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減圧症(潜水病)は、水圧の急激な変化によって体内に気泡が発生することで発症します。 とくにダイビングや潜水後に起こる可能性がある障害で、軽度であれば自然に回復するケースもありますが、症状を見極めた適切な対処が大切です。 本記事では、軽度の減圧症に見られる症状や自然治癒のセルフケア、そして治療法や予防策までをわかりやすく解説します。 減圧症(潜水病)とは?軽度なら自然治癒も可能 減圧症は、水中から水面浮上時に起こる急激な気圧環境の変化によって、体内に溶け込んだ窒素などのガスが急激に気泡化し、関節、筋肉、神経、皮膚、血管などに悪影響を及ぼすことで発症します。 減圧症の症状は、関節痛や筋肉痛、めまい、意識障害など多岐にわたり、症状の重さによって大きく2つに分類されます。 I型減圧症(軽度): 命に関わらない比較的軽い症状が中心で、場合によっては自然に回復するケースもあります。 例:関節痛や皮膚のかゆみ、疲労感、皮下浮腫(浮腫性減圧障害)など II型減圧症(重度): 神経系や循環器系に影響が及び、重篤な症状を引き起こすため、早急な治療が必要です。 例:意識障害や麻痺、呼吸困難など 軽度の減圧症は自然治癒する場合もありますが、自己判断で放置すると思わぬ悪化を招くこともあります。 正しい知識を持ち、必要に応じて医療機関を受診することが大切です。 軽度の減圧症のチェックリストとセルフケア 減圧症は、症状の程度によって対応が異なります。 本章では、軽度の減圧症によく見られる症状のチェックリストと、症状が出たときにできるセルフケアについて解説します。 軽度の減圧症に見られる主な症状|チェックリスト 減圧症は軽度の場合、自然治癒が期待できるケースもありますが、早期発見と適切な対応がなにより重要です。 以下は、軽度の減圧症に該当する可能性がある代表的な症状です。 ダイビングや潜水後に当てはまるものがないかセルフチェックしてみましょう。 【症状セルフチェックリスト】 関節や筋肉の痛み(鈍い痛みや違和感を含む) 皮膚の発疹やかゆみ(特に上半身) 強い疲労感やだるさ 吐き気、頭痛、軽いめまい 注意力の低下や集中できない感じ 上記の症状が1つでも現れた場合は、「軽度だから大丈夫」とは考えず、速やかに適切な対応を取りましょう。 軽症の減圧症で自然治癒に向けたセルフケア 軽度の症状が見られた場合でも、放置せず次の対応を取ることで自然回復が期待できます。 ◆症状の確認と潜水の中断 自分に該当する症状があるか冷静に確認しましょう。 症状が出た時点で、すぐに潜水を中止し、水中から浮上します。 ◆酸素吸入の応急処置 ダイビング中にフェイスマスクで酸素吸入できる準備がある場合は、迷わず活用してください。 これは、体内の窒素を早く排出するのに役立ち、症状の悪化防止にもつながります。 可能であれば100%酸素を吸入することが推奨されています。 ◆医療機関の受診 症状が軽くても長引く場合、あるいは少しでも不安がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 自己判断に頼りすぎると、症状が悪化し重症化する可能性も否定できません。 軽度の減圧症は、初期対応が適切であれば自然に回復することもありますが、油断は禁物です。 「軽い症状でも酸素」「不安なら医師に相談」という基本を忘れず、安全を第一に行動しましょう。 重度の減圧症に見られる主な症状(タイプ) 減圧症の中でもII型減圧症と呼ばれる重症タイプは、神経系や呼吸器、循環器などの重要な臓器に障害を及ぼす可能性があり、生命に関わるケースもあります。 本章では、重度の減圧症に見られる以下、4つの症状(タイプ)を紹介します。 脳型減圧症 脊髄型減圧症 呼吸器の減圧症(チョークス) 減圧性骨壊死 脳型減圧症 脳型減圧症は、体内で気泡が血流を妨げたり、直接的に脳組織を損傷することで発症します。 正確なメカニズムは完全には解明されていないものの、脳卒中に似た神経症状が現れるのが特徴です。 脳型減圧症の主な症状は、次の4つです。 強い頭痛 複視(二重に見える) 発話のしづらさ(言葉が出てこない) 錯乱や意識の混濁 上記の症状が出た場合は、ただちに医療機関を受診する必要があります。 脊髄型減圧症 脊髄型減圧症は、II型減圧症の中でもとくに多く見られるタイプで、脊髄に気泡ができることで神経伝達が阻害されます。 初期は軽いしびれや痛みであっても、対応が遅れると麻痺や排泄障害に進行する危険があります。 脊髄型減圧症の主な症状は、次の4つです。 筋力の低下(動きにくい、力が入らない) 手足のしびれや痛み 腹部や背中の痛み 排尿・排便のコントロールができない(膀胱直腸障害) 時間の経過とともに悪化するケースが多いため、違和感を覚えた段階で専門医の診察を受けることが重要です。 呼吸器の減圧症 呼吸器の減圧症(通称:チョークス(chokes))はまれですが、重篤な症状を引き起こす可能性があります。 肺に気泡が生じることで肺水腫を起こし、酸素と二酸化炭素のガス交換が正常に行えなくなるため、酸素不足に陥る危険性があります。 呼吸器の減圧症の主な症状は、次の3つです。 胸の痛み 息切れや呼吸困難 咳(とくに泡状の痰が出る場合) 肺の細い血管が詰まり、全身への血流が阻害されると、最悪の場合致命的になる可能性もあるため、ただちに高気圧酸素治療を要します。 減圧性骨壊死 重度の減圧症の中には、長期間を経て発症する遅発性の合併症もあります。 代表的な合併症に減圧性骨壊死があり、これは、繰り返し潜水したり、短期間に高圧環境に頻繁に出入りすることで、骨の血流が障害され壊死が起こる状態です。 主に影響を受ける部位は次の2つで、進行すると関節の動きが制限されたり、痛みで日常生活に支障が出ることがあり、場合によっては手術が必要になることもあります。 肩関節 股関節(大腿骨頭) とくに職業的に潜水を行う人は、定期的な健康チェックが推奨されます。 減圧症の治療 減圧症の治療で、まず行うべき処置は、100%酸素の吸入です。 体内に気泡化した窒素を早く排出するため、フェイスマスクなどで高濃度の酸素を吸うことが推奨されます。 あわせて、脱水対策として水分補給も行います。 口からの摂取が難しいときは、点滴による水分・電解質の補充が必要です。 症状が持続する、または重度の減圧症が疑われる場合は、専門医療機関での「高圧酸素療法(再圧治療)」が行われます。 高圧酸素療法は、高気圧環境で100%酸素を吸入することで、体内の気泡を縮小・除去し、損傷組織への酸素供給を促す治療です。 とくに、神経症状や呼吸器症状が出ている場合は早急な実施が求められます。 また、意識障害や心肺停止が見られる場合には、心臓マッサージや人工呼吸などの救急対応が必要になります。 軽度の症状でも自然治癒に任せず、医療機関での診断と治療を受けることが大切です。 減圧症の予防策 減圧症は、正しい知識と対策を講じることで、発症リスクを大きく減らすことができます。 とくにダイバーや潜水作業者は、事前の準備と潜水後の対応を徹底することが重要です。 以下表は、減圧症を予防するために押さえておきたい基本的な行動です。 予防策 内容 潜水前後の体調管理 疲労・脱水・風邪などがあると減圧症のリスクが高まるため、体調が万全でない日は潜らない 減圧停止の遵守 浮上時に段階的に停止し、体内の窒素を安全に排出する 無理のない潜水計画 潜水深度・時間を事前に計画し、無理のないスケジュールで行動する 潜水後すぐの飛行を避ける ダイビング後は最低でも12〜24時間、飛行機搭乗を控えることが推奨されている ダイブコンピューターの使用 減圧停止や浮上スピードを正確に管理し、安全性を高める 減圧症の予防は、潜水時の注意だけでなく、日常生活の中でも取り組める習慣がいくつかあります。 頻繁に潜る場合は間隔を十分に空ける 水分補給をこまめに行い、脱水を防ぐ 飲酒や喫煙は潜水前後には控える 定期的に減圧症の知識を学び直す(講習会・安全講座など) 肥満、循環器疾患、糖尿病などの持病がある人は医師と相談する 安全に水中活動を楽しむためにも、常にリスクを意識し、正しい手順と知識に基づいた行動を心がけましょう。 まとめ|軽症でも油断禁物!適切な対応を知ることが再発や後遺症を防ぐ鍵 本記事では、初期に現れる軽症状から、神経系や呼吸器系に深刻な影響を及ぼす重症例まで幅広く解説しました。 減圧症は、軽度であっても油断は禁物です。 軽度の減圧症であれば、チェックリストを活用した早期の気づきと、酸素吸入や潜水の中止など適切な初期対応によって、自然治癒が期待できるケースもあります。 しかし、症状を見逃したり、対応が遅れたりした場合には、脊髄損傷などの後遺症が残る可能性があり、完治が難しいケースもあるのが現実です。 とくに脊髄型減圧症による麻痺などは、これまで有効な治療法が限られていました。 そうした中で、脂肪由来幹細胞を用いた再生医療が、新たな治療法の選択肢として考えられています。 この治療では、自身の脂肪から培養した幹細胞を脊髄に直接注入します。 万が一、減圧症による後遺症に悩んでいる方や再生医療に興味のある方は、ぜひ一度当院「リペアセルクリニック」までご相談ください。
2024.01.08 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
子どもや若い人も発症する可能性がある、もやもや病に不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。 もやもや病は、脳内の動脈が徐々に細くなったり詰まったりした結果、不足した脳内の血液を補うために、もやもやとした血管が作られる状態を指します。脳出血や脳梗塞のリスクがあるので早期の発見と適切な治療を受けるのが重要です。 この記事では、もやもや病の原因や症状、治療法を解説します。 もやもや病の理解を深めるのにお役立てください。 もやもや病とは指定難病の一つ もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)は、脳の血管が細くなり血流が不足して、手足の麻痺やけいれんなどを引き起こす疾患です。ウィリス動脈輪とは六角形のような形をしている脳内の動脈の一部で、脳に血液を循環させるのが主な役割です。 不足した脳の血流を補うために、もやもやとした細い血管が発達するので「もやもや病」と呼ばれています。もやもや病は、以下の内容をどちらも満たしているので、指定難病として厚生労働省に定められています。(文献1) 患者数が一定の人数より少ない 病気の診断基準が確立している もやもや病の患者数は、人口10万人につき6から10人程度いるとされていて、稀な病気であるといえます。(文献2) もやもや病の症状や治療の状況によって医療費の助成を受けられる場合があります。助成には申請が必要なので、お住まいの都道府県の窓口に問い合わせてみましょう。 【参考】 都道府県・指定都市担当窓口 – 難病情報センター もやもや病の原因 もやもや病は、脳内の太い血管(内頚動脈)が細くなることで発症する疾患です。 その発症メカニズムは完全に解明されていませんが、病気の進行過程は以下のような段階で進みます。 脳内の太い血管である内頚動脈が少しずつ細くなる 脳内の酸素や栄養が不足する 足りない血液を補うために、もやもやとした細い血管が作られる 内頚動脈が細くなると、血液不足を補うため新たに細い血管が多数作られます。これらの細い血管に多量の血液が通るため、脳出血や脳梗塞のリスクが高まります。 もやもや病になりやすい人 もやもや病になりやすい方には、以下のような傾向があります。(文献3) 日本人 ご家族でもやもや病を発症した 女性 5~10歳 30~40歳 もやもや病は、特定の遺伝子をもつ方に発症しやすいことがわかっており、家族内で発症する方が10~20%程度見られるという研究結果があります。そのため、親や兄弟姉妹などがもやもや病を発症した方で、もやもや病の症状がみられる方には、脳神経外科での検査をおすすめします。 もやもや病と遺伝の関係について以下の記事でまとめていますので、詳しく知りたい方はご覧ください。 もやもや病の症状 もやもや病では、主に以下の二つのメカニズムによって症状が現れます。 血流不足が原因の場合 脳の出血が原因の場合 本章で説明するこれらの症状に当てはまる方は、脳出血や脳梗塞などの重大な病気を発症する前に医療機関を受診をしましょう。 血流不足による症状 もやもや病によって脳の血流が不足した場合の症状は、以下の通りです。 頭痛 手足のしびれ 言葉が話せない 手足の麻痺 ろれつが回らない けいれん 脳内の血流が不足すると、頭痛や手足のしびれ、ろれつが回らないなどの症状が一時的にみられます。 多くは数分~数十分程度で症状が改善されますが、まれに脳梗塞を引き起こす場合があります。脳梗塞とは、脳内の血流が不足することで、脳細胞が壊死する疾患です。症状が回復しても、もやもや病を発症している可能性があるので医療機関への受診を検討しましょう。 また、子どものもやもや病は脳の血流不足によるものがほとんどです。楽器の演奏や息が切れる運動がきっかけで症状が出る場合があります。子どものもやもや病について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 脳出血による症状 もやもや病によって脳内に出血が起きた場合の症状は、以下の通りです。 激しい頭痛 手足の麻痺 ろれつが回らない 言葉が出ない 意識がなくなる 自分の意に反して手や足が動く けいれん 注意力や記憶力の低下(高次脳機能障害) 脳内の血流不足を補うため、もやもやとした細い血管に多くの血液が送り込まれると、血管が耐え切れずに破れる場合があります。出血型の症状は、40代前後に多くみられる点も特徴です。 出血する部位や量によりますが、激しい頭痛や言葉が出なくなる言語障害、意識がなくなる意識障害などを引き起こし命に関わる状況につながりかねません。 また、出血型の症状の後遺症には麻痺や手足のしびれ、高次脳機能障害などが挙げられます。高次脳機能障害とは、脳の機能が低下して物忘れの増加や注意力の低下、感情のコントロールが難しくなるなど「性格が変わった」と感じるような症状が現れます。 もやもや病の後遺症は日常生活に大きな影響を与える恐れがあるため、早急に医療機関を受診しましょう。 もやもや病の検査 もやもや病の主な検査の内容は以下の通りです。 CT・MRI・MRA:詰まっている血管やもやもや血管、脳出血の有無を調べる 脳血管造影検査:血管の状態を調べる 脳血流検査(SPECT(スペクト)検査):どれくらい血流が低下しているか調べる もやもや病の検査は脳神経外科で行われるのが一般的で、CTやMRIでもやもや血管の有無や詰まっている血管がないかなどを確認します。 血管の状態をMRIよりも詳しく調べるには、脳血管造影検査が有効です。脳血管造影検査は、足の付け根の血管から、カテーテルと呼ばれる長い管を入れ、血管内に造影剤を入れてレントゲン撮影する検査です。 また、脳の血流を調べるには、放射性同位体と呼ばれる薬剤を投与して、放射線を画像化できるカメラで撮影します。検査に使用する放射性同位体は人体に影響を及ぼす量ではありません。 もやもや病の治療法 もやもや病の治療法は、薬物療法と外科手術の2つに分けられます。 症状によって治療法が異なるので、受診の際の参考にしてください。 薬物療法 薬物による主なもやもや病の治療法は、以下の通りです。 抗血小板薬:血液を固まりにくくして血流不足を防ぐ 血圧や脳圧を下げる薬:脳出血を防ぐ もやもや病の薬物治療では、血液をサラサラにする薬や血圧を下げる薬などで脳梗塞や脳出血の予防を目指します。しかし、現在もやもや病の原因である細くなった内頚動脈を根本的に治療する薬はありません。そのため、無症状の方や初期症状の方に用いられます。 手術 脳内の血流が少ない場合や、もやもや血管の負担が大きい場合は手術が検討されます。 主なもやもや病の手術は、以下の2種類です。 直接血行再建術:血流が不足している血管と、頭皮に栄養を送る血管をつなぎ脳の血流を増加させる 間接血行再建術:脳を包む膜に、こめかみ付近の動脈と周囲の組織を縫い合わせて、新たな血管の再建を目指す 直接血行再建術は、手術後からすぐに血流が改善されますが、間接血行再建術では、新たに血管が再建するまで数週間から数カ月かかる場合があります。また、間接血行再建術は子どもに対して効果が期待できる傾向にあるので、成人には行わない病院もあります。 もやもや病の原因である細くなった動脈を治療する手術はできないとされています。手術後に血流が改善しても、もやもや病が再発する可能性があるので定期的に検査を受けましょう。 まとめ|もやもや病の疑いがある方は医療機関を受診しよう もやもや病は、脳の血管が細くなり血流が不足して、手足の麻痺やけいれんなどを引き起こす疾患で、指定難病として厚生労働省に定められています。もやもや病が発症しやすい方は、子どもや30〜40代の若い世代に多いのが特徴です。 もやもや病によって脳内の血液が不足したり、もやもや血管の負担が大きくなり損傷したりすると、麻痺や手足のしびれ、うまく話せなくなるなどの後遺症が現れるリスクが高まります。 病状が進行すると、重篤な後遺症のリスクが高まるため、早期の医療機関受診が重要です。 以下の記事では、もやもや病の初期症状を解説しています。あわせてご覧ください。 もやもや病に関してよくある質問 もやもや病の予後や寿命への影響は? もやもや病を放置すると脳梗塞や脳出血のリスクが高まり、重い後遺症や命に関わる状況につながりかねません。 適切な治療と定期的な検査を受けると、リスクを回避できる可能性が高まります。手術後の入院期間はおよそ2~3週間、社会復帰までの期間はは2~3カ月ほどが目安です。 また、健康寿命を延ばすには、禁煙や激しい運動を避けるなど生活習慣の改善も重要です。 以下の記事では、もやもや病の予後や寿命についてまとめているので、参考にしてください。 もやもや病で性格は変化しますか? もやもや病は、性格の変化を伴う高次脳機能障害を引き起こす可能性があります。高次脳機能障害は、脳機能の低下によって日常生活に支障をきたす認知機能の障害です。 高次脳機能障害による性格の変化と考えられるポイントは、以下の通りです。 感情の起伏が激しくなる 物忘れが増える 集中力が低下する 判断力が低下する 段取りが悪くなる 高次脳機能障害の診断は、もやもや病の症状が安定してからMRIやCTでの検査や、日常生活の状況評価などから総合的に行います。もやもや病になってから、感情の起伏が激しくなったり物忘れが増えたりするなどの症状にお悩みの方は、医療機関に相談してみましょう。 もやもや病は人間ドックで調べられますか? 一般的な人間ドックでは、もやもや病が調べられる検査項目が無かったり、オプションとして追加したりする必要があります。 もやもや病を調べられる主な検査は、以下の通りです。 MRI:体内の断面を画像化する MRA:脳の血管を立体画像として書き出す 脳ドックでは、MRIやMRAによる検査ができる場合があります。 参考文献 (文献1) 厚生労働省「指定難病の要件について」 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000184562.pdf(最終アクセス:2025年5月9日) (文献2) 難病情報センター「もやもや病(指定難病22)」 https://www.nanbyou.or.jp/entry/47(最終アクセス:2025年5月9日) (文献3) 厚生労働省「22 もやもや病」 https://www.mhlw.go.jp/content/10905000/001173459.pdf001173459.pdf(最終アクセス:2025年5月9日)
2023.09.28 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
子どもがもやもや病と診断されて、困っている方もいるのではないでしょうか。 もやもや病は、脳の重要な血管である内頸動脈が細くなり、代わりに細い血管が多くなる病気です。大人と子どもでは、もやもや病の症状の出方やタイプ、そして注意点が異なります。 子どものもやもや病の症状や治療法などを知っておくと、今後病気に向き合っていく際に役に立ちます。本記事では、もやもや病の大人と子どもの違いや注意すべきポイントについて徹底解説していきましょう。 もやもや病の症状|子どもと大人の違い もやもや病は、脳の血管に生じる病気で、脳でも重要な血管である「内頸動脈」の終末部が徐々に細くなっていくのが特徴です。 脳に酸素や栄養を供給する脳血管は、血管が細くなるほど脳への血流が不足します。足りなくなった血流を補うため、内頚動脈の周囲に細い血管が網のように出現します。細い血管を脳血管撮影で映し出した際、煙のようにもやもやして見える点が、「もやもや病」の名前の由来です。 もやもや病の症状は大きく分けると、脳の血流不足である脳虚血と、発達した細い血管がちぎれて発生する脳出血が挙げられます。加えて、一時的な頭痛や言語障害などの症状が出るのも特徴です。 さらに子どもと大人とでは、症状の現れ方や注意点が異なります。 子どもの症状 子どものもやもや病は、小児もやもや病と呼ばれます。脳虚血症状がほとんどで脳出血はめったに例が見られません。 脳虚血症状では、手足の力が入らなかったりしびれたりするほか、言葉がうまく出ないなどの症状が急に起こります。 また、子どものもやもや病では、過呼吸(かこきゅう)によって脳虚血発作が誘発されやすい点も特徴的です。過呼吸は血中の二酸化炭素濃度を下げ、それにより脳血管が収縮して脳虚血発作が誘発されやすくなります。日常生活では、激しい運動や興奮状態など、呼吸が速くなる状況で注意が必要です。 一過性脳虚血発作は通常、数分から数時間で自然に回復します。ただし、これらの発作が繰り返されると脳梗塞につながる可能性があるため、軽視すべきではありません。 特に小さな子どもほど病気の進行が早い傾向があり、脳梗塞を発症するリスクが高いため、注意が必要です。 大人の症状 一方で大人のもやもや病では、脳の血流不足を補うために発達した細い血管が破れて起きる脳出血が多く見られます。 脳出血は、もやもや病による死亡や後遺症の最大の原因とされている症状です。後遺症が残った場合、脳機能の低下による高次脳機能障害や、運動障害によるマヒなどが発生するケースがあります。 また、成人のもやもや病では慢性的な頭痛を訴える患者様も多く、これも重要な症状の一つです。 もやもや病の検査 もやもや病かどうかを検査する方法は、MRI(磁気共鳴画像診断)・MRA(磁気共鳴血管造影)と脳血管造影検査(カテーテル検査)、脳血流検査の3つが代表的です。 MRI(磁気共鳴画像診断)・MRA(磁気共鳴血管造影) MRIでは脳の断層画像を撮影し、脳梗塞や出血などの病変を確認します。 MRAでは脳血管の形態を非侵襲的に評価でき、内頚動脈終末部の狭窄や閉塞、もやもや血管の発達状況を確認できます。放射線被曝がなく、造影剤なしでも検査可能なため、小児や定期的な経過観察に適しています。 脳血管造影検査(カテーテル検査) もやもや病の診断において重要な検査のひとつです。 足の付け根や手首から細いカテーテルを挿入し、造影剤を注入して脳血管を詳細に撮影します。 侵襲性(体への負担)があり、まれですが合併症のリスクがあるため、必要性を十分検討して実施されます。 脳血流検査 脳血流検査は、脳のどの部分にどれくらい血液が流れているかを調べる検査です。 特殊なカメラで撮影し、普通の状態と薬で血管を広げた状態の両方を調べることがあります。 この検査により、血管が血流を増やす能力を評価できます。この能力が弱い部分は将来脳梗塞のリスクが高まるため、手術が必要かどうかを判断する重要な材料になります。 症状が少ない方や手術効果の確認にも役立ちます。 小児での検査の注意点 小児では検査の協力が得られにくいため、年齢に応じた対応が必要です。 MRIやMRAでは、小さな子どもの場合、鎮静や全身麻酔を要することがあります。また、放射線被曝や造影剤使用についても配慮が必要です。 検査時の負担を最小限にするために、複数の検査をまとめて行ったり、年齢に応じた説明や準備を行うことが重要です。 もやもや病の治療 もやもや病の治療の目的は、脳梗塞や脳出血の防止です。 もやもや病を治療する方法に、薬による治療と、脳血流量を増やすためのバイパス手術があります。 薬による治療 薬による治療では、血液をサラサラにする抗血小板薬が用いられます。抗血小板薬は、血液が固まるのを防ぐとともに、血液の流れを円滑にする効果があるのが特徴です。 投薬により、一過性虚血発作を予防できます。ただし、効果が限定的であるため、次に紹介するバイパス手術が用いられるケースもあります。 バイパス手術 バイパス手術は、虚血型もやもや病の治療で、脳梗塞を予防する効果が認められています。 バイパス手術は、頭皮の血管を脳血管に直接つなぎ合わせる「直接バイパス術」と、頭皮の血管を周りの組織とともに脳の表面に接触させて、新たな血管の生成を促す「間接バイパス術」が主な方法です。加えて、両者の手法を組み合わせる「複合血行再建術」も用いられます。 大人の手術では直接バイパス術と複合血行再建術が、子どもの手術では間接バイパス術と複合血行再建術が行われます。 バイパス手術では、一過性脳虚血発作(TIA)や脳梗塞リスクなどの改善効果が報告されているのが現状です。(文献1) 小児もやもや病の注意点 子どもが小児もやもや病になった場合、脳虚血症状がたびたび見られるときは、激しい運動や楽器の演奏を控えさせる点に注意します。 激しい運動などをきっかけに、血流不足に陥るリスクがあるためです。そして、可能な限り早い段階で、子どもへの手術を主治医と相談する必要があります。 手術などの治療が終わった後は、子供の日常生活で必要以上の制限は不要です。ただ制限の要不要については、主治医との綿密な相談が大切です。 小児もやもや病になった子ども向けの就学支援 小児もやもや病の子どもは、たとえ脳梗塞などの症状がなくても、認知機能に関するさまざまな悩みを抱えることがあります。 特に計画立案や複数の課題の同時処理が難しいことがあり、学校生活に支障をきたすケースも見られます。 このような子どもたちの学校生活をサポートするため、厚生労働省の研究班による「医療関係者・教育関係者のためのもやもや病就学支援マニュアル」(2023年)が作成されました。(文献2) このマニュアルを活用し、医療機関と教育機関が連携して支援を行う取り組みが進められています。 まとめ|もやもや病の症状は大人と子どもで異なる もやもや病は子どもと大人で症状や注意すべき点、治療法が異なります。 いずれにしても脳梗塞や脳出血の症状が出る前に、適切な診断・治療を受けることが大切です。 また、脳卒中の後遺症に対しては、機能回復のためのリハビリテーションや再生医療による治療の選択肢があります。 再生医療をご検討方は、当院「リペアセルクリニック」でご相談ください。 もやもや病についてよくある質問 もやもや病は必ず手術しなければなりませんか? 症状が多発していない患者様であれば、すぐ手術をする必要はありません。 しかし、すでに脳虚血症状や脳血流検査での血流低下が認められる方などは、手術を勧めるのが一般的です。 また、子どもの場合は、将来の脳虚血や出血予防のために、手術による治療が広く考えられています。 以上に加えて、もやもや病の経験豊富な医師が的確な検査や年齢、患者様の状況を総合的に検討・判断していきます。 子どもの「もやもや病」の予後はどうなりますか? 子どものもやもや病は、症状のほとんどが脳虚血発作です。 このため、大きな脳梗塞が起こる前にバイパス手術を受けられれば、術後の脳梗塞の発症は少ないとされています。 また社会生活については、8割以上の子どもたちが通常の生活を送れる状況です。一方、2割弱は普通学級への就学困難や、卒業後の就職の困難が報告されています。 診断が遅れ、手術の時点で脳梗塞が起きた場合、その後の社会生活に支障が出てしまう可能性があります。そのため、早期の診断と適切なタイミングでのバイパス手術が非常に重要です。 もやもや病の検査費用はいくら? もやもや病の検査費用は、検査の種類によって異なります。 種類別もやもや病の検査費用の相場(3割負担の場合) MRI・MRA検査:8,000円~2万5,000円程度 CT検査:非造影は5,500円~8,000円程度/造影で7,500円~1万2,000円程度 ただし、具体的な金額は医療機関によって異なるため、詳しくは各医療機関にご確認ください。 参考文献 (文献1) 一般社団法人日本小児神経外科学会 「小児脳神経外科(もやもや病)」 一般社団法人日本小児神経外科学会公式サイト http://jpn-spn.umin.jp/sick/d.html(最終チェック日 2025年3月20日) (文献2) 京都大学医学部附属病院「もやもや病就学支援マニュアル」2023年. https://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/department/division/pdf/moyamoya/moyamoya_web.pdf (最終アクセス:2025年3月30日)
2023.09.25 -
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もやもや病になってから性格が変わった気がする。 もやもや病による性格変化にはどのように対処すべき? この記事を読んでいるあなたは、自分や大切な人がもやもや病になり、性格変化が起きているのではないでしょうか。 「どのように接したら良いかわからない」と悩んでいる人もいるかもしれません。 結論、もやもや病による性格変化は、「高次脳機能障害」が関係している可能性があります。 以前とまったく同じ性格に戻すのは困難ですが、原因や対処を知れば、生活上の不便は軽減できます。 本記事では、もやもや病による性格変化のメカニズムと対処法について詳しく解説します。 記事を最後まで読めば性格変化の原因や対処法がわかり、毎日を快適に過ごしやすくなるでしょう。 もやもや病の後遺症で性格が変化することがある もやもや病は、脳の重要な動脈が狭くなった結果、通常では見られない細い血管(もやもや血管)が発達する病気です。もやもや血管は血流悪化や脳卒中のリスクが高く、脳機能の低下につながるケースも見られます。 また、脳機能の低下によって「高次脳機能障害」が生じると、性格変化が起こる可能性があります。高次脳機能障害とは「怪我や病気によって脳がダメージを受けた結果、複雑な処理ができなくなり、生活に支障が出る状態」です。 もやもや病でダメージを受けやすいのは、脳の「前頭連合野」と呼ばれる部位です。 前頭連合野には以下のようなはたらきがあります。(文献1) 前頭連合野の機能 説明 認知・実行機能 状況を深く理解したり推理したりする 心の理論・社会性機能 人の気持ちを想像したり、周りを見て行動したりする 情動・動機付け機能 積極的に行動したり、自己表現をしたりする どの機能も、人間が社会的な生活を送るのに欠かせません。 そのため、もやもや病によって前頭連合野の機能が失われると、「感情のコントロールができず自己中心的になる」「周りの状況を見て動けない」などが起こり、性格が変わったと思われやすいのです。 当院「リペアセルクリニック」では、もやもや病による脳卒中後の治療として再生医療(幹細胞治療)を提供しています。再生医療には、リハビリの効果を高めたり、後遺症を軽減したりする効果が期待できます。 もやもや病後の後遺症にお悩みの方は「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」へ気軽にご相談ください。 なお、もやもや病については、以下の記事で詳しく説明しています。 もやもや病の後遺症でみられる性格の変化 もやもや病の後遺症「高次脳機能障害」による性格の変化は、以下のとおりです。 記憶障害により物忘れが増える 注意障害により気が散りやすくなる 社会的行動障害により感情をコントロールできなくなる 遂行機能障害により段取りが悪くなる 本章の内容をもとに、気になる性格の変化が高次脳機能障害によるものなのかを考えてみましょう。 なお、性格変化以外の後遺症については、以下の記事もぜひ参考にしてください。 記憶障害により物忘れが増える もやもや病によって脳の記憶をつかさどる部分の機能が低下すると、「作業記憶(ワーキングメモリー)」が低下することがあります。 作業記憶とは、何かを行うときに一時的に置いておく「記憶の引き出し」です。記憶障害の症状例は、以下のとおりです。 聞いたことをすぐ忘れて何度も聞き返す 買い物に出かけても、何を買えばいいか忘れる ものを置いた場所を思い出せない 何度も同じことを聞いたり、頼みごとができなくなったりする結果、本人や周囲の人に不便が生じ、ストレスとなるケースは珍しくありません。 注意障害により気が散りやすくなる 注意障害とは、気が散りやすく一つの物事に集中できない状態です。生活に支障をきたす注意障害の症状は、以下のとおりです。 ぼんやりしていてミスが多い 2つのことを同時にできない(マルチタスクができない) 少しの変化に気をとられ、自分の動作が止まる 注意障害は、仕事や勉強などのパフォーマンスの低下につながりやすい症状といえるでしょう。 社会的行動障害により感情をコントロールできなくなる 社会的行動障害とは、自分の感情をうまくコントロールできない、衝動的な行動が増えるなどの状態です。以下のようなケースがあり、社会生活に問題が出る可能性も考えられます。 自己中心的になる 感情の振れ幅が大きくなる 思い通りにならないと大声を出す 興奮したり暴力をふるったりする 欲求を抑えられずにギャンブルや借金に走る 逆に、人や物事への興味や自発性がなくなるケースもあります。 遂行機能障害により段取りが悪くなる 遂行機能障害とは、物事を順序立てて行えなくなることです。具体的な症状は、以下のとおりです。 段取りが悪い 優先順位をつけられない 約束の時間に間に合わない 人に指示してもらわないと何もできない 臨機応変に行動できず、少しのトラブルにも対応できない 日常生活は、予期せぬ出来事がたくさん起こります。遂行機能障害によりその場に応じた対応ができなくなると、仕事や生活の維持に支障が出やすくなるかもしれません。 もやもや病による性格変化は検査・症状で診断する 性格変化がもやもや病による高次脳機能障害が原因なのかは、以下の内容から総合的に判断されます。(文献2) 何かの病気(今回はもやもや病)が原因で起きたものか 現在、脳機能が低下したことにより日常生活・社会生活に支障が出ているか MRIやCT、脳波検査などにより、認知障害の原因が脳の異常によるものと考えられるか 先天性疾患や発達障害、持病などが関連していないか なお、高次脳機能障害の診断は、原因となる脳の病気や怪我の急性期が過ぎ、症状が安定してから行われます。そのため、もやもや病と診断されてすぐではなく、ある程度の期間が必要です。 当院「リペアセルクリニック」では、もやもや病による脳卒中後の治療として再生医療(幹細胞治療)を提供しています。再生医療は、もやもや病による脳卒中後の身体機能の回復や再発予防を目指した治療法の一つです。 もやもや病による脳卒中が原因の高次機能障害にお悩みの方は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」へ気軽にご相談ください。 もやもや病で性格が変化したときの対処法 もやもや病で性格変化や行動変化が見られても、原因を知り適切に対処すれば、日常生活への支障を軽減できます。 本章では、「自分の性格が変わった場合」「家族や友人の性格が変わった場合」の2つの事例において、おすすめの対処法を解説します。 自分の性格が変わった場合 もやもや病にかかった場合、病気による変化を理解した上で、自分に合う対応を学ぶのがおすすめです。 具体的な対処法の例は以下のとおりです。(文献3) 無理のない範囲で運動し、体力をつける バランスの取れた食事や規則正しい生活を意識する 人と比較せず、自分の状況や希望に合わせた生活の目標を考える 地域のリハビリ科や精神科の病院、地域の保健福祉センターなどに相談してみるのも良い方法です。焦らずに、少しずつ進んでいきましょう。 家族や友人の性格が変わった場合 性格変化が周りの人に起きた場合は、もやもや病による影響を正しく理解し、適切なサポートを検討しましょう。 たとえば、本人がどのような状況でイライラしたり不自由したりしているかをチェックし、専門家からどのような生活や手助けが適しているかのアドバイスを受けます。相談先は病院や保健福祉センターなどです。 具体的な対策の例は、以下のとおりです。 気が散らない環境を整え、ものごとに集中できるようにする こまめにメモを取り、低下した記憶力をおぎなう 低下した機能を助ける訓練を受ける 一度の相談ですべての課題に対応するのは難しいため、相談と検討を繰り返しながら少しずつ本人の抱える困難に対応していきます。焦らずに、寄り添う姿勢を大切にしてみてください。 まとめ|もやもや病で性格変化が起きたら医療機関へ相談しよう 本記事では、もやもや病の後遺症による性格変化について、詳しく説明しました。 もやもや病のあとに性格が変わるのは、脳のダメージによる「高次脳機能障害」が原因の可能性があります。感情の制御をつかさどる「前頭連合野」がダメージを受けた結果、記憶障害や行動障害などが起こります。 性格変化は病気の後遺症であると理解し、専門家の指導のもとに適切な対応を行いましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、損傷した脳に対する再生医療(幹細胞治療)を実施しています。再生医療は、もやもや病による脳卒中後の身体機能の回復や再発予防を目指した治療法の一つです。 「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」を行っております。気軽にご相談ください。 もやもや病による性格変化に関するよくある質問 高次脳機能障害は完治しますか? 脳に傷がある状態のため、高次脳機能障害を完全に治すことは困難です。しかし、得意・不得意を考慮した工夫により、生活上の不便は軽減できます。根気強くリハビリをおこないましょう。 脳卒中による高次脳機能障害があるとき、入院期間はどのくらいになりますか? 脳卒中では、発症直後の急性期を過ぎたあとは「回復期リハビリテーション病棟(回復期リハ病棟)」に移ってリハビリを続ける方が多く見られます。 回復期リハ病棟では、脳血管障害における一般的な入院期間は150日とされています。ただし、高次脳機能障害の合併があると、180日まで入院可能です。 期間すべてを使っての入院が必要というわけではありません。しかし、高次脳機能障害は麻痺と違い一見してわかりづらく、周りの理解が得られにくいケースが多いです。退院後を快適に過ごすために、社会復帰のためのリハビリや環境整備にしっかりと時間をかけましょう。 もやもや病による脳梗塞については、以下の記事もぜひ参考にしてください。 参考文献 (文献1) 渡邊正孝「頭連合野のしくみとはたらき|高次脳機能研究( 第36巻,第1号)」https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/36/1/36_1/_pdf (文献2) 厚生労働省 科学研究成果データベース「令和4年版高次脳機能障害診断基準 ガイドライン」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/36/1/36_1/_pdf (文献3) 相模原市「もしかしたら高次脳機能障害?」 https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/025/677/r03_pamphlet.pdf
2023.08.10 -
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もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)は、脳血管に異常が生じることで脳卒中などを引き起こす可能性がある、原因不明の難病です。 近年、家族内で複数の患者様が見られるケースも報告されており、「もやもや病は遺伝するのでは?」と心配する方も増えています。 この記事では、もやもや病と遺伝の関係性について、最新の研究や専門的な見解をわかりやすく解説します。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 もやもや病が引き起こす可能性がある脳卒中の予防や、再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 もやもや病と遺伝の関係|どこまで明らかになっているのか もやもや病は長らく原因不明の病気とされてきましたが、近年の研究により、遺伝との関連が少しずつ解明されつつあります。 家族内での発症例や、特定の遺伝子との関連が指摘されており、遺伝的な背景を考慮した研究が進められています。 もやもや病は「遺伝病」ではないが遺伝的要因が関与する可能性がある もやもや病は、いわゆる「遺伝病」ではありません。 つまり、親から子へ必ず受け継がれるような仕組みは確認されていません。 しかし、これまでの研究では、家族内に複数の患者様がいるケースが一定の割合で報告されており、遺伝的な要因が関係している可能性があると考えられています。 また、特定の人種や地域に患者様が集中していることからも、環境要因に加えて、体質的な背景も影響しているのではないかと指摘されています。 現在のところ、もやもや病の発症には、遺伝だけでなく複数の要因が複雑に関わっていると考えられており、まだ解明されていない部分も多いのが現状です。 家族内発症の傾向と報告例について もやもや病は、日本において10〜20%の患者様に家族内での発症が確認されていると報告されています。 つまり、兄弟や親子などの近い家族の間では、10人に1〜2人の割合で罹患していることになります。(文献1) このような「家族性もやもや病」は、特定の遺伝的背景を持つ人に起こりやすい可能性があると考えられています。 また、家族性のケースでは、次の世代になるほど発症年齢が早くなったり、症状が重くなるといった傾向(表現促進現象)が見られることもあります。 子どもへの遺伝確率や兄弟リスクは? 家族にもやもや病の患者様がいると、「子どもや兄弟にも遺伝するのでは」と不安に感じる方が多いかもしれません。 とくに親が患者様である場合、将来の子どもの健康に影響があるかを心配されるケースもあります。 現在のところ、もやもや病は単純な遺伝形式で受け継がれる病気ではないとされています。 たとえば、親が発症しても子どもには症状が現れない場合も多く、反対に親に症状がなくても子どもが発症することもあります。 また、兄弟間で発症する確率が何%といった明確な数値は示されていません。 これは、遺伝的な素因に加えて、環境や個人の体質など、さまざまな要因が発症に関わっているためです。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、簡易オンライン診断が受けられます。 もやもや病による脳卒中に関してお悩みの方は、公式LINEに登録してぜひ一度お試しください。 もやもや病と関連した遺伝子とは? もやもや病は、家族内に複数の患者様がいるケースや、東アジアに多いという特徴から、以前から遺伝的な要因が関係しているのではないかと考えられてきました。 近年では、ある特定の遺伝子と病気の関連性も報告されており、研究が進んでいます。 遺伝子多型 私たちの体は、細胞の中にあるDNA(遺伝情報)によってつくられています。 DNAは、アデニン(A)・チミン(T)・グアニン(G)・シトシン(C)の4種類の「塩基」が並んでできており、この配列によって体のさまざまな情報が決まります。 人間同士のDNAは、約99.9%が同じですが、ごくわずかに異なる部分があります。 この違いを「遺伝子多型(いでんしたけい)」と呼びます。 たとえば、肌や髪の色の違い、病気へのなりやすさの個人差などが、この多型によって現れることがあります。 ただし、遺伝子多型があるからといって、必ず症状が出るわけではありません。 体質の違いや傾向を示す個性のようなものと考えると、イメージしやすいでしょう。 RNF213遺伝子多型p.R4810K もやもや病と関わりの深い遺伝子として、「RNF213(アールエヌエフ213)」があります。 これはヒトの染色体のうち17番目に存在する遺伝子です。 日本人の患者様のRNF213遺伝子を調べると、80〜90%もの人が「p.R4810K」という遺伝子多型があることがわかりました。 一方で、このp.R4810K多型は、健康な日本人でも約1〜2%の人に見られることがわかっています。 つまり、この多型を持っているからといって、必ずもやもや病を発症するわけではありません。 これは、RNF213のp.R4810Kが「発症しやすい体質を示す素因」であり、発症には他の遺伝的要因や環境要素も関係していることを意味します。 発症の背景は複雑で、一つの要因だけで決まるものではないと考えられているのです。 遺伝子検査はできる?費用や対象について 現在のところ、RNF213遺伝子の多型(p.R4810K)を調べる遺伝子検査は、一般的な医療機関では実施されていません。 保険診療の対象にもなっておらず、通常の診療では行われていないのが現状です。 また、この遺伝子多型を持っていても、必ず発症するわけではないため、検査で結果が出ても予防や治療に直結するわけではありません。 そのため、現時点では、診断目的の検査は画像検査(MRAや脳血管造影など)が中心となっています。 研究機関や一部の専門施設では、研究協力の一環として遺伝子検査が行われる場合がありますが、その際も倫理審査を経て同意が必要となります。 費用や受けられる条件も施設によって異なるため、希望がある場合は専門医に相談することをおすすめします。 もやもや病と診断されたら|家族の健康管理でできること もやもや病と診断されたとき、本人だけでなく家族も「ほかの家族にリスクはないのか」と不安を感じることがあります。 この章では、家族として意識しておきたい健康管理のポイントや、子ども・兄弟への対応についてご紹介します。 子どもや兄弟の定期的なチェックは必要? 家族にもやもや病の方がいると、発症リスクがやや高まるとされているため、気になる症状があれば早めに受診しておくことをおすすめします。 もやもや病は、5〜10歳ごろの小児期に発症のピークがあることが知られています。 また、成人期では40歳前後に発症するケースが多く、子どもから大人までどの年代でも注意が必要な病気です。(文献2) とくに、小児では過呼吸や運動後の脱力、てんかん発作のような症状が現れることがあり、成人では脳出血で発症する例もあります。 症状がなくても、気になる背景がある場合は画像検査(MRAなど)で早期に確認するという選択もあります。 不安なときの相談先や検査のすすめ方 家族に患者様がいる場合、「自分や子どもも発症するのでは」と心配になる方は少なくありません。 そんなときは、一人で悩まずに医療機関で相談することが大切です。 もやもや病の診療を行っているのは、主に脳神経外科や神経内科です。 とくに、もやもや病に詳しい専門医のいる病院や、脳卒中センターを併設している大きな医療機関での相談が安心です。 症状がある場合はもちろんですが、「家族に患者がいるので心配」「子どもの頭痛が気になる」といった理由でも、相談して問題ありません。 必要に応じてMRA(磁気共鳴血管撮影)などの画像検査が行われます。 また、小さなお子さんの場合は、検査中に動かずにいられるかどうかがポイントになります。 状況によっては鎮静剤を使って検査を受けることもあるため、不安があれば事前に医師に相談しましょう。 まとめ|もやもや病は遺伝だけではないが家族で知っておきたい病気 もやもや病は、一部で家族内での発症が見られる病気であり、関連する遺伝子も報告されています。 ただし、「遺伝=必ず発症する」わけではなく、さまざまな要因が重なって起こる複雑な病気です。 遺伝的な背景があることを知っておくことは大切ですが、過剰に心配し過ぎる必要はありません。 大切なのは、必要に応じて早めに相談・検査を行い、家族で健康を守っていくことです。 気になることがあれば、専門医にしっかり相談をしましょう。 参考文献 (文献1) もやもや病(指定難病22)|難病情報センター (文献2) Moyamoya disease in children|PubMed
2023.08.07 -
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「もやもや病の悪化を防ぐには何を避けるべきか」 「日常生活でどこに注意すれば良いのか」 もやもや病は、厚生労働省が指定する難病で、脳の血管が徐々に狭くなり血流が不足することで、手足の麻痺やけいれんなどを引き起こす疾患です。正しい知識と適切な対策により、症状の進行を抑え、安定した日常生活を送ることが期待できます。 本記事では、もやもや病で気をつけるべきことを現役医師が詳しく解説します。記事の最後には、もやもや病に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 もやもや病について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 もやもや病で気をつけること|私生活 私生活で気をつけること 詳細 異変を感じたらすぐに医療機関を受診する 症状出現時の早期受診の徹底 生活習慣を見直す 食事・睡眠・禁煙・節酒の維持 無理のない身体の使い方を意識する 過度な運動・力仕事の回避 ストレスに配慮する 日常でのリラックス時間確保 体調管理を心がける 発熱・疲労・気温変化に注意 もやもや病は脳の血流が不足し、さまざまな症状を引き起こす疾患です。そのため、日常生活では工夫や注意が必要です。頭痛やしびれなどの異変を感じた際は、早めに医療機関を受診しましょう。 食事や睡眠の質を整え、禁煙や節酒を心がけるなど、生活習慣を見直すことも欠かせません。また、無理な運動や力仕事を避けて体への負担を減らし、リラックスできる時間を意識して確保することも重要です。さらに、発熱や疲労、気温の変化に注意し、体調を整えることが症状の進行を防ぐ基盤となります。 以下の記事では、もやもや病の症状や治療法について詳しく解説しています。 異変を感じたらすぐに医療機関を受診する もやもや病は脳の血流が不安定になる疾患で、突然のしびれや言葉のもつれ、視覚の異常などが発作のサインとして現れることがあります。症状が軽くても放置すると脳梗塞や脳出血に進行する危険があるため、早期に医療機関を受診することが重要です。 とくに片側のしびれや会話のしにくさは典型的な脳血管障害の兆候であり、受診の遅れは治療の選択肢を狭め、後遺症のリスクを高めます。普段と異なる違和感を覚えたときは、医療機関を受診しましょう。 生活習慣を見直す 理由 詳細 血液の粘度や血流の安定 規則正しい水分補給・バランスの取れた食事 血管への負担軽減 禁煙・節酒・適量の飲酒 全身バランスの維持 適度な運動・十分な睡眠・ストレス管理 長期的な進行抑制 生活習慣改善による保存的な管理 生活習慣を見直すことは、もやもや病と診断された方が自分で取り組める大切なリスク管理です。水分補給や栄養状態の維持は血液が濃くなるのを防ぎ、脳梗塞や一過性虚血発作のリスクを下げる基盤になります。 禁煙や節酒は血管への直接的なダメージを防ぎ、過度な飲酒や喫煙による脳卒中のリスクを減らします。さらに、適度な運動や十分な睡眠、ストレス管理は心身のバランスを保ち、発作や症状の悪化を防ぎます。こうした取り組みの積み重ねが症状の進行を抑えることにつながるため、日常生活での意識的な改善が重要です。 以下の記事では、生活習慣改善について詳しく解説しています。 【関連記事】 脂質異常症改善のための正しい運動とお茶の選び方|生活習慣の見直しポイントを医師が解説 【医師監修】脂質異常症の診断基準|総コレステロールなど各数値の正常値と治療法を解説 無理のない身体の使い方を意識する もやもや病は脳への血流が不足しやすく、手足の麻痺や言語障害、けいれんなどを引き起こす疾患です。そのため、日常生活では身体に無理のない使い方を意識することが重要です。 激しい運動や過度な力仕事は呼吸を乱し、脳血管の収縮を招く恐れがあります。長時間の無理な動作や過労も血圧の変動や過呼吸を招き、発作や再発の引き金になります。休憩を取り、ゆっくりと動作することが脳への血流不足を防ぐために有効です。 具体的には、急に立ち上がらず姿勢をゆっくり変える、重い荷物を無理に持たない、ウォーキングやストレッチなど軽い運動を取り入れることが推奨されます。 頭部に強い衝撃が加わるスポーツや激しい運動は避ける必要があります。体調の変化に注意し、無理のない範囲での活動が、症状の悪化や再発を防ぎ、安定した生活につながります。 ストレスに配慮する 理由 詳細 血圧変動の負担軽減 交感神経刺激による血圧上昇抑制 過換気(過呼吸)リスクの回避 強いストレスによる早い呼吸回避 症状誘発要因の排除 血管緊張・血圧変動時の症状予防 精神的負担の軽減 生活の質向上・再発リスク低減 具体的な対策実施の重要性 リラックス・休息・趣味の活用 ストレスへの配慮は、もやもや病の患者様が安定した日常生活を維持する上で極めて重要です。ストレスは血圧を急激に上昇させ、脳血流に過度な負担を与える要因となります。 とくに脳血管が狭窄している場合には、脳梗塞や脳出血の誘因となる可能性があり、注意が必要です。また、強い精神的緊張は呼吸を浅く速くする過換気を招き、脳血流の低下や症状の誘発につながることがあります。 これらのリスクを軽減するためには、日常生活の中で精神的負担を和らげ、リラックスできる環境や方法を取り入れることが大切です。自身に合ったストレス対処法を実践することで、症状の増悪や急変を予防し、生活の質の維持につながります。 以下の記事では、ストレスについて詳しく解説しています。 体調管理を心がける 理由 詳細 疲労や睡眠不足の回避 免疫・循環機能の維持 水分補給と脱水予防 血液の濃度調整による血流改善 発熱や感染症の早期対処 体調悪化のリスク軽減 血圧管理の重要性 血圧変動の自己把握とコントロール 体調変化の気づき習慣 微妙な症状の早期発見・受診促進 もやもや病は脳の血流が不足しやすく、体調のわずかな変化が症状の悪化や発作の引き金となる可能性があります。そのため、日常的な体調管理は極めて重要です。十分な休養と良質な睡眠を確保することで、血圧や呼吸の乱れを防ぎ、症状の安定につながります。 こまめな水分補給は脱水を予防し、血液の流れを保つことが脳梗塞のリスクを低減する上で重要です。発熱や感染症は血流に大きな影響を与えるため、体調不良を感じた際には早めに医療機関を受診しましょう。 また、気温の変化に注意しつつ血圧を測定するなど自己管理を習慣化するのも大切です。さらに、頭痛や倦怠感、手足の違和感といった小さな変化を記録しておくことで、早期に異常を把握しやすくなります。 もやもや病で気をつけること|仕事・人間関係 仕事・人間関係で気をつけること 詳細 周囲への理解を得る 疾患の状況や配慮事項の共有 無理のない働き方をする(精神的・身体的) 負担軽減と休憩確保 急激な温度変化・過換気の回避 寒暖差対策と呼吸の過剰防止 人間関係のトラブル回避 適切なコミュニケーションと支援 もやもや病の患者様は、仕事や人間関係においていくつかの点に注意する必要があります。まず、疾患の状況や配慮すべき点を職場や周囲の人に共有し、理解を得ることが大切です。 精神的・身体的な負担を軽減し、無理のない働き方と十分な休憩を確保することが求められます。また、急激な温度変化には衣服で調整し、過換気を防ぐことも重要です。 さらに人間関係ではトラブルを避けるために適切にコミュニケーションを取り、必要に応じて周囲の支援を活用することが大切です。こうした配慮が症状の安定と生活の質の向上につながります。 周囲への理解を得る 重要性 詳細 疾患の特徴を伝え誤解を防止 体調変化や疲労の理解促進 仕事上の配慮を得やすくする 休憩時間や業務内容の調整 支えと協力の輪づくり 急な休みやサポート要請の円滑化 安定感と信頼感の向上 精神的負担軽減とコミュニケーション改善 もやもや病は外見からは判断しにくく、突然の体調変化や疲れやすさが現れることがあります。そのため、周囲に疾患の特徴や注意点を伝え、理解を得ることが重要です。 あらかじめ病状を共有しておくことで、急な症状が出た際にも誤解を避け、落ち着いた対応を受けられる可能性が高まります。また、疲労を感じやすい場合には休憩時間の確保や業務内容の調整が必要となりますが、職場の理解を得ることで配慮を依頼しやすくなります。 さらに、体調の波が大きいときには周囲の支援が欠かせません。協力を得やすい環境は心身の安定につながり、信頼関係の構築に役立ちます。仕事や人間関係を円滑に保つためには、主治医に相談し説明用資料の活用も有効です。 無理のない働き方をする(精神的・身体的) ポイント 詳細 身体的な無理を避ける 休憩の確保・重い作業控える・通院を優先する ストレスをためない環境づくり 体調共有・業務調整・リラックス時間確保・支援の活用 柔軟な働き方の導入 テレワーク・時差出勤・短時間勤務・コミュニケーション重視 体調変化の早期伝達と支援活用 疲労のサイン共有・限界認識・サポート制度活用 もやもや病の患者様が無理なく働き続けるには、身体と心の両面に配慮した働き方が必要です。疲れやすい体質を理解し、適度に休憩を取りながら長時間労働や重労働を避け、症状悪化の兆しがあれば早めに職場へ伝えましょう。 精神的な負担を減らすためには、体調や気持ちを共有し、過度な責任を抱え込まないことが大切です。リラックスできる時間を持ち、必要に応じて支援を活用するのも効果的です。 さらに、テレワークや短時間勤務など柔軟な働き方を取り入れ、体調変化を早めに共有して職場のサポート制度を活用することが、安定した就労につながります。 急激な温度変化・過換気の回避 ポイント 詳細 過呼吸を起こす動作の回避 長時間の楽器演奏や激しい運動、大声の制限 こまめな休憩と無理の回避 体調に応じた休息の確保 急激な寒暖差の環境での体調管理 身体を温かく保つこと 精神的安定の維持 急な感情の高ぶりを避ける 周囲へのリスク理解 過換気のリスク周知と支援依頼の促進 急激な温度変化は血管に負担をかけるため注意が必要です。夏場の屋外と冷房の効いた室内、冬場の暖房の部屋と寒い屋外の行き来では、羽織り物を用意するなど体温調節を心がけましょう。 また、過換気は脳の血管を収縮させる可能性があるため、興奮や緊張の場面では意識してゆっくり深呼吸を行い、防ぐことが大切です。 人間関係のトラブル回避 気をつけること 詳細 疾患の適切な伝達 症状の特徴と体調の変動説明による誤解防止 感情のコントロール 怒りや焦りの抑制による過換気防止 無理しすぎない 体調に合わせた休息確保とストレス軽減 理解と助けの受け入れ 早期相談と支援依頼によるトラブル予防 コミュニケーション工夫 短時間対話やメール活用による負担軽減 周囲の理解促進と啓発支援 症状の理解に対する促進と説明資料共有による偏見軽減 もやもや病における人間関係のトラブルを避けるためには、疾患の特徴や体調の変動を周囲に適切に伝え、突然の体調不良や欠勤に対する誤解を防ぐことが重要です。 感情的になりすぎると過換気を起こしやすくなるため、できるだけ落ち着いた対応を心がけましょう。また、無理に仕事や付き合いを続けず、体調に応じて十分な休養を確保することが必要です。困難を感じた際には早めに相談し、周囲の支援を受け入れる姿勢を持つことでトラブルを未然に防止できます。 さらに、疲労が強い場合には面談時間を短縮したり、メールやメッセージを活用したりするなど、コミュニケーション方法を工夫することも有効です。周囲の理解を深めるためには、説明資料の活用や啓発活動を取り入れることが推奨され、偏見の軽減と良好な人間関係の構築につながります。 もやもや病で気をつけること|家族が発症した際の対応 家族が発症した際の対応 詳細 もやもや病についての理解を深める 疾患の特徴や遺伝的背景の把握 ストレス・疲労をためない生活を一緒に作る 規則正しい生活リズムと休息の確保 発作の兆候に気づけるようにする 症状の変化や異常の早期発見 仕事・学校など周囲への説明と調整の支援 状況説明と環境調整の協力 自分自身(家族)のケアも忘れない 介護負担の軽減と心身の健康維持 もやもや病には家族内で発症する例があり、遺伝的な素因が関与すると考えられています。家族が発症した場合は、まず疾患の特徴や背景を正しく理解することが重要です。 ストレスや疲労をためない生活リズムを一緒に整え、発作や症状の兆候に早く気づけるよう注意しましょう。さらに、仕事や学校などで周囲に説明し、環境を調整することで理解と協力を得やすくなり、生活の質の向上につながります。また、介護やサポートを担う家族自身の心身のケアも忘れず、支え合いながら疾患と向き合うことが大切です。 以下の記事では、もやもや病と遺伝の関係性について詳しく解説しています。 もやもや病についての理解を深める もやもや病は脳の血管が狭くなり、血流が低下することで症状や体調の変動を起こしやすい指定難病です。家族がもやもや病について正しく理解することは、日常生活での支援や配慮を可能にし、患者自身の精神的・身体的負担を減らすために不可欠です。 正しい知識を共有することで誤解や不安を防ぎ、安定したコミュニケーションを保てます。患者様のできないことを責めず、支え合う姿勢を持つことは、生活の質を守り、家族の負担を軽くすることにつながります。 以下の記事では、家族がもやもや病を発症した際に起こりうることを詳しく解説しています。 【関連記事】 小児もやもや病の症状|子どもと大人の違いや注意点を解説 もやもや病になると性格が変化する?メカニズムや高次機能障害について医師が解説 ストレス・疲労をためない生活を一緒に作る もやもや病の患者様にとって、ストレスや疲労の蓄積は症状悪化の要因となります。そのため、ご家族が生活環境を整え、無理のない生活リズムを作ることが大切です。 体調や生活のペースを尊重し、健康な人と同じ生活を無理に求めないようにしましょう。急激な温度変化や過換気を起こしやすい状況を避ける工夫も有効です。 日々の体調や疲労のサインを共有し、家族で支え合うことが精神的負担の軽減につながります。さらに、趣味やリラックスの時間を持ち、十分な休息を心掛けることも重要です。 必要に応じて医療機関やカウンセリングを利用することで、安定した生活を送りやすくなります。無理に「普通」を求めず、体調や環境に合わせて柔軟に支えることが、生活の質を守る上で大切です。 発作の兆候に気づけるようにする 重要性 詳細 迅速かつ適切な対応のための早期発見 発作の兆候を素早く見つけ、落ち着いて対応できる 医療機関への速やかな受診促進 早期受診による重篤な合併症のリスク低減 症状状況の正確な把握と共有 発作頻度や状況を医師に伝え、適切な治療計画に役立てる 生活の質と安定性の向上 生活の安定を維持 もやもや病は脳の血流が不足することで、しびれや脱力、言葉の障害、頭痛、けいれん、意識障害など多様な発作を引き起こします。とくに子どもでは激しい運動や過換気が誘因となりやすく、一時的に改善する場合もありますが、繰り返すことで脳梗塞へ進展する危険があります。 そのため、家族が発作の兆候を早期に察知することが極めて重要です。発作に気づくことで、冷静な対応や迅速な医療受診が可能となり、重篤化の防止につながります。また、症状の記録は診断と治療精度を高め、症状理解と体調観察は進行予防と生活安定に不可欠です。 以下の記事では、もやもや病の初期症状について詳しく解説しています。 仕事・学校など周囲への説明と調整の支援 理由 詳細 もやもや病に関する理解を広げ誤解や偏見防止 周囲の特徴説明による休暇や配慮への理解促進 適切な環境や配慮の実現 勤務時間や学習環境の調整による無理のない生活サポート トラブルやストレス軽減 誤解や摩擦の回避による環境の確保 支援の輪を広げやすくする 具体的な支援方法の相談で協力体制の強化 本人の自己管理と生活質向上支援 周囲の理解により体調に応じた活動が可能となり、心身の安定と生活の質が向上 もやもや病の方が社会生活を続けるには、職場や学校に疾患の特性を理解してもらうことが重要です。勤務時間や学習環境の調整には、診断書や医師の意見書の活用が有効です。 家族が説明を担うことで本人の負担は軽減され、発作時の対応を共有しておけば周囲も落ち着いて行動できます。こうした取り組みにより、社会とのつながりを保ちながら体調に配慮した生活を続けやすくなり、家族が橋渡し役となることが求められます。 自分自身(家族)のケアも忘れない もやもや病の家族ケアは長期にわたるため、支える側の心身の健康維持が不可欠です。疲労やストレスが蓄積すると冷静な対応が難しくなりますが、体調と心を整えることで適切なサポートが可能になります。 家族が健やかでいることは本人、家庭の安定にも直結します。趣味や休養、運動、睡眠を心がけ、信頼できる人や医師への相談などストレスケアを意識しましょう。また、医療機関や福祉サービスを活用することで負担を分散でき、持続的な支援につながります。 もやもや病に気をつけて異常があれば医療機関を受診しよう もやもや病は、発作がなければ日常生活を普段通り送れることもあります。しかし、症状を放置すると脳梗塞や脳出血のリスクが高まります。 軽度のしびれや言葉のもつれ、視覚の異常といった違和感も軽視せず、早期に医療機関を受診することが重要です。 もやもや病でお悩みの方へ、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、もやもや病に対して幹細胞や遺伝子治療などの再生医療を用いた新たな治療法の可能性を検討しています。再生医療には脳の血流を改善し、症状を軽減する効果が期待されています。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 もやもや病に関するよくある質問 もやもや病は完治しますか? もやもや病には現時点で根本的に完治させる方法はありません。しかし、薬物療法や血行再建術などの外科的治療により、脳の血流を補い症状の進行を抑えることができます。 適切な治療と生活管理を組み合わせることで、発作や脳卒中のリスクを減らし、日常生活を安定して続けることが期待できます。 以下の記事では、もやもや病の治療について詳しく解説しています。 【関連記事】 もやもや病の手術の難易度と成功率とは?入院期間や寿命への影響も医師が解説! もやもや病の手術後に仕事復帰できるのはいつ?後遺症や退院後の働き方を医師が解説 もやもや病を発症すると寿命が短くなりますか? もやもや病にかかったからといって、必ず寿命が短くなるわけではありません。もやもや病は、治療を行わず放置すると脳梗塞や脳出血のリスクが高まり、生命に関わる可能性があります。 一方で、血行再建術や薬物療法に加え、生活習慣の管理や定期的な受診を続けることで重症化を防ぎ、寿命への影響を最小限に抑えることができます。早期発見と適切な管理を行えば、健康な人と大きく変わらない生活を送れるケースも少なくありません。 もやもや病は国からの補助金などを貰うことは出来ますか? 項目 詳細 指定難病としての位置づけ 厚生労働省が認める「特定疾患(指定難病)」に含まれる 医療費助成対象 国・都道府県による公費負担医療制度の対象 助成認定条件 重症度や軽症高額該当の基準を満たした場合、都道府県の審査を経て認定される 小児慢性特定疾病制度の適用 18歳未満の患者に対し、小児慢性特定疾病医療費制度が適用される もやもや病は厚生労働省認定の指定難病で、公的な医療費助成の対象です。 重症度や高額医療の条件を満たせば、都道府県の審査を経て助成が受けられます。18歳未満は小児慢性特定疾病制度も適用され、医療費負担が軽減されます。申請は医師と相談し、手続きを行うことが重要です。
2023.06.26 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
もやもや病を大きくわけると「虚血型」と「出血型」の2種類があります。発症した種類によって初期症状は異なります。 本記事では「虚血型」と「出血型」の違いを明確にした上で、それぞれの初期症状を詳しく解説します。 もやもや病は脳梗塞や脳出血、くも膜下出血を発症する可能性がある怖い病気です。この記事を参考にして初期症状のサインを知り、もやもや病の早期治療につなげていきましょう。 もやもや病の初期症状サイン【チェックリストあり】 もやもや病の初期症状を見る前に、もやもや病の特徴を理解しましょう。 もやもや病とは、脳に血液を送るための血管である「内頚動脈」が、徐々に細くなったり、詰まったりして、脳の血液不足を引き起こす原因不明の病気です。 不足した血液を補うために、細い血管が脳内に異常に発達していきます。血管を造影すると、細い血管が「もやもやした煙」に見えることから「もやもや病」と名付けられました。 もやもや病には、血管が狭くなるのが原因で血液不足を起こす「虚血型」と、増殖した血管が破裂して出血する「出血型」の2種類があります。 それぞれの初期症状のサインを見ていきましょう。 虚血型の場合 虚血型は、脳内の血管が細くなったり、詰まったりして血液不足を起こしている状態です。虚血型の場合、以下のような初期症状が現れます。 頭痛 けいれん 意識障害 言語障害 手足の麻痺 手足のしびれ 虚血型は、血管の狭窄が進行すると脳の組織への血流が完全に途絶え、脳梗塞を発症するリスクがあります。重症化を防ぐためには、早期発見が重要です。疑われる初期症状が見られたら、早めに病院を受診しましょう。 また、血流不足は脳の前頭葉にダメージを与え、高次脳機能障害を引き起こす可能性もあります。前頭葉には感情をコントロールする働きがあるため、高次脳機能障害を発症すれば、性格変化の症状が現れるケースもあります。 もやもや病から発症する高機能障害については以下の記事で詳しく解説しているので、気になる方はあわせてご覧ください。 出血型の場合 出血型は、細かい血管の増加が影響して出血を起こす状態です。出血すると、脳出血、くも膜下出血などを引き起こします。初期症状は、出血の種類によって異なります。 たとえば、くも膜下出血の場合の初期症状は以下のとおりです。 頭痛 めまい 吐き気 視力低下 意識障害 脳出血やくも膜下出血は、運動や感覚の麻痺といった後遺症を残す可能性がある病気です。症状が深刻化する前に初期症状が見られたら、速やかに医療機関を受診しましょう。 くも膜下出血や脳出血を含む脳卒中の治療法の1つに「再生医療」があります。身体のしびれや麻痺、言語障害といった後遺症も治療対象です。 期待できる治療効果が知りたい方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にご相談ください。 もやもや病の初期症状が現れたら早期に病院を受診する 血管が詰まって脳梗塞を起こした場合や、増加した血管から出血を起こした場合は、手足の麻痺や、言語の障害、脳機能障害などの後遺症が出ることもあります。そのため、早期に診断して専門の病院で治療を受けることが大切です。 以下の記事では、もやもや病が引き起こす脳梗塞のリスクについて解説しています。予防策も紹介しているので、詳細が気になる方は参考にしてみてください。 適切な治療や管理を受けている場合には、約7割程度の方は症状的に安定して生活を送っていると推計されています。 脳の血管の狭窄は、最初の診断時と同じ状態が何年も変わらない方もいれば、徐々に進行していく方もいるといわれています。従って、定期的にMRIなどによる画像検査が必要です。 もやもや病の治療方法 もやもや病の治療には「内科的治療」と「外科的治療」があります。 「内科的治療」では、詰まりかけている血管の血液の流れを改善する際に、抗血小板剤(血液をサラサラにする薬)、出血の予防を図るときは、血圧・脳圧をコントロールする薬を投与します。ただし、病院によって使用する薬が異なる可能性があるので、内科的治療を進める際は、事前に担当医に確認しましょう。 内科的治療を実施しても効果が不十分な場合や、根本的治療を目指す場合は、外科的治療を検討します。 もやもや病における「外科的治療」は、血行再建術(バイパス手術)です。バイパス手術は主に、頭皮の血管と脳表面の血管を直接つなぐ「直接再建術」と、血流が多い側頭筋や骨膜を脳の表面に置いて接着する「間接血行再建術」の2種類があります。 以下の記事では、もやもや病の手術についてさらに詳しく解説しています。入院期間や手術の成功率なども紹介しているので、気になる方はあわせてご覧ください。 まとめ|もやもや病の初期症状を感じたら早急に専門家の受診しよう もやもや病の初期症状は、明らかに違和感を感じるような症状もあれば、風邪の症状と混同してしまうような症状もあります。 もやもや病は、脳梗塞やくも膜下出血、脳出血といった脳卒中を引き起こす可能性のある病気です。なるべく初期症状の段階で病院を受診し、早期治療するのが望ましいといえます。 「なんかいつもの体調不良と違う…」「こんな症状初めて!」などの違和感を覚えたら、もやもや病の可能性も視野に入れて病院の受診を検討しましょう。 もやもや病から発症する脳卒中の治療には「再生医療」が効果的です。 再生医療は人間の自然治癒力を活用した最先端の医療技術です。幹細胞の修復力を利用して、損傷した脳細胞の機能回復を促進します。 脳卒中の後遺症も治療対象なので、具体的な治療法や効果が知りたい方は再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 もやもや病に関するよくある質問 最後にもやもや病に関するよくある質問と回答をまとめます。 もやもや病で手術を受けた方がいい場合は? 内科的治療を試しても効果が見られない場合や、現時点で脳梗塞や脳出血の発症リスクが高いと診断された場合は手術を受けたほうが良いといえます。手術は脳梗塞や脳出血の予防にもつながります。 子どもが発症した場合、年齢が低いほど、脳梗塞や脳出血などの重篤な症状を出しやすいとされているため、診断がついた時点で手術を検討するのが良いでしょう。 もやもや病が遺伝する可能性はありますか? 現在でも詳細な原因は不明であり、必ずしも遺伝する病気というわけではありません。 最近の研究では、もやもや病に関係した遺伝子(RNF213遺伝子)が発見されていますが、病気になる感受性が高くなる「感受性遺伝子」であって、病気の「原因遺伝子」ではないとされています。この遺伝子は、もやもや病がない一般の方にもみられる遺伝子ですので明らかな原因とは言えません。 家族内でもやもや病がみられる家族性のもやもや病は10〜20%であり、遺伝子以外に他のなんらかの要因が加わることで発症するのではないかと推測されています。(文献1) 以下の記事では、もやもや病と遺伝の関係性について詳しく解説しています。具体的な情報が知りたい方は、参考にしてみてください。 もやもや病の初期症状は子どもと大人で違いますか? 子どもと大人は同じ初期症状もありますが、発症しやすいもやもや病の種類が異なるため、症状に違いが見られる場合があります。 たとえば、子どもは虚血型のもやもや病を発症しやすいと言われており、虚血型の初期症状は手足のしびれや麻痺、言語障害などです。 大人は、出血型のもやもや病を発症しやすく、初期症状では頭痛やめまい、意識障害などを生じます。 ただし、子ども・大人どちらとも「虚血型」と「出血型」を発症する可能性はあるので、年齢に関わらず初期症状の知識を広く理解しておきましょう。 以下の記事では、もやもや病における大人と子どもの違いをまとめています。違いを見分ける上での注意点も解説しているので、詳細が気になる方はあわせてご覧ください。 【参考文献】 文献1:https://www.nanbyou.or.jp/entry/209
2023.06.22 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
もやもや病の手術後にどのくらいで仕事復帰ができるのか、そもそも仕事ができるのか気になっていませんか。 もやもや病のような脳の手術は、長く休まなければいけないのか、以前と同じように仕事ができるのかなど不安は尽きないかもしれません。 結論、もやもや病の手術後は、個人差はあるものの「2週間以上」は静養が必要です。麻痺や感覚障害などの後遺症がある場合は、リハビリを実施し、日常生活・仕事への復帰を目指します。 本記事では、もやもや病の手術後の仕事復帰について詳しく解説します。この記事を参考に、仕事復帰までの期間を把握して今後に備えましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療によるもやもや病をはじめとする脳卒中の後遺症改善・再発予防の治療を行っております。 「メール相談」または「オンラインカウンセリング」にて無料相談を受け付け中です。気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 もやもや病の手術後の仕事復帰までは2週間以上かかる可能性がある もやもや病の手術後は個人差があるものの、静養が必要なため、仕事復帰まで2週間以上かかる可能性があります。 もやもや病は、脳の主要な血管(内頸動脈終末部)が徐々に狭くなり、その部分を補うように煙のようなもやもやした細い血管が発達する病気です。 新しく形成された血管は弱いため、血管の壁が破れて脳出血や脳虚血に陥るリスクがあります。脳卒中に発展するリスクがあるため、十分な静養や入院期間が必要である旨を職場に伝えておくと安心でしょう。 しかし、重篤な症状を発症する前に、バイパス手術などの治療を行うことができれば、後遺症なく社会復帰できる可能性が高い疾患です。 ただし、退院後も定期的な診察と検査は欠かせないため、医師の指示に従い受診しましょう。 もやもや病の手術については、以下のコラムで詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。 仕事復帰に影響するもやもや病の後遺症5つ もやもや病の術後には、以下の後遺症があらわれる可能性があります。 麻痺 感覚障害 構音(こうおん)障害 嚥下(えんげ)障害 高次脳機能障害 これらの症状は、仕事復帰に影響する可能性があります。本章で後遺症を把握して今後に備えましょう。 麻痺 もやもや病で多いのが、片側の手足が麻痺して動かなくなる症状です。 麻痺の度合いは出血の大きさによって異なります。全く動かない場合もあれば、少しなら動かせる場合もあります。 リハビリで改善は認められるものの、何らかの障害が残り、肉体労働が困難になるリスクも考えられるでしょう。 感覚障害(触感が鈍くなる) 触った感覚が鈍くなる「感覚障害」も後遺症のひとつです。 物に触れたときに分かる温度や硬さ、痛みなどが感じにくくなる症状です。重度の場合は火傷やケガを負っても気づかないことがあるため、業務内容に制限がかかる場合があります。 また、鈍くなるだけではなく、反対に過敏になりすぎるケースもあります。 構音障害(話すのが困難) 口の中または周辺が麻痺して呂律(ろれつ)が回りにくくなる「構音(こうおん)障害」も後遺症としてあげられます。 構音障害になると、文字の読み書きは問題なく行えるものの言葉が不明瞭で鼻にかかったような話し方になる場合が多いです。話すのが困難になるため、対人業務が難しくなるケースがあります。 嚥下障害(飲み込みにくくなる) もやもや病の急性期では、食べ物や飲み物を飲み込みにくくなる「嚥下(えんげ)障害」が多く見られます。 出血の部位によっては完全な回復が難しいケースがあり、口から食事を摂取できなくなる場合も考えられるでしょう。 また、飲食物が気道に入ってしまい咳が出る「誤嚥性肺炎」が併発する懸念もあります。 そのため、安全に飲み込めるよう食べ物を人肌の温度まで冷ましたり、ペースト状にしたりするなどの工夫が必要です。 思考力低下・注意力散漫 「高次脳機能障害」は、脳で複雑な情報を処理する部位が損傷して記憶力や注意力に問題が起こる後遺症です。 感情のコントロールが難しくなったり、言葉が出にくくなったりすることで社会生活に支障をきたす場合もあります。 高次機能障害によりできないことをリハビリでカバーしたり、業務内容を調整する必要が出てくるでしょう。 もやもや病による高次機能障害について詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしてください。 もやもや病手術後に仕事復帰するときのポイント もやもや病の手術後に仕事復帰するときのポイントは、以下の2つです。 後遺症がつらい業務は避ける 症状について職場に理解をもらう 退院後に仕事をする際は、後遺症とうまく付き合う必要があります。本章を参考に術後も安心して仕事ができるような工夫をしましょう。 後遺症がつらい業務内容は避ける 後遺症によっては業務内容が限られます。後遺症で業務に支障が出る仕事は極力控えるようにしましょう。 つらい思いをして無理に業務を行った場合、体調を崩したり職場の人間関係が悪化したりするリスクが考えられます。 以下を例に、後遺症の種類に応じて業務内容を検討しましょう。 後遺症 避けるべき業務の例 運動麻痺 肉体労働 言語障害 電話応対 構音障害 接客業 自分の症状に合わせて職場と相談し、無理なくても働ける環境を整えましょう。 もやもや病の症状を職場に理解をもらう もやもや病の手術後、仕事の支障をきたす後遺症がある場合は、業務内容が制限されていることを職場へ相談することが大切です。 つらい症状を共有すると、業務内容や負担の調整をしてもらえる可能性があります。 ただし、職場の理解が得られなかったり、業務の継続が難しかったりする場合は、休職や転職も視野に入れましょう。 もやもや病手術後に気を付けるべき日常生活のポイント もやもや病の術後は以下の点に気を付けるべき日常生活のポイントは、以下の3つです。 1.リハビリは正しく行う 2.処方薬は適切に服用する 3.定期的に診察や検査を受ける 本章を参考に、日常生活の注意点を把握して再発防止や症状の改善を意識しましょう。 リハビリは正しく行う 医師から指示があった場合は、きちんとリハビリを行いましょう。 もやもや病の術後に後遺症が残っている場合は、医師の判断でリハビリを重点的に置いて治療が進められます。 後遺症の種類に応じて、運動療法や言語療法、作業療法などが選ばれます。 個人差はあるものの正しいリハビリを行うことで、後遺症の改善も期待できるでしょう。 処方薬は適切に服用する 脳の血流が不足している場合は、血をサラサラにする抗血小板薬を服用して血行が遮断されないようにします。 根本的な治療にはならないものの、脳卒中の防止になるため薬が処方された際はきちんと服用しましょう。 また、けいれんが見られる場合は抗けいれん薬が処方されることもあります。 定期的に診察や検査を受ける もやもや病の治療では手術の効果を見るために、脳血管の撮影が行われます。 検査の頻度には個人差がありますが、指示があれば必ず受けましょう。 もやもや病の検査ではMRIやCTで脳の画像を撮影されることが多く、自覚症状がなくても異変を確認できます。 術後に無症状で安定している状態でも、半年〜1年の頻度で検査することが大切です。 まとめ|もやもや病の手術後はしっかり休んで仕事復帰に備えましょう もやもや病は、症状や後遺症が個々に異なる希少な疾患です。 手術で後遺症なく社会復帰できる場合もあれば、何かしらの症状が残り介助が必要な場合もあります。回復を焦らずしっかり休むことが、社会復帰につながるでしょう。 本記事がご参考になれば幸いです。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療によるもやもや病をはじめとする脳卒中の後遺症改善・再発予防の治療を行っております。 「メール相談」または「オンラインカウンセリング」にて無料相談を受け付け中です。気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 もやもや病についてよくある質問 もやもや病の手術の術後、運動はできますか? 術後の状態が安定していれば、その後の運動制限は少ないでしょう。 ただし、退院後すぐの激しい運動は控えることをおすすめします。筋トレのような本格的に運動を行う際は、必ず事前に医師の許可を得てください。 もやもや病の入院期間はどのくらいですか? もやもや病の入院期間は、2〜3週間程度が目安です。 医師の判断により変動するため、術前に確認しておくと術後の生活が計画しやすいため安心でしょう。 また、退院後も定期的な受診や検査が必要な場合がほとんどです。医師の指示に従い忘れずに定期的な通院をしましょう。
2023.06.19 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
「もやもや病の手術は難易度が高いって本当?」「成功率はどのくらい?」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 もやもや病は頭の中で血管が詰まる病気で、手術が必要な場合もあります。 しかし脳の手術は難易度やリスクが高いと感じ、不安になるかもしれません。 結論からいえば、もやもや病の手術の難易度は高いといえます。血管をつなぐ繊細な作業が求められ、4~6時間に及ぶ手術になることもあるためです。 この記事では、もやもや病の手術方法の種類や難易度、成功率などを解説しています。もやもや病の手術について理解を深め、治療に前向きに臨むための参考資料になれば幸いです。 また、当院「リペアセルクリニック」では脳梗塞や脳出血の治療も行っております。 もやもや病に関して気になる症状がある方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 もやもや病の手術の難易度は高め もやもや病の手術は、脳の血流を改善するために行われるもので、難易度は高めといえます。 繊細な血管を扱う技術が求められ、一般的な手術と比べて以下のとおり難易度が高いのが特徴です。 本章では、手術の難易度が高いとされる理由や背景を詳しく解説いたします。 血管外科医の高度な技術が必要 もやもや病の手術には、血管外科医の高度な技術が欠かせません。 脳の血管は非常に細く、複雑に入り組んでいます。 もやもや病の手術では、顕微鏡を使用しながらミリ単位の血管を縫い合わせる繊細な作業が必要です。そのため、高度な技術と豊富な経験を持つ医師の執刀が求められます。 したがって、もやもや病の手術は難易度が高いといえるでしょう。 手術時間は数時間に及ぶ もやもや病の手術は、脳の血管を慎重につなぐ作業が続くため、通常4〜6時間ほどかかり、高い集中力が求められます。 とくに、血流を確保する繊細な工程では、一瞬の判断ミスが大きな影響を与えかねません。 そのため、熟練した技術と高い集中力が不可欠です。 難易度の高い手術ですが、具体的な時間など事前に理解を深めておくと不安を軽減できるでしょう。(文献1) もやもや病の手術方法は主に2種類ある もやもや病の手術には「直接バイパス手術」と「間接バイパス手術」の2種類があります。 どちらも脳の血流を改善する目的ですが、アプローチや効果に違いがあります。それぞれの特徴は以下のとおりです。 手術方法 特徴 主なメリット 直接バイパス手術 血管を直接接続する方法 即効性が高い 間接バイパス手術 血管の自然成長を促す方法 身体への負担が少ない それぞれの手術について詳しく解説します。 直接バイパス手術 直接バイパス手術は、頭皮や首の血管を脳の血管に接続する方法です。 この手術は即効性が高く、術後すぐに血流改善が期待できます。 一方で、手術には高度な技術が求められ、執刀医の経験が成功率に大きく影響します。 また、術後の合併症リスクを軽減するため、精密検査や丁寧な経過観察が欠かせません。 間接バイパス手術 間接バイパス手術は、頭皮や筋肉を脳表面に移植して血流改善を促す方法です。 新しい血管の成長を利用するため、身体への負担が少ないのが特徴です。 ただし、直接バイパス手術ほど即効性はなく、効果が現れるまでに時間を要する場合があります。 とくに子どもや血管が細い患者に適しており、長期的な観察と適切なリハビリが重要です。(文献2) また、もやもや病の詳しい症状や治療法については以下の記事でも詳細に解説しているので、参考にしていただけると幸いです。 もやもや病手術の成功率とリスク もやもや病の手術は成功率が高い一方で、いくつかのリスクも伴います。 適切な手術を受けることで8割以上の成功が見込めますが、合併症や少数の脳出血のリスクも考慮する必要があります。 ここでは、成功率と注意すべきリスクについて詳しく解説します。 適切な手術によって成功率は8割程度 もやもや病の手術は、適切に行われれば成功率は8割程度とされています。手術を行うことで、血流が改善し、症状の進行を抑えられる点が大きなメリットです。 しかし、成功率は手術を担当する医師の技術や施設の設備によって異なります。 経験豊富な医師の執刀によって、さらに高い成果が期待できるでしょう。 手術前には十分な説明を受け、不安を解消した上で治療に臨むことが重要です。 合併症のリスクがある もやもや病の手術には、術後の感染症や血管の閉塞など、合併症のリスクが伴います。 これらのリスクを減らすためには、術前の精密検査や術後の経過観察が欠かせません。また、体調を整えて手術に臨むことも大切です。 医師と密に連携し、不安や疑問をしっかり解消しておきましょう。 脳出血を起こす少数事例もあり もやもや病の手術では、少数ですが脳出血の事例も報告されています。血流の変化により脳の負担が一時的に増える可能性があるためです。 ただし、こうしたリスクは経験豊富な医師による適切な対応で抑えられます。また、術後は医師の指導に従い、慎重にリハビリを進めていきましょう。 もやもや病が招くリスクについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。 もやもや病の入院期間や予後・寿命について もやもや病の手術後の入院期間は2〜3週間で、リハビリを含めて社会復帰までには1〜2カ月ほどかかるのが一般的です。 ただし、入院期間や回復までの時間には個人差があります。 本章では、入院期間から社会復帰、寿命への影響について詳しく解説します。 入院期間は2〜3週間が一般的 もやもや病の手術後、入院期間は2〜3週間程度が目安です。 術後は脳の血流状態を慎重に観察し、退院後も合併症の兆候がないか定期的な検査を行うことで、寿命へのリスクを最小限に抑えられます。 術前に入院期間を確認し、術後の生活を計画しておきましょう。 社会復帰には1〜2カ月が目安 術後の経過や重症度によって差はありますが、もやもや病の手術後、社会復帰するまでには、通常1〜2カ月程度かかるとされています。 手術後はリハビリを経て、日常生活に戻ることを目指します。 デスクワークや軽作業は比較的早く再開できますが、体力が必要な作業はできるだけ避けたほうが良いでしょう。 医師やリハビリスタッフのアドバイスを受けながら、無理のない範囲で復帰を進めることが大切です。 術後の回復状況に応じて、焦らず段階的に日常生活を取り戻していきましょう。 完全回復には半年以上かかる場合も もやもや病からの完全回復には半年以上かかる場合があるため、その間のケアが重要です。(文献3) 手術で血流が改善されることで、もやもや病による寿命へのリスクは大幅に軽減されます。 ただし、重症の場合や術後の合併症がある場合は、引き続き注意が必要です。 健康寿命を延ばすためには、適切なリハビリと生活習慣の改善が欠かせません。 まとめ|もやもや病の手術は難易度とリスクも理解しておこう この記事では、もやもや病の手術に関する難易度や成功率、入院期間について解説しました。 もやもや病の手術は、脳の血管を扱う繊細な治療であり、難易度は高めといえます。手術を受けるかどうかは、担当医と十分に相談し、納得できる選択を心がけましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では脳卒中の再生医療も行っております。症状に不安がある方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 もやもや病の手術難易度に関するよくある質問 もやもや病は寿命に影響する? 適切な治療を受ければ、寿命への影響を最小限に抑えられます。ただし、放置すると脳卒中や血流障害が進行し、命の危険が高まる可能性があります。 手術によって血流が改善されれば、日常生活への支障が減り、健康寿命が延びるケースも多いでしょう。 また、術後も医師の指導に従い、定期的な検診を受ける必要があります。 以下の記事では、もやもや病の初期症状やリスクチェックについて紹介しているので、ぜひ参考にしてください。 もやもや病の手術は何回くらい必要ですか? もやもや病の手術は、基本的に1回で終えるケースが多いです。ただし、血流改善が不十分な場合や再発リスクが高い場合は、追加の手術が検討されることもあります。 1回目の手術で血流が安定すれば、再手術の必要性は低いといえるでしょう。 もやもや病の手術後に運動はできますか? 術後のリハビリを経て、軽い運動が可能になります。ウォーキングやストレッチなどの負担が少ない運動が推奨されます。 ただし、激しい運動は脳への負担が大きいため、術後しばらくは控えるべきといえる医師やリハビリスタッフの指導に従い、段階的に運動量を増やしていきましょう。 手術に失敗して後遺症が出るリスクはありますか? 手術が成功しても、少数ですが後遺症が出るリスクはあります。代表的な例として、軽度のしびれや血管の再閉塞などが挙げられます。 これらのリスクを最小限に抑えるため、経験豊富な医師の執刀と術後の経過観察が重要です。 不安な点は手術前に医師と相談し、納得した上で治療に臨むことが大切です。 もやもや病の後遺症については以下の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてください。 また、当院「リペアセルクリニック」では、脳疾患の後遺症治療として、再生医療を行っております。後遺症リスクが不安な方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 参考文献一覧 文献1 J-Stage_もやもや病(ウイリス動脈輪閉塞症)診断・治療ガイドライン(改訂版) 文献2 J-Stage_もやもや病に対する間接血行再建術後における皮質および脳溝内の FLAIR 高信号と術後一過性神経脱落症状との関連 文献3 難病情報センター_もやもや病(指定難病22)
2023.06.15 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
もやもや病と言われたら|原因・治療法について医師が解説 もやもや病とは、脳の太い血管が細くなり、その代わりにもやもやとした異常な血管が増える病気です。最近は、無症状でも脳ドックなどで診断される人もいます。 今回は、もやもや病の原因や治療法、そしてもやもや病だと言われた時に注意するポイントについて解説していきます。 もやもや病とは何か? もやもや病は、1950年代に日本で発見されました。昔の検査では、網の目のようになった異常な血管が「もやもや」とみえたことから、「もやもや病」と名付けられたといわれています。 現在、「もやもや病」という名前は世界中で通用する正式名称で、英語でも「Moyamoya disease(モヤモヤ・ディジーズ)」と言います。 もやもや病の原因 もやもや病とは、脳に血液を送る血管の一つである内頸動脈(ないけいどうみゃく)が徐々に狭くなり、詰まっていく病気のことです。*1 脳の太い血管が詰まってしまうので、その代わりに脳に血液を届けるために、異常な血管(側副血行路:そくふくけっこうろ)が網の目のように発達します。 なぜ血管が詰まってしまうのかについてはまだ分かっていませんが、ある特定の遺伝子と関係があるのではないかともいわれています。 また、日本に多くみられるという特徴があります。もやもや病は日本では国の指定難病になっており、申請を行うと医療費助成の対象となる場合があります。*5 *5 指定難病患者への医療費助成制度のご案内 – 難病情報センター https://www.nanbyou.or.jp/entry/5460#taisho 引用)*1 もやもや病…ここまできた診断・治療 p2 http://jcvrf.jp/general/pdf_arekore/arekore_117.pdf もやもや病の症状 もやもや病は、大きく分けると、脳血流不足で発症と、脳出血で発症の2つの場合があります。 最近では、ほぼ無症状で発見されるタイプも増えていますが、たとえ無症状であっても、脳梗塞や脳出血のリスクは年2〜3%あると考えられています。 発症原因 (1)脳血流不足で発症 (2)脳出血で発症 (1)脳血流不足で発症する場合 大きな脳の血管が詰まることで、血流不足が起こります。 すると、急に「手足が動かしにくい」、「顔面や手足がしびれる」といった症状が生じます。 (2)脳出血で発症する場合 不足した脳の血流を補うために発達したもやもや血管は、長年負担がかかることで破れてしまうことがあります。 激しい頭痛とともに、意識障害、手足の麻痺、言語障害などが起こることがあります。出血が多い場合には生命に関わることもあります。 その他の症状 その他、小児の場合には、朝方に吐き気を伴う強い頭痛が続くという場合もあります。 また、頻度は高くありませんが、けいれん(ひきつけ)の症状が出ることもあります。この場合は、脳波の検査では特徴的な波形が出ることが知られています。 もやもや病といわれたらどうすればいい? では、ここからはもやもや病の治療方法や、もやもや病についてのよくある質問について説明します。 もやもや病の治療方法 もやもや病の治療は、もやもや病による脳梗塞や脳出血を予防する方法となります。 もしも脳梗塞や脳出血を発症してしまった場合には、その治療を行っていきます。 脳血流量を増やすためのバイパス手術 脳の血流量を増やすために、新しい血液の流れを作るためのバイパス経路を作る手術療法があります。 血流が不足するタイプのもやもや病の患者さんが脳梗塞を起こすのを防ぐ効果が認められています。 抗血小板薬の内服 脳血流不足で発症した場合には、血液の中の血小板(けっしょうばん)という成分の機能を抑え、血液を固まりづらくする抗血小板薬が使用されることもあります。 一定の効果があると考えられていますが、こうした治療薬のみでの治療には限界があるようです。 もやもや病についてよくある質問 それでは、もやもや病といわれた場合に、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。 もやもや病に関してよくある質問に答える形で、解説していきます。 Q1 脳の血管の詰まりなどは進行しますか? A 脳の血管の詰まりについては、最初に診断されたときと同じ状態が何年間も変わらない人もいれば、だんだんと進行していく人もいるといわれています。 そのため、定期的なMRIなどによる検査が必要と考えられます。 Q2 もやもや病でも普通の生活はできるの?注意点はありますか? A 手術によって脳血流がよくなった場合には、生活上の大きな制限はないと考えられます。 一方、打撃系の格闘技(ボクシングなど)やラグビーは、脳への強い振動などが懸念されるのでおすすめできません。サッカーのヘディングについても、大丈夫かはまだわかっていません。 また、成人の場合には、タバコは好ましくありません。タバコに含まれるニコチンには、血管を収縮させる働きがあるので、もやもや病を抱えている場合にはタバコは禁物です。 また、お酒については、飲みすぎるとおしっこの回数が増え、脱水症状につながるおそれがあるので、たくさん飲むことは避けましょう。 Q3 もやもや病と診断されたら、必ず手術が必要ですか? A 基本的には、症状が頻繁にはないときには手術の必要はありません。 しかし、成人の場合で、症状がある、脳血流検査で脳の血流が著しく低下している、あるいは過去に脳出血を起こしたことがある場合には、一般的には手術が勧められます。 小児の場合には、将来症状がでることを予防するために、手術となることが多いです。 最終的には、検査結果や患者さんの年齢や状況を総合的にみて、手術適応が決まります。 まとめ・もやもや病と言われたら|原因・治療法について医師が解説 もやもや病は、脳の太い血管が詰まってしまうことで起こる病気です。根本的な治療法は、手術で脳の血流を改善することですが、それぞれの症状や年齢によって対応方法は決まっていきます。 今回の記事が参考になれば幸いです。
2023.06.05 -
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「シャンプーの時、頭に何か当たって痛い」 「頭のコブ、押すと痛いけど病院に行った方がいいのかな…」 頭にできたできもの(こぶ)に、上記のような不安を感じていませんか? 押すと痛い頭のできものは、ニキビのようなものから注意が必要な病気まで様々な原因が考えられ、もしかしたらそれは重大な病気のサインかもしれません。 本記事では「押すと痛い頭のできもの」について解説し、痛みが生じる頭のできもの(こぶ)で考えられる疾患から、受診の目安や受診先の提案まで詳細に紹介します。 そして、もし現時点で不安を感じる方は、どんなお悩みでも当院までお気軽にお電話ください。 >>今すぐ電話してみる 「たかがコブ」と油断せず、重要なサインを見逃さず、対策のアプローチをしていきましょう。 また、現在当クリニックの公式LINEでは症状に関する無料診断で、再生医療に関する限定特典をプレゼントしておりますので、ぜひご活用ください。 押すと痛い頭のできもの(こぶ)は何?考えられる疾患を紹介 シャンプーで頭皮に触れたときや髪をかきあげたときなど、ふとしたタイミングで頭に「こぶ」ができていることに気づいた経験はありますか? 放置により自然治癒した場合は問題ありませんが、押したり触れたりすることで痛みが生じる場合は不安ですよね。 そこでこの項目では、押すと痛い頭のできものの原因やこぶの種類について紹介します。 頭にできる「こぶ」の種類 まずは頭にできるこぶの種類を把握しておきましょう。 頭のこぶは大きく、皮下血腫・感染症・皮膚炎・腫瘍に分類されます。各こぶの症状や特徴を順番に見ていきましょう。 皮下血腫(たんこぶ) 皮下血腫はいわゆる「たんこぶ」のことです。頭をぶつけた際に、皮膚の近くの血管が切れてしまい、血溜まりを作ってしまった状態です。 皮下血腫自体は特に治療をせずに治ることが多いですが、頭を打撲して嘔吐したり、意識が低下したり、打撲した前後のことを覚えていなかったりする場合にはすぐに受診をするようにしましょう。 感染(ニキビ) ニキビは皮脂が毛穴を閉塞し、アクネ菌が増殖することで炎症を起こします。ニキビといえば顔のイメージがありますが、頭皮にも起こることはあります。 肌荒れを含むニキビの発生要因は免疫力が関わっているケースがあることから、何度も繰り返し継続的にニキビができてしまう状態はあまりよろしくありません。 また、毛包炎・毛嚢炎は毛穴に黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などの皮膚常在菌が感染することで炎症を起こす疾患です。どちらも菌により炎症が起こるので、押すと痛い、赤く腫れることがあるのが特徴です。 ▼免疫については下記をご確認ください 皮膚炎 頭皮がシャンプーや整髪料、髪染めなどに反応してしまい、炎症を起こす接触性皮膚炎もこぶ・できものの原因になります。ただれ、水ぶくれが多く、大きなしこりはあまり起こりません。原因となるものを使用しないことが重要です。 腫瘍 腫瘍には良性のものと悪性のものがあります。医療機関でのご相談をお勧めします。 良性の腫瘍(粉瘤・脂肪腫) 良性の腫瘍には「粉瘤(ふんりゅう)」があります。粉瘤は、毛穴の一部に皮脂などが溜まって、袋状となった良性の腫瘍です。柔らかいしこりとして触れ、痛みはあまりありません。 内部で細菌が増殖して炎症を起こしてしまうと、痛くなったり膿が出たりすることがあります。脂肪腫も良性の腫瘍です。同じく、柔らかいしこりとして触れます。 悪性の腫瘍 頭皮にできる悪性腫瘍には、「有棘細胞癌」や「悪性黒色腫」があります。触るとごつごつしたり、硬いという特徴があります。また、潰瘍となって液体が出てきたり、血がでたりすることもあります。 一般に良性のものでは大きさは変わらずに経過することが多いです。しかし、小さな「イボ」として感じていたものがどんどん大きくなっている、血が出ているなどは悪性を疑う情報となります。 「こぶ」と脳卒中の関係は? 頭は外面から、皮膚・骨膜・頭蓋骨・硬膜・くも膜・軟膜・脳とたくさんの層構造になっています。 頭蓋骨という非常に硬いもので分け隔てられているので、皮膚のできものと脳卒中に直接的な関係はありません。イボやこぶとして触れる病気は、主に頭の皮膚に起こることが多いです。 逆に脳卒中になっても、頭皮にこぶができることもありません。くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤も、皮膚の上から触れるものはありません。脳卒中が考えられる症状は、突然起こることが特徴です。 脳の発症部位によりその症状は様々ですが、代表的な脳卒中の症状は、以下のようなものです。 脳卒中の後遺症に対しては、再生医療による機能回復を目指す治療法も研究されています。 上記に当てはまる方や脳卒中について不安な方は、LINEで限定配信中の脳卒中に対する症例についてご確認ください。 ▼再生医療の情報を無料で配信中! >>公式LINEはこちら 【注意!】頭の「こぶ」で受診したほうが良いケース こぶや、しこりが赤く腫れて痛い場合、膿が出てくる場合は感染症の可能性があります。切開や抗菌薬を投与したほうが速やかに治る可能性があるため、数日待っても良くならない場合は受診をおすすめします。 こぶやしこりが大きくなっていたり、数が増えたりする場合は悪性腫瘍を考えなければなりません。早めの受診をしましょう。 また、頭をぶつけた際にできたこぶが、どんどん大きくなっている、意識の状態が悪くなっている、話しづらさや手足の動きづらさが出てきたりするなどの場合は、早急に受診をするようにしましょう。 頭の「こぶ」についてよくある質問 頭にできるコブについて患者様から、よく頂く質問から抜粋して記載します。 小さな時からある頭の「こぶ」は、どうしたらよいですか? 幼少期から長期間ある場合は、重篤な病気である可能性はそこまで高くはないでしょう。見た目として気になる場合、赤みや痛みなど新しい症状がでた場合、大きくなる場合は受診するようにしましょう。 頭の「こぶ」は何科を受診したら良いですか? 皮膚科は形成外科を受診するのが良いでしょう。 頭のこぶやしこりが気になるのなら、皮膚科もしくは形成外科を受診しましょう。頭をひどくぶつけて、皮下血腫(たんこぶ)ができた際には、脳外科を受診するのが良いでしょう。 受診する際は、いつ頃からできているか、できものに心当たりはあるか、痛みはどうか、他に症状がないかを言えるようにすると、正確な診断に繋がりやすいです。 頭の「こぶ」に痒みがある場合どうしたら良いですか? まずは頭を清潔にしましょう。シャンプーや整髪料を変えたなどがあれば、一時的に使わずに様子を見るのがおすすめです。 かゆみがひどくて掻きむしってしまう場合は、皮膚科などを受診するとよいでしょう。 まとめ|頭のできもの(こぶ)に少しでも異常を感じたら早急に受診をしよう! 頭の「こぶ」は自分では見えない部分なのでより不安にも感じやすいと思います。 「こぶ」の原因は、皮下血腫、感染症、皮膚炎、腫瘍などさまざまな原因が考えられます。一般的には良性のものが多いのですが、痛みや腫れがひどい場合や、悪性腫瘍が疑われる場合は、早めの受診をお考え下さい。 尚、頭皮の「こぶ」と脳卒中との関係はありませんし、頭のこぶが脳卒中の前兆というわけでもありません。脳卒中の症状は突然起こることが特徴的であり、言葉が出づらい、手足の動きが鈍くなるなどの症状があります。 頭に「こぶ」ができた際は、症状や変化に注意し、必要に応じて早めに医師の診断を受けることが重要です。 特に痛みや膿がある場合、大きくなっている場合、数が増えている場合は、感染症や悪性腫瘍の可能性があるので、お近くの皮膚科や形成外科、脳外科など、早急に受診をしたほうが良いでしょう。 また、もしも緊急性が高いと判断される状態で近くにすぐ相談できる先がない場合は、当クリニックでもご相談を承っています。 ▼メール相談も受け付けております >>公式LINEで確認する
2023.04.17 -
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頭痛はありふれた症状であるものの、同時に吐き気を伴って悩んでいる方もいるのではないでしょうか。 頭痛といってもさまざまなタイプがあり、とくに同時に吐き気の症状が現れるケースには注意が必要です。 この記事では、吐き気を伴う頭痛にはどのような疾患があるのか、どのように対処すべきかをご紹介します。危険な頭痛とそうでない頭痛を知ることで、今の状態にあわせた対策がとれるようになるでしょう。 頭痛と吐き気があるときに注意すべき症状【該当する場合はすぐに受診を】 頭痛にはいくつかの種類があり、大きく「一次性頭痛」と「二次性頭痛」の2つに分類できます。一次性頭頭痛は、原因となる疾患が特定できない種類の頭痛です。 一方で、二次性頭痛は原因の疾患が特定できる頭痛のことです。 頭痛に加えて吐き気がある場合、二次性頭痛の可能性があり、そのほかにも以下のような特徴があります。 このような症状や状態に心当たりがある場合、脳卒中の発症リスクもあるため、医療機関への受診をおすすめします。 頭痛には「吐き気を伴う怖い頭痛」と「怖くない頭痛」がある 頭痛には、吐き気を伴う怖いものと怖くないものがあります。一次性と二次性に当てはまる頭痛の詳細について、以下の表にまとめました。 このように、一次性頭痛は厄介な種類が多いものの、二次性頭痛と比べると命に関わることは少ないといえます。とくに多くの方が経験する頭痛は一次性の緊張型頭痛であり、この場合はそこまで心配する必要はありません。 吐き気を伴う怖い頭痛の種類 吐き気を伴う怖い頭痛としては、おもに以下の3つがあげられます。 脳卒中 髄膜炎 片頭痛 ここでは、それぞれの詳細について解説します。 脳卒中 脳卒中とは、脳の血管が破れたり詰まったりすることで起こる疾患の総称です。具体的には、以下の3つに分類されています。 脳梗塞 脳出血 くも膜下出血 脳卒中による頭痛は吐き気を伴うことが多く、脳出血や脳梗塞の場合は、そのほかにも以下のような症状を合併するケースもあります。 意識障害 ろれつの悪さ 視野の狭窄 ふらつき めまい くも膜下出血の場合は突然発症し、今までに経験したことがない強い頭痛が現れるのが特徴です。このような症状がある場合は、すぐに病院を受診しましょう。 脳卒中の前兆について知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。興味がある方はぜひこちらもご覧ください。 髄膜炎 髄膜炎は、脳や神経を包む「髄膜」という膜に炎症が起きたものです。おもな原因は細菌やウイルスなどですが、がんや薬剤によって発症するケースもあります。 以下のような症状のほか、「髄膜刺激症状」という首を前に曲げると現れる痛みが特徴的です。 頭痛 嘔吐 発熱 下痢 このような症状から、風邪と間違われることも珍しくありません。髄膜炎は子どもでも起こることがあり、頭痛や嘔吐がみられる場合はすぐに医療機関を受診して検査を受けてください。 片頭痛 吐き気を伴う一次性頭痛として割合が多いのが、片頭痛です。片頭痛は20〜40代の女性に多く発症し、こめかみから側頭部にかけてズキズキと脈打つような頭痛が生じます。 また、頭痛が起きる前には閃輝暗点(せんきあんてん)という、視野にギザギザした光がちらつく前兆が現れる場合もあります。 片頭痛を発症した際は光や音、においなどが過敏になる場合があるため、暗く静かな場所で安静にすると良いでしょう。血管が広がって血行がよくなると症状が悪化する恐れがあるので、以下のような行動はなるべく避けてください。 長風呂をする マッサージを受ける お酒を飲む 片頭痛がひどい場合は、医療機関を受診して症状をやわらげるための薬を処方してもらいましょう。 怖くはないが厄介な頭痛の種類 命に関わるような症状は現れないものの、厄介な頭痛はいくつかあります。ここでは、そのような頭痛についてご紹介します。 緊張型頭痛 緊張型頭痛とは、身体・精神的なストレスによって起こる頭痛のことです。多くの方が経験する頭痛は、基本的にこの種類とされています。 筋肉の凝りや精神的な問題が関係しているとされていますが、明確な原因はわかっていません。頭が締め付けられるような痛みを伴うものの、問題なく仕事や家事を行えるケースが多い傾向にあります。 しかし、症状が慢性化すると日常生活に悪影響が現れる場合があります。 群発頭痛 群発頭痛とは、目の奥や頭の側方に強い頭痛が起こる種類のものです。頭痛が続く時間は約15〜180分とムラがあり、頻度も2日に1回、多い場合は1日に何度も発症することがあります。 一度発症すると、毎日頭痛による発作が繰り返し起こるのも特徴です。激しい痛みのほかにも、充血や眼瞼下垂(まぶたが下がること)などの症状が現れることがあります。 頭痛の予防法・対処法 ここでは、頭痛の予防法や起きた際の対処法について解説します。頭痛による症状の原因や治し方などについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。興味がある方は、ぜひこちらもご覧ください。 医療機関を受診する 頭痛に悩んでいる場合は、まずは医療機関への受診がおすすめです。無視できないような頭痛を放置すると、命に関わる恐れもあります。 なかには頭痛ではなく、別の病気の可能性も考えられます。頭痛は脳卒中や髄膜炎など、脳に関係する病気の症状として現れるケースもあるので、心配な方は脳ドックを受けるのも良いでしょう。 頭痛のパターンを記録する 頭痛のパターンを記録しておくことで、発症のタイミングを把握して対処しやすくなります。頭痛は種類によっては、一定のパターンで起こるものもあります。 たとえば、片頭痛や緊張型頭痛にはパターンがあり、どのタイミングで起こるのかある程度の予測が可能です。頭痛が起きたタイミングを記録しておくことで、いつ薬を服用すべきかがわかるでしょう。 まとめ|吐き気を伴う頭痛は早めの受診を! 頭痛は誰もが経験したことがある一般的な症状で、おもに一次性と二次性の2種類に分かれています。 一次性頭痛は命に関わることは少ないですが、二次性頭痛は種類によっては深刻な状況に陥る可能性があります。とくに吐き気を伴う頭痛は、脳卒中や髄膜炎などの深刻な病気のサインのケースもあるでしょう。 頭痛時に吐き気の症状がある場合は、早めに医師の診察を受けることが重要です。いつもと違う頭痛の症状だと思ったら、医療機関を受診してください。 吐き気を伴う頭痛に関するよくある質問 ここでは、吐き気を伴う頭痛に関するよくある質問についてお答えします。頭痛に関して気になることがあれば、ぜひこちらも参考にしてみてください。 Q. 片頭痛持ちですが、食事で気を付けることはありますか? A. 以下のような食べ物は、片頭痛を誘発する可能性がある「アミン類」を含んでいるため、できるだけ控えたほうが良いとされています。 赤ワイン チョコレート チーズ ピーナッツ 豚肉 また緑茶やコーヒーなどに含まれているカフェインも、摂取しすぎると頭痛を悪化させる原因となるのでこちらも控えましょう。 Q. デスクワークだと頭痛が起こりやすいですか? A. ストレスや長時間のデスクワークは、「緊張型頭痛」を発症する原因とされています。同じ姿勢が長時間続くと、頭や首の筋肉の緊張が高まりやすくなり、頭が締め付けられるような痛みにつながります。 同じ姿勢を避けるために、30分に1回程度は休憩をとるようにしましょう。また、肩や首などをストレッチして、凝り固まった筋肉をほぐすのもおすすめです。
2023.04.10