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【医師監修】変形性膝関節症を手術しないで治す方法を解説

変形性膝関節症と診断され、ヒアルロン酸注射や鎮痛薬を続けてきたものの、思うように改善が見られず「いずれ手術をしなくてはならないのだろうか。」と、漠然とした不安を感じていませんか。
膝の痛みは何とかしたいけれど、手術は避けたいと思う方もいるのではないでしょうか。
変形性膝関節症は、関節軟骨や半月板が損傷し、膝に痛みや変形が生じる疾患です。これまでの治療法は、運動療法や、薬物療法などの「保存療法」が中心で、効果がみられない場合には、人工関節置換術や骨切り術などの手術が選択されてきました。
しかし、中には「手術はしたくない」「手術が受けられない」という方も少なくありません。この場合、ある程度「痛みと付き合っていくしかない」と諦めるしかありませんでした。
近年では、保存療法で効果が感じられず、手術ができない場合でも受けられる新しい治療法として、「再生医療」が注目されています。本記事では、変形性膝関節症を手術しないで治す再生医療について解説します。
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目次
変形性膝関節症の痛みを放置するリスク
変形性膝関節症を放置すると、膝の痛みが悪化し、治療には手術が必要となる可能性があります。
最初のうちは運動療法や薬物療法で進行を抑えられますが、痛みが強くなると運動そのものが難しくなり、保存治療が難しくなってしまいます。さらに症状が進行すると、ちょっとした動作や安静時でも膝の痛みが出るようになります。痛みをかばうことで関節の可動域が狭まり、筋力が衰えるために余計に痛みを感じやすくなるのです。
重症化すると、人工関節置換術や骨切り術などの手術が考慮されますが、感染症や合併症、正座ができなくなるといったリスクを伴います。
手術を避けたい、または健康状態などの理由により手術ができない場合、痛みを抱えたままの生活が続くことになります。
変形性膝関節症における手術をしない治療法
手術せずに行われる変形性膝関節症の治療は、「保存療法」と呼ばれる従来の運動や服薬・注射、装具を用いて痛みを緩和する方法と、新しい治療法である「再生医療」があります。
それぞれ説明します。
保存療法
保存療法には主に、運動療法・薬物療法・装具療法・注射療法の4つがあります。これらの治療を組み合わせて、痛みの緩和、膝の機能維持を目指します。
・運動療法
筋力増強トレーニングや有酸素運動など、さまざまな運動治療が存在します。
運動療法は鎮痛、身体機能改善効果、日常生活機能改善効果が認められるため有用とされています。また、肥満の体重管理やサルコペニア、フレイルなど変形性膝関節症のリスクへの間接的な効果も期待されます。(文献1)
・薬物療法
鎮痛薬(NSAIDsなど)を使用して痛みや炎症を和らげる方法です。
症状に応じて、内服薬と外用薬(湿布、塗り薬など)を選択します。一方で、NSAIDs内服薬は消化器障害や腎障害を起こすリスクがあるため、長期間の使用には注意が必要です。(文献1)
・装具療法
主に膝装具(サポーター)や足底板(インソール)を用いて、膝への負荷を軽減します。鎮痛・機能改善への効果と有用性の高い治療法です。
・注射療法
薬物療法の1種ですが、ヒアルロン酸を膝関節に注射する方法です。関節液の粘りを補い、摩擦を減らして動きをスムーズにするため、痛みを軽減します。
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再生医療
再生医療とは、厚生労働省では「病気やけがで機能不全になった組織、臓器を再生させる医療」とされています。(文献2)
細胞や人工的な材料を使って、傷んだ組織や臓器を修復・再生する医療のことで、これまで治療法のなかった病気やけがに対して、新しい医療として期待が高まっています。
膝関節に対する再生医療では、主に「幹細胞治療」を行います。
「手術しかない」と言われていた変形性膝関節症に、手術しないで治すという新たな選択肢ができました。
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変形性膝関節症を手術しないで治す再生医療(幹細胞治療)について
人はけがをしても、自然に治り回復する自然治癒力を持っています。これを医療に応用したのが「再生医療」といわれる新しい医療分野です。
変形性膝関節症の手術しない治療として注目されている再生医療が、「自己脂肪由来・幹細胞治療」です。
この治療では、患者様の脂肪由来の幹細胞を採取し、4~6週間かけて数万~数億個に培養します。その後、増やした幹細胞を膝に注射することで、傷んだ軟骨や細胞を自然に修復・再生させる効果を見込みます。
膝の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。
再生医療における幹細胞治療とは
幹細胞は、人間の骨髄や皮下脂肪にある細胞で、皮膚や骨・軟骨・血管など、さまざまな細胞に性質を変える特徴(分化能)があります。
幹細胞治療では、この分化能を利用して、すり減った軟骨や炎症を起こした組織の修復・再生をサポートします。
幹細胞は普段活動的ではありませんが、体が傷つくと活性化し、損傷した細胞を修復・再生するために細胞分裂を起こします。変形性膝関節症では、幹細胞の分化能を利用し、自己修復力を高めて、すり減った軟骨を再生させます。
これにより、膝のクッション機能の回復や、滑らかな膝関節の動き、痛みの緩和が期待できます。
これまでの保存療法では不可能だった軟骨の修復・再生が、自己脂肪由来幹細胞治療で可能になったのです。
幹細胞治療の方法
変形性膝関節症に対する自己脂肪由来幹細胞治療では、自分の体から採取した幹細胞を培養後、体内に戻します。体内に戻す方法は、静脈注射(静脈点滴)と関節注射の2種類があります。
直接注射できない内臓疾患(肝臓疾患)や全身疾患(糖尿病など)、脳の病気には静脈注射が、膝関節や肩関節、股関節などには関節注射が選択されます。
幹細胞は骨髄にも存在しますが、採取時に体への負担が少なく、細胞の質が良い皮下脂肪由来のものが一般的に使用されます。
幹細胞治療の流れ
・腹部(おへそ周り)に局所麻酔を行い、5mmほど皮膚を切開し脂肪を採取します。
※採取する脂肪は、米粒2粒ほどの大きさです。
・採取した脂肪から幹細胞を分離し、4〜6週間かけて培養します。
・培養した幹細胞を、膝関節内に注射します。
幹細胞治療は、体への負担が少なく、自分の細胞を利用するため拒絶反応やアレルギーが起こりにくいという利点があります。また、大きな手術と比べて感染症のリスクが低く、安全性の高い治療法です。
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【変形性膝関節症にお悩みの方へ】手術しないで治す治療も選択肢のひとつ
自己由来幹細胞治療は、人が持つ自己修復力を引き出す治療法で、これまで不可能とされていた軟骨の再生が期待できます。
幹細胞治療では、自分の脂肪から培養された細胞を使うことから、人工関節置換術や骨切り術などの大きな手術を必要とせず、体への負担が少ないのが特徴です。また、入院の必要がないので、日帰りで行える治療法として注目されています。
変形性膝関節症の治療の基本は、膝周囲の筋力を鍛える運動療法などの保存療法です。しかし、変形性膝関節症と診断された初期のうちから幹細胞治療に取り組むことで、悪化を防ぐ可能性が期待できます。
なお、幹細胞治療にかかる費用は、保険が効かず自由診療となるため、全額自己負担です。しかし、「現在の治療で効果を感じられない」「医師から人工関節の手術をすすめられたけれど抵抗がある」と考えている方にとって、保存療法と手術の中間に位置する最新の再生医療「自己由来幹細胞治療」は、手術をしないで治す選択肢です。
再生医療について、さらに詳しく知りたい方は、メール相談やオンラインカウンセリングも承っておりますのでご利用ください。
変形性膝関節症に関するよくある質問
変形性膝関節症は自力で治せますか?
変形性膝関節症で一度すり減った軟骨を元の状態に戻すことは難しく、完全に自力で治すことはできません。
ただし、早期の段階で運動療法や体重管理を行うことで、進行を遅らせたり痛みを軽くしたりできます。
太ももの前側の筋肉を鍛える運動や、ストレッチ、正しい姿勢を意識することで膝への負担を減らせます。
また、最近では幹細胞治療など、再生医療を活用した新しい治療法も登場しており、手術をせずに軟骨の修復をめざす選択肢もあります。
変形性膝関節症の末期はどのような症状ですか?
変形性膝関節症の末期になると、膝の軟骨がほとんど失われ、骨同士が直接ぶつかるようになるため、強い痛みが続きます。
歩くときだけでなく、安静にしていても痛みを感じることが多く、膝が伸びきらない・曲げられないといった可動域の制限が現れます。
また、膝の変形が目立ち、O脚やX脚が見た目にもわかるようになります。この状態では、運動療法や薬の効果が限られ、歩行困難や生活動作の制限が生じることもあります。
このような状態になると、保存療法では改善が難しいと考えられ、手術を検討する必要があります。
なお、手術を避けたい方には、自分の脂肪から培養された幹細胞を用いて痛みの軽減や機能回復をめざす「再生医療」という方法もあります。
実際に、手術をせず変形性膝関節症の痛みを改善した例もご参照ください。
参考文献















