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- ひざ関節
- 変形性膝関節症
「横向きで寝ると膝が痛くて眠れない…」 上記のような横向きで寝ると膝が痛みを感じる場合「膝周りの筋肉の緊張」や「膝関節や軟骨の異常」が原因の可能性があります。 本記事では、横向きで寝ると膝が痛くなる原因や自宅でもできる対処法について詳しく解説します。 寝る時に痛いだけだからと放置されるケースも少なくありませんが、症状が悪化して我慢できないほどの痛みになる可能性があるため注意しましょう。 近年の治療では、入院・手術をせずに膝関節の疾患や炎症を治療できる再生医療が注目されています。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは「膝の痛みを早く治したい」という方向けの再生医療に関する情報を配信中です。 膝の痛みが悪化して日常生活に影響を及ぼす前に、再生医療とはどのような治療を行うのかぜひ知っておきましょう。 \公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/ 横向きで寝ると膝が痛い!考えられる3つの原因 横向きで寝ると膝が痛い場合、以下3つの原因が考えられます。 筋肉の緊張 膝関節の組織の炎症 変形性膝関節症 寝ているときの膝の痛みの原因を知り、必要に応じて病院での受診も検討しましょう。 筋肉の緊張 横向きで寝ていて膝が痛む場合、膝の筋肉が緊張し、こわばっている可能性が考えられます。 寝ている間は、日中に比べて膝を動かしていない時間が長いため、膝の筋肉が収縮・緊張しやすい状況です。 さらに、横向きで寝ると下になっている膝に負担がかかり、血行不良で筋肉が緊張し、痛みにつながります。 また、加齢や運動不足も膝周りの筋肉が固まり痛みを感じる原因になるため、こまめに膝の筋肉のストレッチをするなど、膝周りの筋肉をほぐすことを意識しましょう。 筋肉の緊張以外にも原因がある可能性もありますので、一度医療機関に受診して原因を特定することをおすすめします。 「病院に行くのはハードルが高い」「どんな病院に行けばいいのかわからない」という方は、まずは当院にお電話でご相談ください。 膝関節の組織の炎症 横向きで寝ると膝が痛い場合、膝関節の組織の炎症が原因かもしれません。 膝関節の組織でよくある炎症として、「半月板損傷」「関節リウマチ」が挙げられます。 半月板とは、大腿骨と脛骨の間にある線維軟骨で、膝関節のクッションの役割をしています。外傷や加齢により、半月板に亀裂が入り痛みが生じる状態を「半月板損傷」といいます。 また、関節リウマチは自己免疫疾患の1つです。免疫異常により、関節の滑膜と呼ばれる部分に炎症が起こると、膝に痛みを感じることがあります。 いずれも、慢性化すると歩行が困難になるケースもあるため、膝の痛みが続いている場合は早めに整形外科などで受診しましょう。 変形性膝関節症 横向きで寝ると膝が痛むのは、変形性膝関節症の可能性も考えられます。 変形性膝関節症は、加齢や度重なる膝への負担から、軟骨が摩耗して起こる疾患です。 最初は膝の違和感程度でも、進行すると立ち上がりや歩き出しといった膝を動かすタイミングに痛みを感じるようになります。膝が伸ばしにくくなることもあり、寝ていても痛みを感じるという人も少なくありません。 変形性膝関節症の治療としては、温めたり冷やしたりする物理療法のほか、薬物療法や手軽に取り組めるストレッチが効果的です。 ▼すり減った膝軟骨の再生が期待できる! >>【公式LINE限定】再生医療の治療法や症例を今すぐ見てみる 膝が痛くて眠れないときの対処法3選 膝が痛くて眠れないときに、今すぐできる対処法は以下の3つです。 寝る時の姿勢を工夫する ストレッチをする 温める、もしくは冷やす 本章が、寝る時の膝の痛みに悩んでいる方の参考になれば嬉しく思います。 寝る時の姿勢を工夫する 寝る時に膝が痛い場合、寝方を工夫してみましょう。 横向きで寝ると、身体にひねりが加わり、膝に負担がかかりやすくなります。そのため、基本的には仰向けで寝ることをおすすめします。 もし仰向けで膝を伸ばした際に痛みが出る場合は、膝下にクッションを挟んで寝るのもおすすめです。 うつ伏せなど顔が下になる寝方は、膝周囲の血流が阻害されやすくなるため避けましょう。 ▼膝の痛みの治療に再生医療が注目! >>【公式LINE限定】再生医療の治療法や症例を見てみる ストレッチをする 膝の痛みで眠れない場合、膝周りの筋肉をほぐすストレッチをするのも良いでしょう。 ストレッチによって膝まわりの血流が良くなると、こわばりがほぐれ、痛みが和らぐ可能性があります。とくに、ふくらはぎにある腓腹筋や、太ももの裏にあるハムストリングのストレッチが効果的です。 具体的なストレッチ方法は以下のとおりです。 膝の痛みを軽減するための、腓腹筋のストレッチ 1. 壁や椅子の背もたれに手をつき、脚を交差させます 2. 前脚の膝を曲げていき、後ろ脚のふくらはぎの伸びを感じます 3. 気持ちが良いところで20秒キープします 4. 左右の脚を入れかえて1〜3を、1日3セット行います。 膝の痛みを軽減するための、ハムストリングのストレッチ 1. 地面に座り脚を開きます 2. 背筋を伸ばした状態で、片側のつま先に向かって、体を倒します 3. 気持ちが良いところで20秒キープします 4. 左右の脚を入れかえて1〜3を、1日3セット行います ストレッチは即効性が高くないため、継続でおこなう必要があります。無理のない範囲で習慣的に実施しましょう。 温める、もしくは冷やす 寝ているときに膝が冷えると、血流が悪くなり、膝がこわばって痛みを感じることがあります。夏場はエアコンが直接膝にあたらないようブランケットなどを活用するなどの工夫が必要です。 一方、寝ているときに膝が熱を持っていたり腫れていたりする場合は、患部を冷やすのが効果的です。アイスパックや氷嚢などを使って冷やせば、膝周りの血管が収縮し、炎症や痛みを抑えられる可能性があります。 もし、温めても冷やしても膝の痛みが引かない場合は、医療機関を受診の上、痛み止めの薬を服用しても良いでしょう。 寝てるときの膝の痛みで病院に行く目安 横向きで寝ると膝が痛い状態が続く場合、以下の項目に当てはまるかチェックしてみましょう。 1つでも該当する項目がある場合、変形性膝関節症の可能性も考えられます。 早期発見・早期治療につなげるためにも、寝ているときの膝の痛みが気になる場合は医療機関に相談しましょう。 また、当院リペアセルクリニックでは、膝の痛みだけでなく、膝の違和感などどんな些細なことでも無料でご相談を承っております。 いつの間にか膝の痛みが悪化して重症化する前に、ぜひお気軽にお問い合わせください。 \クリックして電話をかける/ 0120-706-313 (受付時間:9:00〜18:00) まとめ|横向きで寝てるときの膝の痛みが続くなら医療機関を受診しよう 横向きで寝ると膝が痛む場合は、筋肉が緊張している可能性があり、膝周辺のストレッチや患部を温める・冷やすなどの対処法で改善することがあります。 しかし、誤った処置を行なってしまうと痛みが悪化したり、膝関節に大きな負担をかける原因になってしまいます。 また、変形性膝関節症などの疾患は自己判断が難しいだけでなく、放置することで歩行が難しくなるほど痛みが強くなるリスクも。 当院リペアセルクリニックでは、膝の痛みだけでなく、膝の違和感などどんな些細なことでも無料でご相談を承っております。 「人工関節の手術はしたくない」「膝の痛みを根本的に治療したい」と考えている方は、ぜひお問い合わせください。 \クリックして電話をかける/ 0120-706-313 (受付時間:9:00〜18:00) 横向きで寝ると膝が痛いときによくある質問 朝起きると膝が痛い理由はなんですか? 朝起きて膝が痛むときは、寝ている間に膝周りの筋肉が緊張して固まっている可能性があります。 筋肉の緊張だけでなく、半月板損傷や変形性膝関節症の可能性もあるため、痛みが続くなら整形外科を受診しましょう。 変形性膝関節症の初期症状は? 変形性膝関節症の初期症状として、歩き始めや階段の上り下りなどをした際に痛みを感じることが挙げられます。また、あぐらができない、しゃがめないといった症状を自覚することもあります。 膝を動かしたときに痛み・違和感があるなら初期症状の可能性があるため、医療機関への相談がおすすめです。 変形性膝関節症の初期症状については、以下の記事も参考にしてください。
2022.01.07 -
- 肘関節
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- 上肢(腕の障害)
- 動作時の痛み
- スポーツ外傷
「投げると肘が痛いと子どもが言っている」 「肘の曲げ伸ばしがしにくそうで心配」 お子さんからこのような訴えがあり、不安に思っている保護者の方もいるのではないでしょうか。 成長期の子どもに多く見られる「野球肘(離断性骨軟骨炎)」は、放置すると手術が必要になることもある病気です。しかし、早期に発見し適切な治療を行えば、手術を避けられる可能性が高まります。 本記事では、野球肘の中でもとくに注意が必要な「軟骨剥離(離断性骨軟骨炎)」について、なぜ起こるのか、どのような治療法があるのかを専門的な視点でわかりやすく解説します。 正しい知識を持つと、焦らず適切な対応ができるようになりますので、ぜひ最後までご覧ください。 なお、野球肘に対しては、手術を伴わない再生医療という治療法もあります。当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 野球肘について気になることがある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 野球肘の「軟骨剥離(離断性骨軟骨炎)」とは? 野球肘の軟骨剥離とは、正式には「離断性骨軟骨炎」と呼ばれる病気です。 肘の外側の部分(上腕骨小頭)の軟骨に傷がつき、痛みや関節の動きが悪くなる状態を指します。 野球肘(離断性骨軟骨炎)の特徴 概要 発症部位 肘の外側の部分(上腕骨小頭) 主な症状 肘の痛み、関節の動きが悪くなる 好発年齢 9〜12歳の成長期の子ども 発症しやすい競技 ・野球(投球動作) ・体操競技 ・サッカーなど 野球などの投球動作を伴うスポーツをしている9〜12歳の子どもに多く見られますが、体操競技やサッカーをしている子どもでも発症する可能性があります。 競技人口の多さから日本では野球選手に多く見られるため「野球肘」と呼ばれています。しかし、野球以外のスポーツでも発症するため注意が必要です。 野球肘(軟骨剥離)の主な原因 野球肘(軟骨剥離)の主な原因は、繰り返される投球動作によって、まだ成長途中で柔らかい肘の骨や軟骨に過度な負担がかかることです。 1回の衝撃で起こる怪我とは異なり、小さな負担が積み重なることで徐々に組織が傷ついていきます。 具体的に、以下の動作や原因で発症しやすいです。 投球過多(投げすぎ) 投球フォームの不良(肘に負担のかかる投げ方) 体全体の柔軟性不足や筋力バランスの乱れ 野球肘は、これらの原因が複合的に絡み合って発症すると考えられています。 野球肘(軟骨剥離)の主な症状 野球肘(軟骨剥離)の最大の特徴は、ボールを投げたとき(投球時)に肘の外側が痛むことです。 しかし、初期の段階では痛みがはっきりせず、「なんとなく肘が完全に伸びない」「深く曲げられない」といった可動域制限(動きの悪さ)だけが現れることもあります。 軽傷であれば手術などをしなくても改善することが多く、早期発見・早期治療が重要な病気です。しかし、痛みが出てきたときには病気が進行していることも多いため注意が必要です。 また、無症状の少年野球選手を検査したところ、「約1〜3%に野球肘が見つかった」という報告もあります。(文献1) 野球肘(軟骨剥離)の治療法 野球肘(軟骨剥離)は、進行度によって治療方針が大きく異なります。 正確な状態を把握するためには、医療機関での受診が必要です。レントゲン撮影に加え、MRIや超音波(エコー)検査などで骨や軟骨の状態を調べる必要があります。 検査結果にもとづいて症状は主に3つの段階に分類され、進行度ごとに適した治療が選択されます。 初期(透亮期) 進行期(離断期) 終末期(遊離期) それぞれ、詳しく解説します。 1:初期(透亮期) 野球肘(軟骨剥離)の初期と診断されるのは、ほとんどが小学生です。 初期の段階では、骨や軟骨の損傷はまだ軽く、レントゲンでは一部がうっすらと透けて見える程度です。この状態を透亮期(とうりょうき)と呼びます。骨の表面にわずかな傷がついている段階で、まだ大きく剥がれていません。 この段階であれば、投球を禁止し肘を安静にする「保存療法」で、9割以上の方が改善するとされています。(文献2)ただし、骨が修復されるまでには半年〜1年以上かかることもあるため、根気強い治療が必要です。 2:進行期(離断期) 進行期は、軟骨や骨の一部が剥がれかけている段階で、完全には離れていないものの、初期より損傷が進んでいる状態です。 進行期では、基本的には手術をしない「保存療法」が選択されます。ただし、思うように治らず手術が必要になるケースもあります。 症状や病気の状態にもよりますが、3カ月から6カ月ほどで評価を行い、保存療法を続けるか、手術が必要かどうかを慎重に判断します。 3:終末期(遊離期) 終末期は、傷ついた軟骨や骨の一部が完全に剥がれ落ちている段階です。 剥がれた骨の破片は「遊離骨」または「関節ねずみ(肘関節遊離体)」と呼ばれ、関節内に残っています。遊離骨が痛みや関節の引っかかり感を引き起こすことが多く、肘の動きに支障をきたすのです。 ただ、終末期であっても、全く症状がない場合には手術はせずに様子を見ることもあります。 しかし、痛みや可動域制限がある場合は、多くのケースで手術が必要です。手術では、剥がれた骨の破片を取り除いたり、損傷した軟骨を修復したりします。 手術に頼らない治療法「再生医療」について 野球肘の治療においては、「再生医療」という治療法もあります。 再生医療は、自己の幹細胞や血液の働きを活用する治療法です。主に幹細胞治療とPRP療法の二つがあります。 幹細胞治療は、患者様から採取した幹細胞を培養して増やし、患部に投与します。一方、PRP療法は、患者様自身から採取した血液を遠心分離機にかけて、血小板を濃縮した液体を作製して患部に注入する治療法です。血小板に含まれる成長因子などが持つ、組織の修復や炎症の抑制に関わる働きを活用します。 再生医療について詳しく知りたい方は、以下のスポーツ外傷に対する再生医療に関する記事をご覧ください。 野球肘(軟骨剥離)を早く治すには? 野球肘(軟骨剥離)を早く治すためには、以下のポイントを押さえることが重要です。 一定期間は安静にする リハビリとストレッチを行う それぞれ、詳しく解説します。 一定期間は安静にする 痛みがある状態で投げ続けると、損傷が悪化し、治りが遅くなってしまいます。炎症を抑え、軟骨の修復を促すためには、完全な安静が必要です。 医師から指示された期間は、投球動作や肘に負担のかかる動作を完全に避けてください。「少しくらいなら」という油断が、回復を大幅に遅らせます。 また、日常生活でも、「重いものを持つ」「肘を強く曲げ伸ばしする」など、患部に負担をかける動作は避けましょう。 リハビリとストレッチを行う 安静期間を経て炎症が落ち着いたら、医師やリハビリスタッフの指示のもと、肘周りの柔軟性や筋力を取り戻すためのリハビリを実施します。 リハビリを行い、長期の安静により低下した筋力や可動域を、徐々に回復させていきましょう。また、無理のない範囲でストレッチや軽いトレーニングを継続すれば、回復を早められます。 ただし、痛みを我慢して行うストレッチは逆効果です。必ず医師やリハビリスタッフの指導のもとで実施してください。 以下の記事では、野球肘におすすめなストレッチを解説しています。ぜひ参考にしてください。 まとめ|野球肘(軟骨剥離)は早期発見と適切な治療で回復が期待できる 野球肘(軟骨剥離)は、9〜12歳の成長期に多く見られる病気で、投球動作を伴うスポーツで発症しやすい特徴があります。初期症状としては投球時の肘外側の痛みや可動域制限が見られ、この段階で発見できれば90%以上が手術なしで改善するとの報告があります。(文献2) しかし、病気が進行すると手術が必要になることもあるため、早期発見が重要です。 お子さんが「肘が痛い」と訴えたときには、様子を見ることなく、早めに医療機関を受診させてください。早期発見によって手術を避けられる可能性が高まります。 また、野球肘に対しては再生医療も治療の選択肢となります。野球肘の治療や再生医療について詳しく知りたい方は、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEをご覧ください。 野球肘(軟骨剥離)についてよくある質問 野球肘(軟骨剥離)はどれくらいで治る? 初期段階(透亮期)で発見された場合は、安静と適切なリハビリにより、半年〜1年ほどで回復することが多いです。ただし、病巣の完全な改善には1年以上かかるケースもあります。 また、進行期や手術を行った場合は、競技復帰までに約6カ月〜1年かかるケースも多いです。 なお、治療期間は発見時期や重症度、手術の有無によって大きく異なるため、主治医とよく相談しながら焦らず治療を進めましょう。 中学生で手術が必要になることはある? 野球肘(軟骨剥離)が発症した際に手術を行うかどうかは、年齢よりも「進行度」によって決まります。 初期段階(透亮期)で発見されれば、中学生であっても手術を避けられることが多く、保存療法で改善が期待できます。 しかし、軟骨が完全に剥がれてしまった終末期(遊離期)では、中学生であっても手術が選択されることがあります。遊離骨が関節内に残っていると、痛みや可動域制限が続き、放置すれば将来的に肘の機能に支障をきたす可能性があるためです。 重要なのは、年齢に関わらず早期に発見し、適切な治療を受けることです。お子さんが肘の痛みや違和感を訴えたら、すぐに医療機関を受診させてください。 なお、手術を避けたい方には再生医療も治療の選択肢となります。再生医療をご検討の方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 参考文献 (文献1) Prevalence of Osteochondritis Dissecans of the Capitellum in Young Baseball Players|Orthop J Sports Med (文献2) Nonoperative treatment for osteochondritis dissecans of the capitellum.|Am J Sports Med
2021.12.28 -
- ひざ関節
「人工膝関節置換術を受けるので、やってはいけないことを把握しておきたい」 「手術後の生活でどんなことに気をつければいい?」 このような疑問を持つ方もいるのではないでしょうか? 膝の関節を人工関節に置き換える人工膝関節置換術を受けると、膝の動きが改善し、痛みが和らぐ可能性があります。 しかし、手術後の生活では、膝に負担をかける動作を避けなければなりません。 誤った行動を続けると、痛みが再発したり、人工関節が破損したりするリスクがあるためです。 本記事では、人工膝関節手術後にやってはいけないことを詳しく解説します。生活の中で避けるべき動作や注意点も紹介するので、参考にしてみてください。 人工膝関節置換術とは|人工の関節を置き換える手術 人工膝関節置換術は、変形性膝関節症や関節リウマチなどで膝の関節が損傷し、痛みや可動域の制限が生じた際におこなわれる手術です。 この手術には、膝全体を人工関節に入れ替える「全置換術」と、損傷した部分のみを人工関節に交換する「部分置換術」の2種類があります。どちらを選択するかは、膝の損傷の程度や患者様の状態によって異なります。 【関連記事】 【医師監修】人工関節とは|メリット・デメリットや置換術について詳しく解説 人工関節置換術、膝の手術を決断する前に知っておくべきこと 膝手術のデメリットは?メリットや後悔しないための治療法も紹介 人工膝関節置換術後にやってはいけないこと5選 人工膝関節置換術後、膝に負担がかかることをすると膝の痛みが再発したり、人工関節の耐久性に影響を与えたりする可能性があります。 長期的に膝の健康を守るためにも、人工膝関節置換術後にやってはいけないことを覚えておきましょう。 リハビリを怠る 膝に負担がかかる姿勢をとる 膝に負担がかかる運動をする 膝に負担がかかる環境を放置する 体重が増える生活を送る それぞれ詳しく解説します。 リハビリを怠る 手術後のリハビリは、継続を怠ってはいけません。 リハビリを中断すると、膝関節の可動域の制限や筋肉の衰えにより、日常生活における動作に困難が生じる恐れがあります。そのため、継続的なリハビリテーションが不可欠です。 人工膝関節置換術後のリハビリでは、以下のような膝周辺の筋力を鍛える運動や、関節をスムーズに動かすための訓練を中心におこないます。 筋力増強訓練 関節可動域訓練 持久力向上運動 立ち上がり動作訓練 歩行訓練・階段昇降訓練 継続的なリハビリが、膝の機能回復を大きく左右します。 膝に負担がかかる姿勢をとる 無理な姿勢を続けると、関節に余計な負担がかかり、痛みの再発や人工関節が破損するリスクがあります。 そのため、手術後は膝に負担がかかる姿勢をできるだけ避けてください。 とくに以下の姿勢は、膝に負担がかかりやすいため注意が必要です。 正座 あぐら 長時間の立ち仕事 長時間のしゃがみ込み 手術後の回復をスムーズにするためにも、膝に負担の少ない姿勢を心がけましょう。 膝に負担がかかる運動をする 手術後に膝へ大きな負担がかかる運動をすると、人工関節の緩みや破損の原因になります。 以下は膝に負担がかかりやすい運動の一例です。 スキー サッカー ダッシュ バスケットボール 坂道を上る自転車運動 膝関節に強い衝撃やねじれの力が加わる運動は、人工関節に強い負担をかけます。 スポーツを続けたい場合は、医師やリハビリ担当者と相談しながら、適切なトレーニング開始時期やメニューを決めましょう。 一方で、膝への負担が少ない散歩や水泳などは、問題ありません。適切な運動は膝の機能回復に役立ちます。 膝に負担がかかる環境を放置する 自宅が膝に負担がかかりやすい環境の場合は、放置すると人工関節の緩みや破損につながります。 生活する環境を見直し、膝への負担を軽減しましょう。 以下に、日常生活で改善できるポイントをまとめました。 変更内容 改善の効果 和式トイレから洋式トイレに変える 膝を深く曲げる動作を減らし、関節への負担が軽減される 階段に手すりを設置する 階段の上り下りによる膝の負担が軽減される 寝具を布団からベッドに変える 起き上がる際の膝の負担が軽減される 足にフィットする靴を新調する 膝の安定性を高め、膝関節への負担が軽減される 膝の負担を軽減する環境を整えれば、手術後の回復がスムーズになります。 体重が増える生活を送る 体重が増えると、膝への負担が大きくなり、人工関節の寿命が短くなる可能性があります。 人工関節を長持ちさせるためにも、手術後は、栄養バランスのとれた食事と軽い有酸素運動を取り入れて健康的な体重を維持しましょう。 散歩や水中ウォーキングなどの膝への負担が少ない運動を継続することで、無理なく体重をコントロールしやすくなります。 人工膝関節手術後の生活における3つの注意点 ここからは、人工膝関節手術後の生活における注意点を紹介します。 合併症を発症するリスクがある 手術後に人工膝関節が緩むケースがある 思うような改善が見られない可能性もある 手術後の経過を良好に保つためにも、事前にリスクを理解しておきましょう。 合併症を発症するリスクがある 手術後は、体が出血を防ぐために血を固まりやすくする働きをします。 また、手術中や手術後に足を動かせない状態が続くと、血液の流れが悪くなり、「血栓(けっせん)」と呼ばれる血のかたまりができやすくなります。 この血栓が血流に乗って肺の血管に詰まると「肺塞栓症(はいそくせんしょう)」という合併症を引き起こす可能性があるのです。 このリスクを防ぐために、手術前には血流の状態を検査し、手術中や手術後には血栓予防のストッキングや空気ポンプの使用が推奨されます。さらに、必要に応じて血栓を防ぐ薬を服用する場合もあります。 なお、人工膝関節の全置換手術を受けた後、下半身が腫れる症状は避けられません。 この腫れが長引くと、体の回復や動きに影響を与える可能性があります。そのため、手術後は足先をこまめに動かすリハビリが大切です。 関連記事: 人工関節手術で知っておくべき安全性と危険性 手術後に人工膝関節が緩むケースがある 人工膝関節が緩む主な原因は、体重の増加による関節への負担です。 とくに、肥満の状態が続くと、人工関節に過剰な負担がかかり、摩耗や緩みを引き起こす可能性があります。 また、肥満が原因でなくても、スポーツや激しい動作を繰り返すことで、人工関節が摩耗し、耐久性が低下する場合があります。 退院後は、定期的に医師の診察を受けましょう。レントゲン検査や血液検査をして、人工関節の異常や緩みの有無を確認しながら、適切な管理を続けることが大切です。 思うような改善が見られない可能性もある 人工膝関節手術は、必ずしも思い通りの改善が見られるわけではありません。 たとえば、手術後も痛みが残るケースがあります。これは「遺残疼痛(いざんとうつう)」と呼ばれる症状です。 また、膝の腫れやこわばりが原因で、思うように曲げられない状態になる場合もあります。 こうした症状は、多くの場合、時間の経過とともに改善します。 リハビリを取り入れれば、早い回復を期待できるため、無理のない範囲で膝を動かし、少しずつ改善を目指してください。 関連記事: 人工関節置換術後の痛みが取れない原因は?対処法などを現役医師が解説 膝関節疾患の治療には「再生医療」の選択肢もある 膝の痛みを和らげる治療には「再生医療」の選択肢もあります。 変形性膝関節症や半月板の損傷などに対し、手術をせずに改善を目指せる治療法の1つです。 再生医療における幹細胞治療は、体内の幹細胞(組織を修復する働きを持つ細胞)を利用し、傷んだ膝の組織を再生へ導く治療です。 注射による治療のため体への負担が少なく、人工関節手術を避けられる可能性があります。 当院では無料のメール相談を承っております。再生医療の詳しい内容については、お気軽にお問い合わせください。 【関連記事】 変形性股関節症の治し方は?症状軽減へ向けた生活の工夫も紹介 半月板断裂と損傷の違いとは?痛みの特徴や原因・治療法を解説【医師監修】 まとめ|人工膝関節置換術後のやってはいけないことを守って早期回復を目指そう 人工関節を長持ちさせ、痛みの少ない生活を維持するためには、膝への負担を最小限に抑える意識が大切です。 適度な運動や生活習慣の見直しを心がけ、早期回復と健康維持を目指しましょう。 「できるだけ身体に負担の少ない治療を進めたい…」という方に、選択肢の1つとして考えてほしいのが「再生医療」という新しい治療法です。 再生医療は、手術や入院を必要としません。体への負担が少ないのが特徴です。 詳しい治療法や効果が気になる方は、再生医療を専門とする当院「リペアセルクリニック」にお気軽にお問い合わせください。
2021.12.23 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
スポーツ選手のなかには、変形性膝関節症に悩まされている方もいるでしょう。膝は、スポーツのジャンプ動作や急な停止・発進・方向転換によって傷めやすい場所の一つです。 変形性膝関節症は、軟骨の摩耗によって膝に痛みを感じたり、関節が変形したりする疾患です。一般的には50代以降の女性に多く発生しますが、スポーツ選手のように日頃から膝に負担がかかる過ごし方をしていると、年齢や性別に関係なく軟骨が摩耗します。 今回は、変形性膝関節症を発症したスポーツ選手に向けて、早期復帰のための治療法や復帰までの流れを解説します。再生医療による治療法や症例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。 スポーツ選手が変形性膝関節症から早期復帰を目指せる「再生医療」について 変形性膝関節症を発症したスポーツ選手が早期復帰を目指すための方法として、再生医療による治療があります。 再生医療は、手術や入院の必要がなく、短期間での治療が目指せる治療法です。また、自分の血液や脂肪由来の幹細胞を使用するため、体への負担が少ないことが特徴です。 本章では、当院「リペアセルクリニック」で行っている再生医療の「幹細胞治療」と「PRP療法」について、詳しく解説します。 自己脂肪由来の幹細胞治療 自己脂肪由来の幹細胞治療では、摩耗した軟骨・靭帯・半月板に対し、患者様自身から採取・培養した幹細胞を注射します。幹細胞には、内蔵や皮膚・筋肉など、さまざまな細胞に分化(変化)する能力があります。 幹細胞治療は体への負担が少なく、手術を必要としない治療法です。米粒2〜3粒ほどの脂肪を採取後、4〜6週間かけて幹細胞を培養・増殖し、関節内へ注射します。 PRP(血小板血漿)療法 PRP療法とは、膝の痛みや炎症を抑えるために、血小板や成長因子を利用する治療法です。治療の流れとしては、遠心分離機にて血漿成分を抽出し、関節内に注射します。 PRP療法は最短30分でおこなえる治療です。再生医療は、短期間での治療が目指せる治療法として、変形性膝関節症に悩んでいるスポーツ選手の選択肢の一つになっています。 リペアセルクリニックでは、変形性膝関節症に対する再生医療をおこなっています。治療内容について詳しく知りたい方は、以下のページを参考にしてください。 変形性膝関節症の発症からスポーツ復帰までの流れ 変形性膝関節症を発症してすぐの痛みがある場合は、無理をせず、安静に過ごすことが大切です。まずは、保存療法によって炎症や痛みを抑えます。 その後、痛みのレベルに合わせて徐々に運動療法を取り入れ、スポーツ復帰を目指していくことになります。実際のスポーツの動きを取り入れたり、運動強度を上げたりする目安は、膝に痛みを感じなくなり、日常生活に支障がない程度の状態です。 また、スポーツ復帰直後は、膝に痛みが出ない範囲までの運動強度に留めましょう。 変形性膝関節症の発症リスクが高い人の特徴を知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。 変形性膝関節症のスポーツ選手が復帰を目指す上で気をつけること スポーツ復帰に向けて運動療法を取り入れる際には、膝に負荷をかけないように気をつける必要があります。運動療法においてとくに気をつけたいことは、以下の通りです。 膝への衝撃が強い運動を避ける 軽度な運動からスタートして徐々に強度を上げる インソールを着用して膝への負担を軽くする それぞれ詳しく解説していきます。 膝への衝撃が強い運動を避ける 変形性膝関節症のスポーツ選手が運動療法を取り入れる際は、膝への衝撃が強い運動を避けることが大切です。 変形性膝関節症を発症後、痛みが緩和したら運動を再開するケースがほとんどですが、その際は、膝に負担をかけすぎないよう注意しましょう。 膝への衝撃が強い運動は、たとえば、ジャンプ動作や急な停止・発進・方向転換などです。とくに膝に痛みがある場合は、無理をして運動を続けると、状態が悪化し、今後の選手生命が短くなる可能性があるため注意してください。 軽度な運動からスタートして徐々に強度を上げる 変形性膝関節症のスポーツ選手が復帰を目指すためには、軽度な運動からスタートし、徐々に強度を上げていくことが理想的です。 たとえ膝に多少の痛みがあっても、まったく動かさないでいると筋肉や関節が拘縮し、元の運動レベルまで回復するのに時間がかかります。 そのため、ウォーキングやプール運動、軽いストレッチ、筋力トレーニングなどからスタートし、徐々に運動強度を上げて、本格的なスポーツ復帰を目指します。なお、プールでの運動は、浮力によって関節への負荷が軽減されるため、とくに痛みが強い方におすすめです。 インソールを着用して膝への負担を軽くする 変形性膝関節症の発症からスポーツ復帰を目指す際は、インソールを使用して膝への負担を軽くする方法も効果的です。とくに、下肢にO脚の変形が見られる場合は、靴にインソールを装着して膝の内側にかかる負荷を軽減させます。 変形性膝関節症は、よくある筋肉痛と違い、痛みを感じたまま放って置いて治るものではありません。そのため、インソールやサポーターなどで膝への負担を軽くしながら、運動する頻度や時間、強度を慎重に調整しましょう。 変形性膝関節症の治療|手術療法 運動療法を含めた保存療法で変形性膝関節症の症状が改善しない場合は、手術療法を検討します。 変形性膝関節症の手術は、関節鏡視下手術や高位脛骨骨切り術、人工関節置換術などです。手術のタイミングや適応される手術方法は、持病の有無・年齢・症状の程度によっても異なります。 以下で、それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。 関節鏡視下手術 関節鏡視下手術とは、膝に開けた小さな穴から手術器具を入れ、損傷した半月板や関節軟骨を取り除く手術法です。手術による身体への負担は比較的低く、手術時間も1〜2時間程度です。 関節鏡視下手術は、術後すぐに歩けるメリットがあります。ただし、膝に違和感がなく歩けるようになるまでに数カ月から半年ほどかかります。 高位脛骨骨切り術 高位脛骨骨切り術とは、脛骨の一部を切り取り、膝にかかる偏った負担を整える手術法です。変形性膝関節症に多いO脚変形を矯正し、膝関節の内側への負担を軽減させます。 高位脛骨骨切り術の場合、1〜2カ月程度の入院期間を経て、リハビリテーションに5〜6週間必要です。そのため、スポーツへの復帰には時間がかかります。 人工関節置換術 人工関節置換術とは、金属やチタンなどを使い、傷んだ膝関節を人工の関節に置き換える手術法です。 入院期間は1カ月程度と、高位脛骨骨切り術と比べて短いことが特徴です。また、関節鏡視下手術や高位脛骨骨切り術と比べて、痛みの改善が期待できます。 ただし、術後は正座のように、膝を深く曲げられなくなります(屈曲制限)。たとえスポーツ復帰できても、パフォーマンスへの影響が懸念されるため、慎重な検討が必要です。なお、人工関節に劣化や緩みがみられた場合には再手術になります。 変形性膝関節症の治療|再生医療 運動療法を含めた保存療法で症状の改善がみられない場合は、手術に代わり、再生医療による治療を選択することも可能です。再生医療には、自己脂肪由来の幹細胞を注射する幹細胞治療や、血液を利用するPRP療法などがあります。 再生医療は手術・入院を必要としないのが特徴です。 リペアセルクリニックでは、変形性膝関節症に対する再生医療をおこなっています。当院の幹細胞治療は、米粒2〜3粒ほどの脂肪を採取するだけで済むため、身体への負担が少ないことが特徴です。 再生医療について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。 【関連記事】 【再生医療】半月板損傷と変形性膝関節症が同時発症も幹細胞治療とPRPで完治!関節鏡手術が必要と診断されても注射だけで治療可能って本当?【医師が解説】 【体験談】変形性膝関節症に対する再生医療の可能性 ここでは、当院における変形性膝関節症に対する再生医療の症例を紹介するので、ぜひ参考にしてください。 症例1.50代女性|日本1位マラソンランナーの膝関節痛が改善 50代の女性は、年代別のフルマラソン日本一の選手です。レース時にはアドレナリンが出ていて痛みを忘れているようでしたが、練習では膝の痛みで思うようにトレーニングができない状態でした。 レントゲンとMRIで確認すると、膝関節の軟骨がすり減っており、変形性膝関節症が認められました。翌年のマラソン大会を目指してしっかり治したいとの希望を考慮して、治療方針を決定します。国内の幹細胞治療の平均投与数よりかなり多めの1億個の細胞を計3回、PRPも投与しました。 1億個の幹細胞とPRPを投与した約2週間後には痛みが軽快し始め、1カ月後にはほぼ痛みがなくなりました。 その後、1カ月おきに1億個の幹細胞を投与し、初めの投与から約3カ月後には5キロのジョギングを始めています。経過も良好で、治療から約3年後のマラソンリレー大会での3位入賞の報告を受けました。 こちらの症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。 症例2.50代女性|バレーボールをする際のロッキング症状が改善 50代の女性は、約15年ほど前からバレーボールをしており、急に膝が伸びにくくなるロッキング症状が現れていました。それでも痛みがないときが多かったため、放置してバレーボールを継続していました。手術をしたくないとの思いから様子をみていたところ、急に左膝の痛みが強くなり救急搬送されたそうです。 ロッキングの放置が怖くなり、諦めて手術を考えていたところ、当院の再生医療を見つけて来院されました。 レントゲンで確認すると、両膝とも軟骨がすり減り、関節の間が狭くなっていました。治療方針を決定し、両膝関節に幹細胞5000万個ずつを2回、PRPも投与します。投与後約1カ月で効果が現れ、3カ月目には膝の痛みがまったくなくなりました。その後、ロッキングを起こすことがなくなったと報告を受けています。 こちらの症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。 まとめ|変形性膝関節症に悩んでいるスポーツ選手は適切な治療法の選択が大切 変形性膝関節症のスポーツ選手が、現場復帰を目指すにあたって重要なことは見極めです。膝に強い痛みを感じたまま運動すると悪化する可能性がある一方で、膝をまったく動かさないことも問題です。 スポーツへの早期復帰を目指すためには、膝がどのような状態なのかを見極め、適した治療を選択する必要があります。 運動療法を含めた保存療法で症状の改善が見られない場合は、手術療法や再生医療による治療を検討します。 再生医療は、身体への負担が少なく、入院や手術の必要がない治療法です。変形性膝関節症から早期復帰を目指すスポーツ選手は、ぜひ一度ご相談ください。 変形性膝関節症に関するよくある質問 変形性膝関節症の人がしてはいけない運動はある? 変形性膝関節症の人がしてはいけない運動は、主に以下の通りです。 ランニング スクワット 階段の昇降 長時間の歩行 娯楽程度の運動で変形性膝関節症が進行するリスクは低いといえます。しかし、膝への負担が大きい過度なスポーツはできるだけ避けてください。スポーツ復帰に関しては、医師に相談の上、適切なペースで徐々に負荷を上げていきましょう。 変形性膝関節症の人が日常生活で気をつけることはある? 変形性膝関節症の人は、運動に限らず、日常生活でも膝に負担がかからないよう気をつける必要があります。たとえば、体重が重たいと膝への負担が増えるため、できる範囲での減量をおすすめします。 また、正座や和式トイレの使用など、和式の生活スタイルは膝への負担が大きくなりがちです。ベッドや足つきの座椅子などを使用し、洋式の生活スタイルに近づけるよう意識してみてください。
2021.12.20 -
- 肘関節
- 関節リウマチ
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「人工関節の手術は痛みをなくすために必要なのはわかるけれど、合併症や後遺症が心配でなかなか踏み切れない……」そのような不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 肩の人工関節置換術は、つらい痛みを和らげ、生活の質を取り戻す有効な方法です。 しかし一方で、手術には特有のデメリットやリスクがあるのも事実です。 本記事では、肩人工関節の手術に伴う代表的な7つのデメリットを整理して解説します。 それぞれのリスクの特徴や発生しやすい条件、予防の工夫についても触れますので、正しくリスクを理解し、後悔のない治療選択につなげましょう。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。肩の痛みや人工関節について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 肩の人工関節の7つのデメリット・リスク 肩人工関節手術は、痛みを軽減し生活の質を取り戻す有効な方法ですが、肩は可動域が広く、膝や股関節とは異なるリスクを抱えやすい部位です。 そのため、手術を受ける前に想定される合併症を理解しておくことが大切です。 ここでは代表的な7つのリスクを紹介します。 感染症や血栓症といった生命に関わるものから、脱臼や可動域制限、再手術の必要性といった長期的に影響するものまで、それぞれ確認していきましょう。 なお、人工関節とは何か詳しく知りたい方には、以下の記事が参考になります。あわせてご覧ください。 感染症リスク 肩の人工関節手術で最も注意すべき合併症の一つが感染症です。 人工関節は体内に異物を入れるため、いったん細菌が侵入すると自然には治りにくく、再手術が必要になることもあります。 感染症には大きく2つのタイプがあります。手術後すぐに起こる「早期感染」と、数年後に発症する「遅発感染」です。 早期感染では発熱や患部の強い痛み、腫れなどがみられ、遅発感染では軽い痛みや動かしにくさが長く続く形で現れることがあります。 感染症リスクを高める要因としては以下が知られています。 糖尿病 関節リウマチ 免疫抑制剤を使用している 肥満 喫煙習慣 これらの条件がある方は、感染の危険性が高まるため、手術前に十分な準備や対策を行うことが重要です。 感染症にかかった場合の治療は、まず抗菌薬による点滴が行われます。症状が強い場合や感染が広がっている場合には、人工関節を入れ替える再手術が必要になることもあります。 予防策としては、手術前に虫歯や皮膚炎などの感染源を治療しておくこと、手術時には抗菌薬を予防的に投与することが有効とされています。 また、清潔な環境での手術操作と手術後の適切なリハビリ管理も重要です。(文献1) 血栓症の危険性 肩人工関節の手術では、血栓症も重要なリスクの一つです。血栓症とは、血管の中に血のかたまり(血栓)ができて血流を妨げる状態を指します。 とくに脚の深い血管にできる深部静脈血栓症(DVT)と、血栓が肺に飛んで血管を詰まらせる肺塞栓症は、命に関わることもある合併症です。 症状としては、脚の腫れや赤み、強い痛みが現れる場合があります。 肺塞栓症では、急な息切れ、胸の痛み、めまいなどが起こり、緊急対応が必要になります。 リスクを高める要因には次のようなものがあります。 高齢 肥満 がんなどの悪性疾患 血栓症の既往歴 長時間の手術や手術後の安静 手術後の体調に異変を感じた場合は、すぐに医療スタッフに伝えましょう。(文献2) 脱臼リスクと動作制限 肩は体の関節の中でも最も動きの幅が広い構造を持っています。 そのため、人工関節に置き換えると、特定の動作で脱臼が起こりやすくなる特徴があります。 注意が必要なのは、次のような動作です。 背中に手を回す(帯を結ぶ、ポケットに手を入れるなど) 腕を大きく上げる(洗濯物を干す、高い場所に物を取るなど) 手を体の内側に大きくひねる動作 これらは人工関節に強い負担をかけ、脱臼のリスクを高めるとされています。 予防のためには、手術後のリハビリで正しい動かし方を学ぶことが欠かせません。 一度脱臼すると再発しやすい傾向があるため、手術後は慎重な管理で脱臼を防ぎましょう。 生活の中では脱臼しやすい姿勢を避けたり、無理に腕を伸ばさない工夫も必要です。 理学療法士による生活指導も受けて、動作の工夫を取り入れてください。(文献3) 摩耗・ゆるみによる再置換の可能性 人工関節は一度入れれば一生使えるわけではありません。 時間の経過とともに摩耗や「ゆるみ」が起こり、再手術(再置換)が必要になる場合があります。 人工関節の摩耗は、金属やポリエチレンといった部品同士が繰り返し擦れ合うことで進行します。 その結果、関節の安定性が低下し、痛みや腫れ、動かしにくさが再び現れてきます。 また、摩耗によって生じた微細な粉が骨を刺激し、骨が少しずつ体に吸収されて弱くなることで、人工関節がゆるみやすくなります。 再置換が必要となる主な兆候は以下の通りです。 関節の痛みが再発する 肩を動かしたときに違和感や異常な音がある X線検査でインプラントの位置がずれている 再置換手術は、初回の手術よりも難易度が高く、合併症のリスクも大きくなります。 人工関節の寿命は一般的に15〜20年程度とされますが、患者様の年齢や生活スタイルによって大きく変わります。 若い方や活動量が多い方は、再置換の可能性が高まるため、長期的な視点で手術を検討しましょう。 神経損傷と機能障害のリスク 肩人工関節手術では、周囲を走行する重要な神経を傷つけてしまう可能性があります。神経は細く繊細で、一度損傷すると回復が難しい場合があるため、とても注意が必要です。 代表的な神経損傷には次のようなものがあります。 神経 働き・役割 腋窩神経(えきかしんけい) 三角筋を通っており、損傷すると腕を横に持ち上げる(外転)動作ができなくなります。 筋皮神経(きんぴしんけい) 上腕二頭筋を通り、肘を曲げる力が弱くなるほか、前腕の外側の感覚が鈍くなることがあります。 これらの神経は肩関節のすぐ近くを通っているため、人工関節の設置や手術器具の操作中に影響を受けやすい位置にあります。 神経損傷が起こると、日常生活の質に大きな影響を与えます。 このため、手術を担当する医師が肩の解剖を熟知していること、また術後の神経症状を見逃さずに早期対応する体制が整っていることがとても重要です。(文献4) 可動域制限による生活動作の困難 肩人工関節手術の後、多くの患者様が直面する課題の一つが可動域の制限です。 とくにリバース型人工関節では、肩の構造を反転させて安定性を高めるため、どうしても動かせる範囲が狭くなります。 代表的に制限されやすい動きは以下の通りです。 動作 難しくなる動き・事例 屈曲(前に腕を上げる) 洗濯物を干す、高い棚に手を伸ばすといった動作が難しくなる。 外転(横に腕を広げる) 荷物を持ち上げる、体操で両手を広げるといった動きに制限が出る。 内旋(腕を内側にひねる) 背中に手を回す動作が困難となる。 外旋(腕を外にひねる) 洗髪や髪を後ろで束ねる動作がしにくくなる。 研究報告では、リバース型人工関節は痛みの改善や安定性の向上に有効である一方、背中に手を回す動作(内旋)や頭上動作の制限が残ることが多いと示されています。(文献5) このため、術後にはどの動きが難しくなるのかを事前に理解し、理学療法士と一緒に日常生活に適した代替動作を学ぶことが重要です。 たとえば、衣服の着脱では前開きの服を選ぶ、入浴では入浴補助具を活用するなど、生活を工夫することで制限の影響を軽減できます。 再手術が必要になる可能性 肩人工関節は、痛みを和らげ生活の質を改善する有効な治療法ですが、一度の手術で一生使えるとは限りません。 感染、脱臼、摩耗・ゆるみなどの問題が生じると、再手術(再置換や再固定)が必要になる場合があります。 再手術は初回の手術に比べて難易度が高く、以下の課題があります。 骨の欠損や変形:人工関節の取り外しにより骨がさらに損なわれ、固定が難しくなる。 合併症の増加:感染や神経損傷、血栓症などのリスクが高まる。 回復期間の延長:リハビリが長引き、日常生活への復帰に時間がかかる。 とくに高齢者の場合、再手術時には体力や合併症の影響が大きくなるため、初回手術の段階で将来の再手術の可能性を念頭に置いて計画を立てることが大切です。 肩の人工関節の種類別デメリット|従来型とリバース型 肩人工関節には、大きく分けて「アナトミカル型(従来型)」と「リバース型」の2種類があります。 それぞれの構造や適応が異なるため、発生しやすいデメリットにも違いがあります。以下の通りです。 アナトミカル型(従来型) リバース型 特徴 自然に近い動きを再現しやすい 若年層や活動性の高い患者にも用いられる 腱板損傷があっても施術可能 脱臼リスクあり デメリット 腱板が損傷している場合は安定性が低い 脱臼リスクが比較的高い 可動域制限が生じやすい 負荷をかける動作で脱臼リスクがある 主な適応 腱板が保たれている場合に適応 腱板断裂性関節症、高齢者 このように、肩の人工関節はどちらを選ぶかで将来の生活に与える影響が変わります。 担当医と十分に相談し、自分の症状や生活スタイルに合った方法を選択することが重要です。(文献6)(文献7) 肩の人工関節手術の概要とポイント 肩人工関節手術は、保存療法で改善が得られない患者様に行われる治療法です。 損傷した関節を人工関節に置き換えることで、痛みを和らげ、生活の質を高めることを目的としています。 手術は全身麻酔で行われ、入院は一般的に2〜4週間程度です。術後はリハビリを通じて徐々に可動域と筋力を回復させていきます。 肩の人工関節手術の適応疾患別リスク 肩人工関節手術は、基礎疾患によって手術後のリスクや経過が異なります。主な疾患ごとの特徴を以下の表にまとめました。 疾患名 手術が適切と判断される特徴 主なリスク・注意点 変形性肩関節症 関節のすり減りによる痛み・可動域制限 高齢者では感染や血栓症リスクが高い 関節リウマチ 炎症で関節が破壊される 免疫抑制薬の影響で感染リスクが上昇 腱板断裂性関節症 腱板が損傷し肩を動かせない リバース型が多く、可動域制限や脱臼が残りやすい 上腕骨頭壊死 骨への血流障害で壊死が進行 若年者でも起こり、再手術の可能性が比較的高い 疾患ごとのリスクを理解しておくことで、手術後の生活に備えられます。 変形性肩関節症のリスクについては、以下の記事で詳細に解説しておりますので、気になる方はご確認ください。 肩の人工関節手術の入院期間と回復までの流れ 肩人工関節手術は、入院から退院後のリハビリまで一定の流れがあります。以下の表に一般的な目安をまとめました。 時期 主な内容 ポイント 手術当日〜翌日 全身麻酔で手術、安静 痛み止めや感染予防の管理が行われる 1週目 基本的なリハビリ開始 医師や理学療法士の指導で可動域訓練を少しずつ開始 2〜3週目 入院リハビリ 日常生活に必要な動作(更衣・洗面など)の練習 退院後(1〜3カ月) 外来リハビリ中心 洗濯物を干す・棚に手を伸ばすなど生活動作を徐々に回復 半年以降 社会生活復帰 家事・趣味・軽いスポーツが可能となる例もある 入院は平均で2〜3週間程度ですが、年齢や合併症によって延びることもあります。完全な回復には半年ほどかかるケースもあるため、焦らず段階的にリハビリを続けることが大切です。 肩の人工関節手術にかかる費用目安 手術費用については、自己負担3割の場合、おおむね50万〜60万円前後が一つの目安になります。 例として、ある病院では人工肩関節置換術(入院8日)で約56万円と案内されています。 医療機関や入院日数、個室利用などで上下しますが、総医療費が200万〜250万円に達するケースもあり、その場合の3割負担は約60万〜75万円もあります。 ただし、高額療養費制度を併用すれば自己負担は月ごとの上限額までに抑えられる仕組みです。 以下は、肩の人工関節手術で費用が掛かる項目についてまとめたものです。 費用項目 概要 確認ポイント 手術料・麻酔料 人工関節本体を含む外科手技と麻酔管理の費用 保険適用範囲、インプラントの種類、術式の違い 入院費 病室・投薬・処置・検査などの入院管理費 入院日数、個室か大部屋か、食事療養費の扱い リハビリ費 急性期から外来期までの理学療法費 入院中の頻度、退院後の通院回数と期間 術後外来・投薬 創部チェック、画像検査、疼痛コントロール 通院間隔、画像検査の種類と回数 装具・消耗品 スリング、保護材、創部ケア用品 自費分の有無、交換頻度 公的制度 高額療養費制度、限度額適用認定証、医療費控除 手続き方法、自己負担上限、対象外費用の確認 費用を抑えるには、公的制度の活用が鍵となります。高額療養費制度などを活用して、人工関節手術の費用を抑えましょう。 肩疾患の人工関節に再生医療は適用される? 再生医療は、すでに人工関節を入れた肩には適用されません。しかし、人工関節手術を行う前の段階であれば、症状や画像所見、生活背景などを総合して、手術前の選択肢として検討されることがあります。 再生医療は、患者様自身から採取・培養した幹細胞を患部に投与する治療法です。入院や手術を行わずに受けられます。ただし、対象疾患や期待できる経過には個人差があり、医師の評価が前提となります。 以下は、当院リペアセルクリニックで行った肩腱板断裂に対する再生医療の症例です。左肩の痛みに悩む70代の男性が再生医療により症状が改善した事例を紹介しているので、参考までにご覧ください。 患者様の状態によって、再生医療の実施可否、治療計画、想定される経過、リスクなどが異なります。 詳細については、当院リペアセルクリニックまでご相談ください。 まとめ|肩人工関節のデメリットを理解して後悔のない治療選択を 肩に人工関節を入れるかどうかの判断は、リスクの理解から始まります。 本記事では、感染症・血栓症・脱臼・摩耗やゆるみ・神経損傷・可動域制限・再手術の7点を軸に整理しました。 人工肩関節置換術後に変形性肩関節症などの合併症が起こるリスクは、患者様の年齢や基礎疾患、手術方法、術後の過ごし方によって変わります。 また、使用する人工関節が従来型かリバース型かによって、術後に残る機能制限や日常生活での注意点も異なります。 人工肩関節置換術後の入院はおおむね2〜3週間が目安で、外来リハビリを経て数カ月かけて生活を整える流れになります。 費用は複数の項目で構成されるため、高額療養費制度などの公的支援も視野に入れて、見積もりの内訳を早めに確認しましょう。 迷いが残るときは、専門医に相談して診察を受けるのが一番の解決策です。 手術を避けたいとお考えの場合は再生医療の選択肢もあるので、お悩みの方はぜひ当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。 リペアセルクリニックでは再生医療に精通した医師が、患者様の状態に応じて個別に治療方針を提案いたします。 参考文献 (文献1) 人工関節置換術後感染に関する研究|日本人工関節学会誌 (文献2) 人工関節置換術と静脈血栓塞栓症|core.ac.uk (文献3) リバース型人工肩関節置換術後の脱臼症例報告|肩関節学会誌 (文献4) 人工肩関節置換術における腋窩神経損傷のリスク|肩関節学会誌 (文献5) 肩関節リバース型人工関節置換術後の可動域と機能評価|日本リハビリテーション医学会誌 (文献6) リバース型人工肩関節置換術の適応基準|日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会 (文献7) リバース型人工肩関節のガイドライン|日本肩関節学会
2021.12.20 -
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- 半月板損傷
- 膝の外側の痛み
「半月板断裂と半月板損傷は何が違うの?」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 結論からいえば、2つに明確な違いはないものの、痛み方の特徴や程度によって「損傷」「断裂」と呼び分けている場合があります。 この記事では、半月板断裂と損傷の違いについて、具体的な症状や治療法、リハビリ方法などを医師監修のもと解説します。 適切な対処で膝の健康状態を維持したいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。 また、当院「リペアセルクリニック」では半月板損傷に対する再生医療・幹細胞治療を行っております。 膝の痛みでお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 半月板断裂と損傷の違い 膝の半月板に起きる様々な障害を総称して半月板損傷と呼ぶこともありますが、症状の特徴や痛みの程度によって「半月板損傷」「半月板断裂」と呼び分けるケースもあります。 いずれも主な原因は、加齢による半月板の変性や柔軟性の低下、スポーツなどによる過度な負荷です。 本章を参考に、半月板断裂・損傷に違いがあるのかを知っておきましょう。 半月板損傷の原因や症状については「半月板損傷とは?原因・症状・治療法・やってはいけないこと」で解説しています。あわせてご覧ください。 半月板損傷(断裂)の症状 半月板損傷(断裂)の症状は、いずれも膝への強い痛みや違和感が特徴です。 原因に大きな差はないものの、損傷の程度によって現れる症状が異なる場合があります。 具体的には以下のような症状があげられます。 診断名 症状の特徴・痛み 半月板断裂 激しい痛み、関節のロック感 半月板損傷 鈍い痛み、違和感 半月板断裂は、強い痛みとともに関節が動かなくなる「ロッキング」が特徴的です。とくに、膝をひねる動作をした際に「バキッ」とした音が鳴ることがあり、その後急激な痛みと腫れを伴います。 一方、断裂まで及ばない半月板損傷では「鈍い痛み」や「違和感」が続く場合が多いです。 初期は動作時に軽い違和感がある程度でも、放置すると損傷が進行するため注意が必要です。軽度のうちは保存療法で回復が見込まれるものの、長期間改善しない場合は手術を検討します。 半月板損傷の痛みや原因については、こちらの記事でも詳しく紹介しているので、ぜひ参考にご覧ください。 半月板損傷(断裂)の原因は「膝への大きな負荷・衝撃」や「加齢」 半月板損傷・断裂はいずれも以下のような原因で起こります。 スポーツや急な動作による膝への負荷 交通事故・転倒などによる膝への急な衝撃 加齢による膝の組織の劣化 半月板損傷や断裂は、サッカーやバスケットボールなど、膝をひねる動作が多い競技でとくに多いけがです。ジャンプの着地や急停止、方向転換を繰り返すと、膝に強いストレスがかかり、半月板がダメージを受けるリスクが高まります。 さらに、交通事故や転倒時など、膝に突然大きな衝撃を受けると、半月板断裂・損傷を起こすこともあるでしょう。 また、年齢とともに半月板の弾力は失われていきます。膝の曲げ伸ばしを繰り返すなど、日常の動作による負荷だけで損傷が起こるケースも少なくありません。 スポーツ前は念入りな準備運動やストレッチを行う、普段から適度な運動で膝周りの筋肉を鍛えるなどを心がけましょう。 半月板損傷の5つの症状(タイプ)とは 半月板損傷は、損傷の形状や部位によって複数のタイプに分類されます。代表的な損傷タイプは以下の5つです。 損傷タイプ 特徴 症状 縦断裂 縦方向に裂け目が入る 引っかかり感や痛み。膝をひねると悪化する 横断裂 横方向に裂ける 鈍い痛みや腫れ。膝の不安定感が出る 円盤状断裂 円盤状の半月板に裂け目ができる コツコツ音や引っかかり感が特徴 フラップ状断裂 裂けた部分が剥がれ、フラップ状になる 膝のロック感や激しい痛み 水平断裂 上下に分断されるように裂ける 鈍い痛みが膝全体に広がり炎症が悪化する 症状を放置すると、進行して治療が困難になる場合がありますので、早期に医師の診断を受けましょう。 半月板断裂と損傷の治療方法の違い 半月板断裂の治療法は、損傷の程度や部位、患者の年齢・活動量などに応じて変わります。 大きく分けて、手術療法と保存療法があります。 半月板断裂の治療方法 半月板断裂の治療方法は、断裂の範囲や症状の重さによって異なります。 軽度の場合は保存療法で回復が見込めますが、重度の場合は手術が必要となるケースもあります。 完全断裂は手術が推奨される場合が多い 半月板が完全に裂けてしまうと、自然治癒は期待できません。関節内に断裂した部分が挟まり、膝が動かしにくくなることもあります。 このような場合、推奨されるのは「縫合術」や「部分切除術」などの手術療法です。 縫合術は、半月板を修復する手術で、若年層やスポーツを続けたい方に適しています。一方、部分切除術は損傷部分を切除し、膝の動きをスムーズにする方法です。 いずれも、術後には筋力を回復させるためのリハビリが必要です。 部分断裂はリハビリや装具での保存療法も選択肢 部分的な断裂において、症状が軽度でロッキングが無く、手術を望まれない場合は保存療法が選択肢となります。 膝に負担をかけないように安静にし、サポーターや装具を使用して膝の安定性を保つのが目的です。 また、炎症を抑えるために、アイシングや消炎鎮痛剤が処方される場合もあります。 リハビリでは、大腿四頭筋など膝を支える筋肉を鍛えるトレーニングを行い、膝の負担を軽減します。 以下の記事では、半月板損傷を早く治す方法や効果的なリハビリについて現役医師が解説していますので、ぜひ参考にしてください。 半月板損傷の治療方法 半月板損傷の場合、基本的には保存療法で改善が期待できます。 しかし、損傷の程度や部位、患者の年齢や活動量などによって異なり、症状によっては手術が必要なケースもあります。 軽度損傷はリハビリと安静が基本 半月板損傷が軽度の場合、リハビリテーションと安静が基本的な治療法です。 リハビリテーションでは、膝周りの筋肉を強化したり、関節の可動域を広げたりします。 また、炎症や痛みを抑えるために、薬物療法や注射療法が行われる場合もあります。 重症化すると断裂と同様の手術が必要になる場合も 半月板損傷が進行し、膝の機能に支障をきたす場合は手術を検討します。 痛みが長期間続き、日常生活に影響を及ぼす場合は、縫合術や部分切除術が選択されるケースもあります。 とくに、高齢者の半月板損傷は変形性膝関節症へ進行する可能性があるため、症状の悪化を防ぐための早期治療が重要です。 半月板損傷の治療法や術後のリスクについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。 まとめ|半月板断裂と損傷の違いを理解して適切に治療を行おう 半月板断裂と損傷に明確な違いはないものの、症状の特徴や痛みの程度が異なる場合があります。どちらもスポーツや外傷、加齢による柔軟性の低下などが原因です。 膝に痛みや違和感がある場合は、自己判断せず専門医を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では半月板損傷の治療も行っております。 気になる症状がある方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 半月板断裂と損傷の違いに関するよくある質問 靭帯断裂と半月板損傷の違いは何ですか? 靭帯断裂は、膝を安定させる靭帯が完全または部分的に切れる状態を指します。 一方、半月板損傷は、膝のクッションとしての役割を果たす軟骨の損傷を意味します。 靭帯断裂は、膝のグラつきや激しい痛みを伴うことが多く、スポーツによる外傷が主な原因です。 一方、半月板損傷は、違和感や鈍い痛みが特徴で、加齢や慢性的な膝への負担によるものが多くあります。 どちらも早期の診断と治療が重要になります。 半月板損傷は手術しないほうがいいですか? 半月板損傷の治療法は、損傷の程度や症状によって異なります。 軽度であれば、保存療法にて改善が見込めることが多いです。 しかし、症状が改善しない場合や、日常生活に支障をきたす場合は、手術が必要となる場合もあります。 手術が必要かどうかは、専門医が患者の状態を総合的に判断して決定します。 半月板損傷の手術に関するメリット・デメリットは以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。 また、当院「リペアセルクリニック」では手術をしない治療法として再生医療を提案しております。 膝の痛みや手術で不安な方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。
2021.12.16 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
「変形性膝関節症の正しいリハビリ方法や効果について知りたい」 「変形性膝関節症のガイドラインを読んだが、何が何だかさっぱりわからない」 変形性膝関節症と診断されると、多くの方が「リハビリで本当に良くなるのか」と不安を感じます。 SNSやテレビでは多くの運動法が紹介されていますが、情報が混在しており、どれが根拠に基づくものなのか判断が難しくなっています。 しかし、エビデンスに基づいた資料は専門的な用語が多く、医学の知識がない方にとっては理解が難しいと感じることも少なくありません。 本記事では、現役医師がガイドラインに基づいた変形性膝関節症のリハビリについてわかりやすく解説します。 記事の最後には、変形性膝関節症のガイドラインに基づくリハビリに関する代表的な質問を整理し、ガイドラインのポイントを的確に把握できる構成としています。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 変形性膝関節症の症状でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 変形性膝関節症のガイドライン(治療方針)とは 変形性膝関節症には、進行度や治療効果を数値で一律に評価できる指標がありません。 そのため変形性膝関節症の進行度合いや、治療効果を評価するために各国独自で診療ガイドラインが作成されています。日本では日本整形外科学会が OARSI(国際変形性関節症学会)のガイドラインを基に、日本人向けに調整した「変形性膝関節症診療ガイドライン」が作成されています。 日本整形外科学会の変形性膝関節症ガイドラインには「定期的な有酸素運動、筋力強化訓練および関節可動域訓練を実施し、かつこれらの継続を奨励する」と記載されていることからも、変形性膝関節症の治療に、運動療法が有効だと推奨されています。(文献1) 運動療法により、筋力低下や加齢で不安定になった膝の安定性を高めるとともに、痛みをかばうことで拘縮した膝の可動域を向上させます。 また運動療法は、膝への負担になる肥満の解消にもつながることからも、変形性膝関節症に対して基本の治療として評価されています。(文献1) ガイドライン(治療方針)に基づいた痛みを緩和する運動療法とは ガイドラインに基づいた運動療法 詳細 有酸素運動 膝への負担を抑えつつ全身の血流を促す運動 筋力強化訓練 膝関節を支える筋力を高めるトレーニング 可動域訓練 関節の動きを維持・改善する柔軟性向上の運動 協調性運動 筋肉と関節の連動性を高めるバランス運動 徒手療法 理学療法士が手技で関節や筋肉の動きを整える施術 水中運動 浮力によって関節負担を軽減しながら行う全身運動 (文献2)(文献3) 運動療法は、変形性膝関節症に対する基本的な治療と位置づけられています。膝関節を支える筋肉を強化し、関節の可動性を維持することで、歩行や立ち上がりといった日常動作を円滑にし、生活の質の向上を図ります。(文献1) 痛みのある部位を無理に動かすのではなく、負担の少ない範囲で全身のバランスを整えることが重要です。 運動療法を適切に組み合わせることで、関節への負担を軽減し、機能を維持し、再発予防が期待できます。 以下の記事では、高齢者の変形性膝関節症におけるリハビリ方法について詳しく解説しています。 有酸素運動 有酸素運動とは酸素を取り込みながら行う運動で、ウォーキングのほか長距離走・ヨガなどがあります。有酸素運動は酸素を取り込まずに行う無酸素運動と比べて、緩やかな運動が多いため、変形性膝関節症のように膝に痛みを抱えている方におすすめです。その中でもウォーキングやプールでの運動は変形性膝関節症の方に推奨される一般的な有酸素運動です。 ウォーキングは、無理のない距離とペースで取り組むことが大切です。無理をすると、膝を傷める可能性があります。また、無理を続けると痛みが悪化し、運動を継続できなくなる可能性があります。 なお、ウォーキングで、痛みが強く十分に実施できない場合は、プールでの水中運動がおすすめです。水中では浮力が働くため、膝をはじめ全身への負荷を大きく減らせます。 筋力強化訓練 大腿四頭筋などを筋力強化することで、膝の安定性が向上します。代表的なトレーニングとして「ストレートレッグレイズ(足上げ運動)」があります。椅子に座った姿勢、または仰向けに寝転んだ状態で行いましょう。 片側の膝を伸ばし、約90度、仰向けの状態では30〜45度に挙上した状態で10秒ほど保持し、その後、ゆっくり降ろして数秒間休憩します。これを20回ほど繰り返します。低負荷で大腿四頭筋をピンポイントに鍛えられる点が、全身を動かすウォーキングとの違いです。 可動域訓練 膝に痛みがある状態は、立ち座り、歩くといった動作が億劫になり、その結果関節の可動域が低下します。 可動域が低下すると関節の柔軟性が失われ、さらに痛みを感じやすくなります。普段から膝を曲げ伸ばす動きを続け、可動域を維持・拡大していくことが重要です。 可動域訓練は、足上げトレーニングと同じ座った姿勢で、膝を曲げたり伸ばしたりすることにより可動域を広げていきます。筋力強化訓練と可動域訓練はともに椅子に座りながら行えるため、どちらの運動をしているのか意識して使い分けることがポイントです。 協調性運動 項目 内容 協調性運動の役割 身体のバランス向上と全身動作の円滑化 ガイドライン評価 推奨グレードA・エビデンスレベル2。膝機能改善と活動維持に効果あり 期待できる効果 転倒リスク減少、歩行や階段昇降の安定、膝の負担軽減 具体例 椅子からの立ち上がり、片足立ち、ゆっくりした方向転換など日常でできる運動 (文献2)(文献3) 協調性運動は、身体のバランスを高めて全身の動作を円滑にし、膝機能の改善と日常活動の維持に寄与する取り組みです。 ガイドラインでは推奨グレードA、エビデンスレベル2と高く評価されており、転倒予防、歩行や階段昇降の安定、膝負担の軽減に効果があります。(文献2) 椅子からの立ち上がりや片足立ち、ゆっくりした方向転換といった日常的な運動を継続することで、安定した移動動作の獲得につながります。 徒手療法 徒手療法(としゅりょうほう)は、理学療法士や医師が手を用いて関節や筋肉の動きを補助し、可動性の改善や疼痛の軽減を図る治療法です。 膝周囲の関節を軽く動かす操作や筋緊張を和らげる手技、歩行時の姿勢・動作のサポートなどが含まれます。 日本整形外科学会「変形性膝関節症診療ガイドライン2023」では、保存療法として運動療法、患者教育、体重管理が明確に推奨されています。(文献3) 一方、徒手療法については、国内外ガイドラインを比較した論文において、温熱・寒冷療法、電気刺激、装具・杖の使用、鍼、マッサージなどと同様に、ガイドライン間で推奨が一致していない治療のひとつです。そのため、徒手療法の有効性を示す明確な根拠は、現時点では十分に確立されていません。(文献2) 水中運動 項目 内容 水中運動とは 水の浮力を利用した運動による膝負担の軽減 ガイドラインでの評価 膝関節症における有用性の示唆と、他の運動との併用推奨 期待できる効果 筋力向上・関節可動の改善・動作の持続性向上 具体例 水中歩行・水中体操などの無理のない運動 (文献2)(文献3) 水中運動は、水の浮力で膝への負荷が軽減されるため、痛みのある方でも取り組みやすい運動療法です。 ガイドラインでは、筋力の維持や関節可動域の改善に一定の有用性が示されていますが、水中運動のみで十分な改善を得られるという明確な根拠は限られています。(文献3) そのため、他の運動療法と組み合わせて行うことが推奨されます。水中歩行や水中体操など、負担を抑えながら継続できる方法として活用できます。 【運動療法以外】ガイドラインで推奨される変形性膝関節症の治療法 治療法 詳細 装具療法 膝の不安定性を抑えるサポーターや足底板の使用 物理療法 温熱・冷却・電気刺激などによる痛みの緩和と関節周囲の状態改善 薬物療法 内服薬・外用薬・注射薬による炎症軽減と痛みの調整 手術療法 症状や変形の進行に応じた内視鏡手術や人工関節置換術の選択 (文献2)(文献3) 運動療法以外の治療には、膝の動きを補助する装具療法、痛みを和らげる温熱や電気刺激を用いる物理療法、炎症や痛みに対応する薬物療法などがあります。 これらは症状や生活状況に応じて選択され、継続的な改善を目指します。症状が進行した場合には、関節鏡視下手術や人工関節置換術といった外科的治療が検討されます。それぞれに適応があるため、医師と相談しながら治療法を選ぶことが大切です。 以下の記事では、変形性膝関節症の治療法について詳しく解説しています。 装具療法 項目 内容 効果の評価 鎮痛や機能改善への一定の有用性の示唆 効果の理由 膝への負担やずれの補正による関節安定の支え 具体例 外側楔型足底板による膝内側負荷の調整と膝装具による動作補助 使用の注意点 運動療法や生活習慣の改善との併用による効果向上 (文献2)(文献3) 装具療法は、サポーターや専用の中敷き(足底板)を使って膝にかかる負担を調整し、痛みを和らげたり動作を助けたりする方法です。 ガイドラインでは限定的ながら一定の効果が認められており、痛みの軽減や動きやすさの向上が期待できる治療として位置づけられています。(文献2) とくに、膝の内側に負担がかかりやすい方には、中敷きで足の傾きを調整することで痛みが軽減される場合があります。 ただし、装具療法だけで症状が大きく改善するわけではないため、運動療法や日常生活の工夫と併せて取り組むことが大切です。 以下の記事では、変形性膝関節で使用されるサポーターについて詳しく解説しています。 物理療法 項目 内容 物理療法とは 温熱・電気刺激・超音波などを用いた症状緩和のための療法 ガイドラインでの位置づけ 有用性の検討が行われている療法 効果に関する見解 軟骨への明確な効果についての解明不足 実施のポイント 症状や時期に応じた個別判断による医療者との相談 (文献2)(文献3) 物理療法は、温める・電気を流す・超音波を当てるなどの方法で、痛みやこわばりを和らげることを目的とした治療です。 ガイドラインでも検討項目として扱われていますが、膝の軟骨を守る効果がはっきり示されているわけではありません。(文献2) そのため、必ず効果が得られる治療法と断定することはできず、症状の程度や時期、個人差を踏まえて、医師や理学療法士と相談しながら取り入れることが大切です。 薬物療法 項目 内容 アセトアミノフェン 軽度~中等度の痛みに用いられる副作用が少ない鎮痛薬 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) 炎症と痛みを抑える薬で外用・内服の選択と副作用への注意 COX-2選択的阻害薬 胃腸への負担を軽減したNSAIDsの使用 ヒアルロン酸注射 関節の動きを滑らかにする注射による改善 その他の薬 軽オピオイドやデュロキセチンなど症状に応じた追加選択 薬物療法は、飲み薬・塗り薬・関節への注射などを用いて痛みや炎症を抑え、変形性膝関節症の症状を管理する治療法です。 症状の緩和に役立ち、日常生活の質を保つうえで重要な位置づけですが、長期間の使用では副作用に注意が必要です。そのため、体調や持病、リスクを踏まえて医師と相談しながら適切に用いる必要があります。 また、薬だけに依存せず、運動療法や生活習慣の工夫と組み合わせることで、より良い症状コントロールが期待できます。 手術療法 項目 内容 ガイドラインの範囲 疫学・病態・診断から保存療法・手術療法までの包括的整理 作成体制 多職種による文献調査と治療効果の検討 保存療法との関係 手術前後を含めた運動療法・理学療法の活用 対象となる手術 半月板処置、膝周囲骨切り術、人工膝関節置換術の選択 手術の位置づけ 保存療法で改善が得られない場合に検討される治療 術後リハビリの根拠 術後の筋力強化と機能改善の重要性の記載 (文献2)(文献3) 日本整形外科学会「変形性膝関節症診療ガイドライン2023」では、病態や診断から保存療法、手術療法まで幅広い内容が整理されています。 整形外科医、研究者、理学療法士が作成に関わり、国内外の文献を系統的に検討して治療効果やリスクが評価されています。 手術療法には、関節鏡視下手術、膝周囲骨切り術、人工膝関節置換術などがありますが、いずれも保存療法で十分な改善が得られない場合に検討される治療です。また、手術の前後に行うリハビリテーションが回復において重要であることも示されています。 以下の記事では、変形性膝関節症の手術について詳しく解説しています。 【関連記事】 変形性膝関節症の手術による成功率は?入院期間や費用も解説 変形性膝関節症の手術における高齢者リスクを医師が解説|費用や入院期間も紹介 変形性膝関節症の治療に対する選択肢|再生医療について 変形性膝関節症では、「ヒアルロン酸注射や痛み止めだけでは改善を実感しにくい」という声をしばしば伺います。 これらの治療は痛みの軽減には役立ちますが、すり減った軟骨そのものを回復させることは難しく、緩和することしかできません。また、症状が進行すると手術が必要になる場合もあります。 近年は、自己の幹細胞を用いて損傷した軟骨の修復を促し、再生を目指す新たな治療法として再生医療の研究と応用が進んでいます。 両膝変形性膝関節症に悩む60代男性が再生医療を実施した後、関節の狭小化(症状の改善)を認めた実例もございます。詳細は以下の記事をご覧ください。 再生医療を用いた治療についてご不明な点がございましたら、ご遠慮なくお問い合わせください。 https://youtu.be/NbYAdVr0ez4?si=u1H7cYbPCXLhAya8 ▲リペアセルクリニック医師が解説。こちらの動画も参考になりましたら幸いです。 ▼ 再生医療なら変形性膝関節症の新たな治療法に取り組めます 変形性膝関節症は、「再生医療」により手術せずに症状を改善することが可能です また、以下の記事では、変形性膝関節症の進行や負担を減らすための方法を詳しく解説しています。 ガイドラインを正しく理解し変形性膝関節症のリハビリに役立てよう ガイドラインは、科学的根拠に基づいて治療の方向性を示す重要な指針ですが、すべての方に同じ方法が適しているわけではありません。 症状の程度や生活環境、体力などにより必要な治療やリハビリは異なるため、医師と相談しながら活用していくことが大切です。情報を正しく理解することで、リハビリの目的や進め方が明確になり、より効果的な改善につながります。また、信頼できる情報を選び、焦らず継続して取り組む姿勢が、膝の健康維持に欠かせません。 ガイドラインでも示されているように、身体を適切に動かしながら症状の悪化を防ぐことが、変形性膝関節症の基本的な治療方針であることを意識しておきましょう。 変形性膝関節症についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、変形性膝関節症に対して再生医療を用いた治療を行っています。 再生医療は、自然に修復しにくい膝の軟骨に対して、幹細胞が炎症の調整や組織修復を助ける可能性があるため、変形性膝関節症のリハビリと組み合わせることで、機能回復をより効果的に支える選択肢として期待されています。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 変形性膝関節症のガイドラインに基づいたリハビリに関するよくある質問 変形性膝関節症のガイドラインは誰がどんな根拠に基づいて作っているのですか? 変形性膝関節症診療ガイドラインは、日本整形外科学会の専門委員会が作成しており、国内外の質の高い研究や臨床データを体系的に検討し、科学的根拠に基づいてまとめられています。(文献3) 日本の医療実態に適した内容となるよう専門家による審議が重ねられており、信頼性の高い診療指針として広く活用されています。 多くの医療機関がこのガイドラインを参考に診療を行い、治療の標準化と質の向上に役立てています。 変形性膝関節症のガイドラインに悪化に関する報告はありますか? 日本整形外科学会「変形性膝関節症診療ガイドライン2023」では、疾患の進行過程についても解説されています。 症状を悪化させる主な要因として、肥満、過度な運動負荷、女性であること、加齢などが示されており、これらが膝への負担を高め、病状の進行を促す可能性があるとされています。(文献3) ガイドラインは、これらのリスクを把握し、予防や適切な治療介入を行うことの重要性を示しています。 以下の記事では、変形性膝関節症を放置するリスクについて詳しく解説しています。 変形性膝関節症のガイドラインに記載されている「エビデンスレベル1」は信用しても大丈夫ですか? ガイドラインでは、各治療法を評価する際に「エビデンスの強さ」と「推奨の強さ」が示されています。エビデンスレベル1は、質の高い無作為化比較試験やその統合解析に基づく、もっとも信頼度の高い根拠を意味します。(文献2) ただし、レベル1とされる治療法でも、研究数が限られていたり、効果の範囲が限定的だったりする場合があります。また、エビデンスが高い治療法であっても、すべての患者に同様の効果が得られるとは限りません。(文献3) 年齢や膝の状態、生活環境などによって適した治療は異なるため、医師や理学療法士と相談しながら、自分に合った治療を選ぶことが大切です。 変形性膝関節症のガイドラインに記載されている「推奨グレード」は信用しても大丈夫ですか? ガイドラインの推奨グレードは、国内外の研究を基に「どの治療をどの程度すすめられるか」を示す指標であり、一定の信頼性があります。(文献2) ただし、推奨が高い治療でも、すべての方に同じ効果が得られるわけではありません。 膝の状態や年齢、合併症、運動習慣などによって適した治療は変わります。また、推奨グレードが低い治療でも、状況によっては有用となる場合があります。(文献3) 変形性膝関節症のガイドラインに記載されている「膝関節内転モーメント」とは何ですか? 膝関節内転モーメントとは、歩行や階段昇降の際に膝の内側へ加わる回転方向の力を示す指標です。(文献2) この力が大きいほど膝の内側に負担が集中しやすく、変形性膝関節症の進行に関わるとされています。 そのため、膝関節内転モーメントは、膝の負荷評価や歩行分析、運動療法の効果を判定する際にも用いられる重要な力学的指標です。 参考文献 (文献1) 変形性膝関節症の管理に関するOARSI勧告OARSIによるエビデンスに基づくエキスパートコンセンサスガイドライン(日本整形外科学会変形性膝関節症診療ガイドライン策定委員会による適合化終了版)|診療ガイドライン at a glance (文献2) 連載第15回 変形性膝関節症 理学療法診療ガイドライン|理学療法学 第 43巻 第2号 204~209 頁(2016年) (文献3) 変形性膝関節症診療ガイドライン
2021.12.13 -
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- 半月板損傷
- 膝の外側の痛み
「変形性膝関節症と半月板損傷って何が違うの?」 膝の痛みが続くと日常生活にも影響が出て不安になりますが、原因としてよく挙げられるのが「変形性膝関節症」と「半月板損傷」です。 これらは似たような症状でも、原因や治療法が異なりますので、自己判断は危険です。そこで、この記事ではそれぞれの違いや適切な対策を医師がわかりやすく解説します。 自分の症状に合った適切な対応が判断できるようになりますので、ぜひ最後までご覧ください。 また、当院「リペアセルクリニック」では半月板損傷に対する再生医療・幹細胞治療を行っております。 膝の痛みでお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 変形性膝関節症と半月板損傷の違いとは? 膝の痛みを引き起こす代表的な疾患に「変形性膝関節症」や「半月板損傷」がありますが、原因や症状・治療法は大きく異なります。 以下の2つの違いを正しく理解することで、適切な対処法を選べるようになります。 変形性膝関節症は膝関節が変形する病気 半月板損傷は膝の軟骨が傷つく怪我 本章ではそれぞれの特徴を詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。 変形性膝関節症は膝関節が変形する病気 変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減り、骨と骨が直接ぶつかることで炎症や痛みを引き起こす病気です。(文献1) 加齢とともに軟骨がすり減るため発症し、徐々に進行していくのが特徴です。 初期段階では、立ち上がりや歩き始めに軽い痛みを感じるケースが多く見られます。 しかし、進行すると安静時にも痛みが続くようになり、膝の曲げ伸ばしが困難になるケースもあります。 また、変形が進むとO脚やX脚になる場合もあるため注意が必要です。 半月板損傷は膝の軟骨が傷つく怪我 半月板損傷は、膝の内部にある半月板が裂けたり損傷したりする状態を指します。 スポーツ中の膝のひねりや転倒が主な原因ですが、加齢による半月板の脆弱化も影響します。 損傷が軽度の場合は痛みや腫れだけで済む場合もありますが、放置すると症状が悪化して変形性膝関節症へつながるリスクもあります。 そのため、スポーツや日常生活で膝を酷使する方は、違和感を覚えたら早めに受診しましょう。 半月板損傷の症状については、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。 変形性膝関節症の主な原因 変形性膝関節症は、中高年に多く見られる膝の病気ですが、主な原因には以下の3つが挙げられます。 加齢による軟骨のすり減り 体重増加や姿勢の悪さ 運動不足や遺伝 要因を理解していれば、進行を予防できる可能性が高まるので、チェックしてみてください。 加齢による軟骨のすり減りが主な要因 軟骨はクッションの役割を果たしますが、年齢とともに修復が追いつかず軟骨がすり減り、骨同士が直接ぶつかるようになります。 その結果、関節の変形や骨棘(こっきょく)※1の形成、滑膜(かつまく)※2の炎症を引き起こし痛みや腫れが生じます。 ※1 すり減った骨を再生しようとするも正しい位置で再生できず、横にはみ出して増殖した骨 ※2 膝関節の関節包の内側にある薄い組織、滑液を分泌し、関節の動きを滑らかにする 膝の痛みは放置すると、症状は徐々に悪化していく可能性もあるため、「年齢のせい」と諦めず、早めに医師に相談しましょう。 体重増加や姿勢の悪さが進行を助長 体重が増えると、膝にかかる負担は増大します。 とくに肥満は関節に大きな圧力をかけ、軟骨の摩耗を早める原因になりかねません。 また、悪い姿勢や歩き方も膝への負荷を増やし、変形性膝関節症の進行を助長します。 そのため「立ち仕事が多い」「肥満気味」と感じる方は要注意です。 姿勢を改善したり、適度な運動で体重を管理したりすると膝の健康を保てるため意識してみましょう。 変形性膝関節症の原因と初期症状については、以下の記事でも詳しく紹介しています。 運動不足や遺伝も原因となる場合がある 運動不足は、筋力低下や関節の柔軟性低下を招き、変形性膝関節症のリスクを高めます。 適度な運動は、膝周りの筋肉を強化し関節を安定させる効果があるため、積極的に体を動かすようにしましょう。 また、変形性膝関節症は遺伝的な要因も関与していると考えられているため、家族に変形性膝関節症の方がいる場合は注意が必要です。(文献2) 日頃から膝を労り、定期的な検診を受けるように心がけてください。 こちらの記事では、変形性膝関節症の原因やスポーツから発症するリスクについて解説しています。 気になる症状がある方は、ぜひ参考にしてください。 半月板損傷の主な原因 半月板損傷は、膝にかかる負担や動きの影響で発生しますが、主な原因は以下の3つが挙げられます。 スポーツや転倒による膝の急な動きが原因 老化で半月板が弱くなる場合もある 急性損傷と慢性損傷で原因が異なる 本章では、それぞれの要因について詳しく解説します。 スポーツや転倒による膝の急な動きが原因 半月板損傷の多くは、スポーツや転倒など膝に急激な負荷や衝撃が加わることで発生します。 とくにサッカーやバスケットボールなど、急な方向転換を必要とする競技ではリスクが高まるので注意が必要です。 また、過剰な負担をかけ続けると、軟骨が耐えきれず損傷する場合もあります。 外傷は突然発生するため、予測が難しいものです。 しかし、スポーツ前のウォーミングアップや膝を保護する装具の使用が損傷を予防する手段となります。 老化で半月板が弱くなる場合もある 加齢に伴い、半月板は弾力性を失い薄く脆くなっていきます。 そのため、若い頃であれば問題なかったような動作でも、高齢になると半月板損傷を引き起こす場合があります。 加齢による半月板損傷は、日常生活での些細な動作がきっかけで起こるケースも少なくありません。 たとえば、立ち上がる、しゃがむ、階段を上るといった動作でも、膝に負担がかかり、半月板が損傷する可能性があります。 高齢の方は、とくに膝を労り無理な動作は避けるように心がけましょう。 急性損傷と慢性損傷で原因が異なる 半月板損傷は発生の仕方に違いがあり、急性損傷と慢性損傷に分けられます。 急性損傷は、スポーツや転倒など突発的な外力によって起こる損傷です。 一方、慢性損傷は加齢による変性や、小さな損傷の積み重ねによって徐々に進行していく損傷です。 急性損傷の場合は、損傷した瞬間に強い痛みや腫れを感じる場合が多いのに対し、慢性損傷の場合は、初期症状が軽いため、気づかないうちに進行している場合もあります。 変形性膝関節症と半月板損傷の治療法は? 変形性膝関節症と半月板損傷の治療法は、症状や進行度により異なります。 本章ではそれぞれの治療法を詳しく解説しますので、参考にしてください。 変形性膝関節症の治療法 変形性膝関節症の治療法は以下のとおりです。 治療法 概要 適応症例 保存療法 安静や膝サポーター、痛み止めで自然治癒を促す 軽度の損傷や一時的な症状 手術 半月板を縫合したり、部分切除で修復する手術 大きな損傷や長期間症状が改善しない場合 再生医療・幹細胞治療 幹細胞を投与し、損傷した半月板を切り取らず進行を防ぐ 保存療法や手術の適応外または補助治療 薬物療法で痛みを和らげる 痛みや炎症を軽減するために薬物療法が用いられます。 飲み薬や関節内注射が一般的で、とくにヒアルロン酸注射は関節の潤滑を助け、痛みを抑えます。 症状が軽い段階で効果を発揮します。 リハビリで筋力をつける 膝を支える筋肉を強化して関節への負担を軽減します。 専門の理学療法士とともに適切な運動を行うことで、痛みの軽減や日常生活の改善につながります。 また、自宅での軽い運動も効果的です。 手術で関節の機能を改善する 症状が進行し、保存療法では改善が難しい場合には手術が選択肢となります。 代表的な手術は人工関節置換術や関節鏡手術です。 手術により膝の機能が回復し、痛みの軽減が期待されます。 変形性膝関節症の手術に関するメリットとデメリットは、こちらの記事で紹介しています。 再生医療・幹細胞治療 幹細胞を活用した再生医療は、損傷した軟骨の再生を促し、症状の改善を目指せるのが大きな特徴です。 変形性膝関節症の再生医療に関する詳細は以下の記事で解説しています。新しい治療法に興味がある方はぜひご覧ください。 半月板損傷の治療法 半月板損傷の治療法は以下のとおりです。 治療法 概要 適応症例 保存療法 安静や膝サポーター、痛み止めで自然治癒を促す 軽度の損傷や一時的な症状 手術 半月板を縫合したり、部分切除で修復する手術 大きな損傷や長期間症状が改善しない場合 再生医療・幹細胞治療 幹細胞を投与し、損傷した半月板を切り取らず進行を防ぐ 保存療法や手術の適応外または補助治療 保存療法で自然治癒を促す 軽度の損傷であれば、安静や膝サポーターの使用により自然治癒を目指します。 また、炎症を抑えるために湿布や痛み止めも併用します。 さらにスポーツなど膝への負担を一時的に控えるのも重要です。 以下の記事では、半月板損傷を早く治すための治療法や効果的なリハビリ方法について解説しています。 手術で半月板を修復する 半月板が大きく損傷している場合や、保存療法で改善が見られない場合は手術療法が選択されます。 関節鏡を用いた手術で、損傷した半月板を縫合したり、切除したりします。 以下の記事では、半月板損傷の手術に関するメリット・デメリットについて詳しく解説しています。 手術で不安がある方はチェックしてみてください。 再生医療・幹細胞治療 半月板損傷に対しても、再生医療や幹細胞治療が研究されています。 幹細胞を投与して損傷した半月板損傷を修復させ、膝関節の機能回復を目指します。 こちらでは、半月板損傷や半月板断裂に対する再生医療・幹細胞治療について詳しく紹介しています。 [半⽉板] まとめ|変形性膝関節症と半月板損傷の違いを知って適切な対策を取ろう 変形性膝関節症と半月板損傷は、膝の痛みを引き起こす代表的な疾患ですが、原因や治療法には違いがあります。 変形性膝関節症は主に加齢や体重増加が原因で進行し、骨が変形する病気です。 一方、半月板損傷はスポーツや転倒による衝撃で発生しやすい膝の軟骨の損傷です。 どちらも早期発見と適切な治療が、膝の健康を保つために重要です。 膝に違和感を感じたら、早めに専門医を受診し自分に合った治療法を選びましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では変形性膝関節症や半月板損傷の治療も行っております。 気になる症状がある方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 変形性膝関節症と半月板損傷に関するよくある質問 半月板損傷を放っておくとどうなりますか? 半月板損傷を放置すると、損傷した部分が引っかかり関節軟骨を傷つけてしまう可能性があります。 その結果、変形性膝関節症へと進行し、歩行が困難になるなど日常生活に支障をきたす可能性もあるため注意が必要です。 また、損傷した半月板が関節内で引っかかることで、ロッキングという膝が動かなくなる症状を引き起こすケースもあります。 半月板損傷は自然治癒が難しいため、放置せずに早めに医療機関を受診しましょう。 以下では、半月板損傷を放置するリスクについてさらに詳しく解説しています。 膝の半月板が損傷する原因は何ですか? 膝の半月板が損傷する原因は、大きく分けて2つあります。 1つは、スポーツや転倒など、膝に急激な衝撃や捻りが加わることによるものです。 ジャンプや方向転換を伴うスポーツで多く見られます。 もう1つは、加齢による半月板の変性です。 加齢によって半月板の弾力性が低下し、脆くなることで、ちょっとした動作でも損傷しやすくなります。 また、当院「リペアセルクリニック」では手術をしない治療法として再生医療を提案しております。 膝の痛みや手術で不安な方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 参考文献 文献1 日本理学療法士協会「理学療法ハンドブック シリーズ 7 変形性膝関節症」 https://www.japanpt.or.jp/about_pt/asset/pdf/handbook07_whole_compressed.pdf 文献2 理化学研究所 生命医科学研究センター「膝の変形性関節症の原因遺伝子『DVWA』を同定」 https://www.ims.riken.jp/pdf/20080712_2-3.pdf
2021.12.13 -
- 関節リウマチ
- 内科疾患
- お皿付近に違和感
「朝起きたときに、手の指がこわばっている」 「関節が腫れたり痛んだりしている」 「インターネットで調べてみると、関節リウマチの初期症状に近かった」 関節にさまざまな症状が現れると、関節リウマチではないかと不安を持たれる方も多いことでしょう。 関節リウマチの初期症状として、手指関節の腫れやこわばり、微熱や倦怠感などが現れます。ただし、これらの症状は関節リウマチ特有のものではなく、他の疾患でも現れるため注意が必要です。 どちらにしても、気になる症状が現れたときは、医療機関受診が必要です。 本記事では、関節リウマチの初期症状についてチェックリストを交えて解説します。初期症状を放置するリスクや、関節リウマチの治療などについても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 関節リウマチが疑われる症状でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 関節リウマチの初期症状 関節リウマチの主な初期症状は、以下のとおりです。 関節のこわばり 関節痛 関節の腫れ 関節の機能障害 関節のこわばりとは、関節が思うように動かせない状況です。 関節痛は、全身のあらゆる場所で生じる可能性があります。その中でも手首や指の関節で生じることが多いとされています。しかし関節痛が生じる部位は1か所だけではありません。複数の関節で痛みが生じることも多い状況です。 関節の炎症が長期間にわたって継続されると、関節軟骨や骨組織が少しずつ破壊されていきます。 病状が進行すると関節の変形や脱臼、硬直などが起こり、曲げ伸ばしが困難になるほどの変化が生じる可能性があります。 さらに、炎症が強くなると、発熱や全身の倦怠感、体重減少、食欲不振といった全身症状を伴うため、日常生活に著しい支障をきたしかねません。 「初期症状かもしれない」と感じたときは、早い段階で医療機関を受診しましょう。 関節リウマチの初期症状や原因、発症のメカニズムなどの詳しい情報は、下記の記事で解説しています。あわせてご覧ください。 【チェックリスト】関節リウマチの初期症状に当てはまる方は要注意! 関節リウマチの主な初期症状をチェックリストにまとめました。 当てはまるものがある場合は、関節リウマチの可能性があるため、早めに医療機関を受診しましょう。 全身の症状 ・倦怠感や疲労感 ・微熱が続く ・食欲の低下 ・体重の減少 ・貧血気味 関節の症状 ・朝の両手のこわばり感 ・手指における関節の腫れ ・関節の痛み 日常生活での症状 ・朝食を作る際の動作に違和感がある ・歯ブラシが使いづらい ・お箸をうまく使えない ・ドアノブが回しづらい ・家のカギが開けづらい ・靴ひもが結びづらい ・パソコン入力がしづらい その他の症状 ・眼や口の渇き ・口内炎 関節リウマチの初期症状と似ている病気 関節リウマチの主な初期症状は、関節のこわばりや腫れ、関節痛などです。この章では、関節リウマチの初期症状と似ている病気を紹介します。 関節のこわばりや腫れ 関節のこわばりや腫れが生じる病気としては、変形性関節症や乾癬性関節炎、ウイルス性関節炎などがあげられます。 変形性関節症とは、関節内の軟骨と周囲の損傷を引き起こす病気です。関節痛や腫れといった症状が現れるほか、関節が動かしにくくなるケースもあります。 乾癬性関節炎とは、乾癬と呼ばれる皮膚の病気による関節炎です。アキレス腱や膝蓋腱(しつがいけん)など腱付着部、指などに炎症を起こします。乾癬の症状としては、大きく盛り上がった発疹と、ふけのような白くて小さいかけらの付着などがあります。好発部位は、髪の生え際や肘、膝、臀部などです。 ウイルス性関節炎は、文字どおりウイルスによる関節炎です。原因となる主なウイルスを、以下に示しました。 C型肝炎ウイルス B型肝炎ウイルス ヒトパルボウイルスB19 HIVウイルス 関節のこわばりや腫れに加えて、関節痛を伴うものもあります。 ウイルス性関節炎の中には、関節リウマチの診断基準を満たすケースも存在します。関節リウマチの診断基準については下記の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。 関節痛 関節痛を伴う病気としては、更年期関節痛や線維筋痛症、痛風などがあげられます。 更年期関節痛は、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌減少により生じる関節痛です。へバーデン結節やブシャール結節、ばね指、手根管症候群など、さまざまな種類があります。手指以外でも関節痛が見られることがあります。 線維筋痛症とは、3か月以上の長期にわたって、身体の広範囲に痛みが持続する病気です。(文献1)一度治っても再発するケースもあります。関節痛のほかに、身体の強いこわばりや、激しい疲労感、不眠、頭痛などさまざまな症状を伴います。 痛風とは、血液中の尿酸値が高くなることで、尿酸が結晶化し蓄積する病気です。蓄積された結晶により、関節及び周辺部が断続的に痛みます。 関節痛を伴う病気については、以下の2記事でも解説しています。あわせてご覧ください。 【関連記事】 更年期関節痛とリウマチの違いは?見分けるポイントや治療法を医師が解説 リウマチではない関節痛とは|主な疾患やセルフチェック方法を医師が解説 関節リウマチの初期症状を放置するリスク 関節リウマチは慢性的に進行します。初期症状を放置すると次第に悪化し、さまざまな合併症を引き起こします。主な合併症は以下のとおりです。(文献2)(文献3) 関節の変形や破壊による身体機能の低下 骨粗しょう症 ウイルス感染 心臓や腎機能の障害 うつ状態や不安感といった精神症状 適切な治療が、合併症予防につながります。関節リウマチの症状がある方や、無症状であるものの関節リウマチと診断されている方は、放置せずに医療機関で治療を受けましょう。 関節リウマチの合併症については、下記の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 関節リウマチの治療方法と日常生活のポイント この章では、関節リウマチの治療方法と日常生活のポイントについて解説します。 治療方法 関節リウマチの主な治療方法は、以下の4種類です。 薬物療法 手術療法 リハビリ療法 再生医療 薬物療法 薬物療法では用いられる主な薬物は、以下のとおりです。 抗リウマチ薬 生物学的製剤 JAK阻害剤 消炎鎮痛剤 副腎皮質ステロイド剤 抗リウマチ薬の第一選択肢がメトトレキサートです。抗リウマチ薬の効果が不十分な場合は、生物学的製剤やJAK阻害剤が用いられます。それでも効果が見られない場合は、他の生物学的製剤やJAK阻害剤に変更して治療を続けます。(文献4) 関節リウマチの薬については、下記の記事で解説しています。あわせてご覧ください。 手術療法 関節リウマチにおける主な手術は、以下の4種類です。(文献5) 滑膜切除術 人工関節置換術 関節固定術 関節形成術 薬物療法の進化により、手術が必要になるまでの期間は延びています。しかし、関節変形を予防する意味で、早期に手術を行うケースも少なくありません。 病気が進行すると手術の選択肢も減り、術後も完全な回復が難しくなります。 関節リウマチの症状で日常生活に支障をきたしているときは、手術について主治医に相談しましょう。 リハビリ療法 主なリハビリ療法は以下のとおりです。(文献6) 物理療法(温熱療法や寒冷療法など) 運動療法(関節可動域訓練、リウマチ体操など) 作業療法 装具療法 リハビリを始める時期や方法は、医師や理学療法士、作業療法士などと相談しながら決めることが一般的です。 再生医療 関節リウマチに対する治療法には再生医療という選択肢もあります。 再生医療の種類は主に以下の2つです。 幹細胞治療:他の細胞に変化する能力を持つ「幹細胞」を採取・培養して投与 PRP療法:血液に含まれる血小板を濃縮した液体を作製して投与 当院「リペアセルクリニック」では、関節リウマチに対する再生医療を行っております。 関節リウマチに対する再生医療について、詳しくは以下の記事をご覧ください。 日常生活のポイント 日常生活のポイントとしては、関節を冷やさないことや、適度な安静と運動のバランスをとることなどがあげられます。 関節に負担をかけない動作も心がけましょう。両手で物を持つと、関節への負担が軽減されます。料理や洗濯、掃除といった家事のときは、途中で椅子に座り、身体と関節を休ませましょう。 ストレスをためない、規則正しい生活を心がける、うがいや手洗いで感染症を予防するなどの行動も大切なポイントです。 関節リウマチの初期症状があるときは早めに医療機関を受診しよう 関節リウマチの初期症状としては、関節痛や腫れ、こわばりのほかにも、微熱や倦怠感といった身体症状があげられます。しかし、関節痛や腫れ、こわばりは他の病気でも起こりうるため、症状だけでは関節リウマチとは判別しにくいものです。 関節リウマチの初期症状が現れたら、早いうちに医療機関を受診しましょう。リウマチ科や膠原病科、整形外科などが受診先です。自宅近くに専門の医療機関がない場合は、かかりつけ医に相談しましょう。 関節リウマチは進行性の病気であり、症状を放置するとさまざまな合併症を引き起こします。決して放置せず、医療機関で適切な治療を受けましょう。 当院、リペアセルクリニックではメール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。関節リウマチの初期症状が現れて気がかりを感じている方は、お気軽にお問い合わせください。 関節リウマチの初期症状に関するよくある質問 関節リウマチでしてはいけないことは何ですか 以下の10項目があげられます。 症状を悪化させる食事(砂糖や加工食品は要注意) 激しい運動(適度であればOK) 体や関節を冷やす 首に負担をかける行動 肥満の状態 同じ姿勢を長時間とる 重いものを持つ 正座をする 喫煙をする ストレスを溜める 関節リウマチでしてはいけない10項目の詳細は、以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。 関節リウマチは血液検査で判断できますか 血液検査では、免疫に関する指標(リウマトイド因子や抗CCP抗体)や炎症に関する指標(CRP値や赤血球沈降速度など)を判断します。 しかし、関節リウマチは血液検査だけで判断するのが難しい病気です。X線検査やMRI検査、超音波検査といった画像検査や医師の診察など、総合的な診断が必要です。 関節リウマチの血液検査に関する詳細は、下記の記事で解説しています。あわせてご覧ください。 参考文献 (文献1) 線維筋痛症|公益財団法人日本リウマチ財団 (文献2) Early Diagnosis and Treatment of Rheumatoid Arthritis|HSS (文献3) Rheumatoid Arthritis|Cleveland Clinic (文献4) 関節リウマチの治療 – 薬物療法|公益財団法人日本リウマチ財団 (文献5) 関節リウマチの治療 – 手術療法|公益財団法人日本リウマチ財団 (文献6) 関節リウマチの治療 – リハビリテーション|公益財団法人日本リウマチ財団
2021.12.10 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
「変形性膝関節症はダイエットで痛みが緩和される?」「膝に負担をかけないダイエット方法はある?」 変形性膝関節症と診断されて、このような疑問を感じる方は多いのではないでしょうか。 ダイエットで変形性膝関節症を改善するには、無理のない範囲で体重をコントロールし、膝への負担を減らすことが重要です。 この記事では、変形性膝関節症に効果的なダイエット方法を、食事と運動の両面から解説します。最後までご覧いただき、生活習慣に合った方法を見つけて健康的な毎日を取り戻しましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では変形性膝関節症に対する再生医療治療を行っております。 膝の痛みでお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 変形性膝関節症の症状緩和にダイエットが効果的な理由 ダイエットが変形性膝関節症に効果的な理由は以下の3つです。 体重減少で膝への負担が軽減する 体脂肪が減り炎症を抑制できる 軟骨の保護と再生につながる 変形性膝関節症は、膝への負担が大きくなるにつれて症状悪化のリスクも高まります。 とくに体重が膝関節に与える影響は大きいため、適切なダイエットをすれば痛みや炎症を和らげる効果が期待できるでしょう。 本章では、体重管理が変形性膝関節症の改善にどのように役立つか解説します。 体重減少で膝への負担が軽減する 変形性膝関節症になると、膝の軟骨がすり減り骨同士がぶつかり合って炎症や痛みを引き起こします。 体重が増加すると、当然ながら膝にかかる負担も大きくなります。 そのため、ダイエットによって体重を減らすことは、膝への負担を軽減し、痛みを和らげるために非常に有効な手段といえるでしょう。 体重が1kg増えるごとに、膝にかかる負担は2〜3kgも増えるとされています。(文献1) 少しでも体重を減らせば、歩行時の痛みだけでなく、階段の上り下りや立ち座りなどの動作も楽になることが期待できるでしょう。 変形性膝関節症の原因や初期症状については以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にご覧ください。 体脂肪が減り炎症を抑制できる 過剰な体脂肪は膝の炎症を悪化させる原因にもなります。 脂肪細胞が分泌する炎症性物質は膝関節に悪影響を及ぼし、痛みや腫れを引き起こすためです。 ダイエットによって体脂肪を減らすと、これらの炎症物質の分泌が減少し、症状が緩和される可能性があります。 また、抗炎症作用のある食材(オメガ3脂肪酸を含む魚類や野菜など)を取り入れることで、関節の炎症を抑える効果が期待できます。(文献2) 軟骨の保護と再生につながる 膝関節の軟骨は、体重の負荷を吸収する重要な役割を担っています。体重が重いと軟骨にかかる負担が大きくなり、摩耗を進行させる原因となります。 ダイエットで体重を減らすことで膝の軟骨への負担を軽減し、損傷の進行を遅らせる効果が期待できるでしょう。 また、コラーゲンやグルコサミンなど、軟骨の再生を助ける成分を含む食品を積極的に摂取するのもおすすめです。 体重管理と栄養バランスを意識し、膝の健康を保ちましょう。 変形性膝関節症のダイエット方法 変形性膝関節症は、膝への負担を軽減する運動や食事療法を取り入れるダイエットが有効です。 無理のない運動から始める 自宅でできる運動 食事療法で体重をコントロールする 本章では、上記3つのポイントに分けて具体的なダイエット方法を詳しく解説します。 無理のない運動から始める 膝の負担を軽減するためには、無理のない範囲で運動を始めてみるのがおすすめです。 たとえば、ウォーキングや水中運動は膝に優しく、負担を最小限に抑えながら体重を調整できます。 また、運動を開始する前には軽いストレッチによって、怪我のリスクを減らし、より効果的に体を動かせます。 週2〜3回、短時間からでも始めていけば、負担を軽減しつつダイエットも続けやすくなるでしょう。 変形性膝関節症の進行を予防する方法や、膝の負担を減らす効果的な運動についてはこちらの記事も参考にご確認ください。 自宅でできる運動 外出が難しい方には、自宅でできる運動がおすすめです。 椅子に座った状態で足を伸ばすエクササイズや、軽いスクワットなどが効果的です。 とくにスクワットは、膝を痛めない範囲で行えば太ももの筋力を鍛え、膝を支える力を強化します。 また、ヨガやストレッチは関節の柔軟性を高めるだけでなく、リラックス効果も得られます。 自宅で手軽に行える運動を取り入れていけば、ダイエットも無理なく継続できるでしょう。 以下の記事では、変形性膝関節症を悪化させないための日常の工夫や、継続して運動に取り組む方法を紹介しています。 食事療法で体重をコントロールする 食事療法は、体重を減らし膝の負担を軽減するための効果的な方法です。 バランスの良い食事を心がけていれば、健康的に体重管理ができます。 具体的なポイントを以下にまとめます。 早食いを控える 早食いは、満腹感を得る前に必要以上に食べてしまうことが原因で体重増加にもつながります。 そのため、食事には時間をかけて一口ごとにしっかり噛む習慣をつけましょう。 また、食べるスピードをゆっくりにするため、箸を置いたり水を飲んだりしながら進めるのも効果的です。 まとめ食い(ドカ食い)を控える 空腹を長時間放置すると、次の食事でまとめ食いしがちです。 これによりカロリー過多となり、体重増加につながります。 規則正しく1日3食を心がけ、間食で適度に空腹を満たす工夫をすれば、ドカ食いも防ぎやすくなります。 ながら食い、つられ食いを控える、よく噛んで食べる テレビやスマートフォンを見ながらの「ながら食い」は、満腹感を感じにくくなる原因です。 また、つられ食いも食べ過ぎを招きがちです。 そのため、食事中は周囲の誘惑を避け、食べることに集中しましょう。 一口ずつよく噛んで味わえば、満足感が得られて食べ過ぎを防げます。 不要な食品を買わない、菓子類を身の回りに置かない スナック菓子や高カロリー食品を身近に置いていると、つい手が伸びてしまいます。 買い物の際は不要な食品を控え、手元に誘惑がない環境を作りましょう。 また、代わりにフルーツやナッツなど、健康的な間食を用意するのがおすすめです。 変形性膝関節症でダイエットを実践する上での注意点 変形性膝関節症でダイエットを実践する上では、無理をせず医師の指示のもと行うなど、いくつかの注意点があります。 本章では以下2つのポイントを紹介します。 無理せず継続することが大切 医師に相談しながら進める ダイエットを進める際の注意点を詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。 無理せず継続することが大切 ダイエットで重要なのは、無理せず継続することです。 とくに変形性膝関節症の方は、膝への負担を考慮しながら、無理のない範囲で運動や食事制限を行う必要があります。 たとえば、急に激しい運動を始めると膝を痛めてしまう可能性があります。 そのため、ウォーキングなどの軽い運動から始め、徐々に運動強度を上げていくようにしましょう。 また、極端な食事制限も、栄養不足やリバウンドにつながる可能性があります。 健康的な食生活を維持しながら、無理のない範囲でのカロリーコントロールも大切です。 医師に相談しながら進める 変形性膝関節症は個人差が大きいため、医師に相談しながら進めていくのが安心です。 とくに体重管理や運動の方法については、膝の状態に応じたアドバイスを受けて安全に進められます。 たとえば、痛みが強い場合には、膝に負担をかけない運動や補助具の活用を提案される場合もあります。 また、適切な栄養指導を受けて、症状の緩和につながる食事内容を知れるのもメリットです。 専門家のサポートを受けながら取り組むことで、リスクを抑えた効果的なダイエットが実現するでしょう。 変形性膝関節症に関する従来の治療法と、新たに注目される治療法を以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。 まとめ|変形性膝関節症は各種ダイエット方法で改善を目指そう 変形性膝関節症の症状を緩和するためには、体重管理が非常に重要です。 適切な運動や食事療法を取り入れることで、膝への負担を軽減し、症状の悪化を防ぐ効果が期待できます。 無理のない方法を選び、自分のペースで継続していくのがダイエット成功の鍵です。 日々の努力が積み重なれば、膝の痛みが和らぎ生活の質も向上します。 変形性膝関節症でお悩みの方は、医師に相談しながら、自分に合った方法で取り組むようにしましょう。 当院「リペアセルクリニック」では変形性膝関節症の治療を行っております。 気になる症状がある方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 変形性膝関節症のダイエット方法に関するよくある質問 変形性膝関節症に良い運動は何ですか? 膝に優しい運動として、水中ウォーキングやストレッチがおすすめです。 水中での運動は膝への負担を軽減しながら筋力を鍛えられるため、痛みの強い方にも適しています。 また、太ももの筋肉を鍛える軽いスクワットや、関節を柔軟にするヨガも効果的です。 ただし、無理をせず、自分の膝の状態に合った運動を選びましょう。 変形性膝関節症と肥満の関係はありますか? 肥満は変形性膝関節症の大きなリスク要因です。 体重が増えると膝にかかる負荷が増し、軟骨の摩耗や痛みを悪化させる原因になります。 一方で、体重を減らすことで膝への負担が軽減され、症状の進行を防ぐ効果が期待できます。 健康的な体重管理は膝の健康を守る上でも非常に重要です。 また、当院「リペアセルクリニック」では手術をしない治療法として再生医療を提案しております。 膝の痛みや変形性膝関節症の手術で不安な方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) 八事あしの健康会(監修:日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院)「あしの健康教室~膝編~第2弾」 https://www.nagoya2.jrc.or.jp/content/uploads/2016/11/ashino-kenkoukyoushitsu_hiza-2_111129-1.pdf (文献2) 管理栄養士 鈴木美紀(富士整形外科病院)「関節リウマチの 食事と栄養について|医療法人社団英志会 富士整形外科病院」 https://www.fujiseikei.com/news/2_631e7e67cbc6d/upload/20220912-093607-6628.pdf
2021.12.10 -
- ひざ関節
- 膝部、その他疾患
膝に現れる「関節ねずみ」とは何か?と気になる方もいるでしょう。正式には「関節内遊離体」と呼ばれるこの状態は、関節の中で小さな骨や軟骨の破片が遊離し、動くたびに痛みや引っかかりなどが出現するものです。 とくに膝の関節内で発生しやすく、スポーツをしている方や膝に負担のかかる動作を日常的に行う方に見られることが多いのが特徴です。 この記事では、関節ねずみの原因、症状、治療方法について詳しく解説します。膝の違和感に悩む方は、ぜひ参考にしてください。 膝に現れる関節ねずみ(関節内遊離体)とは? 関節ねずみ(関節内遊離体)とは、関節内部に発生する小さな骨や軟骨のかけらが関節内で遊離して動き回る状態です。膝関節に発生する場合が多く、スポーツでの負荷や関節の変性により、軟骨や骨の一部が剥がれ落ちることが原因です。 遊離体が関節内で動き、膝の曲げ伸ばしの際に引っかかることで痛みや違和感が生じることがあります。とくに、激しい運動や動作で症状が悪化するため、日常生活に支障が出る場合もあります。 関節ねずみは全身の関節に起こりえる 関節ねずみ(関節内遊離体)は、膝関節に限らず全身のさまざまな関節に発生する可能性があります。関節ねずみは。関節内で小さな骨片や軟骨の一部が剥がれて遊離体となり、関節内を自由に動き回ることから、関節ねずみと呼ばれています。 遊離体が関節内で動くと、引っかかるような痛みや違和感が生じ、関節の可動域が制限される場合があります。症状の悪化や関節の摩耗につながることもあり、とくに運動や日常動作の際に不便を感じることが多いです。 関節ねずみは関節の変性や外傷が原因となるため、痛みが続く場合や運動制限が大きい場合には、関節鏡手術によって遊離体を取り除くことが一般的です。 関節炎や関節症が原因となる 関節ねずみ(関節内遊離体)は、関節炎や関節症が原因で発生します。これらの疾患は、関節軟骨や骨の損傷や変性を引き起こしやすく、その過程で関節内の骨や軟骨の小片が剥がれ落ち、関節内に遊離体として残るためです。 遊離体が関節内で動き回ると、さらに炎症や痛みが起こり、関節の可動域が制限されることもあります。 関節ねずみによって引き起こされる症状 関節ねずみ(関節内遊離体)によって引き起こされる症状には、関節痛やロッキング現象があります。関節ねずみが関節内で移動すると、関節の曲げ伸ばしをした時に遊離体と軟骨が擦れ合い、強い痛みを生じやすいです。この痛みは動作に伴って悪化し、歩行や運動が困難になる場合もあります。 また、関節ねずみが関節内で引っかかり、関節の動きが突然止まるロッキング現象も発生します。ロッキングが起こると、膝を完全に伸ばせなくなったり、逆に曲げられなくなったりするため、日常生活やスポーツ活動に大きな支障が生じます。 関節ねずみの検査方法 関節ねずみの検査では、X線やMRI(磁気共鳴画像法)、CT(コンピュータ断層撮影)検査が用いられます。 X線検査は、骨片の形状を抽出するため、骨が剥がれて関節内で浮遊している場合、位置や大きさを確認するのに役立ちます。しかし、X線では軟骨片はほとんど映らないため、MRIやCT検査の併用が必要です。 MRI検査は関節軟骨や靭帯などの軟部組織も詳細に映し出せるため、軟骨片や関節内の炎症の程度を確認するのに効果的です。一方、CT検査は細かい骨片の抽出に適しており、遊離体が硬い骨片の場合にその形状や位置をより鮮明に捉えられます。 関節ねずみの治療法 関節ねずみに対しての治療は3種類あります。 保存療法 手術療法 再生医療 それぞれ解説していきます。 保存療法 関節ねずみの保存療法では、痛みや炎症のコントロールを目的に、薬物療法や理学療法が行われます。薬物療法では、消炎鎮痛剤の内服や関節内注射などで痛みや炎症を抑えることが中心です。一方、理学療法では、関節の負担を軽減するための装具の使用や、筋力強化のためのリハビリテーションを実施します。 保存療法は症状が軽度の場合や、遊離体が小さく動きが少ない場合に有効とされ、痛みの緩和や症状の進行を遅らせる効果が期待できます。 手術療法 関節ねずみの手術療法は、遊離体を取り除き関節の正常な動きを回復させることが目的です。一般的には、関節鏡手術が行われ、関節鏡を用いて関節内を観察しながら遊離体を除去します。関節鏡手術は、切開が少なく傷が小さいため、回復が早く、身体への負担が少ないです。 手術が適用されるのは、遊離体が関節内で移動して痛みや引っかかり感が強い場合や、保存療法で症状が改善しない場合になります。 再生医療 関節ねずみの治療において、再生医療は新たな選択肢です。関節軟骨の再生を目指して、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)療法が行われます。 幹細胞治療は、幹細胞を培養して関節に注入し、軟骨の再生を促進する治療です。PRP療法は、自身の血液から血小板が多く含まれた成分を抽出し、関節に注入することで、組織修復や痛みの軽減を図ります。 再生医療は、とくに関節軟骨が損傷している場合に効果が期待され、治癒が難しいとされる関節の回復を目指す治療法として注目されています。 関節ねずみの予防 関節ねずみの予防には、膝への負担を減らし、関節を保護することが大切です。まず、運動前には十分なウォーミングアップとストレッチを行い、関節や筋肉を柔らかくすることで関節への負担を軽減できます。 膝に過度な負荷がかかる激しい運動や、急な方向転換を伴うスポーツでは、膝を守るサポーターや適切なシューズを着用することがおすすめです。 また、日常生活では体重管理を心がけることも、膝関節への負担軽減につながります。さらに、筋力を高めて膝周囲をサポートすることで、関節への負荷を分散し、軟骨や骨の損傷を予防できます。 まとめ|関節ねずみについて知り、最適な治療法を選びましょう。 関節内遊離体(関節ねずみ)とは関節内に本来ないはずの軟骨や骨のかけらが存在する状態です。 肘や膝などの関節内で生じることが多く、高齢者のみならず野球やテニス、バスケットボールなどの競技者にも多く認められる傾向があります。膝部分に関節内遊離体がある人は、関節の痛みや膝の動かしにくさなどの症状が現れます。この疾患を疑われる人は、整形外科等にて画像検査(レントゲン検査やMRI検査)や、関節鏡検査を実践してもらうことをお勧めします。 一般的には、症状が軽い人では経過観察が行われて、症状が強い人やスポーツ選手は手術によって関節内遊離体の除去が施行されます。関節が痛んで関節内遊離体が心配な人はぜひ前向きに整形外科を受診してくださいね。 関節ねずみについてよくあるQ&A 関節ねずみの手術費用はいくらくらいですか? 関節ねずみの手術費用は、一般的に十数万円程度かかります。多くの場合、関節鏡手術が用いられ、健康保険が適用されるため3割負担で前述の金額です。 ただ、費用は病院や手術方法、また入院の有無によって変動します。また、再生医療や特殊な治療を行う場合には保険適用外の可能性があるため、詳細は医師や病院に相談し、見積もりを確認することが大切です。 関節ねずみの手術後の入院期間はどの程度ですか? 関節ねずみの関節鏡手術後の入院期間は、通常2〜3日程度と比較的短期間で済むことが多いです。関節鏡手術は、切開が小さく術後の回復も早いため、早期退院が可能です。 軽度なケースでは日帰り手術も行われる場合がありますが、炎症や腫れが引くまで経過観察のために数日間の入院が必要な場合もあります。入院期間は患者の年齢や症状の重さ、手術後のリハビリ計画によっても異なるため、医師と事前に相談しておくと安心です。
2021.11.30 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
変形性膝関節症は高齢者に多く見られる疾患です。女性の発症者が多く、男女比はおよそ1:4です。(文献1) 発症初期には動作の開始時に膝の違和感を覚える程度ですが、進行すると次第に日常生活に支障を来すようになります。 変形性膝関節症の悪化を防ぐためには、初期症状を理解して早期に対処しなければなりません。 本記事では変形性膝関節症の初期から末期に至るまでの症状の変化や進行度をチェックする方法、および治療法などを解説します。 変形性膝関節症に対しては、再生医療も治療する際の選択肢の一つです。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しています。 変形性膝関節症について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 【老化現象との間違いに注意】変形性膝関節症の初期症状 変形性膝関節症は老化現象と考えられがちですが、40代での発症も見られるため単に年のせいとばかり言えません。 変形性膝関節症の初期に見られる以下の症状に早期に対処すると、健康寿命を伸ばすのに役立ちます。 動き始めの違和感と痛み 階段昇降時の痛み あぐらや正座のやりづらさ それぞれについて解説します。 動き始めの違和感と痛み 変形性膝関節症の代表的な初期症状が、動き始めの違和感や痛みです。 はじめは、膝がなんとなく動かしづらかったり、重しをつけられているような違和感があったりなどの症状から始まります。起床時や長時間椅子に座っているところから動き始めた際に、痛みが生じる場合もあります。 しかし、初期段階では、痛みや違和感が生じても、しばらくすると治まるケースが大半です。 痛みや違和感が持続しないため「ただの老化現象だ」「一時的な不調」と捉え、変形性膝関節症の初期症状を見逃してしまう方も多くいるため、注意が必要です。 階段昇降時の痛み 階段昇降時に痛みが生じるのも、変形性膝関節症の初期症状の一つです。 階段昇降時に膝関節にかかる負荷は体重のおよそ4~7倍とされており、普通に歩くよりも膝に負担がかかりやすいのが特徴です。 「歩く分には問題ないが、階段昇降時に痛みが生じる」のがきっかけで、変形性膝関節症の発症に気づくケースもあります。 階段昇降時の痛みは次第に強くなる傾向にあり、放置すると日常の動作にも支障を来すようになります。 階段の昇降時に痛みが生じる場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。 あぐらや正座のやりづらさ 変形性膝関節症の初期症状として、胡座(あぐら)や正座がしづらくなるのも特徴です。 胡座や正座は膝関節に負担がかかりやすいため、変形性膝関節症を発症していると、痛みが生じやすい傾向にあります。 床に直接座ったり和式トイレを使用したりする場合も、胡座や正座と同様、膝関節に大きな負担がかかります。 普段から胡座をかいたり、床に直接座ったりする際に、痛みや違和感が生じている方は、変形性膝関節症の初期症状の可能性が考えられるでしょう。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリング、LINEでの簡易オンライン診断を実施しています。 変形性膝関節症について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 変形性膝関節症の中期症状 変形性膝関節症の中期症状として以下の例が挙げられます。 動作中に持続する痛み 膝の腫れや変形 膝の拘縮(こうしゅく) それぞれについて解説します。 動作中に持続する痛み 変形性膝関節症の中期になると、歩いたり、階段を降りたりする動作中も痛みが持続するようになります。 動きはじめにだけ痛みが生じていた初期とは異なり、動いている間ずっと痛みが続くのが特徴です。また、重い荷物を持った状態で歩いていると、より痛みが強くなるケースも少なくありません。そのため、歩いたり、階段を上り下りしたりするのが痛みで億劫になります。 体を動かさなくなると運動不足によって膝を支えている筋力が衰え、より症状が悪化する可能性もあります。日常的に運動する習慣がない方や、歩く機会が少ない方はとくに注意が必要です。 膝の腫れや変形 変形性膝関節症の中期になると膝が腫れたり、関節が変形したりします。 症状の進行により膝関節に炎症を起こすと、痛みを緩和するために膝関節内の液体が過剰に分泌されます。 いわゆる「膝に水が溜まる」状態になり、膝関節が腫れて見えるようになります。 関節穿刺(せんし)と呼ばれる注射器で関節内の水を抜く治療を行うと一時的に良化しますが、根本的な原因が改善しない限り何度でも再発します。 さらに膝の内側の軟骨がすり減る関係で、O脚が目立ちやすくなるケースもあります。 外見的な症状以外にも、膝が重く感じたり、腫れている部分がだるいと感じたりする方もいます。 膝の拘縮(こうしゅく) 変形性膝関節症は、名前の通り膝が変形するため、膝の曲げ伸ばしがしづらくなります。曲げ伸ばしのしづらさや、膝の痛みをかばうため、関節を動かさなくなる方も少なくありません。 膝を動かさなくなると、膝周りの組織が衰え、固まってしまう「拘縮(こうしゅく)」と呼ばれる症状が出てきます。頑張って膝を伸ばそうとしても伸ばしきれなかったり、逆に曲げようとしても曲げきれなかったりするようになるのが特徴です。 膝の曲げ伸ばしがスムーズにできないと、歩く際に関節周囲の筋肉や腱に負担がかかり、さらに膝の痛みを増すといった悪循環に陥ります。 また、曲げ伸ばしができないからといって放置していると、より拘縮が悪化してしまいます。 変形性膝関節症の末期症状 変形性膝関節症の末期は、痛みや膝の変形が顕著になり、歩行困難になる可能性が高まります。日常生活に大きな支障を与え、最悪の場合は、寝たきりになるケースもあります。 変形性膝関節症の末期の症状を見ていきましょう。 安静時に持続する痛み 変形性膝関節症の末期になると、安静時にも痛みが生じるようになります。立っているときや歩くときはもちろん、横になっているときも痛みが続くのが特徴です。ひどい場合は、痛みで夜中に目が覚めてしまうこともあります。 このような夜間痛により睡眠の質が悪化すると、身体の回復力が低下し、さらに症状がひどくなるという悪循環に陥りがちです。 安静にしていても痛みが続く段階では、薬物治療やリハビリテーションだけでは改善が難しいケースが多くなります。そのため、骨を切って脚の角度を変える「骨切り手術」や、膝関節を人工関節に置き換える「人工関節置換術」といった手術療法が検討されます。 脚の変形 骨自体が変形してしまった場合、手術療法以外で外見をもとに戻すのは困難です。 脚が変形すると外見的な変化を隠すため、外出を避けるようになる方も少なくありません。 自宅にいる時間が増えると身体を動かす機会が減少するため、筋力の低下によりさらに症状が悪化し、日常生活に影響を及ぼすリスクが増加します。 歩行困難 変形性膝関節症が末期段階まで進行すると、安静にしていても痛みが生じたり、脚が変形したりするため、自力で歩けなくなるケースも少なくありません。杖を使っての歩行や、車椅子での生活を余儀なくされる方もいます。 また、歩くたびに強い痛みが生じるため、自宅内では這って移動するようになる方もいます。このように日常動作が困難になると、外出や運動の機会が減り、認知機能の低下を招くおそれがあります。 こうした末期症状に至る前に、薬物治療やリハビリテーションを行い、進行を遅らせることが大切です。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、変形性膝関節症に対する再生医療の症例紹介や簡易オンライン診断を実施しています。 変形性膝関節症で歩けなくなるのが不安な方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 変形性膝関節症の進行度をチェックできる方法を紹介 東京都在住の65歳以上の高齢者を対象に、認知機能や運動機能に関する大規模な追跡調査(コホート研究)が実施されました。 変形性膝関節症に関する調査では、65歳以上の方のおよそ60%が「歩いてもほとんど痛みを感じない」初期の変形性膝関節症と判明しています。(文献2) つまり、自覚症状がほとんどない段階でも、すでに変形性膝関節症が始まっている可能性があるのです。 ごく初期の段階で発見できれば、手術や寝たきりといった深刻な事態を避けられる可能性が高まります。 変形性膝関節症の進行度を把握する方法の一つに、KOOS(膝の損傷および変形性関節症アウトカムスコア)と呼ばれる評価指標があります。(文献3) KOOSでは変形性膝関節症について以下の5点(合計42項目)を評価します。 疼痛 その他の症状 日常生活機能 スポーツ・レクリエーション機能 膝関節関連の生活の質 KOOSだけで進行度を完全に把握できるわけではありませんが、現在の膝の状態を客観的に知るための目安として活用できます。 変形性膝関節症の原因とは? 変形性膝関節症の主な原因は以下のとおりです。 加齢 肥満 O脚・X脚 女性ホルモンの減少 遺伝 外傷や後遺症 それぞれについて解説します。 加齢 変形性膝関節症を発症する大きな原因が加齢です。 膝関節の骨と骨の間にある軟骨は、クッションのような役割を果たしています。軟骨によって、膝関節は痛みなくスムーズに動くのです。 しかし、加齢とともに軟骨がすり減るため、膝関節の滑らかな動きが阻害されます。膝関節が滑らかに動かないと、炎症を起こして徐々に痛みが生じるのです。 摩耗した軟骨は自然には再生されないため「加齢による膝の痛みだ」と判断せず、進行を早急に食い止める必要があります。 肥満 肥満の影響で膝に負担がかかり、変形性膝関節症を発症するケースもあります。体重が増えると、体重を支えている膝関節に負荷がかかります。 中高年になると、代謝が落ちたり、運動不足になったりする関係で、内臓脂肪がつきやすく、体重が増加しやすいため注意が必要です。 肥満体型で膝に痛みや違和感がある方は、できるだけ膝への負担を抑えるため、食事制限や運動を取り入れ減量を目指しましょう。 O脚・X脚 O脚やX脚など脚が変形していると、普通に歩いたり、階段を登ったりするだけで膝関節に負担がかかりやすくなります。 日本人は、膝と膝の間に隙間が開くO脚の方が多いとされます。 O脚になると膝の内側に体重がかかるため、軟骨がすり減って膝関節の内側に痛みを生じやすくなるのが特徴です。さらに軟骨がすり減って膝関節の隙間がなくなると、膝の曲げ伸ばしが困難になり、日常動作にも支障が出るようになります。 かつては、O脚やX脚は治らないとされていましたが、近年では矯正グッズや整形外科による治療での改善が期待できます。 変形性膝関節症を防ぐためにも、O脚やX脚気味の方は早めに対処しておくことをおすすめします。 女性ホルモンの減少 変形性膝関節症は高齢者に多く見られますが、男女比はおよそ1:4と女性の発症者が多いのが特徴です(文献5)この差には、女性ホルモンの減少が関係していると考えられています。 女性ホルモンの一種であるエストロゲンは妊娠や月経に関わるだけでなく、骨や血管など全身の健康を支えています。更年期の女性にさまざまな心身の不調が見られるのも、エストロゲンの分泌量が減少するためです。 エストロゲンには一定レベルの抗炎症作用があるため、中高年以降に分泌量が減少すると変形性膝関節症に伴う膝の痛みが強くなる可能性があります。(文献6) 遺伝 遺伝も変形性膝関節症の発症リスクを高める原因の一つです。 骨格は親から子へと受け継がれるため両親のいずれか、もしくは両方が変形性膝関節症の場合、子どもも発症リスクが高くなると考えられます。 ただし、変形性膝関節症の発症リスクを高める要因はさまざまなため、必ずしも遺伝だけが原因とは断定できません。 たとえば、肥満気味の両親と同じ食習慣を続けていると自分も体重が増加し、変形性膝関節症の発症リスクを高める可能性があります。 外傷や後遺症 外傷や後遺症も変形性膝関節症の発症リスクを高める原因の一つです。 たとえば、前十字靭帯の後遺症で関節が不安定になると、軟骨への負担が増して変形性膝関節症の発症リスクが高くなるとわかっています。また、半月板の損傷も変形性膝関節症につながりやすいとされています。 変形性膝関節症の発症リスクを高める具体的な主な症例は以下のとおりです。 靭帯損傷(前十字靭帯断裂など) 骨折(膝蓋骨骨折など) 半月板損傷 とくに半月板には軟骨を衝撃から守るトランポリンのようなはたらきがあるため、半月板損傷の既往がある方が、変形性膝関節症を発症するケースが少なくありません。 変形性膝関節症の治療法 変形性膝関節症の治療法として以下が挙げられます。 保存療法 手術療法 再生医療 それぞれについて解説します。 保存療法 保存療法は外科的手術を行わずに症状の改善を目指す治療法です。 変形性膝関節症の際に行われる主な保存療法は以下のとおりです。 運動療法 体重管理 薬物療法 物理療法 それぞれ詳しく解説します。 運動療法 変形性膝関節症の治療法の一つが運動療法です。 障害や疾患の改善および予防を目的に行われる保存療法の一種で、変形性膝関節症などの整形疾患だけでなく、生活習慣病が対象になるケースも少なくありません。 変形性膝関節症に対して行われる運動療法は、主に太ももの筋肉である大腿四頭筋やハムストリングスの筋力を強化する目的で行われます。 筋力を強化する方法はエアロバイクやウォーキングをはじめとする有酸素運動や、筋力トレーニングなどさまざまです。 体重管理 変形性膝関節症を発症すると膝への負荷により痛みが生じるため、体重を管理する必要があります。 とくに階段を昇り降りする際に生じる膝への負荷は体重の4〜7倍とされており、体重を減らした分だけ膝への負荷を減らせます。 ただし、食事制限だけで体重を減らすと同時に筋力も低下してしまうため、筋肉量を維持しながら減量するのが大切です。 適切な体重の目安としてBMI(Body Mass Index)と呼ばれる国際的な指標がありますが、筋肉量は考量されていません。医師や理学療法士、運動療法士、管理栄養士などのサポートを受けながら、適切に体重管理する必要があります。 薬物療法 薬物療法も変形性膝関節症に対して行われる治療法の一つです。 主に変形性膝関節症の発症に伴う痛みを緩和する目的で行われます。 痛みを緩和する際に用いられる薬剤は、ロキソニンをはじめとする非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)やアセトアミノフェン内服薬、外用薬や湿布などさまざまです。 変形性膝関節症の発症に伴う関節の可動域減少を改善する目的で、ヒアルロン酸やステロイド剤を局所注射する方法もあります。 物理療法 変形性膝関節症の治療法としては物理療法も挙げられます。 電気や熱、音波、水圧などのエネルギーを利用し、症状を緩和したり組織の修復を促したりするのが特徴です。 代表的な治療法としてはマイクロ波や温罨法(おんあんぽう:患部を温める方法)などの温熱療法や超音波治療、低周波や干渉波などの電気治療、ウォーターベッドの水圧を利用したリハビリテーションなどが挙げられます。 膝周りの筋緊張が原因で血行不良や痛みを引き起こしている場合は、マッサージなど手技(徒手)による施術も行われます。 手術療法 手術療法も変形性膝関節症の治療法の一つです。 物理療法では改善が難しい症例や、変形性膝関節症が原因で日常生活に支障を来している際に、手術療法を検討するのが一般的です。 変形性膝関節症に対する手術療法としては、人工関節置換術と高位脛骨骨切り術、関節強化手術の3つが挙げられます。 ただし、膝の痛みが骨の変形以外の原因で生じている場合、手術療法を行っても痛みが改善しないケースもあります。 再生医療 変形性膝関節症を発症している方の中には、症状が進行していてもさまざまな事情で手術の選択が難しい方もおられます。 そのような方には、治療方法の一つとして再生医療が挙げられます。 再生医療は、損傷した組織や細胞に対して、自己の幹細胞や血液を用いる治療法です。身体への負担が少なく、治療による日常生活への影響をできるだけ抑えたい方に適しています。 再生医療には主に「幹細胞治療」と「PRP療法」の2種類があります。 幹細胞治療:自身の脂肪組織から採取した幹細胞を培養して増やし、膝関節に注入する治療法 PRP療法:自身の血液から血小板を多く含む成分を抽出し、膝関節に注入する治療法 当院「リペアセルクリニック」では、変形性膝関節症の治療法として再生医療を提供しています。実際の症例については以下をご覧ください。 再生医療についてより詳しくは、当院の公式LINEにご登録ください。再生医療による症例の紹介や簡易オンライン診断を実施しております。 変形性膝関節症の進行を遅らせるポイント 変形性膝関節症の進行を遅らせるには、適度な運動と日常生活の動作が大切です。 とくに太ももの前の筋肉を鍛えると膝関節への負担を軽減できます。筋力強化以外にも、関節の柔軟性を高めるストレッチを取り入れるのも効果的です。 日常生活では、できるだけ膝関節に負担のかかる動作は控えるのが重要です。変形性膝関節症の進行を遅らせる日常動作のヒントを見てみましょう。 胡座や正座は避ける トイレは和式ではなく洋式にする 床に座らず椅子に座る 膝を温めて血行を良くする 階段の利用を減らす 生活環境を変えるのは難しい可能性もありますが、できるものから取り組んでみてください。また、肥満体型の方は、食事制限や有酸素運動を取り入れて、体重減量を目指すのも大切です。 変形性膝関節症と似た病気の可能性もある 膝に痛みがあっても、すべての膝の痛みが変形性膝関節症ではありません。 膝関節以外の痛みや発熱の有無など、問診や触診の情報を元に「関節リウマチ・痛風・化膿性関節炎」などを疑います。 検査では血液検査や関節液の成分を検査し、検査結果を元に変形性膝関節症以外の病気である要素を取り除いた上で、はじめて変形性膝関節症と診断されるため、一概には判断できません。 変形性膝関節症の初期症状が見られたら速やかに医療機関へ 変形性膝関節症とは、膝関節にある軟骨が、加齢や筋力低下によってすり減り、痛みが生じる病気です。初期症状として、動き始めの痛みや違和感があげられます。 ただし、変形性膝関節症の症状は人によって異なり、進行していてもあまり痛みが出ない方もいるため、一概にはいえません。 変形性膝関節症は、時間をかけて症状が進行し、徐々に症状が重くなるため、早い段階で治療を始める必要があります。 そのため、膝に痛みや違和感を抱いている方は、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。 また、リペアセルクリニックでは、変形性膝関節症の治療法として再生医療を提案しています。 簡易オンライン診断も実施しているので、変形性膝関節症について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 参考文献 (文献1) 人工関節④ 女性に多い膝関節の痛み|日本赤十字社和歌山医療センター (文献2) 歳のせいにされてきた変形性膝関節症の病態を解明。健康長寿への一歩を踏み出す!|順天堂大学 (文献3) Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Score (KOOS)|Health and Quality of Life Outcomes (文献4) 変形性膝関節症の症状とは|初期~末期の特徴を医師が解説|整形オンライン (文献5) 人工関節④ 女性に多い膝関節の痛み|日本赤十字社和歌山医療センター (文献6) 更年期におけるエストロゲンレベルが膝関節症の痛みに及ぼす影響と非薬理学的対策|PubMed
2021.11.25







