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医療用の膝サポーターには、保険適用のものと、自費となるものがあります。 保険適用される膝サポーターは、国が定める条件を満たしたものに限り、それ以外は自己負担の対象です。 本記事では、医療用膝サポーターにおける保険適用の条件や払い戻しの申請方法について解説しています。膝の痛みや違和感に悩み、膝サポーターの購入を検討中の方は、参考にしてみてください。 医療用の膝サポーターが保険適用になる条件【該当しない場合は自費】 医療用の膝サポーターが保険適用になるには、国が定める一定の条件を満たす必要があります。 保険適用の条件は以下の3つです。 ・完成品であること ・疾病または負傷の治療遂行上必要なものであること ・オーダーメイドで製作した場合のものと同等もしくはそれに準ずる機能が得られるものと認められるもの 参考:厚生労働省|リスト化に当たってのリスト化の対象及び基本的な考え方について これらに該当しない場合は、自費で購入することになります。 以下は、膝サポーターを使用する可能性が高い疾患です。※疾患名をクリックすれば詳細記事をチェックできます ・変形性膝関節症 ・前十字靱帯損傷 ・後十字靭帯断裂 ・半月板損傷 このような膝の疾患がある場合、医療用サポーターの使用を医師に相談してみましょう。 整形外科や病院で処方される医療用膝サポーターは保険適用の可能性が高い 整形外科や病院で処方される膝サポーターは、医療用として国から認められているものが多いです。そのため、保険適用で購入できる可能性が高いといえます。 一方で、市販のサポーターは、医療機器としての認可を受けていないものも多く存在します。 保険適用のサポーターを利用したい方は、まずは医師に相談して、手配できるかどうか確認してみると良いでしょう。 医療用膝サポーターの価格表 医療用膝サポーターの価格については、国が公表している以下の資料に詳しく記載されています。 参考:厚生労働省|療養費の支給対象となる既製品の治療用装具 資料では、以下のような情報を確認できます。 ・製品名 ・メーカー名 ・対象疾患・症状の適応例 ・装具の機能・目的 ・装具の基準価格 価格が気になる方は、資料を一度確認してみてください。製品の比較検討もできるため、購入時の参考になるでしょう。 医療用膝サポーターが保険適用になった場合の申請方法 医療用膝サポーターが保険適用になった場合、先に立て替えて支払い、その後に払い戻しを受ける仕組みです。 払い戻しを受けるには、健康保険課や特別出張所の窓口で申請をおこないます。 以下は、申請時に必要な書類の一例です。 ・保険証 ・内訳がわかる領収書 ・医師の診断書(意見書) ・振込口座の確認できるもの ・療養費支給申請書兼請求書(都道府県の役所で手配可能) 提出先の都道府県によって、提出書類や申請の流れが異なる場合があります。手続きがスムーズに進むよう、事前に申請方法を確認しておきましょう。 なお、払い戻しにはおよそ3カ月かかります。 まとめ|医療用膝サポーターが保険適用になる条件を知って医療費の負担を抑えよう 医療用の膝サポーターは治療を目的としたものなので、市販のものより性能が良い商品が多い傾向にあります。 国が公表している資料に、保険適用のサポーターが一覧で紹介されているので、購入する際は参考にしてみてください。 なお、しばらくサポーターを使用しても効果が実感できない場合は、病院の受診を検討してみてください。症状が進行している可能性もあるためです。 自分に合った病院を探している方は再生医療を専門とする『リペアセルクリニック』への受診をご検討ください。再生医療とは人間の自然治癒力を活用した最新の医療技術です。すり減った軟骨を再生し、膝の痛みを軽減させる効果があります。 本来なら手術しなければいけない状態でも、再生医療で治療できる可能性があります。
2022.03.30 -
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「膝の痛みが一向に改善しない」 「変形性膝関節症のリハビリ方法を知りたい」 変形性膝関節症により、歩行や階段の昇降が困難になり、日常生活に支障をきたす方は多くいます。運動療法が勧められても、「どの程度続ければ良いのか」「症状が悪化しないか」といった不安を抱く方もいるでしょう。 しかし、症状や体力に応じた運動を無理なく続けることで、膝の痛みや動きの改善が期待できます。まずはできる範囲から始めることが大切です。 本記事では、現役医師が高齢者の変形性膝関節症におけるリハビリ方法を詳しく解説します。リハビリ期間や禁忌事項についても紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 変形性膝関節症の症状でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 高齢者の変形性膝関節症にリハビリが不可欠である理由 不可欠である理由 詳細 筋力維持で膝の負担を減らす 太もも周囲の筋力強化による関節の安定化・日常動作時の衝撃軽減 転倒予防で自立した生活を守る バランス能力向上によるつまずき防止・歩行の安定性確保 手術を避ける可能性もある 関節可動域改善と痛み軽減による症状進行抑制・保存療法の効果最大化 高齢者の変形性膝関節症では、運動療法を中心としたリハビリが治療の基本です。継続的なリハビリにより、軟骨のすり減りによる痛みや動きにくさの改善、症状進行の抑制が期待できます。 加齢に伴う筋力や柔軟性の低下を補い、転倒予防や生活の質の維持にもつながります。 痛みを理由に安静にしすぎると症状が悪化する可能性があるため、医師の指導のもと、無理のない範囲で継続することが大切です。 以下の記事では、変形性膝関節症を放っておくリスクについて詳しく解説しています。 筋力維持で膝の負担を減らす 高齢になると大腿四頭筋が脆弱になりやすく、膝を支える力が低下して痛みや機能障害が生じやすくなります。 筋力の維持・向上は、膝への負担を軽減し、立ち上がりや歩行、階段昇降をスムーズに行うために欠かせません。 大腿四頭筋を鍛える運動プログラムで膝の痛みや機能が改善することが報告されています。(文献1) 筋力トレーニングは、無理なく「ゆっくり・少しずつ」行うことが大切です。 膝伸ばしやミニスクワットなど負担の少ない動作が適しています。高齢者では8〜12週間の筋力強化プログラムで、筋力の向上と症状の改善が確認されています。(文献2) 転倒予防で自立した生活を守る 項目 詳細 転倒リスクが高まる理由 膝周囲筋力低下や関節可動域制限による歩行バランス不良・支持力低下 転倒を防ぐ運動・訓練 片足立ち・ゆっくり歩行などのバランス訓練、脚筋力強化による安定性向上 日常動作の工夫と環境整備 手すり利用・照明確保・靴選び・立ち上がりや歩行量調整によるリスク管理 家族・介護者のサポート 歩行時の見守り・声かけ・手すりや杖の準備による安堵感と転倒予防 筋力やバランス能力が低下すると、転倒による骨折や外傷のリスクが高まります。 リハビリでは下肢筋力の回復に加え、体幹の安定性向上や姿勢の調整を行います。 重心を保つ力が養われることで段差や不整地でのふらつきが減り、日常生活の安定性が高まって自立した生活の維持が可能です。 手術を避ける可能性もある リハビリ(運動療法・生活習慣改善)と教育を受けた関節症患者を対象とした研究では、運動プログラム終了後に「手術を希望しない」と回答した方は、5年間で実際に手術を受ける確率が約20%低いと報告されています。(文献3) 手術は年齢・体力・合併症リスクの影響を受けるため、高齢者では保存的治療を優先すべきとの見解も示されています。(文献4) ただし、保存療法で手術を確実に回避できるわけではありません。軟骨損傷が進行した症例では手術が適切となる場合もあり、保存治療のみの患者でも5年後に一定数が手術を受けた報告があります。(文献5) 高齢者が適切に取り組むためには、医療者と相談して自分に合う運動内容を決め、無理なく頻度・量を調整することが重要です。 体重管理や補助具の活用も効果を高め、継続により手術回避や先送りの可能性が高まるとされています。(文献6) 以下の記事では、変形性膝関節症を進行させないための工夫について詳しく解説しています。 高齢者の変形性膝関節症におけるリハビリ方法 リハビリ方法 詳細 筋力トレーニングとストレッチ 大腿四頭筋・ハムストリングスの強化と関節周囲の柔軟性向上による膝負担軽減 バランス・姿勢・歩行の改善訓練 片足立ちや姿勢調整による転倒予防・歩行安定性向上 水中運動・自転車など膝に負担の少ない運動 浮力や軽負荷を活用した関節への衝撃軽減と持久力向上 変形性膝関節症のリハビリは、筋力強化・柔軟性向上・バランス改善を中心とした運動療法です。症状に合わせて無理のない範囲で継続することが大切です。 具体的には、太ももやふくらはぎを鍛える筋力トレーニング、関節の動きを滑らかにするストレッチ、転倒予防のバランス訓練、正しい歩き方を身につける歩行練習などがあります。 水中運動や自転車といった膝への負担が少ない有酸素運動を加えると、全身の体力向上にもつながります。 変形性膝関節症の最新ガイドラインについては、こちらの記事で詳しく解説しています。 筋力トレーニングとストレッチ 項目 詳細 筋力トレーニングの役割 大腿四頭筋強化による膝関節の安定化・膝負担軽減 ストレッチの効果 可動域拡大と柔軟性向上による動作の円滑化 継続する重要性 毎日の少量継続による膝負担軽減と症状進行抑制 医師の指導を受ける理由 個々の膝状態に適した効果的な運動の選択 膝を支える筋肉の強化と柔軟性の維持は、変形性膝関節症のリハビリの基本です。大腿四頭筋を鍛える脚上げ運動や、ふくらはぎのストレッチは関節の安定性向上と可動域拡大に有効です。 痛みが出るほどの負荷は避け、無理なくゆっくり継続することが重要で、これにより歩行や立ち座りが楽になります。 高齢者が適切に続けるためには、体調に合わせて量と強度を調整し、転倒の危険がない環境で行うことが大切です。 継続が肝心であり、多くの研究では8〜12週間以上の継続で効果が確認されています。(文献6) バランス・姿勢・歩行の改善訓練 膝の変形や筋力低下により身体のバランスが崩れやすくなり、転倒リスクが高まります。バランス訓練は立位や歩行時の安定性を高め、転倒予防に効果的です。 また、体幹を鍛えることで姿勢が整い、膝への負担軽減や歩行効率の向上につながります。 歩行訓練では正しい歩き方の習得と補助具の活用により安定性を高め、日常生活の動作改善が期待できます。 水中運動・自転車など膝に負担の少ない運動 項目 詳細 水中運動は膝への負担が軽い 浮力による体重負担軽減と痛みが強い場合でも行いやすい運動継続 筋力アップと関節の動き改善 水の抵抗を利用した筋力強化と関節可動性向上・筋緊張緩和によるリラックス効果 自転車運動も膝に優しい選択 膝を深く曲げずに行える反復運動による低負荷での持久力・筋力維持向上 適切に続けるためのポイント 体調や膝の状態に応じた強度設定と医師・理学療法士の指導下で継続実施 水中歩行やエアロバイクは、膝への負荷を抑えながら筋力を鍛えられる運動です。浮力やペダル抵抗が適度な刺激となり、痛みが出にくく継続しやすいのが特徴です。 膝を深く曲げずに動かせるため、炎症や腫れが悪化しにくく、リハビリに適しています。 水中運動は、数分の水中歩行から始め、週2〜3回続けることが効果的です。さらに12週間の介入でバランスや痛みの改善が報告されています。(文献7) 自転車運動では、サドルをやや高めに設定し、軽い負荷で高回転を維持することで膝への負担を抑えられ、「低負荷・高回転数」が効果的とされています。(文献8) 以下の記事では、変形性膝関節症のリハビリにおける水中運動について詳しく解説しています。 変形性膝関節症は水泳で平泳ぎできる?膝に負担をかけない泳法を解説【医師監修】 高齢者の変形性膝関節症におけるリハビリの期間 リハビリの期間 詳細 リハビリ開始から1〜3カ月|基礎機能の回復期 痛み軽減と可動域改善・基礎筋力向上による日常動作の安定化 リハビリ開始から3〜6カ月|機能改善の促進期 筋力強化とバランス能力向上による歩行・立ち座り動作の改善 リハビリ開始から6カ月以降|習慣化と維持期 運動習慣の定着による症状再発予防・機能維持の長期的安定化 変形性膝関節症のリハビリは段階的に進み、1〜3カ月で痛みや可動域の改善、3〜6カ月で筋力やバランス向上による動作安定が期待されます。 6カ月以降は運動習慣を定着させ、症状の再発を防ぎながら機能維持を図る段階です。ただし、これらはあくまで一般的な目安であり、症状の程度・生活状況・合併症の有無によって進行のペースは大きく異なります。 リハビリ開始から1〜3カ月|基礎機能の回復期 変形性膝関節症では、大腿四頭筋の弱化や関節可動域の低下により歩行や立ち上がりが困難になります。 運動療法を行った研究では、約3カ月の介入で可動域や歩行速度が有意に改善したと報告されており、1〜3カ月はリハビリ効果が身体機能に現れ始める時期です。(文献9) この期間は、無理な負荷を避け、適切な範囲で筋力や動作を整える準備段階です。中〜低強度の運動でも高齢者の機能改善に効果があるとされています。(文献10) また、症状が進む前の早期介入ほど効果が得られやすく、早期に運動療法を導入した患者では比較的早期に改善がみられたと報告されています。(文献11) リハビリ開始から3〜6カ月|機能改善の促進期 リハビリ開始後1〜3カ月で筋力や可動域の基礎が整い始めた後、3〜6カ月はその基盤をさらに伸ばす時期です。習慣化された運動に適度な負荷や変化を加えることで、膝機能や歩行能力がより向上することが報告されています。(文献12) この期間は、通院での理学療法と自宅での自主訓練が連携し、継続するほど機能改善が高まることも示されています。(文献13) また、3〜6カ月で改善が進むと6カ月以降の維持期へ移行しやすく、途中で中断すれば後退する可能性があるため、この期間は長期的な機能維持の土台となる重要な時期です。(文献14) リハビリ開始から6カ月以降|習慣化と維持期 変形性膝関節症では、リハビリ開始から6カ月以降は機能改善から維持へ移行する重要な時期です。3〜6カ月で基礎的な筋力や可動域が整った後は、得られた機能を日常生活レベルで安定させることが目的となります。 実際、運動療法を6カ月以上継続した高齢者では、身体活動量の維持に効果があったと報告されています。(文献15) また、フィジカルアクティビティ(運動や日常的な身体活動)介入後にフォローアップや継続支援が加わると、長期的な活動維持が改善したとの報告もあります。(文献16) ガイドラインでも「運動介入開始から長期維持が鍵」と示されており、6カ月以降は習慣化とメンテナンスが膝機能を守る上で非常に重要です。(文献17) 高齢者の変形性膝関節症におけるリハビリの禁忌事項 禁忌事項 詳細 急な動作や強い負荷の回避 膝関節への急激なストレス増大による痛み悪化や炎症助長 深い膝曲げ・正座の制限 膝軟骨への過度な圧迫と関節負担増加による症状悪化 無理な運動やストレッチ 過伸展や過負荷による筋・靭帯損傷や関節炎増悪 喫煙・飲酒などの生活習慣 血流悪化や炎症増加による治癒遅延と症状進行 リハビリは適切に取り組めば効果的ですが、誤った方法は症状を悪化させます。高齢者では関節や筋肉が弱いため、急な動作や強い負荷は軟骨や靱帯を傷める危険があります。 深い膝曲げや正座も負担が大きいため避けましょう。「早く良くしたい」という焦りから無理をすることは逆効果です。また、喫煙や過度の飲酒は炎症を長引かせるため、リハビリ効果を高めるには生活習慣の見直しも重要です。 以下の記事では、変形性膝関節症において、やってはいけないことを詳しく解説しています。 急な動作や強い負荷の回避 項目 詳細 変形性膝関節症と膝への負担 軟骨摩耗による関節脆弱化と強い力・無理な動作による負荷の増大 避けるべき動作 ジャンプ・急な方向転換・深い膝曲げ・重い物の持ち上げ・長時間立位歩行 急な動作がいけない理由 関節への過負荷と軟骨・周囲組織の損傷リスク増大および転倒危険性 安定してリハビリを続けるために 体調と膝状態に合わせた無理のない動作と医師の指導のもと継続 膝への急な衝撃や過度な屈伸は、軟骨や靭帯を傷つける原因です。変形性膝関節症では軟骨がすり減っているため、急な動作や深い膝曲げは痛みや炎症を悪化させる可能性があります。 そのため、ジャンプや急な方向転換、重い物を持つ動作は避けましょう。また、膝の状態に応じて無理なく動き、痛みが強い場合は休むことが大切です。医師の指導のもと継続することで、症状の改善が期待できます。 深い膝曲げ・正座の制限 項目 詳細 深く膝を曲げる動作が膝に与える影響 関節内圧上昇による軟骨への過負荷と炎症・痛み増悪 正座やしゃがみ込みのリスク 関節隙間の狭小化と軟骨摩擦増大による痛みの悪化 生活の中での注意点 椅子・洋式トイレの活用や床生活の回避による負担軽減 膝を守る生活習慣づくり 深い膝曲げを避ける日常動作工夫による症状進行予防 変形性膝関節症では、膝を深く曲げる動作によって関節内の圧力が大きく上昇し、すり減った軟骨に強い負担がかかります。正座や深いしゃがみ込みは関節の隙間をさらに狭め、痛みを悪化させる原因となります。 床生活や和式トイレを避けて椅子や洋式トイレを利用するなど、膝を深く曲げない生活習慣を身につけることが症状進行の予防に欠かせません。 無理な運動やストレッチ 項目 詳細 避けたほうが良い動きの具体例 ジャンプ・急な方向転換・深い膝曲げ・痛み時の過度な筋トレやストレッチによる炎症誘発 ストレッチの注意点 痛みのない範囲でのゆっくりした伸張による柔軟性維持 安定して続けるためのポイント 膝状態の把握と無理のない運動選択・痛み増強時の中止と医師相談 変形性膝関節症では、膝の軟骨や関節が弱っているため、無理な運動は負担となり炎症や痛みを悪化させる可能性があります。とくに急な方向転換や強い衝撃を受ける動作は、関節の安定性を損ない、損傷リスクを高めます。 リハビリは痛みの程度に合わせて負荷を調整し、無理のない範囲で行うことが大切です。違和感や痛みが強まる場合は中止し、医療機関を受診しましょう。 喫煙・飲酒などの生活習慣 項目 詳細 膝関節に影響が出やすい理由 喫煙による軟骨・骨代謝低下と血流悪化、飲酒による軟骨変性のリスク増大 高齢者で影響が出やすい理由 加齢による修復力低下と長年の生活習慣の影響 具体的な注意点 禁煙・飲酒量の見直し・膝症状悪化時の飲酒喫煙回避 リハビリとの関係 回復力低下によるリハビリ効果減弱と症状進行リスク増加 喫煙は軟骨や骨の代謝および血流を悪化させ、変形性膝関節症の発症・進行リスクを高めることが遺伝的・疫学的研究で示されています。 とくに、喫煙により変形性膝関節症のリスクが約20%上昇するとの報告もあります。(文献18) 一方、飲酒についても週あたりの量が多いほど軟骨変性マーカー(MRI T2値・WORMSスコア)が高い傾向です。(文献19) さらに、週1〜7杯以上の飲酒で軟骨変性が増える報告もあり、修復力の低い高齢者では影響が出やすいため、リハビリ効果を高めるには禁煙と飲酒量の見直しが重要です。(文献19) 高齢者の変形性膝関節症のリハビリと併用できる治療法 治療法 詳細 栄養療法 体重管理と抗炎症作用を意識した栄養摂取による関節負担の軽減 装具療法 膝サポーター・足底板などによる関節安定化と負荷分散 薬物療法 痛みや炎症を抑える内服薬・外用薬の併用による症状緩和 物理療法 温熱・電気・超音波などによる血流改善と痛み軽減 再生医療 幹細胞による組織修復促進と炎症抑制 変形性膝関節症では、リハビリと併用してさまざまな治療を適切に組み合わせることで、症状の緩和や機能の改善が期待できます。 ただし、いずれの治療も医師の指導のもとで適切に行うことが重要です。とくに再生医療は適応が限られており、実施可能な医療機関も限定されているため、医師との相談が必要です。 以下の記事では、変形性膝関節症の治療法について詳しく解説しています。 栄養療法 項目 詳細 関節の健康・炎症制御に栄養が関わる理由 オメガ3脂肪酸・抗酸化栄養素による炎症抑制と軟骨保護 軟骨の健康に必要な栄養素 コラーゲン・ヒアルロン酸生成に必要なビタミンC・タンパク質・ミネラル 炎症を抑える食事の重要性 青魚・緑黄色野菜・ナッツ類による抗炎症作用と痛み軽減 体重管理との連携効果 栄養管理による体重負荷軽減と悪化予防 継続的な栄養指導の推奨 個別の栄養指導と医師による健康維持 変形性膝関節症では、筋力低下、軟骨摩耗、炎症が同時に進行します。 オメガ3脂肪酸、食物繊維、ポリフェノールを多く含む食事が、症状改善や進行抑制に有効であることが報告されています。(文献20) 適切な栄養管理は軟骨の材料補給や体重管理に役立ち、リハビリ効果を高めるため、医師の栄養指導を受けることが大切です。 以下の記事では、変形性膝関節症の正しいダイエットについて詳しく解説しています。 装具療法 装具療法は、サポーターや足底板を用いて膝の安定性を高め、日常動作を助ける治療法です。ソフトサポーターは膝のぐらつきを抑えて動作時の安定性を向上させ、インソールや機能的膝装具は膝にかかる力の向きを調整し痛みの悪化を防止します。 リハビリでは、装具を併用することで安定性が向上し、運動効果を引き出しやすくなります。 ガイドラインでも「装具はすべての患者に必須ではないが、有用な補助戦略となり得る」と示されており、症状に合わせた選択が重要です。(文献21) 薬物療法 薬物療法は、痛みや炎症を和らげ、日常生活動作やリハビリを支援します。外用薬は局所の鎮痛・消炎に有用です。内服薬のNSAIDsはより強い痛みに効果的ですが、長期使用には注意が必要です。 ヒアルロン酸やステロイドの関節内注射は、関節に直接作用して症状を改善します。ただし、薬物療法には限界があることを理解しておく必要があります。 薬物療法は症状を一時的に和らげるにとどまるため、運動療法や装具療法との併用が大切です。 薬の使用にあたっては、医師の指導に従い、自己判断で調整しないよう注意しましょう。 物理療法 物理療法は温熱・電気・超音波などを用いて、身体への負担を抑えながら痛みや炎症を和らげる治療法です。血行を促進し筋緊張を改善することで、関節可動域の拡大や歩行能力の向上が期待されます。 高齢者は膝のこわばりや痛みにより運動を避ける傾向があります。しかし、物理療法で症状を軽減することで運動に取り組みやすくなり、運動療法を継続することが重要です。 超音波療法などの物理的モダリティにより、関節可動域・痛み・機能が改善したとの報告もあります。(文献22) 再生医療 再生医療は、膝の軟骨や関節が本来もつ治癒力を高め、損傷組織の修復・再生を促す治療法です。代表的な方法に幹細胞治療やPRP(血小板濃縮療法)があり、痛みの軽減に加えて関節可動域や機能の改善が期待できます。 とくに中程度までの軟骨損傷をもつ患者で効果が期待され、長期的な症状緩和につながります。 低侵襲で切開や入院を必要としないため、手術を避けたい高齢者や身体への負担を懸念する方にも実施しやすいのが利点です。 以下の記事では、再生医療を用いた事例を紹介しています。 リハビリで改善しない高齢者の変形性膝関節症は医療機関を受診しよう 適切なリハビリを数カ月続けても症状が改善しない、あるいは悪化している場合は、別の原因や合併症が隠れている可能性があります。自己流での運動や家族だけのケアには限界があり、医師の診断と治療が必要です。 軟骨の損傷が進行していたり、靱帯や半月板に問題があったりする場合、リハビリだけでは対応できません。その場合は薬物療法や装具療法の追加、あるいは手術の検討が必要になります。 また、関節リウマチや骨粗鬆症など膝以外の病気が症状の原因となっている場合もあるため、早めに受診して原因を特定し、適切な治療を受けることで悪化を防止できる可能性があります。 変形性膝関節症についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。変形性膝関節症に対して、当院では再生医療を用いた治療も行っています。 再生医療では、幹細胞が炎症の調整や組織修復を助けることで、自然には修復しにくい膝軟骨の状態改善が期待できます。また、手術を避けながら、比較的低リスクで機能回復を目指せる点も利点です。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 高齢者の変形性膝関節症におけるリハビリに関するよくある質問 高齢者の変形性膝関節症は手術が必要ですか? 変形性膝関節症の治療において多くの場合、初期段階で手術が必要になることはありません。まずは運動療法、薬物療法、装具療法といった保存療法が基本となります。 これらを継続しても強い痛みで歩行が困難になる、あるいは日常生活に大きな支障が出る場合に、人工膝関節置換術などの手術が検討されます。 以下の記事では、変形性膝関節症の手術について詳しく解説しています。 【関連記事】 変形性膝関節症の手術における高齢者リスクを医師が解説|費用や入院期間も紹介 変形性膝関節症の手術による成功率は?入院期間や費用も解説 高齢者の変形性膝関節症は整体で治りますか? 整体で変形性膝関節症を根本的に治すことはできません。変形性膝関節症は膝関節の軟骨がすり減ることで生じる構造的変化が原因であり、整体でこの変化を元に戻すことは不可能です。 整体により一時的に筋肉のこわばりが和らぎ、動かしやすく感じることはありますが、根本的な改善や進行抑制につながる医学的根拠はありません。 症状の悪化を防ぐためには、整形外科で診断を受け、医師の指導のもとで適切なリハビリや運動療法を行うことが大切です。 以下の記事では、接骨院における変形性膝関節症の治療について詳しく解説しています。 参考文献 (文献1) Quadriceps strengthening exercises are effective in improving pain, function and quality of life in patients with osteoarthritis of the knee|PMC PubMed Central® (文献2) Impairment-targeted exercises for older adults with knee pain: a proof-of-principle study (TargET-Knee-Pain)|BMC Part of Springer Nature (文献3) Change in willingness for surgery and risk of joint replacement after an education and exercise program for hip/knee osteoarthritis: A longitudinal cohort study of 55,059 people|PLOS Aging and Health (文献4) Surgical Versus Non-Surgical Treatments for the Knee: Which Is More Effective?|PMC PubMed Central® (文献5) Five-year follow-up of patients with knee osteoarthritis not eligible for total knee replacement: results from a randomised trial|PMC PubMed Central® (文献6) The Role of Resistance Training Dosing on Pain and Physical Function in Individuals With Knee Osteoarthritis: A Systematic Review|PubMed® (文献7) The PICO project: aquatic exercise for knee osteoarthritis in overweight and obese individuals|BMC Part of Springer Nature (文献8) Loading of the knee joint during ergometer cycling: telemetric in vivo data|PubMed® (文献9) Home Stretching Exercise is Effective for Improving Knee Range of Motion and Gait in Patients with Knee Osteoarthritis (文献10) Is long-term physical activity safe for older adults with knee pain?: a systematic review|ScienceDirect (文献11) Physical Exercise and Weight Loss for Hip and Knee Osteoarthritis in Very Old Patients: A Systematic Review of the Literature|The Open Rheumatology Journal (文献12) Effectiveness of exercise for osteoarthritis of the knee: A review of the literature|PMC PubMed Central® (文献13) Rehabilitation of Patients with Moderate Knee Osteoarthritis Using Hyaluronic Acid Viscosupplementation and Physiotherapy|MDPI (文献14) Effectiveness of exercise for osteoarthritis of the knee: A review of the literature|PMC PubMed Central® (文献15) Management and Rehabilitative Treatment in Osteoarthritis with a Novel Physical Therapy Approach: A Randomized Control Study|MDPI (文献16) Effectiveness of booster strategies to promote physical activity maintenance: a systematic review and meta-analysis|BMC Part of Springer Nature (文献17) Osteoarthritis year in review 2022: rehabilitation|ScienceDirect (文献18) The causal impact of smoking behavior on osteoarthritis: a Mendelian randomization analysis|frontiers (文献19) Associations between alcohol, smoking, and cartilage composition and knee joint morphology: Data from the Osteoarthritis Initiative|PMC PubMed Central® (文献20) Diet in Knee Osteoarthritis—Myths and Facts|PMC PubMed Central® (文献21) Braces and orthoses for treating osteoarthritis of the knee|PMC PubMed Central® (文献22) Standard of Care: _Osteoarthritis of the Knee Case Type / Diagnosis: Knee Osteoarthritis. ICD-9: 715.16, 719.46|BRIGHAM AND WOMEN’S HOSPITAL Department of Rehabilitation Services
2022.03.25 -
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- 変形性膝関節症
- 膝の外側の痛み
「インターネットで膝の痛みについて検索しても、自分の膝の症状に当てはまるのかわからない」と悩んでいませんか。 自分の膝の痛みは放置しても治るのか、病院で治療を受けるべきなのかが判断できず、不安になることもあるかもしれません。 膝には靭帯や軟骨、筋肉などさまざまな組織が存在し、損傷や炎症を起こしている部位によって疾患名が変わる可能性があります。自己判断が難しい場合もあるため、気になる場合は早めに整形外科の受診も検討しましょう。 本記事では膝の部位ごとに痛みを感じる病気と対処方法を解説します。 記事を最後まで読めば膝の痛みがある部位ごとに疑われる疾患名がわかり、病院に行くべきか判断する際の参考になるでしょう。 「膝が痛む場所」によって診断結果が変わる可能性が高い 結論から言えば、膝の痛みが出ている場所によって、診断される病名は変わる可能性が高いでしょう。 膝には靭帯や軟骨、筋肉などさまざまな組織があり、どの組織が損傷・炎症しているかによって疾患名が変わるためです。 言い換えると、痛みが出る部位が明確であれば、損傷・炎症している膝の組織や疾患名も予測しやすいといえます。 「膝の内側」が痛む2つの病気 膝の内側が痛い場合は、以下2つの病気が考えられます。 変形性膝関節症 鵞足炎 膝の内側の痛みに悩んでいる方は、自分自身の症状に当てはまるかチェックしてみましょう。また、変形性膝関節症と鵞足炎の詳細については、以下の記事もご参照ください。 変形性膝関節症 変形性膝関節症とは、関節の軟骨がすり減ることで膝関節が変形していく病気です。加齢や筋力低下のほかにも、骨折•感染症も原因となる可能性があります。 主な症状は変形した関節の痛みや可動域の制限、関節水腫などです。初期症状では痛みがある程度ですが、進行していくにつれて変形が大きくなり、炎症反応がみられるようになります。 末期になれば変形が強く関節面がゆがむために関節可動域制限が大きくなり、日常生活に支障がでることも珍しくありません。 鵞足炎 鵞足炎とは、膝の内側に付着する筋肉の腱が炎症を起こす病気です。 ダッシュからのストップやジャンプ動作を繰り返すことで生じる、いわゆるオーバーユース症候群に分類されます。スポーツ選手に多く発症しますが、階段の上り下りや長距離歩行が多い人に発症することも少なくありません。 主な症状は歩くときや椅子からの立ち上がりなど、足に力を入れたときに膝の内側、下方に生じる痛みです。重症化すると荷重時だけでなく、安静時にも痛みを感じることがあります。 「膝の外側」が痛む2つの病気 実際に膝の外側が痛い場合、以下に挙げる2つの病気が考えられます。 腸脛靭帯炎 外側半月板損傷 膝の外側に痛みを感じている方にはこれらの病気が当てはまるかもしれません。痛みで悩んでいる方はぜひチェックして、ご自身の症状と比較してください。 腸脛靭帯炎 腸脛靭帯炎とはランナー膝とも呼ばれ、膝の外側にある腸脛靭帯という組織に炎症がみられる病気です。 膝の曲げ伸ばしを繰り返すことで腸脛靭帯が膝の外側の出っ張り(大腿骨外顆)とこすれ、摩擦によって炎症が起きます。そのため、ランニングなど膝の曲げ伸ばしが多いスポーツが主な原因です。 症状は膝の外側の痛みで、初期では膝を動かしたときのみに痛みを感じます。重症化してくると安静時にも痛みを感じるようになり、痛みがなかなかひきません。 外側半月板損傷 外側半月板損傷とは、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(脛の骨)の間にあるクッションの損傷です。 膝関節の内側と外側にそれぞれありますが、外側にある半月板の損傷が膝の外側の痛みにつながります。損傷の原因はスポーツや日常生活のなかで膝の外側に大きな負担がかかり続けることや、加齢に伴う関節の変性、筋力低下などです。 外側半月板損傷では痛みのほか、関節可動域の制限がみられます。関節運動が不安定になり、膝の曲げ伸ばしの途中で半月板が引っかかることで動かなくなる「ロッキング」も外側半月板損傷の特徴です。 「膝の上側」が痛む2つの病気 膝の上側に痛みを出す病気で考えられるものは以下の2つです。 大腿四頭筋付着部炎 膝蓋大腿関節症 膝の曲げ伸ばしなどで膝の上に痛みを感じる人はこれらの病気が当てはまる可能性があります。自分の症状と照らし合わせてみてください。 また、膝の上の痛みについては以下の記事でも解説していますので、気になる方はこちらもチェックしましょう。 大腿四頭筋付着部炎 大腿四頭筋付着部炎とは、太ももの前にある大腿四頭筋が付着する膝蓋骨(膝のお皿)上部に痛みを生じる病気で、ジャンパー膝とも呼ばれます。 いわゆるオーバーユース症候群に分類され、大腿四頭筋を使いすぎることが原因です。ジャンプ動作やダッシュを繰り返すスポーツ選手に多く発症します。 初期症状ではスポーツ時に限定される痛みが特徴ですが、悪化すると歩行や階段昇降など日常生活でも痛みを感じるようになります。 大腿四頭筋付着部炎(ジャンパー膝)の原因や治療は、以下の記事も参考にしてください。 膝蓋大腿関節症 膝蓋大腿関節症は、大腿骨と膝蓋骨の間にある軟骨が変性することで痛みや関節可動域制限が生じる病気です。 膝の運動に伴い上下に動く膝蓋骨の軟骨が変性することで動きが悪くなり、関節の変形へとつながります。 主な原因は加齢と膝蓋骨の骨折・脱臼です。これらの原因によって膝蓋骨の軟骨が変性、摩耗し、膝の上部に痛みが生じます。 また、膝蓋骨の動きが悪くなることで膝全体の可動域が制限されることもあるでしょう。 「膝の裏側」が痛む2つの病気 膝の裏側に痛みが出る場合に疑われるのは、以下の2つの病気です。 関節リウマチ 膝靭帯損傷 これらの病気は放置すると危険なため、膝の裏側に痛みを感じる方は注意が必要です。ご自身の症状とこの2つの病気が当てはまるかどうか必ずチェックしてください。 また以下の記事も参考にしていただけると幸いです。 関節リウマチ 関節リウマチは、関節の中にある滑膜という組織がなんらかの原因で異常増殖し、炎症を起こす進行性の疾患です。 症状が進行すると関節が破壊され、痛みや関節の変形を伴います。全身の関節に起こる病気ですが、膝であれば膝裏にも痛みを感じることが特徴的です。 関節リウマチは自己免疫疾患だと考えられていて、発症する原因はわかっていません。しかし、30〜40代の女性に発症しやすい傾向があります。 早期発見・早期治療によって症状の進行を抑えることが重要な疾患です。 膝靭帯損傷 膝靭帯損傷は膝にある4種類の靭帯のいずれかが損傷する疾患で、膝の裏の痛みではとくに後十字靭帯損傷が疑われます。 後十字靭帯損傷は事故やスポーツによって損傷しやすい靭帯で、損傷すると膝裏の痛みや膝の伸ばしにくさが出るのが特徴です。 後十字靭帯は自然治癒が難しいため、損傷すると時間経過とともに元どおりになることがありません。すぐに手術をする必要はありませんが、サポーターなどの装具での補強やリハビリが必要です。 【場所別】膝が痛むときの対処法 膝の痛みは、痛む場所によって対処法が異なります。主な対策は以下のとおりです。 膝の内側が痛む場合は「膝に負担をかけないようにする」 膝の外側が痛む場合は「股関節の運動を心がける」 膝の上側が痛む場合は「ストレッチと筋トレを行う」 膝の裏側が痛む場合は「無理をせず医療機関を受診する」 本章を参考に、自分の膝の痛みに合った対処法を試してみましょう。 膝の内側が痛む場合は「膝に負担をかけないようにする」 膝の内側が痛い場合は、「鵞足炎」もしくは「変形性膝関節症」の可能性があるため、膝関節へ負担をかけないことが大切です。 病名によって対処法がやや異なるため、以下の表を参考に試してみましょう。 病気名 対処法 鵞足炎 ・安静にすること ・鵞足につく太ももの内側・裏側の筋肉をストレッチする ・お尻の筋力強化 変形性膝関節症 ・適切な体重にコントロールする ・膝の筋力強化 ・痛み止め(消炎鎮痛剤)の服用 これらの疾患は圧痛の位置によっておおまかに見分けられます。 鵞足炎では膝の内側・下方に圧痛があるのに対し、変形性膝関節症では大腿骨と脛骨の関節面付近に圧痛があります。 圧痛の場所を確認し、可能性のある疾患を見極めた上で適切な対処を行いましょう。 膝の外側が痛む場合は「股関節の運動を心がける」 膝の外側に痛みを感じる場合「腸脛靭帯炎」もしくは「外側半月板損傷」が考えられます。これらの疾患への対処法として、股関節周囲の筋力強化やストレッチが重要です。 腸脛靭帯は股関節の外側から膝に向かって伸びている靭帯で、膝を支える役割がある組織です。お尻の筋肉とつながっているため、股関節の筋力強化やストレッチで強くしなやかになり、腸脛靭帯炎の予防になるでしょう。 外側半月板は膝の中にあるクッションで2つある半月板のうち、外側にあるものを指します。身体の外側に体重がかかると外側半月板の負担になるため、股関節の筋力強化・ストレッチを行い、体重のかかり方をコントロールする必要があります。 股関節を捻るストレッチやあぐらをかくストレッチが効果的です。筋力強化は仰向けでのお尻上げやスクワットといったお尻の筋肉に力をいれるトレーニングを取り入れてください。 また、どちらの疾患もオーバーユースが要因となるため、痛みが強いときには安静も重要です。 膝の上側が痛む場合は「ストレッチと筋トレを行う」 膝の上に痛みを感じる場合「大腿四頭筋付着部炎」や「膝蓋大腿関節症」の可能性があるため、太ももの筋肉の柔軟性を高めましょう。 大腿四頭筋付着部炎と膝蓋大腿関節症は大腿四頭筋の柔軟性が低下することで発症しやすくなります。膝を深くまで曲げるストレッチや、足を後ろに引いて骨盤を前に出すストレッチで大腿四頭筋の柔軟性が高まるでしょう。 また、ストレッチだけでなく筋力強化も重要です。大腿四頭筋を強化することで膝蓋骨の動きがスムーズになり、また付着部の炎症も起きにくくなります。仰向けでの脚上げやスクワット、段差昇降が有効なため、ぜひ試してみてください。 なお、大腿四頭筋のストレッチの詳しいやり方はこちらでも解説しています。ぜひご覧ください。 膝の裏側が痛む場合は「無理をせず医療機関を受診する」 膝の裏に痛みを感じるときは「関節リウマチ」や「膝靭帯損傷」が疑われます。自分での対処が難しいケースがほとんどであるため、可能な限り早く整形外科を受診しましょう。 整形外科を受診する場合には、MRIがある施設がおすすめです。MRIがあれば関節の変形や炎症の程度がわかるため、適切な診断を受けられます。 また、関節リウマチを疑う場合には採血も必要なため、受診する前に採血が可能か問い合わせておくと安心です。 まとめ|膝の痛みは場所によって原因が違う!気になる人は早めの受診がおすすめ 今回は膝が痛む場所からわかる膝の病気について詳しく解説しました。 個々の経過や受傷状況などによって専門医による診察が重要であることはいうまでもありませんが、膝の痛む場所によってそれぞれ特徴的な膝の病気があることも事実です。 もし膝の痛みの原因が自分で特定できない場合は、病院で受診することをおすすめします。 また、当院「リペアクリニック」では、膝の痛みに関する治療法として、再生医療を行っています。 2023年12月には、国内初の「分化誘導による関節の再生医療」による治療を厚生労働省に特許申請し、受理されました。 「分化誘導による関節の再生医療」は、従来より高い再生能力を持った幹細胞による治療であり、幅広い膝疾患への効果が期待できます。 膝の痛みにおいて、手術以外の選択肢を持ちたいと考えている方は、ぜひ当院の「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」からご相談ください。 この記事が、膝の痛みの原因や対処法を知り、適切な治療を受けるための参考資料になれば嬉しく思います。 膝の痛みについてよくある質問 膝の痛みの原因はなんですか? 損傷・炎症がある組織によって異なります。 膝の痛みは靭帯や軟骨といった組織が損傷・炎症を起こすことで生じます。これらの組織は部位によって違うため、痛みの部位だけでは原因組織の断定はできません。 そのため、原因を特定するためには病院を受診しましょう。とくにMRI検査をすれば詳細な組織の評価ができるため、MRI撮影ができる施設がおすすめです。 膝が痛むとき受診は必要ですか? 受診することをおすすめします。 もし痛みの原因が軟骨や靭帯である場合、自然治癒が見込めません。そのため、正しい治療をしなければ痛みが長引く可能性があります。 病院を受診して痛みの原因を特定できれば、痛みの改善に向けた正しい治療が受けられるでしょう。また、再発防止に向けたアドバイスももらえるため、可能なら早めの受診をおすすめします。
2022.03.23 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
膝に痛みを感じながらも仕事が忙しい・病院に行くのが手間といった理由で、そのまま様子を見ている方も多いのではないでしょうか。 しかし、膝の痛みが続く場合や階段の昇り降りがつらい・腫れて熱を持っているといった症状があるときは、重大な疾患が隠れている可能性もあるため注意が必要です。 以下のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 こうした症状を放置すると、変形性膝関節症・関節リウマチ・半月板損傷などが進行し、歩行障害や手術が必要になるリスクも高まります。 一方で、早期に正しい診断と治療を受けることで、負担の少ない方法で回復が目指せるケースも少なくありません。 本記事では、膝が痛いときに病院へ行くべきかの判断基準や、考えられる代表的な膝疾患についてわかりやすく解説しています。 また、膝の痛みについて「病院に行くほどではないけれど、この膝の痛み、気になる」「似た症例があるなら知っておきたい」という方は、当院(リペアセルクリニック)の公式LINEをご活用ください。 再生医療を中心に、膝の痛みや症状別のセルフチェック情報、症例の紹介などをLINE限定で配信しています。 \公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/ 膝が痛いときに病院に行くべき理由 膝の痛みが数日経っても治まらない場合は、病院の受診を検討しましょう。症状の改善には、早期に痛みの原因を特定し、適切な治療をすることが大切です。 痛みの原因として考えられる膝軟骨のすり減りや慢性的な炎症は、自然に元の状態へ戻るのは難しいと言われています。 膝の痛みは症状や状態によって、リハビリや固定具を活用した保存治療などの専門的な治療が必要です。 膝の痛い状態で病院に行かずに放置するリスク 膝の痛みを放置すれば、事態が深刻化するケースも少なくありません。 たとえば、軽度の捻挫や炎症が、適切な治療を受けないまま慢性化することで、日常生活に支障をきたす可能性があります。 特に変形性膝関節症や半月板損傷などの疾患では、早期治療の機会を逃すことで、症状が重症化する恐れがあります。その結果、保存療法では改善が難しくなり、手術が必要となるケースも少なくありません。 また、痛みをかばうことで、反対側の膝や腰、足首に過度な負担がかかり、新たな痛みや障害を引き起こす可能性もあります。 膝の痛みの放置には、症状の悪化や身体全体のバランスを崩すリスクがあります。 ▼膝の痛みに潜む重大な病気とは?1分でチェック! https://youtube.com/shorts/SFl4q1RCuCw?feature=shared 膝が痛いときはどんな病院を受診すべき? 膝が痛いときの受診先として、主に整形外科と整骨院が選択肢として挙げられます。 整形外科では、MRIやレントゲンなどの検査設備が充実しており、医師による診断と治療を受けることができます。一方、整骨院は医師による診察や薬の処方はできませんが、痛みの緩和や機能改善のための施術を行います。 施設 目的 治療内容 整形外科 ・医学的診断に基づく評価 ・疾患の治療と回復 ・症状の進行予防 ・必要に応じた手術の検討 ・レントゲン、MRIなどの画像診断 ・血液検査 ・投薬治療 ・注射治療 ・手術 ・装具の処方 ・リハビリテーションの実施・指導 整骨院 ・筋肉や関節の機能回復を目的とした施術 ・痛みの軽減を目的とした施術 ・日常生活動作の改善 ・身体機能の維持 ・向上 ・マッサージ ・関節の調整 ・ストレッチ指導 ・超音波やマイクロ波などの物理療法 ・テーピング ・運動指導 膝が痛いときは、まず整形外科を受診しましょう。 特に異常がなく膝に軽い痛みや違和感がある程度の場合は、整骨院に通院して症状の改善を目指すこともご検討ください。 また、膝の痛みに対しては「再生医療」という選択肢もあります。 再生医療は、患者様自身の幹細胞を採取・培養して痛みの改善や軟骨の再生を目指す治療法です。 当院「リペアセルクリニック」では電話相談やオンラインカウンセリングにも対応しています。再生医療について興味がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。 病院に行く時間がない方でも、ご自宅から簡単にお電話できます。 >>0120-706-313(受付時間:9:00〜18:00) 膝の痛みを伴う代表的な3つの疾患 膝の痛みにはさまざまな原因があり、その症状を引き起こす疾患も多岐にわたります。膝の痛みが長引いたり、急激に悪化する場合、適切な診断を受けることが重要です。 ここでは、膝の痛みを伴う代表的な疾患を3つ紹介します。 変形性膝関節症 半月板損傷 関節リウマチ 3つの疾患の原因や症状について、それぞれ解説します。 変形性膝関節症 変形性膝関節症とは、膝関節にある軟骨のすり減りによって、痛みや動きの制限が伴う疾患です。 変形性膝関節症は加齢とともに、高齢になるほど罹患率が高くなる傾向にあります。 また、日常的な膝への負担や、過度な運動による衝撃も変形性膝関節症を発症する原因です。 症状が進行すると最終的には、骨の変形にまで至ります。痛みや動きの制限も顕著になるため、早期治療が大切です。 半月板損傷 半月板損傷とは、膝関節のクッションとして機能する半月板に亀裂が入る、または組織が欠損する疾患です。 損傷する原因は、スポーツ時の膝のひねりや転倒、加齢による摩耗などです。 半月板が損傷すると、膝の痛みや腫れが生じ、関節の動きが制限されます。症状を放置すれば軟骨の損傷も進み、変形性膝関節症を発症するケースもあります。 膝をぶつけたり、半月板の付近に痛みが生じたりする場合は、半月板損傷の可能性を視野に入れ病院の受診を検討しましょう。 関節リウマチ 関節リウマチとは、免疫の異常によって関節が炎症を起こし、痛みや腫れを引き起こす自己免疫疾患です。 炎症が続くと、関節の変形や機能低下が進み、日常生活にも支障をきたします。 また、関節リウマチは、臓器障害や動脈硬化の促進といった全身症状を引き起こす可能性もあります。 早期に対応がとれるよう、膝の痛みを感じたら関節リウマチ発症の疑いも頭に入れておきましょう。 まとめ|膝が痛いときに病院に行くべき理由を知って適切な治療を進めよう 病院に行くべきか悩んでいる方も、膝の痛みが続く場合は、早めに病院を受診しましょう。 軽い炎症なら自然に治ることもありますが、変形性膝関節症や半月板損傷などの疾患では、放置すると悪化するおそれがあります。 早期治療が症状の進行を防ぐため、違和感を覚えたら放置せずに医療機関へ行きましょう。 なお、膝の痛みに対しては「再生医療」という選択肢があります。 変形性膝関節症や半月板損傷などの疾患で膝の痛みにお悩みの方は、ぜひ当院「リペアセルクリニック」の再生医療をご検討ください。 膝の痛みに関するよくある質問 最後に膝の痛みに関するよくある質問と回答をまとめます。 膝の痛みは自然に治りますか? 膝の痛みが自然に治るかどうかは、原因によって異なります。 軽い炎症や一時的な疲労が原因であれば、適度な休息を取れば回復する場合もあります。 しかし、変形性膝関節症のように軟骨がすり減る疾患では、自然に元の状態に戻る確率は低いです。 膝の状態を自己判断するのは難しいので、痛みを感じた際は専門家に診てもらいましょう。 膝の痛みは整体で治りますか? 整体で痛みを改善できるかどうかは、膝の状態や疾患の種類によって異なります。 整体は、主に筋肉や関節のバランスを整えて体の痛みを緩和する施術です。 膝関節の周りの筋肉が硬くなっていたり、関節に歪みがあったりする場合は、整体の施術によって痛みが改善する場合があります。 しかし、変形性膝関節症のように関節自体が変形している状態では、整体での改善は期待できません。リハビリや手術といった専門的治療が必要になります。 曲げると痛い膝の痛みの原因は? 膝を曲げたときに痛みを感じる原因として、変形性膝関節症や半月板損傷などの膝疾患が考えられます。 ほかにも、スポーツや仕事で膝を酷使して、炎症を起こしている可能性もあります。 適切なケアをしていくためにも、病院を受診して原因を特定しましょう。
2022.03.15 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
- 再生治療
膝の痛みから変形性膝関節症と診断された方の中には、 「注射やリハビリを続けているけれど、なかなか良くならない」 「できれば手術は避けたい」 と考えている方も多いのではないでしょうか。 変形性膝関節症は、症状が進行して中期以降になると痛みが強くなり、末期には膝が変形するほどの症状となります。 痛みを我慢して生活を続けると、歩く機会が減って運動不足になり筋力が低下します。結果として肥満が進み、内臓の働きが悪くなってさまざまな病気を引き起こす原因にもなりがちです。 そのためにも膝の痛みや違和感は我慢せず、早めに医療機関を受診してください。 こうした中、近年では最新治療として「再生医療」が注目を集めています。 今回は、膝の痛み・変形性膝関節症について、新たに注目されている「最新の治療法」と、従来の治療法についてご紹介します。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 変形性膝関節症について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 【前提知識】変形性膝関節症とは 変形性膝関節症とは、米国整形外科学会では「関節軟骨だけでなく、軟骨下骨組織や靱帯、関節包、滑膜、関節周囲筋を含めた関節全体に影響を及ぼすもので、臨床的には関節痛、圧痛、可動域制限、軋轢音や関節水症、全身症状を伴わない局所の炎症を呈する疾患」と定義されています。(文献1) つまり、軟骨がすり減ることで膝の動きが悪くなり、痛みや腫れを生じる病気です。 発症リスクの原因として、肥満(過体重)や女性、高齢者、膝関節を怪我したことがある、膝関節に負荷をかける活動や職業に就いていることがあげられています。 最初は、歩き始めに脚の付け根に痛みを感じるものの、一時的に症状の改善が見られるのが特徴です。しかし、何度か症状を繰り返すうちに、徐々に悪化していきます。末期になると、膝頭が外を向きO脚に変形し、正座や膝をまっすぐに伸ばせなくなります。 【関連記事】 変形性膝関節症を放っておくとどうなる?症状の進行と受診の目安 若い人に起こる変形性膝関節症の原因と対処法|スポーツや生活習慣を見直そう 変形性膝関節症の最新治療「再生医療」 https://youtu.be/zmcafuxHyTw > その他、変形性膝関節症の事例を動画で見る 保存療法や手術に代わる、新しい選択肢としておすすめしたいのが「再生医療」です。 膝の痛みの原因のひとつ、膝軟骨のすり減りに対しては、軟骨を再生させることはこれまで不可能と言われてきました。それが先端医療の再生医療では、患者さんの幹細胞を培養して軟骨を再生できるようになりました。 この「再生医療」によって、運動が可能になるほど症状の緩和に期待ができます。 再生医療は大掛かりな手術を必要とせず、ご自身の細胞を利用することで患部の再生を促す医療です。保存療法よりも早期の治療効果が期待できます。確実性が高く、従来の手術法よりも体への負担が少ない治療法として注目されています。 変形性膝関節症に行われる再生医療として、「PRP療法(自己多血小板血漿注入療法)」と「幹細胞治療」があります。 PRP療法とは、患者さんの血液を採取し、血液中に含まれる血小板の多い血漿だけを抽出し、膝へ注射する治療法です。多血小板血漿には、組織や細胞の成長を促す成長因子が多く含まれています。 また、幹細胞治療は、衰えた膝の関節軟骨を再生させて痛みを抑える再生医療です。幹細胞は、軟骨や皮膚、骨などに分化(複雑なものに発展していくこと)する機能があります。体から採取した幹細胞を培養(増やす)して膝の関節内へ注射することで、傷んだ軟骨の再生を期待でき、これまでになかった新しい治療法です。 再生医療の中でもおすすめは、自分の幹細胞を培養して用いる幹細胞治療です。幹細胞治療では、さまざまな組織に分化(変化)する働きをもつ幹細胞を、何千〜何百万倍にも培養し、膝に注射します。この幹細胞が集中的にすり減った軟骨に働きかけることで、これまで不可能とされてきた「軟骨を再生」させます。 培養するための時間は必要ですが、手術や入院することなく、日常生活に復帰できる点が評価されています。 なお、再生医療は新しい医療分野だけに、医師であっても知見に乏しいことがあります。ご相談の際は、一般の病院ではなく、再生医療を専門とするクリニックや専門医に相談されることをおすすめします。 当院でも、再生医療による変形性膝関節症の治療をおこなっています。是非一度お問い合わせください。 変形性膝関節症における従来の治療法 変形性膝関節症の従来の治療では、症状が軽いうちは、生活習慣の改善と内服薬での治療がメインとなります。もう少し進行するとリハビリも取り入れた治療となり、症状が重い末期では手術を行うこともあります。 生活習慣の改善 症状が軽い段階では、日常生活における膝の負担軽減を目的として、生活習慣の改善を行います。具体的には、普段の立ち方・歩き方・階段の上り下りなどの動作を見直す、肥満であれば減量によって膝への負担を軽くするのが効果的です。 膝への負担を減らす目的での体重管理は大切ですが、自己流で行うのは難しく、かえって膝を痛めてしまうこともあります。医療機関で医師や理学療法士の指導を受けながら取り組みましょう。 運動療法(リハビリテーション) 運動によって脚に筋力をつけ、膝周辺の筋肉を強化し、膝関節を保護します。 一方で、運動をすると膝の痛みが強くなるのでは?と不安になる患者さんもいらっしゃいます。しかし、適切・適度な運動を行うことで膝周囲の筋肉強化が可能になります。筋肉が強化されると、膝関節の負担を軽減することができるため積極的に取り組みましょう。 ただし、自己流は逆に膝を痛めることもあります。病院のリハビリ等、専門家の指導を受けて無理のない範囲で行いましょう。 運動療法とあわせて、膝への負担を軽くするための治療法も行われます。 装具療法 歩行や立ち上がりの際の膝への負担を軽減するため、膝サポーターや足底(インソール)への装具着用を行います。 物理療法 膝周辺を温めて血行を促したり、炎症が酷く腫れている場合は冷やすなどします。 薬物療法 痛みのある患者さんには、内服薬や外用薬を使った痛み止め治療を行います。 ガイドラインで推奨されている薬剤は次の通りです。(文献1) アセトアミノフェン NSAIDs外用薬 非選択的NSAIDs内服薬 COX-2選択的阻害薬 ヒアルロン酸関節内注射 外科手術 症状が進行した場合、外科的治療が必要になることがあります。膝の症状が進行し、変形性膝関節症で辛い思いをしている患者さんは少なくありません。とくに、投薬や注射でも改善しない痛みが続く末期の患者さんは日常生活に支障をきたしています。そのような場合、次のような方法が選択肢となります。 関節鏡視下手術:内視鏡を使った手術 高位脛骨(けいこつ)骨切り術:骨を切って矯正する手術 人工膝関節置換術 人工膝関節置換術とは 変形性膝関節症の人工膝関節置換術では、特殊な金属とポリエチレンから作られる人工関節を設置して、膝関節の動きをサポートできます。 術後は、それまでの膝関節の痛みがなくなる、もしくは大きく和らぎ、膝の痛みが軽くなることで、日常生活の不便が減り、運動もできるようになることが多くあります。 一方で、手術には注意点やリスクを伴います。 例えば、人工関節が外れたり、異物を入れたことによる細菌感染が起きる可能性は否定できません。また、時間の経過に伴い人工関節が緩む恐れもあり、注意が必要です。 変形性膝関節症で最新治療を受ける場合は、次の点に気を付けましょう。 信頼できる病院を選ぶ 術後も定期的に受診し、適切な検査を受ける 変形性膝関節症の最新治療で健常な私生活を実現しよう 軽度な変形性膝関節症は、外科手術を必要としなくても進行を抑えることが可能ですが、進行すると外科的手術が必要になる場合があります。しかし、末期の変形性膝関節症でも「最新治療」によって運動が可能になるほど症状を緩和できます。 最新治療を検討する場合、変形性膝関節症の治療実績の高い病院やクリニックを選ぶこと、術後のトラブルを防ぐために、定期的に受診し検査を受けることが重要です。 変形性膝関節症は、早期治療が何よりも大切です。膝に痛みや違和感を覚えたら、自己判断せずに医療機関の受診を推奨します。 変形性膝関節症で悩まれている方に向けて、注目されている最新の治療法である再生医療を説明しました。 再生医療について、さらに詳しく知りたい方は、メール相談やオンラインカウンセリングも承っておりますのでご利用ください。 この記事がご参考になれば幸いです。 変形性膝関節症の最新治療に関するよくある質問 変形性膝関節症の最新治療である再生医療は保険適用になりますか? 現時点では、変形性膝関節症に対する再生医療は原則として保険適用外です。 ヒアルロン酸注射や手術(人工膝関節置換術など)は保険の対象ですが、再生医療は自由診療として行われています。 費用は治療内容によって異なりますが、数十万円から百万円前後となるケースもあります。 ただし、再生医療の一部は国の認可を受けた医療機関でのみ提供されており、安全性や効果については「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」のもとで管理されています。(文献2) 検討される場合は、認可を受けたクリニックや再生医療専門医に相談することをおすすめします。 変形性膝関節症は手術しないで放置するとどうなりますか? 変形性膝関節症を放置すると、軟骨のすり減りが進行し、痛みや関節の変形が強くなる可能性があります。 初期のうちは「動き始めだけ痛い」「階段の上り下りがつらい」といった症状ですが、進行すると安静時でも痛む・膝が曲がらない・歩行が難しいなど、日常生活に大きな支障をきたすでしょう。 さらに放置すると、関節が変形してO脚が進行したり、転倒リスクが高まることもあります。 内側型変形性膝関節症患者を対象とした報告では、手術を受けなかった変形性膝関節症患者では、経過とともに生活活動レベルが低下し、予後が悪化する傾向があると報告されています。(文献1) 症状を悪化させないためには、早期の受診と適切な保存療法(運動・体重管理・装具など)を行うことが大切です。 参考文献 (文献1) 変形性膝関節症診療ガイドライン2023|南江堂 (文献2) 再生医療等の安全性の確保等に関する法律|e-GOV 法令検索
2022.03.03 -
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- 膝の内側の痛み
- ひざ関節
「変形性膝関節症の手術は、実際どれくらいの成功率なの?」 「変形性膝関節症の手術で失敗が怖い」 このように、不安に思われる方は多いのではないでしょうか。 報告によっては手術後10年間で再手術をせずに過ごせる割合が90%近いケースもあります。 本記事では、変形性膝関節症の手術方法や成功率、入院期間と費用などを詳しく解説します。 手術のメリット・デメリットだけでなく、再手術リスクや再生医療という選択肢についてもわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。 変形性膝関節症の手術成功率|90%以上の報告もあり 変形性膝関節症の手術は主に以下の3種類の術式から選択されます。 関節鏡視下手術 高位脛骨骨切り術 人工関節置換術 どの術式を選択するかは、膝の変形の進行度や痛みの程度、そして年齢などを踏まえて判断されることが一般的です。 それぞれの手術法における成功率や術式を見ていきましょう。 変形性膝関節症の手術は主に以下の3種類の術式から選択されます。 高位脛骨骨切り術 人工関節置換術 関節鏡視下手術 どの術式を選択するかは、膝の変形の進行度や痛みの程度、そして年齢などを踏まえて判断されることが一般的です。 それぞれの手術法における成功率や術式を見ていきましょう。 1.高位脛骨骨切り術|手術後10年で96%が良好な状態を維持 高位脛骨骨切り術は脚の変形を矯正し、関節にかかる偏った負担をなくす手術です。 変形が進行しきっていないことが条件で、人工関節置換術を受ける方より年齢が若い60歳未満の方に適応されることが多い傾向です。 高位脛骨骨切り術により、O脚やX脚などの脚の変形を矯正しても、軟骨のすり減りや、痛みが再発する可能性があります。 将来的には再手術を必要とする場合があります。 ある調査では、この手術を受けた人のうち、10年後に96%、15年後でも90%が良い状態を保っていたという結果が出ています。(文献1) 2.人工関節置換術|手術後10年で99%以上が良好な状態を維持 人工関節置換術は変形性が進行した末期、または60歳以上の方に適応されます。 年齢が重要視される理由は、人工関節の耐久性(15~20年前後)を考慮して、再手術をしなくても良いように考えられているためです。 人工関節置換術をすると、軟骨がすり減る心配をしなくて済むほか、痛みを気にせずに過ごせる可能性が高くなります。 しかし、膝に負担がかかるような過ごし方を続けると、人工関節に破損や緩みが出てきて耐久年数に関わらず再手術の可能性が高まります。 ある研究では、手術後の膝の状態を10年にわたって調べた結果、再び大がかりな手術を受けた人はわずかでした。 5年後の良好な状態の割合は99.4%、10年後も99.3%と高く、12年半たっても96.2%と報告されています。(文献2) 3.関節鏡視下手術|プラセボ効果と変わらない可能性 変形性膝関節症で比較的初期に適応される手術は「関節鏡視下手術」です。 小さなカメラと器具を使って、関節の中を直接見ながら、炎症の原因になる軟骨のかけらを取りのぞいたり、傷んだ半月板の形を整えたりします。 2022年の研究では、実際に関節鏡視下手術を受けた人と、切開のみで治療を行わないプラセボ手術(研究のためのニセ手術)を受けた人で成功したと感じた割合は以下の通りでした。(文献3) 関節鏡視下手術:82% 関節鏡視下手術のプラセボ手術:74% また、2024年の研究では、関節鏡視下手術を受けた人と手術をしない保存療法のみの人で、5年後と10年後に人工関節置換術(TKA)を受けた人の割合について以下の結果が出ています。(文献4) 5年後にTKAを受けた人の割合 10年後にTKAを受けた人の割合 関節鏡視下手術を受けた人 10.2% 23.3% 保存療法のみの人 9.3% 21.4% これらの研究結果から、変形性膝関節症に対する関節鏡視下手術の効果は、実際の手術をしない場合と大きく差がない可能性が高いことが示唆されています。 医療機関や治療法を選ぶ際には、これらの情報も参考に検討することをおすすめします。 変形性膝関節症の手術における入院期間や費用 変形性膝関節症の手術では、術式ごとに入院期間や費用が大きく変わります。 たとえば、関節鏡視下手術は比較的短い入院期間で済む一方、高位脛骨骨切り術や人工関節置換術ではリハビリを含めて長期の入院を要するケースが少なくありません。 費用面も同様に、手術方法や保険の適用割合によって負担額は大きく異なります 以下に、主な術式ごとの入院期間と費用の目安をまとめましたので、参考にしてみてください。 手術名 入院期間 保険適用前費用 3割負担費用 1割負担費用 関節鏡視下手術 2日~3日 約25万円 約7.5万円 約2.5万円 高位脛骨骨切り術 約5~6週間 約146万円 約43.8万円 約14.6万円 人工関節置換術 約1カ月 約186万円 約55.8万円 約18.6万円 ※表の入院期間、費用は病院によっても変わるのであくまで目安の数値になります。 なお、入院中の食事代として1食あたり約110〜490円程度がかかるほか、個室や特別室を希望する場合には1日あたり5,000〜20,000円ほどの差額ベッド代が発生する場合もあります。 以上のように、術式によって滞在期間や費用が大きく変わるため、手術前にしっかりと情報を収集し、家族とも相談することで入院期間や費用に関する不安は減らせます。 【関連記事】 変形性膝関節症の手術後の入院期間は?手術の種類・リハビリ~退院まで医師が解説 変形性膝関節症の手術費用はどのくらい?保険適用の可否についても医師が解説 変形性膝関節症で手術するメリット 変形性膝関節症で手術を受けるメリットとしては、まず起床時の膝のこわばりが軽減する点が挙げられます。 これにより、痛みを意識することなく階段の上り下りができる可能性が高まります。 膝の痛みを気にせず歩き出せるようになるため、外出や趣味などへの意欲が向上する人も少なくありません。 膝をかばう動作が減り、日常生活全般がスムーズになることで精神的にも負担が軽くなるメリットもあります。 変形性膝関節症で手術するデメリット 手術には合併症のリスクが伴います。感染症や血栓症、手術後の痛みや関節の動かしづらさなどが代表的です。 高位脛骨骨切り術のあとに再手術が必要となった場合、膝の変形がさらに進行している可能性が高く、その時点で加齢が進んでいれば、人工関節置換術に移行する可能性もあります。 人工関節置換術後は、膝が完全に曲がらなくなるため、痛みの改善が期待できる一方で、関節の可動域が制限されるデメリットがあります。 そのため、重い荷物を持ったり正座をしたりすることが難しくなる場合も少なくありません。 また、膝に負担をかけるスポーツや動作を続けていると、人工関節が破損やゆるみを起こすリスクが高まり、耐久年数に関係なく再手術が必要になる場合もあります。 変形性膝関節症で手術をしない「再生医療」の選択肢 変形性膝関節症で入院を伴うような大きな手術を必要としない治療選択肢として「再生医療」が挙げられます。 再生医療には、幹細胞治療とPRP(多血小板血漿)療法などがあります。 幹細胞治療は、患者様自身の幹細胞を培養して患部に注射する治療法です。 PRP療法では、患者様の血液を採取して遠心分離器にかけ、血小板を濃縮した液体を患部に注射します。 当院「リペアセルクリニック」では「幹細胞治療」「PRP療法」の両方を提供しております。 「関節内ピンポイント注射」という手法を取り入れているため、体への負担を軽減しながら治療を進められます。 詳しい治療方法や症例が気になる方は、リペアセルクリニックまでお気軽にお問い合わせください。 まとめ|変形性膝関節症の手術における成功率を把握した上で治療を検討しよう 変形性膝関節症の手術は、術式によって成功率が異なります。 病院ごとでも実績や専門性が異なるため、担当医に術式別の成功率を聞いて情報収集してみると良いでしょう。 手術は体への負担が大きいため、念入りな検査や診断のもと、どの治療法が最適かを判断していく姿勢が大切です。 入院を伴うような大きな手術を必要としない治療法をお探しの方は、再生医療をご検討ください。 再生医療について詳しくは、当院リペアセルクリニックにお気軽にお問い合わせください。 変形性膝関節症の手術に関するよくある質問 変形性膝関節症の手術後はどんな生活を送ることになりますか? 手術後は、感染症の予防や傷口の安静といった基本的なケアが必要となり、激しい運動や膝に負担のかかる姿勢はしばらく控えることが求められます。 たとえば、正座やあぐら、長時間のしゃがみ込みなどは痛みや再発のリスクを高める可能性があるため注意が必要です。 人工関節を入れた場合には、破損や緩みのリスクを防ぐ意味でも、大きな負荷が加わる運動を避けるよう指示されることが少なくありません。 また、生活環境を整え、膝への負担を減らす工夫することで、術後の回復をスムーズに進められます。 具体的には、床座をやめて椅子中心の生活に変える、手すりを設置するなど、小さな改善を積み重ねることが回復を早めるコツです。 変形性膝関節症の手術で名医はいますか? 変形性膝関節症の治療を得意とする医師は、全国に多数存在しますが、最適な治療を受けるためには、各医療機関の実績や専門分野をしっかりと調べることが重要です。 ウェブサイトや医師紹介ページを確認し、これまでの手術症例数や学会での活動歴、論文発表などをチェックするのも良い方法です。 さらに、当院ではメスを使用せずに治療をおこなう「再生医療」のスペシャリストが在籍しており、患者様の状態に合わせてより最適な治療法を提案できます。詳しい経歴や実績は「ドクター紹介ページ」をご覧いただき、安心してご相談ください。 場合によっては、医師への直接の質問やセカンドオピニオンも検討し、自分に合った医療機関を選択しましょう。 膝の人工関節手術で失敗例はありますか? 膝の人工関節手術は成功率が高い一方、合併症や感染症などのリスクが完全にゼロになるわけではありません。 術後の痛みや可動域の制限が想定以上に残った場合や、人工関節に過度な負担がかかった結果、破損や緩みが生じる可能性もあります。その際には再手術が必要となるケースも少なくありません。 また、人工関節の素材や術式にはさまざまな種類があり、個々の体質や生活スタイルとの相性が影響を及ぼす場合もあります。術後のリハビリを怠らず、医師の指示に従ったケアで膝の負担を減らすことで、失敗と感じるリスクを抑えられるでしょう。 参考文献 (文献1) 信州大学医学部附属病院 整形外科下肢グループ「高位脛骨骨切り術について」 https://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/medicine/chair/i-seikei/images/03-03-1-008_case-lower_treatment05.pdf (最終アクセス:2025年4月18日) (文献2) 龍 準之助.「人工膝関節の開発と術後成績」日大医誌 70 巻 5 号 pp254~259 2011年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/numa/70/5/70_254/_pdf/-char/ja (最終アクセス:2025年4月18日) (文献3) O'Connor D, et al. (2022). Arthroscopic surgery for degenerative knee disease (osteoarthritis including degenerative meniscal tears). Cochrane Database of Systematic Reviews, CD014328. 10.1002/14651858.CD014328 (最終アクセス:2025年4月25日) (文献4) Birmingham TB, et al. (2024). Incidence of Total Knee Arthroplasty After Arthroscopic Surgery for Knee Osteoarthritis: A Secondary Analysis of a Randomized Clinical Trial. JAMA Network Open, 7(4), e246578. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38635272/ (最終アクセス:2025年4月25日)
2022.02.24 -
- 変形性膝関節症
- ひざ関節
- 膝の内側の痛み
変形性膝関節症は、放っておくと少しずつ進行し、日常生活に大きな支障をきたす恐れのある疾患です。 初期段階では痛みが軽くても、対策をせずに放置すると関節の変形が進み、手術が必要になることもあります。 しかし、正しい知識と対策を知っていれば、進行を遅らせたり、悪化を防ぐことは十分に可能です。 本記事では、変形性膝関節症を進行させないために、今日からできる対策やセルフケアの方法をわかりやすく解説します。 変形性膝関節症が進行するとどうなる? 変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨がすり減ることで、関節に炎症や変形が生じる慢性的な疾患です。 とくに中高年に多く見られる疾患で、年齢や生活習慣の影響で徐々に進行していくのが特徴です。 初期段階では「膝がこわばる」「動き始めに違和感がある」といった軽い症状から始まりますが、進行すると関節の隙間が狭くなり、骨同士がこすれ合うようになるため、強い痛みや腫れ、歩行障害などが現れるようになります。 さらに重症化すると、関節が大きく変形し、正座や階段の上り下りといった日常動作が困難になり、最終的には人工関節の手術が必要になるケースも少なくありません。 変形性膝関節症を進行させないためには、早い段階での対策が非常に大切です。 変形性膝関節症を進行させないための5つの対策 変形性膝関節症は、日々の生活習慣を見直すことで進行を抑えられます。 本章では、以下5つの対策について解説します。 膝に優しい生活動作を心がける 適度な運動と筋力トレーニング 体重管理 食事と栄養管理 サポーターやインソールの活用 それぞれの対策について、詳しく見ていきましょう。 膝に優しい生活動作を心がける 膝への負担は、何気ない日常動作の積み重ねによって蓄積されていきます。 とくに、正座や階段の上り下りなどの動作は膝関節に大きなストレスを与えるため、注意が必要です。 正座の代わりに椅子を使う、階段は手すりを使いながら一段ずつ足を揃えて上り下りするなど、膝に負担をかけない工夫を取り入れましょう。 また、立ち上がるときは膝だけに力を入れず、手や太ももの筋肉を活用すること、座るときはドスンと腰を落とさずゆっくりと重心を下げることが大切です。 適度な運動と筋力トレーニング 変形性膝関節症の進行を防ぐには、関節を固めずに動かし続けることが重要です。 ウォーキングなどの有酸素運動や、膝の曲げ伸ばし体操といった軽い運動は、関節の柔軟性を保ち、痛みの緩和にもつながります。 とくに注目したいのが、太ももの前側にある「大腿四頭筋」と太ももの裏側にある「ハムストリングス」です。 この2つの筋肉を鍛えると、膝関節をしっかりと支え、衝撃を吸収する力が高まります。 ここで、大腿四頭筋とハムストリングスを鍛える簡単なトレーニング方法をご紹介します。 【大腿四頭筋トレーニング】 1.椅子に腰をかけて、片側の脚を伸ばしきります 2.座面と水平になるように脚を持ち上げて、10秒間キープします 3.ゆっくり脚を下ろし3秒間休憩します (1〜3を20回繰り返して、脚を入れ替えます。) 【大腿四頭筋・ハムストリングスのトレーニング】 1.椅子の背を両手で持ち、足は肩幅に広げます 2.つま先と膝の向きはまっすぐ向くようにします 3.膝を前に出さず、お尻を後ろに突き出すように上体を落とします (1〜3を1セット5〜10回、1日3セットします。) 体重管理 体重の増加は膝関節へのストレスを大きくする要因のひとつです。 体重が1kg増えると、歩行時には膝への負担が約3〜5kg分増えると言われています。 変形性膝関節症の進行を防ぐためには、適正体重を維持することが非常に効果的です。 いきなり厳しい食事制限をする必要はありません。 1日3食をバランスよく、腹八分目を意識する、夜遅い食事や間食を控えるなど、小さな工夫から始めましょう。 運動との組み合わせで、より効果的に体重をコントロールできます。 食事と栄養管理 軟骨や関節の健康を保つには、日々の食事から栄養素をしっかりと摂取することが欠かせません。 変形性膝関節症の予防や進行を抑えるために役立つとされている主な栄養素は次のとおりです。 コラーゲン:関節軟骨の構成成分を補う(鶏皮、魚の皮、ゼラチンなど) カルシウム:骨の健康を維持(牛乳、小魚など) ビタミンC:コラーゲンの合成を助ける(ブロッコリー、柑橘類など) ビタミンD:カルシウムの吸収を促進(きのこ類、鮭など) 偏りのない食生活を意識し、サプリメントに頼りすぎず、自然な形で摂取することが理想です。 サポーターやインソールの活用 膝関節への衝撃を軽減し、安定性を高めるためにサポーターや靴のインソール(中敷き)を活用するのも効果的です。 とくに外出時や階段の使用など、膝に不安を感じる場面では心強いサポートになります。 ただし、自己判断で選ぶと、かえって膝に負担をかける可能性があるため、サポーターなどを選ぶ際には、整形外科医や理学療法士など専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。 変形性膝関節症の進行を早める生活習慣 変形性膝関節症は、普段の生活習慣が原因で進行を早めてしまい、症状が悪化する場合もあります。 たとえば、膝に違和感がある状態で、ジョギングやジャンプなど膝に強い衝撃を与える動作、激しいスポーツを習慣にしていると、軟骨がすり減ります。症状を悪化させる原因となるため、注意が必要です。 また、正座や深くしゃがみ込む動作も、膝に大きな負担をかけるため控えた方が良いでしょう。 さらに、膝まわりの「冷え」も見過ごしてはいけません。関節が冷えると血流が悪くなり、痛みやこわばりが強くなる傾向があります。冬場や冷房の効いた室内では、ひざ掛けやサポーターなどで膝を冷やさない工夫が必要です。 一見よさそうに見える「膝のマッサージ」や「自己流のストレッチ」も、気を付けなければいけません。痛みを和らげようとして膝を揉みすぎたり、強く押したりすると、炎症を悪化させる可能性があります。 とくに腫れや熱感がある状態では、無理に触ると症状が進んでしまう場合もあります。マッサージや運動をする場合は、医師や理学療法士の指導のもとで安全に行うことが大切です。 変形性膝関節症を進行させないためにも、日々の生活習慣を見直し、膝にやさしい行動を意識していきましょう。 セルフケアだけでは危険?病院へ行くべきタイミングとは 変形性膝関節症の症状が進行してしまった場合、セルフケアだけでは対処しきれなくなることがあるため、適切なタイミングで医療機関を受診しましょう。 たとえば、膝の痛みが日ごとに強くなっていたり、安静にしていても痛みが引かない場合は、関節内で炎症が進んでいる可能性があります。 また、膝が思うように曲がらなかったり、階段の上り下りに支障が出てきたりするような状態も、病状の進行を示すサインです。 こうした症状がある場合は、我慢せずに整形外科などの専門医に相談することが大切です。 早期の段階で受診すれば、薬の処方や理学療法によって進行を抑え、生活の質を保つことも可能です。 また、専門家の指導によるリハビリテーションは、筋力の強化や可動域の改善に効果的であり、痛みの軽減や日常動作の安定にもつながります。 セルフケアで症状を和らげることは大切ですが、「少しおかしいかも」と感じた時点で医療機関を受診しておくことも、変形性膝関節症を進行させないための大きなポイントです。 自分の膝の状態を過信せず、早めの対応を心がけましょう。 変形性膝関節症を進行させない再生医療という新しい選択肢 変形性膝関節症の治療というと、「手術を受けなければ治らないのでは?」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。 「再生医療(幹細胞治療)」は手術を必要としない治療選択肢の一つです。 再生医療とは、患者様自身の体から取り出した細胞(幹細胞)を使う治療法です。幹細胞が持つ他の細胞に変化する「分化能」という働きを活用します。 変形性膝関節症に対する再生医療は、日帰りで実施でき、入院する必要はありません。 また、ご自身の細胞を使用するため、拒絶反応のリスクが低いのが特徴です。 再生医療についての詳細は、以下のページをご覧ください。 まとめ|変形性膝関節症は正しく対処すればコントロールできる 変形性膝関節症は、早めに気づき、きちんと対処すればコントロールできる病気です。 膝にかかる負担を減らす工夫や、適度な運動、バランスの取れた食事など、毎日の小さな積み重ねが、将来の歩行能力や生活の質を大きく左右します。 また、症状が悪化する前に医療機関を受診し、必要に応じたリハビリや専門的な治療を受けることで、より良い経過が期待できます。 自分の膝と前向きに向き合い、無理なく、長く健康に歩ける毎日を目指していきましょう。 なお、当院「リペアセルクリニック」では変形性膝関節症に対する再生医療の治療を行っています。 当院では、治療をご検討いただく前に、患者様の症状や膝の状態を詳しく診察し、治療の適応や内容について丁寧にご説明いたします。 治療に関するご質問やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。専門医が患者様のご状況に応じて、治療の選択肢についてご提案いたします。 ▼以下も参考になれば幸いです 膝の病気!鵞足炎と変形性膝関節症についてと、その違いを解説!
2022.02.22 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
- 膝の内側の痛み
年齢とともに増えてくる膝の痛みや違和感。 とくに中高年層に多く見られる「変形性膝関節症」は、膝の軟骨がすり減ることで痛みや歩行障害を引き起こし、進行すると日常生活にも大きな支障をきたします。 しかし、膝の負担を減らすための正しい知識と行動を取り入れることで、その進行を予防できます。 この記事では、膝の負担を増やす原因や避けたい動作、さらに効果的な運動や生活習慣の工夫まで、医療的な視点からわかりやすく解説します。 将来も自分の足で歩き続けるために、今からできる対策を確認してみましょう。 膝の負担が増える原因とは? 膝の痛みに悩む方は高齢になるにつれて増加する傾向があり、とくに中高年以降の女性に多く見られるのが「変形性膝関節症」です。 変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減ることで関節に炎症や痛みが生じ、進行すると歩行が困難になることもあります。 国内では、潜在的なものを含めると約3,000万人が変形性膝関節症を抱えていると推定されています。 変形性膝関節症が発症する主な原因は、「加齢」「外傷」「肥満」「遺伝的な要因」などが知られています。 さらに、普段の姿勢や動作のクセが、膝関節に過剰な負担をかけているケースもあります。 膝関節の構造と役割 変形性膝関節症を予防するために、まずは膝関節の構造を理解することが大切です。 膝関節は、太ももの大腿骨・すねの脛骨・膝のお皿の膝蓋骨から構成されています。 これらの骨の表面は、衝撃を和らげる役割をもつ関節軟骨に覆われています。 さらに、大腿骨と脛骨の隙間には、クッションのような役目をする半月板が内側と外側に1枚ずつ存在します。 この関節軟骨と半月板を合わせて、「膝の軟骨」と言います。 膝の軟骨には、関節をスムーズに動かす働きのほか、立ち上がりや歩行時の衝撃を分散し、膝へのダメージを軽減する重要な役割があります。 膝関節の主な動きは、膝を曲げ伸ばしする屈伸運動です。 加えて、わずかな回旋(まわす)運動がありますが、急激な曲げ伸ばしや無理なねじり動作は、軟骨に過度な負担をかけ、変形性膝関節症の原因になるおそれがあります。 日々の動作の積み重ねが、膝関節の軟骨をすり減らすきっかけになるため、正しい使い方を意識することが予防の第一歩です。 膝に負担がかかる日常の姿勢や動作 日常生活の中には、無意識のうちに膝に負担をかけている姿勢や動作が数多くあります。 以下のような動きには注意が必要です。 正座や深く膝を曲げてしゃがむ動作 両脚を横に投げ出して座る(横座り) あぐらをかく姿勢 歩行時や運動時の急な方向転換 これらの動作は、膝関節に過剰な負荷をかけることがあり、軟骨のすり減りにつながるリスクがあります。 また、膝の関節を安定させているのは、大腿四頭筋・ハムストリングスといった膝周囲の筋肉です。 これらの筋肉が働くことにより、膝の曲げ伸ばしなどの動作を安定して行えます。 しかし、加齢や運動不足によって筋力が低下すると、膝関節の安定性も低下し、結果的に軟骨への負担が上がります。 そのため、膝に負担のかかる姿勢を避けるとともに、筋肉を鍛えることも大切です。 日々の習慣を見直し、膝をやさしく使う意識を持つことが、変形性膝関節症の予防につながります。 膝が痛いときに「やってはいけない」NG行動 膝に痛みがあるときには、「安静にすべきか」「動かしたほうがいいのか」と迷うことがあるかもしれません。 しかし、間違った対応をしてしまうと、かえって膝の状態を悪化させる原因となることがあります。 以下のような行動は避けてください。 痛みを我慢して動き続ける → 炎症が悪化し、症状が進行するおそれがあります。 自己判断でマッサージをする → 炎症部位を刺激して、かえって悪化することがあります。 冷やす・温めるを間違える → 急性期は冷やす、慢性期は温めるなど、症状に合った処置が必要です。 痛みが出た直後で腫れや熱感がある場合(一般的には数日〜2週間程度)は、急性期の可能性があります。 サポーターやテーピングの誤用 → 誤った使用は膝に負担をかけることがあります。 サポーターやテーピングを装着する際は、きつく締め付けると血流を妨げたり、かえって痛みが強くなることがあります。適度な締め付けで、ずれない範囲で使いましょう。 また、症状の判断は難しいこともあるため、自己判断せず医師や理学療法士に相談してください。 膝の負担を減らす方法|日常生活で意識したいこと 膝の痛みや関節疾患を予防・改善するには、毎日の生活習慣を見直すことが大切です。 とくに、歩き方・立ち方・座り方といった基本的な動作や、靴の選び方、体重の管理といった身近なポイントに気を配ることで、膝にかかる負担を大きく減らせます。 ここからは、膝をいたわるために意識したい生活習慣の具体的な工夫をご紹介します。 膝にやさしい歩き方と立ち方 膝への負担を減らすには、日常の歩き方や立ち方を見直すことが重要です。 歩行時は、背筋を伸ばして視線を前に向け、かかとから着地してつま先で蹴り出すように意識しましょう。 足裏全体で地面を捉えるように歩くことで、膝にかかる衝撃をやわらげる効果があります。 また、立つときは片足に体重をかけず、左右均等に体重をのせるようにします。 猫背や反り腰の姿勢は膝関節に負担をかけるため、正しい姿勢を保つことが大切です。 毎日の動作を少し意識するだけでも、膝への負担軽減につながります。 靴やインソールで膝の衝撃をやわらげる方法 日常的に使用する靴やインソールを見直すことは、膝への衝撃をやわらげる有効な方法のひとつです。 とくに、クッション性が高く足にフィットする靴を選ぶことで、歩行時の膝関節への負担を軽減できます。 また、足のアーチをしっかり支える整形外科用インソール(足底板)を使用すると、体重が均等に分散され、膝へのストレスが和らぎます。 外反母趾や扁平足など、足の形状に合わない靴を履いている場合は、膝痛を引き起こす原因にもなりかねません。 体重管理と膝への負担の関係 体重は膝関節への負荷に大きく関係しています。 普通に歩くだけでも体重の約2 〜3 倍、走ると約3〜5倍もの負荷が膝にかかるとされており、体重が重いほど膝への負担も増すのです。そのため、肥満傾向の方は体重を適正に保つことで膝の負担を軽減できます。 また、適切な体重管理は、関節の安定性向上や外傷予防にもつながります。 変形性膝関節症が進行すると、膝の痛みをかばって運動療法ができないケースがあります。そうなると筋力や関節の可動域は低下し、さらに膝への負担があがるため、余計に痛みが悪化します。 痛みがないうちから筋力トレーニングや可動域訓練に取り組み、関節の安定性や柔軟性を高めることが大切です。 膝痛を悪化させない座り方・寝方の工夫 日常生活で膝への負担を軽減するには、座り方や寝方を見直すことも大切です。 とくに和式の生活スタイルでは、正座やあぐら、脚を横に崩して座る姿勢など、膝を深く曲げる動作が多く、関節に大きな負荷がかかります。 このような負担を減らすためには、椅子とテーブルを使う洋式の生活への切り替えがおすすめです。 また、布団よりもベッドのほうが、立ち上がる際の膝の負担を軽くできます。 膝の負担を減らすための効果的な運動と筋トレ方法 膝の痛みを予防し進行を防ぐには、適切な運動や筋力トレーニングが効果的です。 とくに、膝関節を支える太ももやお尻、体幹の筋肉を鍛えることで、膝への負担を軽減できます。 また、関節の可動域を保つストレッチや柔軟運動も重要です。 ただし、痛みが強いときには無理をせず、医師や理学療法士の指導のもと、安全に行いましょう。 ここでは、日常的に取り入れやすい基本的なトレーニングやストレッチのポイントをご紹介します。 太もも(大腿四頭筋)を鍛える 太ももの前側にある「大腿四頭筋」は、膝関節を支えるうえでとても重要な筋肉です。 この筋肉を鍛えることで、歩行や立ち上がり動作が安定し、膝への負担を軽減できます。 初心者でも取り組みやすいトレーニングとして、次の方法があります。 椅子に浅く腰掛けます 片側の膝を伸ばし、そのままの姿勢を5~10秒キープします ゆっくり元に戻し、反対側も同様に行います 左右交互に10回ずつ、1日2セットを目安に行いましょう。 お尻・腹筋も重要!全身のバランスを鍛える 膝の負担を減らすには、太ももだけでなく、お尻(臀部)やお腹(腹筋)といった体幹まわりの筋肉もバランスよく鍛えることが大切です。 これらの筋肉がしっかり働くと、立つ・歩くといった基本の動作が安定し、膝への負担を分散できます。 ヒップリフト 仰向けに寝て、膝を立てる お尻をゆっくり持ち上げ、数秒キープしてから元に戻す お尻の筋肉を意識して、10回×2セット ドローイン 椅子に浅く腰かけて、背筋を伸ばす お腹に力を入れて、ゆっくりへこませる そのままの状態で、自然な呼吸を数回繰り返す 体幹を整えるのに効果的です。 ストレッチで膝まわりの柔軟性を保つ 膝にやさしい体づくりには、筋肉を鍛えるだけでなく、柔軟性を保つことも大切です。 関節まわりがかたくなると動きがスムーズにいかず、膝に余計な負担がかかってしまいます。 以下のストレッチは、毎日お風呂あがりなど体が温まった状態で行うのが効果的です。 太ももストレッチ 浴槽の中で両脚を伸ばし、片側の太ももを両手で抱えながら、かかとをお尻のほうへ引き寄せます。 無理のない範囲で膝を曲げ、数秒キープしたらゆっくり戻します。 膝伸ばしストレッチ 同じく浴槽内で、かかとを前へ滑らせるようにして、膝をできるだけ伸ばします。 ゆっくりと呼吸しながら、力まずに行います。 どちらの体操も、無理なく痛みの出ない範囲で行いましょう。 運動を安全に続けるためのポイントと注意点 膝の負担を減らすには、筋力トレーニングや体重管理が効果的です。 しかし、無理に行うことで悪化してしまうこともあります。 大切なのは、無理なく継続できる負荷で取り組むことです。 高すぎる負荷や急な運動は避け、運動後に疲労が残るような内容は見直しましょう。 膝の違和感や痛みがあるときは医療機関へ相談を 変形性膝関節症の初期には、立ち上がりや歩きはじめに膝に痛みや違和感を覚えます。 しかし、動き続けるうちに痛みが和らぐケースも多く、いつの間にか治ったと見過ごされがちです。 こうした違和感は、膝のトラブルが進行しているサインかもしれません。 膝の異変を感じたら、我慢せず早めに医療機関へ相談しましょう。 変形性膝関節症には、保存療法や手術だけではなく再生医療という治療法もあります。 再生医療は、他の細胞に変化する分化能という能力がある幹細胞を使用する治療法です。詳しくは当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。 まとめ|膝にやさしい生活習慣で関節疾患の進行を防ごう 膝の痛みが続くと、階段の上り下りや正座など、日常の何気ない動作が難しくなることがあります。 症状が進行すると、膝の手術をすすめられることもありますが、手術には体への負担があり、決断することは難しいはずです。 たとえ、手術をせずに運動療法などの保存療法に取り組んだとしても、痛みが悪化すれば満足に運動が継続できず、ますます身体機能が低下します。 やがては外出するのも億劫になり、寝たきり生活を余儀なくされる場合があります。 だからこそ、症状が軽いうち、もしくは痛みを感じ始めた段階で、予防と対策を始めることが大切です。 膝への負担を避けながら、筋力トレーニングで関節を安定させるように、バランスの取れた予防に取り組みましょう。 変形性膝関節症には、再生医療という手術を伴わない治療法もあります。 膝の痛みが気になる方は、お気軽にご相談ください。
2022.02.15 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
- 膝の内側の痛み
「変形性膝関節症」と聞くと、高齢者の病気と思われがちですが、10代〜30代の若い世代でも発症する可能性のある病気です。 スポーツのやりすぎ、生活習慣、体の使い方のクセなど、若い人ならではの原因が隠れていることも少なくありません。 本記事では、若いのに変形性膝関節症になる主な原因と今すぐできる対策についてわかりやすく解説します。 「まだ若いから大丈夫」と思っている方こそ、ぜひ参考にしてみてください。 変形性膝関節症が若い人に起こる原因とは? 変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨がすり減ることで、関節に痛みや腫れ、可動域の制限などが生じる疾患です。 近年では若い世代でも発症するケースがあり、年齢に関係なく注意が必要です。 若い人が変形性膝関節症になる主な原因として、次の5つが挙げられます。 激しいスポーツや運動による膝への負荷 肥満・姿勢の悪さ・筋力不足といった生活習慣 半月板損傷など膝関節の怪我や外傷歴 成長期で膝関節を使いすぎている 遺伝的な骨格・体質 それぞれの原因について、詳しく見ていきましょう。 激しいスポーツや運動による膝への負荷 サッカーやバスケットボール、陸上競技など、膝に強い衝撃が加わるスポーツを日常的に行っていると、関節の軟骨がすり減りやすくなります。 とくに、ジャンプや着地、急な方向転換を繰り返す動作は、膝に瞬間的かつ強い負担がかかります。 また、トレーニングのしすぎや、正しくないフォームで運動を続けることも膝に悪影響を与える一因です。 成長期の若者は、骨や関節がまだ未成熟なため、過度な負荷に対して十分な耐性がありません。 競技レベルが高い人ほど、膝を酷使している傾向があるため、予防の意識と適切な休息が重要です。 肥満・姿勢の悪さ・筋力不足といった生活習慣 肥満は、膝にかかる体重の圧力を増やし、関節の摩耗を早めるリスクが高まります。 また、猫背や反り腰といった長時間の悪い姿勢や膝まわり(大腿四頭筋やハムストリングスなど)の筋力不足も、膝へのストレスを高める要因になります。 こうした生活習慣は、日々の積み重ねによってじわじわと関節を痛めていくため、若いからといって油断せず、日常の姿勢や体の使い方に目を向けることが大切です。 半月板損傷など膝関節の怪我や外傷歴 過去に膝を捻った、転倒して強打した、スポーツ中に膝を痛めたなどの経験がある人は、変形性膝関節症を発症するリスクが高くなります。 なかでも、膝関節において重要な役割を果たしている半月板や靭帯は、一度傷つくと機能が低下し、関節全体に過剰な負荷がかかりやすくなります。 怪我をした当時は治ったと思っていても、数年後に膝の痛みや違和感として再発する可能性もあるため、外傷歴がある方は十分な注意が必要です。 成長期で膝関節を使いすぎている 10代〜20代前半は、骨や関節、筋肉が発達段階のため、身体がまだ完全に仕上がっていない状態です。 この成長期に無理なトレーニングや連日の激しい運動を続けると、膝の軟骨や関節に負担がかかりやすくなります。 また、柔軟性が不十分な状態で無理な動きを続けると、膝に偏った力が加わりやすくなり、関節へのダメージを加速させてしまいます。 部活動やクラブチームに所属している若い人は、毎日ハードな練習量をこなすことを「努力」と捉えがちですが、運動量と回復のバランスを見誤ると、取り返しのつかない関節障害につながる可能性もあります。 成長期の体は負担にもろいため、「頑張りすぎない」勇気も必要です。 遺伝的な骨格・体質 変形性膝関節症は、外部からの負荷や生活習慣だけでなく、遺伝的な骨格や体質が関係している場合もあります。 親や祖父母が変形性膝関節症を発症していた場合、関節の形状や軟骨の質が遺伝的に似ていることがあり、若い人でも同じように膝関節が擦り減りやすい傾向があります。 たとえば、生まれつき膝の構造に歪みがある場合やO脚・X脚などの骨格的なクセがあると、膝関節にかかる力のバランスが崩れてしまいます。 特定の部位だけに強いストレスがかかる状態が長期的に続くと、軟骨が早く擦り減ってしまうのです。 また、自分では気づきにくい体の使い方や歩き方の癖が原因になっているケースもあるため、家族に同様の疾患歴がある人は、より一層の注意と予防が必要です。 変形性膝関節症の進行を防ぐための4つの対策法 若い人が変形性膝関節症を発症した場合でも、進行を抑えて日常生活への影響を最小限にとどめることは可能です。 本章では、今すぐに取り組める次の4つの対策法をご紹介します。 適切な運動習慣と休息のバランス 膝まわりの筋トレ・ストレッチ 日常の姿勢改善や体重管理 痛みを感じたら医療機関で相談を 一つずつ詳しく見ていきましょう。 適切な運動習慣と休息のバランス 膝を支える筋肉を維持・強化するために、適度な運動は欠かせません。 しかし、膝に負担の大きい運動を続けると症状を悪化させる恐れがあるため、膝にやさしい運動を選ぶことが大切です。 以下の運動は、膝への衝撃を抑えながら筋力を保つことができます。 ウォーキング ストレッチ プールでの水中ウォーキングなど なかでも、水中ウォーキングは体重の負荷が軽減されるため、痛みがある人でも比較的無理なく継続できます。 また、使った筋肉を回復させるための「休息」も大事です。 適度な運動と休息を交互に取り入れることで、膝関節への負担を最小限にしながら健康的に筋力を維持できます。 膝まわりの筋トレ・ストレッチ 膝関節を安定させるためには、膝まわりの筋肉をバランスよく鍛えることが重要です。 とくに太ももの前側(大腿四頭筋)、裏側(ハムストリングス)、ふくらはぎ、そしてお尻(大臀筋)の筋肉を意識的に使うと、膝への負担を分散できます。 たとえば、椅子に座ったまま片脚を伸ばすレッグエクステンションや、壁に背をつけてゆっくりと腰を落とすウォールスクワットなどが有効です。 また、運動前後に次のようなストレッチを行うと筋肉の柔軟性を高め、膝関節の可動域が広がり、日常動作での負担を軽減できます。(文献1) 【太ももの前側(大腿四頭筋)のストレッチ】 立った状態で片足を後ろに引き、足首を持ってお尻に近づけます。 膝をそろえて、太ももの前が伸びているのを感じながら20〜30秒キープします。左右交互に行いましょう。 【太ももの裏側(ハムストリングス)のストレッチ】 片足を前に出してつま先を上げ、軽く膝を曲げた状態で上体を前に倒します。 背中を丸めず、太ももの裏が伸びるのを感じながらキープします。 【ふくらはぎのストレッチ】 壁に手をついて片足を後ろに引き、かかとを床につけたまま体重を前に移動させます。 ふくらはぎの伸びを感じながら、片足ずつ行います。 ストレッチは、筋トレの前後だけでなく、入浴後や就寝前など、体が温まっているときに行うと効果的です。 筋トレは、無理なく続けられる内容から始めましょう。 日常の姿勢改善や体重管理 普段の姿勢や体の使い方も、膝にかかる負担を大きく左右します。 たとえば、椅子に浅く腰掛けて背中が丸まっていたり、片脚重心で立っていたりするような姿勢は、膝関節に偏ったストレスを与える原因になります。 まずは、正しい座り方・立ち方・歩き方を意識するために、鏡で自分の姿勢を確認したり、動画を撮って客観的にチェックしてみましょう。 また、体重管理も膝関節の保護には欠かせません。 体重が増えるほど膝への負荷は大きくなるため、食事の見直しや有酸素運動による適正体重の維持も進行予防に大切です。 整骨院や理学療法士、パーソナルトレーナーの指導を受けて、姿勢や動きのクセを改善するのも選択の一つです。 痛みを感じたら医療機関で相談を 変形性膝関節症の進行を防ぐためには、早期発見・早期治療が重要です。 初期の段階で適切な治療を受けることで、症状の悪化を抑え、長く健康な膝を保つことができます。 医療機関ではレントゲンやMRIなどを使って膝関節の状態を詳細に確認し、原因に応じた適切な治療を行います。 また、痛みが強い場合は、炎症を抑える内服薬や注射治療などが選択される場合もあります。 若いからこそ「今のうちにケアする」ことが、将来的な膝の健康を大きく左右します。 違和感があれば、自己判断せず早めに専門医を受診しましょう。 変形性膝関節症に対する新しい治療法「幹細胞・PRP療法」 変形性膝関節症による痛みや軟骨の擦り減りに対して、手術以外の選択肢として再生医療があります。 再生医療の一つ、幹細胞治療は患者様自身から採取・培養した幹細胞を患部に投与する治療法です。 幹細胞には分化能と呼ばれる、他の細胞に変化する能力があります。 この能力を活用して変形性膝関節症では、すり減った軟骨の土台、軟骨下骨へ幹細胞を分化誘導(分化能を促す)します。 もう一つのPRP療法では、患者様から採取した血液を遠心分離器にかけて、血小板を濃縮した液体を作製します。 血小板・成長因子を含む液体を注射で患部に投与する治療法です。 幹細胞や血液どちらの治療も患者様自身の幹細胞・血液を使用するため、拒絶反応などのリスクが小さく、大きな手術や入院も不要で身体への負担が少ないのが特徴です。 年齢が若いうちから、進行を早期に食い止めることが将来の手術リスクを減らすことにもつながります。 再生医療について詳しくは、お気軽にお問い合わせください。 こんな症状がある若い人は要注意!早期発見のポイント 変形性膝関節症の症状としては以下があります。該当する症状があれば、年齢に関係なく一度医療機関で診察を受けることをおすすめします。 朝起きたときや運動の開始時に、膝にこわばりや痛みを感じる 正座や階段の上り下りなど、特定の動作で違和感がある 膝の動きに「引っかかる」「ガクッとする」ような感覚がある 歩行中に膝が不安定に感じたり、力が入らなかったりする 若い人の変形性膝関節症は、初期段階で適切に対処すれば進行を食い止められる可能性が高いため、早めの対処が大切です。 まとめ|変形性膝関節症は若い人でもなる!違和感を感じたら早めの対応を 変形性膝関節症は、年齢に関係なく発症する可能性がある疾患です。 激しいスポーツによる膝への負荷や、姿勢の乱れ・筋力不足といった生活習慣、過去の怪我、さらには遺伝的な要素など、若い人ならではの原因が関わっているケースも少なくありません。 初期症状は軽度のため見過ごしがちですが、違和感を感じた段階で適切に対処すれば、その後の悪化を防ぐことが十分に可能です。 膝の痛みや不調を「若いから大丈夫」と放置せず、自分の身体のサインにしっかりと向き合うことが大切です。 日頃から予防を意識し、必要に応じた医療機関への相談が、健康な膝を長く保つことにつながります。 変形性膝関節症の治療法には、保存療法・手術療法、そして再生医療があります。 治療についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) メイヨー医学教育研究財団(MFMER)「基本的なストレッチガイド」健康的なライフスタイルフィットネス、2024年6月18日 https://www.mayoclinic.org/healthy-lifestyle/fitness/in-depth/stretching/art-20546848?utm_source=chatgpt.com(最終アクセス:2025年6月24日)
2022.02.08 -
- 変形性膝関節症
- ひざ関節
「膝の痛みがなかなか治らないのはなぜ?」 「原因を早く治す方法はある?」 膝の痛みがなかなか治らない方は、膝関節が炎症を起こしていたり、膝に負担のかかる生活を送っていたりすることがあります。 本記事では、膝の痛みが治らない原因について詳しく解説します。 膝の痛みを放置すると日常生活に支障をきたし、最終的に手術が必要になる可能性もあるため、症状が悪化する前に、原因を特定して適切な治療やケアを進めていきましょう。 痛みの原因となっている疾患の根本的な改善が期待でき治療法も紹介しているので、痛みから早く解放されたい方はぜひ参考にしてみてください。 \膝の痛みを根本的に治療できる再生医療とは/ なかなか治らない膝の痛みには「半月板損傷」や「変形性膝関節症」の可能性があり、手術しないと治らないといわれるケースも少なくありません。 しかし、先端医療の再生医療では、痛みの原因となる膝周辺の組織にアプローチできる治療法で、手術しか選択肢がなかった症状でも改善が期待できます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 長引く膝の痛みを早く治したい 手術しか選択肢がないと言われた 現在受けている治療で効果が得られていない 当院リペアセルクリニックでは、1億個の生きた幹細胞を膝関節に届けることで損傷した膝組織の再生・後遺症の改善・再発予防という3つの側面で効果が期待できる治療を提供しています。 具体的な治療法や回復見込みがあるかどうか、リペアセルクリニックで無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは膝の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 以下の動画では、膝の痛みで考えられる原因から再生医療の治療法まで詳しく解説しています。 https://youtu.be/uQlymyi0eSI?si=24x346MX0vfqLcRA 膝の痛みが治らない5つの原因【自己ケアも可能】 さっそく、膝の痛みが治らない原因を解説します。考えられる主な原因は、以下の5つです。 ・炎症を起こしている ・膝に水が溜まっている ・関節が安定していない ・関節に負荷がかかっている ・ほかの疾患を抱えている可能性がある 順番に見ていきましょう。 炎症を起こしている 膝の曲げ伸ばしなどで関節に負担がかかるとすり減った関節軟骨のかけらが滑膜を刺激し、滑膜が炎症を起こることで膝の痛みにつながります。 炎症を起こしているときは、冷やしたり、薬で炎症や痛みをコントロールすることが重要です。 また、炎症が起きているときに運動を続けると悪化する可能性があるため、無理をせず休むようにしてください。 自宅でのケアを行なっても膝の痛みが長引く場合は、半月板損傷や変形性膝関節症などの可能性があるため、再生医療による治療も検討しましょう。 \長引く膝の痛みに有効な再生医療とは/ 【再生医療の特徴】 患者様の細胞を用いて、手術せずに膝の痛みを改善できる可能性がある アレルギーや拒絶反応の副作用リスクが少ない 半月板損傷や変形性膝関節症など手術が必要な症例も手術せずに治療できるケースがある 膝の痛みの原因によって適切なアプローチ方法が異なりますが、再生医療は幅広い症例でも症状改善に期待できる治療法です。 具体的な治療法については、患者様一人ひとりの症状やお悩みに合わせてご案内しておりますので、当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングにて、ぜひご相談ください。 ▼まずは膝の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 膝に水が溜まっている 膝に水が溜まっている状態も、痛みを感じる原因です。 膝に水が溜まるのは、関節内の髄膜に炎症が起きているためです。炎症によって大量の関節液が放出され、水が溜まる状態になります。 膝に水が溜まると、痛みを感じるだけでなく、膝が突っ張ったり、曲げにくくなったりして、日常生活に支障が出る可能性もあります。 対処法としては、単に水を抜くだけでは不十分です。根本的な原因である炎症の治療が必要になります。 膝に水が溜まる原因や治療法の詳しい情報はこちら 関節が安定していない 治療を目的とした筋力トレーニングをしても痛みが取れない場合は、まだ関節が安定していない状態なのかもしれません。トレーニング開始後、個人差はあるものの効果が現れるまで1〜2カ月かかると言われています。 そのため、運動を始めてまだ間もない頃は効果を感じにくいため、まずは1〜2カ月継続して運動に取り組むようにしましょう。 継続した運動に取り組んでも効果がみられなければ、運動の負荷が弱すぎる、軽すぎる可能性があり、十分な効果が発揮されません。そんなときは、以下のように3カ月目でトレーニング種目や強度の見直しをおすすめします。 ・室内でできる簡単な運動から屋外での運動に切り替える ・水中での歩行から地上での歩行に切り替える ・歩行距離を伸ばす くれぐれも過度な筋トレにならないよう、痛みのない範囲で取り組めるメニューを組みましょう。 関節に負荷がかかっている 関節に負担がかかっている生活習慣が、膝の痛みが治らない原因となっている可能性があります。 治療中は、運動療法と並行して生活習慣を見直し、関節にかかる負荷を下げる意識が大切です。運動療法のように時間を必要とせず、以下のように工夫次第で誰でも簡単に膝への負荷を減らせます。 ・バランスよく歩くために杖を使う ・膝を深く曲げる動作を止める ・よく使う調味料などを低い位置に収納しない ・玄関、階段、お風呂に手すりをつける ・地べたでの生活から椅子とテーブルを用いた洋式へ変える ・膝の調子が悪ければ迷わずエレベーターを使う 膝の関節は、歩いているだけでも体重の最大8倍は負荷がかかると言われています。そのため、日常生活で関節の負荷となる習慣の改善は大切です。 なお、膝の痛みの治療には「再生医療」が有効です。人間の自然治癒力を活用して、すり減った膝軟骨を再生させます。 期待できる治療効果が知りたい方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にご相談ください。 ほかの疾患を抱えている可能性がある 膝の痛みは単なる炎症や関節への負担だけでなく、ほかの疾患が隠れている可能性があります。 以下は膝の痛みを伴う疾患例です。※疾患名のリンクをタップすると、詳細記事をチェックできます。 ・変形性膝関節症 ・半月板損傷 ・関節リウマチ ・鵞足炎 疾患の種類によって治療法が異なります。早期治療をおこなえば症状の悪化を防げるので、膝の痛みを感じたら早めに医療機関を受診しましょう。 膝の痛みの原因や考えられる病気については動画でも詳しく解説しています。 https://www.youtube.com/watch?v=uQlymyi0eSI&t=312s 膝の痛みの原因を突き止めても治らないときの対処法3つ 膝の痛みの原因を突き止めてケアを続けても、症状が改善されない場合の対処法を3つ紹介します。 ・外部機関を頼る ・手術を視野に入れる ・再生医療を検討する 順番に見ていきましょう。 外部機関を頼る 自宅でのケアだけでは膝の痛みが改善しない場合、以下のような専門の外部機関を頼る選択肢も考えられます。 ・整体・接骨院での施術 ・リハビリテーション施設でのケア ・スポーツクリニックでの専門治療 専門家による正しい診断のもと、症状に合わせた適切な治療を受けられます。定期的な経過観察をしてもらえるので、症状悪化のリスクも防止できるでしょう。 手術を視野に入れる 症状が悪化した場合もしくは医師の判断があった場合は、手術が視野に入ってきます。 手術は回復に時間がかかるため、私生活や仕事、スポーツなどに影響が出る可能性があります。そのため、以下のような点を確認しておきましょう。 ・入院期間 ・傷跡の程度 ・手術後の生活制限 ・術後のリハビリ期間 ・スポーツ・仕事復帰までの期間 これらの点を十分に理解した上で、慎重に判断していく姿勢が大切です。 変形性膝関節症における手術の詳細はこちら 半月板損傷における手術の詳細はこちら 再生医療を検討する 長引く膝の痛みには、人間の自然治癒力を活用した「再生医療」が注目されています。 再生医療は痛みの原因となる膝周辺の組織にアプローチできる治療法で、手術しか選択肢がなかった症状でも改善が期待できます。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 長引く膝の痛みを早く治したい 手術しか選択肢がないと言われた 現在受けている治療で効果が得られていない 当院リペアセルクリニックでは、1億個の生きた幹細胞を膝関節に届けることで損傷した膝組織の再生・後遺症の改善・再発予防という3つの側面で効果が期待できる治療を提供しています。 具体的な治療法は、リペアセルクリニックで無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは膝の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる まとめ|膝の痛みが治らない原因を知って適切なケアをおこなおう 膝の痛みが治らないときは複数の原因が考えられるため、自分がどの原因に当てはまるのかを確認し、適切な対処を行うことが重要です。 間違ったケアを続けたり、痛みを放置したりすると、症状が悪化し、最終的に手術が必要になる可能性もあります。 膝の痛みが気になったら早い段階で病院を受診して、早期回復を目指しましょう。 長引く膝の痛みにお悩みの方は、人間の持つ再生力を活用して、炎症を抑えたり損傷した組織を改善したりする再生医療をご検討ください。 \長引く膝の痛みに有効な再生医療とは/ 【再生医療の特徴】 患者様の細胞を用いて、手術せずに膝の痛みを改善できる可能性がある アレルギーや拒絶反応の副作用リスクが少ない 半月板損傷や変形性膝関節症など手術が必要な症例も手術せずに治療できるケースがある 具体的な治療法については、患者様一人ひとりの症状やお悩みに合わせてご案内しておりますので、当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングにて、ぜひご相談ください。 ▼まずは膝の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる
2022.02.07 -
- 変形性膝関節症
- ひざ関節
「変形性膝関節症の手術って高齢者だとどんなリスクがあるの?」 「人工関節置換術に失敗例はある?」 膝の痛みに対して手術を検討している方には、上記のような不安や疑問を抱える方も多いのではないでしょうか。 実際、高齢者の変形性膝関節症の手術には、入院の長期化や合併症、深部静脈血栓などのリスクがあります。 上記のようなリスクがあることから「できるだけ手術は避けたい」という方も少なくありません。 従来の治療では手術しか選択肢がなかった症状も、手術せずに治療できる可能性がある再生医療も紹介しているため、ぜひ参考にしてください。 \手術せずに治療する再生医療とは/ 再生医療では、損傷した膝周辺の組織にアプローチでき、従来の治療では元に戻らないとされている膝関節の改善が期待できます。 変形性膝関節症に対する再生医療の症例は、以下の動画でご紹介しています。 https://youtu.be/ek8aeRHpKiA?si=iqGn9eTDkKdkxZff 【こんな方は再生医療をご検討ください】 膝の痛みを治したいけど手術や人工関節は避けたい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない リスクの少ない治療法で治したい 再生医療は、患者様の細胞や血液のみを活用して治療を行うため、拒絶反応やアレルギーなどの副作用リスクが少ない特徴があります。 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは変形性膝関節症の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 変形性膝関節症の手術で高齢者に適応されるのは人工関節置換術 変形性膝関節症の手術療法には、膝の状態に応じて以下のように手術の選択肢が異なります。 初期:関節鏡視下手術 中期:高位脛骨骨切り術 末期:人工関節置換術 高齢の患者様の場合、変形性膝関節症の症状が進んでいるケースが少なくありません。このような状況では、傷んでしまった関節の表面を取り除き、金属やセラミックなどで作られた人工の関節に入れ替える人工関節置換術が適応されます。 手術により、立ち上がりや歩行時の痛みの軽減に期待できます。しかし、手術後は正座のような深く膝を曲げる動作が難しくなるなど、生活スタイルの一部変更が必要です。 また、機能回復のためには継続的なリハビリテーションに取り組む必要があります。 紹介した手術以外でも入院が不要の治療法として再生医療の選択肢もあります。 変形性膝関節症に対する再生医療について詳しく知りたい方に向けて、当院リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングも承っておりますので、ぜひご活用ください。 変形性膝関節症の手術における高齢者リスク7つ 高齢者の方が、変形性膝関節症に対して人工関節置換術をおこなった際は、以下のリスクがあります。 入院期間が長期化しやすい 継続したリハビリが必要になる 日常生活動作に制限がかかる 深部静脈血栓ができやすい 肺にまつわる合併症を引き起こす可能性がある 細菌感染すれば再手術が必要になる 人工関節のトラブルを招く可能性がある 1つずつ詳しく見ていきましょう。 入院期間が長期化しやすい 人工関節置換術は、下記の表のように変形性膝関節症の他の手術と比較して入院期間が長くなる傾向にあります。 手術名 入院期間の目安 関節鏡視下手術 数日~1週間程度 高位脛骨骨切り術 3週間~6週間程度 人工関節置換術 1カ月~2カ月程度 高齢の患者さまの場合、体力や持病の有無、手術後の回復状況、リハビリの進み具合によって、さらに長期化するケースも少なくありません。 手術後の痛みが和らぎ、安定した歩行や日常生活動作がある程度行えるようになるまで、数カ月単位で考える必要があるでしょう。 しかし、近年の治療では、患者様の細胞や血液のみを活用して治療を行う再生医療によって、手術や長期間の入院をせずに変形性膝関節症を治療できます。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 膝の痛みを治したいけど手術や人工関節は避けたい 入院はできるだけしたくない 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない リスクの少ない治療法で治したい 具体的な治療法については、患者様一人ひとりの症状やお悩みに合わせてご案内しておりますので、当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングにて、ぜひご相談ください。 ▼まずは変形性膝関節症の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 継続したリハビリが必要になる 人工関節置換術後は、膝の機能回復と日常生活復帰のため、継続的なリハビリテーションが不可欠です。手術翌日など早期から専門家の指導のもと開始します。 リハビリの内容は、以下の内容が中心です。 筋力トレーニング 関節を動かす練習 立ち座りの練習 歩行練習 階段昇降 手術直後は弾性ストッキングでむくみをケアし、車椅子から歩行器へと移行します。 退院の目安は、杖歩行が安定し、膝が十分に屈曲できる状態です。高齢の患者様は回復に時間を要し、リハビリが長期に及ぶこともあります。 日常生活の動作に制限がかかる 人工膝関節置換術の後は、人工関節を長持ちさせ、破損や脱臼のリスクを避けるため、一部の動作に制限が出ます。 たとえば、走る、ジャンプするなど膝に強い衝撃が加わる運動や、接触を伴う激しいスポーツは避ける必要があります。 また、深く膝を曲げる動作が難しくなるため、正座やあぐら、深くしゃがみ込むといった姿勢は困難になるか、避けるよう指導されるのが一般的です。 和式トイレの使用を避け、洋式トイレを使うなど、生活様式全般で膝への負担を考慮した動作を心がけましょう。 深部静脈血栓ができやすい 人工膝関節置換術などの手術後は、長時間の安静や手術の影響で、足の静脈に血の塊(血栓)ができる「深部静脈血栓症」が起こりやすくなります。いわゆるエコノミークラス症候群です。 この血栓が血流に乗り、肺や脳の血管に詰まると、命に関わる肺塞栓症や後遺症の恐れがある脳梗塞を引き起こすことがあります。 予防策は、以下の通りです。 弾性ストッキングに着用 足に圧力ポンプをかける 抗凝固薬の投与 早期からの足首の運動やリハビリ とくに高齢の患者様は発症リスクが高いため、これらの予防を意識的におこなう必要があります。 肺にまつわる合併症を引き起こす可能性がある 人工膝関節置換術のような手術では、肺に関する合併症の可能性があります。手術中の長時間の臥位による肺への圧迫や、全身麻酔による一時的な肺機能低下が主な原因です。 具体的には、以下のリスクが考えられ、とくに高齢の患者様や喫煙者は注意が必要です。 無気肺(肺の一部がしぼむ) 肺水腫(肺に水が溜まる) 肺炎(痰の喀出困難が原因) これらの合併症予防には、手術前から深呼吸や痰を出す練習をおこなうことが大切です。 また、喫煙は酸素摂取効率を下げ、肺合併症リスクを高める上、創傷治癒を遅らせます。高齢者の方の中には長年喫煙をしている方も少なくありません。手術が決まったらすぐに禁煙し、禁煙期間をできるだけ長く取りましょう。 細菌感染すれば再手術が必要になる 人工膝関節置換術では、細菌感染に細心の注意が必要です。手術部位が感染すると、人工関節の入れ替えなど再手術が必要になることが多く、重大な合併症の1つです。 抗生物質の投与や創部の清潔保持といった予防策はおこなわれますが、リスクはゼロではありません。 感染は傷口からだけでなく、麻酔時に気管へチューブを入れる際、口腔内の細菌(虫歯や歯周病由来)が体内に入り、人工関節に影響を及ぼす可能性もあります。 そのため、手術前に歯科治療を済ませ、日頃から口内を清潔に保つことが、感染予防において重要になります。 人工関節のトラブルを招く可能性がある 人工膝関節置換術の後は、人工関節自体に問題が起きる可能性があります。具体的には、人工関節の緩みや破損、部品の摩耗、まれに脱臼などが挙げられます。 手術後の早期リハビリは機能回復に重要ですが、焦って過度な運動をおこなったり、日常生活で膝に無理な負担をかけ続けたりすると、これらのトラブルを引き起こす原因になりかねません。 人工関節を長持ちさせ、快適な生活を続けるためには、医師や理学療法士の指示を守り、リハビリを適切なペースで進めること、そして膝に負担の少ない生活様式を心がけることが大切です。 変形性膝関節症における手術費用 変形性膝関節症の手術費用は、術式や入院日数、医療機関により異なります。健康保険が適用され、自己負担割合(通常1割または3割)に応じて支払います。 手術の術式ごとの費用の目安は以下の表の通りです。 手術の種類 保険適用前の費用(目安) 自己負担額(3割の場合) 自己負担額(1割の場合) 関節鏡視下手術 約250,000円 約75,000円 約25,000円 高位脛骨骨切り術 約1,460,000円 約438,000円 約146,000円 人工関節置換術 約1,860,000円 約558,000円 約186,000円 手術費用の他に、入院中の食事代の一部(一般所得者で1食510円※2025年4月改定、所得により異なる)や、希望した場合の個室料(差額ベッド代、1日数千円~数万円で全額自己負担)などが別途かかります。 医療費が高額になっても、自己負担額には月ごとの上限があり、「高額療養費制度」で払い戻しを受けられます。ただし、この制度の対象は保険適用の医療費のみなので、食事代や差額ベッド代は対象外です。 変形性膝関節症の手術の高齢者リスクを抑える再生医療について 高齢の変形性膝関節症の患者様にとって、手術は大きな決断であり、身体への負担も考慮する必要があります。 従来の治療では、進行した変形性膝関節症は手術しないと治らないと言われるケースも少なくありませんでした。 しかし、近年の治療では、大きな手術をせずに根本的な改善を目指せる「再生医療」が注目されています。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 膝の痛みを治したいけど手術や人工関節は避けたい 手術しないと治らないと言われた 現在の治療で期待した効果が得られていない リスクの少ない治療法で治したい 当院リペアセルクリニックでは、患者様から損傷した組織に変化する幹細胞を採取・培養し、「関節内ピンポイント注射」という手法で膝関節に投与します。 関節内ピンポイント注射は、患部に注射針を刺す処置だけなので、体への負担が少ない手法です。 「自分に適した治療法を知りたい」「再生医療の効果や費用が気になる」という方は、無料カウンセリングにてご相談ください。 【関連記事】 変形性膝関節症の再生治療(PRP療法)の体験談|効果・費用も紹介 変形性膝関節症|最新治療!手術をしない再生医療(幹細胞治療)の実力 変形性膝関節症の手術の高齢者リスクを理解して治療に挑もう 高齢の方が変形性膝関節症の手術を検討する際には、さまざまなリスクへの理解が必要です。 高齢者の変形性膝関節症の手術で多く検討される人工関節置換術には、入院期間の長期化や術後のリハビリ、日常生活での動作制限が伴います。 近年の治療では、手術せずに変形性膝関節症を治療できる再生医療も選択肢に挙げられるようになりました。 \手術せずに治療する再生医療とは/ 【変形性膝関節症に対する再生医療の特徴】 手術や入院を必要としないため高齢の方でも治療できる 患者様の細胞のみを使うため拒絶反応などの副作用リスクが少ない 人工関節を避け、自分の関節を残したまま治療できる 再生医療は、患者様の細胞や血液のみを活用して治療を行うため、拒絶反応やアレルギーなどの副作用リスクが少ない特徴があります。 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは変形性膝関節症の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 変形性膝関節症の手術の高齢者リスクに関するよくある質問 変形性膝関節症の手術に関するよくある質問を紹介します。 膝の痛みが強くて歩けないのですが手術以外の対処法はありますか? 変形性膝関節症の手術は90歳でもできますか? 人工関節置換術の失敗例はありますか? 手術リスクに不安を抱えている方は、ぜひ確認しておきましょう。 膝の痛みが強くて歩けないのですが手術以外の対処法はありますか? 膝の痛みが強く、歩行にお困りの場合でも、すぐに手術が唯一の選択肢となるわけではありません。手術をおこなう前に試みる「保存療法」と呼ばれる治療法があります。 保存療法には、以下の選択肢があります。 運動療法(膝周りの筋力を維持・向上させる) 装具療法(膝への負担を軽減するサポーターや足底版などを用いる) 薬物療法(炎症や痛みを和らげるための内服薬や外用薬を用いる) ただし、痛みの原因や膝の状態は患者様それぞれで異なります。自己判断で対処するのではなく、まずは整形外科などの医療機関を受診し、専門医に正確な診断をしてもらいましょう。 保存療法以外にも、入院を必要としない再生医療も選択肢の1つです。 再生医療について詳しく知りたい方は、当院リペアセルクリニックにて、メール相談やオンラインカウンセリングも承っておりますので、ぜひご活用ください。 【関連記事】 変形性股関節症の保存療法で治療効果を上げたい方へ 【医師監修】変形性膝関節症で使うサポーターの効果・選び方・注意点 変形性膝関節症の手術は90歳でもできますか? 変形性膝関節症の手術は、90歳でも受けることは可能です。 ただし、手術の可否は年齢よりも、心肺機能、持病の有無やコントロール状況、体力などの全身の健康状態が優先されます。 一般的に、ご高齢になるほど手術に伴う身体への負担は大きくなり、合併症のリスクや回復に時間がかかります。 そのため、担当医と共にリスクと手術によるメリットを慎重に比較し、手術をするか検討しましょう。 人工関節置換術の失敗例はありますか? 人工関節置換術は多くの場合、膝の痛みの軽減や機能の改善といった良好な結果をもたらしますが、残念ながらすべての手術が期待通りに進むわけではなく、「失敗」と感じられるケースもゼロではありません。 たとえば、手術後も痛みが十分に取れなかったり、膝の動き(可動域)の改善が思わしくなかったりする場合があります。 また、まれに人工関節そのものに緩みや破損、感染などが生じ、場合によっては再手術が必要になることもあります。 これらの望ましくない結果をできる限り抑えるためには、医師の指示をよく守り、リハビリテーションを計画通りにしっかりとおこなうことが大切です。 関連記事:膝の人工関節手術に失敗例はある?混同する原因とリスクが低い再生医療について解説
2022.02.02 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
変形性膝関節症!発見には膝の症状がポイント 膝に痛みを及ぼす疾患が変形性膝関節症です。 変形性膝関節症になると、人間の基本的な動作である「歩行」に影響をもたらすことで、活動量が減るなど日常生活に支障を及ぼします。その原因は、靭帯や半月板の怪我からくる場合を除いて、ほとんどは加齢に伴った関節軟骨の摩耗がきっかけです。 特に40代以降の女性に多く発生するため、中高年で感じる膝の痛みのほとんどは、変形性膝関節症からくる痛みだともいわれています。そんな変形性膝関節症の治療方針は、膝に負担のかかる生活スタイルを見直し、膝周囲の筋肉を鍛える運動療法に取り組むことです。 そうした保存療法の継続が、関節を安定させ、これまで通りの痛みのない日常につながるのです。そのためには、いかに早期に発見できるかがポイントです。そこで今回は、変形性膝関節症の初期症状から、もし当てはまった場合には、実際にどういった行動に移せば良いのかまで紹介していきます。 変形性膝関節症の進行度と症状 変形性膝関節症の自覚症状は、前期>初期>中期>末期の4つの段階を踏んで進行していきます。前期では、膝にほとんど痛みはありませんが、初期になると軟骨がすり減り始め、膝に痛みや違和感や感じるようになります。 進行が進んだ中期になると膝に変形がみられ、さらに進行した末期になると痛みから立つ・歩くなどの日常生活を過ごすのが困難になり、手すりや杖などに頼らないと姿勢を保てない状態になります。 症状 変形性膝関節症・進行度 ・前期:ほとんど痛みを感じない ・初期:軟骨にすり減り、痛み、違和感を感じ始める ・中期:膝に変形がみられる ・末期:日常生活が困難になる、手すり杖が必要になる 変形性膝関節症を見逃さないため、初期に現れやすい症状を知る 変形性膝関節症は早期発見が大切です。そのためには進行が始まり、「痛み」や「違和感」を感じだす前段階で発見することが重要になります。 この段階で異変に気づき病院を受診され、変形性股関節症を早期に発見できれば、治療の選択肢が増えるだけでなく、積極的に運動療法に取り組め、重症化を防げる可能性が高くなります、。 初期症状を見逃さないポイント ・朝起きた時に膝にこわばりを感じる ・膝を伸ばそうとすると引っ掛かりを感じる ・椅子から立ち上がろうとすると痛みが走る ・歩き出しに痛みがある ・正座をすると「ズキっ!」と痛みを感じる 早期発見が治療の選択肢を増やす 変形性膝関節症に早期に気づき、運動療法に取り組むことで悪化を防ぐことができます。運動療法で痛みが引かない場合、薬物療法や物理療法、装具療法などで痛みを抑えながら、運動療法に取り組めるよう工夫します。 あらゆる手を尽くしても効果がみられない場合には、観血療法という選択肢がありますが、手術の種類によっては進行しすぎていると実施できないケースがあります。 たとえば、体への侵襲が大きな人工関節置換術や高位脛骨骨切り術を、「今はしたくない」場合には、負担が少なく、術後の回復も早い関節鏡視下手術という選択肢があります。 しかし、変形が進行した状態では、関節鏡視下手術をしたところで、改善が見込めない場合があるので注意が必要です。 変形性膝関節症の初期なら運動療法で悪化を防げる 変形性膝関節症の治療の基本は運動療法ですが、初期から実施するのと、末期から実施するのでは大きな違いがあります。初期の運動療法には悪化を防ぐ目的があり、継続して行うとこれまで通りの生活を送れる可能性があります。 一方、発見が遅れた末期では、痛みが強く日常生活をまともに送るのは難しい状態です。そのため、満足に運動療法に取り組めず、これまで通りの生活を送れる可能性は低くなることから、早期発見が変形性膝関節症の治療において大切です。 病院で変形性膝関節症と診断されるまで 中高年以降で、膝に「痛み」や「違和感」を感じたら整形外科の受診をおすすめします。 変形性膝関節症の診断は、問診・視診・触診・画像診断などの検査を複合して判断されます。問診では家族歴・半月板や靭帯損傷などの怪我の既往歴を聞き、視診では歩行状態から進行の程度を確認、触診では膝の変形具合や水がたまっていないかなどを確認します。 変形性膝関節症の進行の程度は、X線検査の後、Kellgren-Lawrence分類によって分けられます。関節の隙間が確保されているグレード0から、関節の隙間がなくなってしまった状態のグレード4まで分けられます。 しかし、必ずしも画像診断の進行度合いと自覚症状が一致するとは限りません。画像診断では進行していても、自覚症状があまり強くない場合や、その逆の場合もあります。 そのため、軽度の痛みや、ちょっとした違和感でも変形性膝関節症が進んでいる可能性があることから、注意が必要です。 変形性膝関節症と似たような病気 膝に痛みがあっても、全ての膝の痛みが変形性膝関節症ではありません。膝関節以外の痛みや発熱の有無など、問診や触診の情報を元に、「関節リウマチ」「痛風」「化膿性関節炎」などを疑います。 検査では血液検査や関節液の成分を検査し、検査結果を元に変形性膝関節症以外の病気である要素を取り除いた上で、はじめて変形性膝関節症と診断されます。 まとめ・変形性膝関節症!発見には膝の症状がポイント 変形性膝関節症は中高年以降の女性に多く発生する病気で、膝の痛みの多くは変形性膝関節症からだといわれています。 変形性膝関節症の症状は、痛みと変形が特徴です。初期には強い痛みや変形を感じることは少ないものの、変形性膝関節症は進行性の病気です。放っておくと取り返しがつかないところまで進行するケースがあります。 そうならないためにも、早期に変形性膝関節症に気付くことが治療の選択肢を増やし、悪化を防ぎます。 変形性膝関節症の早期発見ができれば、保存療法(運動療法、薬物療法など)や手術療法というように、あらゆる選択肢の中から、膝の状態や自分自身の意向に沿って治療に取り組めるのです。 そのため、「軽度な痛み」や「違和感」程度でも放ったらかしにしないで、整形外科を受診しましょう。 ▼ 再生医療で変形性膝関節症の治療する 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せず、入院不要で症状を改善する No.039 監修:医師 坂本貞範
2022.01.18







