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腰椎椎間板ヘルニアによる慢性的な痛みやしびれに悩む方の中には「手術は避けたいが、痛みを改善したい」と思う方も多いでしょう。 放置すると症状が悪化し、歩行困難や日常生活への影響が深刻になることもあるので、適切な治療を選んで早めに対処することが重要です。とくにPLDD(経皮的レーザー椎間板減圧術)は、低侵襲で回復が早い治療法として注目されています。 手術よりも身体的負担が少なく、日帰りも可能ですが、効果や後遺症のリスクも気になるでしょう。 この記事では、PLDDのメリット・デメリット、後遺症の可能性、費用感について詳しく解説します。治療方法の参考にしてください。 メリット・デメリットを理解するための PLDD治療に関する基礎知識 PLDD(Percutaneous Laser Disc Decompression経皮的レーザー椎間板減圧術)は、レーザーを使用して椎間板内の圧力を低下させ、神経への圧迫を軽減する治療方法です。 具体的には、皮膚とその下の筋肉に局所麻酔を施した後、非常に細い針(0.4㎜)を背中から椎間板に挿入します。その針の中にレーザーファイバーを通し、レーザーを照射して椎間板内の髄核の一部を蒸発させます。この過程により、椎間板が縮小するため圧力が下がり神経への圧迫が軽減する手術です。 PLDDは主に頚椎や腰椎のヘルニア治療に用いられ、従来の手術に比べて侵襲性(体への負担)が低いのが特徴です。 PLDD治療のメリット PLDD治療のメリットは4つあります。 直接神経に触れない治療のため安心して受けやすい 切開をほとんど伴わず手術後に日帰りできる 局所麻酔で手術可能なので身体への負担が少ない 再生医療とPLDD治療を併用しやすい それぞれ詳しく解説します。 直接神経に触れない治療のため安心して受けやすい PLDD治療は、直接神経に触れることなく施術を行えるのがメリットです。レーザーファイバーを椎間板内に直接挿入し、神経から十分に距離をとった状態で処置を行うため、手術中の神経損傷を起こしにくく安全性が高いとされています。 従来の外科手術に比べて出血も少なく、身体への負担が軽減できるため、高齢者や体力に不安がある方でも安心して受けやすい治療法です。また、局所麻酔で行うため、全身麻酔ほどのリスクがありません。 ただし、すべてのヘルニアに適応できるわけではなく、効果にも個人差があるため、事前の画像診断や診察による適応判断が重要です。 切開をほとんど伴わず手術後に日帰りできる PLDD治療は、直径0.4㎜程度のレーザーファイバーを挿入するだけであり、切開をほとんど伴わない治療法です。施術時間は30〜60分程度と短く、多くの場合は手術当日に退院できます。 皮膚を大きく切開しないので感染症のリスクが低く、術後の回復もスムーズです。術後の痛みも少なく、歩行や軽い日常動作はすぐにできます。入院が不要なため、以降の仕事や家庭への影響はほとんどありません。 保存療法でなかなか改善しない方、高齢で大がかりな手術が難しい方などにおすすめの治療方法です。 局所麻酔で手術可能なので身体への負担が少ない PLDD治療は、局所麻酔で手術が可能なため、身体への負担が少ない治療法です。全身麻酔のリスクを避けられるため、手術中の負担を軽減できます。高齢者や全身麻酔が困難な方でも、安心して治療を受けることが可能です。 局所麻酔による手術は、術後の回復が早く、長時間の入院も不要です。とくに持病を抱えている方や体力に不安がある方に適しています。全身麻酔が不要なため、術後の体調管理も容易です。痛みが比較的少なく、社会復帰もスムーズに進められます。 身体への負担を抑えながら、効果的な治療を受けたい方におすすめです。 再生医療とPLDD治療は併用しやすい PLDD治療は、レーザーで椎間板の圧力を下げて神経の圧迫を和らげやすい低侵襲の治療法です。再生医療と組み合わせることで、さらに治療効果を高められます。 PLDD後に幹細胞を注入すると、神経の修復が促進され、炎症の軽減や組織の再生が期待できます。PLDDは皮膚を小さく穿刺するだけで負担が少ないため、再生医療との相性が良好です。 細胞の修復能力を活用することで術後の回復が早まり、痛みの再発リスクも抑えられます。ヘルニアの再発を防ぎたい場合、PLDDと再生医療の併用が有効です。 PLDD治療のデメリット(リスク) PLDD治療のデメリットは以下の5つがあります。 効果が即効性に乏しい 治療にかかる費用が全額負担になる ヘルニアの状態・種類によって治療を適用できない場合がある 手術後に後遺症が出ることがある ヘルニアが再発するリスクがある それぞれ解説します。 効果が即効性に乏しい PLDDは即効性に乏しい点がデメリットです。手術後すぐに症状が改善するわけではなく、1週間程度経過してから徐々に効果が現れます。完全に改善するまでには2〜3カ月ほどかかることが一般的です。ヘルニアの状態によっては、痛みの軽減が十分でない場合も考えられます。 レーザーによる椎間板の減圧が少しずつ進むため、即効性を求める方には向いていません。日常生活への影響を抑えながら治療を受けられる反面、効果を実感するまでに時間が必要です。そのため、改善までの期間を考慮した治療計画を立てることが大切です。 治療にかかる費用が全額負担になる PLDDの治療費は自己負担となり、保険が適用されません。病院によって費用は異なりますが、30〜50万円程度が相場です。自由診療のため、高額療養費制度は利用できません。 治療を検討する際は、費用と想定される効果を考慮し、納得した上で選ぶことが大切です。クレジットカード払いや医療ローンを利用できる場合もあるため、支払い方法について事前に確認すると安心でしょう。 また、PLDD治療費は他の医療費と合わせて年間10万円を超える場合、医療費控除の対象となり還付金を受け取れる可能性があります。ただし、医療費控除を受けるには確定申告が必要なので注意してください。 ヘルニアの状態・種類によって治療を適用できない場合がある PLDDは、すべての椎間板ヘルニアに適用できるわけではありません。ヘルニアの状態や種類によっては、治療を行えないか効果が限定される場合があります。 たとえば、椎間板の変性が進んでいると、PLDDのレーザー照射による減圧が十分に機能しない可能性が高いです。 また、大きく突出したヘルニアや、神経を強く圧迫しているケースでは、手術が必要になる場合もあります。骨の変形を伴うヘルニアや脊柱管狭窄症がある場合も、適応外となる可能性があります。 このようなケースがあるため、事前に画像診断を受けることが大切です。適用範囲に制限がある点を理解した上で治療を検討しましょう。 手術後に後遺症が出ることがある PLDD(経皮的レーザー椎間板減圧術)は低侵襲な治療法ですが、手術後に後遺症が出ることがあります。主な後遺症は以下の通りです。 症例 概要 神経障害 神経の損傷や圧迫によるしびれや感覚異常が生じることがあります。 炎症の持続 手術後の炎症が長引き、痛みが続くケースもあります。 症状の再発 PLDDは根治治療ではなく、時間の経過とともに症状が再発することがあります。 椎間板の損傷 レーザーによる熱ダメージで椎間板が脆くなり、損傷が広がる可能性があります。 感染症 低侵襲手術とはいえ、感染リスクが少なからずあります。 PLDDは侵襲性が低いものの、少なからず後遺症のリスクがあります。 これらの後遺症に対し、再生医療が適用できます。再生医療の幹細胞治療により、損傷した組織の回復を促すことが可能です。症状に応じた適切な治療を受けることで、改善が見込めます。 ヘルニアが再発するリスクがある PLDDの有効率は、文献によって異なりますが、約70%と報告されています(文献1)。一方、一般的に行われる椎間板切除術では、術後5年で再発率が1.5〜8.5%です(文献2)。単純な比較はできませんが、PLDDはこれらより治療成績が劣ると考えられます。 PLDDは、椎間板の内圧を下げることでヘルニアの圧迫を改善する治療法です。しかし、ヘルニアが後縦靭帯を突き破っている場合、すでに椎間板内圧が低下しているため、レーザーで髄核を焼いてもヘルニアが縮小しません。そのため、PLDDの適応は保存療法が効かず、後縦靭帯を破っていないヘルニアに限られます。 頸椎・腰椎ヘルニア・狭窄症の治療や後遺症には再生医療をご検討ください 頸椎・腰椎のヘルニア・脊柱管狭窄症は、十分な改善が得られず手術後も後遺症が出ることがあります。 当院リペアセルクリニックでは、幹細胞を脊髄の損傷部位へ直接投与する再生医療を提供中です。この治療法は、国内ではほとんど届出されていない先進的な治療方法で、損傷部位の神経修復を目的としています。 脊髄の神経が損傷し、慢性的なしびれや痛みが続く方におすすめです。リハビリと組み合わせることで、症状の改善や生活の質の向上も期待できます。 従来の治療で十分な改善が見られなかった方、治療後に後遺症が出てお悩みの方はぜひ当院の再生医療をご検討ください。 PLDD治療のデメリットが気になる方は再生医療もご検討ください PLDDは、低侵襲で回復期間が短いため日帰りで手術を受けられるのがメリットの治療法です。 検討する際は適応やリスクを十分に理解し、他の治療法と比較することが重要です。再生医療と組み合わせることを選択肢の一つとして検討するのも良いでしょう。 また、症状によっては再生医療のみでも高い治療効果が出ています。 当院では、脊髄損傷や椎間板の変性に対する再生医療として、自己脂肪由来幹細胞治療や脊髄腔内ダイレクト注射療法により直接投与する方法を提供しております。 椎間板ヘルニアや術後の後遺症にお悩みの方は、一度リペアセルクリニックまでご相談ください。 参考文献 (文献1) 佐藤 正人ほか.「レーザー照射が椎間板細胞に与える影響ーPLDDへの警鐘ー」『日本レーザー医学会誌』 31(2),pp.146-151, 2010. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jslsm/31/2/31_2_146/_pdf/-char/ja (最終アクセス:2025年3月20日) (文献2) 日本整形外科学会「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021 改訂第3版」2021年 https://minds.jcqhc.or.jp/common/wp-content/plugins/pdfjs-viewer-shortcode/pdfjs/web/viewer.php?file=https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00645.pdf&dButton=false&pButton=false&oButton=false&sButton=true#zoom=auto&pagemode=none&_wpnonce=3b871a512b (最終アクセス:2025年3月20日)
2024.03.12 -
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ヘルニア治療、PLDDの術後後遺症に対する最新治療とは!? PLDDは、頚椎および腰椎の椎間板ヘルニアの手術のなかでも最小と言っていいほど体への負担が少ない術式です。 しかし、どんなに画期的な手術であっても、術後に後遺症が残る可能性はゼロではありません。特に懸念すべきは神経障害による痺れ、痛み、麻痺などの症状です。 神経障害を改善するために行なった手術で神経障害が悪化してしまうのは不幸なことです。こうした術後後遺症に対して、最新治療である「再生医療」が吉報となるかもしれません。 本記事では、PLDDの概要と起こりうる術後後遺症、そして後遺症に対する最新治療についてご説明します。 椎間板ヘルニアの機序と治療、手術になるのはどんな時? 脊椎の中には、 太い神経の束である脊髄が走っています。脊髄からは運動や感覚を司る神経が出ています。重なる脊椎と脊椎の間には椎間板というクッション材が挟まっており、 椎間板の中央部には柔らかいゲル状の「髄核」があります。 椎間板ヘルニアとは 、この髄核が椎間板の外に飛び出す疾患です。飛び出したヘルニアが脊髄から伸びる神経の根本を圧迫してしまうと、「びりっ」とした痛みを感じるようになります。 症状が進行すると神経へのダメージが大きくなり、感覚障害や麻痺を起こしたり排尿障害が起こることもあります。しかし、重症化することはごく稀です。椎間板ヘルニアの多くは自然に縮小していく疾患 です。 たとえば、 腰椎椎間板ヘルニアは症状がある人の60%以上で吸収されると言われています。頚椎でも腰椎でもほとんどの椎間板ヘルニアと診断された方は、手術を受けることはありません。3ヶ月ほどの保存療法で自然と痛みが取れてくるのです。 では、不幸にも良くならなかったらどうなるのでしょう。保存療法でも改善しない痛みが続く場合や、麻痺・排尿障害をきたす場合は手術が行われます。 手術となると、「全身麻酔が大変」「術後は安静にしなければならない」「傷の痛みに耐えながら回復を待つ 」というイメージがあるかもしれません。 しかし、そのイメージと全く異なり、体への負担を最小限に抑えられる術式があります。それは、PLDD:Percutaneous Laser Disc Decompressionです。日本語では「経皮的レーザー椎間板減圧術」と呼ばれています。 PLDDってどんな手術? PLDDはレーザーを用いて椎間板の中央部にある髄核に照射して 、椎間板内の圧力を減少させる手術です。髄核が焼かれた後の空洞は縮もうとするため、時間経過とともにヘルニアは自然と小さくなっていきます。 椎間板内にレーザーを照射するのみであれば、メスや針・糸は不要です。細い針を刺せばレーザーファイバーを通すことができます。そのため、PLDDを行ってもほんの小さな刺し傷しか残りません。 安静も短くて済むため、日帰り手術をしている医療機関 も少なくありません。 PLDDの合併症について 体への負担の少なさについて強調されがちなPLDDですが、医療行為である以上は治療の合併症とは切っても切り離せない関係にあります。 特に深刻な術後後遺症を残すのが神経障害です。本来は神経の圧迫を改善するための手術なので、時間経過とともに痺れ・痛みなどは良くなるはずです。症状が術後に悪化している場合には神経障害の可能性が考えられます。 神経障害が起こる要因にはいくつかの可能性があります。ひとつはレーザーファイバーを入れる際に針で神経を傷つけてしまうことです。 次に、レーザーの誤照射により、神経がレーザーに当たってしまう可能性も否定できません。他に懸念されるのは、レーザーの熱などの間接的な要因でも神経障害が起こる可能性です。 実際にレーザー照射を直接受けていないはずの近くの骨が壊死を起こしてしまった例が報告されています。 術後後遺症の神経障害に対する再生医療の可能性とは 最新の再生医療である「幹細胞治療」がPLDD術後後遺症への新たな希望となるかもしれません。 従来、神経が傷ついてしまうと完全にもとに戻すことは難しいとされてきました。そのため椎間板ヘルニアの術後後遺症が残ってしまっても、薬やブロック注射などの対症療法を行うことしかできませんでした。 しかし、最新治療の幹細胞治療が神経を回復させてくれるのではないかと期待されています。幹細胞治療では、どんな細胞にも変化できる万能細胞の「幹細胞」 を使用します。幹細胞を投与することにより、傷ついた組織の再生が促されるのです。 まとめ・PLDD術後後遺症に対する最新治療とは! PLDDの概要と合併症のリスク、そして術後後遺症に対する最新治療についてご説明しました。 合併症が起こらないことが一番ですが、万が一起こってしまった時にどのような治療の選択肢があるか知っておくことは重要です。 当院では、PLDDをはじめとした椎間板ヘルニアの術後後遺症に対して、幹細胞治療を行っております。当院ではフレッシュで生き生きとした細胞を多く届けることができるように2つの工夫をしております。 ひとつは細胞の保存や輸送のプロセスにおけるものです。細胞を凍結せずに保存・輸送を行なっているのです。多くの病院の細胞加工室では細胞を保存、輸送する際に凍結してしまいます。 しかし、冷凍された幹細胞は弱くなり、 解凍時の生存率が大きく低下します。 当院では細胞の凍結を行わないため、新鮮で強い細胞が投与可能なのです。 もうひとつは細胞の投与方法です。当院では損傷した脊髄に対して直接幹細胞を投与できる「脊髄腔内ダイレクト注射療法」を行なっております。従来は脊髄の障害があるときの幹細胞投与は点滴でした。 当院では点滴の他に「脊髄腔内ダイレクト注射療法」を行うため、脊髄に届く幹細胞の数がより多くなります。 https://www.youtube.com/watch?v=5JqLxbYwLJ4&t=3s ▶PLDDをはじめ、椎間板ヘルニアの手術における術後後遺症でお悩みであれば、一度当院へご相談ください。 参考文献 日本整形外科学会 パンフレット 「整形外科シリーズ2 腰椎椎間板ヘルニア」 佐藤正人, 石原美弥, 荒井恒憲, 菊地眞, 持田譲治. 日本レーザー医学会誌 31(2): 146-151, 2010. 腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021 改訂第3版. 宮本雅史, 中嶋隆夫. 日内会誌 105:2210-2214, 2016. Tonami H, et al. AJR Am J Roentgenol 173 : 1383―1386, 1999. ▼以下もご欄になりませんか PLDDの有効性と術後の痛みや経過について
2024.03.08 -
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PLDD治療と費用、再生医療の可能性について解説します 椎間板ヘルニアは多くの人々が抱える健康問題であり、その治療法は常に進化を続けています。そこで近年、注目を集めているの先進医療をご紹介いたします。それが「PLDD(Percutaneous Laser Disc Decompression )」といわれるもので日本語に直すと「経皮的レーザー椎間板減圧術」といわれるものです。 この治療法は、レーザーを用いて椎間板の圧力を軽減し、痛みを和らげるもので、従来の手術に比べて身体への負担が少ないことが特徴というものです。 本記事では、PLDDについてと、その治療メカニズムと併せて気になる健康保険の適用や医療費控除の適用、費用に関する解説をします。 また後遺症の治療における再生医療の可能性について詳しく解説します。 PLDDとは PLDDは、1980年代初頭に開発されたレーザーを用いた最新の治療法です。主に頚椎や腰椎の椎間板ヘルニアに対して行われます。 治療は局所麻酔のもと、針を椎間板に挿入し、レーザーを照射して椎間板内の圧力を低下させ、ヘルニアを小さく縮ませることで神経の圧迫を押さえて痛みを軽減させるものです。 この方法の大きな利点は、局所麻酔下で行うことができるので入院の必要がなく、日帰りで行えるため、患者の負担が少ないことです。従来の外科手術に比べて侵襲が少なく、術後の回復も早いという利点もあります。また針を刺して行うため傷口が大きくならない点も利点です。 手術もレーザー用の注射痕程度になるため、感染による合併症の心配も少ないと言えます。 PLDDが最も適応するのは、「膨隆型(ぼうりゅうがた:椎間板が膨らんだような形になり、神経を少し圧迫しているタイプのヘルニア)」とされています。 ただし、椎間板の変性が進んでしまったケースでは、PLDDを行っても椎間板ヘルニアの症状が改善しないことがあるようです。 PLDDの利点 治療:レーザーによる手術 入院:不要(日帰りで可能) 手術痕:レーザーを照射するための針穴のみ 手術:局所麻酔 手術:合併症(細菌感染等)の可能性が低い レーザー治療の仕組み PLDD治療は、局所麻酔のもとで行われます。まず、針を椎間板に挿入し、その後レーザーをファイバーを通して照射します。レーザー光によって椎間板内の水分が蒸発し、ヘルニアが縮小するため、神経への圧力が減少します。これにより、神経根への圧迫が緩和され、痛みが軽減されるという仕組みです。 治療時間は約30分程度で、多くの場合は日帰りでの治療が可能です。 PLDDの費用と保険適用の現状 PLDDの費用は、クリニックによって異なりますが一般的には30万円から50万円程度が相場とされています。現在、PLDDは日本では健康保険の適用外となっています。そのため、治療費は全額自己負担となりますが、医療費控除の対象となる可能性があります。 医療費控除とは、一定期間内に支払った医療費が一定額を超えた場合、その超えた分について所得税から控除される制度です。PLDDの治療費も、他の医療費と合わせて年間10万円を超える場合は医療費控除の対象となる可能性があります。しかしながら、医療費控除を受けるためには確定申告が必要です。 健康保険:適用外 費用感:30万円~50万円 先進医療とPLDD 頚椎椎間板ヘルニアに対するPLDDは、厚生労働省による先進医療の指定を受けていましたが、数年前に取り消されています。 その理由としては、PLDDは日本での普及がまだ進んでいないからといったものです。 しかし、その後もPLDDの効果や安全性については多くの臨床研究によって実証されており、今後は保険適用の対象となることが 期待されています。 PLDDはどんな病院で受けられるのか PLDDを受けられるクリニックは全国にありますが、施設によって技術や設備に差があります。 治療を受ける際には、事前に情報を収集し信頼できる施設 を選ぶことが重要です。また、治療後のフォローアップ体制も確認しておくと安心です。 後遺症の治療と再生医療 PLDD治療は、傷口も少なく身体に与える負担はとても小さい治療です。そのため、PLDDそのものによる後遺症はほとんどないと考えられます。 その一方で、ヘルニアそのものによる症状が残ることもあり、後遺症となってしまう場合があります。このようなヘルニアの後遺症に対しては、脊髄神経の再生を目的とする再生医療 による治療が有効な場合があります。 再生医療では、患者自身の幹細胞を用いて損傷した脊髄神経の再生を目指します。具体的には、患者様ご自分の血液や脂肪を採取し、培養「自己間葉系幹細胞 」として損傷部位に投与するものです。 この自己間葉系幹細胞 には、脊髄神経の再生を促したり 、部分的に再生したりするといった能力があるとされますが、厚生労働省の許認可が無ければできない先端医療です。 脊髄の再生医療では、手術やPLDD治療ではできない、脊髄神経そのももの再生が可能となるのです。 https://www.youtube.com/watch?v=GcUDE6GCblE まとめ・PLDD治療と費用、再生医療の可能性について 今回は、PLDDはどのようなものなのか、費用、保険適用、医療費控除、どのような病院で受けられるのか、そして後遺症の治療における再生医療の可能性について解説しました。 PLDDは、レーザーを活用した医療技術として、椎間板ヘルニア の治療に新たな選択肢を提供しています。費用は自己負担となりますが、医療費控除の対象となる可能性があります。 治療を検討する際には、クリニック選びやフォローアップ体制にも注意が必要です。PLDDは今後、さらなる普及と発展が期待される治療法です。 一方で、PLDDを行っても頚椎あるいは腰椎の椎間板ヘルニアによる後遺症が残ってしまうこともあります。こうした場合には、再生医療による治療も選択肢として上がります。 当院では、脊髄損傷 に対し、自己脂肪由来幹細胞治療という再生医療を行っています。 これは、自分の脂肪組織や血液から幹細胞を抽出、培養し、点滴で静脈注射、 あるいは当院独自技術として脊髄腔内に直接幹細胞を投与することができる、脊髄腔内 ダイレクト注射療法もあります。 再生医療にご興味のある方や、治療を考えたいという方は、 ぜひ一度当院までご相談ください。 参考文献 レーザーによる経皮的椎間板減圧術 (PLDD法) の経験.中四整会誌.1997;10 (2): 229-233. Hellinger J. "Technical aspects of percutaneous laser disc decompression (PLDD)." Lasers in Surgery and Medicine, 1999.Dec;16(6):325-31. 【保険適用外の手術費用の補助】保険適用外の手術(ヘルニアのレーザー手術)を受けたのですが、その費用(約50万円)は高額医療費として一部支給されないのでしょうか?また、支給を受けるためにはどのような手続きが必要になるのでしょうか? | よくある質問 | 日本アイ・ビー・エム健康保険組合 既存の先進医療に関する保険導入等について 平成 22 年1月 20 日 先進医療の各技術の概要|厚生労働省 Mochida J, et al. "Regeneration of intervertebral disc by mesenchymal stem cells: Potentials, limitations, and future direction." European Spine Journal,2006 Aug;15(Suppl 3): 406–413. ▼以下もご参照いただけます ヘルニア治療、PLDDの術後後遺症に対する最新治療とは!?
2024.03.07 -
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PLDDの有効性と術後の痛みや経過について 首や腰の痛みを引き起こすとともに、手や足へ分布する神経を圧迫して厄介な痺れを引き起こす椎間板ヘルニア。進行すると、筋力低下をきたしたり、排尿障害を起こしたりもします。 つらいヘルニアの治療法の一つであるPLDDは、 手術療法の中でも体への負担が非常に低いとされています。傷は小さく日帰り手術もできる、一見魅力的な方法と思えますが、有効性や安全性はどうなのでしょうか。 この記事ではPLDDについての紹介や、有効性・術後の経過などについて解説します。 椎間板ヘルニアの治療とPLDD 椎間板ヘルニアの治療の基本は、 痛み止めやリハビリなどの「保存療法」です。しかし、保存療法の効果がない場合には手術が検討されます。 現在、椎間板ヘルニアの手術は多くの種類があります。特に「体への負担が少ない」とされている治療の一つがPLDDです。 PLDDはPercutaneous Laser Disc Decompressionの略称で、日本語では経皮的レーザー椎間板減圧術と呼ばれている術式です。現在、いくつかの病院で腰椎や頚椎の椎間板ヘルニアに対する治療として行われています。 PLDDでは特殊な針を使って背中から椎間板の中央へとレーザーファイバーを通します。椎間板の中央部には「髄核」というゲル状の柔らかい物質があり、髄核が飛び出してくるのがヘルニアの原因です。 PLDDではこの髄核をレーザーで焼いて気化させてしまうのです。これにより、椎間板の内圧を下げることができます。焼いた部分は空洞化し、椎間板は穴を埋めようと縮むため、ヘルニアが改善するのです。 PLDDで用いる針は細く柔軟性が高いものです。局所麻酔のみで手術が可能で、侵襲(手術の傷) が少ないため、病院によっては日帰り手術も可能となっています。傷も非常に小さくて済みます。 PLDDの費用は? PLDDは公的健康保険の適応として認められていません。そのため、治療に関連する医療費全てが自費になります。 つまり、手術手技に関連した費用のみでなく、適否を見極めるための診察や検査の費用・関連した処方などもすべて患者さんの自己負担となるのです。病院によって費用は異なりますが、数十万の医療費がかかります。 かつてPLDDは厚生労働省の指定する「先進医療」であり、特定の医療機関では保険診療との併用が認められていました。この場合は手術に関連した費用のみ自費で、その他の診察や検査・処方にかかわる費用は公的保険を用いることが可能でした。 しかし、平成24年に「有効性や効率性が十分に示されていない」ということで先進医療の指定から削除されたのです。 PLDDって効果がないの? 先進医療から取り消されたということは、 効果がないということでしょうか。 PLDDの有効率は文献によってばらつきますが、おおむね70%程度と報告されています。もしかしたら、「そんなに悪くないのでは」と感じた人もいるかもしれません。 腰椎椎間板ヘルニアにおいては、診療ガイドライン上手術療法で推奨されるのは「椎間板切除術」です。椎間板切除術後、ヘルニアが再発して再手術が必要になるのは、術後5年で1.5〜8.5%と報告されています。 単純比較はできませんがPLDDはこれらよりも治療成績に劣るとされています。 もう一つ、頭に入れておかなければいけないことは、PLDDが効かないヘルニアがあるということです。先ほどの「70%の人に有効」というのは、PLDDの効果が期待できる人を選んで行った成績です。 PLDDが適しているのは、保存療法が効かない患者さんのうち、ヘルニアが「後縦靭帯」を突破していない患者さんです。 図1,2 後縦靭帯を突破していない図 引用)腰痛を診る.日本医科大学医学会雑誌.2006(2):42-46. p44 PLDDは,椎間板の内圧を下げることでヘルニアによる圧迫を改善させる効果があります。しかし、後縦靭帯を破って外に出てしまったヘルニアの場合はすでに椎間板内圧が下がってしまっていて、髄核を焼き飛ばしてもヘルニアは縮みません。 残念ながら適切でない方に行われるケースもあり、そうなると「効果がない」のです。 PLDDの手術中や手術後の痛みはどのくらい? PLDDは小さな針を刺すだけなので、他の手術のように手術に伴う痛みが少ないことがメリットの一つです。 最初に皮膚に局所麻酔を行うことで、針を刺すときの痛みもカバーされます。そして、切開をする必要がないため、手術後に「傷の痛みがつらい」ということがありません。 したがって、手術に関連した痛みは最小限で済む術式と言えるでしょう。 PLDDの術後の経過は? PLDDは他の手術よりも即効性には乏しいです。 ヘルニアが退縮することで、神経の圧迫が軽くなっていきますが、それには時間がかかるのです。個人差はありますが、術後1週間程度から徐々に症状が改善され、2〜3ヶ月ほどで良くなったことが実感されてきます。 そのため、すぐにでも良くしたい、という人は他の方法を選んだ方が良いでしょう。 PLDDにも合併症はあるの? 傷が小さく一見安全な手術のように思えるPLDDにも、合併症が起こるリスクがあります。 合併症の例として、感染やレーザーの影響による骨壊死などが挙げられます。 中でも、術後後遺症として長期に日常生活に深刻な影響を与えるのが神経障害です。レーザーの誤照射や針による損傷、血腫を作ることで圧迫されることで神経が傷つき、もともとあった痺れが悪化したり新規に痺れたりすることがあります。 まとめ・PLDDの有効性と術後の痛みや経過について 椎間板ヘルニアの治療法の一つであるPLDDは、低侵襲であることから、早く日常生活に復帰したい人にとっては良い選択肢かもしれません。 しかし、高額な費用負担、有効性の問題、また適応が広くないことなど手術を受ける上での問題も少なくありません。 また、いくら体への負担が少ないといっても、神経障害をはじめとした合併症リスクもあるため、慎重な選択が必要です。 なお、当院ではPLDDを含めたヘルニアの術後後遺症に対して再生医療の一つである「幹細胞治療」を提供しています。これは万能細胞である幹細胞を障害部位へ届けることで組織の再生を促すものです。 従来、神経損傷に対する幹細胞治療では点滴で幹細胞を投与してきました。当院では、点滴に加えて脊髄腔内に直接幹細胞を注入する手法も行っています。 脊髄腔内ダイレクト注射療法により、さらに多くの幹細胞を損傷した神経に届けることができるようになりました。 さらに国内でも有数の細胞加工室の高い技術により、幹細胞を凍結することなく保存しています。フレッシュな幹細胞の投与により、良好な治療成績をおさめています。 https://www.youtube.com/watch?v=5JqLxbYwLJ4&t=3s ▶PLDDの術後後遺症でお悩みであれば、ぜひ当院の最新治療をご検討ください。 参考文献 小坂理也. 整形外科看護 10(4): 329-333, 2005. 加藤昌代, 西山敬浩, 加藤篤史, 笹生豊, 大橋健二郎. 東日本整形災害外科学会雑誌 15(1): 111-114, 2003. 井上和彦, 橋本俊彦, 関根千晶, 千葉純司. 日本レーザー医学会誌 22(1): 5-14, 2001. 慢性疼痛診療ガイドライン 宮本雅史, 中嶋隆夫. 日内会誌 105:2210-2214, 2016. 佐藤正人, 石原美弥, 荒井恒憲, 菊地眞, 持田譲治. 日本レーザー医学会誌 31(2): 146-151, 2010. 腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021 改訂第3版. 厚生労働省 HP 腰痛を診る.日本医科大学医学会雑誌.2006(2):42-46. p44 ▼以下のご覧いただけます PLDD治療、そのメリット・デメリットやリスクとは?
2024.03.05 -
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「椎間板ヘルニア手術を受ける予定だけど、手術後の生活のイメージが掴めない」「仕事復帰できるのはいつ頃から?」 このような不安や疑問を抱えていませんか? 本記事では、椎間板ヘルニア手術後のリハビリや仕事の再開時期を解説します。 手術後の生活で気をつけることや注意点も紹介しているので、参考にしてみてください。 痛みやしびれの回復具合に合わせてリハビリを続け、医師の指示を受けながら徐々に日常生活へと戻していきましょう。 椎間板ヘルニア手術後の生活|仕事復帰までのステップ 椎間板ヘルニア手術後の生活はどのように変化するのでしょうか。 ここでは、リハビリや仕事復帰、運転などの再開までの流れや期間を解説します。 痛み・しびれ リハビリ期間 仕事復帰 運転 性行為 手術後の生活プランを立てる際の参考にしてみてください。 痛み・しびれは手術後1カ月ほど続く 手術後は、神経の修復に時間がかかるため、痛みやしびれが1カ月ほど続く可能性があります。 痛みやしびれが出ているときは、神経が敏感な状態にあるため、生活のなかで不便さを感じる場面があるでしょう。 そこで、無理に体を動かすと、症状を悪化させたり、再発につなげたりしかねません。 症状が落ち着くまでは安静に過ごす意識をもつようにしてください。 リハビリを始めるのは手術後1カ月ほど リハビリは、手術後1カ月ほどから開始します。 リハビリは手術後すぐに取り組むものというイメージがあるかもしれませんが、実際には手術後すぐにリハビリに取り組む必要性は認められていません。(文献1) 椎間板ヘルニア手術後におけるリハビリの目的は、腰回りの筋肉を強化して再発を防ぎ、日常生活への円滑な復帰を促すことです。 以下に効果的なリハビリの運動例を紹介します。 【お腹を鍛える運動】 お腹を意識しながら腹式呼吸 仰向けになって膝を立て、首を軽く起こしてお腹をのぞき込む腹筋運動 など 【お尻を鍛える運動】 仰向けになって膝を立て、お尻をゆっくり持ち上げるブリッジに似た運動 うつ伏せになり曲げた片足をゆっくり上げ下げする運動 など 動作中に強い痛みがあるときは、回数や力の入れ方を調整しましょう。 仕事復帰できるのは手術後から1.5カ月ほど 手術後、仕事復帰までの期間は、受けた手術の種類や仕事内容によって異なりますが、平均すると1.5カ月程度です。 背中の患部付近を切開する従来の手術法の場合、傷口の完全な回復を待つ必要があるため、復帰までの期間が長くなる傾向にあります。一方で、小さな切開で済む内視鏡手術法の場合は、手術の回復が比較的早く、仕事復帰までの期間が短縮しやすいです。 仕事内容においては、腰を使う重労働業務の場合は、復帰までに時間がかかるケースがあります。 ある調査では、重労働業務における復職までの平均期間は44日ほどと報告されています。(文献2) 運転できるのは手術後2週間ほど 短い距離の運転なら手術後2週間ほどで、運転を再開できます。 ただし、以下のように特殊な状況がある場合は、運転の再開時期が遅れる可能性があります。 旅行や出張など長距離の運転をする場合 バスやタクシーのドライバー 農業や工事現場の重機操縦者 自己判断で運転を再開してしまうと、腰に負担がかかり症状が悪化する恐れがあります。 安全に運転を再開するためにも、医師と相談しながら慎重に復帰の時期を決めましょう。 性行為は手術後2週間ほど控える 性行為は、手術後2週間ほどは控えたほうが安心とされています。 手術後は、傷口の修復や、腰まわりの痛み・しびれが落ち着いていない場合があるためです。 少しでも違和感や痛みがあるうちは、無理をしないことが大切です。腰に負担がかかる動きは、回復を遅らせるほか、再発してしまう恐れもあります。 体の回復を優先し、無理のない範囲で行動を選びましょう。 椎間板ヘルニア手術後の生活でやってはいけないこと・注意点 椎間板ヘルニア手術後の生活でやってはいけないこと・注意点を解説します。 主に以下3つの行動は、回復を遅らせたり、再発リスクを高めたりする可能性があります。 リハビリの中断 腰に負担がかかる運動 腰に負荷がかかる姿勢や動作 順番に見ていきましょう。 リハビリの中断 椎間板ヘルニアの手術後にやってはいけないことは、リハビリの中断です。 手術後は安静にする時間が長くなり、体を支える筋肉が弱まりやすくなります。 続けてきたリハビリを中断してしまうと、再び体に負担がかかりやすくなり、症状の悪化や再発の原因になりかねません。 痛みが和らいだとしても、自分で判断してリハビリを中断せず、医師の指示に従って継続する意識が大切です。 なお「仕事やスポーツでリハビリの時間を確保するのが難しい」という方は、再生医療の治療を検討してみてください。主に注射または点滴を使った治療なので、手術後のリハビリや後遺症の心配はいりません。 腰に負担がかかる運動 手術後3カ月ほどは、腰に強い負担がかかる運動はしばらく控える必要があります。 無理をすると、傷口が開いたり、再発したりする恐れがあるためです。 具体的には以下のような運動は控えましょう。 腰をひねる体操 ダッシュやジャンプなどの衝撃が強い運動 ゴルフやテニスなど腰をひねる動きが多いスポーツ これらは腰部への負担が大きく、早期の復帰はリスクが高いといえます。 ただし、まったく体を動かさないのも良くありません。軽いストレッチや簡単な体操など、筋力を保つ適度な運動は回復に役立つため、医師の指導のもとで取り入れましょう。 腰に負荷がかかる姿勢や動作 椎間板ヘルニアの手術後1週間ほどは、腰に負荷がかかる姿勢や動作は避けるようにしてください。 たとえば、落ちた物を拾うときに腰を曲げてかがむのは負荷のかかる姿勢です。物を拾う際は、膝を曲げてしゃがむようにすれば、腰への負担を減らせます。 また、腰をひねる動きも症状悪化や再発のきっかけになります。 たとえば、後ろに振り向く動作は、腰にねじれの動きが入り負荷がかかります。後ろを振り向きたいときは、足を使って身体ごと向きを変えると腰への負担が少ないです。 日常生活を振り返り、腰に負荷のかかる姿勢や動作があれば、改善していきましょう。 椎間板ヘルニア手術後の生活で脊髄損傷が起こるリスク 椎間板ヘルニア手術後にやってはいけないことや注意点をお話ししてきましたが、手術後早期に腰を曲げたり、腰をひねったりすると、脊椎の中を通る神経の束である脊髄が傷ついてしまい、脊髄損傷を起こしてしまうリスクがあります。 脊髄損傷の主な症状は以下のとおりです。 知覚鈍麻 痛みや痺れ 麻痺脊髄損傷は一度起こってしまうと自然には治りません。手術後に脊髄損傷が疑われる症状が現れたら、すぐに手術をした医療機関に連絡をしましょう。 椎間板ヘルニア・脊髄損傷でお悩みの方へ「再生医療」を紹介 一般的に、損傷した大きな神経は修復することができません。 椎間板ヘルニア手術で脊髄損傷した場合、下肢の麻痺により、歩行困難や車いすでの生活が余儀なくされる可能性もあります。 そんな脊髄損傷の治療法の一つに、幹細胞を用いる「再生医療」があります。 幹細胞とは、体のさまざまな組織に変化できる細胞です。 当院「リペアセルクリニック」では、患者様自身の脂肪を採取・培養した幹細胞を用いる治療を提供しております。 再生医療について気になる点などございましたら、お気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ まとめ|椎間板ヘルニア手術後はリハビリを継続して仕事復帰を目指そう 手術後の生活では、リハビリを続けて、日常生活で無理な姿勢や動作をしない意識を持つことが回復への近道です。 腰への負担を避け、正しいリハビリを継続すれば、再発リスクを抑えながら仕事復帰を目指せます。 本記事で紹介した注意点やリハビリ内容を参考に、ご自身のペースで回復に向けた生活習慣を整えていきましょう。 なお、椎間板ヘルニアや手術後の脊髄損傷に対しては「再生医療」という治療法もあります。 再生医療の幹細胞を使った治療では、体のさまざまな組織に変化をする幹細胞を損傷した患部に投与します。再生医療をご検討、あるいは気になる点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) 宮本 雅史,中嶋 隆夫.「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン改訂第2版」日本内科学会雑誌 105 巻 11 号pp1〜5 2016年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/105/11/105_2210/_pdf/-char/ja (最終アクセス:2025年4月16日) (文献2) 廣田 勝也, 島﨑 功一.「腰椎椎間板ヘルニア術後における重労働者のホームエクササイズ実施状況と復職状況との関連因子の検討」日本理学療法士協会 2019年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/46S1/0/46S1_H2-207_2/_article/-char/ja/?utm_source=chatgpt.com (最終アクセス:2025年4月16日)
2024.03.01 -
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椎間板ヘルニアの内視鏡手術|PELD(PED)とMEDの違いについて 椎間板ヘルニアに対する手術治療法として、現在内視鏡を用いたPELD(PED)やMEDといった方法が普及しつつあります。いずれも内視鏡を使用した、従来よりも体への負担が小さい手術ですが、それぞれには違いもあります。 今回の記事では、そのようなPELD(PED)やMEDの違い、そして術後の後遺症に対する再生医療の可能性について解説していきます。 椎間板ヘルニアとは まずは、椎間板ヘルニアについて簡単にご説明します。 背骨である椎体と椎体の間には、椎間板というクッションのような構造があります。この椎間板は、髄核(ずいかく)というゲル状の部分と、それを包む線維輪(せんいりん)という構造からできています。 椎間板ヘルニアは、髄核を取り囲んでいる線維輪の後方部分、つまり背中側の部分が破れ、髄核が断裂した部分から背中側にはみ出してしまうことで、脊髄などが圧迫されてしまう病気のことです。 この中でも腰椎椎間板ヘルニアは、腰の骨である腰椎で起こるものです。 そして、男女比は約2〜3:1、20〜40歳代の方に多く、好発する部位は腰椎第4番と第5番の間、もしくは腰椎第5番と仙椎第1番の間が多いとされています。 後ろ側に飛び出した椎間板が脊髄や神経根などの神経を圧迫することで、下半身に痛みが生じてくるといった症状が現れてきます。また、腰椎椎間板ヘルニアの他の症状としては、急に起こる激しい腰痛や下半身の痛みがあります。 そして、ヘルニアが進行すると下半身に力が入りにくいという症状がでてきます。また馬尾という脊髄の一番下の方にある糸のような神経部分が圧迫されると、排尿や排便が障害されることがあります。 椎間板ヘルニア手術の種類とそれぞれの特徴 さて、椎間板ヘルニアについての治療法について解説していきます。 腰椎椎間板ヘルニアでは、ヘルニアによって神経が圧迫されるような場合に手術が行われます。最近では、より小さな傷で手術を行う、低侵襲手術(ていしんしゅうしゅじゅつ)が広がりつつあります。 例えば、経皮的内視鏡下腰椎椎間板切除術(Percutaneous Endoscopic Lumber Discectomy : PELD)や、内視鏡下ヘルニア摘出術(Micro Endoscopic Discectomy : MED)などの手術です。なお、PELDとPEDは、腰椎(つまりLumber)が入っているかどうかの違いなので、ほぼ同義と考えて問題ないでしょう。 では、従来の手術、そしてPELDとMEDについて詳しく解説しましょう。 従来の手術法 一般的な手術として、背中の側からアプローチし、椎弓(ついきゅう)という背骨の一部を切り取り、椎間板を取り除くという手術が最も行われています。 この方法は、皮膚や筋肉、骨を削り取るというもので、手術は全身麻酔が基本となり術後2〜3日後ほどで歩行を開始し、入院期間は2〜3週間程度が目安です。 PELD(経皮的内視鏡下 腰椎椎間板切除術) PELDは、7mmほどの細い筒をまず背中側から直接ヘルニア部分まで挿入し、生理食塩水を流しながら、その筒の中へ針のような専用内視鏡を刺入していき、直接ヘルニアを摘出するというものです。 細い内視鏡でヘルニアへアプローチすることが可能であるため、筋肉や骨などの組織への負担が少ないというメリットがあります。その他の利点は、局所麻酔や硬膜外麻酔で治療可能な点、また日帰り手術も可能という点です。 また、傷口が小さいため、術後の回復が早いことも期待できます。 欠点としては、大きなヘルニアや椎体の変形が強い場合、また脊柱管狭窄症などが併存する場合には適応とならない場合があることです。 MED(内視鏡下ヘルニア摘出術) MEDは、PELDと同じように内視鏡を使う技術です。 皮膚を切開して内視鏡や器具を挿入し、ヘルニアの部分まで進めていきます。PELDよりも内視鏡の筒の径が大きくなるため、筋肉が引っ張られたり視野を確保するために骨を削ったりといった操作が加わります。そのため、PELDと比較するとヘルニアの周囲の組織への負担が大きくなるという欠点があります。 一方で、複数の椎間に渡るようなヘルニアでも手術可能なことが多く、またPELDと比較すると全国的にこのMEDの手術を行っている病院が多いという利点があります。 特徴 PELD MED 従来の手術法 皮膚の切開の大きさ 7mm程度 16mm程度 3〜4cm 麻酔の方法 局所麻酔可能 全身麻酔 全身麻酔 手術の時間 1時間程度 2時間程度 1時間程度 術後の入院期間 日帰り可能 1週間程度 1週間程度 体に与える負担 軽い 軽いがPELDに比べると骨や筋肉などに侵襲が大きい 傷口が大きいため負担になる可能性あり PELDとMED、従来の手術の違い まとめ・椎間板ヘルニアの内視鏡手術|PELD(PED)とMEDの違いについて 今回の記事では、椎間板ヘルニアの症状や治療法としてのPELD(PED)、MEDについて解説しました。PELDとMEDの違いについても表にし詳しく述べました。 これらのPELD、MEDといった手術は、従来のような皮膚を大きく切り、直接ヘルニア病変を摘出するという方法に比べると傷口も小さく、体への負担が少ないというメリットがあります。 一方で、どのような手術であっても脊髄損傷や神経損傷の可能性は少ないですが、一定数あり得ることには注意が必要です。また、椎間板ヘルニアが進行していた場合などは、しびれや下半身麻痺などの症状が手術後にも残ってしまうこともあるでしょう。 そのような後遺症に対する治療法を探しているという方に対して、再生医療という方法があります。 当院では、脊髄損傷に対し、自己脂肪由来幹細胞治療という再生医療を行っています。これは、自分の脂肪組織や血液から幹細胞を培養し、点滴で静脈注射する方法や、あるいは当院独自の技術として脊髄腔内に直接幹細胞を投与することができる、脊髄腔内ダイレクト注射療法をご用意しています。 https://www.youtube.com/watch?v=GcUDE6GCblE ▶椎間板ヘルニアや、その術後の後遺症などにお悩みの方で再生医療に興味のある方は、ぜひ当院までご相談ください。 参考文献 腰椎椎間板ヘルニア 診療ガイドライン 改訂第2版.日内会誌.2016:105;2210-2214. 脊椎脊髄疾患について・主な疾患 腰椎椎間板ヘルニア 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会 腰椎椎間板ヘルニアにおける内視鏡下 ヘルニア摘出術.整形外科と災害外科.2002.51(1);47-50. 腰椎椎間板ヘルニアに対する経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術(percutaneous endoscopic lumbar discectomy)の適応と限界.脳外誌.2017:26(5);346-352. p347 経皮内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア摘出術の現状と今後の展望.Spinal Surgery.2016:30(2);152-158. p152 腰椎椎間板ヘルニアに対する経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術(percutaneous endoscopic lumbar discectomy)の適応と限界.脳外誌.2017:26(5);346-352. p351 ▼椎間板ヘルニアの手術について参考記事 椎間板ヘルニアのPELD(PED)手術のメリット・デメリット
2024.02.28 -
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低侵襲治療という言葉を耳にしても、どのような治療かイメージが湧かない方も多いのではないでしょうか。 低侵襲治療とは、手術や検査に伴う体への負担をできるだけ抑える医療を指します。身体を大きく切らずに済む内視鏡やカテーテル、ロボット支援手術など、患者への負担を軽減するさまざまな方法が実用化されています。 この記事では、低侵襲治療の概要、メリット・デメリット、治療の種類や対象疾患について解説します。ご自身やご家族の治療法を検討する際の参考にしてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 手術を必要としない再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 低侵襲治療とは 低侵襲治療とは、手術や検査に伴う痛み、出血、発熱などの身体への負担(侵襲)をできるだけ抑える治療法です。 内視鏡やカテーテルなど、体を大きく切らずにすむ医療機器を用いて術後の痛みや回復までの時間を軽減します。高齢者や持病のある方でも治療できる場合があり、幅広い人にとって負担の少ない治療の選択肢となりえます。 低侵襲治療のメリット 低侵襲治療の主なメリットは、以下の通りです。 手術時の痛みや出血が少ない 傷口が小さく、体表へのダメージが少ない 回復が早く、入院期間が比較的短い 早期の日常生活や社会復帰が見込める 低侵襲治療は、患者様の心身の負担を軽減しながら治療に臨めます。手術が不安な方にも、前向きに検討しやすい治療法です。 低侵襲治療のデメリット 低侵襲治療の主なデメリットは、以下の通りです。 すべての疾患に適用できるわけではない 症状や病気の進行などによっては適用できない場合がある 高度な医療機器が必要 術者の技術差が結果に大きく影響する 低侵襲治療は、高度な専門性と設備が欠かせません。また、患者様に適しているとは限らず、病状や施設の体制によっては従来の治療法が選ばれることもあります。 デメリットを十分に理解した上で、医師と相談し慎重に治療法を選びましょう。 低侵襲治療の種類と対象疾患 低侵襲治療の種類と対象疾患は下記の通りです。 治療名 主な対象疾患 治療の特徴 鏡視下手術(PELD) 椎間板ヘルニア 小さな穴から内視鏡を入れて行う手術 内視鏡手術 消化管の早期がん 胃や大腸にカメラを入れて病変を切除 経皮的レーザー椎間板減圧術(PLDD) 椎間板ヘルニア 細い針とレーザーで椎間板の圧迫を緩和 ロボット手術 がん治療 自在に動くロボット器具で難所の手術を実現 カテーテル手術 血管の狭窄 狭心症など カテーテルを血管内に挿入し、血管を広げる 体外衝撃波治療 足底腱膜炎 石灰性腱炎 テニス肘など 衝撃波を当てて痛みや炎症を軽減する 放射線治療 がん治療 放射線でがん細胞のDNAを破壊し死滅 それぞれの治療の特長や適応疾患、治療の流れなどを知ることで、自分に合った治療法を検討する際の参考にしてください。 鏡視下手術・PELD|椎間板ヘルニアや消化器がんなど 鏡視下手術は、体に小さな穴を数カ所開けてカメラや特殊な手術器具を挿入し、モニター映像を見ながら行う治療法です。とくに、椎間板ヘルニアに対して行う鏡視下手術は、PELD(経皮的内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア摘出術)と呼ばれます。 手術部位を切開して行う従来の手術に比べて出血が少なく、痛みや傷跡も最小限で済むため、早期の回復や社会復帰が期待できます。 鏡視下手術が検討される可能性がある疾患は、以下の通りです。 椎間板ヘルニア、膝半月板損傷などの整形外科疾患 食道がん、胃がんなどの消化器疾患 肺がん、転移性肺腫瘍などの呼吸器疾患 膀胱がん、尿路結石などの泌尿器疾患 子宮筋腫、子宮腺筋症などの婦人科疾患 鏡視下手術はすべての症例に適しているわけではなく、病状や施設の設備によっては従来の手術が選ばれる場合もあります。治療の選択肢として検討する場合は、医師と十分に相談しましょう。 内視鏡手術|消化管の早期がんやポリープ切除 内視鏡手術は、口や肛門から胃カメラ・大腸カメラを挿入し、消化管の内側から病変を切除する治療法です。主に食道・胃・十二指腸・大腸の早期がんに対して行われます。 体内に傷をつけないので、身体への負担が少ないのが特徴です。 がんの進行が浅く局所に限られている場合に適応されるため、早期発見と正確な診断が重要です。内視鏡手術に関心がある方は、医師に相談してみましょう。 経皮的レーザー椎間板減圧術(PLDD)|椎間板ヘルニア 経皮的レーザー椎間板減圧術(PLDD)は、椎間板ヘルニアに対する低侵襲の治療法です。 経皮的レーザー椎間板減圧術の手順の一例は、以下の通りです。 背中の皮膚から、細い針を椎間板内の中心まで挿入する 針を通して、椎間板内の中心にレーザーファイバーを照射する 椎間板の内圧が下がり、突出していた部分が引っ込み神経の圧迫を緩和する 手術時間は30分程度が一般的で、針穴のみの小さな傷ですみ、入院も半日~1泊程度と短期間です。 重度のヘルニアには適応されなかったり、保険適用外の自由診療となったりするため、事前の検査と医師の判断が必要です。 ロボット手術|泌尿器科や消化器などのがんなど ロボット支援手術は、腹腔鏡手術の進化形といえる治療法です。「ダヴィンチ」は代表的なロボットで、関節のように自在に動く器具により、人の手では届きにくい部位の精緻な手術が可能です。 主な手順は以下の通りです。 患者様の体に小さな穴をあける ロボットアームと内視鏡を挿入する 医師は別の操作台から3D画像を見ながらロボットを遠隔操作する 前立腺がんや胃がん、直腸がん、子宮筋腫など多くのがん手術で導入されており、創が小さく出血も少ないため、術後の痛みが軽く回復も早いのが特徴です。一方、触覚がないことや緊急対応の難しさといった課題もあるため、経験豊富なチームによる対応が不可欠です。 ロボット支援手術は、開腹手術に抵抗がある方や、早期回復を望む方にとって有力な選択肢となります。 カテーテル手術|心臓や脳など カテーテル手術は、心臓や脳、血管などの病気に対し、体への負担を抑えて行う低侵襲治療です。 主な手術の手順は、以下の通りです。 細い管(カテーテル)を、手首や足の付け根から血管内に挿入する X線透視下で狭窄や閉塞部位まで誘導する バルーンを膨らませて血管を広げたり、再狭窄を防ぐために金属製のメッシュで作られた管(ステント)を挿入したりする カテーテル手術は、脳梗塞の原因となる血管の狭窄や狭心症などが対象です。 手術時間は1〜2時間程度と短く、回復も早いのが特徴です。 体外衝撃波治療|足底腱膜炎や石灰沈着性腱板炎、テニス肘など 体外衝撃波治療は、皮膚の上から衝撃波を患部にあてて痛みや炎症を和らげる治療法です。衝撃波によって神経や血管が刺激され再生が促されると考えられています。 メスを使わず入院も不要なため、アスリートや手術に抵抗がある方、保存療法で改善がみられなかった方に用いられています。 体外衝撃波治療の対象となる主な疾患は、以下の通りです。 足底腱膜炎 石灰性腱炎 アキレス腱痛症 テニス肘 早期の骨壊死 疲労骨折 尿路結石 1回の治療は5分程度で、4〜6回の通院で完了するのが一般的です。 放射線治療|がん治療 放射線治療は、がんに対する三大治療の一つで、患部に放射線を照射し、がん細胞のDNAを破壊して死滅させる治療法です。手術のように臓器を取り除くことなく、体の外からがん細胞にアプローチできる点が特徴です。 主に、リニアックと呼ばれる照射装置を用いるのが一般的です。 治療中に痛みはなく、日常生活を続けながら受けられるため、高齢者や体力に不安のある方にも適しています。 喉頭がん、食道がん、子宮頸がん、脳腫瘍など多くのがん種が対象となり、手術や薬物療法と組み合わせる場合もあります。 1回の治療は15分程度で、回数は症状により異なりますが、1〜40回が目安です。治療期間中は効果や体への影響を確認するため、定期的に診察を受けましょう。 身体の負担が少ない再生医療も治療の選択肢 手術や入院が不要で、身体への負担が少ない再生医療は、以下の症状に対して治療の選択肢になる場合があります。 椎間板ヘルニア 変形性膝関節症 変形性股関節症 足底腱膜炎 肩腱板断裂 再生医療は、自身の血液や細胞を用いて、痛みや炎症にアプローチします。治療は注射や点滴で完了するケースが多く、入院せずに通院で受けられる点も魅力です。 手術に不安がある方や、できるだけ早く日常生活に復帰したい方にとって、再生医療は有力な治療法のひとつです。再生医療の詳細を知りたい方は、お気軽に当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 まとめ|身体への負担を抑えた治療法が、質の高い回復につながる 低侵襲治療とは、手術や処置に伴う痛みや出血などの身体的負担(侵襲)を最小限に抑える治療法です。 内視鏡やカテーテル、ロボット支援手術などを用いるので、手術の傷口が小さく早期の復帰が見込める点がメリットです。一方、すべての疾患に適用できるわけではなく、高度な設備や技術を要するなどのデメリットもあります。 また、注射や点滴で行う再生医療も身体への負担が少ない治療法の一つです。いずれの治療にも向き・不向きがあるため、医師とよく相談し、自分の症状や生活状況に合った治療法を選びましょう。 低侵襲の治療に関するよくある質問 低侵襲手術の入院期間は? 低侵襲手術の入院期間の目安は、以下の通りです。 手術の種類 疾患 目安の入院期間 鏡視下手術 変形性膝関節症 2日〜3日 内視鏡手術 食道や胃などの早期癌 8~10日 経皮的レーザー椎間板減圧術 椎間板ヘルニア 日帰り ロボット手術 前立腺全摘除術 2週間 カテーテル手術 心房細動 2~4日 体外衝撃波治療 足底腱膜炎 日帰り 放射線治療 がん治療 日帰り 手術の内容や症状によって異なるので、詳しい日数は医師に相談してみましょう。 低侵襲手術に欠点はありますか? 低侵襲手術は、すべての疾患に適応できるわけではなく、症状の進行具合や患者様の状態によっては従来の手術が優先されることもあります。また、高度な医療機器や熟練した術者が必要とされるため、医療機関の設備や体制にも左右されます。 欠点を把握した上で医師と十分に相談し、自分に合った方法を慎重に選びましょう。 脊柱管狭窄症の手術は何歳までできますか? 脊柱管狭窄症の手術には、明確な年齢制限は設けられていません。しかし、以下のような持病や既往歴がある場合には、術後の合併症リスクが高くなるため、手術が見送られる可能性もあります。 糖尿病を患っている 呼吸困難や慢性閉塞性肺疾患など呼吸機能に障害がある ステロイド薬を継続的に服用している また、過去に腰椎などの手術を受けた経験や、他疾患による入院歴がある方も、合併症の発生リスクが高まる可能性があります。 手術を検討する際は、年齢だけでなく、全身の健康状態やこれまでの医療歴も含めて、医師と十分に相談しましょう。
2024.02.22 -
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「椎間板ヘルニアの手術にはどんなリスクがある?」「手術の後遺症が不安……。」 椎間板ヘルニアの手術を勧められたものの、リスクが気になり決断できない人も多いのではないでしょうか。 手術には合併症や後遺症、再発のリスクが伴います。これらを正しく理解した上で、手術を受けるべきか判断することが大切です。 本記事では、椎間板ヘルニア手術のリスクとその対策を医師が詳しく解説します。リスクを理解した上で適切な治療方法を選択できるように、ぜひ最後までご覧ください。 また、当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療も行っております。 椎間板ヘルニアの症状でお悩みの方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 椎間板ヘルニア手術による合併症リスク 椎間板ヘルニアの手術は、症状を改善する有効な治療法ですが、合併症のリスクも伴います。椎間板ヘルニアの手術による主な合併症リスクには以下の4つが挙げられます。 出血や血腫形成 術後感染(化膿)や骨髄炎の可能性 硬膜損傷による髄液漏れ 血栓症や癒着 本章を参考に、椎間板ヘルニアの手術にはどのようなリスクがあるのか、理解を深めておきましょう。 出血や血腫形成 手術では出血が避けられませんが、過度な出血や血腫が形成されると、神経の圧迫による痛みの悪化や運動機能の低下を引き起こす場合があります。 内視鏡下椎間板摘出術(FELD)では、止血操作が困難な場合があり、顕微鏡下手術に切り替える可能性もあります。(文献1) リスクを最小限に抑えるためには、手術中の止血処置が重要です。 また、抗凝固薬を服用している方は、手術前に医師へ相談しておきましょう。 術後感染(化膿)や骨髄炎の可能性 手術部位の感染が起こると、創部が化膿するだけでなく、重症化して骨髄炎を引き起こす場合があります。 術後の免疫力低下や傷口の管理不足が原因となる場合が多く、全内視鏡下手術(FELD)では、約0.5%の確率で細菌感染が発生すると報告されています。(文献1) 感染を防ぐためには、術後の傷口の清潔を保ち、医師の指示に従って抗生物質を適切に服用することが重要です。 硬膜損傷による髄液漏れ 椎間板ヘルニアの手術では、脊髄を包む硬膜が損傷し、髄液が漏れ出すリスクがあります。 とくに、内視鏡下手術(FELD)では、硬膜に穴が開く場合があり、術後3~30日後に髄液漏が発生する可能性もあるため、注意が必要です。(文献1) 髄液漏れが発生すると、術後に強い頭痛を伴い、場合によっては髄膜炎を引き起こすケースもあります。 そのため、硬膜損傷を防ぐためには、経験豊富な医師のもとで手術を受けるのが良いでしょう。 血栓症や癒着 術後に長時間動かずにいると、血流が滞り血栓が形成されるリスクが高まります。 たとえば、深部静脈血栓症(DVT)や肺塞栓症は重篤な合併症となる可能性があるため、注意が必要です。(文献2) また、手術部位の組織が癒着すると、神経が圧迫され、術後の痛みが長引くケースもあります。(文献5) そのため、術後のリハビリは、合併症を防ぐためにも非常に重要です。 医師の指示に従い、適切なタイミングで開始するのが良いでしょう。 椎間板ヘルニアの手術後に起こり得る後遺症リスク 手術後の経過が順調でも、しびれや痛みが一時的に残る場合があります。これは、神経が圧迫されている状態が続いていた場合、手術後もしばらく神経の回復に時間がかかるためです。 本章では、椎間板ヘルニアの手術後に起こり得る後遺症リスクとして、以下の2つを紹介します。 一時的なしびれ・痛みのリスク 神経の損傷による麻痺・筋力低下のリスク それぞれ詳しくみていきましょう。 一時的なしびれ・痛みのリスク 椎間板ヘルニアの手術後には、しびれや痛みが一時的に悪化するケースがあります。 これは、術中に神経根や神経節が圧迫されるために起こる現象です。(文献1) 術後のしびれや痛みを軽減するには、リハビリやストレッチが有効です。 神経の回復には時間がかかるため、焦らず経過を見守る必要があります。 術後1〜2カ月で症状が軽減するケースが多く、長引く場合は医師と相談し、追加の治療を検討しましょう。 神経の損傷による麻痺・筋力低下のリスク 手術時の器具操作によって神経が傷つくと、運動麻痺や筋力低下が残る可能性があります。(文献1) このリスクを減らすためには、経験豊富な医師を選ぶことが重要です。 また、術後のリハビリを積極的に行い、神経機能の回復を促すのも大切だといえます。 椎間板ヘルニアに関する手術後の後遺症や治療法については以下の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。 椎間板ヘルニア手術後の再発リスク 椎間板ヘルニアの手術は痛みを軽減する有効な手段ですが、再発の可能性があることも理解しておく必要があります。 ヘルニアの再発率は6〜10%前後といわれています。(文献1) 椎間板ヘルニアは、飛び出した椎間板の一部を取り除く手術ですが、完全に除去できるわけではありません。残った部分が再び突出することで、ヘルニアが再発するケースもあります。 また、過度な運動や姿勢の悪さ、椎間板の老化なども再発リスクを高める要因です。とくに、手術後すぐに無理な動作を行うと再発の可能性が高まります。 再発予防のためにも、適切なリハビリを行いつつ、普段の生活習慣の見直しを行いましょう。 椎間板ヘルニア手術の麻酔時のリスク 手術には麻酔が不可欠ですが、全身麻酔と局所麻酔のそれぞれにリスクが存在します。 麻酔の種類 リスク 副作用 全身麻酔 血圧低下、呼吸抑制、心肺機能への負担 術後の吐き気、めまい、のどの違和感 局所麻酔 神経損傷、麻酔が効かない場合の痛み 注射部位の違和感、軽度のしびれ 本章では、全身麻酔と局所麻酔のリスクや副作用について、さらに詳しく解説します。 全身麻酔のリスクと副作用 全身麻酔は、意識を完全に失わせるため、呼吸や血圧の管理が重要です。 麻酔の影響で血圧が低下し、心肺機能に負担をかける場合があり、術後には、吐き気やめまい、のどの違和感が生じるケースもあります。 また、これらの副作用は一時的なものですが、高齢者や持病を持つ人は注意が必要です。 手術前に医師と相談し、適切な麻酔方法を選ぶことでリスクを軽減できます。 局所麻酔によるリスクや副作用 局所麻酔は、手術部位のみに作用し、意識を保ったまま行う方法です。 全身麻酔に比べて体への負担は少ないですが、神経損傷や血圧変動が起こる可能性があります。 また、局所麻酔が十分に効かない場合、手術中に痛みを感じる場合もあるとされています。 そのため、麻酔が適切に作用しているかを医師が確認しながら進めるのが一般的です。 椎間板ヘルニア手術の後遺症には再生医療も検討しよう 手術による後遺症が出る場合、近年注目されている再生医療を検討するのも選択肢の一つです。 神経損傷や筋力低下が長引く場合には、幹細胞治療やPRP療法など、再生医療による治療が有効な可能性があります。 手術後の回復が思わしくない場合は、再生医療の専門医に相談してみるのも良いでしょう。 以下の記事では、術後のつらい後遺症、痺れや痛みについて、再生医療に期待できる有効性を紹介しています。 治療法の選択肢を広げたい方は、ぜひあわせてご覧ください。 【関連記事】 ヘルニア治療|PELD(PED)術後のつらい後遺症、痺れや痛みについて ヘルニア治療、PLDDの術後後遺症に対する最新治療とは!? まとめ|椎間板ヘルニアの手術はリスクを理解した上で医療機関を選ぼう! 椎間板ヘルニアの手術には、合併症や後遺症、再発、麻酔のリスクが伴います。 成功率が高いとはいえ、リスクを軽視すると術後のトラブルにつながる可能性があります。 そのため、手術を検討する際は、医師と十分に相談し、自身の症状に合わせた治療方法を選ぶことが重要です。 また、手術後のリハビリや生活習慣の見直しも、回復や再発予防のために欠かせません。 リスクを理解し、信頼できる医療機関を選択することで、安全かつ納得のいく治療が受けられるでしょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療も行っております。 椎間板ヘルニア手術の後遺症でお悩みの方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 椎間板ヘルニア手術のリスクに関するQ&A 椎間板ヘルニアの手術で失敗する確率は? 手術効果や手術の有効性は70〜80%といわれています。(文献1) そのため、「失敗」の定義にもよりますが、再発リスクを含めると20%程度はなんらかのトラブルを考慮する必要があるでしょう。 ただし、合併症の多くは一時的なものであったり、適切な処置で改善が見込めます。 ヘルニア手術はしたほうがいいですか? 手術はあくまで選択肢の一つです。 保存療法で改善が見込まれる場合は、無理に手術を受ける必要はありません。 また、手術を検討する際は、医師と相談し、他の治療法と比較した上で適切な選択をすることが重要です。 椎間板ヘルニアのPELD(PED)手術に関する詳細や、メリットについては以下の記事も参考にご覧ください。 リペアセルクリニックは再生医療専門クリニックです。 椎間板ヘルニアの手術でお悩みの方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 参考文献 (文献1) 香川労災病院「全内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア摘出手術」 https://www.kagawah.johas.go.jp/wp-content/themes/kagawarousai/assets/doc/hospital/department/neurosurgery/department-neurosurgery_002.pdf(最終アクセス:2025年2月26日) (文献2) 日本整形外科学会「術後肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症」 https://www.joa.or.jp/public/pdf/joa_033.pdf(最終アクセス:2025年2月26日)
2024.02.19 -
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「椎間板ヘルニアの手術って、どれくらい入院するんだろう?」 「できれば短期間で済ませたいけど、どんな手術法があるのかも気になる…」 このような悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか? 椎間板ヘルニアの手術は、症状の程度や選択する手術法によって入院期間が異なります。 日帰りで受けられるケースもあれば、1〜2週間の入院が必要になる場合もあります。 仕事やスポーツの復帰時期を考慮したい方は、以下の各手術の入院期間を把握しておきましょう。 手術の種類 入院期間 LOVE法 約2週間 MED法(内視鏡下椎間板摘出術) 4〜7日間程度 PED法(経皮的髄核摘出術) 日帰りもしくは数日間入院 脊椎固定術 1〜2週間程度 レーザー手術(PLDD) 1〜2日程度 本記事では、椎間板ヘルニア手術における各手法の入院期間を解説します。 あわせて、手術のリスクや費用も紹介しているので、参考にしてみてください。 椎間板ヘルニア手術の入院期間|手法や費用も紹介 椎間板ヘルニア手術の種類は、複数あります。 ここでは代表的な以下5つの手術をピックアップし、それぞれの入院期間を解説します。 LOVE法 MED法(内視鏡下椎間板摘出術) PED法(経皮的髄核摘出術) 脊椎固定術 レーザー手術(PLDD) 手法や費用も紹介するので、参考にしてみてください。 LOVE法 |入院期間は約2週間 LOVE法は、背中側から皮ふを切開し、ヘルニアの周辺にある骨を少し削って、目で確認しながら患部を取りのぞく手術です。 この治療法は、日本でもっとも多く選ばれている手法です。 LOVE法の入院期間は、約2週間かかります。 手術時間は1時間程度ですが、全身麻酔を用いるため、体をしっかり休める時間が必要です。 手術・入院に必要な費用は、15万円〜30万円ほどとされています。 治療方法 背中側から皮ふを切開し、骨の一部を削ってヘルニアを目で確認しながら取りのぞく治療法 入院期間 約2週間 費用(3割負担) 15〜30万円ほど MED法(内視鏡下椎間板摘出術)|入院期間は4〜7日間程度 MED法は、椎間板ヘルニアに対して内視鏡を使って治療する方法です。 背中側を小さく切開し、カメラで映し出された映像を見ながらヘルニアを取りのぞきます。 LOVE法と似た手法ですが、目で直接見るのではなく、モニターを通じて治療を進める点が特徴です。 皮ふや筋肉への負担が少なく、手術後の痛みが和らぐ効果が期待できます。 MED法の入院期間は、約4〜7日間です。LOVE法同様に、全身麻酔を用いて治療を進めます。 手術・入院に必要な費用は、20万円〜25万円ほどです。 治療方法 小さな切開から内視鏡を使い、モニターを見ながらヘルニアを除去する手術 入院期間 約4〜7日間 入院費用(3割負担) 20〜25万円ほど PED法(経皮的髄核摘出術) |日帰りもしくは数日間入院 PED法は、局所麻酔で細い器具を体内に挿入し、レントゲンで位置を確認しながら脱出した髄核の一部を取りのぞく手術です。 神経を圧迫している部分を直接取りのぞくため、ヘルニアによる痛みやしびれが和らぐ可能性があります。 傷が小さく、体への負担も少ないため、日帰りや数日の入院で済むケースが多いです。 手術・入院に必要な費用は、20万円〜25万円ほどです。 治療方法 局所麻酔で細い器具を入れ、レントゲンを確認しながら脱出した髄核を除去する手術 入院期間 日帰りもしくは数日の入院 入院費用(3割負担) 20〜25万円ほど 脊椎固定術|入院期間は1〜2週間程度 脊椎固定術は、ヘルニアの治療のために椎間板や骨の一部を処置したあと、自家骨や人工骨、金属プレートなどを使って脊椎を安定させる手術です。 入院期間は約1〜2週間が目安で、脊椎の骨がしっかり癒合するまでには3〜6カ月程度かかります。 手術・入院に必要な費用は、3割負担の場合で30〜40万円ほどが目安ですが、症状や手術内容によって変動します。 治療方法 骨を削ったあと、骨や金属プレートで脊椎を安定させる治療法 入院期間 約1〜2週間 入院費用(3割負担) 30〜40万円ほど レーザー手術(PLDD) |入院期間は1〜2日程度 PLDDは、椎間板の内部にレーザーを照射し、ヘルニアを部分的に蒸発させて縮める治療です。 ヘルニアが小さくなると、神経にかかる圧力が弱まり、痛みやしびれの和らぎにつながります。 短時間で処置が終わるケースが多く、入院期間は約1〜2日です。 レーザー手術は保険が使えない治療に分類されており、手術・入院に必要な費用は30万円〜60万円ほどが目安です。 治療方法 椎間板の内部にレーザーを照射し、ヘルニアを蒸発・縮小させる方法 入院期間 約1〜2日 入院費用(3割負担) 30〜60万円ほど 椎間板ヘルニア手術のリスクや失敗例 椎間板ヘルニアの手術には、合併症や後遺症のリスクがあります。 椎間板ヘルニアの手術で起こりうる合併症は以下のとおりです。 出血や血腫(血のかたまり)形成 傷口経由の感染や骨髄炎 硬膜損傷による髄液漏れ 手術後の長期間安静による血栓症や組織癒着 合併症が発症すれば、追加治療や入院期間の延長が必要になる場合があります。 椎間板ヘルニアの手術後に出る可能性のある後遺症は以下のとおりです。 後遺症 要因 一時的なしびれや痛み 手術中に神経が刺激されたり、長く圧迫されたりする影響 手足のまひや筋力の低下 手術中に神経を傷つけてしまうことによる影響 手術中に神経を傷つけてしまい、後遺症が残ったことで医療裁判を起こしたケースもあります。 椎間板ヘルニアの手術を検討する際は、これらのリスクを理解した上で、信頼できる医師を探して治療を進めていく姿勢が大切です。 なお、手術を伴わない治療法に「再生医療」の選択肢があります。入院や後遺症の心配が不要な治療法です。 詳しくはメール相談もしくはオンラインカウンセリングにて、お気軽にご相談ください。 椎間板ヘルニアを手術なしで治療する方法 ここでは、椎間板ヘルニアを手術なしで治療する方法を5つ紹介します。 温熱療法 運動療法 薬物療法 ブロック療法 再生医療 症状が比較的軽度で、保存的治療に適している方は、手術なしでの改善を目指してみてください。 温熱療法 温熱療法は、痛みやしびれを和らげるために体の一部を温める治療法です。 温めることで血の流れが良くなり、筋肉のこわばりがほぐれて、痛みがおさまりやすくなります。 治療の対象は症状が出ている部分で、椎間板ヘルニアの原因そのものを治す方法ではありません。 一時的に症状を楽にするための対処療法として使われています。 運動療法 運動療法は、ストレッチや体操などによって血の流れを改善して痛みを和らげる治療法です。 痛みを軽くしながら、筋肉を強化し関節の可動域を広げる目的もあります。 運動療法は、病院以外に接骨院や整形外科クリニックなどでもおこなわれています。 こちらも根本的に椎間板ヘルニアが治るわけではありません。 薬物療法 薬物療法は、腰や背中の痛みに対して飲み薬や湿布を使い、症状を和らげる方法です。 椎間板ヘルニアの原因自体を治すものではなく、あくまで対症療法です。 飲み薬には炎症をおさえる薬や痛み止めがあり、湿布は痛む部分に直接貼って痛みや炎症をおさえる効果があります。 薬は主に病院で処方されますが、医師の指導があれば、市販薬の利用も可能です。 ブロック療法 ブロック療法は、神経の近くに痛み止めの注射を打ち、強い痛みを一時的に和らげる方法です。 こちらも椎間板ヘルニアの原因を取りのぞく治療ではないため、根本改善にはつながりません。 対処療法の1つとして覚えておくと良いでしょう。 なお、ブロック療法は、人によっては注射の効果が出にくい場合もあります。 再生医療 https://youtu.be/5JqLxbYwLJ4 椎間板ヘルニアの治療や手術の後遺症における治療法に「再生医療」の選択肢が挙げられます。 再生医療とは、幹細胞やPRP(多血小板血漿)を用いる治療法です。 椎間板ヘルニアの症状である手足のしびれ・歩きにくさに対してのアプローチをしていきます。 当院(リペアセルクリニック)では、患者様の脂肪から採取・培養した幹細胞を、神経の損傷部位へピンポイントで投与する「脊髄腔内ダイレクト注射療法」を行っています。 この治療法は、点滴など従来の方法と比べて損傷部位により多くの幹細胞を届けることが可能で、手術で改善が難しかったしびれや痛みの改善も期待されます。 以下のような方は再生医療をご検討ください。 手足の痺れや痛みがあるが手術適応ではないと診断された方 まだ一度も手術をしていないが、どうしても手術を避けたい方 手術をしたが後遺症がある、または手術をしたが症状が再発・悪化した方 詳しい治療法については、再生医療を専門とする当院「リペアセルクリニック」にお問い合わせください。 まとめ|椎間板ヘルニア手術の入院期間を把握して準備を進めよう 椎間板ヘルニアの手術方法は多様で、選択する手術法によって入院期間が大きく異なります。 入院期間の目安 LOVE法:約2週間 MED法:4〜7日間 PED法:日帰りから数日 脊椎固定術:1〜2週間 レーザー手術:1〜2日程度 それぞれ費用や身体への負担も異なるため、ライフスタイルや症状に合わせた選択が重要です。 また、手術にはリスクや後遺症の可能性があることも理解しておきましょう。 手術以外にも運動療法や薬物療法、再生医療など手術に頼らない選択肢もあります。 治療法を検討する際は、入院期間や回復時間、費用、リスクなどを総合的に考慮して、専門医と相談しながら最適な方法を選びましょう。 \まずは当院にお問い合わせください/ 椎間板ヘルニア手術に関するよくある質問 椎間板ヘルニアの手術後における痛みはいつまで続きますか? 手術後の痛みは、通常の回復の場合、1カ月ほど続きます。 大きく体を動かしたり、重い物をもったりするような場合は、3カ月程度かかるでしょう。 椎間板ヘルニアの手術後はどのような生活になりますか? 手術後の生活では、体に無理のない日常を意識する必要があります。 手術後すぐは安静を保ちつつ、専門家の指示を受けながら、少しずつリハビリや軽い運動を始めます。 日常生活においては、腰に強い負担がかかる姿勢や動きは控え、再発を防ぐために正しい体の使い方を身につける意識が大切です。 たとえば、椅子に長時間座るときは背すじを伸ばし、重い荷物を運ぶときは腰ではなくひざを使うなど、生活の中で意識的に工夫をしていきます。 手術後におけるリハビリの継続や正しい姿勢の意識が、早期回復につながります。 椎間板ヘルニアで手術するレベルはどれくらいですか? 日常生活や仕事に支障が出る状態になった場合、手術が検討されます。 椎間板ヘルニアではまず保存療法で様子を見ますが、症状が改善しないケースでは手術の判断が必要になります。 たとえば、以下のような状況です。 保存療法を試しても回復しない 腰の痛みで睡眠が妨げられる 足のしびれが悪化し歩行が困難になる 生活や仕事をする上で症状がつらいと感じた場合は、早めに専門医に相談し、適切な治療法を検討しましょう。
2024.02.14 -
- 変形性膝関節症
- ひざ関節
変形性膝関節症の治療は早期発見が鍵!初期症状を見逃さないために 膝に痛みを及ぼす疾患が変形性膝関節症です。 変形性膝関節症になると、人間の基本的な動作である「歩行」に影響をもたらすことで、活動量が減るなど日常生活に支障を及ぼします。その原因は、靭帯や半月板の怪我からくる場合を除いて、ほとんどは加齢に伴った関節軟骨の摩耗がきっかけです。 特に40代以降の女性に多く発生するため、中高年で感じる膝の痛みのほとんどは、変形性膝関節症からくる痛みだともいわれています。そんな変形性膝関節症の治療方針は、膝に負担のかかる生活スタイルを見直し、膝周囲の筋肉を鍛える運動療法に取り組むことです。 そうした保存療法の継続が、関節を安定させ、これまで通りの痛みのない日常につながるのです。そのためには、いかに早期に発見できるかがポイントです。そこで今回は、変形性膝関節症の初期症状から、もし当てはまった場合には、実際にどういった行動に移せば良いのかまで紹介していきます。 https://youtu.be/9VSwPk2W00c?si=IYMgxnvpsV2MHmJB 変形性膝関節症の進行度と症状 変形性膝関節症の自覚症状は、前期>初期>中期>末期の4つの段階を踏んで進行していきます。前期では、膝にほとんど痛みはありませんが、初期になると軟骨がすり減り始め、膝に痛みや違和感や感じるようになります。 進行が進んだ中期になると膝に変形がみられ、さらに進行した末期になると痛みから立つ・歩くなどの日常生活を過ごすのが困難になり、手すりや杖などに頼らないと姿勢を保てない状態になります。 症状 変形性膝関節症・進行度 前期:ほとんど痛みを感じない 初期:軟骨にすり減り、痛み、違和感を感じ始める 中期:膝に変形がみられる 末期:日常生活が困難になる、手すり杖が必要になる 変形性膝関節症の初期に現れやすい症状 変形性膝関節症は早期発見が大切です。そのためには進行が始まり、「痛み」や「違和感」を感じだす前段階で発見することが重要になります。 この段階で異変に気づき病院を受診され、変形性股関節症を早期に発見できれば、治療の選択肢が増えるだけでなく、積極的に運動療法に取り組め、重症化を防げる可能性が高くなります、。 初期症状を見逃さないポイント 朝起きた時に膝にこわばりを感じる 膝を伸ばそうとすると引っ掛かりを感じる 椅子から立ち上がろうとすると痛みが走る 歩き出しに痛みがある 正座をすると「ズキっ!」と痛みを感じる 早期発見が治療の選択肢を増やす 変形性膝関節症に早期に気づき、運動療法に取り組むことで悪化を防ぐことができます。運動療法で痛みが引かない場合、薬物療法や物理療法、装具療法などで痛みを抑えながら、運動療法に取り組めるよう工夫します。 あらゆる手を尽くしても効果がみられない場合には、観血療法という選択肢がありますが、手術の種類によっては進行しすぎていると実施できないケースがあります。 たとえば、体への侵襲が大きな人工関節置換術や高位脛骨骨切り術を、「今はしたくない」場合には、負担が少なく、術後の回復も早い関節鏡視下手術という選択肢があります。 しかし、変形が進行した状態では、関節鏡視下手術をしたところで、改善が見込めない場合があるので注意が必要です。 変形性膝関節症の初期は運動療法で悪化を防ぐ 変形性膝関節症の治療の基本は運動療法ですが、初期から実施するのと、末期から実施するのでは大きな違いがあります。初期の運動療法には悪化を防ぐ目的があり、継続して行うとこれまで通りの生活を送れる可能性があります。 一方、発見が遅れた末期では、痛みが強く日常生活をまともに送るのは難しい状態です。そのため、満足に運動療法に取り組めず、これまで通りの生活を送れる可能性は低くなることから、早期発見が変形性膝関節症の治療において大切です。 変形性膝関節症と診断されるまで 中高年以降で、膝に「痛み」や「違和感」を感じたら整形外科の受診をおすすめします。 変形性膝関節症の診断は、問診・視診・触診・画像診断などの検査を複合して判断されます。問診では家族歴・半月板や靭帯損傷などの怪我の既往歴を聞き、視診では歩行状態から進行の程度を確認、触診では膝の変形具合や水がたまっていないかなどを確認します。 変形性膝関節症の進行の程度は、X線検査の後、Kellgren-Lawrence分類によって分けられます。関節の隙間が確保されているグレード0から、関節の隙間がなくなってしまった状態のグレード4まで分けられます。 しかし、必ずしも画像診断の進行度合いと自覚症状が一致するとは限りません。画像診断では進行していても、自覚症状があまり強くない場合や、その逆の場合もあります。 そのため、軽度の痛みや、ちょっとした違和感でも変形性膝関節症が進んでいる可能性があることから、注意が必要です。 変形性膝関節症と似た病気 膝に痛みがあっても、全ての膝の痛みが変形性膝関節症ではありません。膝関節以外の痛みや発熱の有無など、問診や触診の情報を元に、「関節リウマチ」「痛風」「化膿性関節炎」などを疑います。 検査では血液検査や関節液の成分を検査し、検査結果を元に変形性膝関節症以外の病気である要素を取り除いた上で、はじめて変形性膝関節症と診断されます。 まとめ・変形性膝関節症の治療は早期発見が鍵!初期症状を見逃さないために 変形性膝関節症は中高年以降の女性に多く発生する病気で、膝の痛みの多くは変形性膝関節症からだといわれています。 変形性膝関節症の症状は、痛みと変形が特徴です。初期には強い痛みや変形を感じることは少ないものの、変形性膝関節症は進行性の病気です。放っておくと取り返しがつかないところまで進行するケースがあります。 そうならないためにも、早期に変形性膝関節症に気付くことが治療の選択肢を増やし、悪化を防ぎます。 変形性膝関節症の早期発見ができれば、保存療法(運動療法、薬物療法など)や手術療法というように、あらゆる選択肢の中から、膝の状態や自分自身の意向に沿って治療に取り組めるのです。 そのため、「軽度な痛み」や「違和感」程度でも放ったらかしにしないで、整形外科を受診しましょう。 ▼ 再生医療で変形性膝関節症の治療する 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せず、入院不要で症状を改善する ▼以下も参考にしてください 変形性膝関節症の進行度合!症状のステージを自覚症状から分類する
2024.02.14 -
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「ヘルニアの内視鏡手術って本当に安全なの?」 「PELDやPEDってよく聞くけど、デメリットもあるのかな?」 このような疑問をお持ちではないでしょうか? 腰椎椎間板ヘルニアの代表的な手術に、 PELD(経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術)とPED(経皮的内視鏡下椎間板摘出術) があります。 これらの手術は、傷口が小さく回復が早いというメリットがありますが、すべての患者様に適しているわけではありません。 たとえば、再発のリスクや適応範囲の限界 など、事前に知っておくべきポイントがあります。 そこで本記事では、ヘルニアの内視鏡手術(PELD・PED)のデメリットについて詳しく解説します。手術の詳細がわかれば、後悔のない選択ができるでしょう。 【前提知識】椎間板ヘルニアの内視鏡手術PELD(PED)とは? 椎間板ヘルニアを手術する方法のひとつに、経皮的内視鏡下椎間板摘出術(Percutaneous Endoscopic Discectomy:PED)があります。 PEDのうち、特に腰椎に対して行うものを経皮的内視鏡的腰椎椎間板摘出術(Percutaneous Endoscopic Lumbar Discectomy:PELD)と呼びます。 この手術は7mmか8mmの細い内視鏡を使い、生理食塩水を流しながらヘルニアを取り除きます。 手術の目的は、神経を圧迫しているヘルニアの部分だけを取り除くことです。健康な椎間板はできるだけ残すため、手術後に腰痛が起こるリスクを減らせます。 この手術が適応となる疾患には、主に神経根型の椎間板ヘルニアなどの変性疾患や、化膿性椎間板炎という炎症性疾患があります。 PED/PELDは神経を圧迫しているヘルニアの突出部分を取り除き、痛みやしびれを軽減することを目的としています。 ただし、これらの手術は、すべてのヘルニア患者に適しているわけではありません。 手術を受ける前には、詳細をよく理解し、医師としっかり相談することが大切です。 なお、椎間板ヘルニアの治療においては「再生医療」も選択肢として挙げられます。再生医療とは人間の自然治癒力を活用した医療技術で、自身の幹細胞を培養して患部に注射し、損傷している組織の修復と再生を促します。 具体的な治療方法が知りたい方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお問い合わせください。 椎間板ヘルニア内視鏡手術のデメリット 内視鏡手術は体への負担が少なく、回復が早いとされていますが、いくつかのデメリットもあります。 後悔しない治療選択をするために、注意すべきポイントを5つ紹介します。 手術後に合併症や後遺症が出る可能性がある 再発のリスクがある 手術ができないケースもある 手術できる病院が限られる 1回で2箇所以上の手術ができない 手術を検討している方は、リスクも含めてしっかりと理解しておきましょう。 手術後に合併症や後遺症が出る可能性がある 頻度としては低いものの、ヘルニアを摘出する際の神経損傷や脊髄損傷が起こり、後遺症として手足のしびれや麻痺などが出てしまう場合があります。 また、椎間板の再突出などの合併症が生じる可能性もあります。 再発のリスクがある 椎間板ヘルニアの内視鏡手術を受けたとしても、症状が再び現れる可能性はゼロではありません。 なぜなら、手術で取り除けるのは、あくまでも飛び出した椎間板の一部だからです。 手術後に、残った椎間板に負担がかかったり、別の場所が新たに飛び出したりすると、再び痛みやしびれなどの症状があらわれることがあります。 手術ができないケースもある 内視鏡手術は、すべての椎間板ヘルニアに適用できるわけではありません。 PELDは細い内視鏡を使用するため、ヘルニアの突出が大きい場合は、手術ができない場合があります。 また、骨の変形がひどいと、内視鏡を正しい位置に挿入できず、手術自体が危険になる可能性があります。 そのため、PELDを受ける前には、MRIを含む画像検査でヘルニアの状態を詳しく調べ、医師とよく相談した上で手術方法を決める意識が大切です。 手術できる病院が限られる 内視鏡手術は、どの病院でも受けられるわけではありません。 高度な技術が必要なため、経験豊富な医師がいる医療機関でのみ対応しています。専門的な知識と技術が求められ、設備が整っていない病院では対応が難しいです。 通院可能な範囲に手術ができる病院があるとは限らず、遠方まで行く必要がある場合もあります。 手術を希望する場合は、対応している病院を事前に調べ、適切な医療機関を選びましょう。 1回で2箇所以上の手術ができない 椎間板ヘルニアの内視鏡手術では、一度に2箇所以上の手術ができない場合があります。 手術は身体への負担が大きく、一度に多くの場所を手術すると、回復に時間がかかったり、合併症のリスクが高まったりするからです。 椎間板ヘルニアが2箇所以上にある場合は、症状がとくにひどい場所から手術をおこないます。そして、手術後の状態を見ながら、症状が改善しないようであれば、数カ月後に別の場所を手術する流れがよく採用されます。 椎間板ヘルニア内視鏡手術のメリット 次に、椎間板ヘルニア内視鏡手術における主なメリットを解説します。 体に与えるダメージが低い 脊柱周囲のダメージを抑えられる 局所麻酔下でも手術が行える 日帰りで手術が行える 手術成績が良好である メリットを把握すれば、手術を決断した際の不安が軽減されるでしょう。 体に与えるダメージが低い 内視鏡手術は、体への負担が少ない治療法です。 皮膚の切開が小さく済むため、傷跡が目立ちにくく、回復も早くなります。 開放手術では大きく切開するため、術後の痛みが強くなる傾向がありますが、内視鏡を使う方法なら最小限のダメージで済みます。そのため、日常生活への復帰もスムーズに進みやすいです。 負担の少ない治療法を選びたい方に適しているでしょう。 脊柱周囲のダメージを抑えられる 内視鏡手術は、背骨の周りの筋肉や組織へのダメージを最小限におさえられます。内視鏡を使ってヘルニアの部分に直接アプローチできるからです。 従来の切開手術では、背骨の周りの筋肉を大きく切開する必要がありました。しかし、内視鏡手術では小さな穴から内視鏡を挿入するだけで済みます。 手術後の筋肉や組織のダメージが少ないため、入院期間が短縮され、早期の社会復帰が期待できます。 局所麻酔下でも手術が行える 内視鏡手術では、部分的な麻酔(局所麻酔)で手術が受けられる場合があります。 麻酔は、高齢者や肥満の方に負担がかかります。そのため、局所麻酔を選択できるのは、麻酔が負担になる患者さんにとって大きなメリットといえるでしょう。 ただし、局所麻酔では、手術中に痛みを感じれば、治療を中断せざるを得ません。強い痛みを伴う場合は、全身麻酔が推奨されます。 日帰りで手術が行える 日帰り手術が可能な点も、内視鏡手術のメリットです。内視鏡手術は、小さな切開で済むため、入院せずに治療を終えられる可能性があります。 長期の入院が難しい人や、仕事や家庭の都合で休みを取りづらい人にとって、大きな利点となるでしょう。 手術成績が良好である 多くの研究で内視鏡手術の高い成功率が報告されています。とくに、足のしびれや痛みの緩和に効果が高いです。 身体への負担が少ない手術なので、合併症のリスクも低いことがわかっています。 椎間板ヘルニアの治療や術後の後遺症には「再生医療」の選択肢もある 椎間板ヘルニアの治療や術後の後遺症における治療法に「再生医療」の選択肢が挙げられます。 再生医療とは人間の自然治癒力を活用した新しい医療技術です。 椎間板ヘルニアの症状である手足のしびれ・歩きにくさが改善した症例が数多く報告されています。 当院リペアセルクリニックでは、椎間板ヘルニアの治療についてご相談を受け付けております。メール相談やオンラインカウンセリングより気軽にお問い合わせください。 まとめ|椎間板ヘルニアの内視鏡手術のデメリットも理解した上で手術を検討しましょう 内視鏡手術が失敗してしまう可能性は低いと考えられていますが、脊髄損傷や神経損傷の可能性は「0」ではありません。 しかし、内視鏡手術は体への負担が少ない手術なので、早期の社会復帰が期待できます。 手術のメリット・デメリットの両面を理解した上で治療方針を固めていくと、不安が軽減されるでしょう。 体に負担の少ない治療においては再生医療も選択肢として挙げられます。 椎間板ヘルニアの治療や後遺症などにお悩みの方で再生医療にご興味のある方は、ぜひ一度ご相談ください。 参考文献 尾原裕康ほか「経皮内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア摘出術の現状と今後の展望」『脊髄外科』VOL30(2)pp.152-158 2016年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/spinalsurg/30/2/30_152/_pdf(最終アクセス:2025年2月21日) 平野仁祟ほか「腰椎椎間板ヘルニアに対する経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術(percutaneous endoscopic lumbar discectomy)の適応と限界」『脳外誌』:26(5)pp.346-352. p347 2017年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcns/26/5/26_346/_pdf(最終アクセス:2025年2月21日) 平野仁祟ほか「経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術(percutaneous endoscopic lumbar discectomy:PELD)の現状と今後の展望」『脊髄外科』VOL28(3)pp.310-312 2014年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/spinalsurg/28/3/28_310/_pdf(最終アクセス:2025年2月21日)
2024.02.08 -
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つらい腰椎椎間板ヘルニアの症状にお困りではありませんか? 「薬やリハビリでは効果を感じられず、根本的に改善したい。でも、できれば体に大きな負担がかかる手術はしたくない」と、お考えの方も多いでしょう。 腰椎椎間板ヘルニアの治療に悩んでいる方でも、近年技術の進歩が目覚ましい内視鏡を用いた体への負担が少ない手術「PELD(PED)」なら、抵抗感が少ないかもしれません。 本記事では、内視鏡による椎間板ヘルニアの手術の一つである「PELD(PED)」の概要についてご説明します。 PELD(PED)の費用や合併症、術後のしびれ・痛みといった後遺症についても解説するので、治療に悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、PELD(PED)合併症の後遺症に対する選択肢の一つ「再生医療」の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 PELD(PED)が適用になる腰椎椎間板ヘルニアについて、手術を避けたいとお考えの方は、ぜひ一度公式LINEから再生医療についてご覧ください。 PELD(PED)とは|腰椎椎間板ヘルニアの内視鏡手術 PELDは、Percutaneous Endoscopic Lumbar Discectomyの略で、日本語では「経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術」と呼びます。 7mm程度の細い筒状の手術器具を用いて、内視鏡を見ながら椎間板内に直接アプローチし、脱出したヘルニアそのものを摘出する手術です。 このPELDに対してL=Lumbar(腰)」が入っていないものをPED(Percutaneous Endoscopic Discectomy)と呼びますが、どちらも同じ椎間板ヘルニアの内視鏡手術を指します。 近年、同様の手術手技の適応が広がっており、ヘルニア以外の疾患の治療や頚椎の疾患にも用いられるため、PELDとPEDのように呼び方が異なる場合があるのです。 そのため、腰椎という意味の”Lumbar”ではなく、脊椎という意味の「スパイン」“Spine”という単語を使ってFESS: Full Endoscopic Spine Surgery(あるいはFED: Full Endoscopic Discectomy)とも呼ばれます。 椎間板ヘルニアについては、以下の記事でも医師がわかりやすく解説しているので、さらに理解を深めたい方はご覧ください。 PELD(PED)の特徴 PELD(PED)は、腰椎椎間板ヘルニアに対する低侵襲な手術法です。 主な特徴は、以下の通りです。 皮膚切開が7mmほどと小さい 筋肉や骨への損傷がほとんどない 局所麻酔で手術が可能 術後の回復が早く、日帰りまたは1泊入院が可能 再発や合併症のリスクが比較的低い 従来の手術と比較すると術後の痛みや出血が少なく、早期の社会復帰が期待できる治療法です。 また、再発率も低いとされており、とくに高齢者や持病のある方の選択肢として有望といえます。 ただし、すべての症例に適応できるわけではありません。まずは対応している病院を受診し、専門医による精密な診断が必須です。 PELD(PED)の手術方法 PELDには、主に以下2つのアプローチ方法があり、患者のヘルニアの部位や状態に応じて選択します。(文献1) インターラミナ法 トランスフォラミナ法 インターラミナ法とは、背骨のすき間(椎間)から内視鏡を挿入する手術方法です。 ヘルニアを摘出し、硬膜管と神経根の圧迫が解放されたのを確認したら、体内に貯留した血液や体液、気体などを体外に排出するための管「ドレーン」を留置して終了となります。 トランスフォラミナ法は、椎間孔という神経の通り道からアプローチする方法です。 神経根への接触を最小限に抑えられる治療法で、腰椎の高位や側方型のヘルニアに適しています。 PELD(PED)の手術費用 PELD(PED)は、公的医療保険の対象です。手術を受ける方の状況により、1〜3割負担で治療を受けられます。 さらに、「高額療養費制度」にも対応しており、定められた上限額を超えることはありません。 保険適用時の最終的な自己負担は、数万〜20万円程度が目安です。 ただし、手術の内容や入院の有無・期間、患者の世帯の収入などによって、実際の負担額は異なります。 また、病院によっては自費診療で施術している場合もあります。検査の日程や手術器具など、さまざまな制約が生じる公的保険を適用した手術と異なり、自費診療のほうが柔軟な対応が可能です。 なお、自費診療では手術費用が高額になる場合があるほか、高額療養費制度の対象外となる点にも留意しておきましょう。 PELD(PED)のメリット PELD(PED)は従来の手術と比べて体へのダメージが少なく、回復が早い点から、多くの患者にとって有力な選択肢となっています。 以下で、PELD(PED)の具体的なメリットを見ていきましょう。 体への負担を抑えられる PELD(PED)は、筋肉や骨を大きく削らずに手術できる点が最大の特徴です。 骨のすき間や神経の通り道から内視鏡を挿入する治療法で、以下のような利点があります。 筋肉や靭帯を温存できる 術後の痛みや炎症が少ない 高齢者や持病のある方にも適応しやすい 上記のように体に優しい手術方法であり、回復期間の短縮にもつながります。 とくに、高齢者や持病を抱える方にとって、PELD(PED)の低侵襲性は大きな安心材料となるでしょう。 手術が短時間 PELD(PED)は、症例にもよりますが一般的に30〜60分程度で完了する手術です。 手術の時間が短いと、以下のような点が患者にとってメリットになります。 長時間の麻酔が不要 体力の消耗が少ない 術後の観察時間も短縮できる 短時間で終了するため、日帰りまたは1泊入院での対応も可能です。個人差はありますが、術後の経過も良好で、患者がすぐに歩行を開始できるケースも少なくありません。 入院期間の短縮だけでなく、患者自身の時間的・精神的な負担軽減にもつながる治療法といえるでしょう。 傷口が小さい PELDの皮膚切開はわずか7mm前後と小さく、以下のような利点があります。 傷口が目立ちにくい 感染や出血のリスクが低い 縫合の必要がほとんどない 見た目にも目立ちにくく、とくに傷跡を気にする方にとっては心理的な安心感があります。また、創部からの感染リスクが低く、術後の管理も容易です。 美容面と医療面の双方でメリットを実感できる点が、PELD(PED)が支持されている理由の一つといえます。 PELD(PED) のデメリット PELD(PED)は比較的低侵襲で身体に優しい手術ですが、すべての患者に適しているわけではありません。 術式の特性から、以下のようなデメリットや制限も存在します。 手術ができない可能性がある 以下のような条件では、PELD(PED)が適応とならない場合があります。 ヘルニアの位置が内視鏡では届きにくい部位にある 脊柱管狭窄症などの合併症がある 石灰化ヘルニアや重度の神経圧迫がある 上記に当てはまる場合は、従来の手術法を選択するケースが一般的です。また、PELD(PED)に対応している病院が限られる点にも留意しておきましょう。 一度に2カ所以上手術できない場合がある PELD(PED)は狭い視野での操作となるため、基本的には1回の手術で1カ所のヘルニアに限定されます。 2カ所以上の治療を行う場合には、複数回の手術が必要です。 合併症・再発のリスクがある PELD(PED)が低侵襲な治療法とはいえ、以下のようなリスクが完全にゼロになるわけではありません。 神経損傷によるしびれや麻痺 感染症や出血 椎間板の再ヘルニア 手術を検討する際には、合併症や再発のリスクに対する十分な説明と理解が必要です。 以下では、これらの合併症に焦点を当て、それぞれの特徴や注意点を掘り下げていきます。 PELD(PED)の注意したい合併症 PELD(PED)は比較的体への負担が少ない手術ですが、どのような手術でも合併症のリスクはあります。 とくに、注意すべき合併症は次の4つです。 神経障害 硬膜損傷 術後血腫 感染 では、それぞれ詳しく解説していきましょう。 神経障害 神経障害とは、手術中にヘルニアの近くの脊髄やそこから伸びる神経の根本(神経根)を触ってしまい、神経の損傷が起こる障害です。 足がしびれたり痛んだり、足の筋力が落ちたり、排尿機能の障害が起こったりする場合があります。 硬膜(こうまく)損傷 硬膜損傷とは、脊髄を包んでいる硬膜が手術によって破れてしまう障害です。 脊髄神経は硬膜に包まれて脳脊髄液(のうせきずいえき)という液体に浮いていますが、硬膜が破れると脳脊髄液が漏れ出します。 とくに、起き上がった際に脳脊髄液が漏れ出して脳や脊髄を引っ張るケースが多く、頭痛の原因になります。 術後血腫 術後血腫とは、手術後に出血がコントロールできず、血の塊(血腫)を作ってしまう障害です。 脊髄から出てくる神経を血腫が圧迫してしまうと、しびれ・痛みや麻痺などの原因となります。 感染 手術の傷により、感染を起こすケースがあります。 とはいえ、PELD(PED)の傷は小さく、手術中に生理食塩水を流し続けることもあり、創の感染は他の術式に比べて少ないとされています。 PELD(PED)合併症による後遺症に対する再生医療の可能性 PELD(PED)による合併症が起こった際に心配すべきは、後遺症が残ってしまうリスクがある点です。 とくに神経の損傷が起こると、しびれや痛み・麻痺などが残ってしまう可能性があります。神経が傷つくと再生は困難と言われていました。 そんなPELD(PED)に対して現在は、再生医療という治療の選択肢があります。 当院「リペアセルクリニック」では、脊髄損傷後の後遺症に対して再生医療の「幹細胞治療」を行っております。 幹細胞治療は、他の細胞に変化する「分化能」という幹細胞の能力を利用する治療法です。患者様から採取・培養した幹細胞を、脊髄の患部に直接注射します。当院では幹細胞を冷凍せず、投与の度に採取・培養を行うため活性の高い幹細胞を多く投与できます。 再生医療は、患者様自身の幹細胞を使用しているため拒否反応のリスクが抑えられ、手術も必要としないため体の負担が少ないのが特徴です。 再生医療についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。 まとめ|PELD(PED)はヘルニア対して有効な治療法の一つ PELD(PED)手術は、ヘルニアのつらい症状に対して改善を目指せる治療法の一つです。 内視鏡を使用して行う治療であるため、傷が小さく体への負担も最小限に抑えられます。手術後の安静期間も短く、早い社会復帰が望める点も魅力です。 ただし、病状によっては不向きなケースもあります。 また、体への負担が少ないものの、手術による合併症のリスクがまったくないわけではありません。入手した情報をしっかり理解し、納得した上で手術を受けましょう。 何も起こらないことが一番ですが、万が一後遺症が残ってしまった場合には再生医療の「幹細胞治療」が適応になります。 もし術後の後遺症にお困りであれば、再生医療も治療の選択肢としてご検討ください。以下の公式LINEでは再生医療に関する情報発信を行っています。再生医療ガイドブックも無料でお渡ししているので、ぜひお受け取り下さい。 PELD(PED)に関するよくある質問 先進医療のPLDD手術とPELD(PED)の違いは何ですか? PLDD(経皮的レーザー椎間板減圧術)は、レーザーファイバーを使って椎間板内の圧を下げる治療法です。(文献2) 一方、PELD(PED)は内視鏡を使用し、飛び出したヘルニア自体を摘出します。 どちらも低侵襲の治療法ですが、椎間板ヘルニアの形態や大きさ、発症部位、変形の度合いなどを総合的に判断し、最善の治療法を選択することが重要です。 PELD(PED)の名医を教えてください。 現時点で「名医」として、公的に認定されているPELD専門医の情報は公表されていません。 ただし、日本PED研究会の公式サイトには、PELD手術が可能な医療機関の一覧が掲載されています。(文献3) 対応できる病院はまだ限られているものの、一覧から信頼性の高い施設を探すことが可能です。 PELD(PED)手術の費用は保険適用ですか? PELD(PED)手術は、公的医療保険の適用です。 また、高額療養費制度の対象となるため、一定額を超える医療費については還付を受けることもできます。 ただし、入院費用や検査費用を含めた総額は、医療機関や入院日数によって異なる点に留意しておきましょう。 PELD(PED)手術ができないのはどんな人ですか? PELD(PED)が適応にならないのは、以下のようなケースです。 ヘルニアが石灰化している 神経に強い癒着がある 多数のヘルニアが存在する 重度の脊柱管狭窄症がある 上記に当てはまるなら、安全性の観点から他の手術法が選ばれる場合があります。 PEDとMEDの違いを教えてください。 PELD(PED)とMED(内視鏡下椎間板摘出術)は、どちらも内視鏡を用いた手術ですが、進入経路と侵襲度が異なります。 PED(PED)は皮膚切開が約6~8mmと小さく、筋肉や骨をほとんど傷つけずに椎間孔や椎弓間から進入するのが特徴です。 一方、MEDは背部を切開するため、ある程度筋肉や骨の剥離が必要で、PELD(PED)より体への負担が大きくなります。 参考文献 (文献1) 内視鏡下腰椎椎間板摘出術(PED)|出沢明PEDクリニック (文献2) PLDD vs. PELD|Dclinic (文献3) PED手術病院 一覧(認定脊椎内視鏡下手術・技術認定医 在籍施設)|日本PED研究会
2024.02.05 -
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- 頭部、その他疾患
減圧症では、体内にできた気泡が神経や関節、血流に影響を与えることで、治療後もさまざまな症状が続くことがあります。 とくに重症例や治療までの時間が長かった場合には、後遺症として症状が長引くこともあります。 しかし、後遺症といっても必ずしも一生続くわけではなく、経過観察やリハビリによって回復が見込めるケースも少なくありません。 本記事では、減圧症の後遺症として現れやすい症状の例や回復までの目安、再発を防ぐための注意点などについてわかりやすく解説します。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 気になる症状や再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 減圧症の後遺症で主な症状とその特徴 減圧症は早期に治療を受けることで多くの場合改善が期待できますが、重症度や治療までの時間、個人の体質などによっては後遺症が残る場合があります。 ここでは、減圧症の後遺症としてよく見られる主な症状と、その特徴について解説します。 関節痛・筋力の低下 減圧症の後遺症で比較的多く見られるのが、関節や筋肉に痛みや違和感が残るケースです。 これは関節内にできた気泡や周囲の組織へのダメージが原因とされ、軽い痛みが長引く可能性があります。 さらに重症化すると、筋力の低下やしびれが進行して歩行障害を引き起こす場合もあり、日常生活に支障をきたすことがあります。 手足のしびれや感覚異常 手足のしびれや感覚の鈍さは、減圧症の後遺症としてみられる症状のひとつです。 とくに指先や足先など、末端部分に症状が出やすく、これは神経内に発生した気泡や血流の障害が原因とされています。 軽い場合は数日から数週間で自然に軽快することもありますが、長く続く場合には神経にダメージが残っている可能性も考えられます。 めまい・疲労感・集中力の低下 脳や中枢神経系に気泡ができた場合には、めまいや頭痛、慢性的な疲労感、集中力の低下といった症状が後遺症として残る場合があります。 上記症状は一見すると減圧症とは結びつきにくいため、「なかなか疲れが取れない」「集中できない」といった変化を見過ごしがちです。 さらに、精神的なだるさや注意力の低下は日常生活や仕事に影響を及ぼすため、放置すると生活の質を下げる原因にもなります。 後遺症が残るケースの特徴 減圧症の後遺症が残るかどうかは、さまざまな要因によって変わります。 治療を始めるまでの時間が長いほど、気泡による組織へのダメージが進行し、後遺症が残りやすくなるとされています。 また、重症度が高かったケースや、高齢者は回復力が低下していることもあり、症状が長引く傾向があります。 適切な治療を早期に受けること、経過観察を怠らないことが後遺症を軽減するための重要なポイントです。 後遺症は自然に治る?回復の目安と経過観察のポイント 減圧症の後遺症は、症状の種類や重症度、治療を始めたタイミングなどによって回復の経過は大きく変わります。 ここでは、自然に改善するケースと、長期的な経過が必要なケース、それぞれの対応やポイントについて解説します。 数日〜数週間で改善する場合 減圧症による軽度の神経症状や感覚異常は、治療後に数日から数週間程度で自然に回復するケースが多いです。 たとえば、軽いしびれや関節の違和感は、血流の回復や神経の炎症が落ち着くことで徐々に改善します。 ただし、症状が軽いからといって自己判断で経過を見続けるのではなく、医師の指導のもとで様子をみることが大切です。 経過観察により後遺症を早期に発見すれば、適切な処置が受けられます。 後遺症が長期的に続く場合の対応 減圧症の後遺症は、短期間で症状が回復するケースがある一方で、症状が長期的に続くケースもあります。 重症度が高い場合や治療開始が遅れた場合、神経や関節などの組織にダメージが残りやすく、数か月から年単位で経過を見る必要が出てきます。 このような場合は、定期的な神経検査による評価や、後遺症の進行を抑えるための経過観察が重要です。 また、高気圧酸素治療を追加で行ったり、理学療法やリハビリを通じて筋力や可動域を維持・改善したりすることも有効です。 医療機関と連携し、根気強く対応することが回復を支えます。 早期治療が後遺症リスクを減らす 減圧症では、発症から治療までの時間が後遺症のリスクに大きく影響します。 後遺症を防ぐためには症状が軽く見えても油断せず、早めに医療機関を受診することが大切です。 不安を感じたらすぐに相談する姿勢を持ちましょう。 減圧症の後遺症が疑われるときの対処法 減圧症の後遺症が疑われる場合は、以下のような症状が現れていないか確認しましょう。 激しい頭痛やめまいが続く 意識がぼんやりする、混乱が見られる 手足の麻痺や強いしびれが進行している 呼吸が苦しい、胸の痛みを伴う 歩行が困難になるほどの筋力低下 これらの症状は、神経や循環器の深刻な障害が関係している可能性があり、放置すると後遺症が悪化するおそれがあります。 気になる症状がある場合は、できるだけ早く医療機関を受診してください。 また、後遺症が疑われるときは、減圧症を診療した経験のある医療機関を受診するのが望ましいです。 高気圧酸素治療を行っている専門施設をはじめ、神経内科では神経症状の評価や治療を、整形外科では関節痛や運動機能の評価を、リハビリテーション科では機能回復や生活指導を担当します。 症状の内容や重症度によって適切な診療科は変わるため、まずはかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門医を紹介してもらう方法も有効です。 減圧症の再発を防ぐためにできること 減圧症は一度発症すると、体の状態やダイビングの習慣によっては再発のリスクが高まる場合があります。 後遺症が残る不安を減らし、安全にダイビングを楽しむためには、日頃からの対策が欠かせません。 ここでは、減圧症の再発を防ぐために意識したい3つのポイントを紹介します。 安全なダイビング計画を立てる 健康状態の自己管理 後遺症がある人のダイビング再開はまず専門家に相談する それぞれのポイントについて、詳しくみていきましょう。 安全なダイビング計画を立てる 減圧症を防ぐための基本は、無理のない安全なダイビング計画を立てることです。 急浮上を避け、適切な浮上速度を守る、安全停止を確実に行うなど、ダイビング中の基本動作を徹底しましょう。 また、無減圧潜水時間や水深なども十分に管理し、複数ダイブを行う際はしっかりと間隔を空けるなど、計画段階からリスクを減らす工夫が重要です。 健康状態の自己管理 身体のコンディションは減圧症のリスクに大きく影響します。 脱水状態や過度な疲労、風邪などの体調不良は、血液循環や代謝を乱し、気泡の排出を妨げる要因となります。 ダイビング前日は十分な睡眠をとり、飲酒は控え、水分補給をしっかり行うなど、自分の健康状態を万全に整えることが再発予防には欠かせません。 後遺症がある人のダイビング再開はまず専門家に相談する すでに減圧症の後遺症が残っている場合、再発リスクを最小限に抑えるためには慎重な判断が必要です。 自分の判断だけでダイビングを再開するのではなく、担当医や高気圧酸素治療の専門医など、専門家への相談を強くおすすめします。 症状の程度や体調、潜水計画を含めた総合的なリスク評価を受けることで、安全性を高め、安心して趣味を続けられる可能性が広がります。 まとめ|減圧症の後遺症は放置せず専門家に相談することが大切 減圧症は適切な治療を受けることで多くの場合は改善しますが、場合によっては手足のしびれや関節痛、めまいや集中力の低下などの後遺症が残る可能性があります。 こうした症状を「そのうち治るだろう」と放置してしまうと、回復が遅れたり、生活への支障が大きくなったりする場合があります。 大切なのは、気になる症状が続く場合や変化を感じたとき、迷わず医療機関を受診し専門家に相談することです。 早期の対応や経過観察、リハビリを通じて後遺症のリスクを減らし、安心してダイビングを続けるためにも、正しい知識を持ち、適切な行動を心がけましょう。
2024.01.25 -
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減圧症の治し方と後遺症に対する最新の治療法を医師が解説 減圧症とは、高圧環境下で血中や組織中に溶解していた窒素などの空気が、急激な減圧により気泡化して起こる疾患です。潜水からの急浮上に伴うものが代表的であるため、「潜水病」と呼ばれることもあります。 軽い関節痛や痒み・発疹などの軽症から、脳障害や脊髄損傷をきたして死に至る重症まで症状は多様です。 本記事では発症直後の応急処置や再圧治療について解説します。後遺症に対する最新治療としての再生医療の可能性についてもご説明していきます。 減圧症の応急処置 回復体位 recovery position 減圧症をきたした際、専門的な治療ができる医療機関へ搬送を待つ間にできる応急処置をご紹介します。 もし患者さんに意識がなく、呼吸が止まっている状態であれば、速やかに胸骨圧迫(心臓マッサージ)や人工呼吸といった心肺蘇生を行う必要があります。AEDが準備できるのであれば速やかに装着しましょう。 脳の障害をきたすこともある減圧症では、脳圧をあげないために頭を下げる体勢は厳禁です。意識があれば仰向けで休ませましょう。 意識がなく、呼吸のみある状態であれば回復体位(上図)をとります。舌の付け根が喉を塞いだり嘔吐物で窒息をしたりしないために、下顎を突き出して横を向くような体勢にします。 呼吸の有無に関わらず必要なのが高濃度の酸素投与です。酸素には組織の窒素の洗い出し効果があるためです。設備があれば一刻も早く開始してください。 意識があれば水分補給を行いましょう。もし医療系の資格を持つ人がいて器材があれば点滴を行います。また、体を冷やしすぎないように保温に努めてください。 意識がなく、呼吸が止まっている状態 胸骨圧迫(心臓マッサージ)や人工呼吸で心肺蘇生する 意識がなく、呼吸のみある状態 回復体位をとる(上図参照) 意識がある場合 仰向けで休ませる 水分補給を行う 器材があれば点滴を行う(医療資格保持者がいる場合) 注意点 設備があれば呼吸の有無に関わらず高濃度の酸素を投与する 頭を下げる体勢は厳禁 体を冷やさないように保温する なお、再度潜水をして症状軽減をはかる「ふかし」は絶対に行ってはいけません。 ふかしは、空気を使用するため、酸素投与と比較しても窒素の洗い出し効果の効率が悪いためです。再度浮上した時に症状が再燃したり、場合によっては増悪したりするリスクがあります。 減圧症の治療 治療の原則は「再圧治療」です。 再圧治療とは 治療を受ける人は、専用の治療タンク内に入ります タンク内の気圧は水中でかかるくらい高い圧まで上がります その中で患者さんは純酸素を吸入します 高い気圧により気泡は圧縮され、再度血液や組織中に溶け込みます その結果、血流の回復が期待できる治療法です さらに高濃度酸素を投与することで、組織へ効率よく酸素が運ばれてきます。 組織に酸素が届くと、窒素が洗い出されます。窒素は肺へ集まり、体外へ排出されるのです。 一定時間、高い気圧をかけたら、その後はゆっくり減圧行います。こうすることで、再度気泡ができることを防ぎます。 高い気圧をかける時間や減圧については、世界的に標準治療として使用されている「米海軍酸素再圧治療表6」に従って行うことが原則です。 初回で可能な限り症状をなくしてしまうことが重要であるため、経過を見ながら治療時間の調整が行われます。それでも症状が残ってしまった場合は、症状の回復の可能性があるのであれば複数回の再圧治療を行うこともあるのです。 減圧症の後遺症 減圧症により脳や脊髄の障害が起こっても、早期に適切な治療が行われれば症状の消失が期待できます。しかしながら、治療が遅れたり適切な治療がなされなかったりすると後遺症を残す可能性があります。 後遺症の症状は障害部位により多様です。以下に代表的な後遺症をお示しします。 内耳障害 聴覚と平衡感覚に関わる第Ⅷ脳神経の障害です 基本的には適切な治療で改善します。 減圧症と気づかずに治療が遅れると耳鳴りやふらつきが残ります 対麻痺 主に下肢の両側に左右対称に起こる運動麻痺です 脊髄の障害による後遺症です。 膀胱直腸障害 脊髄の障害により、排尿や排便のコントロールが困難になります 尿がうまく出なくなったり、失禁を起こしたりします 感覚障害 脊髄および脳の障害いずれでも起こる後遺症です 痺れたり、感覚がわからなくなったりします 脳障害の後遺症として起こる場合は障害部位と反対側に認められます。 一方、脊髄の障害の場合は障害された部位より下に両側に起こることが一般的です。 片麻痺 脳の障害により起こります。 対麻痺と異なり、片側の手足の運動麻痺です。 これらの後遺症によりダイビングへの復帰が出来なくなるだけでなく、導尿が必要になったり車椅子生活を余儀なくされたりするケースもあるのです。 このような場合にはリハビリを行い、少しでも生活しやすくなるように工夫するより他にありません。 また、急性期の症状は回復して残らずとも、のちに骨壊死を起こすことがあります。減圧症により骨の循環障害が起こることで骨の一部が壊死してしまうのです。 もっとも多いのは大腿骨頭壊死です。発症直後は無症状ですが、徐々に骨頭が潰れていくため股関節痛が起こります。最終的には関節が破壊され、歩行が困難になってしまいます。 骨壊死が起こってしまうと症状の進行を止めることはできず、生活に支障が出れば手術が必要になるのです。 減圧症(潜水病)の後遺症は治せるのか?再生医療の可能性について 現在、最新の治療である幹細胞治療がさまざまな分野で注目を浴びています。減圧症の後遺症についても同様のことが言えるでしょう。 幹細胞治療は、「間葉系幹細胞」と呼ばれる色々な細胞に変化できる万能細胞の特性を活かした治療法です。幹細胞を採取して培養を行い、障害部位に投与することで組織の再生を促します。 一般的に回復しないとされていた脳卒中や脊髄損傷により傷ついた神経や、従来手術しかないと考えられてきた変形した関節の治療などが対象です。そのため減圧症の後遺症についても、幹細胞治療が役に立つ可能性があるでしょう。 ▼脊髄損傷に対する幹細胞治療についてはこちらの動画をご覧ください。 https://www.youtube.com/watch?v=5HxbCexwwbE まとめ・減圧症の治し方と後遺症に対する最新の治療法とは!医師が解説! 減圧症発症後の各段階での治療について解説をしました。 減圧症の後遺症は後の生活に大きな支障を及ぼします。まずは起こさないことが一番です。 不幸にして発症してしまった場合でも、速やかな治療により後遺症が残る可能性を抑えることができます。応急処置のための酸素の準備・心肺蘇生法の習得・搬送先の把握なども、潜水をする上で重要な準備と言えるでしょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 ▼以下も潜水病に関する情報を記載しています 減圧症による脳障害|症状と後遺症、治療法について 参考文献 鈴木 信哉:潜水による障害,再圧治療. 高圧酸素治療法入門第6版. 日本高気圧環境・潜水医学会. 2017; 147-174. 小濱正博. レジデントノート 8(5): 667-674, 2006. 小島泰史, 鈴木信哉, 新関祐美, 小島朗子, 川口宏好, 柳下和慶. 日本渡航医学会誌 13(1): 27-31, 2019. 梅村武寛, 堂籠博. 日本医事新報 (5120): 40-41, 2022. 工藤大介. 日本医事新報 (5062): 78-79, 2021.
2024.01.22 -
- 幹細胞治療
- 脊髄損傷
- 再生治療
- 脊椎
減圧症による脊椎損傷の症状と治療法について解説 減圧症は、ダイビングなどで深いところから突然浅いところに浮上した際、高圧の環境で血液や組織に溶け込んでいた窒素が、減圧に伴って気泡を作り、様々な症状をもたらす病気です。気泡によって脊髄が損傷を受け、神経症状を起こしてしまうこともあります。 今回は、この減圧症についてわかりやすく解説していきます。 減圧症とは 減圧症とは、周りの圧力の低下に伴って、身体の中に溶解していた不活性ガス(主に窒素)が気化し気泡となることが原因となり、さまざまな症状が現れる病気です。 高気圧環境での労働や、高い場所での減圧によるものが知られているのですが、近年はダイビングによる発症が増加し、減圧症全体の20%以上を占めると言われています。 中高年のダイバーが増えている一方で、減圧症に対する知識の教育不足や治療環境が十分に整っているとは言えません。 さて、この減圧症は潜水後に発症することが多いために、潜水病と呼ばれることもあります。症状としては、関節痛や筋肉痛、めまい、意識障害といったものがあります。 減圧症の症状 減圧症では、身体の中にたまっていた窒素が気泡となり、膨張することで身体の組織を傷つけたり、血管を塞いだりすることでさまざまな症状が現れてきます。 脳の血管が気泡で詰まることで、脳卒中のような症状が現れてしまうこともあります。例えば、身体の片側の筋力低下、めまい、発語困難などです。また、窒素の気泡が生じると組織に炎症が起こり、筋肉や関節、腱の腫れや痛みも起こります。 さて、減圧症は大きく以下の2つのタイプに分けられます。 Ⅰ型(比較的軽症) 皮膚や筋肉の症状のみ。 腕や脚の関節、背中などに痛みが生じます。 初めは軽い痛みですが、徐々に増強し、鋭い痛みとなります。 軽度な症状であっても全てが自然治癒するわけではなく、徐々に症状が重くなることもあるので注意が必要です。 Ⅱ型(比較的重症) 呼吸器や循環器の症状、中枢神経症状を呈するもの。 軽いしびれから、重度の麻痺や死亡にまで至る場合もあります。 特に脊髄が障害を受けやすいとされています。脊髄が損傷を受けた場合は、腕や脚のしびれ、痛み、筋力の低下がみられます。 減圧症によって脊髄損傷を受けると、後遺症が残る場合もあります。つまり、治療が遅れてしまうか、十分に行われない場合に永続的な神経障害となる恐れもあり、減圧症による症状が治らないということになってしまうのです。 このⅡ型減圧症では、脊髄損傷が最も多いとされています。 脊髄は硬い硬膜で覆われているのですが、脊髄内に発生した気泡によって組織内の圧力が上昇し、血流障害などによって脊髄損傷が起こるとされています。 下位胸髄から腰髄、そして上部から中部胸髄が好発部位とされており、窒素と結びつきやすい脂質が多く含まれている部位が障害されやすいです。 症状は軽い痺れなどの異常感覚から、排尿・排便が難しくなる膀胱直腸障害を含む完全な四肢麻痺まで、さまざまです。 報告によっても異なりますが、日本では33-62%の脊髄損傷の方で後遺症が残ってしまうともされてます。 減圧症の長期的な影響として、減圧性骨壊死があります。骨壊死が進むと、日常の生活のレベルが著しく低下し、人工関節置換術などの手術も必要となることがあります。 さらに、減圧症では肺にも障害が現れることがあるのです。気泡が肺に及ぶと、咳や胸の痛み、呼吸困難が起こり、まれに死に至ることもあります。 減圧症の治療法 減圧症の治療法として最も大切なのは、高気圧酸素療法です。 重症であるⅡ型減圧症では、以下のような方法が用いられます。 高気圧酸素療法 ①水深18m相当の加圧下で、20分の酸素吸入 ②5分のインターバルを挟んで3回繰り返す ⇩ ③水深9m相当の加圧下で、60分の酸素吸入 ④15分のインターバルを挟んで2回繰り返す 水深18m相当の加圧下で、20分の酸素吸入を5分のインターバルを挟んで3回繰り返します。そしてその後、水深9m相当の加圧下で、60分の酸素吸入を15分のインターバルで2回行い、減圧します。 この治療法は以下のような作用があります。 血液や組織の中で気泡となった窒素を、血液や組織に再び溶解させる作用 窒素を身体から排泄させる作用 血液の流れが悪い部位に酸素を行き渡らせる作用 脊髄損傷において、高気圧酸素治療を繰り返すことで回復するケースもみられます。 高気圧酸素治療を行なっても、運動機能や知覚障害が残る場合、ステロイドの点滴治療や、歩行訓練・バランス訓練といった理学療法を行っていきます。 減圧症の予防法 ダイビングをするダイバーは、ガイドラインで決められているような減圧停止を行いながら浮上することで、減圧症を予防することができます。 また、注意点として、ダイビングをしてから12〜24時間以内に飛行機に乗ると減圧症のリスクが高まると言われています。そのため、ダイビングを行ったあとは飛行機に乗ったり高地に行ったりする前に、海抜0メートル地点に12-24時間ほど滞在することが勧められています。 まとめ・減圧症による脊椎損傷の症状と治療法について解説 今回の記事では、ダイビングを行う上では知っておくべき潜水病について解説しました。 脊髄損傷の後遺症が残ってしまった場合の最新の治療法として、再生医療があります。 当院では、幹細胞治療として、自分の脂肪から培養した脂肪由来間葉系幹細胞治療を行っています。この治療は、幹細胞を脊髄腔内に直接注入するというものです。 今までに、脊髄損傷の症状が改善されたという報告も寄せられています。 ▼減圧症などで脊髄損傷を起こしてしまった方で、再生医療にご興味のある方は、ぜひ一度当院までご相談ください。 https://www.youtube.com/watch?v=5HxbCexwwbE 参考文献 スポーツダイビングによる脊髄型減圧症の1例.リハビリテーション医学.2006;43:454-459. p454 減圧症 (げんあつしょう)とは | 済生会 減圧症 - 25. 外傷と中毒 - MSDマニュアル家庭版 スポーツダイビングによる脊髄型減圧症の1例.リハビリテーション医学.2006;43:454-459. p456-457
2024.01.18 -
- 幹細胞治療
- 頭部、その他疾患
- 股関節、その他疾患
- 脊椎、その他疾患
「水中世界を楽しみたいけれど、ダイビング後の体調不良が心配……」 「高地登山は魅力的だけど、体調が悪くなったらどのように対処したら良いの?」 ダイビングや登山などのレジャーに伴う体調変化について、不安や疑問を感じている方もいるでしょう。 減圧症は、潜水や高地登山などで急激な気圧変化が起きた際に発症する場合があり、放置すると深刻な後遺症を残すケースも珍しくありません。 本記事では、減圧症を発症する仕組みや症状について解説します。誰にでもできる予防法も紹介するので、正しい知識を身につけ、安心してアウトドアを楽しみましょう。 減圧症とは?発症する仕組み 減圧症とは、周囲の気圧が急激に低下する環境において、体内に吸収されていた窒素などの不活性ガスが気泡となり、体内組織や血管内で問題を引き起こす現象です。 急激な気圧変化が起こる状況としてよく挙げられるのは、スキューバダイビングや急激に18,000ft(約5,500m)以上まで上昇する高地登山などです。 私たちの体は呼吸を通じて空気中の窒素ガスを取り込みますが、気圧や水圧が高い場所では、通常よりも多くの窒素ガスが血液や体組織に溶け込みます。 急激に気圧や水圧が低い場所へ移動すると、体内に溶け込んでいた窒素を気体の状態に戻し、気泡を発生させる原因へとつながります。 気圧変化によって発生した気泡は、血管を塞いだり神経を圧迫したりするため、しびれやめまいなどの症状を引き起こすケースも少なくありません。 気圧変化の大きいスキューバダイビングや高地登山をする際には、適切な知識と慎重な行動が求められます。減圧症を予防できるよう、発症のメカニズムを理解しておきましょう。 減圧症の症状と分類をわかりやすく解説 軽度の減圧症で発症する症状は、以下のとおりです。 関節や筋肉の痛み 皮膚の湿疹やかゆみ 疲労感 吐き気や頭痛 注意力散漫 ただし、減圧症は症状の現れ方や重症度によってⅠ型とⅡ型に分類されます。重症度で影響を受ける部位や対処法が異なるため、症状の特徴を理解するのが重要です。 ここでは「Ⅰ型減圧症」と「Ⅱ型減圧症」について、具体的な症状を交えながら詳しくみていきましょう。 減圧症の症状については、こちらの記事も参考にしてください。 Ⅰ型減圧症 Ⅰ型減圧症は比較的軽度の症状が中心で、主に筋肉や関節、皮膚およびリンパ管に異常が現れます。典型的な症状は、以下のとおりです。 関節の痛みや筋肉痛 かゆみ 皮膚の斑点や発疹 腕のむくみ 胸部や腹部の腫れ 極度の疲労 Ⅰ型減圧症の場合、腕や脚の関節・背中・筋肉に痛みを感じます。痛みが出る部位をはっきりと特定できないケースも珍しくありません。 初期段階での痛みは軽く断続的ですが、徐々に強く感じるようになり、動かすと悪化します。また、リンパ系が影響を受けると、腕や脚の腫れが見られるケースがあるのも事実です。 Ⅰ型は一見すると疲労や打撲に似た軽い違和感から始まるため、見逃されやすい傾向がありますが、早期に発見すれば大きな後遺症は残りません。 症状が軽度であっても放置せず、潜水・登山歴や行動内容と照らし合わせて慎重に評価する必要があります。 Ⅱ型減圧症 Ⅱ型減圧症はⅠ型よりも重篤で、神経系や呼吸器系、循環器系に深刻な影響を及ぼす可能性がある危険な状態です。具体的な症状は以下のとおりです。 めまい ろれつが回らない 手足のしびれや麻痺 視覚障害 聴覚障害 記憶障害 胸の痛みや咳と 不整脈 ショック状態 上記をはじめとするII型減圧症の症状は、脊髄や脳、心臓、肺などの重要な器官の血管が気泡によって閉塞したり、組織が圧迫されたりすると引き起こされます。 また、減圧症の長期的な影響として、減圧性骨壊死という骨の障害を引き起こすケースもあります。骨障害は、肩関節や股関節に起こる症例が多いのも事実です。なかでも、大腿骨頭壊死が起こると歩行障害などの影響が出るだけでなく、重症な場合には手術が必要となるケースも珍しくありません。 Ⅱ型減圧症は、迅速かつ専門的な治療を必要とする病気です。後遺症が出るリスクもあるため、疑わしい場合は直ちに医療機関を受診しましょう。 減圧症の治し方 減圧症を発症した場合、体内で生じた気泡を縮小させ、組織への酸素供給を改善する治療が基本です。症状の重症度や種類に応じて治療法は異なりますが、主に専門的な医療機関での処置が必要です。 ここでは、減圧症の代表的な治療法である「高気圧酸素療法」と「再圧治療」について、特徴と効果を詳しく解説します。 減圧症の応急処置や治療方法については、こちらの記事も参考にしてください。 また、後遺症でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。 高気圧酸素療法 高気圧酸素療法は、患者様を「高気圧酸素治療装置(チャンパー)」と呼ばれる装置内に入れ、大気圧よりも高い気圧環境下で高濃度の酸素を吸入させる治療方法です。 高い気圧によって、体内の気泡は物理的に圧縮され小さくなります。また、高濃度の酸素を吸入すると血液中に溶け込む酸素量が増加し、気泡によって酸素不足に陥った組織への酸素供給を促進します。 高気圧酸素療法は、Ⅰ型減圧症からⅡ型減圧症まで、幅広い症状に対して有効性が認められており、多くの医療機関で採用されている治療方法です。治療は早期に実施するほど効果が高く、神経症状の改善や回復時間の短縮が期待できるでしょう。 再圧治療 再圧治療は、とくに重症なⅡ型減圧症や高気圧酸素療法だけでは十分な改善が見られない場合に選択される、より強力な治療方法です。 症状が消失するか大幅に軽減する気圧を「再圧チャンパー」と呼ばれる治療装置内で再現し、ゆっくりとした速度で慎重に減圧していきます。徐々に減圧すると、体内に残る気泡を確実に縮小させ、再度溶解させる効果が期待できます。 再圧治療を実施できる施設は限られていますが、重篤な神経症状や意識障害を伴うケースでは、救命や後遺症軽減のために重要な治療方法です。 減圧症の予防ポイント6つ 減圧症は正しい知識と行動で十分に予防できる疾患です。とくに、ダイビングや高地登山などの気圧差の大きな環境下では、事前準備と行動の工夫が減圧症発症のリスクを大きく左右します。 ここでは、減圧症を予防するためのポイントを6つに分けて解説するので、ダイビングや登山の予定がある方はぜひチェックしてください。 ①潜水前の注意 潜水前には体調を整え、十分な睡眠を取るのが大切です。前日はアルコールを控え、疲労を残さないように注意してください。 風邪や鼻づまりがあると、周囲の水圧と体の圧力を同じに保つための耳ぬきをはじめとする圧平衡(あつへいこう)が上手くできず、気圧変化の影響を強く受けるため、無理な潜水は避けることをおすすめします。 また、以下のリスクがある方は、医師に事前に潜水をして良いか、確認しましょう。 卵円孔開存(らんえんこうかいぞん)や心房中隔欠損などの心臓の病気 疲労 肥満 高齢 経験やスキルレベルに見合った無理のない深度や潜水時間で潜水を計画するのが大切です。 ②潜水時の注意 急激な深さへの潜水や長時間の潜水は避け、適切な休憩を取りましょう。 潜水中はゆっくりとした下降と浮上を心がけ、急激な圧力変化を防ぐのが重要です。浮上する際は、ダイビングの種類によって1分間に9~18メートルを最大浮上速度とします。さらに、水深3~4m地点で3~5分間の安全停止時間を設けるのも、水圧の平衡を保つために推奨されています。 深く長く潜るほどリスクは高まるため、無理のない計画が必要です。体調に異変を感じたら、無理せず速やかに安全な方法で潜水を中止し、バディやインストラクターに知らせてください。 ③潜水後の注意 潜水直後は激しい運動や高所への移動を避け、身体を休ませる時間を確保します。 潜水回数や深度によって異なりますが、潜水後12〜24時間以内に飛行機に乗ると、減圧症のリスクが高まるといわれています。潜水後、飛行機に乗る予定がある場合は、12〜24時間ほど海抜0mの場所にとどまり、一定期間の休息が取れるようにしましょう。 潜水後は体調変化に十分注意を払い、万が一、関節痛や皮膚のかゆみ、しびれ、めまいなどの減圧症を疑う症状が現れた場合は、速やかに専門の医療機関に相談してください。 ④高地登山の適切な計画 登山前には、適切な標高への適応期間を確保し、急激な標高の変化を避けるよう計画しましょう。 登山中に急激な標高の変化があると、大気中の酸素濃度が減少し、減圧症が引き起こされるケースがあります。急激に標高を上げるのではなく、数日かけて徐々に体を高地の気圧に慣らしましょう。 登山中も、常にゆっくりとしたペースを心がけ、呼吸が乱れないように注意しましょう。十分な睡眠と休息も、高所での体調管理には欠かせません。 万が一、頭痛や吐き気、めまい、息切れなどの高山病の初期症状や、減圧症を疑う症状が現れた場合は、無理をせず直ちに下山を開始するのも重要な対処法です。 ⑤十分な水分摂取 十分な水分摂取は、体内の水分バランスを整えるだけでなく、減圧症の予防において重要です。 脱水状態に陥ると、血液のねばり気が高まります。血液がドロドロになると血流が悪化し、体内に溶け込んだ窒素ガスが気泡となった際に体外へ排出されにくくなったり、血管内で詰まりやすくなったりする減圧症のリスクが高まります。 活動中だけでなく、活動前後も意識的に水分を摂取するのが大切です。とくに、活動中はこまめに水分補給を行い、喉の渇きを感じる前に飲むように心がけましょう。 摂取する飲み物は、水やスポーツドリンクがおすすめです。アルコールやカフェインを多く含む飲料は利尿作用があり、かえって脱水を引き起こす可能性があるため、控えるようにしてください。 ⑥専門家のアドバイスを仰ぐ 潜水や高地登山などの活動前には、専門の医師や指導者・ガイドなどに相談し、適切なアドバイスを受けましょう。個人の体調や経験値に応じたアドバイスを受けられるため、より確実な予防が可能です。 以下の条件に当てはまる方は、潜水や高地登山前に潜水医学や高山医学に詳しい医師の診察を受けるのをおすすめします。 健康状態に不安がある方 循環器系や呼吸器系に持病がある方 過去に減圧症を発症した経験がある方 また、経験豊富な指導者やガイドは、個々のスキルレベルや経験に応じた安全な計画と、現地状況や特有のリスクに関する情報を提供してくれます。 自己判断に頼らず、専門家のアドバイスを受ける行動が重要です。 まとめ|減圧症の予防ポイントを押さえて安全なダイビング・登山をしよう 減圧症は、体内に溶け込んだ窒素が急激な気圧変化で気泡化することで起こる病気です。 Ⅰ型は関節痛や皮膚の異常など比較的軽度な症状が多く、Ⅱ型は神経や呼吸器に深刻な影響を及ぼします。治療には高気圧酸素療法や再圧治療が用いられますが、いずれも早期対応が重要です。 減圧症予防には、活動前後の体調管理や水分補給、安全な活動計画などを徹底しましょう。 しかし、適切な予防法を心がけても、減圧症による脊髄障害や脳障害によって麻痺などの症状が残ってしまう場合もあります。 減圧症による脊髄損傷に対しては、リハビリテーションやステロイドなどの薬物治療が一般的ですが、根本的な治療方法はありませんでした。 当院では、幹細胞治療として、ご自身の脂肪から培養した脂肪由来間葉系幹細胞治療を行っています。 減圧症などで脊髄損傷を起こしてしまった方で、再生医療にご興味のある方は、ぜひ1度当院までご相談ください。
2024.01.17 -
- 大腿骨骨頭壊死
- 股関節
減圧症による骨壊死の症状とその治療法を医師が解説! レジャーダイバーや潜水作業をされている方で以下のような症状に思い当たりはありませんか? 「股関節が痛む」 「歩きにくい」 これは、もしかしたら「減圧症による骨頭壊死」かもしれません。 減圧症のなかでも、骨頭壊死は「慢性減圧症」とも呼ばれます。急激な圧変化が起きた直後ではなく、時間が経ってから症状が現れる疾患です。日本で潜水を仕事にする人の骨壊死は、欧米諸国と比べて発生頻度が高いことが分かっています。 仕事ではなく、レジャーとしてダイブを楽しむ場合、事前の正しい教育や潜水時間の短縮、そして減圧症発症時における対応、すなわち速やかに治療を行う大切さを知ることで骨壊死を減らせることが分かっています。 しかし、レジャーダイブの増加もあり、安直な教育で知識に乏しい中、ダイブが行われている場合があり、いまだダイブ後、骨壊死が発症する例が後を絶ちません。 そこで、本記事では減圧症による大腿骨頭壊死をはじめとした骨壊死について、その原因や症状・治療について解説をするとともに、減圧症の確かな知識を身に着けて頂くことを念頭に記してまいります。 減圧症とは? 高い圧がかかる環境下では、より多くの空気が組織や血液中に溶け込みます。空気が溶け込んでしまった状態で急激に圧の低い場所に行くと、組織・血液内の空気は飽和状態となります。溶けきれなくなった空気はそのまま気体に変化するため「気泡」が発生するのです。 この気泡が直接的に血管に入ったり組織を傷つけて血栓を作りやすい状態にしたりします。こうして全身にダメージを及ぼす病態が「減圧症」です。 減圧症が起こりうる代表的な状況は、海底で作業をしたのち急浮上をしたときです。このため、「潜水病」とも呼ばれています。 減圧症による骨壊死がおこるメカニズムと好発部位 減圧症による骨壊死発症の原因として考えられているのは、気泡や血栓が起こり骨の栄養動脈に十分な血液が行き届かなくなることです。また、骨髄内圧が上昇することにより、静脈の流れが阻害されることも関わるとする説もあります。 動脈が詰まったり、静脈の流れが阻まれたりして血液が回らなくなると、やがてその部分の骨は壊死に至ります。 骨は本来、体重や運動による力がかかっても壊れない強さをもつものです。ところがひとたび壊死をしてしまうと、体重や力が掛かった部分は潰れてしまいます。 壊死が起こりやすいのは、骨の端の部分です。多くの骨は他の骨との間で「関節」を形成しています。つまり、壊死して骨が潰れてしまうことで「関節の痛み」「関節の変形」が起こります。 とくに大腿骨頭(股関節の足側)や上腕骨頭(肩関節の腕側)がダメージを受けやすい場所です。他に膝や肘・骨盤などにも認めることがあります。 骨壊死はどんな症状? 壊死のみでは基本的には目立った症状はないことが多いです。壊死した部分が潰れていくと、痛みを自覚するようになります。 例えば最も多い大腿骨頭壊死の場合は股関節痛です。進行すると、足を引きずるようになり日常生活にも大きな支障が出ます。 骨壊死はどのようにして診断するの? レントゲンは基本的な検査で、骨が潰れて関節が壊れているかを見ることができます。しかし、早期の壊死は発見できません。 レントゲンではっきりしない場合でもMRIを撮影すると壊死がわかります。壊死した部分を取り囲むようにできた血管が豊富な部分が帯状にみえるのが特徴です。 なお、一ヶ所に壊死が見つかると他の部分にもできている可能性があります。その場合は骨シンチグラムという全身の骨の代謝をみる検査を行うことがあります。 骨壊死の治療について 残念ながら、従来の医学では壊死をきたしてしまうと回復できないとされてきました。 壊死が部分的であったり力がかかるところから外れたりしている場合には、鎮痛薬や生活指導などを行いつつ様子を見ることもあります。 また、骨頭に穴をあけて骨髄内圧を下げる「骨穿孔術」をしたり、血管柄つきの骨を移植したりする方法もあります。しかし、いずれも進行例にはあまり効果がありません。 壊死が広かったり壊死部に力がかかりやすかったりする場合や、進行して関節が壊れていく場合は骨切り術や人工関節置換術が行われます。 骨切り術 骨切り術とは、関節面を傷んでないところに調整して負担を減らす手術です。股関節や膝関節などで多く行われており比較的早期例に選択されます。手術直後は患部に力をかけられず、注意しながら生活を送る必要があります。 人工関節置換術 人工関節置換術とは傷んでしまった部分を人工物に変える手術です。関節の一部のみを置換する部分置換術と、全部を取り替える全置換術に分けられます。骨切り術と違い、早いうちから力をかけることができますが、長期経過すると人工物が消耗してしまう可能性があります。 まとめ・減圧症による骨壊死の症状とその治療法を医師が解説! 骨壊死がいったんおこってしまうと、残念ながら現代の医学では進行を止めることはできません。最大の予防は適切な減圧手順を守ることです。 また、他の減圧症を起こしてしばらくしてから発症することが多いです。軽症であっても、減圧症を起こした後は股関節痛などを認めたら早期に受診をしましょう。 減圧症などの原因のない「特発性大腿骨頭壊死」のガイドラインでは、幹細胞を用いた再生医療が、今後期待される治療であると述べられています。とくに関節破壊が進んでいない早期例に骨穿孔術などと併用していくつかの研究が行われ、良好な治療成績が示されてきました。 減圧症による骨壊死の治療選択肢としても広がっていく可能性は充分にあるでしょう。減圧症による骨壊死でお悩みの方は、再生医療専門の当院にお問い合わせください。 ▼減圧症の予防についてご覧になりませんか 減圧症の原因と6つの予防ポイント!わかりやすく解説 参考文献 川嶌眞人, 田村裕昭, 佐々木誠人, 永芳郁文, 高尾勝浩, 山口喬, 丸尾勉, 宮田健司, 加茂洋志, 鳥巣岳彦. 日本高気圧環境・潜水医学会雑誌 41(2): 73-76, 2006. 川手健次. 整形外科看護 11(6): 597-604, 2006. 川嶌眞之, 川嶌眞人, 田村裕昭, 永芳郁文, 本山達男, 古江幸博, 尾川貴洋, 片山隆之, 樋高由久, 高尾勝浩, 山口喬, 宮田健司, 清水正嗣. 日本高気圧環境・潜水医学会雑誌 46(4): 268-268, 2011. 伊藤伸一, 樋口富士男. 整形外科看護 12(1): 31-35, 2007. 小田義直, 香月一朗, 牛島正博, 筒井秀樹, 杉岡洋一. 整形外科と災害外科 38:(4)1431~1436,1990.
2024.01.11 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
減圧症(潜水病)は、水圧の急激な変化によって体内に気泡が発生することで発症します。 とくにダイビングや潜水後に起こる可能性がある障害で、軽度であれば自然に回復するケースもありますが、症状を見極めた適切な対処が大切です。 本記事では、軽度の減圧症に見られる症状や自然治癒のセルフケア、そして治療法や予防策までをわかりやすく解説します。 減圧症(潜水病)とは?軽度なら自然治癒も可能 減圧症は、水中から水面浮上時に起こる急激な気圧環境の変化によって、体内に溶け込んだ窒素などのガスが急激に気泡化し、関節、筋肉、神経、皮膚、血管などに悪影響を及ぼすことで発症します。 減圧症の症状は、関節痛や筋肉痛、めまい、意識障害など多岐にわたり、症状の重さによって大きく2つに分類されます。 I型減圧症(軽度): 命に関わらない比較的軽い症状が中心で、場合によっては自然に回復するケースもあります。 例:関節痛や皮膚のかゆみ、疲労感、皮下浮腫(浮腫性減圧障害)など II型減圧症(重度): 神経系や循環器系に影響が及び、重篤な症状を引き起こすため、早急な治療が必要です。 例:意識障害や麻痺、呼吸困難など 軽度の減圧症は自然治癒する場合もありますが、自己判断で放置すると思わぬ悪化を招くこともあります。 正しい知識を持ち、必要に応じて医療機関を受診することが大切です。 軽度の減圧症のチェックリストとセルフケア 減圧症は、症状の程度によって対応が異なります。 本章では、軽度の減圧症によく見られる症状のチェックリストと、症状が出たときにできるセルフケアについて解説します。 軽度の減圧症に見られる主な症状|チェックリスト 減圧症は軽度の場合、自然治癒が期待できるケースもありますが、早期発見と適切な対応がなにより重要です。 以下は、軽度の減圧症に該当する可能性がある代表的な症状です。 ダイビングや潜水後に当てはまるものがないかセルフチェックしてみましょう。 【症状セルフチェックリスト】 関節や筋肉の痛み(鈍い痛みや違和感を含む) 皮膚の発疹やかゆみ(特に上半身) 強い疲労感やだるさ 吐き気、頭痛、軽いめまい 注意力の低下や集中できない感じ 上記の症状が1つでも現れた場合は、「軽度だから大丈夫」とは考えず、速やかに適切な対応を取りましょう。 軽症の減圧症で自然治癒に向けたセルフケア 軽度の症状が見られた場合でも、放置せず次の対応を取ることで自然回復が期待できます。 ◆症状の確認と潜水の中断 自分に該当する症状があるか冷静に確認しましょう。 症状が出た時点で、すぐに潜水を中止し、水中から浮上します。 ◆酸素吸入の応急処置 ダイビング中にフェイスマスクで酸素吸入できる準備がある場合は、迷わず活用してください。 これは、体内の窒素を早く排出するのに役立ち、症状の悪化防止にもつながります。 可能であれば100%酸素を吸入することが推奨されています。 ◆医療機関の受診 症状が軽くても長引く場合、あるいは少しでも不安がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 自己判断に頼りすぎると、症状が悪化し重症化する可能性も否定できません。 軽度の減圧症は、初期対応が適切であれば自然に回復することもありますが、油断は禁物です。 「軽い症状でも酸素」「不安なら医師に相談」という基本を忘れず、安全を第一に行動しましょう。 重度の減圧症に見られる主な症状(タイプ) 減圧症の中でもII型減圧症と呼ばれる重症タイプは、神経系や呼吸器、循環器などの重要な臓器に障害を及ぼす可能性があり、生命に関わるケースもあります。 本章では、重度の減圧症に見られる以下、4つの症状(タイプ)を紹介します。 脳型減圧症 脊髄型減圧症 呼吸器の減圧症(チョークス) 減圧性骨壊死 脳型減圧症 脳型減圧症は、体内で気泡が血流を妨げたり、直接的に脳組織を損傷することで発症します。 正確なメカニズムは完全には解明されていないものの、脳卒中に似た神経症状が現れるのが特徴です。 脳型減圧症の主な症状は、次の4つです。 強い頭痛 複視(二重に見える) 発話のしづらさ(言葉が出てこない) 錯乱や意識の混濁 上記の症状が出た場合は、ただちに医療機関を受診する必要があります。 脊髄型減圧症 脊髄型減圧症は、II型減圧症の中でもとくに多く見られるタイプで、脊髄に気泡ができることで神経伝達が阻害されます。 初期は軽いしびれや痛みであっても、対応が遅れると麻痺や排泄障害に進行する危険があります。 脊髄型減圧症の主な症状は、次の4つです。 筋力の低下(動きにくい、力が入らない) 手足のしびれや痛み 腹部や背中の痛み 排尿・排便のコントロールができない(膀胱直腸障害) 時間の経過とともに悪化するケースが多いため、違和感を覚えた段階で専門医の診察を受けることが重要です。 呼吸器の減圧症 呼吸器の減圧症(通称:チョークス(chokes))はまれですが、重篤な症状を引き起こす可能性があります。 肺に気泡が生じることで肺水腫を起こし、酸素と二酸化炭素のガス交換が正常に行えなくなるため、酸素不足に陥る危険性があります。 呼吸器の減圧症の主な症状は、次の3つです。 胸の痛み 息切れや呼吸困難 咳(とくに泡状の痰が出る場合) 肺の細い血管が詰まり、全身への血流が阻害されると、最悪の場合致命的になる可能性もあるため、ただちに高気圧酸素治療を要します。 減圧性骨壊死 重度の減圧症の中には、長期間を経て発症する遅発性の合併症もあります。 代表的な合併症に減圧性骨壊死があり、これは、繰り返し潜水したり、短期間に高圧環境に頻繁に出入りすることで、骨の血流が障害され壊死が起こる状態です。 主に影響を受ける部位は次の2つで、進行すると関節の動きが制限されたり、痛みで日常生活に支障が出ることがあり、場合によっては手術が必要になることもあります。 肩関節 股関節(大腿骨頭) とくに職業的に潜水を行う人は、定期的な健康チェックが推奨されます。 減圧症の治療 減圧症の治療で、まず行うべき処置は、100%酸素の吸入です。 体内に気泡化した窒素を早く排出するため、フェイスマスクなどで高濃度の酸素を吸うことが推奨されます。 あわせて、脱水対策として水分補給も行います。 口からの摂取が難しいときは、点滴による水分・電解質の補充が必要です。 症状が持続する、または重度の減圧症が疑われる場合は、専門医療機関での「高圧酸素療法(再圧治療)」が行われます。 高圧酸素療法は、高気圧環境で100%酸素を吸入することで、体内の気泡を縮小・除去し、損傷組織への酸素供給を促す治療です。 とくに、神経症状や呼吸器症状が出ている場合は早急な実施が求められます。 また、意識障害や心肺停止が見られる場合には、心臓マッサージや人工呼吸などの救急対応が必要になります。 軽度の症状でも自然治癒に任せず、医療機関での診断と治療を受けることが大切です。 減圧症の予防策 減圧症は、正しい知識と対策を講じることで、発症リスクを大きく減らすことができます。 とくにダイバーや潜水作業者は、事前の準備と潜水後の対応を徹底することが重要です。 以下表は、減圧症を予防するために押さえておきたい基本的な行動です。 予防策 内容 潜水前後の体調管理 疲労・脱水・風邪などがあると減圧症のリスクが高まるため、体調が万全でない日は潜らない 減圧停止の遵守 浮上時に段階的に停止し、体内の窒素を安全に排出する 無理のない潜水計画 潜水深度・時間を事前に計画し、無理のないスケジュールで行動する 潜水後すぐの飛行を避ける ダイビング後は最低でも12〜24時間、飛行機搭乗を控えることが推奨されている ダイブコンピューターの使用 減圧停止や浮上スピードを正確に管理し、安全性を高める 減圧症の予防は、潜水時の注意だけでなく、日常生活の中でも取り組める習慣がいくつかあります。 頻繁に潜る場合は間隔を十分に空ける 水分補給をこまめに行い、脱水を防ぐ 飲酒や喫煙は潜水前後には控える 定期的に減圧症の知識を学び直す(講習会・安全講座など) 肥満、循環器疾患、糖尿病などの持病がある人は医師と相談する 安全に水中活動を楽しむためにも、常にリスクを意識し、正しい手順と知識に基づいた行動を心がけましょう。 まとめ|軽症でも油断禁物!適切な対応を知ることが再発や後遺症を防ぐ鍵 本記事では、初期に現れる軽症状から、神経系や呼吸器系に深刻な影響を及ぼす重症例まで幅広く解説しました。 減圧症は、軽度であっても油断は禁物です。 軽度の減圧症であれば、チェックリストを活用した早期の気づきと、酸素吸入や潜水の中止など適切な初期対応によって、自然治癒が期待できるケースもあります。 しかし、症状を見逃したり、対応が遅れたりした場合には、脊髄損傷などの後遺症が残る可能性があり、完治が難しいケースもあるのが現実です。 とくに脊髄型減圧症による麻痺などは、これまで有効な治療法が限られていました。 そうした中で、脂肪由来幹細胞を用いた再生医療が、新たな治療法の選択肢として考えられています。 この治療では、自身の脂肪から培養した幹細胞を脊髄に直接注入します。 万が一、減圧症による後遺症に悩んでいる方や再生医療に興味のある方は、ぜひ一度当院「リペアセルクリニック」までご相談ください。
2024.01.08 -
- 脊椎
- 胸椎椎間板ヘルニア
「背中が痛い」「胸が痛む」などの症状でお悩みの場合、実は「胸椎椎間板ヘルニア(きょうついついかんばん)」の可能性があるのはご存知でしょうか。 胸椎椎間板ヘルニアは、老化が原因の1つだと考えられています。 他の椎間板ヘルニアと比べて発症する確率は少ない珍しい疾患ではあります。 しかし痛みを放置すると「足が動かない」「尿や便が出なくなる」など、重大な問題が発生する疾患でもあります。 本記事では、胸椎椎間板ヘルニアとは、どのような疾患なのか、予防策や治療法などを解説します。 背中や胸の痛みが気になる方、最近になって足に力が入らない、しびれがあるなどで歩きにくさを感じている方はぜひ参考にしてください。 胸椎椎間板ヘルニアとは 胸椎椎間板ヘルニアとは、老化や強い衝撃を受けて脊椎の胸部にある椎間板が飛び出た状態を指した症状です。椎間板とは、脊椎と脊椎の間にあるクッションのような組織であり、飛び出ると周囲の神経や脊髄を圧迫して脱力感やしびれなどの症状が出ます。 胸椎椎間板ヘルニアが発症する年齢は40~50歳、かつ男性が多い傾向にあります。 胸椎椎間板ヘルニアは「椎間板ヘルニア」の中でも起こりにくい疾患です。 胸椎は肋骨とつながっており安定しているため、椎間板ヘルニアになりにくいと考えられています。 痛みの原因 胸椎椎間板ヘルニアで痛みを感じる原因は、以下の要因が考えられます。 老化 過度なスポーツ 肉体労働 長時間の運転 など どれも姿勢の悪さや背中の筋肉、背骨に問題が生じると胸椎椎間板ヘルニアが発症します。 そもそも胸椎とは「胸」とあるので胸部をイメージする方が多いのですが、実は背骨の一部分が胸椎です。 背骨は首から腰まで合計24個あり、胸部分にある8本の骨が胸椎です。 多くの患者様が外傷は見られないため、背中を押すと痛みを感じたり、太ももやふくらはぎが痛み出したりします。 痛みを放置すると歩行障害や重症化の恐れがあるため、早期の発見と治療が大切です。 「胸椎の痛みかわからないけれど、これって胸椎椎間板ヘルニアなの?」と少しでも気になる点がある方は、当院へ気軽にご連絡ください。 診断方法 胸椎椎間板ヘルニアを診断するにはMRI検査が有効です。 レントゲン検査ではとくに異常が目立たなくても、MRI検査を行えば椎間板ヘルニアの有無や脊髄の圧迫具合などが確認できます。 また、手術を行う場合には、CT検査などを行うケースもあります。 症状を具体的に把握し、適切な診断を受けるためにも、まずはMRI検査を行うのがおすすめです。 以下の記事では、現役医師の立場からMRI検査が必要な理由をまとめているので、あわせてご覧ください。 胸椎椎間板ヘルニアの予防策や治療法 ここからは胸椎椎間板ヘルニアで感じる痛みを避けたい方に向け、予防策を解説します。 胸椎椎間板ヘルニアの進行度によって異なる治療法についても紹介していきます。 安静にしておくのが無難 胸椎椎間板ヘルニアを予防するために、痛みを感じてもストレッチせず安静にしておくのが無難です。 自宅でできる予防法はなく、自己判断でストレッチを実施すると、炎症の悪化や骨折するリスクが高まるからです。 胸椎に痛みがあり、整骨院で施術をしたいと考える方もいるかも知れません。 しかし胸椎椎間板ヘルニアは、進行度によって治療法が異なるため、MRI検査で適切な診断を行う必要があるのです。 歩行障害が進行している場合、手術せず放置すると歩けなくなる事態まで発展する恐れがあります。 適切な診断が終わるまでは、自己判断で胸椎の痛みを改善しようとせず、安静にしておきましょう。 予防におすすめのストレッチ法 現役医師の立場から胸椎椎間板ヘルニアの予防が期待できるストレッチを紹介します。 今回は横になった状態でできるストレッチをお伝えします。 胸椎椎間板ヘルニアに罹患していると猫背になりやすいので、以下のストレッチを実施してみてください。 左側が下になるよう両膝を抱える(背筋を伸びているかを意識する) 両肘を胸の前でまっすぐ伸ばし両手を合わせる 右手で頭上を通りながら半円を描くイメージで動かす 3の動きに合わせて頭も動かす 水平に後ろまで動かした手の動きを5回繰り返す 反対側(左側)も同様の動きを5回繰り返す 胸椎椎間板ヘルニアの痛みを悪化させないためにも、痛みがない程度にゆっくりストレッチを行いましょう。 以下の記事では、今回紹介したストレッチ以外の予防策をまとめています。 胸椎椎間板ヘルニアの治し方や、より詳しいストレッチ法が気になる方は、ぜひご一読ください。 胸椎椎間板ヘルニアの治療法 胸椎椎間板ヘルニアの治療法は、大きく分けると「保存療法」と「手術療法」の2つがあります。 進行度によって異なる治療法の違いは、以下の通りです。 症状の程度 治療内容 保存療法 比較的軽度 膝の筋肉低下や排尿障害がない場合適用 コルセットや内服薬 手術療法 痛みが進行している 歩行障害やしびれがある場合適用 背骨の一部を除去 以下の記事では、胸椎椎間板ヘルニアの治療後に実施するリハビリ内容を解説しているので、あわせてご一読ください。 なお、現在は胸椎椎間板ヘルニアが進行していても、手術なしで治療できる時代になっています。 胸椎椎間板ヘルニアの代表的な症状 ここからは胸椎椎間板ヘルニアの症状について解説します。 自身に当てはまる症状があれば医師に相談するようにしましょう。 背中や胸の痛み 胸椎椎間板ヘルニアが発症したときの代表的な症状が背中や胸の痛みです。 しかし、ヘルニアが発生する部位によって圧迫される神経やダメージを受ける神経が異なるため、痛みやしびれを感じる部位も異なります。 また、胸椎椎間板ヘルニアが肋間神経を圧迫すると「肋間神経痛」の痛みが現れるので注意してください。 肋間神経は背中から胸に向けて走っているため、背部痛や胸痛、わきの下あたりの痛みやしびれなどを引き起こします。 肋間神経痛の痛みは、ぴりぴりと焼けつくような感覚であったり、鈍い痛みとして感じる症例が大半です。 肋間神経痛による胸の痛みは、心臓が原因の胸痛と間違えられる場合があります。 しかし、胸椎椎間板ヘルニアによる胸の痛みは、体の動きや姿勢の変化により変動するため、多くのケースで心臓が原因の胸痛と区別できます。 以下の記事では胸椎椎間板ヘルニアの症状を、より詳しく解説しているのであわせてご覧ください。 その他の症状 胸椎椎間板ヘルニアが発症すると、背中や胸の痛み以外にも、以下の症状が伴う可能性があります。 太ももやふくらはぎの痛み、しびれ、脱力感 歩行障害(ふらつきや足のもつれ) 膀胱直腸障害 排便障害 など とくに太ももやふくらはぎの痛みは、胸椎椎間板ヘルニアの初期症状として認められるケースが大半です。 痛みを放置すると急激に足が動かしにくくなり、歩行障害につながる恐れがあります。 歩くときに足がもつれ、階段を昇り降りで手すりを持つようになった方は、胸椎椎間板ヘルニアの可能性があるため注意しましょう。 また、胸椎椎間板ヘルニアを発症すると、力をこめて便や尿を出そうとしても出せない状態(膀胱直腸障害)になる場合もあります。 胸椎の背中側にある脊髄は、便や尿を出す自律神経をコントロールする神経が走っています。 胸椎椎間板ヘルニアによって神経が圧迫されると、突然便や尿が出ない症状が起こるのです。 胸椎椎間板ヘルニアと神経痛の違いについては、以下の記事で詳しくまとめているので、ぜひご一読ください。 まとめ・胸椎椎間板ヘルニアで背中や胸が痛みを感じたなら早めの受診を! 胸椎椎間板ヘルニアは40~50歳の方に多く発症する疾患です。 代表的な症状として背中の痛みや胸の痛みがあげられ、肋間神経痛による焼けつくような痛みや鈍痛も認めています。 初期症状としては下肢のしびれや痛みなどがあり、薬物治療やリハビリなどでは歩きにくさを改善できません。 歩きにくさを感じている方は、手術療法を検討してください。 手術には神経麻痺や手術後の痛み、しびれなど術後後遺症の恐れもありますが、放置すると病状が進行して歩けなくなる可能性があります。 少しでも胸椎椎間板ヘルニアを疑う症状に気づいた方は、速やかに専門の医療機関で受診するようにしましょう。
2024.01.04 -
- 脊椎
- 胸椎椎間板ヘルニア
「ヘルニアに効果的な筋トレはある?」「ヘルニアは筋トレをしないほうがいい?」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。 ヘルニアと診断されると、運動や筋トレを控えるべきか不安になる方も多いかもしれません。 結論からいえば、適切な筋トレを行うことでヘルニアの症状の改善・緩和が期待できます。 この記事では、ヘルニアの負担を軽減する筋トレメニューや、筋トレを行うときの注意点を解説します。 記事を最後まで読めば、ヘルニアに効果的な筋トレ方法が分かり、症状の緩和・改善を目指せるでしょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療も行っております。ヘルニアの辛い症状でお悩みの方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 【目的別】ヘルニアの改善に効果的な筋トレメニュー 筋トレを行う際には、自分の目的にあったメニュー選びが重要です。ヘルニア改善に役立つ筋トレメニューは以下の通りです。 種類 効果 負担の大きさ おすすめの運動 体幹トレーニング 腰を支える筋力を強化し、負担を軽減 低い ドローイン プランク バードドッグ 下半身トレーニング 下半身を鍛えて腰の負担を分散 中程度 ヒップリフト レッグプレス ウォールシット 本章を参考に、自分に必要な筋トレメニューを取り入れてみましょう。 体幹を安定させる筋トレメニュー ヘルニアの症状を軽減するには、体幹を鍛えることが重要です。 体幹を鍛える具体的な筋トレメニューの一例は以下のとおりです。 トレーニング名 やり方 ポイント ドローイン 仰向けで膝を立て、深く息を吸ったあと、息を吐いてお腹をへこませてキープ 1回5秒キープし10回繰り返す プランク うつ伏せで肘をつき、体を一直線にキープ 20〜30秒キープを目安に実施 バードドッグ 四つん這いの状態で対角の手足を伸ばす 片側10回ずつゆっくり行う これらの運動は、腰に大きな負担をかけずに体幹を鍛えられるため、ヘルニアの改善に適しています。 最初は短時間から始め、徐々に時間を延ばしていくと良いでしょう。 下半身を強化する筋トレメニュー 下半身の筋力を強化すると、腰への負担を分散できるため、ヘルニアの痛みを軽減しやすくなります。 とくに、太ももやお尻の筋肉を鍛える運動が効果的です。 下半身トレーニングメニューの一例は以下のとおりです。 トレーニング名 やり方 ポイント ヒップリフト 仰向けで膝を立て、お尻を持ち上げる お尻を締めながらゆっくり上げ下げ レッグプレス ジムのマシンを使い、足でプレートを押す 負荷は軽めで、ゆっくり押し戻す ウォールシット 壁にもたれながら膝を90度に曲げ静止 20〜30秒キープし3セット実施 これらの運動は、スクワットのように腰に大きな負担をかけず、効率よく筋力を鍛えられます。 無理のない範囲で継続し、ヘルニアの痛みを和らげる習慣を作りましょう。 ヘルニアの症状は筋トレで緩和できる可能性がある 適切なトレーニングによって筋力を強化すれば、椎間板への負担を軽減し、ヘルニアの症状を改善できる可能性があります。 また、血行促進により、ヘルニアの症状の回復を促す効果も期待できます。 ただし、過度な負荷は症状を悪化させる可能性もあるため、やり方に注意しましょう。 本章では、筋トレによるヘルニアの症状改善の効果について解説します。 筋力の強化で椎間板への負担軽減が期待できる ヘルニアの症状を和らげるためには、腰を支える筋肉を鍛えることが重要です。 腹筋や背筋の強化によって、椎間板への負担を分散させ、痛みの軽減が期待できます。 ヘルニアの症状改善を目指して筋トレをする場合は、腰に過度な負担をかけず体幹や下半身を鍛えられるメニューを取り入れましょう。 また、最初は軽めの負荷から始めるなど、正しい筋トレを習慣化し、椎間板への負担を減らすことが大切です。 血流が良くなりヘルニアの回復が促進される 筋トレを行うと、血流が良くなりヘルニアの回復を助ける効果が期待できます。 血流が滞ると、筋肉が硬くなり、腰への負担が増えヘルニアが悪化する場合があります。 運動によって血流が改善されると、酸素や栄養が筋肉に行き渡りやすくなり、炎症の鎮静や組織の回復促進が期待できるでしょう。 ウォーキングやストレッチ、ヨガなど、血流を良くしながら無理なく筋力を鍛えられるトレーニングがおすすめです。 こうした運動は関節や筋肉に負担をかけにくく、継続しやすいというメリットもあります。 過度な負荷は症状を悪化させる可能性も 筋トレはヘルニアの症状を和らげる効果が期待できますが、過度な負荷をかけると逆効果になります。 とくに、重い負荷をかける筋トレや誤ったフォームでのトレーニングは、椎間板に余計な圧力をかけ、症状を悪化させる原因になります。 たとえば、バーベルを使ったスクワットやデッドリフトは、腰に大きな負担がかかるため注意が必要です。 また、反動をつけた腹筋運動や、腰を大きく反らす動作も、椎間板を圧迫しやすく、痛みを悪化させる可能性があります。 トレーニングを行う際は、まず低負荷のメニューから始め、体の状態を確認しながら徐々に強度を上げるのが理想的です。 痛みを感じたらすぐに中断し、無理なく続けられる範囲でトレーニングを進めましょう。 ヘルニアで筋トレを行うときの注意点 ヘルニアを抱えている場合、筋トレのやり方には十分な注意が必要です。 間違ったフォームや過度な負荷は、症状を悪化させる原因になります。 高負荷なスクワットやデッドリフト 腹筋運動(上体起こし) 腰を強く反らす運動 ここでは、避けるべきトレーニングとその理由について解説します。 高負荷なスクワットやデッドリフトは正しいフォームを意識する スクワットやデッドリフトは全身を鍛える効果がある一方で、腰に大きな負担をかけるため注意が必要です。 ヘルニアの症状がある場合、無理な動作が炎症を悪化させる可能性があります。 とくに、重いバーベルを使用するスクワットやデッドリフトは、腰椎への圧力が強く、ヘルニアの症状を悪化させる原因になります。 これらの動作を行う際は、軽い負荷で正しいフォームの意識が大切です。 腰をしっかり支えられない場合は、マシンを使ったレッグプレスなどの代替運動を選ぶのが良いでしょう。 腹筋運動(上体起こし)は避ける 腹筋を鍛えるのは大切ですが、クランチやシットアップなどの状態起こしの動作は、腰への負担が大きいため注意が必要です。 とくに、勢いをつけた腹筋運動はNGです。 腰椎に強い圧力がかかり、痛みや炎症を引き起こす原因になります。 代わりに、ドローインやプランクといった体幹を安定させるトレーニングを取り入れると、安全に腹筋を強化できます。 腹筋を鍛えたい場合は、腰に負担をかけない方法を選び、無理のない範囲で継続しましょう。 腰を強く反らす運動は無理に続けない 腰を大きく反らす動作は、椎間板に過度な圧力をかけるため、ヘルニアの悪化につながる可能性があります。 とくに、ブリッジやバックエクステンションなどの運動は注意が必要です。 腰を反らしすぎると、椎間板が圧迫されて神経を刺激し、痛みが強くなる場合があります。 代わりに、軽いストレッチや腰に優しい体幹トレーニングを取り入れると良いでしょう。 痛みを感じた場合はすぐに運動を中止し、無理に続けないことが大切です。 ヘルニアの再発を防ぐための3つの対策 ヘルニアは症状が落ち着いても、再発のリスクは残ります。(文献1) 再発を防ぐためには、日常生活での姿勢や負担のかかり方に注意し、適切な筋トレやストレッチを取り入れることが大切です。 本章では、ヘルニアの再発を防ぐための具体的な対策を3つ紹介します。 普段から姿勢や腰への負荷に注意する 無理のない範囲で筋トレを習慣化する ストレッチで柔軟性もUPする それぞれ詳しく解説するので、参考にしてください。 普段から姿勢や腰への負荷に注意する ヘルニアの再発を防ぐには、普段から姿勢を意識しておくのも重要です。 猫背や反り腰などの悪い姿勢は、腰に過度な負担をかけ、再発の原因になります。 たとえば、デスクワーク中は背筋を伸ばし、椅子の背もたれを活用するなどの意識付けが大切です。 また、長時間同じ姿勢を続けると筋肉が硬くなるため、1時間に1回は立ち上がり、軽いストレッチを行うと良いでしょう。 また、重いものを持つときは、膝を使い、腰に負担をかけないよう注意してください。 ヘルニアの再発を防ぐポイントについては、以下の記事も参考にしていただければ幸いです。 無理のない範囲で筋トレを習慣化する 適度な筋トレを続けることで、腰を支える筋肉を強化し、ヘルニアの再発リスクの軽減に期待できます。(文献2) ただし、無理な負荷をかけると逆効果になるため、自分に合ったメニュー選びが大切です。 おすすめは、体幹を鍛えるプランクやバードドッグです。 これらのトレーニングは、腰に負担をかけずに筋力を高められるため、初心者でも取り組みやすいでしょう。 また、下半身を鍛えるヒップリフトも、腰への負担を減らす効果が期待できます。 大切なのは、無理なく続けることです。週に数回、短時間でも良いので、習慣化する意識を持ちましょう。 ストレッチで柔軟性もUPする 筋肉の柔軟性が低下すると、腰への負担が増え、ヘルニアの再発リスクが高まります。 そこで、日常的にストレッチを取り入れ、筋肉を柔らかく保つことが重要です。 とくにおすすめなのが、ハムストリング(太もも裏)を伸ばすストレッチや、キャット&カウ(四つん這いで背中を丸めたり反らしたりする動作)です。 これらのストレッチは、腰周りの筋肉をほぐし、負担を軽減する効果があります。 筋肉を柔らかくすることで、腰を支える力が向上し、ヘルニアの再発を防ぎやすくなります。 ヘルニアに効果的なストレッチのやり方は、以下の記事を参考にしてみてください。 【関連記事】 胸椎椎間板ヘルニアの痛みに!ストレッチで痛みを和らげる方法 頚椎ヘルニアに効くストレッチ5選!予防ポイントも解説【医師監修】 腰椎椎間板ヘルニアのストレッチ5選!悪化・再発防止になる方法を医師が解説 まとめ|ヘルニアで筋トレする際は無理のない範囲で行おう ヘルニアの症状を緩和し、再発を防ぐには、適切な筋トレやストレッチを取り入れることが大切です。 とくに、体幹や下半身を鍛えると、腰への負担を軽減できます。ただし、誤ったトレーニングは症状を悪化させる原因になります。 無理をせず、正しい方法で筋トレを続けることが重要です。日常生活の姿勢や習慣にも気をつけながら、ヘルニアと上手に付き合っていきましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療も行っております。 ヘルニアの手術後に、後遺症でお悩みの方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 ヘルニアの筋トレに関するよくある質問 ヘルニアで筋トレはいつからできますか? ヘルニアの回復状況によりますが、痛みがなくなり、日常生活に支障がない状態になってから始めるのが理想です。 一定の安静期間を設け、その後、医師やリハビリ専門家と相談しながら再開するのが安心でしょう。 体幹を鍛える軽めの運動から始めると、安全に筋力の回復に期待できます。 痛みが残っているうちに無理をすると、症状が悪化する恐れがあります。 焦らずに、軽いストレッチやウォーキングから始めることを意識しましょう。 ヘルニアでも筋トレマシンは使用できますか? ヘルニアでも適切なマシンを選べば、安全に筋トレを行うことができます。 ただし、腰に負担がかかるマシンは避ける必要があります。 そのため、筋トレを行う際は、負荷を軽めに設定し、正しいフォームを意識することが重要です。 リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。 ヘルニアの手術や術後のお悩みがある方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 参考文献 (文献1) 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021(改訂第3版)」 https://minds.jcqhc.or.jp/common/wp-content/plugins/pdfjs-viewer-shortcode/pdfjs/web/viewer.php?file=https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00645.pdf&dButton=false&pButton=false&oButton=false&sButton=true#zoom=auto&pagemode=none&_wpnonce=3b871a512b最終アクセス:2025年2月19日) (文献2) 伊佐整形外科「腰椎椎間板ヘルニア(リハビリテーション)」 https://www.isaseikei.or.jp/img/disease/kosi/010.pdf (最終アクセス:2025年2月19日)
2023.12.29 -
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この記事を読んでいる方は、背中や胸の痛みが肋間神経痛なのか分からず悩んでいるのではないでしょうか。 肋間神経痛は「背中や胸の痛み」が特徴です。しかし胸椎椎間板ヘルニアの症状と見分けがつきにくく、セルフチェック方法を知りたい方も多いかもしれません。 肋間神経痛のチェックには、背中だけでなく体幹や下半身にも痛みやしびれがないかを確認することが大切です。 肋間神経痛は背中や脇腹、胸の痛みが特徴ですが、胸椎椎間板ヘルニアの場合は太もも・ふくらはぎにも痛みやしびれを感じる場合があります。 本記事では、肋間神経痛および胸椎椎間板ヘルニアの症状について解説し、症状の違いについて解説します。 記事を最後まで読めば、肋間神経痛の原因や症状についての理解を深められるでしょう。 肋間神経痛の原因と症状をチェック! 肋間神経痛とは、胸椎椎間板ヘルニアのような病名ではありません。「肋間神経」という肋骨に沿って走っている神経が、何らかの要因で障害を受けたことで突発的に生じた痛みのことを指します。 痛みは身体の片側に起こることが多く、深呼吸や咳、そして身体の向きや位置を変えたりすることでも強くなることがあります。 帯状疱疹や神経の圧迫により起こることが多い 肋間神経痛の主な原因は、水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こる「帯状疱疹」です。 水痘・帯状疱疹ウイルスは、肋間神経の神経節という部分に潜んでおり、免疫力の低下によって再活性化し、痛みを引き起こします。帯状疱疹による肋間神経痛は、鋭く激しい痛みが片側の肋骨に沿って現れ、水ぶくれを伴う、赤い発疹もできるのが特徴です。 また、胸椎椎間板ヘルニアや側弯症で脊髄から肋間神経が出る部分が圧迫された場合や、肋骨骨折で肋間神経が妨げられた場合も、肋間神経痛が起こることがあります。 さらに、まれではありますが、肺がんなどの胸の手術時に使用した器具が肋間神経を圧迫し、術後に肋間神経痛として残ることもあります。 肋間神経痛の治療は、原因がある場合にはその病気の治療をしていきます。一方で、特に原因となるような病気がない場合には、肋間神経ブロックという痛み止めの注射を行ったり、鎮痛薬の内服をしたりなどして症状を抑えることとなります。 胸椎椎間板ヘルニアとの違いは「体幹や下半身の異常の有無」 肋間神経痛と胸椎椎間板ヘルニアの違いは「背中や胸だけでなく、体幹・下半身にも症状があるか」です。 肋間神経痛は背中や胸の痛みを指すため、体幹や下半身の痛みやしびれを感じることはありません。 一方、胸椎椎間板ヘルニアでは、背中や胸部の痛みが出るケースもありますが、主な症状は「体幹から下半身にかけての筋力低下や感覚の異常」です。 したがって、肋間神経痛と胸椎椎間板ヘルニアの痛みを見分けるときは、背中や胸以外に違和感があるかをチェックしてみましょう。 【セルフチェック】肋間神経痛・胸椎椎間板ヘルニアの症状一覧 胸椎椎間板ヘルニアと肋間神経痛は、同じように背中や胸部の痛みを引き起こします。 しかし2つの症状には違いもあるため、自分の症状がどちらに近いか以下のチェックリストで確認してみましょう。 《肋間神経痛が疑われる症状・特徴》 □背中から脇腹にかけての鋭い痛みがある □呼吸をすると痛みが強い □姿勢を変えると痛みが強い □胸や背中に帯状の発疹や水ぶくれが見られる(帯状疱疹による症状) □肋骨骨折の既往がある □胸や背中の手術経験がある 《胸椎椎間板ヘルニアが疑われる症状・特徴》 背中の痛みがある(ない場合も) □太ももやふくらはぎのしびれがある □足の脱力感がある □歩くときに足がもつれる □階段を降りるときに不安で手すりを持つ □用を足そうとしてもすぐに尿が出ない、残尿感がある ただし上記はあくまでもセルフチェックに留め、背中や胸の痛みが続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。 肋間神経痛は放置せず、早めの受診を! 肋間神経痛だと思っていても、別の疾患が隠れているケースがあります。 たとえば、以下のような病気が挙げられます。 狭心症・心筋梗塞などの心臓の病気 肺梗塞・気胸などの肺の病気 逆流性食道炎 胃・十二指腸潰瘍 大きな病気を見逃さないためにも、自己判断で終えず、早めに医療機関へ相談することが大切です。 まとめ|自分の痛みを知り、早めの対処を 肋間神経痛は、背中や胸の痛みを指します。胸椎椎間板ヘルニアの症状と見分けるときは、体幹や下半身の痛みがあるかをチェックすることが大切です。 また、症状が続く場合や痛みが強い場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」は、再生医療専門クリニックです。 椎間板ヘルニア術後の脊髄の障害に対しても、脂肪由来間葉系幹細胞治療を行っています。幹細胞治療とは、自分の脂肪から培養した幹細胞を脊髄腔内に注射または点滴投与するものです。 胸や背中の痛みの治療において、再生医療を検討している方はぜひメール相談やオンラインカウンセリングもご活用ください。 また、胸椎椎間板ヘルニアについては以下の記事でさらに詳しく解説しています。あわせてご覧いただければ幸いです。 【関連記事】 胸椎椎間板ヘルニアの症状レベルは?チェックリスト付きで医師が解説 肋間神経痛についてよくある質問 肋間神経痛は何科に行くべきですか? 症状によって異なります。 もし過去に胸や背中にけがをしたことがある場合は整形外科、帯状疱疹のような赤い発疹があれば、皮膚科を受診しましょう。 肋間神経痛のとき、やらない方がいいことはありますか? 体を急激に動かしたり、ストレスが溜まったりすると痛みが強くなる可能性があります。安静にし、体を休めましょう。
2023.12.25