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- 関節リウマチ
- お皿付近に違和感
- 内科疾患
関節リウマチの治療|生物学的製剤は有効だけど副作用に気をつけて 関節リウマチで悩まれている人はいませんか?この関節リウマチの治療方法で使われる薬物療法も日々進歩を重ね、現在では「生物学的薬剤」による治療が行われるようになってきました。 そこで、今回は関節リウマチに悩んでいる人が知りたい以下の疑問点について解説してまいります ・生物学的薬剤は効果があるのか? ・生物学的薬剤はどの程度、効果を期待できるのか ・生物学的薬剤に副作用の心配はないのか 関節リウマチの治療で使われる生物学的薬剤とは 生物学的薬剤とは、科学的に合成されたものではなく、バイオテクノロジー技術を駆使して生体がつくる物質を薬剤として使用するものです。2003年から日本でも使われるようになりました。 これは、それまで使用されていた抗リウマチ薬で効果がなかった人にも効果があるなど、今では関節リウマチの薬物療法の切り札的存在になっていいる薬剤です。 今や多くの種類の生物学的薬剤が使われるようになってきました。使用に際しては患者さんの状態、「基礎疾患があるか」「高齢であるか」を踏まえて医師が適切なものを使い分けることで、より高い効果が期待できるようになっています。 医師が状態を鑑みて判断 ・基礎疾患があるか ・高齢であるか 効果|炎症を抑える 生物学的薬剤は、関節リウマチによる炎症を抑える効果を期待できるものです。関節リウマチは免疫の異常によって起こり、症状としては体内の細胞や組織を攻撃して炎症を起こし、腫れや痛みを生じさせるものです。 その際に、身体にはサイトカインという物質が多く分泌されていて、このサイトカインが炎症を広げていくことで更に炎症が悪化していくことになります。 これに対して生物学的薬剤は、このサイトカインの働きを抑える効果が期待でき、炎症を抑制し、関節リウマチの症状が悪化することを抑える効果があります。 効果|関節が破壊されるのを抑制 生物学的薬剤の大きな特徴は、関節リウマチによって関節が破壊されていくのを抑制する効果が優れている点です。関節リウマチは、免疫の異常によって起こり、炎症が生じると関節の内側を覆う滑膜が腫れあがり、関節や骨を破壊します。 生物学的薬剤は、この破壊を抑制する効果が期待できるのです。また、破壊を抑制するだけでなく、破壊された関節や骨を修復する効果も期待できることも分かってきています。 ただし、破壊された関節や骨が完全に修復されるというわけではなく、既に完全に破壊されてしまった関節や骨には効果が期待できません。つまり、生物学的薬剤による治療は、できるだけ早めに開始するのがおすすめです。 生物学的薬剤の効果 ・炎症を抑える ・関節の破壊を防ぐ ・崩壊した関節を修復(早期治療が条件) 関節リウマチ治療の生物学的製剤に副作用はあるか 生物学的製剤を使ったリウマチ治療はとても有効です。しかし、治療を受けてみようと思っている人なかには、副作用が心配だという人も少なくないでしょう。そこで、リウマチ治療に使用される生物学的製剤にはどのような副作用があるのかについて解説します。 また、副作用に対して自分で予防できることについても紹介します。 副作用|感染症に注意 生物学的製剤を使った関節リウマチの治療による副作用で注意したいのは「感染症」です。リウマチは免疫の異常によって、体内の組織や細胞を攻撃してしまうのが原因と考えられています。 そのため、免疫の働きを抑える効果がある生物学的製剤を使用するわけですが、免疫の働きを抑えると、体内に侵入したウイルスや細菌などを攻撃して身体を守るという免疫本来の働きも抑制されてしまいます。 その結果、肺炎や結核などの感染症にかかりやすくなります。そのため、仮に感染症になった場合は、治りにくくなってしまいかねません。こうした感染のリスクを抑えるために医療機関は、生物学的製剤の治療前に採血を行い感染症の原因となるウイルスや細菌の有無をチェックします。 これら感染症に対して自分ができる予防法としては、手洗いや、うがいを小まめに行ったり、マスクを付ける等があります。また、咳や熱が出たという場合は、症状が軽くてもできるだけ早めに医師に伝えることが大切です。 副作用|アレルギー 生物学的製剤を使ったリウマチ治療では副作用としてアレルギーが出る可能性もあります。例えば、生物学的製剤のなかの1つであるレミケードにはマウスのタンパクが含まれているので、それが体質に合わずにアレルギー反応が出ることがあります。 また、他の種類のエンブレルは人のタンパクなので、大きなアレルギー反応が出ることは、ほぼありませんが、それでも体質が合わずに「アレルギー反応」が出る可能性があります。 副作用|注射時 関節リウマチ治療での主な副作用は感染症とアレルギーですが、注射時に副作用が出ることもあります。関節リウマチ治療の生物学的製剤の投与方法には点滴注射や皮下注射がありますが、点滴注射では頭痛や発疹、皮下注射では注射箇所に赤みや腫れなどの症状が出ることがあります。 しかし、こうした症状が出た場合でも多くは一時的で、すぐに治まります。そのな場合、心配や不安があれば、すぐ医師に相談しましょう。 まとめ・関節リウマチの治療|生物学的製剤は有効だけど副作用に気をつけて 以上、関節リウマチの治療方法として生物学的薬剤に期待できる効果と副作用について紹介しました。生物学的薬剤は、従来使われていた抗リウマチ薬よりも高い効果を期待することができます。 しかし、治療を受けるのが遅れると期待するほど回復しないなど、思うような効果が得られないこともあるので我慢せずに早めに医療機関を受診するようにしましょう 関節リウマチ治療に使用される生物学的製剤の副作用について、副作用は必ず出るものではありません。医師も事前の検査で患者に合った生物学的製剤を使用するなど副作用のリスクを極力抑えた状態で治療を行います。 ただ患者自身も、どのような副作用があるかを把握しておくことは大切です。心配な症状が出たら、すぐに医師に相談できるからです。少しでもリスクを減らすために、医師に自分の状態をしっかりと伝える、そして予防できることはしっかりとおこなうことも大切です。 そして、関節リウマチは、早期治療が非常に大切です。身体や関節に異変、違和感を感じたら放置しないで早めに医療機関を受診することをおススメいたします。
2022.02.25 -
- インピンジメント症候群
- 肩関節
野球肩|インピンジメント症候群とは、その原因、症状と治療法 インピンジメント症候群とは、野球肩の一種で肩を使う動作の途中で痛みを感じたり、引っかかるような違和感を感じて、それ以上に動かせなくなる症状を起こす障害です。この「インピンジメント」とは、聞きなれない言葉ですが「衝撃、衝突、挟まる」といった意味になります。 なぜこの症状に衝撃や衝突、挟まるといった言葉が使われているかというと、その症状が肩の関節を上げたり、動かそうとした際に、関節が骨や筋肉と衝突を起こすような衝撃があることに由来しているようです。 今回は、この舌を噛みそうな名前の「インピンジメント症候群」についてお話しましょう。 インピンジメント症候群は、野球以外のスポーツでも起こるスポーツ障害 インピンジメント症候群とは、肩のインナーマッスル(肩関節の周りを取り囲み肩を支えている腱板)が骨の屋根にあたって突っかかったり、挟まったりすることで痛みが起こり、うまく動かせなくなるといった症状の総称です。 これは肩が使われると肩峰や靱帯に上腕骨頭が衝突や、摩擦が起こることによって腱板が挟まれ、肩峰の下にある腱板を保護している滑液が入った袋、「肩峰下滑液包(肩関節の保護や動きを滑らかにしています)」に炎症が起こり、肩が痛むようになるものです。 インピンジメント症候群と深く関わっているのがスポーツです。特に多いのが野球で、ピッチングなどで肩を酷使すると投球障害が起こりやすくなります。その他にも肩をよく使うテニスなども発症しやすいスポーツ障害の一つです。 このようにインピンジメント症候群は、繰り返し肩関節を刺激することで肩に痛みが起こる疾患です。野球ならボールを投げる時、テニスならサーブやスマッシュを打つ時です。どちらも長時間にわたって何度も肩を使います。 同じ理由でバドミントンやバレーボールもインピンジメント症候群になりやすいスポーツと言えます。バドミントンならスマッシュ、バレーボールならサーブとスパイクなどが、肩関節に負担がかかる動作になります。 インピンジメント症候群の主な症状 ・野球の投球動作で起こることが多い ・腕を肩より上で動かしたときの運動痛 ・腕の上げ下げ、腕を上げる場合、下げる際に痛みがでる ・腕を上げていく時に、ある角度までくると痛みや、ひっかかる感じがあり上げられなくなる ・夜間痛がある インピンジメント症候群を発症しやすいスポーツ ・野球 ・テニス ・バドミントン ・ゴルフ ・バレーボール ・やり投げ等、肩関節を使う競技に多い インピンジメント症候群は、日常生活上の動作が原因にもなる インピンジメント症候群は、一般的にスポーツ障害ですが、あながちスポーツだけが原因ではありません。日常生活でもインピンジメント症候群になりやすい動作についてご説明します。 インピンジメント症候群は、スポーツで肩を使うことに近い動作、肩を使うことが多い仕事などで発症することがあります。例えば荷物などを高い所に上げたり、高い場所から下ろしたりする動作です。このような動作を日常的に繰り返していると肩を痛めることがあります。 荷物などを高い所に上げる時は、腕が肩より上になり、肩に負担が掛かかり、高い所の物を下す時も同様に肩に負担が掛かります。これを繰り返していると、肩を酷使するスポーツ選手と同様の状態になります。 このように特に肩を使うようなスポーツをやっていない場合でも、仕事や普段の生活で頻繁に腕を上げ下げすることがあれば、それはインピンジメント症候群になる可能性があるため注意が必要です。 インピンジメント症候群の原因は加齢も含まれる 実は、インピンジメント症候群は、加齢にも関わりがあります。私達は年を取ると骨がもろくなっていきます。肩関節も同じです。加齢によって、肩の高くなっている部分(肩峰(けんぽう)といいます)の下に骨の棘(骨棘(こつきょく:尖った突起物))ができ、加齢ととともに大きくなることで腕の上げ下げの際に骨同士が衝突(インピンジメント)するようになります。 この状態になると、肩そのものの動きがスムーズではなくなります。肩の骨の出っ張りが摩擦・衝突しやすくなり、インピンジメント症候群になるのです。 インピンジメント症候群の治療 インピンジメント症候群で痛みを発症した場合は、痛みを感じる動きを行わないことが大切です。その上で痛みには、痛み止めの薬物療法や痛み止めの注射、そしてヒアルロン酸の局所注射することがあります。その後は、ストレッチをはじめとしたリハビリを行うことになります。 2~3か月程度リハビリテーションを繰り返しても症状が改善しない、改善が乏しいという場合は、関節鏡視下で手術をすることも検討されるでしょう。 インピンジメント症候群の治療法 ・肩の安静 ・リハビリテーション(ストレッチ) ・痛み止め(薬物療法) ・痛みの改善(ヒアルロン酸、ステロイドの局所注射) ・手術(関節鏡視下が主流) まとめ・インピンジメント症候群とは、その原因、症状と治療法 インピンジメント症候群は、肩を酷使するスポーツ障害ですが、その他にも日常生活の動作や、仕事上での動き、また加齢でも発症します。特に肩を使った運動をしていなくても、仕事や日常生活の中で腕を振ったり上げたりする動作が多い場合は、十分インピンジメント症候群になる可能性があります。 また、年を取るとより症状が出やすくなります。スポーツをしていなくても、肩の痛みや違和感、肩の動きに異変を感じたら早めに対策するようにしましょう。 いずれにしても、スポーツの前後にストレッチなどを取り入れて肩の手入れを行うようにすることで症状の発生を予防する意識も不可欠です。以上、スポーツ障害|肩のインピンジメント症候群の原因について解説しました。 https://youtu.be/B4Vx0of7CsE?si=gpiug6qsXVP86b6B ▶治療方法の選択肢のひとつとして、こちらの動画も是非ご覧ください。 ▼ 再生医療で肩の痛みを治療する 肩の痛みは、再生医療なら手術や入院をせずに症状を改善することができます ▼インピンジメント症候群のリハビリを紹介しています 野球肩!インピンジメント症候群の具体的なリハビリ方法について
2022.02.25 -
- 変形性膝関節症
- 膝の内側の痛み
- ひざ関節
変形性膝関節症の手術|検討する前に知っておきたい手術のメリットとデメリット 変形性膝関節症は、関節軟骨の摩耗を起因に膝に慢性炎症を引き起こし、その結果つらい痛みが起こる病気です。膝が炎症を起こす仕組みは、膝の関節軟骨や半月板が加齢や怪我から摩耗し、軟骨のかけらが関節を覆っている滑膜という組織を刺激するためです。 変形性膝関節症は進行性の病気です。発症した初期には膝関節の違和感や軽い痛みだったものが次第に痛みが増強したり、膝が変形したりします。変形性膝関節症の治療では、少しでも進行を遅らせるように、膝に負担がかからないように過ごし、リハビリテーションなどで膝周囲の筋肉を鍛えることが大切です。 膝に負担の無い生活スタイルを見直し、リハビリをはじめ、運動療法に取り組んでも改善がみられない場合には、手術を勧められます。 手術と聞くと不安を抱かれる方も多いはずです。そこで、この記事では、変形性膝関節症の手術を検討する前に知っておきたい手術のメリットとデメリットについて、ポイントを絞り解説します。 変形性膝関節症の手術の種類 変形性膝関節症の手術には、関節鏡視下手術・高位脛骨骨切り術・人工関節置換術といった3種類があります。どの手術を実施するかは、変形の進行度や痛みの程度、年齢を考慮し選択することになります。 変形性膝関節症で行われる手術の種類 ・関節鏡視下手術 ・高位脛骨骨切り術 ・人工関節置換術 ※手術の選択:変形の進行、痛みの程度、年齢で判断される 手術で痛みが消えるのか? この問いに対しては、「膝の手術を受けると、痛みは軽くなったり、なくなったりする可能性が高い」といえます。特に人工関節置換術を受けると、ほとんどの場合に痛みは改善し、膝を痛める以前のような歩行ができます。 ただし、どのような手術でも少なからず体の負担になること、術後はある程度の期間の入院が必要で、リハビリに励む必要があること、人工関節置換術の実施後は正座ができなくなる可能性が高いことなど日常生活に少なからず影響がでることを念頭に置かねばなりません。 変形性膝関節症の手術 変形性膝関節症の手術後は、痛みが無くなることが多いのですが油断はできません。膝を気にせず、関節に負担がかかるような姿勢や動作をしていては、痛みの再発だけでなく、再手術の可能性が高まるからです。膝の3つの手術について以下、簡単にご説明します。 1.関節鏡視下手術 ・変形性膝関節症で比較的初期に適応される手術は「関節鏡視下手術」です。 ・関節鏡視下手術では、炎症を引き起こす原因の軟骨のかけらを取り除く。 ・傷んだ半月板の形を整える。 ・しかし、脚の変形や軟骨のすり減りが悪化することで、痛みが出現すれば再手術になる可能性がある。 2.高位脛骨骨切り術 ・高位脛骨骨切り術は脚の変形を矯正し、関節にかかる偏った負担をなくす手術。 ・変形が進行しきっていないことが条件で、人工関節置換術を受ける方より年齢が若い60歳未満の方に適応されることが多い。 ・高位脛骨骨切り術により。O脚やX脚などの脚の変形を矯正しても、軟骨のすり減りや、痛みが再発する可能性がある。 ・将来定期には再手術を必要とする場合があります。 3.人工関節置換術 ・人工関節置換術は変形性が進行した末期、または60歳以上の方に適応されます。 ・年齢が重要視される理由は、人工関節の耐久性(20年前後)を考慮して、再手術をしなくても良いように考えられているため。 ・人工関節置換術をすると、軟骨がすり減る心配をしなくて済むほか、痛みを気にせずに過ごせる可能性が高くなる。 ・しかし、膝に負担がかかるような過ごし方を続けると、人工関節に破損や緩みが出てきて耐久年数に関わらず再手術の可能性が高まります。 変形性膝関節症の手術をしても、膝の状態が悪くなれば再び手術が必要です。 とくに高位脛骨骨切り術後に再手術が必要な場合、膝の変形は進行し、ある程度加齢していることが予想されるため、人工関節置換術が選択されるケースが多くなります。ただし、人工関節置換術を受けると、膝を完全に曲げることができなくなります。痛みの改善は期待できる分、少なからず可動域が狭まることで日常動作に制限がかかり、日常生活に少なからず不自由さがでます。 膝の手術について最低限知っておきたいメリットとデメリットを以下にまとめました。 手術のメリット ・起床時に膝のこわばりがなくなる ・痛みなく階段を上り下りできる ・膝を気にすることなくスッと歩き出せる ・膝を気にすることなく好きなところに出掛けられる 手術のデメリット ・手術そのもので合併症の危険性 ・膝の曲げ伸ばしに違和感 ・重い荷物は避ける ・正座ができない ・かがめない、かがみにくくなる ・生活習慣の変化を受け入れる ・スポーツに支障(膝に負担を掛けない前提で判断) 手術後、最終術を防ぐために! 変形性膝関節症の手術をうける上で大切なことは、再手術を防ぐことです。膝の状態の悪化を防ぐには、生活に中で膝への負担をかけないように過ごし、運動療法により膝を安定させることです。そのためには、継続したリハビリ、運動療法が大切になります。 手術後に気をつけること ・上記のデメリットに気を付ける ・正座や深くしゃがむ動作を避ける ・膝に負担のかかるような激しい動作はしない ・手術前と同じようにリハビリ、運動療法は継続する ・定期的に医療機関を受診し、常に膝の状態を確認する まとめ・変形性膝関節症の手術|検討する前に知っておきたい手術のメリットとデメリット 変形性膝関節症は、膝に痛みや変形を及ぼす病気で、進行すると痛みから普通の生活を送れなくなります。 治療の基本はリハビリとしての保存療法となりますが効果がみられなければ手術という選択肢になります。当然、手術はメスを入れることになり、体の負担になるだけでなく「術後に痛みが消えなければどうすべきか」と、不安を感じる方もいるはずですが「手術を受けるれば痛みは改善する可能性は高い」と思われます。 ただし、痛みの改善はあくまで膝関節に焦点を当てた話になります。手術をしても、膝周囲の皮膚の癒着、関節の拘縮、筋力低下、術操作による神経の損傷など、さまざまな理由で痛みが残存することもあります。そのため、術後に取り組むリハビリテーションは非常に重要です。それでも膝の状態によっては、どの手術を選択しても将来、再手術のリスクがあります。 例えば人工関節は耐久年数があり、個人差はありますが概ね15年前後と言われています。その時点で高齢な場合、再び体に負担がかかり、リハビリをはじめ精神的に前向きに取り組めるか心配にもなります。そうならないためにも術後に膝の痛みが取れても、無理は禁物。過度な膝への負担を避け、リハビリテーションをはじめとして適度な運動を継続することが再手術を防ぐポイントになります。 手術で痛みは消える可能性は高いと考えられます。ただし、リハビリや適切な運動を継続し、膝の健康を保つことが大切です! 以上、変形性膝関節症の手術を決断する前に知っておきたい手術のメリットとデメリットについて解説させて頂きました。 参考にしていただければ幸いです。 ▼ 再生医療の幹細胞治療なら変形性膝関節症を手術を避けて治療が可能です 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で症状を改善するには! ▼以下も参考にされませんか 変形性膝関節症の手術で高齢者が受けるリスク
2022.02.24 -
- 糖尿病
- 内科疾患
妊娠糖尿病|出産で胎児や母体への影響、治療と予防について 妊娠中には、いろいろと気を付けなければならないことがあります。妊娠糖尿病もその1つです。 例えば、妊娠中に母親が糖尿病になったら、生まれてくる子供(胎児)や母体にどういう影響があるのか不安ですよね。この記事では、妊娠前や妊娠中に糖尿病と診断されたときの症状や妊娠中に糖尿病と診断されたときの対処法について解説します。 妊娠中の糖尿病は3種類 妊娠中に起こる糖尿病には以下の3つの種類があります。 妊娠糖尿病 1)妊娠糖尿病:程度の軽い糖代謝異常 2)糖尿病合併妊娠:糖尿病の発症後の妊娠 3)妊娠中の明らかな糖尿病:妊娠糖尿病よりも高い基準の数値で糖尿病を発症 妊娠糖尿病は、妊娠中に糖尿病を発見あるいは発症した程度の軽い糖代謝異常のことをいい、糖尿病合併妊娠とは妊娠前から糖尿病を発症していた人が妊娠した状態をいいます。 また、妊娠中の明らかな糖尿病とは、妊娠糖尿病の基準よりも数値が高く糖尿病の基準を満たす、妊娠前に糖尿病に罹患していたかもしれない、ものになります。 これら3つの糖尿病について、発症の時期にわけて詳しく見ていきましょう。 1)妊娠糖尿病 妊娠糖尿病とは妊娠中にはじめて発見または発症した糖代謝異常のことで、糖尿病にはいたらない程度の軽いものをいいます。「明らかに糖尿病である」と妊娠中に診断された場合は妊娠糖尿病に含めません。 すい臓ではインスリンという血糖値を下げる働きのあるホルモンが作られます。 しかし、妊娠すると胎盤から分泌されるホルモンの影響でインスリンの働きが抑えられます。また、インスリンを破壊する酵素も胎盤から分泌されます。そのため、妊娠中は血糖値が上がりやすくなってしまいます。 妊娠糖尿病を発症すると、母体だけでなくお腹のなかの胎児も高血糖になるため、さまざまな合併症が現れる可能性があります。妊娠糖尿病の具体的な症状は後述します。 2)糖尿病合併妊娠 妊娠前から糖尿病を発症している患者が妊娠することを糖尿病合併妊娠といいます。 高血糖状態で妊娠・出産をすると奇形を持った子供が生まれやすくなるといわれています。特に胎児の臓器は妊娠4~9週で作られますので、妊娠初期に血糖値が高いと奇形が起こりやすくなるのです。 糖尿病患者の方が妊娠を望む場合は妊娠前に血糖コントロールに努め、妊娠しても良い状態かどうかを医師に確認するなど、計画的に妊娠することが大切です。 3)妊娠中の明らかな糖尿病 妊娠中の明らかな糖尿病とは、妊娠糖尿病よりも程度が重く、糖尿病の基準を満たすものをいいます。妊娠中の明らかな糖尿病には以下のようなものがあります。 明らかな糖尿病とは ・妊娠前に見逃された糖尿病 ・妊娠中に発症した1型糖尿病 ・妊娠中の糖代謝の変化の影響で生じた糖代謝異常 妊娠糖尿病の診断方法と診断基準 妊娠糖尿病は、スクリーニング検査と75gブドウ糖負荷試験の2段階の検査で判断します。 スクリーニング検査 妊娠糖尿病のスクリーニング検査はすべての妊婦を対象に妊娠初期と中期に行う検査で、妊娠糖尿病の可能性がある人を抽出する目的で行われます。 妊娠初期の随時血糖値の基準は検査施設によって95mg/dlまたは100mg/dlと異なります。また、妊娠中期の随時血糖値の基準は100mg/dl、50gブドウ糖負荷試験の基準は140mg/dlとなります。 妊娠糖尿病スクリーニング検査で陽性と判断された方は次で説明する75gブドウ糖負荷試験に進みます。 日本産科婦人科学会が推奨している妊娠糖尿病スクリーニング検査 ・妊娠初期:随時血糖値 ・妊娠中期:随時血糖値あるいは50gブドウ糖負荷試験 75gブドウ糖負荷試験 妊娠糖尿病スクリーニング検査で陽性が出た場合、75gブドウ糖負荷試験を行います。75gブドウ糖負荷試験では、以下の基準を1つでも満たした場合に妊娠糖尿病と診断されます。 試験基準 ・空腹時血糖値 ≧92mg/dl ・1時間後の血糖値 ≧180mg/dl ・2時間後の血糖値 ≧153mg/dl 妊娠糖尿病の母体・胎児への影響 妊娠糖尿病は母体や胎児に大きな影響をおよぼします。具体的にどのような影響があるのでしょうか。 出産と母体への影響 妊娠糖尿病を発症して高血糖状態が続くと、以下のような合併症を発症したり、出産に影響をおよぼす可能性があります。 母体への影響 ・羊水過多 ・感染症(腎盂腎炎や膀胱炎など) ・妊娠高血圧症候群 ・低血糖 ・腎症 ・網膜症 ・神経障害 ・流産 ・早産 ・帝王切開の確率が上がる ・肩甲難産など 胎児への影響 妊娠中に高血糖状態が続くとお腹のなかの胎児も高血糖になり、以下のような合併症を引き起こすことがあります。 胎児の影響 ・子宮内胎児死亡 ・新生児低血糖 ・巨大児 ・低出生体重児 ・多血症 ・特発性呼吸促拍症候群 ・頭蓋内出血 ・鎖骨骨折 ・頭血腫 ・上腕神経麻痺など 妊娠糖尿病の治療 妊娠糖尿病と診断されたら、「血糖値コントロール」に取り組まねばなりません。ただし、妊娠中は運動療法を行うことが難しいため、主として「食事療法」と「薬物療法」を行うことになります。 食事療法で注意すべき点 妊娠糖尿病の治療は食事療法で血糖コントロールを行うことが基本になります。 妊娠中は食後高血糖を起こしやすい傾向がありますが、空腹時は血液中の糖が胎児のエネルギー源として使用されるため、糖尿病ケトアシドーシスを起こしやすくなります。また、妊娠中は乳房・子宮の発達や胎児の発育のため必要なエネルギーが増えます。 これらを踏まえ、妊娠糖尿病の患者は、健康な妊婦に必要なエネルギーから30%程度カットしたエネルギーを目安とします。これ以上のエネルギーをカットすることは絶対に避けましょう。 薬物療法で注意すべき点 食事療法を行っても血糖値のコントロールがうまくいかない場合は薬物療法を行います。妊娠中の薬物療法では経口血糖降下薬ではなく、インスリン治療を行うことになります。 通常のインスリン療法では血糖値コントロールがうまくいかないという場合はインスリンの基礎量や追加量を補充する方法を取ることがあります。これを強化インスリン療法(インスリンの頻回注射療法やインスリン持続皮下注入療法のこと)といいます。 妊娠糖尿病での間食について 1日当たりのエネルギー量内であれば、おやつと食事に分割して食べることも可能です。また、同じエネルギーの食事を分割して食べることで高血糖を防ぎやすくなります。妊娠糖尿病で食事療法を行う際のおやつはヨーグルトやフルーツなどが良いでしょう。 なお、おやつや間食を摂ることについては医師や患者の状態によって判断が異なります。おやつを食べる場合は必ず医師と相談してから食べるようにしましょう。 妊娠糖尿病の予防法 妊娠糖尿病を予防できれば、母体や胎児への影響を減らすことにつながります。妊娠中はインスリンの分泌量が増えます。そのため空腹状態をなるべく作らないことが大切です。空腹を感じた場合は、野菜や豆類、鶏のささみなど良質のたんぱく質を摂るようにしましょう。 また、食事は食べる順番も大切です。野菜から食べ始め、汁物、メイン、炭水化物という順番で食べることで血糖値の急激な上昇を防ぐことができます。 妊娠糖尿病は通常の糖尿病と同様に、生活習慣だけでなく遺伝的要素も関係するといわれています。そのため上記で紹介したような方法を取り入れたにも関わらず妊娠糖尿病を発症したという場合も、あまりストレスに感じる必要はありません。 出産後、妊娠糖尿病の影響 授乳中の食事は妊娠前の摂取エネルギーに約450kcal程度増やすことを目安にします。これは授乳のための付加エネルギーですので、授乳が終われば元の摂取エネルギーに戻しましょう。 また、産後はインスリンの必要量が減ります。妊娠中は胎盤から分泌されるホルモンの影響でインスリンの働きが抑えられたり、インスリンが胎盤によって分解されるため、インスリンの必要量が増えます。 しかし、産後はこれらの影響がなくなるため、必要なインスリン量が減ることになります。どの程度減らすかは患者ごと異なりますので、血糖値の測定結果を見て決めることになります。 インスリンは母乳に影響がありませんが、飲む薬のなかには母乳に混ざりこんでしまうものもあります。妊娠前は飲み薬による治療を行っていたという人も、産後はインスリン治療を継続しましょう。 また、妊娠糖尿病患者の方は、正常な妊婦と比べて将来糖尿病を発症する確率が約7倍といわれています。産後6~12週間後にブドウ糖負荷試験を受け、妊娠糖尿病が治っているか確認し、その後も定期的に検査を受けることが重要になります。 まとめ・妊娠糖尿病|出産で胎児や母体への影響、治療と予防について 妊娠前や妊娠中に糖尿病と診断されたときの対処法と母体や胎児への影響について説明しました。 妊娠糖尿病は、妊娠中に発症する糖代謝異常であり、母体や胎児にさまざまな影響を及ぼします。発症すると母体だけでなく、胎児にも影響をおよぼします。また、妊娠中は運動療法が困難なうえ、使用できる薬が限定されるため、治療は慎重に行う必要があります。 妊娠糖尿病は3つの種類に分かれ、それぞれの発症時期や基準が異なります。診断方法はスクリーニング検査と75gブドウ糖負荷試験によって行われます。 治療法としては、食事療法や薬物療法があります。特に妊娠中は運動療法が難しいため、食事やインスリン治療が主な方法となります。また、妊娠糖尿病の予防法や産後の管理についても紹介しています。 妊娠糖尿病は、母体や胎児にさまざまな合併症を引き起こす可能性があり、正しい管理が重要です。産後も適切な管理が必要であり、定期的な検査や医師との相談が大切になります。 また、糖尿病患者が妊娠を望む場合は血糖コントロールに努め、医師と相談しながら計画的に妊娠することも重要です。 妊娠糖尿病患者は産後の糖尿病発症率が高いため、産後も定期的に検査を受けましょう。 以上、妊娠糖尿病に関する原因や治療法、出産に対する胎児への影響と注意すべき点、合わせて予防について記しました。 参考にしていただければ幸いです。 ▼糖尿病|最新の再生医療(幹細胞治療)は、以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目を浴びています ▼女性の糖尿病に関するリスクを理解する 糖尿病|女性は要注意!なぜ更年期から発症するリスクが高まるのか?
2022.02.22 -
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- 膝の内側の痛み
- ひざ関節
変形性膝関節症を悪化させないための日常の工夫と、運動のすすめ! 変形性膝関節症は、加齢・外傷・肥満・遺伝・日常における膝の負担になるような生活様式など、さまざまな要素が関与して発症する病気です。 変形性膝関節症になると、膝の関節に痛みや変形が出現するほか、膝を動かすと「関節から音(関節軋轢)」が鳴ったり、可動域制限がかかったりします。また、炎症が起きると「膝に水がたまる関節水腫」がみられます。 そんな変形性膝関節症の治療は、なずは運動療法によって膝の周りの筋力をあげて関節を安定させることが大切です。しかし、膝に痛みがあると、満足に運動に取り組めなくなるため、日頃から膝に負担がかからないような生活も大切になります。 この記事では、「変形性膝関節症を悪化させないための日常の工夫」を細かく解説します。膝の痛みでお困りの方はぜひご覧ください。 膝に負担がかからない生活を心がける 日常から膝に負担がかかる生活は、関節軟骨のすり減りや軟骨下骨の新陳代謝に異常を及ぼします。さらに、すり減った軟骨のかけらが滑膜を刺激し痛みを感じるようになります。膝に痛みがあると、これまで通りの生活にも支障をきたすため、できる限り膝に優しい生活をしましょう。 膝に負担が掛かると ・膝関節内の軟骨がすり減る ・軟骨の下、軟骨下骨の新陳代謝に異常が起こる ・すり減った軟骨のかけらが滑膜を刺激し痛む これらを避けるため、膝に負担を掛けない優しい生活とは。どのようなモノなのでしょうか?以下ご説明してまいります。 和式から、洋式へ!生活スタイルを変える 膝の痛みは生活スタイルを変えるだけでも緩和します。 地べたで過ごす和式から、椅子で過ごす洋式へ変えるのがおすすめです。 洋式での生活は、正座や低い位置からの立ち上がりを必要とせず、膝の負担を軽減・痛みの緩和が期待できます。 膝に負担のかかる運動は避ける 体を動かすことは、膝の筋肉強化や健康増進が期待できるものの、膝に負担となる運動は禁物です。 たとえば、テニス・卓球・ゴルフ・社交ダンスなど、急な方向転換・発進や停止・繰り返される膝の屈伸運動やジャンプを必要とする運動は要注意です。 減量(ダイエット)する 肥満であることは膝に大きな影響を与えます。 立つ・歩く・座るなど、いかなる動作においても膝へ負担がかかっています。 二足歩行をする人間は、体重の半分を片脚で支えているだけでなく、歩くと体重の3倍は負担がかかると言われています。つまり、体重が重たいと、膝にかかる負担も大きく、軟骨のすり減りを進行させてしまうため、肥満傾向の方は減量に取り組みましょう。 背筋を伸ばす!綺麗な姿勢に改善する 姿勢が悪ければ膝への負担になります。 理想的な立ち方は、目線は正面を向き、肩を開き、骨盤を軽く前傾させることです。 鏡などで確認した際に、足の外くるぶしから耳までが一直線になっていれば綺麗な姿勢を取れています。 また、綺麗な立ち方をしても、歩き出した途端に姿勢が崩れるようではいけません。 歩行中に意識するのはもちろん、定期的に自分の姿勢を鏡で確認すると良いでしょう。 杖を使う 杖を使って、膝への負担を減らします。 杖は痛みがある方と反対側の手で持ち、痛みがない脚と杖に重心を乗せることで、痛みのある膝に体重がかからないようにします。 膝の痛みから、外出の機会が減っていたり、歩行に気乗りがしなかったりするときには、杖がおすすめです。 中には、杖を使うのに抵抗がある方もいらっしゃいます。しかし、杖を使用すると、姿勢を伸ばすだけでなく、膝への負担を減らせるので、ずいぶんと楽に歩けるはずです。最近では、デザインが施されていたり伸縮機能があったりと、いろんな杖がありますので、自分に合った杖を選びましょう。 足に合った靴を履く 足に合っている靴を履いて、膝を安定させます。 靴はヒールやサンダルではなく、スニーカーがおすすめです。 靴選びで失敗してしまうと、膝の安定性を高めるための歩行がかえって負担になるのです。 さらに、外反母趾・膝痛・腰痛・股関節痛などのように、痛みが全身に広がる可能性まであります。 靴選びのポイント ・足のサイズに見合ったもの ・クッション性が高いもの ・足首までしっかり覆われているもの ・靴紐やテープで足首をしっかり固定できるもの 手すりを使う 玄関・お風呂・階段などに手すりをつけ膝への負担を軽減します。 階段を昇るときには、手すりを支えにして痛くない方の脚から出し、降りるときも同様に手すりを支えにしますが、痛みがある方の脚から下ろすのがポイントです。 また、運動で階段を昇り降りされる方がいらっしゃいますが、階段昇降時には体重の6〜7倍もの負荷がかかります。負荷が大きいほど、トレーニングの効果は期待できますが、余計に傷める可能性もあり注意が必要です。 特に変形性膝関節症の方は、膝に負担がかかりやすい足運びをされているケースがあるため、まずは水中歩行・地上でのウォーキング・室内でできるトレーニングをおすすめします。 継続して運動に取り組むこと 膝への負担を下げるには、関節を安定させている筋肉を鍛えることが大切です。太もも前面にある大腿四頭筋をはじめ、太もも後面にあるハムストリングスなど、バランスよくトレーニングします。 水中運動 浮力がある水中では、膝への負担を減らしながら運動ができます。 水中での歩行をはじめ、クロールで使うバタ足も膝のトレーニングには有効です。 泳ぎが得意ではない場合、プールサイドに腰をかけたり、つかまったりしながら脚をバタバタと動かすだけでも効果的です。 地上でのウォーキング 屋外での歩行で足腰を鍛えます。 ウォーキングは、筋力トレーニングと比べて充分な運動に感じないかも知れません。 しかし、ウォーキングを1年半継続すると、生活への支障や痛みに対して、トレーニングと同程度改善することがわかっています。 ただし、ただ歩くだけではなく、靴選びにこだわり、歩行中は姿勢を意識し、必要であれば杖を使用して安定した歩行をしましょう。 ビタミンD 変形性膝関節症を進行させるリスクに、ビタミンD不足があります。 ビタミンDは、日光を浴びると体内で活性化される栄養素のため、屋外での運動は膝周囲の筋力を鍛え、変形を進行させるリスクも抑えます。 自宅でできるトレーニング 雨の日や外に出るのが億劫な場合、自宅でできる運動を紹介します。 大腿四頭筋トレーニング ① 椅子に腰をかけて、片側の脚を伸ばしきります ② 座面と水平になるように脚を持ち上げて、10秒間キープします ③ ゆっくり脚を下ろし3秒間休憩します (①〜③を20回繰り返して、脚を入れ替えます。) 大腿四頭筋・ハムストリングスのトレーニング ① 椅子の背を両手で持ち、脚は肩幅に広げます ② つま先と膝の向きはまっすぐ向くようにします ③ 膝を前に出さず、お尻を後ろに突き出すように上体を落とします (① 〜③を1セット5〜10回、1日3セットします。) 痛みがあるときには無理をしない 膝に痛みがあるときは、無理をせずに休息します。痛みに対しての対処法ですが、熱感や腫れがある場合には、冷やして炎症を抑え、慢性的な痛みには温めて血の流れを促します。痛みが強い場合には、病院を受診し、痛み止めの薬を処方してもらいましょう。 痛みの緩和は薬だけでなく、鍼灸治療やマッサージでも効果的だとわかっています。薬をできる限り飲みたくない場合や、薬でも効果が見られないときには、鍼灸やマッサージといった手段も覚えておきましょう。 膝の痛みの緩和にグルコサミンやコンドロイチンを服用する方がいらっしゃいます。両者は膝に軟骨に含まれる成分で、痛みの緩和を期待され服薬しますが、信頼度の高い研究は行われていないのが現状です。服用を検討している方は、かかりつけ医に相談することをおすすめします。 まとめ・変形性膝関節症を悪化させないための日常の工夫と運動のすすめ! 変形性膝関節症はさまざまな原因が組み重なって発症・進行してく病気です。膝の状態を悪化させないためには、膝に負担がかからないように生活をして、継続して運動に取り組みます。 日頃から膝に負担をかけていると、軟骨が摩耗するだけでなく、変形を進行させてしまいます。地べたではなく椅子に座るなど、できることから取り組みましょう。 運動療法に取り組む際は、くれぐれも無理は禁物です。痛みを我慢したまま続けてしまうと余計に悪化するため、膝の痛みがあるときは、炎症を起こしているのか、慢性的な痛みなのか判断し適切な対処が必要です。しかし自分では膝がどのような状態なのかわからない場合があります。そのような時は自己判断をせず病院を受診し、適切な処置を受けることが変形性膝関節症の悪化を防ぐことと覚えておきましょう。 以上、変形性膝関節症を悪化させないために日常生活においてできる工夫について記しました。 参考にしていただければ嬉しく思います。 ▼ 再生医療の幹細胞治療で変形性膝関節症を治療する 手術不要、入院不要の変形性膝関節症の新たな治療法。再生医療の幹細胞治療で症状を改善できます ▼以下も参考になれば幸いです 膝の病気!鵞足炎と変形性膝関節症についてと、その違いを解説!
2022.02.22 -
- ひざ関節
- 肘関節
- 健康・美容
コラーゲンドリンクやサプリは関節に効果的なのか説明します 近年、CMなどでよく見かけるサプリメントや、ドリンクとしてのコラーゲン!このような摂取方法で本当に効果があるのでしょうか?コラーゲンは美容的に注目されていますが、実は体にとっても非常に大切な栄養素です。 そこで本記事では、コラーゲンを摂取することで体にどのような効果があり、またどのような働きをしているのか解説していきます。関節に違和感があったり、痛みを感じられている方でコラーゲンのサプリメントやドリンクの摂取をお考えの場合は、ぜひ参考にしてみてください。 コラーゲンについて コラーゲンと聞くと、肌に良いイメージを持たれる方もいるのではないでしょうか。しかし、コラーゲンの働きは皮膚だけではありません。そもそもコラーゲンとは何かをみていきましょう。 コラーゲンとは コラーゲンとは、人間の体に存在するタンパク質の一種です。タンパク質は人間の筋肉や臓器など体のさまざまなところに分布されています。また、タンパク質は三大栄養素(タンパク質、炭水化物、脂質)の一つとして数えられ、人間の体に必要なエネルギー源にもなっています。 コラーゲンは体内のタンパク質のうち約30%を占めていて、皮膚や骨、血管などに多く含まれています。組織の部位ごとに分類され、繊維性コラーゲンや基底膜コラーゲン、短鎖コラーゲンなど、現在分かっているものだけでも29種類あります。 コラーゲンのはたらき 肌に良いイメージがあるコラーゲンは、皮膚の約70%がコラーゲンでできていると言われていて、肌に弾力とハリを与える働きをしています。 コラーゲンは皮膚だけではなく、骨や関節、腱、靭帯などにも存在し、強度や柔軟性を保つ機能があります。骨の中にコラーゲンがあることでクッション性が加わり、骨にしなやかさを与え、転んだときなどの強い衝撃から守っています。 また、関節の部分にもコラーゲンが存在し、骨と骨の摩擦による擦り減りから骨が傷つくのを防ぐ役割もしています。このようにコラーゲンは骨や関節にも密接に関わっています。 加齢による体内のコラーゲンの減少 コラーゲンは健康の維持に欠かせないものですが、年齢とともに減少していきます。加齢に伴って細胞の数が減ったり、衰えたりすることでコラーゲンの合成力が衰えてしまうためです。 また、紫外線による影響で皮膚のコラーゲンが減少することが分かっており、シワやたるみなどの原因になっています。では、コラーゲンを摂取した場合に、減少したコラーゲンを補うことができるのでしょうか。 コラーゲンを飲むことで効果は期待できるのか 日本整形外科学会によれば、直接関節にヒアルロン酸を注射した場合には科学的データに基づいて、有効性が認められているとされています。 しかし、食べ物などの口からの摂取の場合は有効性が確認できる科学的データはないとし、効果が期待できないと結論づけています。ですが、まったく効かないというデータもないため、悩ましいですね。 参考資料:サプリメントの効果について|公益法人日本整形外科学会 https://www.joa.or.jp/public/about/supplement.html 希望の星!低分子コラーゲン(コラーゲンペプチド) 食べ物からの摂取でコラーゲンの有効性が認めれられていないとされているものの、最近の研究では低分子コラーゲンを摂取することでコラーゲンを作る材料になったり、コラーゲンの生成量を増やしたりすることが期待できることが分かってきました。 低分子コラーゲンとはコラーゲンタンパク質を小さくしたものを言います。低分子化したものは、コラーゲンペプチドともよばれ粒子が細かく、腸壁で吸収され血液を通って皮膚や骨、関節など全身に行き渡ります。 サプリメントの種類と成分 コラーゲンペプチドはサプリメントとして錠剤やパウダー、ドリンクに配合されており種類もさまざまあります。 サプリメントのコラーゲンの成分には主に動物性由来と魚由来があり、動物性由来であれば、牛や豚、鶏などの皮から抽出したもの、魚由来は魚皮や魚鱗から抽出したものが原料となっています。 注意!コラーゲンとアレルギーの関係性 サプリメントの原料になっている牛や豚、鶏、魚などが原因でアレルギー反応を起こす可能性があります。アナフィラキシーを起こした事例も報告されているため、サプリメントなどでコラーゲンを摂取する際は十分に注意が必要です。 特に鶏や卵にアレルギーがある方は、鶏が原料になっているコラーゲンは避けた方が良いでしょう。 コラーゲン・トリペプチドの効果 コラーゲン・トリペプチドとはコラーゲンの最小単位で、その大きさは一般的なコラーゲンサプリメントの20分の1から50分の1の大きさと言われています。 そのため小腸から直接そのままの形で吸収されることが分かっています。最近の研究では関節や骨など体内でコラーゲンが不足しているところに、効率よく届くことが期待できるという報告がされています。 関節や骨への具体的効果について 関節 傷ついた関節の治療の際、患者さんがコラーゲンペプチドのサプリメントを摂取したところ、関節の修復が早いという結果の報告されています。また、変形性膝関節症の症状の改善にも効果があることも分かってきました。 骨 骨を丈夫にするにはカルシウムのイメージが強いですが、カルシウムだけでは強度な骨は作れません。 骨の約30%がコラーゲンできていると言われ、コラーゲントリペプチドを摂取することでコラーゲンの生成を助ける働きがあることが分かっています。 まとめ・コラーゲンドリンク、サプリは、関節に効果的なのか? これまではコラーゲンを食べ物で摂取しても、体の中でアミノ酸としてバラバラに分解されて吸収されてしまうため効果がないと考えられてきました。 しかし、小さな分子のコラーゲンペプチド(低分子コラーゲン)であれば腸壁から吸収され血液を通って、体の中のコラーゲンが不足しているところへ効率よく届くということが分かってきています。 そのため、コラーゲンのサプリやドリンクを購入する場合は「低分子コラーゲン」、「コラーゲンペプチド」との表記があるものが良いかもしれません。いずれにしてもコラーゲンの効果には個人差があり、短期ではなく、長期で考える必要があります。 関節のために体内のコラーゲンをキープしたいと摂取する場合は、毎日の食生活に取り入れ、長期的な視点で取り組みましょう。コラーゲンが関節や健康の維持に役立つと良いですね。 以上、コラーゲンのサプリやドリンクは関節に効果があるのかについて記させて頂きました。 ▼以下も参考にされませんか グルコサミンやコンドロイチンは膝の痛みに効くのか?
2022.02.16 -
- ひざ関節
- 膝の内側の痛み
- 膝の慢性障害
鵞足炎(がそくえん)とは「鵞足(がそく)」と呼ばれる膝関節の内側より下方に位置する脛骨付近で起こる炎症です。鵞足炎は、ランニングや坂道の上り下りなどで膝を酷使すると発症しやすくなります。 ある日突然、膝の内側が痛み出した場合、鵞足炎の可能性も視野に入れていきましょう。 本記事では、鵞足炎の症状や原因を詳しく解説します。治療法も紹介しているので、鵞足炎の疑いがある方は参考にしてみてください。 鵞足炎(がそくえん)とは 鵞足炎とは、滑液包の内部に強い炎症が起こっている状態です。鵞足炎を発症していると膝の屈曲や股関節を内転する動きで膝に痛みを覚えます。 「鵞足」と呼ばれる部位は、膝から5㎝程度足側に存在している脛骨という骨の内側部分に位置しています。一般的には縫工筋、半腱様筋、薄筋という三種類の筋肉に付着している腱がその脛骨にくっついている場所を指しています。 鵞足炎は、膝を酷使するマラソンランナーに多い外傷です。それ以外でもトップアスリートなどプロスポーツ選手に生じやすいといわれており、打撲などの外傷を契機に発症する可能性もあります。 鵞足炎の原因 鵞足炎を引き起こす主な原因を以下にまとめました。 長距離を走ったりダッシュしたりする 不適切なトレーニングをする 運動前にストレッチを怠る 急な坂道を急激に長時間走る 肥満体形で膝に負担がかかっている このように鵞足炎という病気は、スポーツにかかわる障害として代表的な疾患のひとつです。 以下の記事では、膝の痛みを伴う外傷を一覧で紹介しています。鵞足炎以外の可能性を感じている方は、参考にしてみてください。 鵞足炎の症状 鵞足炎を発症すると、初期では膝関節の内側部より5㎝ほど下方の部位が痛くなり、その部位を押すとさらに強い痛みをともないます。また、運動時や階段昇降時に疼痛症状が悪化しやすく、さらに病状が進行すると安静時にも同部位が疼くように痛みを感じる場合もあります。 鵞足炎と似ている症状に「変形性膝関節症」という外傷があります。以下の記事では、鵞足炎と変形性膝関節症の違いを詳しく解説しているので、ほかの外傷の可能性を視野に入れている方は、参考にしてみてください。 鵞足炎の治療法 鵞足炎に有効な3つの治療法を紹介します。 理学療法 ステロイドによる注射治療 テーピング・サポーター 1つずつ順番に見ていきましょう。 理学療法 鵞足炎の治療で多いのは理学療法です。 理学療法ではストレッチによるケアを重点的におこなう場合があります。なぜなら、鵞足炎は太ももの筋肉が硬くなると膝の症状が悪化しやすく、ストレッチで筋肉部の緊張を和らげるのが有効だからです。 注意点としては、炎症が強くて痛み症状が顕著な時期にストレッチ運動を過剰に実践してしまうと、逆に膝の痛みが悪化する原因になりかねないとの指摘もあります。 したがって、症状がひどい際には軽めのストレッチに留めておき、十分な安静を保持して、患部のアイシングや消炎鎮痛剤の服薬などの対処策を検討していきます。 ステロイドによる注射治療 鵞足炎の治療では、滑液包の内部に少量ステロイド薬を直接的に注射する方法もあります。 ステロイドによる注射治療は、すぐに症状が軽快するケースが多く認められます。しかし、数か月経過すると膝の痛みが再燃する可能性もあります。 テーピング・サポーター テーピングやサポーターには、動きを制限させる働きがあります。安静が必要な時期に活用すれば、膝周りの動きを制限して炎症の沈静化を早められるでしょう。 テーピング・サポーターの利用は早期回復を促進する上で、有効なアイテムといえます。 スポーツや仕事をしているときに膝の内側に痛みを感じたら、弊社『リペアセルクリニックのドクター』にご相談ください。スポーツ外傷や加齢による腱や靭帯の損傷・炎症の治療に詳しいドクターが、患者さまに合った治療法を一緒に考えていきます。 まとめ|鵞足炎にならないように日頃からケアしよう 鵞足炎は、マラソンや坂道の上り下りといった膝を酷使する運動で発症しやすい外傷です。身体を動かしていて膝の内側が痛み出したら、鵞足炎の可能性を視野に入れましょう。 鵞足炎は再発しやすい外傷ともいわれています。そのため、担当医師や理学療法士の指導や助言のもと、焦らず治療を進めていく姿勢が大切です。 「膝の内側が痛み出したけど、どの医療機関を受診すればいいのかわからない…」という方は弊社『リペアセルクリニックのドクター』にご相談ください。スポーツ外傷に詳しいドクターが、患者さまの状態や症状に合った治療法を一緒に考えていきます。 監修:医師 加藤 秀一 鵞足炎に関するよくある質問 鵞足炎に関するよくある質問と回答をまとめます。 鵞足炎はどのくらいで治りますか? 鵞足炎が治るまでにかかる期間は、2週間前後といわれています。鵞足炎は、炎症反応が沈静化し、痛みが取れたら回復です。 鵞足炎を早く治す方法はありますか? 鵞足炎を早く治すためには、運動を控えて安静に過ごすのがもっとも効果的です。炎症を起こしている状態で無理に動けば、患部に負担がかかり回復を遅らせます。 ストレッチは鵞足炎の予防や改善に効果がありますか? ストレッチは鵞足炎に有効です。 先述のとおり、鵞足炎は太ももの筋肉が硬くなると症状が悪化しやすくなります。そのため、太ももの筋肉をほぐすストレッチが 予防と改善に効果的です 太もものストレッチには「長座体前屈」がおすすめです。 太ももの裏側が伸び、筋肉の緊張がほぐれます。 鵞足炎になってもスポーツはできる? 鵞足炎を発症している最中は、運動を控えて安静に過ごしましょう。炎症が悪化して、痛みや腫れといった症状が強く現れる可能性があります。 炎症が沈静化して、症状が落ち着いたらスポーツを再開して問題ありません。ただし、急に動くと膝に負担がかかり再発リスクを伴うので、様子を見ながら少しずつ運動量を調整していきましょう。
2022.02.16 -
- ひざ関節
- 半月板損傷
半月板損傷と診断された場合、生活ではどのような点に注意すべきか知りたい方はいませんか。 半月板には、膝関節を滑らかに動かすための重要な役割があります。日常生活で半月板に負担がかかるような動作を行っていると、さらに症状が悪化する恐れもあるでしょう。 この記事では、半月板損傷後の生活でやってはいけないことや、具体的な治療法について解説します。 生活上の注意点について意識しておくことで、半月板の負担が軽減され、よりスムーズに治療を進められるでしょう。 >> 半月板損傷でやってはいけないことをすぐに知りたい方はこちら そもそも半月板損傷とは 半月板とは、太もも側の大腿骨と、すね側の脛骨の間に存在する軟骨でできた板のような組織です。アルファベットのC型のような特徴的な形状をしており、膝関節の内側と外側に1つずつ存在します。 膝には、以下のような関節を構成する組織があり、半月板は、それらを安定させる役割があります。 ・軟骨 ・靭帯 ・筋肉 ・腱 それ以外にも半月板は膝関節のクッションとして作用し、膝の荷重や衝撃などを軽減したり、膝の動きを滑らかにしたりする働きもあるのです。 このように、半月板は膝を構成する大切なパーツですが、急激な衝撃や過度な負荷がかかることで損傷する場合があります。 ここでは、半月板損傷の症状や原因について解説します。 半月板損傷の症状 半月板損傷のおもな症状は、以下のとおりです。 ・膝の痛み ・腫れ ・引っかかり感 ・関節がズレる感覚 ・動作時の関節の音 ・膝の曲げ伸ばしの困難さ(ロッキング) 人は歩くだけでも体重の5倍もの負担が膝関節にかかるといわれています。そのような負荷や強い衝撃を受け続けると、半月板の損傷につながります。 半月板は一度損傷すると自然治癒することはほとんどないため、治療が必要です。上記の症状が悪化すると、日常生活に支障をきたす恐れもあるでしょう。 また、半月板損傷は症状によって5つのタイプに分けられます。 1. 縦断裂 2. 横断裂 3. 円盤状断裂 4. フラップ状断裂 5. 水平断裂 詳しく知りたい方は以下の記事で解説していますので、興味がある方はぜひこちらもご覧ください。 半月板損傷の原因 半月板損傷で痛みが起こる原因は、大きく「筋収縮」と「炎症」の2種類に分類されます。 それぞれの原因によって起こる痛みのメカニズムは、以下のとおりです。 このように、痛みの原因は半月板だけというわけではなく、別の影響も関係しています。 半月板損傷でやってはいけないこと4つ 半月板損傷でやってはいけないこととして、以下の4つがあげられます。 ・急に方向転換をする ・階段の昇り降りをする ・立ちっぱなしや歩行を長時間行う ・正座や和式トイレの利用などの膝に負担がかかる姿勢をする ここでは、それぞれについて詳しく解説します。 1.急に方向転換をする 急な方向転換は膝を捻るような力が加わるため、半月板への負担がかかりやすく、痛みの悪化につながります。 方向転換する際は、ゆっくりと行うようにしましょう。 また方向転換に関わらず、どのような動作でも性急に行わないように注意することが大切です。 2.階段の昇り降りをする 階段の昇り降りの動作は膝関節にかかる負担が高く、頻繁に行うと症状が悪化する恐れがあります。 半月板損傷の方は階段の使用はなるべく控え、エレベーターやエスカレーターなどを活用しましょう。 階段を昇り降りしなければいけない場合は、手すりや杖の使用がおすすめです。 3.立ちっぱなしや歩行を長時間行う 長時間の立ちっぱなしや歩行も膝の負担がかかりやすいため、できるだけ避けましょう。 長時間立ったり歩いたりする必要がある場合は、以下のような対策をして膝への負担軽減を図ることが大切です。 ・杖を使用する ・途中で休憩する ・膝サポーターを装着する 4.正座や和式トイレの利用などの膝に負担がかかる姿勢をする 正座や和式トイレなどは膝を大きく曲げる必要があり、半月板や関節に負担がかかります。 とくに和室や古い建物で生活している方は、このような膝を大きく曲げるような動作が多い傾向にあります。 膝の負担を軽減するには、イスを中心とした生活に切り替える、洋式トイレに改修するなどの工夫が必要です。 【注意】半月板損傷を放置するリスク 半月板損傷によって半月板としての機能が損なわれている状態を放置すると、その間に軟骨に大きな負担がかかります。結果的に軟骨がすり減り、「変形性膝関節症」を発症する可能性があります。 変形性膝関節症が進行した場合、人工膝関節置換術(膝関節を人工物に入れ替える手術)を行わなければいけないケースもあるでしょう。 半月板損傷が発症した場合は放置せずに治療を行い、回復に専念することが大切です。 半月板損傷を発症したら早期に医療機関に受診し、適切な治療を受けましょう。 変形性膝関節症と半月板損傷の違いや症状について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。 半月板損傷の治療方法 半月板損傷の治療法としては、おもに以下があげられます。 ・保存療法 ・手術療法 ・再生医療 ここでは、それぞれの治療方法について詳しく解説します。 保存療法 保存療法ではリハビリを中心に行い、必要に応じて膝にたまった水を抜く、潤滑性と抗炎症作用が期待できるヒアルロン注射をするなどの対応をします。 痛みや炎症がある場合は鎮痛剤や炎症剤などの薬物を用います。 このような保存療法でも痛みが強く、改善の見込みが薄い場合は、手術療法を検討する必要があるでしょう。 手術療法 手術療法では、膝の状態にあわせて以下の術式が行われます。 ・縫合術:断裂した半月板を縫い合わせる手術 ・切除術:断裂した半月板を取り除く手術法 ただし、これらの手術を行った場合でも、将来的に変形性膝関節症を発症するリスクがあります。そのため、手術後もリハビリや薬物療法などの保存療法は欠かせません。 手術をする場合は入院も必要となり、とくにスポーツをされている方は、復帰までに時間がかかる可能性があります。 半月板損傷の手術のメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。手術についてさらに情報を知りたい方は、ぜひこちらも記事もご覧ください。 再生医療 これまで半月板損傷の根本的治療には手術が必要でしたが、「再生医療」という新しい選択肢も生まれています。 再生医療の1つに、自身の脂肪から採取・抽出し培養で増やした「幹細胞」を膝に直接注射する方法があります。幹細胞とは、傷ついた半月板を修復させ、痛みや炎症を抑える効果が期待できる細胞です。 自分自身の脂肪から培養する細胞なので、アレルギーや副作用のリスクが低く、患者さんの身体への負担が少ないのが特徴です。 また、外科的な手術に比べて治癒までの期間が短い傾向にもあります。 入院する必要がなく、手術を受けずに治療できるため、とくにスポーツ選手にとっては大きなメリットといえるでしょう。 身体にメスを入れずに済み、パフォーマンスを極力落とさずに治療を受けられます。 まとめ|半月板損傷のやってはいけないことを避けて症状改善を目指そう 半月板損傷は膝の半月板と呼ばれる軟骨が傷ついている状態のことで、痛みや炎症などの症状が現れます。 半月板損傷は自然治癒が期待できず、放置すると症状が進行し、日常生活に支障をきたす恐れがあります。 そのため、発症後は早期からの治療が重要です。 おもな治療法には保存療法や手術療法があり、新しい選択肢として再生医療もあります。 半月板損傷を発症したら、まずは医療機関へ受診し、その方の症状にあった治療を受けましょう。 半月板損傷に関するよくある質問 ここでは、半月板損傷に関してよくある質問に対してお答えしています。半月板損傷に関して疑問がある方は、ぜひこちらも参考にしてみてください。 半月板損傷を早く治す方法はありますか? 半月板損傷を早く治す方法としては、再生医療があげられます。前述したように、再生医療は自身の細胞や組織を活用し、傷ついた部位の再生を図る治療法です。 入院や手術をする必要がないので、身体に負荷をかけず、効率的に治療を進められるのがメリットです。 半月板損傷に対して効果的な治療をさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
2022.02.15 -
- ひざ関節
- 膝の内側の痛み
- 変形性膝関節症
変形性膝関節症の進行を予防!膝の負担を減らす効果的な運動と注意点 ご存知でしょうか?膝の痛みに悩まれている方は非常に多い事実を!特に中高年以降の女性に頻発する疾患が「変形性膝関節症」です。 変形性膝関節症は、年齢とともに罹患率が高まり、潜在的なものを含めると国内だけで3000万人もの患者がいるとされています。実に日本国民の四分の一もの数になります。 変形性膝関節症になると、膝に痛みを感じるだけでなく、進行し、末期になると手術をせざるを得なくなる場合もあります。 そんな変形性膝関節症が発症する主な原因は、「軟骨のすり減り」です。軟骨がすり減る要因には、「加齢・外傷・肥満・遺伝」などのほか、普段から何げなくしている「膝に負担のかかりやすい姿勢や動作」などもその原因となりえます。 この記事では、膝関節の構造、変形性膝関節症を予防するための方法、気を付けるべきことを紹介してまいります。 膝関節の構造 変形性膝関節症を予防するために、まずは膝関節の構造を理解することが大切です。 膝関節は、太ももの大腿骨・すねの脛骨・膝のお皿の膝蓋骨からなる関節です。それぞれの骨には関節軟骨が覆われているほか、大腿骨と脛骨の隙間には内側・外側に合計2枚の半月板が存在します。 関節軟骨と半月板の両者を合わせて、「膝の軟骨」と言います。膝の軟骨の役割は、滑らかに膝を動かし、立つ・座る・歩くなどの動作で膝にかかる衝撃を分散させて膝を守ることです。 膝関節の主体となる運動は、膝を曲げ伸ばしする屈伸運動です。ほかに、わずかな回旋(まわす)運動がありますが、曲げすぎや伸ばしすぎ、急な回旋運動では軟骨に大きな負担になるのです。 膝に負担がかかる動作の積み重ねが、関節軟骨の弾力性を徐々に失われていき、変形性膝関節症を発症させるきっかけになります。 膝に負荷がかかる姿勢や動作 膝に負担が掛かる動作としては、以下のようなものがります。 ・正座など深く膝を曲げてしゃがむ ・両脚を横に投げ出して座る(横座り) ・あぐらをかく ・歩いたり、走ったりするときの急な方向転換 膝の関節を安定させている組織に、大腿四頭筋・ハムストリングスといった筋肉があります。膝周囲の筋肉が働くことにより、膝の曲げ伸ばしなどの動作を安定して行えます。 これら膝の周囲の筋肉が弱ることでも、膝の安定性は低下し、結果的に軟骨への負担が上がります。つまり、変形性膝関節症を予防するには、膝に負担がかからないよう工夫をし、同時に筋肉を鍛えることが大切なのです。 変形性膝関節症の進行を予防する方法 変形性膝関節症を予防するには、膝関節への負荷を下げて、膝の安定性を高めると良いです。具体的には、日常生活の見直しやダイエット・筋力トレーニングを実施します。それぞれについて解説していきます。 生活習慣の見直し 膝に負担がかからない過ごし方をします。膝の負担を減らすには、椅子とテーブルを用いた洋式の生活スタイルへ変更することがおすすめです。 和式のように地べた生活では、どうしても頻繁に膝が曲げ伸ばしされるほか、膝が深く曲がる正座、あぐらや脚を横に投げ出す座り方といった膝の負担になる動作が多くなります。また、布団で寝ると地面から立ち上がる時に膝への負担になるため、ベッドへの変更も効果的です。 ダイエット 体重が重いほど膝に負担がかかります。普通に歩くだけでも体重の2〜3倍の負荷がかかり、走ると3〜5倍もの負荷がかかることため、体重が重たいほど膝への負担も増します。 肥満傾向の方は、ダイエットに取り組み膝への負担を軽減させましょう。 筋力トレーニングや体操 関節の安定性を向上させ、膝への負担を軽減させます。また、変形性膝関節症につながる半月板損傷といった外傷を防止します。 いざ変形性膝関節症になると、膝の痛みをかばって運動療法ができないケースがあります。そうなると筋力や関節の可動域は低下し、さらに膝への負担があがるため、余計に痛みが悪化します。 痛みがないうちから筋力トレーニングや可動域訓練に取り組み、関節の安定性や柔軟性を高めることが大切です。 変形性膝関節症の予防に効果的な運動 大腿四頭筋を鍛える ① 椅子に座ります ② 片側の膝を伸ばします ③ 5〜10秒そのまま保持します ④ 反対側も同様に行います 膝の可動域を保つ ① お風呂で両脚を伸ばします ② 片側の太ももを抱えながら、かかとを引き寄せ膝を曲げます ③ かかとを滑らせて、できる限りかかとを伸ばします どちらの体操も、無理なく痛みの出ない範囲で行いましょう。 運動を行う上で気を付けたいこと 筋力トレーニングやダイエットを実施し、膝にかかる負荷を軽減することは予防に効果的ですが、無理に行うことで悪化してしまうこともあります。 無理なく自分のペースで行うことが大切です。以下のことに気を付けながら取り組みましょう。 無理なく継続できる負荷の設定 筋力トレーニングは、月に一回ほどの運動頻度では思ったような効果は期待できません。また、運動に慣れていないのに高い負荷を体に課すと、膝を痛めてしまったり、運動後の疲労が抜けず、休息に時間を取られてしまったりと、筋力はつきにくいでしょう。 予防のために実施する筋力トレーニングで、大切なのは継続です。運動の負荷は、無理なく継続できる程度の負荷に設定しましょう。 トレーニング中は呼吸を止めない 運動時は呼吸を止めて行うと、血圧が上昇し、体への負担になります。呼吸を止めた方が力は入るような感じがしても、くれぐれも呼吸は止めず実施しましょう。 膝の痛みや違和感|医療機関を受診する 変形性膝関節症の初期には、立ち上がりや歩きはじめに膝に痛みや違和感を覚えます。 しかし、しばらくすると痛みはなじんでくることが多いため、痛みが治まったからと言って安心はできません。異変があれば迷わず病院で診てもらいましょう。 まとめ・変形性膝関節症の進行を予防!膝の負担を減らす効果的な運動と注意点 変形性膝関節症になると、これまで当たり前にできていたことができなくなります。変形が進行すると、膝の手術がすすめられますが、体への負担になることから決断することは難しいはずです。 たとえ、手術をせずに運動療法などの保存療法に取り組んだとしても、痛みが悪化すれば満足に運動が継続できず、ますます身体機能が低下します。やがては外出するのも億劫になり、寝たきり生活を余儀なくされる場合があります。 これまで通りの生活を続けるには、変形性膝関節症にならないように予防が重要です。変形性膝関節症を予防するには、膝への負担を避けながら、筋力トレーニングで関節を安定させるように、バランスの取れた予防に取り組みましょう。 また可動域訓練では、関節を柔らかくし、負担が偏らないようにします。今後の人生を考えて、痛みがないうちから行動を起こすことが将来の健康のためには大切です。 以上、変形性膝関節症の予防法・膝の負担を減らすための工夫についてご説明させていただきました。ご参考していただければ幸いです。 ▼ 再生医療の幹細胞治療で変形性膝関節症を治療 変形性膝関節症の新たな選択肢、手術、入院不要な再生医療で症状の改善を目指す ▼以下もご覧ください 変形性膝関節症の人がしてはいけない仕事とその理由
2022.02.15 -
- 糖尿病
- 内科疾患
糖尿病|食事や運動で進行を遅らせて事実上の完治を目指すには 2017年国民健康・栄養調査によると、男性の18%、女性の11%が「糖尿病」と疑われていることがわかりました。これは男性6人中1人が糖尿病という計算になります。それだけ多くの人が糖尿病に悩まされていることになります。 では、糖尿病は、「治る」のでしょうか? 糖尿病は、一度発症すると医学的に完治することは難しいと言われていますが「食事療法」と「運動療法」で「薬物療法」に頼らずとも健康な人と同等の状態を維持できる可能性があります。 糖尿病と診断され「糖尿病を発症した後に治った人はいるのか」と気になる方に、糖尿病を改善するためにできる治療方法や薬について紹介します。 糖尿病の治療 ・食事療法 ・運動療法 ・薬物療法 糖尿病の症状を改善させて進行を遅らせるために 糖尿病とは、何らかの原因よってインスリンが働かない、あるいは分泌されないことによって高血糖が続いてしまう病気です。 糖尿病に症は成因によって1型と2型に分けられます。1型糖尿病はインスリンを分泌するすい臓のβ細胞が破壊されるため、現代の医学では機能を回復させられる見込みがありません。したがって、インスリン製剤を生涯にわたって投与し続ける必要があります。 一方、生活習慣の悪化などから発症する2型糖尿病なら、β細胞の早期治療に取り組めむことで機能の改善が期待でき、健康な人と同様の生活が送ることが可能になります。 さらに1型、2型のどちらに対しても症状が初期である段階で、医療機関できちんとした治療を行えば合併症の発症を遅らせることが可能になります。 1型糖尿病 ・インスリンを分泌する「すい臓」のβ細胞が破壊される ・現代医学では機能の回復は難しい ・インスリン製剤を継続して投与する必要 2型糖尿病 β細胞の早期治療に取り組めむ 機能の改善が期待でき健常者と同様の生活が可能 ※1型、2型共に初期であるなら医療機関での治療で合併症を遅らせられる可能性がある 体重のコントロールの必要性!肥満の悪循環を知る 糖尿病の寛解を目指す臨床試験「DiRECT」がイギリスで行われ、次のことがわかりました。 食事療法と運動療法をしっかり行い、体重をコントロールすることで2型糖尿病患者の半数近くは「事実上の完治」を維持できる では、なぜ食事療法と運動療法と体重コントロールだけで、薬物を使わず「事実上の完治」を達成できたのかを解説します。暴飲暴食や運動不足が続くと、全身に脂肪がたまり、肝臓にも脂肪がたまります。脂肪がたまった肝臓は働きが低下します。 肝臓の働きが低下するとインスリンへの体の反応が鈍くなることがわかっています。これを「インスリン抵抗性」といいます。インスリン抵抗性が強まると、体は大量のインスリンを必要とするようになります。 すると、すい臓は「フル稼働」でインスリンをつくろうとするので、次第に疲弊してインスリンの分泌に支障をきたすようになります。インスリンの分泌が減ると、さらに肝臓に脂肪がたまるので、インスリン抵抗性がさらに強まることになります。 この悪循環を断ち切るには、食生活と運動不足を改善し、脂肪がたまらないように肥満を解消する必要があるのです。 糖尿病の悪循環(断ち切ること) ・暴飲暴食、運動不足で全身に脂肪がたまる ・肝臓に脂肪がたまり、肝臓の働きが低下 ・インスリン抵抗性が発生:インスリンへの体の反応が鈍くなる ・インスリン抵抗性が強まる:大量のインスリンが必要となる ・すい臓が「フル稼働」でインスリンをつくる ・疲弊し、インスリンの分泌に支障をきたす ・インスリンの分泌が減ると、さらに肝臓に脂肪がたまる ・インスリン抵抗性がさらに強まる>ますます悪化 糖尿病の悪循環を断ち切るには肥満の解消が必要 2型糖尿病の症状は、上記の悪循環を断ち切ることが必要性をご理解いただいたでしょうか。 悪循環のメカニズムを知れば、「体重コントロール(脂肪を減らす)」によって症状を緩和できることが理解できると思います。体重コントロールとは、標準体重(身長(m)×身長(m)×22)に近づけることです。 糖尿病の場合、標準体重と比べて、やせている人より、太っている人のほうが問題になるため、肥満の解消が課題になります。そして標準体重がわかったら、次に適正なエネルギー摂取量を求め、それ以上に食べすぎないようすることが大切です。 栄養バランスを考えたり、運動や睡眠の改善も重要です。では、具体的にどのような方法で肥満を解消(ダイエット)すれば良いのかみていきます。 脂肪は、食事量のコントロールで減らす ダイエットの原則は「入りを減らして」「出を増やす」ことです。まずは食べる量を減らして、入りを減らすようにしましょう。具体的には次のような方法で食事量(摂取エネルギー)を減らしましょう。 糖尿病患者の理想の食生活ポイント ・糖質やカロリーの低い食事を摂る ・1日3食、規則正しい時間に摂る ・1日の活動量に合わせた適正なエネルギー量の食事をする ・栄養バランスの取れた食事をする 食事量が多い人は、食事量を適正エネルギー量に調整しましょう。 1日の適正エネルギー量は、人によって異なり、「標準体重×身体活動量」で算出できます。 標準体重と身体活動量 ・標準体重=身長(m)×身長(m)×22 ・身体活動量 軽い労作(デスクワークが多い)25~30kcal/kg 普通の労作(立ち仕事が多い)30~35kcal/kg 重い労作(力仕事が多い)35~kcal/kg 運動で脂肪を減らし、インスリンを活発化させる 体重を管理し、「入りを減らす」ことができたら、次は「出を増やす」ことに取り組みましょう。 運動でを行うことで脂肪を燃焼させれば体内の脂肪を減らすことができます。 また、運動にはインスリンの働きを良くする効果があるとされているので、その意味でも糖尿病患者の方は運動に取り組む必要があります。おすすめしたい運動は、ウォーキングやジョギング、水泳やサイクリングなどの有酸素運動と、スクワットや腹筋、ダンベル体操などの筋肉トレーニングです。 運動の重要性 ・運動:脂肪を燃焼させ、脂肪量を減らす ・運動:インスリンの働きが活発化 ・運動:1回あたり20~60分、週3~5回が理想 睡眠でストレスを軽減させる 食事、運動による肥満解消と併せて、睡眠を十分にとることが重要です。睡眠によってストレスを解消することが大切です。睡眠不足が続くと、空腹時の血糖値が上昇し、インスリンの分泌が減ることがわかっています。。これは、ストレスが加わると血糖値を上昇させるホルモンが分泌されるためです。 糖尿病を改善したいなら、7~8時間は睡眠時間を確保したいところです。 それ以外にも趣味を持つことや、旅行など、自分に合った方法を取り入れて、ストレスの解消に努めましょう。 ストレスの改善を目指す ・睡眠不足:血糖値が上昇、インスリンの分泌が減少する ・ストレス:血糖値を上昇させるホルモンを分泌させる それでも難しければ薬物療法があります ここまで、食事療法と運動療法や生活習慣の重要性について解説してきました。これらの対処を行っても糖尿病の症状が改善しない場合は薬物療法に移行せねばなりません。 糖尿病は、空腹時血糖値以外に、HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)など、さまざまな指標を用いて判断します。HbA1c(%)は「糖が結合したヘモグロビン量÷すべてのヘモグロビン量」で算出します。ヘモグロビンは赤血球内にあるたんぱく質のことをいい、細胞に酸素を送る働きを担っています。 つまり、HbA1cが高いと血中内の糖が多いということになります。以下の薬は血中内の糖を減らす効果を有するので、これらを服用・投与することでHbA1cの低下が期待できるのです。 薬物療法|HbA1cを減少させるための薬 ・DPP-4阻害薬 ・スルホニル尿素(SU)薬 ・速攻型インスリン分泌促進薬(グリニド薬) ・ビグアナイド薬 ・チアゾリジン薬 ・α-グルコシダーゼ阻害薬 ・SGLT2阻害薬 まとめ・糖尿病|食事や運動で進行を遅らせ事実上の完治を目指すには 「糖尿病は、一度発症すると完治しない」と、よく言われています。しかしイギリスの臨床試験では「生活習慣を改善することで事実上の完治」まで持っていくことが可能であることが示されているのです。 食事療法や運動療法を通じて症状を改善し、進行を遅らせることが可能です。特に2型糖尿病では、肥満や不健康な生活習慣が悪循環を生み出し、症状を悪化させることがあります。 この悪循環を断ち切るためには、食事のタイミングや、量をコントロールして、更に運動を行うことで脂肪を減少させることに取り組むことが重要です。 また、ストレスは血糖値を上昇させてしまうため、睡眠や適度な運動、趣味や旅行などストレスを溜めない習慣を持つことも大切です。 薬物療法でも症状の改善が期待できますが、できる限り生活習慣の見直しを行い、けして諦めることなく、糖尿病の改善に努めましょう。 以上、2型糖尿病の完治は困難であっても食事や運動を行い、ストレスを開放することができれば進行を遅らせ、事実上の完治を目指すことが可能であることをご説明いたしました。 実行にあたっては医師の指導を受けながら、病状の管理に取り組むことが重要です。 以上、参考にしていただければ幸いです。 ▼糖尿病|最新の「幹細胞治療」は、以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目されています ▼よろしければ以下もご覧ください 糖尿病患者数の推移と地域差、患者を増やさないためにできること
2022.02.11 -
- 糖尿病
- 内科疾患
糖尿病に地域差!多い県と少ない県から分かる患者にならないためにできることを解説します 日本において糖尿病は、国民病などと不名誉な呼ばれ方をされていますが、日本以外の国はどうなのでしょうか。また、国内でも糖尿病を発症しやすい地域や発症しにくい地域はあるのでしょうか。 この記事では、日本と世界での糖尿病患者数の推移や特徴、日本国内での糖尿病発症率の地域差について解説します。 糖尿病の患者数の推移 米国の疾病対策予防センターは、2015年時点で米国の人口の約9%(3,030万人)が糖尿病、34%(8,410万人)が糖尿病予備群と報じています。しかし、糖尿病の有病者において約23.8%(720万人)は糖尿病と診断されているわけではないことも報じています。 これは糖尿病有病者の約4人に1人が「自分は糖尿病である」ということを知らないということになります。また糖尿病予備群(糖尿病前症や前糖尿病ともいう)の人は88%が糖尿病のことを知らず、自分の健康状態を理解していないことが浮き彫りになりました。 そこで糖尿病患者数の推移を世界と日本に分けて以下の項目ごとに説明していきます。 1)世界の糖尿病の患者数の推移 2)日本の糖尿病の患者数の推移 3)糖尿病の患者数として数えられていない予備群 1)世界の糖尿病の患者数の推移 2016年4月の世界保健機関(WHO)の発表によると、2014年までに世界の糖尿病の有病者人口は4億2,200万人に達したことがわかっています。このまま対策を取らない場合、2025年までに世界の糖尿病有病者人口は7億人以上に増えると予測されています。 4億2,200万人のうち、約2分の1は中国、インド、米国、ブラジル、インドネシアに集中しています。 2)日本の糖尿病の患者数の推移 厚生労働省によると2017年10月時点の日本の糖尿病患者数は328万人を超えていることが報告されています。また、一貫して高齢の糖尿病患者数が増え続けていることもわかっています。 一方、日本を含む西太平洋地域では男性は40~59歳、女性は50~59歳で糖尿病と関連する原因による死亡率が高くなっています。 3)糖尿病の患者数として数えられていない予備群も多数 厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、糖尿病が強く疑われる成人患者の数は2016年時点で推計1,000万人を超えたことがわかりました。これは2012年の前回調査よりも50万人増えていることになります。 また、日本透析学会によると1983年に5万3,017人だった透析患者数が2016年には32万9,609人にまで増加しており、原因疾患の約4割が糖尿病性腎症であることがわかっています。 地域別、糖尿病の患者数 糖尿病は地域によって患者数に差があることをご存知でしょうか。日本の場合、厚生労働省の「2016年人口動態統計月報年報」によると、人口10万人に対して糖尿病による死亡率が最も高いのは青森県、最も低いのは愛知県ということがわかっています。 日本や世界の地域による糖尿病患者数について以下の項目にわけて見ていきます。 1)患者数が地域 2)地域の特色 3)国別 1)糖尿病の患者が多い県 前述の厚生労働省のデータによると、日本国内で糖尿病患者数が多い都道府県は以下となります。 糖尿病患者数が多い県 ・青森県 ・秋田県 ・福島県 ・香川県 ・徳島県 糖尿病死亡率の高い都道府県には青森や秋田など雪国が多いことがわかります。これは雪国という土地柄ゆえに生じる運動不足や健康診断の受診率の低さなどが原因として考えられます。 反対に、全都道府県のうち糖尿病死亡率が最も低かったのは、愛知県で7.7人でした。 愛知県では糖尿病指導者の養成に乗り出しており、糖尿病の発症リスクの高い人に対して早期発見や適切な保健指導が行えるような仕組みづくりを進めています。 糖尿病の患者数が最も少ない県 ・愛知県 2)地域の特色と糖尿病の関係 日本国内では、都道府県や地域によって野菜や食塩の摂取量など食文化にも差があります。このような食文化の違いも糖尿病の患者数の違いと関係していると考えられています。 例えば、成人の一日の平均野菜摂取量(g)は男女ともに長野県が最も多く、野菜摂取量の少ない徳島県や香川県と比較して100g以上の差があることがわかっています。 一方、食塩の一日の平均摂取量(g)は男女とも山形県が最も多く、食塩摂取量の最も少ない沖縄県と比較して3g以上の差があることがわかります。 3)国別の糖尿病の患者数 IDE(International Diabetes Federation/国際糖尿病連合)によると、2017年時点での成人(20〜79歳)における世界の糖尿病人口は約4億2,500万人にのぼることがわかりました。これは世界の成人人口の約8.8%が糖尿病であるという結果になります。 特に糖尿病患者数の多い国は以下となります ・中国 ・インド ・米国 ・ブラジル これらの国では、経済発展が進んだことによる食生活の欧米化や予防医療という概念が定着していないことなどが糖尿病の患者数が多い原因と考えられています。 糖尿病の患者数を増やさないために 平成23年、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部の第11回医療情報化に関するタスクフォースにおいて、厚生労働省健康局総務課生活習慣対策室は「厚生労働省における生活習慣病対策について」という資料を作成し、国民の健康寿命の延伸を実現するための基本方針を示しています。 また、世界規模においても糖尿病患者数を増やさないためのさまざまな取り組みが行われています。 糖尿病などの生活習慣病患者数を増やさないための動き 「厚生労働省における生活習慣病対策について」のなかで、厚生労働省は「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)の推進について」「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針について」に基づき、健康寿命の延伸を実現するための基本方針として以下の項目を挙げています。 糖尿病など生活習慣病を増やさないための基本方針 ・一次予防の重視 ・健康づくり支援のための環境整備 ・目標等の設定と評価 ・多様な関係者による連携のとれた効果的な運動の推進 これらの基本方針に対して以下の9分野で70項目の具体的な目標設定を行っています。糖尿病を増やさないため、例えば、「栄養・食生活」分野では「野菜の1日当たり平均摂取量350g以上」「身体活動・運動」分野では「日常生活における歩数(男性)9,200歩以上」といったものがあります。 糖尿病など生活習慣病を増やさないための目標項目 1.栄養・食生 2.身体活動、運動 3.休養、こころの健康づくり 4.たばこ 5.アルコール 6.歯の健康 7.糖尿病 8.循環器病(脳卒中を含む) 9.がん 糖尿病の患者数を増やさないため、WHOの動き 1948年に始まった世界保健機関(WHO)による世界保健総会では、1950年から毎年4月7日を「世界保健デー」として定めており、2016年には世界保健デーのテーマに糖尿病が選ばれています。 これに際し、国際糖尿病連合(IDF)理事長のショウカト セイデコット氏は「糖尿病がもたらす問題が世界でより深刻になっている」と述べ、糖尿病のスクリーニング検査の必要性を強く訴えています。 まとめ・糖尿病が多い県と少ない県!発症に地域差!患者を増やさないためにできること 糖尿病患者数の推移や日本国内外の地域による糖尿病発症率の特徴や対策について見てきました。国や地域によって、食生活の欧米化や検診率に差があり、それによって糖尿病の患者数も変わる傾向があります。 糖尿病は早い段階で発見し、治療に取り組むことができれば健康な人と変わらない生活を送ることができる病気です。 糖尿病の患者数の多い地域に住んでいたとしても、早い段階で食習慣を改善し、積極的に検診を受けることを心がければ、糖尿病を予防し、進行を遅らせることにつながります。 以上、糖尿病が多い県や国、発症に地域差がああること。患者を増やさないためにできることについて記してまいりました。 参考にしていただけると幸いです。 ▼糖尿病|最新の幹細胞治療は以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目されています ▼以下もご覧ください 妊娠糖尿病|その治療法や、出産への影響について
2022.02.11 -
- ひざ関節
- 膝の外側の痛み
- 膝の慢性障害
- 下肢(足の障害)
- スポーツ外傷
膝の痛みを起こすスポーツで起こるの慢性障害3つの要因と4つの症状について 走ったり、ジャンプをするなどのスポーツ、運動をすると、膝に力が加わり続け、靭帯や腱の組織が損傷したり炎症を起こして、膝に痛みなどの障害を引き起こす場合があります。 これは、いわゆるスポーツ障害の一種で「膝の慢性障害」です。これは、運動による膝の使い過ぎが原因であり、スポーツによる「使い過ぎ症候群」とも言われています。そこで今回は、膝の使い過ぎにより発症するスポーツ障害のうち「膝の慢性障害」とその症状について、詳しく解説します。 膝の使いすぎによるスポーツ障害「膝の慢性障害を起こす3大要因」とは ① 身体要因 1つ目は、筋力不足や筋肉のアンバランス、体の柔軟性の不足など、体自体の発達具合に起因する身体要因です。 ② 環境要因 2つ目は、合わない靴を履いている、地面が固すぎたり柔らかすぎたりして膝に負担がかかるなどの環境要因です。 ③ トレーニング要因 3つ目は、過度な運動量、技量や体力に合わない運動をするなど、自分に合わないトレーニングやスポーツを行うことに起因するトレーニング要因です。 これらの要因が発生している状況で、膝の靭帯や腱に骨が付着する部分や、靭帯が骨の上を通る部分に繰り返し負荷がかかり続けると、付着部分や重なっている部分に摩擦が起き、損傷や炎症が生じて痛みを感じるようになります。 軽度な症状であれば、運動中や運動後に痛みを感じることもありますが、トレーニングやプレーは通常通りできるため、大きな影響はありません。しかし、進行すると運動中に常に痛むようになり、支障をきたすようになります。 さらに重症化してくると、運動が出来なくなったり、靭帯や腱の断裂を引き起こし、日常生活に支障が出るなど、スポーツによる膝の慢性障害を発症してしまいます。 スポーツ障害|膝への代表的な症状で4つの慢性障害とは 前述した要因により引き起こされる、スポーツによる膝の慢性障害の代表的な症状としては、以下の4つが挙げられます。 スポーツで起こる膝の慢性障害 ①鵞足炎 ②大腿四頭筋腱付着部炎 ③膝蓋腱炎 ④腸脛靭帯炎 これら4つの症状は、ひざ関節の外側や内部で生じるものですが、特定の動きにより発症しやすくなります。 ①鵞足炎の症状と原因 「鵞足」とは、ひざを曲げる筋肉や腱が付着する骨の部位をさしますが、ランニング動作などの、足を後ろに蹴り出す動作を繰り返したり、急に方向転換をする動きを繰り返すことで、鵞足がすれて炎症し痛みが出るようになります。 ②大腿四頭筋腱付着部炎の症状と原因 膝の関節の外側が炎症することで症状が出ますが、バレーボールやバスケットボールなどのジャンプ動作やサッカーボールを蹴る動作、ジョギングなどの走る動作を繰り返したことにより発症します。 ③膝蓋腱炎の症状と原因 膝蓋骨という通称「膝の皿」と言われる部分の下部からすぐ下の靭帯にかけて痛みが出るもので、バレーボールやバスケットボールなどのジャンプ動作を繰り返すと発症しやすくなります。 ④腸脛靭帯炎の症状と原因 膝の外側を通る腸脛靭帯が、長距離ランニングなど、長時間の膝の屈伸運動により、炎症を起こして発症します。 以上のように、ジャンプをしたり、足を蹴り出したり、長時間動かし続けることで、各動作で使われる膝の周りの靭帯や腱と骨の付着部分に摩擦が生じて炎症を起こし、痛みが生じるようになります。 スポーツによる膝の慢性障害への対処法 スポーツによる膝の痛みなどの慢性障害の対処法としては、まず症状が出るのを予防すること、そして、発症してしまった症状を改善することが重要となってきます。そして、予防をするためには自己対処がとても大切です。 痛みに対して鎮痛剤を投与したり、装具療法や、時に手術が必要になるなど、各個人で症状や対処法は異なりますので、お近くの整形外科での診察を受け、個々の症状に応じた診断と適切な治療やアドバイスを受けるようにしてください。 ストレッチを行う 体の柔軟性を高めるために、運動開始前に十分にストレッチを行ってください。ストレッチを行うことにより、運動前に体の筋を十分伸縮させ筋肉の緊張をほぐすことで、運動による膝への衝撃を和らげることができます。 アイシングを行う 運動後に、急性炎症を抑えるために、氷や水などで膝を局所的に冷やすアイシングを15分程度行うのも効果的です。 その他 もしスポーツによる膝の慢性障害を発症してしまったら、無理をしないように休憩を適度にとったり、トレーニングメニューを強度の低いものに変更するなど、まずはご自身で調整しましょう。 症状が重い場合は、リハビリテーションを含む専門知識や技術が必要となる場合があります。 まとめ・膝の痛みを起こすスポーツで起こる慢性障害3つの要因と4つの症状 健康を意識する方が増え、運動を継続的に行ったり、趣味で競技スポーツを行う方が年々増加傾向にあります。 適度な運動を体に無理がかからない範囲で行うのは良いですが、過度な運動をしたり、合わない靴を履いての運動などをすることで、気づかないうちに膝に負担をかけ続けていると、スポーツによる膝の慢性障害を発症する確率が高くなります。 また、我慢できる程度の痛みだからと、準備運動のためのストレッチや運動後のケアを怠ったり、トレーニングメニューの調整をしないと、症状が悪化し日常生活に支障が出る場合があります。 スポーツによる膝の慢性障害は症状が進行すると、自然治癒することが難しく手術が必要になることもありますので、無理な運動をせず、日頃のコンディショニングをしっかりと行いつつ、トレーニングをするようにしてください。 以上、膝の痛みを引き起こすスポーツ上の慢性障害について解説させていただきました。参考になれば幸いです。 ▼以下も参考にしてください 膝の病気|膝から下が痛い、重い、だるい!症状から考えられる病気と治療法
2022.02.10 -
- 手部
- 手部、その他疾患
手首に痛みを感じる場合、捻挫や腱鞘炎だけでなく「TFCC損傷」の可能性も考えられます。 とはいえ、TFCC損傷という病名は聞きなれない方も多く「TFCC損傷の可能性があるなら病院に行くべき?」「完治するのかな?」と不安になるかもしれません。 TFCC損傷は、軽症であれば自然治癒することもありますが、適切な治療を受けなければ改善が見込めないケースもあります。 そこで今回は、TFCC損傷が疑われるときに病院に行くべき基準や、治療方法について解説いたします。 手首の痛みで病院に行くべきかお悩みの方は、本記事を参考にしてください。 TFCC損傷は病院に行くべきか?症状から判断する3つの基準 TFCC損傷とは、手首の付け根の靭帯であるTFCC(三角線維軟骨複合体)に生じる損傷です。 小指側に痛みや腫れが生じるため、可動域が制限されたり手首の動作によってさまざまな症状が現れます。 以下の症状に当てはまる場合は、整形外科での受診を検討してみてください。 ドアノブを回したりタオルを絞るだけでも手首に痛みが出る 手首の小指側を押したときに痛みが出る 安静にしていても手首に痛みを感じる それぞれの症状をさらに詳しく解説します。 また、TFCC損傷の詳細や診断方法については、以下の記事も参考にしていただければ幸いです。 ドアノブを回したりタオルを絞るだけでも手首に痛みが出る ドアノブを回したりタオルを絞るだけでも手首に痛みが出る場合は、病院に行くことを検討しましょう。 手首の動作で違和感や痛みを感じるのはTFCC損傷の可能性があります。 他にも「ドアの鍵を回す・蛇口をひねる」など一般的な動作も困難になると、日常生活に支障をきたすため注意が必要です。 手首の可動域が制限されてきたと感じたら、放置せず専門医の診察を受けたほうが良いでしょう。 手首の小指側を押したときに痛みが出る 2つ目は「手首の小指側を押したときに痛みが出る」場合です。 手首の小指側に触れたときに痛みが生じる場合、TFCC損傷のサインかもしれません。 たとえば、以下の症状が出ていたら病院での検査を検討してみてください。 手首の小指側を押したら痛い 手首を外にひねると痛い 手首をつくと痛い 手首を小指側に曲げると痛い 早めに医療機関で検査を受けることで、必要な治療やケアが行えます。 安静にしていても手首に痛みを感じる 3つ目は「安静にしていても手首に痛みを感じる」場合です。 日常生活で動かさなくても手首の痛みを感じる場合、TFCC損傷が進行している可能性があります。 そのため、安静にしていても痛みが引かない場合は自己判断で放置せず、医療機関で詳しい検査を受けることをおすすめします。 TFCC損傷の重症度チェック!軽症と重症の違い TFCC損傷の症状は軽症のものから難治性まで幅広く、対処法も異なります。 適切なケアを行うためには、まず損傷の重症度を確認することが重要です。 本章では、軽症と重症の違いについて詳しく解説します。ただし本章はセルフチェックに留め、手首の痛みが続くようであれば早めに受診することをおすすめします。 軽度の損傷は安静にすることで自然治癒が期待できる 軽度のTFCC損傷であれば、まずは安静にして様子を見るのも有効です。 手首の痛みが比較的軽く、日常の動作に大きな支障がない場合はサポーターの着用で改善が見込めます。 安静にしていれば数日から数週間で自然治癒が期待できるでしょう。 痛みが徐々に和らいでいる場合には、無理に病院に行かず自己管理で回復を目指すのも1つの方法です。ただし痛みが続く場合は早めに受診しましょう。 重度・難治性の損傷は安静や装具のみでは改善しない 手首の痛みが強く、安静にしても改善が見られない場合は重度のTFCC損傷が疑われます。 難治性の損傷では、手首の内部に強い炎症が起きており、安静や装具だけでは回復が難しい可能性が高いといえます。 重度の場合は放置していても改善が望めないため、自己判断せずに専門医に相談し、詳しい検査や適切な治療を受けましょう。 TFCC損傷を診断する3つの検査方法 医療機関でTFCC損傷を診断するときは、以下3つの検査を行います。 身体所見 X線検査 MRI検査 診断の流れを知ることで、適切なタイミングで医師に相談しやすくなるでしょう。 身体所見で痛みや症状をチェック まずは身体所見で手首の痛みや可動域を確認します。 医師が手首を動かしたり、患部を押してみて痛みの場所や動かしづらさを調べるのが一般的です。 身体所見は直接的な痛みを把握でき、どの程度の負荷で痛みが出るかを確認することが重要です。 身体所見でTFCC損傷の可能性が高まった場合、さらに精密な検査へと進みます。 X線検査で骨の異常や変形をチェック X線検査は、骨の異常や変形の有無を確認するために行われます。 TFCC損傷は主に軟部組織の損傷ですが、骨折や骨の変形が関係している場合もあるため、X線によるチェックが有効です。 手首に強い痛みがある場合や、外傷を伴うときには適切な治療を進めるためにX線検査が重要な役割を果たします。 MRI検査で軟部組織の損傷を確認 MRI検査では、手首の軟部組織の状態を詳しく観察します。 TFCC損傷は軟部組織が関わるため、MRI検査を行い、X線では確認できない細かな損傷を把握するために重要です。 MRI検査で高信号が見られる場合は炎症が強くなっている可能性があり、早期治療が求められるケースもあります。 手首の内部構造を把握し、適切な治療方法を決定するために必要な検査だと言えるでしょう。 TFCC損傷の改善に期待できる5つの治療法! TFCC損傷は、症状や重症度に応じてさまざまな治療法の選択肢があります。TFCC損傷の改善に有効とされる治療法は以下の5つです。 保存療法 薬物療法 リハビリ療法 手術療法 PRP療法 それぞれの方法を知ることで、適切な治療の選択がしやすくなるでしょう。 保存療法|安静・サポーター・アイシングで回復を促す 保存療法とは、安静にしてサポーターやアイシングによって回復を促す方法です。 軽度のTFCC損傷の場合、手首を休ませることで自然治癒が期待できます。 症状が軽度な場合に効果的で、初期段階での対処として推奨されます。 薬物療法|痛みや炎症を抑える薬の使用 薬物療法は、炎症や痛みを和らげるために痛み止めや抗炎症薬を使用する方法です。 ただし、薬はあくまで症状を緩和するものであり、根本的な治療にはなりません。 定期的に症状が続く場合は、他の治療法と組み合わせると良いでしょう。 リハビリ療法|可動域を戻すための運動療法 リハビリ療法では、手首の可動域を徐々に戻すための運動療法が行われます。 損傷部位の負担を少しずつ減らしながら、関節の柔軟性と筋力を高めるアプローチです。 痛みが軽減した後の段階でリハビリを開始すると、再発を防ぎ日常生活への復帰がスムーズに進むでしょう。 手術療法|損傷部の縫合や再建手術が必要な場合 重度のTFCC損傷や、保存療法や薬物療法で改善しない場合には手術療法を検討します。 手術では、損傷した部位を縫合したり再建手術で修復したりする方法が取られます。 手術によって症状が改善される可能性が高まりますが、術後はリハビリが必要となるでしょう。 そのため、手術を受けるかどうかは、医師と相談して慎重に判断してください。 PRP療法|TFCC損傷の治療に効果が期待できる再生医療 PRP療法とは、患者自身の血液から血小板を抽出し濃縮して損傷部に注入し、修復効果を高める治療法です。この方法は、プロスポーツ選手の肘の治療に使用されるなど、スポーツ医療で注目されています。 また、慢性的な痛みやスポーツへの早期復帰を望む方、薬のアレルギーがある方にも適した治療といえます。近年注目されている再生医療による治療も、新たな選択肢として考えてみると良いでしょう。 ちなみに当院「リペアセルクリニック」では、TFCC損傷でお悩みの方にもPRP療法を提案しております。 まとめ|TFCC損傷の疑いがあれば病院に行って適切な診断をしてもらおう TFCC損傷による手首の痛みは、日常生活や仕事に影響を与えるケースが多く、無理に放置するのはおすすめできません。 ドアノブやタオルを使うだけでも痛みを感じる場合や、小指側に痛みがあるときはTFCC損傷の可能性を疑いましょう。 適切な治療で早期回復にも期待できるため、TFCC損傷の疑いがあれば早い段階で病院には行くべきだといえます。 日常生活を快適に送るためにも、まずは医師に相談してご自身に合った治療法を見つけてください。 また、当院「リペアセルクリニック」ではTFCC損傷の治療法の1つであるPRP療法についてもご相談いただけます。
2022.02.08 -
- ひざ関節
- 膝の内側の痛み
- 変形性膝関節症
変形性膝関節症の原因、スポーツから発症するリスクについて説明します 変形性膝関節症は、重症化すると歩行などの動作に支障をきたす厄介な病気です。また、この病気を発症する原因の1つに「運動」が挙げられます。今回は、運動と変形性膝関節症の関係についてまとめました。 膝関節は、私達の日常動作をスムーズにしてくれています。例えば、歩くのはもちろんですし、立ったり座ったり、飛び上がったり踏ん張ったり…これらの動作をするのにも欠かすことができない部分です。 このように膝関節が稼働することで日常生活以外でもスポーツなどではランニングやマラソンといった走る競技はもとより、水泳、野球、バスケットボール、ラクビー、スキー、テニス、ゴルフと数え上げればきりがないほど膝の動きは大切です。 膝のスムーズな曲げ伸ばしや、稼働に重要なのが働きをしているのが膝関節の軟骨です。しかし、この膝関節の軟骨は、年齢を重ねるごとに、すり減ってしまうことを知っておきましょう。 膝関節を酷使するスポーツ(例) ・ランニング、マラソンなどの陸上競技全般 ・野球、バスケットボール、ラクビー、スキー、テニス、ゴルフなどの球技 ・水泳、水球 ・スキー、スノーボード、スケートなどのウインタースポーツ ・その他ス多くのスポーツで膝は使われます 変形性膝関節症|発症リスクが高い注意すべき人 運動やスポーツを頑張りすぎた場合、「膝の軟骨がすり減って変形性膝関節症になる」と聞いたりすると「だったら運動はやめておこう」という極端な人も出てくるかもしれません。ですが健康な体や、正常な関節を維持するためにはある程度の運動は必要で精神的にも体を動かすことは大切です。気を付けたいのは痛みを感じた時の対処法です。 例えば変形性膝関節症は急に症状が進行したり、急に痛くて歩けなくなることは無いからです。この病気の場合は、段階を経て重症化していくため、痛みが出た時に適切な対処法を心がけることが必要です。 運動で発症リスクが高い人 ・今、現役で競技もしくは、日常的にスポーツに取り組んでいる人 ・若い頃、膝に強い負荷がかかるようなスポーツをしていた人、競技スポーツなど日頃から激しい運動をしていた人 ・肥満体型など常に膝に負荷をかけ続けている人(軽いスポーツでも膝への負担が大きい) 変形性膝関節症に気を付けたいスポーツ ・膝に強い負荷が掛かるスポーツ(ウエイトリフティング、登山ほか) ・激しく膝をつかうスポーツ(陸上競技、サッカー、ラグビー、テニス、バスケットボールほか) ・肥満体体形の場合、日常的に膝に大きな負担が掛かっているため、そのようなスポーツでも注意が必要 普段「運動している人」が注意すべきこと 普段から運動する習慣がある人は、多少の痛みを感じても無視してしまいがちな傾向があります。そのため、炎症に気が付かず運動を続けてしまい、症状が悪化する可能性が高いです。 痛みが一晩休めば治まる程度であれば、さほど問題はありませんが、翌日まで続くようであれば、一旦運動をお休みし、安静にしましょう。 休む期間は3日から1週間。休んでいる間に痛みが治まったら運動を再開しても良いですが、以前と同じレベルの運動をいきなり再開するのではなく、痛む前の半分程度の運動から始めると良いでしょう。 休んでも痛みが治まらない、運動を再開したら再度痛みが出たというような場合は、変形性膝関節症の症状が進行している可能性があります。早めに病院を受診してください。 普段「運動しない人」が注意すべきこと 普段ほとんど、或いは全く運動しない人は、急に長時間の運動をする時に注意が必要です。 例えば、登山やハイキングなどで長時間歩くというようなことをすると、急に膝関節に大きな負担がかかるため、軟骨がすり減り炎症が起きる、つまり変形性膝関節症を発症する可能性があります。 急な炎症が起きると、炎症による痛みや膝の腫れ、水がたまるなどの症状が出ることもあります。 もし、運動の最中に痛みを感じたら、それ以上の運動は控えてください。そして安静にしましょう。痛みが長く続くようであれば、早めに医師の診察を受けてくださいね。 変形性膝関節症|注意は必要だが、適度な運動は大切 運動することによって、変形性膝関節症を発症しやすくなるという場合もありますが、適度な運動を無理なく行うことは変形性膝関節症を予防する効果もありますし、健康そのもの維持に役立ちます。 具体的に、「変形性膝関節症を防ぐには、脚に筋力をつけることがポイント」です。筋肉が鍛えられると膝の関節が安定するので、自然と軟骨のすり減りも抑えられるのです。 運動は毎日無理なく続けましょう 運動は無理のない範囲で、そして出来れば毎日行うことが望ましいです。 ウォーキングや軽めのジョギング、水泳なども良いでしょう。運動するのは苦手、外を出歩くのはあまり好きではないという方は、ラジオ体操やスクワット、テレビで放送されるテレビ体操などにチャレンジしてみるのも良いでしょう。 ただし、無理は禁物!運動中に膝が痛み出した場合は、運動を中断し、安静にするよう心掛けてください。 まとめ・変形性膝関節症の原因、スポーツから発症するリスク 変形性膝関節症の発症には、スポーツを通じた運動が関係します。しかし、運動をすることは健康維持のために必要不可欠です。しかも「変形性膝関節症の予防」にも繋がります。 ただ一方、変形性膝関節症は、運動によって発症リスクが高まるという面があり、注意が必要なです。膝関節は日常生活はもちろん、スポーツにおいて重要な役割を果たします。 変形性膝関節症は、軟骨のすり減りが進行することで発症リスクが高まります。日常生活に加えてスポーツで激しい運動を行うと軟骨に悪い影響が出る場合があります。 そこで、スポーツを日常的に行うなどの発症リスクが高い人に注意すべき点、予防方法などについて解説しました。特に、運動を積極的に行っている人は、痛みや違和感を感じた時には適切な対処をすることが重要です。 ただ、病気を注意するために運動やスポーツをしないのはお勧めできません。 運動は無理のない範囲で行うこと、予防する意識を持つことが大切です。 注意しながら取り組みましょう。 ▼ 再生医療が変形性膝関節症の治療を変える 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せずに症状を改善します ▼以下のご覧になりませんか 変形性膝関節症!痛みが取れない、治らない理由と対処法
2022.02.08 -
- 糖尿病
- 内科疾患
糖尿病|運動してはいけない人と制限付なら可能な人 糖尿病と診断されてしまったらどうしますか? 当然、治したい、その治療に取り組みたいと思って当然です。糖尿病の治療は「食事療法」と「運動療法」という二つの治療方法があります。 どちらにも取り組むべきで、どちらかに偏らないことが大切になります。治療には、どちらも必要ということです。 食事療法は、カロリーを制限する治療法であり、運動療法は、その名の通り、運動を行う治療法です。実は、この運動療法について糖尿病の治療であっても運動をしてはいけないケースがあるのです。 糖尿病の人にこんな話をすると「自分は運動しても良いのだろうか」と不安になることでしょう。 そこで「糖尿病で運動療法を行ってはいけない人」とは、どんな人か、その中でも「制限付きなら可能」という場合もあり、それはどんな人か」について解説しましょう。 糖尿病の運動療法|やってはいけない人 糖尿病治療の基本は先にも記しましたが「食事療法」と「運動療法」です。しかし、運動の種類や強度によっては「血圧を上げるなどのリスクがある」ものがあります。 運動療法を始める前に、自分自身が運動療法を禁忌(やってはいけない)とされているかどうかを主治医に確認する必要があります。 以下に当てはまる場合は、運動療法が難しいことがあります。 運動療法が難しい人 ・増殖網膜症・増殖前網膜症を発症している ・レーザー光凝固後3〜6カ月以内の網膜症を発症している ・第3B期(顕性腎症後期)以降の腎症(血清クレアチニン:男性2.5mg/dl以上、女性2.0mg/dl以上) ・心筋梗塞など重篤な心血管系障害がある ・高度の糖尿病自律神経障害がある ・1型糖尿病でケトーシスがある ・代謝コントロールが極端に悪い(空腹時血糖値≧250mg/dlまたは尿ケトン体中等度以上陽性) ・急性感染症を発症している ※禁忌とは:悪化したり、副作用の危険性があるため、してはいけない、すべきではないこと。 糖尿病の運動療法|制限付きなら良い人 運動することを禁忌とはされていないものの、制限や注意をすれば運動療法として取り組んで良いという一部制限付きの糖尿病患者もおられます。いずれの療法も医師と相談し、その指導のもと運動をうまく取り入れることができれば糖尿病治療に効果的です。 では、どのような人が対象になるのか見ていきましょう。 インスリン治療中の人 何度も申し上げますが糖尿病の治療は「食事療法と運動療法」の両輪が基本です。それでも改善しない場合は「薬物治療」に進むことになります。糖尿病の薬物療法として、体の外からインスリンを補う「インスリン治療」というものがあります。 インスリンによる薬物治療を受けている場合、血糖値が低い、寝起きや食前に運動をすると、空腹時ということで低血糖を引き起こす可能性があります。その意味で運動は、血糖値が高くなる食後に行うのが理想です。 いずれにしても薬物治療中の運動は、主治医等に適切な指示を受けるようしてください。 薬物治療中の運動は慎重に行う必要があります 運動は、空腹時にご注意ください。血糖値が低い寝起きや、食事前の運動は低血糖を起こしやすいため、血糖値が高くなる食後に行うようにしましょう。 単純網膜症の人 糖尿病の合併症の1つで恐れられている症状に「糖尿病網膜症」があります。糖尿病網膜症は病気の進行度によって単純糖尿病網膜症・増殖前網膜症・増殖網膜症に分かれます。 糖尿病網膜症は血圧の変動によって出血する可能性があります。また低血糖になることで眼底出血が引き起こされることもわかっているため注意が必要です。軽度の場合は運動療法を取り入れても差し支えありませんが、状況によっては運動が制限されたり、禁止されることがあります。 単純糖尿病網膜症とは糖尿病網膜症の初期段階です。後述する増殖前網膜症と増殖網膜症と混同しないようにしましょう。 増殖前網膜症・増殖網膜症を患っている人 増殖前網膜症の場合は血圧におよぼす影響の少ない軽度の運動にとどめます。 頭を強く振る、頭を下げる、力むといったことは血圧を上げ、頭部への血流を増やすため、眼底出血などを起こす可能性があります。 増殖網膜症:運動以外、日常生活でも力んだり、息をこらえたり、重量物を持ち上げるような行為は避ける 糖尿病神経障害の人 糖尿病神経障害では、「感覚神経障害」と「自律神経障害」を招くことがあります。感覚神経障害の場合、足に負担をかけにくい「自転車エルゴメーター」や「水泳」などの運動が望ましいとされています。 自律神経障害の場合:日常生活以外で運動を行うことは禁忌(禁止) 重篤な心血管障害や肺の病気を患っている人 心血管疾患がある方やそのリスクのある方が運動療法を行う際は負荷心電図などの評価が必要です。負荷心電図は運動負荷心電図ともいい、運動中の心電図を観察するものです。 どのくらいの運動なら問題がないのか?あらかじめチェックする 腎症を患っている人 「糖尿病性腎症」は病期によって5段階にわかれます。従来は糖尿病性腎症の患者の方に対して運動を制限する傾向がありました。 しかし、適度な運動は持久力などの運動耐容能を向上させ、脂質代謝などを改善させることから、現在は病期に応じた運動を行うことを推奨しています。 第3期B(顕性腎症後期)まで進行した場合:運動療法を制限する必要がある。 ケトーシス状態の人 空腹時血糖値が250mg/dl以上(高血糖)、ケトーシス状態の場合は運動することは制限されます。ケトーシスとは血中のケトン体が増加し、尿中のケトン体が中等度以上のことをいいます。 高血糖の状態:運動すると糖代謝が悪化。食事療法と薬物療法で血糖値をコントロールしながら運動を行う。 運動療法の前に医師によるメディカルチェックが必要 ここまで説明したように、糖尿病患者の方が運動療法を行う際、やり方を間違えると事故や症状を悪化させることがあります。そのため運動療法を始める前には医師によるメディカルチェックを受けることが大切です。 糖尿病患者の運動療法を行う際のメディカルチェック基本項目 ・問診:自覚症状 → 糖尿病以外で治療中の病気や服薬中の薬 → 家族の既往歴 → 現在の生活状態や運動習慣 ・血液検査:空腹時血糖 →HbA1c ・診察:内科診察 → 血圧 → 脈拍数 → 身体計測(身長、体重、腹囲) → 肥満度 ・尿検査:蛋白・ケトン体 ・心電図:安静時心電図 運動療法を開始後も、少なくとも年に一回は医師によるメディカルチェックを受けましょう。 まとめ・糖尿病|運動してはいけない人と制限付なら可能な人 今回は、糖尿病で運動療法を行ってはいけないケースと、制限付きであれば運動を行っても良いケースについて説明しました。 また、運動療法の実施にあたってはメディアカルチェックが大切であることもご説明しました。 尚、禁忌とは、単なる禁止という意味ではなく、それを行うことで悪化させたり、副作用などのリスクがあるという意味で用いられています。 糖尿病の治療は自己判断で行うのではなく医療機関の指導を受けて適切に行うようにしましょう。今回は、糖尿病の治療で運動療法が禁忌とされる患者さんや、運動制限が必要な患者さんについてご説明しました。 糖尿病は、治らない病気と言われています。しかし、近年「再生医療」という新しい医療分野が発達してきたことにより、かなり症状の改善が図られたり、恐ろしい合併症を避けられるようになってきました。 糖尿病の再生医療に興味がある方は以下を参考にしてください。 ▼以下もご参考下さい 糖尿病(2型)完治は困難、ただし改善や進行を遅らせはできる! ▼糖尿病の最新治療法である幹細胞治療は以下をご参照下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として垣生方面から多大な注目を浴びています
2022.02.07 -
- 変形性膝関節症
- ひざ関節
変形性膝関節症で痛みが取れない、治らない!その理由と対処法 1日の内に何度も曲げ伸ばしされるのが膝の関節で、立つ・座る・歩行動作など、あらゆる場面で膝に負担がかかります。そんな負担から膝を守っているのが関節軟骨です。 関節軟骨は膝のクッション機能のほか、関節をスムーズに動かせる役割を果たしています。しかし、加齢ともに関節軟骨が徐々にすり減ると、膝に痛みを感じたり、変形が出現したりする変形性膝関節症を発症します。 変形性膝関節症と診断されると、膝を守るためのベースとなる治療法である「保存療法」に取り組みます。しかし、いくら膝関節にかかる負担を減らし、治療として運動療法に取り組んだとしても、「なかなか膝の痛みが取れない、治らない」ことがあります。 なぜ熱心に膝の治療に取り組んでいるのに、痛みは改善されないのでしょうか。この記事では、「変形性膝関節症の治療に取り組んでいるにもかかわらず、膝の痛みが取れない、治らない」ことについて、その理由と痛みを改善する方法についてご紹介します。 痛みが取れない、治らない理由とは 変形性膝関節症の治療に取り組んでも痛みが取れない原因は、「関節内で炎症が起きている」「関節が安定していない」「関節へ負荷がかかっている」といった3つ原因の内でどれか、または複合している可能性が考えられます。 炎症を起こしている(膝に水が溜る) 膝の曲げ伸ばしなどで関節に負担がかかると、すり減った関節軟骨のかけらが滑膜を刺激します。刺激された滑膜が炎症を起こし、膝の痛みとして認識されます。 炎症が起きた際には、「膝に熱感を感じる」ほか、白血球を含んだ大量の関節液が軟骨のかけらを除去しようと排出されます。大量に排出された関節液が膝にたまると、いわゆる「膝に水がたまった状態」となります。 炎症を起こしているときは、冷やしたり、薬で炎症や痛みを抑制したりします。また、炎症が起きているにも関わらず運動を続けると悪化するため、無理をせず休むようにします。 治療で過度な筋トレは逆効果 誰でも早く痛みから逃れたいものです。しかし運動療法とは言え、トレーニングに慣れてないうちから、過度に強度が強く、時間が長い筋力トレーニングを行うと、治療であっても膝に痛みを感じやすくなり、かえって逆効果です。 関節が安定していない 筋力トレーニングを始めたけど、痛みが取れない場合、トレーニングを始めて間もないことが考えられます。トレーニング開始後、個人差はあるものの効果が現れるまで1〜2ヶ月かかると言われています。 そのため、運動を始めてまだ間もない頃は効果を感じにくいため、まずは1〜2ヶ月継続して運動に取り組むようにしましょう。継続した運動に取り組んでも効果がみられなければ、運動の負荷が弱すぎる、軽すぎる可能性があり、十分な効果が発揮されません。 そんな時は、3ヶ月目にトレーニング種目や強度の見直しをお勧めします。くれぐれも過度な筋トレにならないよう、痛みのない範囲で取り組めるメニューを組みます。 運動種目や強度の見直し例 ・室内でできる簡単な運動から屋外での運動に切り替える ・水中での歩行から地上での歩行に切り替える ・歩行距離を伸ばす 関節に負荷がかかっている 関節の負担となる習慣の存在が考えられます。変形性膝関節症の治療では、運動療法と並行して生活習慣を見直し、関節にかかる負荷を下げることが大切です。運動療法のように時間を必要とせず、工夫次第で誰でも簡単に膝への負荷を減らせます。 膝の関節には、立っているだけでも体重を支えるほか、歩いているだけでも体重の最大8倍は負荷がかかると言われています。そのため、日常生活で関節の負荷となる習慣の改善はとても大切です。 これまで、生活スタイルの改善に取り組まれた方でも、もう一度、膝に負担を減らすため、生活習慣を見直してみましょう。 関節への負荷を下げる生活習慣の見直し例、対処法 ・膝を深く曲げる動作を止める ・よく使う調味料などを低い位置に収納しない ・玄関、階段、お風呂に手すりをつける ・地べたでの生活から椅子とテーブルを用いた洋式へ変える ・膝の調子が悪ければ迷わずエレベーターを使う ・バランスよく歩くために杖を使う いつまでも痛みが取れない、治らないときは 生活スタイルを変え運動療法を継続的に取り組んでも痛みが取れない、治らないとき、変形性膝関節症はかなり進行していることが予想されます。変形性膝関節症が進行し、膝が痛く普段の生活を送るのが困難だと感じる、もしくは医師から判断されれば観血療法(手術)が勧められます。 ただ、手術の中にはリハビリが必要で、退院まで長くて1ヶ月ほどかかるなど、簡単に決断できるものではないはずです。 そうした手術をしたくない・できない場合には、痛みと付き合いながら、騙しだまし日常を送ることになり、最終的には寝たきりになってしまう方も現実としていらっしゃいます。 しかし近年、大きな手術や入院を必要とせず、保存療法と観血療法の中間の治療法として「再生医療」という最新の医療が注目されています。 再生医療では、変形性膝関節症の発症の原因となるすり減った膝の軟骨の再生が期待できるほか、変形性膝関節症の初期から取り入れることで進行を予防できます。 ▼ 再生医療の幹細胞治療が変形性膝関節症の治療を変える! 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せずに症状を改善できます まとめ・変形性膝関節症で痛みが取れない、治らない!その理由と対処法 変形性膝関節症の治療の基本は、関節への負荷を下げ、安定させることです。いつまでも痛みが取れない、治らない場合には、自分の膝の状態を見極めることがポイントです。 炎症が起きているのか・関節への負荷がかかっているのか・運動してまだ間もないのか判断し、状況に見合った対処をしましょう。保存療法で痛みが取れなければ、手術が選択肢に入ります。手術といっても体への負担が少ないものから大きなものまでさまざまです。 膝の進行度合いによって、手術の選択肢も狭まることから、定期的に病院を受診し、自分の膝の状態をよく知っておきましょう。 また手術はしたくない、できない場合には、再生医療の存在を覚えておくと、治療の選択肢を広げ、多角的な視点で治療に取り組めることでしょう。 以上、変形性膝関節症、なぜ痛みが取れない、治らないについて記させて頂きました。 https://youtu.be/uQlymyi0eSI?si=Mun2I7oeczBsksow ▶こちらも是非ご視聴ください。図でわかりやすく解説しています。 ▼以下もご参考にしていただけます。 変形性膝関節症|手術別の入院期間とリハビリについて
2022.02.07 -
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糖尿病はなぜ治らない!種類と症状、治療と予防法について 糖尿病に関して「糖尿病は治らない病気」、「糖尿病は一生付き合っていかなばならない病気」などと言われることを聞かれたことはありませんか?本当にそうなら治療を続ける気力もなくなりかねませんね。 確かに「糖尿病は完治しない病気」です。 だとしても治療によっては「健康な人と変わらない状態を保つことは可能」ということを理解いただくことが大切です。 そこで、以下「糖尿病がなぜ治らない」かについて説明し、糖尿病と診断後の「治療法」や糖尿病を発症しないための「予防法」をご紹介いたします。 糖尿病はなぜ治らない? 日本では糖尿病患者のほとんどが生活習慣病の一つである「2型糖尿病」患者といわれています。 2型糖尿病は、体質などの「遺伝的要素」と「生活習慣」が組み合わさることで発症します。治療によって血糖値が正常値に戻ったとしても、血糖値の上がりやすい体質(遺伝的要素)や年齢は変わりません。 そのため、「生活習慣」を変えない限り、治療を中止すればすぐに治療前の状態に戻ってしまいます。つまり、糖尿病には「治る」「治らない」という概念自体がないのです。 もちろん、血糖値のコントロールを行うことで健康な人と変わらない状態に保つことは可能です。そういう意味で、糖尿病治療は「血糖値をコントロールし、健康な状態を保つためのもの」と前向きに考えることが大切です。 血糖値のコントロール ・健康な人と変わらない状態に保てる ・健康な状態を保つためのもの また、糖尿病は、発症原因によって「1型糖尿病」と「2型糖尿病」に大別され、治療法も異なります。それぞれどういう特徴があるのか以下で見ていきます。 2型糖尿病とは 日本の糖尿病患者の約9割は、2型糖尿病といわれます。 2型糖尿病は体質などの遺伝的要素と乱れた食習慣などの生活習慣が組み合わさることで発症する病気です。通常、食事を摂ると、すい臓からインスリンが分泌され、血糖値を下げます。 2型糖尿病は、過食や運動不足によってインスリンの分泌量が低下したりインスリンが効きにくくなり、高血糖状態が続くことで発症します。 初期の段階で乱れた生活習慣を改善できれば、血糖値を健康な人と同じ状態に戻すことは十分可能です。しかし、糖尿病が進行してしまうと健康な状態に戻すことは困難になります。そのため、初期段階で治療に取り組むことが大切です。 ・初期なら ・生活習慣で改善できる > 血糖値を健康な人と同じ状態に戻す ・進行後 ・健康な状態に戻すことは難かしくなる 1型糖尿病 1型糖尿病は、何らかの原因で「すい臓」にあるβ細胞が破壊されて発症する病気です。 インスリンはβ細胞から分泌されるため、1型糖尿病はほとんどインスリンを分泌できなくなります。β細胞が破壊される原因は正確にはわかっていませんが、原因の1つに免疫異常(自己免疫)があると考えられています。 1型糖尿病は現代医学では「治らない」といわれている病気です。発症すると一生付き合っていかなければなりません。一方、1型糖尿病の治療方法は日夜進んでいます。 最近では「再生医療」や「膵島移植(ランゲルハンス島)」などの研究も行われています。将来的には「1型糖尿病は治る病気」となる可能性もゼロではありません。 糖尿病の症状 ここまで糖尿病は、大きく分けて2つの種類があって、「完治しない」「治らない」病気といわれる理由についてご説明しました。では、糖尿病になると、どのような症状が現れるのでしょうか。以下にまとめました。 2型糖尿病は初期の段階では「自覚症状がほとんどありません」ただし、進行すると以下のような症状がゆっくりと現れます。 2型糖尿病の症状 ・疲労感 ・皮膚の乾燥、かゆみ ・手足の感覚低下 ・感染症 ・頻尿 ・目のかすみ ・性機能の低下 ・傷が治りにくい ・空腹感やのどの渇き 1型糖尿病と2型糖尿病の大きな違いは発症原因や、症状の現れ方です。 いずれの糖尿病(1型、2型共に)の場合も高血糖による症状が現れます。 ただし、1型糖尿病は「突然」次のような症状が現れる特徴があります。 1型糖尿病の症状 ・強いのどの渇き ・頻尿 ・急な体重減少 ・重度の疲労感 糖尿病の予防方法 2型糖尿病は、遺伝的要素と生活習慣が組み合わさることで発症します。そのため、食事療法と運動療法で生活習慣の改善に努めることが糖尿病の予防法であり、病気の進行を食い止めることにもつながります。 糖尿病の予防や治療の基本は「食事療法」と「運動療法」です。 食事療法 糖尿病の食事療法では以下のポイントを押さえて行うことが大切です。 食事 ・摂取カロリーを抑える ・栄養バランスの良い食事を取る ・一日3食をしっかり食べる 身体活動量の目安 ・軽労作(デスクワークが多い職業など) 25~30 kcal/kg標準体重 ・普通の労作(立ち仕事が多い職業など) 30~35 kcal/kg標準体重 ・重い労作(力仕事が多い職業など) 35~ kcal/kg標準体重 食品交換表 ・1日の摂取カロリー(エネルギー摂取量)は以下の計算式が目安となります。 ・エネルギー摂取量(kcal)=身体活動量 (*1) ×標準体重(*2) ・カロリー計算 ・*1身体活動量(kcal) ・*2標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22 「食品交換表」というものをご存知でしょうか? 上記でカロリー計算の結果、適切な摂取カロリーがわかっても、どのような食品を、どれだけ食べれば良いのか分からないと思います。 そんな場合は「糖尿病食事療法のための食品交換表」を利用していただく方法があります。糖尿病治療の考え方や食事療法の基本的な考え方が分かりやすく解説されています。 また昨今、ネット上にはカロリー計算できるアプリを紹介しているサイトもありますので使いやすいものを選ばれても良いでしょう。 運動療法 糖尿病の予防に効果的な「運動療法」なのですが、実は運動を積極的に行うと食欲が増すため、かえって糖尿病を招いたり、症状が悪化することもありえるので注意が必要です。 そのため、糖尿病の予防や治療は「食事療法」と合わせて「運動療法」をセットすることが大切です。運動療法を行う際は以下の点に注意して行いましょう。 運動療法の始め方 ・軽い有酸素運動から始める ・継続して運動を続けることが重要 ・週3日は運動の時間を確保 NEAT(非運動性熱産生) NEATとは、「運動以外の日常生活活動で消費されるエネルギー」を意味し、掃除や洗濯、通勤や階段の昇り降りなどで消費するエネルギーのことを指します。 すでに糖尿病の症状がある方や持病がある方など、運動に制限がある人もいます。運動療法を取り入れる際は医師に相談してから行うようにしましょう。また、日頃、まとまった時間が取れずに運動ができないという人もいるでしょう。 このような場合、NEAT(非運動性熱産生)を高めることを心がけると良いでしょう。 NEATを高めるために ・エレベーターではなく階段を利用する ・通勤時に一駅前で降りて歩く ・歩幅を大きくする ・その他、身体を動かすことを心がけよう まとめ・糖尿病はなぜ治らない!種類と症状、治療と予防法について ここでは、糖尿病が治らないといわれる理由について説明しました。 「糖尿病は治らない」と考えてしまうと治療に積極的に取り組めません。糖尿病の治療は「血糖値をコントロールすることで健康な状態を保つためのもの」と考え、前向きに治療に取り組むことが大切です。 上記に記したような症状や異変を感じたら、積極的に医療機関を受診するように致しましょう。糖尿病の予防や治療の基本は「食事療法」と「運動療法」が基本です。食事療法は、カロリーを計算して食べるものに気を付けましょう。 また運動療法は、やりすぎるとかえって食欲が増してしまい食事療法がう無くいかない可能性があります。食事と運動のどちらにも偏ることのないよう取り組むことが大切です。 以上、糖尿病は治らないのは本当か?その種類と症状、治療と予防法について、糖尿病は治らない怖い病気だということを知っていただき、ぜひとも普段の生活から予防(食事・運動)を心がけて健康な生活を送ることが大切であることをご理解下さい。 ▼糖尿病でお困りに再生医療の幹細胞治療という方法があります 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目を浴びています ▼以下もご参考くください 糖尿病|適正エネルギーを知り血糖値コントロールから改善を目指す
2022.02.07 -
- 変形性膝関節症
- ひざ関節
変形性膝関節症|高齢者も知っておくべき手術の種類とそのリスク 中年以降の女性に多く発生するのが「変形性膝関節症」です。初期の頃には軽い痛みや違和感だったものが、徐々に進行していく病気です。その治療はリハビリを中心とした保存療法をベースに、生活スタイルの改善や運動療法に取り組み、必要に応じて装具療法という手段があります。 保存療法でも効果がみられない場合には、観血療法(手術)が選択肢に入ります。しかし、いざ手術を受けようとした時には、患者様自身が高齢になられているケースがあります。 そんなとき、「退院までどれくらいかかるのだろうか?」「リハビリは頑張れるのだろうか?」と、本人はもちろん、ご家族が不安に思われる場合もあります。この記事では、高齢者が変形性膝関節症の手術を受ける際の不安やリスクをわかりやすく解説していきます。 高齢者に適応される手術とは 変形性膝関節症の手術には、関節鏡視下手術・高位脛骨骨切り術・人工関節置換術の3種類あり、どの手法が適応されるかは進行の程度に沿って決まります。主に初期には関節鏡視下手術・中期には高位脛骨骨切り術・末期には人工関節置換術が選択されます。 ただし、変形性膝関節症の手術をいざ受けようと決心したとしても、高齢者の場合は進行しているケースがほとんどです。そういったときには、人工関節置換術が適応されます。 進行に合わせて選択される膝関節の手術 ・初期:関節鏡視下手術 ・中期:高位脛骨骨切り術 ・末期:人工関節置換術 人工関節置換術(手術)とは 人工関節置換術とは、変形性膝関節症の進行末期などで傷んだ膝の関節を人工の関節に入れ替える手術です。ご自身の骨を除き、金属やセラミックでできた人工関節に置換えることで、O脚など脚の変形が改善させて膝を安定させるものです。 人工関節置換術を受けると、激しい痛みによりスッと立ち上がれない、スイスイ歩けないといったお悩みが解消されるなど、高い効果が期待できます。ただし、利点ばかりではなく、術後は正座や、深くしゃがむなどの姿勢ができなくなるほか、重い荷物を持てないなど生活スタイルを含めた変更が必要になります。またリハビリを継続して進める必要があります。 人工関節置換術のリスク 手術から退院まで日数がかかる 人工関節置換術をした場合、退院までの目安は1ヶ月です。また術後の痛みが消えるのに、数週間から数ヶ月かかるため、日常に戻るには2〜3ヶ月程度の期間が必要です。 継続したリハビリが必要 人工関節置換術はリハビリが必要な手術です。術後2日目から、国家資格である理学療法士や作業療法士の支援のもとリハビリを開始します。 日常生活に復帰できるように、筋力トレーニングや可動域訓練とともに、立ち座りや歩行も訓練します。 日常動作に制限がかかる 術後は人工関節の摩耗や破損、膝蓋骨の脱臼を避けるために、走る動作や膝に負担のかかる激しいスポーツができなくなります。 深く膝を曲げられないため、正座ができなくなるなど日常生活動作に制限がかかります。 深部静脈血栓 術後は長時間の安静から血流が滞って血栓ができる「深部静脈血栓」に注意が必要です。血栓は自然に消失することが多いのですが、まれに血栓が肺や脳に飛んでしまうと、肺塞栓による突然死や、脳塞栓による手足にしびれや動かしにくさが出現します。 血栓症を予防するには、弾性ストッキングを着用、さらに間欠的空気圧迫法にて、血液の流れを良くします。 肺にまつわる合併症 手術中は長時間もの間、寝た姿勢が続くため、肺に負担がかかります。肺がつぶれてしまう無気肺や、肺に水がたまる肺水腫のリスクがあります。また全身麻酔により、一時的に肺の機能が低下することで、痰の排出がうまくできず、痰が原因で肺炎を起こします。 術後は痛みや全身の倦怠感からうまく呼吸ができないことが多く、肺にまつわる合併症を防ぐためには、術前から深呼吸の練習や痰を出す練習をします。 また喫煙をすると、体内へ取り込む酸素の量が少なく、肺合併症のリスクを高めるほか、傷の治りにも影響を及ぼします。手術を検討されている喫煙者はなるべく早くから禁煙し、少しでも禁煙期間を長くします。最低でも手術が決まった時点で禁煙に取り組みましょう。 細菌感染 抗生物質を服用し、術後は傷口を清潔に保つよう予防はするものの、細菌感染が起こると再手術しなければなりません。また感染経路は傷口からだけとは限りません。 麻酔をかけるためのチューブを気管に挿入する際に、虫歯や歯槽膿漏、口内が汚染されていると、その細菌も一緒に気管に運んでしまう可能性があります。手術を受ける前には虫歯や歯槽膿漏の治療を行うことと、丁寧に歯磨きをしてから手術に臨みます。 人工関節のトラブル 術後は人工関節の破損に注意です。術後はなるべく早くからリハビリに取り組むと、膝の働きが良くなるため早期離床が大切です。しかし、いきなり強度な運動をしてしまうなど、無理がかかると、人工関節の緩み・破損・摩耗や脱臼の危険性があります。 術後、人工関節のトラブルを防ぐには、焦ってリハビリを進めないことと、膝に負担をかけない生活を送るなど工夫が必要です。 まとめ・変形性膝関節症|高齢者も知っておくべき手術の種類とそのリスク 変形性膝関節症の手術を受ける場合、高齢であるほど人工関節置換術が適応されます。 人工関節置換術を実施すると、痛みのない生活を送れることが期待できます。しかしリスクもありますので、手術を検討されている方は、術後にそんなはずではなかったと後悔しないように、手術のリスクについてもしっかり把握しておきましょう。 また加齢とともに、体力や筋力・術後のリハビリに取り組めるか不安がある方は、一度、担当医に相談してみることをおすすめします。以上、変形性膝関節症の手術で高齢者も知っておくべき手術のリスクについて記しました。参考にしていただければ幸いです。 ▼ 再生医療の幹細胞治療が変形性膝関節症の治療を変える! 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せずに症状を改善できます ▼手術に関し、以下もご参考にされませんか 変形性膝関節症の手術と保険費用について詳しく解説します
2022.02.02 -
- 股関節
- 変形性股関節症
変形性股関節症を進行させない生活の工夫とリハビリ 変形性股関節症は中高年以降の女性に多く発生する病気で、動き出しなど動作のはじめや、長時間の歩行後に痛みを感じます。悪化すると安静時にまで痛みを感じるようになるため、日常生活を送る上で大きな支障となります。 股関節が痛む原因は2つあり、関節軟骨の摩耗と関節唇の損傷です。股関節へかかる負荷が原因で、クッション材である関節軟骨がすり減り、そのかけらが滑膜を刺激することで痛みを感じます。 また、股関節の安定性を高める関節唇が傷むことでも、関節が不安定になり痛みにつながります。 そんな変形性股関節症への治療は、関節への負荷を減らしながら、同時に関節を安定させることが重要です。この記事では、変形性股関節症を悪化させない具体的な工夫や取り組みを紹介します。 変形性股関節症の特徴 ・中高年以降の女性に多く発症 ・動き出しなど、初期動作に痛み ・悪化すると安静時にも痛む 生活スタイルを変え負担を避ける 日常生活を工夫することで股関節へかかる負荷を減らし、痛みを軽減します。日常生活で最も股関節に負荷がかかる姿勢は、関節が深く曲がるようなしゃがむ動作です。また低い位置から立ち上がる動作でも負荷がかかるため注意が必要です。 背筋を伸ばす 変形性股関節症の初期には、痛みをかばうことから骨盤が前傾し、不自然な姿勢を取りがちです。そうした姿勢が腰椎の前弯と胸椎の後弯を増強させ、股関節の可動域や筋力は低下します。そうして不安定になった関節に体重が加わると、関節軟骨への負荷が増し、痛みにつながります。 では骨盤を後傾させれば良いのか?というと、そうでもありません。猫背のように骨盤が後傾する姿勢では、その問題は背骨の湾曲だけでなく、股関節に不安定さをもたらし、それもまた痛みにつながります。(ヒップ−スパイン・シンドローム) 大切なのは、体操を通して常に股関節や骨盤の柔軟性を高め、できる限り背筋を伸ばしておくことです。 低い位置での生活をやめる 畳のような和式ならではの低い位置で過ごす生活では股関節に負荷がかかります。さらに立ち上がり動作でも股関節の負荷になることから、地べたでの生活から椅子を活用するなど、洋式の生活へと変えていく必要があります。 ほかには、トイレを洋式へ変えたり、布団からベッドに変更したりと低い位置での生活はなるべくやめていきましょう。また、キッチンで料理をする際、頻繁に使う物は高い位置に収納することで、頻繁にかがむ機会を減らします。 減量する 肥満であることは、股関節にかかる負荷も上がるため、変形性股関節症を進行させる要因の一つです。肥満傾向の方は体重を落とすことで、病気の悪化を防ぐことができます。 手すりの設置 段差の昇降は、股関節に負荷がかかるだけでなく、転倒するリスクが高まります。階段やお風呂場などには手すりをつけることで関節への負荷と転倒リスクを減らします。 積極的に運動療法(リハビリ)に取り組む 運動療法では筋肉を鍛え、関節の安定性を高めます。また適度な運動が股関節の可動域を拡大させ、変形の進行を防ぎます。運動療法は、自分のペースで無理せず行います。痛みを我慢して運動を続けると痛みは悪化し、ついには運動に取り組めないことがあるため気をつけましょう。 ウォーキング 歩くことで股関節の筋力を向上させ、脚を動かすことで関節可動域が広げる効果があります。 健康を目的とした歩行では、早歩きが推奨されることが一般的ですが、変形性股関節症の場合は違います。歩行速度が上がるほど股関節へ衝撃が伝わりやすくなるほか、歩行フォームが乱れ、不安定な股関節にさらに負荷がかかります。ウォーキングを始める際は、自分のペースでゆっくり歩くことがポイントです。 また慣れないうちから長時間や長距離を歩くのはオススメできません。無理をした疲労から動けなくなると、継続的な運動ができないため、短い距離・時間でも毎日継続することが大切です。 プールでの運動 水の浮力を生かした運動で、地上での歩行より負荷の少ないトレーニングができます。体重から股関節へかかる負荷を軽減できるため、地上でのウォーキングでは痛みを感じる方でも、水中では痛みなく歩ける場合があります。 また、水の抵抗に負けないように歩く必要があるため、筋力強化が期待できます。普段から股関節に痛みを感じており、満足に運動療法に取り組めない方には最適です。さらに地上でのウォーキングと比べて転倒リスクがないこともポイントです。 室内での運動 1日の大半を家で過ごす方も多いのではないでしょうか。そうした場合、室内で手軽にできる体操やトレーニングがあります。股関節の可動域が制限される原因の一つが筋肉の緊張です。室内での運動を通して、筋肉の柔軟性を取り戻し、関節可動域を高めます。可動域が高まれば、運動にも効率よく取り組めます。 股関節に関する筋肉の体操 1. 椅子に座り骨盤に手をかけます 2. おへそを出すように、ゆっくり骨盤を前方へ倒す 3. おなかを引っ込めるように、ゆっくり骨盤を後方へ倒す ※ 2~3を繰り返しを1分間行います。 1. 仰向けで寝転び、両膝を立てる 2. 両膝をそろえた状態で左右へ倒す ※ 左右各10回を、1日2セット行う 股関節に関する筋肉のトレーニング 1. 仰向けに寝転び、膝を立てます 2. 両膝にゴムを固定します 3. 左右同時に外へ向けてゴムを引っ張ります 4. 元の位置へ戻します 中臀筋や大腿筋膜張筋のような股関節の外転筋のほか、梨状筋や大臀筋のような外旋筋を鍛えます。 まとめ・変形性股関節症を進行させない工夫 変形性股関節症と診断された方は、痛みが少ない頃から股関節への負荷を減らし、関節を安定させ進行を遅らせます。 もし変形性股関節症が進行した場合、痛みをかばって歩くことで対側の股関節にも痛みがでることがあります。そうなると、活動量は低下し、さらに状態が悪くなる悪循環になります。 変形性股関節症を進行させないためには、股関節へ負荷がかからないように、低い位置で過ごすことが多い和式から洋式へと生活スタイルを見直し、自分のペースで痛みのない運動療法に継続して取り組みましょう。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する方法 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼以下も参考にされませんか 変形性股関節症でやってはいけない禁忌肢位とは
2022.01.22 -
- 手部
- ヘバーデン結節
ヘバーデン結節とは、手指部が変形・曲がってしまうことで痛みを感じる原因不明の病気です。現在、ヘバーデン結節を患っており痛みに悩まされている方も多いことと存じます。 そこで本記事では、へバーデン結節を発症した方が日常生活において、やってはいけないことや注意すべきことを詳しく解説します。 また、予防法についても紹介しているので「まだヘバーデン結節と診断はされていないけど不安……」という方も最後までご覧ください。 【予備知識】ヘバーデン結節の発症要因と症状 ヘバーデン結節とは、手指部における第1関節に相当する箇所が変形、または腫脹し痛みが生じるを感る原因不明の病気です。関節にある軟骨のすり減りと増殖により、変形を引き起こすと考えられています。 手の疾患における変形性関節症の部類で最も罹患数が多く、特に日本人の発症率が高い病気です。 ちなみに傷病名にあるヘバーデンとは、もともと英国人医師の名前です。1802年にヘバーデン氏が、手指の第一関節に慢性的な関節リウマチや痛風とは異なる病変が生じると指摘したことに由来して名づけられました。 関節組織の加齢による変化によってさまざまな変形所見が認められ、第1関節のうしろ(手背)側の中央付近に2つのコブのような結節所見がみられる特徴があります。 発症要因 https://youtu.be/fzyqMTIc7dI?si=On7Hw-JuXYZgG9D0 実はこのへバーデン結節は、これまでの医学的研究をもってしても未だに明確な原因が特定されていません。 しかし、判明しているいくつかの要因もあるためご説明いたしましょう。 一般的に年齢を重ねれば、重ねるほどへバーデン結節など変形性関節症の発生率は高くなると言われています。 また、日常生活や仕事で手指を頻繁に使用する方が発症しやすい疾患とされています。 外傷によるものを除外すると「裁縫や刺しゅう、農業関係の手仕事に従事」していた方々が発症しやすいです。それと同時に、患者さんの概ね8割が主婦であったとの調査結果があります。 また、へバーデン結節は更年期以降の女性に多く発生し、とくに女性は男性の約2倍以上の確率で発症することがわかっています。 したがって、本疾患の背景には女性ホルモンの変調が関与している可能性が推測されています。 くわえて、遺伝や環境といったさまざまな要素が複合的に組み合わさって発症するとも考えられています。ただし、遺伝性と明確にうたえるエビデンス(証明)に乏しいものの、これまでに母娘間あるいは姉妹間などの家族内で多発する例が散見されているのも事実です。 それ以外にも外傷・甲状腺疾患・糖尿病などの疾患に合併して発症する場合や、とくに誘因なく特発性に現れるケースも存在しています。 症状 へバーデン結節の典型的な症状として軟骨のすり減りや骨の骨棘形成によって出っ張り、関節部分が膨らみがみられます。とくに、母指(親指)や、示指(人差し指)から小指にかけて第1関節が赤く腫れあがる傾向がみられ、過度に屈曲運動をすると疼痛症状(痛み)を合併します。 それらの所見が認められるのと同時に、関節を支える役割を有する靭帯部分が緩むとされていて、たとえば物を指でつまむときなど関節が不安定になり、指の先の力が入りにくくなることもあります。 時間の経過とともに、疼痛症状は落ち着いてくることが多いのですが、早めに症状の悪化を防止するべきです。 また、この疾患を発症した場合に、爪母(爪の根本部分)が影響をうけて「爪が変形して凸凹になる」特徴がみられるため、そのような所見を確認した際には放置せず、皮膚科などで診察を受けるよう心がけましょう。 ヘバーデン結節におけるやってはいけないこと へバーデン結節における治療・予防方法は、普段から指先に過度な負担が生じる作業を避ける・腫れや熱感があるときは患部を積極的に冷却する・軽くマッサージを実践する・装具などで関節部の安静を保つことが挙げられます。 したがって、上記事項に逆行する行為はへバーデン結節を発症した人がやってはいけないことです。 ヘバーデン結節の治療方法 へバーデン結節の治療は、保存的治療・薬物療法・手術療法の概ね3種類の方法から検討します。 保存療法は、テーピングやサポーター、外固定(金属のリング等)によって関節を固定(安定)させたり、アイシング治療が行われることが一般的です。 薬物療法は、関節内へのステロイド注射が用いられます。 痛みや変形症状が進行すると手術療法が必要となり、関節固定術や関節形成術(コブ結節の切除)といった処置が検討されます。 高度変形や強い疼痛が伴う場合には、手指の運動機能障害や整容上(見た目)の問題が発生するため、無理をせずに早期に医療機関を受診しましょう。 ヘバーデン結節の予防方法 現代社会では、日常生活においてスマートフォンが手指の障害をきたすと言われ、とくに小指でスマートフォンを持つ動作がヘバーデン結節を誘発すると考えられています。スマホの画面操作は出来る限り両手で行うよう意識しましょう。 また、大豆に含まれているイソフラボンが女性ホルモンと成分が類似していることから、豆乳や豆腐・納豆・きなこなどを日常的に摂取することで症状の改善につな繋がる可能性もあります。 指の第1関節の動作は、日常生活でなかなか意識しづらいことではあるものの、知らず知らずのうちによく利用している部位です。 手指を動かすたびに疼痛症状が出現するようならば、痛みを悪化させないための対策や工夫を講じることが重要です。 まとめ|ヘバーデン結節のやってはいけないことを避けて症状改善を目指そう ヘバーデン結節は、高齢者はもちろん若年層でも発症の危険性がある疾患です。 放置すると徐々に指の変形が進行し、最終的には横を向いてしまう危険性もあります。ただし、日常生活におけるさまざまな工夫によって疼痛症状の改善は可能です。 へバーデン結節におけるやってはいけない・予防事項を認識しながら、前向きな対処策を実践していきましょう。 なお、当クリニックではヘバーデン結節をはじめとする手指に関する病気にお悩みの方を対象に無料相談を実施しています。お気軽にご相談ください。 ヘバーデン結節に関するQ &A この項目では、ヘバーデン結節に関するよくある質問をもとに、当クリニックの観点から回答を提供しています。 ヘバーデン結節にお悩みの方や発症を心配している方は、参考にしてみてご確認ください。 ヘバーデン結節を放置するとどうなる? ヘバーデン結節を放置してしまうと、長期間にわたって変形が進行するとされています。 変形が進むと屈曲した状態で関節が固まり痛みがなくなる傾向にありますが、骨の変形であることから元に戻すことが困難になってしまいます。 ヘバーデン結節になったら食べてはいけない食べ物は? ヘバーデン結節における食べ物で気をつけなければならないのは、リン酸を多く含む食品の過剰摂取です。具体的には、加工食品やスナック菓子・インスタント麺などが挙げられます。 対して、イソフラボンを含む豆製品やカルシウムを含む食品はヘバーデン結節の症状改善に有効とされているので、意識的な摂取を心がけましょう。 へバーデン結節は何科を受診したほうがいいですか? へバーデン結節は整形外科を受診しましょう。 また、へバーデン結節の兆候としてみられる「爪が変形して凸凹になる」現象が顕著で、不安を抱く方は皮膚科の受診を検討しても良いでしょう。 ヘバーデン結節は何人に1人くらいの割合で発症していますか? ヘバーデン結節は日本の人口約1億2千万人に対して3千万人の推定患者がいると言われています。 高齢であればあるほど発症率は高くなりますが、スマートフォンの普及に伴い若年層でも発症する疾患です。 50代 約29% 60代 約35% 70代 約51% 80代 約59% 疑いがあるときは「自分は大丈夫」と油断せずに、整形外科の受診を検討しましょう。 ▼ 再生医療に関する詳細は以下をご覧下さい 自分自身の自ら再生しようとする力、先端医療が自然治癒力を活かして治します
2022.01.18 -
- ひざ関節
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変形性膝関節症!発見には膝の症状がポイント 膝に痛みを及ぼす疾患が変形性膝関節症です。 変形性膝関節症になると、人間の基本的な動作である「歩行」に影響をもたらすことで、活動量が減るなど日常生活に支障を及ぼします。その原因は、靭帯や半月板の怪我からくる場合を除いて、ほとんどは加齢に伴った関節軟骨の摩耗がきっかけです。 特に40代以降の女性に多く発生するため、中高年で感じる膝の痛みのほとんどは、変形性膝関節症からくる痛みだともいわれています。そんな変形性膝関節症の治療方針は、膝に負担のかかる生活スタイルを見直し、膝周囲の筋肉を鍛える運動療法に取り組むことです。 そうした保存療法の継続が、関節を安定させ、これまで通りの痛みのない日常につながるのです。そのためには、いかに早期に発見できるかがポイントです。そこで今回は、変形性膝関節症の初期症状から、もし当てはまった場合には、実際にどういった行動に移せば良いのかまで紹介していきます。 変形性膝関節症の進行度と症状 変形性膝関節症の自覚症状は、前期>初期>中期>末期の4つの段階を踏んで進行していきます。前期では、膝にほとんど痛みはありませんが、初期になると軟骨がすり減り始め、膝に痛みや違和感や感じるようになります。 進行が進んだ中期になると膝に変形がみられ、さらに進行した末期になると痛みから立つ・歩くなどの日常生活を過ごすのが困難になり、手すりや杖などに頼らないと姿勢を保てない状態になります。 症状 変形性膝関節症・進行度 ・前期:ほとんど痛みを感じない ・初期:軟骨にすり減り、痛み、違和感を感じ始める ・中期:膝に変形がみられる ・末期:日常生活が困難になる、手すり杖が必要になる 変形性膝関節症を見逃さないため、初期に現れやすい症状を知る 変形性膝関節症は早期発見が大切です。そのためには進行が始まり、「痛み」や「違和感」を感じだす前段階で発見することが重要になります。 この段階で異変に気づき病院を受診され、変形性股関節症を早期に発見できれば、治療の選択肢が増えるだけでなく、積極的に運動療法に取り組め、重症化を防げる可能性が高くなります、。 初期症状を見逃さないポイント ・朝起きた時に膝にこわばりを感じる ・膝を伸ばそうとすると引っ掛かりを感じる ・椅子から立ち上がろうとすると痛みが走る ・歩き出しに痛みがある ・正座をすると「ズキっ!」と痛みを感じる 早期発見が治療の選択肢を増やす 変形性膝関節症に早期に気づき、運動療法に取り組むことで悪化を防ぐことができます。運動療法で痛みが引かない場合、薬物療法や物理療法、装具療法などで痛みを抑えながら、運動療法に取り組めるよう工夫します。 あらゆる手を尽くしても効果がみられない場合には、観血療法という選択肢がありますが、手術の種類によっては進行しすぎていると実施できないケースがあります。 たとえば、体への侵襲が大きな人工関節置換術や高位脛骨骨切り術を、「今はしたくない」場合には、負担が少なく、術後の回復も早い関節鏡視下手術という選択肢があります。 しかし、変形が進行した状態では、関節鏡視下手術をしたところで、改善が見込めない場合があるので注意が必要です。 変形性膝関節症の初期なら運動療法で悪化を防げる 変形性膝関節症の治療の基本は運動療法ですが、初期から実施するのと、末期から実施するのでは大きな違いがあります。初期の運動療法には悪化を防ぐ目的があり、継続して行うとこれまで通りの生活を送れる可能性があります。 一方、発見が遅れた末期では、痛みが強く日常生活をまともに送るのは難しい状態です。そのため、満足に運動療法に取り組めず、これまで通りの生活を送れる可能性は低くなることから、早期発見が変形性膝関節症の治療において大切です。 病院で変形性膝関節症と診断されるまで 中高年以降で、膝に「痛み」や「違和感」を感じたら整形外科の受診をおすすめします。 変形性膝関節症の診断は、問診・視診・触診・画像診断などの検査を複合して判断されます。問診では家族歴・半月板や靭帯損傷などの怪我の既往歴を聞き、視診では歩行状態から進行の程度を確認、触診では膝の変形具合や水がたまっていないかなどを確認します。 変形性膝関節症の進行の程度は、X線検査の後、Kellgren-Lawrence分類によって分けられます。関節の隙間が確保されているグレード0から、関節の隙間がなくなってしまった状態のグレード4まで分けられます。 しかし、必ずしも画像診断の進行度合いと自覚症状が一致するとは限りません。画像診断では進行していても、自覚症状があまり強くない場合や、その逆の場合もあります。 そのため、軽度の痛みや、ちょっとした違和感でも変形性膝関節症が進んでいる可能性があることから、注意が必要です。 変形性膝関節症と似たような病気 膝に痛みがあっても、全ての膝の痛みが変形性膝関節症ではありません。膝関節以外の痛みや発熱の有無など、問診や触診の情報を元に、「関節リウマチ」「痛風」「化膿性関節炎」などを疑います。 検査では血液検査や関節液の成分を検査し、検査結果を元に変形性膝関節症以外の病気である要素を取り除いた上で、はじめて変形性膝関節症と診断されます。 まとめ・変形性膝関節症!発見には膝の症状がポイント 変形性膝関節症は中高年以降の女性に多く発生する病気で、膝の痛みの多くは変形性膝関節症からだといわれています。 変形性膝関節症の症状は、痛みと変形が特徴です。初期には強い痛みや変形を感じることは少ないものの、変形性膝関節症は進行性の病気です。放っておくと取り返しがつかないところまで進行するケースがあります。 そうならないためにも、早期に変形性膝関節症に気付くことが治療の選択肢を増やし、悪化を防ぎます。 変形性膝関節症の早期発見ができれば、保存療法(運動療法、薬物療法など)や手術療法というように、あらゆる選択肢の中から、膝の状態や自分自身の意向に沿って治療に取り組めるのです。 そのため、「軽度な痛み」や「違和感」程度でも放ったらかしにしないで、整形外科を受診しましょう。 ▼ 再生医療で変形性膝関節症の治療する 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せず、入院不要で症状を改善する No.039 監修:医師 坂本貞範
2022.01.18