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- 脳卒中
- 頭部
- くも膜下出血
くも膜下出血は、重い後遺症が出る方や亡くなってしまう方も少なくない一方で、後遺症が軽く済む場合もあります。 しかし、発症から1ヶ月以内に約20〜30%の方がくも膜下出血を再発する可能性があることが報告されているため、注意が必要です。 本記事では、くも膜下出血の再発率や5年後生存率について解説します。 また、くも膜下出血の再発を予防するために意識すべきポイントや、再発の前兆となる症状まで解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。 当院リペアセルクリニックでは、くも膜下出血によって損傷した脳細胞の改善が期待できる再生医療をご提供しています。 医療技術の進歩によって、今まで諦めるしかなかった損傷した脳細胞にもアプローチできる治療法です。 当院では、専門の医師・スタッフによる無料のカウンセリングも実施しており、治療内容や適応について丁寧にご説明いたします。 再発の不安を抱えている方や、少しでも回復の可能性を探したいという方は、ぜひ当院までご相談ください。 \無料相談はこちらから/ 0120-706-313 (受付時間:9:00〜18:00) くも膜下出血は後遺症がなくても再発のリスクがある くも膜下出血の原因となるのは、脳の血管にできたコブ「脳動脈瘤」の破裂です。血管には壁が薄く弱い部分があり、強い血流を受けると膨らんでコブができることがあります。このコブに高い血圧がかかるなどして破裂してしまうと、くも膜下出血が起きます。 くも膜下出血が起きると、運動麻痺・感覚障害・高次脳機能障害など後遺症が出ることも多いです。また、適切な治療が行われ後遺症がなくても、後から同じ場所や別の場所に再び脳動脈瘤ができてしまうことは珍しくありません。 再発しないように気をつけることが、くも膜下出血を経験した方にとって重要なテーマになります。 くも膜下出血の概要については以下の記事で詳しく紹介しているので、あわせてご覧ください。 くも膜下出血の再発率|1カ月以内に20~30%が再発 くも膜下出血の再発率の高さを数字で見てみましょう。 くも膜下出血は、発症から1カ月までの初期に最も再発しやすいのが特徴です。具体的には、最初の1カ月で20〜30%の方が再発するとの報告があります。(文献1)別の報告では、発症初日の再発率が3〜4%、以降4週間は1日あたり1〜2%です。(文献1) 発症から3カ月目以降の再発率は、1年あたり3%との報告があります。(文献1)少なく感じるかもしれませんが、1万人の患者様がいれば約300人が再発する計算となり、決して低い数字ではありません。 くも膜下出血の再発の前兆 くも膜下出血が再発する前兆・初期症状の代表例は目の症状と頭痛です。 これらの症状をもとに、脳動脈瘤が破裂する前に受診できれば、早期の治療で再発を防げる可能性があります。また、再発のごく初期で気付ければ、治療が成功する可能性も高まります。 くも膜下出血を経験した方は再発の前兆を知っておき、常日ごろから注意する意識が大切です。 再発の前兆①動眼神経麻痺 くも膜下出血の再発の前兆または初期症状として、以下のような目の症状が代表的です。 両目でモノを見るとモノが二つに見える 視力の低下 視野が欠ける これらの症状は、大きくなった脳動脈瘤が目につながる神経を圧迫するために起こります。 モノが二つに見える症状は、眼球の運動やまぶたの開閉を担当する「動眼神経」の麻痺が原因です。片方の瞼が開かなくなる症状も併発します。 視力が低下したり視野が欠けたりする症状は、目で見たものを脳に伝える「視神経」への圧迫が原因です。 以上のような目の異常に気付いたら、脳動脈瘤が大きくなっている可能性があります。脳動脈瘤が破裂してしまうと、くも膜下出血の再発につながる可能性があるため、速やかに脳外科や脳神経外科を受診してください。 再発の前兆②頭痛 注意すべき二つ目の症状は「頭痛」です。頭痛を感じた場合は、すでに少量の出血が生じている可能性が高いため、早急に治療すべきとの意識を持ってください。 頭痛に関して知っておきたいポイントは、以下の2点です。 痛みの程度はさまざまである(軽くても要注意) 視野の乱れとともに起きることもある とくに軽い頭痛の場合、くも膜下出血の再発の前兆とは考えずに見過ごしてしまうことも多いです。痛みが軽くても、異常を感じたら念のため病院へ向かいましょう。 受診する際には、くも膜下出血の経験があることを必ず医師に伝えてください。伝えないと、単なる風邪などと診断されてしまうケースがあるからです。 ほかにも気になる症状があれば、「いつもと違う」「初めての痛み」などと、症状の内容を詳しく医師に伝えるよう努めてください。 くも膜下出血の再発を防ぐには生活習慣の改善と定期検査が大切 くも膜下出血の再発予防には、生活習慣の改善と定期的な検査が大切です。それぞれ説明します。 生活習慣の改善 日常生活で注意すべきポイントは以下のとおりです。 処方薬は主治医・薬剤師の指示通りに服用する 定期的に血圧を測る ストレスを溜めず規則正しい生活を送る 過度な飲酒を控える・禁煙をする 塩分の取りすぎに注意してバランスの良い食事を心がける くも膜下出血の危険因子は過度な飲酒、高血圧、喫煙です。(文献1)糖尿病も脳卒中全般のリスクとなるため、コントロールが欠かせません。(文献2)飲酒は適量に抑え、喫煙習慣のある方は禁煙しましょう。 高圧薬や糖尿病薬などを処方されていれば、指示通りに服用してください。ストレス管理や減塩も高血圧のコントロールに有用です。自宅で血圧を測り、血圧手帳に記録しておけば、医師が体の状態を判断する助けとなります。 生活上の注意点は、以下の記事で詳しく紹介しているので、あわせてご覧ください。 定期的な検査 くも膜下出血の再発防止には、定期的に検査を受けることも非常に重要です。脳動脈瘤を検査で発見できれば、破裂してしまう前に処置できるからです。 くも膜下出血を発症して10年くらい経過してから、治療した脳動脈瘤が再び大きくなったり、新しい脳動脈瘤ができて破裂したりする可能性もあります。一度検査して問題なかったからと油断せずに、定期的に検査を受けましょう。 くも膜下出血になると長生きできない?5年後の生存率 くも膜下出血を発症してから5年後の生存率は、55%前後といわれています。(文献3)生存率が低い要因の一つは、発症30日以内に、くも膜下出血自体で亡くなる方が多いことです。(文献1)発症初期の死亡率は、発症時の重症度や、どれだけ早く治療を開始できたかに左右されます。(文献1) 最初の30日を乗り越えたら、その後は再出血の有無が大きな要素となります。(文献1)生活習慣を整え、定期的に検査を受けて再出血の予防につなげましょう。 万が一再発してしまった場合も、もし早めに気づければ、治療が間に合う可能性が高まります。本記事で紹介した再発の前兆を覚えておき、体に異変を感じたらためらわずに受診しましょう。 くも膜下出血を発症し後遺症が出たが3年で改善した事例 ここでは、くも膜下出血の後遺症がある患者様に再生医療を行った事例を紹介します。 患者様は50代の女性です。当院「リペアセルクリニック」を受診したとき、くも膜下出血を発症してから3年が経過しており、後遺症として左半身麻痺が残っていました。日常生活で大きな不自由はないものの、ときどき足がもつれて転びそうになる、左手が思うように動かせない、ときどき呂律が回らなくなる、といった症状がありました。 幹細胞を点滴する再生医療を行ったところ、治療後3週間ほどで以下の変化が見られています。 足の踏ん張りが効くようになり、転倒しなくなった 左上肢の力がつき、左腕で背中を洗えるようになった 左手の力がつき、左手でボールを握れるようになった 今まで不自由だった動作ができるようになり、毎日の生活が楽になったとのことです。 この症例については以下の記事で詳しくご覧ください。 くも膜下出血は後遺症なしでも再発のリスクあり!油断せず予防に努めよう くも膜下出血は再発率が非常に高い病気です。たとえ後遺症がなくても、再発防止を意識して生活しましょう。とくに節度ある飲酒、高血圧の管理、禁煙がポイントです。定期的な検査も欠かさず受けましょう。 再発の前兆となる症状は、目の異常と頭痛です。このほかにも体の異常を感じたら、すぐに脳外科や脳神経外科などを受診してください。早期に対処すれば再発を防げる可能性が高まります。 くも膜下出血の後遺症でお困りの方は、再生医療が役立つかもしれません。日常生活に大きな支障がない症状でも、再生医療で改善する可能性があります。興味があれば、お気軽に当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 \無料相談はこちらから/ 0120-706-313 (受付時間:9:00〜18:00) 参考文献 (文献1) 日本脳卒中学会「脳卒中治療ガイドライン2009 Ⅳ.クモ膜下出血」2009年 https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/nou2009_04.pdf(最終アクセス:2025年2月22日) (文献2) 四條克倫.「脳卒中ガイドライン2021(改訂2023)」『日大医学雑誌』82(6), pp.325-322, 2023年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/numa/82/6/82_325/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年2月22日) (文献3) 今井明ほか.「脳卒中患者の生命予後と死因の 5 年間にわたる観察研究:栃木県の調査結果とアメリカの報告との比較」『脳卒中』32(6), pp.572-578, 2010年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/32/6/32_6_572/_pdf(最終アクセス:2025年2月22日)
2022.03.14 -
- 健康・美容
年齢とともに、歩く・立つといった「体を動かす力」が衰えていくことがあります。 こうした状態を「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」または「ロコモ」と呼びます。 進行すると寝たきりになるなど、要支援・要介護のリスクが高まることもあり、適切な運動による予防・改善が必要です。 この記事では、ロコモを予防するための基本トレーニング「ロコトレ」の効果や、毎日続けるコツをわかりやすく解説します。 ロコトレを続けることで得られる効果とは? ロコトレを継続することで、脚力やバランス感覚が向上し、転倒のリスクを減らすことができます。 高齢者にとって、日常生活の中で「つまずく」「よろける」といった小さな不安を減らし、健康寿命をのばすことにもつながります。 また、下半身の筋力を鍛えることで歩行が安定し、階段の昇り降りや買い物などの外出もラクになります。 ロコトレは特別な道具や広いスペースがなくても取り組める運動です。 無理なく続けられる習慣として、適度な運動習慣は自律神経のバランスを整え、心身ともに元気を保てます。 ロコモティブシンドロームのチェック項目は以下の記事でご確認ください。 ロコモ予防だけじゃない!全身にうれしい変化 ロコトレはロコモ(運動器症候群)の予防に効果的なだけではありません。 以下のような変化が期待できます。 血流が促進され、冷えやむくみが改善する 下半身の筋力強化と同時に代謝が上がり、太りにくい体になる 心肺機能がサポートされ、疲れにくくなる 体の変化だけでなく、気持ちが前向きになった、よく眠れるようになったという声もあり、心身ともにプラスの効果が期待できます。 ロコモ予防については、以下の記事もご覧ください。 筋力・柔軟性・姿勢の改善につながる理由 ロコトレに含まれる「片脚立ち」や「スクワット」といった基本的な動きは、下半身の主要な筋肉を効率よく使うことで筋力の維持・向上につながります。 とくに、太ももやお尻、体幹の筋肉が鍛えられることで、体をしっかり支えられるようになります。 また、動作の中で膝や股関節を丁寧に動かすことで、関節まわりの柔軟性も高まります。 柔軟性の向上は転倒予防にとって重要な要素です。結果として、ケガのリスクも減ります。 姿勢の面では、片脚立ちでバランスを取ることが体幹の筋肉を刺激し、猫背や反り腰などの姿勢の乱れの改善にも効果が期待できます。 正しい姿勢の維持は、日常生活の質向上に直結する大切なポイントです。歩き方や立ち姿も安定し、見た目の若々しさにもつながります。 ロコトレの基本|片脚立ちとスクワットの手順・効果 ロコモを予防するには、日々の生活の中で無理のない運動を習慣化することが大切です。 その基本となるのが、誰でも簡単に始められる「片脚立ち」と「スクワット」の2つのロコトレです。 この章では、それぞれのやり方と得られる効果をわかりやすく紹介します。 片脚立ち|バランス能力を高めて転倒を予防 片脚立ちは、シンプルながらとても効果的なトレーニングです。 片脚で立つだけの動きですが、足の筋肉や体幹、股関節まわりの安定性が自然と鍛えられます。 【片脚立ちの手順】 壁や椅子につかまる 片脚を上げる 30秒ほど姿勢を保つ 左右を入れ替えて1日3回を目安に行う 30秒が難しい場合は10秒から始めるなど、ご自身に状況に合わせて調整しながら初めてみてください。 片脚立ちを日常的に行うことで、バランス感覚の向上につながり、転倒リスクを大幅に減らすことができます。 とくに高齢者にとっては、転倒が骨折や寝たきりの原因になることがあるため、予防の観点でも重要な運動です。 スクワット|下半身の筋力アップで歩行がラクに スクワットは、太ももやお尻、体幹など下半身の主要な筋肉をまとめて鍛えられる効率の良いトレーニングです。 とくに歩行や立ち上がりなど、日常動作の基礎になる筋力を底上げしてくれます。 筋肉がしっかり働くようになると、膝や腰への負担も軽減され、歩く・立つ・座るといった動作がスムーズになります。 さらに、運動不足による筋力低下を防ぐ効果も期待できます。 【スクワットの手順】 肩幅に足を開いて立つ(つま先はやや外側、背筋はまっすぐ) 息を吸いながら、ゆっくり腰を落とす(膝はつま先より前に出さない、かかとは床につけたまま) 息を吐きながら元の姿勢に戻る 最初は浅めのスクワットから始め、無理のない範囲で続けましょう。 1日10回を目安に、慣れてきたら回数や深さを少しずつ増やすのがおすすめです。 ロコトレの効果を高めるコツと注意点 ロコトレはやみくもに続けるだけでは十分な成果を得にくい場合もあります。 そこで、より効果的にロコトレを取り入れるためのポイントをお伝えします。 無理なく続けられる頻度と時間を設定する 痛みや違和感が出たら、すぐに中止して様子を見る 正しい姿勢とフォームを意識する 継続するモチベーションを保つ工夫をする これらを意識することで、ロコトレの効果を最大限に引き出せます。 安全に継続して取り組むために、以下の点にも気をつけましょう。 無理せず続けるための頻度とタイミング ロコトレは、短時間でも毎日コツコツ続けることが大切です。 1回あたりの運動時間は5〜10分程度で十分ですが、週に1〜2回だけでは効果が出にくくなります。 毎日1〜2回の実施(朝・夜など生活に取り入れやすいタイミングで) 体調や疲れ具合に応じて回数や強度を調整 「決まった時間」よりも「継続しやすい時間」に行うのがコツ 無理をして三日坊主になるよりも、継続しやすい習慣に落とし込むことがうまく続けるためのコツです。 次第に体の変化も感じられ、続けるモチベーションにもつながります。 痛みや違和感があるときはどうすべき? ロコトレは無理のない範囲で継続することが大切ですが、運動中に膝や足腰に痛みや違和感が出る場合は注意が必要です。 痛みや違和感があるときは、以下の対応を取ってください。 すぐに運動を中止して安静にする 患部をアイシングする 数日休んでも改善しない場合は受診を 無理をすると症状が悪化するおそれがあるため、一旦中止して安静にしてください。 また、軽度の炎症や筋肉疲労であれば、冷やすことで症状が緩和する場合もあります。1回10~15分を目安に痛む部位を冷やしましょう。 痛みが続き改善しない場合は、関節や筋肉に異常があるかもしれません。一度医療機関を受診してください。 痛みを我慢して運動を続けるのは逆効果です。体と相談しながら、無理のない範囲で進めることが、ロコトレを習慣にするための大切なポイントです。 ロコトレ+αでさらに効果アップ!おすすめ運動 ロコトレはシンプルで効果的な運動ですが、さらに体力や筋力を高めたい人には「プラスαの運動」がおすすめです。 ここでは、ロコトレに組み合わせて取り入れたい2つの簡単なエクササイズをご紹介します。 ふくらはぎの筋力を鍛える「ヒールレイズ」 太もも・お尻の筋肉とバランス力を強化する「フロントランジ」 どちらも特別な道具は不要で、自宅で無理なく取り組めます。 ふくらはぎを鍛える「ヒールレイズ」 ヒールレイズは、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋)を鍛える運動です。 この筋肉は、歩く・階段を上がる・つま先立ちをするなど、日常のあらゆる動作に関係しています。 やり方 壁や椅子に手を添えて、まっすぐ立つ ゆっくりとつま先立ちになる かかとをゆっくり元に戻す 10回〜15回を1セット、1日2〜3セットを目安に ポイントは反動を使わず、ゆっくり上下することです。 ふくらはぎを意識して動かすことで、筋肉にしっかり負荷がかかり、ふらつき予防や脚のむくみ改善にもつながります。 柔軟性と筋力をつける「フロントランジ」 フロントランジは、太もも・お尻・体幹を同時に鍛えながら、股関節や足首の柔軟性も高められる万能エクササイズです。 筋力と可動域の両方をバランスよく強化したい人におすすめです。 やり方 足を肩幅に開いて立つ 片足を大きく前に踏み出す 前の膝を90度に曲げ、後ろの膝を床に近づける ゆっくり元の位置に戻す 左右交互に10回ずつ、1〜2セットからスタート 背筋をまっすぐ保ち、膝がつま先より前に出ないように注意しましょう。 下半身全体をまんべんなく鍛えられるうえ、姿勢改善や転倒予防にも役立ちます。 まとめ|ロコトレは毎日継続して行うのが大事 ロコモ(運動器症候群)は、気づかないうちに進行し、歩行や立ち座りがつらくなることがあります。 だからこそ、日頃から運動を取り入れ、予防に努めることが大切です。 ロコトレは、シンプルな動きで筋力やバランス感覚を鍛えることができ、自立した生活を支える土台づくりになります。 できることから少しずつでも取り入れてみてください。運動を続けることが、将来の健康を守ることにつながります。 ただし、関節や腰の痛みなどが酷い場合は、無理な運動をせず、医療機関で医師の診察を受けましょう。 受診するべきかお悩みの際は、当院へお気軽にご相談ください。
2022.03.11 -
- ひざ関節
- 膝蓋軟骨軟化症
「膝の痛みや違和感が気になる」 「ランニングをしていると膝が軋むような感じがする」 ランニング時や階段の昇り降りなどで、膝に痛みや違和感を感じているものの、どのような病気なのかわからず悩む方もいるでしょう。 膝蓋軟骨軟化症(しつがいなんこつなんかしょう)は「ランナー膝」とも呼ばれ、10〜20代の若い世代や女性に多い膝の疾患です。 この記事では、膝蓋軟骨軟化症の原因や治療法を詳しく解説します。また、症状別の治療法も紹介するので、整形外科を受診する際の参考になれば幸いです。 ランナー膝の1つ「膝蓋軟骨軟化症」は10~20代に多い膝の疾患 膝蓋軟骨軟化症は、膝蓋骨(膝の皿)の裏側にある軟骨が柔らかくなる疾患であり、ランナー膝の一種としても知られています。とくに、10〜20代の若い世代に多くみられ、スポーツ活動が活発な人に発症しやすい傾向があります。 男性よりも女性に多くみられる病気で、女性ホルモンの影響やハイヒールのような不安定な靴を履くなど、女性ならではの原因があるのも事実です。 主な症状は、膝の痛みや違和感で、初期は自覚症状がない場合も少なくありません。進行すると、日常生活にも支障をきたす可能性があるため、注意が必要です。 若い世代のランナーに多いといわれている膝蓋軟骨軟化症の原因や症状など、詳しくみていきましょう。 膝蓋軟骨軟化症の原因 膝蓋軟骨軟化症は、膝にかかる負担や身体構造の問題、筋力バランスの悪化など複数の原因が重なって起こります。発症には、スポーツや日常生活での動作も関係しています。 そもそも膝蓋軟骨とは、膝の皿である膝蓋骨のうしろ側に付着している軟骨成分です。膝蓋軟骨は大腿骨と関節部を構成しており、軟骨組織は、通常であれば滑らかに関節面を可動します。 しかし、太ももの筋肉である大腿四頭筋の筋力不足や関節面の柔軟性低下などによって関節接合部が摩耗すると、ゴリゴリと膝部分から音が鳴るケースも珍しくありません。 ここでは、具体的にどのような原因が膝蓋軟骨軟化症につながるのかを解説します。 膝への負担が大きい動作をする ランニングやジャンプなど、膝への負担が大きい動作を繰り返すと、膝蓋軟骨が徐々に磨耗し、軟化する場合があります。 たとえば、ランニングの際、膝にかかる力は体重の約2〜3倍ほどといわれています。しかし、普通にランニングするだけで、膝蓋軟骨軟化症になるわけではありません。 階段を上る、しゃがみ込むなど日常生活で頻繁に行う動作を繰り返すと膝への負担がかかるため、注意しましょう。 若い世代の場合、成長期に運動量が多くなると症状が出るケースが多くみられます。過度な運動量を避け、適切な休息とクールダウンを取り入れるのが重要です。 身体構造に問題がある 膝蓋骨の形状や脚の骨格など、身体構造の問題も膝蓋軟骨軟化症の原因となります。代表的な例は以下のとおりです。 膝蓋骨が正しい位置より外側に偏った状態(膝蓋骨の外側偏位) X脚 外反母趾 扁平足(へんぺいそく) 膝蓋骨と大腿骨が正しい位置関係にならないと、膝蓋骨が外側へ偏り、膝蓋軟骨が摩耗したり断裂したりする場合があります。X脚は、膝関節に不自然な負荷がかかりやすいだけでなく、軟骨がすり減りやすくなります。 また、外反母趾や扁平足なども、間接的に膝への負担を増加させる原因です。ハイヒールを履くと、外反母趾を発症する可能性があると考えられています。 外反母趾はX脚に発展しやすいだけでなく、膝蓋軟骨軟化症に罹患しやすいと疾患関連性が指摘されているのも事実です。 筋力のバランスが悪い 膝周りにある大腿四頭筋やハムストリングの筋力バランスが悪いことも、膝蓋軟骨軟化症の原因です。 膝蓋骨を支える筋肉への負荷が均等に分散されないため、軟骨へ負担がかかります。 たとえば、太もも前側にある大腿四頭筋が強く、お尻の筋肉である臀筋(でんきん)が弱いと、足の内側と外側の筋力差が大きく、膝蓋骨が安定しません。また、体幹が弱いと運動時における体のバランスが崩れやすく、膝への負担が増える原因となります。 筋力バランスを整えるトレーニングが、膝蓋軟骨軟化症状の予防や改善に有効です。 膝蓋軟骨軟化症の症状 膝蓋軟骨軟化症が進行すると、膝の痛みや違和感など特徴的な症状が出てきます。症状の現れ方は人によって違いますが、日常動作にも支障をきたすため注意が必要です。 具体的な症状をみていきましょう。 膝の痛み 膝蓋軟骨軟化症で多い症状は、膝蓋骨の周囲や裏側を中心とした痛みで、一般的には膝関節の腫れや熱感などは見られません。 膝関節を屈伸した際に痛みが増すといわれているため、階段の昇り降りやランニング、急に椅子から立ち上がる際などのときに症状が悪化しやすいと考えられます。 走っているときに膝蓋骨の裏側に痛み症状を覚えた人は、膝蓋軟骨軟化症を発症した疑いが持たれるでしょう。ランニング時に膝部分を何度も屈曲する動作を行うため、膝蓋骨裏側に存在する軟骨成分と大腿骨下端部が摩擦し合って関節面が傷ついていると考えられます。 症状が軽い段階では一時的に痛みが消える場合もありますが、症状が進行すると、安静時や軽い動作でも強い痛みを感じるようになるため、注意が必要です。 膝が軋むような違和感 膝蓋軟骨軟化症になると、膝の曲げ伸ばしをする際に、ゴリゴリ、じょりじょりとした軋むような音や、引っかかるような違和感を覚えるケースがあります。 これは、膝蓋軟骨の表面が軟化して凸凹ができ、膝蓋骨や大腿骨の間で摩擦が生じるためです。 膝が軋むような違和感は、痛みとともに現れる場合や単独で現れる場合もあります。初期症状では、特定の動作時だけ自覚する程度ですが、進行すると日常的な動作でも頻繁に違和感を感じるようになり、不快感や不安感を伴います。 膝蓋軟骨軟化症の検査 膝蓋軟骨軟化症で行われる検査は、以下のとおりです。 専門医による問診・視診・触診 MRI検査 関節鏡検査 まずは、診察で症状がどのようなときに出現するのか、あるいはいつから発症しているのかなどの臨床経過を確認する作業から開始します。 診察時には、膝関節部に腫れや赤みなどの所見はあるか、押さえて痛い部分は存在するか、膝に疼痛症状が起こる動作などを評価していきます。 MRI検査は、磁石と電波を利用して膝関節の内部を映像化する検査方法です。膝蓋骨の裏側に位置している軟骨部に特徴的な軟骨変形や軟骨破壊などの病変部があるか否かを調査します。 膝蓋軟骨軟化症と類似している疾患として、膝蓋骨後面欠損、離断性骨軟骨炎などが挙げられるため、MRI画像所見や既往歴などを詳細に評価して適切な診断につなげていきます。 膝蓋軟骨軟化症の診断や病変の確認に有効な検査方法は、関節鏡検査です。ただし、関節腔内に細い筒状の内視鏡を挿入する必要があり、膝関節を切開しなければなりません。 患者様の身体への負担が少ない方法として、専門医の診察やMRI検査を実施している医療機関が多くみられます。 【症状別】膝蓋軟骨軟化症の治療 膝蓋軟骨軟化症で行われる治療は、主に保存療法や手術療法・再生療法です。患者様一人ひとりの症状に合わせて、適した治療法を選択します。 症状別に各治療方法を紹介するので、参考にしてください。 【軽度〜中程度】保存療法 症状が軽度から中程度の場合は、保存療法を行います。 保存療法とは、手術をせずに症状の改善を目指す治療法です。主に薬物療法と理学療法に分類されます。 症状の程度などによって個人派はありますが、治療期間は1年前後かかるケースがあります。 薬物療法 薬物療法は膝の炎症を抑え、痛みを緩和する目的で行います。 具体的には、次のような抗炎症薬や湿布薬が使用されます。 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) 鎮痛薬 ヒアルロン酸注射 湿布薬 症状によっては、ヒアルロン酸を注射する場合もあり、治療法は多岐に渡ります。 ただし、内服薬のなかには副作用を引き起こす可能性があるため、長期間服用する際は注意しなければなりません。 腹痛や吐き気などの消化器症状をはじめ、喘息発作・血圧上昇などの症状が出た際には、受診した医療機関に連絡しましょう。 理学療法 理学療法は、筋力強化や柔軟性向上のため運動療法を中心に行います。 膝蓋骨は、太ももの前後に位置する大腿四頭筋につながっているため、強化すると膝関節が安定し、痛みを予防できます。 また、ストレッチやマッサージでは、膝の柔軟性を高めると、痛みの予防が可能です。 専門である理学療法士による指導を受けると、効果的なトレーニングができます。症状に応じてテーピングやサポーターなどの補助的な方法も併用します。 運動やストレッチは、実施した分だけ効果が出るわけではありません。やり過ぎると症状を悪化させるリスクもあるため、自己判断で行わず、理学療法士の指示に従いましょう。 【重度】手術療法 保存療法で改善がみられない場合には、手術を伴う治療が検討されます。主に実施される治療方法は以下のとおりです。 関節鏡手術 軟骨デブリードマン 脛骨(けいこつ)粗面挙上術 関節鏡手術とは、小さく切開した部分から内視鏡を挿入し、損傷した軟骨の処置を行います。傷口の小さく、身体への負担が比較的小さく、回復が早い傾向にあります。 軟骨表面を整えるデブリードマンや、関節の接触圧を減少させる脛骨粗面挙上術などの手術方法もあり、年齢や症状に応じた選択が必要です。 手術療法は、保存療法で改善しなかった症状を根治できるよう治療しますが、術後の痛みや感染症などのリスクがあるのも事実です。 手術を検討する際は、担当の整形外科医とも良く相談しましょう。 【重度】再生医療 近年では、自身の細胞や組織を用いる再生医療も選択肢の1つとして注目されています。手術や入院の必要がないのが特徴です。 再生医療では、主に次の治療が行われます。 自家軟骨細胞移植:患者様の健康な軟骨から細胞を採取・培養し、増やした細胞を損傷部に移植 幹細胞治療:骨髄や脂肪組織から採取・培養した幹細胞を損傷部位に投与 多血小板血漿療法(PRP療法):血液から濃縮した血小板を抽出し、損傷部位に投与 なかでも、当院「リペアセルクリニック」では脂肪由来の幹細胞治療や多血小板血漿療法(PRP療法)をご提供しています。 患者様自身の細胞を利用して治療するため、拒絶反応やアレルギーのリスクも少ない治療法です。 再生医療に興味のある方は、お気軽にご相談ください。 まとめ|膝蓋軟骨軟化症の症状にお悩みなら早めに受診しよう 膝蓋軟骨軟化症は、10〜20代の若い世代でランニングをはじめとしたスポーツをする人に多く見受けられる病気の一種です。 膝蓋軟骨軟化症は、膝にかかる過度の負担や、身体構造の問題など、複数の原因が考えられます。 軽度〜中程度の場合、保存治療により改善が見込めますが、重度では手術療法を検討するケースもあります。 膝蓋軟骨軟化症と診断されたら、進行する前に整形外科を受診しましょう。 当院では、患者様自身の細胞や組織を用いた「再生医療」も選択可能です。 膝蓋軟骨軟化症に関してよくある質問 膝蓋軟骨軟化症と診断されたら運動しない方が良いですか? 膝蓋軟骨軟化症と診断されたからといって、必ずしも運動を中止する必要はありません。ただし、膝に負担がかかるランニングやジャンプなどの運動は一時的に控えた方が良いでしょう。 整形外科医や理学療法士の指示に従い、痛みが軽減したら膝に負担の少ない運動から始め、徐々に負荷を上げていくのが重要です。 膝蓋軟骨軟化症の改善にストレッチは有効ですか? 膝蓋軟骨軟化症の改善にストレッチは有効です。とくに、膝の前後や股関節周囲の筋肉を伸ばすストレッチは、筋肉の緊張をほぐし、膝にかかる負担を軽くします。 ストレッチを継続すると、膝蓋骨の動きがスムーズになり、痛みを軽減させる効果が期待できます。 ただし、間違った方法で行うと症状を悪化させる可能性もあるため、整形外科医や理学療法士の指導を受けるのがおすすめです。 膝蓋軟骨軟化症の治療に手術は必要ですか? すべての患者様に手術が必要なわけではありません。基本的には、薬物療法や理学療法を中心とした保存療法を行い、症状の改善を目指します。 保存療法で効果が得られない場合や、軟骨の損傷が重度の場合には、手術が検討されます。手術が必要か否かは、症状や検査結果・年齢などを総合的に判断するため、整形外科医とも相談しましょう。
2022.03.11 -
- 半月板損傷
- 膝の外側の痛み
- ひざ関節
膝の半月板損傷に対する治療として、ヒアルロン酸注射を思い浮かべる人は多いかもしれません。「本当に効果はあるのだろうか」「いつまで続けないといけないのだろうか」と疑問に思うこともあるでしょう。 半月板損傷におけるヒアルロン酸注射は有効ですが、一時的な効果しか得られない点は注意が必要です。 半月板損傷を根本的に治療するには、他の方法も検討する必要があります。 本記事では半月板損傷に対するヒアルロン酸注射の効果やメカニズム、ヒアルロン酸以外に必要な治療などを解説します。 半月板損傷の治療法の選択肢を広げたい人は、ぜひ最後までチェックしてみてください。 【結論】半月板損傷にヒアルロン酸注射は有効な可能性がある 結論からいえば、半月板損傷に対してヒアルロン酸注射は有効な可能性があります。 過去の研究から、ヒアルロン酸注射によって炎症を強める成分を抑え、さらに炎症を抑える成分を回復させることが示唆されています。(文献1) 加えて、ヒアルロン酸が軟骨の劣化を抑え、衝撃吸収作用を高めることもわかっています。(文献2) 半月板損傷の治療については以下の記事でも解説しています。ぜひチェックしてみてください。 そもそもヒアルロン酸注射とは? ヒアルロン酸注射とは、ヒアルロン酸ナトリウムを膝関節に注入する治療法です。 ヒアルロン酸は膝の軟骨の成分の一つで、水分を多く含んでいます。膝関節に注射することで、関節の動きをスムーズにしたり、炎症を抑える効果が期待できるでしょう。 ヒアルロン酸は半月板損傷だけでなく、変形性膝関節症で軟骨がすり減り、関節の動きが悪くなったり痛みが出たりするときの治療にも使われています。 ヒアルロン酸注射の効果はあくまでも一時的 ヒアルロン酸注射は半月板損傷に有効と考えられていますが、効果は一時的です。ヒアルロン酸が関節内で分解され、ヒアルロン酸濃度が薄くなるためです。 1回の効果は持続しても1~2週間程度と考えられています。 また、ヒアルロン酸注射によって痛みが治まっても損傷した半月板は元に戻っていないため、痛みが再発する可能性があります。 ヒアルロン酸注射で効果が出ないケース 半月板損傷におけるヒアルロン酸注射で効果が得られないケースは以下のとおりです。 膝関節内の炎症が強い場合 関節の変形が重度の場合 半月板損傷の炎症が大きすぎると、ヒアルロン酸では抑えられない可能性があります。また、関節の変形が重度の場合は、ヒアルロン酸の潤滑油としての働きが効かないこともあるでしょう。 膝のヒアルロン酸注射が効かないケースについては、詳しくは以下の記事で解説しています。半月板損傷でヒアルロン酸注射を検討している人は目を通しておきましょう。 【いつまで?】半月板損傷でヒアルロン酸注射を続ける期間 半月板損傷に対するヒアルロン酸注射は、基本的に5回1クールの周期でおこないます。 ヒアルロン酸の効果を持続するためには、完全に分解される前に次のヒアルロン酸を補充しなければいけません。 まずは1週間に1回のペースで開始して5週程度連続して実施することが多い治療です。間隔を少しずつ空けていき、約2週間に1回のペースで注射を5回~10回前後継続して行います。 3カ月程度を目処に継続し、改善が見込めない場合はステロイド注射や手術など別の治療方法も検討していきます。 ヒアルロン酸注射の費用は1割負担で1,000円程度 ヒアルロン酸注射は医療保険が適応になる治療方法です。 治療費用は再診料や技術料金も含めて1割負担の人なら両膝1,000円程度、3割負担の人なら3,000円程度が一般的です。 そのほか薬の処方箋料や、レントゲンなどの撮影をした場合には撮影料が別途必要となります。初回の診察ではレントゲンなどの画像撮影も必要です。 詳しい治療費については、病院の窓口で確認しましょう。 半月板損傷でヒアルロン酸注射の効果がなかった場合の対処法 半月板損傷に対してヒアルロン酸注射を実施しても効果が乏しいときの対処法として、以下の3つが挙げられます。 炎症に対してのステロイド注射や内服 運動療法や物理療法などのリハビリ 半月板の縫合術や人工関節などの手術 ヒアルロン酸注射で効果がない場合、ステロイド注射や非ステロイド性消炎鎮痛薬などの薬物療法を行うことがあります。また、運動療法や物理療法などを導入することもあるでしょう。 もしこれらの保存療法でも改善がみられない場合は手術を検討することもあります。 なお、当院リペアセルクリニックでは膝関節の再生医療も実施しています。 再生医療は自然治癒が難しいとされる半月板の損傷に対して期待されている治療方法です。お気軽にメール相談もしくはオンラインカウンセリングからご相談ください。 まとめ|半月板損傷の治療はヒアルロン酸注射以外も検討しよう 半月板損傷に対して、ヒアルロン酸注射は炎症を抑えたり、痛みを軽減したりなどの効果が期待できます。週1回や2週間に1回のペースでヒアルロン酸注射をおこない、3カ月程度継続する治療です。 しかし、ヒアルロン酸注射の効果はあくまでも一時的です。 根本的な治療をするには、ヒアルロン酸注射と並行してリハビリをしたり、手術を受けることも視野に入れる必要があるでしょう。 なお、当院リペアセルクリニックでは半月板損傷に対して再生医療をおこなっています。 再生医療は、半月板のほか軟骨・神経など自然治癒が難しい組織に対して期待されている治療方法です。 半月板を根本治療を検討している人は、当院のメール相談もしくはオンラインカウンセリングからご相談ください。この記事が少しでも参考になれば幸いです。 半月板損傷のヒアルロン酸注射についてよくある質問 半月板損傷に対してヒアルロン酸注射は効果がありますか? 半月板損傷による炎症を抑える効果や痛みを軽減する効果が期待できます。 ヒアルロン酸注射は半月板損傷の症状を軽減する可能性がある治療方法です。しかし、半月板損傷が大きく、関節が変形するなど症状が大きい場合にはあまり効果がない可能性もあります。 半月板損傷でヒアルロン酸注射の効果がなかったときの対処方法はありますか? ほかの注射や痛み止め、リハビリ、手術が検討されます。 ヒアルロン酸注射の効果が乏しかった場合、ステロイド注射や非ステロイド性消炎鎮痛薬などの痛み止め、リハビリ、手術療法が有効です。また、当院リペアクリニックでは再生医療も実施しています。 参考文献 (文献1) 加藤幸夫 ほか「ラット変形性膝関節症モデルにおける高分子ヒアルロン酸の作用:ヒアルロン酸応答遺伝子の網羅的解析|ClinRheumatol(25)」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cra/25/3/25_174/_pdf/-char/ja (文献2) 科研製薬株式会社「早期変形性膝関節症の病態解明による診療の変遷」 http://e-kansetsu.jp/asset/pdf/interview_ishijima_210115.pdf
2022.03.11 -
- ひざ関節
- 半月板損傷
「半月板の亀裂って、どうして起こるの?」 「スポーツをしていたら急に膝が痛くなった原因は?」 このような疑問をお持ちではないでしょうか。 半月板の亀裂は、膝への強い負荷や繰り返しの衝撃によって発生します。 原因はさまざまですが、とくにスポーツ中の急な方向転換やジャンプの着地、加齢による組織の変性が関係しているケースが多く見られます。 本記事では、半月板の亀裂が起こる原因や症状を詳しく解説しています。 治療法も紹介しているので、記事を参考にして、自身の症状に合ったものを選択してみてください。 半月板が亀裂・損傷する3つの原因 半月板の亀裂・損傷の主な原因は、スポーツや運動による外傷、加齢による機能低下です。また、先天的な半月板の形状が要因で半月板の亀裂・損傷を引き起こすケースもあります。 本章では、半月板が亀裂・損傷する3つの原因について詳しく解説します。 スポーツや運動による外傷 半月板に亀裂が入る原因として、スポーツや運動による外傷が挙げられます。 とくに、急に方向を変えたり、ジャンプの着地で膝をひねったりすると、膝に強い負担がかかり、半月板が損傷しやすいです。 スポーツによる膝のけがには、半月板損傷、骨折、靱帯損傷、軟骨損傷などがあります。その中でも、半月板損傷は発生頻度が高く、前十字靱帯の断裂と同時に起こるケースも少なくありません。 スポーツを安全に楽しむためにも、適切なウォーミングアップや膝への負担を減らすトレーニングを意識しましょう。 なお、スポーツ外傷に対する治療法には「再生医療」の選択肢が挙げられます。損傷を起こしている膝関節に幹細胞を注入するだけで、傷ついた膝の組織や軟骨の再生を促します。 再生医療について詳しく知りたいという方は、無料のメール相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。 加齢 半月板は、膝関節の衝撃を吸収する役割を担っていますが、加齢とともにその機能は低下します。 機能が低下すれば、わずかな力が加わっただけでも半月板が傷つきやすくなります。 結果的に、半月板が裂ける「変性断裂」の状態になるケースも珍しくありません。 先天的な半月板の形状 半月板の損傷は外傷だけでなく、生まれつきの形状によっても起こる場合があります。 先天的に半月板が通常よりも大きく分厚い「円板状半月」と呼ばれる状態では、膝の動きに伴う負担が大きくなり、損傷のリスクが高まります。 【基礎知識】半月板の亀裂・損傷とは? 半月板の亀裂・損傷とは、半月板に亀裂が入り、膝に痛みやひっかかり感が伴う状態です。 ここでは、半月板損傷の主な症状や検査方法を詳しく解説します。 半月板損傷の主な症状|痛みや引っかかりなど 半月板損傷の検査方法|レントゲンやMRI検査 理解を深めて、治療を進めていきましょう。 半月板損傷の主な症状|痛みや引っかかりなど 半月板が損傷すると、膝に強い痛みが生じるほか、曲げ伸ばしがスムーズにできなくなる場合があります。 主な症状は以下のとおりです。 痛み 引っかかり感 ロッキング(膝が動かない) 膝内部で出血 膝に水がたまる 症状が悪化すると、日常生活にも影響を及ぼす可能性があります。 違和感や痛みを感じた場合は、早めに病院を受診しましょう。 関連記事: 半月板断裂と損傷の違いとは?痛みの特徴や原因・治療法を解説【医師監修】 半月板損傷の検査方法|レントゲンやMRI検査 半月板損傷が疑われる場合、整形外科の診察を受けることが一般的です。 まず、医師が膝に負荷をかけながら動かし、痛みの有無を確認する診察がおこなわれます。これにより、半月板損傷の可能性を判断します。 より詳しく調べるために用いられるのは、画像検査です。代表的な方法として、レントゲン検査とMRI検査があります。 検査の種類 検査の特徴 レントゲン検査 関節の隙間の変化や骨の異常が確認可能 MRI検査 損傷の程度や損傷の種類(縦断裂、水平断裂、横断裂、弁状断裂など)が特定可能 医師の診察と画像検査を組み合わせることで、正確な診断につながります。 半月板の亀裂・損傷を早く治す治療法【重症度別】 半月板の亀裂・損傷の代表的な治療法を3つ紹介します。 保存療法|症状が軽度の方向け 手術|症状が重度の方向け 再生医療|軽度・重度どちらの方も選べる どの治療法を選択するかは、症状の進行具合や日常生活への影響を考慮した上で決めていきます。 関連記事: 半月板損傷を早く治す方法は?治療法と効果的なリハビリを現役医師が解説 保存療法|症状が軽度の方向け 半月板損傷が軽度の場合、保存療法を選択できます。保存療法とは、膝への負担を減らしながら自然な回復を促す治療法です。 具体的には、安静にして膝を必要以上に動かさないようにします。 炎症や痛みが強い場合は、抗炎症薬が処方され、症状の緩和を目指します。 保存療法では、膝周りの筋力を鍛えるリハビリが欠かせません。 適切なトレーニングをすれば、膝の可動域を広げ、関節への負担を軽減できます。 関連記事: 【効かない?】半月板損傷にヒアルロン酸注射は効果ある?費用や期間も医師が解説 手術|症状が重度の方向け 膝部の痛み、引っかかり感、ロッキングなどの症状が継続して認められる場合には手術療法を検討します。 手術には主に以下2つの方法があります。 手法 内容 切除術 損傷した半月板の一部を切り取る 縫合術 損傷した部分を縫い合わせて修復する 現在、半月板手術は約9割が切除術です。 しかし、半月板は膝関節の安定性を保ち、衝撃を吸収する役割を担っているため、切除すると膝への負担が増え、将来的に変形性膝関節症になるリスクが高まります。 そのため、近年では半月板をできるだけ温存する縫合術が推奨される傾向にあります。 関連記事: 半月板損傷の手術で痛みは治る?メリットとデメリットについて医師が解説 再生医療|軽度・重度どちらの方も選べる 近年は、半月板損傷の手術を伴わない治療法として、再生医療が注目されています。 再生医療には主に幹細胞治療とPRP療法のふたつがあります。 幹細胞治療は、患者様自身の幹細胞を採取・培養して患部に投与する治療法です。 PRP療法では、採取した血液から抽出した多血小板血漿(PRP)を患部に注射します。血小板に含まれる成長因子には炎症を抑える働きがあります。 どちらも患者様自身から採取した幹細胞・血液を用いるため、副作用のリスクが少ないのが特徴です。 当院「リペアセルクリニック」では「幹細胞治療」「PRP療法」の両方を提供しています。 半月板損傷に対する治療として再生医療をご検討の方は、お気軽にお問い合わせください。 [半⽉板] まとめ|半月板が亀裂・損傷する原因を理解して適切な治療を選択しよう 半月板が亀裂・損傷する原因は、主にスポーツ中の膝への衝撃や加齢です。 損傷した状態を放置していると、動きに制限が出て日常生活に支障をきたしたり、半月板が断裂したりする可能性があるため、早めに病院を受診しましょう。 体への負担が少ない治療法をお探しの方は、再生医療をご検討ください。 再生医療について詳しくは、以下のページでご確認いただけます。 半月板が亀裂・損傷に関するよくある質問 半月板損傷を手術しないで治す方法はありますか? 軽度の損傷であれば、保存療法を選択できます。 膝への負担を減らしながら自然回復を待つ方法が一般的です。具体的には、安静や、抗炎症薬の服薬、リハビリなどが挙げられます。 また、半月板損傷は切らずに治せる「再生医療」も選択可能です。 再生医療の「幹細胞治療」や「PRP療法(多血小板血漿療法)」を用いれば、手術をせずに膝の回復を目指せます。 詳しい治療法や効果が気になる方は、再生医療を専門とする当院「リペアセルクリニック」にお気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 半月板損傷の人はやってはいけないことを教えてください 以下のような膝に負担をかける動作は、痛みの悪化や回復の遅れにつながるため避ける必要があります。 急な方向転換 階段の昇り降り 立ちっぱなしや長時間の歩行 あぐらや正座など膝に負担がかかる姿勢 日常生活の中で膝を守ることを意識し、早期回復を目指しましょう。 関連記事: 【医師監修】半月板損傷でやってはいけないこと!放置するリスクや治療方法も解説
2022.03.10 -
- ひざ関節
- 膝に赤みや腫れ
- オスグッドシュラッター病
「膝の下が出っ張っていて、運動のときに痛む…」 「調べてみたらオスグッドらしい。オスグッドってどんな疾患??」 このような悩みを抱えていませんか? オスグッド・シュラッター病は、成長期の子どもに多く見られる膝のスポーツ障害です。とくに運動量が多い成長期の子どもに発症しやすく、太ももの筋肉がすねの骨を強く引っぱることで炎症が起きます。 適切に対処すれば自然に治っていくケースがほとんどなので、過度に心配する必要はありません。 しかし、膝の出っ張りや痛みが大人になっても残るおそれがあるため、早期に適切な対応を心がけましょう。 本記事では、オスグッドの原因や症状、治療法をくわしく解説します。 運動してもいいかどうか、早く治す方法、将来への影響なども紹介しているので参考にしてみてください。 オスグッド(オスグッド・シュラッター病)は膝のスポーツ障害 オスグッド(オスグッド・シュラッター病)は、脛骨結節部という膝の皿(膝蓋骨)の下に存在している骨が飛び出してくることで膝痛が引き起こされる病気です。 この疾患は、患部が赤く腫れあがる、あるいは熱感を認めることもあって、傾向的には成長期に該当する少年に発症しやすいスポーツ障害の1つと言われています。 とくに、サッカーや陸上、バスケットボールなどの競技において、跳ねる行為やボールを蹴る動作が頻繁に繰り返される場合によく見られる病気と考えられています。 オスグッドの原因 オスグッドが引き起こされる原因は、膝を伸ばす力が繰り返されることによって脛骨結節部分が引っ張られて成長期に認められる膝軟骨部が剥離することと言われています。 オスグッドという疾患は大腿四頭筋の過剰使用によるスポーツ障害の一種とされており、骨が軟骨から急激に成長する時期である概ね10歳から15歳頃の成長期における男児に多い病気です。 もともと、膝の曲げ伸ばし運動は太ももにある大腿四頭筋という筋肉によって常日頃からおこなわれており、この筋肉が膝蓋腱を介して脛骨結節を引っ張っているため、跳躍運動やボールなどを蹴る動作で脛骨結節に過剰な負荷がかかると本疾患を発症しやすいと言えます。 一般的には、成長期が過ぎてしまえば自然と症状が軽快する病気であり、疼痛症状が改善すればスポーツや運動行為を再開できます。 オスグッドの症状 オスグッドにおける主な症状としては「脛骨結節部の隆起と痛みや腫れ、あるいは患部が熱感」などです。通常であれば、それらの症状は片脚にのみ認められることが多く、痛み症状は膝を動かすときに出現し、休息している際には緩和される傾向にあります。 成長期においては、骨の成長スピードに周囲の筋肉が追いつけずにアンバランスになっている状態です。筋肉自体に強度と柔軟性が乏しいためにスポーツなどを過度に実践すると、大腿四頭筋から繋がっている脛骨粗面部に負荷がかかりやすくなります。 その結果として、膝軟骨が一部剥離するなど物理的な刺激が生じます。さらに、成長期の脛骨結節部は通常よりも柔らかい構造であるがゆえに外的刺激がより過重されて、患部の熱感や腫脹などに伴って疼痛症状を引き起こすのです。 オスグッドの検査 オスグッドの主な検査方法は、基本的には医師による診察と症状、あるいは画像検査です。 具体的には、特徴的な症状を捉えると同時に、患部の隆起所見や圧痛の有無などによって診断されます。 より確実な診断に繋げるためにX線検査で脛骨結節の剥離があるかどうかを確認する作業がおこなわれる場合もあります。 膝部分のX線検査をすれば、脛骨粗面の腫脹の有無、あるいは剥離破片が形成されているか否かも判断が可能です。 また、必要に応じて超音波検査、CT検査やMRI検査などの画像的評価を追加して実施することも往々にしてあります。 オスグッドの治療 オスグッドの基本治療は保存療法です。症状の程度や治療方針によっては、薬物療法や手術、再生医療も選択肢に含まれます。 ここでは、4つの治療法について詳しく解説します。 保存療法 オスグッドは、多くの場合は子どもの成長とともに自然に良くなります。通常であれば数週間から数カ月後の間に症状が消失するので、それまでは安静にしましょう。 症状の悪化を防ぐためのケアは以下のとおりです。 痛みがある局所を冷やす 膝を保護する固定具を装着する ももの前の筋肉(大腿四頭筋)を軽くストレッチする 医者の指示のもとで適切なケアを進めてください。 オスグッドは、膝を深く曲げたり、激しく運動したりすると痛みがでやすくなります。そのため、症状がある間は膝に負担がかかる動きや運動は避けましょう。 薬物療法 痛みが強い場合、薬を使って症状をやわらげる方法をとる場合もあります。 たとえば、日常生活に支障をきたすような痛みを伴うときは、飲み薬で炎症をおさえたり、冷感のある湿布を貼ったりする対処を行います。 薬の使用は一時的な対処手段です。根本的な回復を目指すには、安静やストレッチの保存療法を丁寧に進めていきましょう。 手術療法 成長期に出た膝の骨の出っ張りは、徐々に目立たなくなる場合が多いですが、形が残ったまま痛みが続くケースも珍しくありません。 状態がひどい場合、出っ張った骨や離れた骨片を手術で取り除くための手術が検討されることもあります。 再生医療 オスグッドの治療では、再生医療という選択肢もあります。 オスグッドでよく用いられる再生医療は、PRP療法です。 PRP療法は、患者様自身の血液から取り出した多血小板血漿を患部に注射します。血小板は、傷ついた組織や細胞に集まり、成長因子を放出します。 患者様自身から採取した幹細胞・血液を用いるため、副作用のリスクが少ないのが特徴です。 当院「リペアセルクリニック」では、PRP療法を提供しています。 詳しい治療法や症例については、お気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ まとめ|オスグッドの理解を深めて治療を進めよう オスグッドは成長期の運動によって起こる膝の障害ですが、早期に正しい対応をすれば回復が見込めます。 痛みの程度や状態にあわせたケアが、症状を悪化させないポイントです。 本記事で紹介した治療法や注意点を参考に、状態に合った対応を検討してみてください。 オスグッドの治療法には保存療法や薬物療法、手術、再生医療の選択肢が挙げられます。 このうち再生医療については、当院「リペアセルクリニック」で実施可能な治療法です。 手術を伴わない、身体への負担が小さい治療法をお探しの方は、ぜひ再生医療もご検討ください。 オスグッド・シュラッター病に関するよくある質問 オスグッドの人がやってはいけないことはありますか? 以下は、オスグッドを発症している人がやってはいけない行為です。 強い力でマッサージする 痛みを我慢して運動を続ける 負荷のかかるストレッチや筋力トレーニングをする オスグッドを早く治すには、安静でいることを優先しましょう。患部を無理に動かしたり、過度な刺激を与えたりすれば、症状が悪化するリスクが高まります。 オスグッドを早く治す方法はありますか? オスグッドを早く治す上で大事なのは、安静です。 オスグッドを発症する原因の1つは、大腿四頭筋(太ももの前にある筋肉)の使いすぎです。そのため、安静にして使いすぎた筋肉を休めることが回復の近道になります。 軽めのストレッチは、回復をサポートする効果が期待できます。 オスグッドの回復に推奨されるのは、大腿四頭筋をやさしく伸ばすストレッチです。適度な伸びを与えて、筋肉をほぐし膝への負担がやわらげましょう。 オスグッドの治療法には「再生医療」の選択肢もあります。 再生医療の「PRP療法(多血小板血漿療法)」は、患者様自身の血液から血小板を濃縮した液体を患部に注射する治療法です。 詳しい治療法については、当院「リペアセルクリニック」の無料のメール相談にてお気軽にお問い合わせください。 オスグッドになったら身長は止まりますか? オスグッドになっても、身長の伸びは止まりません。 オスグッドの原因は、オーバーユース(膝の使いすぎ)です。 オスグッドは、骨が伸びている途中に発症しやすいため「身長が伸びるサイン」と表現されることもありますが、オスグッドそのものが成長をうながすわけではありません。 病気が治ったあとでも、身長はその子の成長に合わせて伸びていきます。 オスグッドによる膝の出っ張りは大人になったら治りますか? オスグッドによる膝の出っ張りは、大人になっても残る場合があります。 また、まれにその部分を押すと痛みが出たり、運動中に違和感を覚えたりするケースもあります。 出っ張りや痛みが気になるときは、治療によって緩和を目指す方法もありますので、専門の医師に相談しましょう。
2022.03.10 -
- 手部
- 手部、その他疾患
腱鞘炎の痛みで「お箸が持てない」「ドアノブが掴めない」などと、悩んでいる方もいるでしょう。 腱鞘炎には種類があり、それぞれで症状が現れる部位が異なります。腱鞘炎になると手首や手の指に激痛が走り、日常生活にも支障をきたします。なかには、痛みが長引くケースもありますが、腱鞘炎は適切に対応すれば、早期の回復が見込める病気です。 今回は、腱鞘炎の種類と症状、原因について解説します。治療法と予防のポイントについてもまとめているので、腱鞘炎でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。 腱鞘炎にはドケルバン病とばね指の2種類がある 腱鞘炎は、手首に症状が現れる「ドケルバン病」と、指に症状が現れる「ばね指」の2種類に分けられます。 腱鞘炎は、指の動かしすぎによって、腱の通り道にあるトンネル状の腱鞘が炎症して厚くなったり、腱鞘の中を通っているロープ状の腱が腫れたりして起きます。以前は、楽器の演奏者やスポーツ選手、料理人など、一部の人に多く現れるため、職業病とされていました。 しかし、最近では、パソコンやスマートフォンの長時間の使用によって、腱鞘炎に悩む人が増えています。 腱鞘炎を発症しやすい方は、主に以下の通りです。 ラケット競技のスポーツ選手(テニス・バドミントン・ゴルフなど) パソコンのキーボードを頻繁に使う職業 重い鍋を使う料理人 作家(文筆業) 育児中の人 妊婦や更年期の女性 糖尿病やリウマチの患者 腱鞘炎は痛みを伴うため、仕事や日常生活にも支障をきたします。 腱鞘炎の種類|ドケルバン病 ドケルバン病は、別名で狭窄性腱鞘炎(きょうさくせいけんしょうえん)と呼ばれ、指と手首をつないでいる2本の腱とトンネル状になっている腱鞘といわれる部分が炎症を起こして痛みが生じます。 以下で、ドケルバン病の症状とセルフチェック法を解説するので、ぜひ参考にしてください。 ドケルバン病の症状 ドケルバン病になると、手首の親指側に以下のような症状が現れます。 痛みがある 熱を持っている 腫れている 手首に力が入らない とくに親指や手首を動かすときに痛みが強くなることが特徴です。 また、患部を上から押さえると痛みが増す場合があります。ほかにも、物を掴むときやタオルを絞る動作でも症状が強くなりやすいため注意が必要です。 ▼ ドケルバン病の症状や原因について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。 ドケルバン病のセルフチェック法 ドケルバン病は、医師による診断が確実ですが、セルフチェックも可能です。以下のセルフチェック法を試して痛みが増すようであればドケルバン病が疑われるため、早めに医療機関を受診しましょう。 フィンケルシュタインテスト 小指が一番下になるように症状のある手を前へ出す 親指を内側に倒す 反対の手で親指を掴む 掴んだ親指を小指側に引っ張る フィンケルシュタインテスト変法 親指を内側に入れて握りこぶしをつくる そのまま手首を小指側に倒す 岩原・野末テスト 手首を手のひら側に直角に折り曲げる 親指と人差し指をできる限り広げる 強い痛みやしびれなどがある場合は、すぐにセルフチェックを中止してください。 腱鞘炎の種類|ばね指 ばね指は、指の手のひら側にある腱をカバーするように覆っているトンネル状の腱鞘と呼ばれる部分に炎症が起こる病気です。 以下で、ばね指の症状とセルフチェック法を解説するので、ぜひ参考にしてください。 ばね指の症状 ばね指が起こると、手のひら側の指の付け根に以下のような症状が現れます。 痛みがある 熱を持っている 腫れている 指を十分に伸ばせない ばね指は両手のどの手指にも起こるものの、とくに親指・中指・薬指に多くみられます。 なお、ばね指は朝方に症状が強くなる傾向です。夜間は指を動かさないため、屈筋腱の血流が悪くなり、むくみが生じるためだとされています。日中に手指を使っていると徐々に痛みが緩和される場合もあります。 ばね指のセルフチェック法 ばね指は、手指の状態を見てセルフチェックも可能です。以下の項目に該当する場合は、ばね指が疑われます。 曲がった指を戻そうとすると、ばねのように跳ねる 指が曲がったまま戻せなくなる 指を曲げ伸ばしするときに引っかかる感じがある 指がこわばって動かしにくい いずれか一つでも該当する場合は、ばね指の可能性が考えられます。指の付け根に痛みや違和感を感じたら、放置せずに、症状が軽いうちに医療機関を受診してください。 ▼ ばね指のときにやってはいけないことについては、以下の記事で詳しく解説しています。 腱鞘炎がなかなか治らないのは主に使いすぎが原因 腱鞘炎は、手首や指などの使いすぎによって発症する病気です。とくに同じ動作を繰り返すことで、腱が摩耗して炎症を起こし、痛みや腫れの原因になります。 腱鞘炎は初期段階では軽度の痛みで済むケースがほとんどです。軽度の腱鞘炎の場合、安静にして手首や手を使わないようにしているだけで、痛みが和らぐ可能性もあります。 一方で、腱鞘炎による痛みを無視して手首や指を使い続けると、症状が悪化して手首や指の動きが制限されるほか、治りにくくなるため注意が必要です。 重症化すると箸が持てなくなるケースもある 腱鞘炎が進行して重症化すると、箸が持てなくなる場合があります。重度の腱鞘炎では、指が引っかかる感覚が強くなり、痛みで思うように指を動かせなくなるケースも珍しくありません。ほかにも、腱鞘炎が重症化すると、日常生活に支障をきたします。 ペットボトルの蓋が開けられない フライパンが持てない 硬貨を持てない タオルが絞れない 洗濯ばさみが使えない など 腱鞘炎は、ほとんどの原因が仕事や日常生活の動作に関係しているため、慢性化しやすい病気です。なかには腱鞘炎が原因で、やむを得ず転職を余儀なくされた方もいます。 手首や指に痛みや腫れが現れたら、放置せずに医療機関を受診しましょう。リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。慢性化した腱鞘炎でお困りの方は、ぜひ気軽にご相談ください。 腱鞘炎の治療 腱鞘炎は軽症の場合、手首や手を休めることで症状が改善することがあります。しかし、痛みや腫れが続く場合は、症状に合わせて適切な治療をする必要があります。 腱鞘炎の主な治療法は、以下の通りです。 保存療法 ステロイド注射(トリアムシロノン) 手術療法 ほかにも、手首や指に違和感がある場合は、湿布やテーピングの利用も効果的です。以下で、腱鞘炎の治療法について、それぞれ詳しく見ていきましょう。 1.保存療法 腱鞘炎が軽度の場合は、保存療法でも十分な治療効果を得られる場合があります。保存療法では、まず親指や手首を休ませることが大切です。たとえば、仕事の合間に休憩を取ったり、作業時間を減らしたりすると効果的です。 保存療法の主な目的は、痛みや炎症を抑えることで、具体的には以下のような方法があります。 添え木やサポーターを使用して手首や指を固定する 湿布とアイシングで患部を冷やす テーピングを使用して手首や指の動きをサポートする 痛み止めを内服して痛みを和らげる 手首や手の使用を控えることで、炎症の悪化を防ぎ、症状の改善を早めることが期待できます。 2.ステロイド注射(トリアムシロノン) 保存療法を試みても改善が見られない場合は、ステロイド注射が有効です。トリアムシロノンなどのステロイドを注射は、炎症を抑える働きが期待できるほか、腱鞘内に直接投与できるため、局所的に効果を発揮する可能性があります。 ただし、ステロイド注射の治療は短期間で症状の改善が期待できるものの、繰り返し使用すると副作用のリスクが高まるため、医師の指導のもとで適切に使用する必要があります。 3.手術療法 腱鞘炎が慢性化している場合や再発を繰り返している場合には、手術療法も選択肢の一つです。保存療法やステロイド注射でも改善がみられない場合にも、手術が必要になる場合があります。 腱鞘炎の手術は、局所麻酔による日帰り手術が可能です。手術では炎症を起こしている腱鞘を切開し、腱がスムーズに動くようにします。手術後はリハビリテーションが必要になるものの、腱鞘炎を治すために有効な方法です。 腱鞘炎の予防法 腱鞘炎の予防は、日頃からのケアが大事です。腱鞘炎は、手の使いすぎだけではなく、血行不足によっても生じる場合があります。腱鞘炎の予防には、以下のような方法があります。 手首と手のストレッチをして血流を良くする 入浴時に温冷法(熱めのお湯と冷水を交互に30秒ずつを5セット)を取り入れる 両手でスマートフォンを操作する 腱鞘炎を予防するためには、普段から長時間同じ作業を続けないように意識し、手首や手を休ませることが大切です。また、作業の前後にストレッチを取り入れるのも有効です。 パソコンを使用する場合は、強くキーボードを叩かないなどの工夫をしてみることも効果があります。 腱鞘炎は症状が軽いうちにケアをして、痛みを長引かせないことが大切です。手首や手の痛みが続くようなら、早めに医療機関を受診してください。 腱鞘炎の治療における再生医療の可能性 腱鞘炎の治療は、痛みの程度や症状に合わせて保存療法やステロイド注射などを選択します。また、保存療法でも改善が見られない場合は、手術とリハビリテーションを経て症状の改善を目指す場合があります。 ほかにも、手術以外の選択肢として近年注目を集めているのが再生医療による治療方法です。再生医療は、幹細胞や血小板の投与によって症状の改善を目指す治療方法で、副作用が少なく身体への負担を減らせるメリットがあります。 幹細胞は骨や腱、筋肉、皮膚などを再生する細胞で、性質をうまく利用して身体の損傷している部分を再生できる可能性があります。 リペアセルクリニックは、再生医療による幅広い治療を行っている専門のクリニックです。メール相談やオンラインカウンセリングも実施しているため、再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ気軽にご相談ください。 まとめ・腱鞘炎が治らない場合は種類や症状にあわせて治療法を検討しよう 腱鞘炎は、手や指を使いすぎると発症する病気です。一度発症すると治るまでに時間がかかってしまう場合がありますが、治らないわけではありません。腱鞘炎の症状を改善するためには、手を酷使しないよう定期的に休憩をして手を休ませる必要があります。 慢性化した腱鞘炎の治療には、薬物療法やステロイド注射、手術のほか再生医療という選択肢もあります。手や指などの痛みや違和感が長く続く場合は、医療機関で相談して、治療方法を検討しましょう。 腱鞘炎がなかなか治らないときによくある質問 腱鞘炎を早く治すためにはサポーターやテーピングを使ったほうが良い? 腱鞘炎を早く治すためには、サポーターやテーピングの使用が有効です。サポーターやテーピングを使って手首や指の動きを安定させると、腱にかかる負担を減らせる場合があります。 ただし、サポーターやテーピングは補助的な役割にしかすぎません。腱鞘炎を早く治すためには、できるだけ安静にするほか、痛みの程度に合わせて内服薬の服用やステロイド注射なども検討する必要があります。 腱鞘炎の治療期間はどのくらい? 腱鞘炎の治療期間は、痛みの程度や治療法によって異なります。軽度の腱鞘炎であれば、4〜6週間ほどで症状が改善するケースが一般的です。 しかし、重度の場合には、数カ月以上にわたって治療が必要になる場合があります。 腱鞘炎の治療期間については、医療機関を受診した際に医師に確認し、希望に沿った治療方法を検討しましょう。
2022.03.07 -
- ひざ関節
- 膝の内側の痛み
- 変形性膝関節症
変形性膝関節症のお悩み|従来の治療法と新たに注目される最新の治療法 膝の痛みが進み、変形性膝関節症になると、症状が進行するごとに痛みを感じる頻度が増えます。痛みを我慢して日常生活を送っているのはとても辛いですから、何とかして痛みを和らげたいものです。 変形性膝関節症は、中期から末期になると痛みが強くなり、末期には膝が変形するほどの症状となります。 そうなると日常生活を送るのこと自体が難しくなります。何よりも歩くことが難しくなると運動不足になり、結果として肥満が進んだり、内臓の働きが悪くなって様々な病気を引き起こす原因にもなります。 そのためにも膝の痛みや違和感は我慢せず、早めに病院等、医療機関を受診してください。 今回は、膝の痛み・変形性膝関節症について、これまでの治療法と、新たに注目されている「最新の治療法」についてご紹介します。 膝の痛み、変形膝関節症の初期の対処法 変形膝関節症は、初期の段階で炎症を悪化させないようにすることが大切です。 初期~中期の前半あたりでは、3日から1週間ほどなるべく安静にし、膝に負担をかけない生活を送ることを心がけてください。炎症が収まり、痛みも引く場合があります。 安静にしていても膝の痛みが治まらない場合は、医療機関を受診してください。専門医による適切な治療を受けることをおすすめします。 変形性膝関節症の従来の治療法 変形性膝関節症の従来の治療では、症状が軽いうちは、生活習慣の改善と内服薬での治療がメインとなります。もう少し進行するとリハビリも取り入れた治療となり、症状が重い末期では手術を行うこともあります。 生活習慣の改善 症状が軽い場合は、日常生活における膝の負担軽減を目的として、生活習慣の改善を行います。具体的には普段の動作を見直す、肥満であれば減量するといった内容です。 膝への負担を減らす目的での体重管理は、大切ですが、自己流では難しいものです。できれば、診察を受けている病院等にて指導を受けて取り組まれることお勧めします。 運動療法(リハビリテーション) 運動によって脚に筋力をつけ、膝周辺の筋肉を強化し、膝関節を保護します。良くある誤解は、運動をすると膝の痛みが強くなるのでは?という疑問です。 この点に関して不安になる患者さんもいらっしゃいますが、適切・適度な運動を行うことで膝周囲の筋肉強化が可能になります。筋肉が強化されると、膝関節の負担を軽減することができるため前向きにお取組みください。 ただし、自己流は逆に膝を傷めることもあります。病院のリハビリ等、専門家の指導を受けて無理のない範囲で行いましょう。 薬物療法 痛みのある患者さんには、内服薬や外用薬を使った痛み止め治療を行います。 装具療法 歩行や立ち上がりの際の膝への負担を軽減するため、膝サポーターや足底(インソール)への装具着用を行います。 物理療法 膝周辺を温めて血行を促したり、炎症が酷く腫れている場合は冷やすなどします。 外科手術 症状が進行した場合、外科的治療が必要になることがあります。具体的には、内視鏡を使った関節鏡視下手術や、骨を切って変形を矯正する高位脛骨(けいこつ)骨切り術、人工膝関節置換術などがあります。 膝の症状が進行し、変形性膝関節症で辛い思いをしている患者さんは少なくありません。特に、投薬や注射でも改善しない痛みが続く末期の患者さんは日常生活に支障をきたしています。そのような場合、次のような方法が選択肢となります。 関節鏡視下手術 高位脛骨(けいこつ)骨切り術 人工膝関節置換術※ ※人工膝関節置換術とは 変形性膝関節症の人工膝関節置換術では、特殊な金属とポリエチレンから作られる人工関節を設置することで、膝関節の動きをサポートすることができます。 術後はそれまでの膝関節の痛みがなくなる、もしくは大きく和らぎ、膝の痛みが軽くなることで、運動もできるようになることが多くあります。人工関節置換術によって痛みは和らぎ、日常生活の不便も少なくなりますが、やはり手術には注意点やリスクがあります。 例えば、人工関節が外れたり、異物を入れたことによる細菌感染が起きるといったリスクがあり、時間の経過に伴い人工関節が緩むこともあります。 ですから、変形性膝関節症で最新治療を受ける場合は、信頼できる病院を選ぶこと、また、術後も定期的に受診をし、適切な検査を受けることが必要です。 変形性膝関節症のおすすめ最新治療「再生医療」 保存療法や手術に代わる、新しい選択肢としておすすめしたいのが「再生医療」です。 膝の痛みの原因のひとつ、膝軟骨のすり減りに対しては、軟骨を再生させることはこれまで不可能と言われてきました。それが先端医療の再生医療では、患者さんの幹細胞を培養して軟骨を再生することができるようになりました。 再生医療は大掛かりな手術を必要とせず、本人の細胞を利用することで患部の再生を促す医療で、保存療法よりも早期の治療効果が期待でき、しかも確実性が高く、従来の手術法よりも体への負担が少ない治療法として注目されています。 再生医療の中でもおすすめは、自分の幹細胞を培養して用いる治療法で培養するための時間は必要ですが手術することなく、入院の必要もなく、日常生活に復帰できる点が評価されている治療法です。 再生医療は新しい医療分野だけに、医師であっても知見に乏しいことがあります。ご相談される場合は、一般の病院等ではなく再生医療専門医のいるクリニック等にてご相談されることをおすすめします。 当院でも、再生医療による変形性膝関節症の治療をおこなっています。是非一度お問い合わせください。 https://youtu.be/zmcafuxHyTw?si=tmnJuLE99nvDVlQc > その他、変形性膝関節症の事例を動画で見る まとめ・変形性膝関節症のお悩み|従来の治療法と新たに注目される最新の治療法 軽度な変形性膝関節症は、外科手術を必要としなくても進行を抑えることが可能ですが、進行してしまうと外科的手術が必要になる場合があります。しかし、末期の変形性膝関節症でも「最新治療」によって運動が可能になるほど症状を緩和することが可能です。 最新治療を検討する場合、変形性膝関節症の治療実績の高い病院やクリニックで整形外科を選ぶこと、また、術後のトラブルを防ぐためにも、定期的な受診を怠らず検査をきちんと受けるようにしましょう。 変形性膝関節症は、早期治療が何よりも大切、膝に痛みや違和感を感じたら自己判断せずに病院等にて診察を受けられることをおすすめいたします。 以上、変形性膝関節症で悩まれている方に向けて新たに注目されている最新の治療法である再生医療を記しました。 この記事がご参考になれば幸いです。 ▼ 変形性膝関節症でオススメの再生医療は、幹細胞治療です 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せずに症状を改善できます ▼以下の参考にご覧ください 変形性膝関節症の手術|知っておきたい手術のメリットとデメリット
2022.03.03 -
- 足部、その他疾患
- 下肢(足の障害)
- 足部
- スポーツ外傷
「ふくらはぎの筋断裂はどんな症状がある?」 「ふくらはぎの筋断裂を再発防止するには?」 「筋断裂」とは、スポーツなどで急に強い力や無理な力がかかった際に、筋肉が耐えられなくなり、筋線維が損傷して断裂する状態を指します。 とくに、筋断裂が起こりやすい部位は「ふくらはぎ」です。筋線維のうち範囲が限定的、部分的な断裂の場合は「部分断裂(肉離れ)」ともいわれます。 筋断裂が起こると、たとえ部分断裂であっても強い痛みが起こり、動けなくなるので歩くのが困難になります。 また、ふくらはぎは血液を心臓へ戻す役割を果たすため、第2の心臓ともいわれる筋肉です。そのため、筋断裂を起こすと生活に大きな支障が出てしまいかねません。 今回は、ふくらはぎの筋断裂における症状や原因を始め、再発防止や予防法を解説します。 リハビリに関する詳細も解説するので、症状がある方はぜひ参考にしてみてください。 ふくらはぎの筋断裂における症状 ふくらはぎの筋断裂(きんだんれつ)における主な症状は、ふくらはぎの痛みや内出血です。 ふくらはぎの一部に凹みができる場合もあり、痛みは筋断裂の度合いによって異なります。 安静時や軽く歩く程度なら問題はなくても、走るときだけ痛い場合もあれば、歩くだけで痛いケースもあります。 重度の場合は、安静にしていても痛みを感じます。 ふくらはぎの筋断裂における主な原因 ふくらはぎの筋断裂による主な原因は、筋力や柔軟性の低下、疲労の蓄積などがあげられます。 スポーツなどの激しい動きにかかわらず、事前のウォーミングアップを始め、終了時もクールダウンのストレッチを十分に行うのが大切です。 このような準備が不足すると筋断裂の原因につながります。 また、筋力のバランスや体の動かし方が悪いと、筋断裂が起こりやすくなります。とくにスポーツをしている方は、フォームやトレーニング内容の見直しを行いましょう。 スポーツをしていない方も同様に、普段の姿勢などを見直してみてはいかがでしょうか。 ふくらはぎの筋断裂における再発防止・予防法 ふくらはぎが筋断裂を起こすと、痛みや動きの制限などに悩まされるため、再発防止や事前の予防が必要になります。 とくにスポーツに取り組んでいる方などは、完全に回復しないまま早期復帰をしてしまい、再発する場合があります。 再発予防のためにも、無理をして体を動かさないように注意しましょう。「回復しているはずだから大丈夫」と自己判断するのは禁物です。 ふくらはぎの筋断裂における再発防止や予防には、体の柔軟性を高めるストレッチが効果的です。 筋肉はさまざまな方向に向かって付いているため、ストレッチをするときは一方向だけに偏らないように注意しましょう。 いろいろな方向へ伸ばしながら、ひねりや回転などを加える意識をもってみてください。 また、スポーツ外傷の方で治療期間を早めたいときは、再生医療の治療方法もあります。 ふくらはぎの筋断裂を含め、何かしらの症状を抱えておられる方は、当院「リペアセルクリニック」のメールや電話からご相談ください。 ふくらはぎの筋断裂におけるリハビリは回復に欠かせない ふくらはぎの筋断裂を回復させるには、リハビリによる治療が大切です。 以下では「なぜリハビリが必要なの?」と疑問を感じる方に向けて、リハビリをする理由や始めるタイミング、リハビリ内容の詳細を解説します。 ・ふくらはぎの筋断裂でリハビリをする理由 ・ふくらはぎの筋断裂でリハビリを始めるタイミング ・ふくらはぎの筋断裂におけるリハビリ内容 ふくらはぎの筋断裂でリハビリをする理由 ふくらはぎの筋断裂における治療では、柔軟性と筋力を回復させるためにリハビリを行います。 筋断裂が起きて筋組織が回復していく過程で、患部と周囲は少しずつ硬くなります。 幹部や周囲が硬くなったまま、今までと同じように部位を使うと、思うように動かせなかったり大きな負荷がかかったりして、筋断裂が再発する危険性もあるからです。 また、動かせる範囲が制限されてしまうだけでなく、動かせたとしても、安静にする必要があるのでどうしても筋力が低下します。 そのため、患部や周囲の硬くなった部分において、低下した筋力や柔軟性に働きかけながら、改善しなければなりません。 発症前と同じような動きを目指しながら、再発防止のためにもリハビリは重要なのです。 ふくらはぎの筋断裂でリハビリを始めるタイミング ふくらはぎの筋断裂によるリハビリは、症状を起こしてからいきなり始めるわけではありません。 なぜなら筋断裂が起きると断裂した部分は炎症を起こします。 炎症を起こしている間は、安静にして患部を冷やしたり、圧迫して血腫が大きくなるのを防いだりするなど、痛みや腫れが軽減するのを待つ期間が必要です。 腫れや痛みが治まってから、ゆっくりと患部を動かします。痛みなくリハビリを行える状態であれば、ようやくリハビリを開始する流れです。 ふくらはぎの筋断裂におけるリハビリ内容 リハビリの内容は医療機関や指導者によって異なりますが、ストレッチと筋力トレーニングが基本となります。 ストレッチは、患部が軽く伸びるくらいの強さで、時間をかけて(20~30秒くらい)ゆっくりと伸ばしていきます。上記を3セットから5セットくらい行う流れです。 一方、筋力トレーニングは、筋力低下を改善する目的以外にも、患部に刺激を与えると回復が早まる効果が期待できるでしょう。 たとえば、筋断裂が起きやすい太ももの裏側の筋肉(ハムストリングス)の筋力トレーニングを例に見ていきましょう。 ハムストリングスの筋力トレーニングでは、うつぶせになって足を伸ばした状態で、上にあげるヒップエクステンションのトレーニングがよく行われます。 リハビリの目的で筋肉トレーニングを行う方法は有効ですが、トレーニングは過度に行うのではなく、専門家による指導のもと行うのが再発防止につながります。 まとめ|ふくらはぎの筋断裂は治療を受けて再発予防にストレッチを行おう ふくらはぎの筋断裂を起こすと、痛みや動きの制限で悩まされます。 筋断裂の再発や慢性化を防止するために、運動するときはウォーミングアップやクールダウンのストレッチなどをしっかり行いましょう。 万が一、筋断裂が起こったときは、適切な治療を受ける必要があります。また、筋断裂が回復するまでは、改善を図るためにもしっかりとリハビリを行うのが大切です。 ただ、回復して、筋断裂を起こす前と同じような生活を送れるようになった場合も、ストレッチなどを行って再発防止につなげましょう。 最近では、スポーツ医療の分野において、再生医療の治療方法に注目が集まっています。筋断裂の治療における選択肢のひとつとして、検討してみてはいかがでしょうか。 当院「リペアセルクリニック」では、スポーツ外傷における再生医療の治療を行っています。 筋・腱・靭帯損傷などの症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。 【リペアセルクリニックへの相談方法】 ・メール相談 ・来院予約 ・電話相談:0120-706-313(オンラインカウンセリングの予約) ふくらはぎの筋断裂に関するQ&A ふくらはぎの筋断裂に関して、質問と答えをまとめています。 ふくらはぎの筋断裂はどのくらいの治療期間が必要なの? A.症状の程度にもよりますが、軽度だと2週間ほど、中等度だと2カ月ほどの期間が目安となります。 詳細は、以下の記事も参考にしてみてください。
2022.03.03 -
- 脊髄損傷
- 再生治療
- 幹細胞治療
- 脊椎
脊髄損傷は、手足の運動や感覚が麻痺するなど、日常生活に大きな影響が出やすい疾患です。(文献1)外傷・病気など原因は多岐にわたり、脊髄を損傷した位置(損傷高位またはレベル)によって、症状の出る範囲も異なります。 しかし、リハビリテーションにより回復が見込める場合もあるほか、近年では再生医療も選択できるようになってきました。 この記事では、脊髄損傷の症状や回復可能性について、詳しく解説します。 また、治療方法や再生医療の手法についても紹介するので、脊髄損傷の治療にお悩みの方は参考にしてください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 脊髄損傷が治るかは原因・症状の重さ・損傷位置(高位)が関係する 脊髄損傷の原因は、以下のように多様です。 交通事故をはじめとする外的要因により、突然脊髄を損傷する場合があります。また、脊髄や脊椎になんらかの異常(内的要因)が出ると脊髄損傷に発展することもあります。 分類 原因項目 説明 外的要因 交通事故 車・バイク・自転車などの衝突や転倒 転落 高所や階段からの落下 転倒 浴室での転倒や高齢者の転倒事故 スポーツ外傷 ラグビー、スキー、ダイビングなどによる強い衝撃 労働災害 高所作業や重量物の落下などによる事故 暴力行為 殴打・刺傷・銃創など 外科手術中の損傷 脊椎手術や麻酔中の医療事故による損傷 内的要因 椎間板ヘルニア 椎間板が突出して脊髄を圧迫 骨粗鬆症による圧迫骨折 高齢者に多い、骨の脆弱化による脊椎の圧迫骨折 脊髄梗塞 血流障害による脊髄の機能低下・壊死 脊髄出血 脊髄や周囲での出血による脊髄の圧迫 感染症 髄膜炎、脊椎炎などが脊髄に影響 変性疾患 多発性硬化症、ALSなど神経系の進行性疾患 自己免疫疾患 横断性脊髄炎など、免疫異常による神経炎症 腫瘍 脊髄や脊椎にできた腫瘍が神経を圧迫 先天性疾患 二分脊椎、キアリ奇形など、先天的な構造異常 脊髄損傷の症状は、完全麻痺と不全麻痺に分けられます。また、脊髄損傷では、一般的に損傷部位が脳に近い(損傷高位が高い)ほど症状の範囲も広くなります。損傷高位(レベル)別の主な症状は以下のとおりです。(文献2) ※損傷高位:損傷の位置 損傷高位 主な症状 頸椎(C1~C7) ・全身麻痺や呼吸困難(C1~C4) ・手指の一部が動く(C5~C7) 胸椎(T1~T12) 下半身麻痺、体幹のバランス低下、排尿排便障害 腰椎(L1~L5) 歩行困難、膀胱直腸障害、感覚障害 仙椎(S1~S5) 軽度の感覚障害や排尿排便の調整機能低下 軽度の感覚障害や排尿排便の調整機能低下 脊髄損傷が軽度(不完全損傷)の場合は、治療次第で回復が見込めます。 不完全損傷とは、脊髄の一部が損傷した状態です。損傷部位より遠い位置にもなんらかの運動機能や感覚が残っている不全麻痺の症状が現れます。 どの機能にどの症状が残るかは、損傷のタイプによって以下のように異なります。(文献2) 不完全損傷の分類 症状の傾向 中心性脊髄損傷 上肢の麻痺が強く、下肢の影響が少ない Brown Sequard(ブラウン セカール)症候群 片側の運動麻痺+反対側の痛覚・温度覚消失 前脊髄症候群 運動機能と痛覚・温度覚が失われるが、触覚は保たれる 後脊髄症候群 触覚・振動覚・位置覚が失われるが、運動機能は比較的保たれる 腰に近い胸椎(T11)から下の不完全損傷であれば、訓練により歩けるまでに回復する可能性があります。 足の動きをサポートする装具をつけ、杖も使っての歩行となる場合が多いです。 重度の損傷(完全損傷)の場合は治らないことが多い 脊髄の損傷が重度(完全損傷)の場合は、完治しないことが多いです。 完全損傷は、脊髄の機能が完全に絶たれてしまった状態です。脳からの指令が届かないため、損傷部位から下は完全麻痺となり動かなくなります。また、麻痺した部分は感覚もなくなります。 頚髄の高い位置での完全損傷ならば、四肢がまったく動かず全介助となるでしょう。頸髄の低い位置や胸髄の場合は、レベルに応じて上半身は動かせるため、下半身不随の状態となります。 完全損傷は通常、完治が期待できません。ただし、受傷直後に完全麻痺がみられても、数日から数か月で徐々に回復してくることがあります。 この場合は脊髄ショック(脊髄が損傷された直後に起こる、一時的な反射機能の低下または消失)を起こしていたと考えられ、完全損傷とは異なるため、慎重に経過をみるのが大切です。 【時期別】脊髄損傷の治療法 脊髄損傷は、急性期・慢性期の時期によって適切な治療法が異なります。 脊髄損傷の急性期には脊椎の固定や生命維持を優先する、慢性期には症状の程度・損傷部位に応じて長期的な目線で対応するのがセオリーです。 以下では急性期と慢性期に分けて、詳しい治療法を見ていきます。 急性期の治療 外傷をはじめとする急性期には、脊椎をギプスや装具で固定し、損傷が広がらないように対策します。とくに、重症化しやすい頚椎の固定は強く推奨されています。 同時に、頚髄や上部胸髄損傷により自発呼吸ができない場合は、人工呼吸器での呼吸確保が必要です。血圧が下がっていれば、輸液や昇圧剤を投与して管理します。 そして、状況に応じて頭蓋骨の牽引や手術を行い、神経を圧迫している原因を除去します。また、損傷後8時間以内のステロイド治療(メチルプレドニゾロン(MPSS)大量投与)も神経学的回復には有効とされています。(文献3) 脊髄損傷では、ベッド上での安静を余儀なくされることと神経の障害によって、以下のような合併症が現れるかもしれません。(文献4)急性期から合併症予防対策をとることも大切です。 褥瘡(床ずれ) 筋力の低下 関節可動域の低下 消化器合併症(ストレス性潰瘍、腸閉塞など) 呼吸器合併症(痰の詰まり、肺炎など) 尿路感染症 循環器合併症(徐脈、起立性低血圧、深部静脈血栓症など) 慢性期の治療 急性期の症状が落ち着いてきたら、本格的にリハビリテーションを始めます。また、引き続き治療が必要な部分は治療していきます。 以下の項目ごとに確認していきましょう。 リハビリテーション ビタミン剤の投与(栄養補給) 抗生物質の投与 放射線治療 外科手術 リハビリテーション 残った機能を活かして日常生活を送れるように、腰を据えてリハビリテーションを実施します。脊髄損傷の場合は、以下のメニューがよく行われます。(文献5,6) 種類 アプローチ箇所 可動域訓練 全身 筋力トレーニング 上肢・下肢 歩行訓練 下肢 電気刺激 全身(指先への細やかなアプローチも可能) 可動域訓練とは、関節と筋肉の柔軟性を維持するための訓練です。関節が固まるのを防ぐため、受傷後早期から始めます。 筋力トレーニングは、残存した身体機能を最大限活用するために欠かせません。歩行訓練は、全身の機能向上にも有用です。 電気刺激は、麻痺した筋肉を電気で動かすことで機能回復を目指す方法です。脳からの指令を代替し、神経信号の回復を促します。(文献6) ビタミン剤の投与(栄養補給) ビタミンB12が不足すると、神経の機能が低下します。末梢神経障害が有名で、手足のしびれや歩行障害が現れます。(文献7) けがもしていないのに脊髄損傷の症状が現れたときには、ビタミンB12の不足が背景にあるかもしれません。極端に偏食の方、胃切除の手術を受けた方に不足しやすい傾向があります。 必要に応じて、ビタミン剤を投与して補給を行います。 抗生物質の投与 脊椎に感染が起きている場合は、抗生物質を投与して治療します。血流にのって菌が感染するケースがほとんどで、抵抗力が落ちている方が感染しやすいです。 急激に高熱と激しい痛みが出る場合も、症状がはっきりしない場合もあり、個人差が大きいです。 いずれにしても脊椎への感染が疑われれば、抗生物質の投与を開始します。同時に血液培養を行い、細菌を特定できたら、適した抗生物質に切り替えます。 放射線治療 がんが脊椎や脊椎の内部に転移し、脊髄を圧迫して脊髄損傷の症状が出ることがあります。この場合、手術は難しいケースが多く、放射線治療が適応されやすいです。 治療のタイミングとしては、発症後なるべく48時間以内、あるいは72時間以内に行うべきといわれています。ただし、これ以降でも症状が改善するケースもあるため、治療を試みる価値はあるでしょう。(文献8) 外科手術 脊髄損傷の手術には、脊椎を固定する手術や、脊髄の圧迫を取り除く手術があります。 急性期のうちに固定や除圧を図るべきケースも多い一方、急いで手術をしなくても回復が見込めるケースもあり、全身状態が落ち着いてから手術を検討する場合は珍しくありません。 椎間板ヘルニアや腫瘍、血腫によって脊髄が圧迫されている場合は、必要に応じて取り除く手術を行います。また、細菌感染の場合も、感染巣を取り除く手術や、脊椎を固定する手術が必要となることがあります。 脊髄損傷の治療を進めても後遺症が出ることはある 脊髄損傷の治療を行っても、残念ながら後遺症が出ることは少なくありません。損傷の程度や損傷高位をはじめ、さまざまな要因が予後に関係します。 代表的な後遺症は、四肢の麻痺やしびれです。歩く、ベッドから車いすに移る、寝返りをするといった基本的な動作に支障をきたし、日常生活に大きく影響します。 触った感覚や痛みの感覚、温度感覚といった感覚の障害も生活に影響します。たとえば痛みの感覚が消失すると、けがに気づかないほか、胃潰瘍などの内臓の痛みにも気づけません。 排尿や排便の制御困難(膀胱直腸障害)や、体温・血圧の調節機能の低下といった自律神経障害もよくある後遺症です。 \まずは当院にお問い合わせください/ 脊髄損傷(後遺症)の治療法として再生医療も選択肢の一つ https://youtu.be/5HxbCexwwbE?si=-RirI6xZVAHG5H6s 脊髄損傷の一般的な治療では、手術により神経を圧迫している要因を取り除いたあと、リハビリテーションで社会復帰を目指します。 しかし、手足の麻痺や感覚が戻るかどうかは個人差があり、寝たきりや車椅子での生活を余儀なくされるケースも少なくありません。 ただ、近年では脊髄損傷や、その後遺症に対する治療法として、再生医療が登場しました。再生医療とは、体内の幹細胞が持つさまざまな組織に分化(変化)する特徴を活かした治療です。 脊髄損傷の場合は、骨髄由来の幹細胞か脂肪由来の幹細胞が使われます。脂肪由来幹細胞は、骨髄由来幹細胞よりも採取・培養しやすく、感染リスクを抑えて多くの細胞を投与できるのが利点です。 脊髄損傷の治療法として再生医療へご興味のある方は、リペアセルクリニックまでお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 幹細胞を投与する方法として2種類挙げられる 投与方法 メリット デメリット 点滴 特殊な技術なく実施できる 脊髄に到達する細胞が少ない 硬膜内注射 損傷部位に直接幹細胞を届けられる 実施できる医療機関が限られる 脊髄損傷への幹細胞の投与方法は、点滴と硬膜内注射の2種類です。 点滴では、血管へ幹細胞を投与し、血流を介して脊髄へ届けます。硬膜内注射とは、腰あたりから脊椎へ針を刺し、脊髄のある硬膜内に直接投与する方法です。両者を掛け合わせて効果を高める場合もあります。 点滴では脊髄に到達する幹細胞数が少なくなりやすいです。一方で、損傷部位へ直接投与する方法では、幹細胞の数をほとんど減らさず患部へ届けられるため、点滴と比べて神経の再生力が高いです。 ただし、硬膜内へ直接投与する方法は国内でも限られた医療機関でしか行われていません。硬膜内注射を検討される場合、受診予定の医療機関へ問い合わせてみましょう。 まとめ|脊髄損傷の治療で再生医療をご検討の際は当院へご相談ください 脊髄損傷は、大きな事故や転落だけでなく、平坦な道で転んでも発症する疾患です。脳と体をつなぐ脊髄が損傷すると、手足を動かせなくなったり感覚がなくなったりと、これまで通りの生活を送れなくなる場合があります。 脊髄を損傷した直後の治療法としては、脊椎を固定し安静にするほか、手術で脊髄の圧迫を取り除くのが一般的です。また、慢性期にはリハビリテーション、ビタミン剤・抗生物質の投与、外科手術など症状に合わせて処置を施します。 近年では、脊髄損傷や後遺症の治療法として、再生医療も登場しました。 当院リペアセルクリニックでも再生医療を提供しておりますので、ご興味がある方は気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ また、再生医療については下記のサイトでも発信しておりますので、合わせてご確認ください。 再生医療とは?実例やメリット・デメリット、研究ができる大学の学部も紹介 参考文献 (文献1) 公益社団法人 日本整形外科学会「脊髄損傷」日本整形外科学会ホームページ https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/spinal_cord_injury.html(最終アクセス:2025年4月18日) (文献2) 一般社団法人 日本脊髄外科学会「脊髄損傷」日本脊髄外科学会ホームページ https://www.neurospine.jp/original62.html(最終アクセス:2025年4月18日) (文献3) 横田 裕行ほか.「急性期脊髄損傷におけるメチルプレドニゾロン大量療法の臨床的意義」『日救急医会誌』 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjaam1990/6/4/6_4_349/_pdf (最終アクセス:2025年4月28日) (文献4) 独立行政法人 労働者健康安全機構「脊髄損傷とは」労災疾病等医学研究普及サイト https://www.research.johas.go.jp/sekizui/(最終アクセス:2025年4月18日) (文献5) 田島文博ほか.「脊髄損傷者に対するリハビリテーション」『脊髄外科』30(1), pp.58-67, 2016年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/spinalsurg/30/1/30_58/_pdf(最終アクセス:2025年4月18日) (文献6) 松永俊樹ほか.「脊髄損傷患者に対する最新のリハビリテーション治療―機能的電気刺激(functional electrical stimulation:FES)『Jpn J Rehabil Med』56(7), pp.555-559, 2019年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/56/7/56_56.555/_pdf(最終アクセス:2025年4月18日) (文献7) 畑中裕己.「ビタミンB12欠乏性神経障害」『臨床神経生理学』45(6), pp.532-540, 2017年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscn/45/6/45_532/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年4月18日) (文献8) 笹井啓資.「緩和ケアにおける放射線治療」『順天堂医学』57(6), pp.582-587, 2011年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjmj/57/6/57_582/_pdf(最終アクセス:2025年4月18日)
2022.03.02 -
- 肘関節
- 野球肘
- 上肢(腕の障害)
- スポーツ外傷
野球肘は、5人に一人が発症する、ありふれたスポーツ障害のひとつです。主に投球練習や登板回数の過多が原因で発症します。 症状が重い場合は選手生命が縮んでしまうことも。理解を深め、予防や症状改善を図るのが重要です。 本記事では野球肘の症状改善や予防のためのストレッチ方法などを解説します。 野球肘の症状改善・予防におすすめなストレッチ5選 肘の関節や靭帯を守るため、動かす前に準備が大切です。 野球肘を予防するには、プレー前に関節をしっかり伸ばすストレッチをおこないましょう。 スポーツの前後にストレッチをしっかりおこなうことは大切ですが、肘周りのストレッチだけで安心していてはいけません。 野球肘の予防には、肘の関節だけでなく、全身の柔軟性を上げることが重要だからです。 そこで以下に野球肘の予防に効果的なストレッチをご紹介します。 手首・肘の内側を伸ばすストレッチ 片手をまっすぐ前に伸ばします。 この時、手の甲は天井を向き、手首と腕が90度になるようにします。 そして、伸ばしている手と反対の手で、指先を体の方に引き寄せましょう。 次の動作は、そのまま手のひらを反時計回りに180度回転させ、手の甲が地面を向くようにします。 そのまま手のひらを机などの平らなところに着け、ゆっくりと体重をかけていきます。 肩・肩甲骨をほぐすストレッチ まず、指先を肩に添えましょう。(右肩には右手、左肩には左手を添える) 肘で円を描くように大きく回す動作を繰り返します。 前に10回、後ろに10回程度回しながら肩と肩甲骨を意識してストレッチしていきましょう。 投球動作では、肩にも大きな負担がかかります。 肩甲骨周りの可動域を広げることは、きれいな投球フォームを作ることにもつながります。 肩回りを伸ばすストレッチ 胸の前で、自身の腕(肘から手の平まで)をくっつけます この時点で窮屈に感じる方は、肩甲骨回りや、肩の筋肉が固い状態です。 肘を胸の高さまで引き上げることが可能な場合は、肘が90度、脇下も90度の状態になります。(難しい場合は角度が狭くなっても構いません。) その姿勢から、腕を後ろへ引き、胸を張る状態を作ります。 胸を張ったらそのまま10秒キープしましょう。 その後、再び胸の前で手のひらから肘をくっつけていきます。 この動きを5セット繰り返しましょう。 胸の前で腕をくっつける際は肩甲骨が離れる感覚を、腕を後ろに引く際は、肩甲骨が背骨を挟むような感覚を掴みながらおこなってください。 体幹と下半身のストレッチ 体幹と下半身の柔軟性を高めると、肘への負担が大幅に減ります。以下のストレッチに取り組みましょう。 1. 両足を肩幅の1.5倍程度開く 2. 膝を120度ほど曲げる 3. 膝の内側に両手を置く 4. 左肩を、右方向にひねる 5. 10秒キープする 6. 右肩を、左方向にひねる 7. 10秒キープする 8. 5に戻る 4から8回を1セットとして、2セットほどおこないましょう。 肩をひねるとき、膝が動かないようにすると、ストレッチ感を得やすくなります。 また、腰は不自然に落としすぎないようにしましょう。 体幹と股関節のストレッチ 両足を股関節から開いた状態で床に座ります。 まず、左膝を折り曲げ、左足の裏側が右足の内ももに着く姿勢を取りましょう。(右足は伸ばしたままの状態です。) 右足のつま先をしっかり天井に向け、体側を伸ばしながら左手を右足のつま先へ向かって伸ばします。 左側の体側と、右足の内側からふくらはぎにストレッチを感じていれば正しく伸ばせています。 この状態を10秒キープし、反対も同じように行いましょう。 左右それぞれ2セットずつおこなってください。 ストレッチをする時に気を付けるポイント 第一に、ストレッチの動作はゆっくりおこないましょう。 急に関節を伸ばすと、痛めてしまうこともあります。 具体的には、1つの部位を伸ばすのに10秒〜20秒程度かけるのが理想的です。 加えて、ストレッチをしてすぐに激しい動きをするのはNGです。 緊張がゆるんだ関節を急に動かすと思わぬケガにつながりますので、軽い運動をおこなってから練習を始めてください。 野球肘治療後のストレッチは専門家に相談する ストレッチは関節の可動域を広げるために重要です。 ただし、野球肘の治療後にストレッチを始める場合は、医師の指示に従っておこなうようにしましょう。 また、リハビリにストレッチのメニューが加えられた場合、専門家の指導のもとでおこなうのも大切です。 安易な自己判断で野球肘を悪化させることがないように気を付けてください。 野球肘とは? 野球肘とは、ピッチングなど、ボールを投球する動作が原因で起こる「肘関節の損傷をまとめた呼び方」です。 投球時の痛みや違和感が代表的な症状で、軽傷であれば、安静にすれば痛みは落ち着きます。 ただし、痛みが引いたことで「肘を傷めてはいない」と勘違いし、治療が遅れ、重症化することも。 本人が気をつけるのももちろんですが、周囲が野球肘に関して警戒するのも大切です。 「肘が痛い」と感じた、もしくは選手に言われたら、野球肘を疑い、適切に対応する必要があります。 野球肘が起こる原因 野球肘は、肘に反復して過度な負担がかかることが原因で発症します。 野球のボールを投げる動作は、腕を大きく振りかぶった状態から肘の機能を使って力いっぱい投げおろすため、肘への負担が大きな動作です。 この動作を繰り返すことで肘の靱帯や軟骨に大きな負担がかかってしまいます。 野球肘の種類 野球肘には、3つの種類があります。 肘の内側の橈骨側の靱帯や軟骨を損傷するもの 肘の外側の尺骨の軟骨が損傷するもの 尺骨を損傷するもの 肘の内側には、骨や人体が引き離される方向に負荷がかかります。この力は関節を傷めやすく、橈骨側での野球肘を誘発します。 肘の外側と後ろ側では、骨がぶつかる方向で負荷がかかります。そのため、骨自体に損傷が起こりやすい傾向です。 野球肘の治療法 野球肘の発症後、その治療は、何よりも安静が第一です。 短くても数週間、長いと数年、野球肘と付き合いが続く可能性があります。 そのためにも、症状や違和感を感じたら、我慢せずに医師に相談しましょう。 軽症のうちから医療機関を受診し、指導を受けて重症化を防ぐことが必要です。 すでに野球肘の症状がある場合 野球肘の症状がある場合は、治療の長期化を防ぐため、早急な対応が必要です。 まずは肘を休ませて、早めに医療機関を受診しましょう。 そして、長く野球を続けるためには、肘に負担が掛かる投げ方をしていないか、指導者を交えての指導が必要です。 肘に負担が掛かるような投げ方、フォームを改善する必要があります。 治療については、スポーツ外来などがある医療機関を受診し、治療はもちろん、リハビリを含め、以後の取り組みについて指導を受けるようにしましょう。 エコー検査やレントゲンなど検査を受け状態を確認し、早期に治療を開始することが大切です。 合わせて取り組みたい野球肘の予防方法 ストレッチ以外の方法でも、以下の方法で野球肘を予防できます。 投球回数を減らす ウォームアップを入念におこなう フォームを改善する チーム方針や投球スタイルとの兼ね合いもありますが、野球肘の予防を図るうえでは効果的です。 また、これらの方法は野球以外の競技に取り組む選手にも有用です。 それぞれ解説するので参考にしてください。 投球回数を減らす 投球回数を減らすことで、野球肘の発症リスクが下がります。 過度な投球練習や登板をなるべく避けましょう。 ただし、チーム方針の関係上、長いイニングを投げる必要に迫られるケースも。 その場合、十分なアイシングの実施と休養が重要です。 テニスや水泳など、やり投げなどのスポーツでも、練習頻度や負荷を減らすことで予防につながります。 ウォームアップを入念におこなう 投球前のウォームアップをより入念におこなうのも重要です。 例えば、普段のメニューに加えて、「腕を上げた状態でのキャッチボール」を追加するとよいでしょう。 腕を伸ばして投球すると、腕から肩の筋肉が刺激されます。 刺激が入ると、より高い柔軟性が発揮されます。 野球肘の予防では、体を柔らかくした上で投球するのが大切。 ストレッチとウォームアップで、十分な柔軟性を保ちましょう。 フォームを改善する 投球スタイルや球速、コントロールとの兼ね合いもありますが、フォーム改善で野球肘を予防できます。 以下のポイントを意識しましょう。 ストライドを縮める リリースポイントを一定にする 投球時に肘が開かないようにする ポイントをおさえると、肘に負担がかかりにくいです。 一方で、フォームを変えると球速やコントロールに影響が出るかもしれません。 その場合は指導者と、どのようなフォームを定めるか相談しましょう。 まとめ・野球肘をストレッチで予防して選手生命を伸ばす 野球の投球は全身で行うことが理想で、手だけの力で投げ続けると、野球肘発症の引き金となってしまいます。 練習前に時間をかけてストレッチを行うことで、野球肘の予防だけでなく、練習後の疲労も軽減できるでしょう。 野球肘の原因は肘の使い過ぎです。 最初から強く投げたり、いきなり投球するのではなく準備が必要です。 プレーや練習前、練習後には入念なストレッチを行うことが必要です。 練習計画に前後のストレッチを取り入れて野球肘を予防しましょう。 それでも肘の違和感がある、痛みがあるというような場合は重症化を防ぐためにも肘を安静にし、早めに医療機関を受診しましょう。 せっかくの才能ですから伸ばすためには身体の手入れが一番の練習だとご理解ください。
2022.03.01 -
- 関節リウマチ
- お皿付近に違和感
- 内科疾患
関節リウマチは、関節の痛みや腫れを引き起こす慢性疾患で、日常生活に大きな影響を及ぼす場合もあります。 近年では、関節リウマチの治療法も進化し、とくに注射による薬物療法として高い効果が期待できる「生物学的製剤」の使用が広まりつつあります。 一方で、副作用についても気になるところです。 従来薬と比べてどう違うのか、どんな点に注意すべきなのかを知っておくことはとても大切です。 今回は、関節リウマチの注射治療における副作用や生物学的製剤と従来薬との違いについてわかりやすく解説していきます。 関節リウマチの注射治療の役割と主な副作用 関節リウマチは、免疫の異常によって関節が慢性的に炎症を起こす病気です。 放っておくと関節の変形や機能障害を引き起こし、日常生活にも支障をきたす可能性があります。 そのため、早期の治療と炎症のコントロールが非常に重要とされています。 関節リウマチの治療には、内服薬に加えて注射薬が使われるケースが増えてきました。 注射治療が選ばれる主な理由には、以下のような点があります。 即効性や効果の持続時間が期待できる 内服薬に比べて消化器への負担が少ない 自己注射が可能な薬もあり、通院の負担を減らせる とくに重症例や、内服薬だけでは効果が不十分な場合には、生物学的製剤やステロイド注射による治療が効果的な選択肢となります。 生物学的製剤は、免疫システムの特定の部分だけをターゲットにして炎症を抑える先進的な薬剤です。 一方、ステロイド注射は急性の炎症を素早く鎮める目的で使用され、特に痛みの強い関節に直接注入されることが多いのが特徴です。 こうした注射薬は高い治療効果が期待できる反面、副作用にも注意が必要です。 たとえば、注射部位に腫れや赤みが出ることがあり、発熱や頭痛、倦怠感などの全身症状が出る場合もあります。 副作用の出方は個人差があり、すべての人に起こるわけではありませんが、使用前には医師と十分に相談し、定期的な経過観察が欠かせません。 関節リウマチの治療で使われる生物学的薬剤とは? 関節リウマチの治療は、主に抗リウマチ薬などの従来薬が中心でしたが、近年では「生物学的製剤」と呼ばれる新しい治療薬が広く使われるようになってきました。 本章では、以下3つの項目について解説します。 生物学的製剤と従来薬との違い 生物学的製剤の種類 どのように体に作用するのか 生物学的製剤と従来薬との違い 従来薬は、免疫全体の働きを広く抑制して炎症をコントロールする薬で、内服薬を中心とした治療方法のため、効果の発現に時間がかかる傾向があります。 一方、生物学的製剤は、炎症に関与する特定の物質(サイトカイン)や細胞にピンポイントで作用するため、即効性があり、より高い効果が期待されます。 しかし、生物学的製剤は注射や点滴による投与が必要で、治療費も高額になる傾向があります。 そのため、まずは従来薬で治療を開始し、効果が不十分な場合に生物学的製剤へ切り替えるという流れが一般的です。 生物学的製剤の種類 関節リウマチの注射治療に使われる生物学的製剤には、いくつかのタイプがあり、それぞれ炎症の原因となる免疫の働きに対して、異なるアプローチで作用します。 代表的な生物学的製剤は以下の4つです。 抗TNFα抗体(インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブなど) 炎症を引き起こす「TNF-α」という物質をブロックし、関節の腫れや痛みを抑えます。 IL-6阻害薬(トシリズマブなど) 炎症に関与する「IL-6」というサイトカインの働きを抑制します。 T細胞共刺激阻害薬(アバタセプトなど) 免疫細胞同士の過剰な活性化をブロックし、炎症の連鎖を断ちます。 B細胞抑制薬(リツキシマブなど) 抗体を産生するB細胞の働きを抑えて免疫反応を和らげます。 それぞれの製剤には特徴や適応があり、患者様の病状や体質、他の合併症の有無などに応じて使い分けられます。 どのように体に作用するのか 生物学的製剤は、関節リウマチの炎症に関わる免疫反応の一部を「選択的に抑える」ことで効果を発揮します。 たとえば、関節内で過剰に分泌されるサイトカインに結合してその作用をブロックしたり、特定の免疫細胞の働きをコントロールすることで、関節の腫れや痛みを軽減します。 このような選択的な作用により、高い治療効果が得られる一方、免疫の一部を抑えるために感染症への注意が必要です。 治療を受ける際は、定期的な血液検査や医師の管理のもと、安全性にも十分配慮した継続的なフォローが行われます。 \まずは当院にお問い合わせください/ 関節リウマチ注射の副作用と生物学的製剤の注意点について 関節リウマチの注射治療として使用される生物学的製剤は、効果が高い反面、副作用や注意すべき点もあります。 ここでは、注射治療にともなう副作用やリスクについて詳しく解説します。 関節リウマチ注射のよくある副作用 関節リウマチの注射治療で比較的よくみられる副作用には、以下のようなものがあります。 注射部位の反応(発赤、腫れ、かゆみ、痛みなど) 倦怠感や軽度の発熱 頭痛、吐き気、筋肉痛 これらの副作用は、多くの場合は一時的で、自然に治ることがほとんどです。 とくに皮下注射(薬液を皮膚と筋肉の間にある皮下組織に注入する方法)の生物学的製剤では、注射部位に炎症反応が出ることがありますが、冷やすなどの対処で落ち着くこともあります。 関節リウマチ注射のまれに起こる重篤な副作用 一方で、まれではありますが、注意が必要な重篤な副作用も存在します。 代表的なものは以下の4つです。 感染症のリスク増加(肺炎、尿路感染症、帯状疱疹など) アレルギー反応(アナフィラキシー):急な呼吸困難や発疹、血圧低下などを伴うことがある 肝機能障害や血液異常(肝酵素の上昇、白血球や血小板の減少) 心不全の悪化や間質性肺炎の誘発(既往がある場合) 上記の副作用は頻度こそ低いものの、早期に対応することが重要です。 症状が出た場合は、自己判断で放置せず、必ず主治医に相談しましょう。 関節リウマチ注射の副作用が出やすいタイミングやリスク要因 副作用が出やすいタイミングとしては、投与開始直後や投与変更後の数回目までがとくに注意が必要です。 初回投与では、体が薬に慣れていないため、副作用が出やすくなる傾向があります。 また、以下のようなリスク要因がある場合、副作用の出現や重症化の可能性が高まります。 高齢者 免疫力が低下している人(糖尿病や慢性疾患がある場合など) 他の免疫抑制薬を併用している場合 感染症の既往がある、または現在感染している場合 肝機能や腎機能に問題がある場合 生物学的製剤は、免疫機能に直接働きかける薬のため、「副作用が出るかも」と事前に想定しておくことが大切です。 治療開始前には十分な検査や医師との相談を行い、使用中も定期的なモニタリングを続けることで、安全に治療を継続することができます。 \まずは当院にお問い合わせください/ 関節リウマチ注射の副作用に対する予防策と対処法 関節リウマチの注射治療には高い効果が期待できますが、副作用が心配という声も少なくありません。 副作用を防ぐため、治療前には血液検査や感染症の有無を確認する検査が行われます。 肝機能や腎機能のチェック、結核やB型肝炎などの検査を通して、安全に治療を始められるよう準備が整えられます。 注射後に、注射部位の赤みやかゆみ、軽い発熱などが出ることがありますが、多くは一時的なもので心配はいりません。 ただし、息苦しさや高熱、強い倦怠感などが出た場合は、副作用の可能性もあるため、早めに医師へ相談しましょう。 また、副作用が出やすいのは治療開始初期や、薬を変えた直後のため、体調の変化を記録し、気になる症状があれば遠慮せず医師に伝えることが大切です。 事前の検査と早めの対応によって、多くの副作用は予防・軽減できます。 正しい知識と備えで、安心して注射治療に取り組みましょう。 まとめ|関節リウマチ注射の効果と副作用を正しく理解して治療に臨もう 関節リウマチの注射治療は、症状の進行を抑え、関節の機能を保つために非常に有効な手段です。 生物学的製剤の登場により、これまでコントロールが難しかった症状にも対応できるようになってきました。 一方で、副作用のリスクがあることも事実です。 しかし、治療前の適切な検査や準備、治療中の体調管理によって、多くの副作用は予防・軽減できます。 また、万が一症状が現れた場合でも、早期に対応することで重症化を防ぐことが可能です。 大切なのは、注射治療の効果と副作用の両方を正しく理解し、自分の体と向き合いながら医師と協力して治療を進めることです。不安なことがあれば、一人で抱え込まず、医師に相談しましょう。 しっかりと情報を得て備えることで、安心して治療に臨み、日常生活の質を高める一歩につながります。
2022.02.25 -
- インピンジメント症候群
- 肩関節
「野球肩と呼ばれる症状の疑いがある」 「肩の動きが制限されているけれど手術が必要なのかが不安」など考えていませんか。 実は野球肩と呼ばれる症状は正式には「インピンジメント症候群」を発症している可能性があります。 肩を動かすと痛みや引っ掛かりを感じる方は、スポーツだけでなく、安静にしておくのがおすすめです。 本記事ではインピンジメント症候群の原因や症状、診断方法などを解説します。 おすすめの治療法も解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。 インピンジメント症候群とは インピンジメント症候群とは、肩のこすれや挟まりによって発症する疾患の1つです。 肩関節の周りを取り囲み、肩を支えている腱板がうまく動かせなくなる状態を指します。 インピンジメント症候群と深く関わっているのがスポーツです。 とくに多いのが野球で、ピッチングなどで肩を酷使すると投球障害が起こりやすくなります。 その他、肩をよく使うテニスでも発症しやすいため、スポーツ障害の1つと言えます。 つまり、インピンジメント症候群は、繰り返し肩関節を刺激すると肩に痛みが起こる疾患なのです。 野球ならボールを投げる時、テニスならサーブやスマッシュを打つ時によく発症します。 インピンジメント症候群が発症する原因 インピンジメント症候群は、一般的にスポーツ障害ですが、あながちスポーツだけが原因ではありません。 日常生活でもインピンジメント症候群になりやすい動作について説明します。 肩の使い過ぎ インピンジメント症候群は、スポーツで肩を使う動作に近い行動でも発症します。 たとえば肩を使う仕事が多い方があげられます。 荷物を高い所に上げたり高い場所から下ろしたりする動作がある方は要注意です。 荷物を高い所に上げる時は腕が肩より上になり、肩に負担が掛かかります。 高い所の物を下ろす時も同様、肩に負担が掛かり、一連の動作が多いとスポーツ選手と同様の状態になるのです。 仕事や普段の生活で頻繁に腕を上げ下げする動作があれば、インピンジメント症候群になる可能性があるため注意が必要です。 なお、以下のようなスポーツを日頃から楽しんでいる方は、インピンジメント症候群が発症しやすいスポーツなため、あわせて注意してください。 野球 テニス バドミントン ゴルフ バレーボール 肩に負担がかかるスポーツや仕事をしている方は、症状にあわせて受診するのをおすすめします。 加齢も原因の1つ インピンジメント症候群は、加齢にも関係があります。 加齢によって、肩の高くなっている部分である「肩峰」(けんぽう)の下に「骨棘」(こつきょく:尖った突起物)ができます。 加齢とともに大きくなり、腕の上げ下げで骨同士が衝突(インピンジメント)するようになるのです。 肩そのものの動きがスムーズではなくなり、肩の骨の出っ張りが摩擦・衝突しやすくなる結果、インピンジメント症候群が発症します。 「インピンジメント症候群かも」と少しでも気になる症状がある方は、お気軽にお問い合わせください。 インピンジメント症候群の症状 インピンジメント症候群が発症すると、肩の上げ下げで引っ掛かりを感じるようになります。 症状が悪化すると、肩の上げ下げだけでなく以下のような症状が発症します。 肩のこわばりがある 腕の上げ下げで痛みを感じる 腕の可動域が狭くなる 夜間痛がある インピンジメント症候群になると、肩を上げ切った際に痛みを感じるのではなく、60〜120°の角度で痛みを感じる傾向にあるので、一度試してみましょう。 腕の外側で痛みを感じる方もいるため、腕を後ろに回す動作が伴う野球や、同様の動きをする仕事をしている方は注意してください。 肩の痛みが伴う症状が気になる方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。 インピンジメント症候群の診断方法 インピンジメント症候群かどうか診断するには、主に肩を動かす身体診察を実施します。 肩甲骨を押し下げ、もう片方の手で外転させる方法で、90°を過ぎたタイミングで痛みを感じたらインピンジメント症候群である可能性が高いでしょう。 また、局所麻酔やステロイド注射をし、痛みが改善されればインピンジメント症候群が発症していると診断する方法も実施しています。 来院前にインピンジメント症候群か判断したい方は、エプロンの紐を結ぶ動作で痛みを感じないかチェックしてみてください。 肩の後ろを洗う動作でも痛みを感じる方は、インピンジメント症候群が発症している可能性が高いため、早めの受診をおすすめします。 なお、MRI検査を実施すれば「腱板断裂」を含め、診断可能です。 肩の検査でMRI検査を実施しておきたい理由は、以下の記事で詳しく解説しています。 インピンジメント症候群の治療法 インピンジメント症候群で痛みを発症した場合は、痛みを感じる動きを行わないことが大切です。 その上で痛みには、保存療法や手術療法で治療します。 ここからはインピンジメント症候群について詳しく解説していきます。 保存療法 インピンジメント症候群の治療は、まず飲み薬(消炎鎮痛薬)の使用やステロイド注射による保存療法を行います。 多くの症例で保存療法による治療で症状が軽くなりますが、2〜4週間程度は安静にしておくのがおすすめです。 とくに野球の投球やテニスのサーブなど、肩を駆使する動きをすると、痛みが再発する可能性を高めてしまいます。 安静にせず過度な動作をしてしまうと、症状を悪化させるだけでなく、手術が必要になるケースもあるので注意しましょう。 1日でも早く症状を回復したいと考える方は、以下の記事で解説しているストレッチを実施してみてください。 手術療法 インピンジメント症候群の保存療法でも改善がみられない場合、肩関節鏡による肩峰下除圧術が行われます。 肩峰下除圧術では、こすれの原因箇所を特定し、靭帯の切離や骨の切除をします。 手術の大半で適用される手術で、腱板断裂も同時に治療する場合は腱板修復手術も併用できる治療法です。 「できれば手術はしたくない」と考える方は、以下の動画でおすすめの治療法についても紹介しています。 本記事で解説したインピンジメント症候群の原因も含めて紹介しているので、動画で振り返りたい方におすすめです。 まとめ・インピンジメント症候群とは、その原因、症状と治療法 インピンジメント症候群は、肩を酷使するスポーツ障害ですが、その他にも日常生活の動作や、仕事上での動き、また加齢でも発症します。 とくに肩を使った運動をしていなくても、仕事や日常生活の中で腕を振ったり上げたりする動作が多い方は、インピンジメント症候群になる可能性があります。 年を取ると症状が出やすく、肩の痛みや違和感、肩の動きに異変を感じたら早めに対策するようにしましょう。 スポーツの前後にストレッチを取り入れ、肩の手入れを行い、症状の発生を予防する意識も不可欠です。 インピンジメント症候群の症状かどうか、少しでも不安を感じる方は、メール相談やオンラインカウンセリングを、ぜひご利用ください。
2022.02.25 -
- 変形性膝関節症
- 膝の内側の痛み
- ひざ関節
「変形性膝関節症の手術は、実際どれくらいの成功率なの?」 「変形性膝関節症の手術で失敗が怖い」 このように、不安に思われる方は多いのではないでしょうか。 報告によっては手術後10年間で再手術をせずに過ごせる割合が90%近いケースもあります。 本記事では、変形性膝関節症の手術方法や成功率、入院期間と費用などを詳しく解説します。 手術のメリット・デメリットだけでなく、再手術リスクや再生医療という選択肢についてもわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。 変形性膝関節症の手術成功率|90%以上の報告もあり 変形性膝関節症の手術は主に以下の3種類の術式から選択されます。 関節鏡視下手術 高位脛骨骨切り術 人工関節置換術 どの術式を選択するかは、膝の変形の進行度や痛みの程度、そして年齢などを踏まえて判断されることが一般的です。 それぞれの手術法における成功率や術式を見ていきましょう。 変形性膝関節症の手術は主に以下の3種類の術式から選択されます。 高位脛骨骨切り術 人工関節置換術 関節鏡視下手術 どの術式を選択するかは、膝の変形の進行度や痛みの程度、そして年齢などを踏まえて判断されることが一般的です。 それぞれの手術法における成功率や術式を見ていきましょう。 1.高位脛骨骨切り術|手術後10年で96%が良好な状態を維持 高位脛骨骨切り術は脚の変形を矯正し、関節にかかる偏った負担をなくす手術です。 変形が進行しきっていないことが条件で、人工関節置換術を受ける方より年齢が若い60歳未満の方に適応されることが多い傾向です。 高位脛骨骨切り術により、O脚やX脚などの脚の変形を矯正しても、軟骨のすり減りや、痛みが再発する可能性があります。 将来的には再手術を必要とする場合があります。 ある調査では、この手術を受けた人のうち、10年後に96%、15年後でも90%が良い状態を保っていたという結果が出ています。(文献1) 2.人工関節置換術|手術後10年で99%以上が良好な状態を維持 人工関節置換術は変形性が進行した末期、または60歳以上の方に適応されます。 年齢が重要視される理由は、人工関節の耐久性(15~20年前後)を考慮して、再手術をしなくても良いように考えられているためです。 人工関節置換術をすると、軟骨がすり減る心配をしなくて済むほか、痛みを気にせずに過ごせる可能性が高くなります。 しかし、膝に負担がかかるような過ごし方を続けると、人工関節に破損や緩みが出てきて耐久年数に関わらず再手術の可能性が高まります。 ある研究では、手術後の膝の状態を10年にわたって調べた結果、再び大がかりな手術を受けた人はわずかでした。 5年後の良好な状態の割合は99.4%、10年後も99.3%と高く、12年半たっても96.2%と報告されています。(文献2) 3.関節鏡視下手術|プラセボ効果と変わらない可能性 変形性膝関節症で比較的初期に適応される手術は「関節鏡視下手術」です。 小さなカメラと器具を使って、関節の中を直接見ながら、炎症の原因になる軟骨のかけらを取りのぞいたり、傷んだ半月板の形を整えたりします。 2022年の研究では、実際に関節鏡視下手術を受けた人と、切開のみで治療を行わないプラセボ手術(研究のためのニセ手術)を受けた人で成功したと感じた割合は以下の通りでした。(文献3) 関節鏡視下手術:82% 関節鏡視下手術のプラセボ手術:74% また、2024年の研究では、関節鏡視下手術を受けた人と手術をしない保存療法のみの人で、5年後と10年後に人工関節置換術(TKA)を受けた人の割合について以下の結果が出ています。(文献4) 5年後にTKAを受けた人の割合 10年後にTKAを受けた人の割合 関節鏡視下手術を受けた人 10.2% 23.3% 保存療法のみの人 9.3% 21.4% これらの研究結果から、変形性膝関節症に対する関節鏡視下手術の効果は、実際の手術をしない場合と大きく差がない可能性が高いことが示唆されています。 医療機関や治療法を選ぶ際には、これらの情報も参考に検討することをおすすめします。 変形性膝関節症の手術における入院期間や費用 変形性膝関節症の手術では、術式ごとに入院期間や費用が大きく変わります。 たとえば、関節鏡視下手術は比較的短い入院期間で済む一方、高位脛骨骨切り術や人工関節置換術ではリハビリを含めて長期の入院を要するケースが少なくありません。 費用面も同様に、手術方法や保険の適用割合によって負担額は大きく異なります 以下に、主な術式ごとの入院期間と費用の目安をまとめましたので、参考にしてみてください。 手術名 入院期間 保険適用前費用 3割負担費用 1割負担費用 関節鏡視下手術 2日~3日 約25万円 約7.5万円 約2.5万円 高位脛骨骨切り術 約5~6週間 約146万円 約43.8万円 約14.6万円 人工関節置換術 約1カ月 約186万円 約55.8万円 約18.6万円 ※表の入院期間、費用は病院によっても変わるのであくまで目安の数値になります。 なお、入院中の食事代として1食あたり約110〜490円程度がかかるほか、個室や特別室を希望する場合には1日あたり5,000〜20,000円ほどの差額ベッド代が発生する場合もあります。 以上のように、術式によって滞在期間や費用が大きく変わるため、手術前にしっかりと情報を収集し、家族とも相談することで入院期間や費用に関する不安は減らせます。 【関連記事】 変形性膝関節症の手術後の入院期間は?手術の種類・リハビリ~退院まで医師が解説 変形性膝関節症の手術費用はどのくらい?保険適用の可否についても医師が解説 変形性膝関節症で手術するメリット 変形性膝関節症で手術を受けるメリットとしては、まず起床時の膝のこわばりが軽減する点が挙げられます。 これにより、痛みを意識することなく階段の上り下りができる可能性が高まります。 膝の痛みを気にせず歩き出せるようになるため、外出や趣味などへの意欲が向上する人も少なくありません。 膝をかばう動作が減り、日常生活全般がスムーズになることで精神的にも負担が軽くなるメリットもあります。 変形性膝関節症で手術するデメリット 手術には合併症のリスクが伴います。感染症や血栓症、手術後の痛みや関節の動かしづらさなどが代表的です。 高位脛骨骨切り術のあとに再手術が必要となった場合、膝の変形がさらに進行している可能性が高く、その時点で加齢が進んでいれば、人工関節置換術に移行する可能性もあります。 人工関節置換術後は、膝が完全に曲がらなくなるため、痛みの改善が期待できる一方で、関節の可動域が制限されるデメリットがあります。 そのため、重い荷物を持ったり正座をしたりすることが難しくなる場合も少なくありません。 また、膝に負担をかけるスポーツや動作を続けていると、人工関節が破損やゆるみを起こすリスクが高まり、耐久年数に関係なく再手術が必要になる場合もあります。 変形性膝関節症で手術をしない「再生医療」の選択肢 変形性膝関節症で入院を伴うような大きな手術を必要としない治療選択肢として「再生医療」が挙げられます。 再生医療には、幹細胞治療とPRP(多血小板血漿)療法などがあります。 幹細胞治療は、患者様自身の幹細胞を培養して患部に注射する治療法です。 PRP療法では、患者様の血液を採取して遠心分離器にかけ、血小板を濃縮した液体を患部に注射します。 当院「リペアセルクリニック」では「幹細胞治療」「PRP療法」の両方を提供しております。 「関節内ピンポイント注射」という手法を取り入れているため、体への負担を軽減しながら治療を進められます。 詳しい治療方法や症例が気になる方は、リペアセルクリニックまでお気軽にお問い合わせください。 まとめ|変形性膝関節症の手術における成功率を把握した上で治療を検討しよう 変形性膝関節症の手術は、術式によって成功率が異なります。 病院ごとでも実績や専門性が異なるため、担当医に術式別の成功率を聞いて情報収集してみると良いでしょう。 手術は体への負担が大きいため、念入りな検査や診断のもと、どの治療法が最適かを判断していく姿勢が大切です。 入院を伴うような大きな手術を必要としない治療法をお探しの方は、再生医療をご検討ください。 再生医療について詳しくは、当院リペアセルクリニックにお気軽にお問い合わせください。 変形性膝関節症の手術に関するよくある質問 変形性膝関節症の手術後はどんな生活を送ることになりますか? 手術後は、感染症の予防や傷口の安静といった基本的なケアが必要となり、激しい運動や膝に負担のかかる姿勢はしばらく控えることが求められます。 たとえば、正座やあぐら、長時間のしゃがみ込みなどは痛みや再発のリスクを高める可能性があるため注意が必要です。 人工関節を入れた場合には、破損や緩みのリスクを防ぐ意味でも、大きな負荷が加わる運動を避けるよう指示されることが少なくありません。 また、生活環境を整え、膝への負担を減らす工夫することで、術後の回復をスムーズに進められます。 具体的には、床座をやめて椅子中心の生活に変える、手すりを設置するなど、小さな改善を積み重ねることが回復を早めるコツです。 変形性膝関節症の手術で名医はいますか? 変形性膝関節症の治療を得意とする医師は、全国に多数存在しますが、最適な治療を受けるためには、各医療機関の実績や専門分野をしっかりと調べることが重要です。 ウェブサイトや医師紹介ページを確認し、これまでの手術症例数や学会での活動歴、論文発表などをチェックするのも良い方法です。 さらに、当院ではメスを使用せずに治療をおこなう「再生医療」のスペシャリストが在籍しており、患者様の状態に合わせてより最適な治療法を提案できます。詳しい経歴や実績は「ドクター紹介ページ」をご覧いただき、安心してご相談ください。 場合によっては、医師への直接の質問やセカンドオピニオンも検討し、自分に合った医療機関を選択しましょう。 膝の人工関節手術で失敗例はありますか? 膝の人工関節手術は成功率が高い一方、合併症や感染症などのリスクが完全にゼロになるわけではありません。 術後の痛みや可動域の制限が想定以上に残った場合や、人工関節に過度な負担がかかった結果、破損や緩みが生じる可能性もあります。その際には再手術が必要となるケースも少なくありません。 また、人工関節の素材や術式にはさまざまな種類があり、個々の体質や生活スタイルとの相性が影響を及ぼす場合もあります。術後のリハビリを怠らず、医師の指示に従ったケアで膝の負担を減らすことで、失敗と感じるリスクを抑えられるでしょう。 参考文献 (文献1) 信州大学医学部附属病院 整形外科下肢グループ「高位脛骨骨切り術について」 https://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/medicine/chair/i-seikei/images/03-03-1-008_case-lower_treatment05.pdf (最終アクセス:2025年4月18日) (文献2) 龍 準之助.「人工膝関節の開発と術後成績」日大医誌 70 巻 5 号 pp254~259 2011年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/numa/70/5/70_254/_pdf/-char/ja (最終アクセス:2025年4月18日) (文献3) O'Connor D, et al. (2022). Arthroscopic surgery for degenerative knee disease (osteoarthritis including degenerative meniscal tears). Cochrane Database of Systematic Reviews, CD014328. 10.1002/14651858.CD014328 (最終アクセス:2025年4月25日) (文献4) Birmingham TB, et al. (2024). Incidence of Total Knee Arthroplasty After Arthroscopic Surgery for Knee Osteoarthritis: A Secondary Analysis of a Randomized Clinical Trial. JAMA Network Open, 7(4), e246578. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38635272/ (最終アクセス:2025年4月25日)
2022.02.24 -
- 糖尿病
- 内科疾患
妊娠中には、いろいろと気を付けなければならないことがあります。妊娠糖尿病もその1つです。 もしも、妊娠中に母親が糖尿病になったら、生まれてくる子ども(胎児)や母体にどういった影響があるのか不安になるかと思います。 この記事では、妊娠中に診断される妊娠糖尿病の胎児への影響と、その治療法・予防法について詳しく解説します。また、妊娠糖尿病が母体に与える影響や産後の注意点についても触れていきます。 妊娠糖尿病の胎児への影響 妊娠糖尿病は胎児にさまざまな悪影響を及ぼす危険性が指摘されています。 また妊娠中だけでなく、出産後の子どもに合併症が出てしまう可能性があります。 本項目では妊娠、出産など各時期に起こる可能性のある危険性を紹介します。 さまざまな合併症を引き起こす可能性が高まる 妊娠中に高血糖状態が続くとお腹のなかの胎児も高血糖になり、以下のような合併症を引き起こすことがあります。 子宮内胎児死亡 新生児低血糖 巨大児 低出生体重児 多血症 特発性呼吸促拍症候群 頭蓋内出血 鎖骨骨折 頭血腫 上腕神経麻痺など これらの合併症を予防するためには、妊娠中の血糖値を適切にコントロールすることが重要です。 妊娠中期以降には子宮内胎児死亡の可能性が増加 妊娠糖尿病を患った場合、妊娠32週ごろから突然子宮内胎児死亡を起こすことがあります。36週以降はその頻度が上昇するため、適宜検査を行い、問題がある場合入院処置が必要です。 難産になる可能性が上がる 妊娠糖尿病は難産のリスクも上がることが分かっています。 巨大児や奇形児といった合併症を引き起こした場合、出産時に頭が出た後肩がひっかかってしまい、うまく産道を通れない「肩甲難産」を起こすリスクが高くなります。 また、妊娠糖尿病による母体の高血圧、臓器障害などから、帝王切開分娩の発生率も上がってしまいます。 出産後の子どもへの影響 妊娠糖尿病中は血糖値が高い状態が続き、体内をめぐるブドウ糖の量が増えてしまいます。その結果胎児にもブドウ糖がめぐり、血糖値が上がります。 早い段階で治療に臨めば影響も少なく済みますが、妊娠糖尿病のまま放置してしまうと胎児も高血糖がつづいてしまいます。 血糖値が高いまま生まれた子どもは将来的にメタボリックシンドロームになりやすいという報告も上がっています。生活習慣病、動脈硬化などが発症しやすくなってしまう危険性があるため注意が必要です。 妊娠糖尿病とは? 妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて発見または発症した糖代謝異常のことを指します。 「明らかに糖尿病である」と妊娠中に診断された場合は厳密には妊娠糖尿病とは呼ばず、「妊娠中の明らかな糖尿病」として区別されます。また、妊娠前に発症している糖尿病は「糖尿病合併妊娠」と呼ばれます。 妊娠糖尿病の原因 妊娠すると胎盤から分泌されるホルモンの影響でインスリン抵抗性が強くなってしまいます。インスリンは血糖値を正常にコントロールする働きを担っているため、インスリン抵抗性が上がり働きが弱くなると、血糖値が上がりやすくなります。 妊娠糖尿病を発症すると、母体だけでなくお腹のなかの胎児も高血糖になるため、さまざまな合併症を発症する危険性が高まってしまいます。 妊娠糖尿病の診断方法と診断基準 妊娠糖尿病は、スクリーニング検査と75gブドウ糖負荷試験の2段階の検査で判断します。 スクリーニング検査 妊娠糖尿病のスクリーニング検査はすべての妊婦を対象に妊娠初期と中期に行う検査で、妊娠糖尿病の可能性がある人を抽出する目的で行われます。 妊娠初期の随時血糖値の基準は検査施設によって95mg/dlまたは100mg/dlと異なります。また、妊娠中期の随時血糖値の基準は100mg/dl、50gブドウ糖負荷試験の基準は140mg/dlとなります。 妊娠糖尿病スクリーニング検査で陽性と判断された方は次で説明する75gブドウ糖負荷試験に進みます。 日本産科婦人科学会が推奨している妊娠糖尿病スクリーニング検査 妊娠初期:随時血糖値 妊娠中期:随時血糖値あるいは50gブドウ糖負荷試験 75gブドウ糖負荷試験 妊娠糖尿病スクリーニング検査で陽性が出た場合、75gブドウ糖負荷試験を行います。75gブドウ糖負荷試験では、以下の基準を1つでも満たした場合に妊娠糖尿病と診断されます。 試験基準 空腹時血糖値 ≧92mg/dl 1時間後の血糖値≧180mg/dl 2時間後の血糖値 ≧153mg/dl 妊娠糖尿病の治療 妊娠糖尿病と診断されたら、「血糖値コントロール」に取り組まねばなりません。ただし、妊娠中は運動療法を行うことが難しいため、主として「食事療法」と「薬物療法」を行うことになります。 食事療法で注意すべき点 妊娠糖尿病の治療は食事療法で血糖コントロールを行うことが基本になります。 妊娠中は食後高血糖を起こしやすい傾向がありますが、一方で長時間の空腹状態ではインスリン不足により体内でケトン体が作られ、糖尿病ケトアシドーシスを引き起こすリスクが高まります。特に妊娠中は体調の変化が激しいため、規則正しい食事が大切です。 薬物療法で注意すべき点 食事療法を行っても血糖値のコントロールがうまくいかない場合は薬物療法を行います。 妊娠中の薬物療法では経口血糖降下薬ではなく、インスリン治療を行うことになります。 通常のインスリン療法では血糖値コントロールがうまくいかないという場合はインスリンの基礎量や追加量を補充する方法を取ることがあります。これを強化インスリン療法(インスリンの頻回注射療法やインスリン持続皮下注入療法のこと)といいます。 妊娠糖尿病を早期発見・予防するには 妊娠糖尿病を予防できれば、母体や胎児への影響を減らすことにつながります。 そのためには、まず妊娠糖尿病にかかりやすい人の体質や、悪影響を与える生活習慣を理解しておくことが重要です。 以下で妊娠糖尿病の早期発見、予防に必要な項目を詳しく解説します。 妊娠糖尿病にかかりやすい人の特徴を理解する 以下の体質を持つ人は妊娠糖尿病にかかりやすいと言われています。 肥満 家族に糖尿病の人がいる 35歳以上の妊娠 尿糖の陽性が続く 羊水過多 原因不明の流産、早産、死産の経験がある人 妊娠高血圧症候群の人、もしくは既往歴がある人 もしいずれかの項目に該当しているようであれば注意が必要です。妊娠糖尿病を予防するためには、下の項目を参考に生活習慣の見直しを行う必要があります。 生活習慣の見直し 妊娠中はインスリンの分泌量が増えるため、空腹状態をなるべく作らないことが大切です。空腹を感じた場合は、野菜や豆類、鶏のささみなど良質のたんぱく質を摂るようにしましょう。 また、食事は食べる順番も大切です。野菜から食べ始め、汁物、メイン、炭水化物という順番で食べることで血糖値の急激な上昇を防ぐことができます。 妊娠糖尿病は通常の糖尿病と同様に、生活習慣だけでなく遺伝的要素も関係するといわれています。そのため上記で紹介したような方法を取り入れたにも関わらず妊娠糖尿病を発症したという場合も、あまりストレスに感じる必要はありません。 食事以外には適度な運動も大切です。血流を改善するウォーキングやヨガ、エアロビクスなどの有酸素運動が適切です。しかし、過度な運動はむしろ逆効果になる可能性もあるため、医師の許可を得て行いましょう。 定期健診の受診 妊娠糖尿病は早期発見が大事な病気です。胎児に影響が及ばないよう定期的に妊婦検診を行いましょう。 定期健診を行うことは、正しい生活習慣の維持にも有効です。 出産後、妊娠糖尿病の影響 出産後は急速にインスリン必要量が減少します。そのため、薬物療法を行っている人はインスリンの量を血糖値に合わせて調整する必要があります。 また、妊娠糖尿病患者の方は、正常な妊婦と比べて将来糖尿病を発症する頻度は41~62%だといわれています。(文献1) 産後6~12週間後にブドウ糖負荷試験を受け、妊娠糖尿病が治っているか確認し、その後も定期的に検査を受けることが重要になります。 産後に正常値に戻った人でも、最低でも3年間は産後のフォローアップが必要です。 授乳中の食事は妊娠前の摂取エネルギーから約450kcal程度増やすことを目安にしましょう。これは授乳のための付加エネルギーですので、授乳が終われば元の摂取エネルギーに戻す必要があります。 また、妊娠糖尿病を発症した人がそのままメタボリックシンドロームを起こす例もあります。上記で紹介した治療や予防を行いながら、産後も注意していく必要があります。 まとめ|妊娠糖尿病が胎児や母体に与える影響について解説|治療・予防法も紹介 妊娠前や妊娠中に糖尿病と診断されたときの対処法と母体や胎児への影響について説明しました。 妊娠糖尿病は、妊娠中に発症する糖代謝異常であり、母体や胎児にさまざまな影響を及ぼします。発症すると母体だけでなく、胎児にも影響をおよぼします。また、妊娠中は運動療法が困難なうえ、使用できる薬が限定されるため、治療は慎重に行う必要があります。 妊娠糖尿病は、妊娠中だけでなく出産時、出産後にもさまざまなリスクを引き起こす可能性が高い病気です。 予防のためにも妊娠中の食事や体調管理は特に気を使い、正しい生活習慣を心がけましょう。また、定期的な検査や医師との相談が大切です。 妊娠糖尿病と診断されたら、まずは食事療法や薬物療法を行いましょう。特に妊娠中は運動療法が難しいため、食事やインスリン治療が主な方法となります。 また、糖尿病患者が妊娠を望む場合は血糖コントロールに努め、医師と相談しながら計画的に妊娠することも重要です。妊娠糖尿病にかかりやすい人の特徴についてもまとめていますので、妊娠前に確認することをおすすめします。 妊娠糖尿病患者は産後の糖尿病発症率が高いため、産後も定期的に検査を受けましょう。 当院「リペアセルクリニック」では糖尿病に対する治療として、再生医療を行っております。 幹細胞による再生医療は、血糖値や肝機能値の改善にアプローチします。 再生医療について詳しく知りたい方は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) 平松 祐司. 「妊娠糖尿病」 岡山医学会雑誌, 2011年, 123(3), pp. 243-245. https://www.jstage.jst.go.jp/article/joma/119/1/119_1_79/_pdf (最終アクセス:2025年3月25日)
2022.02.22 -
- 変形性膝関節症
- 膝の内側の痛み
- ひざ関節
変形性膝関節症は、放っておくと少しずつ進行し、日常生活に大きな支障をきたす恐れのある疾患です。 初期段階では痛みが軽くても、対策をせずに放置すると関節の変形が進み、手術が必要になることもあります。 しかし、正しい知識と対策を知っていれば、進行を遅らせたり、悪化を防ぐことは十分に可能です。 本記事では、変形性膝関節症を進行させないために、今日からできる対策やセルフケアの方法をわかりやすく解説します。 変形性膝関節症が進行するとどうなる? 変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨がすり減ることで、関節に炎症や変形が生じる慢性的な疾患です。 とくに中高年に多く見られる疾患で、年齢や生活習慣の影響で徐々に進行していくのが特徴です。 初期段階では「膝がこわばる」「動き始めに違和感がある」といった軽い症状から始まりますが、進行すると関節の隙間が狭くなり、骨同士がこすれ合うようになるため、強い痛みや腫れ、歩行障害などが現れるようになります。 さらに重症化すると、関節が大きく変形し、正座や階段の上り下りといった日常動作が困難になり、最終的には人工関節の手術が必要になるケースも少なくありません。 変形性膝関節症を進行させないためには、早い段階での対策が非常に大切です。 変形性膝関節症を進行させないための5つの対策 変形性膝関節症は、日々の生活習慣を見直すことで進行を抑えられます。 本章では、以下5つの対策について解説します。 膝に優しい生活動作を心がける 適度な運動と筋力トレーニング 体重管理 食事と栄養管理 サポーターやインソールの活用 それぞれの対策について、詳しく見ていきましょう。 膝に優しい生活動作を心がける 膝への負担は、何気ない日常動作の積み重ねによって蓄積されていきます。 とくに、正座や階段の上り下りなどの動作は膝関節に大きなストレスを与えるため、注意が必要です。 正座の代わりに椅子を使う、階段は手すりを使いながら一段ずつ足を揃えて上り下りするなど、膝に負担をかけない工夫を取り入れましょう。 また、立ち上がるときは膝だけに力を入れず、手や太ももの筋肉を活用すること、座るときはドスンと腰を落とさずゆっくりと重心を下げることが大切です。 適度な運動と筋力トレーニング 変形性膝関節症の進行を防ぐには、関節を固めずに動かし続けることが重要です。 ウォーキングなどの有酸素運動や、膝の曲げ伸ばし体操といった軽い運動は、関節の柔軟性を保ち、痛みの緩和にもつながります。 とくに注目したいのが、太ももの前側にある「大腿四頭筋」と太ももの裏側にある「ハムストリングス」です。 この2つの筋肉を鍛えると、膝関節をしっかりと支え、衝撃を吸収する力が高まります。 ここで、大腿四頭筋とハムストリングスを鍛える簡単なトレーニング方法をご紹介します。 【大腿四頭筋トレーニング】 1.椅子に腰をかけて、片側の脚を伸ばしきります 2.座面と水平になるように脚を持ち上げて、10秒間キープします 3.ゆっくり脚を下ろし3秒間休憩します (1〜3を20回繰り返して、脚を入れ替えます。) 【大腿四頭筋・ハムストリングスのトレーニング】 1.椅子の背を両手で持ち、足は肩幅に広げます 2.つま先と膝の向きはまっすぐ向くようにします 3.膝を前に出さず、お尻を後ろに突き出すように上体を落とします (1〜3を1セット5〜10回、1日3セットします。) 体重管理 体重の増加は膝関節へのストレスを大きくする要因のひとつです。 体重が1kg増えると、歩行時には膝への負担が約3〜5kg分増えると言われています。 変形性膝関節症の進行を防ぐためには、適正体重を維持することが非常に効果的です。 いきなり厳しい食事制限をする必要はありません。 1日3食をバランスよく、腹八分目を意識する、夜遅い食事や間食を控えるなど、小さな工夫から始めましょう。 運動との組み合わせで、より効果的に体重をコントロールできます。 食事と栄養管理 軟骨や関節の健康を保つには、日々の食事から栄養素をしっかりと摂取することが欠かせません。 変形性膝関節症の予防や進行を抑えるために役立つとされている主な栄養素は次のとおりです。 コラーゲン:関節軟骨の構成成分を補う(鶏皮、魚の皮、ゼラチンなど) カルシウム:骨の健康を維持(牛乳、小魚など) ビタミンC:コラーゲンの合成を助ける(ブロッコリー、柑橘類など) ビタミンD:カルシウムの吸収を促進(きのこ類、鮭など) 偏りのない食生活を意識し、サプリメントに頼りすぎず、自然な形で摂取することが理想です。 サポーターやインソールの活用 膝関節への衝撃を軽減し、安定性を高めるためにサポーターや靴のインソール(中敷き)を活用するのも効果的です。 とくに外出時や階段の使用など、膝に不安を感じる場面では心強いサポートになります。 ただし、自己判断で選ぶと、かえって膝に負担をかける可能性があるため、サポーターなどを選ぶ際には、整形外科医や理学療法士など専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。 変形性膝関節症の進行を早める生活習慣 変形性膝関節症は、普段の生活習慣が原因で進行を早めてしまい、症状が悪化する場合もあります。 たとえば、膝に違和感がある状態で、ジョギングやジャンプなど膝に強い衝撃を与える動作、激しいスポーツを習慣にしていると、軟骨がすり減ります。症状を悪化させる原因となるため、注意が必要です。 また、正座や深くしゃがみ込む動作も、膝に大きな負担をかけるため控えた方が良いでしょう。 さらに、膝まわりの「冷え」も見過ごしてはいけません。関節が冷えると血流が悪くなり、痛みやこわばりが強くなる傾向があります。冬場や冷房の効いた室内では、ひざ掛けやサポーターなどで膝を冷やさない工夫が必要です。 一見よさそうに見える「膝のマッサージ」や「自己流のストレッチ」も、気を付けなければいけません。痛みを和らげようとして膝を揉みすぎたり、強く押したりすると、炎症を悪化させる可能性があります。 とくに腫れや熱感がある状態では、無理に触ると症状が進んでしまう場合もあります。マッサージや運動をする場合は、医師や理学療法士の指導のもとで安全に行うことが大切です。 変形性膝関節症を進行させないためにも、日々の生活習慣を見直し、膝にやさしい行動を意識していきましょう。 セルフケアだけでは危険?病院へ行くべきタイミングとは 変形性膝関節症の症状が進行してしまった場合、セルフケアだけでは対処しきれなくなることがあるため、適切なタイミングで医療機関を受診しましょう。 たとえば、膝の痛みが日ごとに強くなっていたり、安静にしていても痛みが引かない場合は、関節内で炎症が進んでいる可能性があります。 また、膝が思うように曲がらなかったり、階段の上り下りに支障が出てきたりするような状態も、病状の進行を示すサインです。 こうした症状がある場合は、我慢せずに整形外科などの専門医に相談することが大切です。 早期の段階で受診すれば、薬の処方や理学療法によって進行を抑え、生活の質を保つことも可能です。 また、専門家の指導によるリハビリテーションは、筋力の強化や可動域の改善に効果的であり、痛みの軽減や日常動作の安定にもつながります。 セルフケアで症状を和らげることは大切ですが、「少しおかしいかも」と感じた時点で医療機関を受診しておくことも、変形性膝関節症を進行させないための大きなポイントです。 自分の膝の状態を過信せず、早めの対応を心がけましょう。 変形性膝関節症を進行させない再生医療という新しい選択肢 変形性膝関節症の治療というと、「手術を受けなければ治らないのでは?」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。 「再生医療(幹細胞治療)」は手術を必要としない治療選択肢の一つです。 再生医療とは、患者様自身の体から取り出した細胞(幹細胞)を使う治療法です。幹細胞が持つ他の細胞に変化する「分化能」という働きを活用します。 変形性膝関節症に対する再生医療は、日帰りで実施でき、入院する必要はありません。 また、ご自身の細胞を使用するため、拒絶反応のリスクが低いのが特徴です。 再生医療についての詳細は、以下のページをご覧ください。 まとめ|変形性膝関節症は正しく対処すればコントロールできる 変形性膝関節症は、早めに気づき、きちんと対処すればコントロールできる病気です。 膝にかかる負担を減らす工夫や、適度な運動、バランスの取れた食事など、毎日の小さな積み重ねが、将来の歩行能力や生活の質を大きく左右します。 また、症状が悪化する前に医療機関を受診し、必要に応じたリハビリや専門的な治療を受けることで、より良い経過が期待できます。 自分の膝と前向きに向き合い、無理なく、長く健康に歩ける毎日を目指していきましょう。 なお、当院「リペアセルクリニック」では変形性膝関節症に対する再生医療の治療を行っています。 当院では、治療をご検討いただく前に、患者様の症状や膝の状態を詳しく診察し、治療の適応や内容について丁寧にご説明いたします。 治療に関するご質問やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。専門医が患者様のご状況に応じて、治療の選択肢についてご提案いたします。 ▼以下も参考になれば幸いです 膝の病気!鵞足炎と変形性膝関節症についてと、その違いを解説!
2022.02.22 -
- 糖尿病
- 内科疾患
「糖尿病の発症率が高い都道府県はどこ?」 「自分の住んでいる地域のリスクを知りたい…」 このような疑問をお持ちではないでしょうか? 糖尿病は生活習慣によって発症リスクが変わる病気です。そのため、地域ごとに患者数や割合に差があり、特定の都道府県では発症率が高い傾向にあります。 本記事では、最新の糖尿病患者数が多い都道府県ランキングを紹介します。地域ごとの特徴や予防策についても解説するので、糖尿病対策を考えている方はぜひ参考にしてみてください。 【最新版】糖尿病の都道府県ランキング 糖尿病の都道府県別ワースト・トップランキングを見ていきましょう。 以下は、厚生労働省が報告している都道府県ごとの糖尿病による死亡率のワースト・トップランキングです。 ワースト(死亡率が高い都道府県の順位)※数値は死亡率 トップ(死亡率が低い都道府県の順位)※数値は死亡率 1位 青森県:20.2% 神奈川県:7.8% 2位 徳島県:17.9% 愛知県:7.9% 3位 香川県:17.8% 東京都:8.8% 参考:厚生労働省|平成30年人口動態統計「主な死因の死亡数・死亡率(人口10万対)都道府県別」 糖尿病の死亡率が高いワースト1位の都道府県は、青森県でした。次いで、徳島県、香川県と続きます。 一方、死亡率が低いトップ1位の都道府県は、神奈川県、愛知県、東京都となっています。 以下で、ワースト1位の青森県と、トップ1位の神奈川県について詳しく見ていきましょう。 ワースト1位は青森県|考えられる原因は? 青森県では、冬の厳しい寒さに備えるために、塩分を多く含む食事が長年親しまれてきました。 たとえば、保存食として塩漬けの魚や漬物を食べる文化が根付いています。これにより、食塩の摂取量が増え、糖尿病のリスクが高まります。 また、冬季は積雪が多く、外での運動が難しいのが現状です。運動不足は血糖値を下げる働きが低下し、糖尿病の発症や悪化の原因となります。 青森県では糖尿病の予防と管理のために、公式ホームページで糖尿病の基礎知識やリスクについての情報を発信しています。さらに「青森県糖尿病性腎症重症化予防プログラム」を策定し、糖尿病による腎症の重症化を防ぐための取り組みを強化しました。このプログラムは令和4年3月24日に改定され、より効果的な対策が進められています。 トップ1位は神奈川県|独自の取り組みは? 神奈川県がトップである背景には、県民の健康意識の高さと、行政の積極的な取り組みが関係していると考えられます。 神奈川県では、喫煙率が全国平均よりも低く、日々の運動量も多い傾向があります。(文献1) たとえば、歩数の平均値は全国平均を上回っており、女性は全国でもっとも歩いていることが分かっています。(文献1) こうした生活習慣が、糖尿病の発症リスク軽減につながっているのでしょう。 神奈川県は「かながわ糖尿病未病改善プログラム」を打ち立て、市町村や医療機関と連携し糖尿病が重症化する前の予防に力を入れています。 11月14日の世界糖尿病デーには、シンボルマークであるブルーサークルにちなみ県内5カ所の建物をブルーライトで照らし、糖尿病予防の重要性を広く伝えています。 こうした多角的な取り組みが、神奈川県民の糖尿病発症率を抑制しているのでしょう。 都道府県によって糖尿病の死亡率に差がある理由 糖尿病の死亡率は、都道府県ごとに大きな差があります。その理由には、食生活や生活習慣の違いが関係しています。 塩分や糖分の多い食生活 運動不足になりやすい環境 飲酒量 喫煙率 それぞれの要因が糖尿病のリスクにどのように影響するのかを見ていきましょう。 塩分や糖分の多い食生活 塩分や糖分の摂り過ぎは高血圧および糖尿病のリスクを高めます。 糖尿病死亡率ワースト1位の青森県は、野菜の摂取量は多いものの、塩分摂取量が男女ともに全国平均を上回っています。 これは、青森県の伝統的な食文化である塩分の多い保存食や、濃い味付けの料理が影響していると考えられるでしょう。 運動不足になりやすい環境 運動不足も糖尿病のリスク要因です。運動しないと、血糖値をコントロールしにくくなるためです。 地方は車社会であり、日常的に体を動かす機会が少ない傾向にあります。糖尿病の死亡率ワースト1~3位である青森県・徳島県・香川県は、いずれも地方に該当します。また、雪国である青森県は、冬期間は屋外での運動が難しく、室内で過ごす時間が増えるでしょう。 これらの環境要因が、地域住民の運動不足を招き、糖尿病のリスクを高めていると考えられます。 飲酒量 アルコールの過剰摂取は、肝臓や膵臓に負担をかけ、糖尿病発症のリスクがあると知られています。 お酒には糖分が含まれている種類も多いため、過度な飲酒は血糖値の上昇につながります。 糖尿病死亡率ワースト1位の青森県は、成人1人当たりの酒類販売(消費)数が全国2位と、飲酒量が多い県です。(文献2)飲酒が習慣化している地域では、糖尿病の発症率も高くなる傾向にあります。 喫煙率 喫煙は、血管を収縮させて血圧を上昇させるため、糖尿病のリスクを高めます。また、血管を傷つけることでインスリンの働きが弱まり、発症率が高まるリスクもあります。 糖尿病死亡率ワースト1位の青森県は、喫煙率が全国で10位以内です。運動不足や食生活の問題に加え、喫煙による健康への悪影響が懸念されます。 日本における糖尿病患者数の推移 厚生労働省によると2023年10月時点の日本の糖尿病患者数は218万人を超えていることが報告されています。(文献3) また、以下のグラフから、糖尿病は高齢になるにつれて発症しやすい病気だとわかります。 出典:厚生労働省|国民健康・栄養調査「糖尿病が強く疑われる者の割合」 日本透析学会によると1983年に5万3,017人だった透析患者数が2023年には34万3,508人にまで増加しており、原因疾患の約4割が糖尿病性腎症であることがわかっています。(文献4) 糖尿病の患者数を増やさないための動き 厚生労働省は、糖尿病をはじめとする生活習慣病を防ぐために、健康づくりを進める取り組みをおこなっています。 具体的には、基本方針を決めて、以下9分野で70項目の具体的な目標設定を定めています。(文献5) 栄養・食生 身体活動、運動 休養、こころの健康づくり たばこ アルコール 歯の健康 糖尿病 循環器病(脳卒中を含む) がん 糖尿病を増やさないための取り組みは「栄養・食生活」分野では「野菜の1日当たり平均摂取量350g以上」、「身体活動・運動」分野では「日常生活における歩数(男性)9,200歩以上」などです。 なお、糖尿病の治療においては再生医療も選択肢として挙げられます。体内の幹細胞を点滴投与して、すい臓・血管の機能再生を促し糖尿病治療を進めます。 再生医療について詳しく知りたいという方は、メール相談、オンラインカウンセリング も承っておりますので、ぜひご活用ください。 まとめ|最新の糖尿病における都道府県ランキングをチェックして健康の意識を高めよう 都道府県ごとの糖尿病における死亡率や糖尿病患者数の推移を見てきました。 地域によって、食生活や運動習慣に差があり、それによって糖尿病の患者数も変わる傾向があります。 糖尿病は早い段階で発見し、治療に取り組めば健康な人と変わらない生活を送れる病気です。 糖尿病の患者数の多い地域に住んでいたとしても、早い段階で食習慣を改善し、積極的に検診を受ける意識を持てば、糖尿病の予防や進行の抑制につながります。 健康意識を高めて、糖尿病の対策を進めていきましょう。 当院リペアセルクリニックでは、糖尿病の症状や治療法についてのご相談を受け付けております。メール相談やオンラインカウンセリングより気軽にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) 厚生労働省「平成28年国民健康・栄養調査」 https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/kekkagaiyou_7.pdf (最終アクセス:2025年2月21日) (文献2) 国税庁「令和3年度成人1人当たりの酒類販売(消費)数量表(都道府県別)」 https://www.nta.go.jp/taxes/sake/shiori-gaikyo/shiori/2023/pdf/0035.pdf (最終アクセス:2025年2月21日) (文献3) 厚生労働省「推計患者数」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/23/dl/suikeikanjya.pdf (最終アクセス:2025年2月21日) (文献4) 日本透析医学会雑誌「わが国の慢性透析療法の現況」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsdt/57/12/57_543/_article/-char/ja (最終アクセス:2025年2月21日) (文献5) 厚生労働省「健康増進法の概要」 https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/12/dl/s1202-4g.pdf (最終アクセス:2025年2月21日)
2022.02.21 -
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- 健康・美容
コラーゲンにはどのような効果があるのか、どのように摂取すれば良いのか知りたい方はいませんか。 コラーゲンは美容的に注目されていますが、実は身体にとっても非常に重要な栄養素です。 この記事では、コラーゲンの効果や効率的に摂る方法についてご紹介します。コラーゲンについての知識を深めることで、身体の健康のために習慣的に摂り入れるきっかけになるでしょう。 そもそもコラーゲンとは? コラーゲンと聞くと、肌に良いイメージを持たれる方もいるのではないでしょうか。しかし、コラーゲンの働きは皮膚だけではありません。 コラーゲンとは、人間の体内に存在するタンパク質の1種です。タンパク質は人間の筋肉や臓器など、身体のさまざまな場所に分布しています。 また、タンパク質は炭水化物と脂質に並ぶ三大栄養素のため、人間の身体にとって必要なエネルギー源でもあるのです。コラーゲンは体内のタンパク質の約30%を占めており、以下のような組織に多く含まれています。 皮膚 骨 血管 そして線維性コラーゲンや基底膜コラーゲンなど、組織の部位ごとに分類されており、現在わかっているものだけで29種類あります。ここでは、コラーゲンの役割や種類について詳しくみていきましょう。 コラーゲンの役割 皮膚の約70%はコラーゲンで構成されているといわれており、肌に弾力やハリを維持する働きがあります。 そしてコラーゲンは皮膚だけではなく、以下のような組織にも含まれており、それぞれの強度や柔軟性を保つ機能もあるとされています。 骨 関節 腱 靭帯 例として、骨にコラーゲンが含まれることでクッションのような役割が生まれ、強い衝撃から守る働きがあるのです。 関節に含まれているコラーゲンには、骨同士の摩擦による擦り減りを防ぐ役割を担っています。このように、コラーゲンは肌だけでなく骨や関節に密接に関わっています。 コラーゲンの種類 コラーゲンには多くの種類があり、おもに「Ⅰ〜Ⅴ型」の5つのタイプに分類できます。それぞれのタイプの特徴について、以下の表にまとめました。 タイプ 線維性・非線維性 役割 含まれている場所 Ⅰ型 線維性コラーゲン 骨や皮膚を作る 組織の弾力を生み出す 皮膚、骨、腱、靭帯など (体内に最も多く含まれている) Ⅱ型 関節や軟骨の成分となる 関節、軟骨、目の角膜など Ⅲ型 肌のダメージ回復 組織の柔軟性を生み出す 皮膚、血管、内臓など Ⅳ型 非線維性コラーゲン 細胞同士をつなぐ 細胞の成長を促進させる 基底膜(表皮と真皮の間にある組織) Ⅴ型 線維性コラーゲン Ⅰ型・Ⅲ型に含まれている 血管、筋肉、胎盤など このように、コラーゲンの種類によって分布場所や役割が異なることがわかるでしょう。 コラーゲンは加齢により減少する コラーゲンは健康の維持に欠かせないものですが、年齢とともに減少傾向にあります。加齢にともなって細胞の数が減ったり、衰えたりするとコラーゲンが合成しにくくなるからです。 また、紫外線による影響でも皮膚のコラーゲンが減少することがわかっており、シワやたるみなどの原因となっています。肌の健康のためにも、日光を長時間浴びるのはできるだけ避けましょう。 コラーゲンの主な効果 コラーゲンは、口から摂取する場合の科学的な有効性はなく、効果が期待できないとされています。 ただし、「まったく効果がない」とはいい切れず、明確な結論が出ていないのが現状です。 ここでは、コラーゲンのおもな効果について解説します。 *参考資料:サプリメントの効果について|公益法人日本整形外科学会 肌に潤いやハリ・弾力を与える コラーゲンには、肌の潤いやハリ・弾力などをサポートする効果があるとされています。前述したように、身体を構成するタンパク質の約30%はコラーゲンといわれています。 このコラーゲンが表皮と真皮の間にある「基底膜」に存在することで、それぞれの皮膚がつながり合い、肌の状態を良好に保っているのです。シワやたるみを予防し、きめ細かい肌をキープしたい方にとって、コラーゲンの摂取は重要といえるでしょう。 また、コラーゲン以外にも肌の状態を改善する方法として、「再生医療」があります。再生医療とは、自身の再生能力が備わった細胞を使用した治療法で、肌の健康に必要な成分・組織の申請が期待できます。 関節の動きを改善する コラーゲンは肌の健康だけでなく、関節の動きの改善にもつながります。前述したように、コラーゲンは関節にも含まれており、骨同士の衝突や摩擦をやわらげるクッションのような役割を果たしています。 関節内のコラーゲンを保つことで、クッション作用が維持され、動きがスムーズとなるのです。実際に、傷ついた関節の治療時にコラーゲンのサプリメントを摂取したところ、修復が早くなったとの結果も報告されています。 また、「変形性膝関節症」の症状の改善にも効果があることもわかっています。変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨がすり減り、痛みが出ている状態のことです。変形性膝関節症に対しては、コラーゲンだけでなく再生医療も有効とされています。再生医療によって膝の軟骨の再生を促すことで、変形性膝関節症による痛みの改善が期待できます。 骨を丈夫にする コラーゲンには骨を丈夫にする効果があるとされています。骨を丈夫にする栄養素として、カルシウムのイメージが強いですが、実はコラーゲンも大きく関わっています。 骨を構成する約30%がコラーゲンでできているといわれており、その線維にカルシウムが付着しているのです。 コラーゲンが関与することで骨の強度が高まるとともに、柔軟性が備わって外部からの衝撃をやわらげています。反対に、コラーゲンが不足するとカルシウムが付着しにくくなり、骨がスカスカになる「骨粗鬆症」の原因となります。 コラーゲンを効果的に摂る方法 コラーゲンを効果的に摂るためには、どのような方法がおすすめなのでしょうか。ここでは、効果的に摂取するための方法を詳しく解説します。 コラーゲンを多く含む食べ物を摂取する まずは、コラーゲンを多く含む食べ物の摂取を心がけましょう。コラーゲンが豊富な食べ物は、以下のとおりです。 食べ物 100gあたりのコラーゲン量(mg) フカヒレ 9,920 はも(皮のみ) 7,660 うなぎの蒲焼き 5,530 牛すじ 4,980 鶏軟骨(胸肉) 4,000 はも(皮付き) 3,560 豚白もつ 3,080 鮭(皮付き) 2,410 鶏手羽先 1,550 これらの食べ物を取り入れることで、効率的にコラーゲンの摂取が可能です。 サプリメントを摂取する コラーゲンを多く含む食べ物の摂取が難しい場合は、サプリメントの活用がおすすめです。サプリメントであれば気軽にコラーゲンを摂取できるので、無理して食事量を増やす必要はありません。 効率的にコラーゲンを取り入れるためには、「コラーゲンペプチド」の商品を選択しましょう。コラーゲンペプチドとは、コラーゲンを分解してさらに小さい分子にしたもので、体内で吸収しやすくなります。 コラーゲンを効果的に取り入れるコツ コラーゲンを取り入れるためには、どのようなことを意識すれば良いのでしょうか。ここでは、コラーゲンを効果的に取り入れるコツをご紹介します。 ビタミンCと鉄分を多く含む食べ物を一緒に摂る コラーゲンだけでなく、ビタミンCや鉄分を多く含む食べ物と一緒に摂るようにしましょう。これらの栄養素は、コラーゲンの生成をサポートする役割があるとされています。ビタミンCや鉄分が多く含まれている食べ物は、以下のとおりです。 ぜひ、これらの食べ物を意識的に摂り入れてみてください。 寝る前に摂取することを習慣化する なるべく、寝る前のコラーゲンの摂取を習慣化しましょう。皮膚や筋肉などの組織が作られる時間帯は、睡眠中とされています。 そのため、寝る前にコラーゲンを摂取しておけば組織が効率的に生成され、肌の健康につながりやすくなります。 睡眠を十分にとる 寝る前にコラーゲンを摂取するだけでなく、睡眠時間の十分な確保も重要です。睡眠中に成長ホルモンが分泌されることで、皮膚や筋肉などが生成されます。 しかし、睡眠不足になって成長ホルモンの分泌量が少なくなると、その分生成が遅れてしまいます。十分な睡眠時間を確保し、コラーゲンの効果を高めていきましょう。 まとめ|コラーゲンをうまく取り入れて効果を実感しよう! コラーゲンはタンパク質の1種であり、肌や骨などのさまざまな組織に分布しています。コラーゲンには肌のハリや弾力を改善したり、骨を丈夫にしたりする効果があるとされています。そのため、身体の健康にとっては欠かせない成分といえるでしょう。 コラーゲンの効果を高めるためには、特定の食べ物やサプリメントを摂取することが重要です。また、ビタミンCや鉄分と一緒に摂取する、睡眠時間を確保するなどの工夫もおすすめです。 ぜひ今回の記事を参考にして、コラーゲンを意識的に摂り入れてみましょう。 コラーゲンの効果に関連するよくある質問 Q. 低分子コラーゲン(コラーゲンペプチド)とはなんですか? A. 低分子コラーゲンとは、コラーゲンタンパク質の分子を小さくしたものです。低分子コラーゲンは「コラーゲンペプチド」とも呼ばれ、粒子が細かいために吸収されやすいメリットがあります。 コラーゲンペプチドはサプリメントとして錠剤やパウダー、ドリンクに配合されており、種類もさまざまです。 Q. コラーゲンの摂取によりアレルギー反応を起こす可能性はありますか? A. サプリメントの原料になっている以下のような動物が原因で、アレルギー反応を起こす可能性があります。 牛 豚 鶏 魚 例として、鶏や卵にアレルギーがある方は、鶏が原料になっているコラーゲンは避けたほうが良いでしょう。 コラーゲンによるアレルギー反応でアナフィラキシーを起こした事例も報告されているため、摂取する際は十分に注意が必要です。
2022.02.16 -
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- 膝の内側の痛み
- 膝の慢性障害
鵞足炎(がそくえん)とは「鵞足(がそく)」と呼ばれる膝関節の内側より下方に位置する脛骨付近で起こる炎症です。 鵞足炎は、ランニングや坂道の上り下りなどで膝を酷使すると発症しやすくなります。 ある日突然、膝の内側が痛み出した場合、鵞足炎の可能性も視野に入れていきましょう。 本記事では、鵞足炎の症状や原因を詳しく解説します。治療法も紹介しているので、鵞足炎の疑いがある方は参考にしてみてください。 鵞足炎とは? 鵞足炎(がそくえん)とは、膝の内側下部に位置する「鵞足」に炎症が起こる疾患です。 鵞足は「縫工筋」「半腱様筋」「薄筋」という三種類の筋肉に付着している腱が脛骨にくっついている場所を指しています。 鵞足炎を発症していると膝の屈曲や股関節を内転する動きで膝に痛みを覚えます。 膝を酷使するスポーツ選手が発症しやすいといわれており、膝への大きな負荷だけでなく打撲などの外傷を原因として発症する可能性もあります。 鵞足炎の主な原因や症状 鵞足炎になってしまう主な原因や症状を解説します。 鵞足炎の原因 鵞足炎の症状 鵞足炎は、長時間のランニングや膝に負担がかかることで発症する可能性が高くなります。 初期段階では安静にしていると痛みが落ち着くこともありますが、悪化すると歩行が困難になるほどの痛みを感じるケースも。 以下では、鵞足炎の原因と症状について、それぞれ詳しく解説していきます。 主な原因 鵞足炎を引き起こす主な原因を以下にまとめました。 長距離を走ったりダッシュしたりする 不適切なトレーニングをする 運動前にストレッチを怠る 急な坂道を急激に長時間走る 肥満体形で膝に負担がかかっている このように鵞足炎という病気は、スポーツにかかわる障害として代表的な疾患のひとつです。 主な症状 鵞足炎を発症すると、初期では膝関節の内側部より5㎝ほど下方の部位が痛くなり、その部位を押すとさらに強い痛みをともないます。 また、運動時や階段昇降時に疼痛症状が悪化しやすく、さらに病状が進行すると安静時にも同部位が疼くように痛みを感じる場合もあります。 鵞足炎と似ている症状に「変形性膝関節症」という外傷があります。 以下の記事では、鵞足炎と変形性膝関節症の違いを詳しく解説しているので、ほかの外傷の可能性を視野に入れている方は、参考にしてみてください。 鵞足炎の治療期間について 鵞足炎が治るまでにかかる期間は、一般的には2週間前後です。 適切な治療とリハビリによって改善できる疾患のため、痛みがある時は安静にし、治療に専念することが重要です。 また、早期に回復させるためにも膝に痛みを感じたら早めに医療機関を受診しましょう。 以下の記事では、病院に行くべき症状やタイミングについて詳しく解説しているので合わせてご覧ください。 鵞足炎の主な治療法3つ 鵞足炎に有効な3つの治療法を紹介します。 理学療法 ステロイドによる注射治療 テーピング・サポーター 1つずつ順番に見ていきましょう。 理学療法 鵞足炎の治療で多いのは理学療法です。 理学療法ではストレッチによるケアを重点的におこなう場合があります。なぜなら、鵞足炎は太ももの筋肉が硬くなると膝の症状が悪化しやすく、ストレッチで筋肉部の緊張を和らげるのが有効だからです。 注意点としては、炎症が強くて痛み症状が顕著な時期にストレッチ運動を過剰に実践してしまうと、逆に膝の痛みが悪化する原因になりかねないとの指摘もあります。 したがって、症状がひどい際には軽めのストレッチに留めておき、十分な安静を保持して、患部のアイシングや消炎鎮痛剤の服薬などの対処策を検討していきます。 ステロイドによる注射治療 鵞足炎の治療では、滑液包の内部に少量ステロイド薬を直接的に注射する方法もあります。 ステロイドによる注射治療は、すぐに症状が軽快するケースが多く認められます。しかし、数か月経過すると膝の痛みが再燃する可能性もあります。 テーピング・サポーター テーピングやサポーターには、動きを制限させる働きがあります。安静が必要な時期に活用すれば、膝周りの動きを制限して炎症の沈静化を早められるでしょう。 テーピング・サポーターの利用は早期回復を促進する上で、有効なアイテムといえます。 スポーツや仕事をしているときに膝の内側に痛みを感じたら、弊社『リペアセルクリニックのドクター』にご相談ください。 スポーツ外傷や加齢による腱や靭帯の損傷・炎症の治療に詳しいドクターが、患者さまに合った治療法を一緒に考えていきます。 鵞足炎を早く治す方法として先端医療の再生医療を検討しよう 鵞足炎による膝下の痛みを早く治したい方は、再生医療による治療も選択肢の一つです。 再生医療とは、患者さま自身の細胞を活用して損傷した鵞足の再生・修復を図る医療技術のことです。 患者さま自身の細胞のみを使用することで、拒絶反応やアレルギーなどの副作用リスクが少ない治療法として近年注目されています。 また、手術や入院不要で治療できるため、手術を避けたい方や早く日常生活に復帰したい方にも推奨されます。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、鵞足炎に対する再生医療の治療法や症例を配信しているので、ぜひご参考ください。 鵞足炎に関するよくある質問 鵞足炎に関するよくある質問と回答をまとめて紹介します。 鵞足炎を早く治す方法はありますか? 鵞足炎を早く治すためには、運動を控えて安静に過ごすのがもっとも効果的です。 炎症を起こしている状態で無理に動けば、患部に負担がかかり回復を遅らせます。 ストレッチは鵞足炎の予防や改善に効果がありますか? ストレッチは鵞足炎に有効です。 先述のとおり、鵞足炎は太ももの筋肉が硬くなると症状が悪化しやすくなります。そのため、太ももの筋肉をほぐすストレッチが 予防と改善に効果的です。 太もものストレッチには「長座体前屈」がおすすめです。 太ももの裏側が伸び、筋肉の緊張がほぐれます。 鵞足炎になってもスポーツはできる? 鵞足炎を発症している最中は、運動を控えて安静に過ごしましょう。炎症が悪化して、痛みや腫れといった症状が強く現れる可能性があります。 炎症が沈静化して、症状が落ち着いたらスポーツを再開して問題ありません。ただし、急に動くと膝に負担がかかり再発リスクを伴うので、様子を見ながら少しずつ運動量を調整していきましょう。 【まとめ】鵞足炎の原因となる膝への負担を避けて日頃からケアすることが重要 鵞足炎は、マラソンや坂道の上り下りといった膝を酷使する運動で発症しやすい疾患です。 身体を動かしていて膝の内側が痛み出したら、鵞足炎の可能性を視野に入れ早めに医療機関を受診しましょう。 鵞足炎は再発しやすい疾患ともいわれているため、担当医師や理学療法士の指導や助言のもと、焦らず治療を進めていく姿勢が大切です。 「膝の内側が痛み出したけど、どの医療機関を受診すればいいのかわからない…」という方は当院『リペアセルクリニック』にご相談ください。 スポーツ外傷に詳しいドクターが、患者さまの状態や症状に合った治療法を一緒に考えていきます。
2022.02.16 -
- ひざ関節
- 半月板損傷
「半月板損傷でやってはいけないことは?」 半月板損傷と診断された方は、早く治すためにも以下のような動作には注意する必要があります。 今までは半月板損傷が悪化すると手術が一般的でしたが、近年の治療では半月板損傷を手術せずに治療できる再生医療が注目されています。 当院リペアセルクリニックの公式LINEをご登録いただいた方限定で「再生医療の基礎がわかるガイドブック」を無料で配布中です。 「半月板損傷を早く治したい」「手術したくない」という方は、ぜひご参考ください。 ▼半月板損傷を手術せずに治療できる再生医療について以下からご覧ください 半月板損傷でやってはいけないこと【7選】 半月板損傷でやってはいけないこととして、主に以下の7つがあげられます。 急な動き出しや方向転換をする 階段の昇り降りをする 膝を大きく曲げる体勢をとる 長時間の立ちっぱなしや歩行 膝に負担がかかるスポーツや運動 急激な体重増加 膝に負担のかかる靴の着用 以下では、それぞれについて詳しく解説します。 急な動き出しや方向転換をする 急な動き出しや方向転換は膝を捻るような力が加わるため、半月板への負担がかかりやすく、痛みの悪化につながります。 方向転換する際は、焦らずにゆっくりと行うようにしましょう。 また方向転換に関わらず、どのような動作でも性急に行わないように注意することが大切です。 階段の昇り降りをする 階段の昇り降りの動作は膝関節にかかる負担が大きく、頻繁に行うと症状が悪化する恐れがあります。 半月板損傷の方は階段の使用はなるべく控え、エレベーターやエスカレーターなどを活用しましょう。 階段を昇り降りしなければいけない場合は、手すりや杖の使用がおすすめです。 膝を大きく曲げる体勢をとる 正座や和式トイレなどは膝を大きく曲げる必要があり、半月板や関節に負担がかかります。 とくに和室や古い建物で生活している方は、このような膝を大きく曲げるような動作が多い傾向にあります。 膝の負担を軽減するには、イスを中心とした生活に切り替える、洋式トイレに改修するなどの工夫が必要です。 長時間の立ちっぱなしや歩行 長時間の立ちっぱなしや歩行も膝への負担が蓄積することで半月板にダメージが加わるため、できるだけ避けましょう。 膝への負担を軽減するために、以下のような対策がおすすめです。 杖を使用する 途中で休憩する 膝サポーターを装着する 長時間立ったり歩いたりする必要がある場合は、上記のような対策をして膝への負担軽減を図ることが大切です。 膝に負担がかかるスポーツや運動 サッカーやバスケットボールなどの膝への負担が大きいスポーツや、ランニングなどの長時時間走る運動は控えましょう。 半月板損傷になった場合、急な方向転換やジャンプを頻繁に行うスポーツは、完治するまで絶対に避けるべきです。 膝に負担のかからない体勢でできるストレッチや筋トレや、膝への負担が少ない水泳を取り入れて筋力を維持するのがおすすめです。 急激な体重増加 急激な体重増加も膝への負担となり、半月板損傷を悪化させる原因になるため、体重管理を徹底しましょう。 体重が1kg増加すると、歩行時の膝への負担が約3kg増加するといわれているほど、体重増加による膝への負担は大きいです。 膝の痛みで運動量が減ると体重増加につながるため、食生活の改善などから始めてみましょう。 また、ストレッチや短時間のウォーキングなど膝に負担の少ない運動習慣を身につけることも重要です。 膝に負担のかかる靴の着用 半月板損傷の方は、クッション性がない靴やヒールの高い靴など、膝に負担のかかる靴の着用は避けましょう。 また、サイズが合っていない靴も足や膝に負荷がかかり、半月板損傷が悪化する原因になります。 クッション性のあるスニーカーや膝の負担を軽減できるインソールの使用など、膝への負担を軽減する工夫が必要です。 半月板損傷の主な症状と原因とは 半月板とは、太もも側の大腿骨と、すね側の脛骨の間に存在する軟骨でできた板のような組織です。 アルファベットのC型のような特徴的な形状をしており、膝関節の内側と外側に1つずつ存在します。 膝には、以下のような関節を構成する組織があり、半月板は、それらを安定させる役割があります。 軟骨 靭帯 筋肉 腱 それ以外にも半月板は膝関節のクッションとして作用し、膝の荷重や衝撃などを軽減したり、膝の動きを滑らかにしたりする働きもあるのです。 このように、半月板は膝を構成する大切なパーツですが、急激な衝撃や過度な負荷がかかることで損傷する場合があります。 ここでは、半月板損傷の症状や原因について解説します。 半月板損傷の症状 半月板損傷のおもな症状は、以下のとおりです。 膝の痛み 腫れ 引っかかり感 関節がズレる感覚 動作時の関節の音 膝の曲げ伸ばしの困難さ(ロッキング) 人は歩くだけでも体重の5倍もの負担が膝関節にかかるといわれています。そのような負荷や強い衝撃を受け続けると、半月板の損傷につながります。 半月板は一度損傷すると自然治癒することはほとんどないため、治療が必要です。上記の症状が悪化すると、日常生活に支障をきたす恐れもあるでしょう。 また、半月板損傷は症状によって5つのタイプに分けられます。 縦断裂 横断裂 円盤状断裂 フラップ状断裂 水平断裂 詳しく知りたい方は以下の記事で解説していますので、興味がある方はぜひこちらもご覧ください。 \公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/ 半月板損傷の原因 半月板損傷で痛みが起こる原因は、大きく「筋収縮」と「炎症」の2種類に分類されます。 それぞれの原因によって起こる痛みのメカニズムは、以下のとおりです。 このように、痛みの原因は半月板だけというわけではなく、別の影響も関係しています。 【注意】半月板損傷を放置するリスク 半月板損傷によって半月板としての機能が損なわれている状態を放置すると、膝関節の軟骨に大きな負担がかかります。 結果的に軟骨がすり減り、「変形性膝関節症」を発症する可能性が高くなります。 半月板損傷が重症化したり、変形性膝関節症を発症した場合、人工膝関節置換術(膝関節を人工物に入れ替える手術)を行わなければいけないケースも。 半月板損傷が発症した場合は放置せずに治療を行い、回復に専念することが大切です。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、半月板損傷を手術せずに治療できる再生医療に関する情報を配信しています。 「手術せずに治療したい」「悪化する前に早く治したい」という方は、再生医療による治療をご検討ください。 ▼半月板損傷を手術せずに治療できる >>【公式LINE限定】再生医療の治療法や症例を今すぐ見てみる 変形性膝関節症と半月板損傷の違いや症状について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。 半月板損傷の治療方法 半月板損傷の治療法としては、おもに以下があげられます。 保存療法 手術療法 再生医療 ここでは、それぞれの治療方法について詳しく解説します。 保存療法 保存療法ではリハビリを中心に行い、必要に応じて膝にたまった水を抜く、潤滑性と抗炎症作用が期待できるヒアルロン注射をするなどの対応をします。 痛みや炎症がある場合は鎮痛剤や炎症剤などの薬物を用います。 このような保存療法でも痛みが強く、改善の見込みが薄い場合は、手術療法を検討する必要があるでしょう。 手術療法 手術療法では、膝の状態にあわせて以下の術式が行われます。 ・縫合術:断裂した半月板を縫い合わせる手術 ・切除術:断裂した半月板を取り除く手術法 ただし、これらの手術を行った場合でも、将来的に変形性膝関節症を発症するリスクがあります。そのため、手術後もリハビリや薬物療法などの保存療法は欠かせません。 手術をする場合は入院も必要となり、とくにスポーツをされている方は、復帰までに時間がかかる可能性があります。 半月板損傷の手術のメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。手術についてさらに情報を知りたい方は、ぜひこちらも記事もご覧ください。 再生医療 これまで半月板損傷の根本的治療には手術が必要でしたが、「再生医療」という新しい選択肢も生まれています。 再生医療の1つに、自身の脂肪から採取・抽出し培養で増やした「幹細胞」を膝に直接注射する方法があります。幹細胞とは、傷ついた半月板を修復させ、痛みや炎症を抑える効果が期待できる細胞です。 自分自身の脂肪から培養する細胞なので、アレルギーや副作用のリスクが低く、患者さんの身体への負担が少ないのが特徴です。 また、外科的な手術に比べて治癒までの期間が短い傾向にもあります。 入院する必要がなく、手術を受けずに治療できるため、とくにスポーツ選手にとっては大きなメリットといえるでしょう。 身体にメスを入れずに済み、パフォーマンスを極力落とさずに治療を受けられます。 ▼半月板損傷を手術せずに治療できる >>【公式LINE限定】再生医療の治療法や症例を今すぐ見てみる 半月板損傷でやってはいけないことに関するよくある質問 ここでは、半月板損傷に関してよくある質問に対してお答えしています。半月板損傷に関して疑問がある方は、ぜひこちらも参考にしてみてください。 半月板損傷を早く治す方法はありますか? 半月板損傷を早く治す方法としては、手術しないで治療できる再生医療があります。 再生医療は、患者さまの幹細胞を採取・培養して患部に投与することで、損傷した半月板を再生させる医療技術のことです。 入院や手術をせずに治療できるため、身体への負荷が小さく、効率的に治療を進められます。 当院の公式LINEでは、半月板損傷に対する再生医療の治療法や症例を配信しているため、ぜひ参考にしてください。 「半月板損傷を少しでも早く治したい」という方は、ぜひ再生医療がどのような流れで治療を行うか確認してみましょう。 \半夏版損傷を早く治したいなら先端医療である再生医療!/ >>【公式LINE限定】無料の再生医療ガイドブックはこちら 半月板損傷に対して効果的な治療をさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。 半月板損傷でやってはいけないことを避けて症状改善を目指そう 本記事では、半月板損傷でやってはいけいないことについて解説しました。 半月板損傷は自然治癒が期待できず、放置することで症状が進行し、日常生活に支障をきたす恐れがあります。 そのため、半月板損傷と診断されたら膝への負担を避けて早期からの治療が重要です。 主な治療法には保存療法や手術療法があり、新しい選択肢として再生医療もあります。 半月板損傷を発症したら、まずは医療機関へ受診し、その方の症状にあった治療を受けましょう。 ▼半月板損傷を手術せずに治療できる >>【公式LINE限定】無料の再生医療ガイドブックはこちら
2022.02.15 -
- ひざ関節
- 膝の内側の痛み
- 変形性膝関節症
年齢とともに増えてくる膝の痛みや違和感。 とくに中高年層に多く見られる「変形性膝関節症」は、膝の軟骨がすり減ることで痛みや歩行障害を引き起こし、進行すると日常生活にも大きな支障をきたします。 しかし、膝の負担を減らすための正しい知識と行動を取り入れることで、その進行を予防できます。 この記事では、膝の負担を増やす原因や避けたい動作、さらに効果的な運動や生活習慣の工夫まで、医療的な視点からわかりやすく解説します。 将来も自分の足で歩き続けるために、今からできる対策を確認してみましょう。 膝の負担が増える原因とは? 膝の痛みに悩む方は高齢になるにつれて増加する傾向があり、とくに中高年以降の女性に多く見られるのが「変形性膝関節症」です。 変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減ることで関節に炎症や痛みが生じ、進行すると歩行が困難になることもあります。 国内では、潜在的なものを含めると約3,000万人が変形性膝関節症を抱えていると推定されています。 変形性膝関節症が発症する主な原因は、「加齢」「外傷」「肥満」「遺伝的な要因」などが知られています。 さらに、普段の姿勢や動作のクセが、膝関節に過剰な負担をかけているケースもあります。 膝関節の構造と役割 変形性膝関節症を予防するために、まずは膝関節の構造を理解することが大切です。 膝関節は、太ももの大腿骨・すねの脛骨・膝のお皿の膝蓋骨から構成されています。 これらの骨の表面は、衝撃を和らげる役割をもつ関節軟骨に覆われています。 さらに、大腿骨と脛骨の隙間には、クッションのような役目をする半月板が内側と外側に1枚ずつ存在します。 この関節軟骨と半月板を合わせて、「膝の軟骨」と言います。 膝の軟骨には、関節をスムーズに動かす働きのほか、立ち上がりや歩行時の衝撃を分散し、膝へのダメージを軽減する重要な役割があります。 膝関節の主な動きは、膝を曲げ伸ばしする屈伸運動です。 加えて、わずかな回旋(まわす)運動がありますが、急激な曲げ伸ばしや無理なねじり動作は、軟骨に過度な負担をかけ、変形性膝関節症の原因になるおそれがあります。 日々の動作の積み重ねが、膝関節の軟骨をすり減らすきっかけになるため、正しい使い方を意識することが予防の第一歩です。 膝に負担がかかる日常の姿勢や動作 日常生活の中には、無意識のうちに膝に負担をかけている姿勢や動作が数多くあります。 以下のような動きには注意が必要です。 正座や深く膝を曲げてしゃがむ動作 両脚を横に投げ出して座る(横座り) あぐらをかく姿勢 歩行時や運動時の急な方向転換 これらの動作は、膝関節に過剰な負荷をかけることがあり、軟骨のすり減りにつながるリスクがあります。 また、膝の関節を安定させているのは、大腿四頭筋・ハムストリングスといった膝周囲の筋肉です。 これらの筋肉が働くことにより、膝の曲げ伸ばしなどの動作を安定して行えます。 しかし、加齢や運動不足によって筋力が低下すると、膝関節の安定性も低下し、結果的に軟骨への負担が上がります。 そのため、膝に負担のかかる姿勢を避けるとともに、筋肉を鍛えることも大切です。 日々の習慣を見直し、膝をやさしく使う意識を持つことが、変形性膝関節症の予防につながります。 膝が痛いときに「やってはいけない」NG行動 膝に痛みがあるときには、「安静にすべきか」「動かしたほうがいいのか」と迷うことがあるかもしれません。 しかし、間違った対応をしてしまうと、かえって膝の状態を悪化させる原因となることがあります。 以下のような行動は避けてください。 痛みを我慢して動き続ける → 炎症が悪化し、症状が進行するおそれがあります。 自己判断でマッサージをする → 炎症部位を刺激して、かえって悪化することがあります。 冷やす・温めるを間違える → 急性期は冷やす、慢性期は温めるなど、症状に合った処置が必要です。 痛みが出た直後で腫れや熱感がある場合(一般的には数日〜2週間程度)は、急性期の可能性があります。 サポーターやテーピングの誤用 → 誤った使用は膝に負担をかけることがあります。 サポーターやテーピングを装着する際は、きつく締め付けると血流を妨げたり、かえって痛みが強くなることがあります。適度な締め付けで、ずれない範囲で使いましょう。 また、症状の判断は難しいこともあるため、自己判断せず医師や理学療法士に相談してください。 膝の負担を減らす方法|日常生活で意識したいこと 膝の痛みや関節疾患を予防・改善するには、毎日の生活習慣を見直すことが大切です。 とくに、歩き方・立ち方・座り方といった基本的な動作や、靴の選び方、体重の管理といった身近なポイントに気を配ることで、膝にかかる負担を大きく減らせます。 ここからは、膝をいたわるために意識したい生活習慣の具体的な工夫をご紹介します。 膝にやさしい歩き方と立ち方 膝への負担を減らすには、日常の歩き方や立ち方を見直すことが重要です。 歩行時は、背筋を伸ばして視線を前に向け、かかとから着地してつま先で蹴り出すように意識しましょう。 足裏全体で地面を捉えるように歩くことで、膝にかかる衝撃をやわらげる効果があります。 また、立つときは片足に体重をかけず、左右均等に体重をのせるようにします。 猫背や反り腰の姿勢は膝関節に負担をかけるため、正しい姿勢を保つことが大切です。 毎日の動作を少し意識するだけでも、膝への負担軽減につながります。 靴やインソールで膝の衝撃をやわらげる方法 日常的に使用する靴やインソールを見直すことは、膝への衝撃をやわらげる有効な方法のひとつです。 とくに、クッション性が高く足にフィットする靴を選ぶことで、歩行時の膝関節への負担を軽減できます。 また、足のアーチをしっかり支える整形外科用インソール(足底板)を使用すると、体重が均等に分散され、膝へのストレスが和らぎます。 外反母趾や扁平足など、足の形状に合わない靴を履いている場合は、膝痛を引き起こす原因にもなりかねません。 体重管理と膝への負担の関係 体重は膝関節への負荷に大きく関係しています。 普通に歩くだけでも体重の約2 〜3 倍、走ると約3〜5倍もの負荷が膝にかかるとされており、体重が重いほど膝への負担も増すのです。そのため、肥満傾向の方は体重を適正に保つことで膝の負担を軽減できます。 また、適切な体重管理は、関節の安定性向上や外傷予防にもつながります。 変形性膝関節症が進行すると、膝の痛みをかばって運動療法ができないケースがあります。そうなると筋力や関節の可動域は低下し、さらに膝への負担があがるため、余計に痛みが悪化します。 痛みがないうちから筋力トレーニングや可動域訓練に取り組み、関節の安定性や柔軟性を高めることが大切です。 膝痛を悪化させない座り方・寝方の工夫 日常生活で膝への負担を軽減するには、座り方や寝方を見直すことも大切です。 とくに和式の生活スタイルでは、正座やあぐら、脚を横に崩して座る姿勢など、膝を深く曲げる動作が多く、関節に大きな負荷がかかります。 このような負担を減らすためには、椅子とテーブルを使う洋式の生活への切り替えがおすすめです。 また、布団よりもベッドのほうが、立ち上がる際の膝の負担を軽くできます。 膝の負担を減らすための効果的な運動と筋トレ方法 膝の痛みを予防し進行を防ぐには、適切な運動や筋力トレーニングが効果的です。 とくに、膝関節を支える太ももやお尻、体幹の筋肉を鍛えることで、膝への負担を軽減できます。 また、関節の可動域を保つストレッチや柔軟運動も重要です。 ただし、痛みが強いときには無理をせず、医師や理学療法士の指導のもと、安全に行いましょう。 ここでは、日常的に取り入れやすい基本的なトレーニングやストレッチのポイントをご紹介します。 太もも(大腿四頭筋)を鍛える 太ももの前側にある「大腿四頭筋」は、膝関節を支えるうえでとても重要な筋肉です。 この筋肉を鍛えることで、歩行や立ち上がり動作が安定し、膝への負担を軽減できます。 初心者でも取り組みやすいトレーニングとして、次の方法があります。 椅子に浅く腰掛けます 片側の膝を伸ばし、そのままの姿勢を5~10秒キープします ゆっくり元に戻し、反対側も同様に行います 左右交互に10回ずつ、1日2セットを目安に行いましょう。 お尻・腹筋も重要!全身のバランスを鍛える 膝の負担を減らすには、太ももだけでなく、お尻(臀部)やお腹(腹筋)といった体幹まわりの筋肉もバランスよく鍛えることが大切です。 これらの筋肉がしっかり働くと、立つ・歩くといった基本の動作が安定し、膝への負担を分散できます。 ヒップリフト 仰向けに寝て、膝を立てる お尻をゆっくり持ち上げ、数秒キープしてから元に戻す お尻の筋肉を意識して、10回×2セット ドローイン 椅子に浅く腰かけて、背筋を伸ばす お腹に力を入れて、ゆっくりへこませる そのままの状態で、自然な呼吸を数回繰り返す 体幹を整えるのに効果的です。 ストレッチで膝まわりの柔軟性を保つ 膝にやさしい体づくりには、筋肉を鍛えるだけでなく、柔軟性を保つことも大切です。 関節まわりがかたくなると動きがスムーズにいかず、膝に余計な負担がかかってしまいます。 以下のストレッチは、毎日お風呂あがりなど体が温まった状態で行うのが効果的です。 太ももストレッチ 浴槽の中で両脚を伸ばし、片側の太ももを両手で抱えながら、かかとをお尻のほうへ引き寄せます。 無理のない範囲で膝を曲げ、数秒キープしたらゆっくり戻します。 膝伸ばしストレッチ 同じく浴槽内で、かかとを前へ滑らせるようにして、膝をできるだけ伸ばします。 ゆっくりと呼吸しながら、力まずに行います。 どちらの体操も、無理なく痛みの出ない範囲で行いましょう。 運動を安全に続けるためのポイントと注意点 膝の負担を減らすには、筋力トレーニングや体重管理が効果的です。 しかし、無理に行うことで悪化してしまうこともあります。 大切なのは、無理なく継続できる負荷で取り組むことです。 高すぎる負荷や急な運動は避け、運動後に疲労が残るような内容は見直しましょう。 膝の違和感や痛みがあるときは医療機関へ相談を 変形性膝関節症の初期には、立ち上がりや歩きはじめに膝に痛みや違和感を覚えます。 しかし、動き続けるうちに痛みが和らぐケースも多く、いつの間にか治ったと見過ごされがちです。 こうした違和感は、膝のトラブルが進行しているサインかもしれません。 膝の異変を感じたら、我慢せず早めに医療機関へ相談しましょう。 変形性膝関節症には、保存療法や手術だけではなく再生医療という治療法もあります。 再生医療は、他の細胞に変化する分化能という能力がある幹細胞を使用する治療法です。詳しくは当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。 まとめ|膝にやさしい生活習慣で関節疾患の進行を防ごう 膝の痛みが続くと、階段の上り下りや正座など、日常の何気ない動作が難しくなることがあります。 症状が進行すると、膝の手術をすすめられることもありますが、手術には体への負担があり、決断することは難しいはずです。 たとえ、手術をせずに運動療法などの保存療法に取り組んだとしても、痛みが悪化すれば満足に運動が継続できず、ますます身体機能が低下します。 やがては外出するのも億劫になり、寝たきり生活を余儀なくされる場合があります。 だからこそ、症状が軽いうち、もしくは痛みを感じ始めた段階で、予防と対策を始めることが大切です。 膝への負担を避けながら、筋力トレーニングで関節を安定させるように、バランスの取れた予防に取り組みましょう。 変形性膝関節症には、再生医療という手術を伴わない治療法もあります。 膝の痛みが気になる方は、お気軽にご相談ください。
2022.02.15