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変形性膝関節症の再生治療(PRP療法)の体験談|効果・費用も紹介
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再生医療のひとつであるPRP療法は、患者さん自身の血液を使って自己治癒力を引き出す治療法です。手術や入院の必要がなく、副作用のリスクも極めて低く、体への負担が少ない点が大きなメリットです。
変形性膝関節症にも使われるPRP療法ですが、本当に効果があるのか疑問に思われる方もいるでしょう。この記事では、変形性膝関節症に対するPRP療法が実際どのように行われるかを、患者さんの声を交えながら解説します。効果だけでなく、PRP療法の限界についてもお伝えします。
PRP療法が気になる方は、ぜひ参考にしてください。
目次
変形性膝関節症に有効な「PRP療法」とは?
PRP療法(多血小板血漿療法)とは、患者さんから採取した血液から血小板を多く含む「多血小板血漿(Platelet-Rich Plasma:PRP)」を精製し、傷んでいる場所に注射する再生医療です。
血小板は出血を止めるはたらきを持つほか、さまざまな種類の成長因子を含むため、自己治癒力を高めるはたらきもあります。変形性膝関節症でも、膝の組織の修復を助ける作用や、炎症を抑える作用で痛みを軽減させやすいです。
膝にPRP療法を行う場合は、膝のお皿の外から関節の中をめがけて注射します。膝の関節の中にはちょうど袋があり、その中にPRPを注射する形です。
変形性膝関節症の治療にPRP療法を選ぶメリット
PRP療法で変形性膝関節症の治療を行うメリットは、以下のとおりです。
- 最短30分で治療が完了
- 手術が不要
- 入院も不要
PRP療法などの再生医療はシンプルな手順で実施され、即日で完了する場合もあります。
治療の際は、まず腕から少し採血をして、血液を特殊な機械に30分ほどかけて分離します。PRPが精製できるので、膝の関節に注射すれば治療は完了です。
手術をしないため、手術に伴う合併症の心配もありません。入院も不要のため、日常生活への影響も最小限です。さまざまな理由で人工関節をしたくない方にも良い選択肢となります。
以下の記事では、PRP療法のメリットとデメリットを詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
変形性膝関節症でPRP療法がおすすめな人の特徴
変形性膝関節症でPRP療法がおすすめなのは、現在の治療に不満がある方や、手術をしたくない・できない方、治療を急ぐ方などです。
そのほか、以下に該当する方もおすすめできます。
- 保険診療のヒアルロン酸注射が効かなくなった方
- 薬を飲んでも痛みが取れない方
- 慢性化した痛みを治したい方
- スポーツや仕事に早く復帰したい方
- 薬剤アレルギーが怖い方
- 薬剤アレルギーがあり治療ができない方
- 手術を避けたい方
- 長期入院ができない方
- 持続効果の高い治療がしたい方
PRP療法は自然治癒力を促進させるため、従来の方法では治療が難しかったケースでも効果が期待できます。
また、薬剤ではなく患者さん自身の血液を使うため、アレルギー反応や拒絶反応など副作用のリスクが低い治療法です。
変形性膝関節症でPRP治療を受けられた方の体験談
ここからは、実際にPRP療法を受けられた方の実例を紹介します。最初の2例はPRP療法と幹細胞治療の併用例、最後の1例はPRP療法単独の症例です。
当院で両変形性膝関節症を治療された70代女性の声
3年前からの両膝関節痛の患者さんです。近くの整形外科では、関節軟骨がほぼ消失している末期の変形性関節症と診断され、何度も水を抜いてもらっていました。とくに左膝の痛みは10段階中10と強く、歩くのが困難でトイレにすら行けないこともあったそうです。
幹細胞治療とPRP療法を行い、1年後には左膝の痛みが10から1に、右膝の痛みが6から0に軽減しました。「整形外科で膝の水を何回抜いてもらっても、溜まっていたのに今では水も溜まらなくなり痛みもなくなり、すごくうれしいです。」と喜んでいらっしゃいました。
治療方法 | ・幹細胞治療:右膝に4000万個細胞、左膝に6000万個細胞、計4回 ・PRP療法 |
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治療前後の痛みの変化(10段階) | ・左膝:10→1 ・右膝:6→0 |
治療費用 | ・幹細胞治療 関節1部位 幹細胞数(2500万個~1億個) 投与回数(1回)132万円(税込)/2500万個 ・PRP治療 16.5万円(税込) |
この症例については以下の記事で詳しくご覧ください。
当院で変形性膝関節症を治療された60代男性(漁師)の声
10年前からの左膝関節痛と、1年前からの右膝関節痛の患者様です。職業は漁師で「仕事で膝へ負担がかかり両膝の痛みが出た」と語っておられました。
近くの整形外科では、両膝の進行期の変形性関節症と診断されて治療を受けていました。しかし、左膝の痛みが10段階中9まで悪化し、漁師の仕事に支障をきたしていたそうです。人工関節にしてしまうと仕事復帰が難しくなるため、再生医療を考えて来院されました。
初回投与から3カ月後には、左膝の痛みが9から3に、右膝の痛みも3から0まで軽減しました。
治療方法 | ・幹細胞治療:左膝に7000万個細胞、右膝には3000万個細胞、計3回 ・PRP療法 |
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治療前後の痛みの変化(10段階) | ・左膝:9→3 ・右膝:3→0 |
治療費用 | ・幹細胞治療 関節1部位 幹細胞数 (2500万個~1億個) 投与回数(1回)132万円(税込)/2500万個 ・PRP治療 16.5万円(税込) |
この症例については以下の記事で詳しくご覧ください。
当院でPRP治療を受けられた50代女性の声
テレビや人づての話で再生治療に興味をもち来院された50代女性の患者様は、膝の痛みにPRP療法を単独で実施しました。
この方は、もともと膝がとても痛くて歩行困難が見られ、ヒアルロン酸の注射をしても1日しかもたないとのことで、PRPの治療を選択されました。かなり膝の変形も強く、人工関節を入れてもおかしくない方だったのですが、手術はどうしても避けたいとのことで注射を選択されています。
最初は不安もあったようですが「いつものような膝の注射をしただけだったので、つらい気持ちは全然感じることなく、スムーズに治療を受けられました」とおっしゃっていました。
治療を通してはじめ10あった痛みが、4回注射した後には2か3になりました。もともと杖で歩かれていたのですが「4回目のときには杖なしで自分の足で立つことができるようになっていて自分でもすごくびっくりしました。『すごく効いた』という実感があってとてもうれしかったです」と喜びの言葉を残されています。
治療方法 | PRP療法 |
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治療前後の痛みの変化(10段階) | 10→2~3→5で安定 |
治療費用 | PRP治療 16.5万円(税込) |
「PRP治療後は立ったまま料理や家の片付けができるようになりました。友だちとUSJに遊びにいったり、ひとりで旅行したり色々なところに自分の足でいきたいと思います」と次の楽しみを見つけられていた点も印象的でした。
PRP療法の効果には個人差がありますが、この方は持続期間も長く認めており効果があった事例といえます。
PRP療法はプロアスリートも実際に靭帯損傷で用いた治療法
PRP療法は手術が不要で、長期の入院も必要ありません。プロアスリートから見ると、治療によるパフォーマンスの低下を避け、早期に復帰できる可能性があります。
このためPRP療法は、多くのプロアスリートに選ばれています。
PRP療法の効果には個人差があるため、早期に復帰できるかは明言できません。しかし、プロアスリートたちは高い効果を期待して、PRP療法を選択しています。
変形膝関節症でPRP治療を選ぶ際の注意点
変形膝関節症でPRP治療を選ぶ際には注意点があります。
まずPRP療法は痛みを止める効果には優れていますが、軟骨を再生する力は持ちません。変形膝関節症の場合、膝関節の軟骨がすり減ることで痛みが出るため、PRP療法では根本的な解決策にならない点に注意が必要です。
またPRP療法単独では、いずれかの段階で痛みが戻る可能性があります。痛みを止め、すり減った軟骨の再生を目指すなら、「幹細胞治療」が必要です。
幹細胞治療はPRP療法のように即日実施できるものではありませんが、PRP療法と同じく手術や入院は不要です。実際の治療では、患者さんから米粒2~3粒ほどの脂肪を採取し、専門施設で幹細胞を抽出して培養します。この幹細胞を患部に戻すことで、軟骨の再生が期待できます。
変形性膝関節症にはPRP療法のほかに運動療法も効果が見込める
変形性膝関節症には、PRP療法のほかに以下の運動・訓練も効果が見込めます。
- 有酸素運動
- 筋力強化訓練
- 可動域訓練
変形性膝関節症の診療ガイドラインには「定期的な有酸素運動・筋力強化訓練および関節可動域訓練を実施し、かつこれらの継続を奨励する」とあります。これらは「非薬物療法の中では最も重要度の高い項目」とされ、根拠のある治療法なのです。
変形性膝関節症の方におすすめの有酸素運動は、ウォーキングやプールでの水中運動です。また、筋力強化訓練で大腿四頭筋などの筋肉を強化すれば、膝の安定性が増します。
可動域(かどういき)訓練とは、関節を動かせる範囲「可動域」を広げる訓練です。可動域が狭くなると関節の柔軟性が低下し、痛みを感じやすくなるため、訓練によって可動域を広げていく必要があります。(文献)
以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
まとめ|変形性膝関節症でPRP療法を検討中なら気軽にお問い合わせください
今回はPRP療法の流れと、治療を受けた方の実際の声をご紹介しました。
PRP療法は、手術や入院を伴わずに膝の痛みの軽減を目指せる治療法です。
ただし、PRP療法には膝の軟骨を再生する効果はありません。症状によっては、治療効果は限定的となります。軟骨の再生を図り、根本的な治療を目指すなら、幹細胞治療も選択肢の一つです。
PRP療法や幹細胞治療に興味がある方は、リペアセルクリニックへお気軽にお問い合わせください。お悩みをうかがい、詳しく説明させていただきます。
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参考文献
(文献)
日本内科学会雑誌 106 巻 1 号「変形性膝関節症の管理に関するOARSI勧告ーOARSIによるエビデンスに基づくエキスパートコンセンサスガイドライン(日本整形外科学会変形性膝関節症診療ガイドライン策定委員会による適合化終了版)」https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/106/1/106_75/_pdf/-char/ja
監修者
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坂本 貞範 (医療法人美喜有会 理事長)
Sadanori Sakamoto
再生医療抗加齢学会 理事
再生医療の可能性に確信をもって治療をおこなう。
「できなくなったことを、再びできるように」を信条に
患者の笑顔を守り続ける。