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- ひざ関節
- 膝に赤みや腫れ
- 膝の慢性障害
「階段を上るたびに膝が痛む」「しゃがむ動作がつらい」そんな症状で悩んでいませんか? 膝の上部に痛みを感じる大腿四頭筋腱付着部炎は、ジャンパー膝とも呼ばれ、スポーツ選手だけでなく一般の方にも多く見られる症状です。 大腿四頭筋腱付着部炎は、運動時の膝への負担が原因で起こることが多く、放置していると日常生活にも影響を及ぼします。 本記事では大腿四頭筋腱付着部炎の症状や原因、さらに大腿四頭筋腱炎との違いを詳しく解説します。 適切な対処法を見つけて、一日も早くスポーツを楽しめるようにしましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では大腿四頭筋腱付着部炎(ジャンパー膝)の治療も行っております。 辛い症状にお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 大腿四頭筋腱付着部炎(ジャンパー膝)の主な3つの症状 大腿四頭筋腱付着部炎(ジャンパー膝)は、膝の痛みが主な症状として現れます。 日常生活や運動時に現れる主な症状は以下の3点です。 膝の上部に激しい痛み 階段の上り下りで増す痛み しゃがむ動作で感じる鋭い痛み 本書ではそれぞれの特徴について詳しく解説いたします。 膝の上部に激しい痛みがでる 大腿四頭筋腱付着部炎の最もわかりやすい症状は、膝の上部に現れる痛みです。 痛みの特徴は、膝蓋骨(お皿)の上端部分に集中して起こります。 始めは運動時にのみ痛みを感じる程度ですが、症状が進行すると安静時でも痛みが出るようになってしまいます。 さらに、膝を曲げ伸ばしする際には痛みが強くなり、歩行困難になるケースも少なくありません。 そのため、痛みが続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。 階段の上り下りで痛みが増す 階段の上り下りで、膝の上部に強い痛みを感じるのも、大腿四頭筋腱付着部炎の特徴的な症状です。 階段を上るときは、膝を大きく曲げる必要があるため、膝蓋骨の上部に強い負担がかかります。 最初は違和感程度でも、徐々に痛みが強くなり階段の昇降が困難になる場合も多いのです。 また、下りの際も膝を支える必要があるため、痛みを感じやすくなります。 日常生活で階段の使用が避けられない場合は、手すりを使うなど膝への負担を軽減するように心がけましょう。 しゃがむ動作で鋭い痛みを感じる 床に座る際など、しゃがむ動作で膝に鋭い痛みを感じるのも大腿四頭筋腱付着部炎の特徴です。 とくに、しゃがんだ状態から立ち上がる際に強い痛みが出やすく、重症化すると「しゃがむ動作自体」が困難になることもあります。 また、長時間のしゃがみ姿勢後には、膝の痛みや違和感を強く感じる傾向にあります。 そのため、痛みや違和感を感じた場合は無理にしゃがまず、椅子を使用するなど工夫しましょう。 大腿四頭筋腱付着部炎が発症する3つの原因 大腿四頭筋腱付着部炎の主な原因は、スポーツや運動習慣によって繰り返し膝へ負担をかけているためです。 代表的な原因として以下3つが挙げられます。 バレーやバスケなどのジャンプ競技によるオーバーユース 運動不足から急に運動を始めた 筋力の弱さや体の硬さによって膝に負担をかけた 早期発見と治療には原因を理解する必要があります。 それぞれ詳しく解説しているので、自分の生活習慣と照らし合わせながら確認してみましょう。 バレーやバスケなどのジャンプ競技によるオーバーユース バレーボールやバスケットボールなど、ジャンプ動作を頻繁に行うスポーツは、大腿四頭筋腱付着部炎のリスクが高まります。 ジャンプ競技で発症しやすい理由は、着地時に体重の何倍もの負荷が膝にかかるためです。 さらに負荷が繰り返し加わると、腱と骨の付着部に炎症が生じて痛みを引き起こします。 また、バレーやバスケのように「ダッシュやストップ」など急激な動作も、大腿四頭筋腱付着部炎が発症する原因となります。 スポーツによる膝の痛みについては、こちらの記事も参考にしてください。 運動不足から急に運動を始めた 普段から運動習慣がない状態から、突然激しい運動を始めるのも大腿四頭筋腱付着部炎の原因となります。 運動不足の状態では、筋肉や腱が十分な負荷に耐えられる状態になっていないため、急な負荷によって炎症を引き起こしやすくなります。 そのため、ランニングやジョギングを始める際は、徐々に距離や時間を増やしていくことが大切です。 まずは、軽い運動から始めて段階的に強度を上げていく意識を持ちましょう。 筋力の弱さや体の硬さによって膝に負担をかけた 大腿四頭筋の筋力不足や体が硬くなっていたりすると、膝への負担が増加して炎症を引き起こす可能性があります。 また、普段の姿勢の悪さや足の形態異常なども原因の1つとなります。 予防するには、適切なストレッチや筋力トレーニングを継続的に行うのが良いでしょう。 ジャンパー膝の治し方や症状のチェック方法については以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしていただけると幸いです。 大腿四頭筋腱付着部炎の診断方法 大腿四頭筋腱付着部炎の診断は、医師による問診と触診から始まります。 また、症状の程度によっては画像検査なども組み合わせながら総合的に判断するのが一般的です。 本章では、大腿四頭筋腱付着部炎における2つの診断方法について解説します。 医師による問診と触診で判断 医師による問診では、患者の症状や運動歴、日常生活の様子などを詳しく聞き取ります。 具体的には「いつから痛み始めたのか」「どのようなときに痛みを感じるのか」「他に症状はあるか」などの質問です。 また、触診にて膝蓋骨(膝のお皿)の上部を押して痛みがあるか、膝の曲げ伸ばしで痛みが増強するかなどを確認します。 問診と触診では他の膝疾患との区別も行いますので、大腿四頭筋腱付着部炎と診断された際には、適切な治療計画が立てられるでしょう。 必要に応じて超音波検査やMRI検査を行う 問診や触診だけでは症状の程度が判断しづらい場合、画像検査を行います。 代表的な検査方法が、超音波検査とMRI検査です。 超音波検査では、腱の損傷具合や炎症の状態をリアルタイムで確認できます。一方、MRI検査はより詳細な画像診断が可能です。 腱の状態や周辺組織の様子まで細かく確認できるため、的確な治療方針を立てられます。 必要に応じて検査方法も異なりますが、症状や原因を明確にできれば適切な治療へとつながります。 ジャンパー膝の診断方法については以下の記事でも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。 大腿四頭筋腱付着部炎の治療法とは? 大腿四頭筋腱付着部炎の治療には、症状の程度や原因によってさまざまです。主な治療法は以下の3つです。 安静・冷却の保存療法 手術療法 PRP療法など再生医療 本章を参考に、大腿四頭筋腱付着部炎における治療法の選択肢を把握しておきましょう。 安静・冷却の保存療法 大腿四頭筋腱付着部炎の初期治療では、保存療法から開始するのが一般的です。痛みを感じる部分を休ませ、患部を冷やすことで、炎症を抑える効果が期待できます。 具体的には、1日3回程度の冷却と、ジャンプや走るなどの激しい運動を控えることがポイントです。 また、医師の指導のもと消炎鎮痛剤の服用や湿布の使用も効果的でしょう。 症状が落ち着いてきたら、ストレッチや軽い運動から徐々に活動量を増やしていきます。 手術療法 保存療法で改善が見られない場合や、重症度が高い場合には手術を検討することもあります。 腱組織の縫合や骨からの剥離、再固定などの処置を行い、損傷した腱組織の修復や付着部の状態改善を目指します。 手術を受ける場合は、重症度や術後の経過、リハビリの進行度によって変わるものの、1〜2週間ほどの入院が必要になるでしょう。 また、退院後も医師の指示に従ってリハビリを行い、スポーツの復帰までには3〜6カ月かかる可能性もあります。 PRP療法など再生医療 近年注目を集めているPRP療法は、患者さん自身の血液から作った血小板濃縮液を患部に注入する治療法です。 従来の治療で改善が見られない場合の新たな選択肢として期待されています。 血小板には成長因子が含まれており、組織の修復や再生を促進する効果があります。 そのため、腱の損傷部位に直接注入すると、自然治癒力を高める働きが期待できるのです。 ただし、PRPの治療効果については、まだ研究段階の部分も多く、保険適用外の治療となります。 費用面や治療回数など、医師とよく相談しながら検討してみてください。 また、当院でも行っている再生医療については以下の記事でも詳しく紹介しています。 まとめ|大腿四頭筋腱付着部炎は正しいケアで早期回復を目指そう 大腿四頭筋腱付着部炎(ジャンパー膝)はバレーボールやバスケットボールなど、ジャンプの多いスポーツで起こりやすい症状です。 膝上部の痛みや階段での違和感、しゃがむ動作での痛みなど特徴的な症状が多く見られます。 主な原因は、スポーツでのオーバーユースや急な運動開始、筋力不足などさまざまです。 早期発見と適切な治療が回復への近道となりますので、痛みを我慢せずに早めに医療機関を受診しましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では再生医療治療も行っております。ジャンパー膝の症状でお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 大腿四頭筋腱付着部炎に関してよくある質問 大腿四頭筋腱付着部炎と大腿四頭筋腱炎の違いはなんですか? 大腿四頭筋腱付着部炎は、膝蓋骨上部の付着部に炎症が生じる症状です。 一方、大腿四頭筋腱炎は、太もも前面にある腱全体に炎症が起こる状態を指します。 膝蓋骨上部に痛みが出る大腿四頭筋腱付着部炎に対し、大腿四頭筋腱炎は、太もも全体に広がる痛みや違和感が特徴です。 治療方法は似ていますが、それぞれの症状に合わせた適切なケアが必要になるでしょう。 大腿四頭筋腱付着部炎の全治期間はどれくらいですか? 症状の程度や生活スタイル、治療方法によって回復期間は大きく異なります。 一般的な目安として、軽症であれば数週間、手術が必要な重度の場合は3〜6カ月程度の治療期間が必要です。 ただし、完全に無理なく運動できるまでには、さらに時間がかかる場合もあります。 焦って早期復帰すると再発のリスクが高まるため、医師の指示に従い段階的なリハビリを行いましょう。 大腿四頭筋腱付着炎の場合、サポーターはどのように選べばいいですか? サポーターは、膝蓋骨上部をしっかり固定できるタイプで、素材は通気性が良く長時間の使用でもムレにくいものがおすすめです。 サイズは膝周りをメジャーで測り、適切なものを選択します。きつすぎると血行不良の原因になり、緩すぎると効果が期待できません。 また、活動内容に応じて固定力の異なるタイプを使い分けることで、より効果的なサポートが可能になるでしょう。 また、以下の記事でもサポーターの選び方や注意点を解説していますので、ぜひ参考にしてください。 当院では大腿四頭筋腱付着部炎の治療を行っておりますので、辛い症状でお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。
2022.06.20 -
- ひざ関節
- 半月板損傷
- 膝の外側の痛み
重度の半月板損傷や膝の痛みが長引いている場合、手術で根本的に治療したいという方も多いでしょう。 痛みの原因となっている半月板を縫合・切除する手術療法では、痛み症状の改善が期待できます。 しかし、半月板損傷の痛み症状の改善は期待できますが、術後の感染症や神経損傷などのリスクがあるため慎重に意思決定することが重要です。 とはいえ、つらい痛みを早く治すためにも手術療法をご検討していることが多いはずです。 近年の治療では、手術が必要なほどの半月板損傷の痛みを手術せずに治療できる再生医療も選択肢の一つとして検討してみましょう。 「半月板損傷の痛みを早く治したい」という方は、ぜひ参考にしてください。 \手術せずに治療する再生医療とは/ 再生医療とは、機能障害や機能不全になった半月板に対して、体が持つ再生能力を利用して損なわれた機能を再生させる医療技術のことです。 従来の治療では、手術によって切除・縫合していた半月板も手術せずに改善する可能性があります。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 半月板損傷は手術しないと治らないと思っている 痛みを早く治したいが、どうしても手術を避けたい 手術や長期間の入院をせずに治療する方法を探している 半月板損傷の痛みを早く治したいけど、後遺症リスクや長期間のリハビリが必要なことから「できるだけ手術をしたくない」という方も少なくありません。 再生医療は、患者様の細胞のみを使って治療を行うことで、アレルギー反応や拒絶反応などのリスクが少ない治療法として注目されています。 詳しい治療法については、再生医療を専門とする当院「リペアセルクリニック」にお問い合わせください。 半月板損傷はスポーツマンや高齢者に多い 半月板損傷は高齢者やスポーツマンに多くみられる外傷です。 半月板は膝の内側と外側に位置し、膝関節に起こる衝撃を吸収するクッションの役割を果たしています。加齢とともに弱くなるため、半月板損傷は老化現象のひとつとして普通に起こりうることです。 また、スポーツにおいては、急に体を曲げたりひねったりする動作を繰り返すと、半月板への負担が増して損傷するリスクが高まります。 半月板が損傷すると膝の曲げ伸ばしが不安定になったり、痛みや腫れで膝が動かなくなったりする場合もあります。 半月板損傷の原因や症状について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 半月板損傷の手術半月板損傷における2つの手術方法 半月板損傷後は、手術が必要な場合と不要な場合があります。最終的には損傷のレベルや年齢など個人の状態に合わせて手術を検討します。 半月板損傷の手術の種類は下記の2種類です。 縫合術 切除術 自分自身でもどのような手術があるのかを理解して、医師に相談して決めましょう。 軟骨をつなげる「縫合術」 「縫合術」は、その名の通り損傷した軟骨を縫い合わせて修復する手術です。 一般的に縫合術は以下の手順で行われます。 膝の蓋近くに数か所穴をあける 手術に関節鏡(小型カメラ)と使用する器材を体内に入れる 関節鏡で患部を確認しながら縫い合わせる 縫合術は傷ついた軟骨を取り除く「切除法」と比べて、半月板を温存しやすいメリットがあります。そのため、縫合術が可能な状態であれば、こちらが優先的に選択されます。 その反面、考えられるリスクは半月板の再損傷と再手術です。半月板の再発は高くて5人に1人と低い確率ではありません。(文献1) その他、下記の合併症のリスクの可能性があります。 感染症 関節水腫(関節液が関節にたまり腫れ・痛みを生じる) リスクも踏まえて慎重に検討しましょう。 損傷した部分を取り除く「切除法」 切除法は、文字通り半月板で損傷している部分を切除し取り除く手術です。損傷部位の縫合が難しい場合、多くの場合は切除術が選択されます。 一般的に切除法は、下記の手順で行います。 膝の蓋近くに数か所穴をあける 手術に関節鏡(小型カメラ)と使用する器材を体内に入れる 関節鏡で患部を確認しながら少しずつ専用のハサミで切除する 半月板の損傷状態によっては、傷ついた軟骨のみ取り除いて正常な部分は残す方法も選択されます。 縫合術よりも感染症の合併リスクが少ない一方で、ロッキングの繰り返しが多くなり変形性膝関節症のリスクが高まるリスクもあります。 半月板の治療についてより詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 半月板損傷の手術をするメリットは「変形性膝関節症のリスクを減らせる」 半月板損傷の手術を受けることで、半月板損傷が重症化して起こる「変形性膝関節症」のリスクを低減できる可能性があります。 変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨が摩擦によって変形することで膝の腫れや痛みを伴う病気です。加齢や肥満により膝関節に負担がかかって発症するケースが多くみられます。 変形性膝関節症の症状によっては、人工関節を入れる手術が必要になることもあります。 半月板損傷の手術は、長期的な目線で見ると、このような2次的な病気を防げるメリットがあるといえるでしょう。 半月板損傷の手術をするデメリットは「再手術の可能性がある」 半月板損傷は、早期の手術により慢性的な膝関節の病気を防げるのがメリットである一方、再手術のリスクがあるのがデメリットです。 手術により半月板の痛みや損傷が一時的に改善しても、再度激しい運動の繰り返しや加齢によって再発し、再手術となる可能性も否定できません。 膝の変性に伴う半月板損傷の場合、切除法は縫合術よりも変形性膝関節症へ進行する可能性が高まります。 半月板損傷の手術を検討する上で、どのようなリスクがあるのか不安がある方は、かかりつけの医師に相談しましょう。 また、近年の治療では、損傷した半月板を手術せずに治療できる再生医療も選択肢の一つです。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 半月板損傷は手術しないと治らないと思っている 痛みを早く治したいが、どうしても手術を避けたい 手術や長期間の入院をせずに治療する方法を探している 半月板損傷の痛みを早く治したいけど、後遺症リスクや長期間のリハビリが必要なことから「できるだけ手術をしたくない」という方も少なくありません。 従来の治療では、手術によって切除・縫合していた半月板も手術せずに改善する可能性があります。 「半月板損傷を手術せずに治したい」「痛みを早く治療したい」という方は、ぜひ当院までご相談ください。 半月板損傷の手術によって歩けるまでの期間が違う 半月板損傷をする場合、治療期間の目安は以下のとおりです。 縫合術 切除術 入院期間 約2週間 約4日間 歩行可能期間 術後約2週間 術後の翌日から スポーツ復帰 術後約3カ月 術後約1~2カ月 退院後はリハビリが必要になるため、定期的な通院が必要です。医師や理学療法士の指示に従って適切なリハビリを行いましょう。 半月板損傷の術後のリハビリについて詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 まとめ|半月板損傷の手術に臨む前にメリットとデメリットを考えましょう 半月板損傷の手術には、メリット・デメリットがそれぞれ存在します。 これらを十分に理解した上で、手術を受けるべきか検討しましょう。 また、手術を受けても膝の痛みが改善されない場合、治療法の選択肢として、「再生医療」が挙げられます。 再生医療は、半月板損傷による膝の痛みを改善し、患者さまの生活の質を大きく向上させることが期待できる治療法です。 当院リペアセルクリニックでは、専門の医師・スタッフによる無料のカウンセリングも実施しており、治療内容や注意点について丁寧にご説明いたしますので、ぜひ一度ご相談ください。 半月板損傷の手術に関してよくある質問 手術にはどのくらいの費用がかかりますか? 手術にかかる費用は、病院や治療内容によって変動します。半月板損傷の治療は健康保険適応です。3割負担の方の場合、負担金は7〜20万円程度と考えられるでしょう。 いずれにしても、手術にかかる費用は高額です。負担が大きい場合は、高額療養費制度や限度額適用認定証の活用で費用の負担を減らすことも可能です。(文献2)(文献3) 費用を減らせる金額は自身の収入や加入している保険区分によって変動します。詳しく知りたい方は、自身が加入している健康保険組合に問い合わせてみてください。 半月板損傷で手術をしない選択肢はないのでしょうか? 半月板損傷になっても、必ず手術しなければいけないわけではありません。半月板損傷が軽度の場合は、手術をしない方法を選択できます。 手術をしない治療法の例として、以下があります。 ヒアルロン酸の注入 関節穿刺(かんせつせんし) 鎮痛剤の服用 このほか、近年では自身の幹細胞を利用した再生医療による治療も可能です。当院「リペアセルクリニック」でも、再生医療による膝の痛みを対象とした治療を行っています。メールやオンラインでの無料カウンセリングも実施しているので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 参考文献一覧 (文献1) 緒方 悠太, 佐藤 孝二, 木内 正太郎, 田渕 幸祐. 外側半月板縫合術後3 ヵ月における身体機能の特徴. J-STAGE]. 2022年11月. https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyushupt/2022/0/2022_54/_article/-char/ja/, 2024.11.10. (文献2) 高額療養費制度を利用される皆さまへ. 厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html, 2024.11.10. (文献3) マイナ保険証または限度額適用認定証をご利用ください . 全国健康保険協会.https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g5/cat550/1137-91156/,2024.11.10.
2022.06.18 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
- 関節リウマチ
「朝起きたら膝が痛い」「寝ている間に膝がこわばって動かしづらい」といった症状に心当たりはありませんか? 日中はあまり気にならなくても、朝だけ膝に痛みや違和感を覚えることが続くと、何かのサインかもしれないと不安になる方も多いでしょう。 本記事では、寝起きに膝が痛む原因や考えられる疾患・症状を軽くするためのセルフケアや対処法について、医師の見解を交えてわかりやすく解説しています。 朝だけの症状だからと放置せず、日常の小さな違和感を見逃さないことが大切です。 「この症状、自分にも当てはまるかも?」と少しでも感じた方は、ぜひ一度、当院(リペアセルクリニック)の公式LINEで気軽に情報をチェックしてみてください。 膝の痛みに関する情報や再生医療によるアプローチ、実際の症例などをわかりやすく配信しています。 ちょっとした不安の確認にも役立ちますので、「相談まではまだ早いけれど、情報収集だけしたい」という方にもおすすめです。 \公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/ 朝起きたら膝が痛いのはなぜ?原因を判断するためのチェックリスト 寝起きに膝が痛いのが膝の病気か判断するためのチェックリストは、以下の通りです。 上記のような症状が多く当てはまるほど、変形性膝関節症などの膝の病気である可能性が高いです。 寝起きだけでなく、寝ているときにも膝が痛む場合や歩けないほど膝が痛い場合は、重度の疾患の可能性があります。 痛みが長引いて生活に支障がでる前に医療機関を受診しましょう。 寝起きに膝が痛い原因として考えられる疾患 寝起きに膝が痛む症状は「関節リウマチ」と、「変形性膝関節症」疾患の特徴です。 それでは、なぜこのような症状が起きるのでしょうか。 関節は骨と骨のつなぎ目ですが、そこにはクッションの役割を果たす「軟骨」と、潤滑油の役割を果たす「関節液」があります。 関節リウマチや、変形性膝関節症といった疾患ではこの軟骨に障害が及んだり、関節液の量の調整がうまくいかなくなったりする結果、しばらく関節を動かさないと朝起きたとき時や、動き始めのとき時にこわばりや、痛みを感じることがあります。 関節を動かしてしばらく経つと、関節液の量が自然に調節されて症状が改善することがあります。ここからは、これらの主な原因となる関節リウマチと変形性膝関節症について解説していきます。 ▼放っておくと危険!膝の痛みに潜む重大な病気について1分で解説 https://youtube.com/shorts/SFl4q1RCuCw?feature=shared 変形性膝関節症 変形性膝関節症は主に加齢により発症すると考えられており、膝関節の痛みやこわばり、関節可動域の制限などといった症状が認められます。変形性関節症は膝以外にも手足や脊椎に発症します。 【変形性膝関節症の診断】 典型的な症状や病歴があれば必ずしも画像などによる検索は必要ではないとされています。 しかし、非典型的な症状を伴う場合には同様の症状をきたす別の疾患を想定して画像検査や血液検査を必要とします。 レントゲンでは関節裂隙の狭小化や骨棘などといった所見を認めることがありますが、血液検査では変形性膝関節症に特徴的な所見はないとされています。 【変形性膝関節症の治療】 変形性膝関節症は基本的には加齢による変化であり、痛みの制御を目的とした治療が主となります。具体的には消炎・鎮痛薬の使用を症状に応じて行うことになります。 しかし、加齢による変化そのものは不可逆性です。消炎・鎮痛薬の使用で症状がコントロールできない場合などは人工関節置換術といった手術による治療を考慮する必要もあります。 【変形性膝関節症の対処法】 変形性膝関節症の予防 変形性膝関節症の対処法 生活習慣の改善 靴の見直し 軽度な運動 サポーターの装着 変形性膝関節症の予防策として、体重管理(適度なダイエット)が挙げられます。体重が増えると、膝への負担が増加するのも必然です。生活習慣の見直しからスタートしてみましょう。 また、普段から履いてる靴が適切なものでないと膝に負担がかかります。ハイヒールやサイズが合っていない靴は極力避ける努力も必要です。 対処法としては、適切かつ軽度な運動やサポーターの装着が挙げられます。運動は膝周りの筋肉を伸ばすストレッチなどが適切で、安静にしすぎて筋力が衰えしまわないよう無理ない範囲で行いましょう。 また、サポーターの装着も膝周りの不安感を解消してくれる心強い味方です。 関節リウマチ 関節リウマチは膝を含む全身の関節に起こる炎症を特徴とする疾患です。その原因には不明なところが残っているものの、関節組織に対する自己免疫の関与が考えられています。 一般的には手足の指の関節から始まることが多く、左右対称制の症状、朝のこわばりなどの典型的な症状が知られています。自己免疫の関与が考えられている関節リウマチですが、関節外に目や血管に症状をきたすこともあります。 【関節リウマチの診断】 関節リウマチの診断は、関節症状などの病歴だけで判断しません。レントゲン上での関節裂隙の狭小化などの所見、全身の炎症を反映した血液検査でのリウマチ因子・特殊抗体などを総合的に判断してなされます。 関節炎などの症状が出た場合は整形外科などへの受診をまずは考えますが、関節リウマチは膠原病内科やアレルギー内科などが専門となることがあります。適切な診療科も含めて、気になる症状がある場合はかかりつけまたは最寄りの医療機関に相談してみましょう。 【関節リウマチの治療】 自己免疫の関与が考えられている関節リウマチの治療法は、消炎・鎮痛といった一般的な関節痛にも共通する治療だけでなく、過剰な自己免疫を制御する免疫調整薬の使用が必要になることがあります。 このような治療は専門家の詳細な評価を必要とする場合が多いため、かかりつけ医の意見をよく聞いて治療を進めるようにしましょう。 【関節リウマチの対処法】 関節リウマチの予防 関節リウマチの対処法 食生活の改善 喫煙習慣の改善 安静にする 関節の保温 関節リウマチの発症を抑えるためにも、食生活の改善は必須です。 体重増加の元となる脂質・糖質類を摂りすぎには注意しましょう。また、喫煙もリウマチが発症・悪化する要因とされているため、控えておくべきです。 発症後の具体的な対処法としては、安静治療が基本です。心身の疲れを溜めないよう心がけましょう。また、関節を冷やす行為は悪化の要因となりえます。日頃から適度な保温を意識しましょう。 寝起きに膝が痛いときの悪化を防ぐための対処法 寝起きに膝が痛いときの悪化を防ぐための対処法をを紹介します。 体重管理 膝周辺の筋トレ 薬物療法 以下では、それぞれの対処法について詳しく解説していきます。 体重管理 寝起きに膝が痛い時は、急激な体重増加や肥満にならないように体重管理を行いましょう。 体重が1kg増加すると、歩行時に膝にかかる負担は2〜3kg増えるといわれています。 そのため、急激な体重増加や肥満によって膝に継続的な負担がかかると、変形性膝関節症などの発症リスクが高くなってしまいます。 食生活の改善や適度な運動によって体重を管理することが重要です。 膝周辺の筋トレ 寝起きに膝が痛い時は、筋力トレーニングによって膝周辺の筋力を鍛えることも重要です。 膝を支える筋力を鍛えることで膝の負担を軽減し、症状の悪化防止につながります。 痛みが強い場合は無理をせずに、できる範囲の筋トレを実施しましょう。 薬物療法 寝起きに膝が痛い時は、医療機関を受診し、痛み止めの服用などの薬物療法による治療を受けましょう。 薬物療法では患者さまの痛みや症状に応じて、消炎鎮痛薬のロキソニンやカロナールの服用、ヒアルロン酸注射を行います。 適切な治療方針は患者さまによって異なるため、自分に合った薬を処方してもらうことが重要です。 寝起きの膝が痛いときは早期に医療機関を受診することが重要 今回の記事では朝起きると膝が痛み、歩きはじめ膝に違和感を感じたときに想定される疾患である関節リウマチと、変形性膝関節症の症状と治療法について解説しました。 二つの疾患は類似点もありますが、診断や治療など、大きく異なる点もあります。より詳しく知りたい場合は既に受診している整形外科、または最寄りの医療機関に問い合わせてみましょう。 しかし、お近くに相談できる医療機関がない場合や、まずは話だけでも聞いてみたい・自分の症状が当てはまるか不安という方もいらっしゃると思います。 当院(リペアセルクリニック)では、無料の電話相談に加えて、公式LINEでも再生医療や膝の症状に関する情報をわかりやすく配信しています。 まずはLINEから気軽にチェックしてみてください。 \公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/ ▼膝の痛みに関しては、以下をクリックでご自宅からでも簡単に相談いただけます。 >>0120-706-313(受付時間:9:00〜18:00)
2022.06.17 -
- ゴルフ肘
- 上肢(腕の障害)
- 肘関節
- スポーツ外傷
日常生活の何気ない動作で肘に違和感を覚えたことがある方も多いのではないでしょうか。 重い荷物の持ち運びや繰り返しの手作業を行うことで、肘の内側に痛みを感じることがあります。 ゴルフをしない方でもゴルフ肘を発症します。 正式には上腕骨内側上顆炎(じょうわんこつないそくじょうかえん)と呼ばれ、肘の使いすぎによって炎症が起こる疾患の一つです。 本記事ではゴルフ肘の原因や症状、治療法について詳しく解説します。 近年注目されている、手術に頼らない治療法の再生医療や、自分でできるストレッチ法についても紹介しています。ぜひ最後までご覧ください。 【基礎知識】そもそもゴルフ肘とは ゴルフ肘と呼ばれる病気の正式名称は「上腕骨内側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)」です。 上腕骨とは、肩から肘の間にある骨で、内側上顆は、肘の内側にあります。 上腕骨の内側上顆にある筋肉や腱に炎症が起こった場合に発症するのが「上腕骨内側上顆炎」つまり「ゴルフ肘」です。 ゴルフでクラブをスイングをした際、肘に痛みを感じることがあるため、ゴルフ肘と呼ばれるようになりました。 しかし、この疾患はゴルフに限らず、テニスなど他のスポーツ、さらには日常的な肘の使いすぎによっても発症することがあります。 ゴルフをしてない人がゴルフ肘になる原因 ゴルフ肘は、ゴルフをしている人だけが発症するものではありません。 実際には、手のひらを内側に向けて動かす動きや、物を握るような動きなど、腕のあらゆる動作が原因となり、ゴルフをしていない人にも発症することがあります。 ゴルフ肘の主な原因は、腕の使い過ぎ・筋肉量が少ないこと・ゴルフの3つです。 これらの原因について深掘りしていきます。 腕の使い過ぎ ゴルフをしていないにもかかわらず、ゴルフ肘を発症する原因の1つとしてあげられるのは、日常生活や仕事での腕の使い過ぎです。 手首や肘を頻繁に使う動作を繰り返す作業が多い場合、気付かないうちに肘へ過度な負担をかけてしまっている可能性があります。 たとえば、以下のような作業が伴う人は注意してください。 パソコンのキーボードを長時間打つ 重い荷物を持ち上げる 繰り返しの手作業を行う これらの動作は、肘の内側にある筋肉や腱にストレスを与え、ゴルフ肘を引き起こす原因となります。 さらに、家事や趣味での活動、庭仕事、DIYなどでも、同様に腕を酷使するため、ゴルフ肘を誘発する可能性があります。 加齢や筋肉量の少なさ ゴルフをしていないのにゴルフ肘を発症する原因には、加齢や筋肉量の少なさもあります。 年齢を重ねると筋肉や腱の柔軟性が低下し、回復に時間がかかりやすくなります。結果として、小さな負荷でも負傷しやすくなるのです。 また筋肉量が少なくても、日常の動作でも肘にかかる負担が大きくなり、ゴルフ肘を引き起こすリスクが高まります。 とくに、定期的な運動をしていない人や、筋力トレーニングを行っていない人は注意が必要です。 日常生活においても腕の使い過ぎを避け、適度な休息と運動を心がけることが重要です。 ゴルフをしている人でも発症可能性がある ゴルフ肘という名前から、ゴルフをプレイする人だけが罹患するものと誤解されがちですが、実はゴルフをしてない人でもゴルフ肘にかかる可能性は十分にあります。 ゴルフのスイング動作は、肘にかかる負担が大きく、繰り返しの動作によって筋肉や腱にストレスが蓄積されるため、ゴルフ肘の原因となります。 また、クラブの握り方やスイングの方法が正しくないと、肘に余計な力がかかりやすくなるため、注意が必要です。 ゴルフを始めたばかりの初心者から中級者に起きやすい症状のため、スイングフォームの見直しから始めましょう。 以下の記事では、ゴルフ肘を含めて急に肘が痛み始めた人向けに具体的な対策を解説しています。 ゴルフ肘の症状と診断方法 ここからは、ゴルフ肘の症状と診断方法について解説していきます。 ゴルフをしていない人も、肘の痛みを感じる場合はぜひご覧ください。 症状 ゴルフ肘の症状は、主に肘の痛みです。 痛みの程度や発生するタイミングは人によって異なりますが、重い荷物を持ち上げる際や、包丁を使うなどの繰り返し動作をしているときに痛みを感じることが大半です。 特に、腕や手首を頻繁に使う作業を続けると、症状が悪化することがあります。 テニス肘との違い ゴルフ肘とテニス肘の違いは、肘の痛みが「内側なのか・外側なのか」の違いです。 多くのケースでゴルフ肘は内側で、テニス肘は外側で痛みを感じます。また、発症頻度の違いもあり、テニス肘を罹患されるケースが多い傾向にあります。 しかし、発症の原因となったスポーツで病名が決まっているわけではありません。ゴルフ肘もテニス肘も、正式名称は「上腕骨外側上顆炎」です。 あくまで原因となったスポーツの名称からの名残りとして呼ばれていると把握しておきましょう。 テニス肘については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。 診断方法 ゴルフ肘は、いわゆる肘の使い過ぎによって起こる病気です。 そのため、医師の診察でも、肘の曲げ伸ばしを日常的に繰り返ししているが診断の材料になります。診察では「誘発試験」と呼ばれる身体検査をおこないます。 具体的な誘発試験流れは、以下の通りです。 手のひらを上に向けた状態でテーブルの上に置く 医師が手首を押さえ、手首を上に向けてあげようよう指示をする 肘の内側が痛くなるならゴルフ肘が疑われる 他にもレントゲン検査や、超音波検査、MRI検査などの画像検査で総合的な診断も可能です。 ゴルフ肘の治療法 ゴルフ肘の治療法は、痛みの重症度によって異なります。 保存療法 手術療法 再生医療 これらの治療法についてそれぞれ詳しく解説します。 保存療法 ゴルフ肘の保存療法で実施されている方法は、主に以下の通りです。 安静にする 患部を冷やす テーピングや肘用ベルトを使用して負担を軽減する 鎮痛剤・湿布で痛みや炎症を抑える 安静にしても痛みが改善されなかった場合は、薬物療法や注射療法、理学療法などを実施します。 ステロイド薬の使用や痛み止めの服用をしながら、患部に湿布を貼って治療する方法が、初期段階の治療法です。 手術療法 ゴルフ肘の痛みが収まらない場合や重症の場合は、手術療法が選択肢としてあげられます。手術によって損傷した組織の修復や除去を行うことで、痛みが改善される場合が多いです。 ただし、手術には感染症などの合併症が生じるリスクもあるため、慎重な判断が求められます。 再生医療 再生医療ではPRP療法(血小板豊富血漿療法)を用いることで、腱に悪影響を与えることなく、痛みを軽減できます。 PRP療法では、患者様自身の血液から抽出した血小板を患部に注入することで、腱の修復を促進します。 再生医療は手術を必要とせず、回復期間の短縮を目指せる点がメリットです。 詳細については以下のリンクからご確認ください。 ゴルフ肘を自分で治すストレッチ法 日々忙しく医療機関での受診が難しい人に向け、おすすめのストレッチ法を紹介します。 【腕前面のストレッチ】 片方の腕を前方に伸ばし手のひらを上に向ける 反対の手で伸ばした手を添える 添えた手を手前に引く もう片方の腕も実施する 肘の筋肉を伸ばすストレッチになるので、休憩時間に実施してみてください。 今回紹介したストレッチ以外にも、以下の記事で網羅的にまとめているので、あわせてご覧ください。 まとめ・ゴルフ肘の症状がある人は早めに受診しよう ゴルフ肘は、ゴルフをしていない人でも起こりうる病気です。 早く治すためには、早期の発見と治療が大切です。 治療が遅れると悪化し、結果として手術を選択しなければならないケースもあるので「この程度なら」との自己判断は禁物です。 「自分はゴルフをしないから大丈夫だ」と考えず、肘に違和感を感じたら、すぐに医師の診察を受けましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けているので、お気軽にご相談ください。
2022.06.16 -
- ひざ関節
- 膝部、その他疾患
ちょっと立ったり座ったりするにも不自由する膝の痛み、嫌なものですね。膝の痛みに悩む方の中には、膝に水が溜まっている方も多くいらっしゃいます。 「水を抜く治療を勧められたけれど、抜いて大丈夫?」 「抜いたらどんな注意が必要なの?」 「水を抜かない治療方法はないの?」 と気になる方もいるのではないでしょうか。 この記事では、膝に溜まった水を抜いたあとの注意点について医師が解説します。 また、水を抜かない治療法についてもお伝えするので参考にしてください。 なお、本記事では一般的な注意点について解説しています。個別の事象については各自で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。 膝の水を抜いた後の注意点 膝の痛みで医療機関を受診した際に膝の水を抜くことがあります。この診療行為を、医療用語で「関節穿刺」といいます。関節穿刺により、膝の痛みや突っ張り感の改善が期待できます。 一方で、関節穿刺を行っても水が溜まる原因はなくなりません。関節穿刺は根本的な治療にはならないことは、知っておきたい注意点の一つです。 また、関節穿刺によって別の症状や病気、つまり合併症が起きる可能性もあります。関節穿刺後の注意点について解説します。 膝の痛みの根本的な治療にはならない 膝が痛み、水が溜まるのにはなんらかの原因があります。 たとえば変形性膝関節症では、関節の軟骨がすり減ることで痛みが起きたり、炎症が起きて水が溜まったりします。水を抜くだけでは原因が残ったままのため、再度溜まってしまうかもしれません。根本的に解決するには、筋力をつけて膝を安定させたり、重度なら手術を検討したりといった対策が必要です。 他の病気でも同様に、原因が残っていれば痛みが消えない場合や、再び水が溜まる場合もあります。 感染症のリスクが上がる 通常、関節内は無菌状態が維持されています。しかし、関節穿刺によって体の表面にいた細菌が関節内に入ってしまうことがあります。細菌が関節内に移行し感染を起こすと、膝が赤く腫れたり、熱を持ったり、痛みを伴うことがあります。 通常、関節穿刺の後数時間は穿刺による痛みが生じることがありますが、痛みが長引く場合は感染の可能性があります。一般的な目安としては48時間以上持続する症状、48時間以内でも悪化を伴う症状を認めた場合には感染などの可能性を考慮し、可能な限り処置を行った医療機関に相談することをお勧めします。 出血する可能性がある 関節穿刺の際に関節周囲の血管を傷つけてしまい出血を起こすことがあります。多くの場合は細い血管の損傷にとどまるため、自然に止まることがほとんどです。仮に穿刺後に貼付していたテープなどを剥がした際に出血が起きても、綺麗なガーゼなどでしばらく圧迫すれば止血されることが多いです。 しかし、他の持病などで血液をサラサラにする薬を飲まれている方やもともと血が固まりにくい病気の方、あるいは太い血管を損傷してしまった場合などは自然に止血されないこともあります。圧迫しても止まらない出血の際には速やかに処置を行った医療機関に相談することをお勧めします。 薬剤の影響でアレルギー反応が見られる 関節内に薬剤を注射した場合などには、薬剤による合併症が起きる場合もあります。たとえば、アレルギー反応は通常原因となる薬剤などの物質を投与されてから数時間以内に、発疹・呼吸困難感・腹痛などの多彩な症状を生じる合併症です。 多くの場合は投与後すぐに発症するため医療機関で発見される場合がほとんどですが、まれに帰宅後に発症することもあります。帰宅後に症状が現れた場合は、速やかに処置を行った医療機関へ相談してください。 まれに神経や靭帯を傷つける 血管以外の神経、靭帯、腱などの損傷もまれな合併症の例です。穿刺のみでこれらの組織に重大な損傷をきたすことはまれですが、薬剤注入などを伴うと症状をきたす可能性があります。 神経が損傷すると、強い痛みやしびれ、電気が走るような痛みなどを伴います。靭帯や腱が損傷すると、関節が不安定になったり、痛みが持続したりする可能性があります。異常を感じたときは、処置を行った医療機関に相談することをお勧めします。 膝の水を抜いた後の安静期間 膝の水を抜いた後の安静期間は明確な決まりはありませんが、膝の痛みが消えるまでは安静にすることが大切です。 膝の痛みがない場合は通常の生活を送って問題なく、積極的な運動療法も可能です。 膝の水を抜くことで関節が動きやすくなり、運動もしやすくなると期待できます。 安静にしすぎると、かえって膝が動きにくくなることもあるため、無理のない範囲で動かしましょう。 そもそも膝の水がたまる原因とは? 膝の関節の中には、関節がスムーズに動くための潤滑油のような役割を果たす「関節液」が存在します。この関節液は健常者においても常に作られながら吸収され、一定の量になるように調整されています。 ところが疾患やケガが原因となって、関節液が作られるスピードが吸収されるスピードを超えてしまうことがあります。すると「膝に水が溜まる」という症状が起きるのです。 変形性膝関節症 変形性膝関節症では、膝の軟骨がすり減ることで痛みが出て、水が溜まってしまいます。関節軟骨の老化によって起きることが多く、性別では女性に多い病気です。膝の外傷や感染症の後に発症することもあります。 変形性膝関節症の初期症状は、膝がこわばる、曲げ伸ばしの際に引っ掛かりを感じる、歩き始めに痛みがあるといったものです。早い段階で発見できれば、後述する運動療法などで悪化を防げる可能性があります。 半月板損傷・靭帯の損傷 スポーツや交通事故などで膝に強い衝撃が加わると、半月板や靭帯を損傷することがあります。これにより膝の内部で炎症が起きると、関節液の分泌が増加して水が溜まります。関節内で出血が起きれば血液が溜まることもあります。 増加した関節液は、損傷部位を守ったり、修復に必要な栄養素を運んだりといった役目を持つと考えられるため、悪いものとは言い切れません。しかし多すぎたり長期化したりすると、慢性的な痛みや関節の機能低下といった問題を引き起こします。 関節リウマチ・痛風 関節リウマチは、関節内部に慢性の炎症が起きる病気です。症状は手や足の指に出やすいですが、膝関節にも現れることがあり、水が溜まると動かしにくくなります。30〜40代の女性に多く発症し、原因は免疫システムの異常と考えられています。 痛風で炎症が起きる原因は、血液中の尿酸値が上昇し、関節内に尿酸炎の結晶ができることです。親指の付け根が痛む発作がよく知られていますが、膝関節でも発作が起きたり、水が溜まったりすることがあります。生活習慣が原因となるほか、腎機能や薬剤が原因のケースもあります。 抜いた水の色で予測される病気 正常な関節液はやや黄色がかった透明で、わずかな粘り気があります。しかし病気やけがになると、以下のように特徴的な色の変化が見られます。 水の色 予測される病気 濃いめの黄色 変形性膝関節症 赤色・褐色 半月板損傷、靭帯の損傷など 白濁 関節リウマチ、痛風など 変形性膝関節症の場合は、関節液の色がやや濃く、粘り気は少なくなります。赤や褐色の関節液は、けがによる内出血が原因のケースが多いです。混濁が見られる場合は、関節リウマチや痛風のほか、感染症の可能性もあります。 このように、関節液の色から病気を推測することで、適切な治療につながります。 膝の水を抜かない治療法 症状が軽度なら、関節穿刺以外の治療も選択肢です。ここでは運動療法と温熱療法を紹介します。どちらも膝の状態を評価した上で、適切な方法で行うのが大切です。 運動療法 運動療法では、膝周りの筋肉の強化や関節可動域の改善、鎮痛効果などが期待できます。体重のコントロールや全身の健康状態を維持する効果も期待でき、とくに変形性膝関節症では積極的に勧められる方法です。 運動の種類は、筋力トレーニングやエアロビクス、太極拳、ヨガ、水中での運動など多岐にわたります。継続すれば徐々に筋力がつき、膝が安定するでしょう。 膝に負担がかかりすぎないように、運動の種類や量、時間について医師や理学療法士と相談しながら行ってください。 物理療法(温熱) 変形性膝関節症や関節リウマチでは、温熱療法も効果的です。膝を温めることで、筋肉の緊張が和らいで動きやすくなったり、血流が増えて代謝が促進されたりといった効果が期待できます。冷えていると痛みを感じやすいため、温めることで鎮痛効果も期待できます。 温める方法としては、超音波を照射して関節の内側から温める超音波療法や、ホットパックを当てて表面から温める方法など、いくつかの方法があります。適切な温度に設定することで、軟骨成分の合成が促進されるとも考えられています。 まとめ|膝の水を抜いた後の注意点を正しく理解しよう 今回の記事では膝に溜まった水を抜いたあとの注意点について解説しました。 水を抜いた後には、感染症や出血をはじめとする合併症が起きる可能性があります。一般的には、関節穿刺により生じた痛みなどの症状は、数時間から1日程度で消失します。これ以上持続する場合や、処置から時間が経っていなくてもどんどん悪化する場合は、速やかに処置を行った医療機関に相談しましょう。時間外などで相談できない場合は夜間救急などの受診を検討しましょう。 また、水を抜くだけでは根本的な治療にはならず、再び痛みが出たり水が溜まったりすることがある点にも注意が必要です。当院では膝の軟骨を再生させる幹細胞治療を行っており、痛みの原因に対する治療が可能です。膝の痛みでお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。
2022.06.10 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
肩の痛みや可動域の制限が続くと、「腱板断裂なのか、それとも五十肩なのか」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。 腱板断裂と五十肩(四十肩)の違いは、肩の腱(筋肉と骨をつなぐ繊維状の組織)が損傷しているかどうかにあります。しかし、いずれも肩の痛みや可動域の制限といった共通の症状を伴うため、見た目だけでは判別できず自己判断は難しいのが現実です。適切に対処するためには、それぞれの原因や治療法の正しい理解が必要です。 この記事では、腱板断裂と五十肩(四十肩)の特徴や診断方法、治療の選択肢についてわかりやすく解説します。長引く肩の痛みにお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 肩の痛みでお悩みの方や再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 腱板断裂と五十肩(四十肩)の違いを原因・症状等の観点で解説 腱板断裂は肩の筋肉(腱板)が損傷・断裂する疾患であるのに対し、五十肩(四十肩)は肩関節周囲の炎症によって関節が硬くなる疾患です。 それぞれの違いを簡潔にまとめると以下です。 項目 腱板断裂 五十肩(四十肩) 名称 腱板断裂 肩関節周囲炎 原因 加齢による腱の変性、外傷、反復動作による負荷 肩関節周囲の組織の炎症 原因 肩の動作時の痛み、夜間痛、運動痛 肩の動作時の痛み、可動域の制限 可動域の制限 ある程度腕は上がる 全方向で制限される 筋力の低下 あり 二次的にあり 自然治癒 難しい 可能 腱板断裂とは 名称 腱板断裂 原因 加齢による腱の変性、外傷、反復動作による負荷 主な症状 肩の動作時の痛み、夜間痛、運動痛 可動域の制限 ある程度腕は上がるが、特定の角度で引っかかりや痛みが強くなる 筋力の低下 断裂した腱の機能が失われるため、腕を上げるなどの動作で明らかに筋力が低下する 自然治癒 自然治癒は困難で、放置すると悪化するリスクがある 腱板断裂は、肩の腱板の損傷により発症します。主な原因は加齢による腱の脆弱化に加え、転倒やスポーツによる外傷などです。腱が損傷することで肩の筋力が低下し、腕が上がりにくくなるといった可動域の制限が見られます。 腱板が完全に断裂した場合、自然治癒は非常に難しく、放置すると断裂部が拡大したり、肩関節の機能がさらに悪化したりする可能性があります。(文献1) 五十肩(四十肩)とは(肩関節周囲炎) 項目 五十肩(四十肩) 名称 肩関節周囲炎 原因 滑液包や関節包など肩関節周囲の組織の炎症 主な症状 肩の動作時の痛み、可動域の制限 可動域の制限 痛みと拘縮により肩の可動域が全方向で著しく制限される 筋力の低下 肩を動かせない結果として筋力の低下が起こる 自然治癒 時間がかかるが自然に改善していく傾向がある 五十肩(四十肩)は、肩関節周辺の組織に炎症が起こることで、肩の痛みや可動域制限が生じる疾患です。「四十肩・五十肩」は通称であり、正式な診断名は「肩関節周囲炎」です。 関節包が全体的に硬くなることで、腕を上に上げる・ひねる・背中に回すといったあらゆる方向への動作が困難になります。 自然に改善する傾向がありますが、個人差が大きく数カ月で軽快する方もいれば、2年以上症状が続くこともあります。(文献2) 【関連記事】 腕を上げると肩が痛いのは五十肩(四十肩)?原因や治し方を解説 四十肩・五十肩とは?違いは?医師が徹底解説 腱板断裂と五十肩(四十肩)の疑いがあるときにやってはいけないこと 腱板断裂と五十肩(四十肩)の疑いがあるときは、以下の動作は避けましょう。 高い位置にある荷物を持ち上げたり降ろしたりする動作 首の後ろ側で腕を動かすような姿勢 上半身の筋力を使って重い物を持ち上げる動き 肩を後ろに引いた状態で行う腕の上方向への運動 とくに注意したいのが、肩を大きく動かしたり、無理な体勢で力を入れたりする動きです。たとえば腕を頭より高く上げる動作や、後方にねじるような姿勢は、肩の可動域を超える力が加わり、損傷の悪化を招く恐れがあります。 日常生活では悪化を招く動作を無意識に行うことがあるため、肩に痛みを感じているときは、動作全体を丁寧に見直すことが重要です。 腱板断裂と五十肩(四十肩)のどちらか診断する方法 腱板断裂と五十肩(四十肩)は、いずれも肩に痛みや動かしにくさが出る疾患ですが、原因や治療法は異なります。以下では主な診断方法について解説します。 身体診察 画像診察(X線・MRI・超音波検査) 身体診察 肩の痛みや動かしにくさを感じる際、まず行われるのが身体診察です。身体診察とは、肩の可動域や、腕を上げる際の筋力、痛みの種類などを詳しく確認する診察方法です。 自力で腕を上げようとすると痛くて上がらないものの、他人が支えるとある程度腕が上がる場合は五十肩(四十肩)の可能性が考えられます。 一方で特定の方向へ腕を上げる際に明らかに筋力が低下し、腕を保持できない症状が見られると腱板断裂が疑われます。 画像診察(X線・MRI・超音波検査) 身体診察で疾患が疑われた場合、より確定的な診断のために画像診察が行われます。主な検査方法は以下の通りです。 検査項目 特徴・診断できること X線(レントゲン)検査 骨の状態を確認するのに有効。腱板断裂では、断裂が進行すると骨の変形や骨棘が見られることがあるが、五十肩では骨に異常はない場合が多い。 MRI検査 腱や筋肉など軟部組織の状態を詳細に映し出す。腱板断裂の有無、大きさ、損傷度を正確に診断し、五十肩と鑑別するのに最も有効。 超音波(エコー)検査 リアルタイムで腱の動きや断裂を簡便に確認可能。腱の炎症や水腫も把握でき、初期診断や経過観察に適している。 これらの画像検査結果を総合的に判断して腱板断裂か五十肩(四十肩)かを診断し、適切な治療方針を決定します。 腱板断裂と五十肩(四十肩)の治療方法 腱板断裂と五十肩(四十肩)は、原因や重症度によって治療法が異なります。ここでは、代表的な保存療法と手術療法について詳しく解説します。 保存療法 手術療法 保存療法 腱板断裂や五十肩(四十肩)の治療は、症状が軽度な場合や日常生活に大きな支障がない場合には、保存療法が第一選択となります。炎症の抑制や可動域の改善を目的として、以下のような療法が用いられます。 消炎鎮痛薬の内服・湿布 注射治療(ヒアルロン酸、ステロイド) 温熱療法や電気治療 リハビリテーション(可動域訓練・筋力強化) 保存療法は五十肩の自然治癒が見込まれるケースや、腱板断裂が小さく筋力の低下が軽微な場合に有効です。 手術療法 保存療法で十分な効果が得られない場合や、症状が重度で日常生活に著しい支障をきたす場合には、手術療法が検討されます。 とくに腱板断裂では、断裂の大きさや筋肉の変性の有無などにより手術適応が判断されます。 術式名 特徴・内容 鏡視下腱板修復術 小さな切開を伴う内視鏡手術。断裂した腱板をもとの位置に縫い付ける。回復が早く、合併症のリスクが少ない。 腱板移植術 広範囲の腱板断裂で縫合が難しい場合に、他部位の筋膜を移植して補強する手術。 リバース型人工関節置換術 重度の腱板断裂によって肩の安定性が失われている場合に、人工関節で可動性と機能を回復する手術。 五十肩(四十肩)では、強い癒着や拘縮が残り保存療法で改善が見られない場合に限り、関節包を切り離す手術が行われることもありますが、そのケースは非常に稀です。 腱板断裂と五十肩(四十肩)の予後と回復期間 腱板断裂と五十肩(四十肩)は、予後や回復期間にも違いがあります。 五十肩は自然治癒が期待でき、保存療法で数カ月〜1年程度で改善するケースが多いのに対し、腱板断裂は損傷の程度や治療内容によって回復期間が大きく異なります。 以下の表で主な違いをまとめました。 項目 腱板断裂 五十肩(四十肩) 予後 断裂が残ると筋力低下や痛みが残る場合がある 多くは自然に治癒する 回復期間 保存療法:数カ月〜(断裂は残存) 手術療法:数カ月〜1年程度 保存療法:数カ月〜1年程度 五十肩(四十肩)では、最終的に症状が改善するケースが多く見られます。一方腱板断裂の場合、断裂の度合いに応じた治療選択が、その後の肩の状態を左右する重要なポイントとなります。 腱板断裂や五十肩の症状や後遺症にお悩みなら再生医療もご検討ください 腱板断裂や五十肩の症状が長引いている、または回復に不安を感じている方は、新たな選択肢として再生医療も検討してみてください。 再生医療は、患者様自身の脂肪から取り出した幹細胞や血液を利用する治療法で、手術や入院を必要としないのが特徴です。 当院「リペアセルクリニック」では再生医療に精通した医師が、患者様の状態に応じて個別に治療方針をご提案いたします。再生医療について詳しくは、以下をご覧ください。 腱板断裂と五十肩(四十肩)の違いを理解して適切に対処しましょう 腱板断裂と五十肩(四十肩)は、似たような肩の痛みを伴いますが、原因や症状、治療法が大きく異なるため、正確な診断と適切な対処が重要です。安易に自己判断せず、専門医による身体診察や画像診断を通じて自身の症状の正しい把握から始めましょう。 症状が長引いたり、改善が見られなかったりする場合には、再生医療の選択肢もあります。当院「リペアセルクリニック」では、再生医療に関する専門的な知識と経験をもとに、患者様の状態に応じた個別の治療プランをご提案いたします。 長引く肩の痛みや機能の低下でお悩みの方は、お気軽にリペアセルクリニックへご相談ください。 (文献1) 腱板断裂(けんばんだんれつ)|独立行政法人国立病院機構 霞ヶ浦医療センター (文献2) 五十肩(ごじゅうかた)|独立行政法人国立病院機構 霞ヶ浦医療センター
2022.06.10 -
- 脊椎
- 腰椎分離すべり症
腰椎すべり症のつらい症状に悩まされ「治らないのだろうか」「手術はしなければならないんだろうか」と不安を抱える方も多いでしょう。 結論からいえば、腰椎すべり症は自然に完治することは難しい疾患です。 しかし、すべての方がすぐに手術を必要とするわけではなく、症状の程度や日常生活への影響度に応じて、以下のようにさまざまな治療法が用意されています。 非外科的(手術しない)治療 ・安静にする ・鎮痛薬を使用する ・神経根ブロック(注射)を行う 外科的(手術する)治療 ・脊椎の減圧術 ・腰椎の固定術 本記事では、腰椎すべり症の症状や治療法などについて具体的に解説します。 また現在の治療で改善が得られず、「もっと自分に合った方法があるのでは」という方は再生医療も選択肢の一つとして検討してみてください。 当院(リペアセルクリニック)では、腰椎すべり症による腰痛・しびれ・手術後の後遺症に対し、自己脂肪由来の幹細胞を活用した再生医療を提供しています。 再生医療では、患者様ご自身の幹細胞を採取・培養し、損傷部位に直接投与することで、神経や組織の修復を促し、自然な回復力を引き出す治療が可能です。 >>腰椎すべり症と類似症状に対する再生医療の症例はこちら 治療内容や適応について丁寧にご説明いたしますので、しびれや痛みに悩まされている方は、ぜひ一度ご相談ください。 【結論】腰椎すべり症は自然に治ることはないが治療によって症状を緩和できる 腰椎すべり症は自然に治ることはほとんどありません。 しかし、医療機関にて適切な治療をすることで症状を緩和できる病気です。 腰椎すべり症の方が医療機関で行える治療は、次の2つあります。 非外科的(手術しない)治療 外科的(手術する)治療 それぞれ詳しく解説します。 また腰椎すべり症の治療法については、以下の動画の4分7秒~解説していますので、ぜひご覧ください。 https://youtu.be/hF14XAyVS0Y?feature=shared&t=247 腰椎すべり症の非外科的治療 腰椎すべり症の治療は、手術しない「非外科的治療法」から始めるのがほとんどです。 主に、以下の方法で症状を緩和させます。 安静にする:腰の負担を軽減し、必要に応じてコルセットを併用 鎮痛薬を使用する:通常は非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAID)を使用 神経根ブロック(注射)を行う:神経の根元に局所麻酔薬やステロイド薬を注射し、症状を緩和 つらい症状が落ち着いてきたら、お腹と背中を鍛える筋肉トレーニングやストレッチを行い、病状の進行を防ぎます。 腰椎すべり症(腰椎分離症)で注意すべきことは以下の記事でも解説しているので参考にしていただければ幸いです。 腰椎すべり症の外科的治療 以下のいずれかに該当する場合は、手術による治療も検討が必要です。 腰椎すべり症の程度が非常に強い 非外科的治療を行っても症状が改善されない 腰椎すべり症の治療で行われる手術は、主に以下の2つです。 脊椎の減圧術:神経の圧迫をとり、症状を和らげることで腰椎の回復を目指す 腰椎の固定術:腰椎を固定し、不安定な腰椎の安定と骨同士をくっつける(文献1) どのような手術の方法を選ぶのかは、医師が骨の状態をみて判断します。手術が不安である際は、一度医師に相談してみましょう。 腰椎すべり症とは「腰椎の骨同士がずれてしまう病気」 腰椎は腰の骨です。5つの小さな骨が縦にくっつき、腰を支えています。 腰椎をつくっている小さな骨同士がずれてしまう病気が「腰椎すべり症」です。 ここからは、腰椎すべり症の症状と原因、診断について詳しく解説します。 腰椎すべり症の主な症状 腰椎すべり症の主な症状は腰痛です。 腰椎が必要以上に動くため脊髄神経が圧迫され、腰痛や足の痛みを引き起こす可能性があります。 個人差はありますが、脊髄神経が圧迫されることで以下の症状も伴う場合があります。 太もも裏の筋肉のけいれん 背中のこわばり 歩行や立つことが困難 足のしびれ 腰椎すべり症の初期は、症状が現れない場合もあります。 腰椎すべり症の原因 腰椎すべり症の原因は、主に次の2つです。 変形すべり症:椎骨のクッションである椎骨板の水分が加齢により失われ薄くなり、椎骨がずれやすくなる病気 分離すべり症:生まれつき脊椎の一部が不完全、または体操のような腰に負担をかける運動の繰り返しで、脊椎の分離が起こりやすくなる病気 腰椎すべり症(腰椎分離症)の原因については以下の記事でも解説しているので参考にしてください。 腰椎すべり症の診断 問診や診察によって腰椎すべり症が疑われる場合、画像検査を行い腰椎すべり症かどうかを判断します。 医療機関では、一般的に以下のような画像検査を行います。 X線検査(レントゲン):腰椎のずれがあるかどうかを確認 CTスキャンやMRI:脊椎の様子をより詳しく観察、あるいは椎間板や神経組織の状態を確認 まとめ|適切な治療で腰椎すべり症の症状を緩和しよう 腰椎すべり症は初期には自覚症状が少なく見逃されやすい一方で、進行すると慢性的な腰痛やしびれ、歩行障害など、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。 一般的には保存療法(リハビリ・投薬)から始まり、効果が乏しい場合には手術が検討されるので、違和感を覚えた段階で医療機関を受診し、適切な治療を早期に始めましょう。 しかし、「今の治療であまり良くならない」「手術以外の方法はないのか」とお悩みの方に向けて、当院(リペアセルクリニック)では幹細胞を活用した再生医療を提供しています。 「手術は避けたい」「後遺症をなんとかしたい」と感じている方は、まずは一度、無料のカウンセリングでお話を聞かせてください。 腰椎すべり症に関してよくある質問 腰椎すべり症は手術が必要ですか? 腰椎すべり症の治療では、必ず手術するわけではありません。 最初は鎮痛剤やブロック注射で症状を緩和し、腰の負担を減らすために安静に過ごして様子をみる場合がほとんどです。 症状の度合いが強すぎる、または鎮痛剤や静養で改善されない場合は手術の必要性があります。 手術に不安を感じる場合は、治療法について一度主治医に相談してみましょう。 腰椎すべり症は発症からどのくらいで治りますか? 腰椎すべり症は自然に治らないため、一度発症したら継続的に通院や治療が必要です。 個人差はありますが、腰椎すべり症で手術した場合は約10日間で退院する場合がほとんどです。 退院後も約2週間は自宅で静養し、手術から約1カ月間経過してから通勤・通学が許可されます。 ただし、入院期間や通勤・通学の再開時期は個人差があります。
2022.06.09 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節
腱板断裂(腱板損傷)とは、肩の関節を安定させるための筋肉(腱板)が傷ついたり、腱組織が断裂して切れていたりする病気です。 腱板は、肩のなかで最も損傷を受ける部位であり、腱板が損傷すると腕の力が入らなくなり、とくに腕を上げようとしたときに痛みを引き起こします。また、夜に激しく痛み、眠れなくなる経験をした方もいるのではないでしょうか。 本記事では、肩に激しい痛みを起こす腱板断裂(腱板損傷)において、やってはいけないことや先端医療による治療について詳しく解説します。 日常生活の動作が原因となることもあるため、どのような動作を避けて安静を保つと良いのか、この記事を参考に取り入れてみてください。 また、現在リペアセルクリニックでは腱板断裂や肩の痛みに対して、つらい痛みからの解放が期待できる再生医療についての情報をLINEにて発信中。 再生医療の専門クリニックとして改善が見込めた症例についても紹介しておりますので、身体への負担を軽減したい方はぜひご登録ください 腱板断裂(腱板損傷)でやってはいけないこと4つ 腱板断裂(腱板損傷)でやってはいけないことは、以下の4つです。 頭上へ重いモノを持ち上げる・下す動作 首の後ろで腕を動かす動作 上半身の力を使って重いものを持ち上げる動作 肩を後方に回した位置で行う上運動 腱板損傷直後は基本的に、肩周囲の安静を保つべきです。通常は三角巾を用いて、腕の動きを最小限にするように配慮します。 安静は急性期における対処法ですが、急性期が過ぎた後も、できる限り避けた方が良い動作があります。 肩を後方に回した位置で行う運動腱板損傷後に避けるべき動作を紹介しますので、一つずつチェックしながら症状を悪化させないようにしていきましょう。 頭上へ重いモノを持ち上げる・下す動作 腱板損傷を発症した後、とくに発症初期は以下のような動作や運動は控えたほうが良いでしょう。 頭上に手を持っていく動作 頭上へ重いモノを持ち上げる動作(重い荷物を上げたり、高所から下すような動作) また、ボールを投げるような動きや、ジムでバーベルを頭の上に持ち上げるなどのウェイトトレーニングは、しばらく行わないようにします。 これらの動きは、肩に過度のストレスを与えるだけでなく、損傷した部位にさらなる傷害と痛みを引き起こす可能性があるのです。 したがって、腱板損傷後は「オーバーヘッドでボールを投げること」「重いボールを上半身の力に頼って投げること」「水泳のクロールや背泳のように、頭上に右手を持ってきて力を入れて引き下げる」ようなストロークを避ける必要があります。 首の後ろで腕を動かす動作 バーベルやバーなどを、頭や首の後ろで上下させる運動も避けるべき動作のひとつです。 この運動は、腱板に過度の負担をかけ、さらなる肩の問題や慢性的な痛みを引き起こす危険性があります。この動作の問題は、肩の「外旋(骨を外側にねじるような運動)」にあります。 頭や首の後ろで上下させる運動では、肩をしっかりと外旋させる必要がありますが、これは肩にとって非常に負担のかかるポジションです。 この動きをすると、関節を構成する組織をさらに損傷してしまい、治癒までの時間が非常に長くなりかねません。 上半身の力を使って重いものを持ち上げる動作 上半身の力を使って重いものを持ち上げる動作も非常にリスク高く、別名アップライトローと呼ばれる動作です。 アップライトローはジムでよく見かけるエクササイズのひとつですが、このエクササイズのメカニズムを見れば、なぜこの動作が腱板損傷後に避けるべき動作であるか、理解できるでしょう。 アップライトローは、上半身を起こした状態で肩を開き、両手に持ったバーベルなどの重りを首元まで引き上げ、持ち上げる動作です。 このエクササイズの問題は、腕を置かなければならない位置にあります。この位置は「内旋」と呼ばれ、アップライトローをするために腕を挙上させると、腱板が肩の骨に挟まれます。これは腱板損傷を引き起こす原因となる動作そのものでもあります。 肩を後方に回した位置で行う上運動 肩を後方に回した位置で行う上運動で避けるべき運動としては、ベンチディップスとも呼ばれるエクササイズが該当します。 具体的には、椅子などに両手をついた状態で腰を座面よりも低い位置まで落とし、肩を後方に回した状態で、主に二の腕に相当する上腕三頭筋に負荷をかける運動です。 ベンチディップスは、腰を落としすぎて上腕が肩と平行な位置以上になってしまうと、肩関節に過度な負荷がかかります。 肘を開きすぎても閉じすぎても、上腕三頭筋に負荷がかかるため、腱板損傷後には避けるべき動作のひとつです。 より詳しく腱板断裂について知りたい方は以下の記事も参考にしてください。 腱板断裂(腱板損傷)が改善しない場合は再生医療 腱板損傷は、時間が経てば肩の炎症は徐々に落ち着きますが、放置すると悪化する恐れがあり、最悪の場合、完全断裂のリスクがあります。 症状が改善されなければ、手術が必要になることも考えなければなりません。 しかし、近年では身体への負担が大きい手術を回避でき、入院や長期間のリハビリが不要の「再生医療」といわれる先端医療で、損傷した腱板の再生を期待できます。 一般的な腱板損傷の手術では「再断裂」や「関節拘縮」のリスクがありますが、再生医療ではそうした後遺症の可能性について軽減できる点が大きなメリットです。 リペアセルクリニックが提供している再生医療は幹細胞治療と呼ばれるもので、注射だけの日帰り治療で腱板の再生が期待できる治療方法を採用。 長期間の入院はできない方や、身体への負担を出来る限り抑えたい方に向いていると言えます。 現在当クリニックの公式LINEでも、実際に再生医療で腱板断裂の改善が見込めた症例について紹介していますので、再生医療について詳しく知りたい方や手術以外の選択肢を取りたい方はご確認ください。 ▼オンライン診断も実施中! >>公式LINEはこちら まとめ|腱板断裂(腱板損傷)でやってはいけないことに注意して負担を減らそう! 本記事では、腱板損傷後に避けるべき動作、やってはいけないこと4つをご説明しました。 腱板損傷後は、時間が経てば肩の炎症は徐々に落ち着いていきます。外傷後や症状がなかなか改善しない場合は、どうしても手術を検討しなければなりません。しっかりと安静を保ち、保存的治療に反応すれば、完治も期待できます。 術後も含め、治療の一貫でリハビリを行うこともありますので、もし避けるべき動作についてさらに詳しく知りたい場合は、リハビリの機会などを活用して相談してみることをおすすめいたします。 なお、当院「リペアセルクリニック」では、腱板損傷をはじめとする肩に関する病気にお悩みの方を対象に、無料相談を実施していますので、お気軽にご相談ください。 腱板断裂(腱板損傷)やってはいけないことのよくある質問 腱板断裂(腱板損傷)を放置するとどうなる? 放置した場合、肩の機能が低下し、別の病気に移行する可能性があります。腱板断裂を放置しても自然に治ることは期待できず、治療やリハビリが欠かせません。 放置をして、症状が進行すると手術による修復が難しいだけでなく、人工関節手術を検討する可能性もあります。 以下の記事で、腱板断裂を放置するリスクなどについて詳しく解説していますので、併せてご覧ください。 腱板断裂(腱板損傷)はどれくらいで治る? 損傷の程度によって異なりますが、日常生活できるまでは2〜3カ月が目安です。 肩周囲に多くの負担をかけるスポーツや重労働の場合は、6カ月を目安としてください。 治療方法によっても回復期間は変わるため、専門医と相談しながら適切な対応が重要です。
2022.06.09 -
- 上肢(腕の障害)
- テニス肘
- 肘関節
- スポーツ外傷
テニス肘は、テニスの経験がなくてもテニス肘と診断されることがあります テニス肘(テニスエルボー)は、手首や腕の反復運動によって肘の腱に負荷がかかり、痛みを伴う疾患です。通常はテニスをされる人に多く見られる状態です。しかし、テニスを一度もしたことがないのに、テニス肘と診断されることがあるのです。 この記事では、テニス肘について説明し、テニスが未経験であっても、どのような状況になるとテニス肘を発症するのか?ご説明してまいります。 テニス肘とは? テニス肘について簡単に説明します。テニス肘はテニスエルボーとも言われます。その痛みは、主に前腕の筋肉の腱が肘の外側にある骨の隆起に付着する部分に発生します。また、前腕や手首に痛みが広がることもあります。 通常安静にしているときには痛みは感じませんが、例えばドアノブを回す、タオルを絞る、またキーボードを操作するなどのように、手首を捻ったり反らせたり、また指を伸ばす動作をすると、肘の外側に痛みが誘発されます。場合によっては、コーヒーカップを持ち上げるだけでも痛みを感じることがあります。 症状が進行すると、安静時でも肘に痛みを感じるようになり、なかなか痛みが消えなくなります。 テニス肘の原因 テニス肘には、腕の使いすぎと筋肉疲労が背景にあります。原因は、手首を動かしたり、指を曲げたり伸ばしたりするための前腕筋を、繰り返し収縮させることです。 手首を反らせたり、手で握ったりすると、前腕の筋肉(伸筋)が収縮します。繰り返される動作と組織へのストレスにより、前腕の伸筋が上腕骨の肘の外側にある骨の突起に付着する部位に傷がついてしまい、炎症が起きることがあります。 この骨の突起は、「上腕骨外側顆」、前腕の筋肉は「短橈側手根伸筋」という名前がついています。尚、テニス肘の正式名称は「上腕骨外側顆炎」と呼ばれるものです。 テニス肘は、その名が示すようにテニスプレーにおいて、特にバックハンドストロークを技術が未熟なうちから、繰り返し行うことで肘の外側部分に負担を掛けてしまうことが原因で起こります。しかし、テニス以外、他の多くの一般的な腕の動きでも、テニス肘を引き起こす可能性があります。 なお、テニス肘は発症してからの時間が経つにつれて、炎症を抑えることができなくなります。そのような状況になると筋肉や腱の繊維組織はその強度を失ってしまいます。繊維組織はもろくなり、折れたり、傷つきやすくなったります。 そして繊維組織は傷つくたびに、瘢痕を形成します。やがて、腱は瘢痕組織によって肥厚していきます。 このような状況になると、腱はもはや正しく機能せず、痛みが続くようになり、運動していないときでさえ痛みが生じるようになります。 テニス肘は発症後時間が経つと進行すると 炎症を抑えることができなくなり、筋肉や腱の繊維組織は強度を失っていきます。 繊維組織がもろくなり、折れたり、傷つきやすくなり、瘢痕を形成します。 腱は瘢痕組織によって肥厚します。 腱は正しく機能せず、痛みが続くようになる。 運動していない場合でも痛みが生じるようになる。 テニス肘の治療 安静と鎮痛薬で、テニス肘の痛みが和らぐことが一般的です。痛みが激しい場合は、炎症が起こっている肘の周囲にステロイド薬を注射することもあります。 症状が慢性化すると、定期的なストレッチを含む理学療法が有用だと言われています。このような保存的治療が効かない場合や、症状が重篤な場合は、手術が必要となることもあります。 テニス未経験なのにテニス肘と診断されることがある 手首や腕の使いすぎが原因となっているテニス肘は、テニスをする人によくみられる状態であることは間違いありません。しかし、テニスのほかにも同じような動作を繰り返すような動作を行えばテニス肘を発症することになりかねません。 次に、どのような場合にテニス以外にテニス肘がみられるのか、ご紹介します。 腕をよく使うスポーツ 一部のスポーツを除き、頻繁に腕を使うスポーツは多くあります。そのなかでも特にテニスと同じようにラケットを使うスポーツであるバドミントンや卓球、スカッシュでも、テニス肘はよく起こります。 そのほかにもゴルフや、ウェイトリフティングでも、同様の症状がみられることがあります。 腕をよく使う職業 その名前にもかかわらず、テニス肘を発症するのは、アスリートだけではありません。テニス肘になるような職業もあります。特に力を入れて手首や腕を動かす必要のある、配管工、塗装工、大工などが、テニス肘を発症しやすい職業として知られています。 そのほかにも、特に肉を切るように力を入れて包丁を扱ったり、重い鍋を持って動かしたりする料理人、また特に体を動かすわけでもないタイピングやマウス操作を繰り返し行う人も、テニス肘を発症することがあります。 テニス肘の危険因子 そのほか、テニス肘の発症リスクを高める要因としては、以下のようなものがあります。 年齢:テニス肘はすべての年齢層で発症しますが、特に30~50歳の成人に最も多くみられます 職業:手首や腕の動きを繰り返すような仕事をしている人は、テニス肘になりやすい 例えば、配管工、塗装工、大工、料理人などが挙げられます 特定のスポーツ:ラケットを使用するスポーツに参加すると、テニス肘のリスクが高まります。 まとめ・テニス肘は、テニス未経験でもそう診断されることがあります テニス肘の概要、またテニスをしたことがなくても、どのような状況であればテニス肘を発症することがあるか、ご説明しました。 抵抗に逆らって手首を反らせると痛い、肘の外側の骨のあたりを押すと圧痛がある場合は、このテニス肘の可能性が高いと考えられます。しかし、テニス肘は、最終的には医療機関で正確な診断を受ける必要があります。 もし肘の痛みを感じる方がおられるようであれば、慢性化して治療が困難となる前に、整形外科医の診療を受けることをお勧めします。以上、テニス肘は、テニス経験がないのにテニス肘と診断されることがあるについて記させて頂きました。参考になれば幸いです。 ▼ スポーツ外傷(筋・腱・靭帯損傷)に対する再生医療 再生医療は、生活の質を守る治療です(詳しくは(詳しくはこちらから)
2022.06.08 -
- PRP治療
- 免疫細胞療法
PRP療法(多血小板血漿療法)とは、患者様自身から採取した血液から『多血小板血漿(Platelet-Rich Plasma:PRP)』を抽出し、損傷部位に注射して治療を行う再生医療の一種です。 PRP療法の対象は、関節や筋肉、腱、靭帯の疾患・外傷をはじめ、骨治癒の促進や手術創部の治療補助、美容医療における肌のシワ・たるみまで多岐に渡ります。侵襲の少なさから世界的にも注目されている治療法です。 さまざまな分野で行われるPRP療法ですが、以下の疑問を持つ方もいるでしょう。 「良い話ばかり見るけれど、デメリットはないの?」 「本当に効果はあるの?痛みはどれくらい?」 「実は費用が高いのでは?」 この記事では、PRP療法の6つのメリットと4つのデメリットを解説します。治療に不安のある方は、ぜひ参考にしてください。 PRP療法のメリット|患者様の声も合わせて紹介 最初にPRP療法のメリットを見てみましょう。 認可を受けたクリニックだけが施術できるから安心 施術できる部位(肩・肘・膝・手首・足首など)が多い 副作用(アレルギー反応・合併症など)のリスクが少ない 手術を行わないので最短30分で施術が完了 通院だけで治療でき日常生活に復帰しやすい プロアスリートの成功症例も多数あるので信頼がおける 患者様の声も交えて、この6項目について紹介します。 1.認可を受けたクリニックだけが施術できるから安心 再生医療の一種であるPRP療法は、厚生労働省の認可を受けたクリニックだけが行える治療法です。「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」によって、「再生医療等提供計画(治療)」を作成して審査を受け、厚生労働大臣へ提出するよう定められています。 リペアセルクリニックも「第二種・第三種再生医療提供計画」を厚生労働省に届出し、受理されています。PRP療法は第三種に分類されており、以下のページで届出内容を確認可能です。 参照:届出された再生医療等提供計画(治療)の一覧|厚生労働省 2.施術できる部位(肩・肘・膝・手首・足首など)が多い PRP療法は、以下のように幅広い部位・疾患に対応できるのが特徴です。これらは一例であり、書かれていない疾患や、難治性の疾患にも対応可能な場合があります。 部位 疾患 肩 四十肩・五十肩 肩腱板損傷 インピンジメント症候群 肘 肘内側(ゴルフ肘)上顆炎 肘外側(テニス肘)上顆炎 手首 手首の靭帯損傷 TFCC損傷 股関節 変形性股関節症 膝 変形性膝関節症 半月板損傷 膝靭帯損傷 膝蓋腱炎(ジャンパー膝) オスグッド・シュラッター病 足首 アキレス腱炎 足首靭帯損傷 足底腱膜炎 筋肉 肉離れ(筋断裂) またPRP療法は、肌の再生作用にも効果があります。PRPに含まれる成長因子が皮膚組織の修復や再生にはたらくため、美肌治療としても受けていただけます。 3.副作用(アレルギー反応・合併症など)のリスクが少ない PRP療法は、患者様自身から採取した組織・細胞で自分を治す方法です。 ワクチン接種のような身体に異物を注射するものとは異なり、アレルギー症状などの拒絶反応は引き起こしにくく、副作用は非常に少ないとされています。 また、PRP療法は手術を伴わないため、全身麻酔によるアレルギー症状や手術部の感染など合併症の心配もありません。PRP療法は手術と比較し、安全性の観点でメリットが多い治療法です。 患者様からも、以下のメリットを感じるとの声が挙げられています。 手術自体のリスクや、感染症の不安が無い 副作用が少ない 4.手術を行わないので最短30分で施術が完了 PRP療法において、患者様の体への負担は「血液の採取」と「患部への注射」だけです。手術を行わないため、施術は最短30分で完了します。 身体にメスを入れて切ったり、開いたりといった複雑な操作をしないため、安全に配慮した処置ができます。処置の痕が残りにくいことも特徴です。 実際にPRP治療を行った患者様からは、以下の感想をいただくことがあります。 注射だけの処置で、処置の痛みも一瞬だった 処置がすごく短時間で簡単に終わったのでびっくりした 5.通院だけで治療でき日常生活に復帰しやすい PRP療法は通院による治療が可能です。さらに、PRP療法は実施後から日常生活に戻れるため、患者様への負担が非常に少ない治療法です。 処置当日は、施術部位の感染予防のために入浴やシャワーなどを控えていただくことが多いですが、翌日からは入浴やシャワーも可能になります。激しい運動は数日間控える必要はありますが、軽い動作は問題ありません。 手術を行う場合は、数日から数週間の入院期間に加え、リハビリ期間も必要なことから、日常生活への負担も大きくなりがちです。一方PRP療法では、日常生活への影響を最低限に抑えて治療できます。実際に治療を受けた患者様からは、以下のような声も多く聞かれます。 入院の必要が無い 通院だけで処置を終えることができ、家族の心配や仕事に支障をきたさない 学生の場合は、入院による学業の遅れや、単位の不足など進学や留年の心配がない 家族や友人との時間を犠牲にしない 6.プロアスリートの成功症例も多数あるので信頼がおける PRP療法は、けがをしたプロアスリートにも選ばれています。 プロアスリートは、治療の効果だけでなく、治療後にパフォーマンスを維持できるかも重視しています。彼らに選ばれるPRP療法は、信頼できる治療法といえるでしょう。プロアスリートとPRP療法について興味のある方は、以下の記事をご覧ください。 PRP療法のデメリット ここからは、PRP療法のデメリットを紹介します。以下の順で確認していきます。 効果の程度・現れるまでの期間に個人差がある 処置部位に腫れ・痛みが出ることがある 治療にかかる費用負担が大きくなりやすい 一部の条件に該当する方は治療を受けられない 1.効果の程度・現れるまでの期間に個人差がある PRP療法の効果の程度や現れる時期、効果の持続時間には個人差が見られます。 ただ、個人差自体はどのような治療にも存在しており、PRP療法に特有のデメリットではありません。むしろ、PRP療法は患者様自身の血液を利用するため、この個人差は副作用のリスクが少ないメリットの裏返しとも考えられます。 2.処置部位に腫れ・痛みが出ることがある PRP療法を実施した後の数日間は、処置した部位に痛みや腫れ、発赤などの症状が出ることがあります。この痛みや腫れについても個人差があり、まったく腫れや痛みを実感しない方もいれば、数日間腫れが続く方もいます。もっとも、腫れや痛みは一過性のものであり、抗生物質などの治療を行わなくても自然経過によって改善するケースが多いといわれています。 まれに処置部位が感染するケースもあり、抗生物質による加療が必要なこともあります。ただし、このリスクはPRP療法に限らず、ワクチン接種などの注射を伴う医療行為全般に共通するものです。 腫れや痛みが出る可能性はありますが、PRP療法は手術を伴わないため、手術療法で起こり得る再手術や入院期間の延長といったリスクがありません。この点から、腫れや痛みはデメリットではあるものの、手術の副作用と比べると軽微です。 3.治療にかかる費用負担が大きくなりやすい 再生医療であるPRP療法は、まだ新しい治療法であるため、現在の日本では健康保険の適応がない疾患が多いです。PRP療法の処置のほか、処置後にリハビリテーションを行う場合も自費負担になることもしばしばあります。 例としてリペアセルクリニックの治療費用を見てみましょう。すべて自由診療で治療しており、PRP療法を1回行った場合の費用は165,000円(税込)です。このほか、専門医による初回診察や感染予防のための血液検査にも費用がかかります。 しかし、PRP療法は入院しなくても処置ができます。保険適用の手術でも、入院費用も含めると高額になる傾向があります。それらを踏まえると、保険適用の手術よりPRP療法の処置費用の方が安く済むケースもあります。 4.一部の条件に該当する方は治療を受けられない PRP療法は安全性の高い治療法ですが、すべての方が受けられるわけではありません。以下に当てはまる方は、治療を受けられない場合があります。 心臓や肝臓に疾患がある方 感染症や血液疾患がある方 妊娠をされている方 その他、カウンセリングで医師が不適当と判断した方 最終的には、患者さん一人ひとりの状態を慎重に見極め、医師が判断します。気になることがありましたら、遠慮なく担当医へご相談ください。 まとめ|PRP療法のメリット・デメリットが気になる方はお気軽にお問い合わせください PRP療法は、手術と比べて合併症や副作用のリスクが少なく、安全性が高い点が大きなメリットです。入院不要で施術時間も短いため、日常生活への影響も最小限で済みます。 一方で、効果の個人差や費用面など、PRP療法にもデメリットがあります。どんな治療法でもいえることですが、受診した医療機関や主治医から十分な説明を受けて、自分なりに理解した上で決めていきましょう。 リペアセルクリニックでも、PRP療法に関するご相談を受け付けています。患者様ごとのメリット・デメリットについても丁寧にご説明しますので、お気軽にお問い合わせください。
2022.06.08 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
- 靭帯損傷
- 関節リウマチ
- 膝部、その他疾患
「膝の裏に痛みを感じる」「膝裏がピキッと音が鳴る」 上記のような膝裏の痛みや違和感がある方は、変形性膝関節症や半月板損傷などの原因が考えられます。 膝裏の痛みが疾患によるものだった場合、放置してしまうと「歩けなくなるほどの痛み」に進行する可能性があるため早めに医療機関を受診しましょう。 当院リペアセルクリニックでは、膝裏の痛みだけでなく「ちょっとした違和感」など、どんな些細なことでもご相談を承っています。 症状が悪化して日常生活に影響を及ぼす前に原因を特定し、適切な治療を受けるためにも、ぜひお気軽にお問い合わせください。 \当院リペアセルクリニックでの診療風景/ 「痛みはあるけど病院に行くのは気が引ける」という方は、まずはお電話での無料相談で来院した方が良いかご確認ください! \無料相談・お問い合わせはこちらから/ 0120-706-313 (受付時間:9:00〜18:00) 膝の裏がピキッと痛むときに考えられる原因 膝の裏が痛む際に原因として考えられる疾患には、変形性膝関節症や関節リウマチのほか、膝部位に存在する靱帯の損傷などがあります。 以下で、それぞれ詳しく解説していきます。 ▼ 膝の痛みを放置するリスクについて知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 1.変形性膝関節症 変形性膝関節症は、中高年の女性によくみられます。 関節の軟骨がすり減って膝の内側や裏からふくらはぎにかけて痛くなり、正座がしにくくなります。変形が進行して症状が悪化するとO脚になり、末期になると歩行が困難になって人工関節の手術が必要です。 変形性膝関節症によって膝の関節が硬くなると、膝を伸ばすときに裏が痛くなります。また、膝を曲げ伸ばしする際に「ミシミシ」「ゴリゴリ」といった音が鳴るケースも珍しくありません。 ▼ 変形性膝関節症によるO脚の例 また、膝関節が炎症して水が溜まると、膝の裏から太ももの前側にかけて全体的に痛みを感じるようになります。(文献1) ▼ 変形性膝関節症について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。 2.半月板損傷 https://youtu.be/qH46jDFK9Mc?si=sdxiMZKVrIY_xAUi 膝の裏がピキッと痛む原因として考えられる疾患の一つが、半月板損傷です。 半月板は膝関節におけるクッションの役目があり、スポーツや事故による怪我、あるいは加齢に伴う変性によって損傷することがあります。 半月板が損傷すると、膝の裏側に痛みを感じるケースも珍しくありません。また、膝が動かなくなるロッキングを起こしたり、曲げ伸ばししづらくなったりします。 3.ベーカー嚢腫 ベーカー嚢腫も、膝の裏がピキッと痛むときに考えられる疾患の一つです。 ベーカー嚢腫とは、なんらかの原因で膝関節が炎症を起こし、関節液が増えて膝裏の滑液包に流入してできた袋状のコブを指します。 ゴルフボールぐらいのサイズに大きく腫れることもあり、膝の裏が突っ張った感覚を覚えます。 放置しているうちに腫れが治る場合もありますが、痛みが強いときは、針で水を抜くケースも少なくありません。なお、ベーカー腫瘍は主に変形性膝関節症や半月板損傷、関節リウマチ、化膿性関節炎などが原因とされています。(文献2) ▼ ベーカー嚢腫について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。 4.関節リウマチ 関節リウマチの患者数は、現時点でおおむね80万人といわれており、発症原因は自己免疫系統の異常とされています。自分自身の軟骨組織や骨成分を攻撃・破壊して関節部位に炎症を引き起こすと、膝裏に疼痛症状をもたらすと考えられます。(文献3) 関節リウマチを発症しやすい年齢は、30~50代前後の中高年層です。また、性別に関しては男性よりも女性で発症率が高いことが指摘されています。 なお、関節リウマチの初期段階では、手指の関節領域が左右対称に腫れるほか、倦怠感や食欲不振など自覚症状を引き起こす懸念があります。 ▼ 関節リウマチの対処方法を詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 5.靭帯損傷 靭帯損傷のなかでも、とくに後十字靱帯の損傷の場合、膝裏を伸ばしたときにピキッとした痛みを感じることも少なくありません。(文献4) 膝関節には4つの靱帯があり、重要な役割を担っています。膝の左右両側にあるのが内側側副靱帯と外側側副靱帯で、前後部位には前十字靱帯と後十字靱帯が走行しています。 たとえば、交通事故に遭ったり、スポーツ活動中に怪我を負ったりして、物理的に大きな衝撃が膝関節に負荷となってかかると、膝の靱帯が損傷・断裂して強い痛みを伴うでしょう。 とくに、靭帯を損傷してから3週間前後の発症して間もない頃には、膝裏の痛みのほか、伸展運動がしにくいといったサインも認められます。 受傷後1か月ほど経過した段階では、膝関節内部に血腫が貯留して腫れの所見が目立つこともあれば、損傷部位によっては膝関節の不安定さが少しずつ顕著になるケースもあります。 6.膝裏の筋肉の損傷 膝の裏側に位置する膝窩筋(しつかきん)の損傷も、ピキッと痛む原因の一つです。膝窩筋とは、膝裏の奥にある小さな筋肉で、膝を屈曲する際に重要な役割を果たします。 過度な負荷や無理な動きによって筋肉や腱が損傷すると、次のような症状が現れます。(文献5) しゃがむと痛い しゃがんで立つと膝の裏が痛い 膝を伸ばすとふくらはぎや太ももの裏が痛い 膝を曲げると膝裏が痛い 階段を上り下りする際に膝の裏からふくらはぎにかけて痛い 膝窩筋が損傷すると、膝裏にピキッと痛みを感じることが多く、とくにしゃがむ動作や立ち上がる動作で痛みが顕著になります。症状が悪化するとふくらはぎや太ももの裏など、周辺の筋肉にも痛みが波及するため注意が必要です。 7.腰椎ヘルニア・坐骨神経痛 太ももの後ろからふくらはぎにかけて痛みがある場合は、腰椎ヘルニアや坐骨神経痛も考えられます。神経の圧迫によって膝裏に痛みが放散され、痺れやズキズキした痛みを感じることがあります。 腰椎ヘルニアや坐骨神経痛による膝裏の痛みは、とくに立ったり歩いたりしているときに痛みが強くなることが特徴です。また、安静時にも痛みを感じる場合があり、睡眠中に痛みで目が覚めるケースも珍しくありません。 腰椎ヘルニアや坐骨神経痛が痛みの原因の場合は、腰部の治療が不可欠です。膝裏の痛みがひどくなる前に、早めに理学療法や薬物療法を行ってください。 8.リンパによる膝の裏の痛みや腫れ リンパ液の流れが悪化することによる膝裏の痛みや腫れも、ピキッと音が鳴る原因の一つです。 リンパ管は体内の老廃物を運ぶ役割を担っており、通常、筋肉の収縮や体の動きなどによって流れています。しかし、同じ姿勢で長時間過ごしたり、食生活が偏ったりしてリンパの流れが悪くなると、膝裏に痛みや腫れが生じます。 なお、リンパ液が滞った状態を放置すると、膝周辺が硬くなりさらに痛みを伴う可能性が高いため注意してください。 適度な運動やマッサージ、適切な食事をしてリンパの流れを改善・促進することが大切です。 9.反張膝 反張膝(はんちょうひざ)が原因で、膝裏がピキッと痛む場合があります。 反張膝は、膝関節が過度にそり返った状態を意味します。通常、膝はまっすぐに伸びているのが正常です。しかし、反張膝の場合は膝が後ろに飛び出るような形に曲がるため、結果として膝裏に圧力がかかり、痛みが生じます。 なお、反張膝は太ももの前後の筋肉バランスの悪さや、大腿四頭筋や腸腰筋、前脛骨筋などの筋力の低下によって起こります。反張膝を放置すると、膝への負担が蓄積され、関節の変形や痛みの慢性化につながるため注意が必要です。 膝の裏がピキッと痛むときの治療法 ここでは、膝の裏がピキッと痛むときの具体的な対処法や治療法を解説します。 幹細胞やPRPによる再生医療 膝裏がピキッと痛むときの治療法として、最近では幹細胞やPRPによる再生医療が注目されています。 再生医療とは、自然治癒力を最大限に引き出すための医療技術で、幹細胞や血小板の投与によって高い治療効果が期待できることが特徴です。 たとえば、変形性膝関節症が原因で膝の裏が痛む場合、初期段階ではヒアルロン酸注射やリハビリテーション、内服で様子を見ます。しかし、変形が進むと、人工関節置換術などをすすめられる場合がほとんどです。幹細胞やPRPによる再生医療は、手術を避けたい場合の新しい選択肢だといえるでしょう。 再生医療は、変形性膝関節症のほか、半月板損傷や腰椎ヘルニアなどの治療としても期待されています。 リペアセルクリニックでは、再生医療による膝の痛みの治療を行っています。 膝裏の痛みの原因を特定し、原因に応じて適切な治療を受けるためにも、ご自身の症状について電話でご相談ください。 ▼無料の電話相談はこちら >>今すぐ電話してみる ▼ 再生医療で膝の痛みを治療する 膝の痛みは、再生医療なら入院や手術をせずに改善を目指せます 手術治療とリハビリテーション 膝裏に重度の痛みを感じる場合や保存療法が効果を示さない場合には、手術を検討します。 とくに、変形性膝関節症や半月板損傷、靭帯断裂などが原因で膝裏に痛みがある場合は、手術治療が必要になるケースも珍しくありません。 また、術後には理学療法士やトレーナーなど専門職と相談しながら、状況に応じて適切なストレッチやリハビリテーションを実践し、早期回復に努めます。リハビリテーションは、膝の再受傷や二次的な外傷を回避するために以下の内容を中心に行われます。 体幹を鍛える 柔らかいボールなどを膝下で転がすように動かす 座位の状態になって膝を伸展させる 大腿部の筋肉を鍛える など なお、手術治療の方法は、膝の痛みの根本的な原因によって異なります。早期回復を目指す場合には、最小限の切開で済む膝関節鏡による手術をすることが一般的です。 膝の水抜き 膝の裏の痛みと同時に水が溜まっているときは、膝の水抜きをします。膝に水が溜まる原因には、変形性膝関節症や半月板損傷、ベーカー嚢腫などがあります。 膝の水が自然になくなるケースもありますが、膝裏の腫れや突っ張り、違和感があるときには水を抜くことが一般的です。 膝に水が溜まるのは、膝関節内で炎症が起こり、関節液が過剰に分泌されるためです。膝の水を抜くことで、痛みを軽減できます。ただし、膝の水抜きは一時的な効果にすぎないケースも多いため、原因に対する根本的な治療もあわせて行う必要があります。 ▼ 膝の水を抜く方法を詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 病勢進行の抑制 膝の裏が痛む原因によっては、病勢の進行を抑制するための治療をします。とくに、関節リウマチや変形性膝関節症など、進行性の疾患においては、症状を抑えるだけではなく、関節の損傷や変形を防ぐために以下のような治療が必要です。 抗炎症薬の使用 関節内注射(ステロイド注射やヒアルロン酸注射など) 生活習慣の改善 など 早期に適切な治療ができれば、生活する上で困らない程度まで痛みを軽減できるでしょう。 病勢進行を可能な限り抑制し、痛みを少しでも改善させるためには、普段から膝に大きな負荷をかけないように意識しながら対策することが大切です。 膝の裏がピキッと痛む場合のセルフケア方法 膝の裏がピキッと痛む場合は、早めの対応が痛みの軽減や早期の回復につながります。 以下で、膝裏の痛みに対するセルフケア方法を解説するので、ぜひ参考にしてください。 安静にする 膝の裏にピキッとした痛みを感じたら、まずは無理に動かさず、安静を保つことが大切です。膝に負担をかけすぎると、痛みが悪化する可能性があるため注意しましょう。とくに、急性の痛みがある場合は、できるだけ安静にするようにしてください。 安静にする際は、膝を高く保つと腫れや血流の滞りを防げます。横になるときにはクッションや枕などを使用し、膝を軽くあげると良いでしょう。安静にすることで、膝の炎症や筋肉の過度な緊張を抑えられるため、早期の回復につながります。 ストレッチをする 膝の裏がピキッと痛むときには、ストレッチも効果的です。 膝の裏のストレッチをすることで、筋肉に柔軟性を持たせて血流を促進します。膝裏の痛みに対しては、以下のストレッチがおすすめです。 ふくらはぎのストレッチ 太ももの後ろ(ハムストリング)のストレッチ 膝窩筋のストレッチ ストレッチをする際の注意点として、無理に引っ張ったり、痛みを感じるまで伸ばしたりするのは避けましょう。また、痛みを感じたときにはすぐにストレッチを中止し、かかりつけの医師に相談してください。 ▼ 以下の動画では、ふくらはぎと太ももの後ろの筋肉を中心にストレッチのやり方を紹介しています。 マッサージをする 膝の裏の痛みには、ストレッチと同様にマッサージも効果的です。膝の裏や周辺の筋肉を軽くマッサージすることで、筋肉の緊張をほぐし、血流が促進されます。 膝の裏がピキッと痛む場合は、膝の後ろからふくらはぎにかけて、手のひらで円を描くようにマッサージするのがおすすめです。 ふくらはぎを軽く揉むことで、膝裏にかかる圧力が軽減されると、痛みが和らぐ場合があります。 マッサージをする際は、痛みが悪化しないよう、力を入れすぎないことがポイントです。 テーピングやサポーターを使用する 膝の裏がピキッと痛むときには、テーピングやサポーターの使用も有効です。膝の安定性を高めることで無理な動きを制限したり負担を減らしたりすることで、痛みの軽減に役立ちます。 とくにテーピングは、膝を固定しつつ可動域を制限しないための適切な方法で行うことが大切です。テーピングの方法には専門的な知識が必要になるため、最初は専門医に相談するようにしてください。 テーピングやサポーターは膝への負担を軽減するために役立つものの、長時間使用しすぎると、筋力の低下や血行不良につながるリスクもあります。かかりつけ医に相談しながら適切にテーピングやサポーターを使用しましょう。 まとめ・膝裏のピキッとした痛みが長引くときは迷わず専門医に相談しよう 今回は、膝の裏がピキッと痛むときに考えられる病気と対策について詳しく解説しました。膝裏部が痛む原因としては、主に変形性膝関節症や関節リウマチ、膝靱帯損傷などが考えられます。 たとえば、関節リウマチは薬剤の治療成績が著しく向上し、初期段階できちんと診断して的確な治療を実践すれば治癒が期待できる病気になってきました。また、膝の靱帯を損傷した際は、早期的なアイシング(冷却)や患部固定で症状緩和につながります。 自分なりに対処策を実践しても症状が軽快しない場合や膝裏部の疼痛症状がひどくて悪化するような場合は、早めに整形外科などの専門医を受診しましょう。 当院リペアセルクリニックでは、損傷した膝裏の関節・靭帯の治療として注目されている再生医療をご案内しています。 「膝裏の痛みが長引いている」「痛みを早く治したい」という方は、手遅れになる前にぜひお問い合わせください。 ▼無料の電話相談はこちら >>今すぐ電話してみる 膝裏のピキッとした痛みに関するよくある質問 ここでは、膝裏のピキッとした痛みに関するよくある質問をまとめました。 膝の裏は歩きすぎると痛みやすい? 長時間の歩行は膝に負担がかかるため、膝裏の痛みを引き起こす可能性があります。とくに、硬い地面を歩いたり、無理なペースで歩行したりすると痛みがでやすいでしょう。 長時間歩くときには、適切な靴を履き、歩行姿勢に気をつけることがポイントです。また、歩行する前後でストレッチや軽いマッサージをすると、筋肉の緊張を和らげて膝への負担軽減につながります。 膝の裏が痛むときに専門医に相談すべき目安は? 膝の裏が痛むときは早めに医師へ相談するべきです。 膝の裏が痛むときに考えられる原因はさまざまで、比較的軽度なものから、自身では気づけないような重度な疾患まで存在します。自己判断して膝の痛みを放置してしまうと、日常生活に支障をきたす恐れがあります。症状が悪化すると歩行が困難となり、治療後に後遺症が残ってしまう可能性もゼロではありません。 膝の裏の痛みは軽視せず、最寄りの医療機関を受診するか、リペアセルクリニックのメール相談やオンラインカウンセリングまで気軽にご連絡ください。 膝裏のピキッとした痛みは予防できますか? 膝裏の痛みに対する予防には、筋力トレーニングやストレッチが効果的です。 大腿四頭筋やハムストリング、ふくらはぎなどの筋肉を鍛えて柔軟性を保つことで、膝の安定性を維持しやすくなります。また、正しい歩行姿勢を保ったり適切な体重を維持したりすることも、膝への負担を軽減し、痛みの予防につながります。
2022.06.07 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
- 膝に赤みや腫れ
この記事に辿り着いたあなたは、突然膝が腫れ、原因がわからず悩んでいるのではないでしょうか。 心当たりがないのに、膝の赤みや熱感、痛みがひどくなり、不安になる方もいるかもしれません。 膝の腫れは、炎症反応によるもので、なんらかの病気によるものが隠れている可能性も考えられます。 場合によっては、長期的な治療を必要とするものもあるでしょう。 本記事では、膝が腫れる原因の病気と対処法について詳しく解説しています。本記事が膝の腫れを改善させるきっかけとなれれば幸いです。 膝が腫れる原因は病気による炎症の可能性あり 膝が腫れて炎症が起こっている原因には、以下のような病気が隠れている可能性があります。 変形性膝関節症 半月板損傷 関節リウマチ 痛風 その他の病気(糖尿病や感染症) 本章では、膝が腫れる原因の病気について解説します。紹介した症状に心当たりのある方は、受診を検討しましょう。 また、膝に水が溜まっている感じがする方は、下記の記事も参考にしてみてください。 変形性膝関節症 膝が腫れて痛む有名な病気としては「変形性膝関節症」があげられます。 変形性膝関節症の原因は、加齢や遺伝的要因、もしくは体重増加による膝関節への過度な負担です。膝関節に負担がかかると関節軟骨が摩擦ですり減り、強い痛みを感じやすくなります。 初期症状は軽度(膝のこわばりや違和感)の場合があり、病気に気づきにくいケースもあります。 悪化すると、膝の可動域が狭くなり、歩行や正座など日常の動作が痛みでつらくなるでしょう。 末期には動いていないときでも痛みを感じ、日常生活に支障をきたす場合も少なくありません。 変形性膝関節症の初期症状や治療法は、以下の記事も参考にしてください。 半月板損傷 膝の腫れを伴う症状として「半月板損傷」も疑われます。半月板は膝関節の中にある三日月の形をした軟骨組織です。膝にかかる負荷を和らげるクッションの役割を果たしています。 スポーツや事故などにより膝に急激な負担や強い衝撃を与えると、半月板損傷になる可能性があります。 変形性膝関節症のほとんどは高齢者であるのに対し、半月板損傷は激しいスポーツをする若年層でも多くみられるのが特徴です。 半月板損傷になると、膝の痛みや腫れで動かしにくくなり、スイッチが入ったように膝関節が動かなくなる「ロッキング」が起こります。 関節リウマチ 「関節リウマチ」は、軟骨や骨組織が「免疫異常」によって攻撃されて関節部位の炎症が起こる病気です。この炎症反応により、関節の腫れ・強い痛みを自覚することもあるでしょう。 関節リウマチの症状の特徴は、手足の指の関節が左右対称性に腫れることです。 初期段階では指のような小さい関節に多くみられますが、膝や股関節など大きな関節に出る場合もあります。(文献1) そのため、関節リウマチによって膝が腫れることも考えられるでしょう。 関節の症状に加えて発熱や倦怠感、貧血など全身症状を伴う場合もあります。また、病気が進行すると軟骨の破壊が始まり、関節の曲げ伸ばしがつらくなる場合もあるでしょう。 関節リウマチについてより詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。 痛風 膝関節部が腫脹を認める疾患として「痛風」も考えられます。痛風は尿酸値が高い「高尿酸血症」に付随する症状のひとつです。 生体内で尿酸成分が過剰に貯留されると、膝関節を始めとする関節部位に尿酸の結晶が溜まり、炎症を引き起こして腫れを生じます。 痛風は足の親指が有名ですが、膝関節にも症状があらわれるケースもあります。 痛風を放置すると関節の激痛や腫れを繰り返し、最終的には腎不全にまで進行する可能性も考えられるでしょう。放置せずに適切な処置をとることが大切です。 尿酸はビールや甲殻類に多く含まれる「プリン体」が体内で分解されてつくられる成分です。そのため、カロリーの高い食事やアルコールの過剰摂取など食生活の乱れは痛風の一因と考えられています。(文献2) 痛風が出る部位や症状について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 その他に考えられる病気 糖尿病や感染症なども膝が腫れる一因として考えられます。 手術やケガなどでできた傷口から細菌が入り、炎症を引き起こします。 症状が悪化すると敗血症のリスクがあるため注意が必要でしょう。(文献3) 感染症により膝の腫れを引き起こす「化膿性関節炎」について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 日常生活に関する習慣性によって膝が腫れる場合もあります。 普段から立ち仕事や激しいスポーツなど膝への負担が多い場合は注意が必要です。無理をせず適当なタイミングで休憩するようにしましょう。 また、肥満状態は膝に大きな負担をかけています。肥満による体重増加は、膝の腫れを悪化させる大きな要素です。 バランスの良い食事や定期的な運動で適正体重を保つように注意しましょう。 膝が腫れて痛い場合は冷やして安静にする 膝に熱感があり、腫れて痛い場合は冷やして安静にして様子をみましょう。 自宅や突然膝の腫れを感じた場合の応急処置は、下記の「RICE」が基本です。(文献4) R(Rest):患部を固定して安静にする I(Ice):氷をアイスバッグや袋に入れて、患部を冷やす C(Compression):テープや包帯などで患部を圧迫ぎみに固定する E(Erevation):患部を心臓より高い位置に挙げる 上記はあくまですぐにできる応急処置です。不安があれば翌日または当日に受診をしましょう。 また、冷やすことで膝の痛みが悪化する場合は、筋肉の凝りや血流の悪化からきている可能性があります。その場合は冷やさず、湯船やカイロなどで温めましょう。 何科に受診すべきか悩むときは整形外科へ 膝の腫れで受診する際、何科に受診するか悩んだ際は「整形外科」を受診しましょう。 整形外科では今回解説した「変形性膝関節症」「半月板損傷」「痛風」など膝の症状があらわれる病気を対象に診療しています。 関節リウマチの特徴がみられる場合は、専門診療科の「リウマチ科」を受診しても良いでしょう。関節リウマチも他の病気と同様で、整形外科で診てもらうことも可能です。 また、膝の腫れや痛みで受診を悩む場合もあるでしょう。下記のいずれかに該当する場合は病院で診察を受けることをおすすめします。 突然膝の腫れや痛みが出た 膝の腫れが数日間も続く 冷やしても改善しない スポーツやケガなど、膝が腫れた原因が思い当たらない だるさや発熱など、他の症状もあらわれている 膝が動かしにくい、または動かない 上記に限らず膝の腫れや痛みに不安を感じる場合も、専門医に診てもらい適切な処置を受けましょう。 病院では手術・リハビリで治療する場合もある 膝の腫れに対する治療は、原因によってさまざまです。症状や医師の判断によっては、病院でリハビリや手術による治療を行う場合があります。 膝の腫れや痛みが生じる病気の治療は、以下のような処置がとられます。 症状・病気 治療の一例 手術 変形性膝関節症(文献5) 生活習慣の指導 膝関節を固定 ヒアルロン酸を注入 あまり行われないが、場合によっては手術の可能性あり> 半月板損傷 鎮痛剤の服用 膝関節の固定 リハビリ(筋肉の状態により) 手術の可能性あり 半月場縫合術 半月板切除術 ※手術によりスポーツの復帰が難しい可能性あり(文献4) 関節リウマチ(文献1) メトトレキサート(免疫抑制剤)の服用 鎮痛剤の服用または注射 リハビリ リハビリや鎮痛剤で症状が緩和しない場合は手術も検討する 人工関節置換術 関節形成術 痛風(文献2) 尿酸を下げる薬の服用 鎮痛剤や抗炎症薬の服用 患部の感染や関節機能の異常が大きい場合は手術する場合もある いずれの疾患でも、医師と患者の両者の意見に基づいて治療方針が決まります。病気の治療に不安があれば、主治医に相談してみましょう。 まとめ | 膝が腫れる原因がわからないときは医療機関に相談しよう 膝が腫れる原因は、関節の病気や外傷などさまざまです。 膝の腫れで受診した際には、症状出現前後のイベント、スポーツや立ち仕事など心当たりのあることを医師に伝えてください。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 膝が腫れるときによくあるQ&A 運動後に膝が腫れるのはなぜですか? 運動により膝が腫れるのは「半月板損傷」である可能性が高いです。 下記のようなスポーツ種目は、膝のひねりや無理のある方向転換により半月板損傷になる可能性があります。 マラソン ゴルフ バレー バスケ 野球 定期的にスポーツをされる方は、無理な膝の使い方をすると半月板を傷めやすいので注意しましょう。 膝の腫れはどのくらいで治りますか? 膝の腫れが治る期間は、原因の病気や程度によってさまざまです。数カ月で治る場合もあれば、数年以上かかることもあります。 早期に適切な処置を行うことで比較的早めの改善も期待できます。膝の腫れに違和感があれば早めに専門医に診てもらいましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療にて膝の腫れや変形性膝関節症の治療が可能です。気になる方は下記のページも参考にしてください。 膝が腫れてブヨブヨで痛いのですが… 膝に水が溜まっている可能性があります。 普段は関節の潤滑油として役割を果たしている「関節液」が炎症反応により過剰につくられているため、膝に水が溜まる現象が起こります。(文献6) 病院で水を抜く処置をしてもらうと、ブヨブヨの解消が期待できるでしょう。 また、場合によっては水を抜いた後に痛みや炎症を抑える目的でヒアルロン酸を注入する治療も可能です。受診した際に相談してみてください。 膝と同様、肘にも炎症が起こる「肘頭滑液包炎」の可能性があります。詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 参考文献一覧 文献1 日本リウマチ学会. 関節リウマチ診療ガイドライン2020. , 診断と治療社, 数カ月2021年,初版, p171 文献2 日本痛風・尿酸核酸学会. 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン[2022年追補版]. 第3版, 診断と治療社, 2022年, p73 文献3 Steven Schmitt, MD, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine at Case Western Reserve University. 感染性関節炎.MSDマニュアル家庭版. 2022.6. 文献4 日本整形外科スポーツ医学会広報委員会.3.スポーツ外傷の応急処置(RICE). スポーツ損傷シリーズ, 2023.5. 文献5 日本整形外科学会診療ガイドライン実行委員会/変形性膝関節症診療ガイドライン策定委員会. 変形性膝関節症診療ガイドライン2023. 初版, 株式会社南江堂, 2023, p147 文献6 斉藤 聖二,関節痛(炎):診断と治療の進歩1.関節の構造と関節痛(炎)の原因, 日本内科学会雑誌, 1994年, 第83巻, 第11号, p1871-1875
2022.06.07 -
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
腰に小さな痛みや違和感があり、「ぎっくり腰なのではないか」と不安を覚えていませんか? ぎっくり腰は、歩けなくなるほど痛いと言われることも多く、できれば悪化させたくないと考えている人もいるでしょう。 結論、「なんとなく腰が痛くなりそうな違和感」は、ぎっくり腰の前兆の可能性があります。 この記事では、ぎっくり腰になりそうなときの対処法や、病院を受診したほうが良いケースを解説します。 ぎっくり腰の不安の解消や、症状の緩和にお役立てください。 ぎっくり腰の前兆は「なんとなく腰が痛くなりそうな違和感」 ぎっくり腰の前兆については、明らかなものがないと言われています。 しかし、以下のようなタイミングで「なんとなく腰が痛くなりそうな違和感」があれば、ぎっくり腰の前兆の可能性があります。 重いものを持ち上げたとき 座ったり歩いたりしているとき 前かがみになったとき 咳やくしゃみをしたとき 寝ているとき 身体を起こしたとき 前兆を見過ごしてしまうと、症状が悪化してぎっくり腰になってしまうかもしれません。 ぎっくり腰を未然に防ぐためにも、次の章で解説する対処法を試してみましょう。 【前兆】ぎっくり腰になりそうなときの対処法4つ 腰に違和感があり、ぎっくり腰になりそうなときには、以下4つの対処法を試してみてください。 無理な姿勢を避ける 痛みがある場合は冷やす 身体を軽く動かす ストレスを解消する 各対処法について、ぎっくり腰の原因とともに詳しく解説していきます。 無理な姿勢を避ける ぎっくり腰になりそうなときは、無理な姿勢を避けましょう。 ぎっくり腰の正式名称は「急性腰痛症」といい、腰や背骨を支える組織に傷が付いて痛みを引き起こすと言われています。 腰や背骨を支える組織は、椎間板、椎間関節、骨膜、筋肉・筋膜、靭帯、血管などさまざまで、どの部分に原因があるかは感覚だけではわかりません。 そのため、まずは無理な姿勢を避けて、腰周りに負担をかけないことが大切です。 痛みがある場合は冷やす ぎっくり腰の前兆である「なんとなく腰が痛くなりそうな違和感」を通り越して、すでに痛みがある場合は、湿布や氷枕などで患部を冷やしましょう。 痛みの原因は腰周りの組織の炎症であるため、冷やすことで症状の改善に効果があると言われています。 ただ、冷やしすぎると皮膚を刺激し、かえって痛みが悪化してしまうおそれがあるため注意しましょう。 身体を軽く動かす ストレッチなどで身体を軽く動かすのも、ぎっくり腰になりそうなときの対処法として有効だと言われています。 ぎっくり腰の症状は、安静にしすぎると治りが遅くなる可能性があるためです。 ストレッチで腰周りにある筋肉の緊張をほぐし、血行が促進されたり可動域が広がったりすることで、腰椎への負担を減らせます。 痛みがない、または痛みが引いたら、無理のない範囲で身体を動かしてみましょう。 また、マッサージの良否は症状によって異なるため、自己判断で実施せず医師に相談してください。 ストレスを解消する ぎっくり腰になりそうなときは、ストレスを解消することも大切です。 ストレスは筋肉の緊張や血流の悪化を引き起こすため、ぎっくり腰の原因のひとつだと考えられています。 すべてのストレスを解消することは難しいかもしれませんが、十分な睡眠や休息を取るなど、リフレッシュできるよう心がけてみてください。 ぎっくり腰になると「耐えられないほどの激痛」が走ることも 前兆を放置し、ぎっくり腰になってしまうと「耐えられないほどの激痛」が走ることもあります。 正式名称である「急性腰痛症」という文字のとおり、急激に発症するのが、ぎっくり腰の怖いところです。 重いものを持ち上げたときや、前かがみになったときなどのタイミングで腰に激痛が走った場合、ぎっくり腰の可能性が高いでしょう。 ぎっくり腰の症状や原因については、以下の記事でも解説しているので、あわせてご覧ください。 ぎっくり腰ではない?病院を受診したほうが良い3つのケース ぎっくり腰やその前兆のような症状が出ており、以下のような状態の場合は、一度病院を受診してください。 痛みが2週間以上続いている・しびれがある 高齢である 発熱がある 「ぎっくり腰かと思いきや、骨折や他の病気だった」という可能性があります。 それぞれの症状について、詳しく解説します。 痛みが2週間以上続いている・しびれがある 腰周りの痛みが2週間以上続いている、またはしびれがある場合は、以下の病気が隠れている疑いがあります。 椎間板ヘルニア 脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう) そのままにしておくと痛みが長引いたり、手術が必要になったりするおそれがあるため、早めに病院を受診することが大切です。 高齢である 高齢でぎっくり腰のような痛みがある場合、「圧迫骨折」で背中の骨が折れている可能性があります。 高齢者は「骨粗しょう症」の人が多く、骨が折れやすいためです。 骨折が原因で寝たきりになってしまうこともあるため、ただのぎっくり腰だと自己判断せず、一度背中や腰の状態を診てもらいましょう。 発熱がある 腰の痛みに加えて発熱がある場合に考えられるのは、細菌やウイルスへの感染です。 脊椎が細菌に感染する「化膿性脊椎炎(かのうせいせきついえん)」の可能性もあります。 感染は抗生物質などの薬で治療する必要があるため、発熱がある場合は病院を受診しましょう。 そのまま入院となるような、重大な病気が隠れているケースもあります。 以下の記事では、ぎっくり腰で病院を受診する目安に加えて、病院に行く前の応急処置を紹介しています。 まとめ|ぎっくり腰の前兆は4つの対処法で乗り切ろう 「なんとなく腰が痛くなりそうな違和感」は、ぎっくり腰の前兆の可能性があります。 重いものを持ち上げたときや前かがみになったとき、咳やくしゃみをしたときなど、前兆が現れるタイミングはさまざまです。 ぎっくり腰になりそうなときには、無理な姿勢を避けるなど、この記事で解説した4つの対処法で乗り切りましょう。 2週間以上続く痛み・しびれ・高齢者・発熱を伴うなどの場合は、ぎっくり腰ではない病気が隠れているおそれがあるため、一度病院を受診してみてください。 当院「リペアセルクリニック」では、腰痛治療の選択肢として再生医療を提供しています。 ぎっくり腰の前兆についてよくある質問 ぎっくり腰の前兆を感じたらどうしたらいいですか? ぎっくり腰の前兆に有効な対処法は、「無理な姿勢を避ける」「身体を軽く動かす」「ストレスを解消する」です。 痛みがある場合は、まず患部を冷やし、腰回りの組織の炎症を抑えましょう。 ぎっくり腰になりそうなときにやってはいけないことは? 重い物を持ち上げたり、痛みがあるのに無理に動いたりと、腰に負担がかかることは避けましょう。 症状が悪化し、激痛が走るぎっくり腰になってしまうおそれがあります。
2022.06.06 -
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
「肩が痛くて夜眠れない……」 「肉体労働をしているから早く症状を改善したい」などと悩んでいませんか。 その症状、石灰沈着性腱板炎の可能性があります。 本記事では、石灰沈着性腱板炎の症状や発症原因、治療法などを解説します。 「できる限り早く改善したい」と考えている方は、治療までの期間も解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。 石灰沈着性腱板炎とは 石灰沈着性腱炎(せっかいちんちゃくせいけんばんえん)とは、筋肉や腱にカルシウムが沈着して起こる病気です。 石灰沈着性腱板炎に発症するのは、40〜50代の女性が多く、女性ホルモンが関係していると言われています。 部位的には体のどこにでも起こる可能性がありますが、通常は「肩の腱板」で起こる症例が多く「石灰沈着性腱板炎」と呼ばれます。 腱板は、上腕を肩につなぐ筋肉と腱の集まりです。 腱板にカルシウムが蓄積すると、腕の可動域が制限されるだけでなく、激しい痛みも生じるようになります。 石灰沈着性腱板炎の症状 石灰沈着性腱板炎の症状は主に、ひどい肩の痛みに伴って腕を動かせなかったり、眠れなかったりする方がいます。 石灰沈着性腱板炎の痛みは夜間に突発的に生じるケースが多いため、痛みで起きてしまうこともあります。 なお、石灰沈着性腱板炎の症状には、出現時期によって特徴や痛みの感じ方が異なるため、以下の表で詳しくまとめました。 時期 出現時期(発症後) 痛みの特徴 急性期 1〜4週間 ・針で刺されたような痛みがある ・安静にしていても痛む ・日常生活がままならない方もいる 慢性期 6カ月〜 ・特定の動きをする際に筋肉痛のような痛みがある ・後ろに手を回せない 上記のように、悪化すると痛みで腕を動かせない、髪をとかす、洗濯物を干すなどの腕を上げる動作で痛みを伴うケースもあります。 石灰沈着性腱板炎の原因 石灰沈着性腱板炎が発症する主な原因は、肩の使い過ぎとリン酸カルシウムの結晶化です。 それぞれ石灰沈着性腱板炎が発症する原因を、詳しく解説していきます。 原因1:肩の使い過ぎ 石灰沈着性腱板炎は、肩に負担のかかる動作を頻繁にしていると起こりやすい病気です。 重い荷物を持ち上げたり、野球やテニスのようなスポーツをしていたりする方は石灰沈着性腱板炎が生じやすい傾向にあります。 学生時代に野球やテニスをしており、社会人になっても続けている方は、腱板への負担が大きくなるため注意が必要です。 日常生活での洗濯やパソコン作業でも、肩にストレスがかかります。また、加齢に伴う腱の柔軟性の低下も発症しやすくなる要因です。 肩の使い過ぎではなく、加齢による痛みを疑っている方は、以下の五十肩・四十肩に関する記事もあわせてご覧ください。 原因2:リン酸カルシウムの結晶化 石灰沈着性腱板炎が発症する原因の1つに、腱板へのリン酸カルシウムの沈着があります。 ただし、なぜリン酸カルシウムの沈着が起こるかはまだ解明されていません。 リン酸カルシウムの結晶は、最初はミルク状ですが、徐々に歯磨き粉のような状態を経て、最終的に硬く大きくなります。 なお、リン酸カルシウムの沈着は、遺伝的素因や糖尿病などの代謝性疾患に伴うと知られています。 石灰沈着性腱板炎の診断方法 石灰沈着性腱板炎の診断方法はまず、腕を上げたり、腕を回したりして、可動域の制限を確認します。可動域制限の診察終了後、カルシウムの沈着やその他の異常がないか調べるために、画像検査を行います。 超音波検査を利用するケースもあり、X線検査では見逃された小さな沈着物を見つけ出せるのが特徴です。 石灰化した沈着物の大きさや場所を正確に評価するためにCT検査を、腱板断裂が合併していないか確認するためにMRI検査をする診断方法もあります。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けています。 事前に相談しておきたい方や治療の流れなどが気になる方は、気軽にご連絡ください。 石灰沈着性腱板炎の治療法と予後 石灰沈着性腱板炎は多くの場合、手術をせずに治療できます。 ここからは石灰沈着性腱板炎の治療法と、予後について解説していきます。 薬物療法 石灰沈着性腱板炎の薬物療法では、炎症や痛みの緩和を目的に、以下の薬を処方しています。 薬ごとの種類や特徴は以下の通りです。 薬の種類 詳細 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) ・薬物療法の第一選択肢 ・炎症を抑え痛みを和らげる効果が期待できる ・ロキソニンやボルタレン、湿布などが該当する ・痛みが軽度なら内服薬、重い場合は外用薬が適用されるケースが多い 鎮痛剤 ・非ステロイド性抗炎症薬では痛みがある場合に処方される ステロイド薬 ・痛みに対する強めの薬 ・肩への局所麻酔するケースもある ・長期使用は腱を弱める可能性があるため要注意 理学療法(リハビリ) 薬物療法で痛みに十分対処したのち、中等度または重度の症例では、可動域を回復させるために理学療法(リハビリ)をおこないます。 リハビリの種類 詳細 ストレッチ ・肩の可動をスムーズにするため実施 ・実施しないと肩の動きが制限や痛みが発生しやすい 筋肉トレーニング ・肩周辺の関節や筋肉強化が目的 ・関節の安定につながり再発予防が期待できる 運動療法 ・ボールやタオル、ゴムバンドなどを使った運動 ・日常生活の動作をスムーズにさせるために実施 手術をしない場合は、肩の動きを回復するために穏やかなリハビリを行います。振り子のように腕をわずかに振るリハビリがよく行われているリハビリです。 時間をかけて、アイソメトリック運動や軽い負荷をかけた運動などを行う場合もあります。 リハビリについては、以下の記事で具体的な方法を紹介しているので、あわせてご覧ください。 注射療法 石灰沈着性腱板炎の注射療法は、薬物療法や理学療法で改善されなかった場合に検討される治療法です。直接的に肩へ注射する治療法のため、高い効果が期待できる反面、長期的な使用には注意が必要です。 注射の種類 詳細 ステロイド注射 ・痛みに対する強めの薬 ・即効性はあるがステロイド薬同様、長期使用する上で注意が必要 ヒアルロン酸注射 ・肩の関節の可動域をスムーズにしたいケースでおこなう 局所への注射だけでなく、急性期にミルク状のリン酸カルシウムを吸引するケースもあります。肩に局所麻酔を施した後に腱板まで針を刺し、固まる前のリン酸カルシウムを手動で吸引し、除去できます。 針を正しい位置に誘導するために、超音波で確認しながらおこなうケースもある治療法です。 手術療法 薬物療法や理学療法などで石灰沈着性腱板炎の改善が見られない場合は、リン酸カルシウムの沈着物を除去するための手術が治療法として挙げられます。とくに慢性期で日常生活に支障をきたすほどの痛みが続いている方は、手術が必要となります。 手術では、関節鏡手術を実施しており、術後1週間以内には日常生活に復帰できるケースが大半です。 しかし、痛みが続いて日常生活が制限される場合もあります。術後の完全回復に向けてリハビリを実施しますが、患者様によっては3カ月以上かかる可能性もあるのです。 石灰沈着性腱板炎の予後 石灰沈着性腱板炎は痛みを伴うことがありますが、早期に治癒しやすい病気です。 最終的に自然に消失する傾向はあるものの、治療せずに放置すると合併症を引き起こす可能性もあります。 石灰沈着性腱板炎の合併症には、腱板断裂や四十肩などを含みます。 早期の治癒に向け、適切な治療を施していきましょう。 石灰沈着性腱板炎には再生医療が1つの選択肢になる 石灰沈着性腱板炎の治療は、再生医療で改善が期待できます。 従来の治療法では、10%の方が手術をしなければならず、痛みを抑えるためにおこなっても、傷跡が気になる方がいるでしょう。 最近では手術をしない治療法である再生医療を選ぶ方もいます。再生医療は、体への負担が少ない治療法のため、石灰沈着性腱板炎を含めた病気で実施されています。 石灰沈着性腱板炎の治療において、従来の保存療法や手術療法に加えて、再生医療も治療の選択肢の一つとして挙げられます。 再生医療では、患者様自身の幹細胞を用いて、組織の修復を促す治療を行います。この治療法は手術のように大きな切開を必要としないため、体への負担が比較的少ないことが特徴です。 再生医療について興味がある方は、ぜひ当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 石灰沈着性腱板炎かも!?|肩の痛みが続く場合は適切な診断を 本記事では、石灰沈着性腱板炎の症状や原因、治療法などを解説しました。 石灰沈着性腱板炎は腱板断裂や四十肩とも症状が似ているため、十分に認識されていない方もいます。 仮に、肩の痛みがなかなか治らない、肩の痛みの原因を知りたいなど、肩の痛みにお悩みの方は、無理をせず医療機関を受診しましょう。 治療の選択肢としては、薬物療法や手術の他に再生医療という選択肢もあります。 再生医療の診療を行う当院「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けています。 事前に相談しておきたい方や治療の流れなどが気になる方は、気軽にご連絡ください。 石灰沈着性腱板炎に関するよくある質問 石灰沈着性腱板炎がコーヒーと関係するのは本当? 石灰沈着性腱板炎とコーヒーは、直接的な因果関係については現状、証明されていません。 「普段コーヒーをよく飲むから不安…」と感じる必要はありません。 しかし、コーヒーをミルクと混ぜて飲む方はリンを多く含んでいるため、以下の食品も含めて注意しましょう。 カップラーメン 冷凍食品 食品添加物を含む食品 食事の内容が直接関係していなくても、なるべくビタミンやCやEが豊富な野菜・果物の摂取が推奨されています。 石灰沈着性腱板炎になった場合は仕事を休む必要があるの? 石灰沈着性腱板炎になった場合、痛みが激痛であれば仕事を休むのがおすすめです。とくに肩を使う動きの多い肉体労働をしている方は、症状を悪化させてしまう可能性があるため注意してください。 治療法や個人の回復力にもよりますが、2〜3カ月の休業が伴うケースがあります。しかし、長期の休業は経済的な負担がかかるものです。 長期休業になるため、医師の診断書をもとに休業補償を受けられるか、会社に確認しておきましょう。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けています。 事前に相談しておきたい方や治療の流れなどが気になる方は、気軽にご連絡ください。 石灰沈着性腱板炎はどのくらいで治る? 石灰沈着性腱板炎は多くの場合、薬物療法で改善しています。 薬物療法や注射療法を実施して、約3カ月で改善される方もいれば、4年経過しても痛みが残ったケースもあります。(文献1) なかには、痛み止めの内服で2週間程度で改善される方もいるため、治療期間は人によって異なると把握しておきましょう。 参考文献 (文献1) Wolk T, Wittenberg RH. Calcifying subacromial syndrome: clinical and ultrasound outcome of non-surgical therapy. Z Orthop Ihre Grenzgeb. 1997;135(5):451-457. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9446439/ ▼肩が痛む症状についてこちらのご覧ください
2022.06.06 -
- 糖尿病
- 内科疾患
妊娠中に「妊娠糖尿病」と診断され、不安や戸惑いを感じていませんか? 「食事に気をつけてください」と言われる中で、「運動も大切です」と医師からアドバイスを受けたものの、妊娠中に体を動かして本当に大丈夫なのか、逆にお腹の赤ちゃんに影響が出ないか、不安になる方も多いでしょう。 本記事では、妊娠糖尿病の管理においてなぜ運動が推奨されているのか、そしてどのような運動なら安心して行えるのかを、わかりやすく解説します。 運動が不安な方でも、今日から無理なく始められるポイントや注意点も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。 妊娠糖尿病には運動が効果的 妊娠糖尿病と診断されると、まず「食事管理」が思い浮かびますが、運動も血糖値のコントロールに効果的な手段のひとつです。 妊娠中でも体に負担をかけすぎない運動であれば、医師の指導のもと安心して取り入れられます。 実際に、妊婦さんの中には運動を取り入れることで血糖値が安定し、体調管理がしやすくなったと感じる方も少なくありません。 本章では、妊娠糖尿病に対する運動の具体的な効果や、安全に取り入れやすい方法について解説します。 歩行のみでも改善効果が期待できる 運動と聞くと、ランニングのような激しい運動が必要と思われがちですが、ウォーキングのような軽い有酸素運動でも血糖値コントロールへの良い影響が報告されています。 たとえば、科学研究費助成事業による調査では、妊娠糖尿病の妊婦において歩行運動を取り入れた妊婦の方が、食事療法のみの妊婦に比べてインスリン治療へ移行した割合が少なかったことが報告されています。(文献1) もちろん、すべての人に同じ効果が現れるわけではありませんが、「歩くだけでも意味がある」と思えるだけでも、日々の活動が変わります。 運動により血糖値コントロール・体重管理・便秘予防などの効果がある 先ほども解説した通り、妊娠糖尿病において、軽めの有酸素運動は血糖値のコントロールに非常に有効ですが、運動の効果は、血糖値の改善だけではありません。 適度な運動を続けることで、過度な体重増加を防ぎ、妊娠中に起こりやすい便秘の予防にも効果があるとされています。 さらに、軽い運動はリフレッシュにもつながり、ストレスの軽減や睡眠の質の向上など、心身のバランスを整える助けにもなります。 妊娠中はホルモンバランスの変化で気分が不安定になりやすいため、体を動かすことで気分転換ができるのも大きな利点です。 安定期(妊娠中期)〜後期では運動が始めやすい 妊娠初期は体調が不安定なことが多いため、無理に運動を始める必要はありません。 しかし、妊娠12~16週以降の安定期に入り、体調が落ち着いてきた頃であれば、医師の許可を得たうえで軽い運動を始めることができます。 ウォーキングやマタニティヨガ、ストレッチなど、お腹に負担をかけずにできる動きから少しずつ取り入れていくのがポイントです。 最初は短時間・軽い内容からスタートし、体調を見ながら続けていきましょう。 妊娠糖尿病の方におすすめの3つの運動 妊娠糖尿病の方にとって、運動は血糖コントロールや体調管理に役立つ大切なセルフケアのひとつです。 ここで、妊婦さんでも無理なく取り入れやすい、妊娠糖尿病の管理にも効果が期待できる、以下3つの運動方法をご紹介します。 ウォーキング(散歩) マタニティヨガ・ストレッチ 軽い筋トレ(スクワット・もも上げ) ウォーキング(散歩) ウォーキングは、妊娠中でも安全性が高く、体への負担が少ない有酸素運動です。 血流が良くなることで血糖値の安定にもつながり、リフレッシュ効果も期待できます。 無理に長時間歩く必要はなく、1日15〜30分程度、気分がよい時間帯にゆっくり歩くだけで大丈夫です。 歩く際は、気温や天候に配慮し、水分補給を忘れずに行いましょう。 マタニティヨガ・ストレッチ マタニティヨガやストレッチは、呼吸を意識しながらゆっくり体を動かす運動です。 筋肉をやわらかく保ち、血行を促進することで、血糖値の安定にも良い影響が期待でき、心身のリラックスにもつながります。 また、腰痛や肩こり、むくみ、便秘といった妊娠中の不調の予防や緩和にも効果的です。 たとえば「猫と牛のポーズ」は、妊婦さんに人気のある基本的な動きのひとつです。 【猫と牛のポーズ】 四つん這いになる 肩の真下に手首、脚の付け根の真下に膝を置く 手のひらを大きく開き、中指を正面に向ける 膝の間は拳1つ分あける 頭からお尻まで一直線にキープ 息を吸いながら背中を反らせて目線を上に 息を吐きながら背中を丸めて目線をおへそに 四つん這いになることで、お腹が自然に下がり、赤ちゃんにとっても居心地の良いスペースが生まれます。 お母さんは呼吸がしやすくなり、赤ちゃんもリラックスできると言われており、息苦しさを感じたときにもおすすめです。 ただし、このポーズは妊娠16週以降で、主治医から運動の許可を得ている方のみ行うようにしましょう。 自宅で動画を見ながら取り組める手軽さも魅力ですが、お腹を圧迫しない姿勢を選び、無理なく行うことが大切です。 軽い筋トレ(スクワット・もも上げ) 妊婦さんでもできる範囲の軽い筋トレもおすすめです。 筋肉を使うことで、インスリンの働きが良くなり、血糖の取り込みがスムーズになるといわれています。 たとえば、椅子につかまりながらのスクワットや、その場でももを軽く上げ下げする運動などは、下半身の筋力を保ちつつ代謝をサポートします。 運動前後のストレッチや呼吸を意識し、お腹に力を入れすぎないよう注意しながら行うのがポイントです。 妊娠糖尿病の方が運動する際の注意点 妊娠糖尿病の管理に運動は効果的ですが、妊娠中という特別な時期であることを忘れてはいけません。 体調や妊娠の経過によっては、運動がかえって負担になる場合もあるため、「無理をしない・安全に行う」ことが最も大切です。 本章では、妊娠糖尿病の方が運動を始める際に、必ず押さえておきたい以下、4つの注意点をご紹介します。 医師に必ず相談してから開始する お腹が張ったらすぐ中止する 水分補給・室温管理など安全に配慮する 激しい運動は避ける 医師に必ず相談してから開始する 妊娠中に運動を始める前には、必ず主治医へ相談しましょう。 妊娠糖尿病の症状の程度や、妊娠の経過、合併症の有無などによっては、運動を控えるよう指示される場合もあります。 また、体調は日によって変化するため、「昨日は大丈夫だったから今日も大丈夫」とは限りません。 医師と相談しながら、そのときの自分の体に合った方法・タイミングで取り組むことが大切です。 お腹が張ったらすぐ中止する 妊娠中の運動で最も大事なのは、「頑張りすぎない」ことです。 少しでもお腹が張る、疲れすぎたと感じる、不調のサインがあれば、すぐに運動を中止しましょう。 妊娠糖尿病の管理には継続が大切ですが、それ以上に大切なのは母体と赤ちゃんの安全です。 「今日は無理しない」という判断も、立派な自己管理のひとつです。 水分補給・室温管理など安全に配慮する 妊娠中は汗をかきやすく、体温調整もしにくくなっているため、こまめな水分補給と室温管理が欠かせません。 とくに夏場や暖房のきいた室内では、熱中症や脱水症状を防ぐためにも常に水分を手元に置いておくようにしましょう。 また、食後30分〜1時間以内の軽い運動が血糖値の上昇を抑えるのに効果的とされており、このタイミングを意識するのもおすすめですが、体調がすぐれないときは無理せず、あくまで自分の体と相談しながら行いましょう。 激しい運動は避ける 妊娠中はお腹に衝撃や強い負荷がかかるような運動は避ける必要があります。 主に、以下の運動は原則NGとされています。 ランニングやジャンプなど、全身に強い負荷がかかる動き サッカーやバスケットボールなど、転倒や接触リスクのあるスポーツ 腹筋運動や体幹トレーニングなど、お腹に直接負担がかかるもの これらは流産や早産のリスクを高める恐れがあるため、妊娠中は控えるのが基本です。 安全第一で「ゆっくり・やさしく・短時間」を心がけましょう。 まとめ|妊娠糖尿病と運動は正しく組み合わせれば心強い味方 妊娠糖尿病と診断されると、不安や戸惑いを感じる方も多いかもしれません。 しかし、適切な運動は血糖コントロールに役立つだけでなく、妊娠中の心身の健康をサポートしてくれる心強い味方にもなります。 大切なのは、「できることから無理なく続ける」ことです。 ウォーキングやストレッチなど、体調に合わせて取り入れやすい運動から始めてみましょう。 少しでも不安があるときは、かかりつけの医師や助産師に相談しながら進めることが安心・安全への近道です。無理のない範囲で体を動かしながら、穏やかな妊娠生活を送りましょう。 参考文献 (文献1) 菅沼信彦「妊娠糖尿病妊婦に運動療法は効果的か?2014年度 実績報告書」京都大学 医学系研究科、2015年(研究課題番号:25670970) https://kaken.nii.ac.jp/ja/report/KAKENHI-PROJECT-25670970/256709702014jisseki/(最終アクセス:2025年5月25日])
2022.06.02 -
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
腕を上げたときに肩が痛む原因は、五十肩(四十肩)だけではありません。 肩腱板損傷やインピンジメント症候群など、さまざまな疾患が関係している可能性があります。 しかし、その中でも特に中高年層に多く見られ、日常生活に影響を与えるのが五十肩(四十肩)です。 本記事では、腕を上げると肩が痛くなる原因のうち、特に五十肩に焦点を当て、症状の進行段階や治療方法について詳しく解説していきます。 適切なケアを知り、症状の改善を目指しましょう。 腕を上げると肩が痛い原因 腕を上げたときに肩が痛む原因には、大きく3つの疾患が考えられます。 「肩腱板損傷」「インピンジメント症候群」「五十肩(四十肩)」の3つです。 いずれも肩関節の構造や使い方に関連しており、特に加齢や繰り返しの動作によって発症しやすい特徴があります。 肩腱板損傷 肩腱板とは、肩のインナーマッスルである「棘上筋」「棘下筋」「小円筋」「肩甲下筋」の4つの筋肉で構成される組織のことです。 これらの筋肉が肩関節を安定させ、スムーズな動きを可能にしています。 しかし、加齢やスポーツ、重いものを持つ動作の繰り返しによって肩腱板が損傷すると、腕を上げる際に痛みを感じるようになります。 特に、「腕を上げようとすると肩の奥にズキッとした痛みが走る」「腕を動かすときに引っかかる感じがする」といった症状が特徴的です。 初期段階では痛みが軽度でも、進行すると夜寝ている間に肩が痛んだり腕が上がらなくなることもあります。 肩腱板損傷について詳しくは、以下の記事もご覧ください。 インピンジメント症候群 インピンジメント症候群は、肩を上げる動作を繰り返すことで、肩の骨(肩峰)と腱板・滑液包が衝突し、炎症を起こす疾患です。 スポーツや仕事で頻繁に腕を使う人に多く発症しますが、加齢によって肩関節周囲の筋肉や腱が弱くなったり、摩耗したりすることで発症するケースもあります。 特に、40代以降では肩のクッションの役割を果たす滑液包がすり減りやすくなるため、インピンジメント症候群を引き起こすリスクが高まります。 「肩を上げると痛みが出る」「肩がゴリゴリ鳴る」「ある角度で痛みが強くなる」といった症状がある場合は、早めに対処することが重要です。 放置すると肩の可動域が狭くなり、五十肩と同じように動かしづらくなることもあります。 インピンジメント症候群について詳しくは、以下の記事もご覧ください。 五十肩(四十肩) 五十肩(四十肩)は、肩関節の周りに炎症が起こり、腕を上げる動作や後ろに回す動作が痛みで制限される疾患です。 主に40代〜50代以降の人に発症しやすいことから、このように呼ばれています。 「腕を上げると肩が痛い」「一定の角度以上に腕が上がらない」「夜間痛がひどく、眠れないことがある」といった症状が特徴的です。 発症の原因は明確には分かっていませんが、加齢に伴う関節や腱の変性、炎症が関与していると考えられています。 次の章では、五十肩がなぜ痛みを引き起こすのか、詳しく解説していきます。 五十肩(四十肩)の正式名称である「肩関節周囲炎」は腕を上げるとなぜ痛い? 五十肩(四十肩)は、正式には「肩関節周囲炎」と呼ばれ、肩の関節を構成する組織(腱板、関節包、靭帯など)に炎症が起こることで発症します。 腕を上げたときに痛みを感じるのは、関節の可動域が制限されたり、炎症によって肩の動きがスムーズにいかなくなったりするためです。 一般的に五十肩(四十肩)は、「肩関節周囲炎」と言われることが多いのですが、詳細には以下も含まれます。 五十肩(四十肩)の正式な病名 病名 影響を受ける部位 症状 肩関節周囲炎 肩関節の周囲全体 肩関節周囲の炎症により痛みや可動域制限が起こる 腱板炎 腱板(肩のインナーマッスル) 腱板が炎症を起こし、腕を上げると痛みを感じる 上腕二頭筋長頭腱炎 上腕二頭筋の腱 腕を前に上げたり、ものを持ち上げると痛みが走る 腱板疎部炎 肩前方の腱板疎部 肩を回す動きで痛みが強くなる 五十肩(四十肩)の原因|加齢による変化と炎症の関係 五十肩(四十肩)の主な原因は、加齢による肩関節周囲の組織の変性(劣化)と考えられています。 年齢を重ねるにつれて、関節を構成する腱板や靭帯、関節包が硬くなり、炎症を起こしやすくなるためです。 具体的には、以下のような変化が五十肩の発症に影響しています。 関節包の硬化:肩関節を包む関節包が加齢とともに弾力を失い、動かすと痛みを感じるようになる。 血流の低下:加齢により肩周囲の血流が悪くなり、修復能力が低下し、炎症が長引きやすい。 腱板の変性:腱板のコラーゲン繊維がもろくなり、小さな負荷でも炎症が起こりやすくなる。 また、普段から肩を動かす機会が少ないと、関節の柔軟性が低下しやすく、五十肩のリスクが高まることも分かっています。 そのため、肩を適度に動かし、柔軟性を維持することが予防にもつながります。 以下の記事も参考にしてください。 五十肩(四十肩)の症状を3段階のステップごとに解説 五十肩(四十肩)は「炎症期」「拘縮期」「回復期」の3段階で症状が変動していくと考えられており、最初は強い炎症に伴う痛み症状を認めたのちに肩関節の拘縮症状が引き起こされ、次第にその拘縮具合も軽快していくとされています。 それぞれの段階で症状が異なり、適切な対処法を知ることが早期回復のポイントになります。 炎症期(初期) 炎症期は、五十肩の最初の段階で、強い痛みが特徴です。 期間:約2週間〜数ヶ月(個人差あり) 主な症状 痛みが強くなる(特に夜間に激しくなる) 動かすと鋭い痛みが走る(特に腕を上げる・後ろに回す動作) 安静時にもズキズキ痛むことがある 対処法 肩の安静を保つ(無理に動かさない) 痛みを和らげるために消炎鎮痛剤を使用(湿布や飲み薬) アイシング(冷やす)や温めるケアを行う(炎症が強い場合は冷やす) 夜間痛がひどい場合は医師に相談し、痛み止めや注射を検討 拘縮期(中期) 炎症が落ち着くものの、肩の動きが極端に制限される時期です。 期間:約数ヶ月〜1年 主な症状 痛みは減るが、可動域が狭くなる 肩が固まり、動かしづらい 腕を上げたり、背中に手を回す動作が困難 日常生活に支障が出る(服の着脱、髪を結ぶなど) 対処法 無理のない範囲でストレッチ(可動域を広げるため) リハビリを始める(痛みが少ない範囲で軽い運動) 肩を温めることで血流を促進し、回復をサポート 回復期(後期) 肩の動きが少しずつ回復し、日常生活が楽になる時期です。 期間:約半年〜1年以上(症状の程度による) 主な症状 痛みはほとんどなくなる 可動域が広がり、肩の動きが回復 腕を上げたり、後ろに回す動作がスムーズになる 対処法 積極的にストレッチやリハビリを行う 日常生活の動作の中で肩を意識的に動かす 軽い筋力トレーニングで再発予防をする 五十肩(四十肩)おすすめの治療方法 五十肩(四十肩)は放置しても自然に回復することが多いですが、症状が長引いたり、生活に支障をきたすこともあります。 痛みや可動域の制限を改善し、スムーズな回復を促すためには、薬物療法・リハビリ・ストレッチ・手術など、症状に合わせた治療が重要です。 薬物療法|痛みを和らげるための鎮痛剤や注射治療 肩関節部の強い痛みによって夜も眠れない、ほとんど肩を動かせない状態と判断された場合には、その強い炎症を鎮めるために消炎鎮痛剤などの薬物を服用することをおすすめすることになります。 具体的には、炎症を抑える作用があるステロイドを主に肩関節内に関節注射として投与する、あるいは副作用がそれほど強くない非ステロイド系の消炎鎮痛剤を飲み薬として投薬することが多いです。 リハビリ・ストレッチ|肩の可動域を広げるトレーニング 肩の炎症がある程度治まり、痛みが和らいできた段階では、可動域の制限が残ることがあります。 このようなときには、硬くなった肩の動きを改善するために、ストレッチや運動療法(リハビリ)が必要です。 おすすめのリハビリ・ストレッチ 振り子運動 肩にかかる負担を最小限にしつつ、滑らかな動きを促す基本的な体操。 方法:痛みのない方の手で机などに体を支え、上半身を前に傾けます。痛む側の腕を自然に垂らし、前後・左右にゆっくりと揺らすように動かします。 テーブルスライド 肩を前方に伸ばす可動域を広げるストレッチ。 方法:椅子に座ってテーブルに両手を置き、腕を伸ばした状態で前に滑らせながら、上半身を倒します。肩の前面が伸びているのを意識しましょう。 クロスボディストレッチ 肩の後ろ側の柔軟性を高める運動。 方法:立ったまま、痛みのある腕を反対側の肩方向へ横に伸ばします。もう片方の手で肘を軽く押さえながら、胸に近づけるように引き寄せます。 手術|関節鏡手術の適応とは? リハビリや薬物療法を続けても、肩の動きが十分に回復せず、慢性的な痛みが解消しない場合には、「関節鏡下授動術」という手術が選択肢に入ります。 この手術では、関節内部をカメラで確認しながら、癒着して硬くなった関節包を電気メスなどで丁寧に剥離します。 肩の可動域が悪くなる原因のひとつは、炎症によって関節包が厚く固まることです。 この癒着を解除することで、術後には肩の動きが大きく改善することが期待できます。 まとめ|五十肩は適切な治療とリハビリで改善できる! 五十肩(四十肩)は、加齢や肩関節の組織に起こる炎症が原因となり、腕を動かす際に痛みが出たり、動かしづらくなることがあります。 とくに腕を上げる、肩を水平に保つといった動きが難しくなり、洗濯物を干す動作や、背中のファスナーを閉めるといった日常の動作に支障が出るケースも多いです。 ただし、早期に医療機関を受診し、炎症を抑える治療や可動域を広げるリハビリを続けることで、徐々に痛みが和らぎ、日常生活の動作が楽になる人も多くいます。 肩の動きに違和感や痛みを感じたときは、放置せず、悪化を防ぐためにも早めの対応が大切です。 五十肩(四十肩)の治療方法には、再生医療という選択肢もあります。 再生医療について詳しくは、以下をご覧ください。
2022.05.25 -
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50代女性で糖尿病の初期症状はどんなものがある? 50代になってから、健康診断で血糖値やHbA1cが高いと指摘されてしまった。対策は? この記事を読んでいる方は、50代女性で糖尿病になると、どんな初期症状があらわれるのか気になっているのではないでしょうか。 血糖値が高いと指摘されても、具体的にどんな症状が出るのか、どんな危険性があるのか想像がつきにくい人もいるかもしれません。 50代は糖尿病のような生活習慣病が増えてくる年代でもあります。特に女性の場合は更年期から発症するケースもあるため、初期症状を見逃さないようにしましょう。 本記事では、糖尿病の初期症状について、50代女性に特化して解説します。 記事を最後まで読めば、50代女性における糖尿病の初期症状が分かり、適切な対策法を考えられるでしょう。 当院リペアセルクリニックでも、糖尿病の症状や治療法についてのご相談を受け付けております。メール相談やオンラインカウンセリングより気軽にお問い合わせください。 糖尿病の初期症状は「のどの渇きやだるさ」 血液の中の糖が多くなると、体にさまざまな異変を感じます。 しかし、糖尿病には「進行しないと症状が出にくい」という特徴があります。つまり、初期症状が出る頃には、すでに糖尿病が進行している状態ともいえるのです。 糖尿病の初期症状としては、以下が挙げられます。(文献1) のどが乾く 尿の回数が多い 体のだるさを感じる 体重が減ってくる 血液の中の糖を薄めるために頻回に水を飲みたくなったり、その影響で尿の回数が増えたりします。 また、血糖をエネルギーに変えて、血糖値を下げるホルモンの分泌が悪くなり、疲れやすい、体重が減るといった症状にもつながります。 糖尿病が進行してくると、体には様々な合併症が現れます。糖尿病の主な合併症は以下の通りです。(文献2) 糖尿病の合併症の例 症状 糖尿病性神経障害 手足のしびれ、感覚の鈍りなど 糖尿病性網膜症 目のかすみ、視力低下など 糖尿病性腎症 むくみ、高血圧、尿毒症など もし糖尿病のような症状が気になっている場合には、早めの受診をお勧めします。 【女性向け】糖尿病の初期症状チェックリスト 「甘いものが止められない」「食事のバランスが偏っている」といった糖尿病になりやすい生活習慣を持っている方は、自分が糖尿病ではないか気になりますよね。 以下は、女性向け糖尿病の初期症状チェックリストです。(文献3)(文献4) のどが渇きやすい 尿の回数が多い 疲れやすい 目がかすむ 体重が減ってきた 手足のしびれや痛みがある 感染症にかかりやすい 傷が治りにくい 当てはまる項目が多い場合は、糖尿病の初期症状の可能性も考えられます。 ただし本表はあくまでもセルフチェックに留め、気になる症状は、早めに医療機関に相談しましょう。 糖尿病の初期症状については、以下の記事もぜひご覧ください。 糖尿病患者の9割は「2型糖尿病」 糖尿病は、生活習慣病とも関連する注意すべき病気です。血糖値を降下させる作用のある、インスリンと呼ばれるホルモンの分泌量が低下する、もしくはインスリンの働きが悪くなり発症します。 糖尿病は、大きく「1型」と「2型」に分類されます。 「1型糖尿病」は、自己免疫の異常によって、インスリンを産生する膵臓の細胞が攻撃を受け発症するタイプです。生活習慣の乱れなどはあまり発症に関与しません。一方、糖尿病患者の約9割以上が「2型糖尿病」と言われています。 主な原因は、ストレスや肥満体型、運動不足や暴飲暴食など日々の生活習慣の乱れです。生活習慣の乱れが続くと、インスリンの分泌が少なくなったり、効きが悪くなり、血液中の糖が細胞に十分に取り込まれなくなります。 2型糖尿病でインスリンが出にくくなる、効きが悪くなる原因の多くは、高脂肪、高カロリーなどの食習慣です。また、糖質の取り過ぎや顕著な運動不足が続くとインスリンの働きが弱まり、徐々に血糖値が上昇していきます。 そのほか、妊娠や更年期を契機に発症するパターン、あるいは膵炎や膵臓がんなど膵臓疾患に合併して発症するパターンなども挙げられます。 2型糖尿病について、詳しく以下の記事でも解説しています。ぜひご覧ください。 50代女性の糖尿病リスクが高い理由 50代女性の糖尿病リスクが高い理由は、更年期が関係しています。 一般的に、女性は40代頃から更年期と呼ばれる時期に入ります。この時期は体がほてって疲労を感じやすいなど症状があらわれることが多いです。 更年期の症状は、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの分泌量低下によるものです。 エストロゲンには血糖値を調整する働きがあり、通常は女性を糖尿病から守る役割を果たしています。エストロゲンの分泌量は40代頃から減少し始め、50代の閉経期には急激に低下することから、更年期以降は糖尿病を発症するリスクが高まっていくのです。 更年期には自治体の定期検診や、勤務先の企業健診の結果に注目しましょう。 特に以下の値が基準値を超えている場合は、糖尿病の可能性があるため、医療機関での受診をおすすめします。 空腹時血糖値:126mg/dl以上 HbA1c:6.5%以上 (文献5) また、尿検査で糖が検出される場合も、糖尿病の可能性を示唆する重要なサインとなります。 50代女性が糖尿病を予防する4つのポイント 50代女性に起こりやすい糖尿病は「2型糖尿病」で、生活習慣の乱れが主な原因です。糖尿病を予防し、健康でいられるための4つのポイントをまとめました。 糖尿病予防のために意識したいポイントは、以下の通りです。(文献6) 食事を改善する 運動習慣をつける ストレスを溜めない 禁煙をする この章では、各ポイントについて詳しく解説します。 1.食事を改善する 食事はバランス良く、適量を摂ることが大切です。 糖分や脂質の多い食事は血糖を上昇させたり、体重を増加させたりします。野菜や果物、魚、豆類、雑穀類などを意識して摂ると、急な血糖値の上昇を防げるでしょう。 また、食事を抜くと次の食事で血糖値がいきなり上昇し、体に負担を与えてしまいます。時間がない、忙しいなどの理由で食事がとれない場合があっても、少しでも何か何かを口にすることから始めましょう。 間食もなるべくヘルシーなこんにゃくやゼリーにすると効果的です。 2.運動習慣をつける 有酸素運動は、血糖を筋肉に取り込みやすくする効果や、インスリンの働きも良くする効果があります。 週3回以上、週合計150分以上を目標に、無理のない範囲で行いましょう。 ウォーキングやサイクリングなど、またなるべく階段を使う、ラジオ体操をするなど「日常でプラス10分動く習慣」を作ることもおすすめです。 3.ストレスを溜めない ストレスは、ノルアドレナリンやコルチゾルといったホルモンを分泌させ、血糖値を上げる働きがあります。(文献7) 家事や育児、仕事などでストレスを感じている場合は、趣味を楽しむ、誰かと話す、ゆっくり呼吸をしてみるなど、意識して休む時間を作りましょう。 4.禁煙をする 喫煙はインスリンの働きを弱めるため、血糖値が下がりにくくなってしまいます。 禁煙することで、糖尿病のリスクを下げるだけでなく、他の生活習慣病やがんの予防にもつながるでしょう。全身の健康を保つために、禁煙を検討することをおすすめします。 まとめ|50代女性は糖尿病のリスクが高まる!生活習慣を見直そう 糖尿病は血糖値(血液中に含まれるブドウ糖)が慢性的に高くなる病気です。 50代女性は更年期のエストロゲン減少によって、血糖値のコントロールがうまくいかなくなり、糖尿病を発症することがあります。 普段から特段の自覚症状がなくても、知らぬ間に高血糖になる可能性があるため周囲が必要です。女性の場合は、更年期前後は生活習慣に特に意識を向けてみましょう。 当院では、膵臓(すいぞう)の再生医療を通じて糖尿病の進行を遅らせる治療も取り入れています。詳しくはこちらのページをご参考ください。 膵臓の再生医療について詳しく知りたいという方は、メール相談、オンラインカウンセリング も承っておりますので、ぜひご活用ください。 女性の糖尿病についてよくある質問 糖尿病は遺伝しますか? 2型糖尿病には、遺伝的要因もあります。 両親から受け継いだ遺伝子の性質により、インスリンの分泌が少なく、糖尿病になりやすい方もいます。 血の繋がった家族に糖尿病がいる方は、食べ過ぎや運動不足など、糖尿病のリスクを高めないように、とくに注意しましょう。 糖尿病は何科を受診すればよいですか? 基本的には内科を受診しましょう。 病院によっては「糖尿病内科」「内分泌科」といった糖尿病に特化した科を持っているところもあります。 また、もし合併症が現れている場合には、眼科や泌尿器科などの専門科の受診も必要です。 参考文献 (文献1) 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター「糖尿病とは」 https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/010/010/01.html (文献2) 一般社団法人 日本糖尿病学会「糖尿病合併症について」 https://www.jds.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=3 (文献3) 国立研究開発法人 国立循環器病研究センター「糖尿病|病気について|循環器病について知る|患者の皆様へ」 https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/diabetes/ (文献4) 東京都保健医療局「糖尿病発症予防ガイドブック 今日から予防!糖尿病」 https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/kensui/tonyo/citizen/6leaflet.html (文献5) 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン 2024」 https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/01.pdf (文献6) 厚生労働省「みんなで知ろう! からだのこと」 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202411_006.html (文献7) 大下咲子 ほか「<研究報告>2型糖尿病患者のストレスとストレス対処行動」 https://isns.jp/journal_pdf/03-1/03-1-2_rr01.pdf
2022.05.24 -
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糖尿病とは、血液中の血糖値が慢性的に高値を示す病気です。 糖尿病にかかると以下のような初期症状が出る傾向にありますが、顕著な自覚症状が認められないケースも少なくないと言われている点で注意が必要です。 糖尿病は、進行すると様々な合併症を引き起こすことが知られていますので、初期症状と疑われる場合は専門医療施設で精密検査を必要に応じて受けることが重要です。 今回は、糖尿病を初期の段階で知り、早期治療を開始するための「初期症状」と、その際に現れる「身体のサイン」、そして初期症状が出現した際の対処法に関する情報を中心に詳しく解説していきます。 糖尿病の初期症状 糖尿病にかかると、慢性的に高血糖が続くために、喉が渇きやすくなり、尿量増加、体重減少などの症状が現れます。しかし、自覚症状が認められないケースも少なくないです。 万が一、糖尿病の初期症状に気がつけば食事の改善などで健康状態を維持することが可能ですが、糖尿病は、進行するとさまざまな合併症を引き起こす可能性があります。 この記事では、糖尿病の初期症状や症状のチェックリストを中心に解説します。 このような身体のサイン(症状)に気が付いたら医療機関へ のどが渇きやすくなった 尿の量が増加します 体重が減少した 空腹が満たされない 足がつったり、しびれる 足にひび割れや、乾燥しやすくなった すぐに風邪をひくなど体が弱くなった 体重が減る 糖尿病の症状では、体重減少が見られます。この減少は、体内でインスリンの働きが不十分になることが原因です。通常、インスリンは細胞にブドウ糖を取り込み、エネルギーとして使用しますが、糖尿病ではこの機能が低下します。 その結果、身体はエネルギー不足を補うために、脂肪や筋肉を分解してエネルギー源とします。この過程で体重は減少し、また、多尿によって体液が失われることも体重減少の要因です。 のどが渇きやすくなる 糖尿病の症状の一つにのどの渇きがあります。これは、血糖値が高くなることによって体内の水分バランスが崩れ、多尿状態が引き起こされるためです。高血糖の状態では、腎臓が血液中の余分な糖を排出しようとしますが、同時に大量の水分も一緒に排出されるため、体内の水分が不足してのどが渇きやすくなります。 喉の渇きが続くと、さらに水分を摂取するため、トイレに行く回数も増えます。 尿の回数が増える 糖尿病では頻尿の症状が見られます。血糖値が高くなると、身体が余分な糖を排出するために、大量の水分が必要です。 結果として、尿の量や回数が増えるだけでなく、強い喉の渇きも引き起こされます。多尿は身体から水分が多く失われるため、脱水状態にもつながりやすくなります。 疲れやすくなる 糖尿病の症状として疲れやすくなることが挙げられます。これは、体内でインスリンが十分に働かず、糖分がエネルギー源として細胞に取り込まれにくくなるためです。通常、食事で摂取した糖分はエネルギーとして使われますが、糖尿病ではこのエネルギーの供給がうまくいかず、体が疲労を感じやすくなります。 また、高血糖状態が続くことで、血液の循環が悪化し、酸素や栄養が体の隅々まで行き渡りにくくなることも原因の一つです。 足がつるなどの症状が見られる 糖尿病では、足がつる症状が見られます。これは糖尿病による神経障害(糖尿病性ニューロパチー)が主な原因です。高血糖状態が長期間続くと、末梢神経が損傷を受け、過剰な興奮を引き起こします。その結果、筋肉が正常に機能せず、けいれんを引き起こしやすくなります。 また、糖尿病の影響で血液循環が悪化し、筋肉への酸素や栄養供給が不十分になることも、足がつる原因です。 感染症にかかりやすくなる 高血糖は白血球の働きを弱め、細菌やウイルスに対する防御力が低下します。 また、糖尿病患者では血流が悪くなるため治りにくい特徴も、あります。とくに皮膚や尿路、肺などの感染症が起こりやすく、足の傷が化膿しやすい糖尿病性足潰瘍や、肺炎、尿路感染症などが代表的な感染症です。 空腹感を感じやすくなる 体内でインスリンが十分に働かず、血糖値がコントロールされないため空腹感を感じやすいです。 通常、食事から摂取した糖分はインスリンの働きで細胞に取り込まれ、エネルギー源として利用されます。しかし、糖尿病ではこの過程が機能しないため、細胞がエネルギー不足の状態になります。その結果、身体がエネルギーを求め、空腹感を感じやすくなるのです。 初期症状を感じたら早めの受診がおすすめです。 糖尿病の初期症状が出ているかセルフチェック|当てはまる方は要注意 糖尿病の症状が出ているかセルフチェックしてみましょう。 トイレの回数が増えた 頻繁に喉が渇く 手足のしびれや痛みがある めまいや立ちくらみをおこしやすい 視力低下や目のかすみがある 体重が急に減少している 食べても満腹感が得られない 上記の症状に当てはまる場合、早めの対策が大切です。 糖尿病が進行すると現れる合併症の特徴 糖尿病が進行すると現れる症状は3つあります。 手足に現れる症状(手足しびれ、痛み) 目に現れる症状(目がかすむ、視力が落ちる) 腎臓が悪化して現れる症状(足のむくみ) それぞれ詳しく解説します。 手足に現れる症状(手足しびれ、痛み) 糖尿病が進行すると、手足にしびれや痛みが現れます。これは糖尿病性神経障害と呼ばれ、末梢神経がダメージを受けると起こります。症状が進行すると、痛みやしびれが悪化し、手足の感覚が鈍くなるため、傷や感染に気づきにくいです。 これが原因で、傷口が悪化しやすく、最終的には潰瘍や壊疽を引き起こすリスクが高まります。 目に現れる症状(目がかすむ、視力が落ちる) 進行すると、目に影響を及ぼす糖尿病性網膜症が出現する場合があります。糖尿病網膜症は、血糖値の高い状態が続くと、網膜の血管が損傷を受け、視力に障害をもたらす疾患です。初期段階では自覚症状は少ないものの、進行すると視力低下、視野のぼやけ、飛蚊症などの症状が現れます。 さらに重症化すると、網膜剥離や硝子体出血などが引き起こされ、失明するリスクが高いです。 腎臓が悪化して現れる症状(足のむくみ) 糖尿病が進行すると、腎臓がダメージを受ける糖尿病性腎症が現れる場合があります。これは糖尿病によって血糖値が高い状態が続き、腎臓の血管が傷つけられるためです。腎臓は血液をろ過して老廃物を排出する役割がありますが、腎機能が低下するとこの機能がうまく働かなくなります。 その結果、足のむくみや疲労感、尿量の変化などが見られ、進行すると血液中に老廃物が蓄積される尿毒症に至る可能性があります。 その他の症状(立ちくらみ、冷や汗) 糖尿病は、自律神経障害を合併する場合があります。自律神経は、心臓、消化器、呼吸器、血管などの器官を調整する重要な神経です。糖尿病が悪化すると、高血糖によって神経が損傷され、この調整機能が正常に働かなくなります。 自律神経障害の症状には、立ちくらみ、冷や汗、消化不良、便秘や下痢、頻尿や失禁などがあり、日常生活に大きく影響します。 まとめ|糖尿病の初期症状を把握して予防に努めよう 糖尿病は、慢性的に血糖値が高い状態が継続する疾患です。 のどの渇き、頻尿、足がつるなどの初期症状を放置して血糖値が高い状態が継続すると、糖尿病性神経障害・網膜症・腎症のリスクにつながります。 今回ご紹介した症状がある場合、リペアセルクリニックへ来院ください。 糖尿病についてよくあるQ&A 糖尿病の自覚症状が出たらもう手遅れですか? 糖尿病の自覚症状が出たからといって、必ずしも手遅れではありません。しかし、自覚症状が現れる段階では、血糖値がすでに高くなっている可能性があり、早期治療が重要です。糖尿病は初期段階では自覚症状がほとんどないため、わずかな症状でも早期に医療機関を受診しましょう。 適切な治療と生活習慣の改善を行うと、症状をコントロールし、合併症の進行を防げるでしょう。 糖尿病は一生治りませんか 糖尿病は現時点で完治が難しい慢性疾患ですが、適切な治療と生活習慣の改善により、血糖値をコントロールし、健康を保てます。1型糖尿病は自己免疫の影響でインスリンの分泌がなく、一生涯インスリン治療が必要です。2型糖尿病は生活習慣が原因で発症する場合が多く、食事や運動の改善で症状を改善できる場合があります。 ただし、糖尿病が進行してた場合、治療を中断すると再び血糖値が上昇し、合併症のリスクが高まるため、継続的な治療が必要です。
2022.05.23 -
- 肝疾患
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健康診断や定期検査で脂肪肝と診断されたとき、どのような食事をすれば良いか気になる方もいるのではないでしょうか。 脂肪肝を改善するためには、避けるべき食べ物を把握しておくことが重要です。栄養バランスが整った食生活を意識すれば、そのほかの病気のリスク軽減にもつながります。 この記事では、脂肪肝になった後に食べてはいけないものや、食事の際のポイントをご紹介します。食生活を見直し、生活習慣を整えることで、脂肪肝の改善につながるでしょう。 【一覧】脂肪肝の食事で食べてはいけないもの 脂肪肝とは、脂質のひとつである中性脂肪が肝臓内に多く蓄積している状態のことです。 脂肪肝の食事で食べてはいけないものとしては、糖質や脂質を多く含まれているような食べ物です。これらの食べ物は脂肪肝を悪化させるだけでなく、メタボリックシンドロームをはじめとしたさまざまな疾患を引き起こす恐れがあります。 また、アルコールの摂取を控えることも重要です。脂肪肝には、過食や過剰飲酒が原因で起こるアルコール性のものと、それ以外の非アルコール性のものがあります。 このように、脂肪肝にとってだめな食事は多くあり、それらを避けることが大切です。 肝臓の病気に対する新たな治療法として、再生医療が注目を浴びています。再生医療について気になる方がいましたら、ぜひお気軽にご相談ください。 脂肪肝を改善する食事のポイント7つ 脂肪肝を改善するには、以下のような食べ物を避けることを意識しましょう。 糖質を多く含んでいる食べ物 ジュース類 駄菓子 果物 脂質を多く含んでいる食べ物 揚げ物 肉の脂身 ドレッシング マヨネーズ ※調理油は植物性が望ましい(オリーブオイル、菜種油、大豆油など) アルコール 1日あたり純アルコール20g(※)まで ※ビール中瓶(500ml)1本程度に相当 ここでは、避けるべき食べ物に加えて、脂肪肝を改善するための食事のポイントを解説します。 1.摂取エネルギーを抑える 1つ目は、糖質をはじめとした摂取エネルギーを抑えることです。食事から過剰摂取した糖質は、中性脂肪に変換されて脂肪肝の発症につながります。 ポイントとしては、摂取エネルギーの目安を把握した上で、それを超えないように食事制限する点です。 一般的な摂取エネルギー量の目安としては、以下のとおりです。 自分の摂取エネルギー量を計算した上で食事管理をして、理想的な標準体重を目標にしましょう。 2.糖質を控える 糖質の摂取もできるだけ控えましょう。 白米や十六穀米などの穀類に含まれる糖質は、比較的肝臓への影響が少ないと考えられています。そのため、1食につきお茶碗1杯程度なら大きな問題にはつながりません。 それよりも注意すべき食べ物が、お菓子や果物です。ジュース類や駄菓子に含まれているショ糖、果物に豊富な果糖は、穀物と比較すると中性脂肪が肝臓に蓄積しやすい特徴があります。 普段の食生活でもできるだけ間食を避け、糖質が多く含んでいる食べ物はなるべく摂取しないように心がけましょう。 3.脂質を控える 脂肪肝を改善するには、脂質を控えることも重要です。とくに、揚げ物やマヨネーズなどの脂質が豊富な食べ物には注意が必要です。 食べ物を調理する際は、なるべく動物性ではなく植物性の油の使用を心がけましょう。1日あたりの油の使用量は、大さじ1杯程度までに抑えるのが理想的です。 脂質の過剰摂取は肝臓に中性脂肪がたまる原因となりますが、極端な制限は必須脂肪酸の欠乏につながります。そのため、適度な脂質の制限が重要です。 食事の目安として、脂質を多く含むものを摂取する機会を週に1〜2回程度に抑えるように調整しましょう。 4.たんぱく質を適度に摂取する 糖質や脂質を控えめにする一方で、たんぱく質はなるべく意識的に摂取しましょう。 たんぱく質は、筋肉を作る上で欠かせない栄養素です。たんぱく質の過不足は、脂肪肝を悪化させるとされています。適量を確保するためには、良質なたんぱく質の摂取が大切です。 良質なたんぱく質を含む食べ物は、おもに以下のとおりです。 豆腐 納豆 牛乳 肉類(牛、鶏、豚) 魚介類(あじ、サバなど) 食事の際は、これらの食べ物を取り入れてみましょう。 5.アルコールの考え方 アルコールは肝臓で脂肪に合成されやすく、脂肪肝の悪化につながる恐れがあります。 可能なら禁酒が望ましく、飲むとしてもアルコール度数の高いお酒や、糖質の多い発泡酒などはなるべく控えましょう。 アルコールを摂取する際は、1日平均2ドリンク(純アルコールで20g)程度までに制限し、週に2日以上は休肝日を設けることが推奨されています。 お酒ごとの純アルコールの目安としては、以下のとおりです。 お酒の種類 目安量 純アルコール量 ビール 中瓶1本(500ml) 20g 日本酒 1合(180ml) 22g ウイスキー・ブランデー ダブル(60ml) 20g 焼酎 1合(180ml) 50g ワイン 1杯(120ml) 12g 6.野菜などの食物繊維が多いものから摂取する 野菜に多く含まれている食物繊維の摂取も重要です。 食物繊維は食後の血糖値の上昇をゆるやかにして、コレステロールの増加を防ぐ働きがあるとされています。そのほかにも、満腹感を得られるようになり、エネルギーの摂りすぎ防止も期待できます。 1日の野菜の摂取量は、約350gが目安です。食物繊維は野菜だけでなく、海藻やきのこ類などにも豊富に含まれているので、これらの食べ物も意識的に取り入れてみましょう。 7.食事の仕方に配慮する 食べ物だけでなく、食事の仕方にも工夫が必要です。具体的なポイントは、以下のとおりです。 1日3食を規則正しい時間で食べる 夜遅くの食事は控える ゆっくり良く噛んで食事をする 主食・主菜・副菜のバランスを整える 不規則な時間帯での食事は、脂肪をため込む原因となります。また、ゆっくり良く噛むことで消化が良好となり、満腹中枢が刺激されて満腹感を得やすくなります。 栄養バランスを整え、偏った食事にならない点も注意が必要です。 まとめ|食事習慣を整えて脂肪肝の改善をしよう! 脂肪肝とは、肝臓を構成している肝細胞表面に脂肪が沈着して蓄積される病気です。 本疾患の原因として、肥満や糖尿病、過度のアルコール摂取などがあげられます。食事内容を見直すことで、脂肪肝の改善が期待できます。 脂肪肝を放置すると肝臓の機能が悪くなるだけでなく、肝硬変や肝臓がんなどの深刻な病気につながる恐れもあるでしょう。病状が悪化する前に、早めに医療機関にご相談ください。 脂肪肝の食事に関する良くある質問 ここでは、脂肪肝の食事に関する良くある質問についてお答えします。脂肪肝について疑問がある方は、ぜひ参考にしてみてください。 脂肪肝に良い食べ物は? 脂肪肝の方におすすめなのが、良質なたんぱく質を含む食べ物や食物繊維が豊富な食べ物です。 たんぱく質は普段不足しがちなので、肉類や魚類などの質の高い栄養源は積極的に摂り入れることをおすすめします。 また、食物繊維には脂肪の蓄積を防ぐ作用が期待できます。野菜やきのこ類など、食物繊維が豊富な食べ物を意識的に食べましょう。 脂肪肝は糖質制限すべき? 糖質制限は、脂肪肝に対して大きな効果が得られるわけではないとされています。 海外の研究によると、減量するには糖質や脂肪などの特定の栄養素ではなく、摂取カロリーの制限が大きく関係しているとされています。(文献1) そのため、糖質や脂質などの栄養素よりも、摂取カロリーを意識した食生活を心がけましょう。 ただ、栄養素の偏りは健康に悪影響を及ぼす恐れがあるので、糖質や脂質を控えめにしつつ、たんぱく質を意識的に摂り入れてみてください。
2022.05.19 -
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糖尿病の合併症(サイレントキラー)は生活習慣の改善で防ぐためにできることとは 糖尿病が「サイレントキラー」と恐れられる理由をご存知でしょうか? それは、糖尿病の進行がしばしば無症状であるためです。糖尿病は、長期間にわたって血糖値が高い状態が続くことで、様々な合併症を引き起こす可能性がある病気です。 これらの合併症は、特に早期に発見や治療が行われない場合に重篤な結果をもたらすことがあります。 その合併症としては失明の原因となる「糖尿病性網膜症」、人工透析の原因となる「糖尿病性腎症」など、進行すると日常生活に多大な影響を及ぼす症状が出る人がいるため注意が必要です。 糖尿病の治療が必要な理由は、これらの合併症を防ぐ目的があるためです。糖尿病は、些細な生活習慣の乱れが原因であることがほとんどといわれています。 糖尿病の合併症が「サイレントキラー」といわれ、命に関わる怖いものであることを知ることで、「生活習慣改善を変えるきっかけ」にしていただければと思います。 糖尿病は合併症により「サイレントキラー」と呼ばれる 糖尿病は、それ自体には痛みなどの症状はほとんど現れません。そのため、健康診断で糖尿病であることが指摘されても放っておく人も多いのが現状です。しかし、糖尿病は全身に合併症を引き起こします。合併症とは、一つの病気が元になって起こる新たな病気のことを指しています。 糖尿病の合併症は命に関わることから、糖尿病を「サイレントキラー(沈黙の暗殺者)」と呼ぶ医師も多くいるようです。 糖尿病の三大合併症は(し・め・じ)と呼ばれる 糖尿病の合併症には三大合併症と呼ばれる代表的なものがあります。次の病気が、糖尿病三大合併症と呼ばれるものです。 この3つは、糖尿病が無ければ起こらない病気であり、それぞれの頭文字を取って覚えやすく「し(神経症)・め(網膜症→め)・じ(腎症)」と呼ばれ、その危険性を喚起しています。 どの合併症も、多くは無症状で進行し、症状が現れたときには危険な状態となっています。生活に大きな支障をきたす病気であるため、注意が必要です。 糖尿病の三大合併症 し)神経障害 め)網膜症 じ)腎症 しびれや麻痺を全身に引き起こす神経障害(ニューロパシー) 神経障害は、糖尿病になってから適切な治療を受けずに放置すると、約5年で現れることが多く、糖尿病三大合併症の中で最も早く症状が現れるといわれています。 これは、高血糖が神経にダメージを与えることで、これにより感覚を伝える神経や身体を動かす神経が障害され、痛みやしびれ、こむら返りなど自覚しやすいものや、足の感覚が鈍くなる感覚鈍麻など自覚しづらいものが症状として現れます。手足の知覚や運動機能が低下することがあります 病状が進行すると、自律神経という内臓や血管の働きに関わる神経にも影響が出ます。そのため、しびれや麻痺が全身に広がり、身体が動かしにくくなり生活に大きな支障をきたしてしまう恐れがあります。 特に足の神経障害は重要であり、潰瘍が進行して感染を起こし、最悪の場合は切断が必要になることもあります。 視力低下や失明を引き起こす網膜症(糖尿病網膜症) 神経障害の後に現れるのが網膜症です。高血糖により、目の網膜にある毛細血管が傷ついたり破れたりすることで、視力低下や失明を引き起こす病気です。 網膜症の進行は、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の数値が高いほど早いと考えられています。症状が現れると、治療しても視力を回復することは難しいといわれています。 そのため、糖尿病と診断されたら眼科で定期的に網膜の検査を受けることが大切です。また、視界がぼやけたりシミが見えるなど、目の異変に気付いたらすぐに眼科を受診しましょう。 糖尿病網膜症は進行性の病態であり、早期の発見と治療が重要です。 糖尿病腎症は人工透析の原因第一位 糖尿病腎症は糖尿病三大合併症の中でも比較的遅く現れます。腎臓は血液をろ過して老廃物を尿として出す働きをしています。 腎症になるとろ過機能が低下し、尿にタンパク質が漏れるようになります。(タンパク尿)症状が悪化すると腎機能のほとんどが失われ「人工透析」が必要になります。現在、日本の人工透析の原因第一位は、こうした糖尿病による腎症なのです。 これらの合併症は、糖尿病患者が血糖値の管理に注意を払い、定期的な健康チェックや医師の指導を受けることで予防・管理が可能です。早期の発見と治療は合併症の進行を遅らせ、重篤な結果を防ぐために非常に重要です。 糖尿病と診断されたら、定期的な尿検査を行い、腎機能の状態を確認するようにしましょう。 糖尿病 日本の人工透析:原因第一位は、糖尿病による腎症 早期発見:進行を遅らせる 合併症:進行を遅らせる 合併症を防ぐために必要なこと 糖尿病の合併症を防ぐためには、症状が現れていないうちから血糖値のコントロールを行うことが必要です。 糖尿病の治療や合併症の予防は、食事療法・運動療法・薬物療法の三本柱で行います。食事療法においては、血糖値が上がりやすい糖質の量を減らし、野菜や食物繊維の多い食品を多くとりいれることで高血糖の改善や体重低下が期待できます。 なお、極端な糖質制限は逆効果です。あくまで糖質を食べ過ぎないように食事の最後に食べるなどに留めましょう。運動療法によって血糖コントロールに関わるインスリンの働きが良くなり、高血糖の改善や体重低下が期待できます。 軽めのジョギングやウォーキングなど、無理なく継続できる方法で運動を取り入れましょう。薬物療法を行う場合は主治医と相談しながら症状に合わせた薬を飲み続けて経過を見てもらいましょう。 また、体質的にインスリン分泌が少ない人はインスリン注射を日常的に行う場合があり、これも薬物療法にあてはまります。 どの治療を中心にするかは個人差があるため、主治医に相談した上で決めていきましょう。 糖尿病の治療や合併症の予防の三本柱 食事療法 血糖値が上がりやすい糖質の量を減らす 野菜や食物繊維の多い食品を多くとりいれる 極端な糖質制限は逆効果 運動療法 インスリンの働きが良くなり、高血糖の改善や体重低下が期待できる 軽めのジョギングやウォーキングなど、無理なく継続 薬物療法 主治医と相談しながら症状に合わせた薬を飲み続ける インスリン分泌が少ない場合、インスリン注射を日常的に行う場合もある まとめ・糖尿病の合併症(サイレントキラー)は生活習慣の改善で防ぎたい 本記事では、糖尿病が進行すると命に関わる合併症を全身に引き起こすことを解説しました。糖尿病三大合併症である神経障害、網膜症、腎症が進行すると、治療して元の状態に戻すことは難しいとされています。 どの合併症も、症状が重くなるまで自覚症状がほとんどなく、自分で気付くのは困難です。糖尿病と診断されたら、内科や眼科での定期的な検査を受けて異常をいち早く発見しましょう。 健康な人と変わらないQOL(生活の質)や寿命を守るためにも、症状が現れないうちから定期的な検査や血糖コントロールを行うことが大切です。サイレントキラーと恐れられる糖尿病の症状にはくれぐれもご注意下さい。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 ▼以下もご参考にしていただければ幸いです 糖尿病を予防するための運動とは、その効果と注意点 ▼糖尿病の合併症|最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目を浴びています
2022.05.19 -
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変形性股関節症の人工関節|手術で年代別に考慮すべき問題やリスク 変形性股関節症に悩まされ、運動療法や薬物治療に取り組むも改善が見られず、症状が進行した場合、人工関節への置換治療を薦められることがあります。 しかし、その選択に関して「年齢」という側面があることを忘れてはなりません。変形性股関節症の最終的な選択肢である手術は今ある関節を「人工関節」と取り換える大掛かりなものになります。 人工関節そのものに抵抗がある、手術を避けたい、入院期間が気になる、痛みが心配など、体や心、生活などの多様な心配事が浮かんで来られるのではないでしょうか。 この中にもありますが、手術について年齢的な問題を特に心配にされる方がおられます。 実際のところ「何歳まで受けることができるのか?」「リスクは・・・」「何歳位の人が多いのか?」「早すぎる、また遅すぎる・・・」など、といった不安や疑問を感じられるのではないでしょうか。 そこで今回は、変形性股関節症の人工関節の手術を受ける際の心配事の内「年齢について」解説致します。 人工関節について患者様の不安(リスク) 人工関節そのものが心配 異物を入れる不安感 手術は避けたい 入院期間が気になる 痛みが心配 リハビリが心配 生活や仕事の心配 年齢的な心配 > 股関節の悩みを最先端の幹細胞治療で治療する 変形性股関節症での人工関節手術|その特徴と年代について 変形性股関節症の発症年齢は、40代以上が多い傾向があります。 手術は、関節の痛みを感じて保存療法等リハビリを行っても症状が進行し、薬物療法等でも痛みが緩和できなくなり、生活に支障をきたす状況になると選択肢として検討されることになります。 変形性股関節症の場合、手術は人工関節の置換術となることが多く、注意したいのが人工関節は、文字通り「人工物」ということです。つまり、物である以上、耐用年数が存在するということです。 考えるまでもなく、股関節には日常生活において大きな力が掛かっていることはご理解いただけるはずです。そのため年数による経年劣化は避けることができないという特徴があります。 ここが大切なところで、年齢的に早くに手術をすると人工関節が緩んだり、そのもの耐用年数が来て機能を果たさなくなってくることがあります。そうなると再手術という可能性があります。 そのため、変形性股関節症の手術を受ける年齢は、60代と70代が圧倒的に多いのです。ただ、変形性股関節症は、40代以下の若い人でも患う可能性があるため、比較的若い年齢でも手術を検討せざるを得ないことがあります。。 30代から40代の年齢で変形性股関節症を発症し、保存療法を続けていたけれど、痛みが強くなってきたため、50代で手術を受けることになるという人もいますし、もっと若い年齢で発症する人もいます。 ただ、近年の人工関節は技術の進歩で耐用年数が長くなってきたことは事実です。そのため、若年層であっても、再手術のリスクがあることを知った上でも、痛みのない普通の生活を取り戻したいとの想いから手術を受ける方もおられます。 若い年代(40~50歳代)で変形性股関節症の手術を選ぶ場合の問題点 変形性股関節症には、高齢者が悩まされるイメージがありますが、40代から50代という比較的若い年齢でも、その痛みに悩んでいる人はいますし、実際に手術を受けている人もいます。 人口関節には寿命があります。そのため、若いうちに人工関節を選択すると将来、再手術が必要になる場合が多く、手術を避ける傾向があります。 ただ、40代、50代という若く、再手術のリスクがある年齢でありながら、変形性股関節症の手術を選択する場合は、長く苦しむよりも、痛みのないスムーズな生活(QOL※の確保)を送ることを優先したいという想いに尽きますが、それ以外にも以下の1~3のような理由が見られます。 ※QOLとは クオリティ・オブ・ライフ(Quality of Life)の略です。 患者さんの肉体、精神、経済、社会といった各面での生活の質にこだわり、豊かな人生を確保するための概念です。 1.体を動かす仕事に就いている 40代~50代といった年齢であれば、まだまだ現役で仕事をする世代です。特に営業の外回りなどをしている、立ち仕事をしている、というような人は、変形性股関節症になると、思うように仕事ができなくなってしまう恐れがあります。 しかし、40代や50代という若い年齢であれば、変形性股関節症になってしまっても手術後にリハビリを行うことで、早い回復が見込めます。 そのため、職場復帰などを考慮するのであれば、なるべく早く変形性股関節症の手術を受けたほうが良い場合もあります。 2.50代・60代以降|スポーツを続けたい 仕事や趣味でスポーツをしている40代の人で、50代、60代になってもスポーツを続けたいと思われるかたは多くいます。そんな場合は、変形性股関節症の手術を早めに検討することがあります。 変形性股関節症は進行する病気、保存療法をおこなっても治癒は困難 変形性股関節症の治療は、「進行を抑えること」と、「痛みを抑える」ことを目的としたものになります。つまり、頑張っても症状は進行するし、痛みも伴うことになります。 そのため、再手術のリスクを抱えていたとしても、手術を受ける年齢が早いほど、術後のリハビリからの回復も早くなり、40代のうちに手術を受けておけば、それ以降、50代、60代でも元気にスポーツができる可能性が高まります。 このようなことから、あまり痛みが出ていない若い年齢であっても変形性股関節症の手術を受ける人がいるのです。ただ人工関節は万能ではありません。手術自体にもリスクがあります。 3.若くても既に変形性股関節症の痛みが出て日常生活に支障がある 変形性股関節症は、あぐらやしゃがみ込むなど、股関節に負担のかかる動作や姿勢を控えるようにして運動療法や薬物療法といった保存療法を続けていれば、ある程度痛みを抑えて日常生活を過ごすことは可能です。 しかし、既に日常生活で痛みが出てしまっている40代の人の場合は、早めに変形性股関節症の手術をおこなったほうが良い場合もあります。 早く手術を受ければ、リハビリの効果も発揮されやすくなりますし、人工関節を入れた場合は、人工関節の扱いに早く慣れることもできます。 そのため、変形性股関節症の痛みがすでに強いという場合は、保存療法で時間稼ぎをするのではなく、40代など若い年齢で手術をおこなうことがあります。 変形性股関節症の手術を控えたほうが良い年齢 変形性股関節症の手術を受けることが多い年齢の平均は60代~70代です。それ以上の年齢になってくると手術を控えたほうが良いケースもあります。 80代以上の高齢者は手術を控えたほうが良い 絶対ということではありませんが80代や90代の高齢者は、一般的に変形性股関節症の手術を控えたほうが良いと言われます。 その理由としては、80代以上の高齢者の場合、身体や筋力の衰えなどのため、手術後のリハビリは、若い人以上に根気よく続ける必要があること、また、本人にも、「リハビリを頑張りたい」という強い意志が求められるためです。 また、家族の十分なサポートがない場合、寝たきりになってしまう可能性もあります。変形性股関節症の手術後のリハビリは、家族のサポートも必要とされます。 80代以上の年齢になると手術は、体力や心肺機能に懸念 80代や90代以上の変形性股関節症の手術は、体力や心肺機能の面でリスクが高いという理由もあり、手術を控えたほうが良い場合もあります。 たとえ本人や家族が手術を希望していたとしても、持病や年齢によって既に心肺機能が低下している場合は、手術が受けられないことも少なくありません。 変形性股関節症の手術は一般的に全身麻酔による手術であるため、心肺機能が低下した状態で手術を受けるというのは、非常に大きな危険が伴うからです。 90代で手術を受けた症例もあるが・・・リスクが大きい 年齢について逆に高齢の場合はどうでしょうか?最高齢だと、90代で変形性股関節症の手術を受けたという症例があります。つまり、人工関節の手術自体は高齢が理由で妨げられないことになります。 ただし、一点。術後はある程度、高度なリハビリが必要となるため、手術のあとにリハビリを受けられるだけの体力がある人に限られます。 逆にリハビリができない場合は、寝たきりになるリスクもあり、手術を受けた意味がなくなる可能性もあり、医師としっかり相談して進めなければなりません。 もちろん家族の術前の同意や、術後の協力、支えが必要不可欠になります。 まとめ・変形性股関節症|人工関節手術の年代別リスクについて 変形性股関節症の手術は、大掛かりな手術になるため、年齢や生活環境、将来なども見据えた上で手術をおこなうかどうかの選択をしなければなりません。 また、変形性股関節症の手術を受けた後は、リハビリが必要ですが、そのリハビリは年齢が高くなるにつれて難しくなる場合もあります。そのため、変形性股関節症の痛みを手術で改善したいけれど、手術を受けることができないという人もいます。 そこで紹介したいのが、近年注目されている変形性股関節症を「再生医療で治療する」という方法です。 再生医療は、人工関節などを入れる手術と比べても治療期間が少なく済み、副作用のリスクも少ない安全で安心な治療です。そして、年齢が高くても治療できる可能性が広がりますし、高い治療効果を期待することが可能です。 変形性股関節症の手術を検討すべき状態ではあるけれど、体力面、心肺機能などで懸念材料があるという人、治療期間を短くしたい、なるべく体に負担が少ない治療を受けたいという人は、再生医療を検討してみてはいかがでしょうか。 >変形性股関節症は「再生医療」という最新治療法で手術・入院を避けて治療することできる方法があります。 以下の動画では、変形性股関節症に悩む患者様が手術ではなく再生医療を選択した経験について語っています。是非参考にしてみてください。 https://youtu.be/cjMBSIy0rG0?si=bbBce0OZEgtPY48d 以上、変形性股関節症|人工関節手術の年代別リスクについて記させていただきました。ご質問などございましたらお気軽にお問い合わせください。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼こちらも合わせて確認しておきませんか 変形性股関節症と臼蓋形成不全の関係性と治療法について
2022.05.12