-
- 脳梗塞
- 脳卒中
- 頭部
ある日突然起こる脳卒中にご注意!その症状と原因、予防法 脳卒中は、脳血管障害とも呼ばれる脳の重い病気です。 ケースによっては、からだを動かすのが不自由になる、言葉が出づらくなる、など後遺症が残ることも少なくありません。身近で脳卒中について話題になったこともあるでしょう。 この記事では、脳疾患である「脳卒中」にスポットを当てながら、病気の症状や原因、予防するための方法についてわかりやすく解説します。 脳卒中は、脳の血管障害によって発症する病気全般を指します! 脳卒中とは、脳の血管が詰まる、あるいは血管が裂けることで起きる脳の病気全般を指す言葉です。 例えば、腹痛と一口にいっても、下痢や便秘もあれば盲腸炎や大腸がんなど、原因となる病気はいくつも考えられるでしょう。 脳卒中には、大きく分けて次の 3 種類があります。 脳梗塞 脳出血 くも膜下出血 それぞれわかりやすく説明していきます。 脳梗塞 脳の血管が詰まる脳卒中の一種です。血管が詰まった先は血液の流れが悪くなるので、脳細胞が壊死していきます。 脳出血 脳の血管が、高血圧などにより内側から強い圧力がかかり、破けてしまう脳卒のことです。出血した血液が塊になって、脳が働かなくなります。 また、脳を圧迫するため、他の脳の部分にもダメージを与えます。 くも膜下出血 脳の太い血管にできた、動脈瘤というこぶが破れて起こる脳卒中のひとつです。 脳梗塞や脳出血は脳の中で起こりますが、出血した血液が脳の表面を覆って発症することがポイントです。 ここまでの説明を表にすると、以下のようなイメージです。 病名 病気の種類 病気が起きる原因 脳卒中 脳梗塞 脳の血管が詰まって血液が行き渡らなくなる 脳出血 脳の血管が切れて出血して、脳の細胞が壊死する くも膜下出血 脳の血管にできた「動脈瘤」(こぶ)が破けて、脳の表面を覆うように出血が広がる もうお分かりですね! この表からもわかるように脳梗塞とは、あくまで脳卒中といわれる病名の中にあって、その種類のひとつなのです。このあたりは、知っている人に取っては当たり前ですが、知らない人にとってはごっちゃになっている部分だと思います。 最近は、脳卒中より脳梗塞という病名が知られるようになったため、別々の病気と思っている人も少なくありませんが、実は同じ病気だということです。 脳梗塞は脳の血管が詰まる・狭くなることで起きる ここまで説明してきたように、脳卒中と脳梗塞は異なるものではなく、脳卒中という大きな病気のひとつの種類に脳梗塞がある、とわかりました。 そして、 脳梗塞は、脳の血管が詰まって血液の流れが悪くなり、脳の神経細胞が死んでいくことによって発症します。 脳の血管が詰まる原因は、血栓と呼ばれる血の塊です。 年齢とともに血管の動脈硬化によってできる血栓や、心臓にできる血栓が脳に移動して、脳の血管を詰まらせます。血管が詰まると脳に血液が行き渡らなくなって、酸素や栄養が届かなくなり、脳が壊死してしまうのです。 脳梗塞の状態が重いほど、後遺症が強く残りやすくなります。 このように、脳梗塞や脳出血といった脳卒中は、寝たきりや認知症、高次機能障害といった後遺症を引き起こす重大な病気なのです。 脳卒中は年齢に関係なく突然起きる病気 代表的な脳卒中によくある症状は次の 5 つです。 症状 半身がしびれたり、麻痺が続く ふらふらしたり、歩く・立つができなくなる ろれつが回らず、言葉が出ない 視野の半分が暗くなる、二重に見える 激しい頭痛が突然起きる 脳梗塞をはじめ脳卒中は、ある日突然起きる病気です。脳の血管が詰まる、裂けるといった脳卒中の原因が突然起きると、一気に重い症状が現れることがポイントです。 脳卒中かもしれないと思ったら 「半身がしびれたり、麻痺がつづいている」「ろれつが回らなくなった」こうした脳卒中の症状に気づいたら、すぐに医師に診てもらいましょう。 脳梗塞や脳出血は似たような症状が起きることが多いため、日頃から脳卒中の代表的な症状を覚えておくことが大切です。 気になる症状があったときは、できるだけまずはかかりつけ医に電話で相談する、少しでも症状に不安を感じたら迷わず救急車を呼んでください。 脳卒中のリスクと予防 脳卒中は死に至ることもある重い病気で、後遺症が残ることも多いため、日常的に予防に努めることが大切です。 脳卒中の 5 大リスクとして知られているものは、次の 5 つです。 高血圧 糖尿病 脂質異常症 不整脈 喫煙 ここで挙げたリスクは、生活習慣病といわれていて、以下のような食事や運動、睡眠などの生活習慣の改善で予防できるものです。 食生活に気を配ることで予防が可能 塩分制限をする バランスの良い食事を心がける 適度に運動する 十分に睡眠をとる お酒や喫煙を控える 脳卒中は、起こってしまってからでは取り返しがつきません。 予防のためにも、まずは生活習慣を見直すことからスタートすることが何より大切です。 また、病院で血圧や血液検査などの異常を指摘された方も、薬による治療を続けると脳梗塞をはじめ脳卒中のリスクをコントロールすることができます。あわせて、定期的な健康診断や通院で、病気を管理することも忘れずに行いましょう。 まとめ・ある日突然起こる脳卒中にご注意!その症状と原因、予防法 脳卒中と脳梗塞の違いについて解説してきましたが、次のポイントを改めてチェックしておきましょう。 脳卒中は脳の血管障害による病気全般を指す言葉 脳卒中と脳梗塞は別々の病気ではなく、実は同じもの 脳卒中の種類のうち、脳の血管が詰まるのが「脳梗塞」 脳卒中は生活習慣病が大きな原因 脳卒中の症状や、脳梗塞の特徴を覚えておいて、ぜひ病気の予防に努めましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 ▼こちらも参考にしませんか 脳卒中の種類と原因|発症を予防するため、注意すべき生活目標と修正方法とは
2022.12.26 -
- 脳卒中
- 脳出血
- 頭部
「脳出血ってどれくらい入院するの?」「入院の費用はどれくらいかかるの?」 そんな疑問をお持ちではないでしょうか? 脳出血の入院期間は重症度や年齢によって大きく変わりますが、平均日数や費用の目安を知ることは大切です。 この記事では、脳出血の入院期間や費用、治療法について医師がわかりやすく解説します。ぜひ参考にして、今後の治療に役立てていただければ幸いです。 また、当院「リペアセルクリニック」では脳卒中の再生医療も行っております。 症状に不安がある方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 脳出血の入院期間は?年齢を考慮した平均値を公開 脳出血の入院期間は重症度や年齢によって大きく異なりますが、厚生労働省のデータによると平均で77. 4日間です。 ただし退院後もリハビリで通院しなければならない可能性があります。 本章を参考に、脳梗塞の入院期間やリハビリ期間がどのくらいになるのか知っておきましょう。 脳出血の平均入院期間は77.4日 脳出血の入院期間は、厚生労働省のデータによれば平均77.4日とされています。 年齢別平均在院日数を以下の表にまとめました。(文献1)(文献2) 年齢層 平均入院期間(脳血管疾患) 0~14歳 31.3日 15~34歳 61.7日 35~64歳 51.8日 65歳以上 83.6日 70歳以上 86.9日 75歳以上 93.2日 高齢になるほど入院期間が長くなり、75歳以上では約93.2日に及ぶケースもあります。 上記のデータは全国の退院患者を対象としたもので、多くの方の治療過程を反映しています。 ただし、個人の状況によって日数は変動するため、軽症であれば数週間での退院も可能といえるでしょう。 重症度によって入院期間は変わる 脳出血の入院期間は、重症度によって大きく変わります。 軽症であれば1~2週間で退院可能な場合もありますが、重症では2~3か月以上の入院が必要です。 たとえば、広範囲の出血や血腫除去が必要な場合、術後の経過観察や集中治療が必要となります。 また、治療方法によっても大きく異なるため、医師との相談が重要と言えるでしょう。 リハビリ期間も考慮する必要あり 退院後のリハビリも、脳出血の治療には欠かせない大切な期間です。 リハビリには数週間から半年以上かかる場合もあり、日常生活を改善するために計画的な取り組みが必要です。 リハビリでは理学療法や作業療法を通じて、普段の生活に戻ることを目指します。 脳出血の治療期間は、入院だけでなくリハビリ期間も想定しておきましょう。 脳出血の入院費用は「日数や入院先の施設による」 脳出血で入院した場合、入院期間だけでなく費用も気になるポイントです。 入院費用は、入院日数や入院する医療機関によって異なりますが、全国平均では70万円前後です。 しかし、高額療養費制度によって費用が軽減される可能性もあります。 ここでは、脳出血の入院費用について詳しく紹介いたしますので、ぜひ参考にしてください。 入院費用の目安は平均70万円前後 脳出血による入院費用の平均は、3割負担の場合でおよそ70万円です。 ただし入院期間が長引いたり、手術や特別な治療が必要になったりした場合は、費用はさらに高額になるでしょう。 たとえば、血腫除去術にかかる一般的な手術費用は、診療報酬点数で47,020点と設定されています。1点=10円で計算すると、3割負担では約14万円となります。 また、入院する病院によっても費用は異なるため、事前に確認しておきましょう。 高額療養費制度で軽減される可能性も 高額療養費制度とは、一定額を超える医療費を補助する制度を指します。所得に応じて自己負担額が異なり、低所得者層の場合はさらに負担が軽減される仕組みです。 この制度を活用することで、入院費用の負担を大幅に軽減できる可能性があります。申請方法や条件については事前に確認しておくと安心です。(文献3) 脳出血の検査方法 脳出血の診断には、「CTスキャン・MRI・血液検査」の3つが主に使われます。それぞれの目的や特徴を以下に簡潔にまとめました。 検査方法 目的 特徴 CTスキャン 出血部位や範囲の確認 短時間で結果が得られる迅速な検査 MRI 微細な損傷や慢性的な異常の確認 詳細な画像が取得可能だが時間がかかる 血液検査 全身状態の確認(凝固異常や感染症など) 手術や治療の準備に重要な情報を提供 CTスキャンは、出血部位や範囲を短時間で把握でき、急性期の診断で多く利用される検査です。 MRIはCTではわかりにくい微細な損傷や慢性疾患の特定に有効ですが、検査時間が長いため急ぎの診断には向きません。 一方、血液検査は凝固異常や感染症の確認を通じて、手術や治療の準備に役立ちます。 これらの検査を組み合わせることで、正確で迅速な診断が可能になります。 また、脳出血の前兆や初期症状をセルフチェックする方法を以下の記事でまとめています。気になる方はぜひ参考にしてみてください。 脳出血における治療法 症状や重症度によって異なりますが、脳出血の治療法は主に以下3つが挙げられます。 内科的治療法 外科的治療法 リハビリ それぞれの特徴や目的を詳しく解説しますので、事前に確認しておきましょう。 内科的治療法 内科的治療は、薬を使用して脳出血の悪化を防ぐ方法です。軽症の場合や手術が不要なケースに適用されます。 内科的治療に使用される主な薬剤と特徴は次のとおりです。 薬剤の種類 特徴 降圧剤 血圧を下げて出血の再発を防ぐ 血液凝固調整薬 血液の凝固を調整し新たな出血を防止 血管保護薬 血管の修復や保護を促進 これらの薬を適切に使用することで、脳出血の進行を抑えるだけでなく身体への負担を軽減できます。医師の指導に従いながら治療を進めていきましょう。 外科的治療法 外科的治療では、出血した血腫を取り除き脳への圧力を軽減します。 主な手術方法には「開頭血腫除去術」や「内視鏡的血腫除去術」があり、広範囲の出血や命に関わる重症例で行われることが多いです。 また、手術後のリスク管理や経過観察が重要で、術後の回復には専門医の指導が欠かせません。 リハビリ リハビリは、日常生活に戻るために重要なステップですが、個人差が大きいため「個別の計画が必要」です。 理学療法では筋力や運動能力の回復を目指し、作業療法では日常動作の練習を行います。 リハビリ期間は症状の状態により異なり、数週間から半年以上かかる場合があります。計画的にリハビリを進めることで、社会復帰や通常の日常生活に戻れる期待も高まるでしょう。 脳出血のリハビリ方法について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。 まとめ|脳出血の入院期間や治療費は事前に把握しておこう 重症度や年齢によって異なりますが、脳出血の入院期間は平均77.4日です。 ただし、退院後も社会復帰を目的としたリハビリ期間が発生するケースがほとんどです。 入院費用は70万円前後が目安ですが、高額療養費制度を活用することで負担を軽減できる可能性があるため、事前に確認しておきましょう。 脳出血は治療期間が長引きやすい疾患ですが、医師の指示に従い、焦らず適切な治療やリハビリを行いながら、日常生活を取り戻すことが大切です。 また、当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による脳出血の後遺症治療も行っております。気になる方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 脳出血の入院期間に関するよくある質問 軽度の脳出血の入院期間はどれくらいですか? 軽度の脳出血では、入院期間は1〜2週間程度が一般的です。軽症の場合は、薬による内科的治療が中心となり、手術を行わないケースも多くあります。 ただし、患者の年齢や持病の有無により異なるため、医師の診断に基づいた治療計画が重要です。 手術なしで入院しない脳出血の治療法もありますか? 軽度の脳出血では、入院せずに治療を行うケースもあります。 たとえば、降圧剤を使った血圧の管理や、血液凝固を調整する薬を服用する方法です。しかし、症状が悪化するリスクがあるため、定期的な通院や検査を受ける必要があります。 医師の指導を受けながら適切に治療を進めることが大切です。 また、当院「リペアセルクリニック」では脳卒中の後遺症に効果が期待できる再生医療も行っております。気になる方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 参考文献一覧 文献1 厚生労働省_- 12 - 3 退院患者の平均在院日数等 文献2 厚生労働省_令和2年(2020)患者調査の概況 文献3 厚生労働省_高額療養費制度を利用される皆さまへ
2022.12.23 -
- 脳卒中
- 脳出血
- 頭部
これまでに感じたことのない激しい頭痛や吐き気、嘔吐がある場合は、脳出血を起こしている可能性があります。ただし脳出血には、前兆が基本的にはありません。 一度障害を受けた神経細胞は元に戻ることはないため、脳出血を起こすと、麻痺や感覚障害などの後遺症が残ってしまう可能性があります。 本記事では、脳出血の初期症状をチェックシート(チェックリスト)を公開しています。いつもと違う激しい頭痛や吐き気、嘔吐などに悩まされている方は、本記事のチェックリストを活用し、一つでもあてはまる場合はすぐにでも専門の医療機関を受診しましょう。 脳出血の前兆を今すぐチェック【チェックシート付き】 脳出血は突然発症します。以下は「脳出血の前兆を症状で判別いただくためのチェックリスト」です。ひとつであっても当てはまるものがあれば要注意です。 脳出血の前兆に一つでも当てはまれば早期の受診を! とくに、今まで感じたことのないような激しい頭痛が生じたときは、脳出血が発症した可能性がかなり高いです。頭痛は、血管が破れた際に起こります。 さらに、激しい頭痛だけでなく「激しい吐き気」や「嘔吐」が伴う場合は、脳出血の可能性が高まります。 意識障害や昏睡状態になっている場合は、すでに重篤な状態であり命に危険が及んでるかもしれません。 すみやかに治療を受けることで、その他の症状を発症せずに済む可能性があります。救急車を呼ぶなどして、いち早く専門の医療機関を受診しましょう。 \まずは当院にお問い合わせください/ 脳出血に前兆はない? 脳出血は突然血管が破れて発症するため、前兆は基本的にありません。 ただし、脳出血は朝10時ごろに起こりやすくなっています。これは、血圧が一番高くなる活動的な時間帯であるためです。 そもそも脳出血とは? 脳出血は脳卒中の1つで、脳を走る血管が破れることにより脳の中で出血が起こる病気です。 高齢であったり、高血圧や動脈硬化が強かったりすると血管が弱くなるため、脳出血を引き起こしやすくなる傾向です。 また出血が広がると、血液で脳が圧迫されたり血液が神経細胞に行き渡らず細胞が死んでしまったりします。 一度障害を受けた神経細胞は元に戻ることはないため、麻痺や感覚障害などの後遺症を残します。脳出血の約70%が後遺症を残すと言われており、生活に支障をきたさない程度の後遺症から、 四肢麻痺などの日常生活が以前のように送れなくなるほどの後遺症までさまざまです。 リハビリである程度までの回復が期待できますが、完全に元に戻すことは難しく、何よりかなりの時間を要します。 脳出血で強い後遺症を残さないためにも、発症早期に気づき、周囲の神経細胞に障害が起こる前に治療を受けることが重要です。 脳出血の好発部位と症状の特徴 脳出血は、出血する部位によって頻度や症状が異なります。 脳出血が起こりやすいとされる好発部位は大きく分けて5つあります。それぞれの特徴は、以下のとおりです。 ①被殻(ひかく)出血 脳出血のなかで一番頻度が高いのが被殻出血です。まず頭痛や嘔吐から始まり、片側の手足の麻痺や感覚の異常、うまく言葉が話せない構音障害などの症状があります。 また、どちらか一方に目が寄る共同偏視が生じることもあります。 ②視床出血 視床出血は、被殻出血の次に多く見られる脳出血です。視床は感覚を伝達する神経が多く走っている部位のため、視床出血では感覚障害や視床痛という半身のみの痛みが生じます。 また、視床出血は脳脊髄液が循環している脳室と近い位置にあるため、出血が脳室まで及ぶと水頭症になり意識障害を起こします。 視床出血が起きると、左右の目が内下方を向くようになることが特徴です。水頭症については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。 ③小脳出血 小脳は平衡感覚をつかさどる部位です。そのため、この小脳に出血が起こると頭痛と嘔吐、めまい、歩行障害が起こります。 小脳出血が広がり脳幹まで圧迫されると呼吸が止まり致命的になる可能性があります。小脳出血のみですと、麻痺は起こりません。 ④橋出血 橋は脳幹の一部で呼吸や全身の運動などをつかさどっている部位です。橋に出血が起こると意識障害や全身の麻痺が起こります。さらに出血が広がると、呼吸ができなくなり重篤な状態になることがあります。 橋出血が起こると左右両方の目の瞳孔が小さくなることが特徴です。 ⑤皮質下出血 皮質下出血とは、脳の比較的表層の部分に出血が起こるものです。 部位によって症状はさまざまで、片側の手足の麻痺や構音障害、視界の左右どちらかが見えなくなる半盲などの症状が生じます。 まとめ|脳出血の初期症状を確認したら早期治療で後遺症を残さないようにしよう 脳出血はある日突然発症し、多くの場合で後遺症が残ってしまう病気です。しかし早期に治療を行うことができれば後遺症を残さないか、残っても軽度で済む可能性が高まります。 さらに、脳出血は画像検査ですぐに診断可能です。 そのため、少しでも疑う場合はすみやかに医療機関を受診することが重要です。脳出血は主に脳神経外科が治療を行うため、脳神経外科の体制が整っている病院を選びましょう。 なお、後遺症については、リハビリ以外にも最先端医療の「再生医療」という新たな手法もあります。万が一後遺症が残った場合は、その存在を知っておくと良いでしょう。 本記事が参考になれば幸いです。 \まずは当院にお問い合わせください/
2022.12.19 -
- 脳梗塞
- 脳卒中
- 頭部
脳梗塞の予防や再発防止を図るためには、食事を見直すことが重要です。 脳梗塞の原因となる食品は数多くあるため、食べてはいけない・食べすぎてはいけないものを把握した上で、食生活を築きましょう。 本記事では、食べてはいけないものに合わせて予防や再発防止のために積極的に食べたいものも解説します。 脳梗塞の予防・再発防止したい人は、ぜひ最後までご覧ください。 また、脳梗塞の再発防止には食事療法だけでなく、先端医療である再生医療による治療も並行して行うことをご検討してみましょう。 当院(リペアセルクリニック)では、脳梗塞でお悩みの方を対象に無料カウンセリングを実施しています。 ぜひ、お気軽にご相談ください。 脳梗塞の予防・再発防止のために食べてはいけないもの一覧 脳梗塞の予防・再発防止をする上で食べてはいけない・食べすぎてはいけない食べ物の代表例は以下です。 動物性脂肪・トランス脂肪酸が含まれる食品 加工食品 塩蔵品 アルコール 高GI炭水化物 上記は脳梗塞の原因であり、発症や再発を避ける上で食べるのは好ましくありません。 それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。 ①動物性脂肪・トランス脂肪酸が含まれる食品 まず、動物性脂肪やトランス脂肪酸を摂取するのは避けましょう。 <動物性脂肪・トランス脂肪酸が含まれる食品一例> 肉料理全般 卵 チーズ バター 牛乳 チョコレート アイスクリームetc. 基本的に、肉類や乳が関係したものは、避けるようにしましょう。 動物性脂肪には、動脈を閉塞させるコレステロールを増やすはたらきがあります。 トランス脂肪酸は、血行を悪くする原因。 また後述する塩蔵品やアルコールとともに摂取する機会が多く、注意が必要です。 動物性脂肪とトランス脂肪酸の摂取を避けるためには、脂っこいものを避ける意識がポイントです。 ②加工食品 脳梗塞の発症と再発を避けるためには、加工食品の摂取も避けたいところです。 <加工食品の一例> インスタントラーメン スナック菓子 冷凍食品 菓子パン デザート 加工食品は添加物や保存料、炭水化物などを多く含んでいます。 また保存性を保つため、前述のトランス脂肪酸も、多くの場合で含まれているでしょう。 脳梗塞の原因となるものが多いため、加工食品の食べ過ぎには注意が必要です。 ③塩蔵品 また、塩蔵品(塩漬け)の類も避けましょう。 <塩蔵品の一例> 漬物全般 塩辛 ハム ベーコン 味噌漬け 明太子etc. 塩蔵品は、動脈硬化や血栓形成の原因である塩分やナトリウムを大量に含みます。 また高血圧にも関係しており、脳梗塞の発症や再発のリスクが高い食品と言えるでしょう。 また、塩蔵品でなくとも塩分が多い食品にも同様のことが言えます。 塩蔵品も含め、食べすぎは避けるのをおすすめします。 ④アルコール 種類にかかわらず、アルコールは可能な限り避けましょう。 アルコールは、高血圧や血液の凝固など、脳梗塞の発症につながる現象を引き起こします。 さらに高血圧や血栓形成にも関係します。 さらにアルコールが提供される場所では、脳梗塞を発症・再発させうる食品も口にしやすいでしょう。 そしてアルコールには食欲を増進させる効果もあり、さらに脳梗塞発症・再発のリスクを高める懸念があります。 ⑤高GI炭水化物 また高GI炭水化物が豊富な食品も避けるようにしましょう。 GIとは「グリセミック指数」の略称です。 指標としては食品を食べたあとの血糖値の上昇の程度を示します。 <高GI炭水化物の一例> 白米 食パン パスタ じゃがいも うどん シリアルetc. 一般的に白い、やや黄色い食品は、高GIの傾向があると覚えておきましょう。 高GI炭水化物は血糖値を急激に高め、脳梗塞の原因となる血栓生成や高血圧を引き起こします。 また血管内に炎症をもたらす点も、脳梗塞のリスクになります。 予防・再発防止の観点から見れば危険な食品であり、意識的に避ける必要があるでしょう。 脳梗塞の遺伝的要因と食事の関係性 脳梗塞は日本でも死因上位の病気であり、脳梗塞のリスクとして食生活と遺伝が関係します。 下記では、脳梗塞と、食事や遺伝の関係性を解説します。 合わせて後天的要因にも触れているので参考にしてください。 脳梗塞は遺伝する!?「食事」が関係する理由 脳梗塞の発症には多因子の関与が知られており、この多因子は大きく後天的要因と遺伝的要因に分けられます。 それぞれ解説していきます。 脳梗塞の遺伝的要因 遺伝的要因としては年齢 、性別 、人種 、家族歴 、高血圧 、糖尿病 、高脂血症 、肥満 、過凝固状態(血液が固まりやすくなること)などの要素が挙げられます。 以下の3つに関してより詳しく解説していきましょう。 脳梗塞の遺伝的要因 年齢 性別 家族歴 脳梗塞はどの年齢でも発生する可能性がありますが、リスクは 1 歳未満の乳児と成人で高くなります。 成人では、リスクは年齢とともに増加します。 また、若い年齢では、男性は女性よりも脳梗塞を起こす可能性が高くなります。 しかし、女性は長生きする傾向があるため、脳梗塞になる生涯リスクは高くなります。 また、経口避妊薬やホルモン補充療法を使用している女性や、妊娠中および出産後の数週間もリスクが高くなります。 脳梗塞の家族歴に関しては、親または他の家族が脳梗塞を発症したことがある場合、とくに若い年齢で脳梗塞を発症するリスクが高くなります。 後天的要因とは?体質の遺伝は食事と関係する そして後天的要因として、食事などの生活習慣なども関与し、危険因子と呼ばれます。 この後天的要因によって、脳梗塞が遺伝すると考えることもできます。 脳梗塞は稀ではありますが、遺伝に関係しているものはあります。 ほとんどの場合は生活習慣、とくに自宅で食べる際の食事の味付けに由来します。 たとえば塩辛い味が美味しいと感じる場合は、小さい頃から味付けが濃い食事を続けたことが影響していると言えます。 つまり、脳梗塞の家族歴があると、食生活も家族と同じようなものになる傾向があるため、高血圧症になりやすい体質が遺伝する可能性が高く、同様に発症リスクが高くなる考え方です。 脳梗塞の予防・再発防止のために摂りたい食事 脳梗塞の予防・再発防止のためには、食べてはいけないものを避けるのは大切です。 同じように、脳梗塞のリスクを下げる食品を食べるのも重要。 たとえば以下の食品は積極的に食習慣に取り入れましょう。 全粒穀物 青魚 果物 乳製品 タンパク質を含む食品 それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。 全粒穀物 まず、全粒穀物が予防や再発防止に役立ちます。 <全粒穀物の一例> 玄米 オートミール ライ小麦etc. 全粒穀物には、食物繊維が多く含まれています。 食物繊維は、脳梗塞の原因になる血糖値やコレステロールの上昇を防ぎます。 またビタミンEやフィトケミカルが含まれている点も重要。 血管の硬化を防ぎ、血栓形成などのリスクを下げます。 ただし白米や精白パンなどの「精製穀物」には上記の効果が期待できず、むしろ脳梗塞の原因になる点に注意してください。 なお、全粒穀物は、白米や精白パンなどの代わりに主食の役割を果たします。 少しずつ精製穀物から切り替えていくと良いでしょう。 青魚 また青魚も、脳梗塞の予防や再発防止に有効な食品です。 <青魚の一例> サバ アジ サンマ イワシetc. 青魚にはDHAやEPAなどの成分が含まれています。 DHAやEPAは血行を促進し、血栓の生成を予防します。 またコレステロール値を下げる効果も。 さらに高血圧を改善するはたらきもあり、脳梗塞の予防や再発防止には欠かせない食品です。 また青魚は安価であり、普段の献立にも取り入れやすいです。 果物 果物も積極的に食べておきたい食品です。 <脳梗塞の予防や再発防止に役立つ果物の一例> オレンジ リンゴ パイナップル 桃 ブドウ キウイetc. 果物には、血管や血行の状態を高める抗酸化物質、ビタミンなどが含まれています。 また血圧を下げるカリウムなども豊富。 さらに食物繊維も含まれているため、コレステロール値の低下も期待できます。 また、ほとんどの果物が安価かつ入手しやすいため、普段の食事に取り入れやすいでしょう。 乳製品 乳製品に関しては、効果的なものをきちんと選べば、予防や再発防止に役立ちます。 <乳製品の一例> 牛乳 チーズ ヨーグルトetc. 乳製品に含まれるカルシウムは、脳梗塞の発症リスクを大きく下げるはたらきを示します。 国立がん研究センターによれば、乳製品由来のカルシウム摂取量が多いと、脳梗塞を含む脳卒中のリスクは、摂取量の低い群の0.64倍まで低下するとのこと。 ただしバターやマーガリン、練乳などの乳製品はむしろ脳梗塞のリスクを向上させるので注意してください。 参考記事:国立がん研究センター タンパク質 タンパク質を含む食品は、なるべく積極的に摂取しましょう。 タンパク質は、血圧を下げる、血行を促進する、血管をやわらかくするなど、脳梗塞のリスクを下げる上で欠かせないほとんどの効果を持っています。 とくにナッツや魚から得られる植物性タンパク質の摂取が好ましいでしょう。 一方で動物性タンパク質を含む肉類は、脳梗塞のリスクとなる動物性脂肪も多く含んでいます。 したがって口にする場合は注意が必要です。 ただし肉類でも、赤身のものを選択すれば、脳梗塞のリスクは低くなるでしょう。 脳梗塞の食事療法とは? 脳梗塞の時に摂るべき食事、控えるべき食事、さらに具体的にどのような工夫をすれば良いか解説していきます。 ①毎食さまざまな色の野菜を取り入れる 果物や野菜に含まれる栄養素をバランスよく得るため には、毎食、さまざまな色の食品を選ぶことが重要です。 濃い赤、オレンジ、鮮やかな黄色、濃い緑、青、紫など、さまざまな色の果物、野菜、豆類を選択することで、さまざまな栄養素を確実に取り入れられます。 ②飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロールの摂取を制限する 脂肪やコレステロールは体の健康のために必要ですが、血中のコレステロールが多すぎると、脳梗塞や心臓病のリスクが高まる可能性があります。 飽和脂肪酸などは、肉、チーズ、卵黄、バター、アイスクリームなどの動物性食品、および一部の植物油 (パーム、ココナッツ) などに含まれています。 これらの食品から摂取する飽和脂肪、トランス脂肪酸、コレステロールの量を制限するのが、脳梗塞予防の鍵となります。 ③食物繊維の多い食品を選ぶ 食物繊維はコレステロールと心血管疾患の全体的なリスクに関連します。 食物繊維の摂取量は、コレステロール値や脳梗塞のリスクに影響するだけでなく、血糖値をコントロールし、胃や腸などの病気を予防し、体重管理に役立つなどの利点があります。 ④食事中のナトリウムを減らす ほとんどの人が、必要以上にナトリウムを摂取します。 ナトリウムを摂りすぎると、体液が貯留し、血圧が上昇する可能性があります。 塩分を減らす方法としては、食卓塩の代わりにハーブやスパイスを使用しましょう。 塩味が控えめでも、風味が豊かになることで満足感を得られるのでおすすめです。 また、ナトリウムは食品の保存にも使用されるため、食品を加工すればするほど、ナトリウム含有量が高くなります。 したがって、加工食品や缶詰食品を使用しないことも大切です。 ⑤健康的な体重を維持する 脳梗塞のリスクを減らすためのもう 1 つの重要な戦略は、健康的な体重を維持することです。 食事量に注意して、食物繊維が多く脂肪の少ない食品を食べる、活動を増やすことで、健康的な体重を達成できます。 減量は無理なく続けることが大切です。 きちんと計画を立てて、最初から現実的に達成可能な短期、または長期の目標を設定して行うことが成功のポイントです。 ⑥糖分の摂取を減らす 糖分の過剰摂取は、高血圧、肥満、2 型糖尿病、脂質異常症と関連しており、これらはすべて脳梗塞の危険因子となっています。 砂糖の例としては、白砂糖、黒糖、蜂蜜、糖蜜、ゼリー、ジャム、加糖飲料などがあります。 使用頻度を減らすか、使用する量を減らすことが推奨されています。 ⑦カリウムを十分に摂る カリウムは果物、野菜、乳製品に豊富に含まれていますが、ほとんどの成人はカリウムを十分に摂取していません。 カリウムを摂るためには、バナナ、アプリコット、オレンジ、メロン、リンゴなどの果物がおすすめです。 野菜には、じゃがいも、さつまいも、ほうれん草、ズッキーニ、トマトなどがあります。 適切な心機能を維持するためには、十分な食事性カリウムの摂取が必要不可欠です。 脳梗塞のリスクについて食事療法で気をつけるべきことは? では、食事療法の工夫の次に、注意点についても見ていきましょう。 ただ単に食事内容に気をつけるだけではなく、以下のような注意点もあります。 ①肥満予防:食べる量に気をつける 満腹になるまで食べないことです。 肥満を防ぐためにも常に8割くらいに抑えて、食事量を調整しましょう。 ②脱水症状予防:水分を一緒に摂る 水分不足にならないように、食事と共に必ずこまめに水分摂取してください。 ただし、水分を摂るといっても、以下のような水分は推奨されません。 水分不足は、血流が滞り血栓ができやすくなる原因と言われています。 水または麦茶など、カフェインの入っていない飲み物は利尿作用がなく、水分の排出が少なく済むのでおすすめです。 水分でも以下は推奨しない アルコール コーヒー、緑茶 甘いジュース ③誤嚥予防:嚥下障害に気をつける 脳梗塞の後遺症として、飲み込みづらさなどがあり、飲み込みづらい場合は、ベット上で頭を上げるなど工夫して食事療法を行います。 誤嚥性肺炎などを引き起こす可能性もあるため、水分や固形物を飲ませる場合は、嚥下機能の評価を行ってからにしましょう。 まとめ・脳梗塞の遺伝的要因と後天的要因のリスク回避に食事療法を! 脳梗塞は食事療法を行うことで、予防・再発防止できることもあります。 摂るべき食品、控えるべき食品を考えた食生活によって血圧や体重をコントロールをすることで、脳梗塞を再発するリスクを減らし、治療やその他の日常活動の負担を軽減できます。 脳梗塞の再発防止には食事療法だけでなく、再生医療による治療を検討してみましょう。 再生医療とは、体が持つ再生能力を利用して損なわれた機能を再生させる医療技術のことで、脳梗塞の再発防止や後遺症からの回復に期待ができます。 当院(リペアセルクリニック)では、無料相談・無料カウンセリングを実施しているため、ぜひお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ ▼患者さまのご家族は以下の記事も合わせてご覧ください
2022.12.14 -
- 脳梗塞
- 脳卒中
- 頭部
脳梗塞の後遺症を改善するリハビリの方法と期間の目安とは 脳梗塞の後遺症で次のような悩みを抱えている方はいませんか? 「脳梗塞の後遺症を改善する方法について知りたい。」 「脳梗塞のリハビリについて具体的な方法を知りたい。」 脳梗塞を発症後、適切な治療を受けても後遺症が残ることがほとんどです。脳梗塞の後遺症を改善し、元の日常生活に戻るためにも、長期間のリハビリが欠かせません。 そこで今回は、脳梗塞の後遺症や改善する方法、脳梗塞のリハビリについて具体的に説明いたしますので、ぜひ参考にしてください。 脳梗塞の後遺症を改善するために! 脳梗塞には、さまざまな後遺症や合併症があり、治療後、回復の仕方もさまざまです。 脳梗塞の改善に向けたリハビリは、自立生活に必要な身体の状態や動作などなを取り戻し、生活の質を向上させるのに役立ちます。脳梗塞の影響を受けた脳の部分に応じて、さまざまなリハビリを行わねばなりません。 脳梗塞の後遺症の改善には、多くの専門家が関わります 以下のように脳梗塞の後遺症を改善させるためにはリハビリを含めて医療機関のさまざまな職種の専門家が関与します。 医師や看護師 かかりつけの医師は、神経科医や理学療法とリハビリテーションの専門家と同様に、あなたのケアを指導し、合併症の予防に役立ちます。 理学療法士 ウォーキングやバランスの維持などの動きを再学習するのに役立ちます。 作業療法士 着替え、入浴、家事のスキルなどのより自立した活動的な生活を送るのをリハビリを通して助けます。 改善に向けてさらに感情的、社会的なリハビリに焦点を当てた専門職もあります。 ソーシャルワーカー ソーシャルワーカーは、医療、福祉、介護などにおいて、相談員として支援を行い、日常生活を送る上で、困り事や問題を抱えている方に対して援助や支援の調整を行います。 心理学者 これらの専門家は、あなたの思考スキルを評価し、あなたの精神的および感情的な精神衛生上の懸念に対処するのに役立ちます。 脳梗塞の改善結果に影響を与える要因は? 脳梗塞の改善には個人差があります。 どれほどの能力を多く改善させられるか、また期間的にどれくらい早く改善できるかを予測するのは困難です。一般的に、脳梗塞の改善に向けたリハビリの成功には次のような要素に依存します。 身体的要因 脳梗塞の重症度など 感情的要因 モチベーションや気分など 社会的要因 友人や家族のサポートなど 治療上の要因 リハビリの早期開始や有無やリハビリチームのスキルなど 改善率は一般に、脳梗塞後の数週間から数ヶ月で最も大きくなります。脳梗塞後の改善に向けたリハビリは、長期間にわたって必要であり、途中で挫折してしまうことにないよう、改善に向けたリハビリで最大の効果を得るためには長時間かかることを理解しておくべきです。 脳梗塞後のリハビリ、具体的な方法と期間の目安 脳梗塞を改善させるために行うリハビリは計画的に行わねばなりません。その方法は、脳梗塞の影響を受けた体の部位や能力の種類によって異なり、主に以下の3つの時期に分けられます。 ①急性期のリハビリ ②回復期のリハビリ ③維持期のリハビリ ①急性期のリハビリ : 脳梗塞発症後〜 48 時間以内 急性期のリハビリとしては、運動機能の改善などが含まれます。 運動機能の回復訓練 全身の筋力と協調運動を改善するのに役立ちます。これらには、バランス、歩行、さらには飲み込むために使用される筋肉が含まれます。 歩行器、杖、車椅子、足首装具などの移動補助具の使い方を学んだり、ベッドから立つ、座るなどの離床訓練も必要です。 関節の可動域訓練 特定の運動や治療は、筋肉の緊張(痙縮)を緩和し、可動域を取り戻すのに役立ちます。看護師や理学療法士が行う他動的運動と自分で動かす自動運動に分けられます。 ②回復期のリハビリ : 3〜6 ヶ月 回復期では、日常生活に戻ることを目的とし、主に以下のようなリハビリを行います。 機能的電気刺激 弱った筋肉に電気を流して収縮させることで、筋肉に運動の仕方を再学習させることができます。 ロボット訓練 ロボット装置は、障害のある手足が反復運動を行うのを支援し、手足の強さと機能を回復するのを助けます。 言語機能訓練 失語症などの後遺症が残ったら、読み書きや言葉の言語機能の訓練を行います。 作業療法 作業療法と言語療法は、記憶、処理、問題解決、社会的スキル、判断力、安全意識などの認知能力の喪失を手助けすることができます。 心理的評価と治療 脳梗塞後の後遺症として心理的なケアも大切です。カウンセリングを受けたり、支援グループに参加したりすることもできます。 ③維持期のリハビリ : 回復期以降維持期では退院後に主に日常生活を取り戻すためにストレッチなどの軽めの運動から始めます。 退院前に、患者さんとその家族は、病院のソーシャルワーカーやケアチームと協力して、最適なリハビリ環境を決定する必要があります。 ここで考慮すべき要因には、適用される保険、患者さんとその家族にとって何が最も便利かなどがあります。 病院の外来 病院または診療所の外来に通います。 専門的な介護施設 介護施設で受けられるケアの種類はさまざまです。 自宅でのリハビリ 自宅でリハビリを行うことで、柔軟性が高くなります。ただし、専門のリハビリ機器を利用できない可能性があります。また、在宅プログラムの保険適用範囲は大きく異なります。 最良の選択肢について、医師や家族としっかりと話し合うことが大切です。 脳梗塞の後遺症を改善するため、リハビリで気をつけるべきポイントとは? 脳梗塞の後遺症を改善するためにリハビリが有効ですが、気をつけるべきポイントについてみておきましょう。 残された能力も同時に鍛えながらリハビリを行うこと 失われた機能を取り戻すことに執着しがちですが、健常な機能を維持することも大切です。 例えば、片麻痺で健常な方を鍛えることで、後遺症を残した部位のサポートを行うことが可能です。バランスよくリハビリを行うことを心がけましょう。 リハビリは無理をせずじっくり行うこと リハビリはすぐに効果が出るわけではないため、焦らないことが大切です。 また、痛みが出たら、リハビリは中止しましょう。無理にリハビリを行うと逆効果になってしまいます。 脳梗塞の後遺症を改善するリハビリ、よくあるQ&A 最後に、よくある質問について Q & A でまとめましたので、参考にしてください。 Q ,脳梗塞のリハビリはいつから始めるべき? A ,一般的には、脳梗塞のリハビリを開始するのが早ければ早いほど、失われた能力やスキルを取り戻せる可能性が高くなります。 脳梗塞のリハビリは、脳梗塞発症後 24 時間から 48 時間以内の入院中に開始するのが一般的です。 Q ,脳梗塞のリハビリはどのくらい続けますか? A ,脳梗塞リハビリが必要な期間は、脳梗塞の重症度と関連する合併症によって異なります。ほとんどの場合、長期間にわたるリハビリが必要であり、数か月または数年続く可能性があります。 まとめ・脳梗塞の後遺症を改善するリハビリの方法と期間の目安が知りたい いかがでしたでしょうか。 脳梗塞の後遺症は、適切な治療とリハビリを行って改善を目指すことができます。その為には、退院後の日常生活でも継続的なケアが必要になってまいります。 今回の記事では、実際のリハビリの方法や気をつけるべき点について解説してきました。脳梗塞から早く仕事復帰するためには、入院期間中早い段階からのリハビリを適切に行うことが不可欠です。 今回の記事で、改めてリハビリについて理解を深めて頂き、活用してみてください。 ▼以下も参考にされませんか 20代、30代の若年性脳梗塞について|要注意「まだ若いから」と油断は禁物!
2022.12.09 -
- 脳卒中
- 脳出血
- 頭部
「脳出血後のケアは何をすれば良いの?」「脳出血後の看護や介護はどうすればいい?」と疑問に感じていませんか。 退院後の生活やリハビリに向けたサポートは、何を優先すべきか悩む場面も多いでしょう。 脳出血の患者本人は、長期間の治療やリハビリによって精神的・社会的負担が大きくなりがちです。そのためご家族による適切なサポートが重要といえます。 この記事では、脳出血後の患者を支えるための基本的な看護・介護方法と、退院後に家族が実践できる具体的な対策を解説します。 脳出血の看護ケアで不安を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。 また、当院「リペアセルクリニック」では脳出血の後遺症に効果が期待できる再生医療も行っております。 気になる症状がある方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 脳出血後における7つの看護ケア 脳出血後のケアは、患者の回復に直結するため、日常の観察や丁寧なサポートが欠かせません。 本章では、具体的な看護ケア方法を7つの観察項目と合わせて紹介します。 1.意識レベルの確認 2. 呼吸管理 3. 血圧と心拍数のチェック 4. 電解質バランスの変化(輸液管理) 5. 口腔ケア・体勢の管理 6. 嘔吐時の対処・吐物管理 7. 発作や薬の管理 入院中は、どの観察ポイントを重視するかを確認しておきましょう。 1. 意識レベルの確認 意識レベルの確認は、観察項目の中でも状態を把握する上で非常に重要です。 具体的には、呼びかけへの反応、目の開き具合、手足の動きなどを観察します。 Glasgow Coma Scale (GCS) やJCSといった評価方法もあり、異常があれば速やかに医師への報告が必要です。 意識レベルの低下は、病状の悪化を示すサインの可能性があるため、看護する上でも注意が必要です。 また、こちらの記事では脳出血を発症後の意識レベルによる予後や余命を詳しく解説しています。 後遺症について気になる方は、ぜひご覧ください。 2. 呼吸管理 脳出血後、脳の損傷により呼吸をコントロールする機能が低下する場合があります。 そのため、適切な呼吸管理は命を守るために不可欠です。 呼吸の回数や深さ、呼吸音などを注意深く観察し、呼吸状態の変化や異変があれば酸素投与や人工呼吸器の使用が行われます。 3. 血圧と心拍数のチェック 血圧と心拍数の変動は、脳出血後の状態に大きな影響を与えるため、こまめなチェックが重要です。 血圧の急激な上昇や低下は、再出血や他の合併症を引き起こす可能性があるためです。 具体的には、定期的な測定を行い、変動があれば医師に報告します。 また、薬による血圧コントロールも行われます。 4. 電解質バランスの変化(輸液管理) 体内の電解質バランスは、生命維持に欠かせない重要な役割を担っています。 脳出血後は、電解質バランスが崩れやすいため、輸液管理による適切な調整が必要です。 たとえば、点滴で水分や電解質を補給し、血液検査でその値をモニタリングします。 これにより、体内の状態を安定させていきます。 5. 口腔ケア・体勢の管理 口腔ケアと体勢管理は、感染症や床ずれの予防に欠かせません。 免疫力が低下すると、口腔内の細菌が感染を引き起こす可能性があります。 また、同じ体勢が続くと床ずれのリスクが高まるため注意が必要です。 歯磨きやうがい、体位変換を定期的に行い、必要に応じて専用のケア用品の活用によって、患者の健康と快適さを管理できます。 6. 嘔吐時の対処・吐物管理 脳出血後には嘔吐が起こるケースがあり、適切な対処と吐物の管理も重要です。 とくに、嘔吐物が気道に詰まる(誤嚥)リスクを防ぐのは重要だといえるでしょう。 嘔吐時には顔を横に向け、吸引器で吐物を除去するなどの対応を行います。 また、吐物の量や性状を観察し、記録するのも大切です。 これらの対応により、誤嚥性肺炎などの合併症を予防できます。 7. 発作や薬の管理 脳出血後は発作が発生する可能性もあるため、薬の時間や量を守るように管理するのも重要です。 また、発作の兆候が見られた場合はすぐに医師へ報告します。 指示に従い、薬の正しい管理が症状の安定を促します。 また、脳出血の原因については以下の記事でも解説しているので、参考にしてください。 【退院後】脳出血の看護で家族ができることは? 脳出血による退院後の生活は、ご家族によるサポートが重要です。ご家族のサポートが患者の回復を支え、日常生活の質も維持できるようになります。 脳出血の看護において家族が行えることは、以下の6つが挙げられます。 日常生活の介助や見守り 要介護認定を早めに申請する 地域の介護サービスを活用する 住宅改修で自宅の環境整備を行う 施設介護サービスも検討する 介護疲れをしないように休息を取る 本章では、家族が取り組むべき具体的なケアやサポート方法を紹介するので参考にしてください。 日常生活の介助や見守り 退院後、患者の日常生活には継続的な介助と見守りが必要です。 食事や入浴、排泄などのサポートを行い、無理なく生活できる環境を整えます。 また、転倒などのリスクを防ぐため、常に患者の動きに注意を払いましょう。 適切な介助は、患者の安心感と回復の大きな助けとなります。 また、脳出血の後遺症やリハビリについては以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。 要介護認定を早めに申請する 要介護認定を受けることで、家族の金銭的な負担が軽減できます。 しかし、認定が遅れると必要なサービスが受けられなくなる可能性があります。 そのため、入院中の段階から市区町村の窓口に相談し手続きを進めておきましょう。 地域の介護サービスを活用する 地域にはさまざまな介護サービスがあるので、積極的に活用するのがおすすめです。 訪問看護やデイサービスの利用によって、専門的なケアを受けながら患者本人の日常を支えられます。 退院後には地元の介護支援センターなどに相談し、利用可能なサービスを確認しましょう。 住宅改修で自宅の環境整備を行う 退院後の生活を安心して送るためには、住宅改修が必要になる場合があります。 手すりの設置や段差解消など、患者が安全に動ける環境作りを検討すると良いでしょう。 公的補助金を利用できる場合もあるため、必要に応じて専門家に相談するのがおすすめです。 施設介護サービスも検討する 在宅介護が難しい場合、施設介護サービスの検討も選択肢の1つです。 ショートステイや特別養護老人ホームなど、患者の状態や家族の状況に応じた施設を選びましょう。 専門スタッフのケアが受けられるため、安心感があります。 介護疲れをしないように休息を取る 家族の介護負担が大きくなると、心身に疲れがたまりやすくなります。 そのため、適度に休息を取り、家族内での役割分担を決めたり、地域の支援を活用したりするのがおすすめです。 家族の健康が患者本人の回復にもつながりますので、無理をせずサポート体制を整えてください。 脳出血の看護・介護時における4つの注意点 脳出血後の看護・介護は、患者の回復を支える上で非常に重要です。 ここでは、介護時に注意すべき4つのポイントを解説します。 転倒を予防するための工夫 食事はゆっくりと食べやすい形状で提供 排泄をサポートする際はプライバシーを配慮 精神的なケアを継続的に行う 介護する家族の負担軽減にもつながりますので、チェックしておきましょう。 転倒を予防するための工夫 脳出血後には、筋力低下やバランス感覚の喪失で転倒リスクが高まります。 そのため、家具の配置を工夫し、滑り止めマットや手すりを設置するのも良いでしょう。 また、歩行補助具の使用も効果的です。 転倒防止は患者の安全を守るだけでなく、さらなる合併症の予防にもつながります。 食事はゆっくりと食べやすい形状で提供 食事は、ゆっくりと食べやすい形状で提供するのが重要です。 これは、嚥下機能(飲み込む力)が低下している場合、誤嚥のリスクが高まるためです。 具体的には、刻み食やペースト食などに調理し、一口ずつゆっくりと食べさせてあげましょう。 さらに、食事中の姿勢や飲み込みの様子を注意深く観察し、誤嚥を防ぐ工夫も必要です。 排泄をサポートする際はプライバシーを配慮 排泄はデリケートな問題ですので、サポートする際はプライバシーへの配慮が重要です。 たとえば、専用のカーテンや扉を使用し、必要以上に介助者が近づきすぎないよう心がけましょう。 また、定期的な排泄スケジュールを組んでおくと、患者の負担を軽減しつつ快適なケアを提供できます。 精神的なケアを継続的に行う 脳出血後、患者は不安や孤独感を抱きやすくなります。 そのため、定期的な会話や声かけを行い、安心感を与えてあげると良いでしょう。 また、リハビリや介護の進捗を共有し、前向きな気持ちを引き出すことも重要です。 精神的なケアは患者の回復を支える大きな力になります。 まとめ|脳出血の看護に家族ができることは理解しておこう! この記事では、入院中の看護ケアや退院後に家族が行えるサポート、注意点について詳しく解説しました。 脳出血後の看護ケアは、患者の回復に大きな影響を与えます。 また、入院中の医療従事者によるケアに加え、退院後の家族のサポートも欠かせません。 本記事で紹介した情報を活用し、医療や介護サービスと連携しながら療養生活を支えましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では脳出血や脳梗塞の後遺症治療も行っております。「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 脳出血の看護に関するよくある質問 脳出血の看護で留意すべき点は何ですか? 脳出血の看護では、日々の体調管理とリスク回避が欠かせません。 意識レベルの確認や呼吸・血圧のチェックを行い、異常があれば速やかに医師へ相談します。 また、転倒や誤嚥などのリスクを防ぐため、環境整備や適切な食事提供も重要です。 患者の安全を第一に考える看護が求められます。 脳出血の急変時の対応はどうすれば良いですか? 急変時には、まず落ち着いて状況を確認し、必要に応じて医師や救急車を呼びます。 意識が低下した場合は、気道確保を優先し患者を安静に保つのが大切です。 症状や変化を正確に医療スタッフに伝えることで、迅速な対応が可能になります。 当院「リペアセルクリニック」では脳出血の治療も行っております。気になる症状がある方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。
2022.12.05 -
- 脳卒中
- 頭部
- くも膜下出血
くも膜下出血発症後は後遺症があることも少なくありません、以前のような日常生活を送れるのか、退院後の生活に不安は絶えないですよね。 くも膜下出血の退院後は、リハビリを定期的に行うことが大切です。普段の食事や入浴などはリハビリの一環となるため、自発的に行いましょう。 本記事では、くも膜下出血で退院後に気を付ける点や後遺症について詳しく解説します。くも膜下出血の再発を防いで日常生活を取り戻すヒントとなれれば幸いです。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による脳卒中の治療を行っております。気になる方はメール相談もしくはオンラインカウンセリングにてお気軽にご相談ください。 くも膜下出血の退院後の生活で気をつけるべきこと7選【再発予防】 くも膜下出血再発予防のため、退院後に気をつけるべきことは以下の7つです。 体調の変化があったら医師の指示に従う 処方薬は主治医・薬剤師の指示通りに服用する 定期的に血圧を測る ストレスを溜めず規則正しい生活を送る 過度な飲酒を控える・禁煙をする 塩分の取りすぎに注意してバランスの良い食事を心がける 身の回りのことはできる限り自分で行う 退院後は上記を意識しながら日常生活を送りましょう。 体調の変化があったら主治医の指示に従う 身体のしびれやろれつが回らないなど、いつもと違う体調の変化があれば、くも膜下出血の可能性があります。早めに主治医へ相談しましょう。 くも膜下出血は発症から処置までのスピードが遅れると、その後の死亡率に影響します。自己判断で受診せず様子をみることは当面控えるようにしてください。 また、主治医以外の意見を聞きたい場合は、セカンドオピニオンもひとつの手です。ただし、体調変化があれば、すぐに受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による脳卒中の治療を行っております。気になる方はメール相談もしくはオンラインカウンセリングにてお気軽にご相談ください。 くも膜下出血の再発については、以下の記事でも詳しく解説しています。 処方薬は主治医・薬剤師の指示通りに服用する 降圧薬や糖尿病薬など、処方された薬がある場合は指示通りに服用しましょう。 くも膜下出血の一因として、高血圧症や糖尿病といったほかの病気が考えられます。(文献1) 処方薬を正しく服用しないと血圧や血糖値はもちろんのこと、くも膜下出血の再発のリスクにつながります。 ただし、副作用がみられる場合は自己判断で辞めず、医師や薬剤師に相談してください。 定期的に血圧を測る 高血圧症によるくも膜下出血の再発を防ぐためには、日頃から定期的に血圧を測定し、記録しておきましょう。 血圧に急激な変化があったときに、主治医が適切な治療の判断をしやすくなります。 また、病院と自宅で血圧の数値が異なるケースもあります。(文献2)そのため、自宅でも血圧測定が大切です。 家庭用の測定器は、薬局や家電製品などで手軽に購入ができます。また、毎日の血圧は血圧手帳に記載し、定期受診の際に主治医へ見せるようにしましょう。 ストレスを溜めず規則正しい生活を送る ストレスや不規則な生活は血圧に影響する可能性があります。ストレスによりくも膜下出血の一因である高血圧のリスクが2倍に上がるという報告もあるのです。(文献2) そのため、自分なりのストレス発散方法を持っておくことが大切です。また、起床時間や就寝時間は毎日同じ時間に設定し、規則正しい生活を送りましょう。 再発リスクを減らす予防法は、以下の記事でも詳しく解説しています。 過度な飲酒を控える・禁煙をする 飲酒や喫煙も血圧を上昇させるため、くも膜下出血のリスクがあります。飲酒・喫煙も可能な限り退院後は控えましょう。 また、飲酒量が多いほど、くも膜下出血のリスクが上がるという報告もあります。(文献2) 普段から飲酒の習慣がある方は休肝日を設け、適度な飲酒量に調整するよう心がけてみてください。 喫煙は血圧上昇につながるため禁煙しましょう。自分だけで禁煙が難しい場合は、禁煙外来へ受診する方法もあります。 塩分の取りすぎに注意してバランスの良い食事を心がける 塩分の過剰摂取に注意した栄養バランスの良い食事も、くも膜下出血の再発予防につながります。 塩分の取りすぎは血圧を上げすぎてしまいます。以下のような点を意識して、減塩に取り組んでみてください。 食事量を腹八分目にとどめる 調味料を減塩タイプに切り替える また、便秘気味の人は排便の際に、血圧が上がってしまうリスクがあります。こまめな水分補給や食物繊維が豊富な食べ物の摂取にて便秘解消を心がけてみてください。 生活習慣の見直しのみで便秘が改善しない場合は我慢せず、便秘薬の服用もひとつの手です。 身の回りのことはできる限り自分で行う くも膜下出血で退院後は、日常生活に必要な運動機能を低下させないようにする必要があります。食事や入浴など日常生活の行動がリハビリになるため、無理のない範囲で積極的に自分で行いましょう。 また、軽めの運動も効果的です。歩行困難をきたしていない場合は、定期的な散歩やストレッチを日々の日課に取り入れてみてください。 デイサービスなどの施設で定期的にリハビリへ通うのも、くも膜下出血の再発予防に効果的でしょう。 くも膜下出血で退院後の生活はリハビリが重要 日常生活の行動のみならず、病院での定期的なリハビリも大切です。病院でリハビリをするよう指示のある方は、定期的な受診を欠かさないようにしましょう。 また、リハビリの内容は発症後の経過期間によって変わります。 目的 リハビリ方法 急性期リハビリ (治療後~14 日程度) 寝たきり状態の予防 座ったままできる運動 (膝伸ばし運動や肩の上げ下げ運動など) 回復期リハビリ 日常生活の基本的な動作を行える 歩行訓練や手芸、嚥下(えんげ)訓練など 維持期リハビリ(デイサービス) 回復期で得た機能を維持する 軽い運動(散歩やストレッチなど) 退院後に行うのは「回復期リハビリ」または「維持期リハビリ」です。主治医の指示に従い、自分の症状に合ったリハビリを行いましょう。 くも膜下出血のリハビリについては以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてください。 くも膜下出血の退院後にみられる6つの後遺症 くも膜下出血の退院後も、以下6つの後遺症がみられる可能性があります。 手足が動かしにくい 触覚が鈍くなる 食べ物が飲み込みにくくなる 視野が狭くなる うまく話せない 最近の出来事を思い出せない 出血部位や出血量、合併症の有無などによって重症度は変わります。軽度の場合は発症前と同じ生活が可能となる一方で、重度では日常生活に大きな支障をきたすリスクがあります。 くも膜下出血の詳細は以下の記事でも解説していますので、参考にしてください。 くも膜下出血の退院後も定期的な治療で再発を予防しよう くも膜下出血の退院後には、定期的なリハビリや血圧管理、生活習慣を整えることが大切です。退院後も定期受診は欠かさず、体調変化があればすぐに受診するようにしましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、元々人体にある幹細胞を利用した再生医療による治療を行っております。気になる方はメール相談もしくはオンラインカウンセリングにてお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 再生医療による脳卒中の治療について気になる方は、下記のぺージをご覧ください。 くも膜下出血の退院後によくあるQ&A くも膜下出血で退院後の仕事復帰はできる? 社会復帰できる確率は半分以下と言われています。 社会復帰ができても、くも膜下出血の発症から数カ月かかる可能性もあるでしょう。その後の経過は重症度によって異なるため、早期発見が大切です。 軽症のうちに治療を行うと、仕事復帰できる可能性は高まります。 くも膜下出血の生存率は? 5年生存は、およそ55%程度と報告があります。(文献3)ただし、意識不明な状態で緊急搬送された人よりも、軽度の段階で自ら受診した人の方が生存率が高い傾向があるため、早期発見が大切です。 くも膜下出血後の食事で避けた方が良い食べ物は? くも膜下出血後に避けた方が良い食べ物は、以下の成分が多く含まれた食べ物です。 多量摂取を避けた方が良い成分 食品例 リスク 塩分 たらこ ウインナー 血圧上昇 飽和脂肪酸・トランス脂肪酸 バター インスタント食品 動脈硬化 糖質(炭水化物) スナック菓子 菓子パン 動脈硬化 常に摂取しており完全に控えるのが難しい場合は、食べる頻度を減らすことからはじめましょう。 参考文献一覧 文献1 四條克倫. 脳卒中ガイドライン2021(改訂2023). 日本医誌. 2023, 82(6), p325-332 文献2 高血圧治療ガイドライン2019作成委員会, 高血圧治療ガイドライン2019, ライフサイエンス出版株式会社, 2019,p281 文献3 今井明 鈴木ひろみ 渡辺晃紀 梅山典子 塚田三夫 中村勤 松崎圭一 加藤開一郎 冨保 和宏. 脳卒中患者の生命予後と死因の 5 年間にわたる観察研究:栃木県の調査結果とアメリカの報告との比較. 脳卒中. 2010,32,p572–578.
2022.11.30 -
- 脳梗塞
- 脳卒中
- 頭部
脳梗塞は中高年から発症する確率が高くなります。しかし、10代や20代といった若い世代が発症する「若年性脳梗塞」も報告されています。 つまり、脳梗塞の要因は加齢だけではありません。脳梗塞は生活習慣の乱れも影響しているため、生活習慣の見直しが脳梗塞の予防に有効といえます。 本記事では脳梗塞になりやすい年齢を詳しく解説します。年齢以外の脳梗塞を発症する原因も紹介しているので、脳梗塞の原因を理解し予防に努めたい方はぜひ最後までご覧ください。 脳梗塞における年齢別の発症率【男女の割合】 脳梗塞の発症リスクが高まるのは、中年以降から高齢期にかけてです。 以下のグラフは、日本脳卒中データバンクの報告書に掲載されている、男女別の脳梗塞発症時年齢を示したものです。 出典:日本脳卒中データバンク|「脳卒中レジストリを用いた我が国の脳卒中診療実態の把握」報告書 2023 年(発症時年齢・脳梗塞) 男性の発症時年齢は75歳前後に集中しているのがわかります。一方で女性の発症時年齢の中央値は82歳でした。この調査結果からは女性の方が男性よりも発症時年齢が高いことが示されています。 脳梗塞を発症すると運動麻痺や感覚障害といった後遺症が出る可能性があります。早期発見・早期治療により後遺症を最小限に抑えられる場合もあるので、脳梗塞の初期症状が見られたら早めに病院を受診しましょう。 脳梗塞の初期症状は以下の記事で確認できます。チェックリストになっているので、ご自身の健康管理にお役立てください。 脳梗塞の有効な治療法の1つに「再生医療」があります。 これまで一度死んだ脳細胞は戻らないとされてきました。しかし、再生医療は脳細胞を復活させ、脳梗塞を含む脳卒中の後遺症を改善できることがわかってきたのです。 詳しい治療法や効果が知りたい方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 脳梗塞の発症原因は年齢? 脳梗塞の発症原因は加齢だけではありません。血管に負担がかかる高血圧も脳梗塞を発症する原因の1つです。高血圧は以下のような生活習慣が原因で引き起こされます。 【脳梗塞リスクを高める生活習慣】 喫煙 大量飲酒 過剰な塩分摂取 慢性的な運動不足 日々の過剰なストレス 高血圧は動脈硬化(動脈が硬くなり柔軟性を失った状態)を引き起こします。動脈硬化もまた脳梗塞を発症させる要因であるため、生活習慣の改善が脳梗塞の予防において不可欠だといえるでしょう。 以下の記事では脳梗塞の原因や種類を解説しています。主な合併症も紹介しているので、脳梗塞への理解を深めたい方はぜひ参考にしてみてください。 女性が脳梗塞になりやすい2つの要因【高い年齢層はとくに注意】 一般的に、脳梗塞は男性に発症数が多い一方で、女性の方が少ないといわれています。ただし、女性の脳梗塞患者は男性に比べて高齢で発症するケースが多いのが特徴です。 ここでは、女性が脳梗塞になりやすい2つの要因を解説します。 女性ホルモン「エストロゲン」 不整脈 順番に見ていきましょう。 女性ホルモン「エストロゲン」 エストロゲンは、女性ホルモンの1つで、血管や骨の健康を保つ働きがあります。しかし、更年期(50歳前後)になるとエストロゲンの分泌が急激に減少し、血管を守る効果が弱まります。 その結果、血管がダメージを受けやすくなり、脳梗塞の発症リスクが大きく高まるのです。 不整脈 中年期から高齢の女性は、男性よりも不整脈を起こしやすいとされています。不整脈の一種である心房細動は、脳梗塞のリスクを5倍程度高める要因として知られています。 心房細動は、心臓から血栓(血のかたまり)が飛んで血管を詰まらせる「心原性脳塞栓症」の大きな原因です。このタイプの脳梗塞を発症する患者の約70%が、心房細動を伴っています。 心房細動の発生率は男性が女性の約3倍高いと報告されていますが、脳梗塞に発展しやすい点では、女性のほうが男性よりもリスクが高い傾向が見られます。 若年性脳梗塞は10代や20代など若い年齢で発症するケースもある くりかえしですが、脳梗塞は中高年から高齢期にかけて発症リスクが増加します。しかし「若年性脳梗塞」といって、10代や20代での若い年齢で脳梗塞を発症する場合もあります。 記事冒頭で掲載した脳梗塞の男女別における発症時年齢を示したグラフをもう1度見てみましょう。実際に10代から脳梗塞を発症しているケースがあることがわかります。 出典:日本脳卒中データバンク|「脳卒中レジストリを用いた我が国の脳卒中診療実態の把握」報告書 2023 年(発症時年齢・脳梗塞) 発症原因は中高年や高齢者と同様に、塩分の高い食事や過度な飲酒、喫煙などの生活習慣の乱れが大きな要因となります。そのため若年性脳梗塞の予防には生活習慣の改善が効果的です。 以下の記事では、若年性脳梗塞について詳しく解説しています。理解を深めたい方はぜひあわせてご覧ください。 まとめ|脳梗塞になりやすい年齢を知って予防に役立てよう 脳梗塞は高齢者に多く見られますが、不規則な生活習慣の影響で若い人にも発症する可能性があります。そのため、日頃から健康的な生活を心がけ、脳梗塞の予防に努めましょう。 女性の場合は、エストロゲン(女性ホルモン)の働きが加齢で弱まる閉経後に、脳梗塞のリスクが高まります。女性特有のホルモンバランスの変化により、更年期以降はとくに注意が必要であると覚えておきましょう。 脳梗塞の治療には「再生医療」が有効です。 再生医療は人間の自然治癒力を活用した最新の医療技術で、身体機能(後遺症)の回復や脳卒中における再発予防の効果が期待できます。 具体的な治療方法が気になる方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/
2022.11.28 -
- 脳卒中
- 頭部
- くも膜下出血
くも膜下出血とは、脳と周囲の膜との間の空間(くも膜下腔)で出血が伴う病気です。 くも膜下出血は女性の方がなりやすい傾向にあり、発症率は男性のおよそ2倍との報告もあります。発症原因には、女性ホルモンの減少や、育児・家事と仕事の両立といったストレスが大きく関係しているとされています。 本記事では、くも膜下出血の性別による発症率の違いを詳しく解説します。女性特有の発症原因や予防法も紹介しているので、くも膜下出血と女性の関係性を知りたい方はぜひ参考にしてみてください。 女性のくも膜下出血の発症率は男性の2倍【20代・30代の若さで発症するケースも】 くも膜下出血の男女別における発症率は、男性よりも女性のほうが高い傾向にあります。比率としてはおよそ2倍であると示す報告書もあります。(文献1) 女性のくも膜下出血の発症年齢も見ていきましょう。 以下のグラフは、日本脳卒中データバンクの報告書に掲載されている、男女別のくも膜下出血の発症時年齢を示したものです。 出典:日本脳卒中データバンク|「脳卒中レジストリを用いた我が国の脳卒中診療実態の把握」報告書2023年(発症時年齢・脳梗塞) 女性がくも膜下出血を発症する年齢は、50〜70代に多く、ピークは70歳後半です。一方で男性のピークは50歳代で、女性のほうが発症年齢が高い傾向にあります。 また、男女問わずですが、くも膜下出血は20代・30代の若さで発症するケースもあります。(文献2) くも膜下出血の有効な治療法の1つに「再生医療」があります。 これまで一度死んだ脳細胞は戻らないとされてきました。しかし、再生医療は脳細胞を復活させ、くも膜下出血を含む脳卒中の後遺症を改善できることがわかってきたのです。 詳しい治療法や効果が知りたい方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 くも膜下出血における女性特有の2つの原因 ここでは、くも膜下出血を発症する女性特有の原因を解説します。 主な原因は以下の2つです。 女性ホルモンが減少するから ストレスがかかりやすい生活環境にいるから 順番に見ていきましょう。 なお、くも膜出血は脳疾患の中でも症状が重いと言われており、早期の治療が大切です。以下の記事では、くも膜下出血の10年後の生存率や治療法について解説しているので、詳細が気になる方はぜひあわせてご覧ください。 女性ホルモンが減少するから くも膜下出血のにおける女性特有の要因は、女性ホルモン(エストロゲン)の減少です。 とくにエストロゲンという女性ホルモンは、血管を健康に保つ働きがあります。しかし、女性は年齢とともに閉経を迎え、50歳以上になるとエストロゲンの分泌量が大幅に減少します。エストロゲンが減ると、血管を保護する力が弱まり、血管が傷つきやすくなるのです。 結果として、動脈瘤と呼ばれるこぶのようなものが血管にできやすくなり、それが破裂することでくも膜下出血が起こるリスクが高まります。(文献3) ストレスがかかりやすい生活環境にいるから ストレスには、血圧を上昇させたり、血管を傷つけたりする作用があります。くも膜下出血の原因の1つは高血圧であるため、慢性的なストレスは発症率を高める可能性があります。(文献4) 現代社会において女性は、仕事と家庭の両立で多重役割によるストレスを抱えやすい立場にいるといえるでしょう。このような状況が、女性のくも膜下出血発症率の上昇につながっているとも考えられます。 なお、くも膜下出血の前兆には首の痛みがあります。以下の記事では、具体的な症状を解説しているので、早期発見の知識を深めたい方はぜひあわせてご覧ください。 男女共通のくも膜下出血の原因 くも膜下出血の原因は複数ありますが、とくに気をつけたいのが高血圧です。血圧が高い状態が続くと、血管に負担がかかり破裂しやすくなるためです。 そのほかにも、くも膜下出血の可能性を高めるリスク要因には以下のようなものがあります。 喫煙 動脈瘤の家族歴 多発性嚢胞腎の病歴 過度のアルコール飲酒歴 以前に破裂した脳動脈瘤の病歴 ワーファリンなどの血液希釈剤の使用 脳または体の他の場所にある未破裂の動脈瘤 線維筋性異形成(FMD)などの結合組織状態 くも膜下出血を予防するには、日頃から血圧管理を心がけ、定期的に健康診断を受ける意識が大切です。 【女性必見】くも膜下出血に対する5つの予防法 原因を把握したあとは、くも膜下出血の予防法について解説します。 女性に焦点を当てた内容となっていますが、男性にも該当する予防法が含まれます。 女性ホルモンのバランスを整える ストレスケアをおこなう 定期的に運動する コーヒーを含むカフェインを飲みすぎないようにする 禁煙する 順番に見ていきましょう。 女性ホルモンのバランスを整える 女性ホルモン(エストロゲン)は血管の健康維持に不可欠です。ホルモンバランスが崩れると、血管が弱くなり、くも膜下出血のリスクが高まります。 以下は、女性ホルモンのバランスを整えるために有効な方法です。 適度な運動 十分な睡眠時間の確保 栄養バランスの良い食事 食事の際は、大豆製品やイソフラボンを含む食品を積極的に食べるのが良いとされています。これらには女性ホルモンに似た成分が含まれており、ホルモンバランスの改善に役立ちます。 ストレスケアをおこなう ストレスは、血管を傷つけ、くも膜下出血のリスクを高める要因の1つです。そのため、ストレスケアがくも膜下出血の予防につながります。 以下は、ストレスケアに有効な取り組みです。 十分な睡眠 適度な運動 趣味の時間に没頭 ヨガ・ストレッチ 自分に合ったストレスケア方法を見つけ、日常的に実践していきましょう。 定期的に運動する 運動を習慣化すれば血圧の安定化が期待でき、くも膜下出血の予防にもつながります。 以下は、無理なくはじめられる運動メニューです。 ストレッチや体操 軽い筋力トレーニング 家庭菜園やガーデニングなどの日常活動 早歩きやサイクリングなどの有酸素運動 運動には血圧の安定化とストレス解消の二重効果があります。無理のない範囲で継続的に体を動かして、健康的な血圧水準を維持しましょう。 コーヒーを含むカフェインを飲みすぎないようにする カフェインの過剰摂取は血圧上昇を引き起こします。以下は、カフェインを含む飲み物なので、飲みすぎないようにしましょう。 紅茶 コーラ コーヒー エナジードリンク 適度な量であれば、大きな問題はありません。コーヒーの場合は1日4杯以上飲むと、血圧が上昇する可能性があるといわれているので、3杯を目安に抑えるのが良いでしょう。 禁煙する たばこの煙には、血管を傷つけたり、狭くしたりする有害な物質が含まれています。そのため、喫煙の習慣があると、くも膜下出血のリスクを高めてしまいます。 禁煙を考えている方は、以下のような手段でタバコを吸う機会を減らしてみてください。 禁煙外来の利用 ニコチンガムの活用 ニコチンパッチの使用 禁煙イベントの参加 タバコを吸うとくも膜下出血の発症リスクが高まるだけでなく、肺がんや心疾患といった別の病気を引き起こす原因になります。健康的な生活を送るためにも、タバコを断つ努力をするのが良いでしょう。 まとめ|くも膜下出血における女性特有の原因を知って予防に努めよう くも膜下出血は、女性の方が男性よりもなりやすい病気です。女性ホルモンの低下や育児・家事といった女性ならではのストレスなど、性別特有の要因でくも膜下出血を発症するケースもあります。 そのほかにも、くも膜下出血の原因には、カフェインの過剰摂取や運動不足、喫煙などの生活習慣が大きく関係しています。 くも膜下出血の発症リスクを軽減させるためにも、男女問わず、生活習慣の改善と定期的な健康診断を心がけましょう。とくに女性はホルモンバランスが崩れやすい更年期以降、より意識的な健康管理が必要です。 なお、くも膜下出血の治療には「再生医療」が有効です。 再生医療は人間の自然治癒力を活用した最新の医療技術で、身体機能(後遺症)の回復や脳卒中における再発予防の効果が期待できます。 具体的な治療方法が気になる方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 【参考文献】 文献1:https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/nou2009_04.pdf 文献2:https://www.jstage.jst.go.jp/article/scs/38/3/38_3_186/_pdf 文献3:出典|国立医学図書館https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16381192/ Jamous MA, Nagahiro S, Kitazato KT, Tamura T, Kuwayama K, Satoh K. Role of estrogen deficiency in the formation and progression of cerebral aneurysms. Part II: experimental study of the effects of hormone replacement therapy in rats. J Neurosurg. 2005 Dec;103(6):1052-7. doi: 10.3171/jns.2005.103.6.1052. PMID: 16381192. 文献4:https://www.jstage.jst.go.jp/article/joh1995/37/3/37_3_169/_pdf
2022.11.23 -
- 脳卒中
- 頭部
- くも膜下出血
くも膜下出血は、脳を覆う薄い組織との間の領域で起こる出血です。突然起こる激しい頭痛で気づくことの多い病気ですが、首の痛みを伴う頭痛としても知られています。 「最近首の後ろが痛いけど原因がわからない」「痛みが引かなくて不安だ」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。 そこで本記事は、くも膜下出血の前兆として引き起こす首の痛みについて紹介します。 【くも膜下出血の前兆】首の痛みを伴う頭痛は要注意! 頭痛を伴う首の痛みは、くも膜下出血の代表的な前兆症状のひとつです。 ただし、首の痛みが必ずしも膜下出血につながるわけではなく、髄膜炎と呼ばれる病気を発症した際も似たような症状が現れます。 くも膜下出血の主な前兆 髄膜炎の主な前兆 首裏付近の痛み及び頭痛 血圧の乱れ 視覚の異常 めまい・吐き気 首裏付近の痛み及び頭痛 発熱・発疹 肩こり 活気の低下 上記の特徴をもとに区別する必要がありますが、いずれにせよ頭痛を伴う首の痛みは要注意であることは確かです。少しでも不安な方は最寄りの医療機関にご相談ください。 髄膜炎との区別にはMRI検査が重要 前兆(症状)だけでは自己判断が難しいため、精密な検査を実施し病院で詳しく調べてもらう必要があります。 精密検査の代表格であるMRI検査では、脳内の出血を検出できます。また、血管に造影剤を注入して動脈と静脈の流れを詳細に表示 (造影MRI検査)し、血流に注力した検査も可能です。 CT検査では見抜きにくい「くも膜下出血の徴候」をいち早く見つけることができます。 くも膜下出血とは? そもそもくも膜下出血とは、くも膜下腔(くも膜と脳を取り囲む軟膜間の領域) への出血です。 主な前兆としては、急速に発症する重度の頭痛・嘔吐・意識レベルの低下・発熱時の発作が挙げられます。 くも膜下出血の症状 くも膜下出血の典型的な症状は、頭を蹴られたような激しい頭痛で、数秒から数分かけて発症します。後頭部付近に発症する特徴をもち、吐き気や嘔吐を伴う場合もあります。 首の凝りや首の痛みを伴う頭痛も代表的な前兆症状であることから、早めの行動が重要です。 首の痛みを伴う頭痛があるときの行動と対処法 首の痛みとくも膜下出血の関係性について解説したところで、この項目では発症後の行動と対策について紹介します。 くも膜下出血の悪化や早期発見につながるため、発症後は以下の事項を厳守しましょう。 誘発の恐れのある行動は避ける 首の痛みを伴う頭痛がある場合はくも膜下出血を常に疑い、出血を誘発するような行動は避けましょう。 以下の行動は、くも膜下出血を誘発する恐れがあります。 速やかに病院を受診する くも膜下出血の症状は状況によって緊急度は異なる場合もあります。 雷鳴のような頭痛があるなど、以下のような症状が発症した場合は大変危険です。すぐに最寄りの病院に行きましょう。 その他、くも膜下出血の発症から 6 時間後に現れる頸部硬直や、瞳孔の散大などの症状発症は緊急を要します。 身近にいる方は速やかに119番通報を心がけましょう。 まとめ|くも膜下出血の前兆をいち早く察知しよう くも膜下出血は非常に危険であり、突然発生した首の痛みを伴う頭痛は前兆とされているため注意が必要です。。 また、緊急を要する病気であるため、発症後の迅速な診察と治療が必要となります。前兆を含む典型的な症状、くわえて対処法を知っておくことが重要です。 首の痛みを伴う慢性的な頭痛にあっては、当クリニックにご相談いただくことも可能です。お気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 膜下出血と首の痛みに関するQ&A 最後に、首の痛みを伴う場合のくも膜下出血に関するよくある質問についてQ&Aでまとめました。首の痛みにお悩みの方や不安を抱く方は、ぜひ参考にしてみてください。 くも膜下出血で首が痛くなるのはなぜ? 頭の中に出血が発生することで、頭の中の圧力が上がり、これによって脳が圧迫されて痛みが出ます。 首の痛みがある場合はどのように他の病気と区別する? 他の原因に心当たりがなく、首の凝りと激しい頭痛を経験した場合、くも膜下出血の兆候である可能性があります。 また、病院受診時のCT検査やMRI検査により他の病気と区別します。 CT検査は、脳をめぐる周りの血管の検出と、付随する脳の異常を特定します。さらに、出血の原因を明らかにするために造影剤を用いることにより、詳しく検査が可能です。 さらにMRI検査は頭の内部の詳細な画像として出力し、出血やその他の血管の異常問題を特定します。 くも膜下出血の前兆を感じたときは何科を受診すべき? くも膜下出血を疑う際は、脳神経外科や脳神経内科を受診しましょう。 緊急度の高い病気であるため前兆の段階であっても、予約なしでもすぐに受診ができる救急外来に対応した病院を探すべきです。 また、受診先がすぐに見つからない場合は救急車を呼ぶのも手段のひとつです。
2022.11.21 -
- 脳卒中
- 頭部
- くも膜下出血
くも膜下出血は予後が悪い病気というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。 一度発症すると、その後の生活や生存率についての不安が絶えず、「10年持つのだろうか」と考えることもあるかもしれません。 結論からいえば、くも膜下出血における10年後の生存率について明確なデータはありませんが、5年生存率は55%前後といわれています。 生存率は年齢や出血量などの要因で変わりますが、早期かつ適切な治療で改善が期待できるでしょう。 本記事では、くも膜下出血の生存率についてや予後を左右する要因などについて詳しく解説しています。 くも膜下出血の治療を検討する際の参考になれれば幸いです。 くも膜下出血の10年後の生存率は「重症度・治療の早さ」によって変わる くも膜下出血の主な原因は、脳動脈瘤(脳血管が膨らんだ状態)です。(文献1) その生存率は重症度と診断および治療の早さによって変わる傾向があり、統計では、以下のデータが報告されています。(文献2)(文献3) 初回のくも膜下出血出血で約35%が死亡 その後数週間以内に15%が再破裂で死亡 6カ月以降は年間約3%の割合で再破裂のリスクあり くも膜下出血の10年生存率は不明ですが、5年生存率は55%前後といわれており、生存率は年々改善傾向です。(文献4) くも膜下出血の予後を左右する4つの要因【10年後以降にもかかわる】 くも膜下出血の予後は、以下4つの要因により左右されます。 発症時の年齢 出血の場所と量 発症から治療までの時間 合併症の有無 本章を参考に、くも膜下出血の予後の改善に役立ててください。 発症時の年齢 くも膜下出血になる年齢が高いほど、予後が悪化しやすくなります。年齢を重ねるにつれ、高血圧や糖尿病などの病気によって動脈硬化が進行するためです。 その結果、出血時に止血しても回復しにくくなり、再出血の可能性が高まります。 首の後ろの痛みを伴う激しい頭痛は、くも膜下出血の前兆の可能性があるため注意が必要です。気になる方は下記の記事も参考にしてください。 また、当院「リペアセルクリニック」では高齢の患者様にも可能なくも膜下出血の治療方法を提案しています。 もしすでに違和感があるなら、悩まず当院の「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 出血の場所と量 出血量が多いほど脳が圧迫されるため、重症になり予後が悪くなります。 くも膜下出血が起こりやすい脳の部位は、脳血管が枝わかれする場所です。(文献5)脳血管が枝わかれする場所は、血管の壁が弱いため脳動脈瘤になりやすい傾向があります。 出血量が多く意識障害がある場合は、予後も不良になる可能性が高くなります。そのため、発症から早めの治療が重要です。 発症から治療までの時間 くも膜下出血の治療は、いかに早期発見をしてすぐに処置できるかが大切です。出血してから72時間以内に外科的治療を行うと、それ以降に治療を行ったときよりもその後の入院期間の短縮や予後が良好になるというデータがあります。(文献6) くも膜下出血でよくある初期症状は以下の3つです。(文献7) 顔が下がって動かない 腕の力が入らない ろれつが回らない これらの症状がみられたら、すぐに救急車を呼びましょう。 合併症の有無 以下のような合併症の有無も、くも膜下出血の予後に深くかかわります。(文献3) 再出血:脳出血が再発し、死亡率が高まる 脳血管れん縮:脳血管の収縮により血流が悪くなり、脳梗塞のリスクが高まる 水頭症:脳脊髄液の流れが悪くなり、歩行困難や認知症のリスクが高まる くも膜下出血の発症後は、上記のような合併症を防ぐ治療が大切です。 くも膜下出血の予後を改善するには「再出血の予防」と「適切な治療・リハビリ」が重要 くも膜下出血は、再出血を起こすと高確率で予後が悪化するため、血圧の管理や定期的な検査など、予防に努めることが重要です。 また、くも膜下出血発症後は、外科的治療とリハビリを組み合わせることで予後の改善が期待できます。主治医と相談の上、適切な治療・リハビリを続けましょう。 くも膜下出血の再発についての記事はこちら くも膜下出血のリハビリについての記事はこちら まとめ|適切な治療によりくも膜下出血の予後の改善を目指そう くも膜下出血は、依然として予後の悪い病気であり、早期の診断と治療次第では、重度の後遺症を残してしまいます。 早期の適切な治療を受けて、リハビリを行えば予後の改善が期待できます。今回の記事を参考にして、改めて予後や改善策に関して学んでおきましょう。 当院「リペアクリニック」では、人体にもともとある「幹細胞」を利用した再生医療により、くも膜下出血後の治療が可能です。「メール」や「オンラインでの無料カウンセリング」も実施しているので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 くも膜下出血の予後や生存率についてよくある質問 くも膜下出血で意識不明で運ばれた場合の生存率はどのくらいですか? 意識不明で搬送された場合の生存率は低い傾向です。 生存しても日常生活に支障をきたすような重い後遺症が出る可能性もあるでしょう。そのため、早期の段階で前兆に気がつき適切な治療を受けることが重要です。 くも膜下出血で最も多い後遺症は? くも膜下出血では、以下のような後遺症がよくみられます。 手足が動かしにくい しびれや脱力感 上手く話せず、会話が困難 記憶障害 くも膜下出血の後遺症の詳細は、以下の記事を参考にしてください。 参考文献 文献1 上畑鉄之丞.脳動脈瘤の成因 とくも膜下出血発症の諸要因.日本循環器管理研究協議会雑誌.1998;33(1):25-29. 文献2 デニス・J・ ニューカンプ医学a d.nieuwkamp@umcutrecht.nl ∙ ラリッサ・E a ∙ アレ・ アルグラ、MD a,b ∙ フランシスカ HH リン、医学博士a,c ∙ ニコリエン・K・ デ・ロイ、a ∙ ガブリエル・J・E .Changes in case fatality of aneurysmal subarachnoid haemorrhage over time, according to age, sex, and region: a meta-analysis. Fast track.2009. Volume 8. Issue 7.p635-642 文献3 Andrei V. Alexandrov, MD, The University of Tennessee Health Science Center;Balaji Krishnaiah, MD, The University of Tennessee Health Science Center.くも膜下出血 (SAH).MSDマニュアルプロフェッショナル版.2023年 7月改訂, 2024年10月21日. 文献4 今井明,鈴木ひろみ,渡辺晃紀,梅山典子,塚田三夫,中村勤,松崎圭一,加藤開一郎,冨保和宏.脳卒中患者の生命予後と死因の5年間にわたる観察研究: 栃木県の調査結果とアメリカの報告との比較. 第35回日本脳卒中学会 シンポジウム2. 2010年, 32巻,6号, P572-578. 文献5 上畑鉄之丞.脳動脈瘤の成因とくも膜下出血発症の諸要因.日循協誌. 1998年.第33巻.第1号.P25-29. 文献6 脳卒中合同ガイドライン委員会. 第4章くも膜下出血. 脳卒中治療ガイドライン2009.2009.P182-213.pdf 文献7 日本脳卒中協会.読んで学ぶ脳卒中. 脳卒中の予防と患者・家族の支援を目指して 公益社団法人日本脳卒中協会. 2018年3月19日更新.2024年10月21日.
2022.11.18 -
- 脳卒中
- 脳梗塞
- 頭部
脳梗塞患者の家族は、どうやって看護したら良いのだろう。 脳梗塞の看護のポイントについて知りたい。 この記事を読んでいるあなたは、家族や親戚が脳梗塞になり、どのように看護すれば良いか不安を抱いているのではないでしょうか。 「どのような経過になるのかを知りたい」と思っているかもしれません。 脳梗塞は早期に治療を受けても後遺症が出る場合があり、入院中から退院後まで継続的な看護が必要です。 本記事では、脳梗塞患者を看護する際のポイントについて、詳しく説明します。記事を最後まで読めば、脳梗塞の経過と必要な看護がわかり、今後の生活に向けた準備を始められるでしょう。 脳梗塞患者の家族が看護で注意すべきポイント【看護計画】 脳梗塞の看護は、急性期、回復期、慢性期の各段階で注意すべきポイントが異なります。 多くの脳梗塞患者は入院が必要で、とくに発症直後は集中治療室(ICU)での治療やケアが必要になるケースは珍しくありません。 脳梗塞の症状は急速に変化する可能性があり、迅速な処置が必要なためです。 さらに、脳梗塞の治療は長期化するケースも多く、看護師は身体的、心理社会的の両面について患者ケアを行います。 脳梗塞の種類や合併症については、以下の記事も参考にしてください。 発症直後 脳梗塞の発症直後は全身状態が悪く、脳梗塞の拡大や再出血などの急変リスクも高い時期です。 まずは医師・看護師などがチームとなって脳に詰まった血栓を溶かす治療(t-PA療法)や血栓を取り除くカテーテル治療(血栓回収療法)などを行います。 t-PA療法は、脳浮腫や血管の圧力増加による意識障害などの合併症が起こりやすいため、意識レベル、呼吸、循環動態のチェックが欠かせません。 さらに誤嚥予防の処置や体位の調整、けいれんが起きていないかの観察など、看護計画に基づいた慎重な看護を行います。 脳梗塞の治療については、以下の記事も参考にしてください。 急性期 発症直後を含めた「急性期」の看護でチェックする主なポイントは、以下のとおりです。 意識レベル(応答性、話す能力、見当識の変化など) 呼吸と循環の管理 血圧管理 体温管理 排尿管理 皮膚の状態 出血管理 意識レベルの確認には、「目を開けるか」「意識ははっきりしているか」「痛みに反応するか」「身体を動かせるか」などをチェックする以下の指標がよく使われます。 JCS(ジャパン・コーマ・スケール):日本で使用されている意識障害の評価方法 GCS(グラスゴー・コーマ・スケール):世界で広く使用されている意識障害の評価方法 寝たきりの時期が長くなると、筋肉の退化や誤嚥性肺炎、床ずれなどのリスクが上昇します。 そのため、十分なリスク管理のもとに、寝返り、座位、セルフケア訓練など、自分で身体を動かすためのリハビリをできるだけ早くから開始します。(文献1) また、脳梗塞は麻痺や失語などの後遺症が出やすいため、症状や今後の生活に関するメンタルケアも重要です。 脳卒中の治療やリハビリについての見通しは、以下の記事も参考にしてください。 回復期 「回復期」とは、全身状態や血圧などが安定する時期です。 引き続き全身管理を行いながら、日常生活動作を取り戻すためのリハビリや看護を行います。 回復期の看護のポイントは、以下のとおりです。 感覚と知覚(痛みと温度の認識が低下しているため) 栄養機能 : 嚥下、栄養と水分補給の状態 皮膚の状態、褥瘡対策 排尿機能 運動機能(上肢および下肢の動き) 精神状態 (記憶、注意力、知覚、感情、発話/言語など) 脳梗塞で失われた脳細胞は、基本的には元に戻らないといわれています。しかし、治療やリハビリをすると脳のほかの部分が失った機能の代わりを果たすようになるため、身体が動くようになるのです。(文献2) 本章の内容をもとに、回復期の看護を理解しておきましょう。 脳梗塞後のリハビリについては、以下の記事で説明しています。 1.栄養機能管理 栄養機能管理の看護では、以下のポイントをよく観察します。 咳の状態 口の片側に食物が溜まっていないか 液体を飲み込むときの逆流がないか また、言語聴覚士による飲み込み機能の評価を受けた上で、少量の小さな食物や水分を摂取するよう促します。 口からの摂取が不十分な場合は、チューブを介した経腸栄養の準備をします。 2.排尿管理 筋肉の制御が失われている間は自分の意思で排尿を管理できないため、医師・看護師が尿道にカテーテルを挿入し、人工的に排尿させます。 また、十分な水分(1日2〜3L)を与えて、規則正しい時間(朝食後)にトイレをするよう促します。 3.皮膚の状態と褥瘡管理 皮膚の状態が悪くなっていないかは、頻繁に評価します。 清潔で乾燥した状態に保った皮膚をやさしくマッサージし、皮膚の健康を維持します。 また、自分で身体を動かせないと、褥瘡(じょくそう:体重で圧迫されている部分の血流が悪くなり、皮膚がただれたり傷ができたりすること)のリスクが高い状態です。 ひどくなると傷から細菌が入って化膿して腫れる可能性があるため、1日数回(2時間ごと)身体の位置を変更して褥瘡を予防します。 4.運動機能の改善 意識が回復したら、積極的なリハビリテーションプログラム(以下リハビリ)を開始します。脳梗塞後のリハビリは、長時間のものを1回行うのではなく、短時間のものを複数回行います。 リハビリの目的は、以下のとおりです。 関節の可動性を維持する 運動機能を回復する 麻痺した四肢の拘縮を予防する 神経筋系のさらなる悪化を予防する リハビリ中の患者サポートも、重要な看護です。 看護では、肺塞栓や過剰な心臓負荷の徴候 (息切れ、胸の痛み、チアノーゼ、脈拍数の増加など)が起きていないかも観察します。 慢性期 「慢性期」は、退院に向けての準備が本格化します。そのため、患者の全身管理や健康維持に加えて以下の点を重視した看護を行います。 退院後の日常生活の支援(家族への説明) 心理的なケア 退院後、ご家族の協力のもとに患者が自宅で達成可能な目標を計画します。 医師や看護師は、不安を和らげるためにていねいな説明や感情的なサポートを行います。不安や気になる点があれば、遠慮なく聞いてみてください。 脳梗塞の看護でご家族が果たすこと 退院後は、ご家族による食事や運動などの生活支援・リハビリのサポート・服薬管理などの看護が必要です。 脳梗塞は、脳のダメージを受けた部位によって起こる症状や後遺症が異なり、約半数の人に後遺症が出るといわれています。再発もしやすく、10年再発率は49.7%というデータもあります。(文献3) ダメージを受けた部分と、起こる後遺症の例は以下のとおりです。 前頭葉:人格や性格が変化する 頭頂葉:体が動かなくなる(麻痺) 後頭葉:視野の半分が欠ける(半盲ともいう) 側頭葉:学習、記憶障害が起こる また、脳梗塞をはじめとする脳卒中のあとは、認知症になる人も珍しくありません。医療機関や介護サービスの手を借りながら、再発や後遺症を予防・軽減していきましょう。 脳梗塞の再発をコントロールする方法は、以下の記事で説明しています。 まとめ|脳梗塞の後は適切な看護が大切 本記事では、脳梗塞後に必要な看護について詳しく解説しました。 脳梗塞では、経過ごとに必要な看護が異なります。ご家族が中心となって看護するのは退院後で、日常生活の支援やリハビリなどが主な役割です。 心理的な問題は時間の経過によって解決するケースが多いのですが、不安な点は医師や看護師に質問し、解決しておきましょう。 脳梗塞の看護のよくある質問 脳梗塞のあとなぜ血圧が上がるのですか。 脳梗塞では、血流の低下によって脳がむくみます。 生じたむくみによって脳の血管が圧迫されると、結果的に血圧が高くなるのです。 脳梗塞のときはベッド上での安静が必要ですか。 脳梗塞の発症直後は、ベッド上での安静が基本です。 頭を上げたり、立ち上がったりすると血圧が下がり全身状態が悪くなるため、基本的には安静にします。 しかし近年は、状態が落ち着き次第、早めからリハビリを開始するのが一般的です。 脳梗塞はどのくらいで退院できますか。 症状や年齢によって異なりますが、平均的には2~3カ月ほどで退院するケースが多くみられます。 どのような症状が出たら脳梗塞の再発を疑えば良いですか。 以下の症状が出た際は脳梗塞の再発を疑い、救急車を呼びましょう。 手足の麻痺やしびれ ろれつが回らない 言葉が出てこない 視野が欠ける めまいがひどい 意識を失う 脳梗塞は再発しやすいため、患者の様子をよく観察し、気になる症状が出たらすぐに受診しましょう。 脳梗塞の前兆については、以下の記事を参考にしてください。 参考文献一覧 文献1 脳卒中治療ガイドライン2021における リハビリテーション領域の動向 理学療法科学 37(1):129–141, 2022 文献2 脳の可塑性(基礎の立場から) ―サルを使った大脳運動野の破壊後の回復に関する研究,認知神経科学Vol.7No.3 2005 文献3 Ten year recurrence after first ever stroke in a Japanese community: the Hisayama study J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2005 Mar;76(3):368-72. doi: 10.1136/jnnp.2004.038166.
2022.11.16