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変形性膝関節症の初期症状とは?原因や治療方法もわかりやすく解説

「膝の痛みが続いている」「変形性膝関節症の初期症状では」
上記のように、膝に痛みを抱えており、変形性膝関節症を疑っている方もいるでしょう。
変形性膝関節症とは、膝関節にあるクッションの役割をする軟骨が、加齢や筋肉量低下によってすり減り、痛みが生じる病気です。変形性膝関節症は、進行性の病気であり、徐々に症状が現れるのが特徴です。
本記事では、変形性膝関節症の初期症状を解説します。末期や中期の症状も紹介しているので、膝の痛みに悩みを抱えている方は、ぜひご覧ください。
目次
変形性膝関節症の初期症状とは
変形性膝関節症は、進行性の病気です。初期症状は、動き始めに痛みが生じたり、胡座や正座など膝に負担のかかる座り方がしづらくなったりするのが特徴的です。
本章では変形性膝関節症の代表的な初期症状を3つ紹介します。
動き始めに違和感と痛みが生じる
変形性膝関節症の代表的な初期症状が、動き始めの違和感や痛みです。
はじめは、膝がなんとなく動かしづらかったり、重しをつけられているような違和感があったりなどの症状から始まります。
起床時や長時間椅子に座っているところから動き始めた際に、痛みが生じる場合もあります。
しかし、初期段階では、痛みや違和感が生じても、しばらくすると治まるケースが大半です。
痛みや違和感が持続しないため「ただの老化現象だ」「一時的な不調」と捉え、変形性膝関節症の初期症状を見逃してしまう方も多くいるため、注意が必要です。
階段昇降時に痛みが生じる
階段昇降時に痛みが生じるのも、変形性膝関節症の初期症状としてあげられます。なかでも、階段を降りる際に痛みが生じやすい傾向にあります。
階段の昇降動作は、普通に歩くよりも膝に負担がかかりやすいのが特徴です。
「歩く分には問題ないが、階段昇降時に痛みが生じる」と、昇降動作によって変形性膝関節症に気づく方も少なくありません。
階段の昇降時に痛みがあるものの、歩く分には問題ないからといって放置していると、変形性膝関節症が進行する可能性があります。
階段の昇降時に痛みが生じる場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
胡座や正座をしづらくなる
変形性膝関節症の初期症状として、胡座や正座がしづらくなるのも特徴です。
胡座や正座は、膝関節に負担がかかりやすいため、変形性膝関節症を発症していると、痛みが生じやすい傾向にあります。
床に直接座ったり、和式トイレをしたりする場合も、胡座や正座と同様、膝関節に大きな負担がかかります。
普段から胡座をかいたり、床に直接座ったりする際に、痛みや違和感が生じている方は、変形性膝関節症の初期症状の可能性が考えられるでしょう。
リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けています。
変形性膝関節症の中期症状
変形性膝関節症は、進行性の病気のため、進行する度に痛みや違和感が強くなります。膝の可動域を制限されていき、日常生活を送りにくくなるケースも少なくありません。
ここからは、変形性膝関節症の中期症状を紹介します。
動作中も痛みが持続する
変形性膝関節症の中期になると、歩いたり、階段を降りたりする動作中も痛みが持続するようになります。動きはじめだけに痛みが生じていた初期との違いです。
重い荷物を持った状態で歩いていると、より痛みが強くなるケースも少なくありません。歩いたり、階段を上り下りしたりするのが痛みで億劫になります。
体を動かさなくなるため、運動不足によって膝を支えている筋力が衰え、より症状が悪化する可能性もあります。
膝が腫れたり変形したりする
変形性膝関節症の中期は、膝が腫れたり、変形したりします。変形性膝関節症は、膝関節に炎症を起こし、膝関節内の液体が過剰分泌されます。
いわゆる「膝に水が溜まる」状態になり、膝関節が腫れて見えるようになるのが特徴です。
さらに膝の内側の軟骨がすり減る関係で、O脚が目立ちやすくなるケースもあります。外見的な症状以外にも、膝が重く感じたり、腫れてる部分がだるいと感じたりする方もいます。
膝を伸ばしきれなくなる
変形性膝関節症は、名前の通り膝が変形するため、膝の曲げ伸ばしがしづらくなります。曲げ伸ばしのしづらさや、膝の痛みをかばうため、関節を動かさなくなる方も少なくありません。
膝を動かさなくなると、膝周りの組織が衰え、固まってしまう「拘縮(こうしゅく)」と呼ばれる症状が出てきます。
頑張って膝を伸ばそうとしても伸ばしきれなかったり、逆に曲げようとしても曲げきれなかったりするようになるのが特徴です。曲げ伸ばしができないからといって、放置していると、より拘縮が悪化してしまいます。
変形性膝関節症の末期症状
変形性膝関節症の末期は、痛みや膝の変形が顕著になり、歩行困難になる可能性が高まります。日常生活に大きな支障を与え、最悪の場合は、寝たきりになるケースもあるでしょう。
変形性膝関節症の末期の症状を見ていきましょう。
安静にしていても痛みが生じる
変形性膝関節症の末期になると、安静時にも痛みが生じます。
立っているときはもちろん、横になっているときも痛みが持続します。ひどい場合は、痛みで夜中に目が覚めてしまうケースもあるでしょう。
安静にしても痛みが生じるようになると、薬物治療やリハビリテーションでは改善を見込めない可能性が高いとされています。
骨を切って脚の角度を変える「骨切り手術」や、膝関節を人工関節に変える「人工関節置換術」が検討されます。
脚が変形する
脚が顕著なO脚やX脚に変形するのも、変形性膝関節症の末期症状の1つです。
膝関節の摩耗が積み重なると、軟骨は消失し、膝関節の隙間がなくなります。膝関節以外に、太ももやスネなどの骨や関節も一緒に変形するため、脚全体が変形してしまいます。
脚の変形に伴い、外見的な変化を隠すため、外出を避ける方も少なくありません。自宅にいる時間が増えると、体を動かさなくなるため、症状が悪化し、日常生活に影響を及ぼします。
歩行困難になる
末期段階は、安静にしていても痛みが生じたり、脚が変形したりするため、自力では歩けなくなるケースも少なくありません。
杖を使って歩いたり、車椅子での生活になったりします。歩くのに痛みが生じるため、自宅内では這いずって移動するようになる方もいます。
日常動作ができない上に、外出や運動機会がなくなるため、認知機能の低下を招く恐れもあるでしょう。
変形性膝関節症が進行すると、認知症の発症原因にもなりかねません。末期症状が生じる前に、薬物治療やリハビリテーションをし、進行スピードを遅らせるのが大切です。
リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けています。
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変形性膝関節症と似たような病気の可能性もある
膝に痛みがあっても、すべての膝の痛みが変形性膝関節症ではありません。
膝関節以外の痛みや発熱の有無など、問診や触診の情報を元に「関節リウマチ・痛風・化膿性関節炎」などを疑います。
検査では血液検査や関節液の成分を検査し、検査結果を元に変形性膝関節症以外の病気である要素を取り除いた上で、はじめて変形性膝関節症と診断されるため、一概には判断できません。
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変形性膝関節症の原因とは?
変形性膝関節症の大きな原因は、加齢による膝への負担があげられます。
変形性膝関節症の患者数は50代以上の2人に1人が発症しているといわれており、誰でも発症する可能性があります。
加齢以外にも、肥満やO脚、X脚などが原因になるケースもあるため、変形性膝関節症の原因を詳しく見ていきましょう。
加齢
変形性膝関節症を発症する大きな原因が加齢です。
膝関節の骨と骨の間にある軟骨は、クッションのような役割を果たしています。軟骨によって、膝関節は痛みなくスムーズに動くのです。
しかし、加齢とともに軟骨がすり減るため、膝関節の滑らかな動きが阻害されます。膝関節が滑らかに動かないと、炎症を起こして徐々に痛みが生じるのです。
摩耗した軟骨は自然には再生されないため「加齢による膝の痛みだ」と判断せず、進行を早急に食い止める必要があります。
肥満
肥満の影響で膝に負担がかかり、変形性膝関節症を発症するケースもあります。体重が増えると、体重を支えている膝関節に負荷がかかります。
中高年になると、代謝が落ちたり、運動不足になったりする関係で、内臓脂肪がつきやすく、体重が増加しやすいため注意が必要です。
肥満体型で膝に痛みや違和感がある方は、できるだけ膝への負担を抑えるため、食事制限や運動を取り入れ減量を目指しましょう。
O脚・X脚
O脚やX脚など脚が変形していると、普通に歩いたり、階段を登ったりするだけで膝関節に負担がかかりやすくなります。
日本人は、膝と膝の間に隙間が開くO脚の方が多いとされているため、注意が必要です。O脚は、膝の内側に体重がかかりやすくなるため、膝関節に大きな負担が加わります。
かつては、O脚やX脚は治らないとされていましたが、近年では矯正グッズや整形外科による治療での改善が期待できます。
変形性膝関節症を防ぐためにも、O脚やX脚気味の方は、矯正しておくと良いでしょう。
変形性膝関節症の治療
変形性膝関節症の治療は、進行段階によって異なります。
症状が軽い場合は、内服薬や外用薬で痛みを軽減し、膝関節内にヒアルロン酸を注入して対処するのが一般的です。
膝関節内にヒアルロン酸を注入すると、痛みの緩和に加え、関節の滑りが良くなる効果を期待できます。
さらに症状の緩和を目指すべく、薬物療法とリハビリテーションを併用するのが一般的です。
痛みによって膝を動かさなくなり、固まってしまったり、筋肉量が低下したりするのを防げます。膝を温める「物理療法」や、足底板やサポーターを用いたサポートも行われます。
薬物治療やリハビリテーションをしても、効果が見られない場合の選択肢は「手術療法」です。
手術療法「骨切り手術」や「人工関節置換術」などが代表的です。「関節鏡視下手術」と呼ばれる、負担が少ない手術方法もありますが、症状が進行している場合は、改善を見込めないケースもあります。
膝関節の再生医療について
変形性膝関節症を発症している方の中には、症状が進行していてもさまざまな事情で手術の選択が難しい方もおられます。
そのような方には、おすすめな治療方法として再生医療があげられます。
再生医療のなかでも、幹細胞治療は、自身から取り出した脂肪組織に含まれる幹細胞を培養により増殖し、膝関節へ注入する治療法です。痛みの原因となる関節軟骨や半月板にアプローチできます。
従来の治療で効果を感じられなかった方は、再生医療による幹細胞治療を選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
リペアセルクリニックでは、変形性膝関節症の治療として再生医療を提供しています。
変形性膝関節症の進行を遅らせるポイント
変形性膝関節症の進行を遅らせるには、適度な運動と日常生活の動作が大切です。
とくに太ももの前の筋肉を鍛えるのが有効です。筋力強化以外にも、関節の柔軟性を高めるストレッチも良いでしょう。
日常生活では、できるだけ膝関節に負担のかかる動作は控えるのが重要です。変形性膝関節症の進行を遅らせる日常動作のヒントを見てみましょう。
- 胡座や正座は避ける
- トイレは和式ではなく洋式にする
- 地べたに座らず椅子に座る
- 膝を温めて血行を良くする
- 階段の利用を減らす
生活環境を変えるのは難しい可能性もありますが、できる部分から取り組みましょう。また、肥満体型の方は、食事制限や有酸素運動を取り入れて、体重減量を目指すのも大切です。
まとめ・変形性膝関節症の初期症状が見られたら速やかに医療機関へ
変形性膝関節症とは、膝関節にある軟骨が、加齢や筋力低下によってすり減り、痛みが生じる病気です。初期症状として、動き始めの痛みや違和感があげられます。
ただし、変形性膝関節症の症状は人によって異なり、進行していてもあまり痛みが出ない方もいるため、一概にはいえません。
変形性膝関節症は、時間をかけて症状が進行し、徐々に症状が重くなるため、早い段階で治療を始める必要があります。
そのため、膝に痛みや違和感を抱いている方は、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。
リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けています。
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監修者

坂本 貞範 (医療法人美喜有会 理事長)
Sadanori Sakamoto
再生医療抗加齢学会 理事
再生医療の可能性に確信をもって治療をおこなう。
「できなくなったことを、再びできるように」を信条に
患者の笑顔を守り続ける。