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変形性膝関節症で必要な体重コントロールについて

変形性膝関節症で必要になる体重の管理/コントロール

この記事を読まれようとしているあなたは、「階段の上り、下り」で膝が痛くて困ったことはありませんか?現在、膝の痛みで困っている人は日本国内で2000万人以上もいるといわれています。

 

体重管理

膝の痛みの原因となっている病気の一つとして、変形性膝関節症が挙げられます。本記事では、変形性膝関節症の症状は、体重を減らすことが膝の痛みの軽減に重要な要素であり、体重を管理することが症状の緩和につながること。そして、その方法をご説明しています

「膝の痛みが気になる」「最近、体重が増えた」という人は、ぜひ参考にしてみてください。

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症とは、膝の軟骨が摩擦などですり減り、痛みを起こす病気です。歩行や「階段の上り下り」など、膝の曲げ伸ばしには膝関節の骨と骨の間にある軟骨が大きく関わっています。膝軟骨が擦り減っていき、骨同士が擦れると炎症反応を起こします。この炎症反応が痛みに繋がるのです。

変形性膝関節症の原因となる要素は次のようなものがあります。

・肥満

・年齢

・遺伝

それぞれの項目について、詳しく解説します。

・肥満を避ける

肥満によって脂肪細胞の量が増える。つまり体重が増加するということですね!体重が増えると膝に大きな負荷がかかります。膝には体重増加の3倍もの負荷がかかると考えられているからです。

例えば、体重が10㎏増加すると、膝には30㎏の負担がかかっているということになり、こうした体重以上の負担が膝にかかることで変形性膝関節症に繋がるのです。当然、体重が増えれば、増えるほど危険性は増えていきます。

また、すでに変形性膝関節症になってしまった方なら、当然ですが膝への負担を和らげてやる必要があります。その意味でも体重管理は膝の健康のために非常に重要になってくるということです。

・年齢

加齢に伴う筋力低下、特に太ももの筋力が低下することで、膝軟骨のすり減り、変形性膝関節症の原因となると考えられています。筋力が衰えると膝を支える力が低くなり、膝関節そのものへの負担が増えてしまいます。

・遺伝

遺伝によって、膝軟骨がすり減りやすい人がいるといわれています。家族に変形性膝関節症の人がいる場合はあらかじめ気を付けておいた方が無難です。身内にこの病気にかかった人がいるなら、日常の体重管理を意識して行うようにしたいものです。

これらの要素に加えて、骨折や靭帯損傷も変形性膝関節症の原因になる可能性があります。変形性膝関節症が悪化すると、痛みが強くなり、日常生活に支障が出てしまいます。

変形性膝関節症の痛み

変形性膝関節症の症状として困るのは、膝の痛みがみられることです。では、どのような場面で膝の痛みが現れるのでしょうか?変形性膝関節症の患者さんの多くは、次のようなときに痛みを感じるといわれています。日常生活で、当てはまるものがあるかチェックしてみましょう。

痛みを感じる場面

・立ち上がるとき

・歩き始めるとき

・階段の上り下り

・寝ているとき

特に、「階段を下りるとき」に痛みを感じることが多いようです。また、「膝の内側を押すと痛みがある」という人も、変形性膝関節症の疑いがあります。

変形性膝関節症が悪化すると、痛みが強くなり、日常生活に支障が出てしまいます安静にしていても痛みが消えない、痛みが酷くなる場合は、放置せずに病院の整形外科を受診しましょう。

膝への負担を軽減しましょう

変形性膝関節症の場合、膝への負担を少なくする工夫が大切です。次のようなことが効果的といわれています。

膝への負担を避ける工夫や行動

・体重を減少させる(ダイエット)

・洋式トイレを使う(和式を避ける)

・身体を温める、血行を良くする(サポーターも有効)

・正座を避ける(洋風の生活環境)

膝の痛みが気になる人は、まずは日常生活で膝への負担を減らすために洋風の生活(床に直接座らないような)への転換、ライフスタイルをお勧めします。意識して行うことで症状の悪化を防止しましょう。

体重を落としましょう

ここからは、体重管理、体重を減少させることが変形性膝関節症に効果的であることをご説明します。体重の減少!ダイエットは、膝の関節への負担を直接減らすことに繋がります。運動療法には、膝の痛みについて、次のように様々なメリットがあります

運動療法の有効性とメリット

・脂肪の増加を抑える→ 体重が減少する

・筋力をつける→ ぐらつく膝関節を支えることができる

・新陳代謝の改善→ 膝を含め身体全体の再生を促す

つまり、体重を管理することは膝関節への負担を減らすことができるのです。標準体重より多めなら積極的なダイエットで体重を落とすようにしてください。

しかし、注意が必要なことがあります。それは体重を減らそうとした運動の仕方によっては膝への負担を増やしてしまう可能性があることです。膝の曲げ伸ばしが多い運動や、激しいスポーツは、膝の負担を減らすどころか、逆に痛みを酷くしてしまうことがあります。

膝の痛みを感じない程度のウォーキング、寝ながらのストレッチを無理のない範囲で継続していくのがオススメです。

運動できないときのダイエット方法

肥満を改善するためには、運動療法・食事療法が有効といわれています。すでに膝に痛みを感じるなど、運動で体重を減らすのが難しいと感じる人は、次の食事療法によるダイエットを試してみましょう

食事療法といっても、急激な食事制限はリバウンドや体調悪化の原因となり、逆効果です。次に紹介する、体重を抑えたいときに効果的な食事方法を参考にしてダイエットにお取組みください。

食事療法での体重減少に効果的な方法

・早食いを控える

・ながら食いを控える

・つられ食いを控える

・よく噛んで食べる

・不要な食品を買わないようにする

・身の回りに菓子類、甘いドリンクを置かない

それぞれの項目について、詳しく解説していきます。

・早食いを控える

早食いは体重増加に繋がるといわれています。満腹中枢が刺激され、満足感が得られるにはある程度の時間が必要といわれています。そのため、満腹中枢が働く前に必要以上に食べ過ぎてしまうのです。

・まとめ食い(ドカ食い)を控える

一度に多くの量を食べると、血糖値が急激に上昇します。血糖値の急激な上昇は体脂肪や体重の増加に繋がりますので気を付けましょう。少ない量をこまめに食べるようにすると、血糖値の上昇も緩やかになり、体重の増加を抑えることができるといわれています。

・ながら食い、つられ食いを控える、よく噛んで食べる

テレビや動画を観ながら食べるなど、食事に集中せずに食べていると、食べ過ぎてしまいがちです。食事の見た目や匂いを気にしながら食べるだけでも、食事への満足感が増え、食べ過ぎを防ぐことができるのです。

周りにつられて食事の量が多くなることを避けましょう。家族や友人などとの食事で、ついつい同じように食べてしまうことがあります。自分の食べる量を見極めて食事するようにしましょう。

周りにつられないため、大食いにならないコツは、よく噛んで、ゆっくり食べることが大切です。シッカリ嚙めば普段より少ない量で、満腹感を得ることができるといいます。また、食べ過ぎないように食べたものの記録を付けるのも有効だと言います。食べ過ぎの罪悪感を利用するのです!

・不要な食品を買わない、菓子類を身の回りに置かない

私たちは意思の弱い面があります。手の届くところ周りに食べ物があると、「つい手伸ばしたくなるものです」。それなら、買い物のときに不要な食品を買わないようにしたり、同様に菓子類や甘い飲み物は、買い物かごに入れないようしましょう。入れそうになったらダメダメ!と思ってください。

食事についての意識を変えるだけでも、ダイエットに繋がりますので、ぜひ試してみてください。

体重管理について、おわりに

本記事では、変形性膝関節症の予防や膝の痛みの防止には、体重コントロール、ダイエットが重要であることをご説明しました。ライフスタイルの改善が、変形性膝関節症の予防や、膝の痛みを食い止めることに繋がります。

体重を管理する方法を決めて楽しみながら取り組むことができれば良いですね。そのためにも日常生活の中で出来ることから、体重コントロールに取り組んでみましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

No.s017

監修:医師 加藤 秀一

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