-
- 手部
- ヘバーデン結節
手指に起こる原因不明のヘバーデン結節!どんな病気なのか?その症状と治療法について へバーデン結節とは、どういう病気かご存知でしょうか? へバーデン結節は、手指部における「第1関節に位置するDIP関節*が変形して曲がってしまう」という、いまだ原因不詳の疾患とされています。関節リウマチなどの膠原病とは異なる病気だと考えられています。 このDIP関節*の変形という疾患については、大小があります。すべての症状で大きく曲がる(変形する)わけではありません。指の第一関節の後ろ(背側)、中央付近に親指から小指にかけて、2つのコブのような結節が見られる特徴があります。 現在、この指のふくらみは年齢に伴う変形性関節症であると判明しています。 ちなみに、この「ヘバーデン」という名称は、この疾患を報告したイギリスの医師、ウイリアム・ヘバーデン博士の名から付けられた呼称です。 へバーデン結節は、関節組織の加齢による変化を基にして発症する変形性関節症として手指部に認められる病変なのですが、いろいろな変形や所見が見られます。 一般的には、第1関節に変形や、疼痛があって、X線レントゲン写真にて「関節の隙間が狭い」、「関節が壊れている」、「骨棘」と呼ばれる骨のとげ所見が見られると、「へバーデン結節」ではないかと疑います。 そこで今回、へバーデン結節について、一体どのような病気なのか、その症状と原因を紐ひも解き、治療法についても解説してまいります。 ヘバーデン結節の診断 DIP関節に対してX線によるレントゲン検査で以下を確認 関節の隙間が狭い 関節が壊れている 骨棘と呼ぶ骨のとげ ※ 参考)DIP関節*とは 手指は指関節や骨、それを腱・靭帯が取り巻き、指の複雑な動きに対応できるように機能しています。 その指関節は以下のような呼称で分類されています。DIP関節は、指先に一番近い関節です。 第1関節:DIP関節(指先から1番目の関節)ヘバーデン結節が起こる部位 第2関節:PIP関節(指先から2番目の関節) 第3関節:MP関節(指先から3番目の関節で、指の付け根) 第4関節:CM関節(手の甲の中にある関節) へバーデン結節の原因を探る へバーデン結節の発症について、これまでの医学的な研究においても今だに明確な原因は不明なのですが、普段から手や手指を頻繁に使用する方が発症しやすい傾向があると言われています。 へバーデン結節は、疫学的に40歳代以降の中高年齢層の女性に多く発症します。つまり、本疾患の背景には女性ホルモンの変調、ストレス要素に加えて外的な環境、およびストレスを過度に受けやすい体質や性格なども関与している可能性も検討されています。 過去の調査では確固たる遺伝性要因の影響があると証明されていないものの、傾向的に母娘間、あるいは姉妹間で高率な頻度で発症すると言われています。 したがって、例えば自分の母親や祖母の家系がヘバーデン結節に発症した経験を有する場合には、予防として普段から指先や手の部分に過剰な負担をかけないよう意識して注意すべきでしょう。 へバーデン結節の原因といわれるもの 今だ明確な原因は不明 女性ホルモンの変調、ストレス要素(手や手指を頻繁に使用すると発症しやすい傾向) 疫学的に40歳代以降の中高年齢層の女性に多く発症 傾向的に母娘間、あるいは姉妹間で高率な頻度で発症する ストレスを過度に受けやすい体質 へバーデン結節の症状について 典型的な症状としては、手指の中でも母指(親指)、あるいは差し指(人差し指)から小指にかけて第1関節が赤く腫れあがり、屈曲して疼痛症状があります。 へバーデン結節に罹患すると、時には安静時にも痛み症状があるため、強く手を握ることが困難になりますし、指のこわばりを感じて十分に手指を動かせなかったりもします。 指の変形が進むにつれて痛みといった症状そのものは落ち着いてくることが多いのですが、その分、手指の動きがさらに悪化して日常生活に支障をきたすようになりがちです。 補足ですがこの症状のうち、第1関節のうしろ側に水ぶくれのような所見を認めることもあり、この水ぶくれをガングリオンや粘液嚢腫などと呼称されています。 へバーデン結節の診断について へバーデン結節を診断する際には、診察上の視診や触診などの理学的所見を基本としてエックス線による画像検査が実施されます。 第1関節の腫れや熱感、変形、運動障害、疼痛症状の有無などを診察によって確認して、レントゲン検査で関節間の隙間が狭い、又は骨棘と呼ばれる骨のとげが突出しているなど変形性関節症所見を認める際には、典型的な「へバーデン結節」と診断されることになります。 症状が類似しており本疾患と鑑別を要する疾患として最も重要なのは関節リウマチです。一般的には、関節リウマチにおける症状は、関節痛、自己免疫に関連した炎症による体の倦怠感、朝のこわばりなどが典型的です。 ところが、関節リウマチでは手指における好発部位(病変が起こりやすい部位)としてはPIP関節(指先から2番目の関節)、MP関節(指先から3番目)のことが多く、へバーデン結節のようにDIP関節(第1関節)に現れることは、ほとんど無いと言われています。 同様に、画像検査上でも両疾患には異なる所見を認めることが知られており、関節リウマチの場合には骨が炎症によって溶解する(溶けてゆく)のに対して、へバーデン結節では骨が逆に増殖していくことになり、その点が大きく違うため、両者を鑑別することが出来ると考えられます。 へバーデン結節と、関節リュウマチの違い へバーデン結節 部位:DIP関節(第1関節)に現れる 骨が増殖していく 関節リュウマチ 部位:PIP関節(指先から2番目の関節)、MP関節(指先から3番目) 骨が炎症で溶解する へバーデン結節の治療法について へバーデン結節における治療策としては、普段から「指先への過度な負担が生じることを避ける」、「指の腫れや熱感があるときには患部を積極的に冷却する」、「軽いマッサージを実践する」、あるいは装具などにより、「関節部の安静を保つ」ことで症状からくる痛みを軽快にすることが期待できます。 へバーデン結節における手指関節の保護には、装具として一般的には「テーピング」や、「金属製リング」などを治療策として使用されることが多くあります。 どうしても疼痛症状が強い場合は、漢方や消炎鎮痛剤を服用する、湿布や塗り薬などの外用薬を積極的に使用する、あるいは少量の関節内ステロイド注射なども有効に働きます。 へバーデン結節は、多少の個人差はありますが概ね数か月から年単位で痛みの症状そのものが落ち着いていくため、手術の必要性に迫られる、あるいは何が何でも手術を希望されるという患者さんはそれ程多くないのが実情です。 それでも、保存的な治療で症状が改善しない場合、または手指部の変形がひどくなり日常生活に機能的に支障をきたすケースでは、手術療法を検討することになります。 具体的な手術法としては、「コブになっている結節部を切除する」パターンや、「関節を固定」してしまう方法が取り入れられています。 手術についてもう少し詳しく概説すると、でっぱった骨(結節部、骨棘)や水ぶくれ(嚢胞)を切除する関節形成術や、傷んだDIP関節(1番指先の関節)のグラつき(不安定性)を改善させる関節固定術が一般的に行われています。 関節形成術に関しては外観上の所見が改善する長所がありますし、関節固定術は最も機能的に良好で使いやすい位置で関節を固定することで術後に痛みも無くなる利点があります。 へバーデン結節における治療策 基本 指先への過度な負担が生じることを避ける 指の腫れや熱感があるときには患部を積極的に冷却する 軽いマッサージを実践する 関節部の安静を保つ(装具※) 鎮痛(痛みが強い場合) 漢方や消炎鎮痛剤の服用 湿布や塗り薬等、外用薬 関節内へのステロイド注射 手術 関節形成術:でっぱった骨(結節部、骨棘)や水ぶくれ(嚢胞)を切除 関節固定術:傷んだDIP関節(1番指先の関節)のグラつき(不安定性)の改善 装具 ※テーピング、金属製リング等 まとめ・手指に起こる原因不明のヘバーデン結節!どんな病気なのか?その症状と治療法について いわゆる「へバーデン結節」と呼ばれる病気では、親指や人差し指から小指にかけて、第1関節が赤く腫れあがり、変形して曲がってしまう症状を呈します。 また、第1関節の手のうしろ側(背側)に関節を挟んでふたつのコブ(結節性病変)ができるという特徴があります。 へバーデン結節は、いまだ原因不明の疾患であり中高年齢の女性に比較的頻度が多く認められる病気とされており、手指部の症状のために日常生活に支障をきたすことがあります。 痛みや症状がひどくなると心配も多くなり、医療機関を訪れる患者さんが多いようです。もし、指の痛みや、変形の兆候など、症状を我慢したり不安がある場合は、整形外科などのクリニックや病院を受診して医師に相談されることをおススメします。 専門医による診察や画像検査、血液検査などを実施することで、関節リウマチなど他の類似疾患との鑑別を行うこともできますし、本疾患の治療はもちろん、症状の解消法などのアドバイスを期待できるでしょう。 以上、ヘバーデン結節とは、どんな病気?その原因と治療について記してまいりました。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。
2022.01.10 -
- ひざ関節
- 再生治療
- 幹細胞治療
- 変形性膝関節症
変形性膝関節症|最新治療!手術をしない再生医療(幹細胞治療)の実力 変形性膝関節の痛みに悩まされてきた方は多いのではないでしょうか? 変形性膝関節症は、関節軟骨や半月板の損傷から、膝に痛みや変形がみられる疾患です。その治療法は、運動療法に取り組みながらも、痛みに対しては、薬を服用したり、膝にヒアルロン酸注射をしたりし悪化を防ぎます。 これまでの治療方法としては、運動療法や、薬物療法があり、効果がみられない場合には、「手術という選択肢」が一般的でした。では、一方で「手術はしたくない」「手術が受けられない」方は、どうすれば良いのでしょうか?!この場合、「痛みと付き合っていくしかない」のが現状なのです。 しかし近年、保存療法では効果が感じられず、観血療法(手術)ができない場合でも受けられる治療法に、「再生医療による治療」が確立されたのでご紹介してまいりましょう。 症状が進行した場合 ▶ 従来の医療 最新の医療 手術ができない、受けられない 手術以外の選択肢に乏しい 様子を見る 痛みがあるなら付き合っていくしかない 再生医療(幹細胞治療) 手術をしない 入院不要 手術は嫌だ、避けたい 再生医療|幹細胞治療とは? 人は怪我をして傷ついたとしても、多少の傷なら自然に治り回復します。つまり、修復力を持っているということで、これは人間が本来備えている自然治癒力です。これを活かした治療法が「再生医療」といわれる新たな医療分野なのです。 この再生医療の一種、「自己脂肪由来・幹細胞治療」では、患者様の体から採取した幹細胞を培養後、数万から数億にも増やしたもの(幹細胞)を膝に注射することで、傷んだ軟骨や細胞を自然に修復・再生させる効果を見込むものです。 https://youtu.be/2GCVH-Jw5Ps?si=4kHgIjsG3cFqNsO7 再生医療における幹細胞治療とは 幹細胞とは、人間の骨髄や皮下脂肪にある細胞で、皮膚や骨・軟骨・血管などの、いろんな細胞に性質を変える特徴(分化能)があります。幹細胞治療では、幹細胞の分化能を利用して、傷んだ軟骨や、そのほか組織の修復・再生が期待できる最新の治療法です。 幹細胞は普段は活動的ではありませんが、体が傷つくと、損傷した細胞の代わりになるよう細胞分裂が起こり、修復・再生が行われます。変形性膝関節症の場合、幹細胞の分化能を利用し、自己修復力を高めて、磨耗した軟骨を修復させます。 軟骨が再生すると、本来備わっていた膝のクッション性がアップするほか、関節の動きが滑らかになり、膝の痛みの緩和が期待できます。 つまり、これまで運動療法や薬物療法ではできなかった軟骨の修復・再生が、自己脂肪由来幹細胞治療で可能になったのです。 幹細胞治療はどのように行われる? 変形性膝関節症に対しての自己脂肪由来幹細胞治療では、自分の体から幹細胞を採取し、培養後、幹細胞を体内に戻します。幹細胞を体内に戻す方法には、静脈注射(静脈点滴)と関節注射の2種類があります。 静脈注射は直接注射できない内臓(肝臓疾患や糖尿病など)や脳の病気に用いられ、膝や肩、股関節などには直接関節に注射する方法があります。幹細胞は骨髄や皮下脂肪に存在しますが、体への侵襲(体への負担)が少ないほか、細胞の性質が良いとされることから皮下脂肪から採取されます。 自己脂肪由来幹細胞治療の流れ 腹部(おへそ周り)に局所麻酔をします。 5mmほど皮膚を切開し脂肪を採取します。 採取する脂肪の範囲は、米粒2粒ほどの大きさです。 採取した脂肪から幹細胞だけを分離し、4〜6週間ほどかけて培養します。 増殖した幹細胞を膝に関節内注射します。 幹細胞治療は、体への侵襲が低く、自分の細胞を利用した治療法です。大きな手術と比べて感染症のリスクは低く、拒絶反応やアレルギーも起こりにくいため、安全性が高い治療法です。 膝の痛みを放置するとどうなるか? 変形性膝関節症が進行し痛みが強くなると、治療の基本となる運動療法に満足に取り組めなくなります。さらに進行すると、ちょっとした動作や安静時でも膝が痛み、その痛みをかばうことで、関節の可動域が狭まっていき、余計に痛みを感じやすくなります。 そして、どうしようもなくなったときには、体に負担となる人工関節置換術や骨切り術などの手術が選択肢にあります。手術をすると、痛みの改善は期待できますが、感染症のリスクや、正座ができなくなるなどのリスクがあります。 手術をしたくない、手術ができない場合には、痛みと付き合っていくしかありませんが、痛みが悪化すると、次第に歩行ができなくなり、筋力が低下することで車椅子生活や寝たきりでの生活になってしまう可能性が高まります。 まとめ・変形性膝関節症、最新の治療法!手術をしない再生医療の幹細胞治療という可能性 自己由来幹細胞治療は、人が持つ修復力を引き出す治療法で、これまで不可能だった軟骨の再生が期待できます。幹細胞治療では、自分の細胞を使うことから、大きな手術のような、体にかかる負担はほとんどなく、長期間に及ぶ入院期間を確保できない場合にも、日帰りで行える治療法として注目されています。 変形性膝関節症の治療の基本は、膝周囲の筋力を鍛えることで、必要に応じて変形性膝関節症と診断された初期から幹細胞治療に取り組むことで悪化を防ぐことが期待できます。 幹細胞治療にかかる費用は、保険が効かず自由診療のため、全額自己負担での治療ですが、「現在の治療で効果を感じられない」「関節鏡や人工関節などの大きな手術をすすめられたが抵抗がある」方は、保存療法と観血療法の中間に位置する最新の再生医療による治療法、「自己由来幹細胞治療」を選択肢の一つとして覚えておきましょう。 以上、変形性膝関節症の治療に幹細胞治療/再生医療という新たな選択肢!になっていることについて記させて頂きました。 ▼ 再生医療の幹細胞治療が変形性膝関節症の治療を変える! 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せずに症状を改善できます ▼以下もご参照ください 変形性膝関節症は早期発見が大切!膝の違和感を見逃さない!
2022.01.07 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
最近、横向きで寝ると膝が痛くて眠れない……。 膝に負担のかからない寝方はある? この記事を読んでいるあなたは、横向きで寝ると膝が痛む原因を調べているのではないでしょうか。 膝の痛みで眠れない日が続くと、日中のパフォーマンスに影響してしまうかもしれません。 結論、横向きで寝ると膝が痛いのは「膝周りの筋肉の緊張」もしくは「膝関節の疾患」が原因の可能性があります。自己判断は難しいため、膝が痛くて眠れない日が続くなら整形外科を受診しましょう。 本記事では、横向きで寝ると膝が痛い原因や、自宅でもできる対処法を解説します。 記事を最後まで読めば、寝る時に膝が痛い理由がわかり、病院に行くべきか正しく判断できるでしょう。 横向きで寝ると膝が痛い!考えられる3つの原因 横向きで寝ると膝が痛い場合、以下3つの原因が考えられます。 筋肉の緊張 膝関節の組織の炎症 変形性膝関節症 寝ているときの膝の痛みの原因を知り、必要に応じて病院での受診も検討しましょう。 筋肉の緊張 横向きで寝ていて膝が痛む場合、膝の筋肉が緊張し、こわばっている可能性が考えられます。 寝ている間は、日中に比べて膝を動かしていない時間が長いため、膝の筋肉が収縮・緊張しやすい状況です。 さらに、横向きで寝ると下になっている膝に負担がかかり、血行不良で筋肉が緊張し、痛みにつながります。 また、加齢や運動不足も、膝周りの筋肉が固まり痛みを感じる原因になります。こまめに膝の筋肉のストレッチをするなど、膝周りの筋肉をほぐすことを意識しましょう。 膝関節の組織の炎症 横向きで寝ると膝が痛い場合、膝関節の組織の炎症が原因かもしれません。 膝関節の組織でよくある炎症として、「半月板損傷」「関節リウマチ」が挙げられます。 半月板とは、大腿骨と脛骨の間にある線維軟骨で、膝関節のクッションの役割をしています。外傷や加齢により、半月板に亀裂が入り痛みが生じる状態を「半月板損傷」といいます。 また、関節リウマチは自己免疫疾患の1つです。免疫異常により、関節の滑膜と呼ばれる部分に炎症が起こると、膝に痛みを感じることがあります。 いずれも、慢性化すると歩行が困難になるケースもあるため、膝の痛みが続いている場合は早めに整形外科などで受診しましょう。 変形性膝関節症 横向きで寝ると膝が痛むのは、変形性膝関節症の可能性も考えられます。 変形性膝関節症は、加齢や度重なる膝への負担から、軟骨が摩耗して起こる疾患です。 最初は膝の違和感程度でも、進行すると立ち上がりや歩き出しといった膝を動かすタイミングに痛みを感じるようになります。膝が伸ばしにくくなることもあり、寝ていても痛みを感じるという人も少なくありません。 変形性膝関節症の治療としては、温めたり冷やしたりする物理療法のほか、薬物療法や手軽に取り組めるストレッチが効果的です。 膝が痛くて眠れないときの対処法3選 膝が痛くて眠れないときに、今すぐできる対処法は以下の3つです。 寝る時の姿勢を工夫する ストレッチをする 温める、もしくは冷やす 本章が、寝る時の膝の痛みに悩んでいる方の参考になれば嬉しく思います。 寝る時の姿勢を工夫する 寝る時に膝が痛い場合、寝方を工夫してみましょう。 横向きで寝ると、身体にひねりが加わり、膝に負担がかかりやすくなります。そのため、基本的には仰向けで寝ることをおすすめします。 もし仰向けで膝を伸ばした際に痛みが出る場合は、膝下にクッションを挟んで寝るのもおすすめです。 うつ伏せなど顔が下になる寝方は、膝周囲の血流が阻害されやすくなるため避けましょう。 ストレッチをする 膝の痛みで眠れない場合、膝周りの筋肉をほぐすストレッチをするのも良いでしょう。 ストレッチによって膝まわりの血流が良くなると、こわばりがほぐれ、痛みが和らぐ可能性があります。とくに、ふくらはぎにある腓腹筋や、太ももの裏にあるハムストリングのストレッチが効果的です。 具体的なストレッチ方法は以下のとおりです。 膝の痛みを軽減するための、腓腹筋のストレッチ 1. 壁や椅子の背もたれに手をつき、脚を交差させます 2. 前脚の膝を曲げていき、後ろ脚のふくらはぎの伸びを感じます 3. 気持ちが良いところで20秒キープします 4. 左右の脚を入れかえて1〜3を、1日3セット行います。 膝の痛みを軽減するための、ハムストリングのストレッチ 1. 地面に座り脚を開きます 2. 背筋を伸ばした状態で、片側のつま先に向かって、体を倒します 3. 気持ちが良いところで20秒キープします 4. 左右の脚を入れかえて1〜3を、1日3セット行います ストレッチは即効性が高くないため、継続でおこなう必要があります。無理のない範囲で習慣的に実施しましょう。 温める、もしくは冷やす 寝ているときに膝が冷えると、血流が悪くなり、膝がこわばって痛みを感じることがあります。夏場はエアコンが直接膝にあたらないようブランケットなどを活用するなどの工夫が必要です。 一方、寝ているときに膝が熱を持っていたり腫れていたりする場合は、患部を冷やすのが効果的です。アイスパックや氷嚢などを使って冷やせば、膝周りの血管が収縮し、炎症や痛みを抑えられる可能性があります。 もし、温めても冷やしても膝の痛みが引かない場合は、医療機関を受診の上、痛み止めの薬を服用しても良いでしょう。 寝てるときの膝の痛みで病院に行く目安 横向きで寝ると膝が痛い状態が続く場合、以下の項目に当てはまるかチェックしてみましょう。 寝ているときや朝起きたときに痛みを感じる 膝を伸ばすときに引っかかる感じがする 立ち上がりや歩き出すときに膝に痛みが走る 正座すると痛みがある 1つでも該当する項目がある場合、変形性膝関節症の可能性も考えられます。 早期発見・早期治療につなげるためにも、寝ているときの膝の痛みが気になる場合は医療機関に相談しましょう。 まとめ|横向きで寝てるときの膝の痛みが続くなら医療機関を受診しよう 本記事では、横向きで寝ると膝が痛いときの原因や、自分でできる対処法を紹介しました。 横向きで寝ると膝が痛むときは、筋肉の緊張によるこわばりや、膝の疾患が考えられます。筋肉の緊張が原因の場合、ストレッチなどでほぐすと痛みが和らぐ可能性があるため、ぜひ試してみてください。 変形性膝関節症などの疾患は、自己判断が難しい上に、放置すると歩行が難しくなるリスクもあります。ストレッチなどをおこなっても痛みが引かない場合は、早めに整形外科に相談しましょう。 ちなみに、当院「リペアセルクリニック」では、変形性膝関節症など膝の痛みに効果が期待できる再生医療を実施しています。 「人工関節の手術が怖い」「膝の痛みを根本的に治療したい」と考えている方は、ぜひ一度当院にご相談ください。 本記事が、寝る時の膝の痛みで病院に行くべきかの判断材料として役立ったのであれば嬉しく思います。 変形性膝関節症の再生医療は以下のページもご覧ください。 横向きで寝ると膝が痛いときによくある質問 朝起きると膝が痛い理由はなんですか? 朝起きて膝が痛むときは、寝ている間に膝周りの筋肉が緊張して固まっている可能性があります。 筋肉の緊張だけでなく、半月板損傷や変形性膝関節症の可能性もあるため、痛みが続くなら整形外科を受診しましょう。 変形性膝関節症の初期症状は? 変形性膝関節症の初期症状として、歩き始めや階段の上り下りなどをした際に痛みを感じることが挙げられます。また、あぐらができない、しゃがめないといった症状を自覚することもあります。 膝を動かしたときに痛み・違和感があるなら初期症状の可能性があるため、医療機関への相談がおすすめです。 変形性膝関節症の初期症状については、以下の記事も参考にしてください。
2022.01.07 -
- 肘関節
- 野球肘
- 上肢(腕の障害)
- 動作時の痛み
- スポーツ外傷
野球肘(離断性骨軟骨炎)は野球以外でもスポーツする子供に発症の可能性! 子供にスポーツを習わせているとき、親として最も心配なのが、怪我ではないでしょうか。 スポーツには怪我がつきものですが、練習を頑張れば頑張るほど、気づかずに手術が必要になってしっまたり、痛みがずっと残ってしまったりして結果的にスポーツを諦めないければならない事例が実際にあります。 しかし、正しい知識を持っていることで子供の痛みにも適切な対応ができ、体に負担が少ない治療ができる可能性があります。 今回は、野球の投球動作や、体操などの選手に起こりやすい「肘離断性骨軟骨炎」について解説していきます。肘離断性骨軟骨炎は、やや珍しい病気ですが、早期発見により手術が回避できる可能性のある病気です。 ぜひ正しい知識を身につけて、子供の身体を守ってください。 肘離断性骨軟骨炎:スポーツ(野球や体操、サッカーでも)をしている子供に多く見られる症状です 肘離断性骨軟骨炎とは何か 肘離断性骨軟骨炎とは、肘の外側の部分(上腕骨小頭)の軟骨に傷がつき、肘の痛みや関節の動きが悪くなってしまう病気です。「野球のようなピッチング、投球といった動作を伴うスポーツ」をやっている子供に多く、年齢としては9-12歳に多く見られます。 競技人口の多さから日本では野球を習っている子供に多く見られていますが、体操競技やサッカーをしている子供でも報告されており、この病気が発症する原因は正確にはわかっていません。 遺伝などの要素に加えて、投球などによって肘に繰り返し負荷がかかることで発症するのではないかと言われています。 肘離断性骨軟骨炎 発症部位 肘の外側の部分(上腕骨小頭) 状況 軟骨に傷がつき、肘の痛みや関節の動きが悪くなる 原因 ピッチングのような投球動作、体操競技、サッカー競技、その他 発症年齢 9~12歳といった子供に多くみられる 肘離断性骨軟骨炎の症状 肘離断性骨軟骨炎の最も多い症状としては肘の痛みと言われますが、特に投球時に肘の外側が痛くなるのが特徴です。また、痛みが出る前に肘の動かしにくさ(可動域制限)を訴えることもあります。 軽傷であれば手術などをしなくても改善することが多く、早期発見・早期治療が重要な病気ですが、痛みが出てきたときには病気が進行していることも多いため注意が必要です。 無症状の9歳から12歳までの野球選手に対し検査を行ったところ、1-3%程度の割合で肘離断性骨軟骨炎が見つかったという報告もあり、「軽い痛みであっても肘の痛みを感じるようであれば整形外科の受診」をお勧めします。 肘離断性骨軟骨炎の治療方針 肘離断性骨軟骨炎の治療は、病状の進行度によって異なります。正しい治療方針を決定するためには、病気の進行度をしっかりと判断する必要があります。そのため、肘離断性骨軟骨炎を疑った場合には単純レントゲン写真やCT、MRI、超音波検査など様々な検査を駆使して評価を行います。 これらの検査により、軟骨が傷ついただけなのか、傷ついた軟骨が剥がれ落ちてしまっているのかを評価して、以下の3段階に分類します。 1:初期(透亮期) 肘離断性骨軟骨炎の初期と診断されるのは、ほとんどが小学生です。 この時期に診断された場合には、手術はせずに様子を見る「保存的加療」を行っていきます。病巣の改善までは1年以上と時間はかかるものの、肘の酷使を避けるなどの指導により90%以上で改善したという報告もあり、早期発見によるメリットは非常に大きいです。 2:進行期(離断期) 進行期であっても、基本的には手術をしない「保存的加療」が選択されます。 ただし初期のうちに診断されたものと異なり、半分ほどの患者さんでは思うように治らず、手術が必要になる患者さんも多いです。症状や病気の状態にもよりますが、3か月から半年ほどで評価を行い、手術が必要かどうかを判断していきます。 3:終末期(遊離期) 終末期であっても全く症状がない場合には手術はせずに様子を見ていくこともあります。ただしこの時期には、傷ついた軟骨が剥がれ落ち、遊離骨と呼ばれる骨のかけらが痛みを引き起こすことも多く、手術が必要になることも多いです。これは、肘関節遊離体といわれるもので「関節ねずみ」とも呼ばれます。 野球肘と言われる肘離断性骨軟骨炎の手術と術後 肘離断性骨軟骨炎の手術では、剥がれた骨の破片の位置や損傷している軟骨の程度などによって、患者さん一人一人に合わせた手術が行われます。 例えば、関節鏡と呼ばれるカメラを使って傷や体の負担をできるだけ小さくする手術であったり、膝関節から骨軟骨柱という組織を採り肘に移植する骨軟骨移植術と呼ばれる大掛かりな手術が行われたり、様々な手術があります5。 早期に発見して骨や軟骨の損傷をできるだけ抑えることで、同じ「手術」であっても負担の軽い手術が選択できる可能性があります。 手術後は肘の可動域訓練や、体幹部・下半身などのトレーニングなどを行いつつ、少しずつ競技復帰を目指してリハビリを行っていきます。 手術によっても違いますが、早ければ1か月程度から半年程度での投球練習が可能になることが多いです。主治医の先生の指示に従って、リハビリを行っていきましょう。 まとめ・野球肘(離断性骨軟骨炎)は野球以外でもスポーツする子供に発症の可能性! 今回は肘離断性骨軟骨炎の症状と治療についてまとめてみました。 野球肘は、9歳から12歳までの投球動作を伴うスポーツをやっている児童に多い疾患である 症状としては、肘の外側の痛みや肘の動かしにくさを訴えることが多い 早期に見つかった場合は手術をしなくても改善することが多い 手術が必要になった場合には、競技復帰までには手術後、半年程度かかることがある 早期発見によって手術が防げる可能性がある病気ですので、子供が「肘が痛い」と言ってきたときに、様子を見ることなく、症状が悪化する前、早めに整形外科に受診させるようにしてください。 大切 お子様の「肘が痛い!」→ 聴き逃さない → 野球肘・肘離断性骨軟骨炎の可能性!→「すぐ整形外科へ」
2021.12.28 -
- 糖尿病
- 内科疾患
糖尿病の合併症・悪化を防ぐために考えて欲しいこと 糖尿病の食事療法は、血糖値を正常にコントロールしながら、合併症の発症や悪化を防止することが目的になります。 糖尿病だからと、「食べてはいけないもの」というものは特にありません。それよりも、エネルギーや栄養素をバランスよく食事に取り入れることが大切なのです。 糖尿病で注意すべきは合併症! 糖尿病は、進行すると様々な合併症を引き起こす恐れがある病気です。「失明の原因となる糖尿病性網膜症」、「人工透析の原因となる糖尿病性腎症」など、日常生活に多大な影響を及ぼす症状が出てしまう人も沢山います。 気を付けたい糖尿病の合併症 糖尿病性網膜症(失明の原因) 糖尿病性腎症(人工透析の原因) また、血糖値のコントロールだけでなく、「高血圧や脂質異常症などの動脈硬化の原因となる病気」も糖尿病の悪化に繋がる可能性がありますこのため、糖尿病の治療では血糖値の上昇だけでなく、高血圧や脂質異常症を防ぐために食事のバランスを整える必要があるのです。 糖尿病の合併症を防ぐ!1日のエネルギー量を見直す 糖尿病になった場合、まずは食事について1日のエネルギー量が多すぎないか?それとも少なすぎていないか?確かめてみまることが必要です。手順としては、自分にとっての適正体重(BMI)を知り、太り過ぎずていないか?やせ過ぎていないか?という面から最も健康とされる体重を知ることができます。 以下で、ご自身の適正体重(BMI)を知りましょう。 適正体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22 2)エネルギー量を求めましょう 適正体重に自分の日常生活の身体活動レベルをかけることで自分の適性エネルギー量を求めることができます。 身体活動レベルの目安と、適性エネルギー量を求める計算方法は次の通りです。 身体活動レベル 1日の適性エネルギー量は、年齢や性別によっても変わってきます。 本記事の記載はあくまでも目安の量と考えて詳しく知りたい場合は主治医、管理栄養士、糖尿病療養指導士に相談しましょう。 デスクワーク、主婦など 25~30×標準体重(kg)=1日の適性エネルギー量(kcal) 立ち仕事が多い 30~35×標準体重(kg)=1日の適性エネルギー量(kcal) 力仕事が多い 35×標準体重(kg)=1日の適性エネルギー量(kcal) 食物繊維が多い食品を取り入れる 糖尿病の合併症を防ぐには、糖尿病を改善することが必要です。そのためには、「食物繊維」が含まれる食品を多く摂るように心がけましょう。食物繊維には、食後の血糖値上昇を抑え、便通を改善させる効果があります。 さらに、水に溶ける食物繊維(水溶性食物繊維)には、血中コレステロールの上昇を抑える効果があり、糖尿病の治療にとって重要となります。食物繊維の目標は、18~64歳においては、男性は1日21g以上、女性は1日18g以上といわれています。(日本人の食事摂取基準2020年版より) 食物繊維を多く含む食品には、野菜(特に根菜類)、海藻、キノコ、大豆、果物(糖質も多いので食べ過ぎに注意が必要)が挙げられるので、日々の食事に取り入れてみましょう。 また、水に溶ける食物繊維(水溶性食物繊維)を多く含む食品は、カボチャ、オートミール、大根、大豆、キノコ、果物などが挙げられます。 食物繊維の摂取目標(18~64歳) ・男性 1日21g以上 ・女性 女性は1日18g以上 糖尿病を改善するために ・食物繊維 野菜(特に根菜類 海藻 キノコ 大豆 果物(糖分の過剰摂取に注意) ・水溶性食物繊維が多い カボチャ オートミール 大根 大豆 キノコ 果物(糖分の過剰摂取に注意) 極端な糖質制限は悪影響 食事の栄養素のうち、血糖値に影響を及ぼすのは炭水化物です。炭水化物には、食後の血糖値を上昇させ、エネルギーとなる糖質と、ほとんど消化されず血糖値の上昇を抑え、エネルギーにならない食物繊維があります。 そのため、血糖値をコントロールするためには、食事中にどれだけ糖質が含まれるかを知っておくのは重要です。しかし、だからといって糖質制限ダイエットや糖質制限食を行うのはお勧めしません。 極端な糖質制限は腎症や動脈硬化に繋がる恐れがあり、逆効果となってしまうためです。糖質を全く食べないのではなく、ご飯やパンを食べる前に食物繊維の多い野菜を食べるなど、糖質を多く食べ過ぎないようにバランスを整える、と考えましょう。 塩分のとり過ぎに注意 高血圧を予防するために、塩分のとり過ぎには注意しましょう。高血圧があると、動脈硬化の原因となり、糖尿病の合併症が進行しやすくなります。 塩分の適正な量として、男性は1日8g未満、女性は1日7g未満といわれています。ただし、高血圧症や腎症がある人の場合は1日6g未満が良いとされているので、気になる人は主治医に相談しましょう。 塩分の多い食品には、肉や魚の加工食品、漬物や佃煮などが挙げられます。なるべく食べないようにメニューを変更するか、少しの量だけ食べるようにしましょう。 塩分摂取目安( 取り過ぎは高血圧 ⇒ 合併症の危険性増 ) ・男性 1日あたり8g未満 ・女性 1日あたり7g未満 ・高血圧症や腎症がある場合 1日あたり6g未満 (男女とも) 脂質のとり過ぎに注意しましょう 脂質が多過ぎる食事は、脂質異常症を引き起こす恐れがあり、動脈硬化の原因となります。 脂質には、血液中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を上昇させる飽和脂肪酸と、逆に悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を下げる不飽和脂肪酸があります。 脂質異常症の予防には、脂質の中でも飽和脂肪酸の多い食品を控えめにし、不飽和脂肪酸の多い食品に置き換えをすることが重要になります。飽和脂肪酸の多い食品には肉、卵、チーズなどが挙げられます。 不飽和脂肪酸は魚や大豆に多く含まれています。(EPAやDHAもこれにあたります。)肉料理中心の食生活になっている人は、魚や大豆のメニューを取り入れてみましょう。 まとめ・糖尿病の合併症・悪化を防ぐために考えて欲しいこと 糖尿病の合併症には注意が必要です。食事においては、エネルギー量の見直しを行い、食物繊維を多くとるように心がけましょう。 また、塩分、脂質をとり過ぎないようにして動脈硬化を防止するのが大切です。ただし、急激な食事制限はかえって糖尿病の進行を悪化させる可能性があるので、あくまでバランスのとれた食事をする、と考えるようにしていきましょう。 また、本記事の内容はあくまでも目安となるものです。注意頂きたいのは既に糖尿病の合併症がある人です。なぜなら合併症の症状によって適正な栄養素の量が変わってくるためです。 食事に関しては必ず主治医に相談するようにしてください。 糖尿病の悪化からくる合併症を防ぐために考えて欲しいこと、お取組み頂きたいことについて記しました。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 ▼ 糖尿病に関する再生医療は以下をご覧下さい 自分自身の自ら再生しようとする力を活かした糖尿病の最先端の医療です ▼こちらもご覧ください 糖尿病1型と2型の違い?それぞれの原因と治療法を詳しくご説明
2021.12.24 -
- ひざ関節
人工膝関節置換術の知っておきたい危険性と予測される合併症 一般的に、膝関節という部分は大腿骨と脛骨、そして膝の前方に位置する膝蓋骨(おさらの骨)で構成されており、人体の中で最も大きな関節と考えられています。 膝関節は日常生活において基本動作となる歩行や、立ち座りなどの行動時に非常に重要な役割を担っている部位の一つです。 年齢を重ねるにつれて膝関節の関節軟骨がすり減ることで発症する変形性膝関節症や、一種の自己免疫疾患によってひざ関節を含む全身の関節が病変と化す関節リウマチなどの治療に対して、最終的な治療として人工膝関節手術が考慮されます。 今回は、そのような人工膝関節手術の具体的内容、そして術後における生活上の注意点について解説していきます。 人工膝関節置換術(手術)について 昨今、日本において、85歳以上の高齢者は増加の一途をたどっており、人生における生活の質の向上、健康寿命の延長を求めて。これら高齢者に対する人工膝関節置換術の件数が増加すると考えられています。 人工膝関節手術では、術中に損傷した軟骨や、骨組織を人工膝関節の形状に即して薄く削っていき、金属セラミックやポリエチレンで合成された人工関節を患部に対して主にセメントで固定するという手術が計画されます。 我が国における人工膝関節の手術件数は年々増加しており、この10年で約2倍にも増えている背景には、手術療法が確立されたこと、そして、膝の疼痛症状を緩和させる効果が高く、同時に膝関節の変形を矯正することができる安定した手術が確立されてきたことが挙げられます。 次に、人工膝関節を耐久性という観点からみると、それぞれ個々の生活によって変化はするものの、およそ10~15年間ほどあるのですが、逆を返すとその期間しか持たないという言い方もできるため、耐久年数を過ぎた場合は、「再手術を覚悟」しなければならない点に注意が必要です。 人工関節の手術を考えるなら、現在の年齢から計算して再手術の可能性のある年齢を念頭に置いておくことが大切です。 人工膝関節手術後の生活上の注意点 人工膝関節置換術に伴う危険性や予測される合併症について、人工関節周囲は血流が乏しいがゆえに術後に人工物感染を起こさせないために、手術に際しては徹底した感染予防策が講じられます。 術後の注意点 合併症の危険性 人工関節のゆるみ 合併症の危険症と怖さ 人工膝関節全置換手術を受けた患者さんは、術後に下肢の腫脹が必発して、その後の身体機能に大きく影響を与える可能性が示唆されています。そのため、人工関節術後には足先を積極的に動かすことが重要な注意点となります。 これについて通常では、どんな手術を受けるにしても人間の身体は出血に対する自然な自己防御反応として血液が固まりやすい状態になるのですが、さらに手術中はもちろん、術後においては、下肢自体を動かすことが制限されるため、血流が健常時よりも停滞し、静脈内に「血栓」と呼ばれる血液のかたまりが形成されるようになります。 この「血栓成分」が何かの拍子に剥がれ落ち、血栓が血流に乗って肺の血管に詰まることで重大な合併症である肺塞栓症を発症する恐れがあるのです。 したがって、術前検査で下肢の血流状態を予め調べておき、術中及び術後に血栓予防のストッキングや、空気ポンプを装着することで合併症を予防して、場合によっては血栓予防に有効とされている薬剤を服用することが必要になります。 術後に人工膝関節が緩むケースがある 人工関節が緩む一番の原因は、肥満で体重過多であるために関節部に大きな負担がかかることで引き起こされることがあります。また、肥満が原因ではなく、スポーツをはじめとした過度な動きを重ねることで緩むこともあります。 このように変形性膝関節症の原因そのものに肥満体形が大きく関連していため、術後においては、適正体重を維持するよう努めなければなりません。特に肥満気味の方は、ダイエットなど減量を意識するよう心がけましょう。 減量は、普段から食事におけるカロリー制限や、プールの中をゆっくりと歩くなど定期的な運動生活を送るといった、食事と運動のバランスが重要です。 そして、普段の日常生活においては膝の屈曲運動を必要とする和式トイレでは無く、出来るだけ洋式トイレを使用するなど、人工関節に可能な限り負担をかけないよう心掛けましょう。 また、テニスやジョギング、スキーやサッカー、さらにはバスケットボールやバレーボールなど激しく膝関節を屈曲伸展する必要性が高い運動によって人工関節が摩耗して破損することもありますので極力注意し、無理は禁物、過度なプレーや、取り組みは避けるように注意してください。 また、人工関節術後の経過が概ね良好で無事に退院できた後には、医師の指示を守り、定期的なレントゲン検査や血液検査で人工関節物に異常がないこと、あるいは人工関節の緩みの有無を確認するよう努めましょう。 まとめ・人工膝関節置換術の危険性と予測される合併症とは 人工膝関節置換術とは、ひざ痛などを引き起こす変形性膝関節症や関節リウマチなどの疾患により変形した膝関節表面を除去して人工関節物に置き換える手術のことを指しています。 昨今では、比較的高齢者でも健康意識が高く、日常的に運動している方が多くなっていますので、個々の年齢のみならずそれぞれの方の生活環境や行動パターンなども考慮して適切な治療方法を選択すべき時代になっています。 人工膝関節置換術後も膝関節に負担の少ない散歩や短い距離でのハイキング、そしてゴルフやゲートボールなどのスポーツなら苦になりませんが、激しい運動はもちろん、走る動作が基本であるジョギングなどは人工関節物に荷重がかかるため、極力控えるようにしましょう。 さらに、日常生活や、スポーツで特に気を付けるべきポイントは「転倒などによる外傷を避ける」ことです。人工関節そのものには問題が起きなくても激しい衝撃によって患部周囲で骨折がおこってしまう可能性があるからです。 人工関節は、長期に長持ちさせることが重要な視点であり、術後に疼痛に悩まされない快適な暮らしを満喫するためにも、無理をせずに出来る限り膝関節に負担をかけることのないような生活を心がけましょう。 以上のような面から人工関節そのものを避けたい。手術をしたくないという方もおられます。そのような場合は、再生医療という新しい治療法が用いられることも多くなってきました。 再生医療は、手術をしないばかりか、日帰りで治療ができてしまうという、これまでとは全く違う方法です。興味のある方はお問い合わせください。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼ 再生医療で変形性膝関節症を治療する 変形性膝関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます
2021.12.23 -
- 脳卒中
- 脳梗塞
- 脳出血
- 頭部
- くも膜下出血
脳卒中の3つの症状と治療法!脳梗塞の再発を予防するコントロール方法について 厚生労働省によると、脳卒中は、2018年の1年間における死因別死亡総数のうち、脳血管疾患は10万8,186人で全体の7.9%を占め、死因の上位から4番目という結果となっています。 その翌年、2019年においても、10万6,552人で全体の7.7%となり、こちらも2018年同様に死因の上位から4番目という結果になっています。 脳血管疾患で亡くなった方のうち、60%にあたるおよそ7万人の方が脳梗塞で亡くなっており、一命を取り留めたとしても、後遺症である麻痺が残り、寝たきりになってしまう場合も少なくない怖い病気です。 しかし以前、1950年頃より約30年間、脳卒中は日本人の死因の第1位でした。 少しではあるものの順位が下がったのは、1960年頃より脳卒中発症において最大のリスク原因である高血圧に対する治療が広く行われるようになり、脳卒中の発症を一定以上抑制することが可能になったからです。 また、脳梗塞の発症直後に閉塞した血管を再開通させ、神経細胞死を防止する血栓溶解薬(t-PA)が日本でも認可(2005年)され、さらにカテーテルで脳血管を閉塞している血栓を除去する血管内治療も認可(2010年)されるなど、脳卒中直後の超急性期において神経細胞死を防ぐ治療法も進歩してきました。 脳卒中の兆候を見つけたら即病院を受診 脳卒中は、その兆候を発見したら直ちに病院へ向かいましょう。 早期に治療を開始することで「後遺症が軽くなる可能性」があるからです。 治療を行うには検査が必要となり、その検査に1時間程度必要ですので症状を発見したら早急!遅くとも2時間以内を目処に速やかに病院で受診すべきです。この時間が症状を左右する可能性があります。 病院ではまず、問診、診察、採血、胸部レントゲン、心電図、頭部CT、頭部MRI、頸動脈エコー、心エコーなどの検査を行います。検査の結果、脳卒中と診断されると次は治療に移ります。 脳卒中の中でも「脳出血」、「くも膜下出血」、「脳梗塞」など各症状別に治療法は少し異なり、点滴や飲み薬による脳血流改善、血栓をできにくくする抗凝固療法や抗血小板療法、脳梗塞後に脳内で発生する活性酸素などの有害な物質を除去して、脳の障害を予防する脳保護薬の使用などがメインで行われます。 また、血圧、体温、脈拍などの全身状態の管理も行い、併せて日常生活動作の改善を目的としてリハビリも行います。 脳卒中の3つの症状とその治療法 1)脳出血 高血圧が脳出血の原因になることが多いので、降圧薬(血圧を下げる)を投与します。また、出血を止めるために止血剤を使用されることもあります。 さらに、出血によって脳が圧迫されるので、浮腫をとるための薬剤(抗浮腫剤)も投与します。また出血量が多い場合には、命にかかわる事もあるので、開頭手術によって血のかたまりを取り除く手術を行うこともあります。 2)くも膜下出血 脳の血管にできた「こぶ」が破裂して出血するので、破裂した部位をふさぐ手術をします。手術の方法は2通りあります。 開頭クリッピング術 頭の骨をはずして、「こぶ」の根元を洗濯ばさみのような道具(クリップ)ではさんでふさぎます。 血管内コイル塞栓術(動脈瘤塞栓術) 「こぶ」の中にコイルと呼ばれる細い金属をいれて「こぶ」全体をふさいでしまいます。カテーテルという細いストローのような道具を使って血管を通し、「こぶ」までコイルを運ぶので、開頭手術をすることはありません。 3)脳梗塞 脳梗塞は、脳の血管の動脈硬化が起きた部位に形成された血栓、あるいは心臓で出来た血栓によって脳の血管が詰まり脳が壊死してしまうものです。 脳梗塞がおこってから4.5時間くらいまでを超急性期といい、この時間内に詰まった血管を再開通させることができると、劇的に症状が改善する可能性があります。 脳梗塞がおこってから48時間以内であれば、血が固まるのを抑制する抗凝固薬を投与します。 脳梗塞の急性期のみに施行される治療には「t-PA」という点滴や、血管内治療などがあります。これらの治療を受けるには、発症してからの経過時間をはじめ、さまざまな条件があります。 それらをクリアする必要があり、そのため脳梗塞で病院に来られた方の2~5% (100人中で2~5人)程度しか、この治療は行われていません。 さらに、ルールを守って使っても 6%(100人に6人)程度の確率で症状が悪化するような脳出血を生じます。 うまくいけば劇的に症状が改善する一方で、効果が期待できなかったり、症状が悪化したりする可能性がある治療法であることを知っておいていただければと思います。 t-PA:組織型プラスミノゲン・アクティベーター(tissue-type plasminogen activator:t-PA) こちらの薬を点滴して血栓を溶かし、脳の血流を再開させます。t-PAを使用することで、3ヶ月後に自立した生活を送れる患者さんが、使用しなかった時と比べて約50%増加するとされています。 脳梗塞により脳神経細胞が死に至る経過は早く、適切なタイミングを逃すと、出血などの合併症で逆に症状が悪化する危険があります。基本的には発症してから4.5時間以内に治療が開始できる患者さんに限り、治療の対象となります。 (t-PAは2005年10月から日本で認可され、発症後3時間以内の患者さんを対象に使用されていましたが、2012年9月より対象となる治療間が4.5時間に延長されています。) 血管内治療 脳梗塞の血管内治療は、発症してから8時間以内の患者さんが対象となる治療です。 細いビニールの管(カテーテル)を足の血管から挿入して、脳の血管へ進めて、血管の詰まりの原因となっている血栓を溶解したり、回収したりして、閉塞した脳血管を再度開通させます。 具体的な方法として、カテーテルを閉塞した血管に導入し、血栓溶解剤(ウロキナーゼ)を投与する方法、バルーンを閉塞した血管に留置し血栓を破壊する方法。 また、メルシーリトリーバーという、先端がらせん状になっている柔らかいワイヤーで、脳の血管をつめている血栓をからめとって回収する方法。 ペナンブラという血栓を吸引する器具で、まるで掃除機のように血栓を吸引し回収する方法(柔らかい血栓も回収することが可能)などがあります。 t-PA療法の注意点 問題点としては、t-PA療法の適応対象となる時間「4.5時間」が強調されるあまり、「4.5時間を過ぎた場合は治療してもあまり意味がない」と誤解されることが多く、専門病院への受診を躊躇されるケースもみられます。 また発症時刻がはっきりとわからない場合では、発見から早急に病院へ搬送してもt-PA療法の適応とならないことがありました。しかし2019年3月より、頭部MRI検査で「発症からあまり経過していない可能性が高い」という所見がみられる場合には、t-PA療法を検討できるようになりました。 そして、脳卒中専門の病棟であるSCU(脳卒中ケアユニット)で従来使用される薬を用いた治療や急性期のリハビリテーションを積極的に行うことで、発症後4.5時間を過ぎて来院された患者さんでも良い治療効果が現れることも少なくないので時間にかかわらず専門施設でしっかりとした初期治療を始めることが重要です。 脳梗塞の再発予防 一度脳梗塞を起こすと再発しやすい傾向があり注意が必要です。統計的には脳梗塞発症後1年で10%、5年で35%、10年で50%もの人が再発しています。 そこで、脳卒中の再発を予防するには、まず生活習慣の改善を行うことです。脳卒中の危険因子とされている高血圧や喫煙、多量の飲酒、糖尿病、肥満、運動不足などは脳卒中の発症の危険性が高まります。 医師、薬剤師、栄養士など専門職の指導に従い、規則正しい生活や禁煙、減塩や減量に取り組みましょう。 また再発予防として、抗血栓薬を処方されることがあります。脳卒中の原因によって処方される薬剤は違い、心臓が原因で発症した心原性脳塞栓症には抗凝固薬が、心臓以外の原因(血管由来)の非心原性脳梗塞には抗血小板薬が使用されます。 ①具体的な再発予防~危険因子のコントロール~ 脳卒中の危険因子は、再発の危険因子でもあります。過去に一度脳卒中を発症しているということは、すでに危険因子があるということなので、十分注意をしましょう。 脳卒中の危険因子は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、多量飲酒、肥満、喫煙、運動不足などです。これらを予防し、さらにコントロールしていくことが再発予防につながりますので、以下のようなことを心がけましょう。 禁煙 文字通りタバコを止めましょう 塩分の取り過ぎを控える 成人男性8g未満、女性7g未満で高血圧患者では6g未満 減量 標準体重を知ってダイエットを行う 食事に気を付ける 毎日5種類以上の野菜(350g/日以上)、魚、果物の摂取 減塩、低カロリー、低コレステロール入浴 節酒 アルコール換算20g程度(日本酒1合程度)に抑える 既往症に注意する 高血圧、脂質異常症、糖尿病、心臓病などがある場合には適切に治療する 運動 適度な運動を行う、ストレスや疲労をやめない 定期健診 定期的に健診を受け、血圧、コレステロール、中性脂肪、血糖などをチェックする 水分を取る 脱水症状にも注意 ②具体的な再発予防~定期的な検査~ 脳梗塞が治まった後も年に1回程度専門病院へ行き、検査を受けることが重要です。CT、MRIの他に頸部の血管を検査する頚動脈エコーも脳梗塞再発予防には有用です。 ③具体的な再発予防~服薬継続~ 再発予防のためには、処方された薬をきちんと服用することも大切です。主治医の指示に従って、正しく継続して服用しましょう。なお、服用中に副作用が現れるなど気になることがある場合は、すぐに相談しましょう。 まとめ・脳卒中の3つの症状と治療法!脳梗塞の再発を予防するコントロール方法 脳卒中の治療には、手術・点滴・内服薬などがあります。 これらの中で内服薬な自分で管理をする必要があります。ところが、処方された量を決められた日数できちんと飲みきる人は意外と多くありません。実際のところ、薬を飲み残してしまう理由の大半は単なる飲み忘れです。 服薬カレンダーの使用や一包化するといった工夫で、その時間帯に服用すべきお薬を選ぶのは容易ですが、定刻に服薬することを思い出すことは、高齢者にとっては難しい面もあります。 定刻に服薬することを思い出すためには、お知らせ機能付きのピルケースやスマートフォン・携帯を利用してアラームや通知を設定し、飲み忘れを防ぎましょう。 以上、脳卒中の3つの症状とそれぞれの治療法、再発を予防する具体的なコントロール方法について解説にしました。参考にしていただければ幸いです。 ▼脳卒中の後遺症|脳卒中の最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脳卒中の先端治療法として脚光を浴びています ▼以下のご覧いただけます 脳卒中の治療!リハビリについての予後予測 1.くも膜下出血とは?その症状と後遺症を医師が徹底解説! 2.脳梗塞になりやすい人とは?発症や再発予防で注意しておくべきこと 3.脳出血の初期症状をセルフチェック!早期治療で後遺症を残さない
2021.12.21 -
- 脳卒中
- 頭部
二木の予後予測って何? 脳卒中のリハビリの見通しはどうやって立てる? 脳卒中を発症した家族を支えるのは、大きな不安と向き合う日々の連続です。「どのくらい回復するのか」「いつ自立できるのか」など、先が見えない状況に戸惑う方も多いでしょう。 そのようなときに役立つのが「二木の早期自立度予測基準」です。 本記事では、入院時・発症2週・1カ月時点での予後予測の具体的な活用方法を解説します。 予後を知ることで、リハビリ計画が立てやすくなりますので、ぜひ最後までご覧ください。 また、当院「リペアセルクリニック」では手術や入院を必要としない「再生医療」を提供しています。 脳卒中の後遺症治療にも効果が期待できますので、「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 二木の予後予測(早期自立度予測基準)とは? 脳卒中後の回復を予測する「二木の早期自立度予測基準」は、リハビリ計画を立てる際に重要な指標です。 入院時・発症2週・1カ月時点で回復の見込みを段階的に予測し、患者の自立度を評価します。 予測時期 評価項目 目的 入院時 運動機能、意識レベル、嚥下機能 初期の回復見込みを判断する 発症2週時 運動機能、日常動作、コミュニケーション リハビリの強度や内容を調整する 発症1カ月時 歩行能力、手足の動き、日常生活動作 退院後の生活計画を立てる 本章では、それぞれの時期における予測のポイントを解説します。内容を参考に、リハビリを進めるうえでの指針を明確にしましょう。 入院時の予測 入院時の予測では、発症から入院後できるだけ早い段階で、患者さんの状態を評価して行う予測です。 具体的には年齢、麻痺の程度、そして日常生活動作(ADL)の3つの要素から総合的に判断します。 入院時のADL能力 歩行能力予測 ベッド上の生活自立(※1) 歩行自立(大部分が屋外歩行可能で、かつ1カ月以内に屋内歩行自立) 基礎的ADL(※2)のうち2項目目以上実行 歩行自立(大部分が屋外歩行かつ、2カ月以内に歩行自立) 運動障害軽度(※3) 発症前の自立度が屋内歩行以下かつ運動障害重度(※4)かつ60歳以上 自立歩行不能(大部分が全介助) Ⅱ桁以上の意識障害かつ運動障害重度(※4)かつ70歳以上 ※1:介助なしでベッド上での起坐・座位保持が可能 ※2:基礎的ADL=食事、尿意の訴え、寝返り ※3:Brunnstorm stage4以上(麻痺側下肢伸展挙上可能) ※4:Brunnstorm stage3以下(麻痺側下肢伸展挙上不能) 発症2週時での予測 脳卒中の発症から2週間が経過すると、ある程度の回復が見られるようになり、この時点で再度、患者さんの状態を評価し予後予測を行います。 具体的には麻痺の程度、日常生活動作などを総合的に判断します。 発症2週時でのADL 歩行能力予測 ベッド上生活自立(※1) 歩行自立(かつその大部分が屋外歩行、かつ大部分が2カ月以内に歩行自立) 基礎的ADL(※2)3項とも介助かつ、60歳以上 自立歩行不能(かつ、大部分が全介助) Ⅱ桁以上の遷延性意識障害、重度の認知症、夜間せん妄を伴った中程度の認知症があり、かつ60歳以上 ※1:介助なしでベッド上での起坐・座位保持が可能 ※2:基礎的ADL=食事、尿意の訴え、寝返り 発症1カ月時の予測 発症から1カ月が経過すると、多くの患者さんで症状が安定してきますので、この時点で、より詳細な評価を行い最終的な予後予測を行います。 具体的には麻痺の程度、日常生活動作、認知機能などを総合的に判断材料とします。 発症1カ月でのADL 歩行能力予測 ベッド上生活自立(※1) 歩行自立(かつ、その大部分が屋外歩行、3カ月以内に歩行自立) 基礎的ADL(※2)の実行が1項目以下かつ、60歳以上 自立歩行不能(かつ、大部分が全介助) Ⅱ桁以上の遷延性意識障害、重度の認知症、両側障害、高度心疾患などがあり、かつ60歳以上 ※1:介助なしでベッド上での起坐・座位保持が可能 ※2:基礎的ADL=食事、尿意の訴え、寝返り 以下の記事では、脳卒中後のリハビリ方法について詳しく解説していますので、興味がある方はぜひご覧ください。 【脳卒中】予後予測に基づくリハビリが重要な理由 脳卒中の発症後、予後予測に基づくリハビリが重要な理由は以下の2つです。 リハビリ計画を立てる上で目標設定に役立つ 患者や家族が将来の見通しを知り安心できる 本章を参考に、二木の予後予測への理解を深めましょう。 リハビリ計画を立てる上で目標設定に役立つ リハビリには、明確な目標設定が欠かせません。 予後予測の活用によって回復見込みを把握し、段階的なリハビリ計画を立てられます。 無理のない範囲で適切な目標設定をしておくと、リハビリへのモチベーションも維持しやすくなります。 たとえば、発症2週時点での評価をもとに、どの程度歩行訓練を進めるべきかの判断も可能です。 また、発症1カ月時の予測によって、退院後の生活を見据えた計画も立てやすくなります。 患者や家族が将来の見通しを知り安心できる 予後の見通しがわかることで、患者や家族の不安が軽減されるメリットもあります。 脳卒中の回復には個人差がありますが、二木の予後予測を活用すれば、ある程度の見通しを立てられるためです。 たとえば、1カ月時点の予測をもとに、退院後に自宅でどの程度自立した生活が送れるかを判断できます。 そのため、必要な介護サービスの手配や、住環境の調整もスムーズに進めやすくなります。 予後を知ることで、家族も適切なサポートができるようになり、患者の自立を支える大きな力となるでしょう。 脳卒中の種類と原因については以下の記事で解説しています。予防するための注意点もチェックできますので、ぜひ参考にしてください。 脳卒中の予後は損傷部位や大きさによって変わる 脳卒中の回復度合いは、損傷した部位や病変の大きさによって大きく異なります。 同じ規模の脳卒中でも、損傷部位によって運動機能の回復が難しい場合や、逆に予後が良好なケースもあります。 本章では以下3つの損傷部位・損傷の大きさに分けて、予後への影響を解説します。 損傷が小さくても予後が不良な部位 損傷の大きさに比例して運動予後が決まる部位 損傷が大きくても運動予後が比較的良好な部位 本章の内容を、自分やご家族の予後をイメージするのにお役立てください。 損傷が小さくても予後が不良な部位 損傷が小さくても予後が不良な部位には以下が挙げられます。 放線冠(中大脳動脈穿通枝領域)の梗塞 内包後脚 脳幹(中脳・橋・延髄前方病巣) 視床(後外側の病巣で深部関節位置覚脱失のもの) 上記のような部位で脳梗塞が起こると、わずかな損傷でも機能低下を引き起こしやすいのが特徴です。 とくに内包や脳幹といった重要な神経経路を含む部位では、小さな病変でも運動機能に深刻な影響を与えます。(文献1)(文献2) 手足の動きや歩行能力が低下する可能性があるため、わずかな損傷でも機能回復が難しくなりやすいのです。 リハビリでは損傷部位に応じた適切なアプローチが求められます。 麻痺が強く残る可能性がある場合でも、適切なリハビリの継続によって、日常生活での自立度を向上させる可能性もあります。 損傷の大きさに比例して運動予後が決まる部位 病巣の大きさと比例して、運動予後がおおよそ決まるものは以下のとおりです。 被殻出血 視床出血 前頭葉皮質下出血 中大脳動脈前方枝を含む梗塞 前大脳動脈領域の梗塞 脳の大部分では、損傷の大きさが予後に直結します。損傷が大きいほど回復には長期間のリハビリが必要になる傾向があります。 適切な訓練を継続すれば、少しずつでも機能の回復を促すことが可能です。 無理をせず、損傷状態に合わせたプログラムを取り入れていけば、少しずつ日常動作の改善が期待できるでしょう。 損傷が大きくても運動予後が比較的良好な部位 大きい病巣でも運動予後が良好なものは、次のとおりです。 前頭葉前方の梗塞・皮質下出血 中大脳動脈後方の梗塞 後大脳動脈領域の梗塞 頭頂葉後方~後頭葉、側頭葉の皮質下出血 小脳半球に発生した片側性の梗塞・出血 たとえば、大脳皮質の非優位半球に損傷がある場合、もう一方の半球が機能を代償しやすいため、運動機能の回復が比較的良好な傾向にあります。 このような代償機能を「脳の可塑性(かそせい)」といいます。可塑性によって損傷が大きくても回復が進むケースがあるのです。 ただし、脳の可塑性を活用して回復を促すには、早期からの適切なリハビリが重要です。適切なトレーニングの継続で、日常生活に必要な動作を取り戻せる可能性があります。(文献3) 脳卒中の症状や治療法については、以下の記事でわかりやすくまとめていますので、ぜひご確認ください。 二木の予後予測の注意点は? 二木の予後予測は、脳卒中リハビリにおける有益な指標ですが、以下の点には注意が必要です。 あくまで予測であることを理解する 過信しすぎない 本章では、予後予測に関するそれぞれのポイントをわかりやすく解説します。 あくまで予測であることを理解する 二木の予後予測は、過去のデータに基づいて統計的に算出されたものです。 しかし実際の予後は個人差があり、予測よりも回復が早かったり、遅かったりするケースもあります。状態や置かれている環境によって、回復の度合いは大きく異なる可能性があるでしょう。 そのため、予後予測はあくまでも参考程度にとどめ、過度な期待や不安を抱かないように注意してください。 過信しすぎない 二木の予後予測の内容を過信しすぎないことも大切です。 予後が良いと予測されていても、積極的なリハビリテーションを行わなければ十分な回復を得られない可能性があります。 一方、予後が悪いと予測された場合でも、諦めずにリハビリを続けていれば状態が改善するケースもあります。 予後予測の結果を過信しすぎず、医師や専門家の指示のもと、適切なリハビリテーションを行いましょう。 まとめ|脳卒中のリハビリには二木の予後予測を取り入れよう 脳卒中の回復には、適切なリハビリ計画が欠かせません。 二木の予後予測の活用により、回復の見通しを立てやすくなり、より効果的なリハビリが可能になります。 入院時・発症2週・1カ月の評価を基に、適切なプランを立てることが重要です。 二木の予後予測を取り入れ、無理のないリハビリを続けて脳卒中後の自立を目指しましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では脳卒中の後遺症にお悩みの方へ、手術や入院の必要がない「再生医療」を提供しています。 まずはお気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 二木の予後予測に関するよくある質問 脳卒中の回復期はどれくらいの期間ですか? 脳卒中の回復期は、一般的に発症後1カ月〜6カ月程度と言われています。(文献4) この時期は、集中的なリハビリテーションによって、機能回復が期待できる大切な時期です。 しかし、回復の度合いは個人差が大きく、損傷部位や程度、年齢、合併症の有無などによって大きく異なります。 リハビリにおける予後予測とは何ですか? リハビリにおける予後予測とは、患者さんの状態や検査結果などを基に、リハビリテーションによってどれくらい回復が見込まれるのかを予測する指標です。 予後予測は、リハビリテーションの目標設定や計画立案、患者本人や家族への説明にも役立ちます。 ただし、予後予測はあくまでも予測であり、実際の回復状況とは異なる場合がある点も理解しておく必要があります。 参考文献 (文献1) 生理学研究所「脳卒中後のリハビリによる運動機能の回復には、脳幹を介した複数の回路が協力して関わる」 https://www.nips.ac.jp/release/2019/09/post_399.html (文献2) Chen CL, et al. (2000). Brain lesion size and location: effects on motor recovery and functional outcome in stroke patients. Arch Phys Med Rehabil, 81(4), pp.447-452. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10768534/(最終アクセス:2025年2月28日) (文献3) 角田 亘「脳卒中リハビリテーションの今後|臨床神経学(60巻,3号) https://www.jstage.jst.go.jp/article/clinicalneurol/60/3/60_cn-001399/_article/-char/ja/#article-overiew-abstract-wrap
2021.12.21 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
変形性膝関節症に悩むスポーツ選手へ、復帰を目指すための最新の治療法について スポーツ時に膝に痛みを感じたことがある方は多いのではないのでしょうか。 スポーツは、ジャンプ動作のほか、急な停止や発進・方向転換をするなどして、膝に大きな衝撃が加わりやすく、膝(半月板や靭帯)を傷めやすいものです。さらにこれまでの研究から、半月板や靭帯を損傷すると、ある病気の起因になることがわかっています。 それが「変形性膝関節症」です。 変形性膝関節症は、軟骨が摩耗することで膝に痛みを感じるほか、関節が変形する疾患です。一般的には50代以降の女性に多く発生しますが、スポーツ選手のように日頃から関節に負担がかかるような過ごし方をしていると、「年齢や性別に関係なく軟骨が磨耗し発症」します。 今回の記事では「変形性膝関節症を発症したスポーツ選手が、どのようにスポーツ復帰を目指すのか」最新の情報を含め、変形性膝関節症に悩むスポーツ選手に、復帰を目指していただけるよう最新の治療法をご紹介してまいりましょう。 膝の負傷|スポーツへ復帰するまでの流れ 負傷してすぐの痛みのある場合は、無理をせず安静にし、保存療法により炎症や痛みを抑えます。痛みのレベルに合わせて、徐々に運動療法を取り入れ、スポーツ復帰を目指していくことになります。 実際のスポーツの動きを取り入れたり、運動強度を上げたりする際の目安は、「日常生活で膝に痛みや支障を感じない状態」程度です。 スポーツ復帰後の最終的なレベルは、膝に痛みが出ない範囲までの運動強度とします。 変形性膝関節症の運動療法で気をつけること スポーツ復帰に向けて運動療法を取り入れる際には、以下のような「膝に負荷のかかる要素」を取り除くことが大切です。 運動療法で気を付けたいこと 1)衝撃の強い運動を避ける 2)軽度な運動からスタートし、徐々に強度を上げる 3)ダイエットをして膝への負担を軽くする 4)インソールを着用する 詳しく解説していきます。 1)膝への衝撃が強い運動は避ける 変形性膝関節症では、してはいけない運動があります。それは、衝撃の強い運動です。 例えば、ジャンプ動作のほか、急な停止や発進・方向転換です。 痛みが緩和されれば運動を再開しますが、その際、衝撃が強い運動は避けるようにしましょう。 2)軽度な運動からスタートし、徐々に強度を上げる たとえ膝に痛みがあったとしても、全く動かさないでいると筋肉や関節が拘縮し、元の運動レベルまで回復するのに時間がかかります。 そのため、ウォーキングやプールでの運動、軽度なストレッチや筋力トレーニングなどからスタートし、徐々に運動強度を上げて本格的にスポーツへの復帰を目指します。 プールでの運動は、浮力が関節への負荷を軽減するので、痛みが強い方にはおすすめです。 3.4)ダイエット/インソールの着用で、膝への負担を軽くする また、膝に負担がかかる原因に、下肢のアライメント異常や、肥満があります。体重が重たいと膝への負担が上がるので、減量することをおすすめします。 また、下肢にO脚変形性を呈する場合は、靴にインソールを装着することで膝の内側にかかる負荷を軽減させたりします。 このように、スポーツへの復帰に向けて運動に取り組む際には、膝に負荷がかかる要素を取り除くことが大切です。 変形性膝関節症は、よくある筋肉痛と違い、痛みを感じたまま放って置いて治るものではありません。痛みに耐えながらスポーツを続けると、状態が悪化し、今後の選手生命が短くなる可能性があります。そのため、スポーツをする頻度や時間、強度は慎重に調整しましょう。 保存療法でも思ったような効果がみられず、軽度な運動でも痛みが強く出てしまう場合、手術という選択肢があります。ただし、手術によってはスポーツに支障が出るため注意が必要です。 変形性膝関節症|一般的な手術と、手術を避ける最新の治療方法 保存療法でも効果がみられなかった場合、観血療法(手術)という選択肢があります。 体への侵襲が低い順に、「関節鏡下視手術」「高位脛骨骨切り術」「人工関節置換術」があります。さらに最新の治療法「再生医療」についてもご紹介していきます。 手術のタイミングや適応される手術方法は、持病の有無・年齢・症状の程度によっても異なります。「大きな手術をしたくない」など個人の思いによっても使い分けられます。 関節鏡下視手術 膝に開けた小さな穴から手術器具を入れ、損傷した半月板や関節軟骨を取り除く手術法です。 体への侵襲は低く、手術は手術時間も 1 時間程度です。 術後すぐに歩くことができることからスポーツへの早期復帰が見込まれます。ただし膝に違和感なく歩けるようになるまで数ヶ月から半年ほどかかります。 高位脛骨骨切り術 脛骨の一部を切り取り、膝にかかる偏った負担を整える手術法です。 変形性膝関節症に多いO脚変形を矯正し、膝関節の内側への負担を軽減させます。 入院期間は2ヶ月程度、そこからリハビリテーションに5〜6週間必要 スポーツへの復帰するまで時間がかかります。 人工関節置換術 金属やチタンなどを使い、傷んだ膝関節を人工の関節に置き換える手術。 入院期間は1ヶ月程度と、高位脛骨骨切り術と比べて短いことが特徴。 関節鏡視下手術や高位脛骨骨切り術と比べ、痛みに対して高い改善度合いが期待できる。 術後は正座のように、膝を深く曲げられなくなる(屈曲制限)。 スポーツ時のパフォーマンスに大きな影響が出る可能性があり復帰には疑問符がつきかねません 人工関節に劣化や緩みがみられた場合には再手術になります。 最新療法「再生医療(スポーツのQOLの維持(復帰)に最強)」 再生医療は、運動療法や薬物療法と手術の中間に位置する新たな治療法として注目されています。 再生医療では、人間なら誰もが持つ「傷んだ部位を治そうとする働き」を利用した最新の治療法で、損傷した部位の治癒を促進させるほか、これまで不可能とされてきた軟骨や靭帯、半月板の再生が期待できます。 大きな手術や入院は必要なく、日帰りで行える、体への侵襲が最も低い治療法です。手術には選手生命に関わるような合併症のリスクがありますが、再生医療では自分の血液や脂肪由来の幹細胞を使うため、副作用のリスクはほとんどなく、スポール選手にとって最も理想的な治療方法といえるものです。 PRP療法と幹細胞治療について、以下で詳しく解説していきます。 1.PRP(血小板血漿)療法 損傷部位の修復を早める血小板や成長因子を利用し、膝の痛みや炎症を抑え、傷んだ部位の治癒を促進させます。 治療の流れとしては、遠心分離機にて血漿成分を抽出し、関節内に注射するだけと日帰りで行えます。 アメリカではスポーツ選手を中心に実施され、現在では一般の方々への治療法としても広く導入されています。 2.自己脂肪由来「幹細胞治療」 培養した幹細胞を膝に注射し、磨耗した軟骨・靭帯・半月板を再生させます。 幹細胞には内蔵や皮膚・筋肉など、さまざまな細胞に分化(変化)する能力があります。 米2つぶほどの脂肪を採取後、4〜6週間かけて幹細胞を培養・増殖し、関節内へ注射します。 PRP療法同様に日帰りで、痛みもほとんど伴わない治療法です。 >幹細胞治療をもっと詳しく https://youtu.be/va9s3tWdgq8?si=wPsHJZLVdU-ibJGy ▲当院の症例をご紹介。「半月板損傷」と「変形性膝関節症」が同時発症!マラソンが趣味の患者様。 まとめ・変形性膝関節症に悩むスポーツ選手へ、復帰を目指すための最新の治療法について 変形性膝関節症のスポーツ選手が、現場復帰を目指すにあたり重要なのは見極めです。膝に強い痛みを感じたまま運動をすると悪化する可能性がありますが、痛みから膝を全く動かさないのもまた問題です。膝がどのような状態なのかを見極めて、それに適した治療を施すことが、早期のスポーツ復帰につながるほか、選手生命の長期化になります。 運動療法などの保存療法でも効果がみられなければ、手術がありますが、スポーツからの離脱期間が発生したり、可動域が制限されたりするなど、パフォーマンスに影響が出ます。またスポーツ選手は絶えず膝に負荷がかかる生活を送ることから、手術をするのかどうかの判断は難しいところです。 そうした事情から、「湿布や運動療法では効果がみられなかったけど、手術は避けたい」方には、保存療法と観血療法の中間に位置する「再生医療」があります。 体に大きな負担をかけず、入院や手術の必要のない新たな治療法として期待されるほか、変形性膝関節症の初期から治療に取り組むことで、悪化を防ぎ、パフォーマンスをあげ、少しでも長く選手生活を続けられる可能性が広がりました。悩んでいる方は、まずは一度ご相談をされみることをおすすめします。 以上、変形性膝関節症を発症したスポーツ選手が復帰を目指すために取り組むための治療法について解説いたしました。 当院は再生医療専門のクリニックです。お力になることができれば幸いです。 詳しくは無料相談をご利用ください。 ▼ スポーツの故障は再生医療が大きな力になる節症を治療する 変形性膝関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼こちらもご参照ください 変形性膝関節症の発症原因!運動、スポーツで注意すべきこと
2021.12.20 -
- 肘関節
- 関節リウマチ
- ひざ関節
- 股関節
- 肩関節
- 手部
- 足部
人工関節の手術を受ける場合に知っておくべき安全性と危険性を解説 股関節、膝関節、肘関節、指関節、足関節における関節疾患の多くは比較的ゆっくりと症状が進行するため、本人は症状に苦しんでいるにもかかわらず、ただ単に年齢によるものというだけで見過ごされてしまうことが往々にしてあります。 ところが、知らず知らずのうちに病気の進行が悪化してしまうと、関節患部に強い痛みや熱感を自覚して、日常生活において歩く、座る、投げる、持つ、立つなどの基本的な動作能力が低下して必要な動きが制限されてくる恐れがあることをご存知でしょうか。 このような関節の症状が出たのちに、保存療法等、種々の治療を繰り返しても元には戻りにくく、徐々に症状は進行します。そして、最終的に提案されるのが手術療法になります。 人工関節置換術 この手術が「人工関節置換術」として知られているものです。この手術は、読んで字のごとく、疾患によって悪くなって異常がある関節部分を取り除いたのちに、人工の関節に置き換える手術です。 例えば変形性膝関節症や、関節リウマチなど膝関節疾患を治療する際には、その代表的な手術療法のひとつとして人工膝関節置換術が挙げられるという具合です。 人工関節の置換術が可能な部位は膝関節や股関節、肩関節、手関節、手指関節、足関節、肘関節となっていて、置換える人工関節そのものも年々進歩しています。 材料的には主としてチタン合金、コバルトクロム合金、セラミック、ポリエチレンなどで構成されています。 人工関節置換術は、関節の疾患がもとになって起こっている疼痛の原因となっている部分を取り除くことを主眼としているため、他の治療法と違って、患者さんの慢性的症状である痛みを和らげる効果を期待するものです。 そこで今回は、そのような人工関節の手術に関して知っておきたい安全性と危険性について解説したいと思います。 人工関節置換術 治療可能部位 材料 膝関節や股関節、肩関節、手関節、手指関節、足関節、肘関節 チタン合金、コバルトクロム合金、セラミック、ポリエチレン 人工関節の手術|安全性について 人工関節置換術という手術療法は、各種の関節症、例えば変形性関節症や関節リウマチを患われている患者様に対して関節の痛みを緩和して日常生活をより快適に送れる事を目的とする治療手段として普及しています。 今や各種の関節症に対する人口関節置換手術でのアプローチは年間に約20万例前後という件数が報告されるまでになりました。このように比較的メジャーになってきた人工関節の手術は、術式としては確立されていて、置換える人工物の素材も進歩を遂げています。 ただし、手術を安全に確実に実践するためには、当たり前のことながら整形外科の専門医を始めとして、医療従事者の専門性が問われ、人工関節の特性や、軟骨などの組織が破綻するメカニズムに対する知識が不可欠です。 これら関節の再建方法などについて熟知している専門性が大切であり、これまでの経験、知見、熟練の度合いが手術に影響するとされています。 また、人工関節置換術においては、言うまでもありませんが手術そのものの安全性を高く施行するだけでなく、術前や術後における全身管理や、術後の安定した段階で早期に、個人に沿ったリハビリテーションを計画し、適切に行えることが非常に重要です。 これらの人工関節手術を安心して受けるためには、術後の体制、いわゆる人工関節の緩み、異物感染、関節脱臼やインプラント周囲組織の骨折を含めた様々な合併症が起こった際に迅速かつ、確実に対応できる医療体制の存在、あり方が必要不可欠です。 また術後のリハビリテーションに関しては、術前に担当の看護師や理学療法士などのリハビリの専門部門が積極的に患者さんに接触し、術後の早期に状態を見極めながら関節機能を中心とした全身状態の改善を目指さなければなりません。 万が一にもリハビリテーションが予定とは異なり順調に進まない時には、自宅への退院とは別途、リハビリ専門施設へ転院するような連携調整、あるいは自宅退院後の各種生活支援についてメディカルソーシャルワーカーに相談する必要があるでしょう。 このように「人工関節の安全性」は、専門性、術前、術後、リハビリなどをすべて含めて判断すべきだと考えます。 安全性は、総合的に判断 専門医(経験、知見、習熟度) 術前の全身管理 術後の対応、フォロー リハビリ計画 人工関節の手術|危険性について 人工関節置換術は、疼痛症状を緩和して関節の機能の回復を望める手術である一方、関節以外の他手術と同様に一般的なリスクとして、全身麻酔に伴う合併症や、深部静脈血栓症および肺塞栓症の発症、あるいは輸血に関する問題点などがあります。 また、人工物や手術部分の感染、患部周辺の血管や骨組織、神経などの二次的な損傷、あるいは手術中における予測不能なことがが引き起こされる懸念も考えられます。 そして、人工関節手術の術直後においては傷口の疼痛が非常に強いことが懸念されており、関節部の機能回復を阻害するのみならず、手術を受けた患者さんの満足度とも直接的に関連すると言われています。 他にも心配なのは、人工関節の耐久性です。人工物ですので永久に使えるものではないからです。いつまで使えるかということに関しては、患者さん自身の生活背景などの使い方にもよりますが概ね15年前後であると考えられています。 人生100歳時代の現代、耐久性という面から、将来に人工関節を入れかえるため、再手術の可能性があることを知っておくべきです。その際は、年齢的にも術式的にも、あらゆる面で最初より、難しさがが増す可能性があります。 従来、人工関節置換術は、およそ60歳以上の高齢者を中心に適応がある手術とされてきましたが、近年では個々の価値観やクオリティ・オブ・ライフ/QOL(*)が尊重される時代となり、2回目の手術を勘案して50歳前後でもより快適な人生を過ごすために本手術を選択される方もいらっしゃいます。 (*)QOL/生活の質や人生の質などのこと 治療を受ける患者さんの肉体的なことはもちろん、精神的なことや社会的、そして経済的など、すべてを含んだ生活の質を指す言葉です。 今回の場合では手術そのものや、その後の副作用などでリハビリを行っても手術前と同じようには生活できなくなる危険性あります。 そのことを理解した上で手術の利点と危険性に関して医師とよく相談し、リハビリも含めた治療内容全般にわたって理解するようにしましょう。そして、家族や周りの理解や、協力を得られるよう相談し、慎重に決定されることをお勧めします。 最後に手術を選択した場合の入院期間について、概ね1か月は最低必要で、年齢的なものや、術後の状態により2か月~必要な場合もあるため、日程的な融通が必要な手術です。 今回は、人工関節への置換手術について不安を感じておられる方への術前のアドバイスとして記してまいりましたが、治療法としては、「再生医療」という先端医療分野があることも知っておきましょう。 その特徴は、手術も入院も不要という治療方法で自分の自己治癒力を引き出す最先端医療です。興味がある方は、お問い合わせください。いずれにしましても先生と話し合って、聞きたいことを聞き、納得して進んでください。 まとめ・人工関節の手術で知っておくべき安全性と危険性 股関節や膝関節は、下半身の体重を支えながら日常生活で立つ、歩くなどの基本的動作を実践するうえで極めて重要な関節です。肩関節や肘関節が障害を受けると荷物が持てないなど非常に支障をきたして日常生活が大変不便になります。 その意味でも日々の健康を保ち快適な暮らしを送り続けるためにも、関節に負担の少ない優しい生活を過ごすように意識しましょう。 仮に関節症の疾患で、人工関節置換術を勧められた場合は、選択肢としてこちらの記事で記したような将来の再手術の可能性、手術そのものの危険性や、入院期間が長くなるといった手術であること知ったうえで臨んでください。 リスクは、どのような手術であっても伴うものです。ただ、上手くいけば関節の痛みが緩和されて、関節の機能が元通りに再生されるのみならず、普段の歩き方や、身体のバランスを整備することが可能な治療法です。 これからの時代、健康寿命を延伸して自分らしい快適な生活を営むためにも、関節疾患は、放置することなく、治療方法について整形外科の専門医もしくは専門院を受診して相談されるこをお勧めします。 安全性 術式としては確立 多様な部位に対応 素材の進歩 危険性/リスクを理解 クオリティ オブ ライフ 専門医の相談、納得感 家族の理解、支え 人工関節の耐久性 → 年齢から再手術の可能性を念頭に 長期入院 → 1か月~2か月 リハビリ → 長期計画 手術としての危険性(合併症、その他) 手術部位の疼痛 以上、人工関節手術に関する安全性と危険性について記しました。今回の記事、情報が少しでも参考になれば幸いです。
2021.12.20 -
- 糖尿病
- 内科疾患
糖尿病1型と2型の違いと治療法を詳しくご説明 厚生労働省は2020年12月に「令和元年・国民健康、栄養調査」なる報告書を発表し、2019年時点で、20歳以上のうち糖尿病が強く疑われる人は何と1,196万人、可能性を否定できない人が1,055万人もいることが分かりました。 しかし、一口に「糖尿病」といっても「1型と2型」の2つに分かれることをご存知でしょうか。今回は、糖尿病について詳しく理解するために、「1型糖尿病と、2型糖尿病」の違いについて詳しく解説します。 20歳以上のうち糖尿病が強く疑われる人は1,196万人 可能性を否定できない人が1,055万人 1型と2型に分かれる 1型糖尿病とは 1型糖尿病は、膵臓のランゲルハンス島という部分にあるβ細胞が壊され、その結果、血糖を下げる役割があるインスリンを作り出せずに高血糖の状態が続く疾患です。 割合は糖尿病全体の約5%と少なく、若い人を中心に幅広い年齢で発症します。 1型糖尿病の原因 1型糖尿病でなぜβ細胞が壊れるのかは現時点では判明していませんが、免疫反応が正しく働かず、自分の細胞にもかかわらず、外部から侵入しようとしてきた細菌・ウイルスなどの有害物質などと間違って攻撃してしまう、自己免疫反応がかかわっていると考えられています。 そのため、生活習慣病が大きな原因である2型糖尿病とは異なり、注射によってインスリンを補う必要があります。 1型糖尿病の種類 β細胞の破壊は一般的には進行性で、病気が進行すると、ほとんどインスリンを出せなくなります。1型糖尿病は、β細胞が破壊される進行スピードによって、下記のように分類します。 劇症1型糖尿病 発症から1週間程度でインスリン依存状態になるタイプです。そのため、すぐにインスリンを補充しなければ、糖尿病の急性合併症である「糖尿病ケトアシドーシス」となり重症になる可能性があります。 急性発症1糖尿病 1型糖尿病で最も頻度の高いタイプで、糖尿病の症状が出てから数ヶ月でインスリン依存状態になります。 人によっては、発症したすぐ後であれば、一時的に残っている自己のインスリン効果がある場合もありますが、長続きせず、その後は再びインスリン治療が必要です。 緩徐進行(かんじょしんこう)1型糖尿病 半年~数年と比較的ゆっくりとインスリン分泌が低下していくタイプです。発症した最初は、2型糖尿病と同じようにインスリン注射を使わなくても血糖値を抑えることができます。 しかし、途中で血液検査の結果から、実は緩徐進行1型糖尿病だったと判明する場合が多くあります。 1型糖尿病の治療方法 1型糖尿病は、原則としてインスリン療法が必要です。また原因として、生活習慣の乱れということはありませんが、薬物療法だけでは、重度の低血糖になる可能性があるため、2型糖尿病と同じように食事・運動習慣に注意します。 1糖尿病の食事療法 基本的に食べてはいけない物はありません。1人ずつ生活スタイル・インスリン治療法が違うため、普段の食事方法ついては、主治医・管理栄養士としっかり話し合うことが重要です。また、炭水化物は食後の血糖値の上昇に大きくかかわります。 そのため、炭水化物を調整する方法である「カーボ(炭水化物)カウント」をおこない、食事の炭水化物量に合わせてインスリンの量を調節する。もしくは、インスリン治療に合わせて食事の炭水化物の量を調節すると血糖値が安定しやすくなります。 1型糖尿病の運動療法 重い合併症がなく、血糖値が落ち着いていれば、運動の制限はありません。実際に、プロの運動選手も存在します。しかし、運動する際は、低血糖に注意が必要なため、インスリン療法や補食を調整します。 どのような方法が推奨されるかは、1人ずつ異なるため、主治医の先生と相談して決めることが重要です。 2型糖尿病とは 2型糖尿病は、糖尿病の中で最も多いタイプとなり、一般的に糖尿病というと2型糖尿病をあらわします。原因としては、遺伝的な原因によるインスリンを作る能力の低下と、生活習慣の乱れから膵臓のインスリンを作り出す量が少なくなり、高血糖の状態が続く疾患です。 2型糖尿病の原因 2型糖尿病と聞くと、年齢的に中高年以上の人で、食生活の乱れ・運動不足などのように生活習慣の乱れが原因と多くの人が思われます。もちろん、生活習慣の乱れもありますが、決してそれだけが原因でなく、遺伝性による場合も多々あります。 そのため、「空腹感やのどの渇きがひどくなる」「頻繁にトイレへ行きたくなる」「目がかすむ」など糖尿病の初期症状があり、家族の中に糖尿病の人がいる場合はすぐに検査することが重要です。 2型糖尿病の食事療法 食事はバランス良く栄養素を摂取することが重要です。詳しく解説すると、糖質の多い食材を摂り過ぎない、主食・主菜・副菜の3品をそろえるなど工夫するとともに、食事は「ゆっくり・しっかり噛んで食べる」 「夜遅い時間の食事は控える」など食習慣にも注意します。 また、1日の適切なカロリーを把握することも重要です。適切なカロリー摂取量は年齢・性別などによってそれぞれ異なり、下記の式で算出できます。 適切なカロリー摂取量=標準体重(kg)×身体活動量 計算例) 上記から「身長160cm 軽労働」の場合は次の計算式になります。 1.6×1.6×22=56.3kg(標準体重) 56.3×25~30=1407~1689kcal/日(適切なカロリー摂取量) 計算から得られたエネルギー量に対し、以下の割合で摂ることが目安です。 50~60%:炭水化物 15~20%:たんぱく質 20~25%:脂質 2型糖尿病の運動療 運動療法は、体重を減らす効果・心肺機能の改善・筋肉増強だけでなく、血糖値の改善・インスリン作り出す能力の改善にも効果があります。 特に2型糖尿病の人には、食事療法と運動療法を組み合わせることで、血糖コントロールが改善すると知られています。 運動の種類には、大きく有酸素運動とレジスタンス運動にわかれますが、糖尿病への運動療法はダンベルなどを使用して筋肉に負荷をかけるレジスタンス運動より、歩行やジョギング、水泳などの全身運動にあたる有酸素運動のほうがインスリンの働きがよくなるため適した運動です。 運動の目標として、1日20~60分程度の運動をできれば毎日、もしくは少なくとも週に3回はおこない、1週間で150分以上運動することが推奨です。 また、可能であれば、週に2~3回程度、有酸素運動とともにレジスタンス運動を同時におこなうとより効果的です。 まとめ・糖尿病1型と2型の違いと治療法を詳しくご説明 糖尿病は、日本でも多くの人々が悩みを抱えている病気です。糖尿病は1型と、2型にわかれますが、それぞれ原因が異なります。 この記事では、1型糖尿病と2型糖尿病の違いと、それぞれの治療法について詳しく解説しました。 まず、1型糖尿病は、膵臓のβ細胞が壊れてインスリンを生成できなくなる疾患です。免疫反応が関与し、インスリン補充が必要となります。また、急性発症型や緩徐進行型などがあります。 また、2型糖尿病は、生活習慣の乱れや遺伝的要因により、膵臓のインスリン分泌が低下する疾患です。食事療法や運動療法が治療法の中心であり、体重管理や適切な運動が重要です。 どちらも共通していることは食事療法・運動療法は非常に重要な治療方法であることです。 適切な食事と運動を組み合わせることで、血糖値のコントロールが改善され、糖尿病の進行を遅らせることができます。いずれいしても信頼できる主治医との相談や定期的な健康診断は欠かせません。生活習慣の見直しや早期の対応が糖尿病による合併症のリスクを軽減することにつながります。 今までどんな食事や運動をしたらいいのか悩んでいた人がいれば、今回の記事を参考に自分の生活リズムに合わせて行うことが重要であるとご理解いただければと思います。 ▼ 再生医療で糖尿病を治療する 糖尿病は、再生医療による幹細胞治療で改善できる ▼糖尿病についてさらに詳しく 糖尿病の初期症状を知る!自覚症状、身体のサインを見落とさないで!
2021.12.18 -
- 股関節
- 変形性股関節症
変形性股関節症|股関節の負担が大きな「立ち上がり動作」で注意したいこと 変形性股関節症を発症すると、軟骨のすり減りや骨の変形を防ぐため、できるだけ股関節に負担を掛けないようにする必要があります。 特に、変形性股関節症の日常生活で気をつけて欲しい動作として、「立ち上がり動作」があります。今回は、変形性股関節症を発症した場合に、なぜ「立ち上がり動作に気をつけるべきなのか」について、その理由を解説します。 変形性股関節症とは 変形性股関節症とは、股関節にある軟骨が「すり減り」、骨の変形によって「股関節の隙間」が減ることで、骨同士が直接すれ合うことで痛みを感じる病気です。 軟骨のすり減りや、骨が変形するような股関節の摩耗は、多くの場合、加齢が中心ですが、実はそれ以外にも日常動作や、激しいスポーツでの負担が原因となっている場合があります。 いずれの理由であっても一旦、軟骨のすり減りや、骨が変形し、組織が損傷してしまうと元通りの状態に治すのは、非常に難しくなります。 変形性股関節症を発症後の「立ち上がり動作」は、股関節の屈曲による負担がかかる上、体重もかかってしまうため、「股関節にとっては大きな負担」になりやすい動作となります。 そのため、変形性股関節症は、可能な限り股関節に負担がかからないように過ごすことを意識し、進行を遅らせる努力が必要になります。 その意味で立ち上がり動作には特に特に気をつけなければなりません。変形性股関節症で股関節の負担に関わる「立ち上がり動作」で気を付けたいことを記してまいります 立ち上がり動作しだいで症状が悪化しかねない 変形性股関節症は、股関節を使用することで症状が進む病気です。しかも、立ち上がり動作は股関節に大きな負担がかかる動作です。股関節は、歩くときにはもちろん、立っているだけでも負担がかかります。 前傾した姿勢や、しゃがみこんだ姿勢から立つような「立ち上がり動作」をするときには、大きな動きをしていないつもりでも自分自身の体重そのものが股関節に負荷を与えることになるため、どうしても痛みを伴います。 立ち上がり動作を繰り返すと痛みが出る 初期の変形性股関節症では、痛みを感じない場合が多くあります。 初期のころは、痛みがないだけに不用意に股関節に負荷をかけがちとなり、注意が必要です。股関節への負担が日常的に続くと軟骨のすり減りが進むことになります。股関節の摩耗や疲弊が進むと期せずして歩行時、立ち上がり時に徐々に痛みが出るようになります。 このように変形性股関節症を発症後、頻繁に「立ち上がり動作」を繰り返すと、関節の摩耗や疲弊が進み、症状が進行して痛みを強く感じるようになります。さらに症状が進行すると安静にしていても痛みを感じたり、就寝時にも痛みで目が覚め、眠れなくなってしまうこともあります。 股関節以外(腰や膝)にも負担がかかります 注意したいのは、変形性股関節症の人が「立ち上がり動作」を行うと、どうしても股関節をかばってしまうため腰や、膝にも負担がかかり、時間とともに「腰の痛み」や、「膝の痛み」に繋がる可能性があります。 負担の少ない「立ち上がり動作」をするために 変形性股関節症を発症した場合でも、できるだけ症状の進行は抑えたいものです。そのためには、日常の過ごし方はがとても大切になります。 生活様式を洋式に変える 立ち上がり動作が股関節に負担になる…とはいっても、症状によっては、まだ痛みが少なく、痛みなしに立ち上がることができる場合があるかもしれません。それでも症状は徐々に進行していきます。 注意が必要とはいえ、日常生活で立ち上がり動作を一切しないことは難しいと思います。そのようなときには、生活自体を変更してく必要性があります。 例えば床に布団を敷くことはやめてベッドにする。トイレが和式であるなら洋式に変更する。畳に座っているなら椅子にする。食事もテーブルで行う。玄関には椅子を置くなど、生活様式そのものを徹底して、洋風に変えたり、しゃがむ動作を無くしていく工夫が大切です。 そうすることで、変形性股関節症であっても日常生活上で立ち上がる動作を減らすことが可能になります。 生活様式を変える/生活を洋風にするイメージ 布団をやめてベットにする トイレを和式から洋式にする 畳から椅子にする 低いテーブルから、椅子に座って使うテーブルにする その他 筋肉をつけるようにする 変形性股関節症で、強い痛みを感じるようになると、ますます歩くことが億劫になり、そうなると股関節周辺の筋力も低下してきます。そもそも股関節は筋肉によってサポートされているため、筋力の低下は、変形性股関節症を悪化させる原因になります。 そのため、負担の少ない適度な運動をおこない、筋力をつける意識を持つことが必要です。 変形性股関節症で立ち上がり動作を繰り返し続けるとどうなる? 立ち上がり動作とは、例えば下記ような日常の動作のことを指します。どれも日常生活でおこなうことが多い動作です。変形性股関節症の人が、このような立ち上がり動作を繰り返し続けるとどうなるのでしょうか。 無理していると 落ちている物を拾う 椅子から立ち上がる トイレに行く 靴ひも結ぶ 靴下を履く・・・ 歩くのも困難になりかねない 変形性股関節症は、初期の場合は痛みを感じない場合もありますが、軟骨のすり減りが進み股関節の隙間がなくなってくると、骨同士が直接こすれあうようになり痛みが出始めます。 股関節は歩く際にも使用されるため、症状の進んだ変形性膝関節症の人は歩くことすら難しくなる可能性があります。 進行すると杖や車いすに移動を頼るようになる 杖を使うことで股関節への負担を軽減することができるため、より早い段階で杖を使うと症状の進行を抑えることができます。 しかし、徐々に変形性股関節症が進むと、歩き始めや歩行時にも痛みを感じるようになり、最終的には歩くことが困難となり、車いすに移動を頼ることになってしまう可能性があります。 変形性股関節症の治療に「再生医療」という選択肢 これまでの変形性股関節症は、損傷した軟骨や骨の変形は二度と元に戻らないため、最終的な治療として今ある関節を人工関節に置換える手術を行うしかありませんでした。 しかし、外科的な手術には抵抗がある、療養期間が長くなることから仕事が忙しいなどの理由で手術を躊躇する。その他、さまざまな理由から手術を受けることができないという人もいます。 また、人工関節を入れる手術をしても、人工関節のメンテナンスのための通院や、最も憂慮すべきは、人工関節の経年劣化による再手術の必要性があるということです。 そこで紹介するのが、「再生医療」です。再生医療とは、自分自身の「幹細胞」や「血小板」を用いて、股関節の修復を促す新しい治療方法です。 自己脂肪由来・幹細胞治療 幹細胞には、さまざまな細胞に変化する能力があり、皮膚や筋肉のほか、軟骨や骨にも変化できる細胞です。この幹細胞の能力を利用して軟骨や骨の変形の修復を促し、痛みの改善を目指すのが、「自己脂肪由来・幹細胞治療」という再生医療です。 PRP療法・再生医療 血液に含まれる血小板にも、組織を修復する能力があります。自分の血液を採取し、血小板を濃縮させたものを損傷した部位へ注入することで、関節組織の修復や再生を促し、痛みの改善を目指すのがPRP再生医療です。 再生医療は、副作用のリスクが少なく、メリットが多い 自己脂肪由来・幹細胞治療、PRP再生医療は、どちらの治療方法も、自分自身の細胞や血液を用いるため、拒絶反応や、アレルギーなどの副作用の心配が少なく、安全性が高く治療期間も短いという特徴があります。 さらに、手術よりも身体的な負担が少なく、手術の時間が取れない、高齢で手術をする体力がない人でも受けられるというメリットがあります。 まとめ・変形性股関節症|股関節の負担が大きい立ち上がり動作に注意 変形性股関節症の人が気をつけるべき「立ち上がり動作」についてご紹介しました。立ち上がり動作は、日常生活をする上で、どうしても必要な動作ですが股関節に負担のかからない方法で動作をおこなう工夫をするなどして、変形性股関節症の進行を遅らせるように意識しましょう。 しかし、工夫して進行を遅らせることは可能であっても、残念ながら症状そのものの進行を止めることはできません。いつしか痛みが強くなり、最終的には安静にしていても痛みを感じるようになるばかりか、移動を車椅子に頼らざるを得なくなることは希ではありません。 このように日常生活に支障をきたすような場合、手術によって人工関節に置換える治療法もありますが近年は、手術を避けて再生医療を選択することも可能になりました。 以上、変形性股関節症を発症した場合は、立ち上がり動作をはじめ、股関節に負担をかけない意識で生活しましょう。もちろん早期に整形外科をはじめ、病院等にて専門的な治療をお受けになること強くお勧め致します。 尚、既に治療をはじめておられ、その治療では効果を感じづらい、手術を受ける時間がない、できるだけ副作用の心配がない治療を受けたい。そもそも手術は嫌だ!という場合は、「再生医療」も選択肢のひとつとして検討されることをオススメします。 https://youtu.be/isSkwxfHrbI?si=-Q71vVuG9D6rlNPe ▶こちらの動画も是非ご覧ください。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術・入院を避けて改善することが可能です ▼話題/以下もご覧ください 変形性股関節症|農業で発症、やめる!やめない?悪化させないために
2021.12.17 -
- ひざ関節
- 膝の外側の痛み
- 半月板損傷
「半月板断裂と半月板損傷は何が違うの?」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 結論からいえば、2つに明確な違いはないものの、痛み方の特徴や程度によって「損傷」「断裂」と呼び分けている場合があります。 この記事では、半月板断裂と損傷の違いについて、具体的な症状や治療法、リハビリ方法などを医師監修のもと解説します。 適切な対処で膝の健康状態を維持したいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。 また、当院「リペアセルクリニック」では半月板損傷に対する再生医療・幹細胞治療を行っております。 膝の痛みでお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 半月板断裂と損傷の違い 膝の半月板に起きる様々な障害を総称して半月板損傷と呼ぶこともありますが、症状の特徴や痛みの程度によって「半月板損傷」「半月板断裂」と呼び分けるケースもあります。 いずれも主な原因は、加齢による半月板の変性や柔軟性の低下、スポーツなどによる過度な負荷です。 本章を参考に、半月板断裂・損傷に違いがあるのかを知っておきましょう。 半月板損傷(断裂)の症状 半月板損傷(断裂)の症状は、いずれも膝への強い痛みや違和感が特徴です。 原因に大きな差はないものの、損傷の程度によって現れる症状が異なる場合があります。 具体的には以下のような症状があげられます。 診断名 症状の特徴・痛み 半月板断裂 激しい痛み、関節のロック感 半月板損傷 鈍い痛み、違和感 半月板断裂は、強い痛みとともに関節が動かなくなる「ロッキング」が特徴的です。とくに、膝をひねる動作をした際に「バキッ」とした音が鳴ることがあり、その後急激な痛みと腫れを伴います。 一方、断裂まで及ばない半月板損傷では「鈍い痛み」や「違和感」が続く場合が多いです。 初期は動作時に軽い違和感がある程度でも、放置すると損傷が進行するため注意が必要です。軽度のうちは保存療法で回復が見込まれるものの、長期間改善しない場合は手術を検討します。 半月板損傷の痛みや原因については、こちらの記事でも詳しく紹介しているので、ぜひ参考にご覧ください。 半月板損傷(断裂)の原因は「膝への大きな負荷・衝撃」や「加齢」 半月板損傷・断裂はいずれも以下のような原因で起こります。 スポーツや急な動作による膝への負荷 交通事故・転倒などによる膝への急な衝撃 加齢による膝の組織の劣化 半月板損傷や断裂は、サッカーやバスケットボールなど、膝をひねる動作が多い競技でとくに多いけがです。ジャンプの着地や急停止、方向転換を繰り返すと、膝に強いストレスがかかり、半月板がダメージを受けるリスクが高まります。 さらに、交通事故や転倒時など、膝に突然大きな衝撃を受けると、半月板断裂・損傷を起こすこともあるでしょう。 また、年齢とともに半月板の弾力は失われていきます。膝の曲げ伸ばしを繰り返すなど、日常の動作による負荷だけで損傷が起こるケースも少なくありません。 スポーツ前は念入りな準備運動やストレッチを行う、普段から適度な運動で膝周りの筋肉を鍛えるなどを心がけましょう。 半月板損傷の5つの症状(タイプ)とは 半月板損傷は、損傷の形状や部位によって複数のタイプに分類されます。代表的な損傷タイプは以下の5つです。 損傷タイプ 特徴 症状 縦断裂 縦方向に裂け目が入る 引っかかり感や痛み。膝をひねると悪化する 横断裂 横方向に裂ける 鈍い痛みや腫れ。膝の不安定感が出る 円盤状断裂 円盤状の半月板に裂け目ができる コツコツ音や引っかかり感が特徴 フラップ状断裂 裂けた部分が剥がれ、フラップ状になる 膝のロック感や激しい痛み 水平断裂 上下に分断されるように裂ける 鈍い痛みが膝全体に広がり炎症が悪化する 症状を放置すると、進行して治療が困難になる場合がありますので、早期に医師の診断を受けましょう。 半月板断裂と損傷の治療方法の違い 半月板断裂の治療法は、損傷の程度や部位、患者の年齢・活動量などに応じて変わります。 大きく分けて、手術療法と保存療法があります。 半月板断裂の治療方法 半月板断裂の治療方法は、断裂の範囲や症状の重さによって異なります。 軽度の場合は保存療法で回復が見込めますが、重度の場合は手術が必要となるケースもあります。 完全断裂は手術が推奨される場合が多い 半月板が完全に裂けてしまうと、自然治癒は期待できません。関節内に断裂した部分が挟まり、膝が動かしにくくなることもあります。 このような場合、推奨されるのは「縫合術」や「部分切除術」などの手術療法です。 縫合術は、半月板を修復する手術で、若年層やスポーツを続けたい方に適しています。一方、部分切除術は損傷部分を切除し、膝の動きをスムーズにする方法です。 いずれも、術後には筋力を回復させるためのリハビリが必要です。 部分断裂はリハビリや装具での保存療法も選択肢 部分的な断裂において、症状が軽度でロッキングが無く、手術を望まれない場合は保存療法が選択肢となります。 膝に負担をかけないように安静にし、サポーターや装具を使用して膝の安定性を保つのが目的です。 また、炎症を抑えるために、アイシングや消炎鎮痛剤が処方される場合もあります。 リハビリでは、大腿四頭筋など膝を支える筋肉を鍛えるトレーニングを行い、膝の負担を軽減します。 以下の記事では、半月板損傷を早く治す方法や効果的なリハビリについて現役医師が解説していますので、ぜひ参考にしてください。 半月板損傷の治療方法 半月板損傷の場合、基本的には保存療法で改善が期待できます。 しかし、損傷の程度や部位、患者の年齢や活動量などによって異なり、症状によっては手術が必要なケースもあります。 軽度損傷はリハビリと安静が基本 半月板損傷が軽度の場合、リハビリテーションと安静が基本的な治療法です。 リハビリテーションでは、膝周りの筋肉を強化したり、関節の可動域を広げたりします。 また、炎症や痛みを抑えるために、薬物療法や注射療法が行われる場合もあります。 重症化すると断裂と同様の手術が必要になる場合も 半月板損傷が進行し、膝の機能に支障をきたす場合は手術を検討します。 痛みが長期間続き、日常生活に影響を及ぼす場合は、縫合術や部分切除術が選択されるケースもあります。 とくに、高齢者の半月板損傷は変形性膝関節症へ進行する可能性があるため、症状の悪化を防ぐための早期治療が重要です。 半月板損傷の治療法や術後のリスクについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。 まとめ|半月板断裂と損傷の違いを理解して適切に治療を行おう 半月板断裂と損傷に明確な違いはないものの、症状の特徴や痛みの程度が異なる場合があります。どちらもスポーツや外傷、加齢による柔軟性の低下などが原因です。 膝に痛みや違和感がある場合は、自己判断せず専門医を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では半月板損傷の治療も行っております。 気になる症状がある方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 半月板断裂と損傷の違いに関するよくある質問 靭帯断裂と半月板損傷の違いは何ですか? 靭帯断裂は、膝を安定させる靭帯が完全または部分的に切れる状態を指します。 一方、半月板損傷は、膝のクッションとしての役割を果たす軟骨の損傷を意味します。 靭帯断裂は、膝のグラつきや激しい痛みを伴うことが多く、スポーツによる外傷が主な原因です。 一方、半月板損傷は、違和感や鈍い痛みが特徴で、加齢や慢性的な膝への負担によるものが多くあります。 どちらも早期の診断と治療が重要になります。 半月板損傷は手術しないほうがいいですか? 半月板損傷の治療法は、損傷の程度や症状によって異なります。 軽度であれば、保存療法にて改善が見込めることが多いです。 しかし、症状が改善しない場合や、日常生活に支障をきたす場合は、手術が必要となる場合もあります。 手術が必要かどうかは、専門医が患者の状態を総合的に判断して決定します。 半月板損傷の手術に関するメリット・デメリットは以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。 また、当院「リペアセルクリニック」では手術をしない治療法として再生医療を提案しております。 膝の痛みや手術で不安な方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/
2021.12.16 -
- 糖尿病
- 内科疾患
糖尿病|血糖値をントロールして改善を目指せる適正エネルギー量とは 糖尿病は、薬物療法によって症状が改善しても食事方法を見直さなければ、いずれ糖尿病の症状が出てしまいかねません。本記事では糖尿病の改善を目指すための食事方法について生活習慣からくる標準体重を知り、適正エネルギーを知ることで血糖値のコントロールを目指します。 また、本記事で紹介する食事方法はあくまで目安となるものです。適正な食事量は人によって違うため、より詳しく知りたい人は主治医や管理栄養士、糖尿病療養指導士に相談するようにしましょう。 糖尿病とは 私たちが食事をすると、胃や腸などの消化管で消化・吸収されます。このとき、すい臓から分泌されたインスリンというホルモンが肝臓や筋肉などに働き、食事の中のブドウ糖を細胞内に取り込みます。 これによって、食後の血糖値が正常値に保たれているのです。糖尿病は、血糖値を下げるインスリンの作用不足により、様々な代謝異常を起こす病気です。 糖尿病には1型と2型があります。 1型糖尿病はインスリン分泌の低下や消失により起こる糖尿病で、自己免疫疾患の一つとされています。2型糖尿病はインスリンが分泌しているにもかかわらず、インスリン働きが妨げられ血糖値が下がらないことで起こる糖尿病です。 日本人の糖尿病の80~90%はこの2型糖尿病にあたります。また、妊娠中に発症した糖尿病は妊娠糖尿病と呼ばれます。高血糖の他にも、高血圧、脂質異常症、肥満、喫煙がリスク因子となるので注意が必要です。 糖尿病の合併症 糖尿病は全身の血管が通っている部位に合併症を引き起こす可能性があります。 特に、毛細血管が傷ついた場合、その場所によって網膜症(眼の網膜)、腎症(腎臓)、神経障害(神経系)が生じ、これらは糖尿病3大合併症と呼ばれています。 また、大きな血管が傷つくことによって脳血管障害(脳)、心疾患(心臓)、足壊疽などの動脈硬化症(足)を生じることがあります。 糖尿病の治療 糖尿病の治療には、食事・運動・薬物療法の3つをバランスよく行います。1型糖尿病の治療には、インスリン注射が必要となります。また、インスリン注射と合わせてバランスのとれた食事をすることが重要になります。 2型糖尿病の治療は、バランスのとれた食事をすること、適度な運動、標準体重を維持することなどが重要になります。つまし、いずれの糖尿病の治療においても、バランスのとれた食事になるよう、食事方法の見直しが大切なのです。 食事療法・バランスの良い食事で血糖値をコントロール 糖尿病の治療には食事療法が重要になります。 1型糖尿病の人はインスリン注射を行うことが多いため、バランスの良い食事に合わせてインスリン注射による低血糖を防ぐことが必要になります。 2型糖尿病の食事療法は、エネルギー量と各栄養素をバランスよく摂ることで、「血糖コントロール」を良好に保ちます。また、1回の食事中の糖質量が多いと食後高血糖を引き起こす可能性があるため、1日の食事をなるべく均等に3回に分けて食べるようにしましょう。 1日のエネルギー摂取量をする方法 糖尿病を改善するためには、自分にとって適正なエネルギー量を計算する方法があります。まずは自分の標準体重を計算します。ご存知の方も多いBMIという計算式で標準体重を求めることが可能です。 標準体重(BMI) 標準体重/BMI(kg) = 身長(m) × 身長(m) × 22 このようにご自身の身長だけで求めることができます。ただし、これはあくまで標準(指標)であり、実際は、各人の生活習慣によって変化すべきものです。 ▼ 生活習慣の違いによる適性エネルギー量 標準体重に自分の日常生活の身体活動レベルをかけることで自分の「適性エネルギー量」を求めることができます。身体活動レベルの目安と、適性エネルギー量を求める計算方法は次の通りです。 デスクワーク、主婦など 25~30×標準体重(kg)=1日の適性エネルギー量(kcal) 立ち仕事が多い 30~35×標準体重(kg)=1日の適性エネルギー量(kcal) 力仕事が多い 35×標準体重(kg)=1日の適性エネルギー量(kcal) また、1日の適性エネルギー量は年齢や性別によっても変わってきます。本記事の記載はあくまでも目安の量と考えて、詳しく知りたい場合は主治医、管理栄養士、糖尿病療養指導士にご相談ください。 食事で血糖値コントロールするためには 食事の栄養素のうち、血糖値に影響を及ぼすのは炭水化物です。 炭水化物には、食後の血糖値を上昇させ、エネルギーとなる糖質と、ほとんど消化されず血糖値の上昇を抑え、エネルギーにならない食物繊維があります。 糖尿病改善のためには、食物繊維が含まれる食品を多く摂るように心がけましょう。食物繊維の目標は、1日20~25gといわれています。 食物繊維を多く含む食品には、野菜(特に根菜類)、海藻、キノコ、大豆、果物(糖質も多いので食べ過ぎに注意が必要)が挙げられるので、日々の食事に取り入れてみましょう。 また、血糖値が上がり過ぎないための食べ方を工夫することができます。具体的な方法として、次のようなものがあります。 血糖値を上げない食べ方 ゆっくり時間をかけて食べる よく噛んで食べる 野菜を先に食べる このように食べ方についての工夫も、参考にしてみてください。 まとめ・血糖値をントロールして改善を目指す糖尿病の適正エネルギー量とは 糖尿病が悪化すると全身に様々な合併症が生じます。しかし、食事療法を始めとする糖尿病治療を適切に行うことにより、合併症や動脈硬化の発症や悪化を防ぐことができるのです。 食事は毎日の生活で欠かせないものです。急激な食事制限は、ストレスから長続きしないだけでなく、かえって症状が悪化する恐れがあります。 また現在糖尿病を抱えている人は、主治医や管理栄養士、糖尿病療養指導士と相談しながら継続ができる食事療法を進めていきましょう。 以上、糖尿病を食事で改善するために、適正エネルギーの消費量を知り、血糖値をコントロールする方法について記しました。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 ▼糖尿病の合併症|最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目を浴びています ▼以下の記事もご参考にされませんか 糖尿病の合併症!悪化を防ぐために考えて欲しいこと
2021.12.16 -
- 脳卒中
- 頭部
脳卒中のリハビリで手足の麻痺を回復させ残った機能を最大化させるには ご存知でしょうか?リハビリテーション(リハビリ)とは・・・元に戻すこと! リハビリテーションの語源はre(再び)+ habilis(適した)で「再び適した状態に戻ること」、「本来あるべき状態に回復すること」を意味します。 脳卒中におけるリハビリとは、脳卒中による手足の麻痺(まひ)を回復させ、残った機能を最大限に活用することで「人間らしい生活の送り方」を取り戻すための活動といえるものです。 これまで脳卒中のリハビリは、脳卒中を発症してから間もない急性期ではなく、病状が定着する慢性期や回復期から開始するのが一般的でした。 しかし、近年、脳科学の進歩に伴って「脳卒中を発症した早期から開始する」ことが、その後の良好な機能の回復につながる可能性が高いと指摘されるようになりました。 後遺症のリハビリ 脳卒中によって手足の麻痺などが生じた場合、程度には個人差がありますが、何らかの後遺症(障害)が残ることが多くみられます。この後遺症と付き合いながら、いかに人間らしい生活を送ることができるよう導きくことがリハビリテーションの意義となるのです。 その為には、麻痺した手足を回復させ、残った機能を最大限に活用することが大切です。 さらに、失った機能を補うための補装具や、コミュニケーション・エイド(コミュニケーションを助ける用具)の使用や、住宅の改修改造、ベッドや車いすを借りるなどについて公的な支援制度を生かし、「日常生活活動」(ADL:activities of daily living)の幅を広げるだけでなく、「生活の質」(QOL:quality of life)の向上を図ることが大切です。 脳卒中の発症を見逃さないために 脳卒中でみられる症状には様々あり、特に顔、手足、言語に障害がみられます。顔、手足、言語のうち一つでも異常があれば脳卒中である確率は、非常に高いとされています。 (1)頭痛やめまい 突然の激しい頭痛(吐き気や嘔吐を伴うこともある)→くも膜下出血 回転性めまい(吐き気や嘔吐を伴うこともある) (2)意識の異常 意識がもうろうとし、反応が鈍い わけもなく暴れる (3)手足の力の異常 ろれつが回らない 顔面を含む半身の脱力 口の片側からよだれが出る、食べたものがこぼれる 食事中に箸を落とす、字がうまく書けない、手の動きがぎこちない 足の片側でよくつまずく、片方のスリッパが脱げやすい 片足を引きずる、壁伝いか手すりを使わないと歩けない (4)手足の感覚の異常 唇の周囲と片方の手のひらの感覚が同時におかしくなる 顔の片側と左右どちらか一方の感覚がおかしくなる 入浴した時に体の半分はお風呂の熱さを感じない (5)言語の異常 言いたいことがうまく言えない、書けない 聞いた言葉や読んだ文章が理解できない (6)目の異常 片方の目が突然見えなくなる 視野が半分になる 物が二重に見える (7)バランスの異常 力はあるのに、うまく物がつかめない 座ったり、立ったり、歩いたりするのにバランスが取れない (8)その他 突然の記憶障害 けいれん発作 脳卒中で3つの症状>FAST 脳卒中で起こる典型的な3つの症状と、発症時刻を組み合わせた言葉に“FAST”というものがあります。 ①Face:顔のマヒ ・・・顔の半分が下がる、ゆがんでいる、うまく笑えない ②Arm:腕のマヒ ・・・両腕を前に突き出した時に片腕が高さを保持できず下がってくる ③Speech:ことばの障害 ・・・ろれつが回らない、文章を正しく繰り返せない、返事が乏しい ④Time:症状に気付いた時刻 ・・・これらの症状に気付いたら発症時刻を確認してすぐに“119番通報”を! 【救急車の呼び方】 ① “119番”に電話をかける ② “救急です”と伝える ③ 現在地を伝える ④ 患者の姓名、性別、年齢、症状を伝える 脳卒中急性期のリハビリテーション リハビリは、医師の指示のもと、セラピスト(療法士)によって行われます。セラピストにはそれぞれ専門分野があり、それに応じて役割を分担して対応させて頂きます。 ■セラピストの種類と役割 理学療法士 (PT:Physical Therapist) 起き上がる、座る、立つ、歩くなど生活の基本となる動作(基本的動作)に、必要となる関節の動きや筋力などを評価し、能力の習得や向上を目指す運動や練習を行います。 作業療法士 (OT:Occupational Therapist) 患者さんがご飯を食べる、着替えをする、トイレに行く、歯を磨く、字を書くなどの動作(応用動作)を身につけるために、不自由となっている腕や手の機能などについて評価し、その動作能力を向上させたり獲得するための作業練習を行います。 言語聴覚士 (ST:Speech Therapist) 聞く、話す、読む、書くなど言語機能に障害のある患者さんの障害の程度によって、必要な練習や助言をします。 次に、実際のリハビリついて紹介します。 【1】理学療法 離床に向けてのベッド上でのリハビリテーション ベッドで寝ている状態のことを臥床(がしょう)といい、臥床期間が長期にわたると、麻痺した側の手足の関節が硬くなったり、麻痺していない側の手足の筋力が弱くなったりします。そのため病床でのリハビリは必要不可欠になります。 長期の臥床は、褥瘡(じょくそう)や肺炎・尿路感染症、心肺機能の低下、起立時の血圧低下によるふらつきの原因にもなります。このように動けないことによって生じる一連の障害を「廃用症候群」と言います。 ①床上安静期 関節可動域訓練・筋力増強訓練 廃用症候群を予防するため、早期からベッドサイドでのリハビリによって手足の関節を動かしたり、筋力をつけたりする練習を開始します。 脳卒中を発症してから浅い時期は、病状が進行する可能性があり、ベッドから起き上がることは控えた方が良いため、セラピストが病室にてリハビリを行います。 この時期には、手足の関節が硬くなること(関節拘縮)を予防する目的で、痛みが生じないよう関節を動かす関節可動域訓練、筋力の低下を予防するため、手足の筋力増強訓練も行います。 ②離床期 頭部挙上負荷試験(とうぶきょじょうふかしけん) 脳卒中の患者さんの場合、突然起き上がると血圧が下がり(起立性低血圧)、症状が悪化することがあるので、ベッド上で寝た状態から徐々に頭を上げていき、症状に変化がないかどうかを確かめます。 チェック項目:血圧、心拍数、自覚症状、徴候の変化 頭部挙上角度:30°→60°→90°の順 負荷試験時間:30分間 端坐位、座位練習 ベッドで90°まで頭を上げられるようになれば、足を床に下ろして座る(端坐位)練習に移行します。その後、徐々に自力で座位を保つ練習や自分で起き上がる練習を行います。 車椅子の練習 ベッドから車椅子に、車椅子からベッドへ移乗する練習、車椅子の動かし方や止め方(ブレーキ)などの練習を、行動範囲を広げていけるように行います。 【2】リハビリテーション室にて 離床が進み、車いすに乗れるようになると、患者さんの行動範囲は大幅に広がるため、多くは集中治療室を出て一般病棟へ移ります。ベッドサイドで行われていたリハビリもリハビリテーション室に変わります。 一般的なリハビリ リハビリテーション室での訓練が可能になると、まず立つ練習から始め、立位保持が可能になれば歩行練習に移ります。まずは平行棒などの手すりを用いて行い、歩行が安定していけば、杖を使う歩行練習です。 基本は、①杖をつく→ ②麻痺側の足をだす→ ③健常側の足を出す。このような順で歩行します。 杖は歩行障害の程度に応じて大きく3種類あり、患者さんの麻痺の程度により使用する杖の種類が検討されます。麻痺した足をコントロールできず、立位保持や歩行が困難な場合は、足関節の固定を目的とした短下肢装具を使用する場合があります。 短下肢装具にはいくつかの種類があり、金属支柱付き短下肢装具、プラスチック短下肢装具、ゲイトソリューションデザイン、ファイナーなどが使用されます。 どの装具を選択するかは、ふくらはぎの筋肉の緊張度合いによって決めます。ふくらはぎの緊張が強く、足関節の強固な固定が必要な場合には金属支柱付き短下肢装具を、緊張が低い場合にはファイナーを使います。 それぞれの装具の特徴を理解し、患者さんの症状や回復度合いに合わせて、最適な装具を使用します。装具は、医師の処方をもとに作製すれば、健康保険の適用となります。 その他、必要に応じて階段昇降やバランス練習など、患者さん毎に練習内容を計画し、実施していきます。 【3】作業療法 サンディング 傾斜したボードを上下方向に滑らせるもの 関節の動きの改善や麻痺側の手の機能回復を目的として行う ペグボード 麻痺した手でペグ(木釘)をボードに差し込んだり、ペグを指先でつまんで反転させたりするもの 手指の巧緻性(つまんだり、離したりする機能)を高める目的で行う 【4】言語聴覚療法 言語機能の障害は大きく「失語症」と「構音障害」にわけられます。 ① 失語症 失語症になると「話す」ことだけでなく「聞く」、「読む」、「書く」ことも難しくなります。失語症には次のような種類があり、「聞く」「話す」「読む」「書く」などの言語機能について評価し、コミュニケーション能力の向上に必要な訓練・助言を行います。 ・運動性失語 言葉を聞くと理解はできるのに、うまくしゃべれない ・感覚性失語 言葉を聞いても理解ができず、言い間違い(錯語)が多い ・健忘失語 よく話を理解し流暢な話し方なのに、物の名前が出てこないために回りくどい話し方になる ・全失語 「聞く、話す、読む、書く」すべてに重度の障害がある ② 構音障害(運動性構音障害) 一方で「構音障害」は、脳卒中によって言葉を話すのに必要な舌や口唇、声帯など発声発語器官の麻痺や、それらの動きをうまくコントロールできず(失調)、呂律(ろれつ)が回らなくなり発音が不明瞭となる状態です。 麻痺の程度について評価し、より明瞭に発音できるよう発声・発語の練習を行います。重症の患者さんには、状態に合わせて筆談や五十音表の使用など、代わりのコミュニケーション手段の提案を行います。 【5】摂食・嚥下機能療法 脳卒中をきっかけに、食べたり飲んだりすることへの障害(摂食・嚥下障害)が起こる場合があります。 このような場合、医師や看護師、栄養士などが連携を取りながら、嚥下機能の評価・訓練を行い、患者さんの障害程度に応じ、食べる際の姿勢や、食べる物の柔らかさ、形を調整し、摂食・嚥下能力を高める練習をします。 再生医療という選択肢 脳卒中のリハビリは、これまで不通にできたことが、できなくなるため、嘆きたくなりますが、粘り強く続けることが大切です。そんな時、ともすれば挫折しそうにもなるものです。 そこで、お知らせしたいのが「再生医療」という最先端の医療分野の可能性についてです。 これまで脳の血管が破れたり、詰まったりすると脳細胞に血液や栄養が届かず約3~6時間で脳細胞が死に至り、元には戻らないと言われてきました。 しかし、再生医療によって一度機能しなくなった脳細胞が復活し、後遺症を改善できることが分かってきたのです。患者様ご自身の幹細胞を用いて脳細胞を再生させる可能性があります。以上、「脳卒中のリハビリで手足の麻痺を回復させ残った機能を最大化させるために」と題して記しました。 参考にしていただければ幸いです。 ▼ 脳の再生医療は安全性が高く効果があると認められ、世界でも注目されている治療法です。詳しくは以下よりお確かめください。 ▼以下もご参照ください 脳卒中の3つの症状と治療法!脳梗塞の再発を予防するコントロール方法
2021.12.14 -
- 脳卒中
- 頭部
脳卒中の種類と原因|発症を予防する生活上の生活目標と修正方法について 脳卒中とは、脳の血管が突然つまったり破れたりすることで脳の血管に障害を起こす病気を総称して「脳卒中」といいます。この脳卒中、いくつか種類に分かれ、それぞれ発症原因も異なります。 そこで、脳卒中を4つの種類に分けて、それぞれの特徴と発症原因、その対策を分かりやすく解説します。その後、脳卒中の原因を提示して、予防できることと、できないことを解説します。 それぞれのリスクを知ることで普段の生活から予防を心がけていただければと思います。 脳卒中の原因 脳卒中の種類 ・脳の血管がつまる ① 脳梗塞 ・脳の血管が破れる ② 脳出血 ③ くも膜下出血 ・一時的に脳の血管がつまる ④ 一過性脳虚血発作 ①脳梗塞 脳梗塞とは、脳卒中のなかでも最も患者数が多いとされている病気で、脳の血管が詰まることが原因となって脳に栄養が運ばれなくなり、その結果、脳の組織が壊死(えし)してしまう病気を指します。 脳梗塞では、運動機能を司っている場所が障害を受けると、手足の麻痺が現れるといったように、壊死した部分が司っていた機能に応じた症状が現れるという特徴があります。 ②脳出血 脳出血とは、脳の血管が破れることが原因となって出血が起こり、脳の組織が壊されてしまう病気です。脳梗塞と同様、脳の障害された場所が司っている機能に応じた症状が現れる特徴があります。 ③くも膜下出血 くも膜下出血とは、血管にできた「こぶ(「脳動脈瘤」と呼ばれる)」が破裂することが原因となって脳の表面に出血が起こる病気です。特徴として、突然、強烈な頭痛を生じることが多く、緊急の処置を必要とするケースが多くみられ注意が必要です。 ④一過性脳虚血発作 一過性脳虚血発作とは、脳梗塞に近い病態であり、脳梗塞の前兆として現れることがあります。一時的に脳の血管がつまることで症状が現れますが、24時間以内に症状が消えてなくなる点が特徴的です。 脳卒中の原因 ①脳梗塞:動脈硬化や血栓が原因 脳梗塞には、主に「脳血栓症」と「脳塞栓症」があります。脳塞栓症は、脳血栓症と比べて脳の太い血管がつまり、広い範囲で脳梗塞を生じることが原因となって重症化することが多いのが特徴です。 ・脳血栓症 脳や頸部の血管に動脈硬化による狭窄や閉塞が起こることによって生じるもの。 ・脳塞栓症 心臓や足など全身のどこかにできた血栓(血のかたまり)が、血流に乗って脳に到達することによって生じるもの。 特に近年の高齢化に伴い、心房細動という不整脈によって心臓内に血栓が形成され、これが血流に乗って脳に到達して生じる「心原性脳塞栓症」が増加しています。 ②脳出血:動脈硬化が原因 脳出血は、脳の血管の動脈硬化が原因で発症します。動脈硬化によってもろくなった血管に高い血圧がかかることで血管が破れ、脳出血が起こると考えられており、運動時や用便時、入浴時など血圧が急激に上昇した際に発症しやすいとされています。 ③くも膜下出血:脳動脈瘤の破裂が原因 くも膜下出血は、脳動脈瘤と呼ばれる脳の血管にできたこぶが破裂することが原因となって起こります。脳動脈瘤ができる原因は正確にはわかっていませんが、高血圧や脳血管への血流、ストレス、喫煙や遺伝的要因が関与していると考えられています。 高血圧、喫煙は脳動脈瘤が破裂する危険因子にもなるといわれています。 また、脳動脈瘤が生じやすい体質は遺伝するともいわれており、家族の中に脳動脈瘤が生じたことがある方やくも膜下出血を起こしたことがある方がいる場合は発症しやすいといえます。 脳卒中の原因から理解する予防できること!予防できないこと! 脳卒中の危険因子(原因)は「修正できない危険因子」と生活上で「修正できる危険因子」とがあり、脳卒中を予防するためには「修正できる危険因子」を改善するように日頃から注意していく必要があります。 そこで、修正できない危険因子と、修正できる危険因子を明確にして、修正できる危険因子については、その対策を明示させて頂きました。 (1) 修正できない危険因子(原因)とは 自分ではどうしようもない発症原因となるもの ①年齢:55歳以上では、10歳ごとに脳卒中の発症リスクが約2倍になります ②性別:男性は女性よりもリスクが高いとされています ③家族歴 (脳卒中):両親や祖父母に脳卒中の既往がある場合、発症のリスクが高くなるとされています。 (2)修正できる危険因子(原因)とは 修正できる危険因子を知ることは、予防できない危険因子を知った上で、取り組めば脳卒中の発症リスクを下げることが可能になります。意識することで自分でできる対策です。 修正できる危険因子(原因) ①高血圧 ②糖尿病(高血糖) ③脂質異常症 ④心房細動などの心疾患 ⑤喫煙 ⑥飲酒 ⑦肥満 ①高血圧 高血圧は脳卒中の最大の危険因子であり、血圧が高いほど脳卒中の発生率は高くなります。食生活の乱れやアルコールの飲みすぎ、急激な運動などで血液の粘り気が強くなったり、血液が流れるときの抵抗が大きくなったりすることで血圧が上昇します。 【高血圧】の場合の修正目標 高齢者: 140/90mmHg 未満 若年、中年者: 130/85mmHg 未満 糖尿病や腎障害合併例: 130/80mmHg 未満が推奨されています (2009 脳卒中治療ガイドラインより) ▼ ▼ ▼ 【高血圧の場合】脳卒中の発症を避けるための生活目標 起床後や就寝前など、定期的に血圧を測定する(自己測定) 眼底検査や心電図、尿検査などで高血圧の合併症を定期的にチェックする 薄味にしたり減塩しょうゆを使ったりするなど、食塩を摂りすぎないようにする → 理想の塩分摂取量:6g/日未満 精神的、身体的ともに過剰なストレスを避ける → 疲れたら無理をせず休む、気分転換など 暖かい部屋から寒い廊下に出る、突然エアコンの風を直接受けるなど、急激な寒暖差を避ける ぬるま湯は血管を拡張させるため、入浴時はぬるま湯にそっと入る 定期的に有酸素運動を行う(例:毎日30分の散歩) 野菜・果物・魚類(カリウムを多く含む食品が望ましい)を積極的に摂る 体重を減らす 医師の指示通りに降圧剤を内服する (カルシウム拮抗剤、アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬、ACE 阻害薬、β遮断薬など) ②糖尿病(高血糖) 糖尿病は、インスリンの作用不足によって血糖値が上昇する病態で、脳卒中のうち特に脳梗塞の危険因子として重要とされています。 【糖尿病の場合】の修正目標 空腹時血糖:110mg/dl以下 HbA1c:5.8%以下(ヘモグロビンA1c=過去約1ヵ月間の血糖値を反映する) ▼ ▼ ▼ 【糖尿病の場合】脳卒中の発症を避けるための生活目標 医療機関で定期的に血糖を測定する(食前採血が望ましい) 眼底検査や心電図、尿検査などで糖尿病の合併症を定期的にチェックする 食事カロリー(エネルギー摂取量)を減らす バランスのよい食事摂取を心がけ、偏食傾向を治す 散歩やジョギングなど、定期的に有酸素運動を行う 規則正しく、疲れすぎない生活を送る 医師の指示通りに、経口血糖降下剤を内服、またはインスリン注射を行う → インスリン注射を行っている場合は、血糖自己測定が望ましい インスリン注射を行っている場合、低血糖状態を正しく理解して、対処法(飴をなめるなど)を知っておく ③脂質異常症 脂質異常症とは、高コレステロール血症(高 LDL-コレステロール血症)、高トリグリセリド血症(高中性脂肪血症)、低 HDL-コレステロール血症を指します。 その中でも、高コレステロール血症が脳卒中のうち、特に脳梗塞の危険因子として重要で、高LDL-コレステロール血症は冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症)の危険因子としても知られています。 【脂質異常症の場合】の修正目標 LDL-コレステロール 120~160mg/dl 以下 HDL-コレステロール 40mg/dl以上 トリグリセリド 150mg/dl ※他の冠動脈疾患の危険因子(年齢、高血圧、糖尿病、冠動脈疾患の家族歴など)の有無によって LDL-コレステロールの目標値は異なる (動脈硬化性疾患予防ガイドラインより) ▼▼▼ 【脂質異常症の場合】脳卒中の発症を避けるための生活目標 肉や乳製品に多く含まれる動物性脂肪の摂りすぎに注意する (一日のコレステロール摂取量は 300g 以下にする) 野菜、海そう、穀類、豆類に多く含まれる食物繊維を多く摂る 植物油、大豆、緑黄色野菜を多く摂る 定期的に有酸素運動を行う ④心房細動などの心疾患 心房細動は、脳梗塞(心原性脳塞栓症)の危険因子です。心房細動では心房内の血流が乱れて滞るため、血栓(血のかたまり)ができやすくなります。血栓が血流に乗って脳に運ばれ脳の血管がつまると、脳梗塞を引き起こします。 治療法として、ワーファリンの内服による抗凝固療法を行うことで、脳梗塞の発症率が低下することが確認されています。 【心疾患の場合】の修正目標 ワーファリンを適切に内服して、定期的に医師の診察を受ける ▼▼▼ 【心疾患の場合】修正すべき生活目標 精神的、身体的ともに過剰なストレスを避ける 動悸、息切れ、めまい、胸痛などが出現したらすぐに医療機関を受診する 体内水分が過剰になると、心臓に負担がかかるため過剰な水分摂取を避ける 医師の指示通りにワーファリンを内服、定期的にプロトロンビン時間(INR)を測定する (INR を 2.0~3.0(高齢者では、1.6~2.6)にコントロールする) ※ワーファリンを内服している場合 ビタミン K を多く含む食品(納豆、緑色野菜など)の摂取を避ける 打撲、切り傷で出血しやすいため出血傾向に気をつける ⑤喫煙 喫煙は、脳卒中のうち特に脳梗塞とクモ膜下出血の危険因子です。タバコは交感神経系を興奮させるため、タバコを吸うと一過性に血圧が上がり、ニコチンは、血管を収縮させて高血圧や動脈硬化を一層悪化させます。 また受動喫煙も、脳卒中の危険因子と考えられています。 【喫煙の場合】の修正目標 禁煙する ▼▼▼ 【喫煙の場合】の生活目標 タバコを買わない 灰皿やライターを捨てる 皆の前で「禁煙宣言」をする 禁煙外来を受診して、専門的な治療を受ける ⑥飲酒 飲酒量が増えるほど、脳内出血とクモ膜下出血の発症率は高くなります。脳梗塞の発症率は、少量や中等量の飲酒者ではむしろ低くなりますが、大量飲酒者では高くなるとされています。 大量飲酒は、脱水を誘発し血液が濃くなり、固まりやすく=詰まりやすくなります。 【飲酒の修正目標】 摂取アルコール量を一日 30g 以下にする (日本酒で 1 合以下、ビールで中びん1 本以下、ワインで 240cc 以下に相当) ▼▼▼ 【飲酒の場合】の生活目標 アルコールを買わない 「飲み会」「宴会」への参加を控える 「休肝日」を作る ⑦肥満(メタボリック・シンドローム)・運動不足 肥満やメタボリック・シンドロームは新たな脳卒中の危険因子として注目されています。 ※メタボリック・シンドロームの診断基準 ウエスト周囲径が男性 85cm以上、女性 90cm 以上 トリグリセリド 150mg/dl 以上かつ/またはHDL-コレステロール 40mg/dl 未満 収縮期血圧 13mmHg 以上かつ/または拡張期血圧 85mmHg 以上 空腹時血糖 110mg/dl 以上 このうちの 2 項目以上が存在すること、とされています。 【肥満の場合】の修正目標 BMIを25未満にする (BMI=体重(kg) ÷ {身長(m) X 身長(m)}) ▼▼▼ 【肥満の場合】の生活目標 過剰なカロリー摂取(エネルギー摂取)を避ける 毎日、体重やウエスト周囲径を測定し、自己への動機づけを行う 散歩、早歩き、ジョギング、自転車など定期的に運動を行う まとめ・脳卒中の種類と原因|発症を予防するため、注意すべき生活目標と修正方法 脳卒中は、一旦発症すると命に係わる病です。避けれるものなら避けたい病です。そこで、注意できない事柄を「修正できない危険因子」とし、注意することで避けられるものを「修正できる危険因子」に分けてご説明しました。 ご自身の状態に合わせて取り組むべき課題を見つけて頂ければと思います。以上、脳卒中の種類と原因について記しました。 30代になったら自分の血圧を把握し、コントロールすることを心がける 塩分控えめの食生活で、コレステロールを減らす 仕事の時間以外でリラックスできる趣味を持ち、適度な運動を習慣化する 40代になったら脳ドックを定期的に受診し、脳の健康状態をきちんと把握する 脳卒中を発症してしまったら、再生医療という手段もございます。興味ある方は以下もご参考になさってください。 以上、脳卒中の4つの種類と発症原因、脳卒中にならないためにできること!について、記させて頂きました。 参考になれば幸いです。 ▼脳卒中の後遺症|脳卒中の最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脳卒中の新たな治療法として注目を浴びる再生医療とは ▼こちらのご覧ください 脳卒中のリハビリで手足の麻痺を回復させ残った機能を最大化させるために
2021.12.14 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
変形性膝関節症の治療ガイドライン(治療方針)に基づいた運動療法とは 「変形性膝関節症のため、膝が痛い」そんなお悩みはありませんか? 変形性膝関節症は、膝にかかる衝撃を吸収・分散する役割を担う関節軟骨がすり減ることで、関節内部に炎症が起きるほか、関節に変形が起こり痛みを感じる疾患です。 男女比は、女性に多く、年齢は50代以降と年を重ねるほど罹患率は高くなります。 膝の痛みで病院を受診し、変形性膝関節症と診断されると、膝に負担がかかる日常生活を見直すよう指導されるほか、運動療法により膝を安定させる筋肉を鍛えるよう指導されます。 このような治療方針は、変形性膝関節症の「診療ガイドライン」に基づき決定されています。この記事では、「変形性膝関節症のガイドライン」と、それに基づいた運動療法をご紹介します。 変形性膝関節症との診断で指導されるガイドライン(治療方針) 日常生活を見直すよう指導(膝に負担がかからぬよう) 運動療法(リハビリ)で筋肉を鍛えて膝を安定させる 変形性膝関節症のガイドライン(治療方針)とは 変形性膝関節症には、糖尿病診断に用いる血糖値・HbA1cというような基準が確立されていません。 そのため変形性膝関節症の進行度合いや、治療効果を評価するために各国独自で診療ガイドラインが作成されています。日本では日本整形外科学会の定めた「変形性膝関節症の管理に関するOARSI勧告 OARSIによるエビデンスに基づく「エキスパートコンセンサスガイドライン変形性膝関節症ガイドライン」があります。 これは変形性膝関節症唯一の国際学会であるOARSIが定めたガイドラインを翻訳し、日本人向けに適合させたガイドラインです。 そんな日本整形外科学会の変形性膝関節症ガイドラインには「定期的な有酸素運動、筋力強化訓練および関節可動域訓練を実施し、かつこれらの継続を奨励する」と記載されていることからも、変形性膝関節症の治療に、運動療法が有効だと推奨されています。 運動療法を行うことで、筋力低下、加齢により不安定になった膝の安定性を高め、痛みをかばうことで拘縮が起きている膝の可動域を向上させます。 また運動療法は、膝への負担になる肥満の解消にもつながることからも、変形性膝関節症に対して基本の治療として評価されています。 ”引用:変形性膝関節症の管理に関する OARSI 勧告―OARSI によるエビデンスに基づくエキスパートコンセンサスガイドライン(日本整形外科学会変形性膝関節症診療ガイドライン策定委員会による適合化終了版)” https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/106/1/106_75/_pdf/-char/ja ガイドライン(治療方針)に基づいた痛みを緩和する運動療法とは 次にガイドラインに記載されている「有酸素運動」「筋力強化訓練」「可動域訓練」を紹介していきます。 有酸素運動 有酸素運動とは酸素を取り込みながら行う運動で、ウォーキングのほか長距離走・ヨガなどがあります。有酸素運動は酸素を取り込まずに行う無酸素運動と比べて、緩やかな運動が多いため、変形性膝関節症のように膝に痛みを抱えている方にはおすすめです。 その中でもウォーキングや、プールなどでの水中運動が変形性膝関節症の方に一般的な有酸素運動です。 変形性膝関節症の方のウォーキングは、無理のない距離とペースで取り組むことが大切です。1日1万歩と推奨されていることがありますが、無理に行う必要はありません。 無理をすると、かえって膝を傷めるばかりか、痛みが落ち着くまで運動に取り組めないなど、治療に支障をきたします。 またウォーキングをすると、痛みが強く満足に取り組めない場合は、プールでの水中運動がオススメです。水中では浮力がかかる分、膝をはじめ全身への負荷が下げることができます。 筋力強化訓練 大腿四頭筋などを筋力強化することで、膝の安定性が増します。代表的なものに、足あげトレーニングがあります。椅子に座った姿勢、または仰向けに寝転んだ状態で行います。 片側の膝を伸ばし、90度(寝た状態では30〜45度)挙上した状態で10秒ほどキープ、降ろして数秒間休憩します。これを20回繰り返します。全身を動かすウォーキングと違い、低負荷で大腿四頭筋をピンポイントに鍛えることができます。 可動域訓練 膝に痛みがある状態では、立ち座り、歩くといった動作がおっくうになってしまい、次第に関節の可動域が低下します。可動域が低下すると関節の柔軟性がなくなり余計に痛みを感じやすくなることから、普段から膝を曲げ伸ばしして、可動域を広げていく必要があります。 可動域訓練は、足あげトレーニングと同じ座った姿勢で、膝を曲げたり伸ばしたりすることにより可動域を広げていきます。筋力強化訓練・可動域訓練ともに椅子に座りながら行える点から、どちらの運動をしているのか混同しないように、意識して使い分けることがポイントです。 まとめ・変形性膝関節症の治療ガイドライン(治療方針)に基づいた運動療法 今回紹介した有酸素運動・筋力強化訓練・可動域訓練に取り組むにあたり、いきなり長い距離を歩いたり、強度な運動をすると、かえって膝の負担になります。 くれぐれも無理はせず、これまでの運動習慣や痛みの程度と相談しながら運動に励みましょう。 また歩行で痛みを感じる際には「杖の使用」をおすすめします。一般的な杖に、持ち手がT字のものがありますが、最近ではノルディック杖のようなスポーティーなタイプも普及しており、選択肢は増えています。 変形性膝関節症になると、膝の痛みをかばい、活動量が減ってしまいがちですが、ガイドラインで推奨されているように、体を動かしながら悪化を防ぐことが基本的な治療方法だと覚えておきましょう。 もし、膝関節の痛み、変形性膝関節症でお悩みなら私どもにご相談ください。先端分野である再生医療でお役に立てるかもしれません。症状は、遅れれば遅れるほど進行する恐れがあります。 痛みは早期治療が大原則です。 もう一つの再生医療(幹細胞治療) 当院にいただくお問い合わせでよくお聞きするのは、 「治療に行ってもヒアルロン酸の注射や、痛み止めしかなく、改善しない」ということ。 実のところ、従来の治療では、現在の症状を回復させることはできず、痛みを緩和することしかできません。それもそのはず、痛みを伴う軟骨のすり減りを改善させることは難しく、痛みを少なくする方法しかなかったからです。 その結果、症状が進行し、人工関節の手術ということになりがちでした。そんな中、医学の進歩で「再生医療」という医療分野が発達してまいりました。 自分自身の「幹細胞」を用いた自己治癒力で軟骨を再生できるようになったのです。 当院は厚生労働省から認められた再生医療専門です。 「幹細胞?」「自己治癒力?」「再生医療?」・・・ご不明点は、ご遠慮なくお問い合わせください。 https://youtu.be/NbYAdVr0ez4?si=u1H7cYbPCXLhAya8 ▲リペアセルクリニック医師が解説。こちらの動画も参考になりましたら幸いです。 ▼ 再生医療なら変形性膝関節症の新たな治療法に取り組めます 変形性膝関節症は、「再生医療」により手術せずに症状を改善することが可能です ▼以下もご参考していただけます 変形性膝関節症の進行を予防するために!膝の負担を減らす方法を医師が解説
2021.12.13 -
- ひざ関節
- 膝の外側の痛み
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
「変形性膝関節症と半月板損傷って何が違うの?」 膝の痛みが続くと日常生活にも影響が出て不安になりますが、原因としてよく挙げられるのが「変形性膝関節症」と「半月板損傷」です。 これらは似たような症状でも、原因や治療法が異なりますので、自己判断は危険です。そこで、この記事ではそれぞれの違いや適切な対策を医師がわかりやすく解説します。 自分の症状に合った適切な対応が判断できるようになりますので、ぜひ最後までご覧ください。 また、当院「リペアセルクリニック」では半月板損傷に対する再生医療・幹細胞治療を行っております。 膝の痛みでお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 変形性膝関節症と半月板損傷の違いとは? 膝の痛みを引き起こす代表的な疾患に「変形性膝関節症」や「半月板損傷」がありますが、原因や症状・治療法は大きく異なります。 以下の2つの違いを正しく理解することで、適切な対処法を選べるようになります。 変形性膝関節症は膝関節が変形する病気 半月板損傷は膝の軟骨が傷つく怪我 本章ではそれぞれの特徴を詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。 変形性膝関節症は膝関節が変形する病気 変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減り、骨と骨が直接ぶつかることで炎症や痛みを引き起こす病気です。(文献1) 加齢とともに軟骨がすり減るため発症し、徐々に進行していくのが特徴です。 初期段階では、立ち上がりや歩き始めに軽い痛みを感じるケースが多く見られます。 しかし、進行すると安静時にも痛みが続くようになり、膝の曲げ伸ばしが困難になるケースもあります。 また、変形が進むとO脚やX脚になる場合もあるため注意が必要です。 半月板損傷は膝の軟骨が傷つく怪我 半月板損傷は、膝の内部にある半月板が裂けたり損傷したりする状態を指します。 スポーツ中の膝のひねりや転倒が主な原因ですが、加齢による半月板の脆弱化も影響します。 損傷が軽度の場合は痛みや腫れだけで済む場合もありますが、放置すると症状が悪化して変形性膝関節症へつながるリスクもあります。 そのため、スポーツや日常生活で膝を酷使する方は、違和感を覚えたら早めに受診しましょう。 半月板損傷の症状については、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。 変形性膝関節症の主な原因 変形性膝関節症は、中高年に多く見られる膝の病気ですが、主な原因には以下の3つが挙げられます。 加齢による軟骨のすり減り 体重増加や姿勢の悪さ 運動不足や遺伝 要因を理解していれば、進行を予防できる可能性が高まるので、チェックしてみてください。 加齢による軟骨のすり減りが主な要因 軟骨はクッションの役割を果たしますが、年齢とともに修復が追いつかず軟骨がすり減り、骨同士が直接ぶつかるようになります。 その結果、関節の変形や骨棘(こっきょく)※1の形成、滑膜(かつまく)※2の炎症を引き起こし痛みや腫れが生じます。 ※1 すり減った骨を再生しようとするも正しい位置で再生できず、横にはみ出して増殖した骨 ※2 膝関節の関節包の内側にある薄い組織、滑液を分泌し、関節の動きを滑らかにする 膝の痛みは放置すると、症状は徐々に悪化していく可能性もあるため、「年齢のせい」と諦めず、早めに医師に相談しましょう。 体重増加や姿勢の悪さが進行を助長 体重が増えると、膝にかかる負担は増大します。 とくに肥満は関節に大きな圧力をかけ、軟骨の摩耗を早める原因になりかねません。 また、悪い姿勢や歩き方も膝への負荷を増やし、変形性膝関節症の進行を助長します。 そのため「立ち仕事が多い」「肥満気味」と感じる方は要注意です。 姿勢を改善したり、適度な運動で体重を管理したりすると膝の健康を保てるため意識してみましょう。 変形性膝関節症の原因と初期症状については、以下の記事でも詳しく紹介しています。 運動不足や遺伝も原因となる場合がある 運動不足は、筋力低下や関節の柔軟性低下を招き、変形性膝関節症のリスクを高めます。 適度な運動は、膝周りの筋肉を強化し関節を安定させる効果があるため、積極的に体を動かすようにしましょう。 また、変形性膝関節症は遺伝的な要因も関与していると考えられているため、家族に変形性膝関節症の方がいる場合は注意が必要です。(文献2) 日頃から膝を労り、定期的な検診を受けるように心がけてください。 こちらの記事では、変形性膝関節症の原因やスポーツから発症するリスクについて解説しています。 気になる症状がある方は、ぜひ参考にしてください。 半月板損傷の主な原因 半月板損傷は、膝にかかる負担や動きの影響で発生しますが、主な原因は以下の3つが挙げられます。 スポーツや転倒による膝の急な動きが原因 老化で半月板が弱くなる場合もある 急性損傷と慢性損傷で原因が異なる 本章では、それぞれの要因について詳しく解説します。 スポーツや転倒による膝の急な動きが原因 半月板損傷の多くは、スポーツや転倒など膝に急激な負荷や衝撃が加わることで発生します。 とくにサッカーやバスケットボールなど、急な方向転換を必要とする競技ではリスクが高まるので注意が必要です。 また、過剰な負担をかけ続けると、軟骨が耐えきれず損傷する場合もあります。 外傷は突然発生するため、予測が難しいものです。 しかし、スポーツ前のウォーミングアップや膝を保護する装具の使用が損傷を予防する手段となります。 老化で半月板が弱くなる場合もある 加齢に伴い、半月板は弾力性を失い薄く脆くなっていきます。 そのため、若い頃であれば問題なかったような動作でも、高齢になると半月板損傷を引き起こす場合があります。 加齢による半月板損傷は、日常生活での些細な動作がきっかけで起こるケースも少なくありません。 たとえば、立ち上がる、しゃがむ、階段を上るといった動作でも、膝に負担がかかり、半月板が損傷する可能性があります。 高齢の方は、とくに膝を労り無理な動作は避けるように心がけましょう。 急性損傷と慢性損傷で原因が異なる 半月板損傷は発生の仕方に違いがあり、急性損傷と慢性損傷に分けられます。 急性損傷は、スポーツや転倒など突発的な外力によって起こる損傷です。 一方、慢性損傷は加齢による変性や、小さな損傷の積み重ねによって徐々に進行していく損傷です。 急性損傷の場合は、損傷した瞬間に強い痛みや腫れを感じる場合が多いのに対し、慢性損傷の場合は、初期症状が軽いため、気づかないうちに進行している場合もあります。 変形性膝関節症と半月板損傷の治療法は? 変形性膝関節症と半月板損傷の治療法は、症状や進行度により異なります。 本章ではそれぞれの治療法を詳しく解説しますので、参考にしてください。 変形性膝関節症の治療法 変形性膝関節症の治療法は以下のとおりです。 治療法 概要 適応症例 保存療法 安静や膝サポーター、痛み止めで自然治癒を促す 軽度の損傷や一時的な症状 手術 半月板を縫合したり、部分切除で修復する手術 大きな損傷や長期間症状が改善しない場合 再生医療・幹細胞治療 幹細胞を投与し、損傷した半月板を切り取らず進行を防ぐ 保存療法や手術の適応外または補助治療 薬物療法で痛みを和らげる 痛みや炎症を軽減するために薬物療法が用いられます。 飲み薬や関節内注射が一般的で、とくにヒアルロン酸注射は関節の潤滑を助け、痛みを抑えます。 症状が軽い段階で効果を発揮します。 リハビリで筋力をつける 膝を支える筋肉を強化して関節への負担を軽減します。 専門の理学療法士とともに適切な運動を行うことで、痛みの軽減や日常生活の改善につながります。 また、自宅での軽い運動も効果的です。 手術で関節の機能を改善する 症状が進行し、保存療法では改善が難しい場合には手術が選択肢となります。 代表的な手術は人工関節置換術や関節鏡手術です。 手術により膝の機能が回復し、痛みの軽減が期待されます。 変形性膝関節症の手術に関するメリットとデメリットは、こちらの記事で紹介しています。 再生医療・幹細胞治療 幹細胞を活用した再生医療は、損傷した軟骨の再生を促し、症状の改善を目指せるのが大きな特徴です。 変形性膝関節症の再生医療に関する詳細は以下の記事で解説しています。新しい治療法に興味がある方はぜひご覧ください。 半月板損傷の治療法 半月板損傷の治療法は以下のとおりです。 治療法 概要 適応症例 保存療法 安静や膝サポーター、痛み止めで自然治癒を促す 軽度の損傷や一時的な症状 手術 半月板を縫合したり、部分切除で修復する手術 大きな損傷や長期間症状が改善しない場合 再生医療・幹細胞治療 幹細胞を投与し、損傷した半月板を切り取らず進行を防ぐ 保存療法や手術の適応外または補助治療 保存療法で自然治癒を促す 軽度の損傷であれば、安静や膝サポーターの使用により自然治癒を目指します。 また、炎症を抑えるために湿布や痛み止めも併用します。 さらにスポーツなど膝への負担を一時的に控えるのも重要です。 以下の記事では、半月板損傷を早く治すための治療法や効果的なリハビリ方法について解説しています。 手術で半月板を修復する 半月板が大きく損傷している場合や、保存療法で改善が見られない場合は手術療法が選択されます。 関節鏡を用いた手術で、損傷した半月板を縫合したり、切除したりします。 以下の記事では、半月板損傷の手術に関するメリット・デメリットについて詳しく解説しています。 手術で不安がある方はチェックしてみてください。 再生医療・幹細胞治療 半月板損傷に対しても、再生医療や幹細胞治療が研究されています。 幹細胞を投与して損傷した半月板損傷の進行を遅らせ、膝関節の機能回復を目指します。 こちらでは、半月板損傷や半月板断裂に対する再生医療・幹細胞治療について詳しく紹介しています。 まとめ|変形性膝関節症と半月板損傷の違いを知って適切な対策を取ろう 変形性膝関節症と半月板損傷は、膝の痛みを引き起こす代表的な疾患ですが、原因や治療法には違いがあります。 変形性膝関節症は主に加齢や体重増加が原因で進行し、骨が変形する病気です。 一方、半月板損傷はスポーツや転倒による衝撃で発生しやすい膝の軟骨の損傷です。 どちらも早期発見と適切な治療が、膝の健康を保つために重要です。 膝に違和感を感じたら、早めに専門医を受診し自分に合った治療法を選びましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では変形性膝関節症や半月板損傷の治療も行っております。 気になる症状がある方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 変形性膝関節症と半月板損傷に関するよくある質問 半月板損傷を放っておくとどうなりますか? 半月板損傷を放置すると、損傷した部分が引っかかり関節軟骨を傷つけてしまう可能性があります。 その結果、変形性膝関節症へと進行し、歩行が困難になるなど日常生活に支障をきたす可能性もあるため注意が必要です。 また、損傷した半月板が関節内で引っかかることで、ロッキングという膝が動かなくなる症状を引き起こすケースもあります。 半月板損傷は自然治癒が難しいため、放置せずに早めに医療機関を受診しましょう。 以下では、半月板損傷を放置するリスクについてさらに詳しく解説しています。 膝の半月板が損傷する原因は何ですか? 膝の半月板が損傷する原因は、大きく分けて2つあります。 1つは、スポーツや転倒など、膝に急激な衝撃や捻りが加わることによるものです。 ジャンプや方向転換を伴うスポーツで多く見られます。 もう1つは、加齢による半月板の変性です。 加齢によって半月板の弾力性が低下し、脆くなることで、ちょっとした動作でも損傷しやすくなります。 また、当院「リペアセルクリニック」では手術をしない治療法として再生医療を提案しております。 膝の痛みや手術で不安な方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 参考文献 文献1 日本理学療法士協会「理学療法ハンドブック シリーズ 7 変形性膝関節症」 https://www.japanpt.or.jp/about_pt/asset/pdf/handbook07_whole_compressed.pdf 文献2 理化学研究所 生命医科学研究センター「膝の変形性関節症の原因遺伝子『DVWA』を同定」 https://www.ims.riken.jp/pdf/20080712_2-3.pdf
2021.12.13 -
- 関節リウマチ
- お皿付近に違和感
- 内科疾患
「関節リウマチの初期症状を知りたい」 「指や関節の違和感があるけど、関節リウマチの初期症状?」 関節リウマチは進行すると関節の破壊を伴いながら、骨格系の機能障害を引き起こし、日常生活における動作などを低下させていく病気です。 現在、日本では人口の約1%の方に発症の可能性があるとされており、全身性の自己免疫疾患で、男女比はおよそ1:3と女性のほうが男性より多い病気と言われています。 今回は、放置すると危ない関節リウマチの初期症状を中心に、チェックリストを踏まえて解説します。違和感があるときは、早めにお近くの医療機関を受診するのが大切です。 また、関節リウマチ全体の概要は、以下の記事で詳細を解説しているのであわせて参考にしてみてください。 関節リウマチの初期症状 関節リウマチの主な初期症状は、以下のとおりです。 ・関節のこわばり ・関節部の疼痛 ・関節の腫れ ・関節の機能障害 なお、関節のこわばりとは、関節が自分で思ったように動かない機能障害が起こっている状況です。 痛みを発症する関節部位は、全身の中であらゆる場所で生じる可能性があります。ただ、とくに手首や手指の関節部で引き起こされる傾向にあり、患部は一か所だけでなく複数で認められる場合が多いです。 もし仮に関節部の炎症が長期間にわたって継続されると、関節の軟骨や骨組織自体が少しずつ破壊されていきます。 病状が進行すると関節の変形や関節の脱臼をはじめ、関節が硬くこわばってしまい、曲げ伸ばしが困難になるほどの変化を引き起こす場合があります。 さらに、炎症が強くなると発熱や全身の倦怠感、また体重の減少や食欲不振といった全身症状を伴う場合もあるため、日常生活に著しく支障をきたしかねません。 「初期症状かもしれない」と感じたときは、早い段階で医療機関を受診するのが大切です。 【チェックリスト】関節リウマチの初期症状に当てはまる方は要注意! 関節リウマチの初期症状に当てはまるのか、以下の表に項目ごとにチェックリストをまとめています。 当てはまるものがあれば、関節リウマチの可能性があるので、早めに医療機関を受診してみてください。 全身の症状 ・体のだるさや疲れやすさ ・微熱が続く ・食欲の低下 ・体重の減少 ・貧血気味 など 関節の症状 ・朝の両手のこわばり感 ・手指における関節の腫れ ・関節の痛み など 日常生活での症状 ・朝食を作る際の動作に違和感がある ・歯ブラシが使いづらい ・お箸をうまく使えない ・ドアノブが回しづらい ・家のカギが開けづらい ・靴ひもが結びづらい ・パソコン入力がしづらい など その他の症状 ・眼や口の渇き ・口内炎 など 関節リウマチが発症する原因 関節リウマチの詳しい発症原因は、現代においても明確になっていません。 ただ、どうやら先天性の遺伝的要因と、周辺の環境的要素が複雑に組み合わさり、発症するのではないかと考えられています。 昨今の研究によりますと、関節リウマチの発症は遺伝的要因が約10%関与しており、症状を発症しやすい遺伝子は約100種類あると考えられています。 一方、発症リスクの観点(環境的な原因)として、重要視されるのが喫煙歴です。ほかには歯周病や慢性呼吸器感染症の免疫機構など、複数の要因が挙げられています。 画像検査はレントゲンを中心に行われ、患部の手足部を実際に撮影して骨の表面が欠けているか否か、あるいは骨隙間の距離が縮んでいないかを診断します。 関節リウマチの治療方法【薬物療法・手術療法など】 関節リウマチの治療法は「薬物療法」や「手術療法」が挙げられます。それぞれの治療方法には、メリットとデメリットがあります。 どれを選択するかは重症度や合併症の有無、あるいは日常生活でどのくらい支障が出ているのかなど、多角的に評価して判断する流れです。 関節リウマチにおける関節の破壊的な変化は、一般的に発症して概ね2年以内の期間で急速に進行すると判明しています。破壊されてしまった軟骨や骨関節は、元の正常な状態に戻せないので早期の診断と治療が重要です。 まずは関節リウマチの病気がいかなるものかを理解して、適度な運動と安静のバランスを考えながら、食生活などを含めた規則正しい生活習慣を送るのが重要です。 前述した通り、喫煙歴や歯周病の有無が関節リウマチにおける病気の活動性に影響していると考えられています。そのため、患者さんが喫煙しているときは禁煙指導を行う可能性もあります。 また、薬物療法の点から見ていきましょう。薬物療法は、関節リウマチにおける治療の中心的な治療方法です。関節リウマチ患者における関節部位の炎症を抑えて、症状改善を目指すために行います。 【関節リウマチの治療薬】 ・抗リウマチ薬 ・生物学的製剤(※) (※)生物学的製剤とは: →生物が産生するたんぱく質などの成分を改良して作製された新薬のこと 現在、関節リウマチの治療薬に使える生物学的製剤は、8種類ほどあると言われています。 生物学的製剤は、とくに関節破壊を抑制する効果が際立って優れていると言われています。関節リウマチの症状をより軽度な状態に改善して、維持をするのが可能になりました。 また、患者様の中にはさまざまな薬物療法などの治療を実施しても、関節変形による機能障害が後遺症として残る場合もあるでしょう。その際は、人工関節置換術や滑膜切除術など、手術治療が選ばれる可能性もあります。 ここまで読み進めてみて「生物学的製剤に副作用はあるの?」と気になられた方は、以下で詳細を説明しているのであわせて参考にしてみてください。 まとめ|関節リウマチの初期症状があるときは早めに医療機関を受診しよう 近年では、関節リウマチの治療法も大きな変貌を遂げています。治療の大きな役割を担っているのは、2003年に初めて登場した生物学的製剤です。 生物学的製剤は、免疫機構において重要な役割を果たす炎症性サイトカインの物質に直接的に作用して、関節リウマチの活動を抑えられます。従来のほかの薬剤と比べて、有効性が高いと評価されています。 いずれにしても関節リウマチの違和感や痛みを放置しないために、初期症状の内容を再度押さえておきましょう。 【関節リウマチの初期症状】 ・関節のこわばり ・関節部の疼痛 ・関節の腫れ ・関節の機能障害 早期の発見と治療が大原則なので、関節に違和感を感じたら、専門の医療機関を早めに受診してみてください。 当院「リペアセルクリニック」では、治療の選択肢のひとつとして、再生医療による関節リウマチの治療も行っています。 症例の一例として、関節リウマチの症状をもたれている患者様に、PRPの注射を行い、膝関節や手首の痛みを軽減させた事例もあります。 症例の詳細については、専用記事で解説しているので、良ければあわせて参考にしていただけますと幸いです。 また、関節リウマチ以外の症状でも、なにかしらの不調が出てしまう場合もあります。体のお悩みを抱えておられるときは、ぜひ当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 関節リウマチの初期症状に関わるQ&A 関節リウマチの初期症状に関わる質問と答えを解説します。 Q.関節リウマチでしてはいけないことは? A.以下の10個があげられます。 1.症状を悪化させる食事(砂糖や加工食品は要注意) 2.激しい運動(適度であればOK) 3.体や関節を冷やす 4.首に負担をかける行動 5.肥満の状態 6.同じ姿勢を長時間とる 7.重いものを持つ 8.正座をする 9.喫煙をする 10.ストレスを溜める 関節リウマチでしてはいけない10項目の詳細は、以下の記事で解説しているので、あわせて参考にしてみてください。 Q.関節リウマチは血液検査で判断できますか? A.はい。血液検査では、リウマトイド因子や、抗環状シトルリン化ペプチド抗体の有無で判断します。 Q.関節リウマチの初期症状があるときは何科を受診すれば良いですか? A.整形外科、内科、リウマチ科、膠原病科などを受診しましょう。 また、リウマチ専門のスタッフがいる医療機関を知りたいときは、日本リウマチ学会や日本リウマチ財団のWebサイトから、お近くの医療機関などを検索できます。
2021.12.10 -
- 股関節
股関節の大腿骨頭壊死は治るのか? 皆さんは、これまでに「股関節の大腿骨頭壊死」という言葉を耳にしたことはありませんか。あまり馴染みは無いと思いますが、これは股関節に現れる病名で非常に大きな病です。 大腿骨頭壊死症は、大腿骨頭部の阻血性(血行障害)疾患であり、日本での年間発生者はおよそ2200人程度と推定されています。この疾患を発症するリスクとしては、ステロイドによる治療歴や、アルコール、つまり飲酒との関連性が報告されています。 大腿骨頭壊死とは、人体で一番大きな球状の関節である股関節を構成する大腿骨頭の一部に血流が通わなくなることで、その結果として悲しいことに骨組織が壊死してその部分が死んでしまうような状態を指します。 大腿骨頭壊死症になると、保存的な治療以外にも手術による治療を薦められることもあります。 基本は、患者さん自身の股関節を温存することを優先的に考えますが、症状や重症度によっては人工物で股関節を置き換える人工関節置換という手術療法を選択しなければなりません。 今回は、股関節に現れる大腿骨頭壊死の正体とその治療法について解説しましょう。 股関節の大腿骨頭壊死の原因や症状とは? 足の付け根部分にある関節、その中でも大腿骨の先、大腿骨頭は、股関節を形成する部位としてとても重要な役割を果たしています。大腿骨頭は丸みを帯びた形状をしていて、この大腿骨頭が股関節の中の臼蓋といわれるくぼんだ部分にはまり込むことで股関節が形成されています。 大腿骨頭壊死は、大腿骨頭への血流が十分な量が循環されなくなり骨組織が死んでしまうことで起こります。そして、大腿骨頭壊死症を発症すると大腿骨頭が正常な場合の丸みのある形が変形してしまい、そうなると正常な股関節としての機能を果たせなくなります。 大腿骨頭壊死は、血流障害から発生する病気ですが、いくつかの危険因子がこれまでの研究によって指摘されています。 例えば、「膠原病」の合併症として発生するケースが多いと報告されています。膠原病のなかでも特に大腿骨頭壊死と関連性が深いのは、全身性エリテマトーデスという病気で、実際に、15歳以上の全身性エリテマトーデスを罹患している患者さんでは、大腿骨頭壊死の発生数が急増することが分かっています。 また、「ステロイド」の大量服薬なども本疾患、発生の危険因子であると考えられています。 ステロイドは膠原病や白血病などの数多くの病気で使用される重要な薬剤ですが、1日に40㎎以上を服用し続けると大腿骨頭壊死を患うリスクが上昇するという研究結果があります。 その他に大腿骨頭壊死の原因としてあげられるのがアルコールの過剰摂取、年齢、性別、凝固異常などが考えられています。尚、性別については、男性が女性よりも発生しやすいという統計になっているので男性は注意が必要です。 さらに、発症の危険因子ではありませんが、症状が悪化すると壊死した骨へ体重が過剰に掛かると潰れやすくなることも指摘されていて、これも注意しなければなりません。 大腿骨頭壊死は、大腿骨頭の壊死が生じた段階では明らかな症状はありません。骨頭部の壊死が発生してから股関節の症状が出現するまでには時間差があるからです。 本症では、病理学的には骨細胞と骨髄細胞が壊死に陥る特徴があります。骨頭壊死部は、主に壊死した層、修復反応層、健常な層といった 3 つの層に分かれていて壊死した層が壊れることで大腿骨頭の形に変化が生じ、股関節の機能に障害が起こるります。 股関節の大腿骨頭壊死の治療法 さてここからは、股関節の大腿骨頭壊死は治るのかと題して、骨頭壊死に対する治療法についてご紹介していきましょう。 まず大腿骨頭壊死の診断は、レントゲン写真やMRI検査、シンチグラムといった画像検査が主体になります。特に、MRI検査では大腿骨頭が潰れるという大きな変化を起こす前段階の時点、画像で異常を発見することが可能になります。 大腿骨頭壊死では、保存的療法と手術療法が存在しますが、病状の進行度や症状などに応じて治療方針が決定されます。もし、壊死範囲がごく小さい場合や経過が悪くないと判断されるケースでは、手術を選択せずに保存的な治療で様子をみることになります。 通常の保存的な治療では、体重を過度に増やさず肥満を防止したり、歩行では杖を使用して体重が股関節に賭ける負担を無くしたり、また長距離歩行を出来る限り控えることが必要です。また、重いものを持ち上げることも禁止される場合が多いと思われます。 疼痛(痛み)症状に対しては、消炎鎮痛剤が使用されます。 そして、大腿骨頭壊死の手術療法としては、「自分自身の股関節を温存する方法」と、「人工股関節への置き換える方法」があります。 仮に壊死部分に過剰な体重がかかってしまうと大腿骨頭の潰れが進行してしまうため、大腿骨頭回転骨切り術と言われる手法や、大腿骨内反骨切り術という手術の実施を考えることになります。 自分自身の股関節を温存する手術とは、手術で大腿骨の形を変えることによって体重のかかる部分に健常な関節面が当たるようにします。これによって大腿骨頭の変形の進行を抑えていきます。 また、大腿骨に大きな変形が生じている症例では、人工関節への置換手術を行います。 この場合に、注意しておきたいのは股関節を人工物に置き換えるということは、人工物と骨を結合する必要から、その結合状況の耐久性にはおのずと限界があることです。そのため、人工関節置換術という手術は、将来的に再手術が必要となる可能性があることを考慮した上で慎重に検討しなければなりません。 大腿骨頭壊死は治るのか?まとめ 股関節は、自分自身の体重を支える非常に重要な関節です。大腿骨頭壊死は、股関節を構成する大腿骨頭という部分に血流が行き渡らなくなることで、骨の組織が壊死してしまった状態です。 壊死しただけでは疼痛症状(痛み)を自覚しませんが、壊死部分が圧迫されて潰れると痛みが生じます。 特に、大腿骨頭壊死の発症にはステロイドとの関連性が指摘されており、治療にあたり、ステロイドの服用に関しては慎重な管理が必要とされます。 かつては、股関節の大腿骨頭壊死症は「一度壊死が起きたら治らない」と言われていた時代がありましたが、上手に治療して壊死部分が圧潰しなければ改善する可能性があります。 早めに信頼できる医師に相談して改善を目指しましょう。
2021.12.10 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
「変形性膝関節症はダイエットで痛みが緩和される?」「膝に負担をかけないダイエット方法はある?」 変形性膝関節症と診断されて、このような疑問を感じる方は多いのではないでしょうか。 ダイエットで変形性膝関節症を改善するには、無理のない範囲で体重をコントロールし、膝への負担を減らすことが重要です。 この記事では、変形性膝関節症に効果的なダイエット方法を、食事と運動の両面から解説します。最後までご覧いただき、生活習慣に合った方法を見つけて健康的な毎日を取り戻しましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では変形性膝関節症に対する再生医療治療を行っております。 膝の痛みでお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 変形性膝関節症の症状緩和にダイエットが効果的な理由 ダイエットが変形性膝関節症に効果的な理由は以下の3つです。 体重減少で膝への負担が軽減する 体脂肪が減り炎症を抑制できる 軟骨の保護と再生につながる 変形性膝関節症は、膝への負担が大きくなるにつれて症状悪化のリスクも高まります。 とくに体重が膝関節に与える影響は大きいため、適切なダイエットをすれば痛みや炎症を和らげる効果が期待できるでしょう。 本章では、体重管理が変形性膝関節症の改善にどのように役立つか解説します。 体重減少で膝への負担が軽減する 変形性膝関節症になると、膝の軟骨がすり減り骨同士がぶつかり合って炎症や痛みを引き起こします。 体重が増加すると、当然ながら膝にかかる負担も大きくなります。 そのため、ダイエットによって体重を減らすことは、膝への負担を軽減し、痛みを和らげるために非常に有効な手段といえるでしょう。 体重が1kg増えるごとに、膝にかかる負担は2〜3kgも増えるとされています。(文献1) 少しでも体重を減らせば、歩行時の痛みだけでなく、階段の上り下りや立ち座りなどの動作も楽になることが期待できるでしょう。 変形性膝関節症の原因や初期症状については以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にご覧ください。 体脂肪が減り炎症を抑制できる 過剰な体脂肪は膝の炎症を悪化させる原因にもなります。 脂肪細胞が分泌する炎症性物質は膝関節に悪影響を及ぼし、痛みや腫れを引き起こすためです。 ダイエットによって体脂肪を減らすと、これらの炎症物質の分泌が減少し、症状が緩和される可能性があります。 また、抗炎症作用のある食材(オメガ3脂肪酸を含む魚類や野菜など)を取り入れることで、関節の炎症を抑える効果が期待できます。(文献2) 軟骨の保護と再生につながる 膝関節の軟骨は、体重の負荷を吸収する重要な役割を担っています。体重が重いと軟骨にかかる負担が大きくなり、摩耗を進行させる原因となります。 ダイエットで体重を減らすことで膝の軟骨への負担を軽減し、損傷の進行を遅らせる効果が期待できるでしょう。 また、コラーゲンやグルコサミンなど、軟骨の再生を助ける成分を含む食品を積極的に摂取するのもおすすめです。 体重管理と栄養バランスを意識し、膝の健康を保ちましょう。 変形性膝関節症のダイエット方法 変形性膝関節症は、膝への負担を軽減する運動や食事療法を取り入れるダイエットが有効です。 無理のない運動から始める 自宅でできる運動 食事療法で体重をコントロールする 本章では、上記3つのポイントに分けて具体的なダイエット方法を詳しく解説します。 無理のない運動から始める 膝の負担を軽減するためには、無理のない範囲で運動を始めてみるのがおすすめです。 たとえば、ウォーキングや水中運動は膝に優しく、負担を最小限に抑えながら体重を調整できます。 また、運動を開始する前には軽いストレッチによって、怪我のリスクを減らし、より効果的に体を動かせます。 週2〜3回、短時間からでも始めていけば、負担を軽減しつつダイエットも続けやすくなるでしょう。 変形性膝関節症の進行を予防する方法や、膝の負担を減らす効果的な運動についてはこちらの記事も参考にご確認ください。 自宅でできる運動 外出が難しい方には、自宅でできる運動がおすすめです。 椅子に座った状態で足を伸ばすエクササイズや、軽いスクワットなどが効果的です。 とくにスクワットは、膝を痛めない範囲で行えば太ももの筋力を鍛え、膝を支える力を強化します。 また、ヨガやストレッチは関節の柔軟性を高めるだけでなく、リラックス効果も得られます。 自宅で手軽に行える運動を取り入れていけば、ダイエットも無理なく継続できるでしょう。 以下の記事では、変形性膝関節症を悪化させないための日常の工夫や、継続して運動に取り組む方法を紹介しています。 \まずは当院にお問い合わせください/ 食事療法で体重をコントロールする 食事療法は、体重を減らし膝の負担を軽減するための効果的な方法です。 バランスの良い食事を心がけていれば、健康的に体重管理ができます。 具体的なポイントを以下にまとめます。 早食いを控える 早食いは、満腹感を得る前に必要以上に食べてしまうことが原因で体重増加にもつながります。 そのため、食事には時間をかけて一口ごとにしっかり噛む習慣をつけましょう。 また、食べるスピードをゆっくりにするため、箸を置いたり水を飲んだりしながら進めるのも効果的です。 まとめ食い(ドカ食い)を控える 空腹を長時間放置すると、次の食事でまとめ食いしがちです。 これによりカロリー過多となり、体重増加につながります。 規則正しく1日3食を心がけ、間食で適度に空腹を満たす工夫をすれば、ドカ食いも防ぎやすくなります。 ながら食い、つられ食いを控える、よく噛んで食べる テレビやスマートフォンを見ながらの「ながら食い」は、満腹感を感じにくくなる原因です。 また、つられ食いも食べ過ぎを招きがちです。 そのため、食事中は周囲の誘惑を避け、食べることに集中しましょう。 一口ずつよく噛んで味わえば、満足感が得られて食べ過ぎを防げます。 不要な食品を買わない、菓子類を身の回りに置かない スナック菓子や高カロリー食品を身近に置いていると、つい手が伸びてしまいます。 買い物の際は不要な食品を控え、手元に誘惑がない環境を作りましょう。 また、代わりにフルーツやナッツなど、健康的な間食を用意するのがおすすめです。 変形性膝関節症でダイエットを実践する上での注意点 変形性膝関節症でダイエットを実践する上では、無理をせず医師の指示のもと行うなど、いくつかの注意点があります。 本章では以下2つのポイントを紹介します。 無理せず継続することが大切 医師に相談しながら進める ダイエットを進める際の注意点を詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。 無理せず継続することが大切 ダイエットで重要なのは、無理せず継続することです。 とくに変形性膝関節症の方は、膝への負担を考慮しながら、無理のない範囲で運動や食事制限を行う必要があります。 たとえば、急に激しい運動を始めると膝を痛めてしまう可能性があります。 そのため、ウォーキングなどの軽い運動から始め、徐々に運動強度を上げていくようにしましょう。 また、極端な食事制限も、栄養不足やリバウンドにつながる可能性があります。 健康的な食生活を維持しながら、無理のない範囲でのカロリーコントロールも大切です。 医師に相談しながら進める 変形性膝関節症は個人差が大きいため、医師に相談しながら進めていくのが安心です。 とくに体重管理や運動の方法については、膝の状態に応じたアドバイスを受けて安全に進められます。 たとえば、痛みが強い場合には、膝に負担をかけない運動や補助具の活用を提案される場合もあります。 また、適切な栄養指導を受けて、症状の緩和につながる食事内容を知れるのもメリットです。 専門家のサポートを受けながら取り組むことで、リスクを抑えた効果的なダイエットが実現するでしょう。 変形性膝関節症に関する従来の治療法と、新たに注目される治療法を以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。 まとめ|変形性膝関節症は各種ダイエット方法で改善を目指そう 変形性膝関節症の症状を緩和するためには、体重管理が非常に重要です。 適切な運動や食事療法を取り入れることで、膝への負担を軽減し、症状の悪化を防ぐ効果が期待できます。 無理のない方法を選び、自分のペースで継続していくのがダイエット成功の鍵です。 日々の努力が積み重なれば、膝の痛みが和らぎ生活の質も向上します。 変形性膝関節症でお悩みの方は、医師に相談しながら、自分に合った方法で取り組むようにしましょう。 当院「リペアセルクリニック」では変形性膝関節症の治療を行っております。 気になる症状がある方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 変形性膝関節症のダイエット方法に関するよくある質問 変形性膝関節症に良い運動は何ですか? 膝に優しい運動として、水中ウォーキングやストレッチがおすすめです。 水中での運動は膝への負担を軽減しながら筋力を鍛えられるため、痛みの強い方にも適しています。 また、太ももの筋肉を鍛える軽いスクワットや、関節を柔軟にするヨガも効果的です。 ただし、無理をせず、自分の膝の状態に合った運動を選びましょう。 変形性膝関節症と肥満の関係はありますか? 肥満は変形性膝関節症の大きなリスク要因です。 体重が増えると膝にかかる負荷が増し、軟骨の摩耗や痛みを悪化させる原因になります。 一方で、体重を減らすことで膝への負担が軽減され、症状の進行を防ぐ効果が期待できます。 健康的な体重管理は膝の健康を守る上でも非常に重要です。 また、当院「リペアセルクリニック」では手術をしない治療法として再生医療を提案しております。 膝の痛みや変形性膝関節症の手術で不安な方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) 八事あしの健康会(監修:日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院)「あしの健康教室~膝編~第2弾」 https://www.nagoya2.jrc.or.jp/content/uploads/2016/11/ashino-kenkoukyoushitsu_hiza-2_111129-1.pdf (文献2) 管理栄養士 鈴木美紀(富士整形外科病院)「関節リウマチの 食事と栄養について|医療法人社団英志会 富士整形外科病院」 https://www.fujiseikei.com/news/2_631e7e67cbc6d/upload/20220912-093607-6628.pdf
2021.12.10