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- 関節リウマチ
- お皿付近に違和感
- 内科疾患
「関節リウマチの初期症状を知りたい」 「指や関節の違和感があるけど、関節リウマチの初期症状?」 関節リウマチは進行すると関節の破壊を伴いながら、骨格系の機能障害を引き起こし、日常生活における動作などを低下させていく病気です。 現在、日本では人口の約1%の方に発症の可能性があるとされており、全身性の自己免疫疾患で、男女比はおよそ1:3と女性のほうが男性より多い病気と言われています。 今回は、放置すると危ない関節リウマチの初期症状を中心に、チェックリストを踏まえて解説します。違和感があるときは、早めにお近くの医療機関を受診するのが大切です。 また、関節リウマチ全体の概要は、以下の記事で詳細を解説しているのであわせて参考にしてみてください。 関節リウマチの初期症状 関節リウマチの主な初期症状は、以下のとおりです。 ・関節のこわばり ・関節部の疼痛 ・関節の腫れ ・関節の機能障害 なお、関節のこわばりとは、関節が自分で思ったように動かない機能障害が起こっている状況です。 痛みを発症する関節部位は、全身の中であらゆる場所で生じる可能性があります。ただ、とくに手首や手指の関節部で引き起こされる傾向にあり、患部は一か所だけでなく複数で認められる場合が多いです。 もし仮に関節部の炎症が長期間にわたって継続されると、関節の軟骨や骨組織自体が少しずつ破壊されていきます。 病状が進行すると関節の変形や関節の脱臼をはじめ、関節が硬くこわばってしまい、曲げ伸ばしが困難になるほどの変化を引き起こす場合があります。 さらに、炎症が強くなると発熱や全身の倦怠感、また体重の減少や食欲不振といった全身症状を伴う場合もあるため、日常生活に著しく支障をきたしかねません。 「初期症状かもしれない」と感じたときは、早い段階で医療機関を受診するのが大切です。 【チェックリスト】関節リウマチの初期症状に当てはまる方は要注意! 関節リウマチの初期症状に当てはまるのか、以下の表に項目ごとにチェックリストをまとめています。 当てはまるものがあれば、関節リウマチの可能性があるので、早めに医療機関を受診してみてください。 全身の症状 ・体のだるさや疲れやすさ ・微熱が続く ・食欲の低下 ・体重の減少 ・貧血気味 など 関節の症状 ・朝の両手のこわばり感 ・手指における関節の腫れ ・関節の痛み など 日常生活での症状 ・朝食を作る際の動作に違和感がある ・歯ブラシが使いづらい ・お箸をうまく使えない ・ドアノブが回しづらい ・家のカギが開けづらい ・靴ひもが結びづらい ・パソコン入力がしづらい など その他の症状 ・眼や口の渇き ・口内炎 など 関節リウマチが発症する原因 関節リウマチの詳しい発症原因は、現代においても明確になっていません。 ただ、どうやら先天性の遺伝的要因と、周辺の環境的要素が複雑に組み合わさり、発症するのではないかと考えられています。 昨今の研究によりますと、関節リウマチの発症は遺伝的要因が約10%関与しており、症状を発症しやすい遺伝子は約100種類あると考えられています。 一方、発症リスクの観点(環境的な原因)として、重要視されるのが喫煙歴です。ほかには歯周病や慢性呼吸器感染症の免疫機構など、複数の要因が挙げられています。 画像検査はレントゲンを中心に行われ、患部の手足部を実際に撮影して骨の表面が欠けているか否か、あるいは骨隙間の距離が縮んでいないかを診断します。 関節リウマチの治療方法【薬物療法・手術療法など】 関節リウマチの治療法は「薬物療法」や「手術療法」が挙げられます。それぞれの治療方法には、メリットとデメリットがあります。 どれを選択するかは重症度や合併症の有無、あるいは日常生活でどのくらい支障が出ているのかなど、多角的に評価して判断する流れです。 関節リウマチにおける関節の破壊的な変化は、一般的に発症して概ね2年以内の期間で急速に進行すると判明しています。破壊されてしまった軟骨や骨関節は、元の正常な状態に戻せないので早期の診断と治療が重要です。 まずは関節リウマチの病気がいかなるものかを理解して、適度な運動と安静のバランスを考えながら、食生活などを含めた規則正しい生活習慣を送るのが重要です。 前述した通り、喫煙歴や歯周病の有無が関節リウマチにおける病気の活動性に影響していると考えられています。そのため、患者さんが喫煙しているときは禁煙指導を行う可能性もあります。 また、薬物療法の点から見ていきましょう。薬物療法は、関節リウマチにおける治療の中心的な治療方法です。関節リウマチ患者における関節部位の炎症を抑えて、症状改善を目指すために行います。 【関節リウマチの治療薬】 ・抗リウマチ薬 ・生物学的製剤(※) (※)生物学的製剤とは: →生物が産生するたんぱく質などの成分を改良して作製された新薬のこと 現在、関節リウマチの治療薬に使える生物学的製剤は、8種類ほどあると言われています。 生物学的製剤は、とくに関節破壊を抑制する効果が際立って優れていると言われています。関節リウマチの症状をより軽度な状態に改善して、維持をするのが可能になりました。 また、患者様の中にはさまざまな薬物療法などの治療を実施しても、関節変形による機能障害が後遺症として残る場合もあるでしょう。その際は、人工関節置換術や滑膜切除術など、手術治療が選ばれる可能性もあります。 ここまで読み進めてみて「生物学的製剤に副作用はあるの?」と気になられた方は、以下で詳細を説明しているのであわせて参考にしてみてください。 まとめ|関節リウマチの初期症状があるときは早めに医療機関を受診しよう 近年では、関節リウマチの治療法も大きな変貌を遂げています。治療の大きな役割を担っているのは、2003年に初めて登場した生物学的製剤です。 生物学的製剤は、免疫機構において重要な役割を果たす炎症性サイトカインの物質に直接的に作用して、関節リウマチの活動を抑えられます。従来のほかの薬剤と比べて、有効性が高いと評価されています。 いずれにしても関節リウマチの違和感や痛みを放置しないために、初期症状の内容を再度押さえておきましょう。 【関節リウマチの初期症状】 ・関節のこわばり ・関節部の疼痛 ・関節の腫れ ・関節の機能障害 早期の発見と治療が大原則なので、関節に違和感を感じたら、専門の医療機関を早めに受診してみてください。 当院「リペアセルクリニック」では、治療の選択肢のひとつとして、再生医療による関節リウマチの治療も行っています。 症例の一例として、関節リウマチの症状をもたれている患者様に、PRPの注射を行い、膝関節や手首の痛みを軽減させた事例もあります。 症例の詳細については、専用記事で解説しているので、良ければあわせて参考にしていただけますと幸いです。 また、関節リウマチ以外の症状でも、なにかしらの不調が出てしまう場合もあります。体のお悩みを抱えておられるときは、ぜひ当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 関節リウマチの初期症状に関わるQ&A 関節リウマチの初期症状に関わる質問と答えを解説します。 Q.関節リウマチでしてはいけないことは? A.以下の10個があげられます。 1.症状を悪化させる食事(砂糖や加工食品は要注意) 2.激しい運動(適度であればOK) 3.体や関節を冷やす 4.首に負担をかける行動 5.肥満の状態 6.同じ姿勢を長時間とる 7.重いものを持つ 8.正座をする 9.喫煙をする 10.ストレスを溜める 関節リウマチでしてはいけない10項目の詳細は、以下の記事で解説しているので、あわせて参考にしてみてください。 Q.関節リウマチは血液検査で判断できますか? A.はい。血液検査では、リウマトイド因子や、抗環状シトルリン化ペプチド抗体の有無で判断します。 Q.関節リウマチの初期症状があるときは何科を受診すれば良いですか? A.整形外科、内科、リウマチ科、膠原病科などを受診しましょう。 また、リウマチ専門のスタッフがいる医療機関を知りたいときは、日本リウマチ学会や日本リウマチ財団のWebサイトから、お近くの医療機関などを検索できます。
2021.12.10 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
「変形性膝関節症はダイエットで痛みが緩和される?」「膝に負担をかけないダイエット方法はある?」 変形性膝関節症と診断されて、このような疑問を感じる方は多いのではないでしょうか。 ダイエットで変形性膝関節症を改善するには、無理のない範囲で体重をコントロールし、膝への負担を減らすことが重要です。 この記事では、変形性膝関節症に効果的なダイエット方法を、食事と運動の両面から解説します。最後までご覧いただき、生活習慣に合った方法を見つけて健康的な毎日を取り戻しましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では変形性膝関節症に対する再生医療治療を行っております。 膝の痛みでお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 変形性膝関節症の症状緩和にダイエットが効果的な理由 ダイエットが変形性膝関節症に効果的な理由は以下の3つです。 体重減少で膝への負担が軽減する 体脂肪が減り炎症を抑制できる 軟骨の保護と再生につながる 変形性膝関節症は、膝への負担が大きくなるにつれて症状悪化のリスクも高まります。 とくに体重が膝関節に与える影響は大きいため、適切なダイエットをすれば痛みや炎症を和らげる効果が期待できるでしょう。 本章では、体重管理が変形性膝関節症の改善にどのように役立つか解説します。 体重減少で膝への負担が軽減する 変形性膝関節症になると、膝の軟骨がすり減り骨同士がぶつかり合って炎症や痛みを引き起こします。 体重が増加すると、当然ながら膝にかかる負担も大きくなります。 そのため、ダイエットによって体重を減らすことは、膝への負担を軽減し、痛みを和らげるために非常に有効な手段といえるでしょう。 体重が1kg増えるごとに、膝にかかる負担は2〜3kgも増えるとされています。(文献1) 少しでも体重を減らせば、歩行時の痛みだけでなく、階段の上り下りや立ち座りなどの動作も楽になることが期待できるでしょう。 変形性膝関節症の原因や初期症状については以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にご覧ください。 体脂肪が減り炎症を抑制できる 過剰な体脂肪は膝の炎症を悪化させる原因にもなります。 脂肪細胞が分泌する炎症性物質は膝関節に悪影響を及ぼし、痛みや腫れを引き起こすためです。 ダイエットによって体脂肪を減らすと、これらの炎症物質の分泌が減少し、症状が緩和される可能性があります。 また、抗炎症作用のある食材(オメガ3脂肪酸を含む魚類や野菜など)を取り入れることで、関節の炎症を抑える効果が期待できます。(文献2) 軟骨の保護と再生につながる 膝関節の軟骨は、体重の負荷を吸収する重要な役割を担っています。体重が重いと軟骨にかかる負担が大きくなり、摩耗を進行させる原因となります。 ダイエットで体重を減らすことで膝の軟骨への負担を軽減し、損傷の進行を遅らせる効果が期待できるでしょう。 また、コラーゲンやグルコサミンなど、軟骨の再生を助ける成分を含む食品を積極的に摂取するのもおすすめです。 体重管理と栄養バランスを意識し、膝の健康を保ちましょう。 変形性膝関節症のダイエット方法 変形性膝関節症は、膝への負担を軽減する運動や食事療法を取り入れるダイエットが有効です。 無理のない運動から始める 自宅でできる運動 食事療法で体重をコントロールする 本章では、上記3つのポイントに分けて具体的なダイエット方法を詳しく解説します。 無理のない運動から始める 膝の負担を軽減するためには、無理のない範囲で運動を始めてみるのがおすすめです。 たとえば、ウォーキングや水中運動は膝に優しく、負担を最小限に抑えながら体重を調整できます。 また、運動を開始する前には軽いストレッチによって、怪我のリスクを減らし、より効果的に体を動かせます。 週2〜3回、短時間からでも始めていけば、負担を軽減しつつダイエットも続けやすくなるでしょう。 変形性膝関節症の進行を予防する方法や、膝の負担を減らす効果的な運動についてはこちらの記事も参考にご確認ください。 自宅でできる運動 外出が難しい方には、自宅でできる運動がおすすめです。 椅子に座った状態で足を伸ばすエクササイズや、軽いスクワットなどが効果的です。 とくにスクワットは、膝を痛めない範囲で行えば太ももの筋力を鍛え、膝を支える力を強化します。 また、ヨガやストレッチは関節の柔軟性を高めるだけでなく、リラックス効果も得られます。 自宅で手軽に行える運動を取り入れていけば、ダイエットも無理なく継続できるでしょう。 以下の記事では、変形性膝関節症を悪化させないための日常の工夫や、継続して運動に取り組む方法を紹介しています。 \まずは当院にお問い合わせください/ 食事療法で体重をコントロールする 食事療法は、体重を減らし膝の負担を軽減するための効果的な方法です。 バランスの良い食事を心がけていれば、健康的に体重管理ができます。 具体的なポイントを以下にまとめます。 早食いを控える 早食いは、満腹感を得る前に必要以上に食べてしまうことが原因で体重増加にもつながります。 そのため、食事には時間をかけて一口ごとにしっかり噛む習慣をつけましょう。 また、食べるスピードをゆっくりにするため、箸を置いたり水を飲んだりしながら進めるのも効果的です。 まとめ食い(ドカ食い)を控える 空腹を長時間放置すると、次の食事でまとめ食いしがちです。 これによりカロリー過多となり、体重増加につながります。 規則正しく1日3食を心がけ、間食で適度に空腹を満たす工夫をすれば、ドカ食いも防ぎやすくなります。 ながら食い、つられ食いを控える、よく噛んで食べる テレビやスマートフォンを見ながらの「ながら食い」は、満腹感を感じにくくなる原因です。 また、つられ食いも食べ過ぎを招きがちです。 そのため、食事中は周囲の誘惑を避け、食べることに集中しましょう。 一口ずつよく噛んで味わえば、満足感が得られて食べ過ぎを防げます。 不要な食品を買わない、菓子類を身の回りに置かない スナック菓子や高カロリー食品を身近に置いていると、つい手が伸びてしまいます。 買い物の際は不要な食品を控え、手元に誘惑がない環境を作りましょう。 また、代わりにフルーツやナッツなど、健康的な間食を用意するのがおすすめです。 変形性膝関節症でダイエットを実践する上での注意点 変形性膝関節症でダイエットを実践する上では、無理をせず医師の指示のもと行うなど、いくつかの注意点があります。 本章では以下2つのポイントを紹介します。 無理せず継続することが大切 医師に相談しながら進める ダイエットを進める際の注意点を詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。 無理せず継続することが大切 ダイエットで重要なのは、無理せず継続することです。 とくに変形性膝関節症の方は、膝への負担を考慮しながら、無理のない範囲で運動や食事制限を行う必要があります。 たとえば、急に激しい運動を始めると膝を痛めてしまう可能性があります。 そのため、ウォーキングなどの軽い運動から始め、徐々に運動強度を上げていくようにしましょう。 また、極端な食事制限も、栄養不足やリバウンドにつながる可能性があります。 健康的な食生活を維持しながら、無理のない範囲でのカロリーコントロールも大切です。 医師に相談しながら進める 変形性膝関節症は個人差が大きいため、医師に相談しながら進めていくのが安心です。 とくに体重管理や運動の方法については、膝の状態に応じたアドバイスを受けて安全に進められます。 たとえば、痛みが強い場合には、膝に負担をかけない運動や補助具の活用を提案される場合もあります。 また、適切な栄養指導を受けて、症状の緩和につながる食事内容を知れるのもメリットです。 専門家のサポートを受けながら取り組むことで、リスクを抑えた効果的なダイエットが実現するでしょう。 変形性膝関節症に関する従来の治療法と、新たに注目される治療法を以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。 まとめ|変形性膝関節症は各種ダイエット方法で改善を目指そう 変形性膝関節症の症状を緩和するためには、体重管理が非常に重要です。 適切な運動や食事療法を取り入れることで、膝への負担を軽減し、症状の悪化を防ぐ効果が期待できます。 無理のない方法を選び、自分のペースで継続していくのがダイエット成功の鍵です。 日々の努力が積み重なれば、膝の痛みが和らぎ生活の質も向上します。 変形性膝関節症でお悩みの方は、医師に相談しながら、自分に合った方法で取り組むようにしましょう。 当院「リペアセルクリニック」では変形性膝関節症の治療を行っております。 気になる症状がある方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 変形性膝関節症のダイエット方法に関するよくある質問 変形性膝関節症に良い運動は何ですか? 膝に優しい運動として、水中ウォーキングやストレッチがおすすめです。 水中での運動は膝への負担を軽減しながら筋力を鍛えられるため、痛みの強い方にも適しています。 また、太ももの筋肉を鍛える軽いスクワットや、関節を柔軟にするヨガも効果的です。 ただし、無理をせず、自分の膝の状態に合った運動を選びましょう。 変形性膝関節症と肥満の関係はありますか? 肥満は変形性膝関節症の大きなリスク要因です。 体重が増えると膝にかかる負荷が増し、軟骨の摩耗や痛みを悪化させる原因になります。 一方で、体重を減らすことで膝への負担が軽減され、症状の進行を防ぐ効果が期待できます。 健康的な体重管理は膝の健康を守る上でも非常に重要です。 また、当院「リペアセルクリニック」では手術をしない治療法として再生医療を提案しております。 膝の痛みや変形性膝関節症の手術で不安な方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) 八事あしの健康会(監修:日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院)「あしの健康教室~膝編~第2弾」 https://www.nagoya2.jrc.or.jp/content/uploads/2016/11/ashino-kenkoukyoushitsu_hiza-2_111129-1.pdf (文献2) 管理栄養士 鈴木美紀(富士整形外科病院)「関節リウマチの 食事と栄養について|医療法人社団英志会 富士整形外科病院」 https://www.fujiseikei.com/news/2_631e7e67cbc6d/upload/20220912-093607-6628.pdf
2021.12.10 -
- ひざ関節
- 膝部、その他疾患
膝に現れる「関節ねずみ」とは何か?と気になる方もいるでしょう。正式には「関節内遊離体」と呼ばれるこの状態は、関節の中で小さな骨や軟骨の破片が遊離し、動くたびに痛みや引っかかりなどが出現するものです。 とくに膝の関節内で発生しやすく、スポーツをしている方や膝に負担のかかる動作を日常的に行う方に見られることが多いのが特徴です。 この記事では、関節ねずみの原因、症状、治療方法について詳しく解説します。膝の違和感に悩む方は、ぜひ参考にしてください。 膝に現れる関節ねずみ(関節内遊離体)とは? 関節ねずみ(関節内遊離体)とは、関節内部に発生する小さな骨や軟骨のかけらが関節内で遊離して動き回る状態です。膝関節に発生する場合が多く、スポーツでの負荷や関節の変性により、軟骨や骨の一部が剥がれ落ちることが原因です。 遊離体が関節内で動き、膝の曲げ伸ばしの際に引っかかることで痛みや違和感が生じることがあります。とくに、激しい運動や動作で症状が悪化するため、日常生活に支障が出る場合もあります。 関節ねずみは全身の関節に起こりえる 関節ねずみ(関節内遊離体)は、膝関節に限らず全身のさまざまな関節に発生する可能性があります。関節ねずみは。関節内で小さな骨片や軟骨の一部が剥がれて遊離体となり、関節内を自由に動き回ることから、関節ねずみと呼ばれています。 遊離体が関節内で動くと、引っかかるような痛みや違和感が生じ、関節の可動域が制限される場合があります。症状の悪化や関節の摩耗につながることもあり、とくに運動や日常動作の際に不便を感じることが多いです。 関節ねずみは関節の変性や外傷が原因となるため、痛みが続く場合や運動制限が大きい場合には、関節鏡手術によって遊離体を取り除くことが一般的です。 関節炎や関節症が原因となる 関節ねずみ(関節内遊離体)は、関節炎や関節症が原因で発生します。これらの疾患は、関節軟骨や骨の損傷や変性を引き起こしやすく、その過程で関節内の骨や軟骨の小片が剥がれ落ち、関節内に遊離体として残るためです。 遊離体が関節内で動き回ると、さらに炎症や痛みが起こり、関節の可動域が制限されることもあります。 関節ねずみによって引き起こされる症状 関節ねずみ(関節内遊離体)によって引き起こされる症状には、関節痛やロッキング現象があります。関節ねずみが関節内で移動すると、関節の曲げ伸ばしをした時に遊離体と軟骨が擦れ合い、強い痛みを生じやすいです。この痛みは動作に伴って悪化し、歩行や運動が困難になる場合もあります。 また、関節ねずみが関節内で引っかかり、関節の動きが突然止まるロッキング現象も発生します。ロッキングが起こると、膝を完全に伸ばせなくなったり、逆に曲げられなくなったりするため、日常生活やスポーツ活動に大きな支障が生じます。 関節ねずみの検査方法 関節ねずみの検査では、X線やMRI(磁気共鳴画像法)、CT(コンピュータ断層撮影)検査が用いられます。 X線検査は、骨片の形状を抽出するため、骨が剥がれて関節内で浮遊している場合、位置や大きさを確認するのに役立ちます。しかし、X線では軟骨片はほとんど映らないため、MRIやCT検査の併用が必要です。 MRI検査は関節軟骨や靭帯などの軟部組織も詳細に映し出せるため、軟骨片や関節内の炎症の程度を確認するのに効果的です。一方、CT検査は細かい骨片の抽出に適しており、遊離体が硬い骨片の場合にその形状や位置をより鮮明に捉えられます。 関節ねずみの治療法 関節ねずみに対しての治療は3種類あります。 保存療法 手術療法 再生医療 それぞれ解説していきます。 保存療法 関節ねずみの保存療法では、痛みや炎症のコントロールを目的に、薬物療法や理学療法が行われます。薬物療法では、消炎鎮痛剤の内服や関節内注射などで痛みや炎症を抑えることが中心です。一方、理学療法では、関節の負担を軽減するための装具の使用や、筋力強化のためのリハビリテーションを実施します。 保存療法は症状が軽度の場合や、遊離体が小さく動きが少ない場合に有効とされ、痛みの緩和や症状の進行を遅らせる効果が期待できます。 手術療法 関節ねずみの手術療法は、遊離体を取り除き関節の正常な動きを回復させることが目的です。一般的には、関節鏡手術が行われ、関節鏡を用いて関節内を観察しながら遊離体を除去します。関節鏡手術は、切開が少なく傷が小さいため、回復が早く、身体への負担が少ないです。 手術が適用されるのは、遊離体が関節内で移動して痛みや引っかかり感が強い場合や、保存療法で症状が改善しない場合になります。 再生医療 関節ねずみの治療において、再生医療は新たな選択肢です。関節軟骨の再生を目指して、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)療法が行われます。 幹細胞治療は、幹細胞を培養して関節に注入し、軟骨の再生を促進する治療です。PRP療法は、自身の血液から血小板が多く含まれた成分を抽出し、関節に注入することで、組織修復や痛みの軽減を図ります。 再生医療は、とくに関節軟骨が損傷している場合に効果が期待され、治癒が難しいとされる関節の回復を目指す治療法として注目されています。 関節ねずみの予防 関節ねずみの予防には、膝への負担を減らし、関節を保護することが大切です。まず、運動前には十分なウォーミングアップとストレッチを行い、関節や筋肉を柔らかくすることで関節への負担を軽減できます。 膝に過度な負荷がかかる激しい運動や、急な方向転換を伴うスポーツでは、膝を守るサポーターや適切なシューズを着用することがおすすめです。 また、日常生活では体重管理を心がけることも、膝関節への負担軽減につながります。さらに、筋力を高めて膝周囲をサポートすることで、関節への負荷を分散し、軟骨や骨の損傷を予防できます。 まとめ|関節ねずみについて知り、最適な治療法を選びましょう。 関節内遊離体(関節ねずみ)とは関節内に本来ないはずの軟骨や骨のかけらが存在する状態です。 肘や膝などの関節内で生じることが多く、高齢者のみならず野球やテニス、バスケットボールなどの競技者にも多く認められる傾向があります。膝部分に関節内遊離体がある人は、関節の痛みや膝の動かしにくさなどの症状が現れます。この疾患を疑われる人は、整形外科等にて画像検査(レントゲン検査やMRI検査)や、関節鏡検査を実践してもらうことをお勧めします。 一般的には、症状が軽い人では経過観察が行われて、症状が強い人やスポーツ選手は手術によって関節内遊離体の除去が施行されます。関節が痛んで関節内遊離体が心配な人はぜひ前向きに整形外科を受診してくださいね。 関節ねずみについてよくあるQ&A 関節ねずみの手術費用はいくらくらいですか? 関節ねずみの手術費用は、一般的に十数万円程度かかります。多くの場合、関節鏡手術が用いられ、健康保険が適用されるため3割負担で前述の金額です。 ただ、費用は病院や手術方法、また入院の有無によって変動します。また、再生医療や特殊な治療を行う場合には保険適用外の可能性があるため、詳細は医師や病院に相談し、見積もりを確認することが大切です。 関節ねずみの手術後の入院期間はどの程度ですか? 関節ねずみの関節鏡手術後の入院期間は、通常2〜3日程度と比較的短期間で済むことが多いです。関節鏡手術は、切開が小さく術後の回復も早いため、早期退院が可能です。 軽度なケースでは日帰り手術も行われる場合がありますが、炎症や腫れが引くまで経過観察のために数日間の入院が必要な場合もあります。入院期間は患者の年齢や症状の重さ、手術後のリハビリ計画によっても異なるため、医師と事前に相談しておくと安心です。
2021.11.30 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
「膝の痛みが続いている」「変形性膝関節症の初期症状では」 上記のように、膝に痛みを抱えており、変形性膝関節症を疑っている方もいるでしょう。 変形性膝関節症とは、膝関節にあるクッションの役割をする軟骨が、加齢や筋肉量低下によってすり減り、痛みが生じる病気です。変形性膝関節症は、進行性の病気であり、徐々に症状が現れるのが特徴です。 本記事では、変形性膝関節症の初期症状を解説します。末期や中期の症状も紹介しているので、膝の痛みに悩みを抱えている方は、ぜひご覧ください。 変形性膝関節症の初期症状とは 変形性膝関節症は、進行性の病気です。初期症状は、動き始めに痛みが生じたり、胡座や正座など膝に負担のかかる座り方がしづらくなったりするのが特徴的です。 本章では変形性膝関節症の代表的な初期症状を3つ紹介します。 動き始めに違和感と痛みが生じる 変形性膝関節症の代表的な初期症状が、動き始めの違和感や痛みです。 はじめは、膝がなんとなく動かしづらかったり、重しをつけられているような違和感があったりなどの症状から始まります。 起床時や長時間椅子に座っているところから動き始めた際に、痛みが生じる場合もあります。 しかし、初期段階では、痛みや違和感が生じても、しばらくすると治まるケースが大半です。 痛みや違和感が持続しないため「ただの老化現象だ」「一時的な不調」と捉え、変形性膝関節症の初期症状を見逃してしまう方も多くいるため、注意が必要です。 階段昇降時に痛みが生じる 階段昇降時に痛みが生じるのも、変形性膝関節症の初期症状としてあげられます。なかでも、階段を降りる際に痛みが生じやすい傾向にあります。 階段の昇降動作は、普通に歩くよりも膝に負担がかかりやすいのが特徴です。 「歩く分には問題ないが、階段昇降時に痛みが生じる」と、昇降動作によって変形性膝関節症に気づく方も少なくありません。 階段の昇降時に痛みがあるものの、歩く分には問題ないからといって放置していると、変形性膝関節症が進行する可能性があります。 階段の昇降時に痛みが生じる場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。 胡座や正座をしづらくなる 変形性膝関節症の初期症状として、胡座や正座がしづらくなるのも特徴です。 胡座や正座は、膝関節に負担がかかりやすいため、変形性膝関節症を発症していると、痛みが生じやすい傾向にあります。 床に直接座ったり、和式トイレをしたりする場合も、胡座や正座と同様、膝関節に大きな負担がかかります。 普段から胡座をかいたり、床に直接座ったりする際に、痛みや違和感が生じている方は、変形性膝関節症の初期症状の可能性が考えられるでしょう。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けています。 変形性膝関節症の中期症状 変形性膝関節症は、進行性の病気のため、進行する度に痛みや違和感が強くなります。膝の可動域を制限されていき、日常生活を送りにくくなるケースも少なくありません。 ここからは、変形性膝関節症の中期症状を紹介します。 動作中も痛みが持続する 変形性膝関節症の中期になると、歩いたり、階段を降りたりする動作中も痛みが持続するようになります。動きはじめだけに痛みが生じていた初期との違いです。 重い荷物を持った状態で歩いていると、より痛みが強くなるケースも少なくありません。歩いたり、階段を上り下りしたりするのが痛みで億劫になります。 体を動かさなくなるため、運動不足によって膝を支えている筋力が衰え、より症状が悪化する可能性もあります。 膝が腫れたり変形したりする 変形性膝関節症の中期は、膝が腫れたり、変形したりします。変形性膝関節症は、膝関節に炎症を起こし、膝関節内の液体が過剰分泌されます。 いわゆる「膝に水が溜まる」状態になり、膝関節が腫れて見えるようになるのが特徴です。 さらに膝の内側の軟骨がすり減る関係で、O脚が目立ちやすくなるケースもあります。外見的な症状以外にも、膝が重く感じたり、腫れてる部分がだるいと感じたりする方もいます。 膝を伸ばしきれなくなる 変形性膝関節症は、名前の通り膝が変形するため、膝の曲げ伸ばしがしづらくなります。曲げ伸ばしのしづらさや、膝の痛みをかばうため、関節を動かさなくなる方も少なくありません。 膝を動かさなくなると、膝周りの組織が衰え、固まってしまう「拘縮(こうしゅく)」と呼ばれる症状が出てきます。 頑張って膝を伸ばそうとしても伸ばしきれなかったり、逆に曲げようとしても曲げきれなかったりするようになるのが特徴です。曲げ伸ばしができないからといって、放置していると、より拘縮が悪化してしまいます。 変形性膝関節症の末期症状 変形性膝関節症の末期は、痛みや膝の変形が顕著になり、歩行困難になる可能性が高まります。日常生活に大きな支障を与え、最悪の場合は、寝たきりになるケースもあるでしょう。 変形性膝関節症の末期の症状を見ていきましょう。 安静にしていても痛みが生じる 変形性膝関節症の末期になると、安静時にも痛みが生じます。 立っているときはもちろん、横になっているときも痛みが持続します。ひどい場合は、痛みで夜中に目が覚めてしまうケースもあるでしょう。 安静にしても痛みが生じるようになると、薬物治療やリハビリテーションでは改善を見込めない可能性が高いとされています。 骨を切って脚の角度を変える「骨切り手術」や、膝関節を人工関節に変える「人工関節置換術」が検討されます。 脚が変形する 脚が顕著なO脚やX脚に変形するのも、変形性膝関節症の末期症状の1つです。 膝関節の摩耗が積み重なると、軟骨は消失し、膝関節の隙間がなくなります。膝関節以外に、太ももやスネなどの骨や関節も一緒に変形するため、脚全体が変形してしまいます。 脚の変形に伴い、外見的な変化を隠すため、外出を避ける方も少なくありません。自宅にいる時間が増えると、体を動かさなくなるため、症状が悪化し、日常生活に影響を及ぼします。 歩行困難になる 末期段階は、安静にしていても痛みが生じたり、脚が変形したりするため、自力では歩けなくなるケースも少なくありません。 杖を使って歩いたり、車椅子での生活になったりします。歩くのに痛みが生じるため、自宅内では這いずって移動するようになる方もいます。 日常動作ができない上に、外出や運動機会がなくなるため、認知機能の低下を招く恐れもあるでしょう。 変形性膝関節症が進行すると、認知症の発症原因にもなりかねません。末期症状が生じる前に、薬物治療やリハビリテーションをし、進行スピードを遅らせるのが大切です。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けています。 \まずは当院にお問い合わせください/ 変形性膝関節症と似たような病気の可能性もある 膝に痛みがあっても、すべての膝の痛みが変形性膝関節症ではありません。 膝関節以外の痛みや発熱の有無など、問診や触診の情報を元に「関節リウマチ・痛風・化膿性関節炎」などを疑います。 検査では血液検査や関節液の成分を検査し、検査結果を元に変形性膝関節症以外の病気である要素を取り除いた上で、はじめて変形性膝関節症と診断されるため、一概には判断できません。 【関連記事】 関節リウマチは、どんな病気?その初期症状と治療法 膝の関節炎とリウマチの違いとは?症状と治療法などを現役医師が解説 変形性膝関節症の原因とは? 変形性膝関節症の大きな原因は、加齢による膝への負担があげられます。 変形性膝関節症の患者数は50代以上の2人に1人が発症しているといわれており、誰でも発症する可能性があります。 加齢以外にも、肥満やO脚、X脚などが原因になるケースもあるため、変形性膝関節症の原因を詳しく見ていきましょう。 加齢 変形性膝関節症を発症する大きな原因が加齢です。 膝関節の骨と骨の間にある軟骨は、クッションのような役割を果たしています。軟骨によって、膝関節は痛みなくスムーズに動くのです。 しかし、加齢とともに軟骨がすり減るため、膝関節の滑らかな動きが阻害されます。膝関節が滑らかに動かないと、炎症を起こして徐々に痛みが生じるのです。 摩耗した軟骨は自然には再生されないため「加齢による膝の痛みだ」と判断せず、進行を早急に食い止める必要があります。 肥満 肥満の影響で膝に負担がかかり、変形性膝関節症を発症するケースもあります。体重が増えると、体重を支えている膝関節に負荷がかかります。 中高年になると、代謝が落ちたり、運動不足になったりする関係で、内臓脂肪がつきやすく、体重が増加しやすいため注意が必要です。 肥満体型で膝に痛みや違和感がある方は、できるだけ膝への負担を抑えるため、食事制限や運動を取り入れ減量を目指しましょう。 O脚・X脚 O脚やX脚など脚が変形していると、普通に歩いたり、階段を登ったりするだけで膝関節に負担がかかりやすくなります。 日本人は、膝と膝の間に隙間が開くO脚の方が多いとされているため、注意が必要です。O脚は、膝の内側に体重がかかりやすくなるため、膝関節に大きな負担が加わります。 かつては、O脚やX脚は治らないとされていましたが、近年では矯正グッズや整形外科による治療での改善が期待できます。 変形性膝関節症を防ぐためにも、O脚やX脚気味の方は、矯正しておくと良いでしょう。 変形性膝関節症の治療 変形性膝関節症の治療は、進行段階によって異なります。 症状が軽い場合は、内服薬や外用薬で痛みを軽減し、膝関節内にヒアルロン酸を注入して対処するのが一般的です。 膝関節内にヒアルロン酸を注入すると、痛みの緩和に加え、関節の滑りが良くなる効果を期待できます。 さらに症状の緩和を目指すべく、薬物療法とリハビリテーションを併用するのが一般的です。 痛みによって膝を動かさなくなり、固まってしまったり、筋肉量が低下したりするのを防げます。膝を温める「物理療法」や、足底板やサポーターを用いたサポートも行われます。 薬物治療やリハビリテーションをしても、効果が見られない場合の選択肢は「手術療法」です。 手術療法「骨切り手術」や「人工関節置換術」などが代表的です。「関節鏡視下手術」と呼ばれる、負担が少ない手術方法もありますが、症状が進行している場合は、改善を見込めないケースもあります。 膝関節の再生医療について 変形性膝関節症を発症している方の中には、症状が進行していてもさまざまな事情で手術の選択が難しい方もおられます。 そのような方には、おすすめな治療方法として再生医療があげられます。 再生医療のなかでも、幹細胞治療は、自身から取り出した脂肪組織に含まれる幹細胞を培養により増殖し、膝関節へ注入する治療法です。痛みの原因となる関節軟骨や半月板にアプローチできます。 従来の治療で効果を感じられなかった方は、再生医療による幹細胞治療を選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。 リペアセルクリニックでは、変形性膝関節症の治療として再生医療を提供しています。 変形性膝関節症の進行を遅らせるポイント 変形性膝関節症の進行を遅らせるには、適度な運動と日常生活の動作が大切です。 とくに太ももの前の筋肉を鍛えるのが有効です。筋力強化以外にも、関節の柔軟性を高めるストレッチも良いでしょう。 日常生活では、できるだけ膝関節に負担のかかる動作は控えるのが重要です。変形性膝関節症の進行を遅らせる日常動作のヒントを見てみましょう。 胡座や正座は避ける トイレは和式ではなく洋式にする 地べたに座らず椅子に座る 膝を温めて血行を良くする 階段の利用を減らす 生活環境を変えるのは難しい可能性もありますが、できる部分から取り組みましょう。また、肥満体型の方は、食事制限や有酸素運動を取り入れて、体重減量を目指すのも大切です。 まとめ・変形性膝関節症の初期症状が見られたら速やかに医療機関へ 変形性膝関節症とは、膝関節にある軟骨が、加齢や筋力低下によってすり減り、痛みが生じる病気です。初期症状として、動き始めの痛みや違和感があげられます。 ただし、変形性膝関節症の症状は人によって異なり、進行していてもあまり痛みが出ない方もいるため、一概にはいえません。 変形性膝関節症は、時間をかけて症状が進行し、徐々に症状が重くなるため、早い段階で治療を始める必要があります。 そのため、膝に痛みや違和感を抱いている方は、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けています。 \まずは当院にお問い合わせください/
2021.11.25 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
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「変形性膝関節症に鍼灸は有効?」「期待できる効果を知りたい」 手術以外で変形性膝関節症の症状を改善できないかと考え、上記のような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。 鍼灸(はり・おきゅう)は、痛みの緩和や体の自然な治癒力を高める効果が期待できる治療です。変形性膝関節症の症状改善にも有効な場合があるため、治療法の1つとして検討してもいいでしょう。 本記事では鍼灸の具体的な効果やリハビリ・薬との相乗効果、注意点を詳しく紹介します。 変形性膝関節症の治療法の選択肢を広げたいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。 また、当院「リペアセルクリニック」では変形性膝関節症に対する再生医療治療を行っております。 膝の痛みでお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 変形性膝関節症の鍼灸治療における4つの効果 鍼灸治療は変形性膝関節症に対する自然療法として注目されており、主に以下4つの効果が期待できます。 痛みの緩和 可動域の向上 筋肉の緊張緩和 血液循環の改善 本章が変形性膝関節症で鍼灸治療を検討している人の参考になれば幸いです。 痛みの緩和 鍼灸治療では、膝周辺のツボを刺激することで、痛みを和らげる効果が期待できます。これは、鍼灸治療によってエンドルフィンという神経伝達物質が分泌され、鎮痛作用をもたらすためです。(文献1) また、鍼(はり)治療には痛みの原因となる炎症を鎮め、症状の改善を促す効果もあります。 可動域の向上 鍼灸治療は、筋肉や関節の柔軟性を高めて可動域を向上させる効果も期待できます。 変形性膝関節症により膝の曲げ伸ばしがしにくくなると、日常の動作が制限され、QOL(生活の質)が低下してしまいます。 鍼灸により硬直した筋肉を和らげられれば、関節の動きがスムーズになります。 日常生活での動作も楽に行えるようになり、QOLの向上が期待できるでしょう。 筋肉の緊張緩和 鍼灸治療は、緊張した筋肉をリラックスさせて血行を促進し、筋肉の柔軟性を回復させる効果が期待できます。 変形性膝関節症によって膝周辺の筋肉が緊張すると、痛みや動かしにくさにつながるケースがあります。 鍼灸治療によって筋肉の緊張が和らげることで、痛みやこわばりが軽減され、動きやすくなるでしょう。 血液循環の改善 鍼灸治療には血液循環を促進し、膝関節の健康を維持しやすくなる効果もあります。 血流が良くなることで変形性膝関節症による炎症が抑えられ、痛みの軽減や組織の回復が期待できるでしょう。 鍼灸治療によって栄養が膝周辺に行き渡りやすくなるため、膝の長期的な健康を考える方にもおすすめです。 変形性膝関節症で鍼灸治療を受ける3つのメリット 変形性膝関節症で鍼灸治療を受ける主なメリットは以下の3つです。 手術や薬に頼らない治療法 副作用のリスクが低い 体への負担が少ない ここでは、それぞれのポイントに分けて詳しく解説します。 手術や薬に頼らない治療法 変形性膝関節症を鍼灸で治療することで、手術や薬に頼らず症状を改善できる可能性があります。 変形性膝関節症の治療法は、手術や薬物療法が一般的ですが、人によっては身体への負担が大きくなるリスクもあるでしょう。 鍼灸治療は比較的身体への負担が少ない自然療法です。手術や薬以外で治療を進めたい人にとって有効な選択肢の1つとなるかもしれません。 以下の記事では、変形性膝関節症手術に関する詳細やメリット・デメリットについて解説しています。気になる方はぜひチェックしてみてください。 副作用のリスクが低い 鍼灸治療は、薬物療法と比べて副作用のリスクが低い治療法です。 薬物療法では、胃腸障害や肝機能障害などの副作用が起こる可能性があります。また、薬の飲み合わせによっては思わぬ副作用が生じる場合もあります。 一方、鍼灸治療は自然療法であり、薬物治療と比べて副作用のリスクを抑えて治療できるのがメリットです。 施術を受ける際には、衛生管理が徹底されている信頼できる鍼灸院を選びましょう。 体への負担が少ない 鍼灸治療は、体に負担の少ない治療法です。 手術のようにメスを入れる必要はなく、投薬治療による副作用の心配もありません。そのため、高齢者や体力がない方でも安心して治療を受けやすいのが特徴です。 また、鍼灸治療は、体の自然治癒力を高める効果も期待できます。体の内側から健康にすることで、変形性膝関節症の症状改善を促せるでしょう。 \まずは当院にお問い合わせください/ 変形性膝関節症で鍼灸治療を受ける際の注意点 鍼灸治療は体に優しい方法として支持されていますが、いくつかの注意点もあります。 痛みが和らいでも無理な運動や負荷は避ける 国家資格を持った鍼灸師による治療が必要 すり減った軟骨の再生や変形を元に戻すことはできない 無理な運動を避けたり、信頼できる施術者を選ぶのも重要です。 本章では、鍼灸治療を安全に受けるためのポイントを3つ解説します。 痛みが和らいでも無理な運動や負荷は避ける 鍼灸はあくまでも変形性膝関節症の痛みや炎症を一時的に和らげる治療法です。根本的な治療にはならないため、痛みが和らいでも激しい運動や無理な動作は避けましょう。 変形性膝関節症は、軟骨がすり減って変形している状態なので、無理な運動や負荷をかけると症状が悪化してしまう可能性があります。 鍼灸治療の効果を維持し、症状の悪化を防ぐためには、治療後も無理せず膝をいたわるように生活するのが適切です。 激しい運動は避け、適度な運動と休息をバランスよく取り入れましょう。 以下の記事では、変形性膝関節症を悪化させないための工夫や、日常的な運動について紹介しています。あわせてご覧ください。 国家資格を持った鍼灸師による治療が必要 鍼灸治療を受けるときは、国家資格を持った鍼灸師かどうかを確認しましょう。資格のない者が施術を行うと、感染症や神経損傷などのリスクが高まります。 安全に鍼灸治療を受けるためには、必ず国家資格を持った鍼灸師がいる医療機関や治療院を選びましょう。 信頼できる鍼灸師選びは、治療の効果と安全性を確保するために非常に重要です。 すり減った軟骨の再生や変形を元に戻すことはできない 鍼灸治療は、変形性膝関節症の痛みや炎症を和らげる効果は期待できますが、すり減った軟骨を再生したり、変形を元に戻したりはできません。 変形性膝関節症は進行性の病気であるため、鍼灸治療と並行して医師の診察を受け、適切な治療を受ける必要があります。 鍼灸治療はあくまで対症療法の1つであり、根本的な治療には医師による診断と治療が不可欠である点は理解しておきましょう。 こちらの記事では、変形性膝関節症に関する新しい治療について詳細に解説しています。再生医療にも関心がある方はぜひご覧ください。 まとめ|変形性膝関節症は鍼灸以外の治療法も検討しよう 鍼灸治療は、膝の痛みを和らげて可動域を向上させるなど、さまざまな効果が期待できる治療法です。 しかし、変形性膝関節症の根本的な治療には、医師の診察と適切な治療計画が必要となります。 鍼灸治療はあくまで対症療法の1つとして捉え、医師の指導の下、他の治療法との併用が重要です。 ご自身の症状や状態に合わせて、適切な治療法を選択しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、変形性膝関節症の症状改善を目的とした再生医療を提供しております。気になる症状がある方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 変形性膝関節症の鍼治療に関するよくある質問 鍼灸で膝の痛みが治りますか? 鍼灸治療は膝の痛みを和らげる効果が期待されますが、痛みの根本原因を完全に治すものではありません。 痛みを軽減しながら日常生活を快適にするサポートとして有効です。 ただし、進行した変形や軟骨の損傷には、医療機関での診断や治療の併用が勧められます。 膝の痛みが取れない理由やケア方法を医師が解説しています。 ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。 鍼灸は痛い?熱い? 鍼灸治療は基本的に痛みや熱さを感じにくい方法です。 鍼の刺入時にチクっとした感覚を感じる場合もありますが、ほとんどの方がリラックスして受けられると言われています。 不安がある場合は、施術前に鍼灸師に相談することで安心して治療を進められるでしょう。 変形性膝関節症に鍼灸やツボは効果ありますか? 鍼灸治療は、膝の痛みを軽減し、筋肉の緊張を和らげる効果が期待されます。 特定のツボを刺激すると血流が促進し、自然な回復へとサポートします。 ただし、軟骨の再生や変形の改善は難しいため、他の治療法との組み合わせが推奨されます。 また、当院「リペアセルクリニック」では手術をしない治療法として再生医療を提案しております。 膝の痛みでお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 参考文献 (文献1) 福田美絵子「脳神経疾患における東洋医学的治療の可能性2007 鍼篇|脳神経疾患 痛み外来 いざなぎクリニック」 https://www.ne.jp/asahi/clinic/izanagi/hari.pdf
2021.11.15 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
「変形性膝関節症は整骨院で治せるのか」と疑問を持つ方もいるでしょう。 変形性膝関節症は中年以降の女性に多く発生する疾患で、加齢などによって関節軟骨がすり減ることで、膝に痛みや変形をもたらします。 変形性膝関節症の主な治療法は、保存療法と手術療法ですが、整骨院での施術による一定の効果も期待できます。 今回は、整骨院での変形性膝関節症に対する施術について解説します。期待できる効果や注意点とあわせて、再生医療による治療の症例も紹介するので、変形性膝関節症による膝の痛みでお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。 変形性膝関節症とは?整骨院で期待できる効果 変形性膝関節症の主な症状は、膝の痛みと水が溜まることです。 初期には軟骨のすり減りがわずかに確認できるほどですが、長年の年月をかけて徐々に変形の程度が大きくなります。膝の状態の悪化を防ぐためには、生活習慣の見直しや膝周りを鍛える運動が重要です。 具体的には、整形外科でリハビリテーションの指導を受けるほか、整骨院や鍼灸院での施術を検討することも選択肢の一つです。 以下で、整骨院で期待できる効果を解説するので、治療法を検討する際の参考にしてください。 痛みの緩和 整骨院の施術では、変形性膝関節症による痛みを和らげます。手技療法やマッサージなどを用いて筋肉や関節の緊張をほぐし、症状を緩和することを目指します。 整骨院の施術方法はさまざまで、姿勢や歩行を改善して、間接的に膝への負担を軽減させるアプローチもあります。膝の痛みを緩和できると、変形性膝関節症の基本治療である運動療法にも本格的に取り組めるようになります。 膝関節の可動域の向上 膝関節の可動域の改善も、整骨院の施術によって期待できる効果の一つです。変形性膝関節症によって膝関節の可動域が制限されると、歩行や階段の昇降に支障をきたします。 整骨院では、膝周りの筋肉を柔軟にするためのストレッチや、関節の動きを改善するためのモビライゼーションといった施術を通じて、可動域の向上を図ります。 ▼ 変形性膝関節症の治療方法について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 整骨院で変形性膝関節症の施術を受ける際の注意点 整骨院でも変形性膝関節症の施術を受けられるものの、以下のような注意点があります。 根本治療は期待できない 健康保険適応外である 専門医に相談する 定期的に医療機関を受診する それぞれ詳しく見ていきましょう。 根本治療は期待できない 整骨院では、変形性膝関節症の根本治療は期待できません。柔道整復師には、変形した関節を元に戻したり、すり減った軟骨を再生させたりする治療が認められていないためです。 整骨院(接骨院)の開業には、国家資格を保持する柔道整復師が必要です。柔道整復師の主な業務は、「医療類似行為」に該当する怪我に対する応急処置で、医師が行う画像診断や手術、注射などはできません。 そのため、整骨院での施術はあくまで応急的で、医療補助的方法による患部の回復を図ることが目的です。 ▼ 変形性膝関節症の治療効果を高める方法については、以下の記事で詳しく解説します。 健康保険適応外である 整骨院での変形性膝関節症に対する施術は、健康保険が適応されず、全額自己負担になるため注意が必要です。 健康保険が適応される具体的な範囲は、「急性又は亜急性の外傷性の骨折、脱臼、打撲、捻挫」です。つまり、長い年月をかけて進行する変形性膝関節症や慢性化した肩こりなどは健康保険の適応外となります。自費施術の費用はそれぞれの整骨院によってさまざまですが、3,000〜5,000円程度が相場です。(文献1) 専門医に相談する 整骨院で施術を受ける際は、事前に専門医に相談しましょう。整骨院の自費施術の内容はさまざまです。そのため、変形性膝関節症の進行度合いや状態をよく理解している専門医に、整骨院の施術が膝に余計な負担をかけてしまわないか確認する必要があります。 なお、専門医に相談する際は、「整骨院での施術を受けても大丈夫か」と聞くのではなく、具体的にどのような施術を受けるのかを伝えると、より的確なアドバイスをもらいやすくなります。 なお、リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。変形性膝関節症の治療でお悩みの方は、ぜひ気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 定期的に医療機関を受診する 整骨院での施術を受ける場合でも、医療機関への定期的な受診は続けましょう。施術によって膝の痛みが緩和したとしても、整骨院では変形性膝関節症の進行度合いを確認するための画像検査ができません。 変形性膝関節症は進行性の疾患です。状態に合わせて適切な治療方針を検討するためには、整骨院の施術と並行して、定期的な医療機関の受診を忘れないようにしてください。 【体験談】変形性膝関節症に対する再生医療の可能性 整骨院の施術によって痛みの緩和や膝の可動域の向上が期待できる一方で、根本治療はできません。そのため、膝関節の変形を治すための手術療法や、軟骨を再生させるための再生医療が必要です。 リペアセルクリニックでは、変形性膝関節症の再生医療・幹細胞治を行っています。以下で、当院における変形性膝関節症の症例を紹介するので、ぜひ参考にしてください。 症例1.60代男性|進行期の変形性膝関節症の痛みを軽減 60代の男性は、10年前から続く左膝関節痛と1年前から現れた右膝関節痛のために当院を受診しました。診察時の状況は、以下の通りです。 整形外科で進行期の変形性膝関節症と診断されている 痛みが悪化し漁師の仕事に支障がある ヒアルロン酸注射が効かない 人工関節にすると耐用性の問題や可動域の制限などから仕事復帰が難しくなるため、再生医療を選択しました。再生医療とは、幹細胞や血小板の投与によって自然治癒力を最大限に引き出すための医療技術です。 当院では、下腹部から採取した脂肪細胞の幹細胞を分離・培養し、ホーミング効果を期待して静脈から点滴します。 レントゲンの結果、両膝に内側関節裂隙の狭小化が認められたため、変形と痛みが強い左膝には7000万個、右膝には3000万個の細胞をそれぞれ計3回投与しました。 初回の投与から3カ月後には左膝の痛みが軽減し、右膝はほとんど痛みがなくなるほどまで回復しました。左膝の痛みも、1年近くかけて軽減していくと期待できます。 ▼ こちらの症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。 症例2.50代女性|ヒアルロン酸注射が効かない膝の痛みを軽減 50代の女性は、数年前から膝の痛みがあり、趣味のテニスができなくなったことを理由に当院を受診しました。診察時の主な症状は、以下の通りです。 ひざに水が溜まっている 歩行時に激痛がある ヒアルロン酸注射が効かない レントゲンとMRIで確認すると、膝関節の内側の軟骨がすり減っているほか、半月板にも損傷が認められました。膝関節の軟骨は中程度すり減っており、従来では、人工関節術をすすめられていた状態であると考えられます。 50代の女性は、当院で1億個の幹細胞を投与しました。投与後3週間程度は目に見える効果はなかったものの、その後は痛みが軽快し、膝の曲げ伸ばしが楽になりました。 少しずつできる動作が増え、投与後6カ月後には再びテニスを始められそうな状態まで回復した事例です。 ▼ こちらの症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。 まとめ・変形性膝関節症に悩んでいる場合は整骨院を含めた代替療法も検討しよう 今回は、整骨院での施術が変形性膝関節症にどのように役立つのか、注意点とともに解説しました。 整骨院では、膝の痛みの緩和や可動域の向上を目指す施術が行われます。ただし、変形した膝関節を元に戻すためには、手術が選択肢の一つとなります。また、軟骨を再生させるには再生医療という選択肢も考えられます。 整骨院で変形性膝関節症に対する施術を受ける場合は、必ず医師と相談し、自分に合った施術方法を取り入れましょう。 整骨院での施術で痛みが緩和したからといって、変形性膝関節症の進行度が痛みの程度と比例するとは限りません。そのため、自分の体感だけで判断せず、定期的に病院を受診して、画像診断による状態確認が不可欠です。 なお、整骨院は痛みに対して処方される「ロキソニン」などをはじめとする第一類の医薬品の取り扱いができません。、痛みがきつい時には、迷わず病院を受診しましょう。 リペアセルクリニックでは、変形性膝関節症の再生医療・幹細胞治を行っています。メール相談やオンラインカウンセリングを受け付けているので、ぜひ気軽にご相談ください。 ▼変形性膝関節症のためのサポーター選びについては、以下の記事で解説しています。 \まずは当院にお問い合わせください/ 参考文献 (文献1) 厚生労働省「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について」 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb0408&dataType=1&pageNo=1
2021.11.15 -
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変形性膝関節症でヒアルロン酸、ステロイドでは不可能な軟骨を再生させる再生医療をご紹介 「変形性膝関節症」の治療でヒアルロン酸を注射をしているけど「思ったような結果が得られず困っている・・・」、「ステロイド注射は副作用が怖いと聞いたが・・・」こんなお悩みはありませんか? 変形性膝関節症の炎症や痛みに対する治療と言えば、ヒアルロン酸や、ステロイドを関節内に注射することが多々ありますが、実のところ、これらの注射は一時しのぎで根本的な治療にはなりません。 これらヒアルロン酸や、ステロイドなどの注射による治療では症状を改善させたり、症状の進行を止めることが難しく、最終的に人工関節などの手術に頼ることになりかねません。つまり、これらの治療では根本的な治療にはならないということです。 なぜなら、ヒアルロン酸注射やステロイドは、一時的に痛みを緩和することはできるのですが、痛みの根本原因となっている傷んだ軟骨を再生させる力は無いからです。 しかし、医療の発展で「再生医療」という新たな選択肢が現れました。 再生医療は、手術はもちろん、入院までもが不要という、これまでの常識を覆した最新の治療法として厚生労働省が許認可し、中でも「幹細胞治療」は、変形性膝関節症で軟骨を再生する可能性を持った治療法として非常に期待が持てます。 従来のヒアルロン酸、ステロイドでの治療:その場しのぎで、根本治療にはならない 再生医療(幹細胞治療):変形性膝関節症の根本治療!軟骨を再生させる症例が多数報告されている 安心安全:手術が不要、あなた自身の幹細胞を使う、入院も不要の最新医療 そこで今回は、再生医療の中でも「幹細胞」を培養して注射で投与でき、軟骨を再生させる!「変形性膝関節症の最新治療法」をご紹介します。 まずは、これまで変形性膝関節症の治療に使われてきた、「ヒアルロン酸注射」、「ステロイド注射」をについてご説明し、最新の再生医療での治療法である再生医療、中でも「PRP療法」「自己脂肪由来・幹細胞治療」をご紹介してまいりましょう。合わせて以下の動画もご参照ください https://youtu.be/2GCVH-Jw5Ps?si=ZEHWq8a2WU2MxWZX 従来の治療法①|膝関節へのヒアルロン酸注射について さて、膝関節へのヒアルロン酸や、ステロイドの注射は、関節の潤滑性を高めたり、炎症や痛みを抑える目的で使われるものです。関節内にある関節液は、関節軟骨を保護し、膝の動きを滑らかにサポートする潤滑油の役割を果たしています。 そんな関節液の潤滑成分としてヒアルロン酸が含まれていることから、変形性関節症で枯渇したサラサラの関節液に対して、ヒアルロン酸を関節内へ注射することで潤滑性を高めることで膝の動きをサポートさせます。 今、まさに治療を行われている方なら、お分かりかもしれませんが慣れてくると注射後2〜3日、中には1日ほどで、また痛みに悩まされることも少なくないのです。 ヒアルロン酸注射の頻度・回数は、ヒアルロン酸に含まれる分子量により異なります。この分子量が高いほど関節内で長時間留まるとされています。ただ、実際に痛みを回避するには週に1回から、いずれは3回~注射することになりかねません。 ご注意)ヒアルロン酸を注射で痛みの原因である「軟骨が再生されることはありません」 膝に水が溜る!とは 膝に炎症が起こり、水が溜まることがあります。これを「関節水腫」といい、膝に水が溜っていたらヒアルロン酸注射の前にこの水を抜いてやる必要があります。 なぜなら膝に水が溜まった状態でヒアルロン酸注射をしたところで、溜った水によってヒアルロン酸の濃度が薄められ、効果が半減されてしまうからです。更に、溜まった関節液には、炎症を悪化させてしまうサイトカインという物質も含まれています。 また稀にヒアルロン酸にアレルギー反応を起こす場合もあるため、万人が受けられるわけでもありません。 膝への「ヒアルロン酸注射」 効果 問題 注意事項 膝軟骨を保護 膝の滑らかな動きをサポート 軟骨を再生するものではない 改善等の根本治療にはならない 効果が続かない(3日ほど) 末期になるほど効果が減る ・水が溜る「関節水腫」になる危険性 従来の治療法②|「ステロイド注射」痛みは消えるが注意が必要 痛みや炎症が強い時は、ステロイド薬を関節内へ注射します。ステロイド注射はヒアルロン酸注射と比べ、痛みを抑えるのに非常に高い効果を発揮するとの報告が多くあります。 ただし、注意しておきたいのは、ステロイド注射を多用すると副作用があること。それは骨や、軟骨の新陳代謝をステロイドが阻害したことによって起こる可能性のある「骨壊死」、関節が破壊される「ステロイド関節症」というもので注意が必要です。 注意)ステロイド注射の多用による副作用に注意 ▼「骨壊死」「ステロイド関節症」を防ぐために 最低でも6週間置いての注射とする。 できれば3ヶ月ほどは、間隔を空けるべきであること。 短期での連続した注射や長期間に及ぶ使用は避けるべき。 知識として知っていて欲しい。 繰り返しになりますがステロイド注射による痛みの改善は一過性であり、変形性膝関節症の痛みの起因となる、すり減った軟骨が元に戻るわけではありません。痛いからと、使い方を誤ると副作用という大きな危険性があります。 ここまでヒアルロン酸や、ステロイドとしった痛みを抑える目的で使われる注射を紹介しました。 次に自分の血液や細胞を使うことで「アレルギー反応が起こりにくい」「軟骨の再生を期待できる」最新の注射による治療方法を紹介します。 膝への「ステロイド注射」 効果 副作用 副作用を抑えるための注意事項 膝の意痛みを抑える 膝の炎症を抑える 骨や軟骨の新陳代謝を阻害 → 骨壊死 → 関節が破壊されるステロイド関節症 6週間置きの注射 3ヶ月間は空ける ✕ 短期での連続した使用 ✕ 長期間に及ぶ使用 膝の痛みを消すだけ、変形性膝関節症の痛みの起因となる、すり減った軟骨が元に戻るわけではない 最新|変形性膝関節症の再生医療 再生医療 PRP治療 幹細胞治療 1)PRP治療(Platelet-Rich Plasma=多血小板血漿) PRP療法とは、患者様の血液を採取し、血液中に含まれる血小板の多い血漿だけを抽出し、膝へ注射する治療法です。多血小板血漿には、組織や細胞の成長を促す成長因子が多く含まれています。 そのため、高い治癒効果が期待できる方法といえます。またヒアルロン酸と違い、自分の血液を使用することでアレルギー反応が出にくいのも特徴です。PRP療法は、近年耳にする機会が増えた「再生医療」に分類される治療法です。 まだ日本では保険が適応されない自由診療となるため、ヒアルロン酸注射やステロイド注射のように気軽に打てる金額ではない点がデメリットになります。 また再生医療を扱うには「再生医療等の安全性確保等に関する法律」に基づき、厚生労働省に届出し、受理された医療機関、専門医にしかできない治療法になっているため、近所の整形外科で簡単にできるわけではありません。 ただ、そのため、安全性が確保されている治療法とも申せます。 2)幹細胞治療 「軟骨の再生」を期待!自己脂肪由来 主に皮下脂肪にある幹細胞組織を使い、軟骨をはじめとして、さまざまな組織に再生させる機能を持つ、可能性に満ちた治療法です。 幹細胞は、軟骨や皮膚、骨などに分化(複雑なものに発展していくこと)する機能があります。体から採取した幹細胞を培養(増やす)して膝の関節内へ注射することで、傷んだ軟骨の再生を期待することができ、これまでになかった治療法になります。 幹細胞は骨髄からも採取することはできますが、より侵襲が少ない皮下脂肪から採取されるのが一般的です。それでは同じ再生医療の分野であるPRP治療と幹細胞治療とは何が、どう違うのでしょうか? PRP治療は、傷んだ組織に対して組織や、細胞の成長を促す栄養素が含まれている「多血小板血漿」を注射します。もともと血小板の役割に成長因子の分泌がありますが、「多血小板血漿」には通常の血小板と比べて3〜5倍もの成長因子があることが特徴です。 これにより、ヒアルロン酸注射にはできなかった慢性化した患部の修復や、治癒を高めることができます。その一方でPRPには幹細胞が含まれていないため、軟骨を再生することはできません。 幹細胞治療では、さまざまな組織に分化(変化)する働きをもつ幹細胞を、何千〜何百万倍にも培養し、膝に注射します。この幹細胞が集中的にすり減った軟骨に働きかけることで、これまで不可能とされてきた「軟骨を再生」させます。 そのため、注射する幹細胞の数にも注目すべきです。海外の臨床データによると幹細胞の数が多いほど治療成績が良いことがわかっているからです。 なぜなら培養せず注射する治療法をADRC(脂肪組織由来再生幹細胞治療)セルーションと言うのですが、培養を行わないため幹細胞の数自体が少ないことになるからです。 その意味で治療を受ける際は、受診するクリニックが幹細胞を培養しているか確認することは大切なことになります。PRP治療は注射で実施できることから、傷口は小さくてすみます。 自脂肪由来幹細胞治療も米粒2〜3粒ほどの脂肪を摂取するために、下腹部周辺を5ミリほど切開しますが、投与自体はPRPと同じく直接膝に注射することため、大きな傷口を作ることはありません。 日帰りで受けられるこれまでには無かった治療法です。なお自己脂肪由来幹細胞治療もPRP治療ともに自由診療で、厚生労働省によって認可された医療機関でしか行えません。 再生医療の比較 PRP治療 幹細胞治療 軟骨 再生できない 再生する アレルギー ⇒ 出にくい 治療 ⇒ 専門医、専門院に限る 種類 再生医療 まとめ・変形性膝関節症の最新治療|ヒアルロン酸、ステロイドでは不可能な軟骨を再生させる再生医療という治療方法 いかがでしたか?変形性膝関節症に対する従来の注射「ヒアルロン酸注射」と「ステロイド注射」、最新治療の注射「PRP治療」「自己脂肪由来幹細胞治療」の役割を紹介しました。 これまで変形性膝関節症に対する注射は、痛みを抑え、少しでも悪化を遅らせる目的で使用されてきたものですが、再生医療であるPRP治療・自己脂肪由来幹細胞治療により、治癒そのものを促進させ、失われた軟骨を再生させることで回復を目指す!といった今までには無かった前向きな治療法です。 変形性膝関節症の痛みで悩み、薬や注射をしたけれど「期待していた効果を感じられなかった」「できるだけ手術はしたくない」という思いがある方は、薬や注射といった薬物療法と手術の中間に位置する再生医療での治療を検討してみてはいかがでしょうか。 以上、変形性膝関節症の最新治療と題し、従来のヒアルロン酸やステロイド注射では不可能な軟骨の再生を期待できる新たな選択肢である再生医療による治療について解説させていただきました。 ご参考にしていただければ幸いです。 ▼ 再生医療で変形性膝関節症を治療する 変形性膝関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼以下もご参考にされませんか 変形性膝関節症の治療「薬物療法の種類と悪化を防ぐ」ポイントとは
2021.10.23 -
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PRP療法とAPS療法の比較|期待できる効果と治療法 「再生医療」という先端医療をご存知でしょうか?近代になって研究室での実験から、医療の現場で実施されるまでに至ってきた医療分野です。 いわゆる再生医療とは、怪我や病気によって低下あるいは喪失した生体機能を従来の医療方法では違うアプローチで治療する方法です。人為的に加工や培養して作製した細胞や組織などを用いて人体に元来備わっている修復能力を増大させて症状を改善させることが出来る可能性を秘めた未来的な治療方法です。 一昔前ならSFの世界、まともに語っていたなら「夢でも見てるの」かと夢物語にされかねない非現実的な医療でした。このような非現実的な治療方法であるだけに、実際にその治療を受けることが可能だとは、ほとんどの方がご存知ないのではないでしょうか。 それもそのはず現場の医師でさえ詳細を知る方は、まだまだ少ないのが現実なんです。そこで再生医療とは、どんな治療方法なのでしょうか? 今回は、PRP療法とAPS療法の比違いについて、比較を交えてお話しさえて頂きます。 そもそも私たちの血液中には、赤血球や白血球、あるいは血小板と呼ばれる成分が含まれていることはご存知ですね。これらの成分には、それぞれに特化した役割が存在しています。 その中でも血小板は外傷によって皮膚表面が傷ついた場合や、関節捻挫、あるいは筋肉打撲などで負傷をした際に損傷部位を治癒させる働きを有しています。つまり、自己治癒力です!傷ついたり、痛んだりした組織を自動で修復してしまう!すごい機能です。 このような働きができるのは血小板の中に含まれて、傷んだ組織部位を治す「成長因子」と呼ばれる成分のお陰お陰です。それが今回、ご紹介するAPS療法の基礎となるものです。 PRP療法とAPS療法 血液中の血小板から濃縮して大量の成長因子を含む「多血小板血漿」は、昨今の再生医療の分野で大変着目されており、英語表記でPlatelet Rich Plasma(略して以下、PRP)と呼称されているものです。 さらに、Autologous Protein Solution(略して以下、APS)を用いた療法は、自己タンパク溶液として、前述したPRPを特殊な過程で更に濃縮したものです。このAPS治療は、目下のところ慢性的な膝関節等の疼痛に対する再生医療という新たな最先端治療として注目されているものなのです。 今回は、再生医療の新人!APS療法について解説していきましょう。 [再生医療] PRPとAPSの比較 自己多血小板血漿、注入療法とも呼ばれるPRP療法については聞き覚えのない馴染みが薄い治療法に感じられるかもしれませんね。しかし、実のところ海外においては10年以上の使用実績がある方法なのです。 ケガなど、傷ついた部位の修復に作用する血小板に含まれる成長因子を取り出すPRP療法は、私たちがもっている治癒能力や組織の修復能力、再生能力を引き出すという目的があります。 それに対してAPS治療は、患者様自身の血液成分から特殊な専用医療機器を用いてAPS成分のみを抽出します。 このAPSの抽出方法は、基本的にPRPそのものを更に遠心分離器を活用して特殊加工することによって、炎症を抑制する役割を有したタンパク質と軟骨を保護して損傷を改善させる「成長因子」を高濃度に抽出したものになります。 このような抽出背景から「APS」は、まさに「次世代型のPRP」とも表現されることがあります。 抽出したAPSを関節内などの疼痛部位に向けて成分を注射することによって関節部の疼痛や炎症の軽減のみならず、軟骨の変性進行や組織破壊を抑制することが期待されるものです。 APS治療は、現在のところ、まだ「変形性膝関節症」に痛みなどを対象疾患を限定して使用されている段階ですが、これまでのPRP治療でも難渋していた患部改善にも一定の効果を示すことが徐々に判明してきています。 尚、APS療法では患者さんご自身の血液を基準にして作るために異物免疫反応が引き起こされる可能性は極めて低確率であると考えられています。 また、本治療はPRPと同じく、手技的に採血操作と注射投与だけですので、手術などのように患者さんの身体的な負担も大幅に少なくて済むという特徴があります。 PRP療法とAPS療法の比較 ・PRP療法 「PRP療法」は血液中の血小板から濃縮して大量の成長因子を含む「多血小板血漿」Platelet Rich Plasmaを略したもので、自己血液から血小板を取り出し、それを患部に注入する治療法です。 血小板には成長因子が豊富に含まれており、これらの成長因子が治癒を促進する働きがあります。具体的には、炎症を抑え、組織再生を刺激し、細胞の増殖と修復を促進します。主に関節炎や腱や靭帯の損傷、筋肉の損傷などに使用されます。 ・APS療法 「APS療法」は、Autologous Protein Solutionを略したものです。前述したPRPを特殊な過程で更に濃縮したもので抗炎症性のサイトカインとよばれるタンパク質と関節を健康に保つ成長因子を高濃度で取り出した⾃⼰タンパク質溶液を患部に注入する治療方法です。 再生させるという観点ではなく、現在のところ、関節内で痛みを引き起こすたんぱく質の活動を低下させることから症状緩和に焦点を当てた特化的治療といえるものです。 APS療法で期待できる効果や、実際の治療法 さて、ここからは変形性膝関節症に対してAPS療法で期待できる効果や実際の治療法などについて紹介しましょう。 ご注意頂きたいのは、APS療法は、再生医療ではありますが自己の血液から抗炎症成分のみを濃縮して抽出したあと、関節内に注射することで関節の軟骨を修復し、再生させるという観点ではなく、膝痛の症状緩和に焦点を当てた特化的治療であることです。 膝の変形性関節症では、疾患が進行することによって「半月板の損傷」や、「靭帯のゆるみ」など膝関節のバランスが崩れることで軟骨がすり減り、膝関節が変形して発症します。 また、変形性膝関節症では膝関節部における変形度の進行に伴って、軟骨がすり減り、半月板が擦り減って傷み、さらには滑膜炎など炎症が起きて膝部に水が溜まることがあります。 従来、治療としては繰り返し鎮痛剤を内服することや、ヒアルロン酸を関節内に注入するなどが代表的な治療法でした。しかし、鎮痛剤を飲み続ける是非や、ヒアルロン酸の効果が期待できなくなった変形性膝関節症の患者様の中には、このAPS治療によって症状が幾ばくかの改善を示すケースがあることが分かってきたのです。 一般的にAPS治療では、投与してからおよそ1週間から1か月程度で患部組織の修復が起こり始めて、だいたい治療してから約2週間から3ヶ月前後までには一定の効果が期待できると言われています。 海外のAPS治療に関する報告例では、APSを一回注射するだけで、最大約24ヶ月間にもわたって痛みに対する改善効果が継続するとの実例も紹介されていました。ただし、これは一例で実際の治療効果や症状が改善する持続期間に関しては、患者さんの疾患の程度、条件によって様々、個人差があり変化することをご理解ください。 また、このAPS治療は、PRPと同じく、患者さん自身の血液を活用して生成するために、通常ではアレルギー反応や免疫学的な拒絶反応は出現しないと考えられている点も良いい面でのポイントです。 APS治療の手順 1)まず約50~60mlの血液を採取 2)厚生労働省が認めている特殊な技術で処理し、血小板成分を濃縮したPRPを抽出 2)精製されたPRP物質をさらに濃縮してAPSを抽出 こうして抽出した後、痛みを自覚されている関節部位に超音波エコー画像を見ながらAPS成分を注射して投与する まとめ・PRP療法とAPS療法の比較|期待できる効果と治療法 従来におけるPRP療法(自己多血小板血漿注入療法)は、患者自身の血液中に含まれる血小板を活用した再生医療です。 そして、昨今特に注目されているAPS治療では、先のPRPを更に濃縮。このAPS成分を患部に注射投与してから平均しておよそ1週間から1か月程度で組織修復が促進されて更には疼痛緩和に繋がる可能性があります。 なおAPS治療を現実的に受けた当日は、入浴や飲酒、あるいは喫煙、また激しい運動やマッサージなどは出来る限り回避するように意識しましょう。 APS注射直後には、個人差はあるものの一時的に痛みや腫脹、発赤などの症状が出ることがありますが、疼痛があるために関節部位を全く動かさないと逆効果になってしまうこともあります。 ここのあたり治療後の行動については、くれぐれも十分に主治医と相談するようにしましょう。また現段階では、このAPS治療は保険適応外であり自費負担になります。 費用は、それぞれの対象医療施設や治療適応となる患部箇所などによって異なりますので、この治療法をもっと知りたい方は私どもほか、専門の外来へお問い合わせされることをお勧めします。 このAPS療法のほかにも再生医療として、私どもが推進する「幹細胞治療」という関節部分の軟骨を自己治癒力を用いて再生させるという正に未来的な治療法も存在し、この分野から目が離せません。 いずれにせよ関節に問題があって、「後は手術しかないと」言われた方は再生医療をご検討されてはいかがでしょうか。私たちは再生医療の幹細胞治療で1,600例を超える豊富な症例を有しています。いつでもご相談ください。 以上、PRP療法とAPS療法の比較|期待できる効果と治療法について記させていただきました。 ▼ PRP療法をさらい詳しく PRPを使った再生医療は、人間が持つ自然治癒力を活かして治療する先端医療です
2021.10.20 -
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PRP-FDはメジャーリーグで田中選手や大谷選手が靱帯損傷に使った治療法 膝のPRP-FD注射は、再生医療の新たな選択肢!になるか? 従来、膝の変形性膝関節症などに対する注射療法として、ヒアルロン酸の関節内注射が一般的に普及していた時代がありました。その後、近年には再生医療として血液中の血小板中に含まれる多種の成長因子多血小板血漿(Platelet Rich Plasma: 略してPRP)の関節内注射の効果が報告されてきました。 この自己・多血小板血漿注入療法とも呼ばれる「PRP療法」は、実は海外においては10年以上の使用実績があることをご存知でしょうか。海外では比較的ポピュラーな治療方法なのです。 例えば、プロ野球選手、アメリカのメジャーリーグで当時、ニューヨーク ヤンキースの田中将大選手、あるいは、今も大活躍のロサンゼルス エンゼルスの大谷翔平選手」が右肘の「靱帯損傷」に対して「PRP療法」を行なったことはよく知られています。 一方で、さらにPRP療法は、PRP-FD(又はPFC-FD)療法という新たな再生医療となり注目され始めています。今回は、このPRP-FDに注目して解説してまいりたいと思います。 PRP-FDとは、 Platelet Rich Plasma Freeze Dryの略であり血小板由来因子濃縮物を指します。同様にPFC-FDとは、Platelet-Derived Factor Concentrate Freeze Dryの略称であり日本語に訳すと「血小板由来成長因子濃縮液を凍結乾燥保存」したものという意味の頭文字になります。 これらの療法は、患者さんご自身の血液中の血小板に含まれる「成長因子」を活用するバイオセラピー(再生医療)と呼ばれるもので、関節や筋肉、腱の疾患または損傷に対して「手術をすることなく、注射でのアプローチする再生医療」であることを意味しています。 そこで今回は、再生医療の新たな選択肢となり得る膝のPRP-FD注射について解説してまいりましょう。 1)PRP-FD(PFC-FD)の成り立ちとPRPとの違い 従来からあった「PRP療法」は、自己多血小板血漿注入療法のことであり、患者さん自身の血液中に含まれる血小板の要素を利用した再生医療です。 この療法は、血液中の「血小板の成分だけを高い濃度で抽出して、患部に直接的に注射」する方法です。 これによって関節部の損傷した組織へ、血小板の修復能力を用いた自己治癒力を高めることが可能になり、痛みを含めた損傷した患部の改善を目指し、手術などを避けて治癒できることを期待するものです。 この方法は、歴史的にまだ浅いもののイランの医師であるDr.Raeissadatらが過去の研究をもとにPRP関節内注射の方が従来のヒアルロン酸の関節内注射よりも変形性膝関節症における症状を改善させると発表したことにはじまりました。 このPRP関節内投与は、他の再生医療同様、手術等を回避しながら、症状の改善効果が期待できることから、患者さんのQOL(※1)を向上させることにもつながります。 一般的な治療法では解決できなかった「変形性膝関節症」をはじめとした各種関節症の患者さんに対する治療の有効なオプションになり得ると報告されています。 (※1)QOLは、英語でQuality of Lifeの略です Quality of Lifeを医療面から考えると「自分らしい生活、毎日が充実し、心身が満たされた納得のいく生活」を考慮した上で治療を行うというものになります。 患者さんへの治療方針を定めるに場合に治療方法や、その後の療養生活が患者さんへ与える肉体的、精神的はもちろん社会的、経済的といった生活の質といえる各要素を維持すべきではないかというものです。 病気の内容や治療方針によっては、その後の症状や副作用などによって治療する前と同様な生活が不可能になることがあります。そこで治療法を選択する場合には、単に症状の改善や、回復といった治療の効果だけに目を向けるのではなく、QOLの維持にも目を向けて治療方法を選択したいものです。 その意味で今後、再生医療は従来の手術による治療方法を転換させるさせるものとしてQOLに沿った治療法と言えるのではないかと思われます。再生医療は最新の医療技術で手術や入院そのものを避けることができるからです。 だからメジャーリーグをはじめ、スポーツ選手は再生医療に着目する このように再生医療は、治療結果だけに着目するものではなく、治療後を考えた治療方法といえるのです。なぜならスポーツ選手なら誰しも手術を避け、入院を避け、治療後にパフォーマンスを落とすことのない治療が条件になるからです。 スポーツ選手にとって、このパフォーマンスの維持こそがQOLになり、それを維持することこそが治療の条件になります。だからメジャーリーグをはじめ、スポーツ選手は再生医療を目指すのです。 ▼ スポーツ外傷(筋・腱・靭帯損傷)に対する再生医療 当院の再生医療は、スポーツ選手のパフォーマンス(QOL)を維持する治療を推進しています PRP-FD(PFC-FD)療法について、 これは、PRP療法と同様に患者さん自身の血液から「PRP-FD(PFC-FD)」を作製します。投与方法も患部に直接注射して行うという治療法の面でも同じになります。 期待する効果としても同様でPRP-FD(PFC-FD)を注射した後には、PRP療法と同じく損傷した組織において自然治癒力が促進されて患部の早期修復や、疼痛軽減に繋がる再生医療としての効果を期待されるものです。 PRP-FD(PFC-FD)療法とPRP療法の決定的な違いは何でしょうか? PRP-FD(PFC-FD)療法では患者さんの血液からいったん作製したPRPをさらに活性化させて、「血小板に含まれる成長因子だけを抽出し、無細胞化した上で濃縮する」ため、成長因子の総量がPRP療法の約2倍程度に及ぶところが大きな相違点です。 また投与のスケジュールも違いがあります。PRP療法であれば採血当日に限り投与が可能ですがPRP-FD(PFC-FD)療法の場合には、採血から投与ができるまでに約1週間~3週間必要です。 尚、PRP-FD(PFC-FD)療法では、濃縮した血小板由来成長因子をフリーズドライ加工するため、長期保存が可能となります。そのため約半年の間に複数回、タイミングを見て何度か投与することが可能になります。 PRP療法 PRP-FD療法 分野 再生医療 再生医療 投与方法 患部に注射で投与 患部に注射で投与 投与タイミング 採血した当日 採血後1~3週間後 保管 できない フリーズドライ化にて長期可能 回数 当日一回 回数を分けて複数回投与可能 有効成分(成長因子) ― PRPの約2倍 期待する効果 損傷した組織の自己治癒力を高めて改善を目指す 2)膝のPRP-FD注射で期待できる効果や実際の治療法 さてここからは、膝のPRP-FD(PFC-FD)注射に期待できる効果や実際の治療法などについて紹介していきます。 このPRP-FDは、従来のPRP療法と効用効能は、ほぼ同じと考えられていますが、PRP-FD(PFC-FD)療法では患者さんから単回の採血で作製する量が多く、フリーズドライ化しているおかげで保存も長期に可能です。 そのため、症状が重いなど、複数回にわたって関節内注射を打つ必要があるケースでは、PRP-FD(PFC-FD)療法が期間を設けて複数回打つことができるため、その面ではPRPよりも適しているとみることもできます。 また、これらのPRP-FD (PFC-FD)注入療法によって、「テニス肘(テニスエルボー)」や、「ゴルフ肘」と呼ばれる肘内側部あるいは外側上顆炎、そして「ジャンパー膝」と呼ばれる「膝蓋腱炎」を修復できる可能性があります。 また、アキレス腱炎、足底腱膜炎などの腱付着部における疾患や、肉離れ(筋不全断裂)や靱帯損傷などの病気をより早期に治癒させる確率を高める効果を期待できます。 そのため、PRP-FD(PFC-FD)治療では、比較的早く、腱や靱帯由来の関節部の痛みを軽減する効果が見込まれるため、手術といった回復が長期化する治療法を避けることができ、重要なシーズンまでに回復しなければならないなど一日も早く復帰を必要とするプロアスリートや、トップアスリートなどに対して有効な治療法となる可能性があります。 また、変形性膝関節症では膝関節部における変形度の進行に伴って、軟骨がすり減り、半月板が擦り減って傷み、さらには滑膜炎など炎症が起きて膝部に水を溜めるような場合にも、PRP-FD(PFC-FD)治療を実践すると軟骨や半月板などの組織の改善を促すと同時に関節部の滑膜炎を抑制して症状を軽減、回復させる効果を期待できるものです。 これら従来の方法では、変形性膝関節症に対する薬物療法としては、一般的な鎮痛剤の内服やヒアルロン酸を含む関節内注射などを施行されてきました。 ところが、これらの既存的治療が最初から効かない場合、あるいは効かなくなってしまった場合でも、PRP-FD(PFC-FD)を関節内注射することで痛みが軽減した例が多く存在します。 PRP-FD(PFC-FD)療法の実際の手順を簡単に紹介します。 まずは、患者さんに問診、診察を行うことから開始します。 次に、治療内容の説明をして同意を得られた患者様から、約50mlの血液を採血します。その後、血液検査結果からHBV、HCV、HIV、梅毒など感染症の除外を行なった上で、PRP-FD(PFC-FD)を実際に作製します。 この際、活性化成分のみを抽出してフリーズドライ化するのに約1~3週間かかることを念頭に置いておきましょう。そして、最後にPRP-FD(PFC-FD)を患部に直接的に注射することになります。 これらのPRP-FD(PFC-FD)療法は、体外で成長因子を抽出して無細胞化する作業を行うため、PRP療法より、痛みが少ない治療法であると言われています。 まとめ・PRP-FDはMLBで田中選手や大谷選手が靱帯損傷に使った治療法です 従来におけるPRP療法(自己多血小板血漿注入療法)は、患者さん自身の血液中に含まれる血小板を活用した再生医療でした。 そして昨今、注目されている再生医療の一つであるPRP-FD(PFC-FD)療法は、血小板が傷を治す際に放出する成長因子の働きに着目したものでPRP療法を応用した技術を使える上、それらを濃縮活用し、我々の生体が生理的に元来有している「自然治癒力」を高めることで治療効果を向上させるものです。 このように、PRP-FD(PFC-FD)療法はPRPと同様に急性あるいは慢性問わず関節症、あるいは関節周囲の靭帯や半月板など軟部組織疾患に対して治療応用が開始されていますので今後の進展に期待が持てます。 尚、今回ご紹介したPRP療法やPRP-FD療法には、更に高度な最先端医療といわれる「幹細胞を培養して患部に投与する幹細胞療法」があり、症状や軽減だけでなく、「軟骨そのものを再生することができ、再生医療の本命」といわれる治療法があります。 当院は、患者様の生活の質、QOLを大切にできる再生医療を推進しています。これまで多くの症例を有する国内でも唯一のクリニックです。いつでもお問い合わせください。 治療後や、療養生活の質を高める再生医療にご注目ください。 ▼QOLを大切にするPRP療法を用いた 再生医療の詳細は以下をご覧下さい PRP療法は、自ら再生しようとする自然治癒力を活かした最先端の治療方法です
2021.10.19 -
- 変形性膝関節症
- ひざ関節
変形性膝関節症の手術を受けるとなると、気になるのは入院期間や術後のリハビリですよね。仕事や家庭の事情から、長期間家を空けることが難しい方も多いはずです。 実際、手術の種類によって入院期間は数日から1カ月以上と幅が広いのが特徴です。 また、術後のリハビリも回復に欠かせない重要な過程ですので、リハビリも視野に入れるとさらに期間は長くなります。 本記事では、手術の種類ごとの入院期間、手術後の流れ、そしてリハビリのポイントについて詳しく解説します。手術に向けて不安を解消し、安心した状態で、準備を進めましょう。 変形性膝関節症の手術は3種類 変形性膝関節症と診断されて手術を検討する際には、多くの不安や疑問が出てくることでしょう。 とくに仕事や家庭の事情で、入院期間やリハビリの内容が気になる方も多いと思います。 代表的な変形性膝関節症の手術には、「関節鏡視下手術」「高位脛骨骨切り術」「人工関節置換術」の3種類があります。 それぞれの手術によって入院期間は異なり、数日から1カ月以上と幅があります。以下にそれぞれの手術にかかる入院期間をまとめています。 【入院期間】 関節鏡視下手術:2日〜3日 高位脛骨骨切り術:5週間〜6週間 人工関節置換術:約1カ月 再生医療(入院不要) 関節鏡視下手術の入院期間は2日〜3日 関節鏡視下手術の場合は入院期間が2日〜3日になるケースが多いです。 とくに大きな問題がなく、日常生活を送れるようになるまで2週間〜3週間。 痛みや違和感が完全になくなるまでには3カ月〜6カ月と言われています。 本章では、入院期間からリハビリまでを解説していきます。 関節鏡視下手術とは? 関節鏡視下手術は、変形性膝関節症の手術の中でも1番入院期間が短い手術です。 この手術は、他に比べて最も入院期間が少なく、手軽に受けられるところが魅力です。 手術の方法としては、カメラ・ハサミや鉗子など手術器具を入れるために膝の周囲に小さな孔を2〜3カ所開けます。 そちらにカメラを入れてモニターに映し出された映像をもとに傷んだ関節軟骨・半月板・滑膜・骨棘を切除するほか、癒着した関節包をはがします。 麻酔は下半身のみで、手術時間も短く1時間程度です。 関節鏡視下手術の特徴は、「骨切り術」や「人工関節置換術」と比べ、皮膚の切開範囲が小さく、体への侵襲(影響)が少ないことから、入院から退院までの期間が短く、年齢問わず受けられる手術法です。 また関節鏡視下手術や、耐久性に寿命がある人工関節置換術に踏み切る前段階の手術としても有効です。 関節鏡視下手術は、患者様の7〜8割に効果が認められた手術法ではありますが、手術の適応(可否)は、膝の変形が軽度から中程度の変形性膝関節症の方が対象になるため、この術式を行うには変形が進行しすぎないよう早期発見が重要です。 関節鏡視下手術の術後のリハビリと退院までの経過 手術直後は、ベッド上にて安静に過ごします。 手術による炎症を抑えるためにアイシングを行います。 血栓を防ぐために、脚の位置を高く保つほか、弾性ストッキングにて血流を促します。 リハビリは、術後、翌日からは積極的な運動療法を行い、全体重を乗せて歩けるように行います。 数日間は痛みを感じますが、できる限り膝の関節を動かすことで血栓を予防します。 多くの場合、手術の翌日から、2日〜3日後には退院できます。 退院しても痛みは数週間続きます。 手術前と同じ生活を送るには2〜3週間、膝に痛みや違和感を感じなくなるまでに3〜6カ月かかります。 変形性膝関節症も、初期の段階であれば、この関節鏡視下手術で済み、体への負担も非常に少なく済みます。 ただし、この手術で痛みなどの症状が改善しない場合もあります。 膝に違和感を感じた場合、放置せずに早めに整形外科などの医療機関で診断を受けることが大切です。 症状が進行して悪化すると、次に紹介するような重い手術が必要になることもあります。 やはり病気は早期発見・早期治療が重要です。 \まずは当院にお問い合わせください/ 高位脛骨骨切り術の入院期間は5〜6週間 高位脛骨骨切り術は、膝にかかる負担を軽減し、症状の改善を図るための手術です。 この手術では脛骨を調整し、膝の変形を矯正することで、痛みの原因となる関節への不均衡な負荷を軽減します。 入院期間は約5〜6週間程度で、術後にはリハビリを通して徐々に体重をかけられるようになります。人工関節を使用せず、自分の関節を残したい方に適した手術法ですが、手術前に知っておいた方が良いことも多いので、検討中の方は、本章を参考にしてください。 高位脛骨骨切り術とは? 高位脛骨骨切り術は、膝にかかる決まった方向への負担を減らす手術法です。膝の軟骨がすり減ってしまい、変形性膝関節症になると、O脚方向へと変形していきます。 骨切り術では脛骨を楔形に骨を切りとり、プレートで固定することで、X脚方向へと膝の角度を調整します。 これによって膝の内側にかかっていた負担を外側へ移行させ、内側・外側に均等に荷重が掛かるようにするものです。 手術時間は90分程度です。 関節鏡視下手術と比べて体への侵襲(負担)は高いですが、関節鏡視下手術同様に、自分の関節を残すことが特徴です。人工関節置換術のように正座ができなくなるなど、関節運動に制限がかかることはありません。 「自分の関節は残したい」と思う方は、人工関節置換術に踏み切る前段階の手術としても有効です。 高位脛骨骨切り術の術後のリハビリと退院までの経過 高位脛骨骨切り手術の当日は安静に過ごしますが、関節鏡視下手術に比べ血栓ができやすいため、術後は、フットポンプにて脚の血流を促すようにします。 このフットポンプは、多くの場合、2日目には取り外し、車椅子での移動が可能になります。 また、膝の安定性を図るため装具を装着します。 フットポンプとは? フットポンプは、手術後などで寝たままになる患者の静脈への血栓塞栓症を予防するために用います。 足の下腿 といわれる膝と足首との間の部分を断続的に圧迫を繰り返して下肢静脈の流れを手助けする医療器具です。 高位脛骨骨切り術におけるリハビリテーション リハビリで膝の運動を行う場合、持続的関節他動訓練器(CPM:continuous passive motion)を使い膝の屈伸を行います。 持続的関節他動訓練器(CPM:Continuous Passive Motion)とは? この機械は、関節の曲げ伸ばし、屈曲・伸展といった運動を自動的に連続して行えるもので、主に下肢への術後、リハビリに用いることが多い。 時間を設定して運動速度、曲げる角度を変えて行えて、荷重をかけることなく関節の屈伸運動を行えるメリットがある。 患者さんの体重や、矯正角度により、リハビリの進行度合いには差が出るものの、1週目から少しずつ体重をかけ、3週目から両側で松葉杖をつき歩行を開始します。 ただし患側へかける負荷は体重の1/2程度です。そして、5週目頃には全体重をかけて歩く練習をします。 尚、高位脛骨は術後3年を目安に固定していたプレートを取り外すため手術が必要になります。 退院の目安は、松葉杖なしで階段の歩行練習・退院後の動作練習がスムーズにできることです。 退院時からデスクワークや多少の早歩き、車の運転ができるようになります。 ただ、長時間の立ち仕事は痺れやむくみが出やすいので3カ月は避けた方が良いでしょう。 杖を使わず歩けるようになるには、退院後約2カ月程度が一般的です。 人工関節置換術の場合:入院期間は約1カ月 人工関節置換術は、変形性膝関節症により著しい痛みや機能障害がある場合に行われる手術です。 損傷した関節部分を人工のものに置き換えることで、痛みを軽減し、膝の機能を回復させます。 入院期間は約1カ月程度で、術後には適切なリハビリを通じて日常生活への復帰を目指します。 人工関節置換術は、症状が進行して他の治療が効果を発揮しない場合に選ばれることが多いのが特徴です。 こちらも手術前に知っておいた方がいいことが多いのでぜひ参考にしてください。 人工関節置換術 変形性膝関節症の変形が進んだ場合、すり減った軟骨や骨を、チタンやセラミックなどを使った人工関節に入れ替える手術法です。 術後は膝を傷める以前に近い状態を取り戻せ、膝の痛みなく歩けるようになります。 ただし、正座のように膝を深く曲げる動作ができなくなるため、手術を行うには患者様の生活習慣や活動量を考慮しなければなりません。 骨切り術より入院期間が短いことから、仕事や日常生活への復帰が早く見込めることが特徴です。 手術時間は2時間程度です。 人工関節置換術の術後のリハビリと退院までの経過 人工関節置換の手術直後は弾性ストッキングを着用し、浮腫(腫れや、むくみ)を予防し、その軽減に努めます。 また膝関節は安静にし、足関節の運動を行います。 骨切り術同様に翌日からは車椅子での移動ができ、5日目からは歩行器を使い移動します。 同時に松葉杖での歩行指導が始まり、徐々に歩けるように練習していきます。 10日目には、関節の角度を90度くらいまで曲げられるよう回復を目指します。 リハビリは、退院に向けて、車椅子・歩行器・杖等を使ってもとの日常生活に戻れるよう訓練を続けます。 退院の目安は1本杖での歩行、階段昇降、床からの立ち上がり、股関節屈曲100〜120度が可能になる、などです。 日常生活への復帰の目安は術後1カ月程度です。 ただし、人工関節には耐用年数があることを理解しておくことが大切です。 その耐用年数はおおよそ15年程度とされており、すり減りや感染、緩みなどの問題が発生すると、再手術が必要になる可能性があります。 将来、耐用年数が過ぎると再度、同じ人工関節へ置換手術をしなければならない可能性があります。 入院不要な再生医療 変形性膝関節症に関する手術について紹介してきましたが、実は、もう1つの治療方法があります。 それは「再生医療」と言われるもので、上記で書いたような手術的アプローチとはまったく違う方法で改善をはかるものです。 詳しくは「変形性膝関節症の再生医療について」に記載しています。 これまで「すり減った膝の軟骨を再生することは不可能」といわれてきましたが、医療技術の進歩で自己治癒力を用いて軟骨の再生を目指せる先端医療です。 そのため、変形性膝関節症であっても手術自体が不要。 当然、入院も必要ありません。日帰りで行える新しい先端治療です。 まとめ・変形性膝関節症の手術、その種類と入院期間、術後のリハビリから退院までの経過 ここまで変形性膝関節症と診断され、手術を検討されている方に向けて変形性膝関節症の手術にかかる入院期間から、リハビリの内容までを紹介しました。 関節鏡視下手術の入院期間は2〜3日、人工関節置換術の入院期間は約1カ月、高位脛骨骨切り術の入院期間は5〜6週間です。 下記は手術を行った場合の目安です。入院期間は、各個人の症状や経過によって異なります。また、再生医療は入院が不要です。 手術の種類 入院期間 1.関節鏡視下手術 約2〜3日 2.高位脛骨骨切り術 約5〜6週間 3.人工関節置換 約1カ月 4.再生医療(手術はしない) 不要 入院期間だけで見ると関節鏡視下手術が最も短期間ですが、必ずしもそれが最適な選択とは限りません。 この手術で回復するケースも多くありますが、痛みが改善されず、再手術が必要になる場合もあります。 その際は高位脛骨骨切り術や人工関節置換術が検討されます。 手術を検討する際は、入院期間やリハビリ、再手術の可能性、膝の状態、生活環境を踏まえて、主治医とよく相談して決めることが大切です。 \まずは当院にお問い合わせください/
2021.10.19 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
ロキソニンは、炎症を抑制する効果が期待できる医薬品です。 そのため、炎症によって膝に痛みが生じている場合は、ロキソニンを服用すれば痛みが緩和される可能性があります。 本記事では、膝の痛みに効く飲み薬のロキソニンについて詳しく解説します。 薬の効果や飲むときの注意点も紹介しているので、ロキソニンの服用を検討中の方は参考にしてみてください。 膝の痛みに効く飲み薬のロキソニンとは【効能や即効性】 ロキソニンは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に分類され、炎症を引き起こす物質の生成を抑えることで、鎮痛や解熱効果を発揮します。 以下は、ロキソニンが効果を発揮する可能性がある膝の疾患の一例です。※疾患名をクリックすれば詳細記事をチェックできます ・半月板損傷 ・関節リウマチ ・変形性膝関節症 膝の痛みに悩む場合は、ロキソニンの服用を検討してみると良いでしょう。 ロキソニンの鎮痛成分は速やかに血中に吸収され、効果の即効性が期待できます。 実際に、ロキソニンを製造する製薬会社がおこなった調査では、ロキソプロフェンナトリウム錠投与後、約30〜60分以内でロキソプロフェンおよびその活性代謝物であるtrans-OH体の血中濃度が最大値に到達することが確認されています。(参考1) なお、ロキソニンを服用しても効果が実感できない場合は、病院の受診を検討してみてください。症状が進行している可能性もあるためです。 自分に合った病院を探している方は再生医療を専門とする『リペアセルクリニック』への受診をご検討ください。再生医療とは人間の自然治癒力を活用した最新の医療技術です。すり減った軟骨を再生し、膝の痛みを軽減させる効果があります。 本来なら手術しなければいけない状態でも、再生医療で治療できる可能性があります。 膝の痛みに効くロキソニン3種【ドラッグストアで購入できる種類もある】 ロキソニンには主に以下の3種類があります。 ・飲むタイプ ・塗るタイプ ・貼るタイプ(テープ・湿布) それぞれの特徴や使用上の注意点を順番に解説します。 なお、ロキソニンを含む一般用医薬品は「第1類医薬品」「第2類医薬品」「第3類医薬品」にリスク区分されています。 ロキソニンは薬局やドラッグストアなどで購入できますが「第1類医薬品」に区分される場合は薬剤師、「第2類医薬品」「第3類医薬品」に区分される場合は薬剤師または登録販売者が対応しないと買えません。(参考2) 飲むタイプ 膝の痛みに効果がある飲むタイプのロキソニンは、体内で成分が吸収されるため、高い即効性が期待できます。 ロキソニンを服用する際は、添付文書に記載されている用法用量を必ず守りましょう。年齢や症状により以下のような使用制限があります。 ・1回の服用量 ・1日の服用回数 ・服用間隔の時間 体質や体調によっては、眠気や頭痛、胸やけといった副作用が現れるケースもあります。(参考3)副作用と思われる症状が出た場合は、服用を中止して専門家に相談しましょう。 塗るタイプ 塗るタイプのロキソニンは、皮膚から成分が吸収されて効果を発揮します。飲むタイプほどの即効性はないため、強い痛みには効果が薄いとされています。 以下のような症状や状態の場合は、使用を極力控えましょう。成分が刺激となって、傷や皮膚状態が悪化する可能性があります。 ・傷口がある ・かぶれや湿疹がある ・皮膚が敏感な状態である 用法用量を守り、適切に使用してください。 貼るタイプ(テープ・湿布) 貼るタイプのロキソニンの種類は、主にテープと湿布です。 塗るタイプ同様に、皮膚から成分を吸収し、直接患部に働きかける特徴があります。 内服薬に比べて副作用は少ないものの、貼付したカ所の皮膚がかぶれたり、炎症を起こしたりするケースがあります。 用法用量を守って正しく使用し、異常が見られた場合は使用を中止しましょう。 膝の痛みで飲み薬のロキソニンを服用するときの注意点3つ ここでは、ロキソニンを服用するときの注意点を解説します。 ・専門家に相談する ・効果が見られない場合もある ・医師の治療が必要な可能性もある これらの点に注意して、安全に服用しましょう。 専門家に相談する 先述のとおり、ロキソニンを含む一般用医薬品は、副作用等のリスクに応じて、以下のように区分されています。 医薬品のリスク分類 対応する専門家 第1類医薬品(とくにリスクが高いもの) 薬剤師 第2類医薬品(リスクが比較的高いもの) 薬剤師または登録販売者 第3類医薬品(リスクが比較的低いもの) 薬剤師または登録販売者 参考:厚生労働省|一般用医薬品のリスク区分 飲むタイプのロキソニンは「第1類医薬品」に分類されているものが大半です。塗るタイプや貼るタイプのロキソニンは主に「第2類医薬品」となっています。 ロキソニンはリスクがある医薬品として区分されているので、区分ごとの専門家に副作用や使用方法について相談し、安全な服用を心がけましょう。 効果が見られない場合もある ロキソニンは、炎症を抑制させる効果をもつ薬です。そのため、炎症が関係しない痛みでは効果が見られない可能性があります。 効果が期待できない状態で服用を続けるのは、身体に良くありません。 使用後に症状が改善しない場合は、ほかの原因を特定するために医師の診察を受けることを検討しましょう。 専門家の治療が必要な可能性もある 症状が重症化している場合、ロキソニンの効き目が限定的な場合があります。 そのまま放置しておくと、関節の損傷が進んでしまい、手術が必要になる可能性も考えられます。そのため、ロキソニンを服用しても効果が見られない場合は、医療機関の受診を検討しましょう。 自分に合った病院を探している方は再生医療を専門とする『リペアセルクリニック』への受診をご検討ください。再生医療とは人間の自然治癒力を活用した最新の医療技術です。すり減った軟骨を再生し、膝の痛みを軽減させる効果があります。 本来なら手術しなければいけない状態でも、再生医療で治療できる可能性があります。 \まずは当院にお問い合わせください/ ロキソニン以外で膝の痛みに効く飲み薬 以下は、ロキソニン以外で膝の痛みに効く飲み薬の一例です。薬ごとに特徴や副作用なども紹介しているので、どの薬を服用しようか検討中の方は参考にしてみてください。 アセトアミノフェン 抗炎症作用はありませんが、鎮痛効果があり、妊娠中にも使われることから比較的安全性が高いところが特徴です。しかし副作用がない訳ではありません。鎮痛薬は痛みがあるときだけ使いましょう。 ・副作用: 肝障害、食欲不振、胃痛、消化器症状 ・商品名: アンビバ、カロナール、ピリナジンなど 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) よく知られている「ロキソニン」などもこの種類に含まれ、変形性膝関節症に多く使われるのが、この非ステロイド性抗炎症薬です。 非ステロイド性抗炎症薬は鎮痛効果や抗炎効果がありますが、長期間使用すると胃腸障害などを引き起こす場合があるため、注意が必要です。 非ステロイド性抗炎症薬の中には胃腸障害が起こりやすいもの、起こりにくいものがあり、胃腸や粘膜を保護する薬を一緒に飲む必要があります。 ・副作用: 胃腸障害、消化管潰瘍、気管支炎、肝障害、腎障害 ・商品名: ロキソニン、ボルタレン、ナボールSR、インテバンなど COX-2(コックスツー)阻害薬 非ステロイド性消炎鎮痛薬より、副作用が起こりにくいため、長期間の使用に向いています。ただし非ステロイド性消炎鎮痛薬に比べると、鎮痛効果がやや弱い点が特徴です。 ・副作用: 胃腸障害 ・商品名: セレコックス、モービック、ハイベン、オスペラックなど オピオイド鎮痛薬 非ステロイド性消炎鎮痛薬でも効果が見られない場合に使われます。オピオイド鎮痛薬は強い鎮痛効果がある医療用麻薬です。医療用麻薬と効くと怖いとイメージされる方もいますが、医師の指示のもと、正しく使用すれば安全に大きな効果が期待できます。 ・副作用: 便秘、吐き気、めまい、眠気 ・商品名: トラムセット、トラマール、ノルスパンテープなど まとめ|膝の痛みに効く飲み薬のロキソニンを服用するなら特徴を把握しよう 炎症が起こって膝の痛みがある場合は、ロキソニンが効果的です。 飲み薬のロキソニンは「第1類医薬品」に区分される商品が多く、その場合は薬剤師による説明と処方が必要です。 ロキソニンは副作用を伴う可能性があるため、添付文書に記載されている用法用量を必ず守った上で服用しましょう。 近年、変形性膝関節症や半月板損傷を含む膝の損傷に効果的な治療法として「再生医療」が注目されています。 再生医療には、幹細胞をひざ関節に注射するだけですり減った軟骨を再生し、痛みを軽減させる効果があります。本来なら手術しなければいけない状態でも、再生医療で治療できる可能性があるのです。 詳しい治療法や効果が知りたい方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 【参考文献】 参考1:https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00057032.pdf 参考2:https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2409_04medical/240930/medical01_02.pdf 参考3:https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00057032.pdf
2021.10.11 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
- 膝の慢性障害
変形性膝関節症を罹患している患者様は、大きく分けて「保存療法」と「手術療法」の2つが選択肢になります。 保存療法にはリハビリテーション、装具療法、薬物療法などを組み合わせて行います。 手術療法は保存療法では効果が得られない場合に検討する選択肢です。 中でも「高位脛骨骨切り術」が手術療法の選択肢に挙げられます。 しかし高位脛骨骨切り術を受ける患者様の中には「術後の後悔は避けたい」と考える方もいるでしょう。 そこで今回は、現役医師の立場から高位脛骨骨切り術が適応になる症例やリハビリ内容などを詳しく解説していきます。 術後の後悔を減らすためにも、手術自体のメリット・デメリット、入院期間などもまとめました。 高位脛骨骨切り術とは 高位脛骨骨切り術とは、O脚変形のために内側部(内側大腿から脛骨関節)に偏った過重なストレスを、自分の骨を切って少し角度を変える処置が施される手術です。 「HTO手術」とも呼ばれており、内反変形されたO脚からX脚にするのを目的にしています。 膝の内側部に過度の負担となっていた外力のベクトルを比較的きれいな軟骨の存在する外側部(外側大腿から脛骨関節)に移動できる手術です。 高位脛骨骨切り術により、患者様の膝関節が温存できるため、スポーツや、農業などの仕事へ復帰できる方が多くいます。 仕事復帰できるメリットがある一方で、ある程度の入院期間や継続的な痛みを感じ「後悔した」と感じる患者様がいるのも実情です。 高位脛骨骨切り術の対象になる「変形性膝関節症」は、早期の発見と治療が大切です。 以下の記事では、初期症状を見逃さないためのポイントをまとめています。 高位脛骨骨切り術が適応になる症例や手術方法 高位脛骨骨切り術が適応になるのは、主に「変形性膝関節症」を罹患している患者様です。 過度なスポーツ活動により関節に対して大きな負担がかかる「膝内反モーメント(ひねり)」が増大した結果発症します。 「運動の前後には入念なストレッチを」と言われる要因でもあり、股関節から足の甲までを一直線に結んだ「荷重線」が影響しています。 荷重線が膝の内側を通っているので、膝の内側に荷重がかかり過ぎて膝に障害が起こり、変形性膝関節症が発症するのです。 ここからは変形性膝関節症の患者様を含め、具体的に高位脛骨骨切り術が適応な患者様と適応外のケースを紹介します。 手術を受ける対象者 高位脛骨骨切り術が対象になる方は、主に以下のケースです。 50歳〜75歳の方 変形性膝関節症を認める症例の中でも中程度の変形を呈する方まで 若年者でも症状が強ければ高位脛骨骨切り術を行って、下肢機能軸や脛骨近位の内反角を正常化する手術になる可能性もあります。 また、人工膝関節置換術を行う患者様もいます。 骨と人工の異物を接合する都合上、ゆるみなど再手術が必要になる場合があり、初回の手術よりも再手術は、手技的に難しくなります。 再手術のリスクを避けるためにも、65歳よりも若い方には高位脛骨骨切り術が推奨されているのです。 変形性膝関節症の症状が中程度までで、運動や肉体を使う仕事を続ける方は、本手術治療を受けるのがおすすめです。 以下の記事では変形性膝関節症で行う手術内容や費用をまとめました。 高位脛骨骨切り術以外の手術法や費用が気になる方は、あわせてご覧ください。 手術が適応外の方 高位脛骨骨切り術が適応外になる方は、以下のケースが挙げられます。 適応外の方 理由 変形性膝関節症の程度が末期の方 高位脛骨骨切り術の効果が出にくいため 関節の外側に痛みがあるX脚の方 「遠位大腿骨骨切り術」が適応になるため 靭帯を損傷している方 膝が不安定な状態で症状が改善されにくくなるため 骨粗しょう症の方 高位脛骨骨切り術を行っても、骨の「癒合」しない、または遅れる可能性があるため 75歳以上の方 変形性膝関節症の進行が早いため ※早期発見の場合適応する可能性あり 当院では症状にあわせた適切な治療ができるよう、メール相談やオンラインカウンセリングも実施しています。 高位脛骨骨切り術のメリットとデメリット ここからは高位脛骨骨切り術を受ける上で後悔したくない方に向け、手術自体のメリット・デメリットを解説していきます。 入院期間や術後の注意点も触れているので、ぜひ参考にしてください。 高位脛骨骨切り術のメリット 高位脛骨骨切り術のメリットは、最終手段の人工関節を使わずに「自分の関節を残したまま」で症状の改善が期待できる点です。 高位脛骨骨切り術は、O脚に変形した脚を、X脚ぎみに矯正して変形性膝関節症の進行を遅らせる唯一の術式と考えられています。 体への負担が少ない手術でもあり、手術後の日常生活に対する制限も少ないのも特徴です。 新しい手術法が開発された結果、術後早期からの歩行も可能になっています。 入院期間も従来の人工膝関節置換術と変わらず、約4~6週間が入院期間の平均です。 高位脛骨骨切り術のデメリット 従来の高位脛骨骨切り術は、骨癒合までの数カ月間、手術した足に十分な体重をかけられず、入院が長期にわたるのがデメリットでした。 仕事をしている方にとって、復帰に時間が必要な点は大きな欠点になるでしょう。 高位脛骨骨切り術の処置に伴って腓骨短縮などの合併症や有痛性偽関節(骨がくっつかず、痛みも出る)が引き起こされる点も問題視されていました。 骨が癒合するまで多少なりとも膝部の痛みが続くと言われています。 実際に術後の痛みが軽快して骨癒合が完了するまでに個人差はあるものの、約半年以上は時間がかかります。 膝機能がある程度満足が得られるレベルまで回復するためには、気苦労の多いリハビリをコツコツ、しっかり行う必要があるでしょう。 高位脛骨骨切り手術後におすすめのリハビリ法 高位脛骨骨切り術の対象な方に向け、術後のリハビリや入院期間について深掘りしていきます。 「こんなつもりじゃなかった……」と後悔したくない方は、ぜひ参考にしてください。 リハビリ内容 高位脛骨骨切り術を受けたあとのリハビリ内容は、関節の曲げ伸ばしや適度な運動など、自宅でもできる内容です。 高位脛骨骨切り術の術後1週間位から徐々に膝へ体重をかけ始めて、3週間以内には全体重をかけて歩行訓練を施行します。 術後は膝に負担をかけられないため、最初は関節の曲げ伸ばしや立ち座りから始めます。 徐々に膝の可動域や立った際のバランスを整えるため、理学療法士によるサポートを受けるのがおすすめです。 4~5週間程度で安定した歩行、階段の昇降、日常生活動作などをクリアすれば軽快退院の運びとなります。(文献1) 手術後の入院期間 高位脛骨骨切り術の入院期間は、5〜6週間程度です。 手術自体は1時間30分程度で終了し、手術当日は血栓塞栓症を予防するために「フットポンプ」を用います。 フットポンプとは、寝たままの患者様を対象に下肢静脈の血流を手助けするために用いる医療器具です。 多くの場合術後2日目でフットポンプを外し、車椅子での移動になり、徐々に松葉杖を使った歩行へ切り替えます。 術後3週目から松葉杖をつきながらの歩行が始まり、5週目を目安に松葉杖なしでの歩行練習になる流れです。 以下の記事では、高位脛骨骨切り術の入院期間やリハビリについて、より詳しく解説しています。 高位脛骨骨切り術で後悔しないためにも、手術の全体像を把握しておきましょう。 まとめ・高位脛骨骨切り術で後悔したくないなら術後のリハビリを! 変形性膝関節症は慢性疾患であり、骨肉腫などのように、命に関わる疾患ではありません。 つまり、どのような治療法を選択するかは、患者様一人ひとりが望むゴールによって変わってくるのです。 術後に多少疼痛は伴うデメリットが挙げられるため「手術をしたけれど後悔した」と感じる患者様がいるのも実情です。 一方で、自分の関節を温存して機能を維持できるため、術後の日常生活でほとんど制限がない点がメリットと言えます。 高位脛骨骨切り術で後悔しないためにも、術後のリハビリは気を抜かず適切な方法で受けるのが大切です。 高位脛骨骨切り術で後悔したくない方からのよくある質問 高位脛骨骨切り術で後悔したくないと考える患者様からよくいただく質問を3つ紹介します。 術後の痛みはいつまで続くの? 仕事復帰や運転はいつからできる? リハビリ以外で後悔しない方法はないの? 気になる点がある方は、以下でそれぞれ回答しているので、ぜひ参考にしてください。 術後の痛みはいつまで続くの? 高位脛骨骨切り術を受けたあとの痛みは、段階によって異なりますが、約3カ月ずつかかる傾向にあります。 術後最初の3カ月で高位脛骨骨切り術を施した患部が痛み、4〜6カ月はリハビリで使った筋肉が痛む可能性があります。 患者様によっては7カ月目以降で太ももやお尻などの周辺が筋肉痛を感じるでしょう。 手術で切った患部の痛みが落ち着くまでの期間は、3〜4週間程度ですが痛みの経過を見ながらリハビリを実施するのがおすすめです。 理学療法士から適切なリハビリを受け、術後の後悔を減らしていきましょう。 仕事復帰や運転はいつからできる? 高位脛骨骨切り術を受けて、仕事復帰や運転ができる目安は以下の通りです。 デスクワーク:退院後すぐ 立ち仕事:2〜3カ月 運転:松葉杖を外してから(術後2カ月程度) 患者様の体重やリハビリの進行度にもよるため、上記はあくまで目安になります。 また、高位脛骨骨切り術は術後3年目を目安にプレートを外すための手術が必要です。 「歩けるようになったから大丈夫」と捉え、負担をかけてしまう膝の回復が遅れ、後悔してしまうでしょう。 高位脛骨骨切り術で後悔しないためにも、術後の経過観察が大切です。 リハビリ以外で後悔しない方法はないの? 高位脛骨骨切り術で後悔したくない方は「再生医療」との併用をおすすめします。 そもそも高位脛骨骨切り術は、人工関節による治療を必要とするまでの期間を遅らせるのが目的です。 高位脛骨骨切り術を受けた患者様の半数以上が、15年以上も人工関節による治療をせずに済んだ結果が出ています。(文献2) しかし高位脛骨骨切り術だけでは、膝関節の環境は変えられないのが欠点でした。 再生医療を併用すれば、膝関節の環境を整えられる効果が期待できます。(文献3) 治療の選択肢が増えている昨今「高位脛骨骨切り術とリハビリで改善するしかないのか……」と考える前に、整形外科でカウンセリングを受けましょう。 少しでも後悔しそうな要因を減らしたい方は、ぜひ当院へご相談ください。
2021.10.09