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変形性膝関節症の薬物療法!薬の種類と使用上の注意、悪化を防ぐポイント 変形性膝関節症の治療で、ご自分が服用している薬について詳しくご存知ですか? 変形性膝関節症の炎症や痛みに対して行われるのが「薬物療法」です。しかし薬物療法を実施している人の中には「自分がどんな薬を服用しているのだろうか」「薬だけで治るのだろうか」という疑問を持つ方もいらっしゃるはずです。 実際、薬物療法により炎症を抑え、痛みを緩和できますが、その種類によっては胃腸障害などの副作用が出ることもあり、注意が必要なこともあります。 ご自身の薬について、理解した上で服用したいものです。そこで今回、薬物療法で主に用いられる薬の種類と副作用「変形性膝関節症の悪化を防ぐために注意すべきポイント」を解説してまいります。 変形性膝関節症の薬物療法 膝に痛みがある場合、リハビリをはじめとした運動療法に加えて、膝に負担がかからないような生活習慣に変える必要があるのですが、それらを経ても痛みを感じ、改善しない、日常生活に支障がでたり、運動療法にも取り組めなくなった場合に薬物療法がその対象になります。 変形性膝関節症の薬物療法に使われる薬は、外用薬(塗り薬、貼り薬)、内服薬(飲み薬)、座薬があり、使用の際は副作用に気をつけながら使い分けねばなりません。 変形性膝関節症の薬物療法に使用する薬(炎症を抑える、痛みを抑える) ・外用薬:塗り薬、貼り薬 ・内服薬:飲み薬 ・座薬;外用薬 ※使用には、副作用に注意を要する 基本的には、外用薬・内服薬・座薬で炎症を抑え、炎症が落ち着いたらヒアルロン酸注射により膝の潤滑を高めます。膝の痛みを抑え、関節の動きを滑らかにすることで日常生活の負担を軽減し、積極的に運動療法に取り組みます。 変形性膝関節症の炎症や痛みに対して、まず初めに使われるのが「抗炎症作用がある湿布や塗り薬」です。効果がみられなければ、鎮痛作用のあるアセトアミノフェン、次に非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDS)、(ロキソニンという名前を聞けばご理解も早いと思います。)などが使われます。 また最初から非ステロイド性抗炎症薬が使われることもありますが、副作用に胃腸障害や消化管潰瘍の危険性が高まることから、長く使い続けることは避けるべきです。 非ステロイド性抗炎症薬でも効果がみられない場合は、鎮痛効果が強い医療用麻薬のオピオイド鎮痛薬が使われます。 変形性膝関節症治療で使用することが多い薬 変形性膝関節症の治療、薬物療法に際して用いられることが多い「薬の種類」について以下に記しました。薬ごとに特徴や副作用など、気を付けたい事柄を記しました。 アセトアミノフェン 抗炎症作用はありませんが、鎮痛効果があり、妊娠中にも使われることから比較的安全性が高いことが特徴です。しかし副作用がない訳ではありません。鎮痛薬は痛みがある時だけ使いましょう。 ・副作用: 肝障害、食欲不振、胃痛、消化器症状 ・商品名: アンビバ、カロナール、ピリナジンなど 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) よく知られている「ロキソニン」などもこの種類に含まれ、変形性膝関節症に多く使われるのが、この非ステロイド性抗炎症薬です。 非ステロイド性抗炎症薬は鎮痛効果や抗炎効果がありますが、長期間使用すると胃腸障害などを引き起こすことがあるため、注意が必要です。 非ステロイド性抗炎症薬の中には胃腸障害が起こりやすいもの、起こりにくいものがあり、胃腸や粘膜を保護する薬を一緒に飲む必要があります。 ・副作用: 胃腸障害、消化管潰瘍、気管支炎、肝障害、腎障害 ・商品名: ロキソニン、ボルタレン、ナボールSR、インテバンなど COX-2(コックスツー)阻害薬 非ステロイド性消炎鎮痛薬より、副作用が起こりにくいため、長期間の使用に向いています。ただし非ステロイド性消炎鎮痛薬に比べると、鎮痛効果がやや弱いもの特徴です。 ・副作用: 胃腸障害 ・商品名: セレコックス、モービック、ハイベン、オスペラックなど オピオイド鎮痛薬 非ステロイド性消炎鎮痛薬でも効果が見られない場合に使われます。オピオイド鎮痛薬は強い鎮痛効果がある医療用麻薬です。医療用麻薬と効くと怖いとイメージされる方もいますが、医師の指示のもと、正しく使用すれば安全に大きな効果が期待できます。 ・副作用: 便秘、吐き気、めまい、眠気 ・商品名: トラムセット、トラマール、ノルスパンテープなど 外用薬・内服薬・座薬の使い方と注意点 変形性膝関節症の炎症や痛みを抑える薬には、外用薬(塗り薬や貼り薬)、内服薬(飲み薬)、座薬(直腸から薬剤を吸収)があります。まずは外用薬を使い、十分な効果がみられない時には内服薬を使い、痛みがきつい時には即効性のある座薬が使われます。 どの薬を使うかは痛みの程度や、薬の扱いやすさを考慮して選択します。 担当医の説明をよく聞き、自分自身の生活習慣なども伝えて相談しながら進めましょう。副作用については薬局にて薬剤師からの説明を聞き理解して使用しましょう。異変があればスグに担当医や薬剤師に相談すべきです。 外用薬(湿布や塗り薬) ・手軽に使える点から、痛みに対して最初に処方されることが多い。 ・皮膚から吸収された成分が効率よく膝に運ばれ、重い副作用が起こりにくい反面、作用は穏やか。 ・強い痛みには適しません。 ・皮膚のかぶれに注意して使用すること。 内服薬(飲み薬) ・外用薬と同じように手軽に行える上、効果が高いことが特徴。 ・成分によっては副作用が出やすく、胃腸薬の併用が必要なことがある。 ・医師や薬剤師の説明に留意して服用しましょう。 座薬 ・即効性があり、強い痛みに有効。 ・重い副作用が出にくい特徴があるものの、慣れないと薬剤の挿入に時間がかかる。 ・しっかり挿入しないと効果がない。 変形性膝関節症の悪化を防ぐには!薬物療法に運動療法を組み合わせる ここまで変形性膝関節症の薬物療法について紹介してきました。薬を使うことで痛みを緩和させることができます。しかし「薬だけで膝の状態は良くなっていくか?」というと、そうではありません。 変形性膝関節症の治療の基本は運動療法です。運動療法により、膝周囲に筋力を鍛え関節を安定させます。しかし膝に痛みがあると、歩行や大腿四頭筋の筋力トレーニングにも支障が出ます。 痛みをかばい、膝を動かすことができなければ、筋力や関節の可動域はさらに低下し、変形性膝関節症は悪化します。 このような悪循環を止めるために薬物療法が用いられます。薬物療法により、膝の炎症や痛みを抑えますが、併せて運動療法に取り組むことが、変形性膝関節症の進行を遅らせることができます。 まとめ・変形性膝関節症の薬物療法!薬の種類と使用上の注意、悪化を防ぐポイント 変形性膝関節症の治療に用いる「薬物療法の薬の種類と注意点、悪化を防ぐポイント」を解説しました。薬は炎症や痛みを抑えますが、副作用を考慮し、痛みのある時だけ使い、予防的に飲むことは避けましょう。 また痛みが緩和すれば安心ではなく、基本は運動療法です。膝周囲のトレーニングにより変形性膝関節症の進行を遅らせることができます。 中には膝の痛みに対して、市販薬を服用される方もいるはずです。市販薬でも病院の処方薬と比べ、有効成分の含有量は少ないですが効果はあります。 しかし変形性膝関節症は進行する可能性があることから、市販薬で痛みを凌ぐだけでなく、膝の状態をできればMRIなどを使った正確な画像検査で診断を受け、患者様にあった薬を処方してくれる病院の受診をおすすめします。 ▼ 再生医療で変形性膝関節症を治療する 変形性膝関節症は、再生医療により薬に頼らず症状を改善することができます ▼治療法について、こちらもご参照ください 変形性膝関節症の治療法(薬物療法、保存療法、手術療法、理学療法、理学療法、再生医療)について
公開日:2024.10.07 -
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高位脛骨骨切り手術のメリットとデメリットを医師が解説します 変形性膝関節症の治療方法には、大きく分けて「保存療法」と、「手術療法」の2つがあります。 保存療法にはリハビリテーション、装具療法、薬物療法などがあり、これらを色々と組み合わせることで行われます。そして、手術という選択肢は保存療法で効果が得られない場合に検討することになります。 手術療法の中でも、特に「高位脛骨骨切り術」と呼ばれる手術は、O脚変形のために内側部(内側大腿から脛骨関節)に偏った過重なストレスを、自分の骨を切って少し角度を変える処置が施されるものです。 この手技によって、膝の内側部に過度の負担となっていた外力のベクトルを比較的きれいな軟骨の存在する外側部(外側大腿から脛骨関節)に移動させることが出来ます。 一般的には、手術を受けた結果として通常では脚の形はO脚からX脚に変化します。 この手術治療では、患者さんの膝関節が温存できますので、正座が引き続き可能であり、普段の生活はもとより、スポーツや、農業などの仕事へ復帰出来る方々も多くいらっしゃいます。 一方で、ある程度の入院期間が必要で術後に骨が癒合するまでの間、痛みが多少なりとも続くことや、膝関節部周囲の機能的な回復には、リハビリをしっかりと行うことが必要となってきます。 そこで今回は、高位脛骨骨切り術が適応となる症例や高位脛骨骨切り術について予後に後悔のないように、その利点、メリットとデメリットについて説明していきましょう。 高位脛骨骨切り術が適応となる症例とは? まず過度なスポーツ活動による関節に対して負担の大きな動き、専門的に言うと膝内反モーメント(ひねり)の増大により内側骨端線が早期閉鎖して脛骨内反(O脚)が起こりやすく、普段の生理的なレベルを逸脱した脛骨内反そのものが将来の「変形性膝関節症」の発症リスクとなります。 要は、通常とは違う動き、激しい動き、加重、ひねり、衝撃などが繰り返されることで関節の負担が増えると、同時に関節症のリスクも増えるということです。 後悔先に立たず!激しい運動の前には、ストレッチや準備体操をしっかり行い、終わりには整備体操やストレッチなどを入念に行うなど体に対する十分なケアを忘れず実施しましょう。 加えて申し上げるなら、これら体操やストレッチも自己流ではなく、適切な方法をトレーナーなどから指導を受けて行うべきです。通常では、股関節から足の甲までを一直線に結ぶ線を「荷重線」といいます。 一般的に変形性膝関節症を罹患している方の多くは、この荷重線が膝の内側を通っているので、膝の内側に荷重がかかり過ぎて膝に障害が起こります。高位脛骨骨切り術では、この「荷重線」を膝の中心に近づける手術を行います。 この手術を受ける対象者とは 一般的には、高位脛骨骨切り術の適用年齢は、概ね50歳〜75歳までで、変形性膝関節症を認める症例の中でも中程度の変形を呈する方に薦められることが多いです。 若年者でも症状が強いケースであるならば高位脛骨骨切り術を行って、下肢機能軸や脛骨近位の内反角を正常化すべきであるという意見もあります。 また、人工膝関節置換術は、骨と人工の異物を接合する都合上、ゆるみなど再手術が必要になることがあり、そうなれば初回の手術よりも再手術は、手技的に難しくなることがあります。 そのため、再手術のリスクを避けるために65歳よりも若い方にはこの高位脛骨骨切り術が勧められています。 また、変形性膝関節症の症状が中程度までで、まだまだ運動や肉体を使う仕事を続けたいなどの場合を含めて年齢を問わず活動性が高い患者さんには本手術治療を受けることをお勧めします。 高位脛骨骨切り術の適用 ・適用年齢:概ね50歳〜75歳 ・変形性膝関節症の症状:中程度まで 高位脛骨骨切り術のメリットとデメリット さてここからは、「高位脛骨骨切り手術」自体の利点と欠点について紹介していきます。 メリットについて 高位脛骨骨切り術では、O脚に変形した脚を、X脚ぎみに矯正して変形性膝関節症の進行を遅らせることが出来る唯一の術式と考えられています。この手術の最大のメリットは、最終手段の人工関節を使わずに「自分の関節を残したまま」で症状を改善することが期待できる点です。 また、比較的侵襲(体への負担)が少ない手術であり、手術後の日常生活に対する制限も少なく、スポーツさえ継続できて、要否はともかく正座が可能になる症例も多く見受けられるため、変形性膝関節症において現在最も推奨される治療法であると言えるでしょう。 しかも、最近の高位脛骨骨切り術は、新しい手術方法が開発された結果、術後早期からの歩行も可能になっています。 入院期間も従来の人工膝関節置換術とほとんど変わらず、およそ4週間~6週間が平均的です。 高位脛骨骨切り術を受けた場合のリハビリは、術後1週間位から徐々に膝に体重をかけ始めて、3週間以内には全体重をかけて歩行訓練を施行します。そして、4週間~5週間程度で安定した歩行、階段の昇降、日常生活動作などをクリアすることで軽快退院の運びとなります。 デメリットについて 従来の高位脛骨骨切り術は、骨癒合までの数ヶ月間、手術した足に十分な体重をかけることが出来ず、入院が長期にわたるのが欠点でした。そのため、仕事をお持ちの方にとって復帰に時間が必要なことは大きな欠点でした。 そして、これまでにも高位脛骨骨切り術の処置に伴って腓骨短縮などの合併症や有痛性偽関節(骨がくっつかず、痛みも出る)が引き起こされることが問題としてあります。 また、高位脛骨骨切り術を受けたのちに、骨が癒合するまで多少なりとも膝部の痛みが続くと言われており、実際に術後の痛みが軽快して骨癒合が完了するまでに個人差はあるものの、およそ半年以上は時間がかかるとも伝えられています。 つまり、膝機能がある程度満足が得られるレベルまで回復するためには、気苦労の多いリハビリをコツコツ、しっかり行う必要があると言えるでしょう。 まとめ・高位脛骨骨切り術のメリットとデメリット 変形性膝関節症は慢性疾患であり、骨肉腫などのように、命に関わるといった疾患ではありません。従って、どのような治療法を選択するかは、患者さん一人ひとりが望むゴールによって変わってきます。 例えば、変形性膝関節症を抱える80代の高齢者であっても、「登山や舞踊が長年の生き甲斐なので今後もあきらめずに続けたい」などの目標がある場合には、高位脛骨骨切り術で自分の関節を温存できるようにチャレンジするケースもあります。 高位脛骨骨切り術とは、脚の形をO脚からX脚に変える手術であり、変形性膝関節症によって内側に偏っている過重ストレスを自分の骨を切って角度を変えることによって反対の外側に移動させる治療方法です。 この手術では、術後に多少疼痛は伴うデメリットが挙げられる一方で、自分の関節を温存して機能を維持することができるために術後の日常生活にほとんど制限がない所が大きなメリットと言えます。 いずれにしましても病院等の医療機関を受診され、しっかりご相談されることをおススメします。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。
公開日:2024.10.07 -
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病院やクリニックの外来で『膝の水は抜いてもクセになりませんか』と患者様からよく聞かれることがあります。 結論から言うと、水を抜いてもクセにはなりませんのでご安心ください。 ・なぜ膝に水が溜まるのか? ・初期症状はどんなものか? ・そしてどのように対処すれば治せるのか? といった知識を正しく理解すれば怖いことはありませんので、原因や症状、そして対処方法など動画を交えながら専門医が説明していきたいと思います。 膝に水が溜まる原因・メカニズム なぜ膝に水が溜まるのかその仕組みを説明していきましょう。少し専門的な話になり恐縮ですが少しだけお付き合いください。 膝の関節は関節包という組織で覆われており、その内側に滑膜が存在します。その滑膜から、「関節液(滑液)」が出てきて関節内を満たします。関節液の役割は関節の栄養と関節の潤滑の2つです。関節液にはヒアルロン酸やタンパク質など栄養分が入っています。そして、関節の栄養分となった後に、老廃物としてまた滑膜から吸収されます。 このようにして関節内には1~3cc程の関節液が常に循環して存在している状態なのです。 そしてもう一つの潤滑の役目ですが、関節包の中の関節液は、膝関節の軟骨同士がぶつからないように関節の保護や潤滑を担い、スムーズな関節の曲げ伸ばしといった動きを実現するため存在し、歩いたり、走ったり、座ったりする仕草のあらゆる場面で無くてはならない大切な存在なのです。 機械に例えれば歯車に油をさして滑りを良くし、歯車の摩耗を防ぎつつ、滑らかな動きもサポートする。そんなイメージが近いと思われます。良くできた仕組みです。 このように、正常でも膝の水は少し存在しますが、何らかの原因で滑膜が炎症を起こすとそれに反応してたくさんの関節液を放出します。その結果として膝に水溜まる仕組みとなっているのです。病名として関節水腫と言われます。 膝の水が溜まる原因・メカニズムについて下記の動画でも詳しく説明しています。 https://youtu.be/FtrRUk8RNik?si=Xu5GuHeu5S0LHtDW 滑膜に炎症が起こる3つの原因 では、なぜ滑膜に炎症が起こるのでしょうか。 原因①変形性膝関節症 40代以降の中年層や高齢者に多く、すり減った軟骨や半月板のかけらが原因で滑膜を刺激して水が溜まります。そのまま放置していると、軟骨のすり減りが進行していくのでできるだけ早く対処が必要となります。(文献1) 原因② 半月板損傷・靭帯損傷・骨折 スポーツや怪我などで、関節内の組織が損傷すると同時に滑膜が炎症をおこします。靭帯や骨、半月板に血管が通っているため、関節液に血液が混じって赤くなることが多く見られます。(文献2) 原因③感染症・偽痛風・リウマチなど 細菌やピロリン酸カルシウム、自己免疫疾患により関節液が溜まります。抜いた関節液は濁っていることが多く、さらに関節液の検査を行うことで原因が特定できます。(文献3) 膝に水が溜まったときの初期症状は?自分で治せる? では、実際の診察の流れを見ていきましょう。まず、膝に水が溜まった時にはどんな症状が出るのでしょうか。 膝に水が溜まった時の初期症状 ・腫れていて膝が痛い ・膝が曲がらない ・膝に熱を持っている ・寝返りの時痛い ・階段の上り下りが辛い などがあります。 上記のように膝に水が溜まる初期症状としては、膝が少し腫れて重たい感じから始まり、溜まる水が増えてくると、歩行や階段の上り下り、正座などが困難になってきます。 膝関節は関節包と呼ばれる袋に閉じ込められており、そこに多くの水が溜まると関節包がはち切れんばかりに張ってしまうことで痛みが出ます。一旦、水を抜くことでその張りがなくなることで痛みは激減します。要するに膝に水が溜まった時の痛みのほとんどは、関節包の突っ張りによるものとなります。その痛みは、水が溜まる原因疾患による痛みよりも痛い場合が多く見られます。 写真のように明らかに膝が腫れているのがわかります。ただし、溜まっている水が少ないと見た目ではわかりづらく、その時は膝を触って診察したり、画像検査としてエコーやMRIで判断します。経験上10cc程以下の水の量では、触診だけではわからないことがあります。 膝に溜まっているか自分で調べる方法 膝を伸ばした状態で座り、片方の手で膝のお皿の上をしっかりと掴みます。 そして、もう片方の手でお皿を上から押してみましょう。 少しぷよぷよしてお皿が浮いた感じがあれば、膝に水が溜まっている可能性があります。 膝に水が溜まったときに自分で治す方法 膝に水が溜まった時のマッサージ方法については下記の動画で説明しています。 https://youtu.be/RDCyO--FvvI あくまで、慢性期の痛みを緩和するためのもので、外傷の急性期や感染症、偽痛風などでは基本的にマッサージはしないほうがいいでしょう。マッサージにより痛みが強くなる場合は中止して医療機関と相談しましょう。 基本的には自分だけで治そうとせずに、必ず医療機関と相談しながら行いましょう。 膝に水が溜まった際は冷やしたらいい?温めたらいい? 変形性膝関節症などの慢性的な痛みの場合は温めるのが基本です。逆に、外傷後や感染、偽痛風などの急性期の痛みや膝が熱を持っている場合は冷やす方がいいでしょう。湿布に関しては冷湿布でも温湿布でもどちらでも大丈夫です。 膝に水が溜まった際にサポーターは有効? 膝のサポーターは膝の関節を安定させる効果があります。 ▶サポーターに関してはこちらの記事で詳しく説明していますので参考にしてください。 膝に溜まった水は自然になくなる場合もある 膝に水が溜まっても、自然に治癒することはよくあります。ではどれくらいで治るのでしょうか。 原因である膝の炎症が落ち着けば、滑膜から放出される関節液は減少し、余分に増えた関節液は滑膜から吸収されることで、膝の水の量が減っていきます。自然治癒する期間として1日から数週間で水は吸収されます。 ただし注意点として、膝関節に水が溜まるということは膝の屈伸がしばらくできない状態になるため、膝の関節が固まる拘縮となります。そのため、膝の水を1ヶ月以上放置することはお勧めしません。膝の水が自然に治った後でも、拘縮は残ります。対処法として膝の水が引いた後や病院やクリニックで膝の水を抜いた後にや、必ずリハビリで関節の可動域訓練をして拘縮を予防しなければいけません。 そしてもう一つ注意しなければいけないことは、膝関節が熱を持っていたり、安静にしていても痛みが強い時です。この場合は、感染や自己免疫疾患、痛風、偽痛風などが疑われるため、早めに整形外科にかかることをお勧めします。 膝に水が溜まらないようにするにはどうしたらいい?具体的な予防法 膝に水が溜まらないようにする具体的な予防方法をご紹介していきます。 筋トレやマッサージ・ストレッチ 膝を支える筋肉を鍛えることで、関節の負担を減らします。また、マッサージやストレッチで筋肉に柔軟性を持たせて血行を促進することで炎症を抑えてくれます。 ▼自宅で簡単にできる!変形性膝関節症の筋力トレーニング https://youtu.be/uYcAR-nveNg https://youtu.be/10Gq_0lhJfc ウォーキング 変形性膝関節症の場合、痛みが軽度であればある程度ウォーキングをしたほうがいいでしょう。 歩くことで、関節周りの筋力強化や軟骨の修復が期待できるからです。(文献4) サポーターやテーピング 膝の安定性を保持してくれるので、痛みが強い時や予防には効果的です。 アイシング・湿布など 外傷による炎症にはアイシングが効果的です。湿布は冷・温湿布いずれでも消炎鎮痛作用が期待できます。 漢方薬 防己黄耆湯がよく使用されますが、効果には個人差があります。 膝に水が溜まった際の病院での治療方法 このように水を抜く(写真①)ときには、普段採血やヒアルロン酸の注射やブロック注射などの注射針より太い注射針を使用します。(写真②) 膝の注射は痛いの? よく患者様には、『足の膝の水を抜くのは痛いでしょう?』と聞かれますが、針が太い分一般的には痛いものです。しかし長年の経験上、実はあまり痛くないように注射をするコツを知っているので(笑)、『思ったより、痛くなかった』と言ってくれる方が多いです。 そして、せっかく痛い思いをして針を刺していただいたので、水を抜いた後は針は刺したままで注射のシリンジを入れ替えて、ヒアルロン酸やステロイドなどの炎症止めの注入をします。 ただし注意点として、抜いた水の色(見た目)や濁りをみて感染症の疑いがある場合には、薬液は注入しません。透明の薄い黄色であれば問題ないのですが、濁りがあったり茶色や褐色のような場合は、感染や骨折などの外傷などがあるかの検査結果がわかるまでは、薬液の注入は行わないことがほとんどです。 水の量は多い時で、100ccになることもあります。 膝の水の色(見た目)と原因疾患 抜いた水の色 考えられる原因 褐色・赤色 骨折・半月板損傷・靭帯損傷などの外傷 白濁色 感染症・痛風 濃い黄色で透明 変形性膝関節症 膝の水を抜いた後の過ごし方や安静期間 変形性膝関節症 特に安静期間は必要ありません。 抜いた後でも積極的にウォーキングや筋力トレーニングなどの運動やリハビリ、マッサージが必要であり、痛みが軽度であれば仕事も可能です。 骨折や半月板損傷、靭帯損傷などの外傷 根本の外傷の安静期間に準じます。 感染症、偽痛風 感染や偽痛風の痛みや炎症が落ち着くまではあまり動かさない方が良いです。 膝の水を抜いた後の注意点 膝の水を抜いた後は、24時間はお風呂やシャワーなどは避けた方がいいでしょう。 膝の水を抜いた後は、針を刺した場所が痛む時がありますが数日で消えることが多いので心配はいらないでしょう。ただ、注射をした後に膝が熱を持ったり、腫れがひどくなったり、体温が高くなったりした場合は細菌感染の疑いがあります。 できるだけ早くかかりつけ医に診てもらうことをお勧めします。 膝の水を抜く間隔 膝の水を抜く間隔は、抜いた後に再び腫れたときに抜きます。この間隔は、症状によって様々ですが、膝の水を抜いてもすぐに繰り返し水が溜まる場合もよく見かけます。 外傷によって膝に水が溜まった場合、外傷が治ってくると同時に水も自然に吸収されるので、痛みがそれほど強くなければ、多少膝が腫れていても放置することもあります。 膝の水を抜くとクセになる? 冒頭でも少しお話しましたが、従来からよく耳にするのは、「膝の水を抜くと癖になる!だから抜かない方が良いのではないか?」という疑問点についてです。この意見は必ずしも正しくはありません。 膝に水が溜まっている原因は膝の炎症が強く関与しているため、「水を抜くから癖になる」というのではありません。 正しくは、炎症が続いているから→ 水が溜まり続けて→ 癖になっているのでは?!と感じるのです。 ✕ 水を抜くから癖になる・・・違います! ⇩ 〇 膝の炎症が続いているから、抜いても水が溜り続ける・・・正解(治療を行い症状の改善を目指す) したがって、重要なのは膝内部の炎症をしっかり抑制してコントロールすることにあります。時に水を抜かずに放置することは、滑膜部の炎症を長引かせる要因になりえます。 膝の水をどうする? ・放置しない → 抜く方が良い ・放置すると → 症状が悪化 ・放置すると → 炎症が長引く可能性 ・正解は → 水を抜きながら、根本的な症状の改善を目指す 繰り返し水が溜まる症状は、膝に溜まる関節液の中に炎症を引き起こす物質(炎症性サイトカイン)が含まれているからです。(文献5) そのため、膝の水が溜まっているときは放置せず膝内部の炎症を鎮めることを念頭に治療を行っていただくことが理にかなっています。適切に治療に繋げるためには、まずは損傷部位を正しく把握して、同部に対してしっかりと炎症を制御するアプローチを行うことが大切です。また、膝に水が溜まった際に水を抜く処置を行う理由は他にもあります。例えば、水が溜まっている原因が細菌感染の場合では、放置すれば膝関節内部でどんどんと細菌が繁殖して、益々膝部が腫脹して自覚的にも痛くなってきます。 この場合にも、水が大量に溜まった状態のままで放置しますと、膝の重苦しい感じが持続して、膝の動きがさらに悪くなり、日常生活において正座が出来ない、あるいは左右の膝の伸展度が違うなどといったことが起こり得ます。さらに、正常とは言えない関節液には様々な物質が含まれていて、関節の軟骨そのものに悪影響を及ぼすことも十分に考えられます。 そして、膝に水が溜まっている原因が「変形性膝関節症」であった場合には、そのまま放置していると、どんどん病状が進行してしまい、末期になると人工関節の手術を選択するなど選択肢が狭められてしまいます。それだけは避けたいものですね。 再生医療による治療の可能性 ただ、このような手術しかないとの診断を受けた方への朗報として近年、医学の目覚ましい発展で人工関節を避ける方法があることもご報告しておきます。これは人工関節を避けるだけではなく、手術すら不要。ケースによっては日帰りの治療も可能とされています。それが「再生医療」といわれる先端医療で、傷ついた膝の軟骨を自力で修復させることで症状の改善を目指すものです。 もしも、あなたが人工関節など、手術しかないとの診断を受けて迷われているなら、日進月歩のこのような先端医療分野を検討されても良いかもしれません。 このように治療方法に光明が見えては来ましたが、まずは放置せず、手遅れになる前に整形外科をはじめとした専門医に出向むいて、膝の状態を診てもらい、それに適した治療を受けることが重要な視点となります。 ▼よろしければこちらの動画もご覧ください。 https://youtu.be/a4VXf0Rsu70?si=0cXIJ2Ni78BoXPpk まとめ|膝に水が溜まっているなら早めに専門医に相談しよう! 記事のポイントおさらい ・膝に水溜まったら、早い目に抜きましょう ・膝の水は抜いてもクセにならない ・膝の水が溜まる原因は滑膜の炎症による ・しっかり筋力をつけて予防しましょう 一般的に、膝関節は関節包で覆われており、その内側には「滑膜」と呼ばれる組織があります。関節包の内部は滑膜から分泌される関節液で満たされていますが、その量は通常では約1~3mL程度です。 ところが、いったん滑膜部が炎症を起こすと、関節液の量は概ね20~30mLにまで増加傾向を示し、「水が膝に溜まる」とはこのような状態を指しています。 膝の痛みや、膝が腫れ、膝に違和感を感じたら悪化を防ぐためにも早期に病院等、医療機関を受診しましょう。したがって、膝に水が溜まっている際には膝関節内の骨以外の組織である軟骨、靭帯、半月板などの状態を把握しやすいMRI画像なども基準にして専門医が詳しい状態を分かり安く評価した上で、生活スタイルを考慮した形で的確な治療を提案してもらいましょう。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼ 再生医療で膝の痛みを治療する 膝の痛みは、再生医療なら入院や手術をせずに改善を目指せます ▼こちらも合わせてお読みください 参考文献 文献1^ 変形性膝関節症に対する運動療法としてのノルディックウォーキングの効果日本臨床スポーツ医学会誌 21(1): 11-16, 2013.井上 千春ら 文献2 ^ 変形性膝関節症の疫学・病態・診断Loco CURE 10(1): 14-18, 2024. 田中 栄 文献3 ^ 半月板損傷のメカニズムと予防法スポーツメディスン 15(9): 42-44, 2003. 堀居 昭 文献4 ^ 化膿性関節炎 日本医事新報 (5219): 40-41, 2024.星野 裕信 文献5 ^ 膝関節水腫と変形性膝関節症の臨床症状の関係 体力・栄養・免疫学雑誌 24(3): 178-179, 2014. 千葉 大輔ほか
公開日:2024.10.07 -
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40代以降になってから現れてくる膝の痛みの原因には、どのようなものがあるのか気になる方はいませんか。 膝関節は加齢とともに衰えやすくなるため、そのままにすると痛みや骨の変形などを引き起こす原因となります。 とくに40代以降になると「変形性膝関節症」を発症しやすくなるので、その病気も疑う必要があるでしょう。 この記事では、40代以降で膝が痛くなる原因や治療法などをご紹介します。どのような対処法があるのかを把握・実践することで、膝の痛みを軽減できるきっかけになるでしょう。 40代以降で膝が痛む原因の多くは「変形性膝関節症」 変形性膝関節症とは、膝の関節内でクッションの役割をしている関節軟骨がすり減ってしまう病気です。関節軟骨がすり減ることで、骨と骨が摩擦を起こすようになり、膝関節の変形や痛みなどが現れます。 若いころはなんともなかったのに、40歳を過ぎたあたりから徐々に膝の痛みを自覚しはじめる方も増えてきています。 40代から50代は働き盛りで、人生にとっても重要な時期といえるでしょう。そんな40代からはじまる膝の痛みの多くが、変形性膝関節症とされています。 ある調査によると、膝に痛みを感じはじめた年齢でもっとも多いのは50代(全体の約29%)であり、次いで40代(全体の25%を占める)といわれています。 変形性膝関節症の原因 変形性膝関節症の原因の代表例は、加齢による関節軟骨の衰えです。 加齢とともに関節軟骨の弾力性が低下すると、クッションとしての役割がうまく果たせなくなります。このことから、変形性膝関節症は加齢にともなって発症しやすくなります。 そのほかにも、以下のような要素も変形性膝関節症の発症原因です。 ・肥満 ・遺伝 ・膝の使いすぎ ・外傷による膝の損傷 変形性膝関節症の原因や初期症状について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。 変形性膝関節症の症状 変形性膝関節症のおもな症状は、膝の痛みです。発症初期の段階では、膝のこわばりや違和感などからはじまり、症状が進行するにつれて徐々に痛みが現れます。 とくに、以下のような動作時に痛みが生じる傾向にあります。 ・歩く ・座る ・かがむ ・立ち上がる ・階段の昇り降りをする ・膝を曲げ伸ばしする 痛みだけでなく、炎症によって膝周囲が腫れることもあるでしょう。また、変形性膝関節症の症状は膝関節に起こりますが、膝の下が痛むケースもあります。 【40代以降】膝が痛む原因の「変形性膝関節症」の症状チェック 40代以降で膝が痛む場合、変形性膝関節症を疑う必要があります。 しかし、変形性膝関節症の有無を判断するには、どのようなポイントに注意すべきなのでしょうか。ここでは、おさえておくべき症状のチェックポイントについて解説します。 膝の痛みの症状チェック 膝の健康を確認するためには、以下の症状をチェックしてみましょう。 これらのチェック項目が多いほど、変形性膝関節症の可能性が高くなります。 膝関節は、普通の道を歩くだけでも体重のおよそ3倍、立つ・しゃがむなどの動作では約8倍の負担がかかるといわれています。 私たちは、普段の生活で知らないうちに膝を酷使しがちです。さらに加齢や体重の増加にともなって膝への負担が高まり、やがて変形性膝関節症につながります。 変形性膝関節症を予防するには体重管理によって肥満を避けつつ、運動などで筋肉を維持して膝への負担軽減が重要です。 膝が痛む場所は内側か外側か 変形性膝関節症の症状が現れる場所は大きく二つに分けられ、それぞれ特徴が異なります。 一つは「膝関節の外側がすり減る外側型」、二つ目が「膝の内側の関節がすり減ってしまう内側型」です。 たとえば、外側型の場合は怪我や病気などによる二次性の原因から発症することがよくあります。 また、内側型では、以下のような一次性の原因が中心です。 ・加齢 ・肥満 ・O脚 膝関節にかかる体重の負荷度合いは、内側が7割、外側が3割程度といわれています。 変形性膝関節症の症状について詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。 【40代以降向け】膝痛の治し方 ここでは、40代以降の中年期に注意すべき膝の痛み、とくに変形性膝関節症の治療方法について紹介します。 膝の負担を減らす 膝の負担を減らすための予防法としては、以下のとおりです。 ・体重管理に努める(適正体重の維持) ・O脚の治療 ・正しい姿勢をキープすることを意識する ・正しい靴を選ぶ ・正しい歩き方を身に付ける このような方法で膝の負担を軽減し、変形性膝関節症の予防に努めましょう。 ストレッチや運動をする どのようなケースでもおすすめのリハビリは、「膝の曲げ伸ばし」や「軽めのストレッチ」です。ただし、この膝の曲げ伸ばしは、筋力トレーニングではありません。 膝の痛みに対して膝まわりの筋力強化がおすすめと聞くと、早く治したい気持ちからハードなトレーニングをしがちです。 しかし、膝に過度な負担をかけると、余計に症状が悪化する原因となります。そのため、筋トレではなく膝のストレッチや、ゆっくりとした曲げ伸ばし運動などのエクササイズを継続的に行ってみましょう。 変形性膝関節症の治療ガイドラインにもとづいた運動を詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひ参考にしてみてください。 手術を必要としない再生医療で治療する 近年では、ヒトの皮下組織に存在する「脂肪組織由来幹細胞」を用いた再生医療によって、膝の痛みが改善する可能性が期待されています。日本でも変形性膝関節症に対して、幹細胞による再生医療が本格的に開始されています。 変形性膝関節症は退行性疾患であり、鎮痛剤や運動をはじめとした保存療法では完全に痛みをおさえることは難しいでしょう。そのため症状が進行した場合、根本的な治療である人工関節置換術や骨切り術などの手術を選択するしかありませんでした。 しかし、脂肪組織由来の幹細胞を用いた再生医療が発展したことにより、膝軟骨の再生が期待できるようになりました。 再生医療によって膝周囲の疼痛が軽減した中で適切な理学療法を行えば、変形性膝関節症における症状の改善につながるのです。 まとめ|40代以降の膝の痛みは放置せずに医師に相談を! 膝の痛みの原因として、仕事や日常動作による膝の酷使、そして加齢が考えられます。とくに40代以降に起こりがちな変形性膝関節症には十分に注意する必要があります。 擦り減った関節軟骨は再生医療を利用する以外、元には戻りませんが、症状の進行を遅らせることは十分に可能です。 また、膝が痛いからといって安静にしすぎるのも良くないことです。膝関節は動かさなくなれば、徐々に衰えて機能が低下してしまいます。 機能低下を予防するには、膝への負担をかけないようにしつつ、体重の管理やストレッチなどのエクササイズが有効です。それでも進行が進む場合は、手術または再生医療などに頼る方法があります。 中年期以降に少しでも膝の部分に違和感や痛みを感じた際は、症状がひどくなる前に、早めに整形外科を受診されることをおすすめします。
公開日:2024.11.06 -
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変形性膝関節症の画像診断と進行度合の目安、ステージ分類の仕方、自覚症状の見方 変形性膝関節症と診断されてから「どれくらい進行しているのだろう?」ご心配や、お悩みは尽きないものです。もしかして「悪くなっているのか?、いや良くなっているかも」「平行線なのか?」自分の症状が今どの程度なのか。 実は、そんな症状の進行度合を指標とした指標があります。それが「ステージ分類」というものと「自覚症状からの分類」というものがあります。 変形性膝関節症は、膝に痛みや変形をもたらし、日常生活に多大なる影響を及ぼします。進行すると手術の適応となるのですが、その進行度合いは画像診断や、患者様の自覚症状から見極められます。 そこで今回は、症状の進行を現す変形性膝関節症のステージ分類と、自覚症状による分類についてご紹介しましょう。 変形性膝関節症の「ステージ分類」の仕方 変形性膝関節症は、X線検査(x-ray)にて診断されます。撮影には寝転んだ状態で正面・側面から撮影する方法(非荷重位)と、立って撮影する方法(荷重位)があります。寝転んだ状態では、関節の隙間が広がり、正確に隙間を見ることができないため、立位で撮影することが大事です。 膝の診断レントゲン撮影 ・寝て撮影:否荷重位 ・立って撮影:荷重位(正確な診断にはこちらを選択する) X線により白く映し出された大腿骨と脛骨の末端に注視し、膝の状態を確認します。特に大腿骨と脛骨の隙間・O脚やX脚・骨棘(異常に突出した骨)が形成されているかどうかです。これらを元に、Kellgren-Lawrence(ケルグレンローレンス)分類のグレード0〜4のいずれかに分けて変形性膝関節症の進行度合いを表示します。数字が大きくなるほど進行が進んでいる状態を表示します。 Kellgren-Lawrence (ステージ分類) グレード0 ・大腿骨と脛骨の関節の隙間が十分にある正常な状態です。 グレード1 ・骨棘のほか、関節液が骨に侵入 ・溶解され骨に穴が空く骨のう胞、度重なる骨への負担から骨が異常に固くなる骨の硬化がみられる。 グレード2 ・関節の隙間が狭くなりますが、正常の2分の1以上の隙間が残っている。 グレード3 ・関節の隙間がさらに狭くなり、正常の2分の1以下になる。 グレード4 ・関節の隙間が消え、大腿骨が内側に傾くなど大腿骨と脛骨のズレが見られます。 ・また明らかな骨棘の形成が見られる。 こられ「X線検査」は、骨の状態や隙間を確認することには長けていますが、靭帯や軟骨などの軟部組織はハッキリと映し出されません。靭帯や軟骨を確認するには、明暗がハッキリわかるMRI(Magnetic Resonance Imaging)が使われます。 このように変形性膝関節症はX線にて診断され、画像を元に分類分けされます。 次に自覚症状などから分けられる4つの分類を紹介します。 変形性膝関節症の進行に沿った「自覚症状による分類」の見方 変形性膝関節症の自覚症状は「前期」「初期」「中期」「末期」と進行していきます。 「前期」の自覚症状 ・痛みは感じず、健康な状態です。軟骨変性といい関節軟骨に劣化や傷みが起こることがありますが外部から確認はできない。 ・ここから長い年月をかけて関節軟骨の弾力が少しずつ衰え、病気は進行する。 「初期」の自覚症状 ・この頃から軟骨が擦り減り始める。 ・X線では膝関節に変形はほとんどない。 ・主な症状は、膝の「動かしにくさ、こわばり、違和感」がある。 ・軟骨変性が進むと、関節軟骨のクッション機能が失われていき、一箇所に負担がかかることで骨硬化が見られる。 ・滑膜が炎症を起こし、激しい痛みを感じることがあるのも初期の特徴。 「中期」の自覚症状 いよいよ膝関節の変形が始まるのが中期。 ・初期の炎症が落ち着き、痛みは軽減される。 ・しかし痛みは慢性化し、日常生活動作に影響が出始める。 ・特に階段の昇降や、正座や立ち上がりなど、膝の曲げ伸ばしに関する動作に支障が出る。 ・動くたびに痛みを感じるので、痛みを庇うことで膝周囲の筋肉や靭帯を動かす機会が減る。 ・膝関節の動きが固くなり、制限がかかる状態を関節拘縮と言う。 「末期」の自覚症状 ・変形はさらに進行し、軟骨がほとんど擦り切れた状態。 ・大腿骨と脛骨が直接ぶつかることから、立つ・座る・歩くといった生活の基本の動作がまともにできなくなる ・膝が動かなくなる。 ・基本的にはじっとしていても痛みを感じ、杖や手すりなど、何かを頼りにしないと歩くのも難しくなる。 ここまで単純X線写真で判断するグレードと、自覚症状などから判断する「前期」「初期」「中期」「末期」の4つの分類を紹介しました。 しかし前項で紹介したX線検査でのKellgren-Lawrence分類が進行していたとしても、自覚症状が一致するとは限りません。 自覚症状があまり強くない場合や、その逆の場合もあります。 まとめ・変形性膝関節症の画像診断と進行度合の目安、ステージ分類の仕方、自覚症状の見方 いかがでしたでしょうか? 変形性膝関節症の画像診断と自覚症状における分類について、その見方や仕方をご紹介しました。両者の進行度合いが一致するとは限らないことから、膝に痛みがないからと安心してはいけません。 膝に違和感を覚えた時点で早期受診・発見することが、変形性膝関節症の治療の幅を広げ、進行を遅らせることができます。 また変形性膝関節症の基本的な治療は「運動療法」になります。膝周囲の筋肉を鍛え、膝への負担を軽減させることで、進行を遅らせることができるからです。 たとえ手術の適応となった場合でも、術後も運動療法を継続することが大事です。運動療法により膝の可動域を維持することで、その先の人生をいかに支障なく過ごせるかに関わってきます。 ▼ 最新の再生医療で変形性膝関節症を治療する方法をご存知ですか? 変形性膝関節症は「再生医療なら手術をせずに改善できます」早期はもちろん、末期でもご相談下さい! ▼以下もご参照ください 変形性膝関節症の最新治療|ヒアルロン酸ではできない軟骨の再生を期待できる治療法とは
公開日:2024.10.07 -
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変形性膝関節症の痛みの段階と人工関節のメリット・デメリット、避けるために 変形性膝関節症とは、骨の先端にある軟骨がすり減ったり骨が変形し、痛みや腫れを伴う状態をいいます。残念ながら一度すり減った軟骨に自力で復活するなどの改善を期待することは通常できません。 軟骨のすり減りが進行すると骨の周りを覆っている骨膜が露出し、骨膜同士が当たるようになり、そのため痛みが伴うようになってきます。さらに、そこに変形した膝の骨が骨同士に負担をかけてしまうことになり、痛みが倍増することになります。このように痛みを伴うのは、骨膜同士がぶつかり合ってしまうための痛みです。 膝には関節包と呼ばれる袋があり、袋の中には滑液と呼ばれる潤滑液で満たされています。古くなった滑液は、骨の先端から吸収され新しい滑液が流され、その流れが繰り返されます。しかし、骨同士のぶつかりが頻発すると炎症が起きます。 炎症が起きると、滑液が骨の先に吸収されずつねに膝の袋の中に滑液が貯まります。これが「水がたまる」と言われる現象で膝が変形した人や膝に痛みを伴う人に見られる症状の一つです。 膝の痛みを抑えるために、医者が診察時に患者さんによく言う言葉に「膝の痛みを取るためには筋肉を鍛えなさい」という言葉があります。一度は耳にされたことがあるかもしれません!筋肉を鍛える理由は、膝の周りにはいくつもの筋肉が膝の骨同士がぶつからないように支えており、年を重ねるにつれて筋肉は衰えます。 衰えるということは、膝を支えている部分が弱くなり、膝の骨同士がぶつかりやすくなります。お互いにぶつかりがないようにするために、筋力をつけろと言うわけです。 変形性膝関節症|初期・中期・末期の症状 変形性膝関節症は時間をかけて変形し、痛みの度合いも変化していきます。変形による痛みがどのように変わるのかを以下の3つに分けてご説明します。 1)初期症状 2)中期症状 3)末期症状 ※ご注意 変形による痛みではなく、違う膝の病気という可能性もあります。自己判断ではなく、病院で診察を受けていただくなど正確な情報をもとにして、お膝の具合と照らし合わせて確認されることをお勧めします。 1)初期症状 朝起きて動き始めに、膝がこわばる(曲げ伸ばししづらい)感覚があり、鈍い痛みが伴います。しばらく動かしたり歩いていると、こわばりもとれいつもと変わらない膝の曲げ伸ばしができるようになり、気にならなくなる方が多いようです。 最初の頃だと、膝の痛みが直ぐに消えるため、気になる方が少ないのが現状です。このような症状が出始めたときは、膝の筋肉が弱くなり、膝の骨同士が少しずつ当たり始めている状態です。 2)中期症状 中期になると、しばらく動かしていたら消えた痛みが中々消えず、正座やしゃがむという動作が辛くなります。他にも階段の上り下りが痛みを伴います。 この場合だと、膝の炎症が起き始め、膝も腫れて熱感も生じます。関節包(関節の袋)の中に滑液が貯まりはじめ、膝の変形も少しずつ始まります。 また軟骨がすり減っているため、関節の曲げ伸ばしのときに軋む音がします。 3)末期症状 関節軟骨がほとんど無くなり、骨同士がぶつかるようになります。炎症も常に続いているので、骨の変形も著しくなります。初期・中期で見られた症状全てが悪くなった状態で、「しゃがむ」「正座」「階段の上り下り」が困難になります。 日常の歩行も難しく、常に痛みを伴う状態です。痛みを常に伴うため、体だけでなく心の負担も大きくなり、精神的に追いやられる方が多いようです。 このように段階を経て膝の変形に伴い痛みのレベルも変化していきます。少しでも痛みや違和感を感じたときには、最寄りの整形外科を受診されることを強くおすすめします。 人工関節|メリットとデメリット 症状が末期になり、膝の変形がひどくなると、医者から「人工関節にしては?」と手術を勧められた場合、人工関節にはメリットとデメリットがあることを知ってご判断されることをお勧めします。 メリットは、歩行時の痛みが和らぎ、歩くことが楽になります。膝が痛むため、歩く機会が減ったという方にとっては何よりのメリットと言えるでしょう。 しかし、手術には感染症や深部静脈血栓・塞栓症などの合併症を引き起こす可能性があります。 また人工関節には寿命があり、それは10~15年と言われていることです。つまり、年齢によっては再び入れ替えるための手術が必要となる可能性があります。 こ例外、膝の痛みは取れても、正座や運動制限といった日常動作に対する制限も加わることもデメリットと言えるでしょう。 膝の人工関節手術|メリットとデメリット メリット デメリット ・痛みの原因を改善できる ・痛みが和らぐ ・歩行の改善 ・入院に3~6週間を要する ・手術後はリハビリが必須 ・日常生活で動きに制限 ・手術後、10~15年で交換が必要(再手術) ・感染症、合併症を引き起こす可能性がある ・人工物に置換える心理的な抵抗感 膝の人工関節(手術)を避ける最新医療(再生医療)について 手術を避けたい、踏み切れないなら「再生医療(幹細胞治療)」という選択肢もあります https://youtu.be/ek8aeRHpKiA?si=R7VdYuGlwZD5HoLU 幹細胞による治療法とは、「幹細胞」と呼ばれる「自己複製能」と様々な細胞に「分化する能力(多分化能)」を持つ特殊な細胞を膝に注射をします。すり減った軟骨が幹細胞により再生し、膝の痛みが和らぎます。 状態によっては、手術をすることなく、これまでのように日常生活の動きに制限がない快適な生活を手にすることが可能となります。幹細胞を用いた治療は「再生医療」と呼ばれ、体に負担をかけない方にとって画期的な治療方法として注目を浴びています。 当院は厚生労働省から認められた再生医療の専門院です。再生医療による膝の治療について詳しいことはお気軽にお問い合わせください。 まとめ・変形性膝関節症の痛みの段階と人工関節のメリット・デメリット、避けるために 変形性膝関節症は、骨や軟骨の変形によって引き起こされる痛みを伴う進行性の疾患です。本稿では、初期から末期までの症状の変化や、人工関節手術のメリットとデメリット、さらには再生医療の選択肢について解説しました。 初期症状では、こわばりや軋みが感じられ、中期になると痛みが増し、末期には日常生活に支障をきたすまで進行します。人工関節手術は痛みを和らげる一方で、入院やリハビリが必要であり、人工物であるだけに寿命があることも理解しなければなりません。 一方で、新しい治療法として注目されている再生医療という治療法もあります。これはご自身の幹細胞を用いて自己の軟骨を再生させるこれまでに無い治療法です。手術を回避しつつ、痛みの緩和を図るもので治療の選択肢を与えてくれるものです。 いずれにしても治療は、患者様自身の状態や希望に応じて、適切な治療法を選択することが重要です。 医師との相談を通じて、最良の治療プランを見つけましょう。 ▼ 再生医療は、人工関節を避けて変形性膝関節症を治療できる方法です 変形性膝関節症は、再生医療にで人工関節の手術をせずに改善することが可能です ▼こちらもご参考にされませんか 変形性膝関節症は膝痛の9割以上にその可能性!急増する原因と予防のヒント
公開日:2024.10.07 -
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変形性膝関節症の手術と保険費用について 変形性膝関節症で手術を薦められたけど、「膝の手術ってどれくらいの費用がかかるのだろうか?」「保険は適用されるのか?」そんなお悩みにお答えします。 変形性膝関節症は、膝の変形や痛みを伴う疾患で、進行すると手術が適応されることがほとんどです。そんな変形性膝関節症の手術には、「関節鏡視下手術」、」「高位脛骨骨切り術」、「人工関節置換術」の3つの手術方法があります。 それぞれの手術にかかる費用は、手術に用いる材料や技術料、入院の有無などにより決められ、健康保険の適応や軽減制度の利用で最終的な自己負担額が決定します。 変形性膝関節症の手術 ・関節鏡視下手術 ・高位脛骨骨切り術 ・人工関節置換術 変形性膝関節症の手術の内容と費用 変形性膝関節症の手術にかかる費用は、少額順に「関節鏡視下手術」→「高位脛骨骨切り術」→「人工関節置換術」となり人工関節に関する費用が一番高額になります。 手術を含めた治療費用の概算は、保険診療にかかった費用(保険組合に加入されている方は、1〜3割負担)+ 保険適応外診療(ベッド代や食事代)にかかった費用の合計です。また保険内診療が定められた金額を超える場合には、「高額療養費制度」を利用して費用の軽減ができます。 まずはそれぞれの手術内容、高額療養費制度が適応される前の負担金を紹介します。 関節鏡視下手術 関節内に内視鏡を入れ、画面を見ながら傷んだ軟骨(関節軟骨や半月板)・骨棘・増殖した滑膜を取り除く手術です。体への侵襲(影響)は少なく、手術にかかる時間や回復期間も短い一方で、効果の持続が短く、痛みが再発する可能性がある手術法です。 ・関節鏡視下手術にかかる費用は約25万円 (3割負担の方で約7.5万円、1割負担で約2.5万円) ここに差額のベッド代や食事代が入った金額が自己負担額になります。 高位脛骨骨切り術 脛骨の一部を切り取ることで、O脚のような膝の変形や、荷重の偏りを矯正する手術です。O脚になると膝の内側に荷重が集中することから、骨切りにより形を整え、変形を改善させることで、膝内側への負荷を軽減させます。 ・高位脛骨骨切り術にかかる費用は約146万円 (3割負担の方で約43.8万円、1割負担で約14.6万円) ここに差額のベッド代や食事代が入った金額が自己負担額になります。 人工関節置換術 膝の関節全体を人工関節に置き換える手術です。関節全体を取り換える人工関節全置換術と、傷んだ一部のみを入れ換える単顆置換術がありますが、適応されるほとんどが全置換術です。 関節を人工関節に入れ換えることで、痛みの改善が期待できます。ただし正座ができなくなるなど関節可動域は低下します。また体への侵襲が他の手術と比べて大きく、稀に重篤な合併症を引き起こすことがあります。 ・人工関節置換術にかかる費用は約186万円 (3割負担の方で約55万円、1割負担で約18.6万円) ここに差額のベッド代や食事代が入った金額が自己負担額になります。 手術内容 主代金例 費用 その他 関節鏡視下手術 250,000円 3割負担:約75,000円 1割負担;約25,000円 + 差額のベッド代 + 食事代 高位脛骨骨切り術 1,460,000円 3割負担:約438,000円 1割負担;約146,000円 人工関節置換術 1,860,000円 3割負担:約550,000円 1割負担;約1,860,000円 ▼「手術をすれば痛みは消えるの?」 ・変形性膝関節症の手術で痛みは消えるのか? ・高齢者が変形性膝関節症の手術を受けるリスク 自己負担を減額できる高額療養費制度をご存じですか? 次に高額療養費制度について紹介します。 膝の手術にかかる費用は、健康保険の有無や、その負担割合により決められますが、保険内診療の自己負担額が、定められた金額を上回る場合には、高額療養費制度が適応されます。 高額療養費制度とは、一ヶ月にかかる金額が高額になった場合、所得や年齢によって定められた金額(自己負担限度額)を超えた分だけ戻ってくる制度です。ただし、入院の際のベッド代や食事代などは保険外となり本制度の対象にはなりません。 高額療養費制度が適応される健康保険内診療 ・技術代 ・金属などの材料費 ・輸血料 ・麻酔料 ・検査料 ・画像診断料 ・注射料 ・再診療 ・入院料 ・リハビリ料などです。 高額療養費制度が適応されない保険外診療費 ・ベッド代 ・食事代など ただし、高額療養費制度を利用した場合、払い戻されるまで一時的に高額の支払いが生じる場合があります。 しかし70歳未満または、70歳以上の非課税世帯の方は医療機関の窓口に限度額適用認定証を提示することで、払い戻しではなく、支払い上限額があらかじめ「自己負担限度額」に抑えることができます。 限度額適用認定証取得方法は、市町村役場、区役所、全国健康保険協会、 健康保険組合にて、申請の手続きを行い取得できます。詳しくはお住まいの市町村役場などにお問い合わせください。 中には限度額適用認定証を必要としない場合もあります。70歳以上75歳未満の非課税世帯ではない方は、高齢受給者証を窓口に提示し、75歳以上で非課税世帯ではない方は、後期高齢者医療被保険者証を窓口提示することで窓口での支払いを自己負担限度額にできます。 ※平成30年8月から70歳以上の方の上限額に変更がありました。 これまで現役並みとされる課税所得145万円以上の方でも限度額適用認定証を必要としませんでしたが、新たに課税所得145万円〜689万円の方は、I〜Ⅲの区分に従って上限額が変更され、限度額適用認定証も必要になりました ▼詳しくはこちらをご覧ください。 厚生労働省HP 高額医療費制度の見直しについて https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000209857.pdf まとめ・変形性膝関節症の手術と保険費用について ここまで変形性膝関節症の手術にかかる費用の一例と、実際に手術を受ける場合の負担額の例をご紹介しました。 手術費用だけでみると、高額な費用がかかりますが、保険を適応し、高額療養費制度を利用することで最終的な自己負担額が決定します。 また事前に限度額適用認定証(必要に応じて高齢受給者証や後期高齢者医療被保険者証)を窓口に提示することで、支払い上限額をあらかじめ自己負担限度額にすることもできます。 手術というとこれら以外にも何かと費用がかかるもの、病院によっては別途、費用が必要なものもあります。入院前には、治療はもちろん、費用についてもよくご相談されるようにお勧めいたします。 ▼ 再生医療で変形性膝関節症を治療する方法をご存知ですか 変形性膝関節症の再生医療による治療費は、状態により変動します ▼以下のページもご参考にしていただけます 変形性膝関節症、最新の治療法!再生医療の手術をしない幹細胞治療という可能性
公開日:2024.10.07 -
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「変形性膝関節症でしてはいけないことは?」 「変形性膝関節症のときに仕事の動作で注意したいことは?」 変形性膝関節症とは、膝の軟骨(半月板・関節軟骨)がすり減るのを原因として、膝に痛みや変形をもたらす病気です。 変形性膝関節症の悪化を防ぐには、膝への負担をかけないように過ごす必要があります。 膝は足関節と股関節の間に位置する関節で、立ち座りの動作を始め、歩くといった日常生活の動作に重要な関節のため、大きな負担がかかりがちです。 たとえば、歩行では体重の2~3倍、走ると5倍もの負担がかかります。階段の昇降においては5~6倍、しゃがみ立ちでは7~8倍の負担がかかるといわれています。 今回は、変形性膝関節症でしてはいけないことを仕事の職種別に、対策を含めて解説します。生活のためにも、仕事を辞めるわけにはいかない方は参考にしてみてください。 また、当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による変形性膝関節症の治療実績もございます。膝まわりの悩みを抱えておられる方は、ぜひ一度ご相談ください。 変形性膝関節症でしてはいけないこと【仕事の職種別】 変形性膝関節症の人がしてはいけないことは、膝に負担がかかる動作が頻繁に起こる仕事です。 具体的には、以下のような仕事内容が当てはまります。 【膝に負担がかかる動作】 ・立ったり、座ったりを繰り返す ・急な方向転換やストップがある ・ジャンプの動作など膝に強い衝撃がかかる ・長時間の立位を行う ・長距離の歩行を行う ・重い荷物などの上げ下げがある ・しゃがむ、立ち上がるといった動作を行う ただ、膝の関節痛がありながらも、仕事を続けなければならない方も少なくありません。 膝に負担がかかる動作が多い職種について、以下で具体的に対策を考えてみました。痛みの根本的な解決にはなりませんが、予防するときの参考にしてみてください。 ・大工 ・引っ越し作業・配達 ・トラックの運転手 ・デスクワーク ・旅館・茶道の講師 ・スーパー・コンビニのレジ打ち業務 ・営業職 変形性膝関節症の方で、仕事中にサポーターを使うときは以下の記事も参考になります。 大工 大工の仕事は、重たい部材の上げ下げや木材の運搬、長時間の立ち仕事などが多く、膝に負担がかかりがちな仕事です。 床貼りやペンキ塗りをするときは、立ったり座ったりするなど、しゃがみこむ動作が必要になります。 仕事のときは、膝の曲げ伸ばしを助けてくれるタイプのサポーターをつけましょう。また、膝を意識しながら、なるべく負担のかからないような動作を研究してみてください。 また、時間配分を決めて定期的に休みつつ、作業前後にストレッチを取り入れるのも有効です。 引っ越し作業・配達 引っ越しや配達の作業では、重たい荷物を積み下ろしするため、膝に大きな負担がかかります。 ほかにも、階段の昇り降りを始め、繰り返しの屈伸など、膝に大きな負担がかかる作業を繰り返しがちです。 また、誤解されている方が多いのですが、階段や坂道では、上りよりも下るほうが膝への負担が大きくなります。階段の昇降には手すりを持ちながら、上り下りのサポートを行いましょう。 膝を痛めてしまう前にサポーターを装着し、膝の曲げ伸ばしを助けながら、作業の前後は準備運動やストレッチを習慣化してみてください。 トラックの運転手 トラックの運転をされる場合、渋滞などにあうとクラッチを操作する左足の曲げ伸ばしにおいて、膝が悲鳴をあげがちです。 同様に姿勢が崩れると、アクセルの動作でも膝に負担がかかります。 シートに腰をしっかりつけて正しい姿勢で座り、少しでも足の曲げ伸ばしに負担がかからない姿勢を模索しましょう。 また、以下のような状況のときは、膝に負担がかからないように、できる範囲でゆっくりした動作を意識してみてください。 ・高さのある荷台を降りるとき ・運転席から降りるとき ・荷物の出し入れや運搬をするとき ほかにも、高速道路などのサービスエリアで休憩するときは、ストレッチを習慣化するのがおすすめです。短距離のときも、作業の合間に取り入れて体をほぐしてみてください。 デスクワーク 室内のデスクワークは心配がないと思われがちですが、冷房が効いた室内にいると膝が冷えます。膝が冷えると血管が収縮し、血液の流れが悪くなって筋肉が硬くなりがちです。 また、長時間椅子に座っているのも良くありません。膝を動かさないままでは、痛みの物質の排出が滞り、痛みを感じやすくなります。 対策としては、以下の心がけを行うのがおすすめです。 ・膝にブランケットをかけて冷え対策をする ・膝にサポーターをつけて温める ・椅子の高さを調整して膝に負担がかからないようにする ・座る姿勢にも気を使う 時間を決めて、席を立ったり膝のストレッチを行ったりするなど、膝を含めて全身を動かすのが大切です。 旅館・茶道の講師 旅館や茶道の講師は、畳の作法やお茶を振る舞うときに正座の動作が多い仕事です。 正座は膝が折りたたまれる上、自身の体重がかかります。また、椅子から立ち上がるときと比べて、地面から高さがあるので膝への負担がかかりがちです。 とくに正座から立ち上がる動作は、膝に負荷がかかりやすい動作なので要注意です。 対策としてはできる限り、以下の内容を意識してみてください。 ・正座するときはクッションや正座椅子を使う ・立ち上がるときは手で何か支えになるものを持つ ・定期的なストレッチを行う ・負担を減らすために体重の管理を心がける 旅館や茶道の講師として仕事をされている方にかかわらず、正座や床に近いところで作業が多い方は、上記を参考に膝への負担を配慮してみてください。 スーパー・コンビニのレジ打ち業務 スーパーやコンビニなどのレジ打ち業務の特徴は、一定の場所で長時間、立ちっぱなしである点です。 同じ姿勢で長時間過ごすと、膝から上の体重がすべてかかるため、膝への負担が大きくなります。 とくに変形性膝関節症になると、膝に偏った負担がかかって痛みを感じやすくなります。膝への負担を少なくするために、以下の対策を行いましょう。 ・体重管理を行う ・なるべく椅子を使う 椅子に座るのが難しいときは、その場で足踏みをしたり、少しだけでも体を動かすように意識して膝への負担を減らしてみてください。 営業職 営業の外回りで歩く時間が多い方は、靴が重要です。女性の場合、ヒールのように安定性に欠けた靴では膝に負担がかかります。 ほかにも、サンダルやデッキシューズなども、膝に負担がかかるので注意が必要です。 靴を選ぶときは男性も女性も、かかとがしっかり包み込まれるような靴や、ビジネスタイプのウォーキングシューズを選びましょう。 衝撃を吸収するタイプの中敷き(インソール)などを使うのも有効です。 また、歩くときの足腰への負担を減らすには、体重の管理を行うのも大切になります。 ただ、上記で述べてきた方法は解決策ではないので、根本的な治療が重要です。変形性膝関節症に関する膝の痛みは、早めに医療機関で治療に取り組むのをおすすめします。 たとえば、再生医療による治療では幹細胞を使い、手術不要で膝まわりにおける症状の改善をサポートします。 変形性膝関節症になったときの過ごし方 膝に痛みがあると、関節を動かさないようにしがちですが、適度に体を動かすのも大切です。 膝まわりの筋力が落ちてしまうと、かえって関節への負担が高まります。そのため、初期症状がある頃は、膝まわりの筋力が落ちないように、意識して動くのをおすすめします。 ウォーキングなどであれば、歩くと大腿四頭筋を始めとする膝まわりの筋力低下を防げるのでおすすめです。 肥満傾向の方は、筋力を落とさないように注意しながら、脂肪を落として体重を減らすのも大切です。 単に食事量を減らすのではなく、カロリー制限をするなど、食事制限を行うと負荷を減らしながら膝の安定性を高められます。 軽めの運動は大切ではありますが、膝の負担になるほどの運動は行わないように、様子を見ながら取り組んでみてください。 また、日常生活の動作見直しを始め、変形性膝関節症の予防法における詳細は、以下の記事も参考になります。 まとめ|変形性膝関節症になったら膝への負担を減らす工夫をしよう 仕事での屈伸動作や正座、急な方向転換など、膝に負荷がかかる仕事の動作が積み重なると、痛みを感じる原因につながります。 また、軟骨下骨の新陳代謝(骨吸収と形成)に異常をきたすほか、関節軟骨の変性や破壊にもつながるので注意が必要です。 対策としては、膝関節に安定性をもたらすウォーキングや、大腿四頭筋のトレーニングのように、適度に膝を動かすのが変形性膝関節症の予防にも大切です。 仕事で変形性膝関節症の悪化を防ぐには、進行の予防にサポーターを使ったり、ストレッチを定期的に取り入れたりするなど、自分なりの工夫を心がけましょう。 また、根本的な改善には、治療方法を検討するのも重要です。当院「リペアセルクリニック」では、変形性膝関節症における治療方法のひとつとして再生医療を行っています。 以下の動画を参考に、実際に来院された患者様のお声もご覧いただけると幸いです。 https://youtu.be/VAxeH1j4TEY?feature=shared 【リペアセルクリニックへの相談方法】 ・メール相談 ・来院予約 ・電話相談:0120-706-313(オンラインカウンセリングの予約) 変形性膝関節症でしてはいけないことに関わるQ&A 変形性膝関節症でしてはいけないことに関わる質問と答えをまとめています。 Q.変形性膝関節症のときにしてはいけない運動はある? A.以下のように、ひざに負担のかかる運動は避けましょう。 ・テニス ・卓球 ・ゴルフ ・社交ダンス など 屈伸運動やジャンプを必要とする運動は控えながら、なるべく膝への負担が少ない運動を取り入れてみてください。 Q.変形性膝関節症のときは運動したほうが良い? A.はい、適度な運動は大切です。 たとえば、水中運動、地上での適度なウォーキングなどがおすすめです。 室内でできる運動では、厚生労働省に掲載されている椅子に座って行うストレッチなどが参考になります。(文献1) 運動するときは無理をしないように注意して、かかりつけの医師などに相談しながら行いましょう。 運動方法の詳細については、以下の記事も参考にしてみてください。 Q.変形性膝関節症の治療方法は何がある? A.以下のような治療方法があります。 ・薬物療法:飲み薬や湿布薬、塗り薬などを使う ・手術療法:内視鏡手術、人工関節置換術などを行う ・理学療法(運動療法):装具、運動により筋肉や関節などに働きかける ・再生医療:PRP療法などにより自然治癒力に働きかける それぞれの治療方法については、以下の記事で詳しく解説しています。 Q.変形性膝関節症の手術をするメリット・デメリットは? A.手術するメリットとデメリットには、以下のような内容があげられます。 手術のメリット 手術のデメリット ・起床時に膝のこわばりがなくなる ・痛みなく階段を上り下りできる ・膝を気にせずスッと歩き出せる ・膝を気にせず好きなところに出かけられる ・手術そのもので合併症の危険性がある ・膝の曲げ伸ばしに違和感が出る場合もある ・重い荷物を避ける必要がある ・正座ができない ・かがめない、かがみにくくなる ・生活習慣の変化を受け入れる必要がある ・スポーツに支障が出る可能性もある ただし、本人の状態や症状によっては、手術のメリットとデメリットについて、上記に当てはまらない可能性もあります。必ず医療機関で医師にご相談ください。 変形性膝関節症の手術をする前に知っておきたい内容については、以下の記事も参考になります。 参考文献 文献1 厚生労働省|変形性ひざ関節症の人を対象にした運動プログラム
公開日:2024.11.06 -
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変形性膝関節症の治療法や種類を一挙に解説します(薬物療法、保存療法、手術療法、理学療法、理学療法、再生医療) 変形性膝関節症の治療法(保存療法)にはどんな種類があるの? 変形性膝関節症の治療法については、様々な種類があります。今回は、その治療について徹底して解説させていただきます。変形性膝関節症は、関節軟骨の変性や摩耗を伴う退行性の病気です。 中高齢者の膝関節痛のいちばんの原因疾患として、その頻度は高くみられます。 そして、初期や中期の変形性膝関節症に対しては、さまざまな保存療法が有効であり、ある程度まで進行した変形性膝関節症に対しては、手術が必要となります。 変形性膝関節症の治療法 ・初期~中期:さまざまな「保存療法」が有効 ・~末期:「手術療法」が必要となる 症状としては、初期では起床時や休憩後などでの膝を動かした際に痛みが発生します。痛みは寒い日や、雨の降る日など、天気の悪い日に増悪することが多く、天気のよい日などは痛みを感じにくい場合もあります。 変形性膝関節症の進行に伴い、歩く場合に痛みが発生し、長距離歩行や階段昇降が困難になり、安静時痛や夜間痛が出現することもあります。 また、正座ができなくなるなどの膝関節の屈曲制限や、反対に膝が完全に伸ばせなくなるなどの関節可動域制限が生じてくると日常生活上いろいろな支障がみられます。 変形性膝関節症に対して行われる治療法にはおもに薬物療法・運動療法・理学療法・装具療法・内視鏡手術・人工関節置換術、そして最近注目されている先端医療分野で再生医療というものがあります。 1.薬物療法 変形性膝関節症の薬物療法では、さまざまな薬が処方されます。薬の種類には大きく分けて「内服薬(飲み薬)」「湿布薬」「塗り薬」「坐薬」の4種類があります。 通常、内服薬は頓用、塗り薬や湿布薬は痛みが慢性化した場合の長期使用、坐薬は耐え難い痛みがあるときの緊急用として使用されます。 薬物療法、薬の種類 ・内服薬(飲み薬) ・湿布薬 ・塗り薬 ・坐 薬 内服薬として最もよく処方されるのは鎮痛薬で、「NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)」と「アセトアミノフェン」が多く使用されます。NSAIDsはロキソニン、ボルタレンなどの製品名がよく知られています。 体内の炎症を鎮める薬で、主に痛みが関節の中にある場合によく効きます。ただし、副作用として胃腸障害が現れることがあり、胃痛や吐き気、ときには胃潰瘍になるというケースもあります。そのため、多くの場合「胃薬」も一緒に処方されます。 湿布薬や塗り薬は「外用薬」と呼ばれ、その中にはNSAIDsの成分が含まれており、患部に貼ったり塗ったりすることで経皮吸収(皮膚から吸収すること)され、炎症を鎮める効果が期待できます。 内服薬のような胃腸障害や内臓疾患の心配が少なく、長期使用も可能です。一方でかゆみや、かぶれ、アレルギー反応を起こすこともあり、皮膚が過敏な人は注意が必要です。 薬物療法の種類 ■内服薬:鎮痛薬 ■概 要:体内の炎症を鎮める薬、主に痛みが関節の中にある場合に効果が高い ■副作用:胃腸障害(胃痛、吐き気、胃潰瘍) ・NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬):ロキソニン、ボルタレンなどの製品名 ・アセトアミノフェン ■外用薬:湿布薬、塗り薬、 ■概 要:NSAIDsの成分を含み患部に貼付、塗布することで経皮吸収(皮膚から吸収) ■副作用:かぶれ、アレルギー等(長期使用も可能) 鎮痛薬や湿布薬などで痛みがひかない場合には、膝の関節内にヒアルロン酸注射を打つことがあります。ヒアルロン酸は、膝の動きを滑らかにし、クッションの役割を担うことに一役買っています。 変形性膝関節症では、関節液中のヒアルロン酸の量が少なかったり、弾性や粘性が低下していたりするため、不足するヒアルロン酸を注射器で関節内に注入します。 膝関節にヒアルロン酸を注入すると、痛みが和らぐほか、膝の動きが滑らかになり、また関節軟骨の栄養になるといった効果が期待できます。 鎮痛薬や湿布薬などで痛みがひかない場合 ・膝(関節内):注射(ヒアルロン酸) ・概 要:膝の動きを滑らかになる。 ・痛みを和らげ、動きを滑らかする。 運動療法/リハビリ 運動療法は、リハビリの一貫として専門家の指導の下、筋肉をほぐしたり、硬くなった関節の動きを広げて動きやすくするなどの適切な所作、運動を行うことによって痛みや機能の障害を回復させ、或いは改善を目指すために行います。 その他、運動療法は膝周りの弱った筋肉の力を向上させて膝を支えることができるよう、運動機能を取り戻すことを期待して行います。その内容は、以下のような目的をもって各種、組み合わせて行われます。 リハビリの目的 ・筋力アップ ・可動域の拡大 ・体重管理(必要ならダイエット) ※体重管理は、膝に負担をかけないために重要です。肥満傾向がある場合は、ダイエットも指導することになります。 理学療法・装具療法 装具療法では、装具を用いることで膝関節にかかる負担を軽減し、関節を安定させることで痛みを和らげます。装具は、関節の変形を治す効果はありませんが、普段の生活の立つ、歩くなど膝関節にかかる負担を軽減するのに役立ちます。 希望する人は医師に相談して、自分の関節の状態に合ったものをすすめてもらうといいでしょう。変形性膝関節症の治療に用いる装具には、次のようなものがあります。 ① 装具/サポーター ・目的:膝を温める。 ・効果:患部の細胞の新陳代謝を促進、炎症を鎮める。膝が守られているという安心感。 ・タイプ:薄型で伸縮性や保温性の高い医療用タイプを選ぶといいでしょう。 ② 足底板/インソール ・目的:歩いたりした際の痛みが緩和される。 ・概要:O脚、X脚タイプの変形性膝関節症の初期、靴の中や足裏に足底板(インソール)を活用する。 ・タイプ:靴への中敷きタイプ、足裏に直接つける室内用タイプがある。 ・注意 :初期~中期の患者さんに有効。変形が進行した末期の場合は改善効果が期待できない。 足底板は、物理的な作用で変形した膝関節の角度を一定角度補整できる治療法です。O脚の人の場合、足底板を使って足の外側を高くし、内側を低くすることで、膝の内側に偏っていた負荷が軽くなって痛みが和らぐのです。 内視鏡手術 内視鏡(関節鏡)手術は、腰椎麻酔をしてから膝蓋骨の周辺に1cmほどの小さな切開口を2〜3カ所あけて、カメラのついた内視鏡を挿入し、炎症の原因となるこすれ落ちた軟骨や断裂した半月板、炎症を起こした滑膜などを取り除き、膝痛を改善する手術法です。 滑膜の炎症が強くて水がたまりやすい人、半月板損傷や関節遊離体(いわゆる関節ネズミ)のある人など、膝の痛む原因がはっきりわかっている人に特に有効です。 内視鏡手術の最大の利点は、切開部が小さいため体力的負担が少ないことです。 手術時間は1時間前後と短く、手術当日は翌朝まで安静にしますが、翌日からは歩くことができます。入院も1日程度と短期間で済み、多くの場合2〜3日で通常の生活に戻れます。 人工関節置換術 変形性膝関節症が進行し、痛みがとても強くて歩行が困難になった場合、「人工膝関節置換術」が検討されます。変形した膝関節の骨をインプラント(人工の関節)に置き換えるというもので、膝関節の一部のみを入れ換える「片側置換術(UKA)」と、関節の接合部全体を入れ換える「全置換術(TKA)」に分けられます。 人工膝関節置換術の手術を受けると、痛みはほぼ完全に消え、可動域が広がって滑らかに膝を動かすことができるようになります。O脚やX脚がある場合には、まっすぐな足に矯正され、歩行時に膝のぐらつきがある人はそれも解消されます。 再生医療/PRP療法 再生医療とは、人の細胞が持つ「自然治癒力」を引き出して機能の回復を図る治療法です。 変形性膝関節症の場合、重症化すると手術に頼らざるを得ないのが実情ですが、こうした手術適応例において、組織修復力を持つ再生医療の治療効果が期待されています。 現在、最も多く行われている再生医療が「PRP療法(自己多血小板血漿注入療法)」です。 血小板とは、血液に含まれる細胞のことで、血液を固める働きのほかに、組織の修復を促す成長因子を出す働きがあります。PRP療法では、患者さん自身の血液から、血小板が多く含まれる血小板血漿(PRP)を抽出し、患部に注入します。すると、その部分の組織の修復が促されていきます。 PRPは自分の血液から抽出するため、薬物療法のような副作用がほとんどないという利点があります。その反面、PRPは軟骨や半月板にはならないので、完全に軟骨がなくなってしまった重症の膝痛に対する効果は低下します。 変形性膝関節症では、関節の炎症を抑えて痛みを和らげ、軟骨や骨の変形の進行を防ぐ目的でPRP療法が用いられます。 https://youtu.be/OHnPrPHbtZM?si=IVTQZdjdcf8krciR 再生医療/幹細胞治療 このほかの再生医療には「幹細胞治療」があります。これは、衰えた膝の関節軟骨を再生させて痛みを抑える再生医療です。 幹細胞とは、皮膚や血液など、絶えず細胞が入れ替わる組織を保持するために、新しい細胞を再び産生して補充する能力をもつ細胞のことです。 幹細胞には、分化能(皮膚、血液、神経、血管、骨、筋肉など細胞を作り出す能力)と、自己複製能(自らと同じ能力を持つ細胞に分裂することができる能力)の2つの能力があります。 変形性膝関節症の治療で実用化されているのは「間葉系幹細胞」による軟骨再生療法です。間葉系幹細胞は骨髄に由来する非造血系の細胞ですが、骨髄ばかりか脂肪や骨膜などから比較的容易に取り出すことが可能です。 しかも、骨芽細胞や脂肪細胞だけでなく、軟骨細胞や筋細胞、神経細胞にも分化する能力を持っています。患者さん自身の細胞を使うため拒絶反応や副作用もなく、増殖に伴う老化の影響や分化能の低下が少ないのも大きな特徴です。 培養幹細胞治療では、お腹の脂肪から採取した間葉系幹細胞を培養して膝関節内に注入する治療や、膝の滑膜から採取した間葉系幹細胞を関節内に定期的に注入したり、半月板損傷に対する内視鏡手術の際に幹細胞を移植したりする治療が行われています。 さらに、軟骨細胞そのものを取り出して培養し、欠けた軟骨の再生を促す「自家培養軟骨移植」の研究も進み、実用化されています。これは患者さん自身の軟骨から取り出した細胞を培養し、膝の軟骨が欠けた箇所へ移植することにより、痛みなどの症状を緩和します。 これらの再生医療は、一部を除き自由診療となり、全額が自己負担となります。費用は医療施設によって大きく異なりますのでお問合せされることをお勧めします。 ただ、再生医療は実施する医療機関によって培養手段、投与手法をはじめ特徴が違います。そのため、一律に比較することができず、費用感だけでの比較はあまり意味がありません。興味がお有りならお問合せされることをお勧めします。 当院も再生医療専門のクリニックです。お問合せ頂ければ親切丁寧にご説明させて頂き、無理にお勧めすることもございませんのでお気軽にお問い合わせください。 尚、医療機関が再生医療を行う、あるいは特定細胞加工物を製造する場合には、厚生労働省への届出が法律で定められています。再生医療をお考えならその施設が「再生医療等提供機関」として登録されているか、必ず確認のうえ受診しましょう。 https://youtu.be/JvYn_j6n9io?si=bIobL5rL_HgE3wt3 まとめ・変形性膝関節症の治療方法や種類を一挙に解説します 以上のように、変形性膝関節症を治すための治療法は、薬物療法、保存療法、手術療法、理学療法、理学療法、再生医療などのように様々ありますが、まずは予防が大切です。 普段、日常生活を過ごすというだけでも膝には、体重の何倍もの負担が掛かっています。体重管理に気を付けて体重の増加に敏感になっていただきたいと思います。 それでも膝に痛みや、違和感を感じられたら年齢や症状に応じて整形外科をはじめとした医療機関で検査・診察を受け、医師と相談の上、適応となる治療法を選択してください。 以上、変形性膝関節症の保存療法を徹底解説させていただきました。参考にしていただけると幸いです。 ▼ 再生医療で変形性膝関節症を治療する 変形性膝関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼以下の情報も参考にされませんか 変形性膝関節症の装具療法の種類と注意点について
公開日:2024.10.07 -
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変形性膝関節症|サポーターの注意すべき使用法!正しい選び方と装着方法 変形性膝関節症を発症され、歩行時にぐらついたり、痛みが生じたりする症状で苦労をされていませんか? そんな場合、サポーターを着ける機会も多くなるのではないでしょうか?!そんな場合、以下のようなことを考えられたり思われたことがお有りになるかもしれません。 ・「自分に合わせた専用のサポーターが欲しい」 ・「専用のサポーターってどうなのか?」 ・「自分に合わせてもらえるのか?」 そのサポーターについて以下のように思っていませんか? ✕「ドラックストアで売ってる既製品で良い」 ✕「着けてさえいれば良い」 ✕「オーダーする必要が分からない」 △「オーダーできるとは知らなかった」 まずお伝えしたいのは「変形性膝関節症」の場合、「サポーターを使用することは大変有効である」ということです。そこで今回は、「変形性膝関節症のサポーター」に関して、その選び方と使用法、装着方法について解説いたします。 ご自身の膝の状態、そしてご自身にフィットしたものが良いのは言うまでもなく、サポーターの選び方、更には効果的な装着方法、着け方について具体的にご説明したいと思います。 ご一読いただき通院先や、お近くの医療機関でご相談されることをお勧めします。 変形性膝関節症サポーター|使い方で注意したいこと 変形性膝関節症の対策としてサポーターを使われることは有効です。 しかし、適当にサポーターを選んでつけると、サポーターの効果が十分に発揮されない可能性があることをご理解いただかねばなりません。 せっかく付けるのですから効果的に装着していただきたいものです。 気を付けて頂きたいのは、変形性膝関節症の「進行具合」「炎症の箇所」などによってはサポーターをつけることが逆効果になることもありえるということです。 そのため、サポーターの使用について、まずは主治医にご相談されることをお勧めします。 主治医にご相談いただきサポーターを使用することになった場合は、その指示のもとで選んで頂きたいのですが、ご自身でもポーターの選び方や、つけ方についてご理解いただくことは非常に大切です。 清潔な状態で使用しよう 変形性膝関節症でサポーターを使用するときは、膝もサポーターも清潔な状態で使用するようにしましょう。清潔な状態が保たれていない状態で使用すると皮膚がアレルギー反応を起こしたり、接触性皮膚炎を引き起こす可能性があります。 サポーターはズレてしまうことがあります。汗をかいているときは、汗をしっかり拭きとってからサポーターをつけるましょう。 サポーター装着する注意点 ・清潔な状態を意識する ・膝の汗を拭きとってから使用 長時間の使用は避ける サポーターを正しく装着しても、長時間つけ続けていると患部が圧迫されて血流が悪くなってしまいます。楽だからと、ずっと装着したままでいると膝を支える筋力が低下してしまいかねません。 家にいる場合などは、はずして長時間の使用は控えるべきです。サポーターは外出直前につけ、定期的に外すことで、できるだけ着けている時間を短くする工夫をしましょう。 短い時間であっても安静時には外すなど、こまめに着け外す習慣をつけるようにしましょう。 定期的に交換しましょう サポーターは消耗品という認識を持ってください。 長期間使用していると素材が伸びたりして、劣化します。例え専用にオーダーして、正しいつけ方をしていてもフィット感が乏しくなってくることがあります。 サポーターは正しくフィットすることで効果を発揮するよう設計されているからです。長期間使用したために、伸びたり劣化したりして正しくフィットしなくなってきた場合は積極的に新しいものに交換しましょう。 劣化したサポーターを使って変な負担が掛かることで逆に症状が悪くなる危険性もあります。 変形性膝関節症|サポーターの選び方 変形性膝関節症でサポーターを使用し、効果を十分に得るためには、装着方法だけでなく、どのようなサポーターを使用するのか、選び方も重要です。 現在は、いろいろな種類のサポーターが販売されていますが、どれも大差ないだろうと適当に選んで使用するべきではありません。 適当な選び方をしたサポーターだと、正しいつけ方をしても変形性膝関節症への効果が得られないばかりか、悪影響になってしまうこともあります。 膝のサイズが合ったものを選ぶ 変形性膝関節症でサポーターを使うときは、まず、自分の膝のサイズに合ったものを選ぶことが大切です。 せっかくサポーターをつけてもサイズが合っていないと、膝をしっかり固定することができなくなり、サポーターをつける意味がなくなってしまいかねません。 サポーターを選ぶ場合 ・自分のサイズを知るため事前に測っておきましょう ・測り方は、メジャーで膝の皿の部分から上下10㎝の部分を測ります。 用途に合ったものを選ぶ 自分の用途に合ったものを選ぶことが大切です。 ・スポーツにおすすめのタイプ ・立ち仕事をする場合におすすめのタイプ ・高齢者におすすめのタイプ ・リハビリをおこなう人におすすめのタイプ 変形性膝関節症の対策として選ぶ場合は、症状の度合いや体重、筋力、足の状態(O脚など)によって、どれが合うかは異なってくるので、選び方は判断がすごく難しいです。 主治医に相談して自分の用途に合ったものを見つけましょう。 使用感の良いものを選ぶ 変形性膝関節症のサポーターを選ぶ際は、使用感についても重視すべきです。サイズが自分にピッタリであっても、実際に使用して不快に感じると、長く使用することが難しくなってしまいます。 サポーターは、サンプルを置いているお店もあるので、実際に試して使用感をチェックするのがおすすめです。 変形性膝関節症のサポーター|正しい装着法(つけ方) 変形性膝関節症の人がサポーターを使用する場合、サポーターの選び方だけではなく、正しいつけ方で使用することが大切です。 そこで変形性膝関節症のサポーターのつけ方のコツをご紹介します。 サポーターの装着(つけ方)、手順とコツ ベルトを締めるタイプのサポーターの場合、サポーターは上の方から締めていきます。上のベルトを締めるときは、強く締める必要はなく、フィットしているな!と感じられるくらいで十分です。 上を締めてズレがないかチェックしたら、今度は下のベルトを締めます。 下の方を締めるときは、膝の皿の部分をきちんと補助することができるように下から上に引き上げながら締めるのがポイントです。 下の方は上の方よりも強めに圧がかかるように締めますが、血流を阻害するほど強く締めすぎないように注意しましょう。 立った状態で装着する サポーターをつけるときは、立った状態で装着するのがおすすめです。 立ち姿勢で膝を伸ばした状態でサポーターをつけると、しっかりとサポーターが巻き付いて膝を曲げたときに緩みにくくなります。 ただし、サポーターなしで立つのが難しいという人は座った状態でつけても問題ありません。 座った状態でサポーターをつける場合は、膝を少しだけ曲げた状態でつけるとしっかりと付けることができます。 膝を動かして確認する サポーターをつけ終えたら一度膝を軽く動かしてみて、締め付けが強すぎないかチェックします。ズレがなくきちんとフィットしているかチェックしたりすることが大切です。 少しでも強すぎたり、フィットしていない場合は、面倒でもそのまま使用せず、つけ直しましょう。これが大切です。 まとめ・変形性膝関節症|サポーターの注意すべき使用法!正しい選び方と装着方法 ここでは変形性膝関節症のサポーターの使い方で注意すべきことや、選び方。そして、その着け方、装着方法についてご紹介させていただきました。 変形性膝関節症に悩む方にとって、サポーターは大きな助けとなります。しかし、正しい選び方や装着方法を知らずに使用すると、効果が得られないだけでなく、逆に症状を悪化させる恐れもあります。 まず、サポーターの選び方は自身の膝の状態や用途に合わせて慎重に行うことが重要です。 サポーターの装着方法も正しく行うことで効果的に症状の緩和が期待できます。清潔な状態で使用し、長時間の装着は避けるようにしましょう。 また、サポーターにも寿命があり、フィット感が乏しくなってきたら交換も必要になります。最もお勧めするのは主治医や専門家と相談しながら適切なサポーターを選ぶことです。 正しい装着方法を学び、これらのポイントを押さえて、変形性膝関節症に対するサポーターの効果を最大限に引き出しましょう。 以上、参考にしていただければ幸いです。 ▼ 再生医療で変形性膝関節症を治療する 変形性膝関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼こちらも参考にしていただければ幸いです 変形性膝関節症を悪化させないための運動方法と日常の工夫
公開日:2024.10.07 -
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変形性膝関節症で必須なサポーターのメリットと選択時の注意点 変形性膝関節症に悩まされている高齢者のなかには「膝が痛いのでサポーターをつけた方が楽になるかも?」「変形性膝関節症と言われたのでサポーターを着けるべきか?」などとお考えではないでしょうか。 今回は、「1.変形性や、デメリット」、「変形性膝関節症でサポーターをつけるメリット」、「3.サポーターの使用時に注意すべきこと」の3点についてご紹介します。 1.変形性膝関節症でサポーターをする方が良い理由 まず結論から述べると、変形性膝関節症では高齢者に限らず、若い方であっても「膝にはサポーターをしたほうが良い!」と言えます。そこで、その理由についてお話します。 変形性膝関節症の高齢者にはサポーターを積極的におすすめしています 変形性膝関節症の場合、高齢者はもちろん、それ以外の方にとっても「サポーター」は、単なるグッズではなく、"おすすめ"のアイテムです。変形性膝関節症になると、軟骨の擦り減りによって膝が不安定になったり、痛みが生じたりして歩行が困難になります。 しかし、サポーターの効果としては、膝を支えて固定することで、膝が安定し、痛みを和らげることができるので、歩行や動きが楽になります。また、サポーターによって膝が温められ、冷えによる痛みを和らげることでも人気があります。 症状:軟骨のすり減り → 膝が不安定、膝の痛み → 歩行や動くことにが困難に ・サポーターを着ける:膝を支え(固定) → 膝が安定(痛みが和らぐ)>歩行が楽に! ・サポーターを着ける:膝を温め(冷えを防ぐ)→ 痛みの軽減 >歩行が楽に! このように変形性膝関節症の方にとってサポーターの使用は、とても有効でオススメです。ただし、使い方には注意点があります。そんなサポーターに関する情報を記していきましょう。 変形性膝関節症でサポーターをつけるときの注意点 変形性膝関節症の場合、高齢者に限ったことではありませんが、サポーターで膝を安定さることができれば「歩行がしやすくなった!」「膝の痛みが軽減された!」という効果を感じることができます。 まさにサポーターを着けるだけの手軽さで可能になります。ただし、サポータを装着して良い効果を得るためには正しい使い方をすることが大切になります。 〇こちらも併せてご覧ください → 変形性膝関節症の装具両方の種類と注意点について サポーターの種類は千差万別、選択には注意が必要 変形性膝関節症の方にサポーターは、積極的におすすめできるアイテムです。しかし、ご注意いただきたいのは炎症の箇所や症状の度合いによってはサポーターを使用すると、余計に痛みが生じてしまうことがある点です。 また、慢性皮膚炎の人や、膝の周辺に傷や湿疹がある人などが使用すると皮膚の症状が悪化する可能性があります。化学繊維にアレルギーがある人はサポーターでアレルギー症状が出る可能性もあるので気をつけましょう。 サポーターには、単なるグッズから医療用のもの、また対策できる部位やサイズが違っているもの、保温性を加味したもの、メンズ・レディース・共用など性別を含めて色々なタイプや種類があります。 これらは通院されている整形外科をはじめ、手軽にドラッグストアや、ネット通販でも簡単に購入ができます。選び方としては通販サイトのランキング情報や、口コミを参考に選ぶこともできます。 サポーターを選択する際には医療用から選べば大きな間違いは無いと思われますが、大切なのは、膝をしっかり固定できて、支えてくれるもの、しっかり動きをサポートしてくるものを基本に、サイズが合ったものをお選びください。 このようにサポーターも多種多様にあるため、何の目的で、どんな対策で付けるのかなど、目的を明確にして選びたいものです。一番のオススメは試着できることです。 最も良いのは、主治医にご相談されることです。試着できることが多く、最適なサポーターを医者の目線で選んでもれえることが可能になります。ご自身に合ったものをで選んでもらえるので安心です。 サポーターの装着で注意すべきこと ・炎症が起こっている箇所、症状の度合いの判断が必要 ・慢性皮膚炎 ・膝の周辺に傷や湿疹 ・アレルギー(化学繊維) サポーター選びで大切なこと ・膝を支えて固定できるもの ・サイズがあったも ・保温性にも対応しているもの ・主治医がおられるなら相談をしてアドバイスを受ける 2.変形性膝関節症でサポーターをつけるメリット ①サポーターを着けるメリット:安心感が増し、歩行がしやすく、楽になる 変形性膝関節症の人は、膝を動かすと、その痛みによって歩くのが困難になってしまいます。さらに高齢者の場合は、膝を支える筋肉量そのものが低下してしまっているため、余計に歩行が辛く、困難になってしまう傾向があります。 このように歩行が不安定な状態が続くと歩くことに対して怖かったり、不安な気持ちになり、歩くことを躊躇するようになる人も少なくありません。 そのためにも膝を支えて、固定してくれるサポーターを使用されることを、おすすめします。サポーターは、膝を固定する効果があり、膝の安定感が増して「歩行時のふらつきを予防し」、「膝を安定させます」。「膝が固定されてぐらつかなくなる」ことで歩行するときの安心感を得ることができます。 ②サポーターを着けるメリット:痛みを感じにくくなる サポーターをつけることで痛みを軽減させ、感じにくくなるのも大きなメリットです。なぜサポーターをすると痛みを感じにくくなるかというと、サポーターをつけて膝を圧迫すると「触圧覚が刺激される」からです。 「触圧覚」とは、何かに触れたときに感じるもので、痛みを感じたときに痛みを脳に伝達する痛覚よりも早く、何かに触れたことを脳へ伝達します。サポーターで圧をかけ、触圧覚を刺激していると痛覚の反応が鈍くなるため、痛みを感じにくくなるのです。 ③サポーターを着けるメリット:膝の冷えを防止する サポーターは膝を安定させたり、痛みを感じにくくしたりする効果だけでなく、「冷えを予防する効果」も期待できます。膝が冷えてしまうと血管が収縮して血液の流れが悪くなり「筋肉が硬く」なってしまいます。 そして、膝の筋肉が硬くなったまま動かそうとすると筋肉への大きな負担がかかるため、痛みを感じやすくなります。そのため、変形性膝関節症の高齢者が寒い日に外出するときや、エアコンが効いている部屋にいるときなどは、サポーターをすることで「冷えを防止」することができます。 このように変形性膝関節症の高齢者を含め困っている方は「サポーターをつけることで多くのメリット」があります。 ④サポーターを着けるメリット:変形性膝関節症の悪循環をストップできる 変形性膝関節症が進行すると膝の安定性が低下したり、痛みが生じたりするため、安静にしようと思ったり、動かすのが億劫になったりして、できるだけ動かないようにしようとする人が多いでしょう。 しかし、ご注意頂きたいのは体を動かさないでいると軟骨の周囲を支えている筋力が低下します。すると、軟骨がさらに擦り減りやすくなるなど、悪循環を招いてしまいます。ですから悪循環をストップさせるためにサポーターを適切に使用しましょう。足を動かす機会が増えれば、軟骨の周囲を支える筋力が戻り、軟骨が保護されて、痛みにくくなります。 特に高齢者の場合、「年だから・・・」と諦めずにサポーターを使用することで無理のない運動に努めましょう。サポーターで膝を補助してあげることで動くことをためらったり、諦めたりする必要を減らすことができる点、大きなメリットと言えるでしょう。 ▼悪循環になりがち ・変形性膝関節症:膝の安定性が低下し痛みが生じる → 動かすのが億劫になる ・変形性膝関節症の悪循環:動かない → 筋力低下 → 膝の周りの筋力低下 → 膝軟骨のすり減り ・悪循環を断ち切る:動きをサポートし、痛みを低減するサポーターを有効活用すべき! ▼ 変形性膝関節症を再生医療で治療する 再生医療をご存知ですか?変形性膝関節症は、入院や手術を行うことなく症状を改善することができます 3.変形性膝関節症の高齢者がサポーターを使用する際に気をつけること? 変形性膝関節症で高齢者がサポーターを使用する場合、外出やリハビリに取り組む場合に多くのメリットがありますが、サポーターを効果的に使用するには、注意すべきことがいくつかあります。 汗を拭いて使用する 歩行時にサポーターがずれると歩行しにくくなります。 そのままでは、他の筋肉や部位に負担をかけることとなり、膝や腰などに痛みが出る可能性があります。このように膝に汗をかいた状態でサポーターをつけると、サポーターがずれやすくなり、膝を支えるという目的を果たせなくなります。 外出やリハビリに使用する場合は、サポーターをつける前に汗をかいていれば拭くようにしましょう。また汗をかいたら面倒でも、小まめに拭いてやり、快適な装着を心がけましょう。 正しく装着する サポーターは正しく装着することで効果を発揮します。 上下左右の方向や位置を間違って装着すると、サポーターの役割をじゅうぶんに果たすことができませんし、血行不良になることもあります。種類によっては上下や左右など分かりにくいものもあり、何か不自然、違うな・・・感じたら、最初から装着をやり直しましょう。おかしいと思いながら付け続けるのはお避け下さい。 安静時はサポーターを外す サポーターを長時間使用していると、うっ血や圧迫痛を引き起こしてしまう可能性がありますので、使用するのは運動時や歩行時だけにして、安静時はサポーターを外すようにしてください。 まとめ・変形性膝関節症で必須なサポーターのメリットと選択時の注意点 高齢者をはじめ多くの変形性膝関節症の方々にとってサポーターは”おすすめ”なのかどうか、また、使用する場合の注意点などについて記させていただきました。 サポーターを装着すれば、膝周りを支えて歩行時の安心感はもちろん、痛みを緩和してくれる有効なアイテムとしてご推薦できます。デメリットは特に無いのですが、注意点はあります。 それは、ご自身の症状にあったサポーターをお選びいただく必要がある点、装着方法に注意をはらう、サイズが合ったサポーターをしていただくということになります。 また、サポーター選びは医師へご相談された上、その指示やアドバイスに従い正しく使用することができればベストです。 ▼ 再生医療の幹細胞治療が変形性膝関節症の治療を変える! 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療なら、すり減った軟骨の再生を目指せる ▼サポーターの使い方をこちらで更に詳しくご説明 【変形性膝関節症用のサポーター】正しい使用法と選び方!
公開日:2024.10.07