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膝の痛みの原因とは?場所別に考えられる病気や対処法を解説【医師監修】

公開日: 2022.03.23
更新日: 2024.11.06

「インターネットで膝の痛みについて検索しても、自分の膝の症状に当てはまるのかわからない」と悩んでいませんか。

自分の膝の痛みは放置しても治るのか、病院で治療を受けるべきなのかが判断できず、不安になることもあるかもしれません。

膝には靭帯や軟骨、筋肉などさまざまな組織が存在し、損傷や炎症を起こしている部位によって疾患名が変わる可能性があります。自己判断が難しい場合もあるため、気になる場合は早めに整形外科の受診も検討しましょう。

本記事では膝の部位ごとに痛みを感じる病気と対処方法を解説します。

記事を最後まで読めば膝の痛みがある部位ごとに疑われる疾患名がわかり、病院に行くべきか判断する際の参考になるでしょう。

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「膝が痛む場所」によって診断結果が変わる可能性が高い

結論から言えば、膝の痛みが出ている場所によって、診断される病名は変わる可能性が高いでしょう。

膝には靭帯や軟骨、筋肉などさまざまな組織があり、どの組織が損傷・炎症しているかによって疾患名が変わるためです。

言い換えると、痛みが出る部位が明確であれば、損傷・炎症している膝の組織や疾患名も予測しやすいといえます。

「膝の内側」が痛む2つの病気

膝の内側が痛い場合は、以下2つの病気が考えられます。

  • 変形性膝関節症
  • 鵞足炎

膝の内側の痛みに悩んでいる方は、自分自身の症状に当てはまるかチェックしてみましょう。また、変形性膝関節症と鵞足炎の詳細については、以下の記事もご参照ください。

変形性膝関節症

変形性膝関節症とは、関節の軟骨がすり減ることで膝関節が変形していく病気です。加齢や筋力低下のほかにも、骨折•感染症も原因となる可能性があります。

主な症状は変形した関節の痛みや可動域の制限、関節水腫などです。初期症状では痛みがある程度ですが、進行していくにつれて変形が大きくなり、炎症反応がみられるようになります。

末期になれば変形が強く関節面がゆがむために関節可動域制限が大きくなり、日常生活に支障がでることも珍しくありません。

鵞足炎

鵞足炎とは、膝の内側に付着する筋肉の腱が炎症を起こす病気です。

ダッシュからのストップやジャンプ動作を繰り返すことで生じる、いわゆるオーバーユース症候群に分類されます。スポーツ選手に多く発症しますが、階段の上り下りや長距離歩行が多い人に発症することも少なくありません。

主な症状は歩くときや椅子からの立ち上がりなど、足に力を入れたときに膝の内側、下方に生じる痛みです。重症化すると荷重時だけでなく、安静時にも痛みを感じることがあります。

「膝の外側」が痛む2つの病気

実際に膝の外側が痛い場合、以下に挙げる2つの病気が考えられます。

  • 腸脛靭帯炎
  • 外側半月板損傷

膝の外側に痛みを感じている方にはこれらの病気が当てはまるかもしれません。痛みで悩んでいる方はぜひチェックして、ご自身の症状と比較してください。

腸脛靭帯炎

腸脛靭帯炎とはランナー膝とも呼ばれ、膝の外側にある腸脛靭帯という組織に炎症がみられる病気です。

膝の曲げ伸ばしを繰り返すことで腸脛靭帯が膝の外側の出っ張り(大腿骨外顆)とこすれ、摩擦によって炎症が起きます。そのため、ランニングなど膝の曲げ伸ばしが多いスポーツが主な原因です。

症状は膝の外側の痛みで、初期では膝を動かしたときのみに痛みを感じます。重症化してくると安静時にも痛みを感じるようになり、痛みがなかなかひきません。

外側半月板損傷

外側半月板損傷とは、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(脛の骨)の間にあるクッションの損傷です。

膝関節の内側と外側にそれぞれありますが、外側にある半月板の損傷が膝の外側の痛みにつながります。損傷の原因はスポーツや日常生活のなかで膝の外側に大きな負担がかかり続けることや、加齢に伴う関節の変性、筋力低下などです。

外側半月板損傷では痛みのほか、関節可動域の制限がみられます。関節運動が不安定になり、膝の曲げ伸ばしの途中で半月板が引っかかることで動かなくなる「ロッキング」も外側半月板損傷の特徴です。

「膝の上側」が痛む2つの病気

膝の上側に痛みを出す病気で考えられるものは以下の2つです。

  • 大腿四頭筋付着部炎
  • 膝蓋大腿関節症

膝の曲げ伸ばしなどで膝の上に痛みを感じる人はこれらの病気が当てはまる可能性があります。自分の症状と照らし合わせてみてください。

また、膝の上の痛みについては以下の記事でも解説していますので、気になる方はこちらもチェックしましょう。

大腿四頭筋付着部炎

大腿四頭筋付着部炎とは、太ももの前にある大腿四頭筋が付着する膝蓋骨(膝のお皿)上部に痛みを生じる病気で、ジャンパー膝とも呼ばれます。

いわゆるオーバーユース症候群に分類され、大腿四頭筋を使いすぎることが原因です。ジャンプ動作やダッシュを繰り返すスポーツ選手に多く発症します。

初期症状ではスポーツ時に限定される痛みが特徴ですが、悪化すると歩行や階段昇降など日常生活でも痛みを感じるようになります。

大腿四頭筋付着部炎(ジャンパー膝)の原因や治療は、以下の記事も参考にしてください。

 

膝蓋大腿関節症

膝蓋大腿関節症は、大腿骨と膝蓋骨の間にある軟骨が変性することで痛みや関節可動域制限が生じる病気です。

膝の運動に伴い上下に動く膝蓋骨の軟骨が変性することで動きが悪くなり、関節の変形へとつながります。

主な原因は加齢と膝蓋骨の骨折・脱臼です。これらの原因によって膝蓋骨の軟骨が変性、摩耗し、膝の上部に痛みが生じます。

また、膝蓋骨の動きが悪くなることで膝全体の可動域が制限されることもあるでしょう。

「膝の裏側」が痛む2つの病気

膝の裏側に痛みが出る場合に疑われるのは、以下の2つの病気です。

  • 関節リウマチ
  • 膝靭帯損傷

これらの病気は放置すると危険なため、膝の裏側に痛みを感じる方は注意が必要です。ご自身の症状とこの2つの病気が当てはまるかどうか必ずチェックしてください。

また以下の記事も参考にしていただけると幸いです。

関節リウマチ

関節リウマチは、関節の中にある滑膜という組織がなんらかの原因で異常増殖し、炎症を起こす進行性の疾患です。

症状が進行すると関節が破壊され、痛みや関節の変形を伴います。全身の関節に起こる病気ですが、膝であれば膝裏にも痛みを感じることが特徴的です。

関節リウマチは自己免疫疾患だと考えられていて、発症する原因はわかっていません。しかし、30〜40代の女性に発症しやすい傾向があります。

早期発見・早期治療によって症状の進行を抑えることが重要な疾患です。

膝靭帯損傷

膝靭帯損傷は膝にある4種類の靭帯のいずれかが損傷する疾患で、膝の裏の痛みではとくに後十字靭帯損傷が疑われます。

後十字靭帯損傷は事故やスポーツによって損傷しやすい靭帯で、損傷すると膝裏の痛みや膝の伸ばしにくさが出るのが特徴です。

後十字靭帯は自然治癒が難しいため、損傷すると時間経過とともに元どおりになることがありません。すぐに手術をする必要はありませんが、サポーターなどの装具での補強やリハビリが必要です。

【場所別】膝が痛むときの対処法

膝の痛みは、痛む場所によって対処法が異なります。主な対策は以下のとおりです。

  • 膝の内側が痛む場合は「膝に負担をかけないようにする」
  • 膝の外側が痛む場合は「股関節の運動を心がける」
  • 膝の上側が痛む場合は「ストレッチと筋トレを行う」
  • 膝の裏側が痛む場合は「無理をせず医療機関を受診する」

本章を参考に、自分の膝の痛みに合った対処法を試してみましょう。

膝の内側が痛む場合は「膝に負担をかけないようにする」

膝の内側が痛い場合は、「鵞足炎」もしくは「変形性膝関節症」の可能性があるため、膝関節へ負担をかけないことが大切です。

病名によって対処法がやや異なるため、以下の表を参考に試してみましょう。

病気名

対処法

鵞足炎

・安静にすること

・鵞足につく太ももの内側・裏側の筋肉をストレッチする

・お尻の筋力強化

変形性膝関節症

・適切な体重にコントロールする

・膝の筋力強化

・痛み止め(消炎鎮痛剤)の服用

これらの疾患は圧痛の位置によっておおまかに見分けられます。

鵞足炎では膝の内側・下方に圧痛があるのに対し、変形性膝関節症では大腿骨と脛骨の関節面付近に圧痛があります。

圧痛の場所を確認し、可能性のある疾患を見極めた上で適切な対処を行いましょう。

膝の外側が痛む場合は「股関節の運動を心がける」

膝の外側に痛みを感じる場合「腸脛靭帯炎」もしくは「側半月板損傷」が考えられます。これらの疾患への対処法として、股関節周囲の筋力強化やストレッチが重要です。

腸脛靭帯は股関節の外側から膝に向かって伸びている靭帯で、膝を支える役割がある組織です。お尻の筋肉とつながっているため、股関節の筋力強化やストレッチで強くしなやかになり、腸脛靭帯炎の予防になるでしょう。

外側半月板は膝の中にあるクッションで2つある半月板のうち、外側にあるものを指します。身体の外側に体重がかかると外側半月板の負担になるため、股関節の筋力強化・ストレッチを行い、体重のかかり方をコントロールする必要があります。

股関節を捻るストレッチやあぐらをかくストレッチが効果的です。筋力強化は仰向けでのお尻上げやスクワットといったお尻の筋肉に力をいれるトレーニングを取り入れてください。
また、どちらの疾患もオーバーユースが要因となるため、痛みが強いときには安静も重要です。

膝の上側が痛む場合は「ストレッチと筋トレを行う」

膝の上に痛みを感じる場合「大腿四頭筋付着部炎」や「膝蓋大腿関節症」の可能性があるため、太ももの筋肉の柔軟性を高めましょう。

大腿四頭筋付着部炎と膝蓋大腿関節症は大腿四頭筋の柔軟性が低下することで発症しやすくなります。膝を深くまで曲げるストレッチや、足を後ろに引いて骨盤を前に出すストレッチで大腿四頭筋の柔軟性が高まるでしょう。

また、ストレッチだけでなく筋力強化も重要です。大腿四頭筋を強化することで膝蓋骨の動きがスムーズになり、また付着部の炎症も起きにくくなります。仰向けでの脚上げやスクワット、段差昇降が有効なため、ぜひ試してみてください。

なお、大腿四頭筋のストレッチの詳しいやり方はこちらでも解説しています。ぜひご覧ください。

膝の裏側が痛む場合は「無理をせず医療機関を受診する」

膝の裏に痛みを感じるときは「関節リウマチ」や「膝靭帯損傷」が疑われます。自分での対処が難しいケースがほとんどであるため、可能な限り早く整形外科を受診しましょう。

整形外科を受診する場合には、MRIがある施設がおすすめです。MRIがあれば関節の変形や炎症の程度がわかるため、適切な診断を受けられます。

また、関節リウマチを疑う場合には採血も必要なため、受診する前に採血が可能か問い合わせておくと安心です。

まとめ|膝の痛みは場所によって原因が違う!気になる人は早めの受診がおすすめ

今回は膝が痛む場所からわかる膝の病気について詳しく解説しました。

個々の経過や受傷状況などによって専門医による診察が重要であることはいうまでもありませんが、膝の痛む場所によってそれぞれ特徴的な膝の病気があることも事実です。

もし膝の痛みの原因が自分で特定できない場合は、病院で受診することをおすすめします。

また、当院「リペアクリニック」では、膝の痛みに関する治療法として、再生医療を行っています。

2023年12月には、国内初の「分化誘導による関節の再生医療」による治療を厚生労働省に特許申請し、受理されました。

「分化誘導による関節の再生医療」は、従来より高い再生能力を持った幹細胞による治療であり、幅広い膝疾患への効果が期待できます。

膝の痛みにおいて、手術以外の選択肢を持ちたいと考えている方は、ぜひ当院の「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」からご相談ください。

この記事が、膝の痛みの原因や対処法を知り、適切な治療を受けるための参考資料になれば嬉しく思います。

膝の痛みについてよくある質問

膝の痛みの原因はなんですか?

損傷・炎症がある組織によって異なります。

膝の痛みは靭帯や軟骨といった組織が損傷・炎症を起こすことで生じます。これらの組織は部位によって違うため、痛みの部位だけでは原因組織の断定はできません。

そのため、原因を特定するためには病院を受診しましょう。とくにMRI検査をすれば詳細な組織の評価ができるため、MRI撮影ができる施設がおすすめです。

膝が痛むとき受診は必要ですか?

受診することをおすすめします。

もし痛みの原因が軟骨や靭帯である場合、自然治癒が見込めません。そのため、正しい治療をしなければ痛みが長引く可能性があります。

病院を受診して痛みの原因を特定できれば、痛みの改善に向けた正しい治療が受けられるでしょう。また、再発防止に向けたアドバイスももらえるため、可能なら早めの受診をおすすめします。

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