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膝の裏が痛い?ピキッと音が鳴る原因や治療法を解説【現役医師監修】

膝の裏
公開日: 2022.06.07 更新日: 2025.02.12

膝関節は、大腿骨、脛骨および腓骨、また膝蓋骨などが組み合わさって作られています。日常生活でスムーズかつ自由な伸展運動ができるよう、半月板や靭帯をはじめとする周囲の構造物が膝関節を補助しています。

何気ない動作において、「膝の裏に痛みを感じる」「ピキッと音が鳴る」といった違和感を覚えた経験がある方もいるでしょう。

膝を形成している組織が、スポーツなどの外傷や加齢、自己免疫異常などによる異常をきたして損傷が起こると、膝の裏の部位で疼痛(痛み)が生じます。

今回は、膝の裏が痛い原因やピキッと鳴るときに考えられる病気と対策を解説します。医療機関での治療法のほか、セルフケア方法もまとめているので、ぜひ参考にしてください。

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膝の裏がピキッと痛むときに考えられる9つの病気

膝の裏が痛む際に原因として考えられる疾患には、変形性膝関節症や関節リウマチのほか、膝部位に存在する靱帯の損傷などがあります。

膝の裏が痛い場合に考えられる疾患

  • 変形性膝関節症
  • 半月板損傷
  • ベーカー嚢腫(のうしゅ)
  • 関節リウマチ
  • 靭帯の損傷(事故や、スポーツなど)

以下で、それぞれ詳しく解説していきます。

▼ 膝の痛みを放置するリスクについて知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

1.変形性膝関節症

変形性膝関節症は、中高年の女性によくみられます。

関節の軟骨がすり減って膝の内側や裏からふくらはぎにかけて痛くなり、正座がしにくくなります。変形が進行して症状が悪化するとO脚になり、末期になると歩行が困難になって人工関節の手術が必要です。

変形性膝関節症によって膝の関節が硬くなると、膝を伸ばすときに裏が痛くなります。また、膝を曲げ伸ばしする際に「ミシミシ」「ゴリゴリ」といった音が鳴るケースも珍しくありません。

▼ 変形性膝関節症によるO脚の例

変形性膝関節症 O脚の例

また、膝関節が炎症して水が溜まると、膝の裏から太ももの前側にかけて全体的に痛みを感じるようになります。(文献1

▼ 変形性膝関節症について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

2.半月板損傷

膝の裏がピキッと痛む原因として考えられる疾患の一つが、半月板損傷です。

半月板は膝関節におけるクッションの役目があり、スポーツや事故による怪我、あるいは加齢に伴う変性によって損傷することがあります。

半月板が損傷すると、膝の裏側に痛みを感じるケースも珍しくありません。また、膝が動かなくなるロッキングを起こしたり、曲げ伸ばししづらくなったりします。

半月板図

3.ベーカー嚢腫

ベーカー嚢腫も、膝の裏がピキッと痛むときに考えられる疾患の一つです。

ベーカー嚢腫とは、なんらかの原因で膝関節が炎症を起こし、関節液が増えて膝裏の滑液包に流入してできた袋状のコブを指します。

ゴルフボールぐらいのサイズに大きく腫れることもあり、膝の裏が突っ張った感覚を覚えます。

放置しているうちに腫れが治る場合もありますが、痛みが強いときは、針で水を抜くケースも少なくありません。なお、ベーカー腫瘍は主に変形性膝関節症や半月板損傷、関節リウマチ、化膿性関節炎などが原因とされています。(文献2

▼ ベーカー嚢腫について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

4.関節リウマチ

関節リウマチの患者数は、現時点でおおむね80万人といわれており、発症原因は自己免疫系統の異常とされています。自分自身の軟骨組織や骨成分を攻撃・破壊して関節部位に炎症を引き起こすと、膝裏に疼痛症状をもたらすと考えられます。(文献3

関節リウマチを発症しやすい年齢は、30~50代前後の中高年層です。また、性別に関しては男性よりも女性で発症率が高いことが指摘されています。

なお、関節リウマチの初期段階では、手指の関節領域が左右対称に腫れるほか、倦怠感や食欲不振など自覚症状を引き起こす懸念があります。

▼ 関節リウマチの対処方法を詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

5.靭帯損傷

靭帯損傷のなかでも、とくに後十字靱帯の損傷の場合、膝裏を伸ばしたときにピキッとした痛みを感じることも少なくありません。(文献4)

膝関節には4つの靱帯があり、重要な役割を担っています。膝の左右両側にあるのが内側側副靱帯と外側側副靱帯で、前後部位には前十字靱帯と後十字靱帯が走行しています。

たとえば、交通事故に遭ったり、スポーツ活動中に怪我を負ったりして、物理的に大きな衝撃が膝関節に負荷となってかかると、膝の靱帯が損傷・断裂して強い痛みを伴うでしょう。

とくに、靭帯を損傷してから3週間前後の発症して間もない頃には、膝裏の痛みのほか、伸展運動がしにくいといったサインも認められます。

受傷後1か月ほど経過した段階では、膝関節内部に血腫が貯留して腫れの所見が目立つこともあれば、損傷部位によっては膝関節の不安定さが少しずつ顕著になるケースもあります。

6.膝裏の筋肉の損傷

膝の裏側に位置する膝窩筋(しつかきん)の損傷も、ピキッと痛む原因の一つです。膝窩筋とは、膝裏の奥にある小さな筋肉で、膝を屈曲する際に重要な役割を果たします。

膝窩筋 損傷

過度な負荷や無理な動きによって筋肉や腱が損傷すると、次のような症状が現れます。(文献5

  • しゃがむと痛い
  • しゃがんで立つと膝の裏が痛い
  • 膝を伸ばすとふくらはぎや太ももの裏が痛い
  • 膝を曲げると膝裏が痛い
  • 階段を上り下りする際に膝の裏からふくらはぎにかけて痛い

膝窩筋が損傷すると、膝裏にピキッと痛みを感じることが多く、とくにしゃがむ動作や立ち上がる動作で痛みが顕著になります。症状が悪化するとふくらはぎや太ももの裏など、周辺の筋肉にも痛みが波及するため注意が必要です。

7.腰椎ヘルニア・坐骨神経痛

太ももの後ろからふくらはぎにかけて痛みがある場合は、腰椎ヘルニアや坐骨神経痛も考えられます。神経の圧迫によって膝裏に痛みが放散され、痺れやズキズキした痛みを感じることがあります。

腰椎ヘルニアや坐骨神経痛による膝裏の痛みは、とくに立ったり歩いたりしているときに痛みが強くなることが特徴です。また、安静時にも痛みを感じる場合があり、睡眠中に痛みで目が覚めるケースも珍しくありません。

腰椎ヘルニアや坐骨神経痛が痛みの原因の場合は、腰部の治療が不可欠です。膝裏の痛みがひどくなる前に、早めに理学療法や薬物療法を行ってください。

8.リンパによる膝の裏の痛みや腫れ

リンパ液の流れが悪化することによる膝裏の痛みや腫れも、ピキッと音が鳴る原因の一つです。

リンパ管は体内の老廃物を運ぶ役割を担っており、通常、筋肉の収縮や体の動きなどによって流れています。しかし、同じ姿勢で長時間過ごしたり、食生活が偏ったりしてリンパの流れが悪くなると、膝裏に痛みや腫れが生じます。

なお、リンパ液が滞った状態を放置すると、膝周辺が硬くなりさらに痛みを伴う可能性が高いため注意してください。

適度な運動やマッサージ、適切な食事をしてリンパの流れを改善・促進することが大切です。

9.反張膝

反張膝(はんちょうひざ)が原因で、膝裏がピキッと痛む場合があります。

反張膝は、膝関節が角にそり返った状態を意味します。通常、膝はまっすぐに伸びているのが正常です。しかし、班長膝の場合は膝が後ろに飛び出るような形に曲がるため、結果として膝裏に圧力がかかり、痛みが生じます。

なお、反張膝は太ももの前後の筋肉バランスの悪さや、大腿四頭筋や腸腰筋、前脛骨筋などの筋力の低下によって起こります。反張膝を放置すると、膝への負担が蓄積され、関節の変形や痛みの慢性化につながるため注意が必要です。

膝の裏がピキッと痛むときの治療法

ここでは、膝の裏がピキッと痛むときの具体的な対処法や治療法を解説します。

幹細胞やPRPによる再生医療

膝裏がピキッと痛むときの治療法として、最近では幹細胞やPRPによる再生医療が注目されています。再生医療とは、自然治癒力を最大限に引き出すための医療技術で、幹細胞や血小板の投与によって高い治療効果が期待できることが特徴です。

たとえば、変形性膝関節症が原因で膝の裏が痛む場合、初期段階ではヒアルロン酸注射やリハビリテーション、内服で様子を見ます。しかし、変形が進むと、人工関節置換術などをすすめられる場合がほとんどです。幹細胞やPRPによる再生医療は、手術を避けたい場合の新しい選択肢だといえるでしょう。

再生医療は、変形性膝関節症のほか、半月板損傷や腰椎ヘルニアなどの治療としても期待されています。

リペアセルクリニックでは、再生医療による膝の痛みの治療を行っています。なお、メール相談オンラインカウンセリングも実施しているので、ぜひ気軽にご連絡ください。

▼ 再生医療で膝の痛みを治療する

膝の痛みは、再生医療なら入院や手術をせずに改善を目指せます

手術治療とリハビリテーション

膝裏に重度の痛みを感じる場合や保存療法が効果を示さない場合には、手術を検討します。

とくに、変形性膝関節症や半月板損傷、靭帯断裂などが原因で膝裏に痛みがある場合は、手術治療が必要になるケースも珍しくありません。

また、術後には理学療法士やトレーナーなど専門職と相談しながら、状況に応じて適切なストレッチやリハビリテーションを実践し、早期回復に努めます。リハビリテーションは、膝の再受傷や二次的な外傷を回避するために以下の内容を中心に行われます。

  • 体幹を鍛える
  • 柔らかいボールなどを膝下で転がすように動かす
  • 座位の状態になって膝を伸展させる
  • 大腿部の筋肉を鍛える など

なお、手術治療の方法は、膝の痛みの根本的な原因によって異なります。早期回復を目指す場合には、最小限の切開で済む膝関節鏡による手術をすることが一般的です。

膝の水抜き

膝の裏の痛みと同時に水が溜まっているときは、膝の水抜きをします。膝に水が溜まる原因には、変形性膝関節症や半月板損傷、ベーカー嚢腫などがあります。

膝の水が自然になくなるケースもありますが、膝裏の腫れや突っ張り、違和感があるときには水を抜くことが一般的です。

膝に水が溜まるのは、膝関節内で炎症が起こり、関節液が過剰に分泌されるためです。膝の水を抜くことで、痛みを軽減できます。ただし、膝の水抜きは一時的な効果にすぎないケースも多いため、原因に対する根本的な治療もあわせて行う必要があります。

▼ 膝の水を抜く方法を詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

病勢進行の抑制

膝の裏が痛む原因によっては、病勢の進行を抑制するための治療をします。とくに、関節リウマチや変形性膝関節症など、進行性の疾患においては、症状を抑えるだけではなく、関節の損傷や変形を防ぐために以下のような治療が必要です。

  • 抗炎症薬の使用
  • 関節内注射(ステロイド注射やヒアルロン酸注射など)
  • 生活習慣の改善 など

早期に適切な治療ができれば、生活する上で困らない程度まで痛みを軽減できるでしょう。

病勢進行を可能な限り抑制し、痛みを少しでも改善させるためには、普段から膝に大きな負荷をかけないように意識しながら対策することが大切です。

膝の裏がピキッと痛む場合のセルフケア方法

膝の裏がピキッと痛む場合は、早めの対応が痛みの軽減や早期の回復につながります。

以下で、膝裏の痛みに対するセルフケア方法を解説するので、ぜひ参考にしてください。

安静にする

膝の裏にピキッとした痛みを感じたら、まずは無理に動かさず、安静を保つことが大切です。膝に負担をかけすぎると、痛みが悪化する可能性があるため注意しましょう。とくに、急性の痛みがある場合は、できるだけ安静にするようにしてください。

安静にする際は、膝を高く保つと腫れや血流の滞りを防げます。横になるときにはクッションや枕などを使用し、膝を軽くあげると良いでしょう。安静にすることで、膝の炎症や筋肉の過度な緊張を抑えられるため、早期の回復につながります。

ストレッチをする

膝の裏がピキッと痛むときには、ストレッチも効果的です。

膝の裏のストレッチをすることで、筋肉に柔軟性を持たせて血流を促進します。膝裏の痛みに対しては、以下のストレッチがおすすめです。

  • ふくらはぎのストレッチ
  • 太ももの後ろ(ハムストリング)のストレッチ
  • 膝窩筋のストレッチ

ストレッチをする際の注意点として、無理に引っ張ったり、痛みを感じるまで伸ばしたりするのは避けましょう。また、痛みを感じたときにはすぐにストレッチを中止し、かかりつけの医師に相談してください。

▼ 以下の動画では、ふくらはぎと太ももの後ろの筋肉を中心にストレッチのやり方を紹介しています。

マッサージをする

膝の裏の痛みには、ストレッチと同様にマッサージも効果的です。膝の裏や周辺の筋肉を軽くマッサージすることで、筋肉の緊張をほぐし、血流が促進されます。

膝の裏がピキッと痛む場合は、膝の後ろからふくらはぎにかけて、手のひらで円を描くようにマッサージするのがおすすめです。

ふくらはぎを軽く揉むことで、膝裏にかかる圧力が軽減されると、痛みが和らぐ場合があります。

マッサージをする際は、痛みが悪化しないよう、力を入れすぎないことがポイントです。

テーピングやサポーターを使用する

膝の裏がピキッと痛むときには、テーピングやサポーターの使用も有効です。膝の安定性を高めることで無理な動きを制限したり負担を減らしたりすることで、痛みの軽減に役立ちます。

とくにテーピングは、膝を固定しつつ可動域を制限しないための適切な方法で行うことが大切です。テーピングの方法には専門的な知識が必要になるため、最初は専門医に相談するようにしてください。

テーピングやサポーターは膝への負担を軽減するために役立つものの、長時間使用しすぎると、筋力の低下や血行不良につながるリスクもあります。かかりつけ医に相談しながら適切にテーピングやサポーターを使用しましょう。

まとめ・膝裏のピキッとした痛みが長引くときは迷わず専門医に相談しよう

今回は、膝の裏がピキッと痛むときに考えられる病気と対策について詳しく解説しました。膝裏部が痛む原因としては、主に変形性膝関節症や関節リウマチ、膝靱帯損傷などが考えられます。

たとえば、関節リウマチは薬剤の治療成績が著しく向上し、初期段階できちんと診断して的確な治療を実践すれば治癒が期待できる病気になってきました。また、膝の靱帯を損傷した際は、早期的なアイシング(冷却)や患部固定で症状緩和につながります。

自分なりに対処策を実践しても症状が軽快しない場合や膝裏部の疼痛症状がひどくて悪化するような場合は、早めに整形外科などの専門医を受診しましょう。

膝裏のピキッとした痛みに関するよくある質問

ここでは、膝裏のピキッとした痛みに関するよくある質問をまとめました。

膝の裏は歩きすぎると痛みやすい?

長時間の歩行は膝に負担がかかるため、膝裏の痛みを引き起こす可能性があります。とくに、硬い地面を歩いたり、無理なペースで歩行したりすると痛みがでやすいでしょう。

長時間歩くときには、適切な靴を履き、歩行姿勢に気をつけることがポイントです。また、歩行する前後でストレッチや軽いマッサージをすると、筋肉の緊張を和らげて膝への負担軽減につながります。

膝の裏が痛むときに専門医に相談すべき目安は?

膝の裏が痛むときは早めに医師へ相談するべきです。

膝の裏が痛むときに考えられる原因はさまざまで、比較的軽度なものから、自身では気づけないような重度な疾患まで存在します。自己判断して膝の痛みを放置してしまうと、日常生活に支障をきたす恐れがあります。症状が悪化すると歩行が困難となり、治療後に後遺症が残ってしまう可能性もゼロではありません。

膝の裏の痛みは軽視せず、最寄りの医療機関を受診するか、リペアセルクリニックのメール相談オンラインカウンセリングまで気軽にご連絡ください。

膝裏のピキッとした痛みは予防できますか?

膝裏の痛みに対する予防には、筋力トレーニングやストレッチが効果的です。

大腿四頭筋やハムストリング、ふくらはぎなどの筋肉を鍛えて柔軟性を保つことで、膝の安定性を維持しやすくなります。また、正しい歩行姿勢を保ったり適切な体重を維持したりすることも、膝への負担を軽減し、痛みの予防につながります。

監修者

坂本 貞範(医療法人美喜有会 理事長)

坂本 貞範 (医療法人美喜有会 理事長)

Sadanori Sakamoto

再生医療抗加齢学会 理事

再生医療の可能性に確信をもって治療をおこなう。

「できなくなったことを、再びできるように」を信条に
患者の笑顔を守り続ける。

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