-
- 脳梗塞
- 頭部
目の奥の痛みを感じてインターネットで検索すると「脳梗塞の前兆で目の奥が痛むことがある」という情報を見かけることもあるかもしれません。 一般的な眼精疲労の症状なのか、重大な病気の前兆なのか見分けがつかず、不安になる人もいるでしょう。 結論からいえば、ごく稀に脳梗塞をはじめとする脳の病気の初期症状として目の奥の痛みが出る場合があります。 ただし、ほとんどの場合は目の病気が原因です。目を休めて痛みが緩和される場合は、眼精疲労やドライアイなどの目の病気の可能性が高いと考えられるでしょう。 本記事では、脳梗塞からくる目の症状や、目の病気との見分け方について解説します。 本記事を参考に、目の奥の痛みの原因から適切な対処をとれるようになりましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、人体にもともとある「幹細胞」を利用した再生医療により、脳梗塞の治療が可能です。 メールやオンラインでの無料カウンセリングも実施しているので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 「我慢できないほど目の奥が痛い」ときは脳梗塞の疑いもある 目の奥が痛む原因の多くは目の病気からくるものですが、我慢できないほどの痛みの場合は脳梗塞の疑いも否定できません。 本章では、一過性脳虚血発作(TIA)と脳梗塞の初期症状としてあらわれる目の症状について解説します。 脳梗塞の症状や原因など、包括的な解説を見たい方は「脳梗塞とは|症状・原因・治療法を現役医師が解説」をご覧ください。 目の奥の痛みは脳梗塞の「一過性脳虚血発作(TIA)」の可能性 目の奥の痛みが脳梗塞の初期症状としてあらわれる場合、一過性脳虚血発作(TIA)の可能性があります。 一過性脳虚血発作(TIA)とは、脳の血流が一時的に止まる状態です。一定時間脳梗塞のような手足のしびれやろれつが回らないなどの症状が続いたあと、多くは24時間以内に回復することが特徴です。(文献1) TIAは「脳梗塞の前兆」とも言われており、症状が回復しても早期に脳梗塞に移行するリスクが高いといわれています。 目の奥の痛みとともに手足のしびれや見えにくさも同時にある場合、一時的なものであっても脳神経外科や眼科での検査をおすすめします。 脳梗塞の原因と種類を詳しく知りたい方は、以下のコラムも参考にしてください。 脳梗塞が疑われる目の症状 脳梗塞が疑われる目の症状は、目の奥の痛みだけではありません。以下のような目の症状も、脳梗塞の初期症状としてあらわれる可能性があります。 症状 特徴 複視 物が二重に見える 視野欠損症 視界の一部が見えなくなる状態。 飛蚊症と間違われやすい 眼瞼下垂 瞼が垂れ下がってくる 視力障害 視界が白くぼやける 脳梗塞の前兆を詳しく知りたい方は、以下のコラムも参考にしてください。 脳梗塞と眼の病気の見分け方は「しびれ・麻痺があるか」 目の奥の痛みが脳梗塞によるものか、目の病気によるものかを判断するには「しびれや麻痺などの症状の有無」の確認が大切です。 脳梗塞の初期症状として、麻痺やろれつが回らないなどが脳梗塞の初期症状としてあげられます。一方で症状が軽度かつ痛みが目のみである場合は、眼精疲労やドライアイなど眼科の病気である可能性が高いです。 麻痺や言語障害がある場合は早急に救急車を呼び、軽い目の痛みのみの場合は眼科を受診しましょう。 目の奥が痛いのは「眼の病気」が多い! 目の奥が痛む原因は、脳梗塞より目の病気による場合が多いです。 代表的な目の病気として以下3つがあげられます。 眼精疲労 ドライアイ 視神経炎 特徴を詳しく知り、症状がつらい場合は眼科の受診も検討しましょう。 1:眼精疲労 眼精疲労は、目を酷使することで痛みやかすみなどを感じる症状です。眼精疲労でも目の奥が痛くなる可能性があります。 主に長時間のパソコンやスマートフォンの長時間使用が原因であるとされています。コンピュータを使用する50%以上が眼精疲労になる報告もあり、近年増えている病気です。(文献2) 眼精疲労かもしれないと感じた方は、こまめに画面から目を離して休めるようにしましょう。 2:ドライアイ ドライアイは涙の分泌不足や涙の質が原因で、目の表面が乾き痛みや不快感を伴う病気です。 原因はさまざまですが、以下がドライアイになる一因としてあげられます。 部屋の湿度が低い エアコンやストーブの使用 パソコンやスマートフォンの長時間使用 とくにパソコンやスマートフォンの使用によりまばたきの回数が減り、ドライアイになるリスクがあります。 ドライアイが疑われる場合は、意識的にまばたきの回数を増やす、加湿するなど対策を行って目の乾燥を防ぎましょう。 セルフケアにて症状が改善しない場合は、眼科を受診してみてください。 3:視神経炎 視神経炎は、目の神経の炎症により目の奥に痛みや視覚の異常があらわれる病気です。 自己免疫疾患の症状のひとつとしてあらわれる場合が多く、目を動かしたときに強い痛みを感じる場合もあります。(文献2) 視神経炎はセルフケアでは治りにくく、病院での治療が必要です。視神経炎が疑われる場合は、早期に眼科で検査を受けるようにしましょう。 目の奥が痛いときに効果的な対処法3選 目の奥が痛いときに効果的な対処法として、以下の3つがあります。 目を閉じて休める 目を温める 症状に合った目薬を使用する 「麻痺」や「言語障害」など、脳梗塞の症状がない目の奥の痛みの場合は、本章で紹介する方法を試してみてください。 1:目を閉じて休める 目の使いすぎによる眼精疲労やドライアイが原因である場合は、目を閉じて休めると、痛みの軽減が期待できるでしょう。 仕事などでどうしても画面を長時間見なければならない方は、1時間ごとに数分間目を閉じてこまめに休めると効果的です。 とくに長時間パソコンを使うデスクワーカーや普段スマホを使用する方は、意識してこまめに目を閉じて休めましょう。 目を閉じて休めても改善が見られない場合は、眼科の受診を検討してください。 2:目を温める 眼精疲労やドライアイが原因で目の痛みが表れている場合は、以下のような方法で目を温めてみてください。 蒸しタオルを目元にのせる ホットアイマスクを使用する 入浴時に温かいシャワーを目元に優しく当てる 目を温めると血行が促進され、目の筋肉が緩むため目の痛みの緩和が期待できるためおすすめです。 ただし、目が充血している場合は炎症が起こっている可能性があります。温めると悪化するリスクがあるため、充血時は冷やして様子を見ましょう。 3:症状に合った目薬を使用する 目の奥の痛みの原因がわかっている場合は、症状に合った目薬を使用してみても良いかもしれません。 たとえば、眼精疲労が原因であれば疲れ目に効果のある成分が含まれた目薬を、ドライアイの場合は潤い成分が含まれた目薬が効果的です。市販の目薬もあるため、ドラッグストアで探してみてください。 ただし、症状に適した目薬がわからなかったり、市販の目薬を数日使用しても改善されなかったりする場合は、眼科を受診するようにしてください。 まとめ|目の奥が痛い症状から脳梗塞を早期発見しましょう 目の奥の痛みが激しい、手足の麻痺やろれつが回らないなどいつもと違う症状があると脳梗塞の疑いがあります。目の奥の痛み以外の症状に目を向けて、脳梗塞の疑いがある場合は早めに受診するようにしましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、人体にもともとある「幹細胞」を利用した再生医療により、脳梗塞の後遺症や再発予防に効果が期待できる治療を行っています。 メールやオンラインでの無料カウンセリングも実施しているので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 目の奥が痛い症状についてよくある質問 頭痛でも目の奥が痛くなりますか? 以下の頭痛により目の奥が痛くなる可能性があります。 片頭痛 緊張型頭痛 群発頭痛 上記は、目の周囲の神経に異常をきたして頭や目の痛みが生じている可能性があります。頭痛と目の奥の痛みが頻繁に続く場合は一度頭痛専門外来に相談してみると良いでしょう。 頭が痛いときの対処法について詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしてください。 目の奥が痛い症状が出る危険な病気はありますか? 脳梗塞以外にも、以下のような重篤な病気の前兆として目の奥が痛い症状があらわれる可能性があります。 くも膜下出血 脳出血 急性閉塞性緑内障 脳腫瘍 など 脳梗塞と同様、上記の病気は目の奥の痛みに加えて視力低下や意識障害などの症状を伴う場合が多いです。 激しい目の奥の痛みが続いたり、他の症状も伴う場合は医療機関で検査を受けるようにしましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による脳梗塞の治療を行っています。詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。 参考文献一覧 文献1 Levy, D. E. (1988). How transient are transient ischemic attacks? Neurology, 38(5), 674. 文献2 Sheppard, A.L., & Wolffsohn, J.S. (2018). Digital eye strain: prevalence, measurement and amelioration. BMJ Open Ophthalmology, 3.
2025.01.24 -
- 脳梗塞
- 頭部
こめかみの痛みが続き「脳梗塞だったらどうしよう……」と悩んでいませんか。 こめかみは脳にも近い部位であり、大きな病気なのではないかと不安になりますよね。 結論、こめかみが痛いだけであれば、脳梗塞の可能性は低く、偏頭痛や緊張性頭痛といった「一時性頭痛」である可能性が高いです。 ただし、会話ができない症状や手足のしびれも伴う場合は、脳梗塞の可能性も否定できません。こめかみの痛み以外の症状もみられる場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。 本記事では、こめかみの痛みや原因、脳梗塞の関係性や受診のサインについて詳しく解説します。 記事を参考に、自分のこめかみの痛みが脳梗塞の症状なのかを見極め、受診すべきかどうか検討しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、脳梗塞の後遺症改善や再発予防として再生医療を行っています。可能です。 メール相談またはオンラインカウンセリング にて無料相談を受け付けています。気になる方はお気軽にご相談ください。 こめかみが痛いだけなら脳梗塞の可能性は少ない こめかみが痛む原因の多くは、偏頭痛や緊張型頭痛などの「一次性頭痛」と呼ばれるものです。 脳梗塞による頭痛(二次性頭痛)が発生する場合手足のしびれやろれつが回らないなど他の症状もあらわれることが多くあります。 よって「こめかみが痛い」のみの症状の場合は脳梗塞を強く疑う必要はありません。 ただし症状の程度や頻度によっては注意が必要です。 普段よりも激しい頭痛の場合は、脳梗塞の可能性も否定できないため、すぐに受診するようにしてください。 脳梗塞の症状や原因など、包括的な解説を見たい方は「脳梗塞とは|症状・原因・治療法を現役医師が解説」をご覧ください。 また、脳梗塞の前兆について詳しく知りたい方は、以下のコラムも参考にしていただけると幸いです。 こめかみが痛くなる主な原因3つ こめかみが痛くなる主な原因は、以下の3つです。(文献1) 偏頭痛 緊張型頭痛 群発頭痛 頭痛のタイプによって原因が異なるため、それぞれの症状や特徴を知り、自分の頭痛が上記にあてはまるかどうか確認してみてください。 1:ズキズキ痛む「偏頭痛」 偏頭痛の特徴は、頭の片側が脈に合わせて「ズキズキ」と痛む症状です。 偏頭痛の一因として、以下があげられます。 ストレス 睡眠不足 ホルモンバランスの乱れ など 光や音などが刺激となり、脳血管が急激に拡張することで周辺の神経を刺激して痛みが起こります。痛みの悪化により吐き気が伴う場合も考えられるでしょう。 また、偏頭痛が脳血管疾患の中でも頻度の高い症状です(文献2)。 こめかみがズキズキするタイプの方は、まずは安静にして様子を見るようにしましょう。 痛みが強い場合は鎮痛剤の使用で改善も期待できます。 2:ギューッと痛む「緊張型頭痛」 こめかみがギューッと締め付けられるような痛みの場合は「緊張型頭痛」が考えられます。 緊張型頭痛は肩や首の筋肉が凝り固まって血流が悪くなることで引き起こされます。 とくに現代はパソコンやスマートフォンの長時間使用で緊張性頭痛が誘発されるケースが多く見られます。 長時間下を向いたり、パソコン作業をする姿勢が悪かったりすると緊張型頭痛が起こる原因になりかねません。 頭痛と一緒に肩や首のコリも感じる方は、ストレッチやマッサージなどを定期的に行いましょう。 3:激しい痛みが繰り返される「群発頭痛」 こめかみ目の奥に我慢できないほど強い痛みが繰り返される場合は「群発頭痛」の疑いがあります。 群発頭痛は、数週間から数カ月にわたり毎日同じ時間帯に繰り返し生じる特徴的な頭痛です。 また、以下の症状を伴うケースも多く見られます。(文献3 ) 目の充血 鼻づまり 発汗 まぶたの腫れ など 群発頭痛の原因は明確になっていませんが、脳神経や血管の異常が原因との諸説もあります。(文献1) セルフケアのみでの改善は困難なため、群発頭痛の可能性がある場合は、早めに専門医を受診して適切な治療を受けましょう。 こめかみの痛みだけじゃない!脳梗塞の可能性がある症状 こめかみの痛みが脳梗塞のサインである場合、以下のような他の症状を伴うことが多いです。 手足のしびれ ふらつき ろれつが回らない 嘔吐 目が見えにくい 顔の片側が動かしにくい など 偏頭痛のような一次性頭痛は神経や筋肉の異常が原因で起こります。 一方で二次性頭痛は脳梗塞のような他の病気が原因で引き起こされます。 一時性頭痛と二次性頭痛の違いや見分け方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。 【要チェック】脳梗塞になりやすい人の特徴 脳梗塞になりやすい人の特徴として、以下6つがあげられます。 1.血圧高い人 2.血糖値が高い人 3.コレステロール・中性脂肪が高い人 4.心臓の病気を持っている人 5.腎臓の病気を持っている人 6.肥満体質の人 上記が引き金となり、脳梗塞にかかるリスクがあります。 該当する方は、脳梗塞のリスクがあることを理解して、治療に専念しましょう。 1:血圧が高い人 高血圧は脳梗塞を引き起こしやすい要素の1つです。 血圧が高いと血管が傷つき、血のかたまり(血栓)ができやすくなります。 できた血栓が脳血管を詰まらせると、脳梗塞を引き起こすリスクがあります。 血圧の上昇を防ぐためには、以下のような基本的な生活習慣の見直しが大切です。 塩分控えめの食事を摂る 定期的な運動を行う 飲酒や喫煙を控える これらを日常で心がけると、血圧が正常値に近づき、脳梗塞のリスクの低減も期待できます。 高血圧症の治療を行っている場合は、専門医の指示のもとで適切な治療を継続しましょう。 2:血糖値が高い人 生活習慣病のひとつである「糖尿病」も脳梗塞のリスクを高めます。 血糖値が高い状態が続くと、血管が硬くなり(動脈硬化)、血流が妨げられます。 その結果脳梗塞のリスクが上がるため、糖尿病の方は血糖値の改善が大切です。 主に血液検査の項目にある「HbA1c」により治療の可否を判断する場合が多いです。 「HbA1c」の目標値は以下のとおりです。(文献4) HbA1cの目標 HbA1c(%) 血糖値の正常化 6.0未満 合併症予防 7.0未満 治療が困難な場合 8.0未満 血糖値を正常に保つためには生活習慣を整えるほか、専門医の指示に従って治療薬を継続することが大切です。 3:コレステロール・中性脂肪が高い人 悪玉コレステロール(LDLコレステロール)と中性脂肪(TG)の数値が高い人も注意が必要です。 血液中のコレステロールや中性脂肪が増加すると、血管内に脂質が蓄積され、血管が詰まりやすくなります。その結果、脳梗塞になる可能性も否定できません。 とくに以下の脳梗塞がコレステロール・中性脂肪の高値が原因となり、引き起こされます。(文献5) 脳梗塞の種類 詳細 アテローム血栓性脳梗塞 大きな脳血管が詰まる ラクナ梗塞 細い脳血管が詰まる 健康診断でコレステロールの数値を指摘された場合は、食生活の改善や定期的な運動を行いましょう。 4:心臓の病気を持っている人 心房細動や心筋梗塞などの心臓の病気を持っている人も、脳梗塞のリスクが高いといえます。 心臓の病気により、通常は一定のリズムで動いている心臓が不規則になると、血栓ができやすくなります。 この血栓が脳血管に詰まることで脳梗塞を引き起こすのです。 心臓の病気が原因で起こる「心原性脳梗塞」は、脳梗塞の中でも最も重症と言われています。そのため、早期の心臓病の治療や予防が大切です。 専門医により適切な治療を行えば、脳梗塞になるリスクを半数以上減らせることがわかっています。心臓の病気の治療中の方は、定期的な受診と治療を怠らないようにしましょう。 5:腎臓の病気を持っている人 慢性腎臓病(CKD)の人は、脳梗塞のリスクが高くなります。(文献6) 腎臓の機能が低下すると血圧コントロールや老廃物の排出ができなくなり、血管に負担がかかります。そのため、動脈硬化が進行し、脳梗塞のリスクを高めるのです。 腎機能の指標となる数値(糸球体ろ過率:GFR)の低下やタンパク質尿の存在も脳卒中の発症リスクを高める要因です。 腎臓病と診断された方は、専門医の指示で塩分控えめの食事や血圧管理など悪化を防ぎましょう。 6:肥満体質の人 肥満は前述した高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を引き起こす一因です。 生活習慣病のリスクが上がることで、間接的に脳梗塞のリスクを高める可能性があります。 肥満には以下2種類のタイプがあります。(文献7) 肥満のタイプ 詳細 内臓脂肪型肥満(リンゴ型) 腹部に脂肪が蓄積 皮下脂肪型(ナシ型) 体の下半身(お尻や太ももなど)に脂肪が蓄積 とくに内臓脂肪型肥満の方は生活習慣病になりやすいため、注意が必要です。 肥満気味の方は無理のない範囲で食生活や運動の改善を心がけてみてください。 このほか、もやもや病でも脳梗塞のリスクがあります。詳しく知りたい方は、下記のコラムを参照してください。 【脳梗塞以外】こめかみが痛むときに考えられる危険な病気 こめかみの痛みが生じる脳疾患は、脳梗塞だけではありません。以下の脳疾患によりこめかみの痛みが生じる場合もあります。 脳疾患 頭痛の特徴 くも膜下出血 今までに経験したことがないほどの激しい痛み 脳腫瘍 弱い頭痛から激しい頭痛へ移行 側頭動脂炎 こめかみの激しい痛みで、押すと圧痛がある 急性硬膜下出血 何かにぶつかったような激しい痛み 上記の脳疾患も、脳梗塞と同様に意識障害や麻痺など他の症状を伴う場合があります。 「ただの頭痛だから」と侮らずにいつもと違う感じがしたらすぐに受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、脳卒中の後遺症や再発予防として再生医療を提供しています。詳しく知りたい方は、下記のぺージをご覧ください。 こめかみが痛いときにできる5つのセルフケア こめかみが痛い症状を軽減するためには、原因に応じた適切なセルフケアが効果的です。 具体的な方法は以下のとおりです。 頭痛の種類 セルフケア 偏頭痛 1.ズキズキする部分を冷やす 2.暗室で横になって休む 緊張型頭痛 3.首や肩のこりも感じたら温める 4.定期的な運動をする 5.スマホの使用を控える 偏頭痛や緊張型頭痛といった一時性頭痛は、これらのセルフケアによって改善が期待できます。こめかみの痛みで悩んでいる方は、本章で解説している方法を実践してみてください。 1:【偏頭痛】ズキズキする部分を冷やす 偏頭痛の場合は、痛みがあるこめかみの部分を冷やすと改善する可能性があります。そのため、患部を冷やすことで広がった血管が収縮し、頭痛の緩和が期待できます。(文献1) 片頭痛の方は保冷剤や氷をタオルで包み、患部に数分間当ててみてください。 ただし、長時間冷やし続けると凍傷のリスクもあるため注意が必要です。 「冷やし過ぎた」と感じた場合は、一旦保冷剤を皮膚から離して休ませましょう。 2:【偏頭痛】暗室で横になって休む 偏頭痛は、光や音に敏感になっている状態です。そのため、暗室で横になりゆっくり休むようにしましょう。(文献1) 暗室で休むときが難しい場合は、以下の方法で光や音を遮ることもおすすめです。 遮光カーテン アイマスク 耳栓 など スマホやパソコン、テレビなどのブルーライトも偏頭痛を悪化させる一因です。頭痛が治まるまで、スマホの使用も避けるようにしましょう。 3:【緊張型頭痛】首や肩のこりも感じたら温める 首や肩の筋肉が緊張して凝り固まり、血行が悪化すると緊張型頭痛が引き起こされます。 そのため、温めることで筋肉をほぐすと、血行と頭痛の改善が期待できるでしょう。 緊張型頭痛の方の場合は、以下の方法で首や肩を温めると効果的です。 蒸しタオルを凝っている部分にあてる 湯船にゆっくりつかる など 首や肩の凝りとともに頭痛も解消される可能性があるため、ぜひ実践してみてください。 4:【緊張型頭痛】定期的な運動をする 緊張型頭痛になる一因として、運動不足も考えられます。思い当たる方は、日常的に軽い運動を取り入れてみましょう。 体を動かすことで血行が良くなり、頭痛の緩和が期待できます。 また、運動は継続が大切です。1時間ランニングするなどはハードルが高くなり、途中でやめてしまう可能性があります。 ウォーキングやストレッチなど、手軽で始めやすい運動がおすすめです。 無理のない範囲で、運動を習慣化しましょう。 5:【緊張型頭痛】スマホの使用を控える 長時間にわたるスマホの使用は、猫背やうつむき姿勢が続くため肩こりや頭痛の原因になります。 また、ブルーライトを浴びることで目の疲れや頭痛の悪化も考えられます。 こまめに画面から目を離して目を休ませることが大切です。 さらに、猫背の自覚がある方はスマホを使用する際に姿勢を正すように気をつけましょう。 また、頭の痛みはツボ押しでも改善されることが期待できます。詳細を知りたい方は下記のコラムも参考にしてください。 こめかみが痛いとき受診すべきサイン こめかみが痛いときに以下の症状がある場合は、すぐに受診しましょう。 手足のしびれ めまい ろれつが回らない 今までにない激しい頭痛 上記の症状は脳梗塞の初期症状として知られています。 脳梗塞の場合は治療が早いほどその後経過が良好となり、後遺症のリスクも下げられます。 また、群発性頭痛の場合も病院での治療が効果的です。群発頭痛の場合も早めに受診するようにしましょう。 脳梗塞の前兆は以下の記事でも解説しています。こめかみの痛みで脳梗塞かどうか不安な方はあわせてチェックしてみてください。 まとめ|こめかみが痛い症状と不安から解放されましょう こめかみの痛みのみの場合は、脳梗塞であるリスクは低いと考えられます。 しかし、手足のしびれやろれつが回らないなどの症状を伴う場合は、脳梗塞の可能性があるため迷わずすぐ受診するようにしてください。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による脳梗塞の後遺症改善や再発予防治療を行っています。 もしすでに違和感があるなら、悩まず当院のメール相談もしくはオンラインカウンセリング にてお気軽にご相談ください。 こめかみの痛みで脳梗塞を疑うときによくある質問 脳梗塞の前触れ症状は? 脳梗塞の症状は突然あらわれることが多いため、以下のような前兆症状に注意が必要です。(文献8) めまい 激しい頭痛 ろれつが回らない症状 手足のしびれ ふらつき など 脳梗塞の早期発見・早期治療はその後の経過を大きく左右するため、些細な変化も見逃さないようにしてください。 脳梗塞の前兆のチェックリストを詳しく見たい方は、下記のコラムを参考にしてください。 脳梗塞になる前に予防できることは? 脳梗塞の危険因子となる高血圧や糖尿病などを改善・予防するためには、生活習慣の改善が大切です。 以下のように生活習慣を改善すると、脳梗塞の予防につながります。 塩分や糖分を控えめにした食事 禁煙 適度な運動 飲酒 など ひとつでもできそうなことを、ぜひ日常生活に取り入れてみてください。 脳梗塞の予防について詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしていただけますと幸いです。 右のこめかみだけが痛むのはなぜですか? 片側のこめかみだけが痛む場合は、片頭痛の可能性が高いと考えられます。 片頭痛は片側のみの頭痛であることが多く、めまいや吐き気を伴うこともしばしばあります。 光や音に過敏に反応して悪化するケースもあるため、片側だけの頭痛の場合は暗室でゆっくり休みましょう。 片頭痛の原因としてはストレスや不眠、ホルモンバランスの乱れなどの生活習慣も考えられます。 片頭痛でお悩みの方は、一度自分の生活習慣を見直してみると良いでしょう。 (参考文献一覧) 文献1 日本脳神経学会 日本頭痛学会 日本神経治療学会 頭痛の診療ガイドライン2021., 医学医院, 2021p473 文献2 竹島多賀夫.片頭痛と睡眠. 神経治療 Vol. 39 No. 4(2022), p564-568 文献3 群発頭痛. 日本頭痛学会. https://www.jhsnet.net/ippan_zutu_kaisetu_04.html, 2024.12.18. 文献4 日本糖尿病学会 糖尿病診療ガイドライン2024,南江堂, 2024.p27-35 文献5 北川 一夫,脂質異常症と脳卒中.慢性腎臓病(CKD)と脳卒中 . 脳卒中36: 144–146, 2014, 文献6 勝又 俊弥.慢性腎臓病(CKD)と脳卒中 . 脳卒中 36 巻 2 号(2014:3), p120-124 文献7 肥満と健康e-ヘルスネット,2019.12.17,https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-001.html.2024.12.18 文献8 脳血管障害・脳卒中,2023.4.26.7,https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-006.html,.2024.12.18
2025.01.24 -
- 脳梗塞
- 脳卒中
- 頭部
「閃輝暗点から脳梗塞に進展する確率を知りたい。」 「閃輝暗点が出たらどうしたら良いのだろう?」 この記事を読んでいるあなたは、「閃輝暗点」と脳梗塞の関係について、不安に思っているのではないでしょうか。 「受診の目安や受診先を知りたい」と思っているかもしれません。 結論として、閃輝暗点が脳梗塞の前兆となる可能性はあります。過度に恐れる必要はありませんが、脳梗塞であった場合のリスクを考えて受診をおすすめします。 本記事では、閃輝暗点が脳梗塞の前兆である確率や、脳梗塞の場合の症状やサインなどを現役医師が詳しく解説しています。記事を最後までご覧いただくことで閃輝暗点と脳梗塞の関係を理解し、適切な対処ができるようになるでしょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 閃輝暗点と脳梗塞について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 閃輝暗点とは?脳梗塞との関係性 項目 閃輝暗点とは 脳梗塞との関係性 症状の特徴 ジグザグ・キラキラした光や模様が視界に現れ、一時的に見えにくくなる 脳の視覚野の血流低下や血管攣縮で似た症状が現れることがある 持続時間 数十分以内で自然に消失 持続する場合や他症状を伴う場合は脳梗塞やTIAの可能性 よくみられる原因 片頭痛の前兆 脳血管の障害や一時的な脳の血流障害 注意すべきサイン 中高年で頭痛を伴わず初発・繰り返すケース 麻痺や言語障害、視覚異常など他の神経症状が同時に出現 リスクが高まる条件 前兆を伴う片頭痛がある45歳未満女性 片頭痛に喫煙・経口避妊薬を併用すると脳梗塞リスクが7〜9倍に上昇 おすすめの対応 症状や経過の記録、心配な場合は脳神経外科受診 初発や異常を感じた場合はMRIやCTによる早期精密検査 閃輝暗点とは、視界にギザギザした光やチカチカした模様が現れ、数分から30分程度続く一過性の視覚異常です。多くの場合は片頭痛の前兆として生じますが、脳の血流障害が原因となることもあり注意が必要です。 閃輝暗点の初期症状や治療法など、包括的な解説を見たい方は「【医師監修】閃輝暗点とは|放置によるリスクから初期症状・治療法まで詳しく解説」をご覧ください。 脳梗塞では、血流が障害されることで視覚異常が起こることがあります。片頭痛に伴う閃輝暗点と、脳梗塞に関連する視覚症状は、症状の経過や見え方に違いがあるため、区別することが大切です。 とくに初めて経験した場合や、これまでと異なる症状が出た場合には、速やかに医療機関を受診し、必要に応じて検査を受けることが推奨されます。 閃輝暗点の見え方については「【医師監修】閃輝暗点の見え方について解説|片目だけ・初めての症状は危険?」をご覧ください。 閃輝暗点が脳梗塞の前兆である確率は低い 閃輝暗点が脳梗塞の前兆である確率は高くありません。 多くの場合は片頭痛に関連した現象であり、直接脳梗塞に結びつくことは少ないとされています。しかし、これまでの研究では脳梗塞の前兆として閃輝暗点が出現した例も報告されています。 とくに40歳以上の方や、高血圧・糖尿病・不整脈といった生活習慣病を有する場合には注意が必要です。症状の頻度が急に増えたり、見え方がこれまでと異なったりする場合は、一過性脳虚血発作(TIA)など脳血管障害のサインである可能性も考えられます。 脳梗塞は早期に発見し適切な治療を受けることで、進行や悪化を防げるケースもあります。不安を感じた際には、速やかに脳神経外科などを受診しましょう。 以下の記事では、脳梗塞の前兆について詳しく解説しています。 【症状例】閃輝暗点から脳梗塞を発症した2つのケース 発症ケース 詳細 ケース1. 閃輝暗点から片頭痛になり脳梗塞を発症する 閃輝暗点が片頭痛の前兆として発生し、通常は数十分で消失。片頭痛の後に手足のしびれや脱力感が加わり、脳の後頭葉で脳梗塞が診断された例。片頭痛による血管の収縮が血栓を作り脳梗塞へ進展する可能性 ケース2. 頭痛のない閃輝暗点から脳梗塞を発症する 頭痛を伴わない閃輝暗点が突然起き、視野の一部欠損や見え方の異常が続く。脳の後頭葉に脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)が発生し血流障害による症状。自己判断が難しく受診による画像診断が必要 閃輝暗点から脳梗塞になる際は、片頭痛発作の後になるパターンと頭痛なしで脳梗塞になるパターンがあり、症状や経過によって背景にある病態は異なります。 片頭痛に続いて脳梗塞が発症するケースでは、血管の収縮や血栓形成が関与すると考えられています。一方、頭痛を伴わない閃輝暗点は一過性脳虚血発作(TIA)の前兆で、見逃すと脳梗塞につながる危険があります。いずれの場合も自己判断は難しく、早期の受診と検査が重要です。 ケース1. 閃輝暗点から片頭痛になり脳梗塞を発症する 年齢・条件 脳梗塞発症リスクの増加 45歳未満の前兆のある片頭痛女性 脳梗塞リスクが2倍 50歳未満の前兆のある片頭痛女性(年12回以上の発作がある場合) 脳梗塞リスクが2~10倍 閃輝暗点とは、視界にギザギザした光が現れ数十分でおさまる、片頭痛の前兆です。片頭痛は、脳梗塞のリスクを増加させる可能性があります。 また、喫煙する人や経口避妊薬を服用している人は、脳梗塞の発症リスクが7〜9倍になると報告されています。 若年者で脳梗塞は稀です。しかし、閃輝暗点を伴う片頭痛がある人ではリスクが2倍以上に高まります。 以下の記事では、片頭痛を含む頭痛の危険性について詳しく解説しています。 ケース2. 頭痛のない閃輝暗点から脳梗塞を発症する 項目 内容 頭痛を伴わない閃輝暗点 脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)の前兆の可能性 発症の特徴 突然の視覚異常が数分~数十分で回復するが脳血管異常のサイン 発生部位 視覚情報を処理する脳の後頭葉 主な症状 視野欠損や視界の異常 自己判断の難しさ 脳梗塞かどうかの判断が困難 受診の推奨 初めての症状や異常な経過時は脳神経外科または内科での検査が必要 閃輝暗点は、視界にギザギザやチカチカした光が現れる一過性の視覚異常で、多くは片頭痛の前兆として起こります。 頭痛を伴わない閃輝暗点の中には脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)の前兆として現れることもあります。TIAは数分から数十分で自然に回復するものの、将来的に脳梗塞へ進展するリスクが高い病気です。 脳の部位である後頭葉は、視野を司る部位であり、血流障害が生じると視野の欠損、視覚異常などが起こります。 頭痛を伴わない閃輝暗点は脳梗塞の兆候の可能性があるため、自己判断せず医療機関を受診することが重要です。 脳梗塞のサインとして現れる視覚異常の特徴 視覚異常の特徴 詳細 片側だけが見えにくくなる(半盲) 脳の後頭葉や視覚路の障害による、左右どちらかの視野が欠ける状態 視界の一部が欠ける(視野欠損) 視界の一部分が見えなくなり、日常生活に支障をきたす視覚障害 物が二重に見える(複視) 脳神経の障害により物が二重に見える状態。両眼で見ると二重に見えることが特徴 急に視力が落ちる・かすむ 突然の視力低下やぼやけ、ピントが合わない状態 目の奥が我慢できないほど痛む 脳や神経の異常による強い眼球奥の痛み。頭痛や吐き気を伴うこともある 脳梗塞のサインとして、半盲、視野欠損、複視、急な視力低下やかすみ、強い眼痛などの視覚異常が現れることがあります。 これらは脳の後頭葉や視覚に関わる神経の異常による症状であり、脳梗塞の前兆の可能性もあります。症状が突然出たり繰り返す場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。 片側だけが見えにくくなる(半盲) 項目 内容 半盲とは 両目の同じ側の視野が欠ける状態 発症の原因 脳梗塞による視放線や後頭葉の血流障害 欠損視野の左右 右脳障害で左視野欠損、左脳障害で右視野欠損 日常生活での影響 欠けた視野に気づきにくく、壁にぶつかるなど支障 注意点 視野欠損の多くは脳梗塞起因、中年以降はとくに注意 半盲は、視野の半分が突然見えなくなる視覚障害です。右側または左側の視野全体が欠け、真っ黒に見える、あるいは見えない壁があるように感じることが特徴です。 原因は、視覚情報を処理する後頭葉や視放線といった経路が、脳梗塞によって障害されることです。閃輝暗点が光のジグザグや一部の欠けとして現れるのに対し、半盲は広範囲が失われる点で異なります。 自身では気づきにくく、物にぶつかる、文字の一部が読めないなど日常生活に支障をきたします。半盲は脳梗塞の重要なサインであり、出現した際には速やかに医療機関で診察とMRIなどの検査を受けることが重要です。 視界の一部が欠ける(視野欠損) 項目 内容 見え方の特徴 視界の片側一部が見えなくなる、文字の一部が欠ける、かすかに光が見えるが全体的に欠損感あり 日常生活での気づき 通路や道で片側から人や柱にぶつかる、読書や画面で文字の一部が突然見えなくなる 原因 脳梗塞による後頭葉や視覚伝導路の損傷で視覚情報が脳に届かなくなること 自覚症状 視野の一部が黒く抜けたように感じることがあり、症状が固定する場合もある 注意点 目の問題ではなく脳の障害によるもので、早期受診が重要 視野欠損とは、視野の一部が欠けて見えなくなる状態で、閃輝暗点と異なり光を伴わず見えない、ぼやけるといった症状が持続するのが特徴です。 脳梗塞による後頭葉や視覚経路の障害で起こり、片側の視野が欠ける、文字が読めない、黒く抜けたように見えるなどの症状として現れます。 日常では、人や柱に片側からぶつかることで気づかれることもあり、一部は回復するものの固定して残る場合もあります。目の異常ではなく脳の障害による重要なサインであり、脳梗塞の可能性があるため、早期の受診とMRI検査などによる確認が必要です。 物が二重に見える(複視) 複視とは物が二重に見える症状で、脳幹の血流障害により眼球を動かす神経が障害され、左右の目が協調して動かなくなることで起こります。 動眼神経の障害で目の動きやまぶたに異常が生じ、複視は脳梗塞のほか脳腫瘍・動脈瘤・頭部外傷でも起こります。突然の複視は脳卒中の重要なサインのひとつであり、片目が動かしにくい、二重に見えるといった症状が現れた場合は、速やかに医療機関で検査を受けることが重要です。 急に視力が落ちる・かすむ 項目 内容 原因 脳への血流遮断による後頭葉や視覚経路の障害 急な視力低下・かすみ 片側眼または両眼での急激な視力低下やぼやけ 一過性黒内障 片眼の視野がカーテンのように暗くなる、一時的な血流遮断による症状 後頭葉梗塞の影響 右脳後頭葉障害による両眼の左側視野欠損(同名半盲)、視界の欠損や薄暗さ 閃輝暗点との違い 閃輝暗点は光や模様の視覚異常、こちらは直接的な視力低下や視野欠損を伴う症状 急な視力低下やかすみは、脳梗塞による視覚野や視覚経路の血流障害で起こる重要なサインです。代表的なものに一過性黒内障があり、片目だけ突然暗くなり、カーテンが下りるように視野が遮られます。 これは頚動脈の血栓による一時的な血流遮断が原因です。また、後頭葉の梗塞では両眼の同じ側に視野欠損(半盲)が生じ、視界が欠けたり全体が薄暗く見えることがあります。 閃輝暗点が光や模様を伴う一過性の現象であるのに対し、これらは直接的な視力低下や持続する視野障害が特徴です。こうした症状が現れた場合は、脳梗塞の可能性を考慮し、速やかな受診と検査が必要です。 目の奥が我慢できないほど痛む 目の奥の激しい痛みは、多くの場合は眼精疲労やドライアイ、緑内障発作、群発頭痛など目や頭の病気が原因です。しかし、まれに脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)、さらには脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血といった脳血管障害の前兆として現れることがあります。 とくに突然の強い痛みに加えて視力低下、視野の欠損、物が二重に見えるなどの症状を伴う場合、あるいはしびれ・麻痺・言語障害が一緒に出る場合は注意が必要です。 これらは脳卒中の緊急サインであり、速やかな受診、場合によっては救急要請が推奨されます。 以下の記事では、目の奥の痛みと脳梗塞の関係性を詳しく解説しています。 【脳梗塞?】閃輝暗点が起きたときの受診の目安 受診の目安 詳細 身体の麻痺・しびれ、視覚異常、言語障害の有無をチェック 手足の麻痺やしびれ、視覚の変化、言葉がうまく話せない症状の有無の確認 「初めて」「頻度・性質・持続時間が変わった」ときは要注意 閃輝暗点が初発の場合や、症状の頻度・強さ・持続時間に変化があった場合は早めの受診推奨 閃輝暗点は多くの場合、片頭痛の前兆として現れますが、稀に脳梗塞のサインの可能性もあります。そのため、ただの片頭痛と自己判断せず、受診の目安を知っておくことが大切です。 とくに手足の麻痺やしびれ、視覚異常、言葉が出にくいなどの神経症状を伴う場合、また初めて症状が出たときや頻度・性質・持続時間に変化がある場合は注意が必要です。受診の目安は示されていますが、少しでも異変を感じた場合は早めの受診が重要です。 身体の麻痺・しびれ、視覚異常、言語障害の有無をチェック 閃輝暗点は多くの場合、片頭痛の前兆として現れる一時的な視覚症状ですが、稀に脳梗塞などの脳血流障害の前兆として発症します。 脳梗塞では視覚異常に加えて片側の手足の麻痺やしびれ、言葉が出にくい、理解が難しいといった言語障害を伴うことが多く、これらは血流が途絶えた部位の機能障害を反映する重大な兆候です。そのため閃輝暗点が起きたときには、麻痺やしびれ、普段と異なる視覚障害、言葉のもつれや認知障害がないかを確認することが重要です。 こうした症状を伴う場合は脳梗塞の可能性が高いため救急受診が必要であり、視覚症状のみであっても頻度や性質が変化する際には早めに医療機関を受診することが重要です。 「初めて」「頻度・性質・持続時間が変わった」ときは要注意 閃輝暗点は多くの場合、片頭痛の前兆として一過性に現れますが、初めて症状が出た場合には脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)など脳の血流障害による可能性もあります。とくに40歳以降で初発の場合は、医療機関で検査を受けることが推奨されます。 また、以前から閃輝暗点がある方でも、出現頻度が急に増えたり、見え方がこれまでと異なったり、症状が長引く場合には注意が必要です。こうした変化は単なる片頭痛の前兆ではなく、脳の血管異常を示す可能性があります。 閃輝暗点は多くが一過性ですが、脳梗塞の早期サインと重なることもあるため、自己判断せず、異変を感じた際には早急に医療機関を受診しましょう。 【脳梗塞?】閃輝暗点が起きたときの対処法 対処法 詳細 眼科ではなく脳神経外科を受診する 閃輝暗点は脳が原因の症状のため、眼科ではなく脳神経外科の受診が必要 脳梗塞を見逃さないためにCTやMRI検査を受ける 脳神経外科で問診・診察後、頭部CTやMRIで脳梗塞の有無を詳しく確認 脳梗塞と診断された場合は血栓回収療法を受ける 脳梗塞診断後は血栓を取り除く治療(血栓回収療法)などを早期に開始することで重症化予防が可能 閃輝暗点は多くの場合片頭痛の前兆ですが、稀に脳梗塞のサインとして発症します。とくに手足の麻痺やしびれ、言葉のもつれなど他の神経症状を伴う場合は、自己判断せず速やかに受診することが重要です。 眼の病気と思って眼科に行く方もいますが、原因は脳にあるため脳神経外科を受診する必要があります。診察後には頭部CTやMRIで脳梗塞の有無を詳しく確認し、脳梗塞と診断された場合は血栓回収療法など早期治療を開始することで重症化を防止できます。 眼科ではなく脳神経外科を受診する 閃輝暗点は一見すると目の病気のように感じられますが、実際には脳の血流異常や神経の働きの異常が関与していることが少なくありません。 脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)が背景にあり、正確な診断のためには脳を専門とする脳神経外科や神経内科の受診が必要です。眼科は緑内障や網膜剥離など目そのものの疾患を対象とする診療科であり、脳の異常を十分に評価することは困難です。 一方、脳神経外科や神経内科ではCTやMRIといった画像検査によって脳の血管や神経の状態を詳細に確認でき、脳梗塞の早期発見や適切な治療につながります。とくに初めて症状が出現した場合や経過がこれまでと異なる場合、さらに麻痺や言語障害を伴う場合には、速やかに医療機関を受診することが重要です。 脳梗塞を見逃さないためにCTやMRI検査を受ける 項目 内容 脳出血の除外 急な症状発症時にCTで脳出血の有無を迅速確認、治療方針決定に必須 初期脳梗塞の検出 MRIの拡散強調画像(DWI)で小さな梗塞や見落としやすい領域も高精度で把握 血栓位置・血流状態の把握 CTAやMRAで血栓の位置や範囲を特定し、適切な血栓回収療法やt-PA投与の判断につなげる 診断精度の向上・誤診防止 症状だけでは片頭痛等との区別困難なため、画像検査で脳以外の原因との鑑別を可能に 脳梗塞の診断にはCTやMRIが欠かせません。CTは脳出血の有無を迅速に確認でき、治療方針の決定に直結します。MRIは発症直後のごく小さな梗塞も捉えられ、とくに後頭葉など見落としやすい部位の診断に有用です。 CTAやMRAで血管の詰まりを把握でき、血栓回収療法など治療の適応判断に役立ちます。症状だけでは片頭痛などとの区別が難しいため、画像検査による早期評価がより正確な診断につながる可能性があります。 以下の記事では、MRI検査について詳しく解説しています。 脳梗塞と診断された場合は血栓回収療法を受ける 項目 内容 血栓回収療法の目的 詰まった血栓を機械的に取り除き、血流を再開させる治療 脳細胞の壊死防止 血流遮断による脳細胞の死滅進行を抑え、後遺症の軽減を図る 高い再開通率 カテーテル使用で約90%の再開通率 治療可能時間の拡大 発症から最大24時間まで治療可能な場合があり、発症から時間が経過していても治療を受けられる可能性がある 後遺症リスク軽減と社会復帰支援 早期治療により麻痺や言語障害の後遺症を減らし、生活や社会復帰の支援を促進 脳梗塞は、血栓によって脳の血管が詰まり、神経細胞に酸素や栄養が届かなくなることで急速に壊死が進行し、重い後遺症や生命の危険を招く疾患です。血栓回収療法は、カテーテルを用いて血栓を直接除去し血流を再開させる治療であり、高い再開通率が報告されています。 脳梗塞では、発症から最大24時間まで適応可能な場合があり、発症時刻が不明なケースや発症から4.5時間を超えた患者にも治療の選択肢が広がっています。早期に血流を再開することで脳細胞の壊死を最小限に抑え、後遺症を軽減し社会復帰や自立につなげられるため、速やかな血栓回収療法は命と生活の質を守る上で極めて重要です。 以下の記事では、脳梗塞の治療や後遺症について詳しく解説しています。 脳梗塞の予防策 予防策 詳細 高血圧を防ぐ 定期的な血圧測定と記録、減塩や適度な運動による生活習慣改善 片頭痛をコントロールする 医師の診断と薬物療法、ストレス管理や規則正しい生活習慣の維持 定期健診を受ける 健康状態の把握と早期発見のための血圧、血糖、脂質検査の継続 脳梗塞の予防には、高血圧の管理、片頭痛のコントロール、定期健診の受診が重要です。高血圧は定期的な測定と記録、減塩や運動による生活習慣改善で防ぐことができます。 片頭痛は医師の診断による薬物療法や、ストレス管理、規則正しい生活でコントロールが可能です。定期健診では血圧・血糖・脂質を継続的に確認し、生活習慣病の早期発見につなげます。閃輝暗点が直接脳梗塞を起こすことは稀ですが、脳梗塞は誰にでも起こり得るため、日頃から予防策を実践することが大切です。 高血圧を防ぐ 項目 内容 脳卒中リスクの最重要因子 高血圧は脳梗塞や脳出血の主な原因であり、血圧上昇に伴いリスクも直線的に増加する 血圧の持続的上昇の影響 収縮期・拡張期ともに高い状態が続くと血管がダメージを受け、脳卒中の発症率が上昇する 血管負担軽減と動脈硬化抑制効果 血圧を下げることで血管への負担を軽減し、動脈硬化の進行を遅らせることで予防効果を発揮 脳卒中リスクの明確な低下 収縮期血圧が10mmHg下がると脳卒中リスクが約40%減少し、5mmHg低下でもリスク低下が確認されている 早期管理の重要性 高血圧の早期発症や長期持続はリスク増大と降圧薬の必要性増加につながり、早期対応が必須 発症率抑制の可能性 高血圧を完全予防できれば、脳卒中の発症率を約半分に減少させる可能性がある (文献1)(文献2) 高血圧は脳梗塞をはじめとする脳卒中の最大のリスク因子であり、血圧を下げることで動脈硬化の進行を抑え、脳卒中の発症率を減少させることが期待できます。 収縮期血圧を10 mmHg下げると脳卒中リスクが約40%低下することが報告されています。(文献1) さらには日常的な降圧で発症率を半減させる可能性もあるため、生活習慣の改善や定期測定による早期管理が極めて重要です。 以下の記事では、脳梗塞の発症予防について詳しく解説しています。 片頭痛をコントロールする 片頭痛に関連する可能性のある要因 内容 空腹 食事を抜くことや長時間の空腹状態 運動 激しい運動や身体活動 月経周期 ホルモン変化に伴う周期的な影響 天候の変化 気圧や温度の変化 光・におい・音・温度差 強い光、特定のにおい、大きな音、温度差 睡眠の乱れ(寝不足・寝すぎ) 不規則な睡眠や過不足による影響 食べ物(チョコレート・ナッツ・ワインなど) 特定の食材が誘因となる場合がある ストレス(感じる・解放される) 精神的緊張や解放後の反応 片頭痛の誘発要因として、空腹による血糖値の低下、急激な運動による身体的負担、月経周期に伴うホルモン変動、天候の変化や光・におい・音・温度差などの環境刺激、睡眠の乱れ(寝不足・過剰睡眠)、特定の食品(チョコレート・ナッツ・ワインなど)、ストレスの蓄積や解放といった要素が挙げられます。 さらに、閃輝暗点などの前兆のある片頭痛を持つ女性においては、脳梗塞の発症リスクが約2倍とされ、喫煙や経口避妊薬の併用、高頻度の発作(年12回以上)などが重なると、そのリスクはさらに上昇します。(文献3) 前兆のある片頭痛の場合は、頭痛としての対処だけでなく専門医に相談し、脳卒中のリスクを踏まえた全身的な管理を行うことが重要です。 以下の記事では、頭痛の対処法について詳しく解説しています。 定期健診を受ける 脳梗塞は、高血圧・糖尿病・脂質異常症・不整脈(心房細動)などの生活習慣病が主な原因です。これらは自覚症状が現れにくく、気づかないうちに進行して脳の血管に負担をかけ、脳梗塞を引き起こす可能性があります。 定期健診では血圧・血糖値・コレステロール値・心電図を確認でき、脳梗塞のリスク因子を早期に発見し、生活習慣の改善や薬でコントロールすることで将来の発症リスクを大きく下げられます。 また、健診で医師に相談することで、自分の体質や生活習慣に合わせた予防方法を取り入れられる点も大きなメリットです。 閃輝暗点から脳梗塞に進展する確率は低いが医療機関での受診が重要 閃輝暗点から脳梗塞に至る確率は低いとされていますが、その症状が問題ないものなのかを自身で判断することは困難です。 脳梗塞だった場合、治療が遅れると症状が悪化するリスクが高まるため、不安な閃輝暗点が現れた際は早めに脳神経外科を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、脳梗塞後の治療として再生医療(幹細胞治療)を行っています。再生医療は、脳梗塞によってダメージを受けた脳細胞の修復や麻痺の改善、リハビリ効果の向上などに効果が期待できます。 再生医療へのご質問・ご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けております。気になる点がありましたら、どうぞ気軽にご相談ください。 閃輝暗点と脳梗塞の確率に関するよくある質問 閃輝暗点から脳梗塞になる原因はスマホですか? 閃輝暗点は脳の血流低下が原因で起こるため、スマホが直接的に閃輝暗点や脳梗塞を起こす可能性は低いと考えられます。 しかし、以下のようなパターンでは、スマホの使用が閃輝暗点や脳梗塞へ間接的に影響する可能性があります。(文献4) スマホの光から片頭痛発作が起こり、脳梗塞になる 疲れているときにスマホを操作し、片頭痛発作から脳梗塞になる 悪い姿勢でのスマホ操作が続き、脳を含めた全身の血流が低下する 操作姿勢やタイミング、使用時間などを見直し、適切なスマホ使用を心がけましょう。 閃輝暗点を放置するとどうなりますか? 閃輝暗点が片頭痛の前兆だった場合、その後頭痛発作が起きると考えられます。 また、閃輝暗点が脳梗塞の前兆だった場合は、しびれ、言葉が出なくなるなどの症状が出る可能性もあります。閃輝暗点が脳梗塞に移行するかどうかを自分で判断するのは困難です。不安を感じる場合には、医療機関を受診することが望まれます。 頭痛がない閃輝暗点は危険ですか? 頭痛が伴わない閃輝暗点が出現した場合、片頭痛以外の異常が起きている可能性があります。 閃輝暗点が脳梗塞の前兆である可能性は否定できません。脳梗塞は早期対応によって予後が大きく左右されます。頭痛を伴わない閃輝暗点が見られた場合は、脳梗塞の前兆を確認するために医療機関への受診が推奨されます。 脳梗塞の後遺症が出た場合はどうすれば良いでしょうか? 脳梗塞の後遺症には、早期からのリハビリと多職種による支援が重要です。理学療法での機能回復、作業療法での日常動作支援、言語療法でのコミュニケーション回復に加え、心理的なサポートも効果的です。入院後も外来や訪問でリハビリを続けることで、機能の維持・向上につながります。 また、自己管理を取り入れることで生活の質や自立性は高められますが、リハビリは自己流ではなく、医師の指導のもとで行うことが不可欠です。医師と連携し、自分に合ったプランを進めることで、より適切で効果的な回復が期待できます。 以下の記事では、脳梗塞の後遺症について詳しく解説しています。 参照文献 (文献1) 脳卒中の1次,2次予防と血圧管理|シンポジウム (文献2) 脳血管障害・脳卒中|厚生労働省 (文献3) 性差を勘案した片頭痛診療|(日本頭痛学会誌,50:135―139,2023) (文献4) 頭痛の診療ガイドライン2021|日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会
2025.01.24 -
- 頭部
脳挫傷は、脳に外部からの衝撃や圧力が直接的に加わることで起こる疾患です。スポーツ中の衝突や交通事故、転倒などが原因になるケースが多く、軽度から重度まで損傷の程度によって症状はさまざまです。 脳挫傷を負ってから体調が優れない日が続くと、「後遺症が出るのではないか」「症状が進行するのではないか」と不安に感じる方も多いでしょう。 実際に、脳挫傷は以下のような後遺症が残りやすく、日常生活に大きく影響する可能性があります。 そのため、脳挫傷の後遺症が疑われる場合は、早期に医療機関で検査を受けることが大切です。 今回は、脳挫傷の後遺症について現役医師が解説します。 主な症状や注意点をまとめているので、正しい理解を深めるための参考にしてください。 \根本治療につながる再生医療とは/ 再生医療とは、損傷を受けた細胞や組織に対し、体が本来持っている再生能力を活用して機能回復を目指す新しい医療技術です。 従来のリハビリや投薬では難しかった脳挫傷による後遺症の改善にも、近年注目が集まっています。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 脳挫傷の後遺症(記憶障害・注意力の低下・感情のコントロール障害など)に長く悩まされている 現在のリハビリや治療で思うような改善が見られない 手術や長期入院ではなく、体への負担が少ない治療法を探している 「もう元に戻らない」と回復をあきらめかけている 「脳挫傷の後遺症を少しでも改善したい」「再生医療について詳しく知りたい」という方は、再生医療を専門とする当院リペアセルクリニックにお問い合わせください。 脳挫傷による7つの後遺症 脳挫傷とは、脳の一部が損傷している状態のことです。脳は硬膜と呼ばれる膜に包まれており、頭蓋骨の中にあります。 しかし、事故などで頭部に強い衝撃を受けると、脳が頭蓋骨にぶつかって損傷を受ける場合があります。 脳挫傷は外傷性脳損傷の一種で、主な症状は意識障害や記憶障害、頭痛などです。軽度の場合は数日で回復するものの、重度の場合は深刻な後遺症を引き起こす場合があります。 以下で、脳挫傷による主な後遺症を7つ解説するので、ぜひ参考にしてください。 高次脳機能障害 身体性機能障害 遷延性意識障害 平衡機能障害 感覚器等の機能障害 外傷性てんかん 頭痛 1.高次脳機能障害 脳挫傷による後遺症として多いのが、高次脳機能障害です。高次脳機能とは、具体的に以下のような能力を意味します。 認知 思考 判断 記憶 計画 学習 脳挫傷によって高次脳機能を司る部分がダメージを受けると、記憶障害をはじめ、集中力や判断力の低下などの症状が現れます。 高次脳機能障害の主な症状 記憶障害 集中力の低下 判断力や計画力の低下 情緒的な変化 記憶障害が現れると、新しい情報を覚えることが難しくなり、記憶力が低下します。とくに最近の出来事を覚えられなくなる「短期記憶障害」を発症するケースが多いとされています。 高次脳機能障害による症状は、学校生活や職場など、日常生活に支障をきたすため、リハビリテーションによる認知機能の回復に努めることが大切です。 2.身体性機能障害 脳挫傷によって、運動機能を司る部分が損傷すると、身体性機能障害を引き起こします。身体性機能障害とは、脳の損傷によって身体の一部が麻痺したり、身体に痛みやだるさを感じたりする症状が続く状態を意味します。 身体性機能障害の主な症状 身体の麻痺 手足の痺れ 歩行障害 バランス感覚の低下 筋力低下 身体性機能障害の症状は、リハビリテーションによって徐々に回復が見込まれるものの、完全な回復には時間がかかるといえるでしょう。 3.遷延性意識障害 遷延性意識障害も、脳挫傷による後遺症の一つです。遷延性意識障害とは、脳挫傷によって意識が完全に回復しない場合や、覚醒状態と昏睡状態を繰り返している状態を意味します。遷延性意識障害はとくに重度の脳挫傷で多く見られる後遺症です。 遷延性意識障害の主な症状 昏睡状態 意識がぼんやりとしている状態 短時間の覚醒 外部からの刺激に対する反応の低下 なお、遷延性意識障害の症状が長期間続く場合は、回復の見込みが低くなり、治療の難易度も高まります。 4.平衡機能障害 脳挫傷による後遺症には、平衡機能障害もあります。脳挫傷によって平衡感覚を司る部位が損傷すると、目が回って立っていられなかったり、歩行時にフラついたりするなどの症状が現れる場合があります。立ち上がり時や歩行時に強いフラつきを感じると、転倒のリスクが高まるため注意が必要です。 平衡機能障害の主な症状 めまいや吐き気 バランス感覚の喪失 歩行や立位の不安定性 平衡機能障害の症状がある場合は、リハビリテーションやバランス訓練などに取り組むことで、回復を目指していきます。 5.感覚器等の機能障害 脳挫傷による後遺症として、視覚や聴覚、嗅覚などの感覚器が影響を受けるケースも珍しくありません。脳挫傷によって感覚器等の機能障害が起こると、視力の低下や聴力障害、嗅覚や味覚の異常などを引き起こします。 感覚器等の機能障害の主な症状 視力の低下 耳鳴りや聞こえにくさ 味覚異常 嗅覚異常 感覚器等の機能障害は、脳の損傷部位や程度によって具体的な症状が異なります。たとえば、脳の後頭葉部分を損傷すると視覚障害が起こりやすいほか、内耳や中枢神経を損傷すると聴覚障害につながる可能性が高いでしょう。 なお、感覚器等の機能障害は生活の質の低下に直結しやすく、患者の精神的な負担も大きいといえます。 6.外傷性てんかん 脳挫傷を原因とする外傷性てんかんも、後遺症の一種です。外傷性てんかんとは、外傷による損傷をきっかけに、脳が異常な信号を発することで引き起こされます。てんかん発作は、意識の喪失や激しいけいれんを伴うほか、突然現れるため周囲の人にとっても対応が困難な状況が考えられます。 外傷性てんかんの主な症状 激しい体のけいれん 意識喪失 認知機能の低下 発作頻度の増加 てんかん発作は繰り返し発生するケースがほとんどで、時間の経過とともに頻度が増えることも珍しくありません。抗てんかん薬や適切な治療によって発作の頻度を減らせるものの、外傷性てんかんは完治が難しいとされています。 7.頭痛 脳挫傷後の頭痛は、回復過程において一般的な症状です。しかし、脳の損傷部位や炎症反応などによっては、後遺症として慢性的な頭痛や偏頭痛が長期間続く場合があります。 脳挫傷による頭痛の主な症状 慢性的な頭痛 偏頭痛 光や音への過敏症状 吐き気 脳挫傷の後遺症として慢性頭痛が現れた場合は、適切な薬物治療や生活習慣の見直しなどによって症状が改善する場合もあります。 脳挫傷の後遺症に関する注意点 脳挫傷の後遺症は、必ずしも脳を損傷後すぐに現れるとは限りません。とくに、軽度の場合は、一見回復しているように見えて、数年後に後遺症が現れたり、当事者が症状を自覚できなかったりする場合もあります。 以下で、脳挫傷の後遺症について理解しておくべき注意点を解説するので、ぜひ参考にしてください。 軽度の脳挫傷でも数年後に後遺症が現れる可能性がある 脳挫傷は頭を強く打った後、脳内で少しずつ損傷部位が拡大する場合があります。実際に、脳を損傷してからしばらくの間は問題なく過ごしていても、数年後に後遺症が現れるケースも珍しくありません。そのため、脳挫傷は初期の治療後も注意深く経過観察を続けることが大切です。 脳を損傷してから数カ月〜数年が経った後でも、記憶力や集中力の低下を感じる場合は、脳挫傷による後遺症を疑ってみてください。 たとえ軽度の脳挫傷であっても、CTスキャンやMRIなどで定期的に脳の状態を確認すると、後遺症を早期に発見できるでしょう。 再生医療に特化したリペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。脳挫傷の後遺症に該当する症状でお悩みの方は、ぜひ気軽にご相談ください。 当事者が症状を自覚できない場合がある 脳挫傷による後遺症は、当事者が症状を自覚しにくい場合があります。とくに、高次脳機能障害や軽度の身体的機能障害がある場合は、違和感があっても脳挫傷の後遺症による症状であると気づかないケースも少なくありません。 また、記憶力や認知機能が低下してしまうと、日常生活の変化や違和感そのものに気づくことが難しくなります。たとえ脳挫傷による影響とは関係がなさそうに感じられても、気になる症状があれば、医師に相談しましょう。 なお、後遺症の症状に気づくためには、周囲の家族や友人のサポートも不可欠です。日常生活での異変を感じたら、適切にアドバイスしたり、医療機関の受診を促したりすると良いでしょう。 交通事故が原因で後遺症が残った場合は慰謝料を請求する 交通事故が原因で脳挫傷を負って後遺症が残った場合は、慰謝料や損害賠償金を請求できます。慰謝料請求の手続きをする際は、医師による診断書や検査結果などが必要になるため、専門家への相談がおすすめです。 交通事故を原因とする脳挫傷で後遺症が残ったら、まずは後遺症の認定手続きをする必要があります。 適切な診断に基づき、後遺症の程度に応じて後遺症等級が認定されると、賠償金を受け取れます。慰謝料や損害賠償金の請求手続きについては、交通事故を専門とする弁護士などに詳細を確認してください。 脳挫傷の疑いがあるときは早めの受診がおすすめ スポーツや交通事故などで頭を強く打った場合には、脳挫傷が疑われます。そのため、頭を強く打ったり衝撃によって意識を失ったりした際は、症状の有無にかかわらず、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。 脳挫傷は、CTスキャンやMRIなどの画像検査による診断が行われ、脳に損傷が認められれば早期に治療を開始できます。また、初期の治療段階で後遺症が予測される場合には、リハビリテーションを実施して機能低下の予防に努めることも可能です。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。脳挫傷による症状や治療法でお悩みの方は、ぜひ気軽にご相談ください。 ▼ 頭やおでこを打ったときに疑われる病気については、以下の記事で詳しく解説しています。 まとめ・脳挫傷の後遺症を見逃さないために医療機関を受診しよう 脳挫傷による後遺症は、発症直後に必ずしも症状が現れるわけではありません。 見た目には元気そうでも、脳内では損傷が徐々に広がっている可能性もあるため、注意が必要です。 また、脳挫傷の後遺症は、当事者が症状を自覚しづらいことも特徴です。後遺症を見逃さないためには、初期の治療後も定期的な受診が不可欠です。 なお、基本的に脳の損傷は完全に修復できません。そのため、脳挫傷の後遺症とは長く付き合っていく必要があります。後遺症のような症状が続く場合には、医療機関で適切な診断と治療を受け、症状の軽減や予防に努めることが大切です。 当院(リペアセルクリニック)では、損傷した脳組織の修復や再発予防が期待できる再生医療を提供しております。 ご自身の幹細胞を使って脳の自然な修復力を引き出す治療法で、薬では改善が難しいケースや、もう回復は難しいと言われた後遺症にも、新たな可能性が広がっています。 まずは一度リペアセルクリニックへご相談ください。無料カウンセリングで、専門医が丁寧にご説明いたします。 \無料相談はこちらから/ 0120-706-313 (受付時間:9:00〜18:00)
2025.01.15 -
- 頭部
高次脳機能障害を抱えている方の日常生活には、さまざまな困難が伴います。 「高次脳機能障害によって日常生活に支障がある」「接し方がわからず困っている」など、対応の仕方に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。 高次脳機能障害によって集中力や記憶力が低下したり、社会的に適切な行動が取れなくなったりする場合には、人間関係にも影響を及ぼします。そのため、本人だけではなく、周囲の家族や介護者などもストレスを感じやすいといえるでしょう。 今回は、当事者と第三者のそれぞれの立場における高次脳機能障害への対応の仕方を解説します。高次脳機能障害の介護疲れを軽減するためのポイントもまとめているので、ぜひ参考にしてください。 高次脳機能障害とは 高次脳機能障害への対応においては、まずどのような疾患なのかを理解しておくことが大切です。高次脳機能障害とは、脳の損傷や疾患によって引き起こされる障害で、記憶力や注意力などのほか、社会的行動に影響を及ぼします。 この章では、高次脳機能障害の原因や主な治療法について解説します。 高次脳機能障害の種類や原因など、包括的な解説を見たい方は「【医師監修】高次脳機能障害とは|種類・原因・治療法を解説」をご覧ください。 高次脳機能障害の原因 高次脳機能障害の主な原因は、脳へのダメージによるものです。具体的には、以下のような原因が挙げられます。 脳血管障害(脳梗塞や脳出血、くも膜下出血など) 脳外傷(事故やスポーツによる頭部外傷) 低酸素脳症(酸素不足による脳損傷) 感染症や腫瘍(脳炎や脳腫瘍など) 高次脳機能とは、記憶や思考、判断する能力など、人が社会生活を送る上で重要なものです。しかし、脳内の血管に異常が生じたり、外部からの強い衝撃を受けたりして脳が損傷すると、脳機能に障害が起きてしまいます。 ▼ 頭やおでこを強く打ったときに考えられる疾患については、以下の記事で詳しく解説しています。 高次脳機能障害の治療法 高次脳機能障害の場合、主にリハビリテーションを中心とした治療が一般的です。高次脳機能障害は、脳の損傷部位や程度によって症状が異なるため、個別にプランを立ててリハビリテーションに取り組みます。リハビリテーションの目的は、脳の機能を回復・改善させて生活の質を向上させることです。 高次脳機能障害の症状によっては、薬物療法が用いられるケースもあります。たとえば、脳血管障害に対する血流改善薬や精神的な症状に対する薬などです。 また、最近注目を集めているのが、脳血管障害の再生医療による治療です。再生医療(幹細胞治療)の効果として、脳神経細胞の修復や再生、脳の血管を新しく再生させる作用が期待できます。 リペアセルクリニックでは、脳血管障害の再生医療を行っています。再生治療について詳しく知りたい方は、気軽にメール相談やオンラインカウンセリングをご利用ください。 5つの症状別|高次脳機能障害への対応の仕方 高次脳機能障害の代表的な症状として、次の5つが挙げられます。 注意障害 記憶障害 遂行機能障害 社会的行動障害 失語症 以下で、症状別に高次脳機能障害への対応の仕方を解説します。当事者と第三者のそれぞれの立場における対応の仕方をまとめているので、ぜひ参考にしてください。 1.注意障害 高次脳機能障害による注意障害の主な症状は、以下の通りです。 物事に集中できない 周囲の刺激に反応してしまう 気が散りやすい 注意障害への対応は、環境を整えることが最も重要です。静かな場所で落ち着いて作業をしたり、休憩を挟んだりしながら、できるだけ集中を維持できるよう工夫しましょう。 対応の仕方 当事者 短時間でできる作業に小分けする こまめに休息を取る 第三者 周囲の刺激を減らして静かな環境を整える 一つずつ作業を確認して注意の持続をサポートする 2.記憶障害 高次脳機能障害による記憶障害は、主に以下のような症状が現れます。 生活における出来事を忘れる 自分が言ったことや人に言われたことを忘れる 約束や予定を忘れる 高次脳機能障害による記憶障害では、とくに短期的な記憶に障害が生じるケースが多いとされています。記憶障害への対応には、できるだけ物事を忘れないような工夫が求められます。 対応の仕方 当事者 メモを取る習慣をつける カレンダーに予定や重要事項を書き留める アラーム機能やリマインダーアプリを活用する 第三者 習慣化や環境整備のサポートをする メモ帳やカレンダーを見て一緒に振り返る 3.遂行機能障害 遂行機能障害とは、計画を立てたり、物事を段階的に進めたりすることが難しくなる症状です。遂行機能障害は、ほかにも以下のような症状があります。 優先順位をつけられない 衝動的な行動を取る 主体的に行動できない 遂行機能障害が現れると、計画的な行動ができなくなり、結果的に無関心や無気力に見えるケースも珍しくありません。また、物事を遂行するためには集中力や記憶力も必要です。そのため、注意障害や記憶障害に対するポイントも含めて、対応の仕方を工夫しましょう。 対応の仕方 当事者 時間に余裕を持って計画する 小さな目標を設定する 作業を小さなステップに細分化する 第三者 簡潔にタスクを伝えて一緒に手順を確認する 完了したタスクをチェックリストで確認する 4.社会的行動障害 社会的行動障害は、状況に合わせた行動や言動、感情などのコントロールが難しくなり、社会生活が困難になる状態を意味します。社会的行動障害の症状は、以下のようにさまざまです。 感情をコントロールできずに急に怒ったり泣いたりする 相手と良好な関係を築けない 相手の意見に耳を傾けられない 意欲が低下して引きこもりがちになる 社会的行動障害の症状は多岐にわたるため、ケースバイケースの対応が求められます。社会的行動障害の対応で基本となるのが、生活リズムの確立です。安定した生活リズムで日々を過ごすことで、少しずつ社会に順応していけるようになるでしょう。 対応の仕方 当事者 時間に余裕を持って計画する 小さな目標を設定する 作業を小さなステップに細分化する 第三者 簡潔にタスクを伝えて一緒に手順を確認する 完了したタスクをチェックリストで確認する 5.失語症 言語障害の一種である失語症とは、言葉を理解したり話たりするなどの言語機能が損なわれた状態を意味します。脳の言葉を司る部分がダメージを受けると、以下のような症状が現れます。 言いたいことがあっても言葉にして伝えられない 人が話す内容の理解が難しい 本や新聞から内容を読み取れない 書きたくても文字を思い出せない 具体的な症状は、脳の損傷部位や程度によってさまざまです。そのため、一人ひとりの症状に合わせた対応が必要になります。 対応の仕方 当事者 絵やジェスチャーなどのコミュニケーション方法を試みる 静かな環境で落ち着いて話すことを心がける うまく伝わらないときは時間をおいて別の方法を試みる 第三者 話を聞くときは余裕を持って接する 話すときはゆっくり簡潔に伝える はい・いいえで答えられる質問をする 高次脳機能障害の介護疲れを軽減する3つのポイント 高次脳機能障害の介護は精神的かつ身体的な負担が大きく、介護者はストレスや疲労を溜め込みやすいため注意が必要です。 以下で、高次脳機能障害の介護疲れを軽減するポイントを3つ解説するので、ぜひ参考にしてください。 1.症状を理解する 高次脳機能障害の症状は、一人ひとり異なります。そのため、高次脳機能障害に対応するためには、症状の正しい理解が大切です。たとえば、どのような症状がどのようなときに強く現れるのかを把握しておくと、事前にストレスを回避するための対応ができるでしょう。 高次脳機能障害の症状を理解するためには、専門書やインターネットなどでの情報収集や、かかりつけ医やリハビリテーションの専門家への相談がおすすめです。具体的な対応の仕方を知るためには、日頃から気になる症状を書き留めておくと、相談しやすくなります。 2.医療機関に相談する 高次脳機能障害は長期にわたって支援を必要とするケースがほとんどです。介護疲れを軽減するためには、医療機関やリハビリテーションの専門家と連携しながら、適切な治療やサポートを受けることが大切です。 高次脳機能障害は気づかないうちに進行する可能性もゼロではありません。そのため、医師による定期的な診察を受け、症状の進行や改善についてモニタリングし続ける必要があります。医療機関との連携強化によって、介護の負担を軽減できるだけではなく、より適切なケアが可能になります。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。高次脳機能障害の症状や治療法でお悩みの方は、ぜひ気軽にご相談ください。 3.公的制度やサービスを利用する 高次脳機能障害に伴う介護では、公的制度や福祉サービスを利用できる場合があります。以下をはじめとする制度などを利用すると、より専門的な支援が受けられ、介護者の負担を軽減できるでしょう。 介護保険制度 障害者福祉サービス 医療費助成制度 地域支援ネットワーク たとえば、介護保険制度では、通所介護や通所リハビリテーションの利用によって、日中の介護を専門スタッフに任せられます。地域の福祉専門窓口やケアマネージャーなどに相談しながら、公的制度やサービスをうまく利用しましょう。 まとめ・高次脳機能障害は症状にあわせて対応の仕方を工夫しよう 高次脳機能障害は、一人ひとりの症状や状況に応じて対応の仕方を工夫することが大切です。高次脳機能障害による症状の多くは、日常生活に支障をきたすものです。そのため、本人だけではなく、周囲の第三者にとってもストレスや疲れを感じやすいといえるでしょう。 高次脳機能障害は、症状をよく理解して対応の仕方を工夫すると、身体的かつ精神的な負担を減らせます。また、適切な治療によって、症状の進行を遅らせたり、改善したりする効果も期待できます。本人も第三者も負担が少なくて済むよう、医療機関や専門期間と連携して対応していきましょう。 以下の動画では、高次脳機能障害の後遺症に対して、実際に再生医療を受けた方の声を紹介しています。 脳の損傷・疾患に対しては、早期に治療やリハビリ行うほど予後が良いとされています。治療の選択肢のひとつとして、再生医療をご検討ください。 高次脳機能障害に関するよくある質問 ここでは、高次脳機能障害に関するよくある質問をまとめました。 高次脳機能障害はどのように診断される? 高次脳機能障害は、症状の確認や画像検査(CT・MRI・脳波)によって診断が可能です。 また、高度脳機能障害の診断には除外項目があります。たとえば、脳の損傷前から有する症状や発達障害や認知症などを原因とする症状については、治療や対応が異なるため区別されます。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。高次脳機能障害が疑われる場合は、ぜひ気軽にご相談ください。 高次脳機能障害は回復する? 高次脳機能障害は、症状や障害の程度によって治療方法や得られる効果が異なります。適切なリハビリテーションによって症状の回復が期待できる場合があるものの、すべての方に効果があるとは限りません。 高次脳機能障害による症状を少しでも改善するためには、発症からできるだけ早期のリハビリテーションの開始が望ましいとされています。
2025.01.15 -
- 頭部
「高次脳機能障害は治るの?」 高次脳機能障害の症状にお悩みの患者様やご家族の中には、ちゃんと治るのか不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。 結論、適切な治療やリハビリを継続することで高次脳機能障害は治る可能性があります。 本記事では、高次脳機能障害の治療法や、リハビリテーション方法について詳しく解説します。 また、根本治療につながる再生医療も紹介しているため、高次脳機能障害が治るか不安な方は、ぜひ参考にしてください。 \根本治療につながる再生医療とは/ 再生医療とは、機能障害や機能不全になった脳細胞に対して、体が持つ再生能力を利用して損なわれた機能を再生させる医療技術のことです。 従来の治療では難しかった脳血管障害の後遺症治療にも注目されています。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 高次脳機能障害は治らないと思っている 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 患者本人が治療やリハビリに積極的になれない 「現在の治療で期待した効果がでていない」「患者様が治療やリハビリに積極的になれない」という方は、ぜひ再生医療を検討してみましょう。 再生医療によって損傷した脳細胞の改善を促し、言語機能や認知機能を改善することで患者さまの生活の質を大きく向上させることが期待できます。 詳しい治療法については、再生医療を専門とする当院「リペアセルクリニック」にお問い合わせください。 【結論】高次脳機能障害は良くなる! 高次脳機能障害は適切な治療とリハビリを通じて、改善が期待できる障害です。 医療機関での診断と治療計画を策定するのが重要であり、症状に応じたアプローチが求められます。 詳しくは後述しますが、薬物療法やリハビリテーション、さらには再生医療の進展により、症状の改善が見込まれるケースも増えているのです。 しかし、高次脳機能障害が治るかどうかは、早期の発見と治療が鍵となります。 患者様自身や家族が障害に対する正しい理解を持ち、共に取り組んでいけば日常生活の質を向上させられるでしょう。 環境を整え専門機関のサポートを受けながら、持続的なリハビリを進めていき、社会復帰や自立生活の実現につなげていきましょう。 以下の記事では、脳梗塞を例に治療法や入院期間を解説しているので、1つの参考にしてください。 そもそも高次脳機能障害とは 高次脳機能障害とは、脳の損傷によって生じる記憶や注意、言語、判断力などに影響を及ぼす障害です。 そもそも高次脳機能とは、人間が複雑な思考や行動を行うために欠かせない機能であり、以下のような重要な役割を担っています。 問題解決能力 計画力 感情のコントロール 他者とのコミュニケーション能力など 高次脳機能障害が発症している方だけでなく、家族や周囲の方にも日常生活で大きな影響を与えるケースがある障害です。 たとえば歩行や排せつなど日常生活上の行動では問題なくても、手続きや遠方への移動を含め、普段行わない行動で影響があります。 外的な損傷がないため、周りから気づかれにくいため、本人や家族が高次脳機能障害の症状を理解できるかも重要です。 高次脳機能障害の種類や原因など、包括的な解説を見たい方は「【医師監修】高次脳機能障害とは|種類・原因・治療法を解説」をご覧ください。 高次脳機能障害の症状と発症の原因 高次脳機能障害の症状は、脳の損傷によって引き起こされる認知、行動、感情などの機能障害を指します。 脳卒中や外傷性脳損傷、脳腫瘍などの病気や事故によって発生するケースが大半です。 高次脳機能障害の症状は多岐にわたり、個々の症状や程度によって異なります。 主な症状には、記憶障害、注意障害、判断力の低下、言語障害、感情のコントロールの難しさなどがあります。 なお、高次脳機能障害の症状や発症の原因については、以下の記事で詳しく解説しました。 ここからは、高次脳機能障害は治るのかを解説するために「認知症との違い」と、回復過程について解説します。 認知症との違い 高次脳機能障害は、脳の特定領域が損傷を受け、記憶、注意、言語、計画立案などの高度な脳機能に影響を及ぼす疾患です。 たとえば、短期記憶の低下や集中力の欠如、理解力や判断力の低下が見られます。 上記の症状について、認知症と混合して認識している方もいるでしょう。 認知症は加齢によって徐々に進行する症状で、高次脳機能障害は外的要因によって発症する症状です。 交通事故によって脳へダメージを負った際、高次脳機能障害の症状が見られるケースがあります。 つまり、発症時期が明確なのが高次脳機能障害で、不明確なのが認知症なのです。 年齢を重ねるごとに進行する認知症とは異なり、高次脳機能障害は適切な治療やリハビリを実施すれば、回復の可能性があります。 回復過程 高次脳機能障害は脳の損傷が原因になるケースが多いため、すべての患者様が回復するわけではありません。 しかし、脳卒中のような症状が原因で発症した場合、早期の発見と治療次第では、症状が回復する傾向にあるのです。 そもそも高次脳機能障害が発症する過程は、病変や外傷が脳に影響を与え、神経細胞や神経回路が損傷を受けて発症します。 損傷がどの程度・どの範囲に及ぶか、またどの部位に影響を与えるかによって、具体的な症状や障害の度合いが決まります。 高次脳機能障害の症状は、時間とともに変化するため、初期段階での適切な診断と治療が重要です。 つまり、早期に原因を特定し、適切な治療を行えれば、症状の悪化を防ぎ、回復の可能性を高められるのです。 高次脳機能障害への対応方法 ここからは高次脳機能障害の方が家族にいる方に向け、どうサポートしていけば良いのか解説します。 対応方法を理解し、適切な治療へ進められるよう、ぜひ参考にしてください。 症状の理解 高次脳機能障害への対応方法を考える上で、まずは症状の理解が不可欠です。 高次脳機能障害は、記憶、注意、思考、判断、言語など、脳の高次機能に影響を及ぼし、日常生活においてさまざまな困難をもたらします。 症状は患者様によって異なり、記憶障害、集中力の欠如、意思決定の困難、感情の不安定などが見られます。 症状を理解しておかないと「なぜそのような行動を取るのか」とイライラしてしまう方もいるでしょう。 患者様本人も感情のコントロールが上手くいかない症状もあるため、双方がストレスを感じないためにも、まずは症状を理解しておくのが重要です。 環境の整備 高次脳機能障害に対応するために、環境の整備も重要です。 患者様が安心して生活できるようサポートできれば、症状の悪化を防ぎ、改善を促す可能性を高めてくれます。 具体的には、日常生活の流れを明確かつ簡易化させ、必要な手順や情報を視覚的に整理しておくのが有効です。 また、感覚過敏を持つ方には、過度な刺激を避けるために静かな環境を提供するのが望ましいでしょう。 なお、環境整備については厚生労働科学研究が公開している「高次脳機能障害支援マニュアル」も参考になります。 専門機関の利用 高次脳機能障害の方がいる場合、専門機関の利用も考慮すべきです。 医療機関やリハビリテーション施設など、専門の支援を受けられる環境が整っています。 専門機関を利用すれば、適切な診断と治療が可能になり、回復への道筋が明確になります。 専門家による評価を受け、個々の症状に応じたプログラムを導入すると、効果的なリハビリを取り入れられるのが特徴です。 また、身体障害者手帳を取得すれば、医療費負担の軽減や国税・地方税の控除が可能です。 要介護認定を受け、介護保険を取得している方は、訪問介護による介助も受けられます。 高次脳機能障害の治療法 高次脳機能障害の治療法は、大きく分けて薬物療法とリハビリの2種類があります。 それぞれの治療法について詳しく解説していきます。 薬物療法 薬物療法では、主に症状の軽減や日常生活の質を向上させるのを目的として使用されます。 脳の神経伝達物質のバランスを整えられる薬物が多く、抗うつ薬や抗精神病薬、認知機能を改善するための薬が用いられるのが一般的です。 たとえば、抗うつ薬は気分の安定を図るだけでなく、注意力や集中力の向上にも寄与します。 また、抗精神病薬は、衝動性や攻撃性を抑える効果が期待されます。 また、薬物療法はあくまで症状のコントロールを目的としており、根本的な治療法ではないと、理解しておきましょう。 薬物療法のみでの改善を期待するのではなく、リハビリテーションや心理的サポートと組み合わせた多角的アプローチが求められます。 薬物療法を開始する際には、医師と詳細な相談を行い、副作用や薬の相互作用についても十分に理解しておきましょう。 リハビリ 高次脳機能障害におけるリハビリは、患者様の回復をサポートする重要な手段です。 リハビリでは、患者様の症状や障害の程度に応じて個別に計画され、日常生活での機能回復を目指します。 具体的には、作業療法や理学療法、言語療法などが含まれ、それぞれ異なる目的で実施されます。 リハビリ内容 目的 作業療法 日常生活のスキルを再び習得するのが目的。 料理や掃除などの活動を通じて実践的な訓練を行う。 理学療法 身体の運動機能を向上させるために、筋力トレーニングや姿勢改善のエクササイズが行われる。 言語療法 コミュニケーション能力の回復を目的とし、言葉の発音や理解力を高めるための練習を行う。 リハビリを適切に実施し続けていれば、発症から6カ月で74%、1年で97%の方が一定の症状が改善されたという調査結果も出ています。 障害別でみるリハビリ方法一覧 高次脳機能障害の治療法は、個々の症状や患者の状態に応じて多岐にわたります。 以下で障害別にみるリハビリ方法の一覧をまとめたので、ぜひ参考にしてください。 症状例 リハビリ内容 注意障害 作業を小さなステップに分け、集中しやすい環境を整える 遂行機能障害 タスク管理をサポートするデジタルツールの活用(マニュアルやスケジュール帳の作成など) 半側空間無視 視覚的なリマインダーや特定の視覚訓練(塗り絵や折り紙など) 以下の記事では、脳出血を例に寝たきり生活にならないためにも「何をすべきか」解説しているので、あわせてご覧ください。 自宅でできるリハビリ ここからは専門機関を利用せずとも、自宅で実施できる簡易的なリハビリ方法を紹介します。 1日のスケジュールを作る 家事や散歩などで軽く体を動かす 脳トレを実施する リラックスする 順番に具体的な実施方法を解説していきます。 1日のスケジュールを作る 自宅で高次脳機能障害のリハビリを実施する際、まずは1日のスケジュールをしっかりと組み立てるのがおすすめです。 1日のスケジュールを作るのも、高次脳機能障害の患者様は脳疲労が起きやすい傾向にあるからです。 高次脳機能障害の方が疲れやすいと感じた際、1日のスケジュール表があれば、どのタイミングで疲れやすいのかが振り返れます。 何をしても疲れやすい場合、朝起きたら軽いストレッチや呼吸法で体と心を目覚めさせるのも良いでしょう。 1日のスケジュール通り行動できていれば、自分のペースに合ったリハビリを進めるだけでなく、生活のリズムが整います。 家事や散歩などで軽く体を動かす 高次脳機能障害のリハビリは、日常生活の中で無理なく取り入れられるかどうかが重要です。 たとえば家事や散歩のような軽い運動を日常に取り入れると効果的です。 軽く体を動かすと、身体の機能を維持させるだけでなく、精神的にもリフレッシュできるでしょう。 つまり、日々の小さな積み重ねが、高次脳機能障害の改善につながるのです。 脳トレを実施する 自宅でのリハビリで、脳トレと呼ばれる知的活動を取り入れるのも効果的です。 たとえば、パズルやクロスワード、簡単な計算問題などを日常的に実施してみましょう。 脳の活性化を図り、記憶力や注意力の向上を期待できます。 昨今ではインターネットやスマートフォンで無料公開されている脳トレもあるため、お遊び感覚で実施できるでしょう。 高次脳機能障害の改善に特化させたドリルも販売されているため、書店や通販サイトでチェックしてみるのもおすすめです。 リラックスする リハビリの一環としてリラックスするのは、高次脳機能障害のある方にとって重要なリハビリです。 ストレスや緊張は、脳の回復を妨げる要因となるため、日常生活の中で意識的にリラックスする時間を設けるのが大切です。 リラックスする方法として、深呼吸や瞑想、ヨガなどの軽いエクササイズを取り入れる方法があげられます。 また、音楽を聴いたり、読書をしたりするのも効果的です。 好きな音楽を聴いてリズムに身を委ねていけば、心が落ち着き、気持ちがリフレッシュされるでしょう。 読書は、興味のあるジャンルを選び、集中力を高めつつリラックスするのがおすすめです。 他にもアロマテラピーで好きな香りのエッセンシャルオイルを使って、部屋を心地良い空間にするのも効果的です。 気分が和らぎ、ストレスを軽減する効果が期待できます。 とくにラベンダーやカモミールなどは、リラックス効果の高い香りとして知られており、睡眠の質を向上させるとも言われています。 再生医療なら高次脳機能障害の治療効果に期待できる! 高次脳機能障害の症状を治すのは、早期の発見や治療だけでなく継続的なリハビリによって改善が期待できます。 昨今では医療の進歩により、再生医療を取り入れてさらなる治療効果へアプローチしています。 再生医療において中心的なアプローチ方法が幹細胞治療です。 幹細胞は特定の条件下において細胞を分化させる能力があるため、高次脳機能障害を含めた症状に向けた治療として有効的です。 「再生医療について詳しく知りたい」という方は、ぜひ当院リペアセルクリニックまでご相談ください。 まとめ・高次脳機能障害は治るのかは早期発見と対応が重要! 高次脳機能障害は治るのかを決めるのは、早期の発見と治療、家族のサポートが重要です。 認知症とは異なり、発症の時期が比較的明確で、治療の実施により改善がみられる障害です。 しかし、外的損傷がないため周囲からの理解が大切になります。 まずは高次脳機能障害の症状を理解し、環境を整えつつ専門機関を利用して、早期改善へつなげていきましょう。 当院では高次脳機能障害でお困りの方に向け、電話相談やオンラインカウンセリングを実施しているので、気軽にお問い合わせください。
2025.01.15 -
- 頭部
「同じ作業を長時間行っているとイライラする」 「新しい物事を覚えていられない」などの症状を訴えている方はいませんか。 実は高次脳機能障害の症状が発症している可能性があるのです。 そこで今回は、高次脳機能障害の発症でよくみられる症状について解説します。 家族や周囲の方がどう対処し支援できるのかも触れているので、ぜひ最後までご覧ください。 高次脳機能障害とは 高次脳機能障害とは、脳の損傷や異常によりさまざまな知的能力や行動に影響を及ぼす状態を指します。 具体的には、記憶や注意、言語、社会的行動などの高次脳機能に影響を与え、日常生活におけるさまざまなシーンで困難を引き起こします。 高次脳機能障害の症状が発生する原因は多岐にわたり、交通事故や脳卒中、脳炎などの外的な要因によってもたらされるケースが大半です。 そもそも高次脳機能とは、人間が複雑な思考や行動を行うために欠かせない機能であり、以下のような重要な役割を担っています。 問題解決能力 計画力 感情のコントロール 他者とのコミュニケーション能力など 高次脳機能障害の症状が発症すると、自立した生活が難しくなり、社会行動において不適応さが目立ってしまうでしょう。 なお、高次脳機能障害の種類や原因など、包括的な解説を見たい方は「【医師監修】高次脳機能障害とは|種類・原因・治療法を解説」をご覧ください。 高次脳機能障害の症状一覧 高次脳機能障害を発症すると、以下のような症状がみられます。 症状 特徴 脳や神経の疲労 集中力や持続力が低下する 注意障害 同じ作業を長時間できない 記憶障害 新しい情報を記憶するのが困難になる 失語 言葉を発したり物書き能力が低下する 遂行機能障害 計画性や問題解決能力が低下する 半側空間無視 空間把握能力が低下する 社会的行動障害 感情のコントロールがつかなくなる それぞれの症状について詳しく解説していきます。 脳や神経の疲労 高次脳機能障害の症状が発症すると、脳や神経が疲労状態になり、日常生活における些細な作業でも極度の疲労感を感じやすくなります。 集中力や持続力が低下するため、日常生活や仕事において以下の症状を感じるでしょう。 いつも眠かったりボーッとしたりする 仕事や作業のミスが多い ソワソワする イライラするシーンが増えた 高次脳機能障害の症状は、本人が自覚していないケースが多いため、周りからは「やる気がない」と思われてしまう傾向にあります。 注意障害 高次脳機能障害の症状としてあげられる注意障害は、集中力の持続が困難になる症状です。 複数のタスクを同時に処理するのが難しくなり、日常の作業効率が低下し、ミスが増えるでしょう。 同じ作業を長時間続けるのも難しい傾向にあり「うわの空」状態が続きます。 質問されると理解に時間がかかる すぐに疲れてしまう じっとしていられない 上記のような症状が高次脳機能障害で発症します。 一度に複数の作業をする「マルチタスク」は、高次脳機能障害の症状がみられる方には不向きです。 記憶障害 記憶障害も高次脳機能障害の代表的な症状であり、新しい情報を記憶するのが難しくなったり、過去の出来事を思い出すのが困難になったりします。 今日の日付を忘れやすい 普段とは違ったスケジュールを忘れて、いつも通りの行動を取る 高次脳機能障害の症状は認知症とは異なるため、脳腫瘍が発見される前に記憶した内容を忘れる事態はごく稀です。 つまり、発症後に何かを覚えようとした際に忘れやすい傾向なのが高次脳機能障害になります。 失語 失語は、高次脳機能障害の一部として現れる言語障害です。 主に言葉を理解したり話したりする能力に影響を及ぼします。 失語の症状は多岐にわたり、個々のケースによって異なりますが、一般的には以下のような特徴が見られます。 種類 症状 表出性失語 話したい内容が頭の中にあっても言葉を発するのが難しくなる。 受容性失語 他者の言葉を理解するのが難しくなる。 失読 文字の読解能力が低下する。 失書 文字を書く能力が低下する。 上記の症状は、日常生活における情報の受け取りや発信に大きな支障をきたします。 失語の症状が現れた場合、早期に専門医の診断を受け、適切な治療を受けるのが重要です。 失語はコミュニケーション能力に直接影響しますが、適切な支援を受ければ、日常生活での困難を軽減できます。 遂行機能障害 遂行機能障害とは、計画を立てたり、問題を解決する能力が損なわれたりする症状で、日常生活での意思決定や段取りが困難になります。 たとえば仕事で効率の良い方法を模索・実施する能力が損なわれ、優先順位をつけるのも苦手な傾向にあります。 自分から率先して行動に移せず、時間の見積もりも苦手なので、遅刻が多い傾向にもある症状です。 やるべき事項や、手順書が用意された仕事の方が向いています。 半側空間無視 高次脳機能障害の症状の1つに、空間的な認識や理解が困難になる症状もあります。 半側空間無視は、日常生活において方向感覚を失ったり、物体の位置関係を把握するのが難しくなったりするのが特徴です。 たとえば、以下のような症状がみられるでしょう。 部屋の中で物を探す際、目の前にあるはずのものが見つからない 道に迷いやすくなる 地図を読むのが困難になる 左右で見えている範囲が違う また、空間的な構造を理解するのが難しくなるため、立体的な物を描いたり、組み立てたりする作業も困難です。 社会的行動障害 高次脳機能障害は、日常生活への影響が大きく、社会的な活動においてもさまざまな困難をもたらします。 社会的行動障害では、感情のコントロールが難しくなり、他者との適切な関係を築くのが困難になるケースがあります。 孤立や誤解を招くだけでなく、物事に対して固執する傾向にもあるのです。 その場の空気が読めなかったり、すぐ怒ったりする症状もあります。 高次脳機能障害が発症する原因 高次脳機能障害の症状が発症する原因は、交通事故や脳卒中などがあげられます。 交通事故や高所からの落下により、硬膜外血腫や脳出血が発症し、高次脳機能障害の症状が認められるケースがあります。 つまり、脳へのダメージが加わり、脳組織が損傷した際に発症する傾向にあるのです。 感染症による脳炎でも高次脳機能障害が発症する原因でもあるため、脳へ何かしらのダメージを負った際は高次脳機能障害を疑いましょう。 以下の記事では「くも膜下出血」を例に、症状や後遺症などを解説したので、ぜひあわせてご覧ください。 高次脳機能障害の主な診断方法 高次脳機能障害の症状が疑われた場合、主に以下の方法で診断します。 神経心理学的評価 CTやMRI検査の画像診断 それぞれの診断方法について詳しく解説していきます。 神経心理学的評価 高次脳機能障害の診断は、まず神経心理学的評価が行われます。 神経心理学的評価では、患者の知的能力、記憶、注意力、言語能力、視空間能力、遂行機能などの認知機能を詳細に調べます。 神経心理学的評価をすれば、日常生活での困難さを具体的に特定し、どの機能がどの程度障害されているかを把握できるのです。 神経心理学的評価は、臨床心理士や神経心理士が行うケースが多く、標準化されたテストや観察を通じて実施されます。 CTやMRI検査の画像診断 CTやMRI検査の画像診断では、脳の構造的な変化や損傷を視覚的に確認するために用いられます。 画像診断は、脳の損傷部位や範囲を特定し、具体的な病態を把握するのに有効です。 とくに、外傷や脳卒中の後に生じる高次脳機能障害では、画像診断がその原因を明らかにするのに重要な役割を果たします。 さらに、脳波検査やPETスキャンなどの生理学的検査が実施されるケースもあります。 脳波検査は、脳の電気的活動を調べ、異常なパターンを検出し、てんかんのような合併症の可能性を評価しているのです。 高次脳機能障害の対応の仕方や支援法 高次脳機能障害の症状がみられる方が家族にいる場合、適切な対応・支援が求められます。 ここからは、高次脳機能障害の症状がみられる方への対応や支援法を詳しく解説していきます。 なお、今回は厚生労働科学研究が公開している「高次脳機能障害支援マニュアル」をもとに紹介するので、ぜひ参考にしてください。(文献1) 高次脳機能障害の対策を立てるチェックリスト 高次脳機能障害に対する対応と支援は、個々の症状とニーズに応じてカスタマイズするのが重要です。 支援内容 具体的な方法 日常生活の支援 日記やメモで予定を管理。 タスクを細分化。 コミュニケーションの支援 簡潔な言葉やジェスチャーを使用。 スキルトレーニングやグループ活動。 専門的リハビリテーション 作業療法士や言語聴覚士と連携し、個別のリハビリプランを作成。 具体的には、以下のチェックリストを埋め込んでいくイメージで実施してみるのも1つの手段です。 どんなとき穏やかなのか どんなときイライラするのか いつ、どこで、誰と何をしているときに起きやすいのか 上記をまとめていき、最終的にはパターン化していきます。 できるだけ単純にできるよう、成功・失敗体験を言語化していきましょう。 【対策例】 混雑している場所に行くとイライラするため静かな場所で過ごす 眠いときに言葉がきつくなるため睡眠時間を十分に確保する 高次脳機能障害に対する支援のポイント 高次脳機能障害を持つ方への対応や支援は、個々の症状や生活環境に応じて柔軟に行う必要があります。 障害の種類 対策・支援方法 注意障害 作業を小さなステップに分け、集中しやすい環境を整える 記憶障害 メモや記録を利用して情報を視覚的に整理する 失語 言語療法士によるリハビリテーション 遂行機能障害 タスク管理をサポートするデジタルツールの活用 半側空間無視 視覚的なリマインダーや特定の視覚訓練 社会的行動障害 社会スキル訓練や心理カウンセリング 高次脳機能障害の症状でお困りの場合、生活環境を単純化するのが重要です。 1日のスケジュールをカレンダーに書いたり、チェックリストを用意するのが良いでしょう。 コミュニケーション能力が低下する傾向にはありますが、家族のサポートが重要な点は忘れないようにしましょう。 なお、各都道府県には支援コーディネーターが配置されているため、早めに相談するのも1つの選択肢です。 まとめ・高次脳機能障害の症状でストレスを溜める前に早期対策を! 高次脳機能障害の症状は、日常生活において自立した生活が困難になる症状がみられます。 問題解決能力や計画力、他者とのコミュニケーションで症状がみられるため、周囲からの理解が難しいと感じてしまう方もいるでしょう。 仕事でのミスが多かったり、じっとしていられなかったりなど、社会活動においても困難になってしまう傾向にあります。 高次脳機能障害の症状を家族を含めた周囲の方がよく理解し、適切な対処や支援をするのが重要です。 高次脳機能障害の症状で何かお困りな場合、当院ではメール相談やオンラインカウンセリングを実施しているので、気軽にお問い合わせください。
2025.01.15 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
日常生活の中で、首こりを感じていませんか。 「首まわりが張っている」 「首の辺りが重く疲労感がある」 上記のような感覚は、首こりの症状である可能性が高い傾向にあります。 首こりは、頭痛やめまいを引き起こす原因となり、ひどくなると日常生活に影響をおよぼします。 今回の記事では、首こりの解消や予防、首こりに関連する症状を解決するための治し方をまとめました。 首こりに悩んでいる方や、すでに日常生活に影響が出ている方は、ぜひ最後までお読みください。 首こりでめまいや頭痛になる主な原因 首こりは首まわりの頭を支える筋肉に、過度な緊張や負担がかかった場合に生じます。 首こりによるめまいや頭痛が起こる原因は、日常生活のなかにあり、考えられる要因としておもに以下の3つです。 不適切な姿勢 自律神経の乱れ 長時間のパソコン作業 まずは上記3つがなぜ首こりの原因になるのか、それぞれ解説します。 不適切な姿勢 長時間の不適切な姿勢は、首周囲の筋肉に負荷がかかり、首こりが起こります。 日常生活の中でスマートフォンやタブレットを操作する際、少しうつむくような姿勢で操作している方は要注意です。 成人の頭の重さは約4〜6kgあり、首周囲の筋肉や骨で頭の重さを支えていますが、頭が前に傾けば傾くほど、首にかかる負担は大きくなります。 たとえば、スマートフォンを操作するために首を約30度前に傾けると、約18㎏の負荷が首にかかるとされています。 18㎏は5歳くらいの子どもの体重とほぼ同じなので、かなりの負担が首にかかっている状態です。 もともと人間の首は、重い頭を支えるためにゆるやかなカーブをしており、その姿勢が首に負担が少ない姿勢です。 日常生活でスマートフォンの操作時間が長い方や、うつむいた姿勢で長時間作業する職業の方は、首こりになりめまいや頭痛が起きやすいでしょう。 不適切な姿勢になりやすいのは身体に合わない寝具も影響します。 合わない枕は寝ている間に首へ負荷がかかっている可能性があります。 枕は高さや柔らかさなど、自分の身体に合ったものを選びましょう。 自律神経の乱れ ストレス状態が続くと、自律神経が乱れ、筋肉の緊張を引き起こした結果、めまいや頭痛が起きてしまいます。 そもそも自律神経とは、血圧や呼吸数などを調整し、自律的に身体の中のバランスを整える役割です。 自律神経が乱れると身体機能のバランスが崩れ、全体的に血行が悪くなります。首周囲の血行も悪くなるため、首こりの症状を引き起こす原因になるのです。 自律神経が乱れないためにもストレスはため込むまえに上手く解消できるよう、適度な運動や趣味の時間を増やすなどを実施してみましょう。 長時間のパソコン作業 長時間のパソコン作業は、首こり以外にも眼精疲労が起こる可能性があります。 新型コロナウイルスの拡大で、リモートワークの活用が進み、今までオフィスで仕事をしていた方も、自宅で仕事をする機会が増えたでしょう。 しかしリモートワークは、パソコン作業に向かない机やイスを使っている方も多く、整った環境ではない可能性があります。 パソコン作業に向かない机やイスは、姿勢が悪くなり、気づかないうちに身体に負担がかかっています。 同じ姿勢で座っている時間が長くなるため、首周囲だけでなく、肩や腰の筋肉も凝り固まるでしょう。 長時間ディスプレイを見続けると、目の筋肉が疲れるために、眼精疲労を引き起こします。 見えづらさを感じると姿勢が悪くなりがちなため、首こりの原因になるので、まずは環境を整えていきましょう。 首こりに関連する症状 首こりは、めまいや吐き気、腕の重だるさ、やる気が出ないなど、心身にさまざまな症状があらわれます。 以下の症状は、首こりがひどくなるとあらわれる主な症状です。 頭痛 目の疲れ ストレスからくる自律神経の不調 首こりに関連する3つの症状をそれぞれ解説していきます。 頭痛 「頭全体が締め付けられる痛みがある」 「頭痛が続いていてつらい」 上記のような頭痛を感じる方は、首こりが原因の可能性があります。 首周囲の筋肉や肩、肩甲骨周りの筋肉が緊張するため、血流が悪くなります。 頭に向かう血流にも悪影響をおよぼし、頭痛を引き起こすのです。 首こりからくる頭痛が気になる方は、以下の方法が治し方としておすすめなのでぜひ試してみてください。 40℃のお湯に10分程度入浴する 首のまわりに温めたタオルやホットパックをあてる 上記の方法は、首周囲の血流が改善する効果が期待できる治し方です。 首周囲の筋肉の緊張をほぐし、血流を改善すれば、頭痛がよくなる可能性があります。 ただし「片頭痛」の場合、血流が良くなると痛みが悪化するので注意が必要です。 目の疲れ 目の疲れは「眼精疲労」とも呼ばれ、首こりの原因や自律神経のバランスを崩します。 1日6時間以上、ディスプレイを見ている方は、目の疲れを引き起こし、首こりにつながる可能性があるので注意が必要です。 パソコンやスマートフォンの操作は同一の姿勢でおこなう場合が多く、液晶画面を見ている時間が長いと、目の疲れやめまいも感じやすいのです。 目の疲れを感じたら、以下のようなケアをおこないましょう。 目薬をさす 適度な休憩をとる ホットパックで目元を温める 上記の方法は、目の疲れやめまいの治し方としておすすめの方法です。 目元をホットパックで温める治し方は、ホットアイマスクやお湯で濡らしたタオルを目に2分ほどあてましょう。 目の疲れやめまいが治れば、首こりの軽減につながる可能性が高まります。 自律神経の不調 首こりがひどくなると、自律神経に影響を与え、副交感神経の働きが低下します。 自律神経には以下の2種類があり、それぞれ違う役割があります。 神経名 概要 交感神経 起きているときや活動するときに優位 副交感神経 夜間やリラックスしているときに優位 首こりによって自律神経が乱れると、以下のような症状が起こるので注意しましょう。 頭痛や頭重感 めまい 不眠症 など ひどくなると「自律神経失調症」を引き起こす可能性があります。 首こりを放置すると、さまざまな関連症状をもたらすので、放置せずできる範囲から取り組み、対処しましょう。 以下の記事では自律神経の乱れに関係するストレスと「高血圧の関係性」についてまとめています。 首こりからくるめまい以外の症状でもあるので、自己判断しないためにもぜひあわせてご覧ください。 首こりを解消させる効果的なストレッチ 日常生活のなかで、首こりからくるめまいや頭痛を解消したい方に向け、現役医師の立場から効果的なストレッチを紹介します。 ストレッチは、身体をリラックス状態にし、血行改善効果があります。 血行が良くなれば、首周りの筋肉もほぐれ、首こりによる症状が緩和するでしょう。 「時間がなくてなかなか運動の時間が確保できない」と感じる方でも取り組める方法をまとめました。 「自宅でもできる治し方が知りたい」方は、ぜひ参考にしてください。 首のストレッチ 首こりでめまいや頭痛を感じる方は、以下のストレッチを試してみてください。 背筋をのばし肩の力を抜く 首を前に倒しゆっくり右にまわす ぐるっと一周まわしたら今度は左にまわす 左右10回程度おこなう パソコンやスマートフォンを見る時間が長い方は以下のストレッチもおすすめの治し方です。 両手の親指を鎖骨にかかるように胸の前に置く 口を閉じ、上を向いて背筋を伸ばす(顎を突き出すイメージ) 首の前部分が伸ばす 余裕があれば顎の向きを斜めになるよう左右に傾ける 一連の流れを2〜3回繰り返す 肩のストレッチ 首こりからくるめまいや頭痛は、肩のストレッチでも改善できる可能性があります。 肩のストレッチは、以下の手順で実施してみましょう。 背筋をのばしてイスに座る 腕の力は抜く 息を吸いながら両肩を持ち上げる 息を吐きながらストンと肩をおろす 一連の流れを2~3回繰り返す 肩甲骨のストレッチ 肩甲骨のストレッチも、首こりからくるめまいや頭痛を改善したい方におすすめです。 一連の流れは以下の通りです。 両肘を曲げて肩より上に肘をあげる 両手は軽くにぎり鎖骨のあたりにもってくる 両肘を下げないようにしながらゆっくり後ろへ引く 肩甲骨をギュッと寄せように意識する そのまま両肘を下げ力を抜く 5回程度繰り返す 今回紹介したストレッチは、座ったままでもできる簡単な方法です。 作業の合間や首こりや肩こりを感じたときなどにやってみましょう。 隙間時間を利用し、1日のなかで定期的にストレッチすれば、凝り固まる前に解消できるでしょう。 ただし、体調や自分の首や肩の動かせる範囲内で無理せずストレッチするのが大切です。 無理をすると、筋肉や関節を傷めてしまう可能性があるので、ゆっくり気持ち良いと感じられる力加減でストレッチするのがポイントです。 マッサージ技術の活用 マッサージをすると、凝り固まった筋肉をほぐし血行が良くなるため、首こりの解消におすすめです。 首こりで悩む方のなかには「マッサージや整体院、鍼灸院に行きたいけれど時間がない」方もいるでしょう。 ここからは自宅でできる簡単なマッサージも紹介します。 <胸鎖乳突筋マッサージ> 胸鎖乳突筋とは、首の横に耳の後ろ辺りから鎖骨辺りまでつながっている筋肉です。 場所がわからない場合、顔を横に向けると浮き出てくるためわかりやすいでしょう。 耳の後ろ側に人差し指・中指・薬指を縦方向に押し当てる 首を横に傾けながら20秒程上下にさする 揉みほぐすイメージで指で胸鎖乳突筋をつまむ つまむ位置を徐々に下へ移動する 反対側も同様におこなう 胸鎖乳突筋の近くには、頸動脈もあるためマッサージをおこなう際には注意しましょう。 痛みや苦しさを感じた方は、すぐにマッサージを中止してください。 自宅でできるマッサージではなく、プロによる適切な施術を希望の方はお気軽に当院へご連絡ください。 日常の運動 首こりを感じたらストレッチやマッサージをするだけでなく、適宜運動も取り入れてみましょう。 日常的に運動をしていると首こりが生じる前に解消でき、予防にもつながります。 以下のような全身運動は、身体の筋肉を動かすため血流がよくなり、首こりの解消や予防におすすめです。 縄跳び 水泳 ヨガ など 適度な運動習慣は、首こりの解消だけでなく、健康の維持増進にもつながります。 適度に身体を動かす習慣があると、脳の活性化や疲労回復の効果もあり、仕事の効率アップも期待できます。 また、運動にはストレスホルモンを下げる働きがあるとされているのもおすすめポイントです。 イライラしやすかったり寝つきが悪かったり、ストレスがうまく発散出来ていない方は、運動で発散してみるのも良いでしょう。 ストレスが溜まった状態は自律神経の乱れが起こり、首こりの原因になるため、適度に運動し首こりの解消や予防をしていきましょう。 日常でできる首こり解消法 首こりは、日常生活の中で少し意識して行動するだけで、予防できます。 めまいや頭痛など、さまざまな症状があらわれ、不調をきたす前に、首こりを予防しましょう。首こりの予防は、一度だけではなく長期的な管理が大切です。 毎日過ごす日常生活の中で、自分ができる治し方から取り入れてみましょう。 正しい姿勢の維持 正しい姿勢の維持は、身体全体のバランスが良くなるため、首こりだけでなく肩こりや腰痛の予防にもつながります。 正しい姿勢ができているかは、以下のような確認方法があります。 壁に背中を向け立つ かかと・おしり・肩・頭を順番に壁につける 腰の辺りと壁の間に手のひらを差し込む 手のひら1枚分が入るかどうか隙間があるのが理想ですが、それ以上に隙間が開いている方は「反り腰」を疑いましょう。 肩が壁につかない方は巻き肩で1カ所でも壁につけられない部位があれば、姿勢が悪い可能性があります。 立ったときに、耳や肩、膝、くるぶしが一直線になる状態が、正しい立ち姿勢です。 座ったときには、イスに深く腰かけて骨盤がまっすぐ立つように座りましょう。 足の裏をしっかり床につけ、膝と股関節が90°になるよう座ると、骨盤が立ちやすい座り方になります。 日常生活の中で、正しい姿勢を意識するよう心がけてみましょう。 姿勢改善以外の治し方が気になる方は、以下の記事もあわせて参考にしてください。 職場の環境改善 オフィスでは、適切な明るさ、適切な机やイス、ディスプレイの適切な位置や明るさなど、職場環境が整えられている場合が大半です。 厚生労働省からガイドラインも出されているため、VDT作業(Visual Display Terminals)のための環境設定は重要といえます。 しかし、テレワークや在宅ワークなど、環境が整っていない場所で作業をしている方もいるでしょう。 スペースの問題でディスプレイと近くなってしまったり、机やイスが合わず姿勢が悪くなってしまったりするので、以下を試してみてください。 <VDT作業のための正しい環境設定> 明暗の変化が著しくない室内で机上は300ルクス以上が目安 ディスプレイやキーボード、マウスは適宜動かせるようにする 机の高さは作業者に合ったものにし、イスは高さが調整できるものにする ディスプレイは、目から40cm以上離し目と同じ高さかやや下に位置する 300ルクスとは、新聞が読める程度とされており、蛍光灯を使用した少し古い事務所のようなイメージです。 できる範囲で適切な環境設定をすれば、首こりや腰痛などの身体の不調の予防につながります。 定期的な運動とストレッチのルーチン 定期的な運動やストレッチは、首こりの予防に効果的です。 しかし「忙しいから時間がとれない」や「毎日疲れて運動なんてできない」と考えている方もいるでしょう。 「毎日ストレッチを頑張ろう」と決意しても、なかなか続けるのは難しいのが実情です。 定期的な運動スケジュールを立て、ルーティン化すると、長く続けていきやすいでしょう。 運動に対するモチベーションを維持し継続する方法 定期的な運動を続けるためにも、モチベーション維持が大切です。 無理のない程度に運動をする日を設定する 設定した日に運動やストレッチができたらカレンダーに印をつける 慣れてきたら運動する日を増やしてみる カレンダーに印をつければ「できた」事実が視覚的にわかります。 体調や忙しさによってできない日があっても、徐々にカレンダーにつく印が増えていくと、頑張っていると実感でき、達成感を味わえるでしょう。 モチベーションが上がらない方は「印が何個ついたらご褒美」と設定するのもおすすめです。 まずは、散歩や軽いウォーキング、軽いストレッチを週に数回程度に設定してみましょう。 忙しくても運動の習慣をつける方法 忙しくて時間がなく、まとまった運動の時間を確保するのが難しい方は、日常に変化を加えるのがおすすめです。 普段自転車で行くところを歩いていく 通勤中、職場の一駅前で降りて歩いてみる なるべく階段を使う 上記のような時間もとれない方は、日常生活行動の中で「ながら運動」をしてみましょう。 歯磨きをしながらかかと上げや足上げをする テレビを見ながらストレッチをする 家事をしながら首回しをする 運動に対して気が進まず、始めるのにハードルが高い方もいるでしょう。 しかし、適度な運動習慣がある方は、首こりの解消や予防だけでなく、ストレスの解消や健康的な生活にもつながります。 適度な運動習慣をつけるのをおすすめします。 まとめ・首こりが気になる方は一度受診しておくのがおすすめ! 首こりからくるめまいや頭痛は、姿勢の悪さやストレス、長時間のデスクワークから生じます。 首こりを放置すると頭痛やめまいだけでなく、自律神経の乱れを引き起こし、身体全体の不調を感じる原因となります。 首こりは、ストレッチや運動で解消できるので、本記事で紹介したストレッチやマッサージを試してみてください。しかし、今回紹介した治し方を実施しても首こりが解消しない場合、別の疾患も考えられるため、一度受診をしておきましょう。 首こりの原因によって受診する診療科は異なりますが、まずは整形外科を受診するのがおすすめです。 当院では、首こりからくるめまいや頭痛だけでなく、自律神経の乱れから発症するお悩みなどを、メールやオンラインでカウンセリングを行っています。 症状にあわせた解消法やストレッチなどを、診断結果に応じてお伝えします。 「めまいしか感じないけれど治し方を聞いても良い?」と感じる方も、気軽にお問い合わせください。
2024.06.26 -
- 脳梗塞
- 肝疾患
- 内科疾患
肝硬変と診断を受けてから、どのような食事をとったら良いのかお悩みではないでしょうか。 医師から食事指導を受けたものの、具体的にどの食品をどの程度制限すれば良いのか、また、美味しい食事を楽しめるのか不安に感じている方もいるでしょう。 肝硬変の方は、健康な人に比べて食事の制限が多くなります。しかし、栄養バランスを意識してメニューを工夫すると、治療中でも美味しく食事を楽しみながら、必要な栄養を摂取できるでしょう。 本記事では、肝硬変の食事で気をつけるべきポイントとおすすめの献立を紹介します。 ぜひこの記事を参考に、無理なく続けられる食事の工夫を行い、健康を守るための食生活を取り入れていきましょう。 肝硬変の人が気をつけるべき食事|食べてはいけないもの3選 肝硬変の人が控えるべき食品は以下の3つです。 塩分が多い食事 刺激物や硬い食品 高タンパクな食事 これらの摂取を控えて、日々の食生活に気を配りましょう。肝硬変の方は、普段から肝臓への負担を減らす意識を持つことが大切です。 塩分が多い食事 腹水やむくみがある肝硬変の人は塩分摂取量の目安として、1日5〜7gに抑えることが推奨されます。(文献1) 腹水とは、お腹の中にタンパク質を含んだ液が大量に貯留した状態です。(文献2) 肝臓の機能が低下すると、血液中のアルブミンが減少し、水分が血管外へ漏れ出して腹水やむくみが生じます。塩分を摂りすぎると体内の水分がさらに増え、症状を悪化させる要因となります。そのため、肝硬変の人は塩分を控えることが重要です。 とくに以下のような食品は塩分が多いため、注意が必要です。(文献3) インスタント食品(カップめんやインスタントラーメンなど) 梅干し 漬物 塩分を適切にコントロールし、腹水やむくみの悪化予防に努めましょう。 肝硬変の腹水の予後や治療方法を知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。 刺激物・硬い食品 肝硬変の患者は、食道静脈瘤のリスクがあるため、刺激物や硬い食品の摂取を控えることが重要です。(文献4) 食道静脈瘤とは、門脈圧亢進症(肝臓に流れ込む門脈の血圧が高くなる状態)によって生じる食道の血管のこぶであり、破裂すると大量出血を引き起こす可能性があります。(文献5) 食道は食べ物の通り道になっているため、その表面上にある膨らんだ血管に尖ったものや硬いものが当たると、破裂する可能性があるため注意が必要です。 たとえば、せんべいや小魚のおやつ、ナッツ、骨のある魚、フランスパンなどは硬いので適しません。また、香辛料の多いカレーやコーヒーも刺激が強いため控えた方が良いでしょう。 逆に好ましい食品は、茶碗蒸しや麺類(うどんやそうめんなど)、お米、プリン、ヨーグルトなどの消化しやすい柔らかい食べ物です。調理する際には柔らかく仕上げるように工夫してみてください。 高タンパクな食事 肝硬変の方は、タンパク質の過剰摂取に注意が必要です。 基本的に、肝硬変の方は健康な方よりもタンパク質を多めに摂取することが推奨されています。推奨されるタンパク質の1日摂取量は以下のとおりです。(文献8)(文献9) 対象 推奨されるタンパク質の1日摂取量目安 健康な方 男性:約0.95~1.0g/kg 女性:約0.93~0.99g/kg 肝硬変の方(蛋白不耐症がない場合) 1.0〜1.5g/kg タンパク質が不足すると栄養状態の悪化につながるため、過不足がない摂取量を心がける必要があります。 ただし、肝硬変の方は摂取のしすぎにも注意が必要です。 タンパク質は体に必要な栄養素ですが、消化・分解される過程で毒素のひとつ「アンモニア」を発生させます。健康な肝臓であれば無毒化されますが、肝機能が低下すると処理が追いつかず、体内にアンモニアが蓄積してしまいます。 血液中のアンモニア濃度が上昇し、脳にまで達すると神経症状を引き起こす「肝性脳症」の原因になります。 そのため、タンパク質の過剰摂取には注意が必要です。(文献6)とくに動物性タンパク質の摂りすぎには注意しましょう。 以下のような食品はタンパク質を多く含むため、摂取量を調整することをおすすめします。(文献7) 卵類 豚肉類 乳製品 肝硬変と同様、肝臓に中性脂肪が溜まる「脂肪肝」も食事の見直しが大切です。脂肪肝の食事の注意点を知りたい方は、以下のコラムも参考にしてください。 肝硬変の食事でおすすめの献立例 肝硬変では栄養バランスを整えつつ、肝臓に負担をかけない食事を摂ることが重要です。塩分やタンパク質を控えながらも、必要な栄養素を効率よく摂取できる献立を紹介します。 【朝食】 パン 野菜スープ 果物・サラダ カフェオレ 野菜や果物を取り入れることでビタミンや食物繊維が摂取でき、腸内環境を整えられます。腸内環境を整えるとアンモニアの産生を抑制できるため肝硬変の方におすすめです。肝性脳症を合併している方は、カフェオレに入れる牛乳の量を少なめにしましょう。 【昼食】 うどん 果物 ヨーグルト 消化が良いうどんを主食にすることで消化管への刺激を抑え、食道静脈瘤のリスクを低減できます。そのため、うどんのような柔らかい食材がおすすめです。塩分を控えるため、うどんのつゆは薄味にして出汁を活用すると良いでしょう。 【夕食】 ごはん 豆腐ハンバーグ 根菜汁 生野菜 主菜に植物性タンパク質を含む豆腐ハンバーグを取り入れると、食物繊維を多く摂取でき、アンモニアの蓄積を抑えられます。(文献10)主菜はなるべく、動物性タンパク質の代わりに植物性タンパク質を用いると良いでしょう。 合併症がある場合は、医師と相談しながら食事内容を調整しましょう。 肝硬変の食事療法の注意点 肝硬変の患者は、食事の摂り方にも注意が必要です。栄養素や食品に加え、以下の食事の取り方をするよう意識しましょう。 1日3回規則正しく食べる 高タンパク食や高カロリー食は避ける 満腹まで食べない(腹八分目を意識する) よく噛んで食べる 食べてからすぐにお風呂に入らない 深夜には高脂肪食品の摂取を避ける これらの食事のポイントも意識すると、肝硬変の悪化防止につながります。今まで注意していなかった方は、今日から気をつけましょう。 肝硬変では食事の見直しに合わせて、専門医の治療をしっかり受けることが大切です。肝硬変の治療について詳しく知りたい方は、以下のコラムも参考にしてください。 まとめ|肝硬変は食事を工夫して悪化を防ごう 肝硬変では肝機能が低下している分、食事内容や摂取方法に注意しなければなりません。普段の食事内容の工夫が合併症を予防することにつながります。 合併症を改善・予防する上で食事療法は非常に重要です。医師や栄養士とも相談しながら、ご自身のライフスタイルに合った食事の工夫を行ってみてください。この記事がご参考になれば幸いです。 当院「リペアセルクリニック」では、肝臓疾患に対する治療として再生医療を行っております。再生医療について詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。 肝硬変の食事についてよくある質問 肝硬変の食事で生ものは食べられますか? 肝硬変の方は、生ものの摂取は控えましょう。 肝硬変は肝機能が低下している状態です。そのため、解毒能力が弱まり、食中毒のリスクが高まります。健康な人なら食品に含まれる細菌やウイルスは肝臓で解毒されますが、肝硬変の方はこの機能が低下し、感染症にかかりやすくなるのです。 とくに、生の魚介類には「ビブリオ・バルニフィカス」と呼ばれる細菌が含まれることがあり、重篤な感染症を引き起こす可能性があります。(文献11) お寿司や刺身などの生魚は避けて、加熱調理した食品を摂取するようにしましょう。 肝硬変で食事がとれないときの対処法はありますか? 肝硬変の患者が食事をとれない場合は、栄養不足を防ぐために以下のような対策を取りましょう。 消化の良い食品を摂取する(お粥、スープ、豆腐、ヨーグルトなど) 少量ずつ複数回に分けて食べる(1日5~6回程度に分ける) 食欲が低下した場合は栄養補助食品を活用する 医師の処方に基づきBCAA(分岐鎖アミノ酸)製剤を取り入れる 食事から十分な栄養を摂れない場合、医師の指導のもとで栄養補助食品を活用するのもひとつの手です。エネルギーが補給できるドリンクタイプの栄養補助食品を取り入れると、食欲がなくても無理なく栄養を摂取できるでしょう。 参考文献 (文献1) 日本消化器病学会・日本肝臓学会「肝硬変診療ガイドライン 2020(改訂第 3 版)」2020年発行 https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/kankouhen2020_re.pdf (最終アクセス:2025年3月26日) (文献2) MSDマニュアル「腹水」, MSDマニュアル家庭版,2023年1月 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/04-%E8%82%9D%E8%87%93%E3%81%A8%E8%83%86%E5%9A%A2%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E8%82%9D%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%AE%E7%97%87%E7%8A%B6%E3%81%A8%E5%BE%B4%E5%80%99/%E8%85%B9%E6%B0%B4 (最終アクセス:2025年3月26日) (文献3) 消費者庁「栄養成分表示を使って、あなたも食塩摂取量を減らせる」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/pdf/food_labeling_cms206_20191126_09.pdf (最終アクセス:2025年3月26日) (文献4) MSDマニュアル「肝硬変」, MSDマニュアルプロフェッショナル版,2022年1月 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/02-%E8%82%9D%E8%83%86%E9%81%93%E7%96%BE%E6%82%A3/%E7%B7%9A%E7%B6%AD%E5%8C%96%E3%81%A8%E8%82%9D%E7%A1%AC%E5%A4%89/%E8%82%9D%E7%A1%AC%E5%A4%89L (最終アクセス:2025年3月26日) (文献5) MSDマニュアル「静脈瘤」, MSDマニュアルプロフェッショナル版,2023年5月 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/01-%E6%B6%88%E5%8C%96%E7%AE%A1%E7%96%BE%E6%82%A3/%E6%B6%88%E5%8C%96%E7%AE%A1%E5%87%BA%E8%A1%80/%E9%9D%99%E8%84%88%E7%98%A4 (最終アクセス:2025年3月26日) (文献6) MSDマニュアル「肝性脳症」, MSDマニュアル家庭版,2023年1月 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/04-%E8%82%9D%E8%87%93%E3%81%A8%E8%83%86%E5%9A%A2%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E8%82%9D%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%AE%E7%97%87%E7%8A%B6%E3%81%A8%E5%BE%B4%E5%80%99/%E8%82%9D%E6%80%A7%E8%84%B3%E7%97%87 (最終アクセス:2025年3月26日) (文献7) 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」から出典,2023年発行 https://fooddb.mext.go.jp/index.pl (最終アクセス:2025年3月26日) (文献8) 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」2019年12月発行, https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf (最終アクセス:2025年3月26日) (文献9) 日本消化器病学会・日本肝臓学会「追補内容のお知らせ 『肝硬変診療ガイドライン』(2020 年 11 月)」2022 年 3 月 18 日更新,https://www.jsh.or.jp/lib/files/medical/guidelines/jsh_guidlines/kankouhen2020_AR_v2.pdf?utm_source=chatgpt.com (最終アクセス:2025年3月26日) (文献10) 渡辺 明治.「9.肝硬変合併症とその対策3)肝性脳症」『日本内科学会雑誌』80巻(10号), p1625-p1630 1991年発行 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika1913/80/10/80_10_1625/_pdf (最終アクセス:2025年3月26日) (文献11) 厚生労働省「ビブリオ・バルニフィカスに関するQ&A」食品の安全に関するQ&A, 2016年11月9日 https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/qa/060531-1.html#top (最終アクセス:2025年3月26日)
2024.06.18 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
「首(または腕)が痛く、1日でも早く治す方法が知りたい」 「首の痛みは日常生活にも影響するため、できるなら通院せず治したいけれど可能なの?」 頚椎捻挫が発症していると、首や腕の痛みだけでなく、しびれ、頭痛、めまいなどの症状が起きます。 早く治したい一心から、自宅でストレッチや軽い運動をしてしまうと、症状を悪化させてしまう恐れがあります。 そこで今回は現役医師の立場から、頚椎捻挫を早く治す方法をまとめました。 受傷からの期間別でどのような治療がおすすめなのかも解説したので、ぜひ最後までご覧ください。 【予備知識】頚椎捻挫を早く治す方法の前に押さえておきたい注意点 まず把握してもらいたいのが頚椎捻挫は、よく耳にする「むち打ち症」と同じ意味である点です。 自動車で運転中に追突事故に遭ったり、スポーツ中の衝突により首が過剰に動いたりすると起こる症状です。 首の筋肉や靭帯に損傷が起こる症状として知られています。そこで改めて頚椎捻挫の症状と治るまでの期間をお伝えします。 頚椎捻挫の主な症状 頚椎捻挫の症状として代表的なのは、主に首や腕の痛み、しびれなどが挙げられます。 しかし代表的な症状以外にも、以下の症状があるため注意しましょう。 腕の脱力感 肩こり 頭痛 めまい 耳鳴り 動悸 倦怠感 など 以下の表では、タイプ別で症状や考えられる発症の原因をまとめました。 タイプ 症状 発症の原因 頚椎捻挫型 首や腕の痛み 首回りの筋肉や靭帯が引き伸ばされ発症する 神経根症状型 手、指、腕のしびれ 神経が圧迫されて脳からの伝達が伝わらなくなり発症する バレ・リーウー型 頭痛、耳鳴り、吐き気、難聴、視力低下 など 事故後の安静(急性期の対応)が不十分だと発症しやすい 脊髄型 足の感覚異常、排尿と排便のしにくさ 脊髄の損傷から動きにくくなり発症する 以下の記事では、頚椎捻挫の後遺障害等級についても触れているので、あわせて参考にしてください。 頚椎捻挫を治すまでの期間 頚椎捻挫が治るまでの期間は、患者様の容態によって異なりますが、1〜3カ月で症状が軽快するでしょう。 早ければ1〜2週間の方もいれば、6カ月かけても症状が残っている方もいます。 もしも6カ月経っても治らない場合は、後遺障害としての申請をするのがおすすめです。 以下の記事では、頚椎捻挫の後遺障害等級についても触れているので、あわせて参考にしてください。 頚椎捻挫を早く治す方法 頚椎捻挫を早く治したい場合、受傷してからの期間によって対処方法が異なります。 順番に早く治す方法を解説していきます。 早めの受診がおすすめ(1週間以内) 頚椎捻挫を受傷したら、あまり症状を感じていなくても早めに受診するのがおすすめです。 時間が経ってから急速に症状が出てくるケースがあるため、痛みを感じていなくても受診を検討してください。 受傷後すぐ(急性期)は、首に負担をかけないのが望ましいため、首を固定する「頚椎カラー」の装着が1つの選択肢になります。 患部に対し、リハビリを実施してしまうと、炎症が悪化する恐れがあるため、注意しましょう。 鎮痛剤の処方をしてくれる場合もあるため、まずは病院を受診するのが早く治る方法として挙げられます。 激しい運動を控える(〜2週間) 首の筋肉や靭帯に損傷が起こっている状態のため、受傷から2週間経過するまでは症状が軽いケースでも安静にしましょう。 むやみに動かし過ぎると症状を長引かせる原因になります。 「亜急性期」と呼ばれる時期になり、理学療法士によるリハビリを開始しながら早く治していきましょう。 物理療法として、温熱や低周波などによる治療も実施するケースがあります。 どれも自宅ではできない治療法になるため、専門医から適切なアドバイスを受けるのがおすすめです。 無理のない範囲でストレッチする(6カ月前後) 痛みが落ちついてきたら痛みが出ない範囲で首や肩周りを動かしましょう。 同時に、受傷から6カ月以上経っても以下の症状を感じる方は要注意です。 強い痛みは無いけれど首や肩周りが突っ張る なんとなくスッキリしない など 上記のような症状を感じる方は「慢性化」している恐れがあります。 筋肉や靭帯の損傷は安静にしていれば治りますが、筋肉の緊張状態は安静にしていると、どんどん固まってしまい、緊張状態が強くなってしまいます。 つまり、慢性化しないためにも適度なストレッチが必要になるのです。 デスクワークやスマホを見る習慣が多い現代人のほとんどが負担のかかる姿勢が続いています。 姿勢を治すためには肩甲骨や胸椎(両方の肩甲骨の間にある背骨)を動かすような体操や顎を引く運動、胸前の筋肉をほぐすストレッチをしましょう。 なお、頚椎捻挫が治っていない原因を確かめるには、MRI検査が選択肢として挙げられます。 以下の記事では、MRI検査の所要時間や注意点をまとめているので、ぜひ参考にしてください。 早く治すなら週3の通院がおすすめ 捻挫を1日でも早く治したいのであれば、週3回の通院をおすすめします。 頚椎捻挫は受傷後、1週間以内の受診をおすすめしたように、時間の経過とともに急速な変化が伴うケースが大半です。 首や腕に負担をかけないよう固定したりリハビリを案内し始めたりする時期が、患者様によって異なるからです。 症状によって通院の頻度が異なるので、あくまで1つの基準として捉えてもらえると幸いです。 なお、症状や適切なリハビリなどでお困りでしたら、当院ではオンラインカウンセリングも実施しております。 「いつまでに治りそうなのか」「今の症状では何をすべきか」など、気になる方は以下からご連絡ください。 病院受診時の流れ 頚椎捻挫を早く治す方法を取り入れるため、病院の受診を検討している方に向け、実際の流れをお伝えします。 一般的な病院での受診時、以下の流れになるケースが大半です。 診断 安静 リハビリ それぞれ何を実施するのか、詳しく解説していきます。 受診 頚椎捻挫の受診は基本的に「整形外科」を選択しましょう。 整形外科は、頚椎捻挫や関節リウマチなど、慢性疾患を主に取り扱っています。 専門学校で3年間勉強し「柔道整復師」に合格した方が施術する整骨院とは異なり、医学部合格後、最低でも6年間の勉強と臨床実習が医師には必要です。 理学療法や物理療法を始め、CTやMRI検査など、正確な医学的な知識をもとに治療してもらうには、整形外科がおすすめです。 しかし、整形外科にはリハビリテーション専門のスタッフ(理学療法士や作業療法士)がいない整形外科もあります。 できれば理学療法士や作業療法士のいる整形外科を選択しましょう。 安静 頚椎捻挫を受傷したら、最初のうちは患部を安静にしておくのが無難です。 症状の重さにもよりますが、軽度であれば投薬(薬物療法)を行います。 症状が重い場合は頚椎カラーを装着し、少しでも患部を安静できるようサポートしていきます。 頚椎捻挫は症状の重さに関係なく急性期の症状を早く落ち着かせることが、早く治す方法として挙げられるのです。 リハビリ 頚椎捻挫で骨折や脱臼が発症していない限り、少しずつ痛みがない程度のリハビリを行います。 整形外科で専門的な知識と経験がある理学療法士や作業療法士になるリハビリ指導が始まります。 理学療法士や作業療法士が在籍していない整形外科の場合、温熱療法や牽引療法、電気治療を施しているので、受診時に治療方法を確認しておきましょう。 以下の記事では、頚椎捻挫の治療方法について、自宅でできる対処法を紹介しています。 悪化予防の観点から、ぜひ参考にしてください。 まとめ・頚椎捻挫をすぐに治したいなら受診してもらおう! 頚椎捻挫を早く治す方法は、すぐに受診し安静にしておくのがおすすめです。受傷直後は興奮状態で痛みを感じない場合もありますが、数日経ってから症状が出る可能性もあります。 仮に痛みを感じていなくても「受傷したら痛みがなくても受診」と考えておきましょう。 首回りの組織が損傷している可能性もあるため、スポーツだけでなくストレッチも含めて無理に首を動かすのは控えるのが無難です。 患部を動かすのは、痛みが落ち着いたらリハビリを実施しましょう。 動かさない期間が長くなってしまうと筋肉が固まってしまい、慢性化する可能性もある点に十分気をつけましょう。当院ではオンラインカウンセリングをはじめ、メール相談も承っております。 頚椎捻挫を早く治す方法を専門医からのアドバイスを受けたい方を含め、お気軽にお問い合わせください。
2024.04.29 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
むちうち症(頚椎捻挫)は、交通事故やスポーツ中の事故などにより、首の周りの筋肉や靱帯に急激に力がかかったことで痛みが生じる状態をいいます。 軽症なものであればネックカラーを装着しての安静処置やリハビリなどで徐々に軽快してきます。しかし、重症なものだと慢性的な痛みと長期間付き合っていく状態になりかねません。 そこで本記事では、むち打ち(頚椎捻挫)の治療方法と治し方を中心に、完治期間についても医師の観点から解説します。 むち打ち症(頚椎捻挫)の症状 むち打ち症の症状は、首を動かしたときの痛み・頭痛・倦怠感(だるさ)・耳鳴り・やめまい・手や腕のしびれと多岐にわたります。 中でも代表的な症状は首を動かしたときの痛みです。筋肉や靱帯に不自然な強い力がかかったことで炎症し痛みが生じます。 頭痛は脳が強く揺さぶられたことによる脳振盪症状や、頭・首・背中につながっている僧帽筋という筋肉が損傷し、全体の痛みを頭痛として捉えることもあります。 倦怠感や耳鳴り、めまいといった症状も脳振盪が原因とされ、首の損傷がさまざまな症状を引き起こします。 むち打ち症(頚椎捻挫)4つのタイプ 上記のとおり、むち打ち症には4つのタイプがあります。 最も多いのは捻挫型で、首や肩の痛み・動かしづらさを発症します。頚椎捻挫の約80%程度がこのタイプです。 神経根型は、腕や手のしびれや痛みが出現するタイプです。頸髄の神経根が筋肉や骨で圧迫されることで発症します。首を動かしたり、咳やくしゃみをしたりすると、強い痛みやしびれが出現します。 脊髄型は、下肢のしびれや知覚異常などを引き起こすタイプです。 頚椎捻挫だけでなく、脊椎椎間板ヘルニアなどが合併した場合に分類される傾向にあります。重度の場合、歩行障害や排尿困難・排便困難といった膀胱直腸障害を発症します。 Barre-Lieou型(バレー・リュー型)は首の痛みだけでなく、めまい・耳鳴り・難聴・視力障害などさまざまな症状が起こるタイプです。不眠症や不安症といった精神的な症状が合併するケースもあります。 むち打ち症(頚椎捻挫)の治療方法 交通事故やスポーツで強い衝撃が首にかかって頚椎捻挫を起こした場合、まずは意識障害や嘔吐・手足のしびれや麻痺、下半身の症状がないかを確認します。 意識障害や嘔吐がある場合、脳にも強く力がかかって調子が悪くなっている可能性があるため安静にし、必要に応じて脳神経外科の受診をします。 手足のしびれや麻痺・下半身に症状がある場合は、頚部に強い力がかかって骨の変形や骨折もありえますので、首をなるべく動かさないようにして、安静にして病院を受診します。 病院を受診した場合、まずは骨折がないかレントゲンやCTを行い確認します。もし骨折や変形があれば医療機関で治療を行い、骨折や変形がなければ、頚椎捻挫と診断されます。 頚椎捻挫は炎症が重症にならないよう、受傷直後から1〜2日程度は冷やして安静にすることが大切です。 急性期(受傷時)の治療 安静を保つ 炎症が重症にならないように注意 冷やして安静にする(受傷直後から1~2日程度) 急性の炎症が落ち着いたら、筋肉の萎縮や硬直を防ぐためにも少しずつ動かしていきましょう。最初はストレッチや可動域訓練から始め、マッサージや軽い運動を行います。また、並行して痛み止めの内服や湿布薬を使用していきます。 急性期後の治療 ストレッチ(可動域訓練) マッサージ 日常的な普段通りの生活 痛み止め(内服) 湿布薬 牽引療法や温熱療法 ハビリテーション 急性期後は整形外科クリニックなどで、牽引療法や温熱療法や通院リハビリテーションを行うケースもあります。慢性化する場合は、さらに鍼治療・漢方薬・精神療法・認知行動療法といった、補完的な治療も必要です。 また、癒着した筋膜に生理食塩水を注入するハイドロリリースや、神経根に対して局所麻酔を投与してしびれや痛みを軽快する神経ブロックなどもペインクリニックなどで検討されます。 むち打ち症(頚椎捻挫)の完治期間 症状が軽快するまで通院を行うことが一般的です。軽症であれば1カ月弱で改善しますが、数カ月通院を必要としたり場合によっては慢性化するケースもあります。 特に交通事故やスポーツ外傷の場合は保険も関わってきますから、医師とよく相談し、必要に応じて積極的な通院が必要です。 軽いものであれば自然に軽快しますが、むち打ち症(頚椎捻挫)が完治しないうちにまた強い衝撃が加われば頚椎捻挫が重症化する可能性もあります。 とくにスポーツ外傷では軽快するまでむち打ち症になりかねない激しい運動への復帰は控えましょう。 もし、むち打ち症(頚椎捻挫)後、症状がこれ以上改善しない場合は、症状固定と判断され、行為障害診断書を発行したのち後遺障害等級の認定を受けることも検討する必要があります。 後遺症は以下の通りです。 多くの場合、14級や12級で認定します。 むち打ち症(頚椎捻挫)後遺障害等級 1級 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に要介護 2級 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護 3級 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、生涯働けない 5級 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特とくに軽易な労務以外働けなくなった 7級 神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外働けなくなった 9級 神経系統の機能または精神に障害を残し、就ける仕事の程度が制限された 12級 局部に頑固な神経症状を残す 14級 局部に神経症状を残す *症状固定となると、治療費、休業補償などは打ち切られますが、後遺障害等級の認定を受けることで、後遺障害慰謝料などが受け取れるようになります。弁護士や保険会社とよく相談の上、医師に認定を相談してみてください。 *症状固定とは ケガや病気を治療する上で治療を続行したとて現在の症状以上の改善を見込むことが難しいと判断された状態を指します。 まとめ|むち打ちを早く治すなら医師の指示を守ろう むちうち症(頚椎捻挫)は交通事故やスポーツ外傷で起きてしまうことが多いです。慢性化して日々痛みに悩まされることにもなりかねません。 また、むち打ち症には4つのタイプがあり(捻挫型、神経根型、脊髄型、Barre-Lieou型)、それぞれ異なる症状を示します。 治療方法としてはまず安静にし炎症を抑えることが重要です。その後ストレッチやマッサージ、湿布薬の使用などを行い、必要に応じて整形外科での治療を受けましょう。 治療期間は症状の重さによって異なりますが、一般的には数週間から数カ月かかることがあります。慢性化した場合は、補完的な治療や後遺障害の認定を受けることも考えねばなりません。 むち打ち症状を疑う場合は最寄りの整形外科医を受診するか、当クリニックにご相談ください。ちょっとした悩みでも真摯に対応いたします。
2024.04.29 -
- 頭部
- 幹細胞治療
- 頭部、その他疾患
- 再生治療
減圧症では、体内にできた気泡が神経や関節、血流に影響を与えることで、治療後もさまざまな症状が続くことがあります。 とくに重症例や治療までの時間が長かった場合には、後遺症として症状が長引くこともあります。 しかし、後遺症といっても必ずしも一生続くわけではなく、経過観察やリハビリによって回復が見込めるケースも少なくありません。 本記事では、減圧症の後遺症として現れやすい症状の例や回復までの目安、再発を防ぐための注意点などについてわかりやすく解説します。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 気になる症状や再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 減圧症の後遺症で主な症状とその特徴 減圧症は早期に治療を受けることで多くの場合改善が期待できますが、重症度や治療までの時間、個人の体質などによっては後遺症が残る場合があります。 ここでは、減圧症の後遺症としてよく見られる主な症状と、その特徴について解説します。 関節痛・筋力の低下 減圧症の後遺症で比較的多く見られるのが、関節や筋肉に痛みや違和感が残るケースです。 これは関節内にできた気泡や周囲の組織へのダメージが原因とされ、軽い痛みが長引く可能性があります。 さらに重症化すると、筋力の低下やしびれが進行して歩行障害を引き起こす場合もあり、日常生活に支障をきたすことがあります。 手足のしびれや感覚異常 手足のしびれや感覚の鈍さは、減圧症の後遺症としてみられる症状のひとつです。 とくに指先や足先など、末端部分に症状が出やすく、これは神経内に発生した気泡や血流の障害が原因とされています。 軽い場合は数日から数週間で自然に軽快することもありますが、長く続く場合には神経にダメージが残っている可能性も考えられます。 めまい・疲労感・集中力の低下 脳や中枢神経系に気泡ができた場合には、めまいや頭痛、慢性的な疲労感、集中力の低下といった症状が後遺症として残る場合があります。 上記症状は一見すると減圧症とは結びつきにくいため、「なかなか疲れが取れない」「集中できない」といった変化を見過ごしがちです。 さらに、精神的なだるさや注意力の低下は日常生活や仕事に影響を及ぼすため、放置すると生活の質を下げる原因にもなります。 後遺症が残るケースの特徴 減圧症の後遺症が残るかどうかは、さまざまな要因によって変わります。 治療を始めるまでの時間が長いほど、気泡による組織へのダメージが進行し、後遺症が残りやすくなるとされています。 また、重症度が高かったケースや、高齢者は回復力が低下していることもあり、症状が長引く傾向があります。 適切な治療を早期に受けること、経過観察を怠らないことが後遺症を軽減するための重要なポイントです。 後遺症は自然に治る?回復の目安と経過観察のポイント 減圧症の後遺症は、症状の種類や重症度、治療を始めたタイミングなどによって回復の経過は大きく変わります。 ここでは、自然に改善するケースと、長期的な経過が必要なケース、それぞれの対応やポイントについて解説します。 数日〜数週間で改善する場合 減圧症による軽度の神経症状や感覚異常は、治療後に数日から数週間程度で自然に回復するケースが多いです。 たとえば、軽いしびれや関節の違和感は、血流の回復や神経の炎症が落ち着くことで徐々に改善します。 ただし、症状が軽いからといって自己判断で経過を見続けるのではなく、医師の指導のもとで様子をみることが大切です。 経過観察により後遺症を早期に発見すれば、適切な処置が受けられます。 後遺症が長期的に続く場合の対応 減圧症の後遺症は、短期間で症状が回復するケースがある一方で、症状が長期的に続くケースもあります。 重症度が高い場合や治療開始が遅れた場合、神経や関節などの組織にダメージが残りやすく、数か月から年単位で経過を見る必要が出てきます。 このような場合は、定期的な神経検査による評価や、後遺症の進行を抑えるための経過観察が重要です。 また、高気圧酸素治療を追加で行ったり、理学療法やリハビリを通じて筋力や可動域を維持・改善したりすることも有効です。 医療機関と連携し、根気強く対応することが回復を支えます。 早期治療が後遺症リスクを減らす 減圧症では、発症から治療までの時間が後遺症のリスクに大きく影響します。 後遺症を防ぐためには症状が軽く見えても油断せず、早めに医療機関を受診することが大切です。 不安を感じたらすぐに相談する姿勢を持ちましょう。 減圧症の後遺症が疑われるときの対処法 減圧症の後遺症が疑われる場合は、以下のような症状が現れていないか確認しましょう。 激しい頭痛やめまいが続く 意識がぼんやりする、混乱が見られる 手足の麻痺や強いしびれが進行している 呼吸が苦しい、胸の痛みを伴う 歩行が困難になるほどの筋力低下 これらの症状は、神経や循環器の深刻な障害が関係している可能性があり、放置すると後遺症が悪化するおそれがあります。 気になる症状がある場合は、できるだけ早く医療機関を受診してください。 また、後遺症が疑われるときは、減圧症を診療した経験のある医療機関を受診するのが望ましいです。 高気圧酸素治療を行っている専門施設をはじめ、神経内科では神経症状の評価や治療を、整形外科では関節痛や運動機能の評価を、リハビリテーション科では機能回復や生活指導を担当します。 症状の内容や重症度によって適切な診療科は変わるため、まずはかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門医を紹介してもらう方法も有効です。 減圧症の再発を防ぐためにできること 減圧症は一度発症すると、体の状態やダイビングの習慣によっては再発のリスクが高まる場合があります。 後遺症が残る不安を減らし、安全にダイビングを楽しむためには、日頃からの対策が欠かせません。 ここでは、減圧症の再発を防ぐために意識したい3つのポイントを紹介します。 安全なダイビング計画を立てる 健康状態の自己管理 後遺症がある人のダイビング再開はまず専門家に相談する それぞれのポイントについて、詳しくみていきましょう。 安全なダイビング計画を立てる 減圧症を防ぐための基本は、無理のない安全なダイビング計画を立てることです。 急浮上を避け、適切な浮上速度を守る、安全停止を確実に行うなど、ダイビング中の基本動作を徹底しましょう。 また、無減圧潜水時間や水深なども十分に管理し、複数ダイブを行う際はしっかりと間隔を空けるなど、計画段階からリスクを減らす工夫が重要です。 健康状態の自己管理 身体のコンディションは減圧症のリスクに大きく影響します。 脱水状態や過度な疲労、風邪などの体調不良は、血液循環や代謝を乱し、気泡の排出を妨げる要因となります。 ダイビング前日は十分な睡眠をとり、飲酒は控え、水分補給をしっかり行うなど、自分の健康状態を万全に整えることが再発予防には欠かせません。 後遺症がある人のダイビング再開はまず専門家に相談する すでに減圧症の後遺症が残っている場合、再発リスクを最小限に抑えるためには慎重な判断が必要です。 自分の判断だけでダイビングを再開するのではなく、担当医や高気圧酸素治療の専門医など、専門家への相談を強くおすすめします。 症状の程度や体調、潜水計画を含めた総合的なリスク評価を受けることで、安全性を高め、安心して趣味を続けられる可能性が広がります。 まとめ|減圧症の後遺症は放置せず専門家に相談することが大切 減圧症は適切な治療を受けることで多くの場合は改善しますが、場合によっては手足のしびれや関節痛、めまいや集中力の低下などの後遺症が残る可能性があります。 こうした症状を「そのうち治るだろう」と放置してしまうと、回復が遅れたり、生活への支障が大きくなったりする場合があります。 大切なのは、気になる症状が続く場合や変化を感じたとき、迷わず医療機関を受診し専門家に相談することです。 早期の対応や経過観察、リハビリを通じて後遺症のリスクを減らし、安心してダイビングを続けるためにも、正しい知識を持ち、適切な行動を心がけましょう。
2024.01.25