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骨壊死、骨頭壊死|重症度の基準とステージ分類、治療法について

公開日: 2023.10.02
更新日: 2024.10.07

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骨壊死、骨頭壊死|重症度の基準とステージ分類、治療法を解説します

骨壊死とは、骨に栄養を届けている血管が障害されて血液が供給されなくなってしまった結果、骨の一部分が壊死してしまう病気です。ただ、怪我などの外傷による血管の障害や、アルコール、ステロイド使用者などに原因不明で生じることがあります。

この記事では、「骨頭壊死」と「骨壊死」のそれぞれについて解説し、重症度を決める分類方法やステージの内容について詳しく解説していきます。

骨壊死の分類

骨壊死と骨頭壊死症

骨壊死は全身のあらゆる骨に起こり得ます。代表的な部位としては、股関節の大腿骨頭に起きる「大腿骨頭壊死」、肩関節の上腕骨に起こる「上腕骨頭壊死」、「膝関節骨壊死」などがあります。

股関節、肩関節についてはそれぞれ、大腿骨頭、上腕骨頭という部位があるので骨頭壊死という病名がつきますが、膝関節は骨頭という部位がないので骨壊死という病名となります。

大腿骨頭壊死の原因と重症度分類

大腿骨頭壊死の原因

股関節を構成している大腿骨頭を栄養している血管が障害されることによって生じます。

原因不明の特発性と股関節の骨折や脱臼などの外傷、放射線治療、潜函病などによって発症する場合があります。

大腿骨頭壊死の重症度分類

原因不明である特発性骨頭壊死では壊死の範囲によって重症度分類がありType A~Cに分けられます。

重症になるほど、壊死範囲が大きく、大腿骨頭が潰れてしまうリスクが高くなりType Aが軽症でCになるとより重症となります。Type CはさらにC-1とより重症なC-2に分けられます。

それぞれの内容(基準)について解説します。

  • 特発性骨頭壊死、重症度分類(基準)

  • ・Type A:壊死範囲が体重がかかる領域の1/3未満
  • ・Type B:壊死範囲が体重がかかる領域の1/3〜2/3
  • ・Type C:壊死範囲が体重がかかる領域の2/3以上
  • ・Type C-1:壊死の範囲が骨盤の縁の「内側」にあるもの
  • ・Type C-2:壊死の範囲が骨盤の縁の「外側」にあるもの

大腿骨頭壊死から進行・変形性股関節症へのステージの分類

初期には壊死部分が潰れていき、進行すると軟骨がすり減ることによって「変形性関節症」になってしまいます。ステージは1〜4に分けられるので、それぞれについて簡単に解説します。

  • 大腿骨頭壊死の進行度についての分類

  • ・ステージ1:レントゲンで異常がなく、MRI検査などで壊死がわかる場合
  • ・ステージ2:レントゲンで異常があるものの、骨頭が潰れていない時期
  • ・ステージ3:骨頭が潰れているものの、関節軟骨があり関節の隙間が残っている時期
  • ・ステージ4:軟骨がすり減り、変形性関節症となっている時期

これらの重症度、ステージ分類とご本人の年齢や社会生活の状況、希望などを考慮して治療方針が決定されます。

軽症なタイプであれば保存治療で治る方もいますが、重症なタイプや末期のステージでは手術を要する場合もあります。

上腕骨頭壊死について

次に上腕骨頭壊死について解説してまいります。

上腕骨頭壊死の原因

肩関節を構成している上腕骨頭という部分を栄養している血管が障害されることによって骨が壊死してしまう病気です。

原因は、「外傷性」と「非外傷性」に分けられます。外傷性には上腕骨の骨折、脱臼などがあり、非外傷性にはステロイドの使用やアルコール、鎌状赤血球症、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの全身性疾患などがあります

上腕骨頭壊死の進行・ステージ分類

病型の分類にはCruess分類が最も使われています。

上腕骨頭壊死に対する治療法は、このステージ分類、壊死の範囲、患者の年齢、症状、全身の健康状態などの要因によって決まります。保存治療で治る方もいますが、進行してステージ末期になると人工関節が必要となる場合もあります。

  • 上腕骨頭壊死のステージ分類

  • ・ステージ1:レントゲンで異常がなく、CTやMRI検査で壊死がわかる場合
  • ・ステージ2:骨透亮像や骨硬化像、限局性の骨溶解像
  • ・ステージ3:軟骨下骨に骨折線を認める段階
  • ・ステージ4:上腕骨頭に加えて、肩甲骨の関節窩にも骨の変化を生じている場合

膝関節骨壊死について

ここからは、膝関節の骨壊死ついて記してまいります。

膝関節骨壊死の原因

膝関節の骨壊死も同じように、何らかの原因で骨が壊死してしまう病気で、膝関節では大腿骨側によく起こります。

高齢の方によく起こりますが、変形性膝関節症などの膝の痛みと比べて安静にしていても痛みが強いことが特徴です。

原因はまだはっきりとわかっていませんが、肥満やステロイド薬の使用の他、軽微な骨折が原因となる場合もあります。

膝関節骨壊死の進行|ステージ分類

いくつかのステージ分類が提唱されていますが、代表的なものを1つ紹介します。

  • 膝関節骨壊死のステージ分類

  • ・ステージ1:レントゲンで異常がみられない時期
  • ・ステージ2:レントゲンで骨内に壊死領域がみられるもの
  • ・ステージ3:レントゲンで軟骨の下に骨折線があり、関節面が凹んでいるもの
  • ・ステージ4:関節の隙間が狭くなってしまっている時期

骨壊死に対する治療法・保存療法から人工関節置換術へ

いずれの骨壊死でも、初期の段階では異常が見つからない場合があります。

しかし、症状が進行すると壊死した部分が潰れてしまい、結果として変形性関節症を起こしてしまいます。関節が変形してしまうと、保存治療の効果は限られているので、基本的には「人工関節置換術」が選択されます。

人工関節を避ける再生医療

しかし、最近では手術に至らないようにする治療として「再生医療」があります。再生医療は導入されたばかりの最新の治療法であり、ご自身の細胞から培養した幹細胞などを直接関節内に投与することで組織の修復を促します。

それによって骨や軟骨の再生が起こり、症状がよくなる可能性があります。

▶当院は再生医療の専門院です。治療について詳しく知りたい方は動画をご覧ください。

 

 

 

 

 

骨壊死についてQ&A

普段、 骨壊死について患者様からよくお聞きする質問から以下を抜粋しました。

Q . 骨壊死にならないか心配ですが、気を付けることはありますか。

A . 現代医学でも骨壊死の正確な原因はわかっていません。危険因子としてわかっているのは外傷、ステロイドの使用、アルコール多飲です。

ステロイドは、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなど全身性疾患の治療に必要なので、飲まないことはおすすしませんが、外傷やアルコールはご自分で気を付けることができます。無理な運動は行わず、規則正しい生活習慣を送ることが予防に必要と言えるでしょう。

Q . レントゲンで問題ないと言われましたが、大丈夫でしょうか。

A . 骨壊死は初期の段階ではレントゲンで異常がわからないことがほとんどです。壊死した領域がレントゲンでわかるまでは時間がかかりますが、MRIでは早期に病気を見つけることができます。

痛みが強く心配な場合はMRIなどの精密検査について担当の医師と相談することをおすすめします。

膝の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。

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まとめ・骨壊死、骨頭壊死|重症度の基準とステージ分類、治療法について

骨壊死は骨を栄養している血流が途絶えることによって発症する、現時点でも原因が不明の難病です。

大腿骨頭や上腕骨頭、膝関節によく起こり、初期のレントゲンでは異常がみつからない場合がほとんどです。放置して症状が進行すると骨切り術や、人工関節などの手術が必要になりますが、最近では骨や軟骨の再生を促す再生治療も行われ始めています。

手術に至らないようにするためにも早期に病院で診断してもらい、治療について医師と相談していくことが大切です。

この記事がご参考になれば幸いです。

変形性股関節症の治療

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