿酸排泄を促進しますが、現在は使用頻度が比較的少ない薬剤。 フェブキソスタットは、アロプリノールと比較して尿酸降下効果が高く、腎機能低下患者でも使用できることが臨床試験で確認されています。(文献3) 治療開始時は低用量から開始し、血清尿酸値をモニタリングしながら段階的に増量していきます。 ただし、急激に尿酸値を下げすぎると、かえって痛風発作を起こすことがあるため、慎重な調整が重要となります。 さらに、尿酸降下薬の開始初期は発作が起こりやすいため、低用量コルヒチンなどの予防投与を3〜6カ月行うことが推奨されます。(文献1) 高尿酸値がもたらすリスクについては、以下の記事も参考にしてください。 痛風の併発症・合併症への対策 痛風はメタボリックシンドロームや高血圧、糖尿病などを合併しやすいことが知られています。各疾患との関連は強く、相互に悪循環を形成するため、総合的な管理が必要です。 慢性腎臓病も重要な合併症の一つで、高尿酸血症が腎機能低下を促進し、腎機能低下がさらに尿酸値を上昇させる悪循環を形成してしまいます。 これらの合併症に対しては、痛風治療と並行して包括的な管理が必要で、各専門科との連携による治療が推奨されます。(文献4)(文献5) 痛風治療で使用される薬剤の詳細と選び方 痛風治療薬の選択は、患者様の病期、病型、腎機能、合併症の有無などを総合的に判断して決定されます。 【急性期治療薬の選択基準】 ・NSAIDs:第一選択薬として広く使用 ・コルヒチン:NSAIDs禁忌例や併用時に選択 ・ステロイド:NSAIDs、コルヒチン両方が使用困難な場合 【慢性期治療薬の選択基準】 ・尿酸産生過剰型:アロプリノール、フェブキソスタット ・尿酸排泄低下型:ベンズブロマロン、プロベネシド ・混合型:病態に応じて組み合わせ使用 フェブキソスタットは、アロプリノールと比較して尿酸降下効果が高い一方、心血管安全性については相反する報告があるため、心疾患の既往がある患者様には適応の判断は慎重に行います。(文献3) 薬剤の副作用モニタリングも重要で、肝機能、腎機能、血球数の確認を定期的な血液検査で確認します。 痛風治療の期間と効果|いつから改善が実感できるか 痛風治療の効果実感時期は、急性期治療と慢性期治療で大きく異なります。 急性期治療(痛風発作)の治療期間 急性期治療では、適切な薬物療法により発症から24〜48時間の段階で痛みの軽減がみられます。 NSAIDsは投与後まもなく鎮痛効果があらわれ、数日以内に炎症が落ち着く例が多いとされます。 症状が軽快になる目安は概ね1週間前後で、経過により長引く場合もあります。回復期も患部の安静と薬物療法の継続が重要です。 慢性期治療(再発予防)の治療期間 慢性期の治療では、尿酸値を6.0mg/dL以下に保つことを目標に、薬の量を少しずつ調整します。 調整のタイミングや観察の間隔は人によって異なり、数週間から数カ月ごとに確認するのが一般的です。 尿酸を下げる薬の効果は、飲み始めてからの血液検査で少しずつあらわれます。 効果が出るまでの速さには個人差があるため、治療をはじめたばかりの時は発作を防ぐために少量のコルヒチンなどを併用し、定期的に診察や検査を受けることが大切です。 再発をどのくらい防げるかは目安はありますが、断言はできない難しいため、目標値6.0mg/dL以下を安定して保てれば発作は減りやすいと考えておきましょう。(文献1) 痛風治療と併用すべき生活習慣改善 薬物療法と並行した生活習慣改善は、治療効果を高め、薬剤の減量や中止につながる可能性があります。 食事療法 運動療法 さまざまな治療法がありますが、できることから一つずつ実施していきましょう。 また、以下の記事には痛風の対策についてもまとめておりますので、気になる方はぜひご確認ください。 食事療法 プリン体制限は痛風治療の基本ですが、過度な制限は必要ありません。 目安としては、1日のプリン体摂取量を400mg以下推奨とされています。(文献1) 高プリン体食品(100gあたり200mg以上) 鶏レバー、豚レバー、牛レバー 白子(精巣) あん肝 イワシ、カツオ 干し椎茸 中プリン体食品(100gあたり50-200mg) 豚肉、牛肉、鶏肉 アジ、サンマ、イカ ほうれん草、カリフラワー (文献6) データに基づいた食事指導により、適切な食品を選ぶことで痛風を再発予防できます。 アルコール制限も重要で、とくにビールはプリン体含量が高いため注意が必要です。 日本酒、焼酎、ウイスキーは比較的プリン体含量が少ないものの、アルコール自体が尿酸値を上昇させるため注意が必要です。 食事療法について詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。 運動療法 高尿酸血症の改善には、適度な有酸素運動が効果的です。 ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなどを週3〜5回、1回30分程度行うことが推奨されます(文献1)。 運動強度は「軽く汗ばむ程度」を目安とし、息が上がるほどの激しい運動は逆に尿酸値を上昇させるため避けましょう。 続けるコツは、無理のない範囲から始めることです。まずは週2〜3回、15分程度のウォーキングから開始し、徐々に時間と頻度を増やしていきます。 運動前後のストレッチも忘れずに行い、怪我の予防に努めてください。 腎臓や心臓の状態に合わせて、1日2〜3リットルの水分をとることも大切です。尿酸の排泄を促し、尿路結石の予防にも役立ちます。ただし、心疾患や腎疾患がある場合は水分制限が必要な場合があるため、医師に相談してください。 体重の管理も欠かせません。BMI25未満を保つことを目標にし、BMI25以上の方も急に体重を落とすのではなく1カ月に1〜2kg程度のゆるやかな減量を意識しましょう。 さらに、ストレスをためない・十分に眠る・禁煙するといった生活習慣の見直しも全身の健康に良い影響を与えます。 運動療法の詳細については、以下の記事もご参照ください。 生活習慣の改善ポイント 痛風や高尿酸血症の改善には、薬物療法と併せて日常生活での取り組みが重要です。以下の表に、実践すべきポイントをまとめました。 改善点 ポイント 水分摂取 1日2〜3リットルを目安に摂取し、尿酸の排泄を促進する 体重管理 BMI25未満を維持し、月1〜2kgの緩やかな減量を心がける アルコール制限 1日あたり日本酒1合、ビール500ml、ワイン200ml程度を上限とする ストレス管理 十分な睡眠(7〜8時間)を確保し、ストレス解消法を見つける 禁煙 喫煙は血管に悪影響を与えるため、禁煙を目指す これらの生活習慣改善は継続が重要です。無理のない範囲で少しずつ取り組み、医師と相談しながら進めていきましょう。 詳しい生活習慣改善の方法については、以下の記事もご参照ください。 痛風治療はさまざまな療法を組み合わせて行おう 現代の痛風治療は、単一の治療法ではなく、薬物療法、食事療法、運動療法、生活習慣改善を組み合わせた包括的アプローチが推奨されます。 患者様一人ひとりの病態、合併症、生活環境に応じてオーダーメイドの治療計画を立案し、定期的な評価と調整を行います。 治療の成功には、患者様の治療に対する理解や生活習慣改善への取り組みが不可欠で、医師との良好なコミュニケーションも治療を進める上で大切です。また、家族の理解と協力も重要な要素で、とくに食事療法の実践には家族全体での取り組みが欠かせません。 痛風の治療法に関してよくある質問 痛風の薬は一生飲み続ける必要がありますか? 痛風の薬物治療は、多くの場合長期間の継続が必要ですが、必ずしも一生涯ではありません(文献1)。 血清尿酸値が安定して目標値を維持し、生活習慣改善が十分に行われている場合、医師の判断により薬剤の減量や中止が検討されることがあります。 ただし、薬剤中止後も定期的な血液検査による尿酸値のモニタリングは継続する必要があります。 痛風の治療費はどのくらいかかりますか? 治療費は、使う薬や検査の回数によって変わりますが、月に数千円程度、年間では数万円から10万円前後になるのが一般的です。 急性期治療ではNSAIDsやコルヒチンの処方が中心で、月1,000〜3,000円ほどが目安です。 慢性期治療では、尿酸を下げる薬の継続服用が必要になり、月に2,000〜5,000円ほどかかります。 これに加えて、血液検査の費用(1回1,000〜3,000円程度)が月1〜2回かかることがあり、年間では数万円から10万円前後になります。 痛風は完治しますか? 痛風は完治するのが難しい病気ですが、適切な治療により症状を抑えて、普段どおりの生活を送れます。 治療のゴールは「完治」ではなく、血清尿酸値の管理と生活習慣の改善により「症状のない生活を維持し続けること」です。(文献2) これにより痛風発作の再発を防ぎ、合併症の進行も抑えることができます。 参考文献 (文献1) 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン ダイジェスト版|日本痛風・核酸代謝学会 (文献2 ) 高尿酸血症・痛風の診断と治療|日本内科学会 (文献3 ) Febuxostat compared with allopurinol in patients with hyperuricemia and gout|PubMed (文献4 ) 痛風患者におけるメタボリックシンドローム|日本痛風・核酸代謝学会 (文献5 ) Gout epidemiology and comorbidities|Seminars in Arthritis and Rheumatism (文献6 ) 食品中プリン体含量(mg/100g)|痛風・尿酸財団 (文献7) Treatment Options for Acute Gout|Federal Practitioner (文献8) Taking the stress out of managing gout|Canadian Family Physician (文献9) Mechanism of action of colchicine in the treatment of gout|PubMed
2024.11.04 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「痛風の初期症状を知りたい」 「足の親指が突然激痛に襲われたけど、痛風の初期症状?」 足の指における激痛などの症状は、痛風の初期症状かもしれません。 痛風は放置すると関節の変形や機能障害を引き起こす可能性があり、早期発見と適切な対処が大切です。 今回は痛風の初期症状の見分け方と、症状が出たときの対処法を詳しく解説します。本記事を読むと痛風の初期症状を見逃さず、重症化を防げるはずです。 先に「痛風の初期症状」における詳細を知りたい方は、リンクをクリックいただくと該当ページに飛べます。 痛風の初期症状と基本知識 痛風と聞くと、中高年男性の病気をイメージされませんか。しかし、最近では30代以下の発症も増えており、女性も決して無縁ではありません。 以下で、痛風の基本的な知識を解説します。 痛風とは何か? 痛風が起こる生物学的メカニズム 痛風とは何か? 痛風は、体内で作られた尿酸が関節内に蓄積し、激しい炎症と痛みを引き起こす病気です。 尿酸とは「プリン体」と呼ばれる物質が分解されてできる老廃物の一種で、通常は血液中から腎臓を介して尿に溶けて排出されます。 しかし、尿酸値が高くなりすぎると、血液中で尿酸が結晶化し、関節内に蓄積します。 主に足の親指の付け根(第一中足趾節関節)に発症しますが、足首や膝などの関節にも生じます。関節の変形や機能障害につながる恐れがあるため、初期症状を見逃さないようにしましょう。 痛風の有病率は男性で1.1%、女性で0.1% 男性の発症年齢のピークは30~50代、女性は閉経後に多い 痛風が起こる生物学的メカニズム 体内の尿酸濃度は、尿酸の「産生」と「排泄」のバランスで決まります。痛風は、以下のような原因で尿酸の産生過剰や排泄低下が起こりやすく、血中尿酸濃度が上昇すると発症します。 原因 説明 プリン体の過剰摂取 肉類、魚類、ビールなどに多く含まれるプリン体を過剰に摂取すると、尿酸の産生が増加する 尿酸の排泄低下 体内で尿酸が過剰に生成される または腎臓からの尿酸排泄が低下する 遺伝的要因 尿酸の産生や排泄に関連する酵素の遺伝的な異常により、尿酸が上昇しやすくなる 高濃度の尿酸は針状結晶となって関節内に蓄積し、激しい炎症反応を引き起こすのです。炎症は発赤、腫脹、熱感、痛みなどの症状を引き起こします。 血中尿酸値が7.0mg/dL以上の状態を高尿酸血症と呼び、痛風発症のリスクが高くなる 高尿酸血症の人は約2割が痛風を発症すると言われている 上記のように、痛風は尿酸値の上昇を引き起こす病気であり、生活習慣や遺伝的要因が関与しているといわれています。初期症状を見逃さず、適切な治療を行うのが大切です。 痛風の初期症状【激しい関節痛・違和感がある】 痛風の初期症状は、主に突然の激しい関節痛です。しかし、痛風発作が起こる前に、軽い痛みや違和感などの前兆が現れるときもあります。 初期症状を見逃さず、適切な対処を行うためにも、以下で痛風の初期症状と前兆を見ていきましょう。 痛風が起きたときの症状 痛風の前兆に起こる症状 痛風が起きたときの症状 痛風の代表的な初期症状は、以下のとおりです。 症状 説明 足の親指の付け根の激痛 痛風発作の約半数は、足の親指の付け根(第一中足趾節関節)に起こる 夜間から早朝にかけて突然発症する場合が多い 激しい痛みで布団の重みでも痛がるほど 関節の腫れと発赤 痛みを伴う関節は腫れて赤く変色する 皮膚が光沢を帯び、赤紫色に変色する場合もある 関節の熱感 炎症を起こした関節は熱をもち、触ると熱く感じる 歩行困難 激しい痛みで歩くのが困難になる 靴が履けなくなる場合もある 痛風発作は非常に強い痛みを特徴とし、安静時でも痛みが持続します。さらに、関節を動かすと痛みが増強します。発作が起こると日常生活に大きな支障をきたすでしょう。 発作は数日から長くて2週間ほど続きますが、炎症が治まると痛みや腫れは徐々に引いていきます。 しかし、適切な治療を行わないと発作を繰り返すようになり、関節の変形や機能障害につながる場合があります。 初期症状を見逃さず、早期に治療を開始するのが大切です。症状が軽度でも痛風が疑われる場合は、放置せずに医療機関を受診しましょう。 痛風の前兆に起こる症状 痛風の発作が起こる前兆の症状は、以下のようなものがあります。 前兆 説明 関節の違和感やこわばり 発作が起こる数日から数週間前に関節の違和感やこわばりを感じる場合がある 違和感は痛みとは異なる不快感で、関節を動かしにくい感じがする 軽い痛みや熱感 発作前に軽度の痛みや熱感が出る場合もある 痛みは発作時ほど強くないが、不快感を伴う 倦怠感や微熱 全身的な倦怠感や微熱が出る場合がある 倦怠感は疲労感や脱力感として感じられる 前兆を感じたら、安静にし、患部を冷やし、十分な水分を摂取するなどの対処を行いましょう。 痛風は発作を繰り返すと関節の変形や機能障害につながる恐れがある疾患です。初期症状を見逃さず、適切な治療を行うのが重要です。 痛風の症状が強いときや発作が起こった場合を始め、症状が気になるときは、早めに医療機関を受診して専門医の診断を受けましょう。 痛風になるリスクが高い人の傾向は? 痛風は特定の人に起こりやすい病気です。以下で痛風のリスクが高いかどうか、セルフチェックしましょう。 5つのセルフチェックリスト 痛風になる確率を高めるリスク要因 5つのセルフチェックリスト 以下の項目に当てはまる人は、痛風のリスクが高い傾向にあります。 リスク因子 説明 肥満または過体重 BMIが25以上の肥満、または過体重の人は痛風のリスクが高い 体重が10%増加すると、尿酸値は1mg/dL上昇しやすい 生活習慣病 糖尿病、高血圧、脂質異常症など、生活習慣病がある人は痛風のリスクが高い 上記の疾患ではインスリン抵抗性が尿酸値を上昇させる 多量のアルコール摂取 1日あたりアルコールを純アルコール換算で60g以上(日本酒なら1合以上)摂取する人は痛風のリスクが高い アルコールは尿酸の産生を促進し、排泄を阻害する 高プリン食の嗜好 肉類、魚介類など、高プリン食を好む人は痛風のリスクが高い プリン体の摂取過剰は尿酸の産生を増やす 家族歴 家族に痛風の人がいる場合、痛風のリスクが高い 痛風には遺伝的素因があり、家族歴がある人の発症リスクは約2倍とされている 参照:日本痛風・核酸代謝学会高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 当てはまる項目が多いほど、痛風のリスクは高くなります。しかし、これらの項目に当てはまらない方でも痛風を発症する可能性はあります。 リスクが高いと感じた方は、生活習慣の改善に取り組むのが大切です。食事、飲酒、運動などの生活習慣を見直して、尿酸値の上昇を防ぐのが重要です。 ただし、すでに痛風の症状がある場合や、生活習慣の改善だけでは尿酸値が下がらない場合は、医療機関で専門医に相談しましょう。 痛風になる確率を高めるリスク要因 痛風の発症には、遺伝的要因と生活習慣の両方が関与しているといわれています。主な痛風のリスク要因とメカニズムは以下のとおりです。 リスク要因 メカニズム 肥満 体重増加により尿酸値が上昇 多量飲酒 アルコールによる尿酸の産生促進と排泄阻害 高プリン食の過剰摂取 プリン体の摂取過剰による尿酸産生増加 遺伝的要因 尿酸代謝関連酵素の遺伝子変異 家族歴 遺伝的素因による発症リスクの上昇 加齢 加齢に伴う腎機能低下と尿酸排泄機能の減少 性別 男性に多く、女性は閉経後にリスク上昇 痛風の発症は複数の要因が絡み合って起こるため、リスク要因を理解して、ご自身に当てはまるリスクを把握しておくのが重要です。 痛風が疑われるときの対応法【家庭でできる対策】 痛風の発作が疑われる場合、以下のような対応を取りましょう。 対応方法 説明 安静 痛みのある関節を動かさないようにし、安静にすると炎症の拡大を防ぐ 冷却 痛みと腫れのある関節を冷やし、炎症を抑える。氷のうやアイスパックを20分程度当てる 水分補給 体内の尿酸を排出するために、十分な水分補給を行う。1日2リットル以上の水分摂取を心がける ただし、上記は応急処置で根本的な治療にはなりません。 痛風の治療は早ければ早いほど効果的です。症状が改善しない場合や、発作が頻繁に起こる場合は、速やかに医療機関を受診してみてください。 医師の診断を受けるタイミング【早期発見が大切】 痛風の症状が疑われる場合、早めに医師の診断を受けるのが大切です。以下で、医療機関を受診すべきタイミングをまとめています。 受診すべきタイミング 詳細 突然の激しい関節痛がある とくに足の親指の付け根、足首、膝などに強い痛みを感じる場合 痛みで歩行が困難になるような場合 関節が腫れて赤く変色している 痛みを伴う関節の腫れや発赤、熱感がある場合 関節の腫れが持続している、複数の関節に症状が現れる場合 痛みが引かず、日常生活に支障をきたす 痛みや腫れが数日経っても改善せず、日常活動が制限される場合 発作を繰り返し、頻度が増えてきた場合 発熱や倦怠感などの全身症状を伴う 関節症状に加えて、発熱や体のだるさ、食欲不振などの症状がある場合 痛風が重症化し、全身に影響を及ぼしている可能性がある 上記の症状がある場合、痛風の可能性が高いと考えられます。早めに医療機関を受診し、適切な診断を受けるのが重要です。 医師は患者の症状や病歴、身体診察から痛風を疑い、以下のような検査を行って診断します。 医師が行う主な検査 目的 血液検査 血中尿酸値の測定。痛風発作時は正常値でも、症状が治っている期間には高値を示す 関節液検査 関節から液体を採取し、尿酸結晶の有無を顕微鏡で確認。痛風に特異的な所見 画像検査 X線やCTスキャン、超音波検査で、関節の損傷や尿酸結晶の沈着を評価 上記の検査結果を総合的に判断し、痛風の確定診断が行われます。 軽い痛みでも繰り返し出る場合は、長期化のサインかもしれません。早めに専門医(リウマチ科、整形外科、内科など)に相談し、適切な診断と治療方針を検討するのが賢明です。 痛風は早期発見・早期治療が重要な疾患です。症状が軽度であっても、痛風が疑われる場合は、自己判断せずに医療機関を受診してみてください。 適切な治療と生活指導を受けると、痛風の症状をコントロールしながら、病状の進行や合併症を防げるでしょう。 また、痛風以外にも、体の症状でなにかお悩みを抱えておられる方は、当院のメールや電話からお気軽にご相談ください。 生活習慣における痛風の予防法 痛風を予防するには、日頃の生活習慣を改善するのが大切です。とくに食生活の見直しと運動の習慣を作るのがポイントになるので、以下で詳細を解説します。 食生活の改善 運動と健康管理 食生活の改善 痛風を予防する食事療法のポイントは以下のとおりです。 食生活の改善ポイント 内容 プリン体の摂取制限 肉類、魚介類、ビールなどの高プリン食品は控えめに 1日あたりのプリン体摂取量は400mg以下が目安 例:ビール1缶(350mL)あたり12~25mg 低脂肪・低エネルギー食 脂肪とエネルギーを控えめにする 標準体重(BMI 22)の維持を目指す 「BMI = 体重(kg)÷(身長(m)の2乗)」 野菜・果物の積極的摂取 ビタミンやミネラルが豊富な野菜 果物を十分に取り入れる ビタミンCは尿酸排泄を促進する効果が期待できる 水分摂取の励行 十分な水分摂取は尿酸排泄に欠かせない 1日2リットル以上の水分摂取を心がける アルコールの制限 アルコールは尿酸の排泄を妨げる原因となる 飲酒は1日純アルコール20g以下(ビール中瓶1本程度)に抑える 運動と健康管理 運動は痛風の予防に欠かせません。有酸素運動を中心に、無理のない範囲で定期的に体を動かすのが大切です。 運動の種類 具体例 強度(目安) 時間(目安) 頻度(目安) 有酸素運動 ウォーキング、ジョギング、 水泳、サイクリング など 会話ができる 程度の強度 30分以上 週5日以上 筋力トレーニング 自重トレーニング、 ダンベル体操など ややきつい 程度の強度 20分以上 週2日以上 ストレッチ 静的ストレッチ、 動的ストレッチなど 伸びる程度の強度 10分以上 毎日 運動するときは、関節に負担をかけすぎないよう注意しましょう。痛みを感じる運動は避けて、徐々に強度と時間を増やすのが大切です。 また、定期的な健康診断で尿酸値のチェックを忘れずに行います。尿酸値が高めの場合は、あわせて生活習慣の改善に取り組みましょう。 痛風の予防には、バランスの取れた食事と適度な運動が欠かせません。一度に大きな変化を求めるのではなく、自分のペースで少しずつ生活習慣を改善するのが重要です。 医師や管理栄養士など専門家のアドバイスを参考に、ご自身に合った予防法を見つけましょう。痛風と上手に付き合い、健康的な生活を送るためのサポートを積極的に活用するのをおすすめします。 まとめ|痛風の初期症状があるときは早めに医療機関を受診しよう 痛風の初期症状を見逃さず、適切に対処するのが肝心です。また、尿酸値に注意して痛風を予防する生活習慣を日頃から意識するのも大切になります。 もう一度、痛風の初期症状を以下でおさらいしましょう。 【以下に当てはまるときは医療機関へ受診を】 足の親指の付け根の激痛 関節の腫れと発赤 関節の熱感 歩行困難 定期的な健康チェックを怠らず、痛風知らずの健康な生活を送りましょう。症状が気になる場合は早めに医療機関を受診し、医師のアドバイスをもとに治療を行ってみてください。 また、痛風以外の症状でも、なにかしらの不調が出てしまう場合もあります。体のお悩みを抱えておられるときは、ぜひ当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。 【リペアセルクリニックへのご相談方法】 メール相談 来院予約 電話相談:0120-706-313(オンラインカウンセリングの予約) 痛風の初期症状についてよくあるQ&A 痛風の初期症状でよくある質問と答えをまとめています。 Q.女性でも痛風になりますか? A.痛風患者の約95%は男性ですが、約5%は女性です。 女性の痛風発症年齢は60歳以降が多く、閉経後に増加します。これは、閉経後にエストロゲンの低下により尿酸値が上昇しやすくなるためです。 Q.サプリメントで痛風は予防できますか? A.痛風の予防はサプリメントに頼るよりも、バランスの取れた食事と運動が基本です。 サプリメントの使用を検討するときは、必ず医師に相談し、適切な助言を受けるのが大切です。 Q.痛風の合併症にはどのようなものがありますか? A.痛風は、放置すると関節の変形や腎臓の機能低下など、重大な合併症を引き起こします。 たとえば、痛風結節は関節や軟骨に尿酸の結晶が蓄積し、こぶのようにできものができる状態で、関節の変形や機能障害の原因となります。 また、尿路結石は尿酸が尿路で結晶化し、腎臓や尿管に結石ができる合併症です。激しい腹痛や血尿を引き起こします。 ほかにも、長年の高尿酸血症により、腎臓の尿酸排泄機能が低下して腎不全に至るケースもあります。 痛風と腎機能の関係は、以下の記事で詳細を解説しているので参考にしてみてください。 Q.痛風の発作を予防するための生活習慣は? A.痛風の発作を予防するには、日常生活での工夫が欠かせません。1日2リットル以上の水分摂取を心がけて、体内の尿酸を排出しやすくしましょう。 また、肥満は痛風のリスクを高めるため、標準体重(BMI 22)の維持を目指すべきです。アルコールについては、尿酸の排泄を妨げるので飲酒は1日純アルコール20g以下に抑えましょう。 食事では高プリン食品を控えて、バランスの良い食事を心がけるのが大切です。 さらに、有酸素運動を中心に無理のない範囲で定期的に体を動かすと、尿酸値の低下と全身の健康維持につながります。 痛風と生活習慣における内容については、以下の記事も参考になります。 Q.痛風の発作は一日で治りますか? A.痛風の発作は一日では治りません。適切な治療を行わないと、数日から長くて2週間ほど続く場合もあります。 関連する内容は、以下の記事で詳細を解説しているので参考にしてみてください。 参考文献一覧 千葉県栄養士会,痛風の予防と食事 順天堂大学医学部附属順天堂医院栄養部,高尿酸血症・痛風の食事療法 e-ヘルスネット,アルコールと高尿酸血症・痛風 e-ヘルスネット,高尿酸血症 日本生活習慣病予防協会,生活習慣病,高尿酸血症/痛風 日本生活習慣病予防協会,生活習慣病の調査・統計,高尿酸血症/痛風 一般社団法人日本痛風・核酸代謝学会.高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン.第3版,診断と治療社,2018,p.74-76
2024.11.01 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「コーヒーは痛風に悪いって聞いたけど、本当?」「痛風になったらコーヒーを飲んではダメ?」 このような疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。 コーヒーは日常的に親しまれている飲み物ですが、痛風患者にとってはその影響が気になるところでしょう。 しかし、薬学研究において、コーヒーが痛風の管理に一定の効果をもたらす可能性もあると示されています。 本記事では、コーヒーの栄養成分と健康への影響から始まり、痛風に対する具体的な効果、そして安全な飲み方までを詳しく解説します。コーヒーを上手に取り入れた痛風管理法を見つけるための参考になれば幸いです。 痛風の症状についてのご相談や、食事管理のご相談はメール相談 やオンラインカウンセリングも可能です。お気軽にご相談ください。 【結論】痛風にコーヒーはダメじゃない!1日4杯までならOK 嗜好品として親しまれているコーヒーも尿酸値を上げるのではないかと心配に思う方もいるかもしれません。しかし、コーヒーが尿酸値に影響を及ぼすという明確な根拠はないため、痛風患者でも一般的な摂取基準であれば、コーヒーを楽しめます。(文献1) 痛風患者に限らず、一般的に推奨されるコーヒーの摂取量は「1日3~4杯」です。カフェイン摂取量が400mg未満になるよう調整しましょう。しかし、痛風の重症度やカフェインへの耐性によって、適量は異なります。 自己判断で摂取量を決めずに、必ず主治医や栄養士に相談し、自分に合った適量を摂るようにしましょう。 本章では、コーヒーと尿酸値の関連について詳しく解説します。 コーヒーが尿酸値に与える影響は解明されていない 以前の研究では、コーヒーを飲んで尿酸値が下がったグループもあれば、上がったグループもあり、尿酸値に与える影響は明らかでないとされています。(文献1) 以下の表は、コーヒー摂取と血中尿酸値の関係性について、研究で報告されている内容をまとめたものです。 研究結果 説明 尿酸値の低下 コーヒーに含まれるクロロゲン酸などの成分が、尿酸の排泄を促進する可能性がある 個人差がある コーヒーの尿酸値低下効果は、すべての人に同様に見られるわけではない コーヒーを多く摂取する人ほど痛風のリスクが低いという傾向が見られますが、これは因果関係を直接証明したものではありません。 つまり、コーヒーを飲むこと自体が直接的に痛風リスクを下げているとは限らないのです。 適度なコーヒー摂取は痛風の予防につながるとの研究もある 大規模な疫学研究で、コーヒー摂取量と痛風発症リスクの関連性が報告されています。(文献2) 詳しい研究結果は以下の表の通りです。 研究結果 説明 痛風リスクの低下 1日4杯以上のコーヒーを飲む人は、まったく全く飲まない人に比べて痛風リスクが約40%低いという報告がある 観察研究であることに注意 これらの研究は観察研究であり、因果関係を直接証明するものではない コーヒーを多く摂取する人ほど痛風のリスクが低いという傾向が見られますが、これらの結果はあくまで観察研究に基づくものです。 そのため、個人差があることや、研究の限界を考慮する必要があります。 コーヒーは痛風対策の特効薬ではありませんが、適度に楽しむことで、痛風の予防に寄与するかもしれません。 ただし、コーヒーの効果を過信せず、バランスの取れた食事や生活習慣の改善など、総合的な痛風管理を心がけることが大切です。 具体的には以下のようなことを意識してみましょう。(文献3) プリン体の多い食品を控えめにする 適度な運動を心がける 水分をこまめに取る ストレス管理に努める 定期的な健康診断を受ける コーヒーは楽しみながら、これらの対策と組み合わせることで、痛風の予防に役立てられるでしょう。ただし、カフェインの過剰摂取には注意が必要です。 カフェインの摂りすぎは、不眠や胃への負担などの他の身体への影響を引き起こす可能性があります。多くても1日3〜4杯程度(400mg)未満のコーヒーを、ライフスタイルに合わせて上手に取り入れて、適度に楽しみましょう。 コーヒー摂取は健康上の利点もある コーヒーの適度な摂取は、仕事のパフォーマンスを上げたり、血液中の血糖やコレステロールの調整を行ってくれたりといったメリットも期待できます。 ここでは、コーヒーの主要成分や、一般的な健康への影響についてご紹介します。 コーヒーに含まれる主要成分 コーヒーには、以下のような作用を及ぼすとされる物質が含まれています。 成分 説明 カフェイン 中枢神経系を刺激し、眠気覚ましや集中力向上の効果がある クロロゲン酸 抗酸化作用や血糖値の調整に関与する ジテルペン類 コレステロール上昇に関連する物質だが、フィルター濾過で除去可能 また、コーヒーは豊富なポリフェノールを含んでいます。ポリフェノールは強い抗酸化作用を持ち、体内の酸化ストレスから細胞を守る働きがあると考えられています。 コーヒー摂取の一般的な健康への影響 適度なコーヒー摂取は、以下のような健康上の利点と関連付けられています。 健康への影響 説明 認知機能の向上 カフェインが脳の働きを活発にし、記憶力や反応時間の改善に役立つ可能性がある 特定の病気のリスク低下 パーキンソン病や2型糖尿病など、一部の疾患の発症リスクを下げる可能性がある 肝機能の改善 コーヒーに含まれる物質が肝臓を保護し、肝機能の改善に寄与する可能性がある 運動パフォーマンスの向上 カフェインが運動能力を高め、疲労感を軽減する効果が期待できる ただし、カフェインの過剰摂取は不眠やイライラ、胃への負担などの問題を引き起こすことがあります。個人差はありますが、一般的に1日400mg(コーヒー4杯程度)までのカフェイン摂取は問題ないとされています。 コーヒーは嗜好品ですが、適度に楽しむことで、健康的なライフスタイルに影響する可能性があります。ただし、飲み過ぎには注意が必要です。自分に合った量を見つけ、上手に取り入れていきましょう。 痛風でコーヒーを飲むときの注意点 痛風患者がコーヒーの利点を安全に活かすためには、適切な飲み方を心がけることが大切です。ここでは、推奨される摂取量と、飲む際の注意点について解説します。 飲むときに入れるものや、飲むタイミングに気をつけてコーヒーを楽しみましょう。 痛風患者のコーヒーの飲み方 痛風の方がコーヒーを飲むときは、以下の点に注意しましょう。(文献4) 注意点 説明 カフェインの過剰摂取 カフェインの摂り過ぎは、不眠や胃への負担につながる可能性がある。また、カフェインは尿の生成を促進するため、脱水にも注意が必要 砂糖やクリームの追加 砂糖やクリームを加えすぎると、カロリーや脂肪の摂取量が増加し、痛風の症状を悪化させる可能性がある 飲み過ぎ 就寝前のコーヒーは避けた方が良い。カフェインの作用で眠りが妨げられ、十分な休養が取れなくなるかもしれない 脱水 コーヒーには利尿作用があるため、こまめな水分補給を忘れずに。脱水は痛風発作のリスクを高める可能性がある 体調によっては控える 痛風の症状が悪化している時や、体調が優れない時は、コーヒーを控えめにするか、避けた方が良い 痛風患者の方がコーヒーを飲む際は、飲む量や飲み方など細心の注意を払う必要があります。 コーヒーは嗜好品のため、楽しみながらも適量を守り、体調と相談しながら付き合っていくことが大切です。 また、コーヒーの摂取だけに頼るのではなく、食事療法や運動療法など、日常の生活習慣で痛風対策を並行して行いましょう。バランスの取れた食事、適度な運動、ストレス管理など、生活習慣全般を見直すことが、痛風の予防と改善が期待できます。 【一覧】コーヒーと同時に摂取すべき/避けるべき食品 以下の表は、コーヒーと一緒に摂取しても比較的良いとされる食品です。 食品 説明 水 コーヒーには利尿作用があるため、水分が体から失われやすくなります。脱水は痛風発作のリスクを高めるため、こまめな水分補給が大切です。 低脂肪乳製品 牛乳やヨーグルトなどの低脂肪乳製品に含まれるカルシウムには、尿酸の排泄を促進する効果が期待されています。ただし、高脂肪の乳製品は避けましょう。 野菜 ビタミンやミネラルが豊富な野菜は、痛風の予防と改善に役立ちます。とくに特に、ブロッコリー、カリフラワー、キャベツなどがおすすめです。 基本的にはバランスの取れた食事を心がけ、コーヒーはその一部として適度に取り入れるのが望ましいでしょう。 また、コーヒーと同時に摂取を控えるべき食品は以下のとおりです。 食品 説明 果物 果物にはビタミンやミネラルが豊富ですが、同時に果糖も多く含まれています。果糖は尿酸値を上げる可能性があるため、摂取量に注意が必要です。とくに特に糖度の高い果物や果物ジュースは控えめにしましょう。 肉類や魚介類 肉類や魚介類には、プリン体が多く含まれています。プリン体は体内で尿酸に変化するため、過剰摂取は痛風のリスクを高めます。コーヒーと一緒に摂り過ぎないよう注意しましょう。 アルコール アルコールは尿酸の生成を促進し、排泄を妨げる働きがあります。コーヒーと一緒に飲むと、痛風のリスクがさらに高まる可能性があるため、控えめにしましょう。 コーヒーと相性の良い食品を選び、悪影響を及ぼす可能性のあるプリン体の高い食品は控えめにすることが大切です。 痛風改善に役立つコーヒー以外の飲料 痛風の改善に役立つ飲料は、コーヒー以外にもいくつかあります。痛風の方におすすめできるコーヒー以外の飲料は以下のとおりです。(文献5) 飲料 効果 緑茶 緑茶に含まれるカテキンには、尿酸の排泄を促進する作用が期待されています。また、抗酸化物質が豊富なため、痛風の炎症を抑える効果も期待できる レモン水 レモンに含まれるクエン酸には、尿のpHを上げる働きがあります。尿のpHが上がると、尿酸が溶けやすくなり、排泄が促進される 低脂肪乳 低脂肪乳に含まれるカルシウムには、尿酸の排泄を助ける効果が期待されています。また、乳製品はプリン体が少ないため、痛風の方に適した飲料といえる 人によって痛風の症状や進行度合いは異なるため、自分の体の反応を注意深く観察しながら、主医師や栄養士と相談して、最適な飲料・食事プランを立てましょう。 専門家のアドバイスを参考に、コーヒーと上手に付き合っていくことが大切です。 まとめ|痛風にコーヒーはダメではない!適量ならば摂取してOK 痛風でも、適量であればコーヒーを摂取することは問題ありません。 痛風の人がコーヒーと上手に付き合うには、以下の点に気をつけると良いでしょう。 1日3〜4杯までを目安にする 体の変化を観察して、具合が悪くなったら医師に相談する コーヒー以外の飲み物や食事のバランスも考える 主治医と相談して、自分に合った痛風の管理方法を見つける 医師とよく相談しながら、一人ひとりが自分に合ったコーヒーの飲み方を見つけることが大切です。 痛風とコーヒーの関係は複雑であり、完全に制限するものではありませんが、適切に付き合えば、痛風の管理に役立つ可能性があります。 尿酸値を上げない食生活や飲み物などを相談したい、また痛風の症状や治療方法について相談したい方は、当院リペアセルクリニックのメール相談やオンラインカウンセリングもご活用ください。 さらに痛風に適切な食事方法が知りたい方は、以下の記事もご覧ください。 監修:医師 渡久地 政尚 参考文献一覧 文献1 PMC,Is coffee consumption associated with a lower risk of hyperuricaemia or gout? A systematic review and meta-analysis 文献2 藤森新,痛風・高尿酸血症の病態と治療,日本内科学会雑誌,第107巻第3号 文献3 千葉県栄養士会,かしこく食べる,痛風の予防と食事 文献4 順天堂大学医学部附属順天堂医院栄養部,高尿酸血症・痛風の食事療法 文献5 Hyperuricemia and associated factors: a cross-sectional study of Japanese-Brazilians - PubMed
2024.10.30 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「痛風って腎臓にも悪いって本当?」 「尿酸値が高いって言われたけど、腎臓にどんな影響があるのか不安…」 このような疑問や不安を抱えている方も多いでしょう。 痛風は関節に関わる疾患のイメージが強いかもしれませんが、実は腎臓とも深い関係があります。具体的には、腎機能の低下や痛風腎・尿酸結石などの腎臓系の病気を引き起こす可能性があるのです。 腎臓の状態を良好に保つためには、定期的な検診を受け、腎臓に負担のかからない生活を送ることが大切です。 本記事では、痛風と腎臓の関係や発症しうる腎臓病を詳しく解説します。尿酸値・クレアチニン値が示す健康状態や腎機能を低下させない方法、治療法も紹介するので、参考にしてみてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 「痛風による腎臓病」について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 痛風と腎臓の関係 痛風は単に関節の問題だと思われがちですが、実は腎臓とも密接な関わりがあります。 ある調査では、26,753名の痛風患者のうち、7,245名(27.1%)が腎機能低下と判定されました。(文献1) 痛風患者では、以下のようなプロセスを経て、腎機能が低下していきます。 血中尿酸値の上昇 尿酸塩結晶の形成 腎臓への尿酸塩結晶の蓄積 腎臓の炎症・組織の硬化 腎機能低下 痛風患者の体内では、尿酸が過剰に産生されるか、十分に排出されないことで血液中の尿酸値が上昇します。尿酸値が高くなると、尿酸は血液中で溶けきれなくなり、尿酸塩と呼ばれる結晶の形で沈殿するのです。 この尿酸塩の結晶が腎臓の細い管(尿細管)に詰まると、尿の流れを妨げたり、腎臓の組織に炎症を引き起こしたりします。炎症が起こると、腎臓の組織が傷ついて硬くなりやすいです。これらの変化が長期間続くと、徐々に腎臓の機能が低下していきます。 さらに、血中尿酸値が高い状態(高尿酸血症)が続くと、それ自体が腎臓の血管を傷つける可能性も指摘されています。 このように、痛風は腎臓に深刻なダメージを与える恐れがあるため、早期発見と適切な管理が重要です。痛風によって引き起こされる高尿酸血症と尿酸塩結晶の蓄積は、さまざまなメカニズムを通じて腎機能の低下を招きます。 痛風で発症しうる腎臓の病気 痛風の影響で発症しうる腎臓の病気は以下の3つです。 痛風腎 尿酸結石 腎炎 病気の特徴を順番に見ていきましょう。 痛風腎 痛風腎は、痛風または痛風と同等ほどの高い尿酸値が長時間持続することで発症する疾患です。 高い尿酸値により腎臓がダメージを受けはじめた段階では、無症状であるケースが多いです。 しかし、腎臓に負担のかかる状態が続き、腎機能が低下していくと、関節の痛みやむくみ、倦怠感といった症状が現れるようになります。 尿酸結石 尿酸結石とは、尿が通る尿路に結石ができる疾患です。 痛風で尿酸値が高くなると、尿が酸性となります。酸性は水に溶けにくい性質があるため、尿酸結石ができやすくなります。 とあるデータでは、痛風患者312例のうち、23.7%に相当する60例に腎結石が認められたと報告されています。(文献2) 尿酸結石の主な症状は、わき腹や下腹部の強い痛みや血尿です。 小さな結石であれば、薬物療法を中心に自然と体外に排出されるのを待ちます。大きな結石の場合は、内視鏡治療で、結石を砕く治療が選択されます。 腎炎 腎炎とは、腎臓が炎症を起こしている状態です。 尿酸値が高いと体内で、尿酸塩結晶が形成されます。この尿酸の結晶が関節や腎臓に溜まることで、炎症や組織の損傷を引き起こすのです。 主な症状は、発熱や腰痛です。慢性化すると、食欲不振や多尿などの症状が現れます。 痛風の腎臓機能低下と関連のある2つの数値 痛風で腎臓機能が低下した場合「尿酸値」「クレアチニン値」の変化が重要な指標となります。 それぞれの値がどんな意味を持つのか、見ていきましょう。 尿酸値 尿酸は、プリン体と呼ばれる物質から生成されます。体内でプリン体が分解される段階でできた老廃物が尿酸で、通常は尿から排出される仕組みです。 尿酸値とは、体内の尿酸濃度を示す数値です。尿酸値は、7.0mg/dLまでは正常値内とされています。(参考3)それ以上の値になると、高尿酸血症となり、痛風や腎臓病の発症リスクを高めます。 尿酸値は血液検査で調べられるので、健康診断や内科の受診を通して検査を受けましょう。 【関連記事】 尿酸値と痛風の関係性|8.0mg/dLはやばい?高い原因と治療法を解説 尿酸値を下げて腎臓の健康を守る!今すぐ始めたい痛風・腎臓病予防の生活習慣 クレアチニン値 クレアチニンは、筋肉を動かすエネルギーを生み出したあとに産生される老廃物です。主に腎臓から排出されますが、腎機能が低下していると体内に残りやすくなります。 クレアチニン値は血中のクレアチニン濃度を示した数値です。 クレアチニン値の正常基準値は以下のとおりです。 男性:0.61〜1.04(mg/dL) 女性:0.47〜0.79(mg/dL) 数値が上昇すると、疲労感や食欲不振、むくみといった症状が現れます。 クレアチニンは血液検査や尿検査を組み合わせて総合的に評価されます。健康診断や自主的な検査の機会で、クレアチニン値の変化をチェックしてみてください。 痛風で腎機能を低下させない方法 ここでは、痛風で腎機能を低下させない方法を解説します。 主な方法は以下の4つです。 食生活を改善する 適度な運動をする 禁煙する 高血圧・糖尿病の治療をする 普段の生活を見直し、腎機能の維持・改善につなげましょう。 食生活を改善する 腎臓を保護するための食事では、以下の点に気を付けましょう。 食事の工夫 説明 プリン体の多い食品を控える 肉類、魚介類、ビールなどのプリン体を多く含む食品は、尿酸値を上昇させるため、摂取を控えめにする。 プリン体の少ない食品を選ぶようにしましょう。 塩分や蛋白質の摂取を控えめにする 塩分や蛋白質の過剰摂取は、腎臓に負担をかけるため、適量を心がける。 塩分は1日6g未満、蛋白質は体重1kgあたり0.8gを目安に摂取しましょう。 十分な水分を摂取する 水分補給は尿酸の排泄を促進し、腎臓の負担を軽減するために重要。 1日1.5~2リットルの水分摂取を心がけましょう。 野菜や果物を積極的に取り入れる 野菜や果物に含まれるビタミンやミネラル、食物繊維は、腎機能の維持に役立つ。 1日に350g以上の野菜や果物を摂取するようにしましょう。 アルコールは控えめにする アルコールは尿酸値を上昇させ、腎臓に負担をかけるため、摂取は控えめにする。 1日の飲酒量は、ビールなら500ml、日本酒なら1合未満を目安にしましょう。 管理栄養士と相談しながら、自分に合った食事の計画を立てることが大切です。バランスの取れた食事を心がけ、腎臓にやさしい食生活を送りましょう。 適度な運動をする 腎臓の健康を守るには、適度な運動と体重管理が大切です。 適度な運動は体重管理に役立ち、血圧を安定させる効果があります。これにより腎臓への負担が軽減され、腎機能の保護につながります。 肥満は高尿酸血症や腎臓病のリスクを高めます。標準体重を目指し、必要に応じて医師や栄養士に相談しましょう。 禁煙する 喫煙は、腎臓の血管を収縮させ、腎機能を低下させる可能性があります。そのため、喫煙している方は禁煙を検討しましょう。 以下は禁煙の方法です。 禁煙外来で専門家に相談する ニコチンパッチやガムを使う たばこを吸いたくなったときの気分転換方法を見つける 急に断ち切る必要はありません。少しずつたばこの本数を減らし、無理のないペースで禁煙を進めてみてください。 高血圧・糖尿病の治療をする 痛風と高血圧を併発している人は、腎臓に負担がかかりやすくなります。 高血圧によって腎臓の血管が傷つき、尿酸の結晶がたまりやすくなるためです。血圧のコントロールが悪いと、腎臓の障害がさらに進行してしまう可能性があります。 また、糖尿病も腎臓病のリスクを高める重要な因子です。血糖値が高い状態が続くと、腎臓の細い血管が損傷を受け、機能が低下していきます。 高血圧・糖尿病を患っている方は、それらの疾患を適切に治療することで痛風や腎機能低下の根本治療につながるケースも少なくありません。 糖尿病治療の選択肢として、再生医療があります。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っておりますので、詳しい治療方法を知りたい方はお気軽にお問い合わせください。 痛風における腎臓病の治療法 痛風で腎臓病を発症した場合、適切な治療を進めていく必要があります。 腎臓病における代表的な治療法は以下の3つです。 薬物療法 透析治療 再生医療 順番に見ていきましょう。 薬物療法 痛風による腎臓病の際に用いられる薬物療法では、尿酸値を下げたり、腎機能を保護したりする治療が行われます。 主な薬物療法の種類と効果を以下にまとめました。 治療法 説明 尿酸値を下げる薬物療法 アロプリノール、フェブキソスタットなどの薬を使用し、尿酸値をコントロールする。 尿酸の産生を抑えたり、排泄を促進したりすることで、尿酸値を下げる。 腎機能を保護する薬剤 腎臓の血管を保護し、タンパク尿を減らす働きのある薬を使用し、腎臓の機能低下を防ぐ。 代表的な薬には、血圧を下げる作用もあるACE阻害薬やARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)などがある。 医師の診断と指導のもとで患者様の状態にあった治療法が選択されます。 透析治療 腎機能が著しく低下し、老廃物が体内に蓄積した場合は、透析治療が検討されます。 透析治療では、腎臓の代わりに尿として排出されるはずの余分な水分や老廃物を取り除きます。 2008年のあるデータでは、痛風腎による新規透析導入数は100人で、透析治療患者全体の0.3%とそこまで高い数値ではありませんでした。(文献4) 透析療法では水分制限や食事制限なども開始されるため、担当医と相談しながら患者様のペースで治療を進める流れが多いです。 再生医療 痛風による腎機能低下の治療法には再生医療の選択肢もあります。 再生医療とは、人間の組織や血液を活用する治療法です。自身の細胞を使用するため副作用も少なく、注射や点滴による治療が多いため、身体への負担が少ないのが特徴です。 再生医療を専門とするリペアセルクリニックでは、無料のメール相談またはオンラインカウンセリングを受け付けております。再生医療の詳しい治療内容や症例を知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。 痛風と腎臓の関係性を知って腎機能を高める生活を送ろう 痛風と腎臓は深く関係しているため、日々の生活で腎機能を守る工夫が必要です。 高尿酸血症のコントロール、腎臓にやさしい食事療法、生活習慣の改善など、さまざまな角度からのアプローチが求められます。 また、定期的な医療チェックと継続的なケアを通じて、合併症の早期発見と適切な対処を心がける必要があります。 痛風と腎臓病を抱える患者さんには、医療従事者とのパートナーシップを大切にしながら、積極的に健康管理に取り組んでいきましょう。 腎臓病の治療の選択肢に再生医療があります。 再生医療を提供している当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っております。再生医療について詳しく知りたい方はお気軽にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) 痛風患者における腎障害の関連因子の検討|GoutandNucleicAcidMetabolismV (文献2) 原著2痛風患者における腎結石の有病率|J-STAGE (文献3) 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版|日本痛風・尿酸核酸学会 ガイドライン訂正委員会 (文献4) 腎予後に及ぼす高尿酸血症の影響|琉球大学医学部附属病院血液浄化療法部 (文献5) 痛風|MSD マニュアルプロフェッショナル版 (文献6) 健康を考える皆さまへ|千葉県栄養士会 (文献7) 高尿酸血症・痛風の食事療法|順天堂大学医学部附属順天堂医院栄養部 (文献8) 高尿酸血症/痛風|日本生活習慣病予防協会 (文献9) 「高尿酸血症/痛風」|日本生活習慣病予防協会 (文献10) 高尿酸血症・痛風ハンドブック|沢井製薬株式会社 (文献11) 腎臓の病気について調べる 6.全身性疾患に伴う腎障害 7.痛風腎|日本腎臓学会 (文献12) 痛風(高尿酸血症)|愛知県薬剤師会 (文献13) 腎臓の病気について調べる 7.治療|日本腎臓学会 (文献14) 腎臓の病気について調べる 11.腎代替療法|日本腎臓学会
2024.10.28






