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「グルコサミンとコンドロイチンの違いは?」 「グルコサミンとコンドロイチンのサプリメントに副作用はある?」 グルコサミンやコンドロイチンは、体のあらゆる部分に存在しており、細胞同士をつなぎとめたり、水分を保持したりする性質をもっています。 ただ、グルコサミンとコンドロイチンのサプリメントによる摂取は、研究結果によると、残念ながら痛みが軽減したエビデンスは少ないのが実情です。 今回はグルコサミンとコンドロイチンの違いを始め、サプリメントの摂取による副作用などを解説します。 思い込みによって効果を感じるプラセボ効果についても解説するので、これからサプリメントの摂取を検討されている方は参考にしてみてください。 グルコサミンとコンドロイチンの違いとは? グルコサミンは、アミノ糖の一種で軟骨を始め、爪や皮膚などに分布しています。 一方、コンドロイチンは、ムコ多糖と呼ばれており、グルコサミンなどのアミノ糖が連なってできた多糖体です。 どちらも体内で自然に生成される成分、関節を構成する成分として有名です。 グルコサミンやコンドロイチンは、体のあらゆる部分に存在しており、細胞同士をつなぎとめたり、水分を保持したりする性質をもっています。 関節内では、コンドロイチンはプロテオグリカンと呼ばれ、軟骨の構成成分としてクッションのような役割を果たし、骨と骨が接触しないよう保護してくれています。 膝・腰・肩などの関節が痛む原因 膝や腰、肩の痛みは多くの場合、加齢によるものが原因です。残念なことに体の機能は、年齢を重ねるにつれて徐々に衰えます。 グルコサミンやコンドロイチンといった体内で生成される成分も、加齢で生産率は減少していき、関節内の柔軟性や弾力性がしだいに失われます。 関節を構成する成分が減ってしまうと脆くなり、軟骨がすり減って骨がぶつかり合い、周辺の神経に伝わって痛みが出てくるのです。 たとえば、重労働や激しい運動など、膝や腰、肩を使いすぎる行動を継続すると痛みの原因になります。 すでに症状があり、膝などの関節痛が治らない方は、根本的な治療を行うほうが良いケースもあります。 当院「リペアセルクリニック」では、膝の痛みに関する再生医療の治療実績もございますので、まずはお気軽にメールや電話にてお問い合わせください。 グルコサミンやコンドロイチンのサプリメントは関節痛に効果がない 軟骨に豊富に含まれているグルコサミンやコンドロイチンは、サプリメントから補給する方法もありますが、実は関節痛には効果がないのがわかっています。 関節の痛みに効果がない理由として、口からの摂取による影響が考えられるでしょう。 消化器官を通過すると、グルコサミンやコンドロイチンの構成成分であるアミノ酸や糖質は、胃液などにより消化および分解されてしまいます。 そのまま体に吸収されるため、軟骨まで到達するとは考えにくいのです。また、軟骨には血管がほとんどなく、栄養として成分が直接届きにくいとされています。 一般的にイメージされるサプリメントの効果は、軟骨減少の改善を始め、膝や腰、肩の痛みにおける症状改善などがあげられます。 ただ、研究結果をみると、グルコサミンやコンドロイチンのサプリメントがもたらす効能は、科学的な根拠に乏しいのが実情です。 サプリメントの効果に関する研究論文【痛みが軽減したエビデンスは少ない】 米国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)が出資した主要な研究など、一部の研究によると、グルコサミンのサプリメントが痛みを軽減させたエビデンスは、ほとんどあるいはまったくありませんでした。 一部の研究発表では、コンドロイチンやグルコサミンなどの成分をサプリメントとして服用すると、膝や腰、肩の痛みを軽減する可能性があると示唆しています。 ただし、実際のところは「可能性レベル」であって、ほとんどの研究において「劇的な改善をもたらしたといえるほどの効果はない」と報告されています。 実際に大規模な研究結果でも、グルコサミンやコンドロイチンといった成分が関節の痛みに効果があるというエビデンスを示していません。 つまり、グルコサミンやコンドロイチンなどのサプリメントが、痛みを軽減するのかは十分な証拠がない状況といえます。 関節痛にサプリメントが効くのは思い込み?プラセボ(プラシーボ)効果とは プラセボ(プラシーボ)効果とは、本来は薬としての効能がまったくない物質を摂取しているのにもかかわらず、効能が得られたと感じることです。 膝や関節に関わるグルコサミンやコンドロイチン、プロテオグリカン、ヒアルロン酸などのサプリメントも、同様に思い込みで効果を実感している可能性もあります。 実際に摂取された方のなかには「痛みが軽くなった」「痛みが半減した」などの意見が上がっている製品もあるようです。 実際に利用者が、どの製品のサプリメントに効果があると感じたのかは正確にはわかりません。 ただ、サプリメントの摂取で、膝や関節への効果を感じている理由としては、プラセボ効果が関わっているのではないかと考えられています。 グルコサミンとコンドロイチンの服用における実験結果 アメリカの臨床研究では、関節痛などの問題を抱えている大勢の方に集まってもらい、2つのグループに分けてモニタリングを行いました。 片方のグループには、グルコサミンやコンドロイチンの「本物のサプリメント」を与えて、もう片方のグループには、まったく何の効果もない「偽のサプリメント」を与えました。 実際にそれぞれのグループに一定の期間服用させたところ、グルコサミンとコンドロイチンの成分が入っているかどうかにかかわらず、以下のような改善が見られたのです。 本物のサプリメントを与えたグループ ・症状の改善が見られた層がいた 偽のサプリメントを与えたグループ ・「痛みが緩和した」「痛みが改善した」 など症状の改善が見られた層がいた 上記はプラセボ効果によるもので、一種の「思い込みによる心理的な働き」と考えられています。 「グルコサミンやコンドロイチンのサプリメントは、摂取すると膝の痛みがとれる」といった情報から、思い込みやイメージなどにより、効いたように感じてしまうのです。 しかし、思い込みだとしても、実際に症状が良くなったと感じるなら、本人にとっては「痛みを改善する目的が達成できた」といった見方もできるかもしれません。 ただ、残念ながら結果が得られなければ、この記事を思い起こしていただければと思います。 グルコサミンとコンドロイチンの副作用 厚生労働省eJIMによると、グルコサミンとコンドロイチンのどちらも、3年間継続して摂取した場合、重篤な副作用は見られない結果でした。(文献1) ただ、本人の体における状態などを始め、服用している薬との飲み合わせによっては、何かしらの副作用が出る可能性もゼロではありません。 サプリメントの摂取を行うときは、必ず医療機関で医師や薬剤師などに問題がないかを確認してみてください。 まとめ|グルコサミンとコンドロイチンのサプリメントが関節痛に効く可能性は低い グルコサミンやコンドロイチンは、体の軟骨成分に豊富に含まれている物質です。 医学的にはサプリメントで成分を補ったとしても、膝や肩などの関節に届く可能性は低く、痛みに効くとは言い切れないのが現状です。 ただ、今後の臨床研究により、なんらかの効能が見つかる可能性もあるかもしれません。 現在膝や肩などの関節痛に悩まされているなら、サプリメントに頼りすぎず、ぜひ整形外科を始めとした医療機関の受診をおすすめします。 痛みには思わぬ病気が隠れている場合もあるため、早期発見と早期治療が何よりの対処法です。 体の痛みや違和感といった症状を放置せず、しっかりとした診断に基づく治療を受けてみてください。 また、膝まわりの痛みに関しては、幹細胞を使った再生医療による治療方法もございます。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による関節症などの治療実績もございますので、関節に関わる症状がある方は、ぜひメールや電話からお悩みをご相談ください。 グルコサミンとコンドロイチンの違いに関するQ&A グルコサミンとコンドロイチンの違いに関する質問と答えをまとめています。 Q.軟骨成分のプロテオグリカンは関節痛に効果があるの? A.食事やサプリメントによる効果は期待できないと考えられています。 ただ、運動によって血流が良くなると、細胞に栄養などが届きやすくなり、プロテオグリカンの増加が促進されるのがわかっています。 プロテオグリカンと関節痛に関する詳細については、以下の記事を参考にしてみてください。 Q.コラーゲンのサプリメント・ドリンクは関節の違和感などに効果があるの? A.「低分子コラーゲン」「コラーゲンペプチド」と表記があるサプリメントやドリンクは、効果が期待できるかもしれません。 低分子化したものはコラーゲンペプチドとも呼ばれており、粒子が細かく腸壁で吸収されてから血液を通り、皮膚や骨、関節などの全身に届きます。 コラーゲンのサプリメントと関節痛との関わりについては、以下の記事も参考になります。 Q.グルコサミンやコンドロイチンを含む食べ物は? A.以下の食べ物に含まれています。 ・グルコサミン:カニやエビなど(甲殻類の殻) ・コンドロイチン:牛や豚などの軟骨、干しえび、きのこ類、山芋 など 栄養素は相互作用で働くので、偏らずにさまざまな食べ物をバランス良く摂取してみてください。 参考文献 文献1 厚生労働省eJIM|海外の情報 グルコサミンとコンドロイチン
2021.10.06 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
変形性膝関節症の画像診断と進行度合の目安、ステージ分類の仕方、自覚症状の見方 変形性膝関節症と診断されてから「どれくらい進行しているのだろう?」ご心配や、お悩みは尽きないものです。もしかして「悪くなっているのか?、いや良くなっているかも」「平行線なのか?」自分の症状が今どの程度なのか。 実は、そんな症状の進行度合を指標とした指標があります。それが「ステージ分類」というものと「自覚症状からの分類」というものがあります。 変形性膝関節症は、膝に痛みや変形をもたらし、日常生活に多大なる影響を及ぼします。進行すると手術の適応となるのですが、その進行度合いは画像診断や、患者様の自覚症状から見極められます。 そこで今回は、症状の進行を現す変形性膝関節症のステージ分類と、自覚症状による分類についてご紹介しましょう。 変形性膝関節症の「ステージ分類」の仕方 変形性膝関節症は、X線検査(x-ray)にて診断されます。撮影には寝転んだ状態で正面・側面から撮影する方法(非荷重位)と、立って撮影する方法(荷重位)があります。寝転んだ状態では、関節の隙間が広がり、正確に隙間を見ることができないため、立位で撮影することが大事です。 膝の診断レントゲン撮影 寝て撮影:否荷重位 立って撮影:荷重位(正確な診断にはこちらを選択する) X線により白く映し出された大腿骨と脛骨の末端に注視し、膝の状態を確認します。特に大腿骨と脛骨の隙間・O脚やX脚・骨棘(異常に突出した骨)が形成されているかどうかです。これらを元に、Kellgren-Lawrence(ケルグレンローレンス)分類のグレード0〜4のいずれかに分けて変形性膝関節症の進行度合いを表示します。数字が大きくなるほど進行が進んでいる状態を表示します。 Kellgren-Lawrence (ステージ分類) グレード0 大腿骨と脛骨の関節の隙間が十分にある正常な状態です。 グレード1 骨棘のほか、関節液が骨に侵入 溶解され骨に穴が空く骨のう胞、度重なる骨への負担から骨が異常に固くなる骨の硬化がみられる。 グレード2 関節の隙間が狭くなりますが、正常の2分の1以上の隙間が残っている。 グレード3 関節の隙間がさらに狭くなり、正常の2分の1以下になる。 グレード4 関節の隙間が消え、大腿骨が内側に傾くなど大腿骨と脛骨のズレが見られます。 また明らかな骨棘の形成が見られる。 こられ「X線検査」は、骨の状態や隙間を確認することには長けていますが、靭帯や軟骨などの軟部組織はハッキリと映し出されません。靭帯や軟骨を確認するには、明暗がハッキリわかるMRI(Magnetic Resonance Imaging)が使われます。 このように変形性膝関節症はX線にて診断され、画像を元に分類分けされます。 次に自覚症状などから分けられる4つの分類を紹介します。 変形性膝関節症の進行に沿った「自覚症状による分類」の見方 変形性膝関節症の自覚症状は「前期」「初期」「中期」「末期」と進行していきます。 「前期」の自覚症状 痛みは感じず、健康な状態です。軟骨変性といい関節軟骨に劣化や傷みが起こることがありますが外部から確認はできない。 ここから長い年月をかけて関節軟骨の弾力が少しずつ衰え、病気は進行する。 「初期」の自覚症状 この頃から軟骨が擦り減り始める。 X線では膝関節に変形はほとんどない。 主な症状は、膝の「動かしにくさ、こわばり、違和感」がある。 軟骨変性が進むと、関節軟骨のクッション機能が失われていき、一箇所に負担がかかることで骨硬化が見られる。 滑膜が炎症を起こし、激しい痛みを感じることがあるのも初期の特徴。 「中期」の自覚症状 いよいよ膝関節の変形が始まるのが中期。 初期の炎症が落ち着き、痛みは軽減される。 しかし痛みは慢性化し、日常生活動作に影響が出始める。 特に階段の昇降や、正座や立ち上がりなど、膝の曲げ伸ばしに関する動作に支障が出る。 動くたびに痛みを感じるので、痛みを庇うことで膝周囲の筋肉や靭帯を動かす機会が減る。 膝関節の動きが固くなり、制限がかかる状態を関節拘縮と言う。 「末期」の自覚症状 変形はさらに進行し、軟骨がほとんど擦り切れた状態。 大腿骨と脛骨が直接ぶつかることから、立つ・座る・歩くといった生活の基本の動作がまともにできなくなる 膝が動かなくなる。 基本的にはじっとしていても痛みを感じ、杖や手すりなど、何かを頼りにしないと歩くのも難しくなる。 ここまで単純X線写真で判断するグレードと、自覚症状などから判断する「前期」「初期」「中期」「末期」の4つの分類を紹介しました。 しかし前項で紹介したX線検査でのKellgren-Lawrence分類が進行していたとしても、自覚症状が一致するとは限りません。 自覚症状があまり強くない場合や、その逆の場合もあります。 まとめ・変形性膝関節症の画像診断と進行度合の目安、ステージ分類の仕方、自覚症状の見方 いかがでしたでしょうか? 変形性膝関節症の画像診断と自覚症状における分類について、その見方や仕方をご紹介しました。両者の進行度合いが一致するとは限らないことから、膝に痛みがないからと安心してはいけません。 膝に違和感を覚えた時点で早期受診・発見することが、変形性膝関節症の治療の幅を広げ、進行を遅らせることができます。 また変形性膝関節症の基本的な治療は「運動療法」になります。膝周囲の筋肉を鍛え、膝への負担を軽減させることで、進行を遅らせることができるからです。 たとえ手術の適応となった場合でも、術後も運動療法を継続することが大事です。運動療法により膝の可動域を維持することで、その先の人生をいかに支障なく過ごせるかに関わってきます。 ▼ 最新の再生医療で変形性膝関節症を治療する方法をご存知ですか? 変形性膝関節症は「再生医療なら手術をせずに改善できます」早期はもちろん、末期でもご相談下さい! ▼以下もご参照ください 変形性膝関節症の最新治療|ヒアルロン酸ではできない軟骨の再生を期待できる治療法とは
2021.09.22 -
- 変形性膝関節症
- ひざ関節
変形性膝関節症の痛みの段階と人工関節のメリット・デメリット、避けるために 変形性膝関節症とは、骨の先端にある軟骨がすり減ったり骨が変形し、痛みや腫れを伴う状態をいいます。残念ながら一度すり減った軟骨に自力で復活するなどの改善を期待することは通常できません。 軟骨のすり減りが進行すると骨の周りを覆っている骨膜が露出し、骨膜同士が当たるようになり、そのため痛みが伴うようになってきます。さらに、そこに変形した膝の骨が骨同士に負担をかけてしまうことになり、痛みが倍増することになります。このように痛みを伴うのは、骨膜同士がぶつかり合ってしまうための痛みです。 膝には関節包と呼ばれる袋があり、袋の中には滑液と呼ばれる潤滑液で満たされています。古くなった滑液は、骨の先端から吸収され新しい滑液が流され、その流れが繰り返されます。しかし、骨同士のぶつかりが頻発すると炎症が起きます。 炎症が起きると、滑液が骨の先に吸収されずつねに膝の袋の中に滑液が貯まります。これが「水がたまる」と言われる現象で膝が変形した人や膝に痛みを伴う人に見られる症状の一つです。 膝の痛みを抑えるために、医者が診察時に患者さんによく言う言葉に「膝の痛みを取るためには筋肉を鍛えなさい」という言葉があります。一度は耳にされたことがあるかもしれません!筋肉を鍛える理由は、膝の周りにはいくつもの筋肉が膝の骨同士がぶつからないように支えており、年を重ねるにつれて筋肉は衰えます。 衰えるということは、膝を支えている部分が弱くなり、膝の骨同士がぶつかりやすくなります。お互いにぶつかりがないようにするために、筋力をつけろと言うわけです。 変形性膝関節症|初期・中期・末期の症状 変形性膝関節症は時間をかけて変形し、痛みの度合いも変化していきます。変形による痛みがどのように変わるのかを以下の3つに分けてご説明します。 1)初期症状 2)中期症状 3)末期症状 ※ご注意 変形による痛みではなく、違う膝の病気という可能性もあります。自己判断ではなく、病院で診察を受けていただくなど正確な情報をもとにして、お膝の具合と照らし合わせて確認されることをお勧めします。 1)初期症状 朝起きて動き始めに、膝がこわばる(曲げ伸ばししづらい)感覚があり、鈍い痛みが伴います。しばらく動かしたり歩いていると、こわばりもとれいつもと変わらない膝の曲げ伸ばしができるようになり、気にならなくなる方が多いようです。 最初の頃だと、膝の痛みが直ぐに消えるため、気になる方が少ないのが現状です。このような症状が出始めたときは、膝の筋肉が弱くなり、膝の骨同士が少しずつ当たり始めている状態です。 2)中期症状 中期になると、しばらく動かしていたら消えた痛みが中々消えず、正座やしゃがむという動作が辛くなります。他にも階段の上り下りが痛みを伴います。 この場合だと、膝の炎症が起き始め、膝も腫れて熱感も生じます。関節包(関節の袋)の中に滑液が貯まりはじめ、膝の変形も少しずつ始まります。 また軟骨がすり減っているため、関節の曲げ伸ばしのときに軋む音がします。 3)末期症状 関節軟骨がほとんど無くなり、骨同士がぶつかるようになります。炎症も常に続いているので、骨の変形も著しくなります。初期・中期で見られた症状全てが悪くなった状態で、「しゃがむ」「正座」「階段の上り下り」が困難になります。 日常の歩行も難しく、常に痛みを伴う状態です。痛みを常に伴うため、体だけでなく心の負担も大きくなり、精神的に追いやられる方が多いようです。 このように段階を経て膝の変形に伴い痛みのレベルも変化していきます。少しでも痛みや違和感を感じたときには、最寄りの整形外科を受診されることを強くおすすめします。 人工関節|メリットとデメリット 症状が末期になり、膝の変形がひどくなると、医者から「人工関節にしては?」と手術を勧められた場合、人工関節にはメリットとデメリットがあることを知ってご判断されることをお勧めします。 メリットは、歩行時の痛みが和らぎ、歩くことが楽になります。膝が痛むため、歩く機会が減ったという方にとっては何よりのメリットと言えるでしょう。 しかし、手術には感染症や深部静脈血栓・塞栓症などの合併症を引き起こす可能性があります。 また人工関節には寿命があり、それは10~15年と言われていることです。つまり、年齢によっては再び入れ替えるための手術が必要となる可能性があります。 こ例外、膝の痛みは取れても、正座や運動制限といった日常動作に対する制限も加わることもデメリットと言えるでしょう。 膝の人工関節手術|メリットとデメリット メリット デメリット 痛みの原因を改善できる 痛みが和らぐ 歩行の改善 入院に3~6週間を要する 手術後はリハビリが必須 日常生活で動きに制限 手術後、10~15年で交換が必要(再手術) 感染症、合併症を引き起こす可能性がある 人工物に置換える心理的な抵抗感 膝の人工関節(手術)を避ける最新医療(再生医療)について 手術を避けたい、踏み切れないなら「再生医療(幹細胞治療)」という選択肢もあります https://youtu.be/ek8aeRHpKiA?si=R7VdYuGlwZD5HoLU 幹細胞による治療法とは、「幹細胞」と呼ばれる「自己複製能」と様々な細胞に「分化する能力(多分化能)」を持つ特殊な細胞を膝に注射をします。すり減った軟骨が幹細胞により再生し、膝の痛みが和らぎます。 状態によっては、手術をすることなく、これまでのように日常生活の動きに制限がない快適な生活を手にすることが可能となります。幹細胞を用いた治療は「再生医療」と呼ばれ、体に負担をかけない方にとって画期的な治療方法として注目を浴びています。 当院は厚生労働省から認められた再生医療の専門院です。再生医療による膝の治療について詳しいことはお気軽にお問い合わせください。 まとめ・変形性膝関節症の痛みの段階と人工関節のメリット・デメリット、避けるために 変形性膝関節症は、骨や軟骨の変形によって引き起こされる痛みを伴う進行性の疾患です。本稿では、初期から末期までの症状の変化や、人工関節手術のメリットとデメリット、さらには再生医療の選択肢について解説しました。 初期症状では、こわばりや軋みが感じられ、中期になると痛みが増し、末期には日常生活に支障をきたすまで進行します。人工関節手術は痛みを和らげる一方で、入院やリハビリが必要であり、人工物であるだけに寿命があることも理解しなければなりません。 一方で、新しい治療法として注目されている再生医療という治療法もあります。これはご自身の幹細胞を用いて自己の軟骨を再生させるこれまでに無い治療法です。手術を回避しつつ、痛みの緩和を図るもので治療の選択肢を与えてくれるものです。 いずれにしても治療は、患者様自身の状態や希望に応じて、適切な治療法を選択することが重要です。 医師との相談を通じて、最良の治療プランを見つけましょう。 ▼ 再生医療は、人工関節を避けて変形性膝関節症を治療できる方法です 変形性膝関節症は、再生医療にで人工関節の手術をせずに改善することが可能です ▼こちらもご参考にされませんか 変形性膝関節症は膝痛の9割以上にその可能性!急増する原因と予防のヒント
2021.09.18 -
- 変形性膝関節症
- ひざ関節
変形性膝関節症の手術費用ってどのくらい? 保険適用は可能なの? 変形性膝関節症と診断され、手術を勧められた際に上記の疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。 結論からお伝えすると、変形性膝関節症の手術費用は、行う術式(手術の種類)によって差があります。 「限度額適用認定」や「高額療養費」などの制度を活用すれば、自己負担を抑えられる可能性があるため、活用しましょう。 本記事では変形性膝関節症の手術にかかる一般的な費用や保険適用時の金額、費用を抑える方法を解説します。 保険適用できる条件も詳しく紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。 変形性膝関節症の手術費用は「術式によって異なる」 変形性膝関節症の手術費用は、術式(行う手術の種類)によって異なります。 変形性膝関節症で行われる代表的な手術は「関節鏡手術」「脛骨の骨切り術」「人工膝関節の置換手術」の3種類があげられます。それぞれの手術費用の例は以下のとおりです。 術式(手術内容) 保険適用前の金額 自己負担額 その他に負担する費用 関節鏡視下手術 250,000円 3割負担:約75,000円 1割負担;約25,000円 差額ベッド代(※): 約5,000円〜20,000円 食事代(1食): 110円〜490円 高位脛骨骨切り術 1,460,000円 3割負担:約438,000円 1割負担;約146,000円 人工関節置換術 1,860,000円 3割負担:約558,000円 1割負担;約186,000円 ※差額ベッド代:病院によって金額が異なる「個室や特別室を希望」した際に発生する、標準的な病室との差額 それぞれの手術費用は、使用される「材料・技術・入院の要否」などにより異なり、健康保険や医療費助成制度を活用して自己負担額が決定されます。 また、差額のベッド代は「個室は2万円〜、2人部屋なら1万円〜」など、入院先の病院によってさまざまです。 ここでは手術の概要や自己負担額について、さらに詳しく解説いたします。 関節鏡視下手術は2.5〜7.5万円 関節鏡視下手術は内視鏡を使って関節内を観察し、損傷した軟骨や滑膜、骨のトゲなどを取り除く手術です。 体への負担が少なく、手術時間や回復までの期間が短い一方、効果が持続しにくく再び痛みが出る場合もあります。 関節鏡手術の費用はおおよそ25万円となっており、負担額による費用は次のとおりです。 自己負担割合 自己負担額 3割負担 約7.5万円 1割負担 約2.5万円 ※上記に差額ベッド代や食事代が自己負担に加算されます。 高位脛骨骨切り術は14.6〜43.8万円 高位脛骨骨切り術は、膝の変形や荷重の偏りを改善するために、脛骨の一部を切除して膝の角度を調整する手術です。 O脚の状態では膝の内側に負担が集中しやすく、骨を切り形状を矯正することで負担を和らげます。 高位脛骨骨切り術の費用は約146万円となっており、負担額による費用は以下のとおりです。 自己負担割合 自己負担額 3割負担 約43.8万円 1割負担 約14.6万円 ※上記に差額ベッド代や食事代が自己負担に加算されます。 人工関節置換術は18.6〜55万円 人工関節置換術は膝の関節全体を人工関節に置き換える手術です。 人工関節に置き換える手術には、関節のすべてを交換する人工膝関節全置換術と、傷んだ部分のみ交換する単顆置換術があります。 多くは全置換術が適用され、痛みの軽減に期待できますが、正座が難しくなるなど関節可動域は低下します。 また、体への侵襲が他の手術と比べて大きい点も特徴的です。 稀に深刻な合併症を伴う可能性もあるため、リスクを理解し手術については医師と相談して判断してください。 手術費用は約186万円です。また、負担額による費用は次のとおりです。 自己負担割合 自己負担額 3割負担 約55万円 1割負担 約18.6万円 ※上記に差額ベッド代や食事代が自己負担に加算されます。 保険適用されない費用 自己負担の割合によって手術費を減額できますが、保険適用外の費用には以下が挙げられます。 保険適用外の項目 自己負担額 差額ベッド代 約5,000円〜20,000円 食事代(1食) 110円〜490円 差額のベッド代とは、病院によって金額が異なる「個室や特別室を希望」した際に発生する、標準的な病室との差額です。 また、入院中の食事代の一部も保険適用外です。たとえば、一般の方が1カ月入院した場合「490円×3食×30日=44,100円」となるでしょう。 ただし、住民税非課税世帯の方は、所得や年齢に応じて1食分の負担額がさらに減ります。 また、変形性膝関節症で手術するメリット・デメリットや、高齢者が手術を受ける際のリスクは以下の記事でも紹介しています。これから変形性膝関節症で手術を検討している方は参考にしていただければ幸いです。 変形性膝関節症で手術費用の負担を軽減する2つの方法 変形性膝関節症の手術費用は高額になりがちですが、負担を軽減するには「限度額適用認定証」や「高額療養費制度」があります。 それぞれの特徴と違いは以下のとおりです。(文献1) 項目 限度額適用認定証 高額療養費制度 目的 医療費の窓口支払いを一時的に減らす 医療費負担が高額になった場合、後で払い戻す 手続き方法 事前に申請し、認定証を医療機関に提示 医療費を一旦支払い、その後申請する 利用の流れ 1. 事前に市区町村役場または社会保険事務所に申請 2. 医療機関で認定証を提示し、限度額内の自己負担で治療を受ける 1. 一旦自己負担分を全額支払う 2. 後で健康保険組合等に申請し、高額療養費として一部払い戻しを受ける 3. 支給まで約3〜4か月かかる場合がある 申請のタイミング 入院・手術前に事前申請 支払い後に後から申請 適用される医療費 月ごとの自己負担限度額に収まる医療費 既に支払った医療費が限度額を超えた分 メリット 窓口支払いが限度額内で済む 突然の高額な医療費も後で軽減される 医療費の支払いで家計を圧迫しないためにも、制度を上手に活用して手術費用を抑える工夫をしましょう。 限度額適用認定証や高額療養費制度の詳細は加入している保険組合にご確認ください。 限度額適用認定証で窓口負担を減らす 1つ目は医療費が高額になった際に負担を軽くしてくれる「限度額適用認定証」です。 健康保険組合などで発行されるため、事前に取得しておくと病院での支払いを限度額内に抑えられます。 そのため、手術によって発生した高額な医療費をその場で支払う必要がなくなり、治療を安心して受けられるでしょう。(文献2) 高額療養費制度を申請して減額する 2つ目は、医療費が高額になったときに払い戻しを受けられる「高額療養費制度」です。 毎月の医療費が一定額を超えた場合、後日払い戻しを申請できます。 収入による限度額が決められているため、超過した分は払い戻し対象です。 また、申請手続きは、健康保険組合や市区町村の窓口で行います。 申請後には数カ月で支給されるため、手術費用の負担が軽くなり長期的な医療費の不安も減るでしょう。 ただし、健康保険内診療で適用されるケースとされない場合もあるので、それぞれ紹介します。(文献3) 高額療養費制度が適用される健康保険内診療 健康保険が適用されるケースは以下のとおりです。 技術代 金属などの材料費 輸血料 麻酔料 検査料 画像診断料 注射料 再診料 入院料 リハビリ料 など 通常の治療費や料院費用、手術代などが対象となり、一定の限度額を超えた際に支給されます。 高額療養費制度が適用されない保険外診療費 健康保険が適用されない費用の例は以下のとおりです。 差額ベッド代 食事代 など 差額ベッド代や特別な検査・先進医療などは、高額療養費制度の対象外で自己負担が必要です。そのため、制度の適用範囲を理解しながら効果的に活用しましょう。 また、制度を利用しても一時的に高額な支払いが発生するのも事実です。 しかし、70歳未満や70歳以上の非課税世帯は「限度額適用認定証」を提示することで、支払いが「自己負担限度額」に抑えられます。 さらに、70〜75歳以上の非課税世帯でない方も「高齢受給者証」や「後期高齢者医療被保険者証」を提示すると限度額までの支払いに抑えられるので、ぜひ活用してください。 ※平成30年8月から70歳以上の方の上限額に変更がありました。 これまで現役並みとされる課税所得145万円以上の方でも限度額適用認定証を必要としませんでしたが、新たに課税所得145万円〜689万円の方は、I〜Ⅲの区分に従って上限額が変更され、限度額適用認定証も必要になりました。詳しくは以下のページをご覧ください。 厚生労働省|高額医療費制度の見直しについて まとめ|変形性膝関節症の手術費用は制度を利用して負担を抑えよう 変形性膝関節症の手術費用は、行う手術の種類によって異なります。最終的な自己負担額は、保険適用の有無や高額療養費制度などの活用によって決定します。 また、「限度額適用認定」や「高額療養費制度」を活用することで、自己負担限度額に抑えた支払いが可能です。 手術については他にも費用がかかる場合が多く、病院によって追加の費用が発生することもあるため、入院前には治療内容や費用について、しっかり相談することをおすすめします。 変形性膝関節症の手術費用についてよくある質問 オスグッドの手術費用はどれくらい? オスグッド・シュラッター病の手術費用は、保険適用の有無や病院の方針によって異なります。 一般的には10万円前後の費用がかかりますが、高額療養費制度の活用によって減額も可能です。 オスグッド・シュラッター病については以下の記事もご覧ください。 変形性膝関節症で入院なしの治療法はある? 変形性膝関節症の治療には、必ずしも入院が必要なわけではありません。 保存療法や日帰り手術が可能な場合も多く、痛みの程度や進行度に応じて選択できます。 また、当院では再生医療・幹細胞治療もおすすめしております。 変形性膝関節症で手術を検討している方は、こちらも参考にしていただければ幸いです。 参考文献一覧 (文献1) 全国健康保険協会|「高額療養費」と 「限度額適用認定証」 について (文献2) 全国健康保険協会 協会けんぽ|健康保険限度額適用認定申請書 (文献3) 厚生労働省|平成30年8月から、 - 高額療養費の上限額が 変わります
2021.09.17 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
「変形性膝関節症でしてはいけないことは?」 「変形性膝関節症のときに仕事の動作で注意したいことは?」 変形性膝関節症とは、膝の軟骨(半月板・関節軟骨)がすり減るのを原因として、膝に痛みや変形をもたらす病気です。 変形性膝関節症の悪化を防ぐには、膝への負担をかけないように過ごす必要があります。 膝は足関節と股関節の間に位置する関節で、立ち座りの動作を始め、歩くといった日常生活の動作に重要な関節のため、大きな負担がかかりがちです。 たとえば、歩行では体重の2~3倍、走ると5倍もの負担がかかります。階段の昇降においては5~6倍、しゃがみ立ちでは7~8倍の負担がかかるといわれています。 今回は、変形性膝関節症でしてはいけないことを仕事の職種別に、対策を含めて解説します。生活のためにも、仕事を辞めるわけにはいかない方は参考にしてみてください。 また、当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による変形性膝関節症の治療実績もございます。膝まわりの悩みを抱えておられる方は、ぜひ一度ご相談ください。 変形性膝関節症でしてはいけないこと【仕事の職種別】 変形性膝関節症の人がしてはいけないことは、膝に負担がかかる動作が頻繁に起こる仕事です。 具体的には、以下のような仕事内容が当てはまります。 【膝に負担がかかる動作】 ・立ったり、座ったりを繰り返す ・急な方向転換やストップがある ・ジャンプの動作など膝に強い衝撃がかかる ・長時間の立位を行う ・長距離の歩行を行う ・重い荷物などの上げ下げがある ・しゃがむ、立ち上がるといった動作を行う ただ、膝の関節痛がありながらも、仕事を続けなければならない方も少なくありません。 膝に負担がかかる動作が多い職種について、以下で具体的に対策を考えてみました。痛みの根本的な解決にはなりませんが、予防するときの参考にしてみてください。 ・大工 ・引っ越し作業・配達 ・トラックの運転手 ・デスクワーク ・旅館・茶道の講師 ・スーパー・コンビニのレジ打ち業務 ・営業職 変形性膝関節症の方で、仕事中にサポーターを使うときは以下の記事も参考になります。 大工 大工の仕事は、重たい部材の上げ下げや木材の運搬、長時間の立ち仕事などが多く、膝に負担がかかりがちな仕事です。 床貼りやペンキ塗りをするときは、立ったり座ったりするなど、しゃがみこむ動作が必要になります。 仕事のときは、膝の曲げ伸ばしを助けてくれるタイプのサポーターをつけましょう。また、膝を意識しながら、なるべく負担のかからないような動作を研究してみてください。 また、時間配分を決めて定期的に休みつつ、作業前後にストレッチを取り入れるのも有効です。 引っ越し作業・配達 引っ越しや配達の作業では、重たい荷物を積み下ろしするため、膝に大きな負担がかかります。 ほかにも、階段の昇り降りを始め、繰り返しの屈伸など、膝に大きな負担がかかる作業を繰り返しがちです。 また、誤解されている方が多いのですが、階段や坂道では、上りよりも下るほうが膝への負担が大きくなります。階段の昇降には手すりを持ちながら、上り下りのサポートを行いましょう。 膝を痛めてしまう前にサポーターを装着し、膝の曲げ伸ばしを助けながら、作業の前後は準備運動やストレッチを習慣化してみてください。 トラックの運転手 トラックの運転をされる場合、渋滞などにあうとクラッチを操作する左足の曲げ伸ばしにおいて、膝が悲鳴をあげがちです。 同様に姿勢が崩れると、アクセルの動作でも膝に負担がかかります。 シートに腰をしっかりつけて正しい姿勢で座り、少しでも足の曲げ伸ばしに負担がかからない姿勢を模索しましょう。 また、以下のような状況のときは、膝に負担がかからないように、できる範囲でゆっくりした動作を意識してみてください。 ・高さのある荷台を降りるとき ・運転席から降りるとき ・荷物の出し入れや運搬をするとき ほかにも、高速道路などのサービスエリアで休憩するときは、ストレッチを習慣化するのがおすすめです。短距離のときも、作業の合間に取り入れて体をほぐしてみてください。 デスクワーク 室内のデスクワークは心配がないと思われがちですが、冷房が効いた室内にいると膝が冷えます。膝が冷えると血管が収縮し、血液の流れが悪くなって筋肉が硬くなりがちです。 また、長時間椅子に座っているのも良くありません。膝を動かさないままでは、痛みの物質の排出が滞り、痛みを感じやすくなります。 対策としては、以下の心がけを行うのがおすすめです。 ・膝にブランケットをかけて冷え対策をする ・膝にサポーターをつけて温める ・椅子の高さを調整して膝に負担がかからないようにする ・座る姿勢にも気を使う 時間を決めて、席を立ったり膝のストレッチを行ったりするなど、膝を含めて全身を動かすのが大切です。 旅館・茶道の講師 旅館や茶道の講師は、畳の作法やお茶を振る舞うときに正座の動作が多い仕事です。 正座は膝が折りたたまれる上、自身の体重がかかります。また、椅子から立ち上がるときと比べて、地面から高さがあるので膝への負担がかかりがちです。 とくに正座から立ち上がる動作は、膝に負荷がかかりやすい動作なので要注意です。 対策としてはできる限り、以下の内容を意識してみてください。 ・正座するときはクッションや正座椅子を使う ・立ち上がるときは手で何か支えになるものを持つ ・定期的なストレッチを行う ・負担を減らすために体重の管理を心がける 旅館や茶道の講師として仕事をされている方にかかわらず、正座や床に近いところで作業が多い方は、上記を参考に膝への負担を配慮してみてください。 スーパー・コンビニのレジ打ち業務 スーパーやコンビニなどのレジ打ち業務の特徴は、一定の場所で長時間、立ちっぱなしである点です。 同じ姿勢で長時間過ごすと、膝から上の体重がすべてかかるため、膝への負担が大きくなります。 とくに変形性膝関節症になると、膝に偏った負担がかかって痛みを感じやすくなります。膝への負担を少なくするために、以下の対策を行いましょう。 ・体重管理を行う ・なるべく椅子を使う 椅子に座るのが難しいときは、その場で足踏みをしたり、少しだけでも体を動かすように意識して膝への負担を減らしてみてください。 営業職 営業の外回りで歩く時間が多い方は、靴が重要です。女性の場合、ヒールのように安定性に欠けた靴では膝に負担がかかります。 ほかにも、サンダルやデッキシューズなども、膝に負担がかかるので注意が必要です。 靴を選ぶときは男性も女性も、かかとがしっかり包み込まれるような靴や、ビジネスタイプのウォーキングシューズを選びましょう。 衝撃を吸収するタイプの中敷き(インソール)などを使うのも有効です。 また、歩くときの足腰への負担を減らすには、体重の管理を行うのも大切になります。 ただ、上記で述べてきた方法は解決策ではないので、根本的な治療が重要です。変形性膝関節症に関する膝の痛みは、早めに医療機関で治療に取り組むのをおすすめします。 たとえば、再生医療による治療では幹細胞を使い、手術不要で膝まわりにおける症状の改善をサポートします。 変形性膝関節症になったときの過ごし方 膝に痛みがあると、関節を動かさないようにしがちですが、適度に体を動かすのも大切です。 膝まわりの筋力が落ちてしまうと、かえって関節への負担が高まります。そのため、初期症状がある頃は、膝まわりの筋力が落ちないように、意識して動くのをおすすめします。 ウォーキングなどであれば、歩くと大腿四頭筋を始めとする膝まわりの筋力低下を防げるのでおすすめです。 肥満傾向の方は、筋力を落とさないように注意しながら、脂肪を落として体重を減らすのも大切です。 単に食事量を減らすのではなく、カロリー制限をするなど、食事制限を行うと負荷を減らしながら膝の安定性を高められます。 軽めの運動は大切ではありますが、膝の負担になるほどの運動は行わないように、様子を見ながら取り組んでみてください。 また、日常生活の動作見直しを始め、変形性膝関節症の予防法における詳細は、以下の記事も参考になります。 まとめ|変形性膝関節症になったら膝への負担を減らす工夫をしよう 仕事での屈伸動作や正座、急な方向転換など、膝に負荷がかかる仕事の動作が積み重なると、痛みを感じる原因につながります。 また、軟骨下骨の新陳代謝(骨吸収と形成)に異常をきたすほか、関節軟骨の変性や破壊にもつながるので注意が必要です。 対策としては、膝関節に安定性をもたらすウォーキングや、大腿四頭筋のトレーニングのように、適度に膝を動かすのが変形性膝関節症の予防にも大切です。 仕事で変形性膝関節症の悪化を防ぐには、進行の予防にサポーターを使ったり、ストレッチを定期的に取り入れたりするなど、自分なりの工夫を心がけましょう。 また、根本的な改善には、治療方法を検討するのも重要です。当院「リペアセルクリニック」では、変形性膝関節症における治療方法のひとつとして再生医療を行っています。 以下の動画を参考に、実際に来院された患者様のお声もご覧いただけると幸いです。 https://youtu.be/VAxeH1j4TEY?feature=shared 【リペアセルクリニックへの相談方法】 ・メール相談 ・来院予約 ・電話相談:0120-706-313(オンラインカウンセリングの予約) 変形性膝関節症でしてはいけないことに関わるQ&A 変形性膝関節症でしてはいけないことに関わる質問と答えをまとめています。 Q.変形性膝関節症のときにしてはいけない運動はある? A.以下のように、ひざに負担のかかる運動は避けましょう。 ・テニス ・卓球 ・ゴルフ ・社交ダンス など 屈伸運動やジャンプを必要とする運動は控えながら、なるべく膝への負担が少ない運動を取り入れてみてください。 Q.変形性膝関節症のときは運動したほうが良い? A.はい、適度な運動は大切です。 たとえば、水中運動、地上での適度なウォーキングなどがおすすめです。 室内でできる運動では、厚生労働省に掲載されている椅子に座って行うストレッチなどが参考になります。(文献1) 運動するときは無理をしないように注意して、かかりつけの医師などに相談しながら行いましょう。 運動方法の詳細については、以下の記事も参考にしてみてください。 Q.変形性膝関節症の治療方法は何がある? A.以下のような治療方法があります。 ・薬物療法:飲み薬や湿布薬、塗り薬などを使う ・手術療法:内視鏡手術、人工関節置換術などを行う ・理学療法(運動療法):装具、運動により筋肉や関節などに働きかける ・再生医療:PRP療法などにより自然治癒力に働きかける それぞれの治療方法については、以下の記事で詳しく解説しています。 Q.変形性膝関節症の手術をするメリット・デメリットは? A.手術するメリットとデメリットには、以下のような内容があげられます。 手術のメリット 手術のデメリット ・起床時に膝のこわばりがなくなる ・痛みなく階段を上り下りできる ・膝を気にせずスッと歩き出せる ・膝を気にせず好きなところに出かけられる ・手術そのもので合併症の危険性がある ・膝の曲げ伸ばしに違和感が出る場合もある ・重い荷物を避ける必要がある ・正座ができない ・かがめない、かがみにくくなる ・生活習慣の変化を受け入れる必要がある ・スポーツに支障が出る可能性もある ただし、本人の状態や症状によっては、手術のメリットとデメリットについて、上記に当てはまらない可能性もあります。必ず医療機関で医師にご相談ください。 変形性膝関節症の手術をする前に知っておきたい内容については、以下の記事も参考になります。 参考文献 文献1 厚生労働省|変形性ひざ関節症の人を対象にした運動プログラム
2021.09.13 -
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変形性膝関節症の治療法や種類を一挙に解説します(薬物療法、保存療法、手術療法、理学療法、理学療法、再生医療) 変形性膝関節症の治療法(保存療法)にはどんな種類があるの? 変形性膝関節症の治療法については、様々な種類があります。今回は、その治療について徹底して解説させていただきます。変形性膝関節症は、関節軟骨の変性や摩耗を伴う退行性の病気です。 中高齢者の膝関節痛のいちばんの原因疾患として、その頻度は高くみられます。 そして、初期や中期の変形性膝関節症に対しては、さまざまな保存療法が有効であり、ある程度まで進行した変形性膝関節症に対しては、手術が必要となります。 変形性膝関節症の治療法 初期~中期:さまざまな「保存療法」が有効 ~末期:「手術療法」が必要となる 症状としては、初期では起床時や休憩後などでの膝を動かした際に痛みが発生します。痛みは寒い日や、雨の降る日など、天気の悪い日に増悪することが多く、天気のよい日などは痛みを感じにくい場合もあります。 変形性膝関節症の進行に伴い、歩く場合に痛みが発生し、長距離歩行や階段昇降が困難になり、安静時痛や夜間痛が出現することもあります。 また、正座ができなくなるなどの膝関節の屈曲制限や、反対に膝が完全に伸ばせなくなるなどの関節可動域制限が生じてくると日常生活上いろいろな支障がみられます。 変形性膝関節症に対して行われる治療法にはおもに薬物療法・運動療法・理学療法・装具療法・内視鏡手術・人工関節置換術、そして最近注目されている先端医療分野で再生医療というものがあります。 1.薬物療法 変形性膝関節症の薬物療法では、さまざまな薬が処方されます。薬の種類には大きく分けて「内服薬(飲み薬)」「湿布薬」「塗り薬」「坐薬」の4種類があります。 通常、内服薬は頓用、塗り薬や湿布薬は痛みが慢性化した場合の長期使用、坐薬は耐え難い痛みがあるときの緊急用として使用されます。 薬物療法、薬の種類 内服薬(飲み薬) 湿布薬 塗り薬 坐 薬 内服薬として最もよく処方されるのは鎮痛薬で、「NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)」と「アセトアミノフェン」が多く使用されます。NSAIDsはロキソニン、ボルタレンなどの製品名がよく知られています。 体内の炎症を鎮める薬で、主に痛みが関節の中にある場合によく効きます。ただし、副作用として胃腸障害が現れることがあり、胃痛や吐き気、ときには胃潰瘍になるというケースもあります。そのため、多くの場合「胃薬」も一緒に処方されます。 湿布薬や塗り薬は「外用薬」と呼ばれ、その中にはNSAIDsの成分が含まれており、患部に貼ったり塗ったりすることで経皮吸収(皮膚から吸収すること)され、炎症を鎮める効果が期待できます。 内服薬のような胃腸障害や内臓疾患の心配が少なく、長期使用も可能です。一方でかゆみや、かぶれ、アレルギー反応を起こすこともあり、皮膚が過敏な人は注意が必要です。 薬物療法の種類 ■内服薬:鎮痛薬 ■概 要:体内の炎症を鎮める薬、主に痛みが関節の中にある場合に効果が高い ■副作用:胃腸障害(胃痛、吐き気、胃潰瘍) NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬):ロキソニン、ボルタレンなどの製品名 アセトアミノフェン ■外用薬:湿布薬、塗り薬、 ■概 要:NSAIDsの成分を含み患部に貼付、塗布することで経皮吸収(皮膚から吸収) ■副作用:かぶれ、アレルギー等(長期使用も可能) 鎮痛薬や湿布薬などで痛みがひかない場合には、膝の関節内にヒアルロン酸注射を打つことがあります。ヒアルロン酸は、膝の動きを滑らかにし、クッションの役割を担うことに一役買っています。 変形性膝関節症では、関節液中のヒアルロン酸の量が少なかったり、弾性や粘性が低下していたりするため、不足するヒアルロン酸を注射器で関節内に注入します。 膝関節にヒアルロン酸を注入すると、痛みが和らぐほか、膝の動きが滑らかになり、また関節軟骨の栄養になるといった効果が期待できます。 鎮痛薬や湿布薬などで痛みがひかない場合 膝(関節内):注射(ヒアルロン酸) 概 要:膝の動きを滑らかになる。 痛みを和らげ、動きを滑らかする。 運動療法/リハビリ 運動療法は、リハビリの一貫として専門家の指導の下、筋肉をほぐしたり、硬くなった関節の動きを広げて動きやすくするなどの適切な所作、運動を行うことによって痛みや機能の障害を回復させ、或いは改善を目指すために行います。 その他、運動療法は膝周りの弱った筋肉の力を向上させて膝を支えることができるよう、運動機能を取り戻すことを期待して行います。その内容は、以下のような目的をもって各種、組み合わせて行われます。 リハビリの目的 筋力アップ 可動域の拡大 体重管理(必要ならダイエット) ※体重管理は、膝に負担をかけないために重要です。肥満傾向がある場合は、ダイエットも指導することになります。 理学療法・装具療法 装具療法では、装具を用いることで膝関節にかかる負担を軽減し、関節を安定させることで痛みを和らげます。装具は、関節の変形を治す効果はありませんが、普段の生活の立つ、歩くなど膝関節にかかる負担を軽減するのに役立ちます。 希望する人は医師に相談して、自分の関節の状態に合ったものをすすめてもらうといいでしょう。変形性膝関節症の治療に用いる装具には、次のようなものがあります。 ① 装具/サポーター 目的:膝を温める。 効果:患部の細胞の新陳代謝を促進、炎症を鎮める。膝が守られているという安心感。 タイプ:薄型で伸縮性や保温性の高い医療用タイプを選ぶといいでしょう。 ② 足底板/インソール 目的:歩いたりした際の痛みが緩和される。 概要:O脚、X脚タイプの変形性膝関節症の初期、靴の中や足裏に足底板(インソール)を活用する。 タイプ:靴への中敷きタイプ、足裏に直接つける室内用タイプがある。 注意 :初期~中期の患者さんに有効。変形が進行した末期の場合は改善効果が期待できない。 足底板は、物理的な作用で変形した膝関節の角度を一定角度補整できる治療法です。O脚の人の場合、足底板を使って足の外側を高くし、内側を低くすることで、膝の内側に偏っていた負荷が軽くなって痛みが和らぐのです。 内視鏡手術 内視鏡(関節鏡)手術は、腰椎麻酔をしてから膝蓋骨の周辺に1cmほどの小さな切開口を2〜3カ所あけて、カメラのついた内視鏡を挿入し、炎症の原因となるこすれ落ちた軟骨や断裂した半月板、炎症を起こした滑膜などを取り除き、膝痛を改善する手術法です。 滑膜の炎症が強くて水がたまりやすい人、半月板損傷や関節遊離体(いわゆる関節ネズミ)のある人など、膝の痛む原因がはっきりわかっている人に特に有効です。 内視鏡手術の最大の利点は、切開部が小さいため体力的負担が少ないことです。 手術時間は1時間前後と短く、手術当日は翌朝まで安静にしますが、翌日からは歩くことができます。入院も1日程度と短期間で済み、多くの場合2〜3日で通常の生活に戻れます。 人工関節置換術 変形性膝関節症が進行し、痛みがとても強くて歩行が困難になった場合、「人工膝関節置換術」が検討されます。変形した膝関節の骨をインプラント(人工の関節)に置き換えるというもので、膝関節の一部のみを入れ換える「片側置換術(UKA)」と、関節の接合部全体を入れ換える「全置換術(TKA)」に分けられます。 人工膝関節置換術の手術を受けると、痛みはほぼ完全に消え、可動域が広がって滑らかに膝を動かすことができるようになります。O脚やX脚がある場合には、まっすぐな足に矯正され、歩行時に膝のぐらつきがある人はそれも解消されます。 再生医療/PRP療法 再生医療とは、人の細胞が持つ「自然治癒力」を引き出して機能の回復を図る治療法です。 変形性膝関節症の場合、重症化すると手術に頼らざるを得ないのが実情ですが、こうした手術適応例において、組織修復力を持つ再生医療の治療効果が期待されています。 現在、最も多く行われている再生医療が「PRP療法(自己多血小板血漿注入療法)」です。 血小板とは、血液に含まれる細胞のことで、血液を固める働きのほかに、組織の修復を促す成長因子を出す働きがあります。PRP療法では、患者さん自身の血液から、血小板が多く含まれる血小板血漿(PRP)を抽出し、患部に注入します。すると、その部分の組織の修復が促されていきます。 PRPは自分の血液から抽出するため、薬物療法のような副作用がほとんどないという利点があります。その反面、PRPは軟骨や半月板にはならないので、完全に軟骨がなくなってしまった重症の膝痛に対する効果は低下します。 変形性膝関節症では、関節の炎症を抑えて痛みを和らげ、軟骨や骨の変形の進行を防ぐ目的でPRP療法が用いられます。 https://youtu.be/OHnPrPHbtZM?si=IVTQZdjdcf8krciR 再生医療/幹細胞治療 このほかの再生医療には「幹細胞治療」があります。これは、衰えた膝の関節軟骨を再生させて痛みを抑える再生医療です。 幹細胞とは、皮膚や血液など、絶えず細胞が入れ替わる組織を保持するために、新しい細胞を再び産生して補充する能力をもつ細胞のことです。 幹細胞には、分化能(皮膚、血液、神経、血管、骨、筋肉など細胞を作り出す能力)と、自己複製能(自らと同じ能力を持つ細胞に分裂することができる能力)の2つの能力があります。 変形性膝関節症の治療で実用化されているのは「間葉系幹細胞」による軟骨再生療法です。間葉系幹細胞は骨髄に由来する非造血系の細胞ですが、骨髄ばかりか脂肪や骨膜などから比較的容易に取り出すことが可能です。 しかも、骨芽細胞や脂肪細胞だけでなく、軟骨細胞や筋細胞、神経細胞にも分化する能力を持っています。患者さん自身の細胞を使うため拒絶反応や副作用もなく、増殖に伴う老化の影響や分化能の低下が少ないのも大きな特徴です。 培養幹細胞治療では、お腹の脂肪から採取した間葉系幹細胞を培養して膝関節内に注入する治療や、膝の滑膜から採取した間葉系幹細胞を関節内に定期的に注入したり、半月板損傷に対する内視鏡手術の際に幹細胞を移植したりする治療が行われています。 さらに、軟骨細胞そのものを取り出して培養し、欠けた軟骨の再生を促す「自家培養軟骨移植」の研究も進み、実用化されています。これは患者さん自身の軟骨から取り出した細胞を培養し、膝の軟骨が欠けた箇所へ移植することにより、痛みなどの症状を緩和します。 これらの再生医療は、一部を除き自由診療となり、全額が自己負担となります。費用は医療施設によって大きく異なりますのでお問合せされることをお勧めします。 ただ、再生医療は実施する医療機関によって培養手段、投与手法をはじめ特徴が違います。そのため、一律に比較することができず、費用感だけでの比較はあまり意味がありません。興味がお有りならお問合せされることをお勧めします。 当院も再生医療専門のクリニックです。お問合せ頂ければ親切丁寧にご説明させて頂き、無理にお勧めすることもございませんのでお気軽にお問い合わせください。 尚、医療機関が再生医療を行う、あるいは特定細胞加工物を製造する場合には、厚生労働省への届出が法律で定められています。再生医療をお考えならその施設が「再生医療等提供機関」として登録されているか、必ず確認のうえ受診しましょう。 https://youtu.be/JvYn_j6n9io?si=bIobL5rL_HgE3wt3 まとめ・変形性膝関節症の治療方法や種類を一挙に解説します 以上のように、変形性膝関節症を治すための治療法は、薬物療法、保存療法、手術療法、理学療法、理学療法、再生医療などのように様々ありますが、まずは予防が大切です。 普段、日常生活を過ごすというだけでも膝には、体重の何倍もの負担が掛かっています。体重管理に気を付けて体重の増加に敏感になっていただきたいと思います。 それでも膝に痛みや、違和感を感じられたら年齢や症状に応じて整形外科をはじめとした医療機関で検査・診察を受け、医師と相談の上、適応となる治療法を選択してください。 以上、変形性膝関節症の保存療法を徹底解説させていただきました。参考にしていただけると幸いです。 ▼ 再生医療で変形性膝関節症を治療する 変形性膝関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼以下の情報も参考にされませんか 変形性膝関節症の装具療法の種類と注意点について
2021.09.07 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節
腱板損傷の画像診断|超音波(エコー)による検査方法について 超音波検査の特徴には、①簡便かつ非侵襲的(体に傷をつけない)、②リアルタイムで観察可能、③プローブを使用するなどの特徴があります。 検査をするにあたって、場所は選ばず、特別な準備も必要ありません。そのため超音波器械さえあれば、その場で好きなときに好きなだけ検査を行うことができます。また、体の外から当てた超音波は人体には無害で痛みもありません。簡便かつ非侵襲的な診断といえるものです。 最近ではポータブルの超音波器械が普及しており、性能も十分に高いため、器械そのものを持ち込んで集団検診、疫学調査が可能となっています。 スポーツ領域では競技グラウンドや練習現場に、学校などでは集団検診の場で検査が可能であり、一度に大量のデータを集積することも可能となっています。 リアルタイムで観察が可能 超音波画像はリアルタイムで観察できるため、腱板や関節唇上腕二頭筋長頭腱の動態検査、ストレス検査による不安定性の計測が可能です。また超音波の画像をみながら、損傷部位にピンポイントで穿刺(対外から針を刺す)することも可能です。 プローブを使用する 超音波検査ではプローブを用いますが、この際プローブによる軽い圧迫で、患部の圧痛との相関がみられることがあります。腱板の検査においては特にそれが認められ、診断率を上げることが可能です。 (1)使用する装置とプローブ 肩関節の超音波診断に使用する超音波断層装置は、ある程度の上級機種であれば大差はありません。プローブは7.5MHz~10MHz程度のリニアプローブを用いるのが一般的です。 体表面が凹となっている腋窩(わきの下のリンパ節)や肩峰—鎖骨間隙では、小型のコンベックスタイプのプローブが有用です。 (2)肩関節に対する超音波検査 ①患者を坐位または仰臥位とし、肩関節を中間位で軽度伸展させます。 ②まず、上腕二頭筋長頭腱および結節間溝を中心に検索します。肩甲下筋腱は、被検者の上腕を内外旋して小結節付着部を中心に検索します。 ③プローブを頭側へ移動させると棘上筋腱前縁が確認でき、さらに後方へ長軸像のまま棘上筋腱全体を検索します。 ④短軸像でも棘上筋腱全体を調べた後、棘下筋腱を長軸像で付着部を中心に検索します。 ⑤さらに、肩甲棘の中点で棘下筋の筋幅を両側計測します。 腱板損傷の超音波像 (1)肩甲下筋腱断裂・損傷 上腕骨を外旋させ、健側と厚み形態を比較します。健側と比べ腱が非薄化しており、投球障害では頭側関節包面に低エコーを呈します。 (2)棘上筋腱断裂 腱板の表面エコーと内部エコーの変化に注意しながら検査します。 表面エコーが平坦か下方凸になっていれば小断裂の存在を、内部エコーにおいて限局した低エコーが関節包面に存在していれば関節包断裂の存在を、境界エコーが不整で直下の内部エコーが低エコーになっていないケースでは滑液包断裂を示唆します。 また超音波で異常が存在した部位に限局している圧痛を認めたら、臨床的に同部が疼痛の主因になっていることが多いです。 (3)棘下筋断裂 棘下筋は薄いため、左右を比較します。頭側に低エコーを呈することが多いです。 (4)棘下筋萎縮 棘下筋の萎縮は投球動作で出現しやすいです。棘下筋の筋腹の厚みを左右比較するとともに、経時的に観察します。 まとめ・腱板損傷の画像診断|超音波(エコー)による検査方法について 超音波検査は、軟部組織を簡便かつ非侵襲的に診断できるとともに、患者自らモニターに映し出される画像をみることができるという利点があります。 最近では、超音波器機の発達に伴い画像が鮮明化し、診断の精度が向上するとともに、腱板のみならず他の部位にも応用されつつあります。 しかし、まだ診断率は検者の技量と経験に左右されるため、超音波検査の特性と限界を十分理解することが正診率を上げるうえで重要になってきます。 以上、腱板損傷における超音波・画像診断による検査についてご説明しました。 ▼ 再生医療で腱板損傷を治療する 腱板損傷は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼以下では腱板損傷の保存療法をご紹介しています 肩の腱板損傷の症状と機能改善のための保存療法について
2021.08.18 -
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
頚椎椎間板ヘルニアの各症状と身体所見、治療法|似た病態について解説します 背骨の骨と骨をつなぐ役割の組織を「椎間板」と言い、「頚椎椎間板ヘルニア」とは、椎間板組織が脊柱管内に突出または脱出して脊髓や神経根を圧迫し症状をきたす疾患です。 発症年齢としては、30~50歳代の男性に多くみられます。発生する部位ではC5、C/6(第5頚椎と第6頚椎の間の椎間板で発生)が最も多く、次にC4、C5並びにC6、C7にも多く発症します。(以下の図参照) 事故による外傷性や加齢による経年性による変性が機序となることが多く、「喫煙も危険因子」とされています。 なお脊柱管横断面で「正中型」、「外側型」と「傍正中型」とヘルニアが飛び出た方向で3分類されます。正中ヘルニアを脊髄症、外側型や傍正中型は神経根症や脊髄神経根症(脊髄症と神経根症の合併)をきたすことが多く、画像検査で椎間根ヘルニアを認めても、無症状であることも多いので注意が必要です。 脊柱管横断面 正中型 脊髄症 外側型 神経根症、脊髄神経根症(脊髄症と神経根症の合併) 傍正中型 発症原因 事故による外傷性 加齢による経年性による変性 喫煙も危険因子とされる 症状について 「頸椎症」のほかに、神経根が圧追されると「神経根症」、脊髄が圧迫されると「脊髄症」の症状が生じます。以下に各症状と身体所見、治療法を解説します。 頚椎症 首から肩甲骨にかけて痛みがあり首を動かすに痛みが増強し、安静にすると軽快します。 神経根症(radiculopathy) 上肢への放散痛、知覚障害、しびれ感、脱力感などの症状が生じます。放散痛の領域を詳しく把握することで障害神経根を推測することが可能です。前胸部に放散する疼痛がある狭心症に似た頸性狭心症(cervical angina)と呼ばれる疾患があり、鑑別を必要とします。 脊髄症(myelopathy) ボタンが掛けにくい、著が使いにくい、ボタンを上手く掛けることができない、といった手指巧級運動障害や歩行障害を生じます。痙性歩行により歩容は揺劣となり、階段昇降時には手すりが必要となります。また小走りも難しくなります。 初期は大きなボタンを掛けることはできますが、ワイシャツのような小さいボタンが掛けにくくなります。指または手のひら全体のしびれを訴えることがあり、脊髄の圧迫する部位によってしびれの領域に違いがみられます。手の痺れは手根管症候群などの疾患を除外診断しなければいけません。 進行すると膀胱直腸障害(頻尿、尿勢低下、残尿感、便秘)も自覚するようになります。 身体所見について 身体的な所見としては、以下のような症状があげられます。 頸椎症 頸椎の可動域制限と僧帽筋、棘下筋、棘上筋などに圧痛を生じます。 神経根症 神経根の障害高位に一致した上肢の筋力低下および筋萎縮、感覚障害、深部腱反射の低下が生じます。スパーリングテスト(Spurling test)、ジャクソンテスト(Jackson test)が陽性となることが多いです。 脊髄症 上肢の障害髄節に一致して深部反射が弱くなり、筋力低下が生じることもあります。また錐体路障害により、それ以下の深部反射、ホフマン(Hoffmann)反射、ワルテンベルク(Wartenberg)反射が亢進し、バビンスキー(Babinski)反射、膝・足間代(足クローヌス)も陽性となります。 また小指が閉じることができない指離れ徴候(finger escape sign)がみられ、10秒テスト(手掌を下にしてできるだけ速く、グーパーを繰り返す)では通常20回以下になります。感覚障害は、初期には上肢のみに生じることが多いです。 画像検査について 診断には画像による診断が必要となり、そのため以下のような検査が行われます。 X線像(レントゲン) 椎間板ヘルニアでは一般に椎間板腔狭小化(椎間板と椎間板の間の隙間が狭くなること)や骨棘形成は軽度であることが多いです。高齢者では、骨棘などの変性が著明になると隣接椎間に椎間板ヘルニアが発生することもあります。 MRI(磁気共鳴画像法) 椎間板ヘルニアの局在や、圧迫された脊髄、椎間板変性の度合い、神経根の状態を確認することができます。 脊髄造影(ミエログラフィー) 脳槽・脊髄用の水溶性造影剤をくも膜下腔に注入して、脊髄や神経根を明瞭に描出することができる検査です。脊髄造影後にCTを撮影すると椎間板ヘルニアの局在、神経根や脊髄の圧迫を三次元的にとらえることが可能です。しかし、MRIが導入された現在では、脊髄造影をする機会は減ってきています。 頚椎椎間板ヘルニアの治療法について 頚椎症状、神経根症、脊髄症に分けて説明します。椎間板ヘルニアは自然吸収されることが多いため、無理に手術を選択すべきではないと考えます。 頚椎症に対する治療 頚椎症状のみで手術療法を行うことはあまりありません。消炎鎮痛剤などの薬物療法、トリガーボイントブロック注射、ストレッチなどを行います。 神経根症に対する治療 神経根症は症状によりますが保存療法を行った後に手術療法が検討します。 ●保存療法 消炎鎮痛薬などの薬物療法を行います。頸椎カラーを装着して頸部の安静を図ることもあり、痛みが激しい場合には、副腎皮質ステロイドの内服、硬膜外ブロック、神経根ブロック、星状神神経ブロックなどを併用します。ほとんどの症例で、保存療法により2〜3カ月以内に軽快することが多いです。 ●手術療法 保存療法を2〜3カ月続けても効果がない場合や、進行性の麻痺を認めた場合には手術を行います。推間板ヘルニアは脊髄や神経根の前方にあるため、前方除圧固定術(anterior decompression and fusion)を選択することが多いです。 前方除圧固定術は胸鎖乳突筋の内側から進入し、気管と食道を内側によけて椎間板に到達し、当該高位の椎間板やヘルニアを完全に摘出し、椎体間に腸骨から採取した骨や人工物(インプラント)を移植して固定します。 アライメントの維持や移植骨の脱転を予防する目的で、前方にプレートを使用することもあります。神経根症をきたす椎間板ヘルニアは傍正中型あるいは外側型なので、後方から部分椎弓切除と椎間孔切除を行った上でヘルニアを摘出することもあります。 脊髄症に対する治療 脊髄症では症状により保存療法と重症であれば手術療法が検討され以下のような治療を行います。 ●保存療法 軽度であれば、鎖椎カラーで頸部の安静を図り、椎間板ヘルニアの自然吸収を待ちます。しかし痙性歩行、手指巧緻運動障害により日常生活に支障がある場合や、排尿障害がある場合には、機能障害が永続性となることを避けるために手術を行います。 ●手術療法 脊髄症の場合でも、通常は1椎間での障害で脊髄の前方にヘルニアがあるので、神経根症と同様に前方除圧固定術を選択することが多いです。しかし、椎間板ヘルニアの高位以外でも脊柱管の狭窄がある場合には、後方から椎弓形成術 (laminoplasty)を選択することもあります。 椎弓形成術は脊髄の広範囲な除圧を容易に行うことができ、さらに脊髄を保護する脊柱の後方要素を温存することができます。合併症は比較的少ないですが、頸椎後方伸筋群に侵襲を加えるため、術後に頸部痛をきたしやすいという難点があります。 頸椎椎間板ヘルニア、脊髄症いずれにおいても言えることなんですが症状が出現して手術するまで時間がかかればかかるほど、術後の後遺症は残りやすくなります。後遺症が残るとその後一生治らなかったり、症状が増強することがあります。 そんな場合の最新治療として注目されるのが「再生医療」となります。当院では、数多くの術後の後遺症に対する幹細胞治療を行なっており高い治療効果を得ています。詳しくはこちらへ ▼こちらの動画もご参考になれば幸いです。 https://www.youtube.com/watch?v=0hyJR5VW3oY&t=63s 頸椎椎間板ヘルニアと似た症状の病気 頸椎椎間板ヘルニアと似ていますが違った病態をご紹介しておきます。似ているとはいえ、疾患によって治療方針が変わってくるため、頸肩腕痛を引き起こす疾患との鑑別が大変重要となります。。 肩軟部組織の変性疾患(腱板断裂、凍結肩など) 肩関節の運動痛や肩関節可動域制限を認めれば、頸椎疾患以外と考えます。C5神経根症と腱板断裂は、ともに上腕近位外側の疼痛を訴え、関節の外転ができなくなるので鑑別を必要とします。 C5神経根症では、三角筋や上腕二頭筋で筋力低下を生じることが多いですが、腱板断裂では上腕二頭筋の筋力は通常正常です。 胸郭出口症候群 (thoracic outlet syndrome) 頸肋、中斜角筋、前斜角筋、鎖骨および第1肋骨、小胸筋などにより腕神経叢と鎖骨下動脈が胸郭出口部で圧迫され、上肢の疼痛、しびれ、握力低下、重だるさなどが生じます。 ライトテスト(Wright test)、モーレイテスト(Moley test)、アドソンテスト(Adson test)が陽性となります。胸郭出口症候群の症状は前腕尺側に多いのが特徴です。 肘部管症候群(cubital tunnel syndrome) 尺骨神経の絞扼性神経障害で尺骨神経溝にティネル様徴候(Tinel)がみられます。環指尺側から小指にかけてのしびれや麻痺など感覚障害が生じ、進行すると環指と小指の変形が起きます。 手根管症候群(carpal tunnel syndrome) 正中神経の絞扼性神経障害手根管部でティネル様徴候(Tinel)が陽性になります。母指から環指の痺れや疼痛など生じ、指先の症状は夜間や早朝に強い傾向があります。 母指球筋萎縮が進むと猿手変形が生じます。確定診断には、当該神経の神経伝導速度を測定が必要です。 脊随腫瘍 (spinal cord tumor)、脊椎腫瘍(spiatumor) MRIで容易に確定診断することが可能です。稀に パンコースト(Pancoast)腫瘍により、主に尺骨神経側に神経症状を生じることもあるので注意が必要です。 まとめ・頚椎椎間板ヘルニアの各症状と身体所見、治療法|似た病態 以上、頚椎椎間板ヘルニアで現れる症状の種類と身体の所見、治療法について記し、合わせて似た病態についても解説させて頂きました。 頚椎椎間板ヘルニアは、椎間板組織が脊柱管内に突出または脱出して脊髓や神経根を圧迫し症状を引き起こす疾患です。 30〜50歳代といった年齢の男性に多く見られ、特にC5-C6や、C6-C7の部位で頻繁に発生することが多い疾患です。発症原因は、事故による外傷性や、加齢による変性が主な原因とされ。喫煙も問題視されています。 症状には頚椎症、神経根症、脊髄症があり、それぞれ首から肩甲骨にかけての痛みや、上肢への放散痛、手指の運動障害、歩行障害などが見られます。 その診断には、レントゲン、MRI、脊髄造影などの画像検査によって行われます。 治療法としては保存療法と手術療法があり、保存療法では「消炎鎮痛薬」の使用や「頸椎カラー(首を安定させて保護する目的で使用される装具。多くはプラスチック製で首を固定し、動きを制限することで頚椎を保護する)」の装着が行われます。 手術による治療は、保存療法が効果的ではない場合、また神経障害が進行している場合に選択されて前方除圧固定術や椎弓形成術といあった手術が行われます。 尚、他にも類似した病態に「肩腱板断裂」「胸郭出口症候群」「肘部管症候群」「手根管症候群」「脊髄腫瘍」なども考慮し、区別しなければなりません。 いずれにしても、医療機関で検査の上、医師の診断をもとに症状や病態に合わせた治療法を選択することが大切です。 今回は、頚椎椎間板ヘルニアを大きな視点から、記事に致しました。分かりにくい部分ではございますのでご不明な点があればお問い合わせください。 ▼以下の記事も参考にされませんか 頚椎椎間板ヘルニア!日常生活でやってはいけないこと
2021.08.05 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節
肩腱板損傷の画像診断|CT、MRI以外、関節の造影検査をご存知ですか 肩関節疾患の診断において、CTや、MRIの飛躍的な進歩にもかかわらず、造影検査は依然として重要な補助診断法の一つです。この造影検査方法には3種類あります。 1)陽性造影:ヨード製剤を用います。 2)陰性造影:空気を用います。 3)二重造影:ヨード製剤と空気の両方を用います。 この3種類の中では、「1)陽性造影」が広く行われています。 動態関節造影と肩峰下滑液包造影 それぞれの方法をご説明します。 動態関節造影 イメージ透視の映像をビデオなどに連続的に記録する方法で、造影剤のダイナミックな移動が観察でき、所見の見落としを防ぐ事もできるので、肩関節造影時に同時に行っています。 肩峰下滑液包造影 主に腱板滑液包面断裂の診断に用いられています。造影剤(ウログラフイン、イソビストなどの水溶性のもの) 5mLと1%キシロカイン5mLを混和した注射器に、23G短針を接続して、立位または座位で透視下にて、肩峰外側縁のやや下方から AHI(acromio-humeral interval:肩峰前下面の骨皮質と上腕骨頭の頂点との間の距離)の中上 1/3を目標にして、肩峰下滑液包内に刺入します。 二重造影では造影剤1mLと空気10mLを注入します。造影剤が腱板内に入り込んだり、腱板滑液包、局所に貯留したりする場合は腱板滑液包面断裂を疑います。 腱板断裂の関節造影について 関節造影について詳しくご説明します。 腱板断裂で疑われる画像所見 造影剤が肩峰下滑液包に漏出すれば、腱板の全層断裂 (full-thickness tear)の診断が確定します。外旋位前後像で大結節直上に造影剤の漏出があれば棘上筋腱の断裂を疑い、内旋位前後像で大結節直上に造影剤の漏出があれば棘下筋腱の断裂を疑います。 scapular Y像 腱板の断裂部への造影剤の漏出だけでなく、水平断裂像の描出も可能です。長期間経過した腱板小断裂や腱板不全断裂 (関節包面断裂や水平断裂)の描出は難しいので、他動的に肩関節をよく動かして、関節内圧を上げてから再度調べる必要があります。 動態撮影を併用すると、断裂の大きさや断裂部位がより明らかとなります。また、腱板滑液包面断裂の診断には、肩峰下滑液包造影が用いられます。 ▼ 再生医療で腱板損傷を治療する 腱板損傷は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます 一般的な肩関節造影法について 以下で詳しくご説明いたします。 前方刺入法 ① 検査前にヨードや局所麻酔薬に対するアレルギー反応の有無について確認します。 ② 透視台の上に仰臥位になって貰います。 ③上肢を体側に接して透視台の上に置いた状態で外旋位になるように体位を調整します。 ④ 烏口突起を中心に広範囲に消毒をします。 ⑤ 1%キシロカイン10mLの入った注射器に21Gスパイナル針を接続。 ➅透視下にて烏口突起先端の1cm尾側で、1cm外側から関節裂隙に垂直に刺入。 ⓻少量の局所麻酔薬を注入して抵抗がないこと、上肢を少し内外旋して針先が関節内にあることを確認。 ⑥ 21Gスパイナル針を留置したまま 造影剤 (ウログラフィン、イソビストなどの水溶性のもの) 10mLと1 %キシロカイン10m Lを混和した延長チューブ付きの注射器に交換。 透視下にて確認しながら、ゆっくり注入します。(注入量は約 20rnLとされています。) ⓻造影は内旋位、外旋位および挙上位の3枚の前後像を撮影。 ⑧肩関節疾患に応じて軸射位像と scapular Y像などの撮影を追加します。 正常の画像所見 内旋位像 肩関節の前方組織が弛緩するので、内側に肩甲下筋滑液包(subscapularis bursa)、内下方に関節包前部 (anterior pouch)、および下方に関節包下部(腋窩陥凹; axillary pouchまたは inferior pouch) が描出されます。 外旋位像 肩関節の前方組織が緊張するので、肩甲下筋滑液包、関節包前部、および関節包下部は縮小します。外側に上腕二頭筋長頭腱腱鞘 (bicipital tendon sheath) が描出されます。 挙上位像 肩関節の下方組織が緊張するので、関節包下部は縮小します。上方に上腕二頭筋長頭腱腱 鞘、内側に肩甲下筋滑液位が描出されます。 軸射位像 関節窩の前縁と後縁に関節唇が三角形の陰影として描出され、前方には肩甲下筋滑液包も描出されます。 scapular Y像 前方に肩甲下筋滑液包、前下方に関節包前部、下方に関節包下部、および後下方に関節包後部 (posterior pouch)が描出されます。 以上、肩腱板損傷の画像診断について、CT、MRI以外の検査方法である関節の「造影検査」についてご説明いたしました。今回は、専門的な内容で難しかったかもしれませんが、ご不明な点があればご遠慮なくお問い合わせください。 少しでも参考にしていただけたなら幸いです。 ▼ 再生医療で腱板損傷を治療する 腱板損傷は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼以下の検査方法もご参考下さい 腱板損傷の診断法、超音波(エコー)による画像検査について
2021.08.04 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節
腱板損傷とは 、肩についている腱板と呼ばれる筋肉が損傷する疾患です。腱板損傷になると、肩の痛みや筋力低下の症状が現れます。 腱板損傷を放置すると、痛みの増幅や 腱板断裂 の発症リスクをともなうため、早期治療が大切です。 本記事では、腱板損傷の診断に役立つテストを紹介します。自覚症状があればテストを実施し、腱板損傷の可能性を感じたら病院を受診して適切な治療を受けましょう。 「腱板損傷が悪化して手術が必要になりそう…」という方は、「再生医療 」による治療を一度検討してみてください。身体にメスを入れない治療法で、今注目を浴びています。 腱板損傷の代表的筋力テスト4つ まずは、筋力低下の状態を確認するテストを4つ紹介します。 棘上筋(S S P)テスト 棘下筋(I P S)テスト 肩甲下筋(S S C)テスト Drop arm sign(ドロップアームサイン) 筋肉の可動域に制限が出たり、左右の動きに差が生じたりする場合は、腱板損傷の可能性があります。また、動作で痛みがともなう場合も腱板損傷を疑いましょう。 棘上筋(S S P)テスト 棘上筋は外転(腕を体の横から挙上する動作)で作用する筋肉です。 腱板の中で最も損傷が多いのが棘上筋 であり、棘上筋が断裂すると外転筋力が20〜30%低下するといわれています。 Full can test: 肩関節外転30°で外旋位(親指を上に向ける)にする 腕を上げてもらう力に対し、検者は抵抗を加えてチェックする Empty can test: 肩関節外転30°で内旋位(親指を下に向ける)にする 腕を上げてもらう力に対し、検者は抵抗を加えてチェックする 棘下筋(I P S)テスト 棘下筋は肩関節の外旋(腕を外にひねる動作)で作用する筋肉です。 External rotation lag sign: 腕を下に下ろした状態から肘を90°に曲げます 肘から先を外側に開いていき左右で差がみられれば陽性 肩甲下筋(S S C)テスト 肩甲下筋は肩関節の内旋(腕を内にひねる動作)で作用する筋肉です。腱板損傷の場合、痛みにより手を背中に回す動作ができないことがありますので、そのような時は下の2つのテストを試みる。 Lift off test: 背中に手を回し、その手を背中から離して保持できるかチェックする Bear-hug test: 患側(痛みのある方)の手で、健側(痛みのない方)の肩を押し込み、その力の強さをチェックして評価する Belly-press: 患側(痛みのある方)の手で、お腹を押し込む力の強さをチェックし、評価する Drop arm sign(ドロップアームサイン) 検査する人が外転90°まで持ち上げ、支持している手を離す 患者さんが腕を支えられなかったり、わずかな抵抗で腕を下ろした場合は陽性 このように腱板の各筋肉を個別にスクリーニングするテスト法はありますが、 実際は損傷している筋肉と検査結果が一致しない場合があります。 例えば、棘上筋が単独で損傷している時に肩甲下筋テストで陽性となる場合や、逆に肩甲下筋が損傷している時に棘上筋テストが陽性になる場合があります。 腱板損傷の有無はその他のテストも併用してチェックしましょう。 腱板損傷のテスト法には、筋力テスト以外に疼痛誘発テストがあります。疼痛誘発テストは検査者が患者さんに特定の動きを操作する、または患者さん自身に体を動かしてもらうことで腱板に疼痛が発生するかをチェックし評価します。 ▼ 腱板損傷を再生医療で治療する 腱板損傷の痛む場所を特定する2つのテスト 次に、痛みの部位の特定や状態を確認するテストを2つ紹介します。 インピンジメントサイン ペインフルアークサイン 動作に痛みを感じれば、腱板損傷の可能性があります。 インピンジメントサイン 1) Neer test: 検者は患側の肩甲骨を押し下げ、もう片方の手で外転させていく。 これは上腕骨を肩峰下面に押し当てるテストであり、外転90°を過ぎたあたりで疼痛がみられれば陽性 2) Hawkins test: 検者は屈曲(前方に腕を上げる動作)90°まで腕を上げ、内旋を加える。 これは上腕骨の大結節を烏口肩甲靭帯の下面に押し当てるテスト法であり、疼痛がみられれば陽性。 ペインフルアークサイン 患者さんの力により外転方向に挙上する。 棘上筋が損傷していれば60°〜120°の間で疼痛を感じ、それ以外の角度では疼痛を感じない。 紹介したテストを実施して、腱板損傷の可能性があれば病院を受診しましょう。腱板損傷を放置して、無理に肩を動かせば症状が悪化するリスクがあります。 下記の記事では、腱板損傷の人がやってはいけない動作について解説しています。病院で腱板損傷の診断を受けた方は、日常生活での過ごし方の参考にしてみてください。 腱板損傷の3つの画像診断方法 腱板損傷の診断では上記のテスト法が判断の手がかりになりますが、腱板損傷以外の疾患と鑑別し、正確に損傷部位を特定する場合には、画像による検査が必要となります。腱板損傷ではM R Iや超音波による検査が有用です。 M R I検査 腱板損傷に対する画像診断では、M R Iによる検査が最も有用です。 M R I検査とは磁気共鳴画像といい、レントゲン検査やC T検査のように放射線を使用するのではなく、電磁波を使用した画像診断です。 M R I検査では、どの腱板が損傷しているのか、どの範囲まで損傷しているのか、腱板のどの場所で損傷しているのかなどを評価することが可能です。 超音波(エコー)検査 超音波検査 では、筋肉や腱の状況を確認することができ、炎症が起きている場所の特定も可能です。超音波検査はM R Iと違い診察室で手軽に行える検査のため、患者さんと一緒にモニターを見ながら肩の状態を説明することもできます。 また超音波を当てながら注射の針を進めることで、より正確な目的地(炎症部位や筋膜、神経など)まで誘導することができます。 レントゲン検査 レントゲン検査では筋肉や腱の状態は確認できないため、腱板損傷の判断をするには難しいです。ただし、 腱板が断裂すると関節の隙間(肩峰と上腕骨頭の間)が狭くなることがあります。 また腱板損傷は肩関節の肩峰が変形し、骨棘(こつきょく:トゲのように変形した骨)により腱板がすり切れて発生する場合もありますので、原因究明の手がかりにもなります。 検査して重症と診断されれば、手術になる可能性があります。「手術の傷跡が残るのが嫌だ」「仕事があるから入院やリハビリをしたくない」という方には「再生医療」がおすすめです。 再生医療とは、修復力のある幹細胞の働きを利用して、弱ったり、傷ついたりした細胞を再生する医療技術です。手術のように身体を切開しないので、入院やリハビリをする必要がありません。 再生医療なら弊社 『 リペアセルクリニック 』にご相談ください。再生医療の症例数8,000例以上の経験を活かし、患者さま一人ひとりにあった治療プランをご提案いたします。 \まずは当院にお問い合わせください/ まとめ|腱板損傷の疑いがあればテストを受けて確かめよう! 腱板損傷を評価するためのテスト法は検査をする目的によって方法が異なります。陽性反応がみられるテストは痛みを伴いますので、痛みの出る強さはポジション、筋力低下の加減を記録しておくと、治療経過を確認する上での指標にもなります。 ただし、腱板損傷は時間の経過とともに疼痛が消失したり、拘縮により関節の動きに制限がかかり、正確なテストの評価ができないことがあります。また急性期であってもテスト法だけでは情報が不十分なため、画像診断も含めて判断する必要があります。 現在、腱板損傷の治療法のひとつとして「再生医療」 が注目されています。切らない治療法なので、手術の傷跡や術後の後遺症の心配がありません。 リペアセルクリニック では、無料相談も受け付けていますので「再生医療で腱板損傷をどうやって治療するの?」と気になる方は、再生医療を専門とする『リペアセルクリニック 』にお気軽にお問い合わせください。
2021.04.01 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節
腱板損傷のリハビリには、損傷を受けていない腱や筋肉の機能向上や患部に負担をかけないための動作改善といった効果があります。 しかし、リハビリを進めていくにあたりいくつか注意点があります。症状の悪化を防ぐためにも、リハビリの正しい実践方法を覚えましょう。 本記事では、腱板損傷におけるリハビリの効果や代表的なリハビリプログラムを解説します。リハビリをとおして、腱板損傷の症状を緩和させたい方は参考にしてみてください。 腱板損傷はリハビリだけで治るのか? 腱板損傷は、損傷の範囲が狭ければリハビリで症状の改善を期待できます。しかし、完全断裂や広範囲の断裂の場合は、リハビリのみでの回復が難しく手術が選択肢に入ってきます。 そもそも、腱板とは肩に付いている筋肉(腱)で「棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋」の4つからなります。腱板損傷では、これらの筋肉のいずれかが損傷し、あるいは複数の筋肉が断裂している状態です。 損傷の程度は筋肉の一部分が損傷している「部分断裂」と、完全に切れてしまった「完全断裂」とに分けられます。 現在、腱板損傷の治療法の1つとして「再生医療」が注目されています。切らない治療法なので、手術の傷跡や術後の後遺症の心配がありません。 無料相談も受け付けていますので「再生医療で腱板損傷をどうやって治療するの?」と気になる方は、再生医療を専門とする『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 腱板損傷におけるリハビリの目的や期間 腱板損傷におけるリハビリの目的は、損傷していない筋や腱の機能向上や損傷した部位に負担をかけないための動作改善です。 腱板損傷のリハビリ期間の目安は、日常生活への復帰なら2〜3カ月程度、スポーツや重労働の仕事への復帰であれば6カ月程度です。 個々の状態によっても、リハビリ期間は変わってきます。自身の状態を把握したい方は、以下の記事で紹介している腱板損傷の筋力や痛み確認テストを試してみてください。 腱板損傷のリハビリでおこなわれる代表的な3つのプログラム ここでは、腱板損傷のリハビリでおこなわれる代表的な3つのプログラムを紹介します。 ・筋力トレーニング ・ストレッチ ・日常生活の訓練 順番に見ていきましょう。 筋力トレーニング 機能低下が認められた腱板に対しては、リハビリとして積極的なトレーニングを指導します。 腱板は体の深いところに位置するため「インナーマッスル」と呼ばれます。そのため、腱板損傷のリハビリを目的とした筋トレは、インナーマッスルに焦点を当てたトレーニングが効果的です。 たとえば、腱板を鍛えるトレーニングでは、筋トレ用のゴム製チューブやタオルを活用して、対象部位を効果的に鍛えるやり方が有効です。 ただし、腱板に収縮時痛(力を入れたときの痛み)や、伸張痛(ストレッチのように筋肉が伸ばされたときの痛み)が出現し、断裂が疑われる腱板に対しては積極的なトレーニングはおこなわず、ほかの腱板に対する運動をおこなうようにします。 ストレッチ ストレッチには、腱板の可動域を広げたり、筋肉の緊張状態をほぐしたりする効果があります。 たとえば、肩の上げ下げや肩回しの動きは腱板損傷の回復に効果が期待できます。 痛みを伴うような過剰なストレッチは、病態の悪化や筋の防御性収縮を招き逆効果となりますので、深呼吸とあわせて実施するなどリラックスをしながら無理のなく進めましょう。 日常生活の指導 腱板損傷の症状を悪化させないために、日常生活における動作の指導もおこなわれます。 以下は、日常生活のなかで腱板に負荷がかかりやすい動作の一例です。 ・衣服の着脱 ・荷物の持ち運び ・寝るときの姿勢 損傷を起こしている部位や症状の程度に応じて、個々に合った動作指導がおこなわれます。 腱板損傷のリハビリでやってはいけない3つのNG行為 腱板損傷のリハビリに取り組む際、やってはいけない行為があります。 ・発症直後に無理をして動かすこと ・焦って負荷をかけすぎること ・リハビリを怠ること 順調な回復を図るためにも、紹介する3つのポイントをおさえてリハビリに臨みましょう。 発症直後に無理をして動かすこと 発症直後は、可動域制限や筋力の低下が認められても、関節内での炎症が強く、無理に関節を動かすと疼痛を助長させてしまうリスクがあります。そのため、発症直後は三角巾を含む固定具を用いて患部の安静を第一優先しなければなりません。 段階的回復を目指すためにも、リハビリは患部の炎症が落ち着いてから進めましょう。 現在、腱板損傷の治療法として「再生医療」が注目されています。 人間の自然治癒力を活用した治療なので、身体への負担を最小限にできます。詳しい治療方法や効果が気になる方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 焦って負荷をかけすぎること リハビリ開始時は、自動介助運動(患者自身が力を入れ、セラピストが補助をする運動)から開始し、徐々に自動運動へと移行します。 自動運動でも痛みを感じずに運動できれば、抵抗運動のように腱板筋に負荷をかけていきます。 ただし、腱板損傷をした肩関節の挙上動作の獲得は、スポーツにたとえると一度覚えたフォームを改善するのと同じように時間を要する場合があります。 そのため、リハビリは焦らず取り組んでいきましょう。 リハビリを怠ること 腱板損傷を発症してから長期間が経過している場合は、関節包の硬化による筋肉の伸張性低下や、疼痛による関節拘縮を起こすケースが多くなります。 リハビリを怠ると症状が慢性化する可能性があるので、医師の指示に従って継続的にリハビリを実施しましょう。 肩の腱板断裂を放置するリスクについてはこちら▼ まとめ|腱板損傷に効果的なリハビリを覚えて回復を目指そう 腱板損傷では受症してからの経過により症状が異なるため、病態に合わせたリハビリが必要です。そして腱板損傷に対するリハビリでは、いかに残存している機能を引き出すか、また残存している機能で日常生活動作を獲得させるかがポイントとなってきます。 本記事で紹介した代表的なリハビリのプログラムを中心に、専門医の指導のもと無理のない範囲で進めていきましょう。 もし手術を勧められ迷われている場合は、切らない治療の「再生医療」という選択肢もあります。 以下の動画で再生医療の詳しい説明をしているので、治療の進め方や効果が気になる方は参考にしてみてください。 https://www.youtube.com/watch?time_continue=1&v=bKupVfsXpHM&embeds_referring_euri=https%3A%2F%2Ffuelcells.org%2F&source_ve_path=Mjg2NjY
2021.03.22 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節
「肩腱板断裂の痛みを少しでも和らげたい」「自分で肩腱板断裂の痛みに対処する方法はない?」 そんな思いを抱えていませんか? 肩腱板断裂は腕を上げるたび鋭い痛みが走るケガであり、夜も眠れないほどの不快感に悩まされている方も多いはずです。日々の生活で痛みを我慢し続けるのは、心身に大きな負担がかかるでしょう。 結論からいえば、肩腱板断裂の痛みは、適切な対処法によって軽減することも可能です。 今回は、肩腱板断裂の痛みを緩和する5つの方法をご紹介します。 最後までご覧いただくことで、痛みの負担を少しでも軽減できるきっかけになるでしょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では肩腱板断裂に効果が期待できる再生医療を提供しています。 肩腱板断裂の症状にお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 肩腱板断裂の痛みを和らげる5つの方法 肩腱板断裂の痛みを和らげるには、以下5つの方法があります。 温冷療法 姿勢と腕の位置の矯正ストレッチ 枕の高さのを調整 消炎鎮痛剤や湿布 これらは自宅でも実践できる方法ですが、医師の指導のもと症状や生活スタイルに合わせて取り入れていきましょう。 本章ではそれぞれの対処法を詳しく解説していきます。 また、以下の記事では肩腱板断裂が放置では治らない理由を紹介していますので、気になる方は参考にしていただけると幸いです。 温冷療法で炎症を抑え痛みを軽減 温冷療法は、症状や時期によって温めたり冷やしたりすることで効果的に痛みを軽減する対処法です。 ケガをしてから48時間以内の急性期は冷やすことで炎症を抑制し、それ以降は温めて血行を促進します。 冷却には氷嚢やアイスパックを、温めるにはホットパックや入浴を活用しましょう。 ただし、15分以上の連続使用は避けて皮膚を保護するためにタオルを必ず挟むのがポイントです。(文献1) 正しい姿勢と腕の位置で負担を減らす 日常生活では、正しい姿勢や腕の使い方を工夫すると肩への負担を大きく軽減できます。 とくに気をつけたいのは以下の3点です。 腕を上げすぎない 同じ姿勢を長時間続けない 重いものを持たない デスクワークでは、肘を机につけて支えると肩の負担を減らせます。 また、パソコン作業時はキーボードを体の正面に置き、マウス操作は肘を開きすぎないよう注意しましょう。 こまめに休憩を取り軽く肩を回すのも効果的です。 痛くない範囲でのストレッチ 痛くない範囲で行うストレッチは、肩周りの柔軟性を保ち痛みの軽減に期待できます。 まずは、壁に手をついて体を少しずつ前に傾けるストレッチから始めましょう。 ここでも痛みが出ない程度にゆっくりと動かし、無理な姿勢は避けます。 1回のストレッチは10秒程度を目安に、1日3回ほど実施するのがおすすめです。 徐々に可動域を広げていくと、日常生活での動きやすさも改善していきます。 枕の高さを調整して夜間痛を防ぐ 肩腱板断裂の痛みが夜間に強くなる場合、枕の高さが合っていないのが原因の1つとして挙げられます。 枕が高すぎると肩に負担がかかり、痛みが増す可能性があるためです。 そのため、適切な高さの枕を選ぶと肩が自然な位置に保たれ負担が軽減します。 また、横向きで寝る際は肩を下にせず、クッションで支えると楽になるはずです。 夜間の痛みは睡眠の質を低下させて日中の活動にも影響を及ぼすため、枕の高さを調整して痛みの緩和対策をしましょう。 消炎鎮痛剤や湿布で痛みを抑える 肩腱板断裂の痛みを一時的に抑えるには、消炎鎮痛剤や湿布も有効です。 薬局で購入できる市販の痛み止めや湿布は、炎症を抑える効果があるためです。 湿布は冷感タイプと温感タイプがあるため、症状に合わせて使い分けましょう。 たとえば、炎症や腫れが強い場合は冷感タイプ、慢性的な痛みや筋肉のこわばりが気になる場合は温感タイプが適しています。 ただし、痛みを緩和する一時的な対策であり根本的な治療ではありません。 したがって、長期間使用する際は症状や治療方針について医師への相談をおすすめします。 肩腱板断裂の主な原因3つ 肩腱板断裂が起こる原因は大きく分けて3つあります。 加齢による腱板組織の老化 転倒や外傷による腱板の損傷・断裂 過度の使用(オーバーユース) 年齢や生活習慣、事故などさまざまな要因で発症する可能性があります。 本章では肩腱板断裂の主な3つの原因を詳しく解説していきます。 加齢による腱板組織の老化 加齢に伴う腱板組織の老化は、肩腱板断裂の最も一般的な原因です。 40代後半から徐々に腱板の組織が弱くなり始め、50代以降で断裂のリスクが高まります。 年齢とともに腱板を構成する組織の弾力性が低下し、血行も悪くなるため、日常生活での些細な動作でも断裂を引き起こすことがあります。 加齢による腱板組織の老化は、定期的なストレッチや適度な運動によって、ある程度の予防が可能です。(文献2) 転倒や外傷による腱板の損傷・断裂 転倒やスポーツで肩を強打した際に腱板が損傷することがあるため、外傷が直接的な原因となるケースも少なくありません。 とくに高齢者は転倒時に受け身が取りづらく、肩に衝撃が集中しやすいためです。 また、重い物を持ち上げた際に腱板が急激に引っ張られて断裂する場合もあります。 したがって、外傷による損傷を防ぐためには、転倒防止の対策や筋力トレーニングが効果的です。 万が一、外傷を受けて肩腱板断裂が疑われる際には、早めに医療機関で診察を受けましょう。 体にメスを入れて関節の手術をするということは、術後の関節部の癒着が起こります。この癒着は術後のリハビリで対応しますが、完全に癒着が取れずに関節の可動域が悪くなりそれに伴い痛みが出ることが多々あるのです。痛みは、四十肩・五十肩に似ています。 過度の使用(オーバーユース)腱板の再断裂 日常的に肩を酷使する動作を続けていると、腱板がダメージを受けやすくなります。 たとえば、テニスや野球などのスポーツや、肩を頻繁に動かす職業や趣味を持つ人は注意が必要です。 腱板に休息が取れない状態が続くと、小さな損傷が断裂につながることがあります。 そのため、適切な休息を取り、筋肉をサポートするストレッチやトレーニングを取り入れると良いでしょう。 肩を労わりながら、長く健康を保つ意識が大切です。 また、腱板断裂と五十肩(四十肩)の違いについて詳しく知りたい方は、以下の記事も確認してみてください。 肩腱板損傷の検査方法は4つ 肩腱板断裂が疑われる場合、適切な治療のために正確な診断が必要です。 検査方法は主に以下の4つがあります。 ドロップアームテスト(Drop Arm Test) レントゲン検査 超音波検査 MRI検査 それぞれの検査には特徴があるため1つずつ詳しく見ていきましょう。 ドロップアームテスト(Drop Arm Test) ドロップアームテストは、診察の初期段階で実施することが多い検査方法です。比較的短時間で検査が可能であり、特別な機器も必要なく実施できるのが特徴です。 腕を横に90度上げた状態からゆっくりと下ろしていく動作で、肩腱板の状態を確認します。 健康な場合は腕をスムーズに下ろせますが、腱板断裂があると途中で腕が落ちてしまいます。 また、痛みを伴う場合は必ず検査前に医師に伝えましょう。 レントゲン検査 レントゲン検査は、骨の状態を確認する基本的な画像診断です。 腱板断裂に伴う骨の変形や、肩峰下の石灰沈着の有無を調べられます。 また、年齢による骨の変化も同時に確認できるため、治療方針を決める重要な情報となります。 レントゲン検査の時間は数分程度で済み、基本的に痛みもほとんどありません。 ただし、軟部組織である腱板自体は直接見ることができないため、他の検査と組み合わせて診断を行います。 超音波検査 超音波検査は、腱板の状態を動きながら観察できる便利な検査方法です。 肩を動かしながらリアルタイムで腱板の様子を確認でき、断裂の有無や範囲を詳しく調べられます。 体への負担が少ない検査なので、高齢者でも気軽に受けられるのが特徴です。 また、検査時に医師と対話しながら痛む部位を直接確認できるため、より正確な診断につながります。 MRI検査 MRI検査は、最も詳細に腱板の状態を確認できる検査方法です。 腱板の断裂の有無はもちろん、断裂の大きさや周囲の組織への影響まで把握できます。 検査は専用の装置の中で、約20〜30分ほど静かに横になっているだけで済みます。 放射線は使用せず痛みもないため、体への負担は最小限です。 ただし「心臓ペースメーカーや人工内耳・中耳」など、金属を体内に入れている方は検査できない場合があるため、事前に医師に相談しましょう。 また、CTやMRI以外で行う関節の造影検査については以下の記事でも詳細に解説しています。 肩腱板断裂の3つの治療法 肩腱板断裂の治療は症状の程度や年齢、生活スタイルによって選択していきます。 主な3つの治療法は以下のとおりです。 治療法 特徴 保存療法 投薬やリハビリテーションを中心とした非手術的な治療 手術療法 断裂した腱板を修復する外科的な治療 再生医療 幹細胞などを用いた新しい治療 それぞれの特徴やメリットを詳しく解説します。 保存療法とは、痛みの軽減と肩の機能回復を目指し、投薬やリハビリテーションを組み合わせて進める治療法です。 具体的には、消炎鎮痛剤の服用や温冷療法、ストレッチなどを行います。 治療期間は3〜6カ月程度が一般的で、65歳以上の方や部分断裂でも保存療法が推奨されます。 症状が軽減するまで時間はかかりますが、根気強く続けることで日常生活への影響を最小限に抑えられるでしょう。 手術療法 手術療法は、保存療法で改善が見られない場合や、完全断裂で症状が重い場合に検討される治療法です。 代表的なのは、断裂した腱板を縫い合わせて肩の機能を回復させる「関節鏡を使った手術」です。 手術後にはリハビリが必要となりますが、しっかり行えば機能が改善する可能性が高まります。 そのため、手術療法はリハビリ期間も含めて医師と十分に相談した上で選択してください。 再生医療 再生医療は、患者さん自身の血小板や幹細胞を利用して、損傷した腱板の修復を促進する治療法です。 従来の手術に比べて身体への負担が少なく回復も早いのが特徴で、手術を避ける選択肢として近年注目を集めています。 また、手術をされた方にも再生医療は有効です。 腱板に再生医療を併用することで、再断裂のリスクを抑えるだけでなく、傷口の修復や術後に起こり得る疼痛の軽減にも期待されます。 再生医療に関する詳細は以下のページでも詳しく解説しています。 また、当院では肩腱板断裂に効果が期待できる再生医療を提供しています。肩腱板断裂の症状でお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 まとめ|肩腱板断裂の痛みについては専門医に相談してみよう 肩腱板断裂の痛みは、適切な対処法で和らげることができます。 自宅でできる温冷療法やストレッチ、姿勢の改善から医療機関での治療まで症状に応じた選択肢があります。 ただし、自己判断での過度な運動や負荷は症状を悪化させる可能性もあるので注意が必要です。 まずは専門医に相談し、自分に合った治療法を見つけていきましょう。 早期発見・早期治療が、痛みの軽減と日常生活への早期復帰につながります。 また、当院「リペアセルクリニック」では再生医療の提供もしていますので、肩腱板断裂の痛みでお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 肩腱板断裂に関するQA 腱板断裂でやってはいけないことはなんですか? 肩腱板断裂で最も避けたいのは、無理に肩を使い続けることです。 腕を頭上に上げる動作や、重いものを持ち上げたり、我慢して運動を続けるのも「やってはいけない動作」だといえます。 また「様子を見れば治るだろう」と放置してしまうのも要注意です。 適切な治療を受けないまま症状が進行してしまうと、より複雑な治療が必要になったり、回復までの期間が長引いたりするケースもあります。 少しでも痛みが気になる場合は、早めに専門医へ相談しましょう。 また、腱板断裂(腱板損傷)でやってはいけない動作については、以下の記事も参考にしていただけると幸いです。 肩腱板損傷はどのくらいで治るのですか? 肩腱板損傷の回復期間は、損傷の程度や治療方法によって異なります。 軽度であれば数週間から数カ月ですが、完全断裂の場合は手術が必要となるため、術後のリハビリも含めると半年から1年ほどかかるでしょう。 したがって、早期発見・早期治療が重要ですので、痛みがあれば我慢せずに早めの受診をおすすめします。 また、肩腱板損傷を放置する危険性については以下の記事で詳しく解説していますので、気になる方は参考にしてください。(文献2) 参考文献一覧 (文献1) 物理療法系専門領域研究部会_寒冷療法 (文献2) 公益財団法人 日本整形外科学会_「肩腱板断裂」
2021.03.16 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
膝の痛みや変形性膝関節症・半月板損傷を含む膝の疾患で、膝サポーターの着用を検討されている方もいるでしょう。 本記事では、膝サポーターを効果的に使用する方法や正しい装着方法、商品の選び方などを解説しています。膝サポーターの使い方に困っている方や、どのサポーターにすれば良いのか悩んでいる方は参考にしてみてください。 膝サポーターの効果的に使用する方法【丸まらない状態を保つのがコツ】 以下3つのポイントをおさえて使用すると、サポーターの効果や耐久性が長持ちしやすくなります。 ・長時間の使用は避ける ・膝もサポーターも清潔な状態を保つ ・定期的に交換する 膝サポーターの効果を長続きさせて、快適な装着感を維持しましょう。 長時間の使用は避ける サポーターを長時間つけ続けていると、患部が圧迫されて血流が悪くなってしまいます。また、楽だからといって、ずっと装着したままでいると膝を支える筋力が低下しかねません。 そのため、意識して定期的に外して、できるだけ着けている時間を短くする工夫が大切です。安静時もつけっぱなしにするのではなく、外す習慣をつけるようにしましょう。 膝もサポーターも清潔な状態を保つ 変形性膝関節症でサポーターを使用するときは、膝もサポーターも清潔な状態で使用するようにしてください。 汚れや汗で不衛生な状態で使用すると皮膚がアレルギー反応を起こしたり、接触性皮膚炎を引き起こしたりする可能性があるためです。 以下は、サポーターを清潔に保つ方法です。 ・定期的に洗濯や手洗いをする ・膝の汗を拭きとってから使用する ・使用していないときは形を整えて保管しておく サポーターによって手入れの方法が異なります。使用方法や洗濯方法をよく確認した上で、適切なケアを心がけましょう。 定期的に交換する サポーターは消耗品という認識をもってください。 長期間使用していると素材が伸びたり、弾力性が失われたりして、サポート効果が薄れます。 劣化したサポーターを使って変な負担が掛かることで逆に症状が悪くなる危険性もあります。劣化が見られ、正しくフィットしなくなってきた場合は積極的に新しいものに交換しましょう。 なお、しばらくサポーターを使用しても効果が実感できない場合は、病院の受診を検討してみてください。症状が進行している可能性もあるためです。 自分に合った病院を探している方は再生医療を専門とする『リペアセルクリニック』への受診をご検討ください。再生医療とは人間の自然治癒力を活用した最新の医療技術です。すり減った軟骨を再生し、膝の痛みを軽減させる効果があります。 本来なら手術しなければいけない状態でも、再生医療で治療できる可能性があります。 \まずは当院にお問い合わせください/ 膝サポーターの正しい4つの選び方|丸まらない商品の選定ポイントも紹介 ここでは、膝サポーターの正しい選び方を解説します。 膝サポーターを購入する際は、主に以下4つの項目をチェックして選びましょう。 ・膝のサイズに合ったものを選ぶ|血行不良を防止 ・用途に合ったものを選ぶ|迷ったら主治医に相談 ・使用感の良いものを選ぶ|付け心地は試着して確認 ・素材を見て選ぶ|サポーターのずれや丸まりの対策 それぞれの選定ポイントを詳しく解説します。 膝のサイズに合ったものを選ぶ|血行不良を防止 膝サポーターを使うときは、まず自分の膝のサイズに合ったものを選ぶことが大切です。 サイズが合っていないと、膝をしっかり固定することができなくなり、十分な効果が得られないからです。以下は、正しいサイズの選び方です。 ・自分の膝周りのサイズを事前に測っておく(膝上10㎝の周囲をメジャーで図る) ・自分の周囲の長さをもとに、商品のサイズ表を確認して適切なものを選ぶ サイズ選びを正しくおこなえば、より良い治療効果が期待できます。 用途に合ったものを選ぶ|迷ったら主治医に相談 サポーターには以下のように、さまざまな用途の商品があります。 ・スポーツにおすすめのタイプ ・立ち仕事をする場合におすすめのタイプ ・高齢者におすすめのタイプ ・リハビリをおこなう人におすすめのタイプ 用途によって、サポート力や素材の特性が異なります。そのため、自分の生活スタイルやニーズに合ったものを選ぶ視点が大切です。使用シーンを考慮した選択が効果的な治療につながります。 自分に合った用途がわからない場合は、主治医に相談して選び方のアドバイスをもらうと良いでしょう。 使用感の良いものを選ぶ|付け心地は試着して確認 サポーターを選ぶ際は、使用感も重視すべきです。サイズが合っていても、付け心地が悪いと継続的な使用が難しくなるためです。 サポーターは、サンプルを置いているお店もあるので、実際に試して使用感をチェックするのがおすすめです。 素材を見て選ぶ|サポーターのずれや丸まりの対策 膝サポーターを選ぶ際は、素材のチェックも大切です。 たとえば、滑り止めの素材が付いたタイプのものは、サポーターがズレたり、丸まったりするのを防ぐ効果が期待できます。 また、寒い時期は保温効果のあるサポーターを選ぶのがおすすめです。 冷えは痛みの原因ともなるので、保温効果のあるサポーターを使用すれば痛みを緩和できる可能性があります。 膝サポーターの装着方法3ステップ|丸まらないつけ方 サポーターは正しく装着しないと、期待する効果が得られません。そこで、膝サポーターの正しい装着方法を3ステップで解説します。 ・ステップ1.立った状態で装着する ・ステップ2.上からベルトを締めていく ・ステップ3.膝を動かして確認する 参考にしながら、装着してみてください。 ステップ1.立った状態で装着する サポーターをつけるときは、立った状態で装着するのが望ましいです。 立ち姿勢で膝を伸ばした状態でサポーターをつけると、しっかりとサポーターが巻き付いて膝を曲げたときに緩みにくくなります。 ただし、サポーターなしで立つのが難しいという人は座った状態でつけても問題ありません。 座った状態でサポーターをつける場合は、膝を少しだけ曲げた状態でつけるとしっかりと付けられます。 ステップ2.上からベルトを締めていく ベルトを締めるタイプのサポーターの場合、サポーターは上の方から締めていきます。上のベルトを締めるときは、強く締める必要はなく、フィットしているな!と感じられるくらいで十分です。 上を締めてズレがないかチェックしたら、今度は下のベルトを締めます。 下の方を締めるときは、膝の皿の部分をきちんと補助できるように下から上に引き上げながら締めるのがポイントです。 下の方は上の方よりも強めに圧がかかるように締めますが、血流を阻害するほど強く締めすぎないように注意しましょう。 ステップ3.膝を動かして確認する サポーターをつけ終えたら一度膝を軽く動かしてみて、締め付けが強すぎないかチェックします。また、きちんとフィットしているかチェックしているかも確認しましょう。 強い圧迫感や、サポーターのズレや丸まりといったフィットを阻害する要素があれば、つけ直すようにしてください。 まとめ|膝サポーターの丸まらない着用方法を覚えて安定力を高めよう 膝サポーターは、正しい手順で装着すれば、丸まったり、ずれたりしにくくなります。 本記事で紹介した正しい装着方法を参考に、膝にしっかりとフィットさせて、サポートの効果を最大限に引き出していきましょう。 なお、膝の痛みや変形性膝関節症・半月板損傷といった膝の疾患でお悩みの方は、再生医療を専門とする『リペアセルクリニック』への受診をご検討ください。 「再生医療」とは人間の自然治癒力を活用した最新の医療技術です。すり減った軟骨を再生し、膝の痛みを軽減させる効果があります。 無料相談も受け付けていますので「具体的な治療方法が知りたい」と気になる方は、お気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/
2021.03.03 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
変形性膝関節症の回復には、適切なサポーターの活用が効果的です。 膝の固定や保温効果により痛みを和らげるほか、適度な運動をサポートして症状の改善も期待できます。 ただし、適切にサポーターを装着しなければ、十分な効果は得られません。サポーターの効果を最大限に引き出すためには、自分に合ったものを選び、正しく装着していくのが大切です。 本記事では、変形性膝関節症で使うサポーターの効果や選び方のポイントを解説します。注意点も紹介しているので、サポーターを活用したい方はぜひ参考にしてください。 変形性膝関節症でサポーターをした方がいい4つの理由 さっそく、変形性膝関節症でサポーターをした方がいい理由を解説します。 ・膝の固定 ・保温効果 ・触圧覚を刺激 ・悪循環の遮断効果 それぞれの効果について詳しく見ていきましょう。 膝の固定 サポーターは、膝をしっかりと支えて固定する役割を担います。膝を固定すれば、関節への負担が軽減されるため痛みを和らげる効果が期待できるでしょう。 痛みがあると歩行が不安定になり、転倒するリスクが高まります。高齢者は筋力の低下も重なってより転びやすくなるためとくに注意が必要です。 触圧覚を刺激 人の皮膚には「触圧覚」(物に触れた感覚)と「痛覚」(痛みの感覚)があります。サポーターで膝を適度に圧迫すると、触圧覚が刺激されます。 痛覚よりも触圧覚が先に脳へ伝わるため、痛みの感覚が抑えられるのです。 保温効果 サポーターによる保温効果も膝の痛み軽減に役立ちます。 膝が冷えると血管が縮み、血液の流れが悪くなり、筋肉が硬くなります。硬くなった筋肉を動かすと、負担が増えて痛みが出やすくなるのです。 寒い日に外出したり、冷房の効いた部屋で過ごしたりする際は、サポーターで膝を温めて痛みを予防しましょう。 悪循環の遮断効果 変形性膝関節症では、痛みを避けるため動きを控えがちです。 しかし、運動不足が症状を悪化させる原因となります。膝をあまり動かさないでいると、周囲の筋肉が衰え、軟骨がさらにすり減りやすくなるためです。 サポーターを使えば、安心して膝を動かせます。適度に体を動かせば、筋力回復と軟骨の保護につながり回復を早められるでしょう。 反対にサポーターを着けているからといって動きすぎるのも禁物です。以下の記事では変形性膝関節症の人がしてはいけない動作や仕事の業務を解説しているので、治療中の過ごし方が気になる方はぜひあわせてご覧ください。 変形性膝関節症で使うサポーター選びのポイント ここでは、サポーター選びのポイントを解説します。 サポーターには「医療用」と「一般用」の2種類があり、ドラッグストアやオンラインストアなどで購入可能です。変形性膝関節症に使用する場合は「医療用」が推奨される傾向にあります。 購入を検討する際は、サポーターのランキングサイトや販売サイトで口コミを確認するのがおすすめです。口コミを見れば、装着感や使用感といった実際の使用者のリアルな声をチェックできます。 サポーター選びの具体的なポイントは以下の3点です。 確認ポイント 選ぶ視点の例 サイズ ・膝にフィットするか ・共用もしくは男性用・女性用か ・締め付け具合が適切か 固定力 ・膝をしっかり支えられるか ・動きを妨げない程度の固定力か 保温性 ・保温効果に優れているか ・蒸れにくい素材か 購入前は可能な限り試着をしましょう。実際に装着してみれば、フィット感や使用感がよりわかります。 以下の記事では、サポーター選び方の詳細や装着方法について解説しています。詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。 変形性膝関節症でサポーターを使うときの注意点4つ 変形性膝関節症でサポーターを使うときに注意すべき点がいくつかあります。適切でない使い方をすると症状が悪化する可能性があるため、以下4つのポイントをおさえましょう。 ・汗を拭いて使用する ・正しく装着する ・安静時はサポーターを外す ・サポーターの効果が薄いときは専門家に相談する 順番に解説します。 汗を拭いて使用する 汗をかいた状態で着用すると、サポーターがずれやすくなります。サポーターがずれれば、歩行が不安定になって膝や腰に負担がかかり痛みが出る可能性があります。 汗をかきやすい夏場はとくに対策が必要です。サポーター装着前に膝の汗を拭き取り、使用中も汗が溜まったら小まめに拭きましょう。 正しく装着する サポーターは正しい位置に装着してはじめて、効果を発揮します。 装着位置が上下左右にずれると、膝を正しく支えられないため、サポート力が弱まります。また、血行不良を引き起こす場合もあるでしょう。装着して少しでも違和感があれば、正しい位置にあるかどうか確認してください。 サポーターの正しい装着方法は、商品パッケージの説明書や公式サイトに記載されている場合が多いので、事前によく見ておきましょう。 安静時はサポーターを外す サポーターは活動時のみ使用するのが基本です。 サポーターを付けっぱなしにすると、うっ血(血液の流れが悪くなる状態)や圧迫により痛みが生じる可能性があります。 症状悪化のリスクを避けるためにも、自宅でくつろぐ時間や就寝時といった安静時にはサポーターを意識的に外しましょう。 サポーターの効果が薄いときは専門家に相談する サポーターを使用しても症状が改善しないときは専門家に相談しましょう。状態が悪化している可能性があるためです。 自分に合った病院を探している方は「再生医療」を専門とする『リペアセルクリニック』への受診をご検討ください。再生医療とは人間の自然治癒力を活用した最新の医療技術です。すり減った軟骨を再生し、変形性膝関節症の痛みを軽減させる効果があります。 本来なら手術しなければいけない状態でも、再生医療で治療できる可能性があります。 \まずは当院にお問い合わせください/ まとめ|変形性膝関節症ではサポーターをうまく活用して早期回復を目指そう サポーターは変形性膝関節症の症状改善に役立つアイテムです。膝を支えて歩行時の安定感を高め、痛みも和らげます。 サポーターの効果を最大限に引き出すポイントは、自分の膝にフィットするサイズやサポート力があるものを選び、正しく装着することです。 しばらくサポーターを使用しても効果が実感できない場合は、病院の受診を検討してみてください。症状が進行している可能性もあるためです。 受診した際は、医師にサポーターの適切な使い方を聞いてみるのも良いでしょう。より効果が期待できる装着方法がわかり、早期回復につながる場合もあります。 変形性膝関節症で使うサポーターに関するよくある質問 最後に変形性膝関節症で使うサポーターに関するよくある質問と回答をまとめます。 サポーターは保険が適用されますか? 国に登録されているサポーターであれば保険適用の対象です。 登録されているサポーターは厚生労働省が公表している「療養費の支給対象となる既製品の治療用装具」の一覧よりご確認いただけます。 詳細が気になる方は チェックしてみてください。 サポーターをつけない方がいいケースはありますか? 膝周辺に炎症や傷がある状態でサポーターをつけると、皮膚の状態が悪化するリスクがあるため使用は控えた方が良いでしょう。 また、化学繊維のアレルギーをもっている方も注意が必要です。サポーターの素材によってはアレルギー反応が出る可能性があります。
2021.02.16 -
- 股関節
- 変形性股関節症
変形性股関節症を農業で発症!予防と悪化を防ぐには 農業をやっていて、不安定な姿勢で長時間作業を繰り返していくうちに変形性股関節症になってしまい、痛みがつらいという人もいるかもしれません。変形性股関節症は、関節の痛みと機能障害が起こりますが進行すると持続痛となり取れなくなる恐れもあります。 そのため、「変形性股関節症になってしまったら、農業はやめるべきなのか?」「股関節に関節症を発症したら農業は、してはいけない仕事なのか?」「そもそも立ち仕事は避けるべきなのか?」など、不安に感じるられているのではないでしょうか。 そこで今回は、変形性股関節症になったら農業をやめるべきなのか、という疑問について、やめるわけにはいかない場合の予防法と治療について解説します。 結論から言いますと、もし変形性股関節症になってしまった場合でも、「農業をやめるべきである」「してはいけない」とは一概に言いきれません。ただし、変形性股関節症になった状態で通常どおりに農業をおこなうというのは危険です。 変形性関節症になっても農業を続けるには? 変形性関節症になったとしても農業を続けたい場合は、痛みのコントロールや症状の進行を抑えるための治療をおこなうことが大切です。痛みの緩和や症状の進行を抑えていく必要があります。 股関節に負担がかからないように生活する 変形性股関節症は、股関節に負担がかかることにより痛みが生じ、症状が進行します。股関節には、農業以外にも、立ち仕事はもちろん、日常生活の中でも無意識のうちに大きな負担がかかる動作や仕事があります。 例えば、歩くだけでも負担がかかりますし、トイレが和式であったり、いつも履いている靴の質が悪いなどということが股関節への大きな負担になることもあります。 そのため、なるべく股関節に負担がかからないよう生活スタイルを変えることや、クッション性に優れ、弾力があって股関節への衝撃を和らげることができる靴を選ぶなど、身近なところから股関節への負担を軽減するように変えていくことが必要です。 変形性股関節症の治療法を検討する 変形性股関節症には、いくつか治療法が存在します。変形性股関節症の場合、股関節に負担のかからないエクササイズや、水中運動などの運動療法が有効です。 このした治療法は、股関節周辺の筋力をつけていくことで、痛みを緩和させる効果が期待できるからです。そのほかには、薬物による治療方法や、症状が進んでしまった場合には人工関節置換手術などがあります。 長期的かつ健康的な視野で見れば、軽度の変形性股関節症は、運動による治療も可能ですが、日常に支障をきたすレベルで関節が痛むなどの場合は、薬物や手術などによる治療を検討されたほうが良いでしょう。 主治医に相談をする 変形性股関節症では、進行の程度や症状によって治療法が異なります。股関節に違和感がある、痛みがあるという場合は、まずは、整形外科をはじめとした専門の医療機関を受診し、診断をしてもらいましょう。 その上で、これまで通りに農作業をおこなっても良いのか、股関節への負担を軽くするために、農業のやり方を変えていくほうがいいのかなどについて主治医に相談してみてください。 農業をしていると変形性股関節症になりやすいの? 農業をしていると変形性股関節症になりやすいという声もありますが、実際のところはどうなのでしょうか。 結論から述べますと、一概に農業をしていると必ず変形性股関節症になるというわけではありません。しかし、農業と変形性股関節症にはいくつかの関係性があります。 農業は変形性股関節症の原因となる姿勢や動作が多い 農業は長時間の立ち仕事であることはもちろんのこと、重たいものを運ぶ、不安定な体勢で作業をするなど、変形性股関節症の原因となる動作が多いです。 変形性股関節症は、股関節への過度な負荷によって引き起こされるため、そういう意味でも農業は多かれ少なかれ変形性股関節症のリスクがあると言えるでしょう。 農業でかかる関節への負担は股関節だけではない 農業は、不安定な姿勢が多いため股関節に負担がかかると言われますが、そのほかの関節にも負担がかかり、膝や腰を痛める人もいます。また、股関節に痛みが生じ、その痛みをかばいながら作業をすると、今度は腰や膝などほかの関節の痛みも併発する可能性もあります。 つまり農業は、股関節だけでなく全身の関節との付き合い方がとても大切になってくる職業であると言えます。 変形性股関節症|予防と悪化させないために 農業だけが変形性股関節症になるリスクがあるというわけではありません。 しかし、農業には変形性股関節症になるリスクが大きな動作が多いことは間違いありません。そのため、農業で変形性股関節症にならないように意識し、悪化させないようにするための予防が必要です。 椅子に座って農業をする 長時間の立ち仕事による農業は股関節に負担をかけるため、変形性股関節症になるリスクがあります。ですから、立ち仕事の時間を減らせるように工夫しましょう。最近は、座ったまま移動ができるキャスター付の農業作業用の椅子などが広く出回っています。そういったアイテムの使用もおススメです。 休憩をこまめにとる 農業で変形性股関節症にならないようにするには、小まめに休憩をとるようにしましょう。 一般のサラリーマンに比べ、農業は明確な就業時間や休憩時間が決まっていないことが多いと思います。そのため、農業を営む人の中には、定期的な休憩を取らずに働いてしまう人もいるようです。 しかし、休憩を取らずに、働き続けることは良くありません。例えば一時間ごとに10分などと決めておくと休憩を意識しやすくなります。どうしても休憩が取りづらい状況であるならば、立ち仕事を減らす工夫や、少しでも関節への負担をかけない工夫をしましょう。 疲労がたまったらストレッチをする 農業をしていて股関節が痛く感じることがあれば、疲労がたまっている証拠です。もしも痛みを感じたら、少し休み、股関節周辺のストレッチをしましょう。 また、お風呂上がりや寝る前などにも、太ももの筋肉やお尻の後ろにある大殿筋などをほぐすようにストレッチするのも効果的です。農業による筋肉の疲労を放置せず、日々しっかりとストレッチをすることで、変形性股関節症の予防につながります。 変形性股関節症でも農業を続けられる関節の痛みの緩和法とは 変形性股関節症になった状態で農業を続けることは大変です。しかし、医師の判断にもよりますし、個人差もありますが、痛みのコントロールをすることができれば、ある程度は農業を続けることが可能でしょう。 変形性股関節症の痛みの緩和方法を紹介します。 関節を温める 関節を温めることによって痛みを緩和できます。ホットタオルや使い捨てカイロなどで関節を温めましょう。股関節を温めることで血行が良くなり、体の修復機能が向上するので、「痛みの緩和」が期待できます。 半身浴をする 関節を温め、血行を良くするという観点から、半身浴もおススメです。お湯の温度を38度から40度ぐらいに設定して半身浴をしてみてください。ホットタオルなどで部分的に温めるよりも、半身浴は股関節全体を温めて、より血行を良くする効果が期待できます。 また半身浴は変形性股関節症の痛みをやわらげるだけでなく、血行が良くなることで体の新陳代謝機能が上がるため、健康そのものにも効果的です。毎日の疲れをとるためにも、ゆっくり半身浴をするという習慣を取り入れてみるのも良いでしょう。 農業を続けたい!変形性股関節症には再生医療という治療方法もある! 変形性股関節症になり、痛みが生じるようになると、農業を続けることが大変になってきますが、それでも農業を続けたい!そもそも農業が生業でやめるわけにはいかない!という場合は、短い治療期間で済み、副作用のリスクも少ない最先端の治療法「再生医療」という選択肢もあります。 再生医療で痛みの改善が可能になれば、生活の質が上がりますし、人工関節に置換えるなどの外科的手術も不要になる可能性が高まります。変形性股関節症の痛みで農作業に支障があると悩まれているのであれば、検討される価値のある治療法です。 https://youtu.be/isSkwxfHrbI?si=xBpcu7q-w5wcdT8Y ▶こちらの動画では、変形性股関節症に効果的な再生医療について解説しています。是非ご覧ください。 まとめ・変形性股関節症を農業で発症!予防と悪化を防ぐには 農業をしていると必ず変形性股関節症になるというわけではありません。しかし、ほかの仕事に比べて股関節への負担がかかりやすい農業は、股関節に対する関節症、特に変形性股関節症のリスクがあるのは確かです。 現在、農業に携わっていて変形性股関節症に悩まされている人や、痛みが強くなったら農業ができなくなるのではないかと不安に感じている人は、今回ご紹介した予防や痛みを緩和する方法を試されてはいかがでしょうか。 また、変形性股関節症は専門医による治療が必要です。せっかく診断を受けても軽度ならと仕事を優先し、つい無理な作業や立ち仕事を続けられてしまう方もおられます。 ご注意頂きたいのは放置して自然治癒することはありません。変形性股関節症は放置すると症状が進行する病気です。早めに専門医の指導の下、適切な治療を受けましょう。 以上、変変形性股関節症は農業で起こりやすいのか?その予防と治療法について、という視点でからご説明させていただきました。変形性股関節症と正しく向き合い、毎日元気に農業を続けていきたいものです。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼以下もぜひご覧ください 変形性股関節症を悪化させないために気をつけたいこと
2021.02.10 -
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変形性股関節症で歩行の負担を和らげる頼りになる杖の選び方を解説 変形性股関節症の方が歩行するのに頼りになるのが「杖」です。そこで「正しい杖の選び方、使い方」をお話ししてまいります。 変形性股関節症と診断された人にとって「歩くのが辛い」、「歩行するのが不安」などといったことで悩まれている方はいませんか?すでに「杖」を使用されていたり、これから購入をお考えの方もおられることでしょう。 杖は、不安定になりがちな足元を支えて歩行を助けてくれる第三の足ともいえるものです。そのためにも杖の正しい使い方を理解して、少しでも不自由なく股関節に負担ない、自分に合った杖を選ぶことが大切になります。 杖の使用は、変形性股関節症の人にとって股関節の負担を和らげるだけでなく、歩行時の転倒防止などに対して大きなメリットがあります。股関節に痛みのある状態で生活を送っていると、痛みをかばうために膝や腰にも負担がかかり、結果として膝痛や腰痛を招いてしまうため、注意しなければなりません。 そのため、杖の使用が推奨されます。 杖を使えば股関節への負担だけではなく、膝や腰への負担の改善も期待できます。 しかし、ひとくちに杖と言っても、一本足タイプの杖や、複数足タイプの杖、木製のものや金属製のものなど、さまざまな種類があります。それらを使って正しい杖の使い方をしなければ、痛みの緩和や歩行のサポートとしての役割を発揮することができません。 歩行を補助するために安全で体に負担をかけることのない正しい杖の使い方をするためにも、まずは杖の選び方にこだわりましょう。自分に合った杖を選ぶことが大切です。 自分に合った正しい杖の選び方、気をつけたいポイント せっかく杖を買っても、その杖が自分に合っていないと、歩行のたびに股関節へ余計な負担がかかってしまう危険性があります。そこで杖について大切なことを以下に記しました。 1)杖の選び方・杖の重さ 杖に重さがあると安定感があり、杖自体も頑丈で歩行にも安心感を感じるかもしれません。しかし、重すぎると疲れやすくなり、慣れるまで時間がかかり、時間とともに使いづらく感じてしまう場合もあります。 一般的には強度と軽さを兼ね備えたアルミ製のものが多く販売されていますが、最近ではより軽いカーボン製の杖も販売されています。いずれも軽量でありながら強度が高いところが特徴です。 杖の重さ メリット デメリット 重い 頑丈、安心感 使用で疲れ、使いずらくなる 軽い 軽量で強度が高く使いやすい - 2)杖の選び方・握りやすさ 杖の持ち手にもコダワリが必要です。自分に合った握りやすく、太すぎず、細すぎず違和感のなく握れることができる杖であることが選ぶポイントです。 滑りにくく掴みやすい、自分の手にあった握りやすい杖を選ぶことで握力がなくても疲れにくくなるでしょう。購入前に、実際に握ってみて、ぜひ少しでも歩く練習をしてみてくださいね。 3)杖の選び方・長さ 杖の長さの目安は身長の半分+2~3cmが適切といわれています。 杖の長さが短いと、前傾姿勢になり、股関節へ負担が大きくなります。これでは、せっかく杖を使っても症状が悪化する原因となってしまいかねません。 逆に、杖が長すぎると扱いずらく歩きにくい、操作が難しくなります。長時間の使用や長距離の歩行の場合、疲れやすくなります。 正しい姿勢で歩行ができるように、自分にあった適切な長さの杖を選びましょう。長さを調整できる伸縮するタイプの杖もあり、これを選ぶと、細かく長さを調整することができます。 適切な長さポイント 身長の半分プラスして2~3cm 正しい姿勢で歩行できるよう調整する → 短い杖:前に姿勢が倒れるため、股関節への負担が大きい → 長い杖:扱いずらく、歩きにくい、疲れやすくなる 4)杖の形 杖の形も歩きやすさに影響を与えます。 デザインなどで選ぶことなく、杖としての基本的な性能を比べてご自身に合った形を探しましょう。 T字杖 一本杖に握り手がついた一番多くられる一般的な杖のひとつです。このタイプは、使用する人を選ばず、比較的、誰にでも簡単に使用することが可能です。 しかし、多脚杖ほどの安定感はないため、高齢の人や、症状が進み自分での歩行に難がある人に安定性の面からあまり向いていません。 ロフストランド杖 一本杖のひとつですが、上部に腕を通す輪があり、下部にも握り手がついていて、T字杖よりも安定感があります。 手が変形している人や、筋力が足りずにT字杖では、歩行の折に体重を支え切れない場合などで選択される杖です。 多脚杖 T字杖は一本杖なので地面と接している部分が一か所のみですが、多脚杖は3点あるいは4点が地面と接します。支える部分が多いため、力が分散され、T字杖よりも安定性が高い杖です。そのため、T字杖のような一本杖では安定しない、筋力が低下しているという人におすすめです。 多脚杖は安定感があるため、変形性股関節症の痛みがひどい人が杖に体重をかけても転倒しづらいですが、一本杖よりも重くなってしまうというデメリットもあります。 変形性股関節症における杖の選び方 変形性股関節症の人が杖を買うときには、実際に自分の手で持ってみる、少しでも歩いてみるなどして選ぶことも大切ですが、やはり専門家の意見を取り入れたほうが良いでしょう。理学療法士や専門の医師に相談しながら、自分に合った杖を見つけましょう。 そして、杖の長さは、重心をかける位置などにも関わってきます。立ったままでなく、直接手に取って、持って、歩いて、相談しながら長さの調節をすると良いでしょう。歩行時の安定感が大切です。 杖の正しい使い方について専門家の指導を受けよう 変形性股関節症の人が杖を購入したら、その杖の効果を最大限に発揮できるよう杖の使い方の指導を受けるようにしましょう。正しく杖を使うことで、痛みが改善されるほか、歩行が楽に感じられるようになると行動範囲も広がります。 変形性股関節症の人は、運動療法もおこなって筋力をつける必要があります。痛みの改善や行動範囲の拡大は、運動療法もやりやすくする効果があるため、正しい杖の使い方を習得して、少しずつウォーキングのような運動もするようにしましょう。 杖を正しく使うことによるメリット 変形性股関節症で歩行がつらくなっていても、正しい杖の使い方をすることで痛みの改善ができると、行動範囲も広くなります。 痛みが強いとトイレに行く、お風呂に入るといった日常動作が億劫になり、筋力が落ちてさらに痛みが増してしまうという悪循環に陥る人もいますし、さらに症状が進むと寝たきりになってしまう可能性もあります。 正しく杖を使って歩行できれば行動範囲を広げることになり、何より変形性股関節症の方でも気持ちを明るくすることができます。このように杖ひとつで前向きな気持ちになれるきっかけになれば何よりです。 まとめ・変形性股関節症|歩行の負担を和らげる頼りになる杖の選び方とは 変形性股関節症で杖を使う場合は、杖を使った正しい歩行方法を知ることが大切です。今回は、正しい杖の使い方をするための第一歩、杖の選び方についてご紹介しました。 自分にピッタリな杖を正しい使い方で使ってこそ、杖を役立てることができます。変形性股関節症の人で杖の使い方や選び方に悩んでいる人は、実際に店舗や病院に行って理学療法士や専門の医師のアドバイスを受けながら杖を選ぶようにすると良いでしょう。 以上、変形性股関節症で歩行する際に知っておきたい正しい杖の使い方と、杖の選び方について記しました。 ▼ 再生医療が変形性股関節症の治療を変える 変形性股関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で入院や手術せずに症状を改善できます 変形性膝関節症についてはこちらも参照ください ▼こちらも参考にされませんか? 変形性股関節症のリハビリ|運動療法!避けたい運動と行うべき運動
2021.02.08 -
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変形性股関節症の治療|ステロイド薬の必要性と副作用を解説します 変形性股関節症の保存療法の一環としてよく使われるステロイドという薬、痛みに効く薬として、その必要性は理解できるけど、副作用が気になる!?という方が多いのではないでしょうか。 そこで今回は、変形性股関節症に対するステロイド薬を用いた治療についてご説明しましょう。 変形性股関節症でステロイドを使った治療は、保存療法で使われることが多いのですが効果的なのでしょうか。 ステロイド薬と聞くと、とにかく副作用が気になる!本当に効果が期待できるのか?、本当に使用しなければならないのか?など、多くの不安を感じる方が多くおられるようです。 変形性股関節症におけるステロイド薬の使用目的とは? ステロイド薬を使用する目的は、痛みに効く、痛みを止める薬として、痛みの緩和に対して効果を示すからです。つまり、変形性股関節症におけるステロイド薬を用いる目的は股関節の痛みに対処するためです。 保存療法は、変形性股関節症の初期におこなわれる治療法の一つです。 変形性股関節症を発症したということは、何らかの自覚症状があるということで、それは多くの場合、痛みです。手術を回避するために初期のころ行う保存療法においては、この痛みを緩和させる必要があります。 これは手術をしないで痛みを止め、運動療法による効果を高めるための目的ですが、痛みがあると、どうしてもその部位を守ろうと他の筋肉や組織に力が入ったりして、意識、無意識にかかわらず負担を掛けてしまうことを避ける狙いもあります。 このように保存療法を有効に進めるためには、ある程度、痛みを和らげることも大切です。 ステロイド薬には抗炎症作用と鎮痛作用がある ステロイド薬の効果としては、痛に効く、痛みを抑える薬としてだけではなく、痛みの原因となる炎症そのものを抑える効果があります。痛みの原因物質の産生を抑えることで強い抗炎症作用や、鎮痛(痛みを止める)作用を示すという訳です。 そのため、変形性股関節症でステロイドを使用すると、炎症を防いで、痛みを止めるなどの改善効果が期待できるのです。ただし、ステロイド薬は、副作用が起こる可能性もあります。 ステロイド薬の副作用とは ステロイド薬の副作用のひとつに、骨が脆くなるというものがあります。そのため、事前の骨の検査や年齢によっては、ステロイド治療をおこなうことができない場合もあります。 医師とよく相談して、納得したうえで使用しなければなりません。 ▼ 再生医療で「変形性股関節症」を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善できます 変形性股関節症にステロイド薬を使用するデメリットは? ステロイド薬が変形性股関節症の痛みに効果を発揮し、改善できるとしても使用することによるデメリットはないのか?ということが心配になりますよね。そこで、ステロイド薬を使用することによって考えられるデメリットについてご紹介しましょう。 1.長期間の使用は避けたい ステロイドの鎮痛効果は強力です!変形性股関節症の痛みでつらい人に痛みを止めるという意味では、高い鎮痛効果が期待できます。 しかし、長期間の使用はおすすめできません。それは、ステロイドには副作用があるためです。 2.ステロイド薬を使うと骨が脆くなる可能性がある 長期的なステロイドの注射は、「大腿骨骨頭壊死」というさらに困難な症状を招く可能性があります。 変形性股関節症の人の股関節はすでに軟骨のすり減りや骨の変形が進んでいるため、より負荷がかかりやすい状態にあります。 そして、長期間のステロイド薬の投与は骨の代謝やホルモンの産生に影響を与え、骨を脆くしてしまうことがあり、長期的にステロイドを使うことで、大腿骨の骨頭と呼ばれる部分が壊死する大腿骨骨頭壊死を招くのです。 3.ステロイド薬を使うと感染症になりやすくなる 頻度は決して高くないものの、ステロイドは免疫を抑制するため、長期間の関節内投与により化膿性関節炎になる可能性があります。もし関節炎になってしまった場合は、抗生物質の内服薬で治療をします。重症化してしまった場合は、関節内の洗浄をおこないます。 4.長い期間の使用で骨粗しょう症のリスクがある ステロイドは長期間の使用により、骨の代謝やホルモンの代謝にも影響を与え、骨粗しょう症を引き起こす場合があります。 5.ステロイド薬は、変形性股関節症を根本的に治すものではない ステロイド治療は、痛みの改善には効果が期待できますが、損傷した関節を修復する効果はありません。 そのため、痛みの緩和をさせながら様子見をすることはできても、軟骨のすり減りや骨の変形の進行自体を止めるなど、変形性股関節症の根本的な治療をすることはできません。 また、変形性股関節症は進行する病気です。つまり、変形性股関節症の人がステロイド治療をおこなったとしても、最終的には手術を行う必要が出てくる可能性があります。 ▼ 変形性股関節症は再生医療で治療する 再生医療により「変形性股関節症」は、手術せずに症状を改善することが可能です 変形性股関節症のステロイド薬での治療はどのように行うのか? 変形性股関節症の人のステロイド治療は内服薬と注射があり、内服薬で痛み対する効果が感じづらくなってきた場合に関節内にステロイドを直接注射します。 ステロイドの注射薬を、直接損傷した股関節に注射することにより、ステロイド薬の強力な抗炎症作用が効果を発揮し、痛みを改善することができます。 しかし、長期的な使用は副作用のリスクがありますし、徐々に変形性股関節症の症状が進行するとステロイド注射の薬効が薄れ、効き目が感じられなくなることもあります。このように薬効がなくなると外科的治療である手術を検討しなければなりません。 痛みの緩和ということでは再生医療という分野が発達してまいりました。PRP療法は自己の血液から抽出した成分で痛みのある部分に投入することで痛みを緩和させる効果を狙うことが可能です。更に幹細胞治療という方法なら、すり減ってしまった軟骨そのものを回復させる効果を期待することが可能です。 今後、治療の選択肢に入って来るでしょう。 まとめ・変形性股関節症の治療|ステロイド薬の必要性と副作用について 変形性股関節症の治療で使用されるステロイド薬についてご紹介しました。ステロイド薬には強い抗炎症作用と痛みに効果がある、鎮痛作用があって、内服薬や関節内に直接注入することで、痛みの止めたり、緩和することを期待することができます。 しかし、ステロイドには骨を脆くするなどの薬としての副作用があり、長期的なステロイド治療はおすすめできません。また根本的な変形性股関節症の治療に効果を発揮するわけでもありませんので、ステロイドの特性を知った上での服用が大切になります。 また、痛みに対して再生医療という方法でのアプローチも進化してきています。いずれにしましても専門医とご相談の上、無理のないより良い治療法を探し、痛みと向き合っていただくことをお勧めします。 ▼以下もご参考になさって下さい 変形性股関節症、杖の正しい使い方と選び方
2021.02.02 -
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変形性股関節症と臼蓋形成不全の関係性や治療法について医師が解説します 病気の中には、ある疾患が起こると、別の疾患の発症原因になることがあります。それらの多くは疾患同士が密接に関係しているためです。 その意味で股関節の病!「変形性股関節症」と「臼蓋形成不全」という病気も密接にかかわっています。 この関係性を知ることで、この病気の進行は大きなリスクがあること、それを知ることで予防や治療にも役立つため、以下を参考にしていただければと思います。 変形性股関節症と臼蓋形成不全という股関節の病気について治療方法や手術などを解説します。まずは、変形性股関節症と臼蓋形成不全が、それぞれどのような病気なのかについて解説し、その関係性と治療方法について記してまいります。 変形性股関節症とは? 「変形性股関節症」とは、股関節の軟骨がすり減ってしまうことで、骨盤の受け皿の部分(臼蓋)と大腿骨の先端部分(骨頭)が変形する病気です。 股関節の軟骨は、股関節のクッションのような役割を担っており、軟骨がすり減ることで骨盤と大腿骨の変形をもたらし、股関節の痛みや、機能障害などを引き起こします。重度の場合、両足の長さに違いが生じるケースもある病気です。 正常な状態であれば、骨盤軟骨がクッションの役割を果たすことで衝撃を和らげるのですが、加齢などを原因として骨盤の軟骨がすり減ってしまうと徐々に骨が変形を起こし、そこで炎症が起きてしまいます。 初期の段階では、歩き初めや起き上がりの際に少しの違和感を覚えたり、痛みを感じる程度です。 しかし、症状が進行すると徐々に痛みが明確になり、安静時や就寝時に痛みを生じるケースや、歩行などに差し支えるほどの痛みが生じ、日常生活に大きな悪影響を及ぼすようになってきます。 検査・診断・治療は、問診および股関節の可動域の確認に合わせて、MRI検査や、X線検査を用いた画像による診断を行います。 初期の段階であれば軟骨のすり減りによる股関節の隙間の異変に留まりますが、症状が進行するにつれて軟骨が薄くなって股関節の隙間がさらに狭くなり、さらに進行すると関節の周辺に空洞や棘のようなものが発生します。 臼蓋形成不全とは? 「臼蓋形成不全(臼蓋形成不全症)」とは、臼蓋が小さい状態のことです。 前述の通り臼蓋は骨盤における大腿骨の受け皿のことであり、大腿骨頭の大きさの80~90%程度であることが、良いバランスとされていますが、臼蓋形成不全ではそれよりも臼蓋が小さく、50%程度の大きさしかない症例もあります。 臼蓋形成不全であると診断された場合においても、若い患者さんは軟骨の厚みが保たれていることによって症状はほとんどありません。ただ原因が不明な場合が多く、有効な予防法も確立していないのが実情です。しかし、乳児期の臼蓋形成不全は成長に伴って自然に改善されることも多いです。 臼蓋形成不全と変形性股関節症の関係性 以下に変形性股関節症と臼蓋形成不全に、どのような関係があるのかについて解説します。 ※臼蓋形成不全は、変形性股関節症の発症リスクが高い※ 実は、臼蓋形成不全が、変形性股関節症の発症原因になる可能性があります。若いころに発症した臼蓋形成不全を気が付かづ、そのまま放置してしまった結果、変形性股関節症へと進行してしまうケースは珍しくありません。 一般的に変形性股関節症の主な発症原因は「加齢」とされており、中高年の女性に起こりやすい病気なのですが、臼蓋形成不全などで股関節が生まれつき傷みやすい人の場合、若年でも変形性股関節症を発症する可能性があります。 つまり、子どもの頃にかかった臼蓋形成不全の後遺症が原因となって変形性股関節症を発症する可能性があるということです。 臼蓋形成不全の治療法 そこで臼蓋形成不全の治療について、臼蓋形成不全は、成長に伴って自然に改善されるケースも多いですが、重度の場合は自然治癒することなく進行し、変形性股関節症などの股関節の病気に発展する可能性があります。 治療においては「ひも型装具」を装着するという方法がありますが、一部からは、この治療方法について「行う必要はない」という意見もあります。臼蓋形成不全の治療目的は、「変形性股関節症へ進行を防止すること」です。 臼蓋形成不全では、股関節が不安定になりやすいため、これを補うために軽度の臼蓋形成不全の場合は、股関節周囲の筋力トレーニングを保存療法として治療に取り組むこともあります。股関節周りの筋肉に股関節を支える力を与えるためです。 一方で、重度の臼蓋形成不全の場合は、変形性股関節症に進行するリスクが高まっているため、臼蓋を大きくするための手術を行うと判断される場合もあります。 変形性股関節症の治療法 変形性股関節症の治療法は、大きく分けて「保存療法」と「手術」の2つがあります。 保存療法は、初期の変形性股関節症の治療において選択されることの多い治療法であり、基本的な治療方針は変形性股関節症による痛みを薬物療法や物理療法によって軽減し、運動療法によって症状の進行を防ぐというものです。 保存療法の目的は「変形性股関節症が進行しにくいようにする」ことであり、「変形性股関節症を根本的に治す」というものではありません。そのため、保存療法で治療を継続していても変形性股関節症は徐々に進行し、次第に痛み止めなどが効きにくくなってしまいます。 手術は重度の変形性股関節症の治療法として選択されることが多く、人工股関節への置き換えや骨切り術などの手術法があります。 手術を受けると症状の根源が取り除かれるため、症状の改善効果は高いのですが、体への負担や副作用・後遺症などのリスクを考慮しなければなりません。 まとめ・変形性股関節症と臼蓋形成不全の関係性と治療法について 臼蓋形成不全は、変形性股関節症の原因になり得る病気です。つまり、この二つの病には嬉しくない密接な関係性があるということです。 臼蓋形成不全そのものは危険な病気ではないケースが多くても、「変形性股関節症へ進行するリスクがある」ことを考えると、放置することは危険、問題になる可能性があります。 股関節に「何かおかしい?違和感がある!」などといった感覚を覚えたら、早めに病院等、医療機関で専門医の診断を仰がれることをお勧めします。 何もなければ安心ですし、万一異常があっても早期なら、進行を遅らせることができたり、悪化してから治療を受けるより回復の目途がつけやすくなります。 また、変形性股関節症は重度の場合に手術を選択しますが、副作用のリスクや体への負担に対する考慮が必要です。上記と同様に早期発見、早期治療こそが股関節の病で非常に大切なことです。 以上、変形性股関節症と臼蓋形成不全の関係性、その治療について記しました。お役に立てれば幸いです。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼以下の記事もご覧いただけます 股関節の病気の種類と治療法・人工股関節を手術した場合のリハビリと注意事項
2021.01.18 -
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股関節の人工関節|手術前に高齢者が知っておくべきリスクを解説! 股関節の痛み等の症状は、進行すればするほど、従来の治療法である保存療法をおこなっても奏功しなくなります。高齢者が股関節の痛みを改善するために股関節を人工股関節へ置換える手術は、年齢的な面で大きなリスクを伴うことをご存知でしょうか。 そこで今回は、「高齢者の股関節の痛みや、股関節異常に対する最終的な治療は人工関節置換術しかないのか?」という点から、解説させていただきます。 高齢者に限らず手術には多かれ少なかれリスクは存在します。人工関節の手術にも大きなリスクがあります。 ただし、リスクがあるからと、股関節の痛みを放置し、歩行などの不自由にも目をつぶり、手術を選択しないのは、生活の支障をきたすばかりか、症状の更なる進行という更なるリスク!恐れがあります。 ついては、何らかの治療をしなければなりません。 ではリスクのある手術そのものを避ける方法はあるのでしょうか? 結論から申し上げると進行の度合いによると、前置きをした上で、人工股関節を避ける治療方法は存在します。 それが最近、TVなどでも注目を集め始めた「再生医療」というものです。この治療法が適合するなら人工股関節の手術を避けられるばかりか、入院すら不要、日帰りでの治療が可能です。 いずれにしても、実際の手術にどのようなリスクが存在するか知っておかねばなりません。 以下で説明してまいりましょう 高齢者が股関節を人工股関節にする手術のリスク 股関節の手術は、「人工股関節置換術」や「骨切り術」などがありますが、いずれの手術であっても高齢者の場合はリスクを考慮しなければなりません。 股関節の手術 骨切術 人工股関節置換術 これら手術における高齢者のリスク 高齢者の手術におけるリスクについて、「人工股関節手術」だけに限ってリスクが発生するわけではありません。まずは、どのような手術をおこなう場合であっても、高齢者の場合は、リスクが高くなります。 その理由としては、以下のようなことが挙げられます。 高齢者の手術のリスク 合併症を起こす危険性 加齢により抵抗力が低下しているため罹患しやすい 手術によって身体のバランスが崩れてしまう 手術後リハビリを重ねても年齢的に修復が難しい可能性 上記含め、手術に関わる条件の個人差が大きい 問題は、基礎疾患と合併症 一般的に病気というものは年齢が高くなるほど発症リスクが高くなります。高齢者は様々な基礎疾患を有しているケースが見受けられます。 例えば「糖尿病」などの免疫力に関係する疾患を有している場合は、手術によって感染症を発症するリスクを考慮しなければなりません。また、股関節の手術において、その準備段階、検査結果で疾患が見つかるというケースも珍しくありません。 医療技術が進歩したことで年齢によらず手術を実施できるケースが増えてきはしましたが、それでも合併症の存在は、今だに無視できないのが事実です。 そのため、一般的に手術前には詳しい検査をおこなって手術をしても問題がないと判断されない限り手術が選択されることはありません。 ただ安全性を優先する一方で「手術したくても、受けられないケースもある」ことも念頭に置く必要があります。 人工関節置換術の合併症 感染 人工関節置換術の最大の合併症は「感染」です。発症率は0.5〜3.0%とされ、高齢者は10%とも言われます。原因は手術中に細菌が侵入する場合や、手術後に虫歯や皮膚の傷などからも感染する可能性があり、糖尿病や関節リウマチの治療をしている方、ステロイド治療を受けている方は感染リスクが高くなります 血栓症・肺塞栓症 手術中、手術後に深部静脈血栓症として、血栓が発生し、脚のむくみや、痛みを引き起こすことがあります。血栓が肺に移動すると肺塞栓症になり、突然死のリスクが発生します。発症率は0.2%以下とされています注意が必要です 脱臼・骨折 脱臼は人工股関節置換術の術後、転倒や無理な姿勢で発生します。骨折は術後の転倒で発生し、高齢者、骨粗しょう症の女性はリスクが高くなります。 人工関節のゆるみ 人工関節には寿命があります。骨と人工関節の接着面にゆるみが生じて痛みや歩行障害が発生します。 過度な体重増加、重たい荷物を持つ、激しいスポーツなどが主な原因となります。 このように、人工関節置換術にはさまざまな合併症があるため、実施に当たっては事前に、しっかり説明を受け、納得して臨まれるようご注意ください。 人工関節は、その名の通り、人工の造作物であるため、一旦感染が生じると細菌が人工関節にバイオフィルム(細菌が幕を作る)を形成し、抗生物質が効きにくくなる問題があります。このバイオフィルム内で細菌が増殖するため、感染が治りにくくなります。 感染が起き、重症の場合、再手術にて人工関節を除去する必要があります。感染は、手術後の早期に起こるものと、手術後、ある程度経過してから起こるものがありますが、手術後の1~2週間以内に起こる可能性があります。 人工関節の最たるリスクが「脱臼」です。股関節に限りませんが人工股関節の手術後は、脱臼が起こりやすくなっています。 手術後の日数や、経過に伴って徐々に脱臼は起こりにくくなるものの、高齢者の場合は若年層の手術と比較して脱臼リスクが長く続くと考えられています。 高齢者は、老化に伴って股関節を支える筋肉が衰えるため、次第に腰が曲がって姿勢が変わることがあります。こうなると股関節の動きも従来と変わることになります。その結果として、脱臼リスクの高い姿勢になりやすくなります。 そのため、手術後のリハビリについても若年層に比べて慎重におこなう必要があります。 高齢者が人工股関節を回避するための再生医療という選択肢 股関節を人工股関節に置換える手術にはリスクがあり、特に高齢者の場合は、リスクが高くなることをご説明してまいりました。決して脅しではなく、最悪の場合は、手術によって体調を大きく崩す可能性もあります。 その際には命に関わる可能性もあります。 では、高齢者の股関節治療には、リスクが高い「人工股関節を入れる手術」しか方法はないのでしょうか? 従来、選択肢は「保存療法」「手術」の2つしかなかった 股関節の痛みや、異常など関節疾患の多くは「保存療法」か、「人口関節置換術」の二択での治療を選択するケースがほとんどです。 つまり、「手術を受けない」「手術はしたくない!」とした場合、保存療法を継続することになります。保存療法とは、痛みなどの症状を薬物などで抑え、運動療法などリハビリで機能の維持と、症状の進行を防止するものです。 通院や、運動療法を実施するという手間はありますが、手術ほど体へのリスクを考慮する必要はありません。特に変形性股関節症などの初期症状において保存療法は有効で、この治療法を選択することもあります。 それならリスクを避けて保存療法で薬や、リハビリを続けていれば良いのか?・・・というと、そうでもないのです。 問題なのは、この場合、保存療法が病気の根本的な治療法にならない。完全に進行を止めることができないということです。保存療法はあくまでも「痛みなど症状の緩和」と「症状の進行を防止する」というものです。 進行を遅らせる目的で行われるだけで、残念ですが病気は徐々に「進行」します。保存療法は、病気が進行するれば、するほど効果を発揮しなくなる可能性が高いということです。 そのため、従来は保存療法が効かなくなったら、避けたくても結果的に手術を受け入れざるを得ない!ということになります。つまり、保存療法を続けていても → いつかは手術になる。という流れ、治療方針がとられていました。 https://youtu.be/Dlp-ggXtQp0?si=UGv-QLIBiFxGQXKw 第三の選択肢である「再生医療」 本記事の冒頭にも記しましたが再生医療は、これまで再生することが不可能だと思われてきた軟骨に対して、自分の幹細胞を使うことで再生させることが可能になった治療方法です。 幹細胞は、様々な細胞に分かれる、つまりは変身する能力を持っているため、弱った軟骨に変化し、軟骨を再生させる可能性に満ちた治療法です。 方法的にも体への負担が少なく、自らの脂肪をほんの少し採取して、その脂肪から幹細胞を抽出、培養。この幹細胞を数万から、1億以上に増やして患部に注射で投入するだけ。 人工関節置換術といった手術や、長期の入院、長期のリハビリも不要です。そればかりか日帰りで済む治療法です。 つまり、高齢者にとって一考される価値のある方法です。 ▼股関節の手術を避ける治療例(患者様の声) https://fuelcells.org/channel/cate_channel/channel-hipjoint/ まとめ・股関節の人工関節手術|高齢者が手術前に知っておくべきリスクとは? 変形性股関節症など股関節の病気は、年齢を問わず初期であれば保存療法が有効ですが、症状自体を止めることはできません。症状が進行すると、人工股関節を自身の関節と置換える手術を検討しなくてはなりません。 しかし、人工股関節置換術などの手術は、合併症などの問題からリスクの発生を避けて通ることはできません。 ところが、昨今の医療技術の進歩により、従来は手術が難しかったケースでも手術を選択できるようになったり、手術を回避し、切らずに治療する再生医療という分野が大きく進歩してまいりました。 いずれにしてもご自身のお体ですので改善に向けて担当の医師とご年齢や、そのリスクなど納得いくまでよくご相談していただき、より良い治療方針を模索しましょう。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼以下も参考にされませんか 変形性股関節症の手術後の生活で注意したいこと
2021.01.13 -
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変形性股関節症|人工関節の手術のリスクを説明します 変形性股関節症と診断された場合、「薬物療法」や「運動療法(リハビリ)」といった「保存治療」以外に、「手術療法」という選択肢があります。 しかし、変形性股関節症での手術療法は、股関節を人工関節に置換える文字通り「人工股関節置換術」といい、手術としても大掛かりな部類になります。 医療機関で、人工関節を勧められた場合、以下のようなお悩みや、心配をされるのではないでしょうか?! 人工関節にする手術を勧められた場合の心配やお悩み 今ある自分の関節を人工物に取り換える違和感や恐れ 摩耗や緩みで数年後に再手術が必要な場合があること 人工関節にすることで変えなばならない生活スタイル 一度、人工関節にすると引き返せないこと 合併症の不安、万一細菌が入ると怖い再手術(3~10%) 長い手術時間や全身麻酔、輸血の心配 接続する脆くなった骨への影響 など、知れば知るほど不安に思われるのも当たり前だと思います。 そこで今回は、「変形性股関節症の人工関節手術(人工関節置換術)」について、以下のような疑問やお悩みにお答えできればと思います 「どのようなリスクがあるのか?」 「高齢者の場合のリスク?」 「術後に何を、どのように気を付けるべきなのか?」 「それ(手術)以外に方法は無いのか」 変形性股関節症の人工関節手術のリスクについて 変形性股関節症に関わらず手術は、手術であるかぎり、他の病気や、けがの手術と同じように必ずリスクは伴います。逆にリスクが一切ない手術は存在しません。 そのため、「変形性股関節症の手術に限ってリスクはない」ということは言えません。しかも手術を受ける人によってリスクは様々、「高い、或いは低い」「大または小」があります。 そのため、手術を行うためには前もって多くの検査が必要となります。 その結果、リスクが大きいと判断されれば、手術自体を受けることはできません。つまり、手術による治療は、手術をしないよりもリスクがあるともいえるのです。 高齢者の変形性股関節症の人工関節手術のリスク 高齢者の方が変形性股関節症の人工関節手術を行う場合は、リスクが高くなる可能性があります。医療機関での治療過程で「あとは手術しかない」と言われたとしても、医師に納得いくまで説明を受けて、よく検討する必要があります。 「こんなはずでは無かった」とならないように注意しましょう。 高齢者の場合、股関節はもちろんのこと、骨そのものが脆くなっていることがあり、骨ではないチタン合金、クロム合金などといった人工的に作った股関節を今ある自分の股関節に置き換えるため、体内の骨と接合する必要があります。 接合には、骨ではない合金などといった異物を取り付けるために、「セメント(骨セメント)」や、「セメントレス」といった2つの接合方法があり、患者の骨の状態を見て判断されます。 素材や技術は日々、進歩を続けていますが、どうしても一長一短があります。 人工関節、身体(骨)との接合、固定方法上のリスク セメント:当初は非常に強固だが経年で緩む危険性がある。 セメントレス:緩みにくい反面、安心できる(固定が定まる)まで6か月ほど必要。 しかし、いずれの手術であっても、成功しても、セメントはもちろん、セメントレスであったとしても時間とともに緩む可能性は0ではありません。将来に再手術というリスクという可能性を考えておくべきです。 また、特に女性の場合、事前の検査で骨粗鬆症の罹患率が高く、骨密度が低ければ、人工関節は丈夫でも周囲の骨に対して骨折というリスクがあることを注意しなければなりません。 手術の合併症、手術で感染症が重篤化するリスク 人工関節の可否、骨だけの問題ではなく、身体の免疫機能そのものが低下している場合、変形性股関節症の手術が無事終わったあとでも、その後に感染症を引き起こせば重篤になる可能性があります。 一度感染症を引き起こしてしまうと傷の治りが悪くなるため、結果として再手術が必要となり人工股関節を取り替えなければならないような事態になる恐れもあります。 感染症をおこしてしまう確率を0%にすることはできず大変危険なので、免疫機能についても十分に検査をして、変形性股関節症の手術に適応するかどうかを検討しなければなりません。 それ以外にも全身麻酔のリスク、輸血のリスクなど検討しなければならないことは数多くあります。 これらは、けして大げさに申し上げているのではなく、実際に人工関節手術を受ける前に説明を受ける内容です。 保存療法では人工関節を避けることはできない 保存療法とは、内服薬や外用薬などの薬物を利用する薬物療法や、ウォーキングなどの軽い運動を行い股関節周囲や足の筋力を高めるリハビリテーション、運動療法があるのですが、これら地道な努力を行なっているにもかかわらず痛みが緩和されずに効果を感じられないという人もいます。 また、初期のころは多少でも効果を感じることができたけど、徐々に効果が低くなるという場合もあります。 このように保存療法は、コツコツできる範囲で行っていても効果が感じられず、常に痛みがあり、日常生活に支障をきたすようであれば、手術を受けたほうが良いと判断される場合もあり、保存療法等リハビリを行っているからと人工関節の手術を避けられるものではありません。 人工関節、術後のリスク 変形性股関節症の手術を受けて、めでたく成功した場合でも注意は必要です。 実は、術後の日常生活にこそリスクが潜んでいます。 そこで手術後にどのような生活を心がければ良いのかを事前に知っておきましょう。そうすることで手術を受けた後も、危険を回避しながら安全に過ごすことができます。 日常的に自分の姿勢や動作に注意しなければなりません 変形性股関節症の手術を終えた直後、リハビリをすることで体の調子が徐々に戻ってきます。上手くいけば痛みも改善し、無理をしなければ日常生活を送ることができるようになるでしょう。 しかし、常に気を付けなければいけないことがあります。それは、股関節への配慮です。 ご注意いただきたいのは、股関節を無理に内側にひねるような姿勢は、脱臼を起こしてしまう恐れがあります。また、あぐらや正座、しゃがむ動作などの姿勢は、変形性股関節症の手術の後におこなうと非常に危険です。 つまり、和風の床に直接座るような生活スタイルから、椅子やベットで過ごせる洋風の生活へ意識してチェンジしていく必要があります。この辺りも家族の理解を得ながら進めていきましょう。 もしもの場合、再手術になることもあるので、このあたりは十分に注意しなければなりません。 手術後の細菌による感染に注意(皮膚炎や歯周病も) 変形性股関節症の手術の後に起こるリスクは脱臼などだけではありません。感染症にも十分注意が必要です。 感染は、手術した部位だけの問題ではありません。手術後の感染を防ぐためには「水虫」や、「皮膚炎」などにも注意すべきです。足まわりを清潔に保っておくことが大切です。 また虫歯、歯槽膿漏などの症状によって細菌が入り、感染が起こす可能性もあるため、常に口腔内を清潔にしておくことも重要です。必要であれば手術の前に歯科、口腔外科などに通い、オーラルケアをしておけば更に安心です。 変形性股関節症|人工関節を選択する場合に知っておきたいこと 変形性股関節症の手術は、手術中だけでなく手術後の生活にもリスクが伴います。なるべく危険を避けて手術を受けるようにしましょう。 事前に手術内容を理解しておく(納得する) 変形性股関節症の手術で、自身の股関節を人工の股関節に置き換える手術を行う場合、手術中、術後の感染リスクや、人工股関節が入ることによるリスク。どのような生活が待っているのかなどを十分に説明を受け、理解しておくことが必要です。 事前に手術内容を把握しておくことで、手術をしたその日から危険を回避できるような対策をとれるようにもなります。また、知識を持っていれば手術を受ける前に股関節に負担のかからない生活環境を整えるなどの対応を取ることも可能になります。 いずれにしても変形性股関節症の手術を行うことが自分にとって本当に最善なのか検討し、危険が多いと感じるようであれば、まずは薬物療法や、運動療法で痛みを改善することを優先したほうが良いかもしれません。 これら主治医ともよく話し合って、納得して手術を受けるようにしてくださいね。今の時代、他の医療機関でセカンドオピニオン受けるという手もあります。手術は最終手段です。 信頼できる医療機関を選択する(自身で納得できること) 自分はもとより、家族の同意を得て変形性股関節症の手術を決断したなら、多くの症例を持ち、信頼できる先生がいたり、設備が整った病院である等の基準も大切です。普段から通いなれて気心が知れた医療機関という手段もあります。 選び方としては今やネット社会です。情報は検索することで過剰なほど得られます。 変形性股関節症の手術を行っている医療機関は全国に多くありますがインターネットや、口コミを参考にしながら事前に情報収集しましょう。 手術に関して家族や信頼できる友人などの意見を聞ければ聞き、ご自分でメリットはもちろんですが、リスクもしっかりと理解し、納得した上で手術を受けましょう。後戻りはできないので注意してください。 手術後リハビリをしっかりと行う 変形性股関節症の手術が成功したあと大切なのはリハビリです。 急がず、コツコツ気長に継続して人工股関節を体に慣らしていくことが大切です。手術後の危険のリスクを少なくするためにも前向きに取り組んで回復を目指しましょう。 歩行が問題なくできるようになっても無理は禁物。転倒などの危険性もあります。自信がつくまでは杖を使うなど危険を回避する方法を取り入れることも大切です。 変形性股関節症|人工関節以外の選択肢「再生医療」という先端医療 変形性股関節症の手術は、症例を有した信頼のできる医療機関であれば、基本的に安全に受けることができるます。 しかし、手術である以上、危険が全くないというわけではないため、手術後の生活に不安を感じている人や年齢の問題、骨密度や再手術の可能性、感染のリスク、何より人工のもので置き換える違和感に恐怖を感じておられる方にご紹介したいのが近年注目されている先端治療である「再生医療」という手段です。 手術を決断する前に自分に可能性がないか調べてみてはいかがでしょうか。上手くいけば手術というリスクを回避して改善を目指すことができるかもしれません。 再生医療は、患者自身の細胞を利用するため、拒絶反応やアレルギーなどの副作用が少なく、安全性に優れた治療方法です。また、人工股関節を入れるというような大掛かりな手術ではないので、感染のリスクが少ないのも魅力です。 変形性股関節症で、従来の治療方法ではあまり痛みの改善効果が期待できなかった人や、手術の危険要素がどうしても不安であるという人にとって、再生医療は選択肢の一つになるでしょう。 > 股関節の再生医療について詳細 https://youtu.be/BIzpa2SVAt4?si=D4MITF9M-bqvJbKo まとめ・変形性股関節症|人工関節手術のリスクについて 今回は、変形性股関節症の手術における「リスク」について紹介しました。これは脅しなどではなく、危険性やリスクを知識として知っておき、理解しておくことが自らを守ることに繋がると判断したためです。 医療機関で納得のいく説明を受けるためにも手術の実際とリスクを知っておき、疑問点は臆すること質問できるようになって欲しいと思います。 手術を検討する場合は、手術そのものだけでなく、手術後の生活についても事前にしっかりと理解し、信頼できる医療機関を選ぶこと、自分自身はもちろんのこと、家族も納得してもらった上で手術を受けることが大切です。 また、最後にご紹介した再生医療は、手術を避けることができる危険の少ない最先端の医療として注目を集めています。変形性股関節症の治療においても効果を期待することできます。 いずれにしましても、手術はもちろん、治療にあたってはしっかりとした実績を持った専門医や医療機関にご相談になってください。以上、変形性股関節症の人工関節手術のリスクと術後の注意点について記させて頂きました。 人工関節の話が出たり、人工関節置換術の説明を受けたり、変形性股関節症でお悩みの場合、参考にしていただければ幸いです。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、最新の再生医療なら手術せずに症状の改善を目指せます(詳細) ▼以下もご覧ください 変形性股関節症の保存療法|治療効果を上げるための注意
2021.01.06 -
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変形性股関節症と診断されたけどどうしたら良いのかわからない。 股関節の変形はもう治らないと聞いたので今後が不安…… 変形性股関節症と病院で診断され、これ以上悪化させないためにはどうすればいいか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。 変形性股関節症は股関節に負荷がかかり続けることで軟骨がすり減り、骨が変形していく疾患です。 進行を遅らせる方法があれば知りたいと思う人もいるかもしれません。 結論から言えば、変形性膝関節症で禁止されている動作や運動はなく、日常生活の動作や姿勢に注意すれば問題ありません。普段から股関節への負荷をできるだけ避け、股関節の可動域・筋力向上に効果的な運動を継続すれば、痛みを軽減できます。 そこで今回の記事では、変形性股関節症に対して避けるべき動作や効果的な運動をご紹介します。 病院で変形性股関節症と診断されて不安に思われている人は、ぜひ最後までチェックして実践してみてください。 【シーン別】変形性股関節症でやってはいけないこと 変形性股関節症でやってはいけないこととして、以下の3つに注意してください。 運動 姿勢 生活習慣 ここから具体的に、どういった運動や姿勢、生活習慣が変形性股関節症に悪影響となるのか、詳しく解説していきます。 変形性股関節症の発症後に注意すべき点については、以下の記事もご覧ください。 変形性股関節症でやってはいけない・注意すべき運動 変形性股関節症でやってはいけない・注意すべき運動として、以下の2つには注意しましょう。 ジョギング ストレッチ・ヨガ(股関節に負担がかかるもの) これらの運動は股関節に大きな負担が生じます。軟骨の摩耗や骨の変形・痛みといった変形性股関節症の進行を強める要因となるため、可能な限り避けましょう。 ジョギングは着地の衝撃で股関節への負担が大きくなるとされています。また、大きく脚を開くようなストレッチやヨガも股関節への負担が大きいため、注意しましょう。 上記以外の運動中でも、痛みなど異変があれば無理に動かさず安静にするよう心がけてください。 変形性股関節症でやってはいけない・注意すべき姿勢 変形性股関節症でやってはいけない・注意すべき姿勢は以下の4つです。 あぐら 時間しゃがむ 足を組んで座ること 猫背 あぐらや長時間しゃがむ姿勢は、股関節への負担が大きく、変形性股関節症の症状を強めてしまう可能性があります。 足を組むのも、股関節が捻られて負担が大きくなるため避けましょう。 また、猫背の姿勢は骨盤と大腿骨(ふとももの骨)が不安定な形になりやすく、股関節への負担が大きい姿勢です。 変形性股関節症を悪化させる可能性があるため、正しい姿勢を保つようにしましょう。 変形性股関節症でやってはいけない・注意すべき生活習慣 変形性股関節症でやってはいけない・注意すべき生活習慣は以下の3つです。 重い物を持って立ち上がる・歩く行為 体重の増加 ヒールの高い靴を履く 重い物を持って立ち上がったり歩いたりする行動は、変形性股関節症を強めるリスクが高いです。 体重の増加も股関節に負担がかかるため、暴飲暴食や運動不足による肥満には注意しましょう。 また、ヒールの高い靴を履くと足首の動きが悪くなり、歩行時の衝撃を吸収しにくくなります。股関節にかかる負担が増えるため、できるだけフラットなパンプスやスニーカーなど、足首の動きに影響が少ない靴を選ぶと良いでしょう。 変形性股関節症の禁忌動作を続ける3つのリスク 変形性股関節症の禁忌動作を続けることで、以下に挙げる3つのリスクが生じます。 疼痛が増強する 歩行が困難になる 人工関節を入れる手術が必要になる なぜこのようなリスクが生じるのか、それぞれ詳しくみていきましょう。 疼痛が増強する 変形性股関節症の人がしゃがむ、股関節を内側にねじるなどの動作を日常的に繰り返すと、脚の骨と骨盤の間にある軟骨がすり減り、疼痛(とうつう)が増強してしまいます。 疼痛とは、皮膚や粘膜、内臓、骨膜、筋、腱などの自由神経が刺激されて発生する痛みのことです。焼けるような感覚、強いしびれなど、人によって感じ方や痛みの程度は異なります。 股関節に負担がかかる動作や姿勢を繰り返すと、変形性股関節症の症状の進行が加速し、疼痛もひどくなる可能性があります。 歩行そのものが困難になる 変形性股関節症は、運動療法で筋肉を鍛えるなど改善に向けたリハビリもおこないます。しかし、股関節に負担がかかる姿勢や動作を繰り返すと症状が悪化し、歩けなくなる可能性があります。 歩行が困難になると、簡単な外出や日常的な家事・入浴動作も難しくなるかもしれません。痛みや可動域制限によって日常生活に支障をきたし、「生活の質」が低下していくでしょう。 最終的には日常生活を送るだけでも人の手を借りないといけない恐れがあります。 このような最悪の事態を避けるためにも股関節に大きな負担がかからないよう意識して過ごしましょう。 人工関節を入れる手術が必要になる 変形性股関節症の症状が進行すると、人工関節を入れる手術が必要になります。すり減った軟骨や変形した骨は自然治癒しないため、痛みをとるためには人工関節を入れないといけません。 人工関節を入れる手術を行えば痛みを緩和できる可能性は高くなりますが、皮膚や筋肉を大きく切開するため、術後のリハビリが必要です。 また、脱臼や2回目の手術を避けるために、術前よりもより生活習慣に気を配る必要もあります。 人工関節手術のリスクについては、こちらの記事もご覧いただければ幸いです。 変形性股関節症の悪化を防ぐためにやるべき3つのこと 変形性股関節症の症状悪化を防ぐためには、以下3つのことに取り組んでください。 身近な人の理解を得る 無理のない範囲で股関節を動かし鍛える 負荷の少ないストレッチで股関節まわりの柔軟性を保つ これらの簡単な取り組みを繰り返すだけでも変形性股関節症の症状悪化を予防する効果が期待できます。変形性股関節症の症状進行を止めたい人は必ず最後までチェックしてください。 身近な人の理解を得る 変形性股関節症の人は、まず家族や職場の人など、身近な人の理解を得ることが重要です。周囲からの理解を得られれば、股関節に負担がかかる動作を代わってもらえるなど、変形性股関節症が悪化しないよう協力してもらいやすくなります。 とくに以下のようなシチュエーションでは、身近な人の理解・協力が重要です。 重たい物を運んでもらう 食卓を座卓からイス・テーブルに変えてもらう 浴槽をまたぐための補助台を用意してもらう 1人だけで考えるより精神的な安心感を得られやすく、前向きに治療に取り組めるようになります。 身近な人と一緒に診察を受ける、リハビリの見学をしてもらうなど、周囲の協力を得られるよう働きかけてみてください。 無理のない範囲で股関節を動かし鍛える 変形性股関節症では、筋肉がないと関節にかかる負担が大きくなるため、無理のない範囲で股関節を動かし、鍛える必要があります。 関節を支える組織には骨・靭帯・筋肉の3つがあります。筋肉が少ないと関節を支える負担が骨にかかり、軟骨の摩耗や骨の変形を強めてしまうかもしれません。無理のない範囲で運動をして、股関節に負担をかけないことが大切です。 仰向けでの脚上げ運動や、プールでの水泳・水中歩行は、股関節に負荷をかけず筋肉を鍛えられるためおすすめです。 負荷の少ないストレッチで股関節周りの柔軟性を保つ 筋肉を鍛えることと同様に、負荷の少ないストレッチも変形性股関節症の症状を抑えるために重要です。 ストレッチで股関節周りの柔軟性が保たれれば、股関節にかかる負担を減らせます。 たとえば60°しか動かない関節と120°動く関節を比較したとき、60°しか動かない関節では衝撃が加わる範囲が限定されます。しかし120°動けば衝撃が広い範囲に分散されるため、一部分にかかる負担は軽減されるでしょう。 つまり動きが硬い股関節だと狭い範囲の軟骨や骨に衝撃が加わりますが、可動域が広い股関節であれば全体に衝撃が分散されるため、軟骨のすり減りや骨の変形を全体に広げられます。 結果として変形性股関節症の症状予防につながるため、負荷の少ないストレッチは重要です。痛みが出ない範囲で十分なので、毎日継続しましょう。 まとめ|変形性股関節症の悪化を防ぐためには股関節に負担をかけないことが大切 変形性股関節症は繰り返される股関節への負荷によって軟骨がすり減り、骨が変形することで発症する疾患です。 症状を進行させないためには股関節へ負担をかけないことが重要です。股関節への負担が大きい動作や姿勢を避け、家族の理解・協力のもと、日常生活で股関節にかかる負担を減らすよう努めましょう。 自分自身が無理のない範囲で運動・ストレッチを継続することも、変形性股関節症の症状緩和に効果的です。 また、当院「リペアセルクリニック」では、国内でも数少ない、自己の幹細胞を用いた再生医療(幹細胞治療)を提供しています。 再生医療によってすり減った軟骨を復活させられれば、変形性股関節症の症状軽減につながるかもしれません。また、再生医療と生活習慣の改善・運動を併用すれば、より高い効果が期待できます。 当院ではメール相談やオンラインカウンセリングも実施していますので、ご活用ください。 この記事が、変形性股関節症における手術以外の治療法・予防法を知るのに役立ったのなら嬉しく思います。 変形性股関節症についてよくある質問 変形性股関節症に良い運動は? 股関節に大きな負荷がかからない運動がおすすめです。 具体的には仰向けでの脚上げ運動やお尻挙げ、浮力で体重を軽減できるプール運動が挙げられます。また、軽めのウォーキングやヨガ・ストレッチも良いでしょう。 ランニングや縄跳びなど股関節に衝撃がかかる運動や、股関節に負荷が大きくかかる運動は避けるべき運動なので注意してください。 変形性股関節症は歩かない方が良いですか? 痛みがない範囲であれば歩いてもかまいません。むしろ軽めのウォーキングは変形性股関節症の症状を和らげる方法として推奨されています。 実際、京都大学がおこなった研究によると、変形性股関節症が進行していた人は1日7000歩以上歩いていたといわれています(文献1)。 1日20〜30分程度のウォーキングで、踵から着地してしっかり蹴る意識で歩けば大きな問題はありません。しかし、痛みがあれば中止するなど、無理のない範囲でおこないましょう。 No.0003 監修:院長 坂本貞範 参考文献 文献1 Tateuchi, H. et al.Daily cumulative hip moment is associated with radiographic progression of secondary hip osteoarthritis:Osteoarthritis and Cartilage.2017;25(8):1291-1298.
2020.12.24