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PRP療法(多血小板血漿療法)とは、患者様自身から採取した血液から『多血小板血漿(Platelet-Rich Plasma:PRP)』を抽出し、損傷部位に注射して治療を行う再生医療の一種です。 PRP療法の対象は、関節や筋肉、腱、靭帯の疾患・外傷をはじめ、骨治癒の促進や手術創部の治療補助、美容医療における肌のシワ・たるみまで多岐に渡ります。侵襲の少なさから世界的にも注目されている治療法です。 さまざまな分野で行われるPRP療法ですが、以下の疑問を持つ方もいるでしょう。 「良い話ばかり見るけれど、デメリットはないの?」 「本当に効果はあるの?痛みはどれくらい?」 「実は費用が高いのでは?」 この記事では、PRP療法の6つのメリットと4つのデメリットを解説します。治療に不安のある方は、ぜひ参考にしてください。 PRP療法のメリット|患者様の声も合わせて紹介 最初にPRP療法のメリットを見てみましょう。 認可を受けたクリニックだけが施術できるから安心 施術できる部位(肩・肘・膝・手首・足首など)が多い 副作用(アレルギー反応・合併症など)のリスクが少ない 手術を行わないので最短30分で施術が完了 通院だけで治療でき日常生活に復帰しやすい プロアスリートの成功症例も多数あるので信頼がおける 患者様の声も交えて、この6項目について紹介します。 1.認可を受けたクリニックだけが施術できるから安心 再生医療の一種であるPRP療法は、厚生労働省の認可を受けたクリニックだけが行える治療法です。「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」によって、「再生医療等提供計画(治療)」を作成して審査を受け、厚生労働大臣へ提出するよう定められています。 リペアセルクリニックも「第二種・第三種再生医療提供計画」を厚生労働省に届出し、受理されています。PRP療法は第三種に分類されており、以下のページで届出内容を確認可能です。 参照:届出された再生医療等提供計画(治療)の一覧|厚生労働省 2.施術できる部位(肩・肘・膝・手首・足首など)が多い PRP療法は、以下のように幅広い部位・疾患に対応できるのが特徴です。これらは一例であり、書かれていない疾患や、難治性の疾患にも対応可能な場合があります。 部位 疾患 肩 四十肩・五十肩 肩腱板損傷 インピンジメント症候群 肘 肘内側(ゴルフ肘)上顆炎 肘外側(テニス肘)上顆炎 手首 手首の靭帯損傷 TFCC損傷 股関節 変形性股関節症 膝 変形性膝関節症 半月板損傷 膝靭帯損傷 膝蓋腱炎(ジャンパー膝) オスグッド・シュラッター病 足首 アキレス腱炎 足首靭帯損傷 足底腱膜炎 筋肉 肉離れ(筋断裂) またPRP療法は、肌の再生作用にも効果があります。PRPに含まれる成長因子が皮膚組織の修復や再生にはたらくため、美肌治療としても受けていただけます。 3.副作用(アレルギー反応・合併症など)のリスクが少ない PRP療法は、患者様自身から採取した組織・細胞で自分を治す方法です。 ワクチン接種のような身体に異物を注射するものとは異なり、アレルギー症状などの拒絶反応は引き起こしにくく、副作用は非常に少ないとされています。 また、PRP療法は手術を伴わないため、全身麻酔によるアレルギー症状や手術部の感染など合併症の心配もありません。PRP療法は手術と比較し、安全性の観点でメリットが多い治療法です。 患者様からも、以下のメリットを感じるとの声が挙げられています。 手術自体のリスクや、感染症の不安が無い 副作用が少ない 4.手術を行わないので最短30分で施術が完了 PRP療法において、患者様の体への負担は「血液の採取」と「患部への注射」だけです。手術を行わないため、施術は最短30分で完了します。 身体にメスを入れて切ったり、開いたりといった複雑な操作をしないため、安全に配慮した処置ができます。処置の痕が残りにくいことも特徴です。 実際にPRP治療を行った患者様からは、以下の感想をいただくことがあります。 注射だけの処置で、処置の痛みも一瞬だった 処置がすごく短時間で簡単に終わったのでびっくりした 5.通院だけで治療でき日常生活に復帰しやすい PRP療法は通院による治療が可能です。さらに、PRP療法は実施後から日常生活に戻れるため、患者様への負担が非常に少ない治療法です。 処置当日は、施術部位の感染予防のために入浴やシャワーなどを控えていただくことが多いですが、翌日からは入浴やシャワーも可能になります。激しい運動は数日間控える必要はありますが、軽い動作は問題ありません。 手術を行う場合は、数日から数週間の入院期間に加え、リハビリ期間も必要なことから、日常生活への負担も大きくなりがちです。一方PRP療法では、日常生活への影響を最低限に抑えて治療できます。実際に治療を受けた患者様からは、以下のような声も多く聞かれます。 入院の必要が無い 通院だけで処置を終えることができ、家族の心配や仕事に支障をきたさない 学生の場合は、入院による学業の遅れや、単位の不足など進学や留年の心配がない 家族や友人との時間を犠牲にしない 6.プロアスリートの成功症例も多数あるので信頼がおける PRP療法は、けがをしたプロアスリートにも選ばれています。 プロアスリートは、治療の効果だけでなく、治療後にパフォーマンスを維持できるかも重視しています。彼らに選ばれるPRP療法は、信頼できる治療法といえるでしょう。プロアスリートとPRP療法について興味のある方は、以下の記事をご覧ください。 PRP療法のデメリット ここからは、PRP療法のデメリットを紹介します。以下の順で確認していきます。 効果の程度・現れるまでの期間に個人差がある 処置部位に腫れ・痛みが出ることがある 治療にかかる費用負担が大きくなりやすい 一部の条件に該当する方は治療を受けられない 1.効果の程度・現れるまでの期間に個人差がある PRP療法の効果の程度や現れる時期、効果の持続時間には個人差が見られます。 ただ、個人差自体はどのような治療にも存在しており、PRP療法に特有のデメリットではありません。むしろ、PRP療法は患者様自身の血液を利用するため、この個人差は副作用のリスクが少ないメリットの裏返しとも考えられます。 2.処置部位に腫れ・痛みが出ることがある PRP療法を実施した後の数日間は、処置した部位に痛みや腫れ、発赤などの症状が出ることがあります。この痛みや腫れについても個人差があり、まったく腫れや痛みを実感しない方もいれば、数日間腫れが続く方もいます。もっとも、腫れや痛みは一過性のものであり、抗生物質などの治療を行わなくても自然経過によって改善するケースが多いといわれています。 まれに処置部位が感染するケースもあり、抗生物質による加療が必要なこともあります。ただし、このリスクはPRP療法に限らず、ワクチン接種などの注射を伴う医療行為全般に共通するものです。 腫れや痛みが出る可能性はありますが、PRP療法は手術を伴わないため、手術療法で起こり得る再手術や入院期間の延長といったリスクがありません。この点から、腫れや痛みはデメリットではあるものの、手術の副作用と比べると軽微です。 3.治療にかかる費用負担が大きくなりやすい 再生医療であるPRP療法は、まだ新しい治療法であるため、現在の日本では健康保険の適応がない疾患が多いです。PRP療法の処置のほか、処置後にリハビリテーションを行う場合も自費負担になることもしばしばあります。 例としてリペアセルクリニックの治療費用を見てみましょう。すべて自由診療で治療しており、PRP療法を1回行った場合の費用は165,000円(税込)です。このほか、専門医による初回診察や感染予防のための血液検査にも費用がかかります。 しかし、PRP療法は入院しなくても処置ができます。保険適用の手術でも、入院費用も含めると高額になる傾向があります。それらを踏まえると、保険適用の手術よりPRP療法の処置費用の方が安く済むケースもあります。 4.一部の条件に該当する方は治療を受けられない PRP療法は安全性の高い治療法ですが、すべての方が受けられるわけではありません。以下に当てはまる方は、治療を受けられない場合があります。 心臓や肝臓に疾患がある方 感染症や血液疾患がある方 妊娠をされている方 その他、カウンセリングで医師が不適当と判断した方 最終的には、患者さん一人ひとりの状態を慎重に見極め、医師が判断します。気になることがありましたら、遠慮なく担当医へご相談ください。 まとめ|PRP療法のメリット・デメリットが気になる方はお気軽にお問い合わせください PRP療法は、手術と比べて合併症や副作用のリスクが少なく、安全性が高い点が大きなメリットです。入院不要で施術時間も短いため、日常生活への影響も最小限で済みます。 一方で、効果の個人差や費用面など、PRP療法にもデメリットがあります。どんな治療法でもいえることですが、受診した医療機関や主治医から十分な説明を受けて、自分なりに理解した上で決めていきましょう。 リペアセルクリニックでも、PRP療法に関するご相談を受け付けています。患者様ごとのメリット・デメリットについても丁寧にご説明しますので、お気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/
2022.06.08 -
- ひざ関節
- 関節リウマチ
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
- 靭帯損傷
- 膝部、その他疾患
膝関節は、大腿骨、脛骨および腓骨、また膝蓋骨などが組み合わさって作られています。日常生活でスムーズかつ自由な伸展運動ができるよう、半月板や靭帯をはじめとする周囲の構造物が膝関節を補助しています。 何気ない動作において、「膝の裏に痛みを感じる」「ピキッと音が鳴る」といった違和感を覚えた経験がある方もいるでしょう。 膝を形成している組織が、スポーツなどの外傷や加齢、自己免疫異常などによる異常をきたして損傷が起こると、膝の裏の部位で疼痛(痛み)が生じます。 今回は、膝の裏が痛い原因やピキッと鳴るときに考えられる病気と対策を解説します。医療機関での治療法のほか、セルフケア方法もまとめているので、ぜひ参考にしてください。 膝の裏がピキッと痛むときに考えられる9つの病気 膝の裏が痛む際に原因として考えられる疾患には、変形性膝関節症や関節リウマチのほか、膝部位に存在する靱帯の損傷などがあります。 膝の裏が痛い場合に考えられる疾患 変形性膝関節症 半月板損傷 ベーカー嚢腫(のうしゅ) 関節リウマチ 靭帯の損傷(事故や、スポーツなど) 以下で、それぞれ詳しく解説していきます。 ▼ 膝の痛みを放置するリスクについて知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 1.変形性膝関節症 変形性膝関節症は、中高年の女性によくみられます。 関節の軟骨がすり減って膝の内側や裏からふくらはぎにかけて痛くなり、正座がしにくくなります。変形が進行して症状が悪化するとO脚になり、末期になると歩行が困難になって人工関節の手術が必要です。 変形性膝関節症によって膝の関節が硬くなると、膝を伸ばすときに裏が痛くなります。また、膝を曲げ伸ばしする際に「ミシミシ」「ゴリゴリ」といった音が鳴るケースも珍しくありません。 ▼ 変形性膝関節症によるO脚の例 また、膝関節が炎症して水が溜まると、膝の裏から太ももの前側にかけて全体的に痛みを感じるようになります。(文献1) ▼ 変形性膝関節症について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。 2.半月板損傷 膝の裏がピキッと痛む原因として考えられる疾患の一つが、半月板損傷です。 半月板は膝関節におけるクッションの役目があり、スポーツや事故による怪我、あるいは加齢に伴う変性によって損傷することがあります。 半月板が損傷すると、膝の裏側に痛みを感じるケースも珍しくありません。また、膝が動かなくなるロッキングを起こしたり、曲げ伸ばししづらくなったりします。 3.ベーカー嚢腫 ベーカー嚢腫も、膝の裏がピキッと痛むときに考えられる疾患の一つです。 ベーカー嚢腫とは、なんらかの原因で膝関節が炎症を起こし、関節液が増えて膝裏の滑液包に流入してできた袋状のコブを指します。 ゴルフボールぐらいのサイズに大きく腫れることもあり、膝の裏が突っ張った感覚を覚えます。 放置しているうちに腫れが治る場合もありますが、痛みが強いときは、針で水を抜くケースも少なくありません。なお、ベーカー腫瘍は主に変形性膝関節症や半月板損傷、関節リウマチ、化膿性関節炎などが原因とされています。(文献2) ▼ ベーカー嚢腫について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。 4.関節リウマチ 関節リウマチの患者数は、現時点でおおむね80万人といわれており、発症原因は自己免疫系統の異常とされています。自分自身の軟骨組織や骨成分を攻撃・破壊して関節部位に炎症を引き起こすと、膝裏に疼痛症状をもたらすと考えられます。(文献3) 関節リウマチを発症しやすい年齢は、30~50代前後の中高年層です。また、性別に関しては男性よりも女性で発症率が高いことが指摘されています。 なお、関節リウマチの初期段階では、手指の関節領域が左右対称に腫れるほか、倦怠感や食欲不振など自覚症状を引き起こす懸念があります。 ▼ 関節リウマチの対処方法を詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 5.靭帯損傷 靭帯損傷のなかでも、とくに後十字靱帯の損傷の場合、膝裏を伸ばしたときにピキッとした痛みを感じることも少なくありません。(文献4) 膝関節には4つの靱帯があり、重要な役割を担っています。膝の左右両側にあるのが内側側副靱帯と外側側副靱帯で、前後部位には前十字靱帯と後十字靱帯が走行しています。 たとえば、交通事故に遭ったり、スポーツ活動中に怪我を負ったりして、物理的に大きな衝撃が膝関節に負荷となってかかると、膝の靱帯が損傷・断裂して強い痛みを伴うでしょう。 とくに、靭帯を損傷してから3週間前後の発症して間もない頃には、膝裏の痛みのほか、伸展運動がしにくいといったサインも認められます。 受傷後1か月ほど経過した段階では、膝関節内部に血腫が貯留して腫れの所見が目立つこともあれば、損傷部位によっては膝関節の不安定さが少しずつ顕著になるケースもあります。 6.膝裏の筋肉の損傷 膝の裏側に位置する膝窩筋(しつかきん)の損傷も、ピキッと痛む原因の一つです。膝窩筋とは、膝裏の奥にある小さな筋肉で、膝を屈曲する際に重要な役割を果たします。 過度な負荷や無理な動きによって筋肉や腱が損傷すると、次のような症状が現れます。(文献5) しゃがむと痛い しゃがんで立つと膝の裏が痛い 膝を伸ばすとふくらはぎや太ももの裏が痛い 膝を曲げると膝裏が痛い 階段を上り下りする際に膝の裏からふくらはぎにかけて痛い 膝窩筋が損傷すると、膝裏にピキッと痛みを感じることが多く、とくにしゃがむ動作や立ち上がる動作で痛みが顕著になります。症状が悪化するとふくらはぎや太ももの裏など、周辺の筋肉にも痛みが波及するため注意が必要です。 7.腰椎ヘルニア・坐骨神経痛 太ももの後ろからふくらはぎにかけて痛みがある場合は、腰椎ヘルニアや坐骨神経痛も考えられます。神経の圧迫によって膝裏に痛みが放散され、痺れやズキズキした痛みを感じることがあります。 腰椎ヘルニアや坐骨神経痛による膝裏の痛みは、とくに立ったり歩いたりしているときに痛みが強くなることが特徴です。また、安静時にも痛みを感じる場合があり、睡眠中に痛みで目が覚めるケースも珍しくありません。 腰椎ヘルニアや坐骨神経痛が痛みの原因の場合は、腰部の治療が不可欠です。膝裏の痛みがひどくなる前に、早めに理学療法や薬物療法を行ってください。 8.リンパによる膝の裏の痛みや腫れ リンパ液の流れが悪化することによる膝裏の痛みや腫れも、ピキッと音が鳴る原因の一つです。 リンパ管は体内の老廃物を運ぶ役割を担っており、通常、筋肉の収縮や体の動きなどによって流れています。しかし、同じ姿勢で長時間過ごしたり、食生活が偏ったりしてリンパの流れが悪くなると、膝裏に痛みや腫れが生じます。 なお、リンパ液が滞った状態を放置すると、膝周辺が硬くなりさらに痛みを伴う可能性が高いため注意してください。 適度な運動やマッサージ、適切な食事をしてリンパの流れを改善・促進することが大切です。 9.反張膝 反張膝(はんちょうひざ)が原因で、膝裏がピキッと痛む場合があります。 反張膝は、膝関節が角にそり返った状態を意味します。通常、膝はまっすぐに伸びているのが正常です。しかし、班長膝の場合は膝が後ろに飛び出るような形に曲がるため、結果として膝裏に圧力がかかり、痛みが生じます。 なお、反張膝は太ももの前後の筋肉バランスの悪さや、大腿四頭筋や腸腰筋、前脛骨筋などの筋力の低下によって起こります。反張膝を放置すると、膝への負担が蓄積され、関節の変形や痛みの慢性化につながるため注意が必要です。 膝の裏がピキッと痛むときの治療法 ここでは、膝の裏がピキッと痛むときの具体的な対処法や治療法を解説します。 幹細胞やPRPによる再生医療 膝裏がピキッと痛むときの治療法として、最近では幹細胞やPRPによる再生医療が注目されています。再生医療とは、自然治癒力を最大限に引き出すための医療技術で、幹細胞や血小板の投与によって高い治療効果が期待できることが特徴です。 たとえば、変形性膝関節症が原因で膝の裏が痛む場合、初期段階ではヒアルロン酸注射やリハビリテーション、内服で様子を見ます。しかし、変形が進むと、人工関節置換術などをすすめられる場合がほとんどです。幹細胞やPRPによる再生医療は、手術を避けたい場合の新しい選択肢だといえるでしょう。 再生医療は、変形性膝関節症のほか、半月板損傷や腰椎ヘルニアなどの治療としても期待されています。 リペアセルクリニックでは、再生医療による膝の痛みの治療を行っています。なお、メール相談やオンラインカウンセリングも実施しているので、ぜひ気軽にご連絡ください。 ▼ 再生医療で膝の痛みを治療する 膝の痛みは、再生医療なら入院や手術をせずに改善を目指せます 手術治療とリハビリテーション 膝裏に重度の痛みを感じる場合や保存療法が効果を示さない場合には、手術を検討します。 とくに、変形性膝関節症や半月板損傷、靭帯断裂などが原因で膝裏に痛みがある場合は、手術治療が必要になるケースも珍しくありません。 また、術後には理学療法士やトレーナーなど専門職と相談しながら、状況に応じて適切なストレッチやリハビリテーションを実践し、早期回復に努めます。リハビリテーションは、膝の再受傷や二次的な外傷を回避するために以下の内容を中心に行われます。 体幹を鍛える 柔らかいボールなどを膝下で転がすように動かす 座位の状態になって膝を伸展させる 大腿部の筋肉を鍛える など なお、手術治療の方法は、膝の痛みの根本的な原因によって異なります。早期回復を目指す場合には、最小限の切開で済む膝関節鏡による手術をすることが一般的です。 膝の水抜き 膝の裏の痛みと同時に水が溜まっているときは、膝の水抜きをします。膝に水が溜まる原因には、変形性膝関節症や半月板損傷、ベーカー嚢腫などがあります。 膝の水が自然になくなるケースもありますが、膝裏の腫れや突っ張り、違和感があるときには水を抜くことが一般的です。 膝に水が溜まるのは、膝関節内で炎症が起こり、関節液が過剰に分泌されるためです。膝の水を抜くことで、痛みを軽減できます。ただし、膝の水抜きは一時的な効果にすぎないケースも多いため、原因に対する根本的な治療もあわせて行う必要があります。 ▼ 膝の水を抜く方法を詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 病勢進行の抑制 膝の裏が痛む原因によっては、病勢の進行を抑制するための治療をします。とくに、関節リウマチや変形性膝関節症など、進行性の疾患においては、症状を抑えるだけではなく、関節の損傷や変形を防ぐために以下のような治療が必要です。 抗炎症薬の使用 関節内注射(ステロイド注射やヒアルロン酸注射など) 生活習慣の改善 など 早期に適切な治療ができれば、生活する上で困らない程度まで痛みを軽減できるでしょう。 病勢進行を可能な限り抑制し、痛みを少しでも改善させるためには、普段から膝に大きな負荷をかけないように意識しながら対策することが大切です。 膝の裏がピキッと痛む場合のセルフケア方法 膝の裏がピキッと痛む場合は、早めの対応が痛みの軽減や早期の回復につながります。 以下で、膝裏の痛みに対するセルフケア方法を解説するので、ぜひ参考にしてください。 安静にする 膝の裏にピキッとした痛みを感じたら、まずは無理に動かさず、安静を保つことが大切です。膝に負担をかけすぎると、痛みが悪化する可能性があるため注意しましょう。とくに、急性の痛みがある場合は、できるだけ安静にするようにしてください。 安静にする際は、膝を高く保つと腫れや血流の滞りを防げます。横になるときにはクッションや枕などを使用し、膝を軽くあげると良いでしょう。安静にすることで、膝の炎症や筋肉の過度な緊張を抑えられるため、早期の回復につながります。 ストレッチをする 膝の裏がピキッと痛むときには、ストレッチも効果的です。 膝の裏のストレッチをすることで、筋肉に柔軟性を持たせて血流を促進します。膝裏の痛みに対しては、以下のストレッチがおすすめです。 ふくらはぎのストレッチ 太ももの後ろ(ハムストリング)のストレッチ 膝窩筋のストレッチ ストレッチをする際の注意点として、無理に引っ張ったり、痛みを感じるまで伸ばしたりするのは避けましょう。また、痛みを感じたときにはすぐにストレッチを中止し、かかりつけの医師に相談してください。 ▼ 以下の動画では、ふくらはぎと太ももの後ろの筋肉を中心にストレッチのやり方を紹介しています。 マッサージをする 膝の裏の痛みには、ストレッチと同様にマッサージも効果的です。膝の裏や周辺の筋肉を軽くマッサージすることで、筋肉の緊張をほぐし、血流が促進されます。 膝の裏がピキッと痛む場合は、膝の後ろからふくらはぎにかけて、手のひらで円を描くようにマッサージするのがおすすめです。 ふくらはぎを軽く揉むことで、膝裏にかかる圧力が軽減されると、痛みが和らぐ場合があります。 マッサージをする際は、痛みが悪化しないよう、力を入れすぎないことがポイントです。 テーピングやサポーターを使用する 膝の裏がピキッと痛むときには、テーピングやサポーターの使用も有効です。膝の安定性を高めることで無理な動きを制限したり負担を減らしたりすることで、痛みの軽減に役立ちます。 とくにテーピングは、膝を固定しつつ可動域を制限しないための適切な方法で行うことが大切です。テーピングの方法には専門的な知識が必要になるため、最初は専門医に相談するようにしてください。 テーピングやサポーターは膝への負担を軽減するために役立つものの、長時間使用しすぎると、筋力の低下や血行不良につながるリスクもあります。かかりつけ医に相談しながら適切にテーピングやサポーターを使用しましょう。 まとめ・膝裏のピキッとした痛みが長引くときは迷わず専門医に相談しよう 今回は、膝の裏がピキッと痛むときに考えられる病気と対策について詳しく解説しました。膝裏部が痛む原因としては、主に変形性膝関節症や関節リウマチ、膝靱帯損傷などが考えられます。 たとえば、関節リウマチは薬剤の治療成績が著しく向上し、初期段階できちんと診断して的確な治療を実践すれば治癒が期待できる病気になってきました。また、膝の靱帯を損傷した際は、早期的なアイシング(冷却)や患部固定で症状緩和につながります。 自分なりに対処策を実践しても症状が軽快しない場合や膝裏部の疼痛症状がひどくて悪化するような場合は、早めに整形外科などの専門医を受診しましょう。 膝裏のピキッとした痛みに関するよくある質問 ここでは、膝裏のピキッとした痛みに関するよくある質問をまとめました。 膝の裏は歩きすぎると痛みやすい? 長時間の歩行は膝に負担がかかるため、膝裏の痛みを引き起こす可能性があります。とくに、硬い地面を歩いたり、無理なペースで歩行したりすると痛みがでやすいでしょう。 長時間歩くときには、適切な靴を履き、歩行姿勢に気をつけることがポイントです。また、歩行する前後でストレッチや軽いマッサージをすると、筋肉の緊張を和らげて膝への負担軽減につながります。 膝の裏が痛むときに専門医に相談すべき目安は? 膝の裏が痛むときは早めに医師へ相談するべきです。 膝の裏が痛むときに考えられる原因はさまざまで、比較的軽度なものから、自身では気づけないような重度な疾患まで存在します。自己判断して膝の痛みを放置してしまうと、日常生活に支障をきたす恐れがあります。症状が悪化すると歩行が困難となり、治療後に後遺症が残ってしまう可能性もゼロではありません。 膝の裏の痛みは軽視せず、最寄りの医療機関を受診するか、リペアセルクリニックのメール相談やオンラインカウンセリングまで気軽にご連絡ください。 膝裏のピキッとした痛みは予防できますか? 膝裏の痛みに対する予防には、筋力トレーニングやストレッチが効果的です。 大腿四頭筋やハムストリング、ふくらはぎなどの筋肉を鍛えて柔軟性を保つことで、膝の安定性を維持しやすくなります。また、正しい歩行姿勢を保ったり適切な体重を維持したりすることも、膝への負担を軽減し、痛みの予防につながります。
2022.06.07 -
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- 膝に赤みや腫れ
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
この記事に辿り着いたあなたは、突然膝が腫れ、原因がわからず悩んでいるのではないでしょうか。 心当たりがないのに、膝の赤みや熱感、痛みがひどくなり、不安になる方もいるかもしれません。 膝の腫れは、炎症反応によるもので、なんらかの病気によるものが隠れている可能性も考えられます。 場合によっては、長期的な治療を必要とするものもあるでしょう。 本記事では、膝が腫れる原因の病気と対処法について詳しく解説しています。本記事が膝の腫れを改善させるきっかけとなれれば幸いです。 膝が腫れる原因は病気による炎症の可能性あり 膝が腫れて炎症が起こっている原因には、以下のような病気が隠れている可能性があります。 変形性膝関節症 半月板損傷 関節リウマチ 痛風 その他の病気(糖尿病や感染症) 本章では、膝が腫れる原因の病気について解説します。紹介した症状に心当たりのある方は、受診を検討しましょう。 また、膝に水が溜まっている感じがする方は、下記の記事も参考にしてみてください。 変形性膝関節症 膝が腫れて痛む有名な病気としては「変形性膝関節症」があげられます。 変形性膝関節症の原因は、加齢や遺伝的要因、もしくは体重増加による膝関節への過度な負担です。膝関節に負担がかかると関節軟骨が摩擦ですり減り、強い痛みを感じやすくなります。 初期症状は軽度(膝のこわばりや違和感)の場合があり、病気に気づきにくいケースもあります。 悪化すると、膝の可動域が狭くなり、歩行や正座など日常の動作が痛みでつらくなるでしょう。 末期には動いていないときでも痛みを感じ、日常生活に支障をきたす場合も少なくありません。 変形性膝関節症の初期症状や治療法は、以下の記事も参考にしてください。 半月板損傷 膝の腫れを伴う症状として「半月板損傷」も疑われます。半月板は膝関節の中にある三日月の形をした軟骨組織です。膝にかかる負荷を和らげるクッションの役割を果たしています。 スポーツや事故などにより膝に急激な負担や強い衝撃を与えると、半月板損傷になる可能性があります。 変形性膝関節症のほとんどは高齢者であるのに対し、半月板損傷は激しいスポーツをする若年層でも多くみられるのが特徴です。 半月板損傷になると、膝の痛みや腫れで動かしにくくなり、スイッチが入ったように膝関節が動かなくなる「ロッキング」が起こります。 関節リウマチ 「関節リウマチ」は、軟骨や骨組織が「免疫異常」によって攻撃されて関節部位の炎症が起こる病気です。この炎症反応により、関節の腫れ・強い痛みを自覚することもあるでしょう。 関節リウマチの症状の特徴は、手足の指の関節が左右対称性に腫れることです。 初期段階では指のような小さい関節に多くみられますが、膝や股関節など大きな関節に出る場合もあります。(文献1) そのため、関節リウマチによって膝が腫れることも考えられるでしょう。 関節の症状に加えて発熱や倦怠感、貧血など全身症状を伴う場合もあります。また、病気が進行すると軟骨の破壊が始まり、関節の曲げ伸ばしがつらくなる場合もあるでしょう。 関節リウマチについてより詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。 痛風 膝関節部が腫脹を認める疾患として「痛風」も考えられます。痛風は尿酸値が高い「高尿酸血症」に付随する症状のひとつです。 生体内で尿酸成分が過剰に貯留されると、膝関節を始めとする関節部位に尿酸の結晶が溜まり、炎症を引き起こして腫れを生じます。 痛風は足の親指が有名ですが、膝関節にも症状があらわれるケースもあります。 痛風を放置すると関節の激痛や腫れを繰り返し、最終的には腎不全にまで進行する可能性も考えられるでしょう。放置せずに適切な処置をとることが大切です。 尿酸はビールや甲殻類に多く含まれる「プリン体」が体内で分解されてつくられる成分です。そのため、カロリーの高い食事やアルコールの過剰摂取など食生活の乱れは痛風の一因と考えられています。(文献2) 痛風が出る部位や症状について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 その他に考えられる病気 糖尿病や感染症なども膝が腫れる一因として考えられます。 手術やケガなどでできた傷口から細菌が入り、炎症を引き起こします。 症状が悪化すると敗血症のリスクがあるため注意が必要でしょう。(文献3) 感染症により膝の腫れを引き起こす「化膿性関節炎」について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 日常生活に関する習慣性によって膝が腫れる場合もあります。 普段から立ち仕事や激しいスポーツなど膝への負担が多い場合は注意が必要です。無理をせず適当なタイミングで休憩するようにしましょう。 また、肥満状態は膝に大きな負担をかけています。肥満による体重増加は、膝の腫れを悪化させる大きな要素です。 バランスの良い食事や定期的な運動で適正体重を保つように注意しましょう。 膝が腫れて痛い場合は冷やして安静にする 膝に熱感があり、腫れて痛い場合は冷やして安静にして様子をみましょう。 自宅や突然膝の腫れを感じた場合の応急処置は、下記の「RICE」が基本です。(文献4) R(Rest):患部を固定して安静にする I(Ice):氷をアイスバッグや袋に入れて、患部を冷やす C(Compression):テープや包帯などで患部を圧迫ぎみに固定する E(Erevation):患部を心臓より高い位置に挙げる 上記はあくまですぐにできる応急処置です。不安があれば翌日または当日に受診をしましょう。 また、冷やすことで膝の痛みが悪化する場合は、筋肉の凝りや血流の悪化からきている可能性があります。その場合は冷やさず、湯船やカイロなどで温めましょう。 何科に受診すべきか悩むときは整形外科へ 膝の腫れで受診する際、何科に受診するか悩んだ際は「整形外科」を受診しましょう。 整形外科では今回解説した「変形性膝関節症」「半月板損傷」「痛風」など膝の症状があらわれる病気を対象に診療しています。 関節リウマチの特徴がみられる場合は、専門診療科の「リウマチ科」を受診しても良いでしょう。関節リウマチも他の病気と同様で、整形外科で診てもらうことも可能です。 また、膝の腫れや痛みで受診を悩む場合もあるでしょう。下記のいずれかに該当する場合は病院で診察を受けることをおすすめします。 突然膝の腫れや痛みが出た 膝の腫れが数日間も続く 冷やしても改善しない スポーツやケガなど、膝が腫れた原因が思い当たらない だるさや発熱など、他の症状もあらわれている 膝が動かしにくい、または動かない 上記に限らず膝の腫れや痛みに不安を感じる場合も、専門医に診てもらい適切な処置を受けましょう。 病院では手術・リハビリで治療する場合もある 膝の腫れに対する治療は、原因によってさまざまです。症状や医師の判断によっては、病院でリハビリや手術による治療を行う場合があります。 膝の腫れや痛みが生じる病気の治療は、以下のような処置がとられます。 症状・病気 治療の一例 手術 変形性膝関節症(文献5) 生活習慣の指導 膝関節を固定 ヒアルロン酸を注入 あまり行われないが、場合によっては手術の可能性あり> 半月板損傷 鎮痛剤の服用 膝関節の固定 リハビリ(筋肉の状態により) 手術の可能性あり 半月場縫合術 半月板切除術 ※手術によりスポーツの復帰が難しい可能性あり(文献4) 関節リウマチ(文献1) メトトレキサート(免疫抑制剤)の服用 鎮痛剤の服用または注射 リハビリ リハビリや鎮痛剤で症状が緩和しない場合は手術も検討する 人工関節置換術 関節形成術 痛風(文献2) 尿酸を下げる薬の服用 鎮痛剤や抗炎症薬の服用 患部の感染や関節機能の異常が大きい場合は手術する場合もある いずれの疾患でも、医師と患者の両者の意見に基づいて治療方針が決まります。病気の治療に不安があれば、主治医に相談してみましょう。 まとめ | 膝が腫れる原因がわからないときは医療機関に相談しよう 膝が腫れる原因は、関節の病気や外傷などさまざまです。 膝の腫れで受診した際には、症状出現前後のイベント、スポーツや立ち仕事など心当たりのあることを医師に伝えてください。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 膝が腫れるときによくあるQ&A 運動後に膝が腫れるのはなぜですか? 運動により膝が腫れるのは「半月板損傷」である可能性が高いです。 下記のようなスポーツ種目は、膝のひねりや無理のある方向転換により半月板損傷になる可能性があります。 マラソン ゴルフ バレー バスケ 野球 定期的にスポーツをされる方は、無理な膝の使い方をすると半月板を傷めやすいので注意しましょう。 膝の腫れはどのくらいで治りますか? 膝の腫れが治る期間は、原因の病気や程度によってさまざまです。数カ月で治る場合もあれば、数年以上かかることもあります。 早期に適切な処置を行うことで比較的早めの改善も期待できます。膝の腫れに違和感があれば早めに専門医に診てもらいましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療にて膝の腫れや変形性膝関節症の治療が可能です。気になる方は下記のページも参考にしてください。 膝が腫れてブヨブヨで痛いのですが… 膝に水が溜まっている可能性があります。 普段は関節の潤滑油として役割を果たしている「関節液」が炎症反応により過剰につくられているため、膝に水が溜まる現象が起こります。(文献6) 病院で水を抜く処置をしてもらうと、ブヨブヨの解消が期待できるでしょう。 また、場合によっては水を抜いた後に痛みや炎症を抑える目的でヒアルロン酸を注入する治療も可能です。受診した際に相談してみてください。 膝と同様、肘にも炎症が起こる「肘頭滑液包炎」の可能性があります。詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 参考文献一覧 文献1 日本リウマチ学会. 関節リウマチ診療ガイドライン2020. , 診断と治療社, 数カ月2021年,初版, p171 文献2 日本痛風・尿酸核酸学会. 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン[2022年追補版]. 第3版, 診断と治療社, 2022年, p73 文献3 Steven Schmitt, MD, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine at Case Western Reserve University. 感染性関節炎.MSDマニュアル家庭版. 2022.6. 文献4 日本整形外科スポーツ医学会広報委員会.3.スポーツ外傷の応急処置(RICE). スポーツ損傷シリーズ, 2023.5. 文献5 日本整形外科学会診療ガイドライン実行委員会/変形性膝関節症診療ガイドライン策定委員会. 変形性膝関節症診療ガイドライン2023. 初版, 株式会社南江堂, 2023, p147 文献6 斉藤 聖二,関節痛(炎):診断と治療の進歩1.関節の構造と関節痛(炎)の原因, 日本内科学会雑誌, 1994年, 第83巻, 第11号, p1871-1875
2022.06.07 -
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
腰に小さな痛みや違和感があり、「ぎっくり腰なのではないか」と不安を覚えていませんか? ぎっくり腰は、歩けなくなるほど痛いと言われることも多く、できれば悪化させたくないと考えている人もいるでしょう。 結論、「なんとなく腰が痛くなりそうな違和感」は、ぎっくり腰の前兆の可能性があります。 この記事では、ぎっくり腰になりそうなときの対処法や、病院を受診したほうが良いケースを解説します。 ぎっくり腰の不安の解消や、症状の緩和にお役立てください。 ぎっくり腰の前兆は「なんとなく腰が痛くなりそうな違和感」 ぎっくり腰の前兆については、明らかなものがないと言われています。 しかし、以下のようなタイミングで「なんとなく腰が痛くなりそうな違和感」があれば、ぎっくり腰の前兆の可能性があります。 重いものを持ち上げたとき 座ったり歩いたりしているとき 前かがみになったとき 咳やくしゃみをしたとき 寝ているとき 身体を起こしたとき 前兆を見過ごしてしまうと、症状が悪化してぎっくり腰になってしまうかもしれません。 ぎっくり腰を未然に防ぐためにも、次の章で解説する対処法を試してみましょう。 【前兆】ぎっくり腰になりそうなときの対処法4つ 腰に違和感があり、ぎっくり腰になりそうなときには、以下4つの対処法を試してみてください。 無理な姿勢を避ける 痛みがある場合は冷やす 身体を軽く動かす ストレスを解消する 各対処法について、ぎっくり腰の原因とともに詳しく解説していきます。 無理な姿勢を避ける ぎっくり腰になりそうなときは、無理な姿勢を避けましょう。 ぎっくり腰の正式名称は「急性腰痛症」といい、腰や背骨を支える組織に傷が付いて痛みを引き起こすと言われています。 腰や背骨を支える組織は、椎間板、椎間関節、骨膜、筋肉・筋膜、靭帯、血管などさまざまで、どの部分に原因があるかは感覚だけではわかりません。 そのため、まずは無理な姿勢を避けて、腰周りに負担をかけないことが大切です。 痛みがある場合は冷やす ぎっくり腰の前兆である「なんとなく腰が痛くなりそうな違和感」を通り越して、すでに痛みがある場合は、湿布や氷枕などで患部を冷やしましょう。 痛みの原因は腰周りの組織の炎症であるため、冷やすことで症状の改善に効果があると言われています。 ただ、冷やしすぎると皮膚を刺激し、かえって痛みが悪化してしまうおそれがあるため注意しましょう。 身体を軽く動かす ストレッチなどで身体を軽く動かすのも、ぎっくり腰になりそうなときの対処法として有効だと言われています。 ぎっくり腰の症状は、安静にしすぎると治りが遅くなる可能性があるためです。 ストレッチで腰周りにある筋肉の緊張をほぐし、血行が促進されたり可動域が広がったりすることで、腰椎への負担を減らせます。 痛みがない、または痛みが引いたら、無理のない範囲で身体を動かしてみましょう。 また、マッサージの良否は症状によって異なるため、自己判断で実施せず医師に相談してください。 ストレスを解消する ぎっくり腰になりそうなときは、ストレスを解消することも大切です。 ストレスは筋肉の緊張や血流の悪化を引き起こすため、ぎっくり腰の原因のひとつだと考えられています。 すべてのストレスを解消することは難しいかもしれませんが、十分な睡眠や休息を取るなど、リフレッシュできるよう心がけてみてください。 ぎっくり腰になると「耐えられないほどの激痛」が走ることも 前兆を放置し、ぎっくり腰になってしまうと「耐えられないほどの激痛」が走ることもあります。 正式名称である「急性腰痛症」という文字のとおり、急激に発症するのが、ぎっくり腰の怖いところです。 重いものを持ち上げたときや、前かがみになったときなどのタイミングで腰に激痛が走った場合、ぎっくり腰の可能性が高いでしょう。 ぎっくり腰の症状や原因については、以下の記事でも解説しているので、あわせてご覧ください。 ぎっくり腰ではない?病院を受診したほうが良い3つのケース ぎっくり腰やその前兆のような症状が出ており、以下のような状態の場合は、一度病院を受診してください。 痛みが2週間以上続いている・しびれがある 高齢である 発熱がある 「ぎっくり腰かと思いきや、骨折や他の病気だった」という可能性があります。 それぞれの症状について、詳しく解説します。 痛みが2週間以上続いている・しびれがある 腰周りの痛みが2週間以上続いている、またはしびれがある場合は、以下の病気が隠れている疑いがあります。 椎間板ヘルニア 脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう) そのままにしておくと痛みが長引いたり、手術が必要になったりするおそれがあるため、早めに病院を受診することが大切です。 高齢である 高齢でぎっくり腰のような痛みがある場合、「圧迫骨折」で背中の骨が折れている可能性があります。 高齢者は「骨粗しょう症」の人が多く、骨が折れやすいためです。 骨折が原因で寝たきりになってしまうこともあるため、ただのぎっくり腰だと自己判断せず、一度背中や腰の状態を診てもらいましょう。 発熱がある 腰の痛みに加えて発熱がある場合に考えられるのは、細菌やウイルスへの感染です。 脊椎が細菌に感染する「化膿性脊椎炎(かのうせいせきついえん)」の可能性もあります。 感染は抗生物質などの薬で治療する必要があるため、発熱がある場合は病院を受診しましょう。 そのまま入院となるような、重大な病気が隠れているケースもあります。 以下の記事では、ぎっくり腰で病院を受診する目安に加えて、病院に行く前の応急処置を紹介しています。 まとめ|ぎっくり腰の前兆は4つの対処法で乗り切ろう 「なんとなく腰が痛くなりそうな違和感」は、ぎっくり腰の前兆の可能性があります。 重いものを持ち上げたときや前かがみになったとき、咳やくしゃみをしたときなど、前兆が現れるタイミングはさまざまです。 ぎっくり腰になりそうなときには、無理な姿勢を避けるなど、この記事で解説した4つの対処法で乗り切りましょう。 2週間以上続く痛み・しびれ・高齢者・発熱を伴うなどの場合は、ぎっくり腰ではない病気が隠れているおそれがあるため、一度病院を受診してみてください。 当院「リペアセルクリニック」では、腰痛治療の選択肢として再生医療を提供しています。 ぎっくり腰の前兆についてよくある質問 ぎっくり腰の前兆を感じたらどうしたらいいですか? ぎっくり腰の前兆に有効な対処法は、「無理な姿勢を避ける」「身体を軽く動かす」「ストレスを解消する」です。 痛みがある場合は、まず患部を冷やし、腰回りの組織の炎症を抑えましょう。 ぎっくり腰になりそうなときにやってはいけないことは? 重い物を持ち上げたり、痛みがあるのに無理に動いたりと、腰に負担がかかることは避けましょう。 症状が悪化し、激痛が走るぎっくり腰になってしまうおそれがあります。
2022.06.06 -
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
「肩が痛くて夜眠れない……」 「肉体労働をしているから早く症状を改善したい」などと悩んでいませんか。 その症状、石灰沈着性腱板炎の可能性があります。 本記事では、石灰沈着性腱板炎の症状や発症原因、治療法などを解説します。 「できる限り早く改善したい」と考えている方は、治療までの期間も解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。 石灰沈着性腱板炎とは 石灰沈着性腱炎(せっかいちんちゃくせいけんばんえん)とは、筋肉や腱にカルシウムが沈着して起こる病気です。 石灰沈着性腱板炎に発症するのは、40〜50代の女性が多く、女性ホルモンが関係していると言われています。 部位的には体のどこにでも起こる可能性がありますが、通常は「肩の腱板」で起こる症例が多く「石灰沈着性腱板炎」と呼ばれます。 腱板は、上腕を肩につなぐ筋肉と腱の集まりです。 腱板にカルシウムが蓄積すると、腕の可動域が制限されるだけでなく、激しい痛みも生じるようになります。 石灰沈着性腱板炎の症状 石灰沈着性腱板炎の症状は主に、ひどい肩の痛みに伴って腕を動かせなかったり、眠れなかったりする方がいます。 石灰沈着性腱板炎の痛みは夜間に突発的に生じるケースが多いため、痛みで起きてしまうこともあります。 なお、石灰沈着性腱板炎の症状には、出現時期によって特徴や痛みの感じ方が異なるため、以下の表で詳しくまとめました。 時期 出現時期(発症後) 痛みの特徴 急性期 1〜4週間 ・針で刺されたような痛みがある ・安静にしていても痛む ・日常生活がままならない方もいる 慢性期 6カ月〜 ・特定の動きをする際に筋肉痛のような痛みがある ・後ろに手を回せない 上記のように、悪化すると痛みで腕を動かせない、髪をとかす、洗濯物を干すなどの腕を上げる動作で痛みを伴うケースもあります。 石灰沈着性腱板炎の原因 石灰沈着性腱板炎が発症する主な原因は、肩の使い過ぎとリン酸カルシウムの結晶化です。 それぞれ石灰沈着性腱板炎が発症する原因を、詳しく解説していきます。 原因1:肩の使い過ぎ 石灰沈着性腱板炎は、肩に負担のかかる動作を頻繁にしていると起こりやすい病気です。 重い荷物を持ち上げたり、野球やテニスのようなスポーツをしていたりする方は石灰沈着性腱板炎が生じやすい傾向にあります。 学生時代に野球やテニスをしており、社会人になっても続けている方は、腱板への負担が大きくなるため注意が必要です。 日常生活での洗濯やパソコン作業でも、肩にストレスがかかります。また、加齢に伴う腱の柔軟性の低下も発症しやすくなる要因です。 肩の使い過ぎではなく、加齢による痛みを疑っている方は、以下の五十肩・四十肩に関する記事もあわせてご覧ください。 原因2:リン酸カルシウムの結晶化 石灰沈着性腱板炎が発症する原因の1つに、腱板へのリン酸カルシウムの沈着があります。 ただし、なぜリン酸カルシウムの沈着が起こるかはまだ解明されていません。 リン酸カルシウムの結晶は、最初はミルク状ですが、徐々に歯磨き粉のような状態を経て、最終的に硬く大きくなります。 なお、リン酸カルシウムの沈着は、遺伝的素因や糖尿病などの代謝性疾患に伴うと知られています。 石灰沈着性腱板炎の診断方法 石灰沈着性腱板炎の診断方法はまず、腕を上げたり、腕を回したりして、可動域の制限を確認します。可動域制限の診察終了後、カルシウムの沈着やその他の異常がないか調べるために、画像検査を行います。 超音波検査を利用するケースもあり、X線検査では見逃された小さな沈着物を見つけ出せるのが特徴です。 石灰化した沈着物の大きさや場所を正確に評価するためにCT検査を、腱板断裂が合併していないか確認するためにMRI検査をする診断方法もあります。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けています。 事前に相談しておきたい方や治療の流れなどが気になる方は、気軽にご連絡ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 石灰沈着性腱板炎の治療法と予後 石灰沈着性腱板炎は多くの場合、手術をせずに治療できます。 ここからは石灰沈着性腱板炎の治療法と、予後について解説していきます。 薬物療法 石灰沈着性腱板炎の薬物療法では、炎症や痛みの緩和を目的に、以下の薬を処方しています。 薬ごとの種類や特徴は以下の通りです。 薬の種類 詳細 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) ・薬物療法の第一選択肢 ・炎症を抑え痛みを和らげる効果が期待できる ・ロキソニンやボルタレン、湿布などが該当する ・痛みが軽度なら内服薬、重い場合は外用薬が適用されるケースが多い 鎮痛剤 ・非ステロイド性抗炎症薬では痛みがある場合に処方される ステロイド薬 ・痛みに対する強めの薬 ・肩への局所麻酔するケースもある ・長期使用は腱を弱める可能性があるため要注意 理学療法(リハビリ) 薬物療法で痛みに十分対処したのち、中等度または重度の症例では、可動域を回復させるために理学療法(リハビリ)をおこないます。 リハビリの種類 詳細 ストレッチ ・肩の可動をスムーズにするため実施 ・実施しないと肩の動きが制限や痛みが発生しやすい 筋肉トレーニング ・肩周辺の関節や筋肉強化が目的 ・関節の安定につながり再発予防が期待できる 運動療法 ・ボールやタオル、ゴムバンドなどを使った運動 ・日常生活の動作をスムーズにさせるために実施 手術をしない場合は、肩の動きを回復するために穏やかなリハビリを行います。振り子のように腕をわずかに振るリハビリがよく行われているリハビリです。 時間をかけて、アイソメトリック運動や軽い負荷をかけた運動などを行う場合もあります。 リハビリについては、以下の記事で具体的な方法を紹介しているので、あわせてご覧ください。 注射療法 石灰沈着性腱板炎の注射療法は、薬物療法や理学療法で改善されなかった場合に検討される治療法です。直接的に肩へ注射する治療法のため、高い効果が期待できる反面、長期的な使用には注意が必要です。 注射の種類 詳細 ステロイド注射 ・痛みに対する強めの薬 ・即効性はあるがステロイド薬同様、長期使用する上で注意が必要 ヒアルロン酸注射 ・肩の関節の可動域をスムーズにしたいケースでおこなう 局所への注射だけでなく、急性期にミルク状のリン酸カルシウムを吸引するケースもあります。肩に局所麻酔を施した後に腱板まで針を刺し、固まる前のリン酸カルシウムを手動で吸引し、除去できます。 針を正しい位置に誘導するために、超音波で確認しながらおこなうケースもある治療法です。 手術療法 薬物療法や理学療法などで石灰沈着性腱板炎の改善が見られない場合は、リン酸カルシウムの沈着物を除去するための手術が治療法として挙げられます。とくに慢性期で日常生活に支障をきたすほどの痛みが続いている方は、手術が必要となります。 手術では、関節鏡手術を実施しており、術後1週間以内には日常生活に復帰できるケースが大半です。 しかし、痛みが続いて日常生活が制限される場合もあります。術後の完全回復に向けてリハビリを実施しますが、患者様によっては3カ月以上かかる可能性もあるのです。 石灰沈着性腱板炎の予後 石灰沈着性腱板炎は痛みを伴うことがありますが、早期に治癒しやすい病気です。 最終的に自然に消失する傾向はあるものの、治療せずに放置すると合併症を引き起こす可能性もあります。 石灰沈着性腱板炎の合併症には、腱板断裂や四十肩などを含みます。 早期の治癒に向け、適切な治療を施していきましょう。 石灰沈着性腱板炎には再生医療が1つの選択肢になる 石灰沈着性腱板炎の治療は、再生医療で改善が期待できます。 従来の治療法では、10%の方が手術をしなければならず、痛みを抑えるためにおこなっても、傷跡が気になる方がいるでしょう。 最近では手術をしない治療法である再生医療を選ぶ方もいます。再生医療は、体への負担が少ない治療法のため、石灰沈着性腱板炎を含めた病気で実施されています。 石灰沈着性腱板炎の治療において、従来の保存療法や手術療法に加えて、再生医療も治療の選択肢の一つとして挙げられます。 再生医療では、患者様自身の幹細胞を用いて、組織の修復を促す治療を行います。この治療法は手術のように大きな切開を必要としないため、体への負担が比較的少ないことが特徴です。 再生医療について興味がある方は、ぜひ当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 石灰沈着性腱板炎かも!?|肩の痛みが続く場合は適切な診断を 本記事では、石灰沈着性腱板炎の症状や原因、治療法などを解説しました。 石灰沈着性腱板炎は腱板断裂や四十肩とも症状が似ているため、十分に認識されていない方もいます。 仮に、肩の痛みがなかなか治らない、肩の痛みの原因を知りたいなど、肩の痛みにお悩みの方は、無理をせず医療機関を受診しましょう。 治療の選択肢としては、薬物療法や手術の他に再生医療という選択肢もあります。 再生医療の診療を行う当院「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けています。 事前に相談しておきたい方や治療の流れなどが気になる方は、気軽にご連絡ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 石灰沈着性腱板炎に関するよくある質問 石灰沈着性腱板炎がコーヒーと関係するのは本当? 石灰沈着性腱板炎とコーヒーは、直接的な因果関係については現状、証明されていません。 「普段コーヒーをよく飲むから不安…」と感じる必要はありません。 しかし、コーヒーをミルクと混ぜて飲む方はリンを多く含んでいるため、以下の食品も含めて注意しましょう。 カップラーメン 冷凍食品 食品添加物を含む食品 食事の内容が直接関係していなくても、なるべくビタミンやCやEが豊富な野菜・果物の摂取が推奨されています。 石灰沈着性腱板炎になった場合は仕事を休む必要があるの? 石灰沈着性腱板炎になった場合、痛みが激痛であれば仕事を休むのがおすすめです。とくに肩を使う動きの多い肉体労働をしている方は、症状を悪化させてしまう可能性があるため注意してください。 治療法や個人の回復力にもよりますが、2〜3カ月の休業が伴うケースがあります。しかし、長期の休業は経済的な負担がかかるものです。 長期休業になるため、医師の診断書をもとに休業補償を受けられるか、会社に確認しておきましょう。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けています。 事前に相談しておきたい方や治療の流れなどが気になる方は、気軽にご連絡ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 石灰沈着性腱板炎はどのくらいで治る? 石灰沈着性腱板炎は多くの場合、薬物療法で改善しています。 薬物療法や注射療法を実施して、約3カ月で改善される方もいれば、4年経過しても痛みが残ったケースもあります。(文献1) なかには、痛み止めの内服で2週間程度で改善される方もいるため、治療期間は人によって異なると把握しておきましょう。 参考文献 (文献1) Wolk T, Wittenberg RH. Calcifying subacromial syndrome: clinical and ultrasound outcome of non-surgical therapy. Z Orthop Ihre Grenzgeb. 1997;135(5):451-457. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9446439/ ▼肩が痛む症状についてこちらのご覧ください
2022.06.06 -
- 糖尿病
- 内科疾患
Ⅱ型糖尿病、妊娠糖尿病はライフスタイルの見直しで予防や改善ができる 糖尿病にはその発症状況から、いくつかのタイプがあることが判明しています。 日頃の生活習慣が関与している「2型糖尿病」、あるいは妊娠を契機に発症する「妊娠糖尿病」はライフスタイル(生活習慣)を見直すことで、それらの発症自体や、症状悪化を一定の割合で回避することが可能であると考えられています。 そのような観点から今回は、「Ⅱ型糖尿病」や「妊娠糖尿病」において、規則正しい食生活は勿論のこと日常生活に運動、身体を動かすことを実践し、ストレスを出来るだけ発散できるように努めることで予防や改善ができることを詳細に紹介していきます。 その一方で、大変残念なのですが、主に自己免疫の異常によって引き起こされる「1型糖尿病」については現在のところ改善や予防できる方法は見つかっていません。 以下、明記しない場合の糖尿病の表示は2型並びに妊娠糖尿病に向けた情報になります。 1型糖尿病 改善、予防が難しい 2型糖尿病 妊娠糖尿病 ライフスタイル(生活習慣)を見直せば予防、改善、予防が可能 糖尿病の予防、改善には運動が有効 運動を継続的に実行することは、食事による療法と並んで糖尿病における治療の中で大きな基本となっています。特に、糖尿病の発症要因として「肥満体形、過食傾向、運動不足」の関与が強く疑われています。 なぜ運動が必要かというと、運動することでエネルギーを消費して、肥満を解消できるのみならず、運動を行うことで筋肉活動量が向上してインスリン機能を改善する効果が期待できるからです。 食事摂取直後には運動をなるべく控えるほうがよいですが、食後1時間程度経過してから運動を行うことで食事から取り込まれたブドウ糖や脂肪成分の利用が効率的に促進されて血糖値が有効的に下降する可能性も指摘されています。 1型糖尿病の場合には、2型糖尿病と異なってインスリンを分泌する膵臓細胞が壊れてしまうことで発症するため、インスリン機能そのものが回復することによる治療効果はあまり期待できませんが、運動することで心身の健全な発達やストレス解消に貢献します。 ただし、血糖値を良好にコントロールしてその状態を維持するには運動と食事に関する治療どちらか一方が欠けてもうまく制御できませんので、毎日運動するからという理由で入念な食事療法は怠らないように心がけましょう。 糖尿病の発症原因 肥満体形、過食傾向、運動不足 なぜ運動が必要か? 運動でエネルギーを消費し、肥満を解消できる(脂肪を減らす) 運動で筋肉活動量が向上し、インスリン機能の改善を期待できる 運動の種類について 一般的に、糖尿病を抱えている患者様の場合には、ダンベルや重りなどの器具を用いて筋肉に過剰な負荷をかける筋肉トレーニングに代表されるレジスタンス運動よりも、ウォーキングやジョギング、水泳などを始めとする全身を使う有酸素運動が適合しています。 その背景には、有酸素運動を継続して実践することで、インスリンの働きがよくなって血糖値を上手く調整しやすいと考えられているからです。 したがって、糖尿病における運動療法の目標としてはまずは有酸素運動で身体の不活動を改善させて、余裕があれば次のステップでレジスタンス運動を検討しましょう。 ✕ 器具を使って筋力に負荷をかけるトレーニング(レジスタンス運動) 〇 身体を動かす有酸素運動が最適(有酸素運動) レジスタンス運動とは 具体的には、有酸素運動として可能であれば少なくとも週に3回程度、それぞれ30分から60分間行うように意識して実施することが重要であると伝えられています。 この有酸素運動は、週当たり150分(2時間30分)以上かけて実施することがひとつの目標とされています。 通常では、糖代謝の改善期間は運動してからおよそ半日から3日間前後持続することが知られていますので、血糖値を上手く制御するためには運動行為を少なくとも1週間のなかで3日間は実践することが理想的です。 運動療法の効果は数々考えられており、運動することで血液中のブドウ糖が筋肉にとり込まれやすくなることでブドウ糖などの利用が促される結果、血糖値が下がる現象が認められますし、特に2型糖尿病では低下したインスリン機能が改善すると伝えられています。 また、糖尿病のみならず高血圧や脂質異常症の改善にも役立ち、エネルギー消費のバランスが安定化して減量に繋がって肥満を防止することにも貢献します。 運動を実行することは加齢に伴って引き起こされやすい筋肉の衰弱や骨粗鬆症を回避する期待が込められていますし、関節や骨が強靭化する以外にも心肺機能が高まるのみならず爽快感が向上してストレスを解消させる効果も併せて考慮できます。 運動をしなければと、精神的に追い込まない。逆にストレスがたまらないような取り組みも大切です。 実際に、運動療法を実践する時には準備運動やストレッチを丹念に行って軽動作から開始して、徐々に運動強度を増やしていくように意識しながら、適宜体調に合わせて、無理をしないように継続できる運動の種類を選択するように心がけましょう。 運動の実行にあたって 無理せず、継続することが大切 軽めの運動から、徐々に始める 体調に気を配る ストレスを発散、運動が逆にストレスをためることにならないように まとめ・Ⅱ型糖尿病、妊娠糖尿病はライフスタイルの見直しで予防や改善ができる 今回は糖尿病を予防して改善するためのライフスタイル(生活習慣)の見直しについて詳しく紹介しました。 糖尿病には様々なタイプがありますが、Ⅱ型糖尿病や妊娠糖尿病においては、ライフスタイルの見直しによって予防や改善が可能です。特に規則正しい食生活、適度な運動、ストレスの管理などが重要になることを知り真剣に取り組むことで改善が可能になります。 また、運動は、血糖値の調整やインスリン機能の改善に大きく寄与します。中でも有酸素運動が大切で週に3回程度、30分から60分間行うことが効果的です。ただし、これらの運動は無理せず継続することが大切で、体調やストレスに配慮しながら行うようにしましょう。 糖尿病の予防や改善には、食事療法と運動の両方が欠かせません。 糖尿病の発症を防ぎ、症状を改善させるために運動は有効的であり、特に有酸素運動である歩行運動をする際には1日あたり1万歩以上を目標にして、1週間に少なくとも3日間以上の頻度でウォーキングエクササイズを実行することがお勧めされています。 いつでも、どこでも、一人だけでも実践しやすい歩行運動などは常日頃から多忙でまとまった時間が確保できない方でも通勤や通学中などでも行うことが可能ですし、どこまで運動強度を上げていいか不安に感じる患者さんはかかりつけ医ともよく相談してみましょう。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼糖尿病の合併症が心配な方への先端医療|最新の「再生医療」は、以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目を浴びています ▼運動療法をさらに詳しく以下もご参考にしていただけます 糖尿病!運動療法なら改善はもとより予防にも効果を発揮
2022.06.02 -
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
五十肩・四十肩|腕を上げると肩が痛む症状、原因と治療法について 五十肩について、そもそも「五十肩(四十肩)」という言葉は、正式な病名ではなく、ぎっくり腰などと同様に日常会話で用いられる俗称です。 五十肩(四十肩)になると、肩甲骨と上腕骨で構成されている肩関節部に痛み症状が出現するため、腕を色々な方向に挙上するような動作が難しくなり、特に肩関節を外側に回旋させる際には強い疼痛※を自覚することになります。この状態になると、ただ肩に痛みがあるだけでなく、普段なら簡単に行えるような動作が難しくなり、日常生活に支障をきたして不便を感じる場合も少なからず存在します。 今回は、この「五十肩(四十肩)」とはどのような病気なのか、その原因、症状、治療方法などに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 ※疼痛:医学用語で「痛み」のこと 五十肩(四十肩)の原因 五十肩(四十肩)は、肩関節にある腱板組織が損傷して関節包領域まで炎症が広がることによって発症すると考えられています。その背景には、加齢に伴って筋肉や腱などの筋骨格系組織における柔軟性や伸展性が失われて健常に動作できなくなることが原因と考えられていますが、実際には本疾患の明確な原因は判明していないところが本当です。 一般的に五十肩(四十肩)は、「肩関節周囲炎」と言われることが多いのですが、詳細には腱板組織に炎症が起こる「腱板炎」や、上腕二頭筋の一部に炎症が認められる「上腕二頭筋長頭腱炎」、あるいは腱板疎部と呼ばれる肩前方部位に炎症が惹起される「腱板疎部炎」も含まれています。 五十肩(俗称)の正式な病名 肩関節周囲炎 腱板炎 上腕二頭筋長頭腱炎 腱板疎部炎 五十肩(四十肩)の症状 五十肩(四十肩)における典型的な症状としては、肩関節や上腕部を真上に挙上(上げる)する、腕を背中に回す、肩を開いて回旋させるときに全方向への動作で痛みが出て、可動域が制限されることを自覚します。 特に初期段階から肩の痛みが出現しやすいのが肩の前方部に位置する腱板疎部と呼ばれる部位であり、五十肩(四十肩)を罹患した直後では肩関節の前方部分に疼痛症状を自覚するケースが多いと言われています。 また、五十肩(四十肩)では「炎症期、凍結期、回復期」とい3段階の順で症状が変動していくと考えられており、最初は強い炎症に伴う痛み症状を認めたのちに肩関節の拘縮症状が引き起こされ、次第にその拘縮具合も軽快していくとされています。 典型的な症状の進行 炎症期 凍結期 回復期 一方で、このような3段階にわたるといった典型的な症状様式に進行していくケースは必ずしも多くないとも推察されます。 個々の事例によって初期から痛みが強くない場合もあれば、強度の拘縮所見を呈して日常生活に支障をきたす場合もあります。また、特に対策を行わずとも自然に、数ヶ月の単位で症状が改善する場合があったり、その反対に年単位で症状に苦悩されるといったケースもあります。 症状は様々 初期から痛みが強くない場合 強度の拘縮所見を呈して日常生活に支障をきたす場合 自然に数ヶ月単位で症状が改善する場合 年単位で症状に苦悩される場合 五十肩(四十肩)おすすめの治療方法 ここからは、「五十肩(四十肩)に対する治療」「治し方」について解説してまいります。 まずは、肩関節部の強い痛みによって夜も眠れない、或いはほとんど肩を動かせない状態と判断された場合には、その強い炎症を鎮めるために消炎鎮痛剤などの薬物を服用することをお勧めすることになります。 具体的には、炎症を抑える作用があるステロイドを主に肩関節内に関節注射として投与する、あるいは副作用がそれほど強くない非ステロイド系の消炎鎮痛剤を飲み薬として投薬することが多いです。 肩関節部の強い炎症がある程度落ち着いて痛みといった症状が比較的改善された段階になり、肩関節の可動域制限が認められた場合、肩が拘縮した状態を改善させるために、リハビリテーションを実践することになります。 これらのリハビリテーション加療を実施しても、どうしても可動域が改善せずに疼痛症状がしつこく付きまとってくる場合には、関節鏡下授動術と呼ばれる内視鏡を用いた比較的低侵襲な手術を検討することになります。 肩関節部の可動域が悪化している原因は炎症に伴って癒着して肥厚した関節包であると考えられていますから、関節包の状態を実際に観察しながら電気メスで患部を切開することで、術後には肩関節の可動域がほぼ正常範囲まで改善することが期待されます。 五十肩の治療 痛み:炎症を抑える関節内注射や、消炎鎮痛剤の服用 痛みが治まればリハビリの実施 リハビリで改善しない場合、手術が選択肢となる まとめ・五十肩・四十肩|腕を上げると肩が痛む症状、原因と治療法について 今回は、五十肩(四十肩)とはどのような病気なのか、五十肩を発症すると多くの場合、痛くて、ある一定の限度以上に上げることができなくなります。 そんな場合の原因、症状、おすすめの治療方法や治し方について詳しく解説してきました。 一般的に、年齢を重ねるごとに誰しも肩関節が昔のようにスムーズに動作できなくなり、関節痛を覚えることがあるかと思いますが、このような症状を呈する状態を「五十肩(四十肩)」と呼んでいます。 本状態における特徴的な所見として、肩関節部の痛みと共に肩を挙上する、あるいは水平に保つ動作をするのが困難となるため、洗濯物が干しづらくなる、もしくは背中のファスナーが開けられないなど日常生活に支障が出現します。 もしも、普段の生活で肩を動かした際に痛みを覚える、以前のようにスムーズに腕を背中側に回せない、肩が挙上しにくいなどの症状を自覚している人は、症状が悪化する前に専門医療機関を受診してご相談されることをお勧めいたします。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼肩の痛み、以下も参考にされませんか 石灰沈着性腱板炎とは、肩が痛む原因と症状、治療法について
2022.05.25 -
- 糖尿病
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50代女性で糖尿病の初期症状はどんなものがある? 50代になってから、健康診断で血糖値やHbA1cが高いと指摘されてしまった。対策は? この記事を読んでいる方は、50代女性で糖尿病になると、どんな初期症状があらわれるのか気になっているのではないでしょうか。 血糖値が高いと指摘されても、具体的にどんな症状が出るのか、どんな危険性があるのか想像がつきにくい人もいるかもしれません。 50代は糖尿病のような生活習慣病が増えてくる年代でもあります。特に女性の場合は更年期から発症するケースもあるため、初期症状を見逃さないようにしましょう。 本記事では、糖尿病の初期症状について、50代女性に特化して解説します。 記事を最後まで読めば、50代女性における糖尿病の初期症状が分かり、適切な対策法を考えられるでしょう。 当院リペアセルクリニックでも、糖尿病の症状や治療法についてのご相談を受け付けております。メール相談やオンラインカウンセリングより気軽にお問い合わせください。 糖尿病の初期症状は「のどの渇きやだるさ」 血液の中の糖が多くなると、体にさまざまな異変を感じます。 しかし、糖尿病には「進行しないと症状が出にくい」という特徴があります。つまり、初期症状が出る頃には、すでに糖尿病が進行している状態ともいえるのです。 糖尿病の初期症状としては、以下が挙げられます。(文献1) のどが乾く 尿の回数が多い 体のだるさを感じる 体重が減ってくる 血液の中の糖を薄めるために頻回に水を飲みたくなったり、その影響で尿の回数が増えたりします。 また、血糖をエネルギーに変えて、血糖値を下げるホルモンの分泌が悪くなり、疲れやすい、体重が減るといった症状にもつながります。 糖尿病が進行してくると、体には様々な合併症が現れます。糖尿病の主な合併症は以下の通りです。(文献2) 糖尿病の合併症の例 症状 糖尿病性神経障害 手足のしびれ、感覚の鈍りなど 糖尿病性網膜症 目のかすみ、視力低下など 糖尿病性腎症 むくみ、高血圧、尿毒症など もし糖尿病のような症状が気になっている場合には、早めの受診をお勧めします。 【女性向け】糖尿病の初期症状チェックリスト 「甘いものが止められない」「食事のバランスが偏っている」といった糖尿病になりやすい生活習慣を持っている方は、自分が糖尿病ではないか気になりますよね。 以下は、女性向け糖尿病の初期症状チェックリストです。(文献3)(文献4) のどが渇きやすい 尿の回数が多い 疲れやすい 目がかすむ 体重が減ってきた 手足のしびれや痛みがある 感染症にかかりやすい 傷が治りにくい 当てはまる項目が多い場合は、糖尿病の初期症状の可能性も考えられます。 ただし本表はあくまでもセルフチェックに留め、気になる症状は、早めに医療機関に相談しましょう。 糖尿病の初期症状については、以下の記事もぜひご覧ください。 糖尿病患者の9割は「2型糖尿病」 糖尿病は、生活習慣病とも関連する注意すべき病気です。血糖値を降下させる作用のある、インスリンと呼ばれるホルモンの分泌量が低下する、もしくはインスリンの働きが悪くなり発症します。 糖尿病は、大きく「1型」と「2型」に分類されます。 「1型糖尿病」は、自己免疫の異常によって、インスリンを産生する膵臓の細胞が攻撃を受け発症するタイプです。生活習慣の乱れなどはあまり発症に関与しません。一方、糖尿病患者の約9割以上が「2型糖尿病」と言われています。 主な原因は、ストレスや肥満体型、運動不足や暴飲暴食など日々の生活習慣の乱れです。生活習慣の乱れが続くと、インスリンの分泌が少なくなったり、効きが悪くなり、血液中の糖が細胞に十分に取り込まれなくなります。 2型糖尿病でインスリンが出にくくなる、効きが悪くなる原因の多くは、高脂肪、高カロリーなどの食習慣です。また、糖質の取り過ぎや顕著な運動不足が続くとインスリンの働きが弱まり、徐々に血糖値が上昇していきます。 そのほか、妊娠や更年期を契機に発症するパターン、あるいは膵炎や膵臓がんなど膵臓疾患に合併して発症するパターンなども挙げられます。 2型糖尿病について、詳しく以下の記事でも解説しています。ぜひご覧ください。 50代女性の糖尿病リスクが高い理由 50代女性の糖尿病リスクが高い理由は、更年期が関係しています。 一般的に、女性は40代頃から更年期と呼ばれる時期に入ります。この時期は体がほてって疲労を感じやすいなど症状があらわれることが多いです。 更年期の症状は、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの分泌量低下によるものです。 エストロゲンには血糖値を調整する働きがあり、通常は女性を糖尿病から守る役割を果たしています。エストロゲンの分泌量は40代頃から減少し始め、50代の閉経期には急激に低下することから、更年期以降は糖尿病を発症するリスクが高まっていくのです。 更年期には自治体の定期検診や、勤務先の企業健診の結果に注目しましょう。 特に以下の値が基準値を超えている場合は、糖尿病の可能性があるため、医療機関での受診をおすすめします。 空腹時血糖値:126mg/dl以上 HbA1c:6.5%以上 (文献5) また、尿検査で糖が検出される場合も、糖尿病の可能性を示唆する重要なサインとなります。 50代女性が糖尿病を予防する4つのポイント 50代女性に起こりやすい糖尿病は「2型糖尿病」で、生活習慣の乱れが主な原因です。糖尿病を予防し、健康でいられるための4つのポイントをまとめました。 糖尿病予防のために意識したいポイントは、以下の通りです。(文献6) 食事を改善する 運動習慣をつける ストレスを溜めない 禁煙をする この章では、各ポイントについて詳しく解説します。 1.食事を改善する 食事はバランス良く、適量を摂ることが大切です。 糖分や脂質の多い食事は血糖を上昇させたり、体重を増加させたりします。野菜や果物、魚、豆類、雑穀類などを意識して摂ると、急な血糖値の上昇を防げるでしょう。 また、食事を抜くと次の食事で血糖値がいきなり上昇し、体に負担を与えてしまいます。時間がない、忙しいなどの理由で食事がとれない場合があっても、少しでも何か何かを口にすることから始めましょう。 間食もなるべくヘルシーなこんにゃくやゼリーにすると効果的です。 2.運動習慣をつける 有酸素運動は、血糖を筋肉に取り込みやすくする効果や、インスリンの働きも良くする効果があります。 週3回以上、週合計150分以上を目標に、無理のない範囲で行いましょう。 ウォーキングやサイクリングなど、またなるべく階段を使う、ラジオ体操をするなど「日常でプラス10分動く習慣」を作ることもおすすめです。 3.ストレスを溜めない ストレスは、ノルアドレナリンやコルチゾルといったホルモンを分泌させ、血糖値を上げる働きがあります。(文献7) 家事や育児、仕事などでストレスを感じている場合は、趣味を楽しむ、誰かと話す、ゆっくり呼吸をしてみるなど、意識して休む時間を作りましょう。 4.禁煙をする 喫煙はインスリンの働きを弱めるため、血糖値が下がりにくくなってしまいます。 禁煙することで、糖尿病のリスクを下げるだけでなく、他の生活習慣病やがんの予防にもつながるでしょう。全身の健康を保つために、禁煙を検討することをおすすめします。 まとめ|50代女性は糖尿病のリスクが高まる!生活習慣を見直そう 糖尿病は血糖値(血液中に含まれるブドウ糖)が慢性的に高くなる病気です。 50代女性は更年期のエストロゲン減少によって、血糖値のコントロールがうまくいかなくなり、糖尿病を発症することがあります。 普段から特段の自覚症状がなくても、知らぬ間に高血糖になる可能性があるため周囲が必要です。女性の場合は、更年期前後は生活習慣に特に意識を向けてみましょう。 当院では、膵臓(すいぞう)の再生医療を通じて糖尿病の進行を遅らせる治療も取り入れています。詳しくはこちらのページをご参考ください。 膵臓の再生医療について詳しく知りたいという方は、メール相談、オンラインカウンセリング も承っておりますので、ぜひご活用ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 女性の糖尿病についてよくある質問 糖尿病は遺伝しますか? 2型糖尿病には、遺伝的要因もあります。 両親から受け継いだ遺伝子の性質により、インスリンの分泌が少なく、糖尿病になりやすい方もいます。 血の繋がった家族に糖尿病がいる方は、食べ過ぎや運動不足など、糖尿病のリスクを高めないように、とくに注意しましょう。 糖尿病は何科を受診すればよいですか? 基本的には内科を受診しましょう。 病院によっては「糖尿病内科」「内分泌科」といった糖尿病に特化した科を持っているところもあります。 また、もし合併症が現れている場合には、眼科や泌尿器科などの専門科の受診も必要です。 参考文献 (文献1) 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター「糖尿病とは」 https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/010/010/01.html (文献2) 一般社団法人 日本糖尿病学会「糖尿病合併症について」 https://www.jds.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=3 (文献3) 国立研究開発法人 国立循環器病研究センター「糖尿病|病気について|循環器病について知る|患者の皆様へ」 https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/diabetes/ (文献4) 東京都保健医療局「糖尿病発症予防ガイドブック 今日から予防!糖尿病」 https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/kensui/tonyo/citizen/6leaflet.html (文献5) 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン 2024」 https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/01.pdf (文献6) 厚生労働省「みんなで知ろう! からだのこと」 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202411_006.html (文献7) 大下咲子 ほか「<研究報告>2型糖尿病患者のストレスとストレス対処行動」 https://isns.jp/journal_pdf/03-1/03-1-2_rr01.pdf
2022.05.24 -
- 糖尿病
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糖尿病とは、血液中の血糖値が慢性的に高値を示す病気です。 糖尿病にかかると、慢性的に高血糖が続くために、喉が渇きやすくなり、尿量増加、体重減少などの身体のサインが現れる場合もありますが、顕著な自覚症状が認められないケースも少なくないと言われている点で注意が必要です。 万が一、「糖尿病の初期症状」に気が付けば早期の食事療法などで健康状態を維持することが可能ですが、糖尿病は、進行すると様々な合併症を引き起こすことが知られていますので専門医療施設で精密検査を必要に応じて受けることが重要です。 今回は、糖尿病を初期の段階で知り、早期治療を開始するための「初期症状」と、その際に現れる「身体のサイン」、そして初期症状が出現した際の対処法に関する情報を中心に詳しく解説していきます。 糖尿病の初期症状|気を付けるポイントは? 糖尿病にかかると、慢性的に高血糖が続くために、喉が渇きやすくなり、尿量増加、体重減少などの症状が現れます。しかし、自覚症状が認められないケースも少なくないです。 万が一、糖尿病の初期症状に気がつけば食事の改善などで健康状態を維持することが可能ですが、糖尿病は、進行するとさまざまな合併症を引き起こす可能性があります。 この記事では、糖尿病の初期症状や症状のチェックリストを中心に解説します。 このような身体のサイン(症状)に気が付いたら医療機関へ のどが渇きやすくなった 尿の量が増加します 体重が減少した 空腹が満たされない 足がつったり、しびれる 足にひび割れや、乾燥しやすくなった すぐに風邪をひくなど体が弱くなった 体重が減る 糖尿病の症状では、体重減少が見られます。この減少は、体内でインスリンの働きが不十分になることが原因です。通常、インスリンは細胞にブドウ糖を取り込み、エネルギーとして使用しますが、糖尿病ではこの機能が低下します。 その結果、身体はエネルギー不足を補うために、脂肪や筋肉を分解してエネルギー源とします。この過程で体重は減少し、また、多尿によって体液が失われることも体重減少の要因です。 のどが渇きやすくなる 糖尿病の症状の一つにのどの渇きがあります。これは、血糖値が高くなることによって体内の水分バランスが崩れ、多尿状態が引き起こされるためです。高血糖の状態では、腎臓が血液中の余分な糖を排出しようとしますが、同時に大量の水分も一緒に排出されるため、体内の水分が不足してのどが渇きやすくなります。 喉の渇きが続くと、さらに水分を摂取するため、トイレに行く回数も増えます。 尿の回数が増える 糖尿病では頻尿の症状が見られます。血糖値が高くなると、身体が余分な糖を排出するために、大量の水分が必要です。 結果として、尿の量や回数が増えるだけでなく、強い喉の渇きも引き起こされます。多尿は身体から水分が多く失われるため、脱水状態にもつながりやすくなります。 疲れやすくなる 糖尿病の症状として疲れやすくなることが挙げられます。これは、体内でインスリンが十分に働かず、糖分がエネルギー源として細胞に取り込まれにくくなるためです。通常、食事で摂取した糖分はエネルギーとして使われますが、糖尿病ではこのエネルギーの供給がうまくいかず、体が疲労を感じやすくなります。 また、高血糖状態が続くことで、血液の循環が悪化し、酸素や栄養が体の隅々まで行き渡りにくくなることも原因の一つです。 足がつるなどの症状が見られる 糖尿病では、足がつる症状が見られます。これは糖尿病による神経障害(糖尿病性ニューロパチー)が主な原因です。高血糖状態が長期間続くと、末梢神経が損傷を受け、過剰な興奮を引き起こします。その結果、筋肉が正常に機能せず、けいれんを引き起こしやすくなります。 また、糖尿病の影響で血液循環が悪化し、筋肉への酸素や栄養供給が不十分になることも、足がつる原因です。 感染症にかかりやすくなる 高血糖は白血球の働きを弱め、細菌やウイルスに対する防御力が低下します。 また、糖尿病患者では血流が悪くなるため治りにくい特徴も、あります。とくに皮膚や尿路、肺などの感染症が起こりやすく、足の傷が化膿しやすい糖尿病性足潰瘍や、肺炎、尿路感染症などが代表的な感染症です。 空腹感を感じやすくなる 体内でインスリンが十分に働かず、血糖値がコントロールされないため空腹感を感じやすいです。 通常、食事から摂取した糖分はインスリンの働きで細胞に取り込まれ、エネルギー源として利用されます。しかし、糖尿病ではこの過程が機能しないため、細胞がエネルギー不足の状態になります。その結果、身体がエネルギーを求め、空腹感を感じやすくなるのです。 初期症状を感じたら早めの受診がおすすめです。 糖尿病が進行すると現れる症状|3つの合併症が隠れている 糖尿病が進行すると現れる症状は3つあります。 手足に現れる症状(手足しびれ、痛み) 目に現れる症状(目がかすむ、視力が落ちる) 腎臓が悪化して現れる症状(足のむくみ) それぞれ詳しく解説します。 手足に現れる症状(手足しびれ、痛み) 糖尿病が進行すると、手足にしびれや痛みが現れます。これは糖尿病性神経障害と呼ばれ、末梢神経がダメージを受けると起こります。症状が進行すると、痛みやしびれが悪化し、手足の感覚が鈍くなるため、傷や感染に気づきにくいです。 これが原因で、傷口が悪化しやすく、最終的には潰瘍や壊疽を引き起こすリスクが高まります。 目に現れる症状(目がかすむ、視力が落ちる) 進行すると、目に影響を及ぼす糖尿病性網膜症が出現する場合があります。糖尿病網膜症は、血糖値の高い状態が続くと、網膜の血管が損傷を受け、視力に障害をもたらす疾患です。初期段階では自覚症状は少ないものの、進行すると視力低下、視野のぼやけ、飛蚊症などの症状が現れます。 さらに重症化すると、網膜剥離や硝子体出血などが引き起こされ、失明するリスクが高いです。 腎臓が悪化して現れる症状(足のむくみ) 糖尿病が進行すると、腎臓がダメージを受ける糖尿病性腎症が現れる場合があります。これは糖尿病によって血糖値が高い状態が続き、腎臓の血管が傷つけられるためです。腎臓は血液をろ過して老廃物を排出する役割がありますが、腎機能が低下するとこの機能がうまく働かなくなります。 その結果、足のむくみや疲労感、尿量の変化などが見られ、進行すると血液中に老廃物が蓄積される尿毒症に至る可能性があります。 その他の症状(立ちくらみ、冷や汗) 糖尿病は、自律神経障害を合併する場合があります。自律神経は、心臓、消化器、呼吸器、血管などの器官を調整する重要な神経です。糖尿病が悪化すると、高血糖によって神経が損傷され、この調整機能が正常に働かなくなります。 自律神経障害の症状には、立ちくらみ、冷や汗、消化不良、便秘や下痢、頻尿や失禁などがあり、日常生活に大きく影響します。 糖尿病の初期症状が出ているかセルフチェック|当てはまる方は要注意 糖尿病の症状が出ているかセルフチェックしてみましょう。 トイレの回数が増えた 頻繁に喉が渇く 手足のしびれや痛みがある めまいや立ちくらみをおこしやすい 視力低下や目のかすみがある 体重が急に減少している 食べても満腹感が得られない 上記の症状に当てはまる場合、早めの対策が大切です。 まとめ|糖尿病の初期症状を把握して予防に努めよう 糖尿病は、慢性的に血糖値が高い状態が継続する疾患です。 のどの渇き、頻尿、足がつるなどの初期症状を放置して血糖値が高い状態が継続すると、糖尿病性神経障害・網膜症・腎症のリスクにつながります。 今回ご紹介した症状がある場合、リペアセルクリニックへ来院ください。 糖尿病についてよくあるQ&A 糖尿病の自覚症状が出たらもう手遅れですか? 糖尿病の自覚症状が出たからといって、必ずしも手遅れではありません。しかし、自覚症状が現れる段階では、血糖値がすでに高くなっている可能性があり、早期治療が重要です。糖尿病は初期段階では自覚症状がほとんどないため、わずかな症状でも早期に医療機関を受診しましょう。 適切な治療と生活習慣の改善を行うと、症状をコントロールし、合併症の進行を防げるでしょう。 糖尿病は一生治りませんか 糖尿病は現時点で完治が難しい慢性疾患ですが、適切な治療と生活習慣の改善により、血糖値をコントロールし、健康を保てます。1型糖尿病は自己免疫の影響でインスリンの分泌がなく、一生涯インスリン治療が必要です。2型糖尿病は生活習慣が原因で発症する場合が多く、食事や運動の改善で症状を改善できる場合があります。 ただし、糖尿病が進行してた場合、治療を中断すると再び血糖値が上昇し、合併症のリスクが高まるため、継続的な治療が必要です。
2022.05.23 -
- 肝疾患
- 内科疾患
健康診断や定期検査で脂肪肝と診断されたとき、どのような食事をすれば良いか気になる方もいるのではないでしょうか。 脂肪肝を改善するためには、避けるべき食べ物を把握しておくことが重要です。栄養バランスが整った食生活を意識すれば、そのほかの病気のリスク軽減にもつながります。 この記事では、脂肪肝になった後に食べてはいけないものや、食事の際のポイントをご紹介します。食生活を見直し、生活習慣を整えることで、脂肪肝の改善につながるでしょう。 【一覧】脂肪肝の食事で食べてはいけないもの 脂肪肝とは、脂質のひとつである中性脂肪が肝臓内に多く蓄積している状態のことです。 脂肪肝の食事で食べてはいけないものとしては、糖質や脂質を多く含まれているような食べ物です。これらの食べ物は脂肪肝を悪化させるだけでなく、メタボリックシンドロームをはじめとしたさまざまな疾患を引き起こす恐れがあります。 また、アルコールの摂取を控えることも重要です。脂肪肝には、過食や過剰飲酒が原因で起こるアルコール性のものと、それ以外の非アルコール性のものがあります。 このように、脂肪肝にとってだめな食事は多くあり、それらを避けることが大切です。 肝臓の病気に対する新たな治療法として、再生医療が注目を浴びています。再生医療について気になる方がいましたら、ぜひお気軽にご相談ください。 脂肪肝を改善する食事のポイント7つ 脂肪肝を改善するには、以下のような食べ物を避けることを意識しましょう。 糖質を多く含んでいる食べ物 ジュース類 駄菓子 果物 脂質を多く含んでいる食べ物 揚げ物 肉の脂身 ドレッシング マヨネーズ ※調理油は植物性が望ましい(オリーブオイル、菜種油、大豆油など) アルコール 1日あたり純アルコール20g(※)まで ※ビール中瓶(500ml)1本程度に相当 ここでは、避けるべき食べ物に加えて、脂肪肝を改善するための食事のポイントを解説します。 1.摂取エネルギーを抑える 1つ目は、糖質をはじめとした摂取エネルギーを抑えることです。食事から過剰摂取した糖質は、中性脂肪に変換されて脂肪肝の発症につながります。 ポイントとしては、摂取エネルギーの目安を把握した上で、それを超えないように食事制限する点です。 一般的な摂取エネルギー量の目安としては、以下のとおりです。 自分の摂取エネルギー量を計算した上で食事管理をして、理想的な標準体重を目標にしましょう。 2.糖質を控える 糖質の摂取もできるだけ控えましょう。 白米や十六穀米などの穀類に含まれる糖質は、比較的肝臓への影響が少ないと考えられています。そのため、1食につきお茶碗1杯程度なら大きな問題にはつながりません。 それよりも注意すべき食べ物が、お菓子や果物です。ジュース類や駄菓子に含まれているショ糖、果物に豊富な果糖は、穀物と比較すると中性脂肪が肝臓に蓄積しやすい特徴があります。 普段の食生活でもできるだけ間食を避け、糖質が多く含んでいる食べ物はなるべく摂取しないように心がけましょう。 3.脂質を控える 脂肪肝を改善するには、脂質を控えることも重要です。とくに、揚げ物やマヨネーズなどの脂質が豊富な食べ物には注意が必要です。 食べ物を調理する際は、なるべく動物性ではなく植物性の油の使用を心がけましょう。1日あたりの油の使用量は、大さじ1杯程度までに抑えるのが理想的です。 脂質の過剰摂取は肝臓に中性脂肪がたまる原因となりますが、極端な制限は必須脂肪酸の欠乏につながります。そのため、適度な脂質の制限が重要です。 食事の目安として、脂質を多く含むものを摂取する機会を週に1〜2回程度に抑えるように調整しましょう。 4.たんぱく質を適度に摂取する 糖質や脂質を控えめにする一方で、たんぱく質はなるべく意識的に摂取しましょう。 たんぱく質は、筋肉を作る上で欠かせない栄養素です。たんぱく質の過不足は、脂肪肝を悪化させるとされています。適量を確保するためには、良質なたんぱく質の摂取が大切です。 良質なたんぱく質を含む食べ物は、おもに以下のとおりです。 豆腐 納豆 牛乳 肉類(牛、鶏、豚) 魚介類(あじ、サバなど) 食事の際は、これらの食べ物を取り入れてみましょう。 5.アルコールの考え方 アルコールは肝臓で脂肪に合成されやすく、脂肪肝の悪化につながる恐れがあります。 可能なら禁酒が望ましく、飲むとしてもアルコール度数の高いお酒や、糖質の多い発泡酒などはなるべく控えましょう。 アルコールを摂取する際は、1日平均2ドリンク(純アルコールで20g)程度までに制限し、週に2日以上は休肝日を設けることが推奨されています。 お酒ごとの純アルコールの目安としては、以下のとおりです。 お酒の種類 目安量 純アルコール量 ビール 中瓶1本(500ml) 20g 日本酒 1合(180ml) 22g ウイスキー・ブランデー ダブル(60ml) 20g 焼酎 1合(180ml) 50g ワイン 1杯(120ml) 12g 6.野菜などの食物繊維が多いものから摂取する 野菜に多く含まれている食物繊維の摂取も重要です。 食物繊維は食後の血糖値の上昇をゆるやかにして、コレステロールの増加を防ぐ働きがあるとされています。そのほかにも、満腹感を得られるようになり、エネルギーの摂りすぎ防止も期待できます。 1日の野菜の摂取量は、約350gが目安です。食物繊維は野菜だけでなく、海藻やきのこ類などにも豊富に含まれているので、これらの食べ物も意識的に取り入れてみましょう。 7.食事の仕方に配慮する 食べ物だけでなく、食事の仕方にも工夫が必要です。具体的なポイントは、以下のとおりです。 1日3食を規則正しい時間で食べる 夜遅くの食事は控える ゆっくり良く噛んで食事をする 主食・主菜・副菜のバランスを整える 不規則な時間帯での食事は、脂肪をため込む原因となります。また、ゆっくり良く噛むことで消化が良好となり、満腹中枢が刺激されて満腹感を得やすくなります。 栄養バランスを整え、偏った食事にならない点も注意が必要です。 まとめ|食事習慣を整えて脂肪肝の改善をしよう! 脂肪肝とは、肝臓を構成している肝細胞表面に脂肪が沈着して蓄積される病気です。 本疾患の原因として、肥満や糖尿病、過度のアルコール摂取などがあげられます。食事内容を見直すことで、脂肪肝の改善が期待できます。 脂肪肝を放置すると肝臓の機能が悪くなるだけでなく、肝硬変や肝臓がんなどの深刻な病気につながる恐れもあるでしょう。病状が悪化する前に、早めに医療機関にご相談ください。 脂肪肝の食事に関する良くある質問 ここでは、脂肪肝の食事に関する良くある質問についてお答えします。脂肪肝について疑問がある方は、ぜひ参考にしてみてください。 脂肪肝に良い食べ物は? 脂肪肝の方におすすめなのが、良質なたんぱく質を含む食べ物や食物繊維が豊富な食べ物です。 たんぱく質は普段不足しがちなので、肉類や魚類などの質の高い栄養源は積極的に摂り入れることをおすすめします。 また、食物繊維には脂肪の蓄積を防ぐ作用が期待できます。野菜やきのこ類など、食物繊維が豊富な食べ物を意識的に食べましょう。 脂肪肝は糖質制限すべき? 糖質制限は、脂肪肝に対して大きな効果が得られるわけではないとされています。 海外の研究によると、減量するには糖質や脂肪などの特定の栄養素ではなく、摂取カロリーの制限が大きく関係しているとされています。(文献1) そのため、糖質や脂質などの栄養素よりも、摂取カロリーを意識した食生活を心がけましょう。 ただ、栄養素の偏りは健康に悪影響を及ぼす恐れがあるので、糖質や脂質を控えめにしつつ、たんぱく質を意識的に摂り入れてみてください。
2022.05.19 -
- 糖尿病
- 内科疾患
糖尿病の合併症(サイレントキラー)は生活習慣の改善で防ぐためにできることとは 糖尿病が「サイレントキラー」と恐れられる理由をご存知でしょうか? それは、糖尿病の進行がしばしば無症状であるためです。糖尿病は、長期間にわたって血糖値が高い状態が続くことで、様々な合併症を引き起こす可能性がある病気です。 これらの合併症は、特に早期に発見や治療が行われない場合に重篤な結果をもたらすことがあります。 その合併症としては失明の原因となる「糖尿病性網膜症」、人工透析の原因となる「糖尿病性腎症」など、進行すると日常生活に多大な影響を及ぼす症状が出る人がいるため注意が必要です。 糖尿病の治療が必要な理由は、これらの合併症を防ぐ目的があるためです。糖尿病は、些細な生活習慣の乱れが原因であることがほとんどといわれています。 糖尿病の合併症が「サイレントキラー」といわれ、命に関わる怖いものであることを知ることで、「生活習慣改善を変えるきっかけ」にしていただければと思います。 糖尿病は合併症により「サイレントキラー」と呼ばれる 糖尿病は、それ自体には痛みなどの症状はほとんど現れません。そのため、健康診断で糖尿病であることが指摘されても放っておく人も多いのが現状です。しかし、糖尿病は全身に合併症を引き起こします。合併症とは、一つの病気が元になって起こる新たな病気のことを指しています。 糖尿病の合併症は命に関わることから、糖尿病を「サイレントキラー(沈黙の暗殺者)」と呼ぶ医師も多くいるようです。 糖尿病の三大合併症は(し・め・じ)と呼ばれる 糖尿病の合併症には三大合併症と呼ばれる代表的なものがあります。次の病気が、糖尿病三大合併症と呼ばれるものです。 この3つは、糖尿病が無ければ起こらない病気であり、それぞれの頭文字を取って覚えやすく「し(神経症)・め(網膜症→め)・じ(腎症)」と呼ばれ、その危険性を喚起しています。 どの合併症も、多くは無症状で進行し、症状が現れたときには危険な状態となっています。生活に大きな支障をきたす病気であるため、注意が必要です。 糖尿病の三大合併症 し)神経障害 め)網膜症 じ)腎症 しびれや麻痺を全身に引き起こす神経障害(ニューロパシー) 神経障害は、糖尿病になってから適切な治療を受けずに放置すると、約5年で現れることが多く、糖尿病三大合併症の中で最も早く症状が現れるといわれています。 これは、高血糖が神経にダメージを与えることで、これにより感覚を伝える神経や身体を動かす神経が障害され、痛みやしびれ、こむら返りなど自覚しやすいものや、足の感覚が鈍くなる感覚鈍麻など自覚しづらいものが症状として現れます。手足の知覚や運動機能が低下することがあります 病状が進行すると、自律神経という内臓や血管の働きに関わる神経にも影響が出ます。そのため、しびれや麻痺が全身に広がり、身体が動かしにくくなり生活に大きな支障をきたしてしまう恐れがあります。 特に足の神経障害は重要であり、潰瘍が進行して感染を起こし、最悪の場合は切断が必要になることもあります。 視力低下や失明を引き起こす網膜症(糖尿病網膜症) 神経障害の後に現れるのが網膜症です。高血糖により、目の網膜にある毛細血管が傷ついたり破れたりすることで、視力低下や失明を引き起こす病気です。 網膜症の進行は、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の数値が高いほど早いと考えられています。症状が現れると、治療しても視力を回復することは難しいといわれています。 そのため、糖尿病と診断されたら眼科で定期的に網膜の検査を受けることが大切です。また、視界がぼやけたりシミが見えるなど、目の異変に気付いたらすぐに眼科を受診しましょう。 糖尿病網膜症は進行性の病態であり、早期の発見と治療が重要です。 糖尿病腎症は人工透析の原因第一位 糖尿病腎症は糖尿病三大合併症の中でも比較的遅く現れます。腎臓は血液をろ過して老廃物を尿として出す働きをしています。 腎症になるとろ過機能が低下し、尿にタンパク質が漏れるようになります。(タンパク尿)症状が悪化すると腎機能のほとんどが失われ「人工透析」が必要になります。現在、日本の人工透析の原因第一位は、こうした糖尿病による腎症なのです。 これらの合併症は、糖尿病患者が血糖値の管理に注意を払い、定期的な健康チェックや医師の指導を受けることで予防・管理が可能です。早期の発見と治療は合併症の進行を遅らせ、重篤な結果を防ぐために非常に重要です。 糖尿病と診断されたら、定期的な尿検査を行い、腎機能の状態を確認するようにしましょう。 糖尿病 日本の人工透析:原因第一位は、糖尿病による腎症 早期発見:進行を遅らせる 合併症:進行を遅らせる 合併症を防ぐために必要なこと 糖尿病の合併症を防ぐためには、症状が現れていないうちから血糖値のコントロールを行うことが必要です。 糖尿病の治療や合併症の予防は、食事療法・運動療法・薬物療法の三本柱で行います。食事療法においては、血糖値が上がりやすい糖質の量を減らし、野菜や食物繊維の多い食品を多くとりいれることで高血糖の改善や体重低下が期待できます。 なお、極端な糖質制限は逆効果です。あくまで糖質を食べ過ぎないように食事の最後に食べるなどに留めましょう。運動療法によって血糖コントロールに関わるインスリンの働きが良くなり、高血糖の改善や体重低下が期待できます。 軽めのジョギングやウォーキングなど、無理なく継続できる方法で運動を取り入れましょう。薬物療法を行う場合は主治医と相談しながら症状に合わせた薬を飲み続けて経過を見てもらいましょう。 また、体質的にインスリン分泌が少ない人はインスリン注射を日常的に行う場合があり、これも薬物療法にあてはまります。 どの治療を中心にするかは個人差があるため、主治医に相談した上で決めていきましょう。 糖尿病の治療や合併症の予防の三本柱 食事療法 血糖値が上がりやすい糖質の量を減らす 野菜や食物繊維の多い食品を多くとりいれる 極端な糖質制限は逆効果 運動療法 インスリンの働きが良くなり、高血糖の改善や体重低下が期待できる 軽めのジョギングやウォーキングなど、無理なく継続 薬物療法 主治医と相談しながら症状に合わせた薬を飲み続ける インスリン分泌が少ない場合、インスリン注射を日常的に行う場合もある まとめ・糖尿病の合併症(サイレントキラー)は生活習慣の改善で防ぎたい 本記事では、糖尿病が進行すると命に関わる合併症を全身に引き起こすことを解説しました。糖尿病三大合併症である神経障害、網膜症、腎症が進行すると、治療して元の状態に戻すことは難しいとされています。 どの合併症も、症状が重くなるまで自覚症状がほとんどなく、自分で気付くのは困難です。糖尿病と診断されたら、内科や眼科での定期的な検査を受けて異常をいち早く発見しましょう。 健康な人と変わらないQOL(生活の質)や寿命を守るためにも、症状が現れないうちから定期的な検査や血糖コントロールを行うことが大切です。サイレントキラーと恐れられる糖尿病の症状にはくれぐれもご注意下さい。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 ▼以下もご参考にしていただければ幸いです 糖尿病を予防するための運動とは、その効果と注意点 ▼糖尿病の合併症|最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目を浴びています
2022.05.19 -
- 股関節
- 変形性股関節症
変形性股関節症の人工関節|手術で年代別に考慮すべき問題やリスク 変形性股関節症に悩まされ、運動療法や薬物治療に取り組むも改善が見られず、症状が進行した場合、人工関節への置換治療を薦められることがあります。 しかし、その選択に関して「年齢」という側面があることを忘れてはなりません。変形性股関節症の最終的な選択肢である手術は今ある関節を「人工関節」と取り換える大掛かりなものになります。 人工関節そのものに抵抗がある、手術を避けたい、入院期間が気になる、痛みが心配など、体や心、生活などの多様な心配事が浮かんで来られるのではないでしょうか。 この中にもありますが、手術について年齢的な問題を特に心配にされる方がおられます。 実際のところ「何歳まで受けることができるのか?」「リスクは・・・」「何歳位の人が多いのか?」「早すぎる、また遅すぎる・・・」など、といった不安や疑問を感じられるのではないでしょうか。 そこで今回は、変形性股関節症の人工関節の手術を受ける際の心配事の内「年齢について」解説致します。 人工関節について患者様の不安(リスク) 人工関節そのものが心配 異物を入れる不安感 手術は避けたい 入院期間が気になる 痛みが心配 リハビリが心配 生活や仕事の心配 年齢的な心配 > 股関節の悩みを最先端の幹細胞治療で治療する 変形性股関節症での人工関節手術|その特徴と年代について 変形性股関節症の発症年齢は、40代以上が多い傾向があります。 手術は、関節の痛みを感じて保存療法等リハビリを行っても症状が進行し、薬物療法等でも痛みが緩和できなくなり、生活に支障をきたす状況になると選択肢として検討されることになります。 変形性股関節症の場合、手術は人工関節の置換術となることが多く、注意したいのが人工関節は、文字通り「人工物」ということです。つまり、物である以上、耐用年数が存在するということです。 考えるまでもなく、股関節には日常生活において大きな力が掛かっていることはご理解いただけるはずです。そのため年数による経年劣化は避けることができないという特徴があります。 ここが大切なところで、年齢的に早くに手術をすると人工関節が緩んだり、そのもの耐用年数が来て機能を果たさなくなってくることがあります。そうなると再手術という可能性があります。 そのため、変形性股関節症の手術を受ける年齢は、60代と70代が圧倒的に多いのです。ただ、変形性股関節症は、40代以下の若い人でも患う可能性があるため、比較的若い年齢でも手術を検討せざるを得ないことがあります。。 30代から40代の年齢で変形性股関節症を発症し、保存療法を続けていたけれど、痛みが強くなってきたため、50代で手術を受けることになるという人もいますし、もっと若い年齢で発症する人もいます。 ただ、近年の人工関節は技術の進歩で耐用年数が長くなってきたことは事実です。そのため、若年層であっても、再手術のリスクがあることを知った上でも、痛みのない普通の生活を取り戻したいとの想いから手術を受ける方もおられます。 若い年代(40~50歳代)で変形性股関節症の手術を選ぶ場合の問題点 変形性股関節症には、高齢者が悩まされるイメージがありますが、40代から50代という比較的若い年齢でも、その痛みに悩んでいる人はいますし、実際に手術を受けている人もいます。 人口関節には寿命があります。そのため、若いうちに人工関節を選択すると将来、再手術が必要になる場合が多く、手術を避ける傾向があります。 ただ、40代、50代という若く、再手術のリスクがある年齢でありながら、変形性股関節症の手術を選択する場合は、長く苦しむよりも、痛みのないスムーズな生活(QOL※の確保)を送ることを優先したいという想いに尽きますが、それ以外にも以下の1~3のような理由が見られます。 ※QOLとは クオリティ・オブ・ライフ(Quality of Life)の略です。 患者さんの肉体、精神、経済、社会といった各面での生活の質にこだわり、豊かな人生を確保するための概念です。 1.体を動かす仕事に就いている 40代~50代といった年齢であれば、まだまだ現役で仕事をする世代です。特に営業の外回りなどをしている、立ち仕事をしている、というような人は、変形性股関節症になると、思うように仕事ができなくなってしまう恐れがあります。 しかし、40代や50代という若い年齢であれば、変形性股関節症になってしまっても手術後にリハビリを行うことで、早い回復が見込めます。 そのため、職場復帰などを考慮するのであれば、なるべく早く変形性股関節症の手術を受けたほうが良い場合もあります。 2.50代・60代以降|スポーツを続けたい 仕事や趣味でスポーツをしている40代の人で、50代、60代になってもスポーツを続けたいと思われるかたは多くいます。そんな場合は、変形性股関節症の手術を早めに検討することがあります。 変形性股関節症は進行する病気、保存療法をおこなっても治癒は困難 変形性股関節症の治療は、「進行を抑えること」と、「痛みを抑える」ことを目的としたものになります。つまり、頑張っても症状は進行するし、痛みも伴うことになります。 そのため、再手術のリスクを抱えていたとしても、手術を受ける年齢が早いほど、術後のリハビリからの回復も早くなり、40代のうちに手術を受けておけば、それ以降、50代、60代でも元気にスポーツができる可能性が高まります。 このようなことから、あまり痛みが出ていない若い年齢であっても変形性股関節症の手術を受ける人がいるのです。ただ人工関節は万能ではありません。手術自体にもリスクがあります。 3.若くても既に変形性股関節症の痛みが出て日常生活に支障がある 変形性股関節症は、あぐらやしゃがみ込むなど、股関節に負担のかかる動作や姿勢を控えるようにして運動療法や薬物療法といった保存療法を続けていれば、ある程度痛みを抑えて日常生活を過ごすことは可能です。 しかし、既に日常生活で痛みが出てしまっている40代の人の場合は、早めに変形性股関節症の手術をおこなったほうが良い場合もあります。 早く手術を受ければ、リハビリの効果も発揮されやすくなりますし、人工関節を入れた場合は、人工関節の扱いに早く慣れることもできます。 そのため、変形性股関節症の痛みがすでに強いという場合は、保存療法で時間稼ぎをするのではなく、40代など若い年齢で手術をおこなうことがあります。 変形性股関節症の手術を控えたほうが良い年齢 変形性股関節症の手術を受けることが多い年齢の平均は60代~70代です。それ以上の年齢になってくると手術を控えたほうが良いケースもあります。 80代以上の高齢者は手術を控えたほうが良い 絶対ということではありませんが80代や90代の高齢者は、一般的に変形性股関節症の手術を控えたほうが良いと言われます。 その理由としては、80代以上の高齢者の場合、身体や筋力の衰えなどのため、手術後のリハビリは、若い人以上に根気よく続ける必要があること、また、本人にも、「リハビリを頑張りたい」という強い意志が求められるためです。 また、家族の十分なサポートがない場合、寝たきりになってしまう可能性もあります。変形性股関節症の手術後のリハビリは、家族のサポートも必要とされます。 80代以上の年齢になると手術は、体力や心肺機能に懸念 80代や90代以上の変形性股関節症の手術は、体力や心肺機能の面でリスクが高いという理由もあり、手術を控えたほうが良い場合もあります。 たとえ本人や家族が手術を希望していたとしても、持病や年齢によって既に心肺機能が低下している場合は、手術が受けられないことも少なくありません。 変形性股関節症の手術は一般的に全身麻酔による手術であるため、心肺機能が低下した状態で手術を受けるというのは、非常に大きな危険が伴うからです。 90代で手術を受けた症例もあるが・・・リスクが大きい 年齢について逆に高齢の場合はどうでしょうか?最高齢だと、90代で変形性股関節症の手術を受けたという症例があります。つまり、人工関節の手術自体は高齢が理由で妨げられないことになります。 ただし、一点。術後はある程度、高度なリハビリが必要となるため、手術のあとにリハビリを受けられるだけの体力がある人に限られます。 逆にリハビリができない場合は、寝たきりになるリスクもあり、手術を受けた意味がなくなる可能性もあり、医師としっかり相談して進めなければなりません。 もちろん家族の術前の同意や、術後の協力、支えが必要不可欠になります。 まとめ・変形性股関節症|人工関節手術の年代別リスクについて 変形性股関節症の手術は、大掛かりな手術になるため、年齢や生活環境、将来なども見据えた上で手術をおこなうかどうかの選択をしなければなりません。 また、変形性股関節症の手術を受けた後は、リハビリが必要ですが、そのリハビリは年齢が高くなるにつれて難しくなる場合もあります。そのため、変形性股関節症の痛みを手術で改善したいけれど、手術を受けることができないという人もいます。 そこで紹介したいのが、近年注目されている変形性股関節症を「再生医療で治療する」という方法です。 再生医療は、人工関節などを入れる手術と比べても治療期間が少なく済み、副作用のリスクも少ない安全で安心な治療です。そして、年齢が高くても治療できる可能性が広がりますし、高い治療効果を期待することが可能です。 変形性股関節症の手術を検討すべき状態ではあるけれど、体力面、心肺機能などで懸念材料があるという人、治療期間を短くしたい、なるべく体に負担が少ない治療を受けたいという人は、再生医療を検討してみてはいかがでしょうか。 >変形性股関節症は「再生医療」という最新治療法で手術・入院を避けて治療することできる方法があります。 以下の動画では、変形性股関節症に悩む患者様が手術ではなく再生医療を選択した経験について語っています。是非参考にしてみてください。 https://youtu.be/cjMBSIy0rG0?si=bbBce0OZEgtPY48d 以上、変形性股関節症|人工関節手術の年代別リスクについて記させていただきました。ご質問などございましたらお気軽にお問い合わせください。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼こちらも合わせて確認しておきませんか 変形性股関節症と臼蓋形成不全の関係性と治療法について
2022.05.12 -
- PRP治療
- 幹細胞治療
- 再生治療
- ひざ関節
膝の痛み|最新の再生医療(幹細胞治療とPRP療法)という治療法について このページでは変形性ひざ関節症について解説します。「変形性ひざ関節症」は、実は全国で3千万人ぐらいの方が悩まれている膝の病気です。ここでは、その症状だったり治療の仕方、そして最新の治療法である再生医療(幹細胞治療とPRP療法)について詳しく解説してまいりましょう。 変形性ひざ関節症は男性より女性がなりやすい! ご存知ですか?!変形性ひざ関節症は、全国で約3千万人の患者さんがいるのですが、男女比でいうと1対4と、圧倒的に女性の方が男性より多い症状なのです。 以下は、この膝の症状に対する先端医療である再生医療を解説しています。それは幹細胞治療とPRP治療と言われるものです。ご一読いただければ変形性膝関節症を治療するための新たなアプローチ方法をご理解いただけるはずです。 変形性ひざ関節症になる原因 変形性ひざ関節症のメカニズム・原因は、関節にある軟骨に起因します。具体的には次のようなものがあります。 変形性ひざ関節症の発症原因 年齢を重ねることによる摩耗 体重増加による負荷 O脚変形 遺伝性の軟骨の柔らかさの影響 年齢を重ねるにつれて軟骨が摩耗したり、体重が増えて負荷がかかると軟骨がどんどんすり減っていきます。それ以外にも、例えばO脚変形と呼ばれる、少し膝がO脚になっている方も原因になりやすいです。あとは遺伝性、つまり生まれつき軟骨が柔らかい方もいらっしゃいます。 このように、軟骨がすり減ってなくなってくると、いよいよ関節が変形して炎症を起こしてしまい、出歩くときに膝が痛かったり、あとは関節に水がたまり動きにくくなるという状態になります。 これがいわゆる変形性ひざ関節症です。 変形性ひざ関節症の症状 次に、変形性ひざ関節症の症状についてお話をしていきます。 変形性ひざ関節症になると、以下のように色々な症状が起こります。私が診ている患者さんの中でも、このような症状を訴えてこられる方々が、たくさん来られます。 立ち上がり時に膝が痛かったり 階段を下りるときにも膝が痛かったり 水がたまり、膝が腫れる 正座が出来なくなったり、曲げにくかったりする 水がたまり、抜いても抜いても水がたまり続ける ヒアルロン酸を打っても数日しか持たなかったり、ほとんど効かない こういた中でも水が溜り続ける、注射が効かなくなった患者さんには「手術をしましょう」という話になってきました。ただ、いきなり手術となると抵抗感もあり、どうしたらいいのかと、困られている患者さんもたくさんおられました。 水もたまる、注射が効かないし、手術もしたくない・・・ そんな患者さまには最近注目されている再生医療という治療があります。 再生医療という新たな選択肢 そこで、この「再生医療」という新たな治療法について解説していきます。再生医療には大きく分けて2つの治療方法があります。まず1つは自己脂肪由来の幹細胞治療、そしてもうひとつはPRP治療です。 https://youtu.be/W2JZQekWJ8w?si=gREVMz9az8O8Shj3 自己脂肪由来の幹細胞治療 まず自己脂肪由来幹細胞治療方法です。これは今、最先端の治療方法です。私は初めてこの治療法を知ったとき、今までの治療概念を覆されました。それほど驚きを覚えたのです。 どういうものかと言いますと、自分の細胞を少しだけ取り出します。その取り出した脂肪の中には「幹細胞」といわれる細胞があって、この幹細胞が身体のいろんな組織に変化する性質持っていて、その性質を活かして治療を行う方法です。 取り出した幹細胞は、約1ヶ月間くらいかけて培養し、たくさんの幹細胞に増殖させることができます。その培養した、たくさんの幹細胞を膝に入れることによって、幹細胞が変化し、失われた軟骨が出来上がったり、壊れた素子が修復されたりします。 これがいわゆる「幹細胞治療」です。 PRP治療 そして、もう一つの「PRP治療」を解説しましょう。 まず自分の血液を採取し、その中から血小板成分を取り出します。この血小板成分は、自分の壊れた組織を修復する能力があります。その特性を利用するため、血小板成分を凝縮して高濃度の血小板成分として取り出し、それを体に戻すことによって、壊れた組織を修復する能力を促します。 これが「PRP治療」です。 まとめ・膝の痛みに最新の治療法!再生医療(幹細胞治療とPRP療法)について 変形性ひざ関節症は、次のような原因で軟骨がすり減ることで起こります。 年齢を重ねることによる摩耗 体重増加による負荷 O脚変形 遺伝性の軟骨の柔らかさの影響 従来はヒアルロン酸の注射や手術によって治療されてきましたが、最近再生医療(幹細胞治療・PRP治療)という新たな選択肢が登場しています。興味のあるかたはぜひお近くのクリニックへご相談してみてください。 以上、幹細胞治療とPRP療法、再生医療で治療する膝の痛みに対する治療法ついて記させていただきました。 ▼こちらも合わせて読んでおきましょう 膝が腫れているときに考えられる病気とは ▼ 再生医療が膝の痛み!変形性膝関節症の治療を変える! 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せずに症状を改善
2022.05.12 -
- ひざ関節
- 膝の外側の痛み
- 半月板損傷
「膝の痛みが気になっているけれど手術するか悩む……」 「手術をしたあと後遺症が心配……」など、気になっていませんか? 半月板損傷の手術で起こる後遺症が心配になり、放置すると症状を悪化させる可能性があります。 そこで本記事では、半月板損傷で施す手術療法の種類とともに、治療の注意点を解説しています。 手術をして起こりうる後遺症、手術しないリスクについてもまとめました。半月板損傷でおすすめしたい治療法も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。 半月板損傷とは 膝の半月板とは、膝関節の太ももの骨(大腿骨:だいたいこつ)とスネの骨(脛骨:けいこつ)の間にある軟骨で、衝撃を吸収する役割があります。 「C型」や「O型」をした線維の軟骨からなり、内側と外側の両方に存在します。上半身の負荷や関節をスムーズに動かす大切な存在ですが、実は半月板には約10〜20%しか血が通っていません。 一度損傷してしまうと自然に治癒するのは極めて困難です。 再発防止やスポーツ活動への復帰を考慮して保存療法ではなく、手術を選択される方もいます。 40歳を超えたら半月板損傷がよくみられるので、以下の症状がある方は手術を検討しましょう。 【半月板損傷の主な症状】 膝の痛みや腫れがある 膝の動きが制限される 普段より膝に水が溜まりやすくなる など 膝の半月板手術を受ける上で、先に細かい注意点が知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。 半月板損傷の手術療法の違いとそれぞれの注意点 半月板損傷の手術療法は大きく分けて以下の手術を行います。 内視鏡術 縫合術 切除術 手術療法の違いについて、それぞれの違いや注意点を解説していきます。 内視鏡術 半月板損傷の症状が長引くか、良くなっても再発する場合は、関節鏡を使用した内視鏡手術を行います。 内視鏡術は腰椎麻酔で行うケースが多く、手術中は意識があるので希望する方に向け、説明をしながら手術を受けられるのが特徴です。 しかし画像上で半月板に損傷がみられても、痛みの程度や動作による支障があまり出ていない症状も考えられるでしょう。 症状によっては、投薬し安静にしていれば症状が軽くなる場合もあります。 縫合術 半月板損傷の手術は、安定した生活動作や若年層の方、スポーツによるパフォーマンス維持のためにも、可能な限り縫合術で行います。 半月板が中心で裂けるように損傷しているケースでは、縫合術の適応となります。 損傷の度合いや形態を観察し、損傷しているカ所の激しい患部を優先的に処置する施術です。 血液の流れを考慮しながら、組織の状態が良好な部分は最大限に活かす方向で縫合していきます。 膝の外側に3cmほど切開をつくり、縫合専用の器具を使用して半月板に糸を数本通し、膝の関節の外側で結びつけて縫合していく流れです。 糸を膝関節の外側に通して縫合していますが、損傷しているカ所によっては関節の中だけで処置を終え、手術跡を作らず済む方法もあります。 ただし縫合術を終えたあとは、以下の点には注意しましょう。 入院期間である術後2週間は足を床につけてはいけない 固定具を装着し膝を伸ばした状態をキープする 2週間後は経過観察の上で適切なリハビリを実施する 詳しいリハビリ法については、以下の記事でまとめていますので、ぜひあわせてご覧ください。 また、手術をすれば必ず痛みが取れるわけではありません。 手術をしても「痛みが取れない」「手術前よりも痛くなった」とよく言われます。 リスクを回避する方法については、以下のページで詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。 切除術 半月板損傷で行う切除術は、断裂している部分に血行がなく、断裂しているカ所が縫合しても改善されないほど損傷が大きい場合に適応されます。 損傷範囲が広い症状では、断裂している部分を専用器具で切り取り除去します。 半月板の辺縁部分には血行があるため、縫合術で対応するのが大半です。 しかし、断裂部分の繊維が不揃いになっているときには、切除しながら辺縁部を整える必要があるので、切除術が選択肢になります。 傷んだ半月板が膝関節部の軟骨と摩擦せず、軟骨の損傷をも防げます。 注意点として、切除術は半月板の機能を低下させるリスクやデメリットがあるので注意が必要です。 可能な限り温存させる方向で、必要最低限の切除にとどめた手術を行います。 他にも以下のケースで切除術が行われるので、症状によって適切に判断しましょう。 縫合が可能な辺縁部と切除する部分の両方が損傷している(縫合術との組み合わせ) 円板状半月板の方 半月板の治療で切除術を選択した場合、関節軟骨が変形する「膝関節症」になる可能性もあります。 術後1〜2カ月は水が溜まりやすく、むくみが生じるリスクもあるので注意しましょう。 縫合術との違いは、術後翌日には歩行になり、退院も4日程度なので比較的すぐ歩けるようになる点です。 切除術もまた縫合術と同じく、手術をすれば必ず痛みが取れず、むしろ余計に痛みを感じた方もいます。 半月板損傷の手術後の後遺症 手術後は、以下のようなリスクが存在するため、術後には注意して観察が必要となります。 感染 静脈血栓塞栓症(肺血栓塞栓症) しびれ それぞれの後遺症について、詳しく解説していきます。 感染 半月板の手術で起こる可能性がある後遺症でまず挙げられるのが細菌感染です。 手術時の傷跡から細菌に感染し、化膿すると発症します。 内視鏡術の場合で細菌感染する可能性は、1%と言われていますが、一度感染すると半月板損傷としての治療以外を行うリスクが伴います。 あらかじめ細菌感染の後遺症が発症しないよう、抗生物質を使うケースもあるので、専門医のカウンセリングで相談しておくのが無難です。 静脈血栓塞栓症(肺血栓塞栓症) 静脈血栓塞栓症(肺血栓塞栓症)は、半月板の手術で発症する後遺症ではないものの、下肢の手術や脊椎の手術、骨折などにより発症しやすくなります。 名の通り、足の静脈にできた血栓が、肺の動脈で詰まってしまう症状です。 長時間座ったままでいたときにも起こる可能性がある症状なので、胸の痛みや呼吸困難を感じた方は要注意です。 半月板の手術自体で発症する後遺症ではなくても、気になる症状がある方は、ぜひ以下の記事も参考にしてください。 膝の痛みを感じた方がよく処置を受ける「膝の水を抜く」治療を行ったあとの注意点をまとめています。 しびれ 半月板損傷の手術をすると、患部にしびれを感じます。 手術の過程で下肢への血流を遮断しているので、しびれが起きます。 しかし多くの場合で術後数日ほどで、しびれが改善するので、改善されない場合は必ず担当医師に相談しましょう。 半月板損傷の手術をしたあとの後遺症を含め、不安に感じている点があれば、当院ではオンラインカウンセリングも実施しています。 「1週間経ってもしびれが改善されない」「痛みが軽減されない……」など、お気軽にご連絡ください。 半月板損傷を放置するリスク 半月板損傷が発症していて、手術を検討していても、後遺症が心配な方のなかには「後遺症があるならそのままにしよう」と考える方もいるでしょう。 半月板損傷の手術で起こる可能性がある後遺症が気になり、放置してしまうと、以下のリスクが起きてしまいます。 ロッキング現象が起こる 水が溜まり運動機能が低下する 半月板損傷を放置するリスクも、把握できるよう順番に解説していきます。 ロッキング現象が起こる 半月板損傷を放置すると、ロッキング現象が起こります。 ロッキング現象とは、膝の痛みだけでなくロックされたように動かなくなる症状です。 ロッキング現象は何かの予兆があるわけではなく、急に起こる可能性があります。半月板損傷で発症した破片が膝に引っ掛かり起こる症状なので、目で見て判断するのは困難です。 ロッキング現象が起こると、膝の曲げ伸ばしなどの動きが制限されるので、手術をしなければいけなくなります。 水が溜まり運動機能が低下する 半月板損傷が発症すると水が溜まりやすくなり、何度も溜まった結果、運動機能が低下する可能性もあります。 膝に水が溜まったら抜けば良いと思われがちですが、根本的な治療を施さない限り、また溜まってしまいます。 半月板損傷の慢性化により発症する傾向にあるので、放置するより手術で根本的な治療をするのが良いでしょう。 以下の記事では、半月板損傷が発症したときにやってはいけない項目をまとめています。 放置するリスクとともに、リスク回避の参考にしてもらえると幸いです。 手術後の後遺症を抑えたいなら再生医療がおすすめ! 半月板損傷の手術には縫合術・切除術ともにリスクを伴います。 実は幹細胞を用いた再生医療では、手術による後遺症のリスクを負わず治療を受けられるのです。 縫合術との比較 縫合術の場合、縫い合わせた半月板が再断裂する可能性があり、縫合術をして4年後に再断裂をする確率は30%と言われています。 縫合をしても半月板がしっかりとくっついていないため発生するのです。 一方で幹細胞治療の再生医療では、断裂した半月板を接着剤で留めるように修復するので、日常生活だけでなくスポーツ復帰も可能です。 縫合術を受けると2週間は足に体重をかけられなかったり、4週間ほどの松葉杖生活を強いられます。 再生医療では、治療を受けた当日に歩いて帰れるのが特徴です。 切除術との比較 切除術の場合、半月板の一部を取り除くので、関節のクッション性がなくなります。 数年後には関節軟骨がすり減り、変形性膝関節症になる方が大半です。 実際に切除術を行なった10年後には、一般の方であれば30%、スポーツをしている方は70%もの方が変形性膝関節症へと移行しています。 切除術をすると切った部分から再び断裂が生じる可能性もあり、術後数週間が経過した頃より再び膝の痛みを感じるでしょう。 一方で幹細胞治療は、半月板をそのまま温存できるので、クッション性がなくなる心配がありません。 変形性膝関節症や再断裂のリスクも減らしてくれるのが再生医療の魅力です。 幹細胞治療は手術を受けた後でも有効! 切除術で半月板を切り取ってしまうと、切り取った半月板が元に戻りません。 後戻りができない治療を受ける前だけでなく、術後の再断裂の予防にも再生医療を検討する価値は十分にあると言えます。 縫合術を受けた後に幹細胞治療を行えば、より強固に半月板が修復されるでしょう。切除術を受けた後も同様に、断面に新たな亀裂が生じ痛みが再発する場合もよくあります。 しかし、多くのケースで「手術は成功しています。しばらく様子を見ましょう。」と言われるでしょう。 幹細胞治療は、再発した術後の痛みの原因となっている新たな半月板損傷の治療としても有効です。 ▼ 半月板損傷を再生医療で治療する方法があります 再生医療なら半月板損傷は、手術せず、入院せず改善を目指せます まとめ・後遺症が不安なら受診とともに再生医療を検討しよう! 本記事では半月板損傷の手術をしたあとに起こる可能性がある後遺症について解説しました。 膝の痛みや腫れ、動きが制限されるなどの症状が伴う半月板損傷の手術をしても、感染、静脈血栓塞栓症などの後遺症が挙げられます。 後遺症になるのは避けたく、手術せずに放置するとロッキング現象や水が溜まりやすくなり運動機能の低下が起きてしまいます。 膝の曲げ伸ばしができず歩きにくくなるので、半月板損傷を放置するのは避けるべきでしょう。 適切な処置をするためにも、自分で判断せず病院やクリニックで受診するのをおすすめします。 ▼以下もご参考にしてください
2022.05.04 -
- 糖尿病
- 内科疾患
糖尿病|食事で予防する、食生活を整えて病気の悪化や合併症を防ぐ 糖尿病は、日々の食生活が大きく影響しています。食生活のチェックや見直しは、「糖尿病の予防」だけでなく、「糖尿病の合併症」の予防なのでの悪化にも役立ちます。 血糖コントロールが悪化しても自覚症状が現れにくいのですが、全身の血管に動脈硬化などの症状を引き起こし、合併症へと繋がる可能性が高くなります。 そのため症状が現れていなくても糖尿病の悪化に繋がるような食事を見直すことが大切です。「糖尿病を予防したい」「危ないのでは?」と心配しているなら本記事の内容を参考に日々の食事を点検するところから始めていきませんか?! この記事の対象者 糖尿病を予防したい人 糖尿病の悪化を防ぎたい人 糖尿病の合併症を防ぎたい人 食生活の見直しで、糖尿病の合併症を防ぐ 糖尿病を予防するためには、自覚症状のない時期からこそ食生活などの生活習慣を見直すことが大切です。さらに、糖尿病の合併症は、糖尿病の予兆が現れてから何年も経ってから発症することを知っておきましょう。 血糖のコントロール不良が長期にわたって起きると、網膜や腎臓の毛細血管に症状が現れ、場合によっては脳血管障害や心疾患に繋がることもあります。 特に糖尿病性腎症については、糖尿病の早い段階から食事療法を行うことで悪化を防ぐことができるといわれています。尚、早いうちから糖尿病の薬に頼ってしまうと、食生活が変わらず治療が長引く恐れがあるという側面もあります。 できるだけ早い段階で食事などの生活習慣を見直し、血液検査データの改善に繋げることが大切なのです。 まずは食事記録を付けましょう 糖尿病が気になる人にお勧めしたい習慣があります。 それは食生活をノートやメモに記録する方法です。詳しい量やカロリーなどを書かなくても「いつ、何を食べたか?」を書き記すだけで効果があると言われるものです。その手軽さからもお勧めの方法です。 ただ、朝・昼・夕と1日3回きっちり記録することを習慣化する必要があり、慣れるまでなかなか難しいかもしれませんが、書けないときは飛ばしながらも継続していくことが大切です。 特に、夕食は1日の中で最も食べ過ぎてしまいやすいため、まずは夕食の内容を記録するところから始めても良いでしょうう。継続することが鍵です。途中で忘れても大丈夫、また次から記録してください。 まずは一か月続けてみる!という意識でそれを伸ばしていくことで習慣化しましょう。減らすなどといった意識は持たずとも結構です。記録することから始めてください。 また、お菓子の食べ過ぎや、お酒の飲み過ぎを指摘されたことがある人は、お菓子や、お酒を食べたり、飲んだりするごとに記録を付けるだけでも食生活を見直すための意識を持ち続けることができます。 食事記録をチェックするだけ 何を食べたか?! 理想は、朝昼夜に手帳や専用のノートを作って記録する 継続が鍵なので、まずは夕食だけから始めてみる 途中抜けても一か月は続けるなど目標を持ちましょう 記入することで食事に対する意識に変化が現れます お菓子や飲酒なども記録しましょう 夕食の食べ過ぎや、食べるタイミングに注意 夕食を大量に食べる、いわゆる「ドカ食い」は避けねばなりません。 しかも、それが高カロリーであったりすると、そのまま肥満を招きかねず「メタボリックシンドローム」のリスクが高まりかねません。 何を食べるかだけでなく、いつ食べるかも重要なポイントです。同じ量を食べていても、いつ食べるかによって栄養状態には大きな違いが生まれます。 特に、夕食は就寝までの時間が短く食後のエネルギー消費が少ない上に、ついつい食事の量が多くなってしまいがちです。昼食を簡単にすませている人は、その分、夕食の量が多くなりやすいと考えられます。 また、よく聞かれるかもしれませんが夕食は20時前までに食べ終えたい。という話がありますが、就寝時間にもよります。極端ですが20時に食べ終えても21時に眠りに付いては意味がありません。 就寝前に、食事や間食を取ると、その栄養は使われずに体に貯まってしまいます。つまり、太ってしまうということ、そして高血糖を引き起こしやすくなってしまいます。 そこで、夕食の時間の目安は、「就寝時間の4時間前」までに!と就寝時間から逆算して食べるようにしてください。もちろん夕食から就寝までの間に、ついつい!おやつを食べたり、お酒を飲んでしまうということも控えてください。 糖尿病や、体重増加が気になる人は、夕食の食べ過ぎを防ぐために、昼食の内容を充実させて精神的な満足感を得ることで、その分、夕食を質素にしたり、控えめにするといった動機付けに利用するのも有効です。 いつどう食べるか? 夕食は就寝までの時間が短い 可能なら20時までには終えたい(ただし、就寝時間による) 夕食の食べ過ぎに注する 食事の量や、食事の内容にも配慮する 昼食の充実させ精神的な充足感を向上させる 食事時間の間隔を3時間以上あける(間食(おやつ!)も含みます) また、食事と食事の間に3時間以上の間隔があることが良いとされています。この「食事」には間食(おやつ)も含まれます。 例えば昼の12時に昼食を食べた場合、午後2時におやつを食べてしまうと昼食によって上がった血糖値が下がりきらないうちに再び上がってしまうことになります。 つまり、次の食事を食べるまでに3時間以上間隔があれば、おやつを食べても血糖値の上がり過ぎを防ぐことができるのです。ただ、糖尿病の疑いがある人は、食後の血糖値が下がりにくい傾向があります。 このため、食後3時間あいているとしても、おやつの量を多過ぎないようにし、糖質の少ないおやつ(ナッツ類やチョコレートなど)を選ぶことが大切です。 外食の注意点(野菜・魚・大豆製品が不足しやすい) 飲食店で外食をすると、ついついカロリーの高いメニューを選んでしまいがちです。さらにお酒を飲みながらの外食は、おつまみを追加してしまい食事量が増えやすく、しかも飲み過ぎ食べ過ぎたことを忘れてしまいます。 糖尿病にならないためには、できるだけ外食の回数を減らした方が良いでしょう。また、外食は肉料理を選びやすく、糖尿病予防に効果のある野菜・魚・大豆製品が不足しやすいことも重要なポイントです。 外食のときは野菜・魚・大豆製品を使ったメニューを選ぶ、これらのメニューが多い飲食店を選ぶようにしましょう。コンビニやスーパーでお弁当を買う場合は、野菜のおかずを1品プラスしてみましょう。 清涼飲料水の飲み過ぎに注意! 砂糖がたくさん入っている清涼飲料水をよく飲むという人は注意が必要です。清涼飲料水は、カロリーが高い割に得られる満足感が少なく、特に炭酸飲料は口当たりが癖になりやすく飲み過ぎてしまう傾向があります。 普段飲んでいる清涼飲料水を控えるだけでも、1度に100~200kcal程を抑えることができるため、糖尿病予防には効果的です。 糖尿病予防に効果大 食事時間の間隔を3時間以上あける’血糖値の上昇を防ぐ 外食は野菜・魚・大豆製品が不足しやすい:できるだけ外食控える 清涼飲料水の飲み過ぎに注意!:炭酸飲料に注意 まとめ・糖尿病|食事で予防する、食生活を整えて病気の悪化や合併症を防ぐ 生活習慣を変えることは思ったよりも難しいものです。厳しい食事制限は、ストレスからすぐに諦めてしまったり、かえってドカ食いに繋がる恐れがあるといわれています。 食生活を点検した結果、毎日食べ過ぎてしまうものが見つかった人は週に3~4回にする、量を半分にするだけでも効果があり、そちらの方が継続できるのです。 目標を難しくせず、これなら自分でも続けられる、と思えるような簡単なものから始めてみましょう。 以上、糖尿病を防ぐ!食生活のチェックや見直しは、予防や悪化にも効果と題して説明してまいりました。最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が参考になれば幸いです。 ▼糖尿病の合併症|最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目を浴びています ▼以下も参考にしていただけますか 糖尿病はなぜ治らない?糖尿病を発症しないための予防法
2022.05.02 -
- 糖尿病
- 内科疾患
糖尿病の予防に効果的な運動とは?その効果と注意点 糖尿病にとって運動は、高血糖の防止やインスリンが効率的に作用するなど、良い効果がいくつもあります。その運動、大きく分けて「有酸素運動」と、「無酸素運動(レジスタンス運動)」の2種類があります。 どちらか一方で良いというものではなく、この2種の運動を組み合わせることで糖尿病にとって効果を目指せます。 そこで、本記事では運動による糖尿病予防についての効果や、運動を始めるときの注意点について解説していきます。 ただし、持病や糖尿病合併症がある人、普段の血糖値が非常に高い人は運動が禁忌事項である場合があるため、スポーツを行う前には必ず事前に主治医の指示を受けてください。 ※以下のような場合、持病がある場合の運動にはご注意ください。 運動が禁忌(やってはいけない)の方はやらない、もしくは主治医に相談してください。 糖尿病合併症がある 血糖値が非常に高い 運動に不安がある 運動で期待できる短期的な効果と利点 糖尿病に対する運動で短期的に得られる効果として、「食後の高血糖を防ぐ」という点が挙げられます。食後の高血糖は、糖尿病だけでなく「動脈硬化」の危険因子でもあるため、その意味でも利点があるといえるのです。 血糖値の上がり過ぎを防ぐためには血液中の糖を肝臓や筋肉に取り込む「インスリン」というホルモンが必要になります。 この場合、食後に運動することで筋肉への血流量が増加し、インスリンが身体の隅々まで行き渡りやすくなるという効果が期待できます。 また、運動中は、運動していないときよりもインスリンの量が少なくすむため、インスリンの節約にも繋がります。 糖尿病|運動で期待できる短期的な効果と利点 食後の高血糖を防せぐことで動脈硬化も予防できるという 血流量の増加でインスリン(ホルモン)が体中に届く 運動中はインスリン量を節約できる 運動で期待できる長期的な効果と利点 運動による長期的な効果として、「少ないインスリンでも糖の代謝が進む(インスリン感受性が高まる)」という利点があります。 運動を続けていくと、筋肉の量が少しずつ増えていきます。筋肉はエネルギーを大きく消費するため、筋肉が増えていくと血液中のブドウ糖が筋肉に多く取り込まれるようになります。 これによって、血糖値を正常な数値に保つことができるようになるという利点があります。 また、筋肉によるエネルギーの消費を基礎代謝と呼び、運動によって筋肉が増えることで基礎代謝量の増加に繋がるため太りにくい体質をつくることができるのです。 ちなみに、食事の量が同じなら筋肉の量が増えると体脂肪が減少しやすくなります。 糖尿病|運動で期待できる長期的な効果と利点 少ないインスリン(ホルモン)で糖の代謝ができる 運動にて筋肉量が増え血液中のブドウ糖を取り込み、血糖値を正常化 基礎代謝の増加で肥満を予防し、制御できる 筋肉量が増えると体脂肪が減少する 有酸素運動と無酸素運動を組み合わせると効果的! 一言で運動といっても様々な内容のものがあり、身体にかかる負荷の大きさもそれぞれ違います。糖尿病にならないための運動には、深く呼吸しながら行う有酸素運動が効果的といわれています。 有酸素運動にあたるもの ウォーキング、歩行(できるだけ速く歩く) ジョギング ラジオ体操 エアロビクス また、有酸素運動とは逆に息をつめて行うものを無酸素運動(レジスタンス運動)と呼びます。 無酸素運動にあたるもの 短距離走 重い物を持つ これらの無酸素運動は糖尿病予防に逆効果という訳ではありません。 無酸素運動には、筋肉の量を増やす、筋肉を強くする効果があるため、長期的には糖尿病予防に大きな効果があるといえます。 ただ、筋肉はすぐには変化しないため、すぐには効果が実感できないかもしれません。短期的な効果を得られやすいのは有酸素運動、長期的な効果を得られるのは無酸素運動と覚えておきましょう。 糖尿病の予防には、継続できること、運動内容を選ぶこと 糖尿病を予防するためには、日常生活の中で継続できる運動を選んだ方が効果的です。 激しい運動を長時間続けることは難しく、エネルギーや脂肪をほとんど消費出来ないまま終わってしまいかねないため無理の無い運動に取り組みましょう。 糖尿病にならないための運動は、次のようなポイントを踏まえた上で選ぶと継続しやすいでしょう。 運動を継続するために 自分の生活スタイルに無理なくプラスできるか 運動強度が自分の体力に合っているか 天候に左右されにくいか 継続する 継続できる運動を選ぶ 運動の効果は、約3~4日で消えてしまうといわれているため、毎日続けることは難しくても1~2日おき程度には継続することを目指しましょう。 運動はスポーツだけでではない(日常の身体を使った活動をいう) 運動とは、いわゆる「スポーツ」だけを指している訳ではありません。糖尿病予防に効果のある運動とは、日常の身体を使った活動全てがあてはまります。 人が身体を使った活動のことを「身体活動」と呼び、身体活動の量を増やすには次のような取り組みが効果的です。 日常の身体を使った活動 座っている時間を減らす いつもより速く歩く こまめに家事をこなす 身軽に動く 階段を使う 「毎日忙しくて運動する時間がつくれない・・。」という人は、日常生活の中で身体を使う機会を増やしてみましょう。 効果的な、運動と食事の見直し 運動によるエネルギーの消費量は、思ったより多くありません。例えば、体重75㎏の人がウォーキングを10分間行うと、25kcalの消費になります。 しかし、毎日夕食にご飯(並盛り)を2杯食べているところを1杯に減らすと、それだけで250kcal減らすことができます。つまり、糖尿病にならないためには運動習慣だけでなく食生活の見直しを合わせて行うことが重要となるのです。 ちなみに、空腹時に運動すると血糖値が急上昇しやすいため、糖尿病予防には逆効果です。早朝のウォーキングやジョギングは、朝食後かパンやバナナなどを軽く食べた後に行いましょう。 注意!糖尿病で運動をおすすめできない場合 いくら運動が糖尿病予防に効果的とはいえ、運動がすすめられない場合があります。次の項目にあてはまる人は、運動を始める前に医師への相談が必要となり、運動が禁忌となる可能性があります。 運動を避けた方が良い場合 血糖値が非常に高い場合(空腹時の血糖値が200mg/dl以上) 腎不全がある場合 糖尿病網膜症で眼底出血がある場合 心臓や肺に持病がある場合 著しい高血圧症や動脈硬化症がある場合 血糖値は食事や運動、ストレスによって変動するため、既に血糖値が非常に高い人は運動によって血糖値がさらに上がってしまう恐れがあるのです。 自覚症状が無い場合でも自己判断せず、主治医に相談して運動について指示を受けましょう。 まとめ・糖尿病の予防に最適な運動とは?その効果と注意点 糖尿病予防のためには、激しい運動よりも自分にとって無理のない範囲で運動習慣を継続する方が効果的です。 この場合の運動には、「スポーツ」だけでなく身体を使った活動全てがあてはまるため、まずは日常生活の中で身体を動かす機会を増やすことだけでも始めてみましょう。 そして、運動と食事の両方で糖尿病予防のための取り組みを行うことが理想的といえるのです。ちなみに、持病や合併症がある人、普段の血糖値が非常に高い人は主治医に相談して運動について指示を受けるようにしてください。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 ▼こちらも合わせてお読みください 糖尿病の治療、運動してはダメな人、ダメではないが制限が付く人 ▼糖尿病の最新療法、幹細胞治療は以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目を浴びています
2022.04.27 -
- 肘関節
- 野球肘
- 上肢(腕の障害)
- 動作時の痛み
- スポーツ外傷
関節ねずみ(関節遊離体)による痛みの改善にはクリーニング手術という選択肢があります。 クリーニング手術を受けることで悩まされていた痛みから解放されて、日常生活やスポーツを楽しめます。 とはいえ、いったいどのような手術なのか、どれくらいの日数や費用がかかるのか、不安に思う方も少なくないでしょう。クリーニング手術の内容や適応、経過について本記事にて詳しく説明していきます。 クリーニング手術とは? クリーニング手術とは、関節内に遊離した軟骨成分や骨成分のかけら(関節ねずみ)、また新たに形成された骨棘(骨にできるトゲのような突起)を関節鏡を使って取り除く手術方法です。 関節ねずみと呼ばれる遊離体はただ存在しているだけでは無症状ですが、関節内が挟まると曲げ伸ばしに障害が出たり、強い痛みが出現したりします。 症状が強い人やスポーツに支障が出ている方は、整形外科でのクリーニング手術が推奨されます。 関節ねずみ(関節内遊離体)の治療法 クリーニング手術は関節ねずみに対して行う手術ですが、関節ねずみが確認されたとしても経過観察になることがあります。 関節運動への影響が少ない場合は経過観察になることもあります。 動かしても痛みがない 骨軟骨片が完全に剥がれておらず安定している 上記のような状況では、荷重制限や運動制限などの保存療法が選択される場合があります。ただし、関節ねずみは移動するため、痛みが生じる部位や強さはときによってさまざまです。 病状が進行し、スポーツや生活に支障がある場合は手術での治療も検討しましょう。 野球選手がなりやすい野球肘の治療にも有効 野球肘とは、投球動作を繰り返し行うことで発症する肘の障害です。離断性骨軟骨炎や軟骨損傷、靭帯損傷、将来的に合併する可能性が懸念される変形性肘関節症などを含めた複数の病態を示しています。 長年に渡る投球動作により少しずつ骨や軟骨部分に変形が起こったり、関節ねずみが形成されたりし、肘関節の屈伸運動の困難さや痛みが出現します。症状が進行し、安静時でも痛みが続く場合や、痛みが引いても再び痛みが出てしまう場合は、クリーニング手術を検討してみると良いでしょう。 部位別のクリーニング手術法 クリーニング手術は主に、肘関節や膝関節の遊離体に対して行われますが、肩関節や足首の関節に対しても適応となる場合があります。 ここでは、部位別のクリーニング手術の特徴をそれぞれ解説していきます。 肩関節に対するクリーニング手術 肩関節に対するクリーニング手術(鏡視下滑膜切除)は、肩の痛みの原因となっている組織を取り除くために行われます。MRIなどでは確認できなかった病変を直径2〜10mmの細長いビデオカメラを手術部位に挿入して、映像を確認しながら行う手術方法です。 野球による投球障害で関節唇(かんせつしん)に損傷がある場合 リウマチなどによる炎症が滑膜(かつまく)にある場合 痛みで夜も眠れない場合 上記のような状況がクリーニング手術の適応となり、術後は痛みが軽減する可能性があります。手術時間は1時間程度と短時間で完了するため、体への負担は少なく済むでしょう。 肘関節に対するクリーニング手術 肘関節に対するクリーニング手術は、関節ねずみの除去(鏡視下遊離体摘出術)やとげのように変形した軟骨の切除(鏡視下骨棘切除)などが実施されます。投球動作などで肘関節を酷使する野球選手に実施されることが多いです。 全身麻酔下で行われ、肘を小さく切って細い関節鏡と手術器具を挿入し、肘部の痛みや引っ掛かりの原因となっている病変部位を切除・摘出します。 通常、1~2時間にて完了し、術後2週間程度から日常生活動作への制限が緩和されます。 膝関節に対するクリーニング手術 膝関節に対するクリーニング手術は、加齢などによって起こる変形性膝関節症に対して適応です。擦り切れた半月板や遊離軟骨、骨棘、増殖した滑膜などを除去し、痛みや歩行能力が改善できます。 切る範囲が小さく済むため、傷が目立たない点や術後の入院期間が短くなるのが特徴です。 変形性膝関節症の中でも、クリーニング手術で改善するのは軽症レベルで、重度になるとクリーニング手術では対応が難しくなります。重症の場合は別の手術が必要となるため、症状に合った手術を選択しましょう。 足首に対するクリーニング手術 足首に対するクリーニング手術は、変形性足関節症に対して実施されることがあります。 関節鏡を見ながら原因となっている骨棘や滑膜、遊離軟骨などを除去し、足首の関節可動域拡大や痛みの改善が目的です。 他の部位と同様に、足首の関節周囲を小さく切り、関節鏡と手術器具を挿入して手術を行います。 クリーニング手術後に復帰までの期間 クリーニング手術後、復帰までにかかる期間はそれぞれの状態や手術内容、手術部位によって異なります。 日常生活への完全復帰は手術後2~3か月程度、スポーツの再開は3~6か月程度が復帰の目安です。手術直後は安静にして痛みや腫れを改善に努め、約2週間後から関節運動を開始していきます。 2カ月ほど経過したら、症状を見ながら軽めのトレーニングを開始し、本格的な競技復帰に備えていきましょう。 復帰までの期間はあくまで目安であり、術後の経過やリハビリの効果などは個人差があります。クリーニング手術後の復帰時期は医師と相談しながら決めていきましょう。 クリーニング手術にかかる費用 クリーニング手術にかかる費用の目安は20~30万円程度です。手術を行う部位や医療機関、入院期間、細かな手術内容によって費用は異なるので注意しましょう。 手術前後の入院期間は4日間程度ですが、入院期間が延びれば部屋代や施設利用費なども増えていきます。手術前後の診察代やリハビリの料金も発生するため、正確な費用は各医療機関に問い合わせて確認してください。 まとめ|クリーニング手術は関節ねずみに対して有効な治療法 クリーニング手術は、関節ねずみによる痛みや可動域制限に対して効果のある治療方法です。手術にかかる費用は20~30万円、入院期間は約4日間と短く、日常生活や仕事への影響が少なく受けられます。 日常生活への完全復帰は2~3カ月、スポーツへの復帰は3~6カ月が目安の期間です。早く回復したい方や治癒力を高めたい方は再生医療の利用も検討してみましょう。 リペアセルクリニックでは、再生医療について無料電話相談を受け付けています。お気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ クリーニング手術についてのQ&A クリーニング手術を検討されている方に向けて、よくある質問への回答をご紹介します。 最近、話題となっている再生医療や野球選手がよく受けているトミー・ジョン手術との違いについて説明していきますので、ご確認ください。 再生医療との関連性は? 最近注目されている再生医療とは、自然治癒力を最大限に引き出す医療技術です。 スポーツや仕事に早く復帰したいと希望される方は、クリーニング手術とPRP療法の併用を検討してみてください。 PRP療法は自分の血液から抽出した高濃度の血しょう成分を患部に注射する治療法です。プロアスリートの治療にも採用されている治療法で、治癒・再生速度を2~3倍以上速める効果が期待できます。 まれにない出血がみられることがありますが、数日間で自然消失します。症状が気になる場合は診察にお越しください。 トミー・ジョン手術との違いは? トミー・ジョン手術とは、損傷した肘の内側側副靭帯(ないそくそくふくじんたい)を切除し、健康な腱の一部を肘の靭帯につなげる手術方法です。前腕部(肘から下の部分)や下腿(膝より下の部位)、お尻、膝から腱を摘出することが多く、大谷翔平選手も受けたことで有名になりました。 野球選手の場合は、競技復帰まで1年程度のリハビリが必要です。損傷部位である肘だけでなく、摘出してくる別の部位も切開する必要があるため、クリーニング手術よりも体への負担は大きくなります。
2022.04.25 -
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- 肘関節
- スポーツ外傷
トミージョン手術とは、損傷した腱や靭帯の再建をおこなう手術です。 トミージョン手術という言葉、何か聞き覚えがあったり、テレビや雑誌、新聞など情報を見たりした経験のある方も多いのではないでしょうか。 たとえば、2024年現在メジャーリーガーとして活躍する「大谷翔平選手」が、この手術を受けて復活を遂げています。当時、大谷翔平選手のトミージョン手術に関する弊社の記事がMBS毎日放送「ゴゴスマ」で紹介されました。 今回は、トミージョン手術の概要と本手術におけるメリット・デメリットを解説します。野球肘を治療する際によく用いられる手術なので、野球関連の怪我に関心がある方にとってとくに参考になる内容です。 腱や靭帯の損傷といった「スポーツ外傷」は再生医療での治療が可能です。再生医療とは人間の自然治癒力を活用した医療技術で、身体への負担が少ない治療法として今注目されています。 トミージョン手術とは損傷した腱や靱帯を再建する術式 トミージョン手術とは、肘関節部の腱や靱帯の損傷あるいは、断裂といった症状に対して腱や靱帯を再建するための術式です。 以下3つの観点から、トミージョン手術についてさらに詳しく解説します。 手術の方法 術後のリハビリ 手術の費用 手術の方法 トミージョン手術では、損傷した腱や靱帯をいったん切除します。次に、前腕部、下腿、臀部、膝蓋腱などから健康な腱の一部を摘出します。この腱を上腕骨と尺骨に作成した穴に通し、両端に適度な張力をかけた状態で固定します。 その後移植した腱は患部周囲に定着し、靭帯の代わりとして機能するようになるのです。 移植した腱が定着するまでに、ある程度の時間がかかると言われています。トミージョン手術をおこなってすぐに戻るものではなく、長期的なリハビリによる加療を実践することが求められます。 術後のリハビリ リハビリは、大体2か月程度かけて肘関節の可動域を元の状態に復帰させていきます。 その上で日常生活レベルで支障なく肘を動かせるようになれば、今度は軽い負荷からのウェイトトレーニングを開始することになります。 野球選手の場合、競技復帰までに1年ほどのリハビリが必要です。 手術の費用 海外でトミージョン手術を受ける場合の費用は、100〜300万といわれています。手術費用は、保険適用の有無や医師の経験値によって大きく変動します。 日本でトミージョン手術を受ける場合の費用は、保険適用で約15万〜30万円です。入院にかかる費用やリハビリ代などを加算すれば総額はさらに高くなります。 トミージョン手術に至る原因として多いのは野球のピッチング動作 野球の中でも、とりわけピッチング(投げる)という動作では、速球や変化球を何度も繰り返すことになり、肘に大きな負担を掛けるリスクがあります。 一般的に、野球競技で投球を繰り返すことで体幹や胸郭などのバランスが悪くなると肩や肘の力でサポートしたり、カバーしようと身体が反応し、意図せず働いてしまいます。 その際、上腕骨と尺骨を連結している肘関節部分に位置する内側側副靱帯に過剰な負担がかかり損傷が生じることがあります。 肘の靱帯が正常な状態の投手が、実際の投球中に靱帯をいきなり切ることはまずありません。しかし、小学生のころからプレーを続け、何度も繰り返される動作は負荷となって最初は小さなほころびでも積み重なることで切れてしまったり、大きな損傷となってしまうのです。 一部の整形外科医や球界関係者からは、肘の損傷の原因が投球フォームにあるという指摘もあります。いずれにしろ野球選手にとって避けては通れないスポーツ外傷というほかありません。 スポーツ外傷は「再生医療」の治療対象です。体内組織の自然治癒力を活用する医療技術で、手術による傷跡や後遺症のリスクを軽減できます。 以下の記事では、野球肘の予防に有効なストレッチを紹介しています。野球をする機会が多い方は参考にして、日頃のケアに役立ててみてください。 トミージョン手術を受けた選手一覧 大谷翔平選手以外でトミージョン手術を受けた日本人の野球選手を紹介します。 メジャーリーグで活躍!日本人でトミージョン手術を受けた選手の例 ※所属球団は2024年現在 前田健太 デトロイト・タイガース ダルビッシュ有 サンディエゴ・パドレス 藤川球児 元阪神タイガース 松坂大輔 元西武ライオンズ トミージョン手術は、名高い野球選手から多くの信頼を得ている手術方法といえます。 トミージョン手術を受けるメリット・デメリット トミージョン手術を受けるメリット・デメリットを以下にまとめました。 【トミージョン手術のメリット】 トミージョン手術の成功率:80~90%が実践復帰 【トミージョン手術のデメリット】 デメリット:手術後のリハビリ期間が1年~程度必要 デメリット:手術とリハビリからくる期間的リスク デメリット:合併症の危険性がある トミージョン手術氏がこの手術を受けた1970年代は、手術自体の成功率が何と1%未満とされていました。しかし、1986年から2012年までに本手術を実施された野球投手を調査した結果、約80%~90%もの人々が実戦復帰を果たしており手術の成功率が格段に向上しています。 この手術における成功率が向上した要因としては、手術そのものの技術的な進歩のみならず術後のリハビリテーションの知識と経験の蓄積が顕著な治療成績の改善を生み出したと考えられています。 ただし、通常ではトミージョン手術による治療からリハビリを含めて実戦復帰するためには約12か月から18か月かかると考えられています。仮に実戦復帰できたとしても所属球団の方針によっては厳しく球数を制限されるかもしれません。 また、術中操作にともなう尺骨神経の障害は、トミージョン手術後の合併症において頻繁に起こる可能性があります。 まとめ|トミージョン手術とは損傷した腱や靱帯を再建するための手術 トミージョン手術は、損傷した腱や靭帯の再建をおこなう手術です。とくに、野球のピッチング動作の繰り返しで、肘関節の内部にある靭帯を損傷したときに用いられます。 スポーツ外傷には「再生医療」の治療法も効果的です。 本来なら手術をしなければいけない状態でも、再生医療で治療できる可能性があります。手術による傷跡や後遺症の心配もないので、安心して治療を受けられます。 トミージョン手術に関するよくある質問 最後にトミージョン手術に関するよくある質問と回答をまとめます。 トミージョン手術が失敗する可能性はありますか? 現在のトミージョン手術では、約80〜90%もの人が実践復帰を果たすまでに回復するといわれており、失敗する確率は低い傾向にあります。 トミージョン手術は一般人でも受けられますか? トミージョン手術は一般の人でも受けられます。しかし、プロの野球選手ほど受ける人が少ないといわれています。リハビリに1年ほどかかり日常生活や仕事への影響が大きいほか、海外ほどトミージョン手術の名医が多くないためです。 スポーツや仕事で肘の腱や靭帯を損傷した方は、弊社「リペアセルクリニックのドクター」にご相談ください。患者さまの状態にあった治療方法をご提案させていただきます。 トミージョン手術を受けたあと復帰までの期間はどれくらいですか? 野球や仕事に完全復帰するまでには、約1年ほどかかります。損傷の程度によっては、2年近くかかる場合もあります。焦って無理に肘を動かすと回復を遅らせる可能性があるほか、状態を悪化させるリスクも招きかねません。 担当医や理学療法士の指示・助言を守りながら、計画的にリハビリを進めましょう。 靭帯損傷で手術以外の治療法はありますか? 靭帯損傷の治療法の1つに「再生医療」があります。再生医療とは、人間の組織や血液に含まれる自然治癒力を活用して、傷ついた靭帯を修復させる医療技術です。 注射を打つだけなので、手術のように傷跡が残ったり、長期のリハビリが必要になったりしません。トミージョン手術を受けた大谷翔平選手も、再生医療で靭帯損傷の治療を受けています。詳しくは以下の記事で紹介しているので、大谷翔平も受けた再生医療についての理解を深めたい方はあわせてご覧ください。
2022.04.21 -
- ひざ関節
- 動作時の痛み
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
- 靭帯損傷
日常の生活で、階段の上り降りや、立ったり、座ったりした際に、膝に痛みや、違和感を覚えたことはありませんか? その痛みが一時的なもので、普段痛みがなければ「大丈夫だろう…」と、医療機関を受診することなく放置しがちです。 しかし、膝の痛みを放置すると重大な病気に繋がることがあります。 膝の痛みからくる疾患は早期発見、早期治療が大切です。決して放置してはなりません。 この記事では、立ったり座ったりする動作で膝に痛みを感じたときに疑われる病気について解説します。 膝が痛む病気の症状と考えられる原因 膝の痛みは多くの人が経験する悩みであり、その原因はさまざまです。 膝は歩行や立ったり座ったりなどの動作を支える重要な関節のため、何らかの不具合が生じると日常生活に大きな影響を与えます。 階段の上り降り 立つとき 座るとき 起床時のこわばり 膝の痛みの原因は、筋肉の疲労や運動不足などの一時的な要因から、関節の炎症や変形などの慢性的な病気まで多岐にわたります。 膝が痛む場合は、どのような動作で痛みが生じるのか、痛みの部位はどこかなどを観察することが大切です。 原因に応じて適切に対処することで、膝の痛みを軽減することができます。 ここでは、立ったり座ったりすると膝が痛い原因や、膝の痛みが続くときの病気の可能性をチェックポイントで解説します。 立ったり座ったりすると膝が痛い原因は? 立ったり座ったりすると膝が痛い原因としては、変形性膝関節症や半月板損傷などの疾患の可能性が考えられます。 膝は脛骨の上を大腿骨が滑らかに転がる仕組みになっており、骨の表面は軟骨というクッションで覆われています。 また、大腿骨と脛骨の間には衝撃を吸収する半月板があり、痛みを感じる場合は軟骨や半月板などに異常が生じているのかもしれません。 膝の痛みが続くのは病気のサイン?チェックポイント 膝の痛みが長期間続く場合、単なる疲労や軽いケガではなく、病気のサインである可能性があります。 特に、膝の痛みが1週間以上改善しない場合や、痛みが徐々に悪化している場合は注意が必要です。 以下の項目のうち、2つ以上当てはまる場合は病気の可能性が高いと考えられます。 痛みの種類 □ 1週間以上、膝の痛みが続いている □ 安静時でも痛みがある □ 夜間や寝ている間に痛みを感じる □ ズキズキ・チクチク・ジンジンとした痛みがある □ 階段の昇り降りで強く痛む 腫れやこわばり □ 膝が腫れている、熱を持っている □ 朝起きた時に膝がこわばる □ 膝の動きがスムーズではなく、ぎこちない 動作時の異常 □ 立ち上がる時や座る時に痛みを感じる □ 歩くと痛みが増す □ しゃがむのがつらい □ 正座ができない □ 膝が抜けるような感覚がある(ぐらつく) 見た目の変化 □ 膝の変形が進んでいる □ 左右の膝の形が違う □ 膝の皮膚が赤くなっている 発熱や体調の異常 □ 膝の痛みとともに発熱がある □ 全身の関節が痛む □ 体重が急に減少している 上記に2つ以上該当する場合は、医療機関の受診をおすすめします。 \まずは当院にお問い合わせください/ 膝が痛い時に疑われる病気一覧 膝の痛みの原因にはさまざまな病気が関係している可能性があります。 以下の表では、膝の痛みと関連する主な疾患を一覧にまとめました。 ※気になる疾患名はクリック・タップすると詳細がご覧になれます。(一部除く) 膝が痛むときに多い疾患 症状 変形性膝関節症 加齢や関節の負担により膝の軟骨がすり減り、痛みや腫れが生じる 関節リウマチ 免疫異常により関節に炎症が起こり、こわばりや痛みが慢性化する 膝骨壊死症 突然の膝の激痛が特徴で、血流障害により骨組織が壊死する 半月板損傷・靭帯損傷 スポーツや怪我により膝のクッションである半月板や靭帯が損傷する 前十字靱帯損傷 急な方向転換やジャンプで靭帯が断裂し、膝が不安定になる 後十字靭帯損傷 強い衝撃で靭帯が損傷し、膝がぐらつくことがある 内側・外側副靭帯損傷 外部からの強い力で膝の内外側の靭帯が損傷する 離断性骨軟骨炎 関節内の骨や軟骨が剥がれることで痛みや運動制限が生じる 関節ネズミ 関節内に遊離した骨片が挟まり、突然の激痛やロッキング(膝が引っかかる感じ)が起こる オスグッド病 成長期の子供に多く、膝の前部が腫れて痛む 軟骨損傷 膝軟骨が傷つくことで炎症や痛みが発生する 膝に痛みを生じさせる代表的な病気には「変形性膝関節症」と言われるものが最も多くみられます。 その他、運動などのスポーツ障害として「半月板損傷」や、「前十字靱帯損傷等」などが知られています。 それ以外にも、膝の障害には多岐にわたる疾患があるため、自覚する症状によって自分で判断するのは難しいとお考え下さい。 膝が痛む場合、違和感がある場合は初期の段階、早めの受診をおすすめします。 変形性膝関節症 本疾患における原因として以下のものがあります。 加齢で軟骨組織が老化する 肥満体形で膝への負担が大きい 遺伝的素因 膝関節周囲の骨折の後遺症 病変や半月板損傷外傷などの後遺症 変形性膝関節症は進行性の病気で元の状態に回復させることが困難な病気です。 いかに現状の状態を維持できるかといったことが治療の主眼となり、保存療法を中心としたリハビリが有効な治療法となります。 注意すべきは最終的に手術が必要になることです。それが「人工関節」という選択です。 そうならないためにも、上記に記したような膝への痛みや、違和感を感じたら、早めに病院等にて診察を受けるましょう。 万一、変形性膝関節症であった場合は、リハビリ等にて進行を、可能な限り遅らせるような取組みが可能です。 【関連記事】 変形性膝関節症でしてはいけないことを職種別に解説【負担を減らす】 変形性膝関節症の治療は早期発見が鍵!初期症状を見逃さないために 関節リウマチ 膠原病という自己免疫が関連した病気で、膝関節のみならず手指、手関節、肘関節などを中心に身体のあらゆる関節で炎症が引き起こされる病気です。 関節リウマチを引き起こす要因としては未だに明確なことは判明していませんが、どうやら生体の自然免疫システムが発症に深く関係していると言われており、病状が悪化するメカニズムは最近の医学研究などによって少しずつ明らかになってきています。 本疾患における初期症状としては、関節自体に炎症が起こることに伴って関節部の腫れが認められ、それが膝部分で発症すると膝の関節に痛みが出現することになります。 さらに病状が進行してしまうと、関節を構成している骨や軟骨などが破壊されることによって関節が変形し、屈曲拘縮や関節脱臼など日常生活に多大な支障をきたすことに繋がってしまいます。 【関連記事】 関節リウマチの初期症状は?チェックリスト付きで現役医師が解説 膝骨壊死症 骨壊死の特徴として、急な痛みがあります。 変形性膝関節症のように病気が進行することで徐々に痛みが進行していくものとは違って骨壊死は、ある日突然痛みが発症する場合が多いと報告されています。 原因としては、軟骨の土台になっている軟骨下骨に微小骨折が生じて骨の壊死が発症していくと推測されています。 夜間など寝ている時や、体を動かしていないのに膝の痛みがある場合に膝骨壊死(大腿骨内顆骨壊死、脛骨内顆骨壊死)が考えられます。 半月板損傷・前十字靱帯損傷等 半月板損傷・前十字靭帯損傷は、比較的若い世代に多く見られる膝の傷害です。 主にスポーツや激しい運動中の外傷により発生しますが、半月板は加齢により弱くなるため、高齢者では転倒などの軽微な怪我でも損傷する可能性があります。 これらの損傷では「ロッキング」と呼ばれる膝が伸びない症状や、痛みを伴う膝の曲がりにくさ、走行困難などの症状が現れることがあります。 前十字靭帯は脛骨と大腿骨を繋ぐ重要な靭帯で、完全断裂、部分断裂、弛緩などの損傷パターンがあります。 スポーツ中の激しい接触や急な方向転換、ジャンプ着地、転倒を伴う動きで特に発症リスクが高まります。 年齢を問わず、適切な準備運動とフォームの意識が予防に重要です。 【関連記事】 【医師監修】半月板損傷でやってはいけないこと!放置するリスクや治療方法も解説 半月板損傷の原因から治療まで 医師が解説 膝の痛みを和らげる治療法 膝の痛みを軽減するための治療法は、原因となる病気や症状の進行度によって異なります。 変形性膝関節症や関節リウマチ、半月板損傷などの主な治療には保存療法(リハビリ・薬物療法)と手術療法の2つの選択肢があります。 早期の段階では、生活習慣の見直しや運動療法、サポーターの使用などが有効ですが、症状が悪化すると薬物療法や注射治療、さらには手術が必要になることもあります。 膝の痛みに対してご自身でできる対応としては、以下のものがあります。 安静・アイシング:発症直後や炎症がある場合は安静にして膝を冷やす 薬物療法:痛みや炎症を和らげるための鎮痛剤・湿布など 装具療法:サポーター・足底板などで負担軽減・膝の安定性を高める これらで痛みが引かない場合や、痛みが強いときは医療機関を受診しましょう。 この章では、膝の痛みを和らげるための治療法について、疾患ごとに詳しく解説していきます。 \まずは当院にお問い合わせください/ 変形性膝関節症の治療 こちらの動画では、変形性膝関節症と間違われやすい膝関節周辺の疾患5選をご紹介しています。是非ご覧ください。 治療方法として以下のものがあります。 鎮痛剤 ヒアルロン注射 保存療法(リハビリ)大腿四頭筋を強化する 理学療法で可動域を改善する 膝の装具(サポーター等) 足底版 膝関節痛の原因が「変形性膝関節症」の場合には、日常生活において、膝の周囲の筋肉、特に「ふとももの筋肉(大腿四頭筋)」を鍛えて、出来る限り「正座」の姿勢を取らないように心がけましょう。 変形性膝関節症の治療は、膝関節の痛みが軽度であれば鎮痛剤を内服するあるいは湿布などの外用薬を貼付する、あるいは膝関節内にヒアルロン酸を注射する処置を実施することがあります。 それに並行して保存療法(リハビリテーション)を行います。 大腿四頭筋を強化するリハビリ訓練を受け、関節可動域を改善させるための理学療法を実践、膝を温める物理療法を試みる、あるいは膝関節にかかる負担を補助するための足底板や膝専用装具を作成するなどの工夫策を組み合わせることになります。 これらの保存的な治療でも症状が改善しない場合には関節内視鏡手術、高位脛骨骨切り術、人工膝関節置換術などを中心とした手術治療を考慮することになります。 関節リウマチ疾患の治療 関節リウマチ疾患の治療方法としては、以下のものがあります。 生活習慣の改善 タンパク質、ビタミン成分、ミネラルなどバランスの良い食生活 体重管理 抗リウマチ薬、生物製剤を用いた免疫療法 炎症所見や痛みを緩和させる非ステロイド系鎮痛消炎剤 手術による治療(滑膜切除術・人工膝関節置換術 発熱や体重減少などの全身症状を伴うことも多く、症状が活発な時期は絶対安静が必要です。 薬物療法では免疫療法や対症療法が中心となり、膝関節の機能障害が重度の場合は手術療法も検討します。 また、症状を軽減させるためには、食生活や運動習慣などの生活習慣の改善も重要です。 前十字靭帯損傷の治療 前十字靭帯損傷の治療方法としては、以下のものがあります。 保存療法(リハビリ) 装具(サポーター等) 手術 関節鏡視下手術 損傷が起こった場合は、リハビリを中心とした運動療法を中心に理学療法、装具療法等の保存療法を行います。 それでも症状が改善しない場合は、手術療法を検討することになります。 手術療法には、関節鏡視下にて行う低侵襲の手術であるため、術後の回復も早く、スポーツの場合では競技への復帰、また社会への復帰も早く見込めます。 ただし、注意点としては、靭帯損傷で適切な治療を行わないままに運動や、スポーツを継続すると半月板等、周囲の軟骨を損傷することとなりかねません。 そうなると変形性膝関節症に移行しかねない危険性があります。 まとめ|膝の痛みが示す病気の可能性と早期受診の重要性 膝関節痛の代表的な原因には変形性膝関節症、半月板損傷、前十字靱帯損傷、関節リウマチなどがあります。 これらの疾患は個人差が大きいため、症状の程度や日常生活への影響に応じた個別の治療計画が必要です。 適切な治療のためには、自身の身体状態を正しく理解し、症状や治療法について十分に理解することが重要です。 どのような症状でも早期治療が非常に重要で、痛みを放置したまま運動を続けることは症状を悪化させる恐れがあります。 膝に痛みや違和感がある場合は、迷わず整形外科クリニックや専門病院を受診して専門家に相談しましょう。 膝の痛みに対して再生医療をご検討の際は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。
2022.04.18 -
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- 脊椎
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- 手部
- 足部
「MRI検査って結果が出るまでの時間はどのくらいなのか」 「時間がかかるなら予定を組みたいから事前に知っておきたい」 人間ドックでも使用する機会が増えてきたMRI検査ですが、人によっては所要時間以前に検査を受けることが難しい場合があります。 本記事ではMRI検査でできる内容や、注意点について解説します。MRIを用いた検査を予定している人で、本記事で記したMRI検査の注意事項に当てはまる人は、検査の前に担当の医師に申告するための準備ができるので、ぜひ参考にしてください。 MRI検査とは MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断)検査とは、強力な磁場を発生させるトンネルのような装置の中で、身体の内部の断面をさまざまな方向から撮影する検査です。 MRI検査は、ベッドに横たわり検査が始まるとベッドが自動で動いてトンネルのような装置の中に入っていきます。磁場が発生するときは工事現場のような大きな音がするため、ヘッドホンや耳栓をして検査を行う場合もあります。 工事現場の音 80〜85デジベル MRI検査の音 120デシベル程度 MRI検査でわかること MRI検査は、全身の疾患について調べられますが、以下の部位における高い検査能力が特徴的です。 四肢(両手、両足) 関節軟部組織 脊椎 脳 膝 肩 子宮 卵巣 血管 など 骨や、その周辺にある軟骨の状況も精査できるほか、脳を含む頭部や骨盤内の臓器などを検査する際に使われます。 MRI検査とCT検査との違い MRI検査と同じように身体の内部を撮影する検査として「CT検査」があります。MRI検査と同様にトンネルに入って行うもので装置の見た目も似通っているのですが、大きな違いがあります。 それは「CT検査は放射線を使った検査」「MRI検査は磁場と電波を使った検査」の違いです。放射線を使わないMRI検査の方が身体への負担が少ないと考えられます。検査の原理や得意な部位の違いは以下の表でまとめました。 検査原理 得意な部位 MRI検査 磁場と電波 整形外科の主な症状 腱板損傷、腱板断裂、関節損傷、靭帯損傷、半月板損傷、頸椎症、胸椎・腰椎ヘルニア、頸椎ヘルニア、脊髄腫瘍、骨軟部腫瘍、その他 脊髄、関節、脳、骨盤腔内臓器 ※関節軟部組織の描出が得意 CT検査 放射線 骨、脳、肺、腹部 MRI検査の結果が出るまでの所要時間 MRI検査の所要時間は20~45分です。似ている検査方法のCT検査は10~15分なので、比較すると少し長い時間がかかります。身体を動かすと画質が落ちてしまうため、検査中はなるべく身体を動かさないことが重要です。 また、MRI検査の結果が出るまでの期間は、検査当日すぐに出る場合もあれば、7~10日間ほどかかる場合もあります。医療機関によって変わるため事前にご確認ください。 MRI検査当日の所要時間:20〜45分 MRI検査の結果が出るまでの期間:当日または7〜10日 MRI検査の全体的な流れ MRI検査の当日は以下の流れで検査が行われています。 受付しつつ注意事項の確認 問診完了後、検査着にお着替え 検査室に移動しMRI検査の実施 MRI検査終了後、来院時の服にお着替え お会計 MRI検査の結果は郵送でお知らせするケースが大半ですが、必ず担当医に「どのような方法で検査方法が知らされるのか」を確認しておきましょう。 MRI検査の注意点 MRI検査は、強力な磁石と電磁波を使用するので、MRIの検査室内には金属類の持ち込みを一切禁止しています。たとえば金属類が該当し、ファスナーやチャック、金属製のボタンなどが付いた服装では検査できません。 また、女性の方はホック付きのブラジャーも着用できない可能性があるため注意が必要です。その他、バッグはもちろん、携帯電話や腕時計、財布などの貴重品、身に付けているアクセサリーを含めた金属類はすべて取り外してもらうのが必須です。ヘアピンなども忘れがちですので注意してください。 医療機関では、MRI検査で検査着に着替える場合が多いため、なるべく金属が付いておらず着替えやすい服装で来院するとスムーズに検査を受けられます。 金属が付いていなくても発熱系素材の下着なども注意が必要です。 インプラントも素材によっては難しい場合があるので、入れ歯も外してもらう必要があります。 身につけてはいけないものや注意が必要なもの一覧 MRI検査当日は、以下の服装やアクセサリー類などを身につけて来院される場合は注意が必要です。 MRI検査時に注意が必要なもの一覧 身に着けてはいけないもの、注意が必要なもの ファスナー、金属ボタンのついた衣類 メイク、マニキュア(アイシャドウ、マスカラ、ネイルアートに注意) 入れ歯、(インプラントは事前相談が必要です) 腕時計、メガネ、へアピンなどのアクセサリー類 コンタクトレンズ(事前相談が必要です) コルセット系の下着、ホックが付いた下着・衣類 金属のついている服や下着 発熱保温機能付の衣料(ヒートテック等) など 体内にペースメーカーなどを埋め込んでいる人 MRI検査は、強力な磁石や電波を使うため、火傷などの事故が起こらないよう十分に気を付けなければなりません。人によっては、身体の状態や状況によってMRI検査を受けるのが難しいと判断されるケースがあります。 以下の事項に当てはまる人は、MRI検査を受けられない場合があるため注意が必要です。 体内に金属(インプラント、ペースメーカーなど)を埋め込んでいる人 手術などで体内に金属、プレートやボルトを埋め込んでいる人は、MRI検査で使用する磁石と金属が反応して検査画像の乱れや火傷の原因となる可能性があります。 金属を体内に埋め込んだ症歴がある場合は、検査を受ける前に必ず申告し「MRI検査が可能であるか」を確認しておきましょう。治療を受けた病院で、金属の種類を事前に確認を求められるケースもあります。 体内に金属類を埋め込んでいる人で注意が必要なケース一覧 心臓ペースメーカー 骨折で体内に金属が入っている 脳動脈クリップ 血管ステント挿入 人工内耳、人工中耳 脳深部刺激装置 入れ墨、アートメイク リフトアップを金糸で行った場合・ 妊娠中、または妊娠の可能性 金属片が飛び散る職場での勤務 閉所恐怖症 ※上記でもチタンを用いたら、検査を受けられる場合もあります 刺青やアートメイクをしている人 刺青やタトゥーで検査ができないケースについて不思議に思う人も少なくないでしょう。実は刺青やタトゥーの色素に鉄などの金属が含まれている場合があり、MRI検査の強力な磁石と反応すると火傷を引き起こす可能性があるからです。 アートメイクの場合も、使用される金属の量はわずかですが、ごくまれに刺青と同様に検査画像が乱れてしまいます。火傷を引き起こす可能性もあるため、同じく注意が必要となります。たとえばマグネットネイルやミラーネイルなども変色の恐れがあるので注意しましょう。 刺青やアートメイクをしている人は、MRI検査を受ける前に必ず担当医師へ申告しましょう。 閉所恐怖症/狭いところが苦手な人 MRI検査は、狭いトンネルのような空間で行われるため、狭いところが苦手な人や閉所恐怖症の人は事前に申し出るのをおすすめします。MRI検査の検査時間は、長いと40分ほど必要になるため、閉所恐怖症の人は注意が必要です。 狭いところが苦手なのを事前に伝えておけば、医療機関によってはMRI機器の明るさを調整したりできる場合があります。検査機関によっては、オープン型のMRIを使用できるので事前に確認しておきましょう。 また、我慢できない場合は検査員に知らせるためのスイッチがあるので、気持ちを楽にしてお受けください。MRI検査について不安な点があれば、たとえ些細なことであっても検査を行う前に医療機関へ相談しましょう。 メイクやコンタクトレンズを着用をしている人 MRI検査を受ける際は、通常のメイクであっても注意が必要です。メイクをしたままMRI検査を受けるのは大きなリスクが伴います。 アイシャドーやマスカラ、アイラインなどの化粧品は、種類によって金属が含まれている場合があるため、検査画像の乱れや火傷を引き起こす恐れがあります。 正しく検査を終えられるように、MRI検査が始まる前までにメイクを落としておきましょう。 コンタクトレンズ(とくにカラーコンタクトレンズ)も注意が必要です。コンタクトレンズには鉄成分が含まれている場合があるため、コンタクトレンズをつけたままMRI検査を受けると検査画像への影響や火傷の危険があります。 コンタクトレンズを使用している人はMRI検査の前に外しておくか、検査の日は眼鏡をかけて来院し、検査中は眼鏡を外すような対応を行うのが無難です。 その他食事などにおける注意事項 MRI検査で腹部や骨盤の検査をする人は「食事の制限はしておくべきか」気になる人も多いでしょう。腹部や骨盤のMRI検査では、約6時間前までに食事を済ませてもらうよう案内しています。 水の摂取に関しては、MRI検査の直前までは問題ありません。とくに骨盤のMRI検査を受ける人は、来院の1時間前までに排尿を済ませておいてもらう必要があります。仮に来院1時間を過ぎたタイミングで排尿された場合は、300ml程度の水を摂取してから検査を受けましょう。 まとめ・MRI検査と検査を受ける際の注意点を把握しておこう MRI検査の造影剤は、被ばくの危険性がないため、CT検査よりも身体に負担の少ない検査であると言われています。しかし、体内に金属を埋め込んでいる人や刺青をしている人は危険が伴うため検査が受けられない場合があることを把握しておきましょう。 メイクをしたままやコンタクトレンズを付けたままの状態でMRI検査を受けるのも大きなリスクが伴います。必ずMRI検査を受ける前に注意事項を確認しておきましょう。
2022.04.18 -
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糖尿病!運動療法なら改善はもとより予防にも効果を発揮 糖尿病には、その発症状況から、いくつかのタイプがあることが判明しています。ただ、その中でも自己免疫の異常によって引き起こされる「1型糖尿病」は、完全に予防できる方法が発見されていません。 その一方で、日頃の生活習慣が関与している「2型糖尿病」、あるいは妊娠を契機に発症する「妊娠糖尿病」は生活習慣やライフスタイルを見直すことで、それらの発症自体や、症状悪化を一定の割合で回避または改善することが可能です。 そこで本稿では、この2型糖尿病について、その改善方法を記してまいります。(以下に記す「糖尿病」の表記は、2型糖尿病を指すものとします) 糖尿病は、規則正しい食生活の改善は勿論のこと、日常から意識して身体を動かすなどの運動を実践することが大切です。それにより、ストレスも発散できるように努めることが重要です。 運動を行うことにより、心身共に健やかに保つことが改善はもちろん、予防にも効果的です。以下、糖尿病を改善し、予防に有効な「運動に関する情報」を詳細に紹介してまいります。 1型糖尿病 治療、予防が難しい 2型糖尿病 妊娠糖尿病 予防が可能 生活習慣やライフスタイルを見直す 規則正しい食生活 適度な運動(ストレス発散) 糖尿病を予防し、改善に効果的な運動 運動を継続的に実行することは、食事による療法と並んで糖尿病における治療の基本となっています。 特に「2型糖尿病」における発症要因として、「肥満体形」「過食傾向」「運動不足」の関与が強く疑われており、運動することでエネルギーを消費し、ストレスも解消し、肥満を撃退できるのみならず、運動を行えば筋肉活動量が向上して「インスリン機能を改善」ずる効果を期待できます。 糖尿病の発症要因 肥満体形 過食傾向 運動不足 糖尿病の改善効果をあげるための心掛け 運動を行うタイミングについて食事を摂取した直後は、なるべく控えたほうが良いものの、食後1時間程度を経過してから行うことができれば、食事から取り込まれたブドウ糖や脂肪成分の利用を効率的に促進することができ、血糖値を有効的に下げられる可能性があります。 食後に血糖値をさげるために 食後1時間程度、経過後に運動を行う ブドウ糖、脂肪成分を効率的に促進できる 血糖値を有効的に下げられる可能性が高い 血糖値を良好にコントロールしてその状態を維持するには、運動と食事は両輪での対策が必要です。治療効果としては、どちらか一方が欠けてもうまく制御することができません。 注意したいのは、「毎日運動しているから!」という理由で、入念な食事療法を怠ることです。その反対も同じです。「食事療法しているから」と運動を避けるのは避けたいものです。 片方だけを頑張るのではなく、食事も運動も双方を取り入れて有効な予防、回復効果を目指しましょう。 運動 + 食事 = 予防、改善(どちらかに偏らないバランスが大切) 運動の方法 糖尿病の運動療法について、ダンベルや、重りなど、器具を用いて筋肉に負荷をかけるようなトレーニングジムで行う運動(レジスタンス運動)よりも、一般的で手軽にできるウォーキングや、ジョギング、水泳などの全身を使った有酸素運動が適しています。 なぜならば有酸素運動を継続して実践することでインスリンの働きがよくなり血糖値を上手く調整しやすくなるからと考えられています。 したがって、糖尿病における運動療法は、まずは運動不足を改善させる有酸素運動から始めるべきです。その上で余裕が出てくれば次のステップとして、身体に負荷をかけるレジスタンス運動を検討すれば良いと思われます。 具体的な、有酸素運動(ウオーキングやジョギング等)については、少なくとも週に3回は、一回当たり40分~60分間程度行うことが理想です。 これは通常、「糖の代謝が改善する期間」が運動してから、およそ半日から3日間前後持続することから導いたもので、血糖値を上手く制御するためには運動行為を1週間のなかで3日間は実践することが理想的だからです。 有酸素運動の実施 週に3回(一回当たり40分~60分間程度) 現在が運送不足の状態として、一念発起し、一気にやり始めるのではなく、毎日少しずつ取り組まれ、週3回、行うことを目指しましょう。無理は禁物ですがコツコツとした継続は、大きな力になってくれます。 運動の長さは、このような有酸素運動では、週当たり150分(2時間30分)以上、一回あたり50分を確保するのが理想ですが、無理は禁物です。可能な時間から徐々に行い、最終的にそうなることを目標にしましょう。継続は力です! 運動の開始時間 食事後1時間程度経過してから 効果的にするために 運動だけに偏らない、食事療法も一体で行う 運動内容 ウオーキング、ジョギング等の有酸素運動 回数 週3回を目途、間隔を3日空けない 時間 一回当たり30分~60分程度 1型糖尿病の場合には、2型糖尿病と異なってインスリンを分泌する膵臓細胞が壊れてしまうことで発症するため、インスリン機能そのものの回復を期待できるような治療効果は期待できません。 いかし、運動することで心身の健全な発達やストレス解消に貢献するため、けして無駄ではありません。 糖尿病の運動療法の効果 このような運動療法の効果は数々考えられており、運動することで血液中のブドウ糖が筋肉にとり込まれやすくなることでブドウ糖などの利用が促される結果、血糖値が下がる現象が認められます。 特に2型糖尿病では低下したインスリン機能が改善すると言われています。 また、このような運動は糖尿病のみならず、高血圧や脂質異常症の改善にも役立ち、エネルギー消費のバランスが安定化することで減量に繋がって肥満を防止することにも貢献します。 さらに運動を実行すれば加齢に伴って起こる筋肉の衰弱や、骨粗鬆症を改善できる期待を持てるばかりか、それ以外に心肺機能が高まるのみならず爽快感が向上してストレスを解消させる効果をも併せて考慮できるのです。 実際に、運動療法を実践する場合は、事前に準備運動やストレッチを丹念に行って軽い動作から開始し、徐々に運動強度を高めていくように意識しましょう。 実施にあたっては、適宜体調に合わせて、無理をしないように継続できる運動の種類を選択するように心がけましょう。 運動療法の効果 ブドウ糖が筋肉にとり込まれ血糖値が下がる 低下したインスリン機能が改善する 高血圧や脂質異常症の改善にも役立つ エネルギーの消費で肥満の防止 加齢による筋肉の改善 骨粗鬆症の改善を期待 心肺機能が高まる ストレスの解消効果 まとめ・糖尿病!運動療法なら改善はもとより予防にも効果を発揮 今回は糖尿病を予防して改善するための運動について詳しく紹介しました。 糖尿病の発症を防ぎ、症状を改善させるために運動は有効的であり、特に有酸素運動である歩行運動をする際には1日あたり1万歩以上を目標にして、1週間に少なくとも3日間以上の頻度でウォーキングエクササイズを実行することがお勧めされています。 いつでも、どこでも、一人だけでも実践しやすい歩行運動などは常日頃から多忙でまとまった時間が確保できない方でも通勤や通学中などでも行うことが可能ですし、どこまで運動強度を上げていいか不安に感じる患者さんはかかりつけ医ともよく相談してみましょう。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼糖尿病の合併症|最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目を浴びています ▼以下、食生活の改善についてもご参考にしていただけます 糖尿病|食事で予防、食生活のチェックや見直しで悪化や合併症を防ぐ
2022.04.15